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1955-07-22 第22回国会 衆議院 本会議 第45号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年七月二十二日(金曜日)     —————————————  議事日程 第四十四号   昭和三十年七月二十二日     午後一時開議  第一 厚生保険特別会計法等の一部を改正する法律案内閣提出)  第二 日本開発銀行電源開発株式会社に対する出資処理に関する法律案内閣提出)  第三 糸価安定特別会計法の一部を改正する法律案内閣提出)  第四 自動車損害賠償責任保険特別会計法案内閣提出)  第五 国家公務員等退職手当暫定措置法の一部を改正する法律案内閣提出)  第六 余剰農産物資金融通特別会計法案内閣提出)  第七 養ほう振興法案平野三郎君外四名提出)  第八 天災による被害農林漁業者等に対する資金融通に関する暫定措置法案楢橋渡君外二百七十二名提出)  第九 農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案小枝一雄君外一名提出)  第十 漁港浅第十七条第二項の規定に基き、漁港整備計画改正について承認を求めるの件  第十一 衆議院事務局職員定員規程の一部を改正する規程案議院運営委員長提出)     ————————————— ●本日の会議に付した案件  日程第一 厚生保険特別会計法等の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第二 日本開発銀行電源開発株式会社に対する出資処理に関する法律案内閣提出)  日程第三 糸価安定特別会計法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第四 自動車損害賠償責任保険特別会計法案内閣提出)  日程第五 国家公務員等退職手当暫定措置法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第六 余剰農産物資金融通特別会計法案内閣提出)  資金運用部資金法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第七 養ほう振興法案平野三郎君外四名提出)  日程第八 天災による被害農林漁業者等に対する資金融通に関する暫定措置法案楢橋渡君外二百七十二名提出)  日程第九 農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案小枝一雄君外一名提出)  日程第十 漁港法第十七条第二項の規定に基き、漁港整備計画改正について承認を求めるの件  日程第十一 衆議院事務局職員定員規程の一部を改正する規程案議院運営委員長提出)  公立小学校正常授業解消促進臨時措置法案内閣提出)  石炭鉱業合理化臨時措置法案内閣提出)  臨時石炭鉱業安定法案多賀谷真稔君外十三名提出)  株式会社科学研究所法案小平久雄君外五名提出)     午後二時四十九分開議
  2. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) これより会議を開きます。      ————◇—————
  3. 大石武一

    大石武一君 議事日程追加緊急動議提出いたします。すなわち、日程第一ないし第六とともに、内閣提出資金運用部資金法の一部を改正する法律案を追加して、七案を一括議題となし、この際委員長報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  4. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 大石君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって日程は追加せられました。  日程第一、厚生保険特別会計浅等の一部を改正する法律案日程第二、日本開発銀行電源開発株式会社に対する出資処理に関する法律案日程第三、糸価安定特別会計法の一部を改正する法律案日程第四、自動車損害賠償責任保険特別会計法案日程第五、国家公務員等退職手当暫定措置法の一部を改正する法律案日程第六、余剰農産物資金融通特別会計法案資金運用部資金法の一部を改正する法律案、右七案を一括して議題といたします。委員長報告を求めます。大蔵委員会理事春日一幸君。     〔春日一幸君登壇〕
  6. 春日一幸

    春日一幸君 ただいま議題となりました厚生保険特別会計法等の一部を改正する法律案外六法律案につきまして、大蔵委員会における審議経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず、厚生保険特別会計法等の一部を改正する法律案について申し上げます。この法律案は、厚生保険特別会計法及び船員保険特別会計法の一部を改正しようとするものであります。  まず厚生保険特別会計法の一部改正について申し上げますと、第一は、政府の行なっている健康保険給付費の異常な増高等に伴う支払い財源不足   1に充てるため、昭和三十年度以降七カ年度間、毎年度十億円を限度として一般会計から健康勘定繰り入れを行うことができることといたしております。第二は、日雇労働者健康保険事業保険施設及び福祉施設を行うのに必要な経費について、日雇健康勘定から業務勘定繰り入れを行うことができることとし、これに関連して、業務勘定決算上の剰余金について、従来健康勘定及び年金勘定積立金にのみ組み入れることとなっていたのを、日雇健康勘定積立金へも組み入れることができることといたしております。  次に船員保険特別会計法の一部改正について申し上げますと、船員保険で行なっている給付のうち、健康保険給付に対応する給付費の異常な増高等に伴い、その財源の一部に充てるため、昭和三十年度以降六カ年度間、毎年度二千五百万円を限度として一般会計から船員保険特別会計繰り入れを行うことができることといたしております。  次に、日本開発銀行電源開発株式会社に対する出資処理に関する法律案について申し上げます。  現在、日本開発銀行電源開発株式会社株式五十億円を保有いたしておりますが、これは、電源開発株式会社創立の当時、予算編成上の都合により、便宜日本開発銀行をして政府にかわって同社の株式を保有せしめたものでありまして、早晩整理されるべく予定されておったものであります。他方、日本開発銀行農林漁業金融公庫及び中小企業金融公庫に対して持っている貸付金を、政府産業投資特別会計に引き継いで、同特別会計からの出資金とすることにいたしましたので、この機会日本開発銀行が保有する電源開発株式会社株式をも産業投資特別会計に引き継ぐこととし、同時に、日本開発銀行はその額だけ減資することとし、同行の資本金を、さきに申し上げました両公庫に対する貸付金産業投資特別会計に引き継ぐ分等まで含めて、現在の二千四百六十二億二千万円から二千三百二十九億七千百万円に改めようとするものであります。  次に、糸価安定特別会計法の一部を改正する法律案について申し上げます。  この法律案は、別途今国会提出されております繭糸価格安定法の一部を改正する法律案に伴うものでありまして、改正の第一点は、繭価維持のための補充措置として、最低価格による生糸買い入れによるのみでは繭の価格一定の額を下ることを防止することが困難であると認める場合において、養蚕団体乾繭保管補助と、その政府買い入れ売り渡し、交換及び加工ができることといたそうとするものであります。改正の第二点は、従来、この会計においては、三十億円余の資金をもって生糸買い入れまたは売り渡しを行うことといたしておりますが、繭及び生糸価格の安定のため、この会計が必要とする数量の繭及び生糸買い入れるには、その資金不足することが予想されますので、今回新たに、この会計において、支払い上現金に不足があるときは、三十億円を限度として一時借入金等をすることができることといたそうとするものであります。  本案に関しましては、春日委員より各派共同提案になる附帯決議提出されました。その内容糸価安定特別会計の操作に当っては、できる限り養蚕団体乾繭保管補助を強化する等、政府養蚕農家の利益を十分に考慮して措置すべきである。というものであります。  次に、自動車損害賠償責任保険特別会計法案について申し上げます。  この法律案は、自動車の運行による被害者の保護をはかり、あわせて自動車運送の健全な発達に資することを目的として、別途今国会政府から提案されました自動車損害賠償保障法による自動車損害賠償責任保険事業及び自動車損害賠償保障事業に関する政府経理を明確にするため、新たに自動車損害賠償責任保険特別会計を設置し、一般会計と区分して経理することといたそうとするものであります。  その内容概略について申し上げますと、自動車損害賠償責任保険特別会計保険勘定保障勘定及び業務勘定の三勘定を設け、それぞれの勘定における歳入歳出に関する規定のほか、この会計予算及び決算作成並びにその提出に関する手続等特別会計に必要な事項規定することといたしております。  次に、国家公務員等退職手当暫定措置法の一部を改正する法律案について申し上げます。  この法律案は、国家公務員等退職手当暫定措置法によれば、国家公務員等退職後失業している場合において、すでに支給を受けた退職手当の額が失業保険法に定める給付に相当する額に達していないときは、その差額を失業者退職手当として支給することとなっておりますが、今国会失業保険法の一部を改正する法律案が提案されましたので、これに伴い、失業者退職手当について所要の改正を加えようとするものでありまして、おもなる改正点は次の三点であります。  第一点は、失業保険法の一部を改正する法律案により、従来一律に百八十日であった失業保険金給付日数が、長期保険者については二百七十日または二百十日に、季節的労働者等短期保険者については九十日に改められることとなりますので、失業者退職手当につきましてもこれと同様の措置をとろうとするものであります。第二点は、退職手当の算定の基礎となる勤続期間は、一年未満端数を切り捨てまたは切り上げて計算することとなっておりますが、失業者退職手当の額を計算する場合における動続期間計算につきましては、端数計算を行わないものとする必要がありますので、これに必要な規定を設ける等、規定整備を行うことといたしております。第三点は、職員が死亡した場合において、退職手当支給を受ける遺族の順位につきまして、養父母と実父母順位等を明確にする等、若干の規定整備をはかるとともに、必要な経過規定を設けることといたしております。  次に、余剰農産物資金融通特別会計法案について申し上げます。  この法案は、このたびアメリカ合衆国との間に締結され、さきに本国会承認を得ました農産物に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定に基いて、同国政府から借り入れ資金財源といたしまして、電源開発、農地の開発、その他本邦の経済発展を促進するための資金貸付を行うこととし、これに関する経理を明確にするため、新たに余剰農産物資金融通特別会計を設けることといたそうとするものであります。  その内容概略について申し上げますと、この会計大蔵大臣が管理することとし、借り入れ資金借り入れによる収入金並びに貸付金償還金及び利子収入等をその歳入とし、貸付金借り入れ資金償還金及び利子並びに事務取扱い費等をその歳出といたすほか、この会計予算及び決算作成並びに提出手続等特別会計運用上必要な事項規定することといたしております。  以上の六法律案につきましては、審議の結果、昨二十一日質疑を打ち切り、討論省略して、直ちに採決に入りました。  まず、国家公務員等退職手当暫定措置法の一部を改正する法律案及び余剰農産物資金融通特別会計法案の両案について採決いたしましたところ、いずれも起立多数をもって原案通り可決いたしました。  次いで、厚生保険特別会計法等の一部を改正する法律案糸価安定特別会計法の一部を改正する法律案自動車損害賠償責任保険特別会計法案及び日本開発銀行電源開発株式会社に対する出資処理に関する法律案の四法案について採決いたしましたが、いずれも全会一致をもって原案通り可決いたしました。  次に、春日委員提出附帯決議案について採決いたしましたところ、これも同じく全会一致をもって可決いたしました。  最後に、資金運用部資金法の一部を改正する法律案について申し上げます。  この法律案は、まず第一に、現在五年以上の預託金はすべて年五分五厘の利子を付することになっておりますのを、五年以上七年未満のものは従来通りとし、新たに約定期間七年以上の段階を設けまして、これに年六分の利子を付することといたしております。第二に、現在資金運用部預託金の契約上の預託期間は三月を下らないものと規定されておりますが、各特別会計等に対し短期資金運用の道を開くため、最低約定期間を一月に引き下げ、一月以上三月未満のものについても預託を認めることとし、これに対し年二分の利子を付することといたしております。  第三に、資金運用部審議会は、現在、会長たる内閣総理大臣、副会長たる大蔵大臣及び郵政大臣のほか十人以内の委員で構成されており、そのうち学識経験者は三人以内となっておりますが、学識経験者の数を二人増加して五人以内とし、委員の総数を十二人以内といたしております。  本法律案につきましては、本日平岡委員より各派共同提案になる附帯決議提出いたされました。すなわち   政府は、資金運用部資金が、大部分国民大衆資金の蓄積であることにかんがみ、同資金運用について、農林漁業中小商工業に従事する国民大衆その他勤労者に対する資金供給を円滑ならしめることに努め、同資金運用審議会委員に、これらの層に理解ある学識経験者を加える等適切なる措置を講せられたい。  右決議する。以上の通りであります。  本案は、本日質疑を終了し、討論省略して直ちに採決に入りましたところ、本案並びに附帯決議はいずれも全会一致をもって可決いたされました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)
  7. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) これより採決に入ります。  まず、日程第一ないし第四及び資金運用部資金法の一部を改正する法律案の五案を一括して採決いたします。五案は委員長報告通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって五案とも委員長報告通り可決いたしました。  次に、日程第五及び第六の両案を一括して採決いたします。両案の委員長報告はいずれも可決であります。両案を委員長報告通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立
  9. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 起立多数。よって両案とも委員長報告通り可決いたしました。      ————◇—————
  10. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 日程第七、養ほう振興法案日程第八、天災による被害農林漁業者等に対する資金融通に関する暫定措置法案日程第九、農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案日程第十、漁港法第十七条第二項の規定に基き、漁港整備計画改正について承認を求めるの件、右四件を一括して議題といたします。委員長報告を求めます。農林水産委員会理事白浜仁吉君。
  11. 白浜仁吉

    白浜仁吉君 ただいま議題になりました、平野三郎君外四名提出、養ほう振興法案楢橋渡君外二百七十二名提出天災による被害農林漁業者等に対する資金融通に関する暫定措置法案小紋一雄君外一名提出農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案、並びに、内閣提出漁港法第十七条第二項の規定に基き、漁港整備計画改正について承認を求めるの件につきまして、農林水産委員会における審議経過並びに結果の大要を御報告申し上げます。  まず、養ほう振興法案について申し上げます。  ミツバチが生産するはちみつ及びみつろうは、その用途がすこぶる広範多岐にわたっております。また、ミツバチ花粉授精媒介により農産物の結実に及ぼす多大の効果は、農業上にも大きな役割を果しているのであります。わが国における養ほう業の現状は、飼育戸数二万三千数百戸、飼育群数十四万四千数百群に上っておりまして、地域的、季節的に移動するみつ源に対し、ハチ群を適正に配置して合理的なる養ほう業を振興することが切望されております。これとともに、最近農薬によるミツバチ被害が激増し、またミツバチの腐蛆病が蔓延いたしまして、これらの防除に関し恒久的な対策が望まれているのであります。以上の実情にかんがみまして、みつ源に対するハチ群適正配置と、農薬使用規制及び腐蛆病防遏等により、従来ほとんど行政指導の行われなかった養ほう業について可能な限り育成をはかりますために、本案提出されたのであります。  本案は、六月二十八日付託となり、同日提案者を代表して平野三郎君より提案理由説明がございまして、その後、委員会において、七月十四日、二十日、二十一日の三日間にわたり審議を行い、淡谷、川俣、久保田の各委員提案考及び政府当局との間に、農薬規制方途及びその可否、腐蛆病対策予算措置等について熱心な質疑応答が行われたのであります。  なお、二十日、平野委員より、農薬使用の制限または規制について規定した第五条を削除することを内容とした修正案提出され、翌二十一日質疑を終了、原案及び修正案採決を行いましたところ、修正案並び修正部分を除く原案はともに可決いたした次第であります。  次に、天災による被害農林漁業者等に対する資金融通に関する暫定措置法案について申し上げます。  わが国は、毎年暴風雨、暴風浪、地震、高潮、降霜降雹または低温等自然災害により、農林水産業にしばしば甚大な損失をこうむり、農林水産業経営の維持安定に多大の支障を来たしておる現況でございます。この状況に対しまして、政府は、災害のつど特別立法措置を講じまして、経営資金または事業資金融通を行いまして、被害農林漁業者経営の維持安定をはかって参りましたが、最近かかる災害が続出いたし、すでに本年も四月以降低温降霜降雹または豪雨等による災害をこうむっておりまして、すでに昭和三十年四月及び五月の凍霜害、水害等被害農家に対する資金融通に関する特別措置法を本国会に成立せしめ、四月及び五月中発生天災による被害農林水産業者に対し資金融通方途を講じつつありますことは、各位の御承知のところであります。幸い、ただいまは国会開会中でありますため、かような立法措置も直ちに行うことができますが、万一国会休会中等の場合は、迅速に立法措置を講ずることができませず、対策も自然遅延いたし、被害農林漁業者経営の維持安定もそれだけおくらせ、ひいては農林水産業生産力向上発展にも多大の障害を及ぼすことと相なるのであります。従いまして、かくのごとく災害発生のつど立法を行う措置のかわりに、恒久的な基本立法を行う必要がございますので、従来の立法措置にならい、農林水産系統金融機関またはその他の金融機関がこれらの資金融通を行います場合、国と地方公共団体において利子補給及び損失補償を行い、もってその資金融通が円滑かつ低利に行われますことを目的として本法案を提案されたのであります。  本法案は、去る七月四日付託と相なり、同月八日提案者を代表して綱島正興君より提案理由説明を聞きましたる上、委員会審議に付しました。  次いで、同月十五日提案者及び政府委員質疑を行い、自後理事会等において協議懇談をして参りました結果、昨二十一旨、石坂委員から次のごとき内容修正案提出されました。  一、第一条の天災中に「豪雨」及び「降雪」を含むことを明らかにすること  二、第二条第一項の「被害林業者」の定義を「林業を主な業務とする者であって、天災によりその生産する薪炭薪炭原木を含む。)、木材、林業用種苗、その他の林産物を流失した等のため、その者の林業による平年の総収入額の百分の十以上の損失を被った旨、又はその所有する炭がましいたけほだ木、わさび育成施設、若しくは樹苗育成施設流失又は損かいした等のため著しい被害を被った旨の市町村長の認定を受けた者」と改め、「被害漁業者」の定義中に「漁船漁具流失」の外に、これらの「沈没、流失、滅失」を加えること。  三、第二条第三項の「経営資金」中に「農具及び漁具購入資金政令で定あるものに限る)」を加えること。  四、経営資金貸付条件を次のように修正すること。   (一)市町村長が認定する損失額を基準として政令で定めるところにより算出される額又は十五万円(北海道にあっては二十万円、漁具購入資金として貸しつけられる場合は一千万円)のどちらか低い額(牛又は馬を所有する被害農業者に貸し付けられる場合は、その額に更に三万円を加えた額)の範囲内のものであること。   (二)償還期限が、五年の範囲内において政令で定める期限以内のものであること。   (三)利率政令で指定する地域における被害農業者被害林業者又は被害漁業者に貸し付けられる場合は、年三分五厘以内、開拓者に貸しつけられる場合は年五分五厘以内、その他の場合は年六分五厘以内のものであること。  五、損失補償四分の三以内を五分の四以内とすること。この場合における国の補助金は、百分の二十五とすること。  六、四、の(三)により利率を引下げることに伴って、利率五分五厘の場合は国の利子補給率を三分、利率三分五厘の場合は国の利子補給率を五分五厘とすること。  七、累年災害を受けた者に対する延期措置を認めること。  八、組合連合会金融機関に対する農林大臣報告徴収権又は立入調査権規定すること。  九、一本法は、昭和三十年六月一日以降発生した天災に関し適用するものとすること。  次いで、国会法第五十七条の三の規定により内閣意見を徴しましたるところ、吉川農林政務次官より、七月十五日の閣議において原案については異議なきことに決定している、修正については善処いたす旨の意見を述べられました。  続いて、討論省略採決に入り、まず石坂委員提案修正案について採決の結果、全会一致をもって可決、次いで修正部分を除く原案について採決いたしましたところ、これまた全会一致をもって可決、さらに井手委員提出附帯決議について採決の結果、これまた全会一致をもって可決いたしました。  附帯決議を朗読いたします。    天災による被害農林漁業者等に対する資金融通に関する暫定措置法案に対する附帯決議  一、政府は、すみやかな機会において、開拓地における災害について開拓者資金融通法を再検討し政府資金をもって長期低利資金融通しうるよう措置すること。  二、政府は、農林地及び農林漁業施設災害については農林漁業金融公庫において必要且つ充分なる資金融通しうるよう源資調達等に関しいがんなく措置すること。  次に、農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案について申し上げます。  去る昭和二十七年、本法の一部を改正して、農林漁業災害復旧のため負担し得る経済能力を越えたる激甚なる災害をこうむった場合、政令で定ある限定を越えた部分に対しては高率の補助金を交付して、その復旧を促進するようにいたしたのでありますが、その後における実施の結果に徴し、さらにまた公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法との均衡をも期するため、公共的施設であります農業用施設奥地幹線林道及び漁港施設については、これらの施設復旧事業費負担一定限度を越える部分には全額国庫負担とし、もって急速に災害復旧を促進しようとするのがその趣旨であります。なお、本法は今年一月以降に起きた災害から適用できるように規定いたしてあります。  本法案は、去る七月二十日提案され、同日付託となり、提案者を代表して小枝一雄君から提案理由説明を聴取し、翌二十一日質疑討論省略、次いで中馬委員から、災害復旧事業の対象に農林漁業組合または連合会の所有する共同利用施設を加え、これらの施設災害復旧事業について、事業費の十分の二の国庫補助をいたそうとする修正案提出されました。  続いて、原案及び修正案に対しまして、国会法第五十七条の三により内閣本法に対する意見を徴しましたるところ、吉川農林政務次官から、政府はおおむね了承いたす旨の発言があったのであります。  よって、まず修正案について採決いたしたるところ、全会一致をもって可決、続いて修正部分を除く原案について採決をいたしましたるところ、これまた全会一致をもって可決いたした次第であります。  なお、芳賀委員から附帯決議の提案がございまして、採決の結果、これまた全会一致をもって可決いたしました。  附帯決議を朗読いたします。    農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議   本法案においては、公共性の強い農業用施設について、特にその復旧事業費負担一定限度を超える場合に、その超える部分一定部分について全額を国から補助することになつでいるが、政府は、この一定部分の額につき政令改正するに当つては、その基準を十五万円以内とすべきである。  次に、漁港法第十七条第二項の規定に基き、漁港整備計画改正について承認を求めるの件について申し上げます。  わが国食糧増産の一環として漁業生産の増強をはかるとともに、漁家経済の安定向上に資するため、漁業根拠地である漁港を全国にわたり計画的に整備拡充することは、最も重要なる水産業の根本施策であります。これがため、去る昭和二十六年、第十回国会において、緊急整備を要するもの四百五十港について第一次漁港整備計画を立て、逐次修築いたして参ったことは御承知の通りでありますが、当時わが国は占領下にあった関係上、漁業の面においても種々の制限があり、その後漁業の発展等の実情に適応しない面が多くなったので、漁港法規定に基き、政府においてこの整備計画の改正を決定いたした次第であります。  次にその内容について申し上げますと、既定整備計画に採用されました漁港のうち、事業を完了したもの、あるいは緊急度が低減したものはこれを削除し、新たに緊急整備を要するものを追加する等により、昭和三十年度以降において六百四港の漁港整備すること一になっております。  以上が政府から国会承認を求めるため提出された漁港整備計画改正の趣旨でありますが、農林水産委員会においては、去る二十日提案理由説明を聞くとともに、昨日の委員会において審議を進め、政府が漁民の強い要望により昭和二十八年第二次整備計画を立てたにもかかわらず実施を見るに至らず、なお今回の計画との間には二百六十余港の減少となっている点等について真剣なる質疑応答がなされたので参りますが、その詳細については会議録によって御承知を願います。  次いで、質疑を終り、討論省略して採決いたしましたところ、全会一致をもって原疾通り承認すべきものと決定いたした次第であります。  なお、本件承認に当り、次の附帯決議を付することに全会一致をもって決定いたしたのであります。  一、政府は、今次整備計画の改正に漏れた漁港についても速やかに調査を進め、わが国漁業の発展と漁村の実情に即応するよう漁港整備計画の追加改訂に関し、万遺憾なく措置すること。  二、本計画による昭和三十年度以降六〇四港の整備のため、総事業費五百二十七億円、国庫負担三百三十二億円以上を要することになるが、本計画の早期完遂を期し国の予算確保については万全の措置をすること。  以上、御報告を終ります。(拍手)
  12. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) これより採決に入ります。  まず、日程第七ないし第九の三案を一括して採決いたします。三案の委員長報告はいずれも修正であります。三案は委員長報告通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よりて三案は委員長報告通り決しました。  次に、日程第十につき採決いたします。本件は委員長報告通り承認するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって本件は委員長報告通り承認するに決しました。      ————◇—————
  15. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 日程第十一は、委員長提出の議案でありますから、委員会の審査を省略するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 御異議なしと認めます。  日程第十一、衆議院事務局職員定員規程の一部を改正する規程案議題といたします。提出者の趣旨弁明を許します。議院運営委員長中村梅吉君。     〔中村梅吉君登壇〕
  17. 中村梅吉

    ○中村梅吉君 ただいま議題となりました衆議院事務局職員定員規程の一部を改正する規程案につきまして、提案の理由を簡単に御説明申し上げます。  規定案の本文は、主事及び常任委員会専門員の定員改正でございまして、速記者要員を十人増員いたしますため主事の定員を四百四十四人から四百五十四人に、また、国会法改正による常任委員会専門員制度の改革に伴い、常任委員会専門員の定員を四十人から十四人に、それぞれ改正をいたそうとするむのでございます。  次に本規程案の附則でございますが、第二項は、常任委員会専門員を除く衆議院事務局職員の定員減による整理に関する規定でございます。これら職員の定員は、事務総長の定める定員をも含めますと、予算の減少によりまして、総計においては六月一日以降十六人の定員減となりますため、過員となる職員は、六月一日から七月三十一日までの間に整理されるものといたしまして、それまでは定員外の措置がとれることといたしたのでございます。同じく第三項は、本規程案によって定員減となります常任委員会専門員に関する規定でありまして、改正後の定員をこえることとなる常任委員会専門員のうち、七人は国立国会図書館の専門調査員にその定員とともに振りかえられるものとし、その他の常任委員会専門員は七月二十工日から十月三十一日までの間に整理されるものとして、それまでは定員外の措置がとれることといたしましたものであります。  以上が改正案の要点でございます。  なお、附則第一項は、主事の増員を七月一日から、常任委員会専門員の減員を七月二十五日から、また附則第二項に規定する整理並びに定員外の措置’を六月一日からとするよう、それぞれの改正条項の施行並びに適用年月日を明らかにいたしたものでございます。  本案は議院運営委員会におきまして検討の上起草したものでございますので、何とぞ各位の御賛同あらんことを希望いたす次第でございます。(拍手)
  18. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 採決いたします。本案可決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  19. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって本案可決いたしました。      ————◇—————
  20. 大石武一

    大石武一君 議事日程追加緊急動議提出いたします。すなわち、内閣提出公立小学校正常授業解消促進臨時措置法案議題となし、この際委員長報告を求め、その審議を進めら、れんことを望みます。
  21. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 大石君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  22. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 御異議なしと認あます。よって日程は追加せられました。  公立小学校正常授業解消促進臨時措置法案議題といたします。委員長報告を求めます。文教委員長佐藤觀次郎君。     〔佐藤觀次郎君登宙〕
  23. 佐藤觀次郎

    ○佐藤觀次郎君 ただいま上程になりました公立小学校正常授業解消促進臨時措置法案につきまして、文教委員会における審議の過程及びその結果を御報告申し上げます。  本法律案内閣提出でありまして、その重要点を簡単に申し上げますと、第一は、公立小学校における不正常授業の解消を促進するため、公立小学校の校舎の建築に要する経費について国が補助を行うものとし、その国庫補助の対象となる不正常授業を二部授業等に定義して、その詳細を政令規定しようとしております。第二は、不正常授業を解消するため、小学校の校舎を建築または買収しようとする地方公共団体に対して国が補助することとし、その国庫補助率を予算範囲内で三分の一以内とし、国が補助を行うことができる建築の坪数については、政令で定める児童一人当りの基準坪数に建築を行う年度の五月一日現在のその学校の児童数を乗じた呼数からその学校の校舎の保有坪数を控除した坪数を、国庫補助の対象とすることに規定しようとしております。  本法律案は、去る五月三十日委員会付託され、以来慎重に審議を重ねて参りました。本委員会審議に当りましては、野原覺君、竹尾弌君、永山忠則君、山崎始男君、辻原弘市君等からきわめて熱心な質疑が行われ、一、国庫補助の対象となる不正常授業の種類及び範囲について、二、児童一人当りの基準坪数は、小学校を対象とする他の施設関係の法律と同じぐ、最低基準の〇・九坪を規定すべきではないか、三、地方財政の長期節約と災害等の未然防止の見地から、予算上の鉄筋、鉄骨の建築比率を大幅に引き上げる考えがあるかどうか等、細部にわたって検討が加えられたのでありますが、特に次の問題に関しては強く要望されたのであります。  すなわち、一、町村合併に伴う小中学校施設の統合整備のための建築に対しては、従来の補助坪数算定方式を改訂するとともに、地方の需要を満たすに足る規模の特別の立法予算、起債等の措置を緊急に講ずること、二、本年度以降三億四千二百万円あての三カ年計画の補助予算では、不正常授業の解消のための建築費としてはきわめて不足であるばかりでなく、今後の児童増加に伴い新たに生ずる不正常授業の解消のためにも大幅に予算を増額すること、三、僻地における不正常授業解消のため、国はすみやかに積極的に小規模学校の統合を促進し、もって教育効果の向上と地方財政の健全化に資するよう努めること等であります。  その詳細については速記録によって御承知願いたいと存じます。  かくて、七月二十二日に至りまして質疑を終了、自由党永山忠則君から公立小学校正常授業解消促進臨時措置法案に対する修正案提出せられました。その修正案の要点を簡単に申し上げますと、第一は、政府原案では不正常授業の種類及び範囲政令規定するようにしているため、その種類及び範囲が非常に不明確となり、疑惑の生じるおそれが多いので、国庫補助の対象となる不正常授業を、二部投業のほかに、いわゆる仮教室、仮校舎、詰め込み学級等に定義して法律に明記しようとしております。第二は、国が補助を行うことができる建築の坪数の限度を、小学校を対象とする他の施設関係の法律と同じく、児童一人当りの基準坪数を〇・九坪と法律に明記し、当該学校の校舎の保有坪数のうちに普通教室に使用することがモきる部分がきわめて少いこと、また翌年度の児童数増加により教室が急速に不足する場合など、政令で定める特別の事由がある場合は、児童一人当りの基準坪数は一・○八坪とすることがでぎると規定しようとしております。さらに、児童一人当り〇・九坪及び一・。八坪の基準坪数については、学校の地域及び規模等に応じて、それぞれ坪数の補正増減を行うものと規定しようとしております。  次いで、修正案を含めた公立小学校正常授業解消促進臨時措置法案について討論省略して採決の結果、修正案及び修正部分を除く原案起立総員をもって可決せられました。  次いで、社会党辻原弘市君から、一、現実に行われている不正常授業の解消をはかるのみでなく、将来の児童増加に伴う不正常授業を防止するためにも、強力な予算措置を講ずること、二、鉄筋「鉄骨建築に関する地方の強い要望にかんがみ、国家的見地から、その予算措置に当っては、現在の鉄筋比率を大幅に引き上げること、三、町村合併に伴う公立学校施設の統合整備を促進するための建築については、特別の予算措置を講ずること、など、公立小学校正常授業解消促進臨時措置法案に関する附帯決議案提出せられ、採決の結果、起立総員をもって可決せられました。  かくて、公立小学校正常授業解消促進臨時措置法案附帯決議を付して修正議決せられたのであります。  右、御報告申し上げます。(拍手)
  24. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 採決いたします。本案委員長報告修正であります。本案委員長報告通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  25. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって本案委員長報告通り決しました。      ————◇—————
  26. 大石武一

    大石武一君 議事日程追加の緊急融議を提出いたします。すなわち、内閣提出石炭鉱業合理化臨時措置法案多賀谷真稔君外十三名提出臨時石炭鉱業安定法案小平久雄君外三名世出、株式会社科学研究所法案、右三案を一括議題となし、この際委員長報告を求め、その審議を進められんこを望みます。
  27. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 大石君の動議異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  28. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって日程は追加せられました。  石炭鉱業合理化臨時措置法案、臨画石炭鉱業安定法案株式会社科学研究所法案、右三案を一括して議題どいたします。委員長報告を求めます。商工委員長田中角榮君。     〔田中角榮君登壇〕
  29. 田中角榮

    ○田中角榮君 ただいま議題となりました石炭鉱業合理化臨時措置法案外二案の、商工委員会における審議経過並びに結果につき報告いたします。  まず、石炭鉱業合理化臨時措置法案につき申し上げます。  一昨年来、わが国石炭鉱業は深刻な不況に悩まされており、しかも、この不況はとどまるところを知らざるありさまであります。元来、わが国の石炭は賦存状況や品質等において諸外国に比し不利な条件にありますが、さらに、戦時、戦後の経済条件を無視した強行出炭等によりまして、炭価は一そうの高騰を招来したのであります。しこうして、このような高炭価は、昭和二十七年末の炭鉱の長期ストライキを契機として、必然的に割安な外油及び外国炭の進出を許す結果となったのであります。従って、わが国の石炭は、これらの輸入エネルギー源と競争するために、企業採算を無視した価格で対抗せざるを得なくなったのであります。加えて、一昨年下期以来のわが国経済界の不景気は、一そう石炭の需要減に拍車をかけ、ために、生産に弾力性のないわが国石炭鉱業の困難はいよいよ深刻となったのであります。石炭鉱業の全面的な崩壊は、すなわち輸入エネルギーの大量進出であり、この傾向は直ちに莫大な外貨の流出を拓き、このことは国民経済の基盤を根本よりゆすぶる結果となることは必至であり、このような状態を打開するために立案されたのが本法案であります。  本法案目的は、一定の計画に基いて縦坑開さく等の合理化工事を実施するとともに、坑口の開設を制限し、非能率炭鉱を整理いたす等の方法により、石炭鉱業の合理化をはかろうとするものであります。  次に、本法案の要旨を簡単に申し上げますと、第一は、通商産業大臣は、本法案目的達成のために、石炭鉱業審議会の意見を聞いて合理化基本計画を定めるとともに、毎年合理化基本計画の実施をはかるための実施計画を定あねばならないことであります。第二は、石炭鉱業の合理化のため、その整備に関する業務を行うことを目的とする石炭鉱業整備事業団を設立し、所要の業務を行わせることであります。第三には、石炭鉱業を合理化するために、当分の間坑口の開設を許可制にすることであり、第四は、合理化の効果を炭価に反映せしめるために、通商産業大臣は、標準炭価を決定するとともに、石炭の販売価格がこの標準炭価を著しく越える場合には引き下げの勧告をすることができることとし、さらに、炭価が標準炭価を著しく下り、合理化計画の達成に重大な支障を生するような事態に対しては、通商産業大臣の指示により生産数量及び販売価格の制限に関する共同行為を実施し得るよう、独占禁止法の例外措置を認めること等であります。なお、本法案の有効期間は五年以内であります。  本法案は、六月四日商工委員会付託されましたので、六月八日通商産業大臣より提案理由を聴取いたしました。本法案に対する審議は、六月二十三日以来、前後数回にわたり、きわめて熱心に行われました。なお、この間、北海道、九州へ委員を派遣して、審議の万全を期しました。その詳細ね会議録を御参照願います。  次に、両派社会党案である臨時石炭鉱業安定法案につき申し上げます。  本法案は、政府提出石炭鉱業合理化臨時措置法案では真にわが国石炭鉱業の安定は期待できないのみならず、現在の炭鉱地帯の不安を一掃できないとの考えのもとに立案されたのでありまして、その要旨とするところは、石炭鉱業の合理化をはかり、生産費の引き下げを行うとともに、他面、需要の増大をはかり、生産量の指定等を行い、さらに、近代化の効果がそのまま炭価に反映するよう、政府において販売価格を決定し、石炭販売公団をじて販売を行わしめ、流通部門における無用の混乱を避けようということ等であります。  本法案は、七月十四日商工委員会付託せられ、七月十九日、提案者を代表して多賀谷真稔君より提案理由を聴取いたしました。  七月二十二日をもって両法案審議も終りましたので、同日質疑を打ち切り、両法案一括議題として討論に入りました。日本民主党及び自由党は、内閣提出法案賛成して、両派社会党提出法案に反対されましたが、日本社、会党は、ともに、内閣提出法案に反対され、両派社会党提出法案賛成されました。  討論終了後、両法案採決を行いました。まず、臨時石炭鉱業安定法案採決いたしましたところ、賛成少数をもって否決されましたが、石炭鉱業合理化臨時措置法案は多数をもって可決すべきものど議決した次第であります。  両法案採決後、神田博君外二十六名より石炭鉱業合理化臨時措置法案に関する附帯決議案提出されましたので、採決いたしましたところ、右附帯決議案は多数をもって採択すべきものと決しました。  次に、小平久雄君外五名提出にかかる株式会社科学研究所法案につき申し上げます。  狭降な国土に八千万を算する膨大な人口を擁し、しかも天然資源に乏しいわが国が、苛烈な国際競争に伍して経済自立を達成するためには、科学技術を振興して、わが国産業の技術的基盤を強化することが必須不可欠の要件であります。わが国産業の技術的基盤を強化するためには研究活動の一そうの推進が必要でありますが、最近の研究は研究分野が著しく専門化していく傾向が顕著でありますので、今後の研究の方向は、これら分化発達した各分野の研究の総合化を必要としている段階にあるのであります。現在、わが国におきまして、かかる総合研究を行う研究機関としては株式会社科学研究所がありますが、同研究所は、わが国唯一の総合研究所として、歴史的伝統と優秀な研究員を擁し、財団法人理化学研究所として創立して以来三十年、わが国科学技術の発展に幾多の貢献をしてきたのでありますが、昭和二十二年財団法人より株式会社に改組され、民間法人たる株式会社科学研究所として再発足したのでありますが、資金的基礎が脆弱なため極度の財政的不振に陥り、このまま放置すれば、ついには閉鎖の悲運に陥る懸念なしとしない状況にあります。  元来、基礎研究を含む総合研究機関は、最初からコマーシャル・ベースにおいて経営することはきわめて困難で、国家からの援助がぜひとも必要なのであります。これは、旧理化学研究所の改組に当り、衆参両院が、財団法人理化学研究所に関する措置に関する法律昭和二十二年法律第一三一号)の附帯決議として、同研究所に対し財政並びにその他の援助をなすべきことを決議している事情に照らしても明らかなことであります。  本法律案は、右の趣旨により、科学技術に関する総合研究を急速かつ計画的に行う実施主体として、広く産業界の資金の参加を得て、半官半民の特殊会社として株式会社科学研究所を設立し、所要の助成措置を講ずるとともに、他方では研究所に対し必要な監督を行おうとするものであります。  本法案は、七月二十一日商工委員会付託されましだので、同日提案者代表より提案理由を聴取いたしました。本法案に対しましては各党とも別に異論もないようでありましたので、七月二十一百討論を打ち切り採決いたしましたところ、全会一致をもって原案通り可決すべきものと議決した次第であります。  以上をもって報告を終ります。(拍手)
  30. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 討論の通告があります。順次これを許します。八木昇君。     〔八木昇君登壇〕
  31. 八木昇

    ○八木昇君 私は、日本社会党を代表いたしまして、政府提出石炭鉱業合理化臨時措置法案に反対し、両派社会党提出臨時石炭鉱業安定法案賛成討論をなそうとするものでございます。  そもそも石炭が重要国内エネルギー源として重大基幹産業であることは、いまさら申し上げるまでもありません。そのゆえに、つい先ごろまで、労働者はもちろんのこと、中小炭鉱経営者も含めて、終戦以来石炭増産は産業復興の原動力なりとの歴代内閣のやっきの呼びかけに応じまして、石炭増産に懸命の努力を続けて参りましたことは、いまだ皆さんの御記憶に新しいところであります。しかるに、その後の政府の石炭対策は全く無計画きわまるものでありまして、朝鮮動乱後の不況が石炭鉱業界にも及んで参りまして、非常な苦境に立乞うとするやさきであるにかかわらず、石炭需要の外国重油転換を宣伝指導したこと、これまた皆様方の御承知のところであります。ために、昭和二十六年に二百二十万キロリットルにすぎませんでした重油の消費量は、二年後に二・五倍の五百六十万キロリットルに増加をいたしました。今ごろになって、あたふたと重油ボイラーの設置制限法を提出しておるのでありまして、これらは全く保守党政治のナンセンス振りを露呈したものと言わざるを得ないのであります。  かくして、石炭鉱業界の不況はさらに拍車をかけられまして、この二年間に、三十八万の労働者は二十八万に激減するに至りました。倒産、破産を見た炭鉱地帯の惨状は、まことにひどいものであります。例を佐賀県のような小さな炭鉱県にとってみましても、炭鉱地帯の本年三月におきます昼食の欠食児童は一千四百名、長期欠席児童六千百名という統計が出ておるのであります。こういう状態から、わが子のような青年に五十円で買ってくれという形でわが身を投げ出すという悲しい炭鉱の妻のことなどが報道せられておるという状態であります。こういう惨状に目をおおいまして、てんとして顧みない政府に対し、私どもは心からの憤りを禁じ得ないのであります。(拍手)  加うるに、今回政府は石炭鉱業合理化法案なるものを提出いたしました。その内容たるや、われわれが待望久しかったほんとうの石炭鉱業安定化のためのものではなくして、多額の国家資金を投入して大なたをふるおうという合理化の結末は、縮小再生産による一部大資本の擁護、中小炭鉱の取りつぶし、大量の首切り、矛盾の拡大、こういう以外の何でもない反動立法であります。  われわれは、こういう意味から、大要次の諸点について、この合理化法案はどうしんも承服することができないのであります。  第一に、本法案は、非能率炭鉱の買い上げ三百鉱と、縦坑開さくによって、今後五カ年間にさらに五万七千名の首切りを予定しておりまするが、これに対する雇用受け入れの体制が全くないのであります。抽象的な対策の方針はあっても、何ら具体策がない。わずかに、国鉄川崎線の新設、遠賀川改修工事等数千名を予定しておると、労働大臣は国会で答弁をいたしました。しかるに、この法案が今やこの本会議採決せられんとしておるにかかわらす、いまだ川崎線の決定を見ず、失業対策についても、法案の裏づけとして、びた一文の予算も計上されておらないのであります。(拍手)こういうことでは、われわれは了承ができません。  第二に、本法案による非能率炭鉱の買い上げは、事実は非能率炭鉱の救済などどいうことではなくて、その実体は銀行救済策である。(拍手)これは私がくどくどしく申し上げるまでもございませんが、八十億の買い上げの金の大部分は、まず抵当権者でありまするところの銀行に吸い取られ、次に公租公課、社会保険料、これが差し引かれまして、残りの債権者の手には、労働者の退職金を含め一銭も入らないのでございます。(拍手)  また、第三に、中小炭鉱を切り捨てた残存大手炭鉱が生産販売のカルテルを結成して市場を独占、独占利潤を獲得することを法的に容認するものでございます。縦坑開発、コスト引き下げというのは全く名目だけであります。実体は明らかにカルテル法案であります。  第四に、本法案は需給の調整について何ら対策を講じておらないということであります。今日、中小炭鉱の休廃止をしております原因は、生産コストが高いからでは決してございません。販売路がないために倒産をしておるのであります。一昨年における流通部門の状態を見まするに、企業間における熾烈な販売戦が展開せられまして、中小炭鉱は逐次大手筋並びに販売業者によって市場から駆逐されつつあるのであります。しかも、石炭の生産性の弾力性の乏しいところから、需要に応じた措置が直ちにとれない産業であるというところに、今日の悲劇が起っておるのであります。電力用炭の一つをとサましても、水主火従の現状において、豊渇水一割の上下によって二百数十万トンの石炭の需要の上下がありますことは、御承知の通りであります。この犠牲をあげて石炭業者に負担させるという、ことは、だれが考えても酷であると言わざるを得ないのであります。(拍手)  第五に、この法案は、実施困難の机上プランであって、とうてい言うがごとくその実効を期し得ないものであるということであります。これは各種の報道機関がまた報じておるところであります。すなわち、政府説明によりますと、本法案の目ざすところを達成するためには、資金上、税法上の諸優遇措置が完全に実施されることはもちろん、最終年度に四千九百万トンヘの増産、労働賃金も物価も現在のまま据え置きということを前提として初めてできるというのであります。現に、本年度資金計画において、政府の五カ年計画の初年度八十億が、二十億削られで六十億になっておるではありませんか。すでに計画の一角をくずしておるのであります。まことに机上プランと言わざるを得ないのであります。  以上、時間の関係上簡単に反対理由の一部を申し上げましたけれども、最後に強調いたしたいことは、石炭鉱業をほんとうに恒久的に安定させ、真にこれを公共的な利益に役立たしめようとするには、これを営利的な私企業のままに放任し、国家資金はむしろ独占資本の高利潤の確保と赤字補てんに使用されるというような今日の状態では、とうていだめだということであります。(拍手)私どもは決して理論を言っておるのではありません。百の理論よりも実証であります。巨大な資源国アメリカは別といたしまして、イギリスを初め欧州先進国の炭鉱国管ないし国営、こういう実情を、この際保守党の皆さん方はとくとお考えをいただきたいと思います。(拍手)もしこれらが直ちに実現できないといたしましても、社会党両派の提出いたしました石炭鉱業安定法案が示しておりますように、わが国エネルギーの総合対策を樹立し、需要拡大により、火力発電の新設、都市ガスの普及、石炭化学の振興、低品位炭の活用に積極的な施策を行いまして、労働者を首切るという残酷無情なやり方ではなく、さらに中小炭鉱の石炭販路を確保する等の、あたたかい、情のこもった、合理的な施策こそ樹立せられるべきものであると信ずる次第であります。(拍手)  最後に申し上げまするが、石炭労働者の賃金が高いという議論がございます。しかしながら、考えていただきたいのであります。地下何千尺の坑底におりて労働しておるこの炭鉱労働者が、上に上ってくるときには、炭塵にまみれて、まつ黒くなっておる。これらの方々が、一日働いて五百円から八百円の日当をもらっておる。しかも、健康を維持するためには、月に大体二十カタの労働、二十日の労働である。こういう人たちが、青年時代ならばまだしもであります。つぶれていく中小炭鉱は、ほとんど四十才以上の中年の坑内労働者が多いのであります。妻子をかかえておるこれらの方々の労働賃金、日当五百円ないし八百円が、どうして高いと言えましょうか。(拍手)今日の他産業の労働賃金と比べ、私たちは決してそのような残酷なことを主張することはできないのであります。また、とうとうたる世論は、地方自治体を破壊するとして、私は本日持って参りませんでしたが、北海道、九州を初め、膨大な陳情が来ておる。  こういうことに対しても、率直に皆さんは耳を傾けていただきまして、そうして政府提出いたしましたような、ああいう悪法にはあくまでも反対して両派社会党の安定法案に何とぞ深い御理解をいただきまするように、’最後にお願い申し上げまして、私の討論を終る次第であります。(拍手)
  32. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 神田博君。     〔神田博君登壇〕
  33. 神田博

    ○神田博君 私は、自由党を代表して、ただいま議題となりました石炭鉱業合理化臨時措置法案、すなわち政府提出法案賛成し、両社共同提案になる臨時石炭鉱業安定法案に反対の意を表するものであります。(拍手)  この浅案は、石炭鉱業を合理化する上からいって、必ずしも満足すべきものではないのであります。むしろ相当考慮を要する点もあり、本来ならば、なおかすにある程度の時間をもってし、慎重審議の上、内容をさらに十分整備すべきであると考えられるのでありますが、わが国の石炭鉱業は今や空前の危機に直面しており、すでに深刻なる社会不安や人道上の問題をも惹起しておることは御承知のごとくであります。かく論議しておる間にも、弱小炭鉱は相次いで倒産し、失業者はますます増加しつつあるのでありまして、一日もこのままに放置することはできないというのが実情でございます。しかも、政府当局は、炭鉱救済のためにはこの法案以外の救済策はないと言明しておられるのであります。ただ、一部の論者は、本法案の成立を見なくとも、法案に盛られておるような一連の救済策を実施するならばよいではないかという、こういう議論もあるようでありますが、この法案のような法律的根拠によってこそ初めて施行が可能となるのであって、法的根拠なくして一般私企業たる石炭鉱業に特殊の恩典を付与し得ないことは、おのずから明白であります。従って、炭鉱の危急を救うためには、少くとも現内閣のもとにおいては、とりあえずこの法案を成立せしむるのほかはないという、われわれの結論に達したのであります。すなわち、炭鉱を愛する経営者の血のにじむ苦心と、従業員その他の関係者に心から同情するがゆえに、満足ではないけれども、とりあえずこの法案を成立せしめ、実施の状況にもかんがみて、他日適宜修正を施そうというのが、われわれの見解でございます。  そこで、無条件に本法案に賛意を表するものではないのでありまして、炭鉱の急場を救うため、やむを得ず法案を成立せしめるについては、法案の及ばざるところを補い、立法の趣旨を達成するため、この際強く政府に要望しなければならないことがあるのであります。それは、ほかでもない。本法施行と同時に、炭鉱の合理化に関する諸般の行政措置を強力に推進せよということでございます。  あらためて説くまでもなく、最も重要な基礎的物資である石炭が、外国に比べて著しく割高であるために、国際的経済競争にたえられない。貿易振興、自立経済達成のためには、ぜひともこの石炭の値段を外国並みに引き下げなければならないことは、もちろんであります。政府当局説明によりますると、本法を施行すれば、炭価は現在よりも約二割低下し、コマーシャル・ベースにおいて、石油その他の競合物資と優に対抗できることとなる、というのであります。しかしながら、われちの見解をもってするならば、事は必ずしもそう簡単には行かない。  そもそも、わが国の炭鉱経営は、欧米諸国のそれと比べて、宿命的な大きなハンディキャップを背負わされておるのでありまして、そのおもなるものを数えても、まず第一に、石炭の天然条件において著しく劣っておるのであります。炭層は薄く、炭質は悪い。松岩の介在、その他賦存の状態もまたよくないのであります。第二に、これはもとより石炭鉱業特有のものではないのでありまするが、最大の隘路と称されておりまする資金対策において、外国とはとうてい比較にならない。資金を確保することが非常に困難であり、さらに金利の高いこともまた世界無比である。現に、これがため、年々相当多額の融資を受けながら、既往の負債の元利払いのため、ややもすれば引き揚げ超過に終らんとする実情でございます。第三に、最も注意すべきは労働問題であります。かの日本の経済力を根本的に破壊せんとした占領政策の一環たる例の労働三法が、これまた欧米各国にも類似を見なやものでありまして、独立後の今日も、なお依然として、そのまま存続しておるということでございます。その他、技術の後進性については、これまた論を待たないところでございます。  かように観じ来たるならば、わが国の石炭価格を外国並みに引き下げるということは、けだし容易のことではないのでありまして、従って、政府は、わが国の炭鉱がかような宿命的悪条件を背負わされておるという現実に目をおおうことなく、これを正しく認識するとともに、これを克服すべき適切なる施策を勇敢に推進するのでなければ、単なる一片の合理化臨時措置法だけでは、わが国の石炭鉱業の安定はとうてい望むべくもないということを、この際強く政府に警告いたしまして、私はこの討論を終る次第でございます。(拍手)
  34. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 伊藤卯四郎君。     〔伊藤卯四郎君登壇〕
  35. 伊藤卯四郎

    ○伊藤卯四郎君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となりました政府提案の石炭鉱業合理化臨時措置法案に反対し、両社会党提案の臨時石炭鉱業安定法案に対して賛成討論を行うものでございます。(拍手)  政府のこの法案は、仏を作って魂を入れておらない法律でございます。と申しますのは、この三年来というものは、日本の炭鉱は非常な不況に追い詰められまして、炭鉱の不安と危機は社会問題化しておることは、皆さん御存じの通りでございます。こうした苦しい立場に追い詰められました鳩山内閣は、窮余の一策としてこの法案を出したのでございます。窮余の一策にも、むしろなっておらぬのでございます。この法案の実施の第一前提条件ともいうべき大事な点は、総合エネルギー計画というものの上に立ってこれは提案をされなければならぬのでございます。たとえば、石炭を幾ら今後使っていくか、あるいは重油を幾ら入れるか、あるいは水力、火力発電をどの程度に伸ばすか、どれを拡張した方が日本の産業と国民生活に寄与するかという、この見地に立っての提案でなければ意味がないのでございます。(拍手)そういう点等は全然考慮されておりません。全く単なる苦しまぎれの法案にすぎないのでございます。  この法案で一番重大な点といわなければならないのは、需要と生産をいかように調整するかということでございます。たとえば、二十九年度、昨年度は、四千百五十万トン国内炭が消費されております。政府は、この法案等によって、一応の机上数字としては、昭和三十年度に四千三百万トン国内炭を消費する、五年の後の三十四年度には四千九百万トンを消費する、こういう一応の数字を作っておりますけれども、これは単なる机上数字として作っているのにすぎないのでございます。この需要を法律をもって保証する何らの規定もございません。従って、この需要に伴うところの計画的な生産が行われなければならぬはずでございます。需要と生産を取り組ませていく、たとえば、そういう点から貯炭というものはあり得ないという計画でなければならぬはずでございます。ところが、需要の数字は一応作っておるけれども、生産は各山々が自由勝手にどんどんやれというのでございます。需要は法律で保証しない。生産は各山が勝手にやれというのでございます。一体、これでは何のためにこの法律が作られてあるのか、意味がわからぬのでございます。(拍手)石炭鉱業安定をはかろうとするならば、まず需要の年度計画を法律で保証して、生産をこれに見合う程度行わしめて、需給関係を国家の制度として定めてやっていくところに、初めて石炭鉱業の安定化があり得ると私は信ずるのでございます。こういう点等は全然考慮されておりません。  御存じのように、石炭界が非常に不況になりましたのは、昭和二十六年以後、外国からの重油が圧倒的に入ってきたからでございます。昭和二十六年にはわずか二百四、五十万キロリットルでございましたものが、二年後の昭和二十八年には五百三十七万キロリットルにふえてきたのでございます。このために圧縮をされた石炭が六百万トン以上に上ったのでございます。これがいわゆる炭鉱の深刻なる不況の根本的原因でございます。従ってこれらの問題を解決するということでなければ、の法案の意味はないのでございます。  そこで、この需要と生産の調整を定めまして、消費するだけを生産する。しかしながら、経済界の変動、天災地変によって非常貯炭のあり得る場合がございます。と申しますのは、たとえば、昨年は非常に雨が降りました。そのために、電力会社が平年より二百五十万トン国内炭を使っておらぬのでございます。二百五十万トン要らなくなったのでございます。このように雨がたくさん降れば、石炭が要らなくなってくる。経済界の変動によって貯炭ができる。こういう非常貯炭に対しては、政府が非常貯炭を保障するということを定めない限りにおきましては、日本の炭界は安定をしないと考えるのであります。(拍手)この法案は、全くこういう点を規定いたしておらぬのでございます。  さらにはまた、非能率炭鉱、条件の悪い炭鉱を三百万トン買いつぶすというのでございます。ところが、この買いつぶすに当って、一トン当り二千三百五十円で三百万トン買い取るのでございます。ところが、どの物価と比較してその買取価格の基準を定めたかという点においても、何もございません。全くいいかげんでございます。さらにはまた、この買い取り炭鉱のために三万人近くの失業者が出るのでございますが、これに対しては、わずか一ヵ月分の首切り手当をもって三万人近くを首切ってしまおうというのでございます。さらに、租鉱権者に対する問題についても、法律上全くこの買い取りを明確にいたしておりません。さらには、鉱害復旧におきましても、五年、十年後に起ってくるものに対する補償を具体的にいたしておりません。  さらにはまた、低品位炭の需要につきましても、何ら具体的にいたしておりません。今後は、石炭は、燃料ということよりも、むしろ原料として使うべきでございます。たとえば、油が新しい燃料としてどんどん起りてくる、あるいは原子力が平和産業原料として起ってくる、こういうときに当って、原料としての国内炭の新しい利用度を定めていくことが、この合理化の上において当然政府がなされなければならぬ措置であると思うのであります。(拍手)こういう点においても、何ら具体的にしたものがないのでございます。(「簡単々々」と呼ぶ者あり)時間はまだありますから御安心下さい。  それから、標準炭価を定めようとしておりますけれども、この標準炭価というものも、どの物価、あるいはどこの外国の石炭と比較をして定めようとするのか、この点も明らかになっておりません。政府は、ただ、高能率、低コストを調整するためであると言っております。もちろん、日本の産業と国民生活に寄与さすためには、高能率と低コストをやらなければならぬことは、国家の至上命令ともわれわれは考えるのでございます。設備の近代化によってこの目的を達成すると同時に、炭価を下げようとするならば、なぜ政府が行政措置上やれるところの電力料金の値下げ——電力料金は、ことしの夏は昨年より二割以上値上げをしたではありませんか。電力料金の値下げ、鉄道運賃の値下げ、金利の引き下げ、こういうことは、政府が行政措置上やれるのでございます。こういうものを値下げさせながら、なお合理化によって値下げをさすというのならば、これはきわめて合理的なやり方であると私は思うけれども、政府が行政措置上やるべきものに対してはむしろ値上げをしておいて、ただ炭鉱の労働者の犠牲においてのみ値下げをやらすということは、あまりにも片手落ちであると言わなければならぬのでございます。(拍手)  こういう点から、この法案は全くずさんきわまるものでございます。もちろん、この法案目的を達成しようとするならば、炭鉱の労働者の協力がなければなりません。たとえば、十二トンの一人当りの石炭を、政府は十八トンにするというのでございます。十二トンを十八トンにするということは、労働者の協力がなければやれません。さらにまた、三百万トン買い取って、三万人近くの労働者が失業する。この買い取りについても、労働者の協力がなければ、買い取りは円満に解決することはできないのでございます。しかるに、政府は、この法案の実施は政府審議会に白紙委任をさせようとしておるのでございます。労働者の協力を求めておりません。こういう点から、この法案というものは、実施に当っても、炭鉱地区において労働者の協力なくしてやれないと私は断言する。(拍手)  ごらんなさい。昭和二十四年に四十八万人おった炭鉱労働者が、現在では二十八万人となっておる。この法案を実施すれば二十二万人になる。このように、炭鉱労働者は深刻なる現状において首を切られておるではありませんか。(「自縄自縛だよ、それは」「ストライキをやったからだ」と呼ぶ者あり)自由党の諸君は、そういうことを言う資格はありません。(拍手)胸に手を当てて反省をなさい。(拍手)先ほど、神田君も、商工委員会において、自由党、民主党を代表して討論を行われました。その自由党、民主党の討論の中で、この法案はきわめて不十分であると言いました。この法案はきわめて不満足であると言いました。これは、自由党、民主党が不十分で不満足の法律案である。みずからそう言っておるのである。(拍手)ただ、それに附帯決議をつけて……。
  36. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 伊藤君、申し合せの時間が過ぎましたから、なるべく簡単に願います。
  37. 伊藤卯四郎

    ○伊藤卯四郎君(続) 自由党、民主党は、附帯決議をつけて国民の目をごまかそうといたしております。(拍手)附帯決議が、法律実施の上に何の権威がありますか。何の力がありますか。附帯決議をつけて、不十分なる、不満足の法律案に自由党、民主党の諸君が賛成をするとは、政治家として一体どれだけの識見と良識とがあるのか。(拍手)私はこの点を言わなければならぬ。  私は、以上の点等を論じまして、政府原案に反対、社会党両派によるところの提案に対して賛成討論を行なって、私の意見を終る次第でございます。(拍手)
  38. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) ただいまの伊藤君の発言中、もし不穏当の言辞がありましたら、速記録を取り調べの上、適当な処置をとることといたします。  岡田春夫君。     〔岡田春夫君登壇〕
  39. 岡田春夫

    ○岡田春夫君 この法案国会に出される前後、石橋通産大臣や関係の官僚諸君は、どん底の炭鉱業界を一ぺんに立て直す、世直し神のような、新興宗教の宗祖のような顔をして、盛んに宣伝を行なって参りました。たとえば、この法案が通ったならば、つぶれかかっておる中小炭鉱を全部政府が買い上げてやるとか、あるいは、能率のよい炭鉱に国の金をどんどんつぎ込んで、五年後には二割の炭価の引き下げをやって日本の炭鉱の若返りをするとか、いろいろな’お手盛りたんさんの御託宣を行なってきだのでありますけれども、それでは一体これはほんとうなのであろうか。とんでもない。これは、石橋通産大臣の、例によっての大ぶろしきである。この法案がねらっておるのは、バラ色の夢ではなくて、残酷無比な大資本を擁護して中小炭鉱を買いつぶし、そうして労働者階級に極度の収奪を与えんとする法案にほかならないのであります。(拍手)  私は、時間の関係もありますので、以下、三点にわたって、政府提出しております炭鉱合理化臨時措置法案に反対をし、社会党の提出いたしております安定法案賛成をするものであります。(拍手)  まず反対の第一の理由としては、先ほど社会党左右両派の諸君の言われたように、この政府の出しました法律案が、中小炭鉱を手当り次第にぶっつぶして、反面において、大手炭鉱に対しては国家資本をどんどんとつぎ込んで、しかも生産販売のカルテルを作って、かつての財閥である三井、三菱その他の財閥に対して利益を擁護するとともに、日本の石炭企業をこれらの財閥の手に完全に売り渡し、独占の支配をさせようとしておる点が、われわれとしてこの法案に反対する第一の理由であります。(拍手)  戦争と石炭景気とはつきものであるということを言われておりますけれども、朝鮮戦争中においては特需景気によって溝って参りました石炭企業も、朝鮮戦争が終ることによって極端な不況の中に追い込まれ、そうして、最近は、アメリカから押しつけられた、重油の日本に対する押しつけ輸入によって、日本の炭鉱は極端な窮乏のどまん中にたたき込まれておることは、皆さんの御承知の通りであります。しかも、このような状態は、単に中小炭鉱ばかりではありません。大炭鉱に対しても脅威を与えつつある。その証拠に、昭和二十九年の大手九社の決算で、二十八年と比べるならば十四億円の収入減になっておる点を見ても、大手炭鉱にも影響を与えつつあることは明らかであります。そこで、大手炭鉱は方針を変えざるを得なくなった。すなわち、今まで石橋さんの好きそうな自由競争主義を訴えてきた大手炭鉱は、今や、この自由競争を捨てて、国家資本の手によって中小炭鉱をぶっつぶして、国家資本を大手炭鉱みずからのうちにどんどんと入れさせることによって自分たちの利潤を確保しなければならなくなったのである。このために今度の法案が作られ、この大手炭鉱の貧欲なる欲望を満たすために、石橋通産大臣はこれに奉仕するがために、この法案提出したにほかならないのであります。(拍手)  たとえば、この法案によって見ても、時間がありませんから簡単に申し上げますけれども、三百三十の中小炭鉱を買い上げるに当って、炭鉱整備事業団というものを作って、八十億の金をこの炭鉱の買い上げに使うと言っておるが、この八十億の金は、政府も大資本家も、一銭も腹の痛くない金なのである。たとえば、大資本の方で、中小炭鉱の買い上げに当って、見舞金あるいは香典料としてトン当り十八円の負担金を出すことになっているけれども、しかしながら、通産省の出した昭和三十四年の生産計画のコストの内容を調べてみるならば、この負担金に見合うために、トン当り三十円の余裕金を作っている、そうすると、大資本家は、十八円の負担金を出すかわりに、三十円から差し引いた十二円の金が、中小炭鉱の香典料を出すことによって自分たちのふところにも入る仕組みになっている。あるいはまた、政府においても、財政資金を一銭も出さないで、金利を引き下げることによって、この八十億円のまかないを償っていこうとしている。  これらの点から見ても、明らかに、中小炭鉱をぶっつぶすためには、政府も大手資本家も、一銭も腹が痛まない。そうして、その反面において、大資本家を擁護するためには、縦坑の開設のために、四百億円を初めとして、国家資本を一千二百九十億円五年間に使うというこの法律が、大資本家擁護の法律であると言わなくて何であるか。私たちは、このような法律に対して絶対に賛成するわけには行かないのであります。  第二の反対の理由は、先ほど右派の伊藤卯四郎君も言われました通り、この法案を作るためには、その基礎になる総合エネルギー計画が作られておらなければならない。ところが、この総合エネルギー計画はでたらめである。この点は、この間の商工委員会においても、明らかに委員諸君によって暴露され、通産大臣は答弁ができなくなったのを見ても、あなた自身おわかりの通りである。こういう点から言っても、今後五ヵ年において二割の炭価の引き下げを行なって四千九百万トンの生産をするということは、とうてい不可能であると言わなければなりません。  第一、この合理化法を実行することによって、先ほどの諸君も言われた通りに、日本の全炭鉱労働者諸君は、絶対に反対をし、戦い抜くでありましょう。これは反対の第三の理由になるのでありますが、何よりも、この法案が実行されることによって、六万人の首切りが行われ、そして労働強化が行われ、低賃金が実行され、賃金のストップがそのまま行われ、その上に労働者の災害がどんどんふえて、人命無視の法律であるということを、われわれは見のがすわけには行きません。われわれは、このような法律が実行される限りにおいて、日本の石炭の生産どころか、日本の炭鉱の荒廃を来たし、日本の労働者階級に対して首切り、低賃金、労働強化、そして災害の増加によるところの人命の無視が行われることを、はっきりとこの機会に指摘しなければならないと考えます。(拍手)  はなはだ簡単でありますけれども、時間の関係で、以上三点をもって反対の理由といたしまして、われわれは、政府提出法案に反対をし、社会党の提出いたしました安定法案賛成をするものであります。(拍手)
  40. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) これにて討論は終局いたしました。  これより採決に入ります。  まず、石炭鉱業合理化臨時措置法案につき採決いたします。本案委員長報告可決であります。本案委員長報告通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立
  41. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 起立多数。よって本案委員長報告通り可決いたしました。(拍手)  次に、臨時石炭鉱業安定法案につき採決いたします。本案委員長報告は否決であります。本案委員長報告通り否決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立
  42. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 場起立多数。よって本案委員長報告通り否決いたしました。  次に、株式会社科学研究所法案につき採決いたします。本案委員長報告通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  43. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって本案委員長報告通り可決いたしました。  本日はこれにて散会いたします。     午後四時三十一分散会