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1955-03-29 第22回国会 衆議院 農林水産委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年三月二十九日(火曜日)     午前十時五十四分開議  出席委員    委員長 綱島 正興君    理事 井出一太郎君 理事 松浦 東介君    理事 鈴木 善幸君 理事 中馬 辰猪君    理事 足鹿  覺君 理事 稲富 稜人君       安藤  覺君    五十嵐吉藏君       伊東 岩男君    石坂  繁君       加藤常太郎君    木村 文男君       笹山茂太郎君    野原 正勝君       原  捨思君    本名  武君       足立 篤郎君    大野 市郎君       助川 良平君    塚原 俊郎君       赤路 友藏君    淡谷 悠藏君       井谷 正吉君    石田 宥全君       芳賀  貢君    伊瀬幸太郎君       川俣 清音君    佐竹 新市君       中村 時雄君    日野 吉夫君       久保田 豊君  出席政府委員         国税庁長官   平田敬一郎君         農林政務次官  吉川 久衛君  委員外出席者         大蔵事務官         (為替局長)  東条 猛猪君         大蔵事務官         (国税庁税部         長)      村山 達雄君         農林事務官         (農林経済局統         計調査部長)  野田哲五郎君         農林事務官         (農地局長)  渡部 伍良君         農林事務官         (農業改良局         長)      小倉 武一君         農林事務官         (食糧庁長官) 清井  正君         専  門  員 難波 理平君         専  門  員 岩隈  博君         専  門  員 藤井  信君         専  門  員 徳久 三種君     ————————————— 三月二十九日  委員青木正君辞任につき、その補欠として松山  義雄君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  小委員会の設置に関する件  農林水産業に対する基本施策に関する件     —————————————
  2. 綱島正興

    綱島委員長 昨日に引き続いて農林水産に関する基本的な問題について質疑を行います。特に今日は、農業課税のことを議題といたします。質疑の通告がありますからこれを許します。大野市郎君。
  3. 大野市郎

    大野(市)委員 御承知のごとく現存食糧事情におきまして、わが国がどうしても増加いたしました人口のその食糧資源として、特に米麦を主としたそういう食糧自給計画というものを、引き続いた国策として進行しておることは承知しておるものであります。この問題に対しまして、本日は大蔵並びに農林大臣の御出席を昨日はお願いしておったのでありますが、参議院の予算委員会等の振り合いで御出席がないようでまことに遺憾であります。いずれそれらの問題に対しては、次回に機会をいただきたいと思うものでありますが、ただこの問題に対しまして、いわゆる外貨というものがその間にあって、外国の安い価格で外米その他の輸入ができるときにおいて、そのいずれのものをとるか、国内の割高につく産米を賢い入れるか、あるいは外国の安い米ができたので、それを買う方が国として得策であるかというのは、将来ともにいわゆる国際食糧事情の変化に伴って、これは常時問題として論争が行わるるものと思うのであります。この点に対して外貨という窓口がありまするために、事情相当にしぼった結論が出せるものと思うのでありますが、この点に対して現内閣通産大臣であります石橋通産大臣は、ある機会に放言をされたようでありまして、はかの一つ覚えをいつまで続けるか、ことに安いものが手に入るというなら、安いものを買うた方が得じゃないかという、まことに卑俗な、それこそばかの一つ覚えのような問題を投げたことがありましたが、大臣がおられませんので、農林当局におかれてはこの点に対してどのような見解でおられますか。食糧自給態勢をより強化していくべきや、あるいは安ければ安いでいいから、外国産の食糧を振りかえてこれを使うべしという考え方であるか、この点についての農政基本問題に対しての御答弁を当局より一応承わりたい。  なお大蔵関係の方に対しましては、この外貨の窓というものがありますときに、果して円価国内品物の選択をいたすことと違って、とうとい外貨消費というものが介在してこのそういう輸入計画というものが、円価換算で高い、安いという問題で解決できるものかどうか、こういう見地からも一応ただしておきたいと思いますので、この点を大蔵当局より承わりたい。  なおこの点に対しましては政策の問題でありまするから、事務当局の方に承わるのは今申しました通りに迂遠なことでありますが、現存の新内閣のもとで何回かの省議も行われておることと思いますので、きょうはやむを得ませんから、その三ヵ月間における省議に行われたそれらの基本方策がありましたならば、それをまず承わりたい。大臣基本的な考え方はまた次回に伺いたい。まずこれを伺います。
  4. 清井正

    清井説明員 ただいま御質問の点のうち私において—食糧庁でございますが、食糧庁といたしましてお答えできる範囲でお答え申し上げたいと思います。  昨日、農林大臣からも御説明申し上げたわけでございますが、私どもといたしましては、ただいま御指摘がございましたが、外国の安い食糧なら幾らでも入れていいという考え方に立っていないのであります。あくまでも国内におきまする生産はこれを増強して参るという方針に変りはないのであります。ただ全般的な食糧事情からいたしまして、どうしても不足をいたしておるわけでありますから、その不足分については私どもにおいて外国から輸入いたす、こういう立場で考えております。需給計画を立てまして、国内でまずできるだけ自給度を高めて、その足らない分について外国から輸入をいたす、こういう立場に立っておるのでございます。そういたしまして、輸入いたしますからには、外貨を使うことでございますから、なるべく安い品物、いい品物をよけい入れてくる—よけいと申しますか、安くていい品物を人れてくることがいいことは当然のことでありまして、そういう努力を私どもは続けておるわけであります。米にして百五、六万トン、小麦にして二百十万トン、大麦にして六十万トン程度が大体不足をいたしておるのでございまして、その程度数量は、現状からいたしますればどうしても入れざるを得ない、こういうことでございます。相当膨大な数量になりますので、その分につきましては、輸出国からなるべくいい品物を、また比較的低廉な価格でこれを輸入するということに努めておるわけでありますが、総必要量と申しますものは、国内需給計画から足らない分を入れる、こういう考え方でございます。そうして外国食糧食糧庁において一手に買付をするということで、国内に払い下げる場合には、品種等の差がありますれば、これは国内食糧価格に準じて売り渡す、こういうことになっております。そういう意味合いにおきまして、国内食糧に対する影響はないというふうに考えておる次第でございます。
  5. 大野市郎

    大野(市)委員 農林省の現在の考え方は了解いたしましたが、大蔵省側外国為替操作見地から見まして、これに対してどのような見解を持って予算編成に当られておるか。
  6. 綱島正興

    綱島委員長 為林関係の人は、今呼んでおりますが、まだ見えておりません。
  7. 大野市郎

    大野(市)委員 それでは時間の都合もありましょうから続いてお伺いいたします。  そこで農林当局としましては、とうとい外貨を使いながら—これはまことに事務的な、いわゆる事務担当当局の怠慢であったと私どもは認定をしておりますが、例の黄変米の事件が国民には非常に大きな印象々残しておるのでございまして、せっかくのとうとい外貨を使いながら、しかも基本方策として、食糧不足分を余儀なく外囲から輸入をしておるという農政の方向であるといたしますならば、なおさらのことそれらの不足分輸入に対しては、十分以上の考慮をもってこれが買付に当られるべきものと思うのであります。この問題に対しての経験からいたしまして、それらの黄変米買付の当時における欠陥並びに現在それが是正をされておられることと思うが、その具体策、こういうものを承わりたい。
  8. 清井正

    清井説明員 御指摘のありました黄変米の問題につきましては、私ども実地に売買の操作に当っておる者といたしましても、はなはだ残念に考えておる次第でございます。主食でございますので、その取扱いについては慎重の上にも慎重を期して参らなければならぬのでございます。昨年来黄変米の問題が起りまして、これは菌を含有しておるということで厚生省から配給停止指示を受けまして、ただいま配給をせずに政府で在庫いたしておりますものが約十五万トンございます。ただ、その後国会の御要請等もございまして、厚生省の係官なり、あるいは医学関係専門家の方なり、私ども専門家タイビルマ台湾等現地へ出張いたして参りまして、そこで相当の成果を得て参っております。まだ正式な決定的な最終の報告はございませんけれども中途段階の話によりました結果、私どもとして買付方式相当の改変を加えたのであります。とにかく現地買付に当りましては、できるだけ古い米は買わずに新しい米を買う、これは当然のことでございます。その後精米にいたしまして長く置きますと菌付着危険性がありますから、なるべく精米を早くして早く積み出すようにしよう。そうして倉庫もなるべくいい倉庫保管しておきたい。これは現実には倉庫保管状況等いろいろむずかしい問題があるようでございますけれども現状範囲内においても、できるだけ管理設備のよい倉庫保管するなり、あるいは管理にも十分に気をつけて、保管をよくして参りたいということを要請しまして、向うの方の現地においても了承いたしております。  それから燻蒸をいたして参りたい。これは私の方でいたすことでありますけれども現地燻蒸をいたすなり、倉庫燻蒸をいたすなり、なおできない分は、船に積みましてから船で燻蒸をいたすということにいたしまして、菌を殺してしまうという操作をいたしております。あるいは必要なときには現地検定機関において菌の検定をしてもらうということも考えておる。そういうような方法をとりまして、なるべく精白したあとの時間を短かくするとか、通風状況をよくして保管状況をよくするとか、あるいは燻蒸して持ってくる。また持って来る途中の船積みにおいて管理状態をよくするというようないろいろな工夫をいたしたい。しかも買付は初めは現地で買っておりましたものを、日本に着いてから倉庫買付をするというように責任の分野をはっきりいたすというようないろいろな工夫を加えまして、目下買付をいたしておるというような状況でございます。
  9. 大野市郎

    大野(市)委員 そういたしますと、従来の買付に対しては、タイビルマにおいての買付当時には調査が行き届かなくて、つまり物を見ないで買ったためにああいう弊害が起きたのではないかと思うが、そうじゃありませんか。
  10. 清井正

    清井説明員 物を見ないで買ったと申しますか、初めは御承知通りタイビルマ政府同士の契約であったのです。それで御承知通り食糧市場が全部売り手市場であります。買い手条件が非常に弱かったのでありまして、売り手の方の言い分が非常によく通るというような実際の状況であったのです。それでもちろん今までの買付の仕方は、現地検査機関があるのでありまして、現地において検査をして、現地検査機関がいいというものをこちらに買ってきた。ですから形式的に申しますと、現地機関がよいと認定したものでありますが、着いたときにいろいろ問題が起るということでございます。現地調査だけでなくて、日本に着いてから日本責任を持ってこれを検査するという形に切りかえるということでございます。むろん今までも無条件検査をしないものを買ったというわけではないのでありまして、むろん現地検査機関検査したものを買ってきたわけでありますが、現実にそういう事態が起ったのであります。今度は方式を変えるなり、現地状態をよくするなりいたしまして、いろいろ改善を加えるということにいたしたのであります。
  11. 大野市郎

    大野(市)委員 そうしますと、ただいまは世界の食糧事情が好転をしておるから、あの当時と比較しますと、非常に買い手も有利になってきて、おる。そのときに、ほかの品物であれば、品物条件によりましょうが、到着してクレームをつけることができる。今のお話ですと、現地で、荷が着いてからさらに品物検査をこちら側で担当してクレームをつけようかと、いろいろ交渉中であるという程度お話でありますが、それ以上に進展しておらないのでございますか。
  12. 清井正

    清井説明員 クレームの問題がございましたが、この問題につきましては、ただいま申し上げた通り、今まで発地だけの検査で、その発地検査通りましたものは無条件で持って参る。従って輸入商社は一種の下請のような形でやってきたのでありまして、内地に到着いたしたものは、そのままこれを内地において無条件で受け取ったわけであります。ところが今度はやり方を変えまして、全部着地で受け取るということで、日本に着いてから日本検査をいたしまして、ちゃんと条件にあったものだけを買う、それ以外のものは買わない、こういうことにいたした次第でございます。その間業者といたしましては相当責任を感ずるわけでありますけれども現地においても検査をいたしますし、こちらでも検査をいたしますし、検査によって万全を期して行きたい、こういうふうに考えております。
  13. 大野市郎

    大野(市)委員 この問題に対しては、一般消費者が非常に敏感に注目をしておる問題でありますから、当局におかれては、特に生命にも関する問題であり、それが食べざるを得ない食糧であるという問題で、社会問題になるのでありますから、特に念を押してそれらに対する十分以上の御注意を食糧庁長官にお願いしてその話は終ります。  次に、現在農家人口は二十八年で三千八百万人近くになっておるよしであります。しかもこれが引き揚げ、復員あるいは都市の失業者潜在失業者という形で農村に吸収せられて、従来から考えると二百万人以上も農村人口が過剰になっておるというような問題、あるいは同時に年々どの職業においても人口増加しておるが、農村における次男、三勇の、就職年令に達しておる屈強なる青年男女諸君増加の率というものは、現在の日本人口形成の形において、それらの就職人口が年令的に非常に比率の多いことは御存じの通りでありますが、そういうふうな農村経過人口のさなかにおきまして、せっかくの食糧自給のために非常な過労を家族がともになめながら、食糧増産に挺身しておられるのが農村の姿でありますが、これに対して二十九年度の経済審議庁の推定、調査によれば、全国民所得が五兆九千八百億円であろう、農業所得については一兆九十億円ぐらいという算定を、これは予算書において行っておったのでありますが、これらの形から見まして、この人口全体の四割四分も占めております農村の方々の所得が、その六分の一程度しかない現状でありますが、しかしながら同じく経済審議庁発表によりまする二十八年度における消費水準発表を見ますと、都会が戦前に対して九四%にとどまっているにかかわらず、農村は一三一%に及ぶところの増加率であると表現をせられておりまするが、この点に対しまして農林当局とせられましては、さようなる数字の魔術によってわが点を得たりとほほえまれるものであるか、あるいはとんでもない、大いに農村消費水準向上に力を入れなければならぬという御決意があるか、この点をお伺いいたしたいと思う。なおそれに関連した農業課税の問題が出て参りまするが、この問題はまずこれを承わってから述べたいと思います。
  14. 吉川久衛

    吉川政府委員 あなたのお説ごもっともでございます。あったのおっしゃるような決意を持っておりますことを御了承願います。
  15. 大野市郎

    大野(市)委員 御就任早々でありますのでそれ以上は御無理かと思います。御決意はけっこうでありますが、具体的にいかなる方策をもってこの決意を実現せられますか。国民はその決意の実現を望んでおりますので、この点についてどなたでもけっこうでありますが、できれば一つ大臣にお答え願いたい。
  16. 吉川久衛

    吉川政府委員 ただいま三十年度の予算に私ども決意を具体的に表現する準備中でございますので、その予算が出ましたところで十分一つ皆様の御批判、御審議をお願いしたいと思います。
  17. 大野市郎

    大野(市)委員 それではやがて来月の半ばには出るはずと聞いておりますので、その節にまた十分に一つ意見を承わりたいと思います。  さてさようなる形におきまして農村現状が—われわれとしてはさらに経済安定を、あるいは経済向上を望みたいと思うものでありますにかかわらず、このたびの本会議において、あるいは予算委員会において、さらに本委員会におきましても、数人の代表の諸君から農業課税実態に対しましていろいろなる意見を申し上げて、これに対する討論が行われているのでありまするが、私考えまするに、いずれもその根本的な問題の理解がいまだ足らぬのではないか、かようなる見地から農業課税の問題に対して触れたいのでありますが、この点は当面の主管庁でありまする大蔵当局並びにこれがいわゆる農村経済基本の問題になりますので、農林当局には特に御理解をいただきたい。そこで、なぜすでに三月の十五日が確定申告の最後の日でありますにかかわらず、三月の二十日ころから国会で取り上げられたかという問題から入りませんと、問題の核心に触れることができない。これは実は三月の十四日に米作一本であり、しかもいわゆる積雪寒冷単作地帯の代表的な新潟県においての農業会議主催農業課税対策大会というものが開かれまして、その席上で血を吐くような農村課税に対する叫びが行われて、幾つかの決議事項が決議せられたのであります。これはちょうど二月は選挙のさなかでありましたし、三月になりましてもいまだ中央にこれらの問題を取り上げて持ち込む、いわゆる技術的な時間の余裕がなかったのでありまして、そのために確定申告の日を非常にずれて問題が国会に持ち込まれたのでございます。ここで確定申告期日の問題に触れざるを得ない、普通にどの職業におきましても、納税国民の義務であるから、それは国法に基くところに従ってそれぞれの納税をするのでありまして、いずれの職業においても摩擦はあるのです。ですから摩擦がよそはないのに今度だけできたということはあえて申し上げませんが、実はその内容を見ますると、われわれとして国会においてこれを取り上げて、大いに税務当局の事務的なる御処理に対して、政治的な考慮をお願いせざるを得ない十分なる資料と実情を用意しておるわけであります。一つ御判断をいただきたい。すなわち、米だけで暮しを立てている積雪寒冷単作地帯現状をまず頭に浮べていただきたい。いまだ雪が消えておらぬ。すでに十一月の末、十二月になれば雪が降り積る。こんな悪条件のもとに食糧増産をやらざるを得ないのでありまするので、その収入に対して税の負担というものは、全国的な計数以上に敏感にこれらの地帯に対しては影響力があるのであります。毎年の実例を見ますると、この点に対しては、税務当局相当配慮をせられておった傾向がある。それは新潟県の南蒲原郡中之島村というような、供米だけで五万石を越しまする、一県以上の量を一つの村で出しまする、いわゆる米作村の実例をまず述べます。そうすると二十七年度などではいわゆる農林省新潟統計調査事務所の米の収穫量発表から見まして、二十七年度が実収高六万三千二百八十九石、これが税務署農業所得算定基準に使いました数量は六万九百六十二石と、逆に少く見て配慮をしてくれておったのであります。二十八年度におきましても、農林省統計が六万二千七百八十六石と実収高報告がありまするのに対して、二十八年度の税務署農業所得算定基準は六万百四十八石という姿で、この農村過労労働に対しまして報いておられたのであります。しかるにかかわらず二十九年度は、農林省が六万九千七百六十三石を発表いたしましたのに対して、税務署では七万一千七百五十八石を農業所得算定基準にいたしたのであります。ただ一例でありますが、全国一の米つくりの村でありますから、私は特殊なる例でない、米作一本の実に貴重な実例であるというのであえて申し上げたわけであります。かようなるわけで、いわゆる毎年の考え方のうちでその米の経済供出石数、つまりお米の方がよく売れるので、麦やその他のものを主食の、いわゆる保有米のかわりに食べて、保有米をむしろ超過供出にまわしておったわけなんです。これらの実態を勘案されたので、二十七年、二十八年においては、さようなる一つ生産数量算定そのものがしんしゃくせられておったのであります。ところが今年はさようなることを一切考慮しないで、それらの農林省収穫統計以上のものを税務当局が決定をして、これをもって農業所得算定基準として押しつけて参っておる。ここに私は大きな問題がある。この点で前申しました、たとえば七万石という数量に対して、三千六百三十四石が表通購入量並びに今後買い入れて食いつなぐ予定数量であります。これらは農協の組織から買い入れをいたしますので立証が可能なのであります。かような実態がありますにもかかわらず、税務当局実収高の計算において本年特に過大であるのであります。しかもこれらがその村全体の形で見ましても、二十七年の所得税が九百八十四万円でありましたのが、二十八年は凶作で六百二十一万円、しかるに二十九年の税務署の押しつけて参ります金額は、驚くなかれ四千七百八十九万円が所得税額総額でありまして、二十六年は多少凶作の点も一部にはあったようでありますが、二十七年度に比較すると四八六%という税額の非常なる増加になっております。  そこでこの村におきましては、自主申告をして千四百八十七万円の自主申告まではいたしたのでありますが、このような実態のままで放置せられておきますと、御承知のように税務の面においての過小申告の問題も出てくる、それに対してさらに日歩の問題も出てくる、いろいろな問題がこれに応じて出てくる実情でありまして、私はこれらの実情を申し述べて、どうしてもこの際、御当局はもとよりでありますが、大蔵大臣政治的考慮によりこれらの問題の解決をはかって、農村生産意欲が増強されますような国策をおとり願いたい。  さらにこれらの問題に対しまして、新潟県全体の供出の総量が二割一分ふえておりますのに対して、平均価格が下ったので手取りの供出代金は一割しかふえておらないという実情であります。さらにもっと極端な例を申し上げますと、中蒲原郡の庄瀬村というところでは、総収量ですから供出量保有量を足したものでありますが、二十八年、二十九年においてはほとんど差がないのであります。そういう数字であるにかかわらず、供出代金は従って同じでございますにかかわらず、所得課税総額は二倍となり、所得税税額は三倍半にはね上ったのであります。あるいは四倍にはね上った白根町の実例もあるのでございます。これらの問題をくるめまして、一体いかようにこの問題をお考えなさるか、さらにもう一つの問題は、確定申告の三月十五日の時期でありますにもかかわらず、非常な厖大な税額の相違が出ますために折衝に手間取りまして、確定申告期日までに自主申告余裕のなかった地方がたくさんに出て参ったのでありますが、これらのものはいかようにして救っていただくか、農協人たちが一軒々々の農家自主申告を書いて下さるのが農村実例であります。ことしの例は、選挙などという特殊な事情もありましたために、非常に折衝が難航をきわめて、確定申告の三月十五日までにその自主申告さえ書き込む余裕のない羽目に陥られた地方がたくさんあります。これらを放置しておかれますることは、非常に税の問題で将来とも長く禍根が残るのでありますが、これらに対して農林当局では、その同じく行政庁である大蔵当局にいかなる御要求をなさり、並びに大蔵当局においては、これらの問題の是正策としていかようなる御用意があるか、この点を承わりたいと思います。
  18. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 今年度は農業所得が大分増加しまして、その結果農業所得課税につきまして、各地で若干の問題がありましたことは御承知通りでございまして、その間皆様にもあるいはお手数をかけたかと存じます。恐縮に思っております。大きく申しますと、実は一昨年の凶作で、昨年は農業所得税が非常に大幅に減ったのでございます。一昨年の農業所得税は全国で百二十億程度でございましたが、それが昨年は四十五億円程度、三分の一程度に激減いたしました。これは主として税法の改正の関係もございますが、凶作等の影響を受けまして減少したものでございます。それが昨年は一昨年に比較しまして比較的悪くない地方が多かった。むしろ東日本の方は大分よかったというような事情がございまして、所得が一般的に相当増加しております。そういう関係で農業所得税が大分増加しておるのでございます。しかしこれは私どもとして見ますると、所得の変動によりまする税額の増減でありまして、そのこと自体は実は当然のことと考えておる次第であります。  それともう一つございますのは、昨年奨励金のうち一部を基本米価に繰り入れられる法律上の措置が講ぜられたわけであります。奨励金の方は今まで免税にいたしておりましたが、その部分の一部が基本米価に繰り入れられましたので、その方は課税の対象になる。それを改正する際に、免税すべきかどうかいろいろ意見があったようでございますが、課税などということを考慮に人れまして、幾分加算しまして基本米価に繰り入れられた事情もあるようでございます。そういう点からいたしまして、農業所得は大分増加いたしまして、所得増加以上に実は税額増加が激しい関係もありまして、各地でいろいろ問題があったようでございます。しかし私どもとしましては、最初からそのことは十分予想されておりまして、実は前の国会でも大蔵委員会等におきましては、その問題についていろいろ慎重によく周知方をはかってやるようにという、要望もございましたので、できるだけその方針でいたしたわけでございますが、そういうことにつきまして、若干不十分な点がありましたことも、事実におきましては認めざるを得ない状況かと思いますが、大体におきましては全国的に見ますと、三月十五日で締切ったところによりまして、農業所得税の納税者の九割五、六分くらいは申告是認ということに来ておるようでございます。なお若干が残っておる。御指摘新潟県につきましては、ことに単作地帯でありまして、米作を中心にいたしておる。米の関係が今申しましたような事情が一番よけいに響いているという関係がございまして、いろいろ問題があったようでございます。しかしこれもいろいろ話し合いました結果、三月十五日現在で新潟県会休の農業所得税の納税者の見込みは、大体四万四千三百人くらいでございますが、そのうち申告を相当と認めまして処理済みのものが四万一千五百人で、九五%程度は実は話合いが大体ついております。残りの千三百人程度が御指摘のように、なおいまだ話がつかないで残っております。ことに事情をよく聞いてみますと、御指摘になりました中之島、その村が全体として残っておりまして、実はいろいろ話し合いの途中である。十五日までに話がつかなくて未解決に残っておるような状態でございまして、この村はことに御指摘通り、非常な米作の中心地帯でありまして、耕作反別も比較的多くて、従いまして農業課税上においても非常にいろいろむずかしい問題が多いところでございます。従いまして私どもとしましては、そういうところであればあるほど、なお慎重によく納税者の実情調査した上で、納得の行く課税をするように、先日陳情を受けましたので、さっそく指示いたした次第でございます。大体の状況はそういう状況でございます。  今御指摘の最後の問題でございますが、なおまだ未解決で残っておる地域につきましては、あまり急がないで、更正決定等でいきなりまたきめてしまうというようなことはできるだけ避けまして、いろいろ話し合いまして、修正申告で直すところは直してもらう。もちろん役所の調査の方も、納税者の言い分をできるだけ聞きまして、調査をし直す点があればいさぎよく調査をし直す。そういう点についても十分手を尽した上で、しかも修正申告でお願いいたしまして、円滑な徴税をするようにして参りたい。修正申告に参りますと、御心配のような加算税の問題等もなくて済む扱いにいたしておりますので、その点も解決できるかと思います。それからなおそのように農業所得税が大分予定納税に比べるとふえますので、急に激増する分につきましては、三月ほど徴収の猶予ができることになっております。つまり五月末までは激増する部分の税額は延ばすことができることになっております。これを延ばす場合には、普通は利子税は四銭でございますが、二銭にいたしております。しかも三百円でございましたか、短期間の額の少い納税者の場合におきましては、その利子税も免税するということになっておりますので、話し合いがつきますれば、大体五月末までには円滑に行くことができ得るのではなかろうか。私どもとしましては、できるだけそういう方向で話し合いをつけまして、円滑な徴税をするように努めて参りたい、このように考えておるわけでございます。
  19. 大野市郎

    大野(市)委員 ただいま九割五分もすでに自主申告を是認したというふうなお話でありますが、静岡のお茶の県などで開きましても、すでにいわゆる折衝中に三割からの減額をして、自主申告が是認されたというふうな交渉過程が各県によってあるのです。しかるにかかわらずこの米の問題は、ちょうどその問題が非常に混乱したので、三月十五日に追い込まれてきたわけでありますから、これらは結局釈迦に説法でありますが、この無申告の場合にも、罰則とか、あるいは過少申告の厖大な税額がさらにかかって来るというような、いろいろな制裁規定の用意が税法にあることなどの関係で、みな泣く泣く判を押したということもあるのでありまして、従って自主申告がどんどん出たからといって、先ほどわれわれが警告をいたしました農村における経済安定という問題に、その本質論からいたしまするならば、大きな問題が残るのであります。従ってきょうは大蔵大臣が見えられませんので、国税庁長官とされての行政担当官の立場はわかるのでありますけれども、しかしながらそんな形で自主申告はどうなったからなどということで、この問題をまた毎年繰返されるということでは、とうていわれわれの意図するところの農村経済安定は考えられない。生産意欲は減退するのみであります。しかも五月まで猶予ができるということのお話がありましたけれども、ごらんの通りに五月まで猶予を受けまするには、幾つかの条件があるはずであります。しかも、三月十五日の確定申告に、悪意でなくて、善意で交渉過程のままに、農村の手不足のままに、それらの申告がおくれた連中もあるのでありまするが、これらほ無申告の場合えらいことになるわけであります。そういうふうな問題をも含めまして、施行規則にもうまい援用の二十六条その他の条文もあるようでありまするが、何とか一つこういう意味で、それらの農村諸君の誠意を見ていただいて、政治的な配慮によって、確定申告三月十五日をずれて今日に至っておるものは、せめて三月三十一日、あとわずか何日もありませんが、その間にすれて参った者たちも一つ救っていただきたい。さらにいわゆる五月までの猶予と申しましても、三月十五日の確定申告期日までにそれらの猶与の届出をなさなければ恩典に浴さないというような条件も猶予規定にはあるのでありまするが、そんなようなことでは果してどの程度人たちが救われるか、はなはだ心もとないのでありまして、どうかそういう意味で一つこのたび限り、このような選挙に続いた混乱の今日でありまするので、このたびに限り、ことに税額が数倍に上るというような実情を御勘案願って、いわゆる施行規則の二十六条付近の条項の御援用を願うならば、あるいはそれらのいわゆる無申告その他の罰則の規定も楽になると思います。そういう点に対する御配慮の用意がありましようか。
  20. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 あとの対策につきましては、先ほど申し上げたことで大体尽きておると思いますが、今御指摘の全然申告しなかった人、これをどうするかという御質問でございますが、これにつきましてもやはりやむを得ない事情がありまする場合には加算税を課税しないことができるということになっておりまするので、今御指摘のように町村等の仕事がおくれまして、あるいは今まで市町村なり、農業会等が入ってやつておりましたのが間に合わなくて、やむを得ず期限後になってしまった。こういったような事情のものにつきましては、その解釈によりましてやはり加算税等は徴しないで、あとで申告を出してもらいまして、それによりまして円滑に徴税をはかるようにいたしたいと思います。そういう場合におきましては、減納につきましても、その修正申告なり、あとの申告をなさる場合におきまして修正の手続をしていただきますれば、やはり必要な条件に該当するものとして見て行きたいと思います。いずれにいたしましても、そういうことにいたしまして、あまり一方的に行きませんように話し合いをいたしまして、円滑に行くように努力いたしたい考えでございます。  なお農業所得税の全体の問題でございますが、先ほどもちょっと申し上げましたように、農業課税全体は二十七年が百二十三億でございます。それが昨年が四十五億円に実は激減したのでございます。それがことしは七十九億七千万円、そういうことになっておるのであります。一昨年の凶作で昨年非常に減りました。これは少し専門的なことになるので恐縮でございますが、所得税は御承知通り基礎控除、扶養控除がございます。農家の場合は扶養控除が比較的大きくて、五人くらいあることになっておりますので、基礎控除と扶獲控除を合せますと二十万円近くを実は所得から控除することになっております。ところが農業の平均所得というものは、大体昨年が二十二万円でございます。ことしはある程度増加しているということになりまするが、二十五、六万くらいの平均所得でございますので、基礎控除、扶養控除の二十万を控除しますと、課税される所得というものは平均五、六万くらいになっております。そこでもとの所得の、たとえば二十五万が二割ふえますと、五万円ふえることになるわけであります。(「そんなことはわかっておる。」と呼ぶ者あり)そういう関係で、所得税額所得以上に増減が激しい、そういう関係からいたしまして、私ども所得自体の査定に決して無理をしておるとは考えていないのでございまするが、そういう関係で増減が著しくなっておるということを特に御参考までに申し上げておきたいと思う次第であります。
  21. 大野市郎

    大野(市)委員 ただいまの所得の査定に当っては無理がないというのは、これは議論があるのでの問題が出ておるのでありまして、これはとうてい承服できない。経費の面におきましても、農薬のホリドール液の七百円、八百円くらいというものを見るか見ないかで大きな違いが出る。あるいは人夫賃たかだか百円の違いが、税のはね返りのときにはそっくり現われて来ることになる。そういう工合で、今の基本米価の繰り入れの税法上の制度そのものについては、われわれもさらにこの問題を大いに言わなければならぬと思うのでありますが、現実の税法に現われた税率そのものについて今触れておるのではない。そうでなくた、税のいわゆる所得の基礎となるところの収穫量算定とか、あるいは経費の算定とか、そういう実際的な面において、いわゆる出先税務当局に非常な強圧があり、無理がある、こういう点に対しての認識が改まらない限りは、いつまでたっても自主申告が一〇〇%であるというふうな国会発表になっておったのでは、国民はたまったものではない。そういう点に対して御認識を新たにしてもらわなければ話が進まないのです。税率の問題を論じておるのではないのです。税率の問題はもちろん大問題でありまするから、われわれ大いにこれからこれを論じなければならぬけれども、私どもの申しておるのは、否定の方法の問題なのであります。どうかそういう意味で、一つ先ほど御確言がございました通りに、そういう施行規則の便法も無理を願うのなら、一刻も早く円満な解決ができるように、私は御当局の努力を願います。  なお水かけ論になるおそれもありますが、私はもう一つ申し上げますると、土地改良に膨大な費用をつぎ込まなければならない農村現状なんです。従って農家が今までの五倍もの税金を一ぺんに払うことになります、農協の預金そのものが全滅以上になってしまうのです。破滅になるのです。そういうわけで、農家一戸の経済だけでなくて、農村農協という心臓部までが破滅に瀕する失態があるのです。ですからそういう意味で、一戸々々の問題とお考えにならないで、わが国の農村の、食糧問題のもとであるという大局的見地からやはり否定に当っていただかなければならぬ。昨年、一昨年やってもらったのですから、今年もできないはずはないのですから、そういう意味で一つぜひ通達を出していただいて、至急にこのわれわれの要求の通りまするようにお計らいを願いたい、御確約を願いたい。
  22. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 先ほど無理がないと申し上げましたが、あるいは特に申し上げ過ぎて……。無理するつもりはないということで御了承願いたいと思います。そういうつもりで申し上げたわけであります。  それから先ほど扱い等のことにつきまして申し上げましたことは、もうすでに行なっておる部分もありますが、なお、不足しておる部分につきましては、追加して趣旨の徹底をはかりたいと思います。
  23. 川俣清音

    ○川俣委員 ちょっと関連してお尋ねしたい。今長官は自主申告であるというふうに強弁されましたが、現実実際に指導しておられまするのは、標準を示して、これを標準指導で申告させておるのではないですか。ほんとうの自主申告でありまするならば、明らかにそういうふうに—もしも標準を示して指導しておられますならば、そのように御答弁を願いたい。自主申告だということになりますと、今まで標準指導で申告をしておったことは全部やめなければならぬ、この点明らかにしていただきたい。
  24. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 私は自主申告という言葉までは実は使わなかったつもりでございましたが、三月十五日までに税務署と話し合いがつきまして、申告是認になったものという意味でございます。御承知通り農業所得につきましては、遺憾ながらまだ青色申告が少い状況でございますので、一般の納税者につきましては所得の標準をあらかじめ示しまして、市町村等にも御協力願いまして、所得の計算をしまして、それでよく話し合いまして、申告をしていただいておる状況でございます。
  25. 川俣清音

    ○川俣委員 そうすると、あくまで標準を示して指導をして申告させた、こういうことなんですが、この標準指導のためにどれだけの調査費をかけておられますか。どれだけの機構を持って標準を定め、そうして指導されたか。この経費の総額をお示し願いたい。
  26. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 農業所得の標準を作って指導するだけに幾らの経費をかけているかという問題でございますが、大体所得税の仕事に従事している者のうちで、農業を主としてやっている者の人員は全国で約二千人くらいかと思います。そのくらいの人手でこの農業所得税の仕事をやっている。経費は実は一々こまかく農業の分が幾らというような計算はいたしておりません。
  27. 川俣清音

    ○川俣委員 農業統計というものは非常に複雑多岐にわたっておる。従って税務署がみずから標準を示されますには、それだけの機構をお持ちにならなければ標準というものは出てこないはずなのです。そこでそれらの標準を算出させますための機構と費用をどのくらいお持ちになっておやりになっておるか。経費をかけないで、ただ税務署で税金を取るための机上の算出から標準が出てきたのだとは思われない。いやしくも税金を指導する上からには、その標準を示すからには、相当の基礎をお持ちにならなければならぬ。基礎になりますものは相当調査費用をお持ちにならなければならぬはずなんだ。調査を持たない、十分な統計をお持ちにならないで作った標準でありますなら、それは標準ではございません。従ってこれらの調査をされますには、莫大な経費を要しなければならないはずだと思う。経費をかけないでおやりになるならば、それは机上論であります。机上で指導するということは標準にはなりません。少くとも農業統計に理解のあるものといたしますれば、でたらめな標準ではないはずだと思う。そこでどれだけの調査をされた標準であるか、根拠のないものであるかどうか、こういうことなんです。経費をかけないものならおそらく根拠のないものだと思う。その意味でお尋ねしているので。
  28. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 徴税費が全体としまして—私ども常にもう少しよくやればいいと思っておるのですが、なかなかそうはいきませんが、現材人員でなるべく有効に仕事をするように努めております。農業の方につきましては、今申しましたように大体二千人くらい、所得税全体で約一万人くらい従事しておると思います。経費は特に計算するということはやっておりません。ただ国際問題として、各税務署ごとにやはり相当の坪刈り等を行いまして、実取高の調査を行っております。もちろんそれだけではございませんで、ある個別の農家につきまして、サンプル的に収入、支出を調べまして、経営の内容もできるだけ勉強させまして、適正な所得を出しまして、そういうサンプル的な調査をしたものに基きまして、石当りの平均所得は幾らくらいか、それを出しまして、それで標準を作っておるわけであります。できた標準につきましては、でき得る限り農協や市町村等の専門家の御意見を聞きまして、妥当を期するようにということで努めておるわけであります。なお細目の点につきましては、別に専門家も来ておりまするので詳しく申し上げてもいいのですが、そういうことにいたしております。
  29. 川俣清音

    ○川俣委員 そうすると、相当な経費をかけて正確な標準を出したと理解してよろしいかどうか。もしもそうだといたしますれば、今一方において厖大な機構を持ちまして、正確な政府としての農林統計事務というものが執行されておりますが、これらのものが信用できないために大蔵省では別に国税庁に対して農業統計をやらせるための費用を捻出してやっておるのでありますかどうか、この点をあらためてお尋ねいたします。
  30. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 農林省の方の統計と税務署調査の際の統計と一番関係の深いのは、実収高調査だと思います。所得自体の内容は、別に農家経済調査というものがありますが、これは数が少うございますし、それからまた全国の税務署からいきますと非常に問題がございまして、これをそのまま採用するということはいかがかと思っております。と申しますのは、それでやりますと、かえって農家経済調査の公正を失するおそれがあるというので、むしろこの方は独自の立場でやってもらうことがいいのではないかということで、従来から実は個別的に、個々の場合におきます非常に卑近な資料といたしましてこれを利用するということは、率直に申しまして私どもの方ではむしろ遠慮いたしております。もちろんそういうできたものをこちらも十分参考にいたしまして、農業所得の適正な調査に資するということはいたしておりますが、あまり密接に関連して利用するということは、今までのところ避けた方がいいというので避けております。それから作報の収獲調査はそれほどではないと思いますが、しかしこれも今まで話し合つたこともございますが、最近ではだんだん税務署調査と作報調査は接近いたしておる。新潟県の場合、先ほどある地区のお話がございましたが、きょうはちょっと資料を持って来ませんでしたが、調べてみますと、全体では税務署調査は、ちょつと下まわるほどの接近をいたしております。それで場合によりますれば、作報の調査をそのままいただくということも考えられないわけではございませんが、その方もやはり税務署がそのまま利用するということになりますと、実はいろいろ統計自体の純粋性というような問題もございまして、簡単にそういうことになりますかどうか、これは今後、なお慎重によく研究したければならない問題ではないかと思っております。しかし私ども統計はでぎるだけ利用していくとい考えでございます。現存のところではそういう状況でございます。
  31. 川俣清音

    ○川俣委員 農林統計を使うことによって、かえって不測なに災いを起したり問題を起す。これだけ膨大な機構を持って、経費をもってしてもなお実体をつかみ得ない。それ以上に親切に調査を完了したとしますれば、おそらく私は多大な経費だと思うのです。経費なしでそんなものはできっこない、あらためてこれは経費を別にお出し願いたい。国の予算全体に関係を持っておりまする国会としては、これらの経費を見のがすわけにはいきません。それだけの調査をしたとするならば相当な経費だと思います。あるいは帳面づらでなくして、ほかの納税者から、あるいは酒屋あたりから雑費をもらって調査をしておるか知らない。そういう疑惑すら生ずるから、正確な経費を出してもらいたい。そこでもう一ぺんお尋ねいたします。一体必要経費というものの大体の基準を示しておりますが、時間を省略する意味で申し上げますが、必要経費を非常に過小に見ております。たとえば秋田県では、横手税務署では石当り九千八百円くらい、沼館を中心にして指導しておられまするところは石当り九千二百八十円を必要経費を除いた純所得と見ております。一体石当り九千二百八十円なんという所得があると思いますか。農業というものはそんなにもうかる商売ですか。一石当りの生産必要経費を引いて、所得が九千二百八十円、指導が九千百十円です。これは明らかに間違いだとお思いになりませんか。一体農業というものはそんなに利益が多いと思いますか。月給取りでも飯を食わなければならぬ。交通費もかかるでしょう。全部純所得だというふうに見てはならぬ。やはり基礎控除もしておられるはずなんです。必要経費ではありませんか。必要経費というものは米価の上においても、すべての物価の上においても、コスト主義をとっておられる。あるいはあなた方の課税の一番大きな対象となるべき電力会社の電力料金のごときも、コスト主義を承認しておられる。すべてのものについてコスト主義を承認しておられながら、コスト主義ということになりますと、必要経費が幾らかということが問題になる。必要経費を引いて純所得石当り九千円なんというべらぼうなことが承認できますか。あなたはこれを承認されますか。常識ですよ。常識で一つ御答弁願いたい。
  32. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 農業調査に要している費用の問題は、別に概算でよければ推計してお示ししてもけっこうだと思います。それから今の必要経費の問題ですが、これは今のような調子で片づけるにしてはあまりにむずかしい問題でありまして、その内容についてよくお互いに話し合いまして、いいか悪いかを検討してきめるべき問題で、そんなに簡単なものではないと私は思います。必要経費の内容につきましては、いろいろな経費々主として控除すべきであるかすべきでないか、ファクターごとにいろいろ問題がありまして、それを各項目ごとに実は相当こまかに調べまして、その結果経費が幾ら、所得が幾らということで出てくるわけでございまして、今の点につきましてはむしろ資料がございますれば、その資料に基きまして別によく検討しまして、それでお答えした方がいいと思います。
  33. 川俣清音

    ○川俣委員 私の聞いたのは、必要経費を差し引いた残り、いわゆる所得と見なしておるのが横手税務署では九千百円だ、こう聞いておる。必要経費を抜いたものです。今必要経費を論じていないのです。九千百円という所得はあまりにも米作というものはもうかり過ぎる、天下にこれほどもうかるものはないということをあえて税務署が示しておられるけれども、これを妥当とお考えになりますかどうかというのです。これだけなんです。
  34. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 今のお話の点だけを問題にしますと、私も常識的ではないと思いますが、やり方についておそらく技術的な、特別なことがあると思いますので、その点直税部長から御説明申し上げます。
  35. 村山達雄

    ○村山説明員 ただいまのお話は、これは実は標準を作る技術的な関係から出てくる問題でありまして、標準を作ります際には、すべての地域を平坦部、山間部それから中間部と分けまして、一反歩当り一体幾らの米がとれるであろうか、そこで実際調査いたしますと幾らの経費がかかるか、これを計算いたしまして、その一反歩当りとれる収穫について、一石当りが幾らになるかということを一応計算したわけです。ところがそれを石当り標準に直す場合には、一反歩当りかりに、早い話が二石五斗とれるといたしますと……(「説明はいらない」と呼べ者あり)いや、説明しないとわからないことでございます。そこで最後に標準を締めくくる場合には、生産割当の基礎になりました石数に換算するわけでございます。従いましてもしその一反歩当りとれる石数が、こちらの見ました石数が二石五斗、それから生産割当の基礎になりましたものが二石といたしますと、そこに二・五石分のものを二石に換算した分だけ自動的に所得がふえてくる計算になるわけでございます。従って最後に現われる石当り標準というものは、実際は生産算割当の基礎にるものに換算するわけでございます。ですから石当り標準というものがちょっと一般の米価から考えましておかしな答えが出るということはあり得ることであります。ただその場合にわれわれの方といたしましては、標準の基礎にたりますデータをすべて農協ないし市町村に開示いたしまして、この一反歩でこれだけの収穫量を見積ったことがいいか、悪いか、それから経費の見積り方が、いいか、悪いかということについて相談するわけであります。それがいいということになりますと、その石当りを直ちに生産割当の基礎になった生産石数に換算するわけでございます。これはすでに農協並びに市町村の方で今の点は御了解済みかと思いますが、これは二十五年以来こういう方式を採用いたしまして現在のような標準作成の方法がいいか、悪いかということもあわせていろいろ問い合せておりますが、現有の段階では青色申告でもできない限り、これ以上作成の方法はないだろうということでやっておりますので、現われました石当り標準の答えだけをとりましてどうも常識に合わないとおっしゃいましても、この点は実は……。その点ちょっと申し上げます。
  36. 川俣清音

    ○川俣委員 理論を聞いておるのではない。あなた方簡単に申告に行く人がありますと、どこの村は——たとえば秋田県の一つの例を申し上げますと、増田町は石当り九千百円、これを何石とれてもそれが所得だ、こういって指導しておる。それによって簡単に税金がかけられてくるから、結果的に見て時間がないから途中のいろいろな議論をすることはやめたんです。結果的に常識からはずれておるものでありますならば、経過はすべて常識からはずれたことでなければ結果だけに常識からはずれたものは出てこない。結果が常識からはずれたということになると、すべてが常識にはずれておるから結果が出てきた。経過がいかにりっぱであっても、結果が常識からはずれてきたものであって、計算の仕方から見ればこうなりますといっても、それは常識がはずれておる。長官みずからそんなことはないでしょう。ないことをやって申告させておる。指導しておるではありませんか。そんな間違った指導してくれというようなことに国は経費をかけてはおりませんよ。今大蔵省は経費を何とか削減しようとしておる。そんな役に立たないことに経費をかけることはむだなことなんです。そんな金は一銭もたいはずです。まずそこから財源を削減していったらどうです。税務職なんか半分にしたらどうです。いらないじゃないですか。役に立たない指導をして、何のために税務署なんというのはあるのです。国民の福祉のために税務署を置いておるのであって、月給を払うために置いておるのではない。役に立たない経費はおやめにたったらどうです。常識はずれなことが出てくるということはむだな経費をかけておるということです。どうですか。
  37. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 お話の趣旨がよくわかりました。緒川現在の米につきましては個々の実収をもとにして計算いたしまして、標準というものを——これは相当精密の調査をして作成いたしております。この場合は決して一石当り御指摘通り九千円とか、そういうものになっていない。おそらく七千円前後ではなかろうかと思いますが、それを今度は適用する際に、個々の農家の供掛割当のもとになった数量をもとにして計算しておる。従ってその供出割当の数量を一ぺん実収に直しまして、それで標準を適用してもいいわけでおりまして、これは皆さんの方で、どうもあのやり方が常識的でない、違った方向でやった方が常識的だということであれば、直して本答えは同じだと思いますが、なるべく常識に合うようなやり方によく研究してみたいと思います。むしろ今の方法が簡便な方法をとっておるためにちょっと外観上常識に合わないというような結果になっているのではないかと思いますが、よく検討してみたいと思います。
  38. 大野市郎

    大野(市)委員 ただいまの私の農業課税の問題に限定いたしましては、市町村の諮問機関に対してあなたの方の調査資料との照らし合せのあることは存じております。これが実は問題になっておるのであります。今までは円満にいっていたのです。ですから、川俣委員の御説も傾聴すべきところが多いのでありますが、実際問題として方法論は幾つかあるのだろうが、とにかく国民全体の福祉の問題なんだから、税金も一ぱいとりたい、仕事もしたいというのでございましょうけれども、その実態がただいま申し上げた通り実態でありますから——従来は市町村のその関係の協議会との円満な話で進行ができたのです。納める側は不満でありましょうが、円満に納税に協力をしてきた。ところが今年に限って数倍に飛び上って、しかも農協に預金したとはいいながらも、土地改良その他の事業にやはり相当入れなければならない実情であるために、農協自体の破産が起きそうな問題が含まれているので、その農家一個の納税問題だけでなく政治問題になってきたのです。これが、きょう質問にとうとい時間をいただいておる事情なんです。だから方法論はさらに討議をするとしても、どうか今までのような協力のできる態勢に末端の行政機関をしていただきたい。税務当局の末端を、通達などによって従来のように円満にやっていただきたいというのが私の根本です。どうかそういう意味で御善処をお願いします。
  39. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 重れてお答えしておきますが、最初に申し上げました通り、ことしは一般的に相当増加するから、そういうときこそなおさらよく農協とか市町村とも緊密な連絡をとって円満に行くようにということで、実は私どもといたしましては努力いたしたわけであります。全国的に見ますと、そういう点について従来に比べまして著しくことしは悪くなっておるとは見ておりません。ただ、やはり増加程度が激しい関係上なかなか話し合いがうまきいかないで、御指摘通り今までよりもより一層問題の多かった町村が名かったようでございます。そういう点につきましては、今後とも一層さらに円満な協調をはかるように努めさせまして、納得のいくところで納税していただくように鋭意努力する考えでおります。
  40. 大野市郎

    大野(市)委員 最後に、梓頭に大蔵大臣が見えられると思って質疑をいたしたのでございますが、いわゆる食糧自給対策を強化して、不足分外国から補充してくるのだという食糧庁長官の御答弁を了といたします。さて為秣局長も見えられましたが、これらの御当局において、大蔵省の予算査定にももちろん問題が出ると思いますが、石橋放言のような、安いものを買えばよいじゃないか、安かったら外国のものを買えたいう一つの議論が閣内にあるといたしますと、それぞれの問題が出ると思う。この点で一体担当当局としては、外貨という窓口がある場合、国外で安いものを探して買うというふうな常識論が通るものかどうか、そういう点について為替の窓口から御意見を伺いたい。
  41. 東条猛猪

    ○東条説明員 個々の物資につきまして、どの程度外国からの輸入を必要とするかという具体的な数字の問題は、御承知のようにそれぞれの関係省で、いかなる数字が適当であろうかということにつきまして検討をして定めるわけであります。大蔵省のわれわれといたしましては、今お言葉のございましたような、いわば全体の国際収支の面あるいは為替の面から輸入金額全体といたしまして、どの程度輸入が現在の状況からまかなえるのであろうかということからおもに検討をいたす次第でございます。  そこでそういう場合に、たとえば外国で物が安いから日本のいろいろな国内の経済事情を十分考えることなく、そういういわば競争力の強いものはどしどし輸入するというような考え方現状において許されるであろうか、こういう御趣旨と承わったのでありますが、これはやはり概括的に、抽象的に申し上げることははなはだむずかしい問題でありまして、個々の資置の需給の関係、あるいはその物資の価格の格差の状況という具体的な問題をよほど検討いたしませんと、抽象的なことを申し上げますことはかえって適当でないかと存ずるのでございますが、現在大蔵省で為替の面を担当しておる者といたしましては、やはり最近における輸出の数字はどうなるであろうか、ないしは特需を中心といたしまするところの貿易外の受け取りはどうなるであろうか。一面におきましては、そのときそのときの情勢で、たとえば輸入物資のストックが相当底をついておるという場合におきましては、全体の需給なり国内の経済情勢からぜひともこの程度輸入数量を確保する必要があるという外貨の支払い面の要求が出て参るわけであります。ある場合におきましては、国際収支の均衡を目的といたしておりながらも、そういう物資の面の関係から考えまして関係各省の判断が、ぜひともこの際輸入数量をふやさなければならぬ、ないしはそうした方法が国内のいろいろのコストを下げる関係上必要なのだという場合におきましては、例外的な、場合におまましては受け取り以上に支払う、国際収支の均衡ということに必ずしも固執ができないという場合もあろうかと思うのでありますが、ここ一、二年とって参っておりまする方針は、やはり外貨の受け取り面、為替の受け取り面の数字をよくにらみまして、できるだけその全体のバランスを乱さないように輸入数字をきめていく、こういう考え方をいたしておるわけであります。ただ私から申し上げるまでもなく、最近の国際情勢あるいは世界の貿易の全体の趨勢は、あまり値入の数量的統制をやかましく言うことは適当でない。むしろ貿易の自由化ということで、ある程度輸入を楽にしようじゃないか、それがまた国際間の物資の交流を盛んならしめるゆえんだという観点で、御承知のガットの規約のレビューの問題、あるいはIMFその他のいろいろの国際機関におきましても、そういう見地からこの問題を取り上げておる現状でございます。国際間の関係におきましてはそういう情勢に向っておるということはもちろん頭に置きながらも、でき得べくんば日本の国際収支の均衡を保っていくということで、輸入の数額をきめて、そうして個々の物資別にはその全体の輸入力に相応して適当なる物資別の配分をする、こういうようなことが政府全体としてただいまとっておりまする方針であるということは申し上げられると存ずる次第であります。
  42. 大野市郎

    大野(市)委員 なおもう少し申し上げたいこともありますが、時間の関係で私の質問は終ります。
  43. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 農業所得税関係の御質問を関連的に申し上げたいと思うのであります、大体基本的なことについては他の委員からの質問で明らかになったのでありますが、国税庁としては、政府予算編成方針に基いて、一応私この場合農業所得税だけに限りますけれども農業所得税としての税収入の総わくというようなものが一応押えられて、そのわくの中において各税務署ごとにわくを下されて、そのわくの範囲内において所管税務署がいろいろ標準等の作成をして、その標準がちょうどわくに合致するように苦心をしておるのではないか、こういうことを言われておるのですが、その点一点伺いたいと思います。
  44. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 今あなたのお話になりましたような方法は、四、五年前に徴税が非常に。ピンチに陥った際に、やむを得ずそういう努力目標を示したこともございますが、最近では全く逆の行き方をしておるのであります。つまり下から積み上げて上の集計をする、予算もそういう方法で見積るということにいたしておりまして、従いましてできた予算には私どもあまりとらわれないで、むしろやはり個々の所得をよく調査いたしまして、円滑に納税者の納得々打て納税してもらう、つまり下から積み上げて行くというむしろ逆の行き方をとる、これが税法といたしましては当然の行き方でございます。そういうことにつきましては、この二、三年来やかましく言いつけまして、そういう考え方の残滓を払拭すべく実は努力しておりまして、今日では大体御懸念のようなことはまずなかろうと思うのでありますが、あくまでも税法に基きまして、直接税法と納税者との関係でこの仕事を進めて行くという考えでやっております。これは私ども実は憲法のつもりで仕事をいたして行く考えでございます。
  45. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 そういうわくというようなもの、いわゆる努力目標というようなものは示さない、こうおっしゃるのでありますが、二十九年度農業所得税の標準作成に当りまして、国税庁は各国税局に命じまして、たとえば昭和二十七年度を基準年次といたしまして、収量の点についての指数上昇、価格の点についての指数上昇、必要経費の指数上昇、こういうような点で標準を作成されたのでありますが、こういうふうな一定の指数上昇的な計算というものは、これが一つの、いわゆる従来の努力目標といわれるところのわくというものに切りかえられた一つのものではないかと考えるのですが、この点どうなんですか。
  46. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 農業所得でも営業所得でも同様でございますが、所得実態調査するに当りまして、前年と比べてどういうファクターがどういうふうに動いておるだろうかということは、実際の調査の場合におきまする重要なる一つの資料になるわけでございまして、そういう際の一つの判断資料としましていろいろな統計の材料を税務署に配っております。お話の点はそのことかと思います。しかしもちろんそれは一般的な趣向にかかわらず、ある地方は特別に動いておるということでございますれば、これはもちろん事実を調査いたしまして、それによってやるべきは当然でありまして、大体の全国的な傾向を資料としまして配っておるという程度のものにしかすぎません。
  47. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 そういたしますと、今申しました指数上昇的なものは単なる参考である、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  48. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 その通りでございます。
  49. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 そういたしますと、これはただ国税局なり国税庁一つの標準として参考にしたまでであって、それによって課税の標準作成等はやっておらない、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  50. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 標準を作成する場合におきましては、やはりさっき申しましたように、サンプル的に個々の農家につきまして前年、本年、あるいは昨年なら昨年の実態を調べてやります。それがあくまでも基本になっているわけでありまして、そういう調査をしたものが、はたして全体の資料として適当であるかどうか、あるいは調査する上におきまして適正が期せられるかどうか、それを見る意味におきまして、そういう全国的な指標の趣向等は、一つの参考にはなっていると思いますが、そういう意味合いのものにしかすぎないつもりでございます。
  51. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 そこで参考にされるということであるけれども、結果においてはそのわくに合致するように各税務署とも行われているようであります。そこで今の指数上昇関係で参りますと、関東信越国税局では、その結論といたしまして所得が七一%程度上ることになる。同時にこれを逆算して参りますと、反当収量が三石一斗九升という数字が出ている。関信局の全管内で反当平均収量三石一斗九升などということは常識上考えられないことなんであります。新潟県の県内の農林統計でさえも二石四斗九升六合であって、二右四斗九升六合ですらも不当に高いのではないかと問題になっているときに、今申しましたような関信局の結論から逆算しますると、反当収量は三石一斗九升ということになっているわけであります。これは先ほど川俣委員指摘されましたように、そういう点について常識を逸脱したところの数字が現われて参ったのであります。そうしてそのような不合理な反当収量というものを別の面でカバーしようとするときに無理が起って先刻来大野委員指摘されたような不当なる農業所得税が生まれてくるのではないでしょうか、どうお考えになりますか。
  52. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 新潟県の場合吉の資料は、昨日も御質問がございましたので、今ここにございますが、新潟県の場合をとってみますと、今年は四百四十三万九千石に実収を見ておりまして、これは作報の調査よりもちょっと少いようでありますが、反当り二石六斗ということになっております。なお全国の方は概算だろうと思いますが、三石九升でありますか、そういう程度になっているようであります。
  53. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 結果においてそういう数字に修正をされたからほかの面で不合理性が露出したのではないですか。三石一斗九升という数字で押していけば不合理な問題を無理をしなくてもよろしいのだけれども、事実上二石四斗程度のものを三石一斗九升になるような標準を参考にして計算されたから無理をされたのではないか、こういうことなんです。
  54. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 先ほどの川俣委員の御質問に関連した問題でございますれば、おそらく供出割当の基礎になる数量は作報の資料、あるいは私ども調査よりも二割前後下回ったものが利用されていたのではないか、それをもとにいたしまして個々の農家に当てはめる関係上、私どもの標準調査は、新潟県でありますれば一石六斗をもとにした一石当りということになっていると思いますが、それを供出割当の数量に適用する場合に、実数をこちらはあくまでも結果的にはもとにしたことでありますので、それを逆算いたします関係上、石当りの標準というのが先ほど申しましたように、表面上は何だかおかしいということになっているのではないか。従いましてこれは供出割当の数量を個々の農家につきまして、さらに実収に一ぺん引き直しまして、標準は標準で実収で調べたものを適用すれば、先ほど御指摘のような表面上の不合理はなくなると思いますが、その方法につきましては、今後よく農業者の実際に合うように検討いたしたいと思いますが、そういうことではないかと思います。
  55. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 その点は了解いたしました。そこで先ほど川俣委員の質問に対しまして、農林統計によることは適当と認めないので、税務署は別に調査をやっておるというお話なんですが、農林統計全体についての考え方はあれで明らかになったわけです。ところが農業パリティというものが出ておるわけですが、これは特に米価であるとかあるいは農業経営の場合に、相当にいろいろな方面に援用される統計です。この農業パリティというものに対して国税庁はどういうふうに考えるか。農林統計と同じように、それに基いて課税の資料にはできないということであるか、これは相当に参考にしておるか、この点を伺いたい。
  56. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 パリティの個々の構成要素であります各項目の動きでございますね。ことに経営費の動きがどうなっているかということは、先ほど御指摘になりました全体の経費の動きがどうなっているかという資料を作ります場合におきましては、一つの参考資料になるかと思いますが、個々の農家にいきなりパリティをもとにして適用するとか、標準率の作成に直接利用するというような点は、間接には資料になるかと思いますが、比較的少いのではないかと実は存じますが、なおよく検討いたしてみたいと思います。
  57. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 なおよく検討するのでなしに、二十九年度の農業所得税の標準をつくる場合にどういうふうに扱われたかということです。今後のことじゃないのです。もうすでに決定されたのだから、その際これをどういうふうに考えて用いられたかということであります。
  58. 村山達雄

    ○村山説明員 農業パリティの統計につきましても、ちょうど米価の統計、肥料の価格の統計と同じように送付はしております。しかしそれを使えということは言っておりませんで、使うデータは、それは一つの参考の資料とするのでございまして、実際調査いたしました結果出た収入支出、その差引の答え、これを農協並びに市町村に回付いたしまして折衝した結果、大体両方で納得できる数字、それで石当りを出しまして、その石当りを標準地区に割り当てられました供出の基礎になる生産量に換算するという方法でやっておりますので、ただいまのパリティ指数の統計も他の統計と同じように参考までに送付しているという実情にございます。
  59. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 それではそういうような農林統計も、農業パリティも、あるいは各国税局で示したところの標準というようなものも、参考であり一つの標準だ、こういうことでありますが、結局は農業所得税の計算標準を出す場合においては、農家のサンプル調査による事前調査に基いて標準をつくるのだというふうに理解してよろしいのですか。
  60. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 その通りでございます。
  61. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 そこでお伺いをいたすわけでありますが、このサンプル調査の仕方が問題でございまして、私二、三の税務署で調べてみたのでありますが、たとえば新津税務所では管内全体で九十四戸の農家を調べたと言っておる。新発田税務署では八百戸に及ぶ実額調査をやったと言っておる。その実額調査の仕方が、八百戸に及ぶ農家の実額調査というようなことになりますと、これは精密に調査されるとすれば容易ならぬことであって、従来の税務署の職員だけではおそらく不可能に近いと考えるのであります。その結果といたしまして、きわめてずざんな実額調査が行われておると考える。これは川俣委員の質問に関連するわけでありますが、果してそのような全国で二千名程度の係員で、一税務署管内で特別な増員もせずして八百戸に及ぶ農家の実額調査の信用するに足るものができると信じておられるのでありましようか。
  62. 村山達雄

    ○村山説明員 実は具体的な問題になりまして、八百戸というものの調査が、ほんとうの意味の精密な調査をやったのか、あるいはよくあるのでありますが、標準の基準としては、たとえば百名なら百名調べる、ただそのうち肥料代が問題になる場合に、その肥料代については肥料代だけをほかの人についても重要であるだけによけい調べる。そのほかについては部分調査をすることもあるわけでありまして、八百戸全部精密調査をやったかどうかわかりませんが、ただわれわれの方でやっておりますのは、お話のように現在二千人程度のものでやっておる関係もありまして、標準の作成方につきましてできるだけ方法自体を筋の通ったものにするということで、調査対象者の選定を二十四年以来大体中庸のものを調べるということについて農協等とも打ち合せをやっておったわけでありまして、ほんとうの意味の標準になるものについては相当厳格に調べております。大体一標準を作成する地域につきまして、当初は五人でやっておったわけでありますが、この五人程度でやることもお互いに手数もかかる、農協の方でも手数がかかるというふうなお話もありまして、必要によりましては漸次三人程度に減らしたらどうか、こういうようなこともそれぞれ関係団体、市町村等寺とも打ち合せつつやっておりますので、今八百戸というのが、直ちにそういう意味の全部の精密調査をやったかどうかちょっとわかりかねますが、あるいはある特殊の部分調査をやったのではないかというふうに考えられますが、御疑問がありましたらさらに現地について調べてみたいと考えております。
  63. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 そこで、実額調査については中庸な調査、こういうことでありますが、われわれの知っておる範囲におきましては、ただ新潟県だけとは申しませんが、ほとんど全部経営規模一町八、九反から二町内外の、経営としてはきわめて理想的な農業経営をやっておる農家だけの調査をやっておったのであります。御承知のように、農家経済というものは階層別に非常に違っておりまして、同じ石当りの生産費にいたしましても、五反百姓と一町百姓、二町百姓とでは相当大幅の開きがある。それから供出いたしました手取り米価の面になりましても、小さな経営の農家ほど奨励金その他の収入がないので安く売らざるを得ない。標準経営を、やっておりまする二町歩内外の農家は高く米を売っておるわけです。具体的な数字もありますけれども省略いたしますが、そうなりますと理想的な経営規模の農家の階層だけを調査されて、その階層の標準によってすべてが推しはかられる、こういうことはきわめて重大な問題です。所轄税務署あるいは関東信越国税局においては、農業所得税の対象になる農家はおおよそ標準農家であるから、その標準農家調査したのである、とこう言っております。ところが対象農家の数がおおよそ倍になっておる、従来は二町歩内外のものでなければ農業所得税の対象にならなかったものが、一町歩内外まで対象になって参りますと、同じ二町歩内外の経営内容の標準で推してこられるときになると、非常に大きな問題が起ってくる、結果においてきわめて不適正なものになる。この点について国税庁長官はどういうふうにお考えになっておりますか。
  64. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 標準率は何しろ簡単なものさしで、一応全部のものについて当てはめて所得を推定するという方法でございまして、これ自体にいろいろな問題があることは私どもよく承知いたしております。従って、できるだけそれを少くするということに努めておるわけでありますが、それにつきましては今御指摘のようにサンプルのとり方、これがやはり一番重要な問題でございまして、そのサンプルのとり方を全体の所得者におしなべて適用するのに最も適当なものを選ぶ、それが概して言葉で申しますと中庸農家ということになるかと思いますが、それを今御指摘のように、課税の対象が少し広がる際には少し下の方もよけいに調べるとか、そうじゃないとか、あるいは年々によりましてある程度の調節はしていく、これは確かに必要だろうと思います。そうしましてさらに出てきたものについて吟味をいたしまして、全体としての公平を期していくよりほかない、そういうわけで今までできるだけ勉強しておりますが、今後ともできるだけ勉強したいと考えておるわけであります。
  65. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 これはこれから勉強されても二十九年度所得税の問題には間に合いません。私どもの知る範囲においては、明らかに先ほど申しましたような、理想的な経営内容の農家調査の対象になっておりまして、そうして関信国税局ではその程度農家農業所得税の対象となるのであるからそのようにしたのであると言明しておられます。同時に直接の管轄税務署へ行って、そのサンプル調査をやった農家の氏名を明らかにせよと迫っても、どこの税務署でもこれは明らかにしておりません。これが明らかに発表され、そうしてそれがきわめて不合理であって妥当性を欠くサンプル調査であった場合において、国税庁長官はどういう責任をとろうと考えられますか。
  66. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 これは全国的に非常に違うといいまするか、何しろことしの納税者が先ほど申しましたように六十六万戸に増加しておりますが、専業農家が全国で二百三十七万戸、第一種兼業農家と称するものが二百二十四万戸、農家戸数の総額が六百万戸、こういう状態でありますので、地区により地方によって非常に納税者の層が変っております。やはり依然としてごく一部の中庸農家以上の人々しか納税していないところもありますし、また新潟等の場合には比較的多数の農家の方々がことしは納税されるという状況になっておると思います。従ってそれは先ほど申しましたように、標準の調査に当りましては、大体その年の納税者となる見込みの人の中庸のところを選びまして、それで作成するということにやるのが当然でございまして、それが著しく実情とかけ離れて、出てきた結果が、実際の所得と違っておるということでございますれば、それはもちろんよく調査いたしまして、実際の所得に直すということはいつでもやるべきことだと考えます。そういうことにつきまして、おそらく未解決になっておる地区ではあるいはそれも一つの問題かとも思いますが、そういう点につきましても、よく実態を調べまして、御不平、御不満のある点はよく検討いたしまして、妥当を期する考えでございます。
  67. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 この点は非常に重要なんですが、そういたしますと私が申し上げたように、理想的な経営内容の農家の実額調査を基準として標準を定めた、そしてその標準でその他の階層にまでこれを及ぼしたという事実が明らかになった場合において、自主申告とおっしゃるけれども、事実はきわめて官僚的な天下り的な押しつけをやっておる。中には明らかに脅迫がましい言辞すら弄して調印をせしめておる事実がたくさんあります。そういう場合におきましては、その標準の作成を今からでも作り直す、こういうことでなければ今発言された趣旨に合致しないと思うのですが、どうですか。
  68. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 標準というものは先ほども申し上げましたように、理論上から言うと実際の所得を見出す一つの方便にすぎないのであります。従いましてそれによって出てきました所得が、実際の所得と違う、こういうことでありますれば、よく調査いたしまして、一応推定で出した所得を実際の所得に丁寧に引き直すということは当然のことでございます。実際の所得以上に課税するつもりはいかなる場合でもございません。そういう間違いがございますれば、いつでも修正いたします。
  69. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 それではもし私ども税務署についてサンプル調査をやられた農家の階層が明らかになって、その標準がきわめて不合理であったということが明らかになった場合においては、修正をしてもよろしい、こういうことで了解してよろしいですか。
  70. 村山達雄

    ○村山説明員 ちょっと技術的な問題にわたりますので私からお答え申し上げますが、ただいま石田委員の申しましたことは、はなはだ重要な問題でございまして、ただいま長官が申しましたように、現在課税農家が全体の農家戸数の約一割でございます。ですからサンプル調査をやります場合には、初めから納税見込みがあると認められるその一割の中についてやるわけでございまして、その残りの九割についてやるわけではありません。従ってその限度におきましてはかなり近似値のものを調べる、ただこの場合にも三つの問題が実際においてあるわけでございます。一つは地理的条件が経費率あるいは所得率が違うという問題が一つある、もう一つはその一〇%の中におきまして、営業の規模別にそれぞれ経費率、標準率が出てくるのではなかろうか、こういう問題と、それから最後に同じ所得階層であり、同じ経営規模であっても、その個人差によってその経費の率が違って来るのではないか。こういう三つの問題があるわけでございますが、現在標準を作成する場合に、そのうち実際に申しまして解決をいたしておりますのは、地域的な差の点だけを実は解決しておるのでありまして、御承知のように平坦部、山間部、中間部という三つの地域区分をやって、地域の差から来る点は排除しておるのでありますが、規模差から来る点につきましては、これは理論的にはお話のように、経営規模の大きい方がだんだん収益量が多くなるのではなかろうかという想定も成立つわけでございますが、この一〇%の農家のうち、さらに経営規模別にやるというところまで実は今のところは手が回っておらないわけでございます。従いましてやむを得ず現在の人員では、そのうち経営規模につきましても、中庸と認められるものについて調査いたしました結果について標準を作成いたしましてそれをそういうものとしての標準の検討を農協なりあるいは市町村にお願いいたしまして、その標準を一応換算するわけでございます。従いまして理論的にいいますと、その中庸以下の規模のものにつきましては、若干個人差はありますけれども、一般的に申しまして経費がそれよりかかる場合もあるかと思います。またそれ以上のものにつきましては、示された標準率の経費率というものは、若干甘目にできておるという問題は、傾向的にないわけではないのでございます。その問題はそこは現存の標準の限界であるというふうに考えまして、標準ではどうしても自分に当てはまらないという人は、それぞれ言っていただけばけっこうだと思います。ただいま長官の申し上げたのは、私が大体今まで聞きましたところでは、もし個人の所得が標準と違ったならば直すというお答え、そういうものとして長官はお答えになったのだろうと思います。それは間違ったということであれば必ず直す、こう言っておるわけであります。ただことしの標準を直せるかどうかという問題になりますと、実際はその標準はある意味のそういう限界があるということを承知したがら作っておるわけでありまして、現在の標準では、個人差の関係上、あるいは規模差の関係から、まかない切れないという人がありましたら、その人に対して標準の問題ではなくて、標準と自分は違うということを税務署と十分お話願った上で、お互いに納得行ったところで、十分訂正して参りたい、かように考えております。
  71. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 そこで中庸農家と言われるのですが、私がさっき言っておるのは、われわれの知るところでは、相当範囲にわたる範囲において、明らかに相当面積の耕作農家のサンプルを標準にして押しつけて来ておる。こういう事実を前提としておる。そこで今、直税部長はさっきも言われたので、私あとで質問しょうと思っておりましたが、町村または町村農協等と協議をして妥結をするという話をしておるのですが、少くとも新潟県では、町村役場あるいは町村農業会あるいは農協等と、この標準について協議の上で決定をしたところは一ヵ町村もございません。全部その標準のままに押しつけております。だから問題なんです。個々の農家について相違するであろうことを予期し、個々の農家についての実情に応じた課税をされておるなら問題は起りません。そうじゃなくて、税務署が全体のその標準を鉄則として、一銭一厘でもこれを修正せずに押し切ったところに問題があるのです。そういうふうに押し切ったのであるから、その標準の不合理性、その妥当を欠く事実が明らかになったときは、さかのぼって修正するかしないかということを聞いておるのであって、手続上の問題を聞いておるのではないのです。
  72. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 重ねてお答えしますが、標準というものは先ほども私が説明いたしましたし、また直税部長が言いましたように、適正な所得を見出すだけの一つの方便なんでございます。しかし青色申告をしておられない方々の場合におきましては、それよりほかに税務署調査する方法がございませんから、個々の農家は不服である場合も多いと思いますが、そういう方法で計算して申告をお願いいたしておるわけであります。そこでどうしても自分としてはそれで計算したやり方では納得できない、こういうことでございますれば、それによってよく税務署と話し合いをしていただきたいのであります。今年の例を申しますと、大体において、これはおそらく相当押しつけたという御非難があるかもしれませんが、とにかく一応われわれといたしましては、町村なり農協等との連絡も具体的にどの程度はかったか、どういう方法でやったか、これは調査しなければわかりませんが、できるだけ講じまして、そうして申告が円滑に行くようにというふうに指示しておるわけでありまして、そういうような手続を経まして、九五%程度は一応申告をしていただいておる。残りの分につきまして、相当激しいのがある。ことにさっき御指摘のありました中之島村というのは、一ヵ村全部がまだ未解決のようでございます。この村につきましては、しかも比較的裕福と言うと言い過ぎでございますが、経営反別の多い農家が多くて、所得税納税者が多い。そこで問題がなおさら大きくなっておるのじゃないか。そういうところにつきましては、さらに念を入れて調べまして、よく話し合った上で、これはまた先ほど申しましたように、いきなり更正決定等の措置は講じないで、修正申告なりあるいは追加申告を出してもらって、円滑にやって行きたい、こう考えておりますので、その点は御了承願いたいと思います。しかし全体の問題といたしましても、よく計算して反省してみると、あの標準で一応自分は申告したが、どうしてもふに落ちないといったような場合がありますれば、それはやはり個々の農家についてよく調べまして、直すべき点はもちろん直すのは当然でございます。所得税所得のないところに課税するのはいけないことでございます。所得を幾らときめるというのが一番大事なことでございます。それは個々の農家の問題でございますから、そういう意味合いで私は妥当を期する考えでございます。
  73. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 あと関連の質問が大分あるようでありますし、時間の関係もありますので、もう二、三点で終ります。  そうしますと、標準はあくまで標準だから、納税者個々の人の実情によってやる、こういうふうに了解してよろしいわけですね。従って自由意思に基かないで、中には明らかに脅迫がましい言辞を弄して調印をせしめたような事実があり、各個人の実情に著しき相違がある場合においては、さらに管轄税務署と交渉をして、これを適正公平なる課税に改めることができる、こう理解してよろしいのでございますか。
  74. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 これも理屈から申しますと、お話通り、自分はほんとうはその申告をするつもりではなかった、それをどうもやむを得ず押し切られてやった、こういう場合は、その申告は一月以内ならば修正していただいてもいいのです。しかしこれは実際問題といたしまして、お互いに多年納税についてはいろいろやっておるのでございますから、中間の無理もございましょうが、この程度なら何とかしんぼうしようということで一ぺん御決意になったならば、あまりその点について押しつけるわけではございませんが、今年はそれで納めて行こうというふうな気持になっていただくことを期待いたします。これは決して押しつけはいたしません。そういうことで一つお互いに円滑にやっていきたいと思う次第でございます。
  75. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 その点了承いたしました。  それからもう一点伺っておきたいことは、前年度もそうでありまするけれども、昭和二十九年産米穀についての超過供出奨励金等に対する所得税の臨時特例に関する法律が出たわけでございますが、これらの法律に基きまして、これは前年度も行われたわけでありますが、免税された額がどの程度であるか、二十八年度と二十九年度の額がおわかりでしたら一つ教えていただきたい。
  76. 村山達雄

    ○村山説明員 まだ二十九年度の分はわかっておりませんが、二十八年度までは支払い総額でわかっておりますので申し上げたいと思とます。二十八年度で、この当時課税外に置かれましたのは、超過供出奨励金、早期供出奨励金、供出完遂奨励金、この三つの種類であります。それで、超過供出奨励金の総額が百五十三億八千九百万円、早期供出奨励金が百四十四億二千四百万円、供出完遂奨励金が六十一億五千九百万円、こういう金額になっております。二十九年分のものにつきましてはまだわかっておりません。これはいずれにしましても課税統計から得られる資料ではなくて、すべて予算数字でございます。本来これらのものは課税の対象外に置いておりますので、課税統計の方ではとってございません。課税の基礎になるその基本米価に織り込まれた金額だけがわかっておる、かように御了承願いたいと思います。
  77. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 それでは二十九年度の農業所得税が、先刻来他の委員からも指摘されましたように、増税された大きな原因は、先刻来私が指摘をいたしましたように、実額調査の非妥当性という問題、従ってそこから起る必要経費の過小見積り、数字で申しまするならば、農業パリティでは二十八年が一一四・八%であり、二十九年は一二〇・七四%でありまして、五・九四%上昇しておるわけでありますが、新潟県全体の各税務署全部の平均を見ますと、必要経費は一・三%の上昇しか見ておらないというようなことが大きな問題であると同時に、もう一つは、前年度非課税部分の約一千円が課税対象になったということ、この三点が一番大きな増税の原因だと思います。基本米価のうちの一千円を非課税にした場合において、税収入に及ぼす影響はどの程度の金額になるかお示しを願いたい。
  78. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 今の問題はまだ私ども手元で計算しておりません。国会審議の上におきまして、あるいは今後の重要判断資料にもなろうかと思いますから、別途計算いたしまして、これは主として立法の問題は主税局で扱っておりますので、主税局の方から必要な時期に御説明申し上げることにいたしたいと存じます。
  79. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 そこでもう一つは、今度は地方税との関連の問題です。所得の標準が、きわめて不合理な標準が出ますると、第十九国本会までは住民税と国民健康保険税の決定に当っての所得標準は、その町村がこれを決定できたわけです。十九国会における法律の一部改正に伴いまして、住民税並びに国民健康保険税の標準となるべき所得標準は、税務署の定めた標準によらなければならないということになったわけです。従ってこの標準が地方税の標準になるということによって、農業所得税だけでなしに、住民税と国民健康保険税に及ぼす影響がきわめて甚大であることは申し上げるまでもない。各町村の数字的な資料も持っておりますけれども、時間がございませんから申し上げませんが、そうなって参りますと、この標準というものについては、やはりここでどうしても何らかの処置をしなければならないと思うのです。地方税との関連について長官の意見を伺っておきたい。
  80. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 地方税の関係につきましては、御指摘のように、税務署でも調べ、市町村でも独自なものを作るというのでは納税者の実際の感覚上おかしいというので、なるべく一本にするということで、お話通り変ってきたことは事実でございますが、だからこそ私どもといたしましては、ことに農業所得につきましては、市町村の意見あるいは市町村の資料をできるだけ利用し、尊重いたしまして、一体となって仕事をやるようにという考え方で実は指導いたしているわけでございます。新潟県におきましても、いろいろ御指摘もございましたが、私は全部が全部お話のようなことではないと今でも思っております。なおしかし、その点はよく調べまして、今後必要な指導はいたしたいと思いますが、そういう点につきまして、市町村の事情をよく調査するにつきまして、市町村と連絡をとりまして、できますならば最初から問題がないようにいたしまして、村民の納得する所得がきまるように今後とも努力して参りたいと思います。今年といたしましても大体そういうことでいきたいと思いますが、しかし先ほど申し上げましたように、個々の納税者が、この標準で計算した所得は自分の所得と合わない、こういう場合でございますれば、それはもちろん標準は一つの便法でございますから、最後の所得のところで妥当性を見出して、それによってやっていくということは当然の理屈でございます。国税のかかるものにつきましては、先ほど申し上げましたような方向でやっていただきたいし、あるいは国税のかからないものにつきましてはそういう考え方で、必要な調査を市町村がされるということは別段差しつかえないことかと思います。しかし所得税のかかる納税者につきましては、やはり税務署のきめたものによってやっていただきたい、こう思っているわけでございます。
  81. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 一応この程度で打ち切りにいたします。
  82. 日野吉夫

    ○日野委員 ここ四、五日、農業所得税の問題が大分問題になってきたのであります。所得の変動による税額のはね上りがその原因であるということ、九割五分は自主申告によって決定したということ、それから対策としては、未決定の分は直ちに再調査をすること、少額のものは加算税を免除するという規定を活用して、その趣旨に従った処置をする、こういうことが大体明らかにされて参っているようであります。今後今国会を通して相当この問題は論議される問題だ、こう思うのでありますが、関連の質問で、時間の制約を受けておりますから、簡単に二、三点を伺いたいと思います。国税庁長官が、九割五分は自主申告で決定した、こういうことを言っておられますが、石田委員からも川俣委員からも、それはほんとうの意味の自主申告ではない、威嚇と懐柔で調印ぎせられたものだ、こういう質問かありまして、長官も自主申告という言葉を訂正するがごとくにしているようでありますから、全部が完全に納得づくで調印したのでないということは、すでに御承知のようであります。そこで、この問題が非常に重大だと思うのでちょうどこういう話がある。隣村から牛を盗んできた百姓が、証拠物件、牛まで引っぱり上げられて裁判にかけられた。ところが、おれは牛など盗んだことはない、ただ、隣村でなわを拾ってきたことがある、ところがそのなわの先に牛がくっついておったという話を言って、裁判はこれをどう判決するか、あなたの自主申告、これはあたかも牛の任意出頭だという裁判をするにひとしいのではなかろうか、こう私考えるのです。この九制五分の調印の中に、全く納得のいかない、そこに示された方針によって、威嚇や巧みな六懐柔によって、そうして泣き泣き判をついている者が相当あるのであります。あなたの、九制五分はそれできまったから、あとの〇・五割だけがこの再調査の対象になるということになると、せっかくここまでみんなが熱心に調査研究をいたしても、大山鳴動してネズ、二匹に終るのであります。問題は、この九割五分の中に、いかに強制、懐柔、これらの指導方針によってやられたものがふるか、今の話では、問題のあるものはその中でも取り上げて再調査をするという意味のことも言われてあるのですが、もう一度、このことをそう解してよろしいか、調印をしていたものでも不合理な査定を受けた、威嚇ないし懐柔ということで不服の申立てがある場合は、これをも再調査の対象にするかどうか、そのことについてもう一度伺っておきたい。
  83. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 先ほど懇切にお答えしたつもりでありますが、理屈を申しますと、一応申告はしたが、申告について重大な錯誤があった、あるいは自分はそういうつもりでなかったものを無理やりにやらされたのだ、こういうはっきりした事実がある場合に、そういう方々があとで申告を直すということは、これは理屈上できるのであります。しかし、先ほども申し上げました通り、そこまでに至るにつきましてはいろいろなプロセスを経てきているのでありまして、従いまして、できますれば一応お話のついたものにつきましては、なるべくそれによっておやりいただくようにお願いいたしたい。しかし理屈から申しますと、どうもその申告では困るのだ。実際の所得と比べまして、いかに税務署で調べてもらってもこういう所得はない、こういうふうにお考えになる方が何とかしてくれということをお申し出になるということを拒否する考えはありませんが、できますれば、すでに話の済んだものにつきましては、私どもの気持としましては、なるべくそれで一つやっていただきたい、こう考えるわけでございます。若干理屈の問題と実際の問題と、一つその辺よくかみわけて御指導願いますことをお願いいたしておきたいと思います。
  84. 日野吉夫

    ○日野委員 たいへん幅のある回答でありますので、これにつきましては私たちも十分善処して行きたいと思うのですが、とにかく一応自主申告の中にはそういうものがあるということを十分御承知の上一つ善処していただきたい。  もう一つ、これは先刻来問題になっておりますし、今後この国会を通して十分・検討される問題でございますが、課税の標準、ことに控除の問題とかいろいろの問題を含めて、課税方針の標準の問題が、二十九年度は間に合わないというようなことを言っておられますが、われわれは、再検討の結果不合理ならば、これを二十九年度に一部適用する、こういう態度でなければならぬと思うのであります。すでに課税したものに対しても、不合理な点——今の指導の行き過ぎあるいは誤まったものかあれば、税の還付という手続もあるのであるから、場合によれはこの還付の手続もとらなければならぬ場合もあるかもしれません。そこで、とにかく課税標準について問題があるのはここであるから、十分秤検討される用意をお持ちであるかどうか、はなはだしい不合理のものに対しては、税の還付の手続まで考えておられるかどうか。時間がありませんから、この点だけを伺って、あとの議論は次の機会に譲りたいと思いますが、この点、明確にしていただきたい。
  85. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 標準率の全体をやり直すということは、先ほど申し上げましたように、率直に申し上げましてなかなか簡単なことではないことは、おそらく御了解願えるのではないかと思います。しかしその結果が、個々の納税者に当てはめてみて、いかにも不合理た、実際の所得と違っているという場合には、そういう個々の納税者につきまして、実際の所得とよく照らし合せまして、必要な措置は当然とるべきたと思います。それで、そういう場合において、いかにもはっきり間違っておるということが明瞭である場合に溶きまして、すでに納めた税金も返すということがあっても理屈上は当然のことでありまして、あっても差しつかえないと思う次第でございますが、先ほど申しましたように、今まで相当お互いに苦労して話を進めているところでございますから、その点も一つ御了解願いまして、両方話し合いをうまくやりましてお進めいただくようにお願いしたいと思います。
  86. 川俣清音

    ○川俣委員 もう時間がありませんから最後に一つ。純然たる自主申告の場合は、これの可否は地方の徴税官に責任があると思うのです。今のような標準指導した場合は、徴税宮の責任ではなくして指導しておられろ国税庁責任だと思うのですが、さようにお考えになっておるかどうか。
  87. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 まあ実際問題といたしまして、よくわからないで判こを押してしまったという方がおるかもしれませんか、私ども、標準に基きまして、所得はこうなる、これで一つ御申告下さい、こういうことでございますから、建前といたしましてそういうことを認めてしまうわけにはどうも参らない。従いまして、どうも標準で出した所得は自分はふに落ちぬという方は、自分の所得はこうだ、自信のあるところで御申告を願いまして、それに慕いて、税務署もよく調査して、税務署見解納税者の見解が違う場合には、国税局に協議団というものがございますが、そういうようなところでも、さらに調べまして、適正なものにする。協議団で若干直した例もございます。多数の納税者のことでございますから、そういう手続を経て、全体として公正なようにして参りたい、こう考えておるわけでございます。
  88. 川俣清音

    ○川俣委員 標準を示して指導をするということは、国税庁全体がとっておられる方策であるから一徴税“の責任ではない、国税庁責任と認むべきものであろう。そうお認めになりませんか、こういうことです。あえて標準を示して指導するという一定の規格を示しておるのですから、この規格は徴税官の責任ではなくして、国税庁責任ではないかというのです。
  89. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 適切な標準を各税務署ごとにつくらせることにつきまして国税庁は監督しているわけでございまして、そういう意味におきまする責任は当然国税庁にございます。
  90. 川俣清音

    ○川俣委員 標準を示して指導するということが国税庁責任だということになりますと、国税庁を指導、監督しなければならない国会は、行き過ぎがある場合においては、当然法律上行き過ぎをしないような法案を出さざるを得ないということを御了承になりますか。
  91. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 標準自体が個別的に適切であったかどうかということにつきましては、必要でございますればなお十分私どもいかなる資料を出すのも、あるいはいかなる説明をするにもやぶさかでございませんので、そういう点を十分御調査の上で結論を出していただきますようにお願いいたしておきます。
  92. 川俣清音

    ○川俣委員 国税庁がこういう標準を示す、しかもその標準が常識を逸脱しておるような標準をあえて示しておるようなことは、指導がよろしきを得なかった、それをお認めになってお取り消しになるなら別であります。従ってこういう標準を示して指導するということを建前とされ、責任を負われますならば、国会といたしましてはそういう行き過ぎのないような法律をもって行政事を取り締るよりほか道がないということを御了承になるかどうかということです。
  93. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 今のお話が先ほど話題に出ました心当り九千円とか何とかいう、そういう問題でございますと、これは私先ほど申し上げましたように、一つの方便の問題でございまして、これは決して実質それだけで悪いと考えておりません。はっきり申し上げておきますが、ただやり方が、供出割当の量を個々の農家について用いる場合に、実収をもとにした標準をその方に引き直す結果そうなってくる。そういう方法がいいか悪いかにつきましては議論があるのですが、これは将来改善してもいいと思いますが、それだからといいまして、標準を用いて出て来た所得が悪いとは考えておりません。そのことだけではそういう結論は出ない、こう思いますから、その点御了承のほどをお願いしたいと思います。しかしもちろん標準全体の作り方につきまして、実際において縦して妥当であるかどうか、これは当然国税庁が監督してやっておりますから、国会でよく御調査願いまして、果して悪いかどうかよくその点につきましては御審議なり御調査を願います。
  94. 川俣清音

    ○川俣委員 長官の方が誤認しておられる。あなたは供出についてあるいは超過供出まで、とにかくそれだけに課税するというようなお考えのようですが、そうじゃないのです。これは保有米まで課税するということなんですよ。総所得課税しておるのですからね。供米にだけこの金をかけておるのじゃないのですよ。供米幾ら、保有米幾ら、もっと総支出があったか、どうか、こういうことで計算されておる。従って供出にだけこれはかけておられるのじゃないのです。もしもあなたの言うように、指導で供出についてだけかけておった、保有米にかけてないのだということになりますれば、全部これは御訂正にならなければならぬと思うが、それはお認めですか。
  95. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 私、申しましたのは簡単に申したわけでありまして、供出の基礎になった農家収穫量に乗じておるわけです。それが実収と非常に遜うために、それを引き直す際に先ほど言ったような調整をやる。その結果が一石当り実収で計算しますと七千円くらいのものか九千円くらいになってくる例もある。こういうわけであって、実収をもととする限り、従いまして私どもの結果は、決して狂いはない。ただ実収をもとにして作りました側々の標準というものか果して妥当であるかどうか、それは非常に問題であると思いますが、その問題につきまして、いろいろ御議論がありますれば、これは簡単に結論はできないと思いますから、十分ここにおいて御審議願いますことは一向差しつかえないのでございまして、私ども必要でございますればよく調査してもいい、こう申し上げておるわけであります。
  96. 川俣清音

    ○川俣委員 指導される場合に、供出幾ら、保有米幾ら、それにこの単価をかけて所得を一番簡単な方法でもって指導しておられる。このほかにたとえば特別に人夫を要したとか、あるいは特別に馬を要したとか、牛を要したとかいうのは、特別の経費としてこれからまた差し引いておられる。あるいは水利費などはやはり引いておられますけれども、一応の所得としては、これに総収入をかけて所得としておられる。そういう指導の仕方なんです。長官の説明と違うのです。違うから、それでは差し引いてよろしいか、こう聞いておるのです。よろしければ、非常にけっこうな話ですから、あなたの説明通り全部訂正しなければならないということを御容認になれはけっこうです。よろしいですね。
  97. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 私が申し上げておるのは、供出の基礎になった各農家収穫量ということで申し上げておるのであって、従ってその中には保有部分も入っておりますし、全部の作物が入っておると思います。それと作報で調べておりまする実収と税務署で調べたのと食い違いかあるから、実収をもとにして計算した標準を適用する。供出のもとになったものに適用するにつきましてアジャストを加えておる、こういうわけでありまして、従って先ほども申しましたように、どうしても何だかおかしいという下自然な感じがございますから、供出のもとになった石数を実収に一ぺん私ども引き直しまして、それに実収で出しました標準を適用していくということになれは、同じ結論か出ると思いますが、その方が自然なら、そういうような道も将来は研究してもいいと申し上げておるので、決してそのことから見まして、不適正な所得になっておるということにはならない、これは重大なことでございますから、はっきり申し上げて御了解を得ておきたいと思います。
  98. 川俣清音

    ○川俣委員 了解しかねます。これはあくまで実収石数であるならば、実収石を法文化するということは困難なことです。しかし標準を出せということになりまするならば、これは法制化できることなんです。今までそういう細目のことはなかなか法制化できないと主張されておりました大蔵省は、標準を示すことは困難だから法律に規定することは困難だということで逃げておられた。あえて三年も標準を示しておられるというならば、その実績がありますならば、これを法文化することは決して困難ではございません。国会には法制局もございますし、その道の大家なしとしない。ただあなた方が小便ということをお忍びになりまするならば、妥当な法制も決して困難ではない。今までの御答弁によりますると、そういうことをされましてもやむを得ませんという御了承を得たものとして、われわれは今後立法に着手したいと思いますが、御了承になりますか。
  99. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 標準は御承知通り税務署ごとに作っております。税務署では地区の状況が異る場合においては、町村も少し手分けをして標準を作っておるかと思います。従いまして標準の数からいきますと、数が非常に多くなる。しかもその標準は、ほんとうの所得を見出すための一つの方法でございまして、納税者が自分で計算した所得と通う、あるいは税務署が個別的にやった場合に違った結果が出るときには、必ずしも標準に拘束されるものではありません。従ってこれを法制化するということは、事柄の性質上通当ではないと考えます。ただ標準がいかにして妥当なものにできるかということは、これはなかなかむずかしい問題でありますので、農協あるいは市町村の意見を聞いて、各地に実際に合うようなものに作る、これは私とも今までもだいぶ努力してきましたが、今後とも一そう努力しまして、できるだけ実際に合うものにする考えでございますので、その点は一つ御了承願いたいと思う次第であります。
  100. 川俣清音

    ○川俣委員 標準のとり方について、常識とはずれたようなものが出ておるから、もう一ぺん検討し直そうというなら検討の期間を与えることに私はやぶさかではないのです。しかしこういう標準というものは最も妥当なものであるという主張をされますならば、その標準はかくあるべきであるという法制化せざるを得ないのです。その自信かありますか。もう少し検討してみて、少し標準のとり方がいけないのじゃないかという反省をせられますならば、一年や二年の猶予期間を与えることに決してやぶさかではないのです。
  101. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 その点は私今まで御説明したところで大体御了承願えたと思いますが、なかなかむずかしいことでございまして、年々改善をはかっておりますが、今後ともさらに一そう改善をはかる必要がありますことは、もちろん十分認めるにやぶさかではございません。
  102. 川俣清音

    ○川俣委員 常識と違つたものが出ているということをあなたは認めておられるのじゃないですか。それならばもう一ぺん反省して再検討してみよう、それならばその猶予は——私は決して有能なる官吏に猶予を与えないと言うわけではない。反省する必要がないというなら立法化して反省させるより道がない。どっちかとらなければならないからしっこく聞いているのです。
  103. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 常識に合わない点は、なるべく常識に合うような方法をとりたい。将来とも十分研究していきたいと考えております。     —————————————
  104. 綱島正興

    綱島委員長 ちょっとこの際小委員会の設置の件につきましてお諮りをいたします。本日の開会前の理事会の協議に基きまして、先般議長の承認を得ました国税調査事項のうち、一食糧、二畜産、三蚕糸、四林業、五水産の諸問題並びに六農業及び漁業災害補償制度の改正問題についてそれぞれ専門的な調査並びに対策を樹立するために、六つの小委員会を設置いたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  105. 綱島正興

    綱島委員長 御異議なしと認めます。つきましては小委員及び小委員長の選任についてお諮りをいたしますが、食糧に関する小委員の数は十二名といたし、その他の五つの小委員会はいずれいも十一名といたし、委員長において指名いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  106. 綱島正興

    綱島委員長 御異議なしと認めます。なお小委員長の選任につきましても委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  107. 綱島正興

    綱島委員長 御異議なしと認めま追って委員長において指名し、公報をもってお知らせをいたします。  午前中はこれにて休憩をいたしまして、午後二時半より調査を進めることにいたします。     午後一時三十四分休憩      ————◇—————     午後二時五十七分開議
  108. 綱島正興

    綱島委員長 午前に引き続き会議を開きます。  発言を求められておりますから、これを許します。足鹿君。
  109. 足鹿覺

    足鹿委員 大臣に伺いたい点がたくさんありますが、これは御出席の際に留保いたしまして、とりあえず改良局長に二、三お尋ねをいたしたいと思います。  他の委員諸氏からも御質疑がありましたが、昭和三十年度の改良局関係の予算は、農民とのつながりの多い補助とかあるいは助成とか奨励金とかいうようなものものが相当多い。しかもこれは一年、二年の短期のものではなしに、相当の歴史的な経過ヲ経て今日に至ったものがその大部分を占めておるように思うのであります。そういった際に、伝え聞くところによりますと、大蔵省は改良局予算の六〇%程度にまでこれを削減するのだということすらも漏らしておるように聞いておりますが、改良局長としては、このような困難な情勢に対応して、本来の改良局の持つ使命を達成するためには、どのような御所見を持って対処せられようとするのでありますか。これは大臣に伺いたいのでありますが、当面の責任者としてこの一点をまず伺いたい。
  110. 小倉武一

    ○小倉説明員 ただいまのお尋ねでございますが、改良局関係の予算といたしましては、御指摘のように補助金が相当のウエートを占めておる。従いまして、補助金の整理ないし削減ということになりますると、所管の事業につきまして非常な大きな影響のあることは、申すまでもないのであります。概略申しますと、御承知のことと思いますが、二十九年度の予算で申しますると、総額四十八億でございます。そのうち、ごくラウンドで申しまして、試験研究のものが三分一、それから改良普及関係が三分の一、残りがいわゆる農産特産貿易関係の奨励事業、ほぼそういう見当になっておるのでありまして、六割という削減のことを御指摘がございましたが、私どもまだそういうことを聞いておりませんけれども、もし全体の六割ということでありますれば、これはもう仕事がほとんど成り立たない。また補助金だけのことでありましても、ほとんど壊滅的な打撃を受けるかもわかりませんので、そういうことはないように善処したい、かように考えております。
  111. 足鹿覺

    足鹿委員 いま一点お伺いしたいのは、大蔵省の考え方は局もよく御存じであろうと思いますが、農業改良にかかわらず、すべての農林関係の補助、助成というようなことについては、生産費の一部に対して国費でもってこれをまかなうことはおもしもくない、こういう思想が中心になっておるやに聞いておるのでありますが、しかしながらそのような思想でもってほとんどすべての補助助成あるいは奨励というようなことを打切りないしは形だけにとどめるようた大削減を加えるということでありますならば、これは政治ではない。要するに自然に原始産業である農林業を放置して一般企業とともに成り立たしめる、こういう考え方に基くものであって、それは農政もなければ、農業政策もない、全くナンセンスな態度であると、断ぜざるを得ないのであります。こういう動きが表面化し、しかも相当な圧力となって出てきておるところには、いろいろな原因があるでしょう。伝え聞くところによると、これは次官が来てから伺いますが、はなはだけしからぬことを巷間伝えておることも私は聞いておりますが、とにかく今述べたような、財務当局が持っておる、生産費の一部に補助することは、国民の血税をそういうことに使うことはおもしろくないというこの根本方針に対して、当面の責任者である改良局長は、どういう理論的根拠を持って今後対応されようとするのか。今のままで行きますならば、ほとんど住宅政策あるいは減税政策のために農林予算相当圧縮されることはやむを得ないと、農林大臣は各新聞にその所信を披瀝しておられる。この内要がすなわち大蔵当局の態度となって現われてきておる、こういうふうに私は思うのでありまして、局長は理論家としては相当いろいろな著書も持っておれらますし、少くともこういう農林政策が直面しておる危機に対しては、ただ単に哀訴嘆願してこれを少し復活するとか、あるいは削るということについて、一応これをことしだけは待ってくれとかいうような、そういう姑息な態度ではもはや乗り切れない大きな事態に直面しておるのではないか、こういうふうに私は見ておるのでありますが、その点について局長はいかがお考えになっておりますか。次官もおいでになっておるようでありますが、御所信を承わりたい。
  112. 小倉武一

    ○小倉説明員  補助金の整備の問題に関連いたしまして、その一つの理由、根拠といたしまして、生産費あるいは経常費に本来属すべきようなもの、すなわち農家が己の経済の負担でもって処理すべきかようなものにつきましては補助をしないという考え方、これは昨年の予算の編成のときにも問題になった事項でございます。これでもってこういう原則がきまったとかいうことでありませんけれども大蔵省の削減方針としては、確かに御指摘のようにそういうことがあったかと思います。もちろん農業を普通の事業というように考えますれば、本来生産費に属すべきものを、特に国の財政をもって補助するということはいかがかという議論も当然生れてくるかと思います。ただすっかり御承知通りでございまして、わが国の農業のような場合には、たとえ普通の企業の形態から申しますれば、生産費あるいは経営費に属するような性質のものにつきましても補助をしていく、助成をしていくという必要性が多々あるのであります。特に新しい技術なりを奨励していかなければならぬといった場合でございますとか、あるいは農産物の価格自体の問題もございます。価格が公定価格といったような場合になりますとまた事情が変って参りますので、現在のような全体の仕組みのもとでは、たとえ普通の状況から見て生産費というものに属するものでありましても、私どもの考えといたしましては、助成をしていくという道筋は当然あってしかるべきではないか、かように考えております。
  113. 足鹿覺

    足鹿委員 一例をあげてお尋ねいたしますが、水稲の健苗育成の補助、あるいは米麦の採種圃関係、あるいは耐雪耐寒性の緑肥に対する予算措置、これらのものをめぐって相当困難な事情にあるように聞いております。これに対して政府の財務当局考え方は、過去数ヵ年にわたって奨励をしてきた、従って奨励の段階は済んだのであるから農家の自費でやるべきである、こういう意見のように聞いております。一応それはその限りにおいては、大原則としては別に間違ったことではないでしょう。しかし日本の現在の情勢下にあって、また財務当局が考えておるように二二が四ですべての施策が進行しておれば問題はないのでありますが、事実はそうは進行しておらない。そこに現実には相当大きなずれがあるのであります。そしてまた米麦の採種あるいはその他の採種関係というようなものは長年月を要しなければならぬので、一時にこれを打切って、奨励時代を過ぎたというような機械的な判断では、物事をきめることはできない性質のものであるのであります。そういうことについて全く財務当局としては認識がない。一つの定木を当てがって、これを処断していこうというしゃくし定木の考え方にすべて立っておるから、だんだんとこういう考え方が放置されていって、今日の重大な事態に私は直面しておるのではないかと思う。これらの点について、もし二十年度の予算当局が考えておるような線とよほど開ぎがある予算に落ちついた場合には、農林省の首脳部としてはどういたされますか。昨日農林大臣の御答弁で一つ大きな発言をしておられることは、削られても、それは農林省に与えられた総ワクの範囲内において、重要度によって自主性を持って予算の切り盛りをやる権利を留保する。こういうような意味のことを閣議に提案をし、閣議の了解を得るならばそれでやっていくのだ。こういう方針を大臣はここで明らかにされたようであります。これはその限りにおいては私はいいお考えだと思う。しかし総体を削られた場合に、これを車点的に行なった場合には、他にその犠牲になる大きなものが出てくることは、もうやむをえないと思うのです。問題は、総ワクを縮められた後におけるそういう方針は、次に来たるべきことであって、今からそういうような考え方では、とても事の処理は困難だと私は思うのです。次官もおいでになっておりますが、次官とは私ども長い間この農林委員会で、机を並べて一緒に農政問題を真剣に検討した間柄でありまして、この点についてはほんとうに捨て身の御尽力があるものだと私どもは期待をいたしておりますが、今までの段階と違って事が非常に緊迫し、重要な段階になっておるときに際しまして、大臣大臣として、吉田政務次官の真摯なこれに対応する御所信のほどを、この際補助金問題をめぐって承わってみたいのであります。
  114. 吉川久衛

    吉川政府委員 足鹿さんも十分御案内の通り、わが国の農業の特殊性から考えますと、どうしても保健政策をとらなければならないことは、これは申すまでもないことでございます。大蔵省のものの考え方にも、形式的に一応私どももうなずける点もあるのでありますが、あなたのお説のように、これではわが国の農村及び農民の実態というものについての認識を欠いている点が、私は相当にあるのじゃないかと思っております。たとえば健苗育成施設の問題ついて見ましても、これは私ども見解大蔵省の見解とが食い違っていることは、すでに御案内であろうと思います。せんだっても暫定予算に組まれるような措置が進められていたのでありますが、私ども大蔵省の考え方を、今お説のように二プラス二イコール四というように割り切れない日本農村の特殊性を、るるお話をいたしておりますうちに、とうとう暫定予算に組めなくなった。何らか格別の配慮をする必要があるのではないかというような段階になって参りましたので、結局これは評定予算に組むことを見送りまして、本予算に組もう、こういうことになっております。従って大蔵当局のものの考え方について、私ども一つ認識を改めるようにせっかく努力中でございますので、今までの御関係もございますから、どうぞ皆さんの御協力をもお順い申し上げておきます。御了解を願います。
  115. 綱島正興

    綱島委員長 改良局長にもちょっとお尋ねをしておきたいのですが、今委員と局長との間の応答をいろいろ伺っておりますと、わが国の特殊事情から保護政策をしなくちゃやらぬのだということにとどまっているようでありますが、私はそれでは足らないと思う。農業というもの自身が、たとい他と比べては非常に生産に有利な条件のところであってさえも、特殊な保護をしなければならぬものだということについては、お考えはありませんか。これは重大問題です。アメリカのようなあの通り条件のいいところでも、価格補償費として毎年六十億ドルに近いものをやって、それでもあのパリティではやっていけないのは御承知通りです。週給にして、農業労働力と工業労働力とは七分の一以上違うのです。あれだけの補助をして、それでもまだ足りぬというのです。だから農業というもの自身が、これは保護政策でなければやっていけない。ただし生産条件のいいところにおいては大体価格補償をしており、悪いところは生産補助をやっているという違いはあるけれども、これは農業というもの自身が、わが国だからということではなく、本質的にこれは保護政策をしなければいけない。それにプラスしてわが国の農業というものがあるので、私は先ほどから皆さんのいろいろ応答されることにはちょっと不服です。これはどういうお考えか伺っておきたい。
  116. 小倉武一

    ○小倉説明員 委員長から御注意いただいたのでございますが、私の言葉も足りなかったと思います。他の産業と比べてと、こういうふうに申し上げたつもりでありまして、わが国の農業の特殊性から見て外国と違って、こういう意味ではありません。もし委員長のような表現をいたしますれば、他の諸国においても農業と商工業というものとは違って、農業相当特殊事情があることは、委員長のお示しの通りでおりまして、なおその上に、わが国の特殊な零細農業というものをつけ加えなければならぬことも、またお示しの通りでございまして、その点異論はございません。
  117. 足鹿覺

    足鹿委員 次官なり改良局長に、先ほどの続きをお尋ねいたします。今委員長から御指摘になったような点は、これから言おうと思っていたのですが、昨日大臣は、米麦に傾き過ぎた日本農政を、酪農、畜産、養蚕、こういった多角形方面に施策の手を伸べていくのだ、こういうことを言っておりました。大臣の言う多角形ということは、何を意味して多角形と言っているのであるかわかりませんが、すなわち健苗育成のごときものも、私の聞くところによると、大蔵省は農林省の二千三百万坪の要求。——また解散前の当委員会が二千万坪は絶対必要だという決議をしたことは、次官も御存じでございましょう。あなたもその一員として御決議に参加しておられる。これによりますと、少くとも四億円近いところの予算がないと、この委員会の当初の民主党、自由党、われわれ社会党両派を加えた満場一致の決議の趣旨は達成しない。しかるに大蔵省は二百万坪で、わずかに三千六百万円を予定しておると言われております。要するに、これは河野農林大臣の言われる米麦偏重、すなわち水稲の健苗育成というような食糧増産中心のことはもう時代は過ぎた。だから今度はその費用を削って養蚕や畜産にまわすのだ、こういうふうにも解釈される。一体養蚕や畜産をやっておる農家は健苗育成は必要ないのでありますか。一方のものをとって一方のものに与えて、多角経営の振興対策になるでありましょうか。根本を失っておいて、そしてこの兼業的な経営の一環のものに対していかように手を厚くしてみたところで、それは言葉上のあやにすぎないと私は思います。それから米麦の採種にしても、二億五千万円は大蔵省はいらぬという態度をとっておるように聞いておる。そうしますと、米麦の採種のごとき基本的政策の経費を削って、そしてそれを多角経営農業に持っていって、それが一体何ほどの意味を持つのでありましょうか。基本産業に対する施策をほとんど削減あるいは怠っておいて、そして関連のいわば従たる経営の問題に力を入れて、それが一体農家の生活の安定、日本農業基本的な発展に何ほどの貢献をするとお考えになっておるか。私は大臣がおられればこの問題に対する昨日の御所見に対してうんとお尋ねしたいと思っておりましたが、このような方向に、考えはどうあろうとも言葉は昨日も答弁されております。実際問題としては、結果的にはそういうことになって予算上に現われてくる危険性がある。これに対し政務次官はどう対処されますか。これは私は非常に大事な問題であると思う。今まくらを並べて削減を受けようとしておるが、主としてこの米麦関係のものが相当やられようとしておる。そして一方においては畜産や養蚕を振興するために重点施策をやるのだということを大臣は言っておる。そうしますと、私どもが長いこと今までやってきた日本基本農業の中心である米麦産業というものは、もう奨励しなくてもいいという民主党の一つ考え方をこの農政基本方針にされるのかというような疑念すらも持たざるを得ません。こういう考え方を推し進めていきますと、これは大蔵省の財政上の圧縮をたてにして、事実農林省の中核に立っておる河野農政の性格は、先般私が衆議院の本会議で解散当日申しましたように、生産から流通過程への農業施策に転換をさせられるような危険なしとしない、こういうことを農林委員会は見のがすわけには私は参らないと思う。このままの姿でいくならば、次官は非常な苦況に立たれると思う。これをどういうふうに食いとめられ、あやまちを犯さざるために私どもと長い間やって参りました吉川さんが御奮闘になるか私は非常に期待しておるものでありますが、この点大臣でありませんから御所信かなければいたし方ありませんが、ほんとうに大事な問題として御答弁をいただけれは幸いと思いますし、またこれは委員長一つ申し上げたい。これは全委員にもお諮りいたたいて、昨日、本日中に取り上げられた農業課税の問題あるいは年度的にずっと行われて来た補助助成、たとえば米麦の採種の助成あるいは保温折衷の健苗育成費というような特定なものを取り上げて本委員会の決議とし、少くとも三十年度の総括予算の編成に対してわれわれ委員会の意思を明らかにして、政府に反省を求めるような措置をとらなければならないと私は思うのであります。ただ質問のしつぱなしでは意味をなさないと思いますので、その点についてもお諮りをいただいて、この改良局所管の若干の問題のみに限定せずして、委員会の総意をまとめて政府に反省を求めるという委員会の態度をとられるように、お諮りをいただきたいと思うが、いかがでありましょう。
  118. 綱島正興

    綱島委員長 委員長意見はけっこうだと存じます。
  119. 吉川久衛

    吉川政府委員 河野農林大臣が昨日どのようにお答えいたしましたか、私不在しておりましたのでつまびらかにいたしておりませんが、日本農政に対する基本的な考え方は、足鹿さんのお考え方に私は同感でございます。総合食糧の確保と申しますか、自給度を高める、そして海外に依存するということはできるだけ避けるように努力をすることが、わが国農政の根幹でなければならないと考えております。先ほども申し上げたように、大蔵省の考え方に私ども考え方と認識の点においてある程度の相違点がございます。従いまして農林大臣がどういうようにお答えになったか知りませんが、一つのワクの中でやり繰りをしなければならないような場合があるかもしれませんけれども、しかしそのワクをきめるについては、十分財務当局とも話し合いましてできるだけ大きなワクを取って、その中での操作ということに努力すべきではないか、このように考えますから御了承をお願いします。
  120. 芳賀貢

    ○芳賀委員 足鹿委員の質問に関連いたしまして吉川次官に健苗育成の問題点をただしたいと思います。ただいま吉川次官は、農林当局大蔵当局の間における健苗育成の補助金の問題に対して認識の相違があるというようなことを発言されましたが、その健苗の普及促進の法律案は昨年十二月に成立した。当時吉川さんも農林委員としてたまたま大蔵省の鈴木主計官に対して、モーニングで威儀を正して認識を与えるために努力をされたから、法律の精神は次官は一番御承知だと思います。これはただ単に漫然たる普及というような抽象的な意義を持って居いるのではなくて、寒冷単作地帯あるいは高嶺地の水稲栽培の上において、生産性の低い、しかも農家の経済状態というものの不安定な、そういう地域の中においては、かかる保護施設をどうしても設けなければならないというところに、健苗育成の法律の精神があるというふうに考えているわけであります。ですからかかる地域については当時の附帯決議の通り年次計画を具体的に立てまして、少くとも五カ年の間は毎年度二千万坪以上の計画の線に沿ってこれが実施せられるように財政的な裏づけが当然必要になってくるわけです。ですからこれに対して、大蔵省がこの法律に対する認識を欠除しているという場合には、当然これは農林省当局責任においてこの建苗育成の法律の精神を十分認識させる、認識すれは当然財政的な配慮が行われるというふうに考えているわけでありますが、基本的にはどういう点がこの認識の相違であるかということを、もう少し具体的にご説明を願いたいと思う。
  121. 吉川久衛

    吉川政府委員 大蔵省で言われていることは、これは奨励的な性格を持ったものである。教育的なものであるという考えなのです。従って三年、五年やっているところは、もう明らかにその効果のあることがはっきりしてきたのだ。今例をとるとどうかと思いますが、ある比較的民度が高いといいますか、いろいろ交通、文化等の関係で、比較的農業理解を持っている人たちの多い地方には、もうこれ以上奨励的な措置はとらなくても、みずからやるであろう。だからそういうところを除外して、その他の方面にもっとこれを普及して行かなければならない。従って助成の対象となる地区について、相当われわれと見解の相違があるわけであります。しかし日本の農民の現状からいたしますと、少くとも呼び水程度のものがなければ、乗ってこないという、まことに残念でございますが、まだそういう現況であります。従ってここ数年間はこの施設を継続しなければならないというのが、この法律の制定の趣旨であったと記憶をいたしております。そこで大蔵省にそれらの点を今るる話し合いをして、認識を改めてもらうような努力をいたしているわけでございます。農林省としてはこれはもうやることははっきりきめております。ただ残っている問題は、大蔵省との額の問題、それから助成地区の問題、そういったことが問題となって残っているのでありますが、やることにおいてはあの法の精神通りにこれを実施したい、こういうことにきめておりますから、さように御承知を順いたいと思います。
  122. 芳賀貢

    ○芳賀委員 実施することは、当然これは政府責任でもあり義務なんです。法律が現存しているのであるから、これをやらぬとか、法律にたてつくというような態度は、これは民主党内閣においてもとられないと私は考えておる。ただ問題は、吉川さんも御承知通り、こういうような地域は生産性が低いのです。生産性が低いということは、結局コストが高いということになるのです。特に一般の地域よりも異なった、保温折衷だとか、温床苗しろとか、そういう施設をしてもなお、非常に条件の恵まれた地帯よりも生産が低いということになる。これは当然コスト高なんです。ですから民主党の一枚看板であるところの生産費を引き下げるという場合においても、生産資材の価格を下げるということも二つの方法であるけれども、単位生産量を上げるということが、むしろ根本的には生産費の引き下げになると私は考えておるわけでございます。そういうような大きな使命を持っておりますので、消極的に、ただモデル的に教育的にやってみせて、いいことがわかるという程度の普及促進ではないのです。経済力の非常に貧困な農家の場合には、やりたいと思ってもやれないのです。これはあなたの強調された点なんです。ですから呼び水を向けるということによって熱意をもってやられるなら、相当な年月まだ普及の段階という形で、これは強力に進めて行かなければならぬというのが健苗育成の法律を作ったときの本旨なんです。ですから、吉川さんの在任中はあくまでもこの法律を守るという立場の上に立って、これは政治的なあれをかけて、大蔵省に対してこれ一つでもあなたがうまくやれば大したもの、です。これはなまやさしい問題でない。法律ができて実施される当初年ですから、この既成事実を作る場合においては、一番重大な時期であると思いますので、これに対してはあくまでも全努力を注いでもらいたいということはもちろんでありますが、もう一つは地方においては、今吉川さんが言われたように、法律はできたけれども、果してこれをやるかやらぬかというよな不安も相当あるというふうに聞いておるわけです。そういう間違った不安感を国民に持たせることはいけないことですから、これは必ずやるのだということを宣明すると同時に、安心のできるような財政的な裏づけをぜひ実現すきだというふうに考えております。  もう一つお尋ねしたい点は、農業団体に対する助成の問題であります。聞くところによりますと、農業委員会等に対しましては、団体に対する助成という形でなくして、地方交付税交付金の形で農林委員会会等に対してその補助金を流すという、そういう構想が現内閣において持たれているというふうに聞いているわけです。これは実にゆゆしい問題であると思いますけれども農林当局においてはかかる傾向というものを察知されているかどうかという点を、次官並びに小倉局長を通じてお尋ねしたいのであります。
  123. 吉川久衛

    吉川政府委員 健苗育成施設についての考え方は、芳賀委員と全く同じ考え方をいたしております。そうして地方で心配しておられる向きもあるようでございますが、これは必ずやらなければならない、かように考えております。  それから農業委員会の問題でございますが、この経費については、当初の考え方は、市町村の農業委員会に対しては交付税で考えるという考え方であったのを、一応切り離した措置を取ってありますから、従って大蔵省はその当初の考え方に戻ろうとしている点がただいま問題になっているのではないかと思います。農林省としては大藏省とは考え方を異にいたしております。目的を明らかにしてつけた予算でなければ、その予算がその目的のために十分な効率を発揮することができないそういう考え方でございます。
  124. 芳賀貢

    ○芳賀委員 この問題は、今後の農業団体等に対する助成あるいは育成等の点に対しても非常に大きな問題であると思うわけです。とにかくどういう形であっても金が地方へ流れればいいじゃないかということでなくて、この交付税交付金という形は、これは地方財政に対する財政均衡の趣旨から出発しているのであって、農業委員会等の場合においても、当然農地問題とか、あるいは食管法に基く国の行政事務、こういうものを委任しているわけです。そういう建前からいっても、当然国の責任においての財政負担というものは、その団体に対する補助金の形で流れるのが正しいと考えているし、これは論議の余地がないと思うわけです。しかも昨年の国会におきまして、団体再編成の名のもとに、農業委員会法あるいは協同組合員法の一部を改正までしているわけですが、そういう改正を行なった後において財政的な補強工作というものが行われないということになると、これは法律だけ改めてみても何ら意義がなかったということになると思う。農業政策の点に対しましては、最近はどうも自由党内閣の場合においても、民主党内閣の場合においても座りがないと思うのです。選挙のときの宣伝は非常に逢うようなことを言っているが、いよいよ天下を、取ってみると、何も変りがない。場合によっては自由党以前の農政のような感さえも受けるわけです。ですからこれは現内閣の中においても、農林大臣はもちろんでありますが、吉川次官も農林当局もふんどしを締めて、日本農政を守る、農業を守るというような最大の努力が必要でないかと思うわけです。そういう気はしませんか。
  125. 吉川久衛

    吉川政府委員 お話のような、自由党と変りのないようなお感じを与えているとするならば、これははなはだ遺憾でございます。少くとも私が関係している限りは、そういう誤解のないように最大の努力をいたします。
  126. 足鹿覺

    足鹿委員 改良局所管の統計調査関係の方がおいでになっておりますから、野田さんに一つ伺いますが、あなたの所管の農林統計が昭和二十九年産米の予想実収高調査をめぐって、各地で問題を起しておることは御存じでありますか。
  127. 野田哲五郎

    ○野田説明員 実収高調査の結果が農家のお考えになっております数字と違いまして、いろいろわれわれの方に疑義のお尋ねがありましたことは存じております。
  128. 足鹿覺

    足鹿委員 よく御存じのようでありますが、聞くところによると、地方の各府県の出先の統計事務所長の意見を付した報告に対して、中央のあなた方が何ら考慮を払われなかった府県が相当あるやに開いておりますが、事実でありますか。
  129. 野田哲五郎

    ○野田説明員 御存じかとも思いますけれども、われわれの統計調査の方法におきましては、府県から出た材料を中央作況決定審議会で決定するというような方式をとっておりまして、府原の事務所から出た意見につきましては採用すべきものは採用し、採用できないものは棄却いたしまして決定しておる次第でございます。従いまして数府県については、地方の事務所の意見を採用できなかったところもあるかと思います。
  130. 足鹿覺

    足鹿委員 地方の府県のみならず、大体においてそういう傾向がみられる。昨年のような災害を受けた府県においては、統計の上に出てくる数字に対して実際を担当した出先の意見を総合してまとめたととるの出先事務所長の意見というものが事実においては実収に近い、真相に近いものだと思うのです。それが全然汚職されておらないところから、農業災害救済保険金の支払い金額あるいは供出の補正の問題、これに関連する米に対する各種奨励金の問題等に漸次波及して、非常に大きな問題になる。午前中も論及されたでありましょうが、例の農業所得税の基準実習高をめぐって、農家経済に致命的な打撃を与えるような事態が今来ておる。それはどこから来ておるか。みんなあなた方のやっておる農業統計関係にその基本が置かれておって、こういう重大な事態を招来しておると私は思うのです。これは改良局長にも政務次官にも特に聞いていただきたいのでありますが、私は日本農政の灯台として従来農林統計局調査部の存在を高く評価し、農民に対しても、目の先の損得でもってこのものに対する軽率な批判をすることは誤まりであると、長きにわたって協力的な立場で説得をし、この健全な発達のためにいろいろと努力して参りました。     〔綱島委員長退席、中馬委員長代理着席〕 しかるに何ぞや、昨年のごとき近来異常な災害に当って、農家のためのこの機構が農家を事実上において苦しめ、その生活なり経営を破綻の状態に陥れるような基本的な任務を果す片棒をかつぐような事態になったことを、非常に憂えるものであります。これについて一体どのように御反省になっておりますか。法律の示すところによってただやったのである。地方からでだものは信憑性がないからこれは中央作況決定審議会にかけて切り捨てたのであるというような、しゃくし定木の御答弁では済まされない重大な結果を招来している。午前中の論議で、私は農業課税問題でおそらくこの問題は出たと思う。みなその根拠はあなた方にある。こういうことで一体農業統計が本来の使命を全うすることができるでしょうか。事実国の財政的な制約あるいはいろいろな施策をおもんぱかって本来の姿が出せないようなことでは、私はこの農政の指針としての統計数字にも信憑性がないのではないかとすら言いたいのであります。去年の事例から、私どもは地方に帰りまして、あなた方は従来いろいろとわれわれに話をして聞かせて相談しておったが、どうもこの機構はおかしい、ほんとうに農民の間にはそういう大きな声が起きてきているのであります。この声は、われわれが従来からおだててそういう声を出させたのならともかく、われわれは常にあなた方の仕事に対して深い認識と理解を持って、建設的な立場から協力してきたものであります。われわれに向って農民は何と言っておりますか。そういうことに対して私は幾らでも事例をあげれば申し上げられますが、そういう事例を述べることは目的でありませんから省略いたしますが、どのよ、うに一体あなた方はこれに反省をしておられますか、当該責任者としての部場長及び政治的な立場から農林政務次官はどういうふうにお考えになるか、この点をお尋ねいたしたい。
  131. 野田哲五郎

    ○野田説明員 昨年は御存じのように非常に気象の変化のはなはだしい年でありまして、これの作況の把握につきましては私どもも努力をいたしますとともに、苦労をしたところでございます。この結果出ました数字につきまして、これが農家の考えておられます点と食い違いが出て参りましたことは、私どもも十分承知しているわけであります。これにつきまして私どもといたしましては、やはり現在とっております標本調査方法によりますのが一番実相をつかむのに適当であるという考えのもとに進めておりますが、この結果出てきました数字農家の感じと食い違うというところに非常に問題があるかと思っております。従ってこれは許されることかどうか存じませんけれども、統計といたしましては、一定の方式によります結果をそのまま出して参りますとともに、それの利用につきましてはいろいろ勘案していただきたい、かように念願しているわけであります。農家の感じとどういう点において違ったかということを反省いたしてみますると、これは県によっても違いますけれども、本年は青米が非常に多かったようであります。この青米の中で生き青と称しておりますものは、われわれの統計調査におきましては実収の中に入れるわけでありますが、農家におかれましては、検査等級が非常に下る、従って等外に落ちるというような場合も出まして、かようなものは米の中には数えられないというような御意見もあるようであります。それから一昨年におきましては、坪刈りの終了後におきまして、天候の回復によって非常にしり上りの増収を示しておりますので、一昨年の手取りの感覚と本年の手取りの感覚との比較が、私ども数字の比較と比べまして納得がいかないというようなお考えのようであります。この点ははなはだ私ども遺憾でありますけれども、大体坪刈りの時期というものは作業の順序で一定しておりますので、著しく作況が遅れるというような場合に、それを切り上げることがあるわけでございます。ことに一昨年の場合におきましては、不幸にいたしまして、さように切り上げることが収量の見積りに大きな影響があるというような点について十分理論がわかってい、なかったために、この点がかなり出て来たのではないかと思っております。従って、あれだけの災害であると言われた一昨年比べて、ことしの実収は確かに減つているににもかかわらず、統計上の数字が上るのは何たというような御意見になって現われたと思うのでございます。これにつきましては、統計といたしまして、やはり過去との関係を考慮て行くというようなことも一つの方法であるかと思いますけれども、われわれといたしましては、その年、その年に全力を尽して実相をつかんで行きたい、かように思いますので、過去との関係はあえて立ち切っていった次第でございます。  最後後に、かような点も問題になるかと思いますのは、これも御存じのように、私どもの統計は県単位の推計を中心にして設計しておるのでありますけれども、行政の諸部門に使われます場合目におきましては、町村の統計というものが要請せられるのであります。従って、県単位推計を町村に配分いたします場合において、統計上相当の誤差が出て参るのであります。その難点を避けますために、私どもといたしましては、町村別統計というのは参考資料であるというふうに申し上げておるのでありますが、事実上の要請に基いて作りますと、それがいろいろ問題を起すというような点であります。本年度の作況の決定でいろいろ問題をはらみました中には、かような問題があると私ども思っておりまして、この点、農家の方にはまことに恐縮に存じますけれども、統計としての使命から申しますと、やはり出て参りました数字数字として公表せざるを得ない、かように思っておる次第でございます。
  132. 足鹿覺

    足鹿委員 あなたの弁明的な経過を一応承わったのですが、御反省はありませんか。こういう点についてこういうやり方をしたならばそのギャップが埋まろとか、やはり反省のないのんべんだらりのことでは了承できません。来年度の農林関係の統計部門においては、米の生産調査も新しく計上せられるように聞いております。またあとでお尋ねしますが、災害補償制度の損害評価の問題をめぐってあなた方との連係が非常に密になって重要な任務を持つようになって参りますし、今のような、ただ通り一ぺんの反省だといたしますならば、私ども今後統計調査関係のあり方について、厳粛な批判の上に立って対処しなければならぬと思う。事実最終的には農民を救うことになるかもしれませんが、今の日本の農民は現実やれない。その現実をすら突き落すようなことをしておいて、いかに理想を説いて聞かしても、農民の協力なしにこの事業は私はできないと思います。あなた方は統計調査統計調査と国家の力でやっておられるように思っておりますが、統計は農民の協力を得ておやりになっていることをお気づきでありましょう。そういう農民の犠牲と奉仕によってなされ、しかも国家の経費はそれによって縮減して農民に転嫁をしておきながら、その出た結果は農民ののどを絞めるようなことに使われるのは私は遺憾に思います。統計本来の使命は、これは国費のはずでありますが、最近はその結果がいろいろ政府の財政支出の緊縮等のためにほとんど使われております。こういう行き方は統計として邪道であり、このままの姿で行きますならば、農民の反撃によってこの制度はひっくり返ると思う。非常に大事な段階に来ておりますが、来年の米の生産調査あるいは災害補償制度の損害評価との関連等を考えられて、真剣にこれらの問題を解決される用意があるかどうか、政務次官にもあわせて御答弁をお願いいたしたい。
  133. 野田哲五郎

    ○野田説明員 私どもの統計調査につきましては、各方面の御援助をいただかなければなりませんとともに、特に農家の協力なくしてできないことは十分承知しておるわけであります。従いまして、われわれといたしましては、農家現実の姿を忠実に反映させるために努力しておるのでございまして、統計の方法あるいはそれの実行上の諸問題につきまして誤りなからんことを期しておる次第でございますが、それらの点につきましても今後十分反省を加えまして、ほんとうに各界から要望されます陳述の反映ということに努めていきたいと思っております。  なお、たとえば昨年の問題でわれわれが一応工夫いたしました問題としまして、農家では縦線ぶるいをお使いになっておりますし、われわれは円ぶるいを使っております。もちろん円ぶるいの結果が縦線ぶるいよりきつく出るというような懸念もありましたので、数年来試作を続けておりました縦線ふるいの完成を待ちまして、各県の標本についてその縦線ぶるいをやって入たわけでございます。その結果は円ぶるいとほとんど同様、または縦線ぶるいがきつく出るというような結果も出ましたので、従来の方式を採用するというような検討もいたしたわけでございまして、その点は一つの事例といたしまして御了承願いたいと思います。
  134. 吉川久衛

    吉川政府委員 統計調査の重要なことは足鹿委員の御指摘通りでございます。ことに先だって足鹿委員初め災害補償制度の改正に関する委員会において中間御報告を下さいましたので、それらに基いて近く災補償制度について改正をしなければならないと考え、ただいまいろいろ検討準備中でございますが、そういう問題が中開報告通りに取り上げられて参りますと、統計調査の信頼度が高まらない限りかえっていろいろな弊害等も生れてくることが憂慮されますので、御指摘の点は十分考えまして、善処するつもりでおります。
  135. 足鹿覺

    足鹿委員 次官の減点ある御答弁でありますので、これ以上は申し上げませんが、統計調査機構の整備充実と相俟って、その性格なり任務が、農家の実際上の経済的利害に相当響くような方向におのずから進んで行きます。他に信憑性のある調査がないために、どうしてもそういうことになってくると思います。従って、端的に申しますと、たとえば中央作況決定審満会というものがあって、予想収権高の最終的な御諮問をされることになっておりますが、それはほとんど非公開で、われわれはその審議の経過を聞いたこともありません。また、昔は府県に審議会があったが、今はこれをやめて、あなた方は独裁的な立場に立っておる。こういうようなことでは、実際純粋の統計の域から相当逸脱する。将来はその傾向か強くなっていきますので、勢い、その性格なりいろいろなやり方については、もう少し公正な時によっては公開を必要とする場面も出てくるのではないかと思う。私はまだ成案がありませんが、そういう点等については、もう少し御検討になられるように、幸い次官も検討するということでありますので、これ以上は申し上げませんが、御留意を願いたいと思います。  農地局長がおいでになっておりますので、お伺いいたします。昨日委員長を通じて、提出法案の予定一党表を請求しましたが、出ておりませんのでわかりませんが、今国会には農地担保金融制度や小作料の値上げ等について、政府は提出の意図があるかどうか。またその内容等については、われわれは新聞を通じてしか知悉しておりませんか、その及ぼす影響が、重要であるだけに、われわれは十分検討する時間を持ちたいので、資料ももらいたいと思っております。小作料の値上げは政令で事足りるというふうに聞いておりますが、しかしこれは、政令で足りても、重要な問題でありますし、また農地担保金融制度は、農地銀行の構想から、農林金融公庫へ押して業務を担当せしめられるように構想がわかったようにも附いております。この大きな二つの問題について、大体どのように考えておられますか、伺いたい。
  136. 渡部伍良

    ○渡部説明員 農地担保金融の問題でありますが、これは先週の土曜日に一応私の方でまとまりました案を、農林委員会の方に郵送するように手はずしておるのであります。あるいはまだお手元に届いていないかと思いますが、ただいままでの案は、あらためてお配りすることができると思います。その内容は、ただいまお話がありましたように、第一点は自作農の農地の収得及び農地を維持していくということに眼正品を置いておる。第二点としては、農業経営の拡大改善をはかるために、農地を担保といたしまして資金を手に入れる方途を講ずる。すなわち、現在までのところ、農業金融の大宗は、農業協同組合系統機関及び農林漁業金融公庫を主としておりますが、系統機関のお金は短期融資が主になり、農林漁業金融公庫のお金は長期融資でありますけれども、共同施設に主眼を置いておりますような関係で、個人か、比較的長い中期あるいは長期の金を借りる道か非常に困難であったので、その部面を、農地の担保制度というものをある程度簡便化し、農業経営の営農計画というものと結びつけることによりまして、個人の中期、長期の金融の道をあける、こういう二点をねらっておるのであります。そのやり方といたしましては、特別の銀行あるいは特別の公庫あるいは金庫というものを作る構想でいろいろ検討いたしたのでありますが、どうしても長期かつ低利の金を必要とするという建前から、財政資金におんぶする部面が非常に大きいのでありまして、一般民間の資金をすぐそういうような方面に持って行くということも困難でありますので、財政資金、すなわち一般会計及び預金部の資金を主にしたかっこうにやる。そうしますと、現在の財政事情から申しますと、そう最初から大きい機構ではできにくいということの結論に到達しました。そうしますと、特別の金庫なり公庫を作ることはかえって経費高になりますので、スタートは、現在の農林漁業金触公庫の一部門としてスタートし、規模の拡大するにつれて、さらに金庫あるいは公庫の独立した形態に持って行くようにしたらというふうな構想でスタートしております。そのために、三十年度の予算の、要求を組みかえまして、自作農の維持及び農地の取付のために三十億、その金は、一般会計から十五億、預金部から十五億、五分五厘で十五年の年賦均等償還で貸し付けるというのと、経営資金としての分は、一般合会計から十億、資金運用部から十億、農林漁業金融公庫の資金から十一億、農中の、要すれは農林債券を発行さして収得できる二十億の金を合せ、五十億で、七分五厘ないし一割の利率で、五カ年以内の年賦均等償還の金を融通することにしたら、こういうふうに考えておるのであります。その案をもちましてただいま大蔵省と折衝いたしておるのでありまして、現在の段階ではそういう段階になっております。  小作料の問題は、これも非常にむずかしい問題かありまして、先年来それぞれの農地に相応する小作料をどうきめるべきかという調査をやっております。それが大体二十九年度末までに完了する予定でありますが、多少おくれております。それができますれば、こちらで政令による標準小作料を指定することによりまして、全国の農地にそれぞれ安当する小作料ができることになりますので、おそくともここ数ヵ月の間には、政令をもって小作料をぎめなければいかぬという段階に来ております。現在ほとんど結論に近い案まで来ておりますが、まだ最終的な案ということにはなっておりません。ここ一、二週間のうちには結論を出して、当委員会等の御意見も十分承わった上で実施することにしていぎたい、こういうふうに考えております。
  137. 足鹿覺

    足鹿委員 非常に重要な御答弁を聞いてびっくりしたわけでありますが、農地担保の金融問題並びにこの小作料の値上げ問題は、事農地改革の基本精神にも重大な影響をもたらす問題で、長い間取り上げられるべくして容易に日の目を見なかったことは御存じの通りでありますが、これが民主党内閣によって取り上げられ、しかも今開きますと、非常に具体的に、小作料のごときは近く成案を得られて政令として実施したいというがごとき事態にあることを聞いて、驚いたわけであります。委員長に申し上げますが、これは政令として実施される前には、この農地担保金融問題等あるいは小作料問題等に関連して、必ず本委員会において十分検討の時間を与えられたいということを御確約願えるし、また政府もそれを了承されるかどうかということを、まず伺っておきたいのであります。委員長並びに政府にお尋ねしておきます。
  138. 吉川久衛

    吉川政府委員 足鹿さんのおっしゃる通り、成案を得ましたら十分一つ御検討を願いたい。できますれば、その前においても、とくと私から御説明を申し上げていろいろ皆さんの御意見等も承りたい、かように考えておりますからよろしくお願いします。
  139. 足鹿覺

    足鹿委員 この小作料問題はほとんど成案ができておるようでありますので、でき得る限りこの機会にその要領だけを承りたいのでありますが、現行小作料制度は、昭和二十五年に最高小作料が五百幾らであったと思います。その後地方税制にも変化が起き、特に最近固定資産税の改正が行われてきたことから、急激にこの問題が具体化したという点もあろうと思います。一体どの程度当局としては適当な小作料たと考えおられ、また最高小作料の標準はどの程度に抑えようとしておられるか。またそのものと固定資産税等との関係はどういうふうになるか、資料がありまするならばその資料を提示せられて、あとでお聞きしてもいいのでありますが、大体今聞た範囲内でお答えのできる点をお聞きいたしたい。
  140. 渡部伍良

    ○渡部説明員 具体的な数字はもうしばらくごかんべん願いたいのでありますが、問題点は御指摘にありましたように、米価、物価、固定資産税の評価額、そのほか経済の変動に合せて、小作料を現行のままに置くことが適当でないのではないか。こういうことから検討を進めておるのであります。それらとつり合いのとれたところに持っていく。各方面の算定の基礎の資料を寄せておるのでありますが、まだ確信のあるところまで行っていないわけです。相当幅のある数字が出ておりますので、ここでかりに何円何十何銭と申し上げましても、あまり漠としておりますので、もうちょっとお待ち願いたいと思います。
  141. 足鹿覺

    足鹿委員 私は議論をするのではありませんが、政務次官に伺いたいのです。経済の変動の線に沿って最高小作料が常に動かされるというふうにも、今の御答弁を聞いておるとうかがわれるのでありますが、大体小作料を変えるということよりも、小作料を必要とするような現在の日本の農地所有関係を、農地改革の精神に沿ってなくしていくという方向の方が、基本的には努力すべき重点ではないかと私どもは思う。元来小作地というものをなくするのが農地改革の精神であったはずであります。にもかかわらず、今聞いておりますと、米価の趨勢あるいは一般経済事情あるいは固定資産税の増徴等とにらみ合せて引き合う小作料を作りたいというような趣旨にうかがわれるのでありますが、私は少し考え方が——これは議論するわけではありませんが、もっと観点を変えられて御検討になる必要をお認めにならないでしょうか。また農地金融にしてみましても、質ぐさがない農村に金融が困難であるということはよくわかりますが、農村が窮迫金融を必要とするような事態に一面農政を放置しておいて、そうしてこの出てきた結果に対して農地を担保に金融を認めてやるというような政策の行き方が民主党内閣農政の行き方であることは、すべての点から見て少しどうかと思う。本来の点について、もっと自由党と呉なった農業政策を打ち出すなら、私はまたそれ自体においてある程度意義を認めますが、自由党内閣においてすらもちゅうちょして行わなかったような反動的傾向のものを、ことさらに取り上げられようという御意図は、一体どこにあるのかと疑わざるを得ないのであります。これはいずれ日程に上ったときに伺いますが、もう少し角度を変えて、農地を担保にして金融をしなくても済むような一つ農政の転換をはかるべきであるにもかかわらず、逆に補助金を削る、奨励金は必要としないという農政を一面に強化してれきながら、一面においては借金の道を農家に与えていくというようなことは相矛盾しはしないか、こういう印象を私どもは強く持つものでありますが、これは議論になりますので、別に御答弁を必要といたしませんが、これは剣剣に政務次官等お考えになることが私は必要だと思います。どうも納得が行きません。
  142. 吉川久衛

    吉川政府委員 たいへんけっこうなお話でございますので、これから大いに御意見を伺って、さような角度からの検討も必要ではなかろうかと思いますが、この問題を特に私が数年前から取り上げて、いつもこの委員会で問題にしたことは、足鹿委員も御存じの通りでございますが、これはただいますべてのものが金融の対象になるのに、農家で持っている一番大きな財産である土地が金融の対象にならない、担保に入れられないというところに農村金融というものを不円滑にしておる大きな原因があるのではなかろうか。最近農家が経済が不如意になって、高利貸しのためにその自作農が維持できない、こういう顕著な状態が現われて来たことは十分御存じだと思います。そこで転落する農家を防いで、あくまでも農地解放の成果を維持したい。そのために私たちは自作農の維持育成のために、金を借りることを奨励するのではなくて、借りなければならないというものに格別な配慮があってしかるべきではないか、こういう考え方でございます。それで、小作農に対してはまた別途の考え方がなされてしかるべきであると考えておりますので、これらの問題についてはまた皆さんのご意見を承わって、一つ十分考えて行きたいと思っております。
  143. 足鹿覺

    足鹿委員 この点はもう議論にわたりますから省略して先に進みますが、関係局長がおいでになっておりませんりで、次官から一括して、簡潔に私もお尋ねいたしますから御答弁願いたい。先ほどの私の質問に対してお答えになったところによりますと、農業災害保償制度の改正については若干改正試案を持っておられるという御趣旨の答弁がありましたが、これは去る十二月の二十一日一私ども災害補償制度審議会の中間報告をいたしましたものに対してこの趣旨をお取り上げになって法案の準備を進めておられるのでありますかどうか。せっかくあそこにまで数年がかりで押し詰めたものが、すでに三十年度を迎える今日、解散あるいは内閣の更送等の事情のあることは承知しますが、いまだ十分その方針が明らかでないことをわれわれ遺憾に思いますが、あの中間報告を基礎とした改正案でありますかどうか。何か御構想があれば、もっと端的に御答弁願いたいと思います。
  144. 吉川久衛

    吉川政府委員 農業災害補償制度の改正問題は、実はどの程度まで改正をしたらよろしいかというようなことについて目下検討中でございますので、はっきりしたことは申し上げられませんが、足鹿委員もこの制度の改正問題については心血を注いでいろいろと御心配をいただいておりましたので、それらの尊い御努力に対しても報いなければならないと私は考えております。てれであの中間報告の線に沿うて、最終的なものではございませんが、まだいろいろの問題も残っておりますから、もっと大きな改正を必要とする場合が今後出てくると思いますけれども、とにかくあの中間報告の線を実況に移したいという考え方でただいま準備中でございます。成案を得ましたら、十分御検討を願いたいと思っております。
  145. 足鹿覺

    足鹿委員 次に畜産関係について、畜産会法制定の御意思があるごとくに一部に伝えられ、最近はまた畜産協同組合並びにその中央機関設置の行政措置に転ぜられるやの話も聞いておりますが、政府の真意は那辺にありますか、これが一点。それから過般の国会において、次官も当時委員として酪農振興法の制定に当り、相当大幅の修正をして、これがわが国酪農に寄与するためいろいろお互いに微力をささげたのでありますが、その後審議会は、昨年九月の予算の見通しが大体つけばやるといっておりながら、今日までこれだけの重要問題をかかえながら一回の審議会も開かれておらない。また法の示すところによってあっせんの申請を府県知事に出しても、府県はあっせんの委員会もほとんど開いておらない。また委員会を開いてもほとんど何らの具体的解決も見ておらないという実情だと聞いております。また農林省は取引の改善の勧告をすることになっておったにもかかわらず、何らその調査もいまだ行なっておらない。酪農振興法の精神は決してジャージーを入れ、集団酪農地域を設定するということだけに限定されたものでないことは御存じの通りでありますが、これだけ酪農問題が深刻化しておる今日、酪農振興法の基本法があるにもかかわらず、その審議会すら一回も開かぬということは、政府の怠慢のいたすところではないかと私は断せざるを得ない。一体いかようにこの問題に対処される御所存であるか、伺いたい。
  146. 吉川久衛

    吉川政府委員 畜産団体の問題については巷間いろいろ伝えられておるやに伺いますが、これは私は就任早々でまだ農林大臣の意向も確かめておりませんが、私として考えますと、いろいろの同じような種類の団体が並立をしておるというような姿は好ましくないと思います。できるだけすっきりした形にして、そうして最も効率の上るような形に持っていくべきではないかというように考えておりますので、世間でいろいろ騒がれておりますようなことがすぐに取り上げられるとは私は考えておりませんから、そのように御了承を願いたいと思います。  それから酪農振興法の問題でありますが、これは政府の怠慢とおしかりでございますが、御案内の通り鳩山内閣が誕生いたしましてからすぐ社会党の皆さんから選挙管理内閣だというようにおっしゃっていただきましたし、そういうような選挙管理をやらなければならなかったような実情から、民主党内閣になってからは審議会を招集したりするようないとまのなかったこと十分御了解願えると思います。むしろこれは自由党の当時の政府の怠慢ということになるでございましょう。私たちはこの点については十分御期待に沿うように努力をするつもりでおりますから、この点も一つさように御了承を願いたいと思います。
  147. 足鹿覺

    足鹿委員 もうあとには大臣を通じなければ質疑が進行しないような大きな問題だけ残りました。すなわち米国余剰農産物に対する政府の構想、その後の経緯、当初は円取引のものがドルの長期払いに変り、あるいは商取引に変っていく、あるいは買い入れ量の削減等の問題が未解決のままになっておるように私どもは新聞で知るのみでありまして、これらの点について農相その他から聞きたかったのでありますが、本日はこれをあとへ回します。また米の集荷制度等について、予約買付制の問題等もっと具体的にただしたい点もありますが、これも本日はもう時間もありませんし、省略をいたします。ただ肥料の値下げをうたい、米の予約制を考えております政府が、国会の解散によって米価審議会の構成にも一時ストップと変化が起きておりますし、肥料審議会にも同様の事態が出ておりますが、これはいかようにして新事態に即応するような委員の補欠を行い、すみやかに生産費、米価問題を軌道に乗せ、あるいは肥料問題等の審議を軌道に乗せられるような御準備が出ておりますか。この点政務次官にお伺いをいたしまして、あとは余剰農産物あるいは血管側度の問題、その他市婆な問題は後日に留保いたしたいと思います。  以上の肥料審議会と米価審議会の委員等の板材等につきまして御答弁をお願いいたしまして、私の今日の質疑を打ち切ります。
  148. 吉川久衛

    吉川政府委員 ただいまの各種審議全等の委員の構成につきましては、御案内の通り、総選挙によって落選をされた方もございます。そんなような関係で、各党に中入れをしましてその補充をし、整備をいたしまして、できろだけ早い機会に御期待に沿うようにいたしたいと思っております。
  149. 中馬辰猪

    ○中馬委員長代理 本日はこれにて散会いたします。     午後四時三十一分散会