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1955-03-29 第22回国会 衆議院 逓信委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年三月二十九日(火曜日)     午前十一時八分開議  出席委員    委員長 松前 重義君    理事 齋藤 憲三君 理事 濱地 文平君   理事 中垣 國男君 理事 橋本登美三郎君    理事 松井 政吉君       秋田 大助君    宇田 耕一君       竹内 俊吉君    佐々木更三君       成田 知巳君    原   茂君       森本  靖君    八木 一男君       前田榮之助君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 松田竹千代君  委員外出席者         検     事         (刑事局長)  井本 臺吉君         大蔵事務官         (主計官)   岩尾  一君         日本電信電話公         社総裁     梶井  剛君         日本電信電話公         社理事         (運用局長)  田辺  正君         日本電信電話公         社理事         (営業局長)  吉沢 武雄君         専  門  員 稲田  穰君         専  門  員 山戸 利生君         専  門  員 吉田 弘苗君         専  門  員 中村 寅市君     ————————————— 本日の会議に付した案件  電気通信に関する件     —————————————
  2. 松前重義

    松前委員長 これより会議を開きます。  電気通信に関する件について調査を進めます。この際日本電信電話公社総裁梶井剛君より、日本電信電話公社業務現況について報告いたしたいとの申し出がありますので、これを許します。日本電信電話公社総裁梶井剛君。
  3. 梶井剛

    梶井説明員 ただいまから昭和二十九年度及び昭和三十年度における日本電信電話公社の運営上のおもな問題につきまして、私から概略御説明申し上げたいと存じます。  まず昭和二十九年度事業概況でありますが、事業収入は一千百五十九億円余、建設改良費は五百三十一億円余という予算で出発したのでありますが、政府デフレ政策に伴う財政措置、市況不振による通信利用の減退、特急、至急通話等減少によりまして、事業計画に多少の修正を余儀なくされました。事業収入は一月末の決算によりますと九百二十一億円余で、これによりまして年間収入額を推定いたしますと約一千百十数億円でありまして、予算に対し四十数億円の減収になります。このため二十九年六月閣議決定によりますところの事業支出九億円余の保留のほか、事業支出五億円余及び資本勘定繰り入れ四十一億円を節減する措置をとったのであります。建設の方は、閣議決定によりまして、公募債券発行を二十七億円余を差しとめられましたほか、ただいまの自己資金繰り入れ減がありますので、合せて七十億円に近い減額となるのでありますが、一方におきまして受益者引き受け債券において二十九億円余、設備負担金において八億円余、資本剰余金において三億円余、合せて四十二億円余の増加が見込まれますので、差引二十七億円余の減少と見込んでおりますが、これに前年度よりの繰越額三十八億円余を加えまして、建設改良費としては五百四十一億円程度が確保されるのではないかと考えております。  かような次第で、当初に予定いたしました施設の拡張、サービス改善等計画の実現のためにはかなりの困難が予想されましたが、職員一同努力いたしました結果、サービス水準もおおむね所期の通り向上し、建設工程も一部の基礎施設を三十年度以降に繰り延べましたが、加入者増設等サービス工程予定を若干上回る成果を上げ得る見込みであります。  建設改良工事進捗状況について申し上げますと、早期着工に伴う物品準備手配等措置を強化するとともに、工事年間平準化をはかることにより委員稼働効率化を期し、総合的に早期完成の諸方策の推進に努めました結果、一月末における支出額累計は四百二十二億円余となっておりまして、予算額に対しまして七八%に当り、前年度以上の成績をもって工事の完遂を期し得る見込みであります。  サービス工程について一月末の進捗状況を申し上げますと、加入者増設十七万四千余、市外回線増設二十三万キロ余等でありまして、年度末までには、加入者増設十八万八千余、市外回線増設約三十三万キロ等を完成する見込みであります。基礎工程のおもなるものについて申し上げますと、分局開始十一局のうち四局、自動改式十四局のうち六局、共電改式計画通り七局がすべて年度内完成する見込みで、その他の局は継続工事として三十年度中にそれぞれサービスを開始する予定であります。長距離ケーブルにつきましては直江津−富山外区間計画しましたが、これらはいずれも年度内完成する見込みであります。極超短波建設工事につきましては東京大阪間のルート増東京−仙台、大阪−福岡の三区間に目下着々として進行中でありますが、いずれも継続工事でありまして、全工程完成は三十年度になる予定であります。電信中継機械化につきましては六局を計画しましたが、年度内完成見込みのものは三局で、残りの三局は三十年七月以降に完成する予定であります。  なお農村電話について一言いたしますと、農村における加入電話普及につきましては、電話公共性にかんがみまして採算を犠牲にして、毎年度相当数加入電話増設を行なってきたのであります。すなわち加入数四百未満の局における加入者は、二十七年度におきまして四十一万九千余でありましたが、二十八年度中には一万九千余の増設を行い、二十九年度には三万三千余の増設がなされる見込みでありまして、都市の充足率に比べ遜色のないものと認められます。  以上、電信電話設備建設概況につき申し述べましたが、建設資金の大幅な減少がありましたため、資材の値下り、設計の合理化工程管理改善等により建設費の切り下げに努力しましたにもかかわらず、基礎工程につきましては三十年度かなり繰り延べを余儀なくされた次第であります。  さて、電話加入数現況でありますが、二十九年十二月末で百九十二万五千加入余でありまして、二百万突破は目前にありますし、電話機数に同じく二十九年十二月末で二百八十一万九千個余に達しております。ところが加入電話需給状況はと申しますと、二十九年十二月末で三十七万六千余の申し込みが積滞しておりまして、月平均一万三千件の申し込み増加がありますので、積滞の一掃される日は前途ほど遠いものがあります。また公衆用電話増設につきましては、ボックス式公衆電話駅前繁華街等、常時利用度が高い場所に設置することとし、その他につきましては、簡易公衆電話委託公衆電話等店頭公衆電話に重点を置きまして、積極的に整備をはかりました結果、二十九年十二月末で公衆用電話の総数は二万九千個に達しておりますが、なお年度内にさらに一千五百個程度増設される見込みであります。  ところで市内通話利用状況はと申しますと、度数制局について一加入当りの一日平均通話度数は、大体前年度に比べ一割方減りまして八度余になっております。つながる割合はどうかと申しますと、十大都市平均は二十八年度五八・二%が二十九年度は六二・〇%でありまして、その他の局を見ましても通話完了率は全般的に向上の跡が見られます。つながらない原因の大部分は、加入者話中及び加入者事故でありますので、通話輻湊加入者の救済に努めておる次第であります。  市外通話取扱い状況について申しますと、市外回線増加及び加入者増加に従いまして、発信度数は前年度に比べ毎月約一割程度増加を示しておりますが、一加入当り月平均発信度数を見ますと二十六度前後になっておりまして、前年度に比べ、かえって五%程度の減となっており、デフレ影響が明確に現われております。さらに待合時間の短縮に伴い、定時、予約、特急通話が著しく減少し、至急、普通通話に移行しております。たとえば特急通話について見ますと、二十四年度におきましては総発信通話の二二・五%を占めていましたのが、年を追うて漸減して二十八年度には一三・九%になりましたが、二十九年度におきましては九・七%と大幅に減少して参りました。これはデフレによる影響というよりは、建設整備進行に伴うサービス改善によりもたらされたものでありまして、従って実質的な料金の値下げとなっているわけで、五カ年計画成果が早くも現われ始めたわけであります。東京、名古屋、大阪長距離即時通話利用は順調な増加をたどっており、本年一月においては受付数接続数とも実施直前のほぼ三倍に達しております。このような利用増加に対応して、即時サービス維持をはかるため施設増設を行なってきたのでありますが、特に二十九年四月には、東京大阪間の極超短波施設の開通を見、さらに二十九年七月には音声周波ダイヤル完成し、回線増設取扱い簡易化と相待ちまして、即時接続率は大体八〇%を上回る良好なサービスを持続しております。なお市外回線数はどうなっているかと申しますと、一般公衆用は二十九年十二月末で三万三千回線余、百七十六万キロ余に達しておりまして、回線数戦前最高の十七年度末に比べまして一・九倍、長さは戦前最高の十九年度末に比べ二・二倍に相当しております。  次に電信の現状でありますが、十二月末までの利用通数累計六千二百九十五万通余で、前年度の同期間累計に比べ九・二%の減少であります。これは経済不況が大きく反映していると認められまして、二十八年九月を頂点としまして月々二、三%ずつ減少傾向を見せていましたが、この傾向はそのまま二十九年度に持ち込まれ、同年六月には前年同期の一三%減を記録しました。しかしこれを底としてその後若干の上昇を見せ、そのまま横ばいの状況であります。サービス改善としましては、まずどこでも手軽に電報利用することができるように、窓口の増加に努めたのであります。すなわち、電報受付を行なっていない郵便局簡易及び公衆電話所等では、本年度に入りましてから電報を受け付けるようになりました局所は八月までに千六十六局所ありまして、前年度末に比べ八・六%の増加を示しましたが、引き続き普及の促進に努めております。受付から配達までの所要時分は、二十九年八月全国主要電報取扱局間に発着するものについて調査しましたところ、至急電報四十四分、普通電報六十一分でありまして、前年度よりもさらに短縮されております。なお電報中継機械化を逐次実施しておりまして、数年後全国的にこの機械化完成すれば電報所要時分はさらに相当短縮され、誤りは現在の半分程度になる見込みであります。  次に、本年度に生じました災害状況について申しますと、おもな災害としては、八月、九月に襲来しました台風五号、十二号、十三号、十四号、十五号及び北海道岩内の火災でありまして、被害地のおもなるところは九州、四国、中国、北海道等であります。復旧主要工程でありますところの電柱で見ますと、約八万本の傾斜直し建てかえ等があり、復旧費総額は約十五億円余でありますが、復旧工事の大部分年度内に完了する見込みであります。  以上、電信電話設備サービス中心としまして概要を述べて参りましたが、続きまして職員財務等につきまして申し上げたいと存じます。  公社職員は、予算における予定数は十六万六千人余でありますが、三十年一月における現在人員臨時者を含めまして十七万三千人余であります。公社発足以来人員増加を極力抑制して、仕事の合理化人員配置改善に努めて参りましたので、施設業務量の著しい増加にもかかわらず、人員増加は最小限に食いとめ、その結果全体として能率は相当向上してきております。  給与について申し上げますと、二十九年一月より一万五千円ベースとなったのでありますが、二十九年七月公社発足以来三度目の賃金価上げ要求がなされましたが、十月に至り公共企業体等中央調委員会よりこれを認めない内容調定案が提示され、公社側はこれを受諾しましたが、組合側基本賃金の引き上げを認めていないので受諾できないが、不合理、不均衡是正については調定案趣旨に沿って解決をはかりたい旨を回答し、その後公社組合との間において調停・案に示された内容等について話し合いを継続中であります。公社給与ベースは逐次改善されてきておりますが、公共企業体設置趣旨からして、企業努力の増進と生産意欲向上をはかるためには、臨時公共企業体合理化審議会答申に示されましたように、給与総額ワク外において公社が自主的に決定し得る業績賞与制度を設けるほか、給与総額については放漫にわたらない程度弾力性を付与することが望ましいと考えられます。なお、国家公務員給与体系を踏襲した従来の給与体系のからを破って、公共企業体にふさわしい給与体系を確立することを目ざして検討を続けておりましたが、二十九年十月をもって新給与体系を採用することにいたしました。これは職務分類基準に基く職種別賃金制度とも称すべきものでありまして、生活給的、身分給的色彩を払い落し、各人が現に担当する職務により、職種等級を異にすれば、金額も定期昇給期間も異なることとしたのであります。  さて、次に、財務状況につきましては、収支の概況建設資金等につきましては冒頭に申し上げたのでありますが、公社債券消化状況について、もう少し詳細に説明いたしますと、公募債券予算計上額七十億に対し、発行済み額は四十二億五千万円でありますが、一方受益者引受債券は、予算計上額五十億円、予算総則に認められた発行限度額八十億円に対しまして、一月末における消化状況は六十六億円余でありまして、年度内限度額一ぱいに達する見込みであります。従いまして公社債券発行額は、本年度末におきまして公募債券百十一億円、受益者引受債券百七十六億円余、既設の構内交換電話加入者または専用者に交付しました交付債券八億円余、合計二百九十六億円余となる見込みであります。  固定資産の再評価について申し上げますと、御承知通り公社法施行法第十八条の規定によりまして、二十九年度末までに価額改訂を完了しなければなりませんので実態調査を実施しましたが、価額改訂の方法については、二十九年七月政令第一九二号により制定せられましたので、これに基きまして改訂を行い、全国集計を一月中旬に終了いたしました。その結果を申し上げますと、二十九年四月一日現在で政府から引き継いだ固定資産帳簿価額七百三十七億円余でありますが、改訂価額は三千五百五十五億円余となりまして、減価償却引当金を控除した再評価額は約一千六百八十一億円となります。これに公社設立建設した分を加えますと、三十年二月末における帳簿価額は約四千七百九十五億円で、減価償却引当金を控除した評価額は約二千八百十五億円となります。  以上、本年度中心として御報告申し上げたのでありますが、三十年度につきましては、五カ年計画の第三年度として、既定計画基本といたしまして、電信電話整備拡充努力いたしたいと考えておりますが、特に長距離短距離市外回線増設には格段の努力をいたし、最近急激に増大する長距離回線の需要の充足をはかりますとともに、大都市近郊電話整備並びに町村合併に伴う施設改善に資して参りたいと考えております。しかしながら三十年度におきましても、料金収入減少傾向並びにサービス改善に伴う収入の逓減は依然続くことが予想されますので、建設資金の確保が大きな問題となりますが、目下政府において予算案検討中でありますので、御説明は次の機会に譲りたいと存じます。  日本電信電話公社設立以来三年になろうとしておりまして、その間おかげをもちまして、かなり成果が上っているように思われますが、まだ残された問題は山積しております。私は特に委員の皆様の今後の御指導と御援助をお願いしまして、国民の要望にこたえていきたいと念願するものであります。以上をもちまして私の説明を終りたいと存じます。
  4. 松前重義

    松前委員長 次に質疑に入ります。質疑の通告がございますのでこれを許します。松井政吉君。
  5. 松井政吉

    松井委員 質問に入る前に、検察当局からどなたかおいでになっておりますか、お聞かせ願いたいと思います。
  6. 松前重義

    松前委員長 刑事局長が見えております。
  7. 松井政吉

    松井委員 ただいま公社総裁説明せられました事業概要の報告並びに三十年度における考え方等にも触れて、若干の質問をいたしたいと存じますが、その前に二十九日付の新聞で拝見をいたしました事柄について御質問をいたしたいと思います。  御承知のように、これは通信秘密を侵害いたしたというので、電電公社当局捜査当局にその行き過ぎを責めておるという記事が、堂々と四段抜きで発表されておるのであります。これによりますと、選挙関係しております電報中継局で差し押えたというのであります。この内容について、新聞に出た程度ではわれわれはそのまま信用するわけには参りませんので、この機会公社側調査いたした事柄最初にお伺いいたしたいのであります。
  8. 田辺正

    田辺説明員 お尋ねのことは徳島電報局における問題だと思いますので、調べました結果を御説明いたします。  三月二日午後二時ごろ徳島県の警察本部捜査第二課の人が二人徳島電報局に来られまして、そうして令状を示されまして、一月二十四日、二十五、二十六日、三日間の取扱いにかかる中継信のうちで、特定の人を指名されまして、その人の発信にかかると認められる電報を出してもらいたいという要求があったわけであります。それに対しまして、その令状内容が少し具体的ではないというので、徳島電報局におきましては、もう少しはっきりした具体的な内容を持った令状にしてもらいたいということを申したわけでありますが、警察の方では、いやこれでもって十分であるということを言われまして、そこで少し押し問答をいたしたわけであります。そのあとで今度は捜索令状を持って参りまして、それによって徳島電報局中継信を調べまして、その中から該当の電報を探し出して、そして持って行かれたわけであります。以上が事件内容でありまして、徳島電報局の方で最初押収に対しまして異議申し入れましたのは、令状記載が、当時本社から指示してありますところの通達の趣旨から少し具体性を欠いておるということが、こちらの異議理由であったわけであります。以上が徳島電報局におきます問題のあらましでございます。
  9. 松井政吉

    松井委員 その差し押えをいたしました数は何通でございますか。
  10. 田辺正

    田辺説明員 七千四百九通になっております。
  11. 松井政吉

    松井委員 徳島局の方では、それに対する抗議といいますか、差し押えをするとはいかぬじゃないかという意味申し入れ検察側に行なった、それはただ令状記載が明確でないということだけで、抗議といいますか、申し入れといいますか、そういうことを行なっただけで、ございますか。令状記載が明確でないということだけの理由でございますか。この点を一つ明らかにしていただきたい。
  12. 田辺正

    田辺説明員 その通りであります。
  13. 松井政吉

    松井委員 これは非常に重要な問題だと思いますが、たとえば通信秘密憲法で保障されておることであり、さらにまた電報等検閲は、公社法第四条で行うことができないことに相なっております。これをあえてしなければならなかったその理由内容について、検察当局の見解を承わりたいのであります。井本刑事局長が御出席でございますが、新聞には井本刑事局長談話も出ております。この談話内容は、公社側から何もまだ直接話を聞いておらないとあなたは談話を発表しております。さらにまたはっきりまだ調べをしていないような意味談話を発表いたしておりますが、その間の事情を先に御説明願いたいと思います。たとえば公社側の方では、公社本社の方が直接あなたのところにいろいろな意味申し入れをしていないにいたしましても、徳島の方では現地において、ただいま田辺説明員説明した通り抗議がその当時もう行われておるわけであります。それをあなたの談話では、知らないような意味、聞いていないような意味談話がなされております。従いましてその間のいきさつをまず御説明願うとともに、それから検察当局がこれをやはり差し押えをしなければならない、あるいは検閲をしなければならなかった当時における理由と、その法的根拠について、つまびらかに説明をしていただきたいと思います。
  14. 井本臺吉

    井本説明員 実は私昨夜夜おそく産業経済新聞社の記者から、何かこういうことで問題になっているのではないかという電話がかかりまして、さようなことは実は聞いていないので、そういうことは聞いていないということを話したのです。先ほどこの委員会から出席のお電話がありましたので、所管の刑事課の課員に確かめましたところが、正式の書面は何も来ていないそうです。ただし口頭で、先般徳島に出張いたしました刑事課局付の検事がある程度事情を聞いておりますので、その点を簡単に申し上げます。  この関係生田さんの電報が、選挙前に数千通徳島県などにばらまかれているという情報がありまして、それをある程度捜査いたしましたところが、われわれの方といたしましては、その情報が間違いないということがわかりましたので、この点につきまして裁判官令状を求めまして、裁判官令状によって警察官がその電報を差し押えに行ったようでございます。しからばこの令状内容につきまして、何月何日、何月何日に発信しただれだれの電報を差し押えるという令状が、適法であるかどうかということに問題はあるわけですが、われわれの方といたしましては、令状内容についてある程度特定されれば、裁判官令状はもちろん適法なものであると考えるのでありまして、何々から何々に発した何月何日の電報というところまで、特定しなければならないというようには考えないのでございます。なおこの差し押え、押収等につきましては、今申し上げたように裁判官令状をもらってやっておりますので、もちろんこれは合法的な処分であると思うのでございます。何か現地におきましてこの電報局の方から、多少異論があったという話を聞いているのでありますが、現在まで正式な書面その他による申し入れは受けておらないので、その間の事情は先ほど申し上げたような結果になるのでございます。以上の通りであります。
  15. 松井政吉

    松井委員 裁判官の認可を得た令状警察官が持って行ったから正しい。これだけじゃなくて、その法的根拠です。どの法律の第何条によって令状を発することができるのか。そういう場合において公社法憲法並びに刑事訴訟法、いろいろな法律があると思います。それをあなたの方で、その法律禁止をしておるところと、禁止をしておってもやり得る法律根拠をつまびらかに開かしていただかないと、納得ができないのです。今あなたの方は生田君とかどうとかと言っているが、選挙関係ということを最初から聞いているのじゃないのです。いかなる場合といえども通信秘密は守らなければならない。いかなる事件に関しても軽々に押収したり、差し押えしたり、あるいはその文書を勝手に持っていったりすることができない建前である。にもかかわらずこの事件はやった、こういうことについての質問をしているのでございますから、どの法律禁止をしておるか、どの法律でやれるのか、その点を一つ明らかにして御説明願いたいのです。
  16. 井本臺吉

    井本説明員 刑事訴訟法の百条の規定がその根拠であります。
  17. 松井政吉

    松井委員 そうすると、刑事訴訟法の百条というのは、たとえば通信秘密を守る憲法並びに公社法検閲してはならないということがあっても、勝手にやり得るという解釈をお持ちでございましょうか。
  18. 井本臺吉

    井本説明員 もちろん犯罪関係の証拠として裁判官令状が出ますれば、刑事訴訟法の百条によって、押収捜索等ができるわけであります。
  19. 森本靖

    森本委員 関連してお尋ねします。そうすると刑事訴訟法の第百条によってやるということになると、被告人の発したものまたは被告人が受信をしたものということになる。そうすると被疑者について有効に押収できない場合が出てくるわけでありますが、その令状によって捜査する場合に、どういう形においてその電報原書を認定するか。それからかりに押収した中にその被疑者以外の関係のある電報があった場合の通信秘密の責任はどうおとりになるか、その点をお開きしたいと思います。
  20. 井本臺吉

    井本説明員 先ほど申し上げたように、令状の詳細の内容は聞いておりませんので、抽象的なお答えを申し上げますが、刑事訴訟法の百条によりまして、裁判官がかくかくのものは差し押えてよろしいという命令を出すわけでございます。その命令の執行として、警察官電報の控えなり何なりを差し押えるわけでございますから、差し押えるものはある程度きまっておるということになるわけでございます。もしその命令以外のものを差し押えたということになりますれば、それはその際に別の職権命令であるとか、あるいはその他通信秘密を侵したとか、いろいろ別な問題が起きるというふうに考えるのでございます。
  21. 森本靖

    森本委員 新聞で見てみますと、相当数の中継信を差し押えておる。中継信の場合、だれが発してだれに行っておるということについて認定しがたい原書もあるので、そういう場合に押収した中に全然関係のないものがあった場合に、通信秘密ということについての責任をどういうふうにおとりになるお考えであるかということをお伺いするわけであります。万が一そういう場合があるならば、通信秘密ということが非常に重大な危機に直面するわけでありますので、かりにその中にあった場合には、どういうふうにこれをお考えになるかということをお聞きするわけです。
  22. 井本臺吉

    井本説明員 押収、差し押えに行った当該の係官が命令の通りやっておりますれば、何らその者については責任がないわけであります。ただし命令をはずれてやったという場合には、その警察官が責任を負わざるを得ないと私は考えるのでございます。
  23. 森本靖

    森本委員 そうすると、捜査令状において命令を出す場合、どういう形の命令をもって、それが明らかに関係電報原書であるという認定をするのですか。
  24. 井本臺吉

    井本説明員 普通の場合には先ほどもお答え申し上げましたように、何月何日だれだれからだれだれに発した電報の控えということになりますれば、これははっきりいたしますが、どうも本件の場合は、あて先の方の表示はなかったように聞いております。何月何日だれだれが発した電報の控えというような形で、その意味において特定したものを押えておるというように私は聞いております。
  25. 森本靖

    森本委員 そういうことになると、その令状だけでは、中継信の場合に、その他の電報が差し押えられる場合もあり得るわけでありますね。
  26. 井本臺吉

    井本説明員 さようなことは私はないと考えます。
  27. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)委員 今の新聞の資料だけではっきりいたしませんが、新聞によると、その令状内容は一月二十四日以降生田宏一が打ったと思われる電報、こういう令状のように書いてあります。この点あらためてお調べ願って、次の機会においてはっきりした令状内容をお知らせ願いたいのですが、もしこれがほんとうだとしますと、一月二十四日以降生田宏一が打ったと思われるような電報を差し押えたということになれば、その中には選挙違反に関係のない電報も入るということになるのではありませんか。一月二十四日以降生田宏一が打ったと思われる電報を差し押えろ、こういうような令状だとすれば——これはもちろん内容がわかりませんが、そういう内容だとすれば、これは選挙違反に関係しない他の普通の電報も差し押えしてよろしいという意味令状になりはしませんか。そうなれば信書の秘密は完全に害されたということになりますが、その点はどうですか。
  28. 井本臺吉

    井本説明員 おそらく選挙関係の違反事件として事件が起きたと思うのでございます。一月二十四日以降選挙の始まるまでの何日間かに、特定の候補者の発した電報ということについてある程度材料を提供して、裁判所からそれならば押えてもよろしいという命令が出たわけでございますから、無限にその範囲が広がるというわけでございませんし、ごく限られた特定した電報の控えということになるので、これによってすぐ通信秘密が侵されたというようには考えないのでございます。
  29. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)委員 新聞紙の報道だけで論議しても始まりませんが、新聞の報道によれば、その中には三十通はこれに関係しない文書が差し押えられておる、選挙関係しないものが入っておるということが書いてあります。一月二十四日以降生田宏一が打った電報の中には、必ずしも解散したからよろしくというような電報ばかりではないと思う。あるいは家庭の事情があると思う。こういうような指令を出せば、当然選挙関係しない電報も一緒くたに差し押えられておることは想像される。現実の問題として調べなければわかりませんが、新聞の報道によると、これに関係しない三十通くらいのものが差し押えられた。これが問題なんです。あなたが言うように、一月二十四日以降生田宏一がだれだれにこういうような選挙内容について打ったものという具体的な明示があれば、いわゆる信書の秘密を侵害されたということにならないのでありますが、こういう大ざっぱな令状を出されれば、当然その中に入ってくることが想像される。現実の新聞の報道によれば、二十通という選挙関係ないものまで入っておる。これが問題だろうと思う。この点についての明確なお話を伺いたい。
  30. 井本臺吉

    井本説明員 一月二十四日以降選挙関係のない書類が押収されたということは私聞いてないのでありまして、その点につきましてはさっそく帰りまして現地状況を調べて、適当な機会に御答弁申し上げたいと思います。
  31. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)委員 あなたのお話によれば、選挙だけに関して判事が令状を出した場合適法に行われた、これについては責任を感じないのであろうが、今言ったように、新聞報道が事実であるかどうかわかりませんが、実際上判事が意図した以外のものが、こういろようなばく然たる令状のために押収せられた、こういう事実があった場合には、当局としてはどうお考えになるのですか、あるいは責任問題についてどうお考えになるか、この点明らかにしてもらいたいと思います。
  32. 井本臺吉

    井本説明員 具体的に令状内容と差し押えを行なった行為の内容と照し合せてみませんと、どの軽度に責任があるかということについては、今直ちに結論を出すわけにいきません。
  33. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)委員 ですから、今申しましたように、そういう事実があなたのおっしゃるようなことであれば、ある程度適法であろうと思うのです。そうでなくて、こういうような令状のもとに出されて、こういうような結果が起きた場合においては、当局としては当然何らかの処置なり責任は感ずるのであろうと思うのですが、その点をお聞きしておるのです。
  34. 井本臺吉

    井本説明員 違法の段階まで至っておりますれば、その行為を侵しました当該の警察の者は、信書の秘密を侵したということになりまして、刑法その他の問題が起きるというように考えます。
  35. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)委員 もう一つ関連してお聞きしたいのですが、こういう令状を出す場合、たとえば生田宏一君から何のだれそれという、選挙違反におぼしいような電報の資料をつかんでから令状を出すのですか。それとも、何千通というようなうさわが出ておる。従って電報局に行って押えてみれば材料が上るだろう、こういう意味でおやりになるのですか。従って令状を出す場合に、少くとも嫌疑の内容と思われるような資料を整えて、判事に令状を請求されたのかどうか。その点もあわせてお調べ願いたい。
  36. 井本臺吉

    井本説明員 これは、判事さんがさような命令書をお出しになる決心ができる程度に、われわれとしては材料をそろえて請求するわけでございますから、単なるうわさによってやるというようなことはございません。
  37. 松井政吉

    松井委員 刑事局長も大体いきさつはおわかりだと思います。問題はこういうところにあると思います。たとえばあなたのおっしゃるように、令状法律上正しいものであり、内容が拒む理由がなかったり、文句をつける理由がなければ、公社側徳島局の方でも、何も言わずに執行ができたと思うのです。ところが、令状記載について承服できないものがあって、いかぬじゃないかということを言っておるわけです。私たちは問題はそこにあると思うのです。従って、たとえば公社電報扱いは、いかなる末端の局におきましても、やはり公社法に基いて、あるいは通信関係法律に基いて、国民の通信を取り扱っているわけなんです。それはやはり秘密を侵してはならない。通信を扱う当事者といえども、秘密を漏らしてはならないことになっておりますが、それをあなたの方が令状を持って行って、七千四百通も差し押えをした。しかしその令状記載については、公社側では承服できないものがあった。こういうところに問題があろうと思います。従って私たちは、その点を明らかにしていただかなければならないのです。公社側としては、どういう理由でそれを一たび拒み、それから令状記載について承服できないということを、どういう法律根拠で、どういう立場で申し述べたか。それにもかかわらず——新聞ですから、私たち全面的に信用はいたしませんけれども、しかし七千四百九通の中には、要するにあなたの方が必要と認めて押える以外の通信も入っておった、こういうことになりますと、やはり大きな問題が惹起いたしますので、その点を明らかにしていただかなければならない。ところが刑事局長の方では、その令状内容をまだ見ておらない、公社当局からまだ直接聞いておらない、こういうことでありますから、この内容をただいま明らかにせいということはできないにいたしましても、われわれの心配する点はそういうところなんです。公社法律に基いて通信を扱っておる。それが拒まざるを得ない令状記載だった。あなたの方は、それにもかかわらずこれをやってのけた。そこに問題があるのでございますから、その令状内容、それから公社がどういう理由で、ただいま田辺説明員から説明を聞いた以外の理由で拒んだのか。それから現地裁判官がどういう認定のもとに令状を発したか。それについて検察当局の見解はどうかということを、あなた方はまだ令状内容を見ていないというのでありますから、きょうその答弁ができなくてもよろしいが、私どもの方としてはそのいきさつだけははっきりしておきたいと思うのであります。法律上妥当ならば、われわれが文句をつける理由はないのであります。ところが妥当でない、両者の食い違いも生じておりますから、この点は一つ明らかにしていただかないと、通信秘密というものを守ることはできない。だから、これは書類でよろしゅうございますが、その令状内容、それから認定した場合の認定の考え方、それから七千四百通の中に押収すべきでないものがあったかなかったか、それからそういう一切の取扱いに対する検察当局の見解、これを当委員会に御提出を願いたいと思います。それに基いてわれわれが了解できればよろしいが、了解できなければ、その資料に基いて——了解できなければということは語弊がありますけれども、やはり聞いておかなければならぬ点があればまた御足労願いたい、私はこう考えております。  それから電電公社の方でも、私がただいま刑事局長に注文を申し上げたような内容についての参考資料を、当委員会に御提出を願いたいと思います。これは一つはっきりお願いをしておきますが、電電公社の方も、さらに現地と緊密な連絡をとって、その間のいきさつの資料を御提出願いたい。それによってさらにわれわれは調査を進めたいと思います。  それからただいま大臣がおそく来られましたけれども、大臣が来てからの論争でございますが、いわゆる郵政省の主管公社においてこういう事件が起きたのだが、主管省である郵政省はこの事件を知っておったかどうか。知っておったとするならば、今日まで一体どういう調査を行なってきたか。それからさらに、どういう考え方でこの問題を解釈しているか。この点について郵政省当局の見解を承わっておきたいと思うのであります。
  38. 松田竹千代

    ○松田国務大臣 私は今初耳でありますが、実は郵政省の方で、数日前に公社の人に来ていただきまして、事件概要について目下調べ中でございます。そうして検討しておる次第でありまして、まことに遺憾なことが起ったものだと私は考えます。
  39. 松井政吉

    松井委員 それでは郵政省の方も、このいきさつについて明快なる説明を願ったり、さらに郵政省の見解は正しいのだ、こういうことはいけないのだというような見解を発表する段階ではないのですか。
  40. 松田竹千代

    ○松田国務大臣 今この事件内容について、厳密にその正確を得るために調べているというところでございます。
  41. 松井政吉

    松井委員 それでは同様な希望を申し入れておきます。郵政省でも調べて、郵政省当局として、この検察当局措置が正しかったのか、あるいは検察当局の中に誤りがあなたのか、それともやはり公社法の建前として、令状記載について不審を抱いた公社側の見解が正しかったのか、そういう事柄について、郵政省の立場を明らかにしていただく資料を御提出願いたいと思います。今日までの調査報告を兼ねて出していただきたいと思います。それによってわれわれはまた審査をして行きたいと思います。
  42. 松前重義

    松前委員長 ただいまの松井委員質疑、その他関連質問、これに関しまして要求された資料の提出につきましては、郵政省、電電公社、法務省におきまして、早急にお願いしたいと思います。
  43. 松井政吉

    松井委員 それでは先ほど公社総裁説明した事柄について、他の委員の時間もございますから、一、二点だけお伺いいたしたいと思います。  実は三十年度予算が、四月の何日ごろか存じませんが、政府側から提出になるはずでございます。その政府側の予算に対する腹構えというものができないと、それからまた折衝がまとまらないので、この総裁の報告書では、予算等については次の機会にということで逃げております。少くともきょうこの報告をなす場合には、三十年度の資金計画、三十年度の営業内容、三十年度におけるすべて公社の運営についての予算の骨格というものが、総裁から説明をされなければならないはずだ。もしその骨格について今後政府との折衡が必要ならば、変更される場合にありましても、公社としての考え方だけは予算内容——内容まで行かなくても、予算に対する考え方だけは出ていなければならないはずであります。ところが適当な機会ということで逃げております。この点の関係をまず最初にお伺いしておきたいと思います。
  44. 梶井剛

    梶井説明員 三十年度予算につきましては、すでに昨年末に大蔵省へ提出してございます。しかしその後国会が解散され、また選挙がありましたような関係で、大蔵省における審議は直ちに行われ得なかった。最近におきまして事務的に大蔵省と電電公社の当局とが幾たびか折衝しておりまするが、まだ大きな方針がきまらないために、その内容が確定的にならないという状態でありますので、それがきまりましてから御報告を申し上げたいと申し上げたわけであります。しかし私どもが要求しました内容につきましては、大体二十九年度の実績に徴しまして、収支の差額によって拡張資金を得ることが非常に困難な情勢になって参りました。二十九年度におきましては、百二十七億の収支差額を建設勘定に繰り入れることができたのでありますが、三十年度におきましてはその予想が大体六十数億円にとどまる。従って六十億円以上の収支の差額が減じて参っておるのでございます。でありまするから、五カ年計画の第三年目を実行する上において、多大な支障を生じております。加うるに、二十九年度におきまして減収並びに公募社債の減額がありましたために、相当な基礎工事を三十年度に繰り延べることに相なりました。従って三十年度におきましては、さらにこのことをも考えて基礎工事を促進しなければ、後年度においての開通に支障を来たすという考えのもとに、われわれは予算編成をいたしたのであります。ただいま申しましたように、収支の差額の繰り入れが非常に減っておりますので、われわれはぜひとも公募社債を百億いただきたい。これは二十九年度におきましては電電公社が七十億、鉄道が百二十億の公募社債の予定でありました。ところが金融情勢の悪化のために、公募社債が十分に消化しません。両方合わせまして五十五億の減額になったわけであります。それを折半しまして二十七億五千万円ずつ不消化になったわけであります。でありますから、その情勢は三十年度におきましても、やはり持続されるものであるとは思いますけれども、われわれとしましては、できるならば大蔵省がきめられますところの公募社債の総額の中から、少くとも百億の公募社債を割り当ててもらいたいということをお願いしておるわけであります。そのほか二十七年度に電電公社になりますまでには、毎年度大蔵省の預金部資金からある程度の金額を援助していただきました。しかし二十八年度からその金額がなくなり、二十九年度も同様に預金部資金の融通をしていただかなかったのでありますが、情勢がかように変化して参りまして、減収が非常に目立ってき、かつ金融情勢も悪くなっておりますから、できるならば預金部資金から五十億借り入れたいということを申し出たのであります。さらにこれに加えて、すでに国会で審議せられました町村合併の促進案に基く通信機関の整備をしなくてはならぬのでありますから、この整備資金を、今申しました自己資金並びに公社債あるいは預金部資金からやることは非常に困難であります。かようなものは、できるならば政府の出資に基いて、できるだけ早く整備したいという趣旨のもとに、政府出資として四十億をお願いした次第であります。大体それで合計しまして六百二十億近くになると思います。
  45. 松井政吉

    松井委員 なぜそういうことを聞くかといいますと、二十九年度事業概要の報告では、デフレ政策に伴う財政措置と市況不振によって非常に減額がされた。しかも公募債券発行は二十七億円余を差しとめられた、こういう報告がなされております。この報告がなされておるのに、三十年度予算の骨格が説明されていないので、私はただいまお伺いしたのでございます。そこでこの政府デフレ政策に伴う財政措置という文章の裏は、具体的の数字にしてみればどういう形になりましょうか、差しつかえなかったら御説明願いたいと思います。
  46. 梶井剛

    梶井説明員 その意味は、デフレ政策に伴いまして、われわれとしましては、できるだけ合理的に、かつ経済的に施設をしなければならないということを強く感じておるわけであります。しかし同時にわれわれ自身の考えといたしましては、このデフレ進行に伴いまして、一面においてできるだけ経済活動が低下しないようにするためには、通信機関の拡充をもって補わなければならない。でありますから、通信機関の拡充のためには、必ずしもデフレ政策のゆえにその拡充の幅を小さくすべきではない。むしろこれを補って、そうしてむだの経費をできるだけ省くべきであるという考えのもとに申し上げたわけであります。
  47. 松井政吉

    松井委員 それでただいま申し上げたように、政府との折衝の結果、これは内容について説明することができないかもしれませんけれども、五カ年計画の遂行に支障のないような予算折衝の結末が出そうですか。この点についての見通しを、差しつかえなかったらお伺いしたいと思います。
  48. 梶井剛

    梶井説明員 これはただいまの状態におきましては、ちょっと何ともお答えがいたしかねると思います。
  49. 松井政吉

    松井委員 公社側はお答えできないそうでございますが、郵政省当局は大蔵省と折衝もするし、内閣構成の重要な主管省でございますから。この点についてやはり通信事業が電電公社のもとに支障なく遂行されて、五カ年計画が、三年目も支障なく遂行されるために努力をされていると思いますが、その間におけるいきさつを御説明できるでしょうか。
  50. 松田竹千代

    ○松田国務大臣 それはこの暫定予算が両院を通過しますれば、私といたしましては一日ごろからその折衝に努力するつもりになっているということ以外には、今のところでは申し上げにくい。むろん郵政省といたしましては、電電公社予定の仕事を極力支障なく遂行することに努力いたしますが、今のところではどの程度までこれを遂行し得るかということの名言はいたしかねる状態でございます。
  51. 松井政吉

    松井委員 同僚議員に譲りますが最後に一つ。これはたびたび当委員会で問題になったのでございますが、町村合併によりましてサービス改善をしなければならない。そのサービス改善の具体的なものは何かといえば、町村が合併をしたのであるから、局舎の統一が必要であり、それからいろいろなものが起って参りまして、相当な費用が要ると思います。ところで町村合併は、いろいろな施設を統一をして、町村における負担を軽減するというのが政府の言い分で、そういう立場から政府町村合併の促進をいたしたのでありまするから、勢い電話サービス改善について、局舎の統一、その他必要以上の費用がかかってくるわけでありますから、そういう問題に対する公社側のものの考え方と、そのための財源の捻出方法についてお考えがありましたらお伺いしたい。さらにこの問題に対する郵政当局の見解も、この際お聞きしておきたいと思います。この問題については同僚委員が具体的な質問をなさることと思いますから、ただいま私が申し上げた二つの問題についての概略を一つ御説明願って、他の同僚委員に譲りたいと存じます。
  52. 梶井剛

    梶井説明員 町村合併につきましては、予算の上におきまして、三十年度において四十億が通信機関の整備のために必要であるということをお願いしておるわけであります。しかしそれはその当時——二十九年の七月一日現在においての調査でありまして、総額二百九十二億円を要すると考えたのであります。しかしその後だんだん町村合併が促進して参りまして、三十年の四月一日までに合併のものを予想いたしますと、二百九十二億という金額ははなはだしく少かった。四月一日までに合併のものの通信機関の整備をいたしますと、約五百億を必要とするということが想定されるのであります。さらに今後町村合併がますます行われるに従いまして、その金額はもう一そうふえることと思われるのであります。従って私どもとしましては、初年度において四十億を要求いたしましたけれども、しかし合併の実情に沿うて、われわれはできるだけ早く通信機関を整備しなくちゃなりませんから、次年度以降におきましてこの金額はさらに増額の必要があるだろうということを予想するのであります。
  53. 松井政吉

    松井委員 財源の捻出方法は。
  54. 梶井剛

    梶井説明員 その財源につきましては、すでに御承知通り町村合併をいたしますると、その多くのものは、従来市外通話としておったものをみな市内通話に直さなければならぬ。またたとい局と局の間の距離が遠くて合併することが困難でありますために、市外通話のまま継続するといたしましても、通信機関としましては同一町内、同一市内と同じように取り扱わなければならない。従って市外回線を相当増設しなければならない。またかような合併することに対しましては、従来の方式のまま合併は多くはできないのでありまして、方式変更をしていかなければならない。かような経費をかけましても、実際問題といたしましては、市外通話市内通話になりますと、料金がむしろ低減されます。また従来待ち合せ時分がありましたときには、多くは至急通話、特急通話が使われたのでありますが、即時通話に直しますと全部普通通話になります。さようなわけで大体町村合併に伴い通信機関の整備をいたしますると、減収が相当に出てくるということが予想されるのであります。でありまするから、これに対する整備というものは、とうてい収支の差額である自己資金であるとか、あるいは相当の金利を払うものによってやることは、ますます事業の経営を困難ならしめるゆえんでありますので、当初申し上げましたように政府の出資に求めたいという意向を申したわけであります。しかしこれが政府の出資が許されるか、あるいはその他の方法によって財源があてがわれるかということにつきましては、これは大蔵省当局との折衝に待ちませんと、いずれとも申し上げかねる次第であります。
  55. 松田竹千代

    ○松田国務大臣 お尋ねの点につきましては、今梶井総裁よりもお答えになりましたように、町村合併による通信機関の整備統一ということに対しては、これは政府の方針として町村合併の促進をはかってきた結果による点が多いのでございまするから、今梶井総裁からも答えられましたように、政府の出資に基いて四十億円を確保したいという考え方を持っておる次第であります。
  56. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)委員 委員長にお尋ねしますが、大蔵省からたれか見えておりますか。
  57. 松前重義

    松前委員長 岩尾主計官が見えております。
  58. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)委員 それでは近い機会において、政府委員の御出席委員長から求められるようお願いします。本日はよろしゅうございますが……。  ただいまの質問並びに総裁の御説明等に関連して、大蔵省並びに郵政省及び電電公社当局にお尋ねいたします。今日の日本経済新聞の一面に、「財政投融資計画成る」として、「総額三千億円程度」の見出しでもって大きな記事が出ておりますが、この中の一応電電公社関係で申し上げますと、電電公社関係に対して四十億円、これは公募公債だろうと思うのですが、四十億円の配分計画、昨年は七十億円に対して本年は四十億円という配分計画新聞に出ておりますが、これは大蔵省当局の原案といわれる性質のものであるかどうかをまずお尋ねいたしたい。
  59. 岩尾一

    ○岩尾説明員 日本経済新聞に本日出ております記事でございますが、われわれ新聞の記事の出所がどこであるかということはつまびらかにいたしておりません。また大蔵省におきますところの財政投融資計画というものは、現在において固まったということもいまだ聞いておりません。
  60. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)委員 そうしますと、この新聞に出ておる内容なるものは固まってはおらぬが、こういう計画は持っておるという意味ですか。
  61. 岩尾一

    ○岩尾説明員 大蔵省全体といたしましては、主計局あるいは理財局、銀行局、その他いろいろ協議をいたしまして、大臣の決裁を得まして統一計画がきまることになるわけであります。従って私の申しましたことは、そういう段階において大蔵省の意見としていまだきまっておらない、作業中の段階である、こういうことを申し上げたのであります。
  62. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)委員 もちろん大臣の決裁を得たものは、固まるのではなくして決定版であるから、問題にならぬです。問題はこういう原案を大蔵省当局で、下の方ででもいいのですが、考えておるのかどうかということを聞いておるのです。
  63. 岩尾一

    ○岩尾説明員 そういうような案があるかどうかという御質問でございますが、われわれ事務当局としては、その案自体も全然関知いたしておりませんので、お話しできません。
  64. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)委員 それではこの新聞記載されたことは、大蔵省の事務当局においても全然考えておらぬ、こういう御返答でありますから、私はそう解釈しまして、この問題は新聞の誤報である、こういう前提のもとに質問を続けます。実はこの新聞を見てわれわれ非常に驚いたのです。かくのごとき考え方を大蔵省の事務当局で持っておるとすれば、これは重大なる問題である。であるから私はまずもってこの問題を取り上げてお聞きしたのですが、幸い事務当局はこの問題については何ら関知しておらない、従っていわゆる政府首脳部じゃなくして、事務当局においてすらもこれらは問題でない、こういう前提に立って私は質問をいたします。  これは実は説明員にお聞きするのははなはだ御無理だと思うのですが、主計局長及び政府委員が都合があって出られないために、あなたにお聞きすることになりますから、あるいは答えのできない点は、あらためて再度政府委員においでを願ってお聞きいたしますから、その趣旨を十分にお伝え願いたい。問題は、日本電信電話公社の昨年度の実績を見ますと、大蔵当局も御承知通りに昨年度デフレ政策影響等がありまして、予算収入の千百五十九億円のうち、四十五億円程度が欠損になっておるようであります。この四十五億円程度の欠損を、公社当局においてはどういう工合に処理しておるかといいますと、そのうち公募公債が二十七億円減っておるが、設備負担金あるいは加入者負担金等において大体四十一億円程度増加して、そこで一部の事業予算通りに行なっておるわけではありますが、そのうちの設備負担金、これは結局加入者債券とは違ってプラス勘定にはならないわけであって、そういう点から考えますと、このうち二十九億円はいわゆる仕事の方面の収入として考慮をせられるのでありますが、十二億円という設備負担金というものは結局は、収入のうちには加えてはありますけれども、実際上の運用資金としては動いておらない。従って四十一億円のうちで十二億円というものは結局マイナス勘定になるわけですが、それ以外に公募公債の二十七億円というものが、大蔵当局及び政府関係の方面において減額させられておるわけであります。従って先ほど総裁からお話があったように、大体において二十億円の工事の繰り延べを行なっておるというのが現況である。しかも一方において加入者債券増加等によって、一応昭和二十九年度はいわゆる電話加入の点から考えれば、十四万個を予定しておったものを十八万五千個と、四万五千個を増加せしめておるようであります。こういうようなやり方は、一つにおいては基礎設備というものをある限り使ってしまって、そこで幾らかでも収入になるための電話加入者増加せしめる、こういうやり方になっておるわけであって、これを二年なり三年間という長期間で見れば、ある年においては電話加入者が非常に増大をするが、ある年においては設備が全然できておりませんから、電話をつけることができない、こういう結果になろうと思うのです。そういうような結果になりますと、五カ年計画という建前から、年次ある程度電話加入者増加を考えて仕事を進めていく上において、ある年は非常に電話加入者が多い、ある年は電話加入者がほとんど半分にも減退するというようなやり方をすることが、国民全体の産業状態の進歩あるいは文化の向上という面から見て、非常なる悪影響があるように考えるのです。こういう経営の仕方が、正しい仕方であるかどうかということについての大蔵当局の御意見を承わりたい。
  65. 岩尾一

    ○岩尾説明員 最初に、先ほどこの新聞は誤報であるというお話がありましたけれども、私がこの計画を知らないというふうに申し上げましたのは、誤報であるかどうかも知らないという意味で申し上げたわけであります。事務的にもこういう作業がないというふうにはっきり言っていいかどうかは、私は事務当局の代表ではございませんので申し上げられません。  ただいまの御質問でございますが、おっしゃるようにサービス工程設備基礎工程設備というものは、並行して進むべきが至当だと思うのです。ただ全体の財源とにらみ合せまして、現在のサービス工程の進展の仕方というものが、果して可能な進め方であるかという点についてはなおよく検討いたしたいと思います。
  66. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)委員 そこで私は昭和二十七年度から考えまして、昭和二十七年度には政府は当時の電通省ですか、まだ公社にならぬときだと思いますが、これに百三十五億円の預金部資金を貸しております。その後昭和二十八年及び二十九年度には、預金部資金の金は一文も貸しておらぬ。そこで実は昭和二十八年度予算の編成に際しましても、当時の実情を申し上げますと、政府はいわゆる電信電話料金を平均して大体一割程度の値上げを行なって、五カ年計画を進める上においては、一方において相当金額の預金部資金を導入する、しかしながら電話料金は一割程度の値上げをもってこれを行う、こういう計画であったものが、預金部資金の財源が少いために、一つにはそういうことも原因して、電話料金等の値上げは大体において二割五分——結果においては二割になりましたが、二割五分の値上げを行なって、そこで一部においては預金部資金の導入がやめられた、こういう実情であります。こういう実情から、従来預金部資金というものが入っておったのですが、それが昭和二十八年度の値上げを限界にして昭和二十八年及び二十九年——本年度においてはまだ決定は見ておらないようでありますが、その二カ年間においては預金部資金も一文も入ってこなかったのですけれども、これは要するに相当な値上げをしたから、そこで将来において預金部資金のお世話をしなくても電電公社はやっていかれる、こういう建前において預金部資金というものを二十八年、二十九年においては行わなかったのか。それとも預金部資金のワクが十分でない。従って当時の電電公社の立場から考えれば、ある程度自己資金において行えるという立場から行わなかったのか。そのいずれの方針によるか、大蔵当局の見解を承わりたい。
  67. 岩尾一

    ○岩尾説明員 私が決定的なことを申し上げることはできないと思いますけれども、多少私見にわたって恐縮でございますが、ただいまの御質問は両方あると思います。第一に公社の全体の立場から見ますれば、建設公債を発行して参ります場合に、借入金で進めていくというよりも自己資金で進めていくということが、公社全体の事業経営の上からも正しい姿ではないかと思います。二番目には今おっしゃいましたように、われわれといたしましてもできるだけ公社建設というものは重視していきたいのでございますが、預金部全体の資金がないとそれに応じられない。両方の点がからまっておるのではないかと思います。
  68. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)委員 そうしますと、大蔵当局の見解は、必ずしも料金値上げ等によって十分なる復興資金があるとは考えておらない。であるからして、やむを得ない場合においては、当然政府の預金部資金を貸すことを考えておる。けれども預金部資金のワクが少いから、昭和二十八年度、二十九年度においてはこれを出すことができなかった、こう解釈してよろしいのですか。
  69. 岩尾一

    ○岩尾説明員 その点については、私は決定的なことを申し上げる立場にございませんけれども、私の私見から申し上げますならば、現在の公社の立場……(「正式な委員会だ、私見じゃだめだ」と呼ぶ者あり)それでは、そういう御質問に対しましては、私からお答えできません。
  70. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)委員 それについては適当な機会政府に対して、私の趣旨説明してもらいたい。昭和二十八年度、二十九年度は、今大蔵当局は説明員であって、十分なるお答えができないというお話でありますから、あらためて政府委員出席を求めて、この点については明らかにします。  そこで公社当局は、二十八年、二十九年において、預金部資金を要求しなかったのかどうか。並びに昭和三十年度においては、いわゆる預金部資金の借り入れ方を要求しておらないのかどうか。かつまた要求しておらないとすれば、公社当局は預金部資金にたよらず、いわゆる公募公債等によって建設工事をやっていくという方針なのか、その点を明らかにしてもらいたい。
  71. 梶井剛

    梶井説明員 五カ年計画を遂行しますためには、もちろん自己資金ばかりでなく、公募社債も求めなければなりません。同時に預金部資金も考えていただかなければできないのであります。従って二十八年度、二十九年度における予算要求には、預金部資金も含めて要求いたしました。
  72. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)委員 そうしますと、公社当局並びに郵政省当局は、もちろんこれは公募公債は当然でありますが、預金部資金についても、公社の経営その他から考え、あるいは五カ年計画遂行のためには、預金部資金の金を借りたいという意向を表明したが、大蔵省当局は預金部資金のワクがないからかんべん願いたい、こういう経過をとったと解釈してよろしいですね。  そこで、私がなぜこういうことをしつこく聞くかと申しますと、実は電電公社の従来の資本形成のあり方といいましょうか、今日の電電公社というものは一部においては、あたかも政府の実質的な出資によって、あるいは資金によって、現在の日本電信電話公社というものができたように考えられておる。これは法律的にいえばそうでありますけれども、実際上の問題からいえば決してそういうことじゃないのであって、従来電電公社になる前にといいましょうか、電気通信省が発足するまでといいますと昭和二十六年と思いますが、それまでに政府電信電話事業のために出資した金額というものは、総計二億九千九百万円にすぎないのであります。しかもそれまで逓信省時代に、臨時軍事費もしくは一般会計として納付をした金額は、総計において十三億三千四百万円という金を政府にいわゆる収奪をせられておる。これを差引きいたしますと、十億三千五百万円という金額が政府に納められてあるのでありますから、二億九千九百万円の出資がありましても、その差額の十億三千五百万円というものは、電信電話収入から政府は金もうけをしておる結果になっておるのであります。これを現在の価額で計算すれば、たとえば三百倍として計算しても、実に三千百五億円という膨大なる金額を政府は利得しておる。電信電話事業あるいは電話加入者からそれだけの金をもうけておる。こういうようなことからして、あの戦争によって電信電話事業が荒廃に帰したときに、内閣は当時電信電話復興審議会というものを作ってそこでどういう方針でこの電信電話事業を復興しようか、こういう審議会が内閣に設けられたのであります。私はその一員であった。当然政府が預金部資金の金なりあるいは特別の公債等によって、積極的にこれが実現をはからなければ、日本の産業復興に対して一大支障を来たす、こういうようなことからして、当時の電信電話復興審議会におきましても、政府に対して相当多額の出資を行うべきである、こういう決議をし、かつまた公社組織にして円滑なる活動を行うべきであるというようなことからして、公社の組織に変えることが進言せられておった。こういう事情政府は当然これを考えて、御承知のように昭和二十七年度には百三十五億、現在においては約六百億の金が政府から借入金として、政府の方としては貸付金として、電電公社政府から借りております。それにいたしましても今日三千億円という膨大な金を収奪をしておる一面において、六百億という金を貸し付けておる現状にすぎないのであります。でありますから今日電信電話事業というものが単なる消費文化じゃなくて、生産において産業界のために必要であるということは、当時の審議会が答申した通りであります。われわれも電信電話事業というものは、日本の産業開発のために必要である。であるからして五カ年計画を立てて、そこで積極的に政府はこれに援助すべきである、こういうような建前であって、政府自身もその方針によって、電信電話事業に対する積極的な援助方策をとってきたわけであります。ところが今日になりますと、いわゆる公債のワク、もしくは預金部資金のワクが少いということも原因でありますが、ことに昭和二十八年も二十九年も、預金部のワクは一文も分けておらない。これに対して鉄道あるいは電源開発等においては、相当の預金部資金が流れているにかかわらず、電信電話事業については一文の金も分けておらない。しかも昭和三十年度予算においても、いわゆる設備資金といたしましては、預金部の資金がまだ考えておられないようであります。こういう実情については、預金部のワクが十分にない、そういう理由が原因でありましょうから、ある意味においてはやむを得ないのであります。  そこで先ほど同僚議員が質問いたしましたいわゆる町村合併によるところの資金の問題でありますが、これは実は電信電話公社としては、ある意味においては迷惑な措置であると言わざるを得ない。迷惑というと語弊がありましょうが、とにかく政府町村合併促進法という法律を作って、そこで本年の九月末ですか、それまでにできるだけ合併を行え、そういう町村に対しては、起債の場合においても優先的にこれを認め、あるいは政府並びに政府関係機関についてはこれに協力させる、こういうような趣旨のもとにあの促進法はできておるわけであります。そこでこの促進法ができまして町村合併が行われて、その結果電信電話公社関係で見れば、幾つかの電話局はこれを統合しなければならないという実情が出て参った。同じ町村内においてAからBに電話をかけるのに、他町村を回ってきますから、半日もしくは一日かからなければ自分の町村に電話がかからない。こういう実情を打開するためには、どうしてもある程度の資金が要る。これが先ほど来の同僚議員が質問いたしました本年度四月までの実情からいいますと、大体において五百億円の資金を要する。大体見込まれるところの三十一年末までにおける町村合併の終了を見れば、約八百億円の資金を要する。こういう資金を電信電話公社としては、自己資金としてまかなうことは不可能である。であるからして政府に対して、四十億円の預金部資金の要求をしておるように聞いております。こういうような資金は、いわゆる一般建設に関する問題については、ある意味において現在の資金のワクから見れば無理であるかもしれないけれども、現政府閣議決定によってできた法律でありましょうから、大蔵大臣ももちろん十分に了承して、政府並びに政府関係機関は、これに対して十分なる協力をするという建前であの法律はできたと思う。であるからして大蔵大臣も十分に承知しておるはずである。そういうような特別必要なる資金に対して、大蔵省当局はこの三十年度電電公社当局要求しておる四十億円の預金部資金のワクというものに対しては、どういう考えを持っておられるか、これを一つお聞きいたしたい。
  73. 岩尾一

    ○岩尾説明員 御承知のように現在の公社法におきましては、電電公社予算は郵政大臣が取りまとめまして、大蔵大臣と協議いたしまして、調整の上で国会に出すようになっております。従いまして大蔵大臣といたしましては、協議にあずかるという立場にあるわけでございまして、現在の四十億の公社の御計画がどういうふうになるかということは、四月以降の予算閣議等において協議された上できまることになると思います。私がただいまの御質問の、過去におきまして電信電話特別会計というものが、国家に対して相当の金を納めておりながら、国家からは何ももらっておらない、そのために今後の建設過程におきまして、預金部の金を相当借りてもいいのではないかという御質問に対しましては、むしろ過去において電信電話会計というものが国家に寄与しておりましたのは、すべてこれ国家と一体として一つの独占事業を営んでおった結果、その独占価格が高いために、会計としては剰余が出て、国家に寄与しておったということを意味しておるのでございまして、何も国家が電信電話会計から収奪をしておるというような形ではないと思います。従いまして、今後の問題におきましても、現在の日本の経済におきまして、電信電話事業というものがどういうふうに進展していくべきか、それを全体の財政資金のワクの中でどういうふうに処理していくかという点を考え合せて、できるだけ御趣旨に沿うように配慮していきたい、こういうふうに考えております。
  74. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)委員 収奪という言葉は、先ほど言ったように正しい言葉でなくて、冗談の意味で言ったのですが、しかし私はあなたの意見とは少し違う。当時の臨時軍事費というものは、あるいは一般会計でもそうですが、ことに臨時軍事費ですが、これは当時あらゆる方面から金を無理に集めて、臨時軍事費というものを作ったのである。従って十分に、当時逓信省ですが、逓信省電信電話事業に対して設備を完全にして、そうして完全にやった残りが行ったのではないのです。これだけの金を出せと言って取っておいて、その金をもってやったのが実情ではないか。あなたの言うところによると、完全なる電信電話事業が行われておった。それから余った金を取ったということですが、実情はそうではなくて、どうしても国家財政として臨時軍事費が必要であるからとして、これだけのものは方々からかき集めた。それだけ実際上における電信電話事業設備というものは荒廃せしめられた、こうわれわれは解釈するのです。あなたの御議論とは違うのですが、それはどういう意味ですか。
  75. 岩尾一

    ○岩尾説明員 私の申し上げました意味は、当時国家の目的といたしまして、ある目的のために仕事を進めていくという場合に、どの点に重点を置いていくかということを考えました場合に、当時の戦争目的遂行という目的のために、電信電話事業の拡充ということが犠牲にされたということは言ってもいいかと思いますが、そのために電信電話会計が、国家に対して非常な負担を持っておる、債権を持っておるというふうには考えられないのではないか、こういうことを申し上げたのです。
  76. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)委員 もちろん私は法律的に、形式的に、電信電話事業が国家に対して債権を持っているという言い方をしているのではないのです。私の言っているのは、その後戦争によって荒廃せしめられたというような直接的な原因もありましょうが、当時もっと電信電話事業に対して、そういう金をかけるべきであったものを、もっとより必要な国家目的のために、そういう金をかけずに、そういう方面に使われてしまった。であるからして、言葉をかえていえば、当時これだけの金全部を納付金として納めなくても、その部分をもって、もっと電信電話事業整備をはかるべきであったものを行わなかった。であるからして気持の上からいえば、政府としては当時十分なることをしてやれなかったからして、今日あの大戦争によって大きい荒廃を喫せしめられたのであるから、この際はある程度まで積極的にめんどうを見てやるというのが、常識ではないかということを私は言っておるのです。その通りでございますか。
  77. 岩尾一

    ○岩尾説明員 債権債務ということでなくて、今申し上げましたように、当時はほかの目的のために国家資金が所要となったために、必要であるべき電信電話事業の拡充というものが犠牲にされた。その意味において、おくれている電信電話事業を拡充するために、今後政府はめんどうを見なければならぬじゃないかというお尋ねに対しては、私は賛成であります。
  78. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)委員 当然それは賛成の意見でなければならぬと私は思うのであります。そこでそういうような事情でありますから、今後の預金部資金四十億円をぜひ出してもらいたい、こういうことの希望は、一般的な設備についてはできるだけ交付公債なり、あるいは電信電話収入によってやっていこう。しかしながら促進法によるところの電信電話整備というものは、これは電信電話公社にとっては思わざる負担である。しかもこれを交付公債もしくは自己資金によって行えば、結局一般の電信電話事業に対して負担をかけなければならぬ結果になるわけであります。それであるから不公平になる。こういうことも一つの理由でもありますし、事実また今後電信電話料金の値上げ等によって財源を得ることは、今日の状況においては不可能でありますから、電信電話公社としては、郵政省としては四十億の預金部資金の借り入れ方を申し入れていると私は考えているわけであります。この考え方について郵政大臣においては、私が今説明員との質疑応答によって述べましたその事情及びその要求、考え方、これに対してどういうようなお考えをもって今後折衝に当られるか、その点を一つお聞きいたしたいのであります。
  79. 松田竹千代

    ○松田国務大臣 郵政大臣といたしましても、大体橋本委員と同じような考えを持っておるのでありまして、この町村合併促進法に基いての政府の政策としての結果、新たに四十億円の資金を要することになったわけでありますから、これは何としても政府出資に基いてこれをやっていきたいという考えを持っておるのであります。
  80. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)委員 そこでこれは電信電話公社並びに郵政当局にお尋ねいたします。大蔵当局といいましょうか、事務官は、できるだけそういうことについては考慮したい、こう考えておられるというお話でありますが、もちろんその全額が考慮せられるか、それ以上が考慮せられるかわかりませんが、万一現在公社当局の要求しているその金額が実現できなかった場合、交付公債の額において、かつまた預金部の額においてできなかった場合においては、この町村合併による必要な局の整備、線の整備というものは行わない方針か、あるいは行えないというのか、それを一つ御答弁願いたい。
  81. 梶井剛

    梶井説明員 町村合併に伴う通信機関の整備は、過去においても相当町村合併が行われておりますので、今回の促進法以前においても、ある程度通信機関の整備は年々やっております。従ってもし今回お願いしておりますところの予算要求が、その通り実現しない場合におきましても、過去においての実績程度通信機関の整備はいたします。しかしそれはきわめて微々たるものであります。一カ年に三十局であります。でありますから、現在のようにすでに四線、五線というふうになっておりますのに対しまして、そういう遅々たる歩みをもってやりますならば、とうてい所期の目的は達し得ないということになると思います。
  82. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)委員 電電公社計画によれば八年間で大体、昨年十月現在の数字でありますが、三百九十二億でありました。そうして年間四十億円の資金を要する。こういうような状態でありますが、もしこの金が一文も出ない場合においては、この前の計画案であるところの、昨年十月現在の数字で千九百町村の減少、それによって必要な二百九十二億というものが、所要資金が預金部資金として出ないで、自己資金でやるという場合においては、何十年間あるいは何百年間かかるか、御説明を願いたい。
  83. 梶井剛

    梶井説明員 実績を申しますると、二十六年度におきましては通信機関の整備をいたしました局が十七局、二十七年度においては十八局、二十八年度においては三十局、二十九年度においては二十二局やるつもりであります。それに対しまして二十九年七月現在におきましての局数が二千四百八十五局ありまするから、かりにこれを二十局平均でやるといたしますと、約百年かかることに計算上は相なります。
  84. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)委員 ただいまのものは、町村合併が全部完了した数字の上において百年ですか、それとも昨年十月現在の数字をもって百年ですか、その点を伺いたい。
  85. 梶井剛

    梶井説明員 今申し上げましたのは大体二十九年七月現在で申し上げました。しかし予想を加えまして三十一年九月現在で申しますると大体三百四十年。
  86. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)委員 今電電公社総裁から御説明があったように、もし預金部資金が借りることができない、あるいは公募公債等が十分にできない結果においては、この町村合併促進法によってでき上った局数の整理等を行うためには、三百四十年もかかるというお話でありますが、これは郵政大臣として妥当たる見解であるかどうか、妥当でないとすれば、何としても四十億円なり五十億円の預金部資金は借りなければならぬという結論になるわけでありますが、その点一つ郵政大臣の決意のほどをお伺いしておきたい。
  87. 松田竹千代

    ○松田国務大臣 たびたび申し上げまするように、町村合併に基く電電公社の仕事の整備に対しては、ぜひとも預金部資金を獲得したいと考えておる次第であります。
  88. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)委員 私はこの問題に関する質疑を一応終ります。
  89. 松前重義

  90. 森本靖

    森本委員 公社の方にお伺いしますが、町村合併促進法以前における同一市町村内における局は、市外のものについては局数がここに出ておりますけれども、これを完全に同一市町村内を同一区域内に行うというのは、町村合併促進法以前のものについてはどれくらいの資金を要するか、お伺いしたい。
  91. 梶井剛

    梶井説明員 それは先ほど申しましたように二百九十二億であります。
  92. 森本靖

    森本委員 そうすると町村合併促進法以前の二百九十二億円というこの区域については、今回の新しい町村合併促進法によるところの町村合併よりも、人口あるいは利用度合い、そういうものがすべてはるかに上回ったところと考えておりますが、その通りですか。
  93. 田辺正

    田辺説明員 ただいまの総裁の御説明で、ちょっと訂正いたしたいと思います。お話は、町村合併促進法が施行になる前に、すでに二つ以上の交換局を持っている市町村の交換局の整備に、どのくらい金がかかるかというお話でありますが、それは計算いたしませんと今すぐお答えできませんが、二百九十二億のうちの何分の一になる、そういうふうになるわけであります。
  94. 森本靖

    森本委員 そうすると、この全額は今ここですぐ回答はできないわけですか。
  95. 田辺正

    田辺説明員 先ほど総裁から御説明申し上げました二百九十二億というのは、町村合併促進法が施行される前からすでに問題になっておりました局と、それから町村合併促進法が施行されましてから昨年七月現在までに、新たに同じような状態になった局の整備に要する金、両方含んだものが二百九十二億でございます。従って二百九十二億のうちの一部は、結局町村合併促進法の施行前から問題になっておる局の整備に充てられるわけであります。
  96. 森本靖

    森本委員 そうすると二百九十二億の中に、その町村合併促進法以前のものがどのくらいあるかということについては、推定でもよろしゅうございますが回答できませんか。
  97. 田辺正

    田辺説明員 これはあとで計算いたしまして申し上げようと思います。
  98. 森本靖

    森本委員 その前に、私が今質問をしたことについてまだ回答がないわけでありますが、町村合併促進法施行以前のいわゆるそういうところ、まだ同一区域内になっておらない個所については、それが今回の町村合併促進法によって同一区域内にしなければならぬというところよりか、人口の稠密あるいは利用度から見て非常に重要な、価値のあるところであるというふうに、判断をしてよろしいものであるかどうかということをお伺いいたしたい。
  99. 田辺正

    田辺説明員 大体そういうふうに考えていいと思いますけれども、町村合併促進法施行後に問題となりました中にも、町村合併促進法施行前に問題になっておったのに比べまして、早くしなければならぬ局もあるかと思います。それは一つ一つの実情を調べまして、緩急の順位を察しましてやらなければならぬと考えております。
  100. 森本靖

    森本委員 それは個々にはそういうことを検討すればあると思いますが、これを概略見た場合、私が今申し上げましたように町村合併促進法以前のものについては、今回の町村合併促進法に基くところの同一区域内にしなければならぬというものよりも、非常に重要な価値を持っているというふうに概略判断してもいい、それが正しいかどうかということをお伺いしたい。個々の問題についてはいろいろあろうと思いますけれども、概略的に考えた場合には、そういうことが言えるのではないかということをお聞きしているわけです。
  101. 田辺正

    田辺説明員 大体はそういうふうに考えてよろしいというふうに考えております。
  102. 森本靖

    森本委員 そういうことになりますると、今回の町村合併促進に基くその数字がわからないので、私の方も質問がまだ明確になって参りませんけれども、そういうことになりますと、何と申しましても、今回の町村合併促進法に基いて同一区域内にしなければならぬということも当然でありますけれども、その前に長年にわたって同一市町村内にあって利用度が非常に多い、若干距離がこの基準よりは遠いけれども非常に利用価値が多いところについては、これはやはり優先的にやらなければならぬというふうにお考えではないのでありますか。
  103. 田辺正

    田辺説明員 これはただいま申し上げましたように、大体においてはお話のように考えられまするけれども、具体的に実施の段階になりますと十分に調査いたしまして、重要なもの、あるいは急施を要するもの、こういうものから着手しなければならぬと考えます。
  104. 森本靖

    森本委員 その具体的に実施をする場合、たとえば新しい町村合併によるところの同一区域内にしなければならぬ、その場合には経費が若干軽くて済む。それから従来の町村合併以前のところで、非常に重要な利用区域であるけれども、これを行う場合には相当の資金を要するという場合に、その利用価値が少くとも、資金が少くても済むという方向に重点的にやるというふうなことはないわけでありますか。
  105. 田辺正

    田辺説明員 今のお話は、金のかかるのが少いところは、必要あるいは効果が少くても早くやるということをしないかどうかというお尋ねだと思うのですが、それは一がいには申し上げられませんで、結局今問題になっております町村合併促進の整備に、どのくらいの金をつぎ込むかということにもなって参ると思いますが、全体のワクを考え、それから一つ一つの実情も考えましてやっていかなければならぬと考えます。
  106. 森本靖

    森本委員 私のお聞きしたいのは、予算の面と利用価値という面を考えて、両方考えてやっていかなければならぬということはわかりますが、その比重をどちらに置いて考えておられるかということをお聞きするわけです。
  107. 田辺正

    田辺説明員 それは比重をどちらにかけるかということだと思いますが、これは抽象的な考え方になりますけれども、要するにきまりました金を一番有効に使っていく。それは、それによって生ずる効果というものも考えて、金が一番有効に使われる——ただその有効に使われるという意味は、それによって生ずる収入の多寡、言いかえればその投資に対する収益卒という面ばかりではなしに、全体として一番金が有効に使われる、それがサービス向上にもなるし、また産業なりあるいは経済の発展にも寄与し得るというふうな方向において、考えていかなければならないことだと考えます。
  108. 森本靖

    森本委員 その場合、重点は利用価値の範囲、それからその施設を行なった場合の増収、そういう方向に重点を置いた考え方で、順序をつけていくというふうに考えてよろしいのでしょうか。
  109. 田辺正

    田辺説明員 私の説明が不十分で、御理解願えませんでまことに恐縮でありますが、私の申し上げましたのは、順序をきめます場合に、ただ一つのファクターだけではきめかねるということを申し上げたのであります。その投資によって生ずる効果というのは、収入の面もありますけれども、同時にサービス改善という面もございます。そういうふうな投資に対する効果、それからまた土地におけるいろいろな社会的あるいは経済的の関係、そういういろいろな要素を合せて考えて、順序はきめるべきであるというふうに私申し上げたわけであります。
  110. 森本靖

    森本委員 私のお聞きしたいのは、たとえば同一県の中におきまして、国民大衆から見た場合、一方が非常に利用価値もあるし重要なところだ。ところがここについては非常に資金を要するということが、常識的にいっても考えられる。一方はその面から見ると利用価値としては相当落ちる。しかしそれを合併、同一区域内にするについては、一方の方から見ると非常に少い金額で済むというようなことが常識で考えられる場合におきまして、利用価値の少いものがなっておるということが、今まで往々にしてないこともないと思う。だから私の聞いておるのは、それを計画する場合におきましては、予算に制約をせられずに、一応民衆に対するサービスといいますか、一番利用価値の多いところから順次やっていくという考え方に、当局が立っておると考えていいかどうかということであります。
  111. 田辺正

    田辺説明員 お話のような利用価値というものは、投資によって生ずるサービス改善の効果を十分考えなければならぬことはもちろんでありますけれども、しかしこれで現実にやっていきます場合を考えますと、金が一定であるという場合に、極端なことを申し上げますれば、たとえばかりに十億の金があるという場合に、ある一つの局をやるのに十億かかる、それで一地点に一つしかできないという方がいいか、あるいは五百万円あれば二十できるという場合に、二十の方をとるべきかというふうな問題があります。従ってお話のように順序を、その投資によって生ずるサービス利用の効果だけでもって判定して、その順序でやっていきなさい、金が幾らかかろうがそれは別の問題であるという考え方は、実情に合わぬのではないかというふうに考えております。従って実際にやっていきます場合には、おっしゃいましたようなそういう点はむろん十分に考慮いたしますけれども、同時にほかの面でも考えていく必要のある場合もあろうかというふうに考えておるわけであります。
  112. 森本靖

    森本委員 そういう機械的な考え方でなくして、事実の問題として、たとえばそこに片方がかりに一千万円なら一千万円でできる。それから一方が二億円かかるとしても、その一千万円のところより以上の人口の稠密なところ、さらにそれ以上の効果が上るというところが一方にある。その場合に、こちらの方が金額が少くて済むということでやることでなくて、やはりその利用者が多いところに重点的に持っていくというのが至当ではないか。だから私は、そういう予算に制約せられるけれども、大綱的にそれを計画をする場合には、何といたしましてもその利用価値の多いところから、順次行なっていくというふうにしなければならぬというように考えておるわけでありますが、そういうふうにお考えではないわけでありましょうか。
  113. 田辺正

    田辺説明員 お話のような、そういう利用効果の多いところから手をつけろということは、これは原則論としては私はそうだと思います。しかしその原則論から考えます場合に、たとえばある一つの特定の局の利用効果と、その同じ金でもって数局をやった場合の利用効果の比較というものも——これは場合によってはそういう比較も必要であろうと思います。従って抽象論としては、利用効果の多いものからやっていくということはけっこうでありますけれども、利用効果の多いものは、必ずしも金のいかんにかかわらず、とにかくやっていく。言いかえれば、一つのところに大きな金を投ずるか、あるいは分散的に投じていくかというふうな問題は、この際抽象的にどうだというふうに言い切るわけには参らぬのではないかと思っております。これはお話のように、われわれが設備改善する場合に、それによって生ずるサービス改善、その他いろいろな要素を考えまして、投資の効果はむろんでありますけれども、同時に公平といいますか、そういうようなことまで考えております。また一つ一つの場合を考えてみますと、いろいろな経過がございまして、あるいは若干投資効果が薄いけれども、これはいろいろな面からやらなければならぬという場合もあろうかと思います。そういうふうにいろいろの事情を勘案いたしまして、投資効果も考えなければならぬし、また公平にしなければならぬというような見地から、実際の一つ一つをやる場合の決定はしなければならぬというふうに考えます。
  114. 森本靖

    森本委員 それではこの問題についてはまた他日お聞きしたいと思いますが、ただ最終的にこの問題について私がはっきりしておきたいのは、原則的には利用価値の多いところから順次やっていくというふうに考えてもいいのでありますか。
  115. 田辺正

    田辺説明員 先ほど申し上げましたように、抽象論といいますか、原則論といいますか、そういうふうな立場で考えますと、利用効果の多いところからやっていくというふうに言っていいと思います。しかし今申し上げましたように、そういうふうな利用効果のほかに、やはりいろいろな考えなければならぬ要素もある。従って利用効果ばかりでもって、問題をやって行くというわけには参らぬのではないか。それは具体的に先ほど申しましたように、公平という見地もございましょうし、それからまた投資効果の測定という点もございます。その他いろいろその局を取り巻くところの社会的、経済的な条件がございますが、そういうものをすべて勘案して、合理的に一つ一つきめて行かなければならぬ、さように考えております。
  116. 森本靖

    森本委員 いろいろの理由があるということはわかります。しかし利用価値によって原則的に行なっていくということについては、あなたも大体了承のようであります。そうすると、先ほどの問題に移って参りますが、町村合併促進法に基いてやる場合とそれ以前の問題と比べると、それ以前のものについては重点的にやらなければならぬものが、比較的多いというふうに考えてもいいわけでありますか。
  117. 田辺正

    田辺説明員 これは大体におきましては、とにかく町村合併促進法前に町村合併によって、一つの町なり村なりに二つ以上の交換局ができておるところは、新しく町村合併促進法の施行によって合併されたところに比べますると、その間の交通関係、あるいは経済的な関係、あるいは産業上の関係というものは、大ていの場合古い方が密接だろうと思うのです。しかし町村合併促進法実施後に同じような状態にありました部分におきましても、場所によっては、むしろ合併促進法施行以前のものより早くしなければならぬという場合もあり得る。しかしそれは町村合併促進法施行前に二つ以上の交換局を持っておる局、そういうような市町村も、いろいろ社会上あるいは経済上の変動がございます。五年あるいは十年たちますると、相当の変動を生じて参っております。従ってわれわれが計画いたしまして実際一つ一つを実施していきまする場合には、計画をするときにおきましていろいろな資料を整備し、なお計画実施後の状況を予見いたしまして、そうしてきめるわけでありまするから、従ってお話のように大体古い方が、いろいろな条件から考えて緊急にやらなければならぬのじゃないかということは、これは大体論としてはそうだと思うのですが、しかし具体的な問題となりますると、いろいろな条件を考えて、公平に妥当にやっていかなければならぬと考えております。
  118. 森本靖

    森本委員 どうも答弁が妙に抽象的でわからないところもありますが、ただ「町村合併に対する電話サービス改善について 日本電信電話公社」という文書が資料として出ておりますが、この中の一ページに「局間距離六粁未満のもの……区域合併を行ふ、但し大都市周辺で特殊な事由のあるものは六粁を超えるものも合併する。」こういうことがありますが、この大都市というのは大体どういうところをさしておるのでありますか。
  119. 田辺正

    田辺説明員 大都市と申しますのは、ちょっと表現が妥当じゃないと思いまするけれども、六大都市のほかに人口三十万とか四十万という市がございますが、大体その辺を考えておるわけであります。しかも大都市周辺の局は全部やるわけでございませんし、その間に大都市周辺の局で大都市と特殊なと申しますか、非常に密接な産業なりあるいは経済なり交通なりの関係がある。そういうところは特に六キロをこしてもやって行こうという趣旨であります。
  120. 森本靖

    森本委員 この大都市周辺というのですが、三十万と四十万とでは大分違うわけです。これについてどういう基準を持っておるかということを、明快にしてもらいたいと思うのです。たとえば県庁の所在地なら所在地というような形に置いておるのですか、あるいはまた三十万と四十万では都市の性格が大分違ってきますから、そういう点も一応明確にしてもらわないと、これではちょっとわかりかねるわけであります。
  121. 田辺正

    田辺説明員 合併の原則といたしましては、大体六キロ以内のものに限りたいというのが原則でございます。従ってこのただし書きは例外でございまして、これはあまり多くするつもりはないわけでございます。それから今お話しのように、大都市は三十万のものか四十万のものかというお話しでございますが、これは何十万以上というふうにきめることは、かえって機械的に過ぎまして実情に合わないのでありまして、これをやっていきます場合には例外でありますから、大きな市のまわりの町あるいは村は、その大きな市と非常に密接な関係がある。そして六キロをこしてもなおかつそれは同一の電話局の区域として取扱わなければならぬというような場合にやるわけであります。
  122. 森本靖

    森本委員 こういうふうにはっきり印刷されておる以上は、例外というようなもとでやるのは——これは「区域合併を行ふ、但し大都市周辺で特殊な事由のあるものは六粁を超えるものも合併する。」こういうふうにはっきり書いてあるわけです。だからこの問題については具体的にどういうところが当てはまって、どういうところが当てはまらないというな資料を提示してもらわないと、ちょっとわかりかねますので、この問題については後日正式に私の方から資料を要求したいと思いますので、その際に文書で資料をお願いしたいと思います。  次に今回の町村合併に伴う同一行政区内では同一にするという話でありますが、その場合はすべて直轄局にするというわけであります。
  123. 田辺正

    田辺説明員 それはそういう意味ではございません。
  124. 森本靖

    森本委員 そうするとやはり従来のまま委託局で統轄をするという場合も、直轄局で統轄するという場合もできるわけでありますか。
  125. 田辺正

    田辺説明員 その通りでございます。
  126. 森本靖

    森本委員 その場合にその直轄局にするものと、従来のままの委託局で行うというふうな基準は、どういうところでつけるわけでありますか。
  127. 吉沢武雄

    ○吉沢説明員 今の町村合併と直接の問題でございませんが、従来の委託局につきまして、直轄にするかあるいは委託局のまま置くかというのは、別の基準があるわけでございます。たとえば電話の方で申しますと、電話の何百以上の場合は局舎が別になるならば直轄しようというような基準がありまして、その方を照しまして今の町村合併に伴う区域の合併というものを当てはめていく、こういうわけでございます。具体的に個々の事情が非常に違うのでありまして、それにつきましては、先ほど来一定の基準ということを申しておりますが、その大体の考え方というものは、やはりサービスということを中心といたしますし、かつまた経費の点から見ましての採算というようなもの、さらに局舎事情、これは郵政省の方の関係も含めたいろいろな事情から考えて、それをやっていくわけでございます。
  128. 森本靖

    森本委員 そうするとまずその直轄局にするしないという一番の大きな要点は、その加入者数とそれから局舎の問題にあるというふうに考えていいわけでありますか。
  129. 吉沢武雄

    ○吉沢説明員 大きな点は大体そういうことでございます。しかしまた付近の局が改式をするというような場合でありますと、勢いその間において線路状態あるいは疎通状況というようなものが変って来る。また使用条件も加わる場合があるわけであります。
  130. 森本靖

    森本委員 局舎の問題もこの中で重要な要素であると考えてもいいわけでありますか。
  131. 吉沢武雄

    ○吉沢説明員 町村合併の問題につきますと、局舎の問題はそう重要な第一前提とはなっていないわけであります。というのは、局舎があれば加入区域を合併して、そこに交換設備増設するということができれば、局舎の問題になるわけであります。ただし合併する場合に局舎が小さい。小さい場合には局舎を建てる、あるいは増設するなりするという話がありまして、その場合に改式をするということが当然行われるわけであります。たとえば磁石式を共電にする。あるいは合併される結果、相当数の加入者が収容されるべきものにつきましては、自動化はそういうような方面からやはり事実上並びに経済上の観点からもいくわけであります。
  132. 森本靖

    森本委員 そうするとその局舎が、合併をしても間に合うという場合には、局舎の要素はなくなる、こういうことになりますか。
  133. 吉沢武雄

    ○吉沢説明員 合併する場合に局舎の増設を必要としないもの、あるいは局舎が前提になるものという個々の場合がございまして、今のように局舎がそのままで間に合うという場合は、局舎の経費というものは問題ないわけでございます。
  134. 森本靖

    森本委員 局舎の問題が今出たわけでありますが、委託局の問題は別として、直轄局ですら現状において、まだ郵政と電通関係とが同居しておる。そういうことで同一局舎内に全然違った指揮命令系統、さらに給与その他の問題も全然違うという雑居状態が、今全国で相当あると思いますが、こういう問題についても、やはりこれを完全に分離するということについては、町村合併によるところの同じ区域にするということとも、相当関連を持った重要な問題だと思います。こういうことについての計画はどうなっていましょうか。
  135. 田辺正

    田辺説明員 現在郵便局と同居しております電話局、電報局が相当ございます。それでだんだん電話がふえて参りますにつれまして、今のままでは狭くてどうしても電話がふやせない、あるいはまた交換の方式も今の局舎では変えられないという状態が、どんどんふえておるわけであります。それで私どもといたしましては、今申し上げましたような局につきましては、できるだけ早い機会郵便局と離れて、別な局舎を建てていきたいと思っておるわけであります。先般来お話がございましたように、現在の拡張資金の幅から申しますと、なかなか思うようには参りません。従って現在何とか同居いたしましてもがまんできるところは、手がつけられないというわけでありまして、どうしても局舎が狭く、交換機がふやせない、あるいはまた改式もできないというような局を、優先的にやっておるようなわけであります。
  136. 森本靖

    森本委員 だいぶ時間がたちましたので、私も最後にちょっと重要な点を総裁にお聞きしておきたいと思います。現在の電信電話行政について、直轄局と郵政の委託局と二つあるわけであります。それで同じ仕事をしておって、同じ仕事の内容を持っておって、指揮命令系統が全然違う、給与体系も全然違う、作業環境も全然違う、さらにまた電報配達の問題についても非常に様式が変ってくる、そういう段階において、今後電信電話行政というものが今のままの委託局、直轄局という形において、将来完全にこれが運営をされていくというふうにお考えか。それとも今の直轄局、委託局というふうな変則的な問題を根本的に改革をいたしまして、完全に切り離すなり、何か合理的な方法を現在公社の方としては考えておられるのかどうか、その問題についてお聞きしたいと思います。
  137. 梶井剛

    梶井説明員 これは郵政省と電通省とに分れまして、初めてかような直轄局、委託局というのができたのであります。その間過去におきましては、両方とも官業として、電信電話の方から申しますと八十年間の歴史を持っております。それが今日公社になりまして、いろいろ郵政省と事情を異にしておりますから、直ちにこれをすべて直轄化するかということになりますと、容易ならぬわざだと思います。また国家的見地から申しましても、現在活用している交換機その他を一々分離して、別の局を作ってやることになりますと相当な経費がかかるばかりではなく、それらの施設の多くはむだになってしまいますから、これを当分の間は利用していくという方針をとらなければならぬと思います。でありますからすべて直轄局にするということは、当分不可能であります。従ってこれは郵政省並びに現業局であります郵便局といたしましては、非常に御迷惑になることだと重々われわれは知っておりますけれども、同じかまの飯を食った元の逓信省の人であるということの意味におきまして、当分同居して共用局舎をやったり、あるいは委託局をいたしましたりすることについて、御了承をお願いしたいと思っております。根本的に何年先になるか、全部そういうふうに分離するかというような問題につきましては、とうてい今日においてははっきり見通しがつきません。
  138. 森本靖

    森本委員 その末端までこれを直轄化することについては、非常に困難な点は、その設備あるいは施設というものについて重点が置かれたような総裁の御答弁であったわけでありますが、それは全然そういう問題はないと思う。そういう問題がありとするならば、現在の共用局舎においてもしかりであります。共用局舎においても直轄局があるわけでありまして、施設その他の問題については、今共用局舎でとっておるのと同じような方向をとれば問題はないわけであります。一体この末端までその分離ができないということについては、どういうところにほんとうの原因があるかどうかをお聞きいたしたいのであります。
  139. 梶井剛

    梶井説明員 これは主として公衆の利便を主眼に考えております。
  140. 森本靖

    森本委員 公衆の利便ということについては、今の委託局においてこれを今の通りやっていって、ただその指揮命令系統というものを変更すればそれで足りるわけであって、それを直轄化したからということによって、公衆の不便になるということは絶対にないと思うのでありまして、そういう点についてはおかしいと思います。
  141. 梶井剛

    梶井説明員 現在の委託局の多くは、その町、村の中心地に作られると思います。そうしてまた通信というものの性格から申しましても、一般公衆の観念は、郵便局に行きますと電信電話も同時に利便が得られるという多年の習慣を持っております。でありますから、さような意味におきましてこれを一々所管が異なったからといって直ちに分離するということは、必ずしも公衆に対しては便益を与えないのではなかろうか。また新たにそういうために敷地を買い、局舎を作り、そうして直轄局にするということは、必ずしも国家的経済から見てとるべき道ではないのではないかというふうに考えております。
  142. 森本靖

    森本委員 そういうふうに機械的に物事を考えるから、こういうことについての研究ができぬわけです。何も別に新しい局舎を買い、敷地を買い、どうこうするという必要もないわけであります。今の同じ局舎の中におる者の所属、指揮、命令系統というようなものを明確に、現在の局舎の内部において分離すればそれでいいわけです。そういうことを私はお聞きするのであって、何もそれを分離したからといって、別に末端まで局舎、敷地を買わなければならぬ。たとえば一人の配置員を置いて、その一人のために局舎の敷地から建物、施設、そういうものを全部準備せよという非常識なことを言っておるのではないのであります。今のままにおいてでも、完全にそういうことが分離できるというふうに私たちは考えておるわけでありますが、そのことについてどういうお考えであるかということを聞いておる。しかもそういうことで分離しても、総裁のおっしゃられるように公社の不便になるということは全然ないのであります。そういう点についての答弁をお聞きしておるわけです。
  143. 梶井剛

    梶井説明員 現在委託局は多くは電信電話の立場から申しますと、設備の点が小さいのであります。従って現在の郵便局長のもとにすべてを委託して、郵便局長の命令のもとに動かしておる。同じ局内において待遇が異なり、あるいは命令系統が舞なるようにすることは、かえって業務の運営上能率を阻害するのじゃないだろうかというふうに考えられます。でありますから、私はできるならば当分は現状のままでいきたい、こう考えております。
  144. 森本靖

    森本委員 それでは、委託局においてはそういうふうにするのはおかしい。ところが直轄局舎の中において郵政と電通とが雑居してやっておることについては差しつかえない、そういうところの矛盾はどうなるのでありますか。
  145. 梶井剛

    梶井説明員 共用局舎は相当大きな局が多いのでございます。それを直ちに別の局舎にしたりするということは、先ほど申し上げましたように、経済上の理由からいいましても容易なものではない。でありますから時期を待って、予算が得られるようになりましたならば、漸次それを別の分離した局舎に持っていこうという趣旨でもってやっておるのでありまして、これはあらかじめ郵政省との間によく協議をいたしまして、おのおの局長を置いて、別の命令系統においてやらざるを得ないという事情にあるわけであります。
  146. 森本靖

    森本委員 頭からそういうふうにやらなければならぬというふうに考えておるのであるが、これを研究をして、具体的にこうやったら完全に直轄ができるというふうなことを、公社の内部において御研究になったことがありますか。
  147. 梶井剛

    梶井説明員 もちろん現在共用局舎になっておる分は、できるだけ早く別の局舎に分離していくという方針のもとに研究を進め、またそれを実行に移しつつあるわけであります。
  148. 森本靖

    森本委員 その共用局舎の問題でなくして、現在の委託局の内部において郵便局長に全部委託をしてやっておるからという、そういうお話でございますけれども、それも今の局舎を利用して完全に分離するということも、私が先ほど申し上げました通り、現実の場面としては可能であります。でありますから、そういう問題について頭からそれがいけないというふうに考えずに、そういうことを将来じっくり考慮をしてみるという考え方はないかということをお聞きするのであります。
  149. 梶井剛

    梶井説明員 もちろんそういうような問題につきましても、われわれとしては研究を怠らないようにいたしますけれども、現在におきましては別にこれを分離しなければならぬという結論は出ておりません。
  150. 森本靖

    森本委員 そうすると、現在委託局と直轄局との違いがある。しかし現在は委託局と直轄局との間において、完全に業務が運営されておるというふうに考えておるわけでありますが、今の組織で将来も完全に電信電話行政というものが末端までできるというふうにお考えですか。
  151. 梶井剛

    梶井説明員 それは先ほど申し上げましたように、八十年間一緒におりましたものが、ここ四、五年のうちにそういうことになったのであります。でありますから、それが完全であるかどうかということにつきましては、それは多少組織上いろいろな問題があると思いますけれども、決して従来よりも不完全になったわけではないのであります。
  152. 森本靖

    森本委員 八十年間も一緒におったものを別にしたのは、これは国の方がやったのであって、もともと従業員等におきましては、これを別にしてもらいたいという意思はなかったと思います。またさらに一般の国民の間においても、先ほど総裁が言われましたように、いなかに限らず都会地においても、郵便局電信電話とは一諸であったという観念があったのであります。これが政府の方によって完全に分離されたわけでありますが、その分離されたのが中途半端な分離の仕方になったのでありまして、末端においてはそれが非常に混乱を来たすという状況になっておるわけであります。現にあなたの方では弊害がないと言われておりますけれども、弊害について列挙すれば、いろいろな弊害があるわけであります。これは他日に譲るといたしますが、こういう問題についても、頭からそういうことは考える必要はない、そういうことでなくして、公社当局においても、将来の電信電話行政というものを末端まで完全に直轄化してやり得るようにするには、どういうふうにやったらいいか、そういうことについて研究する意思があるかどうかということをお聞きするわけであります。
  153. 梶井剛

    梶井説明員 もしそういうときが参りますれば、実行したいという意思はもちろん持っております。
  154. 松前重義

    松前委員長 ほかに御質疑はありませんか。
  155. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)委員 動議を提出いたします。本日の委員会質疑になりました日本電信電話公社町村合併に伴うところの電話施設統合整備資金の問題は、これは重大問題であります。これが実現を見ないようなことでありますと、当然国の最高機関である国会できめました町村合併促進法の精神にもとるのみならず、政府の権威に関する重大問題であります。従って本委員会におきましては昨年の十二月三日にも、当時は吉田内閣でありましたが、同様趣旨の資金確保に関する決議をなしておるわけであります。今回解散によって国会が新たになったのでありますから、この機会にこの重大なる案件に対して当委員会としては決議をいたし、もって関係大臣並びに公社当局に注意を喚起すると同時に、当委員会におきましてもこの問題は重大なる決意をもって善処する、こういう意味において決議をしてもらいたい、こう考えますから、各位の御賛成を得たいのであります。  案文を朗読いたします。    町村合併に伴う電話施設統合整備資金の調達に関する決議   一昨年以降重要国策として実施されている町村合併は、著しく進捗して、本年三月初現在既に三千五百に近い町村の減少をみている。   町村合併成果を挙げるため、区域内の電話施設を統合整備することは、緊喫の要務であり、これに対する日本電信電話公社の協力は町村合併促進法第三十一条の規定するところであるが、他面これに要する経費は現に措置を要するもののみでも約五百億円の巨額に上るのであって、これを公社の既定電信電話拡充五ケ年計画の資金に依存するときは、当該五ケ年計画の遂行を阻害し、惹いては公社経営の基礎を危くするおそれがあるから、政府並びに公社当局においては、町村合併に伴う電話施設改善に要する資金は、既定五ケ年計画と別途に政府資金に財源を求め、且つ、現に統合整備を要するものについては概ね昭和三十年度以降七ケ年間をもってこれが完了を期する措置を講ずべきである。  右決議する。  右決議案を一つ満場一致御採択願って、議長並びに郵政大臣、電電公社総裁、自治庁長官、大蔵大臣に送付をいたし、かつまた予算委員長委員長から申し入れを行なっていただきたいのであります。かつまた非常に重大問題でありますからして、委員長は御多忙でありましょうが、特に大蔵大臣に対してはみずからおいで願って、これが折衝に当られんことをお願いする次第であります。
  156. 松前重義

    松前委員長 ただいまの橋本君の動議に対して御質疑はございませんか。——御質疑がなければ、橋本君の御提案の決議案について採決いたします。  橋本君の御提案のごとく、本委員会において決議するに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  157. 松前重義

    松前委員長 御異議ないものと認めまして、さよう決定いたしました。  なお、ただいま決定いたしました決議につきましては、これを議長に報告いたしますとともに、自治庁長官、大蔵大臣、郵政大臣、日本電信電話公社総裁及び予算委員長にあて、参考送付いたしたいと思います。また不肖私も大蔵大臣に対しましては、ただいまの御動議のように、直接その折衝に当りたいと思うのであります。その点御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  158. 松前重義

    松前委員長 御異議がございませんければ、さよう取り計らいます。  この際、政府の御意見を承わりたいと存じます。松田郵政大臣
  159. 松田竹千代

    ○松田国務大臣 ただいま御決議になりました町村合併に伴なう電話施設統合整備資金の調達に関する決議案の御趣旨は、これを体して極力その達成に努力するようにいたします。
  160. 松前重義

    松前委員長 だいぶ時間も経過いたしましたので、本日はこれにて散会いたします。次会は明三十日午前十時より開会いたします。    午後一時四十二分散会