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1955-06-08 第22回国会 衆議院 逓信委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年六月八日(水曜日)     午後二時十七分開議  出席委員    委員長 松前 重義君    理事 齋藤 憲三君 理事 廣瀬 正雄君   理事 中垣 國男君 理事 橋本登美三郎君    理事 井手 以誠君 理事 松井 政吉君       秋田 大助君    川崎末五郎君       竹内 俊吉君    成田 知巳君       原   茂君    森本  靖君       八木 一男君    前田榮之助君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 松田竹千代君  出席政府委員         郵政事務官         (監察局長)  青木  亮君         郵政事務官         (簡易保険局         長)      白根 玉喜君         郵政事務官         (電波監理局         長)      長谷 愼一君  委員外出席者         総理府事務官         (恩給局審議課         長)      畠山 一郎君         郵政事務官         (事務次官)  中村 俊一君         郵政事務官         (大臣官房人事         部長)     宮本 武夫君         郵政事務官         (経理局主計課         長)      長田 裕二君         日本電信電話公         社総裁     梶井  剛君         日本電信電話公         社副総裁    靭   勉君         日本電信電話公         社理事         (職員局長)  山本 英也君         日本電信電話公         社理事         (経理局長)  秋草 篤二君         専  門  員 稲田  穰君         専  門  員 山戸 利生君         専  門  員 吉田 弘苗君         専  門  員 中村 寅市君     ————————————— 六月七日  委員原茂辞任につき、その補欠として志村茂  治君が議長指名委員に選任された。 同月八日  委員志村茂治辞任につき、その補欠として原  茂君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  郵政事業に関する件  郵政監察に関する件  電気通信事業に関する件  放送に関する件  物品税法の一部を改正する法律案に関し大蔵委  員会申入れの件     —————————————
  2. 松前重義

    松前委員長 これにより会議を開きます。  郵政事業に関する件、郵政監察に関する件、電気通信事業に関する件及び放送に関する件、以上四件について調査を進めます。橋本君。
  3. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 緊急動議を提出いたします。  目下大蔵委員会において物品税法の一部改正の法律案が付託せられておりますが、これに関して、従来当委員会並びに旧電気通信委員会において、再三にわたって、目下テレビジョン受像機普及時期にあるから、これを阻害しないように、その税率についても暫定的な措置をとってもらいたい、こういうような要請をしておって、昨年度においては、御承知のように十四インチ以下は一カ年間の暫定期間でありますが、税法による三〇%を一二%ということで参つたのでありますが、この期間が切れて、この六月末までということに相なったわけであります。現在付議せられておる法律案は、皆さん御承知通りに、一五%にして暫定一カ年間、こういうようなことになっておるようでありますが、なお現在の状況から考えて、テレビジョン受像機普及はまだ十分ではないのみならず、現在のテレビジョン工業促進のためにも、もうしばらくの期間を必要とすることが考えられ求すので、物品税法の一部を改正する法律案修正に関する申入書を、大蔵委員会会に出したいと考えます。一応案文を朗読いたしますから、御賛成を願います。    物品税法の一部を改正する法律    案修正に関する申入書   テレビジョン受像機及びラジオ聴取機に対する物品税率の低減については、かねて、旧電気通信委員会ならびに本委員会の見解を貫委員会申入れ、その都度、相当の御配慮を煩わした次第であるが、目下、貴委員会における「物品税法の一部を改正する法律案」の御審議についても、従前申入理由ならびにわが国テレビジョン放送及び短波放送の現状に照し、少くとも  一、ブラワン管十四吋以下のテレビジョン受像機に対する原案の百分の十五の低率適用期間昭和三十三年三月三十一日までとすること  二、オールウエーブ、ラジオ聴取機に対する現行税率の一律百分の二十を、高級品以外に対し或る程度低減すること等、法律案修正に関し、貴委員会において適宜の措置をとられんことを要望する。右六月八日本委員会全会一致の議決により申入れ重ねて本件に関し御配慮を乞う次第である。  以上案文を御審議の上、満場一致の御賛成あらんことをお願いする次第であります。
  4. 松前重義

    松前委員長 ただいまの橋本君の動議のごとく、物品税法の一部を改正する法律案に関する申入書、これに関しまして大蔵委員会にこれを申し入れることに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 松前重義

    松前委員長 御異議ないものと認めまして、そのように決定いたします。     —————————————
  6. 松前重義

    松前委員長 この際質疑の通告があります。森本靖君。
  7. 森本靖

    森本委員 監察局長にお聞きしたいと思います。六日の朝日新聞の夕刊に、東京都の北沢二丁目郵便局に賊が入って、二十六円盗まれたという記事がありますが、これについての報告が来ておりますかどうか。
  8. 青木亮

    青木政府委員 六月五日、日曜日の午後十一時ごろから翌六日の午前五時五十分ころまでの間に、世田谷の北沢二丁目郵便局事務室上部回転窓をこじあけて、盗賊が侵入した事件でございます。賊は金庫をあけようとしたのであります。そうして金庫のちょうつがいのぎぼしと普通言っておりますが、上の方を破壊いたしましたが、結局金庫のとびらは開くことができなかったので、事務室にございました補充用切手箱小包四個、これは普通小包でありますが、それを局の付近の畑へ持ち出した。結局切手箱の中には十一万七千七百二十円に相当する切手、はがき、印紙がございましたけれども、これは現金化ができないと思ったのか、そのものには手をつけずに、事務室の引き出しにございました現金二十六円と、それから幼年ブックという雑誌が一冊入っておりました小包一個を持って逃走したわけであります。従いまして被害といたしましては、今申しましたように普通小包一個の中の雑誌と、それから引き出しにございました切手売上代金二十六円とが被害の総額でございます。金庫にはもちろん当日の為替の残が十六万五千円あったわけでございますが、今申しましたように金庫を開扉することができませんでしたので、被害最小限度にとどまったわけであります。目下東京郵政監察官三名と所轄の北沢警察署共同操作をいたしておりますが、遺憾ながら現在まで犯人を逮捕するに至っておりません。簡単でありますが、以上申し上げます。
  9. 森本靖

    森本委員 これは特定郵便局でしょうか。
  10. 青木亮

    青木政府委員 さようであります。
  11. 森本靖

    森本委員 事務室と、それから局長私宅とその局の構造はどうなっておるのですか。
  12. 青木亮

    青木政府委員 私案は現場を見ておりませんので、ただ情報によって申し上げます、局長宅局舎に隣接しております、そうして構遣——実は見取図を持っておりませんので、局長宅局舎が隣接しているということたけしか今わかっておりません。
  13. 森本靖

    森本委員 過日私が無集配特定郵便局の構直の問題を質問したときに、そういうことはない、それから将来も従、業員の良識に待ってやっておるので、こういうようなことはあまりないということで大臣答弁されておったのですが、答弁した口のすぐ下からこういう問題が持ち上っておるわけです。それでこの間私が質問したときに、特に単独局舎警備については、一体どういう措置をおとりになるかということを聞いた場合に、相当強固な錠でもかけておくよりほか仕方がない、こういうことを言われたのであります。そこで私が当局にお聞きすることは、この局舎局長私宅とそれから局舎構造、さらにこの日にだれか臨時に自発的に泊った者がおったかどうか、そういう詳しいことをもう少し説明願いたいと思います。
  14. 青木亮

    青木政府委員 ただいま森本委員お尋ね局舎にその夜間泊っておったかどうかということは、私が今まで承知しておる限度におきましては、もちろん隣接して局長宅がございますので、局舎内にはだれも泊っておらなかったということは間違いないと思ます。それから、はなはだ申しわけないのですけれども局舎内の構造見取図等を持ってきておりませんので、詳細お答えするには時間をかしていただきたいと思います。
  15. 森本靖

    森本委員 それでは賊が入ったのは晩であって、これを局長が発見したのは朝ということでございますね。
  16. 青木亮

    青木政府委員 さようでございます。
  17. 森本靖

    森本委員 それでその責任は、この十一万八千円という切手が全部裏のこみ箱に捨ててあったということですからいいのですけれども、もしかりにこの十一万八千円を持っていかれた場合には、一体とこの責任になるわけですか。この間大臣答弁をした通り当該局は全然責任がないのであって、もしこれがそういうことになってもこれは取られ損、こういうことになるわけですか。
  18. 青木亮

    青木政府委員 先ほど申しましたように実は詳細わかっておりませんが、もし今おっしゃったようにこの金庫の中にありました資金等がなくなりました場合には、その当時局長として、どの程度に善良な監視者として注意を払っておったかとうかという点をよく調べませんと、その責任をどの程度に追及するかということは申し上げられないと思います。
  19. 森本靖

    森本委員 それで過日は郵務局長との質疑応答になったわけでありますが、こういうように全国の七十なり八千なりに、いつでもどろぼうが入ってもかまわぬというような格好にしてある、いつでも火をつけられてもかまわぬというような格好にしておることがいけないのではないか。しかしやむを得ない、そういうことはあまりない、こういうように御答弁があったわけですが、そういう御答弁があった口の下から、すぐこういう問題が起っているわけであります。おそらくこれは全国的にこういう問題が非常に起ってくると思うのであります。こういう問題に対して監察局の方としては、こういう問題に対する具体的な方針というか、こういう問題を将来防止するためのよい方法というか、だれもおらぬところにどろぼうが入ってこないようないい方法がありますか。
  20. 青木亮

    青木政府委員 ただいま森本委員お尋ねでございますが、もちろん監祭局といたしましては、部外の犯罪などを含めまして犯罪が起りました場合に、その手口等をいろいろ検討いたしまして、いかにして犯罪を未然に防止するかというようなことは、監察官立場からもいろいろ意見があるわけでございます。従いましてこういうような事件が、今お話がありましたように今までにも起っておるわけであります。そうういう関係関係部局ともよく連絡いたしまして、監察局としての立場を申し上げて、関係部局にもいろいろ研究していただいて、従来までもいわゆる防犯通過と申しますか、相当詳細な通途郵政局長に出し、また郵政局長はそれを受けまして、各現場の方にそれぞれ通達を出しておるわけであります。通達といたしましては、私どもと他の都局長と連名で出しました通達について、自分でどうこう批判するのはどうかと存じますが、相当詳細に通過内容はうたわれておるわけでありまして、部内犯罪等につきまして、もちろん先ほど森本委員もおっしゃいましたように、いろいろ通常考えられるような点を指示しておるのでありますが、たとえば局舎警備につきましては、局舎の門限を定めて——これは普通局を含めての意味でありますけれども、不用の出入口は一切定時に閉鎖する、あるいは窓及びとびらの戸締りを厳重にする、こういうことはもちろん木造の局舎等におきましては、いかに厳重にいたしましても計画的にねらわれるというような場合には、これを完全に防ぎ得ない場合があるのでありますけれども、やはりこれを厳重にいたしておきます場合は、犯罪捜査の面から考えましてもいろいろ抵抗があるということは、そこに容易に入れる場合と、あるいは無理をしてこじあけたという場合にはそこに証拠が残る、この他指紋が残る、いろいろ証拠になるようなものが、消極的ではありますけれども残るような処置をする。あるいは可能な範囲において防犯ベルを作る。あるいは今後予想されるものといたしましては、これは予算を伴うのですぐできるかわかりませんが、いろいろ方法もありますが、無線を使う防犯無線施設と申しますか、そういうようなものも考えなければならぬのじゃないかというふうに考えております。その他監視方法の適正なることとか、はなはだこまかくなりますけれども防犯措置につきましては、本省なり郵政局は相当厳重に指示しておるのであります。その他私ども監察だけで、昨年のたしか八月だと思いますが、こういうような盗賊局舎に侵入するということが起りましたので、重複する点もございますが、各郵政監察局長に最近の事例をあげまして、そして無集配特定同等におきましては、ガラスの窓やガラス戸の施錠に対して、何らか簡単な方法でもこれを補強するような措置を講ずるように検討してもらいたいということを、つけ加えて通達をいたしてございます。また業務監査等におきましても、すでに局舎警備等につきましては相当注意をいたしておるわけであります。はなはだ抽象的でございますけれども、そういうような方法現場に対しては可能な範囲において監督指導している、かようにやっております。
  21. 森本靖

    森本委員 これは監察局長だけに責任を持たすのは非常に酷でありまして、監察同長の力としての答弁は、そのくらいの答弁しかできぬだろうと思うのですけれども、一ヵ月くらい前に私の方から質問をして、それに対しては、十分に今後そういう面の施策その他については検討して、早急に具体的な案を樹立するという回答もあったわけでありますが、ちょうど大臣はおりませんが、次官は、こういう問題について総合的にこれを省内において研究し、あるいはそういう問題について討議をしたことがありますか。
  22. 中村俊一

    中村説明員 この問題は、この前の委員会でいろいろと御質疑がありましたことはもちろんでありますが、私どもとしては、森本委員の御承知のように、無集配特定局警備及びそれに対する人員の配置等に関しましては、かねてからこういう問題は真剣にやっているわけであります。その第一着手といたしまして、先般宿直制度検討したのもその現われの一つでございますが、そういうことで、特に私どもは、この前の委員会でも御注意がありましたことにかんがみまして、始終その問題については検討をいたしているわけであります。何と申しましても、これは単に局舎警備について戸締りであるとか、構造であるとかいうような点に注意するだけでは、なかなか根本的な解決にはならぬと思います。要するに一番いい方法は、それぞれの局舎無人局舎にならぬようにということが、何といっても根本的な対策であろうと思います。しかしこの問題につきましては、従来からたびたび検討を重ねてきておりますけれども、非常に数の多いことでもありますし、これに対してそれだけの人を配置することは、理想としてはそういうことは言えますけれども、いろいろな定員法関係予算関係等からいたしまして、これは早急にはできないというので、先般経理局長からも答弁がありましたように、漸次その方向に持っていくということで、監視員制度あるいは宿直制度というようなことを、まことに不満足ではありますけれども徐々に解決をはかっていく、こういうことであります。  さらに今まで無集配特定局を初めといたしまして、集配特定局におきましてもこれも予算関係等もあったのでありますが、実は金庫配置が行き渡っておらなかったというような状況があったのでございますが、これは局舎警備その他の点とあわせまして早急に解決を要するというので、特に去年のごときは、そういう方面予算重点的使用をはかりまして、とりあえずそういう器具の整備ということをはかった次第でございます。そこで今森本委員からお話がありましたようなそういう事柄につきましては、私どもは、この委員会の御注意のありますことによって、そういうことを研究するという消極的なことではなくして、すでにこの問題は、先ほど申し上げましたような心組みをもって、常にその解決に努力をいたしている次第であります。今年は暫定予算でもありまするし、その都度の対策が具体的には講ぜられる程度でありますけれども、やがて予算の見通しもつくようでありますから、この使用計画等につきましては、十分御趣旨のあるところを体しまして、なお本格的に早急にそういうことの解決をはかるように協議をいたしたいと考えております。
  23. 森本靖

    森本委員 それではなおこの問題についてはまだお聞きしたい点がありますけれども恩給局審議課長さんが来ておられるそうでありますから、そちらの方に質問を移ることにいたしまして、この件は一応これで打ち切って、後日またお聞きしたいと思います。  それでは恩給局の方にお聞きしたいのですが、実は過日本委員会におきまして郵政省に昔逓信手通信手というものがありましたが、これに対する恩給期間通算問題について私の方から質問いたしますと、郵政省のカとしては、この期間を加算するということについては大賛成である。そこで恩給局の方と交渉したけれども恩給局の方がこれに反対である、こういうことで行き詰まっておるという回答があったわけでありますが、それに対して恩給局の方はどういう観点から反対をせられるかということを御説明願いたいと思います。
  24. 畠山一郎

    畠山説明員 郵政省から逓信手通信手等の問題につきまして、たびたびお話しのあったことは事実でございます。最初はたしか二十四、五年ごろからだったと聞いておりますが、その後もたびたびお話がありました。恩給局といたしましては、反対と申せはあるいは反対ととれるかもしれませんが、だめであるからといって、問題をそこで結了にしたということでは、ございません。いろいろむずかしい問題がございますので、なお保留させていただいているということでございます。  その理由と申しますのは、まず第一に恩給法と申しますのは、現在もやはり旧官吏制度建前の上に立ってできておりまして、現在の公務員制度の上から見ますと割り切れない個所、問題がいろいろございまして、めんどうな点が起って参るわけでございます。逓信手通信手と申しますのは、判任官待遇を受けていたということでございますが、判任官待遇を受けていた者、あるいは奏任官待遇を受けていた者というような、待遇を受けていた者につきましては、原則として恩給法適用されておりません。従前適用されておりませんでしたものにつきまして、最近になって新しく過去のものにさかのぼって恩給法対象にするということは、やはり事務的にはいろいろ割り切れない面ができて参りますので、今のところ研究させていたたいておるというような実情でございます。
  25. 森本靖

    森本委員 それではちょっとお聞きいたしますが、これと同じような形式になっておる特定郵便局長昭和二十三年以前の勤続年数が半分でございましたか、通算になっているのです。たしかこれは附則でそういうことになったような気がいたしておりますが、これとこの逓信手通信手との関連はどういう工合でしょう。
  26. 畠山一郎

    畠山説明員 特定郵便局長従前から制限的にではございますが、恩給法適用を受けておりました、ただ年限による恩給は受けることができなかったというだけでございます。年限による恩給と申しますのは、たとえば三年勤めたから一時恩給をもらうとか、あるいは十七年勤めたから普通恩給をもらうという意味での恩給はもらえなかったわけでございますが、公務傷病による恩給はあればもらえたわけでございます。なぜそういう取扱いをしたかと申しますと、恩給法適用者はその当時の恩給法言葉を使いますと、官にある者に対して適用されることになっております。従前特定郵便局長は官にある者ではありましたけれども、その任用、あるいは身分、給与の特殊性から申しまして、一般の普通の官にある者とは違う扱いをしていた、そういうことで恩給法上では準文官という言葉を使っておりましたか、準文官としての扱いがなされていたわけでございます。ところが昭和二十三年の一月になりまして、強制的にと申しますか、法律的に身分が切りかえになりましたので、そういう措置をとったわけでございます。従前特定郵便局長恩給法と全然縁もゆかりもなかったにかかわらず、あとになってそういう措置をしたというわけではございません。
  27. 森本靖

    森本委員 その傷病恩給ということは私今聞いたわけですが、一般の普通の文官恩給という形における恩給は、特定郵便局長としては昭和二十三年以前にはなかったのでございましょうか。
  28. 畠山一郎

    畠山説明員 お説の通りでございます。
  29. 森本靖

    森本委員 そうすると、その身分は単に判任官ということでございましたが、恩給納付金も納めておらない、こういうことですね。
  30. 畠山一郎

    畠山説明員 その通りでございます。
  31. 森本靖

    森本委員 そういうことになると、身分はなるほど片一方判任官待遇である、片一方は一応判任官であるけれども恩給法上の恩給受給権者ではなくして、恩給納付金も納めておらない、しかもこれが同一の局舎内におる人間である、こういうことになった場合に、片一方恩給納付金を一時に払い込んで通算をせられる、片一方はそのままにしておかれるということについては、だれが考えてもどうしても不合理であるというふうに考えられるわけてす、先ほど恩給局の方としては検討しておるということでありましたが、その検討ということはそういう判定郵便局長と同じような形において通算をするという方面に研究をしておる、こういうことですか。
  32. 畠山一郎

    畠山説明員 私としては、公務員恩給法適用に関しましては、できるだけ公務員の有利になるように取り計らいたいという考え方で、いろいろの問題を検討をいたしております。しかしやはり恩給法には恩給法建前と申しますか、筋というようなものがございまして、根本的に現在の恩給制度恩給法を変えない限りは、事務的に一時的な修正でできないような問題もやはりあるわけでございます。今お話しのございましたように、実質的にはあるいは同じものであるという考え方もできるかもわかりませんが、先ほど申し上げましたように、旧官吏制度の上に恩給法は乗っておりまして、いわば形式的に恩給法適用者と非適用者と押えておるわけであります。そういう建前に立っております以上は、やはり官にある者以外の者につきまして恩給法を延ばしていくということにつきましては、他にもいろいろ関連の問題が生じますので、その問題も一々関連を考えながら処理していかなければなりませんし、また逓信手通信手等につきましては、共済組合長期給付対象になっていたと聞いておりますが、そういったものとの関連を考えなければならないと思いますし、事務的にはちょっと踏み切れないような状態にあるのであります。今申し上げましたように現行恩給法建前につきましては、いろいろ批判もあることでありまして、一昨年出ました人事院の退職年金制度の勧告におきましても、いわば雇員期間通算するような措置をとっておられるようでございます。それは現在内閣に設置せられました公務員制度調査会におきましていろいろ検討されておるところでございまして、恩給局長もその幹事としてある程度参画いたしておるわけでございますけれども、結論といたしまして、かりに雇員期間も全部新退職年金法適用を受けられるということになれば、問題は根本的に解決してしまうわけでありますが、そういうような根本の建前を変えないで、現行恩給法建前で進む限りは、事務的にはなかなか踏み切りがむずかしい状態であります。
  33. 森本靖

    森本委員 新退職年金法ができれば、これは問題ないわけであります。この問題はおそらく内閣委員会の問題でしょうから、私はここで触れたくありませんが、ここで言っておるのは、そういう新しい退職年金法ができ上るまでの問題としての、この逓信手通信手の問題を私は申し上げておるのであって、かりに他に関連があるので、この問題はむずかしいということだとすれば、その他に連関があるという問題はどういうところですか。
  34. 畠山一郎

    畠山説明員 たとえば鉄道手、それから外地関係には、旧外地関係でありますが、台湾総督府にも交通手というのがございましたし、やはり同じ鉄道、手というものでございますが、たしか朝鮮にも同じような名前のものがあったと思います。比較的現業的な仕事をやっておるようなところの雇員であって、判任官待遇を受ける者と申しますか、そういった待遇の官吏が比較的大ぜいいたように覚えています。
  35. 森本靖

    森本委員 その鉄道手あるいは交通手というようなものは、全部合わせてどのくらいの人数になりますか。
  36. 畠山一郎

    畠山説明員 その人数につきましては私どもの方では資料を持っておりません。
  37. 森本靖

    森本委員 その他の問題と関連があるのでなかなかむずかしいということでございましたが、もしそういう理由であるならば、その他の関連のあるものについても、これはどのくらいの人数になる、これをもし通算をするとどのくらいの経費がかかる、そういうような問題を横討した後において、むずかしいならむずかしい、あるいはいくならいく、そういうふうに、もう少し恩給局の方が積極的にこの問題を研究すべきじゃないかと思うのですが、その点はどうですか。  それからもう一点。共済の長期給付対象になっておるというお話でございましたが、これは現在の公務員の中における事務員であってもそれと同じ格好になると思うのです。これがやはり任官をした場合には、そういう形と同じような格好になると思う。だから、これが長期給付に入っておったから、この恩給がどうこうという問題は私はないのではないかと思うのですが、その点の御見解をお聞きしたいと思います。
  38. 畠山一郎

    畠山説明員 第二の問題に最初にお答えをいたします。雇員が任官した場合というお話でございますが、雇員が任官いたしましても、雇員時代の共済組合長期給付対象であった時代は、恩給法の計算には入らないのではないかと思いますが、お尋ねは、雇員であって任官した人が本人の希望によって、さらに長期給付対象なり得るというような場合じゃないかと思います。この場合につきましては、その分の共済掛金を別に納めることになっていたと思いますし、また国庫負担分はその場合にはなかったのじゃないかと思っております。従いまして交、逓、鉄の共洛組合員の問題につきましては、ちょっと今の場合と例が違うのじゃないかというふうに考えておるのでございます。  それから最初の問題につきましては、仰せの通り、もう少し突っ込んで研究しなければならないところでございますので、十分に私の方の上司にも伝えまして、なお検討いたしたいと思います。
  39. 森本靖

    森本委員 それではこの問題だけで時間をかけてもなんですが、こういう問題については、近き将来においてやはりもう少し具体的に内容を検討していただきたい。なお、たとえば交通手、鉄道手というものがあればそういうところの官庁の力ともよく打ち合せをして、できる限りこういうものを救済していく、そういう方法をおとりになるという考え方のもとにこれをさらに検討してみる、そういり考え方はないわけですが。
  40. 畠山一郎

    畠山説明員 御意見の通り考え方で進めたいと思っております。ただ先ほど申し上げました通り、他にも類似のものがあるというだけの理由ではございませんで、現行恩給法建前からいたしまして、いろいろむずかしい点があるのではないかということもございます。従いまして現実の問題、すなわちどういう職務内容のものであったか、どういう勤務態様のものであったか、あるいは何人くらいいたかという以外に、やはり恩給法建前と申しますか、筋と申しますか、そういったものにつきまして一応解きほぐした上で解決いたしませんと、やはり現実の資料に当るということにはならないのじゃないかと考えてあります。その点につきましては先ほど申し上げましたように、なお十分研究を進めたいと考えております。
  41. 森本靖

    森本委員 これは局長が来られぬので、課長さんにこういうことを聞いてもなんですが、しかしそういうふうなものを極力通算ができるというふうな解釈ができるまで検討して、そういうことでよろしいということであればそういう方向に幸い行きたい。しかしそれまでにそういう方向に行くような形の検討を十分ししてみよう、こういうことですね。
  42. 畠山一郎

    畠山説明員 お説の通りでございます。
  43. 森本靖

    森本委員 次にちょっとお聞きしたい。公社の全電通の労働組合でありますが、全電通労働組合の機関紙「全電通」の第二百九十四号に、論説として「機構改革に直言す、充分なる意見具申の採用と納得を」ということで、予想される機構改革についてかなり詳細にニュースが載っております。寡聞にして私はまだこういうことを全然聞いておりませんが、もしこの内容について総裁の方でわかっておれは、御説明を願いたいと思います。
  44. 梶井剛

    ○梶井説明員 森本委員にちょっとお願いしたいのですが、それを拝見できませんか。——ここに書いてあります「予想される機構改革」という問題につきましては、ある程度こういう考えを持って研究を進めております。しかしまだ結論を得ているわけではありません。
  45. 森本靖

    森本委員 それではこういうことを現在内部において検討しておるということであって、まだ総裁の耳にははっきりとこういうようにやるというようには下の方から言ってきていない、こういうことですか。
  46. 梶井剛

    ○梶井説明員 もちろんその考えにつきましては、私も承知しております。ただ具体的にこまかい細目について、目下検討しておるというわけであります。
  47. 森本靖

    森本委員 この中にはちょっと重要な点があるのです。たとえば「現状はただ単なるデスク・プランの取り合い、主導権争いに終始しているという。さらにそれが電通の従来よりの派閥争い(業務対施設)に油をそそぎ、局長のポストをいずれのグループが握るかで課長の構成まで変るという。」そういうことでなかなか動揺しているというふうな記事があるわけですが、こういう記事は事実ですか。
  48. 梶井剛

    ○梶井説明員 そういうことはないと思います。
  49. 森本靖

    森本委員 それでは、こういう内容は全然ないというふうに総裁はおっしゃられるわけですか。
  50. 梶井剛

    ○梶井説明員 ただいまお話しのように、局課の権限の争いである、あるいは局長のポストをどっちが取るか、また派閥的闘争があるかということについては、私はないと信じております。
  51. 森本靖

    森本委員 まさか労働組合もそううそを書くとは思わぬですが、もし全然ないそういう事実無根のことを機関紙が書いておるということであれば、総裁の方から、全電通なら全電通の方に、うそを書いてはけしからぬではないか、こういうことを書いてはいかぬじゃないか、こういうことで抗議でも申し込むような御方針がありますか。もしこれがうそであるとすれば、これは公社に対する侮辱であろうと思うのです。事実であればこれはやむを得ぬと思うのです。
  52. 梶井剛

    ○梶井説明員 公社の職員は十六万人おりますので、大勢の中にはそういううわさを立てる人もおろうと思います。従ってその記事はうわさから出たのだろうと私は想像します。事実はない、こう申しておるわけであります。従って一々そういうことに対してわれわれが神経をとがらして、取り消しを要求したり、あるいは文句を言ったりする必要もないじゃないかと思います。
  53. 森本靖

    森本委員 そうすると、労働組合が少々妙なことを言ったり、あるいはまた労働組合が正当なことを言っても大して問題にならぬ、自分たちは自分の考え方でやって行ったらよい、そういうことで、こんなものは問題にならぬ、鎧袖一触ということですか。
  54. 梶井剛

    ○梶井説明員 毛頭そういう考えでありません。われわれは、労働組合に対しては非常な関心を持ち、また重要視しております。従って労働組合の人々が公社の大部分の人々でありますから、協力を得なければ仕事は円滑にいかないということを感じております。ただそういう新聞記事などには往々にしてうわさが上りますと書かれたりしやすいものであります。従ってその記事を書いた人も、多分うわさを真に受けて出かれたのであって、従って私は自分の自から見ましてはそういう事実はない、こう申し上げておるわけであります。
  55. 森本靖

    森本委員 そういう正式の総裁回答回答として、私の聞いた範囲においても単なるりわさということでなしに、いろいろの意見もあるようであります。だから私としては、この問題についてはさらに研究をいたします。後日日を改めまして、この問題になっておる機構改革については御質問をいたしたいと思いますので、その際にあらためて十分なる御回答を願いたいと思います。それではこの問題については私は打ち切ります。
  56. 松前重義

    松前委員長 井手以誠君。
  57. 井手以誠

    ○井手委員 公社のことについて若干お掛ねをいたしたいのであります。あるいはさきの委員会質問があったかもしれません。また去る電話料値上げの際にいろいろ論議がありましたことにつきまして、あらためてお尋ねしたいと思います。  その前にお伺いしたいと思うのですが、総裁ではなくてほかの方でけっこうでございますが、五カ年計画による建設資金は幾らであるか、また現在公社の資産は幾らであるか、その点をお尋ねいたします。
  58. 靭勉

    ○靭説明員 料金値上げの際に確定しました五カ年計画におきまする建設資金の総額は、二十七百七十二億ということで概計いたしたのでございますが、二十八年度におきましては大体四百八十一億、二十九年度におきましては六百十億という予定でありましたが、これが五百三億、三十年度におきましては五百七十九億と五カ年計画設定の際概計しておりましたが、五百十三億、こういう形になっておりまして、なお二十九年度の五百三億は、予算としては五百三十一億でございましたが、約十一億駐留軍関係のものが加わりまして、決算的には大体五百十四億になるものと考えております。それから公社におきましては資産の再評価をいたしまして、現在の資産総額は四千七百億余りということになっております。
  59. 井手以誠

    ○井手委員 五カ年計画の建設総額が二千七百七十二億、四、十七百億の現在の資金に対して建設資金がこれほど膨大な金額に上るのであります。当然これは企業資金と見なくてはならぬと思うのであります。創業時代と考えなくてはならぬのであります。この点についてどのように公社ではお考えになっておるか。
  60. 靭勉

    ○靭説明員 ただいま仰せの通りでございまして、過去、電信におきましては八十年間、電話におきまして七十年間の経過をたどりまして、ただいま申したような大体五千億に近い資産ということになっておりますが、特に電話に対しまする国民の要望というものは非常に熾烈でございまして、苦から軍話につきましては権利金がつく、需要に対して供給が十分できないという電話の歴史を持っておる次第でございますが、現在におきまして相当の負担金あるいは社債等の引き受けを願っておりますが、大体年々、五カ年計画が始まりまして電話の加入数としましては、十八万から二十万程度をつけて参っておりますが、なお毎年三十万、四十万という需要がそのまま残る。結局当該年度の需要に対しましては三〇%以下しか充足できないということになっておりますので、まさに御説の通り、今後建設資金を相当投下いたしまして、ある程度常態になりまして自然増だけを解決していくというような事態に立っておりませんで、非常に多くの整備拡充資金を要する、こういう時代になっておる次第であります。
  61. 井手以誠

    ○井手委員 ただいま御説明になりましたように、公社は創業時代にもひとしいものであると思うのであります。そこで総裁大臣にもお尋ねいたしたいと思うのですが、一般の経営では、建設資金はほかから仰いで、その利子やあるいは減価償却は経営的収入と見なければなりませんが、建設資金は、その企業内の収入からまかなうべきものではないと私は考えておるのであります。この点については、電話料値上げの際にも論議されたと存じておりますが、今度の予算によりましても七十九億円という膨大なる金額を建設資金の方に回している。これはおもしろくないやり方と思うのであります。もちろん公社もさようにお考えではありましょうけれども、現実には七十九億円という膨大な金額が建設資金に注がれておる。この点についての御所見を承わり、あらためてまたお伺いしたいと思います。これは総裁並びに大臣からお考えを承わりたいと思います。
  62. 梶井剛

    ○梶井説明員 一般の事業、たとえば民間の事業等におきましては、ただいまお話し通りに、事業の拡張をする場合においては、払込金を徴収することによって拡充がされて参るのが原則であります。しかし電信電話事業は、多年官営で運営されておりまして、当初は政府が公債を発行して拡張資金をまかなった時代もあるのでありますけれども、国家の財政上多額の資金を政府から投資することができない事情にだんだんなって参りまして、過去におきましても、加入者に負担金を出してもらいまして建設した例が、かなり長い間続いておるのであります。しかしかような多額な負州金を徴収するということは、比較的富める人のみに電話を普及することはできまするけれども一般の人にはそれができないという状態にあるのであります。従って現在建設資金というものは、外部から募集するところの社債に重点は置いておりまするけれども、それだけではとうてい今日における世間の熾烈な要望に対して拡充ができませんので、やむを得ず収支の差額から拡充資金をまかなっておる次第であります。公社は一般の民間事業と違いまして、過去における投資に対して配当をするわけではありません。また一般に税金が課税されません。そういうわけでありますから、事実におきましては料金というものは、純民間企業として経営されている場合に比較いたしまして、かなり低廉な状態になっておるのであります。でありますから、収支の差額によって拡充をやるとは申しながら、それがために料金を非常に過当に課して、一般加入者に御迷惑をかけておるというわけではないのでありまして、むしろわれわれとしましては事業を合理的に、経済的に経営することによって、今後とも収支の差額をできるだけ出して、そうしてそれを拡充に持っていきたい、こういう考えであります。
  63. 井手以誠

    ○井手委員 加入者の負担金のことについては、もちろん私も意見を持っておりますが、今お尋ねしておりますることは、おっしゃっておる差額金をもって建設をする、収入の利益をもって建設資金に回す、このことの是非でございます。  そこでお尋ねいたしますが、労働組合の力からは多くの要求があるにもかかわらず、なかなかその要求がいれられない、それにもかかわらず建設資金に七十九億円も回す余裕がほんとうにあるのかどうか、その点をお尋ねいたしたいと思います。ほんとうにそれが余裕金であるか、利益金であるか、建設費場金として回すだけの性格を持ったものであるかどうか、その点をお尋ねいたします。
  64. 梶井剛

    ○梶井説明員 もちろん予算編成の際におきましては、われわれとしましては拡充の予算ばかりではなく、収支経常の予算も国会に提出しておるわけであります。その経営の予算におきましては、大別いたしまして給与総額という人件費とその他の物件費、あるいはいろいろの経費に分れておりまして、給与総額そのものにつきましては、他から給与総額に流用することはできないのであります。従ってわれわれが物品その他について節約いたしましても、その残額を給与総額の方へ特っていくことはできない。給与総額というものは予算編成の際にあらかじめ政府の承認を得て、そうして、それを国会に提出しておるのでありますから、給与総額の範囲内においてのみ従業員のすべての給与を支弁するという以外に、われわれは方法はないのであります。その範囲内においてやっておりますから、現在の収支の差額というものは、これは直ちに給与に関係を及ぼすものではない、こういうことを申し上げます。
  65. 井手以誠

    ○井手委員 給与総額の点については私も大体承知をいたしております。それではかりに給与総額は別に考えるといたしましても、それ以外には特に必要なる経費はなくて、やはり七十九億円は利益として建設資金に回すものであるかどうか、この点を念のためにお尋ねいたしておきます、給与問題は別にいたしまして、給与問題以外に内部で要る金についてはもう使うものはなくて、七十九億円はあげて建設資金に回せるものであるかどうか、その点を電ねてお尋ねいたします。
  66. 梶井剛

    ○梶井説明員 今のお話し通りに七十九億というものは、収支の差額として建設資金に回し得るものであります。
  67. 井手以誠

    ○井手委員 大臣お尋ねいたします。大臣も御承知のように起業時代にある公社の経営において、本年は七十九という莫大な金を一般勘定から建設勘定の方に回されておるのであります。給与総額についてはわれわれが考えておりますことはいろいろございますが、大臣は給与総額はあれでよろしい、あれで押えて、残った差額金の七十九億円は、建設資金に回して差しつかえないとお考えになっておるかどうか。また公社経営の公共事業の立場から、建設資金はあくまでも外部の資金、公債その他をもって充てるべきである。先刻も申しましたように、建設時代においては一般の経費は利子と減価償却程度にとどめるべきである、建建設資金は一般の経営の収入からは出すべきものでないというお考えをお持ちになっておるかどうか、その点をお尋ねいたしたいと思います。
  68. 松田竹千代

    ○松田国務大臣 電話というものに対する要請が激しく、また公社としての仕事を始めてまだ聞もないという時期において、この一般の熾列な需要を満たすためには、その資金を主として外部に仰いでいくのでなければ、急速なる発展をして、一般国民の需要を満たすところまでなかなか行き得ないということは考えております。しかし今日の場合、今申し上げるように多額な外部資金を獲得するということは困難なことでありますので、公社としては今総裁からお答えになりましたような経営の方針でいくということもやむを得ないと考えております。
  69. 井手以誠

    ○井手委員 いかに電話の需要が多いといたしましても、経営費から建設資金の方に無理して回す必要は私はないと考えます。やはり努力によって外部の資金を導入していくことが正しい道だと思うのです。  それでは大臣は、労働組合あたりから強く要求されておる待遇などの問題、給与総額について、現在で十分であるとお考えになっておるかどうか、その点をお尋ねいたします。
  70. 松田竹千代

    ○松田国務大臣 給与の点につきましては、現在の給与は十分であるとは考えているわけではございません。しかし現在の情勢下、企業体として、公社としてどこから考えられても十分であるというだけのものを支給し得ない事情にあるのではないかと思います。
  71. 井手以誠

    ○井手委員 だたいまも申しましたように、いかに施設拡充の需要があるからといって、ただいま大臣が給与については十分でないとおっしゃったほどは内部の要望を押え、切り詰めてまで、公社の経営を現在のような行き方にしなければならないかどうか。大臣としてもっと努力をされ——もちろん努力はされておりましょうけれども、民間会社においては、株式の増資といったことで事業の拡張をやって、拡大生産をはかられておる。まして公共事業でありますならば、一般の勘定から建設資金に回してまでしなくてはならないというものではないと思うのであります。公共事業でありますならば、政府がもっと力を入れるべきであって、そのために内部の経費が圧縮されるということは邪道であると私は考える。給与においては満足ではないとおっしゃいましたが、現在の給与総額で何とかやっていける、従業員に不満なく能率が上げられるという御確信がおありでございますか。
  72. 松田竹千代

    ○松田国務大臣 満足なる給与というのは、そもそもなかなかむずかしいことであって、幾ばくが満足である、不満足であるか、その線を完全に引くことは非常にむずかしいことであると思います。この電話の問題につきましては、こういう話を申し上げるのもどうかと思いますが、私は四十数年前ニューヨークで、ベル・システムに電話をかけて電話の架設を頼んだら、翌日電話ができて、五ドル払ったらそれでおしまいということをまざまざと覚えておる。日本に帰ってきてから四十年、この四十年の間日本の電話事業の遅々たる状況を見て、全く慨嘆にたえないと私は考えております、こういうことでどうなるか、こういうふうに私は考えておるわけなんです。しかも政府みずからこの仕事をやっておった時代があった。また国有民営論の盛んであった時代があった、今日は公社の形態をとって、パブリック・コーポレーションとしてこの仕事をやっておる。しこうして資金か乏しいながらも、相当国民の要請にこたえているのであるけれども、電話の熾烈な要請に対しては、幾年たてばこれを満たし得るかということは全く見当つかないような今日の、状況において、いかにすればこれを十分に、国民の要請にこたえるだけのものに持っていけるかということを常に考えておるような次第でございまして、現在の公社の状態においては、総裁から答えられたような行き方でやるよりほか仕方がないのじゃないかと思います。
  73. 井手以誠

    ○井手委員 ただいま大臣から豊富な御体験と高い識見を承わったのでありますが、もちろん日本の現状がおくれておることは、歴代政府の施策が悪かったこと、日本の経済が弱いこと、そういったことに原因があろうと思いますが、しかしそれにしても、それほど強く大臣が電話の普及を痛感なさっておりますならば、建設勘定は建設勘定で、出血までして一般会計から建設勘定に回さなければならぬというような、こそくなやり方ではなくして、うんと公債を発行させるとか、あるいは政府からうんと出資させるとか、そういったところに向うことこそが、私はただいま大臣の申された言葉に沿う行き方ではないかと思うのであります。先刻も総裁がおっしゃったように、創業時代は企業費は公債でやるべきであるという建前はやはりくずしてはならぬと私は思うのです。民間の経営ですら、ただいま申しますように、増資によって、建設をやる。まして公共事業でありますならば、はっきりした線を持って、職を賭してまで建設は建設、こういったことで電話の大拡張をやるべきではないかと思うのです。その決意をあらためて承わりたいと存じます。
  74. 松田竹千代

    ○松田国務大臣 わが国の通信事業というものは、まずもって経済開発に先行していかなければならぬ、これが最も大事であり、ここ最重点を置いていきたいという考え方でおるのであります。しかしながら、日本の国においては、こうしたものはいずれも同じような状態に足踏みをしており、そこで多くの国民一般、また政治に関係しておる人々、大蔵省の人々、みなそういうところに最重点を置くということが一番必要であるというふうに、まず持っていかなければならぬと思う。従って私はこういう方面に対しては用意をして、そういう傾向に持っていって、そうして外部資金を獲得する下地工作としてやっていきたい、かように今考えております。
  75. 井手以誠

    ○井手委員 あなたがそのように電話事業について御熱意がありますならが、私の先刻来申し上げておりますような方法によって、ただ積極的に大蔵省の方にどうのこうのいうだけではなくて、ほんとうに解決するのには、公債をうんと発行して、需要に見合うだけの設備をどんとんやっていくよう、先刻五ドルやったら設備がすぐできたというようなことを申されましたが、そういうようなことができるように努力してもらいたいと思います。  それで総裁お尋ねしておきますが、先刻私が申しましたように、現在の経営収入をもって建設資金に回すということが悪いならば、正しい経営の方向にあなたは努力される決意がございますか。この電信電話事業運営の責任者として、総裁はもっとはっきりした見解のもとに運営されることが、正しい行き方ではないかと存じますので、決心を承わりたいと存じます。
  76. 梶井剛

    ○梶井説明員 電話事業も、公共事業として考えてみます場合には、もちろんただいまお話し通り、建設資金はいわゆる投資でなければならぬ。従ってこれが政府事業である限りは、財産のふえていくたけは全部投資によってやらなければならないというふうに考えております。現在の社債にいたしましても、これは一時借り入れておるのであります。期限がくれば返さなければならぬ、その返す金を一体どうするかということが、われわれとしては常に頭から離れないのであります。そういうわけでありますから、経済の原則からいえば、当然事業財産の拡充というものは、それだけが自己の投資によってふえていくのでなければ、非常に不健全になっていく。償還するときには一体何の資金をもって、返すかということに逢着してしまうのであります。でありますから、機会あるごとにわれわれはその原則に戻ることをたびたびお話をしておるのでありますけれども、現在の国家の財政状況は非常に困難な事情にあるのでありまして、決してわれわれが今やっておる方法が、経済の原則から見て正しいとは考えておりません。しかし終戦後における経済の再建ということが先決問題でありますために、一応わが国の現状をしのいで、将来においてなるべく経済の原則に従った経営の方法に持っていきたいという考えを持っております。
  77. 井手以誠

    ○井手委員 私ともの見るところ聞くところでは、内部の給与問題その他についてはきわめて、不十分のようであります。この不十分なものに対して、七十九億円も建設勘定に回していくということは、私はおもしろくない、不当であると考えております。また今総裁もいろいろ御所見をお述べになりましたが、経済の原則、公共事業の見地に立って運営をされますように希望しておく次第であります。  そこで総裁以外でもけっこうですが、今度の予算の中に定期昇給はどのように組まれておりますか。昨年はどのくらいであって、ことしの予算はどうなっておるか、将来の見通しはどうか。その点もあわせてお尋ねをいたします。
  78. 靭勉

    ○靭説明員 昇給の原資の問題についてお尋ねと存じますが、これは給与総額の中に、あるいは基準賃金その他超過勤務手当、いろいろな中にこういう原資というものが分散して入っておるわけでありまして、大体公務員あるいは他の公社と同様に、前年は五%見込まれたと思いますが、本年は四・五%という形になっております。ただこれの基準の取り方でございますが、着手計算の仕方はありますが、一般的な予算の給与体系を出す場合におきまする基準というものはそういうもので、公務員その他各種の職員と同じようになっている次第であります。
  79. 井手以誠

    ○井手委員 昨年は五%で本年は四・五%、実際問題として定期昇給に支障はないとおっしゃいますか。
  80. 靭勉

    ○靭説明員 昨年度におきまして、私ども公社としまして給与体系を少し変えまして、職種別に新たな給与体系を作りました。それによりましても大体今回の予算の成立で、給与総額内におきまして、所定の昇給ができる、こういう見込みになっております。
  81. 井手以誠

    ○井手委員 私ども調査したところと今の御答弁とはいささか違うようでありますが、これは私の力でもなお調査の上であらためてお尋ねいたしたいと存じます。  それからいつも委員会でいわれることでございますが、手当が公社は一般公務員よりも少く組んであるようであります。実際ことしはどういうふうに手当を出され、年末手当を出されるお見込みであるのか。現在の予算に計上した金額、あるいは実際どういうふうな手当をやろうと考えておられるのか。ほんとうを申しますならば、当初予算公務員と同じような額を計上すべきではないかと思いますので、そういう意味からお尋ねをいたします。
  82. 靭勉

    ○靭説明員 予算に明らかなように、公務員と公社あるいは五現業と申しますか、そこに差がありまして、公務員は年間ニヵ月ということになっておりますが、公社員は一・七五ヵ月、こういうことになっております。これの差につきましては、私どもも在来監督官庁、政府機関に対しまして、公務員と同じような額を予算に計上されることを希望したのでありますが、現在においてはなお解決を見ておりません。三十年度予算におきましては、そういう〇・二五ヵ月の差になっておりますので、特別給与としましては一・七五を夏季並びに年末に出すということになっておるわけであります。たたし公社におきましては若干の——業績賞与と申していいと思いますが、予算総則に、相当収入があった場合にはこれは特別給与に回せるというような、いわゆる業績賞与、給与に対する弾力条項と申しますか、そういうものがございますので、成績がいい場合におきましては、一・七五に限定されないで、あるいは二ヵ月、あるいはニヵ月以上出すことも可能であるように、予算総則は定められておるわけであります。そこで公務員と同株に二ヶ月ということにした場合に、公社はこの弾力条項を捨てるかというような反問もあったわけでございまして、私どもとしましては、できるだけ成績を上げまして収入の増加がありました場合には、やはり職員の勤労に対して報いるのは当然であり、全く公務員と同様に二カ月の特別給与だけに押えられるということは、公社の形になりました場合に、給与をさらにそういうように業績賞与の観念も入れていきたいという見地から、私どもはあくまで業績賞与は残しておきたいという考えで、三十年度におきましても現在予算にありますように、そういう差がありますが、何とか私どもの努力によりまして一・七五をさらに上に持っていくという努力をいたしたい、こういう考えに立っておるわけでございます。
  83. 井手以誠

    ○井手委員 公社当局としては、国家公務員並みにいたしたいけれども、大蔵省の方で押えてやむを得ず〇・二五の差をつけておる、しかし実際には業績賞与などの名目において国家公務員と変らない、あるいはそれ以上のものにしたい、こういうお考えでございますが、念のために重ねてお尋ねいたします。
  84. 靭勉

    ○靭説明員 ただいまおっしゃる通りでございます。ただ一・七五と二カ月との差というものにつきましては、これは議論の対立するところでございまして、私ども全くニヵ月を特別給与として予算に織り込まれた場合におきまして、業績賞与の方を全然捨てるかという、どっちを選択的にとるかと申しますと、やはり公社経営の特殊性から見ますれば、業績賞与制度というものは存置するのがいいという考えに立ちまして、現在のような予算に私どもは処置いたしておる次第であります。
  85. 井手以誠

    ○井手委員 公社の性格から業績賞与を残しておいた方がいい、うま味があると申しますが、そういう意味のような御答弁でございましたが、そうすると、もっと多く支給するためにも、国家公務員よりも多く支給するためにも、業績賞与として置いておいた方がいい、かように私は受け取ったのであります。少くとも実際問題としては国家公務員よりも下回らない、上回るべきものだ、かように当局はお考えになり、また労働組品などの要求を待たずおやりになるという御意思があるかどうか、その点を重ねてお尋ねいたします。
  86. 靭勉

    ○靭説明員 私ども、非常に職員の努力によりまして成績が上った場合には、画一的な、あるいは一・七五ということに限定されない、あるいは比較される公務員の一ヵ月というものに限定されないで、それに対応した給与をいたしたい、こういう考えでありまして、従いましてできれば、これは努力のいかんにもよりますが、私ども考え方としましては、非常によく職員はやっていただいていると考えておりますので、公務員より下るような給与を今出すという考えは持っておりませんが、さらにできますれば     〔委員長退席、井手委員長代理着席〕 その実績に応じまして公務員を上回るということも、公社の性格といたしましては当然そういうものであるというふうに考えております。
  87. 森本靖

    森本委員 ちょっと簡単に一つだけお聞きしたいのですが、きのうの委員会会で簡保資金の方の原資はそのままでそのままであるということでございましたが、郵便貯金の力の原資はこれもやはりそのままですか。
  88. 中村俊一

    中村説明員 郵便貯金の原資とおっしゃいますのは、目標ということでございますか。——変りありません。
  89. 松前重義

    松前委員 ちょっとお伺いいたしますが、郵政省における昨年の定員の要求をだいぶ削られましたが、その減員された実情、伺いたいと思います。それから本年の要求と実質的に獲得された増員の模様、この資料がありましたら簡単に御説明願いたいのです、もしわからなかったらあとからでもけっこうです。
  90. 宮本武夫

    ○宮本説明員 お答え申します。正確な数字は今持ち合せておりませんから、あとでまた申し上げることにいたしたいと思いますが、大体のことを申し上げますると、昨年度におきましては、御承知通り定員法の改正によります減員がございました。郵政省としまして約六千六百名と記憶しておりますが、減員がありました。しかし一方いわゆる業務増と申しますか、仕事がふえた分に対応いたします増資が大体三千十八百名ばかりとれました。増員の要求につきましては、私今手元に資料がございませんからあとで申し上げたいと思います。それから本年度におきましては、今度提案しております、予算の内容によりますと、郵政事業といたしまして、二千八百九十名と記憶しておりますが、これだけの実質的な増員がとれております。
  91. 松前重義

    松前委員 要求はどうなんですか。
  92. 宮本武夫

    ○宮本説明員 主計課長より説明いたさせます。
  93. 長田裕二

    ○長田説明員 要求は、内輪の数字でございますが八千七百人程度でございます。
  94. 松前重義

    松前委員 昨年の定員法の改正のときに私どもが非常に心配したのは、郵便におけるサービスの低下を来たすのではないか。あまり機械化されていない郵便事業に対しまして、非常に大幅な削減をいたしましたために、非常に個人当りの負担が重くなった。言いかえると労働過重になっているということは、見のがすことのできない再実であります。本年は大体八千名程度の要求をされて、二千八百名程度を実際上獲得しておられる。こういうような現状でありまするので、とにかく満足な事業の運営はできないと見なければならない、こう思うのです。それを満足に運営するためには、相当な過重が個人当りにかかってくると思われるのであります。こういう現状から見まして、ただいま問題になっておりまするようなああいう夏季手当の問題、あるいは年末の昇給の問題もありまするが、とにかく従業員の過重された労働に対して考えてみましても、これは当然大臣総裁におかれては、彼らの要求にはこたえらるべきであると私は強く感じておるのであります。この点に対しまして、ただいまいろいろ問題も起こっておりますが、どういう御見解をお持ちでありますか、お伺いいたします。
  95. 松田竹千代

    ○松田国務大臣 お話し通り今年はやはり千百億の目標を郵便貯金に対して持っているような次第でありまして、これか達成は重大なことと考えております建前から、どうしてもこれは達成したい、しかも銀行預金も免税になるというよリなことが、あるいは郵便貯金の方に影響するのではないかということも心配されて、その結果窓口がより忙しくなって、お話しのような旭労に陥る面か出てきはしないかということも考えている次第でございまして、これらの点から考えまして、何とかして夏季手当の問題などにつきましても、従業員組合の要請されておることに対して、せっかく今努力してその要求を満たしたいと考えておる次第であります。
  96. 松前重義

    松前委員 大臣の御答弁は、現在の待遇に関しまして非常に同情的な御答弁でありましたが、その点に対しましては具体的にその実を上げていただくようにお願いしたいと思います。  次にお伺いいたしたいと思いますのは、せんだってから問題になっております、予算委員会でも同僚議員にいろいろ質問してもらったのでありますが、今度は資金運用部のいわゆる金融債引き受けをやめて、百四十三億を民間資金に仰ぎ、そのほかに資金運用部から国鉄への貸付の問題で、四十五億、だけを国鉄の社債に仰いでおる。こういうことでありまして、両方合せてみても百八十七億、これにまた二十九億というようなものが加っておりますので、民間に非常にロードがかかっておると認めざるを得ない。これは予算委員会やその他の機会において、政府の今度の組みかえに対して非常に大きな問題として取り上げられ、政府においてもこれらの消化に対しては、運輸大臣は明確に消化の自信がないということを言っております。また大蔵大臣は、一つ何とかしたいというような、抽象的な自分の努力の心組みだけを言っておられるのでありまして、経済は個人の心組みだけで動くものでは絶対にないのであります。これに対しまして郵政大臣立場から、将来閣議等を通じまして大蔵省に対し、あるいはまた政府全体の政治的な責任として、どういうふうな見通しを持っておられるか。すなわち七十五億の社債か消化し得るとお考えになっておられるかどうか。予算は一応衆議院を通過いたしましたけれども、この点を伺っておきたいと思います。
  97. 松田竹千代

    ○松田国務大臣 お話しのように七十五億の社債が完全に消化するやいなや、お話しのような事情でございまして、必ずしも心配なしとは言えないかもしれません。しかし昨年未消化に終った経験と申しますか、そうした事実に基いて、今回は事前におきましても相当大蔵当局にもその点を強く要請しまして、いよいよ未消化を残すおそれのある場合には、相当なる措置をとってくれるようにということを、しばしは伝えておるような次第であります。しかし今度政府予算の原案におきましては、金融債二十億円を引き受けるという当初予算になっておりましたけれども、その二十億は地方債の力に返してもらうということになっております。この地方債は言うまでもなく、簡保運用資金の地方還元の主旨から出ておるのでありますから、いよいよ電電公社関係の社債が未消化に終り、大蔵当局との折衝でもなおこれを満たし得ないというような非常な場合には、また皆さんに御協賛を仰いでおりまする簡保、郵便年金の積立金の運用範囲拡大の法律案が通過いたしますれば、その精神をくんで、何とか大蔵当局とも相談して、この社債の消化に努力していきたい、かように考えております。
  98. 松前重義

    松前委員 大蔵当局との御相談は当然のことでありますが、国務大臣としての責任ある答弁をちょっと承わりたい。
  99. 松田竹千代

    ○松田国務大臣 そういう腹がまえでおることを申し上げてきます。
  100. 松前重義

    松前委員 腹がまえだけではいかぬのでありますから、どうか一つ腹がまえを実現さしていただくように努力していただかなくちゃならぬと思うのであります。これにつきましては今まで、昨年は国鉄と合して百五十五億くらいでありましたか、それで相当不消化が出ております。その実績から見て、電電公社の立場からごらんになって、政府の非常な御覚悟のほどは承わったのでありますけれども、しかし今までのような状態ならば大体不消化に終るのではないかと思われるのです。これは今非常な隘路に到達したのではないかと思われるのですが、どういう見解をお持ちですか。
  101. 梶井剛

    ○梶井説明員 昨年は国鉄が百二十億、電電が七十億、合計して百九十億であります。その結果募集が不消化になりましたのが五十五億であります。その情勢で本年も参りますならば、また不消化になるというおそれは十分あるのであります。従って当初政府の案では国鉄が八十億、電電が七十五億でちょうど百五十五億を見込まれておったのですが、国鉄の四十五億が預金部資金から社債に振りかわりましたから、全体として三百億になり、昨年よりもさらにふえておるので、あります。しかし金融界の情勢は昨年よりは少し改善されておる、預金は増加しつつあるということで、昨年の不消化をも十分に勘案せられまして、百五十五億政府当局は見込まれたわけであります。今回四十五億ふえましたために、その点につきましては政府としてもよほどの御尽力を仰がなければ、不消化になることは起り得るのじゃないかというふうに考えられます。ただいま郵政大臣からのお話し通りに、私どもとしては計画を実行に移す上において、不消化が生じますると計画そのものがそごするばかりでなく、後年度にその累を及ぼしまするので、ぜひとも電電公社に割り当てられております七十五億は、全部消化するように取り計らっていただきたいということを強く考えておる次第であります。それに対しましては政府当局としても、当然現在のままでは不消化になるということを御承知のようでありまするが、適切な措置をお講じ下さることだとわれわれは期待いたしております。
  102. 松前重義

    松前委員 当初に計画されました計画は、このような事態に遭遇いたしましても全然変更なく、計画を進めていかれる予定でありますか、お伺いいたしたいと思います。
  103. 梶井剛

    ○梶井説明員 五カ年計画を立てました当切から見ますと、すでに二十九年度、三十年度においてかなりの変更を余儀なくされております。従ってわれわれとしましては、社会の痛烈な要望を満たすために、加入君の増設工事は決して減らさないように努力はしておりますけれども、その反面におきまして基礎的な工事を資金不足のために勢い繰り述べざるを得ないという状態になっております。ことに二十九年度は先ほど申し上げました通り社債の不消化がありましたばかりでなく、デフレの結果減収が起りましたので、なお一そう収支の差額から建設勘定に持っていく金も減じましたそういうような事情から、年度途中におきまして予定された計画を変更して、後年度に基礎工事を繰り述べました。本年度はぜひともそれをも償ってやっていきたいという考えでやっておりましたけれども、そういうふうに予算がなかなか編成されません。従ってわれわれとしましては、後年度に繰り越した基礎工事のために、後年度において開通工程が影響を受けるのではないかという懸念を持っておりますので、今後におきましてさらに努力をいたしまして基礎工事を取り返して、将来に累を及ぼさないようにしたいという考えでおります。具体的に申しますと、あまり詳しくなりますので、大体基礎工事が繰り延べられたということだけを申し上げておきます。
  104. 松前重義

    松前委員 そこで私がお尋ねしたかったのは、こういうふうな公債不消化の可能性が現在の予算の中において生まれてきておるという現実の上に立って、こういうことによって今後における電電公社の計画は、多少これをしんしゃくして計画を引き延ばすというような具体的な措置を、とられるのか、それともこの予算の成立前において決定された計画をそのまま実行しようとされるのであるか、これを承わりたいと思います。
  105. 梶井剛

    ○梶井説明員 私ども予算が国会において承認されるまでは、実際の仕事とうものは積極的にやれないのであります。従って現在年度当初におきましては、よほど内輪に実行計画を立てまして、四月から直ちに実行に入っております。そして国会において予算が全部承認されました暁において、初めて全計画を実行に移すという段取りにいたすわけであります。でありますが、もし国会で承認を得られた予算によって実行する場合におきましても、向後の情勢によって公社債が不消化になるというおそれがあるならば、そのときに適切な措置をして、計画を圧縮するという以外に方法はないと考えております。
  106. 松前重義

    松前委員 次に伺いたいのは、技術の問題であります。外国より最近相当機械を輸入しておられるようであります。これは大よそのことでいいのですが、その外出から輸入されたる機械の種類と金額等、今直ちにでなくてもよろしいですが、資料をちょうだいできればと思うのであります。これはいただいてからにいたします。最近の大体の模様を見てみますると、外国から輸入するという考え方——総裁はそのようなおつもりではないようでありますが、あの公社の内部における人たちの考え方を総合してみると、どうもやはり、アメリカからも何か同じような機械を入れ、あるいはまたドイツからも入れてみる、あるいは場合によってはフランスからも同じようなものを入れてみて、そうしてそのよさそうなものをとって、それをだんだん改良して日本のものにしていきたいのだ、こういう考え方が大体支配しておるように私は伺っております。これが事実であるかどうかは、見解の相違にもなるかもしれませんが、このように考えております。こま切れの質問はやめまして、一応考え方を申し上げて御答弁願いたいと思います。わが国の技術の将来は、こういうふうな外国のひも付の技術——何もひもつきと言っても、政治的にひもがつくわけではありませんが、技術的にひもがつく。そういう技術がある会社、A会社を通じて入る、B会社を通じて入る、C会社も同じ目的をもって入ってくる。それが規格化されてきますと、日本の通信機械というものは外国のシステムによって、それぞれ場所によって遜ったシステムが据え付けられることになり、日本の国産と称しても、その仕様書をその他を取って生産されたものが、至るところに花園のごとく色とりどりに施設せられることになる。そうなると、たとえば故障になったから部分品を取りかえるというようなことにしましても、たくさんの部分品がそれぞれ要る。アメリカのシステムの部分品も要れば、ドイツの部分品も要る、フランスのものも英国のものも要るという格好なりますと、これはまことに複雑多岐な状態になる。保守から見ても、建設の立場から見ましても、要らないお金がここに非常にかかってくる。非常に地味な話でありますが、こういうことを私は今憂えております、外国の技術のよいのを一つずつ買ってきて、適当に品評会のようにして比べてみるというなら——一応品評会としてならいいのでありますが、それかだんだん会社によって輸入されますと、その会社のシステムとなって、結局それが統一されたる規格として施設されない。すなわち日本全体が一つのシスステムとして統一されない。これを完全に統一するのはなかなか困難であります。ほとんど不可能に近い。こういう状態をます。ます深刻にしていくおそれがあると思うのであります。こういう意味からいたしまして、外国の技術輸入の根本方針、またそれをを国産化される根本方針、よいものを入れて、それを日本で作って、なるべく国産でもってやっていく。特許その他のものは多少外国のものを使ったにいたしましても、Aの会社、Bの会社、Cの会社それぞれが外国の技術をひもつきで入れると、色とりどりの姿になる。これではいかぬ。どうしても国産化しなければならぬ。そうしてできるだけ一種類によって日本全体を施設する。多少短所があっても、その方が経済的であると思うのであります。これは質問も意見もほかの方のために次官の節約上一緒に申し上げまして、これらに対する電電公社の御見解を承わりたいと思います。
  107. 梶井剛

    ○梶井説明員 仰せの通りどもは、終戦後、わが国の技術のおくれておるのを取り返すために、技術の導入ということを考えました。しかしその技術の導入は必ずしも一国に限らぬで、世界各国のうちでよいものは導入していくという考えであります。その現われの一つといたしまして、一部外国製の機械を買いました。しかしそれは永久にその外国の機械を継続して買うという意味では毛頭ありません。これらを参考にいたしまして、今松前委員の御意見の頼りに、日本の国産の統一した機器を作っていこうという考えであります。これがためには、予算に技術の導入ばかりでなく、われわれはその使っておるところの材料そのものまでも国産にしなければできないのであります。でありますから現在におきましては、構成する材料をも国産化の方向に進めていっておるのでありまして、その材料が国産化されたならば、日本に最も適切だと考えられる統一した一つの方式によって、将来の拡充をやっていくという考えでありまして、御意見と全く同感であります。
  108. 松前重義

    松前委員 まことに残念なことには、ただいまの総裁のお言葉と現実は違っていると思います。これはまたいずれ具体的にお話を申し上げたいと思うのでありますが、どうも何だか外国のよいのをとると、そうするとそっちばかりへ行ってしまって、ほとんどみずからを忘れる傾向が多分にあるということを私どもは非常に憂えております。総裁の御意見を承わると、私どもとそう変らないと思っておりますが、どうも浸透力が割合に少いような感じがいたしますので、これをわざわざここで、御質問申し上げたのであります。  ついででありますからもう一つ御質問いたしますが、それは放送関係であります。日本の放送機械というものは、テレビにしても何にいたしましても、ほとんど全部をアメリカに仰いでおる。日本のものも多少は使っておるようでありますが、そういうものに対して、ほとんど国産品を使うとかなんとかいう考え方なしに、ただ技術の規格にはまれはよろしいのだというようなことで、今日まで許可をしてきておられる現状をわれわれは否定するわけに参らないのであります。一体郵政省にはこういう日本の工業を育成したいというような意図がおありになるかどうか。今までの実績では、ないのです。けれども、今までの実績においてないといたしましても、何らかまだ多少それらを配慮しておやりになったかもしれません。これらに対して何かお考えがあるならば、今までの状態に対しましても御答弁になると同時に、今後の問題について伺いたいと思います。
  109. 長谷愼一

    ○長谷政府委員 ただいま放送技術の国産化と申しましょうか、あるいは外、国の技術なり生産品との関係につきましてのお話、私どもも日本でできるものは必ずできるだけ日本の製品を使っていく、こういう考え方で従来ともおったわけであります。特に最近におきまするところのテレビジョンの放送、あるいは受信関係の技術におきましては、戦前から、御承知のように国内におきましてもいろいろ研究をいたしておりましたけれども、遺憾ながら戦前及び戦争中から戦後にかけまし、非常におくれておりましたが、その関係のものは、とりあえず外国品によらざるを得ない形でありました。しかるに最近におきましては、国内におきましてほとんど大部分のものはできるようになりましたので、前に外国品によらざるを得ない場合も、どういう部品がよらざるを得ないかというような点は、免許に関する技術士の基準というようなこととしは別にそれと並行いたしまして、通産省等とも連絡をいたしまして、できるだけ国産品をもって間に合うものは間に合わすようにやってきたわけでありますが、御指摘のように最近までの間に、相当外国品が入っておることも、私どもは否定するわけにはいかない状態であります。しかし私ども考え方といたしましても、最初に申し上げましたように、できるだけ早く諸外国の技術水準まで打ってきまして、日本の手でできるようになりましたものは、順次日本の製品を使っていく、こういうふうに実際上勧誘し、指導という言葉を使いますと語弊があるかもしれませんが、そういう気持でいたしておるわけでございまして、幸い最近に至りましては、多少問題かないわけでもございませんが、テレビジョンの関係の機械施設も送信関係も、国産品をもって間に合うようになりましたので、関係者には国産品によるようにということも、いろいろな観点から勧誘し、お話しておる次第でございます。将来ともそういう線に向いましてそう努力をしたい、こういうふうに思ふのであります。
  110. 松前重義

    松前委員長 過去のことを言ってもどうにもなりませんが、もうすでに放送の機械類は、ほとんど全部据え付けるものは据え付けてしまったあとです。これから先はあまりありません。あとは外国から部分品を買うだけであります。こういうことで、問題はやはり一番最初が大事なんであって、指導育成ということは言葉は悪いとおっしゃったが、私はやはりこれはやらなくちゃならぬと思う。日本の業者というものは、品だけの市場で、外国の技術でお互いに争って、どんどん外貨を外国に払っでおる現状です。これは何も通信に限らぬ。日本の工業政策が全然ゼロであるということに基因しております。私は何も電波監理局だけの責任であるとは思いません。通産省のやっておることがなっておらぬと思います。なっておらぬどころではない。まるで亡国的なやり方をしておると思います。これは電気関係において非常に著しい。こういう状況でありますから、何もあなた方だけの責任だとは思いませんけれども、まあ早い話がテレビの塔がその辺に三本立っておるというのは、外国から来た人は、これはみんな笑いますよ。あれは一本でけっこうなんであって、とにかくそれほどお互いに外国とつながって、何とか自分だけもうけよう、しかも日本だけの市場でもうけようという形をとってきているのが、現状であると思うのです。これに対して今後——大臣は非常に電波行政その他に力を入れておられるようでありますが、今後の行政の運営上、どういう国産奨励、あるいはまた国産化という一つの具体的な日本産業に影響するような問題に対して、国務大臣としてのお考えを承わりたい。
  111. 松田竹千代

    ○松田国務大臣 通産大臣でありませんが、私は技術のことは何にもわからないながらに、しばしば外国に行った関係もあり、またたまたま名人職工などの苦心談も承知いたしておる点もありまして何とかして日本の国としては、科学技術の一大飛躍を見るに至らなければ、今日の日本の苦境を切り抜けていくことはできないのみならず、遠い将来を考えてみても日本国民の発展はあり得ない、かように考えているような次第でありまして、お説に対しては、逐一同感の点を表しつつ伺っておったような次第であります。さてそれでは、どういう方面に努力をいたすかといえば、あらゆる工業面のみならず、一般生活面におきましても、ことごとく国産品を先にしてやらなければならぬということを、まずとりあえず自分の郵政省関係でも、今しがたもその話をやってきたような次第でありまして、どういう方針という的確な考えもございませんけれども、大体心がまえとしては、お話のような考えカで国産の奨励に当っていかなければならぬと考えております。
  112. 松前重義

    松前委員長 非常に力強いお話を承わりましたが、どうか一つそのつもりでお願いいたします。  次は電電公社でありますが、電気通信研究所と公社の方との連絡は、最近どうも悪いのではないかと思います。具体的に電気通信研究所に行って、一部屋々々々見てこのことを申し上げておるのでありますが、どうも公社の技術の方々は、外国の方ばかり向いていらっしゃって、内の力を知らないのではないかという感じが非常に強くいたしております。この問題はどこにあるかというと、たとえば昔は電気試験所というところが納入品の検査をやっておりました。今その検査関係はどこにありますか。資材局か何かにありますか。戦後においては、通信研究所は、仕様書を作るということでありましたが、これは今施設局の方か、あるいは技師長室かにいっているようであります。こういうわけでありまして、通信研究所は、とにかく研究すればよいのだということで研究はしておるようでありますが、どうも大きな目的に集約されて、総合的な協力態勢が少い。これが今度の機構改革の一つとして、総裁の御抱負の実現になるのではないかとも思うのであります。そういっただ単にしりっぺたをひっぱたいて、どんどん一つの方向に集団的に走らせるというようなことだけで、技術か果して伸びるかどうかということを、私は最近多少疑っておるのであります。何となれば、みずから走りたいという意思になって、ゴールに到着するのだという気持にさせなければならない。こういう意味におきましては、もう少し公社との間の密接なつながりと、同一の目標に向っての認識と自覚と努力がなければならぬのではないか。そういうふうな機構のあり方と同時に、人々のつながりがごこになければならないのではないか。このことを私は非常に強くこの間も通研に行って感じて帰って参ったのであります。でありますから、何も通研あやることより、何でも外国の方がいいのだ、何でもかんでも外国の方に向いていこうとする。通行の一部屋々々々をのぞかないで、外国に行っては一部屋々々々のぞいてくる。こういう傾向が昔から日本にある。私どももかつてそういう時代があった。そういうことではとても国産なんというものが生まれようはずがない。通研にこの間行ってみますと、非常にりっぱな研究をやっておる人がおる。電子管の研究なんか見ますと、われわれがかって技術がこういうふうに進んでいくだろう、しかし今のところでは、とても困難だと思うところを征服しようとしておるところがある。ところがそれが事業体の力では何かやっておるそうだぐらいのところで、そこへ見に行った人があまりいないらしい。こういうふうなことでは、私はせっかくあそこに大きな研究所があって、優秀な人がたくさんおりまして、なかなか一人々々はやっておるけれども、それが総合されて実用化されない。そして国産化されて、日本独自の工業になっていかないというようなうらみを非常に持つのであります。おそらく今度は一つやっていこうという御抱負が、今度の機構改革の中に盛られておるだろうと私は想像いたしておりますが、その間の問題につきまして、総合的に一つお話を願いたいと思います。
  113. 梶井剛

    ○梶井説明員 現在の通信研究所は、実用化を主眼として研究を進めております。これはかつての電気試験所時代とは一歩前進いたしまして、事業に直接影響がある研究に重点を置いておるということなんであります。しかしこれは私ども自分がそういう経験を持っておるから申すのでありますが、どうも日本人の悪い癖としまして、他との協力ということがなかなかできない。ことに学者という人たは、自分が非常に学力があったりするものですから、自己の研究のみ見て、他との協力ということが非常に困難な弊害があるのであります。それが結局研究の推進をおくらすゆえんでありまして、世界各国の研究を見ましても、必ずその上にこれを指導する人がいまして、そして各研究案を動員して、その研究を総合していくという方法をとっておるわけであります。従ってこの研究を指導する人と、それから実際その研究の成果を実行に移すことが、常に連絡をとってお互いのチームワークをうまくやっていくということが必要なんでありまして、そういう意味におきまして、今後通信研究所の機構を改革して、そして実行する方と、研究の力とを、完全に提携してやれるようにしたいということを願っておるわけであります。今のお話し通りに、今日までにおきましては、やや研究と実行の面との間に、連絡がないというような御批判を受けるわけでありまして、これは私どもも同様に感ずるのでありますから、今後御注意に従って、ますます日本の研究をできるだけエキサイトしていく、国産を一層発達せしめるようにしたいという考え方であります。
  114. 松前重義

    松前委員 最後にお尋ねいたします。それは電信関係において非常に機械化が行われております、電信の機械化は、これは今までのような、いわゆるハンド・ワークだけでやっておったのではいかぬということは当然のことであります。機械化すれば非常に経済的に能率がよくなる、これも当然のことであり、経営の立場からすれば、これは当然やらなければならないものであると私どもも考えております。ところが方々歩いてみますと、電信機械化が非常に急速に行われましたために、従来の従業員の方々が非常に不安の念を持っておる傾向が見えます。現実にその定員その他が半分近く減ってしまうというようなことになりますので、あるいは配置の転換たとか、あるいは新しい技術をまた覚えなくてはならない。もう大分年を取ってからほかの技術を覚える、自動交換の技術を覚えるということは、技術というものはほかのものと違いまして、大分年期を要するものでありますが、しかも多少趣味というものも入るでありましょうが、なかなかそう簡単に機械的に人聞の転換というものは困難である。機械の転換は割合に楽である、こういう多少の混乱が起っておることを見受けるのでであります。この問題につきましても、いろいろな御意見もかねがね承わってはおりますけれども、公社全体としての認識において、あまりこれが急速に行われまして、まあ首切りは行なわれないで配置転換は行なわれたといたしましても、従業員の生活に相当な不安を引き起すという傾向をもたらしておることは現実であります。労働組合の人たちに伺ってみると、それらの問題に対して反対ではない。むしろ協力的態度をとっておられるけれども、あまりにも急速に、あまりにもやぶから棒に、しかもあまりにも職場が大きな変化を来たすというところに、私どもほんとうに現実の社会において同情し、そして何とか、もう少し考慮を払う余地があるのではないかということを感じておる次第でございます。これに対しまして総裁個人の御意見を私は承わって知っておりますが、公的の場所でありますから、ここに一応公社全体としての御意見を承わりたいと思います。
  115. 梶井剛

    ○梶井説明員 電信の中継を機械化するということは、理論的には確かに経済的であります。従って電信事業の現在の赤字を少しでも少くするために、中継を自動機械化するという方針をとったのであります。しかしその反面において、今仰せになられたように急速にやりますと、そこに配置転換をしなければならぬ、しかも従来全然経験しないところのふなれな作業に配置するということになりますと、その人たちがやはり一人前の仕事をしないということで、あります。でありますから、その人たちが十分なれるまでの間というものは、技術面においては、やはり不経済になっておるという結果を招く。かような計画を実行する上においては、よほど先から計画的に、どういうふうに配置転換をするか、またそのためにはあらかじめどういうような再訓練をするかということを十分計画を立てまして、それを準備して後に自働機械化をしませんと、単なる理論倒れになりまして、実行上におきましては不安をもたらしたり、あるいは混乱を来たしたり、いろいろな弊害を生ずるおそれがあるのであります。そういう意味におきまして、われわれは今後そういう電信の自動交換につきましても、十分長期にわたる計画を立てて、そしてそれに対してあらゆる角度から検討しまして、その準備をして後やってみたいという考えを持っております。このことを公社内部におきまして、将来その計画を統一してやっていくという場合に、それを実行に移すという考えであります。
  116. 松前重義

    松前委員長 きょうは技術関係の人がだれもお見えにならないので残念でありますが、この点は今起っている当面の問題でありまするので、どうか一つ御注意願いたいと思います。  最後に、電電公社の事業の性格と申しまするか、従業員等の問題について伺いたいと思います。このように相当な高度な技術によって行われておりまするサービスでありますが、ますますこれは高度化いたしまして、おそらくこれは人類の社会における最も先端をいく、また最も急速なる進歩を来たして、もう十年もすればある機械のごときは古くなって使えないとしうような進歩を今来たしつつあります。このような機械その他を中心として経営されておる電気公社であります。従ってその従業員なるものは、技術者たると事務屋たるとを問わず、いずれの場合におきましても、その高度な技術を理解しなければならない。技術者は専門的にこれを理解し、また事務関係からはこれを常識的に把握しなければならないというのでありまして、なかなかこれは普通の者では困難な情勢になって参りました、放送協会の従業員は割合に教育と申しますか、知性を高く持たなければならないというような意味から、特別な給与を要求いたし、なかなかそれは達成せられておりませんけれども、単なるベースとしてこれを千編一律に考えることはできない、こういうふうに私どもも考えておるのでありすが、電電公社も、いろいろ仕事にもよりましょうけれども、今のような態勢から推しまして、ベースに関する考え方というものが多少変ってもいいのじゃないかということも考えられるのであります、あるいは給与の体系その他に対して、何も一般的な仕事をするのに、その人たちのベースのみを電電公社が引き上げるというようなことはどうかと思うのでありますけれども、とにかくこのような特異性に対しまして、給与の全体の体系と申しますか、その構造について、私は多少特異性を持たすべきだと思うのであります、これらに対しましてどういう考えをお持ちであるかを伺いたいと思います。
  117. 靭勉

    ○靭説明員 全く御指摘の通りでございまして、私ども公社になりまして今後の経営を考えていきます場合に、人員の構成と申しますか、どういう職にどういう人を充てていくべきかということを、目下将来の目標を描きまして検討しておるところであります、その基本的な考え方といたしましては、ただいまおっしゃった通りで、ございまして、全体的にレベルを上げていくという考えに立っているわけでございます。しかしながら現在おる人たちのことも、十分考えていかなければならぬという一つの過渡的な時期にありますので、一方におきましては学園制度を相当充実しまして、さらに今後数年間相当基礎的な訓練まで加えまして、充実していきたい。さらに今お話しの技術者におきまする技術の向上を期するという意味合いにおきましては、技術訓練というものを非常に重視いたしております。さらにおっしゃった事務屋系統の者に対して、十分な理解、あるいはこれを了解できるような能力がなければいかぬという意味合いにおきまして、事務屋にもただいま申した程度の技術の知識を与えるということに重点を置いているわけでございますが、さてこれに対するベースあるいは給与の問題ということに対しましては、昨年給与体系を変えまして、いろいろな職種に応じ、ました給与体系を立てたわけでざいます。これは実質的に申しますれば、在来の給与に対しまして単に画一的な平均的、なものではなく、職種に応じた、あるいはその勤労に応じた給与体系を立てるというのが、根本的な考えになっております。しかしながらこれは現在までのいろいろな経営あるいは沿革というものがありまして、なかなか困難な作業でありますし、また制度自体につきましても、過度的には相当の妥協と言っては語弊がありますが、そこに調和をとらなければならぬということて、必ずしも現在理想態勢になっておるとは申しかねますが、基本的考えとしましては、今おっしゃったような考えに立って、給与休系を一応立てたのであります。私どもその結果につきましても現在なお考えておる点がありますが、これはさらに完全なものにしていきたい。従いまして他の一般ベースというような考えでなくこれを、実施していかなければならぬというふうに考えております。なお最近特に問題にいたしておりますのは、研究職に対する特別の給与体系を作る必要がある。その他高級な技術に対して作るべきであるか、どうか、これは今のところ必ずしも積極的な意見は出ていないのでありますが、なおこれは相当研究を要する問題でありますが、とりあえず研廃職に封ずる特別給与体系というものは近く実施いたしたいと考えて、大体の成案を得ておるような次第であります。
  118. 松前重義

    松前委員長 大体伺いました。先ほど来申し上げております国産の問題は今日日本の経済にとって非常に重要である、これに対して研究所を母体として、新しい日本の技術の芽はえを作るというのは当然のことで、あります。その一番大きな研究所は電気通信研究所であります。通信に関する限りはなかなか困難なことではありますけれども、もう外国品は二、三年後には買わないというようなところまでの、具体的な御計画また御抱負を近き将来において一つ伺いたいと思うのであります。また機械化がだんだん行われ、個人当りのフロダクション、すなわちパー・ヘット・プロダクションというものが、非常に大きくなりつつある現状であります。このようにいたしまして、かつては有名の従業員でこなしておったものが、今度は十名くらいでよろしい、それだけまた頭脳的な荷重がかかってくる、またそれだけいろいろな意味におきまして肉体的、にも荷が重くなる、こういうことでございますので、肉体的にも頭脳的にもただいま副総裁が言われたような、新しい特異な給与体系というものは生まれて差しつかえないのではたないか、このことを私は強く感じておる次第であります。  これは郵政大臣でありますが、郵政事業におきましては、昨年来盛んに六千六百名も首切りを宣告され、増員と差し引いても二千八百名ですか、減員になった、ことしはまた八千名の要求をやっても二千八百名しか増員はない、こういうふうで、だんだんこの人口の多い日本に就職は困難になるし、しかもまた個人に対する荷重は重くなる、こういうことであります。いろいろな魚味において、この労働運動の現状から見ましても、わずか。二五ぐらいの要求、また年度末においても、〇・二五くらいでございますが、こういうことでつまらないトラブルを起して、社会を混乱に導かせるということは、私は政治としては妥当なる行き方ではないと思うのでありまして、この点につきましても時に郵政省並びに電電公社当局の御配慮を願いたい。しかも急速なる御配慮を願いたいということをお願いする次第であります。きょうはこれで私の質問は終ります。     〔井手委員長代理退席、委員長着席〕
  119. 森本靖

    森本委員 先ほどの電信の自動交換の点でちょっと気になる点がありますので、関連質問をいたしたいと思います。それを具体的に実行する場合には、当然従業員の代表の方と話し合いをして、協定をしてそういうことを実行に移す、こういうことになるわけですね。
  120. 靭勉

    ○靭説明員 どこの局を自動中継化するかということは、組合の力と協定してやるというようなことはございません。しかしながら、要するに職員の待遇身分等に関係あることにつきましては協定をいたしまして、その配置転換をどうするか、あるいは再訓練というような問題、あるいは他の部署につくというような問題等、いろいろの労働条件に関することにつきましては、事前に協定を作ってやっております。
  121. 森本靖

    森本委員 端的なお答えでいいのですが、そういうふうに配置転換とか職場が変るという場合には、従業員の方の代表と協定を結んでやる。そういう協定ができなければそういうことはやらない、こういうことになるたろうと考えるのですが、どうですか。
  122. 靭勉

    ○靭説明員 在来そういう形で協定を結びまして、自動中継機械化によるところの職員の処分につきましては、円満にいっているものと私は考えております。
  123. 森本靖

    森本委員 円満にいくと思うとか思わぬとかいうことでなしに、そういうように配置転換なりをやる場合には、従業員の代表と協定を結んでやる、こういうことになるかどうかということをお聞きしでおるわけです、簡単なお答えでいいのです。
  124. 靭勉

    ○靭説明員 中継機械化に伴うところのそういう職員の労働条件に関することにつきましては、すでに基本的な協定もありますし、個々の場合につきましてもそれを確認いたしまして実施いたしております。
  125. 森本靖

    森本委員 そのときに、そういう配置転換についての協定を結んでやる、こういうことになろわけですね。
  126. 靭勉

    ○靭説明員 協定に基いて配置転換等を実施しております、
  127. 森本靖

    森本委員 関連質問ですから簡単にやりますが、そういう場合に、従来ややもすると機械的に、たとえばオペレーターの者を保守の技術系統に回すとか、そういうようなことが機械的にやられる場合も往々にしてあったようですが、たとえばオペレーターの場合でも、これが専務系統に回るという場合には、比較的よいだろうと思う。ところが四十過ぎたオペレーターなんかが、今さら保守系統に回って、技術訓練を二年なり三年なり受けなければならぬ、こういうことではなかなか困難でありますし、また仕事の能率も全然上らないと考えるわけですが、そういう面については具体的に十分にその当事者と話し合いをする、そういう格好で、大体希望に沿えるという形でやってもらいたいと思うのですが、それについてはどうですか。
  128. 山本英也

    ○山本説明員 ただいま副総裁からお答え申し上げましたように、各自動中継機械化によりまして、職員の身分あるいは給与、労働条件等に異動を生じます場合には、車前に話し合いをいたしてやっております。ただいまお話しのございましたように、かりに職種の転換というような問題々生ぜざるを得ない。その場合に希望しないのに職種の転換を行うかというような御質問だと思うのでございますが、そういうようなことはございませんので、大体今までやりました中継機械化に基きますところの職種の転換というものは、そう範囲も大きくございません。人数も限られた人数でございますし、大部分と申しますか、ほとんど全部が希望された方をそれに充てております。
  129. 森本靖

    森本委員 私も非常に心配なのでさらに重ねて開いておきたいのですが、そうすると将来においても、大体それぞれの配置転換をせられる者の希望は十分聞いて、その希望の方向に従ってやっていく、こういうことになるのですね。たとえばオペレーターをやっておって四十過ぎた者で、今さら施設関係にかわるということは絶対にいやである。自分の生活能力からしてもむずかしい、そういうような者を無理に保守系統の技術系統の方に回す、そういうことはないわけですね。
  130. 山本英也

    ○山本説明員 在来はそういうことはございません。またそういった職種転換を行うような計画は現在のところございません。
  131. 森本靖

    森本委員 それでは将来もそういうは方向に向いてやるということはない、こういうことは言えるわけですね。
  132. 山本英也

    ○山本説明員 この問題は先ほどからの全体的な問題としても問題があるわけでありますけれども、かりに電電公社の自動中継機械化に伴いますところの職種の転換を考えます場合には、それが相当品広範囲に行われるかどうかということは、先ほど委員長の話にございました点もございますので、そう急速に何千名も電話の保守管理に切りかえなければいけないという事態は、おそらく起らないのではないかと私は思います。
  133. 森本靖

    森本委員 私が聞いておるのは、そういうようにならないのじゃないかと思うとか、そういうことでなしに、具体的に、オペレーターをやっておって四十を過ぎたような者を、技術系統の保守系統の方に回す、本人は今さらそういうことでは非常に困難であるからという申し出があっても、これは計画たから、お前は保守系統の方に行ってもう一回一年ぐらい訓練をしてやれ、そういうふうなことはやらないですねということを聞いておるわけです。やらないというお答えであれば私はそれでいいわけです。
  134. 靭勉

    ○靭説明員 今具体的に四十過ぎたというようなお話がございましたが、私の方針といたしましては、配置転換はなるべく若い人にやつていただく。十五年、二十年、三十年と電信のオペレートに従事していたような人はそこに残しておいて、その仕事をあくまで継続していただく、こういうふうな観念でありまして、ただいま職員局長からお話しましたように、私どもはそう困難な事態を予想しておりませんので、将来永久に百年も二百年もということでもないと思いますが、今の見通しとしましては、技術の方へ転換するのに非常は無理な訓練をしてやるというのではございません。そういうことは申し上げて差しつかえないと思います。
  135. 松前重義

    松前委員長 井手以誠君。
  136. 井手以誠

    ○井手委員 簡易保険積立金運用については後日あらためてお尋ねいたしますが、きょうは一点だけ大臣お尋ねをいたします。民主、自由両党の予算修正によって、財政計画が変ったことは御存じの通りであります、積立金運用に二十億を予定されておりました金融債は地方債に変えられたわけでありますので、当然郵政省の計画は変ったわけであります。昨日、本会議における鳩山首相の答弁にもありましたごとく、財政投融資計画が変って参りますれば、金融債に運用を拡大する必要はなくなって参ったわけであります。もちろん何人といえども将来のことを考えて法律の改正を行うものはないのでありまして、目の前に必要を生ずればこそ、改正ということが生じて参ると思うのであります。従って政府としては、民自両党の予算の共同修正によって、これに関連する運用に関する法律案の改正については、当然修正になるべきものだと思うのであります。国務大臣として修正の用意がおありになるかどうか、その点をお尋ねいたします。
  137. 松田竹千代

    ○松田国務大臣 郵政省提出の法律案であります簡保並びに年金積立金の運用に関する法律の一部を改正する法律案については、別に修正の用意は考えておりません。
  138. 井手以誠

    ○井手委員 必要があればこそ改正案も提出してある。また金融債二十億を予知すれはごそ、改正法律案を提出してあると私は考えております。運用する必要がなければ、何も金融債引き受けの範囲を拡大する必要はないのであります。漏れ承わるところによりますと、かりに規定があっても当分運用しないということも言われておると聞いておる。当分運用しないものであるならば、また財政投融資計画が変って参りまして、金融債を引き受けないということになりますならば、改正する必要はないのであります。必要が生じたときにあらためて改正していいと思う、そういう意味で私は修正の御用意があるかと伺った。ただ用意がないということでは工合が悪いのでして、こういうわけで修正の必要がないとお考えになりますか。
  139. 松田竹千代

    ○松田国務大臣 なるほどおっしゃるように、あるいは今直ちにその必要は認められないかもしれませんが、今これを御協賛願っておきますれば、毎年引き続き増加しつつある今後の簡保並びに年金の運用の事業を進めていく上において便宜であるのみならず、この仕事をよりよく進めていけるのではないか、かように考えておる次第でありまして、御協賛をお願いしたいと存ずのるであります。
  140. 井手以誠

    ○井手委員 なお私聞くところでは、理由が薄いようであります。金をこの方面に動かすためには法律案の改正の必要がある。その動かすことを反対の方に向けて、従来同様の法律で運用できるということであれで、その必要はなくなってくる。法律は先刻来申しますように当面必要であるから改正するのでありまして、将来いつ実施するかわからないものを改正する必要はないのであります。私はもし共同修正によって事態が変って参りましたならば、いさぎよく原案の修正をなさるのが、当局として正しい行き方ではないかと思うのであります。重ねてお尋ねいたします。
  141. 松田竹千代

    ○松田国務大臣 郵政省で地方から集めております貯金にいたしましても保険にいたしましても、これらの金を最も有効適切に、またその法律本来の趣旨にのっとって運用していかなければならない。そのうち郵便貯金の方の金は全部大蔵省の方でいろいろ運用され、各種の産業投資に振り向けられておる次第であります。郵政省でも保険の金だけは郵政省自体において運用できる建前になっておるのでございますから、これを、同じような性質の金でありますので、ワクを広げていただいて、そして大蔵省を通じてやっておると同じような形になりますが、その範囲を少し拡大してもらいたい、こういう趣旨なのでございますから、御協賛を願いたいのでございます。お説のように今必要がないかといったら、全くその通りでございますけれども、今後のことを考えまして御協賛を仰いでおるような次第であります。
  142. 井手以誠

    ○井手委員 大臣修正の決意がなければ、これはいたし方ございません。私の方は私の方でよく考えなくてはならぬのであります。国の資金運用計画に二つある必要はないのでありまして、そこに二つあるのは、やはりそれぞれ性格に違っておる持ち味があるからであります。またそういう意味で分離もされておるはずであります、私は民自両派の修正があれば、当然修正さるべきものと信じております。大臣にその意思がなければいたし方ありません。この法律案についてはあらためて後日お尋ねいたすことにいたしまして、本日はこれで打ち切ります。
  143. 松前重義

    松前委員長  私から大臣に一言今のことに関連してお伺いいたします。  先ほど私の質問に対して答えられた中に、二十億の金融債の引き受けをやめて地方債にこれを振り当てた、こういうお話があった。同時にまた電電公社の社債の消化に対しては、われわれは万一の場合には、こういうこともやったのであるから、何とかしなければならないと考えておる、大いに努力するつもりだ、こういうお話であったと私は聞いたのですが、そうであるならば、ただいまの金融債を地方債に振り向けたということと、電電公社の社債の消化等に対して何らかの関連性を持たして御発言になったのか、もし関連性があるとするならば、どういうふうな具体性があるか、伺いたいと思います。
  144. 松田竹千代

    ○松田国務大臣 この簡保資金の性質、地方から吸い上げてこれを地方へ還元する、こういう趣旨を中心として運用されていると思いますので、そういたしますれば、地方公共団体と限らなくとも、真実に法律の精神に適合しおる以上は、地方還元の趣旨に沿って運用できるのではないか、運用すべきではないか、かような考えを持っておるわけであります。
  145. 松前重義

    松前委員長 どうも御答弁が違っております。私の質問の趣旨は、先ほどあなたがお話しなりました中で、二十億の金融債々引き受けようとしておったものを、地方債に回したというようなこともしたのであるから、そこで、電電公社の社債が不消化に終るようなことがあるとすれば、われわれとしては簡保の積立金の運用によってこれを解決し得る道もある、そのように努力もしたい、努力して何とか一つ社債の消化をはかりたいこういうふりな意味だと私は承わったのです。であるならば、この金融債を引ぎ受けるところの二十億のお金と、あるいは金融債を引き受けるというあの法律の条文と、ただいまの電電公社の社債の消化不良というものを治療するという意味において、何らかの関係があるように私は承わったような気がするのです。非常に希望的に承わったような気がするのだが、この点に対してどういうお考えを持っておりますか。
  146. 松田竹千代

    ○松田国務大臣 私の答弁ははなはだ言葉がまずかったのでありますが、私の考え方は、ただいま委員長のおっしゃるような考え方で申し上げたのであります。
  147. 松前重義

    松前委員長 具体的にはどういうことでございますか。
  148. 松田竹千代

    ○松田国務大臣 具体的に申しますれば、この金はもともと金剛値引き受けというようなことにあったのでありますから、電電公社の公募債がどういうことをしても消化ができないような場合には、この金からそちらへ振り充てるようなことも考えられるのではないか、かような意味で申し上げたわけであります。
  149. 白根玉喜

    ○白根政府委員 補足して御説明を申し上げます。大臣が先ほど、金融債の二十億が、現在の情勢によりまして、地方公共団体の貸付に変更という状態もあるから、そういう年度末等におきまして、消化期までに電電の金融債の社債が消化できないというような事態が参りますと、まず第一に、予定の目標より以上に資金が増加すればそれに充当する。ところが予定の資金もそこまでいかないときは、これはもう機宜の措置でございますが——やはり本年度の長期の金は、大体三月三十一日までにはなかなか全部出るわけではございません。本年度でも出納閉鎖期間に大体二千億程度あったわけでございます。それて三十年度は九月に大部分集中して金を出したわけでございます。従いまして便宜措置といたしまして、本年度の地方債のうちで、出納閉鎖期間に回る部分を、本年度の資金でなくて、来年度の資金で充てるようにして、その浮いた金を電電公社の社債券を消化できない分に充てるという非常措置も、考えられぬことはないという意味だろうと思うわけでございます。
  150. 松前重義

    松前委員長 そこで伺いますが、今の説明を承わると、ただいま議席からも声が出たようですが、考えられぬことはないというような消極的な意味に、先ほど来御覚悟を述べられたのでございましょうか、その点を承わっておきます。
  151. 松田竹千代

    ○松田国務大臣 まあそういう意味で申し上げておるわけです。もう少し具体的に明白に申し上げれはよろしいのでございますが、重ねて申上げますけれども、そういう考え方でおるという程度で御了承願います。
  152. 松前重義

    松前委員長 できなければそれでやるつもりだ、こういうおつもりでいらっしゃいますか。
  153. 松田竹千代

    ○松田国務大臣 まあ大体さようでございます。
  154. 森本靖

    森本委員 ちょっと大臣に私は注意をしたいと思いますが、この前の委員会でも私が言いましたように、こういうふうな問題を、これができなかったらすぐそいうふうにやると——私はこれは他の委員と意見が違いますけれども、そういうふうにやるという回答はそう軽々にすべきではない。やはり七十五億という電電公社の社債については、あくまでも消化をはかってしまう、そういう考え方の上に立ってやるべきであって、それをそういうことによって直ちにそちらの方向に振り向けるとか、あるいはできなければ簡保資金から取る、そういうことになると——簡保資金というものがいずれの方向にでもぼこぼこやられることについては、かつて委員会で、そういう傾向があったから、そういうことについては大臣に慎重に回答を願いたいというふうに私の方から質問をして、それに対して大臣から、慎重にに検討して回答する、こういう回答があり、速記録に載っておるわけです。だからそういう問題については、私はいま少し十分に検討してから回答願いたい。今事務当局の方から非常に苦しいような答弁がありましたけれども、そういうことを今から予測をして、私はこうこういうようにやりたいというような回答はすべきではない、こう思うのでありますが、どうですか。
  155. 松田竹千代

    ○松田国務大臣 森本さんのおっしゃるように、電電公社関係の公社債は、あくまでもその完全消化をはかっていくように極力大蔵当局とも折衝して参ったということを先ほどから申し上げて、従ってこれを完全に消化する方針でいっておるわけであります。軽々に零細な金々隻めた簡保資金の性質をくずすような考えは毛頭持っておりません。
  156. 森本靖

    森本委員 私が言っているのは——大臣は軽々に言うたけれども、先ほど松前委員長質問に対して、最終的には、消化ができなかったらそれは簡保の方で何とかする、こういうように御回答になったわけですが、それをそういうことでなしに、七十五億なら七十五億というものをあくまで消化する、そういう基本方針のもとに進んでもらって——もともとこういうことになってくるのは、政府の財政投融資計画そのものが非常にずさんですから、こういう要るところに出す金がなくなってしまって、それを簡保資金の方に全部しわ寄せするという傾向になるのです。少くとも七十五億なら七十五億というものは完全に消化しなければならぬ、あとの問題については、慎重に検討を要するというくらいの回答が最も妥当です。それを年度末の問題について今からはっきり約束ができますというようなことを言うのは、ちょっとこれは行き過ぎだと思う。その点について、もう一回明快な御回答を願いたい。そういうように簡保資金というものを——もうとにかく政府の行き詰まったことに対して、何でもかんでも全部やらなければならぬということになっている財政投融資計画というものは非常に不完全であり、またそのときそのときの考え方によってやられるということは非常に不幸だと思う。やはり年度の計画というものは、詳細な緻密な計画を立てて、その計画の上に立ってやっていかなければならぬわけです。その政府の不用意をこの簡保資金に全部しわ寄せしてくるというような回答については、私ははなはだ不満であります。だからこれは、この聞の速記録の五月三十一日の十六号に載っておるが、このときの回答ときょうの回答が違っておるわけです、このときの回答のように、将来そういう問題については慎重に検討していきます、ただし電電公社の公債については、消化するように政府として全面的に努力をいたします、あくまでもこれを消化すにようにいたします、こういうように回答するのが当然であります。もう一回回答し直してもらいたい。
  157. 松田竹千代

    ○松田国務大臣 大体私も森本さんのおっしゃるような考えでおります。
  158. 森本靖

    森本委員 けっこうです。
  159. 松前重義

    松前委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて、散会いたします。     午後五時十三分散会