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1955-06-08 第22回国会 衆議院 農林水産委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年六月八日(水曜日)    午後一時三十七分開議  出席委員    委員長 綱島 正興君    理事 井出一太郎君 理事 白浜 仁吉君    理事 大野 市郎君 理事 鈴木 善幸君    理事 足鹿  覺君 理事 稲富 稜人君       赤澤 正道君    伊東 岩男君       石坂  繁君    大森 玉木君       加藤常太郎君    楠美 省吾君       小枝 一雄君    笹山茂太郎君       原  捨思君    本名  武君       足立 篤郎君    助川 良平君       田口長治郎君    中馬 辰猪君       松野 頼三君    赤路 友藏君       淡谷 悠藏君    井谷 正吉君       石田 宥全君    楯 兼次郎君       芳賀  貢君    伊瀬幸太郎君       川俣 清音君    佐竹 新市君       日野 吉夫君  出席政府委員         農林政務次官  吉川 久衛君         農林事務官         (大臣官房会         計課長)    武田 誠三君         農林事務官         (畜産局長)  原田  伝君         水産庁長官   前谷 重夫君  委員外出席者         議     員 松浦周太郎君         議     員 野田 卯一君         参議院農林水産         委員長     江田 三郎君         農林事務官         (畜産局競馬監         督課長)    黒河内 修君         農林事務官         (水産庁漁政部         協同組合課長) 酒折 武弘君         専  門  員 難波 理平君         専  門  員 岩隈  博君         専  門  員 藤井  信君         専  門  員 徳久 三種君     ————————————— 六月三日  委員石坂繁君及び足鹿覺辞任につき、その補  欠として福田赳夫君及び伊藤好道君が議長の指  名で委員に選任された。 同月四日  委員福田赳夫君及び伊藤好道辞任につき、そ  の補欠として石坂繁君及び足鹿覺君が議長の指  名で委員に選任された。 同月八日  理事足鹿覺委員辞任につき、その補欠として  同君が理事に当選した。     ————————————— 六月三日  競馬法の一部を改正する法律案参議院提出、  参法第八号) 同月六日  農業災害補償法の一部を改正する法律案(内閣  提出第一二四号) 同月三日  農機具共同利用施設に対する資金わく拡大に関  する請願池田清志紹介)(第一六五〇号)  鹿児島県の森林病虫害防除事業促進に関する請  願(池田清志紹介)(第一六五一号)  特別重要漁港指定に関する請願田口長治郎君  外一名紹介)(第一六五二号)  米の直接統制継続に関する請願石田宥全君紹  介)(第一六五三号)  昭和三十年度林業予算増額に関する請願外二件  (床次徳二紹介)(第一六五四号)  駐留軍等施設、用地に接収された地域の農業  再建整備に関する法律制定請願勝間田清一  君紹介)(第一六五五号)  治山対策確立に関する請願池田清志紹介)  (筋一六六〇号) 同月四日  米の直接統制継続に関する請願赤松勇君紹  介)(第一七八二号)  食生活改善に伴うパン食普及に関する請願(五  島虎雄紹介)(第一七八三号)  同(原健三郎紹介)(第一七八四号)  同(前田房之助君外一名紹介)(第一七八五  号) 同月六日  桑園の凍霜害対策確立に関する請願保科善四  郎君紹介)(第一八五四号)  昭和三十年度代行開墾干拓事業費増額に関する  請願早稻田柳右エ門紹介)(第一八五七  号)  梅田町及び川内町地内国有林野払下げに関する  請願長谷川四郎紹介)(第一八五八号)  保温折衷苗代設置費国庫補助増額に関する請願  (鈴木善幸紹介)(第一八五九号)  昭和三十年産米価対策確立に関する請願保科  善四郎君紹介)(第一八六〇号)  日光川西水土地改良区を県営事業に採択の請  願(江崎真澄紹介)(第一八六一号)  十三沖永水土地改良区の排水機増設工事費確  保に関する請願江崎真澄紹介)(第一八六  二号)  農業政策確立に関する請願鈴木周次郎君紹  介)(第一八六一号)  未墾土地の買収に関する請願北澤直吉君紹  介)(第一八六四号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事の互選  競馬法の一部を改正する法律案参議院提出、  参法第八号)  水産業協同組合法改正案起草の件に関し水産  に関する小委員長より報告聴取  昭和三十年度農林水産関係予算に関する件     —————————————
  2. 綱島正興

    綱島委員長 これより会議開きます。  会議の当初に当りまして委員長より一応ごあいさつを申し上げます。このたびの三十年度予算修正に当りまして、本委員会全会一致で三十年度農林水産関係予算案修正案を御決定願いましたので、まず右決議文を国会の予算委員会に送付いたし、一応の手続をいたしましたほかに、委員長右決議趣旨に沿うように努力いたしました。当時自由党民主党と共同いたしまして予算修正案の作成中でありましたので、自由党の諸機関に本委員会決議趣旨を伝達いたし、かつこれを尊重すべきことを申し入れましたほか、特に民主党自由党間の三十年度予算修正交渉委員のうち、自由党所属委員に対しましては、修正案のうちに委員会決議の本旨を付書せしめるよう連日連夜にわたり交渉いたしました。ところが具体的にでき上りました修正案は本委員会決議趣旨を去ること遠いものでありました。特に健苗育成費補助に関しましては、さきに本委員会決議があるにかかわらず、政府提出の三十年度予算案にはほとんどその決議が顧みられていないと同様の額が決定されておりましたので、これの増額をなすべきこと、農薬補助費が頭さえも出していないこと、農協再建整備補助費五億円余は当然政府予算化する義務があるにかかわらずこれを閑却いたしましたこと、農林公庫融資ワクが必要に応ぜられない程度のものでありましたこと等がおもな個条でございますが、委員長といたしましてはこの事情をつぶさに述ベまして、百方努力をいたしたのでありましたが、遂にその効果を上げることができなかったのであります。委員長といたしましては職責遂行上まことに申しわけないと存じておりますので、昨日は特に理事皆様に御出席をお願いいたしまして、善後処置をお諮りいたしたのであります。理事皆様の御意向を察して、委員長同僚自由党所属の本委員会委員諸氏協力いたし、自由党に前後処置をはかりましたところ、さっそく総務会を開かれまして、自由党総務会においては、本委員会の議決の趣旨の妥当なることを了承せられ、左のごとき決議をいたされたのであります。「農林予算に関し今般の修正に漏れたる(一)健苗育成費補助(二)農薬費補助(三)農協再建整備費補助(四)農林公庫資金枠拡大する事は次の予算に必ず計上する事、総務会右決定、六月七日」こういう決議を経たのであります。その後右の決議趣旨を体しまして、自由党松野委員民主党岸幹事長に対し、自由党は前記の決議をなし、これが具体化につき甚力することになりましたので、貴党においてもこれに御協力を願いたいと申入れましたところ、岸幹事長協力する旨返答をいたされたのであります。なお念のため理事会におきましては、民主党白浜理事をわずらわしまして、本委員会趣旨を申し述べて、この自由党決議岸幹事長において協力せらるるやいなやを念を押してもらいましたところ、岸幹事長よりは重ねて協力方の言明を得た旨の報告理事会に出されたのであります。以上の次第でありますので、本委員会といたしましては、さき決議趣旨貫徹に万全の努力を傾けたいと存ずる次第であります。  次にこのたびの三十年度予算案修正の効果的な尽力について、委員長自身の不徳不明全くその任にたえざるものとただいまは非常に自省いたしておる次第であります。この点につきましては、委員皆様に対してはもちろん、全農民に対しても、まことに申し開きのできがたいような次第だと存じております。ごあいさつを申し上げます。  この際議員松浦周太郎君及び野田卯一君より発言を求められております。これを許すことに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 綱島正興

    綱島委員長 御異議なしと認めます。ので、そのように取り計らいます。野田卯一君。
  4. 野田卯一

    野田卯一君 ただいまお話のございました水稲健苗育成補助、この金額が不十分だ、また第二の点といたしましては、農薬補助金が計上されなかった、第三の点といたしましては、農協再建整備費補助費が計上されなかった、第四の点といたしましては、農林公庫融資ワクが少い、この点につきましては私どもといたしまして、修正案をいろいろと相談いたして努力いたしましたが、全体の財源の関係その他からいたしまして、遺憾ながらこれらの経費をあるいは計上することができない、あるいは金額不十分であったということにつきましては、まことに残念しごくに存じておる次第であります。今後次の機会をとらえまして、でき得る限り足らざる点の善処に努めたい、かように考えておる次第であります。
  5. 足鹿覺

    足鹿委員 野田さんなり松浦さんにちょっと伺いますが、先ほど委員長からごあいさつを兼ねた釈明がありましたが、わが農林水産委員会は六月二日に満場一致決議をもって、農林関係一般に対しては三十九億六千八百万、公共事業関係については百十六億二千三百万、農林漁業金融公庫出資増額に対しては五十六億、計二百十一億九千百五十万円の増額決議をいたしました。これをただちに予算委員長あてに申し入れをいたしておるのであります。ただいま修正責任者としての御趣旨を承ることができず、ただ若干の項目について今後の所信を釈明になったばかりでありますが、この農林委員会においては、野田さんの御所属自由党ももちろん満場一致の中に入っておられた。しかもこれは自由党に党籍を持たれる綱島委員長発議によってなされたものであります。かくのごとき経過内容を持つ重大な農林予算増額修正に対して、予算委員会としてはどのように対処されたか、また修正責任者として本日おいでになった御両所は、この農林水産委員会決議を、事前にどういうふうに御検討になったか、またただいまの修正にいかように織り込まれたか、その経緯を一応承わりたいと思います。
  6. 野田卯一

    野田卯一君 足鹿さんからのお尋ねの件でありますが、御希望の案につきましては、私は交渉の過程におきまして承わっております。なお私の方におきまして、自由党の内部の問題に相なるのでありますか、政調会が中心になりまして、修正案に盛り込むべき内容を審査いたしました。その内容をわれわれに示されまして、それに従ってわれわれといたしましては、民主党交渉委員の諸君と交渉したような次第でございまして、これらの項目一つ一つにつきましては、まず政調会において審査して、その結果によりまして、われわれは与えられた案に従って交渉をいたした、かようないきさつになっております。
  7. 足鹿覺

    足鹿委員 政調で御検討になったという話でありますが、それと同時に、これは予算委員立場からこの修正は正式に取り上げられておるのであります。そのおぜん立てばなるほどあなた方の方でおやりになったかと思いますが、相当検討されたというお話であるにもかかわりませず、この三十二億五千万の自民両党の農林関係予算に対する増額修正検討してみますと、その内容においては、当農林委員会においてほとんど問題にしておらなかったような事項が新しく数項出てきておる。出てきておるもの自体が全部間違いであるとは申し上げませんが、そういうものが出て、しかも今委員長から指摘をされ、野田さんも御意見を述べられましたような、たとえば健苗育成関係補助金であるとか、あるいは農薬の備蓄あるいは防除補助であるとかいったような、何人が見ても何ら異論のあるはずのない緊急重要なこのようなものが、取り上げられておらない。そこに私どもとしては、この修正案を通覧してみますと、この間の理事会でも申し上げたのですが、何か特定の人がおって、そしてその個人の恣意性によってあんばいされたかのごとき印象を受けます。私ども農林水産委員会としてこの案をまとめるためには、たとえば農業委員会補助の問題については両派社会党としてはこれにはずいぶん異論があった。しかし事急を要し、満場一致決議をもって、百十六億の大削減を受けた今次三十年度予算中一番削減の多い農林関係予算に対しては、何とかこれを農村立場から是正していかなければならぬという大局的立場に立ちまして、忍びがたきを忍んで、この案を満場一致作ったはずであります。私はこれを一党一派のためとか何とかいうことではなしに、しいたげられた農村が少しでも日の目を見て楽になれば、農林委員会が踏み台になっても、われわれの面目がつぶれてもかまいません。かまいませんが、この内容を見れば、最も緊急重要な問題はさておいて、そうして特殊なものにいろいろと手が伸べられている。そこに私どもとしては納得がいかない点がたくさんにあるのです。そういった点について、農林水産委員会要請決議というものの内容について、御検討の足らない点を私は見受けざるを得ません。たとえば農業協同組合再建整備促進事業補助の問題について見ましても、農業委員会の問題が取り上げられる限りにおいては、これは少々の異論があってもその公平をはかる旨からいいましても、当然これは取り上げられなければならないものなんです。それが一顧も与えられておらない。全くわれわれは解釈に苦しむものであります。いわゆる日本農政というものは、農業委員会の問題の片をつければそれで片がつくのであります。やはり農業委員会特定の党が非常に大事だと思われるかもしれないが、やはり別な立場から見れば農業協同組合こそまた将来の日本農村をしょって立つべく大きな健全な発達をせしめなければならないことはわかり切っておる。しかも政府は、特別に協同組合整備促進法を作り、再建整備法を作って、その一連の関連として、資産を整備したものに対して政府がこれを取り上げるものでありますから、当然これは協同組合に還元すべき性質のものにもかかわらず、これらのことが一顧も与えられておらない。私どもは了解するに苦しむのであります。そういった点を一例を上げて申しますと、どうも今度の自民共同修正については、形は一応農林予算三十二億五千万円を増額しておりますが、真に本年の農林予算の基本になるべき点については、ほんとう検討しないで、その場しのぎのいわゆる修正をなさったのではなかろうか。ほんとう農村を思い、農民を考えるならば、こういう修正案——金額の問題は私は言いません。もっとその本質に触れて修正について検討さるべきはずであったと思う。私は金額の問題についてここでとやかく言ってみたところでいたし方ありませんから、多く言いませんが、そういう点から申しまして非常に遺憾の意を表明せざるを得ません。具体的にどういう事情で、ただいま委員長指摘され、私も指摘をいたしましたような重要な問題に対して考慮を払われなかったか。その検討経過をもう少し詳細に承わらなければ、私は了承することが困難でございます。
  8. 松浦周太郎

    松浦周太郎君 足鹿さんの御質疑ごもっともでございますが、農林関係委員会のみならず、他の委員会からも、決議はされせまんけれど、いろいろ強い要望がありました。これらのいろいろな要望を合算いたしまして、自由党の方からは、その実現方について強い交渉が何回もあったのでございますが、与党といたしましては、政府の立てておる予算の性格はどこまでも守っていかなければならない。そういう見地に立って、一方においては一兆円を堅持し、また公債発行を阻止していくという建前の上に立ちますと、ないそでは振れぬということになりまして、皆さんの御要求にはごもっともな点が多々あり、日本農政上また食糧増産上欠くべからざるものとは思っておりましたが、どうしてもないそでは振れぬという結論であります。八十八億の一般歳出の中において三十二億円を盛っておりますから、これは農政を無視したものでないということだけは御了承願いたいと思います。  なお、立ちましたついでに申し上げておきますが、先ほど来いろいろお話のありました健苗育成農薬補助、また農協再建整備補助、あるいは農林漁業金融公庫ワク拡大という問題に対しましては、先ほども総務会でいろいろ相談いたしましたが、適当なる時期に予算化努力する。こういうことを重ねて申し上げておく次第でございます。
  9. 足鹿覺

    足鹿委員 いろいろ申し上げたいことはありますが、これ以上申し上げません。ただいまの松浦さんなり野田さんを幾ら責めても、御両所責任のみに帰するということも困難のように思いますから、ともかくきわめて不満であるということのみを申し上げて一般論は終りますが、ただいま配付を受けました農林関係予算修正表内容について二、三私は伺っておきたいと思います。  この農林委員会決議事項の中で、金額はわずかでありますが、相当問題になったのは、畜産技術振興費補助であります。これは政府の原案に二千万円ありまして、これを農林水産委員会は全額落して、飼料作物採種圃設置補助費に組みかえておるのであります。ところがただいまいただきました資料によりますと、二枚目の上から三段目に、飼料自給経営施設費補助金として修正額が二千万円になっておるのでありますが、これは私どもの考えておるものの内容と同じものでありますかどうか。この畜産技術振興そのものにわれわれは反対しておるのではない。その内容についてはずいぶん検討しなければならない点があるというので、農林水産委員会においては、これは適当でない、トウモロコシであるとか、その他の飼料はすでに播種を終っておる、その播種を終ったものに対して補助助成を打ち切ることはおもしろくないという点で、むしろこれを飼料作物採種圃設置補助に切りかえていくべきだということに意見が一致しておるのであります。ところがこの説明によりますと、飼料採種圃展示圃とのみあって、その内容が至ってつまびらかでありません。当委員会の意のあるところはそういうことにあったのでありますが、御両所においては、この内容を通じて私のただいまお尋ねした点に御答弁願いたいと思います。われわれの意図するものとこれは同じ修正内容であるか、別途なものであるかという点であります。
  10. 松浦周太郎

    松浦周太郎君 ただいま御指摘になりました二千万円は、赤クローバー採種圃補助並びに青刈りトウモロコシ採種圃補助ということに大蔵省へ言ってあります。そのほかの展示圃というものは説明を聞いておりませんでしたが、あとでこういうふうに区分けしたのだと思いますが、われわれは大体北海道赤クローバー補助金青刈りトウモロコシ種子代補助というふうに、大蔵省の方によく申しつけてあります。
  11. 足鹿覺

    足鹿委員 展示関係は何かわかりませんが、あとでもけっこうであります。それからただいまいただいた資料にあります公共事業関係でありますが、開拓関係のものの内容についてもう少し詳細御説明を願いたい。入植施設の問題であるとか、あるいは開拓改良事業費であるとかいうような項目があるのみで、その内容が至って明らかでない。たとえば飲用水の問題に対して開拓地は非常な要請を持っておる。あるいは耐寒性住宅建設の問題、そういった緊急やむを得ざる問題に対していろいろ熾烈な要求を持っておったようでありますが、どういうものがもらえておるか、この内容をもう少し詳しく御説明を願いたい。
  12. 野田卯一

    野田卯一君 今の入植の問題につきましては、入植施設補助として三千五百万円修正追加になっておりますが、その内訳は、内地が電気関係千六百万円、飲用水施設が五百万円、それから北海道電気関係が九百万円、診療所施設が五百万円、こういうことになっております。
  13. 足鹿覺

    足鹿委員 項目はたくさんありますね、開拓事業とか農業機械耕地整備開拓実施と、いろいろありますが、それもついでに……。
  14. 野田卯一

    野田卯一君 私案はこの資料をここで初めていただいたのでありまして、内容をよくつまびらかにしておりません。細目は現在まだ両党と大蔵省との門の折衝中のものが数多いということだけを申し上げておきます。詳しくはいずれまた印刷物等に刷ってお手元に届けられることと思います。
  15. 足鹿覺

    足鹿委員 それから全体を通じて、この修正案とわれわれ農林水産委員会との開きの一番大きいのは、公共事業費関係のなかんずく食糧増産関係農地改良拡張等経費であります。われわれは四十一億九千五百万円を要求しておるに対しまして、つかみ金のように、土地改良費五億円という大きな項目があります。約十分の一くらいお考えになっておるようでありますが、この五億円の内容というものは一体どういうものでありますか。先刻の委員長から指摘された点にもし補足することが許されるならば、この農地拡張改良関係が著しく軽微に失すると私は思うのです。これは委員長の方においてさらに適当な処置をしてもらえばけっこうでありますが、四十一億に対して五億というようなことは、ほかの費目が少額であるものに対しては全額あるいはその半分というふうに答えられておるが、生産の一番の基礎条件を整備し、増産をはかり、減産を防止するというような基本的なものに対しては、このような軽微なことで果してどうか、そういう疑念も一々追究すれば切りがおりませんが、とにかくこの五億円というものの振り分けはどういうふうに考えられておりますか。
  16. 松浦周太郎

    松浦周太郎君 土地改良の問題が食糧増産に一番大きな役目を果すということは、お互いによくわかっておることでおりますが、ただいま野田さんのおっしゃるように、一応金額折衝はいたしましたが、細目につきましては両党の政調会大蔵当局との間で話をし合って、さらに検討することになっておりまして、まだこまかしいところまではいっておりません。従って私どもは、ここで五億円を最も有効に使うのによい御意見がありましたならば伺っておいて、なるたけ皆さん希望に近い方向にできればきめていきたい、こう思っております。
  17. 足鹿覺

    足鹿委員 本年の政府関係要求予算の中で比較的これは妥当なものだと思われる新たな費目は、小団地開発整備であろうと思う。こういうまだその内応もこれからつかみ分けをする、その具体的な数字も大蔵省と打ち合せしなければわからぬというような土地改良費というようなものに入れるよりも、私どもには希望としては小団地開発整備の方が、むしろこれは機宜に適した内容のものであるとも思われます。しかし項目が全然違いますから、いかんともしがたいことかと思いますが、比較的まずい本年の予算の中で、私どもはこの小団地開発整備を取り上げたことは、少くとも一歩前進だと思う。これらの点について、たとい三十二億であろうと増額をのむという場合には、農林関係の超党派の決議でありますから、少くともあなた方が政調態度を決せられる場合には、この農林水産委員会代表者である委員長を加えるとか、もう少し慎重な態度をはかられるべきではなかったかと思う。今聞いてみますと、その内容はこれから大蔵省と相談をしてきめるんだというような話で、私は驚いたのですが、そんなことでこの土地改良関係をつかみ分けてよろしいのですか。
  18. 松浦周太郎

    松浦周太郎君 この五億円のほかに、御指摘の小団地開発事業費としまして一億三千万円修正いたしておりますが、この小団地の問題は一般分の一ページの一番上の方に載っております。
  19. 足鹿覺

    足鹿委員 載っておることは私もよく知っております。当委員会は四億円の増額要求をやっておったはずであります。が、私の申しますのは土地改良五億円ということでありますが、これはむしろこの小団地開発の方に振り向けるべきものではなかろうか、もっとふやすならば、土地改良関係は相当ふやさなければおそらく割り振りがつきますまい、そういった点をただ指摘しただけでありまして、小団地開発関係が若干増額になっておることは私も知っております。  いろいろと申し上げれば切りがありませんから、この程度で具体的な内容の追求は一応終りますが、先ほどの数項目について、次の機会にいろいろと善処することについてお約束がなされたことの御発表が委員長からもあり、また野田さんからも御発表がありましたが、それは具体的に申しますとどういうことでありますか。またその際には、当委員会のこの修正要求というものを根拠として十分御検討になり、それはいつ、どういう形でわれわれの趣旨が達成されるようなことになるのでありますか、もう少し具体的にお話し願いたい。
  20. 野田卯一

    野田卯一君 そのことにつきましては、将来補正予算を組むというような場合、あるいは補正予算を組むというような場合がないとしますれば、その次の、来年度の通常の予算を組む場合、そういう場合をとらえまして、当委員会の御希望の点を十分尊重して極力善処したい、かような考え方でございます。
  21. 足鹿覺

    足鹿委員 私はそういう点、財政関係でよくわかりませんが、費目のないものを補正で新しく計上することは国会では困難だが、政府が補正として新しい項目なり費目要求することは可能なんですね。たとえば農作物に対する病虫害防除補助のごときは全く落ちておるが、これを補正の場合等において具体的にはどういう形で取り上げられますか。
  22. 野田卯一

    野田卯一君 今お示しのように、修正の場合に新しく項目を作るということは極力避けたい、こういう精神で今回も臨んだわけでありますが、これは財政法の問題としては、政府予算案提出権があります関係上、新規の項目を国会において追加することはなるべく避けた方がいいというのは、議会の常識のように考えております。従って将来補正等の場合におきましては、政府側から新規の項目を持ち出すのが筋であろう、私はかように考えております。
  23. 足鹿覺

    足鹿委員 私は大体この程度で質疑を終りますが、先ほど委員長からもいろいろと心境の御開陳がありました。今まで相当の時間この問題で当委員会は論議、検討いたしたのでありますが、今後かくのごとき事態が何らかの形で誠意を持って収拾されない場合は、当委員会の今後の運営に重大な暗影を与えるということだけは、私どもはっきり申し上げてよかろうと思うのであります。そういう点において、野田松浦両所とも、予算委員会を代表して、修正発議者を代表しておいでになったのでありますから、ただいまの点については今後とも十分御努力を願うと同時に、委員長もこれにこりられまして、今後再びかくのごとき事態にわれわれが直面することのないように、十分御善処あらんことを希望いたしまして、質疑を打ち切ります。
  24. 芳賀貢

    ○芳賀委員 ただいま同僚足鹿委員から相当具体的に質疑が行われたわけでありますが、私は二、三の点に対して疑念をただしたいと思うわけです。  第一点は、今回の民主、自由両党の農林関係修正案内容によりますと、農業委員会に対する補助金が、修正案においては約九億七千万増額になっておる。この点に対しましては、これはただ単に支出の純増ということでなくて、私は五月の十六日の予算委員会において、農林大臣、大蔵大臣、自治庁長官等にただしたわけでありますが、農業委員会の二名の職員のうち一名分に対しての二分の一は政府がこれを補助金として支出して、残余の分に対しましては、今年度からは地方財政の面に対しまして交付税交付金の形で交付することにしてあるのだ、地方財政に対する交付税交付金の中にこの額はすでに計上されておるということの説明がしばしば繰り返されたわけなんです。私たちは、昨年は特に農業団体の法案の改正等も行われて、農業委員会並びに農協法に対して当委員公等においても非常に真剣な審議が行われたのに、民主党政府になって、なぜこの農業委員会に対する職員の補助金をわずか一人分の半額だけは国が補助金として出して、あと地方財政に対する交付金としてこれを支出するのかという、その点が明白でないのであります。この点に対して私たちはしばしばただしたわけでありますが、政府の見解によりますと、今年度はまず米の集荷制度を改めまして、現在までの供出割当制度をことしは予約買付制にする、しかもその集荷の任務というものは、もっぱら協同組合を中心とする集荷業者にその全般の責任を期待を持って推進してもらうことにするので、農業委員会の今日まで行なってきた供出面に対する業務は非常に減殺される、そういうことを勘案して、この政府案の助成金を削減してあるのだという答弁が行われたのであります。それは今度の総額三十二億にわたる農林予算増額の中において、約三分の一の額を占めておるわけであります。しかも一方においては、地方財政に対する交付金の形で、すでに予算原案の中には歳出面においてこれは計上されておる。そういうことになりますと、これを農業委員会に対する補助金の増として出す場合においては、当然地方公共団体に対する歳出面においてそれを一応引き戻して、そうして補助金として支出するということになると思うように私たちは理解いたしておるわけでありますが、そういう点に対しましては現在の政府の考えておる予約買付制度を中心とした、農業委員会に対する補助金の支出の態度をこの機会に根本的に改めたということは、今後農業委員会に対する政府の、特に食管制度等を通じての期待というものは、根本的に変ったかどうかということもあわせて御説明願いたいわけであります。これは決してこれだけが純増になっておらぬという解明をしてもらいたいわけです。
  25. 松浦周太郎

    松浦周太郎君 農業委員会内容に対する問題に対しましては、政府がしばしばこの委員会で答弁いたしましたものをわれわれは認めておるのでありまして、今ここであらためてそれをくつがえす考えを持っておりません。同時に今御指摘になりました点は、こういう財政上の問題になると思います。八十八億の一般歳出をいたします補助関係するものを、地方の負担がどのくらいいくかということになりますと、三分の一の補助のものは地方は三分の二をやらなければなりませんから、一億やれば三億負担しなければならぬというようなことで計算いたしますと、大体二十三、四億のものがいるのではないかということになります。それがいろいろの関係で二十億しか回わすことができませんから、今これを引き戻さずに、そのままに置いて地方の財政に弾力性を持たせる、こういうような関係修正の機会における考え方でありまして、その後の農業委員会あるいは供出制度の改革に伴ういろいろな変化に対することは、農林大臣がここで御答弁せられましたことを踏襲する考えであります。
  26. 芳賀貢

    ○芳賀委員 この点は松浦さんは与党ですから特に重大だと思うのです。今後の農業委員会に対する考え方、委員会のあり方あるいは政府がどういうふうにこれを処分するかという点に対して、何か根本的に見解が変ってこなければ約十億近い支出をやるということにはならないのです。自由党の場合には、地方財政交付金の形で出すのはけしからぬという考え方の上に立った案を持たれたということは了承できるわけなんです。しかも一番大きな金額を、甘んじて修正の面で受けたという考え方は、やはり根本的の思想は従前と同じように、農業委員会等に対する補助金というものは政府責任において出すべきである、そういうような見解に変られたと私たちは理解してよろしいかどうかという点なんです。
  27. 松浦周太郎

    松浦周太郎君 今御指摘の点は、最初交付税交付金に依存して急に給付金額をのんだのは、考え方が変ったのではないかということでございましょうか、われわれもこの点は——内輪のことを言ってはおかしいのですけれども政府が最初考えました全額であったのですけれども、それを党内においていろいろ中和させたのです。それでわれわれはあなた方と同じような考えを持っておるから、政府がああいうことを出したものですから、できれば全額やりたいという気はあったのですが、自由党の方からこういう案が出ましたので、——私の考え方はやはり農業委員会というものは農業の振興のためにどうしてもなければならぬと思っております。今後もやはり国がこれを負担していくことが至当であると私は思っております。しかしながら政府がここにおいてしばしば答弁しておられますが、政府の答弁を私の答弁によってくつがえすということはいたしません。折衝委員として私の持っておった考えはさようなものであることを御了承願います。
  28. 芳賀貢

    ○芳賀委員 大体今の松浦さんの御説明によると、従来の政府の考えは正しいとは思えなかった、与党としてこの機会に自由党並びに当農林委員会指摘に力を得て、この機会に政府の間違った考え方を是正したというふうにあなたは今言われておるようでありますが、与党としては今後も政府のかかる農業政策を通じての非違的な行為に対しては、常にこれを正しい方へ持っていくために、当然与党としての責任があるというふうに私は理解しておる。  その次にもう一つ法律に関係のある点でありますが、昨年の国会において健苗育成法律案が議員立法で通過しておるわけであります。この健苗育成の問題は、ここ二カ年にわたり農業災害が連続しておるのにかんがみて、特に北海道、東北、甲信越の高冷地地帯等においては、何とかの水稲栽培の技術的な部面の上において、また生産性を確保する場合においては、法的な根拠に基いた保護政策が必要であるということが一つの根拠になってこの法律案が成立しておるわけであります。ところが今年度におきましては、せっかくこの健苗育成促進の法律が現存しておるにもかかわらず、むしろ二十八年災害の、これは補正によったのでありますけれども、二十九年度の保温折衷あるいは温床設置に対して約五億二千万円の補助費が出されておるのであります。これは昭和二十八年度の予算に嘱するわけでありますけれども、これを二十九年度の植えつけに交付したわけであります。ですからこれは健苗育成の法律が成立して、しかも毎年少くとも二千万坪以上の計画を立てて、この計画等に対しましては政府責任を持って補助金を出すということを規定しておるわけです。ところが今年度の当初予算によりますとわずかに坪数において一千二百万坪、坪の単価にしましても前年度におきましては保温折衷苗しろについては二十一円五十銭、温床苗しろに対しては三十一円六十銭という単価で計上されておるわけであります。本年度は保温折衷の分だけを一千二百万坪として温床苗しろ等に対しましては一つも予算を計上しておらないわけであります。保温折衷に対しましても単価の引き下げを行なって、これを坪十八円にしておる。これをこの機会において修正せられたわけでありますけれども、今回の修正に当りましては、坪数において約八千坪をやはり十八円の単価で増額されておるわけですが、この機会にお伺いしたい点は、今度の増額修正の場合においても、北海道においては特殊的な事情がありまして、今の内地府県で行なっておる保温折衷苗しろでは実行が伴わないのであります。どうしても多額の労力と経費がかかるところの温冷床苗しろによらなければいかぬということが厳然たる事実として明らかになっておる。これが今度の修正の場合においても一つも計上されておらない。保温折衷苗しろだけが総額において二千万坪になったということはとうてい理解することができないのであります。しかも当委員会においてはこの二十八年度予算の中において計上された五億二千万円を少くとも下らざる限度において二千万坪を実行するというようなことで五億二千万円に一つの期待を持っておったわけでありますけれども増額に相なっておりますけれども北海道に関する一番重要な問題であるところの温冷床苗しろに対しまして一坪の修正も行わなかったという点については、何らかの理由があると私は考えるわけであります。ですからその根拠になるものをこの機会に明らかにしていただきたい。
  29. 松浦周太郎

    松浦周太郎君 この点はどうも北海道同士で話し合うのはまずいですが、芳賀君からそういう御質問がありますから、私はずいぶん努力したのです。努力したけれども、この金の元をふやすことが、だんだんと一般歳出の額がふえるのでありますから、だんだんと追い詰められてきたのですが、私ども要求は従来のようにできなくても、せめて三百万坪くらいの北海道の苗しろに対する紙代くらいは見て上げなければいけない。それを計算してみますと大体五千四百万円くらい紙代だけかかるのです。障子の骨とかそういうものは見なくても、従来の障子を使えば一応紙代くらいば見なければならぬということでなお折衝を重ねております。何とかして紙代だけはその中から出してもらいたいというようなことで大蔵省の方と折衝を重ねておりますが、これがもとの金額が少いものでありますから、そうなると他の万にもまた影響して参りますので、非常に困難をいたしております。しかし私は全力を尽してそれを実現したいと思っております。
  30. 芳賀貢

    ○芳賀委員 私は何もそういうことを聞いておるのではない。修正の中でなぜこれを取り上げなかったかということを聞いておるのです。大蔵省折衝するとかしないとかということでなくて、今度の修正で二千万坪にはなっておる。そのうち一千七百万坪は保温折衷による、あとの三百万坪というのはやはり北海道を中心とした温冷床苗しろでなければならぬということは、これは当委員会決議の中にも示されておる。それをことさらに二十万坪全部を内地分の保温折衷苗しろに持っていった場合において、一番北の端の危険度合いの強い北海道の水稲栽培に対しては何らの保護的な考え方を持っておらないということが指摘される。これは重大な問題であると思うのです。紙代をやるとかやらぬとかいうけちな考えではなくて、なぜそれを二千万坪に修正した場合において、北海道分に対する一坪の計上も行わなかったかという理由並びに根拠があると思うが、あなたは北海道関係だからこれはちょっと遠慮したということであるならば、これは野田さんから一つ御説明を願いたいと思う。
  31. 野田卯一

    野田卯一君 私は実は北海道は入っておると理解しておったのであります。今この資料を初めていただいたのでありまして、大蔵省とも北海道が入っておるつもりで私は今まで折衝しておりましたので、もしそうなっておりまするならば直させる必要があると思います。
  32. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それではこれは速急に正しい方向にお直しになるということで了解をいたします。  なおここで私は農林委員会増額期待に対して意外に考えることは、この中で有益鳥獣の保護に対する費用が一項出ておる。これは当委員会においても重要性があるかないかということも検討したわけであります。各党の内輪話は避けますが、一応農林水産委員会決議としては、政府原案に対しまして百九十万円くらいの増額はやむを得ぬだろうということであった。ところがこれには五百万円の増額ということになっておるわけです。委員会においてもおそらく各党においてもそれほど必要を認めなかった有益鳥獣の云々なる経費、これはおそらく林野庁所管であるというふうに私は考えるわけでありますが、これはどういうような経緯を経てわれわれの期待以上の多額な金額がここに修正になったか、この点に対しても、一つ今後参考になる事例であると思いますので、金額は非常に少いのでありまするけれども、御説明を願いたいと思います。
  33. 綱島正興

    綱島委員長 芳賀委員に申し上げますが、この間の申し合せを私は記憶違いしておりまして、質問の順序を取り違えましたから、今の点に対する答弁だけ承わって、またあとで質問を続けて下さい。
  34. 野田卯一

    野田卯一君 これは森林害虫の補助金でありますが、私の記憶ではこの五百万円は有益鳥獣、クリタマバチとかスギタマバエとかいうような害虫の天敵である小鳥がだんだんいなくなって困っておるから、対策としてそういう小鳥を保存、保護したい、こういう主張もありましてこの金額を盛ったのであります。もちろんそれに限られたことじゃなしに、ほかにも使えると思いますが、数字の点につきましては、記憶をたどりますと、これが千九百万円くらいの数字であったのを落して五百万円にしたというように考えております。お説によりますと単位が違っておったように響くのでありますが、私の記憶では千九百万円という原案が出ておった、それが折衝の過程で落ちたと思っております。
  35. 芳賀貢

    ○芳賀委員 この一点だけを申し上げて、何か発言の順番が狂っておったというような委員長指摘なので保留してあとにします。今の野田さんの御説明によると一千九百万のけたを私が間違ったように言われますが、これは実際は自由党の案の中に一千九百万とあるのは実はけたが違って百九十万でよかったのだということ、 われわれは重要性は認めなかったのですから、それくらいであれば何に使うのかわからぬけれどもというような軽い気持で一応決議の中に入れた。ですから間違ったけたというのは、自由党自身の百九十万円が一千九百万円に間違っておった。われわれはこれを百九十万円として確認をして決議を行なっておる。ですからそれを基礎にして五百万円という大幅な増額になって、しかも一番大事な病虫害の防除一般経費に対しては一銭も修正を行わないということは非常に大きな矛盾で、対照的な問題になる。だからその点をお伺いした。間違っておるのは、あなたの党のけたが最初大きく間違っておったのを当委員会が直したということでありますから、その点御了承願います。
  36. 綱島正興

    綱島委員長 川俣委員
  37. 川俣清音

    ○川俣委員 いろいろ御質問いたしたいのですが、第一に抽象的でありますけれども、今後の審議の上に非常に影響があると思いますので、野田さんにお尋ねしておきます。  政党政治であります以上、当然に予算修正等が行われますことはそれはあえていなむところではございません。ところが自由党委員長として綱島氏を出しておられる以上、政党政治でありますから、この委員長は大体自由党の意向を尊重しておるものと私どもは今までそういう待遇をいたしておったのであります。これは間違いであったでしょうか、どうですか、それをお尋ねいたしたい。
  38. 野田卯一

    野田卯一君 綱島委員長自由党の長老でありまして、われわれは日ごろから尊敬をしておるのでありまして、今度の事柄につきましてもできるだけ綱島委員長の御意見を取り入れるようにという配慮で動いておったのでありますが、若干の連絡不十分の点がありまして、十分にそれが現われなかったような点があるように思いますので、そういう点はなはだ遺憾に思っております。われわれあくまで委員長を尊敬しております。
  39. 川俣清音

    ○川俣委員 そういたしますと、これは農林委員会決議になっておりますが、農林委員会で一つの予算修正に対する農林委員会の意向をまとめた。この農林委員会というものは予算に対する正式ないわゆる決定機関ではございませんけれども、事農林行政に関しては非常な関心の深いものでなければならない。農林行政全体については、むしろ今の予算委員よりももっとエキスパートであるという点からいたしまして、予算委員会に疎漏がないようにということでわざわざ綱島委員長提案で案がまとまっておるわけであります。これを別な案をもって民主党折衝されたような印象を受けるのでありますが、その点はどうだったのですか。
  40. 野田卯一

    野田卯一君 実はこの予算委員会における農林委員会からの申し出の取り扱いの詳細については、私は予算委員会理事を勤めておりませんので、責任を持ってその間のことを申し上げかねるわけであります。私といたしましては折衝委員といたしまして、民主党の諸君と折衝し、かつ私が向うに示すべき案は大体自由党政調においてまとめた。それを基礎にして折衝した。こういう事情を御了承願います。
  41. 川俣清音

    ○川俣委員 そこで意見は二つある。綱島氏は長老でありますならば、おそらく党の意見を無視して動議を出されたわけではないと思います。これは重要なることなのであります。今後委員長を信任するか不信任に陥れるか、重要なることでありますから、議事進行ではございませんが、この際お聞きしておきます。この点はどうですか。
  42. 野田卯一

    野田卯一君 先ほど申し上げましたように、われわれとしてはあくまで委員長を尊重しておるということは申し上げた通りであります。
  43. 川俣清音

    ○川俣委員 尊重しておるということになりますと、これは政調会意見とあなた方の出先機関である委員長意見と二通りあるということになる。この点はどういうように調整されるのですか。
  44. 野田卯一

    野田卯一君 これは私の受け持った範囲では、党の代表として民主党と当ったわけでありまして、党のまとまった意見というものを政調でとりまとめて私たちに渡すということになっております。そこで委員長の御意見も、もちろん政調に移って来ており、また直接にも断片的には承わっておりましたが、まとまってはもちろん政調にもこれが通告されておりますし、またこれが予算委員会に出たとすれば、予算委員会を通じて私ども予算委員会理事がそれを受け取って、それをまた党内の政調に移して、そこでそれをまとめ上げてわれわれにこういうふうにやれというふうになってくる筋合いのものではないかと思っております。
  45. 川俣清音

    ○川俣委員 しつこく聞くようですが、それでは綱島委員長自由党政調意見と違った意見をはかれた、こう理解してよろしゅうございますか。
  46. 野田卯一

    野田卯一君 違った意見をはかれたということかどうか……。これは全体として二百億のものでありまして、それを政調検討したものが私たちに渡されたのでありまして、違った意見を述べたということも総括的に言えないのじゃないか、こういうふうに考えております。
  47. 川俣清音

    ○川俣委員 金額は別にいたしまして、政治的にはいろいろ予算の上からいってこれは別ですが、内容的にはあなた方が今答弁できないほど正確なものを把握しておられない。何のためにつけたかわからない、これから大蔵省金額がこれくらいだがどういうものに使うのかということを検討するというくらい把握しておられないのです。その点からいうと、当農林委員会では、どこに重点を置くべきかということについては真剣な検討を経ているのです。その代表が綱島委員長になっておるのであります。従ってこれは委員会の意向をくんだと同時に、私は政党政治であります以上、自由党意見をくんで発言されておるものと今まで理解しておるのです。こういう理解の上に立って、農林委員会が円満に運行されておるのです。ところがその意見はどうも政調意見と違うのだということになると、今後の運営が非常に支障を来たすのであえてお尋ねしておるのです。
  48. 松浦周太郎

    松浦周太郎君 野田さんに対する御質問でありますが、折衝過程における内容を御参考までに申し上げたいと思います。野田さんの方では、支出細目に対しまして相当広汎な御要求があったのでありますが、われわれの方としましては、やはり先ほど申しました二本の柱を守っていくためには、御要求を全部のむことができません。そこでいろいろと話し合いをいたしました結果こういうことにでき上ったのでございますから、当委員会の意向と違いましたことは一人野田さんだけの責任ではなくて、われわれの方で減額をあくまでも要求した責任も、また皆さんの御意向に反した方向に行ったということも御了承願いたいと思います。
  49. 川俣清音

    ○川俣委員 私の尋ねておるのはそういう点じゃないのです。金額折衝についてはあえて問題にしないと言っておるのです。この際明らかにするならば、むしろ民主党の組んでおられた方が当委員会項目にやや似ているのです。  むしろ委員長を出しておる自由党の方が項目の立て方が違うという点を指摘しているのです。問題は金額じゃないのです。予算も決定したのですから、われわれは金額を論じておるのじゃないのです。この点どうですか。
  50. 野田卯一

    野田卯一君 先ほどから申しておりますように、自由党としてはもちろん委員長立場を尊重しておるのでありますが、先ほどのようなコースを通って折衝具体化する間におきまして、連絡不十分とかその他遺憾な点があったように存ぜられるのでありまして、その点私たちも残念に思っておるというふうに御了承願いたいと思います。
  51. 川俣清音

    ○川俣委員 この点はあえてこれ以上追及いたしませんが、今後の通常の上にわれわれは非常な注意を要するということの注意だけ喚起しておきます。  次にお尋ねいたしますが、政党政治であります以上、とかく政府は議員提出法律案の裏づけをなすような予算化を今まで行なっておりません。そこでこういう修正が国会で行われた場合には、重点的に議員提出法律案等の裏づけをなす予算をみずからの手でこれを修正することが議会政治本来の目的を達成するゆえんだと思うのですが、そういう考え方で修正されたのではございませんでしょうか。
  52. 野田卯一

    野田卯一君 考え方としましては、議員提案であろうが、あるいは政府提案であろうが、一たん法律が成立いたしました以上は、その法律によって公平に、まじめに予算を組むのが政府の責務だというふうに考えております。従ってわれわれが修正する場合におきましても、もちろん議員提案をないがしろにするようなものにつきましては、よほど考えていかなければならないと思いますが、原則としては政府がそういうことをしないというふうに望んでいくベきものだと考えております。
  53. 川俣清音

    ○川俣委員 町田さんも御承知の通り、とかく現実においては予算がついていたいというところから、みずからの審議権とみずからの財政権を発動いたしまして修正されるのが私は本来のあり方であると思う。あえて政治的な取引をするということではなしに、これが議会政治の成果を発揮するゆえんとして行動をとられたものと私は善意に解釈してよろしいかと聞いておるのです。
  54. 野田卯一

    野田卯一君 大体そういう御趣旨に基くものだと思います。
  55. 川俣清音

    ○川俣委員 そうしますと健苗育成というようなものは、今まで政府が行政的に当然やるべきことでありながら、これを無視したような予算措置をとっておりましたために、あえて立法化をいたしたのでございますが、この予算を当然つけてやることが今度の修正の重要な眼目でなかったかと思いますが、この点はどうなんですか。
  56. 野田卯一

    野田卯一君 先ほど申しましたように健苗育成は非常に重大な問題である。それについて皆様方から御希望があり、政調会においても検討した結果、必要を認めて予算修正にそれを計上いたした、こういうようないきさつでございます。
  57. 川俣清音

    ○川俣委員 最近いろいろ病虫害が発生いたしまして、この対策を講じなければならない。自由党時代におきましても年々病虫害予防のために多きにわたりまして、二十億に及ぶような予算を使ったことがございますが、今度これを全部削除せられたのは、なるべく予算項目に載っていないものは省くという方針でおやりになったというそれだけの理由ですか。これは自由党時代でも公約されてずいぶん重要に取り扱っておられた点なんです。
  58. 野田卯一

    野田卯一君 これは民主党側の御要望もあり、政府としてもいろいろな考えを持っておられる点も勘案いたしまして、農薬につきましては、御承知のようにいろいろな病虫害が発生した場合に金を出すということは——これは御承知のように予期せざる病気がわくわけでございますから、それに対する必要な金は、伝染病に対する措置費と同じような意味合いにおいて予備金から出す道がある、こういうことが交渉委員の考えでございました。そうしてこれは出さぬというのではなしに、予備金で割合に出せる項目だから、全体が苦しいのだから予備金から出せるものはなるべく予備金から出すようにして、そのワクを他の方に使ったらいいじゃないかというような配意も動きまして、こういうような結果になった次第でございます。
  59. 川俣清音

    ○川俣委員 これは野田さんは十分御承知のはずなんです。知らずに答弁されているとは思わない。あなた方の時代におきまして、新しい病虫害の場合は、これは予算項目の中に指定してある病虫害とは異なるということは御承知ですか。たとえば北海道に発生しましたところのハモグリバエのごときは、去年なかなか退治するのに困難であった。あなたは病虫が発生すればすぐつけられるのだと言うが、従来はそうでなかった。そこでどうしても項目の中に頭を出しておかないというと、そういうものが発生したときに処置がないじゃないか。今まで往々にしてそういうことで逃げられた、それでは病虫害の発生を未然に防止するあるいは拡大を阻止するということが困難じゃないか、こういうことからこの予算をつけた、これはどうなんです。これは民主党あたりもだいぶやかましく言われたが、自由党はあえて削られた、今までこれを自由党は一枚看板にしてやっておられた……。
  60. 野田卯一

    野田卯一君 私は政府の原案で削りましたのも、私が申しましたことを多分に含まれておったのではないか、かように考えておりますし、民主党におきましてもこの実情をよく御存じですから、これを削りましてもそういう場合には、今後自由党民主党がしっかりしていけば、これをないがしろにするということはなかなかできない、その点は政府も了承してこういうふうになっておるという点を御承知願いたいと思います。
  61. 川俣清音

    ○川俣委員 土地改良費が生産の拡大に非常に大きな寄与をするものであることは、自由党といい歴代どの内閣といえどもこれを認めてきたのであります。ところが今度わずかに五億より増額されてない、しかも一昨年、昨年と漸次この予算が災害が起きた場合には犠牲になり、だんだん減ってきている。そこでこれを元のように戻さなければならないという要望自由党の諸君からも強く要望せられておったわけであります。ところがこの方はわずか五億だというのは、必要性がなくなったためですか、どうなんです。
  62. 野田卯一

    野田卯一君 土地改良費の数額が少いということについては私も同感でありまして、ぜひとももっとうんとふやすべきだと思いますが、全体のワクに縛られまして——いろいろ各項目みなどうも必要なものが多うございますから、原案から見て五億というものを奮発せられた、今から見れば非常に不十分だと思いますけれども、その点はひとつ御了承を願いたいと思います。
  63. 川俣清音

    ○川俣委員 金額が押えられておるといいましても、その抑え方が違うと思うのです。たとえばこれはお尋ねしますけれども農業委員会に対して補助を出される、ところが昨年農業委員会法が改正になりまして、法律によって今までの行政補助機関であった任務が並通の民間団体に変えられたわけです。しかもこれは自由党民主党提案によって変更になっております。従来の農業委員会と異なるわけであります。従って政府の提案を見ますると、今度予約買付制度になったために農業委員会の活動部分が減ったということで、さらに予算を交付金の方に回して、いわゆる行政補助機関としての任務でなく、一般団体としての補助金の方へ回したというのが、大体今までの政府の答弁であった。今度これに従来通りに近い予算をとられたということは、もう一ぺん性格を変えるという意味で予算を充実されたのでありますか。この点は重要な点ですから……。
  64. 野田卯一

    野田卯一君 これは先ほど松浦さんからもお話があった点でありますが、われわれとしてはこの農業委員会経費の財源を確保する必要がある、それには地方交付税交付金、そういうものの中に入れてあるということでは安心がならぬ、農業委員会をしてほんとうに機能を発揮させるために、これに対する補助金は全部それとして明記して掲げて、その活動の全きを期したい、こういう趣旨でございます。
  65. 川俣清音

    ○川俣委員 それはしろうとだましですよ。そうじゃないのです。農業委員会が行政補助機関であった場合においては、行政事務をやるのだから国が負担しなければならない、補助金じゃありません。補助金の場合は一般交付金に回してもよろしいでしょうが、これは行政事務を扱う場合においては補助金でありません。国の負担金です。金額は別にしておのずから性質が異なる、この性質の異なるものの変更なんです。政府説明によりますと、行政事務を行わないようになったから、その任務が減ったから一般交付金に回した、こう言う。金額じゃないのですよ。片一方は行政補助機関としての任務であるのかどうかという点で変更になっておるかどうかと聞いておるのです。金額ではありません。
  66. 野田卯一

    野田卯一君 それは先ほどの松浦議員の御答弁の内容と同じことじゃないかと思うのです。ですから私は政府態度に対して反対するとかなんとかいうのじゃなしに、自由党の方は財源措置として変更を加えたというふうにおとりを願ったらいいと思います。
  67. 川俣清音

    ○川俣委員 これは本質的に違いますよ。国が財政負担をしなければならぬ任務の仕事をさせるのか、あるいは補助金でいい任務の仕事をさせるのか、どちらのつもりで予算増額されたかと聞いておるのです。任務がわからないで予算化できるわけはないのですが、どういう任務で予算化されたかと聞いておるのです。
  68. 野田卯一

    野田卯一君 任務の変更というのは、われわれは別にそういう観点から予算修正をしたのではないということを申し上げております。
  69. 川俣清音

    ○川俣委員 そうすると先般自由党民主党共同提案で農業委員会の改正法案が出ておる。任務が変っておるのです、おのずから任務が変っておる。あなた方の提案によって変ったのですよ。それをもう一ぺん引き直すというお考えなのかどうか、こうお聞きしておる。
  70. 野田卯一

    野田卯一君 これはよく御承知だと思いますけれども、昔は平衡交付金、今は交付税交付金でありますが、それに入れるか、単独の項目で立てるかということは、いろいろ各種の例をお調べ下さるとわかると思いますが、そういうふうに画然たる区別をやっておるわけではないと思います。でありますからある場合には突っ込む、ある場合には抜き出すということはしょっちゅうやっておることであります。ですから今仰せになっておるように、画然たる区別で割り切っておる制度ではないと思います。あるときは予算を組むときの技術で、これはほうり込んでしまえとかなんとか、何とかつじつまが合うように平衡交付金にほうり込まれる場合が多い、それは困るから文部省においてもその他のどこの役所でも、別掲してもらおうという要求が強かった。元は平衡交付金の場合は全部入れてしまって、全部別掲まかりならぬという時代も一時あったのでありますが、それではやはり工合が悪いというので別掲々々となっております。おっしゃるように画然たる区別で示されたとは思っておらない、そういう考え方は、割り切っては今の制度はなっておらないと思うのでありますが、その点私たちもまた研究してやりたいと思います。
  71. 川俣清音

    ○川俣委員 これは一般農業団体とは異なった性格をかつて持っておった、国の行政事務の補助機関としての法律上の任務を持っておった。供米に対する政府補助機関をなしておる。あるいは土地調整に関する国の委任事務を受け持っておった、従って委任専務でありますから、国が必然これに負担しなければならないということで、法律上明らかに国の負担を規定しておった。今度は普通の農業団体になったために、補助金をやるかやらないかということは、これは行政上の措置なんです。そこで性格が変ってきておるのです一方政府から出たのは、性格が変ったということで、こういう予算の組み方をしたということが説明せられておる。それを元の通り戻すということは、性格を変えるという意味で話し合いがついたのか、そのままであったのかということをお聞きしているのです。
  72. 野田卯一

    野田卯一君 大体そのままであったというふうにお考えになったらいいと思います。そういうふうに私たちの方は割り切って考えておらない。財源確保措置としてやった。これは先ほどから繰り返して申し上げておる通りでございます。
  73. 川俣清音

    ○川俣委員 それでは予算説明書を全部変えなければならぬでしょう。これは組みかえ案でなければならぬと思う。予算修正でありません。政府の提案によります金額増額ではありません。このように性格が変るなら、当然組みかえ案でなければならぬ。そうじゃありませんか。予算書を見ますと、政府の提案とは違います。あなたのような説明であると、組みかえ案にしなければならぬ。
  74. 野田卯一

    野田卯一君 組みかえ案にするか修正案にするかということは、政府の方でやるのは組みかえ案で、私たちの方でやるのは修正案である。それで調和されてその結果が出てくるのでありまして、私は技術的にはそういう点はあまり重大な支障はないだろうと思っております。
  75. 川俣清音

    ○川俣委員 それはあなたの論理が徹底しませんよ。先ほどの説明によると、政府予算項目を変えないように、できるだけそういう点の修正を控えたという説明をされているではありませんか。ところが今はどんどん変えてもいいのだという説明なんです。一貫しないじゃないか。どっちがほんとうなんですか。
  76. 野田卯一

    野田卯一君 どうも少し議論が平行線になってしまっておると思うのですが、今申しましたような点で、今までいろいろな交付税に入れるものと、単独の項目で掲記するものとの取り扱いをずいぶんいたしておりますけれども、そういうふうに必ずしも割り切っていない。ここに書いてありますように、政府原案として十億七千一百万円ございますが、それだけの分は政府補助機関としてやったのか、そんなふうに厳格に分けるということも実際むずかしい問題がありまして、折衷的なものがある。そういう折衷的なものがありましても、それを補助金として盛っていかぬという財政上の原理はないと思います。
  77. 川俣清音

    ○川俣委員 あなたは全く農業委員会の法律をお知りにならずにそういう御答弁をしておる。今でも農業委員会の任務はまだ行政補助機関としての任務を一部は持っておる。しかしこれは農業会議所となって、民間団体となっている点があるのです。民間団体に国が負担をしなければならぬということはないはずです。任務が違うのですよ。前は全部国の委託任務を持っておった。それを今度は農民の利益代表機関でなければならぬというふうに変えられまして、政府補助機関から行政補助任務を一般の民間団体に変えられたのです。そのために今度は予算を変えた、こういうのが今までの説明なんです。しかも予約買付制度にいたしますと、その農業委員会の任務が減ってきた、こういうことなんです。任務があるということは認めますけれども、任務があるならあるように、予約買付制度につきましても、農業委員会を使うというなら、また意味は別です。任務がはっきりしないのに、予算だけ増額したということは、意味をなさない、こう言うのです。必要だと言われる限りは、任務があるはずだ。どういう任務があるか、問題はそこなんです。任務も何もないのに、少い予算の中で莫大な予算であります。任務のわかったものですら削らなければならぬのに、任務がわからないところに増額しなければならない理由がはっきりしないのであります。こういう任務を持っていて重要だから、予算をつけなければならないというならよくわかりますし、あえて反対ではないのですけれども、この予算の少い中において、任務がはっきりしないものに予算をつけられる理由は、どこにあるかということを聞いておるのです。
  78. 野田卯一

    野田卯一君 非常に誤解があると私は思う。新しく予算をつけたというのではなしに、片方のいわゆる地方の交付税交付金の中に盛ってあるのをやめて、こちらで生かした。それは任務が違うと言われるけれども説明はそれで私はいいと思う。私は説明が悪いと言われる意味がよくわからないのです。
  79. 川俣清音

    ○川俣委員 政府は今度は供米の任務は負わせない、こういうことでしょう。任務が変ったのです。今までは供米に対する割当の任務を持っておった。これはいやだといいながら、これの命令に従わなければならなかった法律上の義務を持っておった。拒むことができなかった。従って財政上の裏づけをしなければならないということで、負担という形において国が負担しておった。これは補助ではない。補助でありますならば、それは予算上財政的に不足だからということもあるかもしれません。そうじゃない。これは今までは国が行政補助機関としてこれを使っておったために、なけなしの金もあえて出さなければならなかった。国自体がそういう任務を持っておった。そこで任務が変ったのじゃないか。変った任務を別に変えるということであるのかどうなのかと聞いておる。あなたの方がわからないですよ。これは農業委員会法の改正になったことを御存じないのじゃないか。ほんとうですよ。別にあなたの言葉じりをとらえるわけじゃない。任務があるならあるとして考えていかなければならない。ないならないとして考えていかなければならぬ。任務があるというふうに自由党はお認めになるならば、法律を改正する必要も出てくるわけです。その点を私は聞いておるのです。予算上のことばかりではない。もしもその必要があるならば、あるように法律改正もあえて必要じゃないかということが起ってくる。
  80. 野田卯一

    野田卯一君 私は今お話をるる承わっても、別に私の今までの説明で不十分であるとは考えない。国の仕事の補助機関の役目と民間機関と、二つの機能を持っておるというようなお話を承わったのですが、補助機関である場合には国の負担である、これは補助でない、こうおっしゃいますが、やはり予算的に委員会補助という名前で予算書は出しておる。今はっきり覚えておりませんが、それで民間機関に対して補助を出してはいかぬ、単独項目で出してはいかぬということも、別にきまったものではない。私は前提とされておりまする事柄自体について、予算技術上疑問を持っておる。あなたの前提されておる予算技術上の前提と、私の考えておるのと一致していないのじゃないか。これは私は財政法も研究しておりますから、他日また十分お打ち合せいたしたいと思います。今ここでやっても一時間も二時間も同じことを繰り返すことになるだけですから、ゆっくりまじめな議論をして検討したいと思います。
  81. 川俣清音

    ○川俣委員 私もあえて言葉じりをとらえるつもりはないけれども農業委員会ができた最初のころは、明らかに国の行政補助機関として成立したものです。昨年これを変えられた。私どもはその変える場合に、将来この任務が変るということになると、予算上の問題についても当然変った形が出てくるのじゃないかということを注意しておった。ところかその当時は、民間団体になって政府の制約を受けたくないということが強く主張せられて、補助などはどうでもいいということで、むしろ補助よりも性格を変えたいということでできた。国が負担する場合には当然監督もつきます。そういう任務から離れたいということでできたものに対して、前と同じような予算をつけなければならぬという考え方がわからないのです。この議論はあとにいたします。  さらにお尋ねします。有益鳥獣保護普及費、これは自由党は千九百万という話でしたが、三百八十三万五千円の三十年度要求額に対して、五百万円の修正増額になっておる。これはちょっと探してみても、こんな目もなければ項もない。これは新しい項目をお立てになるつもりですか。これは正式な大蔵省が出されました書類によると、林業振興費となっておる。林業振興費の目にはこういう目はございません。この予算の少いときに、あなた方が非常に少い少いと言っているときに、新しい目を立てなければならないほど重要なものですか。
  82. 野田卯一

    野田卯一君 これは林業振興費の中の森林害虫駆除費補助という目がございますが、初めそれの増額という考え方でおったわけなんです。ところがその後になりまして、その目で取り扱うかどうかということを今主計局において検討中でございます。私はそれに対する疑問の根拠というものはまだ聞いておりませんが、何か根拠があるらしい。しかし事柄としては森林の害虫駆除のためのものであるということは疑いない事実です。目的は同一でございますけれども、法律関係の手続におきまして、同じ項目でやっていいかどうかが今若干問題になっているということを先ほど聞いておるのであります。
  83. 川俣清音

    ○川俣委員 そのようにずさんなんです。このない金の中に、あなた方がない、ないと言っているときに、何の種目につけるかもわからないでつけられる、新しい目を起される予定かどうか。大体既定経費があるというのは、これは間違いです。有益鳥獣費が予算の中にありまするのは、これは足立さんも出しておられますが、林業振興費ではございません。別な項の中に有益鳥獣費の事務負担分があります、林野庁事務の中にあります。林業振興費の中には有益鳥獣費なんというものはありません。新しい目を起されるのかどうか、そういうつもりで予算修正をされたのかどうか。農林委員会でもっとりっぱな案をお持ちだ、こういうのだから、このくらいのことは検討されてやったでしょう。
  84. 野田卯一

    野田卯一君 これは先ほど申し上げましたように、当初の項目は森林害虫駆除費の補助という項目で処理しておったのです。目的が今の有益小鳥のことになって参りましたので、今その項目に入れることが少し問題があるかどうかという点について検討している、こういうことでありまして、目的はあくまでも森林害虫駆除にある、これはお認め下さるだろうと思います。
  85. 川俣清音

    ○川俣委員 そうしますと、予算修正された意図は病虫害を防ぐ、こういうことで修正された、こう理解してよろしゅうございますか。有益鳥獣なんというものではない、あくまでも森林の病虫害駆除のために増額された、こう見てよろしいですか。
  86. 野田卯一

    野田卯一君 有益鳥獣の小鳥の問題でありますが、その森林害虫の防除、それを駆除する一つの方法として鳥の問題も考えられた、こういうことでありまして、これだけを考えたかどうかということにつきましては、これだけでもないということでございます。
  87. 川俣清音

    ○川俣委員 今まではそういう例は、林野庁でこの目を要求して削られている目なんです。削られている目を復活されたからには、新しい目をお立てになるのかどうかということです。一度削減にあった目です。目全体が削減にあっている。ここで新しい目をまたお立てになるための修正案かどうか、こうお尋ねしている。
  88. 野田卯一

    野田卯一君 先ほど申しましたように、これは害虫の駆除費の補助という考え方であって、それでおさまると思っておりました。それについては初め主計局当局も大体そのつもりでおりました。そしてわれわれが予算折衝して、内輪な話で、同じく主計局の幹部が立ち会っておったわけです。立ち会っておりましたが、そのときはそれで済んだ。ところが幹部が帰りましていろいろと研究した結果、けさになってこの問題について相談に来ているわけです。それで別項目にするか、どうか、その中の五百万円を一応どう分けるかという点も相談している、こういう実情でございます。
  89. 川俣清音

    ○川俣委員 委員長、今の説明を聞きますと、農林委員会が持っております権威はやはりあくまでも竪持しなければならない、予算委員会予算修正というものはどの項目につけたらいいのか、何にもお考えなしに、とにかくやられたということだけは明瞭になりましたので、この程度で打ち切りまして、あらためて農林委員会の意思表示をする必要があると思います。
  90. 綱島正興

    綱島委員長 大野委員
  91. 大野市郎

    ○大野(市)委員 今回の農林関係予算修正につきましては、われわれもはなはだもの足らぬ点が多々あるのであります。しかしながら民自両党においていろいろ折衝の結果、ない財布をさかさにして工面をせられた努力の跡もおおむね感知できまするので、その関係でわれわれとしては、いろいろこの修正の項についてはまことにやむを得ぬものと現在思うのでありますが、ただ問題は、われわれのこの修正経過に対しまして、はなはだその間の折衝の問題が行き届かぬ点があったというので、委員長におかれましても率直にその点の釈明をされまして、幸いに委員会の諸君も了承せられましたので、これはせっかく超党派的な雰囲気で、この委員会が伝統を持って農民のために行われておるのでありまするから、私はその点に対しまして、諸般の情勢から補正の問題が必ず出ると思いまするので、その最も近い機会において、われわれの要求をぜひともこれに織り進んでいただかなければならぬ、かように思っておるわけでございます。しかも私どもは、このたびのいわゆる自民のこの予算に対しまする取扱いの結末に対しましても、毛頭われわれ自由党の本来の主張を打ち切ったものではございません。あくまでも健全野党の立場におきましてやるのであります。従って御承知の河野農政に対してわれわれは反駁をいたしております。いわゆる米麦偏重であって、これは多角経営でなければならぬというがごとき主張に対しましては、われわれはとうてい承服をいたしておらぬのでありまするから、あらゆる機会をとらえてこれらの問題に対しては、われわれはあくまでも健全野党の立場農村の主張を続けていかねばならぬと思うのであります。  そこで一、二点を伺いたいのであります。小団地の問題でございまするが、この小団地の問題に対しましても、これは二百六十五町村しか計算になっておられないわけでありますので、これは一体最低の団地の形成に対していかほどなる最低小団地のものをお考えになっておられるか。これは一つ計画に当って小団地の最低限度の予算査定に当られた交渉委員の方から承わりたいと思います。
  92. 稲富稜人

    ○稲富委員 この修正案に対する質疑は、自由党民主党の両党によって修正案ができたのだから、社会党からこれに対する質問をするんだ、こういうふうに話があったように私は了解しております。修正された自由党から、この修正点に対して質問をされるということは昨日の理事会の申し合せに対して反しておる。これに対して委員長はどういうふうにお考えになっておられるか、この点は私は委員長にお聞きしたい。
  93. 綱島正興

    綱島委員長 発言を求められておりましたからこれを許したのであります同じように五十嵐委員からもちょっと発言を求められておるのですが、御説の通り、修正内容の質疑ということになれば、これは修正者みずから聞くということはちょっとおかしいことになるということは間違いないのでありますが、大野委員もその旨で一つ……。
  94. 大野市郎

    ○大野(市)委員 私はその意味で、修正案内容の小団地の問題は御承知の積雪寒冷の関係がありまして、従来の取扱いから、それらの点が三町歩、五町歩といろいろな案が出ておりまするので、この機会にその折衝の過程を明らかにしておきたいと思ってこの質問をいたしたのでありまするが、委員長のお取り計らいで、その点に対して保留した力がよろしければ私は異議はありません。
  95. 綱島正興

    綱島委員長 社会党両派で別に御質疑はございませんか。芳賀委員
  96. 芳賀貢

    ○芳賀委員 先ほど一点保留した点がありまするが、それは農業協同組合の整備促進に対する対策の問題です。これは本委員会の当初に委員長からも遺憾の意が表明されましたけれども、この点に関しては昨年の国会において、農業協同組合連合会の再建整備法というものが成立しておるわけです。これに関連して、この再建整備組合の調整勘定のうちから約六億一千万程度の調整勘定の益金というものを国に納付しておることになっておる。国はこれを収受しておるわけですね。ですから、今後連合会等の再建整備を促進さしていくためには、この益金として国が収納した性質のものは、当然整備促進対策費として国の責任において支出すべきである、こういうような附帯決議等も、衆参両院の当時の農林委員会を通じて議決が行われておるわけです。ところがこの点に対しましては、今年度の予算原案の中にはわずか総額八千万程度ぐらいしか見込まれていなかった。ですから当委員会としては、これは国が一応収受しておる形になっておるので、再建整備を促進させるためには当然これをまた支出しなければいかぬじゃないかというようなことで、今回の修正分に対しまして、約五億八千万程度の金額修正分として支出すべきであるというような決定を行なったのでありますが、これが全然取り上げられておらないわけです。これは今後の農業協同組合再建整備の上からいっても非常に重要な問題であるので、特に先ほど委員長からもこの点に対して非常に遺憾な点が多かったということを言われた。これは当然民主、自由両党においても、この修正折衝をやられた場合においては、この問題は取り上げられたと思うわけですか、これが全然増額になっておりませんので、その経緯並びに今後この収納分をどういうような方面にお使いになるお考えであるか、その点を明らかにしていただきたい。
  97. 松浦周太郎

    松浦周太郎君 ただいま芳賀委員からの御質問の農業協同組合再建整備補助金については、いろいろの議論もありましたけれども、今度は載らなかったのです。けれども、これは等閑に付していくという考えは持っておりません。先ほど四項目申し上げました中の一項目にございますから、今後いろいろこの問題に対して、両党の政務調査会の間に検討いたしまして、適当なる時期において予算化することに努力するというふうに先ほど申し上げましたが、これはきょうも私どもの方の総務会で相当問題になりまして、これはどうしても近い機会において十分の検討をした上に予算化しなければならぬ、こういうことに申し合せたその結果をもって私は今答弁しておりますから、党の意思は、御指摘の点は善処する考えを持っております。
  98. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それで大よそわかりましたが、結局この性質は、調整勘定を政府が預かっている、借り分になっておるのでしょう。これを吐き出すということは当然だと思うのです。ですから最も近い機会の、今後のあるいは臨時国会等が開かれる場合には、当然これは補正等を通じてこの政府の借り分というものはお返しになるべきであるということを今から一つ銘記されておきたいということを私はつけ加えておきます。まだいろいろありますけれども、この程度でとどめておきます。
  99. 松浦周太郎

    松浦周太郎君 ただいまの問題に対しましては、何回も繰り返しますように、近い機会において善処することを約束いたします。
  100. 野田卯一

    野田卯一君 ちょっと申し上げておきますが、養蚕経営合理化促進費補助金というのがございますが、その内容についてお手元に資料が出ておりまして、動力噴霧器に対する補助、それから展示圃に対する補助とかに分れておりますが、これは桑苗の補助ということに大体両党において意見を一致させて、さように運びたい、かように考えております。
  101. 綱島正興

    綱島委員長 質問はよろしゅうございますか。——それでは野田卯一君、松浦周太郎君に対する発言は大体これで終ります。     —————————————
  102. 綱島正興

    綱島委員長 それではこれから昨日の理事会の線に基きまして、去る六月三日本委員会に付託になりました参議院提出競馬法の一部を改正する法律案を議題といたします。審議に入ります。まず本案の趣旨説明を求めます。参議院農林水産委員長江田三郎君。
  103. 江田三郎

    ○江田参議院議員 ただいま議題となりました競馬法の一部を改正する法律案につきまして提案理由を御説明をいたします。  御承知のように、競馬施行者は、勝馬投票券を発売し、その収益によって畜産の振興、民間の社会福祉事業の振興または地方財政等に存与することになっているのでありますが、最近、主として地方競馬を対象として、勝馬投票券の購入の取次を業とする者が増加し、その営業所数は、全国を通じて一千数百カ所に上り、取扱い金額は数十億円に達していると推定されております。しかしてこれら馬券取次業者の多くは、単なる取次の名においていわゆるのみ行為を行なっておりまして、競馬の健全な施行を阻害するのみならず、社会公安上から閑却できない状態にあると思われるのであります。  この点につきましては、現行競馬法に「勝馬投票類似の行為をさせて利を図った者」に対する罰則規定がありますが、単なる取次行為の名のもとに投票類似行為を行う場合にはその立証がきわめて困難なため取締りの実効があがらないのが実情であります。  かような事情は、すでに、競馬と同種競技である競輪においても見られたところでありまして、車券取次業者の弊害がはなはだしいものがありましたので昭和二十七年六月、議員立法によって、これが禁止措置がとられ、さらにこれにならって、小型自動車競走及びモーターボート競走についても同様な措置がとられ、かような措置がとられていないのは今やひとり競馬のみであります。  ここにかんがみ競馬に対しても、競輪等にとられたと同様な法的措置を講ずるためこの法律案提出した次第であります。  しかして、本法案の内容は、すでに自転車競技法においてとられたと同様、現行競馬法に「業として勝馬投票券の購入の委託を受け、又は財産上の利益を図る目的をもって不特定多数の者から勝馬投票券の購入の委託を受けた者」に対する罰則規定を設け、これによって勝馬投票券の購入の取次に伴ういわゆるのみ屋等の不正及び弊害を防止しようとするものであります。  何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。
  104. 綱島正興

    綱島委員長 これより質疑に入ります。質疑の通告があります。稲富稜人君
  105. 稲富稜人

    ○稲富委員 提案者に最初にお尋ねしたいと思いますことは、今日の競馬法並びに競馬の施行令、実施規則等におきましても改正を要すべき点はいろいろあると思うのであります。ただ本日御提案になりましたのは、その一部の罰則規定のみを改正することに御提案になっておるのでございまするが、その他の競馬法の改正等に対しても、将来また改正すべきものかある場合には改正してもいいというようなお含みがあるのであるかどうか、その点最初にお伺いをいたします。
  106. 江田三郎

    ○江田参議院議員 その点は私どもとしましても、現在の競馬につきましてはいろいろ検討を要する点があると考えますが、特に最近競馬に対するのみ屋の行為があまりにも目に立つものがございますので、とりあえずこのことだけは何とか早急に措置をしなければならぬ、こういう考えでこれだけを取り上げておりますが、将来の根本的な検討ということももちろん必要だと考えておる次第でございます。
  107. 稲富稜人

    ○稲富委員 それでは政府側にお尋ねしたいと思うのでございますが、ただいま提案になっておりまするこののみ屋行為、これは私設場外馬券売場と言っておりますが、この弊害はただいま提案理由の御説明の中にもありましたごとく、非常に弊害が多く、長くこれが行われておったのであります。こういうような弊害があったということを政府当局は今日まで認めておられたかどうか、この点を一つ政府に伺いたい。
  108. 原田伝

    ○原田政府委員 ただいまお尋ねの点でございます私設馬券の弊害の問題でございますが、これにつきましては昭和二十七年七月に、ただいま参議院の委員長からお話がございましたような競輪に関しまする罰則ができまする前までは、あまりかような私設馬券というものが現われていなかったのでございます。それが、競輪法につきまして強い罰則が設けられ、また他の同種の競技につきましても逐次同様な措置がとられました結果、競馬だけが穴があいたような形になりましたために、漸次私設馬券というものが現われて参りまして、それが逐年ふえてくる傾向がございますので、この問題につきましては何とか措置をいたさなければならないと考えておった次第でございます。
  109. 稲富稜人

    ○稲富委員 それでは政府といたしましてもこの弊害を認められておりながらも、今日まで放任されておった、この事実は、どういう理由でこれを放任されておったのか、その点を一つこの際承わりたいと思います。
  110. 原田伝

    ○原田政府委員 ただいま申し上げましたように、漸次私設馬券というものが現われて参り、それがだんだんと増加して、昨年下半期に至りましてはかなりこれが急激に増してくる傾向が現われて参りましたので、私どもといたしましてもこれは放任できないという考えからこの対策をいろいろ研究をいたしておった次第でございまして、たまたま昨年の十月に最高裁判所の判決が一つ現われまして、現在の競馬法のいわゆるのみ行為禁止の規定というものの解釈につきまして相当広範囲にこれが適用できるような趣旨の判決も現われて参りましたので、その運用によりまして果してこれが押え得るものであるかどうかという点をいろいろ研究いたしたのでございますが、他の立法例との関係もございまして、その法令のみにたよって取締りをいたすことがむずかしいという結論に達しましたので、結局のところは立法措置を必要とするのじゃないかという考えに立ち至りまして、この立法措置につきまして研究をいたしておった次第でございます。
  111. 稲富稜人

    ○稲富委員 ただいまの御答弁によりますと、政府におきましてもこれが取締りの立法措置の必要を感じておったとおっしゃいますが、それであるならばなぜ政府はこれに対する立法措置を政府案として御提出にならなかったのか。議員の議員立法ができるまでお待ちになっているというその点の事情がどうもわれわれは納得がいかない。何がために政府は積極的にこれに対する政府提案としての立法をおやりにならなかったか、その点の事情等がありますれば承わりたい。
  112. 原田伝

    ○原田政府委員 ただいま御指摘の点につきましては、私どもの研究が十分間に合いませんでしたことにつきまして、まことに申しわけなく存じておる次第でございます。研究の点につきましては、実はこの種の立法例が政府提案の形ではほとんど見当らない状態でございますので、立法技術上慎重に研究を遂げなければ相ならぬという考えから、研究に手間がかかっておったわけでございます。
  113. 稲富稜人

    ○稲富委員 大体の経過はわかったのでございますが、それでは今度は提出者にお尋ねいたしたいと思うのであります。御承知の通り競馬法によりますと、罰則規定が第三十条と第三十一条にあるのでございますが、このたび提案の法律案は第三十一条にこれを適用されることに相なっておるのであります。罰則におきましては第三十条の方がひどいようでございますが、あえてこの三十条を適用せず、三十一条を御適用になりましたその根拠はいずこにあるかということをまずこの際承わりたいと思うのでございます。
  114. 江田三郎

    ○江田参議院議員 その点につきましては、競馬と同種の競技であります競輪、あるいはモーターボートその他のものがいずれも三年以下の懲役もしくは三十万円以下の罰金に処するということになっておりますので、大体同じようなものとしてそれらとのつり合いを考えまして三十一条の一に入れた次第でございます。
  115. 稲富稜人

    ○稲富委員 それでは監督課長にお伺いいたしますが、第三十一条の第二号の規定でございます。「馬の競争能力を一時的にたかめ又は減ずる薬品又は薬剤を使用して馬を出走させた者」はこの罰則の適用を受けることに相なっておるのでありますが、この条項は今日の競馬においてはほとんど空文化しているというのが事実ではないかと思うのでございます。この第二号の罰則に反した行為によって、この罰則の制裁を受けた者が今日までどのくらいあったか、この点を一つ監督課長にお聞きしたいと思う。
  116. 黒河内修

    ○黒河内説明員 私どもがただいま聞いておりますところでは、三十一条第二号の規定の罰則行為に対する発動はほとんどないように聞いております。
  117. 稲富稜人

    ○稲富委員 私がお伺いしますのは、第三十一条第二号のこういう罰則があるけれども、ほとんどそれが空文化されて適用されていないのではないかということです。その項目と並べて今度の新しいこの法律案を加えられるということは、さらにこれが非常に空文化するような結果になるおそれがありはしないかということをわれわれは憂慮するわけなんです。この点を監督官としてどういうようにお考えになっておるのか承わりたい。
  118. 黒河内修

    ○黒河内説明員 ただいま三十一条の関係の御質問でございますが、われわれの見解といたしましては、三十一条二号は具体的な発動はほとんどありませんが、相当予防的効果はあると考えております。と申しますのは、相当まだ地方競馬におきましては、中央競馬に比べてやはりいろいろ問題が多いようでございまして、そういう点については相当ここの規定が——具体的な発動はございませんが、予防的効果はあるとわれわれは考えております。それから第一号に本規定を入れたということにつきましては、今度の問題と二号の問題とは別問題でございます。一号の問題につきましては、われわれとしてはやはり相当な効果があるように考えております。ただ罰則が同じでありますから同一条項の中に入るわけでございますけれども、それは形式的の問題でございまして、相当効果はある、かように考えております。
  119. 稲富稜人

    ○稲富委員 今の課長の御答弁は実にあいまいでございまして、第二号の問題は、これは地方競馬のみではありません。中央競馬会、従来の国営競馬におきましても、この第二号の罰則に違反するような事実は、われわれしろうとでもわかるのです。あなた方は競馬の専門家でありますならば、競馬場におりまして、興奮をかけて来たか来なかったかくらいはおわかりだろうと思いますが、こういう事実があるにもかかわらず、しからばこれを取り締った事実があるかというとない。そういう条項と同じところにこの重大なる罰則を加えて、そうして第二号は従来通り空文化しているというようなことでは、これを取り締る上におきましても非常に影響を来たすのではないかということを懸念するがゆえに聞いているわけです。ところが課長の御答弁によりますと、第二号は実際に空文化しているんだ、しかし同じ条項の中に、第一号に持ってきても、こちらは非常に強力なものになってくるのだというようなあなたの解釈というものは、どうも監督の責任を持っているあなたの答弁としては非常に矛盾した答弁だと思う。この点はどうお考えになるか、いま一つこれに対する考え方を承わりたい。
  120. 黒河内修

    ○黒河内説明員 私のただいま申しました点、ちょっと不十分な点がありましたことは申訳ないと思いますが、私は第二号の規定は空文であるということを申し上げているわけではございません。本条を発動して罰則を課したというケースはそう多くはございません。しかしこの規定があるためにそういう弊害を予防する効果は非常に多い。従って私の考えとしましては、この第二号については決して空文化しているというようには考えておりません。
  121. 稲富稜人

    ○稲富委員 そうすると第二号は予防においては効果はある。また実際には薬剤を使用したという事実はあるけれども、これを罰することにおいては非常に少かったというあなたの御意見であります。そういたしますると、第三十一条の第一号は、こういうことをやってはいけないということについては非常に効果があるだろう、しかし罰則においては第二号と同じように解釈いたしますると、罰則においてはこれにかかる者は少いという結果になるのではないかというおそれのあることも一応考えられる。この点を私はお聞きしておるのであって、予防としての効果はないわけでしょう。おそらくこの取締り規則を出すというのは予防ではない。実際これを犯した場合にはいかにして取り締り、いかにして罰則で処罰するかということが法の精神ではないかと思う。予防ではないのです。この点を私はお聞きしているわけです。
  122. 黒河内修

    ○黒河内説明員 私もその点につきましては、第一号の今度の罰則規定については相当の効果はあるということを申し上げているわけです。第二号につきましては、現実に発動というケースは少い。しかし決して空文化してはおりません。かように申し上げている次第であります。
  123. 稲富稜人

    ○稲富委員 第二号の点で、横道に入るようでありますが、あなた方は空文化していないとお言いになりますが、実際に競馬場へおいでになりますと、薬品を使用してきたというのがたくさんあるのです。あなた方が御存じたいというならば、あなた方の怠慢です。事実あるのです。しかしこれを処罰したということはない。これでは事実監督するあなた方すらが空文化しているのではありませんか。これが空文ではないということならば、あなた方の監督が不十分であるということになってくると思う。私の聞いているのはその点なんです。そういう問題に対して将来十分取締りもやるという考えがあるならば別だが、実際には法的には空文化していると思うからお聞きするのです。どうお考えですか。
  124. 黒河内修

    ○黒河内説明員 二号の問題につきましては、私どもといたしましては、先生のお話のように具体的にこの罰則が適用になったというケースは、私実は本省に参りましてまだそう長い期間ではございませんけれども、前からのお話を聞きましても、そう多くはないと聞いております。しかし先生のお話ですと、具体的には薬品等によって能力を高めるというようなことがあるということで、しかも本則によって発動しないというのは監督上の手落ちがあるのではないか、かようなお尋ねだと思いますけれども、さようなことはただいまのところないと考えております。
  125. 稲富稜人

    ○稲富委員 あなたはそういうことはない、こうおっしゃいますが、事実はあなたも競馬場でお調べになれば、馬に興奮をさせて来ておるかどうかということはしろうとでもわかりますから、あなたがおわかりならないということになると、あなたは監督官として適材じゃないと思うのです。あえて私は詰問しようというのじゃないが、ただこの場をのがれるための答弁をなさらないように願いたい。実際上人情において興奮をかけたからといって馬主を処分したり調教師を処分したりすることはなかなか困難だ。認めておるけれどもやむを得ないくらいの程度が現在の実情じゃないか。そういうことは自分らは認めたいのだとおっしゃるならば、あなたは非常に目がないと私は思うのです。ただ私が言っておるのは、第三十一条の一号に入れたら弱くなるのじゃないか。私はあえて三十条でひどい罰則にしろというのじゃないのです。十分これで取締りができるかどうかという点をお聞きしておるのです。この点に対して局長からでいいですが、意見を承わりたい。
  126. 原田伝

    ○原田政府委員 ただいまお尋ねの点でございますが、三十一条にこの罰則が入りますことにつきまして、御懸念の点につきましては、私どもの率直な気持を申し上げますと、今度の御提案がありましたまでの経緯等にかんがみまして、いわゆる取締り官庁と申しますか、法務省にいたしましても、警察庁にいたしましても、検察庁にいたしましても、現行の法規のもとでは、みすみす弊害のはなはだしいものを、証拠があげられないために見のがしておるということでまことに残念である。法規が改正になりましたならば、しっかりこれを取り締るのであるということを申しておりますので、私どもといたしましてはその点全く同感でございますので、この法案が成立しましたあかつきにおきましては、申し上げましたような関係官庁とも緊急に連絡をとりまして、立法の御趣旨に必ず沿うように努力をいたしたい、かように考えております。
  127. 川俣清音

    ○川俣委員 ちょっと関連してお尋ねしておきます。三十一条の一号に入れるということになりますと、従来の例でいいますと、二号の実績から見まして予防的な効果を上げればいいのだということが今までの行政措置であった、こう御説明になっておる。これは非常に問題だと思のです。提案者にお尋ねいたしますが、そういうことだというと、二号の効果が上ってないところに一号の効果を上げようといたしましても、予防的な効果だけあるかもしれぬけれども、実効が上げられなくてもよろしいということで御提案になったのか、あるいはどうしても実効を上げなくてはならないということで御提案になったのか、この点お尋ねしたい。
  128. 江田三郎

    ○江田参議院議員 先ほど稲富さんにお答えしましたように、参議院の方で第一号に入れましたのは、自転車競技法の方の罰則が三年以下の懲役もしくは、三十万円以下となっておりますので、これと同種のものでございますから、お話のような位置におけばいいじゃないか、こういうことでたまたま三十一条の一号があいておりますのでそこへ入れたわけでございます。私どもといたしましてはこれは単なる予防的効果をねらう、もちろん犯罪人を作るのが目的でございませんので、これによりましてかような弊害が根絶することができれば、一人の犯罪者がたくてもそれで目的を達することができるわけであります。私どもは、これが現在の段階におきましては予防的効果だけでなしに大いにこれによって実効が上る、こう考えておりまして、参議院の審議におきましても、警視庁の防犯部長等の参考人の御意見を徴しまして、これができれば警視庁あたりでも十分にやれる、こういうことでありましたので、今御注意ございましたが、われわれはただ予防的効果だけを考えたわけではございません。
  129. 川俣清音

    ○川俣委員 そういたしますと、こういう矛盾が出てくるのではないかと思うのです。おそらくのみ屋等の対象になるものは、競馬についてはある程度知識のある者と見なければならない。裏表を知っておる者と見なければならない。そしてこれを取り締っていきますと、二号に抵触しておるものがあるということが必ず指摘されて参ります。今までは黙認されていたものが必ず指摘される。おれと同じように抵触しておる事項があるのではないか。そういうのを取り締らないで、なぜおれだけ取り締するのだということが社会問題として出てくる。そこで予防的な効果だけを期待しておったことが、実際は大きな取締りをしなければならないということになることを局長はどういうようにお考えになりますか。これは必ず出てきます。今までのように黙認の状態ではおかむりはできないという事態ができてきます。今までの予防だけの効果が上がればいいという考えでこの法案を通すと、行政上にいろんな問題が起るということはお考えになりませんか。
  130. 原田伝

    ○原田政府委員 御指摘の点につきましては油断はできないと考えておるわけでございますが、現在の取締りの観点から考えまして、今度罰則の対象となりましたような馬券の取次業、いわゆる私設馬券というものは、形におきましては表面上取次ぎだけをやっておるのだという看板を出し、また証拠書類等をうまく取りつくろっておるのであります。ところがその実態をあばくことが非常に困難であるために十分取締りができなかったという状態でございます。それが今度同種の競技と同じ取締りを受けるということになるのでございますから、この意味におきましては均衡と申しますか、という感じは別に——格別自分らだけがひどい目にあうという考えは持たないのではないかと一応考えられるわけです。また三十一条二号の取締りの問題でございますが、これはまだ研究ができておらない点もございますが、実際に薬品を使ったかどうかということを挙証します点につきまして、これまた実際問題としては取締りのむずかしい面もございますために、先ほど稲富先生の御指摘もあるような次第でございまして、私どもといたしましては一号にいたしましても、二号にいたしましても、これに該当するものにつきましては公正な取締りをいたすように関係官庁等と緊密な連絡をとって参りたい、かように考えております。
  131. 稲富稜人

    ○稲富委員 それでお尋ねしますが、提案者の提案の考え方というのは、競輪その他の罰則がありますので、やはりその同一くらいの罰則にしたらいいだろうというようなお考えで、この三十一条の罪の加重によって決定されたものだ、その点は私の方もうなずけます。ただ私が先刻から申し上げております第三十一条には「左の各号の一に該当する者は、これを三年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金に処する。」ということになっておる。一、二、三の項目にわたっておりまして、一が削除になっておるから、それに今度の罰則が入るわけでありますが、二と三の項は二つとも空文なんです。二の事項は馬主に対する制裁であります。三は騎手に対する制裁でありますが、この二号、三号というものはほとんどこれによって罰則を適用されたということを私たちも聞いておりません。それで一、二、三のこの三号ある中に、二号、三号が空文になっておる中にこの一項を挿入するということは、非常にこれが弱くなるのじゃないか。競輪その他におきましてはこういう二号、三号がありませんから、私はその一条によって非常に生きると思いますが、その点を私はお聞きしているのであって、その刑量においては競輪その他と同一刑量にせよ、こういう考え方に対しましては私はうなずけますけれども、この一、二、三号あります中で、今申し上げます二号、三号は空文化している。ほとんどこれは取締りを受けたことがない。その一項は削除されたから、その削除されておる中にこの一項が入るから非常に弱くなるんじゃないか、こういうことを私はお尋ねしているのであって、それによって果して十分取締りの場合に——川俣委員が申し上げたように、非常にこの取締りに対して問題になるじゃないか。その点からいって第三十条を適用した方がかえってはっきりするんじゃないか、こういうような点も実は私の方では考えられますので、この点を一つ将来十分取締りをやらなくちゃいけない、その法の目的を達しよう、こういうようにおっしゃる国、政府立場から、これに対するお考え方を私は聞いておるわけなんです。重ねて局長のこれに対する御答弁をお願いします。
  132. 原田伝

    ○原田政府委員 ただいま御指摘の点でございますが、一応考えといたしまして、かような取次ぎ業務というものを押えるのに三十条のような重い規定の中に罰則がある方がいいではないかということにつきましては、私どもとしてはしっかり取り締る点から申せばさような点もよくわかるのでありますが、何にいたしましても、同種の競技の競輪にいたしましてもボート・レースにいたしましても、実質的にこの三十一条と同程度の罰則を設けておりますので、これにつきまして特に競馬の場合は危ないのだということがない限りは、同程度の罰則が設けられることによりまして、大体均衡のとれた取締りが行われ得るのじゃないか。かつまたさようあるように努力をいたしたい、かように考えております。
  133. 稲富稜人

    ○稲富委員 それで三十一条でございますが、今度は三十一条のそれにはこの第一項をお加えになって、三十一条が非常に強いものになってくる。こういうことになりますと、実は第二号と第三号は先刻課長の言われましたように、非常に予防的な意味が入っている。この規定によって二号、三号に違反したからといって、片っ端から処罰されましたならば、馬主が非常に気の毒であるし、騎手というものが始終罰金を食わなければならなくなってくる。この三十一条に一項を加えることによって、三十一条の空文化している条項を強くなさいますと、今度は競馬というものが非常にまずくなってくる。その点の矛盾をどうされるかということなんです。この点一つ局長に承わりたい。この第三十一条の二号、三号は、第三十一条に一項を加えたからといって強力にこの三十一条を生かされますと、この二号、三号というものは予防的な意味があるのです。これが厳に取り締られますと常に馬主が罰金を食い、懲役に行き、騎手はしょっちゅう罰金を食い、懲役に行かなければならないということになってくる。これに対してはどういうお考えですか。
  134. 原田伝

    ○原田政府委員 ただいまの御指摘の点でございますが、率直に私の考えておるところを申し上げますと、今度設けられます三十一条の一号の罰則というものは、相当表にはっきり出る現象でございまして、現在の状態で、随所に看板をあげて競馬の馬券の取次業云々というような業務をやっております者がひっかかる、こういうことになるわけでございまして、この点につきましては違反の事実というものが非常に顕著でございまして、その顕著なものに対してこの新しく設けられます罰則は適用されることになるわけでございます。それに対しまして三十一条の二号等につきましては、先ほど先生御指摘のように、あの馬は怪しいということはいろいろ目にとまるわけでございますが、実際この罰則を適用するためには相当いわゆる証拠固めというものが必要になってくるのでございまして、その証拠がしっかりつかめた場合は、容赦なく二号の適用がある、こういうようなことになるのではないかと考えておる次第でございまして、この罰則ができまして一カ月たちましたあとにおきましては、現在のように取次業が至るところに看板をあげるという事実は防止できるのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  135. 稲富稜人

    ○稲富委員 そうするとこの処分の問題になるのでございますが、今川俣委員も言いましたように、大がいのみ屋なんかやるのは、競馬の厩舎その他には相当通じたのがやるのです。そうすると第二号あるいは第三号の場合は、事実上そういう問題があってもこれは予防的だということで処分をされなかったという問題がたくさん出てくる。そういう場合に、どこどこの問題はこういう事実があるにもかかわらず現に処分をされていないじゃないか、第一号だけが処分をされておる、こういう事実をあげてくる場合が出てくると私は思う。あなた方はただ目に見たばかりで、的確な理由は事実がつかめなかったのだということでお見のがしになりましても、内部を知っておる者は、将来的確な事実をとらえて、自分の犯罪を弱めるための資料に提供する場合があると思う。こういう場合に非常に混同されないかということを考えるわけなんです。それでその点を私は非常に心配するわけなんですけれども、これに対してはどういうふうにお考えになっておるか。私こういうくどい質問をするはずではないのですけれども、この点だけははっきり取締りをしておく必要があると思いますので、念のために一つ承わりたい。
  136. 原田伝

    ○原田政府委員 非常に実際的な点につきまして御指摘をいただきましたので、大へんありがたい教訓をいただいた感じがしております。この二号の問題につきましては、そういうことがあった場合いいのか悪いのかということになりますと、これはやはりいいことではない、悪いことだと言わざるを得ないわけでございますが、その場合におきまして、この二号のような事実が相当悪質に行われまして、放置できないという場合は、やはりこの罰則の適用を受けるのが正しいのじゃないか、かように考えておる次第でございます。一号の罰則ができることによりまして、こういう問題につきましていろいろ悶着が起きたり指弾を受けたりという御心配の点でございますが、そういう点につきましては、競馬の関係者に対しまして今後とも十分事前に注意をいたしまして、いろいろの物議をかもすことがないように自粛方をとりはからいたい、かように考えておる次第でございます。
  137. 稲富稜人

    ○稲富委員 では最後に締めくくりといたしまして、提案者にお聞きしたいと思いまするが、それでは第三十一条の二号、三号は、先刻課長からも答弁がありましたように、これはどこまでも予防的な精神を持った二号、三号であり、第一号の場合は、これは厳密に取り締るのだ、こういうような考え方を提案者はお持ちになっておる、こういう考え方で立法されたのだと、こういうふうに解釈してさしつかえございませんか。
  138. 江田三郎

    ○江田参議院議員 どうも私ども稲富さんほど専門家でないのでして、その辺のこまかいことはよくわかりませんが、要するに私どもとしましては、法律を作って罰則を作ったからといって、それで罪人を作るというのが目的ではないのでありまして、何かなしこういう悪いことをしてもらわないようにしてもらいさえすればいいのですから、そういう点は当局においてもよく考えて運用するだろうと考えております。
  139. 稲富稜人

    ○稲富委員 最後に提案者にお尋ねしたいと思いますが、この法律は交付の日から起算して一月を経過してから施行することになっております。大体法律は交付の日からこれを施行するのが常識でございますが、一カ月問の余裕を置かれたということはどういうわけであるか。いかにも現在行われている不正な行為を認めて、それを何か始末をする準備期間に一カ月間余裕を置いたような感じも受けますので、どういう理由でこれを一カ月遅らせて施行されるのか伺いたい。
  140. 江田三郎

    ○江田参議院議員 何にいたしましてもまかり間違うと三年以下の懲役や三十万以下の罰金になりますから、こういう法律ができたということをよく周知徹底しなければならないので、一カ月間の期間を置いているわけであります。
  141. 稲富稜人

    ○稲富委員 大体法律に対する問題はわかりましたが、せっかく農林次官がお見えになりましたから、農林次官にお尋ねしたいと思います。先日農林大臣は場外馬券を廃止するということを言われている。これは現在の競馬施行上、今日の場外馬券を廃止することは競馬経営は非常に困難な状態に立ち至ると思うのです。こういうことを軽々しくも農林大臣が言われるということは、非常に軽卒ではないかと思うが、どういう考えか。競馬をつぶす考えを農林大臣はお持ちになっているのか。農林大臣にお聞きしたかったのですが、あなたがおいでになったから、農林省としてはどういう考えをお持ちになっているかお尋ねしたい。
  142. 吉川久衛

    ○吉川政府委員 お答えいたします。農林大臣がそういうことを言われたとすれば、それは少し軽卒であったのではないかと思います。まことに遺憾でございます。問題は稲富委員の御指摘の通りでございます。
  143. 稲富稜人

    ○稲富委員 それからいま一つ。農林大臣は先日競走馬にはアラブ系統の馬を使わないようにしたいということを言われた。それがために直ちにアラブに非常に影響いたしまして、アラブの市場においては、アラブ系統の競走馬の価格が非常に安くなったという事例があるわけです。おそらく今日競馬におきましてアラブ系統のものを使わないということになりますと、ほとんど馬数が足らないで、中央競馬会等におきましては外国牡種の輸入をしなければならないという問題もありましょうし、今日ほとんどアラブを使用しております地力競馬のごときも、アラブを使用しないということになると経営ができなくなってくると思います。しかも今日農村におきまして農民が飼育しているのはアラブ系統の馬の生産が非常に多い。これも農林大臣が軽卒でありましょうがこういうことを言われているということでありますが、果して政府としてこういう考えをお持ちになっているかどうか。アラブの生産地等では一大恐慌を来たしておりますので、この点をはっきりあなたから御答弁願いたい。
  144. 吉川久衛

    ○吉川政府委員 私もこの問題については間接に伺ったのでありますが、ことに福島県のアラブの関係の方々からの陳情等も受けました。そこで大臣に質してみましたら、何か私的の友人との間においてサラブレットの競走が理想的に僕は思うというようなプライベートな話をされた、それが流布されてさような問題になったというように伺っております。これは御指摘のように、かりにそれが理想的であっても、突如としてさような取扱いをするということは妥当でないと思いますので、私はこれはほんとうにプライベートな話であって公的なものでないと御了解を願いたいと思います。
  145. 川俣清音

    ○川俣委員 競馬法というのは畜産奨励でできているのです。サラ系統奨励というようなことで競馬をやっているのじゃない。それはどっちなんです。聞き逃しできないですよ。
  146. 吉川久衛

    ○吉川政府委員 これは生産的な面と生産規制的な面と両方あるというように私は考えております。
  147. 川俣清音

    ○川俣委員 今までの説明は畜産奨励のためにこの競馬をやるのだとなっている。いわゆる競技用でない、競技が目的でなくして、奨励のために競技方法を使うのだというのが今までの建前です。あなたは今度は両建だ、ということになると法律を全部改正しなければならないと思いますが、そう思いますか。
  148. 吉川久衛

    ○吉川政府委員 主たる目的は畜産奨励であると思います。従たる目的と申しますか、これは私なりの説明ではなはだ恐縮でございますが、私はさように考えましても法の改正の必要はないと思います。
  149. 稲富稜人

    ○稲富委員 最後にこの際政府にお願いしておきたいと思いますのは、昨年われわれは競馬法を改正いたしまして、しかも競馬法改正により国営競馬が中央競馬会の主催になりまして、その当時農林委員会におきましても附帯項目をつけております。ところが実際の競馬を見ますと、農林委員会が決定いたしております附帯決議等もほとんど実施されてない。すなわち調教師あるいは騎手等の待遇について格段によくなったということを今も聞かないのであります。これは明らかに政府の監督不十分であると私は思う。これに対しては将来十分なる勧告をしていただきたい。さらに私たちは、現在の国営から民営に競馬がなるということは競馬の民主化であるということになり、その期待を待っている。競馬というものは御承知の通り非常に封建的なところでございます。しかも騎手並びに調教師の免許の権限を中央競馬会が持っているということは非常に弊害がある。当然これは国が免許の権限を持つべきものだ、こういうふうにわれわれは考えるのでございます。こういうことに対しましてもぜひ一つ御努力願いたいとともに、できますならばこれに対する具体的な政府としての考え方も、この際承わっておきたい。この点だけを特にこの機会にお尋ねいたしまして私の質問を終りたいと思います。
  150. 吉川久衛

    ○吉川政府委員 御案内の通り私競馬に関しては稲富委員のような造詣を持っておりませんので、ただいままで教えていただきましたことは非常にとうとい私には参考になりましたので、御指摘の点を尊重いたしまして十分これから勉強さしていただき、検討をいたしたいと思いますから、御了承を願います。
  151. 川俣清音

    ○川俣委員 今私に対する答弁中、主たる目的は畜産であって、従たる目的は競技である、こういうふうに御答弁になりましたが、これでよろしいかどうか御研究の上であらためて御答弁願いたい。そういたしませんと、現在の中央競馬会には国が資産を貸しておるのですから、これは大へんな問題になります。理屈はどうあろうとも、国が一つの競技に国の財産を貸すというようなことになりますと、大へんな問題になります。非常な問題を起しますから、従って私は改正の必要があるのじゃないかということを申し上げたのです。軽卒に御答弁になったのじゃないかと思いますけれども、一応注意だけを促して答弁を保留しておきます。
  152. 吉川久衛

    ○吉川政府委員 川俣委員の御質問、御注意……。(川俣委員「注意じゃない」と呼ぶ)十分勉強をいたしまして……。(川俣委員「勉強じゃ済まぬですよ。速記録に載っているから取り消しなさい」と呼ぶ)あらためてお答えをいたします。
  153. 助川良平

    ○助川委員 先ほど稲富委員からアラブ問題で御質問が出まして、政務次官からお答えがございましたので、あえてつけ加える必要がないわけなんですが、次官も福島の生産者の方から強い陳情を受けられて、アラブの問題についての大臣の放言が、生産者に対して非常に大きな悪影響を及ぼしておるということは、十分に御承知のわけでございます。それで現在におきましてもまだまだ、アラブ生産者の農家の方々に聞きますと、アラブの今後の問題について非常に深い心配をしておる現状です。それで大臣のそうしたプライベートの発言そのものによりましてさえ、アラブ生産者にこれだけ大きな悪影響を及ぼすほどに力が強いわけでございまして、そうした問題を、ただここで次官がそれだけ御答弁なすっただけで、了承するわけにも参らないと思う。それで一つ、大臣がそうしたプラィベートな発言、中央競馬会自体がアラブの購買を中止するというような発言までするようなことでは相ならぬから、中央競馬会の監督者としても、もっと強い態度で競馬会の運営について目を注いでいただきたい、強くこれはお願いをしておきたいわけでございます。  さらに次官にお願いしたいことは、こうした生産者の不安を解消するために、生産者あるいはこうした競走馬に対する購買関係の業界の人たちに、アラブ事業についてはさらに今後とも畜産奨励の競馬会法の基本的な目的に従って、一そうこれを充実するというふうな強い態度を決定していただきたい、そのようにお願いをいたします。
  154. 吉川久衛

    ○吉川政府委員 今の生産性の関係を将来慎重に考慮するつもりでございます。サラブレッドも、アラブにつきましても、馬の改良、増殖に役立つものと考えておりますから、ただいま福島県の生産者の皆さんの御心配になっているような点は、ただいまのところ私ども御心配なさらなくともいいように考えております。
  155. 稲富稜人

    ○稲富委員 さっきの私の質問に答弁がありませんでしたので、実は先刻お尋ねしました調教師、騎手の免許制度の問題、これは中央競馬会がこの免許制度を持っておりますので、非常に弊害がありまして、感情的に免許をやるとかやらないとか、あるいは自分の意に沿わない者は、お前はこれをしなければ免許をやらないぞ、こういうようなことで騎手を脅かしておるのです。騎手に言わせると、その試験官が一番おそろしい。そこに一番影響がある。免許の権限は当然国が持つべきだと思うのですが、これに対して政府はどういう考えを持っておられるか。やはりそういう団体に免許の権限を持たしておくのが妥当であるとお考えであるか。将来これはやはり国が免許の権限を持つべきものである、こういうような考え方をもって改正でもしようというお考えであるか。この点さっきお尋ねしたのですけれども、御答弁がありませんでしたので、もう一ぺんお尋ねしておきます。
  156. 原田伝

    ○原田政府委員 ただいま御指摘の騎手、調教師の免許制度でございますが、昨年日本中央競馬会法案も御審議を終りまして、その結果競馬会が免許をいたすという制度ができまして、自来制度の運用につきまして私ども指摘のような弊害が起きては相ならぬという考えから、十分に気をつけて参ったのでございますが、遺憾ながら御指摘のような事実がないということを申し上げ切れない事態もございますので、その原因につきまして十分に事務的な面その他につきまして研究をいたしまして、やはりあの制度ではうまくいかないという結論を得ました場合は、それに対してたとえば国が免許をいたすというようなことについても考えなければならない、かように考えて一生縣命に研究をいたします。
  157. 綱島正興

    綱島委員長 大森委員
  158. 大森玉木

    ○大森委員 簡単に一言お尋ねしておきたいと思います。今の競馬法の改正についてでありますが、この罰則の件でありますが、「勝馬投票券の購入の委託を受け、又は財産上の利益を図る目的をもって不特定多数の者から勝馬投票券の購入の委託を受けた者」こうある。これは一つの看板をかけたところに対しての処分である。しかしこれをそこに買いに行った者に対しては、処分をいたすのかいたさないのか。違反は一人では起きるものではない。選挙違反のごときもやはり買収した者と買われた者両方が処罰を受ける。でありますからこの点を提案者である参議院の委員長にお尋ねいたします。
  159. 江田三郎

    ○江田参議院議員 その点につきましては、私どもこの法律改正案を出します前に、他の競輪やモーター・ボートあるいはその他のものをいろいろ検討いたしましたところが、いずれも今改正案に出しました内容に似ておりますので、それと同じようなものにいたしたわけでございます。
  160. 大森玉木

    ○大森委員 それは他の立法にならって出したということを仰せられますが、目的はどこにあるのであるか、これをなくすることが目的なのか、でありますればやはり買いに来る者があるから売るということになる。こういうことも考えなければならぬのじゃないか、他の立法がこうできておるからそれでよろしいのだというふうにやられたということは、私はどうも受け取れない。さらにまた、あまりくだらぬことを長々お尋ねいたしたくないのですが、次には局長にお尋ねをいたしたい。それは今大臣が言われた点が法的に根拠がないことだと思うのでありますけれども、地方競馬におきましては土曜、日曜という二日に限って、あとは競馬をやってはならない、こういうことが言われておるのであります。これは何か法的な根拠があってこういうことを言っておられるのかどうか、この点をちょっと承わりたい。
  161. 原田伝

    ○原田政府委員 ただいまお尋ねの、競馬の開催日を土曜、日曜——実際はさらに休日を含めてございますが、それに自粛せしめるという問題でございますが、地方競馬につきまして、さようなことを強制する法的根拠はございません。
  162. 大森玉木

    ○大森委員 法的根拠がなくて自粛せしめる、そうすると、地方におきましては、土曜、日曜の二日の間に雨が降りますと、その競馬を一回やるために、今度はまた次の土曜、日曜まで待つことになる。そのときにまた雨が降ったということになるとどういうことになるか。こういうことが計算に入れられて、自粛せよと言っておられるのかどうか。こういうことは地方で競馬をいたしておる者といたしまして、まことに困難な問題だと思う。それでこの点に対して明確な答弁を願いたい。それはやってはいかぬのだ、自粛しなけでばならぬと仰せになるのか。ただいま申し上げたように、雨でも降った場合にはどうにもならない。こういうような事態を次の土曜、日曜まで持っていくということになると、その間遊んでおることになる。こんな不経済なものはない、また非能率的のものはない。この点について承わりたい。
  163. 原田伝

    ○原田政府委員 ただいま御指摘の点は、実情といたしましてまことにやむを得ない場合であると考えますが、さような場合に翌日に競馬開催が回ることはやむを得ないものとして了承いたしております。
  164. 大森玉木

    ○大森委員 そこで大体一回の競馬を六日間と今日まで日がきめられておったようであります。これを一回を大体三日間ということにならないかどうか。三日であれば、大体一日か二日休んで、そうして一週間か十日くらいの間に、その競馬の開催日がそれで完了いたします。そういう方法にならないかどうか、この点を承わりたい。
  165. 原田伝

    ○原田政府委員 ただいまのお話の点でございますが、地方競馬の一回の開催日数は六日以内ということになっておりますので、競馬の主催者の都合によりまして、それを三日で打ち切るということは差しつかえない、かように考えます。
  166. 大森玉木

    ○大森委員 私の申し上げた言葉が足りなかったかもしれぬが、三日で打ち切るというのではなく、六日間を二つに割って、三日継続してやって、何日かおいて、また次の土曜、日曜にかけて三日やるということにはならないかどうか。これは地方といたしましては大きな問題です。私も、地方でやっております。県の競馬ですが、しかしながらそのためにこの間雨が降ったところが、もうそれがやれない。やれないとすると、一つの六日間の競馬をやるために十四、五日もかかるようなことがあったら経済的にも大へんなことになる。これはでたらめな放言であるということを私は指摘いたしたい。この点を明確に答弁を願いたい。
  167. 原田伝

    ○原田政府委員 競馬の開催を土日、休日に自粛していただくという考え方でございますが、この考え方そのものは、やはり事情の許す限りこれに沿っていただきたいというふうに考えておるわけでございます。ただ、ただいまもお話がございましたように、特に地方の場合につきましては、地方的ないろいろな事情がございますので、そういう事情を無視して、何でもかんでも機械的にこうだということを申し上げるのは実情に合わないのではないか、かように考えまして、この実際の施行方法といたしましては、いろいろな地方の事情によりまして若干取扱いの区別をいたしまして、たとえば他の競馬なり競輪等とかち合って参りますために、その通りやり得ないというものもございます。そういうような場合につきましては、あまりこれを窮屈にいたすことは実情に沿わない。従って、かえって励行がされがたい。こういう点もございますので、そういうような地方的なやむを得ない事情があります場合は土曜、日曜を中心にいたしまして、その前なりあとなりに平日を一日置いて、但しその平日はやはり自粛していただいて午後の開催にしていただく、かような措置をとっておる場合もございます。あとは個々のその地方の事情によりまして、そういう点をできる限り自粛の趣旨に沿い、かつ地方の実情から見ましてやむを得ない場合は、無理にしいるわけに参らぬ、かような考えであります。
  168. 大森玉木

    ○大森委員 それではお伺いいたしますが、日曜と土曜である、そしてまた次の日曜、土曜まで待つ、こういうことは何から割り出した自粛でありましょうか。卑近な例でありますが、一つの例を申しますと、それならばそれらに類似したところの、あるいはパチンコやいろいろなものがありますが、これは土曜、日曜と一体制限しておりましょうか。あなた方はどうかというと、土曜、日曜は休みだ、そこでその人が競馬に行く、そうでなければ、土曜でないときは、仕事日に行くことはいかぬというのがあなた方のお考えでしょうが、そういうことはしろうと考えです。あなた方は役人ですが、局長どうでありましょうか。きょうは土曜、日曜だからおれは馬券買いに行こうというようなことをあなた方は考えておられる。だから、どうも当らぬような自粛をやれということは、かえってそのために弊害を来たすんじゃないか。自粛ということは、何かこの点に対して非常に大きな弊害が伴う、であるからこれを自粛せよというならばわかるけれども、私どもの考え方から申しますと、かえってそのために、自粛のために弊害が多くなるということを私は考えるのでありますが、もう一応お答えを願いたいと思います。
  169. 原田伝

    ○原田政府委員 これは競馬だけでございませんで、競馬、競輪等の自粛の問題でございますが、この方針は、去る一月十一日に閣議の申し合せによりまして立てた方針でございまして、私どもその閣議の申し合せの趣旨を伺っておるという状態でございますが、ただいまお話のように、土曜、日曜あるいは休日というものに自粛することが適当だという理由は、やはりこれは一般の国民全体としての休日にさような催しを行うことが適当である。他のいわゆる平日においては勤労意欲というものに大へん支障を来たすから、そういう日は避けることがよろしい、こういう御趣旨であると拝承いたしたわけであります。
  170. 大森玉木

    ○大森委員 最後に。やっていかぬのならば、これは競馬全体を中止する、こういうふうにやったらいかがでしょうか。なま殺しにしておくようなことをすると、やっておる人も非常な迷惑をする。私どもの地方では雨が降ってしょうがない、そのために何回となく失敗をいたしておる。馬券を買おうとする人が、途中で雨が降って戻ってできなくなったということで、かえってその人の時間を費す。そして決して効果が現われておらぬ。だから競馬というものがやっては悪いならば、そういうなまはんかなことを言っておらぬで、また今の法律も、作るならば、買う者も売る者も罰するということを徹底しなければ、そんなものを作っても何にもならない。隠れてやっているものはずっと前からある。競馬ののみ屋というものは、つかまれば非常な大きな罰則を食うことに今までなっておる。これは詐欺の一つとして今までつかまされた例がずいぶんある。私ども何十年先から知っておる。これはどうしても絶えない。今ああいう店を張ってもつかますことができないという弱い取締りになったから、こういう法律まで作らなければならぬというのでありますが、法律を作りましても、取締りの衝に当る人たちが緩慢であれば何にもならない。今あらためて聞いておきますが、両方罰する気持はないかどうか。さらにまた私どもの地方においては、土曜、日曜の場合は、月曜とかあるいはその前日とか、祭日とか、そういうものが入れば申し分はないのでありますけれども、特殊事情のところはその一日は差しつかえないというようなお考えは当局にはありませんかどうか。これをはっきり答弁願っておきたい。
  171. 吉川久衛

    ○吉川政府委員 大森委員の御質問は、むしろ大臣からお答えしなければならないような問題でございますので、私では不十分ではございますが、私からお答えさせていただきます。  これは法律に規定してある問題ではございませんので、いわゆる閣議で競馬、競輪等の問題について自粛を決議いたしております。そういう関係でございますから、絶対的な問題ではございませんので、農林省としては競技の主催者側と十分話し合いをいたしまして、足並みをそろえて、自粛の決議協力していただくというやり方をただいまやっております。この運用の結果によっては、あるいは今後是正すべき問題があれば是正しなければならないと思いますが、これは主催者側と十分話し合いまして、大森委員の御心配になっておいでになるような点を何とかして調整をとっていきたいと考えておりますから、どうぞ御了解を願いたいと思います。
  172. 江田三郎

    ○江田参議院議員 罰則で両方罰するようになぜしないかということを重ねてお尋ねがございましたが、これは大森さん御承知のように、競輪の方も車券ののみ屋が引当ございましたが、一方だけ罰するという罰則ができまして、これによりまして大体この目的を達したように思いますので、私どもはまあ大体一方だけで目的を達するんではないかと考えております。あるいは甘過ぎるかもしれませんけれども、さようなことでございます。
  173. 綱島正興

    綱島委員長 もう御質疑はございませんか。   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
  174. 綱島正興

    綱島委員長 これで質疑を打ち切ることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  175. 綱島正興

    綱島委員長 それではこの際ちょっと速記を一時やめまして、この席で理事会開きます。   〔速記中止〕
  176. 綱島正興

    綱島委員長 速記を始めて。  この際討論を省略いたしまして、ただちに採決いたしたいと思いますが、御異議はございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  177. 綱島正興

    綱島委員長 御異議なしと認め、競馬法の一部を改正する法律案について採決をいたします。  本案に賛成の諸君の御起立を求めます。   〔総員起立〕
  178. 綱島正興

    綱島委員長 起立総員。よって本案は原案の通り可決すべきものと決定いたしました。  なおお諮りをいたします。本案に関する衆議院規則第八十六条の規定による報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  179. 綱島正興

    綱島委員長 御異議なしと認め、さように決定いたしました。     —————————————
  180. 綱島正興

    綱島委員長 次に、去る五月三十日の水産に関する小委員会において、水産業協同組合法の改正案について、一応の成案を決定になっておりますが、本件につきましては、水産に関する小委員長より小委員会経過及び結果を報告いたしたいとの申し出がありますので、この際これを許します。水産に関する小委員長鈴木善幸君。
  181. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 水産業協同組合法の一部改正につきまして、水産に関する小委員会における調査の経過及び結果等について御報告申し上げます。  ただいま委員各位の御手元に配付いたしてあります水産業協同組合法の一部を改正する法律案は、昨年農業協同組合法を改正して農業協同組合による共済事業の拡充を見たと同様の趣旨によりまして、今般水産協同組合共済会の事業の拡充をはかるとともに、全国を地区とする漁業協同組合連合会の事業に関する規定の一部を改正して漁民生活の安定に資せんとすることがその趣旨であります。  昨年第十九回国会におきまして、農協法の改正以来、農村と相隣接せる漁村の関係あるいは漁業協同組合農業協同組合との関係からして必然的に漁民の強い希望となり、国会に対してもあるいは委員会に対しても請願または陳情等として強く要望されて参った次第でありまして、これが実現方法につきまして、小委員会において鋭意検討を重ねた結果、去る五月三十日の小委員会において全会一致意見として法律案を起草いたした次第であります。  以下これが内容について簡単に御説明申し上げます。  まず第一点は、水産業協同組合法第六章の二水産協同組合共済会の規定の改正でありまして、従来の共済会は第百条の二の設立の目的及び第百条の四事業の規定に明らかなるがごとく、事業の用に供する建物等物件だけについて、災害による損害を相互に救済することを目的としていたのでありますが、今回は先に述べました通り、農協法の改正と同様の趣旨によりまして事業の拡充を可能ならしめるとともに、第百条の十として新たに共済規程なる条文を設け、事業の種類別に、その実施方法あるいは共済掛金等の重要事項については共済規程で定め、行政庁の認可を受けることにいたしたほか、条文の一部整備をはかった次第であります。  第二点といたしましては、同法第八十七条漁業協同組合連合会の事業の種類の規定中特に全国を地区とする連合会の事業に対しまして、去る昭和二十七年第十三回国会において、特定の四つの経済行為について当分の間農林大臣の認可を要することに制限して参ったのでありますが、其の後の経過あるいはこの種法令との関係等にかんがみまして、この際農協法と同じくこの規定を廃止することにいたした次第であります。  なお今回の改正実施に当っては予算は必要といたしません。  以上が小委員会において起草いたしました改正案の趣旨でありますが、これが取扱いにつきましては、委員長において委員各位の御了解を得て委員会提出法律案としてお取り運び下さいますよう特に希望いたしまして、御報告を終る次第であります。
  182. 綱島正興

    綱島委員長 ただいまの件につきまして質疑または御意見等がございましたら、これを伺うことにいたします。
  183. 足鹿覺

    足鹿委員 ただいまの水産業協同組合法の一部を改正する法律案の小委員長報告を聞いたのでありますが、御趣旨はよくわかるようでありますが、現在当委員会においては、御存じのように農業及び漁業災害補償制度に関する小委員会を設けまして、農業並びに漁業に関する災害補償制度の検討を続けておるのであります。先週の土曜日にも小委員会開きまして、まだ漁業問題には触れるいとまがありませんが、これらの点についても十分検討を進める用意のあることは、委員各位にも、私小委員長として申し上げておきます。このような御計画があることはよく存じておりませんでしたので、御趣旨をさらに詳細に、私どもの小委員会においてもお聞かせを願いまして、万遺憾なきを期したい。特に農業関係におきましては、若干事業の競合等で、同一農業団体の中にも必ずしも歓迎のできない事業競合関係等も起きて、紛争を起しておる事態もございますし、これらとも十分にらみ合せて慎重な検討をしてみたいと思いますので、さように委員長においてお取り計らいを願いたいと思います。  以上、希望を申し上げておきます。
  184. 綱島正興

    綱島委員長 ただいま農業及び漁業災害補償制度に関する小委員長足鹿覺君から、右の小委員会において水産に関する小委員長報告に関する件をいま一応具体的に検討してみたいからという御意見がございましたが、これは一応両小委員長で御協議の上しかるべく進行方お取り計らいの上、その結果を本委員会に御報告を願うようにいたしましたらいかがでございましょうか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  185. 綱島正興

    綱島委員長 御異議なければ、さように決定いたしたいと存じます。     —————————————
  186. 綱島正興

    綱島委員長 この際理事補欠選任についてお諮りをいたします。委員の異動に伴い、理事が一名欠員になっておりますので、その補欠委員長において指名いたすことに御異議はございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  187. 綱島正興

    綱島委員長 御異議なしと認めまして、足鹿覺君を理事に指名いたします。  明日は午前十時半より理事会、十一時より本委員会開きます。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十九分散会      ————◇—————