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1955-04-30 第22回国会 衆議院 逓信委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年四月三十日(土曜日)     午前十時五十五分開議  出席委員    委員長 松前 重義君    理事 齋藤 憲三君 理事 濱地 文平君    理事 廣瀬 正雄君 理事 中垣 國男君       秋田 大助君    宇田 耕一君       川崎末五郎君    竹内 俊吉君       中曽根康弘君    松浦周太郎君       塚田十一郎君    成田 知巳君       原   茂君    三輪 壽壯君       正力松太郎君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 松田竹千代君  出席政府委員 郵政事務官         (貯金局長)  小野 吉郎君         郵政事務官         (簡易保険局         長)      白根 玉喜君         郵政事務官         (電波監理局         長)      長谷 慎一君  委員外出席者         専  門  員 稲田  穰君         専  門  員 山戸 利生君         専  門  員 吉田 弘苗君         専  門  員 中村 寅市君     ――――――――――――― 四月六日  委員中曽根康弘辞任につき、その補欠として  並木芳雄君が議長指名委員に選任された。 同月三十日  委員並木芳雄辞任につき、その補欠として中  曽根康弘君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 四月二十八日  簡易生命保険法の一部を改正する法律案内閣  提出第一九号)  郵便年金法の一部を改正する法律案内閣提出  第二〇号) 同月五日  国産愛用消印使用に関する請願笹本一雄君  紹介)(第六四号) 同月二十八日  行方郵便局集配事務存続に関する請願外一件  (橋本登美三郎紹介)(第三〇五号)  延方郵便局集配事務存続に関する請願橋本  登美三郎紹介)(第三〇六号)  井上郵便局集配専務存続に関する請願橋本  登美三郎紹介)(第三〇七号)  百石町郵便局復旧に関する請願夏堀源三郎君  紹介)(第三一九号) の審査を本委員会に付託された。 同月十三日  行田市の電気通信施設拡充に関する陳情書  (第三八号)  飯谷町に簡易郵便局設置陳情書  (第九七号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  簡易生命保険法の一部を改正する法律案内閣  提出第一九号)  郵便年金法の一部を改正する法律案内閣提出  第二〇号)  郵政事業に関する件  電気通信に関する件  電波監理及び放送に関する件     ―――――――――――――
  2. 松前重義

    松前委員長 これより会議を開きます。  一昨二十八日本委員会に付託になりました簡易生命保険法の一部を改正する法律案及び郵便年金法の一部を改正する法律案、この両案を一括議題といたしまして、まず政府当局より提案趣旨説明を聴取いたします。郵政大臣松田竹千代君。
  3. 松田竹千代

    松田国務大臣 ただいま議題となりました簡易生命保険法の一部を改正する法律案及び郵便年金法の一部を改正する法律案提案理由について御説明申し上げます。  まず簡易生命保険法の一部を改正する法律案について申し上げますと、現在簡易保険保険料計算基礎として用いております死亡生残表は、昭和五年四月から同十年三月に至る五カ年間簡易保険経験死亡率基礎として作成したものでありますが、戦後における衛生思想の普及及び医薬の目ざましい進歩に伴いまして、最近国民死亡率が著しく低下いたしました関係上、簡易保険の被保険者の実際の死亡率予定した死亡率を相当下回って参りまして、昭和二十九年に厚生省が発表した第九回生命表死亡率に似て参っているのであります。従いまして従来の死亡生残表をこのまま使用いたしますことは実情に沿わないことと相なりますので、今回第九回生命表男子死亡率をもととして作成した死亡生残表を採用することにいたしますとともに、最近における金利動向等にかんがみまして、予定利率を従来の年三分五厘から年四分に引き上げようとするものであります。  次に保険金倍額支払い条項改正について申し上げますと、現在被保険者が不慮の事故等を原因として二カ月以内に死亡したときは、保険金倍額支払いをすることにいたしているのでありますが、最近における医薬進歩は受傷から死亡までの期間を長引かせる傾向にありますので、死亡までの期間を三カ月に延長いたしますとともに、保険金倍額支払いに関する外国及び民営保険契約条項並びに倍額支払い制度趣旨等を考慮いたしまして、被保険者が十才未満で死亡した場合には倍額保険金支払いはしないことにいたそうとするものであります。  なお昨年伝染病予防法改正されまして、日本脳炎が同法第一条第一項の伝染病中に含まれることになりましたため、保険金削減条項所要改正を加えますとともに、従来解釈上疑義の生ずるきらいがありました保険約款改正効力に関する規定につきまして、これを明確にするため所要改正を加えようとするものであります。  次に郵便年金法の一部を改正する法律案について申し上げますと、年金最高限度額は現在年額十二万円になっているのでありますが、最近の経済事情推移にかんがみますと、この金額をもってしては制度本来の機能を十分に発揮することができない事情でありますので、これを年額二十四万円に引き上げようとするものであります。  次に、年金を受け取るべき権利につきましては、現在年額一万二千円まで、またこれを越えるものについてはその越える額の二分の一を加えた額まで差し押えを禁止し、また返還金を受け取るべき権利につきましては、五万円までは差し押えができないことになっているのでありますが、物価の上昇等を考慮いたしますときは、この金額は低きに失するので、この差し押え禁止限度額を、年金につきましては年額二万四千円、返還金につきましては簡易保険保険金最高額と同額の十五万円に引き上げることといたそうとするものであります。  次に、年金受取人等福祉を増進するため必要な施設を設けることができる旨の規定を設けたことでありますが、これは、郵便年金制度創設趣旨にかんがみましてこの施設を設け、年金受取人等の老後における生活の安定をはかり、もって郵便年金制度本来の機能を十分に発揮しようとするものでありまして、この施設利用に関する費用は原則として利用者負担とし、特に省令で定める費用につきましては国の負担とすることにいたそうとするものであります。なおこれに伴い郵政省設置法の一部を改正し、福祉施設設置管理に関する事項を所掌に加えようとするものであります。  また年金約款改正効力に関する規定を改めたことでありますが、これは従来明確でなかったものを明らかにしたのみで、何らその内容に変更を加えたものではないのであります。  以上で二法律案概略の御説明を終りますが、何とぞ十分御審議の上、すみやかに御可決下さいますようお願い申し上げる次第であります。
  4. 松前重義

    松前委員長 次に、ただいまの両法律案質疑に入りたいと思いますが、都合によりましてこれは次回に延期することといたします。     —————————————
  5. 松前重義

    松前委員長 次に引き続いて、郵政大臣より所管事項について説明を聴取いたします。郵政大臣
  6. 松田竹千代

    松田国務大臣 それでは私から所管事項につきまして概略説明申し上げます。去る三月に開かれました本委員会におきまして、ごあいさつかたがた一応業務につきまして御報告申し上げましたので、本日はその後において生じました当面の課題につきまして御説明申し上げます。  まず、今国会提出予定しております法律案について申し上げます。今国会提出予定しております法律案は、ただいまのところ五件ございまして、さきに本委員会で御説明申し上げました郵便貯金法の一部を改正する法律案及び簡易生命保険及び郵便年金積立金運用に関する法律の一部を改正する法律案のほかに、次の三件を予定いたしております。  その一は、簡易生命保険法の一部を改正する法律案でありますが、最近国民死亡率が著しく低下いたしまして、簡易生命保険の被保険者の実際の死亡率は、その予定死亡率を相当下回って参りましたので、実情に合致した死亡生残表を採用いたしますとともに、最近の金利動向にかんがみまして、予定利率を従来の年三分五厘を年四分に引き上げることといたそうとするもの等であります。  その二は、郵便年金法の一部を改正する法律案でありますが、郵便年金最高限度は、現在年額十二万円となっておりますが、最近の経済事情推移にかんがみ、この金額では制度本来の機能を十分に発揮することができない実情でありますので、これを年額二十四万円に引き上げますとともに、年金の差し押え禁止限度額につきましても、その限度額を引き上げようとするもの等であります。  その三は、郵便振替貯金法の一部を改正する法律案でありますが、現在住宅金融公庫の貸付金に対する償還金納付につきましては、一般の払い込みよりも料金の安い特殊郵便振替貯金取扱いをいたしておりますが、国民金融公庫及び中小企業金融公庫貸付に対する償還金納付にも、この取扱いを行うこととし、利用者の便益をはかろうとするものであります。  以上、五法律案を近く今国会に上程いたす予定で目下取り運び中でありますが、本委員会に付託されました際に、あらためて詳細御説明申し上げたいと存じますので、その節は何とぞよろしくお願い申し上げます。  次に、郵政省所管会計の三十年度予算につきまして、その概要を申し上げたいと存じます。  まず郵政事業特利会計予算について申し上げますと、予算総額は、歳入歳出ともに一千百九十八億三千余万円であります。このうち歳出予算内訳を申し上げますと、郵便業務運営に必要な経費が三百十三億五千万円、為替貯金業務運営に必要な経費が百六十六億六千万円、保険年金業務運営に必要な経費が百五十八億余万円、特定郵便局電気通信業務運営に必要な経費が百億円、以上の業務運営して行きますために必要といたします総係経費が百八十二億六千余万円、恩給負担金等経費を他の会計繰り入れるため等の必要経費が二十三億三千余万円でありまして、このほかに予測しがたい経費支出に充てるための予備費を三億円計上いたしております。  次に、郵便局舎等建設費につきましては、郵便局舎を早急に改善いたさなければならない実情にかんがみ、三十年度を初年度とする年次計画を立てまして、前年度二十五億円であった建設費を三十年度は三十四億余万円とし、その改善の進捗をはかることといたしております。  なお上記のほかに、収入印紙失業保険印紙等収入をそれぞれの会計繰り入れ業務外支出経費が二百十七億円となっているのであります。  以上の本年度予算額を前年度予算額一千百五十三億円に比べますと、約四十五億五千万円の増加となっているのでありますが、そのおもな事項について申し上げますと、逐年増加する取扱い事務量を処理するに必要な定員増等に伴う人件費増加が四十億一千余万円、物件費等増加が八億二千余万円、郵便局舎等建設費増加が九億円、予備費増加が一億五千万円となり、反面、収入印紙等業務外支出経費減少が十三億三千万円となっております。  以上、歳出予算につきましてその概要説明申し上げたのでありますが、これらの結果、三十年度予算業務費におきます人件費率は、七六%となる次第であります。郵政事業特別会計におきます三十年度予算定員は二十五万二千五百五十一人でありまして、前年度に比べまして二千八百九十人の増員となりますが、この増員郵便業務量増加及び特定局電話施設増加等に伴い、その運営の万全を期するために必要といたします増員となっております。  次に、歳入予算内容といたしましては、郵政固有業務収入、すなわち切手、はがき等の売りさばきに伴う郵便収入郵便為替振替貯金等手数料収入及び物件売り払い並びに病院収入等雑収入が四百二十五億三千万円、為替貯金保険年金電気通信の各業務運営経費財源に充てるために、他の会計から繰り入れられる他会計からの受け入れ収入が五百三十七億円、郵便局舎等建設財源に充てるために郵便貯金特別会計簡易生命保険および郵便年金特別会計の両会計から受ける設備負担金が八億八千万円、局舎建設財源に充てるための借入金が、資金運用部資金五億円、簡保資金五億円、以上のほか、収入印紙等の売りさばきに伴う業務外収入が二百十七億円となっておりまして、これ等の収入は、郵政固有業務収入において二十四億二千万円、他会計からの受け入れ収入において二十六億円、設備負担金三億九千万円、借入金五億円と、いづれも前年度に比しそれぞれ増加いたしているのでありますが、業務外収入におきましては逆に十三億六千万円の減少となる次第であります。  次に郵便貯金特別会計予算について申し上げますと、この会計予算額は、歳入歳出ともに三百五十億円でありまして、このうち歳入予算は、郵便貯金資金資金運用部に預け入れることによって生ずる利子収入が三百五億一千万円、雑収入が八千万円、歳出経費財源に充てるため、資金運用部特別会計から繰り入れを受ける他会計からの受け入れ収入が四十四億一千万円となっております。これに対し歳出予算は、郵便貯金預入者に対し必要とする支払い利子が、百九十六億二千万円、郵便貯金業務運営のために必要とする経費財源に充てるために、郵政事業特別会計繰り入れを要する経費が百五十三億八千万円となっております。  次に、簡易生命保険および郵便年金特別会計予算概要について申し上げます。まず歳入予算は九百六十二億五千余万円となっておりまして、その内訳は、保険料及び掛金収入が八百四十一億一千余万円、簡保年金資金資金運用部に預託することによって生ずる利子収入等が百二十億八千万円、雑収入が五千万円となっております。  これに対し歳出予算は三百七十億八千万円となっておりまして、その内訳は、保険及び年金加入者支払いを必要とする保険金還付金等経費が百四十六億五千万円、保険年金業務運営経費財源に充てるため、郵政事業特別会計繰り入れを必要とする経費が二百十九億一千万円、予備費が五億一千万円となっております。なお、この会計における歳入超過額五百九十一億七千万円は、法律の定めるところによりまして、三十一年度積立金として処理することとなっている次第であります。  なお、参考までに郵便貯金および簡保年金資金と、財政投融資資金との関係について申し上げますと、三十年度政府財政投融資原資見込額二千八百九十二億円のうちには、郵便貯金資金が一千百億円、簡保年金資金が五百三億円、合計一千六百三億円が含まれておりまして、この金額は全投融資原資の五六%を占めている実情でございます。  次に、郵政省一般会計予算について申し上げますと、その総額は十四億四千百余万円でありまして、その内訳は、海外放送交付金が六千三百万円、業務費が四億九千二百余万円、人件費官庁営繕費及びその他の経費が八億八千六百余万円となっております。これらのうち海外放送交付金は、放送法第三十三条の規定に基いて、郵政大臣日本放送協会国際放送を実施させるため同協会に交付するものでありまして、現在行なっております十二方向、十二時間の国際放送を、本年度から十三方向、十三時間とするために必要な経費であります。  次に、日本電信電話公社予算について申し上げますと、同公社予算は、その総計におきまして収入支出とも二千二百四十一億二千余万円でありますが、このうち、勘定の振りかえによって重複する金額八百六十四億四千余万円を控除いたしますと、収入支出予算の純計額は、いずれも一千三百七十六億七千余万円でありまして、これを二十九年度と比較しますと四十九億四千余万円の増加となっております。  次に、主要勘定たる損益建設勘定収入支出内訳について申し上げますと、損益勘定におきましては、収入は、電信収入及び電話収入が一千百三十一億八千余万円、受託工事収入が十八億八千余万円、雑収入が二十五億余万円、計一千百七十五億七千余万円となっており、支出は、電信電話運用費が四百十七億九千余万円、電信電話保守費が二百五十億一千余万円、管理共通費試験研究費職員訓練費等が百四億八千余万円、増設電話受託工事費が八億四千余万円、利子及び債券取扱費が六十億二千余万円、減価償却費が二百四十億余万円、予備費が十五億円、計一千九十六億七千余万円となり、収支差額七十九億円は建設改良及び債務償還に充てるため、資本勘定繰り入れることになっております。  次に、建設勘定においては、建設改良のための財源として、電信電話債券公募による分が七十五億円、加入者及び地元引き受けによるものが六十六億八千余万円、電話設備負担金等が五十七億六千余万円、損益勘定からの繰入金が、減価償却引当金二百四十億余万円を含めて三百十三億九千余万円、合計五百十三億四千余万円が予定されております。同じく支出としては、給与及び事務費が六十億余万円、建設改良工事費が四百五十三億四千余万円、合計五百十三億四千余万円となっております。  なお、建設改良工事につきましては、ただいま申し上げました五百十三億四千余万円をもちまして、加入者開通は十八万五千、市外電話回線では、神戸—横浜間及び東京—仙台間を即時式に接続する長距離回線を含めまして、公衆線が四十万三千余キロ、電話局建設では年度内にサービスを開始するもの二十三局、継続工事にして次年度以降にサービスを開始するもの七局、新規着工のもの十二局等を主要な内容とする計画を持ち、この中には町村合併に伴う区域合併五十二局、市外電話回線増設三千八百キロの工程が含まれております。  次に、建設財源調達について一言申し上げますと、政府財政投融資計画に関連いたしまして、外部資金といたしましては、公募による電信電話債券の発行によって七十五億円を調達し、残りは全部加入者等引受債券による資金減価償却引当金損益勘定よりの繰入金等、いわゆる内部資金にたよることになったのであります。  なお、建設勘定支出面におきましても工事能率の向上、新技術の導入等による設計面合理化各種物品計画発注などにより、極力経費の効率を高め、拡充五カ年計画に対しましては、若干基礎設備の繰り延べを余儀なくされましたがサービスの面におきまして、大きな支障を及ぼさないように配意されている次第であります。  以上、公社予算について申し述べましたが、今後一段と事業経営合理化に努めますとともに、極力建設資金調達努力し、健全な財政的基礎の上に電信電話事業をますます拡充発展せしめ、熾烈な現在の需要にこたえていきたいと存じます。  これをもちまして私の報告を終りたいと思いますが、なお詳細の点につきましては、御質問によりお答え申し上げたいと存じます。
  7. 松前重義

    松前委員長 ただいまの郵政大臣説明に対して、御質疑がありますればこれを許します。
  8. 成田知巳

    成田委員 郵政大臣にお尋ねいたします。ただいまの大臣の御説明中にあるのですが、三十年度政府財政投融資原資見込額が二千八百九十二億円で、そのうち約五六%が資金運用部資金ということになっています。そうして郵便貯金資金が一千百億、簡保年金資金が五百三億、こうなっておりますが、この二千八百九十二億円の約半分以上を占めている資金運用部資金原資確保いかんによっては、今度の政府財政投融資というものは、計画通りいかないと思われるのです。そうして郵便貯金資金を一千百億と見込んでおられるのですが、聞くところによりますと、大蔵省は千五十億と見込んでおる。簡保年金郵便貯金合計した千六百三億よりは、五十億円減の千五百五十三億というのが大蔵省原案であったように聞いておりますが、なぜ郵政当局が五十億余分に見込まれたか、それをまず伺いたい。
  9. 松田竹千代

    松田国務大臣 最近の郵便貯金動向を見ますると、必ずしも郵便貯金増額五十億円を見込むということは、妥当でないかもしれないと思います。しかし郵便貯金の点につきましては、改正法律案によってこの貯金額を、それくらいの増額を見込んで、その奨励に努力いたしまするならば、必ずしも不可能なことではない、こういう見込みを持っておる次第でありまして、本年度後半期においては、相当の成績を上げ得るのではないかと、こういうふうな考え方を持っている次第であります。
  10. 成田知巳

    成田委員 今、五十億大蔵省原案よりもふやしたことは、必ずしも妥当じゃない、こう言われまして、後半期の増加傾向を見込むと、また必ずしも五十億増加させたことが妥当でないこともない、こういう御答弁なのです。申すまでもないと思いますが、財政というものは、収入はできるだけ低目に見て、支出はできるだけ多く見るというのが、予算編成根本方針だと思うのです。特に、最近の状況ということを大臣も言っていらっしゃいますが、三月、四月の郵便貯金増加傾向というものは、予期以上に悪いのじゃないかと思いますが、その傾向一つ数字で御報告願いたいと思います。
  11. 小野吉郎

    小野政府委員 お答え申し上げます。昨年度末三月一カ月の成績を申し上げますと、約四十八億円の赤字を出しておりますが、年間を通じまして、郵便貯金増加傾向にはいろいろ波がございます。大体毎年同じような傾向をたどっております。その過去の経験数から見ますと、三月はあまり期待のできない月でございまして、終戦後赤字を出した年もかなりございます。ただ従来の赤字は、大体五億見当以内くらいにとどまっておりますので、先月の赤字は少し異例ではあるまいか、かように思われますので、特に最近の郵便貯金状況から、将来を非常に警戒しなければならない。心配しなければならない要素がありますことは、事実その通りでございます。試みにその前年の三月の成績を見ますと、約八億の黒字になっております。この八億の黒字は、むしろ異例成績がよかったわけでございまして、大体はとんとんか多少の赤字が出るのが従来の例でございます。越えて本年度に入りまして、四月の実績は、月の初めから依然三月と同じ傾向をたどって、かなりの赤字を見ておりましたが、ここ一週間ばかり前からどうやら正常に復しまして、黒字に転じております。毎日二億ないし三億の黒字を見ておりますので、当初非常に心配しておりました四月の赤字も漸次解消いたしまして、現在のところでは大体十五億くらいの赤字になっております。前年の四月はどうかと申しますと、十億余りの黒字になっております。これを照らし合せて、前年の四月と今年の四月のそれを見ますと、そこに二十五億ばかりの開きがございますが、どうやらここ一週間ばかり前から二億、三億の純増を見つつありますので、これをもって直ちに将来の郵便貯金成績を、極度に悲観する必要もあるまいかとも思うのであります。四月という月も、年間の波から申しますと一番低い月でございまして、あまり期待の持てない月でございます。例年四月を最低といたしまして、五月、六月と漸次上昇のカーブをとって参ります。夏に入って少し落ちまして、さらに秋から年末にかけてぐっと伸び、特に一月か最高の山になっておりますことは、これは例年変らない傾向でございます。郵便貯金の本年度目標千百億が、果してできるかどうかという点につきましては、当面の三月、四月のみの成績をもちましては、直ちにこれが絶対に不可能だとは断定しがたいのでありまして、今後、四月末から五月、六月の趨勢を見ませんとわかりません。ただ千百億を今年度内に達成いたしますためには、非常に努力を要することは事実でございます。しかし絶対に到達不可能ということも私ども考えられないと思うのであります。ただ非常に努力をしなければならないことは十分わかるのでございますが、現在のところ、千百億はとうてい到達できない目標である、こうは考えておらない次第でございます。
  12. 成田知巳

    成田委員 今の御説明を承わりますと、三月、四月は非常に成績が悪いというお話なんですね。ところが去年は、三月は八億二千万円の黒字になっております。今年は逆に四十八億の赤字なんです。そうすると、差引五十六億差が出たことになります。四月に入りまして、四月一日から二十一日までだろうと思いますが、去年は八億一千万円の黒字なんです。今年は三十億九千万円の赤字になっておる。そうしますと、これも約四十億の差が出ているわけです。三月、四月を加えますと、プラス・マイナス九十五億の差が出ているわけです。こういう大きな変動があるのですが、これを今後取り返す自信がおありかどうか。特に千百億の原資を見込まれた毎月の数字を一つ出していただいて、今後の見込みと対照していただきたいと思うのですが、どういう根拠で千百億をお見込みになったか。大蔵省は最初五十億減らして立てたと思うのですが、郵政省の方でなぜ五十億おふやしになったか。最近の三月、四月の実績からいって、果して根拠があるのか。各月別の見込みを出していただきたい。
  13. 小野吉郎

    小野政府委員 私どもの方では、各月別のそれは、実行過程になりますと一応目標として持ちますが、ある年度目標がどれだけときめます場合には、四月から三月までの各月別の金額は別段算出の根拠として持っておりません。ただ前年の実績から見ますと、前年度千十四億の実績を上げております。それに対しまして、国民所得がかたく踏んで大体二%の増、こういうことに相なっております。もちろん貯蓄の増加は、国民所得の増加の割合そのままの形で伸びるわけではありません。そこにいろいろ努力をしなければならない面があるわけでありますが、かりにかたい数字の二%増と見ましても、千四十億から五十億の線が出るわけでございます。加うるに、今日の郵便貯金の一人の預入し得る最高の限度は十万円となっておりますが、この十万円の限度、天井に参っておりますものが総体のどのくらいあるかと申しますと、金額で約一割ございます。現在の郵便貯金の総現在高は四千四百四十億となっておりますので、約四百四十億くらいは十万円の最高限度の天井で、現行の貯金法の建前から申しますと、貯金をしたくても郵便貯金に預入できないというような限度に達しておるものでございます。今回貯蓄増強の要請にもこたえまして、近く郵便貯金法の一部改正法案の御審議をお願いいたしたいと思うのでございますが、これは現在の最高十万円の限度を、倍額の二十万円に拡張しようとするものでございます。これによって天井に参っておりますものの預入の限度が、さらにふえるわけであります。そういった措置並びにいろいろ今後各般の情勢に相マッチいたしまして、強く貯蓄奨励、郵便貯金の増強に対する施策をとって参りたいと思います。そういう点から申しますと、千百億は絶対に無理な目標、かようにも実は考えなれないわけでございまして、努力いかんによりましては達成し得るもわからない、また達成を目途として努力しなければならない、かように私ども考えておる次第でございます。
  14. 成田知巳

    成田委員 今の御答弁によりますと、かたく見ますと千四十億か千五十億だと言われたのですが、収入というものはやはりかたく踏まなければいかぬ。絶対に到達できないとはお考えにならない、これは当然だろうと思う。絶対できないものをここに計上なさるはずはないのですが、なぜ大蔵省原案と比較して五十億をおふやしになったか。これは松田竹千代大臣の政治力のしからしめたものかもわかりませんが、事務当局がかたく踏んで千四十億か五十億と言っておるのに、これをなぜ千百億にされたか、大臣の御所見を承わりたい。  それから毎月のものはないというのですが、ではこれはつかみなんですね。もう少し合理的な根拠で、千百億なら千百億というものの算定がなされたと思うのですが、なぜ毎月の貯金の増の傾向というものを御算定にならないで、つかみ取りで千百億という数字をお出しになったか、そんな根拠のないものか、御答弁願いたい。
  15. 松田竹千代

    松田国務大臣 お話の、千百億円の額の根拠が薄弱なのに、そう見込みを立てることはよろしくないではないかという点でありますが、しかし私どもの考え方としては、貯金を大いに奨励してやっていくことは今日の課題の一つであると考えております。従来の年々の郵便貯金の趨勢を見ましても、漸次国民所得の増加とともに相当続けてふえてきておるということを考えまして、われわれといたしましては、時代の課題の一つであると考えられるこの貯蓄を奨励し、かたがた国民の恒心を養うということに対しては、極力努力をしていかなければならぬという考えも基礎になって、なかなか難儀があるかもしれぬけれども、あらゆる面から全然予想されない数字でもあるまいというふうに考えて、大いに努力をしてその額を確保しよう、こういう考えでさように決定した次第であります。
  16. 成田知巳

    成田委員 貯金の増強を希望されることはけっこうだと思うのですが、希望と現実の問題は違うと思うのです。特に三月、四月でプラス・マイナス百億の差が出ているわけです。こういう現状からいって、千百億を達成することができるかどうか、相当の問題があると思うのです。それから政府の方で銀行預金の利子の減免もお考えになっているとすれば、国民所得がふえたからといって、郵便貯金がそれだけ増大するという見込みを立てられるのは非常に危険じゃないか、こういう感じがするわけなんです。もしこれがくずれますと、政府財政投融資計画はその点からくずれてしまう。果してそれだけの自信がおありなのかどうか。今御答弁を承わりますと、はっきりした自信をお持ちのようにも考えられないのです。特に毎月の見込みが計上されないで千百億というものを計上されたことについては、どうしても納得が行かないのですが、その千百億の根拠——千百億の数字をお出しになる以上は、毎月の預金状況というものを当然考慮された上だと思うのですが、それをおやりになっていないのか、もう一度承わりたい。
  17. 松田竹千代

    松田国務大臣 実は月々のこまかい数字を見ておるわけなんですけれども、記憶にありません。こまかい月々の郵便貯金の増減についての数字を持ちませんから、政府委員より答弁いたさせます。
  18. 成田知巳

    成田委員 そうしますと千百億を計上されたのは、やはり毎月の数字の根拠の上に立っておきめになったのですか。
  19. 松田竹千代

    松田国務大臣 それは最近の動向だけできめておるわけではないので、相当長年にわたる預貯金の進行状況、そういうようなものから全体的に考慮して、本年度はこれくらいにいくのではないかという考えから来ております。
  20. 成田知巳

    成田委員 ことしの千百億というものは、過去の長い経験から推しまして計上されたと言われるのですが、それでは毎月の預貯金の状況がどうなっているかという月別の数字をお出しになっているわけですね。
  21. 松田竹千代

    松田国務大臣 そうです。
  22. 小野吉郎

    小野政府委員 先ほどの後段の御質問にもお答えすることになるわけですが、月別のそれは一応は持っております。ただそれはあまり意義を持ちません。そういうことで先ほどの千百億も四月は幾ら、五月は幾ら、こういうわけでいくのだ、それで御質問の御答弁としては、実情はその通りには参りませんので、あまり意義がありませんから、一応参考のそれとしては持っているということを申し上げたわけであります。過去のそれを見ましても大体同じ類型をたどっております。この三月、四月の現象は非常に異例でございますが、四月を最低として漸次高くなり低くなり、高低は大体同じ傾向をたどっておりますので、そういった面は翌年度目標を算定いたします場合の基礎にはとっておりますが、そのことよりも、やはり全体といたしましては、前年と比べてことしの国民所得の状況がどうなるであろうかという面が、むしろ総体の目標をどのくらいにしようという計算の根拠としては非常に役立つわけでございます。そういった面で千百億の基礎を算定してあるわけでございます。昨年のそれを見ましても四月が十二億の増、五月がざっと四十億ばかりの増になっております。六月、七月には非常にふえまして百三十億、百五十億、こういうようにふえて参っております。それに大体一定のパーセンテージをかけて出しても同じように出るわけでございますが、全体といたしましても、それは国民所得の大体の基礎的な構造は国民所得の増加のそれにやや応じておるような状況になりますので、総体として昨年の六兆一千億の国民所得が六兆三千億何がしになり、かたく見て二%程度——これは非常にかたいものだと思いますが、それをかけましても先ほど申しましたように千五十億近く出るわけであります。いわんや現在十万円しか預入できない限度を二十万円に拡大いたしますことで、頭打ちの天井に参っておりますものが、預金増加の現在高の一割を占めるという面からも、その天井が抜けるわけであります。さらにまた今日の預貯金だけでなく、貯蓄全体に対するいろいろな上昇率を、よく経済の復興工合にとられます昭和九年、十一年の基準に比べてみましても、非常に比率が低いわけでございます。それではそのように国民所得が伸びておらないかと申しますと、国民所得の面で申しますと、その基準年度に対しまして約四百倍くらいになっております。物価は普通三百倍の上昇といわれておりますが、基準年度当時毎年百四十億見当の国民所得があったわけでありますが、それが六兆何がしというように大幅にふえておりますので、国民所得の面から見れば明らかに四百倍、物価の上昇を上回る回復を見ております。それが預貯金の姿に変りますと、せいぜいその三割四分から三割五分しか回復しておりません。これは郵便貯金についてもそうでありますが、その他の銀行預金等についても回復率は非常に低いわけであります。いわんや今日そういった国民の貯蓄の奨励、ひっきょう資本の蓄積が非常に重大であるという政策に重点を置きますならば、あまりに預貯金の回復率が低いわけであります。まして預貯金をなし得る国民所得の源泉は、物価の上昇を上回るほど回復しておりますので、そこに国民所得の前年対比の増加割合を越えた期待をいたしますことも、これまた決して無理からぬところでありまして、しかも千百億——かたく踏めば千五十億、千百億はとうてい不可能だ、これはいかに三月、四月の不調をもちましても断定いたしかねるわけでございまして、そこにいろいろな方策をわれわれとしては考え、努力をいたさなければならないわけであります。そういった見地から千百億必ずしも現在をもちまして達成が至難である、とうていできない相談だ、かようには考えておりません。
  23. 成田知巳

    成田委員 三月、四月は異例の現象であると言われるのですが、その原因はどこにあるか。国民所得、国民所得と言われますが、この三月、四月だってやはり局長の言われるように、国民所得の二%程度というものが影響していると思うのです。にもかかわらず去年と比較しまして百億も差が出た。その異例の現象の原因はどこにあるか。将来はそういうことは全然考えられないか。それを一つ御説明願いたいと思います。
  24. 小野吉郎

    小野政府委員 これは先ほど各月別の目標をどのように考えているか、こう言われますのと関連したお答えにもなるわけでありますが、私ども一応そういった素材は持っておりますが、事態はその通りには流れません。従って千百億の目標がきまりますと、これを本年度どのように達成していくか、こういう計画段階になるわけでありますが、その実行の段階から申しまして、いろいろ預貯金の内容を見て参りますと、政府資金の散布状況がどのようになり、一般収入状況がどういうようになるか、年間を通じてはその年の所得はこのくらいだろうという推定はつくわけでありますが、それがどの月に集中するかということは、各年とも変るわけでございまして、そういう状況からいたしまして三月の状況を見ますと、これは通常であれば、やはり例年の傾向異例に破る要素は別段に考えられないわけでございます。決して国民所得が枯れたわけでもないと思うのでありますが、ただ前年、前々年との比較を申しますと、そこに何か原因がありそうに思われます。しかし三月、四月の郵便貯金の不振の真因がどこにあるかということを的確につかむことは、非常に困難な問題でございますが、概括的に申し上げますと、郵便貯金のみならず、農村方面におきましては農協等も、三月は成績が非常に不振であるということであります。その他郵便貯金と類似しております相互預金の状況を見ましても、前年のそれに比較をいたしまして成績が非常に上っておりません。その原因がどこにあるか、いろいろ探求いたしてみますと、その前年の場合におきましては九州その他に非常な災害がございまして、これも年の暮れから正月に入りましてかなりの救済資金が出たわけでございます。そういったものがやはり前年の成績の中には加味されているのではなかろうかということも考えられます。そういう点から見ると、これは仕合せなことでありますが、昨年は大きな災害もありませんので、そういった政府資金の散布もなかったわけであります。と同時に供出の面から見ましても、一昨年のそれと比べまして、昨年は非常に供出が順調に早目に進んだようでございますので、もう三月あたりにはそういった供出代金の受取分も非常に少かったというようなことがあろうかと思うのでございます。いずれにいたしましても郵便貯金の面に現われた三月、四月のここ最近までの成績は、例年のそれから見て異例ではありますが、果してこれが将来そういうような貯蓄源の枯渇といったような意味における心配をしなければならない大きな要素になるかどうか、これは非常に疑問でございます。むしろ郵便貯金の面から申しましても、ここ一週間ばかりは正調に復しまして、毎日二億ないし三億の黒字を見ておるような状況でございますので、直ちにこれをもって私どもは将来を悲観的には見ておりません。ただ御質問の三、四月の不調の真因は何か、こう問い詰められましても、実際はこうだ、こう割り切ってはなかなかつかめない状況でございます。非常に断片的ではございましょうが、農林方面の郵便貯金と同じように、農協も悪い、相互銀行も悪い、その点をほんの部分的ではございましょうが、考えてみましても、供出の促進の状況あるいは災害資金の融資の状況、そういったような状況に非常な違いはあったようでございます。
  25. 成田知巳

    成田委員 今の御説明を承わりますと、結果としては非常に異例なんだけれども、その原因はどこにあるかということははっきりわからないということなんですが、そうしますと、現われた形は異例なんだけれども、これがほんとうの姿ではないかと想像できるのです。将来こういう傾向が——新しい傾向ではないけれども、ずっと一年間続くということも当然想像しなければならないと思います。特に政府の散布超過のお話にも触れられましたが、去年は御承知のように一千八百億円の散布超過が、ことしは九百億くらいになって、政府の散布超過が非常に減っておる。これが郵便貯金に及ぼす影響はあると思います。そういう点から考えますと、三、四月の実績というものをあまり突発的な異例な現象だとお考えになって、将来回復できるとお考えになるのは、少し楽観に過ぎるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  26. 小野吉郎

    小野政府委員 その辺のところは将来の問題にかかりますので、私どもといたしましては極力努力いたしまして、目標達成をはかって参るよりほかないと思います。
  27. 成田知巳

    成田委員 努力せられることはけっこうなんですが、これがここでくずれたら、政府財政投融資計画が全部くずれてしまう。そういう点を私は申し上げておる。努力は大いにしていただかなければならぬと思いますが、どうも努力しても希望的な見通しになって、現実には預貯金というものは上らないのではないか、こういうことを心配しております。この程度でこの問題は打ち切ります。  それから先ほど大臣から御説明になりました二法律案の問題についてお尋ねしたいのですが、簡易生命保険金額をお引き上げになる予定はないかどうか、これを承わります。
  28. 松田竹千代

    松田国務大臣 簡易生命保険金額の引き上げをお尋ねでございますが、そういうことも考えられないではないですけれども、ただいまのところではまだこれを引き上げていくという考えは持っておりません。
  29. 成田知巳

    成田委員 現在は幾らでございましたか。
  30. 松田竹千代

    松田国務大臣 現在十五万円でございます。
  31. 成田知巳

    成田委員 それを二十万円程度に引き上げなければいかぬという要望は大分あるわけですね。今の郵便貯金の問題についても、政府資金を確保するために二十万円に引き上げれば何とかなるのじゃないか、そういう計画もおありのようですが、この際資金運用部資金原資を確保する意味においても、また国民の預貯金を吸収する意味においても、簡易生命保険金額を十五万円から二十万円程度にお引き上げになってしかるべきだと思うのですが、そういうお考えはございませんか。なぜ二十万円まで引き上げる御計画を今持ってないか。持っていらっしゃるならばけっこうなんですが……。
  32. 松田竹千代

    松田国務大臣 そういう意見は一部にございますけれども、まだただいまところではさような決定をもって引き上げるという考えはいたしておらないのであります。
  33. 成田知巳

    成田委員 そういう意見が一部にあると言いますが、大臣の御意見はどうなんですか。二十万円から二十五万円、三十万円に引き上げるのは妥当なのか、それとも現在の十五万円にしておくのがいいとお考えか、大臣のお考えを一つ承わりたい。
  34. 松田竹千代

    松田国務大臣 私としてはやってもよいのじゃないか、引き上げてもよいのじゃないかという気持を持っております。しかしまだ私は検討が足りませんし、種々の問題に関する検討を自分はいたしておりません。従いましてなおこれが検討をいたしました結果、また政府の方としても考えることになるだろうと思います。
  35. 成田知巳

    成田委員 大臣としては引き上げる方がよいだろう、ただ検討が足らないということですが、郵便貯金は二十万円にするということで法案を出される。こういうことを承わっておりますが、なぜ簡易生命保険の方はまだ十分検討されないで、将来の問題として残しておられるのか。当然郵便貯金の引き上げをお考えになる場合には、簡易生命保険についても前からの問題であるから、大臣もやってよいというなら、早急に御検討になって法案を出されるのが至当ではないかと思いますが、いかがですか。何か出せない特別な理由でもあれば、それを承わりたい。
  36. 松田竹千代

    松田国務大臣 政府委員から説明をいたさせます。
  37. 白根玉喜

    ○白根政府委員 簡易保険最高制限額を引き上げたらどうかというお話でございまして、この最高制限額を八万円から十五万円に上げた際においても、二十万円程度に上げたらどうかというお話があったのであります。しかもその際におきましても、近く最高制限額を上げるようにという御決議もちょうだいしておるわけであります。それで事務当局といたしましては研究はいたしておる次第であります。ただあの当時における状況と現在の状況とが、そう変ってないのでございます。変っております点は、あの当時におきましては民間保険の方では、簡易保険最高制限額を引き上げると、民間に非常な影響を来たす、民間は伸びないというお話があったわけでございます。その後の経過を見ますと、その点は民間も伸びて参ってきております。ただ物価指数その他の面から申しましても横ばい状態でございますのに、しかも民間も伸びて参っておりますが、無審査の平均保険金額は上っておらない。そういうような状況でございます。かてて加えましてあの引き上げをしてから、まだ一年やっとたったところであります。また他面民間保険といたしましては相当影響ありといたしまして、御心配なさっておる保険料の引き下げも今回御提案いたしまして、御審査を願う段階になっております。従いましてその当時御審査をいただいた際におきまして御提出申し上げました私の方の関係資料と、現在の状況からする関係資料とを再調整をしてみますと、その当時より以上に最高制限額をさらに二十万円なら二十万円に上げるという十分な資料が、まだ出てないような状況でございまして、客観情勢はあの当時における状況と現在における状況とは資料の面からいたしますと、二十万円に引き上げるにプラス・アルファになるような資料が今のところは出て参らないわけであります。ただ一面出るのは、その当時において八万円から十五万円に引き上げると民間に非常に影響を及ぼす、民間の保険の将来に悪い影響をもたらすという面につきましては、やはり八万円から十五万円に引き上げましても、悪い影響というよりも、刺激になって相当上っておる面はございます。ただ数字的な資料から申しますと、民間の平均保険金額がその当時よりそう大して上っておるわけでもございませんし、また一面物価指数の面からいたしましても、その当時よりそう大して変動はないような状況でございますし、またかたがた引き上げましてまだ一年たったばかりのことでもございますし、いろいろ事務当局といたしましてはどうしようかというようなところで、足踏み状態になっておるような次第でございます。
  38. 成田知巳

    成田委員 この前の経過をお話になったのですが、問題点は、民間の保険会社に対する影響というものを一番重要視しておられたらしいのですが、それもただいまの御答弁によりますと、民間に対する悪影響というものはなかったということになりますね。そうしますと二十万円に引き上げるということは、二十万円でなければいかぬということでなく、最高二十万円でしょう。現在の十五万円を二十万円にするということが、民間にこの前の経過からいって悪影響を及ぼしていないということになれば、ほかに資料々々と言われますが、何か十五万円を二十万円にすることについて特別な不合理をもたらすような問題があるのかどうか。問題点はやはり民間の生命保険会社との関係もあるだろうと思いますが、それも問題なかったということになれば、最高二十万円にするということは、たとい三十万円にしたって民間にさえ影響がなければ、あえてやってはいけないというような理由はないじゃないかという気がするのですが、そのほかに何か理由がありましたらお伺いしたいと思います。
  39. 白根玉喜

    ○白根政府委員 この次の機会に関係資料をお届けいたしますが、ただいまの段階で、民間との関係で八万円から十五万円に引き上げた当初より、二十万円に上げるについてのマイナスになるような面は、その当時における十五万円から二十万円の無審査の競合する部分、これがその当時の比率よりも現在少し比率が高くなって参っておるわけでございます。一面民間の最高保険金額が、その当時よりそう大して上ってもいないわけです。そういうような状況で、競合する部分がその当時より多少上目になっていることと、一面物価指数の面がそう大して変っているわけでもないので、そういうような面からいたしまして、かたがた料金を、最高制限額を引き上げていただいてからまだ一年もたたない状況でございますし、他面保険料の引き下げということもサービス改善であるから、民間も反対すべきものではないと思いますが、とにもかくにも民間には相当な影響をもたらすことは事実でございます。そこへそういう客観情勢がさらに引き上げなければならないという強い線も資料的には出ないところに、保険料も御審査の結果下げていただいて、さらに最高制限まで行くのは、民間に対して少し行き過ぎではないかという心配も多少あるわけでございます。
  40. 成田知巳

    成田委員 今保険料の引き下げ云々と言われましたが、これは今度の法案に出るのですか。
  41. 白根玉喜

    ○白根政府委員 そうです。
  42. 成田知巳

    成田委員 それでその引き下げの理由として、国民死亡率が著しく低下したということと、それから最近における金利動向にかんがみて云々というのと、この二つが理由らしいのですが、予定利率を従来の年三分五厘から年四分に引き上げる、これはどういう意味ですか。ちょっと御説明願いたい。
  43. 白根玉喜

    ○白根政府委員 簡易保険の計算基礎は、三点が基礎になっております。一点は死亡率がどうであるか、死差益がどの程度出るかということが一点でございます。いま一点は、御承知のように保険料をちょうだいいたしましてから満期なり死亡のときに保険金なり——解約のときは還付金でございますが、お金をお払いすることになっております。先にお金をちょうだいしておるのですから、やはりある程度の利率を考えなければならない。その利率がただいまのところ三分五厘になっております。ところが最近の金利状況は、戦前でも私の方の運用利回りは四分以下ということは全然なかったわけでございます。経済の底の深い時代におきましても、四分以下のことはなかったのでございますし、現実面といたしましても、運用利回りはただいまのところ五分三厘ないし五分四厘程度にいっておるわけでございます。しかも御承知のように資金の大部分は、昭和二十一年以前の戦前契約は小さいのでございます。それで高額の保険料をとって、毎年三百億ないし四百億ずつふえているのです。ふえておる余裕金は、一時、一年間大蔵省に頂けておるのです。これは金利が安いのでございますが、だんだん安定して長期になっていきますと金利は上っていくことになります。三分五厘程度の予定利率では、実際予定利回りが大きいにかかわらず、低くしておることは、保険料を高くちょうだいするようなことになって、かたがた民間の現在の保険料といたしましても四分で計算をしております。そういうような関係からいたしまして、予定利率を五厘程度上げまして、保険料の引き下げの財源基礎にいたしたい。一面いま一つは、保険事務をやるに当りましての事務費がかかる。その事務費に必要な分を附加保険料としてちょうだいしております。これをある程度多少上げることにいたしますが、これは法律の制限内で現在やっておりまして、多少の変更はいたしましても、法律規定の制限内でございますから、その分は改正はお願いしないで、前の二点をお願いしておったということでございます。
  44. 成田知巳

    成田委員 今のは簡易生命保険法十八条の問題なんでしょうね。そこで予定利率を三分五厘から四分に引き上げるということですが、そういたしますと保険料はどのくらい下りますか。これはいろいろのケースがあると思いますが、最もポピュラーなケースでどれくらい下るか、一つ御説明願いたい。
  45. 白根玉喜

    ○白根政府委員 実は予定利率をこれだけ上げて、どれだけの利差益がなお残るかという数字は出ておりますが、その数字の部分が保険料に対し何%の影響を受けるかというところまではじいたのを、ただいまのところ持っておりませんから、次の機会にお届けしたいと思いますが、保険料の算定基礎予定利率を五厘上げるために、保険料はそれだけであっても、死亡率を下げたための死差益というものも出るわけです。それで死差益の部分と予定利率の分との利益を按分しまして、保険料全体としては、大体最高一割程度の引き下げになります。
  46. 成田知巳

    成田委員 次に郵政大臣にお尋ねしたいのですが、これは問題が全然別なんで、放送関係です。聞くところによりますと、文化放送が、セント・パウロ修道会と秘密協定を結んでおる。この秘密協定は電波法第五条に違反するのじゃないか、こういうことで電波局長の方から、文化放送の方に通達をお出しになったということを聞いておりますが、その間のいきさつをまず承わりたい。
  47. 松田竹千代

    松田国務大臣 文化放送とセント・ポール教会との間に一つの協定があることを承知いたしております。しかしながらそれによって文化放送が、その業務を左右されておるというようなことはないのであります。秘密協定とおっしゃいますが、そういうものではないのでありまして、私の承知いたしておりまするところは、当初寄付行為によってセント・ポールから資金を出してもらったことによって、ともに仕事をやっておるようなふうに承知いたしておりまするが、その資金を出してもらっておることによって、文化放送の方でその仕事に何らの制約を受けたり、指示を受けたりしておるようなことはないということを承知いたしております。
  48. 成田知巳

    成田委員 今の大臣の御答弁では、文化放送がセント・ポール修道会の何らの支配も受けていない、こういう結論に達したというお話でしたが、電波局長が通牒をお出しになっておりますね。それについてはそのおそれが非常にあるということで、非常に強い警告の意味での通牒をお出しになったと思うのですが、その後の調査でそういうことはないということが、今の大臣の御答弁のように判明したのでありますか。その間のいきさつを少し電波局長の方から伺いたい。
  49. 長谷慎一

    ○長谷政府委員 私からお答え申します。御指摘になりましたように、昨年の十二月に日本文化放送協会とセント・ポール修道会との間に、ある種の協定のあることが明らかになりました。それは従来そういうものがあるということを言われておったのでありますけれども、真偽のほどは郵政当局としてさだかでありませんでしたので、抽象的に当事者に御注意なりを申し上げたことはございますけれども、役所として正式に警告を発したりいたしたことはなかったのであります。ところが昨年秋にセント・ポール修道会の方から、日本文化放送協会の内部のいろいろないきさつのことから訴訟を起されました。東京地方裁判所に訴訟を起されまして、その際に証拠物件として、ただいま申し上げました協定書をお出しになったのであります。そこで初めて正式に事実として役所が承知いたしたのであります。証拠物件として出されました協定書のその内容をいろいろ審査いたしましたところが、その協定そのものにはいろいろ解釈がございますけれども、その運用のいかんによりましては、寄付行為の範囲を逸脱する。従って郵政大臣が民法の定めによりまして、所管の財団法人として認可を与えられましたときの寄付行為を逸脱するのではないかという点、並びに外国性が強いのではないかと思われる。それもいろいろ議論がございますが、セント・ポール修道会によって、いろいろ電波法の精神その他に違反するような行為が行われるのではないか。これはどこまでも協定の運用いかんによるわけでありますが、その点が心配されましたので、その運用に当りましてはそういうことが起らないように注意されるのが適当だと思う、こういう意味の御注意書を電波監理局長名で差し上げてございます。しかしそれまでに現実に寄付行為違反の事実も、私ども認めておらなかったのであります。また電波法の精神に沿わなかったことも、現実にはなかったのであります。その後もそういうことはございません。ただいま大臣からお話しになりましたのも、そういう事実としてはなかったということをお話しになった、私はこう思います。
  50. 成田知巳

    成田委員 秘密協定と申しますか、両者間の協定ですね。その協定を文面通りに解釈すると、電波法違反の事実が生ずるおそれもあるということを御警告になったと思うのですね。今の御答弁では今までのところはなかったということですが、将来のことは、これは警告を出されたのですから、そういうおそれがあり得るということは当然予想されなければいけないのですが、その秘密協定と申しますか、両者間の協定、その協定は当局としてはお認めになるのですか。特に電波局長から警告をお出しになったのでありますから、相当これは電波法違反の事実を惹起するおそれがある、こう御認定になってお出しになったと思うのですが、今までにないからということで、その協定は今後ともお認めになっていこう、こういう御方針なんですか。それとも、警告の趣旨に従ってこの協定だけは改正さす、破棄さす、こういう御趣旨があるのか。もしそういう事実が起きた場合は、もう取り返しがつかないわけなんです。そういうおそれがあるとすれば、協定そのものに対して何らか監督官庁として御指示があってしかるべきだと思うのですが、いかがでしょう。
  51. 長谷慎一

    ○長谷政府委員 この協定は、財団法人として法律上認められました日本文化放送協会の当事者が、責任を持ってほかの第三者と協定を結んだことでございますので、それが法の上での逸脱をしない範囲での協定を結んでおる場合は、一向監督官庁としてくちばしを入れる問題ではないと思う。ただ、ただいまのお話になりました点は、その運用によりましていろいろ問題が起ることが心配されましたので、十分に注意をするように警告を発した。従ってその警告に基きまして日本文化放送協会の当事者が、これは破棄すべきものだと思えば、それを破棄する処置を当事者にしていただくのを私どもは期待いたしておりますが、現在のところはそういうことをされておりません。そのままになっておると私ども承知いたしておりますが、現実には先ほど来申し上げましたように、その協定に基いて寄付行為違反なりあるいは法律違反の事態は現在まで起っていない、こういうふうに承知しております。
  52. 成田知巳

    成田委員 協定に基いて法律違反の事実は起きてないと言われますが、御承知のように文化放送は人事問題で相当もめました。この協定によりますと、理事とか監事の選任について、相当寄付行為者の圧力が加わり得るような協定になっておると思います。あの人事問題の紛争なんかは、そういうところに由来しているのじゃないかと思いますが、そうじゃないのでございますか。
  53. 長谷慎一

    ○長谷政府委員 私どもは、その協定に基いて行われているとは承知いたしておりません。寄付行為の定めるところに基きまして、理事の選任手続あるいは評議員の選任手続は寄付行為によって行われておりますので、この協定によって寄付行為に定められた以上のこと、あるいは違法のことを行なってきているとは承知しておらないのであります。
  54. 成田知巳

    成田委員 そこで、今長谷さんの言われましたように、警告を発した、そして当事者としてはその警告の趣旨に従って協定を破棄することを希望なさる。しかしながらこれは相手のやることなんだから、それ以上は要求されないというのでありますが、監督官庁が、警告の文を読む必要はないと思いますが、相当強い警告文だと思います。こういうものをお出しになって、電波法違反の事実を生じるおそれがあると言っておるにもかかわらず、文化放送がそれを黙殺する、それはやむを得ぬのだ、こういうことでお見のがしになるおつもりなのでしょうか。それとも今後ともこの警告の趣旨に従って、協定について何らかの処置を御要求になる意思であるかどうか、もう一度はっきり承わっておきたい。
  55. 長谷慎一

    ○長谷政府委員 先ほど申し上げましたように、電波監理局長名で日本文化放送協会の当事者に発しました警告は、現在も生きておると私は思っております。結局、協定を取りやめた、破棄した、変更したという御通知がございませんから、まだこの警告がそのまま残っておる、そういうふうに私どもは承知しております。
  56. 成田知巳

    成田委員 協定を破棄または改正した通知がないから、警告の事実は残っておる、これはその通りだと思うのです。そこで私お尋ねしておるのは、先ほど御答弁がありましたように、文化放送当事者としては、当局としてはこの警告の趣旨に従って協定を破棄または改正することを希望されるということになっておりますが、その点について、その希望を強く相手方にさらに確認さす必要があるのじゃないかと思います。電波法違反の事実が起きた場合は、もう取り返しがつかないのでございますから、さらに意思表示なさる御意思があるかどうか、その点もう一度お伺いしておきます。
  57. 長谷慎一

    ○長谷政府委員 ただいまのお話の最後のことにつきましては、大臣ともよく御相談申し上げまして、現状なり実情をよく申し上げて、さらに必要な処置をとる必要があるかどうかも考えて、ただいまの御意見の点も十分考慮に入れまして処置したいと思います。  なお蛇足でありますが、日本文化放送の経営等いろいろのことにつきましては、当事者からお聞き及びと思いますが、昨年の暮れからことしの初めにかけまして、経営者がだいぶかわられましたので、こういう方々が全般的に慎重に目下考慮をされておるということを承知をいたしておりますので、ただいまお話しになりました協定の問題等も含めて、十分検討されているものと私どもは期待をしておるわけであります。
  58. 齋藤憲三

    ○齋藤委員 私は次回に質問をいたしたいと思いますが、それにつきまして、ただいま大臣所管事項説明資料の中で、先ほど本委員会で御説明いただきました郵便貯金法の一部を改正する法律案、及び簡易生命保険及び郵便年金積立金運用に関する法律の一部を改正する法律案、これはまだ出ておらぬのでありますが、これを直ちに提出していただきたいと思います。  それからもう一つ次回に御説明を願いたいのは、簡易生命保険法の一部を改正する法律案中、この第三十一条の第二項第四の「年齢十年に満たないで死亡したとき。」という点に関しましては、ここに御説明がございますが、これは「保険金倍額支払いに関する外国及び民営保険契約条項並びに倍額支払い制度趣旨等を考慮いたしまして、被保険者が十歳未満が死亡した場合には倍額保険金支払いはしないことにいたそうとするものであります。」これは今日の日本の実情から照らしますと、非常に大きな問題であろうと思いますから、これに対するもう少し的確な詳細な参考資料を出していただきたい。  それから財政投融資の問題がございましたが、おそらくただいま申し上げましたこの簡易生命保険及び郵便年金積立金運用に関する法律の一部を改正する法律案は、この積立金運用の範囲を広げる法律案であろうと思うのであります。それに対する御質問を申し上げたいと思いますから、その内容がよくわかるように御準備願いたいと思います。
  59. 松前重義

    松前委員長 それでは私から、先ほどの成田委員からの質問に関連して御質問いたします。警告を発せられたときに、電波法違反の疑いがあると認められた、そういうわけで警告を発せられた、それでまだその警告は生きておる、こういうお話であった。警告が生きておるということは、電波法違反の疑いがいまだに残っておる、こういうふうに理解するわけです。秘密協定なるものが裁判所には出ておるということでありますが、それを当局としてはごらんになりましたか。
  60. 長谷慎一

    ○長谷政府委員 お答え申し上げます。地方裁判所に提出になりましたので、その写しなるものを私の方も拝見いたしまして、内容を検討いたしまして、先ほど申し上げましたような警告文を発したのでございます。警告文と申しましょうか、注意書でございますが、注意書を差し上げたのでございます。その際も協定そのものが、電波法に違反するというふうには私どもは考えておらなかったし、現在もおらないわけでございます。ただそれの運用いかんによりましては、電波法第五条の欠格の規定の精神に抵触することになるおそれがあるから、そのようにならないように御注意を願いたい、こういうことを申し上げておるわけであります。  それから次の第二点といたしまして、警告書と申しましょうか、注意書が現在も生きておるということを申し上げましたのは、その協定書が破棄された、あるいは変更されたという通知がございませんので、まだその注意書によりまして十分注意をしておっていただいておる段階だ、こういう意味で生きておるということを申し上げた次第であります。
  61. 松前重義

    松前委員長 そうすると、その秘密協定なるものは、電波法違反ではないということをお認めになっていらっしゃるのですか、いらっしゃらないのですか。どちらかはっきり言って下さい。
  62. 長谷慎一

    ○長谷政府委員 お答えを申し上げます。協定そのものは電波法違反ではないと存じます。
  63. 松前重義

    松前委員長 この文化放送なるものの寄付行為は、私は見ておりませんが、ほかの一般の民間放送と比べまして、どういう寄付行為の内容の相違がありますか。これは財団法人ですから、一般の民間放送と事業目的が違っておるだろうと思うのです。従ってそこにどういう差異があるかということを伺いたいのです。
  64. 長谷慎一

    ○長谷政府委員 お答えを申し上げます。現在の民間放送関係では、株式会社になっておるのが大部分でございまして、日本文化放送だけが財団法人であります。その寄付行為の内容は、一般の財団法人の場合とほとんど軌を一にしておりまして、ただその事業が放送によりまして——ただいま寄付行為そのものを持っておりませんので、的確には別の機会に要細説明さしていただきますが、放送によりまして、日本の文化に寄与することを目的とする、こういうな意味で放送をする、あるいは民間放送放送を行うことそれ自体並びにこれの付帯事業というようなことも述べておりますが、一般の財団法人の形におきましていろいろな事業を行う場合の例にならっておるのでありまして、特別の変った点はないと私ども記憶いたしております。なお要細の点は、あらためまして資料に基いてお答え申し上げます。
  65. 成田知巳

    成田委員 関連して。今の御答弁ですが、一般の民放は株式会社である、文化放送だけが財団法人だ。従って株式会社の場合も定款に該当するものが、今度の文化放送の寄付行為だと思う。その点については普通のことだろうと思うのです。にもかかわらず寄付行為以外に、いわゆる秘密協定と目されるものが出てきたということ、ここに問題があると思うのです。一般の民放で、大株主が定款以外に会社と秘密協定を結んでおるようなことはないと思いますし、あっては大へんだと思います。ところが文化放送についてのみ、定款に該当する寄付行為以外に秘密協定が出てきたということに、問題の原因があるのです。そこでこの秘密協定の今の御解釈で、協定そのものは電波法違反ではないが、協定の運用いかんによっては、電波法違反の事実を生ずるおそれがあるから警告を出した。しかもその警告は、まだ文化放送の方から協定を廃棄するとか、あるいは改正するとかいう回答がないから生きておるのだ、こういう御答弁なんですから、当然これは変更もしくは廃棄を予想しての警告文だろうと思うのです。大臣と相談されて云々というよりは、当然廃棄または変更を期待しておられるし、またそれを受けなければならぬと思うのですが、その点についてはいかがでございますか。
  66. 長谷慎一

    ○長谷政府委員 お答え申し上げます。現在まで私どもといたしましては、協定そのものは、民間放送としていろいろ放送をいたしますにつきましても、第三者と協定を結ぶ場合はたくさんあるわけでございますから、たまたまお話の出ました場合は、寄付行為者であったセント・ポール教会と日本文化放送協会との協定でございますので、寄付行為に定められた以上に出ておるのではないかという問題が起って参りますけれども、協定そのものとしてはいろいろな協定があり得ることは考えられます。ただいま問題になりましたその協定の内容を見ますと、その解釈あるいは運用におきまして、寄付行為違反あるいは電波法違反が起るおそれがございますので、そういうことが起らないように注意願いたい、こういうことを申し上げておるのでありまして、私どもといたしましては、協定そのものがただちに寄付行為違反あるいは電波法違反になっておるとは承知しておりません。従いまして、その協定を変えずにおられる間は、私の方から申し上げた注意というものを生かして、それを十分注意していただかなければ困る、その意味において注意というものは現在ずっと生きておる。それに従ってやっていただいておる。従ってまた寄付行為違反、電波法違反というものが現実に起きていない。それは注意を十分考えておいていただいておるからだと思っております。しかし一方その協定なるものを廃棄してしまえば、その注意というものも自然要らなくなるわけでありますから、そういう処置がとられるならば、根本的にその問題はなくなるわけでありますから、そういうことをされれば一番よろしいと思いますが、その点を協会の当事者としてどういうふうに考えておられるか、いろいろ研究中のように私ども伺っておりますから、それらの点も一緒にして考えておられるものと思います。しかしその点も十分明らかでなく、いつまでも処置できないような場合には、大臣にもよく御説明申し上げ、御指示を得て適当な処置をさらに考えようと思っておりますが、ただいまのところは今申し上げたような次第であります。
  67. 成田知巳

    成田委員 長谷さん、非常に大臣答弁をされるのでわかりづらいのですが、先ほどの御答弁では、協定そのものが電波法違反じゃないのだけれども、運用いかんによっては電波法違反の事実を惹起するおそれがあるから警告を出した、しかもまだ協定の破棄だとか改正について回答がないからこの警告文は生きておる、こういう御答弁だったのですが、警告を出した以上、当然文化放送は協定を廃棄するとか、または訂正して電波法違反の事実を生ずるおそれのないような状態にするか、どちらか待っていらっしゃるわけですね。それが来ない場合には大臣と相談なさるのですか。それとも来る来ないにかかわらず、警告はたしか十二月に出しておるのだ。しかも時日は三カ月も四カ月もたっておるのですから、当然回答があってしかるべきだが、いまだに回答が来ないということになれば、さらにもう一度電波当局としては何らかの処置をおとりになるのが当然じゃないかと思うのですが、いかがですか。
  68. 長谷慎一

    ○長谷政府委員 よく大臣の御指示をいただいて、適当な処置をとりたいと考えております。
  69. 成田知巳

    成田委員 大臣、どうされますか。
  70. 松田竹千代

    松田国務大臣 御心配のようなことがなお今後も継続されるようなおそれがあるといたしますれば、所管大臣としてそういう憂いを除くために、適当な処置をとらなければならぬと思っております。
  71. 成田知巳

    成田委員 念のために申し上げておきますが、そういうおそれが継続する場合は処置をとると言われたのですが、そのおそれは、警告に対して何らの回答もないわけですから、現在継続しておるわけですね。警告をお出しになったのは、そういうおそれがあったからお出しになった。それに対してまだ何らの意思表示が文化放送からないとすれば、そのおそれは今継続しておるわけですから、早急に御処置願いたいと思います。
  72. 松田竹千代

    松田国務大臣 問題がはっきり電波法に違反するとか、あるいはなお今後もごたごたが続くとかいうような場合には、むろん適当な処置をとらなけれどならぬと思いますが、できることならば事業体それ自体の自主的手段によって是正すべきものを是正して、そうして事業を伸展せしめていくということをむしろ待っている次第であります。
  73. 成田知巳

    成田委員 私のお願いしたのはそうじゃないのです。今も長谷さんが言われましたように、協定そのものが電波法違反じゃないというのです。電波法違反の事実があれば処置をするというのでは、私は問題の解決にならないと思います。協定そのものに電波法違反の事実を生ずるおそれがあるから、ああいう警告を出した、その警告に対してまだ何らの反応がない、こういう状態なのですから、お出しになった場合の状態がそのまま残っている。それを三カ月も四カ月も放置しておくことはできないので、何らかの処置をとる必要がある、こう思うのですが、いかがですか。
  74. 松田竹千代

    松田国務大臣 なお今後いつまでも手をこまねいて待っているという考えではありません。それだけを申し上げておきます。
  75. 松前重義

    松前委員長 長谷局長にお願いいたします。私はまだ電波法とこの寄付行為その他の関係を勉強しておりませんが、この問題は非常に重要な問題だと思います。従って勉強してからお尋ねしたいと思うのですけれども、ただ資料を少しばかりいただきたいと思うのです。日本文化放送の寄付行為、それから財団法人として放送を許可されたというのでありますから、他の株式会社との対比。いわゆる民間放送としての商業放送を許可しておられる。いずれも商業放送であるが、財団法人としては税金の関係等においても保護を受けております。税金の率は安いはずです。そういう点で特殊な保護を受けている以上は、寄付行為については何らかの特殊な目的があるはずである。これらに対して今日までとってきたところの放送内容、これを株式会社の放送会社と比較して、どういう内容であるかということを比較対照した当局としての記録をいただきたいと思います。すなわち寄付行為を一ついただきたいことと、それから一般放送会社との放送内容の相違、これをあなた方がどうお認めになっておられるか、その資料をちょうだいいたしたい、こういうことです。
  76. 長谷慎一

    ○長谷政府委員 ただいま御要求の資料はできるだけ早く御提出いたします。寄付行為の方は時日の猶予なく御提出できますが、第二点の放送内容の比較の問題は、ある程度の期間を通じての比較でなければ参考にならぬと思いますので、なるべく早く資料をそろえまして提出いたしたいと思います。
  77. 松前重義

    松前委員長 それからもう一つ、秘密協定と称するものはおわかりになっているのですか。それはこちらに提出できますか。
  78. 長谷慎一

    ○長谷政府委員 お答え申し上げます。郵政省に正式に提出されたことはございませんが、国会の御要望でございますれば、日本文化放送協会と連絡いたしまして適当な処置をとりたいと思います。
  79. 松前重義

    松前委員長 ほかに御質疑はございませんか。——御質疑がございませんければ、本日はこの程度にとどめまして散会いたします。次会は公報をもってお知らせ申し上げます。     午後零時四十分散会