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1955-07-14 第22回国会 衆議院 農林水産委員会 第40号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年七月十四日(木曜日)     午前十時五十四分開議  出席委員    委員長 綱島 正興君    理事 白浜 仁吉君 理事 松浦 東介君    理事 足鹿  覺君 理事 稲富 稜人君       赤澤 正道君    井出一太郎君       石坂  繁君    大森 玉木君       木村 文男君    小枝 一雄君       笹山茂太郎君    足立 篤郎君       川村善八郎君    助川 良平君       田口長治郎君    中馬 辰猪君       松山 義雄君    赤路 友藏君       淡谷 悠藏君    石田 宥全君       楯 兼次郎君    伊瀬幸太郎君       佐竹 新市君    中村 時雄君       久保田 豊君  出席政府委員         農林政務次官  吉川 久衛君         農林事務官         (農林経済局         長)      大坪 藤市君         農林事務官         (農業改良局         長)      小倉 武一君         農林事務官         (畜産局長)  原田  博君  委員外出席者         議     員 平野 三郎君         農林事務官         (農林経済局金         融課長)    和田 正明君         農林事務官         (農業改良局総         務課長)    庄野五一郎君         専  門  員 難波 理平君         専  門  員 岩隈  博君         専  門  員 徳久 三種君     ————————————— 七月十三日  委員中村時雄君及び久保田豊辞任につき、そ  の補欠として小平忠君及び川上貫一君が議長の  指名委員に選任された。 同月十四日  委員戸塚九一郎君、淡谷悠藏君及び川上貫一君  辞任につき、その補欠として中馬辰猪君、和田  博雄君及び久保田豊君が議長指名委員に選  任された。     ————————————— 七月九日  伝貧研究所設置請願本名武紹介)(第三  八二八号)  府中記念特別競馬開催等に関する請願福田篤  泰君紹介)(第三八二九号)  岩手県の農業水害復旧対策確立に関する請願(  小澤佐重喜紹介)(第三八三九号) 同月十三日  精麦用新麦の政府売却価格適正化に関する請  願(三浦一雄紹介)(第四一三三号)  食生活改善に伴うパン食普及に関する請願(茜  ケ久保重光紹介)(第四一三四号)  昭和三十年産米の新米価決定に関する請願(三  浦一雄君外一名紹介)(第四一三五号)  牧野改良事業費国庫補助復活に関する請願(三  浦一雄君外一名紹介)(第四一三六号)  りんごの凍霜害対策確立に関する請願山本猛  夫君紹介)(第四一三七号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案(  内閣提出第六一号)  養ほう振興法案平野三郎君外四名提出衆法  第三〇号)     —————————————
  2. 綱島正興

    綱島委員長 これより会議を開きます。  内閣提出農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案議題といたし審議を進めます。質疑に入ります。質疑通告がございますので、これを許します。足鹿委員
  3. 足鹿覺

    足鹿委員 二、三お尋ねをいたします。先日も非公式に伺ったのですが、これは自作農維持創設資金融通法表裏一体関係にあると言われておったのでありますが、もしかりに自作農維持創設資金融通法が未成立の場合等があったといたしましても、政府においては本法のみの成立によって差しつかえなく運用できるとお考えになっておるかどうか、その点からお尋ねをいたしたいと思います。
  4. 大坪藤市

    大坪政府委員 お答え申し上げます。ただいま足鹿先生は、本法律はさきの維持資金融通法案表裏一体をなしているというふうに言われておりましたが、かりに自作農関係法律成立しなくてもこの法律に差しつかえないか、こういう御意見と思うのでありまするが、御承知のようにいろいろ法律制定経過におきましては、二つ一緒に審議されたのであります。しかしながらでき上りました形といたしましては、全く独立をいたしておる法律であるのでありまして、自作農関係法律とは必ずしも関係がない、かように考えて差しつかえないじゃないかと思うのであります。ただ資金の面で二百六十億本年度公庫が融資をするということになっておりまするが、そのうち二十億を自作農維持資金の方に回し、七億円を本法の改正のための経費に融通するということになっておりまして、そこに資金面におきましては多少関連があるのでありますが、法律自体におきましては、本法規定いたしております通り、新たに、いわゆる個人的な施設にも融通し得るように融通の範囲を拡大するだけにとどまっておるのでありまして、この法律自作農関係法律とは法律自体では全く関係がない、かように申し上げて差しつかえないと思うのであります。従いまして私どもといたしましては、自作農維持創設関係法律が通ることを御期待申し上げるわけであるのでありまするが、万一かりにという話でありまするので、仮定の問題はなかなかわれわれといたしましては申し上げにくいのでありまするが、仮定の問題といたしまして、それが通らなくても、これは本法には差しつかえない、かように私どもといたしては脅えておるわけでございます。
  5. 足鹿覺

    足鹿委員 もしその場合、七億は当然従来の資金増額になるわけですが、その二十億の自作農維持創設金融に充当すべく予定されたものについては、これはどういうふうな処置になるのですか。
  6. 大坪藤市

    大坪政府委員 お答え申し上げますが、仮定の問題でございまして、実は私ども自作農関係法律が通ることを御期待申し上げるのでございまして、通らないというようなことは御期待申し上げていないわけでございます。しかしほんとうにかりにという話でありますので、仮定の問題といたしますと、これはそういうことを前提といたしまして私どもがこういう席で申し上げることははなはだ僣越だと思うのでありまするが、公庫ワク自体といたしましては二百六十億あるわけであります。内訳の問題として、一般災害復旧でありますとか、あるいは共同施設でありますとか林業関係と、いろいろ分れておるわけでございます。その分れておる一つの項目に、自作農維持資金関係として二十億円は計上してあるわけでございます。従って公庫としては、一応能力といたしましては、それだけの金を運用し得るというようなことに相なるのじゃないか、こう思うのでございます。ただこの点につきましてはいろいろ成立経過もございますので、これの使い方につきましては、今のような仮定の問題でございますので、はなはだ申し上げにくいのでございますが、実は事務当局内部と申しますか、成立経過にかんがみまして、財政当局とも相談になるんじゃないか、かように考えております。
  7. 足鹿覺

    足鹿委員 十分了承はいたしませんが、いずれにしても無関係成立しても差しつかえない、こういう点は明らかなようでありますから、その点はこの程度で終りたいと思います。  次に農林漁業金融公庫予算自民共同修正によって修正された結果、相当影響を受けておる。三十年度予算において運用資金量は原案の二百五十五億円から二百六十億に一応増額になったのでありますが、しかしその反面一般会計出資が八十五億減って、資金運用部から借り入れ金が九十億入る、こういうことになっておるのであります。財政投融資が切りかえられて資金源資金運用部に求めておる。これは公庫性格を相当大きく変更する結果をもたらすであろうと思うのです。今後における公庫運営上におきまして、相当これは問題が起ってくると思うのです。そこでたとへばコストの点にしましても、政府コストには影響しないということを、私が予算委員会でこの前質疑したときに言っておりますが、そうしますと、大体利子負担が、年額六億円くらい補給しなければ間に合わないと思われる。結局それは一体今後どうしますか。恒久的に利子補給を恒久化していく何らかの措置考えておるのかどうかということです。どうしますか今後は。
  8. 大坪藤市

    大坪政府委員 御承知のように農林漁業金融公庫資金は、長期でかつ低利で、一般金融機関としては貸し出しにくいようなものを貸すということでありますので、できるだけ最終の農家の借り入れ価格を安くする必要があるわけでございます。従いましてそういう面からいたしまして、いろいろ原価採算をとって参りますと、少くとも半分くらいが政府出資、半分くらいがいわゆる資金運用部資金からの安い利率に基くものでなければ、今のような金利はなかなか維持できないのであります。その点につきまして、今回十億に出資が減りました結果、公庫当局ともいろいろ相談したのでありますが、本年度に関しまする限り、従来の金利ベースで何とかまかなっていける、こういうことに相なっております。しかし来年度以降におきましては非常に出資金の額が少くて、借入金の額が多くなりますと、末端貸し出し金利を上げるか、あるいはそこに何らかの特別の一般会計からの繰り入れか、どちらかというようなことにならざるを得ないのじゃないかと思うのであります。しかしながら末端貸出利率を上げるということは、この金融公庫貸し出しの性質上できるだけ避くべきものでありますので、今後はいわゆる今の貸出金利べースを維持しまするためには、少くとも政府出資を同額くらいにはしていただきたい、かように考えておるわけでございます。しかし本年に関しまする限りは、十億で大体何とかまかなっていける、こういうことに相なっておるわけであります。
  9. 足鹿覺

    足鹿委員 そうしますと、本年は一応切り抜けられるというわけでありますが、やがて来るべき、もう来年度予算の編成も始まろうとしておる、一体今後はどういうふうになさいますか。これは局長では、政府基本方針ですから、あるいは無理があれば、次官なり適当な人に来ていただいて、承わっていいのですが、これは重要な問題だろうと思うのです。大体こういう金融公庫性格からいって、政府財政投融資を大量にすることにおいて初めてこういう低利長期資金融通ができるのであって、これを資金運用部であろうとあるいは市中銀行であろうと、他のいろいろな金融機関からその資金源を求める場合は、必ず金利が出てくるわけです。この金利を、本年は今までの蓄積あるいはやり繰り、差し繰りによってある程度切り抜けることができるとしても、おそらくもう来年度からそれではまかない得ないとすれば、利子補給を恒久的に行う何らかの措置を講ずるか、あるいはこの貸出金利体系を変えていくか、しかしそれは許されないと思うのです。公庫性格上そういうことをすれば意味なくなってしまう。だとするならば、結局政府は総合的な立場から、資金源資金運用部金利を、公庫のものについては特に低利に下げていくとか、何らかの措置が講ぜられない限り、これは切り抜けられないと思うのです。私はことしの予算修正は、この公庫性格に今後非常に大きく影響をもたらす重大な修正であったと思うのです。これに対して確固たる方針をお立て願わないと、公庫設立意義に反するような重大な事態が来はしないか、かよに思うのです。その点について御所信はどうでありますか。
  10. 大坪藤市

    大坪政府委員 御意見通りでございます。私どもといたしましては、できるだけ政府出資を多くいたしまするように努力いたしたい、かように考えるわけであります。
  11. 足鹿覺

    足鹿委員 よくわからないので、もう少し……。
  12. 大坪藤市

    大坪政府委員 ただいま御意見通りと思います。私どもといたしましては、できるだけ政府出資を多くいたすように努力いたしたい、かように考えるわけでございます。もちろん政府出資が少い場合におきましては、いわゆる資金運用部資金金利特別扱いというような点につきましても、関係当局に交渉いたしたい、かように考えるわけでございます。
  13. 足鹿覺

    足鹿委員 それから、これは一応承わっておきたい点でありますが、六月十日付の新夕刊によりますと、農林金融公庫貸し出しをめぐって、非常にいろいろな記事が全紙面を埋めておりますが、監督機関である農林省は御存じになり、その真相についてどういうふうに御精査になっておりますか。その真偽等について御所信を承わっておきたい。
  14. 大坪藤市

    大坪政府委員 新夕刊に掲載されました事件につきましては、公庫関係当局を呼んで調査いたしたのであります。しかしながら調査の結果は、新夕刊に記載されておりましたような事実はないということで、その点ははっきりいたしておりますので、御安心願いたい、かように存ずるのであります。
  15. 足鹿覺

    足鹿委員 事実無根ですか。
  16. 大坪藤市

    大坪政府委員 事実無根であります。
  17. 綱島正興

    綱島委員長 そのほかに御質疑はございませんか。——ちょっと速記をとめて。     〔速記中止
  18. 綱島正興

    綱島委員長 速記を始めて下さい。     —————————————
  19. 綱島正興

    綱島委員長 平野三郎君外四名提出の養ほう振興法案議題といたし、審査を進めます。質疑に入ります。質疑通告がございますからこれを許します。久保田委員
  20. 久保田豊

    久保田(豊)委員 私はこの養ほう振興法案について二、三お尋ねをいたしたいと思うのですが、それは第一条の目的というのです。端的にお尋ねをいたしますが、提案者の御意思は、これはどうも、これで見るというと、ハチみつみつろう増産が第一の目的であわせて農産物花粉受精効率化に資すること、こうあるのだが、これは逆ではないか、こう思うのです。ミツバチ花粉受精を通じて増産に非常に大きな寄与をしておるということは、これはもう言うまでもないことであります。特に最近のように農薬が非常に盛んになってくると、害虫も殺せるが同じに益虫であるミツバチも殺される、こういうところから非常な減産がきておる。日本の場合におきましては、大体全体でもって二十万ぐらいしか群がない。ところデンマークでは二十万群を飾っておる。スイスでは三十万群ある。ソビエトは八百万群以上のものを飼っておるというのが実態のようです。しかも各国では農薬発達に応じまして、ミツバチ保護については法律を作ったりあるいは特別の保護施設をしておるのです。この点については提案者にもお聞きをいたしたいが、この法案根本目的はどうしてもこれは花粉受精を通じての増産ということに重点が置かれなければならぬ。それによるところ減産というものは相当私は大きいものだと思う。政府から配られた資料を見ましても、訪花性の植物の有峰区と無峰区の試験でも非常に大きな差がある。今の日本では、ほとんど試験らしい試験をしておりませんから、こういう貧弱なデータしかないと思うのでありますが、世界各国状況というものは、最近ではミツバチ保護ということ、それは決してハチみつみつろうをとるということではなくて、主として花粉受粉を通じての農作物増産、これが重点になっておるようです。特にデンマークあたりでは非常にこまかい規定を作りまして、このミツバチみつを集める時期には農薬使用の禁止をしあるいはそのほかいろいろの措置を講じてある。ソビエトのごときも、これは私もこの前行って見て参りましたが、コルホーズ、ソホーズでもミツバチを飼っていないところはない。しかも聞いてみますと、ミツバチによって受精をする時期に、これを阻害するような農薬その他でもってやった場合においては、その責任者は三十日間のノルマ停止ということが法律規定されているようであります。ニュージーランドでもそうです。アメリカでも最近、法律はまだ規定されておりませんが、それに対しては非常に大きな保護を加えておる。デンマークのごときは、むしろミツバチの一群について、日本の金にしますと千六百万円ぐらいの補助金を出しておるというような実情であります。こういう実情から見て——なるほど日本の場合でもおそらく二十万群といいますと、三億か四億くらいのハチみつみつろうがとれると思います。これも大事だと思うが、これに参加しておる農民、ハチを飼っているというのはごくわずかのものです。そういうものの利益を根本に守るというのではなくて、やはり農薬発達に応ずる一つ増産上の盲点をどうして埋めていくかということが根本でなければならぬと思うのです。そういう観点から見ると、どうもこの第一条目的というのはさか立ちをしているように思われます。これに対してはどんなふうなお考えをお持ちになっておるのか。また政府のほうで来ておられれば、ミツバチの問題のついて特にどういうふうな考えをもって臨んでおられるのかという点について、提案者平野さん並びに政府に、以上の点をまず第一にお聞きをしたいと思う。
  21. 平野三郎

    平野三郎君 久保田委員の該博なる御知識によりまする貴重なる御意見につきましては、深く敬意を表し、まことにごもっともの御意見と存ずる次第でございます。お尋ねの点は、ハナみつ及びみつろう増産をはかるということよりも、農作物花粉受精効率化に資するということの方が大切ではないか、順序が逆ではないか、こういうお話でありますが、提案者といたしましては、お説の通り農作物等花粉受精ということに重点を置いておるわけでございます。この点は御案内の通り法律におきましては先に書いてあるからその方が大事である、こういうことではないわけでありまして、法律というものは順序のいかんにかかわらず、そこに掲げてあることがすべて同じ価値を持つ、こういうふうに読むということが、これは法制上の立場からいえると思う、そういう趣旨におきましてこう書いたわけでございまして、提案者といたしましては、農作物花粉受精が最も大切である、そしてあわせてはちみつ及びみつろう増産をはかる、この二つは同じ意義を持った目的である、こういう趣旨で本案を提出いたした次第でございまして、お話によりますれば、世界各国すべて養蜂に対するところ法律があるにかかわらず、日本だけないのは遺憾ではないかというお話、全く同感でございしまして、今回わが国におきましてもぜひとも養蜂に対するところ法律を作りたい、こういう趣旨で提案いたしたような次第でございますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。
  22. 久保田豊

    久保田(豊)委員 提案者がそういう御意思なら、これははっきり上と下と入れかえたらいい。そうして農産物花粉受精効率化を促進すると同時にあわせてハチみつ並びにみつろう増産をはかるというふうに明確にした方がいいと思うのですが、この点については提案者はどんなふうな御意見ですか。
  23. 平野三郎

    平野三郎君 提案者といたしましては久保田委員と全く同感でございますので、皆様の御意見によってしかるべくお取り計らいをお願いしたいと思います。
  24. 久保田豊

    久保田(豊)委員 それなら今申しましたように一つ変えるようにお願いしたいと思います。  それから政府当局にお伺いしますが、さっき言いましたように、政府としてはミツバチの問題についてどんなふうに今まで措置をとってきておるか。同時にどう考えておるか。特に農薬発達に伴いまして、片方においては害虫がどしどし殺される。これは非常にいいことだ。これはどうしてもやらなければならない。同時にこの農薬は、益虫であるミツバチもどんどん殺すわけです。非常に大きな被害が各地において出ておる。こういったことに対してどんなふりな措置を今までとってきたか、政府全体のミツバチに対しまする対策はどんなふうにやっているか、説明をしてもらいたいのです。
  25. 原田博

    原田政府委員 ただいまお話ミツバチというものをめぐりまして、それが一方において農作物増産ということに非常に貢献するところがあり、また養蜂生産物というものが、これを増産することによりまして、日本経済にも非常に寄与する面があるという点でございますが、この点につきましては、私どもといたしましてもお考え同感でございます。  養蜂に対しまして私どもどういう措置をとって参ったかという第二の点でございます。まず第一に最近ミツバチの腐蛆病という病気が非常に危険な状態になって参りまして、これをほっておきますと、急速に蔓延いたしまして最悪の場合には日本養蜂業というものが壊滅するおそれもないとはいえない、かような状態でございましたので、本年の四月二十一日に家畜伝染病予防法の政令をもちまして、家畜伝染病予防法中の若干の規定ミツバチの腐蛆病に適用することといたしまして、この病気の防遏という措置をとって参った次第でございます。なおそのほかに養蜂に関しましては、試験研究の面におきまして農業技術研究所家畜部並び北海道農業試験場におきまして、ミツバチを飼育いたしまして、試験研究もいたしておるのでございますが、この試験研究の規模は、まだ十分な状態にはなっておらない、こういう現状でございます。  第三の点といたしまして、農薬使用養蜂との関係でございますが、この問題につきましては、養蜂立場もございますし、また農薬によりまして病虫害の防除をするという立場もございますので、この両者の調整につきまして、農林省内におきましていろいろその調整の問題につきまして研究をいたしておる、こういう状態でございます。
  26. 久保田豊

    久保田(豊)委員 政府当局にお伺いしますが、養蜂とかそういった関係についての予算は、われわれが見たところでは何もないように思う。実際の試験場においての予算なり、こういうものに対する陣容なりというものはどのくらいあるか。特に中央の官庁は養蜂担当の係官なり何なり技術屋なんかおるのかどうか、こういう点がなければ——腐蛆病についての措置は、これは当然やるべきことであるので、おくればせながらやっていただいたことは非常にけっこうだと思うのです。それだけじゃほんとうの話がしょうがない。試験の結果もきわめて不十分のようです。どのくらいの予算を使ってどのくらいの陣容をこれにかかえておるのか。デンマークなんかほとんど村に一人のミツバチに対する指導官というか技術宮というものが配置してある。その下に民間にそれぞれみんなミツバチ担当の講習を受けた者がおって、一切ミツバチに対する措置をとっておるというところまでいっている。もちろんそれまでいくことはむずかしい。ソビエトあたりでも、各試験場において、各部落ごとミツバチ技術担当者がちゃんと配置してある。ミツバチの学校さえできておる。こういうのが実態です。そうして非常に末端まで徹底してやっている。まだ具体的な材料は入っておりませんが、アメリカでも最近は非常にこの問題について真剣に取り組んできたということを聞いております。日本としてはどうやっておるか。今までほとんどほったらかしておったように思う。昨年腐蛆病ができてはじめて、これはということで少しばかり法律を改正してやったという程度じゃないかと私は思うがどうですか。
  27. 庄野五一郎

    庄野説明員 ミツバチにつきましては、先ほど畜産局長からも御説明がありましたように、西ヶ原の農業技術研究所家畜部、これは千葉にございますが、そこでやっております。それから地域農試では北海道農業試験場でやっております。これは予算がどれだけというふうには今ちょっと分離してデータを持ってきておりませんが、おもに品種の改良と、それからみつを集めていろいろな試験研究をやっておるわけでございます。国においてはそういう程度でございますが、それから養蜂の特に盛んな県の農業試験場におきましては、やはりミツバチについてのいろいろな研究を現地においてやっておる、そういう状況でございます。
  28. 久保田豊

    久保田(豊)委員 それならば一つお聞きしますが、日本では大体ミツバチがどのくらい必要か、どのくらいまで増産できるか、それに対するみつ源がどのくらいあるかというような調査なり計画なりができておるのかどうか。少くともしろうと考えでみても、日本のこれだけの土地で、増産上の効果を上げるということならば二百万群ないし三百万群は十分やれると思う。みつ源調査なり何なりが正確にできておるかどうか、それに対するどういう計画があるのか。もうすでに各国とも、ある意味においてはこういうミツバチの計画増産、計画維持という段階にみなきておる。ただ今までハチを飼っているのは一万二、三千ありましょうか、そういう連中からぶうぶう言われるから、仕方がないからやっておるのだという程度では、これはミツバチ行政でも何でもない。これは農薬発達した今日では、大きな農業増産上の盲点です。この盲点をどう埋めるかということを計画的に、むしろ積極的にやる計画なり調査なり、あるいはそれに対する行政措置なりがなくちゃならぬ。そういうことの準備ができておるのかどうか。不幸にしてわれわれは、いまだ農林省ミツバチ計画を持っておるということを大体において聞いたことがない。これはさっき局長からもお話がありましたが、どうもハチ屋の方からハチみつなんかが非常に大事だというけれども——ハチみつなんかは大事でないとはいえない、ハチみつみつろうも大事ではないことはないけれども、それは二の次の問題だ。むしろ農業増産上の見地から、これをどう把握し、認識して計画的やっていくかということが根本だと思うが、そういう計画なり、調査なり、準備なりがあるかどうか、一つ聞いてみたい。あらこちの農事試験場でちょっくり少しばかりのミツバチを飼って、小規模の有蜂区との試験をやって、その結果がちょっと出たくらいでやっておったのでは何にもならぬ、こう思うのでありますが、そういう積極的な行政措置なり何なりがあるのかないのか、そういうお考えがあるのかないのか。もう一回政府の方にお聞きします。     〔委員長退席、足鹿委員長代理着席〕
  29. 原田博

    原田政府委員 日本におきまする養蜂の将来の問題についてでございますが、従来におきましては、先ほども申し上げましたような状態でございまして、今後におきましては、みつ源調査につきましても、またそのみつ源を十分に利用する意味におきまして、養蜂業というものを伸ばして参るというような問題につきましても、今後十分に適切な計画を立てまするように研究を進めて参りたい、かように考えております。また農作物増産の面についての問題につきましては、改良局の方から申し上げたいと思ます。
  30. 庄野五一郎

    庄野説明員 ミツバチに対します農薬影響ということは、われわれ病害虫防除をいたしますのに非常に関心あることでありまして、農薬防除によりましてミツバチが非常に影響を受けることはまことに遺憾に存じておるわけであります。農薬につきましては、御承知のように主要作物の増産という面から、政府といたしましても、終戦後特に新しい農薬ができまして、これの普及あるいは共同防除ということにつきまして助長政策をとって参ったわけであります。主要食糧の減産防止あるいは増産という面においては大きな役割を果してきておると確信いたしておる次第でございます。これによりましてミツバチが被害を受けるということは、われわれといたしましても極力これは防止しなくてはいけないと思っておるわけであります。またミツバチのみならず、御承知のように桑園にかかって蚕に害がございますので、そういう点もございまして、散布については他の方に影響しないような風のないときにかける。あるいはそういうミツバチの問題等も、巣箱の近くでは、かける農民とそういうミツバチの所有者のお互いの公徳心といいますか、お互いの立場を尊重してかけてもらう、そういった点をお願いしておるわけであります。特に今政府として力を入れておりますのは、主要食糧特に水稲あるいは麦といった点に力を入れて今日までやってきているので、農民も農薬を水稲なりあるいは麦に共同防除としてかけていくという段階にようやく到達したような状態でございます。主要食糧の点で相当今後の農薬使用ということにつきましても、ミツバチその他の益虫との関係を十分調整していかなくてはならぬと思って検討いたしておる次第であります。この点御了承願いたい、こう思っております。
  31. 久保田豊

    久保田(豊)委員 今の点はきわめてぼうっとしておって、何が何だかわからぬ。農薬の問題についても具体的にどういう措置をとったか。この第五条は当然の規定で、この程度規定にはどうしても置かなくてはいかぬ。これは抽象規定ですから内容は何もない。問題は、具体的にこういう農薬ミツバチとの関係について試験的にやっておるか。今のお話では、農民になるべくそういう点をお互い協力してやるようにお願いしていると言うが、そんなことは、ざっくばらんにいえば一ぺんもしたことはない。そういう点について具体的に試験区を設けてやるとか、あるいはどういう具体的な措置をとってやるとか、あるいはどの農薬についてはどうだとか、あるいは具体的な試験的なことでもやったことがあるのかないのか。これを一つお聞きしておるのであります。ただどうもなるべく趣旨を徹底するように農民にも話をしているという程度では、実現に何も効果はない。
  32. 庄野五一郎

    庄野説明員 今まで農薬を特に助長をいたしておりますのは水稲を中心といたしております。御承知のように水稲は自家受粉でありまして、ミツバチあるいはその他のこん虫による受精ということはない。風媒なり自家受精であります。主要食糧でございます水稲なりあるいは麦につきましては、ただそれが風によって付近のあぜなりあるいは平地、そういったところへ流れるのを、極力私たちとしてはミツバチに害のないように、風のしないときに共同防除をやるということに指導しております。それによってミツバチにどういう被害を与えるかという点は、まだ十分試験はいたしておりません。われわれとしては、果樹園あたりでミツバチに相当被害があるのではないか、こういうことは考えるわけでありますが、そういう点は、果樹は御承知のようにミツバチによって、あるいはその他のこん虫による受精があるわけであります。この点についてはやはり果樹園の所有者がそういうような収穫、結実という点から開花期は極力避けてやっていくということが必要だと言えるわけであります。
  33. 久保田豊

    久保田(豊)委員 日本ではそういう経験が実際ほとんどないと思う。それは水稲と麦が主として防除の対象になる。ミツバチそのものにはかからないけれども、問題はそれと同時に特に麦時に、菜種とかレンゲとかいう問題の一部とが競合するところに問題があると思うのです。そういう場合に通報するとかあるいは表示をするとかいろいろの方法を外国では研究してやっておるようです。そういうことが日本では今まで試験的にも行われたことがあるのかないのか。そういう点を地域別、作物別に研究していかないと、養蜂目的は達せられないということを言っておるわけです。日本の場合には、そういう研究なり試験なりが今まで行われたのかどうか、こういうことをお聞きしておるわけです。
  34. 庄野五一郎

    庄野説明員 最近の新農薬は人畜に影響するところが非常に多いということでございます。御承知のようにパラチオン等は二化メイ虫に対して非常な効果があると同時に、やはり人畜にも大きな薬害を及ぼすわけであります。こういう新農薬使用につきましては、特殊使用基準で、これは厚生省と申し合せましてやっておるわけであります。これは人間あるいは家畜、そういった点を対象にいたしまして、使用はできるだけそういう農作物以外に影響することを避ける、そういう趣旨から取扱いをやっておるわけであります。それによって農家を指導いたしております。それによりますと、散布するときには、村なりあるいは散布区域を告示といいますか、村の掲示板がございますね、ああいうところ、あるいは農協等で共同防除等をやりますが、農協あるいは共済組合が中心になります、そういうところで数日前に知らして、そうして共同防除は村から一斉に出てやりますが、やった日は散布区域の周囲に赤いきれ等をつけて、ここはパラチオンを散布したということを明示いたすように指導しておりまして、事実その通り行われておることと確信しております。その程度であります。
  35. 久保田豊

    久保田(豊)委員 それでは提案者にお聞きしたいのですが、第五条が一番問題を起すのです。ここに陳情書が出てきておりますが、農薬等の関係だと思うのです。これについて、聞くところによると、こういう法律があるのだというので、農薬発達が非常に阻害されるから、この条項を改正しろとかあるいは削除しろとかいう要求もあるそうですが、そういうふうに聞いておるのです。しかし全体の条文を見て、このミツバチに直接関係を持つのはたった第五条だけです。ざっくばらんに言ってほかには実質的に何もありませんよ。この五条を抜けば、大体この条文は全くないにひとしい条文になる。これの実施はなるほど農薬等の関係を十分調整しなければいかぬ。ミツバチの場合は、ざっくばらんに言って、ハチ屋なんかの連中は資本家がないから、これは力になりませんよ。農薬はともかく農薬会社というのがありますから、いろいろな意味において力を持ってくる。こういう観点からいいますと、この五条を抜けば、この法案は全然ないにひとしい法案になる。こういう点について、五条についてあるいは修正もしくは改良等——私は、これは非常に抽象的だ、これのやり方は実際相当慎重にやらなければいかぬと思うが、この条項だけがこの中でもってたった一つ生きるものだと思う。これに対しては修正ないしは改廃等に応ぜられるお気持かどうか、一つ提案者にお聞きます。
  36. 平野三郎

    平野三郎君 本案の第五条でございまするが、提案者といたしましては久保田委員のお説の通り考えておりまして、養蜂を振興する上におきましては、農薬使用ということについてはある程度そういう点を考慮していくことが必要ではないか、こういう趣旨におきまして本案を提出いたしておるわけでございまして、本案によりまするならば、農林大臣がそういう被害を与えるおそれがあると認めるときに必要な措置ができるというだけのことでございまするから、かりにこういうことが行き過ぎのために主要作物の増産に悪影響があるというようなことは農林省自身がきめることでありまするから、こういう条項がありましても何ら農薬使用そのものに障害を与えるということはないというふうに考えておりまして、そういう趣旨で本案を出して御審議をいただいておるわけでございまするが、しかしながらすべてそれは皆様方のお取扱いによってお願いいたしたい、こう思っておるわけでございます。
  37. 久保田豊

    久保田(豊)委員 政府はどうお考えになりますか。今繰り返して言うまでもないことですが、おそらくこの条項だけがどうやら多少養蜂行政をまず最初に一歩踏み出すほんとうの足がかりになる条項だ。あとはほとんど……。それと多少の関係を持ってくるのは四条です。この二つしかない。これは実際には大して大きな効果を持つ法案じゃないのですが、政府としてはどう考えていますか、これを伺いたい。
  38. 庄野五一郎

    庄野説明員 五条につきましてまだ政府の正式の意見というものは決定いたしていないと考えます。改良局として意見提出いたしておる段階でございますが、改良局としての見解を私から申し上げます。先ほどから申し上げておりますように、主要農作物、水稲あるいは麦といったような作物に農民がほんとうに共同防除で集団的に農薬をかけるようになってきたというのはここ二、三年ぐらいのものじゃないか、そうして大きな効果をあげてきたのはここ二、三年来のことじゃないかと私は思っております。それまで政府といたしましても、農薬の購入補助あるいは予察の組織の整備あるいは動力噴霧機の補助、いろいろな施策を講じて農薬の散布ということを奨励いたしてきたわけでございまして、これについては益虫にも害のあるパラチオンまたはBHC、そういうものもございます。またそういったこん虫に全然被害を及ぼさない病害等にきくセンサン石灰、そういった面もあるわけでございますが、何分二化メイ虫に一番きくパラチオンあるいはBHC、こういうものが、ミツバチに一番影響があるのじゃないかと思われます。われわれといたしましても、この農薬散布によって、昨年推定いたしましても約六百万石程度減産防止は二化メイ虫あるいはセレ酸石灰によるいもちの防止によって——昨年相当の天災もあったのでございますが、六百万石程度減産防止ができたのじゃないか、そういうふうに確信いたしておるわけでございまして、相当農薬の制限ということにつきましては、主要作物の増産という点、それからようやく農民が農作物に集団的に農薬を散布する機運といいますか、そういった情勢になってきた際でもありますので、十分一つそういう芽をつまないように慎重に御検討を願いたい、こう思っております。
  39. 久保田豊

    久保田(豊)委員 どうも今の話は一向にわからないのです。大いに農薬の方に力を入れる、こういうことだと思うのだ。それは農薬に力を入れるなということを言っているのじゃない。農薬使用方法と、片方において益虫が殺される、ことに益虫のうちでも農産上一番重要な役割をしておるミツバチ保護あるいは増殖等というものとどう調和するかということが問題です。農薬をやって害虫だけどんどんやればいいのだ、米麦の増産ができればいいのだ、それはその通りだと思う。ところが反面において、農家経済になれば、やはりミツバチが少くなったあるいは益虫が少くなったことによっていろいろ増産の上で非常に逆効果を持ってくるのです。一度全部益虫を殺してしまえ、ミツバチもなくしてしまえということになると、これはなかなか大へんです。日本だって二十万群を作るのには十五年以上かかっている。自然にミツバチができるはずはない。十五年以上苦心惨たんしてやっと今日ここまで来ておる、こういうことなんです。ですから五条は抽象規定です。こういう抽象規定を実際に生かす場合に、農薬の実際の発達とこういう益虫保護、特にミツバチ等の増産とをどう調和するかということを、真剣に農林当局考えなければいかぬ。ハチ屋何かは、あなた方に言わせればうるさい連中なんですし、ちっともおもしろみのない連中です。しかしハチ屋が問題でなくて、やはりミツバチ花粉受精、それによるところ増産ということが大事なことだ。農薬発達すれば発達するほど、普及すれば普及するほどそれと対照的にこの問題を考えていかなければならぬ。それにはこの規定は不十分だと私は思う。しかし今日の段階では、せいぜいこの程度の抽象規定でこれを具体的にどう生かすかということについて、農林当局はよほど真剣に実際に考えなければ何にもならぬ。ただ今あなたの言うのは増産効果が大きい。従って百姓がこれにようやくなれ出して、使い始めたばかりだから、じゃまになることはやめてしまえ。そういう半端な考え方では増産ほんとうの総合的な効果は期し得ない、そういう実際的な措置というものは、これによって詳細にやらなければならぬと思うし、ただこの程度規定は最低限必要だと思う。この点について政府はどう考えておるか聞いておるのです。
  40. 庄野五一郎

    庄野説明員 少し説明が足らなくて誤解を受けたかもしれませんが、やめてしまえというわけではございませんし、われわれとしては主要作物の増産といいますか、そういう点を念願してやっておるわけでありまして、それによって他のいろいろなものに被害を及ぼすことは極力避けなければならぬし、事実われわれといたしましても、そういった点の人畜に及ぼす被害については、先ほど申しましたように、散布の前に散布計画を立てて、それに普及員が指導して、散布の前に区域を知らせて、散布後は散布区域を明示をする、そういった措置を講じておるわけであります。できるだけの指導によりましてそういった他の家畜等に及ぼす影響を極力防止していきたい、われわれといたしましてもこういう念願でおります。主要作物のじゃまになるからというのでなくして、主要作物の増産をやりながら今までの措置をさらに完全にして、そういう被害を防止する。ただ法的規制につきましては慎重に御検討願いたい、こう申し上げておるのであります。
  41. 久保田豊

    久保田(豊)委員 非常にうまい言い回しですが、そうすると農林省の意図は、五条なんかない方がいいという意図ですか。
  42. 庄野五一郎

    庄野説明員 改良局として今意見を申し上げました。
  43. 久保田豊

    久保田(豊)委員 改良局としてはない方がいいというお考えですか。
  44. 庄野五一郎

    庄野説明員 指導で十分やっていきたい、こういう考え方でございます。
  45. 久保田豊

    久保田(豊)委員 指導で今まで効果が上っておれば、こういう法律を作る必要はない、指導で今まで効果が上っていないじゃないか。指導だけはなるほど昨年やったが、現実にあっちこっちで農薬によってミツバチがどんどん死んでおるという事実、そういう事実をどこで、指導で食いとめましたか、現実に至るところ農薬によるミツバチの被害というものが出ておる、しかしミツバチによって農薬の普及が抑えられたということは今までかつてない、何もやってないんですからあるはずがないのです。指導によってやるというが、指導では足らないからこういう法律ができたので、それを指導であくまでやるといっても、実際に機構が何もない。改良普及員なりあるいは技術員に、ミツバチの問題について一人でも知っている者がありますか。特殊なものは別として、一回だって指導したことはないじゃないですか。何の指導をするのですか。こういう法律ができて、この法律を生かすための指導が初めてあなた方の義務として出てくる。私どもところは、御承知のようにミツバチが相当に来るところで、みつがとれるところです。しかしながら改良普及員あるいはその他によって、ミツバチ農薬との関係を具体的に指導したことは——あるいはちょっとやったことがあるかもしれませんが、しかしながら末端においては一つも生かされておりません。それがないからこういう規定を置いて、そしてこの規定の運用という点からほんとうに指導していくということが本来であって、あなた方のように指導指導と口では言っておっても、実際に何もやってないじゃないか。その証拠には、至るところでもってミツバチ農薬に上る被害が出ておる。しかもあなた方の指導の実態というものは、改良普及員なり何なりを通じてやるよりほかないでしょう。その連中はミツバチのことは何も知らない、指導も受けてない、実際国全体として、農林省として、ミツバチ関係のお役人が幾人ありますか。畜産局に幾人おりますか、改良局に幾人おりますか。だれもおらない。指導というのはあなたがここで言うだけなんです。あなたの言うのは農薬オンリーということです。農薬の普及のじゃまになるものは一切だめ。ところがじゃまにならぬのですよ。それをじゃまになるように考えところに、農薬業者の認識不足がある、第一に農林省のお役人の認識不足がある。ここをどうやっていくかということで、この条文か出てきたと私は思う。それだけの意味しか持っておりませんよ。これを足がかりにして初めてやる。その足がかりになる条文を改良局としては、いりません、指導によってやりますというが、今まで指導を何もやってない。これからどういう指導をやるというのですか。はっきり言って下さい。
  46. 庄野五一郎

    庄野説明員 ミツバチにつきましての農事専門家というものは、御指摘の通り技術員には少いかと思います。しかし農薬の散布ということにつきましては、訓練をいたしますし、また講習会も開いて、農事改良普及員なりあるいは町村におきます共済組合あるいは農協の技術員なりに、そういう点については指導いたしまして、パラチオン等の共同防除については、そういう技術員の指導のもとに行うように指導いたしております。御指摘のようにミツバチ自体についての専門ではございませんが、そういう他の家畜等に影響を及ぼさないようにという指導はいたしておる次第でございますが、不十分でございますれば今後とも一そう御指摘の点を強化して、あやまちのないように努力いたしたい、こう考えております。
  47. 久保田豊

    久保田(豊)委員 何もやってないんですよ。ミツバチの点はやっておりません。他の家畜に影響がないということは、ミツバチのことは何も考えてないということだ、他の家畜の場合とミツバチの場合とは違いますよ。農薬影響というものは何も考えずにやっておって、指導しておりますなどと言ったってだめなんです。ハチ屋が日本ハチみつを全部集めたって知れたものです。そんなものはざっくばらんに言って国民経済の上から見て大したことじゃない、わずかなハチ屋の人たちがやっているだけでそう大した問題じゃない。そうじゃなくて、あなたの認識の根本に——なるほど花粉受精によるミツバチと農業増産上の効果というものをもっとはっきり改良局がつかまなければ、あなたのようなごまかしの答弁になってしまう。今まで指導なんてしたことはありませんよ、農薬の使い方についてミツバチ関係についてどうしろなんていうことを……。牛や馬に対しては害がないということを指導したって、それが直ちにミツバチにまできくものじゃありませんよ。そういう点はごままかさずに、もっとこの問題ははっきり認識してやるように要望いたしたいと思うのです。特に私は、五条だけがこの法案の一番中心になるので、この程度規定を置くことはぜひ必要であるという点をあらためて申し上げておきます。  さらにもう一つ、今度は政府当局に聞きますが、第九条には「政府は、養ほう業者に対し、予算の範囲内において、養ほう業の振興のため必要な補助金を交付することができる。」こうなっておるが、補助金になるか何になるかわからぬが、具体的に今何か考えておられるのですか。来年度以降どうしたらば——今日養蜂を盛んにするには農薬の問題が第一ですが、そのほかにどうしたら養蜂事業がもっと盛んになるか、今のままでおけばだんだんこれは衰微しますよ。第一経済的に成立たぬ。御承知通り原料の砂糖がべらぼうに、税金がうんとかかって高い。原料の砂糖が使い切れない、結局しょうがないからとったみつをなめさせる。しかもまだ日本の場合においては、ハチみつの衛生的な価値とか、栄養的な価値というものが十分認識されてない。御承知のように今あんころもちの甘味剤に使う、これではハチみつの持っておる栄養的の要素というものは皆死んでしまう。その程度しかならぬ。指導の点についても、何ら考えずにどういうふうな積極策を用意しておるか。今の農薬使用の場合に何にもやらないで、これから指導を少しやりますなんて、そんなごまかしを言ったってだめですよ、具体的に何か考えておりますか。
  48. 原田博

    原田政府委員 養蜂の振興をはかるために今後どういう積極的な施策を考えておるかというお尋ねでございますが、養蜂業の振興をはかりたいということは私も考えておるのでございますが、日本養蜂業の特殊な事情もございますので、そういう実情をよく考えまして、適切な方法によりまして振興をはかりたいというふうに考えておるわけでございます。いろいろ研究を進めておる段階でございますので、お尋ねのように、具体的にどういう措置考えているかという点につきましては、今日まだ申し上げる段階に立ち至っておらない次第でございます。
  49. 久保田豊

    久保田(豊)委員 養ほう振興法という法律を出してこれが通る以上、これに対する裏づけとしての政策も全然まだ今研究中だ。何年たったら具体的になるんですか。十五年も二十年も前から養蜂業の重要性というものは一部では唱えられておった。農林省としては今まで、腐蛆病措置をとった、これが初めての措置です。実際問題としてそれ以外に何もやっておらない。少くとも養ほう振興法が通る以上——これは通るか通らぬかわかりませんけれども、とにかく大体通るだろうと思うが、そういう場合になったとき、これから考えます、特殊事情がある——特殊事情といったって、これはわかっておるはずです。何年たったら具体的に予算化し計画を達する予定ですか。来年からやるのですかやらないのですか。
  50. 原田博

    原田政府委員 私ども研究がはかどっておりませんことにつきましては、まことに御指摘をいただきまして恐縮に存ずる次第でございます。ともかくも今後におきましてできるだけ早く日本養蜂業実態に即するような振興策の研究を進めて参りたい、かように考えておる次第でございます。
  51. 久保田豊

    久保田(豊)委員 だいぶ長くなりましたからこの辺でやめますが、ぜひ一つ提案者にも政府にもお願いしておきますが、この規定を拝見して、実効のあるのは、繰り返して申しますが、五条だけです。ほかにはこんな法案が通ったって、五条が抜ければ何らの実効はありません。しかも五条を実際に実行するのには、非常に慎重に、農林省がもっと実態をつかんで具体的な措置をとることが必要です。その意図がない。あなたはもうはっきり農薬屋の立場に立ってばかりものを考えておる。改良局というのはそうです。これはミツバチ屋の立場に立つところは何もない。そういう感じを強く受ける。それでは困る。ぜひ一つこの提出の抽象規定を土台にして具体的に考えるようにお願いして、特に政府に積極的に政策を立てていただきたい。特に提案者に最後にお聞きいたしますが、この養ほう振興法が出される以上、自由党としてもおそらく養蜂の振興策というものは何らか考えられておると思いますが、もし考えておられればお聞きしたいし、そうでなければせっかく今後御努力をいただいて、具体的な政策を立てて、少くとも次年度以降の予算には多少とも頭を出すように御努力願いたいと思いますが、この点はどうですか。
  52. 平野三郎

    平野三郎君 久保田委員世界各国を通じまする該博なるお知識に対しましては、まことに敬意を表するのであります。特にソビエト社会主義共和国連邦並びにデンマーク等の実情につきまして精通しておられることにつきましては、まことに驚嘆するくらいでございます。お話通り世界各国すべて養蜂に対しましては政府がその施設をいたしておるわけであります。特にデンマークのごときは、先ほどもお話のございましたように、各部落ごと養蜂の指導員がおるというくらいありますにかかわらず、わが国におきましては今まで何らの行政措置もないのでありまして、今回初めて腐蛆病に対して家畜伝染病予防法を適用したというような情ない状態でありますので、これはどうしても花粉受精の高率化をはかるということを第一とし、あわせてみつ増産をはかる、こういう趣旨からこの法律を提案いたしたわけでありまして、この法案が幸いにして皆さんの御審議によって成立いたしますならば、初めてここに政府がこれに対する熱意を持ってくる、こういうことでございます。ただいま政府委員からも答弁がございましたが、まことに政府養蜂に対する行政の空疎なることを暴露したものであると私も考えまするが、本案の成立によって政府に対して大いに鞭撻をいたしたい、かように考えております。
  53. 赤路友藏

    赤路委員 関連。今提案者からまことにけっこうな御答弁が久保田君の質問に対してあったようでございますが、私もこの法律案の全体を通じてみて感ずることは、第五条が久保田君が言うように一番重要でありながら、何か言い訳につけたような形になり、これが抜けてしまいますと、これはミツバチ業者の助成だけになってしまって、受ける感じは、農薬をどうしようとこうしようとそういうことはいいのだ、ミツバチ業者が助成を受けさえすればいいのだという法律であるかのごとく感ぜられてくるわけです。特に今までの政府当局の方の御答弁を聞いておると、なおさらそういう感じを受けざるを得ないわけです。今平野さんからもおっしゃったように、少くともこの第五条は確かにむずかしい問題だと思うのです。慎重にやってもらいたい、こう課長は言っている。むずかしい問題だと思うが、これは真剣に取り組んでもらわなければならない。これに対して真剣に取り取むのだという決意と熱意がなければ、これを出しても何もなりません。これは養蜂業者が喜ぶだけです。久保田君の一番心配する農作物花粉受精のための養蜂の育成にはなりません。そういうふうに私は感ずる。  そこで私は課長にもう一つ申し上げておきたいことは、今久保田君は、この法律案に基いて養蜂の点だけをとってこの話をされたのですが、お聞きになったかと思いますが、ここ二、三日来当委員会では、農薬被害による水産物の減収ということを非常に問題にいたしておる、特に有明湾等において、農薬被害による減産は非常に目に見えて大きなものがあるというので、この有明湾に依存する二万の漁民家族合せて十万が、これは死活問題だといって陳情も来ておるような状態なのです。これは単に養蜂だけの問題ではないと私は思う。このことはそうした面ともからみ合せて、改良局の方では、ほんとうに真剣になってこれに取っ組んでいただかなければならぬ。今までの久保田君の論議を聞いておりましても、決して農薬を使っちゃいけないのだということを言っておるのじゃないと思う。食糧増産のためには当然農薬は使わなければならない、しかしながら他面そういうような被害もだんだん大きくなってくるのだから、真剣にこれをどういうふうに調整するかということを考えてもらいたいというのが、久保田君の今までの論旨の重点だと思う。久保田君は少し言葉の使い方が荒いようではございますが、その論旨の重点はここにある。そのことを改良局の方でもよくおくみ願って、一応こういうような抽象的なものではありますが、真剣に取っ組んでいただきませんと、これは単に養蜂だけでありません。くどいようですが、水産では私はおそらく全国的にいろいろなケースが出てくるのじゃないかと思う。どうかそういう意味をも含みまして、真剣に取っ組んでいただくということを希望いたしておきます。
  54. 庄野五一郎

    庄野説明員 御指摘の通りでございまして、昨日も当委員会で魚介類に関しまする薬害につきましていろいろ御質疑なり御注意があったわけであります。その点十分承知いたしておりまして、大臣からも指示がありまして、御答弁もしますし、また直接われわれの方にも、急遽これについての対策なりあるいは研究調査あるいは防止の研究をやるように、そういう指示もありまして、私の方では九州農試あるいは西ヶ原農研、そういうところ試験研究機関を動員し、そうして水産庁と合同して、早急に試験研究なり調査をやる準備を進めておりますミツバチにつきましても、やはりわれわれといたしましては、試験研究の面におきましては、これの具体的な防止法をもう少し慎重に試験研究して、早急に具体的な対策を立てたい。また今のところではその内容が十分に、試験研究の方も、こう申しましては非常に遺憾でございますが、進んでおりませんので、法的規制がありますと非常に問題が起るのじゃないか、こういうような観点から私の意見を申し上げた次第でございます。試験研究機関を動員して、そういう具体的な防止法を早急にここで進めて、そうして薬害の防止について実効のあるような研究を進めたい、こういう決意でございますから御了承願いたいと思います。
  55. 足立篤郎

    ○足立委員 私は提案者の一人でありますので、質問するのはまことにおかしなかっこうになりますが、改良局に対して希望的な質問を申し上げます。このねらいは、提案者からいろいろ御説明があったと思いますが、特に問題になっている農薬関係の問題は、私は農薬使用に対する今までの改良局のやり方は、防疫所などは非常に熱心にお作りになったけれども、あれほど危険なものを農民に扱わせて防除しているのに対して、どうも今まで指導方針が確立されていなかったのではないかということを感ずるのです。それがためにいらざる犠牲を起してきた。有明湾のごときものは、あなたの方が直接背任とは申しませんけれども、少くともこの養蜂業者が非常に不慮の大損害をこうむったというような事例がたくさんあるわけです。しかもこれは他の人畜にも非常に大きな影響を持っているわけでありますし、この養ほう振興法案関係して私特に希望を申し上げたいと思うのは、組織もあるのですからもっと有機的、計画的に薬剤による防除をやる、それによって少くとも養蜂業者が飼養——飼養しているといいますか、出向いている地域に対して、汚染されている期間については事前に通告されるというような有機的な連携がありさえすれば——私は農薬を使うということは増産の大使命であるから、これはやむを得ないと思いますので、大いにやらなければならぬと思いますが、その有機的な関連がありさえすれば、さして心配はないのじゃないか。ほかの委員からも御指摘があったと思いますが、私はその点について重点を置いて、改良局として今後の対策をぜひ考えていただきたいと思う。たとえばいつの幾日からどういう薬剤を使っての一斉防除が行われるということの連絡がとれるような処置さえとってもらえれば、何もしかつめらしいこの法案を通さなくてもいいと思うのです。その点が今までの改良局のやり方では私は安心ができないと思いますので、この際庄野課長の今後に対する用意といいますか、御決意といいますか、それを伺っておきたいと思います。
  56. 庄野五一郎

    庄野説明員 人畜に非常に有害なパラチオン、そういった面につきましては、先ほどもお答え申し上げましたように、厚生省との取りきめもありまして、毒物の使用基準といったものがありまして、それにのっとって防除をやるようにという伝達を出しております。それには技術員、これは改良普及員あるいは試験場農薬あるいは病害虫の専門家あるいは共済の技術者、官庁の技術員、そういった技術員の指導のもとに共同防除をやるように、そうしてこの防除をやりますについては、村が防除計画を立てまして、その計画によって専門技術員などが立ち合ってやる、こういうことになっているわけでありまして、計画的にやるわけでありまして、個人の個々の防除というものは、パラチオン等の薬剤、毒性の強いものについては行われない建前になっております。そういう関係で、村あるいは村の下の部落組織で共同防除が計画的に行われる。それには普及員あるいは共済の技術員なり官庁の技術員が必ず立ち会って指導していく、そういう建前になっておるわけであります。それにつきましては、パラチオン等については事前に、いつから散布するという計画が立っておりますので、協同組合等で一般に知らしておるという状態でございますが、さらにその方法をもっと徹底するように、御趣旨の点は心配のないようにいたしたい。特に最近ミカン等に非常によくききますペストックス、そういったものにつきましては、浸透力が強いのでございますので、必ず収穫の九十日前から以降はやってはいけない、やる場合は協同組合の指導のもとに共同防除をやらなくちゃならぬ、そういうような強い使用方法の通達を出しておるわけであります。そういう点でさらにまた徹底して、こういう個人防除が行われないというようなことにいたしたい。そこに移動する養蜂業者に対しましても、協同組合で連絡をとれば計画がわかるようになっております。そういう点は今後とも一そう御趣旨に沿うようにいたしたいと思います。
  57. 足立篤郎

    ○足立委員 今の点で御答弁けっこうですが、抽象的でなくて、どこへ一体連絡をとれば、どの地帯がいつから汚染されていつ安全になるかという、その連絡をとれるような処置をはっきり考えていただきたいのです。それだけなんです。
  58. 庄野五一郎

    庄野説明員 郡単位に病害虫防除所がございます。これは県の機関でございますが、そこに連絡をとっていただければ、村単位の計画はわかります。そこにこちらからも……。
  59. 足立篤郎

    ○足立委員 責任を持たしてありますか。
  60. 庄野五一郎

    庄野説明員 持たしておりますので御了承願いたいと思います。
  61. 足鹿覺

    足鹿委員長代理 暫時休憩をいたします。     午後零時四十六分休憩      ————◇—————     午後二時四十三分開議
  62. 綱島正興

    綱島委員長 午前に引き続いて会議を開きます。  まず農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案議題といたし、審査を進めます。御質疑はございませんか。——他に御質疑もございませんようでございますから、これより討論に入るわけであります。  別に討論の御通告もありませんので、この際討論を省略して直ちに採決いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  63. 綱島正興

    綱島委員長 御異議なしと認め、これより採決をいたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔総員起立〕
  64. 綱島正興

    綱島委員長 起立総員。よって本案は原案通り可決すべきものときまりました。  なお、この際本委員会において左のごとき附帯の決議をいたしたいと思います。決議文を朗読いたします。   農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案に対する附帯決議  農林漁業資金は本来長期低利資金たるべきものであるから、資金量の確保、金利の積極的引下げのため、政府は原資金の調達等に関し十分なる検討を加うべきである。  右決議する。   昭和三十年七月十四日       衆議院農林水産委員会  右のような附帯決議をいたすことに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  65. 綱島正興

    綱島委員長 御異議なしと認めまして、さように決定いたします。  なお、この法案委員会報告書の作成等につきましては委員長に御一任願われますか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  66. 綱島正興

    綱島委員長 しからばさように決定いたしました。     —————————————
  67. 綱島正興

    綱島委員長 次に養ほう振興法案議題といたし、質疑を継続いたすことにいたします。質疑通告がございますのでこれを許します。淡谷悠藏君。
  68. 淡谷悠藏

    淡谷委員 この養ほう振興法案についてまずお伺いしたいのは、この振興すべき養蜂は、転飼するハチの群に対する振興を主としておるか、あるいは地元の養蜂家を重点に置いているか、この点についてお伺いしたいと思います。
  69. 平野三郎

    平野三郎君 本法案は養蜂業者全体を対象にする、こういう趣旨でございますから、特に転飼するものを目的にするとかあるいは地元養蜂家を特に対象にするとか、そういう考えはないわけで、全般的に考慮する、こういう考え方でございます。
  70. 淡谷悠藏

    淡谷委員 第四条でございますが、「養ほう業者は、他の都道府県の区域内に転飼しようとするときは、省令の定めるところにより、あらかじめ、転飼しようとする場所を管轄する都道府県知事の許可を受けなければならない。」こういう規定は従来とられていなかったかどうか、お伺いしたい。
  71. 原田博

    原田政府委員 事務的な問題でありますので私から便宜御説明申し上げます。現在までのところ約二十三地方におきまして、府県の条例をもちまして一定の場合における転飼の許可制度をしいております。こういう実情になっております。
  72. 淡谷悠藏

    淡谷委員 そうしますと、現在では全体に対してそういう規定はないから、今度はこの法案によって全国に転飼する場合は、都道府県知事の許可を得るように直すという趣旨でありますか。
  73. 原田博

    原田政府委員 この規定の文章を読みまして私ども解釈いたしましたところでは、この規定成立いたしますと、要するに一つの県から他の府県に転飼をしようとする場合は、すべて一応転飼先の都道府県知事の許可を得なければならない、こういう建前になっておるようでございまして、ただ「省令の定めるところにより、」という文章がございますので、この省令の定め方いかんによりましては、場合によって全然必要のない地方が出てきたりした場合には、そういう場合に限ってさような許可が要らないというような扱いも可能ではないか、かように私ども文章を読みまして判断をいたした次第であります。
  74. 淡谷悠藏

    淡谷委員 重ねてお尋ねいたしますが、今まではこういう取締りの規定は全然なかったのでありますか。それとも若干ございますか。もしあるならばどういう点がこの法律と違いますかその点をお伺いいたします。
  75. 原田博

    原田政府委員 実情を申し上げますと、法律をもって直接さような転飼の許可制度を設けておるのではございません。先ほど申し上げましたしように、都道府県が条例をもちましてそれぞれの県の必要に応じて許可制をしいておるというのが現状でございます。
  76. 淡谷悠藏

    淡谷委員 次に農薬使用の規則でございますが、この農薬ミツバチに与える被害の程度農薬の種類、またどういう農薬がどういう被害を与えるかお伺いしたい。
  77. 小倉武一

    ○小倉政府委員 農薬害虫駆除用の農薬のことだと思いますが、多くの害虫を殺す農薬が、ミツバチにかかればミツバチも死ぬおそれがあるわけで、当然被害があり得るとは推定いたしますけれども、それでは御質問のように、現実にどういう農薬がどういう被害を生ずるかという具体的な統計資料というようなものは承知しておりません。
  78. 淡谷悠藏

    淡谷委員 この第五条は、法案中で最も危険な一条でありまして、この取扱いいかんによっては、日本の農業生産に大きな影響を与えます。ただいま農薬一般については、虫を殺す薬であり、あるいは病気をなおす薬であるということは常識でしょうけれども農薬と言っても広うございまして、しかも殺虫剤といっても植物性の毒を使うものと鉱物性の毒を使うものと、さらに最近問題になっておりますズルフォン剤もるいはホリドールその他の毒薬がございますが、昨日の委員会でも海産物に及ぼす影響が非常に大きく取り上げられておるのであります。そうしますと、農薬の範囲によっては、一般農作の上に著しい障害を来たすようなことが予想されます。大体立案者はどの薬を考えておるのですか。簡単に言えば、ミツバチを殺す薬としては砒酸鉛、砒酸石灰、硫酸ニコチン、ホリドールが考えられます。しかしてこれら四つのうちのどれを対象としてこれを立案されたか。
  79. 平野三郎

    平野三郎君 淡谷委員の該博なる専門的御知識については深く敬意を表する次第でございますが、提案者として本条項を御審議いただきます趣旨といたしましては、もちろん日本の農業としては水稲、麦等主要作物の増産が最も肝要でありまして、それがために農薬使用を普及するということは当然のことでございます。したがってそれに第一義を置きまして、今後も農薬使用を可能な限り伸ばしていくということを考えておるわけでございまして、それに対してある程度制肘を加えようというような考え方は毛頭ございません。ただ、主要作物の増産ということを最大限に行なった上で、さらにミツバチその他の益虫農薬によって死滅するということになりましては、本案の第一条であります農作物等花粉受精上重大な影響があるわけでありますから、本来の目的を十分確保した上において、さらにミツバチ等に対して著しい被害があるということを農林大臣が認めた場合においては、適当なる措置をとることができるということを書いたわけでございまして、すべてこれらの具体的な内容取りきめ等については、政府において実施せしめるという趣旨でございますので、御了承いただきたいと思います。
  80. 淡谷悠藏

    淡谷委員 その程度農薬の認識でこういう法律を立案されることは実に危ないと思うのです。今一番大きな害虫駆除の薬としてはホリドールがあげられます。これは単に益虫だけでなく人畜にも害を及ぼしますので、この薬品を今まで通り使用さしていいか悪いかは昨日も議論になっております。特に今の立案者のお答えでは、米麦の生産に障害を来たさないような農薬ということでございましたけれども、第六条にも関係がございますが、ミツバチに対する影響は、果樹、野菜に散布するのが一番影響を及ぼすのであります。砒酸鉛の散布でも、散布して十日後にその花からとったみつの中には多分の鉛あるいは砒素分の沈澱がございまして、そのためにそのハチみつ使用にたえないという実例がある。最近果樹にホリドールが盛んに使われておりますが、ホリドールを使った場合にミツバチが死ぬのはわかり切っておる。そうすると五条は、農薬の中で今一番使われておりますホリドールあるいは砒酸鉛の二つの薬に除外例を設けるならば、ほかの薬を制限しましてもハチは死んでしまいますが、その点具体的に農林省の意向を確かめて、ミツバチの死滅を防ぐためにホリドール、砒酸鉛を使用することを禁止する意向があるのかどうか、この点をはっきりお伺いいたします。この第五条はまことにあいまいな条文なんですが、こんなあいまいなままで出すならば、その結果は波及するところを知らないのでありますが、その点はいかがですか。
  81. 平野三郎

    平野三郎君 先ほど申し上げましたように、提案者といたしましては、農作物害虫駆除を原則とし、しかもさらにそれを確保した上においてミツバチその他の益虫保護考えるという趣旨で、ごく抽象的にこの法案を出したわけでありまして、これらの具体的取扱いの内容につきましては、すべて農林大臣が認めた場合に善処するという趣旨であります。詳細な技術的の点につきましては、必要がございましたならば政府委員からお答え申し上げることにいたします。
  82. 淡谷悠藏

    淡谷委員 立案者がその程度考え方ですべてを農林大臣にしわ寄せするならば、私は農林大臣の腹を聞かない限りは第五条の質疑を切り上げることはできませんから、農林大臣の出席を要求します。  大臣が来られるまで第六条に移ります。あなたは簡単に考えておりますけれども、現在使われておる砒酸鉛、ホリドール、DDT、BHC、この四つの薬を除外してあとの薬を禁止しましてもミツバチは死にますよ。現に死んでおるのです。こういう点は、この薬の使用を禁止してまでもミツバチを振興するのか、あるいは死んでも仕方がないとしあきらめるのか、この五条は大事なことでありますから、大臣が来てからお尋ねいたしますけれども、この点はもう少し慎重にお考えになってから出したらいいと思うのですが、この点いかがですか、もう一度お尋ねいたします。
  83. 平野三郎

    平野三郎君 その点は先ほども出し上げましたように、提案者といたしましては、農作物増産のために病害虫を防除することが第一であると考えております。その目的を確保した上において、さらにミツバチ等の保護についても考慮するということが最も妥当でありまして、具体的にどういう薬品がどうかというお話でございますが、薬品の使い方にもよるわけでございますから、提案者としては今用いられておる農薬を禁止しようとか、そういう意図は毛頭ないわけであります。     〔委員長退席、松浦(東)委員長代理着席〕
  84. 淡谷悠藏

    淡谷委員 そうしますと、農作物増産するためにはミツバチが死んでもやむを得ないということは、第五条は死文になってもかまわないというお考えですか。農作物増産を第一にする、従ってBHC、DDTあるいは砒酸鉛、ホリドールとかいう薬が禁止できない場合には、この第五条は死文になってもよろしいか、それともその薬品の使用にさらにいい意見があるというのですか、ミツバチ飼養者のいる場所についてはその薬品の散布しように制限を加えるという意味なんですか。米麦の場合はあまり変りありませんが、直接被害を与える果樹の場合は、非常に問題になってくる。果樹地帯は大問題になって、養蜂家と果樹栽培家の間にそういう問題が起こっている。その問題を全然回避してしまって、あっさり片付けてしまおうと思ってもできませんよ。その点はどうなんですか。振興法を出すことに対しては、私もミツバチの振興には反対ではありませんよ。非常に支持したいのですが、当面する矛盾を一体どういう態度でやられるか、これは笑いごとではないのです。はっきり御答弁願いたい。
  85. 平野三郎

    平野三郎君 その点は先ほど申し上げましたように、やはり原則の目的を確保いたしまして、しかもさようにその上において起るべき被害も防除していこう、こういうことでありまして、ただいま淡谷委員お話しございましたように、農薬が漁業に与える影響というようなものも相当問題になっておる。現に昨日の本委員会においても、この問題が取り上げられたようでございますが、要は個々の具体的ケース、ケースにおいて考えるべきではないか。本案はごらんの通り「その使用を制限し、又はその使用の時期、方法等について必要な措置をとるべきことを命ずることができる。」こうなっておるわけで、すなわち必要な措置という内容になるわけでございますが、これは個々の具体的場合に応じまして、あるいは薬品の禁止をするということもあるかもしれませんし、あるいはその使用方法等をを必要な措置をとることによって、解決するということもございますわけで、すべてそれは具体的な問題が起りました場合において、その都度善処する、こういうことにいたして参りたいと考えておるわけでございます。
  86. 淡谷悠藏

    淡谷委員 これはあなたと私と質疑しているうちはまことになごやかで、ほほえましい状況を展開いたしますが、事が具体的になりまして、養蜂家と果樹栽培がこの法案を中心争う場合になったら、事はなごやかにいかぬと思う。少くともこの法律にもっと明確な規定がないと、明確な解釈がない限りは、いたずらに混乱を招くような法案になる。私はこの点はなおあらためて農林大臣に質問したい。  同じことが第六条についても言われます。「みつ源植物の保護増殖」と申しますが、一体立案者はみつ源植物についてどのように考えておられるか、この点について伺いたい。これは農薬と同じように非常に広いのですが、どの程度までをみつ源植物と考えておられるか。
  87. 平野三郎

    平野三郎君 第六条についてのお尋ねでございますが、この規定は一種の訓示規定でありまして、提案者の意図いたしておりますのは、みつ源植物をどの程度にするかというような具体的なことではなくて、たとえば街路樹を植えるというような場合、アカシヤを植える場合に、アカシヤはみつ源になる種類のアカシヤとならない種類のものとがございます。そういう場合に、なるべくはみつ源のあるところのアカシヤを植えるようにした方がいいのではないか、こういうふうな趣旨で本案を立案した次第であります。
  88. 淡谷悠藏

    淡谷委員 第六条も植栽の方はあまり問題がないのです。木を植える、草を植える点は、これは養蜂とは植える限りにおいてはあまり関係がございません。ただみつ源と出しましても、花だけのみつ源ならば問題ありませんが、花外みつ腺というものがあります。カバとか桜などに見ますように、葉柄の根元にみつを持っている。ここまで一体みつ源植物として扱っていくのか。あるいはクローバーのみつ源考えた場合、花が咲く以前に刈ってはならないというような規定を置いたのは、酪農の上に非常に影響を持ってくる。だから除去または伐採という方面にこの法案をかりに訓示規定法律として取り扱って、これをもとにして自分の利益を守るような向きが起ってきた場合には、これまた第五条とともに、他の農業との間にあつれき、抗争を生ずる法文と考えますが、その点はどうですか。
  89. 平野三郎

    平野三郎君 本案はごらんの通り、「その目的に反しない限りにおいて、」というただし書きがあるわけでございますから、従って植物の除去または伐採をするという場合においても、この目的があるならば何らこれは差しつかえないわけでございます。ただこれを除去してもいいし、しなくてもいい、どっちでもいいのだというような場合、あるいはここに二種類の植物がありまして、一方はみつ源を持っておる、一方は持っておらないという場合、どちらを除去してもいいような場合におきましては、なるべくそのみつ源のない方を除去するという趣旨でいくことが望ましい、こういう程度のものでございますから、現実にはこの規定によってそう重大な摩擦が起こるというようなことは、毛頭ないと考えておるわけでございまして、御了承いただきたいと思います。
  90. 淡谷悠藏

    淡谷委員 第八条の二項ですが、「農林大臣は、ほう群配置の適正を期するため必要があると認めるときは、転飼養ほうの規制に関し、都道府県知事に勧告をすることができる。」こういう項がございます。これとずっと前の方の「都道府県知事の許可を受けなければならない。」これとは当然関連すると思いますが、この蜂群配置の適正という問題なんですが、これは当初私が申し上げました地元の養蜂家と転飼養蜂家との間に、現在起っておるさまざまな問題を、何とか規制する法律のように考えますが、現在立案者は転飼養蜂家と地元養蜂家との間のいろいろなトラブルをどういうふうに考えておられるか、この点をお伺いしたい。
  91. 平野三郎

    平野三郎君 実は淡谷委員のように私はあまりこの養蜂のことについてこまかい専門的なことを承知しておらぬわけでございまして、大へん恐縮でございますが、提案者として考えましたことは、やはり養蜂をいたしますためには、それに相応するところみつ源がなければならないわけで、それと絶えず均衡を保っておって、それによって養蜂業が成り立つものである。もしみつ源以上に養蜂家が多数になった場合は、どこもみつがとれなくなって、共倒れになってしまう。だから絶えずみつ源養蜂家との均衡を保つということが必要でございます。従って地元業者というものがありまして、そこで養蜂が行われておる。そこへ他から多数の転飼業者が入って来て、地元がやっていけなければ転飼した者もみつがとれない、こういうことがあってはなりませんので、やはります地元の養蜂業者の必要を満たして、その上において余剰があった場合においては他の転飼養蜂も認める、こういう趣旨でこの規定を設けたわけでございます。
  92. 淡谷悠藏

    淡谷委員 現在転飼をやっておる人の方がずっと多いのであります。これは列車を借り切りまして、春から冬まで九州から北海道まで列車によって養蜂をやっておる。そうして花が咲いたところを見ますとどっと行って、駅で三日でも四日でも花の咲いておる間はそれを転飼してみつをとって、あとはまた他の山の方に蜂群を移していく。みつのある限りはそこへ行ってとってしまう。一たん転飼養蜂家が来たあとは、地元の養蜂家は全然みつがとれないことになっておる。これを取り締る方法ができておりません。ただ府県知事の規則とか許可という形だけであっさり見過しておるので、これで果して地元養蜂家の利益が守れるかどうか、その点を一つ考え願いたい。私はどうもこの養ほう振興法案は、大量な蜂群を持って日本国中をまたにかけて歩いておる養蜂家のための法律案であると考えますが、その点はいかがですか。
  93. 平野三郎

    平野三郎君 先ほども申し上げましたように、地元の養蜂家の必要を満たして、まだ余剰があった場合においては、他から来るものを許可する、こういう転飼に対して制限を設けておるわけでございますから、その点においてはむしろ地元の養蜂家を保護するという建前の法律案であると考えるわけでございます。従いましてお話のような転飼養蜂家のためにこの案が片寄っておるということはないので、むしろその反対であるというふうに考えておりまするが、ただいまの御意見の、この程度規定では地元業者と転飼業者との間の相剋摩擦という問題が何ら解決されないのじゃないかという点は、われわれといたしましてもこれでは十分であるとは考えておりません。しかしながら、現在そういう一、二のトラブルに対しまして何らの法的規制がないわけでありまするから、当面一応この程度の規制を設けまして、そうして事を善処するように進めて参りたい、こういう趣旨で本案を提出いたしておるわけでありまして、何とぞよろしくお願いを申し上げます。
  94. 淡谷悠藏

    淡谷委員 この法案全体を通してみますと、非常にいいかげんなんであります。私はむしろ養蜂振興にあなたはもっと積極性を持ってもいい、積極性を持つならば、むしろ大胆に、養蜂家のいるところではホリドールを禁止するとかあるいは花が咲いている間は砒酸鉛を外禁止するとかできないことではないのであります。果樹地帯では自粛しまして、ハチみつをあさる間は砒酸鉛の使用を禁じています。もっと養蜂というものと他の業者と結びつけて、大胆な規制をされるならこれはやってもよろしい。これもどうでもよろしい、あるいはみつ源についてもその通りだ、しかも養蜂家の保護についてもこれでははなはだいいかげんである。特にみつ源というのはあらかじめ調査をしなければ、どこにどれだけあるかわかりません。もうハチみつ源がなくなって困ってきてからにわかにやろうと思っても、これは黒砂糖をなめさせればそれでいいのですけれども、自然のみつ源によるならば、あらかじめ各県下のみつ源を調べて、どこどこには転飼を許すとか、何日間放置するとか、アカシアは何日から咲くとかはっきり決定した上で転飼を許すようにしなければ、これはとてもとれるものではないのであります。そういう点まで考えて作られた法案ならば私は満足いたします。ただし、これをずっと見てきますと、一番確かなところがたった一つございまして、それは第九条であります。「政府は、養ほう業者に対し、予算の範囲内において、養ほう業の振興のため必要な補助金を交付することができる。」これだけは実に的確である。この一点をねらった法律のように思われてしようがないのでありますが、いかかでございますか。あとはどうでもよろしいのですが、第九条までも「できる。」だから補助金は出してもいいし、出さなくてもよろしいんだという解釈でありますか、それともこの法律を作った以上は、補助金を出さなければならないというのでありますか。これもどうでもいいのでありますならば、全体これは全く骨抜きになってしまうのでありますから、いかようでございますか御意見を承わりたい。
  95. 平野三郎

    平野三郎君 提案者といたしましては、本案の各条項がすべて法律上同じ効果を持っておるわけでございまして、第九条もそのうちの一つでございまして、将来必要があります場合、すなわち養蜂業の振興のために必要なる場合におきましては、適当なる補助金を交付することが望ましい、こう考えておるわけでございます。
  96. 淡谷悠藏

    淡谷委員 養ほう振興法案のこの提案の理由について私は全面的に賛成いたします。ただし、この理由をを法律で裏づけをするためにはこの法文では非常にあいまいであり、かつ不徹底であります。作って益のない法律だと思う。作るならばもっと骨のある、実効のある法律を作るべきであって、あってもなくてもいい法律ならばむしろ作らない方が養蜂家のためになると思いますが、その点いかがでございますか。
  97. 平野三郎

    平野三郎君 御説の通り、本案では十分目的を達し得られない、はなはだ不徹底であるという点においては、そういう感も必ずしもなきにしもあらずと思いますが、現在わが国には養蜂について何の法律もないわけでございます。先ほど久保田委員から種々該博なる知識のもとに、いろいろ各国状況お話がございましたが、世界各国ともいずれも養蜂のための法律ができておりまして、非常に政府養蜂に力を入れておるわけでありますが、日本だけが全然そういうことがない。そういうときでありますから、とりあえず不満足ながら本案を提出いたしまして、幸いにして御審議の結果成立いたしましたならば、とにかく初めてわが国におきまして養蜂のための法律ができるわけでありまして、将来さらにこの内容をお説のように改善強化して参りたい、こういうことでとりあえず本案の御審議をいただいておるわけでございますので、どうかよろしくお願いをいたします。
  98. 淡谷悠藏

    淡谷委員 諸外国に養蜂法律があるから日本もなければならないということはわかりますけれども、外国の養蜂の範囲と日本の範囲とは、やり方は違うでしょう。これは非常に広大なみつ源を持って、幾らとってもとり切れないといったよう外国のみつ源と、汽車にハチを積んで方々旅行させなければ養蜂家が成り立たぬという日本の場合とでは、法律の構成そのものが変らなければならぬと思うのであります。特にそういうふうな趣旨から立てるならば、どうせ作るならば完全なものを作った方がいいと思いますが、この際この法案修正を加える御意思がございますか、ございませんか。特に最も大事な農薬みつ源植物の問題については、あなたはお答えできない。農林大臣の話を聞いてからというように逃げておられますが、農林省関係者とも十分に話し合いの上で、あとでトラブルの起らないような法律修正された方がよろしいと思いますが、この点いかがでございますか。
  99. 平野三郎

    平野三郎君 皆様の御審議の結果本案がさらによくなるように御修正願えますならば、はなはだけっこうでございます。
  100. 松浦東介

    ○松浦(東)委員長代理 本日の会議はこの程度にとどめまして散会いたします。     午後三時二十七分散会      ————◇—————