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1955-07-09 第22回国会 衆議院 地方行政委員会 第37号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年七月九日(土曜日)     午前十一時四十分開議  出席委員    委員長 大矢 省三君    理事 池田 清志君 理事 亀山 孝一君    理事 古井 喜實君 理事 鈴木 直人君    理事 前尾繁三郎君 理事 加賀田 進君    理事 門司  亮君       木崎 茂男君    渡海元三郎君       徳田與吉郎君    横井 太郎君       青木  正君    熊谷 憲一君       灘尾 弘吉君    山崎  巖君       吉田 重延君    川村 継義君       北山 愛郎君    五島 虎雄君       坂本 泰良君    杉山元治郎君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 一萬田尚登君         国 務 大 臣 川島正次郎君  出席政府委員         自治政務次官  永田 亮一君         総理府事務官         (自治庁財政部         長)      後藤  博君         大蔵事務官         (主計局次長) 正示啓次郎君         大蔵事務官         (理財局長)  阪田 泰二君  委員外出席者         大蔵事務官         (主計官)   鳩山威一郎君         専  門  員 長橋 茂男君     ————————————— 七月八日  軽油自動車に対する自動車税すえ置きに関する  請願相川勝六紹介)(第三六一号)  同(高見三郎紹介)第三七〇六号)同(下川  儀太郎君紹介)(第三七〇七号)  同(小林かなえ紹介)(第三七〇八号)  同(西村直己紹介)(第三七〇九号)  地方自治法の一部改正反対に関する請願山本  猛夫紹介)(第三六二号)  大規模償却資産に対する固定資産税課税改正に  関する請願外一件(牧野良三紹介)(第三六  八九号)  同外一件(宇田耕一紹介)(第三六九〇号)  同外二件(平塚常次郎紹介)(第三六九一  号)  同(志賀健次郎紹介)(第三六九二号)  同(世耕弘一紹介)(第三六九三号)  同外一件(竹山祐太郎紹介)(第三六九四  号)  同(石橋湛山紹介)(第三六九五号)  地方自治法の一部改正反対に関する請願(平田  ヒデ君紹介)(第三六九六号)  同(吉川兼光紹介)(第三六九七号)  同外一件(柳田秀一紹介)(第三六九八号)  同外七件(古井喜實紹介)(第三六九九号)  同(小枝一雄紹介)(第三七〇〇号)  同外一件(今松治郎紹介)(第三七〇一号)  同(山本猛夫紹介)(第三七〇二号)  同外三件(八田貞義紹介)(第三七〇三号)  同外二件(松井政吉紹介)(第三七〇四号)  同(山下春江紹介)(第三七〇五号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方道路譲与税法案内閣提出第三三号)  地方交付税法の一部を改正する法律案内閣提  出第八〇号)  地方税法の一部を改正する法律案一(内閣提出  第八四号)  地方交付税法の一部を改正する法律案加賀田  進君外十名提出衆法第八号)  地方財政再建促進特別措置法案内閣提出第一  一五号)     —————————————
  2. 大矢省三

    大矢委員長 これより会議を開きます。  昨日に引き続き内閣提出にかかる地方道路譲与税法案地方交付税法の一部を改正する法律案地方税法の一部を改正する法律案地方財政再建促進特別措置法案、及び議員提出による地方交付税法の一部を改正する法律案以上五案を一括議題として質疑を続行いたします。質疑の通告がございまするからこれを許します。北山愛郎君。
  3. 北山愛郎

    北山委員 川島長官にお伺いしますが、この前補助金等予算執行適正化に関する法律につきましてお伺いをしたわけです。あの当時の話では、政府閣議であの法印は保留ということで出さないことになっておったようでございますが、その後また閣議でもって出すということにきまって、大臣もこれに御賛成のようでございますが、なおその後の経過につきましてお伺いをいたしたいと思います。
  4. 川島正次郎

    川島国務大臣 先般の閣議で一応保留という形になったのでありまするが、その後各方面から強い要望がありまして、ことに参議院の決算委員会におきましては昨日ももっと強化した案を出せというような全会一致の御議論もありまして、そうした動向にもかんがみまして、前回議論になりました案を多少修正をして提案したらいいじゃないかというような議論閣内にあるわけでありまして、まだ決定はいたしておりませんけれども、今日はそういう段階にあります。
  5. 北山愛郎

    北山委員 そうしますと、まだ正式に提案をするということには決定をしておらないということでございますか。大体見通しとしては、やはりこの国会に提案をされると考えてよろしゅうございますか。
  6. 川島正次郎

    川島国務大臣 閣内意見はまだ一致しておりませんから結論的には申し上げられないのでございまするけれども、あるいは提案するようになるかもしれません。
  7. 北山愛郎

    北山委員 その一部修正されました案の内容についてはまだ承知しておりませんが、その適正化対象になります補助金、あるいは負担金、あるいは利子補給というようなものはいわゆる地方公共団体に対する補助金負担金のみならず、一般の民間企業団体等に対する今も当然含まれると考えますが、その法律内容としては、たとえば造船利子補給というようなものも当然対象になると考えてよろしゅうございますか。
  8. 川島正次郎

    川島国務大臣 全部の補助金に対する規制法律でございます。
  9. 北山愛郎

    北山委員 そうしますとこの法律が施行されますと、昨年大いに問題になった造船利子補給、この融資に伴う利子補給そのものが適正なりやいなやという点についても、この法律対象として直ちに取り上げられる、たとえば融資目的である船舶の建造以外の経費——運転資金に使ったり、リベートに使ったりするようなものについては、やはり利子補給対象となる融資の不当な流用である、こういうように考えられますから、当然その法律対象になると考えてよろしゅうございますか。
  10. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 お答え申し上げます。補助金等予算執行適正化に関する法律でございますが、これは補助金の定義をきわめて広くいたしておりまして、これはもちろん今後閣議において正式にきまるわけでございます。大体の観念といたしましては、補助金範囲を、いわゆる補助金と、それから負担金利子補給金その他相当反対給付を受けない給付金であって、政令の定むるもの、こういうふうなカテゴリーを全部包括しておりますので、ただいま北山委員指摘のような点は包括されるものと考えております。なおその場合に、利子補給等について不当不正の事実があった場合にこの法律によっていろいろと規制を受けることになるかという御質疑でございますが、これはまだ最終的には先ほど申し上げましたようにどういう形になるかは未定でございます。範囲としてはそういうものを包括いたしますので、当然この問題にも関連してくるものというふうに一応考えております。しかしこれはどこまでも最終的な決定閣議のレベルにおいておきめいただくことでありますので、ただいま一応事務的に立案いたしました過程を申し上げたわけであります。
  11. 北山愛郎

    北山委員 提案をなさってから審議をするのが当然だろうと思うのですが、反対給付を受けないで付らかの形で利益を与えるものも含むとするならば、国税あるいは地方税減免措置を受けているような団体なり企業なり、そういうものもやはり当然対象に入るべきものではないか、その法律の中で措置するのは技術的にどうかわかりませんが、つり合いから考えるならば、当然そういうような措置が必要ではないか、こういうふうに考えるのでございます。たとえばこの委員会でせんだってお伺いしました電力会社の場合、福島県庁建築資金として東北電力並びに東京電力から一億円以上の寄付金をもらっておるわけであります。ところがそういうふうな会社に対しては、電力料金をなるべく上げないという建前からいたしまして、税金の上では法人税についても、あるいは固定資産税についても税の軽減措置を講じている。ところが軽減措置を講じているにかかわらず、その経理がもしもそのような不要不急な方面会社の金を出すというようなことがあれば、これはその恩典に対してその目的に沿わないような結果になるのでありますから、やはりこの補助金適正化に関する法律と同じような趣旨でもって、何らかの規制を必要とするんじゃないか。こういうような法律を出すならば、そういうような法律も出さなければならぬじゃないかと思うのですが、これについては自治庁長官あるいは大蔵大臣はどのようにお考えでございますか。
  12. 川島正次郎

    川島国務大臣 ただいま政府で準備いたしまする補助金規制に関する法律が適用されないことは言うまでもないのであります。同じような関係におきまして、別途法律を考慮したらどうかという北山さんの御議論だと思うのでありますが、その点につきましてはまだ考えておらぬのでありまして、御議論としては拝聴いたしておきます。
  13. 北山愛郎

    北山委員 議論ではありますけれども、しかしもしも政府がこの補助金執行適正化に関する法律のような趣旨考え方でもってやろうというならば、やはり税金減免を受けているような、特別な恩典を受けているような企業団体等についても、やはり同じような規制措置を講ずべきではないか。政府補助金その他利子補給等についてそういう措置をとるならば、同様に一つの税の軽減措置をとったものについても、これを対象として何らかの手段を講ずるのは条理上当然だと思う。それを当然だと考えるかどうかについて、長官の御見解を承わりたい。
  14. 川島正次郎

    川島国務大臣 北山さんの御意見はまことにごもっともだと思うのであります。従いまして御意見をよく尊重いたしまして考究してみたい、こういう気持で前回答弁をいたしたのであります。
  15. 北山愛郎

    北山委員 この問題は、もし法案が出ました場合には、地方公共団体にも非常に関係のある問題でございますし、従って当委員会としても、その審議については十分な関心を持っているわけでありますから、おそらく法案大蔵委員会にかかると思いますが、出ました場合には一つ連合審査措置をおとり下さるように、委員長にお取り計らいをお願い申し上げます。  それからきのうの続きでありますが、大蔵大臣おいでにならない前に、災害についての融資の問題をお聞きしたのであります。今回北海道あるいは東北等に水害が起りまして、一部の県あるいは北海道の方からは、つなぎ融資申請が出ているはずでございます。従来の災害の場合におきましても同様の措置がとられておりますから、そのような申請が出ております。なおせんだっての本会議においても、建設大臣から明瞭に、つなぎ融資措置については大蔵大臣と一緒になって考えたいという答弁がございました。また大蔵大臣からも、すみやかな融資措置を講じたいという答弁があったわけであります。従ってそのお考えがどういうふうに具体化をされておりますか、大蔵大臣からお答えを願いたいと思います。
  16. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 申請がありますれば、事柄の性質から見まして迅速に処理するがいいということを私指令しております。申請がありましたならばその方針で迅速に査定もし、金も出るようにいたしておると考えております。
  17. 北山愛郎

    北山委員 きのうの自治庁の方のお話でありますと、山形県の方からすでに申請が出ているというような話がありましたが、大蔵省に対してはまだどこの県からも申請が出ておりませんか。
  18. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 そういう詳しい連絡関係は、政府委員から答弁いたさせます。
  19. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 お答え申し上げます。昨日北山委員から御質問がございましたので、直ちに理財局の方へ連絡いたしまして、本日すぐ参るはずでございますが、ちょっとおくれておりますから、私からかわってお答え申し上げます。山形県の方からは、自治庁からお答えがございましたように、一応申請があったということを自治庁から御連絡を受けておるわけでございますが、御承知のように、大蔵省は各地に財務局、財務部を持っておりますので、この系統を通じまして至急にそれぞれの県当局と御連絡をとりまして、つなぎ資金所要額資料を収集しております。なおこれは相当前に手配をいたしておりますので、間もなくそれらの資料は集まるものと考えておりますから、一応その点をお答え申し上げ、詳しいことはあとで理財局の者が参りましてお答え申し上げると思います。
  20. 北山愛郎

    北山委員 そういたしますと、今回の災害あるいは今後生ずるであろう災害については、やはり従来と同様にすみやかな融資措置すなわち必要なればつなぎ融資措置を講ずるということに了解をいたします。なるべく早く検討されまして、何しろ地方財政には余裕がございませんから、災害の手当を自分の力でやるという自力がないのでありますから、この点については少くとも政府としては積極的な援助の手を差し伸べていただくようにお願いをいたします。  それからこの前この委員会鳩山総理おいでを願って、地方財政の問題で非常に短い時間に御質問をいたしたわけでございます。ところがその際に私がお聞きしたうちに、地方団体の今年度の元利償還が非常に多いのでございます。五百十億という膨大な地方債元利償還地方団体は今年やらなければなりません。これについてこれを猶予をする、あるいは元利償還を繰り延べるという措置がとれないものかどうか。これをその際鳩山総理にお伺いしたのは、日本銀行融資をしております鉄鋼業者に対する貸金について、たしかことしの一ころに日銀はこの償還猶予した。こういう措置政府機関である日本銀行がとったはずであります。それから開発銀行等につきましても、すでに造船融資等については支払い猶予をしてる。これは政府それ自体ではございませんが、開発銀行日本銀行政府機関であります。その政府金融機関を通じて民間鉄鋼業者あるいは石炭業者に対しては、そういう資金支払い猶予措置を講じておる。しからば政府一体地方公共団体元利償還等につきましては、これと同様に、あるいはそれ以上に考えてやるべきではないか、こういう趣旨から実はお伺いしたのでございます。ところが鳩山さんは、その点については大蔵大臣から一つ答弁をさせますというお答えでございました。きょう一つ大蔵大臣から、なぜ一体民間のそういうような企業に対してはいろいろな低利の金を貸し、かつその支払い猶予するような便宜措置を講ずることができるにかかわらず、地方団体に対してはそれができないのか、一つお答えを願いたいと思います。
  21. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 地方団体に対する地方債その他、借入金もありましょうが、そういうものの元利について償還を延ばすとかいうことは、これは簡単に首肯できがたい、またやることが正しいとも思っておりません。これはやはり地方公共団体財政再建という全体、あるいはまた地方公共団体をどういうふうにして財政的見地から再建していくか、こういう基本的なものがはっきりしたときに、必要があれば考えるべきで、ただ償還能力がないから、すぐにたな上げするという行き方は、賛成をいたしかねるわけであります。民間等においての政府からの貸付金において償還を延ばしたということもあります。これは事実上払えないということにあります。またそういうことを計画的に認めておる場合は必ず整理計画を立てさせ、それに基いて会社等整理をしていく、こういう過程において初めて考えられる、かように考えておるわけであります。何としても地方公共団体については、私は今財政上非常に困っていることは十分承知しております。どういうふうにして立て直していくかという一環として場合によっては考え得るかもしれませんが、そういうことがいいかということについては、具体的なことについて十分検討を加えていかなければなりますまいと考えております。なおまた預金部等資源関係からいたしましても、やはり次々にこの地方公共団体に金を出していく上からも、そう簡単に償還を中絶あるいは延ばすということはできないことも御了承をいただきたいと思うのです。
  22. 北山愛郎

    北山委員 どうもはっきりしませんが、例の造船問題などについては開発銀行での金利を三分五厘、そうしてこれも相当融資を延ばしている。また石炭についてもそういうふうな措置をとって、しかもさかのぼって金利を負けてやることも、今までしてやったこともございます。それから鉄鋼についても確かに日本銀行はそういうことをやっておる。そういうことが事業については行われて、しかもそれらの事業を見ると、景気のいいときにはどんどん配当も多くする。石炭業だって今は非常に不景気で困っておりますが、景気のいいときにはずいぶんぜいたくもしたはずなのです。そういうときにはほっぽらかしておいて、そして景気が悪くなって困ってくると、やはり政府の方ですぐにめんどうを見るというような措置をおとりになっている。私はこういう重要産業民間産業地方公共団体とを同一に考えはいたしません。むしろ地方公共団体政府一体なのです。石炭業とかそういうものとは性質上また違うのです。大部分は国がやるべき仕事をやらしておる。半分くらいは補助事業なのです。地方団体がやる仕事のうちで四八%というものは補助に伴っている仕事なのです。鳩山内閣が天下に公約したいろいろな政策を実際にやっておるのは地方公共団体なのです。そして政府がそれに補助金を出してやらしている。ですから鉄鋼だとか石炭だとかいうそういう事業とは根本的に違う、政府の一部なのです。親子の関係なのです。ところが子供の方にはむしろ年々の地方債はその比率からいっても減らしておるのです。資金運用部の金、預金部の金を地方団体に一番多いときには九十何パーセントまで地方債に回したはずなのです。ところが最近では四三%くらいです。最近はどんどん下げていって、そして郵便貯金の金ですらもそういう産業、大企業の方へ回しているのです。それだけの金は要らないかというとそうじゃなくて、地方団体に対しては八分何厘とか九分とかいうような高い地方銀行の金を借りるように公募債ワクはどんどん広げていくでしょう。だからどうしても私は今の政府あるいは今までのやり方というのは、地方団体よりも石炭序鉄鋼造船や、そういう会社の方がかわいくてならないというような政策としか見えない。従ってその借金の利子等支払い猶予にしても、金利にしても、これを比べてみるならばそういう大産業に対してはあらゆる保護を加えておる、税金も負けてやっている。安い金を貸してやって、その金の支払いの期限も延ばしてやっている。しかるに地方団体に対してはそれと反比例でこれをいじめて、圧縮しようとしている。こういうような政策が今行われつつあるのです。またそれが地方財政を苦しめる一つ原因になっておる。だから私は、もしもそのような企業について少くとも支払い猶予措置がどんどんそういうような政府機関を通じてとることができるならば、地方団体についてもことしの元利償還について、その支払いを一年くらい延期する措置はできると思う。それをやるかどうか検討してみる考えがあるかどうか、一つ大蔵大臣からお伺いします。
  23. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 非常にごもっともな御意見と思われるのでありますが、しかし事業資金財政関係は、財政の方からいけば常にそれは中央、地方を通じて恒久的な——事業の方はやはり好況の波がありまして、どうしても償還等において余儀なく返済ができないということがあり得るのでありますが、財政については私は常に平均収支が償っていく、こういうふうにあるべき姿と考えておりますが、政府資金を特に大企業に回して地方団体等に回さぬ、そういう考えは私としては持っておりません。最近そういう点について、たとえば地方団体等において資金運用部資金市中銀行からの借入金との割合がどういうふうになっているか調べてもみましたが、お説のように近来は市中銀行からの借り入れは、これは地方財政が膨張した自然の結果もありましようが、借り入れがふえていることも言えるし、地方債を含めて市中銀行に依存している度合いがだんだん幅が広くなっているのもよくわかります。それでこれは財政資金の方から金を少し出すようにして、市中銀行から借りる重荷を軽くしてあげよう、こういうふうな考えも持っておりまして、最近は預金部資金からも相当金が出るようにしております。先ほどの今すぐ政府から出ておる金の金利をどうする、こういうことは、それだけをつまみ上げてどうするということは私今考えておりません。地方財政再建についてはしょせん根本的な計画をして、その計画のときにまたいろいろ考えて、財源の問題もあるので、単にそういうふうな赤字のたな上げをするとか、金利をどうするという以外に、地方財政を健全化する上において必要な措置は多々あるように思います。原因をよくつきつめてその際に考えていきたい、かように思っております。
  24. 北山愛郎

    北山委員 どうもはっきりしません。再建計画は多々あると言われるのですが、とにかく現実に今政府が出してきた再建計画というものは、今度の再建促進法しかない。これは御承知のように二百億の再建債を許すということ、しかもこれは非常な苛酷な条件で許すということ、そのうち政府資金はたった五十億、そうして地方銀行短期融資を長期に振りかえる、これに対して二分の利子補給をする七千五百万円の融資を計上しておるにすきない。一方では造船融資利子補給は三十五億、これを年々加えていくとずいぶん膨大なものになるでしょう。開発銀行を通ずる利子補給を合せますと三百九十億くらいになるはずである。それは造船も大事でございましょうが、そういうことができるならば、なぜ地方団体に対して七千五百万円なんというようなけちくさいことでなくて、もう少し政府としては国の方の再建計画を立てていただけないか。今度の再建計画というのは地方団体に出させる再建計画なんです。それが先般来私が申しておるようにたとい二百億の起債を許されたにしても、九百億以上、約一千億の圧縮をそのためにやらなければならぬ。地方団体は苦しいから、腹が減っておるから仕方がないから二百億という毒まんじゅうを食わされる、こういうことなんです。こういうようなことを今申し上げたような船会社や、あるいは石炭会社や、あるいは鉄鋼会社に対するやり方と比較をしてみると、私はその差がまことにはなはだしいと思う。しかも地方団体赤字原因というのは、政府が公表しておりますように、その原因はちゃんと国の方に大部分責任があるということを財政白書でもってはっきり述べておる。たとえば二十八年の朝鮮動乱の結果、二十八年はどうのこうのといいますけれども、それだって結局政府補助金だとか公共事業だとか、そういうようなワクを広げたでしょう。その影響地方財政に及んでおるだけです。その発端をなしたのは国の政策なんです。その結果影響を受けておるのは地方団体なのです。もちろん地方財政運営のまずい点も若干あるでしょう。しかし根本は制度であり、国の政策によって地方団体は振り回わされておる。従ってその原因を除去するということは、やはり国の責任においてやらなければならぬ。ところが国の方では、民間企業についてはずいぶん責任を感じていろいろおやりになっておるようだが、しかし地方団体は、自分子供でありながら一向まま子扱いにして、まるで他人事みたいに考えておる。ちょうど銀行が左前になった企業に対して臨むと同じような態度で臨んでおる。そういうことでいいか。もう少し真剣に、もしも鉄鋼会社やそういう会社に対してそのようなことを考えるならば、それ以上に元利償還等について具体的に検討していただきたいと重ねて希望いたしますが、どうでございましょうか。
  25. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 決して地方公共団体財政について関心が薄いというわけではありません。ただ地方財政が今日の状態になったことは、今御指摘のように、相当国の政策による部分もありましようし、いろいろとたくさん原因があると思います。ですから、それがずっとそういうふうな形において、今日の財政の困難さが累積されてきたと考えるのであります。従いましてそうであるからといってすぐにそれを——国の財政に非常にゆとりがありますれば、いろいろと考えようもあると思いますが、国の財政さえもなかなか苦しいときであります。そういうふうに累積されたものを救うのに、やはり一挙に救いがたい事情があるのはやむを得ないと思います。同時に今まで累積した原因を除去して、徐々に——徐々にといってもこれは時間的なことも考慮に入れなければなりませんが、なるべく早くやるにしても、やりつつ同時に将来また財政の困難を累加するような原因はのけていくということと相伴わなくてはなるまい、こういう考え方でおるのでありまして、今中央の財政も苦しいときで、なかなか金も回しがたいのでありますが、回したところが、それならそのあとで非常に地方がよくなるかといえば、必ずしもそうはいかない。どうしても病根を取りのけて、そこに栄養を持っていくということにしなければならないという考え方でありまして、そういうふうな考え方に基きまして自治庁長官の御相談も受けまして、昭和三十年度において、地方財政その他資金の許す範囲において、とりあえず二十八年度までの赤字等につきまして応急手当をいたし、三十一年度にいきまして、さらに地方財政再建について、中央としてももう少し抜本的に考えていきたい、かように考えているのが今の政策であり、決して地方公共団体に対して私どもが関心を薄くしておるというのではないことだけを御了承いただきたいと思います。
  26. 北山愛郎

    北山委員 地方団体について冷淡ではないと、こう言うのですが、現実にそういう政策しかやっておらないのです。結果として出てきたのは、七千五百万円の予算しか出さない。二百億の起債といったって、政府資金の方は百十億ですが、その百十億というのは、去年のワクの中で、ただ再建債というのを百十億きちっと取っただけです。去年の起債のワク以上に百十億プラスしたのではないのですよ。去年八百九十何億ですか、そのワクの中にきちっとはまるようになっておる。ただ置きかえたにすぎない。地方財政再建のためには一文もプラスしておりません。予算としては七千五百万円だけれども。心がけとか、心がまえについていろいろお伺いしても、そんなものはそれこそミルクにもならない、空気みたいなものだ。実際の今年度の措置はそれではいかぬと思うから、そう言うのであって、その二百億を借りても、なおかつ九百億くらいのものを地方団体責任において圧縮されるが、あるいは増税しなければならぬように追い込まれる。そういうことが一体できるかということです。  それから昭和三十一年度、三十一年度と言いますが、三十一年度というのは、もう目の前に控えておる。政府としても、予算の編成にかからなければならぬ時期にあります。それならば、三十年度にはどの部分についてやり、三十一年度はどの部分についてやるというような計画がなければ、ただそういう講釈だけでは何にもならない。具体的に両年度にまたがってやるというなら、この分は三十年度、この分は三十一年度でやるという具体的な計画があるなら、ここで示していただきたい。そんなものはなくて、ただ漫然とことしだけではどうもいかぬようだから、来年にかかるかもしれないくらいの考え方では、政府責任を尽したとは言えない。言葉の上ではいかにうまく言っても、現実に施策の上に現われてこない。その点をはっきりしていただきたい。来年度とことしの具体的なものです。
  27. 川島正次郎

    川島国務大臣 ただいまの御質問は、私からはたびたびお答えをしておるのでありますが、現在の地方団体に対して、世間の一部で言うように、必ずしも禁治産みたいな扱いをしているのではないのであります。地方自治体が従来めちゃめちゃな財政だったとばかりは考えておりませんが、現実は非常に赤字があるので、これを一応引き締めなければ、あと政府としての措置のしょうがないのでありまして、そこでただいま御審議を願っている再建促進措置法によりまして、赤字団体になるか、あるいは再建団体になるか、いたしまして、長期にわたる財政計画を立ててもらいまして、その上に総合的に考え政府としての施策をやる、こういうのであります。三十一年度にどういうことをするかという御質問を受けましても、こういうことをするとは申し上げかねるのであって、総合的に地方財政の立て直しをしようという考え方で、大蔵大臣とわれわれの間には意見が一致しておりますし、閣内においてもそういう考え方なのであります。もちろん地方財政の立て直しは、ただ財源的の措置だけではありません。機構の改革も必要であります。今日出しております地方自治法の改正は、その一端でありますが、なお根本的に地方の機構改革も必要と考えまして、地方の機構改革とにらみ合せた財源的措置をいたしまして、根本的の立て直しをしようと考えておりますから、北山さんの御質問のように、しからば三十一年度においてどの項目をどうするか、こういう御質問に対しては、ちょっとお答えできないのであります。
  28. 北山愛郎

    北山委員 総合的と言われますけれども、何にもない上に総合ということはあり得ない。個々のものがいろいろこうあつて、それを総合されて総合計画があるのであって、足のない頭だけの総合計画というのはない。何も個々のものがなしに総合計画を作ろうなんていうことはナンセンスだ。いろいろな、たとえば行政機構がこうだとか、財源措置はこうだとか、節約はこうだとかいうようなものを、今度はまとめて総合的に計画が立てられる。個々のものがなくて、ただ総合だけあるというのはナンセンスだ。だから結局総合計画もない。お話のようであれば、個々の計画もない。政府は何らその見通し、計画を持っておらない。ただあるのは、地方再建計画を出させて、これを縛りつけてやろうという計画だけだ。自治法改正もそうであります。監督権を強化する。おまけに今度は補助金執行適正化に関する法律なんていうことは、いざとなれば、もし間違いがあれば処罰するぞといっておどかして、そうして補助金の使用が少くなれば、それで財政圧縮になるかもしれぬ。こういうふうな人をしかり飛ばしたり、その権限を狭めたり、そういう計画しかないのですよ。表面に現われたところはそれしかわれわれには考えられない。もっと合理的な、そして少くとも地方団体仕事の円滑な運営が確保されるような一つの方策などというものはないようです。無定見なんです。ただ総合的という言葉だけあって、具体的な政策は何もないと言わざるを得ないのですが、それでもいいのですか。
  29. 川島正次郎

    川島国務大臣 再建団体赤字団体等におきまして長期の再建計画を立てた場合に、給与のあり方がどうあるか、また単独事業にしましても、公共事業にしましても、国から見た場合に、地方の文化の向上のためになお必要の点があるのじゃないかというような点をいろいろ勘案してやるのでありまして、それを私が総合的だと申し上げるのでありまして、ただ給与をどうするとか、あるいは事業をどうするとか、こういうことを取り上げて申し上げることはできない。今そういう段階ではないのであります。そういうことを私は申し上げておるわけです。
  30. 北山愛郎

    北山委員 そういうことを一昨年あたりから時の政府は常々言ってきて、そうして何も具体的な対策を立てないから、事柄がただ深刻になっていくだけなんです。二百億の赤字債が一つの対策だと言うかもしれませんが、これは現実にはそれほどの効果がない。というのは、その金をすでに地方団体地方金融機関から借りておるのです。ただ短期で借りていて三月くらいでころばしていかなければならぬ、それが苦しいからこれを長期にしてやろうというのです。ただそれだけのことです。もうすでに借金をしている金を長期に振りかえるだけのことです。プラスにも何にもならない。マイナス分だけ残るのです。その短期の借金を長期に振りかえてやるという条件で、そこで政府は締めつけていこうという。ここにからくりがあるのです。私が毒まんじゅうだとあえて申し上げるのはそれなんです。そんなことでは、地方財政が破綻するばかりでなく、地方の行政機能というものが破壊される。従って鳩山内閣がいかに美しい施策を掲げておっても、それは実行不可能になる、こういうふうに私は心配するものですからこのことをくどく申し上げるのですが、どうも政府ではその具体的な対策がないようです。ただ抽象的なことだけを言っているにすぎないのですが、非常に残念です。この際に一つ大蔵大臣にお伺いしておきますが、どうも大蔵省方面では地方団体について道楽むすこぐらいな考え方しか持たないのじゃないかというような印象を受けるわけです。今までの施策についてもそうです。自治庁はある程度は地方財政のことはわかっているものですから、いろいろ予算折衝はするが、それが大蔵省によってずたずたに切られてしまう。そうして本年のような無理な地方財政計画になり交付税になってしまうわけです。こういうふうに無理解なことをやっておる一つの例として申し上げるのですが、それなら大蔵省はりっぱなことをやっているかというとそうは言えない。先ほど大企業に対する擁護のことを言いましたが、火災保険事業大蔵大臣の監督であります。ところが火災保険の事業は御承知の通りに保険料の約半分というものを募集経費だとかそういうものに使っているでしょう。地方団体だったらそんなむだな金は使いませんよ。それはあなたの監督下にある火災保険会社なんです。火災保険裏業というものは保険料の四八%を募集経費その他に使っておるのです。火災保険というのは何も物を生産する企業ではございません。金を扱ったり書類を扱っていればいいのだ。それが半分くらいも事務費を使い事業費を使っている。その状態を監督官庁である大蔵大臣はこれを容認しているのです。いわば保険料をそれだけ高くしている。高い保険料を認めておる。そしてこれ以上安全に金がもうかる商売はないのです。保険料は独占禁止からのがれている上に、大蔵大臣がきめて認可する。そして十分なもうけも出るし、それから積立金も出る。どんどん保険会社が肥ってどんどんビルディングが建っていくでしょう。ところがその火災保険会社が金をもうける陰には、地方公共団体が消防をやって一生懸命になって火を消している。火を消せば消すほど火災保険会社がもうかる。だから東京都では昭和二十五年に会社計画したのですが、時の大蔵大臣がこれを認可したかったのです。しかし東京都が考えるのは無理はない。東京都内で年々扱う火災保険の料金は三十五億円だそうです。ところが保険金として払う分は六億ないし七億です。あとは経費ともうけに使っているのです。ですから東京都では、消防費に三十億以上も使っているのはばかばかしいということになった。一生懸命になって何十億かの金を出して消防に努力すればするほど、保険会社がそういうボロもうけをする。しかもそれは保全経済会みたいに勝手にやっているのじゃなくて、大蔵大臣がちゃんと料金まできめて、そういうようなボロもうけをしている保険事業を認めている。しかも今度政府は住宅公団に対して火災保険の資金を九分くらいの利子で借りている。この火災保険会社資金というものは、今申し上げたように資金コストというものはない金なんです。資金コストのない金を九分も出して借りておる。まことにお人よしだと言わざるを得ない。消防は地方公共団体仕事で、地方の市町村はこのために非常に苦しんで、おそらく何百億という金を使っているのです。二百万人以上の消防団員が日夜働いている。その結果火災保険会社がもうかる。その事態を大蔵大臣が認めておる。これでいいのですか。こういうふうな公共的な事業に苦労しておる地方団体に対して、ほんとうに大蔵省が熱意を示さなければ、地方財政にほんとうに愛情をもって当らなかったならば、火災保険は地方団体の連合体かなんかの公営にしてしまえという議論が出るのは当然です。私の意見が間違っておるかどうか、大蔵大臣のお考えを聞きたい。
  31. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 まず大蔵省地方公共団体を何か道楽むすこのように考えているというようなことは絶対にないのであります。ただ地方公共団体が今日財政的に非常に憂慮すべき状況にあるということを十分認識いたしておるのであります。ただそうであるから、地方の公共団体財政の憂慮すべき状態がどうして起ったかということを十分突き詰めていかなければならぬ。ただ子供の——子供というとまた悪いかもしれぬが、言うことをただ聞けばそれですべてがよくなるというものでもないのでありまして、病気ならば病気を治してやる。体内に毒があれば毒を出して、そうして栄養をやらぬと、毒の方がいたずらにふくれていくという事態がやはり考えられるのであります。その毒というのは、結局地方公共団体財政を困難ならしめているもろもろの原因、それはだれに責任がありましょうとも——これはむろんその点も考えなければいかぬが、そこをお互いに協力して除去していく。それが従来はともかくあまりうまくいかなかったと見えて、財政が非常に憂慮すべき状況が累加されてきたのでありますが、今後におきましては、今度の再建整備法が実施されてくれば再建整備計画を立てなければならぬ。その過程において今後除去しなくてはならない要因が除去されていくようにする、そこでまたそういうことと同時に、国としてもいろいろ地方公共団体について考えていく、こういう考え方であるのでございます。三十一年度の予算につきましても中央だけが健全ならいいという理由はごうもない。これは国全体の問題で、中央、地方を通じて財政が健全化しなくてはほんとうの健全化の意味はないのであります。そういう点については今後十分私考慮を加えていこう、かように考えておるわけであります。
  32. 北山愛郎

    北山委員 消防と火災保険の関係について、大蔵大臣の御見解を伺いたい。
  33. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 保険会社はやはり一つ民間の営利的な事業であります。これと財政の問題、これは私は区別して考えるべきだと思います。
  34. 北山愛郎

    北山委員 営利的な事業だから四八%、半分も事業費に使ってもいいということを認めているのですか。私がよく聞くことは、役所の仕事というのは非能率的だ、民間事業の方が能率的だ、経費はかからないで済むというふうによく言われておるわけなのです。従って地方公共団体なんかはむだ使いばかりしておるというふうに言われているのですが、大蔵大臣が監督されておるところの火災保険事業というものは、半分くらいも経費に使っておる。保険理論でいう付加保険料として保険料の中でちゃんと経費をとっておるのです。これをとっておるのだから、あとに残った金は資金コストのない金なのです。それを政府が九分も出して、住宅公団が借りておるのです。九分というのは国民のふところから出る。そうして大臣は得々として本会議で、住宅公団は住宅のために保険会社から金を貸してもらうのだということを言われた。私からいえばおかしいのです。その陰には全国の市町村が日夜消防のために苦心惨たんをしておる努力があるのです。ほんとうをいえば保険会社が消防をやらなければならぬ。アメリカではそういうことをやっているところもあるらしい。それは私は日本の不幸だと思うのです。明治十一年にドイツ人の顧問マイエットという人が来て、火災保険は国営でやれという議論を出した。ところが明治政府はこれを受けつけなかった。もしも保険事業を国営にしておったならば、日本の住宅政策はもっともっと進んでおったはずです。消防ももっと進んでおったはずです。ところがそれから何十年かたって、今に至ってやはり民営の火災保険事業にボロもうけをさしてむだ使いをさしておるような政府がここにあるわけなのです。まことに日本国民の不幸でございます。だからその間の関係について大臣はどう考えるか、現状でいいかどうか伺いたいのであります。
  35. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 火災保険会社についてのお話ですが、私は保険会社がそんなに経費に使っておることはないと思っております。保険会社の収益が多くなれば、一方においてむろん将来の災害について積み立てをしなくちゃならぬことは言うまでもありませんが、同時に保険料を下げて保険をつける人の負担を軽くしていくというのが、経営としては常道だろうと思うのでございます。なお火災保険会社としては地方等の消防ですか、たとえば資金的な、そういうものに要する地方債等を持っていくというのは、これは当然ある程度今日もやっておると思っておりますから、そういうことには私は何も異論があるわけではありません。ただこういうふうな営利的な関係地方のいろいろな事業とがあまりくっついていくのもいろいろとまた問題もあろうかと思うのでありまして、これは正しい立場で関係を持っていく、かように考えたらいいのじゃないかと思います。
  36. 北山愛郎

    北山委員 民間事業でこれが自由企業であればまた競争もあっていろいろと変っていくと思うのですが、これは独占企業なんです。認可事業なんですから、大蔵大臣が認可しなければ保険会社ができないのです。今のところは新しい認可はしないのです。そうしておいて料率の方はちゃんと認可しておる。それは今まで保険料を下げてもきました。下げてきた結果が、今申し上げたように非常にもうかっておるのです。会社の方ではもうかってしょうがないので、株の配当もあまりすると世間体があれだから、増資する必要もないのに増資をして、無償株を出しておる。保険という事業は公共性が第一なんです。こんなにボロもうけをされたり経費を使われるなら、何も民営に頼んでいく必要はない。それだからこそ全国市長会などでは保険を公営でやろうという意見が出てきておるわけです。これは当然のことであります。だから保険の公営について大臣はどういうふうにお考えになっておりますか。間違っておるとお考えですか。
  37. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 保険の公営という問題ですが、これはその国の経済の情勢等にもよることでありまして、抽象的に言われることではありませんけれども、かりに抽象的に考えれば、時と場合においてやはり検討の対象にはなる、日本の今日の情勢において保険を国営にするというようには私は考えておりません。
  38. 坂本泰良

    ○坂本委員 関連して。火災保険会社大蔵省の管理事業ですが、二十八年度は保険料総額が三百六十億で、火災によって返還したのが六十億くらいだと聞いておるのです。事務官でもいいのですが、その点のデータはおわかりですか。
  39. 大矢省三

    大矢委員長 銀行局の方でなければ、今わからぬようです。
  40. 北山愛郎

    北山委員 私がお答えするというのもおかしいですが、これは前にこの委員会資料を要求して、大蔵省の保険課の方から出してもらったのです。その資料のことを今坂本委員がお話になったわけで、その通りなんです。三百六十億の保険料で、保険金は六十何億、損害率というのは一七%幾らにしかならないのです。二〇%にならない。だからあなたの管理している日本の保険会社は、集まった保険料の二割にも足りない分を還元するにしかすぎないのですよ。それでいいかというのです。しかも四八%くらいの事務費を使っている。そんなむだ使いをし、しかも集めた保険料の二割にも足らぬ還元しかしないような事業が、果して公共性のある事業といえるか、そういう状態のままに放置してもいいかどうか、これを大蔵大臣にお伺いしているわけなんです。これは事実なんですよ。資料をおとりになってもいいのですが、そういう数字を大蔵省がもう出しておるのです。
  41. 坂本泰良

    ○坂本委員 その質問に関連して。消防で全国的に約三百億も費用を出しておるわけなんです。それと、火災保険会社が三百億の利益を上げておるということは、これは営利事業であるから関連性がないといえば法律上はないだろうけれども、これは大いに関連があるわけです。そこで現在全国の市町村が、かような火災保険事業はそう特技も要らない、大体三段階か四段階に保険料をきめてやれば特別の経済的技能も要らないわけです。ですからこれを公営にして町村にやらせて、消防で火を消し、さらに国民がかけた保険は地方団体の収益にするようにすれば、地方団体赤字もそれだけ減るのじゃないか、現在の段階では一独占企業の火災保険会社にこれを独占させて、利益を壟断させる必要はないのじゃないか、こういう考えでいるわけですが、これに対する御見解を承わりたい。
  42. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 いわゆるごもっともな御意見でもあるのでありますが、これはまだよほど慎重に検討を加えなくては、私今ここですぐそういうことがいいとも言いかねるわけであります。特に地方財政が非常な赤字でありますから、そういうことをやることがはたして適正であるかどうか、こういうこともやはり考えてみなくてはなりません。なお保険会社の監督につきましては、今後とも一そう厳重にやるつもりでおります。なおこの保険料も火災の実績に応じて常に再検討させておりますが、保険料を下げさせていきたいと思っております。それから保険の公営ということは、先ほど申しましたように一つの新しい考えでありますけれども、これはやはり全体の日本の経済組織との関連においても考えてみなくてはならぬ問題が多いのでありまして、研究するに決してやぶさかではありませんが、実現は今のところなかなか容易じゃない、かように考えております。
  43. 北山愛郎

    北山委員 まあ研究されるというのですからくどくは申し上げませんが、これは何も新しい考えではないのです。ドイツあたりではずっと前から地方公共団体がやっておる。日本だって、先ほど申し上げたように明治の初年において外国人の顧問が日本政府に勧告をして意見書を出しておる。その中にはっきりとわれわれの言っておることと同じことが書いてある。警察や消防がいかに努力して損害を少くしても、それは保険会社の利益になるだけだというようなことを言っておる。ちゃんとその国営の理由の中にそういうことをマイエットが書いている。しかし現実として、今までの政府は大資本擁護、金融擁護の政府であったから、それをやっていないだけの話であって、もしもそんなことを大蔵省がいつまでも続けていくならば、国民の方ではまた別途のことを考えなくてはならない。しかもわれわれ地方行政委員の立場からいえば、地方公共団体は非常な努力、犠牲を消防のために払っておるのです。消防に対する経費というものは、市町村の予算に現われたものは百七十一億ばかりでございますが、御承知の通り市町村の消防は寄附金がおもでありますから三百億以上になるでしょう。そのように一生懸命努力して、足りない財源の中からやりくりしてやっておる。その結果として保険会社がもうけて、その金をビルディングを建てるのにつぎ込んだり、あるいはそのおもな融資先というものはやはり大資本である。だから、地方から金が集められて、そういう大資本の方に流れておる。その陰には地方団体の消防が大きな犠牲を払っておるわけです。このばかばかしい関係をわれわれはこの際、新しい民主主義の世の中なんですから、そんなばかげたことはやめてしまわなければならない。保険料の検討ということを言われましたけれども、今までも大蔵省は検討をしておるはずです。その結果、今のような結果が出ておるのです。検討しなければもっとでたらめなことになったと思う。だからこれはいわゆる根本的に検討しなければならぬのです。もしもそういうことを大蔵省が検討なさらぬというならば、これは地方財政の立場からも、消防とかそういう事業に関連のあることでありますから、保険の仕事を公共団体でやるということにして、そうしてその金をばやはり地方財政の一助とする、あるいは住宅なり消防の資金にするということを、これは当然地方行政の立場からも考えざるを得ないようになってくるわけです。こういう一事から見ても、私は、大蔵省はどうも地方行政に対して十分な理解がないのじゃないか。その一例としてこれを申し上げたわけでありますから、もっとこの問題はまじめになって御検討願わなければならぬ。そうでなければやはり大蔵大臣は金融資本の代弁者である、こう見られても仕方がないだろうと思います。
  44. 坂本泰良

    ○坂本委員 これは二十七、二十八の二ヵ年度くらいでけっこうですが、火災保険会社の保険料の総額と火災が生じて支払った保険額、なお保険会社自体が他に融資している金額、融資先、この点の資料をお願いしたいと思います。  それから先ほどの北山委員質問に関連するわけですが、スキャンダルを起した造船補償金とかあるいは鉄鋼の補償金、いわゆる利子補給ですが、これはいわゆる旧債務の整理と同時に、新しく資金を貸し付けてその事業の運営をはかっておるわけです。ところが今回の地方財政再建促進整備法は単に今までの債務の三百億程度の整理にすぎない、整備まで入っていない、一つのたな上げと申しますか、それだけにすぎないわけです。ですから、少くとも先ほど大蔵大臣が言われたように、地方財政再建考えるならば、従来の赤字の解決と同時に今後の地方自治体の運営についてもまた見なければ、ほんとうにめんどうを見たことにならないと思います。ですから、営利会社地方団体とは違うように思いますけれども、現在地方公共団体も経済的な面から見ればやはり一種の営利的企業体とも考えられる面もあると思うのです。造船とか鉄鋼は営利会社であり、それに対しては再建に何百億という金を出しておる。そういう点から考えると、地方公共団体再建整備については単なる旧債務の処置だけではなくて、今後の運用についての資金面まで考えなければならぬと思うのですが、その点についてはいかにお考えですか。
  45. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 お答えしますが、火災保険会社と消防とが関連がないというふうに言うのではありません。また先ほどの保険会社の公営という考え方を原則的に私は否定するものではないのでありますが、しかしこれは単に地方財政についてどう寄与するかという問題だけではなく、企業のあり方に関する問題にもなるのでありまして、従いまして、とくと検討を要するというふうに申し上げておるのであります。  なおただいま関連して御質問のあった整理もやる、また新しく仕事もしなければならぬ、これには新しい資金が要るじゃないか、これは私もごもっともと考えております。特に押える気持はありませんが、ただ事業体の場合には、これは生産体でありますから、次々に新しい事業資金というものが要りますが、むろん地方公共団体等もそういう面については考えなくてはならぬと思いますが、大体においてこれは消費体であるのでありますから、ただ新しく金を注ぎ込めばすぐ地方が生き生きとしてくるというわけでもないので、へたをすると、またそのために新しい赤字が累加されていき、少しも従前の悪いところが直らぬということもあり得るのではないか、そういう意味におきましてよく検討を加えた上で出すべきものを出す、かように考えておる次第でございます。
  46. 門司亮

    ○門司委員 今保険会社の問題が出て、いろいろ議論されておりますが、自治庁長官にお伺いしたいのですが、今北山君から言われましたような実情があって、実際問題としては地方の自治体が困っていると思いますが、自治庁としてこれをどうお考えになりますか。自治庁の今監督している——監督というと語弊がありますが、地方自治体の中に、御存じのように公営の建物については自家保険をやっておりますし、これの利潤は今年で大体十億くらいになっていると思いますが、もし一般の火災保険が公営火災保険に切りかえられた場合には、私は単に地方財政の総合的関連性でなくて、地方財源に対するかなり大きな寄与をする一つの財源になりはしないかと考えるが、そういう点について何か自治庁はお考えがございますか。
  47. 川島正次郎

    川島国務大臣 現在地方財政が負担しておるのは約二百億、そのうち三十億近くは東京都の負担であります。数年前東京都では公営保険を考えまして、いろいろ運動したようでありますが、結局実現を見なかったのは、御承知の通りであります。現在の損害保険会社が、非常な暴利をむさぼっているとは私は考えませんけれども、相当いい利潤を上げていることは、否定することのできない事実であります。保険会社地方財政に寄与している点は、税金の面において法人事業税で約一億円程度であります。今回改正案を出しておりまして、幸いあの改正案が通過いたしますれば、多少それにプラスになるような数字が出るかと思うのですが、それ以上は損害保険会社としては、地方団体財政に対する寄与は今日はないのであります。従いまして、ただ保険会社が利益があるからといって、保険料金の値下げだけでは、地方財政の立場から見ては決して満足ができないことは事実であります。しかし公営保険が果して適当な事業であるかどうかということについては、まだ私としては研究はいたしておりませんけれども、十分これは研究に値する事項だと考えておりますから、なお研究いたしてみます。ここで結論を申し上げることは差し控えさしていただきます。
  48. 門司亮

    ○門司委員 これは私からさらに御参考までに申し上げておきたいと思いますが、実際は保険のあり方でありまして、保険が始まって約七十年をこえておるかもしれませんが、普及率は大体一割八分程度です。従って住民の八割以上というものが、災害のときに非常に困るわけです。困って参りますとそれのしっぽはどこにくるかといえば、やはり地方の自治体が非常に大きな犠牲を払っておるということは、御存じの通りであります。従って一面から考えて参りますと、社会政策的にということと、それから地方の自治体が住民の持っておりまする生命財産に対する保障といいますか、これはやはり保護することは当然でありまして、そういう観点から考えて参りますと、これらの事業はやはり当然公営に移した方が、地方の自治体の荷も軽くなりますし、住民の利害の関係から申し上げましても、非常によくなるのじゃないか。しかし長い間引つばって普及ができていないということは、一つは非常に保険料金が高いということと、それから最も大きな問題はここに基因しているのでございましょうが、少額の所得者はどうしても保険をつけられない。そうすると、国の建前の上から申しましても、これは非常に大きな住民の損害でありまして、たとえば最近における最も大きな火災といわれております北海道の岩内の状況を、ごく簡単に調べてみましても、焼失戸数は三千三百戸であって、保険をつけている戸数は、わずかに六百三十口であります。損害の総額は九十八億に上っておりまして、保険金は三億五千九百万円しかつけておりません。こういう事態が出ております。従って、今大蔵大臣は、一つ企業体だからこれを云々ということでございましたが、私どもは国民の立場から考えて参りますと、これらのすべての人が救済される施策がやはり必要だと思う。そう考えて参りますと、この火災保険事業に対する一つ考え方について大蔵大臣にはっきり聞いておきたいと思いますが、今私が申し上げましたことは、一つ企業体というものを中心とした考え方でなくして、社会政策的に、住民の生命財産を国が守ってやるという一つの立場から考えれば、今日の一企業である保険会社にまかしておけないと私は思う。従って大蔵大臣としては、これを単なる一つ企業としてお考えになっていい事業であるか、あるいは国が国民の生命財産を守ろうとするならば、相互扶助的の一つの施策を行うことがいいとお考えになるか、その根本の問題を一つ大臣から聞かしていただきたい。
  49. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私が申し上げましたのは、お話のような考え方が悪いというのでは決してないのであります。そういう考え方も十分成り立つと私は思うのであります。しかしそういうことは、企業のあり方、また企業として考えるんじゃなくて、企業のあり方に関係する、言いかえれば経済に関する基本的な考え方に関連を持ってくる、こういう意味におきまして、今日の経済の考え方の違う立場がいろいろありましょうから、そういう見地からとくと考慮をしてみなくちゃならぬと申しているだけで、何もお考え方が悪いなんと考えているんじゃない。また皆さん方からお考えがあれば、非常に進歩的でありましょうし、また同時に非常に社会性を持っている一つ考え方だ。私も別にそのこと自体については悪いとは思わないのです、ただ全体の関連において十分検討の要がある、かように申しているのであります。
  50. 川島正次郎

    川島国務大臣 地方自治体の立場から考えまして、門司さんなり北山さんの御意見、私も賛成はいたすのでありますが、現在の保険事業はいずれも再保険をいたしておりまして、危険の分散をいたしているわけであります。先般東京都で考えたのは、東京都限りの保険事業でありまして、万一東京都に大火災の起った場合においては、東京都は破産しなければならぬ、こういう事情もあっておそらく成立しなかったんじゃないかと思うのでありますが、営利会社仕事と違いまして、事情の全く異なった公共団体が、そういう事業を施行することの可否ということについては、相当考究の余地があるんじゃないか、こういうふうに考えまして、私はこれは考えてみたい、ほんとうにそう思います。
  51. 大矢省三

    大矢委員長 それでは一時になっておりますが、大臣は一時半から三時半まで出席できるそうですから、大急ぎで食事をしてもらって、一時半から三時半まで続行したいと思います。午前の会議はこの程度にして、一時半に再開することにいたします。  これで休憩いたします。    午後零時五十九分休憩      ————◇—————    午後二時九分開議
  52. 大矢省三

    大矢委員長 午前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。これを許します。鈴大直人君。
  53. 鈴木直人

    ○鈴木(直)委員 私は自由党でありますが、二、三の点について御質疑をいたしたいと思います。  現在の地方財政が破局の寸前にありまして、今この根本的対策を講じなければ、将来地方自治体は財政難に陥って、その機能が停頓してしまうであろうという見通しにつきましては、政府と同感であります。従いまして何とかしてこの機会に抜本的な対策を講じてその着手をいたすことが必要であるという点についても同感であります。またその方法として二十九年度までに積み重ねられたところの赤字を一応たな上げをして、それと同時に三十年から赤字の出ない地方財政計画を打ち立てていこうという点についても、これまた当然のことであって同感であります。従って私としてはぜひこの二つの対策をりっぱにやりとげていきたい、また政府にもそうしてもらいたいという念願を持っておるわけであります。その方法として、今回再建整備法において二十九年度末の赤字を解決するために措置がとられ、また三十年度の地方財政計画も立てられ、自治法の改正等も提案されているのでありますが、私たちはそれについては真剣にその内容を検討して、できればりっぱなものにしていきたい、こういうことを考えているわけであります。もちろん現下の地方団体責任者におきましては、この法案を通じましてこぞって反対をいたしております。その反対するところの要点についても十分了解をいたしておるわけであります。この再建計画は実施するのは地方団体でありますから、地方団体が心から喜んで再建に邁進するということが根本的なことであると思いまして、この反対に対しましてはある程度了解を得て、そうしてこれならば私たちはやっていこうという結論を出したいと考えておるのであります。こういうような立場から二、三質問をいたしておきたいと思うのであります。  まず第一に再建法についてであります。この点につきましては地方においてやるべきこと、国においてやるべきことがあるわけでありますが、この際におきましては、地方においてやるべきことについては申し上げる必要がありませんからお伺いいたしませんが、国においてやるべきことについて二、三疑問の点がありますので、念を押しておきたいと考えるのであります。また中央の内閣といいましてもそれぞれ主管官庁がありまして、あるいは自治庁長官あるいは大蔵大臣等両方において一致した了解、方針のもとにこれを進めるのでなければ、せっかく法律が通りましても、中央において意見の相違があってはこれまたなさんとするものがなされなくなるのでありまして、この点から私は大蔵大臣が本日しか来られないということでありますから、一応大蔵大臣に、二、三お聞きしておきたい思うのであります’。  その第一点は、先般自治庁長官におきましてこの再建整備法の整備方法といたしまして言われた点について、大蔵大臣からもお聞きしておきたい点があるのであります。それはこの再建整備法によって解決せんとするところの赤字は二十九年度の赤字ということになっているが、二百億というものを引き当てたのは二十八年の赤字四百六十二億を基礎として引き当てたものである、その後三十年度の赤字におきましてはこの秋ごろにきまるかもしらぬが、まだはっきりしておらない、そこでこの二百億の点については、百六十億程度は地方に分散している赤字であるから、これは自力で再建できるであろう、従って再建整備法によってするのは三百億見当であるという考え方である、そのうちの百億は二十七年度以前における直轄事業地方負担分がある、その地方負担分を二年ないし五年程度にまで納めることを延期させるということで解決ができるのだ、そうすると残るのは二百億である、こういうようなことになっているのであります。この二十七年度以前における国の直轄事業地方負担分の百億について検討すると、百億はない、七十億くらいかもしれない、あるいは赤字団体再建整備団体の分だけを見ると、まだはっきりしないということでありましたが、その数は幾らになっておるかわかりませんけれども、その分については別途に交付公債なり、あるいは数年間の分轄払いをするということに両省の間において話し合いがついておるから、あとの二百億というものを取り上げたのである、こういう自治庁側の答弁でありました。そういう、ようなことが大蔵省の了解も得ておるということでありましたから、この点は果して大蔵大臣においてそういう処置をとるということになっておるかどうか、そしてそういう処置をとる場合に、法律でなくてもできるかどうか、この点を一応お聞きしておきたいと思います。
  54. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 今回二百億を取り上げていたしましたのは、これは今お話のように二十八年までの赤字を一応たな上げするのでありまして、二百億を取り上げればよかろう、こういうことになっております。  なお今御質疑の点、いろいろとこまかい点もあるようですので、政府委員から答弁いたさせます。
  55. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 お答えを申し上げます。御指摘の点につきましては、ただいま大蔵大臣からお答えになりました通りで、再建整備計画対象になるものを二百億と見ましたわけでございますが、四百六十億のうちからどういうふうにはずしたかと申します点につきましては、まず実質的な赤字といたしまして、赤字範囲を限定する点において相当のふるい落しをいたしました。次にたとえば府県市町村につきましては三カ年以上あるいは四カ年以上の整備計画を必要とするようなものを対象にするというふうなふるいをかけたわけでございます。さようなふうにしてしぼりまして、ぎりぎり二百億というものを、私どもとしましては再建整備計画対象として算定いたした次第でございます。
  56. 鈴木直人

    ○鈴木(直)委員 ただいま大蔵省答弁によりますと、いろいろ算定の結果、二百億で大丈夫ということになったということでありますが、自治庁長官は、対象は三百億である、しかしながらそのうちの百億というものは、国の直轄事業地方負担分になっているんだ、その直轄事業地方負担分は、それを分割払いないし交付公債にしてもらうという大蔵省の了解を得てある、閣議では了解を得ていない、各省大臣の了解も得ていない、しかし大蔵省とは了解を得ておる、だからその点はそれで解決したものとして、あとの二百億というものを組んだ、こういうようなことを二、三回答弁しておるのであります。ところが今の大蔵省答弁によると、直轄事業というものは、全然地方負担については触れておらない。ずっとしぼった結果、二百億になったんだというようなことであって、その点の食い違いはどういうふうになっておりますか。
  57. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 どうもたびたび政府委員のそろいが悪くて恐縮なんですが、これまた実は理財局の所掌になっておりまして、ただいま参っておりませんが、追って参ると思っておりますが、この点は私どもの間接に承知いたしておるところを申し上げますと、まだ自治庁財政部と私の方の理財局とで話し合いを進めておるということであります。最終的にそういう結論に到達したというふうにはいまだ承知しておりませんが、そういう線において折衝を進めておられるということは伺っておるわけであります。
  58. 鈴木直人

    ○鈴木(直)委員 そうなりますと、自治庁長官が御答弁になりましたが、私は大蔵省側にも念を押しておかなければならぬと思っておった点なのでありますが、三百億が再建整備の対象になるんだ、しかしながらその百億は国の直轄事業地方負担分で、それは大蔵省方面と了解がついて、それを二年ないし五年の分割払いに延期してもらう、交付公債ということは言われませんでしたが、そういう処置でもって片づいたんだ、あとの二百億をこの対象にしたのである。こういうことを長官も言われたし、財政部長もはっきり言われておる。その点を一応念を押しておかぬと、今度スタートする場合に、非常にまた政府部内においていろいろな点があっては困ると思って、実はこの際お聞きしておくわけなんです。
  59. 後藤博

    ○後藤政府委員 お答えいたします。先ほど申し上げましたように、四百六十二億の中で、府県、五大市は大体再建計画を三年以上を要するところだけ、それから市町村につきましては、四年以上を要するところだけをとりますと、約三百億になります。この三百億の中で当該団体の直轄分担金と、われわれが見まして赤字と称し得ないようなものがございますが、そういうものを差し引きますと、約二百億になる。その二百億の財源措置を要する、こういうふうに考えたわけであります。直轄分担金は、これは未納の状態に置く限りにおいては、金がすぐ要るわけではありません。従ってそこからはずしたわけでありますから、直轄分担金の分については話し合いを続けていって、これを将来に延ばしてもらう、そういうことについては一応了解ができている、こういうふうに申し上げたのであります。
  60. 鈴木直人

    ○鈴木(直)委員 そうなりますと、その百億の中の再建整備団体に指定された団体で持っておるところの直轄事業の分担金は、幾らあるかわかりませんが、その分については、将来大蔵省と折衝をして延ばしてもらうことの了解を得たということですか。この前は、そういう了解ではない、大蔵省と折衝の結果、延ばしてもらうという了解を得たので、二百億にした、こういうことです。
  61. 後藤博

    ○後藤政府委員 これはちょっと説明を要するのであります。実は二十七年度の分担金の未納額は約九十五億になっております。昨年、この九十五億円を一時に払うことができませんので、二年ないし五年の分割払いに一応直したのであります。一応直しましたのを、さらに引き延ばそうということになっております。従って九十五億円が赤字の中に従来は入っておりますけれども、実際は現在では二年ないし五年の分割払いの形式でもって支払っておるわけであります。少いところは二年、多いところでは五年、こういうことで延ばして払うことになっておりますから、その分だけ赤字が減るという計算にも一応なります。しかしこの苦しいときでありますから、さらにそれを引き延ばそう、こういう問題でありまして、一応の引き延ばしはしましたが、足りませんから、さらに多いところについては延ばそうということを考えておるということを申し上げたのであります。
  62. 鈴木直人

    ○鈴木(直)委員 それはよくわかりましたが、そのことについて大蔵省と了解済みであるということだった、この点はどうなんですか、もし了解をしなければ、今はっきり了解するかしないか答弁をしてもらいたい。それでなければ、うその計画になる。
  63. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 お答え申し上げます。この分割払いにつきましては、現に実行中でございます。ただその分割払いをどういうふうに延ばしていくかという問題につきましては、これは国の歳入に関係しまして、地方側だけの御事情というわけにも参りませんので、いずれ来年度以降の予算を決定いたす場合に、歳入をどうきめるかという問題としてはっきりきめたいと存じますが、しかし方向といたしましては、大蔵大臣もたびたびお答えになっておられます通り、地方団体再建整備については大蔵省も積極的に御協力を申し上げたいということでございまするから、それらの点をあわせまして、今後慎重に検討をして参りたい、かように考えます。
  64. 鈴木直人

    ○鈴木(直)委員 そうすると、三十年度はどうなりますか。自治庁は、知らぬふりして、納めなくともいいということを地方団体に言うつもりなんですか。
  65. 後藤博

    ○後藤政府委員 三十年度は、国の一般会計の歳入にちゃんと上っております。従ってこれを三十年度に払わないということになりますと、国の歳入に影響しますから、ことしは支障はないけれども、来年度から引き延ばしてもらうということで、一応私の方の事務的には話ができておる、こういうふうに私どもは承知しております。実際は三十億くらい払うものもあるのではないかと思いますが、国の一般会計の歳入にはたしか二十七億か八億上っております。先ほど申しましたように九十五億のものが現在では八十九億になっております。八十九億のうち先ほど申しましたようにそれを二年ないし五年に引き延ばして支払うということになっておりまして、年額二十七、八億、大体三十億程度払う、こういうふうに一応引き延ばしております。その引き延ばしたものをさらに延ばしてもらうという話をしておるということを申し上げたのであります。
  66. 鈴木直人

    ○鈴木(直)委員 大蔵大臣がいないときにはばかに勢いがよくて、大蔵省とは了解済みだというような答弁をしておるから、どうも信用ができないと思って実は大蔵大臣の前で確かめておきたいと考えたのでありますが、今のお話によると、どうも自治庁は弱いですな。いつもその通りだからだめなんです。何にしてもとにかくこの問題は解決してもらいたい。そうしなければ二百億というものはできない。そういうことの前提のもとに二百億というものができたのでありますから、その点は一つ政府自体として解決してもらいたいということを希望しておきます。  第二は、あとの二百億の分でありますが、この点についても非常に心配でありましていつも政府は公約してこうやるというけれども実際はそうやれない。ところが地方団体赤字というものはそう待っておられない状態でありますから、かりにこの法律が通って結論を得たという場合には、これを実施しなければならないということになりますが、この残りの公募債の百五十億ですか、この点は非常に心配なので本会議でも大蔵大臣にお聞きしたのでありますが、これはすでに借りているものであるからそれをそのまま長期債に切りかえて来年百五十億を政府資金に切りかえるんだから非常に簡単なんがというようなお話でありましたが、今までの赤字は縁故募集などで、それをそのまま長期債に切りかえるということができる状態なのかどうか。それを一方返してほかから公募するということになるのではないか。長期債でほかから借りてそれを返してやるという処置をする必要があるのじゃないかというふうに考える。そうするとほかから百五十億借りるという点について非常に困難があるのではないか。本年度の二百億の交付債ですら先般五十五億くらいしか交付されていないんだから、そういう切りかえが非常に困難ではないか。そしてその切りかえのために地方団体が大騒ぎをすることになりはしないか。その点はどのように安易に切りかえができるようにされるのか、お聞きしておきたい。
  67. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 詳しく実態を見ればいろいろあろうかと思います。しかし原則的に、金額にしても大部分のものはもう借入金になって、もう仕事をして赤字になっておるから債務の関係になっておりまして、これが銀行借入金になっております。これが翌年度は預金部が肩がわりするのでありまして、今までどうなるかわからなかった自分の債権が一応地方債になって翌年は現金になるのですから、これは私はスムースにいくと思います。それからその他いろいろな点がありましょうが、そういうふうな点を考慮しまして、今回はこういう地方債の消化について特にあっせんをする、名前は私的確に覚えておりませんが、地方債消化促進審議会というのを各府県に作りまして、そうして日本銀行やその他の関係者もこの消化について十分あっせんをしよう、こういうような措置で私は大体所期の円的を達成するだろうと考えておるわけであります。
  68. 鈴木直人

    ○鈴木(直)委員 実は二十九年度の赤字を、自治庁から出しているのを見ると百六十億というものは繰り上げ補充になっている。おそらく三十年度の収入あるいは交付税とかいろいろもらったものをそっくり繰りかえているのではないか。ですから実質赤字は少いという状態になっている。これは一般補充、銀行から借りているのをそのままそっくりできるのではなくて、新しく借りる先を見つけなければならぬというのが非常に多いと思うのです。そういう点については両方で一つ努力してもらわなければならぬと考えているわけであります。  それから次は三十年度の一般公募債が二百三十億ある。二百三十億の一般の公募債の消化は非常に困難であると思うのです。大蔵大臣は非常にいい、そんなことは大丈夫だということでありましたが、そこで一応お聞きしたいのは、今度資金委員会というものができるということです。今法案の研究中だそうですが、この資金委員会は今度の貯蓄額の二割のほとんど全部を財界方面産業投資におやりになるということですが、この二百三十億の方面にも計画を立てるというような方針で進んでおるかどうか。この方面に幾らかのものが振り向けられれば、二百三十億の分もできると思うけれども、その二割というものをほとんど全部産業投資の方に使うという資金委員会計画であるとするならば、その方面から非常に押されて、そしてこの二百三十億の一般公募債というものは消化不能になるのではないかということを考えるのですが、その点の資金委員会計画についてお聞きしておきたい。
  69. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 ごもっともな点であると思いますが、ただいま資金法の内容について検討を加えておりまして、お説のような点も十分考えているのであります。
  70. 鈴木直人

    ○鈴木(直)委員 自治庁長官においても資金委員会資金計画について地方債公募債の消化ができるような考え方を持って進めていってもらいたいということを一応希望しておきます。  次に二十九年にできたところの赤字でありますが、この赤字については二百億の中に入っていないことははっきりしている。これがこの前の質問によると、この秋にはできるということでありますが、そのころに結論が出たならば、その分に対してはどのようないわゆるたな上げの計画を立てるのか、この点をどちらからでもけっこうですからお聞きしておきたい。
  71. 川島正次郎

    川島国務大臣 ただいまの資金措置は二十八年度末の決算四百六十二億に対してするだけでありまして、二十九年度に出た赤字は、今日の推定は大体百二十億という御報告を申し上げたのですが、再建促進措置法によりまして地方再建計画が進みまして二百億じゃどうしても足りないのだ、再建団体になる地方が多くて足りない場合には、どうしてもこれは措置しなければ法案目的が達成しないのでありますから、これは当然措置をすべきものと考えます。その場合には大蔵省と交渉しまして、一応公募債の形でもって地方の希望を満たしてやることが私は絶対に必要かと考えますが、前回もお答え申しました通りそれはそのときになりまして、どのくらい足りないかということを計算した上に大蔵当局と折衝するつもりであります。法案目的からしまして、地方再建団体にたる希望があるところは、全部包容いたしましてそれに要する資金は供給するということが、この法案の精神でありますからして、それだけの措置をとることは政府としても必要だ、こういうふうに考えておりますけれども今日のところはいかなる団体が、どれだけの資金を使っていくかということは決定いたしませんから、一応二百億ということでスタートするということを前回も申し上げたのでございますが、そういうつもりでおります。
  72. 鈴木直人

    ○鈴木(直)委員 決定すれば公募債でやるということでありますが、それに対しては私は反対です。先ほど何回も申しました通り、とうてい公募債ではやることができないことになっている。この前通った予算によると、財政融資の百二億が保留されている。もちろんそのうちの二十億は、自由党と民主党の共同でもって、地方負担分として二十億がそこから出るのだと思いますが、少くとも政府財政融資財政資金でもってやらなければ、これは不可能だと思う。公募債なんかでやったって、これはできない。百五十億は法律の中に公募債について裏づけがあるが、これもはっきりしていない。来年ということでなしに、なるべくすみやかな時期ということになっておる。大臣においては三十年度と三十一年度において切りかえるというのでありますから、そういうふうに解釈しておるのですが、裏づけのない公募債を出したって、地方が混乱するばかりだ。だからそういうような考え方を今ここで表明されては困る。そのときにはやはり政府資金なり別途の考え方を持つという考え方を一つ今から持っていてもらわなければいかぬと思うのですけれども、国の資金計画がいろいろありますから、その通りいくかどうかわかりませんが、公募債なんということを今表明されては、私たちがこの法案審議し、通す場合のじゃまになる。だからその点は大蔵大臣なり自治庁長官から、もう少しはっきりした答弁を得ておきたいと思います。
  73. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 二十九年度の赤字はどのくらいになりますか、これは今自治庁長官が数字でだいぶん明確にお話になったようでありますが、これはもう少し推移を見ないと、必ずしもはっきりしません。出た場合にはどうするか、これは金額にもよりますが、全体として三十一年度の予算編成にもすぐかからなくてはならないと思いますので、その際にそういうものも洗いざらいしまして、これを一体どうすればいいかということを根本的に考えてみよう、こういうふうに思っております。財源的措置等をどうするかにつきましては、なお私はそういう考えを持っておることを申し上げられますが、それから先はもう少し具体的に考えないといけません。これは自治庁長官も大へんお苦しい立場にありますし、一つよく御相談申し上げ、もう少ししっかりした基礎の上に地方公共団体財政を置きたいと思っております。ただ同時に、ほんとうに今回は地方公共団体自分財政をどうすれば健全になし得るか。こういうところに間遣いがあるとすればあった。私は地方公共団体を責めるのじゃないのであります。国の方にも悪いところがあったでしょう。双方の責任を言っておるわけじゃないのです。双方で力を合せてどうすればよくなるかということについて、ほんとうに私は考えている次第であります。
  74. 鈴木直人

    ○鈴木(直)委員 地方団体のなすべき点については、私はこの際は触れないということを前提として先ほど来質問しているのであって、地方公共団体がこの際に財政引き締めの措置をとる必要はないということを申し上げてはいない。これは喜んで全国の地方団体財政措置をとるという気持を起させることが大切であるということを申し上げてあるのです。そういうことになるためにわれわれもこれを審議していきたいということを考えておるのであって、地方公共団体側においてなすべき点については、また別途の機会にわれわれもいろいろ研究してみたいと考えておるわけですが、少くとも政府でなすべき点について今お聞きしているわけです。二十九年度はそれができた場合にはいろいろ地方財政との関係によって真剣に考えてみたいというふうに大蔵大臣が覆われたということを了承して次に移ります。  この法案の中に政府がやることを約束しておる条文があるのです。それは十七条に、再建整備団体の中で特定のものについては——これは非常に苦しい再建整備団体ということになるんですが、それについては、国の負担金ですね、直轄事業地方負担金あるいは国の助成金、負担金というものがあるのですが、その分は政令に定めるところにより別途の措置をする。負担金を負けてやる、かりに普通なら三分の一負担するものをもっと少くするとか、あるいは二分の一負担するものを三分の一にするということと了解をしておるわけです。そういうことはその条文にあるように確かに実施いたしますかどうか。その条文を見ますと、非常にしぼってある。再建整備団体の中で五カ年以上の財政再建を必要とするものとか、いろいろしぼっておる。普通の赤字団体でもない。再建整備団体の中の最もひどいものというふうになっておる。そういうふうにしぼったところによると、その点についてはその条文は必ず実行するという国の約束であるというふうに了解するわけですが、大蔵省側とも了解ができておるようなこの間御答弁でありましたが、そういうふうになっておりますかどうか、お聞きしておきたい。
  75. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 よく実情に応じまして、国の負担分をふやすとか、これは実行いたすわけであります。
  76. 鈴木直人

    ○鈴木(直)委員 次にこの再建整備法に基く予算は、利子補給——公募債の六分五厘をこす部分について二分までは補給するということになっておりますが、その予算は七千五百万円しかないです。これを計算しますと百五十億にしますと平年度なら三億になっておる。七千五百万では四分の一。計算すると来年の一、二、三月分というふうに計算されるのですが、この計算の基礎はどういうところに置いてありますか。
  77. 後藤博

    ○後藤政府委員 私どもといたしましては、大体十月ころ、指定日の最初は十月一日くらいじゃないか、かように考えまして、それから、初めは少いのでありますが、だんだん多くなっていくという計算をいたしますと、平均で見ますと三カ月くらい、こういうことになりましたので、三カ月分の七千五百万円、こういうふうに計算したわけであります。
  78. 鈴木直人

    ○鈴木(直)委員 この再建整備が、公募債によって仕事が始まるのは、十一月以降ぐらいにぼつぼつ始めるということになりますが、公募債補助は四分の一きりしか計上されていないんだから、そこから見ると一年の四分の一ということになるのですから、これはずっとおくれてしまうと思うのです。その間における地方財政措置はどういうふうにつないでいこうとされるのか。
  79. 後藤博

    ○後藤政府委員 再建整備団体には指定日以後だけ利子補給をするわけでありますが、それ以前の状態は現在と同じように利子補給がない状態が続きます。従って早く再建整備計画を立てまして、実施しますのは、今から予想しまして大体十月の一日が一番早いんじゃないか。いろいろ手続もかかると思いますから……。従ってそこを起点にして計算して参りますと、平均三カ月くらいみておけばいいんじゃないか、こういう結論になるのであります。それ以外の団体につきましては従来と同じに考えていけばいいと思います。
  80. 鈴木直人

    ○鈴木(直)委員 次にちょっとお聞きしておきたいと思うのですが、この法案によりますと、再建債を借りることができる、許可を受けることができるのは、再建整備団体に指定されたものだけなんです。その数は、何か府県においては十五とか、市においては幾つ、町村においては幾つというような予定されたのがありましたが、この地方赤字団体から見ますというと、きわめて少数な赤字債券を借りられれば、再建整備団体ということに指定されなくても楽に復旧できる。今では赤字債券はやることができないという地方財政法の建前になっておるけれども、少しでも、あるいは一千万でも二千万でも赤字債券を発行することができれば、再建整備団体にならなくても非常に楽になるという団体が多いと思うのです。そういう部分についてはこの法律によって再建整備債、いわゆる赤字債券というものは発行できないことになるのですが、そういうものにも幾らか借りることができるような改正措置の必要はありませんか。これは自治庁長官にお聞きしておきたいと思います。
  81. 後藤博

    ○後藤政府委員 赤字団体のうちで、再建整備債を起してそして赤字整理をする団体と、再建債を起さないで自主的に再建計画を立てて、やる団体と分けておるわけであります。従ってその再建債を起してやる団体の総額が大体二百億くらいと推定いたしまして、その所要額だけを現在財源として見ておるわけでありますが、それ以外の団体は大体再建債を借りないで、自主的にやれるのじゃないか。先ほど申しましたように、府県、五大市で申しますと大体三年以内で赤字が片づくのではないか、それから市町村で申しますと大体四年以内で片づく程度の赤字でありますから、別に利子まで払って金を借りてやらなくても自主的にやれるのじゃないか。そういうふうに各府県、市町村の間でも、借りないでもやれる。ただある程度の再建債を借りて赤字の克服をしていこうとする団体と同じ規定の適用を受けさしてくれ、こういう希望があるのであります。金がほしいということだけでなくて、むしろ同じような法律の規定の適用を受けさしてくれという希望がありますので、できるだけその要望に沿った法律案になっております。
  82. 鈴木直人

    ○鈴木(直)委員 時間がなくなると恐縮ですから、もう一点だけお聞きしておきましょう。この法律によりますと、たとえば百億の予算を持っておる団体があって、そのうち四億程度赤字がある。それを借りるだめに七カ年の財政計画を立てて、そして自治庁長官の条件を付せられて承認を受け、予算とこの再建計画を調整しなければならぬ、その後ずっと七カ年というものは一切の拘束を受けることになる。たとえば百億程度の財政規模を持っている自治体が、数億程度の再建債を借りるためにそのように強い中央の束縛を受ける必要があるかどうか。大蔵省がうんとやかましいものだからというような話を——これは自治庁からは聞きません、ほかから聞いたのでありますが、大蔵大臣としてはそこまで銀行管理のようなやり方をしなければこういうことはできないのかどうか、その点を一つお聞きしておきたいと思います。
  83. 川島正次郎

    川島国務大臣 一応私からちょっとお答え申し上げます。再建団体に対する自治庁の監督権というものは、再建整備計画を立てましてそれを忠実に実行させるという範囲内でありまして、それ以外は一切監督はいたさないのであります。もしも長期にわたる再建計画が実行不可能になった場合においては、これに対して相当措置をしようというだけでありまして、それ以外において行政の各方面に対して監督をする意思も私はありませんし、またそういう規定もないのであります。ただ再建計画を実行させるという限度に限っておるわけでありますからして、私の見解だけを申し上げておきます。
  84. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私も自治庁長官の今の御答弁とそう変りません。何も金を貸したからやかましく言う、そういうふうな考えは毛頭持っておりません。ただ貸した金がほんとうに有効に使われて、借りた人のためになるという、そういう程度の考えであります。
  85. 鈴木直人

    ○鈴木(直)委員 両大臣の御趣旨はよく了解しました。ただ二十六カ条を見ますと、そう見えないところの条項が至るところにありますから、その点は両大臣趣旨を尊重して修正したいと思います。その点は御了承をお願いします。  次は三十年度以降の赤字について二、三お聞きしてみたいと思うのであります。きのう大臣は、三十一年度以降については赤字の出ないような財政的な措置をしたい、こういうことを言われました。きようもそれと思われるようなお話がありましたから、おそらく腹の中ではそれがきまっておると思います。もちろんその財政措置はいかなる措置であるか、これは想像はできませんが、あるいは交付税の税率を引き上げるという点にあるのではないかとわれわれは了解しておるわけでありますけれども、あるいはそうでないかもしれない。いずれにいたしましても三十一年度中におきましては大蔵大臣の言われるように、地方側も真剣になってこの財政危機を切り抜けていけるようなことを制度的にもやってみ、また国においてもそれを実施して赤字が出ないようにしていきたい、こういうことでありますから、これはその通りである。それでなければこのような法案を出す意味がない。これは実施されると思うのですが、この三十年度におきましてもこういうことが問題になっておる。現在給与の実態調査をしておる。二十八年度の決算によると、財政計画よりも実際の給与費は四百四十二億上回っておる。こういうことにつきましては、あるいは中央の監督がないために地方自治体がどんどん人をふやしたり、あるいは俸給を上げたりした結果である、これは制度の欠陥であるというふうに言われるかもしれない。あるいはそうかもしれない。しかしながら現実に四百四十二億というものはあるのだ。この実態調査をいたしまして、この秋にあるべき姿に返して財政措置をするんだということになっておるわけです。この条件のもとに先般の三十年度の地方財政計画というものは出されておる。そこに百四十億の赤字も実はあるのです。ところがこの秋において財政措置をすることについても大蔵省側の了解を得ておるのだという自治庁側の話であります。そこでそういうようになっておるのかどうか、そしてそれをどんな方法で一体財政措置をするのか、この点を大蔵大臣からお聞きしておきたい。
  86. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 この給与等の実態調査の結果が判明いたしますれば、給与自体の適正ということについても考えてみなくちゃならぬだろうと思うのでありますが、そうやってこの財政にどうしても不足が出るというような場合におきましては、この措置についてはやはり財政的に考えなければなるまい、かように私は今考えております。ただしかし国からの交付税をふやすとか、国の方からすぐもらうという考え方も御無理もないところもありますが、同時に府県と市町村との税のあり方が片寄っている点もありますし、それからまた国と地方との税のいろいろな問題もある、こういうような点もやはり私はこういう機会に適正ならしめるような措置を講じて、ずっと全体として考えていきたい、かように考えております。
  87. 鈴木直人

    ○鈴木(直)委員 社会党の質問もありますから簡単にお聞きしたいと思うのです。財政措置をやられるということははっきりいたしておりますが、その点はそういうふうに了解をいたしまして、次に三十年度の財政計画でありますが、これはいろいろ案がありまして、最終的には百四十億の赤字がある、こういうことになって閣議にそれが報告されたということを聞いておる。それは新聞に書いてあるので真実はわかりません。ところが閣議では赤字の出た財政計画を国会に出すことはまずいということで、何とか赤字の出ないことにしようということになって、一夜にしてできたというようなことを言われているのですが、この百四十億の赤字というものは全部地方側の節約になっている。この点については確かに節約が実施できるということを希望する、——自治庁長官は希望するという一辺倒なんですけれども、大蔵大臣は節約ができてこの通りいったら三十年度は赤字が出ないというふうにお考えになっておりますか、お聞きしておきたいと思います。
  88. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 詳しい点は政府委員から答弁させますが、私の聞いておるところでは自治庁の方ではいろいろの面で節約をしておるし、いろいろやっておるが、一応のやり方ではこれだけの赤が出る、しかしこれはこういうふうにして埋まるのだ、こういうふうに赤の出ることを非常に強調して、一面赤の旗を掲げておいて、あとで三十年度においては赤が出ないようにするのだ、こう持っていくか、あるいは初めから赤が出ないようにずっとやれば赤は出なくても済むのだ、こういうような話であったと私は思います。なお表現の仕方で、大いに地方公共団体を激励する意味からいえば、これだけ出るからうんと努力しなければならぬ、こういうことになるのじゃないかと私は思っているのですが、詳しいことは政府委員から答弁させます。
  89. 鈴木直人

    ○鈴木(直)委員 今の大蔵大臣のお話では、いわゆる山かけで百四十億の赤字が実際出るのだという数字を作って出して、そしてこれじゃいかぬというようなことにして、あるいは大蔵省に予算を多くとってもらうとか、あるいは地方団体の節約を強化するという作戦で、その百四十億の赤字を数字的に出すのだというようなお話ですが、自治庁はそういうようなことをやったのですか、その点をお聞きしておきたいと思います。
  90. 川島正次郎

    川島国務大臣 この問題は繰り返し私は申し上げているのですが、別に大蔵省を威嚇したり地方を威嚇する材料にああいうことをやったのではないのでありまして、二十九年度の財政計画を基礎にしてやれば大体三十年度においては百四十億の赤字が出る。しかし毎回申し上げるのですが、全部の公共団体ではございませんけれども、赤字に悩んでいる公共団体は非常事態ですから、すっかり財政運営を切りかえて赤字が出ないような財政運営をしてもらいたいのだ、これを期待をしておるわけであります。そこで百四十億の赤字を出したまま財政計画を組むか、それともこれを計画的に各項目に割当てて地方地方財政運営の基準を示すか、どちらがいいかという議論になりまして、結局後の方の各項目にこれを組み入れて計画的に地方に指示した方がよかろうということになりまして、お示しした地方財政計画を組んだのでありまして、私どもは百四十億の赤字が決して出ないとは言いませんが、出るとも言わない。地方の自粛によって出ないようにしてもらいたいということを熱心に希望し、またこれを知事会議その他へ要望しているわけでありまして、結論は三十年度の決算を見なければわからぬことでありますけれども、私どもはなるべく出ないことを期待しておるわけであります。決して初めから山をかけてああいうことをやったわけではないのであります。外に置くかうちに入れて計画的にやるかというだけの考えの相違でありますから、これも前にも御説明申し上げたのですが、そういうふうに御了解願いたいと思います。
  91. 鈴木直人

    ○鈴木(直)委員 その節約の中に、たとえば二十二億一千万というものを入れておるが、これは失業対策事業費の節約なんです。これはどういうものかというと、失業対策の中に資材を要するものがある。ところがその資材が高いために地方がそれだけ多く負担しておる。その分として地方は毎年二十億程度負担しておる。それをすぽっと一晩で削った。資材に対する地方の超過負担分というものは今度一切やらないようになっておる。そのような方法で今度の政府が重大目標とした失業対策事業が行われると思いますか。要するに資材費の地方の増加負担分の二十二億、これは昨年も二十二億負担しておる。毎年負担しておるのです。それをことしはぽっと百四十億から削っておる。そういうような方法で失業対策事業はやれると思いますか。その点をお伺いしておきたい。
  92. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 先ほど大蔵大臣から、今回の地方財政計画におきまして御計画になっております節約につきましては、これを国の今日の財政の切り盛りの状況等から考えましても実行していただくことを期待申し上げておるというお話が今ございました。それに関連いたしましてただいまの御質問でございますが、たとえばただいま御指摘の二十二億の失業対策事業の超過負担でございますが、これはお話の通り失業対策事業が今日きわめて重要な事業であることにつきましては私どもも全く異議はございません。そこで御承知のように本年度の国の予算におきましては特別失業対策事業費というものを労働省所管に大幅に計上いたしておりますが、建設省所管あるいは運輸省所管に移しかえて使用いたすことにいたしております。その場合、ただいまお話の資材費につきましては、これまた大幅に引き上げをいたしておりまして、特別失業対策事業は大体公共事業に準じてそれらの必要経費を計上いたしておるのであります。ただいま鈴木委員の御指摘の点につきまして、従来とかく失業対策はいわば非常に能率の低い労働者の方々を大体収容していただいておる関係もございまして、資材費を不当に——不当といいますか、失業対策事業としては適当であったのでありますが、多少能率を高めようという場合に、地方団体が超過負担をしておられたという実情があったようでございます。そこでこれらの点につきましては、ただいま申し上げました特別失業対策事業をこれにかえまして、できる限り地方に超過負担をかけないようにしていきたい、こういう配慮をいたしましてこの点は自治庁関係各省とも御相談になりまして、それらの点について是正をいたしたわけでございます。  なおその他のおもな項目でございますが、都道府県、市町村の旅費、物件費等の節約、これも国の節約と全く同じ率を期待申し上げておるわけでございます。また単独事業の節約につきましては、災害とか継続事業等真にやむを得ないものは節約の対象から除外をいたしまして、残りにつきまして物価の趨勢その他を考えまして、大体一割見当というところでございますので、これまた自治庁御当局からたびたび御説明があったと存じますが、大蔵省といたしましても国の予算の節約と彼此勘案いたしまして、決してアンバランスとは考えていない次第でございます。
  93. 鈴木直人

    ○鈴木(直)委員 最後にお聞きしておきたいのですが、三十年度の地方財政の切り抜けにつきましては、衆目の見るところ政府の期待にもかかわらず、相当赤字が出るということが考えられるわけであります。もちろん地方側におきましても新聞等によって見受けますと、各県において相当圧縮した財政計画を立てておるのでありますが、それにもかかわらず相当赤字が出ると思う。そういうことからしてやはり財源をどこかに求めなければならないという状態になって、各県知事などの意見を聞きますと、政府の予算は通りましても、予算を組むことができないという現状にあるというのが現実の姿であるのです。そこで地方交付税の税率の引き上げということの方向が幾らかでも見えるならば、それによって元気を出してやることもできるけれども、現在の状態においてはとうてい困難だという事態に到達している。こういうことからしてわれわれも地方交付税の税率の再検討を要しはしないか、そして少くともこの国会においてその再検討の着手をしたい。結論はこの国会においてどうなるかわからぬけれども、予算の関係もあるから少くとも再検討の着手をしたいというような考え方を持っておるのですが、それについての考えをお聞きしておきたい。
  94. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 先ほどからしばしば申し上げましたように、地方財政の状態ははなはだ憂慮すべき状況にあると思います。これはこのままに放置しておけばどうにもならなくなりゃしないかということを同じように心配いたしております。従って今こそ私はほんとうに真剣に考えてみたいと思います。先ほどから申しますように、いろいろな問題がここに提起されております。それらのものを十分検討いたしまして、また中央地方を通じてのいろいろの御意見のあり方、また地方自治の財源のあり方、いろいろあります。これらすべてを考えて今お示しの交付税ですか、これはあの建前からいたしまして、地方財政が困るからというので、そう税率をしょっちゅう変えたら、平衡交付金みたいになってしまって、これではとても地方財政がよくなるわけはない。この交付税の建前は守らなくてはなりませんが、しかし今申しましたようなあらゆる要素をここに持ち出して、今後ほんとうに地方財政はこれならいいだろうという状況下におくようにするには、交付税等の、妥当性についても検討した方がいいのじゃないか、ただ交付税というものにたよって地方財政の危機を救うというようなことはちょっと困難だ。今どうするかということはお約束はできませんが、気持を申し上げておきます。
  95. 門司亮

    ○門司委員 非常におそくなったのですが、大臣お忙しいでしょうから、ごく簡単に申し上げますが、しかし答弁のいかんによっては長くなります。あらかじめこの点だけは御了承を願っておきます。北山君、さらに同僚の鈴木君等からもいろいろ質問されておりますので、多くを聞く必要はないと思いますが、どうも質疑に対する答弁がちっとも核心に触れておりませんので、私は地方財政計画に対する大蔵省側の意見を主として聞いておきたいと思います。  先に聞いておきたいと思いますことは、赤字の解消については今も大蔵大臣がお述べになりましたが、真剣にほんとうに考えたいというお考えのようでございますが、これはただ真剣に考えようというだけではもう物はおさまらぬのです。大臣がお考えになっております構想は、さっきの答弁では今どうしようという考え方はないというお話でありましたけれども、そういうことでは事態が許されない事態に来ております。地方の公共団体の今日の状態というものはすでに御承知の通りでありますから、この際そういう抽象的なことでなくて、たとえば政府にこれの特別の調査する機関を設けるとか、あるいは幸いにして今あります地方制度調査会その他の機関もないではない、さらに自治庁の中には財務を担当する委員会が別にあります。これらの機関がずっとやってきて今日のような状態になっておる。従って大蔵大臣がもしこれをほんとうに検討されるというなら、一体どういう構想をもってこれを検討されるというお考えなのか、それをこの際明らかにしておいてもらいたい。まずここから明らかにしないと、いつまでたってもウナギ問答みたいなことで、話はまとまらぬと思う。われわれが三十年度以後赤字の出ないようにしてもらいたいということはそこにあるのでありますから、三十年度以後にはこういう構想のもとに赤字は出ないようにするのだということを、はっきりここで大臣はおっしゃっていただきたい。
  96. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 これはやはり地方自治体の実態を私は明らかにすることから始めようと考えております。
  97. 門司亮

    ○門司委員 実態を明らかにするとおっしゃっておりますが、もし大臣がそういう御答弁なら、地方の実態を明らかにすることがよければ明らかにされることもよいでしょう。それなら私はこれから大臣に一応聞きますから、一々明快に御答弁を願いたいと思います。それはこの前も申し上げましたように、政府のとっております一つの施策の中に、国では公債は発行しない、足りないものは全部地方で公債政策をおとりになっておる、将来地方の公債政策をおとりになる意思があるのかどうか、この点をまず先に聞いておきたい。
  98. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 これは結局地方債を発行するかどうかというお考えでありますが、これはむろん地方におきまして地方債によっていい地方行政が多分にあるのであります。これは私は認めていいと思います。
  99. 門司亮

    ○門司委員 大臣は今地方においても地方債で置いておいていいものがあるからとこういうお話であります。地方においてかりに建設的の事業と思われる事業、公企業とさらにこれに対抗いたして参ります一般事業、今日までの公債の実情を見てごらんなさい、どういう数字になっておるか。昭和二十七年度から二十九年度まで地方の自治体が要求いたしております負担金あるいは公債の申請額に対して、起債を許可いたしておりますのは、一般会計においては大体平均して五七%許可をしておる。今大臣がおっしゃる当然地方が起債でまかなうべきであると考えられるいわゆる公営事業その他のような事業を主体とした起債については、今までの関係からくるならば、平均して大体二三%内外にすぎないのであります。政府はこういう処置をとっておる。当然起債でまかなうと考えらるべきはずの事業に対しては申請額の二三%しか許可してない。数字をはっきり言えとおっしゃるなら数字をはっきり申し上げましょう。起債をしてはならないとわれわれが考えられる一般財源の方にたくさんの起債を許可してきておる。この起債政策の誤りが政府にある。だから私は聞いておるのである。政府は将来こういう誤りを犯されるかどうか、これを是正されるかどうか。
  100. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 今のお説は、仕事に比べて地方債の起債額が少いじゃないかというようにとったのでありますが、それでよろしゅうございますか。
  101. 門司亮

    ○門司委員 私が聞いておりますのは、大臣は、私の先ほどの質問に対して地方にも起債を認可してやるべき仕事があるから、それには起債をするというお話でありますが、その起債を認可すべき仕事と思われるのは、大体公企業その他の投資的財源についての起債が認めらるべきだと私は考える。一般財源にはできるだけ起債を抑制していくことが地方の健全財政をもたらす一つの大きな原因だと思う。ところが今までとってきた政府の態度というものは、個々の数字をずっとあげてみますると、起債をしてはならないと考える、起債はできるだけ抑制しなければならないと考える一般財源には申請額に対して五三%平均ずっとやっておる。そして起債をやってもしかるべき、地方赤字になっても苦労にならぬものだと考えられる公営企業その他については、ここ三年間の申請に対する起債の認可の状態はわずかに二三%しかしておらぬ。従って起債をする方向が全然間違っておる。大臣考えておるのとは全然違った方向に起債がされておる。こういう起債政策をとられるかどうかということであります。
  102. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 公営企業の起債を増加するという御趣旨にはもちろん私も賛成であります。そういう方向をとっていきたいと思っております。ただそうでないようなものを地方債でまかなっておる。これは私の考えでは、従来地方財政がこういうふうになってきたその結果がそういうふうに集約されておる。私もお教えを受けなれけばなりませんので、地方財政のことが詳しいわけではありません。特に研究したわけでもないのでありますけれども、私が銀行におったときから見ると、地方銀行等に来て訴えるところは県庁、市役所あるいは町村から金を借りに来る。しかも借りることを要請される金は大てい財政的な金で、それが借り入れになる。それがだんだん起債にのがれざるを得ないような形できておる。ですから私は、結果がそうなっておるからそういう方針をとっておるものと言われるが、そういう現象を招来したものを今回は突き詰めていきたい、起債自体を、公営企業等の起債を増加することはいいと思う。そのほかの方のふえるのを根本において滅したい、こんな考えでおるのであります。あるいはまた私が勘違いをしておるかもしれません。
  103. 門司亮

    ○門司委員 その次に聞いておきたいと思いますることは、今日までの地方団体に対しまする政府補助政策考え方であります。この前の委員会で申し上げましたように、地方財政の三つの大きな柱というのは、税金補助金とそのほか一千億余りの何といいますか雑収入がある、この三つが大体大柱になっております。ところが補助金の割合というものは、公共企業その他の点におきましても大体補助金相当額くらいの地方の金を要するわけであります。政府仕事をしようとして補助金を出す。そうすると地方がその補助金相当するくらいのものをやはり負担する、こういう形をとっております。そうしてその補助金の総額が、かりに昭和二十八年の決算額で見てみますと、大体二千五百四十一億余りになっておる。そうしてその年の歳出は九千六百八十二億という数字が出ております。これはちょうど二六%に当るわけであります。財政の二六%というものが補助金によってまかなわれておる。日本の戦前における地方財政が健全でありました当時におきましては、中央にたよる比率は非常に少くて、昭和九年、十年の例をとってみますると、大体地方財政補助金というものは一〇%にすぎぬのであります。九%をちょっとこえておるだけであります。最近の地方財政の最も大きな赤字というものは、一つは起債政策をとらなければならぬところに原因がある。十分の実財源を与えずにおいてそうして政府仕事をする。公共事業その他いろいろ考えるについては、負担を半分地方にさせていく。どうしてもこういうことをやらざるを得ない。こういうことが今日の地方財政赤字一つの大きな原因であると思う。もしそれがいやなら一切の仕事はできないということになる。こういう点について大臣はどうお考えになりますか、お聞きをしておきたいと思います。
  104. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私もその点は全く同感であります。今後地方財政の健全化をはかっていくために、自分たちの考えなければならぬ一番大きな点ではないかと思います。
  105. 門司亮

    ○門司委員 さらにその内容についてもう一つ二つ聞いておきたいと思いますが、補助金についての関係でありますが、かりに補助金の問題の中にありますいろいろな要素の中で、これは必ずしも補助金とは申し上げませんが、国庫補助による委託関係の職員の費用いわゆる国の一つ仕事として国が委託した職務がたくさんあるわけであります。また職業安定所関係等は国家公務員であって地方の県庁の指揮を受けて仕事をしておる。いわゆる純然たる国家公務員がおるわけであります。これらの諸君が大体今約十一万以上の数字になっておると私は思いますが、たくさんおるのであります。これらの諸君は、いずれも国から出ておりまする費用はきわめてわずかでありまして、たとえば補助職員中の農業改良普及員の給与だけを引き抜いてみましても、一年に国が算定して出しておりまする金は大体十二万三千六、百円程度になっております。ところが地方で過勤手当があり、さらに年末とお中元の賞与その他ずっと地方がめんどうを見る金ができて参りますので、これらを入れますると実際的には政府考えておる十二万三千六百円が十二万四千四百円というような数字になって来ておるのであります。この超過分はやはり国の財政計画より以上の地方の負担になっております。こういうものが一つあるということ、これはたとえば昭和二十八年度の決算面から見て参りますると、これらに使いまする費用の地方持ち出し分というのが大体二十九億ぐらいになっております。これは国は知らぬと思いますが、実際人を使おうとする場合には、そういう形が出て参ります。それからその次に問題になりますのは、補助事業に対する単価の見積りであります。本年度の予算でも、大蔵大臣は御存じだと思いまするが、たとえば学校については三万円かかるところを二万三千円ぐらいしか見ておらない。政府に言わせると二万三千円でもできるところもあるのだというけれども、それはできるところもあるでしょう。自分のところの山の木を切って建てればできるかもしれない。しかし一般にはおよそ通用しない議論であります。コンクリートに対しても六万円あるいは七万円かかるのが事実である。これが政府の予算では五万五千円ぐらいしか見ておらない。単価が非常に低いということであります。これらの点が補助事業と関連してからみ合って参りまして、国の補助事業であり国の仕事をやらなければならぬということになれば、この差額だけはどうしても地方が持ち出しになっておる。この数字は私どもの勘定からすれば、昭和二十七年度で大体五十億くらい、二十九年度の決算は見ておりませんが大体七十億くらいの数字が出やせぬかと考えられる。こういうものは私は政府の故意ではないと思いまするけれども、政策一つの誤まりだと思う。従ってこういう点について大蔵省は是正される御意思があるかどうか伺っておきたい。
  106. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 全く、ごもっともな御意見で何も申し上げることはありません。ただそういうような場合によく実情を調べまして、果してそういうような委託的な仕事が必要であるやいなやあるいはまたなさんとする仕事がぜひやらなくてはならぬものであるかどうか。あるいはまた人員についても、人員が適当な人員であるかどうかというような点も考えまして、単価等についてもあまり無理がないように今後単価を是正していく。やはりやり得ることしかやり得ないのですから、無理をすると、すべてがあとで無理が起って、それがだんだん積り積って悪くなる、こういう考え方を持っておりますので、無理がないようにすべてをやっていこう、こういう考えであります。
  107. 門司亮

    ○門司委員 それからその次に赤字一つ原因として考えられまするものの中に、これは政府資金の運用の関係と起債の関係と二つに関連する問題だと思いますが、一つはさっきから大臣が言われておりまするように、地方の自治体が銀行にたくさん金を借りにくるわけであります。これはつなぎ融資の問題でありますが、このつなぎ融資に対して地方は実は非常に苦労をいたしておりまして、たとえば税金が四カ月あるいは三カ月ごとに入ってくる。そして支払うべきものをそのときに支払うということになるので、税金が入ってくるとき以外、地方の自治体に金が入る道はないのであります。従ってその間のわずかのつなぎ融資をどこかに求めなければならぬ、ところがそういうものがないから銀行に借りにいく、こういうことが盛んに行われておる。ところがデフレ政策がとられておる関係から、これは大臣の方がよく御存じだと思いますが、なかなか金融引締めで、地方のそうした二カ月、三カ月というような短期融資、いわゆる資金繰りについては非常に詰まっております。これは事実だと思う。こういうことが不円滑であります関係から、地方自治体は勢い借金をするために、多少の経費は使いますのと、それから高利にならざるを得ないというのが実情だと思います。こういう実情について、銀行に非常に関係の深かった大蔵大臣としては、どういう緩和策をおとりになるお考えがあるのか、この点を伺っておきたい。
  108. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 つなぎ融資である限り、銀行もたいてい市金庫とかあるいはいろいろな県の金庫をしているというような関係で、必ず出ます。ただ、ほんとうは借りっぱなしになるのです。つなぎではなくて、返さない金になるものですから、なかなか……。それがほんとうに地方財政の現状なんです。ほんとうに貸した金をうまく返してくれるような地方財政の状況であれば必ず行くのですが、その通りにはなかなか行かないのです。つなぎである限り、私は銀行も十分お役に立つようにいたしたいと考えております。
  109. 門司亮

    ○門司委員 その次にもう一つ、それに関連して聞いておきたいと思いますことは公募債関係であります。七千五百万円が多いとか少いということは論外にいたしまして、この七千五百万円を出さなければならないというのは、公募債があるからであります。公募債についての大臣のお考えでありますが、今までの公募債を見てみますと、大体昭和二十六年までは、よくても悪くても地方起債はすべて政府資金でまかなっております。それが二十七年から公募債を認めております。そして公募債の最近のパーセンテージをずっと見てみますると、二十七年は起債総額に対して政府資金の割合は大体八四・八%という数字が出ております。従って公募債は一五・二%で足りておりました。それが二十八年、二十九年、三十年になるに従って、だんだん公募債の率の方がふえて参っておる。政府資金の率の方が少くなって参っております。これは政府資金であれば六分五厘で借りられるものを、地方債であるために大体平均して九分八厘くらいになっておる、一割にはならないと思うが、九分八厘くらいになっておると思います。それだけ利ざやの負担というものは地方自治体にとってよけいな負担になっておる。これも毎年二百億以上を地方に負担させております。これの償還も非常に困難でありますが、償還が困難であるだけに、そういうよけいな負担をしなければならない。こういう点について、資金運用部資金によって公募債がなくなるような施策をとられることが、私はやはり地方の負担を軽くする一つ原因だと思うが、これに対する大臣のお考えを承わりたい。
  110. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 財政資金、特に資金運用部資金等の金でありますが、どういうふうな蓄積条項になりますか、これを考えて、かつ全体との関係で配分も考えなければなりません。これは郵便局等、地方の金もずいぶん集まっておる関係もありましょうから、特に地方財政再建しようとするときに、非常に困っておるというようなことも考慮して、できる限りはなるべく御援助してあげたい、私はかような気持でおりますが、具体的にもう少し計画を立ててみなければ何とも申し上げられません。
  111. 門司亮

    ○門司委員 私は今申し上げたような数字が一体どこから出てくるかということを、もう一つ突っ込んで聞いておきたいと思います。それは政府資金計画を立てます場合に、考え方が一つあると思います。国の一体性の仕事として考えられる地方財政というものを先にお考えになれば、政府資金運用部資金というものは、先ほども申し上げておりますように、郵便貯金とか簡易保険とか厚生保険のように、零細な地方の積立金でありますから、これを地方に還元してやるということが建前上では正しいと思う。そこで政府がこういう資金運用部資金を運用される場合にお考えになるときに、国と一体仕事であるというお考えのもとに地方債をお考えになれば、公募公債という考え方が出てこないと思う。ところが政府考え方は、一般産業と同じように資金運用部資金の運用の方法が考えられていやしないか。これが一緒に考えられて参りますと、私はイデオロギー的にいうわけではありませんが、少くとも資本主義をもって立っておる現政府としては、やはり産業資金にこれをよけいに回していくであろうということは、火を見るよりも明らかだと思います。産業資金の方には政府の安い資金が回っていって、公共団体地方自分の住民の零細な積立金が使えないで、高い金利を払わなければならないということは、私はふに落ちない。政府資金運用部資金のものの考え方に誤りがあるのではないかと思う。最近の数字をずっと拾ってみますと、昭和二十三、四年、ことに昭和二十四年は、政府資金のうちの、資金運用部資金の九四%あるいは九五%というものが地方に出ております。ところが昭和二十五年からは急速にこれが減って参りまして、大体今日では運用部資金のうちの四二、三%程度のものしか地方に出ておらない。私はこの率を変える必要があるのではないかと思う。要約して申しますれば、地方公募債というようなことをしないで、やはり国の一環の仕事をしている以上は、国がこの運用部資金の中からめんどうを見てやるということが正しいと思うが、大臣はどういうお考えであるか、承わりたい。
  112. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私も最近、事情の許す限り地方の方に財政の金を回すように努めておるわけでありまして、この考えは将来も持続していきたいと考えております。
  113. 門司亮

    ○門司委員 お考えはそうかもしれませんが、どうも現実にわたってなかなか今そうなっておりませんので、将来そういうことのないようにしていただきたいと思います。  約束の時間がだいぶおくれておりますので、できるだけ簡単に申し上げます。いずれまた用があれば来てもらいますので、きょうはそう長くとめておく必要もないかと思いますが、今まで私がおただししましたようなことで、地方のいろいろな、使い過ぎがあるとか給与がどうであるとかいうような問題は、これは一応地方の問題としておいて、国が地方に与えた赤字原因だと思われるようなものはそういうところにあると思う。従って、今の御答弁を聞いておりますと、大臣は大体そう反対はなさらないような御意見でございまするから、三十年度以降はおそらく赤字ができないようにやっていただけると実は私は考えておりますが、最後にお尋ねしておきたいと思いますことは、そういう構想のもとにどんなに大臣がお考えになりましても、今日の地方の財源というものは、先ほどから申し上げておりますように、わずかに地方税は三千五百億内外しか持っておりません。地方の実財源というものは、これに一千億の雑収入を加えて参りましても四千五百億程度でありまして、残りの五千億というものはどうしても国の補助金その他でまかなわなければならぬということが現実の問題であります。従って、この現実の姿の前に、国がかりに現在行なっておりまする二千五百億ないし三千億くらいの補助金補助金としまして、これを差し引きましても、残りの二千億あるいは二千五百億というものはどうしても地方に実財源を与えなければ、地方赤字の出ない完全な財政計画というものは立たない。従って、この不足分に対して大臣は何かお考えがあるかどうか。これは、地方財政を節約するというようなことは別にいたしまして、今の現状の姿の数字から見るとそういう数字が出て参ります。地方にこの際どんなことがありましても、少くとも一千億ないし二千億の実財源を与えるということでなければ、地方財政は健全化さないというように考えられるのでありますが、これに対する大臣のお考えを承わっておきたいと思います。
  114. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 今お示しになりました地方財政の税の上での不足額をすぐ地方から出すということ、そういうはむろん持っておりませんことは、先ほどから、地方財政の財源について私がどう考えておるかと言ったことで、御了承願いたいのでありますが、しかし地方財政の財源については、おそらく三十一年度予算の編成とともに自治庁でしっかりしたものをお作りになるだろうと考えておりまして、そういう場合においては十分協力を申し上げたいと考えております。
  115. 門司亮

    ○門司委員 これは自治庁でお考えになるとおっしゃっておりますが、現実に今知事会等が請求いたしておりまするように、たとえば交付税にいたしましても、三〇%まで上げれば、四百七、八十億、大体五百億になります。それからたばこの消費税を勧告された三〇%に上げれば、これも三百億内外、あるいはそれをこえるかもしれない。約一千億に近いものが今知事会あたりで要求してきておる。これはさっき申し上げたような数字を績み重ねていくと、それだけの自治財源をもらわなければやっていけないということになると私は思う。  最後に私は大臣の気持をこの際聞いておきたいと思いますことは、今日地方赤字解消その他に対するいろいろの問題が起こっておりますのは、政府が非常に冷淡だという一つ考え方を一般の地方に持たせておるというところに一つ原因があります。これは数字の上で七千五百万円ばかりのものを見ておる。しかしこれは三カ月か四カ月くらいのことで大体済むであろうという技術的の問題は別にいたしまして、この前の本会議でも私申し上げましたが、大臣から十分な答弁が得られなかったのであります。再建整備に対して今日まで政府がめんどうを見てきたものの中には二つありまして、一つは農業団体に対する再建整備の考え方、一つ大臣の方が私より御承知だと思いますが、昭和二十三年にできた金融関係に対する再建整備の法律、かつて日本でこういう国家的機関と思われるものが破産に瀕しようとするときに、これを再建するためにこういう二つの実例があるのであります。農業の関係は農民の出資あるいは政府補助その他で一応切り抜けてまいりましたが、金融関係に対する救済策として立てられた再建整備に要した国の費用は、私の調査によりますと、大体百六十四億くらい政府が持ち出しをしております。そうして辛うじて本年の五月でありますかに、第二封鎖を一部解除したいという状態であります。国民には非常に迷惑をかけて、銀行はそれによって一応破産を免れた、こういう実例があるのであります。この実例から考えて参りますと、国と一体仕事をしておる地方自治体の今日の破局に際して、国のとる財政援助というものは、実質的にはきわめて少ないのである。計画考え方の中にはいろいろ問題はございましょうけれども、実質的にはきわめてわずかの七千五百万円であります。これを平年度に直して見ましたところで三億か四億に過ぎない金である。これでは地方の自治体に対して政府はあまりに冷淡な態度であると思うのですが、大臣はそうお考えになりませんですか。
  116. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 決して冷淡ではないのでありますが、御承知のように中央の財政も非常に苦しい状況にあるものですから、これはどうしても——私の考えでは戦争に負けた後の日本のあり方にも原因があると思っておるのです。自分の力以上のことでずっと推移してきておる。そこに基本的な問題がある。ほんとうに日本があのとき戦争に負けて、その戦争に負けた姿、その力に応じた気がまえと生活様式がかりにあったならば、こういうふうにはならなかったとも思うのですが、そういうような基本的なことを申し上げてもいたし方ございませんが、お説はよくわかりますので、国の財政とも十分にらみ合せて、できるだけ——くれぐれも言いますように中央の財政が健全だけではおさまらない、どうしても国と地方を通じての健全財政でなくてはなりませんから、その心がまえで私は参るつもりにいたしております。
  117. 門司亮

    ○門司委員 最後にもう一つだけ聞いておきたいと思います。これは閣議できめられたことでありますが、地方補助金に対する規制の問題であります。これはやはり赤字その他いろいろの問題が出てきた一つ原因だと思いますけれども、政府の構想を聞いておりますと、なにか最初は、補助金申請その他に偽わりがあった場合は体刑に処するというようなことがちょっと書いてありましたが、それを行政罰にすることになった、そういう構想だということを新聞その他で承っておりますが、このことは今の制度と大蔵省の今までの行き方等について多少割り切れないものが私にはあるのであります。従って一応大蔵当局に聞いておきたいと思いますが、なるほど地方の自治体のそうした詐欺的の補助金の要求あるいはそれを詐取したというようなものについての処罰は、私は必要ではないとは申し上げません。しかし今日まで大蔵省の態度を見てみますと、自治庁がどんなに計画を立てて参りましても、大蔵省は国の財政の都合だからといって、先ほどから私が申し上げておりますような地方財政赤字になる原因というようなものを、やはり大蔵省がこしらえておる、というと少し言い過ぎかもしれませんが、とにかく金がないといえば、国の資金はこれだけしか出せないから、あとは公募債でやっておきなさい、こういうことで自治庁意見大蔵省に非常に制肘されておる。その結果が今日のような赤字原因になっておることは一つのいなめない事実だと思う。その上に立ってそういう補助金等に対します法律ができるということも一つの方法かもわかりませんけれども、しかし補助金については、ある場合においては大蔵省は非常にやかましいのであります。地方の自治体の実態を調べてごらんなさい。町村が起債を申請しても、その起債の申請のときには、大蔵省の出先でありまする地方事務所にまずお伺いを立てて、それから県庁にお伺いを立てて、それから自治庁に来て、土木関係ならば主管省の建設省あるいは大蔵省に行くということで、起債一つ補助金一つでもなかなか大蔵省は言うことを聞かぬのであります。そうして出先が、われわれから考えるならば、地方自治体の内部に対する干渉と思われるほど大蔵省は強くこれをチェックしておる。そうしてやっておる今日であれば、われわれから考えて、大蔵省が健在である限りは、地方にそういうごまかしはないと思う。当りまえのもので正しいものであっても、大蔵省はそういう金がないからとやかましいことを言って削っておる事実がたくさんある。それを考えて参りますと、私はどうも今日の大蔵省やり方はおかしいと思うのです。大蔵省自分で調査し、自分でそれを査定して、その自分で調査し査定したものになお誤まりがあった場合に、それは地方が悪いのだということにするということは、大蔵省の監督が今までのある部分には非常に厳格であり、ある部分では非常にルーズであったという大蔵省自体の問題ではないかと私は考える。私の言葉は少し言い過ぎかもしれませんが、われわれの常識から考えれば、今までそういうものはないはずである。あれだけ大蔵省はやかましいことを言って、そうして水道の起債にしても、あるいは電車等の公営企業の公債にしても、この自治体でそういうことが必要であるかないかということを、大蔵省の出先が非常にやかましいことを言っておるのでしょう。村長さんに聞いてごらんなさい。一番厄介なのはここだと言っておる。県庁や本省の建設省も厚生省もそういう問題についてはやかましいことを言ってない、ところがやかましいことを言うのは大蔵省の出先だけだと言っておりましたが、そのやかましいことを言っている大蔵省が、補助事業その他については見のがしがあるということはおかしいと思うのですけれども、こういうことについて大蔵省はやはりああいう法律をこしらえなければ悪いというようにお考えになっておりますか。
  118. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 大蔵省に対します御注意はありがたいと私反省を持ちます。持ちますが、ここに大蔵省の役人もたくさんおるのですが、大蔵省の役人が評判がよくてはやはり国が持ちませんので、(笑声)その点も一つ十分お考え下さって、大蔵省の役人にあまりお気づかいなされぬようにどうぞお願いしたいと思います。
  119. 門司亮

    ○門司委員 私は今の御議論ははなはだおもしろくないと思うんです。大蔵省の役人が辛くなければということですが、大蔵省の役人は適正なことをやればいいのであって、辛いとか甘いとかいうことを私も要求しているわけではない。しかし現状はいわゆる地方自治体の行政上の干渉とまで思われるほど実はめんどうを見ているのであります。そしてなおかつそこに不正ができるというのは私はおかしいと思う。一方で町村長に責任を負わせるが、監督の立場にある者の責任はちっとも考えていない。こういうところに今日の問題があるのじゃないか。もし補助金その他が、たとえば川の名前を二つくっつけて、そうして二つ補助金をとったという例があるそうでありますけれども、川が二つあるわけじゃありません、もし今までの私どもの常識から考えれば、大蔵省の出先は一体どうしてそういうことをしたのだろうか、片方に非常にやかましいことを言っているが、実地を見なかったのか。必要以上にやかましいことを言っていて、片方には必要以上にルーズにしている。だからああいうふうな問題が出てくるということを考えて参りますときに、これが一方だけの責任であるということだけで行政罰になったそうではありませんか。最初の計画は七年以下の懲役ですか、何かそんなことが書いてあったと思いますが、そういう厳重なことをされるということについても、私は必ずしも地方の自治体のそういう詐取的の補助金その他の要求については、これを戒めることは当然であります。私は悪いとは言いませんが、しかし大蔵省の今日までの行き方から見れば、あまりにも一方的のものであって、われわれにはふに落ちないところがあるのでありますから、さっき御質問申し上げた通り、これは今のような御答弁では了承はできませんが、お約束の時間がきておりますので、これ以上聞くことはやめます。  最後にまとまった意見として聞いておきたいと思いますことは、政府は今日まで三十年度以降の赤字ができるかできないかということについての同僚各位の質問に対しては、一つは給与の実態調査が終らなければ実際の問題がどうなっているかわからぬということが、大体答弁のたてになっているようであります。そのことも大体九月か十月ごろには私はわかると思いますが、もしこの実態調査によって、地方の自治体のいろいろな冗費その他の原因となるようなものもわかるでございましょう。また事実あるでございましょう。しかし先ほどから私が申し上げましたようなことについて、大体大臣も反対がなかったようでありますが、これらを総合して、一体いつごろほんとうに地方財政の立て直しを政府としては実行に移すといいますか、計画を立て得る段階に至るかどうか、この点を一つこの際はっきりしておいていただきたいと思います。
  120. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 地方財政の立て直しについては、直接監督官庁である自治庁で時期的にも御考慮になると思います。むろん早いほどいいのでありますが、財政的にいえば、どうしても三十一年度以降にならざるを得ないと考えております。
  121. 門司亮

    ○門司委員 三十一年度以降になるということになると、三十年度までは赤字が出るという計算に一応われわれはしておかなければならぬ。だから、三十年度までの赤字の問題も考えなければならぬと思いますが、これは二十八年までの赤字の処置をしようというのが今問題になっているようですが、二十九年度、三十年度の赤字についても政府は何か特別の処置をお考えになるお気持がございますか。
  122. 川島正次郎

    川島国務大臣 二十九年度に出ると想定されます赤字三十年度はどうなりますか、かりに赤字が出るといたしまして、それをどう処置するかということは、今御審議願っておる再建促進法案は二十八年度の赤字を基礎にして二十九年度の計画を立てるのでありますが、やはりこれは若干時期をずらすような改正をしまして、また御審議を願わなければならぬのじゃないか、こう考えております。とりあえず今日のところは二十八年度に出た赤字を基礎にした二百億でやりまして、二十九年度に赤字が出ますれば、それは別に考慮しようということを先ほども御答弁申し上げました。さらに三十年度につきましても、同じような御答弁を申し上げるわけであります。
  123. 北山愛郎

    北山委員 私も同じような考えを持つんですが、先ほど来給与の実態調査ということを言っておられる。この実態調査は八月ないし九月ころにできるというのですから、もう間もない話であります。従って一体今どこでその作業をやっておるか。また今までできた調査の中間的な報告をやはりいただきたいと思うのです。これは今大蔵省及び自治庁あるいは行政管理庁等で調査をやっておると思うのですが、どこで、どの程度に調査が進行しているか。なおすみやかにこの委員会に中間的な報告をしていただきたい。そうでなければ、この大事な問題が、すべて実態調査の結果を待ってということで、まことに不安定な状態でわれわれはこの事柄を審議しなければならぬものですから、この調査の中間発表をお願いしたい。最終的な結論は八月ないし九月としても、すでに今までわかっている範囲において一つ発表していただきたい。これをお願いしておきます。
  124. 川島正次郎

    川島国務大臣 国家公務員、地方公務員全般に対して調査を統計局で今やっておるのであります。統計局の報告によりまして秋までには集計的な報告が出ると私は開いておるのであります。中間報告ができる程度になっておるかどうかということは、統計局に聞き合せて御返事いたします。
  125. 北山愛郎

    北山委員 それでは統計局の責任者にこの委員会に来ていただいて、一体どの程度にその調査が進んでおるか。あるいは中間的な資料がわかるならば、いただきたい。統計局を委員会に呼ぶことを取り計らいを願いたいと思います。  それからもう時間もございませんが、なお最近新聞等で拝見しますと、今年度の資金運用の計画をさらに作り直すというような話があるわけです。これはどういうふうな内容であるか、あるいは地方債等についても計画の変更をするのであるか、そこらの関係をここでお話を願いたい。
  126. 阪田泰二

    ○阪田政府委員 御指摘のような新聞記事が先般ちょっと出ておりましたのは私ども拝見しておりますが、ただいまのところ大蔵省といたしましては、現在きまっております資金の運用計画、実行計画を立てるとか、この上改訂するとかいう考えは持っておりません。
  127. 鈴木直人

    ○鈴木(直)委員 先ほどお願い申し上げるのを忘れたんですが、この再建促進法案の中に政令によりということが相当たくさんあります。大体政令の要綱ができておると思いますから、政令の要綱を至急配付しておいていただきたい、こういうことをお願いいたしておきます。
  128. 北山愛郎

    北山委員 そうすると、新聞に発表になっておるのはあれは全然根拠がない、ことしの地方債その他資金運用の計画については変更がない、する考えはない、こういうふうに了承していいかと思うのですが、それでよろしゅうございますか。
  129. 阪田泰二

    ○阪田政府委員 先ほどちょっと言い落したんですが、実は資金計画の方は資金運用部資金運用審議会の方で決定した当初の計画がございますが、これは先般の国会で予算の修正に伴いまして運用計画にも修正がございましたからこれは修正する、これからその手続をいたすことになっております。それを除きましては、資金運用計画というものを実行上直すというような考えは、現在全く持っていないわけであります。
  130. 大矢省三

    大矢委員長 私から最後に簡単にお尋ねいたしますが、先ほど鈴木委員からのお尋ねの中に、自治庁長官はことしの十月ごろには大体実態がわかる、それについて百億円くらいの公債を必要とするということに対して、鈴木委員から、それは公募債じゃ困る、国家資金でなければいかぬということを言われたのに対して、それに対する大蔵大臣答弁がなかったことと、それから考慮するというこの時期は年内なのか、あるいは来年度にそういう考慮をされるのか、この点の時期がはっきりしていなかった、これはきわめて本案の審議に重要だと思いますから、その点を一つ大臣から明らかにしていただきたいと思います。
  131. 川島正次郎

    川島国務大臣 ただいまの委員長の御発言は、二十九年度に出る赤字をどう処理するかということであると思います。百二十億の赤字が出ることは推定されまして、それは先般報告をしてあるのですが、とにかく現在御審議を願っておりまする二百億の赤字債でスタートをいたしまして、各地方団体の希望などだんだん開いておるのでありますが、二百億でもし足らぬ場合には、さらにこれに対して資金措置をしなければ、この法案を作りました目的が達成しないのだから、当然資金措置が要るのだ、こういうことを申し上げたのでありまして、果して幾ら要るかということは、そのときにぶつからぬとわかりません。しかもそれは大体今年の年度末になるのじゃないか。先ほど財政部長から申し上げました通り、この法案が成立いたしましても、各地方団体ともそれぞれ準備がありまするし、議会と長との話し合いもいたしまして、十月以前のスタートは困難であります。十月から始めまして順次再建団体の検討をしているのでありますから、どうしても二月にかかる団体もあるのでありますから、そのときになりますれば二十九年度の赤字もはっきりいたしますし、なお再建整備をやろうという団体の方もはっきりいたしますから、それはそのときにあらためて財政当局と相談をして資金措置をしよう、こういうことを申し上げたわけであります。
  132. 大矢省三

    大矢委員長 鈴木委員から公募債では困る、国家資金でなければいかぬということに対して、どうするという御答弁がなかったということですが……。
  133. 川島正次郎

    川島国務大臣 私が公募債とはっきり割り切った申し上げ方をしたのは、現在の政府の投融資計画では整理資金はないものでありますから、そういうことを申し上げたのでありますが、むろん自治庁の立場におきましては、政府資金を希望いたすのでありますけれども、それらはそのときの財政事情にもよるのでありまするからして、おそらく大蔵大臣といたしましても、はっきり政府資金でということは断言できないのではないかと思います。私の希望を言えというなれば、自治庁長官としては政府資金を希望いたしますけれども、政府全体といたしましては何とも申し上げかねるという段階ではないかと思う。
  134. 大矢省三

    大矢委員長 自治庁の想像だけでなしに、大蔵大臣自身からお答え願いたい。
  135. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 大体今自治庁長官のお話を裏づけるだけですから、御了承願いたい。
  136. 大矢省三

    大矢委員長 それではこの質疑は本日はこの程度にいたしまして、来たる十二日午前十時半から地方自治法の一部を改正する法律案並びに関係法案、あるいは地方財政再建促進特別措置法案について、参考人から意見を聴取することにいたします。  本日はこれをもって散会いたします。    午後四時五分散会