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帆足委員 ただいまの
政府の御答弁は私も一応ごもっともなように思いますが、それは結局ココムの禁止制限があるからこういう窮境に立つのだと思う。これは次長の責任ではないわけであって、
政治の責任ですから、これは
鳩山さんの責任であるわけです。またそれを選挙した
国民の責任ですから、次長に御無理を言っても恐縮ですが、禁止されている漁船を逆トーマスの
条件としてLCに書くということは私も困難だと思うのです。従いまして、実際問題としては、現在
輸出を許可されている品目で逆トーマスでできるかできないかということを確かめて、できないとすれば、ただいまのようにグローバルなりストレートで、そのかわり
値段を安くしてもらうように交渉する、そういう二段がまえで至急交渉せねばならぬ筋道のものだと思います。しかし、それにしろ、
加藤君が指摘されたように、漁船のようなものを今どき戦略物資と言って騒ぎ立てるというアナクロニズムに問題の点があるのではないかと私思うのですが、
貿易協定を結びましたときに大豆は甲類物資になっているのですから、すでに今日あることをわれわれは予期しておって、あなたを責めるよりも協定に判とを押した私
どもの共同責任かもしれぬと思う点もあるわけですから、この点は、われわれ
個々の商売には立ち入りませんが、
流れがうまく行きますようにお骨折りを願いたいと思います。また
加藤君の
質問は今日私はそういう点で当を得たものであって、ぜひとも御注意を促しておきたいと思います。
話は
硫安に戻りまして、いろいろ伺いましたが、どうもとりとめもないことばかりでありまして、実はぬるま湯に入ったようで、かぜを引きそうな思いもするわけであります。実は私は
業界出身でありますから、多少言いたいことも控えて、
輸出委員長さんの苦衷のほ
ども察し、友情を感じているわけでありますから、その点にお含みを願います。現実はきびしいものでありまして、
会社の重役ともおなりになれば、そう自分の思う
通りもできませんから、
政治家が、そういう手かせ足かせの中で
貿易に努力しておられる
業界の方にあまり御無理な御注文なり御
質問をすることは、礼節にはずれたことであるとも思いますが、私
どもが開陳しました論理のほどは、きわめて穏健適正な論理でありますから、御了察下さったことと思います。
国際情勢が、原爆の
時代でなくて、バズーカ砲、戦車の
時代ならば、極東の空にも十年ごとに血の雨も降らねばならぬでしょうから、
貿易どころではないけれ
ども、地獄の灰の
水爆の
時代ですから、平和が続く。平和が続くとすれば、ぜひとも
貿易で行かねばならぬ。
貿易で行くとすれば、
人口の多い
中共、六億の
人口を持っているところに、今日困難があろうとも努力を続けねばならぬ。私が今日この席で申し上げたことは、社会党の議員でありますから、あいつがまた
中共貿易を論じていると言われるとすると、それは偏見でありまして、
アメリカのジョージ
外交委員長が私とほぼ近い
意見を述べているのであります。
日本の議員の言ったことなら皆さんのお耳に入らないけれ
ども、
アメリカの目の青い人が言ったことは耳に入るだろうということは、まことに嘆かわしい国情であります。従いまして、結論としては、
台湾の問題も私は上手に解決する必要があると思います。
中国の問題はもはや脚光を浴びている問題でありまして、一時の流行や、先走りの人たちの議論や、または思いつきのイデオロギー論ではなくて、
日本の
立地条件から来ている重要な
市場であって、その中核をなすものは化学工業と機械工業でございます。なかんずく
硫安工業こそは
中国の食糧、雑穀、米、大豆等との
関係において今後の最も脚光を浴びるものであります。
輸出委員長が将来百数十万トンの
輸出をせねばならぬ日も来るであろうと言われましたが、その日のためにも今から準備しておいて、お互いに理解し合って事を進めるというふうにしていただきたいと思います。表立っては言いにくいこともありますし、利害の対立を見せるようなことがありましても、腹では
日本国民として
貿易の伸張、国際親善については理解し合って話し合って進むというふうにしていただくならば、私はこの問題は解決する。この問題の解決にはやはりアンダ
ースタンディソグ、お互いに理解し合って隘路を打開するということが私は必要だと思います。従いまして、
中国との交渉などの場合にも、
硫安の
輸出会社なり
硫安の大手筋のメーカーの人が表に出られない場合には、その交渉の任に当っている
貿易連盟の諸君と一席弁当でも食べ、番茶でも飲んで話し合って、そうして皆さんの苦心のほ
ども聞かしていただき、そうして交渉に当る、こういう空気を作っていただきますならば、私は
国民経済全体のために非常によかろう、その腹さえきまれば、万事は円滑に行くであろうと私は存じます。従いまして、今日
硫安審議会の開催を前日に控えて、ほとんど具体的なことをお伺いできなかったことは、私は非常に残念であると思います。しかし、もしそういう御理解が――
中国貿易に対して
鳩山ざんが約束した
通り、これは未来のある
市場であって、今日の
国際情勢ではもはや
戦争を避けねばならぬ、避け得ることは必至である、二つの
世界の対立は対立として並存し得る、そうしてその日は長いとするならば、どうしても
貿易の道を他国に負けねいようにつけておく必要がある。今後の国際競争の苛烈さ、
国内における企業整備、失業の増大等を考えますと、私は一日でも安閑としておれないと思う。
日本の国土が広ければその
人口を国土開発に振り向けるとかいろいろな対策も成り立つけれ
ども、原料は物理的に制約を受けておる。これはソ連や
中国や
アメリカと違う
日本の物理的宿命である。この小さな島国の中に八千万以上の
人口が生きていかねばならぬのだから、私はただ
台湾と
中国とをはかりにかけて、当面の
政治的摩擦があるからといって、
中国の問題に目をふさぎ、
台湾のことのみに忙殺されるとするならば、それは間違っておると思う。業者として今日のお得意を失わないように一応配慮すべきで、さっきの
山本君の御
意見は一理あってそれも大切と思いますけれ
ども、
政治行政として強く打つ手を考えていただかねばいかぬと思う。私がモスクワに行ったのも、決して先走りでなく、時を得たものであったと自分では思っている。今日の
アメリカ、イギリスの移り変る姿を見て、
日本民族もまたそういう大きな筋で生きていかねばならぬと思う。それは決してことさらに
台湾を排撃するものではないと思います。
従って、結論として最後にお尋ねしたいのは、
硫安審議会によって
輸出の
ワクがきまったならば、
中国に対し何らかの意思表示ができるような
条件を
政府当局並びに
硫安輸出会社の方で作っていただきたい。というのは、
先方では
値段を示し二十万トンの
ワクを示して、こちらの返答を待っておるわけで、
先方の言うのには、どうしても絶望ならば、
中国は今年の
硫安消費計画を減らすか、または西ヨーロッパからの買いつけを急ぐ以外に方法はない、こういう手紙が来ているわけだから、
個々の業者の利害問題を離れて、総括して
日本から
中国への
硫安輸出計画は何万トンから何万トンの範囲まで準備してあるということだけでも適当な方法で知らせて、問題の円滑かつ有利な
条件による解決をはかることが必要である。
政府当局において、われらの超党派的なそういう
要望を了とせられて、適切な御協力を
業界に与える用意があるか、またとかく因循こそくに陥りがちな
業界に対し、進歩的というと語弊があるが、そういう合理的指導をなさる意思があるかどうか、それをお伺いいたしたい。