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1955-07-08 第22回国会 衆議院 本会議 第39号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年七月八日(金曜日)     —————————————  議事日程 第三十八号   昭和三十年七月八日     午後一時開議  第一 恩給法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案高橋等君外百十一名提出)     ————————————— ●本日の会議に付した案件  日程第一 恩給法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案高橋等君外百十一名提出)  開拓者資金融通特別会計法の一部を改正する法律案内閣提出)  労働者災害補償保険特別会計法の一部を改正する法律案内閣提出)  国有財産特別措置法の一部を改正する法律案内閣提出)  地方自治法第百五十六条第六項の規定に基き、税関支署設置に関し承認を求めるの件     午後三時十四分開議
  2. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) これより会議を開きます。      ————◇—————  第一恩給法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案高橋等君外百十一名提出
  3. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 日程第一、恩給法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案議題といたします。委員長の報告を求めます。内閣委員会理事高橋禎一君。     〔高橋禎一登壇
  4. 高橋禎一

    高橋禎一君 ただいま議題となりました恩給法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案について内閣委員会における審査の経過並びに結果を簡単に御報告申し上げます。  本案は、その裏づけとなる予算的措置を遂げ、民主、自由両派共同提出にかかるものでありますことは、御承知通りであります。改正の眼目は、旧軍人関係恩給一般公務員恩給との間における不均衡を是正しようとするものであります。  本案において改正しようとするおもなる点について申し上げますと、第一は、旧軍人仮定俸給年額一般公務員並みに一万二千円ベースに引き上げるとともに、号俸引き上げを行なったことであります。しこうして、その号俸引き上げに当っては、上に薄く下に厚くする趣旨を加味しまして、将官については二号俸、佐官以下については三号俸ないし四号俸引き上げることといたしております。この措置は本年十月分から実施するのでありますが、国家財政に及ぼす影響を緩和するため、その完全支給は明年七月から行うこととし、それまではその半額を支給することといたしております。  第二は、新たに一年以上七年未満在職年をも恩給基礎在職年として合算することといたしたことであります。これは、旧軍人、旧準軍人または旧軍属としての引き続く一年以上七年未満の実在職年を合算すれば普通恩給についての所要最短在職年数に達する場合でありましても、現行法では年金たる恩給を給せられない事実にかんがみまして、これらの人々支給の道を開こうとするものであります。しかし、国家財政現状にかんがみまして現行法によっても普通恩給を受ける権利を取得できる人々及びその遺族につきましてはこの合算措置をしないこととし、また、この措置により恩給基礎在職年所要最短在職年数をこえることとなる場合には、これを最短在職年数で押えることとし、この措置によりまして新たに普通恩給または扶助料を給せられることとなる人々が、すでに一時恩給または一時扶助料を給せられていた場合におきましては、その金額について調節することといたしております。  第三は、いわゆる戦犯拘禁中の期間在職年に合算することとしたことであります。すなわち、公務員在職中の職務に関連しまして連合国最高司令官によって拘禁された場合には、未帰還公務員に対する処遇との均衡上、拘禁前の公務員としての在職年普通恩給についての所要最短在職年限に達していない者について、その年限に達するまでを限度といたしましてその一拘禁中の期間恩給基礎在職年計算することといたしております。また、公務員拘禁されている間に自己の責めに帰することができない事由によって負傷しまたは疾病にかかった場合、裁定庁がこれを公務傷病と同視することを相当と認めましたときは、これを公務傷病とみなして、その者またはその遺族に対し相当恩給を給することといたしております。  第四は、戦傷病者戦没者遺族等援護法改正に対応するものでありまして、その一は、いわゆる公務死範囲の拡張に伴い、すなわち、戦地において負傷しまたは疾病にかかり、それが原因となって死亡した者で、援護審査会の議決によって公務死亡とみなされた者については、同法の改正により、その遺族に対して遺族年金または弔慰金が給せられることとなることに対応しまして、恩給法におきましても、これらの遺族に対して公務扶助料を給することといたすものであります。その二は、旧軍人、旧準軍人または旧軍属が、今次の終戦に関連する非常事態に当って、いわゆる責任自殺をした場合、その死亡援護審査会において公務死と同視すべきものと議決した場合には、これらの遺族に対し遺族年金及び弔慰金が給せられることとなることに対応しまして、これらの遺族に対して、昭和二十八年四月分から、公務扶助料年額相当する金額扶助料を給することといたすものであります。  第五は、警察制度改正に伴いまして、恩給法規定の準用を受けている者が退職した場合には、一定条件のもとに、本人の選択によって有利な恩給を給し、また、自治体警察設置警視庁等に勤務した吏員としての在職期間を、一定条件のもとに、公務員としての在職年計算することとするなど、警察職員に関する恩給の特例を認め、これを昭和二十九年七月一日から適用することといたすものであります。  以上のほか、恩給局に旧軍人恩給事務処理要員として二十名を増員することに伴いまして、行政機関職員定員法所要改正を行うことといたしております。  以上は本案要旨でありますが、これが施行に要する経費は、昭和三十年度において二十四億六千万円、三十一年度において約百二十億円、三十二年度以降平年度において約百六十億円となっております。  本案は、六月二十五日本会議に上程の後当委員会に付託され、提出者及び政府に対し熱心に質疑が行われたのでありますが、その質疑のおもなるものにつきましてその要旨を申し上げますと、軍人というものが存在しない新憲法のもとにおいては、旧軍人に対する恩給は、これを国民年金制度とすべきではないか、国家総動員法による勤労学徒徴用工員満州開発団満州少年義勇軍等犠牲者に対して公平な取扱いをすることが先決ではないか、恩給理念をもってするならば、強制されて応召した兵の仮定俸給年額応召当時における収入を基準として定めるべきではないか、今回の改正による月額わずか六千六百五十円は、現在の経済実情に則した合理的なものと認めた結果か、夫帰還公務員のうち若年停止によって恩給支給せられない者に対しては留守家族手当支給すべきではないか、恩給費が増大するため恩給亡国となるおそれはないか、明年度以降の予算に多額の負担を伴うこのような法案を妥当なものと思うか、旧軍人または旧軍属としてわが国に尽した台湾人朝鮮人等外国人及びその遺族に対していかなる処置を考えているか、昭和二十三年六月三十日以前に給与事由の生じた一般公務員恩給は、この法律によって旧軍人に比較しても均衡を失することとなるが、この不均衡を是正する用意があるか等でありまして、その答弁その他質疑の詳細については、会議録によって御承知を願います。  七月四日左派社会党より修正案提出されましたが、六日撤回され、七日あらためて両派社会党共同修正案提出されたのであります。その修正要旨は、一、旧軍人仮定俸給年額につきましては、下に厚くする趣旨をもって准士官以下を一律に九万七千八百円とすること、二、時効により増加恩給または傷病年金を受ける権利を失った者については、終戦時の混乱事情にかんがみ、その時効は完成しなかったものとして取り扱うこと、三、在職年計算については、一カ月以上の実在職年をも算入すること、四、未帰還公務員については、その特殊性にかんがみ、若年停止規定適用を排除するとともに、その遺族に給する公務扶助料は、公務員死亡した日の属する月の翌月から支給すること等であります。  この修正案について質疑を行なった後、修正案原案とを一括して討論に入りましたところ、長谷川委員は、日本社会党を代表して、旧軍人恩給復活については、根本的に疑義があるばかりでなく、実際上も問題がある、恩給理念をもってするならば、旧憲法下徴兵制度によって応召した兵のほとんど全部は職業軍人ではないから、兵の仮定俸給年額一カ月当り六千六百五十円は不合理であり、当然応召したときの収入基礎として定められなければならない、一方、国民年金制度は近き将来において実施さるべきものであるが、それが実施される場合において妨げとなるべきものを除去する用意が肝要であって、修正案国民年金制度が実施されるまでの過渡的なやむを得ない措置であるとして、修正案賛成原案反対意見を述べられたのであります。また、眞崎、田中の両委員は、日本民主党自由党をそれぞれ代表して、いずれも原案賛成修正案反対意見を述べられたのであります。  採決の結果、修正案は否決、原案は多数をもって可決されたのであります。  次いで、各派共同提案によりまして、昭和二十三年六月三十日以前に給与事由の生じた公務員恩給は、それ以後のものと比較して低きに失するにより、政府は、急速にこれを検討するとともに、その具体的措置を講ずべきことを要望する旨の附帯決議全会一致をもって可決されたのであります。  なお、本案審議の過程におきまして、予備付託となっておりました参議院議員山下義信君外三名の提出にかかる恩給法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案について、提案理由の説明を聴取して質疑を行い、また、海外同胞引揚及び遺家族援護に関する調査特別委員会より、夫帰還公務員については、その特殊性にかんがみ、若年停止規定適用を排除するとともに、その遺族に対する公務扶助料公務員死亡の翌月から支給することとする旨の修正申し入れがあったのであります。これらの詳細につきましては、会議録によって御承知をお願い申し上げます。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  5. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 本案に対しては、長谷川保君外九名から成規により修正案提出されております。この際修正案趣旨弁明を許します。長谷川保君。     〔長谷川保登壇
  6. 長谷川保

    長谷川保君 私は、ただいま上程せられました、高橋等君外百十一名提出、すなわち民自両党御提出恩給法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案に対し、修正案提出し、両派社会党を代表してその趣旨弁明をなさんとするものであります。  本修正案は、本来、さき政府提出し撤回されましたいわゆる旧軍人恩給改正法案に対し日本社会党が対決する改正法案として用意したものでありましたが、民自両党の改正案公務死範囲拡大等多くの点において同一の改正部分を持っておりましたために、一事不再議の原則により廃案となるおそれがありましたため、やむなく民自案と異なる点を修正案として提出し、御審議を願う次第であります。  本案修正部分は十余カ所あるのでありますが、おもな点は次の五点であります。他は、これがための条文あるいは表の整理のためのものであります。  修正の第一点は、仮定俸給並びに恩給金額に関するもので、理論的にも実際的にも最も重要な点であり、民自案とのイデオロギーの対決とも言うべきものであります。民自案が、文官恩給との均衡をはかるとの美名のもとに、帝国憲法の旧軍人とその階級を温存し、再軍備に備えつつ軍人恩給増額をはからんとするに対し、両派社会党の本修正案は、日本国憲法下国民的公平の原則に立ち、国民年金制度実施の促進をはかりつつ、その過渡的方法として、戦争犠牲の最もはなはだしかった、主として応召軍人である下級軍人の御遺族傷痍者に対し集中的に恩給増額を行い、国家補償責めを果しつつ、その生活を守らんとするものであります。(拍手)従って、本来ならば、軍人のみならず、満州少年義勇軍開拓団徴用工徴用船員学徒等、およそ国家の名において動員せられ戦争犠牲となられた全国民に対し無差別平等に国家補償を行うわが党年来の主張でありまする戦争犠牲者補償法を制定すべきでありますが、残念なことに、一昨年旧軍人恩語復活して以来、法制局の見解はこれを既得権と見ておりますので、高級旧軍人恩給を引き下げて平等の年金支給することが困難な事情にありますので、今回は、一応軍人恩給改正し、大尉以上大将までのものについては現行通りとし、民自改正案によるこの分の増額予算分はあけて准士官以下兵に至る下級軍人恩給増額に充て、(拍手)これら下士官、兵の各種恩給を、ほぼ下級将校並みの一律平等のものといたしたいのであります。  恩給制度の中心は、申すまでもなく、恩給金額にあります。御承知のように、この恩給金額計算する基礎は、現行軍人恩給においては、退職時の俸給基礎として作成した仮定俸給表にあります。これによりますと、高級将校等いわゆる職業軍人は、その職業相当俸給基礎として計算されておりますが、下士官兵等においては、旧帝国憲法徴兵制度により徴兵召集されたとき支給された、あの「ほまれ」というタバコや、ちり紙や、酒保で安酒や汁粉をようやくあがない得た、あのお小づかい程度の給与基礎として計算されたものが仮定俸給となっておるのであります。この仮定俸給基礎として各種恩給扶助料計算されておるのでありますから、新憲法下軍人階級もないのに、恩給に驚くべき階級差が出てくるのでありましてこの軍人恩給こそは、新憲法下の七不思議、旧帝国憲法のお化けが出てきたものと言わざるを得ないのであります。(拍手)  かような次第でありますから、民自改正案においての、文官恩給均衡をとるために将官で二号俸、兵で四号俸引き上げるのだとの、もっともらしい増額理由は、全くナンセンスと言わねばなりません。(拍手)さればこそ、今回提案されました民自改正案を見ますと、現行法における階級差をさらにはなはだしく拡大し、たとえば、従来大将仮定俸給四十九万四千四百円だったものを、驚くなかれ、一挙に七十二万六千円に大増額したのに、兵においては、従来年額六万六百円でありますが、これをわずかに七万九千八百円に上げているにすぎないのであります。すなわち、従来大将と兵との差は四十三万三千八百円でありましたが、これを一挙に拡大して六十四万六千二百円の差をつけようというのであります。戦争に負けてしまった今日、大将も兵もありますか。このような不条理きわまることのために百七十億円も税金をよけいに使うことを、国民諸君は果してよしとするでありましょうか。(拍手)骨も凍る北満の荒野に、炎熱身を焼くボルネオ・ビルマにしかばねをさらし、ニューギニアのジャングルに毒虫にかまれつつ飢え死にし、ガダルカナルに海のもくずと消え去りました、あの下士官、兵の諸君、その御遺族等は、かくも酷薄無情なる処置に、とうてい承服することはできないと思います。(拍手)  元来、恩給の理論は、公務員公務に服したために失った経済取得能力の減損を国の経済をもって補填するというにあります。職業軍人経済取得能力は、退職時の俸給であるいははかることができましょう。しかしながら、応召下士官、兵の経済取得能力は、「ほまれ」一つすらろくに買い得なかった、あのお小づかいではかることはできません。しいてその経済取得能力をはからんとするならば、赤紙を受け取ると同時に、その愛する妻子とともに家郷に残していったその職業収入額で律すべきが当然であります。二号俸も三号俸もありません。そんなことはでたらめであります。  以上の理由をもって、両派社会党修正案は、本来の恩給という立場よりも、むしろ、恩給制度全体の再検討を考えつつ、国民年金制度への過渡的便法として軍人恩給を取り扱わんとしているのでありまして、従って准士官以下兵までの仮定俸給を、一律現行法少尉とほぼ同額にまで引き上げて九万七千八百円とし、いわば全応召兵将校待遇としてこの結果、公務扶助料におきましては、倍率の関係上、准士官以下兵まで一律に現行法大尉よりやや下、中尉よりやや上の扶助料、すなわち四万四百二十四円とし、中少尉もやや引き上げることといたしました。普通恩給においては、准士官以下兵まで一律現行法のほぼ少尉同額まで、すなわち三万二千六百円まで増額することとし、増加恩給その他の恩給もほぼ同様の引き上げ措置をいたしたのであります。  恩給法改正について、ぜひとも考えねばならぬことは、将来における財政負担の膨張とともに近い将来わが国においても必ず実施せられるべき国民年金制度との関連であります。世界で国民年金制度恩給制度とをあわせ行なっている国々では、恩給支給については国民年金額をこえる分だけを支払うのを例としております。わが国国民年金制度を実施するとすれば、老齢年金にしても、母子年金にしても、月額三千円、年額三万六千円以下では考えられませんから、民自改正案では、下士官、兵では全然恩給支給せられないこととなり、職業軍人たる高級将校のみが恩給支給されることとなります。申すまでもなく、恩給税金で支払われるのでありますから、結局、戦争犠牲の最もはなはだしかった応召下士官、兵及びその遺族は、これら職業高級軍人のための恩給支払い税金のみを負担させられて、自分たち恩給がもらえないという、不届ききわまる結果となるのであります、(拍手)そして、これら、ろくに恩給をもらえなくなるであろう下級将校下士官、兵の遺族は、実に百六十三万人、全体の九割八分二厘であり、大尉以上の高級将校は、わずかに三万人、全体の一分八厘。実に、新憲法下、不合理きわまる話であります。(拍手)民自改正案には、これらのことについて何らの積極的な考慮が払われておりません。このゆえに、両社の修正案においては、将来を見通して、あとう限り国民的公平の原則に適合せしめるよう、この際は大尉以上の高級将校については恩給引き上げを一切することなく、民自案によるこの分の増額分を、あげて、大多数の下級軍人、ことに准士官下士官、兵とその遺族恩給引き上げに充てたのであります。附則別表第一より第五に至る修正がそれであります。  第二の修正点は、終戦前後の混乱その他の事情のため所定の手続を怠ったために時効にかかり、傷病年金増加恩給を受け得ない傷痍者のために、もしこれらの人々昭和三十一年九月三十一日までに手続をするならば、時効が完成しなかったものと見なして恩給支給できるようにする修正であります。  第三の修正点は、恩給の実在職年計算に関するものであって、一昨年軍人恩給復活に当り、引き続く七年以上の実在職年のみを恩給年計算することとしたので、日本社会党は、これこそ職業軍人にのみ普通恩給給与せんとするものであると強く非難したのでありましたが、今回の民自改正案において引き続く一年以上と緩和したものを、本修正案においては引き続く一カ月以上としてさらに緩和し、恩給法規定に従い、実際は一日でもすべての公務に従事した日を実在職年として合算できることとしたのであります。  第四の修正点は、未帰還公務員普通恩給若年停止規定の排除についての修正であります。戦後外国より帰り来たる夫や父を待ちわびる未帰還公務員留守家族には普通恩給を給せられることとなっておりますが、恩給法の若干停止規定のために、実際には支給せられない方々がありますので、未帰還公務員家族実情を考え、これが若年停止規定適用しないこととするものであります。  第五の修正点は、同じく未帰還公務員普通恩給に関するものでありまして、未帰還公務員死亡が確認された場合、軍人恩給復活前におきましては死亡の日にさかのぼって公務扶助料支給されていましたが、その後軍人については死亡の判明した日より扶助料支給することになっておりますので、これが不合理を是正し、遺族選択により扶助料支給される日を死亡の日にさかのぼることができるようにして、下級軍人遺族に有利にせんとする修正であります。  以上、修正のおもな点について御説明申し上げましたが、これに要する予算は約六億円であります。このほか、責任自殺戦犯刑死者、平病死者等公務死範囲拡大に関する民自改正案趣旨については、両派社会党も全く同趣旨であることを念のため申し添えておきます。  新憲法原則に従い、国民的公平の観点に立脚し、国家財政の将来をも十分考慮し、社会進歩発展のための積極的な意図を貫きつつ立案された、条理の通ったわが両派社会党修正案に対し、今からでもおそくはない、民自両党その他各位の御賛成を得、御可決下さるよう切望して、私の趣旨弁明を終ります。(拍手
  7. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 討論の通告があります。順次これを許します。床次徳二君。     〔床次徳二登壇
  8. 床次徳二

    床次徳二君 私は、ただいま議題と相なりました恩給法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案に対し、日本民主党を代表して賛成の意を、両派社会党修正案に対して反対の意を表せんとするものであります。  わが党は、さきに実施された旧軍人恩給復活が、当時の財政上の理由により一般文官に比較しなお相当の不均衡を残し、遺家族戦犯者等処遇につきなお不十分な点があるのをはなはだ遺憾といたしまして、これが是正に対しまして党の政策として掲げ、自来その実現に努力して参ったのでありますが、今回自由党との共同提案により、右趣旨に基く改正案を実現するの運びに至ったことは、国民とともにその喜びを分ちたいと存ずるのであります。  本改正案によれば、その対象におきまして、下士官を含めた兵がおよそ八五%を占めまして、事実上、いわゆる職業軍人に対するよりも、むしろ応召軍人対象とするものであるのであります。(拍手)しかも、六百二十四億円の年金恩給のうち、八五%が遺家族への公務扶助料、九%が傷痍者、六%が生存者に与えられるところの普通恩給となっておるのであります。すなわち、本改正案の性格は、世間で考えられるような職業軍人を主とするところの措置ではなく、遺家族対象とし、その生活を確保せんとするものであることを十分に理解していただきたいとともに、愛する者を国にささげ、しかも敗戦の苦しみと生活に戦っているところの八百万の遺家族のために、力強い御賛同と御支援をお願いしたいと思うのであります。(拍手本案審議に当りまして、社会党両派も、本案の骨子とするところにつきましては、大部分につきまして、その本質において賛成せられておるのでありまして、将来のわが国財政状況を考慮いたしまする場合におきましては、軍人恩給の問題はこれをもって懸案の大半を一応解決したと言うも過言でないと思われるのであります。(拍手)願わくは、受給者を初め関係者におきましても、わが国財政国民負担現状にかんがみ、本案の企図するところを十分に了解せられ、今後その生活確保向上に一そう努められますとともに、進んでわが平和福祉国家の建設に積極的に寄与せられたいことを要望してやまぬ次第であります。  もちろん、われわれは、このような恩給措置をもって社会保障的施策を不必要とするものではないということは当然であります。現在の諸国家がこれを行なっておりますように、現に存する恩給制度においてまずこれを取り上げ、できるだけの措置を講じようとしたものであって、今後社会保障的施策を充実促進せしめることにつきましては、つとにわが党の政策の示すところでありまして、これは社会福祉国家へ移行しつつあるところの近代国家の当然の道であるのであります。(拍手)  もとより、本案によりまして恩給問題の全部が解決せられたというわけではありません。特に、委員会におきまして附帯決議として示されましたところの、昭和二十三年六月三十日以前に給与事由の生じました公務員恩給に関する不均衡是正の問題を初め、未帰還公務員恩給に関する若年停止の問題、恩給受給権に関する戸籍法との調整の問題、通算、加算等、若干の問題も残されておるのでありますが、右に関しましては、具体的に十分検討を行いますとともに、さらに財政上の問題もあるのでありまして、将来の研究点として残したのであります。今後可及的早い機会にお含ましてその結論を得ることを期待しておる次第であります。  社会党より提出せられました修正事項は、先にもちょっと述べたのでありますが、一は予算の問題でこれが未決定でありますばかりでなく、しかも、その趣旨の大半はすでに民自の提案中に含まれておるのでありまして、残余の点は、ただいま申し上げました将来の研究問題とすべしとする点とほぼ同じような問題であるので、ここに賛成することはいたしがたいのであります。  すなわち、この際、わが日本民主党は、両派社会党修正案には反対であり、民自両党提出原案賛成いたすことを明らかにする次第であります。(拍手
  9. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 受田新吉君。   [受田新吉君登壇
  10. 受田新吉

    ○受田新吉君 私は、ただいま上程せられました恩給法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案並びに両社共同修正案に対しまして、両派社会党を代表して討論をいたしたいと存じます。  戦争犠牲者のうち、特に国家の至上命令によって、身の危険を顧みず公務に従事し、不幸死亡せられ、あるいは傷病の身となられた方々、もしくは終戦後長期にわたって異境の地に御苦労された方々に対しまして、国家として責任ある保障の道を確立しなければならないということは、すでに国民の世論でもあり、また、各政党とも、党派をこえてこれが実現に協力し、両社会党においても、率先これが推進をはかったところであります。(拍手政府は、この世論の動向、各政党の主張等を根拠にして、去る五月下旬、恩給法、援護法の改正案提出せられたのでありますが、その原案たるや、まことに貧弱なる内容で、スズメの涙ほどの予算措置が講ぜられてあったことは御承知通りてあります。ここにおいて、民主、自由両党は、八百万遺家族の声に黙し得ず、また世論の圧力にも抗し得ず、独自の改正案を作成して、政府原案を撤回せしめるに至った事情は、お察しするに余りがあるところであります。  ここにおいて、私たちは、民自の改正案に対し詳細なる検討を加えて参ったのでありまするが、多年にわたって要望せられました公務死範囲拡大の点、受給資格拡大の点、もしくは責任自殺者や戦犯拘禁者に対する救済措置等においては、一段の優遇の道が講ぜられ、社会党の要望の一部が取り入れられていることに対しましては、深く敬意を払い、その御労苦に対して感謝をささげるものであります。しかし、ここにおいて問題とするところは、少くとも平年度において百七十億円の予算増大となるこの改正案において、公務扶助料普通恩給の算定基礎となる仮定俸給の設立において著しい階級差が認められ、上に厚く下に薄い軍国時代の体系がそのまま残存されている結果を取ったことであります。(拍手)  そもそも、軍人恩給は、従来とも、軍人が実際に支給される給与の額よりも一歩高いところに仮定俸給が設定せられ、それが基礎となって恩給扶助料支給せられておったのでありまするが、終戦後幾たびかの給与改訂に伴い、文官においては常に実際の支給額を基礎恩給のスライドが行われましたために、武官との間に仮定俸給設定上に差等が生じて参ったのであります。今回、文官との均衡を保つための武官の引き上げという美名のもとに、実は、ことに高級軍人においては、同等の給与を受けていた文官よりもさらに高額の恩給額を設定される現象が起って参りました。すなわち、超党派的に附帯条件を付して、旧文官の不均衡是正の措置を講ぜざるを得なくなったことも、その理由からであります。  文官との不均衡のみでなく、軍人相互間におきましても、一例を大将と兵長の普通恩給に徴しましても、大将は年間約八万円の増額に対し、兵長はわずかに六千円であります。すなわち、民自案によれば、一人の大将は十三人の兵長分の増額であります。また、公務扶助料におきましても、大将は依然として曹長以下の英霊の五倍以上の国費をいただいておるのであります。傷病賜金におきまする兵と下士官との差別のごときも全然是正されておりません。私たちは、一人の元高級軍人がその恩給引き上げ部分だけを遠慮していただくことによって、逆に下級の元軍人が十数名も救われ、あるいは、その家族においては、数名の高級軍人の家族の喜びを遠慮していただくことによって、その日の生活にも追われるであろう数十名の下級軍人の家族の喜びたらしめるという善政がしけることを忘れてはなりません。(拍手)これらの階級的差別観念を圧縮して、職業軍人の多い高級将校増額分を取りやめ、下士官以下を一律に准士官まで引き上げるということを基本とする両社共同の修正案は、平和愛好の民主主義国家として再建されつつありまする祖国の現状においては、まさに最適の道ではありますまいか。(拍手)  両社修正案におきましては、英霊となられた兵におかれまして約百万人、准士官下士官において約五十九万人、すなわち約百六十万人の方々の御遺族は、将校たる方々八万人の増額部分だけの御遠慮により、いずれもその階級差をなくして、約四万円の公務扶助料が一律に支給せられることになっておるのであります。私は、この仮定俸給表の設定部分につきまして、願わくば、党派をこえた相談により、下に厚く上に薄い結論を出したいものと、両派社会党より民主自由両党号考慮を要望したことに対しまして、民自両党におかれましては、厳格なる階級差をそのままに残すことを主張して一歩も譲られなかったため、やむなく両派社会党修正案提出の運びとなったことを、関係者の一人として、はなはだ遺憾に存ずる次第であります。(拍手)  なお、修正案におきましては、傷病資金の二階級をなくしたり、傷病年金増加恩給の請求権を保護したり、一年未満の軍公務服役期間在職年に合算したり、もしくは未帰還公務員に対し普通恩給若年停止規定を除外したりする諸点につきまして、民自案になかったものを含めておるのであります。ことに、これらの修正点は、人道的、社会的意義のきわめて高いのにかかわらず、予算措置におきましては、ほとんど問題とならない少額で済むものでありまして、その実施のきわめて容易なるものばかりであります。わけて、未帰還公務員普通恩給若年停止除外や、死亡の日に遡及して公務扶助料支給するという修正点のごときは、超党派的に、民自両党の方々を含む海外同胞引揚特別委員会から正式申し入れのあった事項であるのでありますが、結果的に見てこれら長期にわたる異国残留者の御苦労に対してすら一片の考慮を払われなかったことは、人道尊重の声いずれにありやと問責したいのであります。(拍手)  今や、日本国内の民心の動向も、国際的の傾向としても、民主主義尊重の観点からは、恩給のごとき特権的色彩の濃厚なものより脱却して、国民一人一人の基本的人権尊重の傾向が見られ、国民年金制への発展は自然の勢いと化しつつあるのであります。政府においても、最近、社会保障制度に関する真剣な研究態度が見受けられ、川崎厚生大臣も、軍人公務扶助料は近き将来社会保障的性格のものへ転換せしむべきであると発言しているほどであります。しかるに、今回の民自両党案は、これらの社会的傾向の一切を無視し、社会の進運を考えず、旧軍国時代の姿そのままに恩給法体系を厳存せしめようとの企図は、自衛隊を鞭撻し、再軍備推進への一役を果そうとする下心も手伝っていると言って過言ではないと思うのであります。(拍手)  民自両党各位の良心に聞きたい点は、今回のこの画期的改正において、この膨大なる予算的措置において、何ゆえにこれら人権尊重の一端すら考慮しなかったのでありますか。さらには、少数の高級軍人を守るために、その二十倍に及ぶ下級軍人をなぜおろそかにしたのであるかという点であります。  以上、要約いたしまするに、基本的には、私たちは、遺家族に対する国家保障の見地から、恩給法改正に対する態度に共鳴をし、両社共同修正案に全面的賛意を表するとともに、修正部分を除く民自原案に対しても賛成を惜しまないのでございます。ただ、修正部分を含む民自原案に対しては、遺憾ながら反対の意思を表明せざるを得ないのであります。  願わくは、旧軍人並びに戦死者遺族のうち、その大半を占める下級者の方々に対するあたたかい心づかいから、民自両党の方々に対し、両社の共同修正案への御協力を御期待申し上げ、万一本院において御協力を得られない場合におきましては、引き続き修正への努力をあくまで推進することを念願いたしまして、討論を終る次第であります。(拍手
  11. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 福井順一君。     〔福井順一君登壇
  12. 福井順一

    ○福井順一君 ただいま上程になりました恩給法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案に対し、自由党を代表して賛意を表し、社会党の修正案に対し反対するとともに、本法案による旧軍人に対する恩給措置について、いささか所見を開陳せんとするものであります。(拍手)  未曽有の敗戦の惨苦に陥ったわが国は、かのポツダム勅令第六十八号によって、昭和二十一年二月一日、傷痍者を除き全面的に旧軍人に関する恩給停止して以来、一身を国家のために奉じた旧軍人、なかんずく、老齢者や戦没者遺家族の方々の惨たんたる御苦労は筆舌に尽せぬものがありまして、当時を忍ぶとき、断腸の思いにたえないのであります。(拍手)  その後ようやく講和条約の締結なり、主権回復するや、自由党内閣においては、戦傷病者戦没者遺族等援護法の制定をなし、引き続き昭和二十八年八月恩給復活を認むるに至った経緯については、今さらここで述べるまでもないところであります。しかるに、さきに行なった旧軍人恩給復活の内容は、独立間もない当時の社会上、財政上の諸制約のため、満足のできるものではなく、その後関係者の方々の熱烈なる請願、陳情の絶えるところのなかったことは、これまた諸君のほとんどが体験せられたところであり、くどくど申し述べる必要はないと思うのであります。  自来、われわれにおいても、関係者の熱意に劣ることなく、これが根本的解決方に鋭意努力し来たったところでありますが、今日、ここに、自民共同して本案による画期的な措置を講ずることができましたことは、関係者の熱意の結晶というべく、まことに御同慶にたえない次第であります。(拍手)もとより、本案をもって旧軍人恩給問題のすべてが解決されたとは申すものではないのでありますが、以下述べるところのように、従来問題とせられた諸点を、その最も難関とせられた予算的措置とともに一挙に解決し得たことの意義については、どなたも十分にお認めになられるところと存するのであります。(拍手)  今、おもなる問題点についてこれを解明するとともに、本案に対する全国民の心からなる御支持を庶幾せんとする次第であります、  まず第一に、本案は、旧軍人恩給復活とは申すものの、その内容にあって下士官を含めた兵がおよそ八五%で、実質的に戦争による犠牲者大衆を対象とするものであること、さらに、旧軍人に関する各種恩給中、公務扶助料、すなわち戦没者遺家族に与えられるものが八五%、老齢軍人生存者に与えられる普通恩給はわずかに六%にすぎず、この点こそ、本案がいかに戦後対策として特殊な性格と使命を有するものであるかを雄弁に物語るものであります。  しからば、このようないわゆる大衆性のある措置を何ゆえ恩給措置によって講じようとしたかということが問題とせられるでありましょう。事実、社会党に所属する議員は、従来から社会保障的施策によってこれを行うべきであるとし、恩給法改正による措置の不可なるゆえんを強調せられるのでありますが、そもそも、恩給制度は、国家の使用人である公務員に対し、その長年の勤務による老朽または傷病等経済獲得能力の喪失に対し使用主たる国家の与うる補償でありましてその最も端的な事例は、一身をささげて国家の危急に当った軍人及びその遺家族に対する補償がわが国恩給制度の濫觴であり、その後において文武官に対する統一せる恩給制度が確立されるに至ったことは、御承知通りであります。従って、いずれの国におきましても、公務員恩給制度は、いわゆる近代的社会保障施策とは別個に存在しているところであります。文官恩給制度が厳存する現在、ひとり旧軍人処遇のみを社会保障制でやるということは、はなはだ理解に苦しむところであります。(拍手)すなわち、恩給法により処遇すべきものを社会保障に切りかえよということは、この両者の性格をわきまえざる者の言か、それとも、公務員恩給権を奪わんとする者の暴言と言うべきであります。(拍手)われわれは、これの非なることを宣するとともに、断固これを排さんとするものであります。  従来、戦争犠牲者の方々において、恩給法上の措置方を強調されてきたことの事実は、これを最も端的に証するものというべく、今回の措置は全くこれらの人々の要望に沿うたものであります。(拍手公務扶助料が大部分を占むることのゆえをもってこれを社会保障的措置にゆだね、単に物質的処遇をもって足れりとするがごときは、非薄の待遇に甘んじ、一身を犠牲にして国家に尽瘁した人々やその遺家族の心情を理解せざる者の言で、公務員の士気をそこなうものであると言わざるを得ないのであります。(拍手)  社会党の修正案もまた恩給の建前をとっておられることは、実に愉快なことであります。(拍手)本会議及び委員会においては、国民年金制度等、社会保障によって本問題を解決することを強く要望されておりますが、本日は恩給制度賛成せられていることは、御同慶にたえないところであります。(拍手)  しかし、社会党案は、予算的措置を無視せられ、現下の財政事情においてはとうてい実現不可能なものであると言わざるを得ないのであります。また、尉官以上を据え置きとして、文官とはなはだしき不均衡を来たしていることは了解に苦しむところであります。戦争の責任は、ひとり旧軍人にのみ転嫁すべきではないのであります。しからば、何ゆえ尉官以上を一般国民と比較して不当なる差別待遇をせんとするか、強く社会党の反省を求める次第であります。(拍手)  次に、以上述べましたほか、本案を支持する諸点について申し上げます。  まず、旧軍人恩給仮定俸給については、文官恩給の水準たる一万二千円ベースに引き上げるとともに、四号俸引き上げをなしたことであります。しかも、号俸引き上げについては、将官については二号俸、佐官について三号俸、尉官について四号俸引き上げという、上薄下厚の社会政策的配慮をなしていることは、さらに本案の意義を深めるものだと言えるものであります。これにより、文武官の恩給の不均衡が是正せられ、長年にわたる問題を解決し得ましたことは、われわれの最も支持するところであります。(拍手)  さらに、従来財政的あるいは事務的困難のゆえをもって難関視されていた旧軍人在職年の合算について、一年以上七年未満のものの在職年を認めることにより、いわゆる応召軍人に対する処遇の一大改善をなしたことは、本案の特に逸することのできない点でありまして、本問題と関係の深い加算問題についても、その調査費が与えられ、この問題に対する曙光の見えたこととともに、一段と本案を支持するところであります。(拍手)  さらに、巣鴨に長らく拘禁されている戦犯者に対し、その拘禁期間公務員としての在職年と見ることにより、中共、ソ連に抑留中の公務員と同等の処遇を講じたこと、公務死範囲拡大したことは、これまた国民の要望に応じたもので、国民諸君は十分にわれわれの誠意を理解せられることと信ずるものであります。(拍手)  最後に、財政措置について一言述べなければならない点は、本案実施に伴い国家財政に著しい影響を与えざるよう、その実施方法に万全の配慮を加えたことであります。世上、恩給費増額を憂うる意見もありますが、本改正後のいわゆる旧軍人恩給年額は、昭和三十年度六百六十九億円、三十一年度は一時金の減少と失権とにより十一億増の六百八十億円、三十二年度は二十億増の七百二億円でありまして、財政的にもまことに適切なる措置だと言えるのであります。(拍手)  ここに、われわれは、従来の公約を果すに当り、なお残された問題の解決については引き続き最善の努力をいたす決意であります。  以上申し述べましたところにより、私は、自民共同、高橋等君外百十一名提出恩給法改正法案に賛意を表し、両派社会党修正案反対するものであります。  これをもちまして私の討論を終ります。(拍手
  13. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) これにて討論は終局いたしました。  これより採決に入ります。  まず、本案に対する長谷川保君外九名提出修正案につき採決いたします。長谷川保君外九名提出修正案賛成諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立]
  14. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 起立少数。よって修正案は否決されました。  次に、本案につき採決いたします。本案委員長の報告は可決であります。本案委員長報告の通り決するに賛成諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  15. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 起立多数。よって本案委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)      ————◇—————  開拓者資金融通特別会計法の一部を改正する法律案内閣提出)  労働者災害補償保険特別会計法の一部を改正する法律案内閣提出)  国有財産特別措置法の一部を改正する法律案内閣提出)  地方自治法第百五十六条第六項の規定に基き、税関支署設置に関し承認を求めるの件
  16. 長谷川四郎

    ○長谷川四郎君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、内閣提出開拓者資金融通特別会計法の一部を改正する法律案労働者災害補償保険特別会計法の一部を改正する法律案国有財産特別措置法の一部を改正する法律案地方自治法第百五十六条第六項の規定に基き、税関支署設置に関し承認を求めるの件、右四件を一括議題となし、この際委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  17. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 長谷川君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  18. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって日程は追加されました。  開拓者資金融通特別会計法の一部を改正する法律案労働者災害補償保険特別会計法の一部を改正する法律案国有財産特別措置法の一部を改正する法律案地方自治法第百五十六条第六項の規定に基き、税関支署設置に関し承認を求めるの件、右四件を一括レて議題といたします。委員長の報告を求めます。大蔵委員長松原喜之次君。     〔松原喜之次君登壇
  19. 松原喜之次

    ○松原喜之次君 ただいま議題となりました三法律案外一件につきまして、大蔵委員会における審議の経過並びに結果を御報告いたします。  まず、開拓者資金融通特別会計法の一部を改正する法律案について申し上げます。  この法律案は、従来、開拓者資金融通特別会計における貸付金の償還金は、公債及び借入金の償還の財源にのみこれを充てることとなっていたのでありますが、今回この貸付金の償還金を新規の貸付金の財源にも充てることのできるようにするとともに、従来一般会計において支弁して参りましたこの会計の事務取扱い費は、この会計の他の経費とともに貸付金の利子収入等でまかなうことを原則とし、これに不足があります場合には、それに相当する金額を一般会計からこの会計に繰り入れることができることといたそうとするものであります。  本案につきましては、審議の結果、本八日質疑を打ち切り、討論を省略して直ちに採決いたしましたところ、全一会一致をもって原案通り可決いたしました。  次に、労働者災害補償保険特別会計法の一部を改正する法律案について申し上げます。  この法律案は、別途今国会に提出されました、けい肺及び外傷性せき髄障害に関する特別保護法による転換給付、療養給付、休業給付等に関する経理は、便宜現行の労働者災害補償保険特別会計において行うことといたしますため、同特別会計法について所要改正を行おうとするものであります。  この法律案につきましては、その基本法であるけい肺及び外傷性せき髄障害に関する特別保護法案が本院で修正されたことに伴いまして、各派共同の修正案提出されました。すなわち、いわゆるけい肺法は、政府原案では本年九月一日から施行することとされておったのでありますが、本院修正の結果、同法施行前でも同法公布の日以後はけい肺患者等に対する療養給付及び休業給付を行うこととなりましたので、この法律案の施行期日につきましても、「本年九月一日」とあるのを「公布の日」と改めることといたしたのであります。  本案並びに修正案につきましては、本八日質疑を打ち切り、討論を省略して直ちに採決に入りましたところ、いずれも全会一致をもって可決され、よって本案修正議決いたされました。  次に、国有財産特別措置法の一部を改正する法律案について申し上げます。  この法案は、まず第一に、地方公共団体から国に寄付された財産につきまして国がその用途を廃止した場合において、その財産の譲与の範囲を拡張いたしたことであります。第二には、従来中小企業者の老朽機械等と等価で交換しておりました国有の機械等を、中小企業者の設備改善による企業の合理化を推進するため、時価からその三割を減額した額で交換できることとしたのであります。第三には、旧軍用財産の機械等につきまして、中小企業者との交換機械、またはいわゆる一括転用施設の用に供する機械等を除き、すべてこれをくず化することとしたのであります。第四には、普通財産の交換の特例を設け、土地または建物その他の土地の定着物相互においても交換できることといたしたのであります。  以上が本案の内容の概略でありますが、本案につきましては、社会党の春日一幸委員外三十九名より修正案提出されました。修正案の内容は、旧軍用財産の機械等は、戦後十年を経過していよいよ陳腐化し、老朽化し、かつ相当の管理費もかかる現状にあるので、これが処分を一そう促進するために、時価から三割の減額を三割五分の減額交換に修正しようとするものであります。本修正案による昭和三十年度の減収見込額は約四千万円となりますので、国会法第五十七条三の規定によりまして政府側の意見を求めましたところ、やむを得ない旨の意見開陳がありました。  大蔵委員会においては、慎重審議の後、本日質疑を終了し討論に入りましたところ、横山利秋委員より附帯決議提出されました。附帯決議の内容は次の通りであります。    国有財産特別措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議  国有の機械及び器具の保管状態並びに中小企業設備改善の必要等にかんがみ、政府は、本法の実施に当っては、次の諸点を充分考慮すべきである。  一、各種機械及び器具の時価の評価に当っては、学識経験者、中小企業者等の意見を徴すること。  二、交換の対象となる国有の機械及び器具は、すみやかにこれを中小企業者に公表、閲覧せしめる外、交換の実施に当っては、中小企業者の立場を充分に考慮して、かりそめにも法令通達等が不当に中小企業者に不利に適用されることのないよう留意すること。  三、本法に関する現行政令等の改正に当っては、特に実状にそうよう評価方法を改正し、また交換する機械分類に幅をもたせる等格段の配慮をすること。  以上の修正案及び修正部分を除く原案並びに附帯決議についてそれぞれ採決いたしましたところ、いずれも起立総員をもって可決され、よって本案修正議決いたされました。  最後に、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基き、税関支署設置に関し承認を求めるの件について申し上げます。  本案趣旨は、最近における外国貿易の趨勢に伴う税関業務の増加に対応し、税関行政の円滑な遂行をはかるため、現在の税関出張所及び税関支署出張所の中から横浜税関川崎出張所外七十張所を税関支署に改めようというのであります。すなわち、従来税関支署及び税関の出張所において処理すべき事務のうち、税関長の権限とされておるものにつきましては、昭和二十九年四月の関税法の全面的改正の際に、その権限の一部を税関支署長に対して法的に委任することができることといたしましたので、今回以上の重要と考えられる八十張所を支署に昇格させ、これらに支署としての独立性を付与いたしまして、現地税関行政事務の簡略化及び迅速化をはかろうというのであります。  本案に関しましては、六月三十日政府委員より提案理由の説明を聴取し、審議の結果、本日質疑を打ち切り、直ちに討論を省略して採決に入りましたところ、全会一致をもって承認を与うべきものと議決いたしました。  以上、御報告いたします。(拍手
  20. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) これより採決に入ります。  まず、開拓者資金融通特別会計法の一部を改正する法律案労働者災害補償保険特別会計法の一部を改正する法律案及び国有財産特別措置法の一部を改正する法律案の三案を一括して採決いたします。三案中、開拓者資金融通特別会計法の一部を改正する法律案委員長の報告は可決でありまして、その他の両案の委員長の報告は修正であります。三案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  21. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって三案とも委員長報告の通り決しました。  次に、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基き、税関支署設置に関し承認を求めるの件につき採決いたします。本件は委員長報告の通り承認するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  22. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって本件は委員長報告の通り承認するに決しました。  本日はこれにて散会いたします。     午後四時三十四分散会