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1955-06-04 第22回国会 衆議院 予算委員会第一分科会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年六月四日(土曜日)     午後二時四分開議  出席分科員    主査 赤城 宗徳君       石坂  繁君    高村 坂彦君       楢橋  渡君    古井 喜實君       植木庚子郎君    橋本 龍伍君       久保田鶴松君    武藤運十郎君       杉村沖治郎君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 一萬田尚登君  出席政府委員         調達庁長官   福島愼太郎君         大蔵事務官         (銀行局長)  河野 通一君     ————————————— 六月四日  分科員石坂繁君、北村徳太郎君及び北山愛郎君  辞任につき、その補欠として山本勝市君、高村  坂彦君及び田中稔男君が委員長の氏名で分科員  に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和三十年度一般会計予算皇室費国会、裁  判所会計検査院内閣総理府経済審議庁  を除く)、法務省及び大蔵省所管  昭和三十年度特別会計予算総理府及び大蔵省  所管  昭和三十年度政府関係機関予算大蔵省所管     —————————————
  2. 赤城宗徳

    赤城主査 これより第一分科会を開会いたします。  昭和三十年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、皇室費国会、裁判所会計検査院内閣経済審議庁を除く総理府法務省及び大蔵省所管一括議題とし、質疑を継続いたします。杉村沖治郎君。
  3. 杉村沖治郎

    杉村分科員 大蔵大臣質問をいたしますが、本日は予算分科会ということになっておるのですが、この間からの新聞報道を見ておりますと、本予算について何か自由党民主党との間に話し合いがあって、そうして本予算を変更するようなことが新聞に報道されておるのでありますが、その点はいかがでございますか。
  4. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 自由党民主党の間で三十年度予算修正についていろいろと話し合いがあるようには聞いております。
  5. 杉村沖治郎

    杉村分科員 どうかもう事ここに至りましては、大蔵大臣としてのお立場もありましょうが、あまり歯に衣を着せないで、ざっくばらんに話をしていただきたいのでありますが、新聞には、あなたも民主党自由党との折衝の席上に出ておったように書いてございますけれども、そういうことはないのでございますか。
  6. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 さようなことはございません。
  7. 杉村沖治郎

    杉村分科員 そうするとこの朝日新聞読売新聞等の記事は一切そういう事実無根のことを書いておるということに伺ってよろしゅうございますか。
  8. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 お答えします。どういうことが書いてあるかよく承知しませんが、両党の話合いの間に私がおったということはありません。
  9. 杉村沖治郎

    杉村分科員 そういたしますと、この新聞の報ずるところによりまするなれば、本予算に対するところの二百十五億の修正をもって、自由、民主両党の間に話し合いがついた、こういうことなんですが、もしそういうことになるとすれば、予算関係法律案、特に新聞が報じているところの減税問題——減税は大へんけっこうなことでありまして、われわれも大いに賛成するところであります。われわれはこの前の組みかえ案に対してもそういう方針のもとにやっておるのでありますが、もしこの新聞の報ずるがごとくであるとすれば、税制に関する法律改正をしなければならぬ、こう思うのですが、その点はいかがでありますか。
  10. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 ただいま国会と申しますか、自由党とか民主党、こういうような党のところでいろいろお考えになっておることだと承知をいたしておりますが、私はそれに今何も意見を申し上げる段階ではないと思います。
  11. 杉村沖治郎

    杉村分科員 そういたしますと、それは自由党民主党との間の話し合いであるからあなたは存じないということになればそれまでですが、もし自由党民主党話し合いについてこの新聞の報ずるごとくであるとすれば、私ども考えとすれば、どうしても減税については税制改正しなければならない、また財政投融資補助金問題等についても、やはり同じく補助金等に関する特例法改正もしなければならぬ、こういうことに相なるのですあなたが全然関係がないと言えばそれまでですが、新聞をあなたはごらんになっておりませんか。
  12. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 お答えします。新聞承知いたしております。そうしていろいろな税についてもしもこれに修正を加えるとすると、場合によっては法律も変えなければならぬ、あるいは新しい立法措置の必要が起るかもしれないと思いますが、今私はそういう具体的なことを何も存じておらぬわけであります。
  13. 杉村沖治郎

    杉村分科員 さようであろうと思うのですが、そうすると、もしこういう二百十五億というような修正を加えるということになりますなれば、これは私ども考えではこの本予算の根本的の修正あるいは予算関係法律案修正を行わないでこの分科会をやってみたところが、実際意義がないわけなんでありまして、私どもがこの分科会審議をしていくということが、ほんとうに無意味なことをやっておるような感じがするのであります。大蔵大臣は、とにかくこの三十年度予算編成の是非は別といたしましても、あなたの本予算委員会における過去の答弁を拝聴いたしておりますと、相当信念を持ってこの三十年度予算編成をせられた。またこの三十年度予算日本の現在の情勢下においてはきわめて妥当である、こういう信念に基いておられるように私どもは拝聽いたしておったのでありますが、あなたは今その御心境はいかがでございますか。
  14. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私は何も今心境変化があるわけではありません。が、しかし議会が多数の意思をもってやられるとなれば、これはどうしてもそういうふうにならざるを得ないのじゃなかろうかとは思っております。
  15. 杉村沖治郎

    杉村分科員 そういたしますると、これを政府としてはやはり——あなたの理屈は別であります。何といってもあなたも民主党内閣の閣僚であって、民主党がそういうことを考えておるとすれば、あなたのやったこの予算編成をみずから進んで直されるというよろな気持はありませんですか。
  16. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 そういう意思はありません。
  17. 杉村沖治郎

    杉村分科員 そうすると今日で分科会が終るのですが、私ども分科会審議をやる気持がないのです。実際において民主党自由党がほとんど話し合いをしておって、そうして二百十五億の修正話し合いがついたということは、これはもう公知の事実のごとくに報道されておるのでありまして、これが今日そういうことについて当局が何も関知しておらないというようなことで、予算審議をいいかげんそうにやらしておくというようなことは、はなはだ国家のために、国民のためによろしくない。国会というものをきわめて軽視しておる。少くとも国会予算審議を、この公けの予算委員会でやらないで、今の自由党民主党の裏の取引によってこれが変更されて、一夜作りで予算が通過する、そういうようなことはまことに私は国民に対して国会の信頼を失うと思うのですが、あなたはこれに対して御所見はいかがでございますか。
  18. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私も遺憾に存じます。が、しかしどうもこれはいかんともしがたいのであります。
  19. 杉村沖治郎

    杉村分科員 委員長、これ以上質問をしても仕方がありませんので、私はここで申し上げますが、もうこれ以上分科会をやってみたところが意義がないと思いまするから、これだけを申し上げて私の質問終ります。
  20. 赤城宗徳

  21. 久保田鶴松

    久保田(鶴)分科員 今日は私西田大臣に出席してもらうようにお願いしておいたのですけれども、本会議が開かれている関係から、それが困難らしゅうございますので、長官が見えておりますから、長官に二、三伺いたいと思います。  今進駐軍関係労務者数はどのくらいあるか、それをおっしゃっていただきたい。
  22. 福島愼太郎

    福島政府委員 ただいま駐留軍関係労務者数概数十五万五千程度でございます。このほかにいわゆる国連軍と申すのがございまして、これがかれこれ一万程度ございます。
  23. 久保田鶴松

    久保田(鶴)分科員 すると今富士自動車関係争議が行われておりますが、ここにおられる労務者をどのくらいやめさすというか、首にしようとしておられるのか、それを伺いたい。
  24. 福島愼太郎

    福島政府委員 お答えを申し上げます。ただいま人員整理関係で交渉の行われております個所は多少ございますが、全般的に争議という形にまで発展している個所はまだないのでございます。それからまた駐留軍関係組合全般といたしましても、全国的な規模におきまして争議という関係にはなっておりません。ただ人員整理関係相当に該当する案件があるわけであります。全般的に申しますと、アメリカ軍が逐次兵力を減少して参りましたので、本年度労務者概数を十四万六千と算定しております。本年度と申しますのは本年の七月から来年の六月までで、アメリカ側考えとしては十四万六千になるであろう。それに従ってわれわれの方は計画を立てるということになっておりますので、これからわれわれの方の会計年度終りまでには十四万六千にならないと考えておりますが、それに相当する若干の人員整理の問題が、来年の三月の終りまでに起る可能性があるわけでございます。しかしながら一方におきまして十五万以上の雇用関係でございますので、毎月の自然減少自然減耗の数なども相当に上っております。従来はこれを千名くらいに見ておるならわしであります。最近は元の数が減っておりますので、そうも参らないと思いますけれども新規雇用の抑制、そういうふうな手当をいたしまして、でき得る限り予想される減少自然減耗によって食いとめようという処置をいたしておる次第でございます。
  25. 久保田鶴松

    久保田(鶴)分科員 すると今の問題として、争議の一歩手前であるこの問題について、長官は今ここにおいでになる前までそこに行っておられたそうでありますが、その実情はどういうことであるかということを報告してもらいたい。
  26. 福島愼太郎

    福島政府委員 争議の一歩手前ということでございますが、今日の問題と申しますものは、佐世保の問題でございまして、佐世保陸軍関係施設が閉鎖されるという問題がございます。施設の解除はこれまた調達庁仕事でございます。私ども仕事は一面労務者雇用の安定を期するという面に力を入れておりますが、一面アメリカ関係施設をでき得る限りはじから解除してもらいたいという考えを表明せざるを得ない関係になっておりますので、アメリカ軍施設を解除する、もしくは一部本国へ帰還するという問題をせきとめるわけにも参りません。そこで佐世保にございます陸軍施設が閉鎖されるのではないかといううわさが、現地において立っておるわけであります。佐世保には海軍関係があるから、そちらに移管される可能性もあるということで、果して陸軍が全面的に締めるのであるかどうか。佐世保のその関係労務者は千四百ばかりになるわけであります。それが現在のところ、現地陸軍関係者は七百くらいの解雇考えておるのではないか。あとの七百何十もしくは八百近くは解雇という関係考えていないらしいが、七百くらいの解雇はどうもあるように思うという問題を持って佐世保組合代表者が上京せられたわけであります。そしてわれわれの方も、それ以前から情報をつかんでおりましたので、アメリカ側と連絡をとっておるわけでありますが、佐世保現地限りの計画のようでありまして、中央の方に何らそういう計画が聞えてきておらないということで、事務的に折衝いたしましても実態がつかめない。先方解雇予告を出して参りますれば、これはすぐにでもわかるわけでありますが、まだそれは出しておらない。従って、解雇予告というものは四十五日以前に通告をしてこなければならないことになっておりますが、四十五日以内にそういう計画はないということになっておるのですが、現地担当者の言った言葉、その他あるいは現地組合の諸君がつかんでおります情報というものを、こちらで全般的な計画の中にはっきりつかみまして、そういうことになればどういう対策を講ずるかということになるわけでありますが、本日までのところ、中央における計画としては、さようなものが出ておりませんので、あるいは大津にございます西南軍司令部あたり計画であろうかということで、先方からそちらに照会してもらっておるという状況でありまして、現地における担当将校の言動が計画の一部を現わしたものであるかどうか、それが現地司令官限りの計画であるのかどうか、軍団司令部計画に基いてそういうものが出て嘗ておるのであるかどうかという点が判明いたさないのであります。極東陸軍全般といたしまして、今日さような人員整理計画は思い当らないということで、調べてもらっておるというのが実情でございます。
  27. 久保田鶴松

    久保田(鶴)分科員 そういたしましすと、今富士自動車関係の問題はどうなっておるのですか。
  28. 福島愼太郎

    福島政府委員 富士自動車争議関係は、これは必ずしも私ども所管事項ではごいませんので、当然の私ども所管事項としての権限をもってお答えするととは適当でないと考えるのでありますが、御質問でもございますし、またわれわれもそれに似たような駐留軍労務という関係担当しておりますので、多少のことは存じておりますので、その意味においてお答えを申し上げさせていただきたと思います。かつては、調達庁というものが米軍調達全般を引き受けまして、現在やっております土地とか建物とか、あるいは労務調達とか、現在はそれまでになっておりますが、かつてはそれ以外に需品調達というものもやっておったわけであります。その時代におきましては富士自動車特需契約というものもわれわれが担当してやっておったわけであります。講和発効以後、特需契約というものは、行政協定によりまして日本の官憲の手を離れまして、米軍業者との間の直接の契約ということになったわけであります。従いまして、われわれの手を離れて、その契約関係どもわからない部分が多分に出てきたわけであります。政策的に申しますならば、これは私先ほど申し上げましたけれども、私限りの意見としてお取りを願いたいのでございますが、そういう問題に政府発言力が小さくなっている形というものは感心しないということは言えるのでございます。特需が年々歳々増大する傾向にありますときには、若干でも産業育成的な見地をこれに交える必要がある。また特需が年々歳々減少いたします時期におきましては、当然労務者保護はもちろんのこと、産業自体保護という見地から急激な変化を招来しないような手配というものが必要になるわけでございます。ところが米軍業者との間の直接の契約によってやるということになるわけでございますので、その間の取扱いという問題が困難でもありますし、また希望する事態から遠ざかっておるということは、これは率直に申し上げられると思います。  そこで当面の富士自動車の問題でございますが、富士自動車米軍との間に昨年七月から本年六月末日までの間に、一定の数量の契約を持っておったわけであります。これは米国会計年度に従っているわけですが、米国側といたしましては、会計年度が改まりますので、契約の更新をする時期が近づいて参っている。そこで先方計画といたしましては——あの工場のやっている仕事は、古くなりました自動車、戦争、演習その他によって破損いたしました主として貨物自動車再生修理という仕事であったわけです。その修理すべき車輌の数が減ってきたので、来年度仕事はかなり急激に分量が少くなるという予告を、かれこれ一カ月ぐらい前になりますが、五月の何日かと思いますが、会社の方にして参ったわけであります。会社としては、現在の契約は六月末日までのものでありますから、その期間内における契約違反とか、そういうものではないわけでありますので、これによってクレームをつけるというわけにも参らない。更新するところの来年度契約は、ないとはいわないが非常に少くなっている一こういう予定を打ち明けられたものでありますから、そこで至急人員整理をしなければならないということになったわけであります。従来から退職金その他の積み立てば、会社としては、私の承知します限りでは、五億近くあると聞いておりますが、まだ六月末日までは仕事はあるわけでありますけれども解雇予告をして六月の仕事をしようとすることは、休む人が続出などして希望しない。従って会社としては、六月末日までは現状のままで働いてもらって、六月末日予告にかわる金で支給することによって事態を切り抜けたい、そのためにその分ば予定されておらないのであるから、アメリカ側から金を出してもらいたいということが、せんじ詰めますと、会社側の希望であろうかと思います。それに対しましてアメリカ側では、予告のできるような時期を見計らって通知したわけだから、金を出す義務はない、こういうことにもなるわけです。従いましてアメリカ会社との間に、法律上の関係におきましては、どちらかと申せば、会社側から手がかりがないという問題になるわけであります。そこで会社の方は、本来ならば米軍の注文が減ったわけでありますから、民需その他の仕事を開拓して労務者を養うという方向に注意を転換すべき——これはかねてそういう配慮があってしかるべきことであったと思いますが、今日卒然としてはそれもできないので、とりあえず仕事量は六割ぐらい減るのであるから、従って人員も五割以上減らさなければならないということで、今日問題が起っているわけであります。私どもといたしましては、もしも米軍会社との契約違反しているということになれば、その面まで参りますれば、これは当然われわれの仕事として米軍に交渉するということができるわけであります。違反はしてないが、急激な変化は困るから頼むということになりますと、私どもの直接の仕事になりません。もっと政策的な面を担当する方面の仕事になるわけでありまして、寄り寄り私ども意見も申しておりはいたしますが、当面の責任事項でございませんので、承知しているところを申し上げた次第であります。
  29. 久保田鶴松

    久保田(鶴)分科員 そこで私はそれと関連して伺いたいのですが、政府が提出されました資料でございまして、アメリカ側交付金支出表というのが、あなたの方から出ております。これによると、日本側防衛分担金労務者給与が二十八年度から支払われておりますが、二十七年度は支払われてねいのです。二十七年度にも労務者調達があったはずだと私は思います。といたしますと、当時この支払いがどこから支払われたか、またなぜ二十八年度より日本側分担金で支払うようになったかということを私知りたい。これをお答え願いたいと思います。
  30. 福島愼太郎

    福島政府委員 この関係も、正確に申しますと、私ども所管ではないのでございますが、私どもがその下請をいたしております関係もございますので、承知しておる限りお答え申し上げます。労務者給与と申しますのは、労務者はかつて二十数万いた時代もございますので、相当金額に上りますけれども、これは全部米国側支弁になっております。それからまた、労務者の直接給与のみならず、退職金に対する積み立てとか、健康保険に対する料率の積み立てとか、その他厚生的な費用だとか、あるいはまたこれに要する管理費事務費、つまり私ども給料と申しますか、調達庁というようなものは、アメリカ側仕事がなければそもそも要らない役所であるから、日本の税金をもりて負担するいわれは安いという理屈でございましょう、労務者に対する給料が、かりに本年の状況で申しますと、年額四百億円くらいになっております。それに退職金積み立て、その他毎月一人につき四千六百二十九円づつアメリカ側から取り立てておるわけです。そのほかに給与の二%半というものを取り立てておる。この給与の総額が年額で四百億円くらいございますから、かれこれ十億円になるわけでございます。これを日本側アメリカ側から償還させているという建前になります。この関係は私どもではございませんので、大蔵省との関係になるわけであります。われわれはそういうことに関係なく、大蔵省から一般予算をもって事務費その他を受け取っているという関係になります。実質的には償還を受けているということになります。これは調達庁でも全員ではございませんので、調達庁職員のうち主として労務に関連する職員は、アメリカ側管理費支払いを受けて、これが財源となっているということが申されるわけでございます。今年あたりは、それらの関係が四百数十億になっているわけでありますが、昨年、一昨年あたりは、それらの金額はもっとはるかに多かったわけであります。ところが一昨年あたりは、その償還アメリカ側ドルでしておりました。御承知通りアメリカ側は、日本支弁いたします現地経費半額ドル支出し、半額日本側から分担金としての交付を受ける。私の所管でありませんので申し上げるのは恐縮なんでございますが、そういう実情になっておると承知しております。従いましてその中のドル部分から労働者給与償還をいたしておりましたわけであります。日本側から先方に提供しました分担金の中にその支出の明細が出て参らなかったわけでございます。ところが近年に至りまして、二十八年度ころからと承知しておりますが、ドルと円との支弁事務上の便宜から、初めからの円!アメリカの軍がここで持っておりますドルも、ドルと名のついた形では持っておりません。やはり銀行の口座は円となっております。ドルに由来する円というものと日本側交付した円という二つ口座を持っております。その日本側から交付した方の円で調達庁関係経費償還をいたすということに——その事務を直接私は承知いたしませんが、そういう話合いがついたと承知いたしております。以来、全額ではございませんが、一部をアメリカ側二つ口座の中の一方の口から償還をするようになったと聞いております。従いまして全然こちらからの交付金の内訳にない年があり、近年において労務関係の費目がそこに上っている年もあるというふうに承知しております。
  31. 久保田鶴松

    久保田(鶴)分科員 これは重大な問題だと思うのです。そこで長官から伺えば、自分の担当でないとおっしゃる。責任ある答えは得られない。これは大蔵省ですか。大蔵大臣を呼んで下さい。一般質問の場合に、これはあなたの方だと言う。あなたに伺えばこれは大蔵省だと言う。それできょうまで延びている。行政協定違反問題です。私はこの問題をただしたいために大蔵大臣質問しかかったら、それは私の担当ではない、あなたの方だと言う。あなたに聞いたら、また大蔵省だ、こういうことで今日まで延びている。問題はこれからで、重大だ。委員長、呼んでくれますか。
  32. 赤城宗徳

    赤城主査 今連絡してみます。しばらく速記をやめて。   〔速記中止
  33. 赤城宗徳

    赤城主査 それでは速記をとって下さい。
  34. 久保田鶴松

    久保田(鶴)分科員 それでは労務者給与の対象である労務費、これは日本側防衛分担金中の交付金で支払うのか、これは行政協定第二十五条の二項のa項b項の規定に反すると思います。ですから当然米国側分担金で支払うべきものである、こういうふうに私は思っている。特に、長官も御承知と思いますが、行政協定第二十五条のb項には、役務及び需品日本国でこれを調達する、あと労務は含まれておりません。こういう点から私たちはこの問題に対して疑問を持つのであります。労務者給与は、日本側在日米軍交付金支出のうちで最も多額であります。昭和二十九年度のごときは、交付金の八割三分に当っております。従って最も経費のかさむものは日本側に負担せしめ、しかもその行政協定違反して日本側にその負担をせしめている。こうしたことを現内閣はこれを放任しておったのかあるいは黙認しているのか、私はこれを明らかにしたい、こう思うのであります。
  35. 福島愼太郎

    福島政府委員 御指摘になりました行政協定の二十五条の二のb項の点になるわけでございます。私どもの見解ではとこにございます役務というものに労務を含ませておるわけでございます。日本において役務調達するために、日本側から一億五千五百万ドルに該当する円を向うに手渡す、これによって役務需品調達するというふうに行政協定には表現してある。従いまして、アメリカ側日本側から提供いたしました資金で労務支弁しても行政協定違反にはならない。ただ、当初日本側から交付いたします金額よりも労務全体の支弁額の方が大きかった時代もございますので、これは私当時おりましたわけではございませんが、経緯的に聞きますと、最初の日米合同委員会のころに、しからば労務はどちらで払おうかというような相談もあり、とりあえず一本にまとめた支払い得る大きさの方の金をもって払った方がよかろうという便宜的な関係からドルによって償還するということで出発し、近年において一部分が円の方に切りかわったというふうに聞いております。その点は聞いておると申し上げるほかないのでございますが、行政協定二十五条の(b)項にあります役務と申しますのは、当然に労務を含まないと考えておりませんので、労務というものも一般的な役務である。われわれの方で、かつて調達庁調達関係全般担当しておりましたころに、役務という問題もございましたわけでございます。役務という字に労務を含ませるという解釈をとっておるわけでございます。
  36. 久保田鶴松

    久保田(鶴)分科員 私のお聞きいたしておりますのは——役務需品、これが行政協定の二十五条に規定されておりますが、今長官の話を伺いますと、その解釈ですが、これは分担ですから、アメリカ側の方も入って一部労務費を支払うこともあるでしょう。私の尋ねておりますのは、大蔵省から出されましたこの資料によりますと、二十七年度は出しておりません。ところが二十八年、二十九年はこれが支払われている。二十七年はこの行政協定を守っている、そうして払っていない、それがこの大蔵省が出された書類に表われている。あなたがおっしゃいましたその中においての労務費を、何ぼかアメリカ側が支払うこともいいでしょう・分担なんですから……。大体とうした経費のうちの八三%までは労務費なんです。それが分担されていない。この点を私伺っているのであります。この点に対して、あなたは責任が持てるかと私は尋ねている。問題は、この分担という問題に関連して、そうしてこの経費のうちの八三%までの支払いが、先ほど申しましたように、大蔵省の出した資料によれば、二十七年はこっちが支払っておりません。八年、九年は支払われている。これはどういうわけか。私の問うているのはこれなんです。そのお答えを願いたい。
  37. 福島愼太郎

    福島政府委員 私どもはかように考えております。アメリカ側現地経費と申しますのは、労務のみならず、その他施設関係経費、かなりの額に上っております。その半額をカバーいたしますために分担金というものが出ておる。しかして労務その他の経費もその合計されたものによって支弁されておるわけであります。従いまして、日本側から出たもので労務経費がおもに支払われておる、つまり所要の労務に関する経費の大部分日本側経費で払うし、また日本側の提供した経費の大部分労務支払いに充てられておるというような状況になりましても、アメリカ側現地支弁額ば労務ばかりでございませんで、その他の施設関係金額がそれ以上にあるわけでございます。先に日本側経費労務によって支弁いたしますれば、当然にあとに出て参ります自動車工業その他全部そういうことになりますが、そういうものがドルをもって充当した部分に及んで参りますので、現地支弁金額の負担を折半しておるという関係は維持されておると考えております。
  38. 久保田鶴松

    久保田(鶴)分科員 私の尋ねておりますのは、政府側から出された資料に基いてやっているのですが、今長官が話されましたようなことになっていない。問題はここなんです。それでは二十七年度はどうなっているのですか。二十七年度、二十八年度と、これは違いますよ。私がこう尋ねますと、それは前の内閣がやったことだ、今の鳩山内閣はそう申されるかもしれません。だが、前の内閣であろうと今の内閣であろうと、この行政協定違反しているという問題は、先の内閣違反しておりましても、その違反が明らかになりましたならそれを直すのが現内閣のなすべき仕事ではないかと思う。そこに食い違いがあると思うのですが、それをどうお考えになりますか。
  39. 福島愼太郎

    福島政府委員 御了解を得ないでまことに残念でございますが、労務の提供と申しますことは、われわれの申しますのは役務契約でございます。従いまして、調達庁が直接労務をいたすのではないのでありまして、労務者雇用してその役務を提供するという契約アメリカ側といたしておるわけであります。その契約に対してアメリカが支払うと申しますか、償還をすると申しますか、その限りにおいて調達庁役務契約をしておるということになります。行政協定違反にはなっておらないというふうに考えております。そうして違反にならないとすれば、条文そのままの違反でないということであれば、折半という原則の上からいって、日本側から出しておる金のうちから労務のほとんど全額を払っておって労務に関して日米で折半しておらないではないかという御指摘かと存じますが、その点は、労務だけを折半すると申すのではございませんので、アメリカがここでかかります掛り全部を折半するということになるわけであります。掛り全部と申しますのは、たとえば一千億かかるわけであります。そのうちの労務は四百億でございまして、四百億を日本側から出した金で支払ってしまえば日本側から出した金はほとんど底をつくわけでありますので、それ以外の調達は全額ドル積み立てました方からすることになります。従いまして、アメリカ側現地日本におきまする調達というものは、防衛分担金としてこちらから提供いたしましたものの倍額を割らない限りにおきまして折半の原則は維持せられておる、かように考えておる次第であります。
  40. 久保田鶴松

    久保田(鶴)分科員 この問題は非常に重大でございます。と申しますのは、先ほどから申しておりますように、行政協定違反である。こうしたことから労務者を首にいたしまして労務者に支払うべき金を今の兵器製造工場等に対して、また原材料等に回して、それを回すために人員整理を行うのである、首切りをするのである、こういうようなことに回り回って持ってきている行き方であると私は考える。その中に今申します行政協定違反して無理なことをいたしておるのに対する責任を問わなければならぬ。この責任を問うのに対しまして、労働大臣の西田さんにも出席してもらい、また大蔵大臣にも出席してもらいまして、これを明らかにしたい。これは相当大きな問題でございます。この重大な問題を明らかにするために、いろいろ各大臣の出席を求めたのでありますが、きょうはこうしたことでそれはできません。そこでこの問題については、総括質問の折に各大臣の出席を求めまして、そこでこの問題を明らかにいたしたいと思います。きょうは所管外の福島長官にこの問題に対していろいろ尋ねまして、ここでこの結論を出そうとすることは無理かと思います。重大な問題でございますから、この問題は私は総括質問の折まで保留いたしまして、私の質問をきょうは打ち切ることにいたします。
  41. 赤城宗徳

    赤城主査 これにて質疑は終了いたしました。  この際お諮りいたします。本分科会所管予算各案に対する討論採決は、予算委員会に譲ることといたしたいと存じまするが、御異議はございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  42. 赤城宗徳

    赤城主査 御異議ないものと認めます。よってさよう決定いたしました。  これにて散会いたします。    午後三時二分散会