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1955-06-15 第22回国会 衆議院 貿易振興に関する調査特別委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年六月十五日(水曜日)     午後一時五十八分開議  出席委員    委員長 前田榮之助君    理事 宇田 耕一君 理事 首藤 新八君    理事 瀬戸山三男君 理事 古川 丈吉君    理事 加藤 清二君 理事 中村 高一君       加藤 高藏君    森下 國雄君       山本 勝市君    田口長治郎君       石村 英雄君    帆足  計君  出席政府委員         総理府事務官         (経済審議庁調          整部長)   松尾 金蔵君         外務事務官         (経済局長)  湯川 盛夫君         通商産業政務次         官       島村 一郎君         通商産業事務官         (通商局次長) 大堀  弘君  委員外出席者         農林事務官         (農林経済局肥         料課長)    桧垣徳太郎君         通商産業事務官         (軽工業局化学         肥料部長)   長尾  正君         参  考  人         (東洋高圧株式         会社常務取締役         硫安協会輸出委         員長)     末吉 俊雄君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  貿易振興に関する件(硫安に関する問題)     ―――――――――――――
  2. 前田榮之助

    前田委員長 これより会議開きます。  貿易振興に関し調査を進めます。本日は、昨日の理事会協議に基き、硫安生産状況並びに輸出現状等につきまして調査を進めます。  なお、この際お諮りいたします。硫安に関する問題について、昨日の理事会協議により、硫安協会から御出席末吉俊雄君より参考人として御意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 前田榮之助

    前田委員長 御異議なしと認めます。  この際参考人末吉俊雄君に一言ごあいさつ申し上げます。御多忙中御出席いただきましてお礼を申し上げます。本日は、硫安の問題につきまして、日ごろ御経験になっております種々の問題点につきまして忌憚のない御意見を承わり、本件調査参考にいたしたいと存じます。  それでは、ただいまより御意見を聴取いたします。末吉俊雄君。
  4. 末吉俊雄

    末吉参考人 御質問にお答えする形でもって御説明申し上げたいと思いますが、いかがでしょうか。
  5. 前田榮之助

    前田委員長 一応何か総体的なお話があれば申していただいて、それに対していろいろ御質疑を願うということで……。
  6. 帆足計

    帆足委員 台湾向け中国向け韓国向け硫安輸出、並びに硫安輸出会社又は硫安輸出委員長としての日本硫安輸出現状について業界のお考えのほどを、まず総括的に承わったらどうでしょうか。あと質問することにして……。
  7. 末吉俊雄

    末吉参考人 現在、硫安輸出は、肥料審議会年間輸出ワクがきめられまして、その範囲内でもって硫安輸出会社個々契約を行なってきております。二十九肥料年度――この七月に終る年度でありますが、この間の輸出実績を申し上げます。一番大量に輸出しました先は台湾でございまして二十七万トン、韓国が約九万トン、中共は大体七万トン、琉球その他わずかの数量が、ございますが、合計で硫安にいたしまして四十三万九千トンがワクとしてきめられ、その全量をすでに契約しております。その他のア系肥料といたしましては三万一千トンのものがあります。これは主として尿素でありますが、これもすでに輸出契約済みでございます。出荷の状況は順調に行われております。前年度実績も大体同じようね数量でございますが、特に中共につきましてはこの肥料年度におきまして大幅に伸びております。その分だけ韓国のものが減ったというような結果を示しております。現在一番問題とされますのは中共台湾関係でありまして、この点は、台湾とは二十八肥料年度から年間契約を行いまして、最初の年は二十五万トン、翌年は二十八万トンというような状況でふえて参りましたのですが、その後中共と米の関係硫安輸出の道が開かれましたのでありますが、との年度の当初に当りまして相当大量のものを台湾契約いたしましたので、現在中共要望に対しましては十分のものが出荷されないような状況であります。  それから、価格につきましては、硫安国際価格は、最近世界的に硫安のバランスが好転して参りまして上昇をたどりましたが、台湾については当初はなお相当下値にありまして、日本国内価格の方がはるかに上位にありましたので、台湾につきましては国際価格よりも若干の高値というようなところで契約いたしましたが、現在の市況に比べますと、その後国際市況が非常に上向いて参りましたので、その後に出ました韓国中共などの地域に対する価格よりも多少下値になっております。次年度につきましては、肥料審議会が近々開かれることになっておりますが、その会議できめられますので、現在それが出てみませんと何とも申し上げられないのでありますが、全体のワクとしましては大体本年度と大差はない。全体のア系窒素肥料といたしましては十万トン程度のものは増加を見込み得ますかもしれませんが、硫安そのものについては大した増ワクは見られないのではないか。と申しますのは、現在日本国内の需要が相当に伸びて参りまして、増産がありましたが、その増産分は大体国内で食われるというような数字を示しておりますので、輸出ワクそのものとしてはあまり上伸が期待されませんで、輸出引き合いの方が供給よりも上回るという状況にありまして、価格についても前年度と比べますと相当高値を主張し得るのでないかと考えております。  大体以上のような状況でございます。
  8. 前田榮之助

    前田委員長 御質疑はありません  か。
  9. 帆足計

    帆足委員 後ほど政府当局の方にお尋ねしたいのですが、きょうはお客様が見えておりますから、またお忙しいところをお差し繰り下さいまして、いろいろと参考になる意見をお漏らし下さいまして、感謝にたえない次第でございます。私どもは、国政を預かっている者といたしまして、硫安輸出問題については、やはりいろいろな角度から考える必要があると思うのです。従いまして、いろいろな方の御意見を伺いたいと思っておるわけですが、きょうは総合的に業界全体の多数の流れを代表しているような御資格を兼ねて御出席になりましたので、その点も十分了承いたしております。ただいま台湾に出しますものと、中国に出しますものと、韓国に出しますものとございますが、それぞれの国別割合などは硫安輸出会社の方できまるのでございましょうか。政府がきめるのですか。どういうことできまるのでしょうか。政府としてまたお尋ねせねばならぬことはあと政府にお尋ねいたしますから、大体業界立場からの御観察でお答え願ってけっこうでございます。
  10. 末吉俊雄

    末吉参考人 それぞれの仕向先につきましては輸出会社において決定いたします。
  11. 帆足計

    帆足委員 輸出会社仕向先を決定いたしますときは、何を基準にして決定いたしますか。硫安工業はもちろん民間の株式会社でございますけれども、そこに使っておりまする原料、貴重な電力等国民の働くエネルギー、共同の財産ですから、硫安工業に対して特別の保護を与え、民族、国民産業として大いにこれを育成しているような状況になっているわけでございます。従いまして、煮て食おうと、焼いて食おうと、おれの作った硫安だから、おれの自由だということでなくて、やはり国益にねるという線を、それは会社利益とも一致することでありますし、そこで働いておる従業員諸君利益とも一致することでありますから、当然のことでありますけれども国益増進になるという立場をもしお忘れになったならば、私は硫安工業経営者たる資格はないことになるのじゃないかと思います。町の小さなおしるこ屋ならば、そのおしるこ塩かげんがどうであろうとも大した影響はありませんけれども硫安産業ほどのものでありましたならば、国策の大きな見通しのもとに運営しない限りは、国民要望にそれは合致すると言えないと思うのです。従いまして、台湾向け韓国向け中国向けその他の割当をおきめにねる基準とか手順は、大体どういうふうに今なっておるのございましょうか。
  12. 末吉俊雄

    末吉参考人 やはり、商売でありますから、すべてコマーシャル・べースを原則としてやっておるわけであります。最も有利な条件で買ってくれるところに輸出をするということであります。全体として輸出ワクがありますし、また引き合いのそれぞれの時期があります。ただいまのお質問中共に対する量と台湾の量を比較してのお話と思いますが、昨年台湾契約をいたしましたのは六月であります。当時はなおまだ中共との取引がどのくらい伸展するか十分に見通しのつかない時期でありまして、現に、二十八肥料年度におきましては、中共向け輸出は二万七千トンというわずかな数量でありましたが、やはり五十万トンからの年間輸出をするためには、相当大口の契約をして安定した状況にあることが、その後の引き合いの有利な条件になりますので、台湾と二十七万トンの契約をしたわけであります。その後、韓国につきましても、韓国は二十七年度におきましては三十五万トンの硫安を取ってくれまして、二十八年度におきましては十六万トンの硫安日本から出しております。そういう状況でありますので、韓国の入札に全然参加しねいというようなこともできませんから、参加して参ったわけであります。ことに肥料時期に入りましての引き合いでありましたために、非常に有利な価格契約することができました。中共輸出も、それにつれて、従来は六十ドルないし六十一ドルの契約価格でありましたが、韓国に六十五ドルの契約ができましてからは、六十四ドルで中共契約ができるような状況になりました。別段台湾中共を特に区別してやっているわけではございませんので、そういう契約の時期的な差がありましたために、数量的にはこのような結果を生じました。しかし、台湾は三年以前から年度契約をしておりますので、その関係はやはり考慮しなければならぬ関係だと考えておりますが、特に安く輸出しようなどということは考えておりません。
  13. 帆足計

    帆足委員 参考人の方の御質問に関連して政府当局にお尋ねし、参考人の方にも聞いていただきたいと思うのですが、韓国向け中国向け、それから台湾向け輸出につきましては、ただいまのようにオファーの時期――輸出の総ワクはもとよりでございますが、オファーの時期、それから引き合い条件商業的べース、そのことのほかに、それが悪いと言うわけではないのですが、政治及び商業国際情勢の実際の中で行われていることですから、先日も山本委員からの御指摘もありましたように、台湾に対して慎重な考慮が必要だ。だれしもそれは異存のないところです。従いまして、政治的考慮をどの程度までお加えになりますか。また値段引き合いがいつからということできめるのか。あるいはまた見返り物資重要性などが考慮に入るのか。政府側立場からもう少しその辺をわかりやすく御説明のほどを願いたいと思います。
  14. 大堀弘

    大堀政府委員 ただいまの御質問にお答えいたしたいと思いますが、通産省といたしましては、硫安輸出は全体としてこの際伸ばして参りたいことば申すまでもございません。台湾につきましては、従来の通商関係もございますし、ともかくも台湾との貿易は、昨年度でも六千万ドルないし七千万ドルという大きな貿易を行なっておりまして、先方からも必要な物を買っておりますし、こちらからも相当な物を売り込んでおりまして、経済の面から見ますればやはり重要な市場でもございますので、これにつきましては、従来の関係考慮して、ある程度輸出をしていくことが適当であると考えておるわけであります。韓国につきましても、日韓貿易の打開の問題も通商政策から見ますれば重要な問題でございまして、現在のところはFONの資金によりましてドルの外貨が直接入って参るわけでございますから、これに対する輸出政府としては相当重点を置いていなかければならぬ、かように考えておるわけでございます。中共向けにつきましても、昨年度どもはできる限り出すように努力いたしておるわけでございますが、何と申しましても全体の輸出ワク国内の内需との関係で制限されておりますので、十分な供給ができないわけであります。私どもといたしましては、もちろんコマーシャル・べースの点も十分考えて参りますとともに、各国との通商関係も考えながら、できるだけ輸出を伸ばしていきたい、こういう見地で処置いたしておる次第であります。
  15. 帆足計

    帆足委員 具体的に申しますと、今の商業ベースのほかに、通商関係全体の有機的関係、それからそのほかにたとえば見返り物資重要性ども考慮して、大ワク肥料審議会並びに政府の御意向できまるとして、国別割合政策的にある程度ワクがきまるということになるわけですか。その辺のところをもう少しわかりやすく御説明願いたい。
  16. 大堀弘

    大堀政府委員 政策的に絶対に何トンでなければならぬというほどの厳格な考え方はございませんが、見返り物資の問題につきましても、中共の場合ですと米ということになりましょうけれども台湾等関係を考えました場合には、各種の商品が広範に入っております。やはりこれは全体の通商関係を考えて考慮して参るということになるわけでございまして、絶対に幾らでなければならぬということはもちろんございませんけれども、今日まで長期にやって参りました取引関係等も考えまして、この際一方を削って一方に回すということは、方策として必ずしも適当でないと思うのですが、全体の量がふえました場合に、新しい地域、これは中共といわずインド等にしましても――インドからも引き合いがあったわけでありますが、東南アジアその他の地域に対しましても、やはりこの際硫安輸出ができれば伸ばしていくのが適当ではないか、かように考えておるわけであります。
  17. 帆足計

    帆足委員 輸出値段が必ずしも高いことのみがいいとも限りませんけれども国際市況の長い見通し等も考えなければなりませんけれども台湾向けが、去年の初期であったせいもありますが、五十八ドル、おそらく国内値段はそれより高いと思いまするし、韓国中国向けは六十数ドルもしておる。しからば、台湾向けを少し削るぞと言って値段を高めることもできはしまいか。もう一つは、見返り物資の問題につきまして、台湾向け二十七万トンという膨大な数量見返り物資は、どういうものをお入れになっておるわけですか。従来はバナナとか砂糖というように聞いておりますが、内容をおっしゃっていただきたい。
  18. 大堀弘

    大堀政府委員 昨年度台湾向け硫安輸出価格は相対的に若干低かったのは事実でございますが、私どもとしましては、今後はやはり相当値段を上げていきたいと考えております。同時に、見返り物資の問題につきましては、台湾から買っておりますものは、やはり砂糖は四十万トン近く今年度は買う予定でおりますし、米も十万トン以上買うことになると思います。さらに塩その他木材、かなり重要なものを相当買っておりまして、台湾につきましては買うものも相当必要なものを買っておりますし、また輸出各種雑貨を込めまして相当契約が進んでおるわけでありまして、これはやはり通商関係上からいいますと相当市場であると私どもは考えております。
  19. 帆足計

    帆足委員 台湾人口は御承知のようにかれこれ六、七百万だと思うのですが、中国本土人口は六億あるわけです。原爆と水爆時代になりまして、戦争は、ますますできないことになって、戦争という忌まわしい文字があるいは人類の上から消える前夜にあるであろうこともほぼ洞察できるわけです。しかも一年は十年の早さで流れております。従いまして、イデオロギーは異なりますけれども中国との貿易は、輸出承認額はすでに三千万ドルに近づきつつある。これが一億ドルをこすであろうことは、ソ連並みにココムが緩和されれば、それはあり得ることです。そしてアメリカ外交委員会上下委員長ともに、当のアメリカ日本北アジアに対する貿易制限を緩和せねばならぬという大演説をしているわけです。先日アメリカのある有力な政治家に会いましたところが、君たちはダレスさんの言うことだけを聞いているけれどもアメリカには幾多の有力ね政治流れがあって、アメリカはまた一つ世界をなしている、従ってアメリカ流れを見失わないようにせねばならぬ、また英国のことも忘れてはならぬということを言われましたが、私はまさにそうだと思うのです。そうであるとすれば、別に中国貿易万能ではありませんし、中国だけでやっていけるような日本の国柄でもありません。しかしこの問題はやはり正当に評価せねばならぬ。ましてや、内閣鳩山内閣、そして民主党の十大政策一つに、北アジアとの貿易の拡大ということは重要な公約になっているわけです。そしてそれは鳩山さんのその後の外交の展開は正しいと思うのです。世界の世論の支持も受けておりますし、野党からすら尊敬を受けている。ただし鳩山さん一人ですけれども、(笑声)そういう状況だと思うのです。これは当然政治にも反映せねばならぬし、重要産業を預かられる硫安工業輸出委員長さんその他の大脳にも反映せねばならぬ重要な点であると思うのです。私どもそういうようにきわめて円満な穏健中正な良識から見まして、中国に対する輸出の態度は、やはり時の流れがあまりに早いために、過去になずんで、あすへの準備を多少怠っているきらいがあります。私がお尋ねしたのは、しからば台湾への硫安二十七万トン、なるほどこれは過去の実績ですし、長い間の取引のお得意様ですから、積極的にただ減らすという方向に進むことが困難な事情は私にもよくわかります。この問題はさらに慎重に討議せねばなりませんが、政府委員の言われることはよく私も了解できます。しかし、その見返り砂糖は、これはまた砂糖バナナに対する納付金の問題でここに論議が集中されるわけですから、その節にお尋ねしたいのですが、キューバ島の砂糖よりも非常に高いように聞いております。台湾の米と中国の米とはどのくらいの値段の差があるでしょうか。それらの点において台湾が今日でも非常に有利であるかどうか。それからその中に占めるバナナの地位がどのくらいになっておりますか。それをちょっと御説明願いたいと思います。
  20. 大堀弘

    大堀政府委員 砂糖価格は、キューバ糖シフ九十二ドルで買えますが、台湾糖は昨年はシフ百十五ドル、これはお説の通りまことに高いのでございます。今年は通商交渉の際に私ども値下げを要求いたしまして、今後逐次値下げをしてもらうという折衝をいたしまして、本年度はまず百十二ドルまで下げる。これは台湾製糖事業合理化を必要といたしますので、日本向け砂糖供給できるように、先方製糖事業合理化をやってもらいまして、逐次下げていってもらう。高いものをなぜ買うかということは、すでに御承知通りキューバ糖を買いましても、キューバに対する輸出は一向伸びないわけであります。若干高くても、台湾から買いますれば、必ずそれだけ見返りが出るわけであります。通商政策から見まして、若干高いけれども、これはこの際やはりオープン・アカウント地域から買い付けるのが適当である、こういう見地に立ちまして、買付量はむしろ昨年度よりも本年度はふやしてもらう、こういろ考え方に立っております。  米の値段の問題は、私ちょっと数字を持ち合せておりませんが、昨年輸入した中共米は比較的安い値段でありますが、台湾米も決して高い値段ではございません。百七十数ドルという見当だと思っておりますが、品質もよろしいし、これは十分輸入して差しつかえないものである、かように考えております。  バナナにつきましては、年間に四百五十万ドル入れる計画になっております。これは、もちろん不急不要で、必ずしも入れなくてもよろしいんじゃないかということはごもっともだと思いますが、これはやはり通商政策から参りまして、日本相当いろいろな雑貨、農産物、海産物等を売り込んでおりまして、そういう雑貨市場といたしましてもかなり重要な所でございますので、この程度のものを買い付けることが輸出振興のために必要である、こういう見地に立ちまして、協定上一年間四百五十万ドルの輸入を許可する、こういう約束をいたしております。
  21. 帆足計

    帆足委員 硫安輸出委員会の方の御意見では、これは純粋の商業ースで商売なさっているように伺いましたが、政府の方では、国際情勢を勘案して総合的な通商政策を勘案している。政治の指導と業界の単なる商業取引との関係は、実務上どういうふうになっておりますか。
  22. 末吉俊雄

    末吉参考人 個々のものにつきまして一々政府にお伺いを立てているわけではございませんが、大体の大筋については常に政府と御相談の上やっております。
  23. 帆足計

    帆足委員 商業ベースが重要だといたしますと、今のキューバ島の砂糖台湾糖との開きもあまりに大きいし、バナナの問題も、これは青森のリンゴでけっこうビタミンは事足りるし、ミキサーが普及でもすれば、バナナよりもリンゴのジュースの方が味もいい。それから見返り物資の点からいえば、当面は中国における内地米、愛国並びに陸羽第何号かを入れることができれば、これも悪くない。国際情勢見通しからいえば、二つの世界のきびしい対立はありますけれども戦争は避け得るし、また避けねばならぬ。いつも私申し上げますが、再軍備、無軍備論議のごときは、平和の問題からいえば小さな問題であって、与党野党を問わず、平和でありたいという願いは同じだと私は思う。そうしてまた平和であり得る時代に今なっていると思う。水爆の光に照らされて論議は続いているわけですが、そういう時代に、貿易の問題は、やはり立地条件、神の摂理を考えてこれを考察すべきだ。神の合せたまうもの人これを離すべからずと言いますが、自然の作った摂理というものを人間が軽々しくこれを破るということは、私は罪悪だと思う。従いまして、台湾の運命がどういうものであるか、良識あるすべての人はすでに知っている。台湾は棺おけの中に足を突っ込んでいる政権である。ただ政治的考慮をもってわれわれはこれを大事にしている。かりに日本において政権の移動があって、たとえば明治維新のごときものがあって、そして一部の勢力が大島に逃げ込んで、大島独立国である、ほんとうの日本であるといって、日本本土明治の新政府のもとにあり、新選組と新徴組大島に立てこもっている。その新選組を相手にして、そうして大島のツバキと貿易をしてそれでやっていけるなどと考える国があったとしたら、それはあほらしいことです。そういう政権ができたとしても、明治十年までくらいで大体蒸発して、年をとってくたびれて死んでしまう。大体台湾にいる兵隊さんは一年ごとにくたびれてきて、これは再生産のできない軍隊である。そういう性格のところであるから、やはり英国はえらいと思うんです。鳴くまで待とうホトトギスで、年をとるのをじっと待っている。英国人は大体において長命です。チャーチルでも……。従いまして、時が解決するであろうというのが英国政策でしょう。鳴かしてみしょうといったダレス神経衰弱になっておることも御承知通りです。従いまして私は、台湾問題に対して業界の方が慎重だということに対しては、無理もないと思います。この席で、政治家たる立場にある者が、業界で御苦労なさっておる輸出委員長にあまり苛烈な御質問をする意思などは、私はそういうぶしつけなことは毛頭いたしません。しかしそれが政治経済との一つ開きである。これはあげて業界の方は商業ベースでなさるとおっしゃいましたけれども、それは個々会社商業ースであって、バナナを輸入すればもうかる、砂糖を輸入すればもうかるであって、これは国民経済ースじゃないと思うのです。また国民経済ベースを個個の商社の方に強く要求し過ぎることは、それは戦争中のファッショ経済みたいなもので、私は無理なことだと思います。従いまして大部分の御質問はやはり政府にせねばならぬという結果になるわけであります。こういう点からいえば、硫安輸出政策において多少時期のずれがここにある。しかしこのずれは政府野党一緒になって直すととが必要だと思う。平和と貿易の問題について国民の間に争いがあってもむだなことですし、これはある程度超党派的な課題だと思います。従いまして、事の真相を明らかにするためにお尋ねしているわけですが、明らかにこれは商業ベースの上に乗っていないと思う。二十七万トンの台湾貿易が過去の実績であるなら、これはやむを得ないでしょうけれども中国の九万トンに比べて多過ぎる。中国からはことしだけでも二十万トンは確実に買うといって参っております。従いまして、政府当局の方では、今後硫安輸出余力が少しでも増加してくれば、当分の間は台湾は二十七万トン程度にストップして、増加分は中国に振り向けるという鳩山さんの政策に忠実にフォローする御意思があるかどうか、それを伺いたいと思います。それとも鳩山さんの言うことなんかどうでもいい、重光の方が総理大臣だとお考えにねっておるかどうか。
  24. 大堀弘

    大堀政府委員 私どもは、硫安輸出全体が四十数万トンという現状は、これは日本の将来の輸出貿易の形態を考えました場合には、非常に小さなものでありまして、さらにこれを大きくぶやしていかなければねらぬというふうに考えておるわけであります。今後ぶえます場合に、先ほど来お話がございますように、大陸貿易は、何と申しましても、やはり将来の問題としましてはわれわれとしては大きな市場と考えておりますが、現段階におきましては御承知のような輸出余力のない状態でありますから、現状のような状況でございます。これがふえました場合には、私ども台湾にこれを振り向けるかどうかということにつきましては、あるいはこれ以上大きくふやす必要はないのじゃないか。その他の地域へできるだけふやしていく。中共に対しましても輸出余力があればこれをさらに増加するということについては、何ら御発言の趣旨と違わないという考えでおります。
  25. 帆足計

    帆足委員 そうであるとしますならば、去年に比べて、ことしの輸出計画のワクは、硫安審議会に大体どの程度ワクに御相談をなさるおつもりでしょうか。  それから、それと関連してお尋ねいたしますが、中国側では二十万トン買いたいといってきましたが、こちら側では全く回答する資料を持たぬというすげない返事で追い返したわけです。しかし、先方はなお、それではせめて十万トンでも十二万トンでも、できる範囲のことを一応知らせてもらいたい、それから天候、雨量の都合で、それよりさらに伸びるなら、どのくらいの弾力性があるか、その程度のことで一つ軽い意味の仮契約を結んでもらえないだろうか、または来年度においても最小限度十万トンでも十五万トンでも出すという軽い契約を結んでもらえないだろうか、これは民事的に縛るものじゃなくて、お互いに目標を立てる。というのは、やはり自分の方も農業については一つの目標、計画も持っておるし、農民に約束したものはある程度実行せねばならぬから、進出口公司は日本から二十万トン入れると言っておったが、実際は十万トンしか入らなかったということになっては、農民の不信を買って、自分らも苦しい立場に立つから、できるなら十万トン安いし十五万トンとか、そういう数字を示してくれないかという切なる要望があった。私は、そういうときに、硫安輸出会社の幹部の方を通じて懇切に説明して、多少なりとも要望に沿うジェスチュアだけでも示すことが礼儀であったであろうに、こう思うのですが、硫安輸出会社としては、そういう問題について中国の代表と話し合われたかどうか、それから政府当局としては、ことしの計画についてどのようにお考えであるか、その点を伺いたい。
  26. 長尾正

    ○長尾説明員 今後の中共向け輸出に関連して、来年度輸出ワクはどのくらいになるだろうかというような御質問だと思います。来肥料年度相当増産も考えられますので、本年以上の輪生のワクを設定したいという考えでおりますが、いずれこれは、近く肥料審議会でお諮り願いまして、御決定いただくことになっております。それから、そういうようになったときに、中共向けに幾らとかというような、数字をどのくらいに考えるかというお話でありますが、この点いろいろ今後の貿易関係もありましょうし、こまかく国別にどこに幾らということを分けますことは、今後の輸出の振興の上に、また逆にいわゆるコマーシャル・ベースの上に立って商売をやる上に、果していい結果をもたらすかどうかというようなこともございますので、その点は十分考慮してやっていきたい、かように考えております。
  27. 帆足計

    帆足委員 ただいまの政府委員の御説明で――まだ硫安審議会に出す案を発表するわけにはいかぬでしょうが、昨年のような事務操作で、ことしは輸出ワクが、去年の四十七万トンがどのくらいにふえるような一応事務的の見通しでしょうか。政治的には審議会がきめるとして……。
  28. 長尾正

    ○長尾説明員 その点で、実はただいま事務当局で、内需の関係生産関係をこまかく当っておりますので、ちょっと今見当が立ちかねますから、あしからず……。
  29. 帆足計

    帆足委員 硫安生産の総額は去年に比べてどのくらいふえますか。供給総額は……。
  30. 長尾正

    ○長尾説明員 今いろいろ検討しておるわけでありますが、大体昨年の計画からしますると相当ふえる一ちょっと数量的にはっきり申し上げるまでの検討に至っておりませんが、相当ふえるつもりで今いろいろ交渉をやっております。
  31. 中村高一

    ○中村(高)委員 その増産の計画は秘密で言えないのですか。
  32. 長尾正

    ○長尾説明員 秘密ではありませんが、今いろいろ検討しております最中でありますので……。
  33. 中村高一

    ○中村(高)委員 大体ことしはどのくらい増産できるかというようなことは、大体の見当ぐらいは言えるじゃないですか。
  34. 長尾正

    ○長尾説明員 今問題にねっております硫安で申し上げまして、大体十万トン程度のものになるんじゃないかと思います。
  35. 帆足計

    帆足委員 台湾との取引は非常に安い値段で早くからきまるのです。ところが、中国からの――よく御存じなかったというんですけれども、御承知のように中国から、去年でも、おととしでも、私は向うに参りましたときに五万トン近くの仮協定もしてきました。去年も向うから明確ねオファーが来ているのです。しかし、それがファーム・オファーになるためには輸出会社なり生産会社なりが引受けたという玉をくれなければ、通産省に届ける書類手続にならないのです。そのためにいつもいたちごっこをしておりまして、中国貿易がいつも立ちおくれになっておる。しかし、実質上は政治協定は結んでおりませんけれども、当面は年間二十万トン以上ということはファーム・オファーに近いオファーなのです。その値段台湾向けよりは多少は高く買う、大体こういうように話ができておる。これを確かめたいとお考えなら、硫安輸出会社の代表が先方に照会なされば確実な手紙の返答がもらえる。またわれわれ政治家として個別面談でも明確な答えをもらっておるのです。ところが、ただいまのように、台湾向けは総括して契約をおきめになるけれども中国向けのときはケース・バイ・ケースになりますために、非常に不利になってくるわけです。従いまして、政府当局は、一面では商業ースと言いながら、台湾向けだけはごっそり優先的にとってしまう。そして中国向けその他はあとのおこぼれをもらう。こういうような状況に今なっておって、私どもはこの現状は多少実情に適合しない点があると思っているわけです。従いまして、私どもが希望いたしますことは、台湾向け実績もある程度まで尊重するとしましても、中国向けの新しい需要に対しては、やはりこれはココムにおいて許可された事実でありまするし、台湾向けと何ら異なるところのない、自由世界として恥かしくない公正な取引のベースに立つ硫安輸出でありますから、これは積極的におとり上げになって、そうして早く十万トンなり十五万トンなり見通しを立てられて、一括して中国側と了解事項を作っておくということの方が日本にとって有利だと思うのですが、政府側の見解並びに硫安輸出委員長の御見解はどうでしょうか。
  36. 末吉俊雄

    末吉参考人 現在硫安輸出ワクが非常に小さいのに対して、台湾韓国中共から非常に大量の需要があるというところに問題があると思います。国家として考えても非常に重大な問題でありますので、この三国に対する数量につきましては、十分政府とも御相談の上やっていきたいと思います。価格につきまして台湾を特に安くというようなお話がありましたが、今まで、台湾との契約は、国際価格よりも常に若干日本側に有利ね価格で取りきめられて参ったのであります。現在中共韓国が非常に高値になりましたのは、こと最近になりまして船運賃が非常に暴騰したということにおもな理由がありまして、西欧各国並びにアメリカのFOB価格そのものはほとんど動いておりません。現在五十ドルないし五十二、三ドルというのが西欧並びにアメリカのFOB価格であります。それに運賃を加算して考えますので、市場に近い日本はFOB価格としてきわめて有利な価格が主張できるという状況であります。昨年台湾と五十八ドル四十セントという価格契約いたしましたときの国際価格はそれよりも下回っておりました。決して台湾だから特に不利な契約をしたというようなことは一切ございません。従って、今年の契約価格につきましては、現在国際市価は相当高まっておりますので、有利な契約ができると考えております。
  37. 大堀弘

    大堀政府委員 大体先ほど申し上げました通りでございますが、中共向けにつきましても、二十八年度は三万トンの輸出でございましたが、昨年度はこれが七万トン以上にふえておるのでございます。今後も、輸出余力がふえましたら、できる限り輸出をふやしていくように努力いたしたいと考えております。
  38. 帆足計

    帆足委員 硫安輸出会社または輸出一協会としては、中国代表とどういう話し合いになっておりましたでしょうか。
  39. 末吉俊雄

    末吉参考人 私直接その話し合いに参加しておりませんので、詳しいことは存じません。大体日本側の現状の説明をし、中共側の要望を聞いたという程度であったと思います。日本側の現状につきましては、何分輸出ワクをすでに使い果したときでありますし、また追加ワクも早急にはきめられる見込みもありませんししますので、具体的な問題に入り得なかったと承知しておるのであります。これは輸出会社が窓口となって中共側の方と話をしたと聞いておるのであります。
  40. 山本勝市

    山本(勝)委員 ちょっと今の帆足さんの質問に関連してお伺いしますが、帆足さんの話を聞いておると、中共から硫安二十万トンの注文が来ておる、それを特に日本政治的に中共にはやりたくないというので押えておるのじゃないか、そういう気持があって質問しておられるように響くのであります。果してそうなのかどうかということを伺いたいのが一つ。  それから、品物が少いなら、台湾を減らして中共へやったらいいじゃないかということを帆足さんがたびたび言われますけれども台湾を減らして中共に回すということは、私はそう簡単にはできないのではないかと思う。イギリスの商人の話も出ましたけれども、やはり過去ずっとこれまで得意先としてやってきた場合には、新しいお客が出て高く買うと言っても、イギリスの商人はなかなか売りません。あるいは安い品物を売り込もうと思って行きましても、イギリスの商人は、これまでの取引関係がある場合には、新しいものが出てきて、安いから買えと言ってもなかなか買いません。そこはやはり短かい目先の観察あるいは局部的観察というもので取引をする商買人ならば、安いものならどこからでも買う。きのうの取引を打ち切ってでも、あすは別のところから買う。売る場合にも、高く買ってくれる人があれば、きのうの得意先をやめてでも新しい買手に売るということをやる。これは目先の小さな商人はそうしましょうけれども、やはりイギリスあたりのほんとうの商人はそういうことをしないむのだと私は理解しておる。だから、イギリスの市場へ入り込んでいくということが非常にむずかしいのは、品物がよくて値段が幾ら安くても、なかなかこれまでの取引のルートがきまっておる場合には入っていくことは非常に困難である。コマーシャル・ベースを向うの方で考えぬから困難というよりも、大きな目で、やはりコマーシャル・ベースというものをロング・ランに考えておるんじゃなかろうかというふうにも思うのです。台湾との関係は、私はちょっと帆足さんのおっしゃることにも非常に理由はあると思うのですけれども、しかし、帆足さんと同じ気持になりがたいのは、先般も申しましたように、台湾を減らしてでも向うが高く買えば売るというようなことは私は困難じゃないかと思う。だから、帆足さんの質問だけ聞いておると、特に政府鳩山さんの方で中共貿易をふやそうというのに、わざわざ政治的に押えておるというふうに響くのですけれども、果してそうなのか。そうじゃなくて、いろいろな考慮があるのならば、それもはっきり私は答えてほしいと思うのです。そうでないと公平でない。第一中共はなぜ硫安日本から買おう、日本から買おうといって、品物のない分まで買いに来るのか、国際的ね相場は日本よりももっと安いということを聞いておるのですが、それなら、なぜよそで買わぬのかということ、ほんとうに商売をやるのならば、何も日本から買わぬでも、向うから買うたらいいじゃないか。それは日本として売りたいですよ。貿易を伸長する上には売りたいですけれども中共としてどうしてよそから買わぬのか。これについての考えを硫安協会の方に承わりたい。それから二十万トン買いに来ておるのにこちらとして売れないという事情は、品物が足らぬというだけなのか、あるいは、向う側から先般来ましたものでも、外交官としての資格のある通商代表を設けろということを強く向うが要求しました。これは一応の理由はありますけれども、しかし商売というものは密貿易でも行われるものですから、密貿易なんというものは代表部なんか通らぬでも行われる。これは自然に接触した場合に両方とも利益になれば行われる性質のものでありますから、何ゆえにその通商代表部というものを置かなければ貿易はできぬということを向うが主張するのか、その辺のことも私どもにはわからぬ点がある。それは通商代表部を置いた方が便利なことはわかります。以上いろいろな点を質問いたしましたけれども、それらの点について参考人の方からでも政府の方からでもけっこうです。ざっくばらんに聞きたいと思います。
  41. 末吉俊雄

    末吉参考人 中共には出すねというような御指示は政府から何ら受けておりません。言葉通り数量がないから出せないという状況であります。朝鮮は大体南鮮でありますが、韓国台湾日本の統治時代から日本式の農法をやっておりまして、非常にたくさん肥料を使うという実績がありまして、東南アジアの現在の窒素肥料の需要は大体二百万トンと考えられておるのであります。そのうちの百万トンは韓国台湾で消費してきておる実績であります。中共につきましては、国がきわめて広うございますが、肥料を使う農業というものはそれほど今までは発展しておりませんでした。戦前も市場としては大したものではなかった。あれだけ広い国で二十万トンという程度数字を言うておりますので、その数字から考えるのでありますが、おそらくタバコなり綿花なり特殊の作物に使われるものでないかというふうに考えておりますが、自然そういうような歴史的な事実がありますので、コマーシャル・ベースで考えました場合に、やはり安定した市場として韓国台湾を考えておるわけであります。しかし、ここ数年たちますと、日本硫安工業も百四十万トン程度のものを輸出しなければならぬ。やはり運賃に非常に大きな金額をとられる品物でありますので、手近の需要地を一応考えまして、中共もまた大きな肥料の潜在購買力を持っておると考えておりますので、大事にしなければならぬということで、この三国には公平におつき合いしていかなければならぬというふうに考えております。
  42. 大堀弘

    大堀政府委員 ただいま参考人から御説明もございましたが、政府といたしましても、特に中共向け硫安輸出についてこれを抑制するという考え方で押えたわけではございません。結局供給余力がありませんので、やむを得ず出せないという状況でございます。この点につきましては、現に韓国あたりについては硫安の熾烈な要求があったのでございますが、同じくやはり供給余力がないためにできなかった例が現実にあるのであります。そういうことでありまして、特に押えるということではなく、供給余力がないというのが現実であります。
  43. 帆足計

    帆足委員 ただいま山本議員の御発言はまことに有益に承わりました。日本貿易国ですから万国に友を求めねければなりませんし、台湾もまた知己を得たりというべしで、御同慶の至りですが、しかし、私が申し上げたのは、皆さんお聞き及びの通り台湾との貿易を今減らせとは私は申さなかったのであります。従来のお得意さんですし、商売の実績にとらわれておるという御商売当局並びに通商当局の気持はわかる。しかし、その内容たるや、焼きいもほどの小さな島でありますから、内容を検討すれば、バナナキューバ糖よりも一割も高い砂糖があまり御自慢でもあるまい。将来の見通しは小さな見通しの国である。しかし、それでも島国日本にとっては重要な商売相手でもありますし、深い関係のあった国であるから、日本商品が非常に適合しておる国であるから、大切にせねばならぬということは、だれも異存は唱えません。しかし、台湾貿易というものに限界があることと、それからその内容が時勢の要求から多少離れつつあるということ、そういう基礎の上に考えて、中国の問題はイデオロギーを離れて未来の展望のある貿易である。そうして民主党内閣中国貿易をもう少し積極的な熱意をもって打開するということを約束して国民の支持を得た内閣であるから、もう少し積極的態度が望ましい。ことさら台湾実績を私は傷つけようという実情に反したことは申さないので、その点同僚議員の御発言は私もいつも有意義に傾聴しておるわけです。そこで、そういうような台湾との貿易は、貿易でありますから、私は中国との貿易の拡大に台湾をめぐる政治情勢が邪魔をするようなことであってはならぬ。日本貿易商には密貿易をする貿易商など一つもないのであって、すべて自由諸国のきめたルールを守って謙虚に公正に貿易をしておるのです。しかるに、台湾政府から中国との貿易をした商社にもシャット・アウトを食らわす。硫安に対しましても、中国向け硫安輸出した商社の硫安を買わないようにというような意思表示が、公式にか非公式にかあったように聞いておりますが、その点硫安輸出委員長の方はそういう情報をお耳にしておられるでしょうか。
  44. 末吉俊雄

    末吉参考人 昨年の契約のときに、台湾側から、正式に、日本硫安輸出工場の選択を台湾側にまかせろという申し入れがありました。それははっきりお断りいたしました。しかし、当時中共との取引をしておる会社は一社だけでありましたので、数量も二、三万トンのものでありますし、ことさら台湾との摩擦を起す必要もありませんので、その点は日本側で善処しょうということを約束いたしまして――これは口頭であります。それで一年を経過して参ったのでありますが、その間中共との取引も大きくなりまして、現在三社が中共硫安輸出し、台湾の方は三社は出していないというのが現状であります。しかし、次年度契約につきましては、そのような考慮は、日本硫安メーカーまたは輸出会社としましても、荷物を集める上に非常な支障がありますので、そういうことは一切なしにしてもらうということを申し入れております。その点は台湾でも考慮されると考えております。
  45. 加藤清二

    加藤(清)委員 ちょっと今の問題に関連して……。先ほど、同僚議員、特に私の尊敬しております山本委員から帆足委員に対してのお話がありましたので、私それに関連してちょっとだけ御質問してみたいと存じます。どうも経済学博士の親愛なる山本委員の言葉を返すようでおおそれ多い話でありますが、この委員会は、貿易の難点を打開して促進しょう、それがために生れた。特に無条約国との貿易を促進するというのが、そもそも発足のポイントだった。そこで、伝えられております困難な中共との貿易を促進するために、帆足君のような話が出るのは無理からぬことだと思いますが、中共台湾との貿易を比較してみますと、確かに台湾貿易はスムーズに行くが、中共貿易はスムーズに行かない。そのスムーズに行かない原因は、人為的な措置によるものであるということは周知の事実なんです。具体的に言いますと、台湾貿易をやっているものが、同じ名目で中共との貿易をやりますと、それじゃもう台湾との貿易はやめてくれ、こういうことが言われているのが現状なんです。現にこのことはすでに商社にも申し入れてあったはずなんです。私はさっそく在日本華僑人の代表と会いました。そうしてそのようなことをやられては、かえって台湾日本とのいわゆる友好的な国民感情をも刺激することになって、よろしくないではないかと尋ねましたところ、それはその通りです、これは面子の問題でございましてというようなお話もあって、このときには談笑のうちに話し合いが終ったわけでございますけれども、今日台湾からのそのようなサゼスチョンがあるということは、はっきりしたおおい隠せない事実であります。それからまた、中共との貿易を進展させようとしたときに、ココムだのパリ・リストだのいろいろなことがあることは事実です。せっかく許されたパリ・リスト内においてこれをやろうとしても、なお困難な数々の点がある。その困難な数々の点に対しては、人為的な原因、それが一つには政府の措置にあるというとともはっきりした事実なんです。これは感情論じゃない。具体的事実について言うておる。  そこで、ぜひ一つお尋ねしたいことがあるのでございまするが、今日すでに話し合いが進められておりますところの大豆、これができない。できない原因は何かといえば、こちらからは大豆がほしいと言う。向うは、大豆は上げますが、そのかわりこちらのほしい漁船をもらいたいと言う。ところがこの漁船は送り出すことができないと言う。結局どっちに原因があるか。つまりこちら側が向うへ送ることを拒否しているところから、やがてはみそ、しょうゆやあるいはとうふの値段まで、心配される。すでに今日新三品市場における豆はストップなのである。取引がストップしている。こういう状況である。これは日本経済に及ぼす影響が甚大でございまして、そこで政府としては、漁船がいけないというならば、せめて硫安を、過燐酸石灰を、あるいはその他硝石とか硫安以外の肥料を、向うがほしいという肥料をもってこれにかえて、なお豆の輸入を促進するところの用意がありやいなや。この点を――通商局次長さんしっかり聞いておって下さいよ。ちょうど今あなたに何っている。その硫安がいけないといりならば、その他のものでほしいといり肥料と交換して、日本業界がほしいほしいと言っている豆を輸入する容易ありやいなや。もしそれもできないというならば、あるいはポンドの決済によってすでに契約されている残りの分もあるはずでございますから、そのワクの中に入れてでもこの豆を輸入する意思がありやいなや。あなたの答弁いかんによっては三品市場はストップするかしないか、またこの値段に及ぼす影響は甚大である。毎朝食べるみそ、しょうゆにまで影響する。こういうことですが、いかがでありますか。それは秘密会でよろしいですから…。
  46. 山本勝市

    山本(勝)委員 今の加藤君の質問で、果して三品市場に大影響のあるということを自覚して質問されるのならば、私はむしろ秘密会にすべきだと思う。そうでなく、そのときの言葉のあやで言われたのならば、これは別だけれども……。
  47. 加藤清二

    加藤(清)委員 秘密会でもけっこうです。私は決してうそを言うておりません。現にストップしていることは事実です。
  48. 帆足計

    帆足委員 議事進行で……。大事な問題で少し話し合いしたいこともあるのです。秘密会でも何でもいいのですが、ちょっとその前に硫安だけ済ませていただきたい。今の問題で多少その後の進行状況があるので……。
  49. 加藤清二

    加藤(清)委員 私は別に混乱させるとかそんな目的で言っているのではないのですよ。化学振興の委員会もやっているのですから、私このことをちょっと聞いておきたかったのです。だから、山本委員のおっしゃるように、秘密会でも何でもけっこうですから…。
  50. 前田榮之助

    前田委員長 ちょっと委員長から皆さんにお諮りいたしますが、政府側から秘密会でなければ話ができぬと言うならば別ですが、政府の答弁を一応聞くべきじゃないかと思います。
  51. 大堀弘

    大堀政府委員 中共大豆の問題につきましてお尋ねがございましたから、別に秘密会にしていただきませんでも、ここで申し上げたいと思います。現在中共大豆五万トンの輸入交渉はしているわけでございます。中共貿易につきましては、昨年来継続しておりますいわゆる逆トーマス方式と申しまして、先方のものを入れます場合に、先方側が日本見返り品を輸入するということを含みとして約束いたしまして、それでそういうバーター条件で輸入を許可する、こういうのが現在中共貿易一般に行われている方式でありまして、大豆につきましても、中共大豆を五万トン輸入する場合に、逆トーマス方式によるということで、従来通りの方式によりまして交渉しているわけであります。それに対しまして進出口公司から民間の業界に提出されております条件は、逆トーマス方式は困る、決済はポンドのストレートにしてもらいたい、こういう条件が申し入れされているわけでございます。しかしてその内容につきましてちょっと御説明申し上げますと、FOB四十三ポンドという値段になっているわけであります。従来は、バーター条件でありますので、若干値段は高くても、日本見返り品が出るという前提に立ちまして、私ども価格の点は若干高くても見のがしておったわけであります。現在中共がヨーロッパ向けに送っております大豆等についてはシフ三十八ポンドで売っているわけであります。非常に安い値段で売っているわけでありますが、日本に対しましてはFOB条件でなおかつ四十三ポンド、しかもボーナス条件がついておりまして、品質がいい場合にはさらに二ポンドくらい高くなる。船賃を計算いたしますと十ポンドくらい差があるわけであります。逆トーマス方式と言いますのは、バーター条件では最も緩和した方式でありまして、従来一般にやっておりますのは、バック・ツー・バックと言いまして、現品と現品を引きかえに取引する。あるいは逆トーマスでなくトーマス方式――トーマス方式と言いますのは、輸出先行で、一般の場合は非常にかたいのでありますが、中共の場合は一番甘い逆トーマス方式を採用しております。それにもかかわらず、この方式によらず、決済はポンドのストレートで四十三ポンド、こういう条項で日本側としては先方の要求に乗るということはきわめて困難な状況でありますので、今大豆の値段お話が出ましたが、もしこの条件がいれられないために国内の需給に非常な影響があるというようなおそれがありますならば、私どもといたしましては、この際中共向けの逆トーマス方式によるバーター制度を打ち切りまして、むしろグローバルの方式によりまして、どこからでも入れられるという方式に切りかえたいと考えております。そうしますれば、もし日本中共が物を売りたければ、国際価格まで値段を下げていただく。国際価格で売っていただけば日本の輸入に食い込めるわけであります。その方式がこの際の方法としては妥当ではないかと考えております。
  52. 帆足計

    帆足委員 ただいまの政府の御答弁は私も一応ごもっともなように思いますが、それは結局ココムの禁止制限があるからこういう窮境に立つのだと思う。これは次長の責任ではないわけであって、政治の責任ですから、これは鳩山さんの責任であるわけです。またそれを選挙した国民の責任ですから、次長に御無理を言っても恐縮ですが、禁止されている漁船を逆トーマスの条件としてLCに書くということは私も困難だと思うのです。従いまして、実際問題としては、現在輸出を許可されている品目で逆トーマスでできるかできないかということを確かめて、できないとすれば、ただいまのようにグローバルなりストレートで、そのかわり値段を安くしてもらうように交渉する、そういう二段がまえで至急交渉せねばならぬ筋道のものだと思います。しかし、それにしろ、加藤君が指摘されたように、漁船のようなものを今どき戦略物資と言って騒ぎ立てるというアナクロニズムに問題の点があるのではないかと私思うのですが、貿易協定を結びましたときに大豆は甲類物資になっているのですから、すでに今日あることをわれわれは予期しておって、あなたを責めるよりも協定に判とを押した私どもの共同責任かもしれぬと思う点もあるわけですから、この点は、われわれ個々の商売には立ち入りませんが、流れがうまく行きますようにお骨折りを願いたいと思います。また加藤君の質問は今日私はそういう点で当を得たものであって、ぜひとも御注意を促しておきたいと思います。  話は硫安に戻りまして、いろいろ伺いましたが、どうもとりとめもないことばかりでありまして、実はぬるま湯に入ったようで、かぜを引きそうな思いもするわけであります。実は私は業界出身でありますから、多少言いたいことも控えて、輸出委員長さんの苦衷のほども察し、友情を感じているわけでありますから、その点にお含みを願います。現実はきびしいものでありまして、会社の重役ともおなりになれば、そう自分の思う通りもできませんから、政治家が、そういう手かせ足かせの中で貿易に努力しておられる業界の方にあまり御無理な御注文なり御質問をすることは、礼節にはずれたことであるとも思いますが、私どもが開陳しました論理のほどは、きわめて穏健適正な論理でありますから、御了察下さったことと思います。国際情勢が、原爆の時代でなくて、バズーカ砲、戦車の時代ならば、極東の空にも十年ごとに血の雨も降らねばならぬでしょうから、貿易どころではないけれども、地獄の灰の水爆時代ですから、平和が続く。平和が続くとすれば、ぜひとも貿易で行かねばならぬ。貿易で行くとすれば、人口の多い中共、六億の人口を持っているところに、今日困難があろうとも努力を続けねばならぬ。私が今日この席で申し上げたことは、社会党の議員でありますから、あいつがまた中共貿易を論じていると言われるとすると、それは偏見でありまして、アメリカのジョージ外交委員長が私とほぼ近い意見を述べているのであります。日本の議員の言ったことなら皆さんのお耳に入らないけれどもアメリカの目の青い人が言ったことは耳に入るだろうということは、まことに嘆かわしい国情であります。従いまして、結論としては、台湾の問題も私は上手に解決する必要があると思います。中国の問題はもはや脚光を浴びている問題でありまして、一時の流行や、先走りの人たちの議論や、または思いつきのイデオロギー論ではなくて、日本立地条件から来ている重要な市場であって、その中核をなすものは化学工業と機械工業でございます。なかんずく硫安工業こそは中国の食糧、雑穀、米、大豆等との関係において今後の最も脚光を浴びるものであります。輸出委員長が将来百数十万トンの輸出をせねばならぬ日も来るであろうと言われましたが、その日のためにも今から準備しておいて、お互いに理解し合って事を進めるというふうにしていただきたいと思います。表立っては言いにくいこともありますし、利害の対立を見せるようなことがありましても、腹では日本国民として貿易の伸張、国際親善については理解し合って話し合って進むというふうにしていただくならば、私はこの問題は解決する。この問題の解決にはやはりアンダースタンディソグ、お互いに理解し合って隘路を打開するということが私は必要だと思います。従いまして、中国との交渉などの場合にも、硫安輸出会社なり硫安の大手筋のメーカーの人が表に出られない場合には、その交渉の任に当っている貿易連盟の諸君と一席弁当でも食べ、番茶でも飲んで話し合って、そうして皆さんの苦心のほども聞かしていただき、そうして交渉に当る、こういう空気を作っていただきますならば、私は国民経済全体のために非常によかろう、その腹さえきまれば、万事は円滑に行くであろうと私は存じます。従いまして、今日硫安審議会の開催を前日に控えて、ほとんど具体的なことをお伺いできなかったことは、私は非常に残念であると思います。しかし、もしそういう御理解が――中国貿易に対して鳩山ざんが約束した通り、これは未来のある市場であって、今日の国際情勢ではもはや戦争を避けねばならぬ、避け得ることは必至である、二つの世界の対立は対立として並存し得る、そうしてその日は長いとするならば、どうしても貿易の道を他国に負けねいようにつけておく必要がある。今後の国際競争の苛烈さ、国内における企業整備、失業の増大等を考えますと、私は一日でも安閑としておれないと思う。日本の国土が広ければその人口を国土開発に振り向けるとかいろいろな対策も成り立つけれども、原料は物理的に制約を受けておる。これはソ連や中国アメリカと違う日本の物理的宿命である。この小さな島国の中に八千万以上の人口が生きていかねばならぬのだから、私はただ台湾中国とをはかりにかけて、当面の政治的摩擦があるからといって、中国の問題に目をふさぎ、台湾のことのみに忙殺されるとするならば、それは間違っておると思う。業者として今日のお得意を失わないように一応配慮すべきで、さっきの山本君の御意見は一理あってそれも大切と思いますけれども政治行政として強く打つ手を考えていただかねばいかぬと思う。私がモスクワに行ったのも、決して先走りでなく、時を得たものであったと自分では思っている。今日のアメリカ、イギリスの移り変る姿を見て、日本民族もまたそういう大きな筋で生きていかねばならぬと思う。それは決してことさらに台湾を排撃するものではないと思います。  従って、結論として最後にお尋ねしたいのは、硫安審議会によって輸出ワクがきまったならば、中国に対し何らかの意思表示ができるような条件政府当局並びに硫安輸出会社の方で作っていただきたい。というのは、先方では値段を示し二十万トンのワクを示して、こちらの返答を待っておるわけで、先方の言うのには、どうしても絶望ならば、中国は今年の硫安消費計画を減らすか、または西ヨーロッパからの買いつけを急ぐ以外に方法はない、こういう手紙が来ているわけだから、個々の業者の利害問題を離れて、総括して日本から中国への硫安輸出計画は何万トンから何万トンの範囲まで準備してあるということだけでも適当な方法で知らせて、問題の円滑かつ有利な条件による解決をはかることが必要である。政府当局において、われらの超党派的なそういう要望を了とせられて、適切な御協力を業界に与える用意があるか、またとかく因循こそくに陥りがちな業界に対し、進歩的というと語弊があるが、そういう合理的指導をなさる意思があるかどうか、それをお伺いいたしたい。
  53. 大堀弘

    大堀政府委員 肥料審議会において輸出見通しが立ちました上は、この輸出の方法につきましては、御指摘の点も十分に締り込みまして、慎重に検討いたしたいと考えております。
  54. 前田榮之助

    前田委員長 ちょっと委員長から島村政務次官にお尋ねいたしますが、中共貿易の問題については帆足君からいろいろ申されましたが、ただ行政事務当局だけで処置する事務的な取扱いだけでは、新しい国家体制を作った中共との貿易関係の発展は非常に困難だと思います。民主党内閣のごとく、中共と国交調整を国民に公約し、中共貿易の発展を公表いたしておる内閣といたしましては、当然、行政事務的な処置でなしに、政治的な取扱い等も考慮されなければならぬと思うのであります。従って、現在中共貿易が壁にぶつかっておるココムの禁止等によるところの片貿易関係、これらの調整はいかにすべきかということが問題ですが、その中でもいわゆる硫安が非常に重要な問題になっておると思うのであります。従って、硫安において、台湾その他の実績のある国々に支障のないようにするためには、特別な増産計画を行うか、もしくはその他の何らかの処置を行う以外にない実情になっておると思うのであります。従ってとれに対して鳩山内閣政治的に何らかの手を打つ考えがあるかどうか、これを政党と内閣との橋渡しをされる責任のある大臣もしくは政務次官等から聞くのが正しいと思うので、もし大臣と御相談の上で答弁されるなら後日でもよろしゅうございますが、島村政務次官の御意見一つお聞かせいただきたいと思います。
  55. 島村一郎

    ○島村政府委員 この問題につきましては、総理大臣から、あるいは私どもの大臣からも、ときに触れ折に触れいろいろと自分の考えを申されたことと存じますが、私どもといたしましては、御承知通り日本貿易をもって国を立てていく、あるいは産業立国論を唱えている建前といたしましても、せっかく結ばれました取引はできるだけ助長していこうという考えには、御同様私は変りはないのであります。ただ中共、ソ連との関係につきましては、ココムの関係もございましょう、あるいはいろいろ国際的な情勢ともにらみ合せまして、できる限りこれを伸ばしていくことが私どもの務めでなかろうかと考えております。
  56. 前田榮之助

    前田委員長 今の務めはわかっておるのですが、中共の事情ままた中共貿易使節団からの要求等も具体的にわかってきたので、この際これを政治的に処置するかしないか、ただ熱心であり何らか努力をするだけでは、もう何ら成果は上らない実情にまで来ておるのであるから、それに対していかに具体的に政治的な処置をするか、ただ、政治的な処置をしないで、硫安協会やあるいはまた通産省などの事務的な行政処置だけによってやむを得ないものとしておるかどうか、この点について政治的な強い処置をするかしないかということを、一応聞かせておいていただきたいと思います。
  57. 島村一郎

    ○島村政府委員 実は不勉強で、諸般の問題につきまして大臣との打合せもまだ具体的に済んでおりませんので、しばらく時間をおかしいただきたいと思います。
  58. 中村高一

    ○中村(高)委員 島村次官にお尋ねいたしますが、政府でも経済六カ年計画というものをお立てになっておるようでありますが、その中にこの硫安増産計画というようなものもむろん含まれておると存ずるのであります。向う五カ年間に三十万トンふやすとかいうよう血こともちょいちょい聞くのでありますが、経済六カ年計画だといたしますればどんな増産計画を持っておりますか、その点について次官にお尋ねをいたしたいと思います。もし何でしんら、ほかの方に代理して答弁させていただいてもけっこうであります。
  59. 島村一郎

    ○島村政府委員 詳しいととはよくわかっておりませんので、政府委員から御答弁申し上げたいと思います。
  60. 長尾正

    ○長尾説明員 ただいまお尋ねの経済六カ年計画で硫安増産をいかにするかということでございますが、大体昭和三十二年度におきまして生産は約三百万トン、一方内需の増加等もあろうかと思いますが、大体輸出を百万トン程度見込んでおります。
  61. 中村高一

    ○中村(高)委員 先ほどの化学肥料部長のお答えによりますと、来年度ですか、来たる肥料年度に大体十万トンも増産ができればというような概括的ねお話もございましたが、この増産される分については、どういう方面にどういうワクできめられるか。むろん肥料審議会等にもかけられてきまるのだと思うのでありますが、国内の需要も相当にふえてくる。輸出はどうしてもふやさなければならぬというよろね状況でありますが、来年度の計画については、この増産される部分は輸出に振り向けられるのですか、それとも国内の方に振り向ける御予定でありますか。
  62. 長尾正

    ○長尾説明員 ただいま私が申し上げましたのは、硫安肥料の全体のことを申し上げました。先ほど申し上げましたのは、ここで硫安の問題が議論になっておりましたので、実際の硫安数字の目標を申し上げましたので、若干数字がその間に御理解が行きにくかったかと思いますが、一つその点を御了解願います。  増産できましたものを全部輸出に回すかどうかということでありますが、これは、内需の増加等もありますので、やはり肥料審議会で十分御検討いただきまして、まず内需優先で内需の方を十分取りまして、その余りが輸出ということに相なります。その点一つ御了承願います。
  63. 中村高一

    ○中村(高)委員 昨年中共輸出するときにも問題に出てきたのでありますが、日本国内の農業調整用の分として十何万トンが取ってある、これをどうあんばいをして中共向けに振り向けるかというようなことで、農林委員の諸君などとも協議いたしたこともありますが、農業調整用の肥料というものは、現在のように価格が安定をしてきて生産も大体確実になるということであれば、農業調整用の分というようなものに対しては、それほど持たなくてもいいというような議論もあったのでありました。調整用の分として取っておくことはもちろん必要かとも思いますけれども、事情もだいぶ変ってきておりますが、この農業調整用の分は結局はどういうふうになっておるのでありますか。
  64. 桧垣徳太郎

    ○檜垣説明員 需給計画に織り込みました国内需要調整用の保留肥料の措置並びに経過につきまして御質問があったと存じますので、御説明申し上げます。  二十九肥料年度におきまする内需のアンモニア系肥料の需要見込数量を百七十八万トンと見込みまして、それに対し大体一割程度の需給調整用肥料を保留する旨の政令の規定がございまして、十七万五千トンの需給調整用肥料を計画の上で立てたのでございます。そこで昨年の肥料需給調整法の実際の施行が年度の途中で行われました関係上、事実上指定団体が買い上げをいたしました調整用の保留数量は、計画を下回りまして、十二万四千トン程度になったのであります。その後内需の動向を見て参りますと、予想以上に内需の伸張が大きかったのでございまして、そのために、農業用のアンモニア系肥料の需給は、計画に見込みました百七十八万トンではとうてい操作ができないというようね事情になりまして、この十二万四千トンの需給調整用保留肥料を逐次放出をいたして参り、今日までに十二万四千トンのうち九万数千トンを放出いたしまして、現在現実に残っております調整用保留肥料は約三万トンにすぎないのであります。二十九年度におきまして、内需の総量は、あと六、七月の二カ月を残しておるのでございますが、大体、私ども見通しといたしましては、百九十万トンを相当上回る数量になるであろうということで、通産省とも御連絡の上で最終的な予想数字を検討中でございますが、百九十数万トンになることは確実でございます。従いまして、当初の内需見込み数量百七十八万トンに比べますと、内需の伸びはアンモニア系合計で十数万トン伸びたという事態を生じて参りましたので、内需の調整用保留肥料は、法律に定められました内需の振幅度を埋めるという機能を果して、大体本肥料年度においては全部の数量を放出し尽すという格好になると予想しているのでございます。
  65. 中村高一

    ○中村(高)委員 そうすると、調整用の分については輸出などに振り向けるわけにはいかぬ。あなたは、農林省の関係でしょうから、もちろんそういう立場をとらなければならぬのでありましょうが、そうすると、今政令できめられております一割については減らす余地はない、こういうことと承わってよろしいですか。
  66. 桧垣徳太郎

    ○檜垣説明員 ただいまも申し上げましたように、事実上買い上げました十二万四千トンのうち三万トンばかり繰り越して、現実に使い果しておりますので、これを修正するとかいうような余地はなく、かつ三万トンにつきましても、六、七月の需要期におきまして全量放出を必要とする事態であるというふうに考えておりますから、これは物理上この一割を圧縮するというようなことは不可能だと考えております。
  67. 中村高一

    ○中村(高)委員 ちょっと末吉さんに、せっかくおいでですから、お伺いいたしますが、今増産計画について政府側にお尋ねをいたしたのでありますが、日本輸出品で売れるものといえば、何といっても今硫安が非常な花形でありますし、特に中共などに対する見返り品として、硫安であれば物が買えるというような実情にあるようでありまして、われわれといたしましても、こういう売れるものを増産するということが日本政府としても当然やるべき国策だと思うのでありまして、政府でも増産計画をやっているようでありますが、メーカーの立場からいたしまして、今政府で言われましたようね増産の見込みがあるのかどうか、さらにメーカー側としてはどんな御見解でありますか、一つ承わっておきたいと存じます。
  68. 末吉俊雄

    末吉参考人 硫安メーカーの側でも、とにかく国際競争にたえていくためにはコストの引き下げが重要なのでありますので、コストの引き下げは、こういう硫安工業におきましては設備費が非常に高くつきますので、操業度を上げるというところに重点を置きまして、設備の上でボトル・ネックになっているところを修正して、一トンでもよけいできるように努力を続けております。それに要する資金を財政資金から融資をお願いしているわけでありますが、それだけでなく、また各自の努力によりまして資金の手当をして、増産のテンポは大体計画通り進んでおります。
  69. 帆足計

    帆足委員 ちょっと関連しますが、ただいまの生産計画で、業界の御要望としてさらにこういうことをしてもらいたいという点と、さらに生産計画のピッチを上げることはどの程度条件があればできるでしょうか。御要望がありましたら聞かしていただきたいと思います。
  70. 末吉俊雄

    末吉参考人 あまり先のことをお願いしても現在の事情に応じ切れませんので、ここ二年ぐらいのところは、九十億の設備資金を必要としますので、その半額ぐらいのものを財政資金にお願いしたいという要望を農林大臣並びに通産大臣にいたしております。しかし、現在の状況は、大体十五億程度しか期待でき払いであろうと思っております。
  71. 帆足計

    帆足委員 中国側では年々ふやして五十万トン以上も輸入したい、しかもそれが一年だけではお互いに不安であろうし、どうせ戦争もないのだから、長期にわたる契約でもいい、こう言って参っておるので、私は硫安工業界としては非常なる関心と興味を持つべき問題だと思うのです。なぜお持ちにならないのか私には不思議だ。あるいは硫安工業界の人が何らかの関係で近視眼にでもかかっておるのではあるまいかというような疑いを持つような次第です。またわれわれのように中国に行って参った者などを特に呼び出して懇篤に御諮問あってしかるべきであるのに、逆に私どもが皆さんを呼び出さなければならぬということも、世界の七不思議の一つではないかと思います。いかなる心境にあられるのか。それとも泣く子と地頭にはかなわぬと思っているのか。世界が動かぬと、地動説を信じておられないのであるか、こういう気もするくらいです。従いまして、先ほど委員長が、この問題はしごく重要であるから、生産増大計画並びに輸出増進計画に対して政府が一段と真剣なる努力をする準備があられるかということを次官に最後にお確かめになったことは、私は適切な質問だと思う。場合によってはこの委員会においてそういう決議をしてもいい。今までの硫安増産計画は、北アジアにおける需要の飛躍的増大、それから東南アジア諸国における農民の目ざめ、こういう問題を十分織り込みになっておるか、私は疑問だと思う。アジア諸国の農業がどの方向に動いておるか、どういうふうにアジアの農民が目ざめつつあるか、どういうふうに日本の工業に期待を持ちつつあるか。この大きな動きに対して、占領下にありましたために、ただきょうを生きるためにのみ忙殺されて、大きな展望を失っていたと思うのです。従いまして、先ほどの委員長の総括質問につきましては、私はこれを通産大臣に通達していただいて、あらためて通産大臣からはっきりした御答弁が必ずしもわれわれの胸に感銘しないならば、この委員会並びに理事会において相談して適当なる決議をして、政府を鼓舞勉励せねばならぬ重要ね問題だと思うのです。そこで、当面の問題は、大堀さんの方から、事務折衝の範囲で、二、三日中に、硫安審議会の動向もきまりましたならば、この問題に対して、中日貿易議員連盟といたしましても、個々の業務以外に全般としての貿易振興策の一貫としていろいろお尋ねいたしますから、一つ懇切なる御協力を下さる意思があるのかどうか、このことを特に確かめておきたいと思います。
  72. 大堀弘

    大堀政府委員 硫安審議会におきまして来年度の需給計画を決定いたしました上は、私どもといたしまして、各地域別の輸出について十分慎重に検討いたしました上御説明申し上げたいと思います。
  73. 帆足計

    帆足委員 中国側は二十万トン申し入れしているということ、また将来の見透しはその倍以上に当面増大していくといろごとを貿易使節団が切言しておるわけでありますから、そのことも一つ十分硫安審議会にお伝えになっていただきたいと思います。  それから、硫安の問題につきまして、私ども、この委員会になりましてから資料が不足をいたしておりますから、硫安増産計画の資料、工場別の生産数量輸出数量値段等につきまして、お持ち合せの資料を次回の委員会に御提出いただきますよう事務当局にお願いいたします。
  74. 前田榮之助

    前田委員長 ほかに硫安の問題について御質疑はございませんか。――以上で参考人に対する質疑は終りました。  この際参考人に一言お礼を申し上げます。本日は御多用中にもかかわらず長時間御出店下さいまして、種々貴重ね御意見を御発表いただき、まことにありがとうございました。本委員会といたしましても、これを十分参考といたしまして調査を進めて参りたいと存じます。  次に、帆足君より発言を求められておりますから、これを許します。
  75. 帆足計

    帆足委員 明日総理並びに外務大臣がお見えになりますから、そのときに政府政治的な御見解はお尋ねいたしますが、昨日、一昨日の新聞に、アメリカ上、下院の外交委員長から、中国との貿易を緩和することが世界の平和並びに日本経済安定のために望ましいという趣旨の、相当強いラジオ放送並びに新聞談話がありました。私どもは当然かくあるべきであると思っておりましたわけで、大いに世論の展開を期待するわけでありますが、その正確な資料を知りたい。その全文を明日でも御提出願いたい。同時にそれに対する今日の政府当局の御見解はどういうふうになっておるか、経済局長の方でおまとめになっておる見解をお漏らし下さって、明日また総理から正確な意見を承わりたいと思います。現在お手元にあります資料に即して御説明をお願いいたしたい。
  76. 湯川盛夫

    ○湯川政府委員 お答えいたします。先日アメリカの国会の上院の外交委員長ジョージ氏が中共貿易の緩和ということについて話をしております。それからあとでまた下院のリチャーズ氏も同じような意見を述べております。このもう少し詳しい資料については目下照会中でありますから、そのうち来ると思いますが、この二人ともなかねか重要な地位にある人たちですから、これは相当重要な発言だと思います。これは二人ともそのパーソナル・ビューズを述べたのでありますが、しかしその両氏の地位にかんがみまして相当の影響もあるというふうに考えております。このジョージ氏が先に話したわけですが、こういうような談話をこういう時期にしたというのには、おそらく三つのことが頭にあったと思います。一つは、先般来ジュネーヴで交渉しておりました日米間の関税上の交渉が最近終りました。それについていろいろアメリカ国内に批判があります。それにこたえるという点が一つ、それから目下アメリカのコングレスで互恵通商法の延長問題を論議しております。それに対する見解をある程度述べる。もう一つは、最近のソ連の情勢ないし傾向といったようなものを考慮に入れておる。こういった三つの問題が主として頭にあって、ああいう話になったんだろうと思っております。ただこの二人とも戦略物資はやはり押えなければならぬということは言っております。今とめているものの中で戦略性のあまりないもの、そういうものを緩和したいということを言っております。ジョージ氏は、こういうようなものはどんどん出すことにしたらいいじゃないかということで、四つほど例をあげております。プラスチック、合板、おもちゃ、自転車、こういったものをもっと出さしたらいいじゃないかということを言っております。ただこれはどういう根拠でそういうことを言われたか知りませんが、これらのあげられた品目はすでに全部解除品目になっております。こういう声明があったからこれからすぐどうということはなくて、すでに全部解除になっております。それで問題は、今の戦略物資の線というものをほんとうにゆるめるあれがあって話したかどうかという点にあるわけでありますが、もう少しよく調べたいと思います。
  77. 帆足計

    帆足委員 こういうことを半年前に日本の議員が言えば、外務省当局はわれわれに旅券をくれなかったであろうと私は思うんです。青い目の人が言えばまことに慎重に重大なニュースとしてお取り上げになるという、こういうような弊風はまことに遺憾であると思っておりますから、せっかく御勉強のほどを切に希望します。それから第二に、ジョージさんという人は、アメリカにおいては外交委員長という地位は非常に高くて、非常に抜群の人物であろうと思いますが、日本からおもちゃや合板やまたは自転車は出してもよかろうと言われるところを見ると、いかにココムの実情に対して無知であり無学な人間であるか。こういう無学な人間が極東問題を担当しているとするならば、これは一つ日本に留学していただくかどうかして、もう少し教育してかからなければならない。またこういう無学な外交委員長によって指導されておる、またそのインフルエンスのもとに働いておる日本の外務省当局の不幸を相ともに悲しむわけです。いやしくも日本の生死に関するものは貿易です。その貿易の中で自転車とか玩具とかいうものはかって大きな比重を占めていたものです。しかし、それが今どうなっているかも知らず、それがすでに中国輸出が許可されているけれども、しかしそれがどういう理由で、許可されているにかかわらず輸出が振興されていない。その事情は外務当局もよく御存じないと思いますが、アメリカではそれがまだ許可されてないかのごとく、そういうものならやっても一同差しつかえない。差しつかえないじやない、もうとつくの昔二年前から自転車は五万台くらいの受注があったが、硫安が出ないために発注の取消しを受けて、やっと四千台輸出ができた、こういう事情すら知らない人が日本の国の運命に対して発言をするなどということは、私は無礼なことだと思っております。それならば、われわれが、アメリカはぼつぼつ自転車を中南米に輸出してもよいだろう、子供のおもちやをカナダに輸出することぐらいは差しつかえないと日本の国会議員が言ったならば、あれは気が狂ったかといって松沢病院に入れられてしまうでしょう。海波万里を隔たった日本貿易に対して、しかも八千万以上の人口をかかえて苦労しておる国に対して、他国がほんとうに良心のある真剣な政策を立てるはずはないのです。アメリカを守るために日本をどう利用するか、アメリカ市民の幸福を守るために日本をどの程度に取り扱うかということが、たかだかアメリカ政治家の任務である。日本の運命をどういうふうに取り扱うかということは、私は、日本国民と、日本の議員と、日本政府が三位一体になってきめるべきことであると思うのです。従いまして、との記事を見て私は非常に悲しいと思いました。われわれはかって中国を生命線だと言った。それは、その立地的宿命は今日においても変るところはないと思うのです。経済的生命線と言った立地条件は、鴨緑江がさかさまに流れるようになればこれは多少変るかもしれぬ。しかし鴨緑江がさかさまに流れる日が来るかもしれない。原子科学はそれを可能にするかもしれない。その日が来れば、私は日本世界関係立地条件もすべて変ると思う。しかしその日が来るまではまだ数十年かかると思う。それまでの長い日と月の間において、われわれの子供たちが生きて行かねばならぬとするならば、この現在与えられた問題を一つ一つまじめに解決して行かねばならぬ。こういうときに青天のへきれきのようにアメリカの二人の外交委員長が相次いでこういう声明を出した。私は何かその背後に流れている大きなものがあろうと思う。一つ一刻も早くワシントンから情報を集められて、当貿易委員会に一つ資料を出していただきたい。  明日は外務大臣及び総理大臣からこれに対して所見を伺いますから、湯川さんから、両大臣に、よく資料を整えられて、国民の心が明るくなるようなよい自主的御答弁をし得るように御準備のほどをお伝え願いたいと思います。
  78. 前田榮之助

    前田委員長 ほかに御発言はございませんか。  なければ、本日はこの程度といたしまして、次会は明十六日午前十時より開会いたすこととし、本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十八分散会