○入江
政府委員 勤務地手当につきましては、小
委員会におきましてしばしば御検討でございまして、経緯その他についてはすべて御存じの
通りでございます。そこで今後の勤務地手当を一体どうしたらいいかということにつきまして率直な見解を述べさせていただきますと、御存じの
通り、これは私から申し上げるまでもございませんけれども、大体勤務地手当と申しますのは、公務員の生計費を基礎として設置するということが法の趣旨でございます。ところが生計費につきましては、現在の
状況は、
東京をかりに一〇〇といたしますと、一番低いところは約四〇%の差がございます。大体
全国について二〇%くらいの差がございます。そこで大体生計費を基礎にした何らかの勤務地手当に類似した差額の手当の支給があるということは、むしろ公務員の
給与の均衡を保つ上においては必要なのでございます。ところがこれが実際問題といたしまして、これも申し上げるまでもなく、何さま
全国広
範囲にわたっておりまして、ことに
一つの県内におきましても隣接した町村があり、それがそれぞれ勤務地手当が違っておる。そこに合理的な基礎、標準を発見することはなかなか困難でございますので、やはり全体として生計費の差に基く何らかの手当を置くことが必要でありますにかかわらず、これを置いておりますと、そこに
人事管理上と申しますか、国会にもいろいろ御迷惑をかけますし、われわれの方としても非常に困難な問題でございます。そこでこの二つの問題をどうして調整するかの問題になるのでございますが、勤務地手当を廃止するということは、廃止する方法もいろいろございまして、廃止するにいたしましても、勤務地手当という
一つの名称と申しますか、ただいま申し上げた
通り、そこに生計費に基く
給与の地域差というものが何らかの形でございませんと、これはまた非常に
給与の均衡を失します。そこで地域給そのものを廃止いたしましても、何らかそこに生計費を基礎にした若干の
給与の差を認めては行きたい。ところがこれはいろいろな案がございまして、この案は十分御存じの
通りでございまして、都市手当というものを設置いたしますとか、あるいはイギリスの制度にもございますように、
全国を大きくブロックにわけまして、大体の各隣接町村ごとに紛糾が起らないような制度にいたしますとか、あるいは
地方公務員と国家公務員との連関をなくいたしますとか、そこにいろいろございますけれども、われわれといたしましては、根本問題としては、これは
人事院の立場でございますが、地域給の廃止と申しますか、地域給の制度の変更によりまして、都会における公務員に対しましても、実質賃金と申しますか、実質の
給与が減らないようにはしたい。これはぜひ
人事院の立場としてはお願いいたしませんと、先ほど森さんからもしきりにお話がありましたように、元来公務員の
給与と民間の
給与と差があるのが通常でございますから、できるだけ地域給の改廃によって都会の公務員の
給与が実質的に犠牲を受けるようではいけませんので、それが犠牲を受けないで
人事管理上いろいろ現在の紛糾を避けるようにいたしたい。そこで一体どういう方法があるかということになりますと——えらい堂々めぐりをするようでございますが、一種の都市手当とか、あるいは広地域的にきめるにいたしましても、やはりすぐ直接な隣接との間に問題が起りますので、ある程度の経費と申しますか、相当多額な経費がここにございませんと、公務員の実質的な
給与を減らさないでこの問題を片づけるという——一部の公務員、ことに国家公務員は大都市に集中しておりますから、この都市に集中している国家公務員の
給与を下げないでこれを片づけることは非常に困難じゃないかと思っております。そこで
人事院といたしましては、経費の問題をお前たちは
考える必要があるのじゃないかということになりますけれども、現実の問題として相当多額の経費を計上することがなかなか困難な現状におきましては、先般小
委員会に
人事院から
意見を出しました
通り、
人事院の勧告の線、あるいはそれに予算があればまたそれに準じたいろいろな案が出ましょうが、ともかく現在の不均衡を是正いたしまして、それをちょうど選挙法別表のごとく凍結をいたす。これは非常に微温的な措置になるかもしれませんけれども、実際問題としてそういうふうな方法しか現在のところでは
考えられないのじゃないだろうかというのがわれわれの率直な
一つの見方でございます。