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1955-07-21 第22回国会 衆議院 農林水産委員会 第46号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年七月二十一日(木曜日)     午前十時四十六分開議  出席委員    委員長 綱島 正興君    理事 安藤  覺君 理事 白浜 仁吉君    理事 松浦 東介君 理事 鈴木 善幸君    理事 中馬 辰猪君 理事 足鹿  覺君    理事 稲富 稜人君       赤澤 正道君    五十嵐吉藏君       井出一太郎君    伊東 岩男君       石坂  繁君    木村 文男君       楠美 省吾君    小枝 一雄君       笹山茂太郎君    丹羽 兵助君       原  捨思君    本名  武君       足立 篤郎君    川村善八郎君       助川 良平君    田口長治郎君       平野 三郎君    松山 義雄君       赤路 友藏君    淡谷 悠藏君       井谷 正吉君    井手 以誠君       石田 宥全君    芳賀  貢君       伊瀬幸太郎君    川俣 清音君       佐竹 新市君    中村 時雄君       日野 吉夫君    久保田 豊君  出席政府委員         農林政務次官  吉川 久衛君         農林事務官         (農地局長)  渡部 伍良君         農林事務官         (畜産局長)  原田  傳君         水産庁長官   前谷 重夫君  委員外出席者         農地局参事官  戸嶋 芳雄君         農林事務官         (農地局管理部         長)      立川 宗保君         農 林 技 官         (水産庁生産部         漁港課長)   林  真治君         専  門  員 岩隈  博君         専  門  員 難波 理平君         専  門  員 藤井  信君         専  門  員 徳久 三種君     ————————————— 七月二十日  委員井手以誠君辞任につき、その補欠として勝  間田清一君が議長指名委員に選任された。 同月二十一日  委員加藤常太郎君、田口長治郎君、稻村隆一君  及び勝間田清一辞任につき、その補欠として  丹羽兵助君、久野忠治君、赤路友藏君及び井手  以誠君議長指名委員に選任された。 同 日  委員井手以誠君辞任につき、その補欠として勝  間田清一君が議長指名委員に選任された。 同 日  理事中村寅太委員辞任につき、その補欠とし  て安藤覺君が理事に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事の互選  自作農維持創設資金融通法案について参考人出  頭要求に関する件  漁港法第十七条第二項の規定に基き、漁港整備  計画改正について承認を求めるの件(内閣提  出、承認第五号)  養ほう振興法案平野三郎君外四名提出衆法  第三〇号)  天災による被害農林漁業者等に対する資金の融  通に関する暫定措置法案楢橋渡君外二百七十  二名提出衆法第四〇号)  愛知用水公団法案内閣提出第一三四号)  農地開発機械公団法案内閣提出第一四六号)  自作農維持創設資金融通法案内閣提出第六二  号)  農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助暫定  措置に関する法律の一部を改正する法律案(小  枝一雄君外一名提出衆法第六三号)     —————————————
  2. 綱島正興

    綱島委員長 これより会議を開きます。  漁港法第十七条第二項の規定に基き、漁港整備計画改正について承認を求めるの件を議題といたし、審議を進めます。質疑があればこれを許します。川村善八郎君。
  3. 川村善八郎

    川村(善)委員 昨日内閣から本委員会漁港法の第十七条第二項に基いて整備計画国会承認の件が提出いたされております。そこで私若干政府に対して質問をいたしてみたいと思うのであります。  御承知通り漁港は、戦時中にその所管運輸省にあったのであります。従って運輸省は小漁港等については一切予算等をつけることなしに放置いたされまして、まことに不幸を見ておったのであります。さらにまた昭和二十一年には、何ごとも占領政策でやらねばならない立場に置かれておった日本関係で、漁港問題等につきましてはまことに無関心であったということが長く続いたのであります。しかし幸いに昭和二十五年の五月に漁港法が制定されまして、その所管農林省に移され、しかも水産庁漁港課がこれを担当することに相なりましてから、その予算等につきましても、また整備計画等におきましても着々とその実をあげまして、今日に至りましたことはまことに慶賀にたえないと存ずる次第でございます。しかしまだわれわれといたしましては、漁港整備計画等には不満足なものがあるのでございますけれども日本財政からいってこれは一応やむを得ないとは存ずるのでありますが、第一次整備計画の四百五十港中、大体三百九十数港が着工されまして、しかもそのうち四十二港の完成を見たのでありますが、さらにこのたび漁港整備計画が立てられまして、内閣から本委員会承認を求められたのであります。私お伺いいたしたいことは、この第一次整備計画が完遂をしないうちに、第二次整備計画というものが昨年審議会にかけられまして、一応審議会が問うておるのであります、以前その審議会が問うた案を今日まで一体内閣がこれをお認めになり、さらに本委員会提出しなかったかということが私ふしぎでならないのであります。こうしたような点からいたしまして、まず審議庁が昨年問うておる第二次整備計画を、今日までどのように取り扱って参ったかということが一点。  それから、今回御提案になりました案を見ますと、第二次整備計画審議会に問うた案の半分、すなわち第二次整備計画が約四百港であったものが百九十七港かの追加になって、第一次整備計画と合せて約六百港になっておるのでございますが、この減らした理由がわれわれとしては納得がいきません。そこで、この第二次整備計画審議会に問うた四百港を百九十七港に減らした理由を伺いたい。  さらに第三点は、漁港法の第十七条第三項に、この承認を受けた場合においては「内閣は、毎年度、国の財政の許す範囲内において、前項の漁港整備計画実施するために必要な経費を予算に計上しなければならない。」という規定に相なっておりますが、今後漁港整備については予算裏づけを必要といたすのでありますから、この予算をどのくらいつけるかというようなことも確かめておかなければならぬのであります。こうしたことを考えますと、まずここに農林大臣出席を求め、さらに大蔵当局出席を求めて、十分ただした上で、納得がいくならば、これを承認しなければならないということに相なるのでございますけれども、そういたしますと相当に時間を要するものと思うのであります。またそれによって、今国会において承認ができないようなことになりますれば、不幸を見るのは各都道府県であり、漁村でありまして、われわれはできるだけ農林大臣出席大蔵当局出席も求めないで承認をしてあげたいのでありますけれども、この第二次整備計画審議会に問うた案より半分に減らされて百九十七港であります。いわゆる第二次整備計画審議会に問うた際に、各都道府県でも漁村でも整備計画に入ったところはみな非常に喜んでおった。これが落ちたとするならば、おそらくその都道府県でも漁村でも悲観をするのじゃなかろうかという心配があるのであります。そこで落ちた二百港になんなんとするところの漁港整備いかようにして早期に着工するか、あるいは不備なところを完成さしていくかということにわれわれは非常に苦心をしているのでありますが、この点についてどういうお考えを持っているかという四点についてお尋ねしたいのであります。
  4. 前谷重夫

    前谷政府委員 ただいまの川村委員の御質問につきましてお答えいたします。お話のように現在の整備計画が成立いたしましたのは二十五年の五月でありますが、二十八年におきましてこの整備計画改訂を考慮いたしまして、漁港審議会にも諮ったわけでございますが、その後漁港指定等進行に伴いましてさらに再検討する必要が生じましたので、これにつきまして先般の漁港審議会に御諮問いたしまして、ただいま提出しております案の御答申を得たわけでございますが、お話のように二十八年に策定いたしました計画と現在の計画におきましては、約二百港近くの差があるわけでございます。これは、われわれといたしましては、漁港の全般的な整備と同時に早期完成ということも当然やらなければなりませんので、従来から問題になっておりまして、ほかの事業にもございますいわゆる防災事業、つまり局部改良事業というものが本年初めて予算を認められたわけであります。従ってこの漁港計画検討いたします際におきましても、その計画の内容が小さくて、局部改良でもってやるべきもの、またやり得るという見通しのものは、できるだけそちらの方に持っていくことが、両々相まちまして漁港整備に役立つのじゃなかろうか、かように考えまして本年度は八千万円の予算をとったわけでありますが、今後もこの防災事業につきましては、われわれとして極力予算の増加に努力いたしまして、両々相まちまして漁港の全般的な整備をいたしたい、かように考えておるわけでございます。  それから今後の予算の問題でございますが、これは御承知通り明年度におきます予算見通しはわれわれとしてはまだつきませんが、もちろん本年度よりも増加するように努力いたしたいと思います。ただ私どもとして、この計画実施いたします場合には、この計画を少くとも五年間くらいで完成できるという考えのもとにこれを作りまして、またその実現に努力いたしたいというように考えております。
  5. 川村善八郎

    川村(善)委員 そうしますと、第二次整備計画案なるものが審議会提出された際に、四百港であったものを約半分の二百港くらいにしたのだ、しかしこの二百港になんなんとするものは今後局部改良工事等で、やはり整備計画に載った漁港と同じような取扱いをして、そしてこれに予算裏づけをして実現せしめるというのが半分に減らした理由なのかどうか。  それから減らされたものは、局部改良等一体何年ぐらいで使えるような漁港にするお見込みなのかどうか。それをほんとうに実現し得る自信があるのかどうか。この三つの点をお伺いしたいと思います。
  6. 前谷重夫

    前谷政府委員 第一の点は、お話しのようにわれわれは漁港整備計画局部改良事業と両方並行して漁港整備に努めたいという趣旨でございまして、お話通りでございます。  第二の局部改良事業につきましては、これは三年度としまして、そう長い期間ではなく完成するような計画でもっていきたいと存じまして、これの着手につきましてはもちろん整備計画と並行して考えて参りたい、かように考えます。  それから第三点の、局部改良事業について自信があるかどうか、これは予算の問題でございますが、本年度初めてこの局部事業をとったわけでありまして、明年度におきましては、全体の漁港予算の増額と同時に、これについても努力いたしたいと考えております。
  7. 川村善八郎

    川村(善)委員 大体長官の御答弁でよくわかったのでありますが、私実は心配するのは、第一次整備計画がまだ完成しておらない。予算が遅々として増額されないので、いまだに計画通りにいかないのだ。そこでやはり今度の整備計画改訂と申しましょうか、第二次整備計画考えられて、提案されることになったのですが、なおさらここで予算の問題が心配になるのでございます。そこでおそらくこの案を内閣提出した際に、内閣でも相当の御意見があったでありましょう。なかんずく大蔵省では相当に御意見が強かったことは想像にかたくありません。従って長官の大体の判断では、大蔵省はこの案に対して賛意を表して、そうして予算を増額するようなお見込みを持たれたかどうか、この点をお伺いいたしたいと思います。
  8. 前谷重夫

    前谷政府委員 本年度予算につきましては、すでに御承知のように決定いたしました。明年度予算につきましては、今われわれ要求につきましていろいろ検討いたしております。明年度予算につきまして、もちろんどうするということの決定はないわけでありますが、この計画につきましては、相当の時間をかけて財政当局にもるる説明をいたしまして、今日御承認を得る運びになったのでございますから、さよう御了承願いたいと思います。
  9. 川村善八郎

    川村(善)委員 そこで削除されました二百港になんなんとする漁港を、局部改良工事整備計画に載ったようにして、何とかやっていきたいという長官の気持はよくわかります。従ってこの落されました約二百港になんなんとする漁村の不安を一掃するためにも、極力局部改良等をやりまして、漁民の安心して使えるような漁港を仕上げることが、水産庁の親心だ、かように考えますが、ぜひとも長官の今御答弁になったことの実現を可能ならしめるように御努力あらんことをお願い申し上げまして、私の質問を打ち切る次第であります。
  10. 前谷重夫

    前谷政府委員 私も十分努力いたしたいと思いますが、今後明年度予算につきましては、御指導、御協力を願いたいと思います。
  11. 綱島正興

    綱島委員長 ちょっと委員長から伺っておきますが、整備計画審議会が開かれた後に、今復帰して参りました奄美大島、ああいうものの漁港についてはどういうお取扱いをなさっていらっしゃいますか。
  12. 前谷重夫

    前谷政府委員 奄美大島の件につきましては、奄美大島振興法に基きまして、そちらの方でやることになりますので、本来の計画には別個になっております。
  13. 綱島正興

  14. 足鹿覺

    足鹿委員 大体川村委員の御質問の点を私もただしたかったのであります。大体尽きたようでありますが、若干お尋ねをしてみたいと思います。漁港審議会答申は四百近いものを答申しておるにもかかわらず、百九十七にこれを整理された理由は、主として予算的な面からきておるのでありますか。あるいは何か一つ基準等があって、そのものによってこれを落されたのか。いやしくも審議会が慎重に審議をし、審議会答申を得たことによって、地方関係者は事成ったと同じような期待を持って今日に至っておるのであります。それを無謀な、半数に近いものに整理されるということは、審議会答申そのものがずさんであるのかという印象を与えますし、また多大の期待を持っておられる地方民に与える失望は、非常に大なるものがあろうと思うのであります。その間の経緯はただいまの川村委員の御質疑が大体わかるのでありますが、農林水産委員会となって私ども初めてこの水産問題に取っ組むわけでありますので、いま少し詳細に納得のいく御説明をまず願いたいと思います。
  15. 前谷重夫

    前谷政府委員 現在実施いたしておりまする四百五十港の漁港整備計画は、二十六年五月に確定いたしたわけでございます。その当時におきましては、漁港指定等もまだ十分でございませんで、千三百程度漁港の中から早急に選んだのでございますが、その後漁港情勢も違いましたし、また漁港指定等事業も進捗いたしましたので、二十八年に一応漁港審議会におきまして計画を御審議願ったわけであります。二十八年に御審議を願いましたものは、お話のように約四百港を増加するという計画であったわけでございます。その後いろいろ検討をいたしておったわけでございますが、従来の計画の中にも、さらに漁港から商港に移るもの、あるいはまた漁業情勢変化によってあと回しにしてもいいというもの、また完成したものもございまして、約六十三港というふうなものは将来の計画から除こうということで、指定になったのであります。またその後の情勢によりまして、大体現在までのところ、漁港指定というものは、ほぼ運輸省との間におきましては、これから告示すべきものを合せて大体二千六百程度——大体一般商港漁港との間の機能区分と申しますか、そういう点が運輸省との間に本年に至って一段落ついたわけであります。そこで本年の六月十五日に、さらにこの新しい情勢をもとにいたしまして、漁港審議会を開催いたしまして、二十八年に一応御審議をいただきましたものを再検討願ったのであります。その再検討願った結果といたしまして、漁港審議会から御答申をいただきましたのが、現在御承認を願うために提出いたしておる計画でありまして、これは本年六月十五日に審議会で御答申願ったわけであります。その差は、二十八年の計画と本年の計画とがだいぶ差があるということでございますが、一つは、従来われわれこの漁港計画考えます場合に、単年度において局部改良事業実施し得るものが相当ある、こういう考え方のもとに、予算の面においても局部改良事業実施要求いたしておったわけであります。それがなかなか通らなかったわけでございますが、本年それが認められたのであります。そういう情勢のもとに一般漁港整備計画局部改良事業とどうかみ合せていくかということで、本年度漁港審議会に御検討願いまして、そうして現在の計画の御答申を得たわけであります。
  16. 足鹿覺

    足鹿委員 そうしますと、二十八年に答申されたものをまだ実施にも何にもならないうちに、さらに本年の六月にこれをみずから審議会は前の答申案をくつがえしたわけですか。
  17. 前谷重夫

    前谷政府委員 二十八年に計画審議願って、一応の御答申がございましたが、その後ただいま申し上げたようないろいろな事情変化がございましたので、さらに再検討を願ったわけでございます。その結果としてただいま御承認を願う案の御答申を得たわけであります。
  18. 足鹿覺

    足鹿委員 私はしろうとでありますからよくのみ込めぬので、くどいようですが、六十数港というものは完成あるいはその他の理由によって当然これは削除してよろしい、こういうことについてはわかりますが、その他のものについては、当初において必要と認めて答申したのではないですか、そのものに対する取扱い一体どうされますか。
  19. 前谷重夫

    前谷政府委員 それがただいま申し上げましたように、二十八年当時におきましては局部改良事業等実施ができないことになっておったのであります。今年度において初めて防災事業といたしまして小規模工事ができるような形になりましたので、漁港整備修築事業計画と、それから局部改良事業を両々相まちまして、漁港整備をやっていきたい、こういうことでもって整備計画としても再検討を願ったわけでありまして、われわれといたしましては、漁港整備はもちろんでありますが、漁港整備計画に基く漁港修築事業と、それから防災事業に基く局部改良事業、この両者をもって漁港整備に邁進いたしたい、かように考えた次第であります。
  20. 足鹿覺

    足鹿委員 どうもよくわかりませんが、そうすると、二十八年度以降に政府一般施策が、他のいろいろな施策が講ぜられることによって当然改訂になった、その改訂の際にふるい落されたものについても、他の方法によって適当な措置が講ぜられるに至ったから落したというわけですか。——しかしそれはそれで、漁港整備計画整備計画として、二十八年に相当の日時を費して権威ある答申が出ておるのじゃないですか。そうすると、今後は一般防災事業一般修復事業というものを進めることによって、漁港整備計画というものは必要なくなるのですか。その間の事情がどうも私にはよくわからない。既応のものは、二十八年度決定によってもう一応本ぎまりになったものだと期待しておった、そのものに対する、ふるい落されたものに対する各個の一般対策並びに防災対策というものの具体的な資料がありますか、あればそれをいただきたいのです。ただそういう抽象的な御答弁では、どうも私ども納得がいきません。
  21. 前谷重夫

    前谷政府委員 申し上げますが、この二十八年度計画は、実は漁港審議会には、農林省の案を作る前提として諮問いたしたわけでありまして、まだ最終的にもちろん政府決定にはなっておらなかったのでありますが、ただいま申し上げましたように、漁港計画のその後の進捗状況等を考慮いたしまして、一般整備計画に取り上げるものは、相当期間を要し、そうしてある程度規模のものをもって漁港整備計画としてやっていきたい。それで単年度に、ある短かい期間で終るような小さい、特に第一種漁港の場合でございますが、第一種漁港の場合はそういう——われわれは従来からそういうことを考えておったわけでございますが、修理事業の中におきまして単年度完成せられるものは、これは整備計画としてよりも局部改良事業によって目的を達成し得るものが相当ございます。そういう方向によって整備をはかっていくということが必要であろうということは、前々から考えておったわけでありまして、これはなかなか予算化しなかったわけでありますが、本年度初めて予算化いたしました。それを合せまして計画の再審議を願ったわけであります。
  22. 足鹿覺

    足鹿委員 だいぶわかってきましたが、そうしますと、その一般計画のものと防災に基くものとに対して、全然計画から落ちたものはすべてそれに包括されておるのですか。
  23. 前谷重夫

    前谷政府委員 これは全部とは申し上げませんが、大部分入ることになっております。そういうつもりで今後進めていきたいと思っております。
  24. 足鹿覺

    足鹿委員 その一般計画防災計画漁港計画との差異は一体どういうところにあるのですか。
  25. 前谷重夫

    前谷政府委員 水産庁といたしましては、全体の漁港整備ということをもちろん念頭に置いておるわけでございますが、技術的な面といたしまして相当規模であり、相当期間を要し、その修築事業等相当規模であるものにつきましては漁港整備計画をもってやっていく、そして一種漁港のようなごく局部改良でもって目的を達するものにつきましては、単年度でやっていくということが適当ではなかろうかというふうに考えまして、従来からそういう考え方を持っておったわけでございますが、なかなかその点が予算化しなかったのでございます。本年度から予算化をいたしましたものですから、そういう形で進めていくことが事業完成にも非常に便宜ではないか、かように考えましたので、二つの考え方をもって、両者を並行して全体的な漁港整備を進めていきたい、かように考えておる次第であります。
  26. 足鹿覺

    足鹿委員 大体、今まで一本の柱が二本になったということのようですな。そうしますと、今後はこの漁港整備計画というものは改訂考え余地があるのですか、ないのですか、政府はどう考えますか。
  27. 前谷重夫

    前谷政府委員 この漁港計画は、先ほど申し上げましたように、漁港指定されたもののうちから六百六港を取り上げておるわけであります。また指定されたもので計画に上っていないもの、改良工事でやるものもございますが、全体としてはまだなかなか完全な形になっておらないのであります。われわれは、情勢に応じてさらにこれを改訂して、また漁港整備を進めるということはもちろん考えておるわけでございます。
  28. 足鹿覺

    足鹿委員 最後に伺いますが、その追加指定のこの次の機会というのはいつごろの予定でありますか。追加指定余地があるのか、ないのか。それはいつごろの時期になりますか、その点を明確にしてもらいたい。
  29. 前谷重夫

    前谷政府委員 これは時期はいつかということは、われわれも御承知のように二十六年、二十八、三十年というようにそのときの漁業情勢漁港進捗状況、そういうものの状況変化、こういうような要素を考えまして、そうして改訂すべきかどうかということを検討するわけでございますので、今からあらかじめ何年というふうに、漁港計画改訂するという予定は立てておりませんが、必要に応じて改訂する考えでございます。
  30. 足鹿覺

    足鹿委員 改訂するということは、一般修復あるいは防災事業等によって仕事を進めたものをも含めておやりになるのでありますか。それは大部分はその方で救っておるというお話でありますが、今度整備計画追加をされるときにはそのものをも含めてなさるのでありますか。
  31. 前谷重夫

    前谷政府委員 整備計画改訂につきましては、今後の整備計画実施進行状況、また一般的な漁業状況の変更と申しますか、そういうことを考えまして、必要な時期に改訂いたしたい。ただお話のように、かりに整備計画を改良事業でもって実施いたしましても、現在におきましてはそれで十分であるという場合がございましても、あるいは漁業の変更によりましてそこに相当大型船が入るということで、もう少し大きく整備計画として取り上げてやらなければならぬ、こういう事情が起ってくる場合もあります。そういういろいろな事情が総合されまして、ある時期におきまして必要なときに改訂する、こういう形になっております。
  32. 綱島正興

    綱島委員長 別に御質疑はございませんか。——他に質疑がなければこれより討論に入ります。討論はございませんか。——討論がなければこれより採決いたします。 本件を承認するに御賛成の方の御起立を求めます。     〔総員起立〕
  33. 綱島正興

    綱島委員長 起立総員。よって本件は承認すべきものと決定いたしました。鈴木委員
  34. 鈴木善幸

    ○鈴木(善)委員 私は本漁港整備計画改正につきまして承認するに当って、附帯決議の動議を提出いたしたいと存ずるのであります。御承知のように漁港の修築整備は、わが国の漁業発展の基本的な施策であり、かつ全国の多数の漁業者が、生活の根拠としてこれが修築整備の促進を強く要望いたしておる重要な問題でございます。全国にはすでに政府指定にかかりますところの漁港が二千六百七十七港ございまして、これらの漁港はいずれも修築整備を要する漁港でございます。終戦後におけるわが国の漁業の発展の経過からいたしましても、現在の漁港はこの漁業情勢に即応しないおくれた施設に相なっておりますので、すみやかにこれを整備計画に載せまして、その修築整備をはかることが刻下の急務であると存ずるのであります。政府はこの全国の三千に近いところの漁港のうち、第一次漁港整備計画に当りまして四百五十港を取り上げてその修築整備に着手いたしたのでありますが、昭和二十八年に自由党内閣の時代におきまして、さらに全国の要望にこたえますために約四百港の漁港をこれに追加をいたしまして、漁港整備計画改訂をなさんといたし、すでに審議会答申を得ておったのであります。しかるに今回鳩山内閣が誕生いたしまして、この整備計画に手を加えてそれを半数の二百港に満たない百九十七港に圧縮するという事態がここに起って参ったのであります。そのために多くのきわめて緊急を要するところの幾多の漁港整備計画から漏れるというような事態に相なりました。これが今後のわが国の漁業の発展と漁民生活に与える影響はきわめて深刻であると私は考えるのであります。そこで本委員会といたしましては、この整備計画承認に当りましてこの点強く政府に要望いたし、すみやかなる整備計画改訂、りっぱな施策の樹立を要求いたしたいと存ずるのであります。  次に付帯決議案文を朗読いたします。    漁港整備計画改正について承認を求めるの件に対する附帯決議(案)   わが国の漁業を発達せしめるため漁業根拠地たる漁港を全国に亘り計画的に整備拡充し、もつて漁業生産の増強と漁家経済の安定向上を図ることが肝要である。   よつて、政府は、本整備計画実施に当り左記事項の実現に格段の努力を払うべきである。     記  一、政府は、今次整備計画改正に漏れた漁港についても速かに調査を進め、我が国漁業の発展と漁村の実情に即応するよう漁港整備計画追加改訂に関し、万遺憾なく措置すること。  二、本計画による昭和三十年度以降六百四港の整備のため、総事業費五百二十七億、国庫負担三百三十二億円以上を要することになるが、本計画早期完遂を期し国の予算確保について万全の措置をすること。 何とぞこの動議に対し各位の御賛同をお願いいたしたいと存じます。(拍手)
  35. 綱島正興

    綱島委員長 ただいまの鈴木委員より提出いたしましたる動議について、御発言がありましたらこれを許します。
  36. 笹山茂太郎

    ○笹山委員 ただいま鈴木さんから読み上げられました内容でございますが、ここに書かれております内容と多少違いがあるのですが、その点について伺います。
  37. 鈴木善幸

    ○鈴木(善)委員 おそらく決議案の記の二項の総事業費と国庫負担の関係に対するお尋ねであろうと思いますが、総事業費は五百二十七億円でございまして、これに対する国庫負担額は、第一種漁港から第四種漁港までの四つの種類の漁港でございまして、これに対する国庫負担率はそれぞれ御承知のように違うわけであります。それらを積算した額が三百二十二億、こういうことに相なっております。
  38. 綱島正興

    綱島委員長 ちょっとそれについて委員長から伺いますが、離島に対するものは、御承知通り大体全額になっておりますが、それも積算されますか。
  39. 鈴木善幸

    ○鈴木(善)委員 それも積算されます。
  40. 笹山茂太郎

    ○笹山委員 ただいま読み上げられました内容を見ますと、二項の方で三百三十二億円以上というふうに言われましたが、これはどういうことですか。
  41. 鈴木善幸

    ○鈴木(善)委員 これは政府の計算は端数を除いておりますから、その点を的確に表現いたしたわけであります。
  42. 綱島正興

    綱島委員長 他に御発言はありませんか——なければただいま提出されましたる鈴木委員の動議に御賛成の方の起立を求めます。     〔総員起立〕
  43. 綱島正興

    綱島委員長 起立総員。よって右の動議の通り附帯決議を附することに決しました。  なお、ただいま可決いたしました本件の委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  44. 綱島正興

    綱島委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。  ただいまの附帯決議について政府の御所見を伺います。
  45. 吉川久衛

    ○吉川政府委員 ただいまの附帯決議の御趣旨に沿うて善処する所存でございます。
  46. 綱島正興

    綱島委員長 ちょっと速記をとめて。     〔速記中止〕
  47. 綱島正興

    綱島委員長 速記を始めて。     —————————————
  48. 綱島正興

    綱島委員長 養ほう振興法案を議題といたし、審査を進めます。本案につきましては昨日平野委員より修正案が提出されておりますので、原案及び修正案について昨日に引き続き質疑を行います。  御質疑はございませんか。——質疑がなければ、原案につきまして、昨日内閣に対し、意見を述べる機会を与えたのでありますが、その後において内閣としての意見決定したものがあればこの際重ねて発言を許します。
  49. 吉川久衛

    ○吉川政府委員 養ほう振興法案につきまして、昨日は経過を申し上げたのでございますが、なお重ねて申し上げておきます。最近各地に発生を見ております腐蛆病については、その養蜂に及ぼす影響の重大なるにかんがみまして、目下暫定的に政令によって家畜伝染病予防法の規定の一部を準用して、その撲滅をはかっておりますが、政府はこれが防渇のための法的措置が必要であると考えております。養蜂業者に対する助成措置につきましては大蔵省が了承しかねると主張され、農林省においてもなお検討を要するものと考えて、まだ意見を申し上げる段階にありません。私といたしましては今後ともできる限り善処する所存であります。
  50. 綱島正興

    綱島委員長 原案及び修正案を一括して討論に付します。討論はありませんか。討論がなければ採決いたします。  まず平野提出の修正案について採決いたします。本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔総員起立〕
  51. 綱島正興

    綱島委員長 起立総員。よって本修正案は可決されました。  次にただいま可決いたしました修正部分を除いて原案について採決いたします。これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  52. 綱島正興

    綱島委員長 起立多数。よって養ほう振興法案は修正案のごとく修正すべきものと決しました。  なお、ただいま修正議決いたしました本案の委員会報告書の作成につきましては委員長に御一任を願いたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  53. 綱島正興

    綱島委員長 御異議なければさように決定いたします。  ちょっと速記をとめて。     〔速記中止〕
  54. 綱島正興

    綱島委員長 速記を始めて下さい。     —————————————
  55. 綱島正興

    綱島委員長 愛知用水公団法案及び農地開発機械公団法案を一括して議題といたし、審査を進めます。  本案についてはすでに提案理由説明を聴取いたしておりますが、この際さらに愛知用水の事業計画資金計画、及び農地開発機械公団の事業内容等について、政府のできるだけ精密なる説明を求めます。農地局長
  56. 渡部伍良

    ○渡部政府委員 愛知用水事業につきましては、昭和二十四、五年ごろからこの計画が地元で進められておったのでありますが、昭和二十七年に愛知用水土地改良区という改良区から土地改良法に基きまして専業の概要を定め、地区内の三分の二の同意をとってこの計画を国営として採択するようにという申請が愛知県から出てきたのであります。その後この計画につきまして詳細なる調査を進めて参りました。しかしその当時の計画では、従来の土地改良法に基きますものが国営を主にしておるものでありましたので、それに県営、団体営の計画を立ててみますと、経済効果は非常に出るけれども非常に大きい計画になる。国営だけでありますと百数十億で済みますが、団体営、県営を合せますと二百七、八十億もかかる、同時に木曽川の水を利用する発電施設あるいは工業用水、上水道等を合せますと三百億を越える金であります。そこで財政投融資のワクの関係計画が伸び悩んだのでありますが、一昨年から農業開発について外資導入をやるという話が出ました。世界銀行のガーナー氏がお見えになったときにそれを取り上げて、昨年度の夏に至りまして世銀から数名の調査団が派遣されまして詳細調査した結果、経済的に十分成り立ち、世界銀行としても融資の対象になる計画であるから、詳細の計画を立てるようにという話があったのであります。それに基いて計画を立てまして、この春農林省から清野技術課長を世銀に派遣し、さらに詳細な打ち合せをいたし、四月になりましてデフリーズ及びドール極東部長が見えまして、さらに詳細の打ち合せをいたしました結果、大体の計画については世界銀行として融資ができるから、融資を受け入れる態勢を早く日本としてはととのえるべきであるということを言い残して帰ったのであります。世界銀行の関係はそういうわけでありますが、世界銀行は約一千万ドル、すなわち三十六億程度日本内地で手に入らない機械類等のみしか貸さない、あとは日本側で円資金をまかなわなければならないということになっておりましたので、昨年来余剰農産物の交渉に当りまして二百十四億のうち三十億を農業開発に回し、そのうち二十四億五千万円を初年度愛知用水に回すということで、これも話がつきましたので、本計画に基き借款の主体である愛知用水公団の法律提出したゆえんであります。  本計画の概要は先般愛知用水事業計画概要というものをお手元にお届けいたしております。ずっと前でありましたので、お手元にない分はただいま政府委員室に取りに行っておりますので、しばらく御猶予願いたいと思いますが、御説明申し上げます。  これは木曽川の上流、長野県西筑摩郡の御嶽山のふもと、王滝川に沿いまして王滝村と三岳村との村境の牧尾橋という所にダムを作りましてこの水を引きまして中間十数個所の発電所に水を補給し、発電の強化をしながら岐阜県の兼山という所で、現在これは兼山発電所があるダムであります。そこで水を取り入れまして岐阜県を通じ愛知県に入りまして名古屋の東側を通り知多半島の末端に行く計画であります。この地帯は地域内の水田が約一万六千町歩あります。そのうち河川によって灌漑せられておるものはわずかに一五%であります。ため池によって灌漑されておるものが七二%であります。揚水機によって水を補給しておる水田が五%、自然の降雨等でやっておるのが約七%を占めておるのであります。ほとんどがため池によってまかなっておると言っても過言でないのであります。そういうところでありますから、水田のみならずこの地方におきましては相当肥沃な大地があるのでありますか、水不足の関係で開墾可能地であるにもかかわらず開墾ができない、あるいは水がちょっと来れば陸稲なり野菜なりうんとできるのが、水が少いからできない。あるいは知多半島に入りますと、そういう農業状態だけでなしに、半島の末端の師崎町等では二千人に一個の井戸しかないほど水が欠乏しておるのであります。農業用水のみならず途中で発電所を起し、さらに各市町村の上水道それから名古屋中京地帯では、工業の発展のために工業用水が非常に欠乏しかかっておるのであります。工業用水では、主として自家用の井戸によってまかなっておる部分が相当大きかったのであります。これをあまり掘り過ぎるがために地盤沈下を起すとかあるいは水量不足になる。そうかといって川からひく水道は名古屋市ではすでに一ぱいになっておるというような関係がありまして、工業用水についても相当な要望が出ておるのであります。一般的な概況はそういうふうでありますが、計画の内容に入って申し上げます。  まずとびらをあけていただくと最初に図面がついております。その次のA概説のところの二番目のパラグラフを見ていただきますと、木曽川の支流、王滝川の牧尾橋地点に、有効貯水量六千三百万トンの貯水池を新設する。図面を見ますと、三浦貯水池の下に王滝川という川がありまして、その下の牧尾橋貯水池という所であります。その支流を上っていきますと福島でありまして、木曽川の本流に沿って出るのでありますが、鉄道線路に沿って矢印のついておるのが木曽川であります。そうしてずっと下流に至りますと今渡発電所がありますが、その次に兼山発電所というのがありまして、兼山で取り水をいたすのであります。そうして黒い線がひっぱってあってぽつぽつの点が打ってある所、それが受益地帯になるのでありまして、一万六千四百五十町の水田の用水補給と、二百六十九町の開田、一万六千二百五十七町の畑地灌漑を行いまして、米十八万六千石、麦十万六千石、そのほか蔬菜、果実等を増産すると同時に、下流の町に工業、上水道用水を補給するのであります。  これが大ざっぱな話でありまして、次に計画の詳細について申し上げます。  四ページのC計画であります。一の要旨は、現在の木曽川の水は下流において農業用水、上水道及び工業用水に使用されますが、その約四〇%が無為に放流されているのであります。これを上流に貯水池を設置することによりまして、水資源の合理的利用をはかろうというのであります。その途中で、下流十四ヵ所の発電所の出力を増すと同時に、上水道、工業用水もあわせて農業水利のほかに補給するのであります。  その次に農業関係の概要を申し上げますと、用水の補給を受ける水田が一万六千四百五十一町歩、開田が二百六十九町歩、畑地灌漑が一万六千二百五十七町歩、開畑九十四町歩、合計三万三千七十一町歩と九千四百万トンの水を補給していこうというわけであります。  その次に工業用水、上水道は、半田市のほか四市十八町村の上水道用水及び名古屋市、刈谷市、知多郡の工業用水もあわせて補給するのであります。上水道は千七百万トン、工業用水は二千八百万トン、合計四千五百万トンを配当いたしまして、三十数万人の人口をうるおしていくということになります。  発電計画は五ページの表でありますが、新設発電所で年間三千四百四十万キロワット・アワー発生し、下流の既設十四発電所によって六千二百六十万キロワット・アワー、合計九千七百万キロワット・アワーを発生するということになっております。  その次には工事の概要でありますが、まずダムは牧尾橋に作る。その流域面積は三百四平方キロメートル、満水位は八百八十メートル、これは水平線から八百八十メートルでありまして、約八十メートル弱の高さになります。総貯水量は六千九百万トン、有効貯水量は六千三百万トンであります。ダムの型式はロックフイル・ダムでありまして、従来のコンクリート式のダムに比べて非常に経費が節約でき、この種の大規模のダムとしては日本で初めてであります。そのために大きな石を処理し、あるいは粘土を処理するに必要な機械のために世銀から金を借りようということになっております。新聞等で見ますと、電源開発の美幌ダムもロックフイル式にやっていくということでおります。なお欧米の最近のダムは、その経済性からほとんどロックフイル・ダムに変ってきております。われわれの当初牧尾橋でコンクリート・ダムで計算したのと今度のロックフイルで計算したのと、約二十億近くの経費の節約になります。堤高は河床から七十八メートル、堤長が二百六十三メートルとなります。取水施設は最大三十五トンを毎秒流すという施設になります。下流の導水施設は兼山地点から幹線の末端師崎町まで百十五キロメートル、それに横に出ておる支線千五十九キロメートルということになっております。  発電所は出力一万四千キロワットの発電所を作ります。  上水道、工業用水は先ほど御説明いたした通りであります。  六ページのE事業費について申し上げます。事業費は直接事業費として合計三百億余円要ります。そのほかに公団事務費として二十億九千八百万円、合計三百二十一億二千八百万円を必要とすることになります。そのうち外貨で三十六億円、円貨で二百八十五億円ということになっております。しかし当初買った機械が工事完成すると売れますので、註に書いてありますように工事用機械を売り払う残存価格を評価しますと約十九億になりますので、実際の事業費は三百億から十九億を引きました二百八十一億になります。これが国、県、農民、電気会社の負担の対象になる金額になります。  その次に効果と費用の負担額の表でありまして七ページであります。詳細はそれぞれの項目があとに出てきますが、総論を申し上げますと、この事業をやることによりまして年収入は、農業において四十八億円、電力において三億五千万円、水道において四億五千万円、合計五十六億の年収入の増加になります。これらの収入を上げるために、年経費は農業において二十五億円、電気で千二百万円、水道で一億二千万円、合計二十六億七千八百万円かかります。従って粗所得といたしましては農業で二十二億、電力で三億、水道で三億、こういうことになるのであります。この粗所得で消化のできる範囲内に事業費をつけなければならない。この収入でどれだけの事業ができるかという計算をいたしましたのが、妥当投資額であります。農業は六分でこの粗所得を資本還元いたしますと、二百六十二億の事業費まで負担できる。電力は九分で計算いたしますと二十五億の事業費まで負担ができる。水道は六分の金利で還元しますと三十七億まで負担ができる。合計三百二十五億の費用までは十分採算がとれるということになるのであります。従いまして前の表の事業費の合計三百二十一億、公団事業費を合せて三百二十一億ということになっておりますが、それから十九億を引きますと、約三百億がこの妥当投資額に按分して負担されなければならないということになりますので、約二十数億の純益が上ってくる、こういうふうにお考え願いたいと思います。そこでこの妥当投資額に按分しまして、前の方の各事業の費用を農業、電力、水道等に按分しておるのが、費用負担金の表であります。  まず水路の負担でありますが、妥当投資額から農業専用施設を引きまして、あるいは水道の分については、妥当投資額から水道末端の給水施設等の水道の専用施設を引きまして、その費用に按分して水路の共通部分の費用を区分しますと、水路につきましては、農業で九十三億千二百万円、水道で四億七千万円の負担をしなければならないということになります。  次にダムでありますが、ダムは農業、電力、水道全部で負担することになりますので、妥当投資額からそれぞれの専用施設を引きまして、さらに水路の分担金を引きまして、その残額で按分いたしましてそれぞれの持ち分をきめますと、ダムの費用六十二億は農業で五十億、電力で九億、水道で二億五千四百万円という負担になるのであります。これを総計いたしますと、事業費二百八十一億を農業では二百二十七億四百万円、電力では十八億五千四百万円、水道では三十五億を負担せねばならない、こういう計算になるのであります。これをもとにいたしまして、国の負担あるいは県の負担、地元の負担というものを計算して参っております。  それから八ページであります……。     〔「区切りのいいところでやめて午後やったらどうだ。」と呼ぶ者あり〕
  57. 綱島正興

    綱島委員長 ちょっと速記をやめて。     〔速記中止〕
  58. 綱島正興

    綱島委員長 速記を始めて。
  59. 川俣清音

    ○川俣委員 この際資料の提出を願いたいと思いますが、第一点は、この貯水池の上流の地帯における年間降雨量、並びにこの貯水池の年々の堆積土の量、第二は世銀から借りると申しますか、買い入れる機械の種類、価格、第三は関係農村地域の現在までの各町村ごとの固定資産税総額、第四点として将来のこの地域における増税見込み量、以上であります。あとはまた追ってお願いいたします。
  60. 綱島正興

    綱島委員長 それでは午前中はこの程度で休憩いたしまして、午後は二時から再開いたします。     午後零時十九分休憩      ————◇—————     午後二時四十二分開議
  61. 綱島正興

    綱島委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法案を議題とし、審査を進めます。質疑または御意見があれば、発言を許します。石坂君。     —————————————   天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法案に対する修正案  天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法案の一部を次のように修正する。  第一条中「暴風雨、」の下に「豪雨、」を、「高潮、」の下に「降雪、」を加える。  第二条第一項中「又は林業用種苗が流失した等のため著しい被害を被った旨」を「、木材、林業用種苗その他の林産物が流失した等のためその者の林業による平年における総収入額の百分の十以上の損失を被つた旨又はその所有する炭がま、しいたけほだ木、わさび育成施設若しくは樹苗育成施設が流失し、損壊した等のため著しい被害を被つた旨」に、「漁具が流失し、」を「漁具が沈没し、流失し、滅失し、」に改め、同条第三項中「薬剤、」の下に「農機具(政令で定めるものに限る)、」を、「薪炭原木、」の下に「しいたけほだ木、漁具(政令で定めるものに限る。)、」を、「購入資金」の下に「、炭がまの構築資金」を加え、同項各号を次のように改める。  一 市町村長が認定する損失額を基準として政令で定めるところにより算出される額又は十五万円(北海道にあつては二十万円、漁具の購入資金として貸し付けられる場合は一千万円)の範囲内で政令で定める額のどちらか低い額(牛又は馬を所有する被害農業者に貸し付けられる場合は、その額に更に三万円を加えた額)の範囲内のものであること。  二 償還期限が、五年の範囲内において政令で定める期限以内のものであること。  三 利率が、政令で指定する地域における被害農林漁者に貸し付けられる場合は年三分五厘以内、開拓者に貸し付けられる場合は年五分五厘以内、その他の場合は年六分五厘以内のものであること。  第二条第四項を第五項とし、第三項の次に次の一項を加える。  4 既に経営資金の貸付を受けている者がその償還期限内に再び被害農林漁業者に該当することとなった場合におけるその経営資金については、その償還期限を政令で定めるところにより二年をこえない範囲内で延長する旨の貸付条件の変更があったときも、前項第二号の規定にかかわらず、これを経営資金とみなす。  第三条第一項第七号及び第八号中「四分の三」を「五分の四」に改める。  第四条第二項中「(開拓者に貸し付けられる場合は年三分)」を削り、「百分の二十」を「百分の二十五」に改め、同項に次のただし書を加える。  ただし、同項第一号から第四号までの経費につき、経営資金の貸付の利率が第二条第三項第三号の規定により年五分五厘以内に定められている資金に係るものにあつては当該利子補給額の二分の一又は当該利子補給の対象となった貸付金の総額につき年三分の割合で計算した額のどちらか低い額の範囲内とし、年三分五厘以内に定められている資金に係るものにあつては当該利子補給額から当該利子補給の対象となつた貸付金の総額につき年二分五厘の割合で計算した願を控除した額又は当該利子補給の対象となつた貸付金の総額につき年五分五厘の割合で計算した額のどちらか低い額の範囲内とする。  第六条の次に次の一条を加える。(報告及び検査)  第七条 農林大臣は、経営資金又は事業資金の貸付が適正に行われているかどうかを知るために必要があると認めるときは、当該資金を貸し付けた組合、連合会若しくは金融機関から報告を徴し、又はその職員をして組合、連合会若しくは金融機関の事務所に立ち入り、帳簿、書類その他必要な物件を検査させることができる。  2 前項の規定により職員が立入検査をする場合には、その身分を示す証票を携帯し、関係人にこれを提示しなければならない。  附則を次のように改める。  この法律は、公布の日から施行し、昭和三十年六月一日以降発生した天災に関し適用する。     —————————————   修正の結果必要とする経費  本修正の結果必要とする経費は、本年度約二千万円の見込である。     —————————————
  62. 石坂繁

    ○石坂委員 ただいま議題と相なりました、天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法案に関しまして、私は修正の動議を提出いたしたいと思います。  この修正の案文はお手元に配付いたしてありますので、私の方で要綱に従いまして簡単に御説明を申し上げます。  まず第一は、第一条の天災中に「豪雨」及び「降雪」を含むことを明らかにすることといたしました。  第二は、第二条第一項の被害林業者の定義を「林業を主な業務とする者であって、天災によりその生産する薪炭(薪炭原木を含む。)、木材、林業用種苗、その他の林産物を流失した等のため、その者の林業による平年の総収入額の百分の十以上の損失を被った旨、又はその所有する炭がま、しいたけほだ木、わさび育成施設、若しくは樹苗育成施設が流失又は損かいした等のため著しい被害を被った旨の市町村長の認定を受けた者」と改め、被害漁業者の定義中に「漁船漁具の流失」のほかに、これらの沈没、流失、滅失を加えることといたしました。  第三は、第二条第三項の経営資金中に農具及び漁具の購入資金、政令で定めるものに限る。を加えることといたしました。  第四は経営資金の貸付条件を次のように修正することといたしました。「(一)市町村長が認定する損失額を基準として政令で定めるところにより算出される額または十五万円(北海道にあつては二十万円、漁具の購入資金として貸しつけられる場合は一千万円)のどちらか低い額(牛または馬を所有する被害農業者に貸し付けられる場合は、その額に更に三万円を加えた額)の範囲内のものであること。」とつけ加えることといたします。「(二)償還期限が、五年の範囲内において政令で定める期限以内のものであること。(三)利率が政令で指定する地域における被害農業者、被害林業者又は被害漁業者に貸し付けられる場合は、年三分五厘以内、開拓者に貸しつけられる場合は年五分五厘以内、その他の場合は年六分五厘以内のものであること。」といたします。  第五、損失補償四分の三以内を五分の四以内とすること、この場合における国の補助金は、百分の二十五とすることにいたしました。  第六、四、の(三)により利率を引き下げることに伴って、利率五分五厘の場合は国の利子補給率を三分、利率三分五厘の場合は国の利子補給率を五分五厘とすることといたします。  第七、累年災害を受けた者に対する延期措置を認めることにいたしました。  第八、組合、連合会、金融機関に対する農林大臣の報告徴収権または立ち入り調査権を規定することにいたしました。  第九、本法は、昭和三十年六月一日以降発生した天災に関し適用するものとすることというようにいたしました。  何とぞ御審議の上、御可決あらんことをお願いいたします。
  63. 綱島正興

    綱島委員長 ただいま動議提出者の石坂委員より御説明がありました修正案は、国会法第五十七条の三の規定する修正案に該当いたしますので、この機会に本修正案について内閣に対し意見を述べる機会を与えることにいたします。内閣において御意見があれば発言を許します。吉川政府委員
  64. 吉川久衛

    ○吉川政府委員 本案に関しましては、七月十五日の閣議におきまして原案は異議ないものと決定を見ております。ただいまの修正部分につきましては事務的に相当問題がございますが、私において善処する考えでございますから、御了承を願います。
  65. 綱島正興

    綱島委員長 次に修正案について質疑はありませんか。——質疑がなければ、引き続きこれより原案及び修正案を一括して討論に付します。討論はありませんか。——討論がなければこれより採決いたします。  まず修正案について採決いたします。修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔総員起立〕
  66. 綱島正興

    綱島委員長 起立総員。よって本修正案は可決いたされました。  次に、ただいまの修正部分を除く原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔総員起立〕
  67. 綱島正興

    綱島委員長 起立総員。よって、大災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法案は、修正案のごとく修正すべきものと決しました。  この際、井手以誠君より本案に対し附帯決議を付したいとの動議が提出いたされております。これを許します。井手君。
  68. 井手以誠

    井手委員 ただいま決定されました天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法案に対して、去る懇談会におきましていろいろ御希望がありましたことをまとめまして、これを附帯決議として動議を提出したいと存ずる次第でございます。  案文を朗読いたします。   天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法案に対する附帯決議  一、政府は、すみやかな機会において、開拓地における災害について開拓者資金融通法を再検討政府資金をもって長期低利資金を融通しうるよう措置すること。  二、政府は、農林地及び農林漁業施設の災害については農林漁業金融公庫において必要且つ充分なる資金を融通しうるよう源資の調達等に関しいかんなく措置すること。 何とぞ御賛成のほどをお願い申し上げます。
  69. 綱島正興

    綱島委員長 ただいまの附帯決議に御質疑はございませんか。——それではこの際政府はこれについてどういう御意見であるか意見を求めます。吉川政務次官。
  70. 吉川久衛

    ○吉川政府委員 ただいまの附帯決議を尊重し善処いたします。(拍手)
  71. 綱島正興

    綱島委員長 ただいまの附帯決議を付することに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  72. 綱島正興

    綱島委員長 御異議なしと認め附帯決議を付するに決しました。  なお、お諮りいたします。本案に関する衆議院規則第八十六条の規定による報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  73. 綱島正興

    綱島委員長 御異議なしと認め、さよう取り計らいます。     —————————————
  74. 綱島正興

    綱島委員長 次に、愛知用水事業計画概要及び農地開発機械公団の事業内容について説明を求めます。農地局長
  75. 渡部伍良

    ○渡部政府委員 午前中に引き続きまして、愛知用水事業計画の概要について御説明いたします。愛知用水事業計画概要の八ページをお開き願います。そこに水田と畑の利用状況がこの事業をやることによってどういうふうに変化するかということが表にしてございます。すなわち表の左のワクを見ていただきますと、現況と事業完了後というようになっておりますが、まず水田について申しますと、水田の現況は、一毛作田が九千九十町歩、二毛作田が七千三百六十一町歩でありますが、それが今後は一毛作田が六千七百九十四町歩だけ二毛作田にかわりまして、総計一万六千四百五十一町歩のうち一万四千百五十五町歩が二毛作田になるのであります。 次に畑の欄でありますが、普通畑、樹園地に分けております。これの全部について灌漑をすることになります。  次に山林原野等の開墾でありますが、これは二毛作田になるものが二百十三町歩、畑地灌漑する畑として普通畑が二千二百六十九町歩、樹園地が四百九十三町歩。開墾だけで灌漑しない畑地として普通畑が八十三町歩、樹園地が十一町歩、計九十四町歩、総計で三千六十九町歩が新規に開発されるのであります。その次に休閑田が五十六町歩、総計といたしまして水田が一万六千七百二十町歩、畑が一万六千三百五十一町歩、合計三万三千七十一町歩が受益田畑ということになるのであります。  その次の九ページの表は、そういたしましてそれらの土地からどういうふうな収益が期待されるかということを、土地の利用計画を想定いたしまして、完成後の三万三千町歩の作付予想から収益を出したのであります。それによりますと、増産量は水稲で作付増によるものが六千三百六十五石、反収増によるものが四万二十八石合計四万六千三百九十三石、陸稲が作付増が十三万七千二百九十五石、反収増が千八百四十六石、合計十三万九千百四十一石、大麦が二万一千二百十八石、裸麦が三万二千七百九石、小麦五万二千三百五十二石、合計しますと二十七万一千三百二十九石ということになっております。以下カンショ、バレイショ、雑穀、豆類、蔬菜、果実、桑、茶、菜種、種子等、たとえばカンショ等については畑が灌漑によりまして優良になりますので、もっと有利な米麦等に転換できる、雑穀、豆類等も、あるいは桑、菜種等についても、より有利な作物に転換できるという想定で過不足を出しておるのであります。そういたしましてこれをそれぞれの想定価格、これはたとえば米価についていいますれば、ことしは米価が上っておりますが、過去の実績を基準にいたしまして、米価、麦価その他の農産物の価格を想定いたしまして、収益額を計算しておるのであります。そうしますと、前の方の表に出てきましたように、粗収益が四十八億三百八十六万五千円になるのであります。その粗収益から中ほどにあります収益率、単位当り収益というものを出しまして、一番右の表にある収益を計算いたしますと、四十八億の粗収益に対して、実際収益が二十三億六千九百十七万七千円ということになります。それに対して維持管理費が一億一千万円かかりますので、年収益としては、農業で二十二億五千九百十七万七千円ということになるのであります。これをもとにして、これだけのものを六分で償還還元しますと、二百六十二億六千三百三十九万二千円までの事業ならばやっとペイできる、こういうのであります。  次には、電力の発生状況、それの収益妥当投資額の換算の表であります。申しおくれましたが、この計算の方法は、電力、水道、農業について、それぞれ総合開発事業を行うときにおきまして、それぞれの事業にどれだけの費用負担をかけるかという計算基準を政令できめております。それに基いて計算しておるのであります。電力についてはその政令に基いてきめておるのであります。終りの方からいいますと、純収益が三億三千八百五十七万六千円になって、これを九分で還元すると、二十五億の投資までできる、こういうことになっております。  その次は上水道及び工業用水であります。上水道の施設される予定の町村は、ここに掲げておりまするように、六市十八ヵ町村になっております。千七百万トンの水を給することは先ほど申し上げた通りであります。工業用水は、この表にありますように、名古屋市、刈谷市、知多郡に二千八百万トンの水を供給いたします。そのうち既設の工場拡張分とこれからやる分に分けておるのであります。これの合計が三十六十万トン必要であるということになっておりますが、計画の安全をとりまして、一応二千八百万トンを割り当てるという計算にしております。その割当は次の表にある通りであります。下から三段目に、粗所得合計して三億三千六百二十二万五千円ということになっております。それを資本還元して、三十七億四千百二十三万七千円までの投資ができる……。
  76. 綱島正興

    綱島委員長 ちょっと待った。これの還元の利子は。
  77. 渡部伍良

    ○渡部政府委員 六分五厘です。収益を換算するときに、上水道では一トン当り二十三円、工業用水では六円五十銭という料金をとる。維持管理費は一トン当り、上水道で七円五十銭、工業用水は一円、大体新設の水道では中位になっております。  次に事業主体でありますが、ただいま提案いたしております愛知用水公団をしてこれをやらせるということであります。そのやらせ方は、総事業費を一応公団で立てかえまして、その立てかえる財源としては、世銀から借り、見返資金から借り、一般会計から受け入れ、預金部から借りということで、これはあとで申し上げますが、ダム、幹線水路、農業専用施設は公団で直営をやります。水道については、末端の水道施設は愛知県及び地元町村にやらせ、発電設備については、関西電力をして建設工事をやらそう、こういう予定でおります。ただしその金は一応公団が立てかえて用立ていたします。最近各所で行われております多目的ダムあるいは総合開発で、ダムの建設、発電所の建設あるいは農業水利施設の建設がちぐはぐになっている例が往々あるのでありますが、そういう例にならないような管理をやっていこうというのが一つの特色になっているのであります。  十二ページ、資金計画について申し上げます。総資金は公団の事務費を合せまして合計三百二十一億になります。別にお配りいたしております愛知用水事業資金計画、三百二十一億のうち二十億九千八百万円が公団の費用になるのであります。その年次別の使い方は十二ページの表で見ていただきますと三十年、三十一年、三十二年、三十三年、三十四年、三十五年、と六ヵ年で事業をやっていくことになります。そのうち三十六億、すなわち一千万ドルを世銀から借りまして、残り二百八十五億二千八百万円を円資金でまかなわなければならないのであります。それに対しましてただいままでに大蔵省その他と話し合いをつけておりますのは、別の表の一ページを見ていただきます。Aの資金調達計画、そのちょうど中ごろに合計という欄がございます。世銀から三十六億を初年度七億七千、次年度十七億、三年度九億、四年度一億、それから五年度、六年度というように三十六億を借ります。それから国庫負担というのは、一番最後の四ページを見ていただきますと(参考)国庫補助率というのがございます。ただいま農林省が行なっております土地改良施設の国営、県営、団体営、その他に分けまして、それぞれの国庫負担率がきまっております。その国庫負担率に基いて国庫が負担すべき額を計算しますと百十七億になるのであります。それから三十年度受け入れの余剰農産物の見返り円資金が二十四億五千万円、それだけが一応めどがはっきりしている金でありまして、事業資金合計三百二十一億からただいまのものを差し引いた金額を預金部その他から借り入れなければならないのであります。すなわち百四十三億六千万円を預金部その他から手当しなければいけないのであります。われわれといたしましては来年度以降も余剰農産物による見返り円が相当使えることを期待しているのであります。それが来ることになりますれば、その分だけ見返り円の項目がふえてくることになるのであります。さらにまた国庫負担額は一応ここでは三十一年度三十二億、三十二年度二十七億、三十三年度二十八億、三十四年度十九億、三十五年度九億というふうに予定しておりますが、その分が来年度以降従来の食糧増産費のワク外でとれない場合には、余剰農産物なりあるいは預金部の資金をそちらに充当いたしまして、国庫負担分は後年度において長い期間に分割して繰り入れてもらうことにして、既存の地区あるいは新しくこのほかに事業を着手する金について一般会計にこの費用が悪影響のないようなことをいたしたいと思っております。そういたしまして多少説明がこまかくなりますが、たとえば世銀の金については建設期間の利子を建設まで五年間払わなければいけませんが、それは三十六億に八億六千を足す。つまり四十四億という金について年賦償還をすることにしております。さらに見返り資金の分につきましては見返り資金償還引当金、これは特別会計に三年間は利子を払わなければならない。四年目から元本の償還一億七千万を払うということになります。利率は一応四分で計算しております。その金等がありまして、それを元にして第二の負担金の徴収区分というところを見ていただきたいと思います。B、第二ページであります。今の元金を国庫、県、農民、電力、水道に区分けしたのであります。事業費の欄で見ていただきまして、一番左の総事業費、国が負担すべきものが、当初いる金が百二十五償七千三百万円、県が負担すべきものが三十七億五千八百万円、農民が負担すべきものが八十一億六千万円、合計いたしまして二百四十四億九千百万円、電力が十九億一千六百万円、水道が三十六億二千三百万円、合計三百億三千万円かかるのであります。その次の欄の一番下にあります十九億一千万円、この機械残存価格をそれぞれ今の費目に按分して控除いたしまして、純粋に国庫、県、農民が負担すべきものは、第三番目の純事業費という欄であります。それは国庫の小計が百十七億一千八百万円、県が三十五億二千二百万円、農民が七十四億六千四百万円、合計二百二十七億四百万円になります。電力が十八億五千三百万円、水道が三十五億六千三百万円で、純事業費としては二百八十一億二千万円になるのであります。それに建設利息を加えまして元利合計の欄が出まして、それから年償還額を出しますと、県の年償還額は四億四千四百万円、農民の年償還額が九億三千三百万円、電力の年償還額が二億八千三百万円、水道の年償還額が三億七千七百万円ということになります。  その次は、公団事務費の負担の額であります。公団事務費につきましては、農民の負担は、国営事業その他をやる場合には当然国庫の負担になっておりますので、国庫及び電力、水道で負担さして、農民には負担をかけない、こういうふうな計算をしております。そうしますと事業費と公団事務費の負担で、県の負担及び電力、水道の負担はふえますが、農民の負担はふえないということになります。  償還の条件は、国営につきましては利率五%、事業完了後十年均等償還、団体営につきましては、ちょっと不明確でありますが、六・五%の事業完了後十五年均等償還、それから開墾費につきましては三分六厘五毛の十五年均等償還、電力については九%の二十年償還、水道については六・五%の二十年償還、こういうふうに一応計算しておるのでありす。この費用をそれぞれ負担するものの年次割の償還計画は、次のCの償還計画の欄であります。
  78. 綱島正興

    綱島委員長 ちょっとB負担金徴収区分のうちの総事業費三百億三千万円ですが、これは別のには三百二十一億ばかりになっておりますが、これは事務費を引いたものですか。
  79. 渡部伍良

    ○渡部政府委員 これは公団事務費の二十億九千八百万円を引いたやつです。  そうしますと受益者の負担額というものは、次の表にありますように県が負担すべき総額が四十三万億二千百万円、これは前の表の元利合計、県の分の四十一億七千七百に公団事務費の一億四千四百を足したものになります。農民の負担が今の元利合計の欄で八十一億二千八百万、電力の負担が二十五億七千九百と公団の事務費を合した二十六億九千四百、水道が同じような計算で四十二億五千百万、それを下のような年次で償還していくのであります。そうしますと公団の経理状況では、一番右の欄で剰余金運用というのがありますが、これによりまして毎年累計の利益を五分五厘で運用していくということにいたしますと、二十年後には四十三億の利益が出てくるという一応の計算をしております。この累計欄の一番右にあります十九億一千万、これを五分五厘で運用していきまして、毎年そういう計算をしていくのでありますが、一年ごろから多少赤字になるのであります。そういうことは十年までは農民の負担額の償還のところに毎年九億三千三百万円償還しておりますが、これは国営事業相当する部分の負担額であります。十一年から国営事業の負担の償還が済みますので減ってくる、そういう関係がありますのと、こういうふうな一応利益を見ておりますのは、長い大きい事業でありますし、年度の途中において償還が災害その他でおくれるというようなことも考えなければなりませんし、これらの点におきましても償還について多少の危険負担を見込んでおかなければならぬ、こういうような点からある程度余裕のある計算をしております。  以上事業計画資金計画を御説明申し上げたのでありますが、問題点について二、三、申し上げます。まず最初にダムを牧尾橋に作るか、二子持に作るかということ、あるいはダムをコンクリートにするか、ロックフイルにするかということについて、日本の技術者の間に相当問題があったのであります。先ほど申し上げましたように、ロックフイル・ダムというものが、世界の進歩した技術、進歩した機械力、そういうもので非常に経済的にできるというところから、ロックフィル・ダムを採用することにいたし、牧尾橋にするか、二子持にするかということについては、——牧尾橋というのは上流地点でありますが、そこでは炭酸ガスが出るとか、あるいは断層があるとか、今までの技術ではそういう問題を処理することが非常にむずかしいということであったのでありますが、これらも新しいボーリングの機械とかあるいは新しく断層を詰める方法というものを教えられまして、私の方でも去年から、今年の春にかけて、数人の技術者をアメリカに派遣して実地に調査させ、あるいはまたアメリカのエリック・フロアというエンジニアを世界銀行の指名により連れてきまして、そういうものは十分処理できる。ただ問題は牧尾橋にすると二子持よりも同じダムの高さで水量が減る、そういうところが問題になったのでありますが、当初の計画に比較しまして、下流の受益地域の貯水池を他に振りかえるのを減らして洪水時に余り水を貯水池に入れるということにしましてその問題を解決し、さらに水没農家、水没する耕地あるいは現地で見ていただくことになると思いますが、森林軌道のつけかえというふうな問題がありまして、どうしても牧尾橋の八百八十メートルの高さということにきまったのであります。  第二点は、このダムを作ることによって従来の水利権が侵されることになりはしないかという問題があったのであります。これは御承知のように犬山以下に木津、宮田、羽島等四つの大きい用水があるのであります。それが最近の河床の沈下によりまして、取り入れが困難になってしまう、しかしそれはここにダムを作ることによって下流に放流する水を減らすことでありませんので……。
  80. 綱島正興

    綱島委員長 農地局長、本会議が始まって、議長から委員会を停止して出席するようにという催告がありましたから、委員会はこれをもって一時休憩いたしまして、本会議終了後ただちに本委員会を継続することにいたします。  暫時休憩いたします。     午後三時三十三分休憩      ————◇—————     午後六時二分開議
  81. 綱島正興

    綱島委員長 これより会議を開きます。  休憩前に引き続き愛知用水公団法案及び農地開発機械公団法案を一括して議題に供し審査を進めます。渡部政府委員
  82. 渡部伍良

    ○渡部政府委員 愛知用水公団法案関係につきましては、一応先ほどの説明をもって御了承願いまして、次に農地開発機械公団法案関係につきまして御説明申し上げます。  御承知のように、終戦以来国内入植事業が非常に進展してきておるんでありますが、だんだん新開地がおおむね火山灰地であるとかあるいは気候のよくないところ、そういう場所が残されておりまして、従来の穀菽農業を主とする新しい開拓地がだんだん減ってきております。そういう場所に乳牛を主体とし、これに一部穀菽農業を組み合せたような入植形態が、昨年、一昨年の冷害等の例に見ましても非常に成功しておる。乳牛を主とするところでは、冷害等についても、これを切り抜けるのに非常に役立った、こういうふうな例もあります。たまたま世界銀行の農業調査団が昨年来日して、日本の農業開発について調べましたところ、急速に機械力をもって開墾すれば、従来の手開墾を主とするのでは間に合わなかった、畜産を導入することによる経営面積の増加をカバーして、容易にそういった形態の入植ができるという示唆を受けたのであります。非常に熱心に勧奨がありました。私どもの方でも、急遽従来から問題にしておったのを掘り下げて、これを実施することにいたしまして、まず北海道の根釧地区、根室の北方別海村に一ヵ所、青森県の上北郡の野辺地の東方に一ヵ所試験地区を選定いたしまして、ここに機械開墾を実施することにいたしたのであります。  それと同時に、もう一つ、これは従来から問題になっておったのでありますが、北海道その他を主とする数十万町歩に及ぶ泥炭地の改良が話題になったのであります。これにつきましても、戦後進歩した土木機械を導入することによって、急速に土地の改良ができるということを世銀の農業調査団の方から話がありまして、これは北海道石狩川沿岸の篠津の地区を取り上げて開発を行うことにいたしたのであります。当初われわれとしては、試験的な意味が非常に大きいので、特別会計を作ってやりたいという希望でありましたが、世銀等の農業調査団の意向は、オペレーターをつけた機械をセットとして持つような事業団を作った方が能率的であるというような意見もあったのでありますが、それらを参照しまして、愛知公団の場合と同様、余剰農産物見返り円の関係も確定いたしましたので、農地開発機械公団というものを設立しまして、今言ったような事業実施することにしたのであります。  公団の事業の内容は、大別して三つに分れるのであります。一つは、世界銀行から約八十六万ドルの借款を得まして、従来より高能率の機械を輸入して、それに国産のトラクターとか、そういうものを合併いたしまして、先ほど申し上げております根釧地区、上北地区の機械開墾を行なっていくというのが第一点であります。根釧地区では開墾面積三千四百三十一町歩、上北地区では四千三百二十町歩手をつけるということになっております。さらに、御承知のようにこの地区では、冬季間積雪等のために、機械を寝かさなければいかぬというようなこともありますし、この地区以外の近までも、機械のあいているときには機械開墾をやろうということでありますので、第二段といたしましては、それらの保有する機械を他の開墾地区に貸すということ、それからまた特に泥炭地開発用として、二百九十一万ドルの借款を得て機械を購入し、篠津の国営事業所にこれを貸与しまして、篠津地区の泥炭地の改良をやっていく、こういうのであります。すなわち、機械を貸与しようというのが一つ事業であります。  第三点は、根釧地区及び上北地区等の事業実施する上におきまして、余剰農産物見返り円を受け入れて、この金をもとにしましてこれらの地区の建設工事をみずからやり、あるいはさらに国に再委託をいたして実施する。すなわち農林省、北海道開発庁に工事をやらすための資金を受け入れる仕事をやる、こういうのが機械開発公団の事業であります。  その事業資金といたしましては、農地開発機械公団の概要の二ページを見ていただきますと、篠津地区に四億三千九百万円、上北地区に四千八百五十万円、根釧地区に四千八百五十万円というものを配当いたします。そのほか公団費用一千四百万円を合せまして、五億五千万円をもとにしまして篠津、上北、根釧の三地区の仕事をやっていく、こういうふうになっております。  機械開墾の年度割別は、上北と根釧の床丹地区は第三ページにある通りであります。  まずこの表の読み方を言いますと、入植一、二となっておりますが、一の方は荒起しで、三年目からその地区をさらに本開墾をやっていく、そういう計画になっております。  第四ページでは、その合間を見まして、機械の余裕のある限り他の地区にも貸与しようという予定であります。それの年次別計画を作っております。その機械の購入計画は五ページに出ております。それに要する資金計画として、年次別の事業資金が六ページに出ておるのであります。この事業資金の総計といたしましては、第一に篠津地区は十七億五千二百万円、上北地区は九億一千万円、根釧地区は九億四千九百万円、それに公団の事務費として四億三千九百万円を合せまして、四十億五千万円になっております。そのうち十三億六千万円が世銀借款で、二十六億九千万円を見返り円その他の資金でまかなうことにいたしております。第七ページにその内訳が書いてあるのであります。公団の借入金としましては世銀が十三億六千万円、見返り資金で本年度きまっているものだけ計上しまして五億五千万円、その他資金運用部等から借入金として四億を期待しております。これは来年度以降であります。委託費として六億四千二百万円であります。これも三十一年度以降の計画になっております。開墾費は七億七千九百万円で、上北が四億二千七百万円、根釧が三億五千二百万円であります。貸付料、機械の貸付料として、これは先ほど説明いたしましたように、開墾用と篠津地区に貸し付けるものが三十六億、合計六十九億ということになっております。その年次別につきまして表に示してあります。  第九ページに償還計画を掲げております。世銀は六ヵ年据え置きで二十六年償還にいたしております。見返り資金につきましては来年度以降の見返り資金とにらみ合して再検討を加えることになっておりますが、この計画は一応五ヵ年間で一般会計から繰り入れて返すということにいたしております。  以上非常に大ざっぱな概要でございましたが、しかしこの公団は機械開墾を試験的に、有畜農を主として急速にやっていく、そして新しい日本の将来の開拓の一つの部面を開いていこう、こういうのが一つの重点であると同時に、残された泥炭地の改良について特別の新しい方法を生み出そうというのがもう一つのねらいであります。 簡単でありますが、以上御説明を終ります。
  83. 綱島正興

    綱島委員長 愛知用水公団及び農地開発機械公団法案に対する説明を求めることはこの程度にいたしておきます。     —————————————
  84. 綱島正興

    綱島委員長 次に自作農維持創設資金融通法案を議題といたし、審査を進めることにいたします。まず政府側よりこの法案の大綱の説明を求めます。
  85. 渡部伍良

    ○渡部政府委員 自作農維持創設資金融通法案の提案理由につきましては先般御説明申し上げたのであります。この法案を提出した点について特に問題となる点を一、二補足説明させていただきます。  農家の経営改善維持につきましては、農作物の価格とか、あるいはいろいろな金融制度、協同組合金融というもので出ておりますが、農地改革後自作農になって、これから戦後の混乱状態を離れて、自立農家として達成するためにいろいろな金が要ることになるので、その際既存の制度では不十分であるという点をねらったのがこの案であります。たとえば災害がありましたときに、一定規模以上の農地なり、農業施設については国庫の補助があり、農林漁業金融公庫の金が借りられるということになっておりますけれども、個人の農地が流失し、それが一定の規模以下のものでは、個人みずからの手で直さなければならない。それにはどうしてもどこかから金が来なければならぬ。ところがなかなか金ができないというような場合がある。あるいは疾病によるところの金が要る、あるいは相続によって金が要るというような場合に、農家が成り立っていくための必要な資金を得る一つの方法として、このせっかく持っておる土地をカタにして金を借りたい、そういう人にその道を与えて、それに対しては特別に国の安い資金を融通しようというのがこの根本のねらいであることは申すまでもないのであります。  問題になります点は、農地だけしかないような弱い農家が農地を担保に入れ、もし金が返されなければその農地を競売にして取られてしまうということが工合が悪い、こういうふうな意見があります。そういうことのないように私の方では各条において配意をいたしまして、農家の経営計画等について特別に府県当局等から指導させて、そうしてその金がほんとうに生きて働くというふうな指導ができることをこの法律では中心にしておるのであります。現在の状況で見ますと、せっかく自作農になったけれども日本の農家人口と農地の比率から十分な土地が得られないために、さらに畜養施設等をやりたくても対人信用ではなかなか金を貸してくれない。金を貸してくれても非常に高い利子になっておる例が非常にあるのであります。そういう場合には、農地だけしか担保にできない者に対しても長期の安い金が借りられるような制度を作ってもらいたいということは、ここ数年来の要望であったので、そのために従来の自作農創設特別会計の余裕金で実施してきたのでありますが、その金も三億とか四億という少い金で、とうてい農家の要望を満たすわけにはいかなかったのであります。この際二十億を公庫の別ワクに作りまして、それでもってそういう農家の要望を満たしたいというふうに考えておるのが第二点、われわれとしましては二十億程度の金で満足しておるわけでなく、来年度以降については、これについて相当の増額をはかりたいと思っております。借入金の償還ができない場合に抵当権を設定しておるのですが、抵当権を実行することができるというのが非常に強く響いておりますけれども、先ほど申し上げましたように、経営安定計画の樹立実行を勧奨し、これを指導実行するということにこの法律は重点を置いておりますので、抵当権の実行については、極力そういうことの起らないようにいたしたいと思うと同時に、災害等で正当の理由によって借入金の償還ができない場合には条件緩和というようなこともできると考えておるのであります。  さらに第三点としましては、上級農家は信用があって金ができるのであります。これは中級以下の農家に金が行くような行政指導をしていきたい、こういうふうに考えております。  提案理由につけ加えまして、申し上げたい点は、大きく言って以上の程度にとどめたいと思います。
  86. 綱島正興

    綱島委員長 質疑の通告がございますからこれを許します。平野三郎君。
  87. 平野三郎

    平野委員 ただいま議題となりました自作農維持創設資金融通法案につきまして重要なる点二、三について政府の所信をただしたいと存じます。農林大臣にお尋ね申し上げたいのでございますが、お見えになりませんので政務次官並びに農地局長にお尋ねを申し上げます。  まず第一に、本制度は多年にわたる日本の農業の基本問題に触れるものであり、また農村の強い要望であったのでありまして、鳩山内閣が成立とともに、政府はこの農地担保金融制度を実施する、こういう説明をいたされておったのであります。当初の御構想では農地銀行を作る、こういうような宣伝も相当行われており、私どももいささか期待をいたしておったのでございますが、今回御提案になりましたものは、その当初の御構想とはだいぶ違って参ったようであります。この間に関するところの政府の御見解並びにその経緯等につきまして御説明いただきたいと存じます。
  88. 吉川久衛

    ○吉川政府委員 ただいま平野委員の御指摘になられましたように、農地開放が行われまして、自作農が創設されたのでございますが、その当時において農村金融の問題が農地開放の裏づけとして考慮さるべきものであったと思うのでございますが、それが行われないで今日まで参りましたので、零細なる中小の自作農は再び転落をして、農地開放の成果が維持されないというような危険な状態が出て参りましたので、ここ数年来各方面から要望もされ、また政府その他の方面においてもいろいろと研究をされてきた問題でございます。そこで農地担保金融公庫法案とかあるいは特殊金融銀行制度とかいうようなものが、御質疑の中にありましたように確かにあったのでございます。資金ワクが相当大きなものを当初から考えていたのでございますが、種々の事情でその資金ワクが初め考えたほど多くを確保することができなかった関係で、独立機関として発足するためにはいろいろの不経済な面が考えられますので、農林漁業金融公庫の中でこの仕事をやらせるというような考え方になってきたわけでございます。ことに当初の案におきましては、農地の取得、維持、細分化防止のための資金のほかに農業用の施設の改良、造成、復旧または取得のための資金もあわせて融通することを考えておりましたので、当初農地担保資金融通法案としてこの国会の初めごろまで考えていたのでございます。ただ性質を異にする二つの資金を融通する場合の共通点が、農地を担保に徴することでありますので、農地担保資金融通制度と称したのでございますが、その後いろいろ検討を加えて参りました結果、農業用の施設資金は生産力の維持増進を目的とする公庫本来の業務とすることが適当であるとの結論に達しましたので、この法律では農地の取得、維持、細分化防止のための資金融通のみを規定することにしたのでございます。従いまして法律の名称もその実態を端的に表現するために自作農維持創設資金融通法案といたした次第でございます。
  89. 平野三郎

    平野委員 ただいまの御答弁によりますと、本年度財政事情その他によってわずか二十億程度である。金額が少いので独立機関をつくるまでには至らない。一時農林漁業金融公庫を通じて特に農家の転落防止を主眼に置いてやるということでありますが、しからば今後その資金のワクが拡大せられて参るという見通しのもとに将来にわたっては独立の機関を作っていこう、こういうお考えと思いますが、さように理解してよろしいわけでございますか。
  90. 吉川久衛

    ○吉川政府委員 その通りでございます。
  91. 平野三郎

    平野委員 本案によりますと、農地を担保に取って抵当権の設定をいたすわけでありますが、同時に農家の安定計画というものを作って、それが都道府県知事の承認を得た場合においてこの融資ができる、こういう御構想のようであります。そういたしますと二重の保証を農家に対して要求する、こういう形になっておりますが、もちろん農地担保金融でありまするから抵当権の設定は当然でありますが、それであるならば農家の安定計画を作って、しかも都道府県知事の承認まで得なければならぬ、そこまでの必要があるかないかという点において若干の疑問がありますが、その点はどのようにお考えでございますか。
  92. 吉川久衛

    ○吉川政府委員 農業経営の安定計画を徴しますことは、平野委員も御案内の通り、このような金融は指導金融でございますから、営農指導をやっていく上に参考にしていきたいという意味をも加えておりますので、借り受ける農家の将来の経営の指導等を考慮いたしますと、こういう点も特に見ていきたいということでありまして、そのために決してその農家に貸し出しをむずかしくするとか、あるいはむずかしい条件となるような考え方ではございません。
  93. 平野三郎

    平野委員 そういたしますと各農家に対する融資のワクと申しますか、大体金額はどの程度というお考えでございますか。
  94. 吉川久衛

    ○吉川政府委員 一農家最高二十万と予定をいたしております。
  95. 平野三郎

    平野委員 もしこれがかりに農家の経営がまずいというようなことがあって償還ができない、いわゆる担保流れになるというような場合は、公庫が競売に付することにいたすわけでありますが、これは農地法によって国以外には取得できないということであり、その場合農地法によって農地の価格が制約せられておるわけでありますから、従って公庫としてはそこに赤字を生ずる、こういうことになると思うのでありますが、その点に対してはどういうふうにお考えになっておられるわけでありますか。
  96. 吉川久衛

    ○吉川政府委員 借り受けた農家に農業経営の安定計画を樹立実行させることによりまして、抵当権の実行は極力回避することに努めていきたいと考えております。また農家が借入金の償還を怠った場合でありましても、それが災害その他正当な理由によるものでありますならば、この法律の中にありますところの期限内におきましても条件緩和の措置をとるようにしたいというのであります。また農業経営安定計画を誠実に実行しなかったとか、償還金の支払いを怠ったような農家につきましては、最後の手段として抵当権を設定した農地を競売に付するということもまたやむを得ないのではないかと考えます。
  97. 平野三郎

    平野委員 農地局長にちょっとお尋ね申し上げますが、昭和二十五、六年ごろであったと思いますが、農林省においてこの農地担保金融に対する農家の要望について調査せられたことがあったと思うのです。そのときの御調査のおよその点でよろしゅうございますが、どういうことになっておりますか伺いたい。
  98. 立川宗保

    ○立川説明員 お許しを得て私からお答えをいたさせていただきます。農家の資金需要の調査をして参ったのでございますが、その際に出て参っておりますおもな点を申し上げます。まず資金の需要量でございますが、これは全国のサンプルをとりまして、それを大体全国に引き伸ばすというようにやってみますと、概算五十億という数字が出ております。それからどのくらい農地で借りたいかということの調査でございますが、現在まで特別会計方式でやっておりますいわば間接の融資、その方法では反当五千円という数字を出しておりますが、この調査によりますと、大体中田で反当り二万円程度ならば適当なところではないかということであります。それから借り受け後に希望する償還期限でありますが、それは非常に長くなるとかえってだらけてしまう、それからあまり短期間でも返しにくい、大体十年ないし十五年の見当が望ましい、こういうような結果が出ております。
  99. 平野三郎

    平野委員 なおいろいろとお尋ねしたいこともありますが、会期もすでに切迫しております折から、私はすでに本会議におきましても質問をいたし、政府答弁も承わっておりますし、足立委員から関連質問の御要望もあるようでございますから、いずれ後ほど本案の取扱いにつきましての懇談の際等にお尋ねすることとして、一応私としては本案に対する質疑をこれをもって終ります。
  100. 足立篤郎

    ○足立委員 ただいまの平野委員質問に関連いたしまして一点だけ農林省のお考えを明白に承わっておきたいと思います。私は特に農地局長に御答弁をわずらわしたいと思います。ただいま平野委員からも御指摘がございましたごとく、政務次官は、万やむを得ません場合には競売にすることもあるという意味の御答弁をなさいました。この制度からすればあるいはこの御答弁も当然であるかもしれません。しかしこの点に重大な要素を含んでいると私は思います。私の見方では、自由経済主義制度と農地統制という異なれるイデオロギーのもとにある制度を結びつけるその接点になる点が一番むずかしい問題ではないかと思います。政治的にもまた事務的、技術的にも非常に御苦心をされた点ではないかと想像いたします。ちょうど木に竹を継いだような制度をこれからやろうとなさるが、木に竹を継ぎ木される農地局の立場として、またこれを今後管理されていく農地局長の立場として、それ相応の確信なりあるいは信念なりがなければならないと私は考えます。そこでただいま問題になりました農地担保という問題がまさにこの接点に当ると思うわけでありますが、ただいま政務次官から御答弁のありましたようなことがもしもひんぴんと行われるとするならば、自作農維持にあらずして自作農破壊法案になるおそれがあるという点を指摘せざるを得ないわけであります。えてして政府から貸ります資金等につきましては、とかくずさんな計画のもとに、そしてまた人のふんどしで相撲をとるような気持で使われがちであります。その結果両手を上げてしまって、何とでもしてくれというような自作農破壊になっては私は重大問題だと思います。自作農をどこまでも維持し、農地開放の有終美を全うせしめるのが農地局長の重大なる責務であると考えますがゆえに、この点につきましていろいろと御苦心をなされ、御研究の結果この法案が出ていると思いますので、その間の事情をこの際つぶさに、しかも明白に御答弁を願い、いろいろ心配される向きもありますので、この機会に明らかにされんことを望みます。
  101. 渡部伍良

    ○渡部政府委員 御指摘の通りその点が最も解決に困難な点であります。この案は先ほど政務次官が御説明申し上げましたように、農家の経営の指導に重点を置きまして、その金が有効に生きることに重点を置いてできておるのでありまして、お話のありましたように、政府資金が有利で安易で低利であるならば、ただでもらったように感じ、あるいはそういうことを言う人もないではないのでありまして、それがいけないということはもちろん、こちらの意図するところと全く逆になりますので、経済安定計画の樹立なり、農業委員会なり県の指導ということを考えると、これは普通の金融とは違っております。しかしそういった担保をつけるのは、やはり私どもの方の一つのねらいとしては、借りたのだから返さなければならぬのだ、農地が担保に入っているのだということで、これはやはり経営をやっていくのですから、それを自己の力でなく、国なりそのほかの力でやってもらっているということを絶えず反省する材料にして、念頭に置いてもらいたいというのが担保をとるゆえんであります。従って政務次官が説明いたしましたように、災害であるとか病気であるとか、だれが見ても一生懸命やっているのだが返せないというような場合には、条件緩和等をやって更生をはかっていきたいと思っております。一方それと反対に、国の金だから返さぬでもいいのだというようなことが万一起った場合には抵当権を実行しよう、こういうことを政務次官は説明されたのであります。しかし一方もう一つの点から見ますと、現在の農地の売買価格は勧銀等の調査によりますと十万円内外の平均で出ております。高いところは三十万円とかなんとか言っております。私の方では大体時価の三分の一程度、すなわち二、三万円の範囲内において担保価値を設定して金を貸そうというふうに考えておりますが、そうしますとかりに抵当権を実行しようとしましても、実行する前にいよいよとなれば、一反歩なら三畝売って、その金で払って七畝は手に残せるということもできますので、抵当権を実行するということはよくよくの場合でないと起り得ないという想定のもとにこの案ができておるのであります。途中の案では、抵当権を設定すると、その抵当権の流れは常に国に帰属する——現在の農地法では第三条の許可を得れば自作農として成り立つ人が競売に参加することができますので、第三条の許可だけで事実上は国だけに帰属することになっておりません。それを国だけに帰属するというような案も考えました。また抵当権の流れを持つものは、農業協同組合とか特殊の組合だけが持てるようにして、従来耕作しておる人にその耕作を続けていかしたらというような案も考えましたが、先ほど申し述べましたように、抵当権を設定するゆえんは、一つは抵当権を設定することによって農業経営に励んでいくという反省材料、しかも抵当権を執行するチャンスが起ることは、現在の情勢では先ほど御説明いたしました通り、ほとんど起らないというふうな考え方から、法律の建前としては現在のような法律の建前におっつけたのであります。
  102. 足立篤郎

    ○足立委員 開放された農地制度のもとにおいて、いわば行き詰まらんとする困っている農民を救うために、この法律を通し、この制度を設けようという。しかもさっき申し上げた通り、これは木に竹を継いだようなものである、その運用は非常にむずかしい。そこで私はその責任者である農地局長に、この運用上につきましてはよほどの腹がなければならぬと思うのです。それを私は伺っている。その点の御答弁を特に要求したいのでありますが、私の気持をもっとかみ砕いて申し上げますと、これは私は非常にむずかしいと思うんです。なぜかなれば、政府としては自作農破壊という非難を受けるような抵当権を執行するようなことにはしたくない。従ってあらかじめ出される計画等につきましては、相当緻密に検討をされるだろう、これもある程度は当然でありましょう。しかしこれが行き過ぎますと、逆効果になって参りまして、ほんとうに救われなければならない農民は金が借りられない、むしろ他の方法によっても資金を調達し得るような力のあるものだけが、この恩恵に浴するというような弊害が起ってきはしないか、実は自作農を維持するために、そのレベル以下のものを救わなければ、この法律案を通す意味がないということになりはしないか、そこであなた方がどういう御工夫をなさり、どういう方法で今後おられるかという点なんです。私のちょっと気のついたところを申し上げますと、たとえば農業委員会が町村にあります。これが中心になりまして、ある程度貧農でも金を借りられるように、団体協約といいますか、連帯制か何かの方法をとっていくというような手をお考えになったことがあるかどうか、またそういう方法ができるかどうかという点もあわせて御答弁を願い、こういう何らかの方法によって私どもの指摘した貧農が実際に救われるよう、そしてまた実際には抵当権の執行というようなことの起らないように、その辺の運用を緩急自在を得てうまくやっていただく腹を持っていただかなければならぬ、そうでなければこの法案はうっかり通せない、かように私は思いますので、重ねてお伺いいたします。
  103. 渡部伍良

    ○渡部政府委員 お話の点は、われわれも注意をして、一々ごもっともの点であります。まず第一に、ほかの方法でも金が借りられるようなところにこの金が流れては何にもなりませんので、これは客観的に、地方によっても違いますが、何反歩以上持っている人には原則として貸さないというような運用方針をきめたいと思います。さらに現在の状況を見ますると、こういう低利資金の制度がないから、勢い高利でなおかつ土地を担保に入れて金を借りている例が相当あるのであります。そういう人は、この制度ができれば、十分こちらの方で救えることになると思います。さらにこの連帯保証等の考え方につきましては、これは公庫法の個人施設資金の方につきましては、土地の担保かあるいは連帯、すなわち施設をやろうというような積極的な経営安定策でありますので、個人の連帯保証で、一緒はたとえば共同出荷施設をやるとかなんとかいうので、連帯保証の上で金を借りることができると思いますので、連帯の制度を置いておりますが、本制度ではそういうこともなかなかできない。土地だけしか信用力がない人に優先的に金が回るように、こういうふうな心組みで運用していきたいと思います。
  104. 綱島正興

    綱島委員長 久保田豊君。
  105. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 この法案が日本の農村の一番基底に及ぼす影響というものは非常に重大だと思うのであります。これはおそらく提案をされた政府におきましても、特にこの問題を扱われる農地局等においては、かなり深刻にお考えになっておると思います。従いましてこの法案に対しまして、われわれ審議する場合には、目先でもってやるだけでなく、いろいろな連関を十分に考えて、審議をいたさなければならぬと考えるわけであります。私は本日は時間がありますれば、いろいろと御質問申し上げて、ただしたい点がたくさんあるのでございますが、これらの点については一切次の機会に保留させていただきます。  そこでこの法案の審議に入ります前提として、一般的条件について特に農林省当局から資料の御提示をまずいただきたいと思うのであります。お願いいたします資料の第一は、最近の——これは最近非常に変ってきつつあるようでありますが、ごく最近における全国各県の、また田畑に上中下といろいろありますので、そういう種類別の実際の土地価格、いわゆる法律で縛られてない実際の土地価格がどういうふうになっておるかということをまず一表にして配っていただきたい。  第二の資料は、最近二、三年の間における土地売買の実績。これはおそらく農林省には、やみ売買が非常に多いので、来ておらないと思いますが、それにしてもある程度来ておるのじゃないかと思います。そこでそれも各県別、種類別に売買の実績。特にそれを分けてお願いをいたしたいのは、第一に、どういう者がどれだけ土地を取得しておるか、取得した方の土地の価格はどのくらいになっておるか、それからその理由、経営の拡大のために必要として取得したのかどうか、そういう点と、取得した者がどのような階層であるかという点がわかりましたら、これまた一表にして配っていただきたい。同時にその裏でありまする土地を売った者。これは全国的にどういう土地が売られておるか、それはどのような階層が売っておるか、大体どのくらいの価格で売っておるか、さらに土地を売る原因はどのようになっておるかという点の調査を、これは農林省独自の調査が多分あられると思いますが、それと同時に他の勧銀その他の調査もあられるならば、これも参考に出していただきたい。  さらにもう一つは、今までありました自作農創設資金、五千円か貸せる、あれの府県別の実績を、できれば整理をして出していただきたい。なおそれについては、申し込みが大体どのくらいあるかという点もあわせてお願いしたいと思います。  第五の資料は、最近農林省が小作料設定のため全国の土地調査をやられた、その土地調査の結果を集約されて、やはり府県別、種類別に出していただきたいと思います。  第六の資料は、最近農村において長期担保のやみ金融が相当行われている。これは農協で貸してくれないため、実除は高利貸その他いろいろな形でこの長期金融が行われておる。これの実態——つまり土地の売買、担保等の調査があればお出し願いたい。正確なデータがなければ推測でもけっこうです。  以上六つの資料について、ごめんどうでしょうが、できるだけ正確なものを一覧表の見いいような形にして配付していただきたい。おそらくわれわれは二十五日に帰ってきて、二十六日からこの法案の審議に入ることになろうかと思いますので、それまでにお出し願って、それに基いていろいろ私ども質問を展開したいと思います。委員長においても、以上のようなお取り計らいをいただきまして、なお本格的な質問はそれまで保留をいたしますから、御了承を願います。
  106. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 私もついでに資料をお願いします。それは農家の負債調べを、これも一つできるだけ詳しくお願いしたい。それからさっき局長は、現在いろいろな不自由を忍んで農地を担保にして、しかも高利で負債をしておる者が相当あると言われましたが、これはやみ金融に属するものでしょうから、お調べはなかなか困難だろうと思いますが、できるだけこの方面の数字をあげての資料をいただきたい。同時にこれらの借金のために担保が流れた場合、抵当権が執行されて訴訟に及んだ場合の判決の結果等についても、資料を一つお願いしたいと思います。
  107. 吉川久衛

    ○吉川政府委員 ただいま久保田委員、淡谷委員から資料の御要求がありましたので、できるだけ整えて皆様のお手元にお配りいたしますが、委員長にお願いいたしますが、他の委員各位からも資料の御要求がございましたら、この機会に一緒に伺わせていただければ準備の上で好都合と存じます。
  108. 綱島正興

    綱島委員長 政務次官に委員長からお答え申しますが、大体以上で資料の要求はないようですから、以上の資料を、私どもが帰ってきてからの審議に間に合うようお出し願いたいと存じます。  ちょっと速記をとめて……。     〔速記中止〕
  109. 綱島正興

    綱島委員長 速記を始めて下さい。  足鹿委員より発言を求められております。足鹿覺君。
  110. 足鹿覺

    足鹿委員 お諮りをいたしたのでありますが、ただいま審議中の自作農創設維持資金融通法案の審議に当りましては、わが国の農地制度の根本にも触るるきわめて重要な法案であることにかんがみまして、日程も非常に詰まっておるようではございますが、学界等適当な参考人を招致いたしましてその意見を徴し、審議に資したいと存じますので、委員長においてお諮りの上、さようにお取り計らいを願いたいと思います。
  111. 綱島正興

    綱島委員長 ただいま足鹿委員から、本法案の重要性にかんがみ、その道の権威者を数名本委員会に参考人として出頭を求めまして、意見を求むる件を諮られたのでありますが、このことに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  112. 中村時雄

    中村(時)委員 それについて一つお願いがあるのですが、実はその参考人の中に、田辺勝正さんが昔農地部長をやっておられて、在来この農地改革に伴って農地問題の権威者であることは万般認められておるところでありますので、ぜひともその一人に加えていただきたい。これをお願いいたします。
  113. 稲富稜人

    ○稲富委員 ただいまの参考人の人選に対しましては一切委員長におまかせしたいと存じます。
  114. 綱島正興

    綱島委員長 さようでございますれば参考人の選定及び意見聴取の日時等は委員長に御一任願われましょうか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  115. 綱島正興

    綱島委員長 しからばさようにいたします。  この際委員長においては、今月二十六日午前十時より参考人の意見を求めることにいたしたいと存じます。  なお参考人としては大槻正男君、大内力君、東畑精一君の御三名は、いずれもその道の権威者のようでございますから、右三名を参考人として御出席を願うことにいたしたいと存じます。万一問い合せの結果右三名の参考人のうち特別なる事情によって、当日出頭不可能な人等が出ましたときは、他の適当な人を選定したいと思いますので委員長に御一任願われましょうか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  116. 綱島正興

    綱島委員長 それではさようにいたします。     —————————————
  117. 綱島正興

    綱島委員長 この際お諮りいたしておきます。ただいま理事が一名欠員でありますので、この際理事補欠選任を行うことといたしたいと思いますが、これについては委員長において指名いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  118. 綱島正興

    綱島委員長 でございますれば、この際安藤覺君を理事指名いたします。     —————————————
  119. 綱島正興

    綱島委員長 次に小枝一雄君外一名提出農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたし、審査を進めたいと存じます。  本案について質疑はございませんか。     〔「なし」と呼ぶ者あり〕
  120. 綱島正興

    綱島委員長 この際中馬君より修正案のことについて発言を求められております。これを許します。中馬委員。     —————————————   農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案  農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。  第三条第三項の改正規定の前に次のように加える。  第一条中「及び漁港施設」を「、漁港施設及び共同利用施設」に改める。  第二条中第四項を第五項とし、以下一項ずつ繰り下げ、第三項の次に次の一項を加える。  4 この法律で「共同利用施設」とは、農業協同組合、農業協同組合連合会、森林組合、森林組合連合会又は水産業協同組合の所有する倉庫、加工施設、共同作業場及びその他の農林水産業者の共同利用に供する施設で政令で定めるものをいう。  第三条第二項に次の一号を加える。  五 共同利用施設に係るもの 当該災害復旧事業事業費の十分の二     —————————————   修正の結果必要とする経費  本修正の結果必要とする経費は、本年度約六千万円の見込である。     —————————————
  121. 中馬辰猪

    ○中馬委員 私は農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案を提出せんとするものであります。   農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。  第三条第三項の改正規定の前に次のように加える。  第一条中「及び漁港施設」を「、漁港施設及び共同利用施設」に改める。  第二条中第四項を第五項とし、以下一項ずつ繰り下げ、第三項の次に次の一項を加える。  4 この法律で「共同利用施設」とは、農業協同組合、農業協同組合連合会、森林組合、森林組合連合会又は水産業協同組合の所有する倉庫、加工施設、共同作業場及びその他の農林水産業者の共同利用に供する施設で政令で定めるものをいう。  第三条第二項に次の一号を加える。  五 共同利用施設に係るもの 当該災害復旧事業事業費の十分の二以上であります。趣旨は簡単でありますから省略いたします。
  122. 綱島正興

    綱島委員長 ただいま中馬委員より修正案の提出がございました。これを議題といたします。これに対する御意見はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  123. 綱島正興

    綱島委員長 この際原案並びに修正案について、国会法第五十七条の三の規定により、内閣に対し意見を述べる機会を与えます。内閣において意見があれば発言を許します。
  124. 吉川久衛

    ○吉川政府委員 本件に関しましては、政府といたしましてはおおむね了承いたしております。
  125. 綱島正興

    綱島委員長 では採決に入ります。 まず修正案について採決いたします。修正案について御賛成の方の御起立を求めます。     〔総員起立〕
  126. 綱島正興

    綱島委員長 起立総員。よって修正案は可決されました。  次に修正部分を除く原案について採決をいたします。修正部分を除く原案について御賛成の方の起立を求めます。     〔総員起立〕
  127. 綱島正興

    綱島委員長 起立総員。よって本案は修正案のごとく修正すべきものと決しました。  附帯決議について芳賀委員より発言を求められております。これを許します。
  128. 芳賀貢

    ○芳賀委員 ただいま修正議決されました農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案に対しまして、附帯決議を付するの動議を提出いたします。  まず案文を朗読いたします。    附帯決議   本法案においては、公共性の強い農業用施設について、特にその復旧事業費の負担が一定の限度を超える場合に、その超える部分の一定部分について全額を国から補助することになっているが、政府は、この一定部分の額につき政令を改正するに当つては、その基準を十五万円以内とすべきである。 趣旨の説明についてはこの案文に尽きておりますので省略いたします。
  129. 綱島正興

    綱島委員長 右、芳賀委員の附帯決議の動議に対してお諮りをいたします。これを本案の附帯決議となすことに御異議のない方は御起立を願います。     〔総員起立〕
  130. 綱島正興

    綱島委員長 起立総員。よってさよう決しました。政府の御意見を求めます。
  131. 吉川久衛

    ○吉川政府委員 本決議案につきましては、政府の一部に了承しかねる向きもございますけれども、せっかくの御決議でございますから、これを尊重し、実現に努力する所存でございます。
  132. 井出一太郎

    ○井出委員 明日より四日間にわたりまして、愛知用水視察のため、十数名に及ぶ委員諸君が現地視察に出られるわけであります。この留守中に議員提出法案を数多く参議院の方へ送り込んで、会期末でもありますからその審議を促進していただかなければなりません。その場合に提案責任者が向うへ行って説明を求められるという事態が起るだろうと思うのです。つきましては、委員長においてその法案をよくお調べいただいて、どの法案にはだれが当る、こういうような御配慮をしてお出向きいただければ、法案審議上非常に工合がいいのではないかと思いまして、一言委員長に申し上げるわけであります。
  133. 綱島正興

    綱島委員長 ただいま井出委員から御発議のことについては、委員長において適宜取り計らいたいと存じます。  なおこの際皆様に御報告を申し上げておきたいのでありますが、愛知用水実地調査に参るのは、明日午後九時半東京発急行で名古屋に参りまして、以下名古屋、犬山、牧尾橋等を調査して、二十五日の二十時三十六分に東京の新宿に到着いたしたいと存じます。  本日はこの程度にとどめ、次会は二十六日午前正十時より開会することといたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後七時五十二分散会      ————◇—————