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食糧庁長官清井正君 ただいま
早場格差の問題について
お話がございましたので、私より
現状について御
説明申し上げ、御了解を得たいと思います。
御
承知の
通り、
早場格差は昨年までは
早場奨励金ということで出ておったわけでございますが、本
年度からはこれを
格差という形で
基本米価に織り込みまして先般、
基本米価一万百六十円というものの中に、これを含めて
決定をいたしたような次第であることは御
承知の
通りであります。実はこのときにどういう
見通しをいたしたかと申しますと、十月三十日までに八百九十万石米が
政府に出るであろうという
想定のもとに、
石当り二百十円というものが
早場米格差の
平均価格ということで
計算をいたしたのであります。その
計算のもとに一万百六十円の
米価を
決定いたしたのであります。そのときには九月末までには百六十七万五千石出る。十月十五日までには二百五十万一千石出る。十月三十一日までには四百七十一万六千石出る。こういうつもりでありまして、合計八百八十九万二千石、
金額にして四十九億でございますが、これだけ出るということで実は先般
米価をおきめ願ったような次第であります。
その後の実際の
進行状況はどうなっているかと申しますと、実は九月末までに百六十七万五千石出ると
想定いたしたのでございますが、それに対して実際の出た
数字が四百四十一万四千石が出たのでございます。すなわち私
どもの方の
予定の百六十七万石に対して約三倍出たのであります。それから十月十五日までに、累計して私
どもの
想定したものは四百十万石であったのに対して八百八万石出しているのであります。すなわち十月十五日の
想定で、当初
米価に
予定した
数量の倍出ているのであります。この
数字で参りますと、二百十円で
計算した
数字が約倍になるのではないかと私
ども想定しているのであります。これによって
特別会計に膨大な損失が生ずるのではないかと実は考えているのであります。
政府に対して
売り渡しが多いことはまことにけっこうなことでありまして、私
どもはその点
生産者の協力に非常に感謝しているのでありますが、
特別会計の現情といたしましては、そういう
状況になっておりまして、十月十五日までに実際出た
数量といたしましても、
予定額の倍になっているのであります。なるほどその後
早場期間に非常に雨が多うございまして、
調製に非常に
御苦労になっている
事情はございます。そういう
意味においての
お話も私
ども受けたのでございますが、私
どもの
計画と比較いたしますれば、ただいま申し上げたように九月末日までで約三倍、十月十五日までで
計画の倍になっている
実情であります。ただいま
山形のことを御引例になりましたが、私
どもの方の
調査では、
山形は五七・一%と出ております。十月二十日現在で
数量にして八十七万石出ているのであります。昨年は二十一万石でありますから、昨年に比べましても四倍以上の
数字が出ておるのであります。そういうようなことでありまして、ほかの県を調べましても、大体そのくらいの率で出ておるようなわけであります。
北陸あたりは超
早場でございますから非常に早うございます。
東北は実は
山形が一番
成績がいいのでありまして、そのほか
秋田が四八%その他となっておる、そういうようなことであります。なるほど
生産者の方が
政府にお出しになる場合の
調製に、雨のために非常な
御苦労をなすったことは察するのでありますけれ
ども、私
どもの
計算といたしましては、今までの
予定の倍になっているというような
状態でありますが、十月三十一日までにどういう
数字になって参りますか、ただいま
数字が出ておりませんけれ
ども、すでに八百九十万石という
予定を相当程度上回って参りますことは当然だと思うのであります。そういたしますると、
米価決定のときの一万百六十円の
計算によりました二百十円というものが倍になりまして、四百二十円になるわけであります。従って一
石当り二百十円のものが、それだけ赤字が出るというわけであります。
特別会計といたしましては非常に問題の事態になっておる、実はこういうふうに考えられるのであります。また
早場を出しまする
理屈からいいますると、御
説明申し上げるまでもなく
端境期に非常に米が
不足であるから、従って
早場奨励金をつけて
政府に売り出してもらう、それを
消費者に配給する、その
早場米の
需給の
操作のために
奨励金をつける、こういうような
理屈になっておるのであります。ところがその辺が逆な
状態になっておりまして、
都会地ではまだ
新米を配給していないという
状態であります。そういうような
観点からいたしましても、
需給操作上
早場奨励金を出さなければならないという
理屈にはならない。それから
特別会計の
観点からいいましても、実は
計画の倍になっておるのであります。そういうようないろいろな面から考えましても、私
どもといたしましては、とうていただいま
決定いたしました
早場格差をさらに延長することはむずかしいと申しますか、非常に困難だと考えるのであります。
お話の御
趣旨はよくわかります。
生産者の
立場から、
政府の
早場の
期間内にもっともっと出したいという御
希望もあったのでありますが、それが雨のためにおくれましたから非常に困ったというような今の
お話だと思いますが、その点私
どももわかるのであります。私の
立場から申しますと、今の
計画の倍になっている。しかも
需給操作の上からもほとんど
理屈が立たない、
都会ではまだ
新米を配給しておらない、全部旧二十九
米穀年度米で足りておる。従って
操作上
奨励金というものの本来の
理屈が全然達してないわけでありますので、どういう
意味から申しましても
早場期間を延長するということは、ほとんど不可能に近いことだと私は考えておるのであります。そういうような
実情にあります。私
どもといたしましても、
生産者の
御事惰はよくわかるのでありますが、一方また等級から申しましても、申すまでもなくことしは
生産が非常によろしゅうございます
関係上、昨年までは四等米の方が三等米より多かったのでありますけれ
ども、ことしは三等米が四等米よりずっと多いという
成績を上げておる、こういうところからしましても
生産農家の
平均は上っておる。私
どもの
立場から見ますれば、いずれの面から見ましても、実は
米価決定のときよりも
生産者の条件がよくなっている、そういう
状況になっている、こういう次第でありますので私
どもの
事情も十分御了承願いたいと考える次第でございます。