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1955-07-16 第22回国会 衆議院 地方行政委員会 第42号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年七月十六日(土曜日)     午後一時二十八分開議  出席委員    委員長 大矢 省三君    理事 池田 清志君 理事 亀山 孝一君    理事 古井 喜實君 理事 鈴木 直人君    理事 前尾繁三郎君 理事 加賀田 進君    理事 門司  亮君       木崎 茂男君    纐纈 彌三君       渡海元三郎君    丹羽 兵助君       熊谷 憲一君    灘尾 弘吉君       山崎  巖君    吉田 重延君       北山 愛郎君    坂本 泰良君       伊瀬幸太郎君  出席国務大臣         国 務 大 臣 川島正次郎君  出席政府委員         自治政務次官  永田 亮一君         総理府事務官         (自治庁行政部         長)      小林與三次君         総理府事務官         (自治庁財政部         長)      後藤  博君         総理府事務官         (自治庁税務部         長)      奧野 誠亮君  委員外出席者         農林事務官         (農地局管理部         長)      立川 宗保君         農林事務官         (林野庁林政部         長)      奥原日出男君         専  門  員 長橋 茂男君     ————————————— 七月十六日  委員太田正孝君辞任につき、その補欠として山  崎巖君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 七月十五日  地方自治法の一部改正反対に関する請願(八田  貞義君紹介)(第四一四五号)  同(助川健平紹介)(第四一四六号)  同(鈴木直人紹介)(第四一四七号)  同(平田ヒデ紹介)(第四二二三号)  同(松井政吉紹介)(第四二二四号)  同(臼井莊一君紹介)(第四二二五号)  同(菅太郎紹介)(第四二二六号)  同(鈴木直人紹介)(第四二二七号)  同(福田篤泰紹介)(第四二二八号)  クリーニング業に対する事業税軽減に関する請  願(久野忠治紹介)(第四一四八号)  日本中央競馬会に対する地方税課税反対に関す  る請願鈴木直人紹介)(第四一四九号)  工業用水道の起債を全額長期債化等に関する請  願(高木松吉紹介)(第四一五〇号)  地方財政再建促進特別措置法制定反対に関する  請願池田清志紹介)(第四二二〇号)  同(福田篤泰紹介)(第四二二一号)  軽油自動車に対する自動車税すえ置きに関する  請願外三件(福田赳夫紹介)(第四二二二  号)  市町村公平委員会存置に関する請願山口丈太  郎君紹介)(第四二二九号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方財政再建促進特別措置法案内閣提出第一  一五号)     —————————————
  2. 大矢省三

    大矢委員長 これより会議を開きます。  前会に引き続き地方財政再建促進特別措置法案を議題として、質議を続行いたします。質疑の通告がありますのでこれを許します。  昨日委員から御要求がありました林野庁林政部長奥原説明員農地局管理部長立川説明員が出席されております。北山君。
  3. 北山愛郎

    北山委員 まず最初に国有林野所在市町村交付金の問題についてお伺いしたいのであります。  これはこの前、地方交付税法あるいは地方税法の審議に関連いたしまして、国有林野のたくさんある市町村におきましては、この交付規定によって固定資産税にかえて交付金が支給をされておるわけであります。ところが最近この固定資産税を取るよりも、農林省の方から出る国有林野分交付金の方がはなはだ少いように聞いております。そこで現在林野庁の方で全国的に見て、どれくらいの市町村交付金を出しておられるか、その面積、その金額、それから関係市町村、こういうような現状について、まずもってお伺いをいたしたいのであります。
  4. 奥原日出男

    奥原説明員 現在国有林交付金は三億二千万円支出をいたしております。この額は昭和二十六年度から今日までくぎづけに相なっておるのでありますが、その事情を申し上げますと、昭和三十六年度予算折衝の際におきまして、この交付金本質に関しまして大蔵省との間にいろいろ議論をいたしたのであります。実はこの交付金は、地方交付税交付金算出に当りましては、歳入計算の中には入っておらない次第であります。従って過去においては平衡交付金、今日においては地方交付税交付金が、財政需要額に対して収入額の足らない差額を見るという建前に相なっておる場合において、この国有林交付金歳入計算の中には入っておらない以上は、交付金予算の上に計上するということは、片一方の平衡交付金地方交付税交付金計算においては二重支出になる、こういう観点から、この国有林地元交付金を削除すべきである、こういう議論大蔵省方面から出されたのであります。しかし林野庁といたしましては、これはあくまでも国有林がそれぞれの町村において、地元の方にいろいろお世話に相なっておるということに対する謝礼の意味において支出をいたしておる金でありまして、ただその算出基礎を従来は固定資産税相当額に見合って支出をしてきた、こういう筋合いの金になりますので、あくまでもこれは引き続き計上さるべきである、こういう議論を繰り返したのであります。その林野庁の主張が趣旨としては認められたのでありますが、しかし従来の固定資産税相当額を計上するということ自身は、昭和二十六年度から貫徹できないことに相なりまして、今日まで三億二千万円という価格くぎづけに相なっておる次第であります。交付税交付対象と相なっておる面積は、六百三十八万町歩です。以上お答え申し上げます。   〔委員長退席加賀田委員長代理着席
  5. 北山愛郎

    北山委員 そういたしますと、農林省としてはやはりこの交付金規程に掲げられておる建前からいたしまして、その所在国有林付近民有地と同じような平均価額固定資産税標準税率をかけたもので、そういう金額交付したい、こういう気持でおるし、またその建前でおる。ただそれを今お話のように大蔵省によって押えられておる、このように了解されるのですが、農林省としてはやはり現在の固定資産税できめておるところの民有地平均価額並みに出したいという方針で、今後とも進まれるつもりであるか、それを一応お伺いしたいと思います。それから同時に現在年々固定資産税評価基準が上っておりますが、本年度なら本年度評価基準に基いて算定をいたしますならば、この三億二千万円というのはどれくらいの金額に上るか、その見積りがございましたならばお知らせ願いたいのであります。
  6. 奥原日出男

    奥原説明員 国有林所在町村に対してお世話になっておる謝礼として交付金支出するということはわれわれとしても引き続き堅持をいたして参りたい、かように考えております。ただ交付金算出基準につきましては、これは従来国有林林地につきまして民有林と同様に評価をいたしたことがなかったのであります。従いまして、やむを得ずその所在町村民有林評価平均額をもって国有林自身地価平均額というような計算をいたして参ったのでありますが、国有林といたしましては昭和二十九年四月一日現在におきまして国有林自身林地についての評価を完了いたしておるのであります。従いまして、今後はこの評価額に対して一定の率をかけて配付をするというような配付の仕方が合理的ではないか、かように考えておる次第であります。いずれにいたしましても、われわれといたしましても昭和二十六年以来三億二千万円というふうな額でこげついておるということは、これは決していいこととは考えておりません。やはり国有林地価に対して固定資産税税率をかけた程度のものは支出いたしたい、かように考えておるような事情にあるのでございます。国有林地価評価によってはじき出しました昭和二十九年四月一日現在の国有林林地価額というものは三百八十六億、かような願に相なると考えておる次第であります。もしも国有林林地について、民有林林地についてはじき出しました価額を取って、そして民有林林地についての固定資産税税率をかけて参りますと、おそらく概算でございますが国有林関係固定資産税相当額というものは七億二千万円くらいになるのではないか、かように考えております。
  7. 北山愛郎

    北山委員 先ほど来いわゆる交付金の性質というものにつきまして、林野庁としてはこれは所在市町村に対するお見舞というか、謝礼というか、そういうものであるというお話でございましたが、しかしこの交付金規程を見ますと、やはり価額算定基準の場合においても所在付近民有地等平均価額基準として面積をかけ、それに対して固定資産税評価税率をかけて算定するというふうにでき上っておりまして、われわれから考えるならば、この国有林野民有地であったならば、当然市町村がかけ得べき、取ることができる固定資産税に見合う性格のものではないか、かように考えるものでございますが、それについて林野庁から重ねてお答えをいただきたいと同時に、自治庁のこれに対するお考えを聞きたいのであります。
  8. 奥原日出男

    奥原説明員 国有林地元交付金というものが交付税交付金算出基礎の中に全然計算歳入として取り上げられていない、こういう事実から、われわれはそういう事実に合いまするところのこれの本質説明をいたさなければならない、かように考えるのであります。もしもこれを、国有林に対して課せられまするところの一種固定資産税であるというような観点に立つといたしますれば、交付税交付金歳入計算の上にこれを乗せて、その分だけ交付税交付金の額が減るというような扱いに相ならなければならない筋合いではないか、かようにわれわれは考えるのであります。しかしながら本質はそうといたしましても、あくまでもこの額自身につきましては、やはり固定資産税が課せられた場合に支払わなければならない額というものを、われわれの予算要求等において取り上げていくべき筋合いである、かようにわれわれも考えておる次第であります。
  9. 奧野誠亮

    奧野政府委員 国と地方団体との課税関係をどうするかということにつきましては、世界の間にもいろいろやり方が違っているようであります。わが国におきましては、終戦後総合課税建前をとろうじゃないかというような話も起きて参ったわけでありますけれども、しかしいろいろ複雑な問題もありまして、さしあたり国の所有しておる財産でありましても使用者課税していけ、こういう建前をとって立法をしたわけであります。その後この制度は、たしか昭和二十六年ではなかったかと思いますが、そのころに廃止されたわけでありますが、半面国会の方で国有鉄道等財産でありましても、公社組織をとっておるものでありましても、本来の事業の用に供しておる以外のものについては課税できるということになりまして、普通の同定資産税が課されるようになって参ったわけであります。国有林野につきましては、長年にわたりまして交付金制度をとってきているわけでございますので、もしその課税制度をとるといたしますならば、国有鉄道等財産よりも先がけて、むしろ正式な課税制度がとられてしかるべきではなかろうか、こういう考え方を持つわけでありますけれども、昔から交付金制度がありました関係もあって、今日もなお交付金建前を続けて参っているわけでございます。従いまして、またこの交付金の額というものも一方的にきまってきているというふうな形になりまして、昭和二十六年に改訂されて以来今日なおそのまま継続されてきている。他面固定資産税の方は地価騰貴等関係もありまして、税額としては相当上ってきている、その間に開きがある、そういうふうな実情になっておると思うのであります。
  10. 北山愛郎

    北山委員 この交付金税額については別としましても交付規程に掲げてある事項、少くともこれはその通り守られる必要があるのではないか。そういたしますならばやはり民有地平均価格基準とし、面積をかけ、それに固定資産税税率をかけた金額でやるという、こういう農林省規程によってきめておる以上は、これはおそらく大蔵省といえども、同じ政府部内においてそんなことは知らない、それは農林省規程であって、大蔵省規程ではないというようなことはあり御ないはずだと思うのですがどうでございましょうか。
  11. 奥原日出男

    奥原説明員 林野庁といたしましては、ただいま御説明申し上げましたように、国有林自体地価というものに対しまして、固定資産税税率をかけました額の相当額程度まで地元交付金というものを増額計上することが望ましい、かように考えております。
  12. 北山愛郎

    北山委員 私全国的な例はよく知りませんけれども、私の方の岩手県なんかの地方におきましては、ほとんど全村の六割、七割というものが国有林野で占められておるというふうな村が少くないのであります。従ってその林野から取れる固定資産税が、うまく取れる場合と取れない場合とでは、村の財政に非常に影響があることは申すまでもないのであります。一々の数字は申し上げませんが、しかしこの林野があることに関連して、村としては利益を受ける面もございますが、一面道路や森林火災消防等につきまして、サービスの面もあるというような点を考えました場合においては、ただいまのような三億二千万円程度くぎづけになっておることはどうしても適当でない。しかも大蔵省交付税基準財政収入の中に織り込むか織り込まないかというようなことを言われますが、しかし交付税率というものは、地方団体のあらゆる歳入財政収入の中に見込んでおるわけではないのです。自己財産収入などは見ておらない。そういうふうな点を考えますならば、やはり私どもとしては固定資産税のふえて参るのに応じて、これをぜひとも交付金増額をしていただきたい。そういうような国有林野がたくさんあるような寒村に対しては、ほかの財源は少いのでありますから、そこでぜひともこの交付金増額をしてもらいたいというように考えるのですが、これについて自治庁としてはどのような方針で進まれるか、直接の地方税の問題ではございませんが、地方財政の問題でありますから、自治庁として今後その線で大蔵省その他に折衝をするというような措置をとるつもりかどうか、これをお伺いしたい。  それからなおもう一つお伺いしだいのは、国有林野についてもその面積台帳に基いておると思うのです。国有林実測というものがどの程度に進んでおるか、同時にまた民有林なんかの実測もどの程度に進んでおるか。私どもの聞いておる範囲では、林野実測というものがさっぱり行われておらないために、台帳でやりますと実際とは何倍も食い違いがある。実測してみると一町歩のものが四町歩にも五町歩にもなっておるというふうなことを聞くわけであります。そうしますと、半面から言うならば民有地についても、あるいは国有地についても税が少い、脱税にもなっておるというようなことにもなるわけであります。実際に国有林の測量というものが明治以来行われておりますが、どの程度実測が進んでおるか、民有地についてはどうであるか。それから実測をした場合に大体どのくらいの食い違いがあるか、こういうようなこともあわせてこの際お伺いしたいと思います。
  13. 奥原日出男

    奥原説明員 国有林林地に関しましては、国有林においては、十年を一期といたします経営案というものによって施業が規律されておるのでありますが、経営案編成及び改訂に当りましては、その都度その林地状況を確実に測量いたすのでありまして、従って国有林地籍台帳面積というものは、これは御信用いただいてよいのじゃないかと考えております。しかしながら、往々にして実際に国有林林地を売り払おうといたしました際に、多少その面積食い違いの起ってくるということも、これも例の乏しくないことであるのでありまして、われわれとしてもできる限りその精度を上げることに努めたい、かように考えておる次第でございます。民有林林地面積に関しましては、台帳面積現実面積との間には非常に大きな食い違いがあるということ、これはもうわれわれも率直に認めなければならない、かように考えるのであります。保安林買い上げ等によりまして、現実に買い上げいたします民有林面積を実施について測量いたしてみますと、その間に大ていのものが相当なる面積食い違いを来たす、こういうふうな状況にある次第であるのであります。
  14. 奧野誠亮

    奧野政府委員 お話のありましたように、国有林野市町村交付金の額が、昭和二十五年に二億二千万円であり、二十六年に三億二千万円、そのまま据え置かれて参ってきておりますが、他面、民有林地に対します同定資産税の額は相当に増加してきております。つり合いから申しますと、不つり合いに少な過ぎる、こう考えているのでありまして、この問題につきましては、自治庁としても常々深い関心を持っているわけでございます。大蔵省あるいは農林省話し合いはしているわけでございますけれども、来年度予算編成に当りましては、さらに強く両者話し合いをいたしまして、ぜひ引き上げてもらうようにいたしたい、かような考え方を持っております。同時にまた、でき得るならば、この交付金につきまして立法化して、制度的なものに確立する必要があるのではなかろうか、こういう考え方も強く持っているわけでございまして、政府部内で来年度予算編成前には十分協議いたしたい、こういう考え方を持っております。
  15. 北山愛郎

    北山委員 確かにお話の通りで、私もこのような制度が単に農林省規程によって行われておるということはあまり適当ではない、またそれがゆえに規程がそのまま守られておらないということにもなると思うのです。従って平均価格の取り方にしましても、先ほどお話があったような、農林省の実際に調査をした評価によるか、あるいは固定資産税の方によるか、いろいろ問題はあろうと思いますので、こういう点を一つ早急に考えていただきまして、関係の役所において協議をして、すみやかにこれの立法措置、そして十分な交付金なり、そういうものを所在市町村に与えるように措置をしていただくように要望して、この問題についての私の質問を終ります。
  16. 奥原日出男

    奥原説明員 ただいまの北山先生の御意見に対しましては、私たちも何らの異なった考えも持っておりません。ただ一言この際私お願い申し上げておきたいことがあるのであります。それは国有林交付金を法定義務化するということに伴いまして、国有林交付金を、これは一種固定資産税だ、こういう観点から、地方交付税交付金歳入の中に計算土組み入れられるということは、これは国有林交付金本質を少しゆがめるものではないか、われわれとしては、これはあくまでも国有林地元に対します平素お世話になっていることに対しますお礼だ、こういうような考え方で、地方交付税交付金計算ワクの外においてお考えを願いたいということを林野庁としては希望申し上げます。
  17. 鈴木直人

    鈴木(直)委員 ただいまの答弁に関連しまして参考のために聞いておきたい点があるのであります。国有林地に対する同定資産税として課すかどうかという問題は、自由党としても現在研究中なわけでありまして、それに関連して参考に聞いておきたいと思いますが、自治庁においても、あるいは農林省においても、この国有林地固定資産税として課した場合の金額が幾らに見積られているかということを両方からお聞きしておきたいと思うのです。聞くところによると、両省においては計算の額が非常に違うというように聞いているのである。具体的に言えば、林野庁考え方は、五億くらいであろう、あるいは自治庁は、数十億になるであろうというふうにも聞いているのでありますが、同定資産税として課した場合に、その数字がどの程度になるかという大体の見当の額を聞いておきたいと思います。
  18. 奥原日出男

    奥原説明員 国有林林地評価額は三百八十六億、これに対して千分の十四の税率をかけますと、五億四十万、こういう数字になるわけであります。これを国有林所在町村民有林平均価格国有林にも取り上げる、こういう観点から計算をいたしますれば、先ほど申し上げましたように、固定資産税相当額が七億二千万、こういう数字になる次第であります。実は御承知のように国有林北の方に非常に片寄っております。東北北海道あるいは関東、中部あたりで、おそらく国有林の八割以上の面積を占めているものと存ずるのでありますが、地価はともすれば南の方に高くて、北の方に安い。たとえば北海道あたりは大体三千円、東北あたりで五千五百円、九州あたりでは一万円見当、こんなふうな大体の平均のように聞いているのであります。従いまして国有林地価につきましても、やはりそれぞれの林地を近隣の民有林林地価格と対照しながら個々に具体的に評価をして、そうして数字を積み上げていく、こういうやり方で全体の評価額を出す、また固定資産税相当額計算をすべきじゃないか、かように考えております。
  19. 奧野誠亮

    奧野政府委員 農林統計によりますと、二十九年四月一日現在の国有林野面積が七百六十七万二千町歩ということになっております。しかし今奥原さんのお話を伺っておりますと、国有林市町村交付金対象になっている面積は六百三十八万町歩ということでありまして、若干食い違いがあるのであります。七百六十七万二千町歩を使って参りまして、民有林の場合の評価基礎といたしますと、反当千七百五円であります。これに一・四%の税率と、七百六十七万三千町歩とを乗じて参りますと、十八億三千百万円ということになります。次に昭和二十五年の国有林野町村交付金が二億二千万円であります。二十五年以後今日まで民有林地評価上昇率を乗じて参りますと、九億五千七百万円ということになるわけであります。
  20. 加賀田進

  21. 門司亮

    門司委員 ちょっと参考のために農林省の方に聞いておきますが、町村合併に対して今日まで地方の自治体に払い下げ面積はわかりませんか。
  22. 奥原日出男

    奥原説明員 町村合併に対する払い下げは、まだその緒についたばかりでございます。と申しますのは、国有林野整備臨時措置法という法律施行期限がこの三月まででございます。従いましてこの法律に基く処分を全力をあげて前年度やっておったのでございまして、それによりましてたしか十三万八千町歩であったと記憶いたしておりますが、それだけの国有林の売り払いをいたした次第であります。町村合併のものにつきましては、本年度に入りましてから、単に営林局長に一任するという立場でなしに、中央本庁営林局長両者協議の上で、具体的な申請に対してそれぞれ地点を決定する、こういうようなことに取り運んでおる次第でございまして、まだその仕事が緒についたばかりでございますので、これだけ片づいたということをまだ申し上げ得るだけの数字も持っておらない次第でございます。
  23. 門司亮

    門司委員 そうしますと、町村から払い下げを希望してきている大体の概数はどのくらいありますか。
  24. 奥原日出男

    奥原説明員 町村から国有林払い下げを希望いたしておりますもので、林野庁本庁あるいは営林局長に具体的に申し出が参っておりますものは四万三千八百町歩でございます。自治庁のお調べによりますと、それ以上相当大きな面積合併計画の中には載っておるそうでございますので、これらは今後逐次提出されてくるものと、かように考えておる次第でございます。
  25. 門司亮

    門司委員 林野庁方針はこの申請に基いて大体払い下げが行われると私は信じておりますが、大体いつごろ実現の可能性がございますか。
  26. 奥原日出男

    奥原説明員 今申請が出て参っておりますものにつきましては、できれば当年度一ぱいくらいに具体的な処理のワクをはっきりさせたい、かように考えております。
  27. 門司亮

    門司委員 本年度というのは、来年の三月末までと解釈してよろしいですか。
  28. 奥原日出男

    奥原説明員 さようでございます。
  29. 鈴木直人

    鈴木(直)委員 本日は林野庁関係からおいでになっておりますから、二、三関連して参考のために聞いておきたいと思います。国有林から木材引取税をとる場合に、その徴税の代行者として、林野庁当局の出先機関がそれを直接納めておられるのですか、あるいは木材業者から納めておられるのですか、その現状をお聞きしたいと思います。
  30. 奥原日出男

    奥原説明員 国有林の産物の処分に関しましては、営林署長が徴税事務の代行者といたしまして、国有林の生産いたしました素材を買い受けました木材業者から徴税いたしまして、そして市町村に納付をいたしております。
  31. 鈴木直人

    鈴木(直)委員 その税の部分につきましては、価格のうちに加算して払い下げを現にしておる、こういうことになっておるのでしょうか。
  32. 奥原日出男

    奥原説明員 国有林の木材の処分につきましては、標準価格をそれぞれの土場について定めまして、随意契約で売り払いますときはその標準価格によって売る。それから入札をいたしますものはその標準価格をこしたものでなければ落札しない、こういう処置をいたしておるのであります。そうしてその標準価格算定に当りましては、消費地の市場価格からそこまで輸送いたしますのに必要ないろいろな経費というものを控除いたしまして、そうしてその標準価格算定いたすのであります。その控除に当りまして、ただいまお尋ねのありました木引税というものを引き去るわけでございますので、従いまして、国有林の処分価格自身は、木引税というものを控除したあとのものである、かように御承知を願います。
  33. 鈴木直人

    鈴木(直)委員 木引税というものをこの際撤廃すべきであるという考え方を持っている人が国民にも相当あるのですが、それに対しての見解はどうでしょうか。
  34. 奥原日出男

    奥原説明員 これに対しましては、同じ林業関係の中においても世論は少しも一致いたしておりません。一方において、林材界方面においてその廃止が叫ばれるのでありますが、他方において、森林所有者の立場におきましては、その廃止によって税の負担がはっきりと森林の所有者にかかってくるという結果になるのではないかというふうな、いろいろな疑問も持っているようでございまして、まだその間に意見の一致を見ておらない状況でございます。林野庁といたしましては、この問題がすでに事務、的な段階を離れまして、すでに政治の段階にまで問題が押し上げられている、こういうような現在の状況でございますので、まずこの問題に関します世論のまとまりというものをもう少し努めて参りたい、かように考えている次第でございます。林野庁自身の事務的見解をこれに対して表明いたしますことは、そういう林野庁の現在置かれております立場から、むしろ差し控えたい、かように考えております。
  35. 鈴木直人

    鈴木(直)委員 次に国有林について現在の情勢は、立木で払い下げる場合とこれを木材にして払い下げる場合との率はどういうふうになっており、どういう趨勢になっているか、今後立木の払い下げは少くなるのか、製品にして売るということになっていく傾向にあるのか、こういう点もお伺いしておきたいと思います。
  36. 奥原日出男

    奥原説明員 私主管の部長でございませんので、もし数字が間違っておりましたらあとで訂正さしていただきますが、大体国有林の標準伐採量と申しますものは、二千四百万石ぐらいかと、かように存じますが、その中におきまして立木処分によって売られますものが九百万石見当、残りが素材として国有林自身で生産をいたします数字でございます。傾向といたしましては立木処分の量が少しずつふえて参っておったのでございますが、北海道の風倒木に関します大被害が昨年発生をいたしまして、この結果国有林材の処分と木材価格との間の適当な調整を確保いたしまする趣旨から、北海道風倒木の処分については直営生産による割合を非常に増加いたしております。ここ当分は直営生産材が増加する、かように御承知を願いたい。
  37. 鈴木直人

    鈴木(直)委員 林野庁において直接製材して製品にして払い下げる場合には、木材引取税は営林署が代行してきらんきちんと納めることになりますが、これを立木のままにして払い下げた場合には、民間の製材業者が自分の手によって木材引収税を納めることになるわけであります。このやり方を変えて国有林については素材も立木も一緒にして営林署が代行して納める、その場合には立木の場合は素材換算ということになるかもしれませんが、そうした方が確実に徴税ができるのではないか。その点からすると、少くとも国有林については木引税というのをやめて、日からの自治体に対する交付金というような名目のもとに別途の法難を作って、国有林については立木の場合において、国がその木引税に相当する部分のあるパーセントのものを自治体に交付する。今までの交付金とは全然違う交付金になるのですが、木引税のように製材業者からこれを納めるという考え方でなく、国有林を持っておる国から交付するというやり方にした方がいいのではないかということを研究しておられる方もあるわけであります。従って国有林交付税にいたしまして、素材で木材業者に売った場合においては、その部分についてももちろん交付をするし、また立木で払い下げた場合においても一定の割合によってそれを交付するということにすれば、製材業者なり木材業者は苦労がなくて済む、こういうような考え方から、今のような国の交付金制度にこれをやりかえた方がいいのではないか。もちろん民有林についてはまた別でありますが、少くとも国有林についてはそういう制度にした方がはっきりしていいのではないかという考え方を持って研究を進めておる人もあるのでありますが、そういう点についてはどうお考えですか。
  38. 奥原日出男

    奥原説明員 現在の木材引取税の建前は、素材の第一回の取引に対して買付人が木材引取税を払う、こういう建前になっておるのであります。従って国有林自身が立木を伐倒して素材にいたしまして、それを土場において処分をいたしました場合に、国有林自身が徴税事務の代行者として材木屋から税をとるということは当然のことでありまするが、山に木が立ったまま国有林がこれを処分をいたしました際に、国有林がそれに対してその売買の際に税を取るということは、今の木材引取税の建前からいたしますれば少し困難ではないか、かように考えております。なおその問題につきましては実は私どもの所管でございません。自治庁の問題でもございますので、そちらの方にもお伺いを願いたいと思います。
  39. 奧野誠亮

    奧野政府委員 今もお話がありましたように、立木のままの売買につきましては課税対象になっておりません。それをさらに広げようということは、また国有林野は全林野の一〇%にも満たないようでございますので、その部分についてだけかような措置をすることはいかがなものだろうかというふうに考えられるわけであります。もちろん昭和二十五年に廃止します以前の不動産取得税におきましては、林地の売買を立木を含めまして課税対象にしておったのでありますが、新たにそういう制度を作るといたしますと、課税対象を広げて参るということになろうかと思います。  第二に、先ほど来お話のありました国有林野町村交付金制度的なもにのなっておりませんために、その金額についていろいろ問題があるわけであります。木材取引税でありますと、その負担額がきわめて明確でありますけれども、これをことさら国有林野についてだけ交付金制度をとりますと、今よりも金額算定につきましてむずかしい問題、あるいは不明確な問題が起きてくるのじゃないだろうかという感じを持つわけでございます。  第三に、木材のような基礎資材でありますと、国を通じて一つの統一した負担制度が成立しないと困るのじゃないだろうか、そういうような考え方を持っておるわけでございます。
  40. 鈴木直人

    鈴木(直)委員 ちょっと誤解がありましたから申し上げておきたいのですが、全般的にいえば、現在の林野庁交付しているものは同定資産税として法制的に市町村が取るというやり方をやり、国有林に関するものは木材引取税という形でなく、事実上引取りするときでありますけれども、素材の場合には当然今のようにして取り、立木の場合には第二段階の製材業者がそれを買っていって素材にしたときにその者が負担することになるのですが、その段階をやめて、立木を売ったときに、それを素材に換算して国がその点についても交付する、こういうことであって、同じ交付と申しましても、今までの実際にやっている交付というものは固定資産税にしてしまう。そして木材引取税に関係する部分については、今度は別途の意味の国からの交付金という立場で、いわゆる木材引取税に当るものを国が交付金という形で出す。その場合には素材だけでなく、立木についても国が交付する、こういう考え方を研究している向きもあるのであって、この点についてのお考え方をお聞きしたのです。従って今自治庁からお話のあった交付金というものについてこんがらがったような第二の答弁がありましたから、その点はそういう意味でないということをお話いたしまして、答弁をお聞きしたいと思います。
  41. 奧野誠亮

    奧野政府委員 木材引取税につきましては林野庁も非常に協力していただいておるわけであります。営林署長が特別徴収義務者になっておるわけであります。市町村と営林署長との関係におきましては、木材引取税の特別徴収義務者は厳正に税を徴収し、納付し、またその義務を負う形において運営されております。現在国有林野についての町村交付金はむしろこういう形よりも固定資産税というふうなはっきりした形のものにした方がいいのじゃないかという議論があるといたしますならば、木材引取税という明確な形で運営されるものを交付金に切りかえることはむしろ逆行的に考えられやしないか、こういう疑問を持っておる、こういうお答えを申し上げているわけであります。
  42. 北山愛郎

    北山委員 農地局の管理課長がせっかくお見えになっておりますので、簡単に若干時間をいただいて固定資産税関係しておることについて伺いたい。  問題になっておったのは例の農地の評価基準、これを今年度におきましても自治庁では、二八%ですか値上げをしたわけです。ところが今度の自治庁の農地の評価基準によると、全国平均で田の評価額は反当約三万五千円くらいになっているわけです。昨年は二万八千幾ら、一昨年は三万二千幾ら、こういうことになって約三割くらいどんどん上っているのです。そうしますとこれでもって標準税率でかけて参りますから、固定資産税平均の田については、一反歩当り昨年はたしか四百二十円、ことしは五百三十二円だと覚えておりますが、そういうふうに上って参る。そうすると当然例の法定小作料の問題にぶつかるわけであります。昨年でも全国的に、ある場所においては小作料よりも固定資産税の方が上回るというケースがたくさん出て参りまして、非常に困ったことは御承知であろうと思います。ことしはさらにそれが相当大幅にまた上るのですから、当然小作料よりも同定資産税の上るところがさらに多くなる。従って農地に対する固定資産税が上るということは、小作料を押し上げる一つの重要な原因になることはもう当然のことであります。そこで固定資産税評価基準を政府がこのように上げるということは、当然小作料に対する影響というものをお考えの上でやったのではないか、かように考えられるわけでございます。従って問題は自治庁限りでおきめになったのではなくて、農林省もこれに参加をしてこれを了解しておやりになったと思うのですが、農林省はこの点についてどのようにお考えになり、またどういうふうな措置をしてこられたか、お伺いをしたいのです。
  43. 立川宗保

    立川説明員 小作料の問題につきましては、実はこれはすでに農地法の規定によりまして、従来の農地調整法のきめ方を一ぺんなくしまして、新しい小作料の基準を出すということが定められておるわけであります。ところで従来の農地調整法の小作料の統制の仕方は、いわば停止価格、マル停というような格好のきめ方でありました。戦時中の小作料統制令の最高価格をそのままくぎづけにして持ってきた、こういうことであります。ところが今度の農地法の規定は、それをいわば公定価格式に、マル公式に改めましてすべての農地についてその統制最高額をきある、こういうことになっております。従って全国の小作地についてその等級別の評価をしなければなりませんために、その準備を二年間かかってやって参りました。   〔加賀田委員長代理退席、委員長着席〕 それで新しい小作地調査の事業がほぼまとまって参りましたので、ここで新しい基準を農地調整法の基準と、一応これの基準を離れて小作料の公正な統制額がいかにあるべきか——もちろん農地法の規定に従って小作農の経営の安定を旨としということが大原則でありますから、そういう趣旨のもとに新しい統制額をきめるということになりまして、いろいろ検討をしておるわけであります。そこでお話しのように、ものの考え方の立て方から申しますと、農業経営の中における小作農の経営を安定させるという基準で、統制小作料の全国的な基準を定めるということでありますので、一応税の問題とは直接には関係はいたしませんが、実際問題として第二次的と申しますか、固定資産税はいかにあるかということは振り返ってみなければならないわけであります。そこで固定資産税の方につきましては、これはその法律の定むるところによってこの基準なり算定方法が規定されて出て参るわけでありますが、その辺は定められた固定資産税の状態を振り返りながら、それを一つの基礎資料としながら新しい小作料の統制基準を定めるべきではなかろうか、かように考えておるわけであります。
  44. 北山愛郎

    北山委員 どうもお話を承わっておると、理論的に事柄の順序が逆になっておるのではないかと思うのです。農林省としては、ただいまお話しのような建前から新しく統制した小作料をきめようとかかっておる今後の新しい問題であります。ところがすでに同定資産税というものはそれより重要な要素になるわけでありまして、その方もやはり考えなければならぬではないか。少くとももしも農林省が今度の固定資産税、この農地の評価基準をどんどん上げていくことに了解を与えたとするならば、それは当然その限りにおいては、小作料が引き上げになるということを前提にしてでなければ承認を与えられない、こういうふうに考えられるので、自然発生的なものではないと思うのです。固定資産税評価基準というものは政府がおきめになる、自然にそういうふうになったわけではなくて、そこにやはり一つの政策も加味されると思う。従って固定資産税をきめる場合においても、小作料という問題を念頭に置いて考えなければならないし、お話しのように小作料をきめる場合においても、やはり固定資産税というものをきめて考えなければならぬ相関関係があるのであって、それを固定資産税の成り行きによって小作料の金額考えていくというようなことは、農林省としてはおかしいではないか。値上げをもうすでに前提としてやっておるのではないかと思うのですが、一体正式に農林省自治庁がきめておる評価基準というものをお認めになっておるかどうか、事務的に見て農林省の省議としてそういうことを承認になっておるかどうかということを伺っておきたい。これは人のところできめることだからそっちの方で勝手にきめろ、農林省は別に考える、こういうことであるか、お互いの関係する自治庁農林省の間で協議をして、今後の評価基準というものがきめられておるかどうか、これをお伺いしたい。
  45. 立川宗保

    立川説明員 固定資産税地価評価固定資産税税率固定資産税の徴収の仕方というものにつきまして、農林省として自治庁のおきめになったやり方を認めておるかどうかというお話でございますが、これは自治庁の御当局が法律によって措置をなさるわけでありますから、当然権限に従って十分な御検討をなさっておられるわけであります。そこで私ども関係も関連が出ては参りますけれども、今お話しの理論上こちらが前提でこちらがきまるというものでは必ずしもないのではないか、こういう工合に考えますので、私ども数字は承知いたしておりますが、これを農林省が承認をするとかしないとかいうようなことではないと考えております。
  46. 北山愛郎

    北山委員 しかし、自治庁評価法律に従ってやっている、こう言うのですが、法律の中には評価基準のきめ方というものはないのです。それは自治庁の方で、政府の方へまかされているような格好なんです。法律にはどういうふうな形で評価をしろというようなことはないか。だから政府の裁量なんです。それが一つと、それからもう一つは、自治庁の方へ閥きますと、これは農林省がとっておるところのいわゆる反当収益ですね、そういうふうな調査を基礎にしてやったのだ、こう言われる。ところが今のお話ですと、それは自治庁が勝手にやったのだ、こういうようなお話ですが、一体両者の間にこの問題については何らの関係はないのですか、事務的に正式に連絡をとったとか、そういうことじやないのですか。結局農林省農林省だ、自治庁自治庁だ、こういうことですか、これでいいのですか。
  47. 立川宗保

    立川説明員 反当収益でありますとかあるいは反当の収量でありますとか、そのようなものはおそらく農林省もいろいろ統計がございますから、私の所管ではございませんが、その統計に従っておやりになったであろうと想像いたします。しかしながらその反当の収量あるいは農家経営の内容、それを使ってどのような計算をされるかということについては、私ども自治庁のおやりになることを、特別に役所の権限に従って承認するというようなことはございません。
  48. 伊瀬幸太郎

    ○伊瀬委員 ちょっと関連して。今北山委員が言っていられることは、固定資産税が上ってくれば従って小作料の値上りになるのじゃないか、だから固定資産税は勝手に自治庁がやれ、農林省の方ではそれはおかまいなしだ、こういうことではなく、何か両者の間に御相談があってやっていられるのではないかということを言っていられるのですが、勝手に自治庁の方では固定資産税を上げられ、そうしてあなたの方では勝手に小作料をまた上げていくような格好になってくる、こういうのですが、これはどっちがほんとうなんですか。
  49. 立川宗保

    立川説明員 固定資産税と小作料との関係でございますが、小作料は、農地法の規定に従って、農業経営の立場から、こういうものが公正妥当な基準であるということで定めるわけであると思います。それで固定資産税は、これは私専門外でございますが、地方税法建前からかような基準財政上の負担を課するということになるのだと思うのであります。従ってその両者の間には理論上の関連、必然的な関連というものは必ずしもないのではないかと思います。それで実際の地価の見方、これにつきましては小作料の算定をいたします場合にも、どういう工合にこの土地の価格というものを見るか、あるいは農業の収益はどういう工合に見るかということはいろいろ検討をいたしまして、それに従って小作料の基準というものをきめなければならないのでございますから、これはこれとしてその法律の趣旨からきめていくということになろうかと思うのであります。
  50. 北山愛郎

    北山委員 しかし、小作料が自由に、自然にきまっていく、農林省はそれは一向かまわないというなら別なんです。少くとも現在一つの公定価格があって、しかも新しい公定価格を作ろうとなさっておる。そういうふうな場合において、その要素になる固定資産税は勝手だというようなわけにいかぬじゃないですか。日本とアメリカは何も理論的には関係がないが、実際的には関係がある。農林省はそんなことを言っておるけれども、一体地主連中が小作料を上げる理由として第一に上げているのは、固定資産税が上ったから小作料は上げてもらわなければならぬ、こういう口実をつける。これは小学校の子供が考えても当然なことです。農林省だけで理論的には関連がないなどと言って、それで一体小作料の統制なり、きめ縛るのですか。純粋理論的に固定資産税などを考えないでそういうことがきめ得るのですか。私はやはり小作料をきめるということが一つの政策でなければならぬと思う。しかも農家の生活安定ということを目標に考えている農林省の一つの政策だと思う。ところがその要素となる固定資産税税額は、固定資産税の方できめる評価基準というものは一つの政策なんですから、税をとる方から考えてはいくけれども、当然関連がある。実際問題としての関連がある。こういうことが今のお話のような考え方でやられては大へんなことなんで、農林省農林省で、自治庁自治庁だということで、内容において重大な関連のある問題について、別個にてんでんばらばらになられたらたまったもんじゃない。これについて自治庁長官は一体どういうふうにお考えですか。
  51. 川島正次郎

    ○川島国務大臣 固定資産税の標準を決定するのは、法律に基いて年一回ずつやるということになるのでありまして、それに関する限りは小作料とは関連性がないとも言えるのでありますけれども、しかしこれを総体的に見ますと、同定資産税は小作料をきめるときの一つの要素になるのでありますから、その点から関連性がないということは言えないわけであります。最近土地に対する固定資産の評価基準が上りましたが、それをことごとく小作農家に犠牲を払わしておるかというと、現在私どもが聞いておる状況ではそうではないのでありまして、むしろこれは地主の負担において解決している点が多いのであります。先ほどお話のように、現在では固定資産税が小作料よりも多いという所もあるのでありまして、そういう所に対しましては、法律の規定によりまして減免の措置もできるようになっておるのでありまして、小作料を決定する要素にはなっておりますけれど、同定資産税が上ったことをことごとくこれを小作料の方へ転嫁するというようなことは、実際には行われていない現状であります。むろん固定資産税評価基準の決定が小作料に影響のあることは私ども認めております。けれどもそれがことごとく小作料に転嫁されておるという事実もないのだ、私どもとしてはこういうふうに考えておるわけであります。
  52. 北山愛郎

    北山委員 この問題は相当重大な問題だと思うのです。それで実はこの前地方税法を審議して際に、固定資産税の農地の評価基準のきめ方が問題になったんですが、その際自治庁側の御説明では、農林省と連絡をとってやっておるというふうな御説明なんです。ところがただいまの農林省側のお話では、理論的には別個な問題だ、何も了解しているのではないのだ、自治庁自治庁が勝手におやりになることである、こういうような態度である。ですから、これは単に事務的な問題ではなくて、やはり政策上の問題でもあり、また小作料の値上げということが今やはり相当に問題になっておりますので、これについては、農林大臣にぜひ一つ来ていただきまして、政策的な面についてはっきりした政府側の考え方をお聞きしたい。自治庁自治庁で勝手なことを言い、農林省農林省で勝手なことを言われたのでは困ると思うのです。やはり固定資産税と小作料というものは一貫した十分の結びつきを持った——単に部分的な問題ではない。重要な関連性を持った問題でありますので、この点について一つ農林大臣あるいは農林当局の方に出席をお願いしてはっきりさせたいと思います。終ります。
  53. 門司亮

    門司委員 関連して。これはあとで農林大臣がおいでになれば、そのときに自治庁の長官との間にはっきりしてもらえばそれが一番いいと思うのだが、両方の事務当局に一応聞いておきたいと思う。小作料と固定資産税関係は非常に微妙な関係があるが、問題は性格上の問題だと思うのです。自治庁固定資産税をきめます場合に、収益を度外視した。かつて自治庁の方から言われたような財産税であるという考え方のもとに立ってきめられるなら、あるいは小作料の関係が多少薄くなるという感じがいたすのでありますが、自治庁は依然として、収益には何ら関係しておらない、いわゆる財産税的の性格を持っておるから同定資産税評価がえが今日行われているのだという解釈をいまだにとっておりますか。収益に全然関係のない査定の方法をとっているということが自治庁では言えますか。
  54. 奧野誠亮

    奧野政府委員 農地の評価につきましては、以前にも申し上げたと思うのでありますが、農地の売買が強い制約のもとに置かれておりますので、収益還元方式で価格を見出しております。そういうことを申し上げて参っておるわけであります。
  55. 門司亮

    門司委員 今自治庁は、同定資産税評価の問題は、財産税的の性格でない、農地については、収益を一つの考え方としている、こういう答弁なんです。そうだとすると、農林省の今の意見はおかしいと思うのです。小作料をきめる場合に、全然収益を度外視した小作料の算定の方式はあまりないのではないか。地価というものと収益というものとのにらみ合せが小作料を決定する一つの要素になると私は思う。だから全然関係がないということはないと思うが、農林省の方は小作料をきめられる場合に、何を基準にしておきめになるか、事務当局の意見を一つ開いておきたいと思います。
  56. 立川宗保

    立川説明員 この小作料の問題は影響するところが非常に大きゅうございますので、私どもだけでは問題を基本的に突き詰めるということについて疎漏があろうかというような考えもありますので、実は今学者の方をお願いいたしまして、小作料の審議会を作りまして、そこで御検討を願っておる次第であります。そこで、その御意見が出ましてから、小作料審議会の御意見を十分に尊重しながら小作料の統制基準についての結論を見出していきたいというように考えておりますので、現在のところこのような算定方式でこれをきめるという工合にぱちっと判り切った結論には到達しておりません。
  57. 門司亮

    門司委員 今の農林省の意見は、大体農林省側の意見として聞いておきますが、そうすると、今回の固定資産税の値上げは小作料値上げの口実には全然ならないというふうに解釈しておいてよろしゅうございますか。
  58. 立川宗保

    立川説明員 同定資産税の値上げの問題は、御指摘の通り、理論上は私関連しないのではないか、こう考えますが、先ほども申し上げましたように、現実の問題としましては、小作料の問題と固定資産税の額はにらみ合せて考えなければならないということは、当然無視できないわけであります。そこで、実際の問題としてそういう工合に両者の関連を考えなければならないという工合にいたしますと、私ども考えでは、純粋に理論的に突き詰めて、そうして小作料の基準というものを出す、それが農地法の正しい精神だろう、その新しい基準考えて、理論的に農地法の前提に従って出た小作料の額と、それを実行する場合に、固定資産税関係いかんという第二次的の問題は、行政の調整なりそういうことで考えたらいいではないか、こういう工合に考えているのであります。
  59. 門司亮

    門司委員 そういう学問的な議論をするなら、議論が長くなります。小作料の算定についてもわれわれの考え方がないじゃない。たとえば財産税的の性格を持つものとしていく場合、資本家本位の物の考え方をすれば、これだけ財産の価値があるから、これを貸与する場合はこれだけの小作料をもらいたいという議論が出てくる。小作人の方から考えれば、これだけしか収益がないから、この収益の中からこれだけ取れば採算がこうなるということと、同時に、両方合せて考えて、収益だけから換算すれば小作料はこのくらいでよいという、財産としての価値は全然度外視して、収益だけを基礎にする。この両者折衷の考え方もあるだろう。そのいずれをとるかということは、あなた方の方で研究されているといえば、されているということでよいと思う。しかし現実の問題として固定資産税評価額が三割上っている。従って地主の負担がそれだけふえている。だから、負担がふえてくれば、勢いそれをカバーするために、あるいは補てんをするために小作料をどうしても上げてもらいたいという意向はいなめない事実だと思う。こういうことから小作料が上ってくるということは当然一つの理屈になると思う。また農林省もそう考えていると思う。しかしその問題は今ここで議論しておっても、あなた方の御答弁がそういう御答弁であればどうにも仕方がないが、まだあなた方の結論が十分出ていないとすれば、いよいよきめる場合には、今申しましたような三つか五つあると思うが、その要素を一つ抜き出して、固定資産税もよく取り入れて考えるべきだという御答弁だとしても、現在上ってきた今日の段階においては、固定資産税が上ったからといってこれが小作料値上げの口実には絶対にならないとわれわれは解釈するが、その通り解釈してよいかどうかということです。
  60. 立川宗保

    立川説明員 小作料値上げの根拠になるか、こういうことだと思いますが、これは率直に申して、固定資産税の額が上ったということについては、先ほどの法の建前議論はそれといたしまして、実際の第二次的に考慮すべき要素、こういうことになりますと、もちろんそれは第二次的に考慮する要素としては、固定資産税考えて小作料の点に振りかえって見れば、固定資産税が上ったということは、小作料の引き上げの点について作用する要素になることは確かだろう、こう思うのであります。その際に、小作料の額を、ずっと一つの基準でこういう工合に考える。さて、考えて出てきた額と今きまっておる固定資産税の額を見比べまして、そうして小作料の額が固定資産税をまかなえないということになった場合、さてその調整はどうするか、これを小作料引き上げの方向に作用させるか、それは一つの方向でありましょう。引き上げの方向に作用させないで、別に何か考える道はないか、こういうことも私はあり得ると思うのであります。それはさらに検討をいたさなければならないことになろうかと思います。
  61. 門司亮

    門司委員 そういうことを聞いているのではないのです。さっき申し上げましたようにいろいろ要素はあると思うのです。それは地主本位にものを考えるか、小作人本位にものを考えるか、さっき申し上げましたように、これからくる収益を中心としてものを考えるか、その問題はあると思う。しかしそういう問題を研究しておる時期ではなくして、現実固定資産税が上っているのである。従ってこれが小作料に影響しようと、あるいは影響しているかもしれないが、やみ小作というものもこういうところから出てくるのです。税金が上ったから、地主も持っておるたんぼを貸しておいてよけい負担するようでも困るから、何とかしてくれないかということになってくると、やみ小作が出てくる。小作料の値上げの口実に現実になっておるということです。従って農林省の意見を先ほどから聞いているように、一つの要素として考えるがというようなことであるならば、私は今小作料の値上げの要素にはならないというのだ。これは税金と全然別である。従って固定資産税が上ったからといって小作料を上げてはならないという、はっきりした農林省の答弁がこの際聞きたいのであります。あなたの理論の姿はそのままでいいから、それだけをはっきり言っておいてもらえばそれでいい。
  62. 立川宗保

    立川説明員 どうもお答えが結局同じになるような気がするのでありますが、私先ほど最初から申し上げておりますように、小作料は理論的な基準で出したいと思う。そこでその理論的な基準考える場合に、これは小作農の経営安定を旨としてということでありますし、現在の日本の農業の経営の状態というものを前提にして、どういう工合に統制小作料があったらいいかという、従来のものにとらわれずにきめたらいいという立場でございますから、そういう意味で一つの基準が出るということにあくまでもすべきであろう、こう考えるのであります。しかし一番最初に申しましたように、固定資産税税額というものは、今の制度建前は別でございますが、しかし実際問題としては無視するわけにはいくまい。従ってその点は、一つとらわれずに結論を出した上で考慮に加えたらいいんじゃないか、こう思うのであります。
  63. 門司亮

    門司委員 これは何回言っても同じですが、考慮している時期ではないということです。現実に三割なら三割というものが上ってきている。現実に対処する問題が起ったからどうすればいいか聞いている。今の農林省のようなお考えで、学問的に、理論的にものを考えてきめればいいという段階ではないと思う。だから私の聞いているのは、農林省のお考えになるのは、三年のものが五年になってもいいと思うが、現実の問題は今きめなければならぬ。だから小作料の値上げは、固定資産税増額というものに関係はないのだ、いいかえるならば、固定資産税が上ったからといっても小作料を上げてはいけないのだという、はっきりした農林省の答弁を願わなければ、この問題の解決はいつまでたってもつきやしませんよ。これは決してむずかしい問題ではない。現実の問題をどうするかということです。自治庁はさっきのような答弁をしているのですから、一つはっきりやっておいて下さい。
  64. 立川宗保

    立川説明員 どうも私の申し上げる点を御了解願えないようでありますが、考慮すべき要素になっているということであります。農地法の建前としては純粋の立場で考えなければならぬが、しかし考慮しなければならぬという現実の問題はあるということであります。
  65. 大矢省三

    大矢委員長 坂本泰良君。
  66. 坂本泰良

    ○坂本委員 この地方財政再建促進特別措置法というのは、「地方公共団体の財政の再建を促進し、もつて地方公共団体の財政の健全性を確保するため、臨時に、地方公共団体の行政及び財政に関して必要な特別措置を定めるものとする。」ということが法の目的としていわれております。しかしながらこれは従来の政府の看板に偽わりのあるものでありまして、内容においては決して再建の促進にならない、これは財政の再建どころか、地方自治体の自治権を侵害して戦前の中央集権の方面に持っていく形である、かような考え方の上に立ってわれわれは反対しておるのでありますが、いささか大胆に御質問申し上げまして、さらにただいま申しましたわれわれの考えている点についても御意見を承わりたいと思います。第一にこの法案の対象団体でありますが、赤字再建団体になるのには、議会の議決を経て自治庁長官に申し出て長官の承認を得ることになっているわけであります。なおまた申し出をしなかった場合に、長官は赤字団体に対する勧告をするということになっておるのでありますが、自治庁長官が承認されるについて、何かその承認について基準がありますか。それは全く長官の自由裁量による承認によるものですか。
  67. 後藤博

    ○後藤政府委員 再建計画の承認のことだろうと思いますが、再建計画は事実上達成できるであろうかどうかという判断をいたしまして、現在の状況においてその判断をするわけでありますから、現在の状況基礎として歳入歳出等の見積りが正しければ承認をいたしたい。つまりその計画の遂行が確実であるかどうかという判断をした上で承認をいたしたい、かように考えている次第であります。
  68. 坂本泰良

    ○坂本委員 私のお聞きしているのは、自治庁長官の承認は、ただ申し出があってその現実の問題を見た上で承認をするかどうかについての基準があるかどうか、基準がなくて、単にそれを見た上だけで承認をするかせぬかは自治庁長官の全くの自由裁量にあるかどうか、この点をお聞きしている。
  69. 後藤博

    ○後藤政府委員 それぞれの団体によりまして再建計画というのは特色があるわけであります。従って私どものきまった方針でこういう方針でやれという方針を派して再建計画を立てさせるというようなことはいたしたくない。それぞれの団体の現在の財政に応じた再建計画を立てて参ることと思います。ただその場合に、歳入と歳出の点を検討いたし決して、歳入の点は、たとえば交付税の将来の見積り方、それから起債の見積り方等を主として検討することになると思います。それから歳出では事務費をどの程度節約の計画を立てておるか、事務費は節約の計画を立てましても不可能なこともありますから、そういう点を見た上で、それぞれの再建計画を承認していくというふうにいたしたいと思っております。
  70. 坂本泰良

    ○坂本委員 この問題の解決はあとに回しまして、それではこの申し出をしない団体に対して、自治庁長官が赤字団体の勧告をするならば、その勧告については基準があるかないか。全くの自由裁量によるか、この点を一つ伺いたい。
  71. 後藤博

    ○後藤政府委員 どういう団体に勧告するかということでありますが、これは歳入全体に対する赤字の割合が非常に多い団体、または税収入に対して赤字が非常に多い団体、そういう特殊な団体で、再建整備の計画を立てないものに対して勧告をいたしたい、かように考えております。
  72. 坂本泰良

    ○坂本委員 われわれがこの法案に対して最もおそれるのは、冒頭に申しましたように、地方公共団体に対する中央集権化を一番問題にしておるわけです。なるほど再建促進措置法と申しますから、その名前だけでは飛びつきたいような名前でありますが、この法案の内容をこれから御質問もいたしますが、それによると、われわれは決して再建にならないと思う。かえって地方団体の自治権を圧迫をして、そして中央集権的になる、こういう考え方の上に立っておりますから、ただいま御説明のようなことだけで、自治庁長官が自由なる裁量において承認をし、さらに勧告をするということになれば、これは長官の自由になるという結果になるのですから、その点をわれわれはおそれておる。従いまして、この申し出に対する承認並びに勧告に対しては、やはり測定基準が必要ではないかと思います。そこでそのことで基準を持っておられるかどうか。また長官が承認並びに勧告するについては、やはり法規上一定の基準がなければならぬと思うのであります。でありますからその点のあるかないかをお聞きしておきたい。
  73. 後藤博

    ○後藤政府委員 二つの問題があるようでありますが、一つは勧告をどういう団体に対してやるか、私どもが現在考えておりますのは、歳入総額の一割以上の赤字がある団体について、そのうちから再建整備をやらない団体、それから将来の税収入等の増加が望まれないような団体、そういうものに対して勧告をいたしたい、かように考えておるのであります。  それからもう一つの問題は、再建計画を承認いたします場合に、一定の基準を作れというお話でありますが、これは私は作ること自体にすでに無理があるのではないかと思っております。一定の規格をはめて、たとえば消費的経費を何割落せ、公共事業費は何割落せという基準を示すこと自体が現在の自治制度の本旨にも反しますし、地方の実情に沿わないことになりますので、そういう判断はやはりその地方団体独自の考え方にまかせて、そして地方団体独自の計画でもって、再建の案を作っていくという考え方に立ちまして、それが実行可能であるかどうかという判断を私どもがするだけでいいのではないか。著しく歳入の見積りが過大である、著しく節減計画が不合理であるというような場合だけ、私どもは注意していけばいいんじゃないか、かような考えを持っておるのであります。
  74. 坂本泰良

    ○坂本委員 公共団体がその計画を立てて申し出て、それに対する承認の場合は、大体了解できるのですが、勧告の場合は、ただいま御説明のような歳入の総額と、歳出の総額が一割以上違う場合という基準があるわけです。しかしながらそういうような問題、税の問題、あるいは交付金の総額の問題、そういうような点から打開すべきであって、それくらいの程度自治庁長官が再建団体に対する勧告をやるという、その勧告に対して、公共団体、自治団体がこれに応じなかった場合、やはりいろいろの関係があるから、その勧告に対してはやむを得ず応じるというような、いわゆる強制勧告になるおそれをわれわれは心配するわけです。ですからその勧告をされるについては、今申されたような莫としたことでなくて、やはりこの法を作る以上は、その測定基準を示しておくことが至当だと思うのですが、その点いかがですか。
  75. 後藤博

    ○後藤政府委員 ちょっと誤解があるのではないかと思いますが、私が申しましたのは勧告いたします団体は、二十九年度の決算の赤字の額が、その団体の歳入の規模の一割以上の団体ということになりますから、非常に局限されます。たとえば県で申しますと十くらいの団体がそれに当るわけであります。その団体のうちで赤字の内容にもよるのでありますが、赤字に直轄の分担金あたりが、非常にたくさんある団体でありますと、これは別な方法でもって解決することによってその額は減って参ります。その他再建計画を立てなくても、自主的な再建計画で、すでに立っておる団体もございますし、そういうものでやっていけるという見通しがつくものであれば、別に私は再建団体になれという勧告をしなくてもいいのではないかというふうに私ども考えております。従って最大限を申しますと、大体歳入規模の一割程度の赤字のある団体を中心に考えていく、そして現在金繰りに非常に困った状況にある団体はやった方がよろしいという考え方を現在持っておるわけであります。
  76. 加賀田進

    加賀田委員 関連して。再建団体になることを拒んだ場合、一割以上の赤字があったら勧告することになっておりますが、実際問題として赤字で困っておる地方団体が、再建団体として拒むという理由がやはりこの法案の中に私はあると思う。各赤字団体が、この法案の持っている内容、性格に対して、喜んで、双手をあげて賛成するようなものであったとするならば、赤字団体が好んでこの再建を拒むことはないと思う。拒む理由があるから、あるいは拒むということが予想されるから、勧告というものを一つの前提として、政府は考えたのではないか。この点でどういう理由で拒むような内容を当局として考えておられるのか、この点をちょっとお尋ねいたしたい。
  77. 後藤博

    ○後藤政府委員 私どもが勧告しなくても、大体私が今申したような団体は、再建計画を立てて、これは政治的な問題は別にいたしまして、これは金を借りるか借りぬか別でありますが、やることになると思っております。しかし政治的な理由でもってそういう団体でいろいろな例があると思いますが、やらなかったということもあると思います。しかしそれを別に強制する意思はございません。
  78. 加賀田進

    加賀田委員 今の説明では、いわゆる赤字団体になりますれば、起債も認められるし、あるいは利子の補給もあるから、そういう面では赤字の地方団体は拒むことはなかろう。しかし政治的にそういうものが含まれておるのではないか、そこなんです。こうした赤字団体が再建団体となる場合に、自治庁の権限が相当深く地方団体に入ってくる。地方団体の自主性というものが侵されてくる。金はほしいが操は売りたくない、これが地方団体の中に生まれてくる。そういう意味から赤字団体でありながら、再建団体とすることは金はほしいがそういう中央の権力が入ってくると困る、そういう内容が含まれておるから再建団体となることを拒むような団体が出てくるのではないか。政府はこう考えて勧告という問題を出された。しかし政府の説明通り、赤字で困っておる地方団体がこの再建を喜んで全幅的にこれに協力するような内容を含めたものであったら、勧告というものは取り上げる必要はないと思う。だから信念としては全部再建団体となるだろうと思っていながら、政治的にそういう要素が含まれているから、ひよっとしたら再建団体になることをこばむような団体があるかもわからない、だから自治庁としてはそれに対して勧告を行うのだ、しかもその勧告というのは純理論的にいけば勧告であって、あとは自由だ、こう言いますけれども、従来こういう法案が出るために、すでに地方団体はこれを受け入れるための大きな要素として首切り問題、行政整理、機構改革等を行なって再建団体の能勢をととのえようとしておる。法案が通過しない今日でさえこういう状態だから、勧告というものは自治庁が行なって、地方団体の自主性で勧告を拒否しようと承認しようとそれは自由なんだといいながら、実際は大きな圧力、大きな強制力を帯びておると私は思う。従って私はそこでこの法案の中に含まれている政治的な意味、中央の力が地方団体に入るという懸念を、すでに提案された政府も、その内容として私は意識されているのじゃないかと思うのですが、その点はどうなんですか。
  79. 後藤博

    ○後藤政府委員 再建団体になります場合に非常に窮屈なことになるという点でありますが、私はその点で非常に誤解があるのではないかと思っておるのであります。御承知の通り再建計画というのはこまかい計画ではないのでありまして、何年度からどの程度黒字を出して起債の償還をしていくかという計画になるのであります。五カ年も七カ年もの先のこまかい計画というのは立てることはないのであります。従って七年間か八年間のバランスを考えまして、歳入と歳出の規模の測定をいたしまして、そうして毎年度どの程度の黒を出していくかという計画が再建計画なのであります。それを今度は毎年の予算でもってその黒字を出す計画を立てていく。これが毎年度予算であります。その内容につきまして私どもは、つまりこの費用をどうしろ、こうしろというような、こまかいことを申すつもりはございません。従って結論としてこの償還額程度のものが出ていく。つまり黒字が出ていくという計画であれば、中の内容がどうであろうと、その内容が確実に達成できるものであれば私たちは認めていく。今までの再建の指導もやはりそういうやり方をいたしております。どういうやり方をするかはその団体がきめるのだ、こういうことでありまして、必要な単独事業も必要な公共事業もやはりある程度はやらなければならないので、それもちゃんと組む。それまでも拒否するというようなことは、私どもの方はいたしたくない。結論として、どの程度の黒を出していって赤字を消していくかという計画を中心にして考えていきたい。従ってどこの橋はいいとか悪いとかいうようなこまかいところまで私どもは言うつもりは全然ありません。また予算を見ましてもそういうことはわかりません。従って大きな方針だけを、こういう方針でやるということだけを聞きまして、私どもはそれを承認いたしていく、こういう格好になるのであります。
  80. 坂本泰良

    ○坂本委員 それが勧告を受けて団体に入りますと、やはり非常な制約を受けるわけでしょう。あとでお聞きしたいと思うのですが、徴税の問題にしろ、それから委員会の問題にしろ、あるいは予算の議決にしろ、いろいろな制約を向けるわけですから、その団体に入るのを好まないわけです。それに対して自治庁長官が勧告をする。勧告を受ければ、やはりそれを受けて立たねばならないというような事実上の情勢が出てくるわけですから、従ってそれが強制勧告になる危険性があるわけです。ですから強制勧告にならないように、その勧告については測定基準をはっきりきめておく必要があるのじゃないか。その点をお伺いしておるわけです。
  81. 後藤博

    ○後藤政府委員 今おっしゃいました、たとえば税の徴収の問題でありましても、これは平均の団体の徴収成績上の成績でもって徴収しろ、こういうふうな規定でありまして、つまり同じくらいの規模の団体の平均額以上の歳入を上げるような努力をしなければいけないという程度考え方を私どもは持っておるのであります。従って特別にそれに大きな重荷を負荷するようなふうには考えていないのであります。従って税の徴収を現在たとえば六〇%しか取っていない、そういう団体で赤字の団体もあるのでありますが、そういうものに現在の八〇数%の平均の徴収率まで持っていけ、こういうことを申すのであります。そういう計画でなければ困る、こういうことは申しますけれども、これは普通の団体である場合にやはりやるべきことでありまして、そういうこともいやだということでありますれば、再建計画自体をやらないということになるのでありまして、一応は私どもは注意いたしますけれども、やらない場合には、それ以上強制するという意思は全然ございません。
  82. 坂本泰良

    ○坂本委員 そういたしますと、この勧告は一応の注意だ、そういう程度のものだ、こういうふうに了解していいのですか。
  83. 後藤博

    ○後藤政府委員 その通りに考えております。
  84. 坂本泰良

    ○坂本委員 それでは次に、今租税の問題が出たわけでありますが、自治庁では再建計画で租税その他の収入の徴収成績を通常の団体の成績以上に高めることをやはり要望されておるわけです。そうしてその実施要領を計画に定めるわけですね。そうなりますと、現在の地方税制の関係から住民の担税能力を考えます場合において、徴税については相当の滞納額もだき込んでおるから限度が来ている。それになおこの計画を立てるということになると、徴税の点について住民に非常に無理が来る。こういうことが考えられますが、その点についての御見解を伺います。
  85. 後藤博

    ○後藤政府委員 先ほど申しましたように、赤字団体の中には六〇%、五〇%台の徴収成績しか上げていない団体がございます。そういう団体の微収成績をたとえば全国平均の徴収率程度まで引き上げた計画にしなければいけない、こういう意味であります。その場合に滞納しておる人に非常に負担が重くかかるのはでないか、こういう御質問じゃないかと思いますが、しかしこれはまじめに納めておる人との均衡の問題でありまして、別に税をたくさんとるのではなくて、すでに平均で賦課しておるものを徴収するのでありますから、負担が過重になるということにはならぬ、かように私ども考えております。
  86. 坂本泰良

    ○坂本委員 それは少し考え方が違うと思う。われわれは基本的には現在の地方財政の赤字というものは住民の責任でなくて、国家の責任である。国家の責任において現在の地方財政の赤字を解決すべきであるのに、この再建計画によって徴税の点について計画を立てて、その税金徴収を強行する、こういうことになったら、やはり住民の責任においてこの再建計画が立てられて、国家の責任によって背負った地方財政の赤字を国家は何も見ずに、ただ住民において強行するということになるから、その点をわれわれはおそれて、この徴税の問題をお聞きしておるわけです。従って結局徴収の実績を上げるのには滞納を取り立ててやるということよりほかないわけです。そういたしますと、結局国家の責任における地方財政の赤字を解決するために住民の底に来ておるところの担税能力の上に、さらに滞納の重圧が加わってくるということになれば、やはり結局これが権力の介入によって住民を苦しめる、こういうことになりはしないか、この点をおそれるものですからお聞きしておる。その点についてどうですか。
  87. 後藤博

    ○後藤政府委員 たとえば二つの市町村が並んでおるといたしまして、一つの市町村は九五%の税の徴収率で、一つの市町村は六〇%しかとれない、こういう町村現実にあるのでありますが、そういう市町村の場合に、その税のとれない責任が私は全部国にあるということはできないのじゃないかと思うのであります。従って先ほどからの赤字の原因の中には、もちろん国の負うべき責任がございます。しかし私は、その国の負うべき責任はもちろんございますけれども、そういうふうな場合も今ありまするので、従って再建計画としてはやはり全国平均の徴収成績くらいまでは上げるようにしてもらいたい、こういうことをここに書いておるのであります。
  88. 坂本泰良

    ○坂本委員 非常に滞納しておる実例をあげてこの再建計画の全般の問題を云々することはいかぬと思う。やはり基本的には、この地方財政の赤字にはやはり国家の責任が七割、八割はあるということは、これはもう一般周知の事実なんです。ですからこの再建整備法によりまして、この財政計画によって、滞納はどんどん強制執行し、差し押えをしてとり立てる、こういうことになれば、国家の責任で解決しなければならない地方財政を、やはり住民が非常な国家権力の介入によるところの滞納に対する差し押えとかあるいは競売とかによってこの再建計画をしなければならない。だからこれは基本的には最初に申された再建整備法の目的に反する結果になりはしないか、こういうふうに考えるのであります。ですから差し押えをしたり競売をしたりするということの現象が起きないという考え方なら別ですけれども、必ずこれはやらざるを得ないわけです。そうしなければここに要求されておるところの財政計画の実行というものはできないと思う。その点についてもう少し政府は考えてやらなければいけないのじゃないか、この点について一つ大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  89. 川島正次郎

    ○川島国務大臣 赤字の責任につきましてはいろいろ御議論のあるところでありますけれども、結局これは国の責任に属する点もありますし、また地方の責任に属する点もあるのであります。従いまして、地方財政の立て直しは国と地方と一体になってやらなければとうていできないのでありまして、この再建促進法が企図しておるところも、決して地方の住民の責任のみによって赤字を解消しようとは考えておりません。しかしあまりに徴税成績の悪いところは徴税成績を上げるということは当然でありまして、ことに赤字団体等におきましては、徴税成績をよりよくすることは望ましいことでありますので、特にこういう条項を設けたわけでありまして、この条項が直ちに赤字は全部住民の責任において解決しろ、こういうことを企図しておるわけではないのであります。
  90. 坂本泰良

    ○坂本委員 われわれはこの財政計画は住民の責任においてこれをやるというふうに見るわけであります。と申しますのは、三百億の二十九年度の赤字解決にしても、国みずからが積極的に負担をすることはないわけです。住民は差し押えを受ければ競売をされる、いやおうなしに物はとられる、金を出さなければならぬ。しかしながらこの再建計画によると、国自身は少しも出さないわけです。私はこの点はまたあとで利子補給の問題でも質問しようと思ったのですが、この際申し上げたいのは、利子補給の点についても国家がめんどうを見るのはわずか三分でございます。ところが造船利子なんかについては、法律を作ってすぱっと三十五億免除をする。炭住の資金に対する利子については、法律で利子の値下げをしたから、さかのぼって納めたのを払い戻した、こういう実例から見ますと、全く住民の負担において競売されまる裸になってこの再建整備をやれということにこの財政計画がなると思う。ですからこういう点についてもう少し考える余地はないか。こういう関係があるから、私が一番最初に勧告と承認の問題について基準測定を設けてやる必要はないかどうかと言ったこともことに考えがあるからなのです。ですから国と住民とが一体になって地方財政の再建をはかるのではなくて、これは住民の犠牲によってのみできるということになるのでありますが、結局そのしわ寄せが差し押えあるいは競売ということになるのじゃないか。こういう点について、この法律においてはもっと考える点がありはしないかということをお聞きしているわけです。
  91. 川島正次郎

    ○川島国務大臣 地方財政再建促進法は国が責任を持っておることから、今年度政府資金五十億、明年度百五十億、合計二百億出すわけであります。利子補給は公募債百五十億分についてであります。今日赤字に悩んでおる地方団体というものは、自分だけの責任で短期の資金を借りて、それで金繰りに苦しんでおりますから、この苦しんでいる赤字債を一応長期にたな上げいたしますれば、それだけ地方団体は資金に余裕ができるわけでありまして、その点においては国の責任においてやるわけであります。ただ地方の住民の負担のみによってこれを実行しようとは決して考えていないのでありまして、その辺は少し私と考え方が違うのじゃないかと思います。
  92. 坂本泰良

    ○坂本委員 この問題はまたあとで議論することがあると思いますが、この経費の節減計画によると、赤字団体においてはどうにもできなくなって、結局経費節減計画のしわ寄せというのは人件費にやってくる。人件費が問題になれば、結局地方公務員の人員の整理、給与の切り下げ、旅費の切り下げ、こういうふうにやはり消費的経済削減になってきて、生産的の消費削減にはなってこない。ですからわれわれはこの節減計画は結局人件費に非常にしわ寄せになって、今申しましたような人員整理とか給与の切り下げとか旅費の切り下げとかになってくる、こう思うのですが、その点はそうならないという責任が持てますかどうか。
  93. 川島正次郎

    ○川島国務大臣 再建計画は地方の実情に応じて策定するわけであります。絶対に人員整理しないとはむろん申し上げないのであります。ただ全部のしわ寄せが人員整理にくるのだとは考えられないのでありまして、事務費、事業費その他においても相当の削減をするのは当然であります。ただ事業費が減れば自然に人間に余りができますから、そういう人々が整理されてるということはあり得るのであります。そのために人員整理の金として三十億を見ておるわけでありますから、それは当然でありますけれども、全部のしわ寄せが人件費にくるということは、きのうもいろいろ皆さんから御議論があったのでありますが、私どもはそうは考えていないのであります。事業費、事務費すべておいて財政規模というものを直してもらう、こういう考え方であります。
  94. 北山愛郎

    北山委員 関連して。先ほど長官は、現在赤字団体が短期融資の金を借りて苦しんでおるからこれをたな上げする、こういうふうなお話でございましたが、今度の再建債は公募債の方が百五十億で政府資金の方が五十億でございます。そこで実際に五十億の政府資金と百五十億の公募債と両方あるわけですが、一体これをどういうふうにあんばいをして起債の許可をする方針であるか。両方とも相当性格が違いますから、どういうような方針で五十億と百五十億のバランスをとってやるか、それをちょっと伺いたいと思います。
  95. 後藤博

    ○後藤政府委員 私ども考え方といたしましては、政府資金の量が非常に少いのでありますから、小さい団体にはできるだけ政府資金を多くつけていきたい、かような気持を持っております。つまり現在の起債の方針といたしまして、市町村の起債、特に町村の起債はできるだけ政府資金で、市以上に公募債を割り振っております。そういう方針でおりますので、やはり政府資金と公募債との割り振りはそういう従来の考え方を踏襲していった方がいいのではないかというふうに考えております。
  96. 北山愛郎

    北山委員 そうしますと、大体今大きな地方団体で短期融資などを地方の銀行から受けておるというようなものは公募債の方に回す、そうでないような小さい市町村の方に政府資金を回す、こういう方針のようでございます。そこでこれに関連しますが、赤字の方は五百八十六億というのが二十九年度の報告であります。再建債の方は二百億、そうすると、実際に自治庁が各団体から再建計画を出させて、そうしてそれを査定して必要な額の金を貸すわけでございますが、かりに二十九年度のおしまいである団体が十億の赤字が出ておる、ところが自治庁はそのうち五億だけは再建債を認めてやり、あと五億の方は節約でいく、あるいは増収でいく、こういうふうに計画を承認なさる場合においても、あるいは起債の許可をする場合においても、そういう角度から実際見ていくわけですか。そうすると、要するに五百八十六億のうちで二百億は起債の方でやる、あとの三百八十六億は税収を上げるか、あるいは節約をさせるか、そういうもので落していかせる、こういう考えですか。
  97. 後藤博

    ○後藤政府委員 赤字の総額と起債の要求額というのは私は開きがあると思っております。赤字の総額だけを金をそろえなければならないということは私はないと思っております。また地方団体の実情もそうであります。大体二年か三年くらいの計画でもってやれそうなところ、もちろんそういう団体で四年も五年もかかってやるところもあるかもしれませんが、大体私ども考えて二、三年で終るところ、市でありますと三年くらいで大体終るところ、府県でも三年くらいでありますが、そのくらいの団体はやはり金を借りないのじゃないか、かように考えております。従って金を借ります団体はやはり相当長期の計画を立てなければならぬと思っております。しかも資金繰りに非常に困っておるような団体がやはり借りるのではないか、従いまして一応二百億という数字を出したのであります。これは二十八年度の決算を基礎にいたしましたので足りないかもしれません。しかし一応これで出発して、足りない分はさらに追加していくという方針で行きたいと私ども考えております。
  98. 北山愛郎

    北山委員 そこで公募債の百五十億、これがいろいろ問題になったわけですが、この公募債の消化がむずかしかろうというので、この政府案の中では再建公募債の消化促進審議会という機構を設けた。ところがそのあとでその公募債の方は来年度ないしすみやかに政府資金にこれを振りかえるというような決定になったわけです。従ってそのようにはっきりと、今は公募債でやるが、すぐ来年度あたりに政府資金に振りかえるというふうなことが確実であるならばこんな公募債の消化促進審議会のような重々しい、えらそうな審議会をこのことに限って作る必要はないのじゃないか。これは贅肉じやないか。自治庁長官はよく贅肉があるということを言いますが、この法案の中にはずいぶん贅肉がある。その贅肉の最たるものではないかと私は思うのですが、その贅肉を一つとってもいいというようなお考えはありませんか。
  99. 川島正次郎

    ○川島国務大臣 百五十億を公募債でやる以外に、ことしはその他約二百億の一般起債の公募債が必要であります。従いまして、これを消化することはなかなか容易ではないのでありまして、今年度限りの問題にいたしましても一応こういう審議会を設けて円滑に消化させることが必要だ、私はこう考えてその規定を設けたのでありまして、お話の通り経過的に申し上げますと、百五十億を来年度において政府資金に回すということはあとから入れた規定でありますけれども、しかしそういう規定がありましても、なお審議会は今年度限りといたしましても必要だ、こういう考えで、決して贅肉とは考えていないのであります。
  100. 北山愛郎

    北山委員 しかし贅肉というのはこの法案には至るところにあるのでありまして、われわれが考えますならば、おそらくこの法案は半分か三分の一くらいの格好になってしまうんじゃないかと思います。そこで今のお話でございますが、消化促進審議会の方はいかにえらそうな人たちが集まって相談をしても、銀行にとっては公募債を引き受けるのに一体何が一番大事な問題かといえば、自分の手先の資金を遊ばせないで、そういうふうに固定させないで、早く政府資金でも流してくれるということであります。そういうことができさえするならば何も要らないのであって、そういうことがない限りにおいては、いかにこんな審議会を作って相談をしてみたところで、やはりそろばんの上に立つ金融資本家である限りは、そんなにやすやすと何百億というような起債は消化できるものじゃない。従ってこの再建債に関する限りの審議会でございますか、少くともその後の経過によってすみやかに政府資金に切りかえるという基本方針がきまらない限りにおいては、この消化促進審議会というものは、再建債の消化促進審議会で、一般公募債の審議会じゃないですから、それ以外の二百何十億というものはこれは別途の問題なんだ、従ってこんなものはなくてもいいじゃないかと私は思うのです。これは政府案としてお出しになったのだから引っ込めるわけにもいかないでしょうが、私は要らないじゃないかと思う。  それからほかの点にも触れますが、私ども一番問題にしておりますのは、この法案の中に憲法違反というような気持のする条項があります。第二十一条であります。すなわち財政再建団体が過大な予算を組んだりしてやる場合には、自治庁長官はその過大である財政再建計画に適合しないと認められる部分の予算の執行の停止を命ずる権限がある。予算の執行を停止するなどということは、少くとも戦後の地方自治制度においていまだかってないところなんです。地方自治法のどこにもその規定はない。むしろ地方財政法の第二条には地方団体の自律性を十分に尊重しろということが書いてある。ところが赤字を出しているからといって予算の執行の停止を命ずるというような権限を政府が持つことは、自治権の侵害ではないか。すなわち地方財政法第二条というものは、例の地方自治の本旨を尊重するという憲法の規定に基いたものであり、そしてこの再建促進法の第二十一条というのは、これはそれを侵害するものであり、憲法違反ではないか、こういうように考えるのですか、長官はどのようにお考えでございますか。
  101. 川島正次郎

    ○川島国務大臣 初めの審議会の問題の方は、かりに北山さんのようなお考えがあるとしても、あれがあって決してマイナスになるということはない。幾らかプラスになるのですから、何も置いてもさしつかえないと思います。  それからもう一つ二十一条の問題であります。これは条文にもあります通り、予算のうち特に過大であって、財政再建計画に適合しないと認める部分だけの執行停止でありまして、きわめて局限されたものでありまして、総合的に予算を提出するというようなことを停止するとか、そういう条文ではないのであります。従いまして憲法の条章には決して抵触しない、こう考えております。
  102. 北山愛郎

    北山委員 贅肉でもなきにまさるというお答えでございますが、それは別としまして、今の予算執行停止というのは、かりにそれが過大であるというような部分でありましても、とにかく予算執行停止であることは間違いがない。ですからなぜ一体こういう方法までやらなければならぬか。別な方法でもやれるのではないか。内面指導とかそういうことで、実際今までも自治庁においては適当に御指導になっておるし、そういうふうな監督規定がなくても、今まである程度はできておると思うのです。これは実力関係でもございますが、そういう関係にあるのですから、何もこういうふうに堂々と憲法に違反する疑いのあるような権限を政府に与えなくても、実際に間違っておる予算ならば、適当でない予算ならば、それは話し合いでも解決ができる。しょっちゅう大臣や自治庁の方々が言われる通り、話し合いでも解決がつくのではないか。それをなぜ一体予算の執行の停止を命ずることができるなどというふうな、大上段にかぶったあやしげなる規定を入れなければならぬか。なぜこのようにまでしなければならぬか、私は実に了解に苦しむのでございますが、どうしてこういうふうに予算の執行の停止までしなければ目的が達せられないとお考えであるか、それをはっきりとお答え願いたい。
  103. 後藤博

    ○後藤政府委員 もちろんおっしゃいますように、予算の執行停止は再建計画と合わない場合でありますから、その場合には一応私どもは注意をいたします。本来ならばそういう場合には再建計画の変更の手続を取るべきであります。従って再建計画の変更の手続を取れば問題はないのであります。それを坂らないでおいて、なおかつ再建計画に適合しない過大の予算を執行しようとする場合の規定でありまして、もちろん事前にいろいろ手を尽したあとでどうにもならない場合に、この種の手段を取る、こういうことでありまして、もちろんでき得れば私ども最善を尽しましてここまで持っていかないように指導いたしたいと考えております。
  104. 加賀田進

    加賀田委員 関連して。北山君の執行停止の問題なんだが、それに対してさらに強い権力を持とうとしている。もしそういう執行の停止を命じて、なお地方団体が聞かない場合は罰則がついているわけです。こういうふうにして執行の停止をするといって、地方団体がなおそれを聞かなかったら、将来の利子の補給は取り上げてしまって、起債は今後認めないという、そんなまるで赤字団体を罪人扱いしている。できるだけそういうようなことはないように努力いたしたいと言いながらも、それを聞かなかった場合には、今度は罰則規定まで設けている、こういうことは、自治庁としては地方団体の自主性を認めておると形式的に言っても、実際には認めていないと思うのですが、その点はどうですか。
  105. 後藤博

    ○後藤政府委員 一応の注意をいたしまして、それを聞かない場合にもちろん一種の罰則規定を設けております。これは全地方団体の中でまじめにやります団体と、それからそうでなしに無計画な予算執行等をやりますものとの間の均衡を考えまして、やはりこういう規定が必要だと思って入れたわけであります。
  106. 加賀田進

    加賀田委員 そこで北山君の質問の中で、やはり新しく憲法では地方自治の一章を設けて、地方団体の全くの自主性というものを認めておるわけなんです。政府の干渉は許さないといっておる。それが民主主義の基盤だというように明確になっておる。そういう地方の自主性を認めておりながら、当面赤字が出たら政府が大きな権力を自治体の中に加えてくる。今申しましたように執行の一部停止の権力を持っておる、あるいはそれを聞かなかった場合には罰則まで入っていく。これはあまりに地方団体の現状を無視した規定だと思う。だからこそ憲法に抵触するのではないかと北山委員も言っている。こうして地方団体の全くの自主性を、たとえば時限立法的にある程度の赤字団体が黒字になるまでの期間といいながらも、そういう権力を持つということは、私は日本の民主政治のゆゆしき問題だと思う。自治庁はやはり地方団体の自主性に基く発展を望んでいると思う、それと大きな矛盾を来たすのではないかと思うが、長官はどのようにお考えですか。
  107. 川島正次郎

    ○川島国務大臣 再建団体が自分の策定した再建計画を忠実に執行してもらえれば問題はないのでありまして、ただいろいろな事情でもってその計画が実行不能に陥ったような場合におきましてごくまれな場合において、しかも局限されたる予算だけに対して執行の停止を命ずるというのでありまして、全般的な予算の執行の停止を命ずるというような規定では決してないのでございます。しかも罰則といいますが、別に刑事罰をつけているわけでもないのでありまして、行政的の処置でもって反省を促すという程度でありまして、決して憲法にきまっておりまする自治の本旨に反するような規定ではないのだ。まじめにやっている団体に対しては、あくまで尊重いたしましてこれに協力いたすのであります。何らかの事情によりまして再建計画が実行できない場合に限って、限られたる部分に対して反省を求めるというのでありますから、御心配のような点はないと私ども考えております。
  108. 北山愛郎

    北山委員 問題になりますのは、自治庁長官が直接に赤字団体の予算執行の停止を命ずるという直接の力であるから、反省を求めるとかいうのは間接ですからいいですが、なぜ直接にこの予算の執行停止をしなければならないか、それだからこそ私は憲法に違反する疑いがあると申し上げる。間接にこれを直させるというのはいわゆる自主的にあやまちがあったらあやまちを直させるということであって、これがいわゆる自主性を尊重する地方自治の精神だ、それを直接にあやまった部分、贅肉だか何だか知らないが過大の部分、それを停止するということは、直接的な権力的な力なのである。そういうことを認めるということが地方の自主性を侵害するのではないか、こういう形の、間接の反省を求めるとかということならまだいいのです。なぜそういう直接の権力的措置、権限を政府が持たなければならないか。しかもそういう形において憲法違反の疑いがある、予算の全部であろうが一部であろうが、問題の性質は同じなのだ、そんなことは関係はない、憲法違反でないということをもう少し明確にお答え願いたい。
  109. 川島正次郎

    ○川島国務大臣 地方団体が内部のいろいろの事情によりまして、せっかく立てられた再建計画が実行不能に陥るような場合がないとも限らないのであります。もしもこれを放置しておけば、結局その団体というものはいつまでたっても赤字の解消はできないのでありますから、これに対してある程度の制約を加えることは、地方団体の再建のためにぜひ必要だと考えるのでありまして、繰り返して申し上げるのでありますけれども地方財政全体に対して停止を命ずるというようなことはないのでありまして、限られたる問題に対して、限られた期間内においてその停止を命ずるだけでありますから、自治の本旨に反するということは決してない、その点は私どもはっきりそう考えている。
  110. 坂本泰良

    ○坂本委員 政府の権限は憲法を無視し、法を無視していることだと思う。憲法の九十三条は「地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本に月に基いて、法律でこれを定める。」こういうことになっているわけなんです。ですから一部分の問題にしろ、全部の問題にしろ、やはり憲法違反は憲法違反であるわけです。だから今われわれが申しておりますのは、予算の問題にしても、それは自主的に地方公共団体がやるならば差しつかえないけれども、国家の権力によってこれをやるということは憲法九十二条違反になる。やはり国家権力の介入であって憲法違反になる、こういうふうにわれわれは言っている。そこでこれと関連しましてなおここに疑義がありますのは十条なんですが、十条の財政再建団体は、「委員会若しくは委員の定める規則その他の規程で、議会、長、又ば当該委員会若しくは委員若しくは委員会の管理に属する機関の事務局、局部その他の事務部局の部課の数を減ずることができる。」こうありますが、この十条はやはり自治法の本旨にも反するし、自治法の規定に違反する疑いがあるわけですが、この点についてはどういうお考えをお持ちですか。
  111. 川島正次郎

    ○川島国務大臣 憲法の地方自治に関する問題につきましては、学者の間におきましてもいろんな疑問のあるところでございまして、絶対に監督を排除するのではないという議論が今日は通例となっておるのであります。この法案に盛られている範囲のことは、決して憲法に抵触するものとは私ども考えていないのであります。学者の間にいろいろな議論のわかれていることは私は承知いたしておりまするが、この程度のことは差しつかえない、かように考えております。
  112. 坂本泰良

    ○坂本委員 長官は程度の問題で本質を処理しようとされるわけでありますが、やはり法律違反かあるいは憲法違反かという問題は程度の問題でこれを処理することはできないと思うのです。ことに予算といえば、もちろん国家の監督が全然排除されていないと申されますが、それは地方公共団体が委任事務とかあるいはその他によって国家の事務をやっておる場合のその事務についての問題であるのであります。予算の問題とかそれから自治法の規定を云々するとかというこの問題は、これは地方自治体の自主権による本質上の問題であります。これに対しては程度の差をもって云々することはできないと思うのです。従いまして十条の問題についてもこれは自治法に違反する疑いがあるのでありまして、やはり予算の問題ともあわせましてこの促進法には、この法律違反、憲法違反の問題が今二つあげられたわけですが、こういう問題については、程度の問題で議論をするというのは、われわれの一番おそれる中央集権化の基礎になりはしないか、こういう問題から基礎になって出てくるわけであります。ですからわれわれはこの問題も非常に重視しておるわけでありまして、十条については自治法違反でないという御見解ならば、どういう御見解かということを承わりたい。
  113. 後藤博

    ○後藤政府委員 十条の規定の当初に、「財政再建団体は、他の法令の規定にかかわらず」、という文句がございます。その他の法令と申しますのは、今申されました自治法とか警察法とか教育委員会法、地方公務員法、そういうふうな規定を言っておるのであります。そういう法律の規定にかかわらず「財政再建計画で定めるところにより、それぞれ条例、規則、当該財政再建団体に置かれている委員会若しくは委員の定める規則その他の規程で、」という文句になっております。従ってこの自治法とか教育委員会の規定を一応排除いたしましてこういうことができる、こういうふうにしておるわけでありますから、別に自治法違反とはならない、かように考えております。
  114. 坂本泰良

    ○坂本委員 団体全部に対してそういう意味ならばいいわけです。ところが再建団体に対してだけこういう点をやるところに法律違反の疑義があるわけです。今あなたが言われたようなことが全部の地方団体に「他の法令の規定にかかわらず」といって排除してやるということならばいいわけです。ところがこれを赤字再建団体に限って処置をするということは、言いかえますと、この再建団体だけに対しては、ほかの方に優先してこういう部課を縮小したりなんかすることができる。優先してやることになるから、これは自治法の違反になるんじゃないか、こういうことでありますが、その点に対する考え方はどうですか。
  115. 小林與三次

    ○小林(與)政府委員 自治法の問題でありますから私から御答弁申し上げますが、これは再建団体についてだけの特例的な規定でございますが、そういう再建団体についてだけ特例的な規定を設けることが、特に自治法の違反になるというふうにはわれわれは考えておりません。自治法とこの再建整備法とはそれぞれ相並ぶ法律でありまして、この法律でもって特定の団体について特定の例外規定を設けようと思えば、私は法律上十分できる規定だと思います。
  116. 坂本泰良

    ○坂本委員 私はもちろんこの促進法が特別法なる性格は理解しますけれども、自治法によれば、ちゃんとその部課その他がきまっておるわけなんです。それを再建団体だけに優先してそういう数を減ずるとか何とかやるというようなことが昌治法違反になりはしないか、この点をお伺いしておるの  です。
  117. 小林與三次

    ○小林(與)政府委員 部課の問題は、自治法にあがっております場合には、この場合もあり得るわけであります。かりに自治法にそういう規定があって、再建整備団体という特殊な団体について、再建整備のために特に必要があるから、その例外規定を設けることができるということをこの法律で書いたわけでありまして、これは法律的には一向差しつかえない、こういうふうに考えております。
  118. 坂本泰良

    ○坂本委員 この問題はまたあらためてやることにいたします。それからもう一つ予算の問題が出たから、ここにもう一つただしておきたいのは、教育委員会法の六十条によりますと、教育委員会予算の執行権を持っておるわけなんです。ここの八条はこの権限を制限するということになるわけですが、この点に対してはどういうお考えですか。
  119. 後藤博

    ○後藤政府委員 八条の規定は、長と委員会等との関係の規定でありまして、再建計画の達成のため必要な場合には、それぞれの委員会の所掌事務のうち政令で定める事項については、あらかじめ再建団体の長に協議する。もちろん協議でありますから、協議がととのわなければいかぬのであります。一応協議をして執行してもらいたい、むやみにやってもらっては困る。一応協議してもらいたいという規定でありまして、再建計画の達成を確実にするためにこういう規定を設けたわけであります。従って現在の教育委員会関係法律には全く触れておらない、かように考えております。
  120. 坂本泰良

    ○坂本委員 そこで「協議しなければならない。」というのは大まかであって、教育委員会は単独に予算の執行権があるわけですが、その単独の予算執行権をあらかじめ長と協議しなければならない。そして協議がととのわない場合は、実際はどういうことになるのですか。
  121. 後藤博

    ○後藤政府委員 協議でありますから、協議がととのうことを予想いたしております。ととのわない場合は、仕方がないと考えております。
  122. 坂本泰良

    ○坂本委員 仕方がないというのは、どういうふうに仕方がないのか、長はやむを得ず委員会のやるのにまかせて、干渉できないということですか。
  123. 後藤博

    ○後藤政府委員 そういうことになると考えております。
  124. 加賀田進

    加賀田委員 予算の問題が出ましたから、ちょっと質問いたしたいと思うのですが、再建団体は、相当長期にわたっての歳出、歳入の見通しの上に立って、赤字を解消するように計画を立てなくちゃならぬということになりますると、相当歳出、歳入に対しての範囲が狭まれてくるし、長はその計画に基いて毎年予算を提出することになっております。そういたしますると、出された予算に対しては、議会で増額するというようなことは、実質的に困難になるのじゃないかと思いますが、地方自治法の九十七条では、議会は歳出、歳入に対して増額決議をすることを妨げないということになっております。これは、議会で予算増額を決議して、これを執行することを命ずることができるわけなのですが、そういたしますると、再建計画との関連性と非常に矛盾が起ってくるのじゃないか。そこでもしそういうことが強行されるとするならば、いわゆる予算執行の一部を停止するという問題が具体的にまた起ってくるのじゃないかと思います。それで地方議会の決議を実際に執行できないという面が起ると同時に、逆に地方議会の決議権を拘束するような結果になると思うのですが、その点はどうなのですか。
  125. 後藤博

    ○後藤政府委員 この規定は、必ずしも九十七条の規定を停止するという意味ではないのであります。この九十七条の規定はそのまま置いておく、しかし再建計画を基礎にした予算の調整はしなければならない。こういうふうに考えておりまして、予算の見積り方、歳入の見積り方が過少である場合、それを増額して歳出を増加するということはあり得ると考えております。それは一定の再建計画を基礎にしてやる場合でもあり得ると考えております。
  126. 加賀田進

    加賀田委員 私の言っているのは、過少見積りをするという意味じゃなくて、やはり再建計画に基いて知事等が予算を組むと、範囲が大体限定されると思うのですが、そうすると議会がそれ以上事業を住民の約束に基いて行う場合に、増額する予算を決定するという権限が与えられているわけです。そこで再建計画よりも上回る予算が決議されるという事態が起ってくる。そうすると、今申し上げたような、いわゆる長官の執行停止権というものが発動されるおそれがあるという問題が、私は具体的に起ってくると思う。逆にそうすれば議会は増額要求できないという現実が、その計画の中から必然的に発生してくるのじゃないか。何もこの再建計画は、そういう九十七条を拘束してないということは、法理論からは了解できますが、現実の運営の面からそういう問題が出てくるのじゃないかと思います。
  127. 後藤博

    ○後藤政府委員 税の自然増収が非常に大きな団体については、私は増額修正をするか、償還年限を短縮するかという問題があると思いますが、そのいずれがいいかという判断の問題になってくると思います。従って私はこの規定とは直接の関連はないということを申し上げたのであります。ただ税の自然増収が望まれない団体については、やはりおっしゃるような事実上の増額修正はできないということがあり得ると私は考えております。
  128. 北山愛郎

    北山委員 先ほど憲法の問題が出て、今自治法違反の問題も出ておるのですが、今度の促進法案の二十一条ばかりでなく、いろいろ今度の自治法の改正の中にも、新しくそういう規定が出てきたのです。そこで私は行政部長にお伺いしたいのですけれども、現行の地方自治法の中に、こういうふうに直接に政府の大臣、行政庁などが、地方団体の事務についてある措置を命ずるとか、そういう処分ができるような規定がどっかにございますか。
  129. 小林與三次

    ○小林(與)政府委員 地方自治法の中には、これに類するような意味のものはないと存じます。
  130. 北山愛郎

    北山委員 私の知っている限りにおいては、府県あるいは市町村なりそういう機関が、国の事務を委任されてやっている仕事、それについては、政府から直接の指揮監督ができる。しかし府県市町村等の団体の事務については、内閣総理大臣といえども、助言、勧告しかできないというのが、現在の自治法の建前です。そういうふうに自治法は厳密にできている。それは、すなわち憲法第九十二条の自治の本旨を守るという建前から、地方自治法がそういうふうに作られている。ところが今度の自治法改正並びに今度の再建促進法案におきまして、政府の大臣その他の機関が、地方団体の仕事の内容に直接ある措置を命じたり、あるいは監督をしたりするような権限を与えるような規定が、今度初めて鳩山内閣によって提案されたわけです。だからこそ、私はこれは単なる措置の条項ではあるけれども、非常に重大な意味があるのだと思う。今までの地方自治法建前は、今申し上げたように、団体に対しては直接的な干渉はしない、こういう建前を厳格にとってきておった。ところが今回初めて、直接予算の執行の停止を命じたり、必要な措置を命じたりすることが、今度の地方自治法の第二百四十六条の三以下に初めて出てきた。だからこれは重大です。憲法違反かどうか知らぬけれども、その問題はともかく、少くとも従来の地方自治法建前というものを、今回崩したのだということだけは、これは弁解の余地がないと思う。これについて一つ長官からはっきりしたお答えを願いたい。今までこういうことが許されておったかどうか……。
  131. 川島正次郎

    ○川島国務大臣 やはり問題は憲法との関係になると思います。憲法の自治の本旨というあの条項が、絶対に監督権を排除するかどうかということにつきましては、議論のあるところだということは、先ほど申し上げたのであります。今度の改正案におきましては、きわめて局限されたる範囲内において、ごく軽微な監督をしようというのでありまして、自治団体を総括的に、総合的に監督しようというようなことは一向ないのでありまして、私どもはこの程度ならば、憲法には決して違反しない、こういうふうに考えているのであります。今度の改正案は、憲法にかんがみ適当だと、こう考えます。
  132. 北山愛郎

    北山委員 直接憲法の解釈、関連とのお答えでなくても、少くとも従来の自治法が守ってきた原則というものを、この際改めて、この難度なら憲法違反ではないという考え方で、政府が直接に地方団体の仕事の内容について監督する、あるいは指揮命令するというような、新しいやり方をとってきたのだということだけは、大臣はお認めになると思うがいかがですか。
  133. 川島正次郎

    ○川島国務大臣 現在の地方財政の現状にかんがみまして、この程度の軽微な監督権を持つことが、地方の行政を合理化し、また財政を建て直す上において必要だと、こう考えて改正しよう、こう思っているわけであります。
  134. 門司亮

    門司委員 今の大臣の答弁ですが、きょうはもう私は総括的の質問はしないつもりでおりましたが、今の大臣の答弁を聞いておると、そのままこれを見のがすわけにはいかないと私は思うのです。いずれ逐条審議の際にもう少し条文についての当局の説明を聞いてからでもいいと思いますが、憲法の九十二条の解釈ですが、少くともわれわれの知り得る範囲、今日日本の憲法に対する解釈の範囲からするならば、地方自治自体というものは、私は今日の日本の憲法における一つの要件だろうと思う。憲法の一つ一つの構成のはっきりした一部分であって、これが地方の自治権の主体としての地方公共団体の存立を認めているわけなんです。従って法律できめ得る範囲というのはその団体の組織の状態あるいは運営の状態であって、自治権に対して法律が侵すようなことをしてはならないということは、私は憲法の本旨だと思う。今申し上げましたように、地方公共団体の組織であるとかあるいは運営の問題等は法律にゆだねているのです。しかし憲法自身の精神から、自治権というものを法律で侵害するようなことはどこまでも許されないはずである。ところがこの法印は、今北山君からたびたび聞いておりまするように——小部分であるということでありますが、小部分であろうと大部分であろうと、この憲法の精神は私は侵してはならないと思う。運営でもなければ組織の問題でもない、自治体が持つ固有の一つの権利というものを法律で侵害しようとしておることは、私は事実だと思う。だから明らかにこれは憲法九十二条の違反になると考えております。一体憲法九十二条の解釈を大臣はどう考えられるか、そういうことでないというようにお考えになっているかどうか。
  135. 川島正次郎

    ○川島国務大臣 憲法の九十二条は、絶対に監督権は排除するのだ、こういう規定だとは私ども考えていないのであります。総合的に監督をするということは、自治の本旨にかんがみまして許されないのでありますが、きわめて局限された小部分の問題について、たとえば提案になっておるところの、ある部分の予算上の執行を停止するというようなことは、これは憲法で許されておることだ、こう考えております。
  136. 門司亮

    門司委員 私は、結局地方自治の本旨に適合するものでなければ法律に許された範囲ではないと思う。従って地方自治の本旨というのはさっき申し上げておりまするように明らかに地方自治権が主体であってこの主体であるものを法律が侵すということは、小さくても大きくても私はいけないと考える。もし大臣のお考えがそういうことだとすれば一体将来どういうことになりますか。ここまでは範囲を広げる、ここまでは範囲を広げるということになると……。今までの憲法学者のたびたびの解説にはそう書いてあると私は思う。さっき申し上げておりまするように、自治体の一つの組織問題、運営の問題等については一応法律でこれを定めるというが、持っておりまする自治体の自治権というものは侵してはならないということになっておる。自治体の持っておりまする予算の執行その他等は、自治体に与えられた一つの権限だと思う。これは運営でもなければ組織の問題でもないと思う。これを法律で抑制するということは、これは確かな行き過ぎだと思う。ことに大臣がこれを停止することができるなんというようなばかばかしいことになって参りますと、自治体はどこに生きる道がある、自主性が全くなくなるでしょう。停止という言葉は権力による屈従であります。これは協議ではないということである。紛争があって、その紛争が下から訴えられてこれをさばくというのではないのである。これは権利の行使なんです。私は権利の行使は憲法に違反しないとは言えないと思う。それなら一体地方の自治体に対して政府は干渉してもいいということが憲法のどこにかございますかどうか、あるならそれを一つ説明してもらいたい。
  137. 川島正次郎

    ○川島国務大臣 再建促進法の規定は、特に赤字再建団体が自分の立てた再建計画が実行できなかった、局限された場合に限って、しかも全部でなくその一局部の予算の執行を停止して、健全な財政運用をさせようというのでありまして、憲法の条章は広範囲に監督権を認めていないことはむろんでありますが、その程度の監督権まで排除しているのではないのでありまして、絶対的にいかなる場合においても監督権を発動してはいかぬということには私どもは解釈しておらぬのであります。それならば今お話のように一体どこに限界があるのかということになりますと、これはおのずから限界があるのでありまして、ただいま規定している程度は差しつかえない、こういうふうに考えるわけであります。
  138. 門司亮

    門司委員 私はそういう限界点の問題でいつまでも議論しておっても始まらぬと思いますが、われわれの考え方からすれば、少くとも基本的なものの考え方として、自治権であると考えられる一つの予算の執行権を停止させるということは、これは小さくても大きくても、局限しようとしまいと、明らかに憲法に抵触していると思う。これは今の国防問題とは違います。あなたの方では国防問題はこの範囲では抵触しないのだとかするのだとかという解釈をしているが、これは別な話であります。これは範囲の問題で議論できることではない。自治体が持っております一つの執行権であります。一つの予算を組み、一つの執行権であります。もしそういうことが政府でやれるとするならば、地方自治体の財政の問題というようなものも政府が責任を持つべきだ。今日自治体の財政について政府は何も責任など持っていない。最近再建整備法を出しているが、これによって将来絶対に赤字を出さないという保証はつけられはしない。そういう法案をあなた方は出しゃしない。補助金の不統一であるとか単価が実情に即していないとか、あるいは借金を押しつけているとかというような問題についての解決策は、何も講じていやしないじゃないか。政府が何らの責任を持たずにおいて、ただ地方の自治体に、赤字ができたからその赤字を解消させることのためにこういう法律をこしらえ、そしてなおかつその上に、もしその赤字再建団体の執行の中におもしくないものができるならば、自治庁長官はこれを停止させることができるということになれば、これは昔の法律とちっとも違いません。国の監督のもとにその処理をすることが自治体だということは昔の日本の法律の第一号にちゃんと書いてある、それとちっとも変らない。政府の監督のもとにその事務を執行するのが自治体であるという考え方の上に立てば、あんたらのようなことが言えると思う。しかし今日の自治体というものは政府の指揮監督を受けておらぬのである。指揮監督を受けることができないということが原則になっている、にかかわらずこれに対して停止をするという一つのきわめて大きな権限が与えられる、こういうことが憲法違反になるかならぬかということは議論ないところだと思います。実際上の問題として憲法違反であることに間違いないと思う。この点について憲法違反でないというならば、もう少し詳細に憲法違反でないという点を——量の問題でこれを片づけるわけには参りませんので、われわれは量という考え方よりも、むしろ本質的な問題から議論いたしておりますので、一つ本質的にもう少し大臣の明らかな答弁を聞かしてもらいたい。
  139. 川島正次郎

    ○川島国務大臣 全部の自治体に対してでないのでありまして、ごく局限された再建団体のみに限りまして、しかもその内容もごく局限された予算の範囲内でありまして、この程度のことは憲法に規定してある自治の本旨にもとると私ども考えておらぬのであります。あの自治の本旨という点は、絶対にいかなることも監督権を発動してはいかぬということでないのでございまして、ごく軽微の問題についてはやはり監督し得る、こういうふうに書いてあるのであります。門司さんは分量の問題でないと、こう御判断でありますけれども、私どもはやはり内容によってと、こういうふうに考えておるわけであります。
  140. 坂本泰良

    ○坂本委員 川島長官は憲法の九十二条を非常に誤解されておると思う。大体自治庁は、これはサービス機関である。権力機関じゃないわけです。ですから、指導し助言することは少しも差しつかえない。しかし自治庁長官の権力によって予算を変更し、あるいは停止する、これは明らかに憲法九十二条の違反になるというのが根拠になっておるわけであります。自治の本旨につきましては、憲法制定前にすでに確定されまして、この憲法が制定せられて、九十二条で、ここに最高の規定である憲法でこの地方公共団体の自主権、自治権ということが、はっきり法規上確定したわけなんであります。従いまして自治庁長官の権限と申しますのは、サービス機関としての指導と、その意味における監督と助言でなければならぬわけであります。われわれが今ここに問題にいたしておりますのは、その点と全然本質を異にいたしまして、自治庁長官たる国家の権力機関として、この整備法によって予算の一部の執行の停止やその他必要な措置を定めることができる、こういうふうにこの法律で規定するのは、憲法九十二条の地方自治の本旨に基いていないものであるから、法律でこれを定めることはできない。自治の本旨に基くものでなければ法律に定めることができない。このような考え方に立ちますと、この規定は憲法違反になるということになるわけであります。従ってこれが法律違反になるかならぬか、憲法違反になるかならぬかは、これは質の問題とか、ただ仕事の運用の問題とは違うわけであります。自治庁長官が公共団体を、サービス機関として指導、監督、助言をされることは、これは最も必要なことであって、今までも運用されてきたし、今後も運用されなければならないと思うのであります。しかしながら権力機関の地位に立って、予算の一部を停止したりあるいはその他の処置をとるということは、再建団体に限るとか量が少いとか申しましても、これは何といっても憲法違反であり法律違反であることは免れないところであります。長官は、このサービス機関たる本質と、国家の権力に基く権力の行使とを混同されておって、ただ量と質の問題でのがれようとしておられるけれども、それはそういうわけには参らぬと思います。われわれはかような立場に立つのでありまして、この再建促進整備法が私が最初に申しましたように中央集権的になっておるということは、これから発するわけであります。ですから、それが一寸であろうと五分であろうと、やはりわれわれは厳としてこの権力関係の行使については、つつしんで違反がないようにしなければならない責務を持っておるわけであります。そういう考え方に立ったならば、この法律を憲法違反として改廃するかどうかは次の問題といたしまして、この二十一条の問題は憲法違反であり、自治の本旨に反するものであるという点については、サービス機関であり、地方公共団体を指導育成する地位にあられる自治庁長官としては、はっきり認識していただいてもらいたいと思うのですが、その点についてはいかがですか。
  141. 川島正次郎

    ○川島国務大臣 自治庁長官の予算の停止権なり監督権というものが総合的に全般の自治体に及ぶなら、これは自治の本旨にもとるという憲法の条章に当てはまると思うのでありますが、二十一条の規定は、財政の運営を財政再建計画に適合せしむるため、予算のうちその過大であるため財政再建計画に適合しないと認められる部分のみの執行を停止するというように、ごく局限されておるのでありまして、この程度のことは、決して憲法違反ではないのでありまして、あの憲法の条章は、絶対的に監督を排除するとは、私どもは解釈をしておらぬのであります。この程度のことは差しつかえない、これは二十一条の条項をよくお読み下さればわかるのでありまして、きわめて局限された場合に限っておるのでありますからして、この程度は憲法の条章に背反しない、こういうふうに考えております。
  142. 大矢省三

    大矢委員長 だいぶ意見が対立しておると思いますが、どうでしょうか、先ほどから同じことが繰り返されておりますから……。
  143. 坂本泰良

    ○坂本委員 ただいま二十一条について長官の御説明があったわけですが、この「過大であるため財政再建計画に適合しないと認められる部分の執行を停止すること」、権力をもって停止することになっておる。われわれは、予算の執行あるいは予算については、自治庁長官は、指導監督並びに技術上の助言とかいろいろのことをやられることは、非常に期待するし、そうしてもらわなければならぬと思う。しかし法律をもって、自治庁長官たる権力者が執行を停止するということは、これはわずかのことであっても、やはり違反として、認めることができぬ。もしもこれを認めるこいうことになると、あとはやはりそのときの場合々々によって、だんだんこれが拡張いたしまして、ついに自治体の本質を誤まるということになるのですから、われわれはそこを重視しておるのです。ですからこの問題は、考え方を改められなかったならば、別に他の関係の規定その他によってこれを明らかにいたしまして、法の改正その他に臨みたい、こう考えております。
  144. 北山愛郎

    北山委員 今長官は非常に局限された場合であるから、差しつかえないんだというお話なんです。ところがこれとすぐに関連するのですが、今度地方自治法の改正で、第二百四十六条の二を読みますと、「内閣総理大臣又は都道府県知事は、普通地方公共団体の事務の処理又はその長の事務の管理及び執行が法令の規定に違反し、又は確保すべき収入を不当に確保せず、不当に経費を支出し、若しくは不当に財産を処分する等著しく事務の適正な執行を欠き、且つ、明らかに公益を害しているものがあると認めるときは、当該普通地方公共団体又はその長に対し、その事務の処理又は管理及び執行について違反の是正又は改善のため必要な措置を講ずべきことを求めることができる。」云々、こう書いてある。そうすると、こういう場合には、性格的に似ておるのですが、これは狭くない、不特定な場合です。しかも不当に経費を支出したかどうかというようなことは、立場々々によって見方が違うのである。しかも明らかに公益を害するとか、著しく事務の適正な執行を欠くとか、非常に抽象的な基準によって、これに全体の地方公共団体を包含するでしょう。こういうところまで、新しく今度の地方自治法によって一つの権限を政府に与えているのです。同じ考え方なんです。単にその再建団体の特殊な場合に限るといっているのじゃない、政府はもうあらゆる場合においてこの監督権あるいは指揮命令権こいうものを拡大しつつあるのです。いまだかつて地方自治法の中にこんな規定はないのですよ。参考までに、今までの地方自治法の国と地方公共団体の関係を読みますが、実に小心翼々として、内閣総理大臣でさえも、地方団体の仕事については、二百四十五条の三にございますが、「内閣総理大臣又は都道府県知事は、普通地方公共団体の組織及び運営の合理化に資するため、普通地方公共団体に対し、適切と認める技術的な助言又は勧告をすることができる。」というふうに、非常に消極的に、政府の地方団体に対する指導なり、そういったものについては控え目に書いてある。これ以上には出てないのです。だからこれこそは——今までの地方自治法考え方は、今の憲法第九十二条の精神にのっとって作られている。それを今度の鳩山内閣は、この再建促進法の各条において、しかもまた地方自治法の、今申し上げたような条項において、至るところに、政府の直接の権限というものを、指揮監督し得るような権限、あるいはいろいんな命令をするような権限、こういうものを拡大しつつあるのです。だから、憲法違反になるかならないかということは議論の分れるところでありましょうが、少くとも今までの憲法、地方自治法の精神を一歩変更したのだ、重大な変更をしたのだということだけは、これは長官といえども認めざるを得ないだろうと思うのですが、こういう法律的な問題について長官並びに行政部長からもお聞きをしたい。
  145. 小林與三次

    ○小林(與)政府委員 ただいまおあげになりました通り、現在の地方自治法には今おっしゃったような規定はございません。これは事実であります。それから問題は、今の憲法に許された範囲内において地方団体の組織及び運営の合理化をはかるために、国と地方団体関係をどの程度に規律するか、こういう問題に相なるのであろうと思います。再建促進特別措置法におきましては、明らかに今いろいろお話しになっております通り、予算の執行を停止するというようなことに、直接的に事柄を律していける権限を認めようとしておるのでありますが、これは先ほど来議論があります通り、再建促進のための特別の措置として、特定の場合に、万やむを得ない方策として考えたのでありまして、地方自治法ではこういう事態を全然予想をしておったわけでも何でもないのであって、いわば現在の財政の非常措置としてやむを得ないということで、これは特別に考えられたことでございます。
  146. 川島正次郎

    ○川島国務大臣 自治法の方は、今お読みの通り、「違反の是正又は改善のため必要な措置を講ずべきことを求めることができる。」こう書いてあるのでありまして、監督権を発動するという意味ではないのです。ただ求めることができる、こういう意味で勧告、助言と同じような意味に書いてあるのでありますからして、この点は再建促進法の方とは全く性質が違う規定だと私は考えております。
  147. 大矢省三

    大矢委員長 本日の質疑はこの程度にいたします。まだ議論があるようですから、またゆっくりいたすこととして、本日はこの程度にして、次会は公報をもってお知らせいたします。  本日はこれをもって散会します。    午後四時三十五分散会