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1955-10-28 第22回国会 衆議院 農林水産委員協議会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年十月二十八日(金曜日)     午後零時三十五分開会     ————————————— 協議事項  八郎潟干拓事業計画視察報告聴取に関する件  第三期早場米売渡期限に関する件     —————————————
  2. 中馬辰猪

    座長中馬辰猪君) これより農林水産委員協議会を開会いたします。  御推挙によりまして理事である私が本協議会座長を勤めますから御了承願います。  まず大森委員より八郎潟干拓事業計画視察の御報告がございます。
  3. 大森玉木

    大森玉木君 去る十月二十一日、秋田八郎潟干拓事業計画について現地視察を行なったのでありますが、その概要について御報告申し上げます。  まず御参加をいただきました委員は、笹山委員淡谷委員石田委員川俣委員川村委員でありまして、国会図書館調査立法考査局より安保調査員調査室より菅原調査主事が随行いたしました。さらに農林省からは清野建設部長開墾建設課干拓班長小川技官が同行いたしました。  なお今回の視察当りましては、大蔵委員会調査も同時に行われ、松原委員長石山委員小山委員が同道されましたことをつけ加えておきます。  一行は二十一日朝秋田市に到着し、小憩の後、県庁において小畑知事より八郎潟干拓事業概要、特にその経済効果事業計画の推移及び県民動向等について説明があり、県会側より議長議長及び八郎潟開発期成同盟会会長より補足説明を受けた後、農林省八郎潟干拓調査事務所長より工事概要について図面の上の説明を聴取したのであります。次いで現地視察に出発いたしたのであります。まず潟の東側中央にある三倉鼻高台に立ち、秋の陽に白帆をふくらせて船びきをしている十数そうの漁船を遠くから見ながら広大なる干拓予定地の全貌を見おろしたのであります。このとき干拓に対し当初より強い反対を続けてきた漁民の代表から、これまでの反対理由と、今回干拓に賛成するに至った経過の説明と、本事業が一日も早く工事に着工するようにとの熱意ある陳情を受けたのであります。続いて農林省八郎潟干拓調査事務所長より掌に指をさすがごとく本干拓計画説明を聴取いたしたのであります。また目を転じて自然に埋立てがされた既成田地の刈り取られた稲堆を俯瞰し、われわれはその干拓後の成果を想像しつつ高台をおりたのであります。  次に潟西南防潮水門が作られる船越町に至り、八竜橋に立ち、買収予定地潟唯一排水口となり、かつまた海水の侵入を紡ぐ水門についての排水計画説明を聴取して現地視察を終えたのであります。  以下八郎潟干拓事業概要について説明いたしたいと存じます。  八郎潟わが国では琵琶湖に次ぐ二万二千ヘクタールの大湖でありながら、水深はわずか四メートルで全国で一番浅い湖水であり、しかも湖底皿状の平坦であること。第二にはこの流域の総面積が約六万七千町歩潟面積約二万二千町歩のわずか三倍というほど流域が少いこと。第三には当地方における最大降雨量秋田市において百九十三ミリ、五城目町において百五十二ミリであり、国内の他地方に比べてきわめて少く、従って流入河川最大である流域二万町歩を有する馬場目川、これに次ぐ流域一万四千町歩を有する三種川からの排水量も少いこと。第四にはおもな工事は潟の内部で行われるので、既耕地等の買収問題もわずかであること。第五には流入河川の水量による調整池がそのまま干拓地用水源として直接利用されるので、新たに用水池築造の必要のないこと。  以上の五点からして本干拓事業費がきわめて低廉であることは、千葉県印旛沼、手賀沼における反当三十万円、佐賀県有明海干拓、長崎県諌早干拓等における反当十九万円に対し、本計画においてはわずか反当九万円にすぎません。このようにして、有望なる本干拓は早くから考えられ、すでに大正十三年には農商務省において八郎潟土地利用計画案完成しており、実に三十数年来の宿望であったのであります。最近においては、昨年四月オランダより干拓専門家であるヤンセン教授一行の調査、同年八月及び九月に国際復興開発銀行通称世界銀行農業調査団調査、本年八月には米国対外活動本部マイヤー公使調査等があり、さしあたっては工事上重要な問題点はないが、農林当局としてはさらにオランダ技術者を招聘し、再検討を仰ぐことになっております。これも明年三月までに終了の見込み交渉中であり、昨年六月以後綿密な計画を進めているので、再検討の結果大なる変更を見ることはないものと信じられます。  次に計画概要でありますが、工事面積八郎潟面積約二万二千町歩のうち、堤防排水路道路等を含め一万六千町歩余干拓し、水田一万三千町歩、畑二百八十九町歩を造成するものでありますが、これらには埋立工事は全然必要としません。また排水及び調整池計画においては、干拓地周辺から流入する河川による流水を潟内に用排水兼用の承水路を東西にめぐらし、八郎潟南部に約四千町歩余調整池を設けて調節し、船越水道を経て日本海自然排水をさせ、また調整池水位上昇に伴う逆水による被害を防止するため、囲繞堤並びに流入河川堤防をかさ上げし、沿岸既耕地内の排水排水機によって調整池排水せしめ、さらに船越水道より日本海への排水には防潮水門を設け、海水の浸水を防ぎつつ調整池排水を行うと同時に、潅漑用水を貯水せしめるものであります。用水計画においては、その対象面積干拓田一万三千町歩及び周辺既耕地のうち八郎潟補水源を求めて揚水使用している一千百余町歩があり、これらは承水路より地区内幹線用水路に取り入れ、支線を通じ末端まで潅漑し、既耕地に対しては承水路より取り入れ水門を通じて分水し、既設揚水機と連絡せしめるものであります。     〔座長中馬辰猪君退席、座長代理芳賀貢君着席〕  次に事業費排水費調整池囲繞堤等総額百二十億円であります。なお本干拓工事は本年度で一応技術上の問題点も解決されるので、地元としては、明年度より五カ年間完成されることが要望され、年度割として昭和三十一年度二十三億円、三十二年度三十四億四千万円、三十三年度二十五億三千万円、三十四年度二十五億三千万円、三十五年度十三億円、計百二十億円とされております。  次に資金関係については、地元としては、愛知用水の例にならって世界銀行借款余剰農産物見返り円資金及び国費をもってまかなわれることを希望しております。  次にその経済効果について申し上げます。さきにも申し上げましたように、八郎潟全面横約二万二千町歩のうち、干拓に必要な堤防排水路道路調整池等を除き、造成できる畑地二百八十九町歩水田一万三千町歩において、その水田収穫見込みについては、潟沿岸既成田地の実績から見ても、無肥料で向う十カ年くらい反当二石六斗ないし四石は確実とされ、全収にして三十四万石ないし五十二万石、金額にして一石一万円として三十四億円ないし五十二億円の生産であり、さらにまた消極面からして、沿岸原始的状態に放置されているので、毎年のごとく洪水期において水位上昇により水害をこうむっていますが、干拓完成後においては、これらの被害も除去されますので、これによる増収もおよそ五千二百石見込まれることになります。  次に自作農家の創設でありますが、昭和三十年度の国の入植計画は六千戸であり、また海外移住計画はおよそ年間千二百戸でありますが、これらに対し本干拓地入植者一戸当り適正規模を二町五反歩としても五千戸の自作農家が創設されるものであり、まことに有効適切なる事業と見るべきであります。  次に八郎潟周辺耕作反別が少く、戦前から北海道等への漁業や林業に従事する季節労務者を出していた屈指の出かせぎ地帯であり、現在県全体としても五千三百余名の失業者を数えられ、さらに農家における二、三男対策としても本事業の全工程を通じ、サンド・ポンプ浚渫船を主として築堤と排水をおもな工事といたしますが、平均一日の労働力必要量は八千人に達するので、失業対策に寄与するところもまた甚大であります。このことは理想農村建設問題と関連して青年たちの大きな希望となり、八郎潟干拓推進青年連盟が結成され、事業推進に熱烈なる努力を示しているのであります。  また八郎潟の西側の湖底には南北に石油鉱床胚胎可能性があることは古くから知られ、その大半はすでに試掘権が設定され、その他の部分もほとんど全部試掘許可の申請中とのことであります。これが本干拓事業にさらに経済効果を高揚するものとして期待されているのであります。  次に県民動向でありますが、県議会においても本事業国家的意義を十分に認めて、昭和二十七年以降数次にわたって干拓工事促進についての意見書並び建議書全会一致をもって議決し、政府に提出しており、周辺市町村においても、昭和九年以来期成同盟会を組織して本事業実現に力強い歩みを続けて来ておるのであります。  しかし一方この八郎潟のシラウオ、ワカサギ、ハゼ、セイゴ、フナ、ウナギ等四十五種の魚類に生活を依存している沿岸漁民三千戸は、前にも述べたように、従来干拓計画問題が出るたびごと反対してきたところでありますが、その理由は、第一に、事業完成までの長期化をおそれること、第二には、生活に不安のない補償を得られるかどうか明らかでないことであったが、今回も初めは反対期成同盟を結成して熾烈なる反対を続けたのでありますが、西日本における干拓先進地視察により、干拓工事実現可能性についての認識が漸次深くなるとともに、機械工業近代化によって工事短期完成ができること、適正妥当なる補償を得られること、漁業収益年間七、八億に対し、農業収益年間五十二億円と収益がはるかに大きいこと、農業生活安定度が高いこと等々の諸点より国家的にきわめて有益な事業であることを理解するようになり、今日では反対期成同盟を解消して全漁業者一丸となって八郎潟開発期成同盟会に参加している現状であります。ただ八郎潟には二十五の漁業協同組合があり、第三種共同漁業権が三十数件ありまして、この補償について残された問題があるが、漁民も基本的には干拓に賛成であることから、県のあっせんによって何とか円満に解決したい意向を持っているので、県と漁業協同組合とで補償について調査を進めておる模様であります。  以上は干拓事業概要でありますが、かくして開かれた新開地一万三千町後については、今後適正なる新農村建設計画を樹立することとして、今後に残された大きな研究課題であると思われます。  なお、かかる広大なる規模干拓であるが、事業費の点、経済効果の点からして、戦後領土を失ったわが国として、食糧政策上にも最も必要な事業と考えられる。しかも百二十億円の事業費であるから、外国交渉を必要とする世界銀行借款や、余剰農産物見返り円資金等を待つまでもなく、すみやかに着工すべきものであるとの感を深くして参ったものであります。  以上、御報告を終ります。     —————————————
  4. 芳賀貢

    座長代理(芳賀貢君) 次に本年度早場米供出期限の問題について協議いたしたいと思います。西村君より発言の申し出があります。西村力弥君。
  5. 西村力弥

    西村力弥君 今年の米作天候に恵まれて、だいぶ豊作見込みになっておるわけなんでございます。ところが、取り入れ期に入りまして、悪天候が続いておる状況なんでございます。これは全国的な状況かと思いますが、参考のために私の山形県の天候状況を申し上げますと、山形測候所の資料に基いて調査したのでございますが、九月一日以降、今月の二十五日まで雨の降らない日はわずかに十五日、五十五日間に十五日間雨が降らなかった。こういうことになっておるわけなんでございます。それで農民諸君は何とか早く政府売り渡したいという意欲を持っておりながらも、どうしてもそれができずに非常に困る。かつまた収入の不足を非常に憂えておるわけなんであります。現在までの売り渡し数量——きょうまではわかりませんが、今月の二十日までのところを調べてみますと、山形県としましては、申し込み数量に対する実売り渡しは五五・五%、こういうことになっておるわけなんでございます。二十日まではそうでございますが、二十日以後の天候もずっと雨降りが連続しておりまして、その間の雨の降らない日は二日だけなんでございますので、おそらくそう大きくはできていない、こういう工合に考えるものでございます。こういう事情でございますので、この際政府側としては、ぜひ時期別格差金の支給の期限を相当期間延長してくれるのが妥当なことである、かように考えておるものでございます。この問題は山形県に限らず、早場地帯北海道とか、東北とか、北信越とか、そういう全体の米作農民にかかわる問題でございますし、また農民売り渡しを申し込んだ際においては、当然基本米価のほかに奨励金なり、あるいはこういう格差金なりを見込んで、売り渡しを申し込んでおるということなんでございますので、天候のために供出ができなかったという事情を考えて下さいまして、この期限を延長し、農民努力に報いる、あるいは期待に応ずるということが必要なことである、かように考えるのでございます。その件に関し、食糧庁長官の方では今どういう研究をなさっておられるか、あるいはどういう話し合いをなされ、それがどういう工合に進行しつつあるか、こういう点について質問いたしたいと思います。
  6. 清井正

    食糧庁長官清井正君 ただいま早場格差の問題についてお話がございましたので、私より現状について御説明申し上げ、御了解を得たいと思います。  御承知通り早場格差は昨年までは早場奨励金ということで出ておったわけでございますが、本年度からはこれを格差という形で基本米価に織り込みまして先般、基本米価一万百六十円というものの中に、これを含めて決定をいたしたような次第であることは御承知通りであります。実はこのときにどういう見通しをいたしたかと申しますと、十月三十日までに八百九十万石米が政府に出るであろうという想定のもとに、石当り二百十円というものが早場米格差平均価格ということで計算をいたしたのであります。その計算のもとに一万百六十円の米価決定いたしたのであります。そのときには九月末までには百六十七万五千石出る。十月十五日までには二百五十万一千石出る。十月三十一日までには四百七十一万六千石出る。こういうつもりでありまして、合計八百八十九万二千石、金額にして四十九億でございますが、これだけ出るということで実は先般米価をおきめ願ったような次第であります。  その後の実際の進行状況はどうなっているかと申しますと、実は九月末までに百六十七万五千石出ると想定いたしたのでございますが、それに対して実際の出た数字が四百四十一万四千石が出たのでございます。すなわち私どもの方の予定の百六十七万石に対して約三倍出たのであります。それから十月十五日までに、累計して私ども想定したものは四百十万石であったのに対して八百八万石出しているのであります。すなわち十月十五日の想定で、当初米価予定した数量の倍出ているのであります。この数字で参りますと、二百十円で計算した数字が約倍になるのではないかと私ども想定しているのであります。これによって特別会計に膨大な損失が生ずるのではないかと実は考えているのであります。政府に対して売り渡しが多いことはまことにけっこうなことでありまして、私どもはその点生産者の協力に非常に感謝しているのでありますが、特別会計の現情といたしましては、そういう状況になっておりまして、十月十五日までに実際出た数量といたしましても、予定額の倍になっているのであります。なるほどその後早場期間に非常に雨が多うございまして、調製に非常に御苦労になっている事情はございます。そういう意味においてのお話も私ども受けたのでございますが、私ども計画と比較いたしますれば、ただいま申し上げたように九月末日までで約三倍、十月十五日までで計画の倍になっている実情であります。ただいま山形のことを御引例になりましたが、私どもの方の調査では、山形は五七・一%と出ております。十月二十日現在で数量にして八十七万石出ているのであります。昨年は二十一万石でありますから、昨年に比べましても四倍以上の数字が出ておるのであります。そういうようなことでありまして、ほかの県を調べましても、大体そのくらいの率で出ておるようなわけであります。北陸あたりは超早場でございますから非常に早うございます。東北は実は山形が一番成績がいいのでありまして、そのほか秋田が四八%その他となっておる、そういうようなことであります。なるほど生産者の方が政府にお出しになる場合の調製に、雨のために非常な御苦労をなすったことは察するのでありますけれども、私ども計算といたしましては、今までの予定の倍になっているというような状態でありますが、十月三十一日までにどういう数字になって参りますか、ただいま数字が出ておりませんけれども、すでに八百九十万石という予定を相当程度上回って参りますことは当然だと思うのであります。そういたしますると、米価決定のときの一万百六十円の計算によりました二百十円というものが倍になりまして、四百二十円になるわけであります。従って一石当り二百十円のものが、それだけ赤字が出るというわけであります。特別会計といたしましては非常に問題の事態になっておる、実はこういうふうに考えられるのであります。また早場を出しまする理屈からいいますると、御説明申し上げるまでもなく端境期に非常に米が不足であるから、従って早場奨励金をつけて政府に売り出してもらう、それを消費者に配給する、その早場米需給操作のために奨励金をつける、こういうような理屈になっておるのであります。ところがその辺が逆な状態になっておりまして、都会地ではまだ新米を配給していないという状態であります。そういうような観点からいたしましても、需給操作早場奨励金を出さなければならないという理屈にはならない。それから特別会計観点からいいましても、実は計画の倍になっておるのであります。そういうようないろいろな面から考えましても、私どもといたしましては、とうていただいま決定いたしました早場格差をさらに延長することはむずかしいと申しますか、非常に困難だと考えるのであります。お話の御趣旨はよくわかります。生産者立場から、政府早場期間内にもっともっと出したいという御希望もあったのでありますが、それが雨のためにおくれましたから非常に困ったというような今のお話だと思いますが、その点私どももわかるのであります。私の立場から申しますと、今の計画の倍になっている。しかも需給操作の上からもほとんど理屈が立たない、都会ではまだ新米を配給しておらない、全部旧二十九米穀年度米で足りておる。従って操作奨励金というものの本来の理屈が全然達してないわけでありますので、どういう意味から申しましても早場期間を延長するということは、ほとんど不可能に近いことだと私は考えておるのであります。そういうような実情にあります。私どもといたしましても、生産者御事惰はよくわかるのでありますが、一方また等級から申しましても、申すまでもなくことしは生産が非常によろしゅうございます関係上、昨年までは四等米の方が三等米より多かったのでありますけれども、ことしは三等米が四等米よりずっと多いという成績を上げておる、こういうところからしましても生産農家平均は上っておる。私ども立場から見ますれば、いずれの面から見ましても、実は米価決定のときよりも生産者の条件がよくなっている、そういう状況になっている、こういう次第でありますので私ども事情も十分御了承願いたいと考える次第でございます。
  7. 西村力弥

    西村力弥君 ことしは四等米よりも三等米がよけい出ておるということでございますが、これはたいへんけっこうなことでございまして、しかもまた米価決定する場合は三等米を基準としてやられるのでしょうから、三等米が一番よけいに出るのは当然ではないか。それをいかにも農家収益増加という工合になるかのごとく考えておられることは、農家にとってまことに迷惑ではないか。逆に言えば、今まで四等米が出たのは三等米基準米価によっておった、実際は四等米に格づけしておいて、犠牲は今まで農家側が受けておったのではないか、こういう考え方になるのではないかと思う。なおまた端境期調整のために今までやったのだ、こう言いまするけれども、それはそれとしていいが、そうであるならばことしはそれ以外に必要ないとすれば、なぜ時期別格差ということをつけたか。そこの意味というものはあるはずなんだ。調整意味はなかったけれども別の意味はあるのだから、これはよく単作地帯早場地帯農家経営、米にたよる経営を見てやろうということ、そういう意味も確かにあるのだろうと思うのです。だから今東京で新米を配給しない状態早場調整という意味はなくなったのだというけれども、本年はとにかくそれをつけるということを農家に示したのだから、やはりその意味を貫いてもらわなければならぬではないか、こういうぐあいに私は考えるわけなのです。なおまた格差金基本米価に織り込んでおったのだ、あるいは予定数量が九月までは百六十七万石であるとか、あるいは十月十五日には四百十万石だとか、それを上回って二倍もそれ以上も出ておるけれども、こういう予定やらあるいはその基本米価に織り込んでおるのだというようなことに対するほんとうの説明農民諸君にはなされていない。やはり農民諸君は、早場米ということを見込んで九月末までは千二百円だ、一つがんばろう、十月十五日までは六百円だ、がんばろう、こういう工合に考えてやってきておるのです。あなたの方で内部的に見込み数量がこれだから、それを上回って金がなくなったからということを言えば、早いもの勝ちの何百万石だけは千二百円つける、そのあと何百万石までは六百円つける、そういう方式をとるべきであったと思う。それを期日を限ってやるから、その間に何ぼ出てこようともそれは責任をとらなければならぬではないか。そのことによって、あとどうこうということはないようにしなければならぬ。そういう点からいいまして、やはり一方的にどうこうという理屈を立てられてすげなく打ち切られることは、これは農民を裏切る結果にもなりまするし、また農家経営に対しても将来非常な影響を及ぼすだろう、かように考えられます。しかも予定よりもよけい出たということは予定が少かったからということとともに、もう一つは何とか十月末までで早場米は切られておるのだから、その間他の仕事犠牲にしても、あるいは人を雇ってもどんどん出そうとすることによって、農民の別の仕事あるいは支出増という犠牲の上にそういうことが出ておるのでありまして、従来通りの作業のやり方でこういう工合によけい出ておるのではない。そこに農民支出というものは大きく上回っておるだろう、こういうことも十分に考えてもらわなければならぬではないかと思うわけなのでございます。そういう点についていろいろ困難なる見通しのようでございまするが、今長官のいろいろな理由を聞いてみますと、一応政府当局立場としてはもっとものようにも考えられますけれども農民の方の立場というものは全然考えられていない。自分たちのきめた、予定した、そういうことだけを基礎にしてすべてを律しておられるではないか、この点まことに遺憾に思わざるを得ないわけなのでございます。それでそれ以上答弁を求めようとしてもどうにもしようがないのでございますが、ただ一点聞きたいのは、この調整のために早場米奨励金を出したという趣旨は捨てられて、今度は別の意味になったということでございます。すなわらその格差金をつけたその理由はどういう点にあるのでございますか、その点を、私しろうとでございますのでお聞かせ願いたいと思います。
  8. 清井正

    食糧庁長官清井正君 お話の点ごもっともの点があるのであります。この早場をつけました理屈じゃありませんが、そもそもかつて早場格差があったことは御承知通りであります。その後需給調整をいたすようになりましてからもずっと早場奨励命というものが出ておったのであります。私ども説明をいたしておったのは、過去において二つの理由から早場奨励命をつけたのです。一つの理由は、やはり生産費が高い、反取が低い、早場地帯生産費が高いのであるから一般の価格よりも高くていいのではないか。もう一つは需給上の理由でありまして、先ほど来御説明申し上げましたように、ちょうど米の端境期当りますから、早く出すのに金をつけて、そうして早く供出さして消費地に送って配給に回す。この二つの理由から早場米奨励金があるというふうに従来説明されてきておったわけであります。そういうことで私どもやって参ったのでありまして、この点につきまして先ほど御説明申し上げましたように、需給の問題では実情を申し上げておったのであります。私は初めそうでなかったと思っておったのでありますが、御承知通り非常に生産がふえました関係もありまして、そういう結果になったという事実を申し上げたのであります。そういう結果になりまして、需給上も問題がないことであるからさらに延長しようと思っても延長する理屈が立たないということを申し上げたのであります。  それから三等のことにつきましてもおっしゃる通りであります。実は米価をきめます場合には、去年四等が多かったのでありますからことしも四等が多いのじゃなかろうかと思っておりましたところ、実際上は三等が非常に多かったのであります。それだけでも赤字が非常にふえるわけでありますが、それは農家のためにもいいことであり、また三等が中心になることはけっこうでありますから、私ども何も申し上げるわけではないのであります。ただ実際にそういうことになって赤字の要素がふえてきておるということを私が申し上げたわけでありますから、その点御了承願いたいのであります。  それから数量の問題につきましても、御承知通りこれは幾ら幾らと数字を限るわけではございませんので、九月末日までに出たものは全部つける、十月末日までに出たものはこれだけつけるというふうにいたしておるわけであります。ただ私ども予定をいたしましたものの倍近くになっております。一般農家状況を見ましても、昨年よりずっとよくなって、昨年の実積よりずっと多いのでありますから、いろいろな実情から考えまして、需給観点からの問題と今の価格の、予算の関係、この両方の観点からいたしまして、これ以上延ばして新しい措置をとるという理由がなかなかつかないということでありますので、その点は現状のままで一つやるようにいたしたいというふうに申し上げたわけなのでございます。お話趣旨は十分私どももわかるつもりでございますけれども、私ども需給立場と配給の両方の立場ということから考えまして、これ以上さらに延ばすということはちょっと困難である、こういうふうに実は考えておるわけでございます。
  9. 西村力弥

    西村力弥君 食管会計の操作上なかなか困難であろう、こういうお話は私もわからないわけではございませんが、理屈を言いますれば、生産費が高いという点に見合って格差金を見たとするならば、やはり当然時期を相当程度延ばさなければ、その趣旨は貫かれないのではないかと考えるのであります。去年は時期的に見て非常に少なかったというけれども、それはそのあとまでずっと奨励金期限があったわけでありますから、それを見越して他の作業を犠牲にせずに全体的な作業の上に供出をやられたということになるわけなんでございまして、決してその際においては農民諸君早場米奨励金を度外視しておったわけではない。ことしだけこうだというわけではない。こういう工合になっておるのが実情ではないかと思うわけなんてございます。しかも何よりも重大な点は、農民諸君の今までの努力、ことに早場地帯の果した努力をやはり一応見てやることが必要ではないか。しかも供出の石数を切ってのなんでなく、ただ期日を示して、一応これこれの奨励金を出すというようにしたのであるから、農民諸君は全体とまでいかないにしても、これだけの奨励金は得られるであろうという自分だけの計算でいっておるのだろうと思うのです。そういう事態なんかも考えてやることが必要ではないか。これは政策的な、政治的な考え方になるので長官にその考えを求めてもなかなかむずかしいと思うのでございますが、いずれにしてもこのことは山形県に限らず各方面からあるいは農林大臣のところへ要望が来ておるのではないかと思うのであります。一体今までこういうような要望はどの方面からどのくらい来ておるのか、この点だけちょっとお聞かせ願いたいと思います。
  10. 清井正

    食糧庁長官清井正君 ちょっとはっきりどの方面からどのくらいということをお答え申し上げかねるのでありますけれども、主として東北の方々からそういう要望があったのであります。それに対しまして、私ただいま申し上げた趣旨で御了解願ったつもりであります。そのほか西の方からも、東北にやるなら西の方もやれというお話を受けておりますけれども、そうなりますと非常に大きな問題になるわけであります。いずれにいたしましても、私どもといたしましては、この問題につきましては今お答え申し上げたような趣旨で御了解願いたいと思います。
  11. 芳賀貢

    座長代理(芳賀貢君) これで暫時休憩いたします。午後はおおよそ四時から再開いたします。     午後一時二十八分休憩      ————◇—————     〔休憩後は開会に至らなかった〕