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北山委員 今長官は非常に局限された場合であるから、差しつかえないんだという
お話なんです。ところがこれとすぐに関連するのですが、今度
地方自治法の改正で、第二百四十六条の二を読みますと、「内閣総理大臣又は都道府県知事は、普通
地方公共団体の事務の処理又はその長の事務の管理及び執行が法令の規定に違反し、又は確保すべき収入を不当に確保せず、不当に経費を
支出し、若しくは不当に
財産を処分する等著しく事務の適正な執行を欠き、且つ、明らかに公益を害しているものがあると認めるときは、当該普通
地方公共団体又はその長に対し、その事務の処理又は管理及び執行について違反の是正又は改善のため必要な
措置を講ずべきことを求めることができる。」云々、こう書いてある。そうすると、こういう場合には、性格的に似ておるのですが、これは狭くない、不特定な場合です。しかも不当に経費を
支出したかどうかというようなことは、立場々々によって見方が違うのである。しかも明らかに公益を害するとか、著しく事務の適正な執行を欠くとか、非常に抽象的な
基準によって、これに全体の
地方公共団体を包含するでしょう。こういうところまで、新しく今度の
地方自治法によって一つの権限を政府に与えているのです。同じ
考え方なんです。単にその再建団体の特殊な場合に限るといっているのじゃない、政府はもうあらゆる場合においてこの監督権あるいは指揮命令権こいうものを拡大しつつあるのです。いまだかつて
地方自治法の中にこんな規定はないのですよ。
参考までに、今までの
地方自治法の国と
地方公共団体の
関係を読みますが、実に小心翼々として、内閣総理大臣でさえも、
地方団体の仕事については、二百四十五条の三にございますが、「内閣総理大臣又は都道府県知事は、普通
地方公共団体の組織及び運営の合理化に資するため、普通
地方公共団体に対し、適切と認める技術的な助言又は勧告をすることができる。」というふうに、非常に消極的に、政府の
地方団体に対する指導なり、そういったものについては控え目に書いてある。これ以上には出てないのです。だからこれこそは——今までの
地方自治法の
考え方は、今の憲法第九十二条の精神にのっとって作られている。それを今度の鳩山内閣は、この再建促進法の各条において、しかもまた
地方自治法の、今申し上げたような条項において、至るところに、政府の直接の権限というものを、指揮監督し得るような権限、あるいはいろいんな命令をするような権限、こういうものを拡大しつつあるのです。だから、憲法違反になるかならないかということは
議論の分れるところでありましょうが、少くとも今までの憲法、
地方自治法の精神を一歩変更したのだ、重大な変更をしたのだということだけは、これは長官といえ
ども認めざるを得ないだろうと思うのですが、こういう
法律的な問題について長官並びに行政部長からもお聞きをしたい。