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1955-06-07 第22回国会 衆議院 本会議 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年六月七日(火曜日)     —————————————  議事日程 第二十三号   昭和三十年六月七日     午後一時開議  第一 千九百三十六年の危険薬品不正取引の防止に関する条約の批准について承認を求めるの件     ————————————— ●本日の会議に付した案件  一萬田大蔵大臣戒告決議案山下榮二君外三名提出)は委員会審査を省略し議事日程に追加して直ちに上程すべしとの動議山下榮二提出)  昭和三十年度一般会計予算  昭和三十年度特別会計予算  昭和三十年度政府関係機関予算  予算委員長辞任の件     午後八時九分開議
  2. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) これより会議を開きます。      ————◇—————  一萬田大蔵大臣戒告決議案山下榮二君外三名提出)は委員会審査を省略し議事日程に追加して直ちに上程すべしとの動議山下榮二提出
  3. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 山下榮二君から、一萬田大蔵大臣戒告決議案委員会審査を省略し議事日程に追加して直ちに上程すべしとの動議提出されました。よって本動議採決いたします。この採決記名投票をもって行います。山下提出動議に賛成の諸君白票、反対の諸君青票を持参せられんことを望みます。閉鎖。  氏名点呼を命じます。     〔参事氏名点呼〕     〔各員投票
  4. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 投票漏れはありませんか。——投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖開匣開鎖。  投票を計算いたさせます。     〔参事投票を計算〕
  5. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 投票の結果を事務総長より報告いたさせます。     〔事務総長朗読〕  投票総数 三百七十   可とする者(白票)  百三十一     〔拍手〕   否とする者(青票) 二百三十九     〔拍手
  6. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 右の結果、山下提出動議は否決されました。(拍手)     —————————————  山下榮二提出動議を可とする議員氏名    阿部 五郎君  青野 武一君    赤路 友藏君  赤松  勇君    茜ケ久保重光君 足鹿  覺君    飛鳥田一雄君  有馬 輝武君    淡谷 悠藏君  井岡 大治君    井谷 正吉君  石田 宥全君    石橋 政嗣君  石村 英雄君    石山 權作君  稻村 隆一君    岡本 隆一君  加賀田 進君    片島  港君  勝間田清一君    上林與市郎君  神近 市子君    川村 継義君  河野  正君    北山 愛郎君  久保田鶴松君    栗原 俊夫君  小松  幹君    五島 虎雄君  佐々木更三君    佐藤觀次郎君  櫻井 奎夫君    志村 茂治君  下川儀太郎君    下平 正一君  鈴木茂三郎君    田中織之進君  田中 武夫君    田中 稔男君  多賀谷真稔君    高津 正道君  滝井 義高君    楯 兼次郎君  中村 英男君    西村 力弥君  野原  覺君    芳賀  貢君  長谷川 保君    原   彪君  古屋 貞雄君    帆足  計君  穗積 七郎君    細迫 兼光君  正木  清君    三鍋 義三君  森 三樹二君    森島 守人君  森本  靖君    八百板 正君  八木 一男君    八木  昇君  安平 鹿一君    柳田 秀一君  山口丈太郎君    山田 長司君  山花 秀雄君    山本 幸一君  横錢 重吉君    横路 節雄君  横山 利秋君    和田 博雄君  渡辺 惣蔵君    淺沼稻次郎君  井上 良二君    伊瀬幸太郎君  伊藤卯四郎君    池田 禎治君  稲富 稜人君    今澄  勇君  今村  等君    大西 正道君  岡  良一君    春日 一幸君  神田 大作君    川俣 清音君  河上丈太郎君    木下  哲君  菊地養輔君    小平  忠君  小牧 次生君    河野  密君  佐々木良作君    佐竹 新市君  佐竹 晴記君    杉村沖治郎君  杉山元治郎君    鈴木 義男君  田中幾三郎君    田中 利勝君  田原 春次君    田万 廣文君  竹谷源太郎君    戸叶 里子君  堂森 芳夫君    中井徳次郎君  中居英太郎君    中崎  敏君  中島  巖君    中村 高一君  西尾 末廣君    西村 彰一君  日野 吉夫君    平岡忠次郎君  平田 ヒデ君    細田 綱吉君  前田榮之助君    松井 政吉君  松尾トシ子君    松岡 駒吉君  松平 忠久君    松前 重義君  松本 七郎君    三宅 正一君  三輪 壽壯君    門司  亮君  矢尾喜三郎君    山口シヅエ君  山下 榮二君    吉田 賢一君  石野 久男君    久保田 豊君  否とする議員氏名    阿左美廣治君  赤城 宗徳君    赤澤 正道君  秋田 大助君    芦田  均君  有田 喜一君    有馬 英治君  安藤  覺君    安藤 正純君  五十嵐吉藏君    伊東 岩男君  伊東 隆治君    池田 清志君  池田正之輔君    石坂  繁君  石橋 湛山君    今井  耕君  今松 治郎君    宇田 耕一君  宇都宮徳馬君    植原悦二郎君  植村 武一君    臼井 莊一君  小笠 公韶君    小川 半次君  大石 武一君    大久保留次郎君 大倉 三郎君    大高  康君  大橋 忠一君    大村 清一君  大森 玉木君    岡崎 英城君  荻野 豊平君    加藤常太郎君  上林山榮吉君    亀山 孝一君  唐澤 俊樹君    川崎五郎君  川崎 秀二君    川島正次郎君  菅  太郎君    菅野和太郎君  木崎 茂男君    木村 文男君  菊池 義郎君    岸  信介君  北村徳太郎君    吉川 久衛君  清瀬 一郎君    草野一郎平君  楠美 省吾君    小泉 純也君  小枝 一雄君    小島 徹三君  河野 一郎君    高村 坂彦君  纐纈 彌三君    佐伯 宗義君  櫻内 義雄君    笹本 一雄君  笹山茂太郎君    薩摩 雄次君  志賀健次郎君    椎熊 三郎君  椎名悦三郎君    椎名  隆君  重政 誠之君    島村 一郎君  須磨彌吉郎君    杉浦 武雄君  砂田 重政君    世耕 弘一君  田中 彰治君    田中 龍夫君  田中 久雄君    高岡 大輔君  高木 松吉君    高碕達之助君  高瀬  傳君    高橋 禎一君  高見 三郎君    竹内 俊吉君  竹山滋太郎君    千葉 三郎君  辻  政信君    渡海元三郎君  徳田與吉郎君    床次 徳二君  内藤 友明君    中川 俊思君  中嶋 太郎君    中曽根康弘君  中村 梅吉君    中村庸一郎君  中山 榮一君    長井  源君  夏堀源三郎君    並木 芳雄君  楢橋  渡君    南條 徳男君  月羽 兵助君    根本龍太郎君  野田 武夫君    野依 秀市君  長谷川四郎君    鳩山 一郎君  花村 四郎君    濱野 清吾君  早川  崇君    林   博君  原  捨思君    平塚常次郎君  廣川 弘禪君    廣瀬 正雄君  福田 赳夫君    藤枝 泉介君  藤本 捨助君    淵上房太郎君  古井 喜實君    古島 義英君  保科善四郎君    坊  秀男君  星島 二郎君    堀内 一雄君  本名  武君    眞崎 勝次君  眞鍋 儀十君    前田房之助君  牧野 良三君    松浦周太郎君  松浦 東介君    松岡 松甲君  松澤 雄藏君    松田竹千代君  松田 鐵藏君    松永  東君  松本 瀧藏君    三浦 一雄君  三木 武夫君    三木 武吉君  三田村武夫君    村松 久義君  粟山  博君    森   清君  森下 國雄君    山口 好一君  山手 滿男君    山村新治郎君  山本 勝市君    山本 粂吉君  山本 正一君    山本 猛夫君  山本 利壽君    横井 太郎君  米田 吉盛君    亘  四郎君  相川 勝六君    達澤  寛君  愛知 揆一君    青木  正君  荒舩清十郎君    生田 宏一君  池田 勇人君    石井光次郎君  犬養  健君    植木庚子郎君  内田 常雄君    内海 安吉君  小笠原三九郎君    越智  茂君  緒方 竹虎君    大島 秀一君  大坪 保雄君    大野 市郎君  大橋 武夫君    太田 正孝君  奧村又十郎君    加藤 精三君  加藤鐐五郎君    鹿野 彦吉君  川野 芳滿君    川村善八郎君  木村 俊夫君    北澤 直吉君  久野 忠治君    熊谷 憲一君  倉石 忠雄君    小平 久雄君  小林  郁君    小林かなえ君  小山 長規君    佐藤 榮作君  周東 英雄君    鈴木 善幸君  鈴木 直人君    薄田 美朝君  瀬戸山三男君    關谷 勝利君  田口長治郎君    田子 一民君  田中伊三次君    田中 正巳君  田村  元君    高橋  等君  竹尾  弌君    中馬 辰猪君  塚田十一郎君    塚原 俊郎君  徳安 實藏君    中垣 國男君  中山 マサ君    仲川房次郎君  灘尾 弘吉君    二階堂 進君  野澤 清人君    野田 卯一君  馬場 元治君    畠山 鶴吉君  八田 貞義君    林  讓治君  原 健三郎君    福井 順一君  福井 盛太君    福永 一臣君  福永 健司君    船田  中君  古川 丈吉君    保利  茂君  前尾繁三郎君    南  好雄君 山口喜久一郎君    山崎  巖君  山下 春江君    山中 貞則君  横川 重次君    吉田 重延君  渡邊 良夫君    堤康 次郎君      ————◇—————  昭和三十年度一般会計予算  昭和三十年度特別会計予算  昭和三十年度政府関係機関予算
  7. 長谷川四郎

    長谷川四郎君 議事日程追加緊急動議提出いたします。すなわち、昭和三十年度一般会計予算昭和三十年度特別会計予算昭和三十年度政府関係機関予算、右三件を一括議題となし、この際委員長報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  8. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 長谷川君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって日程は追加せられました。  昭和三十年度一般会計予算昭和三十年度特別会計予算昭和三十年度政府関係機関予算、右三件を一括して議題といたします。委員長報告を求めます。予算委員長牧野良三君。     〔牧野良三登壇〕     —————————————
  10. 牧野良三

    牧野良三君 〔発言する者、離席する者多く、議場騒然
  11. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 牧野——予算案のごとき重要審議の際……(発言する者多く、議場騒然、聴取不能)  暫時休憩いたします。     午後八時三十九分休憩      ————◇—————     午後十時十三分開議
  12. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 休憩前に引続き会議を開きます。      ————◇—————
  13. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) この際、牧野良三君から予算委員長を辞任したいとの申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって許可するに決しました。      ————◇—————
  15. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) なお、先刻の委員長報告中には不穏当の点もありますので、全部これを取り消し、あらためて予算委員長報告を求めます。予算委員会理事重政誠之君。(拍手)     〔重政誠之登壇
  16. 重政誠之

    重政誠之君 予算委員会の経過並びに結果を御報告いたします。詳細は速記録に譲ります。  本予算審議に際し最も論議をされました点は、外交に関しては、一、中ソとの国交調整の問題であります。第二に、ウラニウムに関する日米協定の問題であります。第三は、防衛分担金削減交渉の経緯と日米共同声明に関する政府の責任に関する問題であります。第四は、安保条約及び原水爆貯蔵に関する問題等であります。内政に関しましては、経済六カ年計画内容防衛六カ年計画内容、一兆円堅持の理由日中貿易促進の問題、財政投融資景気政策社会保障及び失業対策等の諸問題であったのであります。  予算委員会は、質疑応答を重ねますこと一カ月有余、その間、公聴会を開き、また分科会において細目審議を行いました後、両派社会党の共同組みかえ案の提出及び説明があったのでございます。また、日本民主党自由党との共同修正案提出がありまして、これにつき質疑を行い、六月七日、本日討論採決の結果、政府原案及び民自両党の共同修正案が多数をもって可決確定をいたしたのであります。  以上をもって御報告を終ります。(拍手
  17. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 赤松勇君外十六名から、昭和三十年度一般会計予算外二件の編成がえを求めるの動議提出されております。この際その趣旨弁明を許します。久保田鶴松君。     〔久保田鶴松登壇
  18. 久保田鶴松

    久保田鶴松君 私は、両派社会党を代表いたしまして、昭和三十年度一般会計予算特別会計予算政府関係機関予算の編成がえを求めるの動議を提案し、その理由を説明せんとするものであります。(拍手)  まず第一に申し上げておきたいことは、本予算の組みかえ案を作るに際しましての、両派社会党の基本的な態度であります。すなわち、両派社会党鳩山内閣政府原案に対しまして著しく不満といたしまする点は、政府アメリカの圧力に屈して、アメリカの言うがままに防衛費を事実上増額し、そのため内政費が圧迫され、国民生活も依然として不安に陥れているということであります。(拍手)従って、両派社会党の基本的な態度は、巨額な非生産的経費である防衛関係費を削減することによって、事実上一千億に及ぶ減税社会保障費の増額を初めとする国民生活の安定の経費の増額を行わんとするものであります。(拍手)それは、当然、日本政府の毅然たる自主独立の気魄と平和外交方針の貫徹を伴うものであります。このことについては、また、日本国民の一致いたしました要求でもありますと同時に、鳩山内閣が選挙前に公約いたしました基本的スローガン防衛分担金の削減と四十二万戸の住宅建設にあり、しかもまた、この問題が予算編成と審議の中心問題となったということは、日ソ国交調整の問題と相関連いたしまして、日本国民の要求が那辺にあるかを雄弁に物語っているものでございます。(拍手)  今日、日本内外の情勢から見ましても、この防衛関係費の問題に手を触れずには、当面する日本経済の困難なる諸問題は何一つ解決し得ないと、両派社会党はかたく信じているものでございます。(拍手)たとえば、民自両党から提案をされておりまする保守派の組みかえ案と両社の組みかえ案とを比較対象されました場合において、このことはよくおわかりになると思うのであります。すなわち、民自両党の組みかえ案は、防衛関係には一指も触れておらず、わずか二百億のその金を動かすために、ついに公債または事実上は公債の端緒を開くところの金融債政策を取り上げざるを得ないのでございます。特に、政府原案が編成されました際にひもつきとなった日米共同声明によりますると、来年度の防衛関係予算は大幅に増額されることは必至であります。しかも、繰越明許費などの余裕金も今年で使い果すような状態で、民自の意図するところの公債政策の端緒を切り開くがごとき組みかえ案はきわめて危険なものと言わざるを得ないのであります。なかんずく、今回の民自修正が党略的かけ引きから出発いたしまして、自由党要求案とちょうど半分で妥協いたしましたことは、財政理論上全く筋の通らないものでございます。(拍手)また、一萬田蔵相のいわゆる地固め予算の構想が、公債発行論の前に屈服いたしまして、インフレ再発の危険を生んだのみならず、一党一派政治目的のために国民経済国民生活がその具に供されるがごとき不愉快な悪例を残しましたことは、国民とともに本員の最も遺憾とするところでございます。(拍手)  さて、社会党組みかえ案について、まず歳入面より申し述べます。  前述のごとく、歳出においても根本的変革を加えるものでありまするが、歳入面においてもまたしかりであります。すなわち、事実上一千億に及ぶ大衆課税徹底的減税を行わんとするもので、その第一は、所得税法人税に関するものであります。所得税収入については、申告及び源泉ともに月収二万円までの低額所得者は非課税とし、法人税については、課税所得を三段階に分けまして、税率をそれぞれ三〇%、三五%、四〇%の三種類に改め、さらにまた、特別法人税率については二五%に引き下げるものであります。ここで特に重要なことは、政府原案並びに民自両党の修正案によりますと、減税は一率減税であって、その結果、たとえば政府案では、月収二万円の独身者はわずかに三百二十八円の減税でありますが、月収二十万円の高額所得独身者は四千六百八十六円の減税を受けるのでありまして、まことに上に厚く下に薄い、順逆の転倒した減税と言わなければなりません。社会党組みかえ案は、所得税率累進制に変更することによりまして、以上の不公正な減税を根本より改め、低額所得者へは大幅減税といたし、高額所得者からは若干の増収をはからんとするものであります。これによって税制の公正が期せられると同時に、また減税による減収分は増収によってカバーされ、若干の減収で済むことになるのであります。まさに一石二鳥であります。同時に、また、昭和二十五年度から重ねて行われて参りましたいわゆる資本蓄積のための各種の租税特別措置は、その多くが大資本、大会社のみの利益となり、しかも、単にそれだけの利益の増加が、実際にコスト引き下げのためにどのようにまじめに使われておるかということの保証は何らないのであります。しかも、その額は、二十五年度から本年度を含めまして、実に六百億円を突破いたしておるのであります。両派社会党組みかえ案におきましては、法人税率を三段階に分けてそれぞれ軽減したこの際に、各階層別に見ましても、業種別に見ましても、不公平の多い租税特別措置は、一部の真にやむを得ないものを除いては一切取りやめ、所得税法人税にそれぞれの分だけは増収を見込んでおるのであります。  第二には、酒税についてであります。真に大衆の要求いたしておりまする安い合成酒やビールなどの税率の軽減をはかっておるのであります。これによって密造酒自然的撲滅をもあわせて行い、さらにこれが増収分を勘案いたしまして四十三億円減を見込んだのであります。  第三に、物品税については、第二種丁類税率を一〇%に引き下げ、特に大衆の必需品が多い第二種の戊、己類及び第三種はそれぞれ廃止するという抜本的減税を行なったのであります。(拍手)  その他、期末手当石炭手当等減免措置はぜひとも達成いたしたいと考えまして、減収分を計上いたしました。  以上差引合計いたしますと、形式的には約十億の減収でありますが、大衆にとっては約一千億の減税が達成され得るわけでございます。(拍手)  次に、歳出面につきましては、特に社会保障関係費の増額に力点を置いたのであります。すなわち、生活保護費においては、対象人員を一割増といたし、医療扶助は単価を約二倍に引き上げ、児童保護については、援護率を一挙に一五%に引き上げたのであります。さらに、健康保険制度重大性とその危機の現状にかんがみまして、健康保険船員保険は一割五分、国保は二割完全国庫負担をいたしました。結核対策費におきましては、病床の二万床増加と、さらに居住療養補助を十万人増加することができたのであります。一方、失業対策につきましては、デフレ下にあって完全失業者が八十二万人にも増加いたしておる現状にかんがみまして、特に手厚い対策を講じ、八十二万の完全失業に対しましては、登録希望者は五十万と推定し、これを一部は公共事業費増額分で吸収いたし、また大部分は、失業対策事業、特に特別失業対策事業費の増額によって安全吸収をはかることといたしたのでございます。(拍手)  次に、文教関係におきましては、これも根本的な改革と手厚い増額は社会党政権において新しく予算を編成いたしたときに譲ることといたしまして、(拍手)当面する各種のこまかい増額の要求に応じたのであります。すなわち、義務教育費では、一万八千人の教員増加僻地教育振興法による給与の増、教材費看護教員恩給加算定時制高校施設費教育費産業教育振興施設費公立危険校舎完全補修僻地校舎屋内体操場教員住宅学校図書館助成費特殊学校費のそれぞれを細目にわたって増額をすることにいたしました。さらに加えて学校給食費が払えずに肩身の狭い思いをいたしております児童に対しまして、補助を計上いたしたのでございます。(拍手)  第三は、旧軍人恩給についてであります。当面、階級差を撤廃し、主として一般兵の階級及び家族に十分なる生活扶助をなし得るように取り計らい、これが将来におきましては、文官を含めまして、恩給そのものについて徹底的に改革を加えまして、従って国民年金制度の拡充の中に解消すべきものと考えますが、当面、こうした応急措置によりまして、戦争犠牲者に対して手厚い対策を講じたわけであります。  第四には、地方財政についてであります。申すまでもなく、今日の地方財政は極端な窮状に陥り、地方自治は破局に面しております。これが対策として、まず第一に、地方交付税交付率を二七%に引き上げて、三百十七億の財源を地方財政に新たに加え、第二には、地方債の元利払いは一年延期させることにいたしまして、さらにまた約三百七十億を、地方財政に余裕を与えて、地方財政健全向上に資することといたしました。(拍手)このように約六百億をこえる地方財政救済措置により、地方自治体を準禁治産者扱いとする悪法である地方再建整備法を阻止して、明るい地方自治の基礎を築かんとするものであります。(拍手)  第五といたしましては、公共企業関係予算であります。これは、特に資金の効率化重点化をはかり、治山治水に主力を置き、災害復旧費食糧増産対策費をそれぞれ増額いたしたのであります。  第六には、住宅対策費であります。政府が今回設置せんとする日本住宅公団は、家賃が高くて、その上に、公団の性格そのものがまたあいまいで、汚職を生む危険さえあるという状況にかんがみまして、むしろ公営一本にすることが妥当と考え、住宅公団にする出資はこれを公営住宅費の増額に回し、さらに坪数をふやすために百億の財政投資増といたしたのでございます。(拍手)  第七には、出資及び投資のうち、国民金融公庫は庶民階級にとって特に重要なものでありますので、これを税金から支出し、金額においても政府案よりさらに十億を増加いたしました。  第八には、米価でありますが、本年度供出米生産者価格石当り一万二千四百円、消費者価格石当り一万七百円とし、この価格差石当り千七百円を供出数量全体に対し全額国庫負担とするものでございます。(拍手)そのうち一般会計から食管特別会計に繰り入れる経費を新たに二百五十九億計上いたしました。なお、食管特別会計につきましては、今回は、暫定措置として、輸入食糧の値下げがあり、また砂糖その他の特殊物資の利益を繰り入れ、なお経費の節約をはかることによって、残余の価格差を支払うことにいたしておりますが、米価の将来については、食糧の増産をはかり、コスト引き下げに努めて、過重な二重価格の負担を漸次解消していく方針であります。(拍手)  また、外航船舶建造融資利子補給につきましては、さらに若干の建造費を追加いたしました。  その他、原水爆による被害の甚大さにかんがみ、この補償費として十八億を見積り、三カ年計画といたしまして、本年度は六億を新たに計上いたしたのであります。  また、定点観測費といたしましては、洞爺丸事件に次ぐ紫雲丸事件等最近ひんぱんに起っておりまする不祥事に対処して、観測船三隻分の予算を計上いたしました。  次に、数々の問題をはらんでおります奄美大島の同胞にあたたかい手を差し伸べるために、奄美群島復興事業費を政府案よりもさらに六億増額いたしたのであります。(拍手)  雑件につきましては、各省交際費、公安調査庁費等の冗費及び物件費の節約により、二百五十三億を減じました。  また、公務員の給与に関しては、まず期末勤勉手当を三カ月分支給することといたし、地方公務員、教職員は交付金で補てんするように取り計らいました。(拍手)なお、現行の地域給の不均衡を是正し、さらに寒冷地手当の一部の是正をも行わんとするものであります。  以上のような、まさに画期的な増額と予算規模の縮小は、実に防衛支出金の全額削減、防衛庁費の五百六十八億減額、その他の不急不要の費用削減によって初めて可能となるものであります。(拍手)  さらに、最後に、一般会計以外の費目の変更について簡単に説明いたしたいと存じます。  特別会計歳入を原資とする対民間資金供給については、郵便貯金、簡易保険及び厚生年金等の原資は、国民厚生年金制度及び健康保険制度を全国民的に拡充することによりまして、それの積立金を平年度で七百億以上見積り、初年度たる今年は約四百億を予定いたし、政府案よりも約五百億の増収を見ておるのであります。また、資金運用部資金の収入につきましては、本年度に限り、先ほど申し述べました通り、地方債の元利支払いを一年間繰り延べることといたしましたので、三百七十億の減収を見込んでおります。政府案に比べまして増収見込みとなりまする原資は、これを開発銀行、農林漁業金庫、中小企業金融公庫、労働金庫、石油資源開発及び住宅建設関係等への投融資の増額に支出することにいたしたいと考えておるものであります。  以上をもって両派社会党組みかえ案の提案説明を終りまするが、わが国経済自立と拡大生産性の基礎を強化せんがためには、両派社会党が真に自主性のある平和予算の編成を目標として作成いたしました当組みかえ案は、これまた国民の九九%を占める広範な階層の人々がこれの成立を要望してやまないものであることに思いをいたし、滿場一致可決あらんことを切に希望いたしまして、私の説明を終るものであります。(拍手
  19. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 質疑の通告があります。これを許します。原茂君。     〔原茂君登壇
  20. 原茂

    ○原茂君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいまの昭和三十年度予算修正三実に対する重政委員長のごく簡潔たる報告に対し、重要なる数点に関しまして、委員長並びに総理大臣、大蔵大臣等にその見解並びに所信を伺いたいと存じます。(拍手)  まず、質問の前提といたしまして本修正予算が運用せられようとするわが国経済現状に対する政府の見解と今後の見通しについて思いを新たにする必要があろうと存じます。まず、今年度予算案、この性格を規定する前提といたしましては、総合経済六カ年計画があるのでございまして、その第一年度の地固め予算と解せられるものと存じます。しかし、鳩山内閣の成立は昨年十二月初旬であり、この六カ年計画が閣議決定になりましたのは一月中旬で、その問わずかに四十日でありました。驚くべき超スピードで選挙に間に合したものと考えられます。この六カ年計画は、昨年末経済審議庁において完成いたしました「総合開発の構想」という、昭和四十年の日本経済を想定しての長期計画を原案として、無理なる作業で短縮したものであろうということが言えると存じます。従って、この急ごしらえの六カ年計画は、計画実行に当っての自立政策の重点、計画運営の機構、所要資金の調達とその配分、経済統制に必要なその度合い等、先に解決さるべき大きな問題が幾多取り残されたままの、魂なき形骸だけのプランであると言っても過言でないと存じます。(拍手)特に、わが国経済自立への不可欠の問題の第一は、わが国のごとき、資本に恵まれず、絶えずインフレの脅威がある現状からいたしまして、通貨価値の安定を確立することでなければならないこと、第二は、今日のごとき特需収入が漸減しても収支のバランスがとれるように国際収支の均衡をはかり、これを通じて政治的独立を確保しなければならないこと、第三に、産業の近代化、資源開発、完全雇用等に政策の重点が置かるべきであること、政府も、かかる観点から、昭和三十年一月十八日、大蔵省において予算編成大綱案を決定したものと思うのであります。従って、私は、原案と修正案との比較を通じて、かつ本日の予算委員会審議と重複することを避けて、逐次質疑に入りたいと存ずる次第であります。  まず質問の第一は、財政収支の均衡について、形式的に一兆円で収支をまかなわなければならない根拠は一体どこにあったのか。ただいまも、委員長報告に、一兆円のワクをくずさず修正したことが端的に説明されましたが、委員会審議を通じて、この一兆円のワクに対して財政論上の必然性が見受けられたかどうか、または、この一兆円のワクは単なる国民に与える精神的な影響を考慮しただけのものか、それとも、大蔵省が各省の膨大なる予算要求を圧縮するための道具として使ったものとお考えになるか、委員長の見解並びに大蔵大臣の所見を伺いたいのであります。(拍手)  質問の第二といたしましては、財政投融資について、政府は、前年度程度を確保し、重点的、効率的使用をはかる方針をきめながら、果して重点確保ができているかどうか。特に、六十億に及ぶ民主、自由両党の修正案内容を見ても、その理由として基幹産業の合理化に重点を置くといたしておりますが、実質は、開発銀行、輸出入銀行関係を増額しないばかりでなく、興業銀行、長期信用銀行などの金融債を市中銀行へ強制的に引き受けさせることによって、政治的色彩の濃い農林漁業、国民、中小企業の三金融公庫、特定道路、電源開発、国有鉄道、地方債に総花式にばらまかれていることこそ、重点的、効率的方針にそむく、矛盾はなはだしきものがあると存じますが、これに対する大蔵大臣の御所見を伺いたいと存じます。(拍手)  質問の第三といたしまして、財源の調達でありますが、基本的に租税等通常の収入によりまかなうことといたしまして、新たな公債発行は行われないと決定していながら、何ゆえにこの原則をくずしたのか。本修正案は、公債は発行していないが、しかし、金融債だからいいとは言えません。公債という言葉が与える心理的影響をおそれた結果であり、経済的結果は変るものではないのであります。従って、基本的には公債発行への道を開き、オーバー・ローン解消中途の金融の方向に支障を及ぼし、この二百数十億円のインフレ要因が七百億の財政払い超のコントロールを弱くしたことは争えないものであろうと存じます。もしも秋に例年のごとき補正予算を組むとするならば、財政はますます膨張し、明らかにインフレへの大きな懸念を抱かざるを得ないであろう。  しかも、歳出増加のうち、ごく小さな一働をあげてみましても、内閣官房調査費二百万円の使途に対する本日の予算委員会における同僚石村委員の質問に対しまして、憲法調査会に要する費用なる旨の答弁がなされましたが、総理は、過日の会議における答弁において、民主党内に憲法調査会を設置すると、はっきり本院における言明をいたしながら、民主、自画両党の予算折衝過程において、これが内閣に設置されることに急変したのであります。本国会における、われわれ全国民の代表を前にしての公約を、一部政党との野合により、かかる重大なる憲法問題審議の形式を本会議に説明もなしに変更するがごときは、国会の威信を損ずるもはなはだしいと存ずる次第であります。(拍手)この重要なる課題に対する委員長としての適切なる措置の講ぜられなかったことに対し責任を問うと同時に、総理の心境の変化を来たした理由の詳細なる言明と、改正の焦点である憲法第九条に対し、常に総理が、今は考えていない、今は考えていないと言う徴兵制の施行を、いかなる条件で、いかなるときに考えようとするのか、明確に答弁せられたいと存じます。(拍手)  次いで、一般会計からの投融資を運用部資金等に振りかえる結果は、間違いもなく一般中小企業、農林漁業者などへの金利高となるか、または、今蔵相の決意しておられる金利引き下げの恩恵に浴することができず、この四苦八苦する中小企業者等の没落破産に拍車をかける一助になることは言を待たぬところと存じますが、ここで、これに関連いたしまして、税制改正に対する委員会審議経過等をお尋ねいたしたいと存じます。  その第一は、今回の修正を通じて、果して最も重い課税の対象である勤労所得者に対してどの程度の減税がなされるのか、また、これと事業所得者との減税比率はどのようになるのか、第二に、農民一人当りどの程度が総合的に減税になるのか、第三に、国民一人当りにしてどれだけ減税されるのか、第四に、臨時にする預貯金利子、配当等の源泉課税の減免は一企業体当りどれだけ減税となるのか、しかも、これは、大企業、中小企業、零細企業の三つにわけてどういう数字になるものか、第五に、片方で大衆課税たる間接税の増収が具体的にどれだけ不足財源をまかなうために見込まれているのか等々、当然審議されたものと思うが、かかる国民的課題がどの程度に明確化されたか、詳細に審議の経過を委員長より御答弁願いますとともに、大蔵大臣よりもあわせて明快なる答弁を求めたいと存じます。(拍手)  ただいまの委員長報告におきましては、これらの点がまことに不明確であり、再報告をお願いせざるを得ませんが、総じて、今回の無節操なる民主、自由両党の修正態度は、ひいては日ソ外交交渉におきましても、かつて鳩山総理がいみじくも言われましたソ連等からの赤いバチルスと同じように、アメリカからの白いバチルスに侵されている人士の多い自由党から、再度これに対する圧力なり反保守連合の強い気合いがかけられるなら、この修正案と同じく、日ソ外交の基本的態度はぐらつき、中途から思わざる方向に向きを変えて、単なる選挙における公約を一応はやりましたと言訳をする程度の材料に終らしめる危険のあることを、今から国民ひとしく心配いたしておりますが、今後何もかも保守連携のために自由党と野合して、内政に、外交に、倒れず走らずの、よたり、よたり内閣の本領を発揮するのではないか。明確な今後の民主党内閣のあり方を、この日ソ外交に例をとって総理から御答弁願いたいと存じますが、委員長からは、この審議を通じて、やはりそのおそれがありそうかどうかの観察をお伺いしたいと存じます。  また、一萬田大蔵大臣は、当初、辞表をちらつかせながら、絶対に自由党修正に応ぜずとの強硬なる態度をおとりになっておられたと聞きますが、何の理由でこれに応じたのか。去る四日の朝日新聞紙上に、この保守結集の動きがなければ、自分としては今度の予算修正には応じられなかった、かように言明しており、さらに、本日の予算委員会におきましては、全般的情勢から修正に賛成しましたと言明をされましたが、果してこれは何を意味すると委員長は解釈せられましたか、この点まことに不明瞭であったと存じますが、委員長の御解釈を承わりたいと存じます。それと同時に、大蔵大臣より、この全般的情勢とは何かを率直にお聞かせいただきたいと存じます。私どもの解釈するところでは、保守合同、保守提携こそがこの全般的情勢なのかと考えておりますが、いかがか、明瞭にお答え願いたいと存じます。  総じて、牧野委員長は、民主、自由の正式結婚への助力者ではなくて、一昨日までの一週間、政府与党、自由党の国会軽視・議会無視の態度に対して、じんぜん、その野合に、裏面交渉に時日をかしまして、しかも、修正妥結がなるや、委員会審議を短時間に強行終了せしめる態度をもって臨み、まさに国民の信頼を裏切り、本日はまた、まことに、それこそ戦前戦後を通じて初めての失言を演じ、ついに委員長を辞任いたされましたが、今日までのその業績に薄しましては心から敬意を表しつつも、またやむを得ざる結果の招来かとも存じます。かかる委員長のもとに通過いたしました本修正案が直接間接に与えるであろう国民に対する不利益に対しましては、委員長としていかなる責任をとろうとなさるのか、委員長の所信を伺いたいと存じます。  かつて改進党は自由党に対する招かれざる与党であったが、今や民主、自由両党とも、招き招かれつつありながら、明るみでは堂々と抱き合うことのできない封建的無理解な親を持つ、暗い、みじめな子供たちとして動き回るものとも批判をされ、その影響は、政界をしてますます不明朗にし、困難なる国際経済下に、再生産を伴わぬ軍備費を骨格とする不健全財政による国民生活窮迫化をもたらし、今や一途に少数資本家への奉仕のための再軍備強化という、国際的にも大きな逆コースをたどりつつあることを考えますとき、たとえて申しますなら、赤のバチルスや白のバチルスどころか、わが国全勤労大衆のバチルスに転落しつつあるものと言えますが、これに対し公正なる立場からの委員長の総括的な見解を承わり、あわせて、弁明がなさりたかったら、総理以下いずれの閣僚からでも御所見を承わることにいたしまして、私の質問を終りたいと存じます。(拍手)     〔重政誠之登壇
  21. 重政誠之

    重政誠之君 ただいま委員長に対する数々の御質問がありましたが、委員長がお答えするのに不適当な御質問が非常に多かったと思うのであります。ただ、委員長としての感想と申しますか、そういうものを申しますれば、第一の、一兆円のワクを修正案はくずしたのではないか、こういうような御質問でありますが、私は、これはくずしたものとは考えておりません。  それから、内閣の予算に二百万円を計上してあって、予算委員会におきまして、政府側から、それは憲法調査会を設ける諸経費に充てる、こういうような御答弁があったのであります。それに対して委員長は適切な措置をなぜ講じなかったかというような御意見のように承わったのでありますが、これは、予算委員会におきまして、質疑応答を行われ、正規に討論採決をいたしたものでありますから、委員長としては適当なる措置を講じたものと思います。(拍手)  なお、修正案減税内容について、一々、農民一人当り幾らに当るか、国民一人当り幾らに当るかというような詳細なる御質問があったのでありますが、これは速記録をごらんいただきたいと思うのであります。(拍手)     〔国務大臣一萬田尚登君登壇
  22. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) 今回予算修正がありましたが、これによりまして、三十年度の予算日本経済に対しまして地固めの予算であり、さらに将来の拡大を約束するその基盤を作る予算であり、なおかつ地ならしの予算である性格に大きな変動がないことを、まず申し上げておきます。その地固めを象徴するのが一兆円という形になっておるのでありますが、これが破れておりません。このことを説明いたしまするには、一番わかりやすく申しますれば、この今回の修正によりまして、百四十二億の金融債、それから四十五億の鉄道債、これが公募に変りました。この公募に変った、これが市場において消化するやいなやが、一兆円が破れたかどうかということになるのであります。ところが、私の見解によりますれば、今日の日本の資金の蓄積の状況、資金の需給の関係、それから今日日本の経済が、すでにデフレの傾向を一年半過ごして調整がとれておる。言いかえれば、むだの資金の需要が非常に減っておる。これは、現象的にも、昨年度において四千億円以上の貯蓄に対しまして——これは銀行ですよ。それに対して二千億程度の貸し出しによっても、これはすでに具体的に現われておるのであります。こういうふうな資金需給関係において、これが市場において消化できることはきわめて明白と申さねばなりません。なおかつ、今後におきましては資金調整というものをいたしまして……。(発言する者多く、議場騒然)そういうわけでありますから、興銀や長銀債、これを圧迫することもないと思います。  なお、この予算に対しまして、私は最後まで自分の予算の成立を希望してきたということは、これは私の立場として当然なことであるのでありまして、現在の予算を通過させる、この意味から私は今回同意をいたした、こういうことであるのであります。(拍手)     〔国務大臣鳩山一郎登壇
  23. 鳩山一郎

    ○国務大臣(鳩山一郎君) 原君の御質疑に対して答弁をいたします。  原君は、憲法調査会を内閣に置くということについて御質疑がありました。私も国会に置く方がよくはないかというように考えたこともありましたが、今日の政情においては内閣に置くのを適切だと考えております。(拍手)そのことは、すでにこの議場において繰り返し申し述べました。  それから、徴兵のことはほんとうに考えておりません。  自由党並びに民主党との共同提案になる修正案は、政府提出予算原案の目的をくつがえすものとは思いません。政局の大局の上から見て、これをのむことが政府は適当であると考えたのであります。従って、政府は、この修正案の通過並びに通過後の施策については、もとより責任をとる覚悟でございます。(拍手
  24. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) これにて質疑は終了いたしました。   これより討論に入ります。上林山榮吉君。     〔上林山榮吉君登壇
  25. 上林山榮吉

    上林山榮吉君 ただいま上程されております昭和三十年度予算三案並びに民自両党共同修正案につきまして、私は、日本民主党を代表して賛成の意見を述べ、社会党両派の組みかえ案に反対を表明せんとするものであります。(拍手)  御承知のごとく、日本経済の今日の問題は、戦時中と戦後のインフレーションによってゆがめられたる経済現状をいかにして正常な軌道に乗せて経済の自立を達成し、もって完全な政治的独立のための経済的裏づけを固めるかにあります。従ってこの予算案は、日本経済現状に照らして大体適切かつ妥当なものと認められるのであります。その理由は、今日の段階では、一兆円予算の堅持は、日本経済の健全化のために、かつまた心理的悪影響防止の上からも絶対に必要であるからであります。  しかるに、一兆円予算の批判者は、一般会計歳出規模は一兆円のワクをこえてもよろしいと言うのであります。すなわち、国民所得が三十年度には六兆三千二百三十億円と見込まれ、前年度よりも二%方増加するから、一兆円を固執する必要はないと主張するのであります。しかし、これはきわめて機械的な所論であると言わねばなりません。戦後のインフレーションを抑圧する臨時的措置のように、国民所得の多くを財政処置で吸い上げて強制貯蓄をする政策は、今日ではすでに過去のものであります。これからの資本蓄積の方向は、財政の規模をできる限り圧縮して、国民貯蓄を自発的に行わしめるのが経済の正常化でありましょう。いつまでも巨額の財政規模を維持して、国民所得から税金を吸い上げ、生活水準を低い程度に押えておくということは、民生を安定せしめるゆえんではありません。この趣旨から、政府提出予算案におきましては、平年度において五百十四億円を減税し、三十年度は七月より実施して三百二十七億円の減税をはかっております。しかも、所得税の軽減におきましては、主として勤労者、中小企業者及び農民等の低額所得者にその施策を向けて、標準家族で月収一万九千円までの者は無税となり、八十八万人以上が税金を納める必要がなくなるのであります。  次に、一兆円予算を批判する者は、今日の日本経済現状は超デフレーションであるから、歳出規模を拡大し、もって不況を緩和せよと言うのであります。すなわち、財政収支は昨年度において一千九百億円の支払い超過であったが、三十年度は七百億円の支出超過であるから、一千二百億円も散布が少い、だから超デフレであると言うのでありますが、昨年度の支払い超過が一千九百億円になった重要な原因は、外国為替資金特別会計におきまして、輸出の黒字三億四千四百万ドルの好況を反映して、約一千百六十億円の散布が行われたことにあります。輸出の増進はわが党の経済政策の主軸であって、また外交政策においても、自由国家群との経済外交をさらに推進しつつ、従来なし得なかった中ソ外交の打開を国民の支持を受けて断行し、もって輸出市場の拡大に寄与せんとしております。このような政策が効果をあげますれば、輸出は計画以上に伸びることは十分に期待されるのであります。また、輸出入のための貿易金融が盛んになれば、商事会社、事業会社の業績も好転し、労働者の雇用と賃金も増加するのであります。かかる明るい希望に滿ちた建設的な政策を行うには、どうしても国内物価の国際的割高を是正しなければならぬのであります。そのためには、まず財政規模の拡大によるインフレーションが再燃しないように、地固め政策を進めることが第一条件であります。一兆円予算は、かかる目的を達成するための政策であって、断じて単なる消極的予算ではないのであります。近く経済拡大へ飛躍せんとする積極的要素を内包した健全なる地固め政策であるのであります。  今、別の角度から、この点をさらに指摘したいと思います。  その第一点は、総合的な輸出促進策が予算案に織り込まれておるということであります。まず、政府は一切の政策をこの輸出促進策に集中せねばならぬのであります。物価政策も、金利政策も、租税政策も、また産業政策も、ことごとく川の流れのごとく輸出促進策に関連しているのであります。すなわち、物価政策においては、予算の前提である物件費において五%ないし一五%の節約を行い、人件費におきましても、旅費等につきましては相当程度の圧縮を行い、各官庁が買い入れる物品については、その調弁価格引き下げをはかっております。そして、予算案の実行によりまして、全体として年間約二%程度の卸売物価の引き下げを考えております。国民所得中に占める一般会計の規模は一五・八%であり、その中でも物件費は約三千五百億円程度になりますから、物価引き下げへの経済的影響はきわめて大きいものと認められるのであります。しかも、物価の引き下げ策は、単に卸売物価だけを対象とせず、消費者物価につきましても、これを上昇せしめないで、下押しの横ばい的傾向をもたらそうと努めているのであります。米価等につきましても、消費者米価の引き上げはこれを避け、また公企業料金等の引き上げを行わないで、極力一般消費者の家計を物価政策の面からも豊かにせんと考えているのであります。かかる物価政策によりまして、賃金と物価の、かつてのような悪循環は起らず、企業の賃金コストは安定し、企業の生産コストは右のような政策によりまして低下の方向をたどることは明らかであります。ことに、政府の最近の低金利政策は、預貯金利子に対する課税の減免措置による租税政策に裏打ちされて、果敢に行われているのであります。これらの低金利政策は予算案とうらはらの関係にあるのでありますが、最近のこのような金利構造の再編成によりまして、企業の金利負担は軽減し、そのコスト中に占める割合は一段と低下するものと考えられます。以上のように、政府予算案におきましては、総合的施策の実行によりまして企業の製品コストは低下し、国際物価との割高を是正するごとによって輸出力の増進が期待されているのであります。  また、輸出促進策は、かくのごとき間接的措置のみでなく、直接的方法によって推進されているのであります。すなわち、輸出の振興に資するために、輸出業者の輸出所得の控除の限度を百分の五十より百分の八十に引き上げ、またプラント輸出のプラントの範囲を拡張する等の措置を講じているのであります。この政策は、ビルマとの賠償協定及びフィリピン、インドネシア等との来たるべき賠償協定の成立に備えて、東南アジア市場への販路拡大に資せんとする意味をも有しているのであります。ことに、財政投融資の面におきまして開発銀行、輸出入銀行、金融債引き受け等に向けられる資金量の総額が、前年度の一千七十二億円に比較して、三十年度において一千百七十四億五千万円と、約百億円以上も増加を予定されていることを考えますならば、これらの合理化資金の利用が一段と企業の輸出力を増進せしめることは確実であります。  次に、予算案賛成の第二点として指摘したいのは、この予算案に盛られた社会政策的施策等が重点的に進められていることであります。すでに政府提出予算説明書によっても御承知のごとく、社会保障費は、前年度に比して五十二億円を増加して、初めて総額において一千億台を突破し、総予算の一割強を占め、住宅対策費は財政資金だけでも百四十一億円を増額せしめてそれぞれ思い切った対策を立て文教対策費は四十二億円の累増となり、旧軍人恩給及び遺家族関係の処遇等をさらに改善して、社会政策的経費文教関係経費に相当額充当されているのであります。また、地方交付税交付金百三十三億円を初め、合計約三百三十億円を新たに地方財政へ繰り入れ、赤字再建整備法を提出して赤字解消の基本方針を確立したこと、防衛分担金削減の交渉を強力に開始して百七十八億円の防衛分担金を減額し、総額一千三百二十七億円にこれを押え得たことを了といたしたいのであります。鳩山内閣のこのような諸政策が、限られた一兆円のワク内においてよく重点的に公約を果し得たということは、国民とともに銘記すべきことであると存ずるのであります。  以上に指摘しました根本的な問題のほかに、この予算案に賛成する理由は幾多これをあげることができるのでありますが、最も本質的な重要な意味を持つ諸点のみをここに述べたのであります。  さて、この際民主、自由両党の共同修正案に一言言及したいと思うのであります。もちろん、この修正案は、急速に拡大均衡予算を組めという自由党の主張と、漸進的に拡大均衡へ移行するために本年度に限り地固めの予算でなければならぬと主張していたわが党との共同修正であり、折衝の結果、両党の間は完全に意見の一致が行われ、穏健なる漸進方針で進むことになったのであって、その根本的思想においては両党間に何ら矛盾はないのであります。また、共同修正によって政府の一兆円堅持の基本線は守られ、地固め予算の本来の目的を失墜しなかったことは、今後とも銘記せねばならぬ重点であろうと思うのであります。しかし、共同修正に対する各界の期待はきわめて重大でありまして、それだけに、予算執行に当っては、政府はもちろん、国会としても慎重を要するものと考えるのであります。  御承知のごとく、今回の予算共同修正原資総額は二百十五億円であって、本年度減税をさらに約六十七億円加えて三百九十四億円とし、財政投融資に四十億円を回し、中央地方を通じ歳出増加百八億円を認めているのでありますが、その内容は、旧軍人遺家族等の経費を初め、社会保障費、教育関係費、土地改良、漁港、河川、開拓等の食糧増産関係及び公共事業、中小企業対策費ほか必要と認める部分の補助費を増額しているのであります。  次に、両社会党の組みかえ動議について反対意見を述べたいと思います。両社会党諸君は、例によって例のごとく、独立国家の当然の義務である防衛関係費を削除すると言うが、これは言うべくして行われぬ、単なる国内向け放送か、さもなくば、容共勢力に踊らされた宣伝的言辞にすぎないと思うのであります。また、安保条約及び行政協定等からしても、国際的信義の上からも、現在反対せざるを得ないのであります。もしそれ賢明なる社会党諸君であるならば、かりにも社会党が政権をとった場合を考えて今から日本をして国際的孤児に陥らしむる愚をあえてなさないであろうと信ずるものであります。なお、その他の内容においても、国民に迎合する政策の羅列であって、全く現実性のないものと言わねばなりません。  よって、政府提出昭和三十年度予算三案及び民自両党の共同修正案に賛成し、両社会党提出の組みかえ案に反対して討論を終りたいと思うのであります。(拍手
  26. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 井堀繁雄君。     〔井堀繁雄君登壇
  27. 井堀繁雄

    ○井堀繁雄君 私は、日本社会党を代表いたしまして昭和三十年度政府提出予算三案及び民主、自由両党妥協案に反対し、社会党両派の共同提案になる組みかえ動議に賛成するものであります。(拍手)  四月の二十五日に政府原案が国会に提出されまして以来、きょうまで約一カ月半の周、われわれは慎重審議を続けて参ったのであります。政府原案について明らかになりました点を一、二指摘いたしたいと思います。  鳩山内閣は、自主独立外交を主張して吉田内閣の親米一辺倒の外交を批判しておりましたが、その実質は吉田外交に輪をかけた対米追随外交の醜態をさらし出すに至ったのであります。(拍手防衛分担金の日米交渉関係というものは、予算全体の編成を左右するようなことと相なりまして鳩山内閣自主独立外交の面目はここに全くつぶれ去ったのであります。(拍手)ことに防衛予算内容でありまするが、その実体は、日米のジェット機空軍を編成強化しようとするところの内容のものでありまして、わが国を原水爆の戦争の渦中に巻き込むような危険をもたらす経費が多く計上されておる点に留意しなければならないのであります。さらに、防衛予算を確保しようとするために、最も重要な国民生活の窮乏の実態に故意に目をおおうて、内政関係の予算を極度に圧縮した点であります。  これらの例をあげますれば枚挙にいとまないのでありまするが、最もわれわれの遺憾に思いますることは、鳩山内閣社会保障制度の充実を看板にいたしておるだけに、この内容について言及をいたしたいのであります。たとえば生活保護関係についてでありまするが、生活保護対象人員を厚生省では少くも二百五十万と見ておるのに、予算はわずかに二百万を割るといったような実情であります。  私どもは、このようなやり方について、ぜひ皆様に御留意いただきたいと思いますることは、総理は福祉国家建設を、あるいは民主党はこのことをスローガンとして選挙を戦いましたが、福祉国家が何たるものであるかということは、こういう予算に初めて立証されてくるのでありまして、福祉国家を語る資格は全くないということで、ここにみずから無知無能を暴露したものと思うのであります。(拍手)ことに鳩山内閣が鳴りもの入りで宣伝をいたしました、いわゆる公約なるものでありますが、このことはあげて今回の予算審議の過程において明らかになったのでありますが、これは国民を欺く一片のから宣伝に終ったということを、われわれは幾多の事実をもって国民に知らせることができるのであります。(拍手)  たとえば、政府の誇っておりました住宅四十二万戸建設のごときは、ふたをあけてみますると、公営住宅わずかに五万戸でありまして、しかも建設基準が一戸六坪か八坪といった、木造モルタル作りに切り下げられているのであります。さらには、公庫住宅は資金貸付率を引き下げて、今までに比較いたしまするならば多くの自己資金を必要とするような改悪は、かかる政策を無視する一つの現われであります。ことに、二十四万五千戸というものが民間の自力建設に依存するというがごときは、全くインチキの内容をそのまま証明するものであります。(拍手)  私がここにぜひ強調いたしたいと思いまするのは、完全雇用という言葉を使っておることであります。完全雇用を目途とする失業対策、これは民主党が二月選挙の際において強調いたしたことでありますが、完全失業者が、今日六十二万が二十万程度ふえるであろうという見込みで、わずかに四十六億を組んで、これが完全雇用を目ざすところの失業対策などとは、元来完全雇用という言葉すら存じない無能の露呈であると言わねばならぬのであります。(拍手)わが国の雇用問題は、その現実の姿におきまして、少くも八百万、多くは一千万に達すると思われる潜在失業もしくは不完全労働というのでありますが、これこそが失業対策の人口であります。これらが都市に農村に苦しみあえぎ続けておるのでありまして、これに対する具体的な予算が組まれなければ、雇用対策などというものは口にしてはならぬのであります。ことに、完全雇用などというものは言語道断と言わなければならないのであります。(拍手)かかる欺瞞が公然と公約として使われるということは、天下の公党として恥ずべきことであると言わなければならぬのであります。(拍手)  さらに、食糧の問題はきわめて喫緊な問題でありまするが、食糧増産につきましても、その対策費については、物価の下落を見込みまして、前年度よりも三・二%減額しております。三百三十七億を計上しておるにとどまりまするが、食糧政策というものは積極的に国内増産をはからなければならぬことは今さら申すまでもありませんが、この鳩山内閣食糧政策は、国内の農民大衆を苦しめて外国食糧輸入に依存する傾向が予算の上に露呈されておる点をつかなければならぬのであります。(拍手)  私は、この機会に、減税の問題について、自由党、民主党の諸君に訴えたいのでありますが、民主党は五百億に近い減税を約束し、自由党はまたその約倍の一千億を国民に公約したようであります。もし今日民主党と自由党が妥協して修正予算を作るならば、二つ合せて二で割るというこの方式によって行きますならば、一千五百億の減税でありますから、その二分の一である七百五十億の減税が当然現われてこなければならぬのであります。(拍手)ここに保守結成を目ざしますところの予算編成というものの片鱗が現われて参っておりますが、ここで私は両党の修正に対しまして少し批判を加えてみたいと思うのであります。  自由党が当面要求いたしました四百三十億の公債発行に対して、結局その半額の二百十五億の予算増加によって妥結いたしたようでありますが、ここには、理論的な根拠はもちろん、一片の政治家としての信念のないことは明らかであります。ただ、ここには、党利党略の上にいかに国民を欺いて上手に取引をするかという点があるだけであります。(拍手)かかる不純な予算修正を取引の道具に使って、よし保守結集が行われたといたしましても、政治に対する信頼は全く国民の間から失墜するでありましょう。(拍手)こういう状態に対しまして、国民をきっと直接的な政治行動にかり立てるような傾向を醸成してくることを十分留意しなければならぬのであります。現に、さきに行われました埼玉県の参議院の補欠選挙に現われた棄権率というものは、実にこの傾向をすでに現わしておるとわれわれ思うのであります。(拍手)かかる無定見な予算のやみ取引的な修正というものが、日本の民主主義政治を毒し、予算の権威を冒涜したことは、また議会政治の上に重大な汚点を残したものと言わなければなりません。私は、ことに、責任内閣制の根底がここにくずれるのではないかと憂うるのであります。(拍手)  民自両党の妥協によって増額された二百十五億の予算でありますが、その大半が資金運用部資金に依存しておる点を強調いたしたい。御承知のように、資金運用部資金の原資は、勤労国民の零細な郵便貯金、あるいは簡易保険、もしくは厚生年金保険の積立金である。勤労者の血の出るような零細な金であります。この金がこういう取引に運用されるということは、もちろん許されるはずのものではありません。かかる資金運用部資金というものは、勤労国民の福利厚生のために運用されなければならぬことはもちろんでありまして、今日のように勤労者の住宅建設の必要が要望され、社会保障制度の充実の急務なるとき、また勤労者の共済事業を育成しなければならぬようなときに、かかる金がそういう不純な取引に使われて、勤労階級のこの意欲を圧迫するようなことは、おそるべき反動政治の行き方であると言わなければならぬのであります。(拍手)  私は、かかる意味におきまして、ここに保守連立ができたといたしましても、鳩山内閣の将来は決して仕合せなものにはならないであろう、勤労階級はきっとこれを怨嗟の目をもって見送るであろうと思うのである。(拍手予算修正をこのように悪用いたしまして、その結果は、結論として財界の期待に一部こたえるように、また大資本に奉仕するような内容のものがかなり盛られておるのでありまして、この傾向は戦前の財閥を復興するがごとき傾向を示すところにわれわれは十分なる注意を払わなければならぬと思うのである。(拍手)財閥の復興がいかにおそるべき事態を誘発するかにつきましては、私が述ぶるまでもありません。貧富の懸隔がだんだん増大いたして参りまして、そこには国民大衆の勤労精神あるいは勤労意欲というものが著しく減退してくるであろうことは申すまでもないのであります。今日、日本は、封建的なこういう状態を一日も早く払拭して、民主主義のルールに乗せていかなければならぬ大事な時期でありましてかかるときに、かかる政治取引が行われたということは、まことに遺憾千万と申さなければなりません。近代的民主主義国家における政党としては、これほど大きな醜悪はないと断ぜざるを得ないのであります。私は、民主政治の発展のために、衷心より政府及び民自両党に勧告をいたし、今回の予算修正に対する撤回を希望し、明るい政治の実現に努力されるように要望いたしたいと思うのであります。(拍手)  ことに、今日の国際情勢については、すでにたびたび論ぜられておりますように、非常に微妙で深刻な状態にあるのでありまして、このときに日本は経済的基盤を一日も早く確立しなければなりません。現実はその基盤脆弱なものでありまして、一歩を誤りますならば、ファッショもしくは共産主義のごとき直接政治行動を意図するものの脅威がだんだんと身辺に迫りつつあることを見落してはならぬのであります。わが国の当面する、かくのごとき経済危機に立ち至りまして、本年度の予算編成というものがいかに重要であるかを強調いたしたいのでありますが、ここにわれわれが本年度予算組みかえの動議提出した理由もあるのであります。私どもは、貿易を振興し、自主独立外交の展開を基礎といたしまして、ここに提案をいたしておるのでありまして、私どもは、鉱工業、農業において労働生産性を高揚する母外にこの道を達成する方法はないと信じまして、自由、民主両党のデフレ政策あるいはインフレを意囲いたしまする両派の修正、これはきっと中小企業を破綻に導き、勤労階級の生活、農民の生産意欲を圧迫する傾向となって現われてくることを予言いたすのであります。私どもは、かような大資本本位の傾向をとる予算に対しまして反対すると同時に、われわれ両党が提案いたしておりまする組みかえ案に対しまして、ぜひ皆様方の御同意を願いたいと思うのであります。  ことに、今日の民主国家のいずれもが重視いたしておりまするように、独裁政治の台頭の素地を克服いたしまするために、世界の民主主義、自由主義国家が異常な努力を続けておりますことは申すまでもありません。私は、この状態について、国民に自由と生活の保障をしておりますところの民主主義政治によって資本主義の害悪を排除しつつある各国の努力を学びたいと思うのであります。スイスにおいて、スエーデンにおいて、西独において、イギリスにおいて、またそうであります。また、国民こぞって資本主義を謳激するかのごとく見えておりますアメリカにおいてすら、社会正義が政治、経済根本的な信条となりまして、国民の日常生活には貧富の懸隔は認められないという傾向がきわめて顕著にたりつつあるのであります。私どもは、かかる状態から、国民の勤労精神を旺盛にし、質的に良質なものを、また価格の安い製品を産出して、日本経済の復興をはかる建前の上に立って、また食糧の自給自足、海外貿易の振興をはかる諸政策というものを盛り込んで、ここに両党の組みかえ案を提案いたしたのであります。ことに、民、自両党の従来取り来たっておりまする傾向の中に、無意識であるかもしれませんが、封建的な政治に根ざすところのものがなしとは言えないのでありまして、ここに、われわれは、国民とともに重大な関心を払っておるのであります。  われわれは、今日、わが日本が社会主義の上に立脚して、わが国の産業、鉱工業、農業を近代化することのために、一方には、先ほど来だんだんと申し上げておりますように、民主主義諸国家の繁栄にならい、いずれもわれわれと相携えまして、この先進民主主義国家と肩を並べて世界の平和と繁栄に貢献するために、何をおいても、私どもは、わが党の組みかえ案に盛られておりまするように、完全雇用と社会保障制度の充実が必要であることを重ねて強調いたしまして、働く者が重税にあえぎ、税金が借金になり、生活不安にさらされるようなことのないように、労働の生産性の高揚のできる内容を持つ組みかえ案の内容に皆様方の御同意を求めまして、政府のただいま提案されておりまする原案に反対をし、さらに民主、自由両党の修正案に対しまして反対をいたしまして、私の討論を終りたいと思います。(拍手
  28. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 周東英雄君。     〔周東英雄登壇
  29. 周東英雄

    ○周東英雄君 称は、自由党を代表して、ただいま議題となりました昭和三十年度一般会計予算案外二案につき、自由党及び日本民主党共同修正案並びにその修正部分を除く政府原案に対して賛成し、社会党両派の提出せる予算編成がえを求める動議に対して反対の討論を行うものであります。(拍手)  私は、順序として、予算編成に対するわが自由党根本態度を明らかにし、次に、その見地に立って、政府提出の三十年度予算案を批判し、さらに、これに修正を加え賛成するに至った理由を明らかにしたいと思うのであります。(拍手)  わが自由党は、過去六年有半の間自由党内閣によって実行した適切なる経済政策と、米国の援助及び朝鮮ブームの影響によって今日一応外形的に回復を見ている産業経済全般にわたる生産力の向上と、国民生活現状とを、さらに自力による国際収支の均衡の上に打ち立てるためには、昨二十九年度の実績に徴し、本年度より経済の拡大均衡に向って一歩前進し、積極的に各般の準備と計画をなすべきであるとの認識に立っておるのであります。(拍手)  従って、これを実行するためには、第一に、財政計画において、従来インフレを収束せしめるためにやむを得ず行なってきた一般会計からの財政投融資はこれを廃止し、財政投融資の財源は、国民貯蓄の増強に伴い、その増加貯蓄の一部をこれに充当することが最も適当なりと考えるものであります。(拍手)  第二に、これがために、さらに減税を実行して、国民貯蓄の奨励方策を講じ、増加貯蓄の一部に対しては国債または金融債の引き受けをなさしむる制度を創設し、一面において預金者の保護をはかるとともに、他面、原資を特定しての国債または金融債の発行を認め、これによって有効適切なる産業経済への投資増加せんとするものであります。(拍手)  以上の方法による資金の調達によって急速果敢に産業の基盤を育成し、積極的に生産の増加、輸出の増進、雇用の増大等をはかり、もって国際収支の均衡の上に立つ経済の自立と国民生活の安定向上を期すべしとするのが、わが党の主張であります。(拍手)  以上の見地に立って政府提出の三十年度予算案を通覧いたしますると、そこには、日本経済の現況と、国際情勢の動向に即応する新し、い何らの工夫も、将来の発展に備える積極的な準備も計画もなく、いたずらに経済地固めという名にとらわれて、デフレ政策の強化を思わする、きわめて事務的な予算案に堕しておるのであります。  さらにこれを分析して予算の性格と欠陥を指摘すれば、政府提出の三十年度予算案は、一兆円というワクを先に定め、意識的に国民所得の見積り及び歳入を過小評価し、デフレ政策が財政計画を貫いておるのであります。(拍手)前内閣が一部世論の反対を押し切って緊縮政策を断行した二十九年度においてさえ、国民所得は前年度に比し四%、約二千三百億円増大し、六兆一千九百億円に達しておるのであります。さらに、最近三カ年平均の国民所得上昇の傾向は、年平均約五千五百億円に近い伸び方を示しておるのであります。しかるに、政府の三十年度国民所得の見積りは、二十九年度に比しわずかに二%、千二百億円の伸びに押え、六兆三千二百三十億円と見積り、これを基調として歳入の見積りを立てておるのであります。これは明らかに過小見積りであり、現在のわが国経済を自然の推移にまかせても、貿易の改善、人口の増加、生産の上昇等の要因によって、最小限度二十九年度程度の国民所得の伸びを見ることは、過去の実績に徴して間違いのないところであります。これを、一兆円予算という観念的ワクにとらわれ、これにつじつまを合せるために、国民所得を無理やりに過小評価しておるのであります。われわれ自由党としても、財政の規模を歳入を無視して拡大し、再びインフレを招来するがごとき素因を作ることは絶対反対でありまして、国の財政はあくまでも収支の均衡を確保することの肝要なことは言うまでもありません。しかしながら、形式的に財政の規模を一兆円のワク内に閉じ込めて、意識的に国民所得も税収入をもこれに合うように過小に見積ることは、事実に反するのみならず、これがため、将来の発展に最も必要なる時期において、予算が全く消極的予算となり、生産の増強、貿易の拡大、民生の安定等に必要なる準備と計画がないのでは、政府の言われるがごとき明年度か方の拡大均衡など、とうてい望み得ないものであります。(拍手)  第二に指摘したいことは、公約無視の点であります。第一次鳩山内閣及び民主党内閣は、前述の通り、選挙中、実現性のない無責任な公約を数々出されたのでありますが、これらけっこうづくめの政策が一兆円のデフレ予算ではとうてい実現のできないことは、最初からわかり切ったことであります。(拍手)今回提出された三十年度予算案は、これら選挙目当ての宣伝的公約が、いかに無責任に、かつみじめに無視されたかを、数字の上で明らかに示したのであります。(拍手)ことに、われわれが遺憾とする点は、さなきだに少い農林漁業関係経費が軒並みに削減されて、他の政策の実行費に振り向けられたことであります。換言すれば、農林漁業や治山治水、災害復旧の犠牲において住宅政策等他の政策が実行されたということであります。このことは、政府の断片的言動に現われておる農山漁村の軽視、外米依存主義の思想を裏づけるものであり、わが自由党の絶対に容認し得ないところであります。(拍手)  第三に指摘したいことは、現内閣の一枚看板である経済六カ年計画予算案とが全く遊離しておる点であります。そのことは、経済六カ年計画の構想が、政府の出された三十年度予算編成の前提及び基本方針の中にも抽象的に公表してあるにかかわらず、今日に至るまで何らの具体的成案がなく、予算委員会要求した具体的計画はついにこれが提出を見なかった事実が、これを証明しておるのであります。従って、予算案の内容と六カ年計画の構想との間には全然血がつながっておらず、三十年度予算においては、食糧の自給度は著しく低下し、国土は荒廃するにまかせ、雇用の増大は思いもよらず、生産は萎縮し、失業はいよいよ増大する性格の予算であります。六カ年計画の初年度たる三十年度の目標を見ましても、農林漁業生産の増大を三%と見込んでおりますが、これは全く予算の裏づけのない架空の数字であり、従って、初年度計画からして、かくのごとき誠意と実行性のない計画となっておるのであります。政府は、財政投融資を若干増額して、経済六カ年計画の裏づけありと強弁しておりまするが、実際には、基礎産業方面への資金の手当は前年度の当初計画よりも減少しておるのであります。  第四に指摘したいことは、防衛費に関する日米折衝の不手ぎわと、これに起因する三十一年度予算への重圧であります。鳩山内閣は、防衛関係費は前年度総額のワク内におさめることを公約し、鳩山首相のごときは、このうちから住宅費等社会保障費を捻出するとさえ公言されたのでありまするが、結果においては、いわゆる予算外国庫負担契約により百五十四億円を含めて、実質的に前年度より七十四億円を増加せざるを得なくなったのであります。これは明らかに公約に違反するものであり、また、この予算外契約は必ずや三十一年度予算への重圧となることは明らかであります。これは、鳩山内閣防衛費に関する折衝の不手ぎわ、さらにその根幹をさかのぼれば、鳩山外交に対する米国の疑惑がここに至らしめたものとも思われるのであります。(拍手)  以上、私は、昭和三十年度予算の性格とその欠陥のおもなるものにつき、これを分析しつつ批判を加えたのでありまするが、これを根本的に改めんとすれば急速の間に合わず、ために予算の成立が著しく遅延することとなり、これが国家国民に及ぼす損失の甚大なることは今さら言うまでもないのであります。従って、この際、わが党としては、政府がわが党の根本主張に同調し、これに立脚した最小限度の修正を容認するにおいては、一応この修正によって予算の成立に賛成する態度をとったのでありまするが、政府及び民主党においては、わが党の根本主張をいれ、かつ一般会計において財政投融資を行うことは原則としてこれを中止すること、税法上特別の優遇措置を講じて国民貯蓄を奨励し、増加貯蓄をもって国債または金融債を引き受けしむる制度を創設すること等について、政府及び民主党との間に了解が成立しましたので、予算修正はこれを日本民主党との共同修正とし、さしあたりは産業投融資公債あるいは開銀債等の発行はこれを行わず、ただ財政資金引き受けの金融債を民間引き受けに肩がわりし、その範囲内で、さらに一部の減税と、重要産業、中小企業、農林漁業に対する財政投融資増加及び特に緊要と認められるものに限って一般会計歳出増加をはかることに予算修正し、修正部分を除く政府原案に賛成することといたしたのであります。(拍手)  最後に、両派社会党提出にかかる予算編成がえを求める動議については、国民経済現状にかんがみ、かりに社会党が責任の地位を担当せられた場合にも、実行不可能となり、公約不履行となるべき内容を多分に含んでおるものであり、われわれのとうてい賛意を表することあたわざるものでありまして、これに反対を表明するものであります。(拍手)  以上をもって、政府提出の三十年度予算原案、修正案及び編成がえを求める動議に対する賛成討論及び反対討論を終るものであります(拍手
  30. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) これにて討論は終局いたしました。  これより採決に入るはずでありますが、時間がありませんから、明八日午前零時五分より本会議を開き、本日の議事を継続することといたします。  明日の議事日程は参事をして報告いたさせます。     〔参事朗読〕  議事日程第二十四号   昭和三十年六月八日(水曜日)     午前零時五分開議  第一 昭和三十年度一般会計予算 (前会の続)  第二 昭和三十年度特別会計予算 (前会の続)  第三 昭和三十年度政府関係機関予算 (前会の続)
  31. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 本日はこれにて散会いたします。     午後十一時五十五分散会