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1955-07-05 第22回国会 衆議院 文教委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年七月五日(火曜日)     午前十時五十三分開議  出席委員    委員長 佐藤觀次郎君    理事 赤城 宗徳君 理事 伊東 岩男君    理事 並木 芳雄君 理事 坂田 道太君    理事 竹尾  弌君 理事 辻原 弘市君       北村徳太郎君    高村 坂彦君       野依 秀市君    藤本 捨助君       山口 好一君    米田 吉盛君       永山 忠則君    河野  正君       島上善五郎君    野原  覺君       山崎 始男君    小牧 次生君       平田 ヒデ君    小林 信一君  出席国務大臣         文 部 大 臣 松村 謙三君  出席政府委員          文部政務次官  寺本 広作君         文部事務官         (初等中等教育         局長)     緒方 信一君         文部事務官         (大学学術局         長)      稻田 清助君         文部事務官         (社会教育局         長)      寺中 作雄君  委員外出席者         議     員 纐纈 彌三君         文部事務官         (管理局学校給         食課長)    岩倉 武嗣君         専  門  員 石井  勗君     ————————————— 七月五日  委員松山義雄君辞任につき、その補欠として久  野忠治君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 七月四日  宿坊小学校へき地教育振興法適用請願(松  岡松平紹介)(第三二六〇号)  同(坂田道太紹介)(第三二六一号)  福沢小学校小佐波分校外二箇分校にへき地教育  振興法適用請願松岡松平紹介)(第三二  六二号)  同(坂田道太紹介)(第三二六三号)  猪谷小学校加賀沢分校へき地教育振興法適用  の請願松岡松平紹介)(第三二六四号)  同(坂田道太紹介)(第三二六五号)  音川小学校道島分校へき地教育振興法適用の  請願松岡松平紹介)(第三二六六号)  同(坂田道太紹介)(第三二六七号)  下夕小学校伏木分校及び猪谷分校へき地教育  振興法適用請願松岡松平紹介)(第三二  六八号)  同(坂田道太紹介)(第三二六九号)  音沢小学校へき地教育振興法適用請願(松  岡松平紹介)(第三二七〇号)  同(坂田道太紹介)(第三二七一号)  文珠寺小学校小原分校へき地教育振興法適用  の請願松岡松平紹介)(第三二七二号)  同(坂田道太紹介)(第三二七三号)  文珠寺小学校岡田分校へき地教育振興法適用  の請願松岡松平紹介)(第三二七四号)  同(坂田道太紹介)(第三二七五号)  桐谷小学校及び八尾中学校桐谷分校へき地教  育振興法適用請願松岡松平紹介)(第三  二七六号)  同(坂田道太紹介)(第三二七七号)  境小学校大半分校へき地教育振興法適用の請  願(松岡松平紹介)(第三二七八号)  同(坂田道太紹介)(第三二七九号)  深江小学校馬場分校へき地教育振興法適用の  請願中嶋太郎紹介)(第三二八〇号)  同(坂田道太紹介)(第三二八一号)  鴨居瀬中学校へき地教育振興法適用請願(  中嶋太郎紹介)(第三二八二号)  同(坂田道太紹介)(第三二八三号)  鷹島小学校翁分校へき地教育振興法適用の  請願中嶋太郎紹介)(第三二八四号)  同(坂田道太紹介)(第三二八五号)  深江小学校諏訪分校へき地教育振興法適用の  請願中嶋太郎紹介)(第三二八六号)  同(坂田道太紹介)(第三二八七号)  鴨居瀬小学校赤島分校へき地教育振興法適用  の請願中嶋太郎紹介)(第三二八八号)  同(坂田道太紹介)(第三二八九号)  久田小中学校内山分校へき地教育振興法適  用の請願中嶋太郎紹介)(第三二九〇号)  同外一件(坂田道太紹介)(第三二九一号)  鴨居瀬小学校浦浜分校へき地教育振興法適用  の請願中嶋太郎紹介)(第三二九二号)  同(坂田道太紹介)(第三二九三号)  吉川小学校夏吉分校へき地教育振興法適用の  請願中嶋太郎紹介)(第三二九四号)  同(坂田道太紹介)(第三二九五号)  長田小学校白浜分校へき地教育振興法適用の  請願外一件(中嶋太郎紹介)(第三二九六  号)  同(坂田道太紹介)(第三二九七号)  長田小学校瀬田分校へき地教育振興法適用  の請願中嶋太郎紹介)(第三二九八号)  同(坂田道太紹介)(第三二九九号)  比田勝小学校津和分校へき地教育振興法適用  の請願中嶋太郎紹介)(第三三〇〇号)  同(坂田道太紹介)(第三三〇一号)  久田小学校内院分校へき地教育振興法適用の  請願中嶋太郎紹介)(第三三〇二号)  同(坂田道太紹介)(第三三〇三号)  上長崎小学校木場分校へき地教育振興法適用  の請願中嶋太郎紹介)(第三三〇四号)  同(坂田道太紹介)(第三三〇五号)  茂木小学校宮摺分校へき地教育振興法適用の  請願中嶋太郎紹介)(第三三〇六号)  同(坂田道太紹介)(第三三〇七号)  小ケ倉小学校大山分校へき地教育振興法適用  の請願中嶋太郎紹介)(第三三〇八号)  同(坂田道太紹介)(第三三〇九号)  面高小学校太田和分校及び本郷分校へき地教  育振興法適用請願中嶋太郎紹介)(第三  三一〇号)  吉田小学校へき地教育振興法適用請願(中  嶋太郎紹介)(第三三一一号)  竹敷小学校及び同校昼ケ浦分校へき地教育振  興法適用請願外一件(中嶋太郎紹介)(第  三三一二号)  神浦小学校池島分校へき地教育振興法適用の  請願中嶋太郎紹介)(第三三一三号)  神浦小学校中尾分校へき地教育  振興法適用請願中嶋太郎紹介)(第三三  一四号)  上波佐見小学校永尾分教場及び村木分教場にへ  き地教育振興法適用請願中嶋太郎紹介)  (第三三一五号)  小長井小学校田原分校へき地教育振興法適用  の請願中嶋太郎紹介)(第三三一六号)  第二小学校岳分校へき地教育振興法適用の請  願(中嶋太郎紹介)(第三三一七号)  久田小学校瀬分校へき地教育振興法適用の請  願(中嶋太郎紹介)(第三三一八号)  梅谷小学校へき地教育振興法適用請願(中  嶋太郎紹介)(第三三一九号)  旭小中学校へき地教育振興法適用請願(  中嶋太郎紹介)(第三三二〇号)  長与小学校岡分校及び高田分校へき地教育振  興法適用請願中嶋太郎紹介)(第三三二  一号)  矢上小学校間之瀬分校へき地教育振興法適用  の請願中嶋太郎紹介)(第三三二二号)  矢上小学校現川分校へき地教育振興法適用の  請願中嶋太郎紹介)(第三三二三号)  戸石小学校牧島分校へき地教育振興法適用の  請願中嶋太郎紹介)(第三三二四号)  村松小学校風明分校へき地教育振興法適用の  請願中嶋太郎紹介)(第三三二五号)  舟志小中学校及び五根緒分校へき地教育振  興法適用請願中嶋太郎紹介)(第三三二  六号)  小鹿小学校へき地教育振興法適用請願(中  嶋太郎紹介)(第三三二七号)  福岡中学校渕ヶ谷分校へき地教育振興法適用  の請願坂田道太紹介)(第三三二八号)  岩尾滝小学校へき地教育振興法適用請願(  坂田道太紹介)(第三三二九号)  長坂小学校へき地教育振興法適用請願(坂  田道太紹介)(第三三三〇号)  角間小学校へき地教育振興法適用請願(坂  田道太紹介)(第三三三一号)  宮島小学校久利須分校へき地教育振興法適用  の請願坂田道太紹介)(第三三三二号)  渕ヶ谷小学校へき地教育振興法適用請願(  坂田道太紹介)(第三三三三号)  西部中学校土倉分校へき地教育振興法適用の  請願坂田道太紹介)(第三三三四号)  石動中学校岩尾滝分校へき地教育振興法適用  の請願坂田道太紹介)(第三三三五号)  赤丸小学校花尾分校へき地教育振興法適用の  請願坂田道太紹介)(第三三三六号)  胡桃小学校へき地教育振興法適用請願(坂  田道太紹介)(第三三三七号)  白萩東部小学校伊折分校へき地教育振興法適  用の請願坂田道太紹介)(第三三三八号)  西明寺小学校へき地教育振興法適用請願(  坂田道太紹介)(第三三三九号)  床鍋小学校へき地教育振興法適用請願(坂  田道太紹介)(第三三四〇号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  日本学校給食会法案内閣提出第九九号)  危険校舎改築促進臨時措置法の一部を改正する  法律案内閣提出第一〇一号)  公立小学校正常授業解消促進臨時措置法案(  内閣提出第一〇八号)  教育公務員特例法第三十二条の規定適用を受  ける公立学校職員等について学校看護婦として  の在職を準教育職員としての在職とみなすこと  に関する法律案赤城宗徳提出衆法第三八  号)  博物館法の一部を改正する法律案内閣提出第  八八号)(参議院送付)  学校教育に関する件  社会教育に関する件     —————————————
  2. 佐藤觀次郎

    佐藤委員長 これより会議を開きます。  教育公務員特例法第三十二条の規定適用を受ける公立学校職員等について学校看護婦としての在職を準教育職員としての在職とみなすことに関する法律案赤城宗徳提出)、日本学校給食会法案危険校舎改築促進臨時措置法の一部を改正する法律案公立小学校正常授業解消促進臨時措置法案博物館法の一部を改正する法律案学校教育及び社会教育に関する件を一括議題とし、質疑を行います。山崎始男君。
  3. 山崎始男

    山崎(始)委員 管理局長は来ていないのですか。
  4. 佐藤觀次郎

    佐藤委員長 今呼んでおりますから、大臣の方を一つ……。
  5. 山崎始男

    山崎(始)委員 関連しておるので……。まあよろしいでしょう。  それではお尋ねいたしますが、学童服が、今度の無償贈与の一千五百万ドルの中に、約三百万ドルだと思いますが、入っておるはずであります。それに対する加工賃が問題になっている。言いかえますと、三百万ドル分の綿花に対して、学童服が約三百万着できる予定のものが、加工賃がないばっかりに、それが百十万着、いわば綿花を売って、それを金に変えて、加工賃をそこから出すために、完成品としては百十万着だということを聞いておるのでありますが、その点のアメリカとの折衝は、その後どういうふうになっておりますか。
  6. 松村謙三

    松村国務大臣 お話通り向う綿花を送ってよこしたのを全部売りまして、そうしてすでにでき上った服地をそれで買い求めてやるというやり方の方が、いろいろと研究をいたしてみましたけれども、それが一等いいという結論に達したのでございます。予算措置がありません以上は、やはりそういうことが一等いいようでございまして、アメリカの方へもそのことを話をいたし、ほぼその同意を得ている、こういう経過でございます。それは従来やっております経験等からいたしましても、むしろよこした綿をそのまま紡績して作りますよりも、今言ったような方法がかえってよろしいということで、通産省あたり意見もありまして、その綿を売るとか、かわりを買うとかいうようなことも、経験のある通産省の方へ一任いたしてやっていこう、こういう考え方でございます。
  7. 山崎始男

    山崎(始)委員 アメリカ政府との交渉は、現在、向うはその点を承諾しておりますか、おりませんか。
  8. 松村謙三

    松村国務大臣 今それは経審の方でやっておりますが、まだ正確な返答というところまでは参っておりませんけれども、大体においてその方法を了解したものと心得ております。
  9. 山崎始男

    山崎(始)委員 それでは次に一つ、やはり同じく一千五百万ドルのうち、学童給食関係した点をお尋ねしたいと思うのであります。今度の昭和三十年度学校給食教育計画というものが、アメリカ贈与物資の一千二百万ドルの小麦ミルク、大体小麦が八万トン、約三十三億、ミルクが七千トン、約十億というものが、本年度学校給食に入っておるわけでありますが、この数字というものは、従来の昭和二十九年度までの学校給食教育計画の上にプラス・アルファーをこれだけされた。従って昭和三十年度学校給食は、内容が、前年度と比較いたしますと、相当大きくなっておる、それを具体的に申しますると、給食対象人員増加、あるいはこれに伴う施設の拡充というものが、だいぶよくなっているということが一点、いま一点は、給食費値下げということ。それからいま一点は、貧困学童に対する無償の給付というものの内容が、贈与物資関係で非常によくなってくるだろう。大体こういう三点が考えられると思うのであります。人員にいたしましても、昨年度と比較いたしますると、昨年度小麦粉が四百六十万人分であった。またミルクが五百四十三万人分であったものが、今年度は、小学校において、小麦粉が五百六十万人分、中学校が五十万人分、あるいは保育所が五十七万人分、合計いたしまして六百六十七万人、こういうふうな数字ふえ方になっておるようであります。またミルクにいたしますると、小学校が六百万人、中学校が五十万人、保育所が五十七万人、合計いたしまして七百七万人。こういう数字を見ますると、昨年度から見ると、やはり無償贈与関係におきまして、人員数においても、かなり大幅にふえてくる計画のように考えられるのであります。この点管理局長がおられませんので、数字的には、私がただいま申し上げましたのが、違うか違わないか知りませんが、大体内容が二十九年度から見て相当ふえ、充実をしてきておるといえると思いますが、その点は、私が申し上げるのと数字の多少の相違はありましても、私の申し上げる点は間違いでないと思うのでありますが、相当内容が充実するということは事実だと私は思うのであります。ここで私は大臣一つお尋ねしたい非常に重要な点があると思う。それはまず基本的には、来年度におきましても、一千五百万ドルの今年度のような無償贈与というものが、来年度以降に継続されてあるのかないのかということ、これは非常に重要な点になりゃせんかと思うのであります。この点について、大臣の御所見なりお見通しを聞いておきたいのであります。
  10. 松村謙三

    松村国務大臣 私、この委員会におきましてもお答えを申し上げておりますのは、この計画は、ことし限りという考え方で処置いたしておると申しているのでございますが、それは今日のあの契約が一年限りのものだからさように申し上げておるわけでございます。しかし経審方等で承わりますと、アメリカのあのような余剰農産物を国外へ出す計画は、来年及び明後年、二カ年にわたって行われるそうでございまして、日本がそれを希望いたすならば、おそらくは、大体ことしと同じように取り運びができるだろうという経審等見込みでございます。しかしあの契約は一年限りのものですから、私は一年限りということを申し上げておりますが、おそらくは来年、再来年と継続し得るような見込みのように承わっております。
  11. 山崎始男

    山崎(始)委員 そういたしますると、二十九年度と比較して、急激に三十年度学校給食というものの計画がふえてきた。そして大臣の御見解では、無償贈与というものは本年度限りということになりますと、もし来年度以降において入らない場合は、本年度ふえてきた教育計画を落すおそれが出てくる。言いかえますと、入らぬときには、一応本年度におきまして、給食人員もふえた、学校施設も拡充された。いろいろ単価も安くなるし、子供父兄は喜んでおる。それが来年度以降は入らないということを仮定いたしますると、その予算措置というものは、また昭和二十九年度の今までのような予算措置に落されるのか、それともふえた分だけは、もしアメリカ無償贈与がなくとも、ぜひそれは失望しないだけの、ふえたらふえたままだけの教育計画次年度にも続けていくのかどうかという問題が、私は起ってきやしないかと思うのであります。そこで今の大臣の御答弁では、今年こっきりだと自分は一応思う。私は、このお気持一つの非常にりっぱなお気持だと申し上げたいのでありますが、これはあとで申し上げますが、私が心配しますことは、ふえたものが、次の教育計画から、次年度からぐらついてくるおそれはないかということを、私は一番心配しているのでありますが、結局、それは予算問題に集約されてくる。この点について大臣の御意見をお聞かせ願いたい。
  12. 松村謙三

    松村国務大臣 今お話の点でございますが、給食者人員がふえるといいますことは、これはアメリカから贈与を受けた結果によってふえるのではございませんで、日本の全小学校学童給食をいたすというのが方針でありますので、まだ今日まで給食が、設備その他の原因でできてない学校が多い。それに漸次普及さすために人員増加を見るわけでございまして、それがことしあたり相当増加するだろう、その見すえに基礎を持っておるわけでございます。従いまして、今後増加いたしますのは、アメリカからそのような余剰農産物が入ると入らないとにかかわらず、給食制度の当然の結果としてふえるわけでございますから、予算措置も、やはり当然これはふえることは当りまえでございまして、これは恒久的の性質を持ってやっていかねばならない、こういうことに考えておるわけでございます。それから余剰農産物無償で入りました結果、それが給食にどれだけの影響を及ぼしますかということになりますと、普通の学童に対しては、わずかに何十銭かくらい安くなるくらいだと思います。それから要保護の児童に対しては、それは三十銭程度のものでございまして、普通の学童に対しては、大きな影響はないと思います。多少はございますけれども、それはそのときの予算措置、もしくはいかにパンを安くするかというようなことで補い得る程度の減額であろうと思います。
  13. 山崎始男

    山崎(始)委員 大臣の今の御答弁を聞きますと、ちょっと私わからないところがあるんですが、少くとも小麦粉ミルクだけで、約四十三億のものが無償で入ってくる。その中の一部分は、厚生省関係にいくものもあると思いまするが、大部分は、要するに給食教育計画の中へ盛り込んできている。そうすると単価の点、学童人員の点は文部省給食計画として年次ふえる傾向にある。また同時にふやさなければならないということは、私も同感なんでありますが、この四十三億という金額が、人員の上でも非常に来年度ふえることに影響されておる。同時に単価の点は、大臣ただいまおっしゃったように、パンの点を見てみましても、従来一食分が五円十銭のものが四円四十五銭と、六十五銭安くなっている。これは無償贈与の分が影響されて、六十五銭安くなったと思うのであります。またミルクも、一円二十四銭のものが一円十六銭と、無償で入るために八銭安く給食ができる。こういうふうに解釈しておるのでありますが、そうすると大臣は、この人員増加その他単価が安くなるということは、私が考えるのは、四十三億のこれが全部かどうかは知りませんが、相当程度無償贈与影響しておるから安くなるんだという、このことは間違いないと思うのでありますが、それに対して、来年度もし入らなかった場合は、父兄に失望を与えない。安くなったらば安くなったで、来年入らないからというて、また値上げをするというようなことはしない、必ず政府の方で予算措置をするという御信念かどうか、ここが大切な点だと思いますので、重ねてもう一度お尋ねするのです。
  14. 松村謙三

    松村国務大臣 今お話で、四十何億という計数になるのでございますが、しかしこれは向う標準値で算出いたしましたものでございまして、実際今日日本へ入ってくる麦などの価格と比較いたしますと、大体その半分くらいのものなんです。その間に大きな差があるということを御了承願いたいということと、それからもう一つ、そういうわけですから、一般に割り当ててみますと、普通の学童には五、六十銭見当というわけのものであります。これは私は、かりにことしで打ち切られましても、何とか予算措置もできると思うし、予算措置がかりにできぬとしましても、つじつまを合せ得る。たとえばこれは私の方でやっておりませんけれども、農林省あたりでは、製パン施設等も奨励いたしておりまするし、いろいろのやり方によって、それくらいの幅は何とか補い得る。いわんや予算措置ができれば、これに越したことはない。こういうふうに考えておりまして、かりにことし一年で切られたといたしましても、増加いたした分は、当然予算措置をしなければならぬ分でありますので、経理をやっていけると自信をいたしております。
  15. 山崎始男

    山崎(始)委員 非常に御明確なる御答弁をいただきまして、感謝する次第でありますが、私たちが心配しますところは、結局無償贈与の分が、来年もし入らなかったとした場合に、単価も安くなった、せっかくそれというので給食設備もやった。それが予算措置が、来年度以降入らない場合に、またくずれてきて、父兄を失望させるというようなことを、私は一番心配しておったのでありますが、ただいまの御答弁で、非常に満足な答弁を得ました。どうも大へんありがとうございます。  さて次に、私はこの問題で少しばかり御見解をお尋ねしたいのでありますが、先ほど大臣は、一応文部省所管責任者としては、本年度限りだ。経審庁の方では、来年も再来年も、頼めばくれるであろうという見通しを持っている。こういうそこに閣内としていささか食い違った御見解があると思う。なるほど高碕経審庁長官は、そういう答弁をしておられます。大臣は、一応自分とすれば一年、よしんば来年以降くれても、それは今のところは当てにしていないんだ、私は非常にりっぱな御見識だと思います。実は、先ほどの学童服加工賃の問題にいたしましても、お尋ねしましたのは、大体一千五百万ドルの無償贈与児童福祉用給食関係綿花関係、これをアメリカ日本無償でくれたということは、鳩山総理大臣は、過日の参議院の本会議におきまして、国境を越えた人類愛によって、この一千五百万ドルはくれているんだ。本委員会におきましても、ある委員のごときは、日本の酪農との関係において、こういうようなものを喜んで受けるべきでないという御意見もありました。またある人によりますると、独立国の面子の手前、ただでやるからというても、唯々諾々と涙をこぼさんばかりにして受けるべきでないというような御意見もありました。いろいろ見る角度によって、御意見があるのでありますが、私はその受けること自体のよしあしを、ただいまここで論議しようとは思いません。これはまた別の観点から、いろいろ非常に大切な問題も私はあると思いまするが、これを私はここで論議しようとは思いません。いずれにいたしましても、来年度以降、経審長官のごとき、今後三カ年くらいはくれるであろう、頼めばくれるであろうという、このものの考え方。また鳩山首相は、人類愛によって、国境を越えての贈与であるんだから受けるべきである。こういうような御答弁その他を総合いたしまして、見る人によって相当意見が違うようでありますが、この無償贈与分一千五百万ドルは、ただ単に日本は貧乏で困っているんだから、これをただでやろうというような安易な考え方で、これをアメリカがくれておるというふうに解釈をなさるかどうか、大臣の御所見をお聞きしたいのであります。
  16. 松村謙三

    松村国務大臣 それはアメリカがどういうつもりでよこしておるかはわかりませんが、鳩山総理が申された、いわゆる国境を越えた人類愛子供に対する考え方というものは、これは戦後の著しい傾向でございまして、いろいろありますことは御承知の通りであります。そういう面からも出てきておることと考えるのでありますが、これについては、先だってアメリカの当事者に会いましたところによりますと、その割当のやり方については、文部省考え方に一任いたしてもよろしいというような態度でございまして、その意図するところは別にわかりませんが、そう悪意にとらないでも私はいいのじゃないかと思います。また、あちらこちらの例を聞きましても、ヨーロッパあたりもこの余剰農産物を受けておりまして、日本と同じくイタリアにおいても西ドイツにおきましても——フランスはどうか知りませんけれども、やはり同じく余剰農産物贈与も受けております等々のことを考えますと、これは鳩山さんの言われた面もありましょうし、向うの農産物が余っておるから、人類愛のために困っておるところへやろうという考えも出てくるわけでございまして、善意に解してもいいのじゃないか。ただし受ける日本としては、善意であっても悪意であっても、これに対する考え方は、独立国として考えなければならぬことだ、こういうふうに考えております。
  17. 佐藤觀次郎

    佐藤委員長 法案の都合上、ちょっとこの際休憩して理事会を開きたいと思いますので、暫時休憩いたします。     午前十一時二十二分休憩      ————◇—————     午前十一時三十三分開議
  18. 佐藤觀次郎

    佐藤委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。  教育公務員特例法第三十二条の規定適用を受ける公立学校職員等について学校看護婦としての在職を準教育職員としての在職とみなすことに関する法律案赤城宗徳提出)を議題といたします。まず本案に対し、国会法御五十七条三の規定により、内閣より意見を聴取いたします。松村文部大臣
  19. 松村謙三

    松村国務大臣 政府としての本案に対する態度についてお答えを申し上げます。この養護婦の恩給に関することにつきましては、政府として十分なる調査資料を持っておりませんです。従いまして、至急調査はいたしますが、ただいまのところは態度を決定いたしがたき事情にあることを御了承をお願いいたしたいと思います。右政府の態度を申し上げます。
  20. 佐藤觀次郎

    佐藤委員長 次に本案に対する質疑に入ります。永山忠則君。
  21. 永山忠則

    ○永山委員 ちょっとお問いいたしますが、昭和四年から昭和十六年の間の学校看護婦あるいは養護婦等、いろいろの名称の人々で、非常勤の人に対しては、恩給通算の対象になるかならないかということを提案者に御質問申し上げます。
  22. 赤城宗徳

    赤城委員 御承知の通り学校看護婦に関する文部省の訓令に、学校看護婦の資格とか、義務規定が厳重に規定されておりまして、この文部省訓令がほとんど全部昭和十六年の国民学校令に、機構、組織、こういうもの全体が吸収された。こういうような形になっておりますので、そういう点から考えましても、当然常勤の者を対象としておるのでありまして、非常勤の者は全然対象といたしておりません。従って恩給の通算には、非常勤の者は含まれない、こういう趣旨でございます。
  23. 島上善五郎

    ○島上委員 ちょっと関連して。一体今養護教員は、すべての小中学校に現在置かれておるかどうか、また法的にはどういうふうになっておるか。そして私の聞き及んでおるところによると、置かれていないところもだいぶあるやに聞いておりますが、そういうところに対しては、政府は早急に置く考えがあるかどうか。
  24. 緒方信一

    ○緒方政府委員 現在御指摘のように、すべての小中高等学校に養護教員、助教員が置かれておるという状態にはなっておりません。現在のあらましの調査で申しますと、九千五百人ほどの人が置かれております。従いまして学校総数から見ますと、まだ一部でございます。私どもといたしまして、学校児童生徒係、あるいは学校の養護係、あるいは学校保健係とかいう、どうしても養護教員の充足が必要なことだと考えておりますが、現在のところ、まだかような実情であるということを申し上げておきます。  法律関係の場合になりますと、法律関係学校教育法に、まず一応置かなければならぬ、養護学校には養護訓導を置かなければならぬということになっておりますけれども、ほかに経過規定がありまして、当分の間置かなくてもよろしいという、さような実情であります。
  25. 島上善五郎

    ○島上委員 当分の間置かなくてもよろしいという経過規定があるということでございますが、ただいまの御答弁によりますと、置く必要をお認めになっておられると思うのであります。置く必要をお認めになっておられるとするならば、現在置いていない学校に対して、急速に置くという方針があるかどうか、大体それも、急速といっても抽象的ですが、どの程度の期間にこれを完全に置くようになさる御方針であるのか、伺いたいと思います。
  26. 緒方信一

    ○緒方政府委員 これは総体的に申しますと、今申しましたように、必要は認めておりますが、ただそれを設定いたしますと、給与の関係から申しまして、財政問題がまず問題になってくると思います。御承知のように、義務教育の段階におきましては、義務教育国庫負担法によりまして、これは半額は国庫負担に相なります。しかしながらまずこの負担といたしましては、都道府県の負担になりますので、ただいまのところ都道府県の財政状態からいたしまして、直ちにこれを全部国の方へ置けというふうに、今そういう制度をつくるということは、そういう実情から申しまして、困難な点があると存じます。その点は研究を進めたいと思います。
  27. 島上善五郎

    ○島上委員 文部当局においても必要をお認めになっておりまするし、私どももこれは財政上の問題は何にしましても、急速に置く必要がある、こう思いますから、財政上の理由でもって、いつまでもずるずるにしておかずに、地方財政の赤字であることも承知しておりまするけれども、これは急速に置くように促進していただきたいということを強く要望しておきます。
  28. 佐藤觀次郎

    佐藤委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。  これより討論に入ります。この際お諮りいたします。本案に対する討論を省略するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  29. 佐藤觀次郎

    佐藤委員長 御異議ないと認めます。よって討論は省略されました。  これより採決をいたします。本案を原案通り可決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔総員起立〕
  30. 佐藤觀次郎

    佐藤委員長 起立総員、よって原案の通り可決いたしました。(拍手)  なお本案決議に伴う委員会の報告書の提出等については、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  31. 佐藤觀次郎

    佐藤委員長 異議なしと認めます。よってさように取り扱うに決しました。     —————————————
  32. 佐藤觀次郎

    佐藤委員長 引き続き学校教育社会教育に関する件及び日本学校給食会法案外三案に対する質疑に入ります。山崎始男君。
  33. 山崎始男

    山崎(始)委員 それでは引き続いて文部大臣に質問をいたします。先ほどの御答弁でありますが、私自身も先ほどちょっと申し上げましたように、この問題の受け入れの善悪を、私は文句をここで言うつもりはないのであります。ただいわゆる経審庁における見解のように、引き続いて三年間来るか来ないか、この見通しの問題、これは非常に大切な一点だと思う。今一つは、入ってくる無償贈与の品物を学童にいかに渡すかという点、この二点が私は非常に大切な問題が含まれておると思うのであります。と申しますことは、この一千五百万ドルの無償贈与のありましたこの話というものは、私が知っております範囲におきましては、これはちょっと名前は申し上げられませんが、政府がこれはきめたのでなしに、むしろ話の発端、事の起りというものは、ある貿易会社の社長が、これはアメリカに非常に知人の多い、非常に密接な関係のある民間人でありますが、この人がいわゆる昨年度におけるこのビキニの灰以来の日本における国民感情、こういうものとアメリカとの対日政策の上における親米感情というような観点から、この一千五百万ドルの無償贈与の話は起っている。そうして昨年——当時の愛知通産大臣、東畑さんあたりが、昨年の十一月にアメリカに行ったときには、ほとんど話の原案というものができ上っておった。言いかえたら、自由党がこの原案を作ったのでもなければ、民主党が作ったものでもない。一民間人の一つの外交上の意向が成功とでも申しますか、そういうことから話は起っておるのであります。たまたま吉田首相が行かれて、いわば吉田首相の一つのおみやげとなっておる。ところが私が考えるのは、これは端的に申し上げますると、先ほどの学童服加工賃の問題でも、アメリカとすれば、何がゆえに加工賃日本政府が持つべきであるという条件をつけておるかという点、これは大切な一点だと思う。なぜならば、アメリカとすれば、三百万着の学童服というものは、完成品として、いわゆる綿花でなく、そこに加工賃が加わって、完成品として、これは学童に配給できる。あるいはまた学校給食小麦にしても、でき得るならば完成品としてのパンにして学童に配給する。あるいはミルクにしても、小麦にしても、チョコレートその他も、でき得るならば菓子という完成品にして学校に配給をするのが私はねらいであろう、かように考えるのであります。なぜならば、一つの未完成品よりは完成品として配給いたすならば、これはアメリカがくれたんだというこの感覚というものが、児童に十分植えつけられるはずなんであります。ところが、日本政府は財政困難だからというので、学童服の方は三百万着分を加工賃がないからというので、綿花を売って、そのお金でもって、百十万着の学童服を買うという、そうするとそこにはいわゆるアメリカ考え方とはかなりかけ隔たった考えがここにできてくる。言いかえたら、アメリカはそんなはずじゃなかった。加工賃日本政府が持つはずだ、こういう考え方が私は当然起るだろうと思うのであります。そういう考え方が起りますると、本年度におきましては、なるほど一ぺんきめた一千五百万ドルの無償贈与でありますから、今さらお前は約束を履行しないから取り消すぞとも言えますまい。ただ次年度以降において、そのような約束の違った、いわば、先方さんの思惑と違った方法によってこれを日本政府が消化した場合に、経審庁が考えるがごとく、頼みさえすれば、来年度もさ来年度もくれるだろうというものの考え方、これは私は非常に甘い考え方だと思う。あるいはくれるかもしれません。しかしながらただ慢然と一千五百万ドルというようなものをただでくれるはずはないと私は思う。どうしてもそこには先方さんの意図に沿うような配給の仕方をしなければ、よしんば来年度くれましても、うんと品物が金額的に少くなるとか、あるいはもうやらぬというか、非常にここは私は疑問の点があるだろうと思う。でありますから、先ほど大臣の御答弁のごとく、洋服の加工賃の問題で、まだ確固たる先方から確返がないというこの話はうなづける点なんです。実を言いますと、それはともかくといたしまして、いずれにしましても、そういうふうな非常に重要な点が含まれておると私は思うのでありますが、学童服なんかを配給されるときに、あるいはUSギフト——アメリカン・ギフトというような名前でも裏側へつけるというようなことは、おそらくこれは内政干渉になるから言わぬだろうと思いますが、もしそういうようなことが向うのOKと同時にあったようなときには、大臣としていかにこれを処理なさるでありましょうか。非常に大切な点だと私は思うのでありますが、一点お伺いしたいのであります。
  34. 松村謙三

    松村国務大臣 お話のことでありますが、私どもの接触いたしましたところでは、そういう綿を売って服にかえ、制服として渡してはいかぬということは申しませんでございます。いわんやそのことを標示するようなきれを張れなどというようなことは、絶対に申さぬと考えております。向うの責任者と高碕君及び私とで話をいたしましたときの了解は、すべて文部省にまかすが、アメリカにも議会があるから、そのできたプランは一応自分の方へ見せてもらいたい、本国への報告もあるからと、こういうような話でございました。もちろんその前からずっと報告をいたしておりました、その前に交渉をいたしておりましたから、その交渉の進行においても、綿の方の話が一番早く進んでおりまして、私どもの会わない先から、大体綿の配給は双方の了解がついていたようでございます。この了解というのは、大体今申し上げたような形でできておりました。それを私どもはあとから認めた、こういうことなのでございまして、お話のような、向うが宣伝用に露骨に使うというようなことは、私の了解する範囲においてはいたしておりません。従って明年度以後のことに今度の決定が影響をするというようなことも、私どもは考えておりません。私がことし一年と申しましたのは、約束が一年だったがゆえに申し上げたことであり、経審等の方は向うとの折衝等によって、そういう見込みを得ていることと思うのでございます。
  35. 山崎始男

    山崎(始)委員 私もそう思います。おそらく内政干渉がましいことは、腹には思っておっても言わないだろうとは思いますが、万一そういうようなことがあったときには、よほど教育の責任者としては御注意をしていただきたい、かように私は要望しておきます。次に本日の新聞を拝見いたしますると、北海道の芦別の高等学校の先生が山登りに学生を五人連れていって、遭難して二人が死んだ。この事件でもって起訴されて罰金刑を食っております。これはちょうど時も時、暑中休暇を控えて、クラブ活動その他いろいろな校外指導の上から、全国の各学校相当たくさん山へ行き、川へ行くだろうと思う。このときに引率の教官が業務上過失致死でもって、こういう場合に起訴されるようなことがひんぴんとして今後起るというようなことは、これは私は重大問題だと思うのでありますが、これに対して文部当局の、大臣並びに局長にその間の御見解一つ承わっておきたいのであります。時も時暑中休暇でありますから、この点は全国の父兄はもとよりでありますが、特に教職員に重大なる心理的影響があると思うので、どうぞ一つ承わりたい。
  36. 松村謙三

    松村国務大臣 私も今朝あの記事を見たのでございます。ああいう判決が出たその内容についてわからないものですから、どういう点において特に刑罰を受けるようなやり方をしたのか、その辺のところがわかりません。何か大きな過失があるからああいうことになったのだろうと思いますけれども、これはさっそく調べなければならぬと、けさ新聞を見ながら思っていたのであります。
  37. 緒方信一

    ○緒方政府委員 事務当局としましても、あの事故の内容につきましては、事実が相当古いことでもありますし、新聞で伝えられております以上のことはわかっておりません。従って私どもとしまして、あの判決についていろいろと意見を申し上げる資料もございませんし、これは申し上げるべきじゃないと考えておりますが、ただ今後、今お話のございましたように、夏場にかかりまして、あるいは山に登る、あるいは海に行くといったような、学校の行事が行われることと存じます。そこでその場合に、先生方が十分に注意をして、事故を起さないようにしていただくということは、これは当然必要であると考えております。従来も私どもといたしまして、いわゆる教科外活動として、これらの学校活動を教育的に行なってもらうように、あるいはまたそういう安全という上から、十分な配慮をしてもらうということは、常に教育委員会等にも指導をいたしてきておりますが、この点につきましては、特に今後夏にかかりまして、そういう機会が多いことでございますので、先生方が十分な注意を持って、あるいはまた言葉をかえて申しますならば、十分な愛情を持って子供たちを見守ってやる。ややもいたしますると、子供たちの元気にはやって、ずさんな計画でいろいろな計画をいたしまして、そのために事故が起るというようなことがあってはいけませんので、そういう点については慎重な配慮をもって指導をしていただくように、私どもはお願いをしたいと思っております。
  38. 山崎始男

    山崎(始)委員 事は非常に重大でありますが、今局長は、内容を調べるべきではないと言われたように私は聞いたのでありますが、それは違いますか。
  39. 緒方信一

    ○緒方政府委員 違います。
  40. 山崎始男

    山崎(始)委員 私は、内容は大いにお調べ願いたい。新聞に出たばかりでありますから、きょうにきょうすぐおわかりにならないかもしれませんが、これは私は全国の教職員は重大な関心を持つであろう、かように思いますので、どうぞ至急にこの点は調べて、また次回の委員会にでも一つ御報告願いたいのであります。最後に、私は文部大臣に一点お尋ねいたしたいのは、学校教育と性教育との関連性の問題であります。ちょうど現在法務委員会へは売春禁止法案が出ていることは申し上げるまでもありませんが、われわれ日本国民が戦後十カ年間この方、ようやく敗戦後の混乱というものが静まったかに見えます。そしてまた教育というものは、いわゆる文化国家というものをこの十カ年間標榜して今日までやってきた。ところが表面は一応混乱期を脱したかに見えますが、決してそうじゃございません。今ごろになって売春行為の処罰問題が大きく世間を騒がすというような状態から考えまして—一体私自身も、売春禁止法そのものができたからというて、それによって日本の売春行為というものが絶滅するというような甘い考え方は、おそらくだれも持っていらっしゃらないだろうと思うのでありますが、この売春というような事柄が、結局は非常に大きな要素をなしていることは、これは申し上げるまでもありません。経済問題あるいは虚栄その他から来るとも思うが、カルチュアの低い、教育の足りない面も、私は相当影響しているだろうと思います。中には医学的な一つの変質者というような関係もあるでありましょう。しかしながら売春とかあるいは性に関連したいろいろの問題で、やはり私は何と申しても基本的には教育というものが非常に大きな要素をなしていると思う。よしんばそこに経済的な問題が出発点にはあるにしても、非常にこの教育が行き渡っておるといいますか、あるならば、より少くなっていくのではないかというふうにも考えられるのでありますが、とにかくいずれにいたしましても、今日の学校教育の中に性教育というものがどの程度に取り入れられておるのか、こういう点につきまして、一つ大臣並びに事務当局の方からお聞かせ願いたいのであります。
  41. 松村謙三

    松村国務大臣 今お話の点はきわめて重大な問題でございまして、性の教育の問題と申すよりも、むしろ品性の問題、道義の問題としても考えられることと思うのでございます。御承知の通りせんだって鹿児島に起りました学生のああいう事件も、だんだん調べてみますと、そのうちの多くの学生は、やはり家庭の乱れ、もしくは母親が東京におるとか、父親が東京におって仕送りも十分にできなかったとか、いろいろそういうことをやる原因を持っておることでありますから、従いまして、これは性の問題もさようでございますが、一般家庭のしつけ、学校の品性の陶冶という面から十分考えなくちゃならないことと思います。今学校において性教育をやっておりますでしょうが、それは局長からお答えを申し上げたいと思います。
  42. 緒方信一

    ○緒方政府委員 ただいま学校教育、特に小、中、高等学校の段階におきまして行なっておりまする性教育でございますが、これはただいままでまだ文部省としましてまとまった指針といったようなものは出しておりません。これは主として社会教育の分野でございますけれども、御承知のように純潔問題に対しまする審議会等もございまして、その答申等も出まして、それらも勘案いたしまして、今後文部省としましても十分研究をいたしたいと考えます。ただいまの現状といたしましては、各学校におきまして、あるいは各府県の教育委員会等の計画によりまして、それぞれ適当な取扱い方をいたしておるのが現状でございます。これも小、中、高等学校、各学校の段階によりまして、児童生徒の発達段階に従いまして、取扱い方は非常にむずかしい問題だろうと思いますけれども、あるいは保健学習の中において、あるいはそのほかの教科の内容として、これを適宜、非常にデリケートな配慮をしながら、各学校において工夫をしていくというのが現状でございます。文部省としましてもこれから十分に研究をして、できますならば指針のようなものを作りたい、かように考えます。
  43. 山崎始男

    山崎(始)委員 これは非常にむずかしい問題でありますが、むずかしいからといってほおっておく性質のものでは絶対にないと思うのであります。私らが子供の時分、学校の時分から三十年くらいたっておるのでありますが、どうも性に関する学校での教育というものが、私は非常になおざりにされておったと思う。もとよりこれは社会教育の面、先ほど大臣がおっしゃったような家庭教育の面、これはもちろん大切でありますが、学校においてもなおざりにされているのじゃないか。と申しますことは、性の問題は非常に神秘な問題なんです。いわゆる弘法大師じゃありませんが、何々は黙して語らずということわざにもあるように、非常に神秘な問題なのです。言うべきことじゃないというような観念があるのじゃないか。ところが今日の社会の実態を見てみますると、われわれの子供の時分とは違って、今日の商業新聞の夕刊なら夕刊を見た場合に、ああいうふうな、キスとか接吻というものがない広告は——私は毎晩見ているのでありますが、いまだかつてそういう場面のない広告は絶対にございません。この一事を取り上げてみても、まことに私は隔世の感があると思うのであります。言葉をかえて言いますれば、時代はそこまで来ておる。ところが学校教育における性教育の面というものは、相変らず昔の弘法大師のですから、ほとんどまことに神秘なものだから、黙っておった方がいいんだ、かりに子供にいろいろなことを聞かれましても、そんなことを聞くものじゃない、おそらくこの一言が代表しておると思うのでありますが、私はそれではいわゆる文教の府におられる人とすれば、これは非常に考えなければならぬ問題である。今日悪書がはんらんしている。結局そういうふうな社会の刺激的な現状を見て、学校でもそれを教えてくれない。そこで年ごろの子供たちは一つの興味といいますか、手探りといいますか、そういうものからそういうふうな悪書なんかにでも染まっていく率が非常に多いのじゃないか。ところが一歩子供の実態を見てみますと、今日の年ごろの子供で親が驚くようなことが私はたびたびあると思うのであります。あるいはキスであるとか接吻であるとかいうような言葉は、お互いがチョコレートであるとかキャラメルであるとかいうような言葉くらいに考えている。そういう用語というものはどんどん使っている。われわれの子供の時分の考え方そのままが、今日の教育計画の中にもそういうような気持が持たれておるのじゃないか。いわばさわるべきじゃないんだ、こういうような観点が私は非常にたくさんありはしないかと思うのであります。これは非常に考えてみなければならない。もっと大っぴらに子供たちに何とかして一応高等学校を出るくらいまでには、一つの清潔な厳粛な教室で、医学的にもあるいは心理学的にもあるいは道徳的にも、宗教的にも、あらゆる角度から、おとながおそれる必要はないから、もう少し大っぴらに教えていくべきじゃないか。そうするならばこそこそ陰に隠れて興味本位に自分から悪書を、エロ本を探し歩くようなまねはしないのじゃないか、いろいろな批判の角度はありまするが、何だか非常に憶病な考え方をされておるのじゃないかと思うのでありますが、この点に対して文部大臣はどういうふうにお考えになりますか。
  44. 松村謙三

    松村国務大臣 今のお話は教育上の非常に重大な点に触れていると思うのでございますが、これに対する文部省やり方として自信を持ってやるのには、今直ちにそうすべきだと申し上げることも、私はそれだけの自信を持っておりません。従来もいろいろ申されたことでもありますが、これはなかなかむずかしい。それを教えるにしましても、教える資料それから教える人によって非常に影響力が違いますので、事はなかなかむずかしい面もありますから、今お話のようなふうにいたすことがよろしいということも申しかねまするし、といってこのままで放置してよいとも申されませんので、これは一つ十分検討をいたしてやらねばならぬとお答え申し上げるよりほかにないのであります。
  45. 北村徳太郎

    ○北村委員 ただいま性教育に関する問題が取り上げられたのでございますが、私はきわめて重大な問題であると思いますけれども、今日性道徳が非常に紊乱しておるということが、性教育が足りないためであるという判断がつくのでありますかどうか。性教育をやることによって、今日の社会的な大きな風潮である性道徳がこれほど悪い状態になっていることが、それで救われるという自信が持てるのかどうか。性教育をやるということになりますと、ただいま大臣お話もありましたけれども、これは非常にむずかしい問題でありまして、だれがやるか、どういう場合にやるかというようなことが問題になるのでありまして、一般に算数を教えるというふうには扱いかねるのであります。従って私は現在の性道徳のはなはだしい堕落の状態が、単に性教育が教育として行われていないことに原因するとは判断しないのであります。そういう意味のお話ではなかったと思いますけれども、従ってここに非常に重大な問題がある。むしろそこに問題があるとするならば、私は今日エロ本が横行するとかあるいはその他目をおおうようなことが非常に多く行われているということは、むしろ被教育者の問題でなくて、おとなの世界にあることである。被教育者が成長していく生活環境、教育環境としてのおとなの社会の実態というものが、非常な堕落の相を描き出しておる。これをどうするかという問題が、あるいは被教育者に与える性教育の問題よりも、むしろ先にやらねばならぬことじゃないか。聞くところによりますと、現内閣は新生活運動ですか、これを展開するということであるが、一向まだ大したことをおやりになっていないようでありますけれども、これこそが必要なことではないか。急がば回れであって、現在の非常に低い社会水準、子供の成長するのにたえないような環境の中で、幾ら学校の先生が口をすっぱくして性教育を賢く行なったからといって、それで性道徳が向上するとは思われない。むしろ社会教育といいますか成人教育といいますか、そういう面においてうんと熱意を持って適当な人がそういう運動を展開するということの方が先決問題じゃないか。この点文部大臣はどういうふうにお考えになるか存じませんが、お答えができますならば一つお答えを願いたいと思います。
  46. 松村謙三

    松村国務大臣 これは学校の問題としてお尋ねがあったことと思いましてさようお答えを申しましたが、社会の環境ということが最も大きな影響力を持つことはもちろんでございます。新生活運動も、予算が成立いたしまして、これから具体的の御相談、呼びかけ等をいたすはずでございますが、おそらくは新生活運動の目ざすところも、一つは社会の粛正と申しますか、そういう面も大きく浮き上ってくることと思いまして、学校の教育と両々相まって実効を上げ得るならば非常な効果のあることと思い、一つの国民運動としてこれができ上ることを期待いたしておるものでございます。
  47. 平田ヒデ

    ○平田委員 ただいまの問題でございますけれども、学校の性教育のことにつきましては、私はやはり必要だと思います。ただだれがそれを生徒、児童に教えるかということは、人の問題でございます。これはよく小中学校では家庭科の若い教師がいたしております。結婚もしたことがない若い人ですと、先生自身は教科書によって一生懸命になってお話をしていらっしゃるのですけれども、どうしても生徒たちに与える心理的影響というものが非常に大きく動いております。そうしてちょうど、これは皆さんよく御存じでいらっしゃると思いますけれども、小学校の六年生ごろから中学校にかけて、男女とも性的関心が一番深められる時代でございまして、若い女の先生がちょっと男の先生と仲よくしたというようなことでも非常な好奇心を持っている。その人が壇に立ってさて性の問題について話すということになると、生徒たちはお互い机の下で友だちと突っつき合って笑っておるというような状態でありまして、私は大切だとは思いますけれども、まず適当な、おかしくないようなりっぱな人を要するに性教育の担当者にしていただかなければならないということでございます。私はこれは必ずしも女でなくてもいいと思います。男女を問わずりっぱな方、ほんとうに科学的に、神聖なものとしてお話をして下さる、そういう方を私は望んでおります。  それから先ほどお話ございましたけれども、これはおとなの問題でございます。私何人かそういう問題の子供について相談を受けたことがございますけれども、これは中学校の三年生が五人で夕方散歩していた、そうしたら向うから、これも十五になる女の子で、これは学校に行っておりませんでしたけれども、これが来たら、どういう話合いか五人で相談をして、あれをとっちめようというわけで、五人なもんですから——こんな話は大へんどうかと思いますけれども、手を一人、足を二人というようなわけで実行にまさに移らんとしたときに、ちょうど自転車に乗ってきた人がおって、それが阻止されたということでございまして、この子供五人を私相談を受けまして、これは一々家庭を訪問いたしました。子供に会って話をしても仕方がないので、これは家庭の実態を見るのが一番いいと思いまして、一々回って歩きました。そうして、なるほどこれあるかなと思いました。父親が失業いたしておりまして、子供が非常に大勢で、六畳一間に六人住んでおります。ここから問題は発生しております。これが二家族ございました。それから三人は未亡人の家庭でございます。これも日雇いなどをいたしておりますけれども、暮しがなかなか思うようにならない。これもやはり八畳一間、炊事場も水屋も寝るところもすべてその八畳ほどの大きさ一間でございます。私がちょうどたずねましたときには、四、五人の男の人がおったわけです。長火鉢のそばでお茶を飲んでおりました。それで私はもうすっかり事情がわかりました。それからあとお母さんにお会いしまして、お仕事はと言ったら、仕事はちっともないのだ、それでかつぎ屋をしておるけれども、売る物を都合してもらうのにはどうしてもあの人たちと一緒に仕事をしなければ食べていかれないのだ、そう申しております。これは福祉事務所の方とも話合いをしたのですけれども、あれは素行が悪いから生活保護をやれない。健康なからだを持っておるのだから、もっと働こうと思えば働けるのだといってほうっておくのでございます。私はこれは一応救ってやるべきじゃないか。食べていかれるようにすればいいのであって、その点私厚生省の生活保護のやり方に対して不満を持っております。むろん一生懸命働いて、何とかたくわえもできて、生活に楽しみが持てるようにして扶助を断わろうとしておるときに、収入がこれだけあるのだからといってばっさり切ってしまうのでございますけれども、私はこの点を厚生省の方によく考えていただきたいと思うのでございます。一週間ほど前に子供の身売りの記事が新聞に出ておりましたが、その中に、文部省と厚生省と労働省とでお話合いをして、これを未然に防ぐべく努力をするということが書いてございましたけれども、それについて何かお話し合いをなさいましたでございましょうか、伺いたいと思います。
  48. 緒方信一

    ○緒方政府委員 先般の新聞記事というお話でございますが、私どもただいま長期欠席の児童生徒の対策につきまして、いろいろ考えておるわけでありまして、これはただいまお話の中にもございました生活保護の関連もございます。それからあるいはまた労働基準法の関係もございます。従いまして厚生省、労働省と十分な話し合いをしました上で、具体策をきめたいと考えておるわけでございます。そういう意味で今事務的に三省間で話し合い、協議をいたしまして、そうして成案を得ましてから、地方に通達をいたしまして、長期欠席の対策としまして、指導していきたい、かように考えたわけであります。そのことがお目にとまったことだろうと思います。
  49. 平田ヒデ

    ○平田委員 それは新聞で拝見いたしております。それから法的には一週間たてばどう、十日たてばどうという通知を出すことになっておるようでありますが、私もそれを知っておりますけれども、あの一片の通知でもって出てくるような子供は問題ございません。あれはほとんど効果ないと私思っております。それよりもほんとうにそこの家に家庭訪問をして、しかもこれも一ぺんぐらいではだめでございます。この先生はと信頼されるようになって、初めて父兄はすべてを話してくれます。そしてどうしたらいいでしょうとふところに飛び込んできたときに、私は初めて子供が救われると思うのでございます。そこまで手をお伸ばしになりませんと、ただ話し合いをして議論ばかり繰り返しておっても効果はありません。私は百枚の紙を刷って出すよりも、各学校で一人でもいいから一生懸命になってやる、そうしたら何千人かは救われると思います。何と申しましても、時間を惜しまずに、その家庭に行って、その家庭の父兄の信頼を得て、そしてこれを救っていく、これはじみで、時日を要しますけれども、こうした方向に進んでいただかないと、私は百年河清を待つにひとしいように思います。
  50. 緒方信一

    ○緒方政府委員 先ほど通知を出すと申しましたけれども、文部省といたしましては地方の教育委員会、厚生省、労働省と御一緒になりまして、地方の府県の知事とかの方に通達を出しまして、そこに中央の方針を示して、それによって動いていただくということであります。そのほか中央としては、現在の建前としてはないわけでございますが、その内容といたしましては、ただいまお話のように、ただ形式的に、こういう法律がこうであるからこうしろということだけじゃもちろん十分ではないのでありまして、あるいは教育委員会にやってもらう、あるいは学校自身に、担任の先生自身にやってもらう、そういうことをこまかく今検討いたしております。要はやはり今お話のように、その家庭に行きまして事情をよく調べて、それが経済的な原因に発生いたしますならば、これは生活保護法の適用等につきまして、十分福祉関係の方とも連絡をして、これを指導していく、あるいはまた長欠の中の原因を調べてみますと、案外本人自身に基く原因がございます。あるいは怠けておるとか、あるいはそうじゃなくて、非常にからだが弱いというような原因があります。そういうことにつきましても、それぞれ対処するような方法を講じたい、私ども案としましては、だいぶ前から持っておるわけでございますが、しかしこれは今申しましたように、やはり関係各省と十分練りまして、十分なる了解のもとに、それによって地方も各省の出先も動いてもらう、こういうことが必要であろうと思いまして、慎重に考えておる次第であります。
  51. 佐藤觀次郎

    佐藤委員長 並木君に関連質問を許します。簡単に願います。
  52. 並木芳雄

    ○並木委員 お許しを得て一つ関連質問をさせていただきます。私は大臣にまだお尋ねしておりませんので、この際性道徳に関連して、売春等処罰法案についての御感想を伺っておきたいと思うのです。実は私あの法案を見ましたときに、その趣旨はわかりますけれども、非常に片手落ちであるということを発見いたしました。ただいま議題になりました性道徳の問題にいたしましても、りっぱな紳士が二号を持って、そして口には教育を唱えつつ、裏へ回っては不純な性関係を保っておる。それが児童及び青少年に及ぼす影響というものは重大だと思うのです。ところがこの法案では、二号制度についてメスを入れておりません。私は非常な不公平が出てくるのではないかと思います。  それから私ども今当面しておる外国の風俗習慣の問題でありますが、駐留米軍その他の外人の不純な日本の女性との遊行、性関係について、これにどれだけのメスを入れることができるか、きまっておらないのであります。そうすると結局やみ米の運搬でいうと、大きな組織を持ったものはそのままに放置されて、ほんとうにあしたの飯に困るという人が運んだ五升、六升が、汽車でとっつかまって留置される。そういう問題がいわゆる売春禁止法を通じて起るのではないだろうか。それはかえって児童に及ぼす影響が、世の中をのろい、人をのろうというような事態を来たさないであろうかということを非常に私は心配しております。それともう一つ、人権じゅうりんのおそれが出てこないか。不特定であるか、特定であるかがこの売春の境目になっております。ですから結局現行犯をつかまえなければどうにもできないことであって、正当な友愛関係にあるものまでも、警官がこれを尋問するということになりますと、かえってその方面から純真な友愛行為というものが、不純な関係に受けとられるおそれがある。そういう方面から自暴自棄になり、名誉毀損を受ければ、教育に及ぼす悪影響も出てくるのではないかと思います。  それから題名にいたしましても、売春というと春を売るということ、これだと売るばかりを罰するようにも響きます。内容はそうではございませんけれども。正確にいえばこれは売買春禁止法でなければなりません。むしろ男の方が悪いのです。だから買う方の買春禁止法でなければいけないわけです。女性議員が中心になって提案されておる法案としては、男女同権の点からいうと不公平ではないかと真剣に考えておるのですが、この際いい機会でありますから、教育の府にすわっておられます松村文部大臣所見を伺っておきたいと思うのです。
  53. 松村謙三

    松村国務大臣 並木さんは、何か私が売春禁止法案の提案者のように御質問でございますが、それはそれといたしまして、文教の上から申しますと、法規の問題ではありません。これは社会風教に関する問題、その意味からして、法をもってするよりも、今申したような社会の道義といいますか、品性と申しますか、そういう面からそういうことを根絶することが理想でございます。そのためにお互いに努めなくてはならぬと考えるのでございますが、しかし今売春禁止法案などというものを、どうしてもやらねばならぬということは、社会風教の面が全くこう地に落ちてしまっておるがゆえに、売春禁止法案などというぎこちない法案を必要とすることになったのではないかと思うのでございます。従いまして、われわれ文教の責任者といたしましては、いかにして社会をよくし、風教をよくして、そういうことのないようにするかということに努めますのがお互いの責任じゃないか、こういうふうに考えるのでございます。
  54. 山崎始男

    山崎(始)委員 私があまり時間をとりましても御迷惑をかけますので、あと一、二点だけ質問させていただきたいと思います。今、北村先生がおっしゃいましたが、これは非常に複雑な大きな問題であるということは、私がこの質問をする最初から申し上げておるのでありまして、あらゆる角度からこれを論じておりましたら、何日かかっても尽きません。それで私は社会教育、家庭教育、その二つを切り離して、それを学校教育の中にどういうふうに織り込まれてあるかという点に焦点をしぼって質問しておるわけなのでありますが、してみますと、私らが子供自分から、やはりこういう性教育をするのに適当な人間がおらないというのが一番の逃げ言葉であった。私が申し上げておるのは、そのようなお互い男女七才にして席を同じくせずというような教育を受けてきた時分と、今日の社会環境一つ見てみても、端的に言いますれば、接吻やキスなんということは朝飯前に使っておる今日の子供たち、これでやはり文化国家を標榜しておる。この文教のわれわれお互い責任者が、昔のままで適任者がおらぬのだから学校教育の中には織り込まぬでもいいのだ——いいとはおっしゃらないでありましょうが、昔と相変らず適任者がおらないとか、非常にむずかしい問題でございますとかいう言葉だけで済まされるべきことかどうかということに、私は疑問を持つのであります。今日敗戦後の文教政策に文化国家を標榜しておりますが、文化国家としての片鱗だに私は見受けられないのであります。教育の計画というものは、他の所管の各省とは違いまして、これだけ金を使ったから橋ができたというものではございません。これは収穫までには非常に長い。ところがややもいたしますと、目先にものが形になって現われてこなければ手をつけないというのが人間の人情なんです。文化国家という大きな目標を標榜しておるのでありますから、一つこの際、松村文部大臣のようないわゆる卓見の士が責任者でおられるのでありますから、今までだれも手をつけなかったものを、これから五年先、十年先で成果が上ってもよろしい。私が申し上げたいのは、適任者がおらないのならば、医学的にも心理的にも、その他あらゆる角度から、宗教的にも見て、せめて都会地だけを一つのモデル地域としてでも、この性教育というものをいかに具体的に織り込んでみるかというくらいのことは、私は必要じゃないかと思うのであります。私がなぜこういうことを申し上げるかといいますと、これは売春禁止法の問題が出たからにわかに世間に大きくなっておりますが、私自身は五人の子供を持っておりますが、四人まで女の子です。この女の子の教育をやってみて——もう結婚適齢期の子が二人おる。中学校三年生、小学校四年生、大学を出たのが一人おりますが、性教育の問題は実にむずかしいと同時に必要であるということを私は痛感するのであります。といいますことは、中学校三年生の女の子のごときは、お父さん、キスしたら子供ができるのか、こういう質問をやっている。大学四年の在学生の二女の方は、ボーイ・フレンドができても何ができても明朗潤達に、お互いの若い時分とは違って、大っぴらにやっている。そうして聞いてみると、親しければキスぐらいはいいでしょう。ただしいわゆる処女性というものは結婚するまでは絶対に保たなければならないということを答弁しておる。こういうことを考えてみますと、文教の一つの性教育の問題というものが、やはり昔のままにほったらかしにされている。従って中学校三年生であってもキスしたら子供ができるのかという質問が出てくる。こういうようなこと、大学の四年生の子はやっぱり自分自身で何がしか、先ほど申しましたような一つの倫理観といいますか、自己というものをそこに確立しておる。こういう点を考えてみましたときに、いわゆるそういう問題は言うべきじゃないのだという家庭教育、学校教育、こういうようなままでほっておいてよろしいかどうかという問題、これは、私はもう少し大っぴらに厳粛な気持で神聖な取扱い方をして、学校教育の中に何か具体的に織り込んでいくうちに、そこにおのずと一つの疑惑というものを子供は持たずに、自分の心の中に、ある一つの解答を持ってくる。そこから自然と羞恥心であるとか、これはこうであるとかいう一つのいろいろな倫理観というものを確立するのじゃないか。そうしなければ一歩社会に出てみたら、先ほど私がちょっと申しますように、接吻やキスなんというようなことは映画館の看板を見たところで、毎日の夕刊を見たところで、実際いいますとこれはわれわれから考えたら隔世の感がある。こういう点から私はお尋ねしておるのでありまして、ほっておくべきことではないという考え方、同時に非常にむずかしい問題でありますから、五年かかっても十年かかってもかまいません。最初でありますから、私はせめてモデル地区ならモデル地区、都会でもけっこうです。そういうことをやってごらんになるお気持はないかどうかということを私は聞いておるのであります。
  55. 松村謙三

    松村国務大臣 いろいろのお話を承わりまして、全くその通りと思います。事は非常な困難なことでありますけれども、努めなくてはならないことと思うのでございまして、厳粛に一つ研究をし、お話のように試みをやってみることも一つ方法であろうかと思います。よく考えます。
  56. 佐藤觀次郎

    佐藤委員長 河野正君。
  57. 河野正

    ○河野(正)委員 たまたま性教育の問題が出て参りましたので、その点につきまして一言大臣の御所感を承わりたいと考えます。  性教育が必要であるということは、すでに異論のないところであると思いますが、たまたまそういったことが必要であるけれども、だれが、どういう方法で、どういった機会にやるかということが論議の焦点であるようでございます。しかもそういった場合に、教育に従事する人を得ないということが一番大きな心配のようでございますが、私どもが今日までの体験から申し上げますと、今日学校ではたくさんな先生方がそれぞれ学校の業務に従事されておりますが、その中でどの学校でもさようでございますが、いわゆる学校医というものが今日まで嘱託されておりまして、そうして主として学童の健康管理あるいはまた健康上のいろいろの指導をやっておるわけでございます。先ほどから各委員が人を選ぶ問題につきましていろいろ論及されて参ったわけでございますが、私は最善の策とは申しかねましても、少くとも今日学校のいろいろの業務に従事しておりますところの人々の中から選ぶといたしますならば、科学的に申し上げましても、また社会的な地位から申し上げましても、また年齢的な点から申し上げましても、学校医に、こういった健康管理あるいは健康上の指導という点よりさらに一歩進めまして、性教育の問題を嘱託せしめたならばどうであろうかという考え方を強く持つわけでございますが、今後文部大臣がそういった点につきまして、今日まで嘱託されて参っております学校医に対して、そういった方面の指導なりあるいは教育をやらせられる御意図があるかないか、その点につきまして、これはこういった問題を解決する一つの糸口にもなりますので、その点をまず一点御質問申し上げたいと思います。
  58. 松村謙三

    松村国務大臣 ある意味から言ったならば、それも一つ方法であろうと存じます。しかしそれにいたしましても、人によってやはり違うのでございますから、よほど研究をしなくちゃならぬと思うのでございます。それとやはり性教育ばかりで事は足りませんので、強い倫理観と申しますか、私倫理観をその面においても植えつけなくちゃならぬ、両々相まってやらなくちゃいけないじゃないかと思うのでございまして、これは実際むずかしい問題でございますから、よくそれをもあわせて考えますでございます。
  59. 河野正

    ○河野(正)委員 もちろん大臣が御答弁される通りでございますが、万全を期するといいますか、理想を求めるならば、これは際限ないようでございますので、私は少くとも人を得なければならない、あるいはいろいろ条件を考えなければならないということで、拱手傍観するよりも、当面といたしまして、そういった最善の策ではないけれども、次善の策として、そういった方法で幾らかでも性教育の上におきまして一つの成果があげられるといたしますならば、私は一応の処置といたしまして、そういった方法も選ぶべきものではなかろうかというふうに考えて参っておるわけでございます。もちろん先ほど大臣が御答弁下さいましたように、非常に重大な問題でございますから、慎重を期するということは、これは必要なことでございますけれども、といっていつまでも拱手傍観し、その間におきましてますますこういった問題を泥沼に追い込んでいくというような事態をもたらして参るということはまことに遺憾でございますので、まあ一つ方法かと存じますが、意見のような質問を申し上げたわけでございます。  それから次に私は学校給食の問題につきまして二、三の点につきまして御質問申し上げたいと思います。学校給食に関しますところの総合的あるいは基本的な問題につきましては、すでに再三、再四当委員会におきましても論議されて参っていますので、私は時間もございませんからそういった基本的な問題あるいは総合的な問題は省きまして、今日まで学校給食が運営されております運営上の点におきまして、いろいろ不合理が存在しておるわけでございますが、そういった不合理の点が、今後私どもますます学校給食の問題を発展せしめ、さらに大きな成果を求めて参らなければならぬわけでございますが、そういった学校給食の成果あるいは発展の上におきまして、非常に大きな障害となっておりますので、そういった不合理の二、三の点につきまして御質問申し上げ、そうして大臣あるいはその他当局の方々の御答弁をお願い申し上げたいと思うのでございます。  その第一点は、学校給食に従事いたします給食作業員の身分、給与等の問題でございます。今日までいろいろ学校給食の使命なり目的がいかに重大なものであるかということは、すでに論議し尽されたところでございますが、そういった重大な学校給食に従事いたしますところの作業員の身分なり給与という問題が、もちろん学校給食法あるいは学校教員法によりまして規定はされておりますけれども、現実におきましては、地方財政の非常に困難な事情というものが、こういった学校給食に従事いたします作業員の身分なりあるいは給与に対しまして非常に大きな制約をもたらしておる事実を私ども見て参ったわけでございます。たとえば、作業員の任命権は学校長にあるわけでございますけれども、その給与の点につきましてはPTAあるいは市町村、公共団体が若干の負担をいたしまして、非常に低い、たとえばある学校におきましては一ヵ月三千円あるいは五千円というふうな非常に低額な給与に甘んじ、しかも学校給食の作業場は、御承知の通りに、私の医学的な立場から見て参りましても、非常に湿度が高くて、人体に非常に大きな障害をもたらすような作業場でございます。そういった悪環境のもとに非常な低賃金でそういった作業に従事しなければならぬという今日までの実情でございますが、国といたしまして、今日までそういった学校給食に従事いたします給食作業員の身分あるいは給与に対しまして、どのような地方団体に対しますところの御指導をなさって参りましたか、まずその点につきまして御答弁をお願いいたしたいと思います。
  60. 岩倉武嗣

    ○岩倉説明員 お答えいたします。学校給食の調理従事員についての問題でございますが、学校給食が制度的に法的な根拠を持たないままに非常に急激な発展を遂げて参りましたことは御承知の通りであります。そこでこの扱いにつきましても、実は正規の身分を与えております市町村立の学校等も相当ございましたが、また一方におきましてはPTAの負担、あるいは給食費の中に織り込んで父兄の負担になるというような状態になっております。御承知のように、昨年学校給食法を制定いたすことになったのでございますが、その際もその問題につきましてはいろいろ検討いたしたのでございますし、また皆さま方からも貴重な意見を伺ったのでありますが、地方財政の現状、また制度の建前、その他いろいろと勘案いたしまして、学校給食法におきましては、第六条に経費の負担区分を規定いたしたのであります。この場合、運営に要します経費につきましては、政令によって定めるところに従いまして設置者が負担をする。そうしてなおその他の分につきましては、給食の費用として、いわゆる給食費という名目のもとに父兄が持つというふうになったのであります。政令の第二条に詳しく書いてございますが、学校給食施設設備につきましては、学校給食法の第六条に命じておりますが、政令で運営に要する経費といたしまして、特に設置者が負担する経費としてあげておりますのは、給食に従事する職員のうちで、市町村立学校職員給与負担法の規定によって都道府県の負担とされる経費を除くということになっておりますので、従って、雇用人等の身分をもって採用しております給食従事員の経費は、おのずから学校の設置者から市町村等が負担をするという建前になっております。ただ御承知の通り地方財政の現状が非常に窮迫しております関係もありますので、具体的に申しますとなかなか予算を組んで定数をきめ、そうして採用するということが急に参らないという実情にありますが、漸次切りかえていくということにしていきたい。なおまたこれに関連いたしまして国庫において相当額の補助をしてはどうかというような要望もたくさん出ております。私たちもこの点につきましては非常に関心を持っておるのでありますが、現状におきましては、国庫において負担をするというような結論にまではまだ到達いたしておりません。いろいろと検討いたしておるわけであります。
  61. 河野正

    ○河野(正)委員 実際問題といたしまして、学校作業員の作業内容あるいは勤務の実態というものは、一般職の地方公務員と何ら異なるところはないのでございます。ただいま申し上げましたような勤務の作業内容あるいは勤務の実態によって、だんだん制定の改革というものが今日行われつつあるわけでございます。そういった立場から、今日学校給食に従事いたしております作業員の身分、給与という問題も、その使命の重大性というような点から今後早急に改良せられるべきが妥当でございましょうし、先ほど課長の御指摘がございましたように、国に何らかの援助を早急に行なっていただくということが妥当であろうと私ども強く考えて参るわけでございます。どうかそういった意味で一つ善処されんことを望みまして、その点は終ります。  次は、これも学校給食関係することでございますが、今日まで学童給食の主たるべきものとして給食パンというものが行われておるわけでございますが、こういったパン加工賃といいますか、そういったものは、文部省の通達によりますと大体一個当り一円四十銭という基準が示されておるわけでございます。もちろん最終的な加工賃というものは地方教育委員会と業者の間の契約によって決定するわけでございますけれども、しかしながら、一応文部省といたしまして一個当り一円四十銭という基準が示されておりますので、各地方におけるところの教育委員会と業者との契約の過程におきましても、この基準というものがどこまでもその基本になって参るわけでございます。ところが、私どもがその不合理を御指摘申し上げなければならぬ点は、御承知のように、この一円四十銭の加工料というものは、昭和二十五年に示されたところの基準的な加工賃であります。ところで御承知のように、今日まで約五、六年の間におきまして、物価指数というものはものすごい上昇率を示して参りました。大体物価指数は二十九年度で一・五倍、この加工に要します主たる原料でありますところの電力料金のごときは、大体二倍以上の指数の上昇を来たしておるわけでございます。加工に要しますところのいわゆるいろいろの基準になります指数というものは、ものすごい勢いで上昇しておるにもかかわらず、今日まで文部省の示しますところの加工賃というものは、依然として二十五年同様一円四十銭というものである、そういたしますると、現実におきまして、加工いたすものにつきましては先ほど申し上げますようにいろいろと経費の膨張をもたらしておるわけでございますから、勢い企業に大きな圧迫をもたらします。業者は一応学校給食のためのパンと一般住民のパンとを、それぞれ作っているわけでございますが、学校給食で経理上の圧迫を受けて参りますと、そのしわが一般需要の方に向いて参るということは、これは企業を守って参ります上におきましても当然の事柄でございます。従って私が申し上げたい点はこういった不合理、不当な基準が示されていることによって、今日一般企業を圧迫し、さらには学校給食の運営を圧迫するというふうな事態になって参っていると思うのでございますが、その点につきまして当局がどのような考え方でおられるのか、その点を一つ答弁願いたいと思います。
  62. 岩倉武嗣

    ○岩倉説明員 お答えいたします。パン加工賃につきましてはなかなかいろいろな問題がございますので、一応経過的に申し上げて御了承願いたいと思います。統制時代に物価庁が価格の基準をきめていたようであります。その後その基準に基いて示して参ったのでありますが、制度も変りまして、また御承知のように電力の料金の値上げとかあるいは労務費の増高、副資材の価格の暴騰、いろいろな条件が加わって参ったのであります。そこで各府県の実情等を調べてみますと、当時一円四十銭として基準をきめておりましたことは、当時といたしましては必ずしも低い基準ではなかったように承知をいたしております。しかしながらその後各府県の経済事情によって、それぞれ影響を受ける程度も違っておりますので、府県の教育委員会におきましてもそれぞれ見るところがございますので、これらの意見を総合いたしまして、数次協議の結果、たしか昭和二十八年の八月と記憶いたしておりますが、この時に各府県の実情に応じて適当に交渉の上、加工賃をきめてくれということにいたしたのであります。従いまして各府県におきましてはブロックごとに会合をいたすとか、あるいはまた相互に連絡をいたすとかいたしまして、適当な価格をきめて運営いたしております。なおその後の事情もございますので、昭和二十九年の夏ごろと記憶いたしておりますが、やはり現状に即する価格をきめて、加工賃が安いために安い価格で悪いパンを買うような結果にならないように十分注意いたしております。現状におきましてきわめて少数の、特別の理由があります県においては一円四十銭あるいは一円四十五銭というものが残っていると思いますが、これはきわめて少数でありまして、大多数の府県におきましては一円六十銭ないし一円七十銭見当になっていると承知いたしております。
  63. 河野正

    ○河野(正)委員 もちろん先ほど申された通りでございますが、しかしながら一応の基準というものが一円四十銭できめられておりますので、地方における教育委員会と業者との間の契約の過程におきましては、基準というものがいつでも問題となって参るわけでございます。ところが私どもがいろいろ具体的に調査いたしますと、一円四十銭の加工賃につきましては、今日の経済情勢のもとにおきましては科学的な根拠は何らないものと私どもは考えております。ところが一応一円四十銭という数字が示されておりますので、どうしてもそれを基本にこういった問題が論議されるというふうな結果に陥って参っているわけでございます。ところが私どもがいろいろ物価指数等々を計算して調べてみますと、大体今のような実情でやって参りますと、一個作りますと二円に近い赤字が出て参るような計算になります。もちろんこれは算術計算でございますから、実際の実数が二円であるのかどうか疑問といたしまして、一応赤字となって参るということは当然でございますので、企業を守って参るためにはどうしてもその赤字は一般需要の方に向いていく結果に陥っているのであります。そこで私が御質問申し上げたい点は、地方の自主性にまかせるという通達を出されたことはけっこうでございますけれども、この一円四十銭という基準になります数字を変更される御意図があるのかないのか、その点につきまして一つ答弁をお願いしたいと思います。
  64. 岩倉武嗣

    ○岩倉説明員 お答えいたします。一円四十銭の基準は一昨年すでにはずしてしまっておりますので、そのことは府県としては承知いたしております。ただ従来の基準が一円四十銭であったということから、これを変更するにつきましては相互に検討の結果合理的な線を出す必要がありますので、一応これを出発点として考えておるということになっているわけであります。そこで新たな基準を示すかどうかということにつきましては、ややもいたしますと、御承知の通り基準の運用という問題がございまして、基準をきめますと、運用いかんによりましては、きめたことが非常によい結果ともなり、また次第によってははなはだこれがじゃまになるということになるのでございまして、私の方といたしましてもそのときそのときに応じまして適正なものと思われる計算をいたしておりますし、また業界の意向も十分に聞いて、業界が大体どの辺の見当をもって各地方において交渉しておるかということにつきましても資料を集めております。  なお各府県の加工賃のきめ方につきましては、この点一つ御承知をいただきたいのであります。それは砂糖であるとか、マーガリンのごとき油脂類であるとか、あるいはまた塩、イースト等の副資材——特にそのうち油脂類と砂糖でございますが、副資材を業者にまかせて加工賃をきめるか、まかせないで現物を支給して加工賃の額を幾らときめるかというところに問題が一つございます。業者の方ではまかせてくれということが多いのでございますが、まかせますと価格の変動によりまして非常に影響するところもいろいろございますので、この点につきましても府県の都合のいいように扱っていただいております。たとえば砂糖が上って参りますと、業界ではまかされたことをくやしがるわけでありますし、また安くなりますれば加工賃と合せて経理いたしますから非常に有利な状態になる、ここにいろいろ問題がございますので、そのときどきにおきまして陳情等もございますが、大体特別に安い加工賃をきめておる府県につきましては、私どもの方ではむしろ上げた方がよかろうということを示唆しておるような状況もございますし、全国を通じてこれらの現行加工賃等の内容については常時調べておりますので、注意をいたして参っております。
  65. 河野正

    ○河野(正)委員 当局の御答弁の趣旨はわかるのでございますが、現地におきましていろいろ交渉いたして参ります過程におきましては、やはり基準というものが必要になって参ります。もちろん当局でも、今日の一円四十銭という数字というものが適正な価格でないということは、私どもも了承いたしますけれども、具体的に業者との話し合い、あるいはいろいろな資料を総合して、どのくらいが今日の経済情勢においては妥当であるかというふうにお考えになっておりますのか、その点を一つ明確に御答弁願いたいと思います。
  66. 岩倉武嗣

    ○岩倉説明員 先ほど来申しましたように、全国共通の基準ということになりますと、もちろんできないことはないのでありますが、一応特定の条件をもとにいたしまして、たとえば何千食を焼くパン工場でどういうような製造設備をもっていたす、また燃料は何を使う、いろいろな条件を前提といたしましての計算でございますので、従って先ほど申しましたように、運用上の注意が必要になるということでございますから、一がいに申し上げることも何でございますし、実は昨年も私どもの試案を府県に送って参考にしたいと考えましたが、いろいろと価格変動の激しい現在でもございますので、文部省から正式の通達をもって基準を参考としてでも示すことは、いましばらく見合せてほしいというような大多数の府県の希望もございましたので、事情は知っております、数字はここに持ってきておりますが、公式には流しておりません。お許しをいただきますれば大へんけっこうだと思います。もちろん必要がありましたら、またもう少し詳しくお話を申し上げて御了承を願いたいと存じます。
  67. 河野正

    ○河野(正)委員 もちろん各府県の教育委員会数字を示してもらいたくないというのはこれは当然でございます。と申しますのは、少くとも二十五年におきましては一応一円四十銭という基準価格が示されておるわけでございますから、各地方の教育委員会におきましても、どこまでもそれを基準にしようという意図に基きまして、今後新しい適正価格を示してもらいたくないという意思を表明したものと私たちは思料いたしております。ところが利害関係に立っております業者の方では、二十五年の標準価格を基礎とされる傾向が非常に強いので、やはりどうしても適正価格というものをあらためて示してもらわなければ、今後地方で教育委員会といろいろ契約いたします過程において困るというふうな意図があるものと私どもは考えております。こういった問題は、もちろん文教委員会といたしましては、学校給食を円滑に運営していくということが主目的でありまして、企業を守っていくということは第二の副次的な目的ではございますけれども、しかしながら中小企業を守り、あるいは学校給食を円滑に運営するという点におきましても、あるいは国という立場から見て参りますのには、どうしても総合的な立場から物事を処理しなければならないというふうに確信いたします。そういった意味で、幾らというふうなかちっとした数字が示されないにいたしましても、大体どのくらいが妥当であろうかというくらいの数字は示していただきたい。その他のいろいろの条件につきましては、各地方教育委員会と業者との契約の過程において決定されることでございますので、おしなべて考えて参る場合には一応どのくらいのものが妥当ではなかろうかという数字が、やはり二十五年におきましても示されたことでございまして、私は今日の変転いたしました経済情勢のもとにおきましては当然示さるべきだというふうに考えますので、かちっとした数字は不必要でございますけれども、大体どのくらいが適当であろうというくらいの御意図だけを一つ聞かしていただきたい。
  68. 岩倉武嗣

    ○岩倉説明員 お答えいたします。実は文部省といたしましても、業者に不利益を与えるようなことは絶対にしたくないと考えております。基本的に考えまして、仕事の性質がこういうことでございますから、十分な利潤を与えることはできないかもしれませんが、少くとも最低の適正利潤を与えるような計算にならなければいかぬと考えております。そこで全国団体も最近学校給食パン関係業者だけで結成しておりますし、いろいろと連絡をしておるわけであります。先ほどもお話のように、一応の基準でも示していった方が適正に具体的に決定するためにはよいのじゃないかという御意見はしごくごもっともだと思っておりますので、よく相談をいたしまして今後きめて参りたいと考えております。ただどのくらいを適当と見るかということになりますと、実はこの席で今うかつに申し上げることも適当かどうかいろいろと迷っておりますので、お許しを願って、また御理解いただきますようにゆっくりお話を申し上げたいと存じます。
  69. 河野正

    ○河野(正)委員 最後に、時間がございませんから簡単に御質問いたしたいと思います。これも学校給食関係してございますが、先ほどからずっと申し上げますように、学校給食の使命がいかに重大であるかということは論議をまたないところでございます。ところが不幸にいたしまして、最近新聞を見て参りますと、横浜あるいは東京都下におきまして、多いところは七百人、少いところで三百人くらいの学校給食に基きますいろいろの中毒、あるいはその他の事故が起っております記事を散見いたすわけでございます。こういった問題は今後学校給食を発展せしめ、さらに大きな成果をあげて参ります上におきましては、私どもまことに遺憾な点だと考えておるわけでございます。ところが不幸にいたしまして、そういった事態が頻発して参り、また今後もそういった事態が起らないとも限らないわけでございますが、こういった問題は今後やはり学校給食の重大な使命を社会的に認識させて参ります上におきまして、非常に大きな障害になるものと私は確信いたします。従いましてこういった集団中毒なり、あるいは集団下痢というような問題が今日次々と起って参っておりますが、こういった問題に対しまして今日まで文部省当局はどのような処置をなされて参ったか、これは学校給食の将来にとりましても非常に重大な問題でありますだけに、この席上を借りまして一つ文部大臣から御所見をお尋ねしておきたいと思います。
  70. 岩倉武嗣

    ○岩倉説明員 学校給食が重大でありますだけに、この仕事を担当いたします者といたしましては、毎日新聞を見るたびに、問題が出ていないかどうか心配をして、いつも頭の中からこの問題が抜けないのでありまして、実際の仕事の面におきましては、結局これは各府県の教育委員会なりまたは市町村の教育委員会が、現場の方で直接御指導を願っておるのでございますけれども、講習会をいたしますとか、または全国の会議をいたしますとかという機会には、いつもこういうことについて十分徹底いたすように努力して参っておるのであります。本年度におきましても、六月の初めでございますが、やはり夏場に向うときが一番問題でございますので、いろいろと従来の経験等にも徴しまして、事こまかに、特に献立等の内容についてもまた食事の扱いにつきましても詳細に指示をいたしておるわけであります。この八月にまた全国の栄養管理講習会を開くことにいたしておりますが、この場合にはことしは特に中毒についての問題等を相当強く取り上げて徹底をいたすようにしたいという計画を現にしておるような状況でございます。  なお具体的に申しますと、最近新聞にも出ております四件ばかりの問題がございますが、このことにつきましては、それぞれの府県に連絡いたしまして、現在調査をいたしております。そこで給食でないというようなことになっておりますものと、それから大体給食らしいというようなものとございますが、隅田の業平小学校についてはどうも給食の食物らしいということになっております。また文京区の金富小学校それから横浜の西前小学校、山口県萩市の明倫小学校等におきましては、それぞれ県の方に照会いたしましたところ、まだ明確にお答えはいただいておりません。調査の上で至急に連絡するということになっておりますので、心配をいたして連絡に努めておるわけでございます。
  71. 松村謙三

    松村国務大臣 先刻から給食に関する具体的の御質疑を得ましてありがたくわれわれ参考といたします。その中で昨今給食による中毒等のことにつきまして、実際給食のためにあのような事実が起ったことについては非常に遺憾に思っておりまして、今後十分注意をいたすつもりでおります。
  72. 河野正

    ○河野(正)委員 今日まで私どもが非常に遺憾に考えております点は、いろいろなこういった衛生上の問題が爆発的に発生いたしましたにつきましての原因というものが、いつの場合を見て参りましても、あいまいもことして龍頭蛇尾に終って参るところの傾向が非常に強いわけでございます。そういったことが私はやはり次々に起って参ります事故の原因をなしたものと考えるわけでございます。たとえば先ほどから、いろいろ各地で起りました事故につきましての原因は、なお給食によって起ってきたものかあるいはその他の原因によって起ってきたものか検討中であるというふうなお話でございますけれども、私どもの立場から考えてみますと、同じ学校で爆発的に多数の事故を起す場合には、大体同じ食事をとるというようなことによって起って参ったと考えることがきわめて妥当であると考えておるわけでございます。もしその他の気候あるいは気象等の原因で起って参ります場合には、おそらくその都市あるいはその地域の大部分の学校におきましてそういう事態が起って参るものと私ども考えます。そこで特定の学校で多数の事故が発生いたします場合には、当然同じものを食べるか、あるいは、今日におきましては水道でございますから、同じ水を飲んでということには相ならぬと思いますが、大体給食によってそういった事態が起って参ったというふうに言っても、私は過言ではないと考えております。ところがただいま御答弁下さいましたように、そういった事故が起りますと、いつも機械的に、原因をよく究明いたしまして善処いたしたいというような答弁がきまり文句でございますが、そういった機械的に物事を処理しようという態度が、いろいろの事故の原因になって参っておるということを考えておるわけでございます。  そこで、これは厚生省関係でございますけれども、先般のワクチン禍の問題におきましても、私は、厚生省あるいは文部省当局が重大な責任を感じておられるならば、その後ワクチン禍の原因がどういうことによって起って参ったかという経過の報告の一端くらいは、この委員会でやられてしかるべきだというふうに考えますけれども、今日までそういった問題についての経過報告はなされておりません。また今度の集団下痢の問題におきましても、あるいは集団中毒の問題におきましても、委員会に取り上げますと、一応その委員会の席におきましては何とか責任回避的な答弁をなされますけれども、のど元過ぎれば熱さを忘れるという言葉がありますように、いつの間にかそういったものが事もなかったかのような経過をたどって参るのが今日までの実情でございます。そういったことが私はやはり事故の原因になって参るものと確信するわけでございます。  そこで今度の原因が何にあったかということは、もちろんいろいろ事情を調査されることも必要でございましょうし、またそうあるべきだと考えますけれども、もしそういった原因が判明いたしましたならば、やはりその原因を明白にされまして、とるべき責任はとって、そして今後そういったことが起らないようにするということが、ひいては今日の学校給食がいかに重大な使命を持っているかということを一般社会に認識させ、あるいは一般父兄に認識させ、また学童に認識させて参ることの重要な条件だと私は確信いたしますので、そういった事故が起りました場合には、単にこういった問題を一時的な問題として見のがすことがないように、どうか十分な処置をおとり下さることを要望いたしまして、時間が参りましたので、私の質問を終ります。
  73. 佐藤觀次郎

    佐藤委員長 なお質疑の通告が三人ほどございますが、本日はこれにて散会し、次会は公報をもってお知らせいたします。     午後一時十八分散会