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1955-06-25 第22回国会 衆議院 本会議 第33号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年六月二十五日(土曜日)     —————————————  議事日程 第三十二号   昭和三十年六月二十五日     午後一時開議  第一 昭和三十年四月及び五月の凍霜害水害等被害農家に対する資金融通に関する特別措置法案内閣提出)     ————————————— ●本日の会議に付した案件  中小企業信用保険法の一部を改正する法律案内閣提出参議院回付)  恩給法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案趣旨説明及びこれに対する質疑  日程第一 昭和三十年四月及び五月の凍霜害水害等被害農家に対する資金融通に関する特別措置法案内閣提出)  経済審議庁設置法の一部を改正する法律案内閣提出)  建設省設置法の一部を改正する法律案内閣提出参議院送付)  あへん特別会計法案内閣提出)  輸入品に対する内国消費税徴収等に関する法律案内閣提出)  国税徴収法の一部を改正する法律案内閣提出)  たばこ専売法等の一部を改正する法律案内閣提出)  補助金等臨時特例等に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出、第五〇号)  補助金等臨時特例等に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出、第九一号)     午後一時九分開議
  2. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) これより会議を開きます。      ————◇—————  中小企業信用保険法の一部を改正する法律案内閣提出参議院回付
  3. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) お諮りいたします。参議院から、内閣提出中小企業信用保険法の一部を改正する法律案が回付されております。この際議事日程に追加して右回付案議題とするに御異議ありませんか。   (「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって日程は追加せられました。  中小企業信用保険法の一部を改正する法律案参議院回付案議題といたします。
  5. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 本案参議院修正に同意するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって参議院修正に同意するに決しました。      ————◇—————  恩給法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案高橋等君外百十一名提出)の趣旨説明
  7. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) この際、国会法第五十六条の二の規定により、恩給法り一部を改正する法律の一部を改正する法律案趣旨説明を求めます。提出者高橋等君。     〔高橋等登壇
  8. 高橋等

    高橋等君 ただいま議題となりました恩給法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  本案自民両党の共同提案にかかるものであります。戦没者遺家族戦傷病者、老齢旧軍人人々は、今次戦争犠牲者中最も気の毒な方々であります。国家が英霊の祭をおごそかにいたし、遺家族を初めこれらの人々処遇を厚くすることは、平和国家道義国家建設発展重大要件であることは申すまでもありません。従って、わが国独立とともに、弔慰金及び遺族年金支給をなし、引き続いて恩給復活を実現し、予算総額の八%強に当る金額をこれに充てておるのでございます。しかも、なお、これらの人々給与は、一般文官に比較いたしましてはなはだしく均衡を失しておる現状であることを遺憾といたします。国民の間に不平等があり、ことに、戦争に当り国民にかわつて犠牲なつ人々終戦後十年に及ぶ本日まで一般国民と不当な差別待遇を受けておるという事実を十分認識いたしますときは、温情と誠意をもって事の解決をはかることが民主主義の鉄則であることは申すまでもございません。  以上の見地に立ちまして、国家財政の現況を勘案いたしながら、先般来自民両党によって予算等修正をなし、ここに、文官との不均衡是正中心といたしましてその他必要なる改正を加えまして、本改正法案提出いたした次第でございます。  この法律案におきまして改正を加えようといたしますおもな点について、簡明に御説明を申し上げます。  その第一点は、旧軍人及び旧準軍人並びにこれらの人々遺族恩給年額増額に関するものであります。これらの人々恩給金額計算基礎となる仮定俸給年額は、一般公務員またはその遺族恩給年額計算基礎となる俸給年額に比べまして少くなっておりますので、これらの人々仮定俸給年額をいわゆる一万二千円ペースの支給水準引き上げ、かつ号俸につきましても、一般文官との調整をはかり、なお上に薄く下に厚くする精神をもって、原則といたしまして四号俸、一部上級者につきまして三号俸または二号俸引き上げ、その恩給金額一般公務員及びその遺族恩給支給水準程度まで増額いたそうとするものでございます。ただし、国家財政に及ぼしまする影響を緩和する目的をもちまして、本年十月分から昭和三十一年六月分までの間の恩給につきましては、現行恩給金額にこの改正によります増額分の五割に相当する金額を加えたものを支給することとし、昭和三十一年七月分からこの改正通り金額を給することといたそうとするものであります。  第二の点は、旧軍人、旧準軍人及び旧軍属恩給基礎在職年に引き続く一年以上七年未満の実在職年を通算することであります。現行法によりますと、二年、三年、四年というふうに何回も応召せられまして、前後合算いたしますと普通恩給所要最短在職年弊に達しまするにかかわりませず、年金である恩給を給せられない場合も少くないのでありまして、その欠陥を改めまして、最短在職年数に応じまする年金たる恩給を給する道を開くことにいたしたのであります。  第三の点は、いわゆる戦犯者として拘禁された人々の拘禁中の期間及び傷病に関しまする恩給法上の取扱いに関するものであります。ソ連、中共に抑留されておりまするいわゆる戦犯中、旧軍人軍属であった未復員者その他につきましては、恩給法上未帰還公務員なる制度を設けまして、抑留中の期間恩給在職期間に通算されております。連合国最高司令官によりまして抑留または逮捕せられ、有罪の刑に処せられ拘禁された公務員であつて在職中の行為に基因して拘禁された者につきましても、恩給法上右の者に準じて同様の取扱いをなすことを適当と認めた次第でございます。  第四の点は、今次の終戦に関連いたしまする非常事態におきまして、いわゆる責任自殺をした者の遺族に給する扶助料特例に関するものであります。これらの者については、別途提案審議中の戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部を改正する法律案におきましては遺族年金及び弔慰金支給することになっておりますので、この法律案に対応いたしまして、これらの者の遺族に対し昭和二十八年四月分から公務扶助料年額に相当する金額扶助料を給することといたそうとするものであります。  第五の点は、戦傷病者戦没者遺族等援護法改正によりましていわゆる公務死範囲拡張が行われることになつたのに伴いまして、公務死亡者とみなされました者の遺族に対し公務扶助料支給することにいたしたのであります。  第六の点は、新警察法の施行に伴いまして自治体警察職員から新警察法のもとにおきまする警察職員となつた者などが恩給につきまして不利な取扱いを受けることのないように措置をいたすものであります。これと同じ理由によりまして、昭和二十三年三月の自治体警察設置前の警視庁または道府県警察部の吏員としての在職期間の通算をいたしたいと存じます。  なお、以上のほか、本法案実施に伴いまして、これらの恩給増額改定事務を処理いたしまするため、総理府本職員の定員を二十名増員することといたそうとするものであります。  以上がこの法律案提案理由であります。何とぞすみやかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。(拍手)      ————◇————— 恩給法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案高橋等君外百十一名提出)の趣旨説明に対する質疑
  9. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) ただいまの趣旨説明に対する質疑に入ります。下川儀太郎君。     〔下川儀太郎登壇
  10. 下川儀太郎

    下川儀太郎君 私は、ただいま上程になりました自民党提案になる恩給法の一部を改正する法律の一部改正法案中、主としていわゆる旧軍人恩給に関する件につきまして、日本社会党を代表して、提案者並び鳩山総理、その他関係大臣質問せんとするものであります。  質問に先だちまして、われわれ日本社会党の態度をこの際明確にしておきたいと存じます。すなわち、本案は、過ぐる第十六特別国会において可決を見た恩給法の一部改正の中に含まれた旧軍人恩給の一部増額への案件でありますが、当時与党であった自由党諸君並びに同調された改進党諸君は、軍人恩給復活社会党反対したと、あらゆる機会をとらえて、われわれの真意をねじまげて、遺家族諸君に逆放送したことを覚えておりまするが、決してわれわれは軍人恩給に対する反対のための反対をしたものではありません。(発言する者あり)むしろ、われわれは、戦争犠牲者遺家族援護については、平和的な国民として、再軍備派自由党民主党諸君よりも、はるかに強い同情と協力を惜しむものではございません。(拍手、発言する者あり)ただ、その援護の内容と形式が、軍国主義の抹殺された憲法下に、今なお軍人恩給の名において、しかも当時の支給仮定俸給額が、大将級が四十九万四千四百円、兵隊が六万六百円というように、十四階級差別をつける等、まことに非民主的な法案であり、今なお軍国主義の亡霊が国会内の廊下を闊歩する危険と、ひいては再軍備による新たなる軍閥の再現を憂えて、(発言する者あり)わが党としては、文化国家としての正しい発展のために、軍人恩給はむしろ社会保障制度の拡充により一律平等に給付すべきであることを主張して破れたのでございます。(拍手)今なお、われわれは、この主張の正しさを貫く決意には変りはございません。以下、この主張に沿い、基本的な立場について質問を展開いたしたいと存じます。  まず第一点として提案者並び鳩山総理にお伺いしたいことは、本案政府原案の配付を見たのが六月初め、それから約一ヵ月近くに及んで、政府原案は破棄され、自民両党の修正案が今日提出されたのでありまするが、すでにして政府原案が各議員に配付されている限り、当然政府においては本案国会提出し、堂々と審議の俎上に載せるべきである。かりに修正の個所があるならば、審議過程において各党の意見を参酌すべきであると思う。しかるに、本案は、われわれに配付した原案審議期間を故意に延滞させ、巷間伝うるところ、保守合同のささやかなる一ページであるとするならば、あえてわれわれはその愚かしさを笑うものでございます。(拍手)しかしながら、民主主義のルールを破り、原案を抹殺されても、声なく自由党の軍門に下つたか、あるいは妥協したか、このような政府に何の権威がございましょうか。これについて、鳩山総理はいかなる心境におられるか。また、提案者は、政府原案自民両党のやみ取引によって抹殺したその責任の所在と、修正案提出までの過程を、この際明確に説明していただきたいと存じます。(拍手、発言する者あり)  第二点は、一体提案者及びその背景にある自民党諸君並びに鳩山総理は、旧軍人恩給性格をどのように解釈しておられるか。旧軍人恩給一般恩給法として律しているのか、それとも戦争犠牲者として扱つておられるのか、この点を明確にしてほしい。すなわち、恩給法定義によれば、社会通念からして、恩給とは、公務員公務に服したために失つた経済的取得能力の減損を補てんするため、その退職または死亡後、本人またはその遺族に国庫または地方経済から給する年金または一時金であるといわれております。従って、この通念をもってすれば、旧軍人恩給性格はどういう立場に置かれるでしはうか。すなわち、われわれは、旧軍人恩給恩給法で律すべきでなく、社会保障によるべきだとさきに主張いたしましたが、かりに一歩譲つて恩給法によって律するならば、文官または警察監獄職員と同様の取扱いをなぜしないのか。憲法第十四条に、国民はすべて法のもとに平等であらねばならぬと規定されておりまするが、旧軍人恩給文官恩給に比して約三割減であります。今日、旧軍人、その遺家族傷痍者等より、この軍人恩給文官同様に扱えという要望がありますが、もし軍人恩給恩給として律するならば、当然この主張は正しいものと言わなければなりません。そう、なると、恩給定義と旧軍人恩給との関係、また憲法上の解釈はどうなるのか、提案者及び総理の明快なる御答弁をいただきたいと思います。  第三点としては、旧軍人恩給を、戦争犠牲者として扱うならば、何がゆえに職業軍人のみに恩恵を与えるのか。戦争犠牲者ひとり職業軍人のみではありません。それこそ日本民族ことごとくが悲劇の主人公であり、なかんずく、当然恩恵を受けるべき人々が今日置き去りにされている実態をどうお考えでしょうか。すなわち、当時国家または天皇の名において動員され、公務に殉じた国民義勇隊満州少年義勇軍・船員、動員学徒青少年徴用工、または内地にあつて死んだ無数の戦災者、まだ、はなはだしいのは七年引き続き軍務に服さなかった兵卒等々の非戦闘員は、何らの恩恵も受けず、ひたすら誤れる職業軍人指導者をのろい、再軍備計画による戦争の惨禍におびえながら今日細々と生活している姿に対して、どのように考えておられるでありましようか。(拍手一体提案者は、これらに思いをはせて本修正案を作り出したのかどうか。もしそうだとすれば、それらには一顧も触れておらない、あまりにも一般犠牲者には冷酷無情なる案だと思うが、提案者並び鳩山総理はこれをどう考えておられるでしょうか。  また、今度の修正案によると、依然として十四階級差別をつけ、仮定俸給額が、驚くなかれ、大将級が七十二万六千円にはね上り、兵がわずかに七万九千八百円となっております。初めは上に薄く下に厚くと宣伝しながら、この修正案実態はまさに封建制度への逆行もはなはだしいと私は考えるのであります。(拍手平和憲法下において軍隊もなき今日、何がゆえにかかる不平等階級の差をつけるのか、その根拠はどこにあるのか、この点もあわせて承わりたいと思います。  次に、第四点として、われわれは、旧軍人恩給一般犠牲者との関係憲法恩給法との矛盾があり、同時に、文化的な国民としての立場から、過ぐる昭和二十八年にいわゆる旧軍人恩給を制定されるとき、わが党は、この本会議の壇上から、長谷川保君をして、恩給としてすることなく、別に戦争犠牲者補償法案を立案して、旧軍人のみならず、広く一般戦争犠牲者の中の特に犠牲のはなはだしかった戦死者病没者傷痍者等に集中して国家的に補償すべきことを主張したのでありました。すなわち、わが党の案をもってすれば、現在の軍人恩給予算のワク内においてさえも、階級差をなくすることによってたとえば公務扶助料についてのみ見ても、今次の改正に比して、兵は年間約八千円程度増額支給され、伍長、軍曹等においても、それぞれほぼ六千円内外を増額されて、大体一人四万円程度年金支給を得るのであります。かくいたしますれば、今日恩給に漏れておりまする、かつての国家の名において召集動員されたにかかわらず病死または餓死した旧軍人遺族や非戦闘員である一般犠牲者に対しましても、また同額の平等無差別国家補償が行われるわけであります。ここにこそ、憲法第十四条が示す、すべての国民は法のもとに平等であるとの大義が生きるのでございます。提案者並び政府は、この大義のために、本修正案を撤回して、再びわれわれとともに真の民主的な本法案の作成に努力する意思はないか。なかんずく、常に友愛の哲学を説く鳩山総理は、この大義を貫くために、先んじてわれわれに協力すべきであると思うが、両者の国民に向けた真のあたたかな答弁をお願いしたいと思います。  次に、第五点として、恩給は今やわが国財政の大きな負担となっておりますが、いたずらに政略によって左右される今日の予算の中において、提案者はかかる問題を十分頭に入れて修正案を作成したかどうか、この点をお尋ねしたいと思います。同時に、鳩山総理は今後これに対していかなる方針をもって進まれんとするのか。すなわち、大正十二年恩給法制定以来、恩給支給人員及び金額は毎年増大し、昭和十八年には実に支給人員において百六万三千余人、当時の金額にして実に四億一千八百万円、今日に換算すれば約二千億円にも上らんとしております。恩給亡国の声すら起つたのは、この当時のあらゆる新聞に出ておりましたが、現行恩給法において、その第一条に「公務員及其遺族ハ本法ノ定ムル所ニ依リ恩給受クルノ権利ヲ有ス]と規定し、同じく第十九条において「本法ニ於テ公務員トハ文官及警察監獄職員謂フ」と明確に規定しながら、木に竹を継いだように、附則において、この恩給法のいうところの公務員にあらざる旧軍人及び遺族に対する恩給復活するの無理をあえてしたゆえんは、申すまでもなく、再軍備強行の伏線として、すなわち、軍人優遇、特に指導的なかつての軍人優遇の基盤を作るためになされたところでございましょう。かく考えるときに、自衛隊の増強と、すでに一千億をこえんとする今年度の各種恩給とともに、近い将来再び恩給亡国の憂いなきを保せないのでございます。  これに対し、全国民に無差別平等に健康にして文化的な最低生活を保障すべき今日の社会保障の実情はどうでしょうか。本年度予算について見ましても、生活困難な要保護者一千万に対し、生活扶助費はわずかに百三十四億円、医療扶助において、これまた五百余万人を数える結核患者の分も含めて、わずかに百八十四億であります。しかるがゆえに、死に瀕する喀血患者から付添看護婦を引き離し、いまだ排菌しつつある開放性結核患者に病院よりの退院を強要して、ついに昨年度は、わすか一年間に結核に新たに感染した者三一%余りという、りつ然たる状況でございます。児童は保育園より多数追い出され、親子心中は跡を断たず、一千万の失業者は職とパンを求めてちまたにさまよっておる惨状を呈しており、すべては再軍備予算犠牲である。今にして政府恩給制度を再検討し、各種恩給共済組合社会保険等を統合整理して、一貫性ある近代的社会保障制度を確立するとともに、いたずらなる再軍備計画日本経済の再建と文化のために振り向け、個人の基本的人権が尊重される真の平等無差別民主主義国家を築くべきは今であると私は思います。すなわち、人権が尊重され、政治の運営が正しければ、何も好んで、よしんば戦争犠牲者たりとも、一言の不平を漏らす者はないと信じます。すなわち、今日の政治の貧困がもたらす結果でございましょう。これに対して、鳩山総理並びに今後の国家財政を担当する一萬田大蔵大臣の御見解と、社会保障制度に関心の深い川崎厚生大臣のお考えを承わりたいと思います。  以上五点をもって私の質問を終りといたします。(拍手)     〔高橋等登壇
  11. 高橋等

    高橋等君 下川君の御質問にお答えを申し上げます。  本修正案上程までの経緯につきましてのお尋ねでございますが、先ほど提案理由説明で申し上げましたように、私たち自由党は、この文官と比較いたしましてはなはだしき不均衡のもとに置かれておりまする旧軍人恩給処遇につきましては、この機会文官均衡のある処置をはからねばならないということを実は考えております。その中心は、先ほど申し上げましたように、四号俸引き上げと一万二千円ベースの問題でございます。しかるに、先般提案になりました政府原案は、兵の階級において年額千五百円、その他軍曹階級でたしか二百十円というような、非常にわれわれの考え方と隔たりがございましたし、また一面、この金額をどうやつて算定になつたか、おそらくつかみ金のようなつもりで、まずこれくらいの予算があり、四億円ばかりの予算をこう分ければこうなるというようなつもりでおやりになつたとしか思えない。そこで、民主党におきましても、政務調査会ではいろいろの案をお持ちになっておられるように承わつたのでございます。この重大なる問題を解決いたしますために、先般来、両党におきまして、予算の問題についていろいろとお話をいたし、また将来のわが国財政上の問題も勘案をいたしたがら話を進めて参りました。紆余曲折を経まして、われわれが考えました通りの、根拠のある、文官恩給と同等の恩給を旧軍人遺族傷痍者その他に対して支給いたすことを適当とするという結論に両党が一致いたしたことは、まことに喜ばしいと考えます。(拍手)そこで、これを主たる点といたしまして、その他の必要な点に改正を加えまして、議員提案の五法でこのたび提出をいたしたようなわけでございます。  次に、よく御質問がわからないのでございますが、旧軍人恩給恩給法で律するのか、あるいは戦争犠牲者で扱うのか。——どうもよくわかりません。しかし、大体のところを御答弁いたしておきます。御存じのように、ポツダム六八勅令によりまして、傷痍者は一部分給与がありましたが、遣家族、旧軍人関係給与は全部停止をいたされた。そこで、この関係法律上から申しますると、今度は過去と関係のない新しい軍人恩給恩給法の中へいわゆる文官恩給と同じような新しい制度作つたのだという見方があるのであります。しかしながら、私は、これは過去において国が約束したものをこの際支払うのだ、こう考えるのが妥当であると考えます。(拍手)そこで、敗戦によりまして、こうしたものは解消して、すべて新しく行けばいいじゃないかということもありまするが、現在文官に対しまする恩給が厳然として存在をいたしておりまする以上は、当然これをなさねばならない。  そこで、先ほど社会党の左派の方々がこの前の恩給法改正のときに反対したのではないというようなお話がございました。これは、賛成されたか反対されたか、速記録を見ればもう明らかなことですし、また天下がすで  によく承知いたしておるのですから、これは答弁であるからここでは申し上げませんが、ただお考えを改めていただかねばならないのは、十四階級にここで分つておるのは旧軍国主義復活のようなものだということをおっしゃっておる。また、上の方に厚く下の方に薄いのだということをおっしゃっておられる。この二点につきましては、どうしても下川さんの十分なる認識をいただかねばならぬと思う。それは、先ほどお話し申し上げましたように、文官恩給きいうものは敗戦後厳として存在いたしておる。この文官恩給にはそれぞれの階級を持っておるのです。あなた方は、常に、いろいろと文官関係につきまして給与引き上げその他の指導をなさつておられるようでございまするが、恩給と申しますものは現在の給与の延長なんです。ですから、もしこの文官恩給階級というものをなくしようとお考えであるならば、現在文官が受け取つておりまする給与についての階級をあなた方は同一になさる、そうしたことの覚悟がなくして、この議論はできない。(拍手)結局、文官階級がありまする以上、恩給でありまする以上、ここに一定の階級があることは当然でございます。また、上に厚く下に薄いと、こうおつしやいますけれども、今度の改正におきましても、この前の改正におきましても、もちろん下に厚く上に薄くいたしておる。もしここで四号俸引き上げをそのまま佐官及び将官に適用いたしたといたしますならば、まだまだ大へんな区別になつたのでありまするが、佐官に対しましては三号俸しか上げておらない。将官については二号俸しか引き上げておらないのです。従いまして、文官恩給佐官及び将官恩給の比較におきましては、むしろ旧軍人の方が悪くなっておる、旧軍人が下になっておるということを御存じ願わねばならない。決して上の方を厚くいたしたのではありません。  次に、国家総動員法によりまする犠牲者について、これを恩給法上認めないのは非常に不公平だということをおっしゃっておられます。元来、恩給と申しますものは、御存じと思いまするが、公務員に対しまする給与を律したものなのであります。従って、御指摘の国家総動員法によりまする犠牲者につきましては、別途戦没者遺族援護法において処理をいたす問題であり、援護法で一定の処理がなされておることを申し上げておきます。  次に社会保障の問題でございまするが……。
  12. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 高橋君、簡単に願います。
  13. 高橋等

    高橋等君(続) 社会保障につきましては、社会保障と申しまする言葉が非常に広い意味と狭い意味とありまして、一口にこれを社会保障と言つただけでは了解が行かないのでございまするが、ただ、下に厚く上に薄くとか、あるいはまた若年停止、高額所得者に対する支給制限というようなものは、現在も織り込んでおるのでございます。恩給の本質につきまして、私たちが先ほど言いましたように、現在の給付に対する延長であるということ、公務員国家に対しまして長年にわたって自分の仕事に没頭いたしまして、そして退職後、その能力を失つたことに対しまする国家の補償であるという考え方を持っております。そういうような意味からいたしまして、社会保障につきましてはわれわれは賛成いたすことができないので、こうした法案を作つたようなわけでございます。(拍手)     〔国務大臣鳩山一郎君登壇
  14. 鳩山一郎

    ○国務大臣(鳩山一郎君) 下川さんの御質疑に対して、お答えを簡単にいたします。  民自の共同修正案提出いたしまして、政府原案を撤回した、これば国会を無視したというような御質問でありましたが、(「そんなことは聞いていない」と呼ぶ者あり)共同修正案を出したということ——国会無視というのは言葉が違つたかもしれませんが、原案を撤回したことの責任を問われたのでありまするけれども、民自の共同修正案は、大局から見て国民の是認するところのものだと、私は確信をいたしております。  次に、旧軍人恩給恩給法のワク内で律すべきものだと私は考えます。終戦後までは恩給法が適用されんおつたのを、司令部が廃止したのでありまして、決して恩給法のワク内で律しても憲法に違反することはございません。  戦争犠牲者全般についても平等に取り扱えというような御質問がありましたが、戦争犠牲者に対して、全般について平等の取扱いをするということは、現状においてはまだ財政上困難だと思いまして、ただいまのところできません。  総合整理して社会保障制度一本にまとめてはどうかというような御質疑がありましたが、恩給制度社会保障制度とはその成立の経緯についで違いがございますので、今日一本にまとめる意思はございません。  その他の御質問に対しては、他の関係閣僚から答弁をしてもらいます。(拍手)     〔国務大臣川崎秀二君登壇
  15. 川崎秀二

    ○国務大臣(川崎秀二君) ただいま総理大臣からも御答弁がありましたが、恩給法及び遺族援護法における年金等の支給は、国家補償の精神に基いたものでありますから、国民最低生活を維持することを究極の目標といたしておりますいわゆる社会保障制度とは、一応出発点としては区別されるべきものであろうと考えております。私は、戦没者、遺族等の今日置かれている現状よりいたしまして、その心情と境遇を思うとき、今回の恩給法改正は、政府原案に加えて、自由党民主党両党の熱烈なる御意見により修正を見たのでありますから、心より同意をいたしております。しかし、文官恩給との均衡がとれつつある今日では、次第にこの軍人恩給も限界に近づきつつあることを感じております。御指摘のように、国家財政に与える負担の大なること、さらに将来これが一千億をこえるようなことになりますれば、政治の総合的施策といたしましては、何らの年金給付なき一般国民のあることも忘れてはならぬと存ずるのであります。従って、軍人恩給というよりも、むしろ恩給制度全体に根本的な再検討を加えますとともに、近い将来におきまして、一般国民に対する総合的年金制度の建設に着手すること、漸次社会保障制度中心とする施策に吸収することが公平なる政治の具現であることには同感であります。従って、社会福祉行政の立場からは、近い将来におきまして、医療保険の統合と総合年金を二大指標といたしまして、万難を排する方向に努力をいた、ます。(拍手
  16. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 大蔵大臣答弁は適当な機会に願うことにいたします。受田新吉君。     〔受田新吉君登壇
  17. 受田新吉

    ○受田新吉君 ただいま上程せられました恩給法の一部改正法案に対しまして、日本社会党を代表して、提案者並びに鳩山首相以下関係大臣質疑を行いたいと存じます。  まず第一に、恩給法そのもののあり方、考え方について、政府の所見をただしたいと存じます。もともと恩給法は天皇の文武官に対する特権的措置として考慮されたもののようでありますが、現に国家並びに地方公共団体に勤務する公務員が、国民全体の奉仕者として有形無形のうちにその経済的獲得能力を犠牲にして公務に従事している、その損失を補てんするというのが恩給法の真意だと考えております。しかしながら、新しい角度から日本の公務員制度の全般を考えまするときに、民主化されだ日本の公務員制度を古い恩給法の観念で律することは大いなる矛盾が発生することをおわかりいただけると思うのであります。ことに、現在の公務員のうち高級公務員恩給法の規定を受け、新しい公務員は相互扶助の精神のもとに立つところの国家公務員共済組合法の適用を受けておるのであります。かくして、公務員立場は、古い観念と新しい感覚とが調整せられた立場より、少くともこれらの公務員に対する恩給性格を持つ諸給与国家公務員退職年金法なるものによって取りまとむべきであるとして、人事院は、去る昭和二十八年十一月十七日、政府並びに国会に対して勧告を提出したのでございます。これは国家公務員法第百八条に基くもので、注目すべき提案でありましてその案の内容を見ますると、旧官吏と雇用人による身分差を撤廃し、国家公務員全体にひとしく適用されること、健全な保険数理によって運用されること、公務員の醵出制度を明確にしていること、年金額は最終給料額に比例し勤続加算を設けること等、これらの案によりまするならば、少くとも公務員に対する退職金並びにその年金は、国の総合的観点のもとに社会保障制度的な性格を取り入れたものに発展をしているのであります。政府は、現に公務員制度調査会なるものに諮問いたしまして、その答申を求めておるようでありまするが、勧告後一年有半にわたって遅々としてその答申が政府の手元に届いていないという現状はどこにあるのか、大久保国務大臣から、この点について詳細なる現況を御報告願いたいのであります。  なお、この機会鳩山総理大臣にお尋ね申し上げたいことは、国家公務員並びに地方公務員全体を通じて給与体系の統一、一元化をはかり、いろいろな職種によるところのばらばらの給与体系を取りやめて、総合的な理論と現実に基く給与体系を打ち立てる用意はないか。また、この機会にあわせて御意見を承わりたいことは、恩給法にも直接関連を持つ非常勤の委員会制度の委員長等の給与が不当に高いところに置かれておる現状といかに是正されようとするかという点につきましても、御所見を伺いたいのであります。  なお、政府は、これらの国家公務員並びに地方公務員に対する給与並びに年金等の諸制度を、将来社会保障制度の一環として拡充強化させるために一歩前進させつつあると、川崎厚生大臣を通じていろいろな会合で申しておられるのでありますが、国民年金制度への発展強化はいかなる段階においてこれを実施されようとするか、御所見を伺いたいのであります。(拍手)  いま一つ、全般的問題として総理並びに川崎厚生大臣にお伺いしたい点があります。それは軍人恩給に対する見解であります。川崎さんは、大臣就任以来、経済的な諸団体及び国会の委員会等において、しばしば、軍人恩給公務扶助料は当然将来社会保障制度としてこれを採択すべきものであると言明されております。先ほど下川君の御質問に対しまして、川崎さんは、現段階においてはさよう考えておらぬと仰せられましたけれども、過去において、幾たびか、明らかに旧軍人恩給並びに公務扶助料社会保障制度的な性格のもので、この方向へ当然振り向けなければならぬと言明されております。いやしくも一国の国務大臣としてかく言明されておる以上は、この軍人恩給及び公務扶助料は当然社会保障のワク内に入れるべきものと政府の所見を解釈してよろしいかどうか。  いま一つの問題点は、この旧軍人恩給に関する問題といたしまして、社会保障的な性格のものと解釈をするならば、旧軍人恩給と相対応する自衛隊の今後の恩給は、これを古い形の軍人恩給として取り残すと川崎厚生大臣が仰せられたことを覚えておりまするが、この間の意見調整を新しい角度より御答弁願いたいのであります。私は、再軍備計画をお進めになられる保守党の民守党といたされましては、軍人恩給を何らかの形で残す、そのためには自衛隊の職員には新しい角度からの武官恩給を残すべきであるという御所見があることはやむを得ないと思うのでありまするが、現に日本の公務員恩給並びに年金制度はすべて文官としての立場であることを十分御検討の上、御答弁を願いたいのであります。  次に、提案者であられまする高橋さんにお伺いいたします。  あなたが御説明になられました改正案は、われわれ社会党が今考えておりまする公務死の範囲拡大、受給資格の拡大、その他遺族の範囲を広げる問題等につきましては一歩前進をしておることを認めます。しかしながら、その恩給額においては、われわれが納得し得ない点がここに明らかに示されたのであります。その第一点は、ただいま下川君よりも御指摘になられました通り、大将の恩給額は一挙に七十二万円をこえる仮定俸給が設けられておる。兵はわずかに八万円を二十円ほどくぐる低い線に置かれておる。この大いなる階級差が明瞭に示されたことは、下に厚く上に薄い考えでこの案を作つたと仰せられたその御意見とは逆に、下に薄く上に厚い。その比率を見ますると、大将から大佐の場合においては五〇%ないし四〇%の増額であり、兵並びに下士官においては三〇%前後の増額という、下に薄く上に厚い現実が現われておるではありませんか。この号俸調整並びにベース・アップにおいて、かくも大いなる矛盾を展開したことは、要するに、旧軍人階級差というものは、かつて兵隊はわずかに一カ月四円五十銭という給与の時代があったのでございます。その低い給与の時代の給与体系がそのまま現在武官の給与体系として取り残されておるのであります。階級差のはなはだしかりし昔の軍国時代がそのままの姿で今日この恩給法改正案の数字となって現われたことに対して、いかなる責任をお負いになりますか。(拍手)  われわれは現にこの恩給法改正案を数字的に現わしまするならば、一人当り、一階級差を撤廃するとするならば、四万三千円という扶助料になるのであります。四万三千円という扶助料が出されることになれば、下級者に厚く上級者に薄い観点よりこれを立論いたしまして、佐官級及び将官級は少くとも号俸調整をやるべきではなかった、削除すべきであったと思うが、高橋議員の御意見はいかがでありますか。  私たちは、公務扶助料を受ける尊い戦死者の御遺族が、わずかに三万円前後の国家支給額によってどうして生命の保持ができるかということを考えるときに、最低少くとも四万円をくぐらざる線の公務扶助料額の支給考えられて、上に振り当てられる額について、よし該当者が少数であろうとも、国民から、高額所得者である階級の高い人に莫大な恩給を付与するような印象を抹殺する責任はないか、御答弁を願いたいのであります。(拍手)  私はいま一つ高橋議員にお尋ねしたい点があります。それは文官恩給との比較であります。旧文官にして、かつて小学校長、中学校長等をなした者で、八十、九十の老齢にして今日四万円、五万円の恩給を取つているにすぎない人々があります。老後、余命幾ばくもないこの人々は、武官に比較してもはるかに低い線で恩給をもらつておるのであります。この文官の低い線の不均衡、すなわち、昭和二十三年六月以前の退職公務員のあまりに悲惨なる姿を、文武官の調整の立場から、いかがお考えになっておられるか。文官に接近するために武官恩給考えるという御提案であったようでありますが、すでに文官の方が武官より下回っているという現状を御確認になるのでございますかどうか、お伺いいたしたいのであります。  さて、次に政府に対して重ねて本提案に対する御質問をいたしたいと思います。川崎厚生大臣は、援護法及び恩給法の関連から、援護法の中にどうしても取り入れなければならない戦争犠牲者を、少くともこの機会に法的措置によって守らせると、しばしば仰せられておつたのでありますが、この提案によって、十全満足されるような援護法の改正考えられておるかどうか、ことに、学徒動員もしくは国家総動員法に基くいろいろな動員者、従軍看護婦、警察官等で国家の意思のもとに動かされた人々が、この恩給法の恩典に浴することなく、援護法においてすら恩典に浴していないこの現状をいかに救済ようとしておられるか、御所見を伺いたいのであります。同時に、援護法と恩給法との関係において、援護法に吸収された該当者はそつくり恩給法の適用者としてこれを転換させるという、これが本筋ではないかというわれわれは意見を持っておるものでありますが、川崎厚生大臣は依然として恩給法援護法の二本建がよろしいとお考えになられるかいなかを御答弁願いたいのであります。  さらに、大久保国務大臣に伺いたいのでありますが、大久保国務大臣は、給与担当の国務大臣として、国家公務員共済組合法、あるいは厚生年金保険法、援護法、恩給法等のいろいろな法律によって、その扶助料支給される対象の遺族が、十八才未満の未成年者、六十才以上の父母とか、あるいは恩給法に規定するごとき二十才未満の未成年者、六十才に足らなくても父母があればよろしいとか、その範囲がばらばらになっておりますが、この遺族の範囲の統一解釈をやりまして、最も有利な条件のもとにこれを取りまとめるという考え方が、給与体系を打ち立てるのには正しいとお考えにならないか、御答弁を願いたいのであります。  私は、さらにこの機会政府に対して見解をただしたい一、二の点をお尋ねいたしまして、質問を終ります。  昭和二十八年改正恩給法附則には未帰還公務員の規定がありまして、未帰還期間を通じて十七年に達した者は普通恩給支給せられることになっておりますが、しかし、これらの人々は、若年停止規定によって、事実上恩典を受けておらないのであります。また、未帰還公務員死亡した場合の遺族扶助料支給死亡判明の日の属する翌月となっているのでありますが、政府の調査の慎重のため、あるいは現地調査困難なために、実際死亡の日より数年もおくれてこれが確認せられ、あるいは今後さらに長期にわたって死亡確認がおくれることが予想されるのであります。この間死亡者として当然受くべき特典を剥奪する結果となるのでありまするから、これらの人々に対する有利な改正は、予算上の考慮もごく簡単であると考えまするので、即時措置すべきであると思いまするが、いかがでありまするか。目下、日ソ交渉に、引揚げ問題をまず第一にお掲げになって努力しておられることをよく承知しておりまするが、その政府といたしましては、長い間不安定な生活に終始しておるこれら未帰還公務員及びその家族の方々の上にあたたかい心づかいをお寄せになって、常に細心の注意を払つた法的措置を講せらるべきであると思いまするが、御所見を伺いたいのであります。     [「時間だ」と呼び、その他発言する者多し〕
  18. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 受田君、申し合せの時間が参りましたから簡単に願います。
  19. 受田新吉

    ○受田新吉君(続) 最後に、当然恩給法上の待遇に浴すべき者が、外国人に身分上の変更がされたためにその適用より除外されていることに対して、外務大臣並びに関係国務大臣にお伺いしたいと思います。すなわち、戦時中日本軍人として公務に服し、そのため日本軍人として戦死した、恩給法においては明らかに公務死亡者である者の遺族が、昭和二十七年四月二十八日、サンフランシスコ条約によって日本の独立が認められた機会に、北鮮を含めます韓国及び台湾は日本から離れたために、日本に国籍を有せざるものとして、援護法、恩給法上の特権を一切認められないのであります。従って、終戦後も引き続き日本国内に住居を有して、従来と変らざる生活環境にあるこれら遺族が、外国人となつたために、大切な子供と夫を日本軍人として捧げながら、何らの給与も日本国家から受けることができず、路頭に迷うている姿は、国際親善の上からも人道上からも許すことのできない現状であります。(拍手)ことに、日本軍人として軍務に服し傷病の身となつ人々が、日本国の責任におけるその治療の処遇も受けず、傷病年金、増加恩給も受けることができず、列車内等で悲痛な叫びをしているその姿は、これを聞く者をして日本国家は何をしておるのかと嘆かしめているではありませんか。現に、米国や仏国等においては、刑罰その他の規定を除けば、国籍離脱の場合においても例外なく当然遺族扶助料支給せられておるのであります。日本政府は、恩給法上の扶助料受権者であるこれら外国人に対して、その支給をなぜいたさないのであるか。国際的関係に大いなる支障があるのであるか。あるいは賠償関係に結びつけようとしているのであるか。いずれにいたしましても、これらの方々に対するあたたかい思いやりのある措置について御答弁を願いたいのであります。  以上、ごく簡単でありましたけれども、要点をつかんで、提案者並び政府関係閣僚にその御答弁を願いたいと思います。(拍手)     〔国務大臣鳩山一郎君登壇
  20. 鳩山一郎

    ○国務大臣(鳩山一郎君) 御質問に対しましては、関係閣僚から大体答弁してもらいます。  私に対して特に給与体制を打ち立てる用意があるのかという御質問がありました。御質問の中にありましたように、恩給法は、公務に従事した在職中に失つた経済上の損失の補てん、そういう趣旨からできておることは、御質問者と同じ考え方であります。社会保障制度は、これに反して、最低生活の保障というわけでありますから、こういうような給与体制が根本において違つた考え方から出ておりまするから訂正すべきことはたくさんあると思います。それでありますから、給与体制ついては、公務員制度調査会におきまして目下検討中でありまするから、その答申を得まして、慎重に検討して参りたいと思います。(拍手)     〔国務大臣大久保留次郎君登壇
  21. 大久保留次郎

    ○国務大臣(大久保留次郎君) 恩給制度社会保障制度を一本にしたならばどうかというお尋ねでありますが、これは、先ほど論議せられました通り、その性格が違つておりまするので、将来はいざ知らず、ただいまにおいては、一本化することは困難と存じます。  非常勤職員の問題についてお尋ねがございましたが、非常勤職員は、将来の処遇といたしまして、なるべく常勤職員にかえることが一つの方針であります。なお、もう一つの方針といたしましては、有給休暇を与える、つまり、休んでも給料を払うという有給の休暇を与えようかと存じまして、目下研究中でございます。  自衛隊の職員に対しましての恩給の問題でありますが、目下、自衛隊の一般職員に対しましては、普通文官と同様の恩給支給することになっております。ただ、自衛官につきましては、警察官と同様の恩給支給することになっておるのであります。この点を御了承願いたいと存じます。  その次に、遺族の範囲を一定したらどうかというお話でございますが、これは、恩給法あるいは援護法、おのおのその法の性格が違つておりますために、多少範囲が違つております。これはあまりいいことではございませんが、法の性質上やむを得ないと存じます。将来の研究問題であると存じます。  その次に、未帰還公務員の留守家族に給する普通恩給について若年停止をしておるのはどうかというお話でございまするが、これは、私は、今質問された方の言う通り、将来の研究問題であると存じます。  最後に言われました、外国人、特に朝鮮人あるいは台湾人で日本の軍人となつた者に対しての恩給の問題でありまするが、これは平和条約の成立前までは恩給の一部を給しておったのでありますが、平和条約の成立と同時に日本人の国籍がなくなつたのであります。日本人でなくなつたのであります。恩給法の建前として、日本人でなければ恩給給与することができない建前になっておりまするので、遺憾ながら、ただいまは給与しておりません。  以上申し上げておきます。(拍手)     〔国務大臣川崎秀二君登壇
  22. 川崎秀二

    ○国務大臣(川崎秀二君) まず第一に、遺族援護法と恩給法を一本化する意思はないかという御質問であったと思うのであります。恩給法公務扶助料及び傷病恩給遺族援護法における遺族年金及び障害年金は、いずれも国家補償の精神に基いて戦傷病者または戦没者の遺族に対して支給されている点は同様であります。しかし、恩給法は、同法に定められておりまする公務員及びその遺族を対象とするものであり、遺族援護法は、現在は主として恩給法の対象となっていない、いわゆる雇用人、軍属、船舶運営会の船員及びその遺族を対象といたしまして、社会保障的見地から給付を行わんとするものでありますから、従って、対象が異なっており、性格も異なっておる以上、これを直ちに一本化するということは困難だと思っております。  それから、一般犠牲者に対してまで遺族援護法による給付を行えということでございますが、これは御承知の通り、これまた戦争中における処遇関係がありまして、今日までは、制度として学生その他一般犠牲者に対する支給をしないことの建前になっております。従って、戦時中このような国家犠牲なつ人々に対しては弔慰金支給しておりますので、年金までは、国家財政が持ちませんから、今日の段階としては、これを支給するわけには参らないのであります。  この社会保障制度にからみまして、種々突つ込んだ御意見があったと思うのでありますが、私は、今日の旧軍人恩給並びに遺家族補償は、今まで非常に不十分でありましたから、この法の改正によりまして、また予算の給付によりまして、相当十分に行き渡るものと思います。そこで、一応限界点に近づいてきたならば、恩給制度の再検討を行いたい。民主党においても恩給制度改正委員会なるものを作られて検討中でありますから、来年までには十分な答案も出ることと存じます。これと並行いたしまして、厚生省におきましては、社会保障の六カ年計画を樹立いたしまして、総合年金制度の着手にかかりたいと思っております。その時期でありますが、これは医療保障の体制がやはり完成いたしませんと、総合的恩給制度に今直ちに着手することがはなはだ困難な実情にあります。しかし、それらの困難をも冒しつつ、なおこのことに着手したいというのが私どもの念願でありまして、ことに、アメリカやスエーデンにおける最近の傾向を見ますと、年金制度の中にすべてのものを吸収していこうという考え方が非常に強くなっております。恩給というものは社会保障制度のウィングである芝いうことが、今日社会保障一般的学問の中からは樹立されておるのでありまして、そのような意味合いから、近年アメリカやスエーデン等において行われておる、たとえば応召によって戦役に従事したる軍人が、年金によって補償されておる分と恩給によって受ける分との差額を引いて支給されておるというような考え方を十分にくみ取つて、この方向に向つて日本が努力をする。すなわち、年金制度が最後の頂点であるというふうな考えをいたしておるような次第でございます。(拍手)     〔高橋等登壇
  23. 高橋等

    高橋等君 受田君の御質問にお答えいたします。  佐官将官等がかえつて厚く、下の方に非常に薄い、こういう御質問に対しましては、先ほどお答えを申し上げました通り文官と比較をいたしますと、同じ状況にある佐官及び将官はこのたびの改正で低くなっておることを御了承願いたい。  それから、それを平均して下の方に全部すると四万三千円になるとおつしやいますが、これは、この改正引き上げになります金額八千五百円、さらにそれ以上に八千円の引き上げになるとおつしやいます根拠につきましては、私は了解に苦しみます。もう少し計算をいたさなければならぬと思います。それから、昭和二十三年の六月以前の文官との関係で、この改正によって、かえつて旧軍人の方が高くなつたじゃないかというようなお考えでございますが、これはそうしたことはございません。むしろ、この点は同じような条件でやつて参っておるのであります。ただ、昭和二十三年六月以前の文官につきましては、その基本的な当時の給与というものが低かった。それ以後において急激に基本的給与が上つたのであります。その関係上、それ以後の文官と比較して、恩給上非常にお気の毒な問題が生じております。そういう意味からいたしまして、これは、先ほど御指摘のような意味合いでなしに、別途な観点から、われわれといたしましても、早急に二十三年六月以前の文官につきましては考慮を払わねばならないものと考えております。   [政府委員園田直君登壇
  24. 園田直

    政府委員(園田直君) 朝鮮及び台湾出身の戦争犠牲者に対して十分同情を持ってこれが解決を考慮すべしという御趣旨には全く同感でありまして、ただ、その手統問題としては、平和条約の命ずるところに従いまして、各国との間に特別取りきめをやることになっておりまして、韓国との間は、御承知のごとく、一昨年の日韓会談の際、条約の規定に従い対日請求権の一部として提出をされましたが、これが不調に終つております。台湾人については、日華間の平和条約第三条にも同様の趣旨が規定してございまするが、今なお特別の取りきめが、話し合いができませずに、扶助料あるいは年金等が支出されておらなかったありさまでございまして、今後の折衝に当つては、十分御趣旨を尊重して、その実現をはかりたいと考えております。(拍手
  25. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) これにて質疑は終了いたしました。      ————◇————— 第一、昭和三十年四月及び五月の凍霜害水害等被害農家に対する資金融通に関する特別措置法案内閣提出
  26. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 日程第一、昭和三十年四月及び五月の凍霜害水害等被害農家に対する資金融通に関する特別措置法案議題といたします。委員長の報告を求めます。農林水産委員会理事中馬辰猪君。     [中馬辰猪君登壇
  27. 中馬辰猪

    ○中馬辰猪君 ただいま議題と相なりました、内閣提出昭和三十年四月及び五月の凍霜害水害等被害農家に対する資金融通に関する特別措置法案につきまして、農林水産委員会における審議の経過並びに結果につき概要を御報告申し上げます。  御承知のごとく、本年四月には、福島県、宮城県その他に凍霜害が、また北九州、北海道等に豪雨による水害がありました。次いで、翌五月にも、雹害、凍霜害水害等により、各地に農作物その地に甚大な損失を与えたのであります。従いまして、政府といたしましては、これら被害農家の農業経営の維持安定をはかりますため、昨年におきまする凍霜害等の場合にとりましたと同様の措置によりまして、融資総額四億五千万円を限度といたしまして、営農資金を低利かつ円滑に融通することといたし、あわせて、これら被害農家が前年度までに貸付を受けた同種の経営資金につきましても、必要によりその償還期限を延長し得るよう所要の措置を講ずることといたし、ここに本法案提出せられたのであります。  本法案は、本月十四日農林水産委員会に付託せられ、二十二日農林政務次官から提案理由説明を聴取の上、質疑に入り、翌二十三日の二日間にわたり慎重に検討いたし、この間、各委員から活発な御発言がございました。詳細は速記録に譲りたいと存じますが、特に社会党の淡谷委員からは、五月における青森県下の凍霜害による被害農家に対する、また同じく芳賀委員からは、五月における北海道地方の水害による被害農家に対する資金融通の規定が明確でない点を指摘せられたのであります。なおまた、私から、六月に入ってからも鹿児島県等を中心とする南九州における豪雨による被害があり、これについても本法による特別措置を受け得るものとなすべき旨の強い要望をいたしましたところ、政府から、六月被害については被害額が明らかになるのを待って善処いたしたい旨の答弁がありました。  次いで、淡谷委員から、五月における凍霜害については、これを条文に明記するとともに、同月の水害による被害農家の耕作上の損失に対して資金融通を行うことを内容とする修正案提出せられたのであります。  二十三日、質疑終了後、討論を省略して採決に入り、まず修正案について採決をいたし、全会一致をもって可決、続いて修正部分を除く政府原案について採決、これまた全会一致をもって可決いたしました。よって本法案修正案のごとく修正すべきものと決しました。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  28. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 採決いたします。本案の委員長の報告は修正であります。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。     [「異議なし」と呼ぶ者あり]
  29. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって本案は委員長報告の通り決しました。      ————◇————— 経済審議庁設置法の一部を改正する法律案内閣提出建設省設置法の一部を改正する法律案内閣提出参議院送付
  30. 長谷川四郎

    ○長谷川四郎君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、内閣提出経済審議庁設置法の一部を改正する法律案建設省設置法の一部を改正する法律案、右両案を一括議題となし、この際委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  31. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 長谷川君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  32. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって日程は追加せられました。  経済審議庁設置法の一部を改正する法律案建設省設置法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。内閣委員会理事高橋禎一君。     〔高橋禎一君登壇
  33. 高橋禎一

    ○高橋禎一君 ただいま議題となりました二つの法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過並びに結果を簡単に御報告申し上げます。  まず、経済審議庁設置法の一部を改正する法律案について申し上げます。  本案は、わが国の経済自立と完全雇用を目的とする経済六カ年計画の推進を確保するため、経済審議庁の任務と権限を拡張するとともに、その機構を整備しようとするものであります。  内容のおもなるものは次の三点に要約されます。第一は、審議庁の任務に長期経済計画の推進を加え、単に計画を策定するのみでなく、これを積極的に推進することを基本的任務としようとするのであり、第二は、右に伴い、その権限を強化したことであります。すなわち、長期経済計画の策定並びにその計画等に関する関係行政機関の事務の総合調整を行うことを権限のうちに加えるとともに、総合調整を行う手段としまして、長官は、長期経済計画の策定及び推進のため必要があるときは関係行政機関の長に対し必要な資料の提出及び説明を求めることができ、さらに長期経済計画の推進のため特に必要がある場合には重要な政策及び計画の立案について関係行政機関の長に必要な勧告を行うことができることといたしております。第三は、経済審議庁の名称を経済企画庁に改め、総務部を長官官房とし、計画部から国土総合開発事務を分離して新たに開発部を設け、計画部には、新たに原子力室を設けまして、原子力の経済的利用に関する総合調整事務を処理せしむることといたしております。なお、本改正に伴いまして、関係法令の改正を行うとともに、読みかえ規定を設けております。  本案は五月十四日当委員会に付託され、政府説明を聞いた後、商工委員会とも連合審査会を開き、熱心に質疑が行われ、六月二十五日に至りまして討論に入りましたところ、両派社会党を代表して田原委員より、単に経済に関するものに限ることなく、すべての国政について総合的な企画を行い、これを推進する機関を設置すること、並びに、これに伴つて国の予算の編成権を内閣総理大臣の直轄下に置くことが一そう望ましきものである等の希望を付して、賛成の意見が述べられたのであります。内容の詳細については会議によって御承知を願います。  採決の結果、全会一致をもって原案通り可決いたしました。  次に、建設省設置法の一部を改正する法律案について申し上げます。  本案は、建設省の所掌事務及び権限規定の整備等を行おうとするものであります。すなわち、第一に、住宅対策の拡充強化のため、宅地の利用の調整のほか、宅地制度そのものについても調査、企画を行うものとすること、第二に、賠償関係事務の増加に伴い、賠償及び国際協力に関する規定を整備すること、第三に、統計事務を強化するため、指定統計の実施及び業務統計の総合調整事務を大臣官房に統一的に行わしめること、第四に、受託工事並びに試験研究の範囲及び対象を拡充すること、第五に、建設省の所管に属する建設工事用機械の貸付等に関する規定を設けること等であります。  本案は、五月十九日予備審査のため本委員会に付託され、政府説明を聴取し、六月二十二日本付託となりましたので、本日質疑を終了し、討論を省略、採決の結果、全会一致をもって原案通り可決いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  34. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 両案を一括して採決いたします。両案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  35. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって両案は委員長報告の通り可決いたしました。      ————◇—————へん特別会計法案内閣提出輸入品に対する内国消費税徴収等に関する法律案内閣提出国税徴収法の一部を改正する法律案内閣提出たばこ専売法等の一部を改正する法律案内閣提出
  36. 長谷川四郎

    ○長谷川四郎君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、内閣提出、あへん特別会計法案輸入品に対する内国消費税徴収等に関する法律案国税徴収法の一部を改正する法律案たばこ専売法等の一部を改正する法律案、右四案を一括議題となし、この際委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  37. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 長谷川君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  38. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって日程は追加せられました。  あへん特別会計法案輸入品に対する内国消費税徴収等に関する法律案国税徴収法の一部を改正する法律案たばこ専売法等の一部を改正する法律案、右四案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。大蔵委員長松原喜之次君。     〔松原喜之次君登壇
  39. 松原喜之次

    ○松原喜之次君 ただいま議題となりました、あへん特別会計法案外三法律案につき、大蔵委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  あへん特別会計法案は、政府があへん法の規定により行うアヘンの収納、輸入または売り渡しの事業に関する経理を一般会計と区分して行うため、新たにあへん特別会計を設置しようとするものであります。  次に、この法案の内容について概略申し上げますと、この会計におきましては、一般会計からこの会計に引き継がれるアヘンの金額及び一般会計からの繰入金に相当する金額をもってその資本とし、アヘンの売り渡し代金、一般会計からの繰入金、ケシの栽培許可に関する手数料及び付属雑収入をもって歳入とし、アヘンの収納または輸入代金、事務取扱い費、災害補償金、都道府県への交付金、一時借入金の利子その他の諸費をもって歳出とし、その他この会計の予算及び決算の作成並びにその提出に関する手続等、特別会計に必要な事項を規定いたしております。  次に、輸入品に対する内国消費税徴収等に関する法律案について申し上げます。     〔議長退席、副議長着席]  本法律案は、従来保税地域以外の場所から輸入する物品に対する内国消費税徴収等については規定していた酒税等の徴収に関する法律の規定を全面的に整備するとともに、外交官が輸入する物品等、関税を免除される輸入物品に対して内国消費税を免除する規定を設けるほか、輸入物品に対する内国消費税の賦課徴収等について規定の明確化をはかろうというのであります。  次に、国税徴収法の一部を改正する法律案について申し上げます。  本法律案は、国税の延滞加算税額及び利子税額を計算する場合の率は、現行日歩四銭となっておりますが、最近の金利の水準等に顧み、これをそれぞれ日歩三銭に改めるとともに、過誤納の国税の還付金等に付する還付加算金の率につきましても同様日歩三銭に引き下げることとするほか、国税以外の公課について徴収する延滞金の率も、現行の日歩八銭から日歩六銭に引き下げようというのであります。  以上三法律案につきましては、大蔵委員会に付託されて以来、慎重審議を重ねました後、本日六月二十五日質疑を終了し、討論を省略して採決いたしましたところ、全会一致をもって三法律案とも原案通り可決いたしました。  次に、たばこ専売法等の一部を改正する法律案について申し上げます。  この法案は、まず、日本専売公社の売り渡す製造タバコの小売価格中には、それぞれ道府県及び市町村タバコ消費税の百分の六及び百分の九を含むことを明らかにし、またタバコ小売人の災害補償につきまして酒税、物品税等の場合と均衡をはかるため火災を災害に加える等、災害補償の範囲を拡げることとするほか、所要の規定の整備をはかつております。次に、製造タバコの定価の決定又は改定に関する法律の一部を改正して、日本専売公社製造タバコ価格表中、葉巻タバコ、アストリアの型式を改めることとしております。  本法案につきましては、去る六月十六日、民主党の内藤友明委員より修正案提案いたされました。修正案の内容は、過日の民主、自由両党による予算修正に伴う国税の減税措置によって生ずべき昭和三十一年度以降の地方交付税額の減少分を補てんするために、原案において製造タバコの小売定価の百分の六となっておりました道府県タバコ消費税につきまして、これを百分の八に改めようとするものであります。  本案は、本日質疑を終了し、討論を省略して直ちに採決いたしましたところ、内藤君提出修正案並びにその修正部分を除く原案はいずれも起立総員をもって可決され、よって本案修正議決いたされました。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  40. 杉山元治郎

    ○副議長(杉山元治郎君) 四案を一括して採決いたします。四案のうち、たばこ専売法等の一部を改正する法律案の委員長の報告は修正でありまして、その他の三案の委員長の報告は可決であります。四案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  41. 杉山元治郎

    ○副議長(杉山元治郎君) 御異議なしと認めます。よって四案は委員長報告の通り決しました。      ————◇————— 補助金等臨時特例等に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出、第五〇号)補助金等臨時特例等に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出、第九一号)
  42. 長谷川四郎

    ○長谷川四郎君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、内閣提出補助金等臨時特例等に関する法律の一部を改正する法律案(第五 ○号)、補助金等臨時特例等に関する法律の一部を改正する法律案(第九一号)、右両案を一括議題となし、この際委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  43. 杉山元治郎

    ○副議長(杉山元治郎君) 長谷川君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  44. 杉山元治郎

    ○副議長(杉山元治郎君) 御異議なしと認めます。よって日程は追加せられました。  補助金等臨時特例等に関する法律の一部を改正する法律案(五〇号)、補助金等臨時特例等に関する法律の一部を改正する法律案(九一号)、右両案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。補助金等の整理等に関する特別委員長伊東岩男君。     〔伊東岩男君登壇
  45. 伊東岩男

    ○伊東岩男君 ただいま議題となりました補助金等臨時特例等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず、補助金等臨時特例等に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出、第五〇号)について申し上げます。  本案は、御承知のごとく、さきに暫定予算に伴い六月三十日まで延長したその有効期間を、さらに昭和三十一年三月三十一日まで延長せんとするものであります。  委員会において特に論議されました点について簡単に御紹介いたしますならば、第一に、昨年当分の間として提出した法案を、国会が向う一カ年とし時限立法として修正したのであるが、何ゆえ政府はさらに一カ年の延長を求めてきたかという点でありますが、これに対し、政府は、国家財政の規模の圧縮等の理由により、これらの必要性は昨年の事情と少しも変つていないばかりでなく、一そうその必要を増したものと考えるとのことでありました。第二に、この法律により自主的な地方財政の整備に役立つといわれながら、補助金の整理によって地方は負担が増加し、一部では寄付金によってまかなっているところさえある、またこういう臨時措置によって地方の再建整備ができるかという質疑がありましたが、これに対し、政府は、今までの補助金によるひもつきはやめて、自主的な一般財源により地方独自の重点的、自主的な使途を講ずるよう交付税として財源を回しているので、地方関係一般財源はだんだんと充実しているとの答弁がありました。第三に、また、新たに就学する学童に対する教科書の無償配付制について、政府としての所見及び来年度におけるこれに対する補助の取扱いについてただされたのでありますが、これに対し、文部大臣より、無償配付制については、これが実施について努力したが、今年度は昨年度と同様の理由で実施し得なかったことははなはだ遺憾に思うが、来年度にはぜひ実現するよう努力する旨の答弁があり、武蔵当局よりも、この趣旨に沿うよう慎重検討する旨の答弁がありました。  次に、補助金等臨時特例等に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出、第九一号)について申し上げます。  本案は、国立公園法に基く補助金を、新たに昭和三十年度に限りこれを停止すること、及びその他若干の条文の整理を内容としているものであります。  本案に対する質疑のおもなる点は、第一に、補助金の停止による国立公園の施設整備等について支障を来たしはしないかという点でありますが、この点については、従来、この種の事業については、国で行うもの、地方公共団体で行うもの及び民間において行うものの三本立となっているので、補助金の停止によって地方公共団体における自主的財源の確保をはかるとともに、漸次国の直轄事業を増強していく方針を進めたいとの答弁がありました。また、第二に、国立公園として新たに指定した地区に対しては、単に指定にとどまらず、経費等の面でこれを充実せしむるような措置をとるべきであるとの質問に対しましては、この種事業に対する費用は、新指定公園の優先的に行うような方法をとらず、国立公園全般を見て配分するようにしており、現在厚生省等においても当分新指定の予定もないようであるが、国立公園の問題は外客誘致の見地からもきわめて重要であるので、なるべく支障のないように補うていきたいとの答弁がありました。その詳細は速記録に譲ります。  本日、委員会は、討論を省略し、両案を一括して採決をいたしました結果、多数をもって原案通り可決すべきものと決定いたした次第でございます。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  46. 杉山元治郎

    ○副議長(杉山元治郎君) 両案を一括して採決いたします。両案の委員長の報告はいずれも可決であります。両案を委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  47. 杉山元治郎

    ○副議長(杉山元治郎君) 起立多数。よって両案とも委員長報告の通り可決いたしました。本日はこれにて散会いたします。     午後二時五十九分散会