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1955-04-05 第22回国会 衆議院 農林水産委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年四月五日(火曜日)     午後一時三十二分開議  出席委員    委員長 綱島 正興君    理事 井出一太郎君 理事 松浦 東介君    理事 中馬 辰猪君 理事 足鹿  覺君       赤澤 正道君    安藤  覺君       五十嵐吉藏君    石坂  繁君       大森 玉木君    加藤常太郎君       笹山茂太郎君    野原 正勝君       原  捨思君    大野 市郎君       助川 良平君    松野 頼三君       松山 義雄君    淡谷 悠藏君       井谷 正吉君    石田 宥全君       川俣 清音君    久保田 豊君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 一萬田尚登君         農 林 大 臣 河野 一郎君         国 務 大 臣 高碕達之助君  出席政府委員         経済審議政務次         官       田中 龍夫君         総理府事務官         (経済審議庁計         画部長)    佐々木義武君         大蔵政務次官  藤枝 泉介君         大蔵事務官         (主計局次長) 原  純夫君         農林政務次官  吉川 久衛君  委員外出席者         専  門  員 難波 理平君         専  門  員 岩隈  博君         専  門  員 藤井  信君         専  門  員 徳久 三種君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  小委員補欠選任  農林水産業に対する基本施策に関する件  昭和三十年度農林予算に関する件     ―――――――――――――
  2. 綱島正興

    綱島委員長 これより会議を開きます。  大蔵大臣に対する質疑を開始いたします。質疑通告がございますのでこれを許します。足鹿覺君。
  3. 足鹿覺

    足鹿委員 大蔵大臣に二、三伺いたいのであります。先日発表された昭和三十年度予算に対する大蔵省査定案の中で、農林省所管予算は九百六十六億円から七百七十六億円、約二百億の大削減を受けておるのであります。中でも公共事業費大幅削減あるいは補助金減額等、その最も大なるものであります。大蔵大臣は過般の予算委員会において、委員会の要求に基いて昭和三十年度予算骨格に関する大蔵大臣構想を御発表になったのでありますが、これの基本ともいうべき、去る一月十八日の閣議決定による予算大綱重要施策の中で、農林漁業振興及び食糧対策刷新が示されておったにもかかわらず、この大蔵大臣構想からは、農林漁業振興及び食糧対策刷新に伴う経費は、全く取り上げらておらないのであります。これがまたさらに今回の査定案に具体的に現われてきておるのでありますが、かく見ますると、一連の大蔵省農林関係予算に対する態度が一貫してうかがわれるのであります。この機会大蔵大臣の、かくのごとき大幅の農林漁業関係予算削減せられた基本的な御所信を、まず承わってみたいと思います。
  4. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 今度の三十年度の予算につきましては、数字的なことにつきましては今一応御内示を申し上げてあるのでありますが、農林大臣等の御意見もありますので、農林大臣と今いろいろと話し合っております。ただ今御質疑補助金についての考えは、これはこの前の国会でも申し上げましたが、私どもとしては、やはり補助金ほんとうの使命を達しない、あるいは補助金を差し上げても、それほどの効率を発揮していない、こういうふうなことが考えのもとになっているわけであります。なおそれらの点については、今農林大臣とせっかく折衝を重ねております。
  5. 足鹿覺

    足鹿委員 農林大臣折衝を重ねておられることはわかりますが、私のお伺いしているのは、去る一月十八日の閣議決定に基いて、三月二十四日三十年度予算骨格について構想発表され、それがまた発展をして、今回の第一次大蔵省査定案となって現われてきているのであります。農林大臣と御折衝になることはけっこうでありますが、補助金を、私どもの知る限りにおいてはほとんど打ち切っておられる。特に法律によって明確に支出を義務づけられているものについても、実に乱暴な削減が行われている。その概要は今さら申し上げるまでもなく、大蔵大臣みずから御存じでございますから、これは省略いたしますが、国会において必要とされ、これが立法化されて従来も交付になったものの中から――効率が上らない、補助意味がはっきりしないというようなものを探し出して、これに対して検討を加えられることは、あながち間違いではないと思うが、しかし現在大きい費目をとってみましても、昨年度においてようやくでき上ったところ農業協同組合関係中央会あるいは検査の補助金とか、あるいは農業委員会補助金とか、農地調整関係補助金というふうな、その根拠法のいい悪いは別としまして、とにかく国会の意思に従ってはっきり支出を義務づけられておるものに対してすらこのよう施策が講ぜられておる。また農業改良関係にしてみましても種子対策、あるいは植物防疫関係薬剤関係補助であるとか、あるいは特に昨年からようやくできた集約酪農地区に対するところ対策であるとか、あるいは輸出農作物の大宗である生糸の生産源である繭、あるいは養蚕業に対する施設の補助であるとか、数え来たるならば枚挙にいとまがない。そうしてこれらの費目以外に、その他の零細補助金として一都道府県に対して五十万円、一市町村当り二万円前後というものも、これを一律に削減をしておられる。ですから、効率がいいとか悪いとかということについて御検討になったとはわれわれには考えられない。ほとんど軒並みにおやりになっておるのであります。そうしますと、今までの日本農林政策中、今私が一、二並べ立てたようなものを初めとしまして、それらは全く効率の上らないむだな支出であった、こういうふうにもとれないこともないと思うのであります。事実大蔵省が御発表になっております補助金整理に関する二つの基準案を見ますると、大体において全廃については五つの基準を設けられ、地方交付税で一部をまかなうものについては三つの項目をあげられて、そのどれかに当るものについては、補助金を整理するという方針を示されておる。それでは全部を通算して九つないし十の補助金整理基準に当てはまらないものが一体どこにありますか。こういう基準でおやりになるということは、結局今までも、また現在も行われんとしておるところ農林水産漁業に対するところ補助ないしは奨励を全部打ち切るという結果になるのであります。といたしますならば、これにかわるべき政府農林漁業水産政策基本となるものは一体何が残るのでありますか。何もないではありませんか。ただ私どもはいたずらに削るのが悪いということだけを指摘するのではありません。もしかりに一つ政策の転換を行おうとするならば、それにかわるべき一つ施策を明らかにすべき責任が政府には当然あると私は思いますが、大蔵大臣は、この点についていかようにお考えになりますか。
  6. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 ただいまの御趣旨私は非常にごもっともだと思います。従いましてよく御意見を承わっておきます。
  7. 足鹿覺

    足鹿委員 今私の意見を交えて述べたことはもっともだということでありますが、それであれば、大蔵省査定については全面的に考え直す、こういう御趣旨でありますか。どうも今の御答弁は要領を得ないのですが、どういうことですか。
  8. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 各大臣にも査定の御内示を申し上げておりまして、それを今いろいろ主管大臣折衝をしております。今御意見の御趣旨十分頭に入れて、一つ農林大臣ともよく考えていこう。こういう趣旨であります。大蔵省査定が悪いという意味ではありません。あるいは実際をよく調べてみまして、特にこれは考えなければならぬというものもありましょう。そういうふうな考え方で、御意見もよく頭に入れて、一つ農林大臣折衝ようということであります。
  9. 足鹿覺

    足鹿委員 大蔵大臣とここで議論をしようとは、私は思いませんが、今の御答弁だけでは満足がつきませんので、もう一つ伺っておきます。かりに農林当局といろいろ御協議になった結果、どのよう最終案ができるかは私どもわかりませんが、昨年の事例から考えてみましても――もっとも内閣は違いますが、補助金等整理に関する法律というものが昨年も国会に上程をされました。私どもは大いにその非違性を追及して論議を加えたのであります。もしやるとするならば、根拠法にさかのぼって修正、あるいは改変をすることが妥当だとお考えになるならば、おやりになるのがあたりまえであるが、前自由党内閣根拠法自体はそのままに生かしておいて、十ぱ一からげに補助金等整理に関する法律というものを提出して、物議をかもしました。民主党内閣大蔵大臣としての御所見はいかがでありますか。もし政府法律によって、補助ないしは奨励を義務づけられたものに対して、その削減を企てようとする場合には、いかよう施策をもってこれをやられようとされますか。前自由党内閣補助金等整理に関する法律という方針でもって対処していった。民主党は一体どういう施策をもって臨まれるのであるか。その点を明確にしていただきたい。
  10. 綱島正興

    綱島委員長 大蔵大臣の御答弁の前に、ちょっと一言委員に御通知をしておきます。ただいま高碕経審長官も出席されましたから、この際両方にあわせて質疑を続行することにいたします。
  11. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 法律に反してする。そういうことはむろん考えておりません。従いまして、そういうことをする場合に法律に反するとなれば、これは法律改正手続をしていたします。さように御了承をいただきたいと思います。従いまして、やはり法律改正する必要のあるものがあるかもわかりません。どういうふうになるか、はたして法律に反するかどうか、十分に検討を加えなければなりません。法律に反してまでやるということは絶対に考えておりません。
  12. 足鹿覺

    足鹿委員 私のお尋ねしておる趣旨がちょっとおわかりにくいのではないかと思いますが、この前は、根拠法はそのままにしておいて、補助金等整理に関する法律という特例を出しておやりになった。今度はおやりになるか、ならぬか。今後の折衝によって煮詰まったものが出てきましょう。その結果どういう処理方針でおやりになるのかということを聞いておるのであります。〇一萬田国務大臣それは方式の問題になると思いますが、どういうふうな方式によって改正をするか、なお研究してみよう考えております。
  13. 足鹿覺

    足鹿委員 私は研究してもらわなくてもけっこうなんです。とにかくこういう法律に基いて補助金を計上し、あるいは奨励金を計上されたものに対して、大蔵省がその財政を握っておるがゆえに、特権的にこれらの法律をじゅうりんするがごとき従来の態度を踏襲されていくかどうかということにかかっておると私は思うのです。おそらく今回の削減農林省性格に大きな変化を与えるがごとき大削減であります。産業庁的、事業庁的な性格から全く純粋の行政機関にこれを変革していくがごとき大きな内容を持っておるものであります。従ってその背景になるものについては、ここに私が持っておるものでもすでに十幾つかの根拠法があるものを、削減というのではなくして全部ゼロに、第一次査定とはいえ落しておられる。これははなはだしい暴挙といわざるを得ない。そういう点について、大蔵当局財政権を持つがゆえに振るわれるその行き過ぎについては、やられたことのいい悪いということよりも、国民的な指弾が必ず起きてくると私は思う。極言をしますならば、今の行き方は一種の財務ファッショ的な行き方であります。戦争当時に軍部が一つの武力を背景行政を圧迫した、それにかわって財政権を持つものが不当にその権力を利用して一般に圧迫を加える、こういう行き方に移り変っておると言われても、私は弁明の余地がないと思います。いわんや必要あるものに対し、法律あるものに対してかくのごとき暴挙に近いことをおやりになることについては、十分御反省を願いたいと思います。日本農業特殊性についてはあえてこの機会に申し上げませんが、十分この点については御考慮の上、最終案を御決定あらんことを私は期待しておるものであります。審議庁長官にこの機会関連してお伺いいたしておきたいことがあります。昭和三十年度における投融資関係を見ますと、二十九年度に比して約三百億円の増になっておりますが、農林漁業投融資においては、昨年度二百五十二億を本年度は二百四十億に減ぜられておるのであります。他の運輸関係であるとか、あるいは建設関係においては逆にみな増額になっておるのに、ひとり農林関係漁業関係削減を受けておることは、一般財政予算面と相通ずる一つの傾向を持つものだと私は見ておるのであります。しかもその三百億円の投融資財源として見るべきものは、二百十四億のアメリカ余剰農産物受け入れに基く見返り円を大きな資金源として見ておられるように見受けられるのでありますが、そのアメリカ余剰農産物買付に必要な協定調印――現内閣としては、吉田さんのこのおみやげ協定を正式に踏襲して協定調印をされるという前提でもって、二百十四億の見返り円財政投融資財源として認めておられるように思いますが、伝え聞くところによりますと、農産物輸入量の問題をめぐってアメリカとの話もついておらないそうである。また買付の期限は六月末までとなっているのを九月末までと三月延べるよう折衝をしておられるやにも聞いております。これらの事情から考えてみますると、通常輸入量ワク外として入れるか入れないかということについても必ずしも意見の一致を見ておらない。そういたしますならば、現在の二百十四億の基礎になっている買付数量自体が明確にならない場合に、しかも来年度予算投融資資金源にこれを見込んでおるということは、不確定財源をあなた方は公然とこの重大な財政投融資計画基本に置かれるということで、非常にあいまいな財政投融資計画であるというそしりを受けられてもいたし方がないのではないかと思います。そこで長官に伺いたいことは、アメリカ余剰農産物買付について、現在どういう段階にあるか、協定調印に対するところ政府態度、またその見通しについてこの機会に明らかにしていただきたい。
  14. 綱島正興

    綱島委員長 経審長官は二時十分まででエカフェ会議に行かれるとのことですから、別な方も質問されるでしょうから、経審長官質問だけを集約してやっていただきたいと思います。
  15. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 私たいへん勝手を申しまして、昨日も出られませんで、きょうもこういうわけではなはだ申しわけないのでありますが、ただいまの御質問に対してお答えをいたします。余剰農産物の問題は御承知のごとく、昨年自由党内閣のときに吉田さんがおいでになりまして、一億ドルの品物を平常輸入のほかにそれだけ余剰農産物を買おうじゃないか、その場合にはその一割五分、つまり千五百万ドルはこれをギフトにしてもらう、あとの八千五百万ドルのうちの七割は日本政府がこれを買い取ろう。それから三割も日本が買うが、その三割はアメリカの都合でこれを円で使う。七割のものは日本に長期で貸してもらう、こういう話し合いがついて昨年の十一月吉田さんは帰ってこられた。その後今度は鳩山内閣になりましてこれは引き続いて交渉いたしましたが、私ども予期しなかったことが一つあった。それは最初七割のものは円で借りる、そして円で返せばいい、こう思っていたのでありますが、円で返す場合には、これはドルクローズがあって、ドルクローズはただいま三百六十円でありますが、返すときにかりに五百円になればその割で円を返さなければならぬ、こういうドルクローズがついておったわけであります。それをいたしますと、大蔵省としてはそういうふうな種類の借り入れがあるものですから、ほかに影響するところが非常に多いのであります。ドルクローズをつけるならば、ドルで返そうじゃないか、ドルの借款にしようじゃないか。そういたしますと、円で借りて円で返す場合には四分という利息になるわけであります。ドルで借りてドルで返す場合は三分になる。こういうことになりますから、実は三分も利息は高いというのでいろいろ折衝いたしました結果、大体はドルで借りてドルで返そう。そうしてそれは三年間据え置いて、据え置きの期間中は利息は払わない。負けさす。あとは四十年年賦つまり三年も入れて四十年年賦で払う。こういうことにして、ドルで払うから三分にする。そうすると、平均いたしますと、大体一分五厘七毛くらいになる。そういうものを一つ前提といたしまして、もう一つは前にMSA援助で持って参りました小麦につきましては、これで円を使う場合にはいろいろむずかしい条件がついたわけです。今度は日本で借りるものについては、これは大体使うワクだけは相談するが、あとは自由に使うということにしてくれろ、こういうことでただいませっかく交渉中でございますが、大体こっちの意向が入れられまして、最近にこれはまとまる状態になっておるわけであります。ただいまの御質問のごとく、これはほんとうをいえば六月中に全部取引してしまわなければならぬのでありますけれども、それを運びます船はアメリカの船が半分、日本の船が半分ということになっておりますから、積み込みの船腹の関係上、どうしても今年の六月中にこれを完成することはできないから、九月一ぱいくらいまで延ばしてくれないかということを今折衝しておるところであります。以上が現状でございまして、大体こちらの条件は入れられるようでありますから、御了承を願います。
  16. 綱島正興

    綱島委員長 そういたしますと不確定財源でなくて確定とみていい、こういうわけですね。
  17. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 従いましてこれは確定財源と認めているわけでございます。
  18. 足鹿覺

    足鹿委員 大体私どもの聞いているところによりますと、八千五百万ドルの七〇%、こういうふうに聞いておりましたが、今のお話では一億ドル基礎にしておられるようでありますが、大体日本側の主張が受け入れられるから不確定財源ではないというお話でありますが、今までのいろいろの経過からみまして、いつも日本側考え方は甘い。現に重光副総理の渡米問題も大みそをおつけになった生きた証拠が昨日も出てきておる。これは向うはあり余って困っておるものであるから、喜んで応ずるだろうくらいな考え方、あるいはまたこれは余剰農産物に基く対日援助だというよう考え方を前政府の閣僚の中には持っておられたようですが、そういう甘い考え方をもって進められたことは、その当初の経過から見ても明らかであります。今、長官お話になりましたように、日本が、日本の負担において買うのに船の指定までもして、アメリカの船を使って、高いチャーター賃を支払わなければならない。これはMSAの場合と何ら変りありません。チャーター賃については、国内船第三国船アメリカ船とどれが一番高いかというと、アメリカ船の高いことは御存じ通りであります。そういった事例から見ましても、まことに屈辱的であり、向うはあり余って海に捨てるか焼き捨てるか、その処分に困ったものを、特に脱脂粉乳のごとく、日本国内では酪農問題が進展をして、酪農家は生乳の値下りにほとほと困惑しておる現状において、アメリカの日にちの経過した、何年前かわからないよう脱脂粉乳を、何を好んで日本は買わなければならないのでありますか。また当初大豆の予定であったものが米に振りかわったということも御存じ通りであります。米の場合は南米なりあるいは東南アジアの米の輸入に大きく響いてくることは、これも明らかであります。その結果は、日本東南アジアあるいは南米向けへの対外輸出に大きな支障になってくる。こういう日本輸出貿易に大きな支障を来たし、また日本国内農産物が過剰で困っておるときに、さらにまた外国の過剰恐慌日本にしょい込んでくる、こういう性質のものに屈辱的ないろいろな条件をつけてこれを入れていくこと自体どもよくわかりません。従ってこの投融資財源にしても、これを認めるわけではありませんが、非常に不確定であり、予算を削った上に特にこういう面で農民犠牲において生れてくる投融資源が、電源開発は百二十五億五千万円であるにかかわらず、農業開発にはわずか三十億にすぎないではありませんか。こういうことについても、日本自主性というものは一つも認められておらない。全部向う対外活動本部の承認を得なければならない。秘密だと聞いております。ほとんど電源開発等農業関係とはあまり関連のない他産業に、農民なり農業犠牲において得られたその資金源がいき、農業においては特に昨年度よりも十二億も投融資の金額が減じられておる、こういうことは一体経審長官としてはいかようにお考えになりますか。一方においては二百億からの大量の予算削減を行い、一方においては農民犠牲において得た資金源農業以外の投融資にこれを振り向けていく、一体今の政府農業政策というものはどこにあるのでありますか。経済六カ年計画をお立てになって、一つの目標に年を追うて総合の施策を講ずるということは言っておられますが、その経済計画の上に占めておる農業施策の中心になるものは一体何であるか。その基本も明らかでないし、また施策も全く農林漁業という原始産業については、政府は手ぶらの丸裸で行け、こういう態度としか私は見受けることはできません。経済六カ年計画との関連において、経審長官日本農林漁業、すなわち原始産業に対してどのよう基本的なお考えを持っておられますか。今の余剰農産物関連いたしまして、経済六カ年計画との関連において御所信を承りたいのであります。
  19. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 例の七〇%は一億ドルの七〇%ではありません。八千五百万ドルの七〇%でございます。それはあるいは聞き違いかもしれません。私の説明はそういたしておきましたら御承知願いたいと思います。それから経済六カ年計画におきましては、国内自給度を大いに向上するということが非常に重要な政策になっております。従いまして、農産物自給度を高めていく、これの増産ということは非常な重要な政策として取り上げておるわけでございます。そういう意味におきまして十分善処いたしたいと考えております。
  20. 綱島正興

  21. 川俣清音

    川俣委員 時間がないようですから簡潔に一つ答弁願うことにいたします。第一点は、新しい内閣経審長官としてどういう方面から今年度物価を引き下げていく方針をとられるのかという点が一点。第二の点は、世界銀行から農業開発用資金を借りるということになっておりますが、これは資金を借り入れるのではなくして機械類を入れるはずでございますが、日本工業力がそれらの機械を生産するだけの能力がないために借りるのであるかどうか、この二点です。
  22. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 物価引き下げ政策といたしますれば、いろいろ理屈はありますが、根本は、すベての産業合理化をするということが基調になっております。それを主眼といたしまして、物価引き下げ政策を現在講じております。  第二の御質問には、現在日本でできます機械はできるだけ日本で供給をいたしたい、こういう考えでございますが、ただ品質の上におきましてとても及ばないものだけは一部分は購入いたしまして、日本機械製作の向上に資したい、こういう所存でございます。
  23. 川俣清音

    川俣委員 いずれも私の質問に適切な御答弁になっておりません。何から物価を引き下げていくつもりか、どのくらい引き下げるつもりでおられるか。これが将来の農産物価にも影響することであるから、一体何から下げていくつもりであるか、総体的に引き下げるのか、どのくらい引き下げていかれるつもりであるか。しかも物価基本になっているものは、何といたしましても原動力になるのは電気料金であると思いますが、これらを引き下げていかれるのかどうか、これが基本になるのです。この点が一点です。  二点は、世界銀行から資金を借り入れるというのであるが、これは資金でなくして機械で借りるということになるのだが、そうしてまで一体機械輸入をしなければならないほど日本工業力は劣勢であるかどうか、この点を聞いておるのです。
  24. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 物価の引き下げということになりますと、現在物価が一時下っておったものが頭打ちしておりました理由は何だ、こういえば海外の物価につられまして鉄、非鉄金属、ゴム等が上ったのであります。ほかは大体横ばいになっておるわけでございます。従いましてそういったふうのものの価格を引き下げる原動力となるものはやはり石炭だと存じます。石炭につきましては、今度はできるだけの方策を講じてこれの合理化をいたしまして、原価を下げるということにいたしたい。石炭が下れば鉄も下る、電力も下る、こういうことになりますから、従いまして来年度は、私どもの予定では二%全体の物価を下げたい、こういう所存であります。第二の問題につきましては、世界銀行の借款をいたしまする上におきまして、これは大体今お話のごとく、向うから設備を買ったものについての金融がされるのでありますが、その意味におきまして日本でできない、確かにあちらのものでなければならぬというものについてのみこれを購入いたしたい、こういう所存でございます。
  25. 川俣清音

    川俣委員 来年度から二%引き下げるということだそうですが、三十年度は引き下げる用意がないのですか。予算編成から見ますると、物価を引き下げるということで編成をされておるように思うのですが、これは大蔵省考えで、経審としては三十年度においてどれほど物価を引き下げる用意でありますか。何から引き下げるつもりでありますか。この点をお尋ねしておきたい。
  26. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 三十年度から二%引き下げるという方針でございます。
  27. 川俣清音

    川俣委員 そういたしますると、予定が二%でありまするから、予算削減は、そうした設備あるいは予算編成の上から見ますると、物価が引き下るのは二%と、こう考えてよろしいのであります。ところ予算の組み方は必ずしもそうではないようですね。この食い違いをどうなさるか。あなたは二%より下げないと言われるが、予算の組み方はそうではないようですよ。この点はどう解決されるか。どちらの方が間違いですか。
  28. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 答弁いたしますが、ただいまのなに二%下げるということで予算を組んでおります。
  29. 川俣清音

    川俣委員 そうすると物価は二%下る。二%以上組んでおるということは、ふやすのは水増しでしょうが、二%以上減らしておりまするのは、これは何ですか。いろいろな公共事業費などについても、これだけは減るという予定で、物件費はあまり減る見込みはないでしょう。物件費は二%減らすというお考えはないようですが、そうすると二%ということで全部訂正して間違いございませんか。
  30. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 私の申し上げますのは、大体の見当をつけまして、平均して二%、あるものはもっと下るものもあり、あるいは横ばいのものもある、そういうわけでございます。
  31. 川俣清音

    川俣委員 予算編成上のことをお聞きしておるのですよ。予算編成はおそらく平均しておるわけなんです。従いまして予算編成の上に二%より下らないというならば、それ以上下げたのはあやまちだと、こう理解してよろしいかどうか。
  32. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 その問題は大蔵大臣から……。
  33. 川俣清音

    川俣委員 そうじゃない。経審長官として聞いておるのです。大蔵省査定は見ておるのだから、大蔵省にお聞きしていない。それはあとで聞くから……。
  34. 綱島正興

    綱島委員長 経審長官がお急ぎだから、経審長官の分を先にやっていただきます。どうですか、経審長官、お答えは。
  35. 川俣清音

    川俣委員 それじゃもう一度よくわかるように……。あなたは二%より物件費が下らない、物件費を二%以下に引き下げると、こう言っておりまするけれども大蔵省査定は物件費を二%以上下ることに査定をしておるが、これは間違いじゃないかと、こう質問しておる。もっと下げるなら別ですよ。もっと下げられるのだったら下げたらどうです。
  36. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 経費はできるだけ節約いたします関係上、二%以下に下るものは下げたいという方針でございます。
  37. 川俣清音

    川俣委員 わからないですよ。物件費を二%以上三%、六%引き下げる、そういう方策があるならばお示し願いたいと言っておる。二%より下げる政策がないと言うから、ないならば一般の物件費を二%以上削ることはおかしいじゃないかと言っておるのです。おかしいじゃないですか。高碕さんにそのくらいのことがわからないはずはない。おかしいか、おかしくないか、これだけの答弁でいいですよ。
  38. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 節約をすればするほど、あるいは二%以下に下るように努力する、こういう方針でおります。
  39. 綱島正興

    綱島委員長 川俣委員、もっとはっきり……。法律上の指数で出てくる当然の予算を計上されておるものが二%を越すが、これはどういう意味かと、それを聞いておるのです。
  40. 川俣清音

    川俣委員 それを聞いておるのです。答弁が悪いのだよ。質問はりっぱなものだ。
  41. 綱島正興

    綱島委員長 委員長から発言いたします。ただいまの質問は、今大体知らされている査定に基く予算面を見ると、当然政府が組まなければならない予算について二%以上引き下げたものがあるのだが、これは一体もっと下ると思って組んでいるのか、間違っているのか、法律違反なのか、そこをはっきりしなさい、こういうことなのですから、そのつもりでお答え願います。
  42. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 平均物価といたしまして三十年度は二%下げる、こういう方針であります。従いまして中には努力によりさらにより一層下げられるものがあるという観点のもとに予算を組んでいる、こういうことであります。
  43. 川俣清音

    川俣委員 予算削減はすべての物件費に対してどこの省もみな一様なのです。ここは何を使うから物件費を多く下げるとか、ここは何を使うから下げていないということはないでしょう。あなたは閣議でやったでしょう。みな一様じゃないですか。別にそろばんを置かなくたって大蔵省の説明でわかるでしょう。全部一様なのです。ですから一様に下るものと理解しなければならない。そこですべての物価はいろいろ上ったり下ったりするものがあるでしょう。しかし一様に平均大体二%以下に下げる、こういうことなのです。そういうことで私は了承している。あなたの政策として、この内閣が持っている物価の引き下げの策は二%引き下げるという方針だ。そのことと予算の否定とは違うのじゃないか。その点を指摘しているのです。
  44. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 ただいまお答え申し上げた通りであります。
  45. 川俣清音

    川俣委員 そういたしますと、わからない査定をされたと理解いたしまして、国会は善処してよろしゅうございますか。
  46. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 節約できるものはできるだけ節約をするということにいたしまして、やりたいと考えております。
  47. 綱島正興

    綱島委員長 そうじゃない。どうも答えが食い違っておりますね。
  48. 川俣清音

    川俣委員 予算で組んでいる物件費は、何に使うものであるかは言うまでもなくおわかりでしょう。事務費や何かだとできるだけ節約するということはわかりますが、これは物件費なのです。物件費の単価を言っているのです。買わないものがあって節約するのは別問題ですよ。買わないで予算削減をするというのと、物価を安く見て削減するのとだいぶ違いますよ。どんなに新内閣だってこれくらいのことがわからないで閣議をやっているわけじゃないでしょう。時間がないからそこを説明しないだけです。購入物件費を二%以上下げることに査定してあるのはおかしいじゃないかと言うのです。もっと下げるつもりで下げたというならわかりますよ。一般の物価のたどっているところの傾向を指導している経審長官は二%より下らない、大蔵大臣はもっと下ると見るならば、内閣の中に不統一が起きてくる。違ったことを閣議できめているというようなことはずさんだということになる、どちらがほんとうか聞いている。
  49. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 これまで私がお答え申し上げた通りに、平均で二%下げるというのですから、あるものは三%下るものもありましょう。あるいは一%のものもありましょう。平均いたしまして大体二%下げる、こういう方針で進んでおります。
  50. 綱島正興

    綱島委員長 それでは委員長から、予算編成のことでありますから、大蔵大臣の御意見を伺います。今の点について大蔵大臣
  51. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私からお答えします。むろん今高碕経審長官から話がありましたよう予算物価の下り方は二%を見込んでいる。それから先ほど申しておったいろいろほんとう意味の物件費については、できるだけ節約をはかる意味で二%、その節約を加えておりますから二%以上になる。さらにまた物件費で、これは公共事業なんかが多いのですが、これについてはむろん二%以上引き下げをしておりますけれども、いろいろありますので、大蔵省から見るととても必要以上に、たとえばこれは一例でありますが、必要以上にコンクリートを高くして、実際そこまで要らないものをしている。これは非常にこまかい実際に即してのことになりますが、何さま一兆円の予算でいろいろのことをしなければならないものですから。まだ具体的な事例になるといろいろこまかなことがありますが、それはそのときでよく検討を加えていこう、こういうわけであります。
  52. 川俣清音

    川俣委員 高碕長官にもう一点で終ります。最近、電力会社が電源開発のために請負さしていますが、これの単価が全部上っておりますが、これはどういうわけですか。全部単価が上っている。またあなた方が見積りを出して将来の計画をやってもらえは全部単価増になっています。物価が二%下るというのに単価が上るというのはどういうわけですか。これをあなた方が容認しているのは、どういうわけですか。
  53. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 私の知っております範囲におきましては、補償関係等につきましては、ずっと前よりも上って来ているようでありますが、そのほかのものにつきましては最近に非常に上っているということは私考えておりません。なおそういうことにつきましては、十分よく調査いたしまして御答弁したいと考えております。
  54. 綱島正興

    綱島委員長 それでは経審長官はエカフェの議長をしておられるので時間がないと言われますからこれでお帰りを願いますが、特に委員長から経審長官にこの際申し上げておきますが、実は委員会の瞬間の節約と効率的な考えからして、適切な御返答を今後はお願いいたすようにいたしたい。わかり切ったことを何個も言っていただくことは委員会の権威にも関するし、今後はぜひそういう点は誠実に、勉強して一つ答弁を願いたいということを勧告いたしておきます。
  55. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 それでは私はなはだ勝手でございますが、これで御無礼いたします。私はできるだけ誠意をもってお答えいたしたいと思っておりますから、どうぞよろしくお願いいたします。
  56. 川俣清音

    川俣委員 大蔵大臣に二、三点お伺いいたします。時間がありませんから簡潔に質問いたします。財務当局から見て、憲法の改正の必要ありというふうにお考えになっておりますかどうか。ありとすればどこを改正したいとお考えになっているか。
  57. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私は検討を加えることはけっこうだと思います。
  58. 川俣清音

    川俣委員 大蔵当局から見まして憲法のどこを改正したいというお考えを持っておられますか。その必要を認めておられませんかどうか。その点を伺います。
  59. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 はなはだ頭が悪くてわからぬのですが、憲法というものはやはりもう少し高い見地から改正をする必要があるかないかを私は考えてみたい、こういうふうに思います。
  60. 綱島正興

    綱島委員長 川俣委員、もう少し具体的に聞きなさい。
  61. 川俣清音

    川俣委員 憲法改正という一般問題ではないのです。大蔵当局行政長官として仕事をする上に、憲法のどこかの条章がじゃまになるというふうに考えられて改正ようというような意図がありますかどうか、こうお尋ねしております。
  62. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 これは、私今のところさしあたってどうも考えておりません。十分検討を加えます。
  63. 川俣清音

    川俣委員 そういたしますると、憲法を改正する必要がないということになりますれば、第七十三条の内閣の職務、これは改正する必要がないという見解に立ってお尋ねいたしますが……
  64. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私は改正する必要があるとかないとか言っておったわけじゃないのでありまして、今までずっとやってきておるのでありますから、今後必要があれは十分検討を加えた上で考える、こう申しております。
  65. 川俣清音

    川俣委員 憲法七十三条によりますと、法律を誠実に執行して、国務を総理することが内閣の大きな職務の中に入っておるのです。従いましておそらく大蔵当局法律を誠実に執行するというお考え方であると理解してお尋ねするわけです。日本の裁判では、特に違憲裁判というふうなものを取り扱っている裁判構成がないので、国会が憲法の解釈の最高権威だ、こう言われております。従って国会で決定いたしました意思というものは国の最高の意思というふうに考えられ、しかもそこで決定した法律というものは、これ以上権威のあるものはないと私どもは信じておるのです。そこで国会が最高の権威をもって決定した意思であるところのものを大蔵当局が財務当局の立場からして変更するようなことはあり得ないと考えてよろしゅうございますか。
  66. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 これはいろいろ法律の問題で、私はここで下手な答弁をすると困るので、一つ法制局長官の方によく聞いてみましょうが、私今ここでお答えし得ることは、そういうふうに法律的な効果があろうがなかろうが、私は国会の意思は尊重しなければいかぬ、これだけは今お答えができると思います。ただ何か法律をどうとかということは、これは私はわかりません。
  67. 川俣清音

    川俣委員 これは国務大臣である以上、あなたの職責は何であるかということを知らずに国務大臣になっておるはずはない。法律を知らないということなら国務大臣はやめなければならない。私はそんなことを聞いておるのではない。国会で決定しました意思を財務当局の都合で変更するということは許されない。そこで議員立法であろうが特殊立法と称されようと、一度できた法律改正の手続もせずに、あるいは国会の意思も聞かないで、大蔵当局の一方的な意見によって、法律を効果のないようなから法律にするようなことは、おそらくおやりにならない、こう見てよろしいと思うのです。そういう御意思だと思うのです。そうすると、健苗育成のために法律を作り、あるいは酪農振興法を作りました以上、これらの施策がぜひ必要である、これらの法律に基いて内閣は誠実にこれらの法律を実行してもらわなければならないと思うのですが、この実行をするための予算がついておりません。今度お削りになったのはどういうわけですか。単に予算を削ったというだけでは、これは済まされません。国会の意思を十分尊重するということでありますれば、何らかここで大蔵当局は、少いながらも予算をつけなければならないはずです。この点どうですか。
  68. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 今一応何してありまして、そこでこれからそういう予算については本ぎめにいたすわけでございまして、今全体の予算の構成を見つつ、どういうふうにしようかということをやっておるわけであります。
  69. 川俣清音

    川俣委員 そんなことじゃないのです。予算をどのくらいにするかということをあなたはやっておられる。それは大蔵当局行政の範囲です。どのくらいにするかということはあなた方の検討の範囲なんだ。法律にあることをおやりにならなければならないということは、あなたははっきり意思表示をされたでしょう。やらなければならないということはゼロということではない、全部削減するということではないはずです。それでは全くじゅうりんしたことになりやしませんか。必要だということを法律をもって確定したものを、効力のないようにするという権限はあなたにはないでしょう。どのくらい予算をつけるかということは、これはあなた方が今御検討中なんです。それはわかりますよ。しかしゼロということは国会の意思をじゅうりんしたということにお考えになりませんか。
  70. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 これは法律に基いてやらなくてはならぬことをゼロにしたというのじゃない。将来もしもかりにするといたしますれば、これはやはり法律を出してお願いをしなければいかぬと思っております。
  71. 川俣清音

    川俣委員 そうしますと、事務当局か査定をしたときにゼロに査定をしたということは、大蔵当局が権限を持たずにゼロにしたということは、これは非常な失態というよりも法律違反をあえて犯した、行政官としては不適格者だ、こう見てよろしゅうございますか。
  72. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 お話の点はよく頭に入れてこれからやります。     〔「さっきのとは違うぞ、食言だ」と呼ぶ者あり〕
  73. 川俣清音

    川俣委員 あなたは国会の意思を尊重する、国会は最高の機関であるから、その意思決定に対しては十分それに沿うようにやらなければいかぬ、こうおっしゃった。やらないから私は聞いておるのです。ゼロにしたということはやらないということでしょう。総体の上から見て幾らか減らなければならぬということなら話は別なんです。そうじゃないでしょう。せっかく法律があるのにそれをじゅうりんしたようなことは許されないものではないかということを聞いておるのです。金額を幾らにせよということを言っておるのじゃない。まだそれは早いですよ。
  74. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 あるいは私の答弁が悪くて誤解されたかもしれませんが、お話をよく承わっております。これはまだ何も切ったというのじゃない。これから出てくるのもありますし、そう切ったというわけでもない、断定できないのであります。
  75. 川俣清音

    川俣委員 それではこの査定というものは、全く権威がないものと見てよろしゅうございますか。査定は一切無効だという言明を得たというように見てよろしゅうございますか。
  76. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 決してさようではないのであります。やはりそれぞれの立場がありまして、ここに意見の相違も、また考え方の相違もありましょう。すべて査定をすればその通りになるということも、今までの予算に例がない。やはり復活するのもありましょう。あるいはあったものもなくなる、そういうことは私はあるだろうと思います。そういう意味に今お考えを願いたいと思います。
  77. 川俣清音

    川俣委員 査定といえども法律の根拠なしに国の財政を処理することはできないですよ。財政法に基いて、あるいはその他の法律に基いて査定しなければならぬ。これは個人の企業じゃございませんよ。個人の企業といえども定款に沿うて会社の経営内容を計画しなければならぬと同じように、それ以上国の予算の作成というものは憲法から、諸般の法律に従って組まなければならないわけですよ。そこで憲法七十三条の、法律を誠実に執行するということを改正する意思があるのかないのかと言ったら、あまりないようなことを言っておられた。これを改正する意思があるのだということで策定されたのなら、これは別問題です。憲法七十三条の第一項、これに公務員は従わなければならない。これは公務員の規定なのです。大蔵省の官吏は一萬田大蔵大臣の私兵じゃない、公務員なのです。従って憲法の条章に基いて予算策定をしなければならぬはずなのです。それを逸脱することは許されない。逸脱した者があるならばあなたが取り締らなければならぬ。それは行政長官の任務なんだ。その者が査定をゼロにしておいてなぜ取り締らない、この点お聞きしたい。
  78. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 査定をゼロにしたといいますか、法律でこうということを予算を組まずにゼロにしたということでありますれば、そのときは当然そういうことをしてもよろしいかという新しい法律案を一緒に御審議願わなければならない。今のところ確定をしておるわけではないのでありまして、一応こういうふうな考え方でしようということでありまして、そこでまだ内部的には、たとえば農林省予算農林大臣ときのうもきょうも、こうしようああしようと相談している過程にあるのでありますから、今私としては皆さん方の御意見もよく聞いておきまして、農林大臣とまた話すときに考えていく、そういうのが今の段階と私は心得えておるわけでございます。
  79. 川俣清音

    川俣委員 すべては既遂にならないと法律を適用しないようにお考えになるのは間違いです。未遂だって悪いのです。公務員が物を盗もうという考え方を持っていたとすれば、それはあなたは取り締らなければならぬ。これは既遂にならないからいいのだということでほうっておくわけにいかない。ゼロにするということはあえて法律を犯そうという意思が出てきたことです。こんなことを黙認できないから、国会において修正されるのは、修正権がわれわれにあるのですから当りまえのことです。それをあなたにお聞きしたのではない。あなたがどんなものをお作りになりましても、今の国会で百八十五名の劣勢では、あなたの力をもってしてもとうてい挽回できませんから、その点はこちらでやりますから御心配いらない。しかしながら事務的に査定する場合に、あえて法律を犯しても差しつかかえないという考え方査定することを大蔵大臣として認容するのはどうか、この政治的な責任を開いておる。事務的なことはあなたにまかしておりますけれども、最高の権威は国会にありまして、どのように直すかということは国会でやりますからそのことには触れません。
  80. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私はただいまお答えした以上につけ加えることは何にもないように思います。
  81. 綱島正興

    綱島委員長 委員長からこの際大蔵大臣にちょっとお尋ねいたします。すでに可決されておる予算でございますが、四、五月分の予算の中で、農業改良等に関する補助金が打ち切られておって、法律に規定されたものに対しての補助がつけてなくて、交付金の中からこれを出すことにしているのだという答弁がなされておるようでありますが、補助金の性質と交付金というものは違うのであって、一体さようなことを会計法上大蔵省はなし得る権限を持つとお考えになりますか、これは重大な問題でありますからお伺いをいたしたい。(「一応賛成したのだろう」と呼ぶ者あり)いや、賛成しておったって、そのことのよしあしは別だから、伺っておきます。
  82. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 本予算の場合には御趣旨ようにやるというふうに考えております。
  83. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 関連して大蔵大臣に伺いますが、大蔵省大蔵省の信念の上に立ちまして予算削減したことを確定的とお考えになっておれば、私は別段質問する意思はございませんでしたが、ただいままでのお話の中に、農林大臣と目下折衝中なので、十分われわれの意見も取り入れて考慮するというふうに考えまして、一つ質問申し上げたいのです。さっき大臣の御答弁の中に、補助金効率の上らないものを削るというお話がございましたが、一体大臣日本農業に対する補助が、効率が上らないということはどこに根本理由があるのか、これについて十分お考えになったかどうか。第一に今の補助金の出し方が非常に時期をそらしている。たとえば苗しろの補助などの問題も、もうすでに出ていなければならないのがまだ出ていない、こういう点がある。第二には重点をそらしておる。第三には継続性が全然ないことであります。何ら根本的な理由なしに、財政上の理由から勝手にこの補助を断ち切るというようなことがたびたびあったこと、かつ十分に必要のある金額を出さないで、いわゆる財政上の理由と称しまして、まことに不徹底な形でこれを出しておる、こういうふうなことがしばしば起って、それが原因になって効率の上らなくなっておりますのを果して大臣は認識されておるかどうか、お伺いしたいのであります。
  84. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 補助金効率が上っておるかどうかということは、これは十分検討を加えて考えておるわけで、従って具体的なものを取り上げて考えておる。しかしこういうものについてはやはり見解の相違もあるだろう、そこでこれは慎重にさらに考えていく、こういうふうな段階で考慮いたしておるわけであります。
  85. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 答弁の食い違うことは私だけでございませんから別段気にいたしませんけれども、私の質問と御答弁とは全然食い違っておるのであります。私の言うのは、効率が上らないという実態をお認めになるだけでなくて、効率の上らない理由についての十分の御認識があるかどうか、むしろ効率の上らないのは補助金そのものの本質的な理由ではなくして、補助金の出し方に十分な理由があるのだ。これを直しさえすれば非常に効率が上ってくる。特に一点私受け取れませんのは、この前災害予算を組みました場合に、大蔵省の方からわざわざ課長を委員会に派遣されまして、この補助金は出してはいかぬという強い御要請がございました。その場合には温床苗しろの問題について、これは十分効果が上ったから以後は出す必要がないというお話でございました。そうしますと、あなた――当時はあなたじゃございませんでしたろうけれども大蔵省方針として、あるものは効率が上ってしまったから出さぬ、あるものは上らないから出さぬ、そうすれば効率が上っても上らなくても補助金は出さぬということになる。今度の補助金打ち切りというのは、日本農業に対する大臣のはっきりした認識の上に立ったものではなくて、要するに財政上他の理由があって農林予算にしわ寄せをしておりますのを、効率が上らないという理由づけとしているのにすぎないというふうに考えますが、一体大臣は、今までの日本農業に対する補助金の出し方がその方法においても額においても、これで十分であるとお考えになって効率を云々されるのであるかどうか、その点をお聞きしたいのであります。
  86. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 補助金効率の点について、たとえば出し方が適切でない、タイミングに合わない出し方、こういうことの結果、補助金効率が上らないのは、出し方が悪い点にあるのですから、もし従来そういう点がありますれば、私はそういうことのないようにいたしたい。それから今のお話で、あるものはもうすでに補助金の効果を達したじゃないか、だから補助金はやめてほしい、こういうものについては、なかなか私むずかしいのじゃないかと実は思うのです。それは一体目的を達したというのがどういう範囲に及んでおるか。その補助金の性質自体ある程度の目的を達するために奨励意味で出しておる。そうすると、ある程度奨励の目的を達しまして、もう補助金がなくても――やはり補助金のいるものもあるかもしれぬが、大体補助金がなくても行くようなことになったというようなことがある場合には、これはやはり考えていいじゃないかというふうにも考えられる。こういうことについても、見方によって受ける者と直接財政から出す者の立場で若干の食い違いがありましょうが、しかしそういうときの認定についても十分気をつけていきたいと思います。
  87. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 補助金の目的はやはり補助をするのが目的なので、あくまでも農業の技術なりあるいは方法なりが普及徹底して、効率が上るところまでやるのが本質だろうと思うのでございまして、むしろ私は完全にその効率が上ったから補助金は出さぬという方が合理的だと思う。ただしこの際、これからなお農林大臣といろいろ御折衝なさいまして、大蔵大臣も十分に反省するというふうな意思がおありになると私考えておりますので、最後に要望いたしたいのは、農業というものは銀行に金を預けるのと非常に違うという一点であります。これは生きものを扱っておる。黙って銀行に入れておくと利子がつくという性質のものではございません。従って開拓にいたしましても、あるいは従来既存農家のやっておりましたさまざまなことにつきましても、勝手に補助金を打ち切ったり出したりいたしますと、継続の効果が死んでしまうのであります。そうしますと、せっかく効率の上る直前まで来ておりますのが一たんの打ち切りのために全然だめになってしまう、こういうことは生きておる仕事を扱うものに必ずつきまとう姿なんでありまして、こういう点についてはふだん冷たい金を扱っております大蔵大臣は、もっと一つあたたかい気持をもって考えていただきたい。特に長い間打ち捨てられておりました日本農業については、今十分に重点的にこれを補助育成しなければ、大事な瞬間でこのまま参ってしまうことがあると思います。酪農関係しかり、開拓関係しかり。ようやく長い封建制を脱しまして、新しい科学的な農業に躍進せんとする日本農業が、一端の財政上の理由を理由としてその補助を打ち切られ、育成を断念されるならば、とうてい救うことはできない。一年二年の財政はよしやそれで立ちましても、未来永劫に非常な欠陥を起すというなげかわしい事態が起ることは見えすいております。この点についても、はっきりと日本農業というものの実態、生きものを扱っておる、生きた農民を相手にしておる仕事であるという点を御認識なされまして、農林大臣のいろいろな要望もございましょうし、われわれまたこれから農林大臣に対してきつく要望もいたしますが、その点を虚心坦懐にもう一ぺんお考えになりまして、農業というものは生きたものを扱う仕事であるという点を一つ御認識あらんことを要望いたしまして、私質問を打ち切ります。
  88. 川俣清音

    川俣委員 関連が長くなりましたが、もう一点だけお尋ねしておきます。いろいろ今度の予算削減に当って、効率の上らないものを削減するということに方針を定めておられるようですが、今日本のうちで一番効率の上らないものは何だとお考えになっておりますか。おわかりにならないだろうと思いますから、私は指摘します。電源開発です。日本電源開発のうちで既設のダム効率が最も上っていない。ダム効率の半分以下に低下しているダムが三十九ある。八〇%以下が十七あります。せっかく作って多額の金をかけたダムが、その効率を現わさないで放任せられておるばかり。むしろ土砂を埋めてそれを流出させるということで下流に水害を起しているようなダムが十七ある。三十九が五〇%以下に、堆積がたまりまして、効率を下げている。こんな大きな資材を食い、資金を食うものをそのまま放任しておかれて、ほかの小さなものを効率が上っておらないなどと言われるのはどうも不公平だと考えるのですが、これに対してどういうお考えですか。
  89. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 今いろいろとお教えをいただきましたが、そういう点も十分考えてみなくてはならぬと考えております。
  90. 川俣清音

    川俣委員 考えただけでは名案は出てこない。どうしてやるか方法がないかといえば、ある。結局このダムは貯水のために作ったダムでありながら、土砂の堆積のために効率が上っていない。そこで土砂どめをしなければならぬ。山から土砂が流れてこないようにしなければならぬ。ところが山が荒れている。そこで治山治水の事業というものは高く評価されてこなければならぬ。これをお考えになりますか。治山事業というものは、電源開発の上に非常に大きな効率をもたらすものであり、国土の保安の上からも何よりもこれは必要なものだというふうにお考えになりませんか。
  91. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 砂防の点については、非常に皆さん方からも強い同じような御意見があり、今御意見について検討を加えております。
  92. 川俣清音

    川俣委員 砂防は大切である。砂防というのは、結局土砂が流れてくるのを防ぐ。その前に、土砂の流出しないように、山くずれの起らないようにすることも大切であると思う。そこで造林事業、植林事業が必要だということになってくるわけですが、この点はやはりお認めでしょうね。
  93. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 その必要については少しも異存がないのであります。
  94. 川俣清音

    川俣委員 必要を高く認めているということになりますと、予算削減するなどというお考えは誤りであった、こういうふうに了解いたしまして、その言明を信頼いたします。信頼を裏切りますとたいへんなことが起きるということを十分お考えになれば、この程度のことはわかると思います。時間がないからこれで質問を打ち切っておきます。
  95. 綱島正興

    綱島委員長 松野委員
  96. 松野頼三

    ○松野委員 大蔵大臣に二、三点お伺いいたします。先日防衛分担金を削って住宅を建てる、こういうお話がございました。防衛分担金の方はまだお見通しがつかないので、住宅の方の予算もきまらないようですが、それと同様に、われわれ農林委員会として関心の深い農業予算を御削減になったようですが、補助金問題については、暫定予算のとき、わが党から附帯決議の中に補助金の問題を特に一項目入れたはずですし、それを御容認になったのですから、本予算は多分あの趣旨に沿って出されることと思うのでありますが、あの附帯決議の趣旨に沿ってお出しになる御準備が整っておりますか。
  97. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 附帯決議の趣旨は、あのときにも申し上げましたように、最善を尽すつもりでおります。
  98. 松野頼三

    ○松野委員 大蔵大臣答弁の中に、効率の悪い農業補助金を打ち切り、効率の上るものは継続いたします、こういう御答弁が本会議でございましたが、覚えていらっしゃいましょうか。
  99. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 覚えております。
  100. 松野頼三

    ○松野委員 それでは一つ補助金の問題で、どの補助金効率が悪いか、各議員からお話がございましたが、御答弁が明確でございません。一つ例をあげますならば、農業委員会補助金というのは、農林省補助金の中では三十億近くで最高額を占めておりますから、この補助金をまさか御存じないとは言わせません。予算を編成されますときに、これがわずか千万、百万の場合なら別でございますが、これを抜きにされることはありますまいから、この一つを例にとってお尋ねいたします。農業委員会補助金の対象としてあなたのお考えの中に入るのですか、入らないのですか。
  101. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 農業委員会につきましては、補助金でやるかあるいは地方税の方でやってもらうか、皆さんといろいろ相談をいたしております。
  102. 松野頼三

    ○松野委員 ただ私お聞きするのは、効率が上っておるか上らぬでおるかということが第一点でありまして、農業委員会効率が上っておるかおらぬかという御認識をお聞きすればいい。本日は主計局の査定ではありませんから、概略的に、農業委員会というのはあなたの言う効率の上る範疇に入るのか、入らないのかということをお聞きすればいいのであって、これ以上私はあえてここでつまらぬことまで聞いて、あなたをいじめるつもりはないのです。ただあまり御答弁が不誠意ですから、一つ一つ開いた方が明確ですから、その意味で聞いておるのです。
  103. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 農業委員会が決して効率を上げていないとは思いません。
  104. 松野頼三

    ○松野委員 それでは同じような立場で農業協同組合というのがございますが、これはどうですか。あなたの御範疇で補助金の対象に入っておりましょうか、入っておりませんか。
  105. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 先ほどから申し上げたように、補助金について一応基準を立てて査定をしており、今それについてさらに再検討を加えております。
  106. 松野頼三

    ○松野委員 御承知のように、農村の中で非常に大きな問題は、せっかくできましたものが病虫害で荒らされておりますが、病虫害発生予防事業補助金というのはいかがでありましようか。
  107. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 今私は総括的に御答弁申し上げたつもりでありますが、検討を加えております。
  108. 松野頼三

    ○松野委員 それではもう一つ。非常に日本の土壌が荒れて酸性土壌になりましたので、耕土培養法という農業として画期的な促進法ができまして、それに合せまして自由党の内閣のときに、特にこの点主張いたしました耕土培養事業補助金というものはいかがでありましようか。
  109. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 先ほどから申し上げましたように、検討を加えでおります。
  110. 松野頼三

    ○松野委員 実は皆さんお聞きのように、予算委員会におきましても、ただいま大蔵大臣の御答弁ように、農業に対する具体性がまことにばく然として私たちは非常に驚いたわけです。従ってこれは本日あえてこれ以上追及しても、あなたの御答弁は同じようでございましょうから、この空気をどうか御認識の上に予算案を編成されんことを、本日特に私は勧告いたしておきます。しかしながらこのように大きな問題を抜きにして骨格予算を組まれる、しかも新聞紙上の発表によりますと、一兆の残額はあとわずかしか残っておりません。そうなると、この例にあげましただけでも、あなたは重要だとおっしゃるならば、当然お組み入れになっていただけることと思います。技術的なことはおまかせいたしますが、この趣旨を本日この機会に一応大臣に申しておきます。補助金の問題については結論が出ず、はなはだ残念ですけれども、いずれ本予算のときにあらためてやりますから、本日はほんのさわりでやめておきます。  先ほどの御答弁の中で、もう一つ単価の問題が重要な問題になりました。単価はただいまちょうどいい例が出たんですが、ダムを作るのにそんなにたくさんコンクリートを入れなくともよろしいようところ予算を節減するという御答弁大蔵大臣からございましたが、そういう設計はどこで一体御判断になるのでございますか。大蔵省の主計局に建設省以上のダム建設に対する技術者がおられるのかどうかということもお聞きしておきます。
  111. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 これはたとえば建設省の技師の意見を十分徴した上で、それだけしなくともよかろうということ、私はさように聞いております。
  112. 松野頼三

    ○松野委員 技師の設計を判断されるのは、どなたが御判断されますか。
  113. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 先ほどもダムの例で申し上げたんですが、やはり節約をいたします場合には、物価関係も見ますし、それから同じ分量についてもそれぞれ非常に効率的に違うということも考えなければなりません。それからまた技術上許せば場合によっては工事をおそくするといいますか、繰り延べといいますか、量を減して行く、こういうこともやむを得ないかというふうなことをわれわれは考えておるのでございます。
  114. 松野頼三

    ○松野委員 答弁がはなはだ不明確でわかりませんが、量を減して行くというのは、事業量を減して行くということでございますか。
  115. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 結果においてそういう場合もあると思います。
  116. 松野頼三

    ○松野委員 先ほどの御答弁からすると、質問をするたびにだいぶ明確になりましたが、物価が二%下る。予算は二%物価を引き下げた上にさらに事業量を縮少して一兆円予算に当て込む、こういう結論にしかだれが考えてもなりません。それも一つの案でございましょう。  それでもう一つお聞きしたいのですが、そういうような要請のもとにやられますが、特に農業関係の単価としては人件費が非常に多分を占めておりますが、来年度は人件費はやはり二%引き下げるというお見通しでございますか。
  117. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 人件費については単価を引き下げるということはありません。
  118. 松野頼三

    ○松野委員 それでは人件費が八割を占めるよう農業関係の土木費というものはあと二割、すなわち二割の二%しか下らないというのが数字上の妥当な査定よう考えますか、その通りだと本日はお考えでございますか。
  119. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 物件費、施設費等についてはでこぼこがありまして、あるところはふだんから楽に行く、ある方面ではふだんから窮屈である、こういうようところがあると思います。それでそういうようなものをまず全体として流して物価が二%下るなら下るというところでやる、こういうふうになっておるわけであります。
  120. 綱島正興

    綱島委員長 松野さん、各省との経済打ち合せの閣議が三時からあるそうですから、一つそれも考慮に置いて御質問願います。また大野委員から農業課税のことについてちょっと残っておりますので……。
  121. 松野頼三

    ○松野委員 では、工事費の中で一番のウエートを占めておるコンクリートは何パーセントお下りになると御予定でございますか。
  122. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 申しわけないのですが、後にまたよく調べてから申し上げます。
  123. 松野頼三

    ○松野委員 そうすると、御承知のようにコンクリートが二%下るかどうかという程度のこともお考えなしに、予算をかってに二%でぶち切って、人件費は下らないといいますが、人件費はそれでは上るのですか。いわゆる来年度は物価が二%下るが、人件費はすえ置きですか、上るのですか、この点をもう一度お聞きしておきたい。
  124. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 上ることを考えておりません。
  125. 松野頼三

    ○松野委員 それでは、物件費が二%下るということは明確になったのですが、人件費はわからない、賃金が上るか下るかもわからない、コンクリートが幾ら下るのかという重要資材についてもわからない、それで予算を策定されること自身が私は無謀ではないかと思うのですが、これは言いにくいなら言いにくいとおっしゃってけっこうなんです。今後の問題についてあなたはまだ未遂犯なんですから、何をおっしゃったっていい。遠慮なしにおっしゃってくれた方がお互いの立場上いいと思うのですが、これでは国民がこんなばかなことを承知するものではありませんよ。予算単価がいくらちゃんと出て来ても、人件費が下るかどうかもわからないで、どうして国民所得をはじき出されたのか。ついこの間の予算委員会でも、御承知のごとく国民所得の問題が出た。そのときあなたはちゃんと御答弁になっている。賃金が上るのか下るのかもわからないで、なぜ国民所得をはじき出したのか。われわれから見ると、農林委員会はまことにお役所の方からばかにされたことになる。そんなことではありませんよ、あなたに聞いていることは。
  126. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 そういう考えは毛頭ありません。
  127. 松野頼三

    ○松野委員 ではどっちなんだ。
  128. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 ただ単価につきましてはやはり賃金の趨勢に従って動いていくというふうに考えていいのじゃないかと思うのです。
  129. 松野頼三

    ○松野委員 では、予算の上においては単価はどういうお考えなのですか。
  130. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 横ばいと考えております。
  131. 松野頼三

    ○松野委員 それではすべての国民所得というものも大体横ばいである、賃金もやはり横ばいで上らない、そういう単価でおはじきになったとすると、最後に残るのは、物件費だけは二%下るということですが、どうしてこの大幅な削減をせられたのか。それについて、事業量は減さないというから念仏を唱えている、それが私には疑問なんです。いくらそういう公約をうたったってから念仏の公約ではだめです。あなたが農業に対して不熱心なのはみなわかっているのです。そういう状況のもとにいるあなたであれば、私はもうこれ以上毒ずきません。あと委員も控えておりますから、私よりあと委員の方がいい質問をされましょうから、一応私はこの程度で質問を打ち切ります。
  132. 綱島正興

    綱島委員長 大野君。
  133. 大野市郎

    ○大野(市)委員 大分農林行政について大蔵大臣も御勉強をして下さる御意思がおありのようですから、私もその点について二点ほどお尋ねしてみたい。大蔵大臣はわが国の食糧事情というものから見まして、食糧の自給政策というものをどういうふうに考えておりますか。
  134. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 これはもう申し上げるまでもなく、自給度をできるだけ増して行く以外にないということは、私の年来の主張でございます。いわゆる食糧の自給度を増加していく、これは私の年来の主張でもありますし、大いにやっていく考えでございます。
  135. 大野市郎

    ○大野(市)委員 現内閣におきましては、閣内でもいわゆる安いものを買えばいい、その方が経済効率が上るというふうに考えておる閣僚もおられるように承わっておりますが、大蔵大臣のただいまのお説で、食糧の自給政策を強力に進めると御意思がはっきりしました。そういたしますと、農村に対する保護政策という問題が、この委員会では劈頭から一番大きな問題として出ておりますが、そういう国家的見地から農業に対する保護政策が一番大切であるということをお認め願えますか。
  136. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 これは一般論になりますが、ほんとうを言えば、私は保護政策はやらなくて農業の増産もでき、農家の暮しもよくなる、これが一番望ましいことは言うまでもないと思うのです。従いまして、私としましては、あるいはお前はまた農業の現実を知らぬで何を言っておるかというふうなおしかりも受けるかもしれませんが、やはりそういう見地から、たとえば米を作るのにどうすればいわゆる生産費を安くあげることができるか、私も農家の出でありますが、具体的に言えば、ほんとうに安く肥料を農家に上げたい、そうするとよほど――結局米価が中心になるのでありますが、かりに米価がそれほど上らなくても手取りがふえる。米価を上げるといかにも農家はいいように思われるが、税金はとられる、一方賃金のべース・アップがある。そうするとまた肥料が上るということで、どうも循環的なことになるのではないかと思います。それから先ほど経審長官が今度ほんとう物価引き下げ政策に取っ組んでくれる、お互いにやろう、石炭を中心にして考えていこう、こういうふうにここで御答弁になりましたが、そういうふうにやっていけば、肥料についてもよほどよくなるのではないか、こういうふうなことで考えておるのです。別に私は保護をしなければならぬものを保護しては悪いというわけではありませんが、一般的な考えとしてはさよう考え方をしております。
  137. 大野市郎

    ○大野(市)委員 私がただいま承わりたかったのは米価の問題のことではなかったのです。米価を上げなくても、生産費の低下の方法において手取りをふやしたいという大蔵大臣の御意見を承わりまして、われわれとしては……。
  138. 綱島正興

    綱島委員長 大野委員、繰り返さずになるべく単刀直入にお願いします。時間がありませんから……。
  139. 大野市郎

    ○大野(市)委員 私が承わりたかったのは食糧増産の方です。食糧の総量を、つまり数量を増加させるためにいわゆる保護政策がどうしても必要であるというのがわれわれの持論である。大蔵大臣が私もその通りだとおっしゃっていただけばけっこうでありますが、それとも反対でありますか。
  140. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私はこれはよほど検討を要するのじゃないかと思うのです。常にそうするがいいとも言いかねる。食糧増産の場合において、たとえば日本でいうと北海道というような所に着目して、これが開拓をやるというようなことはやはり考えていかなければならぬのではないかと思っております。
  141. 大野市郎

    ○大野(市)委員 ただいまの答弁ではわれわれは満足いたさぬのでありまして、補助金の打ち切りの問題とか、あらゆる問題を大蔵大臣考えというものが左右しておるのではないかと、はなはだ心配です。個々の問題の検討は必要なんです。それを承わっているのではない。食糧増産、数量増産の問題に対するあなたのお熱意を承わるわけなんですから、この問題に対してどうもあなたのお考えでは私は満足できませんが、この問題はまた追っての機会にさらに掘り下げて問題にしたいと思います。第二点は、農業の課税の問題であります。この問題に対して、当委員会におきましても決議案が決議せられました。これは御承知のことと思いますが、この問題に対しての核心は、結局本会議あるいは予算委員会におけるあなたの御答弁を承わると、昨年は米価が上った、収入がふえれば税金もふえるというふうな見当違いの御答弁でありました。はなはだ心もとなく思うのでありますが、われわれがここで決議をいたしました趣旨は、税徴収当局の事務官的な、そういう査定のものにわれわれは満足できないのです。農村の実態からして、非常に過労に陥るような労働条件のもとで、穀物の栽培その他の仕事に従事しておるのでありますから、そういう一つの働らく場所の条件が非常に特殊である、こういう観点からして、納得納税という形で、お互いに納得の上で納税の義務が毎回果されているのです。これに対して国務大臣であり、行政庁の長官であられます大蔵大臣として、納得納税に対して熱意をお示しなさる御意思があるかどうか、この点を承わります。
  142. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 よろしいと思います。
  143. 大野市郎

    ○大野(市)委員 しからばただいまの答弁をもちまして、前回の当委員会農業課税の適正でないという趣旨の決議に対しまして、もとより国会の意思を尊重せられるのでありますから、これは全面的に大蔵大臣においてそれを取り入れて実行せられる意思と拝承してよろしいでしょうか。
  144. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 十分納得のいく徴税をしたいと思います。
  145. 綱島正興

    綱島委員長 委員長からこの際大蔵大臣に伺っておきますが、どうも大蔵省は農村課税の基礎になる収穫量等についても、農林省査定によらずに税務署が勝手に査定して、その査定だけは動かさないというような線をとっておるようでありますが、やはりそういう指示をされておりますか。査定基本を示さずに課税をされるということは、非常に農村じゃ困る問題が出てくると思う。その点に対する大蔵大臣の御方針をちょっと伺っておきます。
  146. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 そういう指示をいたしておるわけではありません。個々の実情に応じて公平なやり方をしなければならぬと考えております。
  147. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 一点だけ簡明直截にお伺いいたします。先般来の本会議並びに予算委員会における農業所得税に対する大臣答弁ははっきりしておるわけでありますが、要するに収量の増加と価格の上昇分が課税対象になるから、当然農業所得税は増税になる、こういう御答弁なのでありますが、その面はだれでもわかっておる。そうではなしに、今委員長から言われましたように、課税の標準を税務当局が決定せられるに当りまして、反当所得並びに石当り所得というようなものの標準を出される際に、村の当局あるいは農協あるいは農業委員会等と協議の上に決定するように国税庁長官は指示を与えたと言っておる。しかし事実は少しも協議の上に決定しておらない。きわめて天下り的、独断的にこれを決定して押しつけておる。そうしてその大きな食い違いの生じておる一点はここにある。農業経営というものは非常に複雑でありまして、階層別に違うのです。これは大臣しろうとですから私は教えてあげるのですが、たとえば一例として、六反から一町までの農家の一石当りの米の生産費は一万四千七百七円かかっておる。ところが一町五反から二五十一円で足りるのです。ところが標準を作られる場合に、黒字経常の可能の階層をサンプル調査されて、事実はその調査でそこから標準を作って、その標準を各層に全部当てはめておるのです。ここに大きな食い違いが起るのです。村の当局または農協等と協議の上に決定をするように国税庁長官は指示を与えたと言っておる。ところが事実は協議をしておらないし、のみならず、その標準の決定に当っては農林統計にもよらないし、農業パリティにもよらないで、税務署が独断的にこれを決定をして押しつけておるところに今度の問題が起っておる。従ってこのような標準を作る場合の調査に重大な誤謬があり、村または農協の当事者と協議の上に決定しておらないという場合においては、その標準に著しき誤謬が発見された場合においては、これに再調査をし、更正決定等の手続によらずに、これは修正申告等の手続によって再審をする、こういうことを国税庁長官は言っておるのですが、これに対して大臣は、やはりその通りにすることを約束し、同時にはなはだしき誤謬の明確である場合においては、これを再審査をし、また修正手続によって公正を期するように下級の機関に指示を与えられるかどうか、この点だけを伺いたいと思います。
  148. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 その通りでけっこうと思います。
  149. 足鹿覺

    足鹿委員 大蔵大臣一つだけ伺っておきたいのであります。昨日私農林大臣にも伺ったのでありますが、本年度予算関連して一番大きい特別会計である食糧管理特別会計の編成方針に基いて、蔵相は、食管法の改正すなわち麦価決定の新方法あるいは新米価設定について財政負担を軽減する等々について、閣議の際あるいは経済閣僚懇談会等において、何らかの申し入れをされておるかどうか、伺いたい。
  150. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 申し入れておりません。
  151. 足鹿覺

    足鹿委員 そうしますと昭和三十年四月二日付の昭和三十年度食糧管理特別会計予算編成要領なるものが大蔵省から発せられておるやに聞くのでありますが、大臣御存じでありますか。
  152. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 これは一つの参考意見として閣僚等に配ったことはあるのでありますが、別に大蔵省意見でもなく、こういうふうな考え方もあるということで、従って読み上げたわけでもないのであります。さように御了解願ってけっこうであります。
  153. 足鹿覺

    足鹿委員 非常に重要な問題でありまして、新聞等においても大きくこれを取り上げておる。そしてあなたの談話形式をとっておるものもありますし、また申し入れの形式をとっておるものもありますし、あるいは大蔵省態度発表というような形式をとっておる新聞もあります。わずかな記事ではありません。来年度における食糧管理の改正にまで及んだ大きな発言であります。その中の一、二をあげて申しますと――おそらくお配りになったものでしょう。予約集荷制度を三十年分産米から行うことについて言及しておられますが、これは米の統制撤廃を前提としての予約集荷制度を考えておられますかどうか。
  154. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 これはこういうふうな一つ考え方もあるという意味であるのでありまして、できればここでディスカッションを控えた方がいいと私は思うのであります。これは農林省でお考えになることだと思います。私、実は新聞で見てはなはだ驚いたわけで、さっそく農林大臣に、大へん相済みませんと申し上げたわけであります。それで新聞の会見でそういうふうな趣旨を私が話しましょうかと言うたのですけれども農林大臣が自分で言うからというのでそのままきておるわけなんです。どうぞそういうふうに御了承願います。
  155. 足鹿覺

    足鹿委員 そうしますと昭和三十年度食糧管理特別会計予算編成要領なるものは大臣もごらんになっておる。しかもこれは大蔵省としての書類で配付しておられる。これはただ単なる参考的な意見だというふうに軽く言っておられますが、少くとも大蔵省の立場を明らかにする、このような重大な基本要領が次々と発表される。それについては何ら大蔵省としても責任ある態度ではない。新聞が何を書こうと自分たちは知らない。こういうことで、ほかの小さい問題と違って、いいでありましょうか。一つ基本国策でありますが、そういったことについて、問題になるものは知らないというよう態度は、私はどうかと思うのですが、大臣は四月二日付の大蔵省の編成方針要領なるるものをごらんになっておっての御答弁でありますか。はっきりしていただきたい。
  156. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 むろん私は知っておるのであります。しかしこれはまだ公けにどうするというのじゃないのです。農林省あたりから食管の問題をどうするかという話があった場合には、こういうふうな考え方一つ基礎になる、こういうふうなことで、たまたまああいうふうに外部に、新聞に出たものですから、たいへんよくなかったと私思っているわけです。いろいろなところでいろいろの事柄についてやはり研究はして、それぞれのある程度の案を持っておることは私差しつかえないどころじゃない、当然そういうふうな勉強はすべきだと思うのであります。それはそうするかのように、いかにも農林省大蔵省が申し入れたような形で出ましたことを私は非常に遺憾にいたしているわけであります。これはそういうふうないきさつになっておるわけでありまして、その点がはなはだもって遺憾じゃないかと言われれば、全くその通りであります。
  157. 綱島正興

    綱島委員長 これで大体大蔵大臣に帰っていただいてよろしゅうございますね。  それから大蔵大臣に特にお願いしておきますが、農林のことについてあまり関心が薄いように見えるので、やはりもう少し調べて御答弁をお願いしたい。
  158. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 勉強いたします。
  159. 綱島正興

    綱島委員長 委員会の運営をスムーズに、効率的にやるためには注意が必要でございますから……。  農林大臣は本省を出られたそうですから、もう間もなく見えると思います。  ちょっと速記をとめてください。     〔速記中止〕
  160. 綱島正興

    綱島委員長 速記を始めて。  この際お諮りをいたします。昭和三十年度農林予算に関する件について決議をいたしたいと存じます。決議いたしたい、原文を読み上げます。    昭和三十年度農林予算に関する件   国内における総合食糧の増産確保とこれによる国際収支の改善並に農漁民生活の安定向上を図ることの要は、今日いささかも減退しないのみならず、内外の情勢はいよいよこれが早期実現を要請しておる。にも拘らず、政府は三十年度予算の編成に当って、公公共事業費の重点化、効率化若しくは補助金の整理合理化解を強調する結果、実体的には農林漁業の保証育成及びその生産力の拡大強化を目途とする我が国農林漁業政策基本方針を根本的に一変せしめる意図を有するやに伝えられることは真にいかんとするところである。   よって政府は、予算原案に対する構想を再検討し、三十年度以降においても、経済自立の根幹たる農林漁業政策の拡充のために必要にして且つ充分なる財政支出を確保するよう本年度予算案を作成すべきである。   右決議する。
  161. 井谷正吉

    ○井谷委員 一言委員長にお尋ねいたしますが、この決議案をただいま出されてどういうようなお取扱いをされますか。
  162. 綱島正興

    綱島委員長 その点はこれから皆さんにお諮りしようと思っておるのですが、もし委員長に御一任ありますならば、それぞれ関係政府当局に送到いたしまして、この実現に委員長は努力する考え方であります。  しからば右の決議案を決議することに委員会においては御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  163. 綱島正興

    綱島委員長 御異議がございませんので、この決議は成立をいたしました。  なおこの決議の効果あらしむるために、委員長において適宜適当な処置をいたすことに御一任が願われますか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  164. 綱島正興

    綱島委員長 しからばさように取り扱います。  この際農林当局の本決議に対する御意見を承わります。
  165. 吉川久衛

    ○吉川政府委員 ただいま昭和三十年度農林予算に関する件について御決議がなされました。これにつきましてはただいままで大蔵大臣経審長官農林大臣等にただしていただきましたように、三十年度予算の編成についてまだ政府部内に完全なる一致を見ていない点等もございますことは、皆様すでに御承知の通りでございます。従いましてこの御決議はまことに時宜を得たものでありまして、この御決議の趣旨に沿いまして御期待に沿えるような最善の努力をお誓いをする次第でございます。
  166. 綱島正興

    綱島委員長 農林大臣が参りますまで暫時休憩をいたします。     午後三時五十二分休憩      ――――◇―――――     午後四時二分開議
  167. 綱島正興

    綱島委員長 休憩前に引き続きまして会議を開きます。  農林大臣に対しての質疑を続行いたします。川俣委員
  168. 川俣清音

    川俣委員 時間も少いようでございますので、ごく要点だけをお尋ねしたいと思いますから、その要領に基いて御答弁願いたいと存じます。  農林大臣が就任早々いろいろな政策発表せられておりますが、その中で最も私どもの注意を引くのは、今まであまり大臣が持っておられなかったと思ういわゆる森林政策について意見をお出しになっているようでありますか、これはおせじを言うと、少しできがよすぎるのではないかと思いますし、また一面から見ると、できないことを放言されたという非難もないわけじゃないようですが、私ども非常にできがいいと見ているのです。できがいいということは、後退がなければできがいいと私どもは見なければいかぬと思うのです。いわゆる国営造林という形で打ち出しておられるようでありますが、このことは、どれだけ一体熱心におやりになるつもりかどうかを聞きたいのです。私どもは、河野大臣を高く買っておりますのは、おそらくやり出したらばとことんまでやるであろうというところに期待をかけておるので、それ以外にはほんとうは期持していないのです。そこで、やったからには、言い出したからにはやるであろうというところに期待をかけているので、その点を聞きたいのです。
  169. 河野一郎

    ○河野国務大臣 大へん御激励をいただきまして恐縮でございますが、お説の通り、造林につきましては、私も非常に熱意をもって、今大蔵省の方に提示してありまする予算を維持して参りたい、こう考えておるわけでございまして、その内容等につきましては、むろん今申し上げる段階ではありませんけれども、すでに川俣さんは御承知のことと考えます。しかし何分これまた御承知の通り、本年度は一兆円のワク内で予算を組みたいということを考えておりますので、これはしいて申せば、前年度予算よりもさらに窮屈になります予算でございます。そういうよう関係からいたしまして、最初に意図いたしました通りのことができるかどうか、これには多少の私も疑問を持っておりますけれども、しかし目途といたしまするところは、川俣さんの御支持いただくことのできますようなものをぜひ打ち出したい。どんなことがあっても、十年計画で所期の目的を達成するようにしていきたいという考えのもとに、ただ初年度は顔だけ出すとか、頭だけ出すとかいうことでなしに、相当の効果の上るようにして参りたいというつもりでございます。どうぞ御了承下さい。
  170. 川俣清音

    川俣委員 日本は非常に災害が多い。この災害のために非常に消費的な資材、人力及び財政負担をしなければならないということになっている。この災害を一体どうして防ぐかということが、やはり政府基本政策でなければならないし、国民経済の上からもこれは必要なことだと思う。これは天災であるから防ぎ得ないのかというと、そうでなくして、これは政治の貧困の結果今まで天災をある程度防ぎ得なかったのです。そこに今日までの政治の失態があった。こう思うのです。おそらくその点について造林計画を立てることになったと私は理解する。もう一つの点は、日本電源開発が、ダムが土砂埋没のためにほとんど効率を上げていないのが大体三十九カ所ある。ほとんどダムの効果のないのが十七ヵ所ぐらいある。これらは山の荒廃をそのままにしておいたために起ってくるところの損失でありまして、この資材、この資金、この人力、この経費というものは莫大なものでありながら、日本の事業のうち最も効率の上っていないものなんです。これを回復するには、今から治山治水と、その治山治水の最も基本であります造林計画を立てなければならないというところに気がつかれたんだろうと思うのです。これはしろうととしてはできがいいと、私はさっきからほめているのですが、これが頭だけ出すとか、あるいは予算の上においても後退して参りますならば、これは日本全体の災害を除去する上から重大な結果になるということで、単に農林省のセクト的な意味からでなくて、日本ほんとうの治山治水の上から、超政治的に計画せられなければならないと、私はそう信ずる。この点についてもう一度一つ……。
  171. 河野一郎

    ○河野国務大臣 申し上げます。国営造林の考え方につきましては、今川俣さんのお話しになりました通りであります。ただ私はしろうとながら考えますことは、先般も申し上げたと思うのでございますけれども、最初に私が考えたのは、とにかく国土保全、水源涵養の意味におきまして、植樹可能な所には全部木を植えるようにしなければなるまい。元来国家の施策といたしましては、現在林野庁においてやっておりまするように、自分の持っておりまする国有林を伐採して、そうしてこれを材木にして国民に供給する、切った跡に木を植えるということだけでは足りないのであります。むしろ主たる目的は、全国の今申し上げまする植樹可能地に全部植林をするということが国家的使命であり、政府のなすべき主たる要務であるというふうに私は考えまして、そうしてこれを全部完了するには、一体どのくらいの計画でどうやったらよろしいかということを、一応林野当局に案を作ってもらったのであります。その際に、それが国有地たると民有地たると公有地たるとを問わず、一応そういう方法でいかなければならぬのではなかろうか。そういうふうにいたしますと、植林いたしました地域の管理は一体どういうようにしていくか、それが育ったとき、伐採のときにはどうするかというようないろいろな問題が出てくるわけでございます。それらにつきましては適当に考えまして、とにかく何にしても植えることをやろうじゃないか、そうしてこれらの管理についてはまたそれらの土地所有者ないしはその管理者とよく協議をしてやるというふうなことで、一応植えることの案を作ってみたらどうか、こういうことから実は出発したわけでございます。私が最初しろうとなりに大ざっぱに考えましたことは、そういうふうな目途において実行いたしまする以上は、大体樹種によって伐採期限は違うそうでありますが、大体三十五年ないし四十年くらいその植えた木を切らぬということの停止条件さえつければそれでいいじゃないかというような、ごく大ざっぱなことを考えたのでございますけれども、これは専門家の川俣さん等が御承知の通り、今までやっておりました官行造林等との間に非常な区別がついてくる。それを今度は明年度からその区別をどういうふうにしていくかというような、従来の行政との差別をどういうように調整していったらよろしいかというようなこと等につきまして、いろいろ苦慮しなければならぬ点が起って参るわけでございます。従いましてそれらの調整あんばいを適当にいたしまして、目的が達成できるようにいたして参りたい、こういうふうに目下考えておるわけでございまして、具体的な実施方法についてはせっかく検討を加えていかなければならぬと思いますが、さしあたり今大蔵省との間ではそれらに要する予算折衝中である。その予算折衝に当っては、先ほどお答え申し上げました通りに、私としてはこの予算は絶対に維持して参りたいという考えで進んでおる、こういうことで御了承おきいただきたい、こう考えます。
  172. 川俣清音

    川俣委員 なお一言触れておきますが、今大蔵大臣に対して質問いたしましたとえろ、大蔵大臣も熱意を持ってこれにこたえるという答弁をしておりますから、後退せざるようこの際希望を申し上げておきます。希望よりも、むしろ監視をする、こういうふうに御了解を願いたいのです。次に米麦の価格問題について一点お尋ねしておきたいと思います。麦の買入価格を決定しなければならない時期にすでに迫ってきておるわけであります。この麦価の定まり方が将来の米価の決定の上に大きな影響をもたらすだろうということをみな注目しておるわけであります。どのような形式で――内容よりもどういう形式ですみやかに麦価を決定しようとしておられますか、この点をお尋ねしておきます。
  173. 河野一郎

    ○河野国務大臣 政務次官の方が私よりも専門家でございますから……。政務次官のお答えいたしましたことは私と同様にお聞き取り下さいましてけっこうでございますから、どうぞ一つ……。     〔委員長退席、中馬委員長代理着席〕
  174. 吉川久衛

    ○吉川政府委員 米麦価の考え方につきましては、ただいままでは川俣委員御存じ通りでございますが、今後といえどもパリティ計算だけに基礎を置くのではなく、従いまして今までのよう考え方もございますが、その上に各種の奨励金というものを一本価格に織り込んでいきたい。大体の標準はただいま検討中でございますから、ただいまのところはっきり申し上げられませんが、現在の価格を下回るということはないという見通しを持っております。そのかわりにできるだけ生産資材の価格を下げるような努力をしていきたい、こういう考え方の上に立ってただいま検討中でございます。
  175. 川俣清音

    川俣委員 私お尋ねしたのは価格構成のことでなくして、どういう形式で一体麦価をきめられるつもりか、こういう点をお尋ねしておるのです。役所だけで検討をして、これを諮問するという形式をとるのか、ことしの麦価というものは相当転換期にあるのだから、あるいは米価審議会等の懇談会を開いて、その上で十分な衆知を集めてやるという方式をとるのかどうか、この点をお尋ねしておるのです。これは大臣から一つ答弁を願いたいと思います。
  176. 河野一郎

    ○河野国務大臣 先般来米麦価の決定に当りましては、これはくだらぬことのようでありますけれども、国外の価格は全然別であって、これはわが国の米麦価の決定には全然考慮に入れません。これは第一であります。第二は、今お示しのように麦価の決定に当りましても、たとえば米価審議会等の御意見も、その懇談会と申しますか審議会と申しますか、そういうような専門家各それぞれの立場の方々の御意見も十分に尊重いたしまして決定して参りたい、こう考えております。
  177. 川俣清音

    川俣委員 そういたしますと、単に事務的に麦価を決定するのじゃなくして、米価審議会、または米価審議会前の懇談会等においていろいろ意見を聴取して、その上で政府の原案をきめたい、こういうふうに理解いたします。私はかくあるべきだと思うのです。そこで今度の麦価を決定する上に、前に自由党は国際価格をにらみ過ぎましたために、日本で一番多く農民に作られておりまする大麦、裸麦というものを犠牲にして、小麦で価格を操作するというようなやり方をしたのでありますが、日本は御承知のように湿地地帯でありまして、むしろ小麦よりも裸麦、大麦の方が主産地として適地適作でありますことは、これは私申し上げるまでもない。そこで農業政策としては、大麦、裸麦を主体にして施策を練らなければならぬと同時に、また麦価を決定するに当りましてもこの点をにらんで価格を決定しなければならないと思いますけれども、この点についての御意見を伺いたい。
  178. 河野一郎

    ○河野国務大臣 ただいまの御意見十分尊重いたしまして善処することにいたしたいと思います。
  179. 川俣清音

    川俣委員 次に昨年成立いたしました健苗育成または酪農振興等の法律ができておりまして、少くとも国会の意思というものが、この法律を作りました以上、これに当然な裏づけの予算が編成せられなければならないと思うわけです。これは予算の操作につきましては発案権を内閣は持っておりましょうけれども、できた法律を忠実に履行するだけの建前をとった予算編成をしなければならないと思うんです。その金額は別にいたしまして、少くともこれに即応するような編成だけはしなければならないと思いますが、この点はどうですか。
  180. 河野一郎

    ○河野国務大臣 御趣旨通りやって参りたいと思います。
  181. 川俣清音

    川俣委員 どうも全部御趣旨通りということになるとまことにけっこうなんですが、そこで食糧の自給度強化のために、民主党の中におきましても重大な関心をもって予算の増額に当られておるようでありまして、この予算増額をしなければこの国会は非常に乗り切りがたい、私どもはそう見ておりますが、もしもこれらの要求を達成できなかった場合においては、河野さんが常に言うように、国会を解散してもなお補助金を減らし、食糧自給度の強化でなくて、弱化の方向に持って行こうとされますかどうか。おそらくそんなことはあるまいと思いますけれども、世間に伝えられるところによると、解散をもっておどかしておるということですが、おそらく私はその場合には河野氏多年の政治的感覚からいたしまして、こういう食糧の自給度を強化するという方向で解散しなければ、与党が大勢を制しないと思うのでありまするが、この点についてお尋ねいたしたい。
  182. 河野一郎

    ○河野国務大臣 御趣旨通りであります。
  183. 中馬辰猪

    ○中馬委員長代理 淡谷委員
  184. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 大臣に劈頭御質問申し上げたいのは、三十年度の予算内示大蔵省から出されたということが伝わって以来、各省とも大へんあわてて、この復活要求をやっておるように承わっております。本日会計課から農林省関係予算総括表の配付を受けましたが、これでは全くあわてざるを得ないと思うんです。私たちもこういうふうな予算査定大蔵省から行われたとすれば、日本農業について非常に憂慮すべき結果がもたらされることを確認したわけです。ついては昨日来農林大臣答弁態度を拝見いたしておりますると、ただいまの川俣委員ように練達にしてまことに適切なる質問に対しては、オール賛成の態度をとられまするので、これはたいへんけっこうだと思いますけれども、私どもどうも大蔵省と目下折衝中であるから御答弁はできませんという御答弁をしばしば承わりましたが、本日もなお御答弁願えないような段階にあるかどうか、まず劈頭お尋ね申し上げたいのであります。
  185. 河野一郎

    ○河野国務大臣 実はこれは何も隠す必要はありませんから申し上げます。私は今晩立ちまして、明日植樹祭に参加いたさなければなりませんので、明後日の朝東京へ帰って参ります。大蔵大臣と私との予算折衝は、七日に大臣折衝をやろう、それまでは事務的折衝にまって、最後に七日の日に大蔵大臣と私と直接折衝をしよう、こういうことに約束してございます。その折衝前にあまり私がここで具体的なことを申し上げますことは自分としても差し控えたい、こう考えますので、明後日七日の 午後に私は腹をかけて折衝するつもりでございますから、それまで一つ御猶予をいただければ大へん好都合だ、こう考えております。
  186. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 御決意のほどを承わりまして大へん力強く思うのでございます。剛毅闊達なる農林大臣が腹をかけておやりになりましたならば、大体われわれの要求が通るだろうと思うのでございます。ただ一点おそれますのは、当農林委員会考えております予算額の方向と、大臣のお考えとがもし食い違っておるとすれば、せっかく腹をかけてこの予算復活をやっていただきましても、その後の当委員会で、遺憾ながらわれわれは今度は大臣向うに回して戦わざるを得ない始末になるだろうと思いますので、以下数項にわたって御質問申し上げたいと思います。それで一つ大蔵大臣との折衝がまずく行かない限度に御答弁願いたいと思いますが、これはいかがでございましょう。
  187. 河野一郎

    ○河野国務大臣 お示しの通り考えますので、あらかじめ質問と同時に御趣旨のほどを承わっておきますことは私の参考にもなりますので、ぜひ一つ質問をお続けいただいて大へんけっこうでございます。
  188. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 ただいま大蔵大臣に対しましても各委員から熱心な質問がございましたが、端的に申し上げまして、大蔵大臣日本農業に対する認識がまことに足らないようでございます。ただ大蔵大臣農林大臣と十分に打ち合せまして、この大蔵省査定というものを変更するにやぶさかではないという言明がここであったのでございます。特にこの大蔵省査定というものを大蔵大臣は大へんに軽く考えておるらしい。いわば要求する方も掛値があるのだから、あまり正直に査定したのではあとで調整がつくまいから、大きな要求があったらこっちも大きく削限しておこうといったような閣僚間におけるかけ引きがいろいろ行われまして、不愉快に考えておるのです。もっとわれわれは真剣な気持で、全国の農民の運命にも関するような今度の予算に対処していきたい。そこで考えますのは、大蔵大臣補助金を削りましたのは、効率が上らないものは削ったという言明でございます。ところが実際の算についてみますと、ほとんど削られておりまするので、現在までの農業施策補助金に値しないように全部効率が下っておるかのごとく聞き取れたのでございます。しかもこれに対して松野委員から逐次追究いたしますと、農業技術員にいたしましても、あるいは農業協同組合にしましても、補助金に値するほど決して効率は上っていない、このことをまた大蔵大臣が答えておられるようでございます。従って農林大臣が真に腹をきめてかかられればあの大蔵大臣農業に対する考えはこの際一新するだろうと私は確信いたします。そこで本年度の予算査定案を見ますと、全面的にこれが削られております。総額約二百億円の削減、これは総額において全部を復活要求をされる御意思であるかどうか、その点も一つお伺いしておきたい。
  189. 河野一郎

    ○河野国務大臣 御承知の通り、一応一兆円のワク内で予算を組んで参りたいということをきめております。ところがその中で、わが党内部といたしましては、住宅建設、減税その他選挙の際にこういうふうにやっていくのだという、すでに国民に公約いたしました三つか四つを主目的とした政策がございます。これを実行するということに制約を受けております。従って従来の九百六、七十億の農林省予算、これはいずれも有効適切な予算考えますけれども、その中におきまして多少は次年度以降において取り返しのつくものもあるだろうということ等を勘案いたしますれば、前年度予算そのままを踏襲していくということには考えておりません。また私自身としても、どうしても明年度からこれはやらなければならぬ、ただいま川俣委員にお答えいたしましたように、そういうものも実は考えておるものもあります。そういうものについては、前内閣当時に組んで参られた前年度予算をある程度変更しなければならない。その変更に必要な新規の財源は見当りませんので、また今までの予算の中から一部変更して参らなければならぬものも出てくると考えます。そういうわけでございますから、ここに査定されたものを全部前年度通りに復活していくということにつきましては、今お答え申し上げましたところで御了承いただきたいと思います。ただ最初に大蔵大臣答弁のうちにありましたという、明年度の要求額が要求額であるから、査定も少しきびしくやった、これは多少言葉のあやでそういうことが出てきたのかもしれませんけれども、実は私としましては、すでに前内閣の当時に明年度予算の要求がしてありまして、予算編成期に組閣いたしましたので、明年度の予算を前内閣が要求してあるものをそのままにいたしまして、そしてその上にプラス・アルファをつけたわけでございます。従って御承知の通り、前内閣が明年度予算として要求したものが約二千億ございます。二千億を多少上回っておると思いますが、それに私が新たにプラス・アルファをいたしましたので、その金額が非常に膨大なものになっております。従って、大蔵者の査定も、今申しますように、大蔵大臣の言われるようなことになったのじゃないかと思います。決してこの点は私が最初からそういうふうなべらぼうな要求をいたしたのではないのでありまして、これは予算の編成、しかも末期に組閣をいたしました関係から、事情やむを得ずそういうことになっておるということを御了承いただきたいと思います。
  190. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 実は二百億の削減というのは、二十九年度予算に比べました数字でございまして、御承知の通り、三十年度の要求額は相当大きいわけでございます。そうしますと、この大蔵省査定と比べてみますと、全然架空の数字のようにも見えるようところが多分にあります。これは非常に大幅に削減されまして、昨年度の分に納まりましても、なお半分になっております。大体大まかに申しまして、三十年度の要求額の数字はどの点がこっちの譲歩する重点的なものになりますか、若干の御説明を願います。
  191. 河野一郎

    ○河野国務大臣 もう一ぺんお聞かせ願いたい。二千億の要求の中でどの点が重要かというお尋ねでございますか。
  192. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 二十九年度の予算額に比べまして、大蔵省査定は約二百億円減っております。それが当初の要求額である二千百八十五億四千六百二十六万五千円というものに比べますと、約三分の一の査定になっております。そうしますと、これは昨年度並みに持っていっても、なお半分に達しません。従ってこの三十年度の要求額が前内閣から踏襲したものもあるとすれば、農林大臣はどの点を譲るつもりか、お答えを願いたいと思います。
  193. 河野一郎

    ○河野国務大臣 今申し上げましたように、前内閣の明年度予算の要求が二千億ちょっと出ておったのであります。それに、私が農林大臣に就任いたしまして、百億程度付加して要求したわけであります。それでございますから、私としては今の二千百何億のものには、実はあまり検討を加えたことはないのでございます。そうでなくて、九百六、七十億の前年度予算に、私が新たに要求いたしました百幾らというものを加えて、それを一応基礎の数字として考えておるわけであります。これはまた全然別の角度から申し上げますと、先ほど申し上げた通り、明年度予算は一兆のワクの中で納めて参りたいということにいたしておりますから、農林省におきましても、むろん不要不急なものはそんなにあるわけではありませんし、各省も同様と思います。そういたしますと、ここに私が考えなければなりませんことは、その一兆のワクで、鳩山内閣として過般の選挙に公約いたしました住宅建設その他の主要なる政策を優先的に実行しなければなりません。従ってこれに要する経費を、何百億になりますか、それを優先的に一兆の中からさかなければなりません。そういたしますと、一兆マイナス今の主要政策ということになって、それを各省で分けて使うということになりますから、従って昨年の九百七十億よりも農林省予算としては多少下回らざるを得ないというような見当で、その見当の範囲内においてぜひ何とか一年間をやりくりして行くような、主要なる農業施策に困らないよう予算を組んで参りたいということが、大体の私の見当でございます。
  194. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 御答弁によりますと、考える手順は二十九年度の予算に置かれているようでございますが、三十年度の要求額はそれでは御破算ということにいたしまして、結局新規事業は一切行わない。これは農業政策につきましても、自由党のとり来たった政策の踏襲であるというふうに受け取ってかまわないのでございますか。
  195. 河野一郎

    ○河野国務大臣 そういうことではないのでございます。ただいま申し上げましたように、金額としてはその範囲内において、緩急軽重の度合いを考えて組みかえをして参りたい、こういうふうにお答えをいたしたのでありますから、さよう了承を願いたい。
  196. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 具体的にお尋ねいたしますが、生産技術に関する予算、たとえば農業委員会、改良局の種子対策、特に西南暖地における諸政策など、これは御変更になりますか。もう一つ耕土の培養もありますが、これはどうでございますか。
  197. 河野一郎

    ○河野国務大臣 そういう内容については、はなはだ恐縮でございますが、目下折衝中でございますから、差し控えさしていただきたいと思います。
  198. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 それじゃ個々の質問は避けますが、先般の農林大臣の御答弁の中に水田、つまり米麦偏重の日本農業を思い切ってこの辺で近代的な農業に切りかえていきたいということがございます。今度の予算も、そうした米麦偏重の予算は切って、思い切って酪農もしくは開拓といったような近代的な技術を加味し得るよう農業に転換する予算にお直しになるつもりかどうか。その辺の御方針を伺いたい。
  199. 河野一郎

    ○河野国務大臣 御承知の通り農業経営につきましては、目標は目標といたしまして、あまりに急激なる変革を来たすような政治のやり方は妥当でないと私は考えます。従いまして目途は目途に置きますけれども、その行います実施策については、物心両面からこれを指導する必要があると考えますので、もちろん明年度予算におきましても、たとえば養蚕、畜産というような農家の多角経営を指導できるように何とか考慮して参りたいと考えております。
  200. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 大蔵省査定について見ますと、米麦農業についてはかなりな見方をしておりますが、酪農もしくは開拓については思い切って削減した形が見えます。これは復活要求も、もちろん米麦農業に対する点も大事でございますが、こういう新しい農業に対して、一つ思い切って要求していただきたいと思うのであります。この点はどうお考えになりますか。
  201. 河野一郎

    ○河野国務大臣 大体そういうつもりでおります。
  202. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 さっきも大蔵大臣とさまざま折衝いたしましたとき、効率の上らない農業補助金については今度は削減するといったよう大蔵大臣お話に対しまして、今までの補助金の出し方がむしろ効率をそぐような出し方をしておるよう考えるということを申し上げましたが、たとえば補助金を出す時期であるとか、あるいは補助金の額であるとか、継続性がなく不徹底であるとか、こういう点がいろいろあげられるのでございます。特にことしは、去年おととしと二度の災害を受けた農家が大へん多いのでございます。もしこの補助金ども機械的に打ち切られると、農業の経営に非常に致命的な打撃が与えられることになります。こういう点はたとい自由党の取り来たった政策であっても、これは踏襲するにやぶさかでないと思うのでありますが、そういう点はいかがでございましょう。
  203. 河野一郎

    ○河野国務大臣 私も同様に考えます。
  204. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 大体その通りになりましたようでございますから、私の質問もこの辺で一応打ち切っておきたいと思いますが、もう一つ伺っておきます。予算復活の要請を十分におやりになる、特に日本農業補助一辺倒の農業から、真に自立する農業に転換するためにも、近代的な要素を取り入れた農業補助を重点的に要請されていると聞きましてやや安心いたしましたが、ただそこで大事な点は、最近伝えられます防衛分担金についての米国との折衝がうまくいかないような見通し、これについて農林大臣の要請が大きくはばまれるような危険性がございませんかどうか、この点を伺っておきたいと思います。
  205. 河野一郎

    ○河野国務大臣 私はそれは全然関係がないように従来閣議で伺っております。
  206. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 その点を最後に要請しておきますが、住宅その他と防衛分担金とは非常に密接な関係があり、農業予算とそれとは関係がないのだといったような今の農林大臣の御発言、私は大へん重要であると思いますので、この際この防衛分担金の問題で、せっかく要請される農林大臣の勇敢なるほこ先を転ぜられないように、当委員会からもあらためて一致した要請が出ると思いますが、日本農業を危殆に瀕せしめないように十分なる御奮闘をあえて要請するものでございます。
  207. 河野一郎

    ○河野国務大臣 ただいまはちょっとお答えを差し控えさしていただきますが、いずれ予算編成になりました暁には、今の点について私が先ほどお答え申し上げました趣旨が御納得いただけるように御説明できるつもりでおりますから、それまでしばらく御猶予いただきたいと思います。決して防衛分担金の折衝の可否と農林予算との間には関係がないというように御了承いただきたいと思います。
  208. 足鹿覺

    足鹿委員 関連して一、二お尋ねをしておきたいのであります。この補助金整理の概要の資料について見ますると、河野農林大臣がしばしば力説されております養蚕振興の問題あるいは畜産振興の問題について、従来あった助成、補助等が削減を受けておる事実が随所にあるのであります。そこで大臣に率直に伺いたいことは畜産振興についてでありますが、酪農問題が非常な危機に追い込まれておるときに、これが対策について厚生省と御折衝願ったことはまことにけっこうでありますが、その後政変等によって中断されておった酪農危機対策の結果はいかようになっておりますか、この機会に承わりたい。
  209. 河野一郎

    ○河野国務大臣 機会ある折に申し上げました通り、現在政府として可能な処置はとりつつ参ったつもりでございますが、何分この議会において法律その他施策について御協賛を得なければなりません点が多いのでございまして、なるべく早い機会にこれら必要な処置をとりまして善処いたしたい、こういうふうに考えております。
  210. 足鹿覺

    足鹿委員 酪農振興法に基いて農林省は取引の改善勧告をしたり、あるいは調査を行なったり、あるいは都道府衆知事は乳価問題についてのあっせんの申請を受け、またあっせんに乗り出すことが規定されておるが、ほとんどそれが運営されておらない。また酪農審議会が振興法に基いて設置されることになっておるが、まだこれすらも一回も開かれておらない。不十分とはいえ、せっかく酪農振興基本法ができたにもかかわらず、時間的な余裕のなかったことも一応わかりますが、焦眉の急を告げておるこの問題について、すみやかに審議会を開き、基本方針をきめて、具体的に振興法の趣旨に沿ってこれが運営を開始せられ、またその不備な点等については今国会等に酪農振興法の改正等をお考えになる用意がありますかどうか。
  211. 河野一郎

    ○河野国務大臣 御趣旨通り善処いたします。
  212. 足鹿覺

    足鹿委員 いま一つ畜産の問題について伺いたいのであります。大臣はかねてから畜産会法の制定について熱意を持っておられたのでありますが、その後この構想についてはいかようにお考えになっておりますか。
  213. 河野一郎

    ○河野国務大臣 御承知の通り最初は足鹿さん等にも御熟談申し上げました通り、畜産会法というものを考えましたけれども、現在のわが国の農業団体の全体にわたりまして考えなければならぬという御意見も相当有力であります。従いまして私といたしましては、この機会に全体の農業団体の再編成の問題を離れまして畜産会法だけを考えるということは、またあとから団体の再編成の際に支障を来たすおそれもあるというふうに考えましたので、この議会にはとうてい間に合いませんから、議会が終りましたあと農業関係の各位のお知恵を拝借いたしまして、そうして次の機会農業団体の再編成ということの際に畜産、養蚕等の団体につきましても、どういうふうな方向でいったらよろしいかということで、各方面の御意見を拝聴いたした上で全体的に考えてやって参りたい、こういうふうに実は考え方を私は変えたのでございます。しかし足鹿さん初め畜産関係の熱心な方々から、さしあたりこういうふうなことをやっておいたらどうだということの御指示がありますれば、十分それを承わりました上で、私も善処しますことにやぶさかではありません。これで御了承いただきたいと思います。
  214. 足鹿覺

    足鹿委員 御答弁を聞いたわけでありますが、聞くところによりますと、畜産指導連の構想を、大臣か事務当局か知りませんが、農林省考えておられるように聞いております。またその基礎組織として、家畜密度の高いところは名村々に畜産単協を設置し、その上に郡市畜産指導連を設置し、全国畜産指導連につなぐというよう構想を持たれ、畜産指導連の設置等、五千万円前後の予算要求もなされておるやに聞いておるのでありますが、ほかのことならこまかいことで大臣御存じないかもしれませんが、畜産の問題についてはかねてからよく御存じでありますので、これらの点については大臣の御構想でありますか、その点今の御答弁の内容とは別なことでありますか、御所見を伺いたい。
  215. 河野一郎

    ○河野国務大臣 お示しの話は私の考えておりますことと違うのでございます。今のお話ようなことは全然やっておりません。
  216. 足鹿覺

    足鹿委員 それでは次に農業災害補償制度の改正について、基本方針を承わっておきたいのであります。
  217. 河野一郎

    ○河野国務大臣 農業災害補償制度につきましては、委員会から御答申もちょうだいいたしておりますが、中間的な御答申でございますので、私といたしましても委員の各位に一応意見を聞いていただきたいと思いますこともございますので、さしあたりこの国会には従来通りで臨むことにいたしたいと思っておるのでございますが、なお各位の御者見をよく拝聴し、私の考えておりますことも申し上げまして善処して参りたい、こう考えております。
  218. 足鹿覺

    足鹿委員 この制度改正の歴史については、申し上げるまでもなくよく御存じのことと思いますが、二十八年七月二十四日に両院協議会の決定により衆参両院に委員会が設置せられ、わが衆議院は昨年の四月二十七日に本委員会の正式態度を決定し、その決議に基いて政府内部に制度改正協議会ができ、古川政務次官もその改正委員の一人として、私どもと一緒に御尽力になった、その中間答申が昨年の暮れ、十二月二十一日に出て今日に至っておるのであります。政変等の関係もありますが、この点については多数決その他によったものではなくして、長時日をかけて慎重な検討を加え、この結論を出したものでありまして、根本的な問題はまだ相当な日子を要するので、とりあえず昭和三十年度を目途として実施すべき緊急な問題のみをとらえて中間答申をいたしたはずでありますが、今国会においてはこれらの点については、さらに必要な法案等の措置を講じられる御意思がありますかどうかということと、いま一つは、制度改正協議会を引き続き御主催になって、これの改正に努力されるかどうかという点を伺います。
  219. 河野一郎

    ○河野国務大臣 政務次官はその方の従来のいきさつもよくおわかりでございますから、政務次官からお答えすることにいたしましてよろしゅうございますか。
  220. 足鹿覺

    足鹿委員 けっこうです。
  221. 吉川久衛

    ○吉川政府委員 本件については、先日足鹿委員にお答えを申し上げた通りでございまして、足鹿委員を中心として、非常に長いこと衆議院の小委員会において御検討くださった問題でもあり、その結論が改正の審議委員会となり、その中間報告はきわめて尊重すべき内容を持っておりますので、できるだけ早い機会にこれを実現したいと考えて、その点についてはただいま検討中でございます。  それから制度改正協議会はなお重要な問題が残っておりますから継続をいたしたいと思っておりますが、学識経験者の中に国会議員がおいでになりましたのが落選された方もあったと思いますので、これらの点も至急補充をいたしまして、なお継続をして御審議を願いたい、かよう考えております。
  222. 足鹿覺

    足鹿委員 了承いたしました。  先を急ぎますので簡潔にもう一、二お尋ねをいたします。  最近農地法第二十条を中心とする違反事件が全国各地に続出いたしておりますが、この農地法違反に対する取締り方針並びにこの補助金整理等の内容によりますと、農地調整関係補助金大蔵省査定で相当額減せられているのであります。昨年の半額以下になり、県の担当職員人件費であろうと思いますが、これが半額にも削られるということになりますと、それでなくても現状においてすらも農地法は空文化しつつあるような、この国家の基本立法が空文化しつつあるような憂うべき傾向にあるのであります。いわんや人件費等が減り、目が届かなくなりますならば、全く収拾のつかぬ重大事態を生じ、ひいては農地担保金融等を政府がお考えになりましても、全く手のつけられないような重大事態が出て来ると思う。現に私は三月三十日から三十一日にわたって福島県岩瀬郡鏡石村に大量の農地取り上げ事件の発生していることを聞き、現地について二日間調査をいたしました。その結果によりますと、有我孫市という小作人外十数名が、現に二反ないし四反の農地の取り上げを昭和二十七年以来今日まで続いて受け、しかも植えつけを前に控えてさらに新たなる土地取り上げが行われようとする実情を見て実に驚いたのであります。これはほんの氷山の一角にすぎないと思います。政府は農地担保金融制度を考えたり、あるいは小作料の値上げの行政措置等も考えておるやに聞いておりますが、それももちろん検討を要することではございましょうが、基本立法たる農地法が全く空文化するような事態を放置しておいて、何の農地対策であると私どもは叫びたいくらいでありますが、この農地関係調整の県職員の助成の補助金減額等によって、さらに農地法違反の続出の取締りに遺憾を生ずるような事態なしとしないが、この点についての政府の御所信を承わりたい。     〔中馬委員長代理退席、委員長着席〕
  223. 河野一郎

    ○河野国務大臣 ただいま御指摘になりました福島県の事態は、政府におきましても人を派遣いたしまして調査することにいたしているわけであります。非常に思わしくない事態があるやに承わっておりますので、善処するように私からも厳重に指示いたしております。その他お示しのように、そういう事態が起りましたならば、遅滞なく善処して参りたいと思いますことをここに申し上げて御了解を得たいと思っております。なおまた御指摘になりましたように、予算の上においての問題でございますが、これは御趣旨の点を十分考慮いたしまして善処いたしていきたいということで御了解おきを願っておきたいと思います。
  224. 足鹿覺

    足鹿委員 この問題は非重に重要な問題で、十分時間をいただきたいのでありますが、関連でもありますし、またの機会に譲り、政府としても事例については現地調査をやるということでありますので、その結果等を見た上でまたお伺いいたしたいと思います。最後に、これは午後の劈頭、高碕経審長官に伺った点でありますが、どうも高碕さんのお話は、急いでもおられましたし、様子がわかりませんので、農林大臣の御所見を承わっておきたい。それは農林漁業関係財政投融資についてであります。予算面においても何ほど復活しておるかは今日未知数でありますが、大臣の御努力によって成果の上ることをわれわれは期待しております。ところが一面農林漁業投融資の面を見ましても、昨年の二百五十二億が二百四十億に減じられておる。一面運輸、建設方面は、住宅等もありますが、大幅に増額になっておる。非常に遺憾にたえないのであります。予算の復活ももちろん重大でありますが、これと並行して、農林漁業に対する投融資について大臣大蔵省考え方に御賛成でありますか。さらにもっとこれを押し進めて拡大していかれる御所存でありますか、承わりたい。
  225. 河野一郎

    ○河野国務大臣 その点につきましては、すでに大蔵大臣と話し合いをいたしまして、具体的数字についてはちょっと差し控えさせしていただきますが、今お示しの通りにこれは増額していこうということに私と大蔵大臣との意見は一致いたしております。金額をそれでは幾らまでという点についてはまだ決定いたしておりませんから、その点はお許しを願って、ふやすということについては、両者の意見は一致してふやすということにいたしておりますので、その点で御了承いただきたいと思います。
  226. 足鹿覺

    足鹿委員 高碕経審長官にも伺ったのでありますが、アメリカ余剰農産物買付問題についてであります。これは去年の暮れに私予算委員会でお尋ねをいたしました。その後の経過を聞いてみますと、相当進行をし、協定調印をされるところまで行ったように先ほど聞きました。これが日本農業に及ぼす影響については私ども憂えておるものでありますが、農林大臣といたされては、日本農業にこれが及ぼす影響についていかようにお考えになっておられますか。
  227. 河野一郎

    ○河野国務大臣 御承知の通り余剰農産物のうちで米麦につきましては、これは海外より購入いたしまする数字のうちのごく一部とは申しませんけれども、一部分でありますることは御承知の通りであります。従いましてこれは内地の米麦生産に影響が大してあるとは私は考えておりませんし、大して影響のあるようなことをしてはいけない。わが国は増産ができまするし、また豊作等でいらなくなりますならば、これは買わないということに私はきめております。ただし酪農製品につきましては、御承知の通り学童給食その他で向うから無料で輸入というか、贈与いたして参りますとか、その他の点がありますから、これにつきましてはかねて申し上げておりまする通り、その影響につきましては、他の方法をもってこれをなくするように善処して参りたい。こういうつもりで考えております。
  228. 足鹿覺

    足鹿委員 私どもアメリカ余剰農産物買付には反対であります。しかし事実が進んでいく上において一つ伺っておきたいことは、八千五百万ドルの七〇%の見返り円二百十四億円が昭和三十年度の財政投融資資金源に見込まれておる。ところがこれはアメリカの出先機関との協議を受けなければ、日本政府独自では使途がきまらないそうであります。大体聞いておるところによると、電源開発が百八十二億五千万円、農業開発、愛知用水等が三十億円、生産性向上に一億五千万円と聞いておるのであります。今酪農製品等の買付について大臣は御所見を述べられておりましたが、他の点についてはきわめて楽観しておられます。私はそうではないと思います。これは議論になりますからこれ以上は申し上げませんが、とにかくこれはアメリカ農民を救うための法律であることはまごうかたない事実である。日本が求め、あなた方が求めておられるのは農産物がほしいのではない、その借款がほしいのだと伝えられておる。これは財政当局のお考え方であって、農林大臣はよもやそういうことについては御同感ではないと私は思う。百歩を譲って、かりにその借款が必要だとしても、二百十四億のうちわずかに農業開発に三十億、しかもこの三十億の農業開発については、アメリカは非常に慎重であるということすらも聞くに及んでは、われわれはあぜんたらざるを得ない。日本農民過剰恐慌を背負い込んで、そうして得た見返り円を、農業とは何の縁もゆかりもない軍需産業やその他に使われて踏み台になる。こういうことは政党政派の問題ではない。農村人として民族的な立場からいっても了承できないところでありますが、農林大臣はこういう点についていかような御所信を持っておられますか。
  229. 河野一郎

    ○河野国務大臣 お答えいたします。問題は二つになると思います。第一は余剰農産物を買ってくることがいいか、悪いか。この点は先ほどお答え申し上げましたように、アメリカにおいては余剰農産物であって、アメリカ農産物価格の維持のためやっておる。そのために出た産物であることはこれは間違いありません。それは間違いありませんが、先ほど私がお答え申し上げました通り、どこの余剰のものであろうと、どこの産物であろうと、わが国の食糧維持のために必要な米麦は輸入して参らなければならないことは御了承いただけると思います。それがアメリカ余剰農産物であろうが、中共のお米であろうが、台湾のお米、朝鮮のお米であろうが、そのお米がどこのものであるから、どういうものであるからといってこれは食わない、これは買わないということは、政治的には私は考えたくないのでありまして、質と価格という両面から考えて、商品価値のあるものであればこれを買ってきてよろしいのではないかと私は考えるのであります。それを今言う通りアメリカ農民を救済するために、よってもって生じたものであるから、それをアメリカは売らなければならぬので、押しつけられて買うのだ、わが国に必要のないもの、それを入れることによってわが国の農民を圧迫するようなものを承知の上で買ってくるということ、これが足鹿さんの言うような事態であれば、これは断じて反対しなければならぬと思いますが、これは所見は違うかもしれませんが、私は商品としてこれは取り扱う、よってこれは私の所管に関する米麦輸入の数字の範囲内である。そうしてそれがたとえて申しますれば、準内地米に該当するようなものであって、品質は比較的優良であり、価格が安いというようなことに目途が一致いたしますれば、これは持って参ることは決して私はそう論議すべきものではないのではなかろうかと考えております。  それからそれによって生じました資金は、今仰せになりますように、軍需生産に使われる、何に使われる、いろいろその用途については考えなければなりません。これについての使途については無論論議しなければなりませんけれども、私はさしあたり愛知用水その他わが国の食糧増産に資するために金を、今のところは三十五億ドルと実は約束いたしております。お示しのように、三十億となっておりますけれども、私の要求いたしておりますのは三十五億、三十五億でも三十億でも、どっちでもよろしいが、その金額が多い少いということは今申します通り、これは別でありますが、今買ってきておりますものはわが国の食生活を維持するに必要なる物資であります。でございますから、そういう意味合いからしてどこの国、どこからか輸入しなければならないものであるという見地に立ってこれは考えていきたい。先ほど申し上げましたように、わが国へ入れることによってわが国の米麦価の決定に非常なる障害になるというものであれば、私は断じて賛成も共鳴もいたしませんという考え方で御理解願えるのではないかと思うのであります。また電源開発等は、決して私は農村の側から申しまして、今の愛知用水、その他開墾、干拓もしくは田畑の造成等だけが農村の関係ではないのであって、一般国民の立場からして電源開発等は非常にやらなければならぬ問題だと考えておるわけであります。
  230. 足鹿覺

    足鹿委員 最後に総括的なお尋ねを申し上げて、私の質疑を終りたいと思います。  この補助金整理の概要を見ますと、根拠法があるにもかかわらず全額第一査定で削られたものが十指を屈して余りがあるのであります。これを今後大臣はいろいろ財政当局と御折衝になるわけでありますが、その結果復活するものもありましょうし、いろいろ変化が出てくるでありましょう。ところがこの要求なるものは、一時さたやみになってはおりますが、その淵源は食糧増産五カ年計画の流れをくんだ農林省要求であろうと私は見ております。ところがおととしの予算査定からこの食糧増産五カ年計画財政当局からずたずたにされ、昨年また致命的な一撃を食い、また本年は最後のとどめを刺されかけるようなどん底まで追い詰められてきておるのであります。これに対して相当の復活がかりに認められたとしましても、今までの日本の農政は、少くとも食糧自給、食糧の増産確保の面から一つ基本方針が立てられ、その秋に沿っていろいろな施策が講ぜられ、必要経費が盛られてきたものだろうと思います。従来自由党政府は食糧増産計画を立て、それが今述べたよう経過をたどってはおりますが、河野さんは民主党内閣の第二次の農林大臣として、この食糧増産五カ年計画に対してはどのような御所見を持っておられますか。これを今後も踏襲していかれるか。この体系が相当乱れてきておると思うのでありますが、これを一貫してどういうふうに立て直されるのか、新食糧増産五カ年計画的なものをお考えになっておるのか、ある程度切られたものを一応押し戻して出発されようとするのか。私どもしろうとから見まして、官吏の心理もよくわかりませんが、少くとも農林省関係の――本庁はもちろんでありましょうが、末端へいけばいくほど、この予算の状態を見て動揺が激しいと思うのです。こういうことでは農民の増産熱意はもちろん薄らぎますし、また指導の任に立つ者も、身分の不安定がいつもつきまとうようなことでは、ほんとうの指導意欲も高揚できないのではないか、こういうふうに私ども危惧するものでありますが、その点について、かつての政府が持っておった食糧増産五カ年計画に対してどうするか、この点について御構想があれば承わり、かつ私が先般の解散直前の国会において、飼料問題についてお尋ねをいたしましたが、その後飼料に対する農民の不平は相当大きいのであります。これに対していかよう施策をとられ、現在どういうふうにお考えになっておられるか、この二点をお尋ねいたしまして私の質疑を終ります。
  231. 河野一郎

    ○河野国務大臣 ただいまの最初の点でございますが、自由党内閣当時に食糧増産五カ年計画を推進して参られたということも私は承わっております。しかし私が過般来申し上げます通り、新しい視野に立って、食糧を広く考えて、それとあわせて農家の経済安定の意味から多角経営に移行して参るようにして参りたいということ等々の農林行政全般をにらみ合せて問題を持っていきたいということに考えておるのでございます。従いまして、これは足鹿さんの御質問の御答弁にはならないかもしれませんが、私といたしましては、食糧増産五カ年計画を捨てたということでもございませんし、またこれをそのまま継承して参るということにも私は考えられない。私の考えといたしましては、今申し上げた通りの方法に基いて――たまたまここに当委員会において非常に適切な御決議もいただきましたので、この御決議の趣旨にも沿いまして、順次大蔵当局とも予算折衝をして参りたいというふうに考えておりますから、その点についてはしばらく御猶予をいただきたいと思います。  次に飼料の問題でございますが、これはどういうふうに不平があるか。いろいろ畜産物の価格、ことに乳製品の価格不落にかかわらず、飼料がこれに比較して高いということはお示しの通りであると思います。しかし昨年末当時に比べますと、本年に入りましてからふすまのごときは順次下落いたしまして、現在では七百五十円くらいまで下っておると私は了承いたしております。その他これにつれて麦ぬか等も順次下る傾向にあるように私は了承しております。  また輸入のトウモロコシその他のことでございますが、これは産地の価格が動揺いたしておりまして、一定でございません。それと、かたがた私の知るところでは、サツマイモの価格が比較的に出来秋に値が高かったものでございますから、そこで切りぼし用サツマイモすなわちアルコール用の一原料としてのイモの価格が比較的割高であったものでございますから、これの引き当てのためにトウモロコシの輸入が相当数量あったようでございます。これらと関連いたしまして動揺ぎみで、非常に上り下りしておることでございますので、政府といたしましては、年度が変りましたので、直ちに相当数量のトウモロコシの輸入をいたしまして、トウモロコシの価格を下げつつ安定させるという方向に持っていきたいというふうに考えておりまして、これはすぐに実行するように指示いたしておるわけでございます。
  232. 綱島正興

    綱島委員長 そのほかにはございませんか。――しからばこれにて質疑を打ち切ります。     ―――――――――――――
  233. 綱島正興

    綱島委員長 なおこの際小委員補欠選任についてお諮りをいたします。  ただいま水産に関する小委員が三名欠員になっております。その補欠を委員長において指名いたしたいと存じますが御異議がありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  234. 綱島正興

    綱島委員長 御異議なしと認め、川村善八郎君、田口長治郎君、淡谷悠藏君を水産の小委員に指名いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後五時二十一分散会