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1955-06-17 第22回国会 衆議院 農林水産委員会 第26号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年六月十七日(金曜日)     午前十一時二十一分開議  出席委員    委員長 綱島 正興君    理事 井出一太郎君 理事 松浦 東介君    理事 鈴木 善幸君 理事 中馬 辰猪君    理事 足鹿  覺君 理事 稲富 稜人君       赤澤 正道君    安藤  覺君       五十嵐吉藏君    伊東 岩男君       石坂  繁君    大森 玉木君       加藤常太郎君    楠美 省吾君       小枝 一雄君    笹山茂太郎君       原  捨思君    本名  武君       山本 猛夫君    足立 篤郎君       川村善八郎君    助川 良平君       田口長治郎君    平野 三郎君       松山 義雄君    赤路 友藏君       淡谷 悠藏君    石田 宥全君       楯 兼次郎君    芳賀  貢君       伊瀬幸太郎君    川俣 清音君       佐竹 新市君    中村 時雄君       日野 吉夫君    久保田 豊君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 一萬田尚登君         農 林 大 臣 河野 一郎君  出席政府委員         大蔵事務官         (主計局長)  森永貞一郎君         大蔵事務官         (主計局次長) 原  純夫君         農林政務次官  吉川 久衛君         農林事務官         (大臣官房長) 安田善一郎君         食糧庁長官   清井  正君  委員外出席者         専  門  員 難波 理平君         専  門  員 岩隈  博君         専  門  員 藤井  信君         専  門  員 徳久 三種君     ――――――――――――― 六月十五日  委員小枝一雄君及び有馬輝武辞任につき、そ  の補欠として山本猛夫君及び赤路友藏君が議長  の指名委員に選任された。 同月十七日  委員木村文男君及び岡田春夫辞任につき、そ  の補欠として小枝一雄君及び久保田豊君が議長  の指名委員に選任された。 同日  理事大野市郎理事辞任につき、その補欠とし  て中馬辰猪君が理事に当選した。     ――――――――――――― 六月十四日  昭和三十年四月及び五月の凍霜害水害等の被  害農家に対する資金の融通に関する特別措置法  案(内閣提出第一二八号) 同月十六日  積雪寒冷単作地帯振興臨時措置法の一部を改正  する法律案松浦東介君外四十一名提出衆法  第一九号) 同月十四日  耕土培養法の一部改正に関する請願塚田十一  郎君紹介)(第二一八四号)  千葉県のひよう害対策確立に関する請願(福井  順一君紹介)(第二一八五号)  相知町の水害対策確立に関する請願眞崎勝次  君紹介)(第二一八六号)  米の直接統制継続に関する請願川村継義君紹  介)(第二二四三号)  同(片島港君紹介)(第二二四四号)  同(風見章紹介)(第二二四五号)  機船底びき網漁業撤廃に関する請願森本靖君  紹介)(第二二四六号)  筑波郡の未墾地買収に関する請願北澤直吉君  紹介)(第二二四七号) 同月十五日  砂糖安定帯価格及び輸入粗糖外貨資金割当に関  する請願田中伊三次君紹介)(第二二六九  号)  伝貧研究所設置請願井手以誠君紹介)(第  二二八一号)  未懇土地買収に関する請願加藤高藏君紹  介)(第二二八二号)  名古港船だまり修築促進に関する請願池田清  志君紹介)(第二二八七号)  酪農基金法制定に関する請願小枝一雄君紹  介)(第二三二五号)  精麦用新麦の政府売却価格適正化に関する請  願(木原津與志君紹介)(第二三二六号)  同(加藤高藏君紹介)(第二三二七号)  同(笹本一雄紹介)(第二三二八号)  同(古井喜實紹介)(第二三二九号)  同(山本幸一紹介)(第二三三〇号) の審査を本委員会に付託された。 同月十六日  桑園等の凍霜害対策確立に関する陳情書  (第二一七号)  米の生産者価格是正等に関する陳情書  (第二一八号)  佐賀県下の災害復旧対策確立に関する陳情書  (第二一九号)  昭和三十年度積雪寒冷単作地帯農業振興予算増  額に関する陳情書  (第二四四  号)  農林省統計調査事務所職員待遇確立等に関す  る陳情書外一件  (第二六八号)  伝貧研究所設置陳情書外二件  (第二六九号)  昭和三十年度産米価対策確立に関する陳情書外  一件(第  二七〇号)  昭和三十年度土地改良事業関係予算増額に関す  る陳情書  (第二七二号)  砂糖価格安定及び輸入に関する臨時措置に関  する法律制定反対に関する陳情書  (第二七五号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  理事の互選  昭和三十年産米集荷制度集荷予定数量等に  関し、参考人招致に関する件  昭和三十年産米価に関する件  昭和三十年産米価対策早期決定に関する件     ―――――――――――――
  2. 綱島正興

    綱島委員長 これより開会いたします。  最初にちょっと御報告を申し上げます。前に本委員会から外務委員会に対しまして農産物に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定に関しまして連合審査申し入れをいたしておいたのでありましたが、公報でも御報告いたしました通り、本日の午前中にこの連合審査を開くという外務委員会からの御通知があったのであります。そこで委員長は昨日、今朝の二回にわたり外務委員長に御相談をいたしまして、ぜひ今日の午前中の連合審査は延期をしていただきたい、こういう申し入れをいたしておったのでありますが、今朝に至りまして外務委員長から本委員長に対しまして左のような回答がございました。  「農産物に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定について、貴委員会より連合審査の申し込みがありましたので、特に都合いたして本日午前十時合同審査会を開会することに決定いたしたのであります。ついては連合審査会に対しては最善の便  宜を与えられるようお願いします。」  こういうことでございますので、先ほどから理事会において外務委員長申し入れを撤回されて、特に連合審査を明日にしていただきたいという申し出をいたしておりますが、外務委員会においては理事会を開いて善後処置を御協議のようでございますので、その間時間を空費することもと思いまして、これから委員会を開くことにいたしました。  なおこの委員会を開くようにいたしましたことは、前回の委員会米価に関する審議を優先いたすことに決定をいたしておりましたために、政府米価に対する態度決定するまでは委員会を開かずにおったのでありますが、昨日井出松浦の民主党の両理事が見えられまして、政府米価に対する態度は大体決定したから委員会を開いてくれという申し出がありましたので、委員会を召集しておきまして、今朝その旨理事会報告いたしまして、委員会を開会することにいたしたのであります。  農林大臣より発言を求められております。これを許します。農林大臣
  3. 河野一郎

    河野国務大臣 米価決定につきましていろいろ御迷惑をかけていることははなはだ遺憾でございます。実は政府におきましても、御承知の通り与党との関係その他の意見調整をする必要上、鋭意その方向に努力をして参ったのでございますが、だんだん決定を急がなければならぬ時期にすでに到達いたしておりますので、私といたしましては来たる二十一日に米価審議会を開催して、まず審議会意見を十分承わり、必要なる準備を整えて早急に米価決定をいたしたいということで、実は本日も午後四時から臨時閣議を開きまして——もちろん米価問題だけではございません。他の閣僚からもいろいろ諸般の必要な閣議決定を急ぐ問題についての御発言があることと存じますが、私といたしましては、米価決定の問題について十分閣内意見を調整して、早急と取りきめるように運ぶことにいたしているわけでございます。そういう事情でございまして、今ここであらためて、具体的に皆様に米価はどういうふうにして幾らにきめることに決定したということの御報告のできませんことははなはだ遺憾でございますけれども、今申し上げますように、大体の目安を定めていくことにいたしている次第でございますので、その点御了承をいただきたいと思うのでございます。
  4. 綱島正興

    綱島委員長 それではお諮りいたします。大蔵大臣出席を求むるために議長を経て出席を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 綱島正興

    綱島委員長 しからばさように取り計らいます。  ちょっと速記をとめて。     〔速記中止
  6. 綱島正興

    綱島委員長 速記を始めて下さい。中馬君。
  7. 中馬辰猪

    中馬委員 私は農林大臣に対しまして米価の問題をお伺いいたしたいと思うのでありますが、あらかじめお断わりいたしておきたいことは、私どもはあなた方が提唱せられる予約買付制度というものを是認した上で、この価格の問題を議論いたしておるのではないということであります。あくまでも私ども米価の問題を申し上げておるのは、予約買付制度というものを認めたから申し上げておるのではなくて、それとこれとは全く別な立場であるということをまず申し上げておきたいと思うのであります。  農林大臣政府米価対策というものに対しましては、いかにも真剣味が足りないと私ども考えております。東日本におきましては、すでに大方田植えも終っております。それにもかかわらず依然として価格決定のための真剣な、しかも具体的な努力がうかがえておらないということは、まことに国民にとりましても不幸なことであると考えておるのであります。おそらくあなたの本心は、——農民にとりましてあなた方の制度のうちで最も大きな問題となっておりますものは、前渡金であります。米価の約二割見当、大体二千円程度と思われますけれども、それを最も金がない今日において、農民に前渡するということは、農民にとりましては確かに魅力であります。そのためにおそらくあなたとしては、農民にとって最も魅力であるところのその前渡金を、米価がきまらないままにこれをえさにいたしまして、そうして予約を取り付ける、わずかに二千円程度えさでもって、農民予約を取り付けるという——朝日新聞にも書いてございましたけれども、いわゆる青田買い的な性質を持っておると思うのであります。     〔委員長退席鈴木(善)委員長代理着席〕 しかもあなたは、国会が終了いたしまして、あるいは秋ごろに米価をきめるような腹があるのではないかということを、私どもは疑わざるを得ないのであります。現に参議院におかれましても、あなたが失言をなさいまして、いわゆる暴言をせられましたことは、まことにあなたの腹が率直に現われたものだとわれわれは考えておるのであります。六月十五日を目途にして米価決定したいということを言っておられましたのに、米価審議会における社会党のある委員の方の発言を歪曲せられまして、さような暴言をせられたのでありますけれども、これはちょうど顧みて他を言う類であると考えておるのであります。あなた自身に秋ごろに決定したいという希望があるから、その希望にマッチするところだけを取り上げまして、さような言を吐かれたものであると思うのでありますが、あなたは先ほど早急に決定するとおっしゃいましたけれども、一体いつごろおきめになる意見でございますか、お伺いをいたします。
  8. 河野一郎

    河野国務大臣 先ほど申し上げました通り、だんだんの御意見でございますが、私の微力のために所期通り決定のできませんことははなはだ遺憾でございますが、なるべく早く——なるべくということは、できればきょうにもきまれば一番よろしいというふうに考えておるのでありまして、国会の終了後というようなことは全然考えておりません。それだけ申し上げておきます。
  9. 中馬辰猪

    中馬委員 国会が終了しないうちに決定をいたしたいというあなたのお言葉でございますけれども、これはあと大蔵大臣にも質問しなければなりませんが、けさのどの新聞を拝見いたしましても、大蔵大臣は廣川さんと協議をせられまして、意見の一致を見たということが新聞に報道せられておるのであります。これはあなたのお言葉が正しいか、あるいは大蔵大臣意見として新聞に書いてあるのが正しいかということは、これはあと大蔵大臣をお呼びいたしまして質問をいたしたいと思うのでありますけれども先ほどあなたは、米価審議会を二十一日に開いて、審議会意見を承わって国民各界、各階層の意見を承わって米価決定したいということを言っておられましたけれども、これは筋が逆じゃないかと私は思うのであります。政府に原案がなくして審議会を開くというような、そういう審議会というものは意味をなさないのであります。すでに四月にあなたは予約制度というものを発表せられ、閣議においてこれを決定せられたのでありますから、そのときに米価に対するあなたたち根本考え方というものが、決定しておらなければならぬのであります。しかるに二ヵ月にもなりますけれども、いまだかつて具体的なさようなお言葉がないのは、まことに残念であります。審議会を開く以上は、あらかじめあなたの方でしっかりした案をお作りになって、その案の賛否を求めるというのが、これが審議会でなければならぬと思うのでありますけれども、ただ審議会にあたかも審議会意見を求めるということは、表面上民主的のようでございますけれども、これはあなたの方に定見がないということであります。こういうようなやり方では、画期的なやり方であるところの予約買付制度というものは、うまくいくはずはないのであります。その点において審議会を開くに際しましては、あなたは先ほど、早ければきょうじゅうにもきめたいとおっしゃいましたけれども、きょうじゅうにもきめたいというそのお言葉と、審議会を開いたときにおいては、審議会意見を聞いて、自分たちの案はあたかも示さないでもよろしいんだというふうにもとれるお言葉との間に、非常な矛盾があると私は思うのでありますけれども、その点は一体どういうふうにお考えになりますか。
  10. 河野一郎

    河野国務大臣 私はなるべく早くきめる意味におきまして、政府案を取りまとめて、これを審議会にかけるということが一番筋はいいと思うのであります。いいと思いますが、それをきめてからまた審議会ということになりますと、だんだん時日が遅れるということも懸念いたしまして、なるべく早くきめるには、審議会意見も聞いて、これも重要な資料にしてやる。ただし申し上げておきますが、二十一日の審議会の開会以前に、政府案の取りまとめがつきますれば、方針がきまればその案を審議会にかけるということでございます。
  11. 中馬辰猪

    中馬委員 審議会以前に政府の案がもしきまらない場合においては、先ほど大臣がおっしゃいましたように、何らの意見なくして、ただ審議会意見を徴するにとどまると思うのでありますが、もしさような場合におきまして、政府の案が固まって、二十一日以後に出てきた場合においては、さらにもう一回審議会を開かなければならぬと思うのでありますけれども、その点は大臣はどうお考えでありますか。
  12. 河野一郎

    河野国務大臣 審議会の御意見政府意見と一致する場合には、開かぬでもいいでございましょうし、また非常に食い違いができた場合には、もう一ぺん開くということがいいと思います。
  13. 中馬辰猪

    中馬委員 今度の買付制度というものは、価格をいつきめるかということももちろん大切でございますけれども価格をどのようにきめるかということも、また同時に大切な要素であります。さような意味において、予算米価にきめられておるところの米価と、実際にあなたが決定されんとするその米価とは、一体あなたはどういうふうに考えておられますか。大蔵大臣は、しばしば新聞の報ずるところでは、予算米価を絶対に上回らない、九千七百三十九円という予算米価を上回ることは許されないということを強調いたしておるようでございますけれども、あなたは大蔵大臣のさような考え方をどのように考えておられますか。
  14. 河野一郎

    河野国務大臣 今せっかく閣内で討議中でございますから、決定の上でお答え申し上げたいと思います。
  15. 中馬辰猪

    中馬委員 私は、予約制度を完全に遂行するためには、どうしても相手方であるところの全販連あるいは農民方々との一致した円満な意見がなければ、米は集まらぬと思います。さような意味で、全販連におきましてはすでに一万二千四百円以下では絶対に集荷の責任は負えないということを一致して言うておるのであります。農村の各種の団体におきましては、ただいま新聞で報ぜられるような程度政府予算内容では、どうしても米を集めることはできない、もし一万二千四百円以下の場合においては、千五百万石がせいぜいであるということを彼らは言うておられるのであります。もし一万円以下ならば千五百万石しか集荷できない、あるいは一万二千四百円以上ならば三千万石集まる、こういうことをわれわれはしばしば聞いておるのであります。政府は六月十三日に、三十年産米集荷目標といたしまして二千四百万石というものを指示されたように承わっておりますけれども、これは事実でございますか。
  16. 河野一郎

    河野国務大臣 お答えいたします。まだそういう指示はいたしておりません。
  17. 中馬辰猪

    中馬委員 結局米価決定する場合におきましては、ある程度奨励金と申しますか、予約価格の差金というものを認めなければ米は集まらないと考えておりますけれども、あなたは現在におきましては米価というものをどのように具体的に考えておられますか。予約奨励金のごときは考えておられますかどうか、お伺いいたします。
  18. 河野一郎

    河野国務大臣 せっかく検討中でございますから、きまった上でお答えいたします。
  19. 中馬辰猪

    中馬委員 早ければきょうじゅうにも決定をいたしたいと言われるし、また二十一日の審議会にもできるならば意見を出したいと言っておられるのに、きょうは十七日であります。あと三日しかございませんのに、今日の段階においてもまださようなことを言っておられるということは、私どもには納得がいかないのであります。今日の段階であなたの考えておられる米価に対する構想を、さらに具体的に伺いたいものであります。
  20. 河野一郎

    河野国務大臣 政府といたしましては、閣議においていろいろな立場から御意見もあることでございますので、いずれごく近日のうちに一切の決定をすることにいたしておるのでございますから、決定した上で申し上げたいと思います。
  21. 中馬辰猪

    中馬委員 それはあと大蔵大臣が参りましてからお伺いいたしますが、もしわれわれが心配いたしておりまするように、前渡し金だけ農民に渡して、あと条件は秋になってからきめる、そういう場合に、農民にとりましてその条件納得がいかないような場合におきまして、政府はどのような手段で集荷をせられる自信がございますか。
  22. 河野一郎

    河野国務大臣 これは閣議大綱決定してございます通り閣議大綱決定に基いて、近日のうちに一切を決定いたしたいと思います。
  23. 中馬辰猪

    中馬委員 閣議大綱がきまっておるとおっしゃいますけれども、その大綱をここで具体的にお示しを願いたいのであります。集荷目標もきまっておらないし、価格もきまっておらないし、その価格内容についてもきまっておらないし、ある場合においては、財政負担が過重するような場合において、その財政負担を埋める構想もきまっておらないのに、大綱というのは一体何でございますか、もう少し具体的にお願いいたします。
  24. 河野一郎

    河野国務大臣 先ほどからお答え申し上げまするように、たとえば減税の処置でありまするとか、前渡し金処置でありまするとか、その他予約集荷に必要な処置は、近日のうちに一切を閣議決定して、そして申し上げることにいたしておりますから、そのときまでお待ちを願いたいと思うのでございます。
  25. 中馬辰猪

    中馬委員 ただいまの大臣の言われるようなことは、私は枝葉末節とはあえて申し上げませんけれども大綱ではないと思います。大綱というのは、米の値段幾らにきめる、幾ら米を集めて、いつからどれだけ配給をする、その足らない分はどういうふうにして外国から輸入するとか、あるいは財政負担を埋め合わすとか、そういうことが大綱であって、ただいま言われたようなことを私ども大綱とは考えておりませんからして、もう少しその点をはっきりさしていただきたいと思います。
  26. 河野一郎

    河野国務大臣 それらの点は、食管特別会計に説明を申し上げてあります通りに、たとえば集荷目標は二千三百五十万石で、そしてこれに基いて現在通り配給量を維持して参りまする上において、足りない分を外国から外麦、外米を輸入して参るということは、お示し申し上げてある通りであります。
  27. 中馬辰猪

    中馬委員 大綱というのは、米の値段をいつ発表する、あるいは幾らにきめる——現在の段階におきましては、むしろそれが私は大綱のうちの一番根本の問題ではなかろうかと考えております。値段もきめないでおいてそういう議論をされるということは、私どもにはどうしても納得がいきません。  この点はあとでまたお伺いをいたしますけれども、それならば、先ほど私が御質問を申し上げましたように、もし農民にとりましてあなたたちがお示しになる条件がどうしても納得がいかない場合においては、政府強制集荷をされる意思がございますか。どうでございますか。
  28. 河野一郎

    河野国務大臣 強制集荷処置に出る必要のないように、農業団体その他の御協力を得て、所期の目的を達成いたしたいと考えております。
  29. 中馬辰猪

    中馬委員 強制集荷などということは、予約制度のもとにおいてはできないのであります。すでに米を出し尽したあとで、あるいは体系が混乱をいたしたあとで、強制集荷などということはできないのでありますからして、そのできないことをある程度前提に置いてお考えになってはいけないと思います。おそらく政府は、アメリカからの余剰農産物一億ドルの受け入れが決定をいたしましたので、そこで配給の問題におきましては、ある程度たかをくくっておられるのじゃないかと思うのであります。先ほど私が申し上げましたように、二割の、大体二千円程度前渡し金を一方において渡す——一方においては、生産者たる農民に対しましては、二割の前渡し金程度でこれをえさにして何とか米を出してもらう、また地方消費者方々に対しましては、余剰農産物一億ドルがあるんだから決して心配要らないというような、この二本立の横着な考え方で進んでおられるのじゃなかろうかと私どもは想像せざるを得ないのであります。さような意味で、政府においてはもう少し真剣に考えていただきたいのであります。 さらに御質問申し上げたいことは、しからば農林大臣は、予算米価九千七百三十九円よりも高い値段想定をされておられますか、あるいは低い値段想定をされておられますか。大蔵大臣協議をされる場合におきまして、あなたは一体どの程度米価で折衝されておられますか。
  30. 河野一郎

    河野国務大臣 先ほどから申し上げます通りに、近日決定して申し上げますから、そのときまでお待ちを願いたいと思います。
  31. 中馬辰猪

    中馬委員 近日というのが当てにならないのであります。あなたはすでに六月十五日を目途として決定するということを言うておられましたけれども、六月十五日になりましても、何ら具体的な動きはないのであります。これはすでに閣議において予約買付制度決定されたその瞬間から、たとい六月十五日が六月二十日になろうが、そういう一週間や十日のことをわれわれは問題にいたしておるのではございません。ただ政府考え方が非常に真剣味を欠いておるから、われわれは心配しておるのであります。そこで先ほど私が申し上げましたように、新聞紙上におけるいわゆる高米価でないと、一万円を割るような価格では米は集まらない。われわれは高いとは考えておりませんけれども新聞でいういわゆる高米価でないと米は集まらないということは事実であると考えておりますけれども、その点大臣はいかがお考えでございますか。
  32. 河野一郎

    河野国務大臣 それらにつきましては、いずれ決定をしてから所見を申し上げます。
  33. 中馬辰猪

    中馬委員 近日中というのは大体いつごろですか。
  34. 河野一郎

    河野国務大臣 先ほどからたびたびお答え申し上げましたように、できればきょうにもきめたいと思っております。
  35. 中馬辰猪

    中馬委員 できればきょうにも発表したいと言われるが、その具体的な構想は何もないじゃありませんか。  それからもう一つお伺いいたしたいことは、もし二重米価となって財政負担が加重するような場合に、廣川案によりますと三級酒というものを設定されて、これである程度の財源を予定されておられるのでございますけれども大臣はこの三級酒の設定についてはどのようにお考えでございますか。
  36. 河野一郎

    河野国務大臣 私は、酒のことは農林省の所管でございませんから、考えておりません。
  37. 中馬辰猪

    中馬委員 米を大蔵省に売り渡す場合においては、あなたの一所管ではございませんか。現在民主党あるいは政府において最も問題になっておりますことは、この財政負担をいかに埋め合すかということではございせんか。もし財政負担が百億ないし百四、五十億出なければならぬように米価決定をした場合においては、その点をあなたはどういうふうに考えておられますか。
  38. 河野一郎

    河野国務大臣 先ほど来申し上げました通り米価決定と同時に私の考えを申し上げたいと思います。
  39. 中馬辰猪

    中馬委員 米価決定と三級酒を作るということとは何らの関係がないようなあなたのお答えでありますけれども、これは非常に関係がございます。現に昨日もそのために廣川さんと大蔵大臣とが会っておるのではありませんか。もし民主党あるいは政府において、どうしても三級酒を作らなければならなぬというふうに決定をした場合においては、あなたは一体どういうふうにお考えでございますか。
  40. 河野一郎

    河野国務大臣 政府並びに民主党において三級酒を設定することにきまれば、私はそれに賛成いたします。私自身は、三級酒を作るがいいかどうかということを現在考えておりません。
  41. 中馬辰猪

    中馬委員 民主党あるいは政府がこれを決定した場合においては従うとおっしゃいましたけれども、それではお米を預かる農林大臣としてはまことに無責任であると思います。賛成あるいは反対という方向にあなたとしての意見を持たれて、その意見の方に引っぱっていくようにされることが、あなたは民主党の中において実力がある方でございますから当然だと思います。政府でこうきまったから、あるいは民主党でこうきまったからというくらいのことで引っ込まれるような方ではございません。従ってあなたとしては、食糧政策をどうする、あるいは国民の食生活をどうするというような国務大臣という大きな立場もございますから、そのような立場に立ったならば、あなたは三級酒というものをどのようにお考えでございますか。
  42. 河野一郎

    河野国務大臣 酒造米を幾ら使うかということにつきましては、あまり酒造米をたくさん使われることは困りますけれども、酒造米として出した米が三級酒になるか一級酒になるか、それは大蔵大臣並びに党の方で御相談になるでございましょうが、私は酒はあまり飲みませんし、酒のことはあまり詳しくありませんから御了承願います。
  43. 中馬辰猪

    中馬委員 あなたが酒を飲むとか飲まないとかいうことは問題ではありません。ただいまのお言葉は非常な暴言だと思いますけれども、あなたはお取り消しになる御意思はありませんか。
  44. 河野一郎

    河野国務大臣 もし悪かったら取り消します。
  45. 中馬辰猪

    中馬委員 あと大蔵大臣が来られましてから、先ほどから申し上げましたところの昨日の大蔵大臣と廣川さんとの会談、あるいは米価国会が終了してから決定するのではないかというような私どもの予想、あるいは新聞社の予想、そういう点を御質問申し上げることにいたしまて、一応この程度で私は終ります。
  46. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員長代理 足鹿委員
  47. 足鹿覺

    足鹿委員 農林大臣伺います。米価決定が大へんおくれておりますが、私はこれは農林大臣の責任だと思うのです。話に聞けば、あなたは閣内の連絡閣僚までやって八面六臂の手腕を振っておられるそうですが、いやしくも農林行政という広範なところの長官として、しかも大事な米価決定がかくのごとき事態になったということは、あなたが党務に忙殺されて、農林大臣としての任務遂行に遺憾な点がありはしないかと巷間伝えられておりますが、あなたは現在も連絡閣僚をしておられますか。一意専心この米価問題なり、農林行政に、党務を捨ててほんとうに打ち込み、期待に沿うような態度でおやりになっておるか、そういう点については私は少し疑わしいと思う。連絡閣僚等をおやりになっておれば、これを直ちにおやめになって、米価問題その他農林行政に一意専心おやりになることが妥当だと思いますが、今までの米価問題が紛糾し、遅延し、かくのごとき事態になったということは、あなたの責任は非常に重大だと思いますが、農林大臣の御所信はいかがでありますか。
  48. 河野一郎

    河野国務大臣 最初に申し上げました通り米価決定がだんだんおくれておりますことにつきましては、はなはだ遺憾に考えております。私は最善を尽しておるのでございますけれども、遺憾ながらその決定を見るに至りませんことは、まことに残念でございます。ただ御注意をいただきましたような、連絡閣僚をしておって農林行政をおろそかにしておるのではないかということでございますが、私は連絡閣僚を主にして農林行政を従にいたしておるようなことは決していたしておりません。ただし、連絡閣僚をしておることが少しでも支障があり、また同時に全国の農民に及ぼす影響があるというようなことであれば、連絡閣僚は私はいつでもやめることにいたします。
  49. 足鹿覺

    足鹿委員 その決意をお持ちのようでありますからけっこうであります。それでは具体的な問題を三、四点お尋ねいたします。  ただいま中馬君からもいろいろと御質疑がありましたが、まず第一に、米価決定の時期について農林大臣の御方針を承わりたい。ただいまの質疑応答を聞いておりますと、できればきょうでもきめる、しかし近くきめることは間違いないということでありますが、農相はさきに米価は六月十五日を目途として米価審議会を開いて六月中に決定すると言明をしておられますが、ただいまの御発言は、六月中に決定するということでありますか、そういうふうに解してよろしゅうございますか。
  50. 河野一郎

    河野国務大臣 私はぜひそうしなければならぬと考えております。
  51. 足鹿覺

    足鹿委員 これは別にあなたがただいま言明を果されないからといって、法律的にとやかくなるわけのものでもありませんが、大体今までの米価とこのたびの米価は、同じ米価であっても、その内容意味が著しく違う。制度の変更に伴うものでありますから、従ってこれは早期決定ということを第一義にしていかなければなりません。ただいまの農林大臣の御方針は、閣議においてもこれを確認をされた大綱のうちと解してよろしいか、いわゆる早期決定ということについて現内閣はその方針を確認をし、ただいまの農林大臣のお言葉として出てきておるのでありますか、その点をもう少し具体的に御説明願いたい。
  52. 河野一郎

    河野国務大臣 御指摘の通りでございます。
  53. 足鹿覺

    足鹿委員 それでは伺いますが、民主党においては米価対策特別委員会なるものを設置せられて、廣川弘禪君をその委員長にしておられるようであります。いろいろと従来新聞が伝えておりますが、従来は一つの経過として私どもは一応散見をした程度でありますが、今朝ないし昨日の夕刊に現われた廣川弘禪君を中心とする米価問題の動きは、これはやや公式の立場になっておるものと私どもは解釈いたしております。伝えられるところによれば、一萬田蔵相と廣川君は十六日に会談をせられ、米価決定国会終了後または予算成立後に持ち越すことに意見の一致を見たと、どの新聞も一斉に伝えておりますが、このような重大な報道と、ただいまの河野農林大臣の私の質問に対する御所見とはまっこうから反する御答弁でありました。廣川弘禪氏は与党内に設けられた米価問題に対するところの大きな責任を持った機関の長であります。政党政治においてはおそらく関連がないとは河野さんは言われないと思いますが、ただいま私が言ったような点について、廣川氏が一萬田氏と会って話をしたということを聞いておられるか、その点はいかがでありますか。
  54. 河野一郎

    河野国務大臣 二人がお会いになったという話は聞きましたけれども、その内容は聞いておりません。
  55. 足鹿覺

    足鹿委員 問題は非常に具体的に報道されておるのであります。両者が会談をされたということは聞いておる、しかしその内容は聞いておらないということでありますが、廣川氏は一萬田蔵相との会談において、石当り米価一万百六十円ないし一万二百六十円案を説明し、政府原案作成を急ぐよう申し入れたとあるのであります。これはただ単に一廣川氏の個人的な行動とはわれわれは解しがたいのであります。一体廣川弘禪氏を中心とする特別委員会には、政府の行政府からも資料を提出し、またあなたの部下も食糧庁長官を初め、連日にわたって出席をし、大蔵省の事務当局を招集し、あらゆる観点からこの問題について論議をしておるはずであります。そのことについて農林大臣が一萬田蔵相と廣川会談の内容を知らないというようなことは、常識的にわれわれ考えられません。そういうことでこの事態を農林大臣は知らぬ存ぜぬで通り抜けられるものとお考えになっておりますか。そういたしますと、農林大臣は廣川弘禪氏の構想と全然別個な米価構想を持っておられると解してよろしいのでありますか。
  56. 河野一郎

    河野国務大臣 昨日の廣川君と大蔵大臣とが会ったことの内容を、もし必要があれば、私は聞いて参りましてお伝えすることにやぶさかではありません。     〔鈴木(善)委員長代理退席、綱島委員長着席〕
  57. 足鹿覺

    足鹿委員 必要があればというよりも、あなた自身が米価決定を早くしなければならないというただいまの御方針を発表になった建前上、党をあげていわゆる目下の焦眉の急を要するこの問題について動いておることについて、必要があればなどというような馬耳東風的な御答弁でいいのでありますか、あなたにとってはこれは最大の問題じゃないですか。
  58. 河野一郎

    河野国務大臣 私はああいう話をしたと考えぬものでございますから、けさ新聞を見て、ははあと思っただけで、まさかそんな話をしたと思わなかったのでありまして、聞いておりません。
  59. 足鹿覺

    足鹿委員 そうしますと、農林大臣伺いますが、要するに廣川案というものとあなたの構想は全然違う、別個なことを河野さんは考えておる、こういうふうに一応解釈してよろしいのでありますか。
  60. 河野一郎

    河野国務大臣 別個なことを考えておるとかおらぬとかいうことじゃないのでありまして、ただいま申し上げますように、けさの新聞にあるような話をしたとは私は考えないのでございますから、御了承いただきたいと思います。
  61. 足鹿覺

    足鹿委員 これは新聞の報道でありますから、一概にこれ全部をその通りだということはできますまい。しかしどの新聞も全部筆をそろえて、一萬田蔵相と会談をしたその内容についても詳細報道し、また蔵相がお見えになったならばあと伺いたいと思っておりますが、一萬田蔵相のごときは、米価政府案予算案の国会成立後に正式にきめたい、そのかわり予算成立後は若干色をつけてやるというようなことを言っておる。まさに国会を侮辱し、米価審議会を無視し、これは全くの大蔵官僚独善的な暴言だとも考えられる。来たらこの点は大いに追及しょうと思っておりますけれども、そこまで新聞が具体的な報道をしておることについて、今の大臣の御答弁は、全く私の質問に対する御答弁にはならないと思う。あなた自体としては、廣川案なり蔵相との会見があったならば、あらゆる手段方法を通じてその問題をキャッチし、そうしてそれを検討される立場にあられるはずではないですか。おかしいじゃないですか。
  62. 河野一郎

    河野国務大臣 先ほど申し上げましたように、きょう午後四時から臨時閣議を開きますから、閣議の席において、そういうことがあったならば十分議論しょうというふうに考えておる次第でございます。
  63. 足鹿覺

    足鹿委員 そうすると米価については大体農林大臣が二人あるのですか。あなたはこの米価問題についてはほとんど発言権を喪失しておられるような印象を今の御答弁で受けますが、それでいいのですか。廣川さんがほとんど米価決定するような話ですな。今のお話を聞きますと、暗黙に廣川、一萬田会談というものをあなたは了承されたような口吻ですな。一国の農林大臣としてあなたはそれで職責が全うされると思いますか。
  64. 河野一郎

    河野国務大臣 先般来お答え申し上げました通りに、党の方の意見決定もあるようでございますし、それも重要な資料として私は考慮いたしたい、ないしはまた米価審議会の御答申も重要な要素として考慮して決定をいたしたい、こう申し上げておるのであります。決定は私がいたします。
  65. 足鹿覺

    足鹿委員 そうすると、党の決定を見ようとしておるのは、廣川案として大体党は決定しようとしておるのでありますか。要するに政党政治でありますから、廣川案を中心に党の案がきまればその決定に服従する、こういう大臣の御所見でありますか。冒頭に私がお尋ねしましたように、あなたは閣内における連絡閣僚という重責をになっておられる。廣川案の内容を御存じないはずはない。一萬田蔵相とどういう話をしたかくらいのことがわからないはずはない。それをあったそうだくらいの御答弁では、これは常識が許しません。ですから、私はこれ以上水かけ論を申し上げませんが、あなたが廣川案を一応党の態度として、これは政党人として、党が決定を急いでおるならばそれは認める、またその案に自分は従って善処する、こういうことをただいまの御答弁中にそれらしい感じを私は受けましたが、そういうふうに解していいのでありますか。また農林大臣としては、党議がどうであろうと別個に一つの案を持っておる、こういうふうに解釈するものでありますか。もっとその辺をはっきりしていただきたい。
  66. 河野一郎

    河野国務大臣 御指摘がありましたように、党の方で御検討いただいておりまする案は、私の考えておりますることから全然逸脱いたしておりません。党の方で御検討願っておりまする考え方は、私の考え方と決して違っておりませんので、私はこの案の決定も重要な資料として閣議決定の材料にしていきたい、こう考えているわけであります。
  67. 足鹿覺

    足鹿委員 そうすると、大体廣川案の線に沿ってあなたは善処せられる御意向のようにただいま聞きました。この点は最初は知らぬ存ぜぬと言われたが、今の御答弁で、一応これは打ち切りまして、次に移りましょう。  大体決定の時期は本日の四時からの閣議によって定まるであろうということでありますが、その結果を直ちに公表しますか。
  68. 河野一郎

    河野国務大臣 私は先ほどから本日の閣議決定するということをお答え申したことはないのであります。本日の閣議で、その問題を十分討議いたします。できれば本日の閣議決定できれば一番けっこうでございますが、重要な問題でございますから決定に至らぬかもしれません。私としては一日も早いことを望んでおります、こうお答え申し上げたのであります。
  69. 足鹿覺

    足鹿委員 そうするときょうの閣議は何を審議するのですか。
  70. 河野一郎

    河野国務大臣 先ほどから申し上げました通りに、米の問題についてきょうの閣議は十分検討することにしております。他の閣僚からはまた別の問題についての発言もあるかもしれません。要するにきょうの午前中の閣議決定は、現在の議会運営についていろいろ法案等の取扱い等について午前中の閣議では時間がありませんから国会終了後、午後四時ごろから閣僚が集まって一つ十分討議しようということになっておるわけであります。
  71. 足鹿覺

    足鹿委員 農林大臣伺いますが、幸い今回の米価決定米価審議会国会開会中に開かれる。国会においてもまだ予算審議中であり、未成立である。従って適当な米価の算出がきまり、それに財政予算措置を必要とする場合は、いつでも予算に修正を加えることもできる、建前としてはきわめて民主的な建前になっておると思う。それがまた政府の一番痛いところであるようにも思いますが、しかし政府の都合のいい悪いは別として、農林大臣は政党政治家としてかくのごとき重大な米価決定を、しかも新たなる条件において——今までの米価審議会予算がきまり、政府態度もきまり、のっぴきならぬようになって、米審に形式的にこれをかけられて、これをけ飛ばしてきた、こういうわけでありますが、政府はそうではなしに、米価審議会を二十一日に開くと言明をされましたが、何を諮問されるかは別として、とにかくその心がまえはよろしい。国会開会中に米価審議会を急いで、その答申に基いて政府が善処し、必要がある場合は予算に修正を加える、これが私は一連の建前であろうと思います。そういう立場から、農林大臣国会開会中に米価決定することが妥当であると思うかどうか、国会終了後に米価をきめることがいいと思うか、この点についてこれは河野農林大臣の政党政治家としての重大な所信であろうと私は思います。どちらをおとりになりますか。
  72. 河野一郎

    河野国務大臣 米価決定国会の開会とは私は関係ないのであります。私は先ほど来申し上げます通りに、一日もすみやかに、できればきょう中にもきめたいという態度でもって進みたいと思います。
  73. 足鹿覺

    足鹿委員 私の言うのは、予算がまだ未成立である。大体米価決定いかんによっては予算に当然関連が出てくる、今こういう立場にあるのです。好むと好まざるを問わず、これは事実ですよ。だからあなたが米価を急ぐということは、もし必要があれば予算にも影響してくるということをあなたは覚悟しなければなりますまい。そうでしょう。それでなかったら何の意味もないじゃないですか。そういう意味において予算成立後において米価をきめるがよろしいと言ったと伝えられる大蔵省の所信に同調されるか。農林大臣としては、予算の成立前に国会の開会中に米価審議会を招集されたその態度はよろしい。従ってその答申を尊重して、その意見政府も取り入れ、国会に必要な措置を講ずる、これがほんとうではないですか。政党政治家としては、私は当然そうあるべきだと思いますが、いかがでありますか。
  74. 河野一郎

    河野国務大臣 だんだん御意見でございますが、先ほどからお答えを申し上げました通り米価決定は急いでやる、その結果については決定したときに申し上げます。
  75. 足鹿覺

    足鹿委員 それでは、米価決定問題については、大体議論のようになりましたからこれ以上追及することはやめまして、米価の算定の方針について農相の所信を伺いたい。米価は、政府の責任においてすみやかに決定すべきであると考えますが、いかがでありますか。
  76. 河野一郎

    河野国務大臣 米価はすみやかに決定する何でございますか。
  77. 足鹿覺

    足鹿委員 政府の責任において……。
  78. 河野一郎

    河野国務大臣 政府の責任において米価はすみやかに決定するものなり、そうなんでございますか。その通りです。
  79. 足鹿覺

    足鹿委員 その通りですな。ところが、最近、私どもの見るところによりますと、自由党の党内にも米価対策委員会なるものができ、他の、友党である右派社会党の中にも委員会が設けられております。その党の自主性ということについては私どもはあえて何も申し上げません、他党の批判はあえて申し上げませんが、特に政府が自由党と提携をされて、事前に妥協米価を作り上げようとされた気配が濃厚でありますが、政治的に腰だめで行うという今まで政府がとっておった態度を改めて、政府の責任においてあなたはやる、こういうただいまの御言明でありますが、ただいま御言明された通りでありますか。
  80. 河野一郎

    河野国務大臣 これは従来もその通りでございまして、政党政治でございますから党の意見を十分に尊重してきめていくということはあたりまえだと思っております。
  81. 足鹿覺

    足鹿委員 いや、あなたが与党の意見を尊重されるということは前段の質問で明らかになった。廣川の線に沿っていくというふうに私は大体御答弁中聞いたのですが、今私が言っているのは、政府はなぜ——今まで米価算定方式の専門委員会を作り、そうして数カ月余にわたって専門家を網羅して検討をさせられておるのですよ、そういうものを一方においてやりながら、一部の政党と裏面において妥協して、いわゆる政治的な腰だめ米価を作るということでは、米価算定方式の問題が結局何の意味もなさない。要するに、財源をきめておいて、今度はその範囲内において米価をきめる。そうして出たものに対して逆に今度はいいかげんな算定方式をくっつける、そういうことでこの重大な予約制度について農民の信頼を受けるような米価が正しくきまりますか、そのことを私は聞いておるのです。まず算定方式があって、これにいろいろな経済的あるいは生産諸条件を加えて米価がきまって、そして予算米価と食い違うならばその予算を修正していく、こういう一つの筋が立たなければいけません。前の自由党政府が、私は昭和二十四年以来米価審議会委員をいたしておりますが、今述べたようなやり方ばかりやっておった。今度はあなた方民主党として米価問題に対して新機軸を出されるものだと私ども思っておった。ところが、自由党の政府のやったことと全然同じ方式をとられて、米価の算定方式といもうのは、そんなものはそっちのけにしておいて、腰だめ米価でまずきめて、そして予算と見合っていくように財務当局と折衝する、その算定方式は、そのものを合理化するための一つの装飾品に使う、使う、こういうことでありますならば、米価審議会意味もなくなれば、算定方式自体も何らの効果もありません。農林大臣としてはどういう方式でおやりになりますか。
  82. 河野一郎

    河野国務大臣 足鹿さんが先ほども御指摘になりましたように、自由党の方も民主党の方も、いずれも米価を腰だめできめるというようなことは言っておられないと私は思うのでございます。でございますから、政府当局からいろいろと資料を取り寄せて、せっかく御勉強になっておりますので、今、足鹿さんの御指摘になりました点に立脚して、党の方で御研究になり、御意見をお申し出いただけると私は考えておるのでございます。
  83. 足鹿覺

    足鹿委員 私の質問しておるのは大臣、こういうことですよ。要するに算定方式に基いて、政府の責任においてある一つの米価をそこにあなた方はきめる用意があるかということなんです。今まで、まず腰だめ的に相談されていくような傾向があったが、政府の責任において米価はきめるのだとただいま言われたのだから、そのきめ方はどうしてきめられますか。要約すればそういうことですよ。
  84. 河野一郎

    河野国務大臣 これは食管法の規定にも米価審議会意見を徴せとあります。それから米価審議会からは、生産費を考えてやれというような答申もございます。それらの諸般の情勢を十分重要に組み立てましてきめていきたい、こう思っております。
  85. 足鹿覺

    足鹿委員 大臣政府が依嘱して作りました米価算定専門委員会の結論について報告を受け、それをいろいろと御検討になりましたか。
  86. 河野一郎

    河野国務大臣 報告を受け、目下検討中であります。
  87. 足鹿覺

    足鹿委員 それについてどういう試算をしておられますか。食糧庁長官、試算表はできておりますか。
  88. 清井正

    ○清井政府委員 目下いろいろ審議会の前提となります米価専門委員会の形で私どもが数名の学者に御依嘱いたしまして、生産費方式を中心といたしまして、算定方式について一応の中間報告をいただいております。その中間報告をいただきましたものにつきまして、いろいろ学者間にも御意見があるようでございますが、私どもといたしましては、一応報告を受けましたものに基きまして、目下部内で数字の検討をいたしておる最中でございます。
  89. 足鹿覺

    足鹿委員 いや、試算をしておるかということですよ。検討々々と言われて逃げちゃだめですよ。米価審議会は二十一日に開くのではないですか。
  90. 清井正

    ○清井政府委員 それで試算をいたしておる最中でございます。
  91. 足鹿覺

    足鹿委員 その資料はもらえますか。
  92. 清井正

    ○清井政府委員 まだただいま試算中でございますので、ここに御提出するというところまでには至っておりません。
  93. 足鹿覺

    足鹿委員 その試算によった大体の概数というものは、私ども間接的に聞いておるのです。大体あなた方はこの委員会を何と考えておるのですか。検討検討で逃げ回っておるが、資料が出せますか。中間的なものでもよろしい、検討中のものでもよろしいから、専門委員会報告に基いて、いろいろ検討を加え試算をしておるものを出して下さい。出せますか。
  94. 清井正

    ○清井政府委員 目下試算をいたしておる最中でございますから、本日は提出できません。
  95. 足鹿覺

    足鹿委員 長官、これは大事なことですよ。あなた方は、一つの方式に従ってきちんとやったものを出されると、これはどうもと考えられて、それにいろいろ粉飾をされる傾向が従来からある。いい場合もありましょうが、悪い場合の方が多い。だから中間的なものでもよろしい、それを国会に出していただきたい。それとも極秘にしなければならない支障があるのですか。
  96. 清井正

    ○清井政府委員 支障があるとかないとかいうことではございませんので、ただいま学者に御委嘱いたしまして、できましたものについていろいろな試算をいたしておる最中でございます。
  97. 足鹿覺

    足鹿委員 試算をして数字を検討しておるといいますが、それでは農林大臣伺いますが、米価審議会には何を諮問しますか。
  98. 河野一郎

    河野国務大臣 先ほどから申し上げましたように、私は米価審議会は急いで開いて、できればそれに従来通りの方式で米価幾らが適当かということをやればやりたい。しかし、それまでに間に合わなければ、どういうふうにきめたらばよろしいか、御意見を承わりたいと思っております。
  99. 足鹿覺

    足鹿委員 要するにできれば政府の正式な米価の数字、それに必要な算式等について諮問をする、こういうことであるが、もしそれができなければ、その算式その他の問題について諮問する、要するに白紙で米価審議会に臨むということでありますか。
  100. 河野一郎

    河野国務大臣 そういうことでございます。
  101. 足鹿覺

    足鹿委員 白紙で臨む……。
  102. 河野一郎

    河野国務大臣 米価審議会の御意見を承わりたい、こういうわけです。
  103. 足鹿覺

    足鹿委員 今、食糧庁長官に聞けば、専門委員会でできたものについては急いで検討しておる、非常に熱心に検討しておるということなんですが、それなら二十一日に間に合うはずではないですか。一体いつを目標にしてあなた方は仕事をしておるのですか。この農林委員会をばかにしてはいけませんよ。いいかげんなことばかり言って答弁を逃げてはいけない。一体あなた方は何を目標にして算定の基礎を固め、何を計算しておるのですか。
  104. 清井正

    ○清井政府委員 先ほども申しました通り、学者の方に御委嘱をいたしまして、生産費方式に関する中間の御研究を願ったのですから、それにいろいろいわれておりまする諸般のデータにつきまして試算をいたしておるのであります。米価審議会には必ず間に合わせまして、その試算のつきました数字を御提出いたしたいと考えております。
  105. 足鹿覺

    足鹿委員 大臣のただいまの御答弁は、間に合えば米価そのものを諮問するが、間に合わない場合は白紙で臨む、どうしたらよろしいかというふうに投げ出して相談するということであって、あなた方の間の答弁は少しもわけがわからない。あなたは米価審議会目標に数字の検討を急いでおると言われた。それは米価そのものをやることなんでしょう。はっきりして下さい。
  106. 河野一郎

    河野国務大臣 今、食糧庁長官が申しましたのは、生産費方式のことでございます。私はかねて申し上げました通りに、生産費をなるべく尊重して、物価の趨勢を勘案いたしまして両者を取り入れて、経済事情も考慮して、米価をきめることが従来の米価のき方めであり、またそういくべきものだと考えております。でございますから、その一つの重要な要素についてせっかく勉強しておるというのが今の食糧庁長官の答弁でございます。
  107. 足鹿覺

    足鹿委員 そうすると、生産費主義に基いて、経済事情あるいは生産事情等を考えてということでありますが、生産事情は今は全然わかりますまい。経済事情だけでしょう。そういうこまかいことはどうでもよろしいが、要するに生産事情は田植えが始まったばかりである。西日本はまだ始まっていない。従って生産費方式をいろいろパリティの問題と——大臣言葉で申せば組み立てて出するというのでありますが、食糧庁長官どうですか。大臣はできたらそれに間に合わすといっておりますが、あなた方は間に合わすつもりで仕事をしておるのか。それとも、とにかく一応やってみておるというのでありますか。その作業をすることについて国会にもまだ報告はできぬ、米価審議会にも、大臣言葉を借りていえば出るか出ないかわからぬというが、そういうことでは困ります。問題は差し迫った問題でありますから、みんなあなた方の作業を注目して見ているのです。米価審議会には必ず正式の米価を伴った算式としてあなた方は諮問案を出す、こういう考え方で作業を進めておりますか、念のためにもう一ぺん。
  108. 河野一郎

    河野国務大臣 米価を出すということは、それは出せるか出せぬかわかりません。これは先ほどから私が申し上げております。生産費方式は米価決定の一つの方式であるということを御了解願いたいと思います。
  109. 足鹿覺

    足鹿委員 事務当局をこれ以上いじめてみてもしょうがないと思いますが、とにかく米価審議会に白紙で臨むとも言われるし、また算定方式その他準備事項に該当するものも相談したいということでありますが、その算式その他必要なもの、米価算出上必要なものあるいは算式そのものは米価審議会に諮問いたしますか、それをはっきりしてもらいたい。
  110. 河野一郎

    河野国務大臣 これは別に諮問でなしに、必要な参考資料として提出するのが順序だろうと私ども考えております。
  111. 足鹿覺

    足鹿委員 その作業は進んでおりますか。
  112. 河野一郎

    河野国務大臣 間に合わすようにするつもりでございます。
  113. 足鹿覺

    足鹿委員 それでは大体今度の米価審議会の主たる任務は、米価決定するに必要な算式その他重要な資料等を米価審議会報告をして検討を求める、これが主たる任務であって、米価は今のところ正式に諮問するに至らないであろう、こういう見方が強い、こう解釈してよろしいのでありますか。
  114. 河野一郎

    河野国務大臣 それは先ほどから申し上げている通りであります。なるべくならば、それまでに決定ができれば決定をして諮問いたしますし、そうでなければ今足鹿さんのお話でございますけれども米価はどのくらいに決定することが妥当とお考えになりますかという諮問の形式もあると思います。
  115. 足鹿覺

    足鹿委員 昭和二十四年に初めて米価審議会が設置されたときには大体そういう形式をとったようです。従って従来政府米価そのものをきめて、その裏づけとなる算式もあわせて米価審議会に諮問したときと、今大臣が言われるように、ほとんど米価そのものの具体的数字については触れないで、米価審議会に諮問をし、米価審議会がある一つの答申をした場合は、おのずから政府のそれに対する責任の度合いは非常に違ってきますよ。米価審議会がこれに対して意見を答申したという場合は、そのものについては予算上の難点が少々あっても、これは当然あなた方は米価審議会に責任をある程度転嫁するわけです。政府の責任において数字を伴ったものを出すべきものを、要するに昭和二十四年にもどって、白紙で数字をきめてくれ、どうです、けっこうでしょうか、意見を問う、ということになると、おのずから米価審議会の答申の軽重の度合いというものも、従来軽いという意味ではありませんが、さらに重きをなしてくると思います。これについて農林大臣は、職を賭してでもその答申を尊重して実現することに御努力になりますか。
  116. 河野一郎

    河野国務大臣 米価審議会の答申は従来の答申の取扱いと同様に考えております。
  117. 足鹿覺

    足鹿委員 従来の取扱いはよろしくないのですよ。あなたが野党のときには、われわれと一緒にずいぶん政府をいためたものではないですか。今までのやり方はよろしくないです。今度民主党が自由党とかわって初めてこの米価と取り組むのですよ。従来と同じような取扱いとは何ですか。それなら自由党と少しも変らない。どうですかそれは。
  118. 河野一郎

    河野国務大臣 米価審議会の性質にかんがみまして、私はこの取扱いをいたします。
  119. 足鹿覺

    足鹿委員 米価審議会の性格にかんがみまして、どうですか。
  120. 河野一郎

    河野国務大臣 かんがみまして米価審議会の答申は、これを政府において取扱いをいたします。
  121. 足鹿覺

    足鹿委員 私の聞いているのは、あなたの決意のほどを伺っているのです。今言ったような経過で、あなた方が数字を伴ったものを諮問することができない場合に、米価審議会に一つよろしく数字の検討を頼むと言われるからには、そのものをほんとうにあなた方が職を賭してでもがんばるくらいの言明がなければ、米価審議会も本気になれないじゃないですか。そのことを聞いているのですよ。新たなる事態である。自由党にかわって米価審議会を今度御主催になる。ことに私どものときは、食糧長官から米価審議会に指令が出ておったが、今度はあなたの名前で出るそうですね。そうすると今度はいよいよもって農林大臣の責任の所在が明らかになったわけですね。そういう意味からも全国の農民はあなたがどういうようにこれを処理するか、自由党と変った米価政策をどう打ち出すか。農業政策のいろいな題目はあるが、具体的にはこの米価の取扱いによって民主党の性格ははっきりしてくるのです。そういう点からあなたは、今まで同様に米価審議会の答申は取り扱うなんということを言う。そういうことで済むと思いますか。今言ったのは何か米価審議会の性格にかんがみてこれを取り扱います、それは通り一ぺんのことであって、そういうことじゃないのです。今言ったように、民主党が自由党にかわって新たなる農村政策の中核をなす米価についていよいよ態度決定する。もし米価審議会の答申が出た場合に、あなたは職を賭してでもそれを実現するだけの勇気と決意があるかどうかということです。前に自由党の内田農林大臣は、三円の麦価で詰腹を切ったんですよ。そういう実例がある。なかなか純情なところがあったのですよ。あなたはどういうふうにしますか。その決意を聞いている。もうこれ以上聞きません。御決意を承わりたい。
  122. 河野一郎

    河野国務大臣 米価審議会の性質上、これの答申は先ほど申し上げました通りにその答申として、これを政府は重要な参考資料として米価決定をいたします。
  123. 足鹿覺

    足鹿委員 だんだん悪くなる、参考資料だなんて。尊重しますか。尊重するかしないかということですよ。参考資料なんということではだめですよ。
  124. 河野一郎

    河野国務大臣 諮問をいたすのでございますから、その答申は重要な資料としてこれを尊重して検討いたします。
  125. 足鹿覺

    足鹿委員 その点はこの程度にしておきましょう。  第三に予約売り渡し制度米価は表裏一本で、別個に切り離すことは不可能と思うが、農林大臣は従来もこの方針を堅持しておられたとわれわれは解釈し、本日の御答弁にもさように看取できるのでありますが、これをあくまでも堅持して行かれますかどうかということです。
  126. 河野一郎

    河野国務大臣 ちちょっと私わからないのですが、予約集荷制度米価決定とは表裏一体ということはわからない。もう一ぺん……。
  127. 足鹿覺

    足鹿委員 大臣はばかにこのごろ慎重になっている。要するに予約制度というものは米価早期決定するということに出発するのでしょう。従って車の両輪のようなものだ。
  128. 河野一郎

    河野国務大臣 わかりました。この点につきましては、世間にもいろいろ誤解があるようであります。米価決定予約制度であるとなしにかかわってきめるべきものと私考えておりません。但し決定の時期については、予約の前にきめるがよろしいか、あとにきめるがよろしいかということについては、これはそれぞれ見方もあるでございましょうが、これは米価審議会の御答申御意見によりまして早期に決定すべきものなりという御意見でございましたので、私はその意見をもって早期に決定するということにいたしている次第でございます。
  129. 足鹿覺

    足鹿委員 大体それでよろしい、その御答弁で。そこでただいまの御答弁と相反するようなことを政府自体がやっているから、これからその点を追究いたします。そこで現在米価はまだきまっておらないにもかかわらず、ただいま大臣早期決定していくことが自分としては正しい方針だ、従ってそれを堅持していくという御所信を表明になったにもかかわらず、むしろ予約制度の方だけ先に進んでいる。これはどういうことですか。これはあと米価決定いかんによっては、農民に対する重大な不信行為になりますよ。そういうことになるのですよ。それを私どもは指摘したい。以下その事例を二、三あげて農林大臣にお尋ねをいたします。先ほど中馬君も触れておられましたが、御答弁があいまいだから私はさらにこの点を追及いたしますが、政府は各府県にあてて、買付期待量なるものを指示したと伝えられているがどうか。
  130. 河野一郎

    河野国務大臣 絶対そういうことはございません。
  131. 足鹿覺

    足鹿委員 地方の新聞によると、みんな買付期待量を県別で大騒ぎして検討しておりますよ。食糧長官、大臣はそういうこまかいことは知らぬかともも思いますが、あなたは今の大臣の答弁でいいですか。各府県別に期待量を出していらっしゃらないですか。
  132. 清井正

    ○清井政府委員 大臣がお答え申し上げた通りでございまして、私も指示いたしたことはございません。大臣の申し上げた通りであります。
  133. 足鹿覺

    足鹿委員 じゃ申し上げますが、私は鳥取県ですが、十三日付の新聞を見ますと、二十六万石も買付期待量の指示を受けておる、これをめぐって推進協議会を開いていろいろ各郡市別にその期待量を割り振りするのに大会議を開いておりますよ。だれがそんなものを出したのですか。一体食糧長官が知らないうちにそういう予約期待量なるものを示したというわけになるのですな。大臣も知らぬ、長官も知らぬ、だれがやったのです。
  134. 清井正

    ○清井政府委員 ただいま申し上げた通り、私ども予約期待量と申しますか、集荷期待量を指示した覚えはございません。
  135. 足鹿覺

    足鹿委員 これは一種の事前割当制度の復活ですね。今までは作況を見て、そうして秋に米価をきめて、曲りなりにも一応供出制度というものは進んできた。今度予約買付制度に変って新しい集荷方式が立ってきた。それには米価を早急に事前にきめて、農民の協力を得るというのがこの予約買付制度のみそじゃないですか。もしその米価決定をおくらせ、あるいは決定農民の期待と著しく反し、奨励諸施設もまた伴わないときには、これは一種の強権的な事前割当の復活じゃないですか。何ら新味はありませんよ。長官、あなたは買付期待量を各府県に出さないなんと言うが、そんなはずはないですよ。やっていますよ。部下を呼んで調べて下さい。あなたが知らぬのだろう。
  136. 清井正

    ○清井政府委員 それは調べろとおっしゃれば調べますけれども、私は私の責任で申しますが、政府集荷予定量を指示した覚えはございません。
  137. 芳賀貢

    ○芳賀委員 議事進行。農林大臣並びに食糧長官の足鹿委員質問に対する答弁は、非常に理解に苦しむものがある。しからば、全国の各県に対してどういうような趣旨からかかる期待量を指示したか。各府県においては、すでに予約売り渡し制度に対する説明会あるいは推進一本部なるものを県ごとに作って、そうして末端にこれの浸透をはかっておる。これは根拠がどこにあるかということを明確にする必要がありますので、後刻理事会委員長は開かれまして、政府当局からこれが出たものであるか、あるいはいわゆる全販連等を中心とした全国の事前割当に対する推進本部なるものが独善的にかかる拳に出たものか。そういう真相を調査する必要があると思いますので、後刻委員長において取り計らいをお願いいたしたい。これを動議として提出します。
  138. 久保田豊

    久保田(豊)委員 関連して今の点はどうも予約期待量を出してないということだが、末端ではその点が相当すでに問題になりかけておる。しかもそのやり方は、ある県においては、特に消費県においては、お前のところにやる来年度の配給量はこれだけなんだから、お前の方の県ではこれだけのものを集めないと困るぞという格好でやっておる。そういう点が末端にきておる。これで事前割当制度以上になお悪い。何にも予約買付制度というものの趣旨は生きておらない。こういう点にかんがみて今芳賀委員からお話がありました通り、これは理事会を早急に開いて——もし大臣並びに長官が指示したことがないというならば、あるいは全販連なり何なりがお先ばしってやったことに違いない。しかも全販連その他がこういうことをやるという場合に、農林省の食糧庁と何らかの連関なしに、相談なしにやるということは考えられない。これは事態を明白にして、どこに責任があるか。今出されておる、各末端に行っておるいわゆる予約集荷期待量なるものが、どういう根拠を持っておるかということを明確にして、政府の責任なり、責任の主体というものを明確にすることがぜひ必要だと思いますので、後刻さっそく理事会を開いてその処置をとってもらいたい。
  139. 綱島正興

    綱島委員長 承知しました。
  140. 足鹿覺

    足鹿委員 ただいまの私の質問に関連して、芳賀委員久保田委員からの議事進行の御意見がありましたが、そういうふうにして事態を明僚にしてもらいたい。  そこでこれは役人の人は、常に文章になる字句と違ったことを言うと、そうではないなんというふうに言いますが、そういうことでなしに、精神は、これくらいはお前の県へ期待しておる、これくらいはどうだ、そういう軽い意味か、とにかく買付期待量なんというものをめぐって、地方紙では大論議をやっているのですから、それはもう全国の農民の関心の的なんです。そこで団体を集めて推進協議会を県に作るでしょう、各郡市別に作る、町村にも作るといように、ちゃんと要項になっているでしょう。それは全部下まで行っている。今の仕事は、この買付期待量というものをめぐって、今どういうふうにさばこうかということにあるようです。具体的に私どもは地方へ行って見てきたものではありませんから、ただ地方、県当局その他関係機関が寄って大評定をしておるという記事が出ておる。だからこの点についてあなたはもう少し誠意のある御答弁をなさるべきものだと私は思う。言葉は違うがそういったような類似的なことをあなた方は何か検討しておりますか。
  141. 清井正

    ○清井政府委員 これは申し上げますけれども、この前にも御説明申し上げたのでありますが、私どもは全国の集荷予定数量というものを全国の集荷団体に要請をいたすわけであります。全国の集荷団体はそれぞれ県別にその数字を御相談になって、県別の数字をきめて、その県の集荷団体集荷要請をいたすということにいたすわけであります。県の集荷団体はその数字につきまして、それぞれ市町村別の集荷団体集荷予定数量をきめまして、それを要請いたす。こういう順序でもって、今までの供出割当と変りまして、団体集荷予定数量を要請するということでやって参ることは、この前御説明申し上げた通りであります。私どもといたしましては、ただいま農林大臣から申しました通り、早期に米価決定し、そうして米価決定後、全国の集荷予定数量を団体にお示しして、これに基いて各県別、各市町村別に集荷予定数量をきめて要請していただく、こういうふうに実は考えておるのであります。ただ問題は、事前売り渡し制度でございますから、なるべく早くこの趣旨を末端に徹底しておきませんと、いざ動き出した場合に、実際問題といたしまして、その生産者まで趣旨が徹底いたしませんために、本来の制度の趣旨を没却することになるといけませんので、また今度の場合は違いまして、新しい制度でありますので、事務上も非常に変って参りますところもございますから、それらも十分県の代表の方、地方団体の代表の方々なりにあらかじめ知っておいていただかなければなりません、こう思っておりますので、私どもは事務的な取扱いといたしまして、今まで県の部長会議を開きましたり、団体長の会合に出席いたしましたり、あるいは県にも参りまして、正式にきまりますればこういうふうに動きますから、あらかじめ御承知おきを願います。正式にきまりましたらすぐ事務的にこのような取り運びにいたしていただきたい、こういう趣旨の普及徹底を今まではかってきているのは事実であります。数量は指示いたしたことはございません。
  142. 足鹿覺

    足鹿委員 今の食糧長官の御答弁は了承できません。事実指示しておるじゃないか。もっと事の真相を究明するための適当な処置を講じていただきたい。
  143. 綱島正興

    綱島委員長 ちょっと御相談いたしますが、先ほど芳賀委員久保田委員等から御発言がありましたのは、議事進行についての話ということで、あらためたこういう動議を提出するというお話ではなかったので、はっきりいたしませんが、先ほどの議事進行に関するという御発言は、この委員会においてそういうことを取り計らうべきであるという動議として取り扱うべきもののお考えでございましたか、一応お尋ねいたします。
  144. 芳賀貢

    ○芳賀委員 これは委員長において私の発言速記を調べていただけばわかる。発言の終りにこれを動議として私は申し上げるということを言ってある。
  145. 綱島正興

    綱島委員長 それではこの際お諮りをいたします。先ほど芳賀委員及び久保田委員から提出されましたる動議は、これを一括して採決するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」「内容がわからない」「理事会を開けということか」と呼ぶ者あり〕
  146. 足鹿覺

    足鹿委員 私の気持を申し上げれば、芳賀君が、僕のこの追及質問に対して補足的な進行動議を出したのは、買付期待量なるものは割当をしておらないという言明が、大臣からも長官からもあった。ところが実際においてはそれに近い、それと同じような期待量を中心に各府県で割当問題が進行しておる。その事態が答弁と相反しておるから、その問題に必要な今までの通達、資料その他一切のものを持ち出して、そしてよく検討するための時間を持ったらどうか、こういう意味に私は解釈しておったのです。
  147. 綱島正興

    綱島委員長 さようですか。
  148. 久保田豊

    久保田(豊)委員 今の話の通りです。真相を明らかにするための……。
  149. 芳賀貢

    ○芳賀委員 もう一度申し上げますが……。
  150. 綱島正興

    綱島委員長 ちょっと待って下さい。久保田委員発言をやめられたのですか——では芳賀委員
  151. 芳賀貢

    ○芳賀委員 私非常に遺憾でありまして、委員発言に対しては委員長並びに委員諸君は十分聞いておってもらいたい。さっき私が言ったのは、足鹿委員質問に対しましての農林大臣並びに食糧庁長官の答弁は、われわれが聞いても、この事前割当の期待量なるものは末端におろされているという具体的な事例に対して、非常に了承に苦しむ点があったわけです。ですから、この点を究明するためには理事会を後刻開いて、理事会においてこの真相を調査するための諸般の打ち合せをしていただきたいということを、私は動議として提出したわけです。
  152. 綱島正興

    綱島委員長 それならば何も理事会を……。
  153. 芳賀貢

    ○芳賀委員 委員の正式発言中に、それを阻止して、それならばというのはけしからぬ。
  154. 綱島正興

    綱島委員長 それならお答えをいたします。そういうただ理事会を開けというお話なら、これは委員長でできることだから、ことさら採決も何も要しない。これ採決を要しないと私は思っておった。ところが動議はどうしたかという話だからお諮りをしたのです。あなたのおっしゃった通りなら、委員長の権限に属することだから、それは何も諮る必要はないのです。理事会さえ開けばいいわけだから……。
  155. 芳賀貢

    ○芳賀委員 何も採決しろなどとは言っておらぬじゃないですか。
  156. 綱島正興

    綱島委員長 動議はどうしたかということを聞いておるから……。それなら何も聞かぬじゃない、よく聞いております。そういうことだけなら承知しております。どうぞ御安心下さい。     〔「今すぐ理事会をやらぬのですか」と呼ぶ者あり〕
  157. 綱島正興

    綱島委員長 それは休憩中にやればいいではないか。——足鹿委員質問は終りましたか。——足鹿委員
  158. 足鹿覺

    足鹿委員 今の問題は、要するに必要な措置を講ずるまでは委員会をしばらく休憩してもらって、必要な措置を委員長において講ぜられんことを希望いたします。その後において私の質疑は続行いたします。     〔「そうだ、その通りだ」「休憩休憩」と呼ぶ者あり〕
  159. 綱島正興

    綱島委員長 それならお諮りをいたします。質問を一時休憩して、それで理事会を開いて適当なる処置をしたらどうかという動議でありますから、これに御賛成でございますか。     〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  160. 綱島正興

    綱島委員長 それではその通り決定いたします。  休憩をいたします。     午後零時五十五分休憩      ————◇—————     午後二時九分開議
  161. 綱島正興

    綱島委員長 これより会議を開きます。  質疑の通告がありますからこれを許します。中村時雄君。
  162. 中村時雄

    ○中村(時)委員 大蔵大臣に御質問します。大蔵大臣は昨日民主党の米価対策特別委員長である廣川さんと御会見になりましたか。
  163. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 会いました。
  164. 中村時雄

    ○中村(時)委員 そのときにきょうの新聞発表を見てみますと、米価に関していろいろお話し合いがあったように承わるのでありますが、この米価という問題は、現在消費者あるいは耕作農民の非常に大きな目標となって問題になっているところなのですが、特に政府与党である民主党のその委員長とその会計を預かる大蔵大臣との会見なので、非常に大きな視野のもとにみんなが注目しているわけなんです。それでそのときの内容を御発表願いたいと思うのです。
  165. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 廣川さんとは、党の方のお考えを話して下さったので、何にもきまったことはありません。それだけであります。
  166. 中村時雄

    ○中村(時)委員 何事もきまったこともないのに話しをするというのも私はどうも合点がいかないのです。それで一点お尋ねいたしますが、大蔵大臣予算米価といたしまして現在九千七百三十九円ということを主張していらっしゃるのですが、あくまでもこの予算米価を守っていくという御決心を持っていらっしゃるのかどうか。
  167. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私は米価は今後においてきまるのだと思っています。予算米価をしては私はいろいろな点から見て、あれは根拠のある予算米価とは考えておりますが、しかし米価自体は審議会、それからいろいろ閣議でもって政府がきめる、こういうことになると思っております。
  168. 中村時雄

    ○中村(時)委員 そうするとあなたは、この予算米価以外に審議会あるいはいろいろな方面、たとえば農林委員会審議過程における問題等を勘案いたしまして、この予算米価という問題を幅を広げてもいいというお考えに解釈をとってもよろしいのですか。
  169. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 お答えします。いいとは思っておりません。しかしこれはどういうふうな理由がある——かりにあれと違うものがあればどういうふうな理由があるか、それらの点をやはり十分聞くことは必要だと思っております。その上で考えよう、こう思っております。
  170. 中村時雄

    ○中村(時)委員 聞くことは必要というのはよくわかります。ただ、聞き流すか、それともその内容に当然——あなたが予算の面においても修正予算をやらないとおっしゃっていても、政治的な問題から修正をせざるを得なくなったように、たとえば米価の問題でもそういう事態が起った場合には、やむを得ず米価の変更をするということのお考えを持っていらっしゃるでしょうか。
  171. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私は今のところそういうことは何も考えていないし、まず一体米価はどういうふうにきめるのか、またその予算米価と違えばどういう理由によるのか、それが果して十分納得ができるのか、それらのことを考えた上でないと、それ以上のことは何にも私は今申し上げられません。
  172. 中村時雄

    ○中村(時)委員 予算米価というものは平年作をとって、二十八年、九年の考え方に基いて取り上げられているわけです。同様に今米価の問題は、いろいろな問題から加味されてきているわけなんです。そこであなたにお聞きしていることは一点だけなんです。たとえば米価審議会なりそういうような答申が正しいと思われたときには、甘んじてこの予算米価というものを変えることを何にも意に介しないかということを聞いているわけです。
  173. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 これは問題はやはり正しいかどうかというところにあるので、正しかったならば、私が非常なミステークをしておるということでありますればこれはいたし方もないと思います。正しいか正しくないかが今度は非常に考えてみるべきところだ、私はこう考えております。
  174. 中村時雄

    ○中村(時)委員 そうすると、正しいか正しくないかという問題に集約されたのですが、あなたは正しいと思って予算米価というものを作っているわけなんです。そして、ほかの意見としては正しくないという考え方になるのです。だから予算米価はこのままであくまでも押し通していくという結論になるのですが、あなたのお考え方は、あくまでも自分の主張が正しいと思ってこの予算米価を作られた、そこで予算米価はあくまでも守っていくのだという結論にわれわれは解釈していいか。
  175. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 今のところはさようであります。
  176. 中村時雄

    ○中村(時)委員 それからもう一つ、きのう廣川委員長と会談をされました際に、本日の新聞を見てみますと、予算の成立後あるいは国会の終ったあとにおいて米価というものは発表をしていく方がいいのじゃないかというお話し合いをしたということを、廣川さんが発表しているわけですが、それに関してどういうふうな話し合いがあったか。
  177. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 そういうことはありません。
  178. 川俣清音

    ○川俣委員 関連して……。予約制度と申しますか、正式な言葉で使われておりますのは事前売り渡し制度でございます。前売り渡し制度についてはどのような見解をお持ちになっておりますか、この点だけお聞きします。
  179. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 どういう見解というのはいいか悪いかというお答えをすればよろしいでしょうか。
  180. 川俣清音

    ○川俣委員 いや、十分事前売り渡し制度について御理解があるのですか、どうですか。
  181. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 いいか悪いかということでよろしいですか。
  182. 川俣清音

    ○川俣委員 まあ何でも……。
  183. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 お答えしますが、これは事前売り渡し制度を認めておるわけです。
  184. 川俣清音

    ○川俣委員 そういたしますと、これは認めていきたいこういうことですね。事前売り渡し制度の特徴はどこにあるとお思いになりますか。従来のと事前売り渡し制度とはどういう点が異なっておると大蔵省は認識しておられますか。
  185. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私の理解する限りにおきましては、強制でなくして下からきたというのですか、農家から売り渡した、そしてそれに対して概算をしよう、こういうふうな考え方をしております。
  186. 川俣清音

    ○川俣委員 そういたしますと、従来の米価決定方式と今度とは異なるということを理解になって予算米価をおきめになったのであるかどうか。
  187. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 さようでございます。
  188. 川俣清音

    ○川俣委員 そういたしますと、大蔵省の米価のきめ方は従来と変った方式をおとりになった、こう理解してよろしゅうございますか。
  189. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 それは食管の供出ですか、従来の制度と今度の予約売り渡し制度の相違があるのでありますから、むろんそういうふうな内容について若干の違いはあると思います。
  190. 川俣清音

    ○川俣委員 第一点は、若干の違いがあるということを予算の上にどう表現されたかということが一点、次に自主供出であるということは出す人の意思を尊重するということでございますから、普通の常識をもってすれば、条件が整えば契約をするというのが普通常識的に考えられておる点であります。条件を一致させるというところに、米価決定の仕方が昨年と変ってきたと思いますが、この点についてはどのような見解を持っておられますか。
  191. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 条件がすでに整ってそれから予約をする、私はやはりそういう考えはいいと思います。しかし条件が果して整うかどうかという点に一つの問題があるのではないかと考えるわけです。それから食管についてどういうふうに違っておるか、食管制度根本的に変ったということでもありません。あの法律がき生ておるというようなことでありますから、私は予算の編成の上にそう大きな変化はないと考えております。
  192. 川俣清音

    ○川俣委員 先ほどの答弁では、事前売り渡し制度によって予算米価のきめ方を幾分違えたと言っておられますから、幾分違えた点はどこにあるかとお聞きしているのです。
  193. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私が先ほど若干考えが違うと申しましたのは概算払いをするとか、価格が今度は一本になる、こういうような点において従来と若干違ってくる、こういうふうに考えておるわけであります。
  194. 川俣清音

    ○川俣委員 その点が事前売り渡し制度になりましたために変更になった点である、こう御理解ですか。従来も予算米価というものは、大まかなところで大体一本になっておるようです。ただその内訳を非常に変えておるのでありまして、大体手取り米価と申しますか、いわゆる支払う米価というよりも、国の予算の建前上きめられておるのが予算米価なんです。その予算米価を若干変えたというのですから、変えた根拠を一つお示し願いたい、こう言うのです。
  195. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 先ほど申しましたように、今回ははっきり一本になっておると思いますが、従来は必ずしも一本と言えるか、私はそこに違いがあると思います。
  196. 川俣清音

    ○川俣委員 予約事前売り渡し制度はいわゆる条件が合わなければ売らないものだという御理解でありますから、政府が責任を持って集荷しなければならないという責任を今なお負っておられるとしますならば、条件が合わなければ予定の数量を集荷できないという結果になりますが、その責任は農林当局が負うべきものか、財政を受け持っておる大蔵当局が負うのか、この点を明らかにしていただきたい。
  197. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私の考えでは、これは農林とか大蔵とかいうだけじゃないと思います。やはり政府全体として集荷すべきである、かように考えます。
  198. 川俣清音

    ○川俣委員 そういたしますと、今固執しております大蔵省案というものは政府の案ではない、こう理解してよいのでありますか。
  199. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 そういうことは絶対にありません。これはむろん政府のものです。
  200. 川俣清音

    ○川俣委員 大蔵省案と言うけれども、それは政府の案かどうかということを聞いておるのです。
  201. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 質問がはっきりしなかったものですから、はなはだ失礼ですが、御質問をもう一度願いたいと思います。
  202. 川俣清音

    ○川俣委員 今大蔵省案なりと称して新聞に出ているような、一歩も予算米価を変えないというような主張は、政府考え方か大蔵当局の考え方か聞いているのです。
  203. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 大蔵省案として新聞に出ているようなものはないと思います。私たちの持っているのは、予算米価、同時に米価について今後各方面の御意見もありましょうし、いろいろの機関の手を経るでありましょう。そうしてほんとうに米価というものがきまってくるというふうに考えておるのであります。
  204. 川俣清音

    ○川俣委員 大蔵省の案でありますならば、政府に同意をして変更されることがあり得ると思いますが、政府の案として一定不変のものでありますならば、将来変更ができないものと理解してよろしいかどうか——大蔵省としては変更したくないということはよくわかっております。政府として絶対変更できないというものであるかどうか、政府を代表して答弁をして下さい。従って政府を代表されたからには、違った回答が行われますると、重大な問題に発展することを十分御承知の上で御答弁願いたい。
  205. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 おっしゃる政府の案というのは、今検討中であります。
  206. 平野三郎

    ○平野委員 関連しましてごく簡単に大蔵大臣に所信をお伺いいたしたいと思います。それは今年度の米価の問題でありますが、これは単に米価にとどまらず、日本の物価体系全般に関する重大な問題でありまするから、財政の責任者である大蔵大臣としては確固たる御信念がおありのことと思うわけでございます。それで本年度の米価をきめるについては、日本の物価体系全般に通ずる基本の問題でありますから、あなたとしては、根本的にはどういう信念を持って臨む考えであるか、まずそれを伺いたいのでございます。
  207. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 これは答弁が非常に抽象的になってむずかしいと思いますが、私の考えでは、むろん信念を持って臨んでおります。それは一応形の上では今日予算米価というところに現われていると思いますが、ただいまのところどうしても米価でありますから、消費者価格というものを今日かりに据え置くとすれば、これで生産者価格を上げ得るかどうかということ、これは非常な問題がある。そうして上げる諸条件がどういうふうなものであるか、こういうふうになると私は考えているのであります。
  208. 平野三郎

    ○平野委員 消費者価格を上げるとすればというお話がございましたが、先般の予算委員会において政府は、消費者価格を上げないということをはっきり言明しておられるし、また政府の物価政策というものは上げていかないという基本方針でありますから、消費者価格を上げないということは、もう議論の余地のないことなんです。そうしますと、生産者価格を上げるか上げないかということでありまするが、本年度の予算において、九千七百三十九円というのを政府として予算米価として出しておられるわけです。もしこれを変更するということになりますれば、当然予算の修正また組みかえということが起ってくるわけなんであります が、大蔵大臣としてはそれでもこの予算米価を引き上げるという御意思があるかどうか。その点はっきり伺いたいのであります。
  209. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 予算米価を引き上げるかどうかということにつきましては、先ほどからしばしば申し上げましたように、十分納得し得るような理由があるかどうか、こういうことを十分考えなくてはならない。先ほど申しましたように、消費者米価というものを据え置くといたしますれば、生産者価格を上げるについては上げるだけのほんとうに十分な根拠がなくてはならぬだろうということは申し上げていいだろうと思います。
  210. 綱島正興

    綱島委員長 平野さん、ひどくやかましいから、今度一問にして下さい。
  211. 平野三郎

    ○平野委員 今あなたは納得し得る理由があれば生産者価格を上げてもよい、こういう御答弁ですが、納得し得る条件ということについて、他の委員諸君がお話がありますから、また私は後ほどあらためてこの納得し得る条件ということについてお尋ねいたしたい。ただここで一点だけお尋ねしたいことは、かりに納得し得る条件があって生産者価格を上げた場合には、当然予算の修正ということに及んでくるわけですけれども、それをあなたは覚悟しておられるわけですかどうですか。
  212. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 これは結局少しイタチごっこみたいになりますが、米価がいかにきまるか、またきめ方がどうかということによって初めて考えていくことなんで、それがきまった上でないと、今何とも申し上げられません。
  213. 中村時雄

    ○中村(時)委員 今自由党側からも予算米価の問題をめぐって話があったのですが、あなたは先ほど正しいという言葉を使ったわけなんです。予算米価に対して正しい意見があればという、正しいという言葉を使ったわけです。ところが川俣委員からの質疑を聞いておりますと、現在の予算米価政府案でない、こういうふうにおっしゃった。そこで政府案でなければ、予算米価じゃなくして、もう少し幅を生産費価格として出してもいいじゃないかということを今平野委員もまたお聞きになった。そういうふうに考えてみますと、現在農林省におきましても、河野農林大臣を中心に米価の算定方式の専門委員会の算定方式としてA案、B案、C案という、算術的な上に立ったところの価格構成の打ち出し方をしておる。これもおそらく旬日中にでき上る、おそらくできていると思いますが、そういうふうに一つの米価をめぐっていろいろの問題の決定を今迫られてきておるわけです。そういたしますと、現在あなた方が考えていらっしゃる予算米価そのものでなくして、ここに正しい、あなた方が納得のいく一つの方法が打ち出されたならば、この予算米価にこだわらずして、その正しい意見に基いた米価の設定をあなたは考えられるかどうかを伺います。
  214. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私の考えは、予算米価を変更する、それに対してほんとうに納得のいく理由があるかどうかによって考える、かように考えておるわけです。
  215. 中村時雄

    ○中村(時)委員 そういたしますと、今予算米価だけには固執していないという結論は得たわけでありますが、納得がいけば米価は変えてもよろしい。念のために、くどいようですがもう一回お聞きしておきます。納得がいけば、予算米価でなくして米価を別に考えてもよろしいと解釈していいわけですね。
  216. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 特に私が納得と言うのは、主観的でなくて客観的に、ほんとうに国民経済の上から見ても、あらゆる面から見ても、そうあるべきだという客観的な条件意味するのでありまするが、そういうふうな場合におきまして、それが正しいということになれば、それはそういうことも考えなくちゃならぬだろうと思います。
  217. 中村時雄

    ○中村(時)委員 そうすると、あなたが正しいとか納得という、抽象的になりましたが、基本的には納得いけば、米価考えてもよろしいという重大な発言をされたわけですが、そこで一つお尋ねしたい。昨日廣川委員長と会談されたとおっしゃいましたが、そのときに三級酒の問題を廣川さんが取り上げられたと思うのですが、三級酒の問題に対してどういうお考えを持っておるか。
  218. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 三級酒でございますか。その話は出ませんでございました。
  219. 中村時雄

    ○中村(時)委員 キツネにつままれたような答弁でありますが、まあ廣川さんは、その米価が、三級酒の問題を出したのは——その前に一つお聞きしたい。あなたは大蔵大臣ですから、党から出ていらっしゃるわけです。そこで党の方で今度は米価特別審議会を作られていらっしゃいますが、その米価特別審議会が党で決定されるなれば、その党の意思に従うかどうか、あなたの立場上……。
  220. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私はやはり国の財政を預かっておる大蔵大臣立場があると考えております。
  221. 中村時雄

    ○中村(時)委員 私の聞いておるのは、あなたは民主党の党人であります。その党を代表して大蔵大臣に任命されておるわけです。そこで、党の方には米価特別審議会というものを作られていらっしゃる。そこで党の方がそのように米価なら米価決定した場合には、それに従う意思があるか。あるいはあなたは大蔵大臣個人という考え方によって、米価というものを考えていらっしゃるのかをお聞きしておるのです。
  222. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 さように、大蔵大臣考えと党の考えが食い違う、というふうにお考えにならなくてもいいのじゃないかと私は思います。
  223. 中村時雄

    ○中村(時)委員 食い違っておるから問題が起っておる。たとえば廣川さんは——ちゃんと書いてある。私としてはあくまでも当初の三級酒案を主張するつもりだ、と出ておる。あなたはそうではないという。食い違いはないとおっしゃる。この話は全然知らないのですか、知っていらっしゃるのですか。
  224. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私は何もそれがきまったことであるとは思っておりません。
  225. 中村時雄

    ○中村(時)委員 きまっていないからこそ質問しておる。きまったら何も質疑はしませんよ。そうでしょうが。だからそれをきめるかきめないかという態度の問題の基本理念を言っておるわけだ。だから民主党の中において、米価審議会の中において、米価というものの一つの打ち出しをした場合に、あなたはそれを守っていくかどうかという、党人としての態度を聞いておるわけです。
  226. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 まあ、こういうことについて、いろいろな人がいろいろな意見をお持ちになっておると思います。それに一々私、相手もできかねるのでありますが……。
  227. 中村時雄

    ○中村(時)委員 あなたは党から代表して出た大臣なんですか、それとも個人が、自分が偉いと思ってなっていらっしゃるのですか。私の聞いているのは一点だけです。一体民主党がしっかりしてもらわぬと困ると思うのだ。党から出ておるなれば、党によってきめられたその方向に執行するかどうかということ、その点を聞いているのです。どうですか。きまったら、あなたはそれに従うのかどうかということを聞いているのです。
  228. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 お答えいたします。それは党が今おっしゃったようなことをするとか、あるいは特別委員会でこうやるのだというてお持ちになれば、それは私も考えますよ。
  229. 中村時雄

    ○中村(時)委員 それではお聞きしますが、たとえば民主党におきまして、米価等対策特別委員会の案として伝えられているところに、一万百六十円ないしは一万二百六十円の内容がここに出ているのです。その場合に二点お聞きしたい。一点は、予算米価との差額の処理の方針をどのように取り上げられるか、たとえば今基本米価予算米価として九千七百三十九円といっておりますが、一万円で決定した場合には六十一億円、また一万二百六十円で決定した場合には百二十二億円というものがここに出てくる。そういたしますと、それに対する処理方針はどういう ふうにお考えになりますか。
  230. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 先ほど申し上げましたように、米価はきまっておらないのであります。今後これがきまります。
  231. 中村時雄

    ○中村(時)委員 あなたは今のところは、予算米価というものが正しいと言っていらっしゃる。続いて党において決定が出れば、——もちろんこれは決定が出ればです。この問題はまだきまっておりませんが、かりに出れば、それに従うにやぶさかでない、こうおっしゃっているが、党の打ち出し方としては、一万円以上の打ち出し方が事実上において出てきている。そこで一万円以上ということになれば、あなたは大蔵大臣としてある程度これを研究するだけの責任がある。そういう場合に一部では、食糧特別会計の中から打ち出すという考え方もある。あるいは先ほどから言っておる予算の修正案となって現われてくるかもしれませんが、それらに対処するにはどういうお考えを持っていらっしゃるかをお聞きしておる。
  232. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 党から何もまだ言うてきていない。党からそういうことを言うてきたら、私は一つ談判をやってやろうこう、思っております。
  233. 平野三郎

    ○平野委員 大蔵大臣は、先ほど納得がいけば米価を引き上げることもやむを得ない、こういうようなお話がございましたが、それに対して私は、かりに納得がいくいかないにかかわらず、予算米価を引き上げれば、当然予算の修正が必要になってくるじゃないか。これはただいま中村君から言われたように、一万円にすれば六十億、一万二百六十円にすれば百二十二億という赤字が生ずるわけでございます。これに対してどう処理するか、それを中村君も同じ質問をしておるわけでありますが、これに対してあなたは、まだ米価決定していないのだ、決定をしたときに考える、こういう御答弁でありましたが、それははなはだ無責任でありまして、私どもは、そうなった場合どうなるかということを聞いている。これは議論の問題ではありません、事実の問題です。予算米価を引き上げれば当然赤字が生じてくるわけなんです。これは米価をきめるときに今から考えなければならぬことだ。かりに一万円ときまった場合においては、六十億の赤字を生ずるということなのであって、そのときになって考えるのだということでは、まことにおかしいのでありまして、今からすでにそのことを考えておかなければなりません。  そこで私お尋ねを申し上げますが、あなたは米価を引き上げることはあり得るとおっしゃった。そうすれば当然そこに生ずるところの予算の修正ということを考えなければなりませんが、それを考える意思があるのかないのか。もし考えないというのだったら、予算米価を動かすことができぬわけです。引き上げる余地があるということになれば、当然予算を動かすことになるわけですけれども、この点はっきりお答えをいただきたいと存じます。
  234. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 同じことを繰返すようでたいへん悪いと思いますが、これはやはり大蔵大臣といたしましては、米価がきまる、その米価のきまり方がどうあるかによっても違うのでありますから、ここでこういうふうになったらどうするとかこうするとか、そういうふうな答弁は私ここでいたしかねます。
  235. 平野三郎

    ○平野委員 それではあなたの御答弁では、米価はきまらないのだ、米価がきまったときに考えるのだ、きまり方によるとおっしゃいますけれども、そのきまり方が問題なんです。九千七百三十九円が動かなければこれは問題がない。動いた場合は、当然予算の修正ということが起るわけではないですか。あなたは予算の修正はいたさない。この前の減収加算の三十三億のときも、これは食管特別会計の操作によってやっていくのであって、一般会計から補填をしないということをはっきりと閣議決定されて、われわれにも御報告になっておるわけなんです。それはもちろん了承しておりませんが、今度は三十三億どころではない。場合によっては百億以上の差額が出てくるわけなんだ。これを食管特別会計の操作でやるということをおっしゃるのか。減収加算の場合と同じだということになれば、これは何をかいわんやでありますが、そうであるのかないのか。これは米価がきまってみなければわからないのだ、そんなことはない。これは子供でも——米価が上れば当然予算の修正ということが起るのじゃないか、それはどうなるのかということを聞いておる。だからあなたは予算の修正をしないのだという建前ならば、米価は上げないということをここでおっしゃるならば、わかりますよ。
  236. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 わかりました。米価が上るからというふうに言って、どうと言うから、私何したのですが、こういうふうにお答えしたらいいかもしれません。私は予算を修正する考えは持っておりません。
  237. 中村時雄

    ○中村(時)委員 今平野委員のおっしゃったことは、予算を修正する考えはないといえば、次にくるものは食糧特別会計の予備費から支出するというふうに解釈していいのですか。
  238. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 お答えします。これはこれこそ米価がきまらないのでありますから、予備費というような点についてはお答えできません。
  239. 中村時雄

    ○中村(時)委員 それからもう一点。今大蔵大臣は、米価対策委員長の廣川さんと会ったときの内容の説明を要求いたしましたが、それに対する御答弁はなかったのですが、そのときに廣川さんは対策委員長としてあなたと会見しておるはずです。だから各新聞にはちゃんと報道されておる。まず第一に、米価政府案予算案の国会成立後までは正式にきめない、第二点は、そのかわり予算成立後は予算米価に若干の色をつけるということで、意見が一致した、こういうふうに出ておる。これはもしもそうでないというならば、新聞の方が誤まって伝えたものか、あるいはまた全然そういうことがないという虚偽の発表をしたのであるか、あなたは全然そういうことはなかったと先ほどおっしゃったのですが、この点どうなんですか。
  240. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 そうきまったことは何もありません。
  241. 中村時雄

    ○中村(時)委員 では新聞の誤謬というわけですね。そういうふうに解釈していいわけですか。
  242. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 ただいま答弁した通りであります。
  243. 中村時雄

    ○中村(時)委員 そこで次にお尋ねしたいのは、たとえば今言ったように、算定の方式が今ABC案と分れて、農林省あたりで検討されておるわけですが、その場合に、あなたは予算米価はそのままで変えないと今御発表なさったわけです。そこでお尋ねしたいのは、民主党の方で予算米価としての今の基本米価を取り上げて、いかなる理由があっても、これはくどいようですけれども、あくまでも変えないという方針を持っていらっしゃるのか、もう一度だけ聞いておきたい。
  244. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 先ほどから申しますように、私は予算米価はああいうふうにきめましたし、それでこの米価は理由ありと考えておるのですが、米価自体はまた別個にいろいろな機関を通して政府としてきめるのだろうと考えております。
  245. 中村時雄

    ○中村(時)委員 それではこの買い入れ米価に対して、あのときはあのときの米価考える、また米価はあらゆる条件を備えて考えてみたいとおっしゃるのですから、そのときの条件によって米価の変動があると考えていいのでしょうね。
  246. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 それはいろいろな事情があるのでありますから、これはやはりそういう事情も考慮する必要があると思います。
  247. 中村時雄

    ○中村(時)委員 二点お聞きしたい。あなたのおっしゃるようないろいろな状態というものは、どういう状態を想起して考えていらっしゃるか、それが第一点。第二点は、米価決定を、政府の閣僚の一人としてあなたは早急にきめた方がいいとお考えになっているのか、あるいは、たとえば出来秋あたりにきめた方がいいとお考えになっているか、その二点を……。
  248. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私もやはりなるべく早くきめた方がいいだろうと思います。
  249. 中村時雄

    ○中村(時)委員 もう一点、いろいろな事情を勘案して米価考えてみたいとおっしゃるそのいろいろな事情というのは、どういう客観情勢を考えておられるか。
  250. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 これは数えればたくさんあるだろうと思うのですが、一般の経済の事情も考えてみなくちゃならぬ、広くいえば内外の、世界の経済の動きも考えてみなくちゃならぬ、また集荷の見通しというようなものもある程度やはり考える必要があるのではないかと思って、これはいろいろあると思います。そのときの事情はいろいろありましょうが、考え条件はたくさんあるだろうと思います。
  251. 中村時雄

    ○中村(時)委員 子供の説明じゃない。ここは農林委員会として農林の問題を取り上げている。そこで、あなたは客観情勢としていろいろなことをあげられましたけれども、たとえば米価をきめるのには米価審議会審議を尊重する、あるいはまた集荷制度としては販連——耕作農民から直接代行して販連が扱っているわけです。そこでそういう団体意見を十分に聞くとか、そういう一つ一つの具体性を私は期待していた。あなたのおっしゃるのは、何を言っているのかさっぱり見当がつかない。その条件の中にそういうふうな御意思があるかどうかをお聞きしている。
  252. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 むろん米価というものは重大であります。特にことしの米価は私は非常な重大なものと思いますから、そういうふうに、きまって聞かなくちゃならぬ方面の意見を聞くのはむろん、多くの人の意見を聞くべきだと考えております。
  253. 中村時雄

    ○中村(時)委員 予算米価と称するものはよくわかりましたが、あとでまたその条件のいかんによっては米価を変えてもよろしいというお考えでありましたが、そこで一点お聞きしたいのは、これもやはり推察なんであります、まだできているわけじゃない。本年度の作柄なりあるいは現存の天候状況から推察いたしますと、かなり豊作ではないかという見通しをわれわれは持っている。そうした場合には数量が非常に上回って参りますが、その場合における金額の支払いあるいはそれに伴うところの処理方針、そういうものをどう考えていらっしゃいますか。
  254. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 本年非常に豊作なりやいなやは、もう少し考えてみたいと思います。
  255. 中村時雄

    ○中村(時)委員 農林大臣を呼んでもらいたい。
  256. 平野三郎

    ○平野委員 関連して、先ほど大蔵大臣は、予算を修正する意思はないとはっきり言明されたわけです。それはすなわち米価を引き上げる意思はない、こういうふうに解釈していいわけですか。
  257. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 これは全然一銭一厘予算米価とは違わぬという意味では、必ずしもないかもしれません。
  258. 平野三郎

    ○平野委員 そうしますと予算は修正をしない、しかしながら九千七百三十九円の予算米価は、ある程度動く場合がある、一兆円のワクに関係のない範囲において米価を動かす、こういうことでありますか。
  259. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 そういう点は米価が具体的にきまってから申し上げたいと思います。
  260. 中村時雄

    ○中村(時)委員 時間がありませんから、というのは、大蔵大臣だけに聞いておりましても、私たちの持ち時間が過ぎてしまいますので、あと私は農林大臣質問したいことがありますから、一応ここで打ち切りまして、あとの方を考えてもらいたい。
  261. 綱島正興

    綱島委員長 それはもうわかっております。——それでは中馬委員
  262. 中馬辰猪

    中馬委員 先ほど大蔵大臣が御答弁になった中で、予約買付制度というものは、食管法をそのままにしておいて、別段大した変更を加えないんだからして、本質的には予約買付制度というものは従来の管理制度というものと大して相違がないというようなお答えがあったようでありますけれども、さように考えておられますか。
  263. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 いや、その制度自体はたいへん違うのではないか、一方は先ほど申しましたように、割当をするわけです。一方は農家の方から予約で売ってくる、こういうことで違っておると思います。ただそういう制度の違うことによって、予算の組み方において大きな違いがあるかというような御質問だったように思います。
  264. 中馬辰猪

    中馬委員 大蔵大臣制度そのものは大して変りはないけれども予算の組み方においてなぜ違わさなければならぬかということがわからぬというようなお答えでございますけれども予約買付制度というものは、ただいまこれだけ全国を沸かしておるのですから、そのことだけでも非常な相違があるとわれわれは考えております。そのために実は民主党におかれても、予約買付制度というものを一つの大きな公約として内閣を組織されておるのであります。従ってわれわれといたしましても、この制度を遂行するためには、よほどの周到な準備と自信がなければ遂行できないと考えております。しかし農林大臣に私は午前中いろいろ具体的にお聞きしたのでありますけれども農林大臣においては、米価は近いうちに決定をいたしたい、あるいは早ければ本日中にも決定いたしたいというようなお答えがあり、また同時に二十一日の米価審議会においては、あるいは政府は何らの案を持たないで、いわゆる白紙のままで臨んで審議会意見を徴するにとどまるんだと、いうような相矛盾した御答弁があったのでありますけれども先ほども御質問がございましたが、この予算米価というものだけでは実は非常な不安を農民諸君が持っておるわけでありますけれども、あなたは国務大臣として、この予算米価というもので果して政府が予定するような米が集まるとお考えでございますか。
  265. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 米価がどうきまるか、これは私何とも言えませんが、私としては農家の御協力をぜひ得たい、かように考えておるわけであります。
  266. 中馬辰猪

    中馬委員 あなたは予算米価決定する場合においては、これを変更するかもしれない、あるいは絶対に変更はしないというか、どういう気持で予算米価を御決定になりましたか。これは絶対に変更しないものだ、あるいは状況次第によっては変更してもよろしいというお考えでお組みになりましたか。
  267. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私は予算米価が根拠のある適正なものであると考えておるのでございます。それともう一つは、先ほど申し上げましたように、私は予算は修正する考えは持っておりません。これだけの二つであります。言いかえれば、先ほど申しましたように、予算米価を少しも変えぬというのではない、これは先ほど申し述べたように、ほんとうに客観的に考えまして、合理的な基礎がありますればそれは私は考えます。しかし私大蔵大臣としては、予算の修正をするというような、そういう変更は考えておりません。
  268. 中馬辰猪

    中馬委員 予算の修正は絶対にするわけには参らない、しかし理屈がつけば予算米価を変更することもあり得るというふうに考えてもよろしゅうございますか。
  269. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 その変更が予算修正を伴わないという範囲内ならさように考えます。
  270. 中馬辰猪

    中馬委員 しからばわれわれはかように結論をつけてもよろしゅうございますね。たとえば予算はもう修正しないのだ、しかし理屈がつけば予算米価を変更してもよろしい、しかもその変更というものは、食管法の予備金の中でやりくりがつく範囲内においてはやってもよろしいというあなたのお考えでございますか。——よくわかりませんか。予算は絶対に修正をしない、しかしもし理屈がつけば予算の修正をしない範囲内で予算米価を変更することもあり得る、そうなって参りますと財源という点からいって、予算修正を全然しないのであるから、現在の食管法の中のやりくりでできる程度の変更を加えてもよろしい、こういうふうに お考えでございますか。今あなたが言われた通り私は復唱したのですよ。だからその通りと思ってもいいのですね。いいですか。今あなたがおっしゃったことを私が繰り返して申し上げただけなんです。はっきりとお答えください。簡単ですよ、その通りだとおっしゃればいい。今あなたがおっしゃった通り私が申し上げたのです。
  271. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 言いかえれば、(「言いかえなくてもいい。」「質問通りでいい。」と呼ぶ者あり)いや言いかえると申しますことは、繰り返して申しますれば、予算は修正せぬことを私は申し上げました。しかしこの修正を伴わぬという範囲内におきまして予算米価と違った米価は、これはほんとうに合理的な根拠を持ってくれば考えられる、かように申し上げました。
  272. 中馬辰猪

    中馬委員 それでは、これは繰り返すようですけれども予算は修正しない、しかし予算米価に根拠があるならば修正を加えるというのですから、それならばその財源はあなたはどこから見つけてくるのですか。食管の予備金以外にないじゃないですか。
  273. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 それはこの食管の中から始末をつけなくてはならぬと考えております。
  274. 中馬辰猪

    中馬委員 食管の中で始末をするということは、実は技術的な問題でありますから、さらにわれわれは具体的に検討を加えなければなりませんけれども、先般減収加算の問題におきましても、食管からやりくりをして出すとおっしゃったのです。その赤字を一体どうするつもりですか。そのほかにさらに、さらにですよ、金額はまだわかりませんけれども、何十億という予算のやりくりがつくというならば、一体食管というものはどういう仕組みになっておるのですか。
  275. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 これはまた繰り返して御答弁するようになりましてはなはだ相済まぬと思うのでありますが、それはやはり米価がきまった上でないと、もうすでに大へんな赤が出るからそれをどういうふうに始末しよう、今こういうような御質問でありますけれども、これは米価がどうきまるかによって考えなくてはならぬと思います。
  276. 中馬辰猪

    中馬委員 どうきまるかという将来の問題ではございません。農林大臣は早ければきょうじゅうに、あるいは二十一日の審議会においても発表するかもしれぬし、その前に発表するかもしれぬとおっしゃっておるのです。早ければきょうじゅうに発表する、その政府米価の原案がもし予算米価と完全に一致すれば、これは食管会計の中でやりくりをする必要はないでしょうけれども、百円でも二百円でも石当り違うとすれば、われわれはこれを高いというふうに解釈をいたして前提といたしておるわけでありますけれども、高いとすれば、それは将来の問題ではございません。今日ただいまはっきりとこれを国民に明らかにしなければならぬあなたの義務があると考えております。われわれはそういう米価決定によって赤字がどう出てくるかということが将来の問題であるとは決して考えておりません。今日ただいまはっきりと明らかにしてもらわなければなりませんが、その点をもう一ぺん念を入れてお聞きをいたしておきます。
  277. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 やはり米価決定というものは私はなかなか重大であると思います。先ほどからたびたび申しますように、いろいろな御意見やあるいはいろいろな審議会もありまして、よく聞かなければならぬ、きまった上で考えなければならぬと思います。
  278. 中馬辰猪

    中馬委員 きまった上でとおっしゃいますけれども、もう近いうちにきめなければならぬのですよ。すでに最初政府が約束をした、六月十五日を目途としたということからもうすでに二日経過しております。われわれは二日とか、三日とか、あるいは一週間とかいう、そういう日のことを申し上げておるわけではありません。あなたの話を聞いておると、あたかも遠い将来のことのように受け取れますけれども、われわれは決して遠い将来のことであると考えておりません。少くともここ数日のうちに米価決定をしなければならぬところの重大な段階に来ておるわけでありますから、われわれは質問しておるのです。その場合に、もし予算米価よりも若干上回るような米価決定があった場合において、その財源をあなたはどこから持ってくるつもりですか。先ほど食管会計の中でやりくりをするとおっしゃいましたけれども、減収加算でやりくりをしてさらに今度また米価決定でやりくりをするような、そういう会計というものをあなたは、項目的に見てどこにそういう余裕があるとお考えですか。大蔵大臣は責任ある食管会計の予算を組まれたのであるのですから、その中でそんなにたやすくあのときは三十三億、今度は六十億というように、あっちからこっちからひねり出すような、そういうずさんな会計であるとあなたはお考えでありますか。
  279. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 御意見もよくわかるのでありますが、やはり米価がいかにもきまったという、もうすぐにきまるとか、いろいろな御仮定でお話になっておりますが、私は米価がきまったときに、どういうふうにきまったかについてこれは考えるべきだという考え方であります。
  280. 中馬辰猪

    中馬委員 きまってからではおそいのですよ。きまるときにはすでにこの赤字はどこから埋めるのだとか、あるいは廣川委員長が言われるように、これは三級酒で埋めるのだとかいうような具体的な手当がなければきまりようがないではございませんか。きまってからあれをどうする、これをどうするということはできない相談であります。きめるときはすでに諸般の状況を研究して、あれはこうする、これはああするということをよくきめてから米価というものはきまるのだと考えておりますが、あなたは米価だけを突然、ただ抽象的におきめになる考えでございますか。
  281. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 そういう点を関係者が今一生懸命になって考えておるのだと思います。
  282. 中馬辰猪

    中馬委員 ではあなたの考えでは、大体いつごろ米価決定をされる意思でございますか。遠い将来ですか、近い将来ですか。
  283. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 先ほどから申しますように、私も、この集荷制度のもとにおいてなるべく早くきめた方がよろしいと申し上げておるのでありますが、いつということはわかりません。
  284. 中馬辰猪

    中馬委員 農林大臣があなたの横におられるのですよ。同じ内閣の閣僚として、農林大臣は早ければ本日中にも決定いたしたいとおっしゃっております。しかもこれだけ重大な問題であるのに、あなたのお話を聞いておると、あたかも米価決定の問題はさほど差し迫った問題であるとは受け取れないような口ぶりでございますけれども、あなたは本気でさように考えておられますか。ここ二、三日のうちにどうしてもきめなければならぬ、そういうせっぱ詰まった米価決定の問題であるとは考えておられませんか。
  285. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 先ほどからたびたび申しますように、なるべく早くきめることがよろしいということは間違いないのです。しかしこれはなかなか重大でありますから、いろいろな人のお考えもありますし、農林大臣ともむろん一緒に相談もし、政府としても考えなければならぬ、また審議会もいろいろありましょうし、これはそういう意味で申し上げておるわけであります。
  286. 中馬辰猪

    中馬委員 先ほども他の委員の方から御質問があったのでありますけれども、昨日民主党の廣川米価対策特別委員長とお会いなって、米価の問題についてどのような具体的なお話がございましたか。
  287. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 先ほども申しましたように、何もきまったことはないので、私は党の考え等を拝聴した、こういうことであります。
  288. 中馬辰猪

    中馬委員 党の考えというのは、具体的に申しまして、今の予算米価ではおそらく米の集荷はむずかしいのではなかろうかということが前提になっておればこそ、廣川案というものが出てきたと思うのであります。もし党の決定というものが、予算米価で十分に集荷できるということであれば、何もこれだけみんなが騒ぐ必要はないのであります。廣川案として三級酒の問題が出ているというところに実は大きな問題があるから、そういう問題が出て参ったのであります。もしかりにどうしても九千七百三十九円という予算米価では米が集まらないということになった場合において、農林大臣の方から強くあなたに申し入れがあった場合においても、あなたは依然としてこれを上げるつもりはございませんか。
  289. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 先ほど申しましたように、米価がどうきまるか——これはきまると思うのですが、かりに今言ったような場合におきましても、私はやはり農家の方々のほんとうの協力を得たい、かように考えております。
  290. 平野三郎

    ○平野委員 私どもはきわめて簡明で、かつ単純なことをお尋ねしておるわけです。つまり、あなたは予算は絶対に修正しない、しかしながら予算米価は一厘一銭も動かさないというわけじゃない、若干動かすことはあり得るのだ、しかしそれは予算に影響を及ぼさない範囲内でやるのだという先ほどの言明があったわけです。それならば、かりに一万円米価にすれば六十億程度の赤字を生ずる、一万二百六十円ということになれば百二十二億という財源を必要とするのです。それをどうしますかとお尋ねしたところが、それは食管のやりくりでやるのだ、こういう御答弁であったわけです。そこまでは今までのわれわれの質疑で発展してきているわけです。問題はさらに範囲が縮小いたしまして、しからば食管の操作でもってそういうことができるかどうかということでございます。これは先般の減収加算のときには、あなたは、それは農林大臣が責任をもって適当に考えるということで、きわめて不明瞭でありましたけれども、何とかなるというようなことであったわけです。今度はさらにそれにプラス相当の金額を食管特別会計の操作でやるということになるわけです。あなたはそれについての確信がなければならぬわけであります。あなたは非常に妙な御答弁で、米価がきまってから考えればいいということでしたけれども、およそ財政というものは、歳入があってそれで初めて歳出が考えられるわけであって、歳出の方を先にきめて、米価がきまってそれから財源を考えるのだというのは全く逆のことなんです。あなたは米価がきまってから考えるのだと言うが、かりに米価が九千七百三十九円からちょっぴりしか上らなかったという場合においてはそれは考えられましょう。しかし相当の金額が動く場合においては、当然財源を考えなければあなたがうんと言われるはずはない。そもそもこの問題がここまで紛糾してくるというのも、結局はあなたが同意を与えられないからきめられないわけです。農林大臣に全部まかせるのであるならば、おそらくこれはもっと早くきまっておったはずなんです。あなたが財政のかぎを握っておられるのだから、米価をきめる場合においては、その財源をどうするというあなたの確信があって初めてできることなんです。あなたは米価がきまってから考えるのだと言うが、そういうばかなことはない。結局あなたは食管の操作によってどの程度やれるということの確信があって米価がきまってくるわけです。その確信について、どういう方法をとり、どの程度の金額が食管特例会計の操作によって出てくるか、それをお尋ね申し上げておるのです。問題は簡単なことなんです。
  291. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私の考えとちょっと食い違いがあるように思うのです。初めから、たとえば米価がきまらないのに、これは一万円とか一万二百円とか、そうすれば赤が何十億で、それをお前は修正せぬのか、食管のどこで埋めるのか、そういう考え方は私はいたしておらないのであります。私は予算は修正しない。そうして予算米価というものが出ておる。そうすると自然どの程度食管の操作でできるか、非常に幅の狭いものになるのじゃないかと私は考えておるわけであります。そういう考え方を今いたしておるわけであります。
  292. 平野三郎

    ○平野委員 何のことかちっともわからない。予算は修正しないのだ、そうして食管の特別会計の操作によってどの程度の金が出てくるか、それを見た上できめる、こういうお話ですが、どうもよくわかりません。済みませんがもう一ぺん御説明を願いたい。
  293. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私の考え先ほどから申しますように、食管のこの予算は修正しません。する考えを今持っておりません。従いまして……。(「食管だけの予算ですかと呼ぶ者あり)予算修正はしないからそういう考えでおります。従いましてその点から考えましても、米価がどうきまるかその上でやはり——その前にいろいろ金額を仮定して、これをどうするとか、その財源がどこにあるか、こういうふうには考えていかないわけであります。
  294. 平野三郎

    ○平野委員 予算は動かさない、そういう御答弁ならば——どもは今まで一般会計の予算を言っておったのですが、あなたは食管の会計も動かさないのだ、こういうことですが、それを動かさないということは、予算米価を動かさないということですか。予算米価を動かせば当然予算に影響してくるわけです。あなたは米価がどうきまるか、それからだというようなことですけれども、だれが考えても米価を動かせば当然予算操作ということを考えなければならぬ。予算を伴わずして米価の移動ということは考えられないわけです。そうするとあなたのお話は、結局忌憚なく申し上げれば、予算は絶対に動かさないということは、米価も動かさない、こういうことになるじゃないですか。それならわかるのですけれども米価を動かすことはあり得るのだ、ごくわずかの範囲で動かすのだということは、先ほどお話があった。わずかの場合は米価に大した影響はないかもしれませんが、相当大幅に動く場合は当然予算も動く。しかしあなたは予算は絶対に動かさないのだ、それならば米価も動かぬ、こういうことになるのじゃないですか。
  295. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 米価自体はいろいろな機関を通じまして、いろいろな関係できまるのですけれども、私自身は米価幾らにきめる、こういうわけにはいかないだろうと思います。そういう意味におきまして、私はそういう米価がきまって、その上で考慮するという立場をとっております。
  296. 中村時雄

    ○中村(時)委員 問題の整理の仕方が非常に乱雑になっておるのじゃないか。大蔵大臣の言っていらっしゃるのは、予算米価はそのままで変えない、こう言っていらっしゃる。ただし見返り米価は、今言ったようにある程度の幅を持たして考える。その見返り米価価格としては、特別会計のおそらく予備費であろうと思いますが、その中から出していく、こういうふうにお考えになっていらっしゃると思うのです。そこで今の平野委員からのお尋ねも、それでは今言った食糧の特別会計の中の幅がどの程度とれるものかというお尋ねだろうと思うのです。だからそれについてのお答えを明確に願いたいと思います。
  297. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 今幅は幾らになるか、これは私価格決定するに応じて考えていかなくてはならぬだろうと思います。
  298. 中馬辰猪

    中馬委員 私が申し上げておることは、子供でもできる算術なんです。予算の修正は行わない。もし正しい理屈がつくならば、九千七百三十九円という予算米価にプラス・アルファーという若干をつけ加えてもよろしい、しかもその財源は、予算の修正を行わないのであるからして、食管会計の中でやり繰りをして出せる範囲、しかもその範囲というのは、すでに減収加算で三十三億という数字が出ておるわけでありますから、あと幾らひねり出す余裕があるかどうか、また出せるのかどうかということ、それから逆算して、あとたとえば十億円しか食管会計の中で余裕がないから、その十億円で二千五百万石を割るのだ、そういう非常に簡単な算術なんです。あなたとしては、食管会計は三十三億というのを抜いて、あと幾らだけひねり出したならば余裕があり得るとお考えですか。もうぎりぎり一銭も出ないのだというふうにお考えなりでございますか。それともまたやり繰りによっては、ある程度十五億とか、あるいは二十億とか、あるいは三十五億とかいうような数字が出てくるとお考えでありますか。
  299. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 それは今それが幾ら出るかということは、私用意をしておりません。しかしある程度これはやはり出ないとも言えないと思います。今後十分にこれに検討を加えてみていきたいと考えております。
  300. 中馬辰猪

    中馬委員 そんなばかなことがあるものですか。出ないとも言えないし、幾ら出るかわからぬというようなことは、——あなたは先ほど、一国の大蔵大臣として国民の財政を預っておるとおっしゃった。そういう方が重大な食管会計の内容を知らないで、幾ら出ないのだとか、出るかもしれぬとかいうような、そういうあいまいな予算であるのですか。そういうふうに解釈してもよろしゅうございますか。非常にあいまいな会計の組み方だというふうに解釈してよろしゅうございますか。
  301. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私の言葉があるいは足らなかったかもしれませんが、これは私やはりある程度は出ると思います。それを出すように努力したいと思います。
  302. 中馬辰猪

    中馬委員 ある程度出すように努力したいし、また出せるというお言葉でございます。よく承わっておきます。それからもう一つ、先ほど私は農林大臣に対して廣川案といわれる三級酒の問題を御質問いたしたのでありますけれども、私は酒は飲まないから、酒のことはよく知らないというお言葉でございましたが、そのことはあとでまた御質問いたしますが、あなたは大蔵大臣として、三級酒というものをどうお考えでございますか。もし党の方でどうしても三級酒を認めなさいというような案がかりに出てきたような場合においては、あなたは三級酒というものをお認めになりますか、どうでございますか。
  303. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私は今三級酒のことは考えてもおりません。また今のところ、賛成いたしかねると考えております。
  304. 中馬辰猪

    中馬委員 われわれ大蔵当局でない連中ですらも、三級酒の問題をいろいろ研究し、心配をいたしておるのであります。あなたはその酒の大元締めの大蔵大臣ではございませんか。大蔵大臣が三級酒のことをまだよく知らないとか、あるいは考えたこともないとかいうことは、私は納得いきません。われわれもこの問題を非常に心配しておるわけですから、もし三級酒という問題が出てきたならば、——もうすでにこれは出てきておるわけですが、あなたはおのみになる考えがございますか。のまれませんか。のむというのは、酒を飲むということではない、案をのむということですよ。
  305. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 先ほど三級酒は知らないというのは、そういうふうな話はなかったということを先ほど申したのであります。三級酒の酒も知らないというわけではないのであります。それから三級酒が出てきた場合に、お前はのむのか、これはそういうことは今何も具体化しておらぬのであります。そういうことを考えたこともない。またかりにそういうことがあっても、慎重に検討を要することは言うまでもありません。
  306. 中馬辰猪

    中馬委員 最後に念を入れておきますが、米価決定というものは、すでに最終の段階に入っておるのでございますから、農林大臣はきわめて近い近日中に決定いたしたいとおっしゃっておりますが、あなたはこれを農林大臣協議をされるか。先ほど農林大臣のお話では、きょう四時から閣議があるから、その閣議の席においてこの問題を取り上げるというお話でございましたが、あなたはいつこれをおきめになられますか。
  307. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 農林大臣ともよく相談しましょう。私はいつということは申し上げかねます。
  308. 綱島正興

  309. 足鹿覺

    足鹿委員 時間がありませんので、簡単に大蔵大臣にお尋ねいたします。昭和三十年産の米の価格につきまして、大蔵省は予算米価を非常に固守して今日に至っておられますが、九千七百三十九円の予算米価の客観的な妥当性の根拠はどこにありますか。大蔵大臣から御答弁を願いたい。
  310. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 これはこの妥当性については、具体的なことはなお政府委員から申し上げさせますが、今日の国際的な物価情勢及び国際的な農産物価格、日本の物価の情勢、それからパリテイの状況、それから昨年は凶作でもあって、このうち私は三十三億の減収加算も出しましたのですが、昨年の状況等いろいろ考ておるのですが、なお具体的な数字的なことは政府委員から申し上げます。
  311. 足鹿覺

    足鹿委員 九千七百三十九円というものはどういう根拠によって生まれたかということを私から申し上げて、あなたの御記憶を呼び起してみましょう。昨年の産米に対しまして米価審議会が九千七百十八円を出して、これを二千六百万石の買い入れ見込み数量を基礎として、大体本年の集荷予定数量二千三百五十万石で逆算をしてあなた方は出されたものです。大蔵省がもともと妥当だといって出されたものは九千五百四十七円なはずです。その九千五百四十七円は、ただいま述べました昨年の米価審議会の案を基礎としたもの、すなわち九千七百十八円から早場米奨励金の二百七十三円を引いて、あと一本化して、九千四百四十五円にことしの十月までの早場米奨励金を加えたものをもって九千五百四十七円をあなた方は当初出された。そうでしょう。そういたしますならば、今大蔵大臣から御答弁のありました国際事情やそういうものではない。そういうものであなた方はきめていない。従ってあなた方の言う九千七百三十九円という予算米価には、科学的な客観的な根拠というものは私はないと思う。どういう根拠がありますか。
  312. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 これはパリティ計算をやっておるのでありまして、科学的な根拠がないというわけではないのであります。
  313. 足鹿覺

    足鹿委員 パリティ計算を根拠としたものですか。もう一ぺん聞きますが、何を根拠にしたのですか。
  314. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 パリティ計算をいたしまして、これに加算をいたしておるわけであります。
  315. 足鹿覺

    足鹿委員 そういうものではありません。大蔵省の事務当局もおいでになりますが、そういうことを大臣に指導したのではあなた方の面目にかかわると思う。今申しましたように、大体において九千七百十八円というものから早場米奨励金だけは地域差を残すために別途にして、あとは全部これを一応基本米価に織り込んだでしょう。従ってことしの早場米奨励金の十月までのもの百二円を九千四百四十五円に加えて九千五百四十七円というものを作った。ところが農林省が当初この予算米価を作るまでに考えておったのは、昨年の九千百二十円にいろいろなものを加えまして、九千八百五十九円を当初農林省案として主張した。その最後にあなた方が折り合ったものが九千七百三十九円なんでしょう。これには何ら科学的な根拠もなければ、正確な客観性の上に立ったものでもありません。従ってあなた方がこの九千七百三十九円を金科玉条のように言われることは、大蔵大臣自体としての主観に基いたものではなくして、事務当局のいろいろな数字を積み重ねたものをあなたがうのみにしておるからです。もっとあなたはことしの米の集荷制度の変更の意義やいろいろな点をお考えになりまして、この問題を収拾されなければならない責任が私はあると思います。米価の収拾について蔵相の基本的な御所信はいかがでありますか。
  316. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 先ほどからたびたび申し上げましたように、私といたしましては、農家の御協力を得まして、そうしてこの集荷をぜひともこの米価でやりたい、かように考えております。
  317. 足鹿覺

    足鹿委員 農家の協力を求めるために妥当な米価というものをまず作ることが必要なんです。農家の協力を求めるということは当然なことなんです。先ほどから聞いておりますと、大蔵大臣はそういう御答弁のみをなすっておりますが、私は数字をお扱いになる大蔵大臣の御答弁とは受け取れません。廣川民主党米価対策特別委員長はあなたとの会談の後に、予算修正を要するかどうかは今後の集荷量次第できまることだ、こういう談話を新聞に発表しておる。そういたしますと、大体米価を上げてことしの米の集荷量というものは下るとあなた方は見ておりますか。食管会計というものの幅は、大体輸入米麦の価格の問題と、一定価格できめたものと集荷量との差によって非常に伸び縮みが出てくることは御存じの通りです。従って予算はいじくらない。その範囲内において差し繰りをする。しかも三百億の予備費というものは、これは普通の予算の予備費と違って、損益いずれにもこれは見立てていかなければならぬものなのだ。性質の違うものなのだ。従って三百億あるからこれを使うという筋合いのものではないでしょう。御存じの通りなのだ。そういたしますと出場はない。出場がなければ、あなたは米価の収拾策について数字的な確信がないということではないですか。ないならないしとなぜおっしゃらないか。どういうふうに数字的にこれを煮詰めて、煮詰めたところを数字的にどういうふうにして米価を収拾されますか。それを私は伺っておるのです。農民の協力を得まして円満に妥結したいと思いますなんて、そんなことを聞いているのではない。
  318. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 お答えします。それは私は米価はどういうところが妥当であるかということにはいろいろな御意見があると思いますが、その御意見によって違うだろう、かように考えております。
  319. 足鹿覺

    足鹿委員 御意見が違うということでありますが、あなたは今この米価を収拾しなければならない農林大臣とともに当面の責任者でしょう。そういう御自覚の上に、よそごとのように御答弁なさらないで、あなた自体が一つの予算のワク内で予算米価でこれを乗り切るのだ、こういう御所信なのですが、廣川案の三級酒問題や、あるいは酒米の増量売り渡しによる利益云々というようなことについては全く知らないと言われる。そうすればこの米価の収拾策というものはどういうふうにして御収拾になりますか。すでに農林大臣はきょうの四時からの閣議に諮って、早期決定の方針を堅持して進むと述べておられます。あなたもこれに同感ですか。早期決定に反対ですか、賛成ですか、どっちですか。
  320. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 先ほどからこれは繰り返し御答弁を申し上げておるのであります。なるべく早くこの米価をきめることが望ましいことは言うまでもないのであります。ただ私は、いつとかそういうことはなかなかこれは重大なことで、それだけは申しかねる、こういうことを先ほど答弁を申し上げておるわけであります。
  321. 足鹿覺

    足鹿委員 要するにこの米価収拾の問題は二つあるのです。早く、どうしてきめるかということなんです。早くきめるということについてはあなたも反対ではないようですが——いや、反対か賛成かということを、時間がありませんから私は端的に聞いているのです。米価を収拾することについて早くきめる、とにかく農林大臣は今月一ぱいにきめたい、二十一日の米価審議会に案を諮りたい、諮らなければ、米価審議会意見を聞いて早期にきめる、こう言っているのです。またあなたと廣川さんとの会談というものがあったそうでありますが、新聞は各紙ともに、芝の某所と都内の場所まで明らかにして、あなたが廣川さんと会われたことについて報道をいたしております。その報道によりますと、米価一万百六十円ないし一万二百六十円案を説明し、政府原案作成を急ぐように申し入れたと廣川氏は語っておりますが、あなたがそういった点について収拾のために乗り出されたことは、事の良否は別として、米価収拾にあなたが公式に乗り出されたことの一つの証左だろうと思うのです。今まで廣川さんが党内でいろいろやられたことについては批評の限りではない。党が党独自の立場に立っていろいろやっておるが、それは批評の限りではない。一国の大蔵大臣と民主党の米価対策特別委員長廣川弘禪君とが対談されたということにおいて、そこに一つの公式な線が出てきておる。米価収拾に対して具体的にあなたが乗り出してきたが、これをどういうふうに収拾するだろうかということは、けさの新聞を見なくてもみなが注目しておるところではないかと思います。従って端的に、米価は早くきめるがいいか、今月中にきめたいか、あるいは国会終了後——予算が済んでからきめるという方針をあなたは大体堅持しておられるように世間には伝わっておりますが、それを御確認になるか、まずはっきりして下さい。答弁を逃げないで、はっきりした方がいい。いつまでこういう押し問答ばかりしておっても切りがありませんから、予するに予算成立後、国会終了後に米価を持ち越したがいいとお考えになりますか、早期に決定するがいいとお考えになりますか、まずそれから一つ承わりましょう。
  322. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 お答え申します。私は予算終了後または国会が済んだ後にきめればいいなんということは毛頭考えておりません。できるだけ早くきめたがよろしい。これはもう繰り返し御答弁しておる通りであります。ただいつというふうなことは申し上げかねる、こう私は申しておるのであります。
  323. 綱島正興

    綱島委員長 芳賀貢君。
  324. 芳賀貢

    ○芳賀委員 ちょうど農林大臣出席されておるので、両大臣にあわせてお尋ねしますが、米価決定の時期の問題です。農林大臣におかれては、今までしばしばあらゆる機会に基本米価あるいは予約買付を行う場合、予約奨励金であるとかあるいは前渡金、あるいは税の免除とか、これらの付随した問題もあわせて六月十五日を目途として決定するということを表明されておる。ところがきょうの御答弁によりますと、できればきょうにもきめたいけれどもというような、非常に抽象的な表現に変ってきている。これはおそらく昨日の午後に行われた大蔵大臣と民主党の米価対策特別委員長である廣川弘禪君との会談なんかが、農林大臣の表現をそういうふうに抽象化させたとわれわれは推測しておる。ところが農林大臣予約米価決定というものは一日も早い方がいいということを率直に言われておる。そのことが率直であるとすれば、先ほど予算総体の修正というものは全然考えておらないということをあなたはしばしば繰り返されておるのですから、大蔵大臣米価を早期に決定すべきであるという見解は、予算を修正しないという前提の上に立って米価決定が行われる場合であればきょうにでもきめた方がいい、そういう考え方が前提になっておりますか、その点を明らかにしていただきたい。
  325. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 お答え申します。そうではないのでありまして、慎重に研究してきめる、こういうことであります。
  326. 芳賀貢

    ○芳賀委員 今の点が非常に重大な点なんです。そうであれば何のために予算の修正は絶対やらないということで、この米価問題に関して頑強に抵抗しておられるのか。それは予算の修正を行わない範囲内において米価をきめるというような情勢が与党あるいは閣内において一致したような場合においては、あなたはきょうでもきめた方がいいというお考えを持っているのでしょう。米価決定予算の修正を伴うようなものであるならば、あなたは早くきめたがいいという考えを持たないと私は判断しているのですが、その点はどうでしょうか。
  327. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私のたびたび申し上げていることは、予算の修正を伴うような米価といいますか、そういうものを考えていないわけです。またそういう米価予算の修正をするということはできないと今考えております。かように御了承を得たいのであります。
  328. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そういたしますと、もしその米価決定予算の修正を伴い、米価の引上げということになった場合には、大蔵大臣は政治生命をかけてあくまでも予算の修正を行わせないということでがんばるつもりなんですか、その点はやはり重大な問題だから明らかにしてもらいたい。
  329. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 先ほどから申しましたように、どういうふうに米価がきまるか、きまった上におきまして考えます。
  330. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そういう抽象的なことではないのであります。それではもう一点お伺いしますが、今年度の予算米価というものを編成されるについては、予約買付制度でやられるという考え方の上に立ってあの予算米価を作られたかどうか伺いたい。
  331. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 先ほどからその点も申し上げていると思うのですが、大体そういうことが考えられております。
  332. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それでは具体的な点になりますが、予算米価を買付制でやるんだという前提の上に立って編成された場合においては、税の減免を行うということが一つの条件として付随されている。そういう場合において大蔵当局は、この予約買付を前提とした予算米価に対してどの程度買付量に対する所得税の減免措置というものを考えて今年度予算が編成されているのか、その点は具体的におわかりになると思う。
  333. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 米価がきまりましてから考えるつもりでいたしております。今まだ考えておりません。
  334. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そういたしますと、税の配慮の面というものは現在の予算内容の中においては全然講じられていないのです。そうすると、これは予約買付になってもならなくてもどちらでもいいというような考えの上に立ってこの予算米価というものは作られているというふうに理解してさしつかえないのですか。
  335. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 歳入は一応昨年の基本米価で見積ってあります。
  336. 芳賀貢

    ○芳賀委員 予算修正にはあくまでも応じないという考え方の中には、予約買付等に対する買上げ米価に対して相当大幅な税の減免の措置が講じられるということは、今まで与党の民主党もそういうことを公約しており、政府当局も予約制度を推進するためには、この条件決定しない限り、これは生産農民が応じないということはわかっている。それにもかかわらず予算修正をしないというのは、予約制度の一つの骨格になるところの税の減免の点に対してはいささかも考慮していないということで、非常に不可解である。もう一度その点を大蔵大臣の責任において明らかにしてもらいたい。
  337. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 昨年の早場米や、それから超過供出というようなものの奨励金につきまして税を免除するという程度のものを、今回の米価の中からも税を免除する、こういうふうに考えておるのでありますが、これらについて今具体的にどうするかということは——大体そういう考えでおるのですが、それを具体的にやりおるところであります。
  338. 綱島正興

    綱島委員長 足鹿委員、大分時間が過ぎておりますから、そのおつもりで……。
  339. 足鹿覺

    足鹿委員 一問だけでけっこうです。最後に大蔵大臣に伺って質問を終りたいと思いますが、大蔵大臣は、昨日の廣川氏との会談において、米価政府案は、予算案の国会成立後まで正式にはきめないで、そのかわり予算成立後は若干色をつけるという趣旨のことを述べられたと伝えられておりますが、大同小異のことをどの新聞紙も伝えております。これは国会審議権なり、また近く開かれる米価審議会をほとんど無視した放言とわれわれは考えます。この問題について結論をつけなければなりません。従ってきょうはいろいろな御事情がありますし、われわれの方の時間の都合もありますから、委員長において、あと理事会にお諮りを願って、廣川弘禪氏と大蔵大臣との昨日の会談の真相について具体的な究明をする方途を講じたいと考えます。その点について委員長において、後刻理事会に諮って、具体的にまとめてもらいたい、このことを委員長に提案いたし、私の質疑を終っておきます。
  340. 綱島正興

    綱島委員長 いずれ終了後理事会を開きます。
  341. 中村時雄

    ○中村(時)委員 あと持ち時間が二十分しかないので、速急に走りますが、まず第一に河野農林大臣並びに大蔵大臣にお尋ねしたいのですが、米価の算定をする場合には、その目的が最も重大な問題になってくるわけです。そこでその目的として、農林大臣並びに大蔵大臣は消費者の生活の安定ということを目的にしていらっしゃるのか、あるいは生産者の、すなわち耕作農民の生活安定ということを目的として問題を出されているのか、その点を伺いたい。
  342. 河野一郎

    河野国務大臣 これは農林大臣としては、生産者米価決定にあたりましては、ただいま御指摘になりましたように、たびたび申し上げます通りに、生産費でありますとか、もしくは物価の勢趨でありますとかいうようなものを十分考慮いたしまして、そうして諸般の情勢を加味して決定して参るというわけでございます。
  343. 中村時雄

    ○中村(時)委員 大蔵大臣はどうお考えですか。
  344. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 ただいま農林大臣が御答弁になった通りであります。
  345. 中村時雄

    ○中村(時)委員 それでは大蔵大臣にお尋ねしますが、大蔵大臣先ほどパリティ計算に基いて——よく聞いておって下さい。パリティ計算に基いてあなたは予算米価の算定をしたのだ、ところが今度の重点は生産者米価という考え方できておる。そういたしますとその価格構成においては非常に大きな問題が出てくるわけです。それに対してあなたは、やはり農林大臣と同じようにと言ったことを、もう一度はっきり確認しておきたいのです。
  346. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 農林大臣の答弁のうちに、私の聞いたところでは、諸般の、全体の経済のことを考えて、財政経済のことも考えて、そうして生産者のことも考えてきめられる、こういうような御答弁であったと思いますから私は……。もしそうでないならば今秋の申しましたのが私の答弁であります。
  347. 中村時雄

    ○中村(時)委員 非常に重大な問題なんです。価格決定においては、生産費価格で出すか、あるいはまた今言った消費者を目的としたかということによって価格決定の仕方というものはうんと違ってくるのです。そこで基本的にあなたのお考えは、消費者の生活の安定ということを目的に考えておられるのか、あるいはまた生産者の生活の安定ということを目的として考えておられるのか、それによって計算の方式は変ってくるのです。
  348. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 消費者については、今回も消費者価格を上げないという立場で、消費者の立場は十分保護されていると考えます。
  349. 中村時雄

    ○中村(時)委員 そうするとあなたの米価決定に対する目的は、消費者の生活の安定ということを中心に考えていらっしゃるわけですね。
  350. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私はそういうふうに申し上げたわけではないので、消費者価格を上げずに置くから、消費者の方は十分生活が保護せられておると、こういうふうに申し上げたのであります。
  351. 稲富稜人

    ○稲富委員 関連。ただいまの問題について、関連してお尋ねしたいと思います。食管法第三条にははっきり明示してあるのであります。「生産費及物価其ノ他ノ経済事情ヲ参酌シ米穀ノ再生産ヲ確保スルコトヲ旨トシテ之ヲ定ム。」となっておる。はっきりきめてある。しかるにもかかわらず、ただいまのような御答弁というものは明らかに食管法の規定に反しておる。そういうようなことに食管法で規定してあるにもかかわらず、これを離れて米価決定せられるということは、政府米価決定に対して根本的な間違いがあるということをわれわれ認識しなければいけない。これに対してどうお考えでありますか。この点は大蔵大臣もさらに農林大臣も、この食管法の第三条第二項の解釈に対して的確なる御答弁をこの際お願いしておきたいと思う。
  352. 河野一郎

    河野国務大臣 ただいま御指摘のように私が申し上げまして、大蔵大臣は、農林大臣の答弁と同じだとお答えになっておるのでございますから、その間に食い違いはないと私は思っております。     〔「大蔵大臣の話と違う」と呼びその他発言する者あり〕
  353. 綱島正興

    綱島委員長 静かに願います。
  354. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私も先ほどから、この経済の諸事情を考え生産者のことも考えてきめる、こういうことで、違っておりはせぬように思いますが……。
  355. 中村時雄

    ○中村(時)委員 ところが今まで米価が常に安い価格で押えられるという基本は、消費者安定の方向をとってきたわけなんです。そこにいろいろの問題が起ってきておる。それをやはり継承していって取り上げてきておるわけなんです。そこに問題がある。だから稲富委員のおっしゃったことは、今言ったように、その中心の骨子はあくまでも生産者を対象に考えていく米価の算定をまず出してこなければならぬということになってくる。そうすると、今まであなた方のやっていらっしゃった、たとえば予算米価という問題にも大きな問題が起ってくるわけです。だから私たち河野農林大臣の御答弁を是と解釈していいのか、あるいは大蔵大臣のおっしゃっておるような、以前と同じようにパリティ指数に基いたところの、消費者を対象にしていった価格の構成というものを考えていっていいのか、どちらかということをあなたにもう一回再確認してもらいたい。
  356. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私はこのパリティでいく、これが何も消費者を対象にしておるものではないと思います。やはりこれは生産者立場考えてやっておるものであります。
  357. 川俣清音

    ○川俣委員 大蔵大臣農林大臣は、食管法に基いて生産者米価決定は法律に従って政府は実行しなければならぬ、それを忠実に実行しょうという答弁であったと私は理解する。ところが大蔵大臣が、予算米価のきめ方は消費者の国民経済全体のことを考えなければならぬからというのは、それは予算米価のきめ方ですよ。今問題にしておるのは、買い入れ米価の方式はどのようであるかと聞いておる。これは法律に従ってあなたはおやりにならなければならない。異論のないことなんです。買い入れ米価はかくして買い入れなければならないというふうに命ぜられておる。この能力がなければ、行政長官として、大蔵大臣として、責任は果せないことなんです。みずから法律に違反するような大臣は日本にいないはずだと思うのです。従って、この命令に従ってあなたは執行しなければならぬ。そうじゃないのですか。法律に従わないでも大蔵官僚に従ってやれば任務は果せるとお考えになっているのか、この点を明らかにしていただきたい。
  358. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 先ほどから申し上げましたように、経済のいろいろな事情もむろん参酌されていくべきだと私は考えております。法律に違反してやっておるということは、毛頭考えておりません。
  359. 稲富稜人

    ○稲富委員 先刻から大蔵大臣は買い入れ価格決定するに対しましては、いろいろな基礎なくして、ただ食管会計の予算の上においてさえ、米価決定すればいいというお考えを持っていらっしゃるようです。食管会計でまかなえる範囲のうちの米価決定なら、少し予算米価よりも、買い入れ米価が上っても自分は異議はないんだ、こういうような御答弁のように聞いておる。そもそも米価決定というのは、国の予算にあるいは食管会計に足が出ようと出まいと、米価はここで決定すべしとちゃんと示してある。あなたは御存じないかどうか知りませんけれども、こういうことにはむとんちゃくに、ただそろばんの上から米価決定するというようなどんぶり勘定式の米価格、こういうような考え方自体に、大蔵大臣の買上価格決定には非常に間違いがあると思う。この点をお直しにならぬ限りにおいては、私たち米価は満足な決定ができないと思う。この点の考え方というものが大蔵大臣考え方と非常に違っております。どうこれをお改めになるか。さらにこの点を私は大蔵大臣に再認識をお願いしたいと思う。どうお考えになるか、その点をお伺いしたい。
  360. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私は別にこの考え方が違っておるとは考えておらないのであります。
  361. 川俣清音

    ○川俣委員 食管法の経済事情を参酌し、再生産を確保するよう米価をきめるということでありまして、この経済事情というものは消費者の経済事情ではありません。生産に要する経済事情、この点ですよ。あなたの経済事情というのは、何か消費者のことを考えているようだが、とんでもない間違いです。そういう意味じゃないのです。食管法は生産費計算と消費米価の計算の仕方と、明らかに二本建です。法律の建前は二重価格の建前になっておる。やるかやらないかは別として、法律上は明らかに二本立になっておる。こういうことがわからないであなたはやられておる。重大なことですよ。米価の買い入れについて重要な責任を持っている人が、食管法のことを知らないできめたということなら大へんなことですよ。これはどうしても総理大臣を呼んできて明らかにしなければならぬ。こういう大蔵大臣を任命した責任を追及しなければならぬ。そう思いませんか。
  362. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私がたびたび申し上げますのは、物価その他の経済事情、こういうふうに申し上げるので、こういうことは必ずしも消費者だけに限った経済事情ではないと思います。
  363. 川俣清音

    ○川俣委員 そうではありません。そういう解釈はだれがしたのですか。あなたがされたのですか。おそらく法制局ではそういう解釈はしませんよ。生産のために必要な諸般の経済事情を参酌し、もって再生産を確保するに足るような米価をきめなければならないと書いてある。あとの方の再生産を確保するに足るような経済事情、こうなんです。よくごらんなさいよ。そのくらいのことがわからなければ試験は通りません。ちょっともう一度……。
  364. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 お答えします。これはあるいはまた言葉のなにになりますが、私は生産者も含めて、それから再生産にしてもやはり広い経済事情の考慮を当然必要とする、こういうふうな考えであります。
  365. 川俣清音

    ○川俣委員 消費者のことは独立して消費者価格決定されております。生産費に関係なく消費者の生活を基準にしてきめられておる。食管法の建前は、消費者のことに関係なく生産費を割り出すようにできておるのが本法の建前なんです。本法の建前を理解しておるかどうか。金額ではない。あなたが本法の建前を理解しておられるか、おられないか。
  366. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 これは非常に論議になると思うのですが、それは生産者立場考える、あるいはまた米の生産費というようなものを考える場合にでも、一体肥料がどういうふうな数字をとるとか、あるいはまた税金がどうであるとか、農機具がどうであるとか、私はいろいろな問題があると思う。こういうのをずっと経済事情をいろいろ考える場合に、なかなか広くて、どの部分が経済事情において消費者を中心とするものか、生産者を中心とするものか、これはなかなか広い分野で……。
  367. 稲富稜人

    ○稲富委員 それでは最後に、今大蔵大臣はそう言われた。そこに生産費方式というものを農林大臣は主張せられておると思う。ところが先刻から大蔵大臣の御答弁を聞いておりますと、生産費が幾らかかろうと、ただ食管会計でまかなえる範囲内の米価に持っていくんだということは、明らかにこの法文に示しておりますように、生産及び物価その他の経済事情というようなそういう意味ではない。やはりこれは川俣委員が申し上げましたように、この法律というものは、再生産を確保するためにこういうような経済事情を参酌しなければならないというのがこの法律の目的なんです。この点を大蔵大臣が曲解して、米価決定することに対して法律に抵触していないというようなお考えを持たれておるということは、米価決定根本政府の間違いがある。こういうようなことによって米価決定されるということはとんでもないことだと思う。これは少くとも法律に対する解釈だけははっきりしてもらわなければいけないと思う。この点をあなたは一つはっきりと御確認を願わなければならぬと思う。やはり大蔵大臣は今あいまいの御答弁をなさっておりますが、そういうようなこじつけの御答弁でこれを押し通していこうというお考えなのか、この点をはっきりしていただきたいと思う。
  368. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 くどいようになって非常に恐縮するんでありますが、やはり国民経済全体のことを考えなくてはならぬ、そういうふうに思っております。
  369. 中村時雄

    ○中村(時)委員 あなたは今川俣委員が言ったように、米価の算定に対しては落第点以上であると思う。話にならぬ。そこで農林大臣にお尋ねしたいのですが、農林大臣の今の考え方に基いていきますと、現在農林省において算術的な計算の上に立った価格の構成、政治的なものは一切抜きにして、そういう姿の中に米価算定方式専門委員会の算定方式はA案とB案とC案というものが出ておるはずですが、それが現実にもうすでにでき上っておるかどうかをお尋ねいたします。
  370. 河野一郎

    河野国務大臣 それは午前中にお答えした通りであります。
  371. 中村時雄

    ○中村(時)委員 そうするとまだ試算中だとおっしゃるのですか、まだできていないとおっしゃるのですか。そういたしますといつごろまでに大体できる予定なんですか。
  372. 河野一郎

    河野国務大臣 それも午前中にお答えした通りであります。
  373. 中村時雄

    ○中村(時)委員 それでは時間がありませんから、質問が八つ、九つありますが、一点に集約いたします。  河野農林大臣は六月の十一日の本会議において、松野頼三君の質問に対してこういう御答弁をなさっていらっしゃる。「第三に、十五日を目途として米価決定をするということにいたしております。これは、予約制度を運用いたしまするにつきましては、どうしても十五日前後に価格決定してこの事務を進めていくことの方が適当であるということで、米価審議会の懇談会の御意見もございましたから、政府といたしましては、この十五日を目途として、なるべく早く米価決定をして参りたいということに方針をきめている次第でございます。」こういう御答弁がある。そこで今大蔵大臣のお話にもありましたように、大蔵大臣米価をなるべく早くきめたいという御決心を持っていらっしゃる、河野農林大臣も、十五日を目途として一応の答弁を合せていらっしゃる。にもかかわらずそれができ得なかったという経過を全国民の前で明示をしないと、おそらく各種農民団体におきましても、あるいは消費者におきましても、非常に疑義の念を持ってこれを認めているだろうと思うのです。そこにおいて、どういう理由で十五日にこの米価決定ができなかったかということをお尋ねしたい。
  374. 河野一郎

    河野国務大臣 その経過につきましてはすでに御承知のことと思いますが、私は重大な問題でございますし、しかもこれは各方面の御納得と御協力の上に立っていたさなければならぬ制度でございますので、われわれの与党であります民主党におきましても、このために専門委員会を作って、鋭意御検討をしていらっしゃいます。また自由党との間にもいろいろ話し合いもあったようであります。従いまして、私といたしましては、そういうことの御意見のまとまることを一方においては勘案しつつ、一方においては事務を取り進めて参った。ところが今日に至りましてもまだ結論に達しませんことははなはだ遺憾なことでございますと、午前中に申し上げた通りでございます。
  375. 中村時雄

    ○中村(時)委員 河野農林大臣の最も取り柄というのは、その勘の鋭さにあったのですが、その勘が大いにあてがはずれたということは、政府の無定見として考えられる。また実際にそこまで自党をまとめ得なかったということは、そのみずからの弱体性を暴露したものである、私はこのように考えます。またそのための結果が全国の生産農民に非常に不信の念を植えつけてきた、このように私は考えているわけであります。そこでこれは非常な重大な問題のために、あとでいずれいろいろな問題が各委員から出てくると思いますが、それと相関連いたしまして、午前中の答弁ということを先ほどから言っていらっしゃったので、午前中の答弁について私は一つ農林大臣にお聞きしたい。というのは、中馬委員農林大臣に対しまして、酒造米の問題を聞きました。その際農林大臣はこういうことを言っていらっしゃる。「酒造米を幾ら使うかということにつきましては、あまり酒造米をたくさん使われることは困りますけれども、酒造米として出した米が三級酒になるか一級酒になるか、それは大蔵大臣並びに党の方で御相談になるのでございましょうが、私は酒はあまり飲みませんし、酒のことはあまり詳しくありませんから御了承願います。」ところがその後足鹿委員質問に対しまして、河野農林大臣は、私は閣僚と党の連絡員をしているし、党の決定に対しましては十分それに従う意思を持っているということを発言された。しかもまたその党の意思という問題もからんで、足鹿委員からの質問に対して、その酒造米に対しては前もって知っておりましたというお答えをしていらっしゃる。そういたしますと、中馬委員質問をされたときには、私は知らぬ、足鹿委員が言ったときにはそういう御答弁をなさるということになると、これは非常な食言であろうと私は思う。それに対して河野農林大臣は、どういうお考えを持ってそういう御答弁をなさったか聞きたい。
  376. 河野一郎

    河野国務大臣 いずれよく速記録を調べてお答えいたしますが、今御指摘になりましたことだけではちょっと答えが困難でございますので、いずれ私の速記録を調べた上で、あらためてお答えいたします。  なおここでつけ加えて申し上げておきたいと思いますことは、先刻も中馬さんの御質問に対して酒を云々と言いましたことは、これはそのときに私は取り消しをいたしております。その点は一つ御了承いただきたい。ただ酒のことについて党との関係の話しにつきましては、くどいようでございますが、速記録を見た上で私はお答え申し上げます。
  377. 中馬辰猪

    中馬委員 関連。私の質問に対する農林大臣の午前中の御答弁について、ただいま中村委員から問題になりましたので、私も一言所信を申し上げたいと思います。  農林大臣の午前中における私どもに対する答弁の態度は、きわめて誠意を欠いておると考えておるものであります。私は繰り返し繰り返し米価決定については、一週間とか十日ということを何もくどくど三百代言的に申し上げておるのではない。真剣な態度米価決定を行なってもらって、そうして農民の諸君が安心して供出ができるような、そういうまじめな態度を実は期待いたしておったのでありますけれども、はしなくも、三級酒の酒造米の問題に関して質問をいたしたところが、私は酒をあまり飲みませんし、酒のことはあまり詳しくありませんからというような御答弁があったわけであります。これはまことに重大な発言であると私は思いまして、あの瞬間において、実はこれを問題にいたしたいと考えておりましたけれども、事があまりにも重大でございましたからして、一応あれで留保いたしまして党へ帰って、党の諸君ともいろいろ御相談を申し上げ、御研究を願ったところが、その問題はにわかに解決のつかない重大な問題であるから、一応農林委員会において一つ意見を徴して善処してもらいたい、かような意向でございましたので、私といたしましては、ただ単に農林大臣がこれを取り消したというような、そういう言葉の先の問題ではないと考えております。酒を飲まないから酒のことを知らないとおっしゃるならば、もし大蔵大臣が酒を飲まないとおっしゃるならば、酒の問題は答えができないということになります。競馬の問題は知らない——競馬をやらない農林大臣であるならば競馬のことは答弁をする必要がないというのと同様でありますからして、私といたしましては、ただいま農林大臣がおっしゃいましたけれども、このままでこれを取り下げることには反対でありますからして、委員会の諸君がこの問題をさらに取り上げて御研究願いたいということを、動議として提案いたすものであります。
  378. 綱島正興

    綱島委員長 中村委員、実はこちらの関連を差し引いても大分過ぎておりますから一つ……。
  379. 中村時雄

    ○中村(時)委員 それでは最後の一点。今までの河野農林大臣あるいはまた大蔵大臣の御答弁を聞いておりますと、まことにずるい逃げ方をしていらっしゃる。たとえば十五日に決定するというが、すでに二十一日には米価審議会の招集をはかっておる。その間に農林委員会といたしましても、何らか米価に対するところの方針の打ち出しも考えなくちゃならぬという重大な時期です。にもかかわらず今まで米価に対しては何らの一つの方向の観点も打ち出されてない。たとえば先ほど言った算定方式の問題さえもいまだ暗中模索の状態である。こういう重大な状態にあるのでありますから、二十一日の米価審議会の開催に伴いましても、この問題をもう少し慎重に討議をしながら、そうしてこれを政府に対する一つのアドヴァイスとしての方向をとっていきたい、このように思うので、たとえば大蔵大臣の生産米価に対するところの問題であるとか、そういう問題を時間がないために取り上げることができないから、ただちに理事会を開いてその方向を決定願いたい、こう思うわけなんです。これについてお諮りを願いたい。
  380. 綱島正興

    綱島委員長 それは委員会決定を必要としますか。理事会を開いてしますか。(「理事会を開け」と呼ぶ者あり)それではそういう運びにしたいと思います。
  381. 芳賀貢

    ○芳賀委員 関連して。その点は農林大臣に明確にしていただきたいのでありますが、今日農林大臣並びに大蔵大臣の御答弁を聞いても、予約制度を中心にする米価問題に対しては、政府においては具体的なものは何ら固まっておらぬということが明らかになった。ところが、政府当局の態度決定しておらぬ、不明だというままにおいて、全国においてはこの予約買付制度の態勢が漸次進められておるわけです。それで私がお尋ねしたい点は、政府当局は食管法を改正しないで、ただ問題を全部政令に譲って予約買付制度をやるということを言っておられますけれども、しからばこの政令なるものはすでにおきめになられたかどうか、われわれは数度にわたってこの政府の政令案なるものの提出を要求しておったわけでありますが、いまだに御提出がないのであります。そういたしますと、食管法の改正もしておらない、政令もおきめになっておらないというままにおいて、何を根拠にして今日予約買付なるものを末端に——あるいは全国の経済部長会議を開いたり、あるいは都道府県に対して当局が出向いて説明会を開いたり、あるいは全国の府県当局においては、すでに予算までも計上してこれをやっておるような点も見受けられるわけです。ですから、その根拠なるものを農林大臣から明らかにしていただきたいのであります。
  382. 河野一郎

    河野国務大臣 本日、予約買付制度の運用の要綱を差し上げましたが、それに基いてやっておる、こういうように御了承願います。
  383. 芳賀貢

    ○芳賀委員 この予約集荷制度は、本来ならば食管法を改正して、食管制度改正ということになるわけです。これは農林大臣も在野時代においては、現在の食管制度根本的に改正しない限り、今の集荷制度はどうしても堅持することはできないということを言っておる。しかるにいまだ政令さえも出さないで単に要綱案を示して、それで現在の予約集荷をやれるかどうかということは、非常に重大な点であるから、もう一度明確にしてもらいたい。
  384. 綱島正興

    綱島委員長 芳賀委員、なるべく申し合せを守っていただきたい。
  385. 河野一郎

    河野国務大臣 御質問はあれですが、差し上げておりますその要綱で一つ御了承いただきたいと思います。
  386. 芳賀貢

    ○芳賀委員 委員長先ほどから何か私の発言に対して不満のような口吻でありますが、本日の質疑は各党一名に限ってやるので……。
  387. 綱島正興

    綱島委員長 いや、そうじゃありません。各党の時間があなたの方だけがよけい過ぎている。
  388. 芳賀貢

    ○芳賀委員 一時間を限度にして一回りするということになっておるかもしれぬが、本日の委員会は何時をもって終るということも何ら示されておらない。一応各党の質疑は一人ずつ一時間の範囲で終っておるが、まだ時間があるじゃありませんか。委員長は何もこれで終了することは宣言してない。私は質疑の通告を行なっておるのです。そういうことを今後の委員会の運営において——あらゆる審議が一人ずつに限定されるとか、一時間以上はやらさぬというようなことは、これは非常に大きな拘束になると思う。
  389. 綱島正興

    綱島委員長 一時間ずつやろうということに理事会で申し合せをいたしておりますから。——それでは私からもちょっと発言をしたいと思います。先ほど大蔵大臣の、たしか中馬委員質問に対するお答えであったと思いますが、左のような意味のことを申し述べられたのであります。予算米価決定は、パリティ、昨年の米価、経済事情その他昨年産米の凶作が加算の支出等を考慮に加えて決定をいたしたという御発言があったと思います。別な部分はかまわないのでありますが、昨年の凶作加算の支出ということが、この予算米価決定の上に考慮されるとなりますと、これは問題になりますので、この点について特によく御考慮を願いたい、こう思うのであります。  なおどうですか、実は今日は四時から特にこの問題について閣議があるそうであります。それから大蔵大臣は、参議院からしきりと呼ばれておりましたが、これはこっちは同意せずにおっていただいたのです。いかがでしょうか、一応質問先ほどからの申し合せの通り、各党で大体一時間以上済んだのですから、……ここらで。
  390. 中村時雄

    ○中村(時)委員 議事進行。米価政策に対する問題は、十分納得のいくまでわれわれは質疑応答をすることに、この間の決議でなっておるのです。きょうはまだ納得のいくまで十分やっていない、持ち時間は各党に対して一時間と限定されておる。そこで一応休憩して、理事会を開いてこの問題を決定してもらいたい、こう思います。     〔「休憩休憩」と呼ぶ者あり〕     —————————————
  391. 綱島正興

    綱島委員長 休憩に先立って、ちょっとお諮りをしておくことがございます。先ほど理事会において協議したところでありますが、本年産米価格決定に関して、三十年産米に対する集荷方式及び集荷見込み数量等の問題について、明日午後一時より関係集荷団体の代表その他の関係者を参考人として出頭をを求め、意見並びに実情を聴取いたしたいと思いますが、御異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  392. 綱島正興

    綱島委員長 御異議なしと認めます。なお参考人の選定につきましては、先ほど理事会の申し合せ通り販連、全糧連、全集連の各代表、茨城県知事、全国知事会の事務局長等といたしたいと思いますが、諸般の都合により多少変更する必要があれば、適宜委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  393. 綱島正興

    綱島委員長 御異議なしと認め、さように決定いたします。     —————————————
  394. 綱島正興

    綱島委員長 なお次にお諮りをいたします。理事大野市郎君より理事辞任いたしたいとの申し出があります。これを許すに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  395. 綱島正興

    綱島委員長 御異議なしと認めます。つきましてはその補欠委員長において指名いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  396. 綱島正興

    綱島委員長 御異議なしと認め、中馬辰猪君を理事指名いたします。  この際暫時休憩をいたします。     午後四時二十八分休憩      ————◇—————     午後五時八分開議
  397. 綱島正興

    綱島委員長 休憩前に引き続いて会議を開きます。  この際委員長よりお諮りをいたします。昭和三十年産米対策の早期決定に関する件について政府に対し警告をするため次のごとき決議をいたしたいと思います。   昭和三十年産米価対策早期決定に関する件  農林大臣の六月十一日衆議院本会議における言明にも拘らず、米価に関する方針の正式決定が遷延に遷延を重ねつつあることは、食糧管理制度の前途に暗影を投じたるのみならず、全国生産農民に不信の念を植えつけつつあり、政府の責任は真に重大である。   よって政府は、米価対策について政府原案の早期決定を行い、二十一日開催予定の米価審議会にこれを諮問すべきである。  右警告することを決議する。  右の決議に対して御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  398. 綱島正興

    綱島委員長 全員御異議もないと存じますので、本件の議長に対する報告並びに政府に対する送付方につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  399. 綱島正興

    綱島委員長 御異議なしと認め、さように決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後五時十一分散会