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1955-05-25 第22回国会 衆議院 貿易振興に関する調査特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年五月二十五日(水曜日)    午後二時十三分開議  出席委員    委員長 前田榮之助君    理事 宇田 耕一君 理事 首藤 新八君    理事 瀬戸山三男君 理事 古川 丈吉君    理事 帆足  計君 理事 中村 高一君       菅野和太郎君    山本 勝市君       田口長治郎君    下川儀太郎君       森島 守人君    田原 春次君  出席政府委員         通商産業事務         官         (通商局長)  板垣  修君  委員外出席者         外務事務官         (経済局第一課         長)      中山 賀博君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人招致に関する件  貿易振興に関する件     —————————————
  2. 前田榮之助

    前田委員長 これより会議を開きます。  先ほど理事会の協議に基きまして、貿易振興に関し来たる三十一日午後一時参考人より意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 前田榮之助

    前田委員長 御異議なければさように決しました。  この人選については委員長に御一任を願いたいと存じます。     —————————————
  4. 前田榮之助

    前田委員長 なお、帆足委員より資料要求について発言を求められておりますから、これを許します。帆足君。
  5. 帆足計

    帆足委員 当委員会審議を円滑にいたしますため、次のような資料を御準備願いたいのです。  一、世界各国の対共産圏各国の二十九年度貿易実績に関する資料  一、右に関連し米、英、仏、伊、独等各国国別共産圏)、品目別輸出入実績数量と金額)  一、日本の昨年度における対ソ、対中共貿易品目別実績に関する資料及び今年度の月別実績  一、日本並び世界主要国の昨年度貿易実績戦前比数量指数)に関する資料 これらの資料をいただきたいと思いますので、委員会決議として委員長から御要求のほどを願いたいのでございます。
  6. 前田榮之助

    前田委員長 ただいま帆足君より要求資料については委員長より要求いたしておくことにいたします。
  7. 板垣修

    板垣政府委員 今の資料につきましては通産省の方でも研究いたしますが、外務省でないとできないものもありますので、要求をどちらへお出しになりましょうか。
  8. 帆足計

    帆足委員 両方……。
  9. 板垣修

    板垣政府委員 私の方で協議いたします。
  10. 前田榮之助

    前田委員長 何か御発言ありませんか。
  11. 帆足計

    帆足委員 できますれば、もう一つ、現在政府がとっております貿易促進政策一覧表をいただきたいのです。項目だけでけっこうです。
  12. 板垣修

    板垣政府委員 その資料はもうできておりまして、多分御配付の手はずになっております。
  13. 田原春次

    田原委員 私よりも資料を請求しておきます。これは通産省の方からお出し願いたいと思うのです。石油の一年間の輸入数量、それから輸入国別数量並びに日本側取扱い業者名義、その取扱い数量、それから二十九年度と三十年度の取扱い数量を比して増減があれば、それもついでにお願いします。たとえば、昨年十社で十トンだったものが、ことし十一社で十一トンというような相違ですね。二十九年度と三十年度の項目一覧表です。
  14. 帆足計

    帆足委員 もう一つ、先ほど事務局の方に申しておいたのですが、委員各位の御便宜のために、貿易月報の十二月号に年間の累計が非常にわかりやすく商品別国別に出ておりますから、そして簡素なものですから、大蔵省から出ております貿易月報十二月号を各委員に御配付願いたいのです。もし部数がございませんければ、各党派に差し上げるという意味で、せめて理事の数だけでもお回し願いたいと思います。
  15. 板垣修

    板垣政府委員 先ほどの石油の御質問のうちで、三十年度というのはまだ全然実績がないわけでございますが、いかがいたしましょうか。
  16. 田原春次

    田原委員 今年度の見通しはあるでしょう。昨年はこのくらいで決定した、今年はこのくらいというようなものがあるでしょう。それからドルの額をふやすか減すかというその方針ですね。
  17. 板垣修

    板垣政府委員 今年度の輸入見込みはありますが、商社別はこれから申請を受けて割り当てるわけですから、まだ出ないわけであります。
  18. 田原春次

    田原委員 では昨年度の実績だけお願いします。
  19. 板垣修

    板垣政府委員 承知いたしました。
  20. 中村高一

    中村(高)委員 先日締結された日本台湾との通商協定ですが、あれは外務省から出ている何か文書がありますか。
  21. 板垣修

    板垣政府委員 発表できるものはもう発表になっていると思います。ただ秘密交換公文みたいなものが一つあるかもしれませんが、それ以外のものは発表になっておると思いますが、御必要ならば、発表できるならばプリントにでもして……。
  22. 中村高一

    中村(高)委員 通商協定内容一つ提出してください。
  23. 板垣修

    板垣政府委員 承知いたしました。
  24. 帆足計

    帆足委員 それから一つだけ、一、二分ですが、質問していいですか。——実はきのうの新聞で見たのですが、台湾中国貿易に対する異存申し立てに対しまして、向うのすることだからやむを得ないということも新聞に載っておりましたが、国際的に認められておる貿易に対しまして差別的な取扱いを先方がしますことは、これは国際上の慣例にも反することであって、そういうことをいたしますなら、こちらでもまた台湾に対して差別的な取扱いをせねばならぬという世論も起るわけでございますから、密貿易の場合なら抗議も妥当でございますけれども自由世界が認めたことでございますから、台湾といえどこのことは承認しなければならぬ筋合いのものだと私は思うのです。もしそうでなかったら、英国に対しても、またはアメリカに対しても、ココムに対しても抗議を申し出るべきであって、ココムで認められた貿易をいたしておりますときは、これは各国がこの程度の貿易は人類の福祉の増進のために差しつかえがないという認定のもとにやっておる貿易でございますから、台湾のなさることは筋違いだと思うのです。従いまして、強硬に日本政府としても台湾反省を促していただきたいと思いますが、お取扱いはどうなっておりますでしょうか。
  25. 中山賀博

    中山説明員 台湾側に対しまして何らかの申し入れをいたしますかどうかにつきましては、ただいまわれわれの方で研究中でございます。
  26. 帆足計

    帆足委員 研究中というのはどういう意味ですか。そういうことはもう常識でわかるために、外交官試験なんというのがあるはずだと思うのです。ですから、研究中というような、まるでぼけたような答弁をされることは、私はどうかと思うのですが……。
  27. 板垣修

    板垣政府委員 ただいまの問題は、外務省と私の方と協議いたしまして——またおしかりを受けるかもしれませんが、研究中でございますが、ただいま御指摘差別待遇かどうかの点については研究を要する点がございますので、台湾の国内問題といたしましては、世界各国に対してやっておるわけですから、おそらく差別待遇でないのだという見解を取っているものと思いますが、しかし、いずれにしても、表に出たところは日本が目当てでございますし、その点も考慮に入れまして、どういう処置を取るかを研究したいと思っております。
  28. 帆足計

    帆足委員 それは、たとえば英国商社中国なり、ソ連なり、東ヨーロッパに出しましたときも、やはり台湾はそれに差別待遇しているのでしょうか。私は、日本商社に対してだけそういう待遇をなさるとすれば、それはいやがらせだと思うのですが……。
  29. 板垣修

    板垣政府委員 イギリス台湾との商取引関係がないものですから、実際問題としては起らないのでしょうけれども建前といたしましては、おそらくこれは、どこの国に対しても、中共取引をした商社に対しては、国民政府の権限内の事項については、たとえば輸入割当をしないということは、おそらく統一的にやる建前だろうと思います。
  30. 帆足計

    帆足委員 私は、台湾取引をしている国は多くて——これは調べてみますが、西ドイツでもフランスでもあると思うのです。また、それらの国が国際連合と並行して機能を果しておるココムで認められた貿易をしたからといって、差別待遇を受けているということはないのじゃないかと思うのです。と申しますのは、アメリカでも同じ問題があるのです。先般英国から貿易商社が来まして、北京を通過して東京に来たのです。そして、どこへ行くかと尋ねましたところが、ワシントンに行くと言うのです。ワシントン行きのヴィザはどこでもらったかというと、モスクワでもらったと言うのです。モスクワー北京東京ワシントン英国商社なら旅行できるのです。しかし、日本商社は、そういうことをしますと、ワシントン行きのヴィザがもらえないのです。どうしてそういうことだと言いましたら、これはわがイーデンの威光である、こう鼻高々と言っておりましたので、そういうことならば、これは石橋さんに対する侮辱に当るんじゃないかと思いまして、私は大へんお気の毒だと思いました。ひいては民主党に対する侮辱でもあり、ひいては民主党兄弟関係にある自由党に対する侮辱になる。筋というものはやはり通すべきである。論理は普遍妥当のものであって、万有引力と同じ法則のものであるべきで、これは近代の自由世界の誇りとするところでなくちゃならぬと思う。同じような問題でありますから、アメリカのひそみにならったのかもしれませんが、国が大きくても小さくても、民主主義ルールは守ってもらわなければならぬと思う。わが社会党は、左派ですけれどもルールは守ろうと思っております。先般の暴力問題などはまことに遺憾の意を表したくらいですから、ルールは今後も守ります。やはり国際的にも、台湾は、焼きイモ一つほどの国だといっても、ルールは守ってもらわなければならぬと思う。従って、御研究なさるといっても、白紙で研究されるんじゃなくて、ちゃんとルールを守らねばならぬという心組みで、技術的問題を至急御研究になって、台湾反省を促していただきたいと思うのです。
  31. 板垣修

    板垣政府委員 承知しました。
  32. 中村高一

    中村(高)委員 北鮮貿易のことについて板垣局長にお聞きしたいのでありますが、最近アジア会議に参りました日本の有志の人が北鮮に参りまして、その報告を見ますと、日本との貿易を振興したいということを非常に問題にしているようでありますが、これはむろん国交調整どころではない。今までもおそらく貿易などについてもできてないと思うのでありますが、現状において何か取引をいたしているものがあるのかどうか。また国交調整はしておらぬでも、政府としては北鮮との貿易を今後やるかどうか、この点を御答弁願いたいと思います。
  33. 板垣修

    板垣政府委員 北鮮との貿易につきましては、お話通り今までほとんどないわけでございますが、昨年の暮れころから二、三非常に小規模で、たとえば、向うからアズキを出して、こちらから漁網を出すというようなオファーもあるわけであります。今のところ、北鮮との貿易は、御承知のように中共並みということになっておりますので、取引品目について許されている範囲内ならば、通産省といたしましては許可していきたいというふうに考えております。ただ問題は、北鮮の場合は中共よりももっと問題がやっかいでございまして、南鮮との関係がございますので、韓国との国交交渉というようなものとの関連も考えてやっていかなくちゃならぬ点で、少し政治的考慮を加える必要があるということが少し違っております。
  34. 帆足計

    帆足委員 関連。実は、今通商局長の言われましたように、北鮮から多少のオファーが二、三の貿易商にその後引き続いて参っております。しかし、南朝鮮のことがありますので、韓国のことも考慮しているわけですが、これも同じような事件で、これは結局親方のアメリカのしつけが悪いからこういうことになったと私は思う。従いまして、アメリカ政府にも厳重な注意を促して、国際的に認められたことは、ルールは気持よくやれるようにする。支払い協定の問題でも同じです。アメリカが禁止をしている物資支払い協定の跡始末をしようというなら、これはいけないことです。しかし、国際的に許された貿易の帳じりの決済を円滑にやるというようなことは、早くスマートにやれということが、これは論理であるべきだと思う。これらのことを一括いたしまして、外務省当局は至急交渉して、そして交渉は、失敗するのでなくて、交渉する以上必ず成功するような交渉をしていただきたいと思うのですが、論理学上どうでしょうか。
  35. 中山賀博

    中山説明員 仰せのようなアプローチの仕方は研究してみたいと存じますが、アメリカとの直接の関係はないように考えます。
  36. 中村高一

    中村(高)委員 そうすると、これは韓国との関係がむろんあると思うのですが、韓国との間にまだ外交の問題などについても混乱をして再開されておらぬようでありますが、これは韓国了解を得なければやれないというのか。それとも、必要あれば韓国了解を得なくても政府はやる方針だというのですか。それはどっちなのですか。はっきりしておく必要がある。
  37. 板垣修

    板垣政府委員 もちろん韓国了解を求めても了解を与えるはずはありません。私どもとしては、要するに、韓国外務省でやりかけております国交交渉と見合わして、時期的に慎重に考慮するというように考えております。
  38. 中村高一

    中村(高)委員 韓国との関係考慮してやるということはわかるのですが、そうすると、なかなか韓国との間に了解が得られないということに現状はなっておる。そうすると、政府では、それまでの間はやれないということになるのか、そちらがあまり長引くならば、必要によってはやってもいいというのか。韓国側の意向では、日本アズキとかあるいは米のようなものは送るから、そのかわりに日本雑貨類とかあるいは消費物資を買うというのだから、これは日本側としてはまことにいい話なんであります。韓国との話を、外交上のいかんにかかわらず、前進させるという方針でなければどうもいけないように思いまするが、その辺のところをもう少しはっきりしておく必要があると思います。
  39. 板垣修

    板垣政府委員 今韓国了解を求めておるという意味じゃありません。私どもとしては、ごく具体的に申しますと、日韓交渉をやっております外務省アジア局の同意を待っておる次第でございます。アジア局として時期的に見てよかろうということになれば、やれるわけでございますが、その点がまだ最後的な結論にまで達していないという状況でございます。一方通産省としては何らかの便法も研究したいというふうに考えております。
  40. 田原春次

    田原委員 映画産業貿易振興策について承わりたい。
  41. 板垣修

    板垣政府委員 映画につきましては、御承知のように最近だいぶ海外に名が売れまして、日本映画が出ていくようになったのは非常にけっこうなのであります。この情勢に応じまして、通産省といたしましては、実はこういうものの振興策のために多少費用を見ようじゃないかというところまで考えましたが、映画産業自体としましては、特に政府補助を受けなくても財政的に困っているわけでもございませんので、そういう金銭的な補助は打ち切りましたけれども、われわれの方の施策としましては、ますます日本映画海外に進出し得るように、通商協定なりその他の面で努力したいというふうに考えております。
  42. 田原春次

    田原委員 映画輸出の方は、今通商局長の話したような線でしばらくやってみることになろうと思いますが、輸入の面がはなはだしく片寄っている傾向をわれわれは遺憾に思っております。第一、その片寄り方は、輸入特定国本数がはなはだしく多く、それ以外の新しい国からの新規輸入というものが全然実際は認められないという点であります。それから第二点は、映画輸入許可通商局にあらずして大蔵省為替局に実際あるという点、すなわち、なるほど通産省で一応の事務的の処理はしておりますが、最終的な決定大蔵省為替局管理課でやっておる、こういううわさをしばしば聞くのであります。従って貿易振興策の点からでなくて、ドルもしくは外貨を押えるという点から来ますので、そこにしばしば国民一般の希望と離れた輸入のワクの決定になるのじゃないか、こういううわさをしきりに新聞でしておるのですが、輸入の実情と、現状のままで改正する余地なきやいなや、そういった点についてもう少し説明していただきたい。
  43. 板垣修

    板垣政府委員 お話通り映画輸入につきましては、売上代金といいますか、ロイアリティといいますか、それの送金の問題は非常に重大な問題になりますので、主管は大蔵省になっております。貿易というものを輸入輸出両方入れますればお話のような点になりますが、映画輸入につきましては、文化的な向上というような点は別問題にいたしますれば、どちらかと申し上げますれば不要不急というような意味で、ことにその売上代金送金という問題が非常に大きな問題になるというような関係から、押えがちの傾向にある。のみならず、日本国産映画との競合の問題というようなものもございまして、厳重な割当規制をしております。  それから、本数が片寄っておるという点は確かに御指摘通りでありまして、私どもいろいろな観点からこれを是正したいというふうに考えておりますが、これは、なかなかこの既成事実の変更がむずかしくて、非常に困難しております。それでも十本留保分がございますので、漸次今まで実績のないところ、あるいは非常に本数の少いところも、努力によって入り得る余地は開いております。
  44. 田原春次

    田原委員 私の聞くところによれば、概略二百本の輸入許可本数の中で、百五十本近くはアメリカ品である。そうして残り五十本——多少本数は違うかもしれぬけれども、五十本は各国にわけられておるということである。しかもそれは、たとえば中共あるいはソ連映画あるいはユーゴスラビア映画というようなものを事実上シャット・アウトしておる。そうしてアメリカの単なるチャンバラ式西部劇だけを押しつけられて買わされている。そこで、独立した今日、科学技術の進歩であるとか、確かに参考になる映画もあると思うし、それには多少商業映画として興味を持たせることも当然だと思いますが、本数アメリカにのみ片寄っているために、何でもいいから入れろということになって、少しも国民道義心やあるいは全体としての素養の向上にならないようなことになっておる。そこで、新しい貿易やり方としては、少くとも求償バーター制度でやるのもまた一つやり方であると思う。アメリカから百五十本入れるならば、アメリカは少くとも日本映画を百五十本買うべし、そうして今までの映画のように、羅生門であるとか地獄門のように、ときたま一本作ってそれが珍重されるということにあらずして、年々外国から入れる本数だけ出るということになれば、もっと日本映画技術面内容においても輸出に適するように進歩発達する。そうでなくてアメリカだけのものをいただくようなかっこうになって、そうして日本でかせいだ円は向うに送れないで蓄積しておるというようなことは、かえって私は日本経済を阻害する点があると思う。そういう意味からいたしまして、特定国に限らず、すべての国と一対一のバーターでやっていく、そうすれば、ドル面が少くなってくるから、映画輸入選定等において本、大蔵省選定だけでなくて、文部省、厚生省あるいは通産省といったような、もう少し幅の広い観点からきまるのじゃないかと思われる。何らの不平不満なく通商局長現状で満足しておるのかどうか、それを一つ聞いてみたいと思います。
  45. 板垣修

    板垣政府委員 私も個人的にはお説と全く同感でございます。ただ、今申しましたように、これを変えるということは相当根本的な努力が要りまするし、従来大蔵省に対しましてもこの問題につきましてはもう数年戦っておるわけでありまして、非常に困難な問題であることは御承知願います。私どもも、その関係委員の一人といたしまして、今後も善処いたしたいというふうに考えております。
  46. 帆足計

    帆足委員 今の問題に関連しまして……。私はただいまの質問はきわめて重要な問題だと思うのです。アメリカ映画の中にも終戦直後は非常にすぐれた映画がありましたが、最近は非常によくないのです。芸術的に見てもよくないし、それから犯罪の温床になっておる。アメリカは今世界で一番犯罪の多い国の一つです。日本とその点は友好関係にあるのです。まことに遺憾な点であると思います。そこで、両方の国ともギャング映画が非常に受けるという点もまことに遺憾な点だと思います。従いまして、現在の映画アメリカが圧倒的に大部分を占めているということは、まことに私は遺憾であると思う。大体、日本貿易を見ましても、正常な貿易アメリカが二割四、五分なんです。日本北アジア、東南アジア、ヨーロッパ中南米等世界と理解し合わねばならぬ国です。その点日本はある意味外交的には中道の道を歩まねばならぬような立場にある国です。その国の映画アメリカ一色に塗りつぶされているということは、私は驚くべきことだと思うのです。日本人の趣味の中にはパチンコ式の軽薄な実証主義もありますけれども、同時に非常に芸術味豊かな西ヨーロッパ的な伝統も深いのです。従って、日本映画ファンの中には、フランス映画、ドイツの映画あるいはまたヨーロッパの小さな国々の映画、それから文化映画等愛好者も非常に多いのです。その愛好者の意思を無視して現在のようなことが行われているというのは、映画のような芸術文化に関する問題が大蔵省税務官吏に握られているという点に問題があると思うのです。少くとも、国民世論に即応して、そして映画輸入並びに配給の問題が通産省大蔵省両方で対等に審議されて、さらにユネスコあたり意見を聞いてきめるのでなければ、これは不当だと思うのです。幸いに映画は最近貿易の問題とも連関して参っておりますし、国際収支の問題からも非常に重要ですから、日を改めまして、この問題について文部省からも大蔵省からも来てもらいまして徹底的に再検討して、現在の映画審議会あたりにも欠陥があるとすれば、徹底的に審議会の構成を改めてけっこうだと思うのです。そして抜本的にこの問題をやり直して——われわれはアメリカ映画を別に排撃しようというわけじゃないのです。アメリカ映画の中にもすぐれたものがたくさんあることは知っておりますし、敬意も表しておりますけれども現状は何といってもあまり極端だと思うのです。すべて極端なことは、中庸の道に反しておりますし、改められて当然だと思いますので、委員の皆さんの御意見も伺って、いずれあらためて日取りをきめまして、映画問題のために二度特別の論議する機会を持っていただきたいと思います。
  47. 田原春次

    田原委員 私も帆足委員の提案に同感でありまして、他の適当な機会に、映画輸出入振興に関する関係各省あるいは政府機関団体あるいは審議会等お調べの上で、一堂に会してこの席でお話も承わり、またわれわれも話したいと思います。時日はあらかじめ希望しませんが、なるべく早い機会に、たとえば文部省外務省通産省大蔵省映画審議会も必要であればその方から参考人を呼んでもらうように、委員長においてお取り計らいを願いたいと思います。
  48. 中村高一

    中村(高)委員 アメリカ映画があまりに多過ぎるというようなことに対して、通産省ではちっとも議論が出ておらないのですか。
  49. 板垣修

    板垣政府委員 もうその議論は、私どもの点のみから申しましても、たとえば、ソ連は別としましても、イギリスとかそういう国から非常に不平が出ておりまして、何とかこの数を動かしたいというふうに考えておりますが、これは、先ほど申しましたように、ちょっといじりますと全体の比率が狂いますから、非常な抵抗があるのみならず、アメリカは最近もっとふやしてくれという要求があるくらいでありますから、非常にむずかしい問題であります。今帆足委員お話になった中で、アメリカは数が多過ぎるということでありましたけれども、入っておる映画そのものにつきましては、日本輸入業者の方に問題がありまして、西部物を営む営業政策から変えようということがあるのです。アメリカの中にもたくさん芸術的なものもあるので、入れ方についてはいろいろの観点から研究を要すべき問題だろうと思います。
  50. 帆足計

    帆足委員 私はただいまの入れ方の問題と割当の問題と大部分連関しておると思うのです。割当がぜいたくになっておりますから、くだらぬものまでも入れる。割当が少くなれば、そうしてそのまま悪い映画を入れるようではさらに割当を減らされるようになると、もう少し自粛するので、現在の状況は傍若無人です。大体、逆に考えまして、ソ連中共映画日本が圧倒されたとすると、皆さんはどうお考えになりましょうか。アメリカも十年前までは戦争しておった国である。アメリカだってソ連だってみな外国です。従って日本は、どの国に対してだってやはり自主性を持って対処して、よいところは取って悪いところは捨てる。また世界の国々それぞれ進歩の跡もありますから、そういう国々から学ぶべきものは学ばなければならぬ。従いましてこの問題についてはユネスコあたり意見も徴せられたらどうでしょう。ユネスコならば、保守の立場から見ましても、まずまずこれは良識に合った線をたどっておると思います。それから、どの映画を選ぶかということは、文化政策にも関係のあることですから、やはり国民の良識によってきめるべき問題だと思うのです。従いまして、すぐれた映画批評家や教養の水準の高い文化人たちの意見も徴してきめるべきだと私は思うのです。究極的には国会の意思によってきまるべきことであって、過去のいきさつが何のかんのと言っておることば、資本に物を言わせて言うとか、占領下における一時の期間における実績で過当な発言をするというようなら、少し進歩的弾圧をしたらよいと思うのです。従いまして、通商局長は非常に公平な意見をお持ちのようですから、ぜひともこの問題は徹底的に論及して、日本映画文化政策を正しい軌道に乗せますために、公正な配給方法に変えたいと思いますから、委員長においてぜひともそういう機会をお作り願いたいと思います。
  51. 前田榮之助

    前田委員長 ただいまの帆足田原君等の御意見については、理事会に諮って適当な処置をとることにいたします。
  52. 田原春次

    田原委員 これも委員長に提案しておきたいと思いますが、貿易振興上在日外国商社または在日外国商社団体、あるいは可能ならば外国通商代表等、本委員会において、または本委員会の主催する他の会合において事情を聞かれて、輸出入振興上の阻害の点等を、むしろ日本側のほかに相手国側からも意見を聞く機会を作ってもらいたい。その方法、時期等は委員長に御一任いたしますから、しかるべくお取り計らい願いたい。
  53. 前田榮之助

    前田委員長 適当に研究いたしまして処置することにいたします。  ほかに御発言はありませんか。——なければ、本日はこの程度といたし、次会は三十一日午後一時より開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時四十九分散会