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福島政府委員 富士自動車の
争議の
関係は、これは必ずしも私
どもの
所管事項ではごいませんので、当然の私
どもの
所管事項としての権限をもって
お答えするととは適当でないと
考えるのでありますが、御
質問でもございますし、またわれわれもそれに似たような
駐留軍労務という
関係を
担当しておりますので、多少のことは存じておりますので、その意味において
お答えを申し上げさせていただきたと思います。かつては、
調達庁というものが
米軍の
調達全般を引き受けまして、現在やっております土地とか建物とか、あるいは
労務の
調達とか、現在はそれまでになっておりますが、かつてはそれ以外に
需品の
調達というものもやっておったわけであります。その
時代におきましては
富士自動車の
特需契約というものもわれわれが
担当してやっておったわけであります。
講和発効以後、
特需の
契約というものは、
行政協定によりまして
日本の官憲の手を離れまして、
米軍と
業者との間の直接の
契約ということになったわけであります。従いまして、われわれの手を離れて、その
契約関係な
どもわからない
部分が多分に出てきたわけであります。政策的に申しますならば、これは私先ほど申し上げましたけれ
ども、私限りの
意見としてお取りを願いたいのでございますが、そういう問題に
政府の
発言力が小さくなっている形というものは感心しないということは言えるのでございます。
特需が年々歳々増大する傾向にありますときには、若干でも産業育成的な
見地をこれに交える必要がある。また
特需が年々歳々
減少いたします時期におきましては、当然
労務者の
保護はもちろんのこと、
産業自体の
保護という
見地から急激な
変化を招来しないような手配というものが必要になるわけでございます。ところが
米軍と
業者との間の直接の
契約によってやるということになるわけでございますので、その間の取扱いという問題が困難でもありますし、また希望する
事態から遠ざかっておるということは、これは率直に申し上げられると思います。
そこで当面の
富士自動車の問題でございますが、
富士自動車は
米軍との間に昨年七月から本年六月
末日までの間に、一定の数量の
契約を持っておったわけであります。これは
米国の
会計年度に従っているわけですが、
米国側といたしましては、
会計年度が改まりますので、
契約の更新をする時期が近づいて参っている。そこで
先方の
計画といたしましては
——あの工場のやっている
仕事は、古くなりました
自動車、戦争、演習その他によって破損いたしました主として
貨物自動車の
再生修理という
仕事であったわけです。その修理すべき車輌の数が減ってきたので、来
年度の
仕事はかなり急激に分量が少くなるという
予告を、かれこれ一カ月ぐらい前になりますが、五月の何日かと思いますが、
会社の方にして参ったわけであります。
会社としては、現在の
契約は六月
末日までのものでありますから、その期間内における
契約違反とか、そういうものではないわけでありますので、これによってクレームをつけるというわけにも参らない。更新するところの来
年度の
契約は、ないとはいわないが非常に少くなっている一こういう予定を打ち明けられたものでありますから、そこで至急
人員の
整理をしなければならないということになったわけであります。従来から
退職金その他の
積み立てば、
会社としては、私の
承知します限りでは、五億近くあると聞いておりますが、まだ六月
末日までは
仕事はあるわけでありますけれ
ども、
解雇予告をして六月の
仕事をしようとすることは、休む人が続出などして希望しない。従って
会社としては、六月
末日までは現状のままで働いてもらって、六月
末日に
予告にかわる金で支給することによって
事態を切り抜けたい、そのためにその分ば予定されておらないのであるから、
アメリカ側から金を出してもらいたいということが、せんじ詰めますと、
会社側の希望であろうかと思います。それに対しまして
アメリカ側では、
予告のできるような時期を見計らって通知したわけだから、金を出す義務はない、こういうことにもなるわけです。従いまして
アメリカと
会社との間に、
法律上の
関係におきましては、どちらかと申せば、
会社側から手がかりがないという問題になるわけであります。そこで
会社の方は、本来ならば
米軍の注文が減ったわけでありますから、民需その他の
仕事を開拓して
労務者を養うという方向に注意を転換すべき
——これはかねてそういう配慮があってしかるべきことであったと思いますが、今日卒然としてはそれもできないので、とりあえず
仕事量は六割ぐらい減るのであるから、従って
人員も五割以上減らさなければならないということで、今日問題が起っているわけであります。私
どもといたしましては、もしも
米軍が
会社との
契約に
違反しているということになれば、その面まで参りますれば、これは当然われわれの
仕事として
米軍に交渉するということができるわけであります。
違反はしてないが、急激な
変化は困るから頼むということになりますと、私
どもの直接の
仕事になりません。もっと政策的な面を
担当する方面の
仕事になるわけでありまして、寄り寄り私
どもの
意見も申しておりはいたしますが、当面の
責任事項でございませんので、
承知しているところを申し上げた次第であります。