○岡部
政府委員
行政機関職員定員法の一部改正を改正する
法律案につきまして、先日の
提案理由の
説明に続きましてこの際補足
説明を申し上げたいと存じます。法案のほかに
資料といたしまして、お手元に
定員法改正
資料というのを差し上げてございますから、それをごらんいただきたいと存じます。なおそのほかに参考
資料として現行の
定員法をお配りしてございますから、それもあわせて御参照いただきたいと思います。
まず最初に申し上げたいと存じますのは、この
定員法の改正に際しましては、各
行政機関を通じまして総
定員を六十三万六千三百三十二人に改正いたすわけであります。ところで現在の
定員法の統計は六十三万二千三百十三人になっておりますから、その差引は一応四千十九人の増加と相なっております。しかしながらこの現行法の六十三万二千三百十三人と申しますのは、実は先般の国会におきまして、国営競馬を民営に移管いたします際におきまして、民営移管に伴う国営競馬事務を所掌いたしております職員四百六十五人をこの中から落すはずであったのでございますが、農林省の所管の分につきましては落してありますが、統計については落してないのであります。従いまして現在の六十三万二千三百十三人という
定員の統計は、実はこれから四百六十五人を引きました六十三万一千八百四十八人というのが現実の
数字でございます。従いまして、このたびの改正案は、増加は結局四千十九人に四百六十五人を足した
数字、すなわち四千四百八十四人というのが実際の増加の
数字であります。言いかえますと、総計六十三万一千八百四十八人が六十三万六千三百三十二人に増加したということでございます。その
数字に基きましてこれからどんな職員がふえるかということにつきまして申し上げます。
それでお手元にお配りいたしました
定員法改正
資料の一ページはまず総括表でございます。この総括表に基きまして御
説明いたしますと、結局総括表
各省の合計では、次のページに参りまして、現在六十三万一千八百四十八人が合計である。それに対しまして増加の方は六千三百三十六人、減員が一千八百五十二人で、差引増加は四千四百八十四人、従って合計が六十三万六千三百三十二人になるということでございます。
それでその次の三ページに参りまして、増加の内訳につきましておもな点を申し上げたいと存ずるのであります。まず総理府におきましては、航空
技術研究所の新設によりまして四十人増加になっておりますが、この航空
技術研究所の新設につきましては、先般来総理府
設置法の一部を改正する
法律案として御
審議をいただいておりますので、この
説明は省略させていただきます。それで四十人ふえますが、片一方におきましては、総理府といたしましては、目黒の総理大臣公邸を廃止いたしまして、これを永田町の方に移したことに相なりますので、それに伴う管理職員を三人減らすことにいたしたい、それからふ虜情報局の事務がほとんど終了いたし、現在におきましては九割まで終了いたしたという状態でありますので、ふ虜情報局も近い将来におきまして廃止の手続を御
審議いただくことに相なろうかと存ずるのでありますが、今年におきましては
人員だけ減らすことにするというので、四人を減らしました。従いまして総理府におきましては差引三十三人の増加に相なります。
次に警察庁におきましては七十五人の増加に相なっておるのであります。これは昨年の警察法の改正の際におきまして起きた問題でありますが、従来見習い警察官というものは、
従前の警察法のもとにおきましては、
定員外の職員としておったわけでありますが、その勤務の態様、勤務期間その他から申しまして、これを
定員法に計上すべきかどうかということにつきまして、いろいろ研究いたしておったのでありますが、この際やはりなるべく
定員法の方に計上した方がよかろうという結論に達しましたので、警察幹部見習生の三十名をこの際やはり
定員に計上する。それから皇宮警察部の皇宮巡査見習生、これは従来警視庁で養成しておったのでありますが、これも今度皇宮警察部でもっぱら養成することに相なりましたので、これも
定員法に計上したらよかろうという
考え方でこれを計上いたすことにいたしました。従いまして、これは純増ではございません。ただ
定員法に載せたというだけでございます。その増加が合せて七十六名でございます。
それから警察庁から一人外務公務員として在外公館に派遣する、すなわち
外務省に移しがえをするということで一人移しがえをしましたので、結局七十五人の増加になりました。
それから
経済企画庁におきましては、原子力関係の
行政事務に関しまして四人を増加するということ、これは
経済審議庁設置法によりまして御
審議いただいておる内容に基くものでございます。
総理府はその
程度にいたして次に法務省に参ります。法務省は百六人の増加に相なっておりますが、これは他の省にも関係があるのであります。この増加の内容は、結局今まで法務省の出先
機関で奄美大島にあります職員の
定員は政令で定めていたわけでありますが、それは、奄美大島の
行政権がわが国に返還されました当時の琉球
政府の職員を、そのまま一応暫定的に引き継いで、これの適正な規模がきまってから、これを
定員法の中に組み入れようという
考えであったのであります。その後この奄美大島の職員につきましても、大体適正な
人員の配置が行われるようになりましたので、この際奄美大島の職員で政令で定められておりました
各省の職員、通計いたしまして七百三十七人をこの際
定員法の中に計上することにいたしました。そのうちの法務省の関係の刑務所でありますとか、入国管
理事務所の出張所等の職員百六人をこの際
定員法に入れるということであります。
その他におきましては、内部の職員の増減についておもなものを申し上げますと、この際刑務所の警備力を増強する必要を認めますので、刑務所関係係で百人を増加する、それから司法試験の専任職員が今までおりませんので、これも最小限度一人をこの際ふやすということでございます。
減少の方といたしましては、大臣公邸の廃止によりまして一人を減少する、それから巣鴨刑務所の方が
収容人員も減って参りましたし、中の秩序も非常に改良されて参ったというような関係で巣鴨刑務所の職員の手があくことができるようになりましたので、巣鴨刑務所からさらに百人を減すということで、減少の方は百一人を減す、合せまして結局百六人の増加ということに相なる次第であります。
次には
外務省は五十七人の増加に相なります。増加のおもなものを申し上げますと、まずアジア局に賠償部を新設することにいたしました。これはビルマとの賠償協定が成立以来賠償事務が進捗いたします、これを中心
機関として処理するために、この際アジア局に賠償部を新設することを、
外務省設置法の改正で御
審議いただいておるわけでありますが、それに伴う増が二十五人でございます。その次が、
外務省に
移民関係事務を進行させるために
移住局を新設する予定でございます。それに伴う職員の増が二十人。それから中近東関係事務の強化による増が五人。もう
一つ、横浜移住あっ旋所の新設による増が三人であります。これも
外務省設置法の改正として御
審議いただくのでありますが、現在神戸に
一つ移住あっ旋所があって、従来全国の
移民を神戸に集めて、神戸から船出したわけでありますが、関東、東北、北海道
方面の
移民を神戸に集めるのは、いろいろな点におきまして不便でありますので、この際横浜に移住あっ旋所を一カ所新設する、それに伴う最小限度の要員増加であります。その他、在外公館を五館新設することに相なっておりますが、それの新設及び拡充に伴う増員三十八名、合せまして増加の方は九十一名であります。これらの純増をできるだけ内部の配置転換によりまして最小限に食いとめようということで、省内の各事務の廃置分合を行いまして、とにかく三十四人を削ることにいたしまして、差引五十七人の純増に相なるということでございます。
それから大蔵省本省は十八人の増員に相なっております。これも奄美大島にあります財務部出張所の職員二十四名を繰り入れたというのがおもな
理由でございます。むしろ在外公館に派遣するとか、あるいは
外務省の賠償部に
協力するなめに、大蔵省から
定員をさくというようなことで減少の部分もありますので、結局形式的には十八人の増にどどまる。次に、国税庁では六百三十五人の減に相なっておりますが、これは昨年奢侈繊維品消費税の新設
計画に伴いまして、これに要する職員六百八十人につきまして御
審議いただいたのでありますが、奢侈繊維品消費税法が未成立になりまして、これに伴う職員が不要になりましたので、これは大蔵省の組織規程を改正いたしまして、使用を差しとめております。それをこの際
定員法から落すという措置でございます。その他四十五人の増加は、奄美大島の税務署の職員でございます。
次は
文部省でございますが、
文部省は七百五十八人の増加に相なっております。そのおもなものは、国立
学校の学年進行、学部学科の増設による
——これは別途国立
学校設置法の一部改正
法律案で御
審議をいただいておりますが、その
計画に基く所要の教職員七百五十八人の増加があるわけであります。その他小さな増加といたしましては、水沢の国際緯度観測業務が条約関係で変ってきたということで一人、あるいは三島の国立遺伝学研究所に変異遺伝部新設に伴う増二人というのがおもでございまして、結局総計では七百五十八の増加にとどまったわけであります。
次に、厚生省がこのたびの
定員増加ではおもなものでございます。まず厚生省におきましては、昨年来の結核療養所における結核ベッド千床の増加に伴う分と、それから本年度におきまして比較的軽症患者の結核ベッド千床の増加
計画、合せて二千ベッドの増加
計画があるのでありますが、それに伴います医師、看護婦、エキス線
技術者等の増加が五百八十名に達しているわけであります。それから奄美大島のらい療養所の百五十ベッド増加に伴う職員の増が十六人、これらがおもなところでございます。
次に農林省について申し上げますと、おもなものといたしましては、奄美大島の統計調査事務所の出張所あるいは植物防疫所の職員の
定員への組み込みということがおもな増加でありまして、それ以外はもっぱら事務の廃置の分合によるもでありまして、特段のものはございません。食糧庁、林野庁、いずれも同じでございます。すべて奄美大島の
定員の繰り入れによるものでございます。
通産省におきましては、結局四十八人のむしろ減少と相なっております。その増加のおもなるものといたしましては、原子力関係事務の増加によりまして十二人、あるいは賠償関係事務の増加によります十二人、鉱害復旧対策事務の増加による増が十一人、中小企業信用保険事務の増加による増が三人、増加のおもなものといたしましては三十八人あるわけであります。これらを省内の配置転換によりまして
人員の埋め合せをいたしました関係で、結局本省におきましては四十八人の減少を来たしております。ただ外局である特許庁におきまして、毎年非常に特許事務の処理がおくれている。現在におきましてはすでに十万に上る特許繰り越し件数があるというような状態でありますので、毎年この審査事務につきまして
定員の増加を余儀なくされているわけであります。本年におきましてもそういう状態で、特許審査事務の職員の増加ということはやむを得ないことでありますので、この際三十人の増加を認めたわけでありますが、そのかわり財源は本省の減員分からひねり出したというような形に相なっております。結局通産省総計といたしましては十一人の減少に相なる。その十一人の減少は、結局通産省関係の
外務省への供出分になっているわけでありまして、結局通産省におきましては、新規事業の増加ということは、内部の職員の振りかえによって何とかまかなうことにいたしたいという状態でございます。
次に運輸省は百五十五人の増加に相なっております。増加事務のおもなものを申し上げますと、このたび自動車損害賠償保険を実施する、これが新たな事務でありますので、これの施行に伴う必要最小限度職員十四人の増加があるわけであります。それから毎年御
審議いただいております航空交通管制業務、これは目下駐留軍の手によってやっているわけでありまして、
行政協定によりまして、わが国がこれを引き受ける実力が出てきたならば、これを引き受けるということに相なっておりますので、その職員の養成をもっぱら駐留軍のもとでやっている。その要員を毎年
計画的に増加しているが、それに伴う職員の増加が六十一人というのが目立つものであります。その他気象台関係といたしまして、水害緊急対策としての気象業務の増加でありますとか、あるいは北方の気象観測のための拠点といたしましてのオホーツク海に面しております紋別に測候所を新設するための増加であるとか、あるいは大気放射能の増加であるとかいうような関係で、ここに合せまして四十八人の増加を認めているというような状態でございます。その他の増加といたしましておもなものは、練習船の新造により
——銀河丸という三千トンばかりの練習船が、商船
大学卒業生の増加に伴いまして必要になってくるのであります。それの船長以下の乗組員の増員が七十人ある。あるいは航空関係につきましていろいろな増加の要員があるわけであります。すなわち羽田空港の施設の増加であるとか、あるいは小型飛行場の整備の増加であるとか、宮崎に昨年設けられました航空大
学校の学年進行と整備の増加による増加であるとか、こういうもので増加の要員といたしましては二百九十六人があるわけでありますが、それを極力部内の配置転換によりまして百四十一人配置がえすることにし、結局百五十五人本省関係ではふやすにとどまったわけであります。次に外局である海上保安庁におきましては、六十七人の増加に相なっておりますが、これは結局海上保安
学校の生徒の増加でありますとか、通信所の新設であるとか、灯台設標船の新造にある増加でよるとか、それから奄美大島の警備救難所の職員の
定員の切りかえであるとか、やむを得ざるものの増加だけでございます。結局これで六十七人の差引増加に相なるわけであります。それから次にやはり外局といたしましての海難審判庁におきましては、これも海難審判事務が逐年増加の状況で、毎年の事務を翌年に繰り越す趨勢が著しいものでありますから、本年におきましてさらにこれを十人増加いたしまして、海難審判受理件数の増加に対応いたしたい、こう
考えております。それで運輸省におきましては、結局二百三十二人の増加に相なっておるわけであります。
次に郵政省について申し上げますが、郵政省の増加というのがこのたびの増加のほとんど大部分を占めているというような状態でございます。すなわち郵政省におきましては三千三百四十八人の増加に相なっております。そのおもなものを申し上げますと、結局郵便物量の増加ということを第一番に申し上げなければならないのであります。すなわち郵便取扱い業務量の増加によりまして五百四十八人、それから事務量の増加に伴いまして断続勤務の是正というようなことも起きて参りますので、それに伴いまして五百四十五人、あるいは電話交換施設、これは結局電電公社の電話拡張
計画に伴いまして独立の電信電話局を設けるに至らない、すなわち電電公社が直轄するに至らない電話施設は、郵政省が引き受けることになっておりますが、その交換要員その他が二千百七十八人の増加に相なるわけであります。これらの経費はもちろん電電公社が負担するということに相なっております。これらがおもな増加でありまして、ただこの電信電話業務につきましては、その業務量が一定規模になりますと、電信電話公社で毎年これを直轄に移すということになっておりますので、本年におきしては、電電公社が直轄に移す分が四百人ございます。これは二十ケ所ばかりだったと記憶しておりますが、四百人ばかり減らしますので、その減らす分を差引いたしますと、結局三千三百四十八人の増加に相なります。
それから労働省におきましては、ふやす方の要員といたしましては、失業問題の深刻化にかんがみまして、労働省の職業安定局に失業対策部を設けまして、これに力を入れようということに相なりました。これにつきましても労働省
設置法で御
審議いただくわけでありますが、これの新設に伴う職員の増加四十六人につきましては、純増を避けまして、省内でやりくりいたしましてその職員を生み出すことにいたしまして、純増はございません。結局十六人の増加というのは、奄美大島の労働基準監督署その他からの繰り入れに伴うものでございます。
次に建設省におきましては、百九十三人の減に相なっております。この増加のおもなものを申し上げますと、結局
政府の住宅
政策推進に伴う新規の職員の増加、それから道路改良工事の増加とかそういうものの増加によりまして、五十一人の増加を認めようとするものでありますが、他面におきましては、官庁営繕業務が本年度におきまして
相当減るものでございますから、官庁営繕職員の縮小二百二十人、これは業務量の減少に伴いまして、明年の三月三十一日までに月別
計画によりまして、
段階を追うて二百二十人減らすことになっておりますが、それとの差引で、結局百九十三人の減少ということに相なっておるわけであります。
以上がこの
定員法の
定員の増減四千四百八十四人の増加の内訳のおもなものでございますが、これにつきましてはいずれも
予算の裏づけがありますので、この改正
法律は
昭和三十年七月一日から施行さしていただく予定に相なっておりますが、ただこの際もう
一つぜひ申し上げておかなければならないのは、昨年の六万名の
行政整理に際しましては、
各省は原則として二年
計画、すなちことしでこれを終了いたすことに相なっておるわけでありますが、警察、
文部省、厚生省の引揚援護関係の職員及び調達庁の職員につきましては、それぞれ三年
計画または四年
計画によって整理するということに相なっておるわけであります。その際の
計画によりますならば、
各省はほとんどこの六月三十日で整理が完了するわけでありますが、今申し上げました年次
計画のものの第二年度の分は、ことしの六月三十日でそれぞれ
定員が落ちる。すなわち厚生省で言えば四百十八人がこの六月三十日、調達庁で言えば三百二十三人がこの六月三十日に、現行法のままですと落ちるわけであります。これは昨年の
定員法改正の御
審議をいただきました際にもいろいろ御
意見があったわけでありますが、これらの年次
計画によりますものについては、他の
各省と違って、その省の
仕事の分量の関係で残すんだから、第二年度の年次
計画のものにつきましても、他の一般の
各省が昨年度受けましたと同じような、すなわち臨時待命を昨年度やったわけでありますが、その臨時待命と均衡のとれたような措置を
考えるべきであるというような御
意見を、昨年の国会におきまして十分承わっておったわけであります。そういう趣旨を達成いたしますために、本年度の
定員法の改正におきましては、臨時待命
制度というものは用いませんが、臨時待命
制度と趣旨を同じゅうして、それと均衡をとれるように、この整理される職員につきましては、勤続年限に応じまして、最高十カ月から
段階を設けまして、最小限一カ月以内におきまして、この
定員の外に置いて、期閣が満了した場合にやめていただく。
定員の外にいる数カ月の間は、俸給、扶養手当、勤務地手当は、臨時待命と同じように受ける。そうして、職務には従事しないで、身の振り方について専心できるような措置を
考えるこういうような
制度をとることにいたしておりますので、これらの
制度に関する限りは、できるだけ早く、すなわち、この六月中に御
審議を実施に移せるような措置を講じていただきたいと
考えますので、この付則におきまして、この
法律は七月一日から施行するが、いわば指名
定員外
制度とでも申しますか、それにつきましては、この
法律公布の日から施行できるようにしていただきたい、こういうような
考えでできております。
以上をもちまして補足
説明を終らせていただきます。