○
柳田委員 あまりそう言うのはやめましょう。問題は、私は健康保際の赤字に対して、結核の方をほったらかしてここを補ったということが問題だと思う。何といっても結核に対して国家が本腰を入れて国庫の金をつぎ込まなければ、このことは同時に健康保険の財政にも影響してくる。また生活保護法の医療扶助の面にも影響してくる。しかも結核の死亡率というものは年々減って参りましたが、結核によるところの
国民の被害というものは年々ふえてきておる。しかも現在健康保険が赤字になってきたのも、もとをただすならば結核に対するところの医療費の向上した。医療費が向上したというのは結核に対するところの治療費が進歩したということです。
国民にとってはむしろ喜ぶべき現象なんです、従ってここにやはり
ほんとうに国庫の金をつぎ込む、これが
社会保障の充実なんです。これを忘れて健康保険に十億つぎ込んでも、ことしはそれで一応めどはついても、来年はまた同じことをやらなければならぬ。抜本塞源的な解決にはならない。しかも本年度は結核
予算は減少しておる。このあおりを食ってつき添い看護婦が廃止になっておる。閣僚の皆さん、どなたでもよいですから、一ぺん国立療養所に行ってらこんなさい。結核で大手術を受けてまだ一週間もたっておらぬ者が、かわいそうにベッドの上で洗たくをしておる、自分で御飯を運んでおる、これはもう人道問題です。その費用がわずかに三億七千万円です。それも無残に切っておって十二億の方では、まだ
積算の
基礎のないものでもぽんと
大蔵省は出しておられる。おそらく
大蔵大臣は、こういうような高尚な
社会保障のゆえんがおわかりにならぬと思います。銀行の世界ばかりにおってはこういうことがおわかりにならぬのは無理ないかもしれませんが、政治家の社会に入ってきたらもう少しこの点は御勉強願わなければならぬと思います。次に、健康保険の赤字の第二の原因は、現在の医療費というものがどんどんふえておるからです。その原因は、抗生物資とか注射薬とか、その他新薬とか衛生材料というものを自由放任にまかしておくから上ってくるのです。現在、新聞の広告を見ると、新聞の広告で一番多いのは医薬品、化粧品で、一七%、図書が一九%。そのほかに
アメリカに高い特許料をとられている。われわれは広告料に痛い注射をし、苦い薬を飲んでいるようなものである。こういうものを規制しておかないで、自由放任、野放しにしておくから医療費がどんどん上る。ここにメスを加えなければ、医療費というものは、どの政党が内閣をとっても、これを
社会保障の面からつぶれて参ります。従って現在の
社会保障を守ろうとするならば、現在の薬そのものに対して、薬の販売、流通過程というものに対して、やはりメスを加えなければならぬ。河野農林
大臣は、現在の米価の問題を
考えるには、やはり肥料の問題を追求しなければいかぬというので、申し訳的であっても肥料の問題に手をつけられた。川崎君の兄事された農林
大臣は手をつけられている。だからあなたもやはり薬の問題に手をつけなければならぬ。これを野放図に放任しておいたのでは、今後健康保険の赤字というものはますます増大してくると私は思うのであります。従って何らかこの現在の医薬の流通過程に規制を加える
意思がありますか。あるいは健康保険も、これは
一つの、一定のプールしたものからそういうような医薬品を集めて、そうしてなるたけ中間のそういうようなマージンを少くしていく。そうして
国民の医療費を少くしていく、これが一番大事ではないかと思いますが、厚生
大臣のお
考えはいかがですか、お聞きします。