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1955-07-28 第22回国会 衆議院 農林水産委員会 第49号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年七月二十八日(木曜日)     午前十一時五十二分開議  出席委員    委員長 綱島 正興君    理事 安藤  覺君 理事 白浜 仁吉君    理事 松浦 東介君 理事 鈴木 善幸君    理事 中馬 辰猪君 理事 足鹿  覺君    理事 稲富 稜人君       赤澤 正道君    五十嵐吉藏君       井出一太郎君    伊東 岩男君       石坂  繁君    大森 玉木君       木村 文男君    楠美 省吾君       小枝 一雄君    笹山茂太郎君       丹羽 兵助君    原  捨思君       本名  武君    足立 篤郎君       川村善八郎君    助川 良平君       田口長治郎君    平野 三郎君       松野 頼三君    松山 義雄君       赤路 友藏君    淡谷 悠藏君       井谷 正吉君    石田 宥全君       芳賀  貢君    伊瀬幸太郎君       川俣 清音君    中村 時雄君       日野 吉夫君    久保田 豊君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 一萬田尚登君         農 林 大 臣 河野 一郎君        国 務 大 臣 大久保留次郎君  出席政府委員         総理府事務官         (北海道開発庁         企画室主幹)  柏原益次郎君         大蔵事務官         (主計局次長) 原  純夫君         農林政務次官  吉川 久衛君         農林事務官         (農地局長)  渡部 伍良君         通商産業事務官         (公益事業局         長)      中島 征帆君  委員外出席者         農 林 技 官         (農地局計画部         長)      和田栄太郎君         農 林 技 官         (農地局計画部         技術課長)   清野  保君         専  門  員 岩隈  博君         専  門  員 難波 理平君         専  門  員 藤井  信君     ————————————— 七月二十八日  委員小川豊明君、小松幹君、大野市郎君及び松  平忠久君辞任につき、その補欠として石田宥全  君、楯兼次郎君、松野頼三君及び佐竹新市君が  議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  大規模農地開発事業等に伴う利害関係の調整に  関する小委員会設置の件  愛知用水公団法案内閣提出第一三四号)  農地開発機械公団法案内閣提出第一四六号)  自作農維持創設資金融通法案内閣提出第六二  号)     —————————————
  2. 綱島正興

    綱島委員長 開会いたします。  愛知用水公団法案及び農地開発機械公団法案一括議題といたし、前会に引き続き審査を進めます。  お諮りいたします。両案の審査の都合上、秘密会にいたしたいと思いますが御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 綱島正興

    綱島委員長 御異議なしと認め、これより秘密会に入ります。  委員及び政府関係当局並びに関係事務当局以外の方の退場を願います。      ————◇—————     〔午前十一時五十三分秘密会に入る〕
  4. 綱島正興

    綱島委員長 これより、政府に対して昨日の委員会提出及び説明を求められておった、秘密会においてすることが適当だと思われる資料の説明を求めます。     ━━━━━━━━━━━━━
  5. 綱島正興

    綱島委員長 皆様にお諮りをいたしますが、秘密会はこれにて終了することに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 綱島正興

    綱島委員長 これにて秘密会を終ります。     〔午後零時三十三分秘密会を終る〕      ————◇—————
  7. 綱島正興

    綱島委員長 ではただいままでの秘密会記録中特に秘密を要する部分につきましては、速記録を取り調べた上で委員長において善処いたしたいと思いますので、委員長に御一任願えましょうか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 綱島正興

    綱島委員長 では御一任願うといたしましてさように処置をいたします。
  9. 綱島正興

    綱島委員長 なお質疑を継続いたします。  この際お諮りをいたします。本会議等いろいろな事情もございますし、非常に重大な法案でございますから、質疑はそれこそたくさんございましょうけれども、諸般の事情等を御考慮下さいまして、特に必要なる部分についてのみこの際御質疑を願う、こういうことにお願いしたいと思いますが、皆様どうでしょう。     〔「了承」と呼ぶ者あり〕
  10. 綱島正興

    綱島委員長 それではそのように願います。  川俣委員。なるべく簡単に……。
  11. 川俣清音

    川俣委員 簡単に要領を得るように質問いたしますから、そのつもりで御答弁願いたいと思うのです。  第一に、これは大臣にぜひとも聞いておきたいと思うのですが、国営事業でやらないで本公団としてこの事業を執行するに至りました理由をお尋ねしたい。
  12. 河野一郎

    河野国務大臣 その点は、昨日企画庁長官がお答え申し上げました通りに、この事業土地改良をむろん主にしてやるのでございますけれども、他に発電もしくは工業用水等の問題がありますので、そういう関係からこの処置をとった次第でございます。
  13. 川俣清音

    川俣委員 そういたしますと、こう理解してよろしゅうございますか。この公団土地改良あるいは自作農創設を新しく期待し、または経営を安定せしむるために主としてやるのだが、その他の事業も行うために従来のような国営事業としての開発計画をやらないのだ。目的は主として従来のものをやるのだけれども、その地のものもやるのだ、性格が違うのだ、こういうのですね。多分そういう御返事だと思うのです。そこでお尋ねしたいのです。そういたしますと農地法は、農地法の成立の経過並びに過去の国会審議並びに農地法解釈から申しますると、農地造成未墾地開発というようなものは、国がこれを買収してそうして造成をして自作農に渡す、中間委託機関を設けないという建前を強く表現しておるのだという解釈、これが国営事業を行うゆえんだ、こうなっておる。ところがここにこういう中間地帯ができるわけです。その部分であろうとも、他の事業を行う公団が国から委託を受けてやる、こういうことになります。末懇地買収は必ず国が行わなければならない。国が造成をして売り渡す、従って事業自体は国がやる。今までは国が事業をする上においては国営事業、あるいは請負事業もやったこともあります。ところが今度公団というかなり公共性の強い性格のものであることはもちろんでありますけれども、他の事業を営むものをも含んでやるものに委託させるということになると、農地法の従来取って参りました根本的考え方を変えることになると思いますか、この点について承わりたい。
  14. 河野一郎

    河野国務大臣 御承知通り所要土地国家買収いたしまして、そこの施策はこの公団でやらせるということでありますから、大体その精神は逸脱しておらぬ。こう考えます。
  15. 川俣清音

    川俣委員 この法律ができまして適用を受けるからさしつかえないといえばいえないことはないが、こういうことをやらせないという建前農地法ができておる。しかし農地法というものは公団あたりにやらせるということを建前にしてできていない。これは農地法説明のときも、去る国会審議のときも明らかである。それなのに法律をもって委託を受けることができるようにしたからできるということは別問題である。従って今日の農地法というものはそういうことを予想してはできていない。むしろ排除するという建前である。排除する建前で作られておった農地法を、あとからできる法律によってこれをまげていくということになりますと、これは農地法全体の改正が必要になってくるのではないか。今後こういう公団方式によるところの事業主体としての成果を願うという意味からして、今後とも公団方式がとられるのではないかと思うのです。たとえば青森の北部上北開拓についても、篠津の開拓についても、あるいは公団でやるのじゃないかということになって参りますと、農地法根本精神と違った形のもの、当時予想しなかったものが出てきて、それにやらせるということになると、農地法全体を改正しなければならないのじゃないか。ことに公団考え方は、国が開墾をしてやった場合においては農地法に制約されて、安価に自作農創設しなければならないのに、あるいはその維持のために安く設備をしてやらなければならぬのに、公団によりますと、かかった経費はある程度負担させるというのが公団のねらいなのであります。かかった経費受益者にそのまま当然負担させていこうというところに公団のねらいがある。おそらくは投資者側であるところのアメリカ側公団方式を慫慂したゆえんのものは、かけた経費はそのまま受益者負担すべきだというところからきておる。ところが農地法はそういう趣旨からはできていない。ここに根本的な食い違いがある。あまりしつこく聞かぬが、農地法を将来改正しなければ当然やれないのだというふうにお考えにならないか。
  16. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 本法の公団では、未墾地買収その他については従来の方法でやるのでありまして、その買収した土地を今度は入植者に渡す。その土地開墾作業をやるなり、公団で援助してやる、こういうことになっておるのでありまして、私どもが今考えている建前では、従来のやり方と変えておりません。ただ第五十条に管理委託するという規定があります。この管理委託するという規定は、国が買った土地権利を侵害されないように、公団に現場の土地管理させる、こういうことであります。それを今度入植者がきまれば国が売る、こういうことであります。
  17. 川俣清音

    川俣委員 一応そういうことで逃げたいのだろうと思います。ところが法文の中ではおかしな点がたくさん出てきます。これは当然国が管理すべきだ。委託管理ということは、農地法考え方にはないのです。ですから十八条の一の口に、農地法適用についての開田または開畑として、わざわざ農地法を利用しなければならないようにできておるんじゃないですか。ですから今はそういうことでのがれようとしていることはわかりますけれども、のがれようとしてものがれられない。この規定農地法に触れていかなければ、実際の事業効果が上らないのです。たくみにのがれようとしている。そこでのがれることも一時的にやむを得ないだろう、こういうことも言っているのです。今こんなことを問題にしたらできなくなるから、ある程度この必要の前に目をつぶってもよかろう。しかしながら根本的にはそこを推し進めていかなければ、公団方式による事業というものは達成できないのじゃないか、こう言っているのです。本来であればこれは問題なんです。そうでしょう。今ここで問題にしたらきょうできやせぬじゃないですか。
  18. 河野一郎

    河野国務大臣 御趣旨の点よく了承いたしました。現在も地方長官管理を委任しておるようなことになっておりますので、さしあたりこういうふうなことでいったのでありますが、今後この種のものを引き続き行うというような場合には、御趣旨のように農地法を改正してやるというようなことも考えて差しつかえないと思います。十分研究いたします。
  19. 川俣清音

    川俣委員 各府県は行政の補助機関なんです。これは国と同じ委託機関なんです。これは問題がない。公団の場合は問題が起きるということを指摘して、将来の考慮をわずらわしたい。  それでは次の質問に移ります。次は補償の問題に関して、間接補償はなるべく避けていきたいというような考え方をしておられるようですが、今後こういう大開発をする場合においては、たとえば国有林内における治山治水であるから、国が当然負担すべきではないか。特別会計国有林負担すればいい、こう言っておる。これは特別事業会計なんです。この特別事業会計に当るような公団が、よその方の特別会計負担して、おれの方だけは負担を免れようというような考え方は妥当でないじゃないか。これは本来であれば、電力会社はずっと上流に至るまで水を確保するということになりましたならば、自分はそれで利益を得るのでありますから、治山治水についても、当然義務負担をしなければならぬ。個個については受益者負担だといっておるのだから、上の方から受ける利益自分が持つのですから、そういうものを負担をするような考え方をしなければ、治山治水において今日の状態ではなかなか徹底した措置ができないのじゃないか。御承知通り治山治水についての予算がずいぶん減額されている。今荒廃しようとするものをやらなければならぬ。これもやらなければならぬ、あれもやらなければならぬという場合に、どっちを優先にするかという問題がある。その場合に片方は公団という一つの事業体があって、その事業体のために特にやらなければならぬという場合があるのですから、それについては特別会計だからということで、一般会計義務を負うとか、特別にそういう負担をするとかいうことの一貫性をもってやらないと、この公団というものの効果が上らないじゃないか、これについてどのように検討されているか。
  20. 河野一郎

    河野国務大臣 ただいま御指摘になりました治山治水関係等は、もちろん他の電力会社等にも非常に利益を与えることになります。なりますけれども、これは現在のわが国電源開発政府施策等関係から見ましても、私企業でございますけれども、これに対して相当に公益的な立場もとらしておるのでありますから、現在においては電力をなるべく高くしないという政策と相関連しまして、この公団に必要な砂防その他につきましては、政府において十分これに協力をしてやるようにして参りまするし、ただいま御指摘国有林等事業協力と申しますか、そういう面におきましても最大限にこれに協力すべきものである、こういうふうに考えております。
  21. 綱島正興

    綱島委員長 川俣君、各党の由し合せで二時までということになっておるのだから、あなたも大体常識的な線でやっていただかないと、これからまた墾談会もしなければならないし、やはり各党立場の主張もまとめて伺わなければならぬ時間も要ります。どうぞその点は、老練なる、経歴の長い代議士なんですから、大体その程度にしていただきたい。
  22. 川俣清音

    川俣委員 よけいなことを言わないで、私の質問をよく聞いていてもらいたい。国有林事業特別事業会計という形態をとっておる。従って他に利益を与えるためにみずからの事業計画を犠牲にしてやらなければならぬという義務は負っていない。治山治水については、歳計剰余金から流用を認めるとか、そういう処置をとってやらないと、当然義務を負うべきだ、協力をすべきだといっても、予算上のことで必ず大蔵省から制約を受ける。それをやるには財政上どうするか。一貫した財政的な裏づけをしてやらなければならぬではないかと言っておるのです。一体電力会社開発するのに、どのくらい向うダムを作っておるか。これは必ず上流と打ち合せてやらなければ、権利をとったのだといっても権利の上に眠っておる。それではいかぬ。濁川のダムを作るときの記録を見ますと、砂防工事をやらなければだめだといっておるのに、当時の内閣は運動によって、いつの間にか林野庁の協議を経ないで、無理やりに作ってしまった。作られたあとで、治山治水をしなければならぬ、協力すべきだといっても、不適当な場所だということを指摘しておる。これは明らかである。そういうところに作って事業成績が上らないから、治山治水をやるといったって無理ではないか。従ってこの予算的措置も、ここにダム公団を作ってやらせるということならば、特別会計でやるのか、一般会計でやるのかは別にいたしまして、あるいは歳計剰余金から流用するとか、そういうことを按分してやらないとできないではないか、これに対して十分な考慮をするか、こういうことです。
  23. 河野一郎

    河野国務大臣 御趣旨よく了承いたしました。十分考慮いたします。
  24. 綱島正興

  25. 松野頼三

    松野委員 大臣にお伺いします。もちろんこれは、来年度から世界銀行及び余剰農産物増額は、大臣は希望されておるように拝聴しておりますが、それについて、あなたが外遊されるのは、その問題は非常に重要だから解決される意味外遊なんですか、大臣外遊は、愛知用水関係のある世界銀行との交渉余剰農産物農業開発への増額、これが当然アメリカへ行かれる第一目標であろうと思いますが、どうですか。
  26. 河野一郎

    河野国務大臣 アメリカへ参りました際に、その余剰農産物受け入れ折衝をするということはきめております。
  27. 松野頼三

    松野委員 そうすると、大臣はこの法案が通って、そしてこれをみやげ愛知用水交渉アメリカに行かれる、こういうわけでありますね。
  28. 河野一郎

    河野国務大臣 この法案が通ってみやげ——みやげであるかどうか、余剰農産物受け入れば、むろん愛知用水にも重大な関係がありますし、わが国の現在の財政の上には相当の影響がありますことは御承知通りであります。ただしわれわれといたしましては、必要なるものがわれわれの条件に合致いたしまする場合に受け入れをするという基本方針をきめておりますので、その基本方針が満たされます場合には、受け入れることになる、交渉をまとめるということになると思います。
  29. 松野頼三

    松野委員 この法案が通らなくても余剰農産物はやれるというなら、世界銀行はこの公団ができなくても借入金の交渉ができるのですか。そうするとこの問題は、おそらく提案当時は、世界銀行は期限があり、借り入れ問題があるから早く公団法を通してくれという趣旨だったと私拝聴している。とこが今のあなたの話を聞いていると、どっちだっていいのだ、基本方針は、この法案が通ろうが通るまいが、政府アメリカへ行って交渉ができるのだということで、提案当時の状況と変ってきている。この法案が通ろうが通るまいが、余剰農産物アメリカといつでも交渉ができるのだから、この法案は次の国会だっていいということになって、論拠は少し違ってきた。あなたがそんなに自信があるなら、この法案がなくてもアメリカへ行って交渉ができるというなら、していらっしゃい。また公団借り入れ世界銀行からできるというならやっていらっしゃい。提案当時の促進理由がなくなってしまったじゃないか。提案当時と違ってきて、愛知用水事業促進がこの法案がなくてできるというなら、それをやつていらっしゃいよ。おそらく当時は、世界銀行からの借り入れができないから急いでくれ、あるいは余剰農産物の来年度の交渉ができないからこの法案を急いでくれという趣旨だった。ところが今の答弁だと、まるきり提案当時と変ってきた。それならあらためて変った理由も御説明願いたい。
  30. 河野一郎

    河野国務大臣 愛知用水法案が通過いたしますれば、その上で世界銀行借り入れ折衝をする、その公団が設立されますれば、その上で世界銀行借り入れはとりまとめがつく、それはその通りであります。しかし明年度余剰農産物折衝は、今後この愛知用水公団が発足するということは、それは今年度以降において愛知用水公団の発足と、明年度以降において余剰農産物関係がないということはありません。しかし余剰農産物受け入れがまとまるとまとまらぬとにかかわらず、愛知用水はそのまま続けるのでございます。でございますから、余剰農産物受け入れば、愛知用水公団が成立しなければ受け入れをしないのだというだけには私はならぬと思うのであります。これはこの法案がまとまって、そうして農村関係から申しますれば、土地改良その他の仕事ができることは望ましいことである。これは農村関係に三十億で非常に少いということでございまして、今後におきましてはこれをさらに増額する必要があるということを、われわれ主張いたしておりまするが、初年度におきまする今受け入れをいたしまするその資金をこの公団に貸付をいたしまして、そしてこの事業をやっていくことは非常に望ましいということは、その通りでございます。今申し上げたことで御了承いただきたいと思います。
  31. 松野頼三

    松野委員 五分間の制限ですが、大臣答弁が非常に冗慢で、私の質問にだいぶ違いますから、この時間は差し引いて、委員長の良識によって十分な時間をお与え願いたい。  もう一ぺん大臣に聞きますが、要するに愛知用水のこの法案は、世界銀行からの借り入れと、余剰農産物によって外資をここに入れてくる、従ってあなたの今の答弁は、余剰農産物の一般的な受け入れの問題ばかりおっしゃっておる。しかし午後に企画庁長官及び大蔵大臣を呼びますれば、大蔵大臣企画庁長官も、来年余剰農産物は当然継続するという望みがある。従ってこの国庫負担というものはある程度減額する望みがある。しかし今日予算にあげられないから、このように国庫負担を百十何億とあげておるのです、このようにおそらくどの委員会でも、予算委員会でも答弁している。来年余剰農産物受け入れたときには、国庫負担というものは当然減るのだという答弁をずっとしてきている。あなたの答弁で、この法案が通ろうが通るまいが、そのことは別個の問題とおっしゃるならば、われわれは実は非常に感覚が違う。どうしてもこの問題がなければ世界銀行交渉ができないのですよ。できるのですか。それでは公団法が通らなくても世界銀行から金は借りられるのか。この法案が通らなくたって余剰農産物の金は自由に使えるというならば、国営事業でやれば愛知用水公団法案がなくたってやれるのだ、その方針をはっきり聞いているのです。これをみやげに持ってアメリカ交渉に行くのか。みやげをいい意味にも悪い意味にも勝手にとってはいけない。あなたの外遊に関して愛知用水公団に関しての問題なのだ。どっちだっていいというならば、それは考えぬでもいいのです。われわれは非常に議論が多いのだが、そういう趣旨で今日まで促進してきた。きょうは時間を二時までと限ったのはそういう意味と私たちは解している。違うなら違うとはっきりおっしゃい。大臣交渉にこの法律が要るか要らないかと私は言っている。どうです。
  32. 河野一郎

    河野国務大臣 交渉に要るか要らぬかというお尋ねは少し私は了承できないのですが、今お話申し上げまする通りに、余剰農産物資金のうちで二十四億五千万をこの愛知用水に使う。この法案が通過すれば、それによって愛知用水事業を行う、こういうことでございまして、従ってこれが通らないということになりますれば、お話の通り世界銀行の金は借りません。また向うも貸すわけはございません。しからば一般会計でなぜやらぬ、やったらいいじゃないか、これはやるだけの金はございません。従ってそれはやらぬということになるだけのことでございます。しかし政府提案いたしましたのは、今申し上げました通りに、余剰農産物受け入れをして、これによってわが国農業改良に裨益したいということで、今国会提案いたしておるのでございます。この法案の通過はぜひ望ましいことであるということをお願い申し上げておるのでございます。
  33. 松野頼三

    松野委員 それではあなたは余剰農産物交渉はするが、世界銀行には外遊中は交渉しないのですか。世界銀行交渉もやるのですか。
  34. 河野一郎

    河野国務大臣 私は、あちらに参りますれば、お願いはするつもりでございます。
  35. 松野頼三

    松野委員 そうすれば、やはりこの法案がなければお願いができないのでしょう。少くとも世界銀行に関しては、この法案が通過しなければ交渉ができないでしょう。そうなら、この法案はあなたの外遊アメリカヘの大事なみやげじゃないか、こういうわけです。みやげという意味がいい悪いは別です。この法案が通らなければあなたは外遊ができないのじゃありませんか。その交渉ができないのだと私は思う。その点だけをはっきりしておかなければ外遊目的がぼける。
  36. 河野一郎

    河野国務大臣 外遊みやげということを申されますと、非常に工合が悪いので、私はみやげであるとかみやげでないとかいうことを考えておりません。国家のために必要な交渉をするということでございまして、もしこの法案が通らなければ、世界銀行交渉をする必要はなくなるのでございます。余剰農産物についても、農村関係において金か要らなくなれば私は受け入れる必要はない、こういうふうに考えるのでございますから、その交渉をする気持はありません。
  37. 松野頼三

    松野委員 そうすると、あなたの外遊は必ずしも愛知用水の問題が主じゃないわけですね。その外遊目的もちょっと聞いておきましょう。
  38. 河野一郎

    河野国務大臣 いろいろ用事はございますので、余剰農産物のことにつきましても、この法案が通過し、明年度余剰農産物資金を十分にこれに活用するということになれば交渉もしなければならぬ、こう考えております。
  39. 松野頼三

    松野委員 外遊をされて直接交渉する方がいいという御論旨のようですが、あなたはまだまだ大事な問題がある。すぐ近くの韓国の漁船の拿捕の問題、ソ連のわれわれ平和漁民の拿捕の問題があるのに、なぜ韓国とソ連の方へは外遊しないで、アメリカの方に外遊するのか、何だかわけがわからぬようなんです。ことにあなたは大事な食糧問題を来年までに解決するということを米価審議会において発言しておる。国内は勝手にやれ、大事な自分の行政の大きな食糧問題は下僚にまかせて、そうしてあなたは勝手に外遊する。その目的は今の御説明のようにぼけてしまっている。なぜ韓国に外遊して早く解決しないか、ソ連の方へ行ってなぜ北洋漁業の方の問題を解決しないか。アメリカの方は何だかわからない、何とはなしに行く。これこそ外遊なんです。あなたの外遊趣旨はそこにある。今の愛知用水の問題で一生懸命行かれるのかと思うとそうでもない。(「あんまり悪たれつくなよ」と呼ぶ者あり)悪たれじゃない。これだけ明確な問題はない。あなたの外遊はまさにこれこそほんとうに外遊なんです。それほどあなたの重要な所管事項の食糧問題が残っている。目の前に漁船の問題がある。朝鮮やソ連の方へは外遊されずに、あまり目的のはっきりしない方に外遊される。これが外遊問題をあえて私がここへ引き出した理由です。あなたがそういう重要な問題をアメリカに行って交渉されるというのじゃなく、愛知用水の問題に関連して交渉せずに、愛知用水の方は通っても通らぬでもどっちでもいいというならこれは別個で、あえて私は言いません。見解の相違ですから私はあえて論議いたしません。大臣の所見いかん。
  40. 河野一郎

    河野国務大臣 いろいろ御意見はございますが、御意見は御意見として拝聴いたしておきます。しかし先ほど来申し上げます通り愛知用水公団法案、機械公団法案はすみやかに御審議の上御決定願いたいということを重ねて申し上げる次第であります。
  41. 松野頼三

    松野委員 私が質問しているのですから私の方を向いて答弁してもらいたい。
  42. 河野一郎

    河野国務大臣 委員全体にお願いしておるのでございます。
  43. 松野頼三

    松野委員 私は悪意で言っているのじゃない。私はそういう提案だと思って、そうしてこの愛知用水公団外遊するのに大事な問題だ、こう今まで思っておった。悪意ではない。私か質問することは何もかも悪意と思って、よそを向いて答弁する。私はそういう意味ではない。外遊については、もっと大事な問題が国内にある。食糧問題だって、あなたは全委員に対して、食糧問題の今後の対策は重要な問題だとおっしゃっておる。そのさなかにあなたが外遊するというからよほど重要な問題だと思ったら、この法案には関係ない。朝鮮の方には外遊されない、ソ連の方へは外遊されない。この外遊問題はあえて今日時間のないときに追及しませんが、そういう感じは私のみならず世間が持っております。あなたに非常に食糧問題で働いてもらおうと思うが、これはあえて答弁を要請しなくても、私の方を向いて答弁しない大臣だから、いずれまたあらためてやります。
  44. 綱島正興

    綱島委員長 芳賀委員
  45. 芳賀貢

    ○芳賀委員 昨日に続きまして機械公団に関する点につきまして、これは農林大臣開発長官が同席しておられるとうまくないのですが、昨日お伺いいたしました、この機械公団法の施行に当って、農林省と北海道開発長官が覚書を取りかわしておる。これは大久保長官は自発的にこういうような取りかわしをしたというようなことを言っておりましたが、農林大臣はこれをあまり関知しないような顔をしておられたわけでありますが、きょうはこの覚書の内容というものが資料として配付されておる。そこでまず農林大臣に、この覚書を取りかわす必要があったのはどういう点であるかということを、この機械公団法に関連をして御説明を願いたいと思います。
  46. 河野一郎

    河野国務大臣 お答えいたします。この覚書を取りかわすに至りましたのは、北海道開発庁が企画庁でございますので、われわれ農林省が実施いたして参ります上におきまして緊密な連絡をとる必要のあることにつきまして、あらかじめこういうふうにして事業を運営して参るということを取りきめた次第でございます。
  47. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そこでお尋ねしたい点は、この機械公団事業の実施地域は、これは単に北海道だけに限っていない。北海道が主たる対象かもしれませんけれども、今年の計画においても青森県の上北地区も対象になっておる。この事業が一応の成果を上げるということになれば、今後は国内における未開発地域の農業開発というものは、こういうような方式で進められることがある意味においては期待が持てるかもしれぬというところへきているわけです。そういう場合において、この機械公団の人事の問題とかあるいは協議すべき問題、そういうものを特に北海道開発庁とだけ覚書を取りかわす必要というものはどこにその理由があるか。
  48. 河野一郎

    河野国務大臣 ただいま申し上げました通りに、北海道につきましては北海道開発庁に企画をしていただくことになっておりますから、そこで北海道開発の総合企画をなさいますので、それと、われわれが実施いたします際に緊密な連絡をとる必要がある。内地におきましては農林省におきまして企画を一切いたします。そこで北海道開発庁と取りかわしをしたわけであります。
  49. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そういたしますと、北海道の総合開発の一環としての農業開発の面に関する限りは、その企画をすべて北海道開発庁が行う、農林省はそれに基いて実施を行う、そういうことになるのですか。
  50. 河野一郎

    河野国務大臣 そういうことでございます。
  51. 芳賀貢

    ○芳賀委員 こういう点は同じ鳩山内閣の内部において農林大臣あるいは開発長官の間において完全なる了解が成り立っておらぬと困るのですね。農林大臣の方ではそういうことを考えておるとこの席では言っておるが、しかし大久保長官に聞いてみるとあながちそうでもないという程度の認識しか持っておらないのです。あなたのでは開発庁に対して最大の期待を寄せて、企画の面に対してはすべてまかしてあるのだ、そういうことを議会においては言っておられるが、内部的にはどういうことになっておるか。政府内部においては実際そういうことを行われておるのですか。開発長官の言辞を通じてわれわれが了解することになると、この機械公団の問題にしても大久保長官は勉強が足りないというか認識されておらぬ点が非常に大きいわけだ。これは閣内における不統一ではありませんか、こういう点は……。
  52. 河野一郎

    河野国務大臣 大体従来どういう場合でも両省にわたります場合には、あらかじめこういうふうな事務的に了解事項を取りつけておるのが慣例でございまして、決してひとり鳩山内閣になってこういうことをやるのではないと私は思います。こういうふうに念には念を入れておいた方が、将来事務が円滑に進むゆえんでございまして、初めに十分両省の間の円滑な申し合せをしております方が、将来に意見の不一致であるとか、トラブルを起すことがなくて済む。それらの限界を明確にしておく方がいいのではないか。これは従来もそういう慣行でやっておって、今度初めてやるのではないのだと私は思っております。
  53. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それでは大久保長官にお尋ねしますが、今農林大臣の言われた通りですか。
  54. 大久保留次郎

    ○大久保国務大臣 昨日も申しましたのでありますが、開発庁は企画官庁であります。農林省が実施機関であります。従って今回の公団につきましては、実施機関たる農林省が表面に立つということになったのであります。この根本の性格には変りはございません。そこで企画官庁と実施官庁との間に一般の話の協定がなくては、この事業の遂行はできぬと思いましたので、私の方と農林省の方と相談をいたしまして、こういう文書の交換をしておったのであります。これは今まで言った通り、ひたすらに両官庁が協力してこの事業目的を達成したいという誠意に出ておるのであります。
  55. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そういたしますと、開発庁は企画官庁なんでしょう。ですから実施官庁に対して企画された計画というものは、計画の線に沿って忠実に実施されるかどうかという点に対しては、相当責任のある立場からこれを注意しておらなければならぬと思いますが、そういう点はどうお考えになりますか。
  56. 大久保留次郎

    ○大久保国務大臣 もちろん連係をとって十分注意していく必要があると思いますので、このように文書の交換をいたしました次第でございます。
  57. 芳賀貢

    ○芳賀委員 私のお尋ねしているのは、この一片の事務次官同士の覚書程度でこれがあるから大丈夫だということではだめですよ。昨日も私があなたにお尋ねした通り、この北海道の総合開発の中における農業開発等に対しては今後どうするかということは、当然これは開発庁の所管において確立されておらなければならぬ。ただその一つの方式として、一部分に対しては機械公団に対してこの仕事をやらせるというにすぎないのですよ。機械公団が北海道の開発事業をやるなんて考えたら大きな間違いですよ。これは機械公団の請負なんですよ。請負師にやらせるか、この法人化された公団にやらせるか、あるいは入植者自体にやらせるかというだけなんですよ。何も公団は大したものではないです。これを開発事業をやる機関であるとかそういう権限を持っておる公団であるとかいうふうに間違った判断をされると、非常に問題が重大なことになりますのでこの公団に対する理解をあなたはどういうふうに持っておりますか。これは単なる請負機関なんです。これだけの土地を何十万円で請け負わすから開墾しろといって、これは指名して請け負わせて事業をやらせるだけなんです。それ以外開発事業に対しては公団というものは何ら責任も権限もないのです。そういう点をどういうふうにお考えになっておりますか。
  58. 大久保留次郎

    ○大久保国務大臣 公団法に明記してあります通り公団事業は限定されております。これはあなたのおっしゃる通りであります。従って開発事業の助成機関ということになります。これはあなたのお説の通り考えております。
  59. 芳賀貢

    ○芳賀委員 これは助成機関でも何でもないのです。金をもらって開墾をするだけがこの公団の仕事なんです。開発事業だとか協力だとかそういうことじゃないのですよ。金銭上の損得でやるのですよ。公団というものはもうからぬ仕事は絶対にやらぬということに仕組まれておるわけです。だからそう いうところをはっきりしてかからぬと困る。長官のお考えはそういう点はどうなんです。
  60. 大久保留次郎

    ○大久保国務大臣 助成という意味が違うのであります。あなたのお説の通りですそれを尊重して進みます。
  61. 芳賀貢

    ○芳賀委員 次に農林大臣にお尋ねしますが、農林省の場合、内地府県においては農地事務局というのがあって、これは完全に農林省の出先機関です。北海道の場合においては趣きが変わって北海道開発局がやる。これは決して農林省の出先機関であるということにはなっておらぬと思います。その点は大臣としてどういうふうにお考えですか。
  62. 河野一郎

    河野国務大臣 北海道におきまする場合は、内地と違いましてこの機関は国営事業だけをやる内地の場合にはその他のものについても仕事をいたしますが、北海道の場合には国営事業だけをやるということになっております。
  63. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それで公団開墾地において事業をやる場合、その監督の問題になるのですね。これは法律等によっても当然農林大臣が監督することになっておりますが、現地における実際の監督はやはり出先の、内地府県においては農地事務局でしょう、それに事業所がつくのでしょう。ですから、北海道の場合には現地における監督機関は開発局になる、私はこう考えるのですが、その点はどうなりますか。
  64. 河野一郎

    河野国務大臣 むろん監督官庁は農林省であり農林大臣でありますけれども、これを具体的に現地の場合に考えてみますと、国営に類するものは北海道の開発局がやりますし、それからその他府県の部類に属するものは北海道のそれぞれの機関において監督するということにして参ることになっております。
  65. 芳賀貢

    ○芳賀委員 北海道の場合には開発局にまかせるというふうになるわけですね。もちろん篠津、根釧に事業所はできると思いますが、その関係が明確になっておらぬと、覚書だけ作っても業務上の監督とか権限とかいろいろな問題が出てくると思うのです。
  66. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 先ほどお話のありましたように、開発局は国営の事業だけしかできませんので、その他のことについて事務を農地事務局に農林大臣がやらすようなわけにいきません。従ってそのほかの事務については直接農林大臣が道とよく連絡しながら監督していく、こういうことになります。
  67. 芳賀貢

    ○芳賀委員 ただいまの局長の御説明によると、開発局にはこれは直接まかせるわけにはいかない。それで直接事業所を作って農林省で事業所との間に直接のつながりでやるということになるのでしょう。開発局は全然これにはタッチせぬということになるのですか。その点はどうですか。
  68. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 詳しく申し上げますと、建設工事が国営になりますから、これは開発局の事業所を作ってやります。それから営農指導その他につきましては、農林省が道とよく連絡しながらそこに事業所を置き、さらに昨日お話がありましたように、必要があれば委員会をつくりまして農林省の監督のもとにやっていく、こういうことであります。
  69. 芳賀貢

    ○芳賀委員 結局開墾事業に関しては、公団のやることだけについては開発局も道庁も直接にはこれに関与しないで、開墾という作業だけは直接に事業所を現地に設けて農林本省が直接そこへ出先機関を向けて、そしてやるということになる。それ以外の建設工事に附帯した事業等に対しては、従来通り直轄事業とかなんとかいう区分に従って道並びに開発局が従来の一つのワク内においてこれをやる、そういうことに区分していいわけですね。
  70. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 その通りでございます。
  71. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それでは次にお尋ねしたい点は、そういうことになりますと、公団の人事等に対しては何も覚書というものを取りかわす必要はないということになるのですか。
  72. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 これは先ほどから大臣がお話申し上げました通りに、北海道開発庁は企画官庁でありますから、企画されたものが実施官庁でどういうふうに運営されておるか、実施されておるかということの連絡を密にするために——この事業をやるときは直接農林省がやるのではなくて公団というものを作ってやりますので、それについても企画官庁をして監督に当らせるということであります。
  73. 芳賀貢

    ○芳賀委員 開発庁の場合は元締めは総理大臣ということになっておるわけです。それで公団のやる業務というものは非常に限られた請負事業をやるわけですけれども、その人選をする場合、農林大臣だけが人選すると何か弊害があるのですか。農林大臣ではまかせられぬという心配があるのですか。
  74. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 これは仕事を円滑にやるために十分協議をしてやった方がいい、こういう趣旨でございます。
  75. 芳賀貢

    ○芳賀委員 具体的には、この公団の人事に対しては結局農林省あるいは開発庁両当局の間において人物の選考等を行うとか、あるいはこれは技術面に携わる仕事が非常に多いのですから、両省から人間をここへ持ち寄るという便宜上の関係で、人事の点に対しては両大臣が会議をしてやるということですか。
  76. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 先ほど来いろいろ話がありましたように、北海道の開発について非常に困難な問題がありますので、企画官庁としてはそういう困難な問題が円滑にいくように、公団の運営が十分目的を達せるような人を選定してほしいという趣旨から申出があったものと思います。
  77. 芳賀貢

    ○芳賀委員 次に農林大臣にお伺いしたい点は、北海道における開発機構の問題は多年にわたって問題があるわけです。この点は大久保長官もときどき言われておる点ですが、結局中央においては開発庁という企画官庁が一つある、今日においては専任大臣長官になっておられるわけです。しかしこれは全然足を持っておらないのです。長官に言わせると、北海道の総合開発開発庁が策定して、それに要する予算を取って、それを関係の農林省あるいは建設省に与えて、そして事業を実施していくということで、これは非常に異なったケースであるというように考えておるわけですが、これらのことに対して、今後こういう機構は現存のままでいいか、あるいは過去数年間の歴史的な変遷に徴して、これを将来どうしたらいいか。直接実施官庁として開発庁が予算を取って、それを北海道が農林省に預けておるということでもありますので、農林大臣としても一応のお考えはあると思いますから、この際御所見をお聞かせいただきたいと思います。
  78. 河野一郎

    河野国務大臣 北海道の開発につきましては、現在実施いたしておりますることでむろん不十分と申すわけではございませんが、なお国家として相当思い切って対処しなければならぬという要望が強いのでございます。そういう意味合いからわれわれといたしましては、北海道の開発について行政上も財政上もどういうふうにしてやったらよろしいかということについては、せっかく検討を加えているわけでございます。これは単に私が御答弁申し上げるのではなしに、この席でこういうことを申し上げるのはどうかと思いますが、民主党内においてはこのために特別委員会を設置いたしまして、せっかく勉強しているわけでございます。その点御了解を願います。
  79. 芳賀貢

    ○芳賀委員 北海道の開発長官に伺いますが、北海道とのつながりというものが、非常に明確を欠いているわけです。北海道開発庁の場合には実施官庁ではない、企画官庁であるということに限定をされているが、開発局は農林省の出先機関だけでもなし、建設省の出先機関でもないわけです。しかも身分は総理府の技官とかいうことになっている。そうしてこれは現業局ですから、行政的な流れというものはどこに源を発して開発局になっているのか、その点を明らかにしてもらわぬと、北海道との関係が不明確で困る場合があるのです。
  80. 大久保留次郎

    ○大久保国務大臣 これはたびたび申しました通り、実際不明確な点がありますけれども、開発局の人事につきましては総理府の中の私どもが扱っております。しかし事業の執行になりますると、今大臣から言われました通り、農林大臣の所管になる、あるいは建設大臣の所管になる、また鉄道行政につきましては運輸大臣の所管になるというような変態の形になっておりますので、農林大臣の言われた通り、これをどうしていくかという調査会が今起っているというような始末であります。
  81. 芳賀貢

    ○芳賀委員 開発局の人事権は開発庁が持っているとすると、あわせて監督権も開発庁が持っているということになるのですか。
  82. 大久保留次郎

    ○大久保国務大臣 事業の執行、監督は農林省、あるいは建設省がやっているわけです。
  83. 芳賀貢

    ○芳賀委員 人事権を持っているということは、開発局全体に対しての監督権を持っているということになるのではないですか。そうすると、気違いに刃物を持たせたようなもので、実際の面に関しては何の権限も持っていないで、首のすげかえだけはやられる。この点もう少し理解のできるように長官から御説明を願いたいと思う。
  84. 大久保留次郎

    ○大久保国務大臣 ただいま申しました通り、人事の直接の扱いは私どもがいたしておりますけれども、仕事についての指揮監督ということになりますと、農林大臣、建設大臣等に移っているのでありますが、そこは調和をとって決して無理なことはしておりませんし、将来も調和をとってやっていきたいと思っております。
  85. 芳賀貢

    ○芳賀委員 私の言いたいのは、開発庁が人事権だけを持っているというところにナンセンスがあると思うのです。そういうことであるなら、むしろ北海道の開発局というものは農林省とか、建設省の現業の出先なんですよ。ですから身分的に言った場合に、これは総理府の役人ということにしないで、むしろ農林省や建設省の者をそのままの形でそこに向けていた方がいいのです。そうでない立場で実施上の監督権も権限もない者が人事権だけ持っておる。ですから、ここにはっきり表面には現われないけれども、裏面における弊害というものは必ず出てくる。そうじゃないですか。特に北海道だけを限って開発庁がある。実施面に対しては何ら責任を持っておらぬ。しかも人事権だけを持ってくるというその裏にいろいろな弊害があるということをわれわれは言っておる。こういう点は、農林大臣はにやにやしておらんで、もう少し——人事権だけを開発庁にまかしてあるというこういう不思議な機構は早く何とかしなければならぬと思うがどうです。
  86. 河野一郎

    河野国務大臣 北海道の総合開発の見地から、ただいまお話しになりましたように、農林、建設、運輸、港湾関係等いろいろあると思います。それを一元的に指導いたしますには、やはり開発庁に人事権を持たしてこれに統合していこうという考えのもとにこういう機能になっておると思うのであります。しかしやってみればこれではまた不十分だ。人事権だけではいかぬということになって今の御意見になると私は思う。これはどなたもそういう考えを持たれると思うのです。われわれもそういう見解に立ちまして、今後すみやかに北海道の総合開発の見地に立って機構でありますとか、仕事の面についても再検討を要する時代がきておるということで、今せっかく各党においてもそれぞれ御検討なさっておられると思うのであります。政府におきましても、今お述べになりましたような趣旨を痛感いたしまして、せっかく検討していこうということが今日の段階であることを御了承願います。ただいまお述べになりました御意見は十分これを参考にいたしまして善処いたしたいと思います。
  87. 芳賀貢

    ○芳賀委員 時間がありませんので、最後にお尋ねしたい点は、わが国全体の食糧政策をやる、あるいは国土計画の一環としての農業開発をやるという場合において、この国土の全体の中の一部分だけが総合の中に入っておらぬというような場合には、どういうことになるかということもお考えになる必要があると思うのです。全体の計画を立てる場合においては、むしろこの分だけを切り離すというようなことが、果して将来においてプラスになるか、マイナスになるかということは、十分今後検討すべき必要があるのじゃないか。その実施面については、集中的にある地域に対しては力を経済的に投入する必要はあると考えるが、国土の総合的の計画の上にものを考えるという場合には、局部だけに問題をまかせるというようなことがどうであるかということは、今後十分考えていかなければならぬと思うのです。ですからそういう点に対しては、慎重にこの問題を究明する必要があると思うのですが、こういう点に対してさらに両大臣考え方を、一応この機会に述べておいていただきたいと思います。
  88. 河野一郎

    河野国務大臣 御趣旨ごもっともと考えますが、今、申します通り、食糧その他重要な面において農林省が全体をながめて計画を立てるということにいたしますと、そこに北海道の総合性に欠けるところがあるというようなことからいろいろ問題があると思うのですが、これらをくるめて十分検討いたしまして、国家的にも、北海道のためにも都合のいい方法を生みたいと考えております。
  89. 大久保留次郎

    ○大久保国務大臣 北海道の国家全体の見地から考えまして、まず一番先に開発したいと考えておるのは第一期産業、すなわち農林、水産漁業であります。そして国情がある程度進みましたならば、さらに第二期の産業、すなわち鉱工業に進む、こういう目標のもとに進んでおりますけれども、さっき申しました通り、いつも日本の国全体の点を頭に置いてやっております。
  90. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それは大久保長官の私見なんですよ。あなたの鳩山内閣は、政府方針としてそういうことを考えていないのです。第一期産業というのは非常に経済的な効果も薄いし、日本の生産条件の上から見ると、こういうところに財政的な物量を投ずるのは非常に不得策である。だから五ヵ年計画を見ても、わずかに一一%くらいしか第一期産業の生産性に期待を持っておらない。だから鳩山内閣はあなたの考えと違ったことを考えておるのです。そういうことであるにもかかわらず、開発庁の片すみに閉じこもってそういう順序を考えておっても、これはなかなか政府施策の面には現われてこないと考えるのです。ですからあなたの考えが正しいとすれば、もう少し閣内において意見の開陳をするとか、いろんな機会に開発長官としての見解や抱負を述べて実現するよう大いに努力しなければ、これはあなたの在任中にはそう仕事はできないと思うのですが、そういう点の心配はありませんか。
  91. 大久保留次郎

    ○大久保国務大臣 それは北海道開発五ヵ年計画を立てましたときの方針であります。決して私個人の意見あるいは鳩山内閣云々ではございません。五ヵ年計画の冒頭においてきめた方針であります。この方針に従って万全を期したいと考えております。
  92. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 同僚の各委員から御質問がありましたので、私は従来触れなかった基本的な問題について二、三しっかりと農林大臣にお伺いいたしたいと思います。愛知用水公団及び農地開発機械公団におきまして結果されておるこの劃期的な日本の農耕機械の改革、私たち多年主張して参りました機械化農業の点が打ち出されましたことは大へん喜ばしいのであります。しかしながら日本の農政史上かつて見なかったこの大きな改革の前には、必ず予測しないところの数々の障害も起るであろうし、また思わざる犠牲者も出るであろうと思います。これはいかなる英智をもってしても免れない。犠牲は必ず伴う。しかしながらできるだけこうしたそごや犠牲を最小限度にとどめたいというのがわれわれの念願であります。それについて伺いたいのは、農地開発機械公団事業内容であります。これは主として農地造成に重きを置かれておる。本日配付されました書類に基きましても、従来日本で見られなかった一日に五町歩ないし十町歩の土地開墾する機械も入ってくる計画のようでございます。こうした大規模の開墾をしました後の経営が伴うかどうか。事業内容を見ますと、機械を貸し付ける、あるいは委託を受けてこの事業を行う、このようなことが言われておりますけれども、一体こうした大規模な開墾農地造成に伴う国内の入植あるいは営農方針がはっきり打ち立てられておるかどうか。御承知通り農地造成しただけでは目的は完遂いたしません。従来国営の開墾はございましたが、今度初めて入る劃期的な農地造成の機械を伴うような準備があったかどうか。農地は作ったが、あとは野となれ山となれでは、ほんとうに野となり山となってしまうのであります。この点について大臣の日本農業の経営、あるいは農業構造の変革の理想をお伺いしたいのであります。
  93. 河野一郎

    河野国務大臣 この点は今回開墾を対象といたしておりまする地域が、非常に営農の困難な場所でありますることは御承知通りでございます。従いまして政府といたしましては、これらの地域に対する入植の点については慎重に検討いたしまして、北海道大学の学識経験者等の意見も十分参考とし、さらにその地方の有識者もしくは経験者等の御意見も十分検討いたしまして、およそ想像できる準備はいたしまして、これに対する入植、営農の指導をいたしていきたいと考えておるのでございます。何分先ほど来各委員の方々から御指摘になりましたように困難な場所でございます。今、御指摘になりますように、新しい機械を使って新しい客観条件のもとに営農を指導して参るのでありますから、いろいろな問題が起ってくるだろうと思います。しかし先は先として、現在の段階におきまして想定のできるあらゆる角度からの検討をいたしまして、これに対して入植の指導をし、またこれに対する補助と援助等も加えて参るということを準備いたしておる次第でございます。
  94. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 できるだけあやまちのないような想定のもとに入植が行われる。特に私関係を持っております上北地区の開拓入植についてお伺いしたいのでありますが、造成された農地には、従来の開拓入植と同じような規模、構想のもとになされるお考えかどうか。あるいは従来の入植以外に新しい一つの構想をお持ちかどうか、その点を一つ具体的にお話し願いたい。たとえば経営反別であるとか農具であるとか、そんなような点を大ざっぱでけっこうですが、大規模にやるのか、従来通りおやりになるのか、この点でございます。
  95. 河野一郎

    河野国務大臣 この地方につきましては、酪農に相当の主体性を置いてやることが必要であるということに現在意見が一致しておるようであります。そこで入植者にはどういう場合でも酪農を経営の中に取り込みまして、従来よりも規模を大きくしてやらなければいかぬだろうということになっておるわけであります。
  96. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 公団自体が事業を行う点においては問題はないでしょうけれども、公団が機械その他を貸し付ける対象になる事業主体はどういうのが予定されまするか、具体的にお伺いしたい。
  97. 河野一郎

    河野国務大臣 そのも寄りのすでに入っておられる入植者の人に貸して、そうしてやったらどうかということを一応考えております。
  98. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 現在の日本の入植者がこの大きな機械を操作するような技能とか練習なんか積んでおりましょうか。見たこともない機械だと思いますが、この点の御説明は、どうも私にはわからない。
  99. 河野一郎

    河野国務大臣 政府委員より説明させます。
  100. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 建前は今度の新しい地区は公団みずからやることにしております。これに近接する入植地区では、公団のオペレーターをつけて機械を希望者があれば貸すのであります。ことに北海道は冬期が長くて、冬期休みの期間がありますので、たとえば東北あるいは北関東等で相当広汎な機械開墾をやりたい希望者がありますから、そういうところに、機械公団事業の支障のたい限り、機械だけあるいはオペレーター付で機械を貸すということを考えております。
  101. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 この入ってきます機械、これは青森県とは限りません、北海道においても同しだと思いますが、現在の日本の道路で運び得る程度の重量の機械でございますか。それとも道路等の舗装を必要とする機械であるか、その点を伺っておきたいと思います。
  102. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 特に舗装を要するというようなことは考えておりません。ただし今度の計画地は道路が完備しておりませんから、まつ先に道路の建設に着手することにいたしております。
  103. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 機械運搬の道路を作る費用などは一体どうなっておりましょうか。別な予算でございますか。それともこのワク内で取る予算でございますか。
  104. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 開拓道路でありますので、これは開墾建設費で、今度の場合に両地区で一億組んでおります。これの建設事業は国に委託してやらせます。
  105. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 さっき大臣質問しました点について、なお局長からも御答弁願いたいと思いますが、この機械を使ったあと土地を荒さないで、耕地として十分生かすような準備がありますかどうか。たとえば非常に大きな機械を使って開墾しました土地は、これに連続する種まきから刈り取りまで一連の農機械が備わらなければ完全なことができない。現在日本の開墾の形に、この新しい農地造成の機械に伴うような、耕作、播種等の一連の機械の態勢が整っておるかどうか伺いたいのであります。
  106. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 その点が今度の場合の特性でありまして、荒起し、三年後に本起し、それに伴って肥料の撤布、種子のまきつけその他の管理について、それぞれの必要な機械を入れていくということを考えております。これは冒頭に大臣からお話がありましたように、上北の場合においても酪農を非常に大きく取り入れますので、どうしてもそういうふうなことをやらなければ、今までの検討の結果は、あとの営農が続かなくなるだろう、こういうような見地から、そういう計画を立てておるのでございます。
  107. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 農地造成という言葉の中に、一体作業をどこで切られるつもりでございますか。今荒起し、本起しというふうに言われましたが、どこでとまるのか。農地造成の観念の中に、もっとあとの作業まで入っておるのか、どこに一線を引かれますか。
  108. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 荒起し、本起しまでであります。その前に、いわゆる開墾建設事業と申しまして、道路、水路、そういうことを含めます。
  109. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 本日配付されました資料の中に、播種の機械まで入っております。これはやはりこの公団でお使いになりますか。
  110. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 これは荒起しいたしまして、最初に牧草を植えて、畑地の土壤を炭カルと一緒に改善していかなければなりませんので、こういうものも一緒に入っております。飼料草の播種機械であります。
  111. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 実は私、この公団の業務の内容がもっと広くなる必要があると思うので、こういう質問をしておるのでありまするが、この第十八条に、「農地造成又は改良の事業を行う者に対し、当該事業の用に供する機械及び器具の貸付を行う」とある。あなたは今この農地造成というものを荒起しと本起しに限った。その場合に一体種まきの機械が貸せますか。この法律によってその事業を行われますか。だから私がくどいようでありまするが、農地造成という範囲をどこに線を引かれるか、こう聞いておるのであります。
  112. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 わかりました。私の方では荒起し本起しで熟畑になる。それまでの関連する、たとえば炭カルを入れることまで含んで農地造成といっております。その途中で牧草を入れまして、土壤の改善にも資するということも一緒に含めて、熟畑になるまでを農地造成と、こういうふうにいっております。
  113. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 牧草の種まきを農地造成と考えて、肥料同様これを農地改良にぶち込んで、資材として認められますか。日本の農業の概念では、種まきさえ農地造成であり、種まきが、種をまくんじゃなくて、牧草の種を入れるなんという考えでは、非常に混乱しますが、どうですか、この点は。
  114. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 この地帯は御承知のように、非常に悪い火山灰地であります。現在までの開墾が成功しない一つの大きい原因としては、せっかく起しても土壤の改良までめんどうを十分見ない。見たところは成功しておるのであります。見られないところに今まで成功しない大きい原因がありますので、そこまでを含めまして、農地造成と私の方としては考えておるのであります。直接的に種をまくことを取り上げられますと、いかにもあれでありますが、これは熟畑までの関連事業として考えておるのであります。
  115. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 農林大臣に、これは私好意的に質問いたしますが、今お聞きの通り農地局長答弁が非常に苦しいのです。これは確かにおっしゃる通り農地はただ起してしっくり返しただけでは農地になりません。戦争中に行いました農地開発のさまざまな仕事、戦後急激に行いました農地開発営団の仕事、いかにも農地はひっくり返しましたけれども、あとの仕事が続きません。この公団法案を徹底的にやれば、そんな苦しい答弁農地局長がやらずに済むように、単に農地造成でなく種まきから刈取りそのほか一切の農作業が機械化し得るような一連の農業機械をここに入れまして、あとの営農経営までも大きな機械化の構想をもって指導されるような御意図があるかないか。大臣にこれは好意をもってお聞きしたいのでありますが、いかがでございますか。
  116. 河野一郎

    河野国務大臣 ごもっともなことでございまして、私も今いろいろ伺っておりまして、その点については特に先ほど申し上げましたように、地元の事情を十分に調査いたしまして、これはたびたび申し上げますように新しいテスト・ケースと申しますか、これからこういう方法でうまくやっていくことを意図して、これに入って参るわけでございますから、今お話のような点にも十分検討を加えまして、善処して参りたいと思っております。
  117. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 さっき農地局長答弁の中にあった、牧草の点に関しましても、化学肥料とかあるいは堆肥、厩肥等のほかに緑肥という肥料が考えられますが、確かに牧草のまきつけなども肥料の一環として農地造成と考えられないことはない。そこまで無理して解釈を広義に用いまして、さまざまな矛盾を開くよりも、むしろ大胆にこの計画を農地造成から経営までというようにお変えになる御意思があるかないか。
  118. 河野一郎

    河野国務大臣 十分すみやかに検討を加えたいと思います。
  119. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 大体お考えはわかりましたけれども、できることならば単に農地造成というものは、どうでも機械で土地をひっくり返せば済むのだというお考えでなしに、経営の規模においてもあるいは用いる農具においても、営農方針におきましても日本の農業構造を大きく変えていくのだという一連の構想を持ってお進み願いたいと思います。  それから愛知用水公団について二、三点同僚委員諸公が聞き落しました点がございますので、お尋ねいたしますが、あの水没地帯の地方にはたくさんの山林労務者がおります。この山林労務者が水没と同時に職を失うようなことがあると非常に大きな労働問題、生活問題が起る。これがそのまま職を失わずに、引き続きその仕事に従事し得るような構想ができているか。端的にいえば、あの木材を運般いたします軌道などが、その機能を失わないで直ちに工事開始とともに十分運搬の仕事にたえる。労務者の仕事にも役立つような構想がおありなのかどうか。こういう大きな変革を行いますと、必ず大きな損をする者とそのどさくさに乗じて思わざる火事どろ的利益を得る者の出ることは免れないでしょうけれども、これは当然勘定に入れまして、そういう手違いがないように行うことが大事だと思いますが、そういう点についての御配慮があるかどうか伺いたい。
  120. 河野一郎

    河野国務大臣 それらの点を十分考慮いたしまして、軌道のつけかえはあらかじめ新しいものをつけて、そして軌道の運転を一日も休止せずに、労働者の休むことのないようにするように配意をいたしているわけでございます。
  121. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 あと一点だけ伺いますが、なるほどあの山間部落の農民を知多半島に入植させる構想があるようであります。次三男あるいは特別にあの山間部落をいとう者は喜んで入ると思いますけれども、山村における農民の生活と平地における農民の生活とが非常に違っている。これを実践しまして失敗している例も乏しくはない。あの山村地帯の農民がもし希望するならば、この国有林野の払い下げあるいはその他の山林労働に従事させまして、そこに土着しながらなお営農できるような構想をお持ちであるかどうか、明らかにしていただきたい。
  122. 河野一郎

    河野国務大臣 まだ所在の町村に多少の開墾する場所もないことはないようであります。もちろんいい場所でないことはあたりまえでありますが、また国有林の中においてもそういうところがあれば、それについても希望があれば十分その希望に沿うようにいたしまして、ただいまお示しのようなことはむろん起ってくるのじゃなかろうかと思いますが、そういう場合には、むろん最も親切に熱心に協力するという立場で善処いたします。
  123. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 最後に一点、御質問ではございませんが意見として申し述べます。この間実地調査をいたしました場合、私たちも現地を見まして、現地にあれだけ大きな反対があるとは思いませんでした。特に長野県の受益の問題と愛知県の受益の問題に触れますと、受益が愛知側に大きくて犠牲が長野県に大きいという点は当然だろうと思います。しかるに私たちの調査でも、長野地区は非常に日程がなかったので十分に調査ができませんでしたけれども、あの現地に参りまして私たちも意外に思ったほど農林省とあの水没地帯の人との間に融和も理解もできておりません。そこへ持ってきて、調査であってもあの大仕掛けのボーリングをやり、あるいはびょうを打ってやられたのでは、やはり現地の農民は感情的にも非常に反撥してくる。いろいろな補償問題もからみますけれども、どうぞああいう犠牲者に対しては、もっとこっちから積極的に農民心理に立ち入って御検討の上、この画期的な農業改造の大事業の前に思わざる農民自体の反撃を招かざるように十分なる御注意を願います。以上申しまして私の質問を終ります。
  124. 河野一郎

    河野国務大臣 御注意の点は十分注意をいたしまして、誤りのないようにいたすことを申し上げます。
  125. 芳賀貢

    ○芳賀委員 先ほどの淡谷委員の御質問の中に、この公団の行う事業農地の改良造成という範囲になっているわけですけれども、北海道の問題は、今まで国が補助金を出して一年に五十台くらいずつトラクターを北海道に入れて、主としてこれは耕土改良という意味で深土耕をやった。これは北海道の農業団体が事業主体になってやっているわけです。ですからこういう耕土改良のような事業は、一つの既成事実として北海道等においては行われている。もう一つは、酪農振興法に基いて今年度あたりから耕土集約の指定地区に対して草地改良の機械をそこにセットを入れるということになるわけです。これらもやはりこの公団の取扱うところの機械と機能において、大体同じような水準のものであるというように考えるわけです。特にトラクター開墾のごときは機械公団でなければやれぬというような精密なものでもないし、高度なものでもないわけです。ですから既存の事実として行われている北海道等における機械化の一連の事業と今後の公団事業というものは、どういうふうにマッチさしていけばそれがさらに高能率的なものになるか。将来の問題にも関するので、この点は局長あたりの専門的な立場からお答え願いたい。
  126. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 北海道の深土耕あるいは草地改良の機械、これら北海道の分は初めてから五、六年になりますが、特殊の地帯に入れるのでありまして、牧草改良のために入れたトラクター等は、試験的にどの地帯にどういうように適用すべきか研究しておるのであります。今度の場合には公団で、先ほど来申しました荒起しから本起し、それをセットにしまして、セットが順々に動くように、将来新しい地域にいけるような構想のもとに取り入れていこう、こういうふうな考えでございます。
  127. 芳賀貢

    ○芳賀委員 この点は昨日も指摘した通り、機械化による開墾作業だけがずっと進んで、営農設計というものはこれにくっついていけない。それを調節するために事業計画の中に、一部遊休のときにはこれを他に転送して、能率を上げるということになっておるのです。これをあまり遠い地帯に移動させるということになると、輸送コストというものが相当大きいと思うのです。ですからその地域内におけるそういう機械化の事業とうまくマッチさせて、どうしたならばこれが効率的にやれて、それが受益者の——今までも相当負担が重いのです。そういう機械化による耕土改良とか、農地改良とかの負担の軽減にも寄与できるということの研究が必要だと思います。そういう意味で昨日私が言った通り、現地における各機関の事業主体等の委員会のごとき協議機関をぜひ設置してやる必要があるのじゃないか。これは農林大臣があまりはっきりしたことを言わなかったが、どうしてもこういうものは必要であるということを当局から言明願っておきたいと思います。
  128. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 昨日大臣もそういう委員会の必要があるということを申し述べました。その後私どもの方でも協議をいたしております。やはりお話のように役所的ではなしに、現地の希望を十分取り入れて得心していけるような委員会が必要だと思いますので、これは機械公団が発足した上で十分やっていきたい、こういうように思います。
  129. 綱島正興

    綱島委員長 それでは午前中の分はこれにて暫時休憩をいたし、午後は正三時より懇談会を開いて、すみやかに議案の進捗をいたすようにいたしたいと思いますから、三時には皆さんぜひこの会場にお集まりをお願いいたします。  暫時休憩いたします。     午後二時四分休憩      ————◇—————     午後四時十五分開議
  130. 綱島正興

    綱島委員長 これより会議を開きます。  愛知用水公団法案農地開発機械公団法案を一括して議題とし、午前中に引き続き審査を進めます。  他に御質疑はありませんか。     〔「なし」と呼ぶ者あり〕
  131. 綱島正興

    綱島委員長 御質疑がなければこれをもって両案に対する質疑を終了いたします。  この際先ほどの委員会懇談会におきまして、愛知用水公団法案に対して次のような付帯決議がなされることになっておりますので、あらかじめ委員長より各大臣に御所信をお尋ねいたしておきます。  まず愛知用水公団法案に対する付帯決議案を一応読み上げます。    愛知用水公団法案に対する附帯決議  一、本案は、世界銀行よりの借款及び余剰農産物見返資金という不確定財源を主要財源とするのみならず、工事完成までに六年以上を要し、且つ、明年度以降の所要円資金も巨額にのぼるのであるから、本事業を計画通り進捗せしめるためには他の一般土地改良事業に重大な悪影響をもたらすおそれなしとしない。よって、政府は、わが国全体の食糧増産事業の重要性に徴し、これが所要資金の確保につき毫も支障なきよう万全を期すること。特に小規模土地改良事業促進を図ること。  二、従来の電源開発が金銭補償に重点を置き、水没農家の厚生対策に欠けるところがあったが、愛知用水計画については牧尾橋ダム建設のため水没する農家等に対し物心両面より完全な補償措置を講ずるとともに残存地域の住民及び被害を受ける地方公共団体その他の団体に対しても本事業の実施前よりさらに安定した民生福利を保障しうるよう各般の助成措置を講ずることとし、個々の具体的事項について地元公共団体に予め完全なる了解を求めるよう努めること。  三、国有林運輸施設の被害については、速やかに付替工事を完成し運材機能の保持及び労務者の完全雇傭に万全を期すること。  四、木曽川下流における既得水利権が愛知用水事業のため悪影響を受けることのないよう十分なる対策を講ずるとともに木曽川の河床低下にもとづく既存用水の改修工事については別枠財源を拡大確保すること。  五、ダム、幹線水路の共同部分の費用の振分については発電及び水道の事業主体の受益度合を再検討し農業が過重の負担を受けることとならないように措置すること。  六、愛知用水受益地区内の農民が本事業完成後公団に納付すべき負担金は他の国営地区の例に比し著しく負担過重と認められるので、政府は、徒らに従前の規準にとらわれず、農民の実際負担能力を勘案の上、適正なる償還額を決定すること。  七、牧尾橋ダムの集水区域内の治山治水については本事業目的完遂に重大関連を有するから、国及び関係者は之が実施に万全を期すること。  八、愛知用水公団の機構は極力簡素なるものとし、運営及び施設物件の管理につき公正を期すること。  九、本事業公団、県、市町村、土地改良区等関係機関がそれぞれ事業主体となって事業を実施するから、総合統一された運営を期するため、これら関係機関の協議機構を設置すること。  十、外国技術者の雇傭については、これに委託する調査及び設計を必要最少限度に止め、極力経費の節約に努めるとともに国内技術者を本事業のため過度に集中して他地区の事業に支障をきたすことのないよう厳に注意し、併せて機械器具類については、つとめて国産品を優先購入すること。  なお農地開発機械公団法案に対する附帯決議案を読み上げます。    農地開発機械公団法案に対する附帯決議  一、本案は、世界銀行よりの借款及び余剰農産物見返円資金という不確定財源を主要財源とするのみならず、且つ、明年度以降の所要円資金も相当額にのぼるのであるから、本事業を計画通り進捗せしめるためには他の一般土地改良事業に重大な悪影響をもたらすおそれなしとしない。よって、政府は、わが国全体の食糧増産事業の重要性に徴し、これが所要資金の確保につき毫も支障なきよう万全を期すること。特に小規模土地改良事業促進を図ること。  二、受益地区内の農民が本事業完成後公団に納付すべき負担金は他の国営地区の例に比し著しく負担過重と認められるので、政府は、徒らに従前の基準にとらわれず、農民の実際負担能力を勘案の上、適正なる償還額を決定すること。  三、農地開発機械公団機構は極力簡素なるものとし、運営及び施設物件の管理につき公正を期すること。  四、本事業は、公団開発局、道又は県、市町村、土地改良区等関係機関がそれぞれ事業主体となって事業を実施するから総合統一された運営を期するため、これら関係機関の協議機構を設置すること。  五、外国技術者の雇傭については、これに委託する調査及び設計を必要最少限度に止め、極力経費の節約に努めるとともに国内技術者を本事業のため過度に集中して他地区の事業に支障をきたすことのないよう厳に注意し、あわせて機械器具類については、つとめて国産品を優先購入すること。  六、機械開墾については入植農家の営農安定が最終目的であるから、単に未墾地開墾をもって終ることなく入植農家の経営安定のため営農計画の確立、所要経営資金の確保等に関し万全の措置を講ずること。  以上の決議案が、それぞれ愛知用水公団法案及び農地開発機械公団法案について、附帯決議をいたされることになっておるのでありますが、以上読み上げましたる個条について、関係大臣がそれぞれ責任をもって御所感を披瀝いたされんことを求めます。
  132. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 愛知用水公団法案に対する附帯決議案の第一でありますが、大蔵大臣としての御答弁を申し上げます。愛知用水は、政府としてどうしてもやり遂げるという意思であります。従いまして、これに所要いたしまする資金につきましては、むろん多額の金が要ることでありますから、その調達に相当な困難が伴うことはむろんでありますが、しかし財政の許す限り、既定のここにお掲げになっておるいろいろの食糧増産事業に影響を及ぼさないように、努力をいたして参るようにいたします。  それから第四の決議でありますが、これにつきましては、十分検討を加えまして、財政の許す限り善処いたしたいと考えております。
  133. 河野一郎

    河野国務大臣 ただいまお示しになりました附帯決議案それぞれについて、所見を申し述べたいと思います。  第二の点につきましては、内閣においてはもちろん、地方公共団体とも随時連絡をとり、被害農家に悪影響を及ぼさぬよう、物心両面から補償に努めます。  三の点につきましては、木材運搬施設についてすみやかにつけかえ工事をいたし、労働者の雇用に支障なきよういたしたいと思います。  四の点につきましては、既定水利を絶対に侵さぬよう、技術上にも予算上にも留意いたします。  第五、御意見の通り処置いたしたいと思います。  第六につきましては、受益分量をさらに研究いたし、農民の負担を過重ならしめないよう留意いたしたいと考えます。  七の点につきましては、集水区域内の治山治水は特別の注意をいたしたいと思います。  八、九、十につきましては、もちろん御意見を尊重いたします。  次に、農地開発機械公団法案に対する附帯決議につきましても、御決議の各条項につきまして、御趣旨を十分尊重いたしまして、本法案目的達成に遺憾なきを期したいと存じております。
  134. 大久保留次郎

    ○大久保国務大臣 附帯決議として第一より第六まで、六つの項目に分れております。この項目によって与えられました決議の精神を尊重し、この事業が円満に遂行いたされますように努力いたしたいと存じます。一言申し上げます。
  135. 綱島正興

    綱島委員長 これより両案を一括して討論に付します。討論はありませんか。——なければ引続ぎこれより両案を一括して採決いたします。両案に賛成の諸君の御起立を求めます。     〔総員起立〕
  136. 綱島正興

    綱島委員長 起立総員。よって再案はいずれも原案の通り再決すべきものと決定いたしました。(拍手)     —————————————   愛知用水公団法案に対する附帯決議  一、本案は世界銀行よりの借款及び余剰農産物見返円資金という不確定財源を主要財源とするのみならず、工事完成までに六ヵ年以上を要し、且つ、明年度以降の所要円資金も巨額にのぼるのであるから、本事業を計画通り進捗せしめるためには他の一般土地改良事業に重大な悪影響をもたらすおそれなしとしない。よって、政府は、わが国全体の食糧増産事業の重要性に徴し、これが所要資金の確保につき毫も支障なきよう万全を期すること。特に小規模土地改良事業促進を図ること。  二、従来の電源開発が金銭補償に重点を置き、水没農家の厚生対策に欠けるところがあったか、愛知用水計画については牧尾橋ダム建設のため水没する農家等に対し物心両面より完全なる補償措置を講ずるとともに残存地域の住民及び被害を受ける地方公共団体その他の団体に対しても本事業の実施前よりさらに安定した民生福利を保障しうるよう各般の助成措置を講ずることとし、個々の具体的事項について地元公共団体に予め完全なる了解を求めるよう努めること。  三、国有林運輸施設の被害については、速やかに付替工事を完成し運材機能の保持及び労務者の完全雇傭に万全を期すること。  四、木曽川下流における既得水利権が愛知用水事業のため悪影響を受けることのないよう十分なる対策を講ずるとともに木曽川の河床低下にもとづく既存用水の改修工事については別枠財源を拡大確保すること。  五、ダム、幹線水路の共同部分の費用の振分については発電及び水道の事業主体の受益度合を再検討し農業が過重の負担を受けることとならないように措置すること。  六、愛知用水受益地区内の農民が本事業完成後公団に納付すべき負担金は他の国営地区の例に比し著しく負担過重と認められるので、政府は、徒らに従前の規準にとらわれず、農民の実際負担能力を勘案の上、適正なる償還額を決定すること。  七、牧尾橋ダムの集水区域内の治山治水については本事業目的完遂に重大関連を有するから、国及び関係者は之が実施に万全を期すること。  八、愛知用水公団の機構は極力簡素なるものとし、運営及び施設物件の管理につき公正を期すること。  九、本事業公団、県、市町村、土地改良区等関係機関がそれぞれ事業主体となって事業を実施するから、総合統一された運営を期するため、これら関係機関の協議機構を設置すること。  十、外国技術者の雇傭については、これに委託する調査及び設計を必要最少限度に止め、極力経費の節約に努めるとともに国内技術者を本事業のため過度に集中して他地区の事業に支障をきたすことのないよう厳に注意し、併せて機械器具類については努めて国産品を優先購入すること。     —————————————
  137. 稲富稜人

    ○稲富委員 ただいま御決定になりました愛知用水公団法案に対する附帯決議の動議を提出いたしたいと思います。附帯決議の案文に対しましては、先ほど委員長がお示しになった通りでありますから、これを速記録にとどめることにして、朗読を省略いたしておきます。お諮りを願います。
  138. 綱島正興

    綱島委員長 ただいまの稲富委員の動議にみなさん御賛成でありますか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  139. 綱島正興

    綱島委員長 よってただいまの稲富委員の動議は可決されました。     —————————————   農地開発機械公団法案に対する附帯決議  一、本案は、世界銀行よりの借款及び余剰農産物見返円資金という不確定財源を主要財源とするのみならず、且つ、明年度以降の所要円資金も相当額にのぼるのであるから、本事業を計画通り進捗せしめるためには他の一般土地改良事業に重大な悪影響をもたらすおそれなしとしない。よって、政府は、わが国全体の食糧増産事業の重要性に徴し、これが所要資金の確保につき毫も支障なきよう万全を期すること。特に小規模土地改良事業促進を図ること。  二、受益地区内の農民が本事業完成後公団に納付すべき負担金は他の国営地区の例に比し著しく負担過重と認められるので、政府は、徒らに従前の基準にとらわれず、農民の実際負担能力を勘案の上、適正なる償還額を決定すること。  三、農地開発機械公団機構は極力簡素なるものとし、運営及び施設物件の管理につき公正を期すること。  四、本事業は、公団開発局、道又は県、市町村、土地改良区等関係機関がそれぞれ事業主体となって事業を実施するから総合統一された運営を期するため、これら関係機関の協議機構を設置すること。  五、外国技術者の雇傭については、これに委託する調査及び設計を必要最少限度に止め、極力経費の節約に努めるとともに国内技術者を本事業のため過度に集中して他地区の事業に支障をきたすことのないよう厳に注意し併せて機械器具類については努めて国産品を優先購入すること。  六、機械開墾については入植農家の営農安定が最終目的であるから、単に未懇地開墾をもって終ることなく入植農家の経営安定のため営農計画の確立、所要経営資金の確保等に関し万全の措置を講ずること。  右決議する。     —————————————
  140. 芳賀貢

    ○芳賀委員 この際農地開発機械公団法案に対しまして附帯決議を付するの動議を提出いたします。附帯決議の案文に対しましては、先ほど委員長がお示しになった通りでありますからしてこれを速記録にとどめておくことにして、お諮りを願いたいと思います。
  141. 綱島正興

    綱島委員長 芳賀君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  142. 綱島正興

    綱島委員長 御異議なしと認めます。  なお、本両法案委員会報告書の作成については委員長に御一任願えますか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  143. 綱島正興

    綱島委員長 ではさように取り計らいます。     —————————————
  144. 綱島正興

    綱島委員長 なお次に自作農維持創設資金融通法案を議題といたし、審議を進めます。質疑を継続いたします。他に御質疑はありませんか。——質疑がなければ、この際足鹿君より修正案が提出されております。足鹿覺君。     —————————————   自作農維持創設資金融通法案に対する委員会修正  自作農維持創設資金融通法案の一部を次のように修正する。  第二条中「農地農地法(昭和二十七年法律第二百二十九号)第二条第一項に規定する農地をいう。以下同じ。)又は採草放牧地(同項に規定する採草放牧地をいう。以下同じ。)を抵当として徴し、」を削り、同条第一号中「事業に供している農地又は採草放牧地」を「事業に供している農地農地法(昭和二十七年法律第二百二十九号(第二条第一項に規定する農地をいう。以下同じ。)又は採草放牧地(同項に規定する採草放牧地をいう。以下同じ。)」に改め、同条に次の一項を加える。  2 前項の規定による貸付金の返還を確保するための方法については、公庫が、農林大臣及び大蔵大臣の承認を受けて定めるものとする。  第三条第一項中「五分五厘」を「五分」に、「十五年以内とする。」を「二十年以内、その措置期間は、三年以内とする。」に改める。  第五条第三項第三号中「必要であること。」を「必要であつて他に適当な方法がないこと。」に改める。     —————————————  修正の結果必要とする経費  本修正の結果、本年度における農林漁業金融公庫の収入減は、約二百五十万円の見込である。     —————————————
  145. 足鹿覺

    足鹿委員 自作農維持創設資金融通法案に対する修正案を提いたしたいと思います。これを朗読いたします。   自作農維持創設資金融通法案に対する修正案  自作農維持創設資金融通法案の一部を次のように修正する。  第二条中「農地農地法(昭和二十七年法律第二百二十九号)第二条第一項に規定する農地をいう。以下同じ。)又は採草放牧地(同項に規定する採草放牧地をいう。以下同じ。)を抵当として徴し、」を削り、同条第一号中「事業に供している農地又は採草放牧地」を「事業に供している農地農地農地法(昭和二十七年法律第二百二十九号)第二条第一項に規定する農地をいう。以下同じ。)又は採草放牧地(同項に規定する採草放牧地をいう。以下同じ。)」に改め、同条に次の一項を加える  2 前項の規定による貸付金の返還を確保するための方法については、公庫が、農林大臣及び大蔵大臣の承認を受けて定めるものとする。  第三条第一項中「五分五厘」を「五分」に、「十五年以内とする。」を「二十年以内、その据置期間は、三年以内とする。」に改める。  第五条第三項第三号中「必要であること。」を「必要であって他に適当な方法がないこと。」に改める。  以上が修正案であります。修正の理由等については十分先刻の全員懇談会の際において御納得のことでありますので、これを省略いたしたいと存じます。
  146. 綱島正興

    綱島委員長 右の修正案について質疑があれば、これを許します。
  147. 川俣清音

    川俣委員 懇談会の席上で、第四条の「農業経営安定計画」を農家経営安定計画に改めてほしいという修正案を出そうといたしたのでありますが、時期が急迫をいたしておりますために、この修正案を出さずに終ったのであります。その際大臣から同様の言明を得られるということで、あえて修正案を出さなかったのでありますが、この償還に当りまして、償還計画を立てなければならぬ場合に、農業からのみ上ってくるものではとうてい償還計画が立ちませんので、広汎に農家経営安定計画を立てて償還計画を立てた場合においては同様貸し付けるという御言明が得られまするならばあえて修正案を出さないで済むと思うのでありますが、この際、この点について政府の所信を明らかに表明してもらいたいと思うのであります。
  148. 河野一郎

    河野国務大臣 ただいま川俣委員から御指摘になりました本法案中「農業経営」という趣旨は、農家経営の意味において、その農家の全体の収入を収入として、そして償還計画を立てるという意味にわれわれはいたしまして、行政指導をして参ることにいたしたいと思いますから、その点御了承願いたいと思います。
  149. 綱島正興

    綱島委員長 この際修正案に対して内閣に対し、国会法第五十七条の三の規定により意見を述べる機会を与えます。内閣において意見があれば御発表を願います。
  150. 河野一郎

    河野国務大臣 各党で十分御検討いただきまして、大体有力なる各党の一致せられたる御意見でございますから、政府におきましてもそれを尊重いたしまして運営していきたいと思います。
  151. 綱島正興

    綱島委員長 他に御発言はございませんか、——他に御発言もなければこれをもって原案並びに修正案に対する質疑は終局いたしました。  引き続きこれより修正案並びに原案を一括して討論に付します。討論の通告がありますからこれを許します。久保田君。
  152. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 私は労農党を代表いたしまして今の原案並びに修正部分に反対を表明することをまことに遺憾に存じます。その理由は、これでは長期の確定をした組織の上に運営をされねばならぬ、ほんとうに農民の土地を守ろうということがすらすらといかないからと存ずるわけであります。理由はそれだけであります。
  153. 綱島正興

    綱島委員長 淡谷委員
  154. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 本案につきましては、以前に農地担保金融法案として出されました際から、この農地法に対する今度の法案考え方に対していろいろ議論はございましたが、各自意見を持ち寄りまして、従来の農地法精神に反せず、かつ農地を商品化しない建前からあくまでも自作農を現実に維持創設する建前において、この各党申し合せの本案に賛成いたします。
  155. 綱島正興

    綱島委員長 他に討論の申し出もございませんから、これをもって討論を終局いたします。  これより引き続き採決いたします。まず修正案について採決いたします。本修正案に賛成の諸君の御起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  156. 綱島正興

    綱島委員長 起立多数。よって本修正案は可決いたされました。  次に修正案を除いて原案について採決をいたします。賛成の方の御起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  157. 綱島正興

    綱島委員長 起立多数。よって自作農維持創設資金融通法案は、修正案のごとく修正すべきものと決しました。なお、本案に関する委員会の報告書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  158. 綱島正興

    綱島委員長 御異議なしと認め、さように取り計らいます。     —————————————
  159. 綱島正興

    綱島委員長 次にこの際小委員会の設置の件についてお諮りをいたします。先ほど議決いたしました愛知用水公団法案の附帯決議にもあります通り、本事業の進行に伴い、発電用、貯水用ダムの建設により水没する農家の補償の問題が現実の問題として出てくるわけでありますし、なお、その他大規模農地開発事業、干拓事業等によりまして、いろいろ利害関係が生じて参ると思いますので、これらの問題に対しまして調査検討を加え利害関係の調整をはかるため、特に小委員会を設置することにいたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  160. 綱島正興

    綱島委員長 御異議なしと認めます。つきましては小委員の員数、小委員及び小委員長の選任については、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  161. 綱島正興

    綱島委員長 御異議なしと認め、委員長において指名の上、公報をもって御報告申し上げます。  本日はこれをもって散会いたします。     午後四時五十六分散会      ————◇—————