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1955-07-20 第22回国会 衆議院 地方行政委員会文教委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年七月二十日(水曜日)     午前十時四十七分開議  出席委員  地方行政委員会    委員長 大矢 省三君    理事 池田 清志君 理事 亀山 孝一君    理事 古井 喜實君 理事 鈴木 直人君    理事 前尾繁三郎君 理事 加賀田 進君    理事 門司  亮君       唐澤 俊樹君    川崎末五郎君       木崎 茂男君    纐纈 彌三君       渡海元三郎君    徳田與吉郎君       丹羽 兵助君    青木  正君       灘尾 弘吉君    山崎  巖君       吉田 重延君    川村 継義君       北山 愛郎君    五島 虎雄君       伊瀬幸太郎君    中井徳次郎君       西村 彰一君  文教委員会    委員長 佐藤觀次郎君    理事 赤城 宗徳君 理事 伊東 岩男君    理事 並木 芳雄君 理事 竹尾  弌君    理事 辻原 弘市君       高村 坂彦君    野依 秀市君       藤本 捨助君    米田 吉盛君       河野  正君    島上善五郎君       野原  覺君    小牧 次生君       吉田 賢一君    小林 信一君  出席国務大臣         文 部 大 臣 松村 謙三君         国 務 大 臣 川島正次郎君  出席政府委員         自治政務次官  永田 亮一君         総理府事務官         (自治庁行政部         長)      小林與三次君         総理府事務官         (自治庁財政部         長)      後藤  博君         文部事務官         (初等中等教育         局長)     緒方 信一君  委員外出席者         地方行政委員会         専門員     圓地與四松君         文教委員会専門         員       石井つとむ君     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方財政再建促進特別措置法案内閣提出第一  一五号)     —————————————
  2. 大矢省三

    大矢地方行政委員長 これより地方行政委員会文教委員会連合審査会開会いたします。  私が案件を所管する委員会委員長でありますので、委員長の職務を行います。  それでは地方財政再建促進特別措置法案を議題といたします。質疑通告がありますから順次これを許します。  なおただいままで出席されておる政府委員は、川島自治庁長官永田政務次官後藤財政部長が見えておられます。辻原弘市君。
  3. 辻原弘市

    辻原委員 当地方行政委員会に付託されております今回政府提出にかかる地方財政再建促進特別措置法案について、私ども文教委員会連合審査を申し入れました趣旨は、すでに大臣もよくおわかりかと思いますが、この地方財政再建促進という趣旨のもとに作られております本法案が、その影響するところ、特に教育委員会制度あるいは教育行政、ひいては日本教育万般に対してきわめて大であり、かっその影響は決して好ましいものではなくして、現在都道府県教育委員会あるいは地方教育委員会、さらに一般父兄大衆が非常な、と申しますよりも異常な関心を持ってこの法案に対して成り行きを見守っておる。教育行政にとってまさにその死活に関する運命をになっておる重要法案でありますがために、私どもとしましては、特にこの機会に本法案の中に包括された教育行政あるいは教育委員会に及ぼす影響について、大臣から明確なお考えを承わりたい、かように考えておるものであります。  そこで最初にお伺いしておきたいのは、本法案がもしかりに成立をいたしました場合には、直接教育委員会に対して非常な制約を加える条項が実にこの法案の中に山積いたしておるのでありますが、基本的な問題といたしまして大臣のお考えを承わっておきたいのは、由来教育委員会が発足いたしましてから、われわれといたしましては教育委員会制度によって、少くとも戦後十年間の日本教育民主化というものは非常に促進され、その緒についたという感を深く抱いておるわけでありますけれども、最近に至りましてこの教育委員会制度に対していろいろな意見を吐く人々があり、政府部内におきましてもこれの再検討を加えられる向きを私どもとしても聞き及んでおるのであります。大臣も御承知のように、教育委員会制度は戦前の教育行政に対して根本的な改変を加えるために、少くとも三つの大きな柱を基本として作られておるものであります。一つは、これは直接国の監視、監督からのがれて地方教育を完全に地方自治建前にのっとってこれを地方に委譲したということであろうかと思います。いま一つは、一般行政と分離をいたしまして、教育に対する執行権限教育委員会に付与しておるということ、いま一つは、特に教育行政の中でその推進の裏打ちとなる教育予算について独自の権限を与えておるということ、この三つの柱が教育委員会存立の大きなゆえんであろうかと私は思います。従ってこの三つの柱が根本的にそがれる場合におきましては、これは名は教育委員会でありましても、その制度自体はほとんど意味がないものになってしまうということは、これは申すまでもないところであります。従ってこの法案を私どもが見ました場合においては、今申しました三つの柱のどれにも抵触する部分があるという危惧を抱くものでありますが、本法案を出された所管大臣として、この法案作成される過程におきまして、この点に対していかような考慮を払われたか、また今申しましたこの三つの柱をもって今日まで教育推進に大きな役割を果してきた教育委員会制度というものについて、あなたは根本的にどういうお考え方でもって本法案作成に当られましたか、所管大臣としての根本的な考えをこの機会に承わっておきたいと思います。
  4. 川島正次郎

    川島国務大臣 教育委員会制度につきましては最近もいろいろ議論されておるところでありまして、ことに都道府県教育委員会市町村教育委員会とのあり方につきましても議論があるのであります。しかし今回提案して御審議を願っております地方財政再建促進措置法におきましては、教育委員会に対しまして根本的の改変を加える考えは少しもないのでありまして、現在の制度を尊重いたしまして、現在の制度の範囲内におきまして一、二の点に改正を加えておるのであります。何といたしましても現在の地方財政というものは、全部の地方団体ではありませんけれども、深刻な赤字に悩んでおる団体というものは、いわば非常時局でありまして、財政上従来とは違った運営をしなければとうてい立ち直らないのでありまして、こうした観点から地方における執行部行政委員会並びに議会などに対しまして若干の修正をしよう、こういう考えでありますが、根本的に教育委員会性格変更するようなことは考えておりません。
  5. 辻原弘市

    辻原委員 法案作成に当っては委員会制度の本旨を尊重してやられたという見解であり、なおこの法案作成したその中においても、委員会が持っておる独自の権限あるいは性格というものに変更を加えないような特別な考慮を払ったとおっしゃいました。果してそうであるかどうかという点につきましては、法案内容をお尋ねいたしますればなおはっきりすると思いますので、具体的に申し上げてみたいと思います。  第一に、私が指摘をいたしました教育委員会制度をほんとうに尊重して法案を作ったかどうかを証するに足る問題は、教育委員会法第五十六条ないし第五十八条に至る教育委員会に付与された独自の予算送付権の問題、いま一つは、同じく成立を見たる予算に対する執行権限、この二つが、この委員会に与えられた他の委員会その他に見られない独特の、独立性を持った予算に対する権限かとわれわれは考えておるのであります。それがゆえに、今日まで教育行政がこの送付権によって少くとも不当な圧迫をある程度排除できたと私どもは確信をしております。ところが、今大臣がおっしゃられたように、この独自の予算編成権執行権というものが果して尊重されて作られているかどうか。この法案の中にある、第二条に示された財政再建計画策定並びに第三条の財政再建計画承認及び予算の調製という項を見ますると、教育委員会教育予算を組んでも、再建団体と指定されたその団体は、すべて七カ年の長期にわたる再建計画について自治庁長官であるあなたの承認を経てでなければ、執行編成も行えない、こういうような定めになっておりますが、そういたしました場合に、少くとも現行教育委員会教育予算というものは送付権によって守られ、地方団体の長といえどもそれを気まま勝手に削除することができない教育委員会法建前になっておるが、この第二条並びに第三条に基く再建計画策定とその承認云々という問題は、教育委員会案の五十六条ないし五十八条並びに五十九条、六十条を上回る規定であると私は考えるが、この点について、この案のいずく教育委員会送付権が完全に守られ得る余地を残しているか、この点を一つ明確に承わっておきたいと思います。
  6. 川島正次郎

    川島国務大臣 教育委員会原案送付権は、依然としてこれを尊重する建前になっております。教育に関する費用、特に義務教育費用というものが財政に関係なしに計上されるということは教育委員会建前でありましょうけれども財政が全く困窮に陥っては教育というものはあり得ないのでありまするからして、私ども地方財政教育との調和をはかる必要がある。この点におきまして教育委員会地方議会なり長との間で調整でき得るような規定を設けたのでありまして、教育委員会原案送付権を認めないという趣意はどこにも出ておりません。
  7. 辻原弘市

    辻原委員 送付権は尊重しておる。確かにこの法案を作られる文部省との折衝の過程において、この法文の中にうたわれなかったということを私ども聞いておりますけれども、しかし問題は、そういった形式的なことでなくて、私は逆にお伺いをいたしておるのでありまして、法律上送付権は何ら制約するような条文を書いてないから、尊重いたしておるというのでは、今日私は通らないと思うのであります。そうではなくして、少くともこの第三条の条文によれば、再建計画自治庁承認を経て、必要によってまた自治庁長官がそれに変更を加えることができるとあるのであります。そういたしますれば、結局その再建計画を立案するに当って、教育委員会は独自に教育予算についてその考え方教育委員会法建前通り貫くという、そういう保障の面はどこにも現われてこない。従って、あなたは尊重し、それについては制約を加えられないと言うが、どういう形においてどういうふうに制約が加わっていかないのだという御説明をいただかなければ、われわれとしては納得がいきがたいのであります。従ってもう少し具体的に、ここはこうなっているから、これは送付権通り委員会予算については何ら制約を加えるものではないのだ、あるいは別のこういうような条項によって保障を与えているのだ、そういうふうにお答えを願いたい。
  8. 川島正次郎

    川島国務大臣 教育委員会原案送付権の問題につきましては、従来の各地方団体の情勢を見ますと、まれではありますけれども教育委員会のために地方予算が脹膨したという例も絶無ではないのであります。従いまして教育委員会原案送付権というものはこれを廃止したらよかろうという議論も世間にはあるのであります。そこでこの法案作成しますとき、文部大臣といろいろその点について話し合ったのでありますが、やはり教育委員会原案送付権というものは尊重すべきものであるという結論になりまして、これには全然触れておらぬのであります。地方の長なり議会なりが相談をして立てまする長期にわたる再建計画というものは、詳細に教育費をどうするとか何とかということを書くのではないのでありまして、ごく大まかに給与幾ら事務費幾ら事業費幾ら、また歳入の面におきましても交付税幾らに見るか、地方税幾らに見るか、雑収入を幾らに見るかというような点しか財政計画には書かないのでありまして、私どもがそれに対して修正を求めるといたしても、これは歳入の面におきまして私ども考えたより過大な歳入見積りをした場合であるとか、義務的費用において過小に見積りまして、長期にわたって再建計画が実行不可能に陥るおそれがあるのだという場合に限って修正を求めるというのでありまして、個々の教育費その他の項目について自治庁といたしまして一々内容にわたって発言をするような考えもありませんし、また法案のどこを見てもそういうことはないのであります。
  9. 辻原弘市

    辻原委員 お言葉のうちにちょっと気がかりな御発言がありましたので、この機会にお尋ねしておきますが、それは私ども非常に懸念をしておるのであります。というのは今大臣のお言葉の中にも、全部とはおっしゃられませんでしたけれども地方財政を非常に窮乏さしている原因教育費膨脹、これが特記的にあげられるというふうな趣旨のお話しがあったわけでありまして、一般的に最近どうも、私はどこだということは申し上げませんけれども、ともかく地方財政窮乏の大きな原因教育費の最近の膨脹にあるんだ。その膨脹を来たしている理由も、今大臣が言われましたように、教育委員会が独立した行政権を持っておる。なかんずく原案送付権等地方団体の長ないしは議会に対しても相当な発言権を有する、そういう規定がその誘因となって教育費の膨張を来たしておるのだ。だから教育委員会送付権も削ってしまえ、まためんどうくさいから教育委員会もやめてしまえというような一つの暴論が起っておるのでありますが、もしそういうふうに長官がお考えなさっていらっしゃるとすれば、これは私はきわめて遺憾であり、かつまた大きな誤謬であると申さなければなりませんので、その点いま少し的確に伺っておきたいと思います。  先般、今見えられましたが、松村大臣に私はその点をお伺いいたしました。松村大臣ははっきり教育費地方財政窮乏の面接の原因ではないということを申されておるのであります。長官部分的とおっしゃいましたが、部分的にでも教育費が一体今日の地方財政窮乏を来たしたその原因とお考えになっていらっしゃるのかどうか、この点は私は重要な点であると思いますので、お伺いをいたしておきたいと思います。
  10. 川島正次郎

    川島国務大臣 現在地方財政に盛られております教育費は、いずれも必要なるしかも義務的経費でありますから、それ自体が悪いということは私は考えません。ただ教育費地方財政の中に占めるパーセンテージが非常に多いのでありまして、都道府県市町村を通じますと、非常に大きな率になっておるのでありますから、教育費についても相当考慮する必要があると私は考えるのであります。教育委員会原案送付権を持っておりまして、知事予算編成権と独立した立場にあるということは、やはりこのためにある程度の教育費というものが膨張しやすい傾向にあるということは、これは私は言い得るのじゃないかと思うのであります。しかしそれが悪いというのではない。教育立場からそれは当然の主張をするのであります。そこで従来ややともすると教育委員会知事との主張が異なったがためにいろんな事件が起りますから、そういう調整をし得るような規定を今度の法案に設けたわけであります。頭から教育委員会原案送付権を否定しておるのじゃございません。予算編成の責任を持っておる長と、教育委員会との間において円満に話がいくように調整し得るようにということを考えて、法案を作っておるわけであります。
  11. 大矢省三

    大矢委員長 辻原君に申しますが、今松村大臣並びに小林行政部長が出席されております。なお委員会に申し入れの際に了解を得たはずですが、午前中にこの審査会を終りたい、こういうふうに思っております。五人の通告がございますから、そのつもりで一つ質疑を続けて下さい。
  12. 辻原弘市

    辻原委員 ちょっと委員長に申し上げたいのですが、今の委員長からの御注意は承わりますけれども、私どもがきのうあなたに約定いたしましたのは、ともかく地方行政委員会審議を急いでおるので、その点は私どもも非常に了解をしなければならぬし、協力をしなければならぬ立場から、できる限り連合審査は時間を縮めて、でき得べくんば午前中に私たちはこの審議を進めたいという、そういう協力意味で申し上げておる。従って本日の開会は時間厳守と言うことで、この委員会の前に文教委員会予定しておりましたが、当委員会が十時に開会されるという予定でありましたので、われわれとしては九時半に正確に委員会を開きまして、十時前に委員会を終っておるのであります。しかるに本委員会が開かれましたのは十時五十分であります。すでに当初から五十分約束の時間よりも経過いたしておりますので、約定に違背しておるのは私どもではありません。従って委員長がどういう運営をされたかわかりませんが、そういう点もありますので、時間的に見て、委員長の言われる厳密に本日午前中に連合審査を終るなどということは、とうてい無理かと思いますので、その委員長の御注意はよく承わりますし、協力をいたしますが、厳密な意味でそういうふうに申し上げたのではございませんから、その点も御了承を願っておきたいと思います。
  13. 大矢省三

    大矢委員長 開会のおくれた時間のずれはこちらも了承しております。決してさしつかえございませんから、一時ごろまでに済みたいと思います。どうぞ。
  14. 辻原弘市

    辻原委員 そこで今川島長官が直接教育費地方財政窮乏原因ではないというふうに言われましたけれども、しかし暗々裡にやはり教育費の占めるウエイトが非常に大きいので、その点について、長と教育委員会調整をはかる必要があるということを今漏らされた。私はこの言葉をじっとかみしめて聞きますと、やはり重大な問題を含んでおると考えます。そこで長官にぜひ再認識をしていただきたいのでありますけれども、往々間違われるのは、今長官が御説明になられた点であります。いわゆる地方行政費の中に含まれる教育費比率というもの、これは確かにその他の経費に比べると大きいでありましょう。その比率が大きいということが、これが直ちに教育費がかかり過ぎる、過大に使われる、膨脹してきておるというふうに飛躍してとられている面がたくさんあると思う。この点は特に地方財政を預かられる長官としては明快に区分してお考えいただき、御指導していただかぬことには、一般的傾向として、地方行政の中で非常に教育費が大きいから、これが膨脹するのだから、そのしわ寄せが赤字になって現われるのだというような、とんでもない間違った考えを国民に与える点は、これは教育のみならず、国家全体の予算運用の面からいっても、私は重大な問題だと思いますので、この機会長官にも再認識をしていただきたいと思います。ちなみに簡単に申し上げておきますと、確かに地方行政費の中では教育費は三〇%ないし四〇%の比率を占めておるでしょう、しかしその膨脹傾向というものはどうかといえば、決して膨脹上昇線をたどっておるのではありません。昭和二十四年以来、これはあなた方自治庁が、あるいは文部省が調査された数字を調べてみましても、明らかにその後の傾向というものは、教育費一般行政費に比較いたしまして、漸次下降の線をたどっておる。教育費はその支出が漸次狭められておるということを考えました場合に、今日教育費比率云々でもって地方財政窮乏などという議論は成り立たないと思う。そういう議論をするならば、私のような大きな者は必ず大飯を食って、それで家計の赤字原因になっておるのだというのと同じ議論である。大きい者がすぐさま大飯を食らって、それが赤字原因というならば、私のような大きな者、太っている者はとんでもない迷惑をするのと同じで、占める部分が大きいからそれが赤字原因だというようなことは、本法案審議される機会に、これはよく頭の中に明確に割り切っておいていただきたいということを要望いたしておきます。  次にさらに御答弁の中に、再建計画策定するが、その策定内容並びにそれに対して長官がいわゆる修正その他必要においてやられる問題は、決してそういうこまかい問題をやるんじゃない、大まかな大綱をやるんだ、こういうようにおっしゃいました。ところがよく地方行政費というものを考えてみますと、あるいは教育費というものを考えてみますと、今日この行政費の中で大きな部分を占めているものは、よし悪しは別といたしまして、ともかく人件費であります。特に給与あるいは人員、教育においてはなおさらであります。そういたしますと、大まかに給与基準をきめる、大まかに定員をきめるんだと思う。ところが大まかであろうが、こまかであろうが、きめられるならば、それによって一応予算の総ワクというものが定まるのであります。そういたしますと、この策定計画がそういった大綱的なものであるとは称しながら、議会が議決をして、あなたが承認され、修正された焼においては、七カ年を見通した人件費に対する支出の大きなワクがそこできまるということにならないでしょうか。ならないのであればけっこうですが、なるとすれば重大であります。教育費の最も大きな部分を占める定員給与、こういう点について、あなたのお考えによってそれが左右されるということは、きわめて重大であると思いますが、いかがでしょうか。
  15. 川島正次郎

    川島国務大臣 ごく大ざっぱな項目をきめるのでありまして、従いまして、給与費として今後どういう支出をするかということは当然きめられますが、その給与が教職員において幾ら警察職員において幾ら一般地方公務員において幾らというような内訳のことについては、一切私どもは、関与しないのでありますから、給与一本として幾らときめてもらいまして、これが実施できるように希望いたしておるのでありまして、その中において、教育費について特に幾らということは、私どもとして要求しておらぬのであります。教育費などは義務的の費用でありまして、おそらく各再建団体におきましても、これに重点を置いていろいろ施策をするんではないかと考えておりまして、最後の御質問のような御心配は、教育費に関しては起らぬのではないかということを期待いたしております。このことは先般参議院でも同様にお答えいたしておるわけであります。
  16. 辻原弘市

    辻原委員 もう少し突っ込んでお伺いいたしますが、教育費あるいは一般職員費などという小分けの形できめられない、大まかにきめるんだということであっても、きめるには一応基準がなければなりません。一応の算定の基礎というか、一つのスタンダードがなければならぬ。給与をきめる場合に、それはどういう尺度をお当てになるのでしょうか。地方独自でやっていい。やったものについては、収入の面については過大、過小の見積りがあれば、相当厳密にこれはやるけれども、そういった支出にかかる地方独自の問題にはあまり手を加えられぬとおっしゃいましたけれども、そういう意味合いで地方が独自でおきめなさったようなものは、大体認められる御方針であるのか。
  17. 川島正次郎

    川島国務大臣 申し上げるまでもなく、ただいま御審議願っているのは再建団体だけに適用する規則でありまして、全部の府県あるいは市町村に適用するんじゃないのであります。赤字で深刻に悩んでおるところだけなのでありまして、そうした地方団体の状況を考えてみますと、赤字原因などは多種多様でありまして、一概に何がために赤字になったと断定できにくいのであります。従いまして再建計画を作ります際におきましても、各再建団体別別の事情があるのでありますし、独自の立場で作るわけでありまして、私どもの方から給与はどうしろとか、事業費はどうしろとかいうようなことは、一切言う立場でないのであります。ただ給与につきましては、これは毎回問題になっておるのでありますが、現在国家公務員地方公務員全体につきまして給与実態調査をやっております。これが今年の秋にはでき上る予定になっておりますが、それを見ますと、大体地方団体別に高い低いということがわかるのでありまして、そういうことは一つ基準になろうかとは存じておりますけれども、特に私の方から、お前の方はこれだけ給与を下げろというような指示は、一切いたさぬつもりになっております。
  18. 辻原弘市

    辻原委員 給与を除いて他の点については、特別な指示とか修正などということはいたしませんというお話であります。ただ、しかし給与についてはという特別の前置きがございましたが、気になりますので、突っ込んでお伺いをいたします。  私もかねがね国家公務員地方公務員給与の問題について存じておりますし、多少その経緯も知っておりますが、今長官がおっしゃられたことによると、この秋には一応その調査が完了して、そういうものが何かの一つのスタンダードになるんじゃないか、こういうふうにおっしゃられたのでありますが、そういう意味は、結局将来この給与について、一応その再建団体策定計画をやらせ、あるいはそれをあなたが承認なさる場合において、調査に基いた国家公務員地方公務員を通じた一つ給与水準というものをお当てになるおつもりであるかどうか、この点をお伺いしておきたいと思いますし、同時にこの問題は文部省自治庁、大蔵省の見解が違ったし、また調査の結果も違っておると思いますので、そういう調査はおそらく自治庁だけでおやりなさっているんじゃないと思いますが、自治庁だけでおやりなさっておるとするならば、その結果を文部省とも協議されると思うのであります。文部省としては、現在そういうものを自治庁から協議された場合に、将来の地方教育費の中の給与費に対するスタンダードとして、かっての定員定額のようにお当てになるお考えがおありになるのかどうか、この問題は文部大臣にもお伺いをしておきたいと思います。
  19. 川島正次郎

    川島国務大臣 地方財政の計画は各地方団体随意のことでありまして、こちらから指示するのではないのであります。今申し上げました給与調査ができますれば、各地方ではそれを一つ基準にするだろう、こういうことを申し上げたわけであります。各地方団体に対して給与を上げろとか下げろとかいうことは、私ども考えていないのであります。
  20. 辻原弘市

    辻原委員 今の長官のお話によりますと、かりにそういうものができても、それは計画策定をした場合の承認の尺度には当てはめない。ただそういうものの調査ができ上ってから、地方は勝手にそれを持っていって参考にするというのは御自由でありますという趣旨でありますか。その点は一つ明確にしておいていただきたい。国で一律にそういう尺度を示すなんてことはいたしませんね。
  21. 川島正次郎

    川島国務大臣 それはただ地方財政計画を立てる一つ基準にはなろうと思いますが、私の方からそれについて指示するようなことはいたしません。
  22. 松村謙三

    松村国務大臣 お答えいたします。今実態調査をいたしておるわけでございますが、これが出ましたときにそのまま当てはめますか、それをしんしゃくしてやりますかは、今のところまだ方針がきまっておりませんので、ここで申し上げる機会にまだ達しておりません。
  23. 辻原弘市

    辻原委員 文部大臣にお伺いします。当てはめるか当てはめないかはきまっていないとおっしゃいましたが、そういうことを当てはめることが現行制度の上でできますかどうか、この点をお伺いいたします。
  24. 松村謙三

    松村国務大臣 定額制をとるということが、まだきまっておりませんから、従って、それを当てはめるというようなことは申し上げかねるという意味でお答えをいたしたのであります。
  25. 辻原弘市

    辻原委員 文部大臣が、今非常に重要な発言をなさっております。定額制をとるということはきまっていないから、今当てはめるということは申しませんということは、将来定額制を、この再建整備の法律にからんでおとりになるという構想があるかどうか。あるならば、あるとはっきりおっしゃっていただきたい。自治庁長官は、そういうことは国の基準にいたしません、地方地方で独自に条例できめるのですから、また地方は独自の権限があるから、押しつけません、とはっきりおっしゃった。ところが、文部大臣は場合によっては、定額制をとるかもしれないけれども、それは将来の問題であるから、今はそういうことはいたしません、と言う。これでは話も食い違うし、将来非常に危惧の念が出てきますので、はっきりおっしゃっていただきたい。定員定額をとる考えがあるのか、ないのか。   〔大矢地方行政委員長退席、佐藤文   部委員長着席〕
  26. 松村謙三

    松村国務大臣 今の事実につきまして、まず局長から御説明をいたします。
  27. 辻原弘市

    辻原委員 局長の答弁もけっこうであります。ただし大臣は、どうも将来そういうものを考慮しているような印象を与えておる。これは私だけじゃないと思う。従って、そのまま速記録に載っておりますから、局長の答弁を聞いても、大臣の構想は改まりませんので、白紙ならば白紙と、はっきりおっしゃっていただきたい。
  28. 松村謙三

    松村国務大臣 今のところ、まだ白紙の状態にあるとお考え願いたい。
  29. 緒方信一

    ○緒方政府委員 ただいま大臣から御答弁がありましたのは、それを当てはめるかというお話がありましたので、当てはめるということは、定員定額制を前提としての問題であろうというような趣旨にお答えになったのだろうと私は存じておる次第でありまして、ただいま大臣がお答えになりました通り、現在のところ、そういうことはないのであります。
  30. 辻原弘市

    辻原委員 私は、文部省の答弁について、非常に不満であります。無責任であります。今一歩私はお尋ねをいたしますが、少くとも現在の義務教育国庫負担法による財政逆用の方式は、法律によって定められた政令の委任事項以外は、国がそういう尺度を示すことはできない。地方独自でそれをきめる。そして、それについて国が事後において清算する。こういう建前を国庫負担法はとっておると思う。少くとも財政法上はどうであろうと、こうであろうと、ただ教育費の占める比率が大きいということだけで、教育費赤字財政原因であるかのような考えを持つ役人もなしとしない。そういうさなかであるだけに、教育費地方独自、地方住民の意思によって、教育委員会独自の権限によって、これを運用していくという制度は、きわめて意義があると考える。従って、これについて、国は何らの監督あるいは指示を示す権能は、この法律の精神から許されておらない。しかし、この法律がありながら、そういうことを将来にわたって、あるいはあるかもしれないなどという印象を、文部省みずからがにおわすことは、私は断じて許されないと思う。従って、緒方さんはおざなりの答弁をしたが、今一度、私はその点についての率直な答弁を聞いておきたい。
  31. 緒方信一

    ○緒方政府委員 お説の通り、現在の制度として、特に義務教育国庫負担法におきましては、実支出額の二分の一を国庫が負担することになっておりますので、国が給料費の単価について指定をしていくというようなことはございません。ただ教育公務員特例法の中には、給与の額は国立学校の例によるという基準がきめられておりまして、これは基準でありますから、相当幅があると存じますけれども、各府県のアンバランスば、一応これによって基準を示している、こういう制度であります。現在その通りでございまして、別に何らほかの気持はないのでございます。
  32. 北山愛郎

    ○北山委員 関連して。ただいまの御質疑は、この再建促進法の第三条の第二項に関連した質疑であろうと思うのです。すなわち自治庁長官再建計画承認する場合に、その補助金、負担金に関係のある各省各庁に協議をして再建計画をきめなければならぬ、こういうことに関連した質疑であろうと思いますが、昨日の地方行政委員会における自治庁の答弁では、この協議というのは、大規模な事業、たとえば総合開発というような大きな事業に限るものだ。すなわち補助負担金を国から出す場合でも、建設省あるいは農林省等が関係しているような総合開発計画事業、こういうようなものだけについて協議をするような御答弁があったわけであります。そういたしますと、そのような答弁が正しいとするならば、今お話のようなことは、文部省との関係においては起り得ないのではないか。なるほど文部省関係も義務教育費国庫負担あるいはその他の補助金がございますけれども、それは総合開発というようなものに関連してはおらないのだから、そういう関係については、自治庁長官文部省と相談なく再建計画をきめ得るのではないか。実は、昨日の地方行政委員会では、自治庁の答弁で私どもそのように考えたわけなんです。ところがただいまの御質疑を伺っておりますと、そうじゃなくして、文部省その他の関係においても、補助金、負担金がある事業官庁、こういうものには必ず協議をしなければならぬ、こういうことを前提としておられる。従って私はこの点非常に疑問に思うのでありますが、文部省自治庁との間にこの点について意見の食い違いがないかどうか、双方の大臣からこの際明らかにしておいていただきたい。
  33. 川島正次郎

    川島国務大臣 私どもが協議をすることは、大きな事業関係でありまして、個々のことについて自治庁は関係しないで、各再建団体の自主にまかしているわけであります。まして給与などについては、私どもは一切地方自治団体に干渉する気持は持っておりません。
  34. 松村謙三

    松村国務大臣 ただいま川島さんからもお答えがございましたので、私ども再建計画を立てられる、そのうちの文教に関することにつきましては、十分協議があり、その協議は私ども主張を十分取り入れらるることと考えております。
  35. 北山愛郎

    ○北山委員 そうしますと、自治庁長官のお答えは、すべてそういうことは文部省等は相談しないで、しかも自治庁においても私見をまじえないで、出してきた再建計画を尊重して承認するんだ、こういうお話であり、文部省としては、そうじゃなくして、やはり相談があるものと考えるような御答弁のようでありますが、そこに食い違いがあるんじゃないかと思うのですが、いかがですか。それと同時に、もしも自治庁長官の御答弁のようであるならば、一体この三条の二項というのは、どういうために置いてあるのか、空文じゃないか。使いもしない、要りもしない文章じゃないか。自治庁長官再建計画を出されてきたときに、再建計画を尊重して、承認をするというのであるならば、それなら何も意味がないじゃないですか。とってしまった方がいいのじゃないか。政府はこれを修正するお考えはございませんか。
  36. 後藤博

    後藤政府委員 お答えいたします。三条二項の規定は、先ほど再建計画内容長官から御説明がありましたが、再建計画の中に、明らかに国の負担金または補助金を伴う事業がございました場合に、その事業につきまして、関係各省と相談をする、協議をする、こういう規定でございます。今長官が御説明になりましたのは、一般的な事項につきましては、これはその規定には触れないので、協議はしない、こういう建前になっておるのでおります。
  37. 北山愛郎

    ○北山委員 そうしますと、昨日の答弁は間違いでありますか。昨日は一切の補助金、負担金を伴うものについて、関係事業官庁と協議をするというのではなくて、この規定はそのうちの大規模なもの、たとえば総合開発というものについてだけ協議するのだという御答弁であったと思います。これは間違いでありますが、御訂正になりますか。
  38. 後藤博

    後藤政府委員 昨日申し上げましたのは、例として総合開発事業を申し上げたのであります。再建計画の中に明らかにその事業官庁の事業がたとえば農林省の農地局に関係する土地改良の仕事の縮減とかなんとかいうような、大きな問題が明らかに再建計画の中に規定されております場合には、私どもは相談をする、こういうことを申し上げたのでありまして、一般的な事項については、やはり協議はしないということをあわせて申し上げたと思います。
  39. 北山愛郎

    ○北山委員 そうしますと、すべて事業に関連する補助金、負担金が伴うようなものについては、やはりその当該事業官庁に対して、自治庁としては協議をする、こういうふうに了解をいたしますが、そうしますと、必ず再建計画が出てきますと、どういう団体でも、補助金をもらわない、あるいは負担金をもらわないような団体はないのでございますから、一つの府県の再建計画でも、まず文部、厚生、労働あるいは建設、農林、運輸、すべての各省に協議をするということになるわけでございますね。そうしますと、まず再建計画をきめるというだけでも、ずいぶん地方団体としては手間の要る仕事であります。八年間の準禁治産者になるかならないかという境目でありますから、非常にもめるはずであります。そしてせっかくきまってきたものが、自治庁に出される。そうすると自治庁はこれを関係のある各省にみな協議をして、そうして最終的にきめる。協議がととのはなければ、これは承認ができないはずであります。そうするとずいぶん三条の二というのはめんどうくさい、行政技術的に見ましても、非常に実際再建計画が本ぎまりになるまでは、手数と日数がかかるようになると思いますが、それを残しておいてよろしいものであるかどうか、自治庁から重ねてお答をいただきます。
  40. 後藤博

    後藤政府委員 お答えいたします。先ほども長官から申されましたように、再建計画というのは、非常にばっとした大きな計画なんであります。たとえば消費的経費と申しますと、人件費その他の物件費、それから交際費、こういうふうな格好で出て参ります。それから消費的経費は補助を伴う公共事業費、単独事業費、そういう格好で財政規模が考えられるわけであります。その場合に、一般的に公共事業を二割落すとか、三割落すとかいう計画でございますれば、どこに相談をするということがないのであります。相談のしようがないから、この場合には相談をしない。ただ公共事業の縮減の中に計画的に初めからどこどこの土地改良事業を何割減らすということがはっきりしておる場合には、その関係各省に相談をする、こういう考え方でこの規定は入っているのであります。
  41. 辻原弘市

    辻原委員 今問題になりました第三条の一項、二項に関する問題でありますが、はっきりいたしましたことは、自治庁長官が申されました給与等に対する一つの尺度などというものは、財政再建計画承認する場合に押しつけないということが一点、それから二項にいわれている点でありますが、今同僚北山君から質問によりまして、この第二項に書かれている内容は、相当大規模な事業計画を持つ場合にそれの関係各省と協議するということであって、その他の一般的事項についてはその都度協議することはあり得ない、こういうお話のように承わったのであります。ところが先般文教委員会におきまして文部省から見解を承わりますと、これも誤まりではないと私は思うのでありまして、法案をそのまま読みますと、その中に「負担金、補助金その他これに類するもの」とある。そういたしますと、私が今ここでお話を申し上げました特に教育費の中の人件費給与、これは法律によって負担金になっています。とするならば、これについては、文部省自治庁の間で協議するということになだろうと思いますし、またこの間文部省の答弁によると、次のように言っております。「財政再建計画の中に織り込まれました場合には、国庫負担金あるいは国庫補助金等がございます。この点については十分文部省自治庁と協議して、その上で財政再建計画承認する、かように相なると思います。」こう言っておりますが、若干今の御答弁と違うように思うのですが、一体どちらがほんとうでしょうか。
  42. 後藤博

    後藤政府委員 文部省の協議とおっしゃいますのは、私もよくわからないのでありますが、私ども規定を作りました趣旨は、先ほど申し上げた趣旨でございます。実際の再建計画を出して参りました場合に、おそらくこの人件費のところは、人件費を二割なら二割落す、こういうことになります。その落し方は、たとえば昇給期間を延長するとかなんとかいうような格好で、人員整理を幾らにするかということもあるかもしれません。従って具体的に教育委員会、つまり教育関係者だけを相手にすることはないと思っております。そういう意味で、もしもあればという意味文部省はお答えになっただろうと思いますが、大体一般な事項でありますから私どもはない、こういうのであります。
  43. 辻原弘市

    辻原委員 また違ってきたので長官伺いますが、先ほど長官からるる御説明のありましたのは、三条の趣旨は大綱をきめるのであって、そういうような地方独自の運営に大きな支障を与えるような個々の具体的問題については何ら差し出がましい口はききません、その一つの方向を示すだけであるという話であります。そこでわれわれとしてはそうであるのが当然であって、わずかの金を地方に与えてやるからといって、高利貸しのような顔をして言うことをきけというような仕組みは、本来の地方財政の再建方式ではなかろうというのがわれわれの考えでございます。ところがどうも法案のにおいがそういうことのにおいがするので心配のあまりお尋ねしてみたところ、長官からそういう御心配はいりませんというお話でありました。それならば三条は要らないのではないかという議論も出てきたのでありますが、今あなたの御答弁によると、人件費の項において昇給の期限を延長するとか、あるいは定員を二割減らすとか、こういうことについての一般的問題をやるので、ただ内容的に、個々に教育費はどうだとか、その他の警察費はどうだとかいうようなやり方はいたしませんということですが、それはそんなことをやらなくても、根本で大なたですぱっと切れば、これは重大な問題です。そうすると先ほどの長官のお話と全然違うし、そうであるとするならば、三条というものはきわめて重大になって参りますが、一体どうなんですか。三条によって首切りが可能になり、三条によって地方独自の昇給、あるいは地方独自の給与が左右されるということになれば、とんでもない問題でありますが、これは一体どうなのか、あらためて長官にお尋ねいたします。
  44. 川島正次郎

    川島国務大臣 先ほどもお答え申し上げた通り、財政状況は各団体によっていずれも違うのであります。そこで再建団体なる地方団体長期にわたる再建計画を立てます際に、人件費事業費事務費その他いろいろ勘案することは当然であります。その際に特に自分の県では人員整理が必要と認めれば、これはやはりそういう方針をとるのであります。それはしかし地方独自の考えであります。人員整理をするかしないかということを私どもが指示するのではございませんで、地方の長と議会とが相談をして人員整理をする必要ありと認めればこれはするでありましょう。しかし私どもの方から人員を幾人整理しろ、幾割整理しろということは決して指示はいたしません。
  45. 辻原弘市

    辻原委員 大臣の答弁ではっきりおっしゃいましたけれども、どうも事務当局の考えの中には、何か国の方でやれるような、またやりたいようなそういう気分がうかがわれるように思うのですが、それは大臣の答弁で間違いございませんか。人員整理をするとかしないとか、昇給を延期するとかしないとか、これは地方独自に計画を策定し、議会にその議決を求める場合にやることであって、国へ持ってきたときにあなたの方からこれは少し多いじゃないか、これは少し減らしたらどうじゃないか、昇給は少し待ったらどうじゃないかというような指示は一切いたしません、こう大臣はおっしゃったのですが、先ほどのあなたのお答えは、どうも国がやるようなにおいがしてならない。一つはっきりおっしゃって下さい。
  46. 後藤博

    後藤政府委員 お答えいたします。先ほどの私の答弁が悪かったかと思いますが、長官がおっしゃる通りであります。出てきた再建計画を協議するのでありまして、私どもがそれに指示を加えて協議するのではございません。それからこの規定は、地方団体で勝手に事業を非常に縮減した場合に、国の事業に非常に影響しますから、こういう規定を入れまして、その調整をしていこう、こういう意味規定なのであります。
  47. 辻原弘市

    辻原委員 今の答弁は将来有効に役立つときがあると思いますので。私はしっかり承わっておきたいと思います。  本論に戻ります。先ほど教育委員会原案送付権についてお尋ねをしてから問題が発生をいたしましたので、横にそれましたが、元に戻りまして、長官のお話によりますと、ともかく原案送付権委員会条項から削除してないから、これは十分尊重いたしておりますというお話でございましたが、私が答弁を求めましたのは、逆に一体どういう形において、この法案成立後といえども今日通り原案送付権が生きてくるかということをお尋ねいたしておる。地方の長が再建の指定を受けるために計画を立てて議会承認を求める、それを自治庁長官に提出をする。そういう過程において教育委員会がどういう機会に、どういう形でこの教育委員会の持っておる予算についての送付権いわゆる予算についての独自の権限というもの、権能を発揮し得る場があるのか、これを具体的にお教え願いたいと思います。これはあるいは食い違ってはいけませんから、自治庁長官文部大臣から具体的におっしゃっていただきたい。
  48. 川島正次郎

    川島国務大臣 再建団体再建計画を立てますときには、当然教育委員会にも相談をするべきはずであります。長と教育委員会議会とお互いに相談し合って作るのでありますから、そこに発言権があるのであります。今度の法案のどこを見ましても教育委員会原案送付権を否定しておる条項一つもございません。
  49. 松村謙三

    松村国務大臣 お答えをいたします。先般来その点についてはしばしばお答えを申し上げたと思いますが、私ども教育委員会の権能につきましては変るところがありませんから、その年々の予算を作りますときには、以前通りの権能を発揮してやっていける。財政再建計画を作るときには、御存じのような次第でありますけれども、それは国へ持ってきたときに文部省も参画して協議をし、そうしてそれの実施に当りましては、やはり教育委員会が従来の権能で措置ができるのだ、こういうふうに考えておりまして、地方財政の再建には教育の面からもできるだけ冗費を節して協力することは当然でございますから、この程度のことはやむを得ぬと心得ておるわけでございます。
  50. 辻原弘市

    辻原委員 文部大臣はやむを得ないとおっしゃいましたけれども、その点が若干私と見解が異なるのであります。と申しますよりも、自治庁長官のお答えと文部大臣のお答えの観点が違っております。というのは、長官の答弁をそのまま受け取りますと、送付権については何ら制約をしていないのだから、普通の予算議決の場合と同じように取り扱うことができるというふうに私は今お聞きできるのです。果してそういうことができるかどうかは、これからお尋ねしたいと思うのでありますが、送付権は、明らかに法律できめておりますように、毎年次の予算と書いてある。文部大臣は忠実にこの法律の通りお答えをなさったと思う。ところがこの法律によるものは財政再建計画であります。計画を議決する場合に、予算と同様の取扱いが可能かどうか、これは法律的にお伺いをしなければならない。もし自治庁長官のおっしゃるように、予算と同じような取扱いをするということならば了承いたしましょう。それならば七カ年の長期にわたって計画を立てるその根本のいわゆる財政計画というものは、予算同様であるから、従ってそのときには教育委員会は五十八条の権能を発動して、毎年次の予算と同じようにそれを送付する。こうすればその間にいわゆる長と協議する機会が法律的にできましょう。あるいはそれを削除する場合には、法律に定めた所要の手続を長は必要とするのでありましょう。そういうことが法律上可能でありますか。まず長官にお伺いいたします。
  51. 川島正次郎

    川島国務大臣 私どもが期待しているところは、再建団体長期にわたる再建計画を立てまして、これを忠実に実行して財政が立て直ることを希望するのでありまして、その範囲内において予算をどういじくるということは各地方団体の随意であります。従ってこの法案のために教育委員会原案送付権というものを阻止するということになっておりません。
  52. 辻原弘市

    辻原委員 今の答弁では私のお尋ねに対しては全然ピントがはずれております。私のお尋ねいたしましたのは、そういう一般的見解をお伺いしたのではありません。先ほど申しましたように、送付権は尊重しておる。私がここでできるかできないかというのは、できると思いますとか、やるでしよょうとかいうような話ではない。法律的、制度的にできるかできぬかを聞いておるのでありますから、これは法律に準拠して明確にお答え願いたい。あなたはこの計画策定の際に送付権というものは何ら制約していないのだから、発動するだろうということを言っておる。こう私は受け取っておるわけです。そうするならばその財政再建計画議会に上程される以前に、五十八条の送付権が発動されて、長と法律的に協議する機会がこの法律によって確保されておるのかどうかということを聞いておる。それが確保されておるならば、確かに七カ年にわたる一応の財政規模をきめる、その計画策定に当っては、教育委員会の意向を十分反映し、また送付権を十分尊重しているということが言えるのでありますけれども、その点がこの法律をつらつらと読んでみただけではどうもわかりませんので、お伺いをいたしたのであります。先ほどあなたのお答えによりますと、どうもそれはそういうことにやれそうだという印象を私並びに一般に与えた。ところが文部大臣の御答弁はそうはお答えにならなかった。毎年次の予算について送付権は尊重している、こう言う。私のお伺いしているのは毎年次予算ではなくて再建計画そのものについて、いわゆる教育委員会送付権は確保されているのかどうかという点をただしておるのでありますから、それは一つ法律に従って明瞭にお答えを願いたい。重ねて長官からお伺いをいたします。
  53. 後藤博

    後藤政府委員 お答えいたします。私の聞き方が悪かったかもしれませんが、原案送付権との問題は、再建計画自体とはすぐ関係はないんじゃないかと思います。再建計画を立てまして、毎年度の予算を作る場合に原案送付権が問題になってくるのであります。再建計画自体を作ります場合には、もちろん教育委員会、公安委員会等の委員会と協議をしてでき上るものでありますから、その際において教育関係の発言も相当ありますし、その計画が織り込まれてくる、それを基礎にして毎年度予算を作る場合に、不当に——不当と申しますか、前に約束をしたものとは違った予算を作った場合は、原案送付権というものが問題になってくるんじゃないか、そういう問題はあるかもしれませんけれども再建計画自体のときには、原案送付以前の問題でありますから、ちょっと関係がないじゃないか、こういう考えであります。
  54. 辻原弘市

    辻原委員 今の答えが正確ではないかと思います。私は大臣の場合は、再建計画と毎年次予算と何かごっちゃにせられたように、大臣ははっきり分析されているかと思いますが、聞いた方はごっちゃに受け取っている向きがありますが、そこで私は、今のようなお答えであるから問題であるというわけなんです。あなた方は毎年次の予算送付権が生きておるから何ら制約をしておらない、こうお考えになる、そういうことならば再建計画なんというものは要らぬのです。毎年次予算影響を及ぼさぬような再建計画ならばこんなものは全く要りません。根本的にこの法律は不要ということになる。毎年次予算に重要な関係を与えるからこそ、いわゆる長期にわたる再建計画というものの意義があるのでありましょう。従って問題は毎年次予算幾ら送付権を発動して、何じゃかんじゃ言いましたところで、根本的に七年前にそんなことはさまっておると言われたならば、七年目の予算の際に、教育委員会幾ら送付権を持ち出してがんばってみましたところで、根本は動かないのです。そこが問題だという。従ってこの再建計画においては従来持っておった委員会送付権というものは事実上何ら考慮しておらないし、重大なる制約長期にわたって与えているとわれわれは断定してはばからない理由がそこにあるであります。もしそうでないとおっしゃるならば、一つ長官からそうでない理由を、またそうでないという具体的な一つの反証をあげていただきましょう。同時に文部大臣も、送付権は保証しているのだから皆さん安心せよというその反証をこの機会一つ与えていただきたい。再建計画と毎年次予算ば重要な関係を持ち、その関係を持つがゆえに意味があるものとすれば、毎年次予算の方向、その大ワクというものはすでにその再建計画にほぼ定められておると考えるのが常識でありましょう。そんなときに毎年次の予算の中へ送付権なんかを持ち出して何になりましょう。その点について、いやそうではないのだ、こういうふうにできるのだという一つの妙薬がありますならば、この機会に承わっておきたいと思います。
  55. 川島正次郎

    川島国務大臣 長期にわたる再建計画策定されまして、これを実施に移すときには毎年予算を組んでおるのでありますが、その再建計画の中の予算でありまして、それが実行不可能になる場合には、これは相当考慮しなければなりませんけれども教育費を特に圧迫して他の卒業をやるというようなことはあり得ないのでありまして、必要なる教育費は義務的使用でありますから、当然計上されると私どもは確信をいたしておるわけであります。教育費が膨張いたしまして、毎年児童数の増加に従って教員もふえまするし、従って校舎の増築も必要になります。そういう場合には他の使用を圧縮しても教育費というものは尊重される立場におるのである、こう考えるのでありまして、その場合において原案送付権というものが有効に働くんじゃないか、こう思うのであります。
  56. 松村謙三

    松村国務大臣 お答えをいたしますが、私どもがこれに同意をいたしましたのは、大体こういう考え方からでございます。お話しの通り一応の再建計画については制約を受けますが、しかしその計画は主務省へ認可を求めて参りましたときに文部省も参画をいたして計画をきめますから、その大綱において義務教育に支障のあるようなことにしないことは明らかだと私は思います。その範囲内において教育委員会が従来通りの権限で処置をして参るというわけでございますから、どうせ再建計画をやります上においては、できるだけの費用を節して、そうして効果を上げていくという努力は必要でございますので、これだけのことは同意すべきであると考えまして、私どもとしてはこの法案に同意をいたした次第でございます。
  57. 辻原弘市

    辻原委員 文部省は、盛んに送付権が確保されたということを非常に——これは御努力は非常に多としておるのです。しかし私どもとしては、そう鬼の首でもとったように大丈夫だ大丈夫だと宣伝するようなことは、私がどうもから回りになってしかたがないというのはそこなのです。根本を押えられておって、ワクをかけられて、その範囲で一つ踊ってごらんなさいという式なのです。送付権をがんばられた際に、ほんとうにずいぶん努力なさったということを聞いておりますし、自治庁長官もそれには非常に同意をされて、教育行政のために、教育費確保のために非常な努力を払われたと聞いておりますが、そこまでやられるならば、なぜ根本の再建計画立案に当ってこの送付権を生かすように考慮を払われなかったか、この点についてはまことに遺憾であります。しかしこれは今追究いたしましても時間がかかりますので、その点については重ねてお伺いをいたしませんが、将来にわたってこれは重要な点であると考えます。同時に先ほど長官から説明をいただきましたが、そういった抽象概念が、これは確かに長官としては心配はなかろうというために、文部省とも協議をされてこの法案を出されたと思うのでありますけれども、しかし教育費というものは何も建築費に限りません。あるいはその他一般的な雑経費に限りません。大きなのは先ほど申しましたように人件費であります。これがほとんど大きな部分を占めておるのでありますから、これが中心になって再建計画の方向がきまるとするならば、これはあなた方が言われるように、その後においてはそれは確保されるから大丈夫だというお話しがありましても、これは一般父兄あるいは教育を主管しておる地方教育委員会都道府県教育委員会が心配なさる向きは当然だろうと思うのであります。そういった保証が法律的にはないわけであります。この点を将来とも重要な問題として一つ長官もお考えをいただいておきたいと思います。  それから文部大臣は、先ほど再三、地方再建計画を立てられて承認を求められたときには、文部省も参画をしてその実施に当るから、その際に十分協議ができるというお話しがありましたが、それは法律のどこにあるのでしょうか。
  58. 松村謙三

    松村国務大臣 それは先刻もここでお話しがありました補助金、負担金のことに関することには、協議が第三条でしたかありまして、そういう意味において十分話し合いができるものと考えております。また大体義務教育の大本を破るようなことが自治庁だけでできるものじゃございません。その点は御安心下さって大丈夫でございます。
  59. 辻原弘市

    辻原委員 文部大臣の非常な熱意のこもった御答弁をいただきまして、それ以上はこの問題についてお伺いをいたしません。しかし多少その点先ほどの自治庁の御説明と違った点がありますので、これは十分意見の調整をしておいていただきたいと思います。  時間もだんだんと経過いたしますし、他の委員の質問もありますが、あと二、三点お伺いをいたしておきたいと思います。それはこの法律の中に「委員会等」という言葉でもちまして、すべての委員会を包括しているような書き方をしておりますが、その中には当然教育委員会も含まれておるのでありまするけれども、私はそれ自体考え方が——これは一つ十分文部大臣にも見解を伺わなければなりませんし、長官にも一応先ほどお伺いをいたしましたけれども、一体一般の教員会と、それからこの教育委員会ともごっちゃまぜにしている考え方、根本が私は非常に誤まりである、また非常に教育委員会そのものの存立を危うくするものである、かように考えるのでありますが、その点について文部大臣は一体どうお考えになっているか。少くとも国会においては、国会の権威というものは、これは私どもが申し上げるまでもなく、いわゆる公選によって、国民の意思を代表して国政に参画するがゆえに権威があるのであります。ただ名前がつくから権威があるのではなくして、また議事堂がりっぱであるから権威があるのではなくして、公選によるところに国会の権威がある。地方議会もまた公選によるところに地方議会の権威というものがあるのであります。私はそういう意味において、同じ委員会という名前はつくけれども、しかしそれが公選によるとしからざるとではその性格というものは根本的に違う、そういうことを考えるのであります。そういう公選によって生まれたのが教育委員会であります。それを一視同仁に他の委員会とごちゃまぜにして法案作成し、そういう考え方に基いて執行しようとするところに一つの誤謬があるのではないか、かように考えるのでありますが、その点文部大臣自治庁長官一つ見解を承わりたい。
  60. 松村謙三

    松村国務大臣 お答えをいたしますが、私もお話の通りの考えを持っております。教育委員会制度権限は普通の他の委員会と違っておることは私も承知いたしております。ただしかしながら地方においてそれが実績を上げておりますのを見ますと、地方の自治の機関ときわめて緊密な連絡を持っておるところにおいて最も実績を上げておりますことは御承知の通りでございます。両者の間のお互いの協調——単に自己の権限だけを主張するのみでは実績が上っておりませんことは御承知の通りでございますから、そういう意味合いにおいて両者の協調をしていくことを心からわれわれは希望をいたしております。権限はお説の通りでございます。
  61. 川島正次郎

    川島国務大臣 現在ありまする行政委員会はいずれも必要かつ重要のものだけであります。ただ市町村にあります公平委員会だけは、過去の実績に徴しましてもこの際廃止が適当だと考えて、別に廃止の法案を出しておるのであります。今お話の教育委員会はもちろん最も重要な委員会でありまするが、公選による委員会教育委員会以外にも農業委員会があり、海区漁業調整委員会どもあるのでございます。私どもはいずれも重要だ、こういうふうに考えておるわけであります。「等」と書いてあります理由は、行政委員会というものは執行部と独立した機関でありますので、それで一緒にしまして「等」とこういうふうに例示いたしたわけであります。
  62. 辻原弘市

    辻原委員 御答弁を承われば両大臣とも尊重するとおっしゃるのでありますけれども、しかし私はこの点については、先般文教委員会でも御質問申し上げましたが、なおかつ釈然としない点があります。これは最大の理由は何かと申しますと、先般の参議院におきまして鳩山総理がこの問題に触れられております。それは占領政策の行き過ぎ是正というような問題の中で、特に教育委員会を指摘して、これは再検討を要するという重大発言をなさっておる点にかんがみまして、私は今回のこの法案の中に教育委員会、いわゆる公選による独立権限を持っておる教育委員会を一般行政委員会と同じ列、同じ形に扱っておるという点から類推をいたしまして、あるいはこれは私の非常に間違った推測かもわかりませんけれども、どうも当の責任者でいらっしゃる鳩山総理が再検討を加える、また今回出てきた促進特別措置法によれば、そういうような扱い方をしておられる。ここらに教育委員会制度なるものの今後について非常に危惧の念を抱くものでありまして、私は再三申し上げておりますように、戦後日本におきましては、父兄大衆の中でいわゆる婦人の方々が、特に母親の立場にいらっしゃる方々が、教育委員会制度の実施によっていかほど教育に対する関心を高められたか。直接教育をやってもらう人を私たちが選挙をするのだ、こういうような考え方で、あるいは教育委員は地方に出て公聴会を開き、ここに地方住民と直結したいわゆる行政運営が今日なされておるのであります。その中にはまだまだ改善しなければならぬ問題はありますけれども、根本として、私は日本教育民生化、日本の民生化のために実に大きな役割を果してきたと思うのであります。そういうような教育委員会が、戦後十年を一こまとしてここに大きな方向転換をするということになれば、これは私どもとしても十分これに対して徹底的な論駁をいたさなければならぬと思うのであります。従って私は今両大臣からその見解を承わりましたが、さらに政府の最高責任者である鳩山大臣から、この機会にこの教育委員会制度について、その根本の方向を私は示していただく必要があると思うのであります。従ってこれは委員長に要求するのでありますが、この機会に総理大臣の出席を要求いたしたいと思います。
  63. 佐藤觀次郎

    ○佐藤委員長 総理大臣の出席要求はこの次の文教委員会でいたしたいと思いますから御了承を願います。きょうすぐというわけにはいきませんので……。  なおまだ五人ばかり質疑通告もありますから、一つ簡単に願います。
  64. 辻原弘市

    辻原委員 今の委員長のお答えでありますが、一体こういうことが随時出てくることによって教育委員会はどうなるのだろう。文教委員会大臣にお尋ねすれば、当面はさようなことは考えておりませんと言う。あくる日の新聞を見るとどうやら再検討をしておるということが東京の新聞にぱっと発表されておる。聞いて見ると、どこから出たかわからぬと言う、あるいは総理大臣が参議院にお出ましになってそういうような発言をされる。そういうものをあれやこれや集録しますと、何か考えておるなということは想像されるのであります。だからこうした機会にはっきりしていただきますならば、政府も熱意を持って教育委員会制度を尊重して、なおかつ地方財政窮乏の方と調整をはかって、両々相待って国の行政の円滑を期していきたい、こういう趣旨が明確になるのであります。そういう意味合いから私は文教委員会で聞くならば本日言う必要はないのでありますから、そういう趣旨のもとに申し上げております。これは同僚委員の関係もあります。これは私のみならずひとしく日本教育に関心を持つ者だれしもが、はっきりと、文部大臣さらに総理大臣のこれについての言明を聞きたい、こうおっしゃっておるに違いないと思いますので、どなたも反対をなさらないと思います。この機会一つ委員長においてそういうお取り計らいができるならば、私は日本教育の上から非常な幸いであると考えますので、特に一つお取り計らいを願いたいと思います。
  65. 佐藤觀次郎

    ○佐藤委員長 総理大臣の出席要求を出してありませんので、きょうというわけにはいきません。そのかわりかわって松村文部大臣からとりあえず答弁をお願いします。
  66. 松村謙三

    松村国務大臣 総理大臣の出席の御要求をかれこれ私が申し上げるのじゃございませんけれども、総理大臣が参議院で申しました考え方は私がよく存じておりますので、それで私から一応考え方を申し上げておきたいと存じます。それはほかでもありませんけれども教育委員会制度そのものについて、従来ともとかくの意見のありましたことは御承知の通り、そして各党ともいろいろの意見をお持ち合せになっていることもわかっております。そうして委員会運営を見ましても、やはり中にはある程度是正しなければならぬものがあるのじゃないかということはだれしも考えられるところ、たとえば人事の運営も地教委の末端においてだけに限られるというようなことで、人事の停頓等のことも一例として申せばありますし、これを一応検討してみよう、こういうような意味でございまして、総理が参議院で申されましたのもその趣旨であり、文教委員会等においても、教育委員会制度を白紙の上に立って再検討してみたい、明年は任期が切れて選挙の年でもありますから、その前に再検討いたして、もしも改むべきものがあれば次の議会へ出したいと申し述べましたのは、こういう趣旨からでございまして、総理大臣が参議院で申されましたのもこの趣旨にほかならないことと御了承願いたいと思います。
  67. 辻原弘市

    辻原委員 私は先般大臣にお伺いいたしましたときに同様の質問をいたしました。その際に総理が発言されたことは総理御自身から承わらなければはっきりしない、それは文部大臣としては直接協議を受けたわけではないのであずかり知らぬということでありましたので、本席重ねてお伺いしたわけであります。今お話を承わったのでありますが、その後に確かめられたのでありますか。あるいはその事前かその後にそういった問題について政府部内において協議をされて、そして次期通常国会までに成案を得て提出したいというふうに政府としては決定されたものかどうか、またその内容は、今の御説明の中にもその片鱗がうかがえるのでありますが、最近の人事、特に地方教育委員会の発足以来、人事その他の停頓は、われわれも大臣と全く同感であります。そういう点からこの機会にそういった問題を解決するための所要の改正、言いかえてみると地方教育委員会を廃止するといったような考え方をもあわせ考慮されるということであるのか、この二点についてお伺いしておきたいと思います。
  68. 松村謙三

    松村国務大臣 それは全く白紙の上に立って教育委員会制度全体について検討いたし、今申し上げた人事のことはただ一例にすぎませんが、すべてについて検討いたし、そして大体の考えがまとまりますれば、そして改むべきものありという結論が出ますれば、それぞれ関係の教育議会等にも諮りまして、そして議会へ出す、こういう順序をとりたいと思っております。全く白紙の上に立ちまして十分の検討を加えたい、こういう考え方でございます。
  69. 辻原弘市

    辻原委員 全く白紙であるかどうかについては、いずれ後日文教委員会で十分承わりたいと思いますが、その問題に触れておりますと時間を経過いたしますので、次の問題に移りたいと思います。  先ほどから自治庁長官にお伺いいたしました点は、教育委員会が持っている独自の権限、すなわち財政下特別の権能を付与されている点について、制約するものではないかという点についての問題でありました。教育委員会の他の同様の行政委員会と異なる点、何ものにもほとんど制約を受けない独立した行政機関、一般地方行政からも独立し、また国と教育委員会との関係においてもほとんど独立した形態をとっている、そういった教育委員会の本来の精神、本来の制度を誤まる心配があるのではないかという点についてであります。  第二の問題は、法第二十一条に定められております監督権の問題であります。この条文をずっと読みますと、自治庁長官再建団体として指定された団体については必要な措置を講ずることを命ずる、そういった広大な権限を持っているのであります。とするならば、当然これについては、その再建計画の中に教育委員会の問題も包含されるのでありますから、これは自治庁長官が直接教育委員会に所要の命令を発し、監督をする権限を持つものと解されるのでありますが、そういった点がもしその通りであるとすれば、これは重大なことであります。すなわち現在においては、さきに申しました通り、所算者であり所管大臣である文部大臣すら、文部省設置法に見ましても、法律に別段の定めのない限り教育委員会を指揮監督することができないことになっている。いわゆる指導と助言を与える程度であって、何らそれに対して命令的な監督的な事柄は、法律で特別の定めない限りできないことになっております。ところがこの規定は一般的規定であって、いかなる事項についても必要とあれば命令することができる、そうするならば、教育委員会文部大臣は法律の定めのない限り直接の管理監督はできないが、自治庁長官からはそれができるということになって、一体どちらが所管省であるかわからぬようになる。それが問題の第一点であります。  いま一つは、この再建計画による自治庁長官の命令は、直接教育委員会に下されるものではなくて、いわゆる地方の長を通じてこれが行われるものであるとするならば、その関係で従来教育行政については直接の権能を持たない地方団体の長が、今度はその自治庁長官の命を委任された形によって教育委員会に監督命令をすることができるというようなことになって、教育委員会が果して独立した行政、独立した執行機関であるという性格を保持できるかどうかということについて、多大の疑問を持つのは当然であります。従ってこの機会にその点を両大臣から一つ明確に、さようなことはございませんとおっしゃるか、あるいはそういう心配が多少ございますとおっしゃるか、はっきりお答えを承わっておきたいと思います。
  70. 川島正次郎

    川島国務大臣 地方財政の立て直しには、各再建団体策定しました財政計画というものが実行されることが絶対の必要な要件であります。そこでせっかく立てた財政計画というものが実行されないような状態になった場合に、この二十一条に書いてあるのですが、財政再建計画に適合しないと認めた場合に限って、財政運営についてということでありまして、私ども教育委員会内容まで立ち入ってどういう処置をとるかということは考えておりません。私どもの念願とするところは再建団体作成しましたところの長期にわたる財政計画というものがうまく実行されまして、地方財政というものが規定の年度内に立ち直るということを希望いたしているのであります。それ以上その法律というものは何も要求をいたしておらぬのであります。
  71. 松村謙三

    松村国務大臣 これは自治庁地方教育委員会に面接指令をすることは、これはよくないと私どもは解釈をいたしております。
  72. 辻原弘市

    辻原委員 ちょっと文部大臣のお答えはあまりに抽象的過ぎましてはっきりいたしません。自治庁長官のおっしゃったお答えは、財政運用についてのみいわゆる命令監督ができることになっているのだ、こうおっしゃいました、確かにその通りでありましょう。その通りであるが、それ自体に問題があるのであります。文部大臣はそういうこともできないとおっしゃったのでありますか。そういうことがなければこの管理監督というのは意味がないのでありますから、それはどうでしょうか。
  73. 松村謙三

    松村国務大臣 私の申しましたことに対して詳しいことは、局長からちょっとお答えをいたさせます。
  74. 緒方信一

    ○緒方政府委員 自治庁長官からお答えがありましたように、自治庁長官教育委員会に対しまして直接の命令をする、命ずるということがないのは、これは法文の上においても当然であります。ただ財政再建団体財政の運用全体に対しまして、自治庁長官財政再建計画に適合しないと認める部分について、必要な措置を講ずることを命令するということでございますから、これは財政再建計画遂行のために当然であろうと考えるわけであります。
  75. 辻原弘市

    辻原委員 通り一ぺんのお答えでありますが、しかしおっしゃっておることは干渉を直接的ではないが、間接的に受ける——これは私も直接的とは申しておらないので、地方の長を通じて、財政運用の面において間接的にやる、こういうふうに法文は書いてあるように思ったから、そうお尋ねしたのでありますが、その点大臣がもしも直接も間接もない、全然ないのだというふうに御了解になっておるとすれば、これはとんでもないことだと思います。私は、財政運用の面から間接的に教育委員会に対して、これは指揮監督の命令を持つものと解釈してさしつかえないと思う。それが法文上明確であるかどうかは別として、事実上そういうことになると私は考える。  そこで自治庁長官財政運用だから何も教育委員会影響を及ぼさぬのだという話がありましたが、これは一を知って二を知らざる者のお答えである、こう申しては失しては失礼かもしれないが、よもや自治庁長官はこういうことを、それが本音であるとは考えておらぬと思います。財政運用というのは、すべての事業執行、すべての行政運用の裏づけであるのであります。しかも今日においては、これは金の面によってほとんどのものはその方向がきまるのであります。従って所要の法律を出さなくても、予算においてきまり得ればその事業は執行できるのである。しかもそれ自体、これは行政であるのであります。いわゆる教育行政と申しましても、何もどういう方法で教えるとか、その教える内容がどうであるとかいうことばかりではありません。定員一人削減するにいたしましても、給与一つきめるにいたしましても、これすべて教育上重要な影響を与えるのである。従って財政影響を与えるということは、ひいては教育影響を与えるということであります。自治庁長官はさらにお考えになりませんかどうか。
  76. 川島正次郎

    川島国務大臣 自治庁長官が監督権を発動する場合は、かねて作られておるところの財政計画が、歳出において非常な膨脹をする、あるいは歳入に欠陥が生じた、滞納等が非常に多くなって、財政運営がうまくいかなかったという場合に特に注意をするのでありまして、財政全体としての再建団体注意を促すのでありまして、特に教育費をどうしようとかいうようなことは全然ないのであります。ことに教育費のごときは、義務費中の最も重要な義務費であります、教員数のごときものも、ちゃんと規定によって割り出しておかれるのでありますから、辻原さんの御心配のように、人件費にしわ寄せが来るとしても、それはむしろ私の考えでは教職員よりも他の一般職員にしわ寄せが来るのではないか、こう考えないわけでもないのでありまして、教育費というものは、この再建整備によりまして、非常な影響を受けるとは絶対に考えておらぬのであります。
  77. 辻原弘市

    辻原委員 直営管理監督はやらない。しかし財政運用からそれは起り得るということは大臣もお認めなさっていらっしゃるのでありますが、細部の点は時間がかかりますから省略いたしますけれども、しかし今最後にお答えになりましたように、教育費だけではない——私は決して教育費だけを申し上げておるのではありません。委員会の問題に関連してお尋ねしておりますが、他の行政費にもそういう傾向が生れる、これはさらに重大であります。一般経費影響を及ぼすということになりますと、さらに重大であります。しかしこの点は私の本日の質問の要点でございませんので、申し上げませんけれども、しかし教育委員会に間接的な管理監督の影響が起ってくることは必定であろうと私は考えておるのであります。さらにそれを証明立てる問題としまして、法の第八条には予算執行についてまであらかじめこれを団体の長と委員会は協議しなければならぬということになっております。従来予算執行については、それぞれ議決されたものを配付され、独自な出納責任者を置いてこれを執行しておるのが教育委員会建前であります。そこに予算送付権と並んで執行権限の独立ということが、教育委員会の権能の中で重要な部分を占めておるのでありますが、それがこの第八条によってさらに執行の部曲にまで——従来は一般行政の長である地方団体の長の制約を受けなかった委員会が、直接協議するということにおいてここに大きな制約を受けることになるのであります。さらに重要な点は、法律には、いかなる事項において協議しなければならぬかということを政令に委任いたしております。もしこれがかりに適当に政令をお作りなさるようなことになれば、それが非常に広範囲なものになって、教育委員会予算執行権というものは、法文上は独立しておるけれども、事実上は地方の長がほとんどそれをにぎるという結果になるが、この点については一体どうであるのか。また政令できめる事項の内容というものはどういうものをお考えになっておられるのか。この点について伺っておきたい。
  78. 後藤博

    後藤政府委員 八条の政令で指定する事項と申しますのは、いわゆる支出負担行為に該当するようなことでありまして、内容を申しますと、学校の新設であるとか、予算外の義務負担を伴う契約の締結であるとか、そのほか職員の昇給昇格等に対する一般的な方針等を私ども予定しておるのであります。
  79. 辻原弘市

    辻原委員 今のお話によりますと、政令に委任する一般的事項の内容の中には、いわゆる給与基準定員、こういう問題まで含まれておる。そうしてその執行に当っては、教育委員会は長と協議しなければならぬということだと、これは事実上それらについては委員会は独自の考え方をその行政の上に反映することはできないような仕組みになって参りますが、その憂いはないかどうか。
  80. 後藤博

    後藤政府委員 先ほど最後に申しました職員の任命、昇格昇給等の一般的な方針でありまして、この一般的な方針を市町村教育委員会に流したり、市町村に流したりする場合がありますが、そういう場合にあらかじめ協議してもらいたい、こういう意味でありまして、勝手に再建計画を無視した昇給、昇格の基準を示されては困る、こういう意味なのであります。
  81. 辻原弘市

    辻原委員 時間がありませんので次の点を簡単に聞きますが、その次の第九条の第二項に、いわゆる市町村教育委員会に対して都道府県が所要の一般的指示をすることができる、こう書かれてありますが、これは都道府県教育委員会地方教育委員会制度建前から見て、全く教育委員会制度というものを無視しているものであると私は思う。少くとも地方教育委員会都道府県教育委員会というものは完全な独立機関である。もちろんこの間に委任事項その他においての関係はありまするけれども、しかし制度そのものとしては完全な独立機関である。それを一般的指示ができるなどということは、これはいわゆる地方教育委員会都道府県教育委員会の管理下に置かれるという形になって、そこから類推されるものは、やはり何といっても教育委員会制度の大きな変革を来たしておるものと断定せざるを得ませんけれども、これについて文部大臣自治庁長官はどうお考えになられるか。
  82. 松村謙三

    松村国務大臣 局長に答えさせます。
  83. 緒方信一

    ○緒方政府委員 第九条第二項は、市町村立学校職員給与負担法並びに教育公務員特例法に定めます条例の実施について、都道府県の教育委員会市町村教育委員会に一般的指示を与える、それは当該都道府県の財政の再建のために必要と認められる一般的指示を与える、こういう規定でございますが、ただいまの教育委員会制度によりますと、教職員の任命権は市町村教育委員会にある。しかしながら財政の負担は都道府県の教育委員会がやっておる。ところがその財政の負担をいたしまする都道府県が赤字財政再建団体になりました場合に、団体をあげて財政再建の努力をするわけでございますが、その際に市町村教育委員会が教職員の任命権を持っておるがゆえに、その財政再建のためにこれを阻害するような任命を事実上いたすということになりますと、これは非常に困ったことになりますので、その団体が再建整備をいたします期間に限りまして、その期間にはこの原則を逆にいたしまして、都道府県の教育委員会に指導的な立場を与える、そうして一般的な指示を都道府県の教育委員会がいたす。しかし具体的の個々の任命権等に干渉すべきではない、こういう規定でございます。  そこで教育委員会制度といたしまして、現在におきましても普段の場合におきましては、都道府県の教育委員会が指導、助言等をいたしまして、適宜調節をしてやっている事柄でございますけれども、これを財政再建団体に限りまして、その期間に限ってそれを法文化した、かような事柄であると存ずる次第でございます。財政再建整備のためにこういう規定ができたのでございまして、一時的な例外の規定であると思います。
  84. 佐藤觀次郎

    ○佐藤委員長 辻原君に申し上げますが、時間もだいぶ経過しておりますので結論を願います。
  85. 辻原弘市

    辻原委員 すぐ終ります。法文の解釈を承わったのではございませんので、こういう仕組みをそれぞれの主管大臣はどうお考えになるかということを私はお伺いしたのであります。と申しますのは、財政再建という何らかの名目がつけば、その制度の根本をゆすぶっていいものであるかどうか。これは、行政と申しますよりも、それぞれ政治家でいらっしゃる所管大臣の方々の一つ制度に対するものの考え方であります。こういう理屈がつくからこれがよい、公共の福祉のためだから、いかようにも基本的人権をそこなってもよいというような考え方、これは程度の問題であります。そういう財政再建ということに名をかりて、委員会そのものの根本的な性格を変えるようなことを一時的にでもすることは、これはその制度の根本に対して影響を与える、こう私は申し上げておるのであります。しかしこれは非常に時間が経過いたしますから、あらためて別の機会にお伺いをいたしたいと思います。  非常に時間を食いましたので、私は結論を申し上げておきたいのでありますが、今財政的な問題あるいは監督権の問題、このわずか二点の問題をお尋ねいたしましただけでも、私どもや国民一般が教育行政というものに対して非常に心配をいたしております点が相当浮き彫りせられてきたと思うのであります。何ら制約を加えないものならば必要じゃないじゃないかというような議論も出るくらいであって、いわゆる制約ができるから、これは意味があるのであります。従っていかにその点の御答弁をいただきましたところで、私たちの疑念はますます深まるばかりであります。そういうような問題をはらんでおる今回のこの再建整備法案でありますがゆえに、私どもとしては、なおこの問題については、その他全般の説明をお聞きいたしますならば、一日あるいは二日やりましても尽くるところがございません。それほどにこの問題は重要問題であることを十分に御認識なさいまして、それぞれ所管大臣の中でなお御努力いただく点については、地方教育行政に支障のないように、特段の御配慮を私はお願い申し上げまして、私の質問は終りたいと思います。
  86. 門司亮

    ○門司委員 関連して。これは後ほど当委員会で法制局長を呼んで話を聞くことに大体なっておりますが、この機会に、文部大臣に限って、今辻原君の質問いたしましたことの解決が十分ついておりませんので、一言だけ御質問を申し上げておきます。  そのことは、条文の解釈ではございませんで、非常に重要な憲法の本旨に触れておる問題であります。すなわち、憲法で保障しております今日の日本の自治行政の中で、憲法九十三条に書いてありますいわゆる住民の直接選挙のことであります。これが憲法九十二条で保障する日本の民主行政の根幹になっておると考えるのであります。従って教育委員会は、市町村教育委員会も住民の公選であります。住民の公選である委員会に都道府県の委員会が、ここの字句だけでは、一般的な指示と書いてありますが、指揮、命令するがごときことは、これは非常に大きな基本の問題に触れておると思います。これは地方財政再建整備のために必要だからということで簡単に片づけられる問題ではないと思います。これは憲法上当然対等の立場にあるのであります。それを一方の団体が一方の団体の上位にあるかのごとき字句を使っておることについて、文部大臣はどういうふうにお考えになりますか。憲法の精神に触れるか触れないか、その点について文部大臣としての御意見をはっきり承わっておきたいと思います。
  87. 松村謙三

    松村国務大臣 指揮、命令と申しますことはいかがかと存じますが、公選せられた団体に対して一切の指揮、命令ができないというようなわけではなかろう。たとえば地方教育委員会につきましても、文部省としてある程度の監督——いや勧告、指示をいたし得るのでございまして、そういう範囲内においてやりますことは、これは一向憲法違反とは申されないと考えております。今この条文に書いてありますことも、やはり同様の程度のことと私は心得ておる次第でございます。
  88. 門司亮

    ○門司委員 今多少言葉の訂正もございましたが、問題になりますのはこの委員会委員会との間でありまして、運営その他について、一つ教育行政に関する大臣のお考えが指示されるとか、あるいはお話が願えるということは、行政運営上の問題であって、さしつかえないと思う。しかし基本の問題として委員会自体は公選された一つの別個の人格を持っております。県の委員会も公選による一つの人格を持っておる。従って同列であるべきものに対して一方の委員会がこれに指示を与えるという、これはいわゆる指示権であります。これは協議でもなければ相談でもないので、指示権であります。一方的の意見を通知するのであります。これは行政運営とは違うのであります。基本の問題に触れてくると思うが、その点に対して大臣はどういうふうにお考えになっておるかということを私は聞いておる。もう一ぺんはっきり御答弁を願っておきたい。
  89. 松村謙三

    松村国務大臣 大体先刻申し上げました通りに解釈いたしておりますが、これは責任者であります自治庁の意見を申し上げることにいたします。
  90. 川島正次郎

    川島国務大臣 義務教育費につきましては、予算は都道府県で持っております。教員の任免、昇給等は市町村であります。従いまして、市町村において都道府県の持っておる予算を超過して勝手に昇給等をするような場合もなくはないのでありまして、そういう場合に予算執行の任に当る府県教育委員会市町村教育委員会に対して一方的の指示をするということは、これは財政を健全化する意味におきまして、やむを得ざる処置だと考えております。
  91. 門司亮

    ○門司委員 私もこれ以上議論はいたしませんが、もう一言だけ聞いておきます。財政の立て直しをするためのやむを得ざる処置だということと、憲法をどう解釈するかということとは違うのであります。今日のこういう姿が続いて参りますならば、府県と市町村との間にも問題がいろいろあります。従って府県の議会市町村議会に対して指示を与えるというようなことはとうてい考えられない。今日の行政委員会制度というものは、この議会制度とほとんどその性格は同じであります。憲法にもそう書いておる。その他法律で定めるものについては直接選挙を行うとはっきり書いておるのであります。要するに憲法の規定に基いた一つ教育委員会制度であります。市町村会あるいは都道府県議会もやはり憲法の条項に基いた公選であります。従って憲法は明らかにその独立した執行機関としての行政委員会を認めておるのである。認められた行政委員会が他の行政委員会の指示を受けなければならないということは、たとい短かい期間でありましょうとも、これが臨時的でありましょうとも、根本のものの考え方としては、私は憲法に触れるものであると考える。しかし憲法に触れるものであるが、やむを得ぬ処置としてこういう処置をとっているのだというお考えなら、また別の考え方ができます。しかし憲法に触れていないのだという考え方にはわれわれは承服するわけには参りません。従って憲法に触れるなら触れる、しかし財政再建をするにはどうしてもこういうことが必要だというお考えであるならば、これはおのずから見解の相違でありますから……。その点はどうなんです。あなた方はこれは絶対に憲法に触れていないのだ、憲法で保障された公選の行政委員会が他の行政委員会の指示を受けて動くのだというようなお考えをお持ちになっておるかどうか、この基本の問題についてもう一言答弁願っておきたいいと思う。
  92. 川島正次郎

    川島国務大臣 予算都道府県教育委員会が持っておるのでありまして、教員の任免、昇給等は市町村教育委員会が持っております。予算執行に支障を起すような任免をしたり、昇給をしたりする場合は、当然何らかの措置をしなければ、再建整備はできないのであります。そうした局限される範囲内におきまして都道府県教育委員会市町村教育委員会に指示をしようというのでありますから、これは決して憲法に触れるものでない、またこういう処置をしなければ、とうてい地方財政の再建はできません。決してこれは憲法に触れるものではありません。
  93. 佐藤觀次郎

    ○佐藤委員長 次に野原覺君。
  94. 野原覺

    ○野原委員 まず自治庁長官に御質問いたしたいと思います。その質問の第一点といたしましては、御承知のように私ども地方財政を再建するという場合には、私はその内容は二つ考えられると思うのであります。   〔佐藤文教委員長退席門司地方行政委員長代理着席〕 その一つは、今日ただいま地方公共団体が非常な赤字を背負っておるから、この赤字を何とかして埋め合わせなければならないということが一つ、もう一つは申すまでもなく、これから先地方公共団体が絶対に赤字を出さないような政治対策を講じてやらなければならぬ。この二つが地方財政再建の大きな骨格になるのではなかろうかと思うのでございますが、今回政府から出されておりまする財政再建促進特別措置法、こういうような法律でこの二つの内容を果して充足することができるものであるとお考えになっていらっしゃるのかどうか。まずその点について長官の見解を承わっておきたいと思います。
  95. 川島正次郎

    川島国務大臣 野原さんのお話の通り地方財政の立て直しはまず現在の蓄積している赤字をどう処理するかということと、もう一つは今後赤字が出ないようにするにはどうしたらいいか、この二点にあることは申すまでもございません。この法案はとにかく今まで蓄積している赤字を、これを長期に切りかえまして、現在各赤字地方団体が資金難に悩んでおる、それを救済しよう、こういうことであります。今後赤字が出ないようにするということについてはいろいな方策を講じていく必要もあります。これにつきましては機構の改革も必要でありましょうし、また財源的措置も必要であります。この点につきましては地方行政委員会においていろいろな御議論もあり、御質問もありまして、詳細に御答弁申し上げておるところであります。御意見の通りこれは二つの方途が必要であります。
  96. 野原覺

    ○野原委員 そこで重ねてお伺いいたします。これは法文の第一条が明らかに示しておりまするように、臨時的な特別措置法となっておるわけであります。そこで私はいやしくも自治庁地方財政の再建をするためにこのような臨時的な特別措置法を出す限りにおいては、実はもっと突っ込んだ安定的な計画的な赤字をなくするところのものに対してのお考えがあるに違いない。一体今日の地方財政赤字はどのようにすれば、先ほど申し上げました二つの内容を完全に充足するとお考えになっておるのか。その計画的な安定的な考え方をまずお聞きいたしたいのでございます。
  97. 川島正次郎

    川島国務大臣 今後赤字が出ないようにするにはどうしたらいいかというお尋ねでありますが、これには機構の改革を要する点もあります。また財源的措置を必要とする点もあります。これらの問題につきましては、三十一年度の予算編成の際に十分これを盛り込もう、要約しますれば地方財政赤字解消、財政の健全化は三十年度、三十一年度、両年度を通じてやろう、こういう政府の方針であります。
  98. 野原覺

    ○野原委員 そういたしますと、この臨時的な特別措置法では地方財政の再建はきわめておぼつかない。これでは全くお話にならぬのだ、もっと突っ込んだ安定的な計画的なものを考えなければだめだ、こういうお考えでこの法律案はお出しになっていらっしゃいますか、お尋ねします。
  99. 川島正次郎

    川島国務大臣 地方財政考える場合に二つに区わけしなければならぬのでありまして、黒字の団体あるいは赤字であってもきわめて赤字が少額の団体と、赤字が多くて財政運用に悩んでいる団体と、この二つに区別しておるわけであります。赤字をたくさん背負っておりまして、しかもその赤字というものは一時資金を借り入れてこれをころがし、ころがししてはつじつまを合わしていくのであります。それがために赤字団体というものは資金難に悩んで、俸給の遅配欠配等になりつつあるのであります。一応この赤字の深刻な団体だけはこれで救済しよう、こういう考え方であります。
  100. 野原覺

    ○野原委員 それでは観点を変えてお尋ねいたしますが、大臣も御承知のように、地方財政赤字というものは年々膨脹しておるようであります。昭和二十六年度には百一億円、二十七年度には三百億円、それが二十八年度になりますと四百六十二億円、二十九年度は一体どれだけになるのか、これは自治庁すらもはっきりしたものはまだつかんでいないのじゃないか。しかしながら言えることは、おそらく六百億円に近い赤字が出るのではないか。このように考えてみますと、実はどういうわけで一体このようにして毎年毎年地方財政赤字というものが非常な比率で膨張してくるのか、私はけげんにたえぬのであります。長官はこれをどう分析していらっしゃるか。どういうわけで一体毎年毎年こうして赤字がふえていくかということについての長官の御見解を承わりたいのであります。
  101. 川島正次郎

    川島国務大臣 赤字が出ます原因は多種多様でありますが、これを一言で申し上げると、各地方団体が自分の財政能力以上の仕事をしておるということになるのでありまして、これにつきましては国の責任もあります。また地方の責任もあります。従いまして今後赤字を解消するにつきましては国と地方協力いたしまして、両者の犠牲において解決しなければならぬ、こういうふうに考えておるわけでございます。
  102. 野原覺

    ○野原委員 その国の責任でございますが、どういう点が一体国の責任でございますか。私は国の責任のためにこのような大きな赤字の膨張を来たしておるとすれば、私ども国の政治の参与しておる者としては非常に考えなくちゃならぬです。教育委員会制度がどうこういろいろ御議論がございましたけれども考えなくちゃならぬ。一体国の責任とはどういう点であるのか、その点についての大臣の御見解をお尋ねします。
  103. 川島正次郎

    川島国務大臣 国の責任ですと、機構の面からの責任もあります。もう一つ財政上の措置が適切でなかったという点もあるのであります。最近特に取り上げられて議論になっておりますところの補助金制度にいたしましても、適正な補助金がいかないのであります。法律では補助金負担割合はきまっておりますけれども、その通りいかないとか、あるいは単価の見積りが低いとか、ことに災害復旧の場合におきましては金が適切にいかないので、いわゆる仕越し工事というものが多くなりまして、それが赤字原因になっておるという点もあるのでありまして、そういう点は今後できるだけすみやかに改めたい、こういうふうに考えておるわけであります。
  104. 野原覺

    ○野原委員 実は私ども手前みそのようなことを言うようでありますが、ここ数年来の地方公共団体は非常な災害に悩んできたことは御承知の通りであります。その際災害復旧予算というものについてもっと政府は考えてやらなければならぬのじゃないかということを主張して参りましたが、私ども社会党の主張は少数でいつも敗れておるのでございます。災害経費の増大ということは、これはやはり膨張した赤字の大きな原因ではなかろうか。最近の災害というものはほんとうにもう村を流し町を流すような災害なんです。町村は何とかこれを復旧しなければ生きていけないというので、国からの補助金その他の措置がなくてもこれをまかなっていこう、こういうような無理が重なってきたことは、これは事実でございましょう。しかしここで根本的に大臣考えてもらわなければ困ることがあるのです。それは財源の問題なんです。一体今日の都道府県の税収というものは、御承知のように卒業税、遊興飲食税、入場税というような変動の多い、非常に税収確保困難なものでできておる。これらの問題で、一体大臣は今後すみやかにこの財源の点等については、鳩山内閣として考慮する余地があると認めているかどうか、その成案を持っておるかどうか、まずお尋ねいたします。
  105. 川島正次郎

    川島国務大臣 地方財政健全化のためには、地方にしっかりした財源を与えるということの必要であることは申すまでもないのでありす。先般大蔵大臣も発表したのでありますが、国税、地方税全体にわたって再検討して地方財政の確立化をはかろう、こういう考えを持っておるのであります。近く税制審議会等も発足いたしますので、そういうところでいろいろ御相談を願った上に、成案ができればなるべく近い国会に提案する運びになるのではないか、かように考えております。
  106. 野原覺

    ○野原委員 大臣赤字原因地方にも責任がある、国にも責任がある、このように申されたのでありますが、もう一度大臣にお尋ねをいたしますが、その責任の比率というものをどういうようにお考えですか。この赤字の責任は地方が大きいのだ、国はちょっと考えてやったらよいくらいに、軽くお考えになっていらっしゃるのかどうか、これは今後の地方行政に対する私ども考え方をきめる上に重要でございますので、お聞かせをいただきたいのであります。
  107. 川島正次郎

    川島国務大臣 地方財政をいろいろ御論議なさるとき、一番むずかしい点は町村合併はしたといえども、なお六年前後の都道府県市町村があるのであります。それがみな状態が違うのでありまして、一体国の責任がどういうパーセンテージか、地方の責任がどういうパーセテンージかということは、ここで断定的に申し上げられないわけであります。ただ赤字の最も大きな府県等を考えまして、人口、面積、その他同規模の団体等を照らし合せてみて、一方は比較的堅実な財政をやっておるにもかかわらず、一方では赤字に悩んでおるということもあるのでありまして、こういう点から見ますと、赤字に深刻に悩んでおる府県は財政運営が拙劣だということは言い得るのではないか、こう考えるわけでありますけれども、国の責任と地方の責任のパーセンテージを言えといっても、これはここでは簡単には申し上げられないわけです。
  108. 野原覺

    ○野原委員 私は正確なパーセンテージを聞いてはおりません。大体国に責任があるという御自覚、御反省をお持ちにならないかとお尋ねしておるのです。いかがでしょうか。
  109. 川島正次郎

    川島国務大臣 先ほども申し上げましたが、赤字一つ原因は公共事業等に対する補助金が適正化されていないということと、もう一つば災害などに対する補助金の行き方がおくれておる、そのために仕越し工事がありまして、約百億近くのものを全国の府県が背負っております。そういう点が確かに一つ原因でありますからして、これはすみやかに解消すべきものだと思いますので、何とかその方向に近づけるようにいろいろ努力もし、施策もしておるわけであります。
  110. 野原覺

    ○野原委員 自治庁地方財政計画というものをお立てになっていらっしゃるのでありますが、その自治庁のお立てになりました地方財政計画というものは、これは一体あなた方が机の上のプランでお立てになっておるのではないかという懸念を私は持つのであります。たとえば昭和二十八年度のこの決算を私どもが見てみましても、人件費というものは、地方財政計画上の人件費の算定額では三千二百一億円になっております。ところが今度実際に地方公共団体人件費支出しておりますのを見ると上まわっておる、四百四十二億円も上わまっておる、このことに対してこれは地方が柄にもないところの仕事をしておるんだ、こういう考え方自治庁はお持ちになるかもしれませんけれども、しかし地方公共団体に言わせれば、自治庁はちっとも地方の実態を考えてくれないんだ、こういう主張をいたしておるわけであります。これらの点についてはどのようにお考えでございますか。
  111. 川島正次郎

    川島国務大臣 この問題は、お説の通り実際の給与支出額と財政計画に盛られた計算とは食い違っております。これは昭和二十六年に当時の内閣が地方平衡交付金を算定いたしましたときに、地方公務員給与国家公務員並みに計算をいたしました。そのときに差額が出たのでありまして、そのまま今日までこれを用いておるわけであります。そこで昨年吉田内閣時代にこれを是正するために一応国家公務員並びに地方公務員全般にわたって公務員の給与実態調査をした、その結果を見て何らかの処置をしようじゃないかということになったのでありまして、その調査がこの秋にはできるわけでありますが、お説の通り給与におきましては財政計画と実際の支出額とは食い違っております。
  112. 野原覺

    ○野原委員 この問題については、実は私に言わしめると、国に大きな責任があると見ておるのであります。地方公共団体が何を好んで借金をするでしょうか、赤字になるでしょうか。四苦八苦して、どうしても公共団体は生きていかなければならぬからやむを得ない赤字を出して今日苦しんでおる。そうなりますと私はどうも自治行政を考えていく場合に、ここで早急に自治庁長官に責任を持ってお考えいただかなければならぬことは、第一は国と地方の財源の配分というものが国に片寄っておる。これはお認めいただけると思う。第二にはただいま申し上げました地方財政計画というものが実は机上プランであって、地方の実態の上に立っていない。第三は先ほど申し上げました災害経費の問題がございます。第四番目には、まあ公債の問題もあるでしょう、これは調べてみると二〇%くらい出されておるようです。その他地方公共団体が今日行なっておる事務を見ましても、国が直接なさねばならぬところの事務を地方公共団体におっかぶせる。私は具体的には申し上げませんが、これらの点について私どもは根本的に考えてやらなければ、このような臨時的な特別措置法で地方財政再建は促進できないという見解を持っておるのであります。これはぜひ一つ考えいただきたい。  そこで次の問題に移りたいと思いますが、先ほど自治庁長官は同僚辻原君の質問に対してこういう答弁を最初にいたしておるのであります。私は教育委員会制度の根本を改変する意思はございません、こう言われた。これは私もその通りだろうと思うのです。いやしくも自治庁長官ともあろうものが国の重要な、今日の大きな制度になっておりまする教育委員会の機構制度というものを、文部大臣を抜きにしてあなたが僭越にも考えられるというわけはないのですから、私はこのお言葉は率直に承わりたいと思うので、ございますが、しかし辻原君の質疑に対するあなたの御答弁全体を総括して私ども考えてみます場合に、今日のこの臨時的な財政再建促進の特別措置法というものは、教育委員会制鹿の根本をゆるがしているとお考えにならないかどうか。私はこれは謙虚に率直に御反省が願いたい。なるほど尋ねられていろいろ考えてみると、たとえば予算作成権にしても、あるいは総合的な長期計画の樹立に当っても、あるいは人事の問題にしても、その他いろんな問題で教育委員会制度の根本をこれは相当ゆるがしておるんじゃなかろうか、こういう御反省が私はおありじゃなかろうかと思うのでございますが、いかがでございますか。
  113. 川島正次郎

    川島国務大臣 私どもは現在の教育委員会を尊重しておるつもりであります。それでこそ文部大臣と相談いたしまして、世間では多少の議論があります原案送付権を存置しておるのであります。条文のどこを見まして教育委員会を圧迫するような規定一つもないのであります。ただ私どもの念願するところは、長と教育委員会とが財政運営につきましては円満な調整をしてもらいたい、そして教育委員会教育を尊重する範囲内におきまして財政の立て直しに協力をしてもらいたい、こういう気持でありまして、教育委員会を軽視するような考えでは絶対ございません。
  114. 野原覺

    ○野原委員 あなたの主観的なお気持、それからそういう御心情というものはなるほどそうかもしれぬのでございますが、私が尋ねておりますのは、この臨時的な再建促進という特別措置法について聞いているのですよ。だからあなたのお気持がどうありましょうとも、あなたがお作りなって国会に出しましたこの法律によれば、教育委員会制度の根本をゆるがしているのではないかということを聞いているのです、いかがです。あなたの御答弁いかんではもう下ります。あなたがそれをそうじゃない、こう突っぱるならば私は一からまたいかなければなりません 一つ謙虚な御反省がいただきたいのです。
  115. 川島正次郎

    川島国務大臣 私は自分の気持でもまた条文の上でも教育委員会を軽視するような点は少しもない、ほんとうにそう思っております。教育委員会を尊重しながらやっていこうという気持でこの法案を作っているわけでありまして、教育委員会を軽視するというお考えは少し思い過ぎではないかと思うのです。
  116. 野原覺

    ○野原委員 思い過ぎと逆に指摘されますと、私が思い過ぎかあなたが思い過ぎであるか、ここで黒白を明らかにしたいと思います。失礼ですが長官条文を手に持ってください。  第二条の第一項から参りたいと思います。第二条第一項の後段を見ますと、「この法律によって財政の再建を行おうとするものは、当該昭和二十九年度の赤字団体議会の議決を経て、その旨を政令で定める日までに自治庁長官に申し出て、自治庁長官が指定する日現在により、財政の再建に関する計画を定めなければならない。」としているのですが、この財政の再建に関する計画を定めるものは、教育委員会ではなくて、これは赤字団体の首長であると私は思うのです。これは間違いなかろうと思う。そうなりますと、この首長が財政再建計画を定める場合には、教育委員会に相談してくれればよいのです。ところが相談しなければならぬという法律的な保障がございませんね。
  117. 川島正次郎

    川島国務大臣 再建計画策定原案送付権とは一応区別して考える必要があると思うのでありますが、再建計画作成は長と議会とでやるのであります。今後再建計画を円満に施行する上におきましても、教育委員会を無視しては当然できないのでありますからして、長が原案を作って議会に出すときには、当然教育委員会と協議して出すべきものだ、私はそういうふうに深く信じておるわけであります。それでなければ今後予算の円満な運営はできないわけであります。
  118. 野原覺

    ○野原委員 再建計画予算送付権が違うということは、これは言うまでもないのです。そういうことではなくて、あなたがただいま申されたように、再建計画を立てるに当っては、首長が教育委員会の意思を無視しては非常な混乱が起るであろう。だから協議してくれるであろうとあなたは御期待なさるかもしれぬけれども、首長が教育委員会の意思を無視した場合は、一体教育委員会は何をたてにとって首長に抗議を申し込むことができますか。法的の保障があるかということを聞いているのです。あくまでこれは法律問題なんです。あなたの個人的な主観的なことでは解決できない。首長が教育委員会と仲よくいっておるところでは道義的に聞くでしょうが、ことは法律的な問題です。法的に教育委員会の意思を尊重しなければならぬという保障が、第二条第一項のどこにあるかをお尋ねしておるのであります。いかがですか。
  119. 川島正次郎

    川島国務大臣 原案送付権は認めておるのでありますから、単年度の予算を作るときには当然教貧委員会の意思は反映するわけであります。それを考えましても、長期にわたる再建計画を作る場合には、当然教育委員会考え方も取り入れなければ、長年にわたる予算の円満な執行はできないのでありますから、私は長にしても議会にしても、教育委員会と円満に話し合って再建計画を作るべきだ、こういうふうに考えておるわけであります。
  120. 野原覺

    ○野原委員 繰り返します。首長が無視した場合はどうなりますか。
  121. 川島正次郎

    川島国務大臣 単年度の予算編成のときに教育委員会原案送付権を実行するわけになるのであります。しかしそういう事態が起らないようにすることが地方財政を再建する道でありますから、長と議会教育委員会がお互いに協力しなければ、地方財政再建はできません。お互いにけんかをしておるんでは結局財政は破滅するのでありますから、おそらく三者とも虚心たんかいになって協議いたしまして、再建計画を作るべきものだ、またこれが当然だと私は考えておるのであります。
  122. 野原覺

    ○野原委員 無視された場合にはどうにもしようがないということは、あなたは仰せになりませんけれども、あなたの今の答弁から受ける裏の意味はそこにあるのです。これは無視されても、どうにもならぬと思う。再建計画に当って長官が言われることは、予算送付権があるから、その年度の予算送付権というもので、ある程度教育委員会の意思がそこにあるということが反映できるのではないかと申されますけれども、いやしくも赤字団体として指定された場合は、あなたが認定をしてこれを許す。しかもそれは再建計画に基いて許すわけなんです。そしてその年度の予算というものは再建計画の中の年度予算なんです。再建計画にあずかることのできない教育委員会予算要求をやって、予算送付をやって何の意味がありますか。予算送付権を認めておるのは、再建計画の全体のワクというものがない場合に、初めて予算送付権が生きてくるのです。予算送付権が認められても、全体の七カ年の長期計画を立てるに当って、教育委員会の意思が法的には全然認められないということになれば、どこに一体教育委員会の行政的な独立、財政的な独立、そういうものがございますか。明らかにこれは教育委員会法第一条の干犯ではないかと考えますが、いかがですか。
  123. 川島正次郎

    川島国務大臣 再建計画はきわめて大まかなものを作りまして、全然動きのとれないような細目にわたったものを作るのではございません。従いまして、その範囲内において教育委員会の意思を反映し得る道は、幾らもあるのでございます。
  124. 野原覺

    ○野原委員 大まかなものを作りますから問題なんですよ。七カ年という長期計画を作る。そこでは意思の反映はされないのでしょう。それを明確に一つ御答弁いただきたいのです。長期の総合的な計画を樹立するに当っては、教育委員会というものは意思を無視されてもいかんともできないでございましょう。その点についてはあなたはお触れにならない。これは法的にはどうなりますか。
  125. 川島正次郎

    川島国務大臣 再建計画を作るのは長と議会の責任でありますけれども、繰り返して申し上げるように、教育費というものは地方財政においては重大なウェートを持っておるのでありますから、当然教育委員会に相談をしてしるべきものでありまして、その相談すらできないようであっては、とうてい地方再建はできないのでありますから、私はそれをかたく信じておる。そうして法的にそれがどうなるかというと、単年度における予算編成のときに原案送付権というものがある、こういうふうに申し上げておるわけです。
  126. 野原覺

    ○野原委員 計画を樹立するに当って、首長と教育委員会が相談する必要があるという考え方を私はしておるのです。これはそうした方が私は教育委員会法の精神、教育民主化という点から、教育委員会という一つ制度を設けた憲法並びに教育基本法あるいは教育委員会法等の精神が生かされると思うのですが、この点についてはどのようにお考えですか。
  127. 川島正次郎

    川島国務大臣 予算を議決するのは言うまでもなく機会であります。教育委員会の原案執行権というのは、むしろ長と意思が違った場合には、長の意思と教育委員会の意思と両方議会に出して、議会の決定を待とう、こういうことであるのであります。長期にわたる再建計画を立てます場合には、長と議会と相談して作るというのは当然であります。そのときに長なり議会なりが教育委員会の意思をくみ入れるということは当然あり得ることであり、またそうすることが必要であります。私はこの程度の法律で差しつかえない、十分教育委員会の意思が反映する機会もあるし、また義務教育というものはこれによって決してゆがめられない、かように考えております。
  128. 野原覺

    ○野原委員 長期の計画を立てる上に首長と教育委員会が相談しなければならぬ、その必要を長官はお認めになっていらっしゃる。そうなれば、その必要というものを法文のどこかにこれをうたわなければならぬじゃないかというんです。ところが必要だといっても、首長が無視した場合に、教育委員会は救済できないのです。法文の上で一つ御答弁下さい。一体どこで救済できますか。必要だと言われても、首長が無視した場合に教育委員会はどこでも戦えない。首長から一方的に押えつけられてしまう。そういうようなことは好ましくないから、総合的なこれらの計画を立てるに当っては、教育委員会の意思というものをもっと認めてやるような条文にされてはどうかということを私はお尋ねしておりますが、あなたの御答弁は私の腰間に対してうまく答えてはいるんですが、そうなんだとすれば、条文のどこかに出てこなければならぬが、いかがですか。
  129. 川島正次郎

    川島国務大臣 教育委員会予算原案送付権もありますし、また執行権も持っておりますけれども予算を作る最終の責任は議会の決議であります。そこで議会と長との協議の上に再建計画を作る、こういうにしてあるのであります。その際に当然これは教育委員会の意思というものを反映さすべきものでありまして、法文にうたってありませんでも、これは一向差しつかえない。責任は議会と長であるのでありますから、この条文で差しつかえないと考えます。
  130. 野原覺

    ○野原委員 予算はその通りでございますが、長期計画に関して教育委員会の意思が認められるようにしてやらなければ、教育委員会法の五十六条ないし、五十八条という予算送付権の問題、あるいは二本建予算の問題は、意味がなくなると思う。いかがですか。意味なくなりませんか。長期計画の中ではあなたは教育委員会の意思を反映しなくてもいいとおっしゃるんでしょう。それは予算だけでいいんだと言うけれども予算だけでいかれるというと、総合的な長期計画というもののワクが、教育委員会の意思は全然取り入れられないで、首長と議会とあなたと、この三つできまるんですよ。ところが最終的にはこれを認可するわけだから、そこでそうでなくて、その長期計画というものにも教育委員会をあずからせてはどうか、こう思うのですが、あずからせて悪いという理由があればお聞かせいただきたい。
  131. 川島正次郎

    川島国務大臣 いろいろ御議論があるのでありますけれども長期にわたりまして再建計画を実施するためには、当然教育委員会考え方を取り入れた再建計画を作らなければならないのでありますから、あなたは、相談しないかもしれぬ、こういう考えからいろいろな御指摘でありますけれども、私は当然これは相談すべきものだ、これは言わなくてもわかっている問題だ、こう考えている。当然過ぎるほど当然なことなのでありまして、またそれを書かなくても、やらなければ実行できないのでありますから、この点差しつかえないと私は思っております。
  132. 野原覺

    ○野原委員 当然だということになれば、私と同じ意見です。そうなりますと、やはりこれは法文の上で明らかにしていただきたいのです。私はきょうは質問の過程でございますからこれ以上申し上げませんが、お尋ねしてみると、長官は私と同じ見解に立っていらっしゃる。そうなれば、やはり法律の上で、どこかの法文で、特に私は二条一項あたりでその点の保障をする必要を認めます。長官自身も、これは条文にはうたっていないけれども、気持の上ではお認めになっていらっしゃるので、まだ採決にいくまでには時間もあることですから、どうか一つ考慮を願いたいのであります。  次にお尋ねをいたしたいことは、第三条でございますが、第三条を見てみますと、地方行政の大網というものが、首長と自治庁長官だけで具体的に決定されておるようであります。このことは、私は地方自治という上から考えて、これは地方自治の根本をゆるがしているものではないか。実は財政再建促進法に対する非難の大きな声の一つは、この第三条に対するここにあるわけです。地方行政という非常に広い範囲の行政に対して、しかも七カ年という長い期間にわたる地方公共団体の行財政に対して、その地方の議決機関というものがどうも最終的には無視されている。形式的にはあずかるかわかりませんけれども、無視されることになる。この点について、大臣としてはどういうお考えを持たれて自治の強力性というものを奪われたのか、まずこの辺をお尋ねします。
  133. 川島正次郎

    川島国務大臣 再建計画議会承認を得て長が立てるのであります。議会を全然無視して立てるという意味ではないのであります。
  134. 野原覺

    ○野原委員 ところが、第二十一条を見てみますと、自治庁長官再建団体に対して予算執行の停止、再建計画変更、再建債の利子補給の停止、地方債の不許可というような、非常に大きい権限をお持ちになっていらっしゃいます。だから首長が議会に対して原案を出しましても、議会がこれを否決するということになると、首長は解散権とかいろいろなものを持っている。そういうようなことで、結局自治庁考えているところの方針というものが最終的には押しつけられる。地方議会というものの意思は、その意味においてはこれは十分に認められていないということは、あなたもお認めになろうかと思う。そこをお尋ねしているわけです。
  135. 川島正次郎

    川島国務大臣 再建計画を立てまして、予算執行の際にきわめて不適当な財政運営をいたしまして、再建計画がとうてい実行できないという場合に限って、予算の一部の執行停止をしようという規定であります。広範的に自治庁長官再建計画に対する是正をしたり、予算執行停止ということは一向考えておりませんし、そういう意味条文でもないのであります。
  136. 野原覺

    ○野原委員 第三条を読んでみますと、赤字団体議会の議決を経て、自治庁長官承認を得なければならぬと書いているところから、やはり議会というものを、これだけでは尊重されております。ところが、自治庁長官が気に入らない、何だ、この決議はおかしいじゃないかということであれば、あなたの方が当該財政再建計画に必要な条件をおつけになります。そうしてまたあなたの方が変更をお加えになる。こうなりますと、地方住民の意思を反映する地方議会というものは、あなたのお気に入った原案ができるまで審議するだけであって、最終的にはあなたが全国の赤字団体における地方住民の意思を総括して代理されるということになれば、赤字団体地方議会というものは、七カ年の間これはあってなきがごとき状態であってもかまわぬ、こういうお考えでございますか。
  137. 川島正次郎

    川島国務大臣 自治庁長官が独善的な意味再建計画変更を求めるということはあり得ないのであります。再建計画に盛られました歳入なり歳出なりが、とうてい実行不可能であると認めた場合に限りまして、その点の是正を求めるわけであります。ごくまれな場合に起るケースでありまして、いたずらに再建計画修正、是正を求めることは、これはいたしておりませんし、また法文の精神もそうではございません。
  138. 野原覺

    ○野原委員 あなたのお考えはそうかもわかりませんが、しかし現実の問題として、首長が再建計画の原案を議会に出して、議会がその首長の原案を承認しない、こういう事態がくるということ、これはやはり問題として残ります。議会の意思というものは認められぬことになる。それから第三条の法文をすなおに読んでも、条件をつけたり変更を加えた上であなたが承認するわけでございますから、実は財政再建計画の最終的な意思決定というものは、形式的にはあなたがなさることになる。あなたのお気に召したものがくれば、あなたは条件はつけない、それから変更もしない。しかしあなたの気に召さない赤字団体の計画に対しては、あなたの意思を加えなければお認めにならぬのですから、やはりそこが私は問題だと思う。これは実は大きな問題ではなかろうかと思う。たとえば憲法第九十二条は地方自治に対して規定をいたしておりますが、こういう憲法九十二条の精神から見ても、この財政再建措置法というものは憲法の精神をじゅうりんしているのではないかとすら、ここの点は考えられるのでございます。あなたはたってそうではないとおっしゃるけれども、私はそう見るのですが、その辺はどうお考えですか。これは大臣からもう一度お聞かせいただきたい。
  139. 川島正次郎

    川島国務大臣 地方再建団体が立てました再建計画というものは、歳出の面におきましても、たとえば消費的経費が過少見積りをされておって、とうてい実行ができないと考えられたり、また歳入が過大に見積られまして実行できないというようなことを判定した場合に、ことに歳入の面におきましては国の交付金その他もあるのでありまして、私の方で判定して、実行不可能と思った場合に限って、条件をつけたり、訂正したりするのであります。一般的、総合的にこまかい点まで立ち入って条件をつけたり、また修正したりすることは、一向考えておりませんし、また法文もそういうことを要求はしておらぬのであります。
  140. 野原覺

    ○野原委員 その点は非常に問題があります。時間もありませんから、次に、先ほど辻原委員が質問いたしましたときに、北山委員が重ねて関連質問をいたしました件で、なお明確を欠いておったと私は思いますから、お尋ねいたしますが、それは、第三条の二項でございます。この問題は、文部大臣にも関係がありますから、文部大臣もよくお聞きいただきたいのでありますが、義務教育費の国庫負担の制限の場合、これは長官も御承知のように、義務教育国庫負担は、法律によって実支出額の二分の一を国が負担することになっております。都道府県、市町村の負担する実際の額の二分の一は国が負担しなければならぬ。教育機会均等を確保する上から、かような法律が数年前、この国会において成立を見た。これは画期的な法律でございますが、この実支出額の二分の一負担ということが、赤字団体の場合には、総合的な長期計画の中で制限を受けると私は思う。これは絶対に制限を受けないという御見解があれば、まず長官の御見解をお聞きいたしたいのであります。
  141. 後藤博

    後藤政府委員 義務教育国庫負担法は、実支出額の半額を負担する、こういうことになっております。いかように再建計画をきめましても、やはり実支出額の半額は支給するという建前は、絶対にくずれないと考えております。
  142. 野原覺

    ○野原委員 そうなりますと、その再建計画の範囲内でというところが、やはり問題があるのじゃないかと私は思う。再建計画を立てる場合に、その赤字団体のその年度の予算制約を受けると思うのです。制約を受ける場合に、教育委員会に関しては、教育委員会が必要とする実際の支出額の二分の一を完全に負担していただけますね。非常にけっこうな御答弁でございましたが、ただいまの答弁は、実は全国の教育関係者だけではない、これは文部省としても大きな関心を持たれておることと思うので、重ねて尋ねますが、実際の支出額の二分の一は、自治庁としては再建計画がどうあろうとも、確実に保障してやれますね。
  143. 後藤博

    後藤政府委員 実支出額の半額は、保障できると思います。おっしゃいますのは、おそらく実支出額の希望額の半額が負担できないのじゃないかということじゃないかと思います。
  144. 野原覺

    ○野原委員 そこで、問題は残るのであります。実は教育委員会は、再建計画策定にあずかることができない。そうなれば、予算の場合には送付権があって、おのれの意思を希望する機会はあるでございましょうけれども、七カ年の長期の計画策定に当って、意思を発表することができぬのでありますから、実際の支出額の二分の一は、実はこれだけなんだという、教育委員会独自の立場に立った意思の表示ができないのじゃないか。ただいま後藤財政部長が非常に正直にお答えになりましたから、これは問題が残るというわけでございますが、希望額の意思すら表示できぬじゃないか。そうなれば、先ほど申し上げましたように、第二条一項のところで、計画の策定に当っては、教育委員会をあずからしめることが、その都道府県、市町村教育のためにも必要である。もしそれをさせないというならば、赤字団体教育委員会が完全に消滅したものであるとすら、私は極言したいのであります。この点について、重ねて長官の御見解が承わりたい。
  145. 川島正次郎

    川島国務大臣 義務教育教員の費用の半額は、国庫負担とはっきり法律に明記してあるのでありますから、それは当然国で負担すべきものでありまして、お尋ねの趣旨がどこにあるのか、私はよくわからないのであります。これは当然だと思います。
  146. 野原覺

    ○野原委員 その半額というものは、計画策定前における半額になりますよ。そうなると、あなたがお気に召した計画策定でなくてはうんと言わないのですから、なるほど現在の半額は出すでしょう。しかし最終的にはあなたがその半額すらも規制することになりはしませんか。
  147. 川島正次郎

    川島国務大臣 ただいま野原さんの御質問は、昇給等の場合は見られないじゃないか、こういう御質問でございますか。
  148. 野原覺

    ○野原委員 そうではありません。
  149. 後藤博

    後藤政府委員 義務教育の国庫負担というのは、決算の実額の半額であります。従ってどんな計画であろうとも、決算の実額の半額は絶対に保障されていますから、その通りに支出されるものと考えております。
  150. 野原覺

    ○野原委員 そこでその決算ですが、決算に教育委員会があずかることができぬじゃないですか。なるほど予算送付権というものがあって、教育委員会の意思を出すことができるかもしれぬけれども、決算の半額という場合に、教育委員会は計画の策定に当って意思の表明ができないんだから、これも首長と議会は最終的には自治庁長官に押しつけられてしまう、こういうことになるんじゃないかということを私は尋ねているわけなんです。
  151. 後藤博

    後藤政府委員 決算の資料は、私は教育委員会から出て参ると思います。その決算の資料は、地方団体の方でそれと間違った決算をするということは、私は考えられません。従って決算は、教育委員会の資料に基いてやるものでありますから、おっしゃるようなことにならぬと思います。
  152. 野原覺

    ○野原委員 私はそういうことを聞いていないのですよ。財務部長にもう一度お尋ねしますが、なるほど帳面上の決算というものは、教育委員会の資料に出てくるでしょう。私の言うのは、最終的に二分の一を負担するという場合に——教育委員会にその二分の一の予算を出す場合、その二分の一というものは、実は七カ年の総合的な長期計画の中で規制されてしまうんじゃないか。その総合計画に教育委員会の意思があずかることができないんだから、結局押しつけられた二分の一ということになって、形式的には教育委員会から出た決算の二分の一でございましょうけれども教育委員会が必要とする教育予算の二分の一にならぬじゃないか。必要とする意思すらも表明することができぬじゃないか。そういう機会をどこかで与えてもらいたい、こういうことを訴えているわけなんです。
  153. 後藤博

    後藤政府委員 最初に財政再建計画を立てました際に相談をいたしますが、その際に教育費のあるべき姿、七年間なら七年間の計画でございましたら、七年間の教育費用を大体想定することになると思います。そういうことでなくて、おそらく先ほど申しましたように、人件費は大体どのくらい、教育費の負担金はどれくらいという想定をいたします。その想定と決算とが違うことが多少あるかもしれません。しかし多少の違いは、私どもはとやかく言うつもりはございません。一応のそういう計画を作りました帳じりで、赤字の借り入れました起債の償還をでき得る限度において、多少違っておりましても、私はそれは認めるよう。別にその辺はきちっと合せなければいけないというふうには考えておりません。
  154. 野原覺

    ○野原委員 そこで七年間の教育費赤字団体がきめる場合に、教育委員会はその数字をきめる場合に法的にあずかることはでなきない。首長が相談してくればできるという長官の見解だけれども、首長から無視されれば仕方がない。そうなれば最終的に出てきたものの二分の一はもらうでしょうけれども、一体どこに教育委員会という教育に対す独立行政機関の存在価値があるかということを私は申しておるのです。だから、その七年間の意思をきめる場合に、それを策定する場合に、法文の上で、教育委員会をあずからせる必要を財務部長はお認めにならぬかどうか。
  155. 後藤博

    後藤政府委員 お答えいたします。先ほど長官からお話がございましたように、当然事前に教育委員会に相談をするだろうということで、私どもは法文に入れなかったのであります。
  156. 野原覺

    ○野原委員 それではっきりいたしました。事前に相談をするだろうという希望的観測で法文に入れていない、こういうことでありますと、事態は明確になったでのあります。私は必ずしも首長と教育委員会の間というものは、そのように円滑にいっているものとは思わない。相談をしない場合における保障をぜひともやっていただきたい、このことを私は要望いたします。この面については、いずれまた自治庁自体としてこれらの法文に対する考え方というものをおまとめになられて、私どもは結論を出していただくように要望いたしまして、質問を終ります。
  157. 門司亮

    ○門司地方行政委員長代理 北上君。
  158. 北山愛郎

    ○北山委員 ただいまの野原委員の質問の初めの方に関連するのですが、例の第三条の第二項です。ただいまの御答弁ではどうもはっきりしない。そこでお伺いをします。第三条第二項によって関係事業官庁、まあ文部省ですが、文部省としては補助金、負担金に関する事業費の分についてどういう種類の協議をしてもらわなければならぬと考えておるか。いろいろあるわけです。教育関係も、義務教育国庫負担もあれば、あるいは六・三制の建築の補助もあれば、あるいは産業教育振興法の場合もある、あるいは社会教育もあるというふうにいろいろありますが、そういうような教育関係の補助金、負担金を伴うものば全部文部大臣としては協議を受くべきものである、かように考えておるかどうか。そうでないとすれば、どの範囲で協議を受くべきものと解釈しておるか。これは大事なことでありますから、文部省の方から御見解をお伺いします。
  159. 松村謙三

    松村国務大臣 お答えいたします。法文の今の範囲のことは局長から説明させますけれども、政治的に見ますならば、もちろん自治庁長官文部大臣とがすべてにわたってよく協議をして支障のない決定をいたすことと私ども考えて、了解をいたしております。しかし、この法文そのものの解釈に関しましては、局長から答弁いたさせます。
  160. 緒方信一

    ○緒方政府委員 第三条第二項の協議の問題でございますが、私どもといたしましては、この法文にあります通りに、国庫負担金あるいは補助金に関します事業全体について協議を受けたい、かように考えております。
  161. 北山愛郎

    ○北山委員 そういたしますと、再建計画は、教育費なら教育関係について、それが文部省関係の補助金、負担金に関するものが明らかにされているような方式で作っておらなければならぬ、こういう結論になると思いますが、いかがでございますか。これは自治庁の方からでもよろしい。
  162. 後藤博

    後藤政府委員 再建計画は、そういうふうなこまかいものに私はできないと思っております。申し上げましたように、消費的経費と申しましても二つか三つくらいな項目であります。債務の方はもちろんある程度こまかくなりますが、それでも四つか五つの項になってしまいます。そういうものでバランスを出していくのであります。従って、そういう場合に、先ほども申しましたように、はっきり農林省なら農林省の所管の事業を縮小するようなことになりますと、農林省の考えております国の施策に影響がございますので、その間の調整をはかろうという意味規定なのであります。
  163. 北山愛郎

    ○北山委員 そうしますと、再建計画の中には、たとえば義務教育の負担金に関する経費幾らあるか、あるいは産業振興法による事業費幾らあるか、あるいは六・三制建築費、事業費の分が幾らあるかということは示さない、明記しない、そういうような計画である。従って、そのような計画が出された場合に、文部省としては、多分その計画の中に所管の負担金に関する事業費が含まれているのであろうとは想定されるけれども、それがわからない。わからないから、自治庁が、これは関連がないというので文部大臣と協議しないということが起り得ると思うのです。それでも文部大臣としては差しつかえありませんか。
  164. 松村謙三

    松村国務大臣 私、そういう極端なことは断じてあり得ないと心得ております。同じ政府の中におきまして、今御例示になりましたいろいろの助成などのことは、文部省で取り計らっておるわけでありますから、内容を示さぬと申しましても、そういうことは同一の政府内においては起り得ないことと心得ております。
  165. 北山愛郎

    ○北山委員 文部大臣のお答えでは、同じ政府の部内においてはそういう食い違いは起り得ないということでありますが、自治庁文部省考え方は食い違っておる。自治庁の話では、再建計画はそういうふうに農林省の関係が幾らだとか、六・三制が幾らだとか、あるいは義務教育の国庫負担金に関係するものが幾らだというような内容を持ったものは出さなくてもよろしいと言われておるのですから、従って、その内容がわからない以上は、文部省も多分その中に含まれておるであろうとは思われるけれども文部省に協議する必要がないと解釈されておるようでありますが、そういたしますと、文部大臣のただいまの御要望ですかお考えとはまるっきり対立しておる。これは重大なことでありますから、一つ川島自治庁長官並びに文部大臣の間で、ここで意見の食い違いがあるかないか明らかにしていただきたいと思います。
  166. 川島正次郎

    川島国務大臣 再建計画を作ることにつきましては、繰り返し御説明申し上げているように、ごく大まかなものを作るのであります。従いまして、再建計画の中でもって、老朽校舎の改築費が幾らであるとかあるいは新築費が幾らであるとかいうようなことは私ども求めていないのであります。それに関する限りは文部省に協議する必要がないのであります。こういう点において文部大臣と意見の食い違いがないわけであります。
  167. 北山愛郎

    ○北山委員 ただいまの自治庁長官のお言葉は、老朽校舎の改築であるとか、あるいはまあ六・三制も同じでありましょう、そういうことが再建計画の中に含まれてない。従って、その分については文部大臣に対して協議をしなくてもよろしいというはっきりとした言葉であります。ですから、文部大臣の先ほどのお言葉とは食い違うようでありますが、それでよろしゅうございますか。
  168. 川島正次郎

    川島国務大臣 私は、含まれていないと申し上げたのではなくて、公共事業費として幾ら、単独事業費幾らということは——既括的の再建計画を立ててもらうのでありますから、従いまして、単独事業なり公共事業なりの内訳ということにつきましては、私どもは要求しておりません。従って、所管大臣に協議するようなことは起らないと思います。
  169. 北山愛郎

    ○北山委員 それでは今までの自治庁説明はまるでひっくり返ってしまった。公共事業費として、その内訳をあるいは書いてもらうかもしれないというようなただいまのお言葉では、今までの自治庁説明は全然くつがえってしまった。今までの説明は、どの事業費幾らというようにこまかく書く必要はないのだ、消費的経費幾らとか、あるいは投資的経費幾らというような大まかな起債であるから差しつかえないのだ、そして具体的なこまかい事業費が関係しておらなければ、明らかになっておらなければ、関係事業官庁に相談しなくてもよい、協議しなくてもよいということを言っておられました。ところがただいまのお話では、公共事業費の内訳が幾らというようなことを書く以上は、やはりみな書かざるを得ないでしょう。それは今までの自治庁の答弁とまるっきり正反対です。どうもおかしい。あらためてお伺いしたいと思います。
  170. 後藤博

    後藤政府委員 お答えいたします。私先ほど申しましたように、投資的事業一本ではございません。公共事業費とか単独事業費というように分けますが、分けました場合に、公共事業といってもいろいろな種類があります。従って、その中にどこどこの土地改良事業は縮小するというようなものがはっきりとあれば相談をするというのがこの規定趣旨だ、こう申し上げたのであります。町村の場合などにおきましては、あるいは一種の公共事業でありますが、義務教育の関係でもって継続事業か何かがあって、それをちゃんと明記して非常に縮小する計画でもあれば、これは文部省に相談するということがあるかもしれませんが、私どもは大まかに考えまして、大体そういう計画は出てこないのではないかと思います。普通の場合はやはり公共事業の量はこのくらい、単独事業の量はこのくらい、それに見合う一般財源はこのくらいというような格好で出てくるので、先ほど申し上げたような格好になるのであります。
  171. 北山愛郎

    ○北山委員 そうすると、文部大臣にお聞きしたいのですが、ただいまの自治庁の話は、公共事業費幾らとかあるいは単独事業費幾らというような大まかな点が再建計画に記載されて出されるというのだから、その中で六・三制が幾らになるか、そういうことはわからない、教育関係の補助金が幾らになるかわからない、わからない分についてはやはり先ほどのお話で文部省に協議をする必要がないというような自治庁の見解なんですが、それでよろしゅうございますか。
  172. 松村謙三

    松村国務大臣 専務の方の考え方はどうか知りません。私の方の事務の人たちは必ずしもそうでない解釈を持っておるようですが、それはそれといたしまして、これは全国からごらんになりましたならば、七年間の何はもちろん国の助成も要ることはわかり切っております。従ってそれは、実際の問題といたしまして、十分協議を遂げて、義務教育にも支障のないことに取り計らうことは行政上の一般常識であろうと考えまして、私はその点については安心をいたしているわけでございます。
  173. 北山愛郎

    ○北山委員 大臣は大へん安心をされているのですが、問題は文部省だけの問題ではなくて、この問題をどう扱うか、この三条の二項というものの協議をどの範囲に行うかという解釈の問題で、これは各事業官庁全部に関係がある、再建計画をどういうふうに内容を記載するかということにも関係がある。従って、先ほど来御質疑があったように、その計画の内容によってはあるいは行政整理なりあるいは給与の単価なり、そういう内容に立ち至って中央から干渉を受けるかもしれないということにも関係がある非常に関連の深い問題でありまして、大臣が楽観されるように簡単な問題じゃないのです。しかも話によりますと、文部省の事務当局は自治庁と異なった見解を持っているというのでありまするから、私どもはこの法案の今後についてまことに不安を覚えざるを得ないのです。従って、文部省その他の事業官庁と自治庁との間にこの件についての意見の食い違いがある限りにおいては、この法案審議することができないのじゃないかとすら思う。少くとも政府としては、こういうまぎらわしい第三条第二項というような規定を取ってしまって、修正して、あらためて出直すお考えはないか、自治庁当局にお伺いしておきます。
  174. 川島正次郎

    川島国務大臣 繰り返して申し上げますが、ごく大まかな財政計画を作らせたのでありまして、項目について関係官庁と相談する段階ではないのであります。私は、この法案修正する必要はない、これでもって十分運営ができる、かように考えております。
  175. 北山愛郎

    ○北山委員 しかし再建計画内容いかんというものが非常に重大な関連があるのですよ。一体どの程度に自治庁なり政府がこの再建計画に対して自分たちの意向を反映させるかということに関連があるのです。だから重大な問題なんですよ。そんな事務的な簡単な問題じゃないと私は考える。普通の常識のある者ならばそう考えるだろうと私は思うのです。そこで先ほど私が言ったように、この点について、自治庁文部省初め建設省、農林省、厚生省その他の事業官庁との間に意見の食い違いがあるかないか、これはわれわれ地方行政委員会としても重大な関心を持たざるを得ないのです。従って私どもは、文部大臣に聞くと同じように、各省について、あるいはまちまちかもしれませんから聞いておく必要があると思いますので、委員長においてはこういう必要な措置をとっていただきたいと思います。  私の関連質問はこれで終ります。
  176. 門司亮

    ○門司地方行政委員長代理 小牧次生君。
  177. 小牧次生

    ○小牧委員 先ほど来同僚辻原、野原、北山議員等からいろいろ質問がありましたので、一応自治庁長官あるいは文部大臣の御見解がおよそわかったわけでごいますから、重復することを避けます。また時間もございませんので、簡単に私の疑点とするところをお伺いしたい、かように考えるわけであります。
  178. 門司亮

    ○門司地方行政委員長代理 文部大臣はちょっと所用があるそうで、できれば文部大臣を先にしていただきたいという要望ですから、心得ておいていただきたいと思います。
  179. 小牧次生

    ○小牧委員 今回提案されております二法案内容につきましては、これは自治庁あるいは文部省の方々がいろいろ検討されまして、そうしてでき上ったというわけでありまするが、これに対しまして全国各地方公共団体の県会議員あるいは市町村会議員、あるいはまた全国教育委員会の委員方が現在こぞって猛烈なる反対運動を展開しておることは御承知の通りであります。すなわちこの二法案は、今日の地方自治に対する大幅な中央権力の干渉であり、またこれに対して圧迫を加えるものである、地方自治の自主権を侵害するものであるという立場から数日来猛烈な反対運動が展開されていることは御承知の通りであります。今日非常に窮迫いたしている地方財政を再建しなければならない、救済しなければならないということは、これはだれしも否定し得ないことであろうと考えるわけであります。しかしながら、これをいかにして救済し再建するかという考え方の相違によっていろいろな方法なり措置がまた違ってくると言えると思うのでありまするが、こういった点について、先ほど同僚野原議員から、今日の累積せる赤字原因、責任が地方公共団体の側にあるか、あるいはまた国の措置に原因いたしておるか、そのパーセンテージを自治庁長官はどう考えるかというような御質問があったのでありまするが、その際に長官は、これは一概に判定することはむずかしい、うまくいっておる公共団体もあるし、またうまくいっておらない公共団体もある、こういうような答弁をしておられたようであります。なるほど御説の通りであります。しかしながらこれらの公共団体の生じました赤字は、五百八十億くらいあるいは六百億に上ると現在推計されておる。こういう膨大な赤字が現在生まれて参っておるわけでありますが、これを地方公共団体の方では、その大半の責任は国にある、こういうことを主張いたしまして、この二法案に対して猛烈に反対をいたし、そうして急速にこの赤字救済の対策の樹立を要望いたしておる。かかるときに、このような膨大な赤字の生まれた原因を一々判定はできないというような御答弁をしておられるのであります。しかしながらこの出されました二法案内容を見ますと、先ほど来いろいろ質疑の間に見受けられる点は、明らかにこういった赤字の生まれてきた原因は大半は地方公共団体の側にあるという先入感の上に立って、この法案がいろいろ作成されておるのではないか、相当研究して、すべてが一貫した、そのような考え方の上に立って、実に巧みにこの法案が作られたのではないか、こういうふうに私は断定をいたすものでありますが、まずこの点について自治庁長官の御見解を承わりたいのであります。
  180. 川島正次郎

    川島国務大臣 地方財政赤字原因地方だけの責任とは私は申し上げておらぬのであります。国の措置が悪い点もあります。また地方財政運営が拙劣であった点もあります。従いまして地方財政赤字を解消して健全化するためには、両者の協力が必要なんだ、こういうことを先ほどもお答えを申し上げたのでありまして、決して地方のみの責任だとは私は考えておりません。
  181. 小牧次生

    ○小牧委員 ただいまの御答弁は、先ほども同じような答弁をされたわけでございますが、この法案を流れておる精神を考えてみますと、まず第一に、先ほども北山委員からもいろいろ御質問にありました通り、自治庁長官権限が他の省の権限に優先し、あるいはまた地方の行政の首長が議会なりあるいは教育委員会権限に優先するという色彩がきわめて濃厚な法案内容になっておる。これは一々ここでこの法案を示して申し上げる時間の余裕がないわけでございますが、こういう点についてまず第一に考えられる点は、教育委員会予算送付権の問題、原案送付権の問題でございますが、これは御承知の通りいろいろ問題がありまして、自治庁長官文部大臣との間に折衝の結果、これは削除された。しかしながら原案送付権を削除しようとする動きがあって、いろいろ折衝の結果、これが一応今回は見送られたということからいろいろ考えてみまするときに、そのあとにいろいろ法案内容が、なるほど原案送付権は見送られたけれども、最初はこれを入れておきたかった、しかしながら今日これを入れることができないので、実質上ほとんど原案送付権を除いたにひとしいところの内容をもってこの法案作成されて参っておる。これすなわち地方の首長が教育委員会権限に対する大きな干渉であり、ひいてはまたこれに関連する文部省行政上の立場から、自治庁から大きな制約を受けるような結果になるおそれがあるのでありまするが、この点について松村文部大臣はいかようにお考えでありますか。
  182. 松村謙三

    松村国務大臣 それは先刻も申し上げましたが、教育の大本にわたる教育委員会権限は、ぜひともこれを確保しなくちゃなりません。しかしながら地方財政窮乏に対しては、これはできるだけ経費を節して、それに共応して参ることも、これまたやむを得ないところでございまして、そういう意味合いからいたしまして、先刻申し上げました通り、一面には教育委員会権限を確保するとともに、一面においてはその地方財政の整理に援助を与え、しかしそれがまた教育に及んではなりませんから、その計画に対しては文部省自治庁との協議に参画する、こういうような構想のもとに、その点で折り合うた次第でございます。
  183. 小牧次生

    ○小牧委員 ただいま文部大臣から御答弁がありましたが、先ほども申し上げました通り、これはいろいろ考えられてでき上った法案である。まず第一に、今日の地方財政赤字を救済するために、地方公共団体議会権限に圧縮を加える、さらにまた教育委員会権限に圧縮を加える。従いまして逆にこの順序を申し上げますならば、非常に弱いところの教育委員会、その次に地方公共団体議会、またその次は行政の首長の権限、こういうところに団体的に圧縮を加え、中央権力をもって干渉して参るということによって今日の地方財政赤字を解決しよう。この上に自治庁長官が立って、なるほど先ほどからいろいろ御説明はありましたけれども、実質上これだけの段階の頂点に立って掌握して、赤字を処理して参ろうという構想のもとに現われておることは、私は否定し得ないと思うのであります。  そこでまず第一にお伺い申し上げたいのは、第三条の5に、「財政再建団体の長は、財政再建計画に基いて予算を調製しなければならない。」こういう法文があるわけでありますが、先ほどから松村文部大臣ないし自治庁長官は、こういったものが教育委員会予算作成影響を及ぼさないというような御答弁があったように私は聞いたのでございますが、しかしながら行政の首長にこのようにして予算の調製権が与えられるとするならば、予算を県議会あるいは市町村議会に行政の首長が提案する以前において、すでに行政の首長の力によりまして、実質上あらゆる面にわたって再建計画の名のもとに非常な切り盛りが行われて、しかる後にこれが議会に提案されるということは、実際上直ちに起ってくる現象であろうと考えるのであります。そうなりますと、先ほど来いろいろ御答弁はありましたけれども、この行政の首長の調製権というものが、そういうところまで侵犯しないという保証が全然ここになされておらないのであります。これについて自治庁長官のお考えを承わりたいのであります。
  184. 川島正次郎

    川島国務大臣 従来地方財政運営一つの欠陥は、長期にわたって計画的な運営が立たなかったということであります。そこで今回は、赤字再建団体に対しましては、数分年間にわたる長期財政計画を立ててもらいまして、その範囲内において財政運営をしてもらう、こういうのであります。五年もしくは七カ年の長期計画の中において、単年度ごとに予算を作る場合には、その計画の範囲内において予算を作ってもらいたい、こういうことをその規定は要求しておるのであります。これが逸脱するようでありましては、財政の再建はできないのでありますからして、絶対にこういうことは必要だと私は考えておるのであります。せっかく立てた再建計画が、これが乱れるようでありましては、結局再び赤字地方団体に戻るということになるわけであります。
  185. 小牧次生

    ○小牧委員 今日窮迫いたしておる地方公共団体財政を再建する、ところが一体今日非常に困っておる地方公共団体が、財政再建計画なり財政計画を立てる場各において、具体的に実際的に果してどうするであろうかということを私どもはここで考えてみたいのであります。  まず第一には歳入考えなければならない。歳入は御承知の通り地方税また平衡交付税その他国からの補助あるいは負担金あるいは起債その他雑収入、使用料、手数料、こういったものから一応大まかに構成されておる。ところがこれは毎年こういったものの数字をながめてみますと、大きな変動はないのであります。しかるに今度は財政支出の面を考えてみますと、これはそれぞれいろいろな種類にわかれておるわけでございますが、この財政支出の面に圧縮を加える、まず第一にこのような方法がとられることは火をみるよりも明らかであろうと思うのであります。一体土木費を削るかあるいは社会労働費を削るか、あるいはまた産業経費を削るか、あるいはまた先ほど来いろいろ問題となっております地方財政の中に大きな比率を占めておる教育予算に手をつけるか、何らかのそういった具体的な措置を講じて、そうして自治庁長官に行政の首長が財政再建計画を提出する、こういうことになるであろうと思うのであります。こういうときに、まず第一に、行政の首長は計画を作る前にこれを調製しなければならない。こういうときに、先ほど来いろいろ懸念をもちて質問されておりますように、何といっても大きな比率を占める教育財政へ向って大きくしわ寄せがなされて参る、そうならなければけっこうでございますが、この法案の中に現われたいろいろな条文を見ますと、教育委員会権限を圧縮するということに相当な重点が置かれておる。相当力を注いでこの法案というものが構成されておることは一目瞭然であります。従って先ほど来辻原、野原議員等から、こまかい各条文に向って疑問とする点を、圧縮を加えるのではないか、干渉を加えて参るのではないかということをたびたび質問をされておるのであります。私自身もそのような懸念を持つ一人でありまするが、こういったことが果してここに出ておる条文によって圧縮を加えない、干渉を加えないということが保証されるかどうか。なるほど松村文部大臣はそういうことはないということを申された。これはこの法律の適用とか運営に当っていろいろ解釈上相違が生れる危険性のある条文がたくさんある。松村大臣のように、閣内において重きをなすような大臣である場合は、あるいは松村大臣の言われる通りそういう点について心配はない、これについて他の人々もあるいは信用するかもしれない。しかしながら松村大臣があるいは途中で大臣をやめるというような場合もないとは限らない。他の方々が大臣になって、そのときに松村大臣の言われた通りに果してなるかどうかということは、ここに必ずしも保証ができないと私は思うのであります。こういうような点について、この教育委員会原案送付権を削ろうとするような動きがあったけれども、とにかく松村大臣との交渉によって一応これは食いとめられた。しかしながら実質上ほとんど送付権をなくしたと同じような内容を持ってここに現われて参っておる。そうして行政の首長が財政再建計画について予算を調製する。明らかに自主的に教育予算は行政首長の調製権によって切り盛りされてしまう、かように私は考えるのでありますが、もう一度自治長官の御見解を承わりたいのであります。
  186. 川島正次郎

    川島国務大臣 赤字団体財政の立て直しをやろうというのでありますからして、当然従来のような考え方財政運営は切りかえまして、新しい構想に基いた運営をしなければならぬのであります。それのためには経費の圧縮は当然起ります。ただいまの御議論ですと、それのすべてが教育費にしわ寄せが来るような御見解でありまするけれども、これは文部大臣も私も繰り返して申し上げておるように、教育費でありますとか、福祉施設のような義務費は優先的に計上されるのでありまして、私ども考えるところによりますと、その圧縮せられる点は、主として単独事業費などにくるんじゃないかということが考えられるのでありまして、教育費はむろん第一位に優先的に尊重されることは当然でございます。原案送付権についてのお話がありましたが、政府部内におきまして案を作りますときには、いろいろな研究をいたしております。原案送付権を削除する方がいいか悪いかということも一つの問題でありますけれども、これを残したということは、とりもなおさず教育委員会を尊重した現われであるということを御了解願いたいと思うのであります。
  187. 小牧次生

    ○小牧委員 次にもう一つ伺い申し上げたいのは、地方自治法一部改正案の第二百三十九条の三でありますが、「普通地方公共団体の長、委員会若しくは委員又はこれらの管理に属する機関は、その権限に属する事務に関する規則その他の規程の制定又は改正が新たに予算を伴うこととなるものであるときは、これがため必要な予算上の措置が適確に講ぜられることとなるまでの間は、これを制定し、又は改正することができない。」、これは御承知の通り現行の自治法にはないところの全く新しい規定であります。御承知の通り教育委員会教育行政上必要な規則、あるいはいろいろな規程というものを制定する準立法的な権限を持っておることは御承知の通りであります。これによって教育委員会はいわゆる独立の機関として、独立の立場から教育民主化教育行政推進に当るという建前になっておるわけでありますが、これが「地方公共団体の長、委員会若しくは委員又はこれらの管理に属する機関は、その権限に属する事務に関する規則その他の規程の制定」というものができないとすると、なるほど「予算上の措置が的確に講ぜられることとなるまでの間」というような、多少の条件がついてはございますが、明らかにこの規則あるいは規程の制定権をその間停止するというように私は解釈をいたしておるのでありまして、先ほど来同僚門司委員あたりからも、同じような対等の団体が他の団体に対し指揮監督をする、あるいは命令をするということば憲法に触れるのではないかというような御質問もありましたが、明らかにこれは行政の長の下部機関として認めた考え方から、こういうような法案が作られたのではないか、かように私は考えるのでありますが、これに対する大臣の御見解を承わりたいのであります。
  188. 川島正次郎

    川島国務大臣 議会に各種の案件を出します場合、予算の伴うものは当然財源的措置がなければ出してはいかぬ、こういう規定でありまして、地方財政というものを健全、合理化させるためには、これは当然の措置であると私は考えております。
  189. 小牧次生

    ○小牧委員 大臣はこれを当然の措置であるというふうに、ただいま御答弁があったようであります。そういうような考え方からこういった法案というものができておるとするならば、これは先ほど来私が申し上げる通り、段階的に教育委員会または地方議会というところに相当大幅な権限の圧縮を試みる、こういう考え方がここに露骨に現われておると私は考えるのであります。もしもこういったものが実施されるとするならば、なるほど原案送付権は認められたけれども、これはもう実質上、教育委員会の権能というものはほとんど停止させられることになります。先ほど来申し上げる通り独立の機関として、教育行政に関しては独自の立場からいろいろな規程や規則を制定して、そうして教育行政推進してきておる。これが制定することができないということになりますれば、いかに原案送付権が認められておっても何もこれは意味がない。全然原案送付権を認めた意味がない、私はかように信ずるのでありますが、もう一度大臣の御見解を承わりたいのであります。
  190. 川島正次郎

    川島国務大臣 この条項教育委員会原案送付権とは少しも関係がないのであります。財源的な措置のできないような案件を出してはいかぬ、こういうのでありまして、たといこの条文がありましても、教育委員会原案送付権というものは依然としてあるのでありますから、かりに議会に対して長と異なった教育委員会の原案が出ましても、それは歳入と歳出とを勘案して適当なところでもってこれを取り扱うわけであります。いかなる場合でも財源のない予算を組むということは地方赤字が累増するばかりでありまして、これをとめようというのでありますから、直接教育委員会原案送付権とこの条項とは関連性を持っておりません。
  191. 小牧次生

    ○小牧委員 長官自身はこの条文をそういうふうに解釈されるでしょうが、私はさような考え方では納得できないのであります。この法案は何らかの形でそういった財政的な面に制約を加えるという内容を持っておることは否定し得ない。従ってここにこういう教育委員会の規則制定権を無視する案が出されたことは当然な措置であるということになると、先ほど来私が申し上げる通り、行政の長によって根本的に財政制約を受けるということは、これはもうだれしも否定し得ないであろうと思うのであります。しかしながら先ほど来松村文部大臣あるいは自治庁長官も、これはあるいは言葉幾らか違っておるかもしれませんが、決してそういうふうに制約を受けることはないというようなことをたびたびここで言明をされておるのであります。なるほど規則や規程でありますから、全体の予算にわたるということはありませんが、やはりその中にはそれぞれの地方においてそれぞれの特色に応じた教育を行うために、教育委員会の独自の立場からこういったことは必要である、ただ単にこれが財政を伴うということによって制定権を奪われるということでは、とうてい円満なる地方行政推進はできない。よろしくこういった条文は削除さるべきである、かように考えますが、大臣の御見解を承わりたいのであります。
  192. 川島正次郎

    川島国務大臣 この条文財政措置に制約を加えることは当然であります。その必要でこの条文を作ったのでありますけれども、それがすぐに教育にしわ寄せになるとお考えになることは少し間違いでありまして、繰り返し私も文部大臣も申し上げているように、地方財政のうちの教育費というものは義務的経費でありまして、しかもそのウエートは重いのでありますから、教育費は他の経費に優先される性質を持っておるのであります。こういう条文がありましても、これがすぐ教育に響くとお考えになることは、何でもかんでも今度の改正案が教育委員会をいじめたり教育費を削減するんだという前提の上に御質問下さると、そういうことになるのですが、決してそういう考えはないのであります。
  193. 小牧次生

    ○小牧委員 同じようなことを繰り返しますと時間がかかりますから申し上げませんが、なぜ申し上げるかといいますと、最初に申しましたように原案送付権を入れるか入れないかということが大きな問題になって、文部大臣自治庁長官の協議が重ねられた結果削除された。この交渉の経過から私はこれを申し上げておるのです。さらに文教委員会における文部大臣との御質疑応答の中で、あるいはまた辻原委員からの、総理大臣をここに呼んで質問をしたいという問題とも関連いたしまして、教育委員会制度の根本の問題に触れまして、文教委員会においてもいろいろ質疑が展開され、松村大臣も、通常国会までには何らかの成案を得たいという答弁をはっきりしておられますので、こういった地方財政再建促進特別措置法案の中にいろいろ盛られた教育委員会に関する規定、これがやはり何といって教育委員会制度の根本にも今後重要な影響を与える、かように私は関連性を確認いたしておるがゆえに、ここでいろいろ御質問を申し上げたのでありますが、この問題は一応ここで打ち切ります。  最後に地方財政再建促進法案の中の第十一条でありますが、財政再建計画策定、またこの実施に関しまして、この第十一条は議会審議権というものに相当制限を加えておる条文に相なっておるようであります。この法案によりますと、行政の首長が提案する財政再建についての申し出、または関係議案の議会の審査については非常な制約を加えておる。審議期間を限定しております。また行政の首長に解散権を与えておる。これによって現在の地方議会権限は大幅な制限を受けて参る。地方財政再建促進法案と今回の自治法一部改正とは不離一体、密接不可分の内容を持ってここに提案されておるわけでございます。なかんずく先ほど来申し上げる通り、教育委員会その次には地方議会、こういうものの権限に大幅な圧縮を加えておる。といいますのは端的にここにも現われて参っておるのであります。こうなりますと、実質上地方議会は有名無実あるいは行政の首長の諮問機関的な性格に転化してしまうおそれがある。戦時中地方議会には参事会というものがありまして、ほとんど一方的に行政の首長の権限が行使されて参った。再び戦前のあの姿に逆行するのではないか。こういうことがたびたび大多数の方々から主張されておるのでありますが、いかなる理由によってこのような法案を作られたか、まずこれをお伺い申し上げたいのであります。
  194. 川島正次郎

    川島国務大臣 お話の要点はおそらく長の信任、不信任の場合において、過半数でできる、これが従来と異なるじゃないか、この点だろうと思うのでありますが、現在の実際の地方団体を見ますると、長の所属政党と議会の多数党と違っているところが数カ所あります。こういうところは何としても政治が不明朗になりまして、すっきりした政治が行われていないのであります。そこで多数決の原理に従いまして信任、不信任は議会の過半数でやることができるとする方が、政治の本旨にかなうんだ、こういう考え方で再建促進法にも、また自治法の一部改正にも入れたわけであります。この条項がありますからといって、直ちに議会を無視したとは言えないのであります。ことに今戦前の話を御引用になりましたが、戦前の知事は官選知事でありますけれども、現在は議会と同じく公選による知事なんでありまして、全く前とは趣きが違っておるわけであります。
  195. 小牧次生

    ○小牧委員 いろいろ個々の地方公共団体内容に関してお話がありましたが、公共団体財政再建をしようという場合に、行政の首長が財政再建計画を作り、これを議会に諮る、こういう問題であります。もしこの条文の通りで参りますと、これは行政の首長が勝手に、ほとんどその首長の意思によって財政計画を作り、これに対して議会の意見というものは反映されない、こういうことになるであろうと思うのでありますが、いかがでありますか。
  196. 川島正次郎

    川島国務大臣 この条文によりまして、不信任とみなす、こう書いてあるわけであります。不信任の議決があった場合には長が辞職をするか、議会を解散するか、こういうことになるのでありますが、再建計画考える際には一応住民の批判を仰いで、長の作った再建計画を実行するのがいいのか、それともそれを改めるのがいいのかということを、住民の意思に問うという考え方でありますから、これこそ民主政治の本旨を体したものだと私は考えております。
  197. 小牧次生

    ○小牧委員 だいぶ時間が経過いたしますので、もう一つ賛同をいたしまして終りたいと思いますが、こういった問題については、専門の委員会である地方行政委員会の方々から、今まで相当十分な質問が展開されたことであろうと考えるのであります。従いまして私重複いたしますのでそういった質問は避けますが、最後に財政再建のために発行する財政再建債の利子を規定した条文がございます。六分五厘をこえて八分五厘までは政府が負担する。なるほどそういった規定はあるわけでございまするが、この考え方は今日までの赤字原因というものを、先ほど来野原委員あるいは私からもいろいろ質問いたしましたが、何といってもその大半は地方公共団体の側にあるという考え方の上に立っておるがゆえに、この大部分の利子を地方側に負担させるということになったものであろうと私は考えるのでありますが、これはここでその原因がいずれにありやということを論争いたしましても相当時間のかかる問題でありまするので私はやめますが、こういった再建債の利息の問題、あるいはまた今日までの六百億に近い赤字の救済のための財源措置の問題、これはすべて関連しておる問題であろうと私は考えます。今日各政党の間におきましても、地方交付税の率を現在の二二%から少くとも二七、八%に引き上げて、そうしてこの新たなる財源措置によって抜本的に地方公共団体の側の赤字を救済して参らなければならぬ、赤字を救済する必要があるという声が相当に出て参っておることは大臣も御承知であろうと考えます。こういったことから考えますと、この利子を地方側の負担とするということは、私はどうしても納得ができない。これはやはり何といっても全額国の方で負担すべきものである、こういう一貫した考えを私は持っておるのでありまするが、大臣はそのように訂正する御意思はございませんか。
  198. 川島正次郎

    川島国務大臣 ただいまの御議論のような考え方も確かに各方面にあるのでございます。かりに無利子にしなくても六分五厘をもう少し下げたらよかろうということもあるのであります。ごもっともな議論だと私ども拝聴いたしておるのでありまするが、赤字ができました地方公共団体としては、健全な財政運営をやっている地方公共団体とは全く違いまして、その責任のある部分地方公共団体にあるのでありまするから、そういうところに対しまして特別な優遇をするということは、従来健全な運営をやってきた団体との見合いもありましてどうかということを考えて、一応普通政府資金の利子である六分五厘を計上しておるわけであります。しかし御意見はごもっともな点もありますので、つつしんで拝聴いたしておきます。
  199. 小牧次生

    ○小牧委員 時間がありませんのでこの辺でやめますが、要するに先ほど来いろいろ御質問申し上げます通り、私どもはこの二法案内容についていろいろ疑問とするところもたくさんございます。また非常に不満であり、これに反対しなければならない点がたくさんあるように考えておるのであります。しかしながら、何といっても今日の窮迫せる地方財政を救済しなければならないということは、先ほど申し上げました通り何人といえども否定し得ないところでございまするが、ただこの救済の方法についていろいろ考えが違い、国は地方側に責任がある、地方側は国の方に責任がある、こういう責任のなすり合いをいつまでも続けておったのでは、この危機に瀕しておる地方公共団体——もう給料も払えない、あるいはまたいろんな品物代も払えないというような地方公共団体もたくさん出て参っておるようでございます。従いましてまず何よりも一まずこれを救済するということが根本ではなかろうか、私はかように考えるのであります。救済する方法には、地方側の権限に大幅な圧縮を加えて、そうしてその中から財政再建計画等を作らしてこれをやっていこうという考え方、あるいはまた、まず何よりもこの苦しんでおる地方財政に政府の財源を与えて、しかる後にこれを合理化していくというようないろいろな考え方があるわけでありまするが、私は、まずこの焦眉の急である地方公共団体財政窮乏を救わなければ、おそらくこの状態を続ける限りにおいては崩壊するであろうと思われるところが全国相当あるのであります。従いまして、ここにこういったいろいろな法案ができておりますけれども、まず地方交付税の税率を改訂いたしましてこの率を引き上げて、そうして将来赤字の出ない地方財政計画の樹立ということに根本的に着手して参る必要があろうと思うのでございますが、大臣は今直ちにそういう態度に出る意思があるかないか、最後にこれをお伺いいたしまして、私の質問を終ります。
  200. 川島正次郎

    川島国務大臣 地方財政赤字を解消するのには、第一に機構の点から検討しなければならぬのでありまして、現在の機構のままでは依然として赤字が続出するおそれがあるのであります。この点に改訂を加えまして、同時になおその上に足りないものはこれに財源的措置をするというお話はごもっともであります。ただ財源的措置をする場合に、お話のように交付税率の引き上げ一本でいくのか、それとも他の方法でいくのかということは、いろいろ構想を打っておるのでございます。何といたしましても、数年にわたりまして六百億に近い赤字であるし、しかも今日の地方行政の機構というものが膨大になっておりまして、三十年度限りでこれを解消するわけにはいかないのであります。そこで三十年度、三十一年度両年度にわたりまして根本的な機構の改革もすれば財源措置もしよう、こう考えておるのでありまして、私どもはただいま御審議願っておる再建促進法だけで地方赤字が解消するとは決して考えていない、適当なる措置は必要だ、こういうふうに思っております。   〔門司地方行政委員長代理退席、大矢地方行政委員長着席〕
  201. 大矢省三

  202. 小林信一

    小林(信)委員 だいぶん時間が延びておりますので、簡単に質問申し上げます。  まず第一番に、先ほどの御答弁の中に、この法案赤字で窮迫しておる地方財政を再建するための新しい財政運営である、こういう言葉があったのですが、なるほど現在の地方財政の窮迫する根本の問題は、おそらく地方にも責任があって、地方行政運営の中にいろいろ問題もあったかもしれません。先ほどの質問者は、国の方の責任の点が重大であるということを言われたのですが、ないこともないと私は思うのです。しかし長が新しい財政運営をやるんだ、こういうふうなことを言われますと、これは単なる特別措置でなくて、長官においては地方行政に対する何か新しい形態があってこいを順次植えつけていくのだというような印象を持つのですが、その点、長官のこの法案を出すについての骨格となる御方針を承わりたい。
  203. 川島正次郎

    川島国務大臣 現在の地方機構なり財政措置なりがこのままでいいのでは決してないのでありまして、当然これに改訂を加える必要があります。しからばどういうふうな機構の改革をするかというお尋ねでありますると、関係閣僚間で相談いたしておる最中でありまして、これをここで申し上げるだけの段階には至っておらないのであります。ただし何らかの措置をする必要があるということは、閣内においても意見が一致しておるところでございます。
  204. 小林信一

    小林(信)委員 大体その点はそれで終りますが、やはり何かそうしたお考えを持ってこの問題に臨んでおられるようでございますが、それを今明日にすることができないとすれば、これは質問できないわけです。その中に、地方教育行政に対してどういうお考えを持っておるかということを私はそれに関連してお尋ねしたかったのですが、今機構中であるとするならば、私はその問題はいずれの機会に譲りまして、次の質問に移ります。  まず私は、こういう特別措置をする場合に、忘れてならない点をしっかり確認しておかなければならぬと思うのでございます。それは言うまでもなく地方行政というものは戦後中央集権の形から分権の形に移行して、これを目下育成しておる段階である。これをもし特別措置によって破壊するようなことがあってはならない。これは地方行政問題でございますので、本日ここで討論をする必要はないわけでありますが、それと同時に、この地方行政の中に独立いたしまして教育行政があるわけでございます。この教育行政は独立はしましたものの、やはり目下育成しなければならない段階だと思うのでございます。赤字財政によって地方の行政というものが崩壊の状態にあるからといって、この本旨をわれわれが忘れてしまったら、せっかくきょうまで育ててきたことが、すべて徒労に終るわけですが、私はそういう点で大臣にお聞きして参りたいと思うのです。要するに教育行政というものは完全な独立をさせなければならぬ。決してそれは横暴にふるまう独立の意味でなくて、地方行政の一環の形でもって独立する、こういう点を考えてしかも現在地方教育の実情がどういうふうに運んでおるかということを忘れてはならぬと思います。私が今さら申し上げるまでもなく、戦争最中にほんとうに見離されました教育の施設というものは、戦後新しい制度と一致しましてきょうまで施設が除々に整ってきたわけでございます。一面教育行政の独立と同時に、施設の完備というようなことが努力されてきたわけでございます。しかし必ずしも現在これが完成しておる段階ではなくて、行政の実態から考えれば、ようやく内容を充実するというふうな状態だと思うのでございます。簡単に申しますれば、実験用具を設備するとか、運動用具を充実するとかいう今の段階だと思うのであります。しかもこれらの問題が、国の政治は新しい教育制度を作ったのですが、しかし校舎を建てるにいたしましても、あるいは内容を充実するにいたしましても、父兄の負担というものが相当過重にかかってきょうまでやってきたわけなのでございます。しかもこれは父兄のほんとうに教育を重視する、子供を愛する、こういう気持から生まれてきたとうといものでございまして、こうしたものをもしこの特別措置が後退させるとか、あるいはゆがめるというようなことがあってはならないという考えを私持っておるものでございますが、もちろんこの措置を行います、企画いたしまする長官としましては十分御考慮のことと思いますが、あらためてここでこの教育行政のあり方、そして戦後の地方教育施設の運ばれてきた過程、こういうものを考えていただいて、いかなる注意を払い、これに対してどういうふうな考慮をなされるかお伺いしたいのであります。
  205. 川島正次郎

    川島国務大臣 教育行政独立性を尊重することは当然であります。地方教育施設を見ましても、今もって二部教育のところもありますれば、老朽校舎で改築のできないところがたくさんあるのでありまして、そういうところに対しましては、文部省においても相当の考慮を払っておるわけであります。繰り返し申し上げるように、この法案は決して教育独立性を害したり、教育を圧迫したりするというようなことは意味しておらぬのであります。ただ地方財政の健全化をはかろうというだけであります。健全化をはかる場合においては、ある程度地方財政に圧縮を加えるのは当然でありますけれども、その場合におきましても義務費である教育費は優先されるのだということを繰り返して申し上げておるのでありまして、御趣意の通りに私ども考えております。
  206. 小林信一

    小林(信)委員 それは長官から先ほど来私もたびたびお聞きした点で、その点は長官がこれほど重責をになっている以上、そんなにわれわれが心配することはないと私は思うのです。私の申し上げたのは、戦後十年間、新しい教育制度に従って苦しい財政の中で父兄が教育のためにはあらゆる犠牲を払ってきたのだ、それが今まだ発展の段階であって完成の途次である、これをどういうふうにこの苦しい財政の中で、こういう企画の中でもって満足させていくか、そうして教育行政というものがその独立性を法的には与えられておりますけれども、しかしこれはことさら最近の地方財政の苦しい状態からは、その独立性というものをかえって失わされるような状態にあるわけなんです。そういう点にいかに長官考慮を払って、そういうものの育成を努力するかということを私はお聞きしているわけなのであって、そういうふうなものを阻害しないのは当りまえのことなんです。いかに苦しい中でそういう重大な使命を果していくかということを私はお伺いしておるわけなのです。
  207. 川島正次郎

    川島国務大臣 この法案教育委員会に対して適当な圧縮をしようとは考えていないのでありまして、現在の教育委員会を尊重しておるのであります。教育委員会地方の長、地方議会とが三位一体となりまして地方教育というものの向上をはかることは当然であります。私ども地方に命令をしまして教育行政というものをせっかく完成しようと思っておる。地方教育制度というものをここで拍車をかけて——圧迫をするなんということは一向考えておりません。
  208. 小林信一

    小林(信)委員 長官はだいぶそういうことを今まで質問されたようで、すべてそういうふうにおとりになるのです。私はもっと建設的に考えていただかなければならぬということでお伺いしておるのですが、相変らずその圧縮とかあるいは機能を抑制するとかいうようなことはしないしない、こうおっしゃるのですが、私はもっと苦しい財政の中で、こういう計画をしながらその本来のものをいかに伸ばしていくかということをお聞きするわけなのです。そこで具体的にお尋ねいたしますが、赤字財政も各府県まちまちだと思うのです。そういう場合に圧縮しない、機能を停止しないというふうなことだけでなく、苦しい財政であるからやはりどこにも一応はそういうものはかかっていくだろうというような先ほど来の答弁でございますが、苦しい県は苦しいなりに教育を圧縮する、あまり苦しくなければ教育の方にもあまり影響を与えないというふうな形をとるのか、教育に限ってはいかなる財政貧困の県であっても、ほかの県に劣らないように擁護をするというふうなことを条件としてこの法案は進むのかどうかということを私はお伺いしておるわけなのです。
  209. 川島正次郎

    川島国務大臣 教育に関する指導は文部大臣がやるのでありますが、財政面から考えますると、私どもはいかに赤字団体でありましても、教育が圧縮されまして、せっかく戦後完成しようとする民主的教育というものが逆行するようなことはしたくなし、またすべきものでないと考えておりますが、これは自治庁長官が各地方団体に勧告したりまた注意を促したりする事項ではないのでありまして、各地方地方でもって教育委員会と長と議会とが一緒になってやる仕事なのでありますから、私としてこれは何としようと思っても、せっかくの御質問でありますが、お答えを申し上げる資格もなし、また場合でもないと考えております。
  210. 小林信一

    小林(信)委員 たとい文部大臣でなくとも、閣僚に列席しておる以上、これは当然考えていただけることだと思うのです。教育の重大性というふうなもの、これは憲法にはっきり明示されておりますように、教育機会均等——どんなところに生まれても、どんな貧困な家庭に生まれても、一応の教育というものは国家が責任を持ってやるべきだというその原則があるわけなんです。従って長官は、そういう点からしても、赤字財政で非常に苦しんでおる県だから、ほかの県よりも教育が恵まれなくても仕方がないのだというようなことをなさるかどうかということをお聞きするわけなんです。それを長官は、私には関係ない、こういうふうにおっしゃるのですけれども、重大なる関係があると思うのです。たとえば定員等の問題について、一つの県の財政が非常に苦しい場合には、どうしても圧縮しなければならぬようなことが要求されるでしょう。その場合に、すべてこれは長官の意向を聞くというような形になるのですから——その場合に、ほかの府県の平均というようなものも出ているのだから、つまり定員等は一学級何十人というようなことが大体原則になるわけなんです。ところがある県は七十人も八十人も一つの教室に入れて、一人の先生が教えなければならぬような状態になることをやっぱり見なければならぬと思うのですが、そういうことは絶対にさせない、大体文部省でもってきめてある一学級四十人なら四十人、四十五人なら四十五人、この原則は、いずれの県にあってもこの法を実施していく場合平等に扱う、こういうことができるかどうかということなんです。
  211. 川島正次郎

    川島国務大臣 赤字の深刻な地方団体におきましては、教員の定員などが規定通りになっていないところがあることも事実だと思うのであります。そういうことがすみやかに解消されまして、規定通りの教員数も置くし、また設備もすることは好ましいことであります。それにつきましても、現在背負っておる赤字をすっかり克服して、健全な地方財政を建てなければ健全な教育はできないのでありますから、一日も早く地方財政が立ち直ることを私は希望いたしておるのであります。教育を尊重する上から考えましても、地方財政をこのまま野放しにはできない、こういう考え方を持っております。教育を尊重することは当然でありまして、いかに赤字団体といえども、他の府県に比べて不当に教育が圧迫されるようなことは決していい状態ではないのであります。これらにつきましては、府県の長なり議会なりまた教育委員会なりがお互いに提携し合って、財政の運用についてもいろいろ苦慮していることだろう、こう考えております。私らはそういうことに対して決して協力を惜しむものではございません。
  212. 小林信一

    小林(信)委員 長官の御意思はよくわかったのですが、今はっきりしなかったところは、地方財政赤字でもって非常に苦しんでおる県の一学級の担任数というようなものが、恵まれておる県よりも非常に苦しい状態にあるというようなことがあったならば、これは一日も早く是正して、ほかの府県と同じようにしなければいけないということを、この再建途次の間においても確保するというのか、そういうことをしなければならぬから、地方財政を早く立て直してそういうことを可能にするのだということか。今の大胆の御答弁は、再建して、しかる後そういうふうにするというふうにも取れたので、再建の途次であっても、そういう点についてはいかなる法律があろうとも決してそういうことは制限しないというのか、もう一度申しわけございませんが御答弁願います。
  213. 川島正次郎

    川島国務大臣 三十年度で再建団体財政規模をすっかり直しまして——世間でよく地方団体が水ぶくれになっている、こう言われておるのですが、私は必ずしもそうは考えませんが、かりに水ぶくれであるとすれば、その贅肉を落してすっきりとした姿になってもらいたいと希望しておるのであります。その上に必要な財政措置をしよう、こう考えておるわけであります。再建の途上におきましても、教育費が非常に足りなくて義務教育が完全に行われないところに対しては相当に考慮する必要があるのではないか、こういうように考えております。
  214. 小林信一

    小林(信)委員 そこで長官に御質問申し上げなければならぬ点は、教育の実情というものは必ずしも一様じゃないのです。経営におきましてもそうですが、各府県ともまだまだなんで、かなりのところまで充実しているところもあるし、目下充実している最中というようなところもあるわけなんです。そうして赤字で苦しんでいるところは、ほかの府県の教職員よりも恵まれない状態に置かれたり、子供のいろいろな施設、あるいは教材等において不便を忍んでいるところもあるわけなんですが、いろいろ計画を立てる場合にはそういう県を十分考慮していかなければ、いかに長官がこの法案でもって教育委員会の権能は尊重しておりますと言っても、現状を常に審査するということを怠っておったならば、私はやっぱり死文に終ると思うのです。先ほど来問題になりましたこの再建計画をする場合に、そうした現状を的確につかむ意味からしても、長と議会とが計画をするでなくして、各委員会はもちろんでございますが、とにかく独立した機関であって、そうして、そういう大事な段階にある教育委員会をどうしてもこの計画を樹立する中に入れていかなければならないと思うのです。先ほど来お話を聞いておれば、これは常識としてやるのだ、当然それを入れなければ計画が立たないのだというふうな大臣のお考えですが、大臣は非常に簡単にお考えになっていると思うのです。やはりそこにも、大臣地方教育委員会の現在のあり方をよく検討になる必要があると思うのです。いかにそうした教育行政権を持っておりましても、やはり知事が相当教育委員会に対して権限を行使している状態なんで、教育委員会の実力というものは、知事の前では相当圧迫される状態にあるわけなんです。そういう現状を考えてみたときに、やっぱしこの中に法文としてきちんとうたって、当然参画されるようにしなければ、大臣はそんな非常識なことはないとおっしゃるが、そういう非常識が行われがちで、教育というものがその計画の中に入らない、軽視されるというような形でもって今大臣のお考えになっているような大事な問題がこの再建計画の中で犠牲になっていくおそれがあると思うので、もう一度この中に教育委員会の意向を聞くというような条文を入れていただくように御考慮願いたいと思うのですが、もうたびたび御答弁がありましたからそのくらいにして……。これを入れないでこの法案がもし通るとするならば、もう教育というものは実際上無視されていく、こういうふうに私は心配をするものであります、それから、自治庁では教育のことはまあ関係ない、こういうふうにおっしゃるのですが、地方財政をあずかる、地方行政を確立するという上から、常に教育にも間接には非常に影響を持っておるわけでございまして、その施策の中にときどき私たちは教育を軽視するような——教育を軽視するというのか、あるいは教育に対して無関心な行政措置が今までたびたび見受けられたのです。そういうような御態度でおりますと、やはりこの法文の解釈等も、先ほど質問する方はもっと教育委員会に対するところの権能をはっきり明文化しろ、大臣の方ではそんな心配はいらないのだ、常識として必ず相談がなされるのだ、こういうふうに言われるのですが、今までの地方自治庁のいろいろな行政上の措置を見まして多分にそういう危険を私は感じておるのでございます。  そこで、先ほどやはり問題になりましたが、第一条の二項でございます。一項に自治庁長官承認を得なければならないというそのあとに、または変更を加えることができるというふうにあるのですが、この場合第三条の二項の方には各省各庁の長と協議をして、そうしてこの変更を加えるというようなことがあるわけで、文部大臣ももし教育行政の面で変更を加えられるような場合には相談にあずかるのでしょうが、しかしこの条文を見ますと、文部省も各省と同じようになっているところが私たちは残念に思うのです。教育行政というものは地方においては独立する、その独立性を確保するというところに先ほど申しましたような大事な点があるわけなんですから、もっとこの際文部大臣のあり方というものが他の諸官庁の長よりも重きをなすようにしておかなければ、これは地方自治庁というただ地方自治をつかさどる者が財政の面からして教育行政を握るというような形に陥って、かっての内務省が教育行政を握って中央集権の形に持っていったというふうな形と同じ形になるわけでございますが、そういうことは心配ないのかどうか、あるいは特別な御配慮がなされるかどうか、お伺いいたします。
  215. 川島正次郎

    川島国務大臣 ここに書いてあります補助金、負担金を支出する役所は、文部省があり、厚生省があり、特に金額的にいえば建設省と農林省が多いのであります。特にこれらの役所に差別をつけて文部大臣だけを書くことはどうかと思います。教育の重大性はいずれもよくわかっておるのでありますが、法文の中に特に文部大臣ということを書く必要はないのじゃないか。自主的に文部省の意向を尊重しながら地方財政というものを運営していけば差しつかえないじゃないか、こういうふうに私は考えております。
  216. 小林信一

    小林(信)委員 元来はこういうことをすれば、非常に心配しております地方分権の形というものがこわわれるものでありまして、こういう権限というものは、いかなる自治庁長官であっても与えるべきでないと私は考えるのです。もしこれが必要であるとするならば、これは地方自治を非常に侮辱したものであって、行政権能がないんだというふうにも私は考えられるのですが、特に教育行政について、この変更を加えるというふうな条文がもし教育行政にあてはまるならば、定員の問題あるいは給与の問題というふうなことに修正が加えられると思うのです。そうなっってしまったら、これは教育行政影響するところ大きいのですから、結局中央集権という形に教育行政もなる、こういうふうに思うのでありまして、もしもこんなものがこのまま存在するようならば、これはもう地方行政は全然無視されたものである、教育行政は根底からくつがえされて中央集権に移行するものである。文部大臣は各省の長と同じ立場で差別をつけらるべきものでないというふうにおっしゃるのですが、なるほどほかの省からいえばそうでございましょうが、文部行政の面からすれば、あまりに文部行政のあり方というものが無視されているように考えるものであります。  それからこれは文部大臣おられませんからどなたでもけっこうでありますが、文部省の方がおいでになりましたらお伺いします。第八条の「財政再建計画の達成のため必要な予算執行その他政令で指定する事項の執行については、あらかじめ、当該財政再建団体の長に協議しなければならない。」この協議というのは、上の方から下の方にする場合には、意見を聞いてと書くのが法文の特徴でありまして、下の方から上の方に話をする場合の協議しなければならないというふうになっていることもこれは重大な問題で、教育行政に関する限りこういう文字についても文部省はどんなふうに考えるか聞いておかなければならないのでございます。そこで最も重大な問題は、必要な予算執行その他政令で指定する事項の執行については、とこうあるのですが、これはあらゆる委員会に該当すると思うのです。この法文がすでに政府として作られた以上は、文部省においてはその政令の内容については御承知だと思うのですが、どんな内容でもって出るわけでございますか。
  217. 緒方信一

    ○緒方政府委員 これはここにありますように、教育委員会だけじゃございませんで、教育委員会及びその他の委員会全般に関する問題であります。従いまして、政令の内君につきましては、自治庁の方から予定されているものを御答弁願った方が適当であろうと思いますから御了承願います。
  218. 後藤博

    後藤政府委員 お答えいたします。八条の政令に指定する事項と申しますのは、たとえば学校の新設でありますとか、予算外の負担を伴う契約の締結でありますとか、そのほか職員の任免、昇給、昇格等に関する一般的な方針を私ども考えております。
  219. 小林信一

    小林(信)委員 というような一般的なことが考えられているようですが、それが私非常に危険だと思うのです。事教育行政に限っては、先ほど来申しておりますように、教育行政の独立という意味からしましても、はっきりこういうところに明文化して、単なる政令で指定する事項というようなことでなくて、内容を明白にしておかなければならない問題だと私思うのです。これは教育委員会に限ったことでなくて、あらゆる委員会が要望するところだと思うのです。文部省としまして、今説明されたような内容をやはり了解されておると思うのですが、これはほんとうに了解されておるでしょうか、もう一度文部省からお伺いいたします。
  220. 緒方信一

    ○緒方政府委員 その団体財政の再建整備をいたしまする場合に、その再建計画の達成のために必要な予算執行その他の点につきましてこれを長と協議をするということにつきましては、私必要なことであろうと考えます。文部省としてもこの点は了承いたしておる次第でございます。
  221. 小林信一

    小林(信)委員 それば内容はとにかく、こういうところに明白に成文化しておく必要があると思うが、そういう必要がないのか、そこに私はお伺いするのです。
  222. 緒方信一

    ○緒方政府委員 これは政令で定めるといって政令に譲ってあるわけですが、この政令で定める場合には、あるいはさらに政府間でいろいろ相談をいたし、協議をいたしまして定めるということになると考えます。かような規定といたしまして政令に譲るということは、これは普通とられる方法でございまして、この点につきましても私ども了承をいたしております。
  223. 小林信一

    小林(信)委員 重ね重ね申すようでございますが、教育行政のあり方というものが他の行政と違っておる点を考えまして、またほかの一般常識から考えまして、そういう例があるのだというふうなところで了解されておることは——政治全般の運営ということに文部省協力されればいざ知らず、教育行政というものがほんとうに確立されなければならぬ時期にあって、そして当初申しましたように、父兄の犠牲できょうまでそれが充実してきたことを考えるとき、また日本の再建はほんとうに教育でやっていかなければならぬという根本的な問題を考えますときに、こういうところに簡単に譲っておいて、将来に禍根を残しはしないかと私は思うものであります。そこでさっきの協議という言葉、あるいは今度県の教育委員会市町村教育委員会に何かを尋ねる場合には、これはただ意見を聞くというだけでありますが、こういった字句の上から制約されるものはないのか。同じような言葉であるとするならば、やはりこういうところも協議というふうに直したらいいのじゃないかと思うのですが、そういう点は文部省としてはどういうふうに考えておりますか。
  224. 緒方信一

    ○緒方政府委員 意見を聞くというのは第九条の第一項に出ておるわけでありますが、これは市町村ごとの定数をきめます場合に、現行法におきましては市町村教育委員会が都道府県の教育委員会に協議をしてきめるということになっております。しかしながらこれは、教職員の給与の負担は都道府県でいたしておりますので、その都道府県が財政再建をいたします場合には、この定数をきめます場合に都道府県の教育委員会の方に指導的な立場を与えるということでありまして、ただしかし指導的な立場を与えると申しましても、市町村教育委員会の意見を十分聞いてやる、こういうことであります。従いまして、この限度におきましては意見を聞くという程度でいいのじゃないか、協議をする場合と意見を聞く場合とをやはりその程度によりまして区別していいのじゃないかということでございます。それで、第九条第一項の場合は意見を聞くでいいのじゃないか、かように考えていたしたわけであります。
  225. 小林信一

    小林(信)委員 これはそのほかに、そういうふうな相互的な関係は第九条の二項の終りに、一般的指示をすることができるとあるわけですが、こういう命令的な言葉を簡単に扱っておる。長官は、教育行政というものに対して干渉しないとか、あるいはすべての圧縮をここに持っていくことはしない、こういうふうに言われておるのですが、そういう点が私たちには非常に心配でならないわけです。もっと教育行政の現状というものを考えていただくならば、これを守り育て、擁護し、発展させる方途というものをこの中に十分入れておかなければならぬと思うのです。この法案による計画というものは、一本の木が枯れかかっておる、本来これを成長させるためには肥料をくれなければならないが、その肥料をやるのを怠って、枝葉を切って、吸収分を少くして、木の生命を存在させようという形になりはしないかと思う。財政的な裏づけ、つまり肥料の部分というものは何もこの中では認められない、上に徒長する部分はいいかもしれないが、その根幹をなす教育行政というものをはさみを入れて切っても、木さえ生きておればいいという形になりはしないかと思いますが、とにかく教育問題というものは、この十年間父兄があらゆる犠牲を払って育ててきたものであり、日本再建の大事な基盤となるものですから、これを完全に伸ばすような生命がこの中に盛り込まれておらなければならぬはずだと思いますが、残念ながらそういうものが見られない。かって文部委員会で私たちは各党派を超越して教材費というものを計上したことがあります。これは父兄のいわゆるPTAの形で出す寄付金というものが膨大になり、それが学校の教材に使われるが、これを国が負担してもいいのではないかということで教材費というものを計上した。ところがこれがいよいよ流れると、地方自治庁は各町村において計上した教材費は、備品費、消耗費に該当するものであるから、これを流用しろ、そういって父兄が寄付で負担しておいて運動具を買うとか、実験用具を買うとか、そういうものに回す趣旨のものを、地方自治庁はそれを曲げてもいこうということを私たちは今まで見てきておりますが、そういう点が多分にあることを遺憾に思うわけでありまして、自治庁長官はそういうことは絶対にないと簡単にお考えになっておられますが、以上のような点から考えて、再度の御検討をお願いして私の質問を終る次第であります。
  226. 大矢省三

    大矢地方行政委員長 他に質疑がありませんので、本連合審査会はこれをもって散会いたします。    午後三時三十七分散会