○飛鳥田
委員 昨日以来憲法上の問題、
自衛の問題、そうした比較的理論的な問題が取り扱われましたので、きょう私は、方面を変えて
国防会議の機能という点から二、三お
伺いしてみたいと思います。
少くともある一つの組織を作る以上は、その組織がどのような現実的な状況の中で運用されるか、これを運用していく力関係がどうか、こういうことをはかっていきませんと、形の上でどんなにきれいなことを言ってみたところで、それは単なる抽象論に終ってしまうと
考えざるを得ないわけであります。そこで当然頭に浮かんで参りますのは、この
国防会議がほんとうに
政府提案のように運用されていくかどうか、こういうことを疑問にせざるを得ないわけです。こう
考えて参りますと、第一に頭に浮かんで参りますのは、今
大坪さんが御
質問になりました軍事顧問団です。軍事顧問団は、あらためて申し上げるまでもなく、
日本の
自衛隊の
訓練計画の策定、あるいは装備の決定、
アメリカから
日本に対する援助物資の請求、あるいは
日本が援助を受けたいと申し出でるについての勧告をする、こういうような
任務を持っております。こう
考えて参りますと、軍事顧問団というものの意向を無視して
国防会議などというものは成り立たないのじゃないか、軍事顧問団というものが少くとも
訓練について
日本の
自衛隊を支配している、こういう状況の中で、いかに
国防計画を立ててみたところで、それは独自のものになり得ない、こういうことを
考えざるを得ないわけです。たとえば軍事顧問団の忠告に従って、海上
自衛隊は二百十八億の予算を組んだわけです。そして十七隻の艦艇を
アメリカから貸与を受ける、こういう
計画でありました。ところが昨年中に当然貸与を受けるべき十七隻の艦艇が、現在到着しているのはわずかに駆逐艦二隻に、もう一隻小さな船、これきりであります。十月になってようやく十二隻の船がやってくる、こういうことで
計画は一年ずれているわけです。
国防計画を立てる場合に所有艦艇の数が一年間ずれる、こういうようなことで
長期国防計画などというものは立てられるはずがないわけです。従ってかりに
国防会議でどのようにりっぱな
計画をお立てになっても、供与せられる船あるいは武器などが引き渡される時期というものが一年もずれる。顧問団の意向、あるいは
アメリカ軍の意向によって一年もずれる、こういうようなことになれば
計画は
根本的にくつがえってしまう、こういう結果になるわけであります。裏返していえば、どんなにりっぱな
長期計画をお立てになっても、軍事顧問団の手によって自由自在にこれをくつがえされ、あるいは促進される、こういう状況になってしまうであろう。また米軍の顧問団の指示に従って
訓練を受けておるのです。今
大坪さんのおっしゃるように、全部が英語で渡される。注意書まで英語だ。これは単に言葉の問題ではございません。その軍隊の性格を如実に示しているものだといわなければならない。こうした米軍流の
訓練をされ、米軍流に指図をされ、米軍流に動かされる軍隊をもっていかなる
長期国防計画を立てられるのか。こういうふうに
考えて参りますと、
国防会議というのは軍事顧問団によって完全に制肘せられてしまう結果に終る。いやもっと悪くいえば、米軍の指図によって
日本の
自衛隊が自由自在に動かされていく。その
計画まで作られていく。これをあからさまに示したのでは
日本の
国民が納得しないから、
国防会議という中間の機関を作って、あたかも
鳩山さん以下の
国防会議議員が自主的に作り上げたかのごとき錯覚を
日本国民に与えようとするものではないか、こういうふうに悪くさえ解釈をせられるわけであります。従って
国防会議の
議長になられる首相に、軍事顧問団と
国防会議との関係がどのようにあるか、軍事顧問団からどのように制約を受け、どのように軍事顧問団の意見を
国防会議の中で消化していくか、こういうことをお聞かせいただきたいと思います。このことは
日本の
自衛隊が
アメリカの隷属軍であるという現実の性格の上に立っての問題であろう、こういうことを抜きにして
国防会議を抽象的に
法律的に論議してみたところで意味のないことではないか、こういうふうに
考えるわけであります。まず第一にこのことをお
伺いいたします。これは首相に伺っておきます。