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1955-05-24 第22回国会 衆議院 予算委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年五月二十四日(火曜日)     午後二時四十七分開議  出席委員    委員長 牧野 良三君    理事 上林山榮吉君 理事 重政 誠之君    理事 中曽根康弘君 理事 小坂善太郎君    理事 西村 直己君 理事 赤松  勇君    理事 今澄  勇君       稻葉  修君    宇都宮徳馬君       北村徳太郎君    小枝 一雄君       河本 敏夫君    纐纈 彌三君       福田 赳夫君    藤本 捨助君       古井 喜實君    眞崎 勝次君       三浦 一雄君    村松 久義君       米田 吉盛君    植木庚子郎君       太田 正孝君    北澤 直吉君       倉石 忠雄君    周東 英雄君       野田 卯一君    永山 忠則君       橋本 龍伍君    平野 三郎君       松野 頼三君    足鹿  覺君       淡谷 悠藏君    石田 宥全君       久保田鶴松君    志村 茂治君       田中織之進君    田中 稔男君       福田 昌子君    柳田 秀一君       稲富 稜人君    岡  良一君       小平  忠君    杉村沖治郎君       西村 榮一君    三宅 正一君       川上 貫一君  出席国務大臣         内閣総理大臣  鳩山 一郎君         法 務 大 臣 花村 四郎君         外 務 大 臣 重光  葵君         大 蔵 大 臣 一萬田尚登君         厚 生 大 臣 川崎 秀二君         農 林 大 臣 河野 一郎君         通商産業大臣  石橋 湛山君         労 働 大 臣 西田 隆男君         建 設 大 臣 竹山祐太郎君        国 務 大 臣 大久保留次郎君         国 務 大 臣 川島正次郎君         国 務 大 臣 杉原 荒太君         国 務 大 臣 高碕達之助君  出席政府委員         内閣官房長官  根本龍太郎君  委員外出席者         専  門  員 小林幾次郎君         専  門  員 園山 芳造君         専  門  員 小竹 豊治君     ――――――――――――― 五月二十四日  委員阿左美廣治君、今松治郎君、山本正一君、  相川勝六君、北澤直吉君、福永一臣君、芳賀貢  君及び武藤運十郎君辞任につき、その補欠とし  て纐纈彌三君、北村徳太郎君、河本敏夫君、太  田正孝君、永山忠則君、松野頼三君、石田宥全  君及び志村茂治君が議長の指名で委員に選任さ  れた。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  昭和二十九年度産米に対する減収加算の問題に  ついて報告聴取の件     ―――――――――――――
  2. 牧野良三

    牧野委員長 これより会議を開きます。  この際赤松勇君より発言を求められております。赤松勇君。
  3. 赤松勇

    赤松委員 去る二十一日に予算委員長に対する不信任動議提出いたしましたが、この際発議者を代表いたしまして私よりその撤回に関し発計をいたします。  二十一日に提出をいたしました予算委員長不信任理由でございますが、その責任の一切は予算委員長にあるのでございます。すなわち私どもが本動議提出いたしましたゆえんなるものは、予算審議を故意におくらせようとか、あるいはこれを党利党略のために利用しようとか、そういう意図は毛頭ないのでございまして、今日まで暫定予算及び三十年度予算審議に際しまして、野党各派がいかに協力して参ったかということは、これは委員長みずからよく御存じの通りでございます。あの際、小坂善太郎君より減収加算に関する動議提出されました。旧帝国議会の規定はともかくといたしまして、新しい憲法のもとにおける国会法及び衆議院規則精神というものは、動議行政府に対して聞くべきものではございません。当然小坂君が提出いたしました動議内容というものは、これは委員会に対しまして減収加算の問題に関し政府の明確なる態度が表明されない限り予算審議を中止する、どうであるか、こういうことを委員会意思に問うたのでございます。従って委員長といたしましては、この動議は一切に先議される性質のものでございますから、当然動議採決を行うべきである、しかして委員長各派意見をそれぞれお聞きになり、いわゆる小坂君の提案理由説明、これに対する左右両派討論が終りまして、討論終局と同時に採決に入る段階になりました。この採決に際しまして、行政府より発言を求められたのでございまするが、その際委員長としてとるべき措置は、まず小坂提出決議案動議につきましてこれを採決した後、必要ならば委員長の権限において行政府意見を表明さすべきであった。しかるに委員長委員会多数が反対しておるにもかかわらず、委員会の多数の意見を無視して、強引に政府発言を許したということは、これは非常な悪例を残したものである。旧帝国議会当時は別といたしまして、新しい国会におきましてはか、ような先例はありません。もしそういう先例予算委員会におきまして一回あったといたしまするならば、それは先例にはなりません。間違った議事運営でございまして、私ども予算委員長不信任動議提出いたしましたのは、ひとえに国会運営に関するルールをきびしく守っていただきたい、民主的運営に関するところの私どもの熱意あふるるそのことが、委員長不信任になって現われたのでございまして、他意はないのでございます。  この際委員長におかれましても、こういう点を十分に反省され、これを先例にしないのである、委員より動議提出されれば、その動議は先議さるべき性質のものでございますから、委員以外の発言を許さないで、その動議をば採決し、しかる後に委員以外の発言をばお許しになる、こういう慣例を守り、また国会法衆議院規則精神を尊重されるということでございますから、私は不信任案提出いたしました発議者を代表いたしまして、この際委員長不信任案をば撤回したいと思います。  どうぞ国会運営に関しましてはベテランをもって鳴り、また私どもといたしまして十分尊敬に値する委員長だと考えまして、今日まで協力して参りました。この事柄が発生いたしましたことは、本委員会権威国会権威にかんがみまして、まことに遺憾千万といわなければなりません。今後かかることのないように、十分委員長は自戒されまして、本予算委員会民主的運営のために尽力していただきたいということを申し上げまして、不信任案撤回理由説明にかえます。
  4. 牧野良三

    牧野委員長 この際委員長より申し上げます。去る二十一日の当委員会において動議採決に関し手違いがありました。この際委員各位の御了承を請います。  さて去る二十一日の当委員会における昭和二十九年産米に対する減収加算の問題に関する決議に対して、この際農林大臣及び大蔵大臣より発言を求められております。順次これを許します。農林大臣
  5. 河野一郎

    河野国務大臣 昭和二十九年産米に対する減収加算の問題につきましては、政府におきましては、本日閣議におきまして慎重検討いたしました結果、以下申し上げるようなことに決定いたしました。  一、昭和二十九年産米については減収加算額玄米一石当り百四十円とする。  二、この減収加算額は、昭和三十年度食管特別会計予算成立後において同特別会計から支出する。  三、これがため食糧管理特別会計において必要となる財源については、何特別会計予算実行上そのワク内における差し繰りにより調達することとするよう処置し、一般会計から繰り入れば行わない。 そういうことに決定をいたしました。この点御報告申し上げます。
  6. 牧野良三

  7. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 昭和二十九年産米についての減収加算につきましては、ただいま農林大臣から申し上げた通りでありまして、私も同意をしておるわけであります。
  8. 牧野良三

    牧野委員長 ただいまの農林大臣及び大蔵大臣報告に関し質疑の通告がございます。順次これをお許しいたします。平野三郎君。
  9. 平野三郎

    平野委員 ただいま政府の御報告によりますと、昨年産米減収加算について玄米石当り百四十円支払う、それをきょう閣議決定せられたということはよく了承いたしました。  そこで少しお尋ねを申し上げたいのでありますが、まず第一に疑問に思いますことはこの支払いの時期であります。ただいま御説明によりますと予算通過後に支払う、こういうのでありますが、何ゆえ予算通過後に支払うというのでありますか、これは昨年におきましては五百円というものを概算払いで年内にすでに支払った、それで半端の五十五円というものも年度内に支払いを完了しておるのであります。これは二十九年産米減収加算でありまして、払うという意思決定をするならば、即刻にも払うべきものであります。過去の慣例もそうなっておる。今年に限って政府は何ゆえ予算通過後に払うんだと、そういうあいまいなことを言われるのか、払うということにきまれば農民は首を長くして待っておるわけであります。しかも最近の農村デフレ状況というものはきわめて深刻でありまして、先般本委員会における公聴会におきましても、農林中央金庫の理事長から、最近における農業協同組合の預金が著しく減少しておる、今農村デフレ恐慌のあらしの中におるというような話もあった。こういうときにおいてこそ、どうせ払うということにきまったものならば、一刻もすみやかに払うべきものであると考えるのでありますが、どういう理由予算成立後に延ばすのか、その点をまず農林大臣お尋ねを申し上げたい。
  10. 河野一郎

    河野国務大臣 御趣旨ごもっともと考えますけれども、われわれの方といたしまして取扱う処置は、ただいま申し上げました通り予算が成立してからすみやかに払うということが一番妥当だと考えておるわけであります。
  11. 平野三郎

    平野委員 それでは私の質問に対する答弁になっておりません。あなたは予算通過後に払うのが妥当であるという今のお話でありましたが、その妥当であるという根拠を聞いておる。何ゆえ予算通過後に払うのが妥当であるのか、それじゃ答弁になっておりません。明確にお答えいただきたい。
  12. 河野一郎

    河野国務大臣 御質問の御趣旨は、六月の暫定予算で払うか、さもなければ本予算で払うかということになると思うのであります。そういうことでございますから、六月の暫定予算の中ではこれを支払いをするだけの用意が多少困難かと考えられますので、本予算通過後に本予算の中で米の買い入れ費から払うということが一番妥当だと、こう考えますのでそう申し上げたのであります。
  13. 平野三郎

    平野委員 まことに奇怪なる御答弁で、さらにその点は追及いたしますが、その前に別問題で一つお尋ねを申し上げておきたいことは、政府消費者価格をいじる、消費者価格を値上げするというような御意思がありますかどうか、その点まずお尋ねいたしたい。
  14. 河野一郎

    河野国務大臣 消費者価格をいじるかどうか、今いじるようなことを考えておりません。
  15. 平野三郎

    平野委員 消費者価格引き上げるという御意思がないということははっきりいたしましたので、この点は了承いたします。ただもう一言念のために伺っておきたいことは、消費者価格を名目上引き上げなくとも、実質的にこれを引き上げるというようなそうしたこともなさる御意思はないかどうか、たとえば輸入米麦の等級の格差を人為的に変更して、そうしてそれによって事実上の消費者価格引き上げをする、たとえば三等米として輸入したものを、二等米ということで国民に売るというような操作によって、実質的には消費者価格引き上げる、そういうこともおそらくおやりになる意思はないと思いますが、念のためにその点もお尋ねしておく次第であります。
  16. 河野一郎

    河野国務大臣 お答えいたします。国民生活の安定ということを眼目にいたしております。現内閣といたしましては、先ほどお答えいたした通りで御了承いただきたいと思うのでございます。ただいまの御質問でございますが、そういう細部にわたりましては今考えておりません。
  17. 平野三郎

    平野委員 以上のお答えによって消費者価格引き上げをするということは、いかなる方法によっても行う意思はないということははっきりいたしました。その点は了承いたします。  しからば私は大蔵大臣お尋ね申し上げたいのでありますが、消費者価格引き上げない、そうなりますと、この食管特別会計の中で操作をして三十三億円を支出するのは、それはどういう方法でおやりになるのか、どこにそういう財源がありますか、その点大蔵臣お尋ね申し上げます。
  18. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 支払い財源予算実行上どういうふうにやるか、これは農林大臣予算の執行の具体的なお考えをもって、その案について十分検討されていく、こういうふうに考えております。   〔「それじゃ答弁にならぬ」と呼び、その他発言する者多し〕
  19. 牧野良三

    牧野委員長 静かに、静かに。
  20. 平野三郎

    平野委員 大蔵大臣責任を持ってもらいたい。これは当然大蔵大臣か――それなら、今大蔵大臣は、農林大臣が具体的な案を持っておる、こういう御答弁ですが、それでは農林大垣お尋ね申し上げます。
  21. 河野一郎

    河野国務大臣 お答えします。食管会計性質もしくは運用につきましては、平野さんも御承知通り、こういうものは従来の慣行その他から、米の買い上げ代金の中から支払いをいたすことになっておりますので、これを将来収支いたします。これは予算でございますから、結論については将来のことになる、さしあたりは先ほど閣議決定のことを申し上げました通り運用して参る、こういうことであります。
  22. 平野三郎

    平野委員 将来のことになるという。これはいよいよもって納得がいきません。払うということがきまった以上、政府としては三十三億円の支出の義務を持っておるわけなのです。しからばどこから払うかということが明らかにならなければなりません。それではお尋ねいたしますが、あなた方の出しておられるこの予算の中で、どの項目からお払いになるわけでありますか。
  23. 河野一郎

    河野国務大臣 米麦買い上げ代金の中から支払いいたします。
  24. 平野三郎

    平野委員 米麦買い上げ代金というものは、政府はすでにこれを予定をしておることによってこの予算ができておるわけなのです。しかるに、今この三十三億円を支払うということは、本日政府閣議決定し、ここに新しく発生した新事態なのです。政府予想しておらなかったことであります。しからば、この予算は、政府が出してきたときと今日とは当然違わなければならぬわけであります。その点はどうなのです。
  25. 河野一郎

    河野国務大臣 これは先ほど申し上げました通りに、従来の慣行では、食管会計運用は、たとえばバックペイの問題にいたしましても、そういうものはあらかじめ予算に入れる入れぬということは想定をいたさずに組んであることは、平野さんも御承知通りであります。これは従来の慣行から申しまして、米の買い入れ代金から支払うということにしまして運用して参りましたことは、従来と何ら変りないことであります。
  26. 平野三郎

    平野委員 私はこの内容をよく承知しておりますから、私からあなたにお教え申し上げますけれども、これは昨年におきましても、食管買い入れ費から一応払うということはお話通りであります。しかしながら買い入れ代金というものは、予算上の米価によって、また予定供出数量によってきまっておるわけでありますから、従って減収加算という問題は予算を組むときにはないわけであります。従ってこれが新しく発生してくれば、これは最後には予備費から繰り入れて払うわけであります。そこで今あなた方がお出しになりましたこの昭和三十年度農林省所管食糧管理特別会計予定損益計算書を拝見いたしますと、予備費が三百億計上してあるわけです。この三百億の中から払わざるを得ないわけであります。予備費が三百億あるから、これがもしほんとうに事実存在するものならば、三十億くらいは何でもないわけです。ところが一方利益の方に、本年度損失として三百六十九億九千万円というものが計上してある。すなわち予備費が三百億損失の方に計上してありますが、一方の利益の方には三百六十九億というものが計上されておるわけであります。それによって合計が七千百二十二億、利益損失双方ともに七千百二十二億ということでつじつまが合してあるわけです、そうすると、この予備費がかりにないものとするならば、もうすでに六十九億というものが赤字になるわけなんです。一般会計の場合の予備費とは全然違いまして、一般会計は一兆円の歳入の中で八十億という予備費をもって、いつでもこれが払えるという建前になっておりますが、食管の方の予備費というのは、これは架空のものなんです。従って、すでにこの予備費がないものとみても、六十九億の損失になると、あなたの方で出されておる予算書にはそう書いてあるわけですが、そこに全く予想しないところの新たなる三十三億というものをこの予備費から出すということになれば、当然これは赤字になるわけです。赤字になれば、これは食管内容操作においてやるということになれば、消費者価格引き上げるということをやるか、あるいは輸入米麦価格値下りをするということによって、また利益が出てくることがございますが、そういうことがなければ、これはもう最後一般会計から穴を埋めなければやりようのないはずです。それを、先ほどの政府報告によりますと、食管特別会計の内部において操作をして、一般会計ではこのしりをぬぐわないということですが、それはできないことなんです。もしできるとするならば、今消費者価格引き上げを行わないということを言われたのですから、結局輸入米麦値下りを期待する以外にはないわけなんです。その輸入米麦は百六十五ドルでこの予算は組んでおられますから、従って、これはあるいは世界の状況を見れば、米も麦ももっと安くなって、そこに利益が出てくることは考えられるわけですが、それ以外に考えようがないわけです、そこで大蔵大臣お尋ねいたしますが、今私が申し上げましたようなことは、これは事実なんです。そうすれば、食管内容操作によってこれをまかなうのだ、一般会計からは絶対に補てんしないのだということは、これはどう考えてもできないと思うのです。どういう確信をもってきょう閣議でそういう御方針をきめられたのでありますか。その点、これは大蔵大臣責任なんですから、大臣、あなたからはっきりお答えをいただきたい。
  27. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 お答えします。私は操作によってその財源ができる、赤にはならぬという考え方であります。
  28. 平野三郎

    平野委員 どうしてならないかということを聞いているのですよ。ならないと思うということを聞いておるのではない。私が今くどくどしく申し上げましたように、この食管特別会計操作をするということは――操作できるということは、消費者価格引き上げるか、あるいは輸入米麦が将来値下りをするか、そういうこと以外には考えられないわけです。だから輸入米麦値下りをする、それによって利益が出てきますから、食管特別会計操作ができまして、一般会計の補てんはいらないのだという御答弁ならば了承するのです。これをあなたがただばく然と何とかなると思うというような、そんな無責任な御答弁では国会は了承できませんよ。はっきりお答えいただきたい。
  29. 河野一郎

    河野国務大臣 ちょっとお答えいたしますが、今平野さんのお話になりました点で、多分平野さんは御承知で言っておられるのではないかと私は思うのですが、食管会計性質は、従来、今御指摘のような運用ではないと思うのであります。この運用は、平野さんもよく御承知の上でおっしゃっておるのではないかと思うのですが、これは米の買上代金操作をして参りまして、従来も長年にわたってそういうふうに操作をして参られたことだと思うのであります、つまり米麦を――内地米もしくは外麦、外米を買い上げる予算が組んである。それから、これは買人代金の中から操作をして払っていく。そして一方では売り渡していく。それを十分に監督いたしまして、努力いたしまして、その結論赤字の出ないようにしてやっていきたい、こういうことを申し上げたのでございまして、今御指摘になりますように、払下価格を動かさないとか、外麦の処理を変えないということだけで、この内容が云々されるのではないと私は思うのであります。  またつけ加えて申し上げますが、三百億の予備費のことでございます。これも、私は、今くどくどしく申し上げませんでも、御承知のことと思いますから、差し控えましたが、この三百億を引き合いに出しまして、米麦買上代金から払っていく、こういうことを最初に申し上げたわけでございます。でございますから、従来のバックペイの場合におきましても、また今後も引き続き変えない限りはこの事態はあるのでございますが、それらにつきましても、過去の内閣予算を組みます場合に、これを一度も組んだことはないのでございます。そういう慣行になっておりますから、その慣行によってこの運用をして参ることは差しつかえなかろう、こういうようにきめておるわけでございます。
  30. 平野三郎

    平野委員 減収加算予算組むなんということはありっこないことです。これは予期せざることなんであって、すなわち、予想に反して減収したという場合に初めて起る問題でありますから、従って、これをあらかじめ予算に組んでおくということはあり得ないことです。私がお尋ねしておることは、食管につきましてはお前もよく知っておるというお話でありましたが、一昨年までは赤字というものはなかったのです。昨年度食管については、若干の赤字が出るという予想が今行われておる。これはこの七月の決算によって明らかになる、インベントリーでもって解決するということになるわけです。昭和三十年の食管会計というものは、頭から六十九億の損失が出るという見込みができておる。お話通り、米の価格というものが幾らになるか、これは予算を作るときには未定の問題であります。従って、そういう操作は当然必要なんです。ただ私が申し上げておることは、きょうの減収加算を三十三億出すというととは、本日政府として新しく発生した新事態なんです。この予算を作るときには予想しておらないことです。それを払うことになれば、買入代金から一時払おうが、最後予備費でもってしりをぬぐおうが、食管会計においては三十三億円必ず出るわけです。どこかでこれをまかなわなければ、食管にそれだけの穴があいてくる。ことしは頭から赤字が出るという予算ですから、三十三億円は何かはかでまかなうものがなければ、どこかにしりが出てくるわけです。これをきょう何とかなるのだということでは、何でなるかということの御説明がなければ、つじつまが合わないわけです。そうじゃないですか。もっと大きくいえば、そういう三十三億を出すということはきょうそういうことになったのであって、そういうのは当然この予算をお作りになるときには予想していなかったのですから、そういうことにきまれば、この予算そのものが組みかえなければならない性質のものなんです。また、この予算でもって払えるのだということになれば、頭から三十三億というものは見込んであったということにならざるを得ない。そうじゃありませんか、こんなわかり切ったことはないわけです。だから、この三十三億というものは当然何かでまかなうのだ。それは、輸入米麦が下るとかなんとかいうことがあればいいですが、それもないのだ、消費者価格引き上げないのだということになれば、結局は最後一般会計から補てんしなければならないことになるわけです。本年度も、一般会計からする十八億は、これは学童給食用の分が繰り入れられておるだけであって、この予算としては一銭もその他にはないわけです。そうすれば、いずれこれは補正しなければならないということに、だれが考えてもならざるを得ないわけです。だから当然政府としては、三十三億が、かりに輸入米麦が下って黒字が出て、そうしてそれで食管がまかなえればよろしいが、そうでない場合は、それは今予想していないのですから、そうでなければ結局最後は補正しなければならないのだ、補正するのだとおっしゃればわれわれも了解するけれども、ただ出す出すと覆われても、どこから出すのかわからない。財源がわからないでは、国会としては了承しがたいのです。要するに、その赤字が出た場合においては、最後一般会計で持ったのだということがはっきりすれば、これはもう問題は解決するわけです。大蔵大臣からそういうふうにしますとおっしゃれば、それで了承いたします。はっきり大蔵大臣から御答弁いただきたいのです。
  31. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 先ほども申し上げましたように、この今日の決定にも申し上げましたように、食管のワク内におきまして、予算実行上において、この財源を調達していくというふうにきめております。これは、具体的には、徐々に歳入をふやし、支出を減ずるという方法を講ずる以外には私はないと思います。その具体的なことについては農林省で検討を加えておるのであります。なお、赤というものは結局これだけでふえるわけではございません。食管の赤は、全体として考えて出た場合に、終局にどうするかということで、この関係だけで赤は出ないと思いますが、食管自体に全体として出された場合に、これは適当な時期にむろん善処する、こういうふうに考えております。
  32. 平野三郎

    平野委員 声が低くてよく聞き取れなかったので、もう少し大きな声で御答弁いただきたいが、従ってもし最後赤字が出た場合においては一般会計で持つことになる、こういうお答えのように聞いたのですけれども、その最後の点を、恐縮ですがもう一ぺん繰り返してお答え願いたい。
  33. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 お答えします。先ほどから申しましたように、この関係で赤は出ないという立場をとっております。もし万一出ました場合には、この赤については、適当な時期に善処する必要があると思っております。
  34. 平野三郎

    平野委員 万一出た場合には善処するというお話しでありますけれども、これは当然機械的に出るわけじゃないですか。先ほども申し上げたように、消費者価格引き上げるか、あるいはその他の何かの理由がなければ、今のこの予算のままでいけば、三十三億というものが新事態として起ったのだから、この予算の編成当時の方針からすれば、当然それだけ出てくるわけです。まことに御答弁があいまいで、私は全く了承できません。  特にもう一ぺん私は最初に戻ってお尋ねしますが、支払いの時期の問題です。これは出すということがきまれば、即刻払うべき性質のものです。今までそうしておるのであります。何ゆえ予算通過後でなければいけないのか、予算通過後でなければ支払い財源がないというものではありません。それこそ、今あなたが言われたように、食管にある米の買入代金からどんどん出せるものです。七千億の膨大な予算でありますから、三十億ばかり何でもないことです。そうして、その締めくくりは、あるいは秋の補正予算でもけっこうです。即刻払うべきものです。すでに昨年度においては年内に払っているのです。 〔「まだ予算が通過していないじゃないか」と呼ぶ者あり〕 私は政府に聞いているのだ、民主党の理事に聞いているのじゃない。
  35. 牧野良三

    牧野委員長 お静かに願います。平野君、怒らないように願います。(笑声)
  36. 平野三郎

    平野委員 去年は年内に払っているのです。それで二十九年度買い入れ費から払っているのです。本年に限っては払うということかきまって――これは機械的にはっきりしたことなんです。それを何ゆえに七月や八月に延ばさなければならないのか、そんなばかなことはないと思う。農民は、先ほど言ったように、デフレでもってみんな首を長くして待っているのです。どうせ払うということがきまれば即刻払えるのだし、払うべきなんです。どういう理由でそれを延ばすのか、それをもう一ぺん私はお尋ねし、なお他の委員諸君からいろいろ関連してお尋ねがありますから、私はこれをもってやめますけれども、全く私の質問に対する答弁になっていない。絶対に了承できない。しかしこれ以上繰り返しても答弁ができないということなんです。だからもう一ぺん最後に、何ゆえ即刻払えないか、何ゆえに七月、八月に延ばすのかという理由を、これでは全国の農民が納得しません。それをはっきりお尋ねして、一応私は他を保留して質疑を打ち切ります。
  37. 河野一郎

    河野国務大臣 先ほどからお答えいたしました通りに、本予算が成立いたしましたならば即刻支払いをする、こういうことでございまして、八月まで延ばすとかいうことば全然考えておりません。この予算が六月のうちに成立すれば六月のうちに払えます。この予算が成立し次第直ちに支払いをする、こういうことにきめておるわけであります。
  38. 牧野良三

    牧野委員長 平野君の質疑に関連して、松野頼三君より関連質問の申し出があります。お許しいたします。
  39. 松野頼三

    松野委員 善良な野党の無難な主張に無条件屈服されて、全額お出しになるということは当然なことだと考えます。しかしなお念のために短かい時間端的に一、二点お伺いいたします。  ただいまの平野君の時期の問題なんですが、あなたの言葉に矛盾があるのです。この予算が通過後と言われますが、この予算減収加算予算が入っておるならば通過後ということが理屈になりましょうが、入っていないのだから、入っていないものならばこの予算に何ら関係はない。食管会計内でゴムのように延ばしてお払いになれるならば、予算に何ら関係ないことじゃないですか。入っていないのだから、入っていないものを予算が通過しなければ払えないという論拠は、私にはどうもわからない。あなたの信条において払えるものを払わないのか、払えないから払わないのか、まことに不明確じゃないか、その点をもう一点お伺いいたします。
  40. 河野一郎

    河野国務大臣 今暫定予算によってまかないをいたしておりますことは御承知通りであります。従って暫定予算はただいま四、五月、また六月になれば六月の暫定予算でございまして、一カ月の暫定予算操作によりまして支払いが可能でありますれば、むろん支払うのでありますが、これは御承知通り、この本予算が通過いたしますれば、本予算の中から米麦買い入れ代金として支払いが可能であるということでございますから、そういう御答弁をいたしたのであります。
  41. 松野頼三

    松野委員 どっちにしてもこれは入っていない予算なんだから、あなたが操作されるというならあなたは予備金で操作されるのは、それともこの提出された予算の中のどの項目で操作されるのか、その点がはなはだ不明確だからお伺いいたしたい。
  42. 河野一郎

    河野国務大臣 お答えいたします。米麦買い入れ費操作いたしますから、この予算の中ではっきりいたしております。
  43. 松野頼三

    松野委員 米麦買い入れ費といわれますが、あなたがずっと予算書をごらんになればわかるように、その金はこの食糧買入代金四千三百七十億をさされるのですか。もう一ぺんこの点を念をしておきましょう。
  44. 河野一郎

    河野国務大臣 御指摘通りでございまして、それは場合によれば予備費引き当てということも考えられるわけでございます。
  45. 松野頼三

    松野委員 それはどっちなんです。
  46. 河野一郎

    河野国務大臣 米麦買い入れ費によってこの支払いをいたします。その結果だんだん経理をいたして参りまして、必要があれば予備費に食い入ることもあると想像しております。
  47. 松野頼三

    松野委員 米麦買い入れ費の中にも、御承知のように、国内と輸入米とございますが、どちらを大体御構想になっていらっしゃいますか。
  48. 河野一郎

    河野国務大臣 それは松野さんも御承知通り食管特別会計における米麦買い入れ費でこれはできることになると私は考えております。
  49. 松野頼三

    松野委員 私はそういうことを了承していないのですよ。米麦買い入れ費というのは、御承知のように、この計算をはじけばわかるように、本年予想される米価というものが昨年の予算米価よりも石数が少い、しかし単価は下げておる。当然これは今日予測ができない本年産米に引き当てるべき金なんです。この金で二十九年の政府の失態の穴埋めをするならば、本年の産米かそれだけ穴があくにきまっておる。あなたはそれだけ穴があくということを御承知の上でそういう御答弁をされるのか。
  50. 河野一郎

    河野国務大臣 政府の失態の穴埋めとおっしゃいますか、失態の穴埋めならばこういうことはしないのであります。これは減収加算を払うべきものなりと、閣議決定いたしまして払うのでありまして、別に失態とも何とも考えておりません。またつけ加えて申し上げておきますか、これは従来の慣行によって、今までの内閣はすべてそういうふうな予算の組み方で、そういう支払いをしていらっしゃられたことは、御承知通りであります。
  51. 松野頼三

    松野委員 失態じゃないとあなたがおっしゃるならば、この前の農林委員会答弁、この予算委員会のあなたの答弁が問題になる。あなたは何ですか、昨年の二百円の値上げで、当然減収加算は済んだとこの委員会答弁しておるじゃないか。あの言葉はどうなんです。あの言葉を再び使うならば、すなわち減収加算を再びお考えになるのか。二回閣議決定があるのか、同じ減収加算においてこの前のここの答弁と違うじゃないか。当然あなたは野党の正当な主張に屈服されたのだ。なぜこの予算に最初から減収加算を入れてないか。そういうあいまいなことではいけませんよ。わからないならわからないでいい。間違ったならば間違いでいい。そういう間違いをあなたがそのように言われるならば、かりにお出しになっても、あなたの政治責任はこの予算審議しにおいて残りますよ。なぜ当然三十年度予算にそれを上げなかったか。そういうことじゃいつまでたってもあなたの責任は残る。あなたが自由党のときにやったといわれるが、そんなことやっておりません。自由党のときはちゃんと減収加算という項目は上っておった。もう一ぺん御答弁を願いたい。
  52. 河野一郎

    河野国務大臣 私は従来も米麦買い入れ費から支払いをしておるべきものであって、これは米価でございますからそれで差しつかえない、こう考えております。
  53. 松野頼三

    松野委員 米麦買い入れ費も、三十年度予算から出したという例はありません。当然当年度予算から出しておる。だから私は二十九年のものだから二十九年度でなぜ処置しないかといっておる。三十年度予算は本年当然予想される産米の予算で、これをあなたが食って二十九年度分の自分の失態の穴埋めに充てるのじゃないか、もしそれが穴埋めじゃないといわれるならば、それじゃ一つ大蔵大臣にお聞きする。あなたは内容を御承知の上で御承認になったのか、必ず操作できるというあなたの見解があるのかないのか。
  54. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 お答えします。私必ずこの操作によってこの支払い財源の調達ができるという考えで承認しておるわけであります。
  55. 松野頼三

    松野委員 それだからあなたが先ほど読まれたものが違うんだ。それじゃなぜこの問題に関しては一般会計から補てんしないと特に注意書きをされるのか。食管会計全般について赤字が出た場合に絶対一般会計から補給しないという項目は、この予算書にはないじゃないか。あなたはこの問題だけを自分で十分これで操作できるというなら、なぜわざわざこの一千三億は一般会計から補給しないというただし書きを書かれるのか、それはおかしい。全般的な問題で食管会計は動いておるのに、なぜこの問題にだけただし書きを出されるか、あなたはそれを取り消しなさい。大体ただし書きそんなもの自身がきざだ、答弁を求めます。
  56. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 これは私といたしましては、特にこの点は注意を喚起したわけです。
  57. 松野頼三

    松野委員 三百億の予備金も出す、六十九億本年度赤字が出るということも不問に付して、三十三億だけなぜそれじゃあなたは注意を喚起されるのです。特別にこれは行政上非常な失態があるならこれも一つの理屈です。同じ大蔵省の財源で三百億や六十九億をほおっておいて、三十三億だけなぜ注意を喚起されるのか、その理屈がわからない。あなた自身これによって完全に操作できるという自信がないから、こういったただし書きをつけられたのだろう。あとで、内容をあなたに質問いたします。食管会計操作が大丈夫だというならば、食管会計操作大蔵大臣に御輿開いたしますが、大丈夫ですか。
  58. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 その操作につきましては、先ほどから御答弁申し上げましたように、これは農林省が操作をやるわけであります。その具体的な案について農林省は検討を加えておるわけであります。
  59. 松野頼三

    松野委員 大蔵大臣もう一点。これは冷静にお聞きしますが、農林大臣操作に一切まかせるといえば、御承知のように歳入歳出があるのだから、歳出がそれだけ増になれば、それだけ歳入をふやさなければ合わないことは、おわかりになるでございましょう。従って今あなたが、食管でどうしてもこれをやれということは、一般会計から補給しないということは、歳出が三十三億ふえたのだから、歳入も三十三億ふやすということでなければ方法がないでしょう。そういうわけでしょう。
  60. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 それについていろいろと収支の関係はあると思いますが、農林省で今それを考究しております。
  61. 松野頼三

    松野委員 ほんとうにあなたとお話しているとたよりかなさ過ぎる。あなたも閣議に出られたのだから、当然自分の財政にひびが入るか入らぬかということは――あなたの所管なんだ。四十億穴があく、三十億穴があくということは、あなたの責任なんだ。あなたの今の答弁を聞いていれば、勝手に飲食しろ、勘定はおれは出さぬということになる。そんなことをやっていれば農林大臣は無銭遊興の罪になる。そううでしょう。財政はあなたが勘定奉行なんです。農林大臣勝手に食っておけ、勘定は払わないというならば、いよいよ農林大臣は無銭遊興の罪になる。当然閣議で一致された以上は、あなた自身もいよいよ最後の場合には勘定場に出てこなければ、勘定が合わぬじゃないか。あなたがもし合わさぬというなら、農林大臣が無銭遊興の罪を着るか、あるいは消費者価格を値上げするよりはかにないのです。それ以外にだれが考えてもありますまい。まさか米の値段一石幾らかあなたにお聞きしているのじゃない。あなたの所管に響く問題を聞いておる。そのほかに方法がないじゃないか。もう少し親切な明るい答弁をしなければなかなか通りませんよ。
  62. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 お答えします。その具体的なことについては、先ほどから繰り返して申しますように、赤が出ないように農林省で具体的なやり方について考え、大蔵大臣にも当然相談がある、こういうふうに考えて、そうしてまた私は農林大臣の赤が出ないという操作に信頼しておるわけであります。
  63. 松野頼三

    松野委員 あなたがそう幾らおっしゃっても、結局は無理なんです。これではあえてこれ以上言ってもお気の毒ですが、大体こういう問題が今ごろ出たということに驚かれたのです。予算の編成のときにこの問題が一体出たのですか、出ないのですか。
  64. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 お答えします。むろん閣議を経ております。
  65. 松野頼三

    松野委員 三十年度予算編成のときに、当然その話が出て組むべきものをあなたはお組みにならずに、きょうの閣議でおきめになったのですか。
  66. 河野一郎

    河野国務大臣 これは大蔵省と交渉中でありましたが、意見の一致を見ませんでしたから、この予算に計上はいたさなかったのでございます。
  67. 松野頼三

    松野委員 意見の一致はずいぶん苦労されても見なかったのですが、こうやってわずか一日できまるものを、予算編成はずいぶん長い――御承知のように、選挙が終ったのは二月末でしたろう。予算提出は四月十五日でしょう。四十五日の間にきまらないものが、こういうふうになってから急にきまるというのは、それはおかしな話なんです。それはあえて言いますまい。いろいろ内部の事情があるならあえて言いません。しかしながらあなた自身が、これは当初から組み忘れたのか、あるいは組むべきものじゃないと思ったのか、あるいは済んでおったものと思ったのか、あなた自身の今までのお考えではどっちであったのですか。当然これは未解決なら予備金かなんかに計上されておけばよかったのですね、予備金があるのだから。ところがその問題が入っておらぬ。あなたのお考えでは、大蔵省ではどうして落したのですか。
  68. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 お答えします。先ほど農林大臣答弁をされたように、私といたしましても、これは非常に困難なために、それで農林大臣とよく意見が一致せずに参ったわけであります。
  69. 松野頼三

    松野委員 意見が一致しないという。そうするとこの予算には全然入っていなかったのですね。入れてないのでしょう。それだけ聞きましょう。意見が一致しなかったからこの予算を提案するまでに入れていなかったということを聞けばいいのですよ。それとも入っていたのかどうか、それをお聞きすればいい。あまりにいろいろむずかしいお話をしてもこれはあれですから、はっきりさせて端的にお話しましょう。みんな明るい公開の席ですから、私たちも、あなたが悪ければ悪かったとあやまればいい。私は疑問があるのがいやなんだ。ことに農業政策はそういうあいまいではいけません。大体あなたが農業にはあまり御関心がないことは承知しているけれども、財政のことに関してはやはりあなたの責任だから、私はそんなにむずかしい意味で言っているのじゃない。ほんとうに予算に組みそこなったのなら組みそこなったでいい。組みそこなったのにそこから出そうとする。そこに無理が来る。それが本年産米の米価に来るか、来年の消費者価格に来るか、これがいやなんだ。そのときにあなたは一般会計が補てんする、これなら農民も安心しましょう。消費者も安心しましょう。これでいいが、そっちの方はあなたがそろばんを置いて、今日の場合にこれをどうやれと言ったってできないじゃないか。そうでしょう。だから予算のときに入れていなかったから、今から入れるなら入れるでいい。あなたの考えはどっちの考えなんです。
  70. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 お答えします。これは入れてないのです。
  71. 松野頼三

    松野委員 大蔵大臣は正直でけっこうです。入れそこなったというが、ほんとうにお入れになればよかった。これは大半なことだから、あなたが再びこの間順について十分おやりにならなければだめなんです。それでは農林大臣にお聞きするが、入れなかったのはあなたの責任ですか。
  72. 河野一郎

    河野国務大臣 先ほど申し上げました通り意見の一致を見ませんでしたから、この予算の中に入っておりませんとお答えした通りであります。
  73. 松野頼三

    松野委員 私もあえてしゃにむにこの問題を悪地悪に質問するのじゃありません。農林大臣も端的な気持でお話願いたい。それでは提出されてわれわれに審議さしている予算の中のどの項目を操作するかといえば、第一が食糧買入費でしょう。食糧買入費というのは本年ではどういうものを要求しているのですか、内容をお伺いしたい。どういうものを予定して食糧買入費というものをあげられているのか。
  74. 河野一郎

    河野国務大臣 それは予算説明書にもあります通り米麦の買い入れであります。それをさらに申しますれば、御承知通り昭和二十九年産米も目下買い入れ中でありますから、これらにつきましては従来の慣行通りやって参るつもりであります。
  75. 松野頼三

    松野委員 二十九年の減収加算の問題は入っていないのですよ。米麦買入費という項目がおりますが、今別例としてこらんになればわかるように、自由党内閣当時は減収加算として米麦買入費の中にあった。ちゃんと最初から予算の積算の基礎に入っている。あなたのは人っていないところが問題なんだ。できないとは言いませんよ。しかし数が足らぬことは事実なんだ、予定しないものが急に入って来たのだから。また財政というのはそんなに年から年じゅうゴムのように三十三億入ってぽかっと格好よくうまくいくものじゃない。うまくいくようだったら、あなたの一兆億予算だって危ない。三十三億入ったり出たりして平気でいるようだったら危ない。わずか零細た――予算をよく見ればわかる。四十億、六十億、この前の戸隠と一般会計から補てんされている。百六十億というものをあなたは食管に補てんされている。こんなものをほおっておいて、そうして小さな農業の補助金を打ち切って補助金整理と育ったって、そんなものは通りませんよ。そんなゴムのように一兆億がぼかぼか伸び縮みするならおなたの方に響く。これはあとの方に譲るが、農林大臣米麦買入費の中に減収加算が入っておるか。あなた計算してごらんなさい、ありますか。あなたが計算すればわかる。私が計算しても、本年の米価をかりに一万円としてもどうですか。あなたの方の予算はどうだ。二千二百八十五万石しか上ってない。本年の予算書には珍しいことが書いてある。昨年の二千六百九十七万石に対して、今年は二千二百八十五万石組んでいる。ここにも予算の大きな、どちらかといえば心配な穴のあく予算がすでに出ているじゃないか。その上になおかつ三十三億ぽかっと浮くというような手品みたいなことは通るはずがない。二千二百八十五万石で十分半前割当が済むとお思いなんですか。それならばあるいは予算は合うかもしれません。一つ一つの予算項目を読み上げましょうか。大麦の輸入が六十七万トン、輸入価格どうですか。七十八ドル、この逆算をあなたしてごらんなさい。あなたの書かれた予算を見ると、ここに出ておるところの七千二百四十五億円では足らないのです。もしも米が一万円を一円でも減してこらんなさい。現在の予算だって足らない。それがあなたは一万円せいぜいで組んでおる。しかも供出数量二千二百八十五万石、一々言うならばあなたの予算はずさんきわまりない。その上に三十三億ぽかっと出して、なおかつつじつまが合うなんて、農業の予算を知らない農林大臣ではありますまいし、かつては農業のベテランといわれた方なんだから、この点は十分おわかりの上でおやりになられたと思うが、まだまだ心配なんです。何か私の意見にもし違うことがあるならお聞きしたい。新事実があるならお聞きしたい。新事実がないなら私の言う通りじゃないか。返答は自由だ、農林大臣にお聞きしたい。
  76. 河野一郎

    河野国務大臣 いろいろ御意見をお述べになりましたが、どの点についてどう御質問か、御質問の点がよくわかりませんから、私の答える点を一つ指摘していただきたいと思います。
  77. 松野頼三

    松野委員 それでは本年の国内産米は大体行当り幾らにされますか。どの程度とあなたは見込まれますか、この二点についてお伺いいたします。
  78. 河野一郎

    河野国務大臣 それはこの委員会でたびたびお答え申し上げました通りに、今年産米の米価につきましては、米価審議会等と十分話合いまして、これは将来適当に何とかきめていきたいと思っておるわけでございます。
  79. 松野頼三

    松野委員 それではこの予算を、赤字を出さずに国内の生産者米価をおきめになるならば、幾らまではこの予算赤字を出さずにあなたはやっていかれますか。これは想定じゃない。あなたが予算を細まれるときのお考えなんです。一万五千円なら赤字が出る、一万二十円ならやっていける、一万円ならどうだ、最高幾らまでならこの予算でやっていけるのですか。そうなれば赤字が出るか出ないか、わかりそうなもんじゃないのですか。
  80. 河野一郎

    河野国務大臣 これは松野さん御承知通り食管会計は移用を許すということになっておりますから、一つ一つの内地米については幾ら、内地麦については幾ら、外米麦については幾らということを想定してみて出せとおっしゃいましても、そこにいろいろな変化がございますから、この特別会計運用によっていろいろ変ってくるということで組んでありますし、いろいろ説明君がつけてありますことは御承知通りであります。そこで私は先ほど来お答えしました通りに、慣行によってこれを善処して参りたい、こう申し上げたのでございます。
  81. 松野頼三

    松野委員 大体この予算をおきめになるときには、全部項目が一応あなたの積算の中にあがっている。しかしながらどうしても予測できないというものが予備金というものであがっているはずだ、そうでしょう。予算の編成上全部款項費目がないわけじゃないので、一応ある。そうしてどうしても予測できないものを予備金として組むのが慣例であり、常識である。従って予備金の限度において、あなたは日本の国内産米幾らならば黒字でやっていける、これは当然のことです。算数的にもできる。だからあなたの考えをお聞きしているのです。三十三億赤字が出るか出ないかということは水かけ諭になりますからやめますが、あなたは幾らならばこの予算でやれるとお考えになっておるのか。予備金でもほかに操作があるならば、大丈夫だという見積りがあっていいはずなんです。またそれがなければ、食管会計はつかめないのです。ゴムのようなわけにはいかないのだから、その方を明らかにするならば、この赤字が大丈夫か、大丈夫でないか安心する、まことに簡単なんです。私が安心できるようにお答え願いたい。
  82. 河野一郎

    河野国務大臣 ただいまお答え申し上げました通りに、さしあたりは予算米価、予算麦価、それについていろいろ数量も示しておる通りであります。従ってそれに対して三百億の予備金も組んであるわけでございます。これは運用当りまして、現実に処して、たとえばバック・ペーの問題が起るか起らぬかという問題は、そのときになってみなければわからぬのであります。従いまして、これは従来の慣行によって善処して参るということで申し上げるよりこれ以上の答弁はできないと思います。(「そのための特別会計だ」と呼ぶ者あり)
  83. 松野頼三

    松野委員 特別会計でも別に限度がないわけじゃない。あなたのところにちゃんとお出しになった七千何百億という総額がある。特別会計から三百億入れるという、その限度内でお聞きしているのに、あなたがお答えできないのはおかしい。あなたは提案者でしょう、提案者がわからないものを審議しろといっても、審議しようがない。提案者として提案の数字の説明を聞いているのに、提案者がわからないのでは審議できない。
  84. 河野一郎

    河野国務大臣 私はそこに提案の根拠といたしまして、米については九千七百三十何円、それの買い入れ予定数量幾らということが現在想定できることでございまして、これは実際予約いたしましたり、ないしは出来秋に豊凶がどういうことになって参るか、これは昨年二十九年の予算二千六百万石を想定いたしましても、御承知通り二千二百万石、二千三百万石より買えないという実情になりますので、これは全く将来の現実に即して、将来のことを移用するのでありますから、これはそういう点についてお尋ねいただきましても、予算の編成はそこに説明してある通りに編成したのでございます。
  85. 松野頼三

    松野委員 私がお聞きしているのは、もう少し簡単なのです。あなたが予算米価は九千七百三十九円とあげていらっしゃる、本年二万二千円になったら食管会計赤字になる、一万五千円まで米価を上げても大丈夫だという限度をお聞きしているのです。それだけの簡単なことで、別に政治的意味じゃない。今から一万五千円、二万二千円にすると米価を言っているのじゃない。あなたが予算の中で、この辺まではまかなえるという数字がなければ、この提案の数字はでたらめだ。まかなえるかまかなえないかという限度を聞いている。それでなければ今年度の米価が三百億含まれるかどうかわからない。この予算で幾らまかなえるのか聞いている。
  86. 河野一郎

    河野国務大臣 先ほどお答えいたしましたように、この三百億は米価の引き当てだけではございません。これは米価についても考えなければなりませんし、ないしはまた買い上げ数量についても変って参るでございましょう。その他たとえば外麦、外米等の買い入れについてもいろいろ変化があるでございましょう。そこでいろいろ操作により最善を尽したいと申しますのは、たとえて申しますれば、船賃がこれからどういうふうに変っていくのだろうか、外国からの買い入れ事情がどう変るだろうかというような、諸般の情勢が将来のことに属することでございますから、一応予算としては出しておりますけれども、将来そういうことについて最善を尽して運用の上に善処して参りたいということで御了承いただきたい。
  87. 松野頼三

    松野委員 大蔵大臣にちょっとお聞きしますが、この三十三億だけは絶対一般会計から補てんしない、どうしてこの問題だけにこだわられるか。食管会計の総体の操作において三月において結論が出ましょう。そのときに処理すればよろしいものを、なぜこの問題にだけあなたは一般会計からこの金額を補てんしないという条項をお入れになったか。なぜこの問題だけにお入れになったか、ちょっと大蔵大臣簡単でいいから……。
  88. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私の考えでは特に意味があるというよりも、一般会計から入れないということをはっきりいたしておきたい、こういうような考え方からであります。
  89. 松野頼三

    松野委員 それでは食管会計の全般についても本年は一切赤字を補てんしたいのですか。
  90. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 お答えいたします。これはいろいろな関係から年度末に食管赤字が出るということももちろんあると思います。そういうこともあり得る、そういう場合はこれは処理する、この関係においては入れない、こういうように私は考えております。
  91. 松野頼三

    松野委員 年度末に総体的に出たときにはやはり一般会計から補てんするのですね。この問題といってもその中のけじめはありませんよ。
  92. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 お答えいたします。そういうこともあり得ると思いますが、それはそのときの事情によってとくと考慮したいと思います。
  93. 松野頼三

    松野委員 大蔵大臣はそのときの事情、事情と言うけれども、そのときの事情がここに出てきた。不幸にして出てきた。ところが今度は一般会計から補てんしないとおっしゃるけれども、もしもこの秋に事情が出てきたら、あなたは別な決定をされるのですか。たとえばこの減収加算一般会計から補てんしないと言っておきながら、またほかの方でぽかっと出てきたら困る。そのとき、そのときと言うても出てきたのでしょう。不幸にして出てきた。出てきたからこれを聞いているのです。  それから農林大臣にお聞きしますが、ただいま船賃が下るとおっしゃったけれども、大体船賃がどれくらい下ると思うのですか。それから外米、外麦の輿付が下ると言うけれども、どの程度下るとお考えなのですか。
  94. 河野一郎

    河野国務大臣 私は船賃が下るとか小麦が下ると言うたのじゃありません。将来のことでありますから、そういうふうに下るかもしれませんが、それらの点を考慮していろいろ運用に妙を得ていきたい、こう申し上げただけであります。
  95. 松野頼三

    松野委員 そうすると、大体一番たくさんお買いになるのはタイとビルマですが、タイとビルマからの船賃はどれたけで計算されたのですか。この予算の中に幾らで計算されましたか。
  96. 河野一郎

    河野国務大臣 それは私存じませんから、必要があれば政府委員からお答えいたさせます。
  97. 松野頼三

    松野委員 そうすると、非常に船賃が下るだろうと言われるけれども、船賃を御存じなしに、下る下ると言ったって、これは限度がある。船賃が百ドルもするのか、五ドルしかしないものか、七ドルしかしないものか、十ドルしかしないものか――。従って私が結論的に言いますと、あなたのおっしゃることは非常にずさん過ぎる。無理なんだ。無理をここで通そうというからこういう論議がある。(「繰作できる」と呼ぶものあり)繰作できっこない。しかしあえてこの問題は追及しません。一応私の質問はこれで終ります。
  98. 牧野良三

    牧野委員長 足鹿覺君。
  99. 足鹿覺

    足鹿委員 日本社会党の立場から、減収加算支払いに伴う若干の質疑な試みたいと思います。  最初に、問題を明らかにするために、官房長官は……。(「官房長官はどうした」と呼ぶ者あり)それでは官房長官がおいでになったところから出発したいと思うのですが、それはあとに回しましよう。  最初に大蔵大臣お尋ねを申し上げたいのでありますが、閣議決定実行につきまして、大蔵、農林両大臣間においては、支払いの大綱について完全なる意見の一致を見ておりますかどうか、この点を承わりたい。
  100. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 見ております。
  101. 足鹿覺

    足鹿委員 それでは農林大臣に御答弁を承わりたいのでありますが、約三十三億の算出の基礎となるものは、どの数字に基いたものでありますか、その根拠を明らかにしていたたきたい。
  102. 河野一郎

    河野国務大臣 一応二十九年産米は、二千三百五十万石集荷できる予想のもとに、今の百四十円をかけたものを想定いたしてございます。
  103. 足鹿覺

    足鹿委員 そういたしますと、義務並びに超過両供出、すなわち全量を対象とすることになっているわけですね。
  104. 河野一郎

    河野国務大臣 さようでございます。
  105. 足鹿覺

    足鹿委員 それでは進んでお尋ねをいたしますが、二十八年産米と同じ算定方式によって行うということは、大蔵大臣とこの点も完全に意見は一致しておりますか。
  106. 河野一郎

    河野国務大臣 さようでございます。
  107. 足鹿覺

    足鹿委員 一説によれば、政府は当初都道府県の被害を受けた農家に対してのみ支払うというがごとき種々な案を用意をして、相当疑惑を深めた事例があるが、大体九二%の作況に基いて、昨年度と同様の方式によると言っておりますが、その基準となるべき昭和二十九年産米府県別作況指数及び供出数量は、どの時点をとって、現在どういう数字のものであるか、これを資料として直ちに御提出を願いたいが、どうですか。
  108. 河野一郎

    河野国務大臣 ちょっともう一ぺん……。
  109. 足鹿覺

    足鹿委員 二十八年産米と同じ算定方式によるということでございますので、その二十九年産米の府県別作況指数及び府県別の供出数量が積み上ったもので、約三十三億のものになるわけであります。従って、全国的には九二の作況指数でありますが、府県によっては九〇のところもあるし、あるいは八六のところもあろうし、一〇〇のところもありましょう。そういったものを検討した上に、三十三億というものは積み上っているものだと私どもは思うので、その資料を御提示願いたい。別に疑うわけではありませんが、その根拠を明らかにしておいていただきたい。
  110. 河野一郎

    河野国務大臣 お答えいたします。さっそく提出いたします。
  111. 足鹿覺

    足鹿委員 直ちに出していただきます。――それでは委員長の御了解を得ましたので、官房長官が不在でありますから、総理から明確にしていたたきたい。この際お尋ね申し上げたいことは、政府はこの問題が重大化いたしまするや、当初においては閣議了解事項として一応の案を決定したといわれ、後またさらに事態が重大化するにつれて、これを閣議決定に改めたと伝えられているが、その真相はいかがでありますか。
  112. 牧野良三

    牧野委員長 すわったまま答弁してようございますか。
  113. 足鹿覺

    足鹿委員 よろしゅうございます。
  114. 鳩山一郎

    ○鳩山国務大臣 最初から閣議決定事項でございます。
  115. 足鹿覺

    足鹿委員 当初私どもが聞きましたのは、閣議においての了承事項と聞き、そのうち、三項の決定を見ているのでありますが、先刻河野農相から、一応かいつまんだ御報告がありましたが、念のために閣議決定事項の全文をこの際明らかにしていただきい。
  116. 河野一郎

    河野国務大臣 これは足鹿さん御承知通り、米価でございますから、閣議決定すべき事項でございますから、閣議決定をいたしたのでございます。必要な書類は書面で提出いたします。先ほど朗読いたしましたのは、閣議決定の再類でございます。
  117. 足鹿覺

    足鹿委員 それでは委員長にお願いいたしておきますが、先刻農林大臣が御発表になりましたものも、別に疑うわけではありませんが、手続上聞いておきたいのでありますけれども、最初は文書に残したところの閣議了承事項といわれ、後事態がさらに深刻になるや、これを持ち回り閣議によってやったという話もありますので、その最初のものとあとのものの相違があるならば、ここに明らかにしたいという意図でありますから、その点をはっきりしていただきたい。
  118. 河野一郎

    河野国務大臣 お話のようなことは全然ないのでありまして、最初から閣議決定をいたした、その通りでございます。
  119. 足鹿覺

    足鹿委員 それでは官房長官がお越しになりましたならば、その全文を正式に記録に残すために御朗読をお願いいたしておきます。
  120. 河野一郎

    河野国務大臣 ありますから朗読いたします。  一 昭和二十九年産米についての減収加算額玄米一石当り百四十円とする。  二 この減収加算額は、昭和三十年度食糧管理特別会計予算成立後において同特別会計から支払う。  三 これがため食糧管理特別会計において必要となる財源については、同特別会計予算実行の上そのワク内における差し繰りにより調達するよう措置し、一般会計からの繰り入れば行わない。    理 由   昭和二十九年産米の作柄にかんがみ、減収加算をする必要があるからである。 以上であります。
  121. 足鹿覺

    足鹿委員 了承いたしました。明確な決定文でありますので、先へ進むことにいたします。  先ほど支出大綱については農林、大蔵両大臣間において意見の一致を見たということでございますが、このただいまの閣議決定事項の中に金額が明示されておりません。それは要するに昭和二十九年産米の供出の最終的見込み数量に異同のない限りは、何ら変化はないものと解釈してさしつかえはございませんか。農林、大蔵両用から御確認を願いたい。
  122. 河野一郎

    河野国務大臣 変更はございません。その通りでけっこうでございます。
  123. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 お答えします。農林大臣答弁通りであります。
  124. 足鹿覺

    足鹿委員 さらに大蔵大臣お尋ねを申し上げますが、従来大蔵事務当局は、この問題に対して非常に強い反対意見を持っておられたと聞いておるのでありますが、この決定について完全に、大臣の御方針に対して忠実に、純粋に実行することについて、大蔵大臣は御責任をこの際明らかにしていただきたい。
  125. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 もちろんであります。大蔵省の事務当局がどうということはありません。
  126. 足鹿覺

    足鹿委員 私はただいままでの質疑の経過から見て重複を避けていきたいと思いますが、米の消費者価格引き上げなりあるいは外米の点についても適正な予算買い入れ価格を計上しておる。そういうふうにいろいろとこの内容について先刻松野委員質問に対して当局は答えられましたが、そういたしますと一般会計の繰り入れなくしては、何らこの予算は間違いのない、的確な、不確定財源等は一つもないりっぱな予算だといたしますならば、差し繰りの余地は私は出てこないものだと思う。しかるにただいまの閣議決定の終りには、差し繰りをして、そうして一般会計からは繰り入れをしない、こういうことをはっきり御決定になっておる。そこで危惧されますことは、きょうも院内において大蔵大臣が、私としては食管会計一般会計からの繰り入れを行わず、しかも赤字を出さないでやるつもりである。今度の二十九年産米減収加算を支出したことは、――これからが大事であります。三十年産米決定に当っても大きな関連を持つ。こういう御言明をどこかで記者団になされたという話が伝わっておりますが、大体この問題が通らねば本年産米の米価へ持ってきてしわを寄せていくというような含みがありますならば、右の手で農民に与えて、左の手でまた農民から奪う、こういう重大な背任的な詐欺的なことになると思います。そういうことは、私はよもや一国の政治家がこれだけの大問題を起して責任ある立場に追い込まれながら、あろうとは考えませんが、さような話を聞き、また権威ある新聞にもあなたの談話として載っておりますので、この機会において明らかにしていただきたい。もし大蔵事務当局がそういうことを考えておるならば、さようなことを考えておる大蔵事務当局に対しては、断固たる戒飭を加えられることが私は妥当ではないか。その点はっきりしていただきたい。
  127. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 お答えします。ただいま読まれた、特に問題とされる点はそういう意味じゃありません。そういうことは話しません。ただそういうふうな誤解があれば特に私はそれを訂正いたしておきたい。ただ問題はこういうことで、具体的に率直に申し上げます。食管赤字が出る場合にどういうところからいろいろ出るかということでした。たとえば今度の減収加算とは別にこの食管全体としてみた場合に、米価のきめ方いかんによっては、そこからもやはり赤字が出る可能性を持つわけです。たとえば生産者価格が非常に高くて、消費者価格が安いとなればまず赤字にならざるを得ない。またそのほかの減収加算の関係においてすぐ赤になるのじゃないかと言うから、いやそうじゃない、ほかの価格のきめ方によってやはり出る。その赤が出るということにおいてはやはり関連はある。しかし減収加算の結果、たとえば消費者価格とか主席者価格を関連させて考えるということは絶対に考えておらぬということだけは申し上げます。
  128. 足鹿覺

    足鹿委員 了承しました。この問題について全く関連をしていない。裏から見ても表から見てもその通りにやっていただきたい。しかし従来からの杞憂は、あなたはそういう考え方を持っておられても、必ずしもそれが下僚に正しく理解され、忠実にまたあなたの方針が守られないような事実もなきにしもあらずであります。そういう点については、右手で与え、左手で奪うがごとき無責任な背任的な行き方については厳に慎しんでいただきたい。ただいまの大蔵大臣の御言明で了承いたしますが、十分にその点は今後も御注意を願いたいと思います。  それからこの問題が他に悪影響を与えない保障をこの際明確にしておきたいと思う。ただいまの三十年産米価の決定には何ら無関係のものであるという御言明がありましたが、これに関連をいたしまして重大な問題が一つあります。すなわち今出来秋を前にいたしておりまする麦の価格決定政府は迫られておることは御存じの通りでございますが、ややもすればこの米価問題に議論が集中して、当面の麦価問題がややうとんじられたような傾向もあるように思われますが、大体政府の原案によりますならば、小麦の場合におきましてはややプラスの麦価予算を組んでおりますが、裸麦、大麦の場合はともに昨年度支払い価格に比して二十円ないし二十五円減じて麦価を組んでおるようであります。そこで去年は増産奨励金を麦に付しまして――一部のものはパリティによってはじき出しましたが、一部の麦の種類につきましては増産奨励金を付して、パリティの問題にはこだわらずに麦価政策を行なった経緯があります。ところが最近においては食管会計が別堀になり、またはからずもこういう問題を惹起した等、いろいろな点から考えてみて、パリティは一%程度下降しておりますし、かてて加えてこういう問題がありますので、全国の農民としては、作況は大体平年作だと言われておるし、政府は麦価引き下げを企図しておるのではないか、またこの減収加算を麦価へしわ寄せてくるきらいはありはしないか、そういう懸念を持っておるのでありますが、この際大蔵、農林両大臣からこの点について御所見を承わっておきたい。
  129. 河野一郎

    河野国務大臣 お答えいたします。麦の値段の決定につきましては、大麦、裸麦、小麦の前年の決定について、農業団体方面においてもこれらの現行の価格差が妥当であるかどうかということについて多少御意見のありますることは御承知通りであります。そこで今お話のように、減収加算によるしわ寄せを麦の方にするのじゃないかというような懸念があるということは、先ほど大蔵大臣からもお答えいたしましたように全然考えていないのでおります。どこまでも米価審議会等の意見を十分に導重いたしまして善処いたしたいと湾えておりますから、今御心配のようなことは全然考えておりませんから御了承いただきたいと思います。
  130. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 農林大臣答弁で了承いただきたいと思います。
  131. 足鹿覺

    足鹿委員 最後にいま一点お尋ねをいたしまして、質疑を打ち切りたいと思います。政府はこの減収加算支払いにつきまして、あくまでも食管特別会計内の操作でやる自信がある旨を先ほど決意を表明しておりますが、大体その根拠としては、われわれが常識的に考えてみた場合に輸入米麦値下りに基く利益、いま一つは麦の二重価格制をややもすれば政府はやめたがっておる、これは前の政府もそうでありましたが、今度の政府もこの問題で食管会計が窮屈になるとやめるのではないかと世間ではいろいろ考えさせられておる、大体この点が第二点、あとは運賃の問題とか、中間経費を合理化していく以外に、大体この差し繰りの点で余裕財源となるべきものはございません。消費者米価も上げない、生産者価格についてもしわは寄せない、麦にもそのしわは寄せない、こういうことになりますと、差し繰りすると申されても、その範囲はきわめて限定され、圧縮して参ります。その結果、今申し述べましたように大体三つないし四つの点にこれは集約されてくると思います。そうした場合に先ほど大蔵大臣が、農林大臣食管特別会計操作に信頼し、またやるものだと思っておるという御答弁でありましたが、事実こう考えてみると、差し繰りするものはどの点であるかということは今から大体見当がつきますが、どれを考えておりますか、農林当局は輸入米麦値下り利益によって大体余裕が出てくると考えておりますか、それとも麦の二重価格制をとりやめるその財源を一応見ておりますか、あるいは中間経費が今までしばしば問題になっておりますが、その中間経費の節減に重点を置いて差し繰りをやっていくのでありますか、問題が集約されてきておりますからその点を具体的に御答弁願いたい。
  132. 河野一郎

    河野国務大臣 お答えいたします。ただいま詳細に御指摘になりましたが、大体それらを何とか善処していきたい、こう考えておるわけでおります。ただし申し上げておきますが、麦の二重価格制とおっしゃいましたが、それについては今直ちにそれを考えておるというわけではございません。
  133. 足鹿覺

    足鹿委員 今の御答弁で、中間経費を節減、合理化していくということは何人も別に異論のあろうはずはございません。けっこうなことだと思います。  次は麦の二重価格制についてはまだ結論に達しておらないということでありますが、これは軽々にやるべきことではありますまい。おそらく農相も御存じの通りだと思います。内地麦を買い入れて、そしてこれを外麦価格において払い下げするということによって麦食奨励の政府の方針にマッチしておるのでありまして、これをおやめになりますと非常に大へんなことになりますから、容易にはできますまい。そういたしますと、輸入米麦値下り食管特別会計の方針にも明らかにしておりますように、世界の食糧事情の緩和等の事情にかんがみといっております。いわゆる過剰傾向にある国際食糧事情の現状から見て、現在政府がこの予算案に計上しておる米百六十四ドルは、昨年よりも大体二十ドル下落に見込んでおりますが、まだまだ私はこの下落の見込み方が足りないと思う。百四十ドル内外ではないかとすらも考えられる。まだまだ二十ドル前後の余裕があると思いますが、これは少し過大ではないか、外麦に対しては高麦価で買うがごとき予算価格を作り、内地米麦については昨年の買い上げ価格をよほど下回るような予算米価を組まれるということは一体どういうことでありますか。また大麦につきましても輸入麦価は昨年は七十六ドル、本年は七十八ドルで、二ドル高に見ておいでになる。小麦の場合は昨年が八十五トル、本年が八十二ドルで、三ドル安に見ておられますが、大体において大麦においてはやや上回りぎみ、また米あるいは小麦においても過剰傾向で価下りだといいながら、岡内の場合に適用するときには、世界の麦が余っておるのだから安くていいものだったら入れたらいいじゃないかという農相のいつもの御意見、そして輸入のものについては予算そのものにはあまり低く見ておられない。どうも私どもとしては納得がいかない。この予算案そのものはもし私の措摘したことがかりに事実といたしますならば、不確定要素を中心として組んだ食管特別会計であると言わざるを得ないではありませんか。だから頭からこれはもうけてある程度差し繰りの余地のあることを承知の上で作っておいて、こういう重大な年間七千数行億の食管会計というものを作ること自体が私はおかしいではないかと思う。でありますから、先ほども論議がありましたように二十九年に起きたことであるから、まずここらあたりで政府も政治的責任を負ってこれを解決し、そしてあらためて昭和三十年においては赤字なきことを保する細心の運営をすべきが当然ではありませんか。少くともこれは理屈ではなくして、国民の常識であろうと私は思います。御所見いかがでありましょうか。
  134. 河野一郎

    河野国務大臣 外国産の米麦の買い入れの傾向については、予算の編成当初におきまして、たとえば先ほどもちょっと問題になりましたが、運賃がどういう方向にいくかということについても、これは見込みでございますので、ないしはまたこれを買いますのに沖で買うとか、倉庫で買うかというようなことを漸次改善もしておる次第でございまして、そういうこと等々のことがございますので、大体その辺の見込みでやることが一番妥当であろうというようなことで単価をきめて予算を組んだのでございます。ただしかし今御指摘のように、これは見方でございますし、将来にわたることでございますから、どこまでも予想で組むよりほかに仕方がない、大体そこらが妥当であろうということで組んだわけでございます。特に御指摘のように、国内のものについてはこうで、外国のものについてはこうじゃないかということでございますけれども、国内のものにつきましてはすでに御承知を願っております通りに、一応予算の米価としてここらを組んでおくのがよかろう、これはいよいよ米価を決定する際にはいろいろな要素を勘案いたしまして米価の決定はいたすということでございますから、そういうふうに御了承いただきたいと思います。
  135. 足鹿覺

    足鹿委員 大体私のお尋ねしようと思った点はこの点で終りますが、先ほどの昭和二十九年産米府県別作況指数及び供出数量の資料を直ちに配付願いたい。これがはっきり認定できませんと、われわれは架空の議論をしたことになる。従来ややもすると、食管会計というものは買い入れ数量の問題にも問題がある。また運賃であるとかあるいは生産者価格の設定の内容の問題であるとか、いろいろな点において非常に複雑な内容になっていることは御存じの通りでありまして、確かにこの通りであると思っておっても、いよいよふたをあけて、それが府県を通じ、農民にいく場合にはおそるべき小さいものになったり、ゆがめられたりした事実があるのであります。従ってそのとった時点を明らかにして、昭和二十九年産米の府県別作況指数及び供出数量を御提示願いたい。それに基いて、大体それが積み上ったものが三十三億、石当り百四十円ということにマッチいたしていきますならば、大体納得ができると思います。具体的な根拠と数字をお示し願いました上でわれわれにも最終的にこの問題に対する態度を決定したいと思いますので、至急にそれを御提示願いたい。以上で終ります。
  136. 牧野良三

  137. 稲富稜人

    ○稲富委員 私はただいま問題になっております減収加算の問題につきましては、先般来同僚各位より詳細にお尋ねがありましたので、できるだけ重複を避けまして簡単にお尋ねいたしたいと思うのであります。  最初に総理大臣お尋ねいたしたいと思うのでございますが、先刻から大蔵大臣並びに農林大臣の御答弁を聞いておりますと、本予算提出されるまでは、大蔵大臣農林大臣との間に意見の一致を見なかったがためにあの予算提出した、こういうような御答弁であるわけであります。しかもこの問題がたまたま重大化しますと、にわかに本日閣議決定をもってこれを提出されたということは――これはわれわれの要望でありますけれども内閣自体から申し上げますと、実にこれは内閣の不一致であり、不手ぎわである、かように考えるのでありまして、その予算提出の最高責任者であります総理大臣として、いかなる考えをお持ちになっておるか、なお将来ともこういう問題は往々にして考えられますので、当初に総理大臣のこれに対するお考えを承わりたいと思うのであります。
  138. 鳩山一郎

    ○鳩山国務大臣 最初において、閣内において意見が統一してなかったということはまことに残念なことでありました。将来はそういうことのないようにいたしたいと思います。
  139. 稲富稜人

    ○稲富委員 将来はそういうことのないようにしたいという総則大臣の率直な心境のようであります。私はそれをあえて責めはいたしませんけれども、要するに日本の全人口の大部を占めます農民が非常に希望しておりますこういう問題を、しかも国会予算提出までも未決定のままいったということは、私たち農民から申し上げますならば、いかにも政治というものが農民から離れたという気持さえも持つのであります。将来こういう不手ぎわのないように総理大臣がもっと一つ政治に信念を持たなければ――統一問題等でやめるとかやめないとか、そういうことがしばしば新聞紙上をにぎわしているようでは、私は強力なる政治体制は作れないと思うのであります。この意味におきまして総理大臣が今度国会後にはもう内閣をやめるとか、総理大臣をやめるとか、そういうような疑惑を一般が打たないようにする心境がおありかどうか、私はその点を承わらなければ、将来の予算審議の上におきましても非常に不安を感じますので、この点も伺っておきたいと思います。
  140. 鳩山一郎

    ○鳩山国務大臣 御質問はごもっともなことであると思います。
  141. 稲富稜人

    ○稲富委員 では次に関係の農林大臣にまずお尋ねいたしたい思うのでございます。この減収加算金は、先刻からもいろいろお答えになっておりますように、食糧特別会計でまかなうとおっしゃるのでございますが、食管特別会計はそんなに余裕があるような予算で組まれているのであるか、そういう余裕が十分おありになるお考えであるかどうか、農林大臣のお考えを承わりたいと思います。
  142. 河野一郎

    河野国務大臣 先ほどからお答え申し上げます通りに、余裕のあるなしということではないのでございまして、これは御存じの通り米価にいたしましても将来きめることでございますし、買い上げ数量にいたしましてもこれからでき上る米を買うのでございますから、これらを一応想定して組んであるのでございます。外国から買って参ります米にいたしましても麦にいたしましても同様でございます。そこで今申し上げます通りに、この減収加算を限定された中から払うということになれば、限定された中にそういう余裕が、あるわけは私はないと思います。しかし食管特別会計は御承知通り米麦の買い入れ価格を引き当てて――減収加算は加算というようなことになっておりますけれども昭和二十九年産米価の一部であります。でありますから、これをその中から払うということは妥当であると考えますし、またそれを払って順々に運営して参ります最終におきまして赤字が出ないように運用して参りたい、こういうことを申し上げているのでございまして、初めから余裕があるとかないとかでなく、余裕があるというようなことではありませんけれども、これの運用は、米価にいたしましても麦価にいたしましても将来きめることでございますし、さらに数量においてもさようなことでございますから、今直ちにこれによって赤字が出ないように運用して参りたいということをお答え申し上げておきます。
  143. 稲富稜人

    ○稲富委員 余裕かないからわれわれは非常に不安を感ずるのでありまして、食管特別会計に余裕のあるその余裕の中から三十三億を差し繰りをされるというならば、われわれも安心ができるけれども、余裕かないところにまた不安があると思うのであります。私は、これは大蔵大臣にも関連があるのでございますが、先刻総理大臣お尋ねいたしましたように、本予算提出するまでは大蔵大臣農林大臣との間に意見の一致を見なかったがために予算を編成しなかった、こういう御意見であります。ここで私は農村の立場からお聞きしたいと思いますことは、その意見の一致を見なかったという点は、減収加算金のようなものは出す必要はないというようなことで意見の一致を見なかったのか、あるいは一般会計から出すべきものではないということで不一致を見たのか、あるいはまた食管特別会計からもそれは出すべきものではないという、かような立場から意見の不一致があったのか、その点の意見の不一致であったという根拠を承わりたいと思うのであります。
  144. 河野一郎

    河野国務大臣 食管会計から支払い方法であるとか、一般会計から繰り入れの方法でありますとか、減収加算支払い方法でありますとかいうような諸般の点について意見の一致を見ることができなかったのであります。別に今御指摘になりましたどの点についてどうということではないのであります。
  145. 稲富稜人

    ○稲富委員 私の聞いておるのは、不一致であったというならば、どの点が不一致であったという原因があるわけであります。どういう点で不一致であったかということはあいまいでありまして、ともかくもこれだけの大きな問題で、しかも大蔵大臣農林大臣との間に意見が合わなかったというならば、どの点が合わなかったという理由があるはずなんです。大蔵大臣からその点承わりたいと思います。
  146. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 お答えします。この減収加算をすべきかどうかといういろいろな事情につきましては、やはり見方、考え方において相違があったのであります。
  147. 稲富稜人

    ○稲富委員 それでは先刻の農林大臣意見大蔵大臣意見は違うのでありまして、私は実に農林大臣の御答弁は誠意がない、残念に思う。減収加算の問題を出すべきであるか、出すべからざるものであるかということで意見の不一致があったということを大蔵大臣ははっきり答弁されておる。ここに私たちは農村問題として大きな根拠があると思う。農林大臣としては、減収加算は出すべきものであるということはおそらくお考えになっておるだろうと思う。その点で大蔵大臣が反対をされたのだろうと思う。減収加算はすでに昨年度も出している。大蔵大臣がこういうような状態のもとに出す必要はないという根拠はどこにあるのか、この点を聞きたいと思う。
  148. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 お答えします。減収加算をいたしますことについては、いろいろな条件があるようであります。それらについて考慮を加え、かつまた今日の米価等について考慮を加える。それと今回の予算が非常に緊縮な一兆円予算でもある、このような見地から私自身としては、大蔵当局の立場からいたしましては、できればがまんをしてもらいたい、こういうような考えを持っております。
  149. 稲富稜人

    ○稲富委員 ここに問題があるので、大蔵大臣は低米価政策をもってやっていこうという考えでしょう。先刻の平野委員質問にもありましたごとく、今日の農村の経済状態は決して余裕のあるものじゃない。しかも私たちは今日いかにして食糧の日給態勢をとらなければいけないかという場合に、農民の労力に対して、農民の小産に対しては、償い得る米価を決定することは当然であると思う。それを単なる経済的な立場のみ考慮して、いたずらに低米価政策をもっていこうというところに、この米価政策の非常な間違いがあるということをわれわれは考える。そもそもここに大きな問題が発していると思うがために、私はこの点を聞いたわけです。  私は大蔵大臣に対する質問はあと回しにして、この点から考えて農林大臣お尋ねをしたいと思うことは、先刻農林大臣答弁の中にも、今日の食管特別会計の中には十分の余裕がない、しかしこの中から差し繰ることはあるんだとおっしゃいますと、当然われわれが考えてくることは、本年度の米価決定に大きな影響を来たしはしないか、あるいは買い入れ問題等に対してもいろいろな影響も起るのではないか、こういうようなことをわれわれは憂慮するわけであります。それですでに先刻からの質問の中にもはっきりされましたことは、消費者価格というものはこのまま据え置きにするというような御答弁があったのでございますので、この点いま一つはっきり消費者米価の問題を最初に御言明願いたいと思います。
  150. 河野一郎

    河野国務大臣 お答えいたします。消費者米価は今日の現状で据え置くということは、この内閣の方針としてきめておりますから、間違いないと思います。
  151. 稲富稜人

    ○稲富委員 そうすると、生産米価に対しましては、米価審議会の答申によってやっていく、こういうようなお考えでございますが、その点に対してはわれわれはあえて否定いたしません。ただ今日御承知通り集荷に対する予約制度の御計画があるので、この予約制度を実行するということ、米価をいかに決定するかということは不可分な関係にあるということは、農林大臣は御承知であると思う。この予約制度を完全に実行し得るためには、今日のような生産米価を割ったような米価で果して妥当であるかどうか、こういうことになってくると思うのでありますが、これに対しまして一つ農林大臣としての率直な御意見を承わっておきたいと思うのでございます。
  152. 河野一郎

    河野国務大臣 御指摘通り、農林省といたしましては、将来の米価決定は従来の米価決定と多少趣きをことにいたしまして、各方面の御意見もありますので、生産費主義に重点を置いてやるべきだということになっております。せっかくこれに対する算定の方式等を専門家の方々にいろいろ御勉強願いまして、その委員会の御意見を尊重いたしまして、ただいまそれに対する基礎数字を取りまとめ中であります。その基礎数字が出ました上で、これを重要な資料として明年度の米価については考えて参りたい、こういうふうに考えております。
  153. 稲富稜人

    ○稲富委員 それでこの点はっきりしていただきたいと思いますことは、先刻足鹿委員質問の中にもありましたごとく、本日も大蔵大臣は、今回減収加算金を出すことは、三十年度米価に非常に影響するんだ、こういうようなことを言われたということが非常に伝わっております。これは直ちに全国の農民に非常に影響すると同時に、さらに本年度の米の供出についての心がまえに非常に影響するものだと私は思うのであります。それで今回この減収加算金を出すようになったということは、本年度米価に関係するのではないかという不安が非常に起ると思いますので、この点は一つ政府の方針をはっきりこの際明らかにしておきたいと思うのであります。これに対する農林大臣のお考え方、さらに大蔵大臣のこれに対する責任ある答弁も、ともに承わっておきたいと思うのであります。
  154. 河野一郎

    河野国務大臣 先ほど大蔵大臣から御答弁のありました通り、また私といたしましても、この減収加算をいたすということと三十年産米決定とは全然関係がありません、関係して考えることはいたしませんということを明確にいたしております。
  155. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 お答えいたします。先ほど申し上げましたように、減収加算を今回出しますことと米価決定は関係がないのであります。かりに私の話として新聞等にそういうことが報道されておるとすれば、それは間違いであります。
  156. 稲富稜人

    ○稲富委員 それで大蔵大臣にお聞きしたいと思うのでございますが、本年度の米価決定に対しましては、全国農民は非常に不安に思っておるのでございます。それで農林省としての米価決定に対する考え方というものは、やはり農民の生産費方式から割り出した、農民の生産をまかない得るような米価決定にしたい、こういうような考えがあるということは御承知の遮りであります。ところが先刻この減収加算金の問題に対してさえも、大蔵省といたしましては、低米価政策からできるだけこれは出すべからざるものであるというような、かようなお考えてあるということは、明らかに両方の意見が非常に相違している、これは将来の米価決定その他にも非常に大きく影響すると思うのでございますが、こういうような問題に対しまして、大蔵大臣はほんとうに日本農村の実情並びに自立経済、あるいは食糧自給対策を立てる意味から、単なるそういうような低米価政策だけでやっていけるというような考えをお持ちになっておるのかどうか。そういうような考え方があるとするならば、これをこの際十分一つ改めた考え方をなされる意思があるかどうか、この点一つ承わりたいと思うのでございます。
  157. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 お答えします。米価に関します限りは、農林大臣と十分相談いたしまして、慎重に考えてみたいと思います。
  158. 稲富稜人

    ○稲富委員 将来においては今までのような――ただいま農林大臣と十分相談するとおっしゃいますが、すでにただいま問題になっております減収加算金の問題でさえも、不統一のまま予算提出されたという事実がある。私はこういうような事実があるがために、なおさら今日不安を持つのでございますが、しかもそれが内閣不統一、両方の意見の相違だったということもはっきり大蔵大臣は先刻言明されたのであります。従いまして、そういうようなことのないようにされる御意思があるかどうか、この点くどいようでございますけれども、私は将来の参考のために十分承わっておきたいと思うのでございます。
  159. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 お答えします。大蔵省といたしましては、今日今後にわたる財政ということもやはり十分考慮しなくてはなりませんが、そういう見地に立ちまして、農林大臣と十分相談をすることにいたします。
  160. 稲富稜人

    ○稲富委員 問題は、財政的見地に立つとおっしゃるのでございますが、財政的見地ばかりで考えれば、今おっしゃるような減収加算金も出さないというような方針をとられる。ところが実際の農村の事情、あるいは食糧対策という重大な立場からいえば、その財政規模に対してもさらに十分の含みを持ってやらなければならない問題がある。これがすなわち政治だと思う。ただ財政的な面ばかりのみ考えるからこういう問題が起ってくると思うのでございまして、その点を、一つあなたの御心境はどうかということを承わっておるのでございます。
  161. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 十分承わっておきます。
  162. 稲富稜人

    ○稲富委員 どうも通り一ぺんの御答弁のようでございますが、あまり時間がかかりますので先に進みますが、この際大蔵大臣に承わっておきたいと思うのでございますけれど、先刻大蔵大臣は、今回の減収加算金の支出に対しましては、食管特別会計で十分やれると思っておる、それだから賛成したのだ、こういうような御答弁であったようでございますが、現在の食管特別会計にはそんなに余裕があるというような見当を大蔵大臣はつけておられるのであるか、この点承わりたいと思うのでございます。
  163. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 余裕があるという言葉は当らないと思うのでございますが、農林大臣予算実行の上において十分この支払い財源を調達し得るということは、私は確信をいたしております。
  164. 稲富稜人

    ○稲富委員 私は、それは実に大蔵大臣としては無責任なる答弁だと思うのであります。少くとも国家財政をあずかるあなたが、単に農林大抵が十分まかなえるから、こういうことを言ったから自分はこれに賛成をしたのたということは、私は単なる通り一ぺんの御答弁だと思うのでございます。なぜ私がそういうことを申し上げるかというと、大蔵大臣は、これは新聞の報道でございますが、二日の臨時閣議の席上においてこういうことを言われておる。これは、あなたが閣議において発言された内容が新聞に載っておるのでございますが、現在の米価は、生産者価格は高く、消費者価格は安くきめる傾向で、その穴を財政負担で埋めている。食糧管理特別会計の含み財源はこのため食いつぶされ、今後財政負担をするとすれば、一般会計から繰り入れるほかはない。それで米価は、生産者価格に所要の経費を加えた価格で消費者に売るというコスト主義の原則をあらためて確認したい。こういうことを言われておる。現在の食管特別会計というものが非常に不安であるということを、この中でもあなたはおっしゃっておられる。特別会計の中にこういう制度があって、特に食管制度の改訂までやらなければいけないというような意向をあなたが持たれておるということを聞いておるのに、この問題に対してにわかに本日の閣議で、農林大臣から食管特別会計でまかない得るのだということを言われたから、それを信じて自分はうのみにしたということは、私はあまりに詭弁の答弁であると思うのであります。この点、あなたのほんとうの考え方を率直に承わりたいと思います。
  165. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 お答えします。閣議でただいまお読みになったようなことを私が話したことはありません。それだけ申し上げておきます。
  166. 稲富稜人

    ○稲富委員 それではあなたは、現在の食管特別会計というものは十分であるというお考えをお持ちになっていらっしゃいますか。食管特別会計というものはそれほど余裕がある、こういうようなお考えをあなたは持っていらっしゃいますか。
  167. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 お答えします。先ほども申しましたように、そう余裕があるとは考えておりません。
  168. 稲富稜人

    ○稲富委員 余裕があるということは考えていない、しかしながらこれを閣議承知したということは、私は大蔵大臣として非常に無責任だと思う。おそらくあなたは、食管特別会計には十分な余裕がないと思われるから、先刻話したように、一般会計から繰り入れをしないのだという条件をつけられたのだろうと思う。こういう非常に不安な予算提出するということは、私は内閣として無責任だと思う。その点はもっと丁寧な、もっと親切な、もっと納骨し得る説明予算提出が必要であると思うのでありまして、国会で問題になったがゆえに、これを何とかして一時しのぎに、国会切り抜けのために一般会計から入れないという条件をつけて、そうして余裕がないと思いながらも、農林大臣がこれでまかなえると言うからそれをうのみにしたということは、大蔵大臣としての職責上非常に重大だと思う。これは私実に黙視することはできないと思うのでありますが、これに対して大蔵大臣はそれでいいとお考えになりますか。その点を、財政の責任を担当されるあなたからはっきり承わりたいと思うのであります。
  169. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 お答えします。一般会計から繰り入れないということは、この件について私は今繰り入れなくてもいいという考えであります。
  170. 稲富稜人

    ○稲富委員 この件について繰り入れないでいいということになりますと、この三十三億を出しましたがために、今度は食管特別会計の方に別に赤字が出た場合には、これは出してもいいという意味でございますか。
  171. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 お答えします。食管におきまして、今後いろいろな原因で赤字が出ました場合は――これは年度末に出るかもしれません。そういう場合には、むろんこれを補てんすることも考えなければなりません。
  172. 稲富稜人

    ○稲富委員 これは実に無責任答弁だと思う。それは減収加算金の三十三億であろうと、食管会計のほかの金でも金にしるしはついておりません。それで三十三億食管特別会計の金を支出したということとも関連いたしまして、当然赤字が出た場合は、やはり一般会計から出してもいいということになると、おそらく三十三億も出したと同じ結果になってくると思う。それなのに今のあなたの御答弁は、大蔵大臣として無責任だと思う。そういうことでは私は納得がいかないわけでございますが、大蔵大臣、あなたは責任のある大蔵大臣としてそれでいいとお考えになっておることが、私はあまりにも不思議でたまらない。おそらくあなたは、今日の閣議においては、国会の情勢がこうなっておるから、ともかくもお前黙って一つこれをうのみにせい、こういうことでなされたのじゃなかろうかとわれわれは想像するわけなんですが、これは政治に対して親切なやり方ではありません。この点をあなたがほんとうに不安であるとするならば、やはり一般会計からこれに対しても出すという考えを述べられることが私は親切だと思う。ただ減収加算金に対しては一般会計から出さないのだ、しかしながら、もしも食管特別会計に穴ができた場合は出すこともできるのだ、こういうのでは、実は子供だましのような話であって、これは大蔵大臣答弁としては非常に無責任答弁だと思うのでありますが、あなたはそうはお考えにならないのでありますか。
  173. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 お答えします。この件について一般会計から繰り入れないというのは、先ほどからしばしば申し上げましたように、減収加算支払いによって赤が出ないという立場をとっておるのです。ですから、先ほども申しましたが、万一いろいろな原因で赤が出た場合があったらこれはほっておけないだろう、こういう意味に御了解を願いたいと思います。
  174. 稲富稜人

    ○稲富委員 実に大蔵大臣答弁は徹底をしていない。それは先刻も申し上げましたように、食管特別会計の金額というものは、金にしるしはついておりません。それで、その中から三十三億という金が減収加算金に支払われる、これもやはり将来食管特別会計に赤が出る原因の一つになりましょう。そういう場合は、あなたは直接これには関係ないとしても、赤字が出た場合は出さなければいけないだろうとおっしゃる、この点が私はあいまいだと言うのであります。あなたはほんとうに大蔵大臣として責任があるならば、当然食管特別会計から三十三億出すことは承知したのだ、それによって食管赤字が出た場合は、一般会計から出そうと思っておる、こうおっしゃるならば、それは大蔵大臣としてそういうお考えはあるだろうと思う。その点を言葉をあいまいにして、これには出さないのだ、しかしながら、将来ほかの方で赤字が出た場合は一般会計から出すかもしれないという答弁は詭弁であると思う。そういう詭弁の答弁ではわれわれは納得できない、この点に関してはっきり御答弁願いたい。(「農林大臣、出る幕じゃない」「大蔵大臣答弁」と呼び、その他発言する者あり)私は大蔵大臣に聞いている。
  175. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 お答えします。先ほばから申し上げましたように、本件については赤字は出ない。ほかのものについても出ないと思いますが、出た場合における処置といたしましては、先ほど申しましたように、将来適当なときに補てんをする以外にない、私はこう考えております。
  176. 稲富稜人

    ○稲富委員 どうも私は、大蔵大臣答弁が詭弁だと思うのです。なぜはっきりその点を言わないのか。あなたの方で、これについて赤字は出ないのだとおっしゃるならば、特別会計がどうなっているから赤字が出ないということが出てくるのか、その根拠を大蔵大臣から承わりたいと思う。
  177. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 先ほどから私しばしば御答弁申し上げたのでありますが、赤字を出さないように農林大臣予算実行の上において操作をしてやる、こういうことで、私はそれを信頼いたしたいと思います。
  178. 稲富稜人

    ○稲富委員 大蔵大臣は、しばしば答弁したとおっしゃるが、あなたの答弁は、聞けば聞くほど私はわからなくなってくる。しばしば答弁されればされるほど、ますますわからなくなってくるのです。あなたは食管会計も十分じゃないということをお認めになっておる。そうしておいて、この問題は一般会計から出さないということではっきり条件をつけられる。私はなぜあなたにこういうことを聞くかといえば、あなたは、米価決定に対しても、どうも減収加算金のような、こういう米価の高くなるような金は出したくないということで、あなたの腹に一物があるから、それに対しては金が出したくないのだ、こういう腹だろうと思います。そういうことで、あなたが国の財政を背負っていかれるということはわれわれにとって迷惑千万です。その点から私はお聞きしておるのです。それがどうであろうと、足りなかった場合には当然出すのだということをはっきり率直におっしゃられれば私にもわかるのですが、それがわからないということは非常に遺憾です。しかもあなた方は、この問題について三十三億の金を予算面に表わさないままで、先刻から農林大臣が言われておるように、前例があるなどと言ってほおかむりで押し通していかれるというような考え方というものは、まことに遺憾です。そういうほおかむりで予算を通過させようという腹であるのか、この点を承わりたいと思います。
  179. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 お答え申し上げます。今の一番の重点は、この減収加算の金を出すことと米価の問題をからみ合せて、米価を安くするようなことを考えておるのじゃないかということをお問いになったのでありますが、私先ほど申しましたように、減収加算を出すことと米価とは、関係があるとは考えておりませんということを重ねて明らかにいたしておきます。
  180. 稲富稜人

    ○稲富委員 この三十三億の金は表面に出さないままで、ただ従来の慣例に従って操作だけでやっていくのですか。
  181. 河野一郎

    河野国務大臣 その通りであります。
  182. 稲富稜人

    ○稲富委員 大蔵大臣の先刻からの答弁というものは、どうも私納得がいかないのです。これに対しては実に不満でありますが、これ以上聞いても同じことを繰り返すばかりでありますので、私は不満のまま大蔵大臣に対する質問はこれをもって打ち切ります。
  183. 牧野良三

    牧野委員長 この質問に関連して、小平忠君及び小坂善太郎君より関連質問の申し出があります。順次お許しいたします。小平忠君。
  184. 小平忠

    ○小平(忠)委員 減収加算問題に関しまして、今朝の閣議決定なり、大蔵大臣の記者団に発表せられたやに聞きます内容等について、きわめて重大な問題が包蔵せられておりますから、ただいまの稲富委員質問に関連してお伺いいたしたいと思います。  私は過般この委員会の席上で、米価決定に関しまして所信をただしました。その際農林大臣は、予算書に計上してあります価格予算米価である、この予算米価についても、米価審議会の意見なり、あるいは今後の経済情勢等を考えて、この予算米価を下回るようなことはないのだ、さらに、これは予算米価であるからして、実際の米価決定に当っては、米価審議会に諮問する米価についても、上回ることは当然だろうという答弁があったわけでありますか、その通りでございますか。
  185. 河野一郎

    河野国務大臣 大体そういうふうにいたしたいと思います。
  186. 小平忠

    ○小平(忠)委員 そういたしますと、この予算群に計上されておるところでは、食管特別会計の国内食糧買い入れ費二千七百四十二億四千万円、さらに、外国食糧買い入れ費千六百二十七億三千万円とありますが、この予算説明書に計上してあります予算米価一石当り九千七百三十九円、あるいは大麦の五二・五キログラム当り千六百十二円、さらに裸麦が六十キロ当り二千百七十三円、小麦が六十キロ当り二千六十八円というこの価格はこれにより計算されましたか。
  187. 河野一郎

    河野国務大臣 麦につきましては前年度の実績、米につきましては予想手取り水準米価を想定いたしまして、決定いたしました。
  188. 小平忠

    ○小平(忠)委員 そこで私はきわめて重大な問題が起きてくると思うのでありますが、先ほども同僚委員の本問題に関しまする質問に答えて、農林大臣は、この減収加算額三十二億九千万円は、三十年度米麦買い入れ代金から支払うのである――体どこに三十二億九千万円というこの代金を支払うところの財源が出て参りますか。さらに問題は、食管特別会計においてすでに三百六十九億という本年度損失を計上しておるわけです。歳入面において三百億の予備金がありましても、差引これはどうしても六十九億九千万円というものが赤字になる。さらに私は問題になる点は、消費者価格引き上げは絶対にやらない、外米、外麦の植下りについても、そういうことは具体的に今予定できない、さらに三十年産麦価につきましても、二重価格制によるところの価格差益についても、そういうものは考えられない――農林大臣、一体どこにその三十二億九千万円というものを支出する財源があるのでございますか。
  189. 河野一郎

    河野国務大臣 それは、たとえば今御指摘になりました中で、米麦価の決定は将来のことでございますが、大体想定される。しかし買い入れ数字につきましては、これは非常に想定が困難でございます。特に外麦、外米等につきましては、価格決定ないしは数量の決定等は未確定でございます。その他先ほど足鹿委員お尋ねになりました際に申し上げました通りに、これらはいずれも予算書にありまする中に、また従来の食管特別会計運用の例から申しましてもおわかりの通り、買い入れ価格は一本でこれを移用することができることになっておりますので、これらを移用いたしまして運用して参りたい。運用していく過程において、値が予算よりも上るものもあるだろうが、下って処理できるものもあるだろう。これらをおしなべて善処して参りたい、こういうように考えております。
  190. 小平忠

    ○小平(忠)委員 それは農林大臣、詭弁なんです。一体食管特別会計のどこに三十二億九千万円を払う財源があるかという問題については、ない。(「もうさっき済んだ質問だ」と呼ぶ者あり)黙っていなさい。これは農林大臣に強くお伺いいたしたいと思うが、この問題について、農林大臣のただいまの説明というものは、従来の慣例とか、あるいはやりくり操作とかいうけれども、具体的にどこにもそれを支出する費目なり、または目安を立てるものはないのであります。従って、これは本日の閣議決定において、この食管特別会計予算が通過後に支払うという問題なり、あるいは大蔵大臣が米価云々という問題について記者団に発表されたやに聞きます問題等、政府の意図は私はわかっておる。ということは、この予算を通しておいてから必ず三十三億の財源について起きてくる問題というのは、私は三つくらいあるだろうと思う。それは消費者価格引き上げるか、あるいは外米、外麦値下りによるところの価格差益をこれに振り向けるか、あるいは三十年産麦価のいわゆる価格差益代金、これらを振り向けるほかに方法はない。この問題は、かりに消費者価格引き上げるとするならば、これは全く政府の公約を裏切るだけでなしに、消費者大衆に大きな迷惑をかける。さらに次の二番、三番の問題については、これはさらに生産者に影響する。こういう問題について、必ず予算を通しておいたから政府の独自の見解においてなし得るような含みを持っている。これらは、ただいまのこの予算委員会なり、あるいは農林委員会において詭弁を弄してこの案を通しましても、農林大臣なり、あるいは大蔵大臣の政治的責任というものは将来も追及されるだろうし、決して解決されない問題であります。私はむしろ明白にお伺いいたしたいのは、この減収加算三十二億九千万円というものは、従来意見の対立があって予算に組まなかった。野党攻勢にあって今朝の閣議できめたというならば、その財源は、この食管特別会計予算が正確なものであり、りっぱなものであるならば、これは一般会計より繰り入れるより方法はない。これをなぜやらないかという問題である。むしろ、私は率直に大蔵大臣がこの問題をやることの方が、民主党内閣全体の、いわゆる現段階における明確なる責任をとるものであると思う。あえてこの問題については、農林大臣にはいずれ本委員会におきましても、あるいは農林委員会においても、鋭くこの問題については追及されるでありましよう。  私は最後大蔵大臣に、こういう問題についてあなたは先ほど稲富委員質問に答えて、将来赤字が出たならば善処する、一般会計から繰り入れるということをおっしゃったが、それは今私が申し述べたような理由によって、これを一般会計から繰り入れるということはすでに補正予算を組むんだということになるのであるが、あなたは今そういうお考えをお持ちでございますか。
  191. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 今一般会計から繰り入れるということは考えていないのであります。
  192. 小平忠

    ○小平(忠)委員 私はこれでやめます。きわめて重大な問題でありますので、私はこの点を農林大臣大蔵大臣に再確認をいたしたのであります。  以上をもって私の質問を終ります。
  193. 牧野良三

  194. 小坂善太郎

    小坂委員 一つお伺いいたします。われわれはこの四、五両月の暫定予算は通しておるのでありますが、この中で食糧買い入れ費というのは、五百四十六億七千数百万円ある。これは今までにどのくらい消費されましたか。
  195. 河野一郎

    河野国務大臣 お答えいたします。それは末端で支払いしておりますから、正確な数字はまだちょっとわかりません。
  196. 小坂善太郎

    小坂委員 わからないと言われると、これはどうにもならないのですが、全然見当もつきませんか。
  197. 河野一郎

    河野国務大臣 お答えいたします。大体一カ月くらいたちませんとわかりません。
  198. 小坂善太郎

    小坂委員 私の推定では、これは全然使われてしまうということはなかろうと思う。なおわれわれとしては、今本委員会にかかっておる六月分の暫定予算がある。これは今月中に通して上げることになると思うのですが、そうするとこれは二百九十億ある。そこでこれらの中から、きょうの閣議決定で本予算通過後に支払うという決定をされておりますけれども、三十三億やそこらのものは出るのじゃなかろうかというふうに思う。そこでこういう質問をしておるのです。こういうことについて御研究になってみるお考えはございませんか。
  199. 河野一郎

    河野国務大臣 お答えいたします。それは研究はいたしました。いたしましたが、これも率直に申上しげますが、今後の天候の工合等によりまして、麦の集荷事情その他も十分考えなければなりません。そういう事情がございますので、きょうの閣議決定には大事をとって、また今出ておりまする六月の暫定予算の中にはこれを考えておりませんから、七月の本予算通過後に支払うというように閣議決定いたしたわけであります。
  200. 小坂善太郎

    小坂委員 これは決定された以上、農民は非常に待ち焦がれておることでもあるし、早いほど善政になると思う。そういう意味でこれは御検討願って、見込みがついたら、即刻に支払うように御研究になった方がよろしくはないかと私は思っておる。  それからもう一つ、われわれとしては、この減収加算を決算でするという考え方をしておるわけです。二十八年度は御承知のように、買い入れ数量が予定よりも少なかったという関係で、決算では金が出てくるのです。ですから、二十九年度もおそらく同様の考え方ができるのです。そこでせっかくのことですが、本予算とひっかけていろいろなことを言うから、こういう長い質問が出るので、その辺はもう少し上手にやったらどうかという御忠告を申し上げたい。その点はだいぶ同僚の質問したことですから、趣旨はよくおわかりだろうと思いますから、趣旨をよく御検討になることを希望いたします。
  201. 牧野良三

    牧野委員長 本日はこの程度にいたしまして、次会は明二十五日午前十時より開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時十一分散会