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1955-05-26 第22回国会 衆議院 内閣委員会商工委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年五月二十六日(木曜日)     午前十時三十三分開議  出席委員   内閣委員会    委員長 宮澤胤勇君    理事 高橋 禎一君 理事 辻  政信君    理事 江崎 真澄君 理事 森 三樹二君    理事 田原 春次君       長井  源君    保科善四郎君       粟山  博君    山本 正一君       大坪 保雄君    小金 義照君       田中 正巳君    田村  元君       石橋 政嗣君    下川儀太郎君       渡辺 惣蔵君    鈴木 義男君   商工委員会    理事 長谷川四郎君 理事 内田 常雄君    理事 永井勝次郎君 理事 中崎  敏君       阿左美廣治君    秋田 大助君       小笠 公韶君    齋藤 憲三君       笹本 一雄君    鈴木周次郎君       野田 武夫君    加藤 精三君       鹿野 彦吉君    神田  博君       小平 久雄君    南  好雄君       加藤 清二君    片島  港君       櫻井 奎夫君    伊藤卯四郎君       松平 忠久君  出席国務大臣         国 務 大 臣 高碕達之助君  出席政府委員         経済審議政務次         官       田中 龍夫君         経済審議庁次長 石原 武夫君         総理府事務官         (経済審議庁総         務部長)    酒井 俊彦君  委員外出席者         総理府事務官         (経済審議庁総         務部企画課長) 川瀬 健治君         内閣委員会専門         員       龜卦川 浩君         内閣委員会専門         員       小關 紹夫君         内閣委員会専門         員       安倍 三郎君         内閣委員会専門         員       遠山信一郎君         商工委員会専門         員       谷崎  明君         商工委員会専門         員       越田 清七君         商工委員会専門         員       円地与四松君         商工委員会専門         員       菅田清治郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  経済審議庁設置法の一部を改正する法律案内閣  提出第三九号)     —————————————     〔宮澤内閣委員長委員長席に着く〕
  2. 宮澤胤勇

    宮澤委員長 これより内閣委員会商工委員会連合審査会を開会いたします。  私が議案の付託を受けました内閣委員会委員長でございますので、先例により本連合審査会委員長の職務を行います。  経済審議庁設置法の一部を改正する法律案議題とし、政府より提案理由説明を求めます。高碕国務大臣
  3. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 ただいま議題となりました経済審議庁設置法の一部を改正する法律案について、提案理由内容概略を御説明申し上げます。  御承知のごとく、政府は、さきにわが国の経済自立を達成し、完全雇用実現をはかることを目的として経済六カ年計画の構想を策定したのでありますが、今後この計画を強力に推進し、その実現を確保するためには、これらの事務所掌します経済審議庁機構を整備いたしますとともに、その権限に所要の改正を加えることが必要であると認められますので、ここに、この法律案提出いたした次第であります。ただ、今回の改正に当りましては、機構権限改正は、長期経済計画推進上、さしあたり必要な最小限の改正にとどめ、また、機構改正に伴う職員配置につきましても、行政の簡素、強力化の見地から部内の配置転換等によって、これを処理することとし、新規事務を伴う原子力関係におきまして若干の増員を行いますほか、定員増加は行わず、従いまして部長増員に伴い審議官定員を一名、室の新設に伴い調査官の定員を二名減じたのであります。  次に改正法主要内容について御説明申し上げます。  改正の第一は、審議庁任務権限改正であります。すなわち第三条で審議庁任務に「長期経済計画推進」を加え、単に長期経済計画策定することのみでなく、積極的にその推進をはかることを審議庁基本的任務としたわけであります。これに伴いまして第四条において審議庁権限として、長期経済計画策定と、その計画に関する関係行政機関事務総合調整を規定いたしました。これによって、審議庁は、長期経済計画の観点から関係各省政策ないし計画調整をはかり、政府の諸施策の総合性計画性を保持し、長期経済計画の実施を強力に推進して参る所存であります。しかしてこの総合調整のための手段として第十一条におきまして、審議庁長官は、長期経済計画策定および推進のため必要があるときは、関係行政機関の長に対して、必要な資料提出および説明を求めることができることとし、また、長期経済計画推進のためには、重要な政策および計画立案について関係行政機関の長に必要な勧告をなし得ることとした次第であります。  改正の第二点は、内部部局の整備であります。すなわち、長期経済計画策定及び推進に関する事務重要性にかんがみまして、今後計画部事務分量は、かなり増大して参り、ことに、これに関する関係各省事務総合調整に当ります幹部職員事務は膨大なものに上ることとなりますので、現在の計画部から国土総合開発関係を分離して開発部を設け、専任部長を置き、計画部長は、長期経済計画及び原子力関係等に専念させることとした次第であります。  なお、この機会に従来の総務部長官官房に改め、官房長を置くことといたしました。  改正の第三点は、各部間における所掌事務調整であります。  国際経済協力に関する事務は、現在は、調整部所掌となっていますが、その事務内容から考えまして、その所掌長官官房に移すことといたしました。  また、原子力に関する事務は、その重要性事務分量の増大に伴い、これを計画部所掌事務として明記することとしたのでありまして、新たに、原子力室を設けてこれが処理に当らせるつもりであります。  なお、以上の改正によって、経済審議庁基本的性格が変更されるものとは考えていないのでありますが、審議庁の現在行なっております事務内容から考えても、審議庁という名称が、必ずしも適当でなく、今後企画官庁としての性格が濃厚になってくると考えられますので、この際名称経済企画庁と改めたのであります。  以上が、経済審議庁設置法の一部を改正する法律案提案理由並びに内容概略であります。何とぞ御審議の上御賛成いただきますようお願い申し上げます。
  4. 宮澤胤勇

    宮澤委員長 これより質疑を行います。通告がありますので、順次これを許します。永井勝次郎君。
  5. 永井勝次郎

    永井委員 ただいまの大臣提案説明に対して若干の質疑をいたしたいと思います。ただいま承わりますと、この法案の改正要点は基本的な任務長期経済計画推進ということが加わった。それからそれに伴って、長期計画策定する、その計画に関する内閣行政機関事務総合調整を行う。この総合調整手段として、関係行政機関の長に対して、必要な資料提出説明を求める。さらに重要な政策計画立案について、関係行政機関の長に必要なる勧告をすることができる。こういうことが改正要点である。これを行うために、計画部二つにわけて、計画部国土総合開発部、こういうものに分けた。そして看板経済企画庁とする。こういうのですが、今この内閣が発足しようとしている経済長期六カ年計画策定し、これを産業経済及び文化その他各般にわたる国民活動の上において、過不足なくこれを調整して、計画通りこれを発展させるということが、こういう改正だけによって可能であるのかどうか。可能であるとすれば、従来どういう点が欠けていたから、この点をこういうふうに直すことによって、こういうようなことができるのだという、現在の行政の実情に対する、行政機構及び行政活動に対する分析と、それに対するこの改正により対処して行く方法というものを、一つお示しを願いたいと思います。
  6. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 経済六カ年計画は、いつも説明いたします通りに、六年後の日本の人口の増加に対して、これをできるだけ完全雇用して、経済自立計画を立てて、日本経済の歩むべき道の目標を示す。そして経済計画性を持たすということが、ただいま政府考えておることでございまして、統制経済とか、あるいは計画経済をすぐに実行するという意味ではないのであります。従って現在の状態におきましても、よく各省との間の連絡をとって参りますと、計画遂行上困るというほどでもないのでありますが、ただいま実際の力から申しますと、何ら各省から資料提出せしめるだけの法律上の根拠もありませんし、また自分たちが立てたものについて、各省に対して勧告することも、現在の状態ではできない状態でありますから、これを幾らか力をつけるという意味におきまして、ここにこの改正をお願い申し上げたようなわけであります。従って、ただいまの経済審議庁が要求いたします材料等につきまして、もし各官庁が出さなかった場合には、今のところは話合いでやっておりますけれども、これに幾らか権限をもって提出せしめる、あるいは根本方針についてよく勧告をする、こういうふうなことを今度規定していただきたい、こういう所存でございます。
  7. 永井勝次郎

    永井委員 大臣は、現在の行政機構なり、運営がある程度完全な形で運営されておる、別に支障はない、だがしかし、六カ年計画を強力に推進するために資料提出を求める、あるいは勧告をする、この程度で十分だ、こういうお話でした。それならば、今の行政におけるところのセクショナリズムに対して、大臣はどのように現実を把握されておるか。セクショナリズムがあるのかないのか。大臣の話では、もうセクショナリズムはないのだ、これでけっこうなんだというお話でありますが、われわれはもっと違った角度から、現在の行政組織なり、あるいは行政運営実態から、いろいろな批判を持っているのですが、大臣は現在の行政機関の間におけるセクショナリズムをどういうふうに分析し、把握されておるか、これを一つはっきりと伺っておきたいと思います。
  8. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 私は最近に政治家になったものだから、しっかりわかりませんが、大体から、私はセクショナリズムはあると存じております。このセクショナリズムを打開することは必要だと存じております。ただいままで運営されました上におきましては、そう大きなセクショナリズムはないと存じております。これは従前からの長い間のなにを見ますと、相当あるものかと思っておりますが、今私がやっております仕事については、現在は非常にセクショナリズムで困っておるということには考えておりません。
  9. 永井勝次郎

    永井委員 現在大臣策定された六カ年計画を進めていく上にセクショナリズムをそう感じないということは、この六カ年計画が単なる作文であって、実態から浮いている。こんなものは毒にも薬にもならないから、実際各行政官庁の間で問題にしていない。だからまだセクショナリズムというようなものも、実際に動いていく上の現実摩擦が出て来ない。そういうふうに大臣が甘く見て、こんな架空なもの、おとぎ話のようなものを出して、これでセクショナリズムはまだ出て来ないから、この程度改正でいいんだというふうに現在の官庁セクショナリズムを押えて、そういう把握の仕方をもって出発すると、そういう根本認識から改めていかなければならぬと思いますが、大臣資料を出させる、あるいは勧告をする、この程度によって——今後六カ年計画ほんとうにやろうとするならば、行政権の限界というものはありますから、行政権がそんなに強力に動かないとしても、実際の民間活動が合理的な活動ほんとうにやるならば、いろいろな点で画期的な一つ方向が動いて来なければならないし、その過程においてはいろいろ困難な事態に当面する。そういうときに、少くもこの計画を出しておいてその方向に持っていきながら、摩擦はお前らのところで適当にやっていけ、こういうことではいけない。そういう障害を突き破らなければならない。その裏づけになるのは行政の実際の公正な運営だと思いますが、現在の摩擦がないという状態が、今後もこの通り摩擦なしにいけるというふうに非常に甘く考えられているのか。また六カ年計画という日本経済自立計画の基本的な大きな問題と取っ組んでいくときに、一体そんな甘い考え策定の主管をなされているのか。この点大臣認識を明確にしていただきたい。
  10. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 お答え申し上げます。ただいまの御意見はごもっともでありまして、何にも仕事をしなければ摩擦は起らない、これでよかろうということになりましょうが、逐次これから自分たちの主張を通していくということになれば、相当セクショナリズムがあって摩擦が起るものと存じます。従いまして逐次われわれの行い得る仕事に力を持たす、こういう意味で今度の改正をお願いしたような次第であります。
  11. 永井勝次郎

    永井委員 そこでそういうことが予定されるならば、一体資料提出させる、勧告するということだけで現在の各官庁間におけるセクショナリズムを突破していけるとお考えであるか。それをまず前提条件として承わりたい。
  12. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 ただいま私ども考えております範囲においては、これで実行できると存じております。
  13. 永井勝次郎

    永井委員 それならば、たとえば石炭鉱業合理化が強力に進められておる、合理化のためには、五カ年なら五カ年の長期計画、これに四百億の財政投資をして、縦坑方式にして増産計画を立てていく、こういたします。中小炭鉱を買いつぶして生産を落すのでありますから、当面はいいかもしれませんが、合理化が進んでいくならば、大企業を中心にした炭鉱生産というものがどんどん上ってくる。現在の四千百万トンなら四千百万トンというような数字でいくならば、これは摩擦なくいくでありましょうが、これが四千八百万トンも生産できる、あるいは五千万トンも生産ができる、こういうことになった場合の油との競合関係をどうするか。生産はこちらの方で合理化が進んでいくが、もし消費の面で、消費生産に比例して起ってこないということになれば、ここに貯炭が起る、操短が起る。合理化ということは、石炭コスト引き下げということがねらいでなければならぬ。ところが施設はした、投資は固定したが、生産能力の七割なり六割程度操短をしなければならない、こういうことになれば、コスト引き下げどころではなくて、コストの引き上げになる。そういう場合、油との競合関係を一体国内においてどう調整していくかという一つの問題を取り上げましても、また電力のこれからの開発関係考えましても、たとえばこれら三つの燃料というエネルギー源の問題を取り上げまして、これを総合調整するという場合、単に資料提出させるのだ、勧告するのだというだけで、この間の調整摩擦なく、あるいは経済的に非常な悪影響を起さないで、あるいは競合というような形を通さないで、スムーズにそういうことをやっていけるという自信がおありでありますか。企画庁という看板看板を塗りかえただけで、そういうことが企画通りに進むとお考えでありますかどうか。
  14. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 企画通りに進むように各庁ともよく相談をし合いまして、それに持っていくように進めたいと存じております。
  15. 永井勝次郎

    永井委員 大臣のやりたいという主観的な気持はわかるのです。やるためには、手段方法システムが必要です。現在ここではシステムの問題を考えているわけです。こういうシステムでいいのかどうかということなんです。計画は立てる。しかし予算の面は大蔵省が握っていて、これをぶった切っていく、こういうちぐはぐな現在の行政機構の中で、高碕大臣がどのくらい高邁にして卓抜な手腕力量を持っておられるか、また超人的な能力を持っておられるか知らぬが、こういう組織の上に立ってそういうことがやっていけるかどうか。主観的な問題じゃないのです。客観的にこういう組織でこういうようにやれるかどうか、システムの問題を聞いているのです。
  16. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 そのときやってみなければわかりませんが、今現在では何も手がないのです。何にもないのだから、せめてこれだけのものでも力をつけてもらって、一応これで実験してみて、できなかったときにはできなかったときで考えましょう。できるだけこれでやってみたいと思う。私はこれで相当やれるという考えを持っております。
  17. 永井勝次郎

    永井委員 それでは計画の樹立と、これに対する予算編成権というもの、予算というものとの表裏一体の関係を具体的にどういうふうに調整されていくか。現在の組織の中でそれが可能であるとするならば、可能であるという合理的な説明を、行政の面から明確にしていただきたい。
  18. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 計画を立てまして、それに対して資金の伴うように各省とも話をし合いまして、これを閣議決定をもって進んでいきたいと存じております。
  19. 永井勝次郎

    永井委員 それならば、たとえば大臣の一番得意とする電力の問題を考えても、ことしは百四十万キロという増産のピークに来ておる。しかも資金は三百五、六十億、それに対して三百一億程度資金裏づけよりしておらない。その足りない部分は、市中銀行その他の融資によってあっせんして、事業の進捗に支障のないようにする、こういうのでありますが、これは資金面だけの説明であります。しかし電力料金については、できるだけ安くして、豊富かつ低廉にして、長期安定料金国民に公約しておる。市中銀行の高い金利を使ってするならば、電力料金は高くなってくる。これは原価主義でありますから、高くなってくるに相違ない。そういう二つの問題において、資金の面とこれを低廉に供給するという公約と、矛盾が来ているじゃないですか。もうすでに三十年度の予算というものは、これは六カ年計画の第一年次か何かわからないが、こんなもので、夢物語のような六カ年計画で発足するわけですから、これが第一年次という踏み出しになりますならば、われわれはかえって迷惑だと思います。とにかく第一年次において、電力問題一つをとっても、資金の問題と料金の問題と、すでに矛盾が来ているじゃありませんか。もしほんとうにこの料金を安くするというこの約束を忠実に実行するつもりならば、この電力料金に関する資金計画というものはちゃんと予算の上に編成しなければならぬ。こういう関係矛盾は今後もずいぶん起ってくると思います。一つの例でありますが、ことにあなたの一番得意とする面でありますが、こういう点の矛盾が現在すでに三十年度において出ておる。そういう関係は今後しょっちゅうたくさん出てくるのですが、それを行政の面でどう措置されるのか、具体的に説明を伺いたいと思います。矛盾を起しておいてなるようにしかならないのだというならば、これはばかでもできることです。そうではなしに、ちゃんとそういう矛盾したものを調整して正当な形において実行していくのだというその点を一つ示していただきたい。
  20. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 ただいまの御質問の要旨は非常にむずかしい問題でありますが、それを調整するところに私どもの非常な努力を要する点があるのでありまして、そういうふうな問題は矛盾のあるのが当然でありまして、その矛盾をいかに調整するかということがわれわれの役だと存じております。これには十分努力いたしたいと存じております。
  21. 永井勝次郎

    永井委員 われわれは、この問題点がどこにあるかという一つのディスカッションをしておるのではなくて、現実にこの行政組織をどうするかという問題をやっておるわけでありますから、こういう改正をすればこういう矛盾をこういうふうに具体的に処理できるのだという回答がなければならぬ。非常にむずかしい問題だ、それを調整するのだというような抽象的なことならば、われわれは納得ができない。それを具体的にどう調整して、そうして行政力の脆弱さを国民に転嫁するという形ではなしに、行政の中の責任において、これが国民に転嫁されないで処理されるのか、こういうことについて具体的に電力料金の問題、資金問題等を出して大臣に尋ねておるのです。調整するのだということではだめです。それをどういうふうにしたらよいか。料金をこれだけ上げればこれだけかかるのだという資金計画がちゃんとあるのですから、それをどういうふうにしてやるのかということを聞いておるのです。
  22. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 ただいま電力だけのお話がありましたが、これはひとり電力だけではなくて全体の日本産業から考えまして、いかにすれば重点的に必要な産業に比較的安い金利のものが使えるかというふうなことを調整するのが合理化ということでありますから、それに近づくように努力いたしたいと存じます。
  23. 永井勝次郎

    永井委員 私は電力の問題、石炭の問題というように部分的の問題を言っておるのではなくて、この総合計画というものを基盤とし、それを背景にして、その中における具体的の問題について、こういう問題が出てきたときにこれをどう調整するのかということを聞いておるのですから、大臣はそれについては答弁ができないのはもっともだと思います。それでは、この予算編成権は現在のような行政組織の中の形でこれでよいとお考えであるかどうか。それから行政監督権の問題について現在のあり方でよろしいのかどうか。そして経済審議庁企画庁看板を塗りかえて今のような勧告とか資料を出させるということだけで、この大きな画期的な六カ年計画の発足に支障がないというふうにお考えかどうか。支障はあるが現在の段階ではこれ以上はできないのだというお考えなのか、これでけっこうだというのか、それを一つ伺いたいと思います。
  24. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 これでけっこうだとは私は存じておりませんが、現在の段階においては、これで進むことが一番いいことだ、こう存じておりまして提出いたした次第であります。
  25. 永井勝次郎

    永井委員 いろいろやりたいことはたくさんある。しかし自分政治力能力手一ぱいがこの程度改正よりできないのだ、こういうことならそれで了承いたします。
  26. 宮澤胤勇

  27. 松平忠久

    松平委員 政府においては、日本産業経済の六カ年計画を立てられたようでありますが、この長期計画というものは、おそらく関係各省のいろいろな資料に基いて立てられたことと思うのです。ところが今回の改正一つ理由といたしまして、もっと資料提出を容易ならしめるということが一つ改正点になっているのではないかと思います。しからばこの改正によりまして、すぐさま新しい資料提出によって、六カ年計画というものを変えていくということになるのですか、まずこの点をお伺いいたします。
  28. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 本年の一月に閣議に出しました六カ年計画というものの数字は、これにとらわれるのではなくて、各方面の御意見を聞いて、さらにこれを修正していくという考えでありますから、各庁の意見はもちろんのこと、また民間意見等もよく聞きまして、これをよく修正していきたい、こういう所存でございます。
  29. 松平忠久

    松平委員 そういたしますとこの六カ年計画というものは、きわめてずさんなものであって、今からこの法律改正によって一つ権限を持って、それで資料提出を求めて、その提出に基いた資料によって早急に六カ年計画を立て直していく、こういうことでございますか。
  30. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 立て直すというわけでありませんで、大体の骨子はできておりますが、これをめどにおいておりますから、この中に小部分数字は逐次皆さんの御意見を聞いた上において変えなければならぬ、こう存じておるわけでありまして、根本方針は変えません。
  31. 松平忠久

    松平委員 しからば一体こういう改正をいたしまして、資料提出を求めて骨子だけは変えないとおっしゃっても、かなり肉づきは変ると思うのですが、この肉づきは大体いつごろまでにお変えになるのか。今年一ぱいはそういうことをする、そういう腹案でございますか。
  32. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 この機会に、ちょっと六カ年計画を作りました根本について申し上げたいと存じております。六カ年計画を作りましたのは、コルムの方式によりまして、六年後の日本の人口がこれこれになり、その人口に対しては働く人は何人あるか。この人に対しては一時間に現在の状態においては幾らずつかせぎがあるか。現在は一時間七十五円だと思っております。ところが六年後には八十四円くらいになるだろう。八十四円という金高になりますと、その人が一時間八十四円働くのだということにして、そうして六年後の働く人たちに職を与えるには、どれくらいの生産をしたらいいかという、金の方面からずっと一つ計画を立てまして、その金に合わすためにはどれくらいの工業を起せばいいか、どういうふうな仕事をやればいいのか、こういうのが六カ年計画骨子でございます。従いまして今後これを実行に移します上においては、過去の実績、その当時における経済の実情に照し合せまして、そうして逐次毎年一つの案を立てたい、こういうわけなんでありまして、経済の趣くべき方向は示しておりますが、この実行はなるべくそのときどきに準じ、これに合うように持っていきたい、こういう所存であります。そのときにおきまして、各方面の資料なり民間の御意見も聞いて数字をきめていきたい、こういうわけでありますから、数字の方はそういうふうにきめる結果、今ここにあげておりますのは一つのひな形である。何となれば、現在これをあげております数量は、物価は現在の状態、大体横ばいから幾らか低くなっておるだろう、国際情勢はこのままずっと進んでいく、大きな変化も起らぬ、戦争も起らぬ、こういういろいろの前提をもってやっておりますが、その前提はそのときどきによっていろいろ狂うだろう。そのときには各方面の数字をもらわなければならぬ、それによって変えなければならぬ。しかしながら大体の人口の数は六年後はこうなるのだ、あるいはこれだけの目安でやっていかなければならぬ、これだけは変えないつもりでおります。
  33. 松平忠久

    松平委員 六カ年計画はこういうわけでありますが、しからば本年度の経済審議庁計画であるところの六カ年計画の第一年度、初年度におけるこの計画というものは、やはりそういうような意味の単なるひな形だ、こういうわけで早急にほんとうのものに改めていくということになるのですか。
  34. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 六年先のことはただいま申しました一つの目安を示しておりますが、三十年度はそうじゃありません。過去の実績、実情に照らして立てております。
  35. 松平忠久

    松平委員 今おっしゃるところによると、この法律改正によってもっと正確な資料というものを入手するというわけでありますか。三十年度の経済審議庁の六カ年計画の第一年度の御計画というものは、そういうことからいえばさらに法律改正によって正確なものができるはずだと思う。その点はどうですか。
  36. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 すでに三十年度は、先ほど申しました通りに、一応各省からの協力を受けて数字をもらって実行いたしております。今度三十一年、三十二年、三十三年となると、なかなか出してくれないところもあるだろうと思いまして、こういうふうにやったわけなのであります。
  37. 松平忠久

    松平委員 どうもちょっと子供だましのような御答弁で解しかねるのでありますが、本年度はもらったが、来年度になれば各省が出してくれないかもしれない、そういうわけだからこういうように法律改正する、こういうように私は受け取ったのでありますが、その点はいかがですか。
  38. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 こういうわけなのです。本年度において現状に即してやることについては、ようやく各省数字をもらってやったわけですが、現在において三年先、五年先にどうなるか、こういうことになりますと、これは御想像もつくでしょうが、なかなか出し渋る点もあることを想像いたしているわけであります。それを申し上げたわけなのであります。
  39. 松平忠久

    松平委員 その点は打ち切りますが、関係各省総合調整ということがうたわれているわけでありますけれども、現在の、今までやっておった審議庁の行き方と、今度の企画庁の行き方の総合調整には幾分受け取る方にニュアンスがあると思うのでありますが、この改正後における総合調整というのはどの程度総合調整をおやりになるのか、つまり相当強い意味総合調整に持っていこう、こういうお考えでありますか。それとも従来通りの、今までの審議庁のような方に当分はいくのだ、つまり人員の上からも将来相当経済企画庁というものは発言権をもって日本産業経済の六カ年計画推進していく、こういうおつもりに長官はなっているのか。それとも当分ずっとこの程度でいくのだというお考えですか。それとも経済企画庁権限を強化していかなければならぬというお考えですか。
  40. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 お答え申し上げます。現状のままでどうこうというわけではなくて、逐次力を持ちたいということで、それがために勧告という文句を今度入れていただいたわけであります。
  41. 松平忠久

    松平委員 国防に関して五カ年計画とか六カ年計画というものがあるように聞いておるのですが、現在の政府考えておられる国防というものと、日本経済というものは密接不可分の関係にあると思うのですが、この国防と産業六カ年計画というものとの調整というものはどこでおやりになりますか。やはり経済企画庁でおやりになるのですか。
  42. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 私ども考えております防衛というものにつきましては、従来のように仮想敵国を設けてどうこうということであっては困る。国民経済力に匹敵するだけの、経済力に応じて防衛に要する費用をきめるべきものだ、こういう前提のもとに、私どもは大体国民経済力に応じて防衛に要する費用を計上する考えでおりますが、ただいまのところまだ防衛計画というものはできていないのです。防衛計画ができますれば、それと経済六カ年計画とは相調整していきたいという所存でございます。
  43. 松平忠久

    松平委員 その場合において、防衛計画はまだできておるかできていないか私どもは知りませんけれども、しかし少くとも毎年度予算に計上されておるわけであります。従って産業との間の調整というものは必要であろうと思うのですが、その場合における調整機関というものはだれがやるのか。いかなる機関が、産業と防衛との調整を責任をもってやる機関になるかということをお尋ねしておるのです。
  44. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 私はそれは当然内閣がやるべきものであって、内閣総理大臣がやるべきものであると存じております。
  45. 松平忠久

    松平委員 その内閣の中の、いかなる部局がそれを責任をもってやるかということをお尋ねしておるのです。
  46. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 防衛計画は防衛庁長官計画を立てるべきものでありまして、経済に対する六カ年計画につきましては、審議庁長官計画を立てることに相なっております。
  47. 松平忠久

    松平委員 それはわかりますけれども、その間の調整はどの機関がやるのか。片方は防衛機関がやり、片方では経済六カ年計画が行われる、その場合の調整はきわめて重大なる問題だと思うのですが、総理大臣一人でできるわけではありませんから、どういうことをお考えになっておりますか。
  48. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 資金的の面につきましては、経済審議庁の方で計画を立てております。防衛計画というものは、これは防衛庁長官が立てるべきものであると思います。
  49. 松平忠久

    松平委員 むろんそうだと思います。防衛庁長官が立てるべきものだと思いますけれども、その防衛の費用に幾らかかるとか、あるいはそれは日本経済を圧迫するとかいう問題があると思うのでありますが、その場合において両者を調整するというのはだれがするのか。それは総理大臣だというただいまのお話でありますけれども、総理大臣一人がそれを調整するのじゃなくて、何か責任を分担するところの部局があると思うのです。事務局なり何なり、あるいは両者の間の機関——協議会なり、あるいは何か特別なものをお考えになっておるかどうか。一体どういう機関でこれを調整するのかということを聞いておるわけです。
  50. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 それはただいま申し上げた通り内閣総理大臣が責任をもって各庁の調整をやるべきものだと存じております。
  51. 松平忠久

    松平委員 その点については、この上さらに追及は申しませんが、もう一点だけ伺いたいのは、経済企画庁において計画を立てられる場合に、資金計画というものが必ずあると思うのです。その長期計画に対する資金計画と大蔵省との予算編成権との関係はどういうふうにお考えになっておりますか。つまり先ほど永井委員から御質問があったのですが、結局六カ年計画を持つべきだというような批評があって、現在の状況でまさにその通りなんですが、この計画をもっと実効あらしめるためには、予算裏づけがなければならないわけです。従って計画の当初から資金計画を織り込んだところの計画を立てられなければならぬと思うのです。その場合において、従来の経済審議庁の中における財政、金融というような部局があったわけですが、この六カ年計画なり長期計画予算裏づけと、大蔵省の予算編成権との間の関係をどういうふうにお考えになりますか、その点だけ一つ伺っておきたいと思います。
  52. 酒井俊彦

    ○酒井政府委員 ただいまの六カ年計画予算編成の問題との関連でございますが、おっしゃるように、六カ年計画におきましては、その裏づけになりますような一応の資金計画といいますか、めどがなければならぬ。しかしこれはあくまでも財政資金の大ワクと見合うべき政策の大綱が、六カ年計画に明示されまして、これが閣議決定になりまして、この六カ年計画を尊重していただいて、その方向に沿って大蔵大臣予算を編成していかなければならぬ。経済審議庁におきましてこまかい予算の査定までするということではございませんので、大体予算のあるべき姿につきましてその大綱を六カ年計画できめたい、そうして大蔵大臣にそれを尊重していただく、こういう考え方であります。
  53. 宮澤胤勇

    宮澤委員長 渡辺惣蔵君。
  54. 渡辺惣蔵

    ○渡辺(惣)委員 永井委員松平委員から適切な質問があったので、一つ部分的な質問をいたします。それは今度の経済審議庁機構改革で名称を変更したり形だけは変っても、看板の塗りかえがほとんどだと思うのですが、たった一つ特徴が出ておりますのは、原子力室というものが設けられることになるわけです。この原子力案は、もちろん濃縮ウラン受け入れを中心としてこの機構が持たれることになるわけですが、これは定員もふやさぬし人数もふやさないという前提なら、一体原子力室という名前をつけて、どういう機構をもってどの程度で何をなさるのか、一つ明確にしていただきたいと思います。
  55. 酒井俊彦

    ○酒井政府委員 このたびの改正案で改正をお願いしております原子力室でございますが、これは御承知のように、ただいま内閣原子力の平和利用準備調査会というものがあります。この準備調査会が原子力の問題につきまして、基本的にどうしようかという準備調査を行なっております。その庶務を現在のところわれわれが扱っておるわけでありまして、さしあたりそういう準備調査会の庶務ということが中心になると思いますが、この調査会におきまして、どういう方向で企画をしたらいいだろうという結論が出ました場合に、将来のそういう基本的な機構なり性格なりというものについて、過渡的にその結論を具体化していくというようなことを、この原子力室で扱いたいと思います。なお今後しからば本格的に原子力室機構がどういうふうになるかということについては、これはまた別個の問題でございまして、それに至るまでの準備過程の仕事をやっていく、そういう意味原子力室の設置をお願いしておるわけであります。
  56. 渡辺惣蔵

    ○渡辺(惣)委員 そうしますと、原子力室というのは、内閣に設けられる原子力平和利用準備調査会の単なる事務局みたいなものである、こう了解していいのですか。
  57. 酒井俊彦

    ○酒井政府委員 一面事務局の仕事をいたしますと同時に、今申し上げましたように、調査会がこういう方向で将来の原子力の管理機構なり何なりをきめるべきだというような結論が出ました場合に、たとえばそれを法制化する必要があるというような場合に、その法制化の仕事に当るというような段階までを考えておるのであります。それ以後本格的に、しからば原子力機構なり制度なりをどうするかということは、これは調査会の結論を得てからきめる、そういう考え方であります。
  58. 渡辺惣蔵

    ○渡辺(惣)委員 非常に理解できないのですが、ほかの問題では経済六カ年計画を立てたり何かする経済企画庁が、原子力に関してのみは、内閣の中にあるそういう調査会の方向にだけ依存して、経済企画庁自体が独自の立場で、この原子力に関する問題については独自の調査や企画というものが全然なし、単に内閣の調査会だけに依存していこうという考えなのかどうか。そうすると一体そういうことは経済六カ年計画その他の発展とどういう関連になってくるのか、明らかにしてもらいたいと思います。
  59. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 原子力の問題につきましては、現在におきましてはまだすべてが調査の状態でありまして、まだこれに対してはどうやるということまできめられていないわけです。現在内閣に持っております原子力受け入れ調査会というものが、現在では唯一の状態であるわけでございます。逐次これが実現化されるにつきましては、さらに機構等も考えたいと思いますけれども、ただいま調査の段階でありますから、現在の状態はこれでいいだろうと私は存じております。
  60. 渡辺惣蔵

    ○渡辺(惣)委員 しかし政府が受け入れ態度を決定すると、すぐ国内でそれに対する受け入れ体制を完備しなければ——研究所とか、あるいは原子炉とか、そういうものをどういうように調整していくか。各大学の研究室あるいは工業技術院の原子力関係があるわけです。そういう問題について、調査会だけで、こちらとしては全然まだ何も準備がないのだということになると、一体今までこれだけ国会で問題にしたのが全然ナンセンスになってくる。この点もう少し責任のある答弁を願いたいと思います。
  61. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 ようやく濃縮ウランを受け入れるための交渉に入るか入らぬかということが、つい最近、二十日の日にきめられたのでございまして、今その交渉に入っておるわけです。これと並行的に、日本の国内の受け入れ体制をどうしたらいいかということも現在は調査しているわけです。その調査の結論によって、今の御質問の点につきましては十分考えていきたいという考えでございます。
  62. 渡辺惣蔵

    ○渡辺(惣)委員 しかし高碕国務大臣にしましても、受け入れるということを既成事実にしてこの原子力室を予定して設置するわけですから、そうすると、そういう予定のプランがここに何かあるはずだと思う。政府が受け入れ後どうするかという予定のプランがあるからこそ、対米交渉でいかなる意味にしても受け入れるという腹ができておるために、しかも予定のプランを、国会では発表しておらないが、用意しておるから、原子力室をここに設置するということになるのだと思う。何も用意をしておらないで、受け入れるか受け入れぬかわからぬという意味じゃないだろうと思うのです。受け入れるという態度ができておりながら、その受け入れる体制を準備しているのに、その準備のプランが明らかにされないということはおかしいんじゃないかと思う。もう少しざっくばらんに話をしていただきたい。
  63. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 ただいまどういうふうな受け入れ体制をつくるかということを研究しているわけでございまして、その研究の過程でいろいろ申し上げると誤解があると思いますけれども、大体私どもの構想は、政府なり民間なりが共同してこの研究機関を持ち得るように、こういうふうな機構にやっていきたい、こういうふうなことの原則のもとに、今どういうふうにやるかということを研究しているようなわけであります。同時に並行的に、濃縮ウランというものを受け入れるについては何か条件があるだろうか、ないだろうかというようなことも交渉中でありまして、それが実行に移るようになるまでに十分結論を出したい、こういうことを研究中でございます。
  64. 渡辺惣蔵

    ○渡辺(惣)委員 政府予算委員会の席上でも、内閣にある原子力平和利用準備調査会の事務経済審議庁でやっている、こういう話が出ておりました。一体そうすると、その程度のことなら、ここで原子力室というものを設ける必要があるのかどうかということです。従来でもそういう政治折衝の過程においては、経済審議庁のどこかの部局がその事務を担当しておった、こういうのですから、そうすると、今大臣の言われるようなあやふやな話で、法律によって原子力室と称する機構をここに打ち出すような、そういう段階なのかどうか、どうもその辺がスカッとしないのです。非常にあいまいとしており、現実には経済企画庁原子力室というものを法律によって規定しようとしておりながら、ちっとも内容がはっきりしないというのは、これはかりにここで削られてもどうもならないことなんですね。その点をもう少しはっきりしていただきたい。
  65. 田中龍夫

    田中(龍)政府委員 ただいまでも、御案内の通り予算がついているような状態でございまして、今日までは原子力の交渉等につきます庶務事項をいろいろ担当して参りましたが、さらに受け入れ体制をどうするか、さらにまた原子力の今後のあり方をどうするかというようなことの基本的な研究なり、さらにまた体制を整備いたしますためにも、原子力室という一つのものを設けまして、その機関がこれを担当するということの方が、責任が明確化する次第でございまして、そういう意味におきましてこの原子力室の設置を提案いたした次第であります。
  66. 渡辺惣蔵

    ○渡辺(惣)委員 そうしますと、話がこまかくなりますが、この原子力室というのはどの程度の規模の機構を作られんとするのか、それを一つ参考までに聞かしていただきたい。
  67. 田中龍夫

    田中(龍)政府委員 お答えいたします。ただいま予定いたしておりますのは、審議庁全体の定員もほぼ現行通りにいたしたいと存じますが、原子力室に従事いたしますものは、長以下六名を予定いたしております。
  68. 渡辺惣蔵

    ○渡辺(惣)委員 その六名程度で何かできるのですか。
  69. 田中龍夫

    田中(龍)政府委員 これはただいま申しますように、その庶務的な事項なり、あるいはまた基本的な問題を取り扱いまして、さらに原子力全体の体制なり何なりはいかにすべきかということも目下検討中でございますので、現在の原子力受け入れ等についての基本的な諸般の事務ならば、この程度でもってできると考えております。
  70. 植原悦二郎

    ○植原委員長 田原春次君。
  71. 田原春次

    ○田原委員 高碕国務大臣が就任した後に、新聞に談話が出たことを記憶するのでありますが、経済審議庁予算編成権を大蔵省から持ってきたいという話があった。その後、今度は経済企画庁を設置するということであらわれたのですが、一体経済だけの企画ということはどうかという問題です。従って、大蔵省との間に主計局を、現在の経済審議庁、これからの経済企画庁に移すという交渉をしたことがあるかどうか、そうして拒絶されたのか、そのために、しかしながら計画もしたいから名前だけを変えていこうというのか、この経過を聞かしてもらいたい。
  72. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 この経済審議庁のあり方について私が申し上げたことは、ときどき新聞記者がこれを曲解して書いておる。予算の査定権だとか、大蔵省がやる仕事を全部審議庁に持ってくる、こういうふうに誤まり伝えられたことがあります。私は国家の計画経済計画は大体この審議庁でもってやっていきたい、その計画に沿うように大蔵大臣勧告いたしまして、予算を作るということは現在の大蔵省がやっていって差しつかえない、こう存じております。
  73. 田原春次

    ○田原委員 計画の場合も、経済だけに特に限定する理由いかんということをお教えいただきたい。たとえば教育その他直接にはいわゆる経済計画でないにしても、国全体としてはそうでなければならぬ。しかるに経済計画だけを経済企画庁でやり、その他のものは各省にまかせておくということになるが、なぜそういう経済以外の総合国策の計画に関与しなかったのかということを伺っておきたいと思います。
  74. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 お説のごとく一国の経済ほんとうに動かしていくためには、各方面のことを考慮に入れてやっていかなければならぬということは当然であります。これを経済面から見てその目途を立てるという意味からいたしまして、経済の方を担当していきたいと存じておるわけであります。
  75. 田原春次

    ○田原委員 今回の設置法一部改正法律案理由の中にも、たとえばさしあたり必要な最小限度ということがうたってあるのです。経済審議庁の今までの経過を見ますと、第一は経済安定本部として発足し、次いで経済審議庁となり、今回経済企画庁ということに変るわけであります。この三段階を経てそれぞれ多少の特色あるいは内容の変更等を伴うものならば、さしあたって必要最小限度の改正にとどめるのでなく、むしろ基本的には経済という言葉を抜いて企画庁として考え、あくまで予算の査定権というよりも編成権を持って、そして一部には長期経済計画もよかろう、一部には経済——直接には狭義の意味経済ではないが、全体の国の運命をきめる企画庁仕事をやる。従って各省にまたがるところの実施するに際しての心要な予算編成権を持ってくる。そうして六年の長期にわたって少くともやるというのならば、文章だけを作ってあとは勧告しようという程度では、各省がこれを実行しなければ何にもならぬ。またこの内閣といえども大体特別国会でやめるのではないかといううわさが立っておるし、長く見ても来年三月ごろだろうといわれておる。これは皮肉で言うわけでも何でもない。従って六年の計画を立てるには、せっかく経済審議庁企画庁になるからには、そこにどの内閣になってもやれるような長期計画をしなければならぬ。そうしますとこれは経済という言葉を抜いて企画庁とし、あくまでも予算編成権を持ってこなければならぬと思うのですが、そういう交渉をしたかどうかということを私は聞いておるのであります。それがなくて、たださしあたりやるという程度ならばさしあたりやらなくてもいいわけですし、経済審議庁の現機構をもってしても努力すればできるわけです。やるならば抜本的に、総合的にやらなければならぬ。それがこの辺でとどまったのはやはり大蔵官僚との対立、あるいは閣内において高碕長官は、世間では相当重要な発言ができると見られているにかかわらず、存外できなくて小さくなっておるのかどうか、そういう点をざっくばらんに話してもらいたいと思うのです。
  76. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 ただいまお話のような意見も十分あると私は尊重して承わっております。少くとも経済に関する限りにおきましては、六年計画のごときは外交政策と同様に超党派であって、国家全体の進むべき計画というものは、あるいは民主党、自由党、社会党ということでなく、それはそれで立てていくことがほんとうだと思う。そういうふうな計画を樹立するということは、まず私は最初これを立ててみたい、こういう感じでございますが、これの実行にあたりましては、ただいまのようなお説もございますが、経済のことはそう一ぺんに右から左に変えるということは、綿入れからひとえ物に飛ぶとかぜを引くように、逐次やるべきものだと存じておりまして、今お話しのごときことにつきましては、私はまだ大蔵大臣とも、また閣僚とも折衝したことはございません。私は経済に関するこういうふうな機構をいじることは逐次やっていくように、こういう所念でございまして、今回の改正をお願い申し上げたわけでございます。
  77. 田原春次

    ○田原委員 内閣委員会各省設置法改正案がかかっております。現在約四省くらいかかっておりますが、特に経済審議庁設置法の一部改正法律案商工委員会内閣委員会と連合審査したということは、相当重要に考えたからであるということを御留意願いたい。われわれは案の内容を見て、日本の運命をきめる企画庁を作るのならばこういうちゃちな、この程度のものではいかぬではないかというのであって、もっと強力なものを作ったらどうか、その意味から言っておるのです。従ってもしこれが経済という二字を削って企画庁とするというような修正、もしくは内容において各省予算の編成査定権を持つというような修正等が出た場合に、応ずるかどうか、その意味があるから私は聞いておるのであります。あくまで平面的な一部最小限度の改正を当面はやっておいて、だんだん強力にするというよりは、抜本的な意味で、——これから先の審議の状況にもよると思いますが、これを聞いておるわけです。どうですか、その点についてどういう変化が来るか、このままではわかりませんというのでは、せっかくの熱意を持ってみな聞いているのだから、あなたも政治家として一年生なんです、実業家としては相当企画性を持っておると世間では言っておるが、あなたは落第すると思う。伴食大臣にすぎない。やるなら内閣を震駭するだけの大きな——つまり企画院が企画庁となっておるのは戦前からですよ。私も戦前の議員であったが、どうしても大蔵省の予算編成権というものがとり得ない。これは大蔵官僚の反撃によって抵抗できないのだ。高碕さんがやっていて何もしないのならばいい。経済審議庁でこのままいくというのならばよろしい。いやしくも変えるというのならばこの辺で大きくやったらどうかと思うので聞いておるのですが、その決意がないならこれはしようがない。あなたはこの程度のさしあたりの、ほんとうにただあっちのものをこっちに移すというワクの整理のことしかできないのか。今渡邊委員から聞いておる通り原子力室なんというものは考え方によれば大きな問題だ。ただ六人ぐらいで、おそらく二十人くらいのものを出しておるのではないか、それを大蔵省の主計局から削られて、幾らでもいいから出してくれということで負けておる。大蔵省と一戦を交えてでも日本の総合企画庁を立てるというような考えはないかということを聞いておるので、あなたの抱負を聞かせてもらいたい。
  78. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 現在のところにおきましては、私はこれで進むことが一番いいと存じております。
  79. 宮澤胤勇

    宮澤委員長 齋藤憲三君。
  80. 齋藤憲三

    ○齋藤委員 重複を避けまして簡単に御質問申し上げたいと思います。今回の経済審議庁経済企画庁に変えようという御考案は、この提案説明にもございます通りに「長期経済計画の観点から関係各省政策ないし計画調整をはかり、政府の諸施策の総合性計画性を保持し、長期経済計画の実施を強力に推進して参る所存であります。」こういう意図のもとに長期経済計画策定し、並びに長期経済計画に関する重要な政策及び計画について関係行政機関事務総合調整を行う、こういう重大なポイントがあるのでありますが、ただいままで多くの委員諸君から御質疑がございましたが、この関係行政機関事務総合調整、この一点であります。これはここにもありますが、単に各省からデータを持ってきて、そうしてデータに基いて計画経済を立てる、それからその各省から出してきたところのいろいろなデータに基いて調整をはかる、単にこれだけのことを意味するのであって、ただいまも御質問ございました通り、どこそこの予算は多過ぎるとか、あるいはこっちの方に予算をもっと持ってこなくちゃいけないとか、そういう点まで調整をはかられるおつもりでおるのか、そういう権限までも獲得されようとするのか、その点は一体どうでございましょうか。
  81. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 ただいまお話のごとく、総合的に日本経済を見まして六年計画を立てておりますから、従いまして各省各省自分のところの予算をよけいとりたがることになりましょうが、それについては、今の場合はこれの方が重点である、だからこっちの方に回すべきものだ、あなたの方は減らすべきものだということは、審議庁といたしまして現在でもやりつつあることでありますが、それに幾らか力を持たしてもらいたいというだけのことであります。
  82. 齋藤憲三

    ○齋藤委員 私はあえてこれに反対をしておるのではありませんが、昨日商工委員会で、昭和三十年度経済計画の大綱という経済審議庁説明を承わったのであります。これに対していろいろ各委員からも御質問があったし、また私からも御質問申し上げたのでございますが、この昭和三十年度経済計画の大綱というものは実に広範なものでありまして、作文としてはりっぱにできていると思うのです。しかしながらこの内容をつぶさに検討いたしまして、この使用しておりますところの字句に対して一々具体的な問題を検討して参りますと、必ずしも経済審議庁は的確な具体策を握っておらないように私は感ずるのであります。それでありますから、各省から出て参りましたいろいろなデータだけを中心といたしまして、そのデータは間違いないのだ、正しい意見であるというようなことをまず前提として、こいつはよけい過ぎるじゃないか、だからこれはこっちへ引き詰めた方がいいじゃないかというような紙上プランをやっているのじゃないかと思うのですが、果してこの昭和三十年度の経済計画の大綱の裏づけをするところの具体的な実際のものに検討を加えておられるかどうか、大臣がおわかりにならなければ政府委員でよろしゅうございますが、どの程度実質を見きわめてこういう計画を立てておられますか、ちょっと伺いたいと思います。
  83. 川瀬健治

    ○川瀬説明員 私から便宜お答え申し上げます。ただいまのお話で、具体的な施策まで検討して総合調整したものが三十年度計画になっておるのかという御質問でございますが、私どもといたしましては、施策の細部にわたってまでの調整はとうてい不可能でございますので、そこまではいたしておりませんが、各省の大きな考え方、そういうものにつきましては、総合調整的な立場からそれぞれ調整を加えまして、そうしてまとめましたのが三十年度の計画でございます。
  84. 齋藤憲三

    ○齋藤委員 私の御質問申し上げておるのは、経済審議庁が従来経済計画をお立てになりましたときに、その根本は一体どこにおいておられるか、ただ各省から集めてくるところのデータを唯一の材料としてお作りになるのか、経済審議庁は、経済審議庁独自の考え方から、いかなる経済政策を立てて、その裏づけとするものはこういう場面におけるところの裏づけをもって、この経済計画を進めていったらいいという独自の見解でお立てになるのか、それを伺っておるのです。
  85. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 これは先ほど申し上げました通りに、六年計画を立てるその根本の趣旨は、六年後における日本の人口に対して完全雇用をし、日本経済を樹立するということが根本の目標でありまして、その目標に向って一つ産業機構、それから輸出入関係資金関係等を検討して参りまして、それに沿うように経済審議庁自身の一つの構想を持っております。もちろんこの経済審議庁の構想というものは、経済審議庁だけできめるのではなくて、国民諸君の意見も聞き、各省意見も聞いてきめるわけであります。それによって定められたる一つ方針を持っております。三十年度におきましても、これの方針に沿うように、こちらの方針をもって各省とも折衝しなければならぬと考えております。
  86. 齋藤憲三

    ○齋藤委員 私の御質問申し上げておりますのは、たとえて申しますれば、六年間に完全雇用を行う、経済企画庁の今考えておられます昭和三十二年度までに新たに二百五十万人の就業をやり、失業者を五十万人なら五十万人に減らしていく、それによって完全雇用の形態を確立する、こういう計画を今立てておられるのであります。ところが一方には企業の合理化をはかっていく、しかも鉱工業生産は、三十二年度までにわずかに四%か五%の上昇率を示している。このパーセンテージは間違っているかもしれませんが、われわれから考えますと、昭和三十二年度までに企業の合理化をやって、四%や五%の生産の上昇率を得る、これは企業の合理化でできる。企業の合理化をやると、一方には失業者が出てくる。むしろ四%や五%の鉱工業の生産率を上昇するということになったならば、失業者がふえるということです。新たなるところの就業の職場は、鉱工業の部門については出てこないと思います。そうするとこれを収容するために土木工事、道路工事をやるとかいろいろなことをやっても、生産体制の助長にはならない。社会保障制度の失業救済のロスの面であります。そういうようなことを考えていきますと、むしろ今の鉱工業生産計画からいくと、失業者は増大するのであって、失業者を救済するところの新しい職場はなかなか得られないと思う。しかしながらこの計画書を拝見いたしますと、新しい職場がちゃんとできるようになっているわけであります。たとえて申しますれば、きのう説明を承わりましたこの八ページの十一項目の「科学技術の振興と新技術産業の助長育成」という部門がありまして、「さらに資源の有効利用、原料輸入の防遏に資するため、石油化学、木材利用の合理化石炭利用の拡大、チタン等の新金属其の他新規産業の健全な育成を図るものとする。」とありますが、この一項目を見ても、これはすこぶる重大なものです。しかし日本の石油化学はどこにあるか、木材利用の合理化も行われておらぬ、石炭利用の拡大は一体何を意味するか、チタン等の新金属鉱業の発展というのは一体どのくらい行われておるかということを調べてみますと、ここに羅列するだけの何ものも現実にないということを私たち考えなければならぬ。だからこういう文章をお作りになるときに、一体どこからこの文章をお作りになるところの具体的な裏づけを持ってきているかということです。もしこういう文章をお作りになるときに、これは日本全体の経済政策を実行する上において必ず六カ年に遂行できるところの体制がここにある。技術もある。技術があるからここにどれだけの金をつぎ込んでいったらこれだけのチタン工業が起きてくるのだ、チタン工業がこれだけ起きてくるならば、これだけの値段で外国市場に売れるめどがついているのだということで、初めてチタン工業の育成ということがここに浮んでくると思うのでありますが、私が調査いたしましたところによりますと、日本のチタン原鉱の調査さえできていない。チタン原鉱というのは一体日本にどれだけあるかということの調査も完了しておらない。そういうようなことから考えますと、まずこの経済政策を遂行していく上において日本の一番の欠陥は何かというと、一切の科学技術の面が置き去りにされているということです。科学技術に総合統一性がない。科学技術に総合統一性がなくして六カ年の経済計画が一体できるかどうか。そこで私がお伺いいたしておりますのは、こういうような六カ年の経済計画をお立てになっておるその科学的な裏づけに対して、経済審議庁独自の見地からそれを的確に把握するところの何ものがあるかということです。私はそれは何もないと思うのです。だから各省から集まってくるところのデータを取捨選択して、計算器を回して作り上げるものが、こういうような経済政策の大綱となって現われてくるのであって、これを遂行していこうと思っても、私はそれはできないだろうと思うのであります。でありますから、私が今大臣にお伺いいたしたいのは、この経済審議庁機構を改革いたしまして経済企画庁として、ほんとうに六カ年の経済計画をここに立案して、これを総合調整して推進せんとするならば、経済企画庁はもっと力強くその各省のデータを検討するだけの実力を握らなければならぬと私は思うのです。その経済企画庁が握るべきところの実力は何かといえば、結局日本の最高の科学技術を握るということと、この科学技術の力によって予算の案分をする実力を握るということである。そうでなければ私は経済六カ年計画の大本はとうていできないのではないか、こう考えるのでありますが、これに対して大臣は一体どうお考えになりますか、一つお答えを願いたいと思います。
  87. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 ただいまの御説は私は非常に同感でございます。そういう経済企画庁になる時期もあるだろうと存じておりますが、ただいまのところ、今申しました通りに、現在やっております六カ年計画は、六カ年先の人口の問題と日本経済力とどういうふうにこれを持っていけばいいかということを考えて、こういうふうな数字を出しているわけでありまして、これに沿うて実際に行なっていくためには、すべての事業、仕事というものは科学を基礎にしていかなければならぬ。しからば日本の現在の科学面における機構が理想通りに進んでおるかということにつきましては、私は必ずしも理想通りに進んでいないと思う。この科学面の総合的な計画ができているとは思っておりません。これをどうするかということについて興味を持って、かつこれに対しては熱をもって今研究しているわけでありますから、ただいまの御意見のところは私は非常に尊重いたしております。
  88. 齋藤憲三

    ○齋藤委員 私が工業技術院の調査部に依頼いたしまして調べてもらいましたところによりますと、日本の科学研究方面に使われておる金は大体四百億を越えております。これはいろいろなところへ使われておる金を調べたのでございますが、しかし日本の科学技術行政というものは、わずかに通産省の工業技術院の一角、あるいは各省に若干あるようでございますが、しかしこれを総合統一する機構は何一つないわけであります。私はあまりよく勉強いたしておりませんが、アメリカの経済政策は全部裏づけはテクノロジーである。英国も、一つの道路政策を行いますについても、道路に敷く石そのものから科学的、技術的に検討を加えて、その品質を決定いたしております。日本の道路政策を見ると、はなはだしいのは石灰岩を敷いておる。石灰岩を敷けば一年で風化して泥になってしまうということは当りまえである。英国は石英粗面岩というような、何十年たっても変質せざるところの石を敷くというように、そういう科学技術の裏づけを持ったすべての政策立案されておる。しかるに日本政策というものは、こういうものに対して最高の国家の科学技術の裏づけなしの政策が行われる。だからどんなに経済政策を立てても、ロスばかり多くして実効というものは伴わないから、日本経済政策はいつもマイナス、マイナスで、その実効が上らないのだと私は思う。でありますから、むしろこの経済審議庁機構を改良するならば、その方面に重点を置いた改革を行われて、そうして何も機構の改革をペーパー・プランを作るためにする必要はないと思う。実質的に効果の上るような改革をやられた方が私はいいと思う。ですから私が経済審議庁長官にお尋ねいたしたいのは、今後の経済計画を行われますときに、必ず国家最高の科学技術の裏づけをもって経済政策をおやりになる御意思があるか、従来通りペーパー・プランでおやりになるのか、私はこれを一つ承わっておきたいと思います。
  89. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 お答え申し上げます。ただいま申しました通りに、すべての国家の経済政策というものは、あなたも述べられたように、これは科学技術が中心でなければならぬということは私も同感でございます。従いましてできるだけその方面の意見を集中するように考えたいと存じます。どういう方法でやるかということにつきましては、皆さんの御意見もまた承わりまして考慮いたしたいと思います。
  90. 齋藤憲三

    ○齋藤委員 科学技術を尊重していただくことに御同意を得ましたので、非常に心強く考えるのでございますが、経済審議庁長官としてでなく国務大臣として経済担当のお立場に立って、経済企画庁の中に科学技術をお入れになる方がいいか、それとも別個の体制において科学技術の総合統一の機関をお作りになった方がいいか、これに対してお考えがございましたらばお伺いいたしたいと思います。
  91. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 その問題は私はよほど研究を要する点だと思っておりまして、現在の経済審議庁のあり方、運営の仕方ということにも非常に関係がありますから、国家全体として考えてどうすればいいかということ、これは独立したものでいくことがよくないだろうか、こういうふうな考えもあります。ただ、総合性がなく、各科学者がてんでんばらばらに同じようなこと、同じようなことを研究して、これでむだをやっている事実もありますから、これを統合せなければならぬということは同感でありますが、これをどこへ持っていくかということは、もう少し研究さしていただきたいと思っております。ただいままだ結論に達しておりません。
  92. 齋藤憲三

    ○齋藤委員 どうぞその科学技術のばらばらな体制を総合統一いたしまして、日本の再建のために力強い原動力となるよう一つ十分に御考慮をお願いいたしたいと思うのであります。この科学技術のあり方は、一内閣や党派やイデオロギーの問題じゃないと私は思う。サイエンスには国境がないと同じように、民族の進歩というものはその科学技術の振興度合いいかんによって決定せられる問題だと思いますから、これは一つ十分にお考えの上、早急に日本の科学技術のあり方を総合統一するように御努力を願いたいと思うのであります。もう一点、先ほどから問題になっておりました原子力室の問題でございますが、この原子力室経済企画庁の中にお作りになるという御構想は、将来原子力の全般を経済企画庁でお取扱いになろうとするのでございますか、それともその主管は通産省に置くといたしましても、これと相対応して、やはり経済企画庁としても原子力にタッチするという程度の御考慮でありますか、どっちでございましょう。
  93. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 現在の段階におきまして原子力の問題を考えてみますと、これは経済企画庁、現在の審議庁におきまして大体の計画等を立ててみて、その実行のことはさしあたり通産省でやったらどうか、こういうふうな考えでおりますが、ただいままだこの問題につきましては、ほとんど全部研究中でございますから、その研究をよく重ねた上でやりたい。従いまして、原子力室もきわめてちゃちな、皆様から御批評を受るような、費用をかけないで、現在の審議庁の人員だけでやっていこうじゃないか、こういうようなことで間に合せ的にやっているというように御解釈願っていいと思います。よく考慮いたしたいと思います。
  94. 齋藤憲三

    ○齋藤委員 最近濃縮ウラニウムを中心といたしまして、予算委員会でも、外務委員会でも、商工委員会でもいろいろな論議、質問が戦わされ、公聴会も開かれたようでありますが、この二%から二〇%のわずか六キログラムの濃縮ウラニウムを受け入れるか受け入れないかということについて、これだけ国会において論議を戦わされたということは、一面からいうと非常にいいことでもありましょうが、一面から考えますと、いかに日本の科学に対するところの知識が低級であるかということを立証したものだ、私はこう思うのであります。むしろ私は、世界のレベルから申しますならば、あの濃縮ウラニウムの問題というものは、わずか五十行か百行くらいの新聞記事一回でおさまりのつく問題だろうと考えておる。それほど日本の科学技術の総合統一性というものがなくて、実に恥かしいことじゃないかとさえ考えておるのであります。学者もいろいろな説を並べております。しかし全く私の信頼することのできる原子学者の説を総合いたしますと、結論においては、これは最も簡単な問題であるということになるのであります。     〔宮澤内閣委員長退席、辻(政)内閣委員長代理着席〕 たとえて申しますならば、二%から二〇%の濃縮ウラニウムを、この国会ほどの大きさに積んでも、これは原子爆弾の原料にはならない。どうしても原子力発電などの平和利用にしか利用できないというのが、二%から二〇%の濃縮ウラニウムなんです。それに対してあれだけの論議が戦わされるということは、二%から二〇%の濃縮ウラニウムの実体に対する認識が、学者の中でもはっきりしておらぬから、ああいうまちまちな議論が出てくるのだ、私はそう思う。でありますから、今後原子力室を置かれる場合には、原子力というものに対してはっきりした意見調整を行なって、間違いのない、世界の科学レベルに劣らざるところの認識が、ここから全国民に向って与えられるようなものでなければ、原子力室を作っても私は無意味だと思う。原子力室がある、行ってみると六人の事務官が並んでいるが、原子力の質問をやったって、だれも正当に答えることができないという原子力室を作るということは、これは私は恥の上塗りをするだけのことであって、何らの意味をなさぬと思う。ですから、事原子力に関する限りは、経済企画庁原子力室に行けば、一切そこで最高の理論も最高の認識も得られるという原子力室でなければ、こんなものを作ったって私は何の意味もなさぬと思うのであります。でありまするから、むしろお作りになるならば、そこにりっぱな原子力室を作って、日本最高の原子力に関するところの学者をいつでも呼び寄せて、その意見調整して、いかなる原子力問題に対しても的確なるところの回答を得られるような、いわゆる原子力に対する政府の的確なる意思を発表し得るような原子力室であるならば、われわれは双手をあげて賛成いたします。しかし原子力室を作っても、そこへ行って聞いてみても答えができないような原子力室を作ることは、恥の上塗りでありますから、おやめになった方がいい。むしろ私は経済企画庁の中に原子力室をお作りになるくらいだったならば、原子力局を作って、将来に対するところの堂々たる機構をお作りになる方がいいと思う。それは、今日までのエネルギー源は、重力のエネルギー、化学反応のエネルギーから、核の分裂のエネルギーに変った。これは人類最後の大革命であるかと思う。この間も私はホプキンスに、あなたの理想はということを聞いたら、海水から原子力発電によってウラニウムをとって、さらに原子力発電をやる、パーペチュアル・モーション、無限動力の世界を築くのが自分の理想だ。こう言うておられましたが、私は原子力の平和利用の究極の目標は、無限動力だと考える。それだけの大きな人類社会に対する革命が、今起きようとしているのに、経済審議庁機構を変更されるときに、六人ばかりのちゃちな原子力室を作って、これで全世界の人類に根本的な革命を巻き起そうとする原子力時代に対応する機構の改革だということは、これはあまりに人を愚弄したところの改革に終りはしないかと私は思う。この点一体どうですか、一つ御所見を伺いたい。
  95. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 お説のごとく、原子力産業革命になるというよりも、むしろ人類の生活の革命になるということは、私も同感であります。人類は、火を発明しなかった前と火を利用することになったときと、まるで人類の生活が違ったと同様に、これは大きな革命をもたらすものだと存じまして、お説同感であります。その意味におきまして、日本の国内に原子力というものを総合したりっぱな、技術も何もかもわかる機関を作るということ、またそこにおいて実験する機関を作るということは、全く同感であります。しかしそれを現在の審議庁の中の原子力室に求められるということは、これはいささかどうかと存じます。現在われわれの計画しております原子力室というものは、それの発展に至ります初めの口火というぐあいにお考え願いたいと存じます。これでそれを全部やるなどというようなことは、私は考えておりません。それは別にりっぱなものを作らなければならぬ。それの口火になるのだ、こういうふうに御解釈願いたいと存じております。
  96. 齋藤憲三

    ○齋藤委員 それでは、原子力室原子力室として、それは一本のマッチで、燃え上るところの原子力というものは、これは非常に大きな問題だから、これに対しては、政府としても大きな機構を考慮する、こういうことに承わっておいてよろしゅうございますか。
  97. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 さようでございます。私もそう考えております。
  98. 齋藤憲三

    ○齋藤委員 最後にもう一点だけ伺っておきたいのですが、ただいま政府でも濃縮ウランの受け入れに対しての態度が決定せられまして、アメリカ大使に訓令が発せられ、いよいよ交渉に入ったようでありますが、いつこの濃縮ウランが日本に貸与ないしは譲渡せられるかわかりませんけれども、これが貸与ないしは譲渡されますと、直ち実験用の原子炉の築造ということが問題になって参ると思います。この原子力実験用の炉を作ります一切の資材というものは、これは日本にございませんから、これもまたやはりアメリカから購入しなければならぬが、その際の予算処置であります。ただいまの原子力基礎調査に関する予算は三億六千七百万円ですが、これから一文でも、アメリカから貸与ないしは譲渡を受ける濃縮ウラニウムの実験炉に使われては、これは日本独自の原子力時代発展の障害となると私は思うのですが、この濃縮ウラニウムを中心とする実験炉の予算は、当然これは別個な処置によってまかなわれるものと私は考えるのでありますが、この点に対して大臣はどうお考えになりますか。
  99. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 ただいまアメリカと、濃縮ウラニウム及びその材料を得ることについて交渉中でございまして、これはどれくらい金がかかるかということもまだわかりませんし、またこれを貸してくれるのか、向うからくれるのか、いろいろな点もあるでしょうが、私はできるだけ金のかからぬように、これはもらうよりもむしろ借りるという方針をとっていきたい。それでできるだけ向うの資本を利用しようじゃないか、こういうようなことを考えております。どういうふうな費用がかかるかということは、見当がつきました上において、その点は十分考慮いたしたいと存じているわけでありますが、ただいままだ金額がわからぬときに、どうこうということは申し上げかねるわけであります。
  100. 齋藤憲三

    ○齋藤委員 そういう意味じゃないのです。この濃縮ウラニウムを貸与、まあ借りる、あるいは買ってくる。そうしますと、この濃縮ウラニウムを中心として原子力の実験炉を作らなければならぬ。濃縮ウラニウムだけ持ってきて、ぽこっと飾りものにしておくわけにいかないのですから、これは必ず実験炉を作らなければならね。私の聞いておるところによりますと、二%ないし二〇%の濃縮ウラニウムを持ってきて原子力の実験炉を作りますと、まず百万ドルはかかる。百万ドルと申しますとちょうど三億六千万円かかるわけであります。そのために今とっておる予算をそっちの方に使われたのでは、日本独自の天然ウラニウムを原料とするいわゆる重水炉というものの構想を研究していく金がない。これは仮定でありますが、仮定だからということになると別問題でありますが、とにかく濃縮ウラニウムをアメリカから持ってきて実験炉を作る、その金を今の予算の三億六千七百万円からとっていかれたのでは、日本独自の原子力の研究というものに支障を来たしますから、その場合当然その予算措置というものは別個にお考えになって処置せられることにならなければならぬと私は思うのでありますが、それに関しましてどうお考えになっておるかというお尋ねなんです。
  101. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 まだそこまで閣僚間でも相談をし合っておりませんが、何しろこういうような切り詰められた予算でありますから、といって現在ある予算を持ってきて全部濃縮ウラニウムの方に使ってしまって、従来の研究ができぬということになってもはなはだ困るわけでありますから、その間従来の研究に差しつかえない範囲においては、あるいはある程度利用するかも存じませんが、その点はまだ仮説のことでありますから、はっきり申し上げかねるわけであります。
  102. 齋藤憲三

    ○齋藤委員 それは大臣根本的に違うのです。三億六千七百万円というちゃちな金で原子力平和利用の研究をやれということ、それ自体がおかしいのです。そんな小さな金で原子力の基礎調査をやれなどということはおかしな話ですけれども、一兆円のワク内に納められておる緊急予算だというから、われわれはそれでもって頭を下げておる。それを、その中から濃縮ウラニウムを持ってきて実験炉の研究にこれをさいていくということになったら、その点からいくとわれわれは濃縮ウラニウムというものを受け入れてもらっては困るという議論も沸いてくるのです。そうじゃないのです。三億六千七百万円というものは日本独自の研究のためにとった金であって、濃縮ウラニウムのために使うという構想でこの予算をとったのではないのです。ですから濃縮ウラニウムを持ってきて、試験用の原子炉を作るということは、この試験研究を早めるための別個の別動隊なんですから、別動隊をやろうという内閣の構想は別動隊を動かす別個の予算がなければならぬと私は思うのであります。ぜひともこれは閣僚間において御相談の上に、この濃縮ウラニウム関係予算だけは別個の予算をもって推進せられるようにお取り計らいを願いたいと思うのです。これに対してお約束を願いたいと思うのですが、いかがですか。
  103. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 何しろ予算がないことですから、今はっきりお約束はできませんが、できるだけ御趣旨に沿うように十分努力をいたしたいと存じます。
  104. 辻政信

    ○辻(政)委員長代理 片島港君。
  105. 片島港

    ○片島委員 私は各委員からほとんど質問されておりますから、一、二簡単に質問したいと思います。この改正の非常に重要なところは、第十一条の企画庁長官権限にあるのじゃないかと思うのであります。この十一条をここに挿入追加せられるについては、閣議においては相当問題にせられたのでありましょうか、その点をまずお伺いしたいと思います。
  106. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 閣議において別に大きな問題になっておりません。
  107. 片島港

    ○片島委員 そうだろうと思う。改正の第一点としてここにあげてありますが、「関係行政機関の長に必要な勧告をなし得ることとした次第であります。」これは改正の第一点でありまして、一番重要なところでありますが、この勧告をされるあなたの方は、勧告をしたといって企画調整をやり、勧告をしたといっていばっていられるようなことになるかもしれませんが、勧告を受け入れる側は何もこたえない。なぜかならば、勧告を尊重しなければならぬという法律もありませんし、勧告に従わなければならぬということにもなっておりません。従ってもし企画庁でそれらの権限を獲得しようとするならば、各省設置法の中において、企画庁長官がこういうことを言った場合にはそれを尊重するとか、それに従うとか何か改正がなければ、あなたの方は勧告をした、向うは何を言っておるか、しろうとがよけいなことを言うな、こういうことで関係大臣は知らぬ顔をしていればいい。あなた方のこれはマスターベーションです。自分だけが勧告をしたから、権限がふえたと思っても、ほかの閣僚はこんなことはとんちゃくしないでいいことになっている。そういう権限の拡張なんというものはありません。ですから先ほどから各委員が言っておりますのは、今後たとえばあなたの方から勧告が来た、それを尊重するか。第十一条の2のところにおいて、「必要な資料提出及び説明を求める」、これも向うの必要な限度において最小限度の資料提出したら、ひまなときには来て説明をするかもしれませんが、これでは何の意味もない。あなたの方で資料提出説明を求めたら、経済審議庁長官がそれじゃおれが予算をとるのに少し骨を折ってやろうということになれば、ついてくる。ところが先ほど言われた通り、あなたは予算をとってくれるわけでもないし、大蔵省が全部やるんだからおれの方は作文だけすればいい。そんなことで忙しい役人がほかのところから来やしませんよ。資料も何かありきたりのものがあるならばついでに届けておけ、こういうことになってしまう。それではせっかくあなたの方では権限を拡張しようとしましても、何にもこたえない。人事院は公務員の給与に関して政府に対して勧告をすることになっている。その勧告は尊重をしなければならぬようになっているにもかかわらず、実際は尊重はするけれども予算がないというのでやらない。あなたの方は勧告のしっぱなしで、尊重しなければならぬということもない。これは閣議においてもだれも問題にしない。審議庁長官に何か権限を与えたようにしてやれば喜ぶだろう、こういうことであなたの顔を立てておいて、向うには何も関係はない。こういうことで勧告をやっておいたところで何にもなりません。だから必ず相手方の勧告を受け入れる側が、何かこれに対して反応を示さざるを得ないような改正をしなければ、これは何の役にも立たぬと思いますが、どうですか。
  108. 酒井俊彦

    ○酒井政府委員 ただいまの御質問に対しましてお答えいたしますが、この経済六カ年計画は御承知のように閣議にかけまして、関係各省がみんなこれでいこうじゃないかということで了解の上で、閣議決定になるのであります。それに基いて各省でおやりになるいろいろな計画なり政策なりが、多少この六カ年計画と離れているんじゃないかというような場合に、一つ手段として経済企画庁長官勧告することができるということになっておりますが、もちろん御説のように、勧告を受けました行政機関の長がこの勧告に従わなかったという場合に、法律上どうこうという責任あるいは罰則というような問題を生ずるということはありません。しかしながら行政機関の長というものは、法律に従いまして行政を行なっていく義務があるのでございまして、この経済企画庁設置法も一つ法律でございますので、この法律に基く勧告権というものを十分尊重することは当然でございます。     〔辻(政)内閣委員長代理退席、宮澤内閣委員長着席〕 それに対して罰則があるとかどうとかいう法律的な問題ではございませんので、尊重することは当然であります。さらにこの勧告権が認められますならば、そういうことで相当各省でおやりになる政策とか計画とかいう面で六カ年計画との調整ができるのでございますが、もちろんそれでも調整がつきません場合には、最終的には閣議というものがございますから、閣議におきまして最終的な解決をはかられるということも考えられますので、そういう勧告をもちまして……。
  109. 片島港

    ○片島委員 よろしい、わかりました。これは一番重要なポイントになるのですよ。部長さんが幾ら作文の説明をしたからといってこれは解決する問題ではない。これは長官がどれだけの力を持って各経済閣僚を動かしていくかという問題であって、あなたから幾ら作文を作って法の解釈をしてこうなるというようなことを言われても、そう小手先でいくような問題じゃない。これはこの改正の一番重要な問題だと思う。これは経済審議庁長官が責任を持って答弁に当らなければならぬ。
  110. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 経済六カ年計画閣議において決定いたしますから、それに基いて私どもはこれを勧告するわけなんでありますが、聞かなかった場合には、また閣議においてこれをどう処分するということをきめるわけであります。従って私は勧告する以上はこれらの実効を期したい、こう思っております。
  111. 片島港

    ○片島委員 経済六カ年計画閣議で決定になっておりますが、先ほどから委員の質問もありました通り、今日その計画に伴う予算裏づけもできていないような状態であります。だから六カ年計画閣議で決定したが、それの裏づけになる個々の予算はとれておらぬ、電力関係においてもとれておらぬ、それをいよいよ今度は実施していく上において、経済審議庁長官が大きな権限を持ってこれを促進していこう、推進していこうというための改正である。ところがこれを受ける方の側は何ら影響を感じないでよろしいのか。もしあなたがそれだけの権限を獲得したならば、ほかの閣僚は、これは高碕長官にえらいおきゅうを据えられることになるからわれわれとしては答えられるどころじゃないというので、何か反応があったのかと思って、私は一番最初に十一条の改正について反応があったかと言うたら、格別何もなかったということでありますから、これは何にも答えがなかった、答えなくてもいいように法律ができておる。だからあなたはこの勧告をする以上は、相当の効果をおさめるような方向に持っていかなければ何にも意味がないのです。こういう作文を書いてみたところでそれは企画庁が少し強くなったという体裁を作るだけのことになってしまうのじゃないか。あなたはこれをどれだけ実行させることができるか。それについては、たとえば農林省、通産省、建設省といったような経済各省からこういう予算を出したい、あるいはそれを引っ込めてこれを出しなさい、あるいは経済審議庁長官予算の下見をしてもらって加勢をしてもらおうとか、何かあなたの方でそれに協力するような取り組み、仕組みができておらなければ、ほかの省では何も関係がないのでありますから、しろうとが何を言うかということになって終りになってしまう。そういうことになれば審議庁そのものが現在でもありま役に立たぬのじゃないかということを、経済六カ年計画をよく読んでみたときに、また説明を聞いたときに感じておる。たまたまあなたの方からりっぱな権限強化の問題が出てきたから、これをりっぱだと思って拝見してみたところが何にも反応を示さないような改正で満足されておるようでありますから、私はこれについてますます疑問を持ってきた。この点は審議庁長官としてよほど腹を持ってかからなければならぬ問題だと思うのでありますが、これでいいですか。私はこれだけを質問いたします。
  112. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 経済計画につきましては、審議庁長官がよく協議をした上で立てます。その計画に沿うように、予算も編成されたときはその計画に間違いがあるかないかということを検討いたしまして勧告いたします。それは私ども審議庁勧告はいれられるように努力したいと思っております。そうできると思います。
  113. 宮澤胤勇

    宮澤委員長 秋田大助君。
  114. 秋田大助

    ○秋田委員 各委員からいろいろ御質問がありましたので、私も重複を避けまして二点簡単にお尋ねいたします。その第一点は、ただいま片島君から御質問のあった第十一条の第三項の勧告権に関することであります。重複にわたる感がありますが、これは重要な本案改正要点であろうと思いますので、一点お尋ねをいたします。勧告権でございますから、これは強制権がない。先ほど大臣からるる御答弁がありましたが、経済六カ年計画というものは閣議でもきめておるし、民主党内閣として各閣僚が当然これに従うような工合になっておるから、それに基いた策定、それに基いた勧告は当然尊重さるべきものと確信をする、大体こういう御趣旨であろうと思います。それはそれとして納得はいたしますが、しかし結局それは各大臣が事のよろしきに従って誠意をもって道義的に解決をしていくから、当然この勧告が尊重さるべきものであるという順序になるということでございます。しかしこれはあくまでも技術上の問題でありますから、機構上その勧告権が所期の目的を達成するようになっておるかどうかということとは別ものであります。この法案の改正を期する上において一番の問題は、この勧告権がなければこの法案の改正をしなくてもいいようなあんばいになっておる。そういたしますればこの勧告権はどうしても効力を発揮するような仕組みになっておらなければならぬ、それには私は工夫があり得ると思う。  その前に一つお尋ねをしますが、この勧告は、勧告書というようなものを発表されるようなお取扱いをされるつもりであるか。もしそうであればこれが世間によくわかるように、大臣の高邁な識見、人格の上にプラス世論の背景というものを考慮されるべきでありますが、そこはどう考えておられるかということと、その勧告に基いて企画庁長官が口頭でやられるにしろ勧告書を出されるにしろ、もし企画庁長官として真にこの勧告案の実効を期せられるとすると、勢い閣議で他の閣僚と正面衝突をされるという場合がなきにしもあらずと思う。熱心な企画庁長官であればあるほどそういうことになる。そうすると勧告権を付与したことによってかえって閣内の不統一を起す危険がありはしないか、その点に対する大臣の御所見はどうであるか。それはそれといたしまして、それを避ける意味において、この長官には国務大臣が当ることになっているが、これを前の安本のときのように総理大臣にしたならば、人的機構においてうまくいくのではないか。そこで総理大臣長官にして、それ一人で企画庁全体の事務行政の円滑が無理だとすれば、当然次長にこの方面の専門的な知識を豊富に持たれる練達の方を置くべきことにする。そうすると、次長に国務大臣をもって充てるというような機構を工夫されることによりまして勧告権が実際上強制権にかわるような効力を持つことになり得るのではなかろうかというふうにも考えられます。この点の大臣の所見を求めます。  第二点は、先ほど各委員からも質問のありました第八条の第五号の原子力の問題でございますが、「原子力経済的利用に関する」云々と書いてある。この原子力は申すまでもなく平和的利用と兵器にも利用ができる。そこで経済的利用と書かれているのはもちろん平和的利用という御趣旨であろうとは思いますが、ただ経済的利用と申しますと、原子力を兵器に利用する場合に、その利用を経済的に能率的にうまくやる方法ということも字義の上では解釈が成り立つ。もちろん平和的利用に関する経済的という解釈も成り立つので私はあいまいではないかと思う。大臣提案理由説明書にも原子力に関しては第二ページに「新規事務を伴う原子力関係におきまして」云々という点と、七ページに「原子力に関する事務は、その重要性事務分量の増大に伴い、これを計画部所掌事務として明記することとしたのでありまして、新たに、原子力室を設けてこれが処理に当らせるつもりであります。」こう書いてありまして、平和的利用というような文句が一個所もない。そこで当然政府の意図は原子力の平和的利用に限っておられることとは思いますけれども、単に経済的利用というだけでは将来誤解を生ずるおそれもあります。もちろん内閣原子力の平和的利用に関する調査の機関があるのでございますから、それと平仄を合せて、これは平和的利用のことだということはわかりますが、本法案を出されて、特に原子力事務を扱われようということをここに明記される意味におきましては、原子力の平和的利用とされた方が誤解を避け、明確になるのじゃないか。これは単に用語の使い方だけじゃない。その背後に含む内容も表わす意味において、私は重要じゃないかと思いますので、大臣の御所見を伺います。
  115. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 勧告の問題につきましては、ただいまの御説は私よく拝聴いたしまして、非常に同感の点もございますが、ただいま私ども考えておりますことでは、口頭または文書をもってやりますし、文書は勧告の文書を出す。これは必ずしも秘密ということにいたしておりませんから、あるいは公表される場合もあると存じております。それから原子力の問題は、もちろん平和的利用でございますが、審議庁でやりますことは、平和的利用のうちの経済的利用ということに重点を置いていきたい、こういう所存でありますから、なるべくそれに沿うように文章等も考慮して参りたいと思っております。
  116. 秋田大助

    ○秋田委員 長官に総理大臣を充てたらどうかということに対する御所見。
  117. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 元安定本部のときは総理大臣であったのですから、私はそれはいいことだと思っておりますが、これは私だけの考えでございますから。そういうふうにした方がいいじゃなかろうかという考えもございます。
  118. 宮澤胤勇

    宮澤委員長 これにて内閣委員会商工委員会連合審査会は終了いたしました。本日はこれにて散会いたします。     午後零時三十三分散会