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1955-07-18 第22回国会 衆議院 地方行政委員会 第43号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年七月十八日(月曜日)     午前十一時十一分開議  出席委員    委員長代理理事 加賀田 進君    理事 池田 清志君 理事 亀山 孝一君    理事 古井 喜實君 理事 鈴木 直人君    理事 前尾繁三郎君 理事 門司  亮君       伊東 隆治君    川崎末五郎君       木崎 茂男沼    纐纈 彌三君       渡海元三郎君    熊谷 憲一君       灘尾 弘吉君    山崎  巖君       吉田 重延君    川村 継義君       北山 愛郎君    坂本 泰良君       伊瀬幸太郎君  出席国務大臣         国 務 大 臣 川島正次郎君  出席政府委員         自治政務次官  永田 亮一君         総理府事務官         (自治庁行政部         長)      小林與三次君         総理府事務官         (自治庁財政部         長)      後藤  博君         総理府事務官         (自治庁税務部         長)      奧野 誠亮君  委員外出席者         総理府事務官         (自治庁財政部         財政課長)   柴田  護君     ————————————— 七月十八日  委員石田博英君及び徳田與吉郎君辞任につき、  その補欠として長谷川四郎君及び伊東隆治君が  議長の指名委員に選任された。     ————————————— 七月十八日  奄美群島復興特別措置法の一部を改正する法律  案(伊東隆治君外五名提出衆法第五三号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方財政再建促進特別措置法案内閣提出第二  五号)  奄美群島復興特別措置法の一部を改正する法律  案(伊東隆治君外五名提出衆法第五三号)     —————————————
  2. 加賀田進

    加賀田委員長代理 これより会議を開きます。  本日は都合により委員長が不在のため、理事の私が指名により委員長の職務を行います。  前会に引き続き地方財政再建促進特別措置法案を議題として質疑を続行いたします。質疑の通告がありますのでこれを許します。
  3. 北山愛郎

    北山委員 議事進行についてお伺いをしたいのですが、実は現在地方財政再建促進法審議中でございます。ところが地方税法の一部改正案、あるいは道路譲与税というような関係につきましては、これは言うまでもなく地方税関係が、たとえば事業税については来月八月に地方団体としてはそれぞれ事務手続をしなければならぬというような関係になってきているわけであります。従って地方税法の一部改正は、どうしてもこの国会会期中に参議院を通過するような運びにならないと、地方団体としては非常に事務に支障を来たすということになろうかと思うのであります。そこでこの地方税法審議を一体どのようにするかについて、私どもとしては非常に心配をいたしておるわけであります。従ってきょうは委員長がお見えではございませんが、一つ税法審議というものについての打ち合せといいますか、そういうものをできるだけ早くまとめていただくことがこの委員会としても当然の仕事ではないか、このように考えますので、一つそのようなおはからいをいただきたい。以上委員長代理お願いをいたしておきます。
  4. 加賀田進

    加賀田委員長代理 北山委員にお答えいたします。地方税法の一部改正案は、御存じのように小委員会付託となって今審議中であります。なお交付税改正に対しましてもまだ結論が出ていないという状態でございますので、後日理事会を開きまして、北山委員の希望に沿うようお諮りいたしたいと思いますから御了解を願いたいと思います。
  5. 北山愛郎

    北山委員 なおこの点については、先ほど申し上げましたように、地方税法改正がすみやかに決定をしなければ、政府としても困るのではないか、かように考えるわけでございます。しかも地方税法は、今までよく参議院に回ってから、さらに参議院修正をされることが多いのであります。そうしますと、また衆議院の方に戻ってくるというようなことがございますから、従ってこの審議についても多少の時間的な余裕も考えておかなければならぬのではないか、こう思うのでございます。なおこの地方税法改正案がもしもこの国会で上らなかった場合、政府当局としては非常に困る点が幾つかあると思うのですが、どういうような点が困るか、税法全般について、改正案についてこの点は差しつかえない、この点は困るというような点があると思うのですが、これについて一つ自治庁の方からお伺いいたしたい。
  6. 後藤博

    後藤政府委員 地方税そのもの改正は多少遅れても、そう私は財政的に影響はないと思います。ただ道路譲与税が遅れて参りますと、たしか七月に公布することになっておったと思いますが、従ってその関係交付が遅れるということになると思います。従ってその限りにおいて財政的に府県が困るというわけであります。
  7. 加賀田進

  8. 坂本泰良

    坂本委員 まず最初に前回から問題になっております退職公債の問題でもう少しお聞きしたいのですが、大体政府が予想されているのは、退職手当債が三十億、一般退職手当債が三十億、この基準について、大臣提案理由説明によりますと、昭和二十八年度決算においては都道府県の約八割、市の約七割、町村の約二割に達する千七百二十四団体が実質上の赤字決算を行なっている、こういうような説明があったのですが、こういうような赤字団体をどの程度予想されて退職手当債の二十億を予定しているか、その点をもう少し御説明願いたい。
  9. 後藤博

    後藤政府委員 赤字団体の中で再建整備をやりますもののうち、退職金の負債がどのくらい必要であるかということは、なかなかむずかしい問題でありまして、これからやるところでありますので、私どもとしてははっきりした根拠はないのでありますが、大体三十億ぐらい最初から要るのではないが、これは従来の経験からいたしまして、一、二の都市ですでに要求しているところがございますので、そういうところから判断をいたしまして、大体三十億ぐらいは要るのではないか、こういうふうに考えたわけであります。こまかく何人の整理をするからこうというものではないということは、先日申し上げた通りであります。
  10. 坂本泰良

    坂本委員 そうしますと、一、二の要求があるからそれによって大体の予想で三十億にした、そういうことですか。
  11. 後藤博

    後藤政府委員 従って私どもは、三十億の起債が不要であります場合には、それは再建整備債の方に振り回していきたい、かように考えているのであります。
  12. 坂本泰良

    坂本委員 それではこの一般退職手当債の方に三十億振り向けてありますね。この方の基準はどういうふうに……。
  13. 後藤博

    後藤政府委員 そちらの方の三十億というのも、別にこまかい基礎があるわけでございません。これは主として町村合併等に基きますところの退職者資金が各市町村が三百万、四百万ぐらい要るので、非常に困る。従ってそれを起債に直してもらいたいという要求が昨年からあるわけであります。そういうものをわれわれが想像いたしまして、大体三十億ぐらいでまかなえるのじゃないか、こういうふうに考えまして、一応三十億という数字を出しているわけでございます。
  14. 坂本泰良

    坂本委員 自治庁がこういうような基準と申しますか、案を出したからすでに各府県では四月の選挙後の県議会において各府県整理案のようなものを作って、そしてすでに起債申し入れをしたということを聞いているのですが、そういうのがあるかないか、あったらどういう程度なのか、その点をお伺いしたいと思います。
  15. 後藤博

    後藤政府委員 二、三の市町村がそういう要求をいたしておりますが、これは法律が通らなければ申請はできないのでありますから、私どもはまだ正式な手続はとっていないと思います。ただ町村合併の結果等ではっきり退職金所要額がわかっておるところがございます。そういうところは早いところ連絡しておいてもらいたいということを私どもは申しておりますけれども、まだ正式な手続として申し込んではいないのじゃないか、かように考えております。
  16. 坂本泰良

    坂本委員 もちろん法律が通らなければ確定はしないわけですが、すでにこういうことを見越して、町村合併以外のところで四月選挙後の県会において整理案を作って二百名とか三百名とかの整理をするからそれに対する退職金起債が一億とか二億とかいるという案を立てて、すでに自治庁に申し込んでおるところがあるのではないかと聞いておるのです。もちろんそれは法律が通ってからの予定だろうと思うのですが、そういうことを自治庁で指導しておるかどうか。それからそういう届出があるかどうか、あったらどういう程度届出が現在出ておるか、それを聞きたいと思います。
  17. 後藤博

    後藤政府委員 ことしの当初予算の編成をした後に、いろいろ退職金起債はどの程度認められるのかというようなことで相談に来られるところはございます。しかし私どもの話では退職金総額を必ずしも起債に持っていかなくてもいいのではないか、しかも当初に整理をいたしますると、その財源が相当余るわけでありますから、従って各団体財政力によっては必ずしも全額を認めなくてもいいのじゃないかという気持が一部にありますので、府県市町村要求を当初予算に基いてやっておりますけれども、別に正式にこれだけどうしても貸してくれというところまで話が現在きておるようには考えておりません。ただこの程度整理でこの程度の金が必要であるということだけは、ある程度どものところに言ってきておるところはございます。
  18. 北山愛郎

    北山委員 その退職手当債について、一般退職手当債が三十億、それから赤字団体の分が三十億、そういう金額を推定したのは、従来申し入れがあったのを参考にしてみればそのぐらい要るであろう、こういうお話でありますが、そうすると、大体その従来の実例参考にするというのはどういうふうに参考にしたか。少くとも一人当り単価がどれぐらい要るだろうか、人数はどれぐらいの人数に上るか、これが従来の実例から推して三十億なら三十億を算定する場合に、普通論理考えられる算定基準だろうと思うのです。こういうことでお考えになったのですか。
  19. 後藤博

    後藤政府委員 整理をいたします場合に、普通退職にするか、整理退職にするか、もう一つ勧奨退職がありますが、そのどれにするかによって非常に額が違ってくる。普通の退職じゃなくて、整理にするか勧奨にするかということになると思いますが、それによって金が非常に違って参りまして、どれを中心にして計算をするかという見当が実はつかないのであります。従ってこれまでやりました地方団体退職金の量を毎年特別交付税のときに一応資料をとっておりますが、その資料はもちろん勧奨退職以外の普通退職も入っております。そういうものを従来から毎年特別交付税資料としてとっておりますので、そういうものから大体判断いたしまして三、四十億は要るのじゃないか、こういう判断をわれわれはしたのであります。従って内容勧奨退職幾ら整理退職幾ら自然退職幾らというこまかい区分をしてやっておるのじゃございません。退職金総額だけを見て今までいろいろな資料に使っておりますので、別に一人当り幾らというような基礎の上に立ったものではございません。
  20. 北山愛郎

    北山委員 しかし少くとも従来の実績なり何なりを踏み台にして三十億なら三十億という具体的な金額を見込む以上は、それを媒介にする要素があるはずなんです。ただ今まで大体一人当り幾らになっておる、あるいは何人くらいになっておる、そういうふうな要素を積み上げて三十億という推定をする、何らそういうことなしに実情から判断をするというようなことはちょっと考えられないですが、一体どういうふうな判断の順序をとるか、私らはどうしたって予算を組む以上は単価と数量を見なければならぬと思う、これが普通の常識なんです。ですから従来の実績がならして一人当り二十万円なら二十万円、そうすると人員としてはどれくらい、こうしてこれを積算したものが予算になるのが普通なんです。そういうやり方をやらないで、一体三十億というものを従来の実績から推して別などういうやり方積算をしたか、それを伺いたい。
  21. 後藤博

    後藤政府委員 先日も申しましたように、一種の単独事業起債のようなものでありましても、一定のものを基礎にしたものではないのであります。従って起債を認めます場合に、単独事業起債もそうでありますが、大体幾らくらいあったらいいかという判断をするわけであります。これは従来の経験基礎にしてまた従来のいろいろな実績基礎にしてやるわけでありますが、この間申しましたように三十億から大体六、七十億、多いときは百億も要る。たとえば東京なんか非常な整理をする場合に起債を認めることになりますと、すぐ十億くらい要ることになります。従ってそういうところまで考えていけば百億くらい要るのじゃないかという計算が出るのでありますが、しかし私どもとしては町村合併中心にした団体退職金、それから特殊な再建整備団体等起債を優先的に認めていきたいと思っておりますので、百億も要らない、百億と三十億の間のどの辺できめるかという判断の問題になってくるのであります。そういう意味で六十億という線を一応出しました。これは大蔵省と話し合いの途中に六十億という数字が出ましたので、そっくりそのままのんでしまったのであります。これが正直な話であります。従ってその六十億の中をどう割るか、これも再建整備団体市町村関係に分ける、こういうことになりましても別に根拠があるわけじゃございません。従って一応半分半分に分けておこうというのが実情でありまして、こまかい計算の上に立ってこれを分けたわけではないのであります。従って先ほども申しましたように、この起債が余れば、再建団体再建債の方に回していきたいと私ども考えておるのであります。
  22. 北山愛郎

    北山委員 そうしますと、腰だめ的な一つ見積りである、こういうわけでありますから、六十億なくても十億でも、あるいは足りない感じがするかもしれませんが、一応十億でも見積り上は差しつかえない、こういうことも言えるわけですね。それからもう一つは、六十億を見込んだ以上は、この法案が通ってしまえば六十億をお使いになるだろうと思うのですが、六十億でどの程度人員を首切れるという見込みでございますか。
  23. 後藤博

    後藤政府委員 これも先ほど申しましたように、整理退職にするか勧奨退職にするか、その方法によって整理の仕方が変ってくると思います。従って普通退職ももちろんございましょうし、普通退職整理退職勧奨退職、そのやり方によって内容が変ってくる、こういうふうに思っておりますので、何人首を切るという数は出てこないんじゃないかというふうに考えております。しかしどういう方法であろうとも、退職金の額はできるだけ多く見ていこう、実際の支出額に近い数を見ていこう、こういうような考え方でおるわけでございます。
  24. 北山愛郎

    北山委員 川島長官にお伺いしますが、この前もこの話が出ましたが、今度の再建促進法による再建債及び首切り退職手当債、この割合は政府資金に関する限りは再建赤字分については五十億、退職手当、すなわち首切り退職金の分については六十億、こういうように退職手当の方にウエートを置いておられる。そこで従来の赤字に対する手当であるというふれ込みでございますが、むしろ将来における首切りのところに重点を置かれておる。私どもはこれは適当でないと思う。特に六十億のうち三十億は赤字を出さない団体が首を切る場合に金を貸してやろうという分であります。従って積極的な行政整理のために金を貸すものとして、三十億をなけなしの起債のワクの中から特にそういう分だけをとっておる。こういう点はむしろこの再建促進法の根本の精神からは逸脱しているんじゃないか。むしろ重味を間違った方へかけているんじゃないか、こういうふうな印象を受けるし、大臣もこの前の委員会では御自身もそういう感じがするというような印象お話しになったわけであります。従って一つこの際お考え直しをいただいて、この六十億というものは——赤字債の方がたった五十億なんですから、政府資金の方はそっちの方へ回していただく。五百八十六億という大きな赤字がある。それに対して二百億の再建債ですから非常に足りない。しかもそのうち政府資金はたった五十億なんです。従って赤字振り当ての分としてはまことに少い、不足していることは明らかなんです。ですから一つその退職手当の分を再建債の方へ全部お回しになるというようなお考えはないかどうか、あらためてお伺いをいたします。
  25. 川島正次郎

    川島国務大臣 北山さんのお話は御意見としては一応ごもっともの点があるのでありまするが、政府資金再建債五十億でありまするけれども公募債百五十億、それに対しては利子補給をいたしまして、三十一年度からはこれを政府資金に振りかえるということをはっきり法文にもうたってあるのでありまして、私どもは総計二百億でもって地方財政再建促進を出発したい、こういうことをしばしば申し上げておるわけであります。二百億で足りないときには特別措置をするんだということも申し上げているわけであります。一方におきまして地方状況を見ますると、現に人員整理をしているところがあるのでありまして、そういうところではぜひ一つ人員整理のために要する費用は、特に政府資金でもって起債を許してもらいたいという要求がありますので、その要求にこたえる意味におきましても、六十億というものを整理資金として認めたわけでありまして、今度の再建促進法が決して首切りだけの意味でもって地方財政立て直しをやるのではないということを繰り返し御了解を得るために申し上げておるわけであります。地方の現状というものはこの程度整理資金要求するのが実情でありますから、やはりこれはこのままお認め願いませんと、今日地方財政立て直しをやろうというその企図に当てはまらぬことになるのでありまして、私といたしましては、ただいま御審議願っております法案のままお認め願いたい、こういうふうにお願いをするわけであります。
  26. 北山愛郎

    北山委員 私が申し上げました趣旨はもっともだというふうに大臣も御賛成になっておられる。しかしおそらく政府としては一応案としてはこういうように出したのであるからこれでやってくれ、こういうお考えであろうと思います。しかしただいまお話再建債について、公募債の百五十億を、なるほど昭和三十一年度以降において政府資金に振りかえる、こういう規定が入りました。けれどもこれは確実に振りかえるということは書いてないのです。政府資金状況にもよる、昭和三十一年度以降なるべくすみやかにやるんだというようなことで、ただ抽象的に書いてあるだけだから、はたして三十一年度でどのくらい政府資金に振りかえられるかどうか、これも怪しいものだと思うのであります。私大臣を信用しないわけではございませんけれども、しかし政府の中にはやはりこわい大蔵省というものも控えておる、大蔵省政府資金都合でこれはだめだとこう言われれば、これは川島大臣いかにがんばっても今までの情勢では自治庁は負けてしまう、そうすればこの百五十億の公募債がいつ政府資金に振りかえられるかということもまことに危なっかしい話なんです。確実なのは五十億の政府資金だけなんです。ですからこれは五百八十六億の赤字に対して不足であるということはもはや明らかなんです。だからそういう際にそういう赤字充当分が大きな不足を来たしておる際に、しかもどのくらいかかるかわからぬというような積算の十分な基礎のないようなものを、退職金だけは六十億を見ておるということは、私は何といっても重点の置き方が違うのではないか、間違っておるのではないか、なるほど団体によっては一つ整理をする退職金資金がほしいという団体もあるでしょう。しかし政府がこれに対して六十億ものものをここにもう初めからきめておくということは、どうも私は大臣のお考えと実際の措置とは食い違っているように思われるのです。従って大臣は私の申し上げたことはもっともだというふうに賛成なさったのでありますから、政府としては原案を提案した建前上、これを変更するということは言えないわけです。従ってこの国会の方で適当にこれを改善するということについては、大臣はどのようにお考えでございますか、やはりあくまで原案の方がよろしいという確信をお持ちでございますか。
  27. 川島正次郎

    川島国務大臣 公募債の百五十億を三十一年度におきまして政府資金に振りかえるということは、これは先般当委員会要求によりまして大蔵大臣が出席した際に、大蔵大臣から特にこれは言明しておるところでありまして、法文には財政の許す限りと書いてありますが、これは来年の投融資をこの法文で今から縛ることは困る、こういう意味がありまして一応こうやってありますけれども、これは確実に振りかえるのでありまして、このことについては私だけの考えじゃありません。大蔵大臣もはっきり言明をしておるところであります。私が北山さんの御意見もっともと言ったのは二百億じゃ足りない、もっと政府資金が要るんじゃないかという点に私は賛成をしたのでありまして、整理資金として相当の地方債を必要とすることは、これは各地方団体要求でありまして、その要求にこたえる意味におきましても、この程度整理資金起債を許すことは必要であろうと考えておるのでありまして、これは単に自治庁独自の考えではございません。現在の各地方団体がこういうことを要求しておりますから、こういう起債を認めよう、こういう見解になったわけでありますから、私といたしましてはこの原案通りお認め願いたい、これを重ねてお願い申し上げるわけであります。
  28. 坂本泰良

    坂本委員 そこで今の退職公債の問題ですが、こういうような政府原案が出てから、この再建団体に入らない府県でもすでに整理案というようなものを作って、そして一般退職金手当の債券の申し込みをする、こういう案を出したから、首切りを督励するような結果が出ているのをわれわれは非常に遺憾としておそれているわけであります。私、まだはっきり答弁を伺いませんでしたが、現在どれくらいの要望が出ておりますか、この点わかっておればお答え願います。これは、新聞などに退職手当債申し込み自治庁に二億円提出したとか、あるいは一億何千万提出したということが出ておりましたのでお聞きするのです。
  29. 後藤博

    後藤政府委員 私は、予算の上で人員整理考えて、その予算財源とともに起債を掲げている、その関係でもってこの程度起債を予定しているという話は聞いておりません。しかし、整理は四月、五月にやってしまうわけではございません、おそらく本年度の十月、十二月ごろまでかかってどの府県もやるのではないかと私は思いますので、やはりその実績をある程度見きわめなければ起債の額というものは出て来ないのであります。従って、現在ではこの程度起債財源として組んでおるのでまあ一つ含んでおいてもらいたい、こういう意味申し出が現在あるのであります。これは予算を集計して見なければわかりませんが、個々に私どもはそういう話を聞いております。その予算財源組み方起債組み方について、大体こういう組み方をしておるという話を私どもにしているのでありまして、現在どの程度起債要求しておるかということは、もちろんそういう申請も出ておりませんし、申請が出るにしましても、年度半ばを過ぎてから出てくるのではないか、こういうふうに考えております。
  30. 坂本泰良

    坂本委員 そういたしますと、新聞なんかで起債申し込みをしたとかいうのは、まだ自治庁としてそういうことはないわけですか。
  31. 後藤博

    後藤政府委員 私どもとしては、退職金に伴う起債の取扱いについて、別にこういう基準でもってやるというこまかいことはきめておりませんので、手続をしたというのは、単に申し出をしたという程度のことではないか、私はこういう判断をするわけであります。
  32. 坂本泰良

    坂本委員 いや、私は申し出を聞いているわけです。というのは、こういうのを自治庁が発表するものだからこぞって各府県申し出をする、それがひいては人員整理の誘発になる、こういうことをおそれている。われわれは、事務の渋滞、事務の遂行と並行して人員整理はやらなければならぬと考えているけれども事務の渋滞とか事務の遂行ということは第二にして、こういう三十億の一般退職手当債が出るというので、すでにそういう態勢を整えて、そしてそれを理由にして申し出をしておるということを聞くから、それが人員整理の誘発になることをおそれているのであります。その申し出はどれくらいあるかわかりませんですか。
  33. 後藤博

    後藤政府委員 申し出総額をまとめたものは現在ございません。
  34. 坂本泰良

    坂本委員 これ以上追及してもあれでしょうが……。  次は、まだ結論を得ておりませんこの間の続きですが、財政再建計画案によって、帰するところは収支の均衡を回復しなければならない。収支の均衡を回復することになれば、やはり財政計画として、滞納者に対する重圧になってくる。従って、現在地方住民の担税能力は限度に来ておるのに、さらに差し押え並びに競売という滞納整理が強行される、もう強行せざるを得ないことになると思うのです。それに対してどういう考え方をしておられるかまずお聞きしたい。
  35. 後藤博

    後藤政府委員 私どもといたしましては、すでに滞納になっておりますものをある程度徴収いたしますことは当然なことではないか、かように考えているのであります。いろいろ個々の納税者の側に立ちますれば事情はもちろんあると思います。しかし、すでに納めた人との均衡上の問題がございます。しかし納めだ人との均衡上の問題がありますので、まず最初にそういう未納のものの整理をしていくということを最初考えるべきことでありまして、そういう意味で私どもはこういう標準を設けたのであります。ただその場合に、何もかも全部取ってしまうというのではなくして、滞納の場合にある一定の水準までしか取れないことは従来の実績でわかっております。従って、滞納の場合には、従来の滞納の大体四〇%程度以上徴収をやってもらいたい、こういうふうな方針で行きたいと考えているのであります。
  36. 坂本泰良

    坂本委員 四〇%以上の成績をあげるためには、やはりここに徴収計画を立てて、そうして、それに対して再建団体申し出をする場合に、その計画を立ててしなければならぬわけです。従って、そうすることになると、結局地方団体赤字の責任を、帰するところ人件費——人員整理と滞納者——滞納者にもいろいろあるでしょう。しかしながら、ずるくて納めない者もあるでしょうが、実際その能力がないために滞納しておるのを徴収計画によって強行されるということになれば、家財道具から家族のものまでも差し押え、競売される、こういうような結果になる。そういたしますと、この再建計画は、結局住民の責任においてこれを負担する、住民に負担転嫁ということになる、再建整備法が企図している地方赤字団体の整備計画は、そういう一般住民の責任に転嫁されるということになる。その点を非常におそれているわけなんです。従って、今申されたように、徴収計画は現在の滞納の四〇%を目標にしているということになるわけですか。
  37. 後藤博

    後藤政府委員 従来の地方の滞納整理状況を見ておりましても、これはいろいろな滞納の事由がございます。従って、これを完全に徴収するということもなかなかむずかしいことであります。従って、徴収計画を立てます場合に、大体四〇%を越す計画であればいいじゃないか、百パーセント取れということは、申しましてもそれは無理でありますから、そういうことは要求するつもりがないのであります。四〇%を越す滞納整理の計画をすることがやはり必要である、そうすることが他のすでに納めております人々に対しての関係におきましてもやはり必要である、かように考えておるのであります。
  38. 坂本泰良

    坂本委員 そうしますと、再建団体申し出をする場合は、今の四〇%の徴収計画を立てておればそれで承認するということになるのですか。
  39. 後藤博

    後藤政府委員 四〇%以上の計画であれば私ども認めようと思っております。
  40. 坂本泰良

    坂本委員 そうしますと、結局四〇%以下であれば承認できないということになるのですか。四〇%以下であれば、やはり四〇%以上になるように変更の勧告をされるということになるのですか。
  41. 後藤博

    後藤政府委員 私の申し方が少し悪かったのでありますが、個々の税目によって滞納整理が非常にむずかしいものと、そうでないものがございます。従って平均して大体四〇%以上、額にして四〇%以上の計画があればよろしい、個々の税目についての滞納整理の率は必ずしも四〇%でたくても、私はその場合だって認めてもいいのではないか、かように考えておりますが、額の総平均は四〇%以上になるようにしてもらいたいということを考えております。
  42. 坂本泰良

    坂本委員 そうでない場合は変更させるのですか。
  43. 後藤博

    後藤政府委員 その団体実情にもよりますので、必ずしもそれはやかましく言わないつもりですが、あまりに低いと、私どもはやかましく言いたい、言うことに相なると思います。
  44. 坂本泰良

    坂本委員 結局絶対の基準ではないということになるわけですね。それでわれわれはこの再建計画は住民の負担に転嫁するものであるというふうに考えるわけですが、そこでもう一つの問題は、利子補給の問題です。利子補給はわずか二分に相当する金額再建団体に補給する、こういうことになっているのですが、これはほかの炭住資金の利子の値下げの百五十億より上か下かとか、あるいは造船利子に対して三十五億の利子補給をしたとか、こういうような点と比較いたしますと、一般民間団体に対しては国家は勇敢に百五十億も利子の値下げをして、炭鉱経営者に対してはすでに納めておるのを返還をしたというような事実があります。造船自身についてはスキャンダルを起したのですが、三十五億も法律でそれを抹殺した、こういうような点から考えると、この再建整備法による利子の補給額の二分というのはあまりにも少額であり、スズメの涙のようなものではないかと考えるが、この点についてはいかがですか。
  45. 後藤博

    後藤政府委員 再建整備をやります場合に、再建債利子補給幾らにするかという問題がありまして、全額利子補給から、いろいろ率があるわけであります。私どもいろいろ検討いたしました結果、黒字団体との均衡もございますので、あまりに利子補給のワクを大きくしますと、逆に赤字の奨励にもなるおそれがあるというふうな意見もございますので、私どもといたしまして二分程度がいいだろう、つまり政府資金とそれから公募債の私どもが銀行協会と協定しております八分五厘との差額の二分程度がいいだろう、こういうことで話を進めたわけであります。
  46. 坂本泰良

    坂本委員 そういたしますと、二分の利子補給については、大体どれくらい予想しておられますか。
  47. 後藤博

    後藤政府委員 二分の利子補給を大体三カ月——私どもとしては、十月から始まるだろう、従って十月から六カ月でありますが、だんだん再建債申し出が多くなって参りますので、平均いたしますれば三カ月分見ておけばいいのではないか、こういう意味で七千五百万円の予算を組んでおります。
  48. 北山愛郎

    北山委員 この地方財政赤字に対して、わずかに予算上七千五百万円のスズメの涙ほどの利子補給、これだけが政府が責任を負っているものであります。あとの金を再建債を貸すとか、あるいは首切り起債を許すとか、そういうことは借金した金を貸してやるというだけであって、しかも昨年度地方債のワクの中からその分を再建債として取ったということは明らかなことであります。従って、今度の再建促進法の中で、政府が自分の方で財政措置をしたというのはわずかに七千五百万円である。そういたしますると、これは前にも話が出たのでございますが、鳩山内閣が地方財政白書の中で明らかに認めている地方財政赤字の原因というものの中には、今まで政府が支給した補助金の単価が不当に安いとか足りないとかいうようなことを明らかに認めているのですが、その分については一体政府はどういうふうに措置をなさるおつもりであるのか。政府の責任、国の責任であると明らかに国が認めている分が相当あるはずでありまして、これは大臣も明らかに認めておられるのだが、その分については一体どういう補償を国はなさるつもりであるのか、これについてお考えをお聞きしたい。
  49. 川島正次郎

    川島国務大臣 補助金の将来につきましては、この法案の中にもありまするが、再建団体につきましては特に補助率を引き上げることになっております。そういう点もこの再建促進法一つ意味がある点でありまして、今年度七千五百万円だけの意味ではないのであります。今後の補助率についても、再建団体については相当高率な補助金を計算することになっているわけであります。
  50. 北山愛郎

    北山委員 それは将来の事業の分についてのことでありまして、過去において政府が出しております地方財政赤字というものは、今までの地方財政赤字である。政府が認めている補助金が不足であったということは今までの分であります。その今までの分について何らの措置もしていないじゃないか、それについてはたった七千五百万円だ、こういうことなんですが、将来はともかく、今までの明らかに国が責任を負うべき地方財政赤字に対して政府はどう措置されようとしているのか、こういう意味であります。
  51. 川島正次郎

    川島国務大臣 これは再々申し上げておるのでありますが、とりあえず三十年度におきましては、現在の予算なりまた法案なりの措置によって地方財政立て直しをはかりまして、地方財政をすっきりした姿にして、三十一年度におきましてはこれに対して必要なる費用を見よう、こういうわけであります。それを交付税交付金による引き上げによるか、あるいはたばこの益金から繰り入れるのか、あるいはその他の税源措置をするのかということは、これはまだ残された問題でありまするけれども、三十一年度においては不足分はこれを見ようと考えておるのでありまして、毎回申し上げるように、地方財政立て直しは三十年度、三十一年度年度にまたがって政府の施策をしよう、こういうことでありまして、その一環としてただいま御審議願っている法案を出したわけであります。
  52. 北山愛郎

    北山委員 しかしそれは順序が逆じゃないかと思うのです。今問題になっているのは、政府が明らかに地方財政法に違反し、そうして当然地方団体に与えるべき補助金というものが不足しておる、これがまた赤字の原因であるということを鳩山内閣自身が財政白書の中ではっきり認めている。これを問題にしなければならぬのであって、それを補うのは将来地方団体がすっきりした形になってからやるのだということは逆じゃないか。むしろ過去において国が責任を負うべき部分についての措置をしなければ地方財政はすっきりしない、その話の順序が違うのじゃないかと思います。国が、自分が当然負うべき責任を今まで負わなかった、それをはっきり認めている。しからばその分についてほこれを切り離して、この際地方財政が苦しい際であるから、今までの国の方の措置不足分については、これは当然やるべきである。これをどういうふうにして再建促進法案の中に考えておるか、これをやって地方団体がすっきりした形になってから、何らかの措置をしようというのは話が逆じゃないかと思うのです。ですから、この促進法の中で国が責任を負う分はたった七千五百万円。従来たとえば中学校の建築にしろ、あるいは住宅の建設にしろ、当然必要な金額に足りない分を補助として出しておる。災害の復旧工事についても不足な補助金しか出しておらない。やむを得ず地方団体は仕越し工事をやって、そうしてそれを間に合しておる。これが赤字の原因になっておるということをはっきり政府は認めておられる。しからばこれは過去の問題でございますが、これに対して国は当然補償しなければならない。なぜならば地方財政法の第十八条に、こういう補助金とか負担金を計算する場合には必要にして十分な金額をやらなければならぬとはっきり書いてある。地方財政法第二条にも、余分な負担をかけてはならないということも書いてある。こういう法律を今まで国の方で守っておらない。違反しておるのです。これは何らかの措置でもって、地方財政に対して国は当然負うべき責任を負わなければならぬ。ところが今回の中には七千五百万円しか入っておらぬ。これで今までの分を補っていると言えるのでございましょうか。また地方団体がこの再建促進法によってすっきりした形になってからという話でありますが、なぜなってからでなければ政府が責任を負えないのでございましょうか。むしろ政府が、今までやった国の責任である分にについて地方財政に補ってやらなければ、すっきりした形には私はならないと思うのです。今の大臣のお考えはむしろ話の順序が逆じゃないか、こういうふうに思うのですが、重ねてお伺いいたします。
  53. 川島正次郎

    川島国務大臣 地方財政全体を見ますと、赤字の出た原因は、補助金のつき方その他国の責任において解決しなければならぬ問題もありますし、また地方財政運営の面が拙劣でありますとか、自己の負担能力以上のいろいろな事務をやった等、地方の責任において解決しなければならぬ問題もあります。従いまして全体的に地方財政の問題を取り上げて申し上げれば、これは国と地方の両者の犠牲、責任において解決すべき問題でありますが、再建団体のような種類の団体は、なるほど国の責任もありますけれども地方の責任も他の団体に比べてよほど重いのでありまして、同じような規模の地方団体に比べてみて、一方は健全財政の黒字であるし、一方は放漫財政赤字であるというところもあるのでありまして、そうした財政の運営がまずくて赤字が出たところにつきましては、特にその地方団体の反省を求めなければならぬわけでありまして、そういうところに対しましては、この再建促進法が成立しますれば、この適用によりましてみずから財政立て直しをやりまして、新しい財政の運営方法によって財政を運営された場合に、さらにその上に不足の給与なり事業費なりを見よう、こういうのでありまして、私はこの姿で行くことが地方財政というものを健全化する方法だと考えます。ここで若干の金を地方に回しましても、それは多くの費用の中に埋没してしまいまして、依然として赤字立て直りはできないのであります。一応全体がすっきりした姿になった上に、これに対してさらに必要な経費を見ようということが、地方財政立て直しするいい方法じゃないか、こう考えておるわけであります。
  54. 北山愛郎

    北山委員 地方団体赤字の責任の一半があるということは私も否定はいたしません。けれども大臣のような御答弁であるならば、私はこの地方財政赤字の責任は国の責任が幾らあって、地方の責任が幾らあるか、どういう点が地方財政の放漫な点か、それを抽象的にでなく、はっきりと数字的に資料として出していただきたい。そうでなければ、このようないいかげんな再建促進法案を審議するわけにはいかぬと思うのです。国の方にも責任があるが地方にもございます。まずもって地方に遂行してもらわなければならぬ、そんな漫然としたことではいかぬと思う。少くとも鳩山内閣がことしの三月に出した地方財政の白書の中にはこういう項目を掲げて赤字の原因が書いてある。そこには地方財政放漫というようなことはほとんど書いておらない。的確に、まず給与については給与の財政計画上の単価と実際の給与単価が違うというように客観的に書いてある。地方団体が給与をやり過ぎておるというふうには書いておらない。それから次には政府の補助する単価が安過ぎて地方が継ぎ足しをしてその補助の足りない分を負担しておるということも書いてある。その次には災害が非常に多くて、その災害の負担のために赤字がふえておるということも書いてある。あるいは国や府県、上級の地方団体に対する法律に命ぜられておる以外の寄付金、負担金が多くて、それが赤字の原因になっておるということも書いておる。また次には公債費の負担が多くなって、借金の元利償還が非常に多くなって、これも赤字の原因になっておる。こう書いてある。われわれもそうだと思う。そういうおもな地方財政赤字の原因、しかも鳩山内閣が正式な文書でもって国会に報告をした、その赤字の原因について、どの部分が一体国の責任であるか、どの部分が地方団体の責任であるか、これを明らかにしてもらいたい。たった七千五百万円の利子補給だけでは国の責任はおさまらないと思う。一体今まで補助単価がどのくらい安いために、地方財政にどのくらいの負担をかけておるか、あるいは災害復旧に対する補助金がどのくらい足りなくて地方財政がどれだけの負担をよけいこうむっておるか、これだけの資料をはっきりお出しを願いたい。
  55. 川島正次郎

    川島国務大臣 あの地方財政白書に書いてあります赤字の原因は、先般申し上げたのでありますが、地方団体の全体を通覧して最大公約数として取り上げたのがあの事項であります。しかしながら六千有余にわたる地方団体でありまして、赤字の原因はみな個々違うのでありまして、これを一概にどのパーセンテージだということは申し上げられないのでありまして、それは一つ一つの県なり市町村なりについて検討しなければ、そういうことは出ないのでありまして、ここで北山さんの仰せのように幾%が国の責任である。幾%が地方の責任であるということは、ここでお答えするだけの材料もありません。
  56. 北山愛郎

    北山委員 それならばお伺いしますが、今度の促進法の、全体の赤字再建債として二百億とかあるいは利子補給として七千五百万円とか、それは全国的な地方財政赤字対策でしょう。今大臣お話通り個々の団体によって事情が違うというならば、個々の団体について全部別な法律を出していらっしゃい、こういうふうに言わざるを得ない。少くともこの再建促進法は全国的な地方財政一般的な赤字対策として鳩山内閣が出したものでしょう。今のお話のようであるならば、全体的なことは何もわからぬということである。それならば個々の団体について、Aの団体、Bの団体、個々に対策が違わなければならぬのでありますから、個々の団体にみな合うような法律をたくさん作るべきがほんとうである、一般的なこういう対策は出ないはずです。だからそういうふうな御答弁では、私はほんとうに誠意のある答弁とは言えないと思うのです。赤字原因というものもやはり個々の団体によって違うでしょうが、やはり共通しているものがあるから、その共通しているものを鳩山内閣はあの財政白書で取り上げて書いたのだろうと思うのです。もしもあなたのお話通りであるならば、団体一つごとにその赤字原因を書くべきであって、ああいうふうな報告は出してこれないはずです。全く御答弁は矛盾していると思う。私はなるほど赤字原因について政府の責任が幾らであるか、あるいは地方団体の責任がどのくらいかということは、はっきり数字的に分解がつかないということは了承しますけれども、そのおもなものについてははっきりしていると思う。大体の数字というものは、たとえば補助単価について、あるいは国庫補助職員について不足分が幾ら、今までの累積が幾らというような数字は出ると思う。六・三制の中学校においても出ると思う。そういうものはある部分は私は出せると思う。それを一つ資料としてお出しを願うように要求をいたします。
  57. 後藤博

    後藤政府委員 おっしゃいますような資料は、補助職員等については私はある程度できると思います。しかし投資的経費につきましては、これは私どものところではそういう資料はなかなかできないのであります。市町村が任意でやったのがいいか悪いかという問題の判断からしていかなければなりませんし、あるいは認証額自体にまで入っていきませんと、実は私どもはそういう資料を作ることができません。従ってそういう資料を作りたいと思いましても、なかなかそう的確に国と地方との責任を明確にするようなものが出てこないのであります。今回の再建法ではそういうはっきりしないところはもちろんあるのでありますけれども、国と地方の責任の不分明なところは一応そのままにして、そうして一応従来の赤字をたな上げしていこう、将来の赤字の出ないような措置をやはり並行して今明年度に講ずることによって措置していこうという考え方でありまして、ただ利子補給の額が少いということ、あまり多くないということは私ども認めておるのであります。しかしこれを多く認めていけばいくほど、今度は黒字の団体との均衡の問題ができて参ります。従ってどの辺でその線を引くかという問題に悩んでおりますが、一応ああいうことになったのであります。もちろんこれは赤字団体側から申しますれば不満足の点があろうと私は思います。しかし一方黒字団体の側から申しますれば、そういう赤字を出した団体に特別な国家の援助を厚くするということにつきましてはまた異論があると私どもは思います。従ってどの辺で線を引くかということがやはり問題だろう、私はかように考えておるのであります。
  58. 加賀田進

    加賀田委員長代理 門司君。
  59. 門司亮

    ○門司委員 今の答弁ですが、非常に大きな矛盾だと私は思う。赤字団体と黒字団体との均衡をとるために、補助率はなるたけ少い方がいいというようなものの考え方は大きな間違いだと思う。地方といっても、国の一つの総合的の施策を行なっていく団体であることに間違いはないのである。従ってもし今のような御答弁だとすれば、国の事務、あるいは国に関係した事務というようなものが一体どれくらいあるのか。従って固有の事務だけをやっておればあるいは赤字は出なかったかもしれない。しかし国の方から命ぜられた仕事というか、あるいは国に関係のある仕事というか、そういうものが考えられなければほんとうの数字というものは出てこないのであります。従って概括的に考えていくと、今日の赤字の原因が国の行なっておる施策に基くものであるならば、これはそういうしんしゃくは要らぬと思う。少くとも地方赤字であるなら国がこれを見ていくということはやはり正しいと思う。だから、私はそういう観点に立って二、三のものについて数字的に少しお聞きをしたいと思います。たとえば国の補助政策でありますが、これを二十八年度決算においてみると、大体国の補助額というものが二千五百四十一億円余りになっておる、そのときの地方歳出総領は大体二十八年度が九千六百八十二億になっておって、地方歳出の二六%をこえております。この数字決算面からくる数字であるから大体間違いないと私は思う。ところが日本の地方財政がほぼ健全性を保っておったといわれる昭和年度の国の補助額というものは、当時の地方歳出の九・三%、一〇%に当っていない。その当時においては大体自主財源というものでまかなってやっていけておったから、こういう一つの補助政策というものはなかったのである。ところが二十八年度は、今申し上げましたように、二六%をこえる補助によって地方財政というものがまかなわれておる。従って自治庁の長官はこの国の補助政策が妥当であるとお考えになっておるかどうか。
  60. 川島正次郎

    川島国務大臣 門司さんのお話のように、戦前と戦後の現在とは、補助金額におきましても、補助すべき事業の内容においても非常な相違があります。ことに最近補助金のふえましたのは、厚生省の福祉関係などが多いのでありまして、そういうことは国際情勢なり国内の情勢の変化に従いまして当然必要な経費であります。私どもも現在の補助金の率そのままでいいとは考えておりませんで、補助金というのはやはり相当に交付すべきものだ、こう考えております。
  61. 門司亮

    ○門司委員 補助金は相当に交付すべきであるということは一応肯定されます。それを裏書きするものは国の施策がそういう行政を地方にやらせておるということになると思います。そういたしますれば、その国の施策に基く補助金である以上は、やはり補助金は実態に基く補助金でなければならないと思う。もし補助金が実態に即しない補助金であれば、その差額は当然国がめんどうを見るべきであると考えるが、長官はどうお考えになりますか。
  62. 川島正次郎

    川島国務大臣 補助金の率なり単価計算なりにつきましては、従来のやり方が必ずしも妥当だとは即断できないのであります。それでこそ私は毎回申し上げているのでありますが、今後補助金の率は一応大体法律できまっておりますけれども単価見積りについては修正をいたしまして、地方の負担が過重にならぬようにしようという方針をとっていることを御説明申し上げているわけであります。この点に関する限りは私は門司さんの意見に同感であります。
  63. 門司亮

    ○門司委員 もし自治庁長官がそういうことでお考えになっているとすれば、私はやはりその実態というものが今度の三十年度予算の中に現われていなければならぬと思う。それが三十年度予算の中には、そういう単価を上げているとか、あるいは実際に即するようなことがほとんど是正されていないと私は思う。もし是正されている点があるなら、是正されている点を一つ数字によって明らかに出してもらいたい。
  64. 川島正次郎

    川島国務大臣 補助金の決定は毎年おくれますので、私ども本年は特に早い方がよかろうと考えまして、先般関係閣僚にも特に注意を促してあるのでありまして、予算上の率なり単価はきまっておりますけれども、現実にこれを地方に支給する案というものはまだできておりません。その際にはこれを考慮しようということになっておるわけであります。
  65. 門司亮

    ○門司委員 私が聞いておりますのは、そういうことじゃございませんで、単価の問題です。一例を言えば、よくいわれておりますような木造で三万円なら三万円かかるところが二万三千円しか出ていない。しかし政府の方では、二万三千円でもできるところがあるから出したなどという変な答弁をしております。できるところはそれでいいが、できないところはどうするかという問題が残るのであります。だから、そういういいかげんな答弁でなくて、事実上どのくらいの単価の是正がされたか。たとえば鉄筋コンクリートのものでも七万円くらいかかると思われるものが——これは自治庁所管だけではなく、政府各般の建設省所管その他においてもこれが五万二千円くらいの単価しか見ておらない。そういうものが、今自治庁長官の言うように是正されているとするならば、去年の単価とことしの単価とを実情に沿うように数字的に明らかにしてもらいたい。たとえば人件費でも同じことです。これはこの前大蔵大臣に私申し上げましたが、たとえば農林省関係の農業普及指導員ですかの単価などについても、実際に支弁した額と政府から出ていくのと一人当り二万円以上違うわけです。政府から出している単価は基本給だけしか出していないが、基本給だけで人間が使えるとは毛頭考えられない。そういう実情に沿わないものが是正されているとするならば、その単価数字をここで明らかに示してもらいたい。自治庁で出せるなら出してもらいたい。
  66. 川島正次郎

    川島国務大臣 単価の決定は各主管庁がやるのでありまして、建設省にしてもあるいは文部省にしても厚生省にしても、それぞれ各官庁で今検討しておるのでありますが、政府といたしましては、単価の査定に当りまして地方財政が負担が過重にならぬということを考えて、これを今勘案をしておるのでありまして、まだその点は決定はしておりません。それから人件費につきましては、これは先般来申し上げたごとく、給与の実態調査が終りまして、その実態調査に基いて、どういうふうに、補助金を計算するかということをやりたいと思います。
  67. 門司亮

    ○門司委員 私はそういう補助金のことを言っておるのじゃないのですよ。政府の委託職員が地方に出ている。そういうのがあるでしょう。そういう数字は大体十一万あるいは十二万事実上あるでしょう。それについて、当然国が負担すべきと思われるものが、国から出るのが基本給だけくらいしか出ておりませんから、都道府県の知事が、それを指揮命令して仕事をさせようとすれば、勢い超過勤務を払わなければなりませんし、あるいは年末年始の手当も出さなければなりません。いろいろな問題で、結局地方負担が一人について二万円なり三万円なりよけい負担しなければならないことになっている。これは地方に国が委託した事務であって、当然国がめんどうを見るべきものを見ないから、そういう結果が出てきておるのである。だから実態調査なんか要りやしないのです。もし自治庁長官が、ここで地方の公共団体は、国から出ている費用以外に払ってはならないということを言明できるなら、そうしていただけば、地方の自治体は大体三十億か五十億助かるわけです。そのかわり政府から委託された職員の仕事は何もできないという結論が出る。そういう大胆なことは、自治庁長官も言明はできないのだから、従って言明ができないとすれば、財政処置で補っていくほかはない。その財政処置がことしどういうように補われようとするのか、数字が明らかになっておるならそれを一つ出してもらいたい、こういうことなんです。
  68. 柴田護

    ○柴田説明員 ただいまの御質問でございますが、住宅建築について予算上の単価が改善されておりますので、例といたしまして申し上げたいと思います。一種木造の単価は、昭和二十九年度は一戸当り三十三万四千円、坪当りにすると三万三千四百円であります。昭和三十年度はその単価が三万四千三百円、一種の中層耐火建築、これは一戸当りにいたしまして七十万一千円、十二坪でございますので、大体五万ちょっとになろうかと思います。同じものが昭和三十年度におきましては七十一万六千円に変っております。それから高層耐火建築、これは十五坪でありますが、昭和二十九年度単価は、一戸当りにして百十六万七千円、この単価昭和三十年度も大体同じであります。それから二種耐火建築でございますが、十坪で一戸当り単価が、昨年度は五十七万四千円でございますが、本年度は五十九万七千円でございます。学校建築については単価は変っておりません。  なお補助職員の単価につきましては、技術職員について去年よりずっと改善されております。ただいま具体的な資料を持ち合せておりませんので、後ほど資料をもって御報告いたしたいと思います。
  69. 門司亮

    ○門司委員 建築その他が多少緩和されたと言っておりますが、今自治体の一番大きな問題は、やはり学校の建築でなければならないのであります。その補助の一番多い学校の単価が改められていないというようなことについても、はなはだ私どもは納得がいかぬのであります。  その次に、これはあとでゆっくり聞かなければならぬことでありますが、この機会に聞いておきたいと思いますことは、自治庁考えております、大体再建整備を受けるであろうと考えられる団体の数がどれくらいかわかりますか。赤字団体の数はわかっておりますが、その中でどのくらいのものが、一応再建整備の対象になるか、市町村別、府県別にわかりますか。それからもう一つは、この法律に書かれている歳入ですか、歳入の一〇%以上の赤字を持っている団体というので、勧告のできる団体が大体どのくらいありそうなのか、その数字がわかっておりますか。
  70. 後藤博

    後藤政府委員 二百億の起債でもってまかなう団体は、数字で申しますと、二十八年度決算で申しますが、府県は十九団体であります。それから市は七十七市、それから町村は五百足らず、大体五戸ぐらい、その程度のものがやはり再建整備によって赤字再建をやるという団体と私ども考えております。それから、府県及び市町村のはっきりしたどの団体かということになりますと、これは大体現在は上からとっていった数字でありまして、十九団体とそれから七十七団体、五百団体を総計すると二百億くらいになる、こういうことでやっておりますが、私はそれ以内だろうと思っております。それから勧告する団体は、大体この間申しましたように、歳入総額の一割以上の赤字を持っておって、特殊な赤字でない、一般的な赤字のもので、しかも税収入との関係におきまして、著しく税収入との比率が高いというようなものを対象にして勧告するということを申しましたが、府県の場合は、お手元にあると思いますが、大体十ばかりございます。その中で直轄の分担金の赤字の非常に多いものは、これは私ども別に勧告をするつもりはございません。従ってそういう特殊な赤字を除いたもので、つまり別な方法で処理できる赤字を持たない一割以上の赤字のものを、大体私どもは予定いたしているのであります。
  71. 門司亮

    ○門司委員 市町村は……。
  72. 後藤博

    後藤政府委員 市町村も、やはりそういう標準でもやって勧告をするかしないかきめたい、かように考えております。
  73. 門司亮

    ○門司委員 だから私の聞いておりますのは、大体今度の再建整備法の対象となって勧告をされると思われる市の数と町村の数はわかりますかということです。今の基準でやって大体わかるはずです。
  74. 後藤博

    後藤政府委員 町村やこまかい市につきましては、どの程度から勧告するということは、私どもこまかくはまだ調べておりません。府県につきましては、大体今申しましたような標準でもって勧告をいたしたいと思っております。
  75. 門司亮

    ○門司委員 そうすると、こう解釈していいのですか。この二百億というものは、大体勧告を要せざるものを対象にして考えたのだ。それから勧告する団体については、はっきりしていない。従って、もし長官の勧告がこの法律通りに行われて、それに従って再建整備の案を立ててくるものがあれば、その二百億のワクは当然広げられなければならないというように解釈しておいて差しつかえございませんか。
  76. 後藤博

    後藤政府委員 私ども先ほど申しました数字は、金を借りて再建団体になるものの数字であります。金を借りないで再建計画を立てる団体も別にございまして、これがどの程度になるかは私どもはっきり予想しておりませんが、少くとも金を借りて再建をするであろうという団体の数を先ほど申し上げたのであります。その私ども予定いたしておりまする団体赤字総額、つまりたな上げするところの債権の額が二百億を突破する場合には、やはりこれは追加しなければならない、かように考えております。
  77. 門司亮

    ○門司委員 大体それでわかりましたが、そうすると、二百億という数字は一応仮定の数字である、実際のはっきりした根拠のない数字であるということに解釈しておいても差しつかえないはずでしょう。
  78. 後藤博

    後藤政府委員 仮定の数字といいますか、大体私どもこの前申しましたように、府県、五大市の場合は再建計画に三年以上どうしてもかかるだろうというふうな団体、それから市の場合は四年以上かかるだろうという団体を拾いまして、そのうちから直轄の分担金関係だとか、ちゃんと見合う財源があると予想されるものを除きますると、大体二百億くらいになります。その団体を今度は逆に数で申しますと、今申しましたような数になる、こういうふうにお考え願いたいのであります。
  79. 門司亮

    ○門司委員 どうも要領を得ないのですが、もしこの数字自治庁の見込み違い等があれば、自治庁考え通りになかなか遂行していかない、この法案の趣旨に沿わない結果が出てくる。起債でありますから、いろいろな関係もあるでしょうけれども、われわれが心配しておりますのは、この中に公募債が含まれている。公募債というのは、今までの実例から見れば年度を越えて六、七〇%くらいの消化ができればいい方であって、消化はきわめて困難なものがある。そういういろいろな要素を含んでおるのと、それから国の資金計画にも問題が出てくるのであります。二百億要ると考えておったのが、かりに二百五十億地方から要求されてくるという場合には、切り捨てるようなものができはせぬかと思う。そうすると、せっかくこういう法律をこしらえても、大して価値がなくなってくる。あるいはその起債の額を減らしてくるというようなことができはしないか。町村ではこれだけたな上げしたいといって申請してきたものを、それだけたな上げされたのでは二百億のワクをこえるから、一つこれは八割くらいにまけておいてくれなんということで、自治庁が査定をすると、実際の再建計画がくずれてくるというふうな形が私は出てきやしないかと思う。だから起債によっても何によっても、考えられている財政処置というものについては十分なる手当がしてないとそういう結果が出る、こういうことをおそれて、今のように大体どのくらいの数字があり、どういうものを目安にしておるかということを聞いておるのであって、それが完全にふやせる、もし要求額が多くても、この法律に基いて請求される額は政府は必ず引き受けるという御答弁ができるならば、一つしておいてもらいたい。
  80. 後藤博

    後藤政府委員 実際問題として再建債をきめます場合には、おそらく第一回は十月一日現在ぐらいでやると思います。毎月一回か二月置きにやりまして、順次やっていくわけであります。そうして最後になって二百億全部を使い果した場合には、これを本年度追加するか、来年度に回しまして来年度追加するかということになると思います。従って一応二百億で出発して、足りない場合には資金の追加をはかっていく、こういう考え方にしております。途中で全体をちびって八割にするとか、七割にするとかというようなことはいたしたくないし、そういうことはできないと思います。十月から、初めに出したところからどんどんきめていきますから、あとからひっくり返してある分を八割にしてくれというようなことはしないつもりで、足りない分は、やはり資金を追加するという方法で問題を解決していきたい、かように考えます。
  81. 加賀田進

    加賀田委員長代理 この際私からも関連して質問いたしますが、二十八年度決算に基いて、四百六十二億の赤字を対象として二百億の起債を認める、こういうことで政府説明されておりまするが、二十九年度は大体六百八十二億の赤字が出るということが明らかになっておる。先般の参考人の公述の中でも、ほとんど赤字起債の増額を要求されておる現状で、きょう川島国務大臣の答弁の中にも、今後それに対しても何とか考慮するという答弁がありましたが、そういう場合に、政府としてはどういうような考慮をする意思があるか、あるいは時期がいつであるかという問題、二百億をオーバーするような場合、あるいは参考人の言ったような地方団体の要請、これらの問題の関連に対して、国務大臣の見通し、意思、政策等を一応この際明らかにしていただきたいと思います。
  82. 川島正次郎

    川島国務大臣 二百億計算基礎は、二十八年度決算の四百六十二億に基いて算出をいたしたのでありまして、さらに二十九年度決算におきまして百二十億前後の赤字が出る推定であります。この赤字をしょっておる団体再建整備をしようという場合には当然二百億では足りなくなるのでありまして、その際はさらに資金的の措置をすることは当然必要だと思いまして、この点につきましては、前会にも一応御答弁申し上げたはずでありまするけれども、一応二百億で出発いたしまして、これが不足になりますればこれに対して起債を許す、公募債でありますならば不足分の利子補給はする、こういう考え方でおります。
  83. 鈴木直人

    ○鈴木(直)委員 実はこれに関連して私も一応はっきりしておきたいと思った点なんですが、十二条によりますと、赤字団体再建整備をしたい、計画を立てて承認されたところの再建計画による「再建のため必要と認められる額」と書いてありますが、これは、どちらがそれを判定するかという問題になります。この条文から見ますと、赤字団体自身が必要と認められた額というふうに解釈をいたしておるわけであります。そうすると、赤字団体自身が再建のために必要であるという額を考えて、再建整備計画を立てる、もちろん条件をつけるなり変更されたりするということは三条にはありますけれども、そういうふうな考え方を持って自治庁地方債の許可を申請するということも、法律で権限として与えられる。その際に、これに対して自治庁長官がその程度のものは必要でないということを判断して起債の額を査定するというような権限は、この法律には見受けられない。ただ承認するときに条件を付したり変更したりすることができるというこの条文で、地方債を査定するという考え方であるのかどうかをお聞きしたいのであります。これは再建計画の問題だと思うものですから、地方債を査定するという権能がどこの条文にあるか、私はないと思う。そうすると、その総額が二百億以上に達した場合には、それをチェックするところの権能が自治庁長官にないのでありますから、二百億でも三百億でもそれを承認しなければならないというふうに考えるわけであります。ここの条文に、二百億以内において地方債を許可するということはありません。二百億というようなことは条文に書いてないのでありますから、従いまして必要とする額が出てきた場合においては、幾らでもそれを承認しなければならない義務をこの法律によって政府が持つものである、こういうふうに解釈しているのですが、これに対して見解はいかがですか。
  84. 後藤博

    後藤政府委員 起債の許可権はやはり自治庁長官にあるのでありまして、財政再建のため必要と認められる額、一定の範囲内でとここに法律の中にございますが、その範囲内で必要と認められる額を許可することになります。ただ条文にはっきり書いておりますので、大体希望額と許可する額はそう隔たりはない、ほかの方の起債の場合とは違って内容は大体はっきりしておりますから、そう争いになる点はない、従って査定とかなんとかいうほかの起債にありますような問題はないのではないかというふうに私ども考えております。  それから二百億というのはどこにも書いてございません。従ってこの法律が成立いたしますならば、必要な起債のワク——ワクと申しますか、再建債のワクはやはり確保しなければならないものと私ども考えております。
  85. 鈴木直人

    ○鈴木(直)委員 この法律によって赤字団体再建整備のために必要とする額については、国としては地方債を許可しなければならぬ、こういう義務を法律によって持つものであって、国が勝手に自分の都合によってそれを査定する権限はないものであるという見解についてはその通りである、こういう答弁でありましたが、地方債を許可する場合に何か金額の範囲内においてということが書いてあると申しますが、それは別でありまして、十二条の二項の金額の範囲内で財政再建のため必要と認められる額というのは、金額の範囲というのは、自治体自身が再建整備する必要がある、その再建整備をする資金のうちに自分自身において自発的に整備する金もある、また地方債も必要とする、こういうことであって、再建整備に必要な地方自治体の資金のうちに、この点は地方債を必要とするのだ、こういう解釈であって、国自身が金額を定めている範囲内、こういうことではないと私は思うのであります。金額の範囲内というのは、地方自治体が再建をする金額がたとえば十億ある、そのうち八億だけは自分でやる、あとの二億は地方債を必要とするという意味である、再建に必要とする金額の範囲内であって、何も二百億という金額の範囲内であるというわけではないと私は解釈するのです。その以外においても、今財政部長が言われたような一定の地方債金額の範囲内において許可するのだという条文はここにはありません。従って査定する権限はない、こう思うのですが、この点についてもう一度はっきり御答弁していただきたいと思います。
  86. 後藤博

    後藤政府委員 私が申しましたのは二項の一、二、三のことを申し上げたのであります。いわゆる実質赤字と称するものと、それから退職金財源に充てるために必要な金額の、その二つの範囲内において財政再建のために必要と認められる額を客観的にきめて、そして再建債にするということであります。従って一、二、三というのは、見ますれば大体わかりますので、そう争いはないのではないかというふうに申し上げたのであります。
  87. 鈴木直人

    ○鈴木(直)委員 そうしますと、たとえば繰り上げ充用した額というものは、はっきりしますからこれは査定できない。それから繰り延べた額もこれははっきりしているはずです。それから事業繰り越ししたものもはっきりしたものだと思う。そこで査定をするのは二十九年度に収入されなかった部分に相当する額という点で、これは見解の相違があるかもしれませんが、少くともこの一号二号三号を見て、この点はこの程度の額にしろというようなことを自治庁長官が査定をするというようなことが、政令にでも書いてあるのか、政令で定める額を控除した金額、こういうふうになっているのですが、政令で厳重に査定ができるような内容でもあるのでありますか、その点をお聞きしておきたい。
  88. 後藤博

    後藤政府委員 事業繰り越しの場合が問題でありまして、事業繰り越しの中から既収入の特定財源にかかる事業量を引くか引かないかという問題がありまして、私どもは既収入の特定財源を引いた金額をもって必要な資金の量と考える、こういうふうに考えているわけであります。従ってその既収入の特定財源を事業繰り越しの中から引いた事業量を基礎にいたしまして、事業繰越額というものを出して参ります。それを政会できめたい、こういうふうに考えているのであります。
  89. 坂本泰良

    坂本委員 利子補給の問題がだいぶ発展しまして、再建債の問題にまでいったのですが、私は利子補給について結論を大臣にお聞きしたいのです。先ほど来いろいろな質問があったように、わずか二分の利子補給はスズメの涙ほどであるし、ことに予定されているのは十号——十二月の三カ月の七千五百万円、こういうものではやはり再建促進法という名前にも反するのではないかと思う。従いまして造船利子補給とか、炭住資金の利子を下げるとか、民間団体のああいう多額な点などを考えて、この際この再建促進法におけるところの利子補給は、全額国家が補給するというような考え方があるかどうかお聞きしたい。
  90. 川島正次郎

    川島国務大臣 確かに一つの御議論でありまして、地方財政を建て直すためには、全額補給するかあるいは現在規定している六分五厘以上に補給するかということについてはいろいろ考究もいたしました。これに対しましてはいろいろ見解の相違の点もありまして、政府といたしましてはただいまのところこの程度でもっていいのだ、こういう考えでいるわけであります。
  91. 坂本泰良

    坂本委員 われわれはこういうようなわずか二分の利子補給には絶対賛成できないのでありまして、これに対してはわが党としては代案を作っておりますから、質問はこの程度にとどめておきます。     —————————————
  92. 加賀田進

    加賀田委員長代理 この際お諮りいたします。本日付託になりました奄美群島復興特別措置法の一部を改正する法律案を日程に追加して議題となし、提出者の提案理由説明を聴取することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  93. 加賀田進

    加賀田委員長代理 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  それでは本案を議題とし、提案者より提案理由説明を聴取いたします。伊東隆治君。
  94. 伊東隆治

    伊東隆治君 お手元にまだ配っていない方もあるかと存じますが、御承知の通り奄美大島が一昨年の十二月二十五日に日本に復帰いたしまして、その後この奄美群島復興特別措置法という法律がこの委員会において審議されまして、昨年の十月三十日にはその復興特別措置法ができたのでございます。それから今日まで約一年近い日をけみしているのでありますが、その間いろいろこの案につきまして修正をいたしたい意見、特に住民の間におきます要望等がございまして、ここに一部改正案提出しておるわけであります。  第一点は第三条、第四条、第五条の改正に関する点でございます。第二点はガリオア物資の処理に関する点でございますが、アメリカの占領の間に約五億九千万円に達しまする債権がアメリカ政府にあるわけですが、その五億九千万円に達しまするアメリカ政府の債権と申しますのは、約三億五千万円の、琉球から借りておる住民の債務と、約二億四千万円に達しまするガリオア物資でございます。合せますと五億九千万円になるのでございますが、これらの貸付金またはガリオア物資は、アメリカ政府が他の国に対しまして貸し付けたお金とか、あるいはガリオア物資とはいささか趣きを異にするのでありまして、すなわち立法、司法、行政の三権をアメリカ政府は奄美群島に持っておった。その三権ともに持っておる地域におる住民に貸し付けましたお金であるし、またガリオア物資でありますので、アメリカ政府が日本国またはフランス等に貸し付けた金やガリオア物資とは、その点大いに違うのでございますので、この奄美群島の住民に対しまするこれらのアメリカ政府の債権を継承いたしました日本政府は、その点につきまして特別の考慮を今度していただくことになりまして、議員立法としてそれらの五億九千万円に達しまするこの債権を、お手元に配付してございまするように、信用保証協会という協会を作りまして、それに政府の債権を移して内閣総理大臣及び大蔵大臣、両方の監督のもとに今後これらの金の回収、または回収いたしましたる金の使途の点も監督してもらうことになります。すなわちこれらの金は奄美群島の住民にアメリカ政府から貸したものでございますから、今後ともこの信用保証協会は大蔵大臣の監督を受けつつ奄美群島住民の幸福のために、これらの地域の産業振興のためにこれを使うということの了解のもとに、ここに特別法の改正をいたすわけでございます。  要約いたしますれば、第一点は毎年度作成いたしまする奄美大島復興実施案の作成につきましての改正であり、第二はガリオア物資及び借入金の処理に関する点でございます。  以上きわめて概略的に御説明申し上げた次第でございます。
  95. 加賀田進

    加賀田委員長代理 本案に対する質疑は後日行うことにいたします。  午前の会議はこの程度にして、午後は一時半から再開することにいたします。  それでは暫時休憩いたします。    午後零時五十四分休憩     —————————————    午後三時三分開議
  96. 加賀田進

    加賀田委員長代理 再開いたしましす。  休憩前に引き続き地方財政再建促進特別措置法案を議題として質疑を続行いたします。北山愛郎君。
  97. 北山愛郎

    北山委員 先ほど長官にもお話したことでございますが、問題になっておる地方財政赤字についての国の責任というものが、今度の再建促進法による七千五百万円では私は非常に不十分で問題にならない、こういうふうに考えるわけであります。従って従来の地方財政赤字について、具体的に国もはっきりと認めておるような部分の赤字原因については、今回は七千五百万円の利子補給ということであるが、それ以外に政府としては具体的にどのような措置をとろうとするのであるか。これをやはりはっきりしないと、これだけで再建促進措置をとったんだというようなことでは非常に不十分であると思いますので、その点についてはこの際明らかにしておいていただきたいと思うのです。具体的にはっきりとそれ以外の方法によって、たとえば交付税率を引き上げるなり何なりの方法を、はっきりどの程度にとるというような点について具体的な説明が、この際どうしても必要であると考えますので、重ねて大臣からこの点についての御所見を承わりたい。
  98. 川島正次郎

    川島国務大臣 再建団体を含めました全部の地方団体に対する財政立て直しにつきましては、機構の方面におきましても相当改正すべきものがあると考えまして、この点につきましては政府において目下研究中であります。私といたしましても関係閣僚と相談をすでに進めておるのであります。それとあわせまして資金措置が必要ならば、これまた当然やらなければならぬのでありまして、その場合に交付税率の引き上げによるか、あるいはたばこ益金から繰り入れるか、あるいは目下大蔵大臣が構想を練っておるように、国税と地方税全般にわたる改正を行なって地方財政財源措置をするかということについては、まだ確定はいたしておりません。しかしながら三十一年度におきましては相当な財源を与える必要ありとは考えております。ことに深刻な赤字に悩んでいます地方団体が、幸い御審議になっておる法案が通過した場合におきましては、この法の適用によりまして、従来の地方財政の規模、運営というものをすっかり変えて、立て直しをやることになります。それに対応しまして、政府としては地方の福祉増進のための措置をとりたい、かように考えるわけであります。
  99. 北山愛郎

    北山委員 先ほど、赤字原因の一つとして政府が認めている国庫補助の不足については、なかなか資料が作りにくいというようなお話がございましたが、たとえば国庫補助職員に対する分については資料があるはずであります、あるいは六・三制の中学校の建築についても資料が出てくるはずであります。それについて一つ財政部長から、国庫補助職員については毎年の差額——補助の不足額が幾らであるか、これを累計すればどのくらいになるか、あるいは六・三制の建築についてはどうであるか、この数字をお示しを願いたい。
  100. 後藤博

    後藤政府委員 お尋ねの国庫補助職員の不足分でありますが、これも私どもはっきり累計どのくらいになるかという数字を出したことはないのであります。大体二十八年度決算基礎にして二十四億円くらいではないかと推測はいたしておりますが、ずっと過去からの推計を私どもとったものはございません。  それから六・三制の問題でありますが、これはさきにもちょっと申しましたように、単独事業というものがございます。国庫補助事業でございますと、割合わかりやすいのであります。単独事業の方は果してどの程度認めるかどうかということが問題でありまして、補助事業だけでしたら、簡単に数字が出ると私は思っております。単独事業をどのくらい——必要なことはもちろんでありますが、その必要量を全部あげるかどうかというところに問題があるのであります。過去に単独事業がどのくらい行われたかということは、われわれは金の面だけしかわかっておりませんから、はっきり推計することはできないのであります。先ほど申しましたように、事業認証額というものがはっきりしない、補助金がばらばらに——一定の基準はもちろんあるでしょうが、こまかく分けられて配分されている。しかしその当該団体に分けられた補助金に見合う地方負担だけでは足りない、その場合に持ち出しをする。その持ち出した場合に、その建てましたものを、現実にわれわれが必要であるということで持ち出し額にするかしないか、こういう認定の問題がありまして、はっきり私は出ないのじゃないか、こういうふうに思っております。資料を何とか集めたいと思いましても、なかなかこれを集めることが困難な状況にあるのであります。
  101. 北山愛郎

    北山委員 国庫補助職員の分については、地方団体側の方で調査したものは、たしか五十億以上になっておったように私記憶しているのであります。一応そういうふうな数字が、たしか知事等で調べたものがあったと思いますが、かりに今お話のように二十五億というようなことにしましても、これを四年間ならば百億ということになるわけです。それだけの財源措置をやっている。それから今の六・三制の問題にしても、私はわからない方が不思議じゃないかと思う。少くともこの数年間毎年建てた中学校、その坪数なり、その予算というものはわかるわけです。おそらく文部省がその資料を持っていると思います。その内訳によって、補助事業としては幾ら起債はどのくらいつけてあったか、単独事業はどのくらいかということは、これはすぐわかるはずなんです。これはいろいろな資料を調査なさっておられる自治庁として、おわかりにならぬということは、私はむしろおかしいと思うのです。文部省等をお調べになれば、すぐ出る資料ではないかと思うのですが、どうですか、資料をお出し願えますか。
  102. 後藤博

    後藤政府委員 事業の量はわかると思います。ただそのうち六・三制のものは、おっしゃる通りこれは一定の補助金がついておりますから、それに見合う負担もわかります。それを基礎にして、持ち出した額もわかると思います。ただ問題は、老朽危険校舎の単独分をどういうふうに推定するか、どうしてもやらなければならぬものだという推定をするか、補助金だけのものに限るか、ただ補助金が非常に少いために単独の方に非常にたくさん持っていっている、そういうものをどういう基準でもって引き分けていくか、その辺が合理的な基準がないために総額がわからぬ、そういうことを申し上げたのでありまして、一部はもちろん資料はございます。
  103. 北山愛郎

    北山委員 大ざっぱにいっても、戦後新制中学校の建築のために使った金は、千二百億といわれております。そのうち、国が出した補助金は、昨年までの累計がどのくらいになっておりますか。
  104. 後藤博

    後藤政府委員 ちょっと今資料を持っておりませんが、たしか補助金が四百億くらいじゃなかったかと思います。事業総量はもう少し多かったのではないかと思っております。ちょっと手元に持っておりませんので、あとから資料によってお答えいたします。
  105. 北山愛郎

    北山委員 これはおそらく自治庁としても、手元にある資料だと思う。従ってお出しになることができると思いますが、少くともただいまのお話によって考えてみましても、千二百億以上の建築費を地方団体は使っておる。その中で四百億の補助金しか出しておらぬのであります。一部は起債もつけておるでしょう。けれども、相当額を地方団体が持ち出しをしているということだけは明らかなんです。その額が百億であるか二百億であるか、わかりませんが、その資料一ついただきまして、われわれとしても素材によって判定をいたしたいと思うのですが、今申し上げたような国庫補助の一部分、すなわち国庫補助職員に関する分、あるいは六・三制建築の分についても、数百億の財源措置をやっている、こういう分だけを考えても、今回の二百億の再建債というものは、金を貸すのではなくて、政府自体が全部くれてもしかるべきものではないかと私は思う。政府がそのつもりであるならば、国の方で今までめんどうを見なかった分が赤字の原因になっておると認めているのですから、その赤字を、少くとも国に関する限り責任を負うという気持であるならば、二百億がかりに百億であっても、ただくれてもいい。これは当然地方財政法違反を犯した国としては、これを補いをつける責任があると私は考える。地方財政法の第十八条に明白に違反をしている。政府の方でこの違反を犯した、一体だれがこれを補いをつけてくれと訴えることができるか、どこでこれが是正されるか、法律の条文だけがあって、これが実行されておらない。これじゃ法律の規定は何にもならぬと思うのですが、大臣はどのようにお考えですか。
  106. 川島正次郎

    川島国務大臣 補助事業の負担割合が少いことが、地方財政赤字になった一つの原因であることは、確かにわれわれも認めているのであります。しかしながら各地方団体を個別に検討しますと、健全な財政運営をやっているところは、赤字に深刻に悩むところと違いまして、それほど補助事業の影響のために地方財政が負担過重になっているというところはないのであります。同じような地方団体でありながら、従来の財政がややともすると放漫に流れたところは特にこれを救済いたしまして、健全財政をやっているところはそれを救済しないというのは、これは多少不公平なきらいがありますので、やはり現段階といたしましては、再建団体というものは起債を許してやる、その範囲内でもって財政立て直しをするのだということが適当と考えまして、こういう法案を提案して御審議を願っているわけであります。
  107. 北山愛郎

    北山委員 もしも大臣のようなお考えで、赤字といっても、団体によってはふまじめな運営の結果生じたものもある。それからやむを得ない、あるいは国の責任に基く赤字もある、こういうふうに分けてお考えになるとするならば、その結論としては、それならば個々の団体について調べた結果、ふまじめな運営である場合には、それはその団体の責任でやる、それからまじめな運営をしつつ、やむを得ない事情、たとえば今申し上げたような事情によって、あるいは災害の結果として赤字が出たという団体については救済をする、その金を補給してやる、こういう結論にならなければならぬじゃないかと思うのです。そういうふうにおやりになるお考えですか。
  108. 川島正次郎

    川島国務大臣 今年度は、この法案が成立いたしますれば、赤字団体は、再建団体として財政立て直しをするのであります。その暁に、再建団体、それから再建団体でない団体とも、地方団体に対しまして一般的に財政措置をしよう、こういうことを先ほど来お答えをしているわけでありまして、赤字団体再建計画が立ちますれば、赤字でない団体と一緒にいたしまして、全体に対して財源措置をしよう、こういう考え方であります。
  109. 北山愛郎

    北山委員 財源的な措置をするといわれるわけですが、それはただそういう考えであるというだけでは足らぬのでありまして、もはや来年度予算編成期でもございますから、もう少し政府の態度も明確にして、たばこ消費税でやるとか、あるいは交付税でやるとか、その辺のところをもう少しはっきりしていただきたいと思うのです。  それからなお今地方財政法違反と申し上げましたが、はっきり申し上げますと、地方財政法第十八条に「国の負担金、補助金等の地方公共団体に対する支出金の額は、地方公共団体が当該国の支出金に係る事業を行うために必要で且つ充分な金額基礎として、これを算定しなければならない。」明らかにこう書いてあるわけです。従って六・三制のような場合、その他国庫補助職員等の場合において、この必要にして十分な額でないということは、大臣は閣議においてもそういうことを申し述べられたやに聞いております。政府自体がそれを認めておられるのですが、それを認めているということは、明らかにこの地方財政法第十八条違反を犯している。この鳩山内閣が犯したというわけじゃない。今まで国の政府が犯してきておったということはお認めになるわけですか。
  110. 川島正次郎

    川島国務大臣 財政法十八条の違反かどうか、私はよくわかりませんけれども、従来補助のつき方が少くて、そのために地方財政の負担が過重になった事実は、これは私ども認めております。地方財政白書の中にもこの点はっきり明記してあるわけです。
  111. 北山愛郎

    北山委員 しかしこの地方財政法第十八条は、英語でもなければ何でもない、日本語ではっきり書いてあるのです。今読んだ通りなんです。そうすれば大臣が補助の単価が少かった、財源措置が足りなかったということは、とりもなおさずこの十八条違反になると考えなければならぬのではないでしょうか。そうでないとこの法律がどういう意味かわからぬということではこの法案意味がない。どうでしょう。行政部長にお伺いしますが、行政部長は法律家でございますが、この十八条というのはそういう場合をさすのではないのか。もしも今まで大臣がお認めになったようなその事業の支出金にかかわる、すなわち補助金にかかわる学校建築等についての必要にして十分なる額を支出してないとするならば、それは第十八条違反ではないか、こう思うのですが、私の法律解釈が間違いでございますか、行政部長の法律解釈をお伺いします。
  112. 後藤博

    後藤政府委員 私は行政部長ほどの法律家ではないのでありますが、私の方の関係法律でありますから私からお答えいたします。この法律は必要かつ十分な金額基礎として算定したものでなければいけないということになっております。ただ必要かつ十分な金額基礎とするという場合に事業の認証額を一体どうするか。ところが専門家の見た目でもって事業の認証を各省で行なった場合にそれをわれわれが間違っておるということは言えないのであります。それぞれの各省の専門家が事業の認証をいたしまして、それを基礎にいたしまして補助金の法律に基いて分けていくのであります。私どもは各省の仕事が全部法律違反とはちょっと言い切れないのであります。それぞれの専門家にそれぞれの意見があると思います。しかし結果を見ますと、おっしゃるようなことになっております。結果から見ますと、必要な額を十分に認証していただけない。従って補助金の額が必ずしも三分の一が三分の一にならないということになりまして、おっしゃるような結果になる場合もあるかと思います。
  113. 北山愛郎

    北山委員 そうすると、結果としては私が申し上げたように、今までの政府のやっていることは十八条違反になるような結果になっておるのじゃないかというふうにお認めでありますが、そうすればその法律違反を是正するのに一体どういうふうなやり方で是正をされるか。ただ法律は死文ではございませんで、やはり意味があると思うのです。ここに規定した以上はそうしてはならぬのです。政府ならば法律に触れても一向にかまわないのだというようなことでは規定の意味がないわけです。ことにこれは国を拘束し、政府を拘束している法律なんですから、政府が守らない限りだれもこれに文句を言ったってどうにもしょうがないということになる。それでは規定をした法律意味がない。これを何とか是正するなりあるいは補いをつけるなりしてもらわなければ、この法律意味がないのです。地方財政法第二条にもそういう趣旨の規定があります。明らかにこういうように地方財政の原則を国が法律できめておる以上は、これを政府といえども守らなければならぬと思います。従って私は今度の再建促進についてもこのことを強く申し上げたい。しかもその事実そのものは鳩山政府そのものが認めておるのですから、そうしておいて単に七千五百万円くらいの利子の補給でごまかそうというのは、少し政府の方が責任を負うてないのじゃないか。私の考え方が間違っておるかどうか。その点についてどうもはっきりした大臣の御答弁が得られないのですが、しかし私どもは促進法のこういう措置と同時に、やはり国の方でもっともっと責任を負うた地方財政に対する措置が必要であると考えておりますが、私の考えが間違っておるでしょうか。
  114. 川島正次郎

    川島国務大臣 補助金の問題につきましては、過去の問題は別といたしまして、今後のやり方といたしましては、三十年度においてもできる範囲内において地方負担の過重にならぬようにするし、三十一年度においては特に予算措置をいたしまして補助金を適正につけようというふうに考えておるわけでありまして、私どもは補助金の問題につきまして決してこれを無視しておるのじゃないのでありまして、相当重要な問題だと思ってこれを取り扱っておるわけであります。
  115. 北山愛郎

    北山委員 とにかく大臣は先ほどのお話でも、この再建促進による措置では不十分だということはお認めのようであります。そして何らかの財源措置を必ずやるのだということをはっきりと言明されたわけでございますから、私どもはその言明ができるだけ早い機会に具体的な形で示されることを希望いたしておきます。  それからなおこの前にも再々お話をしましたが、重大なことでございますので、はっきりしておきたいのですが、今度の再建促進の背景になっております地方財政計画というものは、御承知のように、地方団体の仕事を非常に圧縮した計画になっております。公共事業と単独事業を入れますと四百億の事業費の削減ということになっておりますが、これに伴う雇用量の減少、これについて私の私見を申し上げたのです。ところがそれが間違っておるかどうか。政府側からは総合的な資料をお出しになるというようなことを言われておりますが、自治庁としてはその資料を取りそろえておりますかどうか、これをお伺いします。  これはこの前にも話がありました通り大蔵省の方がやるということですが、自治庁大蔵省が出すのを黙って見ておればよいのですか。それとも自治庁の責任においてそういう資料を集めてお出しになるという考えでございますか。何しろ四百億ということになれば、一億当り四百人の雇用量が減少すると考えまして、その限りにおいて十六万人の雇用量が減るわけです。それ以外に行政整理を大いに奨励をなさるわけでございますから、そこでまた数万人がふえるということになれば、少くとも十七、八万人、そういうような雇用量が地方財政計画上減ずる、すなわち失業者がそれだけふえるということに私どもは見ざるを得ないのです。従ってこれを補うものとして政府はどのような失業対策なり雇用量を増大する方策をお持ちであるか、これをお伺いしておきます。これは今度の再建促進にも重大な関係のある問題でございますから、徹底的に一つ明らかにしてもらいたい。
  116. 後藤博

    後藤政府委員 私どもは失業救済関係の仕事をいたしておりませんので、はっきりしたことをお答えできないと思うのですが、私ども考えまして、昨年と本年との財政計画では実質的に見まして大体百億以上の開きがあります。つまり財政規模はふくれております。昨年の財政計画は九千八百三億が最終の財政計画であります。本年の財政計画は九千八百二十九億でありますが、この上に直轄の分担金の分を含めて参りますと、百億だけふえて参ります。従って財政規模の上で毛九千九百二十九億になって参ります。内容はおっしゃいます通り公共事業が相当圧縮されております。これは節減ではなくて、国の公共事業費の縮減に伴うところのものでありまして、内容はこの前説明いたしましたように、災害関係の被害が大きくなかったために落ちるのであります。ただ地方だけの関係から申しますれば、その落ちたものは単独事業の節約では七十数億であります。(北山委員「百二十六億でしょう」と呼ぶ)単独事業の節減は七十六億だと思います。従ってそれだけが問題になるのじゃないかと思う。ところが投融資計画の方でも、昨年から見ますと必ずしも減っていないということになりますし、全体の予算の規模は——地方の三十年度予算の規模はまだはっきり集計がございませんが、私ども考えまして昨年の総量とあまり変らない予算が組まれておるのじゃないか、そう下っていない、私はこういうふうに見ておりますので、私どもだけから申しますと、そう雇用量が増加するという数字はすぐ出てこないように思います。しかしこれは専門家の労働省あたりから見ますると、別な観点から見まするので、雇用量が増大することになるかもしれません。地方財政のワクの中から見ますると、そう大きく雇用量の増大が出てくるというふうにはちょっと考えられないのであります。
  117. 北山愛郎

    北山委員 どうもこれは自治庁に聞く方が間違っておるようです。ですから労働省関係の担当官に来ていただきまして、総合的に公共事業なりあるいは国の財政投融資、そういうものとの総合的な関連において一つ明らかにしていただきたいと思います。  それからなお行政整理の点でありますが、地方公務員の行政整理については少くとも昨年あたりは自治庁としては計画的にお考えになっておったはずです。年次計画でもって考えておられた。ところが今度はそういうワクを取っぱずして無制限行政整理をおやりになるようなお考えがある。というのは、六十億の退職手当起債を認めるというようなことでございまして、この六十億というのは、少くとも五千八百人の整理計画と見合うものではないか。多々ますます弁ず、どのくらい首を切っても多い方がいいという無制限行政整理の方針のようでありますが、そういうように、自治庁地方公務員に対する人件費等に対する方針が変ったのでございますか、これは長官から一つ伺いをしたいのでございます。
  118. 川島正次郎

    川島国務大臣 私は前年の計画はよく知りませんけれども、今度財政計画の中へ六十億の整理資金を見込みましたことは赤字再建団体におきまして事業の縮小などに伴いまして当然公務員の減少を来たしますから、それに対する手当、それから再建団体でありませんでも、今日各地方とも必要に応じて人員整理をやっておるのであります。そういう地方団体におきましては整理費をみてもらいたい、こういう要求が痛烈にありますので、そのための約三十億を見たわけであります。私どもといたしましては、地方公務員を幾人減らすというような案は持っておりません。これは各地方団体の独自の考えにまかしてあるわけであります。従いまして幾人減らすなどということは、今日予測もしておらぬし考えてもおらぬのであります。全く地方の自主性を尊重してやるつもりでおります。
  119. 北山愛郎

    北山委員 これはどうなんでしょう。行政部長並びに財政部長から聞きますが、たしか昨年きめましたのは、やはり計画的な行政整理というのを一応財政計画上はきわめておるわけです。その人数資料等もあったはずであります。本年の財政計画の中にも計画的な行政整理についての所要経費あるいは増減が書いてあるわけであります。ですから一応そういう計画でおやりになるように財政計画上は見える。ところが今度の再建促進法においては六十億というような退職手当起債を認めて、そのワクをはずしておる。だから財政計画と今度の再建促進法とはそういう点で矛盾をしておるのではないかと思いますが、どうでしょうか。
  120. 後藤博

    後藤政府委員 昨年から始めております一般職員及び警察官の整理に伴うところの財政需要が減って参ります。これはちゃんと計画に載っております。それ以外に本年は町村合併に基いて合併町村の経常経費が落ちて参ります。その分を計上しております。そういうものとそれ以外の本年分の一般職員の退職金等のための六十億のうち三十億分だけを財源としてわれわれは考えておりまして、三十億分は財政計画外のものというふうな考え方をとっておるのであります。従って六十億全体が財政計画の中に入っておるのではなくて、そのうち三十億分だけが財政計画上の財源ということになっておりまして、他の三十億分は再建関係だけに使っておる。これは別に財源という考え方はしておりません。
  121. 北山愛郎

    北山委員 今お伺いしたように財政計画上のこれらの経費と再建促進とはまた別個になっておるというような御答弁であります。そこで先ほどお伺いしたように昨年計画したような計画的な行政整理をことしはくずしてしまって、もっともっと幾らでもできる限りの人員整理をやるという御方針であるように了解するのですが、どうですか。
  122. 後藤博

    後藤政府委員 別に無制限に行政整理をやらすつもりもありませんし、そういうことを別にわれわれは期待しているわけじゃございません。一応退職金起債財政計画外に三十億だけ見ておるということにすぎないのでありまして、それ以上のことは別に無制限にやるとかなんとかいうことはないのであります。
  123. 北山愛郎

    北山委員 しかしこれは大へん苦しい御答弁だと思うのですが、少くとも昨年年次計画でもってこれくらいこれくらいというふうにきめて、ことしは幾らときまっておったはずです。だから何しろ乏しい財源措置でありますから、そのきまった財源措置ですらもなかなか政府としては容易でないはずなんです。ところがそれに今度プラス三十億というものを、なけなしのふところの中から首切りのために回しておる。だからこれはやはりワクをはずして、無制限といっては語弊があるかもしれませんが、できるだけの首切りをやってもらおうと期待して金を出しているんじゃないか、こういわなければならぬのですが、それで私の言うことは間違っておりますか。
  124. 後藤博

    後藤政府委員 一応きめております三十億の再建関係のワクの配分は、これは希望がなければ私どもは出すつもりはございません。従ってもしも三十億のうち十億しかございませんでしたら、その残りの二十億はやはり再建団体再建財源に回していきたい、かように考えておりまして、三十億を割りつければおっしゃるようなことになるかもしれませんが、絶対に割りつける意思はございません。
  125. 北山愛郎

    北山委員 割りつけなくてもちゃんとワクを置いておいて、三十億ここに金がございますよといえばそういうことになってしまうのです。もしも必要に応じて出すというならば従来と同じようにやはりそういう金は予定しないでおいて、ほかにもたくさん金は必要があるのであって、起債の必要があるのですから、そっちの方へ回しておいて、そういうあとの必要は出てきたときに考えればいいのであって、何といっても政府はやはり初めからこの既定の行政整理のワクを超過して、できるだけ人員整理をやらせようとして、金の用意をちゃんとしてさあいらっしゃいといって待っておるという政策に変更なさったということだけは、はっきりしておると思うのです。鳩山政府はそういう政策に変更なさったわけですか、長官からお伺いしたい。
  126. 川島正次郎

    川島国務大臣 再建計画を立てますのには、人件費をどういうふうに計上するか、また事業費をどうするか、一般事務費をどうするかというようなことを各再建団体の長と議会とが相談して立てるのでありまして、すべてを人件費にしわ寄せして、再建計画を立てるという意味ではないのであります。これは地方の事情によって違いまして、ある地方団体は特に人員整理が必要だと思うところもあると思います。そういうところに対してはやはり行政整理の費用をみてやる必要があると思って、一応そういうものを計上しておるわけであります。しかしこれが直ちに、今度の再建整備のしわ寄せが全部人件費にくるのだ、こういうふうにお考え下さることは少しそれは速断でありまして、人件費にどのくらい影響があるか、事業費にどのくらい影響があるか、また事務費にどういう影響があるかということは全く地方団体の自主的な考えによってきめるわけであります。そういうことを考えました場合も地方債のワクとしては、一応人間整理の場合も考えてある程度起債を認めておくということが必要と思って、再建整備に三十億を計上したわけでありまして、一切を人件費の犠牲において地方財政立て直しをしようなどとは毛頭考えておりません。
  127. 北山愛郎

    北山委員 私はそういう点を即断しておるわけではないのです。鳩山政府はただ首切りだけで地方財政を圧縮しようと考えておるとは思いません。片方の手では首を切り、片方の手では事業をやめてサービスを低下させよう、こう思っているのだと思うのです。それで足りなければ増税をさせよう、こういう両天びんであらゆる手を考えているのだと思っているのでありまして、単に人件費だけを節約し、行政整理だけを考えているとは私は即断はいたしません。ですが、この前もお話を申し上げたように、本年度財政計画におきましても、地方財政の実態と財源の食い違いというものは膨大な額でありますから、首切りをするにしても、増税をするにしても、あるいは事業の縮小にしても、相当大幅のものをやらなければならぬということを大臣は十分に深刻に御認識を願わなければ、この再建促進法などは新しい失敗の種をまくだけであるということを申し上げたいのです。またただいまのお話でも、結局従来の行政整理の計画のみならず、やはり首切りということを地方団体に大いに期待をされておるようでありますが、大臣地方公務員は多いとお考えになっておりますか。
  128. 川島正次郎

    川島国務大臣 これは地方によって違うのでありまして、繰り返して申し上げるように、各地方団体によって多いところもありましょうし、なお足りないところもあると思うのであります。今日百四十万の地方公務員がおりまして、そのうち六十万が教職員でありまして、十六万が警察官、こうなっておりまして、一体それが多いか少いかという一本にした議論はできないと思うのであります。これこそ団体別に議論しませんければ結論は出ません。団体別に見た場合に、長なり議会なりが現在の人員では過剰である、ある程度整理する必要があると考えれば、これは当然整理することになろうと思います。そういう場合には退職資金というものはないのでありますから、それを地方債で見よう、こういう措置をあらかじめしておくことは必要と考えて計上しているのであります。今計上している金額が全部使われるのかどうかということは、今日あらかじめ予想ができないのであります。一応再建団体においては三十億、その他の団体においては三十億、合計六十億というものを一応の案として見ておるわけであります。国家公務員の整理のように、一本にして、必ずこれだけの人間を切るのだから、これだけの資金が要るんだというような計画は立たぬわけでありますから、全く各地方団体にまかせるという考え方であります。
  129. 北山愛郎

    北山委員 各個別の地方団体によって違うのだと言われるわけですが、それならば個別の地方団体において多過ぎるか少な過ぎるかということを判定する場合の基準は何かということについて、自治庁としてはお考えになっていますか。何か基準がございますか。
  130. 後藤博

    後藤政府委員 人口、地勢等が大体同じくらいの地方団体におきましては、大体同じくらいの職員が必要ではないか、こういうふうに考えまして、私どもいろいろの調査をいたします場合には、同じくらいの財政規模で同じくらいな人口で、地勢も大体似ているところを比較いたしまして、多いとか少いとかいう議論をいたしております。現在あるべき人数の測定の方法は、そういう標準しかないと私は考えておりまして、そういう意味で多いとか少いとかいうことを申し上げているのであります。
  131. 北山愛郎

    北山委員 そうすると、ほかと比較して多過ぎるとか、そういうようなことですね。そうすると標準行政をやる場合にその程度で多過ぎるとか、そういう意味でない、そういう基準は立てられない、こういう意味ですか。
  132. 後藤博

    後藤政府委員 個々の行政ではなくて、個々の行政を基準にいたしますと非常にむずかしい問題になって参ります。従いましてその個々の行政のやりくりはその団体の中でやる。総人員が多いか少いか、それは先ほど申しましたように同じくらいの規模の、同じくらいの人口の、同じくらいの地方経済状況団体の比較で、多いとか少いとかいうことを言っておるのであります。
  133. 北山愛郎

    北山委員 それではこういうことはお考えにならぬですか。日本の地方行政には各府県市町村等の専任の公務員がございます。ところがそれ以外に膨大な数字の非常勤公務員があるわけです。いつかもお話した通り何百万の公務員がある。それが区長あるいは連絡員というような名目で行政の末端の業務を手伝っておる。これは常勤の公務員ではありません。それから消防についても二百万人くらいの非常勤公務員、消防団員がおるわけであります。これは逆に申し上げれば、専任の第一線の公務員が足らないからそれで補っておるのだ、こういうふうに大臣はお考えになりませんか。
  134. 川島正次郎

    川島国務大臣 一般の公務員が手が足りないために非常勤の公務員を使っているという事実は、これは国家公務員の場合もあるのであります。地方にもあるかと思うのでありますが、こういうこともむろん手が足りない場合もありましょうけれども、これも団体によって違いまして、相当忙がしい仕事でも、地方公務員の諸君が犠牲を払って、一生懸命やって間に合せているところもありましょうし、あるいは必要以上に非常勤の公務員を雇っているところもあるかと思うのでありまして、こうしたことも一概に結論を出し得ないのじゃないかと思うのであります。
  135. 北山愛郎

    北山委員 そういたしますと、市町村の役場などで勉強すれば、今二百万人の消防団員はなくてもかまわない、こういう大臣の御意見ですか。
  136. 川島正次郎

    川島国務大臣 私は消防団員のことを申し上げてないのでありまして、それ以外の非常勤職員、事務的の人間のことを申し上げておるわけです。
  137. 北山愛郎

    北山委員 それでは事務的な職員すなわち区長あるいは行政連絡員等はなしにして、そしてこれは専任の公務員に勉強をしてもらう、その方がいいとお考えですか。
  138. 川島正次郎

    川島国務大臣 それはそこの地方団体内容によるのでありまして、北山君のお話は常勤的非常勤職員のことだろうと思うのであります。現在の常勤的非常勤職員が全部必要であるかどうかということは、ここで一概に判断を下すのはいかぬと思うのであります。これも各地方団体の個々の特別の事情があるのでありまして、今のお答えに当てはまるような答弁はできにくいと思います。
  139. 北山愛郎

    北山委員 行政部長にお尋ねしますが、私は日本の末端のこういう非常勤公務員の非常に多いという形態は、これは日本の特殊な形態ではなかろうかと考えております。外国ではどのようになっておりますか、外国の例を一つお話し願いたい。
  140. 小林與三次

    ○小林(與)政府委員 非常勤職員とおっしゃいましても、今いう消防職員と、その他役場に働いている非常勤的な職員とおります。それから今おっしゃいました区長とかなんとかいうふうなもの、これは勤務の態様は全然別でありまして、外国の方の末端機関がどうなっているか私も知りませんが、外国だって勤務の態様によって、非常勤でいいものは非常勤の職員を使っているに違いないと私は考えております。
  141. 北山愛郎

    北山委員 これは市井のわれわれの仲間との話であれば、その程度でよろしいのです。しかし少くとも自治庁の行政部長として、公務員課というセクションを置いて、そして公務員制度を研究されている自治庁としては、そのような答弁では、これはもう不十分で、なっておらぬと思います。私はこれは日本の地方行政機構の一つの特異性ではなかろうかと思うのです。従って質的な点において、外国のこのような末端機構についてどのようになっておりますか。これは今回の財政再建促進法案とは直接のつながりは必ずしもございませんけれども一つ研究していただきましてその資料をいただきたい、このように考えます。  それから次に今度の地方財政再建促進法案の中には、再建団体がその義務を怠ったような場合におきましては、起債を許可しないというような規定もあるわけです。ところが私どもが承知しておりますのは、地方自治法の原則は、二百二十六条ですか七条ですかにいわゆる地方団体起債自由の原則というものがあるはずです。地方団体というものは本来借金をすることは自由であるという建前に立っておって、政府の許可を受けなくてもやれるという原則が一応立っておる。こういうふうな原則については自治庁としてはお認めになっておると思うのですが、その原則を行政部長はどういう理由から——私はやはり地方団体の自主性を守る地方自治の本旨からそういうことになっておると思うのですが、それについてお話を願いたい。
  142. 小林與三次

    ○小林(與)政府委員 地方自治法二百二十六条のお話でございましたが、二百二十六条は結局二百五十条との関連において総合的に解釈するより現行の地方自治法としてはしょうがないと存じております。二百二十六条では、「地方債を起すについては、所轄行政庁の許可を必要としない。但し、第二百五十条の規定の適用はあるものとする。」二百五十条で起債方法その他については当分の間自治庁長官の許可を受くべきものと規定しておるのであります。それでありますから、こういうものについては、できるだけ許可なしに自由にやりたいという気持は基本的にもちろんあるだろうと思いますが、現在の起債事情その他の考え方から、国の金融政策その他の立場から、あるいは起債を確保してやるというような立場から考えても、自由にすることは適当でないというので二百五十条が別途設けられて、現行法の解釈としては二百五十条の運用を基礎にして考えるより仕方がない、こういうふうに存じておるのであります。
  143. 北山愛郎

    北山委員 ただいまのお話では勝手に借金をしたいという気持はわかるというような御説明ですが、そうじゃなくて、自治法としては、地方団体は自主的に許可を得ないでも起債ができるという原則を二百二十六条で認めておるということはお認めだろうと思うのですが、いかがでしょうか。
  144. 小林與三次

    ○小林(與)政府委員 起債の問題は二百二十六条と二百五十条と現行法では両方起債の規定がございますから、その両方あわせて現行法の解釈として解釈するよりしようがないと思います。
  145. 北山愛郎

    北山委員 同じ自治法の中にそういう両方の規定があるから両方あわせて考えるのは当然でありますが、その規定の表現から見ても、二百二十六条には許可を必要としないと書いてある。「但し、二百五十条の規定の適用はあるものとする。」として二百五十条には「当分の間」というような言葉を使っておりまして、従って臨時的に何か暫定的なそういう目的のために本来あるべき起債自由の原則というものを制限しておるのだ、こういう趣旨に解釈するのが正しいと思うのですが、行政部長はどうですか。
  146. 小林與三次

    ○小林(與)政府委員 気持は北山委員のおっしゃった通りだろうと思います。できるだけ自由にしてやりたい、しかしながら現在の国、地方の金融情勢その他から考えて、起債を許可制度にせざるを得ないわけでありますので、二百五十条を当分の間特に設けられたというのが規定の気持だろうと思います。
  147. 北山愛郎

    北山委員 二百五十条の当分の間起債の許可を要するということは、金融調整上の理由その他何か理由がございますか。
  148. 小林與三次

    ○小林(與)政府委員 これは国の立場からの金融の調整という面もありましょうし、また逆にいえば、地方の立場において起債を欲するものに低利の資金運用部資金等を確保させるという別の面も事実上あわせてあるだろうと思います。
  149. 北山愛郎

    北山委員 もしもそういう低利の資金を貸すための規定であるとするならば、公募債などのワクをどんどん広げるということは適当でないと思うのですが、いかがですか。
  150. 小林與三次

    ○小林(與)政府委員 先ほど申し上げました通りそれは両方の面があるだろうと思います。
  151. 北山愛郎

    北山委員 少くとも二百二十六条と二百五十条との関係を見ると、二百二十六条の方が原則であるということをお認めになった。そうすれば、今度の再建促進法案によって、そういういわば暫定的な特定の目的のためにある二百五十条の許可権というものを利用して、これを懲罰というか制裁に使うということは、どうも地方自治の本旨を尊重する道からははずれるのではないかと思うのですが、どうですか。
  152. 小林與三次

    ○小林(與)政府委員 現行法の現在の動き方というものは結局二百五十条で動いておると思いますが、二百五十条が存する限りは現在は二百五十条を基礎にして解釈せざるを得ないのであります。ただ自治法の気持はできるだけ早く二百二十六条によるような事態になることを望んでおるという気持はその通りだろうと思います。それで再建促進特別措置法案の問題につきまして懲罰とか制裁とかいうお話でございますが、これはよんどころない、やむを得ぬ場合においてむしろ再建を促進するためにはそうすることが必要であるという考え方でできている以上は、それをもって直ちに地方自治の本旨に根本的に反するとかいうことにはならないと私は思うのであります。
  153. 北山愛郎

    北山委員 そういうふうな制裁的に、その団体が何か命じたことを守らないので、制裁の意味において起債の許可をしないということは、単に個人対個人の関係とかいうものでは一応わかるのですけれども、しかし地方団体起債をするということは、それでお菓子を買って食ったり、遊んだり、映画を見て歩いたりするようなために金を借りるんじゃない。それは必ず学校を作ったり、道路を直したり、災害にこれを使ったり、いわゆる住民の福祉のために、そういう事業のために起債を頼むんですから、そうすると、そういうふうな住民の利益は無視してもかまわない、住民の利益を無視しても、国がその団体はけしからぬから制裁的に起債を許さないということは、むろん憲法にも規定ははっきりいたしませんけれども、そういうことは一体適当であるかどうか、大臣はどのようにお考えですか。
  154. 川島正次郎

    川島国務大臣 起債を許すことが直ちに住民の利益だとは考えられないのでありまして、あまり多額の起債をしょって地方財政がますます赤字になりまして、その結果、増税その他の処置によって地方民の負担がふえることはかえって利益を阻害するものでありますから、やはり現在の段階におきましては、地方債というものはある程度の制約をする必要があろうと思います。また国家全体の金融の面から見ても、野放しに地方起債をするということはとうてい許されぬのでありまして、全体のにらみ合せもあります。現在地方の中小金融が非常に行き詰まっているのは地方債が多いという原因によるものもあるのでありまして、そんなことも勘案いたしませんと、ただ地方起債さえ許せばいい、こういうふうに一概には考えられないと思います。
  155. 北山愛郎

    北山委員 大臣がそのようにお考えになるならば、今地方財政の計画上地方団体に毎年一千億の起債を許しているのだが、事業をやる場合でもそれほど借金をするのがよろしくないというならば、一体なぜ一千億の起債政府は認めておるか、しかもその起債が累積したために本年は五百億以上の元利償還をしなければならないような事態であります。そのような気持であるならば、なぜ起債を認めないで、何かほかに財源を与えるような方途を政府はとらないのでありますか。
  156. 川島正次郎

    川島国務大臣 大体今年度起債の額は二十九年度と同じ額を許すのでありまして、その中には再建整備債も入っておるわけであります。現在の段階におきましてはこの程度起債はまず差しつかえない、こういう考えでありまして、一千億がいいのかあるいは九百億がいいのかということはいろんな見方もありましょう、ありましょうけれども、大体前年度と同額の起債ならばまずよかろう、こういう考えで前年度よりはふやしておりません。同額というので押えておるわけであります。
  157. 北山愛郎

    北山委員 それは全体のワクでございます。従って総体としてはそのくらい起債財源として認めるのは適当だろうという政策なんです。ところがここに出してあるのはそうじゃない。個々の団体について、そのワクの中で貸し得べき金も貸さないわけでございますから、問題は違うのです。その団体において一つの学校なら学校を建てたいと思うが、しかしその思ったときに、その団体が、どうも政府に対しては再建促進法の趣旨を守らない、だから政府は学校を建てたいと思ってもその団体起債を認めない場合もあるということは、全体の起債のワクがどうだとか、借金がふえるのは適当でない、そういう問題とは全然違うのである。そういうことがいいか悪いか。
  158. 川島正次郎

    川島国務大臣 赤字再建団体が長期にわたる再建計画を作りまして、その計画が忠実に守られないで、ややともすると計画が膨張するというようなことは避くべきことでありまして、それではいつまでたっても地方財政は立て直らぬのでありますからして、そういう団体には起債を許可しないということは、地方財政財政立て直しの上に必要な措置であると考えまして、こういう条文を作ったわけであります。
  159. 北山愛郎

    北山委員 そうすると、そのためには住民に対するいろいろな行政が低下しても差しつかえないという考えですか。私はやはり政治行政というものは、国と地方団体が一緒になって責任をわかち合って、国民に対する一定量の、少くとも最低の行政というものは確保するというのが、これは憲法に条文がはっきりしておりませんけれども、私は根本の国及び地方公共団体共同の責任ではないかと思うのです。そういう考え方からするならば、私の考えが間違っておるなら別ですが、そういう考えが正しいとするならば、地方団体がけしからぬというので金も貸さない、そうして苦しみ抜いて、その結果住民が困ってもいいという理論は出てこないじゃないか。何かほかの方法で制裁をするなり——制裁をするというても、ほかの方法でやるべきじゃないか。住民に対する行政サービスが落ちるというような方法によってその是正をせしむべきではない、それは適当でない、私はそう思うのですが、私の考えは間違っておりますか。
  160. 川島正次郎

    川島国務大臣 赤字団体再建計画を作りまして、これを忠実に実行しておらなければ財政立て直しはできないのでありますからして、忠実に実行しなかった団体に限って起債は許可しない、こういうのでありますからして、これは財政立て直しのためには必要な行政処置だ、こういうふうに考えております。
  161. 門司亮

    ○門司委員 今の起債の問題ですが、ここで聞いておきたいと思いますことは、この再建整備に対して公募債をどうして認めたかという点であります。どうしてこれは国家資金でまかなえなかったか、それの理由があるなら一つお聞かせを願いたい。
  162. 川島正次郎

    川島国務大臣 今年度の国家全体の投融資の資金関係上、そういう措置をとったのであります。
  163. 門司亮

    ○門司委員 私はおそらくそういうことだと思いますが、地方の公共団体は、国の行政事務が大体六〇%とか八〇%とか言われておりますが、六〇%なり八〇%ぐらいあると思いますが、そういう国と一貫した仕事をしていることに間違いはない。従って国が親切であるならば、利息の安い、借りいい国家資金がなぜ出せないのか。公募債は募集が非常に困難である、消化に困難である。いつの公募債でも完全消化したものはないでしょう、しかも利息は高いでしょう、地方の自治体が金を集めることも非常に困難である、しかも利息の高いものをなぜ一体地方再建整備法案に対してこれを押しつけるのですか。私はおかしいと思う。親切に国が地方の自治体の赤字を解消してやろうとすれば、なぜ一体利息の安い、金の十分回る可能性のある国家資金を出さないのですか。ただ財政計画の都合だけでは承知ができない、もう少しはっきり言ってもらいたい。
  164. 川島正次郎

    川島国務大臣 国家資金を出そうという考えがあるからこそ、条文の中では三十一年度においては全部これを国家資金に切りかえるように書いてあるわけです。またそれがために特に今年度は利子の補給もする、こういうわけでありまして、私ども赤字債というものは全部政府資金に切りかえることをやろうと思っておるわけであります。ただ今年度、三十年度の全体の投融資計画におきまして余裕がないから百五十億だけは公募債にしよう、それについては特に利子の補給をしようじゃないか。しかも三十一年度はそれを政府資金に切りかえよう、こういうことがはっきり法文の中に書いてあるわけであります。
  165. 門司亮

    ○門司委員 私が聞いておりますのは、法文にそう書いてある、そのことはわかっております。わかっておりますが、なぜ一体今年からこういうことをされるのですか。公募債は完全に消化するという見通しがあなた方の方にありますか。従来の例からいってもないでしょう。どんなにあなた方が言われたところで本年は五月一日現在でまだ四〇%内外しか消化していないじゃないですか。現在二十九年度公募債はどうなっておりますか、完全にできておりますか。
  166. 後藤博

    後藤政府委員 二十九年度公募債は、五月三十一日現在で、たしか余っておるのは四、五億だと思っておりますが、四、五億くらいが未消化で、あと全部消化しております。従って四、五億の未消化の分は特殊な理由に基くものでありまして、大体私どもは完全に消化したものと考えております。昨年も大体同様であります。
  167. 門司亮

    ○門司委員 今の答弁だけでは、私どうもごまかされたような気がする。五月一日づけで五〇%にいっておらなかったことは事実である。一カ月のうちに残りの五〇何%が消化されたとは考えられない。もしそういう事実があるならば、事実によって表をはっきり出してもらいたい。それから今の問題でありますが、従来政府は三十一年度からと申されておりますが、大蔵大臣がこれを承認するかどうかということは疑問がある。なぜ疑問があるかというと、政府の政策をずっと一応調べてごらんなさい。地方債に対して、昭和二十五年から、あるいは二十三年、二十四年あたりからでいい、ずっと調べてごらんなさい、政府資金の貸し出しはどういう形で貸し出されておるか。昭和二十四年には地方債に対して九五%出している。二十五年度から、いわゆる前の自由党の政府になってから、産業計画と同時に地方債考えることのために、どうしても産業資金が優先的になりがちである。これは資本主義の制度である限りにおいて、地方自治体の財政などあまりかまっちゃおられないらしいので、資本系統に金を貸し出す方が多いのです。その数字をずっと調べてごらんなさい。ごく最近では、二十九年度はわずかに四三%しか出しておらない。三十年度も同じような数字をたどっておる。三十一年度で直ちに全領国があらためて出すということは言えないと思う。もし国がかりに地方財政再建整備に関する百五十億だけを肩がわりするということであるならば、必ずその結果は一般起債にしわ寄せをされてくるに間違いがないと思う、これは基本方針がそうなんですから。大臣がそういうことを言われるならはっきり聞いておきますが、政府は、それなら政府資金の運用の考え方といいますか、方針が変ったのですか。私が今申し上げておりますように、地方債に対しては政府資金を全額出すというような方針に変って、それだけ産業に対する財政投融資を縮めていくというように政府の方針が変ったのですか。政府の方針が変っておれば、それは了承してもいいが、政府の方針が変らないならばしわ寄せは必ず一般起債にくることは火を見るより明らかであります。そうなってくると、なお始末の悪いものが来年度に出てくる。赤字団体だけは救済ができるかしらぬが、あとからまた赤字団体ができてくる。もし政府の方針が変っておるのであるならば一つこの際はっきりしておいていただきたい。
  168. 川島正次郎

    川島国務大臣 三十一年度から一般産業に対する投融資を政府がどうするかということは、私はちょっとお答えできないのでありまするが、少くとも地方財政に対しましては百五十億はこれを政府資金で見るということは、先般大蔵大臣がここへ御出席された際にも、大蔵大臣から言明をされております。その百五十億は、三十一年度の投融資計画を作ります際に政府資金一般会計から食い込まない、それは百五十億だが別だ、そういうことは閣議の了解を得ております。
  169. 門司亮

    ○門司委員 これは特別法で処置するものでありますから私はむろんこれは別だと思います。しかし私の心配しておりますのはそのしわ寄せが今度は一般起債に来はしないか。いわゆる特別法によって百五十億を出したから、一般起債の分を百五十億公募公債の方に譲る危険性が出てきはしないか、こういうことです。それをなくそうとすれば、政府資金の出し方に対する基本的な考え方が変ってきて、もう財政投融資の方を少くして、公共団体の方によけい出すという政府の方針が変ってくれば、今のことのような答弁ができると思う。しかしこの考え方が変らなければ、大臣の答弁は再建整備だけはそれで一応了承できるのですが、一般財源についてしわ寄せが必ず来るというふうにわれわれは杞憂するのであります。もし大臣がその方針について御答弁ができないとするなら、一つこの所管である大蔵大臣に次の機会に来ていただいて、ほんとうに政府財政投融資に関する政府資金の使い方の方針が変ったかどうか、この点をなお確かめたいと思います。一つ次の機会には大蔵大臣にぜひここに来てもらいたいということを私は委員長お願いをいたしておきます。  それから同じように起債についてでありまするが、起債の問題を大臣はどういうふうに一体お考えになっているかということであります。これは特別法でありますから、大臣説明書の一番最後に特別の処置としてこういう処置をとるということが書かれておりまするから、一応それでいいようには考えられまするが、起債の性格というものは一体政府はどうお考えになっているかということをお伺いいたします。
  170. 後藤博

    後藤政府委員 起債の問題には幾つかの問題がありますが、現在起債の性格が一般財源的な性格を多分に持っております。この点は私どもは徐々に一般財源、つまり税財源、自主財源等に振りかえていくべきものである、こういう考えでありまして、財源的に起債をつけるという方針は順次縮小していきたいという考え方を持っております。ところが往々にして議論をされまする方は、起債の千億という絶対量は非常に多くて、その償還費が非常にかさんでくるから、一千億の現在の起債の量は多過ぎるのだ、こういう議論を端的にされる方が非常に多いのでございますが、私どもは現在の地方団体財政規模から申しまして一千億ぐらいの起債額はここ当分あってもいいのじゃないか、ただ問題は償還費の多くなるようなつけ方をするところに問題があるのでありますから、個々の団体に償還費が多くなるようなつけ方をするのは、つまり財源的に考えるという考え方を早くやめて、起債をほんとうに適正事業につけていくという考え方に徹していけば、一千億という数字は決して多い数字じゃない、こういうふうに考えております。従って金融機関とか、政府の中でも金融関係の方々は一千億の起債は多過ぎるのだ、従って地方団体起債を圧縮すべしという議論を簡単にやられるのでありますが、私どもは決してその議論はそのままその通りだとは言っておりません。一千億は決して多くない。たとえば五大都市だとか、五大府県、それから富裕団体、そういうところに適正事業に起債をつけて参りますと一千億じゃ足らぬのであります。従ってそういうふうに起債を適正事業につけていくという考え方に起債を持っていくということによって、起債というもののあり方を変えていかなければならぬのであります。しかし現在の地方財政状況のもとにおいてそういう大転換を試みますことは非常に激変を与えることになりますので、これはそう簡単にできない。従って財源が増加するに従って起債のあり方を変えていくという考えで進んでいきたい、かように私ども考えておるのであります。  それから公募債が絶対にいけないかどうかという問題があるのであります。しかしこれは別な考え方からすれば、公営企業的なものにはやはり地方団体でやろうと、民間事業体でやろうと、同じくらいのコストでいくべきではないかというような議論が一方にございます。従ってそういう機関に対する起債政府資金ばかりでなく、やはり公募債をまぜてやったらいいじゃないかという議論もあるのでありまして、私は公募債が絶対にいかぬという議論はおかしいと思う。多少の公募債はいいがその額が非常に多くなって参りますと、やはり問題になってくる。従って二百億をこして参りますと、やはり問題が起きてくるのでありまして、二百億以内の公募債の量であれば、私は、大体金融情勢がよくなって参りますれば消化できるのじゃないかというふうに考えております。
  171. 門司亮

    ○門司委員 今の後藤君の答弁はきわめて常識的な答弁であって、起債をそういうように見ることは一応の見方だと思います。しかし現実はそれとは非常にかけ離れた現実になっておるからこれは問題になるのであります。起債が一千億でいいか悪いかということ等について、もしあなたの方でそういう御答弁があるならば、私の方も話をしなければならぬのですが、起債についての最近のあり方は一体どうなっておるかということである。先ほど政府資金と、それから一般産業に対する投資関係の比率はごく簡単に申し上げましたが、そういう比率で政府は出そうとしておる。その最後のしわ寄せは行政的に見てどこに考えておるか。私は、一千億の起債が必ずしも過重でないという一つの見方は、今起債を適正なる事業については一千億出してもいいのじゃないか、これはその通りであります。しかし現在政府が行なっております起債状況は一体どうなっておるか。私は必ずしもこの数字が悪いとは言いませんが、ごく最近の三カ年の私どもの集めた数字を一応見ると、一般会計として地方の負担額あるいは申請額としておるもので、起債の認可されておりまするものは、昭和二十七年度は千二百七十八億の申請に対して、六百七十五億認可しておる。さらに昭和二十八年度は千七百五十九億に対して九百九十八億、これはいずれも五二%から五六%内外、それから二十九年度は千四百九十四億の申請に対して八百五十億内外の認可をしておる。これは五七%であります。一般のこの財源に対しましては五十七%の起債をしておるが、起債でやるべき仕事と考えられるいわゆる投資的財源に対する最も大きなあり方は公営企業でありまするが、公営企業に対しては二十七年度申請が六百九十六億に対して認可は二百五億である。この数字は二九%にしかなっておらない。二十八年度は九百二億に対して二百三十五億、これは二六%である。二十九年度は一千五十六億の要求に対して二百四十四億、一三%、こういう数字が出ておるのである。だから今の後藤君の答弁はきわめて常識的であり、あるべき姿ではあるが、現実の姿はそれと全く逆の方向に進んできておる。ここに起債の非常にめんどうな問題が起っておるのである。当然投資で行うべき事業に対する起債は、私は一千億あろうと、あるいはこれが一千五百億になろうと、それは一つの事業計画に基くものでありまするから、これは一応承認せざるを得ない。問題になるのは、起債財源として不適格と考えられる一般財源起債が多くつけられておるところに、私は今日の問題があると思う。これは少くともやはり起債の原則からいけば非常に誤まった方向に現実の姿が向いてきておるのである。われわれが起債考えるときには、やはり償還というものを先に考えなければならない。借金をするという場合に、返すことを考えないで借金をするという危ないことは地方自治体はできないのである。一般財源においては、償還財源というものがなかなか見つからない。特に地方公共団体の償還財源として一般財源起債に求めようとすれば土地の売り払いをそこに引き当てるとか、何とか財産処分をして、これが財源に引き当てるということを考えなければなかなかできない。従って起債をしようとするならば、まず財産造成を考え起債財源に振り当てられる財産造成を起債によってまかなっていくということが、前段階として考えられていかなければならない。そういう投資的のほんとうの仕事についての起債の額が非常に認可が少くて、一般財源と思われる方にさっき申し上げましたような数字でたくさんの起債の認可をしておるところに、今日の地方財政赤字の原因があるのである。その原因はあげて国の資金運用部資金財政投資の関係その他からきておるのである。同時にわれわれの考え方からいえば、再軍備その他でたくさんな金を使っておりながら、中央で公債政策をとらない、その中央で公債政策をとらないしわ寄せが、地方にきておるのである。従って私は今日の現実の姿としては、今の後藤君のような答弁であるとするならば、現実の姿が明らかに起債の方針に反した起債をつけておるから、こういう問題が起るのだというように私には実質上解釈せざるを得なくなってくる。今の後藤君の答弁のようなことで起債がずっと認可されておれば、またそういうことで消化されておれば、私は大した問題は起らぬと思う。そうではないから問題が起るのである。公営企業その他に対して公募債でいいというなら、それは公募債でけっこうです。しかしそうではないのである。公募債でまかなうものは一般財源である。ことに今度の再建整備は、明らかに一般財源であることに間違いがないのである。こういうものに公募債をつけるから大きな間違いができるのである。従って、もう一応聞いておきたいと思いますが、これは起債の問題の根本的の理念に反したやり方ではないかと私は考えるが、それでも起債の趣旨に反しないというように御答弁ができるかどうか、もう一応大臣から聞いておきたいと思います。
  172. 川島正次郎

    川島国務大臣 お話通り、投資的経費は大体起債を許す、消費的経費はなるべく起債によらぬ、そういうことは当然でありまして、漸次地方財政をそういうふうに持っていきたいというふうに考えておりますが、今度の赤字債というものは、従来地方が一時的に金融しておったのをたな上げするのでありますから、私どもはやはり起債によりまして長期に切りかえるということが適当だと考えているのでありまして、原則は私は門司さんのお話通りと思います。しかしながらこの赤字債だけは別でありまして、地方が苦しんでおる短期債を長期に切りかえようというのでありますから、これを起債でやることは、この場合は適当だと思います。
  173. 門司亮

    ○門司委員 私はもし政府がそこまで親切な考えであるならば、起債とかなんとかいわないで、元利償還を何年間待つとかなんとかいうことで、地方の負担にならない、肩がわりをしない、完全なたな上げにすることの方が、親切だと思う。そうすれば、それだけ金が返ってきませんので、資金運用部の方に関係はしてくると思いますが、しかし借りかえをしてやるという親切があるならば、もう一歩進んで償還を二年なり三年なり待ってやるという形の方がいいのではないか。肩がわりは、償還を待つような形には見えますが、実際はそうではないのである。元金の償還を待つ、あるいは利息の償還を何年待つとかいうようなことで、実質上の援助をしてやった方が、再建整備には役に立つ。借りかえだけでは、借金は一つも減らぬのであるから、私は借金を減らすということで方針をこの際立てていくという方がいいのではないかと思いますが、その点大臣のお考えを承わりたい。
  174. 川島正次郎

    川島国務大臣 ただいま地方団体が背負っておる赤字は、民間資金が相当多額にあるのでありまして、政府資金だけではないのであります。これは民間資金も長期に借りかえようとしているのでありますから、門司さんのおっしゃるようにただ元利の支払いを延ばすということだけでは簡単にできないわけでありまして、こういう処置をとっておるわけであります。
  175. 門司亮

    ○門司委員 できないというならばそれでいいと思いますが、それでは今度はちょっと方向を変えて聞いておきたいと思います。政府はこの法律である程度地方の事業を縮小しようとお考えになっておることは間違いありません。従ってそれは大体公共事業でどのくらい縮められるつもりか、あるいは単独事業をどのくらい縮められる考え方か、もしおわかりになるなら、その構想を一つ伺っておきたいと思う。
  176. 後藤博

    後藤政府委員 私どもといたしましては、どの程度公共事業を縮めなければならないか、単独事業をどの程度縮めなければならないかということは、経費の節減をやるか投資的事業を落すかというかね合いの問題でありまして、私どもはどちらをどの程度落す目標であるということは、ちょっとはっきり申し上げかねるのでありまして、個々の団体によって、またその赤字の原因によって、やはり個々の団体判断をしてきめるべきだ、こういうふうに考えておりますので、一応の計画ができますれば大体予想がつきまするけれども、現在まだ計画策定の団体が多いので、今のところちょっと見通しがつかないということであります。
  177. 門司亮

    ○門司委員 私はその見通しがつかないというのはおかしいと思うのですがね。大体公共団体の仕事というものは、一般公共事業がどのくらいある、単独事業はどのくらいやっておるということは私はおわかりだと思う。だからこれを一体再建整備しようとするにはどの程度まで縮めるのか、これは地方の自治体がサービス官庁であります限りにおいて非常に大きな問題です。それから個々の自治体がおのおの仕事を持っておるので、事業内容に対してのものの考え方は非常に重要な問題です。だから自治庁再建整備を行う団体に対しては、一般公共事業は一つこのくらいに縮めてもらいたい、あるいは単独事業はこのくらいにしてもらいたいというような目安がなければ計画は立たぬはずなんだけれども、目安が立たなくて計画を立てたというなら神様みたいなものだ。神様でも、見通しがつくからそういう計画を立てられるのだと思う。そういう空漠たるもので再建整備考えられているとは思わない。ある程度地方の事業を縮小しようというには計画性がなければならない。その計画性を一つはっきりしておいてもらいたい。
  178. 後藤博

    後藤政府委員 公共事業の量というものは、県が平均してやっておるわけではございません。同じくらいの人口百万なら百万の団体の公共事業の量を見ますると、たとえば十五億くらいのところあり、十億くらいのところあり、いろいろでありまして、非常に不平均なのであります。従って再建整備計画を建てます場合に、その量をどのくらいにするか、これはもちろん継続事業もございますが、新規のものもむろんございます。従って非常に補助事業の起債なんかをみておりますと、事業の量が不平均になっておりまして、それを平均化するというようなことを考えること自体に非常な問題があるのありまして、私どもはそういうようなことでなくて、個々の団体が県の財政力に応じた公共事業をやってもらいたい、そういうふうな気持でもって再建計画を立てるように、こういう指導はいたしております。従ってあるべき公共事業の量というものをあらかじめこちらの方から押しつけるというわけには参らぬのでありまして、計画的に公共事業の量をこれだけ落すという数字は頭から出てこないのであります。この点がほかの事業と違った、義務的な事業と違ったものでありまして、これは御参考のためにいつかの機会にお知らせしてもいいのでありますが、公共事業というのは府県によって非常に量が違うのでありまして、その量が違うために負担も違って参ります。その負担が非常に過大になって参りますと、やはり赤字の原因になる、こういうことになって参りまして、負担の非常に過大なところについてはやはりその負担を自分の財政力に応ずる程度に引き下げていくということになってくるのであります。従って同じようなことを隣りの県にやれといっても、それはもともと小さい規模でありますればできない、こういうことになって参りますので、計画的に落していくということは不自然でありまするし、またそういう計画もできない、こういうふうに私考えております。
  179. 門司亮

    ○門司委員 あなたの方からこの府県にこうしろということはできないでしょう。それはできないことはわかっておるが、しかしこういう計画を立てられるには一体公共事業をどの辺まで縮めていくか、あるいは単独事業はどの辺まで落していくということにしないと、起債その他の融資をしてやろうというような額がわからない。これは大体私はあなたの方にあると思う。たとえば千葉県の柴田知事は、公共事業費は今までの八割くらいに縮めたい。単独事業は五割くらいにしたい、そういうことで、あと機構の改革をやっていけばあるいはこういう法律の適用を受けなくても私の方ではやっていけるのじゃないかというようなことを言っておる。これは個々の問題であるからということにあなたの方ではなると思うが、しかしそういうものが計画を立てられる前にちゃんとなければ、ただ何もなくてむやみやたらに四百六十二億の赤字が出たから、これをこのくらいにしたらよかろうというような態度ではきわめて不見識である。同時にその計画がなければ地方整理団体から出てきた縮小に対する計画というものに対する自治庁の査定はできないでしょう。自治庁の査定はどこに一体基準を置くつもりなのか、これはやはりそういうものが私は問題になると思う。お前のところは単独事業を今までやり過ぎておった、あるいはお前のところは単独事業は少かったが、一般の公共事業を少しやり過ぎておった、これをどのくらいに縮めていくというようなことの目安くらいはなければ、私はとてもこういうものの処置はできないと思う。もしそういうことの目安も何も立てないで、自治庁長官のところに財政計画の申請が出てきたときに、何の寸法によってこれをはかられようとするのか。私は大体の目安があると思いますが、その目安についてのお考えをもう一つ——変なことで隠しだてしたってしょうがないので、あなたのところでちゃんと査定されるのだから、どこかの基準にものさしを当てられるのだから、そのものさしをどこに持っているかということを聞いているだけです。
  180. 後藤博

    後藤政府委員 財源として一般財源、つまり税と交付税を各歳出にどの程度振り当てられるかということを再建計画で大きくきめるわけであります。どの程度投資的事業に毎年度一般財源を振り当てられるか、こういう大きな計画をいたすのであります。その一般財源で負担すべき量というものを再建計画で出しまして、それに合うような程度の公共事業、単独事業をやっていく、こういうことになるのであります。その場合に、公共事業でありますれば、三分の二の事業のものもございましょうし、二分の一の事業のものもございましょう。補助率が違って参りますれば、負担率も違って参ります。一般財源所要額が違って参ります。従って逆に一般財源の持ち出し量というものを基礎にいたしまして、事業の量をその県その県できめていくことになる。従って私がきまらないというのは、そういう意味できまらないということであります。どの事業をやるかということでなくて、一般財源は投資的な事業に対してはこの程度しか出せないという計画がもとにあるわけであります。再建計画でそれがきまるわけであります。それを基礎にして、事業の分量を毎年度組んでいくわけであります。従って初めから固有の事業量というものを予定してやるわけじゃなくて、そういうふうに一般財源の方から逆にそれに見合うところの起債、それに見合うところの補助金、そういうものを逆算をして、そして事業量をきめていく、こういう格好になって参ります。従って一般財源の配分をどういうふうにするかということが、やはり再建計画の中心になるわけであります。従ってその割り振り方によって非常に違ってくるということを先ほど申し上げたわけであります。
  181. 門司亮

    ○門司委員 しかし私はそういう答弁だけでは一向に承知ができない。少くとも自治庁は計画を立てているのです。計画を立ててその計画を実行に移すには、計画に見合うだけの考え方がなければならぬと思う。もちろん個々の自治体に対しては、今のような考え方が出てくると思う。それは個々の問題である。政府一つの計画を立てようとする目安というものは、一般の公共事業については一体どのくらい減らしたらいいか、単独事業はどのくらいの目安においてやったらいいか、それは自治庁でそのくらいの考え方と統計がないはずはないと私は思う。それならば、そのパーセンテージでもけっこうだと思うが、一般財源に対して見合う起債の量と、公共事業の量と、単独事業の量は一体一般財源に対してどのくらいのパーセンテージであればいいのか、その目安がついていますか。
  182. 後藤博

    後藤政府委員 私ども起債計画では、起債の充当率は負担額の六〇%を見ているわけであります。従って四〇%は一般財源、こういうふうにやっております。これは府県市町村によって起債の充当率は違えておりますから、従って府県市町村では少し違います。しかし一般的には六〇%の起債をつけて、これは補助事業でありますが、四〇%が一般財源、こういうことに財政計画上はなっております。しかし個々の団体に参りますれば、先ほど申しましたように、たとえば消費的事業に一般財源を非常に持って参りますと、投資的事業へ参ります一般財源がなくなるわけであります。なくなれば、そのなくなった量に見合うところの事業をやる。それから消費的事業を縮めてそちらの方で相当な余分ができて参りますれば、投資的事業の方で大きく事業ができる、こういうことになるのでありまして、財政計画としては六〇%の充当率でございますから、四〇%の一般財源を見ているわけでございます。
  183. 門司亮

    ○門司委員 今の六〇%と四〇%でありますが、それはあなたの方の考え方であって、実際はそうなっていないところに私は問題があると思う。この再建整備に関する限りは、大体今のような考え方でいくのだというようなことに間違いございませんか。
  184. 後藤博

    後藤政府委員 再建整備団体の場合には、そういうことではなくて、もちろんその四〇%の一般財源の持ち出しということを基準にした起債の充当率で参ります。それは全団体同じ条件であります。ところが再建団体につきましては、同じ六〇%の起債がつくにいたしましても、事業の量が一般財源のあり方によって変って参りますから、従って率は同じであっても事業量が変ってくる。つまり消費的経費と投資的経費の一般財源の振り当てによって、率は同じであっても量は変ってくる、額は変ってくるということになるわけです。
  185. 門司亮

    ○門司委員 その辺のことがなかなかはっきりしないのであるが、さっきから言っているように、あなたの方の再建整備に対する起債事業の認可のワクというものは、公共事業と単独事業については今までの答弁では私は一向わからぬのである。また起債の割り振りだけは一応わかった。今の御答弁をそのまま受け取ってしまえば、それで常識的に一応そういうことが考えられるが、しかし実際的にはなかなかそうはいかぬと思う。それをそう受け入れておいて、その次に聞いておくのは、最初聞いておきました、そういうことからくる公共事業をどのくらい縮小すればいいのか、従って単独事業はどのくらい縮小されるだろうか、こういうことを明確にしておかぬと、地方の自治体というのは、ただ国からあてがわれた事務だけをやっておればいい団体ではないのであります。少くとも自治体というものは、地方住民の要望にこたえて、伸びるところは伸ばさなければなりません。赤字があるからといって、学校がどんなになっていようと、そんなことはほっておくというわけに参らないのであります。赤字があるからといって、橋梁の破壊されたものをそのままおいておくわけに参らぬのであります。同時に、いわゆる自治体のあり方というものは、毎年々々幾らかずつ自治体が住民の福祉に沿うよう施策を行うということが当然であります。従って事業量というものが非常に大きな影響をするのである。だから再建整備の場合は何にもできないということになると、地方の自治体というものは、ほんとうに国の出先だけの事務をやっておればいいということになる、そうして仕事はちっともできないということになる、そういうことが心配になりますから、一体今行われている公共事業のワクを、どのくらい縮め、あるいは単独事業をどのくらい縮めていくことが、最小限度の、政府から見た地方自治体のあり方であるかということが考えられなければならない。お前のところは赤字を持っているから、赤字を解消するまでは一切の仕事をやってはいかぬということでは困る。そうかといって、再建整備考えているようなものを野放しにするというのもいかぬでしょう。どこかでこれを押えなければならぬ。それを押えるということが、議会できめて申請を出して、自治庁長官の認可といいますか、許可を受ける、こういうことに法律ができ上っている。従って当該地方公共団体の議会にかけて諮られる範囲、これが地方の自治体では問題になるのであります。首長はできるだけ縮めていきたいという考え方を持つかもしれない。しかし議員は、そういうことをしておったのでは一体自治体はどうなるのか、何にもできないんじゃないか、何にもできなければ、それだけ住民から税金をもらって、そうして職員の給料を払って、借金払いをしているだけで、何にも住民に福祉還元ができないじゃないか、こういうようなことでは自治行政というものは完全に破壊される、従ってそこのかね合いが非常にむずかしいのであります。むずかしいから私はくどく聞いているのであって、大体自治庁考え方はどのくらいこれを押えられるつもりであるか、その考え方が出てこないと、これは安心してこういうものを通してはおけない。何にもしていけないということになると、地方自治体はえらいことになる。
  186. 後藤博

    後藤政府委員 先ほどからしばしば申し上げましたように、消費的経費をどの程度落せるかによって、一般財源をどの程度投資的事業に振り向けられるかということがきまるわけです。従って消費的経費をどの程度節減できるかということがきまらなければ、投資的経費の量というものは出てこない。従ってどの程度節約になるか、どの程度圧縮されるかということが出てこないのであります。われわれの方としてはどの程度節約するという目標はございません。それぞれの団体できめることであります。しかし消費的経費を大きく落さなければ投資的経費は、現在の公共事業の量をやることはむずかしい、こういうふうに考えております。
  187. 門司亮

    ○門司委員 だんだん問題が明らかになってきたような気がするのだが、消費的経費を落さなければ投資的経費の金が出ないということは、これは一つの一升ますの中ではかるのだからどっちかにしわ寄せされる、こういう考え方だろうと思います。それにしてもやはりこういう法律をきめます場合には、一応の目安というものを考えられていませんと、これを直ちに地方の自治体に押しつけてしまって、お前の方は再建整備を受けたのだから、仕事は一切できないのだということになって非常に困るのです。同時に地方の自治体も、この問題が長から出されて議会が審議する場合も、大体の目安というものがなければ話がまとまらぬと思うのです。自治庁はこういうもので指導しようとするならば、今までの公共事業の赤字はこれぐらいにしてもらいたい、単独事業はこれぐらいにしてもらいたい、そうして地方の住民の全幅的の負託にはこたえるわけにはいかないでしょうけれども、自治体としての形と自治体としての住民の意思を反映するだけのものを残しておかぬと、準禁治産どころではなくて禁治産になってしまう。禁治産になったのでは自治意欲がなくなるのであります。私は赤字を解消することに異論はないが、赤字を解消することに急であって自治意欲のなくなるようなことはしたくない。そうだとすれば非常に大きな誤まりであります。従って今くどく聞いておりますのは、この自治意欲をなくするかなくさないかということは自治庁の査定のいかんである。従って自治庁はその査定をどの辺に置くかという目安を一応この機会にはっきりしておいてもらいたい。
  188. 後藤博

    後藤政府委員 どうもお話を伺っておりますと、再建計画を何か自治庁で査定するようなお話でありますが、私どもはそういうことではなくて、計画の歳出歳入それぞれが適確な基礎に立っておるものである限り、別に再建計画を査定していくというような考えは持っておりません。従って問題は、当初からどうせ黒字は出ないのでありますから、最初の年とその次の年は収支とんとんでやって、その次の年から黒字を出していくかどうか、そういうことが問題でありまして、もちろん歳入のうちで交付税の額だとか起債の額を過大に見積られますればそれはおかしい、それから歳出の方は義務的経費の節減をえらく考えておられますればそれもおかしい、こういう注意はいたします。しかしその上にさらに査定を加えて、公共事業の量をどの程度落していくとか、先ほどもお話がありました人員整理をこの程度にしておくというふうなところまで内容に入って、われわれの方から申し上げるようなことばしない。やはり自主的に立てたものを中心にして考えていく、こういう考え方でおるのであります。
  189. 門司亮

    ○門司委員 そうだとすれば、こういうふうに解釈してよろしゅうございますか。法令に基く義務的経費についてはこれを査定する場合にどういうふうにお考えになるのですか。査定しないと言われているが事実上の査定なんです。持ってきたものを見られて許可するのですから実際査定なんです。たとえば義務的経費についてはこれを縮めようというようなお考えがございますか。
  190. 後藤博

    後藤政府委員 一定の計画的な節減をされるという計画はあると思います。その計画同体が実施可能であるかどうかということを私どもは見て判断したいと思っております。実施可能であればその計画をのんで行きたい、かように考えております。
  191. 門司亮

    ○門司委員 実施可能であるということを私は聞いておるのではないのです。地方の自治体では法令に基く義務的経費というのがあるはずなんです。これは大体はっきりした数字はわかりませんが、学者の説もいろいろであります。われわれの分析もいろいろですが、大体三〇%をこえるものは法令に基く義務的経費である。これは私は落せないと思う。それについてはそのまま認められますか。
  192. 後藤博

    後藤政府委員 今申しましたように、それを計画的に落すという計画を立てるかもしれません。従ってその場合には計画的に落す計画が実施が可能であるかどうかということを判断いたしまして、可能であれば認めていくということになると思います。
  193. 門司亮

    ○門司委員 そうだとすると、その次に出てくるものの経費の中には、実費的な義務的経費というものが出てくる。必ずしも法令に基く義務的経費ではなくて、実質的の義務的経費、いわゆる補助金その他に見合うだけのものは実質的にやはり出さなければならぬ。法律でこうしろというわけではないのだが、きまってきている公共事業などにはことにこれが多いのであります。従ってこれらの事業に対して政府は査定といいますか、考え方によってこれが左右されるようなことがあるかないかということです。
  194. 後藤博

    後藤政府委員 私ども考えております義務的経費というものは、たとえば生活保護とかいうふうなものを義務的経費と言っておるのでありまして、純粋の義務的な経費を非常に削って一般財源の持ち出しを節約するような計画を立てて、その計画の達成が不可能と思います場合にはそれは訂正してもらわなければならぬ。しかしそれが計画的にやれるという見通しがつけば、地方団体の計画をそのままのんで行く、こういうことになるのであります。公共事業につきましては、補助金のつくものの地方負担は義務的経費とは言えないのであります。これはいわゆる義務的経費ではないのでありまして、これは自分の一般財源考えて事業の総量を考えるべきものだ、こういう観点に立っております。
  195. 門司亮

    ○門司委員 だから私は法令に基く義務的経費と実質上の義務的経費の二つに分けておるのであります。前段の法令に基く義務的経費というものはいかんともしがたいと思う。もしこれを詰めるような考え方があるならば法の施行ができないだけのことである。実質上の義務的経費と申し上げておりますのは、先ほども言っておりますように、仕事はしなければならぬが、これは法令に基くものではない。しかし政府法律によって二分の一とか三分の一の補助規定をきめておるのであるけれども、その仕事をしようとすれば実質的には赤字が出てくる。従って私はこの義務的経費にしても、二つに分けて考えるのが常識だと考えておるから今のように聞いておるのです。しかし二つの仕事は、一つは国の法令に基く仕事であって、国の仕事をやっておるのに間違いはない、これは削れない。次に実質上の経費については、今のお話内容によりますと、学校を建てなければいいじゃないかという理屈が出てくるかもしれません。公共事業をやらなければいいじゃないかという理屈が出てくるかもしれない。しかし現在の段階においては義務教育は解消できない、学校の老朽校舎をそのままに置いておくわけにはいかない、これはいやがおうでも地方の自治体はやらなければならぬ。こういう半分義務のような形を背負っている仕事についてこれを削っていくことになると、これは非常に大きな問題が出てくる。しかもここには法令に基いても基かなくても、補助金の額というものは十分でありません。持ち出しがむろんあるのであって、これをもし認めないということになると、かなり重大なことになりはせぬか。その事業の内容によってはいろいろな問題が起ると思うが、これについて自治庁はこれを縮小するというお考えがあるかどうか。
  196. 後藤博

    後藤政府委員 おっしゃいますような場合がありますので、国の負担金等を伴う事業に対する特例の規定を十七条に置いておりまして、他の団体ほどの十分な事業量でもって事業をやることはできないかもしれないが、細々ながらそういう事業をやっていくだろう、こういうことで事業の分量は縮小するが、補助率は高めて一般財源の持ち出しを少くしてやってもらおう、こういう意味でこの法律の条文を出しておるのであります。絶対にそういう事業もけ飛ばしてしまうのだということではなくて、再建整備団体で、一般財源がなくてもしなければならない必要なものについては補助率を高めて、負担を少くしてやってもらおう、こういう気持から十七条の条文を置いたわけであります。
  197. 門司亮

    ○門司委員 そうだとすれば、残りの再建整備について縮小圧縮できるのは任意的経費だけということにならざるを得ないと思う。任意的経費が今日地方財政の経費のウェートからいけば、これも三〇%ないし三五%程度にしかならぬと思う。これは今まで学者の書いた本のどこを見てもそういうことが書いてある。もしこれが正しいとすれば、再建整備について圧縮できる範囲は、全部の財政計画の中の三分の一程度のものであるというように解釈しても差しつかえございませんか。
  198. 後藤博

    後藤政府委員 何%くらい圧縮できるかということは個々の地方団体によって違うのでありまして、三〇%もできる団体というのはなかなか少いのじゃないかと私どもは思っております。現在は非常に財政規模を落しておりますから、一挙に三〇%の節約はなかなかむずかしいのではないか。もしもできるとすれば、再建計画というものは非常に短くなってくるようでありますが、私は最も縮小されたものになっておるというふうに考えております。パーセントはどの程度になりますか、私もちょっと不勉強でありまして、そこまで研究しておりません。
  199. 門司亮

    ○門司委員 今の答弁は誤解があるようです。さっき言ったように、法令に基く地方の自治体の義務的経費というのが、大体三二、三%くらいなんです。その次には、実質的の義務的経費と思われるものが出てくる。これは大体三二、三%ある。これはずっと同じように考えて、もう一つの問題は、各地方の自治体が行う自由の経費というか、任意的経費というか、これを三つに分けると、三つを同じような分量にしてみたところで、三三%ずつになるのである。従って、今度の財政計画で縮小をすると考えているのは、この任意的経費にのみしわ寄せをするのか。さっきからの答弁では、二つの問題についてはあまり縮小ができないらしい答弁をしている。そうすると、この残りの任意的経費にしわ寄せされてくる。これは一体ここだけにしわ寄せをするつもりか。それだけ再建整備計画の中では考えて落していけばいいのかどうか。
  200. 後藤博

    後藤政府委員 どうも、門司先生のおっしゃる任意的経費というのが私にぴんと来ないのでありますが、おっしゃいますような任意的経費は、もちろん優先的に落されていくものだ、こういうふうに私ども考えております。
  201. 門司亮

    ○門司委員 もちろん優先的に落されるものだと私も考えている。だから、もしこれが優先的に落されることになりますと、自治意識が非常に薄くなるのであります。今日の自治意識というものはここにあるのである。自分の団体の仕事を自分でやっていくというところに住民自治の建前があるのである。従来の団体自治の理念だけでものを考えていくならば、今のような答弁でいい。しかし住民自治の理念から考えていけば、そうはいかぬ。もし国がほんとうに削ろうとするならば、国から義務的経費としていろいろな仕事を言いつけておるような経費を、地方自治体の自主的の財源に下していくということは、正しいあり方である。国がやる仕事だけはやらせる。あるいは実質的の義務的経費だけは、補助率を増しても地方にやらせる。地方の自治体が任意的に何かしようとするものだけは押えようということになりますと、これは自治意識にかなり大きな障害が起る。国からのお声がかり、国からの補助金のあるものだけしか、この村では仕事ができない。あとは、村の者が考えているのは一切おやめなさいということになります。これは昔の自治体とちっとも変らない。これでは住民自治の意識が生まれてこない。それでは現行の自治法から考えると、準禁治産あるいは禁治産にひとしい考え方になってきて、だんだん自治意欲がなくなる。自治法全体から考えて、きわめて危険きわまる思想だと考えざるを符ない。この点について、こういう行き方で自治意識が高まってくるかどうか。今日の自治法に適応したやり方であるかどうか。この点を、もう一応大臣から聞いておきたい。
  202. 川島正次郎

    川島国務大臣 義務的経費でありますから、優先的に計上することは、一応当然だと思いますが、今後法令の改廃、機構の変更等によりまして、義務的経費にも相当変更が生ずるのだろうと私は考えております。そういうものをいろいろ勘案いたしまして、地方の任意的事業が極端に縮小されることはあり得ないのでありまして、ある程度任意的の仕事も遂行できるのである、こういうふうに私ども考えておるわけであります。
  203. 門司亮

    ○門司委員 ある程度任意的の仕事ができるという答弁だけでは、私は承服できないのでありますが、これ以上、これで議論しても、おそらく水かけ論になりますから、さらに、その次のことを一応大臣説明書によって少し聞いておきたいと思います。  しばしば問題になっております人員整理に対するものの考え方であります。これが両方合せて、再建整備を受ける団体も、受けない団体も、人員整理するについては、六十億くらいの裏づけをしようというお考えのようであり、また財政的の処置をそういうふうになさっておる。こういうことでありますが、これが根拠は一体どこに基くものですか。首切りを慫慂するということ、あなたの方からいえば、慫慂しているのではないと言われるかもしれませんが、慫慂するような条文をここに求めたということは、私は今日の公務員法の中にもそういうことが簡単に書けるわけではないと考えている。今日の公務員の身分は、ある程度保障されているはずである。だからわれわれの立場からいうならば、これが機構の改革その他によって節約せよというなら話がわかるが、退職金にこれを引き当てるというのは、前に機構の改革がなければ、そうむやみに退職金ということは言えないと思う。だから特に退職金にこういう措置があるということをお考えになった論拠は、一体どこにあるのか、この点についての御答弁を願っておきたいと思います。
  204. 後藤博

    後藤政府委員 退職金起債というのは、従来財政法の五条によって認められなかったのであります。こういう消費的経費につきましては、起債の対象にしないということになっておりました。しかしここ数年来、退職金起債をつけるようにしてもらいたいという要求が、地方団体側から常にあるわけであります。従って私どもといたしましては、なお一般財源で翌年から財政規模が落ちますから、一年だけがまんすればいいのであるから、起債を認めないという方針で従来ずっときたのでありますが、最近のように非常に苦しくなって参りますと、一般財源がなくなって参りまして、退職金の分だけは穴になるわけであります。従って退職金の短期間の起債を認めることによりまして、従来短期でぐるぐる回している格好をやめさして、正常なる状態に置こう、こういう意味退職金起債を今度認めることにいたしたのであります。
  205. 門司亮

    ○門司委員 そうすると、この退職の問題は、機構の改革その他によらざる退職ですか。そう解釈してよろしゅうございますか。
  206. 後藤博

    後藤政府委員 どういうふうにして退職金を出すかという場合に、機構の改革その他の方法によってやるかやらぬかという問題があるのでありまして、たとえば町村合併によった場合、それから機構の縮小によって出た場合、それから教育職員の場合には、教員の交代で人員の数が減るわけではございません。いろいろな形で出てきた結果だけをとらえて起債の対象にしようということで、別に要件はございません。
  207. 門司亮

    ○門司委員 別に要件がないということになれば、この三十億という数字は出てこないと思うんだが、これはやはり自治庁に、ある程度剰員が必ずある、これだけは縮小せよというようなことになっていると私は思う。私がこの規定を非常におそれるのは、実は自治庁も御承知のように上山のような問題があるのであります。なんにもなくてさえ、ああいう任用規定を逆用して整理規定に持っていくような乱暴な市長さんがないわけではない。もしこういうものが出てきて、首を切った場合におれの方に金を用意してあるからというような裏づけを政府がしてやったら、何をするかわからない。しかも公務員法には、本人の意思に反して首を切れないことになっている。しかして首を切るとすれば、行政上の改革がどこかで行われて、剰員と思われる者がはっきり出てこなければ、私はなかなか首を切るわけにはいかぬと思う。一体三十億、三十億という数字を出した根拠はどこにあるのですか。
  208. 後藤博

    後藤政府委員 昨日からたびたび御質問があったのでありますが、六十億を出しましたのは、従来の特別交付税その他で退職金の報告を各地方団体から受けております。そういう量から判断いたしまして、六十億という数字が出てきたのであります。この数字は、非常に多く見る人と、少く見る人によって、非常に違っております。自然減耗が従来全体の五%くらいはあったのであります。それが最近とまっておりますので、自然減耗を含んだものが退職者というもので出ております。そういう従来の数字から判断いたしまして、大体六十億もあれば十分ではないか。もしも六十億ない場合には、余った場合には再建債の方に振りかえていこう、こういう建前をとったわけであります。
  209. 門司亮

    ○門司委員 私はそれではこの問題でもう一つ聞いておきたいと思います。別に何らの根拠がないような今のお話でありますが、こういう問題は非常に自治体の行政には響くのであります。首切り退職金起債でやれるということになると、これはやはり響くのであります。同時に起債の性格からいっても、これは地方財政法に禁じておりますようによくないことである。これだけ借金をふやすことであります。今度の再建整備案で私が非常に遺憾に考えておりますのは、政府の負担はちっともなくて、ただ借金の切りかえだけであって、そうして借金がちっとも減らぬということである。先ほどもいろいろ各方面から議論されておりますように、今日の地方財政赤字というものは、自治庁の長官は何でも地方自治体の長が放漫な政策をとったから赤字ができるのだというようなことを本会議でも言われておりますし、また給与が高いということをしばしば言われておる。私はこの考え方は一つ直してもらいたいと思う。地方自治体がどんな放漫な政策をとったからといって、私は今日のような赤字はできないと思う。赤字の原因は、先ほどから申し上げておるように起債政策の一つ方法であり、しかもその方法が、消費的財源にまで起債が認可されて借金がだんだん毎年ふえていって、そうして元利払いがふえてくるということであります。元金は借りたものだから仕方がないとしても、利息だけはふえてきておる。これは国の施策に基くものである。もし逆に中央の財政地方から金を出してやって、そうして政府が公債政策をとってごらんなさい。政府はこういう赤字がどんどん出てくると思います。政府にちっとも赤字がなくして地方赤字が出ておるということは、政府の施策の一つの誤りだとわれわれは言わなければならない。もし誤りでないとするならば、それの犠牲だと言わざるを得ない。それに対して今度の再建整備案には何らの財政的負担を考えておらない。そうして借金をふやすことだけを考えておる。首切りにしても、従来法律でできなかったものを法律を曲げてこれをできるようにして、それだけ借金になるということであります。こういう借金は一体いつ払えるかということであります。首切り財源なんというものは払おうったってなかなか困難なものである。私はもう一応この項で聞いておきます。こういう首切りに対する財源は、地方の自治体は苦しいから苦しまぎれにそういうことを言ってくるのであります。それを指導し助言をしなければならない自治庁が、こういう間違った施策を自治体に与えることはいいか悪いかということなんです。これは私は自治庁の指導の問題だと思う。自治庁の長官はこういう指導の仕方がいいとお考えになるのか悪いとお考えになるのか。借金がふえれば利息は払わなければなりません。利息だけはやはり地方の自治体の負担になるのであります。こういうふうに地方財政法を曲げてまで地方に借金をさせることが再建整備に役立つかどうか、これは基本の問題でありますから、もう一応長官からはっきりした話を聞いておきたい。
  210. 川島正次郎

    川島国務大臣 現実の問題といたしまして、赤字地方団体では若干の人員整理をいたしております。人員整理はいたしておりますが、退職金の捻出には非常に困っておりますので、ぜひ退職金に対する起債を許してもらいたいという希望が多いものでありますから、その希望をいれたのと、もう一つは、長期の再建計画を立てまして、事業が縮小したら当然人員の縮小も起るでありまして、そういう債務を合せて総計六十億という起債を許すことにいたしたのでありまして、現在の地方財政の現状から見ましてこれはやむを得ない措置だと考えております。
  211. 門司亮

    ○門司委員 やむを得ない措置だとお考えになっていることは、政府資金をこの赤字財政の解消に対して何ら補てんしないところに私はそういう議論が生れてくると思う。政府が、地方の自治体の今日の赤字原因が、全部でなくても、その大半が政府の責任にあるとお考えになるならば、私はこういう処置をとられなくても済むのじゃないかと思う。たとえば元金なら元金、利息なら利息の償還を三年、五年繰り延べてやれば、この六十億の金はどこからでも出てくる。これをやれば政府資金計画に影響があるから、政府では資金計画の方は守っていきたい。そうするには、やはり返すものは返してもらわなければならぬ。借りかえるものは借りかえておいてもらわなければならぬというような考えで、ちっとも財政的に実質的のめんどうを見ようとされないところにそういう無理が生ずる。従ってやむを得ず地方の自治体がそういうことを要求するかもしれない。しかしこれは先ほど申し上げたように、地方の自治体は苦しいから、間違った方向に対しても自治庁に頼みにくる。しかし、これを指導し、ある意味における監督をし、さらに助言をしなければならない立場にある自治庁のとるべき手段ではないと思う。こういうところだけは地方自治体の言うことをよく聞いておいて、そのほかのことはなかなか言うことを聞かないという自治庁の行き方は私は感心しないのです。従って自治庁は、こういう問題を離れて、こういう施策がいいのか悪いのか。悪いがやむを得ない処置だとお考えになるならば、これはしようがない。これは一体いい処置であるか悪い処置であるかということの御判断を一応お聞かせ願いたい。
  212. 後藤博

    後藤政府委員 先ほど申しましたように、消費的経費に起債をつけるということは、私どもは本来の趣旨から申しまして、これに賛成しておるわけじゃございません。ただ現在の状況で見ておりますと、地方団体要求がございますのは、退職金が非常に多額に上ります場合には、それを一時借入金で支払いまして、一時借入金をころがしておるのであります。そういうころがしておる実質的な赤字の状態を続けさせるよりも、短期の起債で——償還額がはっきりしておりますから、短期の起債で引き直して表に出してそうして解決する方が、私は解決の方法としてはいいんじゃないか。やむを得ない処置としてそういう方法を暫定的に認めよう、こういう意味で当分の間というのをかぶせて財政法の特例を認めよう、こういうことにいたしたのであります。もともといいことではないと私ども考えております。
  213. 門司亮

    ○門司委員 もともといいことじゃないが、しかしやむを得ずやったというお話でありますが、今度は長官にもう一つ聞いておきたいと思いますことは、先ほどから各方面で申され、また私も申しておりますように、財政的の赤字の原因は国にあると思う。これに対してわずかに利息の六分五厘と八分五厘との間だけしか実質的に援助ができないという理由は、一体どこから生れてきておるのか。それは、先ほど坂本君もいろいろ聞いておりましたように、たとえば造船の利子については五分以上は全部やっておる。本年度予算に三十七億ぐらい計上してある。あるいは銀行の再建整備に百六十四億ちゃんと出してある。あるいは農業協同組合の再建についても政府がめんどうを見てきておる。これらの民間の企業に対しましての赤字のめんどうは、これは理屈がつくかもしれない。産業奨励というような理屈をつければつくかもしれない。理屈があるにしろないにしろ、めんどうは見てきておる。地方の自治体の仕事というものは、国の仕事と六〇%ないし七〇%関連性を持ったものに間違いない。国の法令に基く義務的な仕事である。あるいは実質的に義務的の仕事であるというような、きわめて密接な関係を持ち、さらに国策の遂行は最末端である市町村の協力を得なければできないことはわかり切っておる。こういう関連性を持っております地方の公共団体赤字に対して、わずかに利子の二分だけしか、しかも地方から借りた公募債の二分だけのめんどうしか見れなかったという原因は一体どこにあるのか、この点をもう一つはっきりしておいてもらいたい。
  214. 川島正次郎

    川島国務大臣 産業方面の資金に対する整理の問題は、これはいろいろその産業ごとの特殊の事情があるのだろうと私は考えるのでありますが、地方債は大体政府資金は従来も六分五厘でありました。公募債の場合は大体八分五厘を限度とするということを銀行協会と一応話し合っておるのであります。一応八分五厘を目安にして政府資金との間の差額二分を見よう、こういうことにいたしておるわけでありまして、現在のところこの程度が適当だと考えたのであります。一体どこに数字根拠があるかというふうにお尋ねになりますと、それは適当だと認めたことが根拠であります。
  215. 門司亮

    ○門司委員 そうすると、こう解釈してよろしゅうございますか。政府はこの程度の援助をすることが地方自治体に対しては適当だと考えた——それで造船利子補給は、五分以上のものは政府が見てやる、本年度予算では三十七億見ている。民間の——これは国家産業の上から言えばいろいろ理屈はあるかもしれませんが、少くとも営利会社として立っている民間企業に対しては、政府は三十七億出すが、地方の自治体に対してはわずかに七千五百万円くらいしか出さないんだというように、はっきり申し上げてよろしゅうございますか。
  216. 川島正次郎

    川島国務大臣 民間の問題になると、これはなかなか議論がありまして、ここで門司さんと議論を戦わす意思はないのでありまするけれども、たとえば新造船の利息の問題も、戦争中に徴用された船が全部国家の犠牲になって沈みまして、その代船を建造する場合の資金の利息でありまして、今日の廻船業界の現状を見まして、よほどの低金利でありませんと造船計画が立たぬということからいたしまして、ああいう利息補助になったものだと私は考えておるのであります。それと地方団体と見合わすわけではありませんけれども、個々のいろいろなケースを考えますると、いろいろな事情があるのでございまして、地方団体にわずか二分しか利息補給をしないことは少いじゃないかということは、確かに一つの御議論だとは考えますけれども、現在の状況は大体この程度が適当じゃないかと思うことと、もう一つは、先ほどもこれは北山さんの御質問に対して御答弁申し上げたのでありますけれども地方団体というものはいろいろありまして、同じような規模でもって赤字団体もあり、黒字の団体もあります。赤字団体全部がその財政運営がめちゃめちゃだとは申し上げませんけれども、黒字の団体に比して従来ややともすると放慢な財政経理でやっておったということは事実であります。そういう団体に対しまして多額の補助をするということは、黒字団体との関係も生じてくるのでありまして、一応この程度の利息補給でいいのではないかという考えに立ったわけであります。
  217. 門司亮

    ○門司委員 私にはその算定された基礎がまだはっきりせぬ。地方はこのくらいでよかろうというようなあいまいなことでは私は考えられないのでございます。そうすると、政府は、地方の公共団体が個々の仕事で、それと同じような規模について、片方は非常に赤字を出した、片方は赤字を出さない。だから赤字を出さないところに対して相済まぬから、赤字を出したところだけめんどうを見てやるわけにはいかぬ、こういう御議論だと思います。地方団体財政の規模については、人口、面積、あるいはそういうものが一応一つの規模ということが言えるのでありますが、政府は事業内容についてお考えになったことがあるのかどうか。放漫な政策だと言いますが、事業内容について政府はどういうようにお考えになっておるのか。そうあなた方が議論されるなら、私も議論をしなければなりません。規模というものは一体どこでものさしをはかられておるか。  地方自治体の今日の規模というものの中にはいろいろな問題が考られねばならない。地方の自治体をどこまで一体育てていくか、どれが一体地方の自治体の適正な規模かということ、これは事業分量と見合していかなければならない。たとえば二部教授を完全になくするということが方針であれば、二部教授をなくするために、甲の土地よりも乙の土地がよけい学校を建てたといっても、それは不正でも放漫でも何でもない。道路をきれいにするということが一つの方針であるとすれば、都道府県において、県道については少くとも今日大きなトラックがすれ違うことができるだけの道路が必要だという一つの目安がつくならば、この方向に向って進んでいった自治体がやり過ぎとは言えない。これは住民の要求であるとともに時代の要求であります、自治体の要素であります。こういうことがずっと考えられる。  従って自治庁長官の言うその規模というものは、一体どこに目安を置かれておるか。ただ今日交付税の配分の率をきめるというようなものは——これは私は必ずしも率ではないと思う。規模の尺度ではないと思う。事業内容が尺度であります。この事業内容についてはどういうふうにごらんになっておるか。
  218. 川島正次郎

    川島国務大臣 財政とにらみ合してやるべきことを、財政を無視して仕事をやれば、結局赤字になるのでありまして、私ども考えているのは、財政とにらみ合した適正なる事業ということであります。
  219. 門司亮

    ○門司委員 適正なる事業というものは、事業分量の定義によってあるところとないところとあります。借金をしてでもやらなければならない事態が出てくるのであります。また事業のないところは無理に借金してやる必要は毛頭ないのであります。これは自治庁が事業の個々の実態について、もう少し目をあけて見ることが必要ではないかと考えます。そういうことを考えない今の自治庁長官の答弁は一体何です。見合わない財源でやって赤字が出るのは当然であるというなら、なぜ政府は適正な補助金を出さないのですか。適正なる補助金を出して、そういうことを言いなさい。適正なる補助金を出さないで、地方の自治体の責任であるかのごときことを自治庁長官が言われるのは心外である。もしあなたがそういう御答弁をするならば、数字で争ってみましょうか。先ほど後藤君が言っているように、政府から派遣されております地方事務職員の給料の差額だけでも二十数億あるというのでしょう。なぜそれを措置しないのですか。政府がそれだけ大きなことを言うならば、やるべきことをなぜおやりにならないか。政府が十分なる財政措置をやって、その上でなおかつ赤字が出たというならば、これは問題でしょう。できない仕事をするから赤字が出たということだけで、この問題を片づけようとするところに一体無理がある。自治庁長官がそういう答弁をされるならば——それが悪いというならば悪いでよろしゅうございます。私はいいとは申しません。財政の規模に見合わないばかばかしい大きな借金をして仕事をするということは、いいとは申しませんが、それをそんなに責められる政府の処置を私は責めなければならない。今まで後藤君は、わからぬ、わからぬと言って、逃げておりますが、六・三制の問題にしても、各省調べてごらんなさい、すぐわかる問題である。今日まで適正なる財源措置をしていなかったものについて、政府はその責任を全部負ってここで解消してもらいたい、金を出してもらいたい。そうすれば、こんな赤字は全部一ぺんになくなってしまう。あなた方はそういうことをお考えになっておりますが、地方自治体のあり方というものはどういうものなんですか。たとえば失業救済事業を一つとっても、あるいは社会施設のうちの援護関係その他の問題を取り上げてみましても、国の予算が何万人か失業者を見込んでいるといっても、それだけの金を出してきても、地方自治体は窓口ですよ、現在毎日あぶれている失業者を見殺しにすることはできないのである。やはりそこは、自治体に金があれば、これら住民の仕事がなくて五日も六日もあぶれている者を失業救済のワクの中に入れないわけにいかない。中央から来た金はこれだけしかないといっても、それに目をつぶっているわけにはいかない。生活援護の費用にしても、国からこれだけしか金が来ていないからといって、現実に倒れて死ぬ者に、お前さん、勝手に死になさいと言うわけにはいかぬのである。地方自治体の今日のあり方というものは、国が十分なる財政措置をしない限り、地方の持ち出しは大きくなるのである。これは権力官庁と現業官庁の違いである、企業官庁とサービス、官庁の違いであります。この実態がわからないで、ただ頭から、自治体がやり過ぎたからこういう赤字が出ているので、そういうものはかまわないでよいという理屈がどこにありますか。長官の言うことが正しいというならば、そういう差額による地方の負担分を本年度予算で出してごらんなさい。あなたに出すという自信があるなら、幾らでも言いなさい。その上でなお赤字が出ているという団体があるならば、私ども幾らでも制肘してよい。そういう大臣の御答弁を聞くことはきわめて遺憾である。もし自治庁長官がそういうお考えでいられるとするならば、今日の自治体というものは一体どうなりますか。だから私はこの機会に聞いておきます。今の自治庁長官の答弁はそのまま政府にお返しいたしますから、今まで政府がめんどうを見なかった、いわゆる適正なる補助金を出さなかった、実情に即した補助金を出さなかった差額、さっきから後藤君が言われたような人件費その他の地方自治体が負担した差額、当然政府が持つべきものを本年度予算地方の公共団体に出すという言明ができるなら一つここでしてもらいたい。
  220. 川島正次郎

    川島国務大臣 この問題はもう数回繰り返しておる問題でありまして、現在深刻な赤字に悩んでおる地方団体は、いわば非常事態でありまするからして、従来の財政運営と全く切りかえた新たなる財政運営をしてもらいたいのだ、それがためには再建促進法の適用を受けまして長期の財政計画を立ててもらいたいということを希望しておるのでありまして、その計画が立った上に必要な金を見よう、これを三十一年度予算において見ようということは、私からも大蔵大臣からもはっきり申し上げておるのであります。この計画が立たぬうちは幾ら金が要るかということははっきりわからぬから、本年度はまず再建促進法の通過を見まして、これによりまして赤字の深刻な団体だけは長期計画を立ててもらうというのが私どもの希望であります。その上にこれを見ようといっておるわけであります。また補助金につきましては、数回繰り返して申し上げる通り、できるものはどんどん差手をしまして単価見積りなり何なりしておるのであります。これは依然として三十一年度においてもやるつもりでおります。政府は決して見のがしておるわけではありません。十分に施策をしようということを申し上げておるわけなのであります。
  221. 門司亮

    ○門司委員 それは、施策をしようということは私も聞いております。またそうであるべきだと思います。しかし今議論をしておりますのは、自治庁の長官がさっき言われた言葉であります。自治体がよけいなことをするから、あるいは自分の財政規模以上のことをするから赤字が出たのだといって自治体をお責めになるなら、今までのものを清算してもらいたいというのです。片一方を清算しなければ今までのものを責めるわけにはいかない。これから先おれの方は改めるのだ、今までのお前たちのやり方が悪かったのだという理屈は成り立たない。これから先あなた方の方を改められるなら、今までの間違ったことについても政府の責任だけはやはり政府が負担すべきと思う。その親切がなければならない。その親切の表われは実質的の援助をどれだけするか、それが誠意の表われだと思う。わずかに二分だけの政府の誠意ではあまりにも少いと思う。私は何もかにもここで全額金を出せということは言わないのであります。私どもの気持は政府のとった処置について政府はこの際誠意を示すべきだ、自治庁長官の言われるように、お前さんの方が悪いんだから今までの責めは負わない、改めるならこれから先のことをおれの方も改めればいいだろうという不親切なことではいけない。政府の誠意はどこにも表われていないじゃないですか。政府の責任によってどれだけ赤字が出ておるか、政府の責任によって赤字が出たのを政府がどう見てやるかという誠意の問題だと思う。わずか二分だけの誠意で、あとは全部お前さんの方の仕事だということが言えますか。そうしてこの法令を見てごらんなさい。いずれもう一ぺんこの議論はしなければならないと思いますが、憲法違反と思われるような、自治体の持っておりまする執行権を停止するようなばかばかしいことが書かれておる。ここまで自治庁が権限を広げようとしておる。同時に内容においては住民の意思というものは全く反映されない。議会においてきめまする場合には、長の出した再建整備については議会が反対のできないようなことがちゃんと書いてある。議会の権能というものを非常に縮小しておる。押えつけようとしておる。こういうことまでやってそうして地方の自治体の再建をはかろうとするには、やはり政府政府の責任を感じ地方に誠意を示すべきである。その誠意の表われが、わずかに利息の、しかも公募債の利息の二分だけを見てやろうというのであります。しかもそれは公式論であります。実際論としては、非常に短期の融資を受けまする場合にはもっと高い利息で借りていると思う。ただ銀行協会が契約の表面の理論だけで二分だけやればそれでいいのだというようなことになっておる。そういうきわめて不親切な行き方では私はいけないと思う。そういう不親切な行き方はどこから割り出されたか。なぜもう少し親切な見方ができなかったのか。これが政府の方針だというなら政府の方針で私はいいと思います。しかしそういう方針だったとするなら、先ほどから申し上げておりまするように、一般産業に対しては政府はきわめて親切である。言いかえるならば、資本家に対してはきわめて親切であるが、地方の自治体に対してはきわめて冷淡だということに解釈してもいいかということであります。
  222. 川島正次郎

    川島国務大臣 この問題はもう幾回繰り返したかわからないのでありますけれども地方赤字の原因は政府の責任もあり、また地方にも責任があります。従いまして両方の犠牲においてこれを解決しよう、こうしておるのであります。地方の協力を得て私どももこれに全力をあげて地方赤字の解消をしよう、こういたしておるのであります。従いまして三十年度限りではこれはできないのでありまするから、三十、三十一年度年度にまたがってやろう、こういうことをはっきり申し上げておるのでありまして、政府は決して責任を回避するとは言っておりません。ただ何としても長年にわたって蓄積した赤字でありますから、これは三十年度だけではできないのであります。もっと根本的な機構の改革も要しまするし、また財源措置も要するのでありまして、これは三十一年度からやるこういうことを申し上げて御了解を求めておるのでありまして、これは数回御答弁申し上げておる通りであります。
  223. 北山愛郎

    北山委員 関連して……。ただいまの長官のお話ですが、財政運営を引き締める、まずもって地方団体が自粛をしろ、こういうことなんです。それからしかる後に政府は三十一年度において財源措置をしてやるというお話です。しかしそういうことをやる場合に今門司さんが言われましたように、地方団体の仕事はいわば地方団体の仕事ではありましても、これは一面からいえば国の仕事なんです。鳩山内閣が今度の予算編成の際いわゆる重要施策の重点的実施といわれておる民生の安定をはかるための生活保護あるいは社会保険失業対策等の社会保障に重点を置くとか科学技術の振興であるとか、教育関係の振興であるとか、そういうふうないろいろの重点施策がございますが、その大部分というものは地方団体にやらしておるでしょう。しかもそれは今までの実績から見ても、全部国が財源措置をしておるのではなくて、地方がその足りない分を補ってやってきておるのです。従ってもしもこの際、再建促進法によって地方に自粛をさせる、非常体制として財政を圧縮させるというのは、この鳩山内閣の施策の一部をだんだん圧縮するということにほかならない。従って今の長官の言うようなやり方でありますと、まずもって地方財政を圧縮しろ、事業も節約しろということは、これはとりもなおさず鳩山内閣はその重点政策としてあげているいろいろな社会保障関係の政策であるとか、そういうものを縮小するということなんです。鳩山内閣の公約、看板を引き下げるという結果になるということをお認めであるかどうか、それをあえてしてもなおかつ地方財政を圧縮しなければならぬといわなければこれは理屈が合わない、鳩山内閣が公約した政策はやる、しかし地方財政は圧縮する。これでは矛盾している。その点について一つ大臣の御答弁を承わりたい。
  224. 川島正次郎

    川島国務大臣 社会保障なりその他必要なる施策は補助金制度でやるのでありまして、地方財政の圧縮と申しましても一切の仕事をよすという意味ではないのでありまして、必要なものはこれをやっていこう、こういうのであります。今までみたいに単独事業などは肝放しにふやすことは抑制しよう、こういうわけでありまして、一切の地方の仕事は取りやめる、決してこんなことを考えておるわけではないのであります。
  225. 北山愛郎

    北山委員 それは大臣はそう考えなくても、こういう立場に置かれた地方団体は当然考える。私は自分で経験があるから申し上げる。もしも市町村財政が苦しくなれば、まず生活保護をやるにしても消極的にやるのです。検査、調査を厳重にして、普通ならこれもやってやりたいと思うものを切り飛ばしてしまう。あるいは保護の単価もこれを節約して少くして支給する、あるいは失業対策事業にしろどうせ政府の割当事業を超過しているのが大部分であります。しかもそれを超過する部分も自分のふところが苦しくなればなるべくやらないように、政府の補助のワクの範囲内でしかやらないということになる。それがすなわち政府の方が今までやってきたような分も切り飛ばす。結核対策にしても同じです。教育にしてもそうであります。そうして出すべきあるいは従来出しておった金を出さないようにするのですから、大臣はそうでなく、やるべき事業はやらせるというけれども、現実面において地方団体が一部負担する。地方団体財政的に苦しくなれば節約をしなければならぬような、そういうことに結果がならざるを得ない。人件費だけを切るのではないと大臣は言われるのでありますから、事業費も切るでしょう。そうすると、まとまった学校を建てるとかいうような事業ばかりではないのです。すべてそういうふうな国の施策として地方団体が窓口を経由するような仕事は全部消極的になってしまう、これが現実なんです。これをわからなくて、自治庁長官が勤まるものではないのです。だから大臣はどのように言われましょうとも、今度の再建促進法によって、あるいはことしの財政計画によって何百億かの赤字を圧縮する、いわゆる非常体制として圧縮すればその結果が出てくるということは認めざるを得ない。これを知らなければまるで無能力です。他方の実態を知らないで地方自治のことを論ずる資格はない、こう言わざるを得ない。ですからどんな影響が起るか、大臣はその気持であっても、鳩山内閣の政策の地方財政の間違った再建整備方策によって、一大圧縮となるということを言わざるを得ないのであります。これが鳩山政府の政策の矛盾なんです。先ほど申し上げたように、失業対策を一方でやっておきながら、一方では地方財政の窓口を通じて、莫大なそれを上回るような失業者を出すような財政計画である、これは大臣がわからないとすれば、財政部長なりあるいは行政部長から、現実に府県市町村の仕事にどういう影響が起るかということについて見解を聞きたい。
  226. 川島正次郎

    川島国務大臣 補助事業は、依然として必要なものをやることは今年の予算をごらんになればわかるのであります。それに見合うだけの起債を許すのでありまして、必要なものはやはりやるようになっておるのでありまして、今北山君のお話ですと、何かもうほとんど地方の事業はないようなお話でありますが、そうではないのであります。必要なものはやるということになっておるのでありますから、そう御心配のような事態は起らぬと考えております。ただ単独事業などにおきまして、前年度より圧縮されることは事実であります。全部の地方団体ではありませんけれども赤字再建団体におきましては縮小されます。これは地方財政立て直しのために数年間はやむを得ざる処置でありまして、赤字がすっかり解消すればもとのような事業はできるのでありますから、こういうことば部分的には起るが、しかし地方財政全体から見まして極端に必要な事業を圧縮するようなことは決してやっておらぬのであります。これは鳩山内閣でもそういう政策はとっておりません。
  227. 北山愛郎

    北山委員 ただいまの大臣の言葉でありますと、補助事業については補助と起債全額、そういうふうな財源措置をするというようにとれるのですが、先ほどの後藤財政部長のお話ですと、起債充当率は地方負担分の六〇%であると言っておる。あとの四〇%は地方団体一般財源から負担するという。そうすると今の言葉と矛盾する。大臣地方起債充当率は百パーセント見てやる、地方一般財源から持ち出すのを出させないようにする、それだけめんどうを見てやって補助事業に出してやるという言葉であれば、これはほんとうでありますが、これはそうですか。
  228. 川島正次郎

    川島国務大臣 補助事業に対する起債は大体六〇%ということははっきりきまっております。その他は各団体の費用から出すわけであります。その程度のことは出し得るような財政計画を立ててもらうわけであります。
  229. 北山愛郎

    北山委員 それでは矛盾するじゃありませんか。四〇%が問題なんです。ところが実際は四〇%以上なんです。中学校を建てる際でも、坪単価三万円以上かかるのに二万三千ないし四千円という低い単価で見積った補助金及び起債充当率、それの六〇%でしょう。そういうことになると、はみ出した分と四〇%の分と、これは今まで地方団体地方一般財源で負担しておったでしょう。ところが今のような財源措置をしないで非常体制というので圧縮されると、どういうような圧縮をされるか、四〇%の分が金が出ない。そうすると、補助はほしいけれども自己財源の持ち出しができないからこの事業はやめてしまうということに地方団体はなる、これを私は申し上げておる。それは何も学校を建てるというような事業でなくても、生活保護法でも起るし、失業対策でも起るのです。自分の持ち出し分がある、それが出なくなる、だから政府がどんなに上品なことを言っても、百パーセント財源措置をしておるなら、あなたのお話のようなことはできるけれども、自己財源の持ち出しができなくなるから、あなたがどんなことを言ったって事業が縮小になり、鳩山政府のせっかくの公約が果せなくなる、これはもう当然の帰結なんですが、どうですか。
  230. 川島正次郎

    川島国務大臣 北山さんのお話は、四〇%はまずいいとしてそれ以上に負担させるのはけしからぬというのですが、それは地方財政でやってもらう。そうでなければ事業はできぬのでありますから、起債を見て、その上に一般経費からその程度の費用は出してもらって事業をやる、こういう計画なんであります。ただ四〇%以上に従来地方が負担しておったのはけしからぬという御議論でありますから、それは単価なり何なりによってだんだん修正をしていこうというようにこの間からお答えしているわけであります。
  231. 北山愛郎

    北山委員 単価の修正をどのようにするのですか。
  232. 川島正次郎

    川島国務大臣 学校建設の場合には、さっき財政部長から御説明申し上げ先かと思いますが、その他につきましては、関係閣僚に要求しまして漸次単価を適正化することにみな了解を得ております。
  233. 北山愛郎

    北山委員 学校建築についてお答えがあったというのですが、たとえば三万円なら三万円実際にかかるような単価に修正しましたか。
  234. 後藤博

    後藤政府委員 先ほど申しましたのは、住宅についての単価の立て方であります。これは実際に起債を認めます場合に、学校の場合にはちょっと違えておるのであります。先ほど私は、一般補助については六〇%の起債充当率ということを申しましたが、学校については六〇%ではありません。六・三制なんかはもっと高い九〇%くらいの充当率でもって起債をやっております。ただ問題は学校の場合には、補助金はあまりにも細分するために、その計算方法も非常に機械的なものになっております。今のその計算方法自体にも問題があり、さらに補助金が細分化しておりますために、持ち出し分が非常に多くなっております。これは特に学校に問題があるのであります。従って起債の充当率は非常に高くなっております。それから起債単価は、木造では、たしか二万七千五百円くらいを基準にして起債を認めておりますが、その場合に補助金を基礎にいたしますと、非常にへんちくりんな三十坪くらい、二十坪とか、十坪とかいうようなことになりますので、私の方では、起債をつけます場合には、少くとも一教室ぐらいはできるような起債のつけ方をしてある程度是正をしておるのであります。従って補助金のつけ方の悪いところを起債で直し縛るものは順次直しておりまして、私どもの方でも多少やっているということはその意味であります。
  235. 北山愛郎

    北山委員 先ほどの六〇%という場合に、六・三制の学校は九〇%であるというお話ですが、その六〇%は全体を見た場合に六〇%ですか。それから学校は九〇%なら、ほかの方ばどうですか。一々率が違うはずです。
  236. 後藤博

    後藤政府委員 一般補助事業の起債の充当率は六〇%と考えております。学校は補助金を基礎にいたしまして大体八〇%ないし九〇%毎年見ております。学校の事業だけは別ワクにして充当率を高くするわけであります。
  237. 北山愛郎

    北山委員 学校のみならず単価の是正をやって、地方の負担が出ないような是正をすると言っておりますが、それではいつからどのようなものについてどれだけのものを是正するのですか。
  238. 川島正次郎

    川島国務大臣 この問題は、先般来しばしば閣議で問題にいたしまして、補助金を地方に配付する際に特に考慮してもらうように関係閣僚に要求してありますから、各省において研究していることと考えております。
  239. 北山愛郎

    北山委員 その程度では、大臣ははっきり確信を持って答弁はできないと思う。先ほどのような答弁であれば、そういう是正をするというようなことになるのですが、是正するということは、すなわち予算上補助金なりあるいは起債なりのそういう金額そのものにも影響はあるのですから、それが直らない限りは、いかに研究すると言ったって、すぐにことしからは間に合わぬでしょう。これも来年からですか。ことし間に合わなければ役に立たないではありませんか。だから少くともことしのものについては、やはり地方団体にしわ寄せする。しわ寄せられて、今まで無理算段をして一般財源から出してきたものが、ことしは出せなくなるということなんです。そうすればできなくなる。今まで通りの仕事ができるなら、圧縮非常体制ということは要らないわけであります。非常体制で仕事を整理する、あるいは人員整理するということは、すなわちその四〇%分を整理するということなんだから、それが出されなければ、補助金ももらえない、仕事もできない、そういう結果になるのだから、地方団体自身はやはりみんな消極的になって、これでは生活保護もやれない、失業対策事業も消極的にやるという結果になってしまう。やはり現実にあなたがそのように言われるなら、補助金なり、起債の充当率なり、そういうものを高めて、単価も今までは二万三千円だったのを今度は三万円出すというように政府がはっきりきめなければ、そんなことは言えないはずです。だからそれがきまらない以上は、やはり地方の仕事というものがそういう面において圧縮をされる。鳩山内閣の公約は水泡に帰してしまうというか、圧縮をされる。いかに重点施策であろうとも、地方財政に対してこのような政策をとる以上は、しかもその金額が何百億にも及ぶのですから、そうすれば、天下に公約しておった政策が実行できなくなる。それだけは認めなければならぬと思うのです。それをそうしないというならば、今ただちにどのくらい一体学校あるいは住宅その他の単価を実際に是正をするか、それによって補助金がどのくらい違ってくるか、起債のワクをどの程度にふやすかというところを現実にきめなければならぬ。言葉だけでは何ともならない。もう一ぺん一つ……。
  240. 川島正次郎

    川島国務大臣 補助金の決定は各主管官庁でやるのであります。私ども自治庁といたしましては、地方財政健全化の立場からして、主管閣僚に向って、単価の是正を要求いたしておるのであります。それぞれ考慮しようということを約束しておるのであります。数百種にわたる補助金でありますから、今日どれがどうということは、私はまだ聞いておりませんけれども政府の気分といたしましては、とにかく地方財政の負担が重くならないような補助金の立て方をしよう、その意味で考慮しよう、こういうふうに決定をしておるわけであります。
  241. 北山愛郎

    北山委員 それは大臣は各省大臣に要望しておるというようなことで御答弁になっておるのですが、しかしわれわれとしては、その結果がどうなるかに関心を持つのです。大臣がそういう処置をとったというだけではいけない。従って関係大臣にこの委員会に来てもらって、どのように考慮するかについてはっきりした言明を聞きたいのでございますから、補助金に関係する大臣をこの委員会に呼んでいただきまして、そして一々具体的にその考えを聞きたい、そうでないと安心ができないのでありますから、そういう処置を一つ委員長お願いいたします。
  242. 門司亮

    ○門司委員 関連して。補助金の問題でいろいろ議論になると思いますが、自治庁長官は地方の自治体の実態を一つ知ってもらいたいと思います。それはやり過ぎた仕事がある、こういうお話でありますが、地方の自治体がどういう仕事をやり過ぎたかということがわからぬのであります。たとえば昭和二十九年度決算から見ますと、現在地方の自治体が国からくる補助金を受け入れることのできない、いわゆる補助金に見合うだけの自主財源を持っていないということで、政府に返している金があります。これは政府は一応施策として仕事をやらせるつもりで補助金を割り当ててみたが、地方の自治体がこれを受け入れることができない。いわゆる地方財源がないために、一応地方の施策として割り当てられた補助金を国に返済しておるのが、大体二十九年度でわずかな数字でありますが、二十一府県だけで一億八千十九万七千円という数字が出ております。これは二十一府県だけで市町村はこれに含まれておらぬ。市町村を入れるともっと大きなものになる。それで各自治体の実態は、はるかにこれより大きな数字になると思う。各省は補助金が返ってきたものについては、その補助金を受け入れることのできる団体に、さらにその補助金のワクの中で交付しておると思います。実際地方の自治体から返済を申し出たのは、この額よりもはるかにふえると思いますが、いずれにいたしましても、約一億九千万円程度というものが二十九年度で二十一府県より中央に返されているということは、数字がはっきりしておる。私は地方の自治体が放らつにむやみに仕事をしておると考えていない。政府がせっかく補助金をやるからお前の方でやらないか、ところが自分の方で見合う財源がないので、こういうふうに返しておりますということは、地方の自治体は仕事をやりたいのです。住宅も足りない、あるいは学校も、橋梁も、道路、上下水道、みんな満足な地方の自治体はないのであります。仕事はやりたいが、現実には金がないために、せっかく政府から出す少い補助金も返さなければならないというようなことが、現実にはあるのであります。だからさっき大臣が言われたようなことは、必ずしもこれは当らないと思う。自粛するところは相当自粛して、自粛すれば政府からやれといってきた仕事でも、財源が見合わないからこれをお返ししますといって返しておることは現実の事実です。大臣はこれを知っておるか、これは毎年繰り返されておる。現実に東京都を調べてごらんなさい。東京都でも二十九年度の住宅資金をどれだけ返しておるか。富裕府県といわれておる東京都でもこれに見合う金がなければ返しておる。住宅が必要じゃないかというとそうじゃない、東京都には住宅が必要なんです。こういうのが地方の自治体の実態だと思う。大臣の言われるように、何でもかでも、むやみやたらに地方は仕事をしておるというようには私には考えられない。知事が公選だから、あるいは市長が公選だから、その住民の気に入るような仕事をしているということは、きわめて実態に即しない一つのデマというと悪いかもしれませんが、こういう方向がどこから出るかしれませんが、あまり感心したことでない。  同時にこの問題を解決するために、自治庁に申し上げておかなければならないことは、各自治体が中央に陳情することのために、約二十億の金を浪費しておる。さらに地方自治体の議長が産業経済会館に集まって、両法案の反対の気勢をあげた。これが自治庁の談としてどれだけのむだな経費を使っておるかということが、平気で新聞紙に報道されておる。自治庁はそういう実態がどこからくるかということの反省がちっともなされていない。自分たちのやっておることの反省はちっともしないで、私ども地方の自治体のやっておることは、一から十までみんないいとは言わない。自粛すべき点はお互いに十分自粛すべきである。まためんどうをみる点があるならめんどうをみるとか、こういう再建整備法を出される基礎的の考え方がなければならぬと思う。そういう考え方を強く地方の自治体に押しつけて、そしてこういう再建整備法を出されるところに非常に遺憾とするものがある。これは自治庁長官に、この案を提案された考え方の中に、そういう誤まりがなかったかということを一応ただしたいのでありますが、自治庁長官は、こういうことを私どもが申し上げても、なおかつ先ほど申されましたように、地方の自治体が放漫な政策をとったから赤字が出たんだ、従ってめんどうをみてやるのは国家資金の利息と公募債との利息の差額だけをみてやれば、事が足りるのだというお考えになりますかどうか。
  243. 川島正次郎

    川島国務大臣 私の申し上げておるのはごく特殊の地方団体だけのお話をしておるのでありまして、しかもそれも全部が放漫な政策だとは申し上げておりません。放漫政策の罪もあるし、また政府としてやらなかったがために、赤字になって参るという点も繰り返して申し上げておるのであります。しかし赤字の深刻な地方団体はとにかく、財政の運営にまずかったという点があることは否定することのできない事実だと思いまして、それを申し上げておるわけであります。  それから補助金を返したところがある、これもあろうかと思います。しかしその原因はいろいろあるのじゃないかと思うのです。東京都の住宅の話がございましたが、これは二十九年度の当初において、東京都の要求通り起債を許可しない、結局年度末近くになりまして補助金が消化できないということで私のところに話がありましたので、東京都と大阪と両方に対しまして合計十億の起債を許可いたしまして、これは解決いたしました。年度の途中でも起債等の不足のために補助金が適正に使われない場合には、これは許可しても差しつかえない、こう考えまして、特に東京都なり大阪に対してそういう処置をとったのであります。お話のように中には若干補助金を返したところがあるかもしれませんが、その事情はいろいろ内容が違うのではないかという気がいたすのでありますが、これは私よく承知いたしておりませんが、そういうことはあるかもしれません。
  244. 門司亮

    ○門司委員 その次に私聞いておきたいと思いますことは、この再建整備法が出されますまでの経緯は、今いろいろ議論があったのでありますが、憲法との問題はあとで議論したいと思いますが、この再建整備法案によって自治法の精神にかなり制約を加えるわけであります。今度の自治法改正とこの再建整備法とは実際はうらはらの問題でありますが、再建整備法を立てなければならなかった実情というものが、地方自治体の運営の中にあったということで、これが自治法の改正に現われて参っておりますが、たとえて言えば、委員会の制度等の権限の縮小であるとか、あるいは長の権限を伸ばしていくというようなことは、これはあげて地方の自治体の財政に対しての考え方からくる自治法の改正だと私は解釈するのでありますが、そういうふうに解釈してよろしゅうございますか。
  245. 川島正次郎

    川島国務大臣 自法法改正の理由は、一つ地方の行政を簡素化、合理化しよう、一つ財政の面におきまして冗費を少くしよう、この二つの点であります。地方財政再建促進法関係がないとは申し上げません、しかしながらこれとは切り離して考えることもできる二法案であります。
  246. 門司亮

    ○門司委員 今切り離してというお話がございましたが、私にはなかなか切り離して考えるわけには参らぬ点が実はあるのであります。それは自治法の改正とこの再建整備法とを見てみますと、いずれの法案も自治体の持っております議会の権限というものを非常に大きく縮小しようとする一貫した考え方が流れております。これは争えない事実であります。今自治庁長官は多少の関係はある、全く関係がない法案ではないとただいま言われましたが、再建整備に便乗し、財政を立て直すということをもって、地方の議会の権限が極度に縮小されるということと、地方自治法の改正によってさらにそれを普遍化するといいますか。これは特別法でありますから、いわゆる再建整備の特別法の精神を一般法である自治法の改正に織り込んだものであるというふうに私には見えるのでありますが、この点について、そういうことはないのだというならないでよろしいし、そういうことがあればあるで、私は次の自治法の改正についても大臣意見参考に聞いておきたいと思います。この関連性をもう少し詳しく話していただきたいと思います。
  247. 川島正次郎

    川島国務大臣 地方の行政面と財政面と両方の改善をはかろうとしたのが自治法の改正でありまして、地方財政を立て直そうという意味からすれば関連性がありますが、しかし全体の意味から申しますればむろん地方自治法と再建整備法とは違うのでありまして、これは切り離しても考え得る法案であります。
  248. 加賀田進

    加賀田委員長代理 川村君。
  249. 川村継義

    ○川村(継)委員 私はなるたけ重複するようなものは避けて一、二の問題を長官にお聞きしたいと思う。  いつかも一言触れたと思うのですが、今までのいろいろの問題について委員会審議された経過を考えてみましても、どうしてもこの再建法案のねらっておる方向が気味の悪く思われるような感じがしてならないのであります。とにかく長官も言っておられるように、今までの赤字を解消するんだ、たな上げするんだ、それには二百億の起債あるいは公募債でたな上げして、将来赤字が出ないようにやっていこうということをたびたび言っておられるようであります。しかし今日まで五百八十億に余る赤字が出ておる。それにこれもまたたびたび議論になっておるように、本年度は相当圧縮した、長官の言葉で言うならば緊縮してもらうところの財政運営をやらなければやっていけないというような形になって出てきておる。そういう状況にあるのにこの法案をぶっつけていけば、これまたいろいろ問題になっておりますように、結局これは地方自治制度を中央集権化するものであり、あるいは地方自治制度に対する官治制度の復活だ、こういうようなことが言われておるのですが、長官とされてはこの再建法案というものはそういう方向に行く芽ばえになる法案であるということはお感じになりませんか、このところをまず一つお開きしておきたい。
  250. 川島正次郎

    川島国務大臣 この法案によりまして、将来地方制度というものが中央集権化される、あるいは再び戦前のような官僚制度になるようなことば一向企図もいたしておりませんし、またその方向に持って行かれるような危険性のある法案ではございません。若干の点におきましてはもちろん自治庁長官の監督権の強化ということになりますが、それが最小限度のやむを得ざる場合に限っておることは、昨日の憲法の論議のときにおいてもお答え申した通りであります。それ以外はことごとく地方自治体の独立自主性というものを尊重しておるのでありますから、御懸念のようなことは全然ございません。
  251. 川村継義

    ○川村(継)委員 長官は多分そのようにお信じになっていらっしゃると思いますけれども、この法案を見て参りまして、また今日の政治情勢あるいは日本の財政、経済の状態を考えていくと、われわれにはどうしてもそのような心配が抜け切れないのです。必ずやそういう方向に行くところの法案である、こういうように考えるわけです。りっぱなたとえではないでしょうけれども、ここに一つの花の種を持ってきてきれいな花を咲かせようと思って、たとえばユリの球根を持ってきてまつ白なきれいなユリの花を咲かせようと思っておる。それは結局地方財政再建するんだ、それは日本の民主化をはばむのではなく、日本のいろいろな民主的な制度を伸ばしていくのだ、こうお考えになっておると思うのですが、そのユリの球根を植えて咲かしてみたらとんでもないまっ黒なユリの花が咲いて、中央集権あるいは反動といわれるような方向に行く花が咲いてしまった。だんだんそれがはびこっていく結果になるのではないか、そういうようなことの考えられる法案だと私は感ずるわけです。長官は今そういう懸念はないとお答えになりましたが、この法案の中に盛られておるいろいろの条項を検討していただいて、そういう懸念は絶対にないとお答え願えるのか、その辺のところをもう一度重ねて伺いたい。
  252. 川島正次郎

    川島国務大臣 先ほどお答え申し上げた通り、一昨日の委員会におきましてこれが憲法違反じゃないかという御議論になったときにお答え申し上げたのでありますけれども、中央集権化をねらっているような条文は全然ないのでありまして、ごく特定の場合に、限られたる狭い範囲におきまして予算の執行を停止するという条項が一つあるだけでありまして、それをすぐに取り上げて、これが憲法違反であるとか、今後中央集権化する一つの前駆であるとか御批評なさることは、まことに私ども残念に思うのでありまして、決してそういうことはねらっておりません。ことにこの法案国会の方々なり、また有識者を集めました地方制度調査会においても骨子は十分御審議を願っておりますし、また前年議員提案として国会に提案された地方財政再建整備法の精神にも沿って作っておるのでございまして、決して再び背のような官僚政治に戻すための意図を含んだ法案では絶対ないのでございます。
  253. 川村継義

    ○川村(継)委員 長官の今のお言葉を一応そのまま承わっておくことにいたしますが、中に盛られておる自治体の首長に対する問題であるとか、あるいは議会の権限等についての問題は、またそれぞれ後日逐条的に審議があるときにお尋ねもできると思うのですが、今長官はそのようなお答えでございましたが、その一つの例として、この法案を見て参って私が気にかかることがあるので、その点についてお尋ねしておきたいと思うのです。  それはこの再建法案に盛られておる幾つかの条項に関係しておるようでありますけれども、その再建法案がもしも実施されてこうなった場合に、教育制度に対してどのような影響を与えるであろうかということを多分お考えになっておられると思います。というのは、この法案がたしか当初出たときには、委員会のいわゆる予算の送付権等が織り込まれております。ところが文部省で相当反対空気があったので、その送付権の停止というようなことは削られたということを聞いたのですが、そういう問題を考えてみると、相当この委員会に対してもある考えを当初お持ちであったし、またこの条項を検討して参りましても、そういう点が見受けられるのです。長官とされまして、この再建法案が通過して実施されるとなると、教育制度に対してどのような影響があるだろうかというようなことについてお答え願いたい。
  254. 川島正次郎

    川島国務大臣 教育委員会原案送付権なるいわゆる二重予算権というものが地方財政に大いに影響がある。それがために場所によっては地方財政が膨張したという例も絶無ではないのであります。教育方面から言えば、教育というものは財政に左右されるものではないのだ、これは優先的に計上すべきものだという議論もあるかもしれませんけれども、現在の地方財政というものは非常に窮迫しておりまして、ただその議論だけでもってものを考えるわけにはいかないのでありまして、この法案を作る際に教育委員会の持っております原案送付権というものを、一応赤字団体に限って停止しようという考え方もあったのでありますけれども、文部省と協議の上これは削除いたしました。従いまして教育委員会に対しては何ら触れておりません。しからば絶対に影響はないのか、こういうお尋ねですと、再建団体は長期にわたり再建計画を作りまして、給与、事業その他いろいろな項目にわたりまして計画を立てまして、その範囲において今後の財政運営をしてもらうわけでありますから、もしも教育費において非常な膨張を要するという新しい事態が起りました場合に、その範囲内でありますからあるいは影響がないとは言えないのでありますけれども、教育に対する影響力は直接にはこの法案にはございません。
  255. 川村継義

    ○川村(継)委員 もちろん自治庁長官なりあるいは地方団体の長が教育制度に直接干渉するようなことは、おそらく今の制度下においては許されないと思います。ところが間接たるとを問わず自治庁長官がこれに干渉するようなことがあったら、それは一体どのように長官はお考えでございますか。長官の力が教育制度に干渉するようなことが生まれてきたら、それは一体いいことか、悪いことか、それをどのように長官はお考えでありますか。
  256. 川島正次郎

    川島国務大臣 御質問のような条項はこの法案の中には絶対に入っておりません。またそういう考え政府にはございません。
  257. 川村継義

    ○川村(継)委員 長官は今そういう私の尋ねたような条項はない、こう言っておりますが、これはあとで逐条審議のときにも少し詳しくお尋ねしたいと思うのですが、第二十一条等に現われてくる長官の措置は、間接的に教育制度に干渉するものだと私は思うのです。ここで逐条に触れることはどうかと思うのですけれども、一応その点をお伺いしたい。
  258. 川島正次郎

    川島国務大臣 この財政再建計画に適合しないと認められる部分の執行停止、このことをおさしになるのでありますか。
  259. 川村継義

    ○川村(継)委員 そうです。
  260. 川島正次郎

    川島国務大臣 これは特に教育をどうしようなんということは毛頭ないのでありまして、長期にわたる再建計画が実行できないような場合に限って、特別の項目の予算の執行をとめるのでありまして、これは教育費とは全然関係のない事項であります。
  261. 川村継義

    ○川村(継)委員 そのようになりますか。「財政再建計画に適合しないと認められる部分の執行を停止することその他当該財政再建団体財政の運営について必要な措置を講ずることを命ずる。」、こういうようなことになっておりますから、結局この財政計画を立てる場合に、適当でないときには長官の指揮監督というものが間接に生まれてくるでしょう。これは当然教育制度、教育委員会の権限を大きく圧縮していく結果になると思うのですが、いかがでしょうか。
  262. 川島正次郎

    川島国務大臣 長期にわたる再建計画を立てまして、それは長と議会で立てて自治庁長官が認めた忠実な実行を私どもは期待しておるのでありまして、それを実行しないような場合におきまして、特に予算の執行を停止するのでありますから、初めに立てました実行計画というものが円滑に進行すれば、こういう条項は一切適用されないのであります。特にこの条項が教育に関係があるとは考えていないのであります。
  263. 川村継義

    ○川村(継)委員 いろいろ詳しい内容につきまして、また後日逐条のときにお尋ねしたいのですが、もう一度重ねて今の点を聞きますけれども、結局この財政というものがなるということは、教育委員会が持っておる権限を首長が指揮監督するという結果になりますね。知事の指揮監督下に入るということになると思うのです。ところがそれについて長官が変更を命じたりなどすることでありますなら、間接的に教育委員会なら教育委員会制度に長官の力が及んでくる、こう解釈せざるを得ないと思うのですが、いかがでございますか。
  264. 後藤博

    後藤政府委員 ただいまの御質問でありますが、教育委員会との関係では、八条の規定によってあらかじめ予算の執行等につきまして長に協議して執行する、こういうことでありまして、その間に指揮監督の関係は別にないのであります。
  265. 川村継義

    ○川村(継)委員 もちろん八条の問題も、それから二条の問題もからんでくると思うのです。私は今教育委員会の問題をお尋ねいたしておりますのは、結局さっき申し上げましたように、一つの例としてお尋ねしているのでありまして、この再建法案の中には各種の委員会が包含されると思うのです。しかし特に教育委員会という制度がどのようにして今日あるかということは、よく御承知の通りでございます。憲法あるいは教育基本法というような一連の法のもとにこの教育委員会制度ができている。しかも教育委員会の教育委員は公選であります。そして委員会法に認められておるように、一つの独立したところの制度として存在しているわけです。そういう点から参りますと、この教育委員会の権限があるいは知事なら知事の主張によって大きく押えつけられていくということは、結局今日の教育制度の大きな改廃になるのじゃないか、こういうことを考えておるわけです。その点について長官のお考え一つお聞かせ願いたい。
  266. 川島正次郎

    川島国務大臣 教育委員会につきましては従来もいろいろ議論のあるところでございまして、ことに県教育委員会市町村教育委員会とを分けてもまた議論がありまして、現在の姿でいいか悪いかということにつきましては、私はこれは何ともここでお答えできないのでありまして、教育委員会制度につきましては、文部当局におきまして今研究をいたしておりまして、結論が出れば、何らかの改正を加えることを次の国会に提案したいというような考えを持っておるわけであります。この法案によりまして教育委員会の性格が変るようなことは企図いたしておりませんし、またまたそういう条文もないのでありまして、今お答え申し上げる通り執行の場合に長と協議する、こういうことを規定しているだけであります。
  267. 川村継義

    ○川村(継)委員 教育委員会制度をどうするかということは、後日の研究問題でありましょうし、大きな問題だと思うのです。しかし後ほど逐条のときに関係条文についてもう少し詳しくお聞きしたいとは思っておりますけれども財政部長が言われたように、教育委員会については八条の規定が云々ということでありますが、とにかく協議をするというようなことからいたしましても、また現実において地方財政の問題からいたしましても、これは教育委員会の持っておる権限を大幅に押えつけていくだろうということは火を見るよりも明らかだろうと思うのです。  そこで、そういうようなことが考えられるのに、どうしてこの再建法案の中に教育委員会の、そういう私たちの考えるような問題を挿入されたか、なぜ教育委員会というものを再建法案の中に持ってこなければならなかったか、この点をお聞きしたい。
  268. 後藤博

    後藤政府委員 県の財政の歳出の上から見ましても、教育関係の経費は非常に大きなウエートを持っておるわけであります。また教育委員会に次いで警察も大きいわけであります。そういう警察とか教育、教育委員会、公安委員会等との関係を十分に考えた規定を入れておきませんと、やはり長との間の関係を明確に規定することができないのでありますから、従ってそういう意味で、どちらの権限も認めますが、その間の調整の規定をいろいろ入れておるのであります。私ども考え方としては、押えるということではなくて、協議によってその間の調整をはかっていくという考え方であります。
  269. 川村継義

    ○川村(継)委員 長官の言葉では、委員会のそういう権能を押えるという意思は全然ないということでありますけれども、たびたび申しますように、二条関係、八条関係、今申し上げました二十一条関係等を検討していけば、どうしても自治庁長官の力が間接的にせよ干渉してくるように思われるのです。御承知の通り教育委員会法の五十五条だったと思うのですが、これは文部大臣は干渉できないようになっておったと私は思うんです。五十五条の二項に「文部大臣は、都道府県委員会及び地方委員会に対し、都道府県委員会は、地方委員会に対して行政上及び運営上指揮監督をしてはならない。」こう書いてあるわけです。こういうような委員会の精神からいけば、文部大臣さえも、しかも都道府県委員会地方委員会に対してさえも指揮監督してはならないというような非常に重大な条項がありますのに、この再建法案で行けば、間接的になるかもしれませんけれども自治庁長官が結局干渉、指揮監督するような結果になってくる、こういうふうに考えられるのですが、これは長官でも財政部長でもよろしゅうございますが、もう一ぺんその辺のお考えをはっきりお話し願いたい。
  270. 後藤博

    後藤政府委員 二十一条の場合の御質問だと思いますが、二十一条の場合には、自治庁長官は再建団体に対して予算の停止等の必要な措置を命ずるのであります。従って直接は教育委員会に命ずるのではございません。従って命ぜられました団体の長は、中で教育委員会との間に協議をいたしまして、執行を停止するかどうかを判断する、こういうことになるのでありまして、自治庁長官は別に教育委員会に直接の権限を行使するものではございません。
  271. 川村継義

    ○川村(継)委員 結局このような措置をとられているということは、教育の予算が大きいとかいうところにお考えがあると思うんです。この前の十四日でございましたか長官の発言の中に、教育委員会制度は地方財政を膨張させるというようなことを言っておられたようです。教育委員会の存在は財政を膨張させる事例がある、こう長官は発言しておられるのです。どうか今のに付随してどのような事例があったかということを少し具体的にお示しいただきたい。
  272. 後藤博

    後藤政府委員 各地方団体と教育委員会との間で、毎年のように、生徒増に伴う教員の増加の問題がございまして、今年もこれをめぐって二、三県の間にやはりいろいろ議論がありまして、教育委員会提出しました予算とその県の予算とが違っております。この二つのところから二つの予算が出て参りますと、どうしてもその間に妥協せざるを得ないので、中間できまるとかなんかして、結局二重予算の形ではないのでありますけれども、なかなかうまくいかない、そのためにやむを得ずどちらも歩み寄って予算がきまるようなことになるのであります。まあそういう例がございまするし、それからかつて二重予算が通過して昇給が何号か上りましたのでありますが、そういう県がございました。その当時は一千万円か二千万円ぐらいのものでありましたが、だんだんベース・アップが重なって参りますと、その額は数億になって参ります。累年の額を出しますと相当な額になっておる、こういうふうな例がかつてあったのであります。仲よくやっておるところは問題ないのでありますが、そういうふうに対立いたしますると、どうしても予算の膨張というような格好の結果を来たすのであります。そういうふうなことにならないようにいたしたいと考えまして、こういう規定を設けたのであります。
  273. 川村継義

    ○川村(継)委員 教育委員会の存在は財政を膨張させるという例があったという今の財政部長からのお答えだと思うのですが、どうもはっきりしないのです。たとえば委員会予算の送付権によって出したとしても、それは必ずしも膨張させる事例にはならないと思うのです。たとえば今まで極度に首長によって圧迫されておった、その予算をとにかく地方の教育ということを考えて、これだけはぜひなければならない、それを認めないのでやむを得ず送付権を発動したということもあるでしょうから、それは事例にはならないと思うのです。よく教育費が膨張する、大きい、こういうようなことを言われますけれども、実際は教育費が行政費の中に占めているウエートというのは、実際膨張していないのでしょう、長官いかがでございますか。——それでは私が持っております資料で、一つ長官にお聞き願いたいと思うのですが、今の地方財政の現状において、教育費がいかにも年々累増していくようなことを、ややともすると観念的にお考えになって、それがいろいろとこの委員会に対する大きなる圧力となる、それがひいては教育制度に対する大きな干渉となって出てくる、こういうような心配があるわけなんですが、私は教育費というものはそういう大きな累増は示しておらないのじゃないか、こういうふうに見ておるわけです。これはたとえば一つの例なんでありますが、自治庁昭和二十八年度地方財政概要というものからとった地方行政費というものと、それから文部省が調査いたしました地方教育費というものとのパーセントを考えてみますと、たとえば地方行政費は昭和二十四年から二十八年までの五年間の指数を見て参りますと、二十四年が一〇〇、二十五年が一三三、二十六年が一七一、二十七年が二一五、二十八年は二七三と行政費全般は逐年大きくなっておる。ところがその中に占むるところの地方教育費というものは、この指数で見て参りますと、二十四年が一〇〇、二十五年が一二七、二十六年が一六七、二十七年が二一一、二十八年が二五四となっておりまして、比率は二十四年が二九・六%、二十五年が二七・九四%、二十六年が二八・六五%、二十七年が二八・八三%、二十八年が二七・二六%とむしろ下向きをたどっております。こういうような自治庁資料と文部省の資料と比べ合せて比率をとってみるとこうなっております。そうしてみると、教育委員会の存在によって教育費が増大してきた、累増しているという結果にはならないと思う。ほかにいろいろ教育の持っておる統計的な資料をとりましてもそういう格好になる。そこでこの問題は、たとえば学校の職員の定数の問題であるとかいろいろな問題と関連して参りますけれども、こういうような私の申し上げておる実態が正しいとなると、自治庁が常に地方の教育費が高いとか教育委員会の存在が財政を膨張させているということは当らないと思うのですが、長官その辺についてどのようなお考えでおられますか、一つお答え願いたいと思います。
  274. 後藤博

    後藤政府委員 私どもの指数では、二十七年度の教育費の市町村府県総額は、決算でありますが二千三百六十八億六千百万円、二十八年度は二千八百四十三億四百万円でありまして、四百七十四億ふえております。これが一年間の増加率は二割であります。大体二割だけ教育費がふえている。そのふえ方は全体のふえ方から見ますると非常に大きいのであります。そういう意味で増加しているということを申し上げているのであります。比率で申しますと、地方団体財政の中での教育費の額は、二十七年度と二十八年度では構成比は落ちておりまして、二十八年度は二六%に落ちております。これは他の財政事情の変化によるものでありまして、全体の財政規模がふえて参りますと構成比が落ちて参ります。しかし実質的の量は四百七十億もふえている、二割ほどふえているというような格好でありまして、教育費はどんどん毎年ふえていく。これはもちろん児童生徒が増加いたしまするのでやむを得ないかと思います。しかしもっとやり方はないか、こういうことも文部省には申し上げているのであります。同じ定員の数であっても、もっと新陳代謝が行われれば、財政的に見ますればやはりもっと落ちるのじゃないか、こういうふうなことを私どもは申し上げておるのであります。
  275. 川村継義

    ○川村(継)委員 教育費が二割とか増加になっているそうですが、教育費が増加するとそれが大きく財政を圧迫する、ひいては赤字原因になる、こういうような考え方がよく今まで言われておりますので私はお尋ねしているのであって、ただ額の増加くらいでは問題は解決できないと私は思うのです。それでは一体行政費は何割増加したか、こういうことになりますと、お互いの増加の中における比率というものを考えていかなければ、たとえば人件費なら人件費、教育費なら教育費、それだけでは問題の核心の究明にはならないのではないかと思うのです。また話がちょっとそれますけれども、定員の問題にいたしましても、御承知のように学校教育法の中には、小学校の例を申し上げますと一学級の生徒の数は五十人が標準になっております。ところが現在どういうふうになっているか。全国平均は五十人に足らないかもしれませんよ。ところが実質はそうはいかない。都会の学校のごときはもう六十からそれ以上のオーバーした生徒をかかえて一学級に詰めて授業をやっている。ところがいなかの山間の学校に行けば、五十が標準だからといって五十の生徒の学級を作ろうとしてもできません。一学年が八十人おったとする場合には、二つに分けて四十、四十の生徒の学級を作らなければならない。そうすると、先生の定員というものは一人半でいい、二学級あるのに一人半でいいかというと、そうしたわけには参りません。そこでこの学級数というものと、それから国で考えておられます定員というものについては大きな問題が残っているわけです。ところが実際都会地であると、相当大きなところでは現在は大部分定員が圧縮されているから、学校の実際においては六十人なりそれ以上の学級を受け持って授業をやっておるというのが実態です。そういうことも考えてみなければなりませんし、また実際各都道府県においては、教員の定員なら定員をきめる場合に、ちゃんと条例等で一万なら一万と定員がありましても、実際は千人ぐらい切って九千人そこそこの実員しか置いてないというようなことで運営せられているのが実情だと思われます。そういうことを考えて参りますと、中央の自治庁なら自治庁の方で——これは文部省にも罪はあると思うのですが、文部省の方は文部省で簡単に教員の数が多いとか、あるいは教育費が増加して困るとかいわれておるが、そういうようなことは今日の日本の要請されておる教育の姿からしてもこれは問題は別だと私は思うのです。そういうことで強く自治庁あたりが考えられて委員会というものに対する力をこの再建促進法案の中に織り込んで来られたということについては、私さっきも申し上げましたように、教育そのものが圧迫されているし、教育の民主的な制度というものがこわれていくし、ひいては結局官治制度と申しますか、中央集権と申しますか、そういうような芽吹きになるおそれがあるのではないか、こういうことを考えたのでお尋ねしたわけです。この辺についてのいろいろの問題はこれから逐条的に行く場合にももう少しお尋ねしたいと思うのですが、とにかくこの再建法案に盛られた委員会に対する間接的な支配というのが私には感ぜられますが、そういう点について、教育委員会の費用の問題と考え合せて、もう一度その辺についての長官のお考え一つお聞かせ願いたいと思います。
  276. 川島正次郎

    川島国務大臣 この再建促進法案におきましては、教育委員会その他の行政委員会と長並びに議会との間が円満な話し合いで、地方財政立て直しができることを希望した条文をつけるのでありまして、私ども地方の長を通じて間接に地方行政委員会に圧迫を加えようとは全然考えておりませんし、またそういう結果にもこの条文ではならないのでありまして、どこまでも長と委員会との間の話し合いでものを進めたい、そこで第八条には協議をしろと書いてあるわけであります。教育委員会その他の行政委員会に対して中央の力を強く加えようというふうな考え方は、この法案にはないのでありまして、これは重ねて申し上げておきます。
  277. 川村継義

    ○川村(継)委員 今の中に協議という言葉があるからとおっしゃるのですが、実は地方の都道府県あるいはその他の知事なら知事と教育委員との間において、長官がお考えのように協議ということで割り切れない問題が実際面に生じてくると思うのでお尋ねしたわけですが、それについては後日逐条審議等もあることでございましょうが、八条関係そのほか二条関係で、もう少しお考えをお聞きしたいと思いますけれども、きょうはおそくなっておるようで、またあとで逐条説明等もあるようですから、これで終っておきます。
  278. 北山愛郎

    北山委員 川村さんの質疑に関連しますが、先ほど長官は例の憲法問題について憲法違反じゃないということを公然とおっしゃったわけです。これは私どもは憲法違反の疑いがあると考えております。特にわれわれが常日ごろ尊敬をしております法律家で自治庁の次長をやっておる鈴木俊一氏が自治法の講釈をしたものを何か本で見たのでありますが、憲法九十二条のいわゆる自方自治の本旨を尊重するという趣旨は、地方団体の運営に干渉しない、あるいは指揮監督をしないというような趣旨である、こういうふうなことを鈴木次長が本の中で書いておるはずです。ですから、今までの地方自治法は鈴木次長がその本の中で書いておるような趣旨に従って、内閣総理大臣といえども地方団体の運営については監督をするというような規定がないのです。今まではなかった。そしてせいぜい助言、勧告の程度であった。すなわちそれは鈴木次長のいわれるいわゆる内政干渉あるいは指揮監督権が及ばないという趣旨が憲法九十二条の趣旨だ、こういうふうに説明してあるわけなんです。従ってこの尊敬する鈴木次長の法律解釈と、今の長官のお言葉とはどうも矛盾するじゃないか、少くとも憲法違反の疑いがあるじゃないかと私どもは思いますので、一つ明日は鈴木次長においでを願って、この憲法論をやりたいと思うのであります。最近鈴木次長が当委員会にさっぱり顔を見せないのは、これらの点も考えて、自分の前の著書なり意見と食い違うような自治法改正なり、あるいは再建促進法案が出ているものだから、この委員会に出席すると工合が悪いので顔を見せないのかとも邪推するわけですから、その疑いを払拭する意味においても、明日は鈴木次長の出席を要求します。
  279. 川村継義

    ○川村(継)委員 今僕は中途半端な質問をしておるのですが、この再建促進法案は、私お聞きしたように、教育委員会とか教育制度の面から相当問題があると私は思っている。そこで、できれば当委員会としては文部委員会と一緒にこういう問題を掘り下げて研究を続けていきたいので、合同審査をお願いしたいと思うのですが、委員長の方でよろしくお取り計らい願いたいと思います。
  280. 加賀田進

    加賀田委員長代理 それでは本案に対する総括質問は、本日門司委員から大蔵大臣北山委員から補助事業に関係のある各大臣に対しての質問がございましたが、それを除いて大体終了したものと認めまして、引き続いて逐条審議に入りたいと思いますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  281. 加賀田進

    加賀田委員長代理 それでは異議ないものと認めましてさよう決定をいたします。  この際政府から逐条審議に関して補足説明を求めておりますのでこれを許します。後藤財政部長。
  282. 後藤博

    後藤政府委員 簡単に条文を追いまして御説明申し上げます。  第一条はこの法律の趣旨を書いたものでありまして、「この法律は、地方公共団体財政再建を促進し、もって地方公共団体財政の健全性を確保するため、臨時に、地方公共団体の行政及び財政に関して必要な特別措置を定めるものとする。」ということでありまして、臨時的な立法であるということを明確にいたしておるのでございます。  第二条は財政再建計画の策定をこまかく書いております。第二条の第一項は、二十九年度赤字基礎にするということであります。二十九年度の実質上の赤字基礎にするという意味を条文で書いております。一枚めくりまして「当該昭和二十九年度赤字団体の議会の議決を経て、その旨を政令で定める日までに自治庁長官に申し出て、」政令で定める日までというのは、再建計画の提出は終期を政令で定めたい。三十一年三月三十一日にいたしたいと考えております。三十年度以降の赤字につきましては、翌年度の九月三十日を大体終期にいたしたい、かように考えております。この再建計画は申し出によってやるということにいたしました。指定日制度をとっておりますことは、他の農業団体との再建整備の場合にも、やはり指定日の制度をとっておりますので、指定日の考え方を取っている、これは基準日という意味であります。それから第二項は赤字一般会計の赤字を主として言うのであって、以下申します特別会計を除くのである、こういう意味でありまして、一、二、三で特別会計をここであげております。第一号は地方公営企業法の適用を受けるところの特別会計、それからこれは全部適用を受けるものと一部適用を受けるもの両方の場合を書いてございます。それから第二号は地方財政法にも、第六条にやはり公営企業法の規定がございまして、施行令の十二条にやはりこまかい公営企業の種類を書いておりますが、それもやはり除く。第三号は前項に掲ぐるもののほか政令で定めるもの。これは現在のところ国民健康保険特別会計を予想しております。これは繰り出し金につきましては、やはり一般会計からの繰り出し金につきましては赤字額の中に入って参ると思いますが、特別会計の中の赤字は別なものであるということであります。それから第三項は再建計画の内容であります。「財政再建計画は、指定日の属する年度及びこれに続くおおむね七年度以内に歳入と歳出との均衡が実質的に回復するように、次の各号に掲げる事項について定めるものとする。」こういうことにしております。これはつまり本年をあわせて八年間の計画にするようにということでありまして、おおむねと書いてありますのは、八年間で済まないものもありましょうから、おおむねという字を使っております。それからただし書きの方は、毎回御説明申し上げましたように、標準税率以上の税率で課したり、法定外の普通税を起したりする場合には、特に必要と認められる場合に限るのでありまして、必要なる要件ではないということであります。それからその次の第一号の財政再建の基本方針と申しますのは、再建の期間でありますとか、再建の促進に関する方針でありますとか、そういう大きな方針を基本方針と申しております。それから第二号は歳入、歳出の増減額でありますが、必要な具体的な措置及び増減額について必要な事項を並べております。イは経費の節減計画を立てる。これは歳出と歳入とが均衡を保つことを目標とする。経費の節減計画を目標とするという意味は、最初年度から黒字を出すことは不可能な場合が相当ございますので、半年度赤字もまたあり得る、こういう意味であります。当初においては半年度赤字もあり得るということで目標という言葉をあえて使っております。それからロは租税その他の収入の徴収に関して通常の成績以上に高めるための計画及びその実施の要領でありますが、これは通常の成績以上と申しますのは、これも説明をたびたび申し上げましたが、大体の全国平均の成績を申しているのでございます。別の言葉で申しますと経済状況その他立地条件類似の他の団体の平均徴収率、こういうものもやはり標準にいたしまして、通常の成績以上に高めるための計画を行わなければならないということにいたしております。その次のハは滞納税収入その他の収入の徴収の計画及びその実施の要領、これは前回申し上げますように大体四〇%程度にいたしまして、もちろん税目ごとにそのパーセンテージは違ってくると思います。それから二は、これは先ほど申しましたように標準税率以上の税率で課したり法定外の普通税を起す場合の規定であります。それから三号は「指定日の属する年度以降第十二条の規定による地方債の償還を完了する年度までの間における各年度ごとの歳入及び歳出に関する総合的計画」。四号は第十二条の規定による地方債の各年度ごとの償還額、五号は「前各号に掲げるもののほか、財政再建に必要な事項」これはたとえば委員会等の事務の簡素化をやりますとか、既存のいろいろな条例の存廃の問題でありますとか、予算外の義務負担の再検討とか、そういうふうな問題がございますので、財政再建に必要なる事項というふうにしております。第四号は、これも問題になります勧告の規定でありまして、一定額以上の赤字団体に対して財政再建を行うべきことを勧告することができるという規定でございます。  第三条は、再建計画の承認及び予算の調製の規定でありまして、第一項は財政再建計画は、昭和二十九年度赤字団体の長が作成して議会の議決を経て自治庁長官の承認を得なければならない。「この場合において、自治庁長官は、その財政再建計画による財政再建が合理的に達成できるように、当該財政再建計画に必要な条件を付け、又は変更を加えた上、当該財政再建計画を承認することができる。」これは前回申し上げまするように、公募債地方債等の財源を過度に期待しているかどうか、または義務費について過度の節減計画を立てているかどうか、そういうことを検討いたしまして、もしも大きな計画の間違いがありますれば、もちろんもう一度やり直してもらわなければならぬが、多少の修正を要する点がございまする場合には再提出により手続が煩瑣になりますので、そういうことも考えまして必要なる条件をつけたり、変更を加えたりした上に承認するということにいたしておるのであります。第二項は再建計画を承認しようとする場合に、再建計画のうちに国の各省庁の長の所掌する事業で国が負担金、補助金その他これに類するものを支出するものにかかる部分が含まれているときは、あらかじめ当該負担金等にかかる事業を所掌する各省庁の長に協議しなければならない、という規定でありまして、これは各省のつまり国の仕事に非常に関係がございまするので、そういう事業を特に縮小しようとするにつきましては、やはりそれぞれの関係のお役所に相談をして、相談がまとまった上で実行に移す計画を承認する、こういう規定でございます。それから第三項は再建計画の変更の場合についても、やはり承認の規定を準用するということであります。軽微な変更でありますればもちろん変更を要しないのでありますが、著しい変更をする場合には同じ手続をとらせるのであります。四項は、緊急やむを得ない理由によって異常の支出を要することとなったために再建計画を変更の必要が生じた場合に、自治庁長官の承認を得るいとまがないときは、事後においてその承認を得なければならない。これは大規模の騒擾事件が発生したり、伝染病が大規模に発生いたしましてやむを得ない支出を緊急に要する場合には、事後承認でよろしいということでございます。第五項は、「財政再建団体の長は、財政再建計画に基いて予算を調製しなければならない。」これは再建計画と予算との関係を明らかにして、財政再建計画の誠実な実施を担保せしめようとするために、こういう規定を置いたわけであります。  それから第四条は、住民の協力を得るために財政再建計画の公表をしなければならない規定であります。この要領は、できれば模範例を示したいと考えております。  それから第五条は、再建計画の承認の通知であります。これは自治庁長官は、承認をいたしました場合には、各省庁の長にそれぞれ再建計画の内容を通知するということにいたしてあります。それから第二項は、市町村再建計画の場合には、その旨を都道府県知事に通知するという規定であります。  それから第六条は、国、他の地方公共団体及び公共的な団体の協力の規定でありまして、財政再建計画の実施につきまして、再建団体に国その他の地方公共団体及び公共的な団体の協力をしてもらいたいという規定であります。  第七条は、国の直轄事業の実施に関する自治庁長官への通知の問題であります。これは各省の長は、いわゆる直轄事業であります土木事業、その他政令で定める事業と申しますのは、これは直轄事業であります。直轄事業は、「財政再建団体に負担金を課して国が直轄で行おうとするときは、当該事業の実施に着手する前に、あらかじめ、当該事業に係る経費の総額及び当該財政再建団体の負担額を自治庁長官に通知しなければならない。」これは直轄事業の量が再建団体再建計画に非常な影響がございますので、直轄事業の事業量と経費負担実額とを各省から通知してもらいたいということであります。  第八条は、長と委員会との関係でありまして、これも先ほどから御議論のございました点でございます。これは、「財政再建団体に執行機関として置かれる委員会及び委員並びに委員会の管理に属する機関は、その所掌事項のうち、財政再建計画達成のため必要な予算の執行その他政令で指定する事項の執行については、あらかじめ、当該財政再建団体の長に協議しなければならない。」ここで「政令で指定する事項」と申しますのは一言で申しますと、支出負担行為に該当するようなものでありまして、もっと申しますと職員の任免、昇給昇格に関する一般的な方針、それから予算外の義務負担契約の締結でありますとか、学校の新設でありますとか、そういうものを政令で指定することにいたしております。つまり財政負担が生じますような事項については、あらかじめ協議してもらいたいということであります。  それから第九条は、都道府県の教育委員会市町村教育委員会との関係の規定でありまして、これは現在の制度のもとにおきましては、都道府県教育委員会市町村教育委員会との間に任命権と財政権とがわかれておりますので、その調整をはかった規定であります。第一項は、市町村ごとの定数につきましては都道府県の教育委員会があらかじめ市町村の教育委員会意見を聞いて定めるということにいたしております。  それから二項は、給料その他の給与につきまして、条例の実施につきまして一般的な指示ができる。都道府県の教育委員会は、市町村教育委員会に対して一般的な指示ができるという規定でございます。これも先ほど申しました任命権と財政権との調整をはかっておる規定であります。  それから第十条は、事務局等の組織の簡素化の規定であります。これは、「財政再建団体は、他の法令の規定にかかわらず、」、「他の法令」と申しますのは、自治法でありますとか、警察法でありますとか、教育委員会法、地方公務員法、労働組合法等でありますが、そういう規定にかかわらず「財政再建計画で定めるところにより、それぞれ条例、規則、当該財政再建団体に置かれている委員会若しくは委員の定める規則その他の規程で、議会、長又は当該委員会若しくは委員若しくは委員会の管理に属する機関の事務局、局部その他の事務部局の部課の数を減ずることができる。」これはもちろんそれぞれの規定でやるのでありますが、他の法令の規定にかかわらずこういうことができるようにいたしております。  第二項は、「長の事務を補助する職員を議会の議長若しくは委員会等の命を受けて議会若しくは委員会等の事務局等の所掌する事務に従事させ、」逆の場合の兼務も認める。地方自治法第百八十条の三の規定にかかわらず、この規定は、吏員等の他の執行機関の職務の兼職事務の規定でありますが、もちろん申し出による場合でありますが、その規定にかかわらず再建計画で定めれば双方の兼職ができるということであります。  それから十一条は、長と議会との関係の規定であります。長と議会の一体性の確保の措置をとっておるのであります。この条文についてはいろいろ御議論があるのでありまして、一部には原案執行制度の復活をしてもらいたいというふうな議論もあるのであります。知事会はそういうふうな意見を出しておりますが、それはちょっと行き過ぎでありますので、十一条のような規定にいたしたのであります。  第一項は、財政再建申し出に関する議案を否決したり、再建計画の議案を否決したり、財政再建計画の変更に関する議案を否決したり、また再建計画の達成ができなくなるような議決をしたときは、再議に付することができるということであります。  第二項は、再議に付してなおかつ同様な否決または議決があった場合には、当該議決を不信任の議決とみなすことができる。自治法再七十八条の条文だけでは不十分でございますので、こういう規定を設けた次第であります。  それから第三項は、不作為の場合でありまして、議決をしない場合であります。しない場合もやはり同様の措置をとるという措置ができる、こういう規定であります。  それから四項は再提出の規定で、やはり不信任とみなすことができるという規定であります。  それから第五項は、自治法の解散でありますとか失職の規定の準用の規定であります。  それから十二条は、財政再建債の規定でございます。この三行目の「財政再建計画に基く職制若しくは定数の改廃又は予算の減少により退職した職員又は市町村立学校職員に支給すべき退職手当財源に充てるため、」に地方債を募集することができると書いております。前の退職職員の規定は、いわゆる行政整理による退職職員であり、それから第二項は、財政再建債内容でありまして、これも先ほど御質問がございましたときに説明申し上げましたので、省略いたします。  それから第三項の規定は、これは公募債の規定であります。「国は、財政再建団体が第一項の規定により起した財政再建債のうち国以外のものが引き受けたもの」つまり政府資金以外のいわゆる公募債につきましては、「昭和三十年度以降において当該財政再建債の債権者の申出があったときは、資金運用部資金又は簡易生命保険及郵便年金特別会計の積立金の状況に応じ、百五十億円を限度として、なるべくすみやかに、当該財政再建団体が直ちに当該債権者に係る財政再建債の償還に充てることを条件として、政府資金を当該財政再建団体に融通するようにするものとする。」百五十億を本明年中に振りかえるという規定であります。  それから十三条の規定は、財政再建債の償還の規定でありまして、これは再建計画に応じまして、指定日の属する年度の翌年度以降おおむね七年度以内に償還する。それから退職資金債につきましては、その年及びそれ以降三カ年内にそれぞれ償還をする、こういう規定であります。  第十四条は、財政再建債の許可の規定であります。これは地方自治法の二百五十条の規定にかかわらず、自治庁長官の許可を受けなければならない。これは特殊の規定でありますので、特別に例外的に設けた規定であります。その場合に、大蔵大臣に協議をすることになっております。  それから十五条は、再建債利子補給、これも先ほどから御議論のありました、六分五厘をこえるものに二分の利子補給をするという規定であります。  それから十六条は、財政再建債の消化促進審議会の規定でありまして、再建債の消化を促進する、主として公募債の百五十億の促進のために審議会を設けるわけであります。これは諮問機関でありまして、意見を申し述べるということになっております。委員の構成はそこに羅列してございます。主として金融関係の方々に集まっていただくつもりでおります。  それから十七条は、国の負担金等を伴う事業に対する特例であります。これも前々説明いたしましたが、「財政再建団体のらち次の各号の一に該当するものが行う国の負担金等を伴う国の利害に重要な関係がある事業及び国が当該財政再建団体に負担金を課して直轄で行う事業で政令で定めるものについては、当分の間、政令で定めるところにより、当該事業に要する経費の負担割合について、特別の定をすることができる。」第一号は、「財政再建計画に基く財政再建が完了するまでに五年度以上を要する財政再建団体」、第二号は、「前号に掲げるもののほか、第二条第二項に規定する一般会計又は特別会計に係る当該年度の前年度末現在における地方債の現在高が地方交付税法第十一条の規定により算定した当該年度の前年度基準財政需要額に政令で定める率を乗じて得た額をこえる財政再建団体」、これは再建団体でありましても、国の利害に重要な関係のありますところの事業につきましては、やはり事業をやらないというわけに参りません。一定規模の事業量で仕事をやらせるという規定であります。前の方の事業で、政令で定めるものと申しますのは、河川とか道路、港湾、そういうふうな事業の種類をここでは考えております。それから「当分の間、政令で定めるところにより、」と申しますのは、これが補助率を引き上げる政令であります。  その次の一号、二号は、一定の団体と申しまするのは、財政再建計画を五年以上要する団体、これは二十八年度決算で私どもが見ますると、大体県で十二ばかりございます。それから市で五十二ばかりございます。町村は、はっきり今のところわかりません。それから二号の方は、地方債の現在高が非常に多くて、その償還が非常に多い団体でありまして、率を基準財政需要額の大体一・三倍くらいに考えておりまして、その額とその赤字団体との関係でありますが、一・三倍にしますと、県で申しますと八県、市は、こまかい計算はしておりませんが、市も相当あると思っております。そういう団体について、一定の事業については補助率を上げよう、こういう規定であります。  それから十八条は、助言、勧告その他の必要な援助の請求という規定であります。  それから十九条は、報告及び公表の規定であります。  二十条は、監査の規定であります。  二十一条は、いろいろ御議論のありました監督の規定であります。第一項の終りの方に、「財政の運営について必要な措置を講ずることを命ずることができる。」こういうふうにしております。これは税の徴収成績の向上をはかるとか、滞納整理をもう少しやるようにとか、手数料、使用料の確保をはかるようにしてもらいたいとか、そういうふうなことを必要な措置という言葉で概括してここで申しているのであります。  第二項の規定は、地方行政または地方財政にかかる制度の改正その他特別の理由によりまして、計画を変更する必要があります場合には、やはり変更を命ずることができるという規定であります。  第三項は、そういう命令に従わなかった場合は、利子補給を停止したり、起債の許可をしないということでありまして、これもいろいろ御議論のあった点であります。  それから二十二条は、財政再建債を起さないで行う財政再建規定であります。再建債を、つまり金を借りないで再建をいたしたいという団体があります場合には、ここにありますように、十二条から十五条、つまり再建債の規定であります。十七条と申しますのは、国の負担金等を伴う事業に対する特例の規定であります。前二条というのは監査、監督の規定であります。そういう規定は適用をしない、それ以外の規定を適用する、こういうふうにいたしております。  それから二項は、三十年度以降の赤字団体の規定でありまして、そういう団体は、やはり三十年度以降においても財政再建申し出ることができるという規定であります。  それから二十三条の規定は、昭和三十年度以降の赤字団体地方債の制限等の規定であります。これは、「昭和三十二年度以降においては、昭和三十年度以降の赤字団体政府で定めるものは、地方財政法第五条第一項ただし書の規定にかかわらず、前条第二項の規定によって財政再建を行う場合でなければ、地方債をもって同法同条同項第二号、第三号又は第五号に掲げる経費の財源とすることができない。ただし、政令で定める事業に要する経費の財源とする場合においては、この限りでない。」第一項のこの規定は、赤字団体再建計画も何もしないで、そのまま推移する団体に反省を促す必要がありますのと、将来の財政運営をますます危殆に陥れる可能性がございますので、地方債をある程度制限しよう、こういうことであります。この「同条同項第二号、第三号又は第五号に掲げる経費の財源とすることができない。」というのは、裏から申しますと、災害でありますとか公営事業の起債は許すが、それ以外の起債は許さないということであります。ただし書きの「政令で定める事業に要する経費」というのは、補助事業とかその他の起債でありましても、起債の制限をしますことが不合理な場合がございます。たとえば国の重要な事業の継続事業でありますとか、母子福祉の貸付金の起債でありますとか、厚生年金の転貸債でありますとか、そういうふうな起債等につきましては、やはり起債の制限からはずす必要がございますので、そういうものははずして行きたいということでございます。三十二年度以降といたしましたのは、大臣が何回も申されまするように、本年度及び来年度で大体財源的な措置が終りまするので、三十二年度からこういう措置を講ずるというふうにいたしたのであります。一番最初の行に「政令で定めるもの」というのがあります。これは標準収入の一割ないし二割以上の赤字団体を大体考えております。全部の赤字団体ではございませんで、赤字の非常に大きな団体だけであります。  それから第二項は寄付負担金の禁止の規定であります。「昭和二十九年度赤字団体又は昭和三十年度以降の赤字団体は、当分の間、他の地方公共団体又は公共的団体その他政令で定める者に対し、寄附金、負担金その他これらに類するものを支出しようとする場合においては、政令で定めるところにより、あらかじめ自治庁長官の承認を得なければならない。」これは寄付、負担金が多額に上っておりまするので、赤字団体にありましては当分の間一定の率を定めまして、市町村府県、また市町村の中でも財政の規模の大きさによりまして、一定の率を出しまして、それぞれの団体につきまして、財政需要の一%ないし五%ぐらいの範囲内にとどめまして、それ以上に寄付金を出す場合には、自治庁長官の承認を受けさせようということにいたしたいと思います。二行目にございます「公共的団体その他政令で定める者」と申しますのは、これは地方団体またはその地方団体の機関が会員になっておりますような団体、また行政機関を援助するために設けられております団体、商工会議所その他の経済団体、そういうものを政令で定めたいと思います。そういうものに対する寄付金は一定の制限をしようということであります。  それから二十四条は退職手当財源に充てるための地方債等、これは赤字団体以外の全体の団体に対しまして、当分の間行政整理に基く場合及び市町村職員の計画的な整理による退職の場合等につきまして、退職手当財源にするための地方債を起すことができるというのが第一項であります。  第二項は将来の寄付金の制限であります。これは「地方公共団体は、当分の間、国に対し、寄付金、法律又は政令の規定に基かない負担金その他これらに類するものを支出してはならない。ただし、地方公共団体がその施設を国に移管しようとする場合における国と当該地方公共団体との協議に基いて支出する寄附金等で、あらかじめ自治庁長官の承認を得たものについては、この限りでない。」国との間の寄付金はこの規定によって禁止するということになります。ただし書きは、これは特殊の場合でありまして、ここに予想しておりますのは県立大学を国立大学に移管する場合、その場合の約束がございますので、約束に基いて年度計画で出しますものはこの限りでないということであります。  二十五条は自治庁長官の権限の委任の規定でありまして、監査とか監督の規定を、政令によりまして都道府県知事に一部委任する場合がある。町村に対する監査監督の権限を一部委任する。  二十六条は政令への委任の規定であります。これは「この法律に定めるもののほか、市町村の廃置分合又は境界変更があった場合におけるこの法律の規定の適用その他この法律の施行に関し必要な事項は、政令で定める。」ということにいたしております。  附則の第一項は公布の日からこの法律は施行しますが、ただ五項中地方財政法の第五条第三項の改正規定は、来年四月一日から実施したいということであります。  第二項は先ほど申しました国と地方公共団体との間の寄付の問題であります。これは従来一つの約束、契約がありまして、その契約に基いて寄付金を出しているのでありますが、国と地方団体との間に契約に基いてこの法律の施行前に約束があります場合には、やはりその約束を尊重して、先ほど申しましたような規定は適用しない。これはたとえば国立大学と当該市町村との間の契約のようなものがこれにはまると思います。主として学校関係でありまして、それ以外のものは予想しておりません。  それから第三項は三十年度に限って、第二条第三項第二号の標準税率の規定でありますが、これは読みかえの規定をここに書いてあります。これは地方財政法の五条三項の規定によって算定した率と申しますのは、財政法五条三項の規定の換算率の規定でありますが、「個人に対する道府県民税の所得割にあっては、所得割の課税総額の算定に用いる標準率」というふうに読みかえ、また「個人に対する市町村民税の所得割にあっては、地方財政法第五条第三項の規定によって算定した率」こういうふうに読みかえることにいたします。  第四項は自治庁設置法の一部を改正いたしまして再建整備促進措置法の規定による監査、監督の権限を規定いたしております。それからこれは本法の成立に伴いまして、自治庁設置法の関係するところの改正をここにあげてあります。  次のページの初めにありますのは、再建債の消化促進協議会は自治庁に置くということを、やはり自治庁設置法の改正の中に入れてあります。  次に「地方財政法の一部を次のように改正する。」、これは財政法第五条第三項の起債の制限率のところの規定であります。この標準税率の規定を改正をすることにいたしております。これは第三項「第一項第五号の場合における普通税の標準税率は、地方税法第三百十三条第二項の規定により課税総所得金額を課税標準とし、又は同法同条第三項の規定により課税総所得金額から所得税額を控除した額を課税標準として市町村民税の所得割を課する場合にあっては、当該市町村市町村民税の所得割の総額が同法同条第一項の規定により所得税額を課税標準として同項に規定する標準税率で課した場合における市町村民税の所得割の総額と同額となる税率とする。」、これは市町村民税の課税標準の中に——課税の仕方に三つありまして、いわゆる第一方式、第二方式、第三方式等がございます。第一方式は標準税率でございます。第二方式、第三方式というのは標準税率というものがございませんので、こういう書き方をいたしまして、標準税率に当るところの税額を割り出しまして、それを逆に税率に引き直すということによって標準税率という言葉の説明をいたしております。  それから第六項は、地方財政法の一部を改正する法律の一部を改正する。これは附則第三項中「第七号」を削っておるのであります。  以上簡単に補足説明をいたしました。
  283. 加賀田進

    加賀田委員長代理 本日はこの程度にとどめまして、次回は明十九日午前十時半から委員会を開きます。なお十時から理事会を開きますから理事の方の御参集を願います。  本日はこれにて散会いたします。    午後七時二十五分散会