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1955-05-26 第22回国会 衆議院 予算委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年五月二十六日(木曜日)     午後二時十四分開議  出席委員    委員長 牧野 良三君    理事 上林山榮吉君 理事 重政 誠之君    理事 中曽根康弘君 理事 小坂善太郎君    理事 西村 直己君 理事 赤松  勇君    理事 今澄  勇君       井出一太郎君    稻葉  修君       宇都宮徳馬君    北村徳太郎君       小枝 一雄君    纐纈 彌三君       高村 坂彦君    笹山茂太郎君       福田 赳夫君    藤本 捨助君       古井 喜實君    眞崎 勝次君       松浦周太郎君    三浦 一雄君       村松 久義君    米田 吉盛君       相川 勝六君    植木庚子郎君       太田 正孝君    北澤 直吉君       倉石 忠雄君    周東 英雄君       野田 卯一君    橋本 龍伍君       平野 三郎君    福永 一臣君       阿部 五郎君    久保田鶴松君       志村 茂治君    田中織之進君       田中 稔男君    野原  覺君       福田 昌子君    武藤運十郎君       柳田 秀一君    井堀 繁雄君       岡  良一君    小平  忠君       杉村沖治郎君    三宅 正一君       川上 貫一君  出席国務大臣         内閣総理大臣  鳩山 一郎君         法 務 大 臣 花村 四郎君         外 務 大 臣 重光  葵君         大 蔵 大 臣 一萬田尚登君         厚 生 大 臣 川崎 秀二君         農 林 大 臣 河野 一郎君         通商産業大臣  石橋 湛山君         運 輸 大 臣 三木 武夫君         郵 政 大 臣 松田竹千代君         労 働 大 臣 西田 隆男君         建 設 大 臣 竹山祐太郎君        国 務 大 臣 大久保留次郎君         国 務 大 臣 川島正次郎君         国 務 大 臣 杉原 荒太君         国 務 大 臣 高碕達之助君  出席政府委員         内閣官房長官  根本龍太郎君         内閣官房長官 松本 瀧藏君         大蔵事務官         (主計局長)  森永貞一郎君  委員外出席者         専  門  員 小林幾次郎君         専  門  員 園山 芳造君         専  門  員 小竹 豊治君     ————————————— 五月二十六日  委員小川半次君、椎名隆君、河本敏夫君、愛知  揆一君及び伊藤好道君辞任につき、その補欠と  して纐纈彌三君、稻葉修君、笹山茂太郎君、平  野三郎君及び野原覺君が議長の指名委員に選  任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和三十年度一般会計暫定予算補正(第1号)  昭和三十年度特別会計暫定予算補正(特第1号)  昭和三十年度政府関係機関暫定予算補正(機第  1号)     —————————————
  2. 牧野良三

    牧野委員長 これより会議を開きます。  昭和三十年度一般会計暫定予算補正(第1号)外二案を一括して議題といたします。  御承知の通り、この三案に対する質疑はすでに終了いたしております。この際日本社会党両派共同提案として、赤松勇君外十六名より昭和三十年度一般会計暫定予算補正(第1号)、昭和三十年度特別会計暫定予算補正(特第1号)及び昭和三十年度政府関係機関暫定予算補正(機第1号)の編成組替を求めるの動議提出せられております。まず右の編成替を求めるの動議趣旨説明を求めます。志村茂治君。
  3. 志村茂治

    志村委員 私は日本社会党両派を代表して、政府提出昭和三十年度一般会計暫定予算補正(第1号)外二案の編成替を求めるの動議をここに提出して、これが趣旨を明らかにしようとするものであります。  まずその方針を申し上げます。政府はすでに年度予算案提出してあるのだからとの理由によって、論議の中心となっている政策的な経費も織り込んであるのでありますが、暫定予算はそれ自身の性格として年度予算成立するまでの急場に間に合わせるものであります。従って短期間に結論を得なければなりません。それにもかかわらず、政策的経費を織り込むことは、不完全な審議のもとに委員会の議決を求めようとするものであって、適当な処置は考えられないのであります。日本社会党の組みかえ案では、暫定予算はあくまでも事務的経常費支出本位編成することを原則といたしたのであります。従って社会党基本的立場から見た全般的な経常費不足項目の組みかえと、政策的経費のそれとは、年度予算の組みかえの際に譲ることといたしたのであります。ただし政策とは無関係に、明らかに誤まりであると考えられる経費、及び季節的に見て支出を急がなければならないものであって、しかも少額の補助金等支出はこの際計上すべきであるとの方針をとったのであります。以上の方針に基いて以下の組みかえ動議提出いたします。  まず第一に、政府案生活保護費三十六億三千万円は、前年度赤字補てん額分八億円を差し引いた残額二十八億三千万円は、前年度予算経費月割額よりははるかに減額されているのであります。また失業対策費も外見は増額されているのでありますが、対象人員増加を考慮いたしました場合、同じく前年度予算経費月割額よりは減額されているのであります。これでは本年度経費不足は明らかでありますので、生活保護費は前年度月割額二十九億七千四百万円と、前年度赤字補てん分八億円との合計額三十七億七千四百万円を計上いたしたのであります。  次に失業対策費については、その登録人員を五十一万人と計算いたしているのでありますが、この推算の根拠は、昨年の完全失業者六十万に対し、登録人員四十三万と同一の比率であるとの想定に基いたものでありまして、本年の完全失業者を八十万と見た結果の人員数であります。この月割り三十八億八千五百万円と、失業保険補助六十万人分の月割り十四億六千万円の合計額失業対策費であって、五十一億一千万円の予算を必要とするのであります。  第二に、政府案義務教育費国庫負担金は、本年度小学校児童増加に相当する経費が計上されておりません。当然に増加を予想される教職員の給与不足額として四億円は増額すべきであります。  第三に、右の社会保障関係費並びに義務教育費国庫負担金の増額に伴う地方財政負担増加分でありますが、これは地方財政現状にかんがみて地方交付税交付金を十二億円増額して、これを補うことといたしたのであります。  第四番目に、政府案水稲健苗育成費は、本年度食糧増産の目標から見まして削減する余地はありません。二億九千四百万円として昭和二十九年度額並みに増額する必要があります。さらに本年度政府案は、農薬購入補助金を全廃しておるのでありますが、食糧増産には農薬散布の奨励は最も重要なことでありますから、これも前年度並みに一億七百万円を計上いたしたのであります。なおこの補助金は、田植えを目前に控えかつ農薬散布期にも当りますので、季節的にも必要であり、さらにまた金額も少いので、これらの理由によって特に計上いたしたものでございます。  第五番目に、公務員給与夏期手当は、現在の公務員給与水準人事院勧告にも及ばないようなありさまでありますので、O・二五カ月分増額して一カ月とするために、五十億七千万円を増額することといたしたのであります。なおその内訳は、一人当り一万六千円のO・二五相当額を、一般会計三十四万人分、十三億五千万円、地方財政のうち全額負担五十三万人分、二十一億二千万円、地方財政のうち半額負担八十万人分、十六億円であります。  第六といたしまして、政府案防衛庁費のうち人件費だけはこれを残しまして、器材費艦船建造費のような政策的な、しかもいまだ検討を終えていないような経費二十五億八千四百万円は、削減することにいたしたのであります。  以上の組みかえによりまして政府案よりも七十億九千万円の歳出増加を来たすのでありますが、年度予算を通じましては増加しない性格のものでもあり、なお当面は国庫余裕金及び大蔵省証券発行によって十分まかない得る金額と考えておるのであります。  何とぞ本予算委員会におきましては、われわれの組みかえ動議を慎重に検討され、これを採択されんことを希望いたしまして、私の趣旨弁明といたします。(拍手
  4. 牧野良三

    牧野委員長 これにて暫定予算補正三案の編成林を求める動議趣旨説明は終りました。  これより暫定予算補正三案の編成替を求める動議並びに政府原案を一括して討論に付します。順次討論をお許しいたします。米田吉盛君。
  5. 米田吉盛

    米田委員 ただいま議題となりました六月分暫定予算第三案に対し、私は民主党を代表いたしまして政府原案に賛成し、両社会党の組みかえ動議反対の意を表するものであります。  本暫定予算は、一般会計において歳入六百六十億余円で、歳出は一千二百八十九億余円であり、差引六百二十八億余円が歳出超過となります。この超過国庫余裕金をもってまかない、なお不足の場合は大蔵省証券を、二百億円の限度内で発行し、支弁されることになっておりますから、支払い財源の不安はございません。すでに成立いたしました四、五月分暫定予算は、政策的のものは除外し、事務的経常費について二十九年度予算の実績を参考として組んだものでありますから、六月分暫定予算編成に際し、実質上四、五月分暫定予算も、本年度予算基礎としたものに切りかえたのであります。この措置により完全に四、五月分とともに、本予算案つながりを生じましたので、本予算成立と同時に、これらの暫定予算は本予算に吸収し得るようになったのであります。  さて六月分暫定予算は、六月中に支出を必要とする額を計上したのでありますが、特に時期的関係から六月中に支出負担を必要とするものと、四、五月分暫定予算成立の際の附帯決議をも考慮いたし編成されてあります。この措置は三カ月にわたる暫定予算に伴う経済界等への影響を考慮しますときに、機宜を得たものであると存じます。  以上のごと基本方針に基いて次のごとく編成されております。まず第一に人件費事務費その他の経常的経費でありますが、これらは三十年度予算案に盛られたものの一カ月分が計上され、さらに法の定むるところに従い、公務員期末手当〇・七五カ月分もあわせて計上されております。  第二は補助費についてでありますが、これは四、五カ月分の暫定予算計上額と合せて第一・四半期分所要額を計上してありますから、事業進捗に事を欠かぬよう配慮されておるのであります。  第三には、公共事業費及び食糧増産対策事業費についてでありますが、これは四、五カ月分の暫定予算計上額と合せて年額の三分の一程度が計上してあります。北海道その他積雪寒冷地事業費及び災害復旧事業費は、四、五月分の暫定予算計上額と合せて、年額の二分の一程度が特に計上してあるのであります。これはこの地方特殊事情を考慮した適切なる措置と存ずるのであります。  第四は、住宅施設費文教施設費等施設費でありますが、これは第三に述べました基準に準じて所要額を計上してございます。  次に特別会計及び政府関係機関暫定予算補正におきましても、一般会計に準じ所要額を計上してありますが、要は施政の円滑な遂行を阻害せぬよう特に配意されてありますので、私は政府原案は妥当なものと認め、この原案に賛成するものであります。  次に社会党の組みかえ動議でありますが、その内容は健全な財源がある場合は、われわれとても進んで実行いたしたいものでありますが、究極するところ、この組みかえ案は水増しでありまして、今日この基準を推進いたしますことは一兆円本予算の総額にも影響を及ぼすものでありまして、わが党の基本方針にも反するのみならず、組みかえは暫定予算の性質上からも、財源の点からも、時間の関係からも無理でありますから、遺憾ながらこの動議には反対でございます。  以上をもちまして私の討論を終ります。(拍手
  6. 牧野良三

    牧野委員長 植木庚子郎君。
  7. 植木庚子郎

    植木委員 ただいま議題となっております昭和三十年度暫定予算補正三案につきまして、自由党を代表いたしまして政府原案に賛成、両派社会党の組みかえ動議反対の意見を表明せんとするものであります。  われわれは昭和二十八年度におきまして数回にわたる暫定予算連続施行と、本予算成立遅延とのために、各方面に多大の困窮を来たさした苦い経験を持っておるのであります。従いまして本年一月以来機会あるごとにわが党の同僚議員から政府に対しまして、本予算年度内提出または新年度開始後の一日も早い提出を要求いたして参ったのであります。六月分暫定予算のごときはぜひともこれを避けられるように警告いたして参ったのであります。しかるに政府はいわゆる選挙管理内閣をもってみずから任じ、国務をおろそかにし党務に没頭せられ、ついに新年度の本予算案を前年度中に国会提出しなかったという悪例を作られました。新年度が始まりましてからも、防御分担金減額の交渉に意外に手間取られ、地方選挙対策もあってのことかは存じませんが、再三の言明を裏切って本予算提出予想外におくれましたので、そのためにこうした暫定予算を組まざるを得なくなってしまったことは、全く政府の不誠意、不手ぎわによるものと申すほかはありません。加うるに本予算案提出せられましてからでも約一カ月になんなんとしておりますのに、予算関係法律案及び要求資料提出は、再三の督促にもかかわらずまことに不成績でありまして、審議上重大なる支障を来たしておるのであります。私はかような状況下におきましては、さらに七月分の暫定予算を組まなければならなくなるような羽目に陥るのではないかと心配いたしております。もし不幸にしてさような事態にでも立ち至りますならば、中央、地方を通じ、行財政執行の上の不都合はもちろんのこと、国民経済の円滑なる運行に及ぼす悪影響は甚大でありまして、これ全く政府責任に帰すべきものなることを指摘いたしておきます。よってこの際政府は一日も早く未提出予算関係ある法律案並び要求資料提出し、本予算案審議促進に努められますよう、あらためて警告を発する次第であります。  さきに成立いたしました四、五月分の暫定予算は、前年度予算基準といたしまして経常的な経費を計上せられておりましたが、今回提出せられました六月分の暫定予算補正案は、目下審議中に属する本予算案基礎としまして、六月中の所要費額を追加するとともに、すでに成立をいたしました四、五月分暫定予算をも補正する形となっております。すでに成立にかかる四、五月分の暫定予算では、本予算案にマッチしない部分があるのでありまして、今回の予算補正に当りましては、政府はその修正個所を明瞭に区分指摘し、かつ詳細に数字的意味を加うべきものと存じます。しかるにこの点少からず欠けておる点があります。はなはだ不満であります。  次に四、五月分の暫定予算の中にも若干の政策的経費が含まれていたのでありますが、今回の暫定予算補正案かなり政策的の編成に相なっておるのであります。これをまず金額的に指摘いたしますと、一般会計におきましては歳出が千二百八十九億円、これに対応する歳入は六百六十億円にすぎませんので、差引歳入不足額は実に六百二十九億円に及んでおるのであります。また歳出面では四、五月の二カ月分が千六百八億円でありましたのに、今回は六月の一カ月分だけで千二百八十九億円となっており、しかも本予算年額月割り分八百三十三億円に比べますと、四百五十六億円も上回っておるのであります。  またこの暫定予算補正案内容的に検討いたしますと、公共事業関係費文教施設費住宅施設費等につきましては、既成立分を合せて年額の三分の一または二分の一を計上しておりますが、これは年間を通じて工事の円滑なる進渉をはかり、または積雪寒冷地帯について善処するための特別措置として当然のことであります。また補助費につきましては、四、五月分の暫定予算には、きわめて政策的に原則として計上せられなかったのでありますが、今回は原則として既成立分を合せ、かつ地方公共団体に対するものであるといなとを問わず、おおむね全般的に三カ月分を計上せられております。これは先般の暫定予算採決の際わが党の要求いたしました付帯条件趣旨を、部分的ながら尊重したものと認め得るのでありますけれども、なお例外的にわれわれの要望を満たしておらない点があるのでありまして、はなはだ遺憾に存じます。  他面地方財政の窮迫に対処するため、地方交付税交付金のうち、普通交付税分につきましては、既成分と合せて半年分を計上し、公共事業関係費及び一般補助費並びに義務教育費国庫負担金等についても、若干の考慮が加えられておることは認めますが、まだまだ不十分と申さなければなりません。  また人件費につきまして、公務員に対する夏季手当を計上しておりますので、暫定予算案のこの部分が比較的多額に上っておりますことは、了承することができないでもないのであります。  しかしながらここでわれわれの心配いたしますことは、第一に、同じく暫定とは申しましても、今回同様第一・四半期暫定予算で通しました昭和二十八年度と比較いたしますと、二十八年度におきましては、歳入不足の第一・四半期通計は五百五十五億円でありましたのに、今回の歳入不足は第一・四半期計実に九百五十四億円に及んでおることであります。すなわち政府原案によりますれば、本年度は一兆円というワクに縛られておるのにかかわりませず、この第一・四半期におきまして国庫余裕金の使用、または大蔵省証券発行によって二十八年度よりもはるかに多額財政資金がばらまかれるわけでありまして、第二・四半期以降における資金繰りの調整に困難を来たしはしないかという心配があるのであります。  第二には、財政投融資かなりの問題があることであります。さすがに暫定予算のゆえをもちまして、一般会計からの出資及び投資が計上せられておらないので、もっぱら資金運用部資金簡保資金等をもって依存いたしておりますから、資金繰りがきわめてきゅうくつとなっておるのでありますが、果して本予算成立までまかなっていけるかどうか、この点に心配があると存じます。  第三には、目下審議中の本予算案が、超デフレ的政策、換言すれば強度の不況政策を基調といたしておりますだけに、産業経済の萎縮を招き、国民生活の低下を来たしまして、本年度の景気の見通しは先行きすこぶる不安であるにもかかわりませず、その予算的措置が十分に取られていないこと、これであります。たとえば生活保護費失業対策費等のごときがそれであります。  以上申し述べました通り、今回の暫定予算補正案を、四、五月分の暫定予算に比べますれば、若干改善せられている部分もあることはあるのでありますが、全幅的にわれわれの満足し得る程度のものとはなっていないのであります。なぜなれば、わが党の主張いたしました先般の附帯決議趣旨が、なお必らずしも全部的に達成せられておらないばかりでなく、その編成基礎は、目下審議中の本予算案に置かれておるのでありまして、その本予算は、そのままではとうていわれわれの同調し得ない政策を含んでおるからであります。ゆえにわが党といたしましては、本予算案との関連から、本来ならば相当変更を求めたい個所があるのであります。しかしながら、この暫定予算案は、六月分の必要欠くべからざる経常的経費を含んでおりますこと、及び今日としてはもはやこれを修正変更するだけの時間的余裕がないことに顧みまして、はなはだ不満ではございますけれども——予算案不成立の場合における各方面の混乱は、これを避けなければならぬと考えるものであります。従いまして、この暫定予算案が含んでおりますところの幾多の不満な点に対する変更は、これを本予算案審議の際に譲ることを留保いたしまして、この際やむを得ず難きを忍んで一応政府原案に賛成することといたした次第であります。  最後に社会党両派の組みかえ動議につきましては、その御提案中若干の傾聴すべき部分もなしとはしないのでありますけれども、防衛庁費の大幅削限のように、根本的に賛成し得ない大問題を含んでおりますのみならず、前述の通り本案は月末までに成立を期すべきものであるという時間的制約がありますので、この動議には遺憾ながら反対せざるを得ないのであります。  これをもって、私の討論といたします。(拍手
  8. 牧野良三

  9. 杉村沖治郎

    杉村委員 私は日本社会党を代表して、政府提出の六月分暫定予算補正三案に反対し、かつ志村委員からただいま提出されました社会党両派の共同組みかえ動議に賛成するものであります。(拍手)  四月二十五日に本年度予算案国会提出されて以来、数々の政府側説明によって、鳩山内閣は、前吉田内閣同様に憲法を空文視して、再軍備を基本方針とする反動内閣であることは、すでに国民全般にわたって明らかにされました。また選挙において公約された減税、社会保障住宅建設等進歩的政策と称する諸政策具体的内容が、全く看板倒れであって、高額所得者に対するサービス本位であるにすぎないことも、すでに明らかにされたものであります。今や過去一カ月間の予算審議を通じて明らかにされた鳩山内閣の正体というものは、国民の期待に報いるだけの選挙公約の実現はとうてい不可能となったので、政権維持のために、保守合同の名に隠れて、国会指名によって与えられた政権、院外のやみ取引で左右せんとしているのであります。われわれはあくまで政府責任を追求し、さらに予算審議を一そう慎重に行なっていくものであります。今回の六月分暫定予算審議は、当然にこのような予算審議の一環としてわれわれは取り扱うべきものと考えているのであります。  大体年度予算のうち当初の三カ月分にわたって暫定予算が続けられ、なおも七月分の暫定予算が必要となる可能性が強いという現状をもたらした最大の原因は、言うまでもなく鳩山内閣が、群雄割拠的な、答弁における不統一、無準備によるものであります。これはすでに防御分担金をめぐる日米共同声明拘束力いかんの問題、防衛六カ年計画とその予算裏づけの問題、最近の二十九年度産米に対する減収加算問題等に、端的に現われてきております。しかも本国会では、これから初めて予算案重大関係のある法律案が続々と提出される見込みであります。本日、すなわち五月二十六日現在で、提出済み政府法案八十九件、うち予算関係五十九件でありますが、未提出法案は五十八件もまだ残されており、そのうちで予算関係法案が十四件も含まれております。しかもこの中には、国防会議設置法案のごとく、年間八百億円をこえる防衛庁予算の使途をきめる諮問機関についての議案もあります。莫大な赤字を毎年出している地方財政に対する再建促進特別措置法案もあります。また重要産業に対して独占企業体本位の再編成を強行せんとする第一着手であるところの、石炭鉱業合理化臨時措置法案も含まれております。  このように、未提出法案のうちには予算審議に深いつながりを持つ法案が多いのでありますから、勢いわれわれの予算審議はより慎重にならざるを得ないのであります。ところが政府は、われわれ国会議員に挑戦するかのごとく、六月分の一般会計予算のうちには、未提出法律案ともつながりを持つ政策的経費が計上されているのであります。すなわち、防衛庁予算七十一億七千九百万円のうちには、新規に調達される器材費二十億五千二百万円を含んでおります。すでに本日までに明らかにされましたように、本年度防衛関係予算案最大の特徴は、ジェット機空軍並びにその付帯施設新設拡充にあります。この防衛計画の意味するものは、自衛ではなく、攻撃への転換であります。これは政策の一大転換なのであります。六月分防衛庁予算のうちには、この転換につながりを持つ政策的経費が計上されておるものでありまして、われわれはこのような政策的経費は、政府提出法律案の全体を審議完了するまでは賛否を決することはできないのであります。  また今回の政府暫定予算案は、四、五月分の暫定予算案採決の際にも、われわれ社会党両派が組みかえ動議提出して警告した通り生活保護費失業対策費義務教育費国庫負担金の三項目は、月割り予算としても最低必要経費が計上されていないので、ぜひとも組みかえ増額しなければ、ただちに国民生活の毎日々々の継続に支障を来すのであります。このような政府予算案に対しては断じて承服できないのであります。  これに対して、政府原案に対する組みかえ動議として提出された両派社会党案は、志村委員提案理由説明によって明らかにされた通り暫定予算はあくまで事務的経常費歳出本位に編成すること、季節的に見て歳出を急がざるを得ない少額の補助費のごとき支出は計上すること、全般的な予算修正は本予算組みかえで行うことという三つの基本方針によって、組みかえを差引歳出増額七十億九千万円の幅で行なっているのであります。この組みかえ内容はすでに御説明があったように、政府並びに民主、自由両党の予算委員の諸君も、中庸穏健なる修正意見として認めざるを得ない、現在の国民生活が最低必要限度として要求しているものばかりなのであります。  従ってわれわれは両派社会党提出による組みかえ動議に賛成し、政府案に対しては反対し、すみやかにこれをわれわれの動議通りに組みかえることを要望するものであります。(拍手
  10. 牧野良三

    牧野委員長 川上貫一君。
  11. 川上貫一

    ○川上委員 私は昭和三十年度暫定予算三案について、政府原案反対し、両派社会党提出の組みかえ案に賛成するものであります。  政府原案に原対する理由の根本については、五月分の暫定予算案審議の際に申し述べたところでありますから、省略いたします。  両派社会党提出の組みかえ案は、これはその全体については多少意見を異にする点がないことはありませんけれども、この組みかえ案は、第一に防衛庁費を大幅に削減しようとするものであります。第二に、失業対策費並びに生活保護費等を増額するものであります。第三に、公務員夏季手当増額分五十億余を増加せんとするものであります。これは金額の操作の問題ではなくて、再軍備反対、民生の安定、国民生活の保障という方向へ政治を切りかえようとする性格を持った予算組みかえ案であると思います。従ってこの組みかえ案は絶対多数の国民の要求の方向に合致しておると私は考えます。  今日の日本の現状国民の要求に顧みまするならば、われわれはすべてをあげてアメリカへの隷属に反対し、再軍備と戦争の政策反対し、民主主義と国民の生活を保障する一切の努力こそが、当面する日本の政治の第一義であると考えております。両派社会党の組みかえ案はこのような正当な政治方向を指向するものであって、こういう方向をますます堅持することこそ、国民をして一歩々々一日々々と日本の独立と平和の方向へ前進させるゆえんであると私は考えます。  これが両派社会党提出の組みかえ案に賛成する理由の骨子であります。(拍手
  12. 牧野良三

    牧野委員長 これにて討論は終局いたしました。  これより採決に入ります。まず日本社会党両派共同提案として、赤松勇君外十六名より提出されました暫定予算補正三案の編成林を求める動議を採決いたします。右の動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  13. 牧野良三

    牧野委員長 起立少数。よって赤松勇君外十六名より提出されました暫定予算補正三案の編成弊を求めるの動議は否決されました。  次に昭和三十年度一般会計暫定予算補正(第1号)外二案の政府原案を一括して採決いたします。右各案に対し賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  14. 牧野良三

    牧野委員長 起立多数。よって昭和三十年度一般会計暫定予算補正(第1号)、昭和三十年度特別会計暫定予算補正(特第1号)及び昭和三十年度政府関係機関暫定予算補正(機第1号)は、いずれも原案通り可決いたしました。  委員会報告書の作成につきましては、先例によって委員長に御一任をお願いいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  15. 牧野良三

    牧野委員長 御異議なしと認めます。よってその通り決定いたしました。  これにて暫定予算補正三案に関する議事は終了いたしました。まことに御協力をいただきましてありがとう存じます。(拍手)  本日はこれにて散会いたします。    午後二時五十八分散会      ————◇—————