運営者
Bitlet
姉妹サービス
kokalog - 国会
yonalog - 47都道府県議会
nisalog - 東京23区議会
serelog - 政令指定都市議会
hokkaidolog - 北海道内市区町村議会
aomorilog - 青森県内市区町村議会
iwatelog - 岩手県内市区町村議会
miyagilog - 宮城県内市区町村議会
akitalog - 秋田県内市区町村議会
yamagatalog - 山形県内市区町村議会
fukushimalog - 福島県内市区町村議会
ibarakilog - 茨城県内市区町村議会
tochigilog - 栃木県内市区町村議会
gunmalog - 群馬県内市区町村議会
saitamalog - 埼玉県内市区町村議会
chibalog - 千葉県内市区町村議会
tokyolog - 東京都内市区町村議会
kanagawalog - 神奈川県内市区町村議会
nigatalog - 新潟県内市区町村議会
toyamalog - 富山県内市区町村議会
ishikawalog - 石川県内市区町村議会
fukuilog - 福井県内市区町村議会
yamanashilog - 山梨県内市区町村議会
naganolog - 長野県内市区町村議会
gifulog - 岐阜県内市区町村議会
sizuokalog - 静岡県内市区町村議会
aichilog - 愛知県内市区町村議会
mielog - 三重県内市区町村議会
shigalog - 滋賀県内市区町村議会
kyotolog - 京都府内市区町村議会
osakalog - 大阪府内市区町村議会
hyogolog - 兵庫県内市区町村議会
naralog - 奈良県内市区町村議会
wakayamalog - 和歌山県内市区町村議会
tottorilog - 鳥取県内市区町村議会
shimanelog - 島根県内市区町村議会
okayamalog - 岡山県内市区町村議会
hiroshimalog - 広島県内市区町村議会
yamaguchilog - 山口県内市区町村議会
tokushimalog - 徳島県内市区町村議会
kagawalog - 香川県内市区町村議会
ehimelog - 愛媛県内市区町村議会
kochilog - 高知県内市区町村議会
fukuokalog - 福岡県内市区町村議会
sagalog - 佐賀県内市区町村議会
nagasakilog - 長崎県内市区町村議会
kumamotolog - 熊本県内市区町村議会
oitalog - 大分県内市区町村議会
miyazakilog - 宮崎県内市区町村議会
kagoshimalog - 鹿児島県内市区町村議会
okinawalog - 沖縄県内市区町村議会
使い方
FAQ
このサイトについて
|
login
×
kokalog - 国会議事録検索
1955-05-11 第22回国会 衆議院 農林水産委員会 第10号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
三十年五月十一日(水曜日) 午前十時二十七分
開議
出席委員
委員長
綱島
正興君
理事
井出一太郎
君
理事
鈴木 善幸君
理事
中馬 辰猪君
理事
稲富
稜人君
赤澤
君正道君 安藤 覺君
五十嵐吉藏
君 伊東 岩男君
楠美
省吾君
笹山茂太郎
君 野原 正勝君 足立 篤郎君 大野 市郎君
助川
良平
君
田口長治郎
君 松野 頼三君
赤路
友藏
君
有馬
輝武
君 淡谷
悠藏
君 井谷 正吉君 石田 宥全君 楯 兼次郎君 芳賀 貢君
伊瀬幸太郎
君 川俣 清音君 佐竹 新市君 中村 時雄君 日野 吉夫君 久保田 豊君
出席政府委員
林野庁長官
柴田 栄君
水産庁長官
前谷 重夫君
委員外
の
出席者
参 考 人 (
日中漁業協議
会中国派遣代表
団副
団長
)
山崎喜之助
君 参 考 人 (
日中漁業協議
会中国派遣代
表)
高橋熊次郎
君 参 考 人 (
日中漁業協議
会中国派遣代
表)
谷村
高司
君 専 門 員 難波 理平君 専 門 員 岩隈 博君 専 門 員 藤井 信君 専 門 員 徳久 三種君 ――
―――――――――――
五月十日
委員有馬輝武
君
辞任
につき、その
補欠
として足
鹿覺
君が
議長
の
指名
で
委員
に選任された。 同月十一日
委員足鹿覺
君
辞任
につき、その
補欠
として
有馬
輝武
君が
議長
の
指名
で
委員
に選任された。 ――
―――――――――――
五月十日
畜産物価低落
に対する
対策確立
に関する
請願
(
助川良平
君
紹介
)(第五一〇号)
菱太良土地改建
区連合の
県営土地改良事業促進
に関する
請願
(
池田清志
君
紹介
)(第五五六 号) の審査を本
委員会
に付託された。 ――
―――――――――――
本日の
会議
に付した案件
漁業
に関する
日中両国
の
民商協定
に関し
参考人
より
説明聴取昭和
三十年度
農林水産関係予算
に 関する
説明聴取
――
―――――――――――
綱島正興
1
○
綱島委員長
ただいまより
会議
を開きます。 本日はまず
漁業
に関する
日中両国
の
民間協定
について
参考人
の
説明聴取
を行います。御承知の
通り
去る四月十五日
日本国
の
日中漁業協議会
と中華人民共和国の
中国漁業協会
との間に
黄海
、
東海
の
漁業
に関する
協定
が
締結
せられたのでありますが、幸い本
協定
の
締結
に当られました
日中漁業協議会
の
山崎喜之助
君、
高橋熊次郎
君、
谷村高司
君の御
出席
を得ましたので、この
機会
に本
協定
の
締結
に至りましたいきさつ並びに本
協定
の
内容
について御
説明
を願いたいと存じます。 なお本
協定
は、いわゆる
民間協定
でありまして、今後になお幾多の問題が残されておると思うのでありますが、さらにまた他の海域における類似のケースも今後生ずることなども予想されますので、これらの点についての
業界
の御
意見
をもあわせて御開陳願えれば、当
委員会
の
わが国水産業
に対する基本的な
方針
の策定に寄与するところ大きいのではないかとも考える次第であります。
参考人
のお方は、この点も御
考慮
を願っておきたいと思います。 それではこれより順次御
意見
を承わることにいたします。時間の
関係
もありますので、
山崎参考人
に三、四十分間お願いいたし、その余の方から
補足説明
を願ったり、
質問
に応じてお答えを願ったりする方がよかろうかと存じますので、さようお含みをお願いいたします。 それでは
山崎喜之助
君。
山崎喜之助
2
○
山崎参考人
山崎でございます。貴重なこの機会を与えていただきましたことを感謝いたします。簡単に
民間漁業協定
の
内容
について御報告を申し上げたいと存じます。
日中漁業協議会
から選任されたわれわれ
漁業代表
は、一月八日羽田を出発し、十日北京に到着、三カ月余滞在して、
中国漁業協会代表
との間に日中
漁業
問題に関する
交渉
を行い、四月十五日調印を終り、十九日帰国いたしました。以下
交渉
の
経過
と
協定
の概要を御報告申し上げます、 順序といたしまして、
日中間
の
漁業
問題の概要を御紹介いたしておきたいと思います。 一、
昭和
二十九年十二月末、
東海
、
黄海
における
日本
の
機船底
びき
網漁業
の概況、
機船底
びき
網漁船
七百八十一隻、五万八千六百八十九トン、
トロール漁船
五十八隻、二万九百三十トン、合計八百三十九隻、七万九千余トンとなっております。
年間漁獲
、
昭和
二十九年二十九万二千トン、この価格約百五十億円、前年
昭和
二十八年度の
漁獲
二十七万二千トン余でありました。同じ
期間
における
昭和
二十九年十二月末の
東海
、
黄海
における
中国
の
機船底
びき
網漁業
の概況、
機船底
びき
網漁船
二百八十七隻、このほかに目下建造中のもの四十四隻、
トロール漁船
四隻、合計三百九十一隻、二十九年中の
漁獲
十一万五千九百トンであります。 次に
中国
の
沿岸漁業
の概況、
中国側
の発表によれば渤海、
東海
、
黄海
における
中国
の
沿岸漁業
の
漁獲高
は約六十三万トンといっております。渤海から
黄海
、主としてこういう
沿岸
でございます。われわれの推定はこれよりももっと多くの
漁獲
があるであろうと思っております。なおその大部分は
機船底
びき
網漁業
の
漁獲
の
対象
となる底魚であります。 この
漁業交渉
のきっかけは、昨年ここにおられる
田口先生
あるいは参議院の
松浦先生等
が参加されました
国会議員団
が、
中国
の
周恩来総理
に要望されたことを契機といたしまして
交渉
が行われたものであります。
日本側
は昨年十一月に
漁業関係
七団体の参加のもとに、
日中漁業協議会
を設立いたしまして、
交渉団体
といたしました。
中国側
はこれにこたえて
中国漁業協会準備会
を設立し、
交渉
の最後の過程においてこれを正式に
中国漁業協会
といたしました。これに先んじまして、
昭和
二十七年
民間団体
の
日中漁業懇談会
、並びに
昭和
二十八年
漁業者
の
村山佐太郎
氏が、
中国
の紅十字会の
趙安博
氏と会見してこの問題を話し合っております。なお
昭和
二十九年の初めに、
全日本海員組合
から、
中国
の全体的な
労働団体
である全国総工会に対して、諸種の要請を行なっておるものであります。
日本代表
は十一名でありました。その選出の内訳は、底びき
漁業者
六名、全漁連一名、
海上労働者
五名、
陸上労働者
一名、ほかに随員五名、合計十四名の
代表団
でありました。
団長
は七
田末吉
氏でありました。
中国側
は
代表
は十名でありましたが、中途で二名が欠員となりました。その内訳は前の
水産管理
総局長、
地方水産局長
、
海上労働者代表
各一名、
青島及上海
の
国営水産公司
の社長各一名、
中国漁業協会幹部
四名、
代表
兼顧問として、昨年の
秋中国紅
十字
会代表
として来朝したことのあります
趙安博
氏が同じく参加いたしました。
団長
は楊煜という人でありました。
会談
の
経過
をかいつまんでお話し申し上げます。
日本側
は先ほど申し上げました
日中漁業協議会
、
中国側
は
中国漁業協会
がそれぞれ
代表
となって
協議
をいたしました。この
協議
の
対象
となる
漁業
は
機船底
びき
網漁業
を限ったものでありました。この
交渉
は九十五日間行われ、最初の四十五日は
双方
の
主張
が対立いたしておりました。中の十五日は、
協定成立
のための協力について
考え方
を
双方
に近寄せるということの結果を得た
期間
でありました。最後の三十六日間は具体的問題の
協議
と
協定書等
の作成及び
調印等
に要した日取りであります。このために正式な
協議
を十回行いまして、いろいろの形式を整えました。そのほか
委員会
及び私的な小
会合等
、全体を通じて約百回会合を行いました。
交渉
の
内容
につきまして、
日本側
は、過去の問題の
解決
と将来の問題の
協定
、この二つが大きな
目的
でありました。その結果といたしまして、将来の問題を
協定
したのであります。過去の問題は
解決
を見るに至りませんでしたが、
日本代表団
といたしましては、
中国政府
に対する
書簡
をもって懇請いたしまして、具体的な
解決
の方法及び時期を待つことといたしました。このたびの
協定
の
協定期間
は本年の六月十五日から来年の六月十四日まで、満一カ年間が
有効期間
であります。
協定書
は十一条からなる本文と、
四つ
の
付属書
によって形成されております。このほかに
備忘録
の
交換
、
書簡
の
交換
、ほかに七
田団長
から
中国政府
に対する
抑留船釈放
の要請の
書簡
、こういったものが形式的に残るものであります。この中で
備忘録
は、
中国側
の強い要望が
協定
の中に盛られなかった問題を、
双方
がその
主張
と
経過
を述べ合ったものであります。
往復書簡
は
協定外
の
水域
――この線からこちらが
協定
の
水域
で、これからこちらが
協定外
の
水域
であります。この
協定外
の
水域
について
中国政府
の意を体した
中国漁業協会
と
代表団
との
交換
往復した
書簡
であります。次に七
田団長
の
中国政府
に要請する
書簡
は、先ほど申しました
日本抑留船
の釈放に対する要請の
書簡
であります。
会議
の
経過
をいま少し詳しく申し上げたいと思います。一月十三日、
日本側
は
四つ
の議案を提出いたしました。それは、一、
東海
、
黄海
における
日中両国漁船
の
平和操業
に関する問題、二、過去の事件の
解決
に関する問題、三、
海難防止
と
人命救助
に関する問題、四、
漁業資源保存
のための研究及び資料の
交換
に関する問題、以上であります。 一月十七日、
中国側
は
三つ
の
議題
を応諾いたしました。それは、一、
東海
、
黄海
の漁撈に関する問題、二、
海難防止
と
人命救助
に関する問題、三、資料の
交換
及び
資源
の
共同調査
に関する問題。 一月十九日、
日本側
は
中国側
が前回提出いたしました
三つ
の
議題
について
話し合い
を進めることに同意し、その際この
三つ
の
議題
を話し合うことに上って、残された一つの問題、すなわち過去の事件の
解決
に関する問題も自然と
解決
を促進できると思うという旨を述べておきました。これに対しまして
中国側
は、
中日両国
の
漁業
問題を
解決
するには今後の問題を
解決
することがまず先である、今後の問題を
解決
するのが主であると答えました。なお
日本代表
の質問に対して
中国代表
は、
双方
の間で
中国
が提出した
三つ
の
議題
について
話し合い
がまとまれば、今後
拿捕事件
のごとき紛糾は起らないものと思うと答えました。 一月二十二日、
中国側
からさきに
提案
を示しました。一、このたび話し合う
漁区
には次の地域は含まれない。それは
中国政府
の規定した
機船底
びき
網漁業禁止区域
――二つあるのですが、この点線、これが昨年の七月まで
中国
が実施しておった
中国
の
機船底
びき
網漁業禁止区域
であります。その後われわれが行きましてから
中国側
が示した
機船底
びき
網漁業
の
禁止区域
と称するものは、この辺からこの線でございます。この
機船底
びき
網漁業禁止区域
、それから
舟山群島
の
軍事航行禁止区域
、及び北は
鴨緑江
の河口から南は
山東高角
から外十二海里に線を画した以西の
軍事警戒区域
――舟山島の
軍事航行禁止区域
というのは、この大きい線の内側にございます。それから
鴨緑江河口
から
山東高角
に至る外十二海里、これはここからこちらでございます。及び
軍事作戦区域
である北緯三十九度
以南
、これから南でございます。台湾はこの辺にございます。軍事的な
区域
が
三つ
と
漁業
の
区域
が一つ、これはこのたび話し合う地域に含まれないと
主張
いたしました。そうして
会談
の
原則
は、
中日両国漁業界
の
友好増進
、
平等互恵
、
平和共存
の基礎に立って合理的に
漁場
を利用し、
両国人民
の
漁獲物
に対する需要を満たし、
資源
の枯渇を防ぎ、紛争の発生を避け、一方が
東海
、
黄海
の
漁場
を独占しようとする行為を防ぐことであるといって、この五つの具体的な
目的
を述べたのであります。そうしてこの
目的実現
のために、
中国沿岸
に連なる
漁場
は、まず
中国
の
利益
を考慮し、同時に
日本
の
利益
を考慮に入れ、次に
日本
の
沿岸
に連なる
漁場
は、まず
日本
の
利益
を考慮し、同時に
中国
の
利益
をも考慮に入れるべきである。このために
東海
、
黄海
の
漁場
を適当な
区域
に分け、
漁獲量
と
漁船
のトン数を確定すべきである。もし
日本代表
がこの
原則
に賛成ならば、次の
会議
に具体的な
提案
をする、このように述べたのであります。その具体的な現われは、こういうことであります。
中国
がまず
中国
の
利益
を先にして次に
日本
の
利益
を考えるというのは、この青線からこういうふうになってこうなっております。この線は東経百三十四度でございます。それからまず
日本
の
利益
を先に考慮し、次に
中国
の
利益
をというのは、東経百二十五度から東、この
区域
であります。そうして、中間のこの
漁区
は
日中両国
が平等にここで
漁獲
をするのだ、両方に開放されておるのだという
考え方
であります。これに対しまして
日本代表
は、
中国沿岸
に
資源保護区域
を設定して、この
区域
内では
中国
及び
日本双方
の
機船底
びき
網漁船
の操業を抑止する、そういうことを
内容
とした
日本案
を提示したのであります。それはこの前の
中国
の
禁止線
よりもっと内側に入った、こういうふうな線です。要するにこの
禁止線
よりももっと
区域
を広げた、こういった線です。言いかえれば、ここのところは
日本
に開放せよということであります。なお、
日本案提案
の
資源保護区域
は、大体
中国
の旧
華東軍政委員会
で作った
機船底
びき
網漁船
の
禁止区域
を少し小さくしたものであります。これに対しまして
中国代表
は、
日本案
は実際
上平等互恵
の
原則
が考慮されていないと非難し、
双方
の
原則
には大きな隔たりがあるから、
双方
が
話し合い
の上で基礎を見出すまでしばらく休会し、その間に相互の
意見
の接近をはかりたいと
提案
いたしましたので、
日本側
もこれを了承したのであります。これは第四回までの公式全体
会議
においてこういうことになったのであります。 次にこの打開のために小
委員会
及び
個別会談
を開始いたしました。一月二十二日の
正式会談
の
経過
にかんがみまして、一月三十一日から三月二日までの間に小
委員会
を三回、
日本側
は公海の
漁業
の自由の
原則
を強く
主張
し、
中国案
の撤回と
四つ
の
協議
の
除外区域
を設けることに反対をいたしました。
中国側
はあくまで自説をまげず、また
四つ
の
区域
の除外は
政府
の指示であるから
民間同士
の話合いで討議すべきものではないと
主張
し、
双方
の
意見
の接近は不可能な状態でありました。その結果、小
委員会
は三面をもって打ち切りました。以後は
双方
の
代表
が個別的に私的な
会談
を行いました。この
期間
が約三週間続きました。しかし
双方
の一致した見解に到達することはできませんでした。 二月三十三日この
双方
の
意見
を整理するために第五回の正式全体
会議
を開きました。
日本側
から、これまで小
委員会
及び
個別的個人
の
会談
の結果、
日本代表
として
中国案
を承認することはできないが、
中国側
の真意も了解できたから一応
日本代表
は帰国して
日本漁業者
の総意をまとめた上で新しい
提案
を用意し、再び
会談
したいと考えて、休会を提議いたしました。しかし
中国側
は、今回の
会談
は
日本側
数年来の熱心な要望の結果、
中国
の
周総理
の言明に基いて
日本代表
を招いたものであって、現在のところ日中
漁業
問題を
解決
するにはこの
民間会談
が唯一の道であるから、休会すべきではないと思うと激しく
日本側
を非難すると同時に、その反省を求め、休会に同意いたしませんでした。 次に二月二十六日第六回の
正式会談
におきまして、
日本側
は前回までの
会談
の
経過
を詳細に述べ、
日本代表
の態度を
説明
し、
中国代表
の前回の発言を反駁いたしましたが、しかし決裂を避け、二、三ヵ月休会する方針のもとに帰国後国内において取りまとめた新
提案
を持って来たいという意向を発表いたしました。その新
提案
の構想、これは概要でございますが、構想は次の通りであります。 一、
日本代表
はこの
会談
の結果、
中国漁業
の
東海
、
黄海
に依存する度合いの高いこと及び
中国
が自国の
漁業
の
保護育成
に努力していることを知ることができた。
沿岸漁場
は
中国
が圧倒的に優勢を占めているが、沖合いの底びき
網漁業
は
日本
が優勢を占め、
中国
は劣勢である。これらの事実に基いて
漁場
の
合理的利用
、両国民の需要の充足、紛争の防止、
資源保護
、
漁場
の
独占防止等
の五つの
目的
を達成することには
双方
の利害を調節する何らかの措置が必要であると考える。 二、そのために将来の
恒久対策
としては
東海
、
黄海
全城にあげて
適正漁獲量
を決定し、適当な
漁船数
を
協定
する必要があると思う。 三、また
暫定的措置
としては、
中国沿岸
に近い
漁場
で
両国漁船
の特に競争する場所及び時期を限る。おもな魚種を
対象
として小区画かつ
短期間両国漁船
の入り合う
隻数
を
協定
する必要がある。 この
三つ
をわれわれは今考えておる。こうした見解を基礎として、帰国の上、
日本漁業者
の総意をまとめて再び
会談
したいと考える。これに対しまして
中国代表
は、今の
日本側
の
三つ
の
意見
は討論の価値があると
自分たち
は思うから、
具体的案
を示されるならば大いに歓迎する。ぜひ
協議
をまとめるためにそういうふうにしてくれないかということを述べました。ここで初めて
会談
の行き詰まりが打開せられる見通しがついたのであります。 二月二十八日、第七回全体
会議
におきまして、
日本側
は前回の
中国側
の発言に基き、第一から第六までの
六つ
の
区域
と
期間
について案を提示いたしますとともに、本国の了解を取りつけるために
代表
の
権限拡張等
を求め
代表
二名を帰国せしめたことを報告いたしました。その
六つ
の
区域
は、この図によりますと、大体この一区はこの図より少さく、二区もこれよりは少し小さく、こうなっております。三区はこれから下がございません。四区は同じ。五区は大体同じ。六区はこれから下がございません。 これに対しまして、三月二日、第八回
正式会談
におきまして、
中国代表
から、
日本案
の
六つ
の
区域
及び
期間
を八つにいたしました。さらに個々の
区域
の
期間
を大幅に延長する、実質的には
日本案
の四倍に相当する
修正案
を提出いたしました。ここはもう少し大きく、この辺まで、ここももう少し大きく、問題の第五区というのをまん中に作くる、ここに第八区というものを作くった。大きいものでありまして、
日本側
の第一回に提出いたしましたものよりも実質的には約四倍に相当するものであります。 三月五日、第九回の
正式会談
におきまして、
日本側
は
中国
の
修正案
に対して
反対意見
を表明するとともに、
双方
の案を近接するために少数の
委員
で
協議
することを
提案
し、
中国側
も同意をいたしました。これから
少数委員
によって
漁業分科委員会
を構成いたしました。 三月十一日から十六日まで、六回の
委員会
を開き、さらに三月十九日から
双方
の
団長
、副
団長
との
会見等
を行いました。その結果は、
中国修正案
のごの第五区、これは
備忘録
で
双方
の
主張
と
経過
を述べることにいたしました。それから
中国側
がつくりました第八区、従ってこれは当然
中国
もこれを撤回いたしました。なお
六つ
の
区域
の
制限期間
内に入り会う
双方
の
漁船数
は、それぞれの
漁区
における
漁船
の
収容能力
をきめて、これを
双方
に割り当てるという方式ではなくて、また
双方
の
隻数
の比率をきめるというものでもないという前提のもとに、まず
日本側
から適当と思われる各区に対する
隻数
を示し、そのあとで
中国側
が各区に対する
隻数
を示した結果、第三区を除きましては
双方
とも
相手側
の
隻数
について論議することなく、これを相互に認め合ったものであります。第三区の場合と申しますのは、この
漁区
に
日本側
は百二十隻の船を入れることにしたのであります。
中国側
は四十隻の船を入れたいというのであります。
中国側
は、
自分たち
は長い間の体験に基いて、この三区の
資源
は割合にやせているから、一挙に多くの船を入れると
資源
が枯渇するので、
日本側
はその点について
意見
はどうか、再考してくれないか、という希望がございまして、われわれ
日本側
が
協議
いたしました結果、これを八十隻ということに
日本側
がみずから修正したものであります。 次に、こういうことによりまして大体の
協定
の構想がまとまりまして、これを
起草委員会
に移すことにいたしました。そのほか特に技術的な
分科委員会
を設けてそれぞれ活動をいたしましたが、特に
漁場秩序
の維持の取りきめをいたしますにつきましては具体的な方法を決定しております。これは非常に特色のあるものと考えられるものであります。こうして大体まとまりまして、四月十四日第十回
正式会談
を行い、
起草委員会
でまとめました
協定本文
及び
付属書
、
備忘録
を上程いたしまして相互に確認をいたしました。そうして、四月十五日
調印式
を行い、日中両文の
協定書
二通に
双方
が署名いたした次第でございます。 以上が
会談
の
経過
でありますが、さらにこの
会談
において
双方
の重要な論点になった点を少し詳しく御紹介いたしたいと思います。 一、
協定水域
につきまして、
会談
の当初、
中国側
は
中国政府
のすでに決定した
四つ
の
区域
、すなわち
軍事区域
が
三つ
であります。
漁業区域
が一つであります。その
軍事区域
は、ここからこれを
軍事警戒区域
、それから
軍事航行禁止区域
として、これは舟山島付近で
漁業
の
禁止区域
から、内側に入っております。及び北緯二十九度
以南
の
軍事作戦区域
及び
機船底
びき
網漁業禁止区域
、この新しい線を
主張
しております。これを今回の
話し合い
から除外すべきであると
主張
いたしました。これに対して
日本側
は、軍事上の
区域
は別としても、少くとも
機船底
びき網の
禁止区域
は
漁業
上の
区域
であるから、
話し合い
に入れるべきであると
主張
いたしました。その理由は、一国の
国内法
が公海において直ちに他国の
漁船
に適用されるべきではない、これは
日中双方
で
話し合い
の上でそれを適当と認めたならば、
双方
の
協定
によって
資源保護区域
として守ることにしたいというのが
日本側
の
主張
でありました。特に
中国
の示した
機船底
びき
網漁業禁止区域
は、一九五〇年に
華東軍政委員会
の設定した
区域
よりもさらに拡張されており、それを追究いたしましたところ、一九五四年
中央政府
が新たに規定したものだが、まだ批准を終っていないという
説明
であったので、まだ批准されていないものならば、われわれの
意見
を取り入れて適当な
資源保護区域
として
協定
しようではないかと
主張
したのでありますが、
中国側
はこれを用いず、
中国政府
の規定したものを
民間会談
で修正することはできない、まして
中国政府
が法律を設けるときに
日本漁業者
の
意見
を聞くというような必要はないと強く
主張
いたしました。また北緯二十九度
以南
の
作戦区域
は、この
区域
に
日本漁船
が行けなくなることは
日本側
としては非常に大きな影響があるので、
日本側
はこの
区域
は
協定
の中に入れるべきであるといって強く
主張
いたしましたが、
中国側
は、二十九度
以南
は作戦中であり、危険である。
日本漁船
が入らないようにお勧めしたい。もし入って操業した場合いかなる事態が起っても、これはその
当該漁船
の責任であるというので、これはしいて入ってはならぬとは言っていないのであります。従って
日本側
は、独自の判断で自己の責任において行うことは差しつかえないと解釈いたしまして、それ以上は追究しなかったのであります。要するに
四つ
の
区域
の除外については
日本側
としては釈然としなかったのであります。どうしてもこれを
話し合い
の
対象
としようとするならば、
会談
は決裂のほかないと判断いたしまして、
会談開始
後約四十五日くらいたって
双方
ともこの
区域
については話を触れないことといたしました。そうして
話し合い
の
対象
になる
区域
のみについて
協議
を進めることといたしたのであります。しかしながら
中国側
は最後の
起草委員会
で再びこの問題について触れまして、
協定
第一条の
協定水域
の表示の方法として
四つ
の
区域
を除外することを明示したいと
主張
いたしたのであります。この際も
日本側
は、
協定水域
の表示は
協定
した
水域
だけでいいのではないかと
主張
いたしまして、これを撤回させたのであります。ところが、
日本側
は
協定書
の
日本側
の元の草案の第三条にこういうことを入れておったのであります。これは
日中双方
の
機船底
びき
綱漁船
は
六つ
の
区域
以外ではいかなる場合といえどもその操業を制限または禁止されないことを保障しなければならない。こういう条項を入れてあったのに対しまして、
中国側
はそのただし書きとして、再び次のようなことを申し出たのであります。
鴨緑江河口
の薪島から北緯二十九度に至る警戒
区域
及び
機船底
びき
網漁業禁止区域
の線より西、つまり
中国側
ですね。そこへは
日本漁船
は入って操業してはならないとつけ加えることを
主張
いたしました。その理由として、そういう線があることを
協定
のどこかに書き入れて
日本漁船
に十分注意してもらいたい、またそういうことを知ってもらいたい。こういうことが
目的
だと強く
主張
し始めたのであります。
日本側
としては、この問題は
協定
そのものが不平等の
協定
になることと、
協定水域
外の
水域
における
日本漁船
の義務を規定することはできないことなどの理由をあげて論争いたしました。一時はこの問題で暗礁に乗り上げたのでありますが、すでに
協定
の実質である
漁場
問題も
解決
し、あとわずかのところで全部が
解決
するという大局的厚地から、これを
双方
の
往復書簡
に譲るということを
提案
いたしまして、結局
書簡
の形で落ちついたわけであります。 次に
漁場
問題につきまして、
日本代表
は
日本
を出発するに先だちまして、
資源保護
を伴う公海の
漁業
の自由の
原則
に基いて、
中国沿岸
に
資源保護区域
を設定し、その
区域
内では
日中双方
の
機船底
びき
網漁船
の操業を抑止するということを主眼とした案を用意したのであります。しかし
中国
は、
日本
が予定した
資源保護区域
は、
中国政府
の規定した
機船底
びき
網漁業禁止区域
であるから討議できないと
主張
しました。そうしてこれを
話し合い
から除外する
区域
とし、
話し合い
のできる
水域
については、大まかに言えば、先ほど申しました
東海
、
黄海
を三分割した案を出したのであります。
日本側
は
中国側
の
考え方
は誤りであることを指摘して強硬にこれと論争をいたしました。しかし
中国側
は、
東海
、
黄海
の沖合いにおける
漁船
の勢力は、圧倒的に
日本側
が優勢であり、しかも勝手気ままに、縦横無尽に操業しておるではないか、
中国
漁船
は安心して操業することができない、すなわち
日本漁船
は一方的に
東海
、
黄海
の
漁場
を独占し、
中国
漁船
の操業を排斥している、これがすべての紛争の原因であるから、
平等互恵
の
原則
に反するこのような操業方法は容認できないと
主張
いたしました。そして
協定
の
目的
は前に述べました五つの
目的
、すなわち
漁場
を合理的に利用し、
両国人民
の需要を満たし、紛争の発生を避け、
資源
の枯渇を防ぎ、一方が
漁場
を独占して他方を排斥する行為を防ぐようにするために何らかの措置が必要である、もし
日本側
が
中国案
に不賛成なら代案を示されたいと要求したのであります。
日本代表
といたしましては、
日本
から用意していった構想ではとうてい円満な妥結に達しないことがわかりましたので、代案として先ほど申し上げました
六つ
の
区域
について、
期間
を限って
双方
の
漁船数
を限定する案を提出したのであります。なぜこのような案を
日本
が提出したかと申しますと、
中国側
の指摘した
漁船
の競合による紛争という事態が起るとすれば、それは漁群の密集する時期に、またごく狭い場所に
漁船
が多数に集中することから起るものであるから、従ってそういう時期と場所について何らかの制限をすれば紛争を避けることはできるという見解に基いたものであります。この
日本
の新
提案
に対しては
中国側
も
原則
的には同意いたしましたが、
中国側
の提出した
修正案
は、
日本案
を一とすれば四に当るほどの
区域
と
期間
を拡大したものでありまして、特に
東海
、
黄海
のまん中に新たに五区あるいは八区といったようなものを設けた案でありました。
日本
が
提案
いたしました
六つ
の
区域
は、いずれも
中国側
の
沿岸
に近い
区域
で、両国の
漁業
調整をするには適切な場所であります。
中国案
の五区、八区は調整上必要のないところでありますから、
日本
といたしましては公海
漁業
の自由の
原則
の良心的な立場から譲ることはできないとして大いに論争したのであります。しかし
中国
は、第五区につきましては最後まで最も根強く反対したのであります。この五区を制限しなければ
中国
の
漁船
の安全操業が確保されないし、また
中国
の
漁業
生産を維持することができない、この
区域
では、場合によっては
日本漁船
の優勢を認めてもよいからこの
区域
を設定すべきだと
主張
いたしました。結局この
区域
は討議の結果
備忘録
として
交換
することに妥結したのであります。また第八区は
中国側
がこれを撤回したのであります。このようにして成立いたしました
六つ
の
区域
及び
期間
は、
日本
が当初案を立てましたものを一とすれば一・七に拡大されたのでありますが、
中国側
の
修正案
に比べると相当に縮小され、大体において
日本
原案に近いものになったのであります。なお
六つ
の
区域
に入り会う
双方
の
漁船数
は、先ほども申し上げたように、
双方
の比率をきめたものではない、またおのおのの
漁区
の
収容能力
を算定して割り出した数でもないことを念のために申し上げておきます。同時にこの規定した
漁船数
は、入り会う
漁船
を特定するものではなくて、常時稼働している船の数でありまして、入れかわることができるものであります。すなわち
漁区
で操業する最高の
隻数
をきめたものでありますから、その数をこえなければ差しつかえないのであります。またこの
期間
外は完全に自由であります。結局
日本漁船
は、この
協定
によって大きい
漁業
上の制約は受けないのであります。 次に
拿捕事件
の
解決
について申し上げます。
中国側
はこの
会談
の当初は、
話し合い
の
目的
は将来の
漁場
問題を
解決
することだと言い、
話し合い
がまとまってこれを実行するなら、今後
拿捕事件
のごとき紛争は起らないと理解してよいと言明いたしましたが、過去の事件の
解決
につきましては、それは
中国漁業協会
の関知しないところである。また
中国漁業協会
は新たに生まれた団体であるから、過去の事件については何ら知らされていない、こういう態度をとっておりました。
日本側
は、
会談
の初めにこの問題を持ち出したのでありますが、
中国代表
がこれについて触れることを避けていましたので、適当の機会を待ったのであります。しかし
漁区
問題の
話し合い
もまとまり、調印の見通しもつきましたので、三月の三十一日、
日本側
団長
及び副
団長
から正式に
中国代表
団に申し入れをしましたが、
中国側
はさきに述べましたような態度にかわりがありません。ただ
日本代表
の意向を関係方面に伝えるということでありました。
日本代表
は
周恩来総理
に面会して、直接お願いしたいと考え、そのあっせんを依頼いたしましたが、
周総理
がバンドン
会議
に出発されたあとであったので、その希望がかなえられませんでした。で、
日本代表
の藤見を、
周総理
あての書面にしたためまして、
中国側
の
団長
に伝達方を依頼いたしました。
中国側
も快くこれを承諾いたしましたので、そのうちに何らかの
中国政府
の回答もしくは意向がわれわれに知らされるものと期持しておるのであります。
周総理
あての
書簡
の要旨は次のようなものであります。
周総理
の言明に基いて
漁業
会談
が開かれ調印の運びになったことを感謝します。ついては過去の未
解決
の事件をこの際
解決
していただくよう御配慮を願いたい。
解決
の方法としては釈放可能な船はすぐ釈放していただきたい。もし事情があるものは何らかの
解決
の方法を示されたい、こういう意味のものであります。 次に
協定
及び付属文書について申し上げます。
協定本文
、付属文書その他の文書については、ごらん下されば大体おわかり願えると思うのでありますが、一、二申し上げたいと思うことを補足いたします。この
有効期間
は一年間であります。これはこのような
協定
は当然
政府
間でなさるべきものであるから、長期にわたるべきではない、また自動的に延長する規定も設けない方がよいという
中国側
の
主張
によるものであります。但し有効期限が到来しても
政府
間で
協定
がいまだできないような場合には、再び
協議
してもよいというふうにお互いに話し合ったのであります。
協定
の第九条に、
双方
がそれぞれ自国の
政府
に対して日中
漁業
問題の
解決
についてすみやかに
話し合い
、
漁業
協定
を締結するよう促すものとするという規定のあるのも、前述の理由に基くものであります。
協定
の当事者につきまして、言うまでもなく
日本側
は
日中漁業協議会
が責任を持ってこれを実施するわけであります。しかし実際にはなかなか困難な面もございますので、関係御当局の御協力を得たいと考えております。 付属文書、付属文書は
協定本文
と同等の効力を有するものであります。第一号は
六つ
の
区域
の位置、
期間
、
漁船
の数を規定し、第二号は
漁船
の操業秩序についてこまかく規定してあります。これは
漁場
における紛争や事故を防止するために、
中国側
の希望及び
日本側
の希望もありまして、特に詳細に取りきめたものであります。今後これを実施することによって
漁場
における苦情の発生を防ぐことができると信じております。第三号は緊急避難及び海難救助等についての処理方法でありまして、特に
漁船
が
相手側
の港に緊急避難する際の手続を詳細に記録してあります。この実施についても関係御当局の御協力を得たいと思っております。第四号は相互に
漁業
に関する資料や文献の
交換
を規定したものであります。 次に
往復書簡
及び
備忘録
、これについてはいろいろと御批判もあると思いますが、
会談
を円満にまとめるためにとった措置でございます。 以上今回民間
代表
が結んで参りました
漁業
協定
の大要であります。われわれ
漁業代表
団といたしましては、いかにして平和に安全に操業することができるか、またいかにして
日本
の正当な
利益
を守り、この
協定
が将来他国との
漁業
協定
等に悪例とならないように、またこの
協定
が理論的に適正であるか、また実質的に適当であるかにつきましては、忌憚のない御批判と御
協議
を得たいと考えております。しかし民間
交渉
という限界もありまして、また両国間に国交のないという状態のもとでは、十分に意を尽せなかったことを御理解願えば、われわれ
代表団
としては非常に仕合せに存ずる次第でございます。それにつきましても、今後は一日も早く国交が調整され、
政府
間の
交渉
によって
漁業
条約等の締結をしていただくことを切望するものであります。またわれわれがこの
協定
をいたしましたにつきまして特に感じますことは、
日中両国
の異なる理想に基いて諸制度がいろいろと大きく変ったものがあります。それを現実的な問題によって一致させよう、こういう点に特に努力したと考えております。 最後に、
中国側
がこの問題について終始きわめてまじめであり、そうして建設的な態度で臨んでくれた、こういうことをあわせて御報告いたしまして、私の報告を一応終らせていただきたいと思います。
綱島正興
3
○
綱島委員長
質問
の通告がございます。川俣
委員
。
川俣清音
4
○川俣
委員
日中間
に正式に国交が回復されていない現状において、幾多の困難な問題が山積しておる中にあって、民間外交遂行のために尽されたその労苦に対して、多大な敬意を表するものでございます。しかも非常に困難な中において、
平等互恵
、
平和共存
の
原則
に基きまして、
漁業
資源
を保護し、
双方
漁船
の
操業
中の
紛争
を避け、これによって
日中両国
漁業
界の友好協力を増進するために、よく困難を克服されました努力にあらためて感謝の意を表するものでございます。しかし当
委員会
といたしましては、
参考人
をお呼びいたしましてここに陳述を願いましたのは、単なる
経過
をお聞きしたいということでなくして、これらの
民間協定
に基いて、
国内
漁業
にどのような影響を与えるかということについて、重大な関心を持っておるためにおいでを願ったのであります。と申しまするのは、今の御報告の中にもありますように、
国内法
を犯して
協定
ができないという
主張
が
中国側
からなされたようであります。
民間団体
としては、
国内法
をあえて犯してまで
協定
する権限がないという
主張
をせられたようでございます。同様に
日本側
におきましても、
日本
の
国内法
を将来改正していくか、あるいは新たに制定するかという義務づけられた
協定
になっておるのかどうか、この点は非常に重要だと思うのです。ただ
日本
の
国内法
に触れない範囲において
協定
されたのか、あるいは
協定
に基いて、真にこれらの
協定
を有効ならしめるためには、
国内法
の制定が必要なのかどうか、この点が一番重要な点であるのです。この点についてお触れがなかっものでありますが、触れる必要がないのであるかどうか。
高橋熊次郎
5
○高橋
参考人
ただいまの御
質問
にお答えする前に、なぜこの
漁業
協定
が、
民間協定
という形式を採用しなければならなかったかについて、
説明
申し上げる方がいいのではないかと考えます。
川俣清音
6
○川俣
委員
それは国交が回復してないのだから、よくわかります。その必要はないのです。
高橋熊次郎
7
○高橋
参考人
というのは、先ほど申し上げましたように、
昭和
二十五年十二月以来昨年年末まで、百五十八隻の拿捕
漁船
がございまして、もちろん当初われわれ
業界
関係
者が
政府
に対して、この問題を
解決
することを強く
要望
した一方、さらに、当時は御存じのように占領軍が駐在しておりましたので、総司令部等に対してもわれわれはこの問題を善処していただくべく、いろいろ直接にも間接にも、
政府
を通してでもお願いしたのでありますけれども、当時の状況はなかなか
日本
政府
にしても、占領軍当局にいたしても、この問題を
解決
するような方向になかったと思います。というのは、拿捕の理由は、その後いろいろ
中国
訪問をした人たちを通して聞いたのでありまするけれども、表面的には領海侵犯の疑いであるとか、あるいは朝鮮戦争や対台湾
政府
戦争等におきましてスパイ的な容疑があるということで
日本漁船
を拿捕しておるのでありまするけれども、実際において私たち見るところでは、どうやら当時のアメリカの国務省顧問のダレスさんが、
中国
やソ連を
除外
した対日平和条約を結ぼうという方向を積極的に表わしておったときで、あるいはスパイ
事件
や領海侵犯のほかに、
中国
を
除外
して対日講和条約があるかというような報復的な意図が、かなり強くこれらの背景の中に動いておったようにわれわれは見てとったのであります。従って
政府
を責めるばかりではどうにもならない、何とかしてこの問題は、
中国
がわれわれの要求に応じられるような方向で、現実的な立場から、われわれ以西底びき
関係
者の
利益
というものを守っていくという方向よりほかに手がないのではないか、こういうような示唆を当時の貿易
協定
等を通してわれわれは受けまして、そうしてこの問題を
民間協定
という、
民間同士
の
話し合い
という形において、一応正常な
政府
間における外交折衝による
解決
までの暫定的な
方法
として、それ以外には手がない、こういうように考えまして、この
民間協定
という形をとるべく、そのように実現すべくいろいろな
方法
を講じたのであります。そのような経緯におきまして、われわれが昨年十月の周恩来声明によって向うへ参ったのであります。 もちろんこの
考え方
の中にも、単に法的に何ら抵触しないというようなことだけではなく、むしろ
日本国
民の全体から、あるいはまた国会――衆議院、参議院等における水産
委員会
等のいろいろな
発言
等から考えまして、この際
民間協定
もやむを得なかろうという意向が顕著に現われたと私たちは考えまして、国の
利益
ということを全然おろそかにして、以西底びき業者の
利益
だけできめるという形においてこの問題を進めたのではないということを、特にこの際強く
説明
申し上げておきたいと思います。もちろん
交渉
の中におきましては、われわれは単に以西だけの問題でなく、他に悪い影響があってはならない――
日本
は御存じのように、アラフラ海の問題で濠洲ともあのような状況の中にございます。特にきわだった問題といたしましては、韓国の李承晩ラインの問題がございまして、それらにこの問題が悪影響あるというようなことになっては非常に困る。単に以西底びき業者だけの
利益
であってはならない、かように考えましてやりましたので、私たち
代表団
一同も、またわれわれ十四名を一致して推薦したところの
日本
の
漁業者
の皆さんも、もちろんわれわれはそのような
利益
の上に立って――周囲の情勢は全般的に、もちろん国会の方の
関係
の
考え方
も、すべてがそれをやむを得ないとして支持しておるというような考えで――もちろんわれわれは、先ほど来繰り返して申し上げますが、法的にのがれさえすればいいというような考えではございませんで、振り返ってみて、私たちはこの問題をよくやった、こう考えております。そのよくやったという
考え方
は、あるいは独善だとお笑いになるかもしれませんけれども、私たちは、単に
中国
の
漁業
の
利益
と
日本
の
漁業
の
利益
ということだけでこの問題が推し進められたとするならば、このようなわれわれに
利益
するような
協定
は不可能であった、少くとも
中国
の対日政策という大きな目標があったために、
中国
の漁民の
利益
というものは若干犠牲を払わされたのではないか、その上に立ったこの
協定
であるという印象を
調印
後私たちが受けていることをもあわせて申し上げておきたい、かように考えます。
川俣清音
8
○川俣
委員
私の
質問
を誤解されておるのです。私はそういうことをお聞きしておるのではないのです。
綱島正興
9
○
綱島委員長
川俣
委員
、ちょっと補足して
説明
があるそうです。
川俣清音
10
○川俣
委員
誤解しておるから、その答弁じゃ困るのです。民間で遂行されたその労苦に対しては多大の敬意を表する。やったことについて、そのよしあしを非難しておるものでもなく、その労苦に対しては多大の敬意を表しておるのです。それだからこそあなた方が
協定
を結んだ裏づけのものが必要じゃないのか。あなた方だけでやってよろしいのか、あるいはどうしても
国内法
の整備が必要じゃないか、そのことをお考えになっていないのかどうか、これをお聞きしておるのです。それをやられたことについて非難しておるのじゃありません。せっかくここへ
参考人
としてお呼びしたのは、あなた方の
意見
を聞くのではなくて、
協定
をされました以上は、おそらくその裏づけとなるような
国内法
の整備が必要であろう。一体そういうことを考えなしに
協定
されたのであろうかどうか、あるいは
国内
へ帰ってこられて、その整備を必要とされたのではないか、こう思うのです。そこでその点をお聞きしたのです。
山崎喜之助
11
○
山崎参考人
この
協定
が
国内
の
漁業
にいかに影響するかという御
質問
がございました。その
一つ
といたしまして、この
漁場
におきますところの組織的な
漁業
といたしましては、
日本側
では
機船底
びき
網漁業
が唯一といっても差しつかえないかと思うのでございます。この
機船底
びき
網漁業
の三十八年中の
漁獲高
は二十七万二千トンであります。二十九年中の
漁獲高
は二十九万一千トンであります。二十九年の九月以降この
漁場
における
中国
寄りの治安は非常によくなりました。
日本側
の
漁船
の活動が相当敏活になりました。そういった要素も含まれて、これだけの増産になっておる、このような見方も
一つ
あると思われます。 それからもう
一つ
は、この
六つ
の小
漁区
を決定いたしました。これは約一万三千平方マイルくらいでありまして、全体のこの
漁場
に対して割合に低い率でございます。ところがこの
漁場
に対して
日本
の
漁船
がもし全力をあげて稼働いたしましたとすると、大体二千航海くらいやれるのであります。現在
東海
、
黄海
においてどのような航海数を実際に行なっているかと申しますと、五千七百航海弱でございます。相当諸状況が修正されて、よい状況のもとに六千航海と見たといたしましても、三三%程度のものがここで就業できる。
漁場
の率、
期間
から見ると一〇%以下だ、こういう点になりまして、
日本
の稼働し得る範囲は相当拡大されたということでございます。ただし、それでは
中国
の
禁止区域
を
日本
が認めておるかということでございます。これは認めておりません。ただわれわれの自主的な考えによって、行かないということを言っておるのであって、彼らが
主張
する、なぜ
禁止区域
を作ったかということについては、われわれは決してこれを認める態度をとっておりません。と申しますことは、この
中国
の
禁止区域
は、まず
漁業
資源
を保護するということをわれわれに対する大きい理由としております。しかしながらあの
禁止区域
の中におきまして、
中国
は
機船底
びき以外の底びき
網漁業
――風力による底びき
網漁業
その他の
漁業
において、約六十万トンに近い
漁獲
をなしておるのでありまして、これが
資源保護
の見地から禁止されたと言えないのであります。
国内
の
漁業
調整に基くものでありますから、われわれはこれを論議することを避けまして、ただ単に向うが来るなという線に自主的に行かないということを約束したのみであります。こうして将来公的な
政府
の
交渉
する場合の
発言
を拘束しないようにしたつもりであります。 それから
日本側
代表
がこういう約束をして、この実施に自信があるか、また
政府
はいかなる裏づけをするであろうか、それを求める必要がないかというお説でございますが、
機船底
びき
網漁業
者は大きい組織で組織が保たれております。一応
民間協定
にふさわしい自主的
措置
をまずやらせたい。これは権力でもってやるよりは自主的な自覚が第一であるという方向に今進んでおるわけであります。さらにこれに権力の裏づけがあれば非常に完璧と思いますけれども、たとえばこの権力の裏づけによって、この
漁業
協定
を民間が行ったことがすべて
政府
の承認のもとに行われたというふうな形をとって、将来
日本
の
政府
が困るようなことがあってはならないということを懸念するものでございます。まずわれわれは、われわれ民間が
協定
いたしましたその精神に基いて、民間が自主的にやっていけるだけのことはやっていこう、こう思っておる次第でございます。
川俣清音
12
○川俣
委員
やや私の問わんとすることに触れられたのですが、もう少し触れたいのは、民間
代表
と言いながら国際上の義務を負っておるわけです。従ってその義務を誠実に履行するという建前をとっていかなければ、今後の国交の回復の障害になるであろうという懸念があるわけです。単に純然たる
民間団体
の
協定
であるから、これを
国内
的に無視してもいいということにはならない、私はそう思うのです。従ってこれらの
協定
上義務を
日本
の業者が負っておるわけです。国が負ってないにしても、少くとも業者が負わなければならぬ。ところがその
漁業者
の義務を自主的な
団体
だけによって遂行できるのか、あるいは何らかの裏づけが必要であるのではないか、自主的にやるとすれば
一つ
の弊害が起きないとも限らない。なぜかというと、日中貿易におきましても同様でありまして、一部の利権業者の
利益
を
代表
するような傾きもできてくる。そのことは
国内法
全体の上からの
一つ
の障害にもなるわけであります。できるならば、これらを公正に履行させるためには、
国内法
の整備がある程度必要ではなかろうかと考えられるわけであります。従って
協定
されました当事者といたしましては、
政府
にたよることなく――
政府
というのは行政機関です。国会は立法機関ですから、立法機関に対して何かの御希望はないのか、こういう点をお尋ねしておるのです。あなた方、
政府
々々と言うけれども、
政府
なんかいつかわるかわからない。民間
代表
が
政府
々々と言うのはおかしいです。せっかく国会にお呼びしたからには、立法機関である国会に何らかの意思
表示
が必要でないのか、こういう点をお聞きしておるのです。
山崎喜之助
13
○
山崎参考人
御好意ある御
質問
を承わりまして、まことにありがとうございます。先ほども申しましたように、この
漁業
協定
というものは、従来の
日本
の
漁業
のあり方より相当飛躍しております。しかしながら一応これをなすべしとして私たちは決定して参りました。そうしてその
方法
を今日われわれ当事者である
漁業
協議
会でしきりと研究、立案いたしております。目下具体的な問題について
協議
中でございます。この結果に基きまして、この国会にお願いする筋もあるいは出てくるのではないかと思っております。極力一応自主的にやろうという
考え方
は持っておりますが、お願いしなければならない点も出てくると思っております。どうかその節は
一つ
よろしく御援助をお願いしたいと思います。
綱島正興
14
○
綱島委員長
赤路
委員
。
赤路友藏
15
○
赤路
委員
ちょっとお尋ねいたします。
山崎
さんが言われた最初の言葉の中に、
機船底
びき
漁業
に限ったということがございましたが、このことはただいまの御答弁の、この海域における
操業
はほとんど底びきが唯一のものであるという
考え方
の上に立っておるのですか。この
機船底
びき
網漁業
に限ったというのは、これは
中国側
の意思ですか、それとも
日本代表
の意思ですか。
山崎喜之助
16
○
山崎参考人
これは
機船底
びき
網漁業
以外には、
日本
はできるだけ触れないようにいたしました。と申しますことは、この
禁止区域
は
日本
では受け入れがたいものなのでございます。しかし、この
禁止区域
を作ったのは、
機船底
びき網だから作ったのだと
中国
は
主張
しておるのです。
日本側
でこの
禁止区域
でどういう
漁業
をやるであろうかといいますと、最近長崎県あるいは鹿児島県の一部からはえなわ
漁業
が出漁しておるそうです。これは約八十そうあるそうです。これは底びき網のように下を荒しませんから、適当な船が
操業
しても
資源
的には大した問題ではないのです。しかし、今この問題を出して、はえなわ
漁業
はこの
禁止区域
の中に入ってやられるかと
質問
いたしましたならば、それは入ってはいけないと言うことは火を見るよりも明らかだと思いました。もう
一つ
は、サワラの流し網が山東東角付近でやっております。これも
機船底
びき網とは
資源
的に
関係
はないけれども、もしこの際何か言うとすれば、必ずこの
禁止区域
の問題をまた持ち出すに違いない、こういうふうに考えまして、この二つの
漁業
はいずれも将来は伸びる
漁業
でありますが、将来は将来のこととして、そのとき
解決
した方がいい、今火をつけない方がいいと考えて触れなかったわけであります。
赤路友藏
17
○
赤路
委員
その
操業
の
関係
ではわかるのですが、この
協定本文
の第四条には、事故があった場合の救難の
措置
がきめてあります。この第四条は
機船底
びき
網漁業
だけに限るわけですか。
山崎喜之助
18
○
山崎参考人
漁業
協定
の
漁業
の面につきましては、先ほど申し上げた
通り
であります。この
協定書
の第四条には、底びき機船の緊急事故のことが書いてございますが、この
付属書
の緊急のところには、単に
漁船
とうたいまして、すべての
漁船
を包含しておるわけでございます。
赤路友藏
19
○
赤路
委員
今の
付属書
第三号には、「本
協定
第四条にもとづき、
日中双方
の
漁船
」というようになっております。確かに
日中双方
の
漁船
ということですから、これは一般の流し網とか、あるいははえなわも入ることになりますが、その頭に「本
協定
第四条」とある。本
協定
の第四条には、
日中双方
の
機船底
びき
網漁船
というように限られておる。そうなってくると、この
付属書
は第四条が基本なんですから、従ってこれは一般の
漁船
は入らないことになるわけです。私がお尋ねしたいのは、底びき
網漁船
の
操業
それ自体については、それは将来の問題として残されることはよくわかるのですが、少くともこういう緊急事故のあった場合には、単に底びき
網漁船
だけでなしに、他の
漁船
をも当然含むべきではないか。この点が私はどうにもこの条文上から納得がいかないので、どういうふうなお考えであったか、お尋ねしておるわけです。
高橋熊次郎
20
○高橋
参考人
山崎
さんというお話でございましたが、海難の方の
委員
を私やっておりますので、
赤路
さんに私からお答え申し上げたいと思います。
協定本文
について先ほど
山崎
さんが言ったように、われわれといたしましても、
操業
に関する限りにおいて、われわれは底びき以外を
代表
していないという立場をとりまして、しかし
漁船
の海難を救助するという問題につきましては、当然その問題について全般を含むべきであるという
主張
をいたしたところ、
中国側
としては、それは人道上の問題であるから、
中国側
としても、
中国
のジャンク船等が遭難したような場合にはこの
措置
を準用してもらうべきであるというようなことで、われわれは了解事項として
機船底
びき以外全般の
漁船
を含むという形を明確に了解をしておりますので、そのことをお答え申し上げておきます。
赤路友藏
21
○
赤路
委員
その点で
要望
しておきますが、
日中漁業協議会
の方ではえなわ業者あるいは流し網業者にその由を御通達願いたいと思います。 それから次にお尋ねしたいのですが、
六つ
の
漁場
で
期間
を区切り、
隻数
を
制限
して
操業
する、それ以外のところは
期間
も
隻数
制限
もなしに自由に
操業
していいのかどうか。
山崎喜之助
22
○
山崎参考人
自由にできるわけであります。
赤路友藏
23
○
赤路
委員
そうするとこの
付属書
第一に大体各
漁区
別の
隻数
制限
があるわけなのですが、おっしゃる
通り
に
日本
の方は以西底びきとトロールで八百四十九隻になるわけですが、これだけのものが全部完全
操業
ができるのか、あるいは減船処置をとらなければならないか、その点御
見解
はどうですか。
山崎喜之助
24
○
山崎参考人
完全
操業
という意味にいろいろでございましょうが、最近は御存じのように李承晩ラインと称するものがあり、これは相当大きく底びき
漁業
に影響しております。それから、
北緯
二十九度
以南
を
中国
の希望としては入ってくれるなといっておりますが、
日本
の
漁船
はやはり相当程度出漁しております。それから例の
軍事警戒区域
というこの
区域
には
日本
の船は最近出ておりません。そういうわけでございまして、昨年の六、七月ごろからの状態からいえば、少くも二、三〇%いわゆる
操業
は楽になる状態になっているわけでございます。それの稼働の成績は、先ほど申しましたように
昭和
二十八年度より
昭和
二十九年度は約一一%増産いたしているわけであります。ですから漸次
漁場
問題は改善されつつある。さらに李承晩ラインの問題が改善されれば、戦前の形とあまり違わないところまでいくであろう、こういうふうに考えられております。減船整理の必要があるかということは、これは政治的な問題でございまして、私たちが申し上げる筋でないように思われるのであります。少くも現状は維持するにさしつかえない。
中国側
は一九五四年におきまして四十四隻の
漁船
を新造している。さらにまた
黄海
における
漁船
の勢力を拡大しようとする意思ははっきりしているわけであります。
漁場
と
資源
は同一のものを
漁獲
しているのでありまして、減船問題等については、これはそれぞれの国の
考え方
によって決すべきものであると思います。私は減船の必要などはないと思います。
赤路友藏
25
○
赤路
委員
これは政治問題だという
山崎
さんのお話は、一応政治問題と了解しますが、今言ったように、これは国の処置にまつべきであるというのは当然だと思います。そこで
日本代表
が
四つ
の
禁止区域
の開放について申し入れをした場合、
中国側
の方では、
民間同士
の
話し合い
で決定すべきではない。これは当然
政府
双方
がその
交渉
において
解決
さるべきものであるということを言ったということでございますが、私もそう思うわけであります。そこで民間
代表
の方々御足労願って、非常に御苦心を願ったわけなんですが、お帰りになってからこれらの件について
政府
当局の方に強く
要望
されたかどうか、その点はどういうふうになっていますか。
山崎喜之助
26
○
山崎参考人
われわれはこの
協定
を四月十五日に
調印
いたしまして、これを持ち帰りまして、われわれを選出いたしました
日中漁業協議会
にその承認を求めました。五月七日
協議
会はこれを承認いたしました。そうしていろいろのこの裏づけになる具体的な問題を各
漁業
根拠地においてやっております。それらによって具体的な処置
方法
が今度考えられるわけでございます。それらに基きまして、もし必要であればそれぞれの
関係
御当局にお願いすべきものがあれば、お願いをしようということでございまして、今私たちは
協定
をし、そうしてその
協定
を
協議
会に報告し、
協議
会はこれを承認し、私たちは一応解任された形になっております。今後は
協議
会においてこの報告に基き善処されるものと思っております。われわれそれぞれの私見は持っております。
久保田豊
27
○久保田(豊)
委員
大へんいろいろお骨折りをいただいてありがたいことだと思うのです。
協定
は形は民間と民間とのいうことになっておりますが、いずれにしても、大きく日中の国交をさらに正常化する
一つ
のこれは足がかりになろうかと思います。そういう意味においては、これが誠実に守られるか守られないかということは非常に大事な問題だと思う。従ってこれを実行するための
国内
的
措置
というものが、非常に実は重要になってくると思う。今までの話では、目下検討中であって、その検討の結果立法
措置
なりあるいは行政
措置
なりが必要なものについてはそのつどお願いをするというお話でありまして、ごもっとものことと思う。 そこで問題になりますのは、私どもよくわかりませんが、今度の
付属書
の第一項を見ますと、大体
六つ
の
漁区
に入る
日本
の船の総数は三百七十六隻のように計算されます。最初のお話で総数が八百三十九隻。この
協定外
の海区にももちろん以西底びきが出ているわけでございましょうが、特にこの海区が問題になります点は、いろいろの意味もありましょうが、
日本
の
漁業者
から見れば、こういう海区はかなり有利な海区だと考えられるわけです。従ってこの三百七十六隻の船をどう配分するか。つまりどの船がそういう海区に割当てられるか。あるいはこの割当をする場合にどうやるかということがよほどうまく行きませんというと、なかなか
協定
の実行ということが困難になるのではないか。その結果は、結局この
協定
をこのまま実行できないという危険性が非常に多いと思う。はたしてこれらの
措置
が、自主的に以西底びきの
団体
としてできるのか、あるいは
日中漁業協議会
だけでできるのか、あるいはそれらに対して主管庁その他の
政府
なりの行政的な参加が必要なのか、こういう点が
一つ
の大きな問題になろうかと考えられます。同時にこれらに関連して、これらの船の入
漁船
の割当等についていろいろ好ましからざる弊害も出てくる点もある。はっきり言えば、こういう点についてある意味においてこれらがけんかをする、あるいはこういうことをめぐって
漁業
団体
間にいろいろな
紛争
が起ることも考えられ得るわけです。従ってこういう点についてはどのように今お考えになっておるか、また進めておられるか。同時に、特にこれらの入
漁船
をきめるという問題が非常に大事な問題になってこようと思う。これに対する監視なり管理なりの問題、こういう問題が非常に大きな問題となろうと思いますが、これらについてはどんなふうに今進められておるか、あるいはこれらについて、水産庁その他との間に何らかの話が進んでおるかどうか。特にこれらが公正に行われるということが非常に大事な問題ではないか、こういうふうに考えますが、これらについてはどうですか。
山崎喜之助
28
○
山崎参考人
日本
の船は、先ほど申しましたように、八百数十そうであります。これが常時沖合いで稼働する数は、大体一旦平均四百四十隻くらいと考えられます。それであの
六つ
の
区域
に割り当てます数は、
漁場
の全体的な配分からいきまして、それほど割り込まなければ困るという数ではなくて、割合に余裕があるのでございます。それから
中国側
の
漁船
の数は先ほど申しました数ですが、距離が近いために
日本
よりは稼働率が八十%くらいよいのでございます。そうして常時沖合いで
操業
いたします数はせいぜい三百隻くらいと考えておるのでございます。これに対しまして、あの
三つ
の
区域
で最も膨脹した一定の日を摘出してみますと、三百数十そうを稼働せしめ得る数になっておるわけであります。
中国
の要求は実際の数よりは水増しになっておるわけです。しかしあれだけは稼働する船がないわけでございます。ですから絶対的な
漁場
の中においては、あの二つ合せた数よりは余裕があるのではないかと考えられるわけであります。
日本側
の
漁船
の態勢はどうなっておるかと申しますと、この
機船底
びき
網漁業
全体が
日本
遠洋底びき
網漁業
協会という
一つ
の
団体
に属しておるのであります。それでそのおもなるものは、下関、戸畑、福岡、長崎でございまして、それぞれが支部になっております。
双方
が連絡をいたしまして、この割当はむずかしくない、こういうふうに考えておるのでございまして、内部的な摩擦はまず起らないであろうと考えておりますから、従ってこれから生ずる間接的な弊害も少いと思っております。ただ私たちが懸念いたしますことは、道義的に守るということは結束ができるわけでございますが、万一違反した者があった場合にいかなる
措置
を講ずるかということについては、事業者
団体
法あるいはいろいろと民間でなし得る限度があるわけであります。こういう点はもう少し実際問題を究明いたしましてから、立法府あるいは行
政府
に必要があればお願いをするという態度をとるべきではないかと考えておるわけであります。特にこの
漁区
に
政府
の監視船が行動するということが必要な場合があると思うのでございますが、この
漁業
協定
に基く
政府
の行動ということについては、
政府
にもまた立法府にもいろいろ考えがあるかと思いますが、やはりそうした監視船、監視
方法
ということは考えるべきであろうと考えておるわけであります。いずれにいたしましても、
民間協定
というものの実施については限度があると思いますので、われわれはこの第九条におきまして、できるだけすみやかに両国
政府
の
漁業
協定
を結んでほしいというこの一条だけを、この
協定
の中で
政府
の問題として唱えておるわけです。その他には何も
政府
を出していないわけであります。以上のような状態で、割合にすべり出しは円満にいくのではないかと考えております。
久保田豊
29
○久保田
委員
日中
漁業
の問題につきま しては、非常に困難な事情があったにかかわらず、一行がこの問題についてある程度の
解決
点を見出されたごとに対しまして敬意を表する次第であります。ただ、この
隻数
の問題について少し奇異の感を抱く点があるようでございますから、この一点だけお伺いいたしたいと思うのであります。 支那
東海
の底びき
網漁業
は、ほとんど
中国
寄りでございまして、
日本側
には適当な
漁場
がないのでございます。従って
日本
の八百四十九隻はほとんど支那
東海
の、しかも
中国
寄りで
操業
をしておる。さらにこの
漁場
の開発の
経過
を考えてみますと、
日本側
が今日まで努力をしてすべてを開発してきた
漁場
でございました。
漁場
の価値及び過去の努力という点から考えまして、この
中国
寄りの
漁場
そのものに対して互恵ということだけで進むことは、何だか割り切れないような気持がするのでございます。そこで今回
協定
海域で
隻数
を決定されたということでございますが、第一区において
日本側
で四十六隻、三月一日から四月三十日まで出漁ができる、こういうことになっておりますが、従来三月一日から四月三十日までの間に、この第一区の
漁場
におきまして、
日本
の
漁船
がどの程度に出漁しておったものであるか。同様に第二区、第三区、第四区、第五区、第六区までのこの季節における
日本漁船
の従来の出
漁船数
、その問題について、もし数字がわかっておりますればお教えを願いたいと思うのであります。 第二に、
中国側
といたしまして、実際
操業
しない
隻数
、水増しの
隻数
を確保しておる。この
隻数
は将来
漁業
協定
でも
締結
するときに有利な地位に立つために、さような気持でやっておるのかどうか。その点を第二点としてお伺いいたしたいのでございます。 第三点といたしまして、現在
中国
が二百八十七隻、建造中のものが四十四隻、こういうことでありますが、
中国
の底びき網の将来の趨勢というものは、非常な勢いでもって
隻数
をふやそうとしておるかどうか。言いかえますと、
日本
の
漁船
の
制限
問題を考える際に大きな参考になる問題と思いますから、その点三点だけを
一つ
お答え願いたいと思います。
山崎喜之助
30
○
山崎参考人
この
六つ
の
区域
にどれだけ稼働しておるかということは――大体
機船底
びき網船ですが、これは
昭和
二十九年の九月まで、その前の一年間で総稼働数の二%くらいらしいのでございます。その後治安状態がよくなりまして、少くもこのままでいけば一五%程度のものは当然
操業
するであろうと考えられておるわけであります。それに対しまして先ほどのような稼働数が考えられると申し上げたわけでございます。この点は
漁場
価値判断によりまして漁撈長がいろいろ操作いたしまするし、また
漁獲物
の価値等によって若干の変化があると思いまするが、
日本
の
漁船
の稼働を大きく制約するものではないと考えております。正確な数を実は持ち合せておりません。 それから、
中国側
が示した各
漁区
についての数等は若干の水増しがあり、
日本側
は真実のものを出しておるという趨勢であります。しかしながらこれは先ほど申しましたように、
三つ
合せたものが
漁場
の
収容能力
ではない、また二つの数を対比したものが
漁船
の勢力を
表示
する比率ではない、お互いにとりあえずこれだけの数を入れることにおいて全体的な調整がとれるという希望の数を述べたのであります。
日本側
も、
中国側
の数が、ふくれているということは認識しておりましたが、あえてこれを指摘いたしませんでした。しかしこれは一カ年間の
操業
実績によって、ふくれた数であるということはおのずからわかるわけでございますから、
方法
はあると思っておりますし、そういう点に触れないようにしたわけであります。
中国側
の
漁船
が将来どういう傾向で進むかということにつきましては、先ほど申しましたように、
昭和
二十九年度すでに用意している新造船が四十四隻あって、これは三十年度から稼働すると言っております。相当に積極的であります。またわれわれ
漁業者
と私的
会談
の際においても、やはり今後は
漁船
は少くも百トン・クラスの優秀船を用意すべきであるというふうな意向がうかがわれております。ああした統制経済、計画生産の国でありまするから、私は今後相当に発展するであろうと思います。また向うの文献等によりますと、この
漁業
を主宰しております地方の水産公司は、相当高率な収益を収めております。こういうような状態でございますから、漸次漸進的に勢力を増強してくると思うのであります。その場合、いつかは
日本
と
中国
が恒久的対策として
漁船
の数あるいは全
漁獲
の数、あるいはもっと科学的な
資源
維持の
方法
等を
協議
すべき時期が来るのではないか、このように考えておるものであります。
田口長治郎
31
○田口
委員
この
協定
海区における
隻数
の問題は、私は、シナ
東海
、
黄海
における
拿捕事件
の起る前、すなわち朝鮮事変以前の状態における
日本漁船
の入漁、その数によって考えるべきものであると考えるのでありますが、今の話を承わりますと、拿捕、抑留の危険が出て、自由に
操業
されない状態と比べて稼働率が多くなった、こういうふうに承わりますが、どっちを標準にして判断されたのでございますか、その点を
一つ
お伺いいたしたい。
山崎喜之助
32
○
山崎参考人
私が先ほど申しました数は、
昭和
三十八年ごろの稼動の率をもって申し上げたわけでございます。それから朝鮮戦争前のいわゆる平和な時代を想定して、また平和な時代にはあの
六つ
の
区域
で、あの
期間
どのくらい
操業
したかということにつきましては、確実な
資料
を持ち合せていないわけでございます。
田口長治郎
33
○田口
委員
ほかの
機会
におきまして、詳細研究する
機会
があると思いますから、本日はこの程度にいたしておきます。
綱島正興
34
○
綱島委員長
それではこの際
委員長
から
参考人
の方にちょっとごあいさつを申し上げます。
日中間
の
漁業
問題が国民の非常な注視を集めておる中に、いろいろ御努力を賜わりまして成果を上げていただきましたことを感謝いたしますとともに、今日は特に御
出席
いただきましていろいろその間の事情を
委員会
で明らかにしていただきましたことをお礼を申し上げます。 午前中はこれにて終ります。午後は二時から開会いたしたいと思います。 暫時休憩いたします。 午後零時十八分休憩 ――――◇――――― 午後二時二十七分
開議
綱島正興
35
○
綱島委員長
これより休憩前に引き続き
会議
を開きます。 林野庁予算について
説明
を求めます。
柴田栄
36
○柴田(栄)
政府
委員
昭和
三十年度におきまする林野庁
関係
の予算案に対しまして、
概要
を御
説明
申し上げたいと思います。 まず一般会計につきましては、一般費におきまして二十九年度総額十四億八千八百七十八万五千円でございましたものが、三十年度におきましては一部削減を見まして十四億一千百六十一万円と相なりまして、差引七千七百十七万五千円の減ということに編成いたしております。また公共事業費につきまして、内地
関係
すなわち農林省所管
関係
といたしまして、二十九年度におきまして百一億九千七百三万二千円でございましたものが、三十年度におきましては九十四億一千二百四十八万三千円、差引いたしまして七億八千四百六十四万九千円の減と相なっております。さらに北海道開発庁
関係
の総理府所管で計上いたしておりまする公共事業費、北海道分が二十九年度におきまして六億三百十六万四千円に対しまして、三十年度は五億四千六百四十五万円、差引いたしまして五千六百七十一万四千円の減ということに相なっております。 さらに特別会計でございますが、私どものお預かりしておりまする特別会計の
一つ
の森林火災保険特別会計におきましては、二十九年度におきまして歳入歳出とも三億九千百九十一万円でございましたものを、三十年度におきましては三億三千七百十九万五千円の歳入歳出で編成をいたしておるわけであります。 また同じく特別会計におきまして、国有林野事業特別会計におきましては、二十九年度におきまして補正を加えまして、歳入歳出とも三百五十四億一千万円でございましたものを、三十年度におきましては四百七億八百三十万九千円、差し引きまして五十二億九千八百三十万九千円の増と相なっております。 そこでそれぞれの費目につきまして簡単に御
説明
を申し上げたいと存じますが、そのうち、特に今年度において多少変更あるいは特殊の計画をいたしたものについて、取り上げて申し上げたいと存ずる次第であります。 まず一般費につきまして申し上げますと、一般行政費に関しましては、庁費等の節約によりまして幾分減少いたしております。 国有林野事業特別会計へ繰り入れの減少につきましては、これは特別会計におきまして直轄治山事業を担当いたしております職員の給与が主体でございますが、国有林におきまして保安林の買い入れをいたしました結果、従来直轄事業をいたしておりましたものが国有林野事業に組みかえになりましたものの減でございます。 保安林整計画の実施は、計画に基いての増でございます。 なお森林計画におきまして三千二百八十一二月四千円を減を見ておりますものは、昨年度におきまして保安林整備に伴います保安林の管理実行計画を別途に積み立てておりましたものを、今度は森林計画の一環として実施することになりまして、森林計画全体において整備することによりまして、一部森林計画の経費を振り向けるというような
関係
によりまして、減額を見たものがあるのでございますが、その他には変更はございません。 それから五の森林組合及び同連合会育成指導、それと六の再建整備等は、それぞれ計画に基いての実行でございまして、前年度と実行におきましてはほとんどかわりはございません。 七に上っておりまする林業改良普及の
関係
におきまして、五百九十三万円増額になっておりまするのは、御承知のように林業改良という事業は、農業等と比較いたしまして非常におそく出発いたしました
関係
上、当初に計画を立てまして、年次計画によって整備するように相なっておったものが、その年の財政事情等からいたしまして、計画が非常に変更になり、またさらに人員の削減等の一律処理にあいまして、非常に窮屈な事業を行って参ったのでありますが、普及活動が非常に活発に行われておりまして、
少数
の人数をもって相当の成績を上げておるという事実が認められまして、一般削減の今日、特に林業改定普及事業に関しましては、地区普及員の人員増加が認められまして、地区普及員として官名の増加を含めた経費として、三十年度は前年度と比較いたしまして増額を計画することができるように相なった次第でございます。 次に八はほとんど前年度と同様でございます。九、森林病害虫防除に関しまして、一部減少いたしておりますが、これは
内容
的に相当の変化がございまして、御承知のように森林病害虫の大宗とも申しておりました松食虫の
関係
は、引き続いて実施いたして参りました防除の効果が相当に現われて参りまして、昨年あたりからだいぶ衰えて参っておりますので、防除費も一部削減も可能と相なっておるのでございます。その他クリタマバチにつきましても、昨年あたりからは天敵の異常な増加によりまして、繁殖率が非常に弱って参りました
関係
もございまして、これらは一部防除費の必要がなくなって減額いたした次第でございます。反面におきまして、北海道に昨年の九月起りました十五号台風に伴いまする風倒木の虫害防除の
関係
は、新しい仕事として、大きな問題として取り上げざるを得ない結果に相なったのであります。そこで国有林の防除事業と併行いたしまして、民有林
関係
の防除を
対象
といたしまして、新しく約四千万円の増加を見て、
合計
いたしましてここにお示ししておるような計画となった次第であります。 次に九の有益鳥獣保護利用の
関係
は、一部節約を見た程度で、これが保護利用の施設の維持管理に支障のない計画をもって予算を編成いたしております。 十に優良種苗普及の経費がございますが、そこに約千七百万円余の減少を見ておりますものは、従来毬果の採取に対しまして補助をいたしておりましたものを、一応今年度はこれを削除するということに相なっておりまして、多少困難な点はあると存じますが、優良種苗育成に対しまして万全の
措置
を講ずることによりまして、その
目的
を達するという見通しをもって、減額編成をいたした次第でございます。 十二の林業試験場の運営に関しましては、ごく少額でございますが、増額いたしております。主たる増加千六百万円ばかりを見ておりますものは、昨年度におきまして林業試験場に林産研究施設が完成いたしまして、新しく林産研究の強化をはかるということになってこれが増加を見、節減と総計いたしまして、百七十八万三千円の増と相なっておる次第でございます。 次に公共事業の
関係
について申し上げたいと存じます。林野
関係
の公共事業はいずれも治山治水対策として考えられる問題でございまして、特にそのうちで大きく取り上げて参っておりまするのは、まず保安林の整備とこれに伴いまする対策を考えて参っておる次第でございます。三十年度におきましては、特に重要な水源地帯の保安林の水源林造成に対しまして力を用いたいということで計画を進めた次第でございます。予算におきまして、治山事業といたしましては、総額におきまして昨年度に比較いたしますと一億八千八百余万円の減少になっておりまするが、そのおもなるものは、治山事業中の直轄治山事業でございます。これは先刻も申し上げましたように、従来直轄治山を行って参りました民有保安林につきまして、国有林において買い上げまして、国営事業として実施するというものに切りかえて参りました結果、直轄治山事業の減少を見ておる次第でございます。事業総量におきましては、国有林においてこれを実施するということによって減少させない、さらに強化するという方向にあるということを御了承願いたいと思うのであります。従いまして治山事業の補助といたしましては、前年度よりも多少増加をいたしておる次第でございますが、とりわけ水源林造成に関しましては、二十九年度におきまして一万二千三百七十九町歩の水源林造成を計画実施いたしたのでございまするが、三十年度におきましては、倍額以上、二万七千二百町歩を計画いたしまして、今日重要水源
地域
の保安林地帯におきまする全要水源林造成
地域
が約四十三万町歩程度あるという調査になっておりまするが、そのうち買い上げを予定いたしておりまするもの、あるいは後刻
説明
申し上げまするが、公有林野につきまして官行造林を拡張いたしまして、水源林造成を行いたいというもの等を一応除きまして、約二十七万町歩につきましてなるべく早い
機会
にこれを一応造林を完了いたしたいという計画のもとに、本年度から出発いたすということに相なった次第でございます。それの経費を新しく計上いたしまして、これが約四億九千万円程度組まれておる次第でございます。 次に造林事業でございまするが、造林事業に対しましては、二十九年度におきまして二十九億一千八百八十七万円計上されておりましたが、三十年度は遺憾ながら三十七億四百三十六万円に減少を見ております。差引三億一千四百五十一万円の減と相なっておるのであります。
綱島正興
37
○
綱島委員長
数字がプリントと違いますね。
柴田栄
38
○柴田(栄)
政府
委員
少し旅費を
一つ
ぐらいに固めたりした
関係
で、端数が違ってくると思います。
対象
の面積が、二十九年度におきましては三十一万三千七百三十七町歩というものを計画いたしておりましたものが、三十年度におきましては、二十九万一千町歩ということに相なりまして、ここに二万二千七百三十七町歩の減少ということに相なっておるのでございまするが、先刻申し上げました水源林の造成と官行造林と合せますると、ほぼ総体の造林面積には減少がないという状況に相なっております。半面造林者の非常な御協力によりまして、融資によりまする造林が相当活発に相なって参っておりますので、融資造林等をも含めまして、森林計画に指定いたしておりまする造林計画はぜひとも完全に実施できるように強力に指導をいたして参りたいかように考えておる次第でございます。 次に林道の事業でございまするが、林道事業に対しましては、二十九年度におきまして総額十六億六千八百四十二万円でございましたものが、三十年度におきましては十五億九千八百万円、差引いたしまして七千四十二万円減となっております。これを奥地林道と一般林道とについて見ますると、奥地林道につきましてはほぼ前年度量、あるいは多少の増加を見てこれを計画することができるようになりましたが、一般林道につきましてはやや減少を余儀なくされておるのでありますが、最近の林道の情勢を見ますると、一時よりも相当整備いたして参ったという
関係
等もありますので、あるいは財界の不況等からいたしまして速急林道を整備するというような希望の減少等も含めまして、森林計画に計画いたしておりまする林道以外については、やや希望が不活発に相なって参っておること等をあわせて、かつは融資によりまする林道の慫慂等をもあわせまして、多少困難な点はございますが、やや計画量の確保をしたいということで最大の努力をいたしたい、かように考えておる次第でございます。北海道につきましても、公共事業費につきましては大体以上のような各事業別に整備いたしておる次第でございます。 次に災害復旧の
関係
を簡単に申し上げますと、災害復旧
関係
の事業費といたしましては、昨年度におきましては八億七千五百三十二万一千円でございましたものは、本年度におきましては七億三千九十二万四千円、差引いたしまして一億四千四百三十九万七千円の減少となっておりますが、これは主として災害総量の減少が大きな理由でございまして、林野
関係
におきましては、二十六年度までの災害は全部復旧完了いたしております。二十七年度におきましても、わずか残っておりますものの三分の一を目標としてこれを実施する、二十八年度につきましては総量の六五%、二十九年度につきましては総量の五五%実施を目標として計画をいたした次第でございます。 以上一般費につきまして簡単に御
説明
を申し上げましたが、次に特別会計に関しまして御
説明
を申し上げたいと存じます。 森林火災保険の特別会計は非常に規模の小さな特別会計ではございますが、非常に堅実な歩みをいたしておりまして、だんだん森林所有者の理解も深まって参りました。徐々ながらこれが徹底をいたしまして順次その
目的
を達成いたしておりますので、三十年度において、二十九年度よりも多少歳入歳出の増加を計画いたしましてこれが熱意にこたえたい、かように考えている次第でございます。 次に特別会計の
一つ
であります国有林野事業特別会計でございますが、この特別会計は主として国有林野の産物の計画的な伐採によりまして林野の計画的施業を維持して、一面におきまして林産物の自給増殖をはかるとともに国土保全に役立てたいということで実行いたしておる次第でございます。従いまして伐採量につきましては将来の収獲捕捉を勘案いたしまして、いわゆる調整減伐量を越えないということを
原則
といたし、ここ数年来その範囲内すなわち年間総伐採量四千六百万石内外を計画
対象
として進めて参った次第でございますが、三十年度におきましては、御承知のごとく北海道におきまする十五号台風の風害木整理に伴いまして、やむを得ない増伐を余儀なくされるに至ったのであります。もちろんこの増伐にあたりましては、北海道内におきまする生立木の伐採計画は極力これを圧縮いたしまして、さらに内地国有林野につきましても、北海道材の内地輸送に伴って調整を要する地方に関しましては、極力その競合を避けまして、総合的な利用を取り計らうような
方針
のもとに調整をはかったのでございますが、結果といたしましては、相当伐採童心増加と相なったのでございます。三十年度の総伐採量は五千六百六十余力石と相なった次第でございます。この伐採量を立木処分と直営生産別に計画いたしまして、立木処分によりますものを、用材につきましては千六百二十万石、薪材におきまして千三百十六万三千石、
合計
いたしまして二千九百三十六万三千石を計画いたし、直営生産の
対象
資材といたしまして、用材で二千五百二十四万七千石、薪材におきまして二百万七千石、
合計
二千七百二十五万四千石を計画いたした次第でございます。 次に北海道におきまする風害木の処理に伴いまする予算の
関係
を簡単に御
説明
申し上げたいと存じますが、十五号台風によりまする風害木に対しましては緊急にこれを処理する必要がございますので、歳入予算
関係
といたしまして考えますると、被害木を
対象
とする立木並びに製品処分によりまする収入は約八十億円余ということに一応算出されるのでありますが、一方先刻申し上げましたように、北海道内における生立木あるいは
関係
内地国有林におきまする伐採の調整減量等を勘案いたしまして、資金計画によりまする歳入減約二十六億五千万円、これを両者相殺いたしまして、収入増として五十三億五千万日余を計上いたした次第でございます。これに対しまして歳出予算につきましては、この歳入予算を引き当て財源といたしまして、被害木を極力早期にかつ的確に処理をいたすような緊急
措置
を講じた次第でございます。このために従来北海道におきましては立木処分を主体といたしまして約六割ないし六割五分、直営伐採四割ないし三割五分という実施の割合を、逆に直営伐採を六割程度まで増加するというような
措置
を講じましたための製品事業量、あるいはこれが急速搬出のための林道事業費、さらには虫害防除、火災予防あるいは跡地の更新のための調査費等を計画いたしまして、反面におきまして、北海道においてはもちろん災害
地域
以外の計画を極力圧縮し、さらに内地国有林におきましても既定計画量を圧縮、繰り延べする等の
措置
を講じまして、一応五十三億五千万円の範囲内において緊急
措置
を計画いたした次第でございます。 なお国有林野事業といたしましては、治山事業におきまして二十九年度を初年度といたします治山治水上の重要な保安林を国有林に買い上げ、かつ事業を実施するということで進めた次第でございます。三十年度におきましても、これが計画に基きまして五万町歩の買い入れを予定いたしておりますが、これに要します経費十五億を計上いたしまして、さらに二十九年度に買い入れました五万二千四百三十一町歩と本年度買い入れます
地域
とを
対象
といたしまして治山工事費を十六億七千五百九十二万円計上いたされておる次第でございます。これを合せまして二十七年度からこの会計の負担において実施いたしております国有林の治山工事費を十三億四千九百五十二万八千円計上いたしておるわけでございます。 さらに国有林野整備の仕事でございまするが、国有林野整備臨時
措置
法によりまする国有林の売り払い及び
交換
は、二十九年度末をもって一応終了いたしたのでございますが、同法による売り払い代金をもっていたしまする買い入れば、今後もなお行われる次第でございまして、さらに町村合併促進法第十七条の規定によりまする国有林野の売り払い、あわせて不要存置林野の売り払いは引き続いて行われる次第でございます。国有林野整備臨時
措置
法によりまする売り払い及び
交換
の実績は、大体売り払いにおきまして総件数二千二百九十六件、面積十三万八千九百四十九町歩を実施いたしまして、
交換
では百五十一件で、国有林で提供いたしましたものが五千三百四十二町歩、取得いたしましたものが九千七百八町歩ございます。さらに引き続いて行われます町村合併促進法によります売り払いは、従来は国有林野整備臨時
措置
法の期限内完了を目途といたしまして、町村合併促進法によるものはやや時間のずれを見ておりました。従いまして今日まで実施いたしましたものはわずかに九件、千十五町歩にすぎないのでありまするが、今日まで申請のございましたものが百二件、四万三千八百十七町歩ございますので、今後におきましてはこれを急速に処理いたす見込みでございます。 かようにいたしまして、三十年度におきましては、本事業によりまして民有林の林野整備に伴います買い上げ費を三億、それから売り払い、調査等の経費を三千三百十一万六千円計上いたしておる次第であります。 次に官行造林事業でございまするが、公有林野心自行造林事業は、森林
資源
の増強施策といたしまして大正九年に法案の制定を見まして発足いたした次第でございますが、爾来所期の
目的
を達成いたしまして、二十九年度末までに造林完了いたしましたものが、二十八万余町歩に達しております。一応さきの公有林野宮行造林事業の目標でありまする三十万町歩の造林完了につきましては、三十一年度をもって完了することといたして、三十年度分を計画いたしておる次第でございます。さらに既往の成果にかんがみまして、今後拡充強化をいたすことが、刻下の急務であるとされております森林
資源
の増強対策上非常に重要なことであるというふうに考えまして、三十年度予算におきましては、既成計画の分として六千町歩を計上いたしておりまするほかに、新規計画といたしまして、水源林造成のための目標八万町歩、普通林の公有林目標十五万町歩、
合計
いたしまして二十三万町歩を新しい
対象
として本年度から出発いたしたいということで計上いたしておる次第でございます。従いまして初年度三十年度におきましては、水源林
対象
といたしまする百行造林として、五千町歩、普通林といたしましては既定計画分がございまするので一応明年度の種苗の準備を主体といたしまして、新しい計画は二千五百町歩にとどめた次第でございまするが、これに要しまする経費四億七千二百二十万円を計上いたしておる次第でございます。しかしながらこの四億七千一百三十万円の中には、三億円の種苗事業費を含めておりまするので、予算の配分上造林事業費と一括して施業することが合理的であるという見地から、造林事業費に含めて計上いたしておる次第でございます。従いまして予算面におきましては、この新規事業費といたしましては二億七千二百二十万円となっておりまして、既定の計画を含めまして、官行造林総額八億四千三百九十三万四千円ということで計上いたしておる次第でございます。 まことに簡単でございましたが、大要以上御
説明
を終ります。
綱島正興
39
○
綱島委員長
川俣
委員
。
川俣清音
40
○川俣
委員
この際明らかにしていただきたいと思いまするのは、昨日配付になりました官房からの概算要求事項別一覧表と今の
説明
との間に幾分の相違がありますので、この点を明らかにしておいていただきたい。それから一般会計の分で、前年度限りの経費とありますが、これは何をさすのかということ。次に特別会計の中で、これはプリントの間違いじゃないかと思うので、訂正しておいていただく必要があると思うのです。それは特別会計の第八ページの一般会計への繰り入れが減となっておるが、これは間違いのようですから、この三点について……。
柴田栄
41
○柴田(栄)
政府
委員
総計におきましては相違はないと存じます。各費目ごとの経費におきまして多少の相違がありまするのは、旅費庁費等を一括いたしまして、一般費にしたというような点で、多少相違が出てくるものもあるかと存じます。総額におきましては変りはないわけでございます。前年度限りと申しますのは、当年災で打ち切りになる災害復旧費でございます。
綱島正興
42
○
綱島委員長
今の
質問
の、八ページの一般会計への繰り入れというのは、これは三角だけがよけいなものでしょう。
柴田栄
43
○柴田(栄)
政府
委員
国有林の一般会計への繰り入れ……。
川俣清音
44
○川俣
委員
八ページの下から四行目。
柴田栄
45
○柴田(栄)
政府
委員
ああ、これは逆でございます。
綱島正興
46
○
綱島委員長
質問
はありませんか。 ――
―――――――――――
綱島正興
47
○
綱島委員長
それでは水産庁予算の
説明
を聞くことにいたします。
水産庁長官
。
前谷重夫
48
○前谷
政府
委員
それでは水産庁の本年度の予算の
概要
につきまして御
説明
申し上げます。お配りしております
資料
の
昭和
三十年度概算要求事項別一覧表でございますが、これについて簡単に御
説明
申し上げます。 本年度の水産庁の予算は、一般会計におきましては二十一億三千三十五万八千円でございます。これに対しまして昨年度の当初の成立予算は二十二億百二万五千円ということに相なっております。その後補正等の
関係
がございまして、実行予算といたしましては約五千万円ふえまして、二十二億五千四百十六万四千円というのが昨年度の予算でございます。本年度の総額の二十一億三千三十五万八千円につきまして、おもな項目についてこの事項別一覧表に従いまして申し上げたいと思います。 第一は、水産庁の一般行政の
関係
でござ一いまして、人件費がおもでございます。 第二の
漁船
乗組員養成事業でございますが、これが九百八十三万九千円でございます。この
内容
は二種類ございまして、
一つ
は小型船舶職員の養成講習会の補助金と、船長、機関長、通信員等の養成の補助金と
三つ
あるわけございます。これは船舶職員法が
漁船
にも適用になることになったのでございますが、その当時まだ資格のない、現実に
漁船
に乗っておる人がおりましたので、それに対しまして臨時の特例を設けまして、資格の緩和をいたしておったわけでございます。この資格の緩和が三十一年の三月末で切れるわけでございます。現在
漁船
に乗船いたしております者に対しましてその資格を取るように講習会を開く、こういうのがこの予算の
内容
でございます。 次に第四の小型
機船底
びき
網漁業
減船整理査及び指導調整、こういう項目がございます。これは五百四十七万一千円、こういうことになっておりまして、昨年度は一億六千百九十万円ということになっておるわけでございます。これは小型底びき網の
沿岸
との調整のために整理をいたしておりまして、本年が第五年目に当っておるわけでございます。これは各県とも
協議
いたしましたし、また中央
漁業
調整
委員会
にもお諮りいたしまして、本年度は最終年次といたしまして、残りました陸奥湾
関係
の小型底びき網の整理をする、こういうことにいたしたわけでございまして、その計画に従いまして本年度は五百四十七万円ということにいたしたわけでございます。その結果といたしまして大体小型底びき綱の整理は、トン数にいたしますと十万三千トンほどございましたのが約三万トンほど減船になりまして七万二千トン程度になる、こういう状態でございます。今後この補助金による整理といたしましては、これで一段落いたしまして、今後は問題といたしまして
沿岸漁業
に対します組織化あるいはそれによります
漁船
の大型化というふうなことを進めて参る段階に入るかと思います。 次に同じく第五の中型
機船底
びき
網漁業
整理転換、これも昨年度の予算は八千三百七十四万円でございましたが、これにつきましても三十八年二十九年におきまして、百十一隻、三千五百四十トンほどの整理をいたしたわけでございますが、二十九年度と三十年度におきましては北洋
漁業
が相当大きく想定されますので、この北洋
漁業
に対しまして出漁する独航船につきましては、中型底びき
網漁業
の権利を持っておる人に限りまして、これが北洋
漁業
に出漁する場合におきましては、その権利を放棄するというような形におきまして、整理を推進して参つたわけであります。大体この情勢から申しますと、当初われわれが予定いたしましたものよりもだんだん整理が進捗いたしまして、当初七万五千トン程度の現有勢力でございましたのが、本年におきまして、五万四千トンほどの現有勢力になったわけでございます。これでほぼ転換が完了いたしました。今後は、今後の北洋
漁業
の拡大に伴いまして、従来と同様の
方針
でもって中型底びき網の転換をはかって参ればよかろう、こういう
考え方
でございまして、この補助による整理転換は本年度で打ち切りにいたしたわけでございます。 第六の北海道未開発魚田開発は、三千八百六十五万二千円でございます。昨年度の予算は三千七百六十八万九千円であります。これは御承知のように、北海道におきます未開発地帯に漁民を入植する、内地からの入植でございますが、昨年度におきましては二百二十戸の計画でございましたが、本年度におきましては二百戸で、二十戸ほど戸数は減っております。しかし一方におきまして、昨年度、考えておりませんでした診療用あるしは共同倉庫等の補助を新しくつけ加えましたので、戸数は減りましたが金額的には多少の増加ということに相なったわけでございます。 次に第七の
沿岸漁業
調整、これは各海区の
漁業
調整
委員会
の
委員
の手当の補助と、それから海区の調整
委員会
に設けております書記の俸給の補助、こういう
内容
のものでございます。これは形といたしましては農業
委員会
のものに相当するようなものでございます。これは法律的には
漁業
法に基いて全額国庫が負担するということになっておるわけでございますが、昨年度補助金等の臨時特例によりましてその三分の二というふうに相なっております。この予算は、やはりその臨時特例が延長される、こういう前提のもとに予算が細まれておるわけでございます。職員は規定の計画に従いまして昨年より三名減っておるということでございますのと、海区の数が、これは従来百七十ございましたが、昨年この海区が合同いたしまして、百三十四に相なりましたので、それに応じた
委員
等の数をはじいておるわけでございます。これが一億百五百九十万円、これに対しまして昨年度は一億一千九百十三万円、かように相なっております。 それから第九でございますが、これは
沿岸
及び沖合い
漁業
の取締りで具体的な
内容
といたしましては取締船の費用でございます。小型の取締り、沖合い
漁業
の取締り、瀬戸内海の取締り、有明海の取締りということで、取締船の費用でございまして、事務費でございます。 第十は、新
漁場
の開発といたしまして、新規項目として、取り上げたわけでございまして、一千二十七万円と相なっております。この
考え方
は、従来各府県の試験場の指導船、それから水産庁の持っておる試験船等によりまして、先ほど申しました整理転換を要する中型機船の新
漁場
をいろいろ調査をいたしておったわけであります。これは調査もほぼできまして、大体八カ所程度におきまして適当な新
漁場
が見つかったわけでございます。しかし距離が
沿岸
よりも相当遠いわけでございますので、やはりこれに補助をいたしまして、試験
操業
をせしめる、こういう
考え方
をもちまして府県の水産試験場の試験船をキャップといたしまして、これに民間船当業船を二隻つけまして、一カ所について三隻の形で、八カ所について試験
操業
をやらしたい。これに対しまして試験場の船につきましては燃料費の補助、それから民間船につきましては漁具等の補助をいたす、こういう
考え方
でございます。これは本年度一ぱいでございますが、将来さらに試験を続けて参りますと、相当数、百隻程度の中型底びき網の、
沿岸
との摩擦が相当多いこの
操業
を相当緩和し得る。そうして新
漁場
に吸収し得るのではないかと期待しておるわけでございます。もう
一つ
の
内容
は、まき
網漁業
の試験
操業
でございまして、これはやはり山陰の沖合いにかけまして三カ所、三カ統になりますので、一カ統五隻といたしまして、これは試験場の船をつけませんで、民間船でもって試験
操業
せしめるということで、それの燃料費を補助する、こういう
考え方
をいたしておるわけであります。これが新
漁場
開発といたしまして新しく予算を組んだわけであります。場所は大体山陰及び能登沖それから金華山沖、千島海域沖、それから北海道と金華山沖との間等の沖合いを予定いたしておるわけであります。 第十一は、水産増殖でございまして、水産増殖は本年度の予算外が一億二千三十七万円でございます。これに対しまして昨年度は一億三千四百十三万円であります。この水産増殖には
三つ
の種類がございまして、
一つ
は内水面の
関係
と、
一つ
は浅海の
関係
でございます。内水面は放流事業といたしまして、アユ、コイ、フナ等の稚魚を確保するためのいわゆる養魚池の補助、これは三項目になっておりますが、昨年度よりも減っておるわけでございます。一方、浅海増殖につきましては、特に魚礁設置、これは各方面から相当希望もございますし、その効果もございますので、本年度はこれに重点を置きまして予算を幾分ふやしておるわけでございます。浅海増殖といたしましては、ノリ、カキ等のために土地を耕転整地する場合あるいは客土する場合、これがノリ、カキ等、に対する養殖の補助でございまして、浅海のその他のものにつきましては、築いそでございますとか、あるいは魚礁を設置するという
方法
でもって浅海の方面の増殖をいたしておるわけであります。 第十二は、内水面
漁業
調整であります。調査となっておりますが、調整の誤まりでございます。これは先ほど申しました
沿岸漁業
調整と同様に、内水面におきます
漁業
調整
委員会
の職員と
委員
の費用でございます。 次に、北海道の流し網の整理、これは既定計画に基くものでございます。 第十四は、水産業協同組合の指導監督の問題でございまして、これは府県の検査に要する費用の補助でございまして、千五百二十六万円でございます。これの昨年度の
関係
は千六百二十万円でございますが、落ちましたのは役職員の講習費の補助でございまして、職員
関係
には変りはございません。 第十五は、
漁業
協同組合再建整備及び整備促進でございます。これは再建整備法に基きます増資奨励金でございまして、法律の規定に従ってその
方針
で進めておるわけでございまして、二千五百三十八万円になっております。 第六は、
漁業
災害の復旧資金の融通に関する特別
措置
法施行で、これは二十八年度の台風災害その他十勝沖、オホーツク海の災害等の利子補給であります。これも法律に伴いまして融資いたしましたものの利子補給を計上いたしておるわけであります。 それから
漁船
保険の損害補償として、
漁船
損害補償の特別会計に一般会計からの繰り入れが、一億五千七百一万四十円となっております。これにつきまして特に
内容
の変った点は、昨年度は実施予算といたしまして、拿捕等の
関係
で九千四百万円の拿捕保険の損失補償金が入っておったわけでありますが、昨年の秋から拿捕の状態はだんだん減って参っておる状態でございますし、またこれは実態がはっきりして繰り入れを要する場合においては、翌年度において繰り入れをし得ることになっておりますので、この当初の予算におきましては、特殊保険の損害補償金は見込まないことにいたしておるわけでございます。これは昨年度九千四百万円あったわけでございます。それからもう
一つ
違いました点は、従来搭載漁具の保険について実は実施いたしておらなかったわけでございますが、本年度から、
漁船
が沈没して搭載漁具が全損いたしました場合におきましては、これをやはり保険事故の
対象
として取り上げることにいたしたいということで、この保険の繰り入れの中に三百万円程度の負担金、これは保険料の差額負担金でございますが、それを見たわけであります。他は保険の推定に基いて一般会計から繰り入れるべきものを繰り入れた、こういう
内容
のものでございます。 それから輸出水産の振興、水産物取引改善、これは事務費でございますので……。
綱島正興
49
○
綱島委員長
どういうことをするのですか、水産の振興とは。
前谷重夫
50
○前谷
政府
委員
輸出水産の振興は、輸出水産業の振興に関する法律というのがありますが、それに基きます輸出水産業振興審議会の開催の費用であります。 それから水産物取引改善、これは卸売市場の指導監督の旅費等の庁費であ ります。 第二十の
漁業
条約実施並びに
漁業
協定
交渉
、これはいろいろな
漁業
の条約あるいは
交渉
等、また国際
会議
等がございますので、その準備をいたしますために
国内
でいろいろ打ち合せをするための事務費的な費用でございます。 第二十一のオットセイ調査並びに指導監督、これは主として調査船費でございます。 第二十二の捕鯨業指導取締並びに調査、これは日米加の
漁業
条約に基きまする調査でございます。 第二十三の北洋
漁業
に関する指導監督並びに取締、これにつきましてはこのたび北洋
漁業
につきまして船団も増加いたしましたし、また西の方面にも参るということで昨年度より取締船を一隻これは用船でございますが、一隻増加するということの
内容
になっておりまして、全体といたしまして官船と五隻の取締船でもって北洋
漁業
の取締に当るわけでございます。昨年度よりその取締船を一隻増加したということが昨年度との違いでございます。 第二十四は、遠洋
漁業
の取締指導監督並びに新
漁場
開発、こういうことになっておりますが、これには二つの
内容
がございます。
一つ
は
東海
、
黄海
におきます以西の
漁場
の取締り、それから太平洋におきまするカツオ、マグロの取締の船費でございます。これは昨年度より一隻減っただけでございます。この取締船費は、ここにございますように、取締り
関係
は一億八千四百四十万円でありまして、その余は新
漁場
の開発のための調査の費用でございます。この新
漁場
の開発につきましては、主としてカツオ、マグロの
漁場
を
対象
といたしておりますので、
漁場
としては、昨年ごく部分的に調査をいたしましたが、たとえば普通の場合におきますると、百本のはえなわに対しまして五、六本の魚がかかるのでありますが、インド洋においては、昨年の調査からいたしましても三十三本もかかるというような非常に有望な
漁場
でございます。
綱島正興
51
○
綱島委員長
何でかかるのですか。
前谷重夫
52
○前谷
政府
委員
百本のはえなわに対しまして、大体かかる率が一般
漁場
よりは非常に多いわけであります。これに対しまして、恒久的にこの
漁場
を調査いたしまして、昨年度は一部その調査に基きまして、当業船もそちらの方に移動しておりますが、これを大々的に開発いたしまして、これはわれわれの希望でございますが、将来はこれを直軽出の方向に持っていく、あるいはまた南方に対する軽出に持っていきたい、かような考えをもちまして、新しく調査船を五百トンのものを一漁建造する、こういう計画を予算に盛っておるわけでございます。同様太平注の
地域
におきましても、南太平洋におきましては、現在南米地方からの
漁場
が、だんだん南米及びアメリカ方面からもそちらの方に進出いたしておりまするが、月本の側におきましても、現在の
漁場
よりもだんだんそちらの方に進出する傾向がございまして、これは将来の
漁場
の競合も考えられまするので、われわれといたしましては先方が手をつけないうちに早くこれの開発調査をいたしておきたい、こういう
考え方
でございまして、調査船を作りましてこの君平洋、インド洋等の調査に当りたいということで、新
漁場
開発費といたしまして新規に、昨年度は取締りだけでございましたので一億でございましたが、三億七千九百万円の予算を計上いたしたわけでございます。 それからその次が、アラフラ海のシロチョウ貝の採取の指導取締。これはアラフラ海のいわゆる大陸だなの問題でございまして、シロチョウ貝の採取の問題につきまして、豪州側との間におきまして問題があるわけでございまして、国際司法裁判所に提訴する運びになっておるわけであります。
綱島正興
53
○
綱島委員長
シロチョウ貝というのは何ですか。
前谷重夫
54
○前谷
政府
委員
これは貝ボタンのボタン原料とかいうふうなものでございまして、製品のボタン等は大部分がアメリカ市場に対して輸出されておるわけでございます。これは今豪州側と、
漁区
及び採取量等について暫定的な取りきめをして出漁をいたしておるわけでありますが、将来の問題として、国際司法裁判所におきまする提訴等の問題もございますので、その
協定
を守ると同時に、調査をいたす必要がございますので、これもその船の費用として計上をいたしておるわけでございます。 それから海外底びき
漁場
開発、三千四十万円。これも新
漁場
の開発調査といたしまして、南米方面の調査を行いたい。底びき
網漁業
といたしましては、
日本
近海は御承知のように大陸だながございませんで、底びき網に適しませんが、大陸だなの非常に距離の多い南米等に相当有望な
漁場
が予想されますので、これを調査いたしたいというつもりで、現在水産庁で所有いたしておりまする官船を十月ごろから先方に派遣いたしまして、調査をいたしたい。
綱島正興
55
○
綱島委員長
大陸だなというのは何のことですか。
前谷重夫
56
○前谷
政府
委員
大陸だなというのは陸地と海との続きの
関係
でございまして、底びきは大体二百ひろ以上の深いところでないとできないわけでございます。これが底びきの
漁場
になるわけでございます。この陸地とのつながりが狭いか広いかということが、底びきの網の
漁場
の適否だということになっております。 第三十七の、
漁船
の管理及び改善でございますが、八百四十四万六千円でございます。これで昨年度と違っておりまするのは、大体
漁船
の登録でございますとか、依頼検査でございますとか、あるいは
沿岸
の
漁船
の船大工の講習会というようなものがその
内容
になっておるわけでございまして、これは府県に対する補助でございますが、異なっておりますのは昨年度超短波の施設ということも補助いたしておりましたのですが、これは三カ年以上続けておりまして、だいぶん普及いたしておりまするので、本年度は一応これを計上いたさなかったわけでございます。 第二十八は
漁船
研究所、これは
漁船
の研究のために研究所を設けておりまするが、これの研究室の職員あるいは事務費等がございます。 第二十九のKというのは間違いで、水産業
基礎
調査でございます。これは水産業の経済的な調査をいたしたいということで、昨年度から続いてやっておるわけでございます。 第三十のインド太平洋水産
理事
会、これは本年の九月の末に、インド太平洋で、先般の四月に林野
会議
を開きましたが、それと同様な
会議
が水産につきまして開催されるわけでありまして、
日本
が開催地になっておりますので、その費用が、ささいでございますが掲げてあるわけでございます。会場費等は外務省に計上される、こういう建前に相なっております。 第三十一の水産研究管理運営並びに水産
資源
開発、これは
内容
が対馬暖流を調査しまして、これもやはり新
漁場
の開発と同様の
目的
を持ちまして、しかも対馬暖流は
関係
府県が相当多数に上っておりますので、ばらばらの各府県の試験調査ではその
目的
を達しませんので、水産庁が試験調査の設計を立てまして、その設計に基きまして、
関係
府県の水産試験場の協力を得まして、対馬暖流の調査ープランクトンその他各種の調査、海流調査をいたしておるわけでございます。それが
内容
の
一つ
と、それから都道府県水産試験場の調査費に対する補助金、それから漁況、海況の予報に対する補助金、これを三千九百八十九万円として計上しておるわけでございます。 第三十二は冷害対策に関する海洋調査でございまして、千二百四十万円を計上しております。
綱島正興
57
○
綱島委員長
冷害対策とはどういうことですか。
前谷重夫
58
○前谷
政府
委員
これは昨年度でございましたか、一昨年冷害の問題がございまして、これが海流の変化と非常に
関係
があるということで、海流の変化を調査いたしまして、その調査に基きまして海流変化によりまする冷害等の影響の調査、影響と申しますか冷害等の予報の調査に資する、こういう意味におきまして海流、水温の変化などを調査する、こういうことであります。 第三十三、国際
漁業
の生物調査で千七百万円でございますが、日米加条約に基きまする生物の調査をやる、その調査船の費用でございます。
最後
は水産業技術改良普及事業千六百三十五万円でございますが、これは水産の技術改良普及事業といたしまして、水産の場合におきましては農業と異なりまして、一般の改良普及員でございませんで、技術普及として県に普及員を置いてございますが、その技術員の補助とそれからこの
漁業
の場合におきましては、その地帯におきまする漁法あるいは
漁場
の
関係
あるいはまた習慣的な網の
関係
等もございまして、画一的な指導ということが非常に困難でございますので、その地帯におきまする
漁船
あるいは漁法等の、いわゆる指導者的な人を指導に先立てまして、そうして先達
漁船
としてそこに補助をいたしまして、一般
漁船
がそれについて漁撈することによって、技術の改良普及をはかる、こういう
考え方
をいたしておりますので、その先達
漁船
の補助等もこれに計上いたしております。そのほかノリ、カキの技術改良の補助、それから水産機械、特に無電あるいは魚探その他の新しい機械に対する取り扱いを講習するという意味の費用に対して、ささいでございますが補助金を計上しております。 第三十六、三十七、三十八、三十九、これは水産研究所、それから真珠研究所、水産講習所、それから北海道の鮭鱒の孵化場の費用でございます。 以上
合計
いたしまして先ほど申し上げましたように、本年度の予算に要求しておりますのが、二十一億三千三十五万八千円でございまして、前年度の実行予算は二十二億五千万円、こういうことになっておるわけでございます。 これが一般会計におきまする水産庁の本年度予算の概略でございますが、なお公共事業費といたしまして漁港の
関係
がございます。 お手元に農林省
関係
公共事業費
内訳
表がございますが、それの一十六ページでございます。公共事業のうちの漁港
関係
でございますが、総額といたしましては三十一億八千九百十四万四千円でございまして、二十九年度の実行予算は三四億五千四十八万七千円ということになっておりますが、成立予算の場合でございますと三十二億二千三百八十一万円ということになっております。この実行予算がふえましたのは災害の
関係
でございます。そこでそのうち内地と北海道について申し上げますと、内地の漁港修築費につきましては十二億五千五十万円でございます。昨年度の実行予算は十二億四千三百四十一万円でございました。これは昨年度の継続二百六十七港を
対象
として計上しているわけであります。そのほかに災害関連事業としまして地盤変動対策事業費が昨年は六千百四十万円ございましたが、この事業は一応完了いたしましたので、本年は六千百四十万円を地盤変動対策事業費としては計上をいたしておりません。漁港施設の災害復旧につきましては十三億三千六百三十七万八千円を内地と北海道と合せまして災害費として計上いたしているわけであります。昨年度の実行予算といたしましては十五億二千四百四十八万五千円ということになっているわけであります。昨年度のこの十五億三千四百万円の場合におきましては、その当年災、二十九年災害も四億五千万円含まれているわけであります。十三億二千六百万円にも二十九年災までが含まれておりまして、当年災は含まれておらないのであります。北海道につきましては内地の漁港施設費に相当いたしますものが五億八千八百五十万円でありまして、このうち直轄が三億三千八百万円、補助が二億五千五十万円となっているわけであります。
合計
いたしまして修築事業費が北海道と内地と合せますと十八億三千九百万円になるわけであります。災害は十三億二千六百万円であります。 以上水産庁の予算について簡単に御
説明
申し上げました。
綱島正興
59
○
綱島委員長
ちょっと私どもしろうとに意味がわからないのを
五つ
ばかりお尋ねいたします。 細つづりの四の四十七ページの小型
機船底
びき
網漁船
整理転換補助費というもののうちあなたの
説明
で
沿岸
漁民の組織化、大型化をやる、こういう
説明
をされたのですが、どういう意味ですか。
前谷重夫
60
○前谷
政府
委員
それはいわゆる補助金による整理は一応本年度においてこれでもって一段落するわけであります。ただその後におきまする問題として――これは
沿岸漁業
との摩擦のために小型底びき
綱漁船
を補助金をもって整理したわけであります。この整理が一段落いたしましたが、
沿岸漁業
といたしまして別個に予算とは
関係
なく大型化その他の
措置
をとらなければならない、こういう趣旨のことを申し上げたのであります。
綱島正興
61
○
綱島委員長
それは大型化するについて融資の道か何か作っておりますか。
前谷重夫
62
○前谷
政府
委員
大型化につきましては昨年度におきまして
漁船
の公庫融資計画が十五億でありまして、実績が実は三十億になっているわけであります。本年度は二十億になっております。従来の実績を見ますると、
沿岸漁業
については公庫融資からは行っておらない。
綱島正興
63
○
綱島委員長
聞くところはそこなんです。それはどうかするようにしておりますか。大型化と口だけで言ったって
沿岸
漁民が配給米もとれないようにしておってはしようがないから、何か融資の道を講じておりますか。
前谷重夫
64
○前谷
政府
委員
これは公庫融資と関連いたしまして、やはり
沿岸漁業
組合の自営等の場合においてはそういう方向に指導していったらどうか……。
綱島正興
65
○
綱島委員長
それからもう一点、北洋
漁業
に転換するのが七万五千トンあったやつが四千トン、これは何だかちっともわからない。北洋
漁業
に中型
機船底
びき
網漁業
整理転換というのは法律か何かあるのですか。
前谷重夫
66
○前谷
政府
委員
大体中型底びき網というのは以東底びき網と申しておりますが、これにつきましては補助金を与えまして整理をいたしますのと、それから北洋
漁業
が再開されましてから北洋漁、業に対して――これは行政の指導
方針
でありますが、取り扱いとしてこの権利を持ったものだけが北洋
漁業
の進出を認める。そのかわりにこの権利を放棄して内地を荒らすような中型の
漁業
をやめてもらいたい、こういうことで整理をするということであります。
綱島正興
67
○
綱島委員長
それから四十九ページのまき
網漁業
とありますが、まき網というのと、陳情書などできんちゃく網というのが出ておる。それから片手まわしというのがあるが、これはどういう意味ですか。
前谷重夫
68
○前谷
政府
委員
まき網ときんちゃく網は、網の形としては同じものでございます。ただ大型の場合を大体まき網と言い、小型の場合をきんちゃく綱と言っているのが通例のようであります。
田口長治郎
69
○田口
委員
一そうの船で巻くのを片手まわしというのです。
綱島正興
70
○
綱島委員長
もろ手まわしというのは両方でやるものですか。
田口長治郎
71
○田口
委員
そうです。
綱島正興
72
○
綱島委員長
それから放流事業補助費という中に、アユだとかフナだとかおっしゃったが、ウナギはないのですか。
前谷重夫
73
○前谷
政府
委員
放流事業の中では二つございまして、小アユを県が買いまして、それを放流するのに対して補助するのが放流の方でございます。そのほかの淡水魚につきましては、種を取る施設つまり養魚池になりますが、この施設に対する補助費。アユだけは種を取るわけにいかないものですから、それでその稚魚を放流するということにしております。その他のものにつきましては種を取る養魚池を補助する、こういうことになっております。
綱島正興
74
○
綱島委員長
それで大体わかりました。 川俣清音君。
川俣清音
75
○川俣
委員
この際
政府
に
要望
しておきます。 先般も総体のときに
要望
しておいたのですが、一体今度の
政府
の予算の出し方が悪い。
一つ
は災害のために補正をした。ところが災害がなくなったからというので、それを落した。それでは比較検討にならない。そこで二十九年度の当初予算との比較を明らかにしていただきたい。その
資料
をあらためて御提出願いたい。これは水産庁ばかりではないのですが、
委員長
から……。
前谷重夫
76
○前谷
政府
委員
官房から連絡がございましたので、今用意をいたしております。
川俣清音
77
○川俣
委員
それからちょっとわからぬところをお尋ねいたしますが、十二の内水面
漁業
調整、これが二十九年度の実施予算が千百三十五万四千円、これに見合うものが
漁業
調整費補助金なのであります。ところがその見合いの金としては、三十年度は千百二十七万九千円になって、予算要求の方は千百三十一万三千円になっておる。これはどういうわけですか。
前谷重夫
78
○前谷
政府
委員
この補助金として掲げてあります千百二十七万九千円と千百三十一万二千円との差額は本庁の事務費であります。
川俣清音
79
○川俣
委員
そうすると二十九年度分には事務費はなかったのですか。
前谷重夫
80
○前谷
政府
委員
二十九年度の千百三十五万四千円の中にも事務費が入っております。本年度におきまする千百三十一万二千円、それと補助費として組んでおります千百二十七万九千円、その差額の三五三千円ほどが事務費として本庁費になっております。
川俣清音
81
○川俣
委員
そういう予算の組み方はおかしいじゃありませんか。二十九年度は職員設置費補助金として六百十八万八千円、内水面
漁場
管理費補助金として五百十六万六千円、合せて千百三十五万四千円、これには事務費が入っていない。今度は入れるというのはどういうわけであるか。間違いなのか、入れたのか、その点はっきりして下さい。
前谷重夫
82
○前谷
政府
委員
ちょっとわからぬようですから、あとで調べて報告します。
綱島正興
83
○
綱島委員長
本日はこれにて散会いたします。明日は定刻十時より開会いたします。 午後四時七分散会