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1955-07-26 第22回国会 衆議院 逓信委員会 第32号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年七月二十六日(火曜日)     午後三時三十六分開議  出席委員    委員長 松前 重義君    理事 齋藤 憲三君 理事 濱地 文平君   理事 廣瀬 正雄君 理事 橋本登美三郎君    理事 松井 政吉君       秋田 大助君    川崎末五郎君       椎熊 三郎君    竹内 俊吉君       井手 以誠君    佐々木更三君       原   茂君    森本  靖君       松尾トシ子君    三輪 壽壯君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 松田竹千代君  出席政府委員         郵政事務官         (郵務局長)  松井 一郎君         郵政事務官         (電波監理局         長)      濱田 成徳君  委員外出席者         郵政事務官         (事務次官)  中村 俊一君         郵政事務官         (大臣官房文書         課長)     佐方 信博君         郵政事務官         (大臣官房人事         部長)     宮本 武夫君         郵 政 技 官         (大臣官房電気         通信監理官)  平山  温君         郵政事務官         (電波監理局次         長)      荘   宏君         日本電信電話公         社総裁     梶井  剛君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     岡部 重信君         専  門  員 吉田 弘苗君         専  門  員 稲田  穣君         専  門  員 山戸 利生君         専  門  員 中村 寅市君     ――――――――――――― 七月二十三日  委員井手以誠君辞任につき、その補欠として楯  兼次郎君が議長指名委員に選任された。 同月二十六日  委員楯次郎辞任につき、その補欠として小  松幹君が議長指名委員に選任された。 同日  委員小松幹辞任につき、その補欠として井手  以誠君議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 七月二十二日  長崎電話局自動化促進に関する請願井手以  誠君紹介)(第四四三八号)  中島町、輪島市間に電信電話市外ケーブル線架  設の請願森本靖紹介)(第四四五七号) 同月二十五日  日本電信電話公社法の一部改正反対に関する請  願(小平久雄紹介)(第四五四九号) の審査を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  小委員長及び小委員補欠選任の件  参考人招致に関する件  日本放送協会昭和二十八年度財産目録貸借対  照表及び損益計算書電気通信事業に関する件  放送に関する件郵政事業に関する件     ―――――――――――――
  2. 松前重義

    松前委員長 これより会議を開きます。  この際参考人招致の件についてお諮りいたします。ゲルマニウムに関する件について財団法人石炭総合研究所長浅井一彦君、東京大学農学部教授大越伸君及び日本ゲルマニウム工業株式会社社長河本頼希君、以上三名を参考人として招致し、説明を聴取することといたしたいと存じますが、この点御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 松前重義

    松前委員長 御異議ないものと認めまして、さよう決定いたしました。  なお右参考人より説明聴取の日時につきましては、委員長に御一任願います。次に放送事業調査に関する小委員会において、日本分化放送協会放送事業に関し、右協会常務理事岸巌君を明二十七日参考人として説明を聴取することにいたしたいと存じますが、この点御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 松前重義

    松前委員長 御異議なきものと認めまして、さよう決定いたしました。     ―――――――――――――
  5. 松前重義

    松前委員長 次に日本放送協会昭和二十八年度財産目録貸借対照表及び損益計算書を議題として、前会に引き続き質疑を続行いたします。橋本登美三郎君。
  6. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 放送協会から御出席参考人の人にお伺いいたします。せんだっての委員会におきまして問題になりました会計検査院から指摘されましたサービスセンター建物の問題ですが、これについて会計検査院は、法的には差しつかえないが、あまり穏当ではないというような意見書が付せられておるようでありますが、これについてNHK当局においては、これが善処方について、何らか正式におきまりになっておりますれば、この機会に御報告を願いたい。
  7. 岡部重信

    岡部参考人 せんだっての委員会におきまして、なるべく早期にこれを買収したいと申し上げた次第でございますが、その後理事会でも検討を加えまして、おそらくとも二年度以内にはこれを買収することにきめた次第でございます。
  8. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 ただいまの岡部参考人お話では、二年度以内というお話でありますから、昭和三十一年度並びに三十二年度予算措置を行なってこれが解決をする、こういう御方針におきまりになったと解釈してよろしゅうございますか。なおこれがため番組編成上に、あるいはまた給与関係悪影響がないかどうか、金額としてそう大きな金額じゃありませんから、悪影響はないかと思いますけれども、なお念のためこういうような臨時支出の結果、給与問題あるいは番組編成等悪影響があることは、委員会として好ましくないのでありますから、従ってこれらに影響があるかないか、その点についてもあわせて御説明を願いたい。
  9. 岡部重信

    岡部参考人 買収年度につきまして、ただいま御指摘の三十一年度並びに三十二年度という点につきましては、お話通りでございます。なお番組給与の点について、そういうことをすることによって、悪影響がないようにというお話でございましたが、私どももまだ実は来年度予算の構想も立てていないのでありますが、大体できるだけ早く買収したいというのであります。今申し上げたような二年度買収するというようなことでありまするならば、さような懸念もないのじゃないかと考えまして、先ほど申し上げたような買収計画を決定した次第でございます。
  10. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 政府の方にお伺いいたします。ただいまNHK参考人からお聞き及びの通りに、サービスセンター建物NHK当局が三十一年度並びに三十二年度予算をもって買収をし、これが解決をはかる、こういうような決定を理事会でみたという話でありまするが、この二ヵ年度においてこれが解決をするという方針に対して、電波監理局はいかにお考えか、この点を参考意見としてお伺いしたい。
  11. 濱田成徳

    濱田政府委員 さような措置に対しましては、電波監理局としては適当だと考えております。
  12. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 なおこの決算にからんで、せんだってラジオサービスセンター財団法人として文部省所管になっておる、これについては、あるいは郵政省所管としてこれが研究を行うべきでないかというような委員長からの質問があったと思います。これはいろいろ内容の問題について幾多の問題がありますから、果してこれを郵政省財団法人として認めていくかどうかということについては、いろいろの問題がまたあろうと思いまするが、なおそういうような疑念といいましょうか、問題が残っておりますので、この問題について郵政省当局も十分に御研究をしてもらいたい、こう考えておりまするが、その点についてのお考え方お話し願いたい。
  13. 濱田成徳

    濱田政府委員 ラジオサービスセンター事業につきましては、あるものは明瞭に郵政省所管であり、あるものは文部省関係のあるものもある次第でございまして、これを両方の共管にするというようなことも考えられ、電波当局は目下慎重に内容の考究をいたしております。
  14. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 それから委員会で問題になりましたのは、ことに小委員会で問題になったのですが、広告放送の問題であります。いろいろありますけれども、一応問題になったのは、テキストを発行しておるラジオサービスセンター、これをラジオにかけることは広告になりはしないか、こういうような意見もあったのであります。もう一つは、ニュースの時間に東芝螢光灯の値下げを発表したのでありまするが、これについても広告のきらいがありはしないか、こういうような質疑が行われたわけであります。これらについて、今直ちに結論を得ることは私たちも困難であろうと思いますし、小委員会といたしましても、今後これの研究は進めていきたいと思いまするが、郵政当局においてのこういうことに対する研究といいましょうか、そういうことについての研究調査等についてのお考え方をお述べ願いたいと思います。
  15. 濱田成徳

    濱田政府委員 御説のごとくテキスト等発行等につきましては、これは明瞭に放送事業の一部と考えられます。私も問題ないと考えます。  次に東芝螢光灯に関しまして、広告放送が行われたようだということにつきましては、いろいろ論議がありまして、放送法の中にも、特定の製造業者名前を出しても、明らかに広告意思がない場合もあり得るというような面もありますので、この問題につきましては一般論でなくて、ケース・バイ・ケースに今後取り上げまして研究しようと思っております。なるべく早くこの電波監理局としての態度をきめ得るように結論を持っていきたい所存であります。
  16. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 この広告禁止の規定は、ことに民放というものが誕生してからは、民放が生まれる以前とは非常に性格といいますか、厳密度が変ってきております。民放がない時代は多少広告類似行為が行われても、第三者に与える影響はなかったわけであります。ただ利得を与えるという行為はありましても、第三者の営業を妨害するというような行為はなかったわけでありますけれども民間放送が生まれてからは、これがその一部の業者に利得せしめるばかりでなく、常業している民放一つ悪影響といいましょうか、損害を与える結果になるわけであります。そういう意味からいって、広告放送禁止の事項は、民放誕生により相当重大に考えられ、かつまた厳重に計算せられなければならぬような実情になってきている。こういう点から考えて、当局においても放送法改正等委員会が開かれており、かつまた将来放送法改正という問題が具体化すると思います。その場合にはできるだけこの問題はついて実情に合うような措置がとられることを希望申し上げて、一応私の質問を終ります。
  17. 井手以誠

    井手委員 郵政省NHKに、地方のことでおそれ入りますが、お尋ねしたいと思います。  私はこの方はしろうとでさっぱりわかりませんが、私の住んでおる佐賀県の北部においては、NHK放送があまり聞えないのであります。先刻来サービスサービスという名前が出て参りますが、一向私の方にはサービス改善の跡が見えない。むしろ以前よりは悪くなっております。以前は唐津中継所がございましてよく聞えておりましたが、中継所廃止になってからは、非常に感度が悪くなって聞えません。佐賀放送局中継が聞えません。全然聞えないとは申し上げません。ほのかに聞えますから、聞えないとは申し上げませんが、ずいぶんサービス改善については手を尽しているようでありますが、地元から熱烈な要望も再三あっておるようでありますので、そういう面にはどういう手当をなさっておるのか。決算承認ということでありますが、あまり聞えない放送決算はなかなか通しにくいのでありす。一つその点について協会と監督の当局からその辺の事情対策を承わりたいのであります。
  18. 濱田成徳

    濱田政府委員 御答弁申し上げます。放送法第七条についてこの前お話がございましたが、日本放送協会放送をあまねく普及せしめる任務を体しまして、私どもも鋭意その実現をはかりたいと考えております。御質問唐津方面につきましては、ただいま伺いますれば福岡の十キロワットのサービス・エリアに入っているはずだそうであります。今手元に資料がございませんので明瞭な御返事ができませんけれども福岡の十キロワットを五十キロワットにするという計画もあるようであります。お困りの点はやがて解決されるように希望をいたしております。多分そうなるだろうと思います。
  19. 井手以誠

    井手委員 あまねく普及される義務があるのに、以前よりも悪くなっているという点を私は指摘しておるのであります。御承知かもしれませんが、唐津というところは佐賀県でありまして、福岡にいかに設備を拡充されましても、佐賀放送は入らないのであります。私どもがほしいのは県内ニュースであります。それがほとんど入らなくて、福岡ニュースが入っておる。それを私は申し上げておる。本放送が入ってローカル放送が入らないのであります。御存じないかもしれませんが、佐賀県の地勢上、天気予報佐賀測候所はほとんど当らずして、福岡の方は時たま当るのであります。同様にラジオにおいても佐賀ローカル放送が入らない。私どもはやはり地方ニュースを聞かなくちゃならぬ。これではあまねく聞かせていただくわけには参らないのであります。今まで何回となく熱烈に要望された唐津中継放送局と申しますか、送信について、何ゆえに今日まで実現されないのか、放送協会の方にお伺いいたしたいのであります。
  20. 岡部重信

    岡部参考人 私も唐津のことにつきましては、数年前の台風の場合でしたか、特にあの辺の御要望を受けまして承知しているわけでございますが、NHKといたしましては、ただいま御指摘通り放送法により全国あまねく容易に聴取できるようにというので、毎年計画を立ててやっているわけでございまして、ただいま御指摘通り地方におきましては、その土地のローカルニュースなり、気象通報なりの放送がほしいというのが圧倒的の御要望でございます。ただまだどこの電波も聞きにくいというところが全国的に若干あるのでございまして、それでNHKとしては第一着手として、まずどこかの電波が必ず聞けるというようにいたしまして、その次の段階において、ただいま御指摘のようなローカルの、その県ならその県、その地方ニュースなり気象通報を、何らかの方法でその地方方々のお役に立つようにしたいという二段がまえで、今やっておるようなわけでございまして、たまたま御指摘唐津方面がそういう点においてはおくれておるというような次第なのでございます。それで御指摘佐賀ニュースという面においては欠けるところがあると思いますが、三十年度から三十一年度にかけて御希望に沿うにやるという計画でやっておる次第なのであります。
  21. 井手以誠

    井手委員 ローカル放送地方では一番関心が深いと前段では申されております。あとではまた反対のようなことをおっしゃいましたが、大体この唐津市は人口十万ばかりの都市であります。唐津がいなかで、さらにそのほかに山奥があるというので、順次に中継放送を増設していくとか、あるいは全部の放送が聞けるように設備を増していくということでありますならば、一応話はわかります。けれども唐津には一たん中継所があったのであります。それを取りやめられておる。順次にふやしていくならばわかりますが、廃止されたものであります。逆でございます。ところがローカル放送が一番聞きたがっておるとおっしゃっておりますが、その通りでございます。県民のかなりの部分が県内放送が聞けないというようなことでは、不便この上もないのであります。今お聞きしますと、本年度か来年度唐津中継所を設けられるというお話ですが、それは事実ですか。それが事実でありますならば多くは申しませんが、念を押しておきたいと思います。
  22. 岡部重信

    岡部参考人 あるいは私の申し上げようがあいまいだったかもしれませんが、ただいまの計画といたしましては、全国のどこかの電波は聞えるようにということで計画を実施しておるわけであります。それでそれが済んでからローカルの聞えないところにいきたいというので進んでおります。今の唐津廃止されたというお話につきまして今資料を持っておりませんが、ひょっとしたら戦時中唐津に置かれたのじゃないかと思います。その置かれた理由といたしましては、同一周波の放送をやっていたものですから、それと電波防衛関係上、聴取困難でなくとも若干置いたというようなこともございますので、その後所定の電界強度になったために廃止したのじゃないかと思います。そういう地点がほかにもございますので、方々に置くと言いながら、やめたのはおかしいじゃないかというようなことをおっしゃられたことはその通りでありますが、そういう事情で当時ほかにも数ヵ所やめたところがあるわけであります。
  23. 井手以誠

    井手委員 地方の問題でまことに恐縮に存じますけれども、今までの御答弁では、いかに放送協会に好意を持っておりましても、納得ができないのであります。その御答弁では私はこの決算は承認できません。一つわかった方に来てもらって御答弁願いたいと思います。委員長においてもさようお取り計らいを願いたいと思います。
  24. 松井政吉

    松井委員 これはこういうことじゃないかと思うのです。やはり質問要点がわからないのじゃないかと思うのです。私も井手君と同意見ですが、質問要点が三つになっております。たとえばNHK放送計画の中で、第一放送としての難聴地域を第一義的に考えるのか、それともローカル放送は第二義的になっておるのだから、現在の計画の中からすればローカル放送の聞えない地域唐津だけでなくて全国にあるとおっしゃるのか、その点が明らかになっていない。それを明らかにすることが質問に答える第一点であります。  それから第二点は、ローカル放送を重んじなければならない。というのは、その地域の県にしてみれば非常に重大な問題です。たとえば産業放送等ローカルでみなやるわけでありますから、たとえば工場地帯ならば工場に役に立つような技術上の問題とか、安全の問題とか、衛生の問題とか、そういう問題を取り上げて、その地域に役立つような放送がなされるだろうし、農村地帯ならば、たとえば冷害地において冷害のおとずれた場合のいろいろな対策に関する産業放送が行われております。さらにまた風水害の通り道であって、毎年々々災害をこうむる場合には、それに対する対策とか、さらに農産物を守るためにはどうしたらよいかというようなローカル放送がされておるのです。それがその県のローカル放送が聞えないで、よその県の放送を聞かざる得ないということになると、これではローカル放送が役に立たないことになる。そういう点についてNHK政府当局はどう考えるか、これに対する答えが第二にならなければならない。  第三の問題は、そのためであったかどうか知りませんけれども、従来設けられておった唐津のいわゆる中継所廃止してから聞えなくなったというのでありますから、それがあれば唐津地域難聴地域じゃないはずなんです。どういう理由でやめたか、やめる理由があったのならば、今後再び中継所を設ける意思があるのかないのか。そういう意思が今きまらなくとも、調査の結果、そういう難聴地域に対しては、やはり中継所を復活するという考え方があるのかどうか、この点について明瞭なお答えをいただかなければならない、こういうことだと思うのです。従って関連して質問申し上げますが、この点について明らかに一つお答えが願いたい。
  25. 岡部重信

    岡部参考人 先ほど触れましたが、NHKといたしましては、放送法に定められたところによりまして、要するに聞えないところをできるだけ早くなくしたいということが第一の原則でございます。その次には地域別放送、この点につきましては、御承知通り二十九年度からの予算において、地域別放送地方要望にこたえたいというのが第二番目でございます。しかしその問題につきましても、第一にお答えいたしましたあまねく容易に聞えるという方法の第一段階において解決されるというものもございますが、そうでない場合もございます。できるだけそういう線に沿って第一次の建設をやっているわけでございます。なお唐津の問題につきまして、私どもとしましては、ただいまのところ、いわゆる地域別放送というものについては御指摘通り難聴であろう。しかしどこかの電波が聞えるという第一段階のことにつきましては、福岡を増力することによって救われるのじゃないだろうかというふうに考えておりますが、ただいま承われば、非常にお聞き取りにくい地域のようなお話でございますので、難聴といいましても、外国電波関係とか、あるいは国内の周波数の問題とか、雑音とかで難聴になる場合もございますから、われわれとしましても各地をよく調査いたしまして、計画にもし誤まりがあれば訂正していきたい、かように考えるわけでございます。
  26. 井手以誠

    井手委員 本職の協会が、調査の上でなくてはわからぬということでは、聞きかねるのであります。第一、第二、第三の御答弁がございましたが、私が申し上げておるのは、すでに心要を感じて中継所が十何年か前建てられたのです。それが行政整理都合か何かで廃止になった。それでは困るというので、地元から何回となく要望され、陳情されておるはずです。おそらくあなたの方にも見えたでございましょう。福岡設備を拡充するからいいというような語もあったけれども、それではお尋ねしますが、その放送佐賀ローカル放送が聞えましょうか。聞えれば私は何も申しません。――私の質問が悪いのか、なかなか答弁ができかねるようですが、こういう場合に郵政省としてはどういう態度で臨まれるのか、監督なさるのか、その方針をお伺いしたいと思います。
  27. 濱田成徳

    濱田政府委員 非常にむずかしい問題だと思いますが、電波監理局といたしましては、全国放送網計画につきましては、第一に電波割当の問題、これは非常に困難をきわめておりますが、それを考える。第二に、国民の要望する番組を提供しつつ最も経済的、合理的な局の置き方、そういう問題に基準を置いていって放送網を作らせるようにしたい、そういう考え方であります。ただいまの唐津の問題は、今資料を調べたのでありますが、昔の話ですが、当時福岡は五百ワット、唐津は五十ワット、二十四年度福岡は十キロワット、唐津は二ミリ・ボルトパーメーター、一メーターごとに二ミリ・ボルト、十分の電界強度になったと考えております。福岡の第二に対しては、これは弱くて、一メーター当り一ミリ・ボルト佐賀放送唐津では〇・二五ミリ・ボルトパーメーターというような電界強度でありますので、十分ではありませんでしょうが、先ほど放送協会の方から説明されましたように、なるべく早く放送法の精神を満たすように努力してもらいたい、こういう希望であります。
  28. 井手以誠

    井手委員 私はそういう科学的な数字は、ネコに小判でございますから、わかりません。ただ事実問題としては、あまり聞えないということです。佐賀県は南と北の中間に山脈が走っている。従って佐賀放送唐津にあまり聞えませんので、唐津中継所を設けて、それによって辛うじて放送を聞いておったのであります。ところがいつでございますか、はっきり日にちは覚えませんが、行政整理か何かの都合で、経費節減でございましょう。取りやめになった。以来あまり聞えない。ほかに聞えるようになった。これは事実であります。どんな数字を述べられても、事実は事実であります。また以前中継所があったことも事実であります。福岡に強力な何か設けられるそうでございますが、それは幾ら増されても、唐津地方にはローカル放送は聞えないはずであります。この事実に対して協会はどのようにお考えになっているか。地方の問題のようではございますけれども、ここではあまねく普及せしむる義務があると答弁されている。この原則に対して実際はこういう実例もある。こういう実例のままでは、私は放送協会決算は承認しかねるのであります。もっと納得できるような御説明が願いたい。この放送であるならば聞えるはずだという証拠、あるいは唐津はどうしても中継所が設けられないという理由、そういう点をお聞かせ願いたいと思います。
  29. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 井手委員質問に関連してお聞きいたしますが、福岡放送局が出力を十キロに増大したときに、佐賀放送局の出力は従来同様にそのままであって、別に増力はしておらないのですか。もし佐賀放送局の出力を増大しないで唐津中継局を廃止したということならば、結局福岡放送を聞けばよろしい、こういう建前で唐津中継局を廃止した、こういうことになると思います。今井手委員行政整理であると言っておりますが、当時私たちは委員でありますけれども、それは行政整理でもって中継所をやめたのではなくして、郵政省方針であると思います。唐津をやめる、やめないは別問題でありますが、いわゆる根本基準の問題からして、それらが聞える範囲になった場合においては、地域放送といいますか、府県別放送といいますか、そういうものにあまりこだわらないという考え方が当時あった。そこで、たとえば大阪の電力を増大した場合においては、その近所の中継局を廃止してしかるべきである、こういう考え方があったのですが、委員会としては、当時府県別放送というものは、やはり現在の状況では非常に重要視されておる、従って第一放送をやる。中央放送局放送が聞えるからといって中継放送局廃止すべきでない、こういう見解で一部分は当時廃止を中止しておるような結果になっております。であるから福岡放送局の出方を増大したときに、同時に佐賀放送局の出力を増して、佐賀ローカル放送唐津で聞える状態のもとにおいて唐津をやめたのならば、合理的だと思うのです。そうじゃなくて、福岡放送局が十キロになったから唐津放送局は要らない、こういうことでは少し理由が納得いかぬように思うのですが、その点当時の事情を御説明願いたい。
  30. 荘宏

    ○荘説明員 ただいま資料を持ち合せておりませんので、的確なことは申し上げ得ないのでありますが、福岡が十キロになりましたときに佐賀が増力をしたかどうかという点につきましては、増力の事実はおそらくなかったと思います。あそこは以前からずっと五百でやって参っていると思います。それでこの唐津廃止したのが昭和二十四年のことでございます。今の調べによりますと、当時戦争が終りまして、戦争中に、先ほど岡部参考人から申し上げましたように、各地方に小さい局をたくさん作っておりました。現在大電になっております東京なども、その当時は電力を落してやっておりましたので、この関東地方でも千葉県であるとか前橋、水戸とかいうところに、小さい五十ワットぐらいの局を設けておりました。それも関東地方におきましても大電力に戻すとともに、そういった局についてはやはり廃止をいたしたのでございます。その理由といたしましては、確かに地元からはいろいろ御要望もございましたけれども、しかし電波の合理的な使い方及びNHKの経営というものは、結局国民の一人々々の聴取料によってまかなわれているものであるということから、最も合理的にその金を使うべきであるというようなこともございまして、大電力でもって十分間に合う、廃止しても差しつかえない小局はやめるということで、この関東地方のこまごましたものもやめたわけでございます。たしかその時期を一にして、方針を一にして、二十四年当時に唐津につきましても同様なことが行われたもの、かように考えております。
  31. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 そのやめた事情は、そういう工合に同一であったかもしれませんが、これは、関東地帯の前橋等の中継局をやめたのとは少し違うようであります。関東の場合は東京の放送によってローカル放送が聞ける。従ってこの出力が増大すれば当然これはなくても済むのであります。今の井手委員質問は、福岡の増力を行われても、福岡からは佐賀県のローカル放送は出ておらない。佐賀県の佐賀放送局からローカル放送が出ている。従って同一県内でありますから、唐津の人たちは福岡ローカル放送を聞いても仕方がないのでありまして、佐賀ローカル放送を聞かなくちゃならぬ。ところが佐賀の出力は従来同様に変っておりませんから、唐津中継所をやめれば当然聞えなくなる。そういうことを考慮に入れて唐津廃止したのか。あるいは電波監理局としては、あえてローカル放送を聞かなくてもよろしいのだ、第一段階の第一放送というか、大電力の放送だけ聞えれば、それでかまわない、こういう解釈なのか。二十四年のときは府県別放送ということは重要視されておりませんでしたけれども昭和二十六年の廃止のときからこの点が非常に論議されて、現状として府県別放送は尊重すべきである、こういう解釈に委員会としてはなっておったように思います。この点についての事実を明らかにしてもらいたい。
  32. 荘宏

    ○荘説明員 確かに唐津地方につきましては、佐賀県の県庁の所在地であります佐賀局のローカル番組については、聞きづらくなったことは事業であると思います。それで現在郵政省として考えておりますのは、先ほどNHK参考人の方からお話がございましたように、まずNHKとしては全国あまねくながめてみて、何も放送が聞えないというところを地図の上で塗りつぶしていく、それらの土地を聞えるようにする、全然電波が行っていないところに行き渡るようにする、これが第一次の仕事であると考えております。それからそれができ上った後におきまして、各地方の県別のローカルというものが浮び上ってくるのではなかろうか、さように考えております。
  33. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 ちょっと私の記憶が間違っておるかもしれませんが、ローカル放送は第二放送でやっておりますか、第一放送でやっておりますか、ちょっとそれを……。
  34. 荘宏

    ○荘説明員 NHKからお答え願った方が適当かと思いますが、ローカルは現在時間的に多いのは第一放送でございます。第二でも若干やっております。
  35. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 そうしますと、今の荘君の説明は非常に不備があると思います。まずNHKとしては、予算の許す限り第一放送があまねく聞けるような状態にするということは法律が示すところ、なお第二放送を国家的に認められておれば、第一放送が完備した暁において、予算の許す限り今度は第二放送があまねく聞えるような状態に置くべきであります。しかも今お聞きしたように、第一放送ローカルの大部分を占めておるというのであるが、今の佐賀の場合は第一のローカルが聞えないのです。従って先ほど来のNHKのあまねく全国に聞えるような状態にするという説明も、これは佐賀の第一放送が聞えないのですから、合っておらない。であるから当時唐津廃止する場合に、佐賀の第一放送唐津において聞えるかどうかということを考えて、そこで十分にこれは聞える、すなわち出力を増加することによって聞えるとか、そういう措置が行われて、初めて唐津中継所をやめるべきであった。しかしそういう考え方でなくして、何の放送でもよろしい、福岡でも東京でもどこでも聞えればよろしい、これが全国あまねく普及する態度である、こういうことであれば話が別です。そうでなくして、もちろん第一放送全国共通番組を乗せるという建前が必要であるけれども、同時に第一放送の波に乗せる番組が大体どこでも聞えるような状態にするということが、全国あまねく普及させるゆえんである。いわゆるローカル放送というものは大部分を第一に乗せておるのでありますが、今の唐津の場合においては、第一放送が聞えない、こういうことであるから、当時そういう措置をする場合は、佐賀放送局の出力を増大して、これによってあえて唐津を撤去しても、大体において電界強度は心配ない、こういう前提があって、初めて唐津中継所を撤去すべきであったと思います。従ってこの善後措置について議論しておっても始まりませんが、要するに郵政当局並びにNHK当局は、この唐津地区における第一放送の善処について、将来どういうことをするか、たえば佐賀放送局の出力を増加せしめて、難聴地区である唐津地区を救済することができるか、もしくはたとい五百ワットを一キロにしても技術的にとうてい聞えないということになれば、従来同様に唐津中継局を設けるか、このいずれかの方法をとることが実際上の問題であろうと思う。その点についての御意見を承わりたい。
  36. 岡部重信

    岡部参考人 唐津につきましては私の方といたしましても、今後なお一そうよく調査いたしまして、この中継所廃止のために、聞えなくなったということでございますならば、難聴解決の最善の方法をとっていきたい、かように考えるわけでございます。場合によりましては、技術的な問題でこまかくて恐縮でございますが、経過的には福岡から佐賀ローカルを出すというような方法一つ方法だろうと思いますので、できるだけ要望に沿うような解決方法をとりたい、かように考えるわけでございます。
  37. 松井政吉

    松井委員 これは全般のローカル放送、それから第一、第二の波の問題ならば、われわれは別の角度からまた質問もあり、お答えもいただかなければならないのですが、問題は今の唐津地域のようなところが全国にあるのです。あるのだが、やはりそれでは井手委員に対するお答えにはならないと思う。こういうことだと思うのです。もし本日資料がなかったり、技術関係の担当者が来ておらなかったりして、具体的にその事情答弁できなければ、かりに福岡の波でローカル放送を聞かせようとしても、それでは福岡放送局佐賀地域に役立つローカル放送番組をやらなければならぬということになりますが、そういうことができるのかできないのか。漁業放送と違うのですよ。たとえば北海道の一定地域において新潟放送を利用して、いわゆる海の上の漁業に関する必要なる放送を聞くということとは違うのですよ。ローカル放送というのはやはり一番聞きたい点は、その地域において産業上あるいはその地域の特殊事情についてのいろいろの指導の問題や、いろいろの地域に関する問題を聞きたいのです。その番組が、あれは福岡放送を利用しようといってもそれはだめなんです。従って唐津地域中継所を廃して佐賀でやろうとすれば、佐賀の出力をふやさなければならぬ。その場合に割り当てられた電波の中で、電波法に基いて出力の波の量があるかないかということが当然問題になってくる、さらにまた佐賀の波を何ぼ増力しても、唐津地域ローカル放送で救えないとするならば、当然中継所を設けなければならない、あるいは中継所を設けなくても、近代的技術の関係であまり波を幅広くやらないで、一定地域に長く一定の幅で流していって満足する放送技術もできていると思うのです。技術的にはその通り計画も実施していると思うのです。そういうことをやはり答弁してもらわなければいかぬのだから、もしきょう技術担当者並びにその地域におけるそういう技術上のことが詳しくわからなければ、調査をすればNHKでわからぬはずがない、電波監理局でわからぬはずがない。だから電波監理局とさらにNHKが両方で技術担当者の意見も添えて、廃止した理由はこういうことなのだ、解消するのにはたとえば佐賀の出力を増せばいいのか、中継所を設ければいいのか、その中継所を設けなくても技術的な設備等をどうすれば難聴地域が解消できるのか、その計画について本年度やるのか来年度やるのか、いつの計画に乗せようと考えておるのか、そういう具体的なこまかい文書による答弁でも何でも、井手委員のところに出すということでなければ、この質問は行ったり来たりでもって終らない。またそれだけの誠意がNHK当局にも電波監理局にもあってしかるべきだと思います。従って具体的な資料によって後日井手委員に、一定地域の問題ですからお答えをするという答えがあれば、井手委員もその答えを見て、また必要ならばじかに質問に出かけていくこともできるのでありますから、やはりそういう形をとるかしなければ、技術上のことはわからないで押し問答しておるのですから、ここではっきりしない、そういうことの扱いをすべきが当然であると思うが、この点について電波監理局並びにNHK当局のはっきりした御回答を願っておくことが必要だと思うのであります。
  38. 岡部重信

    岡部参考人 ただいまの松井さんのお話につきましては、できるだけそのようにいたしたいと思います。もしただいま松井さんのおっしゃるように、技術上の問題も多分にありますから、できるだけ早い機会にそれらの技術的措置その他について、技術的にまた御説明することでお許しを願えれば、その機会を持たせていただけば非常にけっこうだと思います。
  39. 井手以誠

    井手委員 御説明だけでは私は承知いたしません。松井委員からはなはだ御親切なお言葉をいただいて私も感謝いたしております。ただ地方の問題でありますから、あまりお聞き申すのもどうかと思いますけれども、しかし基本は郵政当局なり協会当局の根本的な態度だと思うのです。今まで松井委員からもいろいろ御注意されたように、根本問題だと思います。廃止するときの措置が悪かったことは、今までの質疑応答で明確になっておるのです。当時廃止する時分に佐賀の出力を増しておけば、かような結果にはなっていなかったはずであります。かく考えて参りますと、落度は地勢にあらず、天候にあらず、協会にある。そこで私はお尋ねいたしますが、博多からローカル放送ができないことは申すまでもないのでありますから、佐賀の出力をどのくらいお増しになるのか、あるいは唐津中継所をお設けになるのか、二つに一つ、これをいつごろやっていただけるか、これを明らかにしていただけば私は喜んで承認をいたします。
  40. 岡部重信

    岡部参考人 私も実は佐賀の出力をどれだけ増せば唐津の方に行くか、あるいはそうしてもどうしてもだめなので唐津の方に中継所を作らなければならぬかということにつきまして、今具体的に資料もございませんので、できるだけ早く調査いたしまして、それらの結論をお出しして誠意ある措置をとりたい、かように考えるわけであります。
  41. 井手以誠

    井手委員 いや、あなたの方にはちゃんと資料は集まっておるはずですよ。廃止する当時からわかっておったはずです。このくらいはいいだろうというくらいに押えられておった。地方のことだから、朝鮮に近いところだからいいだろうということで押えられておる。よく中央では朝鮮、台湾、九州とお考えになっておった誤りもなきにしもあらずです。そういうことは断じて許されません。そこで私は技術の方は知りませんけれども、もし出力の方が困難であるならば、中継所を作ってもらえば解決します。簡単な話です。きわめて簡単です。そこでもしきょう答弁ができなければ、私どもはこの議案は明日までお待ちいたしますから、一つ明日お答えを願って、その上で私の態度もきめたいと思います。
  42. 原茂

    ○原(茂)委員 要するに佐賀放送局の増力をやるか、唐津に新たな中継所を設けるか、あるいはこれに準ずる方法唐津難聴地域の解消を急速に行うか、こういう答弁があればいいのだと思います。そういう答弁と同じことを今まで何回も繰り返して御答弁があったと思います。表現の仕方だと思いますが、そういう表現で御答弁ができないかどうか。こう言うのであります。
  43. 岡部重信

    岡部参考人 繰り返すようでありますが、NHKといたしましては先ほども説明員からお話がありましたように、いわゆる電波の穴というか、どこどこは聞えないというところが若干あるのであります。それを第一に救いたいというのでただいまやっております。それが済んだところで、県別の難聴というのをやりたいというので、県別難聴ということになりますと、まだ各地に御要望に沿えないところがあるわけでありまして、第二段階の問題として考えていきたい、かように現在私ども考えておる次第であります。
  44. 松前重義

    松前委員長 ちょっと速記をとめて下さい。     〔速記中止〕
  45. 松前重義

    松前委員長 速記を始めて。井手君。
  46. 井手以誠

    井手委員 先ほどから再三要望して当局の確たる言明を願っておりました佐賀唐津地区の難聴地域について、当局はどのように解消しようという心組みであるのか。順次あまねく聞えるようにするということではなくして、一たんあったものがやめになっておる。現にあまり聞えないというこの事実は、何と申しましても隠すことのできない事実であります。地元の熱烈なる要望もございますので、すみやかに中継所を設けるか、あるいは佐賀の出力を増すか、私は技術者でございませんからいずれということは申し上げませんけれども、すみやかに何らかの方法難聴地区を解消される御用意があるかどうか、この点をまず郵政当局にお尋ねします。
  47. 濱田成徳

    濱田政府委員 お話を伺いますと、ひとり唐津地方にとどまらず、県別に放送難聴があることは、全国的に他にもたくさんあると思います。これにつきましては十分検討を加え、熱心な御要望に対してなるべく早く応じ得るように、あらゆる努力を尽したいと思います。
  48. 井手以誠

    井手委員 協会当局はいかがでございましょうか。今郵政当局からは、すみやかに解決するという御言明がございました。その裏づけに、一つもっといい言質をいただきたいと思います。
  49. 岡部重信

    岡部参考人 ただいま郵政当局から御答弁がございましたが、私どもの方でも同様に考えております。できるだけすみやかに善処したいと思っております。
  50. 松前重義

    松前委員長 ほかに御質疑はありませんか。  御質疑がなければ、本件についての質疑はこれにて終了いたします。  これより本件について討論に入りたいと存じますが、討論の通告がありませんので、直ちに採決に入ります。  日本放送協会昭和二十八年度財産目録貸借対照表及び損益計算書について、異議なきものと決するに賛成の諸君の御起立を願います。     〔総員起立〕
  51. 松前重義

    松前委員長 起立総員。よって本件は異議なきものと決しました。  なお本件に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じます。     ―――――――――――――
  52. 松前重義

    松前委員長 次に電気通信に関する件及び放送に関する件の両件について調査を進めます。この際御質疑があればこれを許します。竹内委員
  53. 竹内俊吉

    ○竹内委員 放送協会の方がおられますので、一点だけ伺っておきたいと思います。それはこの「財団法人ラジオサービスセンター」寄付行為」という資料によりますと、その第三条にその目的としてこういうことが書かれております。これの解釈について御説明願いたいのであります。「この法人は、放送が国民文化の向上に寄与するよう、その全国普及のすみやかな、達成と、公共番組の浸透のために貢献することをもって目的とする。」とございます。その他第四条にも公共番組という文字が二回出て参ります。この公共番組という意味をお尋ねするのでありますが、NHK放送をきわめて常識的に公共放送とこう申しております。NHK自体も申しておりますから、この公共放送の意味をお尋ねするわけであります。その前にここに公共番組の浸透のために貢献する公共番組ということを特に抜き出して書いておりますが、そういたしますとNHK放送の中に、公共番組ならざる番組もあるという意味で使い分けたのであるかどうか、その点をお尋ねいたします。
  54. 岡部重信

    岡部参考人 ただいま御指摘の公共番組という用語につきましては、私どもに関する範囲ではNHK番組という意味と存じます。
  55. 竹内俊吉

    ○竹内委員 そういたしますとNHK番組ならば、何でも公共番組だという意味でございますか。
  56. 岡部重信

    岡部参考人 こまかく検討していきますと、あるいは御指摘のようにいろいろのことがあるかと思いますが、これはたしか二十六年二月に始まりましたので、そういう点において若干用語の適正を欠くようなこともその中にあるかもしれません。
  57. 竹内俊吉

    ○竹内委員 これは用語の適正を欠いておるということでありますが、ここには公共番組の浸透ということがございますが、その次に「公共番組の普及に資する」云々ということがありますし、その次には「公共番組に関するラジオテ・キスト等の刊行」ということがあります。たとえば二の「公共番組に関するラジオテキスト等の刊行」という意味における公共番組は、だれが解釈しても教養番組という意味に解釈されるのです。このラジオサービスセンターの定款に書かれておる公共番組は、常識的に解釈すると教養番組の意味をさしているように思いますが、そうではないのですか。その点をもう一ぺんお尋ねしておきます。
  58. 岡部重信

    岡部参考人 NHK番組という意味、かように考えておるわけです。
  59. 竹内俊吉

    ○竹内委員 それでは公共番組なり公共放送なりの定義を伺わなければならなくなるのでありますが、これを郵政当局はどういうふうにお考えになっておるか。公共放送とはしからばどういう定義のものをさすのであるか。
  60. 荘宏

    ○荘説明員 郵政省といたしましては、公共番組という言葉を公の言葉として使っておる例もございませんので、どういう内容であるということを規定したものもございません。
  61. 竹内俊吉

    ○竹内委員 私のお尋ねしているのは、公共番組というものを私の解釈では教養番組のように見ておるのだが、ただいま岡部さんの説明では、NHK放送全部が公共番組なんだ、落語であろうと何であろうと、これは公共番組だ、こうおっしゃったから、そこで郵政当局はこういう考え方を適当と考えておりますかどうかということを、私はお尋ねしたのです。
  62. 岡部重信

    岡部参考人 ちょっ私の言葉が悪かったかもしれませんが、私の申し上げますのは、これは公共番組と書いてありますが、NHK番組というふうに書いておいた方が妥当なんではなかろうかという意味で申し上げたのであります。その点ちょっと補足させていただきます。
  63. 竹内俊吉

    ○竹内委員 その点はそういたしますと、NHK番組と書くべきものを公共番組と書いておる――少くとも公共番組と申しますと、一つの大きな公共的な意味を持つものであります。それは悪い言葉で申しますと、NHKの非常に独裁的な考え方の現われであろうと思います。  そこであらためて岡部さんにお聞きするが、現在のNHK放送番組を、あなたの解釈では、きわめて常識的に解釈される公共番組と非公共番組の区別があるとお思いですか、ないとお思いですか。
  64. 岡部重信

    岡部参考人 私今、財団法人の寄付行為としてここに使う用語としては、公共番組の浸透、公共番組という用語でなくNHK番組という用語の方が、このサービスセンターの寄付行為として妥当なんじゃなかろうかということを申し上げておるわけであります。
  65. 竹内俊吉

    ○竹内委員 それでは同じことだと私は思うのです。つまりこれは財団法人の許可を受けたものだと思いますが、これで一応のオフィシャルな意味を持つものであります。単なる書類ではないと思います。この場合における公共番組とは、NHK番組とこう読みかえてもよろしいのだ、こういう御答弁があったから、そこでそれではNHK番組は全部公共番組と称すべきものか、そうじゃないかというお答えがあったから、それではどれが公共番組でどれが公共番組でないかという区別がつきますか。つけばお示しを願いたいということを尋ねておるのです。ですからあまりこれにこだわりなく、実際問題としてそのことをお答え願いたい。
  66. 松前重義

    松前委員長 竹内さん、どうです、この問題は小委員会で……。
  67. 岡部重信

    岡部参考人 また別の機会もあるかと思いますが、今までNHKを公共放送と一言にいいますが、その公共放送番組であるから公共番組というふうに使ったのじゃないか、私どもはさように考えておるわけであります。いずれまた適当の機会に御趣旨に沿うようなお話ができると思います。
  68. 竹内俊吉

    ○竹内委員 私がこの問題を追及すると申しますか、お尋ねしておるのは、NHKの性格あるいは放送内容がどうあるべきかという点にも非常に影響がありますので、お尋ねをしておるのでありますが、時間がないようでありますから、いずれ小委員会で継続して質問をすることにして、きょうは打ち切ります。
  69. 松前重義

    松前委員長 ほかに御質問はありませんか。――それでは私から簡単にお尋ねします。ただいまわが国のテレビの工業は相当に躍進いたしておるようであります。最近においては、東芝でも日本電気でも、国産品でRCAに必ずしも劣ってない相当なものができる可能性と、その実績を上げておるようであります。ただいまテレビを計画されておる各省においては、あるいはまだ外国、RCA等のものに依存いたしまして、むしろこの外国品を輸入する計画さえも立てておられるような向きがあるようでありますが、われわれとしてはできるだけ国産の奨励、テレビの技術の向上のために、むしろここまで進歩してきたところのテレビ工業なるものを育成しなければならない、こういう意味から、国産をここに使用するのが当然だと私は実は思うのでありますが、郵政当局の御見解を承わりたいと思うのです。
  70. 濱田成徳

    濱田政府委員 テレビジョンの開設されます当初におきましては、送信機あるいは受像機等につきまして、まだ日本の電波産業は十分な技術開発の段階になかったかもしれません。今日におきましては大体において、少くとも国内需要は満たし得る段階になっておるものと私は考えております。ただいま委員長がおっしゃいましたように、もし新たにテレビジョンの放送を行うという場合におきましては、ぜひとも国産品を使われるように私ども要望したいと考えております。
  71. 松前重義

    松前委員長 次にお尋ねしたいのは、特許の問題であります。わけてもテレビの工業は、非常にたくさんの外国特許を使っておるのであります。しかもその特許の中で非常に普遍的な特許があるのでありまして、その特許なるものがアメリカの占領下にあった時代における――昭和二十四年でありましたか、その時代において、アメリカの特許に関する限り無条件に十年間の延長を認めておるようであります。従ってこれらの特許権というものは、外国では切れておるけれども、日本ではまだ生きておる、こういうことのために八十億になんなんとする日本の外貨が、国外に支払われておるという現状でありますが、これらは通産省の特許局関係の事柄でありまして、必ずしも郵政省の所掌事項ではないと思う。けれども政府全体といたしましてこれらに対して対処しなければならないと思う。わけてもテレビの工業のごときは、非常にたくさんの外国特許を使うのでありますから、これに対しまして国務大臣としての郵政大臣のお考えと、電波監理局長のお考えとを伺いたいと思うのです。
  72. 松田竹千代

    ○松田国務大臣 日本といたしましては、今日すこぶる優秀な機械産業を持っておるものでありまして、国産によって間に合うものは、すべて国産のものを優先して用いるということは、常に考えておる事柄でありまして、いたずらに外国の特許を契約して、高い特許料を払うということは、全く策の得たものでないと考えます。
  73. 松前重義

    松前委員長 大臣の御答弁は非常に多といたしますが、ちょっと趣旨が違うのであります。およそ占領下においてなされたるもの中で、特許権を十年間延長するということが、わが国においてなされておる。これはすなわちわが国の敗戦のアメリカに対する賠償的なものであったかもしれない。そのために八十億の外貨がアメリカに払われつつあるという現状なんです。十年間の特許権の延長というものは、すでにアメリカの海外における特許は全部切れておるが、日本だけには生きておる。それが非常な日本のハンディキャップになっておるのであります。この問題を政治的に政府はどのように解決しようとなさるのであるか。独立国というならば、すでに独立の態勢において、昭和二十四年ですかに出されたる法律があると私は思うのでありますが、その法律を廃止するかどうか、これに対しまして、ことにテレビあるいは通信工業にたくさんの特許権が使われておりますので、郵政大臣の国務大臣としての御見解を承わりたい、こういうことであります。
  74. 松田竹千代

    ○松田国務大臣 御趣意はきわめてごもっともなことであると私は考えます。特に諸外国に対するアメリカの特許権はその延長を見ないのに、日本に対してのみ十年間の延長を現在見ておるということは、きわめて不合理なことであると考えるのでありまして、これを是正するためには、私も特に留意して、その方面について閣内でも機会を見て、今日そういうことを継続することの不合理を是正していくことに努めたいと思います。
  75. 濱田成徳

    濱田政府委員 委員長指摘されましたテレビジョンに関する特許という問題は、私おそらく電波によって絵を送って、陰極線管にこれを再現するという、非常に広範なアイデアであろうと思いますが、これに対しますところの考えは、日本でも前からあったのであります。あるいは特許に取らなかったかもしれません。あるいはテレビジョンでなくて、他の目的で取っているかもしれないのであります。かような特許が占領中のゆえをもって、十年間も延長されたことは、きわめて遺憾なことであると思います。今日電波をあまねく国民に普及させるために、最も障害になっておるものは、日本の電波産業の不振であります。その一つ理由に、今の外国の特許、たとえばラジオ・コーポレーション・アメリカのパテントが大きな理由になっておることは、おおうべからざる事実であります。しかし日本におきまして、現在テレビジョン及びラジオにかかっておりますところのかような特許につきましては、これにかわるべきものはないかもしれませんが、その有力な競争し得るような考えもあるのでありまして、何とかして外国の会社RCAまたはイギリスのEMI等の会社と交渉しまして、文化のあまねく普及という大乗的見地から、諸会社の協力を求めて、なるべくロイアリティを安くしてもらう。できたならば他の有利な条件をもってやめてもらうというようなことに、全力を尽したいと思います。以上が郵政省電波監理局考えであります。
  76. 松前重義

    松前委員長 次に前委員会におきまして、問題となりました日本文化放送のせんだって来の争議、あるいはまた経営等の問題についての御報告と、それから高知放送における争議並びに経営等の問題につきまして、委員会に御報告を願いたいと思います。
  77. 濱田成徳

    濱田政府委員 前会、分化放送協会の経営状態及び争議の経過等について、後刻申し上げるということを申し上げました。ここに会長の中島久万吉氏から報告書が参っておりますので、それを読み上げます。    文化放送の財政状況報告 当協会の財政は寄附金壱億四千四百八拾四万七千五百参拾壱円を基礎として居りますが、開局以来の運転資金の入手状況は必ずしも意の如くならず、昨弐拾九年末まで弐ヶ年有余、右の困難を乗り越えて経営して来たのでありますが、昨年末現在で壱億弐千万円の赤字を計上するに到りました。そこで之が樹て直しを計る事となり売上げの増進と、経費の節約とに関係者一同において懸命の努力を続けました結果、本年壱月以来は毎月若干宛の黒字を計上し得る結果と相成りました。此の間若し正常金融によって運営し得たと仮定致しますと、収入の壱割を上廻る利益を見得た事と相成ります。 当協会に於ては本年七月上旬、私の会長就任後、とりあえず金融の正常化に努力をいたし、着々その効を奏しつつあると共に売上の一層の増進方を推進しつつありますので、財政の基礎は本年内に一応の安定を見るものと期待致して居る次第であります。  こういう報告がありました。これは一般の経営状況に対する、特に財政の報告であります。  争議につきましては、ここに長い報告書が出ておりますが、これはこの前お渡しいたしました高知ラジオのストライキの報告と一緒にプリントにいたしまして、お回ししたいと思いますが、いかがでございましょうか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  78. 濱田成徳

    濱田政府委員 ではそういうふうにいたします。
  79. 井手以誠

    井手委員 資料をお回しになることはけっこうでございますが、今のは向うから来たあなた方あての報告書、またお回しになるのは、おそらく向うからの報告書をお回しになるのだろうと思います。私は前のことは知りませんけれども委員会要望したのは、監督者であるあなた方の調査結果を報告してもらいたいということでなかったかと私は思っておるのであります。あなたの方の報告を願いたい。
  80. 濱田成徳

    濱田政府委員 今仰せのごとく、これは先方からの報告でありますけれども電波監理局調査も加えまして、次会までに提出いたします。
  81. 森本靖

    森本委員 その分化放送の問題ですが、文化放送内容については、すでに妥結した条件についてはわれわれも承知しております。なおその問題を資料として詳細に御提出願えば、私たちも検討したいと思いますが、聞くところによると、一・五ヵ月分で解決がついた、さらに身分の問題についても一応協定が結ばれて解決がついたということを、あのときにそれぞれ報告があったわけであります。しかるにその後聞くところによりますと、八月分の俸給が支払われない、さらに昇給が全面的にできない、そういう回答が、あの争議が解決ついた直後に、経営者の方から労働組合の方にあって、またその八月分の給料の支払いの問題と、昇給の問題について、あの争議解決の直後においてそういう問題が再燃しておる、こういうことを仄聞しておるのでありますが、そういう内容についても、さらにその資料を御提出の際に、現在の状況についても詳細に御調査の上、御報告を願いたいと思います。
  82. 濱田成徳

    濱田政府委員 承知いたしました。
  83. 松前重義

    松前委員長 それでは電波監理局における最も客観的な調査の結果を、書類をもって御報告願いたいと思います。  電電公社にお伺いいたしますが、大都市における通信設備は、相当な完備を見つつありまして、御努力の結果、いわゆる市価というものさえも、今はなくなるくらいに相当に普及をいたして参り、局舎も非常な勢いをもって改善されて参り、サービスの向上を見つつあると思うのであります。ところが、いなかの局舎やあるいは通信設備、電話設備等の改善は、まだまだでございまして、もうそろそろ大都市の整備と相待ちまして、地方に対しても相当の力を入れて差しつかえない時期に立ち至っており、またそれが妥当ではないか、こういうふうな考え方を私ども外から視察をいたしましたたびに考えるのでございますが、電電公社の大都市中心の政策あるいはまたその今までの政策を一応通り越して、今度は地方に対して重点を注ぐ、こういうふうなどちらを中心にするかということは別問題として、地方に今後その力を注ぐ、こういう方向に向って拡充計画をお進めになるのであるかどうか、その辺の関係を少し詳しく承わりたいと思うのであります。
  84. 梶井剛

    ○梶井説明員 わが国の電信電話事業の拡充につきましては、終戦後はもっぱらその復旧に努めて参りました。その後漸次復旧が進むに従って拡充に入ったのでありますが、当時は、各方面とも非常な積滞数がありまして、これを一挙に解決することは困難であったのであります。ところが、当時進駐軍の意向としましては、設備のあいておるところはすべて開通をしたらいいじゃないか、現在売り得るサービスを売らないということは意味をなさないということをいわれたために、いわゆる青空開通というものをやったのであります。都会、いなかを論ぜず、設備が多少でも余裕があれば、そこはみな開通してしまう、かような方法をとりますると、いわゆる無計画拡充でありまして、翌年において非常に大きな集中した拡充をしなければならぬ、あるいは数年間は一名も加入者が開通できないというような窮状に入るのであります。なお公社になりました際に、これらの青空開通ということにつきまして、いろいろと検討しました結果、急遽われわれとしましては、最も電話の要望の強いところ、経済活動の最も激しい、そういうところが電話の需要の最も多いところでありますので、そういう意味からしまして、さしむき最も経済活動の激しい大都市、ことに大都市におきましても、いわゆるビジネス・センター解決に力を注いで参ったのであります。でありますから、当時青空開通を計画開通に直すために、一応われわれとしましては、大都市重点主義というものを主張いたしまして、今日まで主として大都市の開通に力を注いで参りました。今委員長お話通りに大都市はその結果よほどサービスが改善されまして、電話のやみ値のごときもかなり安くなりました。ただ現在残っておりますのは、大都市のうちでもいわゆる郊外、住宅地域の方が依然として電話の行き詰まりをいたしております。そういう関係からいたしまして、さらにこのたびは中都市の、いわゆる大都市に次いで経済活動の激しいところの解決をしなければならぬ。今日までも中都市につきましてはそれぞれあの程度はやっております。しかしそのスピードが大都市と違っておりましたために、中都市における行き詰まりも相当はなはだしいのでありまするから、今年度からは、主として中都市に重点を注いでもらいたいということを申しておるのであります。ところが、先般問題にもなりました町村合併によって市になりましたところが、数多くふえて参っております。これらの市は多くは過去において町村というような、いわゆる小都市であったのでありますが、形の上では中都市の形になりました。しかし市街の形といたしましては、やはり村落の集団というような状態になっております。これを中都市の形において通信施設を改善しなければならないということは、われわれも重々知っておるのでありまするが、これを解決するためには、相当の経費を必要とするばかりでなく、これらの小都市における電話の積滞はありまするけれども、実際の経済上の必要というものが幾ばくになるかということにつきましても、確たる実数を把握いたしまして、それに対応するところの施設をしなければならぬという考えのもとに、目下調査を進めております。しかしこれは同時に経費が捻出されなければならないのでありまして、従って本年度におきまして、われわれとしましては、町村合併に伴う電話の拡充という意味で社債五億円を増額されたのでありまするが、五億円くらいではとうてい合併された町村の方々の満足されるようなわけにはいきません。今後とも、この点につきましては、最善の努力をいたしたいという考えでおります。
  85. 松前重義

    松前委員長 いろいろお伺いしましたけれども、問題は、いわゆる経済的な収入の点から見て相当に有利である大都市の拡充、それから中都市方面に対して手を伸ばせば必ずしもこれは有利でない、こういう点から今後においてどっちを重点におとりになるつもりであるか、この点を伺いたいと思います。
  86. 梶井剛

    ○梶井説明員 さきにも申しました通りに、大都市は、大体はビジネス・センターの方は解決がつきつつあります。従って大都市といえども今後拡充されまするところは、いわゆる住宅地域でありますが、経済的活動という意味からいいますと、第二次的な関係を持つとわれわれは思うのであります。中都市といえども、やはりまた経済的活動は、相当国民に対しては貢献しておられるのでありまするから、われわれは現在の大都市の住宅地域よりも、中都市の商工業の相当盛んな都市に対して今後重点を置いていきたい、こういう意味で申し上げておるわけであります。
  87. 松前重義

    松前委員長 その中都市というのは、町村合併によってできた市をいうのでありますか、それとも従来の市程度のものをいうのでありましょうか。
  88. 梶井剛

    ○梶井説明員 私が申しましたのは、中都市というのは従来の市であります。現在町村合併によって市になりましたのは、人口三万以上ということでありまするから、実際には小都市と申さなければならないのじゃないだろうかというように感じております。
  89. 松前重義

    松前委員長 そうすると、小都市にはまだ力は及ばないという給論でございますか。
  90. 梶井剛

    ○梶井説明員 小都市に対しましては、これは町村合併によって多くそういう小都市が生まれておるのでありますから、別途の方法としましてわれわれは大蔵省の方に予算を要求いたしまして、町村合併に伴うところの市の通信機関の整備というものを別個に解決をしたい、こういう考えでおります。
  91. 井手以誠

    井手委員 梶井総裁が見えましたので、ちょっと簡単にお尋ねしておきます。これはあなたの方にまだたくさんおられると思う臨時作業員のことでございます。非常勤職員と申しますか、あなたの方の経営もことしはというか、あなた方の御手腕によって非常に好転したように承わっておりますが、まだそういう下積みで、四年も六年も十年も勤めて、なおほかの者と同じような仕事をしながら、六千円ないし八千円の給与を受けておる者はかなり多いようであります。この実態が現在どうなっているか、それをどういうようにして解決をいたされようという計画でございますのか。私の方にも方々からいろいろな訴えが参っておりまして、切実な訴えがございます。高等学校を卒業して四十才にもなって、なお七千円何がしだというのがかなりおるようであります。私が一番聞いておりますのは工作関係でございますが、三分の一も臨時作業員がおるということを聞いております。こういう待遇について、総裁でなくともけっこうですけれども、公社の方ではどのようにお考えになっておるか。これはきょうは無理ですか。
  92. 梶井剛

    ○梶井説明員 いや、お答えいたします。私は今日ここで数字的に正確な数を把握しておりませんが、しかしただいま仰せの通り、ずいぶん臨時の人がおります。大体私の方は定員としましては十六万三千人ぐらい、それに対しまして実在員は約十七万、でありまするから七千人の差があるわけであります。しかしその七千人の人が全部臨時の人という――臨時といってつまり試用員ではありません。いわゆるパート・タイムと申しまして、一日のうちの三時間とか四時間とか、電話の交換手として働いてもらう人があるわけであります。これは最繁時におきましては、交換に非常に大ぜいの人をつけなければなりません。しかし最繁時を過ぎてしまうと、そういう人は少くていい。そういう人に、かつて交換の経験を持っている方をパート・タイムとして、日中最繁時だけ出てもらうという方法をとっておりまして、そういう人が相当の人数おります。そのほかに試用員と称しまして、すぐ本採用しないである期間試験的に使っておって、そうして漸次本採用に移すという人がおるわけであります。この二つを合計いたしまして約七千人と申し上げておるわけであります。本来ならばわれわれは試用員を採用しますときには、何年か後にはこれは本採用するという目途をはっきり持ってやるべきだと思います。ところが一方におきまして、機械化というものを漸次やりますると、自然機械化のために人手が省けてしまう。そういう人手が省けた人を、さらに他の職場に転換しなければならない。だから、機械化を進めるに従ってある意味からいうと、人数は減るのではないだろうか。しかし他の一面におきましては、業務をどんどん拡充しておりまして、拡充に伴って人の要ることもこれは必然のことであります。その両方を合せて、そうして幾ばくの増員を年々すべきかということを正確に把握しなければ、実際は試用員を採用する見当がつかないわけであります。それが過去におきまして、その点が十分に把握されておらなかったという感があるのでありまして、これは五ヵ年計画を立てたと同時に、それに伴う人間の計画というものを立てなくちゃいけない。ところが施設だけの計画は立てまして、人員の計画というものを正確に立てないと、今申し上げましたような結果になります。私どもはその後、そのことを感じまして、至急に人員の増減を年々どういうふうにやっていくか、またそれは職種別によって養成しなくちゃなりませんから、それをどういうふうに採用し、どういうふうに養成すべきかということの計画を立てることを要求しております。目下その計画を進めておりますが、現在におきまして私どもは、すでに採用されておる試用員の人は、ぜひできるだけ早くこれを本採用にしなくちゃならないということを考えております。でありますから、今後はいたずらに試用員をむやみに採用するということをやめて、現在いる人の解決に専念していって、できるだけすみやかに試用員を本採用にしたいというふうに考えておるわけであります。数字的には職員局長がおりませんので、正確な数字を申し上げられません。
  93. 井手以誠

    井手委員 私が聞いた数字とは違うようでありますが、あえて数字の問題ではないのであります。またパート・タイムとか、あるいは本採用以前の臨時雇、そういった問題でもないのであります。もちろん必要のある場合には臨時を置くこともありましょう。しかし私が申し上げておりますのは、長く技術方面に携わっておる者が、五年も七年も八年もかなり技術を修得しておりながら、同じ仕事に従事しておりながら、毎日勤務してもなお六千円ないし八千円しかもらっていない技術関係の職場があるということでございます。各地にある工作工場方面では、三分の一くらいは臨時作業員であると聞いております。その点について、あなたの方は役所ほど窮屈でもないでございましょう。せっかく御手腕によって、経営内容もうまくいっておるようでもございますし、この機会に一つ解決を願えぬものだろうかと、御要望かたがた重ねてお尋ねいたす次第でございます。
  94. 梶井剛

    ○梶井説明員 工作工場の問題につきましては、これは全く別の原因がございます。これは終戦後、機械類が非常にいたんでおりまして、従ってこれを修理しないことには満足に働かないというので、当時の進駐軍としては工作工場を作って至急に修繕しろということで、工作工場が各所に設けられたのであります。ところがその後修理も一通り済み、その後日本の製造会社の生産するものも、戦前よりもはるかに丈夫でかつ長持ちもするようなものを作るように今日はなって参りました。従って工作工場の必要性というものが、だんだん年々薄らいで参っておるのでありますから、工作工場の人というものは、これを減らさなくちゃならぬとわれわれは考えておるのであります。ところが従来資材方面でやっております工作工場は、いわゆる工作工場の独立会計というものをやっておりまして、工作工場の収入によって、工作工場のすべての経費をまかなうというふうにしつけておるわけであります。しかも修繕費というものは、新品を買う場合の五割までの支出しかしない。それ以上の修繕を必要とするものならば、これは修繕した方が損である。であるからして、それ以上の修繕費は出さないというふうにやっているものですから、勢い修繕の品物も少くなって参りまして、そして今のような金額の制限もありますから、大ぜいの人をそこにかかえておればかかえておるほど、みなの頭割りの収入というものはふえない。ですから、この人たちはみな相当の熟練した技量を持っておるのでありますから、これを他の職場に配置転換すべきである、われわれはしばしばそのことを申しておるのでありますが、どういうものですか、その間に非常な惰性がありまして、工作工場がつぶれるのではないか、なくなるのではないかという懸念を持って、なかなか人を出さないのでありまして、それがかえって自縄自縛になっておるのでありますが、私どもは工作工場を、ある程度今日の現状に照らして当然縮小すべきである。従ってそれを正常の状態に特っていって、その人たちは他の職場に幾らでも使い道があるのであるから、新しい人を入れないでそういう人たちを使ったならば、ずっとよくなるであろうという考えを持っております。このことは再三資材局長にも申しておるのでありますが、早晩実行に移そうと考えております。
  95. 齋藤憲三

    ○齋藤委員 これはお願いを申しておきたいのですが、ちょうど梶井総裁もお見えになっておりますし、郵政当局もお見えになっておられるのでありますが、ラジオ放送の進出ということがだいぶ世間では問題になっておるのであります。それに加えまして最近はマイクロウエーブの伸張に比例してテレビジョンが非常に発達をいたして参りまして、今後どんどんテレビジョンというものは普及されていく。そうなりますと、結局テレビジョン放送の進出というものが社会全般に及ぼす影響の度合いは強くなって参ると思うのであります。ラジオ放送の進出そのものにも幾多の疑問をわれわれは持たざるを得ないような場合もあるのでございますが、さらにこれがテレビジョンの方を増加いたしまして、国内的に広く普及されるとなりますと、その実際に及ぼす影響というものはきわめて強くなり、国家といたしましても重大な問題として関心を払わなければならぬのではないかと思うのであります。同時にもう一つは、マイクロウエーブが伸びて参りますと、そのマイクロウエーブの通っておりますところからどれだけの範囲において、どれだけの性能を持つ受像機が使用せられるか、いわゆるテレビジョンのサービス・エリアというものの調査もしなければならない、あるいは増幅作用を持つ設備をもってそのサービス・エリアを広めるとか、また一種のステーションのごときものによって鮮明度を増すとか、いろいろの方法考えられなければならぬと私は思うのであります。こういうことに対しまして放送法の改正ということも必要であろうと思うのです。たとえて申しますれば、放送法に今のテレビジョンの放送というものがどういう形で入っているものかとか、いろいろな点から考えますと――この際会期も切迫いたしておりをすが、会期の終了後、当局におかれましては、これら総合的な観点からテレビジョンの将来のあり方というものに対してきわめて慎重な考慮を払って、この問題に万遺憾なきを期していただきたい。これを委員長を通じてお願いをしておきたいと思うのです。  それからもう一つは本日参考人をお願いいたしまして、ゲルマニウムの問題に関する意見を聴取したいと考えたのでありますが、あいにくきょうは委員会の部屋が一ぱいで、参考人は来られたのでありますが、参考人都合上、部屋のあくまで待てないということで帰られたのであります。実はこの間から私はゲルマニウムの採取状況を現地において調査をいたしたのでございますが、なかなかわれわれが考えているようなゲルマニウムの採取状況に行っておらぬと思います。これは政府ゲルマニウムの生産増強及びその応用については重大なる関心を払われて、今日までこの委員会を通じて幾多の努力を払われたのでございますが、実際の状態を見てみますと、われわれの考えているような状態にはなかなか進んでおらぬようであります。ところが最近私の関知いたしました範囲内においては、この前も申し上げました通りゲルマニウムは医療に非常に効果がある。しかもきょう集まった参考人の話を非公式に聞きますと、これは将来結核療法に効果があるのではないかということでありまして、当委員会といたしましてはゲルマニウムについては、エレクトロニックス・インダストリーというものに重点をい置ておったのでありますが、エレクトロニックスの方だけはアメリカその他の抽出精練の応用の部門にはなかなか追いついて参りませんけれども、もし一たび医療に効果があるという分野が開けますれば、それと相呼応してゲルマニウムの抽出精練というものが大々的に行われて、結局マス・プロダクションの境地に至りますれば、アメリカのゲルマニウムの採取と同じコストによってこれを精練することができて、これは相当に広くエレクトロニックス・インダストリーにも応用せられるのではないか、こう考え参考人の陳述を期待いたしたのでございますが、先ほど申しますように、きょうは残念ながらできませんでしたが、もしでき得べくんば会期中にもう一度参考人をお呼び下さいまして、この点について陳述を速記録に載せておきたい、かように考えておりますので、委員長においてしかるべくお取り計らいをお願いいたしたいと思います。
  96. 松前重義

    松前委員長 齋藤さんに申し上げますが、ちょうどお留守のところで参考人を呼ぶことに皆さん方の御承認を得ましたので、直ちにそのように取り計らうつもりでおります。
  97. 原茂

    ○原(茂)委員 ちょうど梶井さんがおられますので、一つお伺いをいたします。それは今公社で五ヵ年計画というのが行われているようでありますが、その五ヵ年計画の先の計画があったらお伺いいたしたいと思います。
  98. 梶井剛

    ○梶井説明員 第二次五ヵ年計画につきましては、私どもは非常に大ざっぱなものを作りました。しかしこれは私どもの現在の状況から申しますれば、非常に不完全なものであります。それで第一回のときには早々の際でもありましたので、実はそう正確な五ヵ年計画ではなかったのであります。第二次五ヵ年計画はぜひ正確なものを作ってやっていかなくてはならぬというので、近く私どもはその準備の一つといたしまして、計画局というものを作りたいと思っております。これは現在までは計画に関することは幾つもの局に分れてやっておった。従って総合するところがないものですから、非常に意見も分れ、また総合されたものが必ずしもうまくいっておらぬ。勢いそういう計画関係するところの各局の者を集めまして、そうして職員の数は増加いたしませんで計画局というものを作って、今後の第二次五ヵ年計画をやっていこう、これは計画ばかりでなく、先ほど申し上げました人間の問題、職員の問題、金融の問題、その他すべてをやらないと、第二次五ヵ年計画におきましては今日まで募集しました社債の償還期限もあり、従ってそのことを十分に頭に入れてやらないと、計画がどうなるかわからないという点がありますので、よほどこれは厳重に検討しなければならぬという心がまえでやっております。
  99. 原茂

    ○原(茂)委員 今総裁から第二次五ヵ年計画の構想を伺ったのでありますが、郵政大臣に、これは国務大臣としてお伺いするのでありますが、かつての物動計画を中心にして、今国土総合開発を国家的な見地から推進しているわけです。審議会も毎回開かれている。その審議会では鉄道の問題、道路の問題、河川の問題、あるいは山林の問題等に関しては国土総合開発の見地から各省のベテランが出て、今後十ヵ年間の計画についてその立場々々から盛り込んでいるわけです。ところが通信事業に関してはそういう発言もないし、盛り込まれている形勢が見当らないわけです。せっかく公社でも第二次五ヵ年計画を持っておるとすれば、やはり今進められている総合開発の中に、せっかく膨大な国費を使って推進しておるのですから、やはり当初から計画的に通信幹線だけは中に織り込んでいくというような計画を持たないと、あとでダブってむだなものが起きるのじゃないか。同時に相当これだけが取りはずされますと、一緒に乗れば乗れるものが乗り得ないという損失も旭きるのじゃないかと思うのですが、総裁の側でそういうようなことを総合開発の審議会その他に発言をされているかどうかを一つお聞きしたいのと、もししていないとするならば、やはり国家全体の立場から大臣はこれを二つ織り込んで、総合開発の中に今後十ヵ年間の貴重な計画全国にわたって立てておるのですから、これに通信幹線だけを織り込んでいこうというような御努力を願えるかどうか。事実やっていないなら、なるべく早く実施していただいた方がいいのじゃないか、こう思うのですが、御意見を承わりたい。
  100. 松田竹千代

    ○松田国務大臣 まことに御説ごもっともだと思いまするし、私も常に同じような考え方をいたしておるのでございますが、正直に告白いたしますると、いまだ強く直接に、たとえば今までの六ヵ年計画を立てておりまするその点、経審庁との話し合いに、国土総合開発の問題並びに五ヵ年計画が済んで先の電電公社における将来の計画等に関連して、当然通信という問題が取り入れられるのでなけれならないと考えます。そういう考え方は持っておりまして、先般のICCの国際会議がありましたときにも、バンドンのアジア会議におきましても、そういう話をいたしました。アジア会議におきましては、アジアの経済開発は通信の関係のことは入っておらなかった。交通、運輸等のことは入っておりましたけれども、通信のことはなかった。そのゆえに通信のことは、今日の情勢においては、少くともアジアの経済開発には先駆すべき一つの事項であるから、これをどうしても討議の中に入れようとまで私は迫って入れてもらったようなわけでありまして、そういう考え方はあなたと全く同感でございます。ところが不覚にしてまだ十分にその方面のことは、関係方面と連絡をとっておりませんから、至急にお考えの趣旨に基きまして、連絡を密にしていきたいと考えております。
  101. 梶井剛

    ○梶井説明員 ただいまのお話は、経済審議庁における六ヵ年計画との問題だろうと思いますが、これは郵政省を通じまして、私どもの方にも六ヵ年計画を出せということでございました。ただいまから六ヵ年計画と申しますと、第一次五ヵ年計画と第二次五ヵ年計画と継ぎ合わせてある程度六ヵ年に切って出すわけであります。そういうものを先般作りまして、監理官を通じて経済審議庁の方に出してあります。しかし経済審議庁におけるそういう審議につきましては、私どもではなく、郵政省の監理官が直接出ておりますので、よく連絡をとり、発言をしていきたいと考えております。
  102. 松田竹千代

    ○松田国務大臣 これに関進いたしまして、事務当局より、それぞれ関係方面に今まで関係して参ったことをこの際御報告申し上げます。
  103. 原茂

    ○原(茂)委員 今の総裁の御答弁、大臣もそう言っておるのですが、経済六ヵ年計画ですね。それとは全然別個に、国土総合開発というものを取り上げまして今やっておるわけです。これは前からやっておるわけです。これには遺憾ながら出席もなく発言もなし、乗っていないわけです。これは一度審議庁が作りました十ヵ年の構想という、いわゆる国土開発のパンフレットが出ておりますから、こういうものも参考にされて、やはり今の経済六ヵ年計画は、民主党で大臣の天下がずっと長く続くとできるかもしれませんが、うっかりするとこれは途中でおじゃんになるかもしれない。そうすると経済六ヵ年計画というものは、また別途になるというわけで、総合開発の計画も別途にやっているわけです。従ってこれには別途にやはり郵政省としても相当強い発言権を持つように、一人はメンバーとして加わることが必要であろうという提案なんですが、一つその方面の努力をしていただきたいと思うのです。
  104. 平山温

    ○平山説明員 ただいま郵政大臣からお答えしましたことに関連しまして、補足させていただきたいと思います。今原委員お話しになりましたように、経済六ヵ年計画というものと国土総合開発計画というものが、両方とも経済審議庁が中心になってあることはお話通りでございます。経済六ヵ年計画の方につきましては、あそこの中に交通部会とか総合部会とか運輸部会とかいろいろな部会がございまして、通信の問題は交通部会で取り上げられることになっておりまして、ここには監理官が委員として加わって、審議に参画することになっております。国土総合開発につきましては、事務的にいろいろ連絡はとっておりますけれども、ただいまお話しになりましたように委員という形で加わっておるところまでいっておりません。それからこれにつきましては、全国的なものと、地方のブロック的な国土開発と両方ございまして、中央において私どもが連絡をとってやるべきものと、それから地方的な国土開発につきましては、各都道府県を電電公社の地方通信局というようなものが、現地で密接な連絡をとる必要もあると考えております。全国的な問題につきましては郵政省としましても、今の御趣旨のようにその連絡を密にしまして、今後やっていきたい、こう思っております。
  105. 原茂

    ○原(茂)委員 最後にもう一度だめ押ししておきますが、九つの特定地域部会に分れて今やっておるわけですが、これはほとんど全国的に、中央で綱を一緒につなげておるわけですから、結局今の第二次五ヵ年計画なりがあるとすれば、これと歩を一にしてやっていく方が、むだなくしかも早期実現の見込みがあるわけです。同じ調査も十分に一緒にできますから、ぜひ一つのポジションを得て、総合開発のメンバーになって、やはり強力にこれに関心を持ち、発言をして乗せていく。少くとも通信幹線だけはこれに乗せていこうというお考えを持つと、むだなく早く実現できる、こう考えるわけですから、一つ……。
  106. 松前重義

    松前委員長 ほかにございませんか。今の国土総合開発の問題は、私も国土総合開発委員で、この間までやっておりましたが、通信に関する委員は一人もおりません。建設、農林、運輸等の委員ばかりでありまして、通信は一人もおりません。どうぞ大臣におかせられましては、通信に関する専門委員を民間からも送られる、あるいは役所あるいは電電公社等からも送られる、こういうことに御努力を願いたいと思うのですが、いかがですか。
  107. 松田竹千代

    ○松田国務大臣 せっかく御趣旨に向って努力いたします。     ―――――――――――――
  108. 松前重義

    松前委員長 次に郵政事業に関する件について調査を進めます。この際質疑の通告がありますのでこれを許します。森本靖君。
  109. 森本靖

    森本委員 最初にちょっとお伺いしたいのですが、この通信世界という雑誌、これは全国の郵便局それから電電公社にも関係がありますけれども、電電公社の方についてはいずれ日を改めてやりたいと思いますので、きょうは郵政関係だけなんですが、この通信世界という雑誌が全国の各郵便局に配付されておりますが、これはどういう経路で配付されておりますか、ちょっとお聞きしたいと思います。と申しまするのは、この雑誌というものはほとんど全部郵政電通関係に配付されておる雑誌であって、それ以外に部外には全然出ておらない雑誌なんです。ところがこの内容を読んでみると、たとえば国会における森本議員の発言は郵政省では全然問題にしておらず、われわれの意見がいれられておるという特定局長の発言をそのままに載せておりますし、また「政務次官の人事介入は不可」である。「先頃の政務次官会議で各省の人事行政に政務次官が関与することを決議した。これは以ての外だ。」「政治屋が人事権を握ることは百害あっても一利なしである。大臣は兎に角として終戦以来の歴代政務次官の粗悪さをみれば、誰でも驚く外あるまい。訳のわからぬ土木屋のオヤジとか、貿易屋のオヤジとかでこの人ならと思う人は一人もなかった。こんな連中に人事権が握られたら、郵政省はどうなるか。野心家だけの独壇上となるではないか。終戦前の政務官の中野正剛、牧野良三、武知勇記、前田房之助などは日本一流の人物であった。」云々ということがあって、現在の政務次官は全然二流、三流の人物である。さらに「近来の代議士はいずれをみてもモノほしそうな人物ばかりだ。」そういうふうな記事が載っております。これは全国の郵便局と電話局に配付されております。さらに次のページには「逓信委員会に波紋を捲き起したのは何故であるか」という見出しで、今次の国会における逓信委員会は、今までのような逓信委員会みたいにスムーズにいっていない、トラブルが多いということが載っております。さも現在の逓信委員会が前の委員会に比べて、非常に見劣りがするというように書いてある。しかも現在まで郵政電通で非常にお世話になった名士が落ちた。今度上ったやつはろくな者がないというふうな内容が明らかに見られるわけです。しかもその内容は右派社会党の三宅正一君が落選議員に書いてある。こういう記事の内容を読んでみますと、これは国会議員としては憤慨にたえない内容が非常に多いのです。これは評論家が自分の主観で書くのはいいと思う。一般に売られるような雑誌にそういうことを書くということは私は自由だからいいと思うのですが、この雑誌は郵政省なり電電公社が買い上げて配付しなければ、この雑誌社は立っていかない雑誌なのです。しかも郵政内部の従業員あるいは電通関係の従業員は、ほとんど部内の専門雑誌と同じような考え方によってこれをしょっちゅう読んでいる。どういう経路で郵政省はこれを買って配付しているか、その間の事情を御説明願いたいと思います。
  110. 佐方信博

    ○佐方説明員 お答え申し上げます。あの雑誌は本省でも一部買っております。それからおそらく郵政局も買っていると思います。中には特定局長が買っておられるところもあると思います。中央で買いまして、全国に配付するというものではございません。
  111. 森本靖

    森本委員 そうするとこの雑誌を郵政省なり各郵政局が買っているということは、事業の参考になるから郵政省なり郵政局が買って、それで従業員はこれを読め、こういう形式で買って読ましているわけですか。
  112. 佐方信博

    ○佐方説明員 これを読めといって別に買わしてはおりません。各郵政局あるいは郵便局の判断によって買っているわけです。本省として買います分につきましては、やはり地方のことをいろいろ書いてございますから、そういう意味で買っております。
  113. 森本靖

    森本委員 各郵便局も勝手に郵便局で買っているわけですか。
  114. 佐方信博

    ○佐方説明員 結局全国どういうふうにして買っているかということにつきまして、個々の点はつまびらかにいたしませんけれども、本省で一括して買って各郵政局、郵便局に配っているものではありません。本省で一部買い、郵政局でも一部買い、おそらく普通の特定局なんかでも買っているのじゃないかと思います。これは雑誌社がいろいろ話をして契約して買っているのじゃないかと思います。
  115. 森本靖

    森本委員 本省は本省の経費で買って、本省内に配付している。それから各郵政局は郵政局で買って、各郵便局なり電話局なりに配付するというのが今の実情なんですね。郵政省の方はこれが郵政事業に参考になるという観点からこれを買って読ましているわけでしょう。
  116. 佐方信博

    ○佐方説明員 いろいろな問題がこの中に書いてございます。たとえば特定局あるいは普通局の個々の局を歴訪した記事、そういう記事も書いてあります。あるいはまた本省からいろいろなことを発表しておりますことも書いてあります。そういうことで事業上非常に関係がございますので、有益であろうと思って買っているものと思います。
  117. 森本靖

    森本委員 買っているものと思います――本省は郵政事業関係があるから、参考になるからこれを買って配付するのでしょう。そうじゃないのですか。
  118. 佐方信博

    ○佐方説明員 いろいろなことが書いてございますので、郵政事業関係があるから買っているというわけです。
  119. 森本靖

    森本委員 郵政事業に参考になるからこれを買っているのであって、単なる雑誌を買うのでしたら、中央公論から改造からすべての雑誌を買って配付すればいい。これは特に郵政関係と電通関係に最も関係の深い郵政の機関紙みたいな状況を示しているのです。これを郵政省では買って内部に配付している。さらに郵政局は各管轄の郵便局に配付している、こういうふうに解釈してもよろしゅうございますか。
  120. 佐方信博

    ○佐方説明員 先ほど申しましたように非常に関係がありますけれども、実は機関紙とは関係がない。先ほど森本委員が御指摘になりましたのも、雑誌社の編集局長が書いたわけではございませんので、古瀬長栄さんですか、そういう方が書いているのがその記事に当っているわけであります。
  121. 森本靖

    森本委員 私はそういうことを聞いているわけじゃないのです。最初に私が問題点を申し上げたから、あなたはえらい慎重になったけれども、この雑誌は郵政事業に非常に関係が深い事事が多いから、いわゆる郵政省の金を出して買って、そして郵政省内の課長あるいは下部機関まで配っている。この間郵政局に行ったら、回覧という判があって、上から局長、課長、係長、主事まで回覧するように成規の手続をとっているわけです。だから郵政事業関係があるから郵政省が買って、あるいは郵政局が買って従業員に配っている、こう解釈してよろしいかということを聞いているわけです。
  122. 佐方信博

    ○佐方説明員 おっしゃる通りです。
  123. 森本靖

    森本委員 それでは大臣にお伺いしますが、大臣の方針あるいはまた民主党内閣の方針にまっこうから背反するような、しかもいわゆる現在の郵政省における大臣あるいは政務次官、そういう要路の高官に対してこういう侮辱したような記事を載せるようなものを、いわゆる郵政事業関係があるということで参考に読めということで、官費でもって買って配付するということについて、大臣はどうお考えになりますか。これは申し上げておきますが、全国の末端の郵便局まで行っているわけですから、その点ちょっと御見解をお聞きしたいのです。
  124. 松田竹千代

    ○松田国務大臣 そうした記事を載せる雑誌が郵政省で買われ、しかもこれが全国の郵政関係者に読ませられているという事実は私は初めて知りましたが、嘆かわしいことであると思います。
  125. 森本靖

    森本委員 その点はなお一つ大臣もこの内容を読んでいただきたいと思います。これは実に政党内閣を誹謗したような形であり、しかも国会議員をまるきり利権争いをやったようにも書いてありますし、また現在の逓信委員会内容についても、全然昔はよかった、今は文句ばかり言ってだめだというふうな大体の書き方でございますから、非常に片寄ったセンスで書かれているわけであって、内容を十分に御吟味願いたいと思います。  それから次にお聞きしますが、この七月号の中で全国特定郵便局長会の第三回の総会が札幌であったということが載っているわけです。そこで佐伯会長が一般の局長の議員の質問に対して、国会における任用問題に関する森本議員の発言は、経過報告でも申した通り郵政省としては問題にしておらない。われわれの意見がいれられているから安心せられたい、こういうことを佐伯会長が堂々と答弁したということが、この文章の中に載っておるわけであります。これは一体佐伯会長にどなたがこういう回答をせられたか、一つ御回答願いたいと思う。少くとも佐伯会長がこういうことを言うならば、本省内の局長以上の方が言われたのだろうと解釈するわけですが、どなたが言われたか御回答願いたい。
  126. 中村寅市

    中村説明員 ただいまの御質問でございますが、実は本年度全国特定局長会の総会には、私ども部内からだれも行っておりません。従ってそのように書いてありますかどうかも、私は実は知りませんが、少くとも今ここに出ております部局長連中に聞きましたところが、佐伯会長に総会前に会ってもおらないし、お話もしていない、こういう事情のようでございますので御了承願います。
  127. 森本靖

    森本委員 そうすると、佐伯会長という人も現在郵便局長であって、しかも郵政省部内の従業員であるわけです。その人が少くとも国会の内部における質問に対して、自分の個人的な判断によってそういうことを発言をしたと解釈してもよろしゅうございますか。
  128. 中村寅市

    中村説明員 私から御答弁申し上げるのも不適当かと存じますが、佐伯会長がどういうふうに発言されたかということも私実は存じませんし、その雑誌の記事も私読んでおりませんが、御本人に一ぺんよく確かめまして、適当な機会にまたお話を申し上げるというようなことにさせていただきたいと思います。
  129. 森本靖

    森本委員 その真相を調査して云々ということは、私はそれでいいと思う。しかし少くともここに書いてあることが事実であり、しかもここにおられる各局長がこういうことを言ったことはないということであるならば、現在の少くとも従業員の一人である者が、しかも全国の特定郵便局長会長としての責任ある地位にある者が、国会の質問戦を故意に歪曲したようなことを発表することはもってのほかだ。だからこの問題については十分に真相を御調査願って、私は後日に質問を譲りたいと思います。  それから次に――この中にまた非常に重要なことばかり出てきておるわけです。この中の六ページに、特定郵便局長会の事務局設置という問題が出てきておるわけです。ところがこれに対する会長の回答か、時期的には不利なので今は設置できない、しかし本省筋も考慮してきている、こういう回答がある。これについても関知しておらないかどうか、その点説明願いたい。
  130. 松井一郎

    松井政府委員 現在御承知のように全国の特定郵便局長連合会というのは、単なる任意団体になっております。任意団体としていろいろなことをやっておるようでございますが、私が――そういう組織的なものには当然タッチしなければならないその私ですら、本年に入って一度も合ったこともなければ、お話したこともありません。従ってそういう問題について話を受けたこともないわけでありますから、本省が了解するか了解しないかというようなことが議論されるはずはないと私は信じております。
  131. 森本靖

    森本委員 両方とも本省の方が全然知らない、こういう回答でございましたので、先ほどの問題もあわせて速急に本省の方では御調査の上、次の委員会ではしかるべく御回答願いたいと思います。  なおこの際お聞きしておきたいのは、今の全国の特定郵便局長会の問題で、これは任意団体であるという御回答がございましたが、この任意団体であるところの特定郵便局長会に、全国の一万三千の特定郵便局長が会費を納入して、しかも札幌において年次総会を開催をして、約二百名の代議員も集めておる。しかもその顧問には前の郵政省の次官の手島氏が正式に就任をしておる。こういうふうな会を任意団体として、郵政省としてはこれを監督もしないし何もせずに放任していくのかどうか。さらにこの会長なり副会長なりが、任意団体であるにもかかわらず、さも大臣、次官あるいは各局長と団体交渉をやったり、あるいは話をしたり、そういうことを得々として全国の会報に流しておる。こういうことについての解釈を一体省側の責任者としてどう考えるか、この局長会に関する責任のある答弁を願いたいと思う次第であります。
  132. 松井一郎

    松井政府委員 御承知のように現在公務員がいろいろな形において自由に団体を作るということ、これは公務員といえども一定のワク内においては憲法上保障されておることであります。ただそれが国家公務員法上としては御承知のように九十八条の団体でない限り、いわゆる集団的な意味の交渉ということはできません。現在は任意団体としてあるにすぎませんので、任意団体としてやっていることを一々――これが業務上非常に支障があるというなら、もちろんこれはわれわれとして監視しなければならぬ筋のものだと思います。しかし特にそれが業務上関係がなければ、別にその活動をとやかくいう筋合いでもない。またこれは大臣であろうと何であろうと、われわれとしては、下部の人にいろいろな意見があれば、その意見を聞くに何らの意味においてもやぶさかでない。もとよりそれは正式な団体交渉とかなんとかいうものではございません。
  133. 森本靖

    森本委員 今の回答はきわめてなおざりの回答であって、全然法的の根拠もなしに、あるいはまたそういうふうに任意団体であるというふうな会が少くとも全国の一万三千という特定局長がこれに結集をして、しかも毎月四百円ないし五百円程度の会費を取り、しかもその代表の会長なり副会長が来た場合に、個人的に折衝したということを郵政省の方はいっても、この会長なり副会長というものは、全国の特定郵便局長を代表して話をして、こうこうなったのだということを得々として会へ報告しておるわけです。しかもあなたが今言われたように、全国の特定郵便局長会の中には、公務員法九十八条によって登録しておる団体もあるわけです。そういうように各地で非常にばらばらの様相をしておるけれども全国の一万三千の特定郵便局長が集まった特定郵便局長会というものは、歴然たる組織を持っておる。現にこの組織が、全国の参議院選挙に対しても推薦候補をきめて出馬をさせるということも明確にきめるような団体である。これを完全なる任意団体として、しかも郵政事業には全然関係がないからといって、これを放置しておくということは、私はあまりにも委員を侮辱した答弁だろうと思います。実際問題としてこれだけの強大な組織というものは、現在の郵政省内部の労働組合であるところの全逓を除いた以外にはない。これは完全なる組織なんです。こういう完全なる組織を任意団体として全然放置しておくということはない。今の答弁は私はなはだ不満なんです。これに対しては明快なる回答を願いたいと思う。
  134. 松井一郎

    松井政府委員 私どもは現在の形において特に法律上触れない限り、人々がいろいろな形において団結されるということは、簡単に抑えられる問題ではむしろないと思います。はっきりとそういうものに対して、これは悪いとかなんとかいう以上は、それが明確に業務上非常な悪影響を及ぼすとか、あるいは法律に違反しておるということがない限り、人々が集まることを押えるという権限は、憲法上も許されていないと思います。
  135. 森本靖

    森本委員 もしそういう回答であるならば、それでは全国の郵便課長なら郵便課長が一つの団体を作って、そのものが全国参議院に出馬を決定する、そういうようなことを決定しても、それは憲法に保障された任意団体であって、何ら差しつかえない、あるいはまた郵務局長が自分の指揮下にある各郵便局員に対して指令を発して、そういう団体をこしらえさすという場合がかりにあったといたしましても、その指令を正式に出さずして、口から口へという口頭の伝えによってやってもかまわない、こういう結論になるわけですか。
  136. 松井一郎

    松井政府委員 おっしゃるその団体というものが、何か政治活動をやる、そしてそれが政治活動に関する法規に違反する、これはその限りにおいては悪いことであって、そういうことは当然許されない、しかしそういうはっきりしたことのないのに――皆さんがお互いの立場上一定の形において何らかの意味における団結をされるということ自身は、これは今日のわれわれの憲法下においては簡単に押え得られない問題じゃないか、かように考えております。
  137. 松前重義

    松前委員長 森本君、ちょっと。皆さん大分御用事があるそうでありますし、明日やりますから……。
  138. 森本靖

    森本委員 きょうやって、あすまたやります、重要な問題ですから。     〔委員長退席、松尾委員長代理着席〕
  139. 松尾トシ子

    ○松尾委員長代理 では続けてやります。森本さん。
  140. 森本靖

    森本委員 私は、これはだれがおらぬでも、速記録にはっきり残しておいてもらったらけっこうですから……。  それでは、そういう任意団体というものが、少くとも重要な参議院選挙に対して、全国選挙に対して選出を決定する、推薦を決定する、そういうことをきめる団体を任意団体としておいていいのですか。
  141. 松井一郎

    松井政府委員 今おっしゃった点は、御承知のように国家公務員法によって、公務員の政治活動というものが規制されております。果してそれに該当するかしないかという問題に尽きるのじゃないかと思います。それは別に任意団体であるとかないとかいうよりも、団結の自由はこれは当然あるわけでありますが、そこは公務員の団体であれば、おのずから国家公務員法で規定せられておる政治活動の制限というワク内でなくちゃならぬ。その辺は、果してこれがワク内であるかワク外であるかというような問題になりますと、これは具体的な事例をよく調べて検討しなければわからないわけであります。
  142. 森本靖

    森本委員 団結の自由ということを先ほど来言われるけれども、これは明らかに省側に対していろいろの問題を交渉し、話をしに行く団体じゃないのですか、この内容は。
  143. 松井一郎

    松井政府委員 私は実はあまり交渉を受けたこともないし、話を受けたこともないので、別にそうそれが主たる目的であるというふうにも感じておりませんが、あるいは中にはそういうところで話がまとまたっのを、意見としてこちらへ申し出られることもあるかと思います。それはあったって別に差しつかえはない。しかしその場合に、それが何らいわゆる交渉権とか何とかという形でもって保障されているものではない。一介の陳情程度のものにすぎないということは、これは申し上げるまでもないことだろうと思います。
  144. 森本靖

    森本委員 陳情というものは大体それぞれの局なり、あるいはそれぞれのちょっとしたブロック的な問題を陳情するのであって、これが全国的に組織を持って陳情するという場合においては、たとえば佐伯会長が陳情に来ても、それは何も佐賀県の問題についての陳情じゃない、全国の一万三千の特定郵便局のあり方について陳情してくるわけです。そういうふうな陳情を行うものが、果して任意団体として許されていいものかどうか。
  145. 松井一郎

    松井政府委員 陳情をやったから、任意団体として許してはいけないということまではいえないと思います。具体的な活動状況を考慮しなければならない。御承知のように、昔役所の公的な機関として全国特定都便局長会というものがあったのが、諸般の情勢から、昭和二十三年でしたか、これが解散いたしました。その後においては――ただ任意団体としていろいろなことを話されることは自由であります。あるいはまたそういうところで話された結果、われわれのところへかりに持ってこられたって、それはちっとも差しつかえない問題だと私は思います。
  146. 森本靖

    森本委員 あなたは、さっきから全国の特定郵便局長会の組織というものを非常にかばうような発言をされますけれども、この特定郵便局長会のやっておる事業内容というものは、明らかに全国一万三千の特定郵便局長の利害関係をもって、それによって郵政省と話し合いをするということが明確にされておるわけです。しかもこの特定郵便局長会の内容というものは、いわゆる特定郵便局長の管理職の手当の改訂あるいは局舎料の改善、備品関係の議案、こういうふうな問題をやっておるわけです。こういうことを一万三千の特定郵便局長が、毎月会費を取って結集をしてやるというならば、少くとも正式に公務員法の九十八条によって登録をして、その上において折衝するのがほんとうじゃないのか。
  147. 松井一郎

    松井政府委員 それは必ずしも九十八条の登録をしないから、そういうことをしてはいけないというわけではなくして、九十八条の登録をするということによってむしろ一つの法人格が取得でき、ある一定の法律上の保護が受けられるということで、特に特定の法人格にする必要もなく、法律上の保護を受ける必要もなければ、任意団体としてそういうことをやっても、団結権の自由があるのだからちっとも差しつかえないのじゃないかと思います。
  148. 森本靖

    森本委員 ちょっと大臣にお伺いしますが、公共企業体労働関係法あるいは国家公務員法、労働法によって認められておるところの団結権というものは、各労働法規、公務員法によってやれないところの団結権であっても、組織を結集してよろしいという解釈に今の郵務局長答弁ではなるのですが、それでは労働法、国家公務員法によって団結権というものを保障するところの問題は、法規的にどこに出てくるわけですか。大体国家公務員法によるところの職員は、団体交渉権というものはない。団結権だけを国家公務員法第九十八条によって認めておる、これがいわゆる立法の趣旨なんです。その団結権というものも、いわゆるその九十八条によってやれないものに対しても、全国一万三千という特定郵便局長が結集をするという団結権を認めるという今の局長の回答であったわけですが、それはどう解釈しますか。
  149. 松田竹千代

    ○松田国務大臣 私も大体郵務局長と同じ意見を持っております。
  150. 森本靖

    森本委員 それではお伺いしますが、こういうふうに自分の労働条件あるいは自分の利害関係を改善しようという考え方を持つならば、それが団体的な行動をしようとするならば、少くとも九十八条によるところの、人事院規則によるところの団体でなければでき得ないという解釈をしないのですか。
  151. 松田竹千代

    ○松田国務大臣 現在の段階においては、いまだそこまできておらぬと考えます。
  152. 森本靖

    森本委員 いまだそこまできておらぬというのはどういう内容ですか。要するにこれは感情的にならずに、私は法律的に聞いてもらいたいと思うのです。国家公務員法の九十八条によったら、いわゆる個人た々というものが数人集まって、自分の利害関係あるいは自分の労働条件の改善をしようとする場合には、団結をする権利があるということを認ておるわけです。国家公務員法によって団結をして、いわゆる共同折衝権というものを持ってやっておるわけです。ところが全然そういう登録をやらず、全然任意団体として全国一万三千という特定郵便局長が集まって、しかも毎月会費を納入して大きな組織をこしらえて、そうして北同折衡権と同じように郵政当局に対して交渉することが、果して法規上許されるかどうかということをお聞きしておるわけです。私はこれを、だれをカバーとかだれをオミットするとかいう問題でなくして、法的にその内容というものを解明してもらいたい。そういうことであるならば、国家公務員法九十八条というものは全然不要になると思う。そのことをお聞きしておるわけです。
  153. 宮本武夫

    ○宮本説明員 今の九十八条につきまして私からお答え申し上げます。九十八条で、これは普通職員団体と申しておりますが、労働条件その他厚生的と申しますか、あるいは社交的というのか、はっきりした言葉を覚えておりませんが、そういうことにつきまして、その組合その他の団体を結成して当局と交渉することができる、こういうふうになっております。従いまして九十八条の団体でありますれば、いわゆる団体協約権は認められませんが、当局と交渉する権限というものは認められております。任意団体と申しますと、これは九十八条によった場合は別でありますが、それ以外の任意団体といいました場合には、そういうふうに当局と正式に交渉すると申しますか、折衡することも正式には認められないところである。従いましてそういう任意団体の職員等が来ました場合には、普通の話し合いと申しますか、あるいは陳情と申しますか、そこにやはり九十八条のものとしからざる任意団体というものの間に違いがある、こういうふうに私は考えます。
  154. 森本靖

    森本委員 それが九十八条で登録したと同じような仕事を、現実にはこの任意団体である特定郵便局長会がやっておるということは、あたた方も認められるでしょう。
  155. 宮本武夫

    ○宮本説明員 現在の局長会と私どもはそういうふうな折衝をやっておるという事実はございません。
  156. 森本靖

    森本委員 それでは今まで陳情に来て、郵政当局がどう言明をした、こういう言明をしたということは、それでは全部正式の言明ではないというように解釈してよろしゅうございますか。
  157. 宮本武夫

    ○宮本説明員 いわゆる正式の折衝というものは認められていないのでありますから、その任意団体の職員が私の方に来ましていろいろ話し合うことももちろんありますけれども、その場合は別に正式な省の回答とか何とかいうことにはならぬだろうと思います。
  158. 森本靖

    森本委員 そうするとその回答というものはでたらめな回答であってもよろしい、こういうことになるわけですね。
  159. 宮本武夫

    ○宮本説明員 でたらめな回答と私は申し上げたのではございません。それが九十八条によりますと、いわゆる正式な交渉、折衝というものが認められております。従ってこれに対する当局の回答もやはり正式な回答、ただそれによりまして、団体協約権は認められておりません。しかしながら交渉の権限は認められており、これに対する当局側の回答というものも、やはり正式な当局の回答ということになるだろうと思います。しかし任意団体につきましてはそういうものすら認められていない。従いまして、それに対しましていろいろな陳情めいたことがありました場合に、私どももそれに対していろいろまた話をすることもありますが、それは決してでたらめなことを申すという意味ではございません。
  160. 森本靖

    森本委員 その場合にこちらの方がでたらめな回答をしても少しもかまわない、そういうふうに解釈してもいいわけですね。だからその回答を信用して報告をしても、あとからその回答は違うと言えばそれまでだ、こう解釈してもいいわけですね。
  161. 宮本武夫

    ○宮本説明員 内容はそれが省側の正式な見解ということにならぬのでありますから、あくまでもその会った者の個人的な話し合い、こういうことになると思います。
  162. 森本靖

    森本委員 それからもう一つ、念のためにお伺いをしておきますが、そうすると特定郵便局長だけではなくして、かりに全国の普通郵便局長あるいは郵便課長、保険課長などが、全国課長会議というものを自分でこしらえて、そうしてこういうふうな会議をやった。それからいわゆる共同折衝か何か知らぬが、そういう形でやってもいいわけですか。
  163. 宮本武夫

    ○宮本説明員 郵便課長とかそういうふうなものが、九十八条によってこれをやるということは公務員法に認められておりますからして、それは差しつかえないと思います。また九十八条によらないそれ以外の任意団体を作ることも、これを差しとめることはできないと思います。
  164. 森本靖

    森本委員 その場合に、たとえば課長の待遇の改善とか、あるいは課長の人事の問題とか、そういう問題についてその団体が陳情に来る。その下には強力なる組織を持って、毎月何百円かの会費を納めて、それから各郵政局ごとに事務局を設置をする、そういうことをやってもよろしい、こういうわけですね。
  165. 宮本武夫

    ○宮本説明員 まだそういうものができておりませんし、それができた場合にはどうかという御質問だと思いますが、これは実際にその場合によって判断をしなければなりませんが、私が今お答え申し上げることができますのは、そういうふうな特定局長以外のいわゆる郵政職員につきましても、そういうふうな九十八条の職員団体、あるいは九十八条によらない任意団体を作るということも差しつかえない、これだけ申し上げておきます。
  166. 森本靖

    森本委員 その団体ができてみなければわからぬと言いますが、この特定局長会が現在やっておることと同じようなこと、たとえば全国区参議院議員にだれそれを推薦する、そういうようなことを各普通郵便局長が集まってきめて推薦をする、毎月会費を取ってやる、そういうことをやってもよろしい、そういうことを聞いておるわけです。
  167. 宮本武夫

    ○宮本説明員 参議院選挙に現実にそういうことで推薦した場合に、いわゆる公務員法に触れるかどうかという問題があるだろうと思います。果してそれが公務員法に触れるかどうか、違反する行為であるかどうかということは、現実のその問題をつかまえてみなければ、判断することができないのではないかと思います。
  168. 森本靖

    森本委員 私が聞いておるのは、前に全国特定郵便局長会というものが、芳野国雄さんという方を推薦してやっておるわけです。これが全然法律に触れておらないわけです。あなた方も触れないということを言っておるわけです。だから、それと同じような格好で全国の郵便課長あるいは保険課長が、団体をこしらえてやってもかまわないだろうということを聞いておるわけです。
  169. 宮本武夫

    ○宮本説明員 現在公務員の政治活動を制限しておる規定が公務員法にございます。従いましてその具体的なケースにおきまして、それらの行為がこの公務員法の政治活動を制限した規定に触れる場合はもちろんいけませんが、しからざる限りは差しつかえない、こう存じます。
  170. 森本靖

    森本委員 ここでコンニャク問答みたいなことをやっても仕方がないので、さらに私は別の時期に先ほど言った二つの問題について明確にしてもらって、場合によっては参考人として呼びたいと思いますが、その問題はそれでおいてしまって、特定局長会のこの組織の問題についても、何らかの規制をする必要がありはしないか。実際にこのまま放任をしておくということは任意団体とはいいながら、しかし九十八条による団体と同じような活動をしておるということは、これは周知の事実なんです。これの現実に目をおおい隠して、これが任意団体であるからということは、故意にせんとするところの発言であるというように考えても何ら差しつかえない。現実の問題としてはこれが相当大きな力を持っておるということも事実なんです。これを何らかの形において、法的にこれを規制するなり、あるいは法的に合せるというようなことについて、考えておらないかどうかを一つ大臣にお聞きしたいと思います。
  171. 松田竹千代

    ○松田国務大臣 研究すべき問題だと考えておるわけでありまして、そういう考え方で参るつもりでおります。
  172. 森本靖

    森本委員 大臣も研究していただきたいと思うのですが、もともとこの団体はマッカーサー司令部の方からきわめて封建的であって、有害であるから、解散すべきだという指令によって、これは解散させられたのです。このごろは復古調がはやって、いわゆるGHQが悪いといったものも、このごろはいいということになったものが相当あるわけです。しかしその問題と別個にして、この問題は今郵政省内においても、全国の特定郵便局長会議側に立つものと、あるいはこれに対して正式に公務員法九十八条によって登録して、成規の団体として活動しようという意見もあるわけです。だからこういう問題が絶えず紛争を来たすということは、郵政事業としてあまりプラスにならないと思いますので、大臣も各局長の意見も十分聞いて、さらにその他の従業員の意見も十分聞いて、早急に研究をして結論をつけるようにお願いをしたいと思います。
  173. 松田竹千代

    ○松田国務大臣 森本委員のおっしゃるように私も考えておるわけであります。この委員会で前にも申し上げたと思いますが、この特定郵便局の問題は普通局の関連においても、またこの特定郵便局長会議会議それ自体としても、さらにまた全逓関係について考えてみましても、いろいろの点から研究を要する問題と考えて、どうすれば一番よろしいかということについて、考えれば考えるほどいろいろ関係する面もありましてむずかしいので、いまだ結論に達するに至っておりませんけれども、鋭意研究いたしておる次第でございます。
  174. 森本靖

    森本委員 それからこれはあまり一人でやっておっても、あなた方に非常にきらわれますのでこのあたりでやめますが、ただこの通信世界に書かれた内容について、先ほどの二つの問題については佐伯会長に聞いてもらって、十分に調査してもらって、次の委員会には御回答願いたいと思います。さらに大臣には特に先ほど申しましたように、こういう内容についても政党政治、国会のあり方等に対しても非常に辛らつな批判をして、しかもこれを郵政従業員に対して、全員に読めという形にしてやることについてのいいか悪いかということについても十分研究なされて、次の委員会には正確な御回答を願いたいと思います。以上で私は質問を打ち切ります。
  175. 松尾トシ子

    ○松尾委員長代理 この際小委員補欠選任についてお諮りいたします。井手以誠君が去る十八日委員辞任されましたに伴い、郵政事業調査に関する小委員が欠員になっておりますが、同君が再び本委員に選任されましたので、井手以誠君を再び郵政事業調査に関する小委員指名いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  176. 松尾トシ子

    ○松尾委員長代理 御異議ないものと認めましてさよう決定いたします。  次に小委員長補欠選任の件についてお諮りいたします。郵政事業調査に関する小委員長井手以誠君が去る十八日委員辞任されましたに従い、郵政事業調査に関する小委員長が欠員になっておりますが、同君がただいま右小委員に選任されましたので、井手以誠君を郵政事業調査に関する小委員長指名いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  177. 松尾トシ子

    ○松尾委員長代理 御異議ないものと認めまして、さよう決定いたしました。  だいぶ長い時間経過いたしましたので、本日はこれで散会いたします。次回は明二十七日午後一時より開会いたします。     午後六時三十五分散会