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1955-05-27 第22回国会 衆議院 内閣委員会決算委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年五月二十七日(金曜日)     午前十時三十三分開議  出席委員   内閣委員会    委員長 宮澤 胤勇君    理事 高橋 禎一君 理事 辻  政信君    理事 高橋  等君 理事 森 三樹二君    理事 田原 春次君       長井  源君    保科善四郎君       山本 正一君    大坪 保雄君       田中 正巳君    田村  元君      茜ケ久保重光君    飛鳥田一雄君       石橋 政嗣君    下川儀太郎君       鈴木 義男君    矢尾喜三郎君   決算委員会    委員長 上林與市郎君    理事 赤澤 正道君 理事 山本 正一君    理事 徳安 實藏君 理事 山中 貞則君    理事 山田 長司君 理事 吉田 賢一君       床次 徳二君    本名  武君       横井 太郎君   小笠原八十美君       片島  港君    三鍋 義三君  出席政府委員         内閣官房長官  根本龍太郎君  委員外出席者         会計検査院事務         総長      池田  直君         内閣委員会専門         員       龜卦川 浩君         内閣委員会専門         員       小關 紹夫君         内閣委員会専門         員       安倍 三郎君         内閣委員会専門         員       遠山信一郎君         決算委員会専門         員       大久保忠文君         決算委員会専門         員       岡林 清英君     ————————————— 本日の会議に付した案件  会計検査院法の一部を改正する法律案内閣提  出第三七号)     —————————————     〔宮澤内閣委員長委員長席に着く〕
  2. 宮澤胤勇

    宮澤委員長 これより会議を開きます。  本日は内閣委員会決算委員会連合審査会を開会いたします。  私が議案の付託を受けた内閣委員長でありまするので、先例によりまして本連合審査会委員長の職務を行います。  ただいまより会計検査院法の一部を改正する法律案議題とし、まず政府より提案理由説明を求めます。根本官房長官。     —————————————
  3. 根本龍太郎

    根本政府委員 ただいま議題となりました会計検査院法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び概要を御説明申し上げます。  国及び政府関係機関における会計経理の実情は必ずしも満足できるものではなく、これが是正改善のために、会計検査事務量も近時著しく増加して参りました。従いまして、現在の会計検査院機構では局課長事務掌理にも支障を来たしておりまして、検査機能発揮の要請にも十分こたえることが困難な現況にありますので、局及び課を増設することが緊要であると考えられます。このような理由によりまして第十二条を改正し、現在の四局を五局に改め、一局を増設することにいたしました。  また、会計検査院法制定当時、事務総局職員任免進退は、それぞれの官の級別に応じまして、内閣内閣総理大臣または事務総長が行なっていましたが、その後、国家公務員法制定に伴って一般職職員任免進退に関する制度根本から変更されまして、任命権者は原則として会計検査院長になったことなどのため、関係規定に所要の改正を加える必要がありますので、第十三条、第十四条及び第十六条から第十八条までの規定改正することといたしました。  次に、日本専売公社日本国有鉄道日本電信電話公社会計検査に当りましては、公社会計経理検査するだけでは、その真実の把握は困難なことがございます。このような場合、事態を的確に把握するためには、国の場合に適用される規定のうち、必要なものについて公社にも適用できるような方途を講じておく必要があります。従って、公社の適切な経理を確保することなどのために、第二十三条、第三十一条、第三十三条、第三十五条及び第三十七条の規定改正を加えることといたしました。  以上がこの法律改正するおもな理由であります。何とぞ慎重御審議の上すみやかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。
  4. 宮澤胤勇

    宮澤委員長 これより質疑に入ります。質疑はございませんか。——田原君。
  5. 田原春次

    田原委員 毎年会計検査院から決算委員会に出る印刷されたる報告を見ての感じでございますが、不当支出を摘発する例が相当出ておる。ところがその結末がただ不当を指摘して、たとえば昭和二十八年度報告を見ますと、農林中金その他の不当支出問題というものを摘出しておるけれども、ただそれだけのことである。それから決算委員会でいろいろこれに対する質問をしてもただそれだけのことで、結局使いっぱなし、はなはだしきは検事局が罰金をとってこれを使い込んでおるというような問題があっても、その検事を訴えることができない。従って会計検査院は、今の程度不当支出を調べて報告しただけで終る程度ならば、局をふやしてみたって始まらぬではないか。会計検査院の本来のあり方からいって、検査院仕事をもっと強化して、行政上の不当支出に対する結末をつけることが一つ方法ではないか。二年ぐらい前のことですから、決算委員会へ呼び出してみても当時の会計課長はかわっておる。その点についてどうしたらいいか、会計検査院の所見を聞きたい。
  6. 池田直

    池田会計検査院説明員 お答え申し上げます。会計検査院はただ違反、不当事項を摘発して国会報告するだけではまことに意味がないじゃないかという御意見、たいへん私もごもっともには存じます。私どもといたしましても、現在の会計検査院法は、新憲法発足に当りまして、戦前の天皇勅令会計検査院法時代とは違いまして、そうした趣旨相当に織り込まれてできて参っているつもりでおります。従来はただ違法、不当、法律なり勅令等に違反した事項予算規定に違反した事項検査報告として掲げまして国会に御報告し、御審議願うことになっておる一方、検査の結果につきまして天皇に上奏するという制度でございましたが、新憲法になりましては、天皇勅令関係が全然なくなりました建前で、非常に民主化されて参っております。そうした関係から、ただ国会に対する報告ということ、並びに努めて検査の結果を行政各庁に早く反映させまして、違法、不当事項是正を期するという建前会計検査院法に織り込んでありますので、そうした関係処置を努めてやっておるような次第でございます。現在の会計検査院法は、違法、不当の事項発見したら、ただちに行政官庁注意、警告を発し、将来に向って是正改善させる、もし法律なり行政上の関係改善を要することがあったら意見表示をするというような精神が盛り込まれておりますので、今御意見のような趣旨で、会計検査院といたしましても、仕事にいそしんでおるような状況でございます。ただ違法、不当の事項があった場合に、会計検査院行政上の処分的な処置をただちにやり得るという権限は——これは行政責任内閣に帰属しております関係上、会計検査院としては、行政各省を通じまして、ただいま御意見のような是正改善方途を努めて講じさせることに努力するということでやっておりますので、会計検査院検査報告が非常にふえる一方で、必ずしも不当事項違法事項の防止が完全でないじゃないかというお感じを抱かれておりますのは、われわれごもっともに存じますが、会計検査院といたしましても、ただいまのような趣旨でやっておるような次第でございます。
  7. 田原春次

    田原委員 今のような御趣旨でやるということは一応了承できますが、地方でときたま問題になるのは、会計検査官地方官庁会計調査に行った場合に、ほんの形式的に一応見て、あとは夜、料理屋に呼ばれてごちそうになっておるという印象を強くするのがたくさんある。従ってこの昭和二十八年度決算検査報告に出ているのはよくよくのものであって、実際にはそれ以上にたくさんあるのではないか。従って、中央の最高幹部諸君で処理を勧告することは当然であるけれども検査官の中に不正があった場合にはどこでそれを処置するか、それから昨年、検査官自体がそういう間違いを起しているような件数は何件あったか、こういうことについて知らせていただきたい。
  8. 池田直

    池田会計検査院説明員 会計検査院実地検査に行きます職員に、今御意見のような行為が絶対にあってはならないことでございますので、官紀粛正については心胆をくだいておる次第でございます。ただいまのような、世間の指弾を招くようなふらちな者が終戦直後数人ありましたような次第でございますが、それは全部やめさせました。やめさせるに当らない程度の軽いやつは、これを実地検査の出張をさせないことにいたしております。ここ一、二年は、注意をいたしておりまする結果、こうした事例は耳にいたしていないような次第でございますが、一日といえどもそうしたことがないように絶えず注意を配っておるような次第でございます。
  9. 山田長司

    山田委員 関連して……。ただいま当局から、会計検査院不当事故はないというような意味のことを言われましたが、実は虎ノ門ニュー・エンパイヤ事件の問題です。あの問題は、会計検査院から調査に行って、今度は会計検査官自身があそこの会社から金をとったという事件なんですが、この事件発見会計検査院当局の手によってではなくて、警視庁の手によってあれがあげられたという事実です。私はあれを見たとき、会計検査院会計検査をさらにする必要があるじゃないか、こういうふうに痛切に感じたのですが、ああいうものの調査に当るときにあなた方はどういう人間を選んでおったのか一応参考に伺っておかなければ、会計検査院自身の信用に非常にそごが起ってくると思うのです。一応あのときの事情を、一つの例ですけれども、話していただきたいと思います。
  10. 池田直

    池田会計検査院説明員 ただいま御指摘虎ノ門のいわゆる緑地帯国有地検査に関連しまして、会計検査院の二名の職員が、供応等によりまする贈収賄の疑いによりまして起訴いたされておりますのは事実でございます。会計検査院といたしましても、はなはだ申し訳ないことと深くおわびいたしたい次第でございます。実は一昨年、あるいは一昨々年のことでございましたか、昭和二十五年から二十六年の初頭と記憶いたしておりますが、実地検査に当りましては、今御指摘のような……。
  11. 山田長司

    山田委員 ちょっとお話中ですが、そんな……。あなた方は期日においてもやっぱりそごが起っているほど真剣さがない。二十五年、六年じゃないのです。二十八年の二月にあの事件期日が切れているのであって、そんなにあとのことじゃないと私は思います。今あなたはお答えしていながらでも、一応よく期日の問題ももう少し真剣にお考え願いたいと思うのです。
  12. 池田直

    池田会計検査院説明員 今御指摘の通り、発見いたしましたのは二十八年のころと考えております。実際に贈賄を受けましたのが、今書類を持ちませんが、二十五年か六年の交だったと大体私は記憶いたしておる次第でございます。金額にいたしまして、今書類を持ちませんが、二人とも平事務官でございますが、一人の少し年とったのが、たしか半年か一年近くの間でございますが、数回に、金と供応と両方合せまして、二十万円近い金だったと承知しております。それから大学を出てそう長くならない者でございましたが、これがやはり数万円の供応並びに現金に相当するいわゆる贈賄を受けたということになっております。私どもも二十八年のころと思いますが、警視庁の方から通知がありまして、はなはだがく然としたような次第でございまして、事実行為が行われたのは、別に、私答弁するだけの気持でございまして、これをとかく言いわけするつもりではございませんが、事実はたしか二十五年の暮れごろから二十六年にかけてではなかったかというふうに、書類を持ちませんので、大体記憶しております。発見が二十八年だったと承知しております。そこでそうしたことの起らないように、ふだん、月に四回は課長全員を集めまして事務総会を開いております。局長とは毎日食事一緒に、事務局長、次長並びに局長は週に四回は食事をともにしております。並びに検査官局長以上、これは週に二回食事一緒にいたしております。そうした席上でも何か耳に入るようなことがありますと、綱紀の弛緩等につきまして、やや疑問でも起るような場合がありますと、すぐさま指摘いたしまして事実かどうかということを調べまして、今御指摘のようなことがないように非常に戒めておるような次第でございましたが、ただいまのような事態が起りましたことは、はなはだ申しわけなく感じておる次第でございます。
  13. 山田長司

    山田委員 虎ノ門の場合は、国有地が坪五百十円で貸し与えられて、しかも会社当局では——私の知っている弁護士に漏れ聞くところによると、とにかくこれはただで使えるのだという考え方で、いまだに虎ノ門の文部省の前が今度は公然と地代も払わずに使われておる、こういうような事態になってしまっておるわけですが、一体会計検査院の衝に当る人たち——機構の問題がどう改革されていっても、機構改革だけじゃなくて、あなたは今食事一緒にして、どういう問題が起っても、それをつぶさに聞いて、所員の粛正努力をするというふうなことのようですが、これはもちろん必要なことでしょう。しかし私は会計検査院人たちの中にそういう事態が発生するような根本的な原因はどこにあるのか。もちろん機構にもその一つの例があるだろうと思うのですけれども、もう少し何か突き進めて研究されなければならぬものがあるような気がするのですが、そういう点について、機構だけでなく、あなた方もう少し何かお考えになられた点はないですか、そういう点を参考に伺っておきたいと思います。
  14. 池田直

    池田会計検査院説明員 ただいまのような御指摘不詳事件の発生しました真因を、会計検査院といたしましても、いろいろ考究してみたのでございますが、やはり原因といたしましては、本人の道義的な責任観念並びに国家公務員としての心構え、こうしたことが欠除していたということではなかったか、こう考えておる次第でございます。
  15. 田原春次

    田原委員 会計検査官待遇一般他省と比べて、同一ですか、どういう程度になっておりますか。
  16. 池田直

    池田会計検査院説明員 会計検査院職員は、ごく一部を除きまして、ほとんど全部といってよろしゅうございますが、一般国家公務員でございますので、公務員法の適用を受けておりますし、ほかの各省一般公務員と全く同じ待遇でございます。
  17. 田原春次

    田原委員 検査のために地方に出張する場合の旅費等相当潤沢に用意されてあるのですか、どうですか。
  18. 池田直

    池田会計検査院説明員 地方実地検査のために要します実地検査旅費は、会計検査院としては最も生命ともいうべき経費でございますので、毎年これの獲得には一番腐心しておる次第でございますが、現在十二分とは申し上げられませんが、何とかこれで現在の職員実地検査に派遣するためにはまかない得る、こういうふうに考えております。
  19. 田原春次

    田原委員 われわれは会計検査院検査事務の適正厳正なることを希望するからこういう質問をしておるのでありますが、もし待遇等に対して必要とあらば、これは相当考えていいのじゃないかと思うのです。その半面、検査は全く厳正公平にやってもらわなければならぬ。従って、もし万一検査官自体がいろいろ間違いを起すような場合、厳罰をもって臨んでもらう以外にないと思う。そこで今配付された資料を見ましても、部内の監察制度というものはないようです。各受け持ちの課は多少——各省にはあるようでありますが、検査官自体を監察するような監察官のごときものは置かれていないようでありますが、そういう必要を感じなかったのかどうか。それから今回こういう規定改正をするのに対して、なぜそういうものを提出しなかったかについてお聞きしたい。
  20. 池田直

    池田会計検査院説明員 ごもっともな御意見に存じます。会計検査院といたしましても、各地方職員が出張しました場合の官紀を維持するために、一つの監察的な役目をもちまして適当な者が回るということは、やはり必要ではないかと考えまして、努めて官房人事課長等、並びに局長以上の者が年に一、二回は地方に視察に出かけるのでありますが、その際に今御意見のような点に沿って、地方政府機関の長の意見なり、あるいは地方の団体の長の意見なり、その他の一般の声を努めて聞くようにいたしまして、いろいろ耳にしたら、先ほど申し上げましたように、さっそく調査にかかるという処置をやっております。なお会計検査院といたしましても、皆様方の御意見も始終いろいろ御忠言等を伺っておりますので、努めて官紀粛正に心を砕いているというような次第でございます。
  21. 田原春次

    田原委員 次は報告書の問題ですが、昭和二十八年度決算検査報告書五百八十六ページを見ますと、付表第五として、「昭和二十八年度政府関係機関決算検査完了額表昭和二十九年十二月二十一日現在)」となっております。われわれが最も遺憾に思うのは、印刷能力あるいは調査能力——調査自体が非常に困難であるというような点も考えねばならぬけれども、正確なものを出すという意味において、非常に報告書がおそくなる。そこで二十八年度検査未了相当あるのに、昨年の暮れになってようやく発表しなければならぬという非常なおそい点について、改正すべきだと思うのですが、そういう便法として、たとえば中間報告のごときものを順次出して、各官庁の反省なり是正を促すというようなことで、同時にわれわれの方にも、資料が三年も前のが今くるというようなことではどうにもならぬ。そういうようなことについての事務の改良、比較的すみやかに知らしめるということについて、何かお考えはないでありましょうか。
  22. 池田直

    池田会計検査院説明員 まず検査報告に提起いたしております昭和二十八年度政府関係機関決算検査未了額が多分にあることに対しましては、会計検査院としても非常に遺憾ではございます。努めて検査を早く了しまして、検査報告の作成を急ぐということにまっしぐらに努力いたしているつもりでございますが、やはり相手方等説明が十分でなかったりする等の関係がありまして、検査報告として責任ある報告をいたすために、熟さないという関係から、未完了の数字が毎年相当額に上っているような次第でございます。やはり私どもといたしましても、こうした事態は現在やむを得ぬと思っておりますが、努めてこれの少からんことに努力いたして参るつもりでございます。  なお検査報告が早くでき上るように、立法的な改正を加うべきではないかという御意見も、これまでに十二分伺っておる次第でございますが、財政法会計法規定は、たとえば国の決算で申しましたら、翌年の十一月末にその前の年度決算関係書類検査院に送付するという規定になっておりますが、これより前に政府の方で検査院に送付してはならないということにはなりませんので、努めて早く政府の方で決算を作成されて、検査院の方に送付されれば、会計検査院といたしましても、一日も早くこれを作成いたしまして内閣に提出する、内閣から国会の方に、また決算のときに提出するという運びになりますので、まず当面の間は法的改正を加えないでも、運用によってその点はできるのではないか、こういうふうに現在はまだ考えております。  なお中間報告的な検査の結果の措置の問題でございますが、これはごもっともな御意見でございまして、私どもといたしましても努めて特定の事項等について御指摘がございますれば、御期待、御要望に沿うように現在まで努力しているのでございます。ただ会計検査院といたしまして、いやしくも国会の御審議の重要なる資料でございますので、責任ある報告になる関係上非常に現在時間等を要する関係で、必ずしも御期待に沿えぬような事情も間々あることはたいへん皆さん方に相済まないことだとこう考えております。
  23. 宮澤胤勇

  24. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 二、三お伺いしてみたいと思いますが、ただいま御質問になっておりました少しでも早く検査報告書国会にくること、そういう点だったろうと思うのであります。これはやはり財政法とかその他の会計法規などの関連もあることでありますけれども、私ども国会の国の決算なりあるいは会計検査院検査報告書審査いたしますときに常に感じますることは、実に事件が古いことであります。何しろ昭和二十九年度検査報告書暦年の三十一年にならなければ事実上国会審査にかかれませんので、こういうようなことでありますから当の行政責任者もその地位におらぬのが大部分であり、また事件が古いので興味がない、あるいは審査の結果が法律上の効力に影響がございませんので、こういうような観点から国会審査というものは非常に低調であるということは世論が大体一致しているのでございまして、何年来も国会におきましてもこの問題はやはり論議されてきたのでありますが、未だ改善の時期に至っておりませんことは非常に遺憾なのであります。そこでこの問題は法律改正などが少し必要でありまするのとともに、具体的に運営の上で若干検査院の御努力が幾らか効を奏していくのではないかと思いますけれども、国の会計検査国会における審査制度が重要であるならば、やはりそういうようなことは運営とか何とかいうような中途半端なことにまかすことなく、もっと進んで相当強い意見を、検査院なり国会なり政府なりは出すべきではないかと思うのであります。従って一日も早く国会に国の決算なり検査報告書がくることを望みますためには、一つおそくとも翌年の国会常会劈頭までに、つまり昭和二十九年度決算並びに会計検査報告書暦年三十年の十一月中にでも国会に付託される、こういうようなふうに何とかこれは改正せなければならないじゃないかと思うのであります。あるいはもっと進んで夏の間にでも、九月ころまでの間にでも付託することができないであろうか。さもなければ二、三度に区切りまして、何か特別の制度で割って審査する方法はないだろうか、こういうふうに考えるのですが、これについて運営を飛び越えまして少し御意見がありましたら聞いておきたいと思います。ただしこれは結論だけでよろしゅうございます。理由はいいと思いますので、これこれの点はこうすればいいと思うというような趣旨でいいと思いますから、簡明に御答弁願いたいと思います。
  25. 池田直

    池田会計検査院説明員 検査報告を少くとも国会常会劈頭提案できるようにという御意見につきましては、事務的の問題といたしましては、会計検査院決算が少くとも九月末くらいまでには来ることが必要ではなかろうかと思います。その後検査院といたしまして一カ月近く決算全体の検査に要すると思いますが、それで検査報告ができましょう。それから印刷の問題、決算並びに検査報告印刷政府の方でございますが、これは大部分のものでございますので、これに相当の日数を要します。そうした関係で結局大体十二月の半ばころまでには報告国会提案になるかどうかの問題になろうかと思われます。なお中間的に決算関係報告ということになりますと、検査報告憲法第九十条の規定に、国の収入支出決算は、会計検査院がこれを検査して、毎年次の年度の議会に検査報告とともに提出しなければならないという条章がありますので、決算検査報告ということを中間的に区切って出すということはむずかしいのじゃないか、こう考えられます。
  26. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 この点は技術的には大蔵当局その他各省予算執行上の措置とか、あるいは整理期間等の短縮その他いろいろな事務並びに技術上の問題が相当ございますので、あなたの方だけと問答いたしましても、大した効果はあるいはないかと思いますが、いずれにいたしましてもこの点は積極的に、決算が重要であればあるほどその点に対して特段の御考慮を願って、出せるものならば相当斬新な制度改革意見でも主張するくらいにやってほしいと思うのであります。  それからもう一つ伺っておきたいことは、二十八年度の公共事業の補助金の事前検査が行われた結果、百億円以上の是正できたということが報告されております。これにつきましては非常に示唆に富んだものがあると思うのですが、こういう工事の事前の抜き打ち検査的なものが行われて、その結果ただいまのような多額な是正額が出るということは、これは病膏肓に入っているような感じがいたすのであります。そこで伺ってみたい点が二つありますが、一つは、これは予算との関係もあると思いますけれども、常にそういうような抜き打ち検査をもっと広くやることはできないものかどうか。  いま一つは、こういうようになるよって来たる根本原因につきまして、やはり事業主体である地方公共団体の財政が赤字で、火の車が回って困難をきわめているというところにも重大な原因があるのではないか、道徳的な原因もあるかもわかりませんけれども、財政難に陥っている事業主体のそういう事実がさような結果を来たらしめて、是正の余儀なきに至らしめるようなそういう罪悪を犯しているのではないだろうか、こう思うのであります。その事業主体の財政不如意という点はかなり強調していいのではないかと思うのでございますが、あなたの方の千幾つの実例に徴してみましても、大体それらの点についての御観察はどういうふうであったでありましょうか、この二点を一つ
  27. 池田直

    池田会計検査院説明員 地方公共団体に対します補助金経理も非常に不当事項の多いことでございます。この関係はいろいろ原因がありましょうが、下地といたしましては、やはりただいまお話のような地方財政の不如意から来る原因も見のがし得られないことだろうと考えます。一面また一般国民道義がどちらかといえば、地に落ちているとまでは言えないかしれませんが、相当弛緩している。この両方の原因がからみ合って、補助金経理が非常に御指摘のような乱脈になっているということになろうかと思います。ただ地方財政の不如意だけが最も決定的な原因だということにはならないのではないか、こう考えます。と申しますのは、会計検査院が各地方検査をいたしまして指導なりをいたしておりますと、翌年は相当よくなっているという事態相当見受けられます。比較的改善の度合いが遅々なるものだという向きもございますが、相当改善されているという向きもございます。こうしたところはやはりこのままでは国も地方も成り立たない、やはり苦しいけれども、何とかすっきりした姿に補助金なり地方行政の姿を持っていかなければならないという熱意に燃えられた団体等は、非常に改善されているということも私ども見のがせない事実だ、こう考えております。
  28. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 改正法の二十三条第一項第二号によりますと、公社——たとえば国鉄ですが、公社から現金を取り扱うものに対する会計検査ができるようであります。そうすると一例をあげますと、国鉄の日々の収入金、水揚げを一般市中銀行に預けております。東京あたりでもそこらの銀行にみな預けておりますが、こういう銀行に対しても検査をすることができるわけでありますか、その点をちょっと伺っておきたい。
  29. 池田直

    池田会計検査院説明員 ただいま御意見の通り第二十三条の改正を今度行なった次第でございます。第二十三条第一項第二号によりまして、国鉄が市中銀行に収入金等を預託しておりますが、その関係検査できるように今度の改正措置を講じた次第でありますので、今御指摘の通り今度からできるようになります。
  30. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それから、先に田原君からお尋ねになりました点は非常に大事だと思いますので、私からも重ねて伺っておきたいと思うのです。一つはやはり検査院の内部における綱紀をいろいろ審査されることを国民は要望しておるのであります。この点は、検査院政府から独立した機関でありまするので、その信頼を高めるという意味におきまして非常に重要なことでありまするので、この点につきましてはさらに積極的に審査いたしまして国民の希望にこたえるという道が必要でないか。いま一つの道は、地方検査に行かれました際に、いろいろと非難的な発言もありましたけれども、また他面におきまして宿屋から地下たびばきで、弁当の握り飯をこしらえてもらって、そして調査に行っておるような実にまじめな人々も私は実際に見ますので、こういう点から考えますと、地下たびをはいて握り飯を持っていくようなことでいいであろうか。非常に計数的に頭を使う仕事でありますので、こういう点から待遇につきましても十分考えていくべきではないであろうか。会計検査院は裁判所と同じことで、予算の作成につきましては特別な権限を持っておられるのでありますから、これらにつきましても仕事に万遺憾のないような待遇をするということもあわせ考える。この二点をあわせ行うことによって私は一層機能を発揮していく体制ができるんじゃないか、こういうふうに思うのですが、一つ御所見を聞いておきたい。
  31. 池田直

    池田会計検査院説明員 会計検査院機能発揮のことにつきましての御意見、私どもも全くごもっともと存じます。国の財政の事情が許す限り、今後もそうした御期待に沿えるように会計検査院の活動をいたさせるために予算等の措置についても努力いたしたい、こう考えます。
  32. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 最後に伺っておきたいのでありますが、会計検査院の任務は、現在の検査院機構あるいはその当事者のいかんにかかわらず、やはり国家財政の上におきましては非常に重大でありますることは申し上げるまでもございません。そこで第一には、その検査した結果は国の予算編成の上におきまして重要な参考資料になるというくらいの意気込みで検査をしていただきたいことと、同時にその結果がもっと具体的積極的に政府の翌年の予算編成に重要な資料となって現われるという方法はないものであろうか。ただ聞くような連絡というか、政府に対しての申し入れ事項などを読んでみますと、もっともなことばかりでありますけれども、とんと効果があがらぬのじゃないだろうか。一々これを参考にして制度を改めるということも聞きますけれども、しかしながら、たとえば各省庁の人に対する処置のごときは非常に緩漫であるということは世論が一致いたしております。いやしくも非違が認められました以上は、その省における予算は翌年は何らかの影響を受けるというくらいの峻厳な影響力がなければならぬと思うのであります。こういうことについて何か御意見がありませんか。  それからもう一つは、やはりないことが望ましいのでありますが、年々批難事項がだんだんふえて参りますので、これを根本的になくするためには、反面におきまして厳罰主義と申しまするか、根本的になくするという必要もありますけれども政府に対しまして政府責任を追及する。これは国会仕事かもわかりませんけれども、やはり検査院の立場からいたしましても、たとえば遠慮なしに告発するとか何とかそういうような手を打って、この一つの事実で百の戒めにするというようなことがなければ、年々膨大な決算報告書ばかり積み上げられるということは、実にわれわれとしては遺憾しごくなのであります。こういう点は、半面におきまして国費の乱費が国民経済の圧迫になっておりますことは申し上げるまでもございません。官紀が弛緩して何もかもそういうところに悪いものの花が咲いて参りますので、告発でもするというような強い態度をもってやったらどうですか。めったにそういうことはしてはならぬとは存じますけれども、少しくらいはそのくらいの手はあってもいいのじゃないかと考えますが、この二点に対して大臣の御所見を伺いたいと思います。
  33. 池田直

    池田会計検査院説明員 検査院検査の結果が政府に対しましてすみやかに反映いたしまして、不正不当事項の防止なり、進んで予算の編成等についてもいい結果を及ぼすようにということにつきましては、ただいまの御意見の通り、私どもも、少しでも御期待に沿うように今努力しているつもりでございます。今後とももちろん努力いたしますが、最近におきましても、たとえば、先ほど御指摘がありましたように、補助金のことにつきまして、このごろまだ乱脈相当のものがあり、改善の域に必ずしも達しておりませんので、補助金経理その他いろいろの予算あるいは会計につきまして、二十九年度検査の結果に基いて主務省に注意を発すると同時に、大蔵省にもこれを主張いたしまして、予算の編成などに十二分に参考に資するように処置をいたしたような事例もございます。  なお、先ほど御指摘がありましたような、災害復旧関係の補助金経理につきましての早期の検査関係も、不正不当事項を未然に防止するために会計検査院といたしましては、予算関係相当無理をいたしまして実行いたしたような次第でございまして、御指摘の通り、百億円の経費を将来に向って軽減することができた、そして会計検査院が主務省に注意をいたしまして是正いたしました。そうした百億の金額を将来に向ってむだづかいするようなことがないように現在のところはなっております。  それから予算執行等の不当事項があった場合の処分が軽きに失するから、官紀の弛緩がいつまでも残るのではないかという御質問でございますが、そういう面は会計検査院といたしましても痛感いたしておる向きもございます。最近国会におきまする追及また御意見が厳正適切でございますので、最近には主務省に相当強く反映いたしまして、一時よりもよほど改善されたように考えております。以前は会計検査院法律に準拠いたしまして処分の要求をしなければ、なかなか懲戒処分等をやらなかったのが、現在ではもう会計検査院の処分要求を待つまでもなく、処分をどしどしやっておるような現況でございます。ただ軽きに失するじゃないかというような御意見がございますが、会計検査院も、一応予算の執行等のことについてだけに限定すれば、やったあとはやや軽きに失するじゃないかという向きもございますが、先ほども申し上げました通り、行政責任に関連しての人事権、この人事権の管理はあくまで内閣が持っておりますので、責任も帰属いたしますので、会計検査院としてあまりに懲戒処分を必ずこれだけはやるべし、そうしてその通りに行政庁はやらなければならないということの強い規定は、会計検査院としては現在のところまだ行き過ぎではなかろうかという考えを持っておりますことを率直に申し上げます。
  34. 山田長司

    山田委員 関連して。各局部課に分れて、いずれみなエキスパートの方が会計検査の衝に当っていることは私たちも了承されるわけですが、一つ伺っておきたいことは、検査官が一応調べたあとで、民間からこれが摘発をされて、会計検査の衝に当った人のあとから不正事件が発覚したというような場合、たとえば栃木県における共済連事件の三千六百万円の問題のごときは、農林省で過払いをしてしまっていて、それが農民の手によって、こんなばかな支払いはないじゃないかということで、だんだんそれを追及していった結果、浜崎という共済連の経理部長が検察当局の取調べを受けて、しまいに体刑処分に付された。それから最近では、国家消防本部の検査官が、全国的に法律の不備のためにポンプの検査に各地区を歩く関係だと思うのですが、その検査に行くのに旅費が少いというので、消防の組合から金を取って、取った金額は三百万からになるわけですが、最近それで堀田という人と三国という人が——何か国家消防本部の本部長の異動もあったようですが、こういう事件検査官の調べたあとに発覚していると思うのです。検査の衝に当った人たちが本気になって熱心に調べたことはわかるのですが、一体調べたあとにこういう事件が発覚したことについて、関係の係官に対する御処置はどんなふうに、これらの人たちについての注意事項というもの、あるいは職務上における調べが不足だったという点についての注意がなされるものか、参考に伺っておきたいと思います。それでないと、民間が、会計検査院なんというものはあってもなきがごときものじゃないか、これは民間の人が調べたんじゃないかということがいわれているのです。この点について当局の御所信を伺いたいと思います。
  35. 池田直

    池田会計検査院説明員 お答えをいたします。ただいま御指摘の栃木県の事件、それから国家消防本部関係事件は、具体的の事例をお示しいただきましたが、私はまだこれを存じませんので、帰りましてよく調査いたします。また後刻御報告の機会がありましたら御報告いたしますが、ただ具体的の事例は別といたしまして、抽象的なことでお答えいたしたいと思います。会計検査院実地検査官が具体的の事例を相当検査いたしましたあと、たまたま警察なりあるいは警察庁等の手、あるいはただいまの御指摘のように、民間の関係者等の手によりまして、不正事件等があとからあがる事例はやはり間々ございます、会計検査院といたしましてもはなはだ遺憾なことでございます。将来そうしたことがないように、どこに手抜かりがあったかというような点につきましてよく調査いたしまして、将来を戒めることはもちろんいたしております。ただ具体的の事例につきまして、不当事件発見できるのに故意にこれを発見しなかったというような事例は、現在までございません。故意にそうしたことがありましたなら、これは公務員として職務違背の最も許すべからざる事態だと思いますから、もちろん厳重な処分をいたしたい、こう考えております。いろいろ今までに調べた事例で、あとからどうもこれは少し力が足りなかったのではないか、そのために不当事件等が見のがされたのではないかというような関係、こうした場合にまで非常に強くこれを処分するということは、人事管理上どうかと考えられますので、メリットの関係等から、いろいろ人事面ではその本人はマイナスになることはございますが、正規の懲戒処分等にまではしておりません。大体そういうような次第で今日まで至っております。
  36. 宮澤胤勇

    宮澤委員長 森三樹二君。
  37. 森三樹二

    ○森(三)委員 私は二、三質問したいと思います。先ほど皆さんから御質問がありましたが、会計検査院の職責の重大なことは申すまでもありません。あなた方は国家の財政その他国民の税金によってまかなわれているところのあらゆる事業面について、きわめて厳密な監査を行わなければならぬと思うのです。憲法規定からいうならば、毎年会計検査院が国の収支決算検査いたしまして内閣報告すればいいことになっている。しかしながら会計の問題に関しましては、時々刻々いろいろな問題が起きているのであって、本日においても組織の改正に関する法律が出ておりまして、いろいろな質疑応答がなされている。従って国会は必要な場合には、あなた方の報告がなくても、あなた方の出席を求めて必要な質疑応答をすることができるわけでありますが、私はこの際この機構改革法律案が出ているということは、とりもなおさず、私は今後の会計検査院の組織の強化にあると思うのであります。しかるにこうしたところの重大な問題があるにかかわらず、規則からいうと会計検査院の代表者は院長になっている。本来ならば院長がここに出席されて、議員の質問とか意見等を十分聞かなければならぬと思う。事務総長だけにまかしておくということでは、私は会計検査院長の職責は十分でないと思います。きょうどういうわけで院長がお見えにならなかったか、あなたからお尋ねしたいと思います。
  38. 池田直

    池田会計検査院説明員 御意見の通り、会計検査員長が会計検査院の代表者でありますから、最高の会計検査院長が、親しく出席いたしまして、御質問等にお答えいたしますのが、これは会計検査院といたしましても、いつもそうした建前を持っておることには、各省と変りございません。会計検査院の院法の改正案は、会計検査院には提案権は実はございません。内閣の方の提案ということに建前がなっておりまして、内閣官房長官みずからおいでになりまして、具体的のこまかい事態につきましては、事務総長から説明をいたすようにという委員会の御意見かと考えまして、私参って御説明申し上げておるような次第でございます。
  39. 森三樹二

    ○森(三)委員 そうしますと、このような会計法上の組織の簡単な改正だから、院長は来なくてもいいのだというような考えであろうかと思うのでありますが、根本官房長官は、なるほど内閣官房を引き受けて出席はしております。しかしながら、機構の改革については、内閣とあなた方の方と、私は十分連絡はしておると思う。これはやはりあなた方の方の御要望が相当入っておる。私は、院長もこれに対しては重大な責任があると思う。従って今後は国会を軽視するという形でなく、院長がかりに答弁に立つ立たないは別として、単に事務総長に答弁させるようなことではなく、国会意見を十分尊重するためにも、院長も努めてこの委員会に出席して、そして質疑応答を十分研究されなければならない。ことに先ほど来、あなた方の方の院内における職員の綱紀問題についても発言が行われておる。こういうことは、院長としては十分みずからの耳に聞いておかなければならぬし、またあなた方としても、帰られたならば、院長その他の検査官にも、きょうの委員会における質問事項等については、私は十分報告しなければならぬと思う。院長はやはりこの院の代表者であり、今後会計検査院運営については、私は十分注意をしていただきたいと思うのであります。  そこで、この法案の第十四条のところでお尋ねしたいのですが、「前条の職員任免進退は、検査官の合議で決するところにより、院長がこれを行う。」となっているのですが、改正前の法案によりますと、「一級官吏は、検査官の合議で決するところにより、内閣でその任免進退を行う。」となっています。この改正案によりますと、職員任免進退検査官の合議で、さらに院長がこれを行う、となっておりますが、われわれの感じとしては、従来は内閣でその任免進退を行なっておったのだが、改正されると、院長が最終的な決定権を持っておるように思われるのですが、その点はいかがですか。
  40. 池田直

    池田会計検査院説明員 第十四条の規定改正でございますが、一級官吏は従来、今御指摘の通り、検査官の合議で決するところによりまして、内閣でその任免進退を行なっておりました。しかしその後国家公務員法改正によりまして、第五十五条でございますが、「任免権は、法律に別段の定のある場合を除いては、内閣、各大臣、会計検査院長及び人事院総裁並びに各外局の長に属するものとする。」という規定改正がありまして、各省もそうでございますが、会計検査院も現在公務員法関係によって、この改正の案文のような運用をやって参っておるわけなんでございます。院長がこれを行うとなっておりますが、検査官の合議で決するという条件が付いておりますので、検査官の合議できまらなければ、院長は何も任免進退を行うことができない、こういうことになっております。各省も以前一級官吏は内閣任免進退を行なっておりましたが、今読み上げました公務員法規定によりまして、現在は各大臣が一級官吏に相当するものは、任免進退を行なっておられるのであります。
  41. 森三樹二

    ○森(三)委員 それは公務員法その他によって改正された点もありますが、これをこのように改正すれば便宜であろうと思う。便宜であるということは、一面において内部的な情実や人情がからんでくるということも一応考えられないわけではないと思うのでありまして、この点は今後よほど慎重に運営をしてもらわなければならぬと思います。その意味においても、院長がこの席上におれば、われわれも直接院長にわれわれの意見を申し上げることができるのでありまして、今後会計検査院法改正とかいうような問題につきましては、院長みずから当該委員会に出席していただきたい。特にきょうは決算委員会内閣委員会の合同の委員会でもありますので、こうした各委員諸君の意見を院長は十分しんしゃくすることが必要であろうと思います。それから、先ほど来各委員諸君から言われましたが、検査官検査をするに当りまして、自分の身分、地位を考え相当厳格な検査をする人もあるし、また往々にして情実人情にからんで承認すべきでないものを承認しているような面もあります。しかし一面において災害の工事とか補助工事等については、たとえばその地方においては補助金だけで工事の大半をやってしまおう。従って工事代金を膨大に申請して、その何割かの補助金を獲得する。町村の財政が苦しいから補助金に頼る面が十分ある。従ってその工事の全代金を過大に評価しているような面もあるのであります。それは私は今日の地方自治体の財政が窮乏している実情においては、非常に同情すべき面があると思うのです。従ってそういうものが発覚したからといって、一々これを告発するかしないかということはよほど考えなければならぬと思う。窮乏した財政を町村が負担し切れない場合には、やはり国の補助によって学校とかその他公共の建物を作る場合がしばしばあると思うのです。だから私どもはそういうものを一々摘発せいというような極端なことを言うものではありませんけれども、しかしその金が少くとも個人の利益のために使用されているというような場合があれば、この三十三条に「会計検査院は、検査の結果国の会計事務を処理する職員に職務上の犯罪があると認めたときは、その事件を検察庁に通告しなければならない。」と書いてありますから、本来ならば、絶対に仮借なくしなければならぬことになっている。ところがあなたの方としても、百あったものを百は告発しておらぬと私は思うのですが、先般来いろいろ事件の件数までもあげて質問もありましたが、大体において昨年、一昨年等において、あなたの方で告発した件数はどれくらいあったのですか。
  42. 池田直

    池田会計検査院説明員 最近はございませんが、会計検査院検査の結果職務上の犯罪があると認めた場合には、大体本人が自首いたしましたり、主務官庁の方から告発いたしたりいたします関係上、会計検査院法の三十三条を適用する事例が比較的少いようでございます。それからこれは国並びに、今度の改正案によりますれば、公社の場合も適用に相なりますが、補助団体でございます地方公共団体、この町村等の補助団体でかりに理事者等に犯罪があると認めましても、会計検査院といたしましてはこの三十三条の適用は現在はございません。ただ一般国家公務員といたしましての刑事訴訟法上の告発の義務と申しますか、責任と申しますか、それだけでやる以外に手はないようになっております。
  43. 森三樹二

    ○森(三)委員 そうしますと、あなたの御説明を聞いていると、三十三条というものはあってもほとんど、悪い意味では、活用されておらぬ、有名無実だというような感じを受けるのですが、そんなようなことになっているのですか。
  44. 池田直

    池田会計検査院説明員 結果的には有名無実のような感を受けますが、実際上は、過去におきましても数回、これは告発通告でございますか、検察通告は行なっておりますし、これはある意味で、相手の検査を受ける官庁等も、やはり自分の方から本人を自首させる、そうした関係の促進に相当役立っておりまして、無言の力を持っておると思っております。
  45. 森三樹二

    ○森(三)委員 それじゃあなたの方で直接この三十三条を発動されないで、当該官庁等において自主的に自首させるとかその他の方法でやって、自分の方は直接風当りが来ないようにやっているというふうに私は受け取るのですが、いずれにいたしましても、今後あなたの方の職責というものは非常に重大なわけでありますから、この機構改革ができました後においても、十分に一つ職責の遂行につきましては、内部に対してもまた調べの対象になるところの各機関に対しても、ほんとうに国家のために厳正公正な会計検査が行われることを私は希望して、一応質疑を終ります。
  46. 宮澤胤勇

    宮澤委員長 床次徳二君。
  47. 床次徳二

    ○床次委員 ただいま御質問がありましたが、国の予算執行に関する不合理あるいは違法等に関する会計検査院の職務についての取扱いでございますが、今までのところそういういろいろ注意規定あるいは懲戒規定があるのでありますが、これが十分効果をあげていないのではないかという感じがするので、事務刷新という意味におきましてはやや適当ではなかろうという印象を受けるのであります。それというのは、ただいまお話がありましたが、補助金その他に関しましては今日ずいぶん大きな不適正行為があると認められておりまして、これに対しましては政府でも昨年以来提案されておりますが、補助金等の適正施行に関する法律案というものを考慮されております。しかもこの法律案の内容等を伺ってみますと、関係者に対しましては特殊な一つの新しい罰則を設けまして、その適正を期そうとしておられるようにお考えを伺うのでありますが、その考え方と、今の会計検査院でやっておられる事柄と比べますと、国の公務員に対しては著しく軽く考えまして、地方公務員に対しましては、今後非常に強く粛正をしようというようなふうにも考えられるのでありますが、この点会計検査院として、均衡上と申しますか、同時に経理粛正するという立場から、どういうふうに考えておられるか、伺いたい。
  48. 池田直

    池田会計検査院説明員 補助金の経理の適正化に関する法律案の精神なり規定関係と、会計検査院法会計事務職員責任追及の規定との権衡関係の点の御質問でございますが、会計検査院といたしまして、実は補助金適正化関係の罰則等の規定と本件とをにらみ合せて、権衡はどうであろうかということを、現在まだ院全体として意見をまとめてはおりません。補助金適正化に関する法律案は、現在国会で御審議になっておりますので、私がここで私的な意見等を述べますことはかえってどうかと考えますが、会計検査院といたしましては、ただあまりにきつい法律で、結局執行が無理だというような法律規定は、どの法律でもそうでございましょうが、あまり好ましくないんじゃないかという考え——予算執行職員等の責任に関する法律規定等が相当やかましくなっておりますが、よく抜け穴というのははなはだ悪い言葉でございますが、往々にして規定等が相当厳重に責任追及ができるようになっておるのに、何かしらん規定のどこかに不備と申しますか、ゆるみというものがありまして、それをいよいよ執行する場合には、法規上、責任追及の関係上から厳格に解しなければいけないという建前から、私ども法律執行上、追及しますような場合にちゅうちょせざるを得ぬような事態が非常に多いのでございます。それというのも、一面、たとえば予算執行職員等の法律関係から申しましても、法令等に違背して、また故意に予算を執行いたしまして、国に重大な損害を及ぼした、かりに千万円も一億もの損害を及ぼしたというような場合に、責任を追及するということになっておるのでございますけれども、一億なり千万円なりの国庫の損害に対しまして、それを賠償させるということがはなはだ酷に過ぎて、実際上執行不可能になるような場合が多いのじゃなかろうか。そういうふうなことは極端な例でございますけれども、やはり責任追及の関係は、法律規定が活発によく動くように、しかも一般的に見てだれも納得のいくような罰則、これは国家公務員のみならず、あるいは地方自治団体等の補助金を受ける側の責任者等につきましても、そうした規定国会におきまして御決定になりますことが、全体の感じから言いましたらよくはなかろうかという感じはいたしております。
  49. 宮澤胤勇

    宮澤委員長 これにて本連合審査会は終了いたしました。  本日はこれにて散会いたします。     午前十一時五十九分散会