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1955-03-26 第22回国会 衆議院 内閣委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年三月二十五日       高橋 禎一君    辻  政信君       三浦 一雄君    江崎 真澄君       高橋  等君    森 三樹二君       田原 春次君 が理事に当選した。     ————————————— 昭和三十年三月二十六日(土曜日)     午後一時二十九分開議  出席委員    委員長 宮澤 胤勇君    理事 高橋 禎一君 理事 辻  政信君    理事 江崎 真澄君 理事 森 三樹二君    理事 田原 春次君       大村 清一君    長井  源君       林  唯義君    保科善四郎君       眞崎 勝次君    竹尾  弌君       田中 正巳君   茜ケ久保重光君       石橋 政嗣君    下川儀太郎君       池田 禎治君    中村 高一君       渡辺 惣蔵君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 三木 武夫君         国 務 大 臣 杉原 荒太君  出席政府委員         人事院総裁   浅井  清君         防衛庁参事官         (長官官房長) 門叶 宗雄君         海上保安庁長官 山口  伝君 委員外出席者         専  門  員 小關 紹夫君         専  門  員 安倍 三郎君         専  門  員 遠山信一郎君     ————————————— 三月二十六日  委員小金義照君及び矢尾喜三郎君辞任につき、  その補欠として竹尾弌君及び池田禎治君が議長  の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  海上保安庁法の一部を改正する法律案内閣提  出第四号)  自衛隊に関する件  公務員給与に関する件     —————————————
  2. 宮澤胤勇

    宮澤委員長 これより会議を開きます。  海上保安庁法の一部を改正する法律案を議題といたします。まず政府より提案理由説明を求めます。三木運輸大臣
  3. 三木武夫

    三木国務大臣 ただいま提案されました海上保安庁法の一部を改正する法律案提案理由について御説明申し上げます。  この法律案の要点は、海上保安訓練所を廃止して、従来、海上保安訓練所が行なってきた教育海上保安学校に統合することであります。従来海上保安庁におきましては、呉市に海上保安大学校及び海上保安訓練所を設置し、舞鶴市に海上保安学校を設置いたしまして、海上保安大学校においては幹部となるべき職員に対する高等教育を、海上保安学校においては中堅職員に対する専門教育を、海上保安訓練所においては船舶下級乗組員となるべき初級職員に対する基本的教育を、それぞれ実施して参りました。  これらの教育機構につきましては、かねてから行政機構簡素化の一環として検討を加えていたのでありますが、海上保安訓練所を廃止して初級職員教育海上保安学校において行うこととすれば、教職員の定員及び経費の両面において節約とねるばかりでなく、これら二つの教育機関が行なってきた船舶下級乗組員に対する教育が一カ所に集中されて、教育便宜な結果が得られ、また、従来海上保安大学校海上保安訓練所が同一敷地内にあって幹部教育下級職員教育が混在することから生じていた弊害を除くこともできますので、本年四月以降海上保安訓練所を廃止し、同時にその教育内容海上保安学校に移すことにいたしたいと存ずる次第であります。  なお、海上保安庁法の規定の文言中、「法務総裁」が「法務大臣」に改められたこと、刑事訴訟法法律番号が付記されていないこと、及び市町村廃置分合により海上保安管区の区域を示す地方公共団体名称変更のあったことについて、字句修正の必要がありますので、この際所要の改正左行うことにいたしております。  以上がこの法律案を提出した理由であります。  何とぞ慎重御審議の上御可決下さいますようお願いいたします。
  4. 宮澤胤勇

    宮澤委員長 これより質疑に入ります。御質疑がありましたら、これを許します。辻君。
  5. 辻政信

    辻委員 呉市にあった海上保安訓練所を今度は舞鶴市に移すことになるのですが、それについての予算関係はどうなっておりますか。
  6. 山口伝

    山口政府委員 今日まで呉にございました訓練所でやっておりました教育内容を、そのまま舞鶴の既設の海上保安学校に統合いたすわけでございます。予算関係では年間で約二百万円、教員並びに職員等で約九名の節約考えております。三十年度の本予算にはその規模で要求を出しております。
  7. 宮澤胤勇

    宮澤委員長 ほかに質疑はございませんか。
  8. 江崎真澄

    江崎委員 この問題でいわゆる上級幹部保安大学と、下級乗組員訓練所とが併立されておったために一つ弊害があった。これを除くこともできるということに提案理由の重点を置いておられるようでございますが、今度は中堅職員に対するいわゆる海上保安学校というものと、この訓練所を併置することによって、ちょうど過去の軍隊における初年兵と古参兵といったような弊害を生むのではないか。今まではむしろ上級者と飛び離れた下級者という場面ですから、この弊害より一緒になる便宜は、これはわからぬわけではございません。よくわかりますが、そういう弊害が起るのではないか。またそういうことについて御考慮になったことはございませんか、この点お尋ねいたしたいと思います。
  9. 山口伝

    山口政府委員 御指摘弊害の点でございますが、もともとこの呉にございます大学の方は、将来幹部となる、すなわち士官教育、もとの言葉を使えば士官級教育をやっておるわけでございます。第二段階である従来からございます海上保安学校の方は、現に海上保安庁で働いております者を派遣いたしまして研修する部分が大部分でございます。他に新人教育として灯台科水路科というものが一部ございますが、これは新制高等学校を出た人を四十名くらい養成いたしておるわけでございます。むろんかような変更をいたした場合、従来と比べて弊害がないかとおっしゃるわけでございますが、現在の保安学校は、すべてが士官で安い、中堅以下ということになりまして、その教育内容が接近いたしております。いろいろな実習の関係教職員関係等も、より近いものでございまして、非常に便宜があるというので、むろん御指摘のように、現職の人が派遣されておるのと、新人との間の取扱いにつきましては、十分慎重に考えなくちゃならぬと思いますが、今日までよりはむしろ効果的だとわれわれは考えております。
  10. 江崎真澄

    江崎委員 それはよくわかるのですが、ただかえって隣り合せになったことによって弊害を生じないかどうか。いわゆる古参兵と新兵といったような感じ方で、垣根一つの隣りの訓練所とこちらの学校とで、むしろ接近しておった方が弊害が多い場合もあり得るのです。ですから、そういう点について御考慮になったことがございますか。またそういうことはないだろうか。それを心配するわけなんです。
  11. 山口伝

    山口政府委員 今回の統合された形は、実は保安学校普通科という形で入って参ります。職員もすべてが一つにまとまるわけであります。そういう御心配はおそらくないと私は考えます。また過去における軍隊の時代にも多小そういうお話があったかもしれませんが、今日われわれが取り扱っている実情から見まして、むしろそういった懸念はないと考えております。
  12. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保委員 御説明を聞いておりますと、経費で二百万円、人員で九人の職員節減になる。経費節減もけっこうでありますが、すぐに政府の諸公が人員整理犠牲を人に持って来るというきらいが多いのでありますが、今回の九人の縮小される人員配置、その他犠牲者を出さないという方針でやっていらっしゃるかどうか、その点をはっきり伺いたい。
  13. 山口伝

    山口政府委員 今回の統合のために教職員で失職するというよううことは全然ございません。すべて配置転換その他で円満に進行しております。
  14. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保委員 大体円満に配置転換ができるといろお説でありますが、配置転換される方がいわゆる上の方の非常な強い慫慂でやむなくされるようでは困る。やはりそこにそういう該当者に対するほんとうの思いやりを示して、無理のない処置をぜひ願っておきたい。
  15. 山口伝

    山口政府委員 その点は十分考えてやっておりまして、今日まできわめて円滑に行っております。今後とも努力して参ります。
  16. 宮澤胤勇

    宮澤委員長 これに対してもう質疑はありませんか。——眞崎君。
  17. 眞崎勝次

    眞崎委員 私は本案に賛成するものでありますが、さらにこれに関連して伺いたいのは、この海上保安庁の本質から考えると、旧水上警察みたいな任務を帯びておるので、もう一歩進めて、むしろ国警と一本にしておく方が経費もかからず、任務達成上にも支障も間隙も起さずして便利ではないかと考えますが、将来そういう方向に向うという御意思はないかどうか、お伺いいたしたいと思います。
  18. 山口伝

    山口政府委員 警察機能の点だけから検討いたしますと、陸の警察海上保安の一部でありまする海上警察と一貫した方が、確かに効果が上る面も考えられるわけでございますが、海上保安庁の今の組織は単に警察のみでございませんで、仕事の分量から申しますと、これは概括的な話でありますが、せいぜい一割か二割程度仕事警察部分でございまして、海上保安庁の主任務海上における海難救助、あるいはその他のレクリエーションあるいは水路灯台、かようなものを所掌いたしておりまして、あらゆる役所の海上における出先機関になっておるわけであります。従いまして、なるほど治安という点だけからいたしますと御説明のような御意見も過去においてあったわけでありますが、いろいろ研究いたしました結果、海上における防衛を除く以外の各省出先機関、すなわち税関のこともやる、入国管理のこともやる、水産業の取締りにも援助いたしますし、あらゆる行政庁出先仕事をまとめてやって参りまするこの機構が、最も国家的に考えまして経済的、能率的だということで、今日の姿であるわけであります。私どもかような制度で進むのが適当ではないかと考えます。
  19. 眞崎勝次

    眞崎委員 昨年来の朝鮮漁業問題等に関する保安隊の行動を見ていると、旧警備隊のするような任務を遂行しておるようでありますが、そういうことを行動し得る法的根拠というものはどういうふうになっておるか、一応これをお伺いいたしたいと思います。
  20. 山口伝

    山口政府委員 昭和二十七年の秋以来、海上保安庁が特別に東支那海朝鮮近海あるいは北方水域に、特別哨戒の名をもって出ておりますが、これは日本漁船当該海域におきまして操業中に不法に拿捕されたりいたしますことが頻発して参りましたので、従来水産庁の監視船のみでこれらの統制に当っておったわけでありますが、その勢力が少いので、たまたま海上保安庁巡視船にこの一役を買わせることになったわけであります。要するに性質としては警察船性質でございます。漁場に参りまして日本漁船操業秩序維持あるいはまた不幸にして天候の急変による災害でもあれば、それの救助もむろんいたします。さような用向きでそれらの水域に出動して、拿捕等不祥事故未然防止に極力方探等を使いまして情報を流してやっておるわけでございます。われわれは防衛庁フリゲートとは違いまして、いわゆる行政庁としての船でございます。国有の船であるという点においては同じでありますが、向うはいわゆる自衛艦であります。こちらは常識的にいえば警察船とお考えになってけっこうだと思います。先ほど申し上げますように単に警察のみならず、あらゆる各省出先仕事でございまして、ある場合には特別哨戒に行っておりましても、密輸船なり密航船なりを発見すればすぐそれの方の取扱いもいたします。従って警察船としての権能しかないのでございます。
  21. 眞崎勝次

    眞崎委員 それが日本の領海内であれば警察権日本の主権のもとで及ぶと思いますが、公海にそれが出動するには、昔でいうと軍艦外務令というものがあって、それに準拠して政府の船は海外に行動すべきでありました。その法律に当るようなものが何かできていなければ工合が悪いのではないかと思いますが、その点はいかがですか。
  22. 山口伝

    山口政府委員 日本法律は、たとい公海の上でも日本船にはむろん及びます。また公海におきましても、人命救助等のためにはどしどし出動するわけでございます。さような意味であります。
  23. 眞崎勝次

    眞崎委員 今の点ですが、そうなってきますとまた一方いわゆる自衛隊との任務の分界、そしてその点が法規上どの程度まで行動し得るかということも明確にしておかぬと任務達成もできず、また外国の非難も受けることになりはせぬかと思う。
  24. 山口伝

    山口政府委員 海上保安庁の行い得る権能海上保安庁法にその根拠がございまして、「海上保安庁は、法令の海上における励行、海難救助海上における犯罪の予防及び鎮圧、海上における犯人の捜査及び逮捕、」以下水路灯台のことが書いてございますが、「その他海上の安全の確保に関する事務並びにこれらに附帯する事項に関する事務を掌る。」、これに基いてすべての業務を運営しておるわけでございます。一方防衛庁の方では防衛庁設置法防衛庁主管事項というものが一応出ておりまして、平常においてはこの機構がすっかり分れておるわけであります。
  25. 宮澤胤勇

    宮澤委員長 ほかに御質疑はありませんか。——なければ本案に対する審議次会に譲ります。
  26. 江崎真澄

    江崎委員 おそれ入りますが、海上保安学校学校要覧といったようなものがありましたら、一つちょうだいいたしておきたいと思います。
  27. 宮澤胤勇

    宮澤委員長 それはあとで政府から配付していただきます。     —————————————
  28. 宮澤胤勇

    宮澤委員長 次に人事院総裁より発言を求められておりますから、これを許します。
  29. 浅井清

    浅井政府委員 最初にごあいさつを申し上げます。このたび人事院が当委員会所管に相なりましたので、委員長を初め委員各位に対しどうぞ今後よろしくお願いいたしたいと思います。  この際に、人事院所管につきまして一言だけ簡単に申し上げたいと思います。  人事院国家公務員法の完全な実施をするために設けられておりまする中央人事機関でございまして、内閣所管のもとに置かれておりますが、人事行政の独立を確保するため、内閣からある程度独立した性格を持っておるものでございます。しかしながら人事院所管に属しておりますのは国家公務員のうちで一般職職員のみでございまして、特別職職員及び一般職のうち国営企業職員人事院所管外となっておるのでございます。  人事院のおもなる所管事項を申し上げますれば、第一には人事院規則制定でございまして、これは御説明申し上げるまでもないことでございます。  第二は、職階制立案及び実施でございまして、すでにこれは国家公務員職階制に関する法律制定いたされておりまして、昭和二十七年五月、二百七十一種の職種を決定し、その名称と定義を国会に提出いたしましたが、給与準則制定がまだございませんので、職階制は完全な実施を見るに至っておりません。  第三は、任用制度立案採用試験実施でございまして、第一には、任用制度に関する人事院規則制定すること、第二は、四級、五級、六級職の採用試験実施すること、第三は、本省の課長級以上の人事異動を承認することであります。  第四は、給与準則立案給与法実施でございまして、給与法につきましては、一般職職員給与に関する法律実施することでございます。それから給与準則につきましては、昭和二十八年八月に給与準則国会及び内閣勧告をいたしておりますが、これはまだ法律制定を見るに至っておりません。  第五は、給与改善の報告、第六は、公平審議、第七は、服務監督でございまして、これにつきましては御説明申し上げる必要はないと思います。  第八は、恩給制度立案でございまして、人事院昭和二十八年十一月、国家公務員退職年金法の案も国会及び内閣勧告をいたしましたが、これもまだ実現するに至っておりません。  以上きわめて簡単に人事院所管事項を申し上げまして、今後よろしくお願いいたしたいと存じます。(拍手)
  30. 宮澤胤勇

    宮澤委員長 それでは次に杉原防衛庁長官大久保国務大臣から発言を求められておりますが、予算委員会関係でもうしばらく時間がございますので、人事院総裁に対する何か御質疑がありましたら、この際質疑を許したいと思います。竹尾弌君
  31. 竹尾弌

    竹尾委員 総裁にちょっとお尋ね申し上げます。これはここに法律案になっておりますけれども職員給与、特に地域給に関する点であります。これは私どもが相当の長時日をかけてこういうような結論に達したのでありますが、これはぜひとも各党各派の別ねく通過させていただきたい、私はこういろ強い念願を持って参りまして、きょう実は臨時に委員になったのですが、この点について一つ総裁の御所見をお伺いしたいと思います。
  32. 浅井清

    浅井政府委員 地域給に関しましては、人事委員会におきましてはすでに詳しくたびたび申し上げたのでございますが、当委員会は初めてのことでございますから、竹尾さんの御質疑お答えをする前に、ちょっと簡単に御説明を申し上げたいと思っております。  現行制度におきましては、勤務地手当、すなわち地域給支給地域の区分は、一般職職員給与に関する法律に基きまして、同表の別表として法律により定めることとなっておりますので、人事院は、給与法に定める権限及び職務に基きまして、その適正な改訂はついて従来必要に応じて勧告をなし、これが法律の改正となって実現して参ったのでございますが、現行勤務地手当につきましても、地域相互間になお不均衡の存在することが認められましたので、昨年五月二十九日国会及び内閣に対しこれを是正するための勧告を行なったのでございます。この勧告内容現行支給対象市町村、この市町村昭和二十九年五月十日現在でございますが、それの合計千三十九に対し、三百五十五の市町村級地を引き上げ、千六の市町村を新たに指定いたし、その結果支給対象市町村合計を二千四十五としたわけでございます。これだけ簡単に御説明申し上げます。  次に竹尾さんの御質疑に対してでございますが、勤務地手当に関する今後の問題といたしまして、現行制度がその運用上なかなか適正を期しがたい面もあり、従来の方法によりその是正化をはかるといたしましても、根本的にはなお解決しない点が認められるのでございまして、人事院におきましては、将来これを根本的に改革することを目途として、ただいま研究いたしておるのでございます。先般の勧告に対しましては、両院人事委員会におきまして修正のお考えがございまして、それが法律案にまでなったのでございますが、解散のために遂に実現を見ずに今日に至っておる次第でございますが、人事院といたしましても、両院の御趣旨を尊重いたして善処いたしたいと存じます。
  33. 竹尾弌

    竹尾委員 今の総裁の御説明で、これは一応五月に勧告されたわけでありますが、その後追加があったと思います。その追加はこの中に入っているようですが、この点はどうでございましょうか。
  34. 浅井清

    浅井政府委員 追加人事院勧告といたしましてはないように思っております。
  35. 竹尾弌

    竹尾委員 総裁の今の御説明によりますと、善処されるということでございましたが、善処まことにけっこうなんですけれども、これは善処だけでは困りますので、これを通すためにいま一そうの御意見があるかどうか、その点もう一度お尋ねいたします。
  36. 浅井清

    浅井政府委員 もとより人事院といたしましては、勧告実現を期して勧告いたしたわけでございますから、その点は御趣旨通りでございます。
  37. 竹尾弌

    竹尾委員 それでは議員提出法案に対して、総裁はこれを通過せしめるように大いに積極的な努力を払われる、こういうように解釈してよろしゅうございますか。
  38. 浅井清

    浅井政府委員 これはむしろ国会の方のお仕事のように考えておりまして、人事院それ自体の責務といたしましては、一応勧告で終っておるのでございます。ただし、それで決して責任を逃げるとか、そういう意味ではございませんが、これは議員提出法律案の形でなっておるわけであります。
  39. 竹尾弌

    竹尾委員 それは議員提出であろうがなかろうが、所管人事院所管でありまして、人事院総裁がそっぽを向いてはとても通るものじゃありませんので、その総裁としてのこの法案に対するお気持を私はお聞きしたい。そういう形式的なことはどうでもいいのです。これを通していただけるような、善意な、積極的な御意思があるかどうか、こういうことです。
  40. 浅井清

    浅井政府委員 それで私も善処いたすと申し上げた次第でございます。
  41. 宮澤胤勇

  42. 池田禎治

    池田(禎)委員 私は人事院総裁に二、三の点についてお尋ねをいたしたいのです。この人事院勧告したものをさらに衆参両院修正をしたことは、あなたの述べられた通りです。たまたま先般の国会の本会議にこれを上程するときになって、解散が行われたために、これが廃案となった。そこであなた方は、それでは人事院勧告について、あるいは衆参両院委員会修正部分といえども、その事務的折衝とか大蔵省との話合いとか、そういうふうなものをおやりになったことがあるかどうか、予算上の措置について、その点はいかがでございましょうか。
  43. 浅井清

    浅井政府委員 人事院としてはございません。
  44. 池田禎治

    池田(禎)委員 そういたしますと、それはどうですか、今度の本予算について折衝することも考えていませんか、まだやってもおらないのございましょうか。
  45. 浅井清

    浅井政府委員 それはさいぜん申しましたように、これは国会の方で御修正になったものでございまして、私は国会のお仕事であろうと思っております。なお人事院勧告につきましては、予算折衝は十分いたしたのでございますけれども、不幸にして予算が取れなかったのが実情でございます。
  46. 竹尾弌

    竹尾委員 関連して。どうもそこのところが私ふに落ちないんですね。議員提案のものはあなた方でやれ、人事院勧告そのものに対しては自分が責任を負う、こういうようなお言葉でございましたが、それじゃ総裁としての御任務を完全に遂行できるかどうか、私は非常に心配する。それがわれわれの提案であってもどれであっても、所管はあなたの方の所管なんですから、これに対して重ねて私は、通していただけるような積極的な御努力をぜひお願いしたい、こういうことを私しつこくお尋ねしているのですが、あなたはそれには非常に差しさわりのない御答弁のようですけれども、この点はもう少し何とかはっきりできないですか。
  47. 浅井清

    浅井政府委員 ともかく現在の予算の状態としては、これ以上申し上げることは私としてできかねると思っております。
  48. 池田禎治

    池田(禎)委員 浅井さんのお答えは、従来ともあなたにすれば、全く責任委員会にあって、人事院は何ら関知せざるかのごとき御見解であるが、これは違うと私は思う。やはりそれぞれの省が、勧告をなすには基本があるはずです。その財源等考え事務的な折衝をすることは当然のことである。言うまでもなく、最後の予算審議権国会にありますから、それは当然でありましょうが、しかしそれを推進するのはあなた方でなければならない。あなた方、それは国会できめるというのならば、人事院勧告などは実現してもしなくてもかまわぬというお考えのようにとれる。それならば、失礼ですけれども人事院なんか必要ないと考える。今回の地域給の問題でも、国会がきめるのは当然ですが、あなた方が立案をしたのだから、それを実現する重大な責任がある。そうでなければ人事院は必要ないと認めます。人事院無用論を急先鋒に立って述べましょう。人事院の今日の機構そのものから申しまして、総裁としてあなたは何がゆえにこれを認めたかということを、私どもはさかのぼってながめなければならない。今日の膨大な機構を持った人事院などは必要ない。そういう責任を持てないようなことを勧告なさっておいて、それができるできぬは国会だ、てんとしてそういうことをお述べになるならば、失礼ですがあなた方に高給を払うために国民が税金を払う必要はない。人事院行政整理の先頭を切るべきものであろうと思う。人事院勧告実現させる根拠と見通しがなくて出したとするならば、それは不見識である。今日選挙の結果、人事委員会内閣委員会になったから過去の論議は一切無用なりというならば、またあらためて私どもも出直しましょう。その通りです。その点についてあなたはあまりにも冷淡な態度ではないか。あなた方は、案の大綱を基礎的になしたものとして、いかなる責任といかなる見解を持っているか、私はあなたの率直な御意見を伺いたい。それは国会であってわれわれは知らぬというならば、重ねてあなたに対する質問はいたしません。同時に、人事院廃止論を私は急先鋒に立って述べましょう。
  49. 浅井清

    浅井政府委員 さいぜん申し上げましたように、人事院としては、予算折衝はすでに終っておるのであります。人事院勧告は約七十五億円の予算を必要といたしたのでございます。それに対して、大蔵省と折衝いたしましたが、不幸にして予算がとれなかったのでありまして、それなら勧告をやめるかと申しましたが、両院人事委員会から強い御要望があって勧告をいたした次第でございます。ところが、両院の御修正になりますものは、百数十億円の予算を必要といたしておりますので、これでは人事院勧告よりもはるかにまた多額の予算を要すると思いますから、この予算折衝ははなはだ困難だろうと考えております。
  50. 池田禎治

    池田(禎)委員 それでは、あなたは人事院勧告の部門についての事務折衝は終ったが、それも実現できなかったというのですか、今度はどういうふうになさるおつもりですか。ただ善処というような抽象的なお言葉でなく、事務的な立場のあなた方人事院としての御見解、これを御披瀝願いたい。
  51. 浅井清

    浅井政府委員 人事院といたしましては、すでに勧告をいたしておりますので、あの勧告は死んでいないだろうと私は思っております。これに対して、国会の御修正国会の御修正であろうと考えております。
  52. 池田禎治

    池田(禎)委員 あなた方が勧告するというときには、やはりあなた方は、たとい事務当局なりといえども実現性があるかないかお考えにならないということはないと私は思う。それを勧告したのだからできょうができまいがそれは知らぬというようなお考えは、あまりにもあなた方立案者として、その点にまことに熱意が足りないと私は思わざるを得ない。だから勧告をなさっても、できなければこれは何ら意味がない。いかに親切なお言葉をいただいても、実現できないものは満足いたしません。また、ぼくは人事院の構成が各省と異なることは存じておりますが、少くとも他省が、独立省が予算を伴うべきことをいたしたならば、その実現のためにあらゆる努力をしておることを、私は何十年の体験をもって知っておる。あなたのような態度で臨んでおいて、大蔵省がきかなかったら知らないというなら、それはあなた方そもそも立案者としてまことに不見識きわまるものがあると私は思う。勧告したら勧告は生きておる、そういうことでは困る。一年も二年もたって、物が実現されぬで、ぼくは勧告しただけだというのではいかぬ。たとえばあなたは、今日の事態に処して新しく勧告するというお考えはありますかないですか、それはいかがですか。
  53. 浅井清

    浅井政府委員 地域給に対して、ただいまあらためて勧告するという考えは持っておりません。
  54. 竹尾弌

    竹尾委員 関連して……。今の総裁のお答弁によりますと、人事院勧告した分に対しては、大蔵省と折衝したがそれもうまくいかなかったが、その分だけは何とかしたいというぐあいに私とれましたが、そういう御意思ですか。
  55. 浅井清

    浅井政府委員 今日の状態において、それもはなはだ困難だろうという見通しでございます。
  56. 竹尾弌

    竹尾委員 そうしますと、この人事院勧告した分もだめであって、そのうちから幾つか拾い上げて、その分だけをまたやろう、具体的にはそういうことでしょうか。
  57. 浅井清

    浅井政府委員 その点はまだ何とも考えておりません。
  58. 森三樹二

    ○森(三)委員 関連して……。浅井人事院総裁が昨年の五月二十九日勧告なさいまして以来、大蔵当局に対しても予算折衝等をなされたというようなお話がありましたが、しかしその後内閣の構成もかわって参っております。浅井人事院総裁といたましては、この新しい第二次鳩山内閣等に対しまして、この地域給予算に関しまして交渉あるいはその他具体的な方法をおとりになったことがありますかどうか、お尋ねしたいと思います。
  59. 浅井清

    浅井政府委員 ございません。
  60. 森三樹二

    ○森(三)委員 それは、先ほど来池田君からも竹尾君からもるるお話になっておりますが、私はやはり人事院総裁といたしましては、ただ勧告したことのみによってあなたの職責が十分果されたというお考え——いまだもって人事院総裁としての職責を十分に全うしておらないのではなかろうかと思うのであります。と申しますことは、すなわち国家公務員法の第一条以下に規定されました公務員の公僕としての国民に対するところの任務を十分果すために、あなたはその公務員給与に対して確保するところの重大な責任があると私は思うのでありますが、その点はいかがですか。
  61. 浅井清

    浅井政府委員 お説の通りでございます。
  62. 森三樹二

    ○森(三)委員 しかりとするならば、あなたはやはりみずから責任をもって勧告なさいましたこの地域給実現のために、あくまでもこれを実現する方法、具体的な予算折衝等を、勧告以後今日に至るまであらゆる機会においてなすべきものではなかったろうか、あなたのように初めからこれは不可能だというような観点に立って、自己保存のような、なるべくならば人のいやがること、あるいは憎まれ口をたたかぬ方がいいというような事なかれ主義の立場に立っておられるような考えがするのでありますが、その点はいかがですか。
  63. 浅井清

    浅井政府委員 そういうことは決してございません。従来約七十五億円ついて予算折衝をいたしました経過から見まして、非常にこれは困難であろうと考えております。
  64. 森三樹二

    ○森(三)委員 あなたはさらに昨年、本来ならば民間給与の体系からいたしましても、実際上物価の値上り等によって基本的な国家公務員給与勧告、これをなさらなければならなかったのでなはかろうかと思う。しかしそれもあなたは国家予算ども勘案せられて、政府に対する気がねというようなお考えがあったかどうか知りませんが、とにかく昨年本来の給与ベースの勧告をしなければねらなかったものをなさらなかったと思うのですが、その点はいかがですか。
  65. 浅井清

    浅井政府委員 その点はすでに報告にも書きましたように、決して政府に対する気がね等は考えておりません。あのお手元にすでに出しました報告書にも書きましたような理由につきまして、勧告を留保いたして今日に至っておる次第でございます。
  66. 池田禎治

    池田(禎)委員 私は前々国会以来浅井さんとはしばしばお話して参ったのでくどくは申しません。あなたは物価指数に基いてこれだけのものを是正しなければならぬ。あなたの理論で言うならば、人事院勧告だけに限定してもよろしいが、それが実現されないということに対しては、あなたはただ事務折衝だけ、予算上の折衝ということだけでは困るので、これは国家公務員構成上の不可欠な条件である、必要なりということからあなた方が真剣におやりになったら、どういう形で実現するかということをお考えになるのが当然の責任ではないかと思う。しかもあなたは単なる事務官ではない。あなたは失礼ながら認証官です。認証官として国会の承認を得て就任された方ではありませんか。しかも三期ではありませんか。それだけの人がこれだけの問題も実現できない。それは要約するならば、あなたは少くともこれに対する責任をどういう形でとられようとなさるのですか。それはできるだけやったのだから仕方がないとおっしゃるのか、それともあなたはその職責を賭してもこの実現をはかろうとする御決意があるのか、そのあなたの心境を伺いたい。
  67. 浅井清

    浅井政府委員 人事院といたしましては、勧告する任務は終っているように思っております。ただしこの地域給につきましては、従来予算折衝は十分真剣にやったのでございますが、不幸にして予算が取れなかったのが実情でございますから、この点はあしからず御了承願いたいと存じます。
  68. 池田禎治

    池田(禎)委員 あなたとこれ以上ナマズ問答をしても仕方がない。それはあなた方が私どもの前にすべてを公開しているのではないのだから、こういうこともやっておるというかもしれませんが、私どもの知る限りにおいては、たとえばあなたが今度できた内閣の鳩山さんとでも会って、これはこういうことで必要だから、総理大臣、これは一つ折衝だけではない、政治的にも解決してもらわなければならぬということをやったかどうか、そういうものも一向に見受けられない。ただ事務折衝したから、どうもだめだからこれはできないという、そういうお考え方では、これはできるものもできないと思う。しかし今日あなたには申し上げません。  この際私は委員長並びに内閣委員の諸氏に向って希望の意見を申し上げたい。この地域給の改訂は、前国会におきましては、川島委員長のもとに自由党も民主党の諸君——当時の改進党の諸君も、満場一致賛成をされ、さらに受田君が人事委員長になられて、これまた満場一致で衆参両院委員会の議決を経ているものであります。私は現内閣成立以来、確かに予算編成上において一定の制限せられたるものがあるということを多少なりとも知っております。しかしこれほどの熱意を持って各党が超党派的にやって来た。さらにこの中に不均衡が出て来たという各党の人の意見があることも知っております。しかし何とかしてこれだけのものをしようじゃないかということで、各党の意見として一年、二年にわたってこれは審議を続けられたものであります。内閣委員長は新しくかわられた方でありますが、そういう経過等につきましても専門委員等、あるいはそれぞれの機関を通じまして、十分事情をお聞きいただいて、一つ慎重なる態度をおとり願いたい。慎重ということは、この原案につきまして、衆議院修正案につきまして、ぜひとも一つ御協力を願いたい。さらに各委員の方々につきましても、新しく選挙をして参ったのでありますから、委員の構成が変ったのですから、前会の踏襲せざるという議論もまた新しい法則でありましょう。さりながらそういう経過があったということはぜひとも御了承いだきまして、われわれが長年にわたって——われわれではない、あなた方の党の人人みずから非常に真剣に熱意を持って本問題を取り上げて参った。むしろ人事院のこの冷酷過ぎる態度に対してむち打ってきた。これはぜひともこの間の経緯を御了承いただきまして、何とかこの不均衡のはなはだしき地点に関する是正ということにつきましては御協力をお願いいたしたい。これが私の本委員各位並びに委員長に対するお願いでございます。
  69. 江崎真澄

    江崎委員 今のお話はよくわれわれもわかるし、傾聴したわけですが、これはどうも人事委員長にそう迫られるより、むしろ給与担当の大臣や大蔵大臣にそういうようなことを一ぺん聞いてみたいと思います。ただ人事院総裁に一点お伺いしたいのですが、今のこの五月の勧告内容そのものは予算化できなかったわけですが、人事院としては、これを最終のものとお考になっておられるわけですね。変りございませんね。
  70. 浅井清

    浅井政府委員 変りございません。ただしその後市の新たにできたものもございますから、その点は技術的な問題であろうかと思っております。
  71. 森三樹二

    ○森(三)委員 くどくは申し上げませんが、さっき浅井さんにもちょっと申し上げておったのですけれども、昨年給与ベースの引き上げをなさるべき事由は十分あったと思いますが、それをなさなかった。その事由については人事院月報ですか、それに書いてあるのですが、その点は十分なにしませんので、その点を御説明願うと同時に、そのように本来の給与ベースの引き上げをすべきであったにかかわらずしなかった。しかるならばせめてこの地域給勧告だけでも予算化してやるということは、人事院総裁として当然とらなければならぬ態度ではないかと思うのであります。今日においてもこの基本的な給与ベース改訂の問題がずっとまだ残っているわけでありますが、それらにつきましても総裁の御意見を承りたいと思います。
  72. 浅井清

    浅井政府委員 御趣旨はよく了承いたしております。給与ベースの改訂につきましては、この前は勧告をいたしませんで報告にとどめました。その理由はお手元に出してございますからここでは詳しく申しませんが、その後の状態等につきまして詳しいことを申し上げるのならば、給与局長もおりますからそれから御説明を申し上げさせたいと思います。ただ今日までのところ人事院といたしましては、まだ給与べースの改訂をやる意思をきめておりません。
  73. 森三樹二

    ○森(三)委員 そこでとにかく昨年の五月二十九日励告して、本来ならば勧告がありましたならば少くともその勧告の日を基準とし、この地域給予算の裏づけをしなければならなかったと思うのです。それがだんだんともう一年近くも延びて来ておりますが、やはりあなたは、今後においてもこの地域給予算実現のために人事院総裁として努力をさるべきものだと思うのでありますが、その点について総裁の所信をお伺いしたいと思います。
  74. 浅井清

    浅井政府委員 地域給につきましては、初めに予算折衝をやりまして予算を取りましてそれから勧告するのが例になっております。でございますから、去年のは別でございますが、それまでの地域給につきましては、常に人事院勧告をいたしましたときは予算がすでにあるという状態になっておりまして、決してわれわれとしては、その点を怠っている次第ではございません。昨年は予算折衝を十分真剣にいたしましたけれども、緊縮予算の折柄でございまして予算が取れなかったのでございます。そのために勧告はやめるかどうかということが問題になったのでございますが、それでやむなく勧告だけにとどまっている次第でございますが、ただいま森さんの仰せになりました御趣旨はよく了承いたしております。われわれは予算の獲得に努力しないわけではございませんが、私率直に申し上げますれば、地域給に関する予算の獲得は非常に困難だろうと考えております。
  75. 竹尾弌

    竹尾委員 所管大臣もさることですが、給与に関して一番責任のあるものは人事院総裁であって、従来の勧告などを見ても、勧告案は絶対に侵すべからざるものである。実際はこういうようなときもあった。それはあなたがきめてしまえば、たった一町村の引上げもできなかった。私は御承知の通り、ずっと前からこの問題では非常にあなたと折衝を重ねて来た一人でありまして、あなたの気持はよく存じ上げております。かってはあなたが一たび人事院総裁として勧告したのは、絶対不可侵のものであると思われたぐらいに非常な権威のあったものである。それは総裁の一番よく御承知のはずだ。ところが昨年になると、予算折衝人事院でやらない前に、われわれがやったから、どうでもよろしいというような気持にも私受取れたのですが、しかし昨年のあの折衝の過程を見ますと、とにかく給与のでこぼこを直そう。それで地域給についてはこれを最後にしようというくらいの決意で私ども審議をいたしましたし、総裁もそのお気持であったに相違ない。そのときの勧告が私どもが要求したよりも少し少かったのですが、それからさらに私どもはそれにつけ加えたわけなんですけれども、とにかくあなた御自身が、一番給与に関しては所管大臣よりか何よりか力を持っておるはずなんだ、また実際持っておる。ところがその七十五億すらも非常に困難であるというようなお言葉を聞くに至りましては、私は非常にがっかりしてしまう。しかし私どももこれは政党政派を超越いたしましてやった仕事であるし、私ども地域給の引上げに対しては選挙の公約くらいになっておりますから、この際やめられたらたいへんですよ、そこで私どももこれは何とかしてやりますから、これは自由党であろうが、民主党であろうが、だれでもいい、これは絶対にやらなければならない。そこでわれわれは民主党に予算修正を要求しなければならない。そんなばかなことはありません。そういう意味合いで大いに私どもやりますから、総裁もそっぽを向かれずに、大いにわれわれと協調していただきたい。今七十五億円は困難だと言うが、今ごろになってそんなばかな話はない。去年はそんなことあなたはおっしゃらなかった。大いにこれはできるであろう、私はあなたからこういう見通しがあるような気持を受け取った。それからどうですか、その前にあなたは絶対に人事院勧告以上はだめだ、こうおっしゃられた、あのときはわれわれやったじゃありませんか、ああいうこともできた、だからこれからやりますよ。私ども大いにやりますから——私は今野党ですが、与党の言うことばかり聞いていてはだめです。大いにわれわれの言うことを聞いていただきたいし、われわれの立場も一つ考えてもらわなければならぬ。いいかげんな約束をして今ごろになってできないじゃ、われわれはほんとうに選挙区に帰れませんから、総裁一つ協力してもらいたい。協力されるかされないか、それをお聞きしたい。
  76. 浅井清

    浅井政府委員 だから初めから御趣旨に従って善処すると申し上げたので、七十五億は困難だ云々は悪かったかもしれませんけれども、それは従来の交渉の経過でございますから、国会でうそを言うわけに参りませので、あしからず御了承願いたいと思います。
  77. 竹尾弌

    竹尾委員 そのときはあなたはうそじゃない、実際やる、こう言って、今は非常に困難だというので、そこの気持の食い違いがずいぶんある、それを私は非常に心配しておるので、そんなことを言われずに、私どものこの提案に対して積極的な一つ支持をして下さい、こういうことをお願いしたい。     —————————————
  78. 宮澤胤勇

    宮澤委員長 それでは次に前国会において審議未了になりました一般職職員給与に関する法律案の一部を改正する法律案につき、その制定の経過等につきまして、安倍専門員より今後の調査の参考に供するため、簡単に説明をいたさせたいと思いますがいかがでありましょうか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  79. 宮澤胤勇

    宮澤委員長 それでは安倍専門員、簡単に説明して下さい。
  80. 安倍三郎

    ○安倍専門員 御指名によりまして、先般一月二十四日の本会議で、審議未了になりました委員会としての地域給決議案の経過及びその予算額、その後の情勢等について御説明申し上げます。  あの地域給の是正案は、実は第十六国会、すなわち二十八年七月二日に結成いたしました地域給委員会からの懸案でございます。当時の小委員長は赤城宗徳委員でございましたが、この小委員会は参議院の人事委員会ともたびたび折衝いたしました結果、大体二つの意見にまとまったわけでございます。  一つ地域給はできれば全廃したい。少くとも現行の五段階を二段階くらいに縮少して三段階くらいにしょう。それから地域給級地改訂は、人事院勧告を待って具体化したいというような意見にほぼ一致しておったようでございます。ところが全廃ということにつきましては、地域給についてどうもはっきりとした客観的な基準が明確化されない。また地域給意味が二十二、三年のころと違って、大分物価差が少くなってきた今日においては非常に意味が少い。だからできればこの問題を何とか全廃したいというような理由が中心になっておったようでございます。ところが全廃と申しましても非常に金がかかる。当時は二万二千八百二十円ベースでありましたが、全廃して、つまり全部の都市を東京並にするということになると、当時の予算で六百十三億九千万円もかかる。それを四級まで縮小するということになると四百三十八億八千万円、三級地まで縮小しますと二百七十四億八千万円、二級地まで縮小すると百三十九億九千万円、一級地だけ整理して縮小して、それを本俸に繰り入れて、それぞれが手取額が少くならないように工作するだけでさえも四十六億六千万円の金がかかるというので、大分考えておったわけでございますが、ときたまたま七月十八日になりまして、待望の人事院勧告提案された。ところが従来はベース・アップと同時に、地域給勧告別表第六というものを改訂するのが常でありましたが、このときはどういうわけでしたか、ベース・アップの方は一万五千四百八十円というふうに引上げるが、地域給についてはなお従前の通りということであった。そこで委員会といたしましては、各委員の方々が政府に対しましては、一万五千四百八十円ベースを即時実施せよ、地域給については二段階もしくは一段階、これは予算関係からこうなったろうと思いますが、少くとも一段階は縮小したいというような希望が述べられたようでございます。人事院に対しましては口頭もしくは決議文などによりまして、地域給級地改訂を厳重に申し入れたわけでございます。第十七国会はたった九日でございましたので、地域給に関しては大した問題はございませんでしたが、第十八国会になりまして、十一月の三十日をもって政府給与法の一部改正の法律案を提出したのでございます。これは委員会の要望が多分に盛り込まれまして、現行五段階の地域給を四段階に縮小し、さらに一級地をゼロとして、その他のものを入れて五%以上本俸の方に繰り入れる、そうしてその繰り入れた額と合せて一万五千四百八十二円のベースを規定した法律案でございます。本来ならば、実際は勧告の方は一万五千四百八十円ベースといいましても、現行五段階のままでそうでありましたので、これを一段階整理して、その五%を本俸に繰り入れることになると、それよりも約六百何十円か高くならなければならぬ関係上、いろいろ委員会では問題になりましたが、続いて十二月の五日に、自由党の方から今までのゼロ級地をひとまず一級地に引き上げる、そうしてその分を本俸の方に繰り入れて、そしてまたそれはゼロ級にして、あと四段階にするというような法案が提出されました。これは事の性質上、政府案に先行しなければならぬので、この自由党案は可決されたのであります。それに従いまして若干政府案を修正しなければならぬ事情が起りましたので、自由党側の修正案、両派社会党側の修正案、それから改進党側の修正案と、それぞれ出たのでございますが、ついに自由党側の修正案が可決されて、政府案とほぼ同様のむのが可決されたわけでございます。  これでベース・アップの方は一段落きまりましたが、地域給の方はきまりませんので、委員会といたしましては、たびたび人事院の方に地域給勧告を早く出せということを要望されたようでございます。特に二月九日に至りましては、ぜひ出せという言質を人事院の方からとるというようないきさつもございまして、その結果、去年の五月の二十九日にお手元にありまする通り勧告案が出て参ったのでございます。ところが人事院案におきましては、市町村合併が激しく起りましたので、ゼロ級地市町村に合併するところの村ならば、たといそれがイノシシが出ようと、山ザルが出るような小さい場所であっても、形式的に機械的にみな一級地にするという事態が起りましたので、今まで独立して一級地の待遇を受けておったところの町をそれに見合せてどうしても上げなければならぬというような御意見も出て参る。また従来から非常に損をしておったところの町々が、人事院勧告におきましては二段飛びを許さないという原則でずっと進んできましたので、いつでもこれがほかが上ることによりまして総体的に陥没するというような事情がございまして、衆参両院期せずしてこれに対して不満を抱いて参った。そうしてあらためて六月一日に再び地域給委員会を開き、委員長には赤城宗徳委員がなりまして、これから是正するということになったのであります。ただその是正におきましては、政治的な因子はなるべくなくするという意味で、先に草案を専門員室に移す、これを委員会において検討に検討を重ねてやるということだった。それから三級地以上については、よくよくの客観的事情がなければ上げない。それから二級以下については、従来特に損をしておると思われるようなところは十くらいに限って二段飛びをやる。但し三級地以上の二段飛びは認めないことにする。それから市町村合併の理由だけ下はなるべく昇級させない。それから、あまりに大げさな修正になって実現の不可能にならぬようにという委員長からの御内命もあったわけでございます。  こうして十五回も会を重ねて検討した結果、九月十二日に成案を得たのでありますが、そのほかに事務的になお不均衡と思われるところのものを、委員長委員会の了承を受けて委員長一任という線がございましたので、九月十二日より少しふえましたけれども、一まず衆議案として固まりましたのは、地域の数で千二百七十五の市町村級地が移動しております。別に人事院勧告では千三百六十二の市町村級地を移動さしておりますので、合せて二千六百三十七の市町村が移動したわけでございます。人員総数におきましては衆議院だけで二十六万四千九十八名がそれに適用されることになります。所要額といたしましては、国庫負担といたしまして衆議院側は二十八億五千万円、人事院の方が七十五億五千万、合せて百四億でございます。ところがこれは実際上のことでございまして、予算編成上におきましては人事院側の分が九十二億、衆議院側の方が三十四億でございます。  参議院との協議の方はどうなっておったかと申しますと、初め折衝いたしました際には、参議院の方ではこういうようなものを国会で手をつけるというと、とかくゆがめられるからというので、参議院の方は最初消極的でございましたが衆議院の方では先に草案を一応専門員室に検討させるからということで、協調して修正をしようという申合せになりましてやりました。やりましたところが今度は参議院の方がますます熱心になりまして、衆議院よりはるかにはるかに上回るような修正をやって参った。ここで実現の可能性があるかいないかということで、ずいぶん衆議院の方々が心配されておられましたが、ついに十二月の二十六日になりまして、参議院側の方も非常に緊張して参りましたので、川島委員長——向うの松浦委員長が中共の方に行っておった関係上宮田委員が見えられて、ぜひこれは協調してほしいということを申され、それから二、三日たって松浦委員長も帰られ、千葉委員、宮田委員の参議院の三人の方とそれから川島委員長とが会合されまして、協調していこうということになつたわけでございます。そうしてそれにはまず衆議院と参議院の両方の案を両方の専門員室同士で、純粋に客観的に検討し合えという御命令でありましたので、いろいろやりましたけれども、向うの方は衆議院の方をけなし、こちらの方ではどうも困ったと指摘するというようなことでありましたので、なかなかうまくいきません。ついに両委員長の御指示を得まして、衆議院案にも参議院案にも手をつけないで、一応これを包含し、ただ両方合せたことによって不均衡の生ずるところについて若干事務的な修正を加えるということに落ちついたわけでございます。これに衆参両院の一任されました相当の者が入りまして、でき上りましたのが十一月十七日でございまして、このときの移動地減数は三千二百五十七市町村でございます。人員は九十四万六千七百名に上ります。勧告予算上から申しますと九十二億でございますが、それを国庫負担分に非常に減じて参りますと七十五億五千万、これを合せまして両方で二百十二億七千五百万という膨大な数字に上っております。しかし実際においてはほんとうに国庫から持ち出す分だけを考えますと百五十億を下ると思います。この案が御承知の通り一月の二十三日に、委員会においては委員会提案として出すことにきまりまして、翌二十四日に本会議提案することになっておりましたが例の解散によりまして審議未了となった次第でございます。その後、大蔵省のアルコール専売等におきましては、この国会案を中心にいたしまして盛んに折衝しておるようでございます。大蔵省の方ではなかなかこれだけの予算はのめないといって、むしろ現行のまま廃止の方向に持っていくような気配も見えるようでございますが、はっきりしたことはまだきまっておらぬようであります。われわれの方といたしましては、振り返ってみまして、いろいろ案にも難点があるかもしれませんけれども、これが無事に通過すればと考えておる次第であります。簡単に申し上げておきます。     —————————————
  81. 宮澤胤勇

    宮澤委員長 それでは、次に防衛庁長官の杉原国務大臣から発言を求められておりますのでこれを許します。
  82. 杉原荒太

    杉原国務大臣 杉原荒太でございます。今回、私、自分がその任に当り得るような柄でないのにもかかわりませず、事情によりまして就任いたしたのでありますが、しかし就任いたしました以上、事情のいかんにかかわらず、その責任を果して行きますために全力を尽すつもりでございます。皆様防衛の関係につきましては、特に造詣の深い方々でございます。どうか皆様方のいろいろの面における御指導によりまして御協力いただきまして、責任を果させていただきたいと存じております。どうかよろしくお願い申し上げます。(拍手)
  83. 宮澤胤勇

    宮澤委員長 この際、杉原国務大臣に質疑がありましたら、これを許します。
  84. 下川儀太郎

    ○下川委員 ごあいさつ早々失礼ですが、今度の三十年度予算に関する大体の輪廓を一つ説明願いたいと思います。これは着任早々、約一週間余りですが、大体の構想はもうできていると思いますから、この際われわれの研究に資したいと思いますので、内容がおわかりでしたらば、御説明をお願いします。
  85. 杉原荒太

    杉原国務大臣 三十年度の大体の構想を示せということ、ごもっともだと思います。ただ、ただいま実はまだ予算の方が事務的にも最後的のところまで決着を見ていない状況でございます。それで今御要求の点、もうしばらくお待ち願いたいと思います。なるべく早い機会に御要望に沿うようにいたしたいと存じます。
  86. 下川儀太郎

    ○下川委員 それならば長官のいわゆる構想をお伺いしたいと思います。予算の面、数字の面についてはいろいろ今後の折衝もございましょうが、しかし三十年度におきましてどの程度に増強するのか、あるいはまた現在あなた方の方でいろいろと調整し、あるいは折衝しておられる数字の面は大体どの程度か。これは大体おわかりと思いますが、それだけでも一つお伺いしたいと思います。
  87. 杉原荒太

    杉原国務大臣 その点は第一番目に御要求のありましたことと結局同じなわけでございますが、私らの方で皆様に御説明できる段階になりましたら、なるべく早い機会にそういたしたいと思っておりますから、きょうは一つ、もう少しお待ち願いたいと思います。
  88. 下川儀太郎

    ○下川委員 選挙中に鳩山内閣は、防衛六カ年計画とかいろいろと公約的な——公約というとどうかと思いますが、いろいろと構情を発表しております。それに従って、新しい大臣の方でございますが、おそらくそれを継承されると私は考えております。同時に、分担金の問題その他に関連して、自衛隊の増強とか、あるいは今度の予算の中に盛り込まれたいわゆる再軍備的な増強の線がいろいろと新聞に伝えられておりますが、それならば数字がわからなくても、増強をするのかどうか、その増強のパーセンテージはどの程度にするのかということは、おそらく閣議などでもう論議されていると私は思いますから、一つこの際お願いいたします。
  89. 杉原荒太

    杉原国務大臣 来年度におきましては、政府では防衛の問題につきましては、防衛費の総額を大体昨年度のワク内で考える、こういう方針で行っております。そうして御承知の通りいわゆる防衛分担金につきましてちょうど今アメリカ側と交渉中でございます。向うは向うの意見を言いましょうし、こちらはこちらの意見を率直に述べて、今ちょうど交渉中でございます。これもなるべく早い機会に結果を見るように今せっかく努力中でございます。  それから現内閣といたしましても、また民主党といたしましても、防衛の問題につきましては、なるべく長期計画といいますか、五、六年先の大体のめどをつけてやっていくことがよろしかろう。それは当然に経済の方の再建六カ年計画というようなものと、ことにその財政規模等とよく見合ったものでなければならぬことはもちろんでございます。そうして国力、それから具体的には財政の規模とかいうものに応じた、そしてまた日本の国状からいたしまして、なるべく金のかからないといいますか、少数精鋭というような点に重点を置いて、そうして大体六年先までめどをつけるということが、やがてわれわれ国民の多数がおそらく要望しておると思います。駐留軍の撤退を可能ならしめるというようなことを目途にいたしましてやっていくことが、国民の理解を得るためにもぜひ必要なことだと在じ、そういう考え方でやっていこうと思っております。
  90. 下川儀太郎

    ○下川委員 どうも御回答がなかなかお上手で、あいまいもことして要領を得ませんですが、ただ長官のお考えを聞きたいのは、今増強するのかしないのか、これが明確でないこと、もう一つはきょうの夕刊を見ますと、防衛分担金の問題がかなり折衝が紛糾しているようですが、鳩山内閣の公約の中で住宅問題が強く取り上げられた。これは防衛分担金の削減によって充てるということを公約されておる。しかしアメリカ側の方では、この防衛分担金をもって自衛隊費とかあるいは防衛費に充てるということを強く指摘しているようであります。そうなってくると、いわゆる今後の防衛の拡充をどういうふうにやっていくか、また従来公約なさっておる住宅対策で、防衛分担金によって満たそうとするものが逆に防衛費の方に充てるということになってくると、結局住宅対策費というものが全然充てられない結果になってくる。そういう場合防衛長官はどういうふうにお考えになるか。また内閣におきましてもこの防衛分担金をめぐって、あるいはこれを防衛費に充てるのか、あるいはまた従来通りに国民に公約した住宅費に充てるのか、この点が非常に矛盲を来たしてくる、これについてひとつ明確な御答弁を得ておきたいと思います。
  91. 杉原荒太

    杉原国務大臣 今の御指摘の点、非常に大事な問題だと思います。政府としても真劔に考えておる問題でございます。先ほどから申しますように、今この防衛分担金の問題につきましては、政府側の考えのあるところを率直にアメリカ側にも披瀝して交渉いたしておるところでございます。
  92. 下川儀太郎

    ○下川委員 ではなるべく、その防衛分担金は住宅建設費に充てるという公約をほごにしないようにひとつ政府を鞭撻いたします。なお今後の防衛問題につきましては次回に譲ります。
  93. 宮澤胤勇

    宮澤委員長 中村高一君。
  94. 中村高一

    ○中村(高)委員 就任早々でありますから、こまかいことはおそらくまだ準備しておられないと思うのでありますか、鳩山内閣の新しい防衛方針でありますが、長官はおそらくこまかい予算関係のことについては御研究なさるといたしましても、いわゆる漸増方針という一つの方針は吉田内閣以来ずっと掲げられてきておるのでありますが、一体漸増方針というものが鳩山内閣におきましても取り上げられたもののようでございまして、この前——今出ていかれました大村さんがおられれば、ちょうどよかったのでありますけれども、大村さんは自分ではやはり吉田内閣と同じように漸増方式をとっていくのだということで、三十年度の新しい防衛計画というものを、年末に委員会においても大体発表され、新聞などにもその構想を発表されておるのでありますが、長官はかわられましたけれども、同じ内閣でありますから、急に変転するとは思えないのでありますが、大村長官が立てられまして防衛方針というようなものは、中味におきましては多少違うかもしれませんけれども、漸増をしていくという方針に変りがないか、これをお尋ねいたしておきたいと存じます。
  95. 杉原荒太

    杉原国務大臣 先ほど申し上げましたように、六カ年くらいの計画を立てまして、そうして六カ年くらい先にどれくらいになるという大体の見当をつけまして、年々のそこに至るまでは、そういう意味におきましてはいわゆる漸増でございますが、しかしただそのときそのときの漸増というのでは、一体どこまでいくのかわかりませんので、ずっと先のことは別としましても、五、六年先にはどういう程度のものか、その辺のところも大体の見当をつけてやっていきたいと思っております。それで先ほど吉田内閣のときと同じようなのかと言われますが、私らは今申しました通り、大体の五、六年先のところを見て、またそれはアメリカの駐留軍の撤退というようなところを一つの目途にいたしまして、やっていきたいと考えております。
  96. 中村高一

    ○中村(高)委員 六カ年計画を立てられるとか、あるいは吉田内閣のときには五カ年計画とかいうておりましたが、実際今までの委員会でわれわれが拝聴いたしておるところでは、来年の計画が立たないのであります。おそらくこれは非常に複雑な国際関係がしからしめるものであって、今度あなたが長官におなりになって六カ年計画をお立てになるというけれども日本の国内のいわゆる内政の上における五カ年計画とか、六カ年計画、あるいは農林関係の食糧増産の五カ年計画とかなんとかいうことならば、それはお立てになれると思いますけれども、今のような国際関係の複雑の中で、一体六カ年目にはどれだけできるか、来年はどれだけ増強するのだというようなことは、なかなかできない実情にあるように私は思うのであります。おそらく手をつけられても、私はそういう点については拘束を受けると思う。昨年などもそういう点について聞いても、実際には長官に来年のことなどはほとんどわからぬのが実情でありまして、たとえば海上保安庁で船を借りるにいたしましても、アメリカ側で幾ら船をよこしてくれるかわからないのに、こっちだけで増強ができますかどうですか。こっちで計画したことに対しましてアメリカが納得するというより、今までのやり方は、大体アメリカが日本にどれだけの船をよこすというようなことがわかって、それから実際に計画が立っておったのが実情であります。おそらく私は今度も現状においてはそういうことになるのではないかと思うのでありますが、今長官の言われますように、アメリカ関係を無視して、日本独自の鳩山内閣で一体六カ年計画ということが実際できると思われますかどうですか。これは今後の六カ年計画をお立てになるについて、われわれも審議をいたす関係がありまして、こういう点については、一時ごまかしの答弁でなくして、あなたは国際関係についてはなかなかの専門家でありますから、六カ年計画を立ててそれを発表するからということで、簡単に委員会発言をされても、私たちは今までの計画から見ると納得できないと思うのでありますが、その点はいかがでございましょう。
  97. 杉原荒太

    杉原国務大臣 今の御指摘の点ですが、従来もいろいろと事実上非常に困難があったこともよく承知をしております。また将来もそう簡単だとは思っておりません。しかしながら私はどうしても先ほど申しましたような線を通していくということを中心にして、外国との関係も話し合っていきたいと思っております。
  98. 中村高一

    ○中村(高)委員 この前通しました防衛庁法案の中に、例の国防会議というものを設置する。ことになっておるのでありますが、いまだにこれができないのであります。これはあの防衛庁法律から行きまするならば、新しい六ケ年計画を立てるとか、あるいはことしの計画を立てるというようなことに対しては、重要な諮問機関として国防会議を設けて、それに諮問をするのが私たちは防衛計画に必要なことだと思っておるのでありますが、法律はもうとっくにできておりながら、いまだに国防会議というようなものもそのままになっておるようでありますけれども、一体漸増計画というようなこまかい計画を立てるについて、国防会議というようなものに諮問をすることが、あなたは適当だと思われるのか。それとも国防会議などは形の上につくっておけばいいのであって、そういうようなものは機構としてはあるけれども、急ぐこともないというお考えなんでありますか。こういう点について御研究しておられますならば一つ意見を拝聴いたしたいと存じます。
  99. 杉原荒太

    杉原国務大臣 この国防計画の大綱はどうしてもこれはいろいろ権威ある意見を聞いてやっていかなくちゃならぬことは当然でございます。そうしてまた非常にそういう点が、大事だと思います。そうしてすでに国会の通過を見ております法律に基きまして、すでに国防会議の構成等は別の法律になっておりますけれども、こうこういう事柄は国防会議に諮問しなくちゃならぬということにもなっておる。そうしてまたそういう機関があるということはぜひ必要でもあり、またこれを十分その法律趣旨に従って積極的に生かしていかなくちゃならぬことだと思います。それでその構成等に関することがまだ未決定でありますが、それを設置することを目途にいたしまして、今実は私せっかく真剣にこの問題を考えておるところでございます。
  100. 宮澤胤勇

    宮澤委員長 茜ケ久保君。
  101. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保委員 新しい大臣でありますし、私も実は新しく参ったのでございます。そこではっきりお聞きしたいことがあるのであります。私ども議員になる前に、野におきまして今までの自衛隊の様子を見ておりまして、一般国民が、これはみな前の吉田さんが何とおっしゃろうとも軍隊と思っておる。また軍隊だと考えておる。私どもは今後防衛庁関係審議するに当りまして、新しい防衛大臣は、この自衛隊を事実上の軍隊とお考えか、あるいはまた何かそこに特別なお考えがあるかをお聞きしたい。
  102. 杉原荒太

    杉原国務大臣 今までもその点ずっと問題になってきておるところでございます。私がここで特に皆様に申し上げるまでもなく、自衛隊任務、それからそれがいかなる場合に行動し得るか、ことにいわゆる防衛出動をなし得るか。防衛出場した場合にその武力を使用し得るかどうか。使用する場合にはその限界はどうか。それからさらにその規模等につきましても、すべて国会の承認を得た、国会意思決定を見たものに基いてそういうことがきまっておるわけでございます。これらの国会意思決定に基くところから総合してみまするとき、現在の自衛隊の性格というものは、おのずからそこに公的な性格が浮び出ておると思います。特に申し上げるまでもなく、その任務の中に直接及び間接の侵略に対して国を防衛するということも自衛隊の重要な任務の中に上っておる。そういう点からいたしまして、普通の常識をもっていたしますと、外国からの武力攻撃に対してこれを防衛する任務を持っておる実力部隊というものは、これは普通の観念でいわゆる軍隊という中にも入るといって差しつかえないかと思うのでありますが、ただしかし私がここで講釈するまでもなく、憲法の大原則からいたしますと、これは平和主義を基本にしておることは申すまでもないと思います。そうしていわゆる自衛のために、そしてそれに必要かつ相当の限度のもの、そういうものが具体的に先ほど申しました法律によってはっきりきまっておるのでありますが、これをあくまでも法律に明定しておりますように、その目的はどこまでもわが国の平和と独立を守るということである。そしてそれに必要な、ずっとその思想からできておる性格のものでございます。それだから普通従来いわれておる軍隊というものは、必ずしもそういうふうにはっきりしたものでなかった場合が非常にあると思います。しかし今の自衛隊は、そういった意味における、簡単な言葉で集約して申しますと、つまりわが国の自衛を目的とする実力部隊、こういう性格のものであるということは、特に申し上げるまでもないところだと思います。
  103. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保委員 大臣の苦しい御答弁のように考えますが、どこの軍隊も、アメリカの軍隊もロシヤの軍隊も、決して外国を侵略すると言っておりません。みな平和のためと言っております。いわゆる平和を守るために軍隊を持つと言っているのですが、長官のお話を聞くと、日本自衛隊は平和と独立のために自衛するのだということでありますが、そうしますと、アメリカやロシヤその他の軍隊考えても、自衛であろうと何であろうと、外国が先に攻めてこようと攻めてこまいと、戦争状態が起って戦争に参加するものは私は軍隊だと思う。杉原国務大臣のおっしゃるような場合には、どこが攻めてきたといたしましても、それに向っていわゆる戦争する場合には、これはどんなことをおっしゃっても私は軍隊だと考える。いわゆる国民の血を流して守ることは、かつての日清、日露の戦争みたいに日本が侵略するのでなくても、私どもは戦争だと思うし、戦争に使うものは軍隊だと思う。どうも私は今の長官の御説明では納得がいきませんが、もっと明快に私どもがはっきりわかるように、また国民も防衛長官の御説明で確かに軍隊でないということをはっきり納得できるような御説明一つはっきり願いたいと思います。
  104. 杉原荒太

    杉原国務大臣 今私が申しましたところで尽きるのですが……。     〔茜ケ久保委員「そんな説明では納得できませんよ。もっとはっきり願いたい。国民も疑惑を持っているし、そう考えておる。私どももそう思っておる。自衛のためとおっしゃっても、アメリカやロシヤは自衛とおっしゃっても、攻めるとはおっしゃっていない。それだからそれだけでは軍隊という答弁にはならないと思う」と呼ぶ〕
  105. 宮澤胤勇

    宮澤委員長 茜ケ久保君、一つ私語しないで立ってやって下さい。
  106. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保委員 それはそれとしてでは次に、杉原長官は自衛とおっしやいますが、今大臣としてどこからか日本が侵略される危険を感じているか、また近き将来にそんなことがあるとお考えになっているか、その点を伺いたい。
  107. 杉原荒太

    杉原国務大臣 現在今すぐ外国からの武力攻撃ということは私は感じておりません。これは私だけじゃなく国民がみんなそうだと思います。将来のことになりますと、これは端的にいってわかりません。しかしわれわれの努力の目標としてはそういうことが、防衛の見地からいたしましても、外交の見地からいたしましても、ないように、事態がそう行くように努力せねばならぬことだと思っております。
  108. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保委員 そこで、現在ないとおっしゃいますが、もし将来あるような場合に、現在の自衛隊の士気その他において、完全に外国の侵略に対抗できるだけの士気とあらゆる装備その他国民が安心をしておれるだけのものがあるとお考えか、また現在の自衛隊の諸君の士気その他が国民の期待に沿うだけのものがあると大臣はお考えどうか伺いたい。
  109. 杉原荒太

    杉原国務大臣 今自衛隊に入っておられる方々の士気の問題でございますが、これは日本の国内の状況からいたしまして、いろいろの点から見て非常にむずかしいこの状況の中において、具体的にこの地位に立つものとして最善のことをやっておられることと私は信じております。いろいろの何はありますけれども、非常に困難な状況のもとにおいて努力していただいておると私は信じております。
  110. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保委員 大臣が幾らお信じになっても、自衛隊の隊員諸君は、私どもの関知する限りにおいては、一たん戦争状態になった場合には、われわれはみな戦争に参加しないで逃げて帰るのだということをはっきり言っている者が多い。これは私はゆゆしい問題だと思う。日本の非常に苦しい財政の中からあの膨大な予算を使っておきながら、そうして国を守るという名目であのような軍隊を作っておきながら、その軍隊が一たん戦争となった場合には、われわれは逃げて帰るのだということを言うに至ってはこれはゆゆしい問題だと思う。今大臣は私はそう信じておるとおっしゃるが、その信じている具体的な根拠がどこにあるか、一つはっきりお示しを願いたい。
  111. 杉原荒太

    杉原国務大臣 私はいろいろ御心配をいただく点はありがたいと思います。そうしてまた個々に言いますと、いろいろなことがございましょう。しかしこういう点は私今度自分で非常に責任を感じておりますが、一つぜひ国民の皆様の御期待に沿うよう、そうしてまた自衛隊の内部におられる方々に対する理解というものが非常に大事だろうと思います。そういう点あまり議論の対象じゃなく、事実今おっしゃったような御心配の趣旨ども私はよく理解できますから、努力していきたいと思います。
  112. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保委員 これは観点は変りますが、私ども自衛隊のいろいろな面を考えまして、自衛隊の経理関係が非常に紊乱しておるというこを聞くし、また具体的な事実もあります。これは個個については今後また問題にしますが、一応本日は大臣のこれに対する所見と、もしそういった場合にはあくまでも大臣として責任をとっていただけるのかどうか、はっきりしておきたいと思います。
  113. 杉原荒太

    杉原国務大臣 今おっしゃった点きわめて大事な問題だと私も思っております。私そういう点につきましては特に厳重にやり、そうしてまた厳重というか、具体的に可能なようにせねばなりません。そうして私の不行き届きの結果そういうことのないように全力を尽しますし、もちろんこういうことにつきましても私が全責任を負っていきます。
  114. 江崎真澄

    江崎委員 きょうは新長官としていらっしゃってごあいさいを承わるだけのつもりでおったわけですが、たまたま質問が出ましたので、関連して——初めてのことでもありますし、あまり細部にわたって御質問申し上げるととは無理だと思いますので、他日に譲ることにいたしたいと思います。ただただいまの茜ケ久保君の御質問に対して、やはりこれは軍隊でないようなあるような、あいまいな御答弁ですが、これはかねて吉田内閣当時に戦力のない自衛隊軍隊と言うことはできないということで答弁がなされてきたわけでございます。ところがこの答弁に対しては、あなたのところの総理大臣は、吉田内閣は国民を欺瞞するものである、これをして軍隊でないというがごときことはすでにおかしいではないか、これが鳩山総理の御意見であったように思います。ただいま長官のお言葉を承わっておると、やはりどうも吉田内閣当時の答弁の方がほんとうであったという印象を私どもは受けておるのでございまするが、あなたそんなことをおっしゃって総理大臣におしかりを受けることはありませんかどうか。この点、吉田内閣当時の答弁の方向、また自衛隊の性格というものと同じであるのかないのか。違うとすればどの程度に御見解が違うのであるか。これは他日でもいいわけですが、たまたま談がそこに触れておりますので、根本的な問題として御見解を承わりたいと思います。
  115. 杉原荒太

    杉原国務大臣 それは実質におきましていわゆる軍隊と同じ実質を持っておる部分が非常に多いと思います。そうしてまたこれは国際法上からしますと、軍隊の一種として取扱わるべき性質のものだと私は思います。軍隊という名称は、御承知の通り、これを変更するためには法律の改正を要すること申すまでもありません。従ってこれを今公けに軍隊という名称をもって呼ぶということはまだ許されない段階にあるものだと私は了解しております。
  116. 江崎真澄

    江崎委員 だんだんはっきりして参りました。そうすると、結局法律の手続をもって名称を変える段階に入ればこれは軍隊であるというふうに防衛庁長官ははっきり言明されるわけでございますね。
  117. 杉原荒太

    杉原国務大臣 それはその名称軍隊と言うためには法律の改正を要する、そうしてしかも私なおそこに一言つけ加えておきたいと思いますのは、今自衛隊法律で認められておりますあの任務、それからそれが行動し得る場合とか、行動の際の限度とか、そういう点など、今自衛隊法できめてありますあの基本的な構想というものは、実は非常に大事な点だろうと私は思っております。ただ軍隊だと呼びっぱなしにしますと、何かしらんそういうふうな制約が一切ぶっ飛んでしまうというがごとき印象を与えやせぬかということをおそれますので、私先ほどかう少し回りくどいような言い方をしたわけであります。
  118. 江崎真澄

    江崎委員 これはよくその辺はっきりしませんと、どうも総理大臣のおっしゃることとあなたのおっしゃることと違っておるし、今お説のようなことだと、これは吉田内閣自衛隊に対する考え方をそのまま御踏襲になるというふうに受け取っていいように思いますが、そうなんですね。もし違うとすれば、根本的に大きな柱はどう違うのか、簡単に承わることができれば大へんけっこうだと思います。
  119. 杉原荒太

    杉原国務大臣 吉田内閣 当時でもいろいろ変遷がございましたですね。これもただ抽象的な話でははっきりしないのですが、やはり自衛隊法や今の防衛庁法ができる前と、そうでない場合では非常に違うと思います。自衛隊法ができて、それに基いてこの自衛隊の性格というものがきまっておると思うのです。
  120. 江崎真澄

    江崎委員 そういうことをお尋ねしておるのじゃないので、あなたが自衛隊の長官になられて——大体今まで自由党でも変遷はしてきております。けれども根本的に何か違った態度でこの自衛隊を引きずられるのか。あるいは前のあり方——だんだん姿が変ることは世の中のことですからどの場面でもあり得ることですが、根本的な方針というものは全然変らないのか。これは国内的に重大な問題だと思うのです。この点がどうかということ、きょうは予算委員会もきっとおありでしょうし、これは大問題ですからゆっくりお尋ねすることにしたいと思いますが、その一点、何かはっきり違った点、これということがあるのかないのか。なければ吉田内閣当時の自衛隊そのままの姿の踏襲である、あるいはそうじゃないのだ、なければこれとこれが柱だ、今後はこうしたいと思う、こういう点があるはずです。それははっきりした簡単な点です。あなたとしての御方針はどうか。  それから先ほど六カ年計画あるいは五カ年計画とも言っておられましたが、そういう数カ年計画の目標に向って自衛隊の方向をきめていく。また同時に人員その他の全体の目標を締めくくっていくというお説でしたが、少くとも六カ年計画という長期にわたる計画をお立てになるとすれば、何を目標にして。何を根拠にしてそういう計画をお立てになるのであるか、目標がなくて五カ年も六カ年も先の計画などは立つものではございません。たとえば外敵の侵略というものがどういうものか、どうなるとか、あるいはこうなるとか、国内の治安の維持に当るとか何とかいう程度のものでなくて、少くとも六カ年という先までを考えて、そこに計画を立てようというからには相当ね目標があろうと思う。どこへよりどころを持っていらっしゃるか、大分早々のごあいさつの合間々々に相当重大な御発言があったように思いますので念押しをするわけですが、この点違うか違わないかいかがですか。
  121. 杉原荒太

    杉原国務大臣 私が申し上げたい点は、自衛隊というものがどういう性格のものであるかという点につきまして、現行法たる自衛隊法というもののその任務、その他自衛隊の性格を明確に規定しております。私はその点はあれがほんとうの、やはり自衛隊の性格としていいものだと思っております。今これを変更するとかせぬとかいうことは考えておりません。
  122. 宮澤胤勇

    宮澤委員長 それでは、次会は公報をもって御通知いたすことにいたしまして、本日はこれにて散会いたします。     午後三時二十四分散会