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1955-06-25 第22回国会 衆議院 地方行政委員会 第28号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年六月二十五日(土曜日)     午前十一時三分開議  出席委員    委員長 大矢 省三君    理事 池田 清志君 理事 亀山 孝一君    理事 古井 喜實君 理事 鈴木 直人君    理事 前尾繁三郎君 理事 加賀田 進君       唐澤 俊樹君    川崎末五郎君       木崎 茂男君    纐纈 彌三君       渡海元三郎君    徳田與吉郎君       丹羽 兵助君    三田村武夫君       青木  正君    熊谷 憲一君       灘尾 弘吉君    山崎  巖君       吉田 重延君    赤松  勇君       勝間田清一君    川村 継義君       北山 愛郎君    五島 虎雄君       坂本 泰良君    中井徳次郎君  出席政府委員         警察庁長官   齋藤  昇君         総理府事務官         (自治庁行政部         長)      小林與三次君  委員外出席者         議     員 眞鍋 儀十君         警  視  長         (警察庁刑事部         防犯課長)   藤本 好雄君         専  門  員 有松  昇君         専  門  員 長橋 茂男君     ————————————— 六月二十三日  委員丹羽兵助君及び川村継義辞任につき、そ  の補欠として木村文男君及び伊藤好道君が議長  の指名委員に選任された。 同月二十四日  委員櫻内義雄君及び伊藤好道辞任につき、そ  の補欠として三田村武夫君及び川村継義君が議  長の指名委員に選任された。 同月二十五日  委員木村文男君及び勝間田清一辞任につき、  その補欠として丹羽兵助君及び赤松勇君が議長  の指名委員に選任された。     ————————————— 六月二十四日  地方自治法の一部改正反対に関する請願福井  順一君紹介)(第二五一五号)  同(田子一民紹介)(第二五一六号)  同(村上勇紹介)(第二五一七号)  同(小澤佐重喜紹介)(第二五六一号)  同(片島港君紹介)(第二五六二号)  同(木下哲紹介)(第二五六三号)  同(松平忠久紹介)(第二五八八号)  同(柳田秀一紹介)(第二五八九号)  同(中原健次紹介)(第二五九〇号)  軽油自動車に対する自動車税すえ置  きに関する請願永山忠則紹介)  (第二五一八号)  同(河本敏夫紹介)(第二五一九号)  同外二件(栗原俊夫紹介)(第二五六四号)  同外二件(福井盛太紹介)(第二五六五号)  木材引取税撤廃に関する請願中井徳次郎君紹  介)(第二五二〇号)  クリーニング業に対する事業税軽減に関する請  願(瀬戸山三男紹介)(第二五二一号)  同(田中龍夫紹介)(第二五二二号)  同(山本正一紹介)(第二五二三号)  同(伊東岩男紹介)(第二五二四号)  同(中曽根康弘紹介)(第二五二五号)  同(小泉純也君紹介)(第二五六八号)  同(野田武夫紹介)(第二五六九号)  同(高橋等紹介)(第二五八六号)  同(宇都宮徳馬紹介)(第二五八七号)  同(倉石忠雄紹介)(第二六〇九号)  発電税創設に関する請願松平忠久紹介)(  第二五二六号)  同(原茂紹介)(第二五二七号)  同(小坂善太郎紹介)(第二五二八号)  地方財政再建促進特別措置法案の一部修正に関  する請願松平忠久紹介)(第二五六六号)  地方交付税わく増額に関する請願松平忠久  君紹介)(第二五六七号)  枕崎市の財政確立に関する請願池田清志君紹  介)(第二五七〇号)  奄美群島復興計画費増額に関する請願伊東隆  治君紹介)(第二六〇八号)  農業協同組合等貨物自動車に対する自動車税  撤廃に関する請願細野三千雄紹介)(第二  六一一号)  奄美大島復興促進に関する請願伊東隆治君  紹介)(第二六六九号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  小委員補欠選任  参考人招致に関する件  風俗営業取締法の一部を改正する法律案眞鍋  儀十君提出衆法第二三号)  銃砲刀剣類等所持取締令等の一部を改正する法  律案内閣提出第八五号)(参議院送付)  町村合併に関する件     —————————————
  2. 大矢省三

    大矢委員長 これより会議を開きます。  風俗営業取締法の一部を改正する法律案を議題といたします。警察関係出席者齋藤警察庁長官です。  質疑に入ります。通告順によって鈴木君。
  3. 鈴木直人

    鈴木(直)委員 風俗営業取締法に関係して、警察庁長官でもよろしいし、そのほかの最も適当と考えられる方から、御答弁を承わりたいと思うのですが、風俗営業取締法取締り対象となっておるもののうちに、「その他」という部分規定されておるわけでありますが、これは第二条によって都道府県条例できめるようになっておるわけでありますけれども、どういう種類のものが都道府県条例で「その他」の中に含まれて取り締られておるか、お聞きしたいと思います。
  4. 藤本好雄

    藤本説明員 お尋ね風俗営業取締法第一条第三号に、「その他設備を設けて客に射幸心をそそる虞のある遊技をさせる営業」とありますが、都道府県条例におきましては、一々こまかくは規定しておらないのでありまして、これにつきましては主として遊技場というようなことで規定をいたしております。そうして現実には、射幸心をそそるよう遊技をさせる営業といたしまして、全国の府県条例許可しておりますものは、全体で百四十二種類に及んでおります。その中には最近はやっておりますスマートボール、あるいは撞球関係に関連のあるものについて申しますとベビー・ポケット・ビリヤードその他非常にたくさんの種類許可されておるというよう状態であります。
  5. 鈴木直人

    鈴木(直)委員 今回提案されております改正法案によりまして、玉突場というものを除く、すなわち風俗営業というものからこれを除く、こういうことになっておるわけでありますから、文字そのものから考えると、「その他」という部分の中には入らないというふうに解釈できるのですが、各府県条例でもって「その他」の中に適宜入れて、そうして取り締るよう条例を作ったりするならば、法律に違反する条例であるから無効であるというように考えるのですが、この点についてはどういう解釈でありましょうか。提案者説明を先般聞きましたところ、玉突場というものを削除しても、「その他」の中に適宜入れることは府県条例で自由であるというよう解釈のもとに、提案説明が行われておるのであります。しかしながら、この法律そのものから見ますと、風俗営業から玉突場というものを除くということであるから、その趣旨から見ると、「その他」の中には入らないというふうに解釈できるわけであります。従って「その他」の中に入れた条例があったならば、この法律に違反するのであるから、その条例は無効であるということになるのではないか。もしそういうことが現実にどこかであって、たとえば条例の中でそれを規定して警察がそれを取り締った、今度はそれが訴訟されて裁判になったという場合、この法律解釈でその条例は無効であるということにかりになったとするならば、これは取り締る者の失態というようなことにもなるので、その点をはっきりしておかないと、現実の場合において非常に問題が出てくることも予想される。従って提案者の言うように、玉突場というものをこの法律から除けばよいのだ、あと府県条例によって適宜「その他」の中に入れて規定することは自由であるという考え方のもとに提案したのだという説明でありましたが、法律的な解釈を厳重に考えると、それは成り立たないようにも考えられますから、その点について、取締り当局方面における解釈をはっきりお聞きしておきたいと思います。
  6. 齋藤昇

    齋藤(昇)政府委員 この風俗営業取締法から「玉突場、」という文字を削られました場合において、その玉突場が、やはり射幸心をそそるおそれのある遊技をさせるよう施設だというように認められる場合は、「その他」で府県条例でやはり取締りができると思います。この法文の中に、たとえば第三号で、「但し玉突場を除く。」こう書いてあれば玉突場はいかに射幸心をそそるようなことをしておっても、これで取締りはできないという法律の明示になりますけれども、ただここでは玉突場を削除するというだけでありまして、でき上りました法律は「まあじやん屋、ぱちんこ屋その他設備を設けて」云々と、こうなりますから、従いまして玉突場にして射幸心をそそるおそれのあるようなものがあるならば、これは条例取締りができると解釈をいたします。ただ玉突場が今まで無条件取締り対象になっておりましたものを、法律から削除されましたわけでありますから、条例でこの風俗営業と認定いたしますにつきましては、玉突場でありましても射幸心をそそるおそれのあるような、そういう遊技場ということにならざるを得ない。言葉をかえて申しますならば、賞品をかけて、そうして勝負を争わせるというよう営業方法をいたしますると、条例で取り締ることができるようになると思います。そういうことなしに賞品等をかけないで、ただ料金を取って玉突きをさせるというだけでは、この削除されました法の趣旨から考えて適当ではない、かよう解釈をいたします。
  7. 鈴木直人

    鈴木(直)委員 今警察庁長官ような御解釈であるならば、玉突場というものがここに規定されておってもされておらなくても——かりにここに規定されておっても、この条文が「玉突場、まあじやん屋、ぱちんこ屋その他設備を設けて客に射幸心をそそる虞のある遊技をさせる営業」とこうなっておりまして、玉突場でもそういうよう射幸心をそそるよう方法でもって、玉突場をやるならば、今でも取り締ることができるという解釈になるわけでありまするから、この玉突場というものは射幸心をそそるおそれあるような形においてやった場合に風俗営業取締りにひっかかるのか、射幸心をそそるようなことをやらなくても、この玉突場というものがここに規定してあれば当然ひっかかるのか。すなわち今の長官お話によると、玉突場であろうがマージャン屋であろうがパチンコ屋であろうが、射幸心をそそるよう設備をしている場合に、この風俗営業にひっかかるんだという解釈であるならば、射幸心をそそらないようやり方で、現在玉突場を経営している場合にはひっかからない。こういうふうな解釈に私はなると思います。ところが現実玉突場をして射幸心をそそるようなことをやらなくたって、玉突場自身をこの風俗営業の中に入れて許可制をとっているのじゃないかと思うのですが、今の解釈であるというと、そういうようなことをやらなければこの法律であっても玉突場はひっかからない、こういうふうに取り扱っておるのですか。その点をお聞きしておきたい。
  8. 齋藤昇

    齋藤(昇)政府委員 先ほど申し上げましたように、現在は玉突場であればすべて一切がっさいこれは射幸心をそそる施設だ、こう法律で現在は認定しているわけなんです。従って賞品等をかけないでも、玉突場営業としてやっておれば、これは風俗営業取締り対象ということになって、取り締っておるわけであります。ただここから玉突場をはずされてしまいますと、このはずしたという沿革にもかんがみて、玉突場であっても賞品等をかけてやらなければ、われわれはこれを認定をすることはむずかしいだろう。従って今後これをはずされた場合に条例で取り締ろうとする場合には、玉突場であっても賞品等をかけてやっているもの、それだけを対象にすべきである、かように申し上げるわけであります。
  9. 鈴木直人

    鈴木(直)委員 そうなりますと、各府県条例が決定する場合には、いつでも警察当局がそれを積極的に探して、射幸的な形をとっておるかとってないかというようなことを見て、そうして射幸的な形をとっておる場合には許可を受けさせる、こういうようやり方をするのか、要するに玉突場というものについては依然として射幸行為をとっておるのか、とっていないのかということを考えて、いつも取り締るという考え方を持つのか、要するにこれは許可営業でありますから、許可をする場合にその設備なりやり方を見て許可をするというやり方になると思いますが、一応許可を申請させて、そうして射幸行為をそそらないものであるという場合にはそれはよろしい、あるいは射幸行為をそそるような形態であるという場合には許可を受けさせる、こういうことにするのか、あるいは運営に中心を置いて玉突場を取り締るのか、今までは業態そのもの営業と見るか見ないかということで、これは取り締られておる。何とかいう業態、何とかいう業態、これは射幸行為をそそるおそれがある業態であるから許可を受けさせるということで、業態そのものをやはりきめておるのであって、運営なり方法についてはおそらく条例においてはきめていないわけです。従って長官お話ように、運営の仕方によって取締り対象にもなるし、対象にもならないということになると、その運営の仕方を常に警察が監視しなければならぬということになる。そうすると相変らず警察の監視の営業、こういうことになると思うのでありますが、どういうふうな取締り方法をとるのか、それをお聞きしておきたい。
  10. 齋藤昇

    齋藤(昇)政府委員 条例で取り締ります場合には、景品を出して勝負を争わせるというよう経営方法をやる場合には許可を受ける、こういうことになっております。
  11. 鈴木直人

    鈴木(直)委員 ややはっきりしてきましたが、玉突場に関する限りはここに削除しまして毛、景品をかけて射幸行為をやるような仕方でやりたいという業者は、積極的に許可を受けなければならないんだ、こういうふうに解釈してよろしゅうございますか。
  12. 齋藤昇

    齋藤(昇)政府委員 その通りであります。
  13. 加賀田進

    加賀田委員 関連してお尋ねしますが、景品をかけているよう玉突場に対しては「その他」で条例で決定するといいますが、営業個人がそういうことをやらなくても、従来そこの都市撞球組合とかあるいは何々会とかいう会を作って、定期的に賞品をかけてそういう競技をやっておることがあった。そういうような場合でも、もしたとえば東京であれば東京のそういう撞球組合が、そういうようなことを行なった場合には全部適用されるかどうか、これをお伺いしたいと思います。
  14. 齋藤昇

    齋藤(昇)政府委員 これは営業としてやる場合でありまして、ただいまお説のような場合には営業としてやるものとは考えられないと思います。従ってそういうものは差しつかえない。営業としてそういうことをやっておるという場合に取締り対象になる、かように御承知を願いたいと思います。
  15. 加賀田進

    加賀田委員 もう一点、個人の場合ですが、大きな規模を持った玉突場にはそういうことはないと思いますが、小さな玉突場におきましては、従来やはり賭博的な行為が客の間で行われておる。それを業者が黙認しておるというよう状態があったとわれわれ聞きますが、そういう場合もやはり営業者をそういう適用の中に含めるかどうか。
  16. 齋藤昇

    齋藤(昇)政府委員 その場合には刑法賭博罪として、やはり営業者がそれを知りながら、そこにそういう賭博をやらせたということで処罰をすることになっております。
  17. 加賀田進

    加賀田委員 それを黙認しておるということで賭博罪になりますが、今申し上げたような「その他」の中に含まれるようなことになるかということをお伺いしたいと思います。
  18. 齋藤昇

    齋藤(昇)政府委員 玉突場がそういう賭博場を提供するという、何といいますか全国的にそういった蓋然性があるならばさようになると思いますけれども、現在の状態では、さように取り扱うことはちょっと行き過ぎであると思います。
  19. 加賀田進

    加賀田委員 もちろん全国的にそういう傾向があるというのではなくして、条例でいわゆる都市全体の玉突場をそれ以外の「その他」の中の範囲に含めるというのじゃなくして、そういう行為があった場合には、玉突場を経営している個々にそういうのが適用される方法を講じるのか、あるいは再びそういうことがあったら完全な対象の中で拘束されるということが行われるのか、その点が不明瞭だと思う。私は全国的な規模でとか都市的な規模ということではなくして、個人がそういうような場合になったときに、その対象になるかということもお聞きしたいのです。
  20. 齋藤昇

    齋藤(昇)政府委員 絶えず賭博場として玉突場を利用させることを黙認しているよう営業者で、しかしそれが景品をかけたり何かしてはやらしていない、そうすると「玉突場、」を削られた場合には取締り対象外になる、そのままで放置してよろしいかどうか、やはりそういうようなものも「その他」の中に入れて、取締り対象にした方がよろしいじゃないか、こういう御意見だと存じますが、やはりこの第三号から「玉突場、」を削除いたしますると、結局射幸心をそそるよう設備を持った営業ということになりまして、景品をかけないでただ料金だけをとってやっているという玉突場は、これは先ほども申しますよう取締り対象に入れることはできないと思います。そうたりますると、たまたまその営業者がその場を賭博場等に提供いたしておりましても、これは刑法対象になるだけでありまして、それだからといって、玉突場を禁止するということは今の法律の構成ではできません。また私はそれでいいのじゃないかと考えております。賭博罪で取り締ればよろしいのではないかと考えております。
  21. 北山愛郎

    北山委員 大へん素朴なことをお尋ねするのですが、この風俗営業取締法適用を受けた場合、そういう学業警察取締り方法として、内容としてはどういうことを一体取り締るのか。ただここには「許可を受けなければならない。」あるいは「必要な届出をしなければならない。」と書いてありますが、それ以外に実際に警察の活動としては、かよう営業に対してどういうふうな取締りをやっておるのか、態様についてお伺いしたい。
  22. 藤本好雄

    藤本説明員 そのようなものの許可を受けました場合におきましては、その許可を受けた業者につきまして、法の第三条によりまして、「風俗営業における営業の場所、営業時間及び学業構造設備等」とありますが、営業方法等につきまして、条例において善良な風俗を害する行為を防止するために制限を設けることができるわけであります。そういう制限を守ってやっておるかどうかということにつきましては、常費警察官が監督して参り、取締りして参る、こういうことになっております。
  23. 北山愛郎

    北山委員 これも素朴なお尋ねですが、「射幸心をそそる虞のある遊技をさせる営業」、こうあるわけですが、そういうふうな風俗取締りというような点から見れば、国がそういう営業をやった場合でも、地方公共団体がやった場合でも同様だ、たとえば競馬場だとかあるいは競輪場をやっておるような場合、そういう国、地方公共団体がやる場合にも、やはり同じよう必要性が生まれてくると思うのですが、そういう場合はどういうふうに扱っておりますか。
  24. 藤本好雄

    藤本説明員 国、地方公共団体等競輪競馬等を営んでおります場合にも、一般的に申しますと著しく射幸心をそそる行為をやらせる、こういうようなことが言えると思いますが、そういうふうなものにつきましては、特別の法律をもちましてそういう行為が許されるということに規定をされておりますので、その法律の結果そういう行為はのけられる、こういうことに相なるわけであります。そういうことは、もちろんこの風俗営業取締法対象にはならないのであります。
  25. 北山愛郎

    北山委員 それから公安委員会許可でありますが、そうすると一応条件を具備しておれば無制限営業許可はするかということです。あるいはそれ以外の風俗営業というものの取締り趣旨に沿うよう設備あるいは条件ならば、申請があればすべて許可をするか、あるいはそれ以外の条件といいますか、公安委員会としては許可しないものがあるというようなことになるかどうか。単に風俗営業取締り上の条件だけで、あとは無制限許可をしておるかどうか。そうでないといろいろと営業の自由といいますか、そういう問題もあるわけでありますが、その実情についてお伺いいたしたい。
  26. 藤本好雄

    藤本説明員 お尋ねの点につきましては、風俗営業取締法及びその施行条例によりまして、各種の条件を定めておりまするので、一応その条件に合っておるかどうかということを慎重に認定いたしまして、その条件に合致しておるものにつきましては大体許可を与える、こういうような方針で進んでおるのであります。
  27. 前尾繁三郎

    前尾委員 齋藤長官の今の説明は、私はどうもこの法文からは出てこないように思うのであります。と申しますのは、これはあくまで遊技自体を考えて、その方法いかんをこの法文は現わしていないと思うのであります。「射幸心をそそる虞のある」という言葉から考えましても、遊技自体でもうすでに玉突きマージャンパチンコその他はおそれがあるというふうに考えておるので、長官よう解釈は私はつきかねます。もしそういうふうにするのであったならば、法文書き方を変えなければならぬのではないか。たとえば玉突きについては、おそれある方法をもってする場合を除くとかなんとか、その取締り対象になるというよう法文書き方を変えぬと、ちょっとこの法文においては長官よう解釈は無理だと私は思うのですが、いかがですか。
  28. 藤本好雄

    藤本説明員 お尋ねの点は「その他設備を設けて客に射幸心をそそる虞のある遊技をさせる営業」、その「射幸心をそそる虞のある遊技そのものの中に射幸心というものが含まれる意味であって、遊技そのもの射幸心をそそるおそれがなければ、それは当然除外されるのではないか、こういうお尋ねように聞いたのであります。射幸心をそそるおそれのある遊技遊技やり方の中に、遊技そのもの競技方法、厳密にその競技方法だけでなくて、やはりその勝ち負けに対して景品を与えるとか与えないとかいう、そういうものを含んでそれが射幸心をそそるおそれのある遊技、こういうふうに解しておるわけなのであります。
  29. 前尾繁三郎

    前尾委員 その方法まで含んで解釈すると、射幸心をそそるおそれがあるというのはぼけてしまうと思うのです。射幸心をそそるおそれがあるということは、現実射幸心をそそっていなくても、要するに遊技自体玉突きなりマージャンにしてもパチンコにしても、ある方法をもってすれば射幸心をそそるおそれがある。おそれは十分あるから、届出にして、射幸心をそそるにしましても、あまり度をはずさないようにというようなことで、もうすでにおそれがあることだけで取締り対象にしておるということから考えますと、玉突き遊技自体には確かにおそれはある。しかし現実問題として現在やっておる場合におきましては、全くおそれがない。従って玉突きに限ってはマージャンパチンコその他と多少違っている。玉突きにおいては、やはり懸賞をつけるというよう方法までとった場合に、初めて問題が起るというのでありましたら、そういう法文書き方をしないと、どうもこの書き方から考えると、玉突きにそのおそれがあるということは、これを消しましても何ら変らぬという気がするのです。私は何も結論において異論があるわけでも何でもない。おっしゃるようなことになるについては、法文書き方を少し変えぬとそれが出てこぬのではないかと思いますが、もう二度その点伺います。
  30. 藤本好雄

    藤本説明員 お尋ねの点につきましては、現行法におきましては「玉突場」とはっきり書いてありますので、これはお説のよう玉突き遊技そのものの中に射幸心をそそるおそれがあると一応認定されて、玉突場というものが入っておると思うのであります。現行法におきましては、景品をかけるとかけないにかかわらず玉突場とはっきり規定されておりますので、玉突場風俗営業取締り対象になります。しかし玉突場そのものがそういうおそれがないとしてここからはずされるということになりますと、たとえば一般のもので申しますと、碁会所というようなもの、これは遊技そのものとしては射幸心をそそるおそれのあるものではないと考えられますが、そういう場所におきましてやはり景品を出して勝者には景品を与えるというよう営業を営むということになりますと、やはり射幸心をそそるおそれがある遊技をさせる営業、こういうふうになると思うのであります。現行法におきましては御説の通りだと思うのであります。除かれますと、やはりそこに何か景品とか何かという別の方法がつくことによって、射幸心をそそるおそれのある営業、こうなると解しております。
  31. 北山愛郎

    北山委員 今の問答ですが、結局こういうことなんじゃないかと思うのです。現行法というか今までの規定によりますれば、ともかく玉突場というものは射幸心をそそるおそれがあるものとして明らかに規定してある。だからいろいろ議論があったとしても、とにかく明らかに法律の上で明定してある以上は、これはこの法律対象になる。今度の改正によれば、それは「その他」というところに入って、そうしてそれが射幸心をそそるおそれがあるかどうかということは都道府県条例できめる。これだけの違いが出てくる。今度の改正案が通れば府県によって異なった措置がある。ある府県においてはそれが射幸心をそそるおそれがあるものとして取締法の対象営業とする場合もあるし、また府県によってそれがない場合もある。改正案の意味はそこにあるのだ、こういうふうに私どもは解釈されるのですが、解釈としてはそれでいいかどうか。この際お伺いをしておきたい。
  32. 齋藤昇

    齋藤(昇)政府委員 解釈はお説のように私はどちらにでもなると思います、抽象的に申しますと。ただこれができ上りました場合に、またこれを削除しようという立法者の意思をそんたくをしてみますると、玉突場は今日の玉突場の状況から見れば必ずしも射幸心をそそるとは言えないのではないか。碁会所やあるいは将棋所と同じように、ただ料金だけを、時間とかあるいは一回幾らとかいうことで取っているのならば、それと何ら相違はないじゃないか、こういう認定のもとに法改正をなさるものだとわれわれも考えまするし、またその考え方は現在の玉突場の現状から見まして、私は妥当でないとは言えない。妥当なものと考えられる、こう考えられするから従いましてこういう改正ができました以上は、この改正の経緯にかんがみて、玉突場で特に射幸心をそそる、そういう景品をかけるというようなものだけを取締り対象条例として置くのが当たしますと、こういうふうに申し上げておるのであります。従いましてその点を法律に明確にされまするならば、なおけっこうであろうと存じまするけれども、しかしこういった改正の場合の法を施行いたすものといたしましては、そのときの立法者の意思なり、また経緯を考えて解釈をしてやっていくのが当然である、かように考えて、先ほどから申し上げておるのであります。
  33. 鈴木直人

    鈴木(直)委員 どうもはっきりしなくなったんですが、条例である県が玉突場というものをきちっときめてしまっておるという方法をやっても、この取締法には違反しない、こういうことであるか、あるいは一つの県内においても射幸心をそそる、さっき言われたよう賞品ようなものをかけてやるという方法をとるという場合だけは許可を必要とするが、それ以外の玉突場許可を必要としない、こういうよう条例を作ることを警察当局は予想しておるのか。今のお話によると、ここで条例玉突場ということを県全体に、無条件に入れても、それでもかまわないのだというのか、どちらなのですか。警察当局取締りに将来影響しますから……。
  34. 齋藤昇

    齋藤(昇)政府委員 県内で今後、この改正が行われたにもかからわず、一切の玉突場取締り対象にするということは行き過ぎであると考えます。不妥当だと考えます。現在の第一条第三号で「その他」云々とありまするものにつきまして、これは公安委員会の認定でありますけれども、その認定につきましては、おのずから社会常識といいますか良識といいますか、それにマッチしなければいけないのと同様に、ここでこういう経緯で改正をせられた場合に、それにもかかわらず玉突場を全部取締り対象にするということであれば、これは私は経緯を顧みないものであって、法の解釈を誤まっておる、かように指摘できると思います。
  35. 灘尾弘吉

    灘尾委員 ちょっとお尋ねしますが、私は玉突きもできませんし、実際の玉突場はどういうことになっているかわかりませんが、現行法の三号では、玉突場というのを「客に射幸心をそそる虞のある遊技をさせる営業」こういうことに全体的に見ておられるのですが、今度の改正案によれば、玉突場という言葉は字句上なくなっているのでありますが、実態は一体どうなんですか。現行法の一般的に「射幸心をそそる虞のある遊技をさせる営業」と見ておられるのか、あるいは原則としてはそういうものでない、健全なる遊技である、たまたまお客様がある、こういうふうに見ておられるのか、この点を一つ伺いたい。
  36. 齋藤昇

    齋藤(昇)政府委員 こういった風俗営業取締法対象になりますものの経営方法なり、そこの遊技方法というものは時代とともに大分変って参りますので、この法律ができました当初、明治、大正年代においては玉突場はむしろ懸賞金をかけ、そこでまたビールその他のものの接待をするというよう業態が多かった。ところが最近はそういった業態が非常に変って参りまして、むしろ普通の碁会所、将棋場というのと同様な形態のものの方が多くなって参りまして、懸賞金をかけてやるという昔のやり方のものが絶無とはいえません。若干そういうものもありますけれども、この方が少くなって参っております。こういう現状であります。
  37. 鈴木直人

    鈴木(直)委員 次に提案者にちょっと参考のためにお聞きしておきたいと思います。もちろん私は玉突きのことはよくわからない。関係も何もないのですが、ここに入っておるのとないので何か遊興飲食税とか、そのほかの税金に非常に影響を及ぼすものでしょうか、どういうものでしょうか。
  38. 眞鍋儀十

    眞鍋儀十君 風俗営業の中へ入っておりますれば三ヵ月ごとにこの営業が失効いたしまして、新たに更新された届出をいたさなければならないということが一つでございます。  それから税金の方は、娯楽施設利用税でかかって参っておりますので、これがはずされても入っておりましても、税金の面から申しますと同様でございます。
  39. 加賀田進

    加賀田委員 三カ月ごとに許可を得るのですが、許可の手数料は現在どれくらい払っておるかどうか御質問いたしたい。
  40. 眞鍋儀十

    眞鍋儀十君 それは私はちょっと記憶いたしておりません。
  41. 藤本好雄

    藤本説明員 許可更新の場合は三カ月ごとの更新でありますので、全国全部一律というわけには参りませんが、大体無料にいたしておるのが現状でございます。
  42. 亀山孝一

    ○亀山委員 ただいままでの当局と議員側との質疑応答で大体わかりましたが、この際はっきりと警察庁長官からこの法案に対します当局の御見解をお伺いしたい。大体御同意と思いますが、はっきりと一つ伺いたい。
  43. 齋藤昇

    齋藤(昇)政府委員 先ほどから申し上げておりますように、玉突場遊技方法経営方法が大分変って参っておりますので、かように御改正に和なりましても、風俗取締りの見地からさしたる支障はないものと考えております。
  44. 北山愛郎

    北山委員 先ほどの警察庁長官お話しですが、私ちょっと納得がいかないのでまた重ねてお伺いします。このような改正の趣旨からいって、この改正案ができたならば、やはり玉突場に対しては原則としては取締り対象にしないのが至当であろう、こういうお話だったんですけれども、提案者趣旨からいえばそうじゃなくて、たといこういう改正ができたとしても、あとでいかにも不穏当である場合には「その他」をもって取り締ることもできるのだという説明がなされておるわけであります。従って先ほど私が申し上げたようにこの改正案の趣旨というものは、今までは理屈のいかんを問わず玉突場であればこの対象になっておった。今度は「その他」の中に入っておるのであって、従ってそれを対象にするかしないかというようなことは、形式上は都道府県の認定になってくるんだ。条理上はこの法案の趣旨射幸心をそそるおそれがあるかどうかということが問題になりますけれども、実費上はそれぞれの府県公安委員会なり何なりあるいは条例でもって規定される、それが一応の認定になる。要するに都道府県の自由にまかせるということが、この改正案の効果ではなかろうか、これが法律解釈として、しかも提案者趣旨もそこにあるじゃないか、かように考えるのですが、先ほど長官の御意見であれば、せっかく改正する以上は改正後においてまた対象になるというようなことは適当でないというふうな少し強いお話でございましたので、ちょっと食い違いがあるように思いますから、この点重ねてお伺いしておきたいのです。
  45. 齋藤昇

    齋藤(昇)政府委員 法理上はただいま北山委員のおっしゃる通りであります。そこで現状に立脚して考えてみますと、これが府県の自由にまかされるという場合に、玉突場で将棋場や碁会所と何ら変りがないというものについてまでやるということはないと考えまするし、ここでこれを府県へ移譲すると申しましても、府県が全面的にやはり取締り対象に置くということは不妥当である、かように考えます。
  46. 大矢省三

    大矢委員長 他に質疑はありませんか。
  47. 池田清志

    池田(清)委員 だんだんはっきりして参ったと思いますが、もしこの三号の規定の最後の方の「射幸心をそそる虞のある遊技をさせる営業」、これがなければ、玉突場を除いてしまえば府県条例対象にならないということだと思います。本法におきましては玉突場自体というものを、現在の実情は射幸心をそそるおそれある遊技をしていようがいなかろうが、本法律案の規制によって「射幸心をそそる虞のある遊技をさせる営業」として法の対象になっておると思います。それを今度はずしまして、射幸心をそそるおそれのある営業をさせるようなところは別として、そうでないものは一切法律も除くし、条例も除くということになってくるのだと思います。そういう際に府県条例に全部玉突場というものをまかせるということは法の趣旨ではないのであって、府県がもし条例を作るならば、その条例の題名として考えられるのは、玉突場の中で「射幸心をそそる虞のある遊技をさせる営業」というふうに限定したところの条例であるべきだと考えますが、いかがでありますか。
  48. 齋藤昇

    齋藤(昇)政府委員 先ほどから私が申し上げておりますのは、ただいまの御意見の通りなんです。それを越えてやるならこれは事実認定を誤まっておるか行き過ぎの条例になる、かように申し上げたのであります。
  49. 眞鍋儀十

    眞鍋儀十君 ただいまその府県条例玉突場を取り上げるか取り上げないかというお話が出たのでございますが、私はここに、東京都の警視庁でこしらえました警視庁防犯部保安課の風俗営業取締条例の列挙された対象と、京都府の公安委員会でこしらえました風俗営業取締条例の列挙されたものと二つ持ってきておりますが、いずれにも玉突場という文字は、一つも現状においては入っておらないのであります。
  50. 大矢省三

    大矢委員長 他に発言がなければ、本案に対する質疑はこれを終局いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  51. 大矢省三

    大矢委員長 御異議なければ、これにて本案に対する質疑は終了いたしました。
  52. 大矢省三

    大矢委員長 次に、銃砲刀剣類等所持取締令等の一部を改正する法律案を議題として質疑を行います。質疑の通告がございまするから、これを許します。三田村武夫君。
  53. 三田村武夫

    ○三田村委員 本案はすでに参議院の審議を終って参りまして、参議院では相当熱心な議論が重ねられたようでありますが、まだ手元に委員会会議録が参っておりませんので、その詳細を知ることができないのであります。従いましてすでに御当局御承知の問題を、ここで申し上げるかもしれませんが、その点御了承願いたいと思います。  本案提案の理由を伺いますと、第一に空気銃の所持について制限を加える、つまり許可制にするということが一点、第二には、いわゆる飛び出しナイフ、それから刀剣類の中に含まれる通称あいくち、これの所持を禁止する、さらにその次にもありますが、主たるねらいはこの二点にあるように思うのであります。これはおもに最近空気銃による不測の被害——これは全く善意の第三者に不測の被害があるのでありますが、これに対する考慮が払われておることが一つで、これは、御承知のように最近非常に空気銃の性能が高められて参りまして、ただの子供のおもちゃの程度を越えてきたということは事実でありまして、もとより御当局の立案の趣旨は了承できるのであります。第二の飛び出しナイフ、あいくちの点について、これは近ごろ相当大きな社会問題となって参りましたいわゆる青少年の不良化、なかんずく凶悪犯罪の激増というところに輿論の背景があるのだろうと私は考えるのであります。その立法のねらいについては私も異論を持つものではありませんが、しかしこれがどういうふうな影響を持つかということについては、十分御当局の意見を伺い、立法の府としての態度も慎重であらねばならないという立場からお伺いいたしたいのであります。実は私岐阜県でありますが、第一の空気銃の問題は別といたしまして、第二の点になっております飛び出しナイフとあいくちは、ほとんど岐阜県の関市において製造されております。これは例の歴史講談によく出て参ります関孫六以来七百年の伝統を持っております刀都、刀の都といわれます関市の所産でありまして、相当この立法による影響が大きいのであります。関市の市会議長から当院に請願書も出ているのでありますが、年産額大体二億、業者の数において三百、実際それによって生業を営んでいるものが約八千、こういう数字に上っているのであります。  私はお尋ねする点を要約いたしまして、少々理屈っぽいことを申し上げるようでありますが、業者の立場から申しましても——業者の利益代表でありません、利益を代弁するということでなくて、憲法の二十二条に規定されております職業選択の自由——もとより公共の福祉というものが頭にかぶさって参りますが、職業選択の自由と公共福祉との関係は、これは基本的な問題として相当重要であります。結論的に申しますとこの制限立法によって相当多数の業者が直接生業を失う、同時に生活の困窮者を出すという事態が来るのであります。在来七百年の伝統の上に立って生業に安んじたもの、それが一片の、という言葉は語弊があるかもしれませんが、警察立法によって生業を奪われる。業者には直接何らの責任がありませんこの立法により、生活権の侵害ということが直接出て参ります。こういう問題についても一応私は少々お伺いいたしておきたいのであります。  第二の点といたしましては、警察立法の根本問題とでも申しますか——警察は私も多少の経験を持っているのですが、その警察行政を行うために、じゃまになるものはよく目につくものであります。そのじゃまになるものを除くために、在来よく立法手段に訴えてきたのであります。われわれ過去においても深刻な経験を持っております。戦争中の例を引き出すまでもなしに、一つの立法が先例になり、次々と警察立法というものが行われ、ついにはがんじがらめになってしまうということも、過去において苦い経験を持っているのでありますが、こういう点についても御意見を伺いたい。  さらに第三の点といたしましては、立法技術上の問題でありますが、およそ刑罰を伴う立法というものは単なる訓示規定や警告規定であってはならない。この立法、改正案は直ちに罰則が生きて参りまして、三年以下の懲役または五万円以下の罰金、こういう罰則が生きて参りますので、果してそれが刑罰立法としてスムーズに行われるかということも、立法技術上の問題として立法の府たる国会においても私は一応考えてみたいと思うのであります。  以上のような点から少しばかりお伺いいたしたいのでありますが、第一に最初に具体的にお尋ねして参りますが、いわゆる飛び出しナイフ及びあいくちというものによって行われております、当局が立法の理由として取り上げておられます被害と申しますか、件数はどのくらいありますか、この点お調べになっていると思うのでお伺いいたします。
  54. 藤本好雄

    藤本説明員 被害の件数につきまして御説明を申し上げます。お手元にお配りいたしました銃砲刀剣類等所持取締令等の一部を改正する法律案についての資料の三十九ページをお開きいただきたいと思うのであります。ここに刀剣類の凶悪事犯に供用せられました状況を、全国にわたりまして二十九年中の状況を調べて計上したのでございますが、ごらんのように日本刀、日本刀以外の刃物類、こういうふうにそれが凶悪な各種の事犯に供用された数字が出ております。その日本刀以外の刃物類の中におきまして際び出しナイフによりますものがどのくらいあるかという数字が、その下に計上されておるのであります。その全体の刃物に対します飛び出しナイフの割合がそこにパーセンテージとして出ておるのであります。これによりましても飛び出しナイフというものが、こういう凶悪事犯に相当多数用いられているという現状がわかろうかと思うのであります。ことにその下に警察庁関係だけの調査が、やはり二十九年中の調査で計上しておるのでありますが、日本刀以外の刃物につきましてさらにおの、ひ首、包丁、その他、こういうふうに分類しております。これと全国の統計と比べますと、全国の統計におきましては全体に対する飛び出しナイフの割合が八・八%、こういう結果になっておりますが、警視庁の関係におきましては一五・五%、こういうふうに全国に比べまして非常に高い比率を示しております。これは飛び出しナイフというものが最近こういう犯罪に非常に使われ出した、ことにそれが大都市において非常に顕著であるということを示しておるのでありまして、従来の例から見ましても、こういうものはこれから漸次農村地方に広がっていくのではないか、こういう傾向もそれから見得ると思うのであります。それから一枚お開き願いまして、四十ページに刀剣類の取締り状況の調べがございます。これも二十九年中の全国集計でございますが、刃渡り十五センチ以上の刀剣類の取締り件数、それから変装刀剣類、それから刃渡り十五センチ未満のひ首またはこれに類する刃物、これは現行法におきましては携帯制限になっておりますので、そういう関係で取り締った件数が出ておるのであります。これによってみますと、七センチないし八センチというところが全体の七二・二%を占め、大半を占めております。それから漸次大きくなるに従いましてまた数が減っている。またそれから小さくなるに従ってもそこを山といたしまして減少している、こういう状況であります。これが大体昨年度において飛び出しナイフの凶悪犯罪等に用いられました状況の調べでございます。
  55. 三田村武夫

    ○三田村委員 資料を拝見し、さらに御説明をいただいて大体その辺はわかりましたが、ただこの凶悪犯罪と申しますか殺傷事件に用いられます凶器の中には、あえて必ずしも飛び出しナイフやあいくちばかりではないということは、この表によって歴然たるものがあります。たとえば包丁のごときも相当数に上っております。パーセンテージから申しますと、必ずしも飛び出しナイフとあいくちだけを抽出して取締り対象にしなければならないという理由は、その濃厚でないということをまず冒頭に申し上げておきたいのであります。  少しばかり冒頭に申しましたことによってお尋ねしてみたいと思いますが、最初に申しましたように、ほとんど全部といっていいぐらい、生産をしております業者の立場から申しますと、この立法によって生業を失う、生活に困るという者が出てくるわけであります。これは公共の福祉に反しない限り職業選択の自由を有する、つまり自由主義の原則、経済民主活動の原則から申しますと、立法によって生業を制限するということには相当考慮を要するのでありますが、この点について通産省あたりと打ち合せなり御協議をなさったことがありましょうか。
  56. 藤本好雄

    藤本説明員 お説のようにこの取締法令の改正によって、現在製造しておられる者が製造ができないということになって、業者の方にお気の毒な面が生ずるということは、私どもも十分承知をしているのであります。この点につきましては、通産当局あるいはそういった他の行政官庁の面で、職業のあっせんと申しますか、資金の融資、そういうことでできる手当がある面については、十分お考えをいただきたいということは、事務的には話をいたしたのでございます。
  57. 三田村武夫

    ○三田村委員 実は私のところにも業者代表のみならず県当局者、市当局者もしばしば来られたのであります。しかし私一々それを役所に御案内を申し上げてお話することはどうかと思いましたので、自分も国会議員の一人として立法に参画するのだから、そういうことは十分同僚諸君とともに慎重に審議するということで、御当局に御案内申し上げることは差し控えておったのであります。しかし今の御答弁によりまして御心配にはなっているようでありますが、業者の立場からいたしますと、この法律の制定公布と同時に生業を失うのであります。なるほど一面こういう立法の必要性も私はよく承知しております。なるべく凶悪な犯罪を除かなければならぬことは、われわれの考えるべき重要な点でありますから、その点は承知しておりますが、あえて率直に申しますならば、こういう既存の業者に直接影響を及ぼす立法については、事前に十分その点の御協議をしていただきたいと思います。そうでありませんと非常に不安を持つ。私業者の方々から聞いたのでありますが、通産省からもいろいろな調査が行っておるようでありますが、その通産省の調査に関連して、業者から通産当局に一体どうしてもらえるのだといって、希望なり、要求なり、陳情なりをした場合には、何の安心できる回答も得られないと言っております。その点はこの法律書き方で直接影響をこうむる範囲も違って参りますし、いろいろな点もありますが、少くとも最初立案されるときは、これは将来への警戒立法でなくて、これは現在すでに町にあるものであり、その業者が現存しておる次第でありますがゆえに、立法によってどのような影響をこうむるか。そのような場合にどのような手段を講ずべきかは、当然御準備あってしかるべきだと、こう私は思うのであります。もう少し率直に具体的にその辺どのようなお考えであるか伺いたい。歯にきぬ着せないで申し上げますが、警察警察の希望する法律だけ作ればよろしいという態度では、政府全体の立場は済まされないと思う。どのような態度で準備してこられましたか、念のために重ねてお伺いいたします。
  58. 齋藤昇

    齋藤(昇)政府委員 私ども立法をいたします際にも、その点を相当慎重に考えたつもりでございますが、この飛び出しナイフの所持が禁止になりますと、少くとも国内販売用としての飛び出しナイフの生産はできなくなります。しかしながら飛び出しナイフの持っております特徴、すなわちバネで、ある程度飛び出すというこの特徴は、本法案が通りましても保存はできるようにということを考えまして、飛び出しナイフの定義の点に注意をいたしたのであります。すなわちこのしかけを押えました際に、一どきに垂直になるまで飛び出してしまうというのではなくして、九十度までを認めるということにいたしますならば、飛び出しナイフとして今関で生産されております特質が、依然今後も活用ができるのではないか。従いまして単なる普通のナイフに転化してしまうというのではなくして、現在の特質はある程度生かしていけると思います。ただ問題はすでに作ってしまったものに対してどうなるかという問題でありますが、これもこのしかけを少し変えれば、法律に合う規格に相なりますから、これには大した費用もかからなくて合法的なものになし得る、もちろんそれにいたしましても相当の損害を来たすことに相なりますが、これはただいまといたしまして、補償をする方法がございませんので、業者の方々に対しましてはまことにお気の海と存じますけれども、社会公共の秩序の維持という点から考えましてやむを得ないもの、かように考えておるのであります。
  59. 三田村武夫

    ○三田村委員 今齋藤長官の御説明は私了承いたします。その点の御考慮を払われたことは、事務当局としてはわかるのでありますが、実際業者の立場に立ちますと——私もあまり出たらめなうそやかけ引きを言うなということで、ずいぶんいろいろ研究させたのですが、九十度の角度でとめるといっても実際は困難なんです。その点も警察の立場から申しますと、何も全開にしなくてもよいじゃないか、飛び出しナイフの特徴は九十度でよいじゃないか、この警察当局の立場もわかります。それで飛び出しナイフの特徴は生かせるじゃないかということはわかりますが、しかし実際の需要の面、あるいは業者の立場からは中途半端なんです。九十度でとめた場合にどうなるかということも、やはり十分業者の立場に立ってお考えを願いたかったのであります。今そこにお示しになっておるような大きいもの、さっき防犯課長が御説明になりましたように七センチないし八センチ、こういうものについては業者も禁止してもらってけっこうだ、こう言っておりますから、その点についても、もう少し事前に実際業者の方々と御協議願いたかったということを申し上げるのであります。  それからこの問題に関連して、つまり業者自身の立場からいって何らの責任なく、立法によって生業に大きな支障を来たすというような場合は、警察当局警察当局としての警察立法という立場からだけでなくて、政府全体の責任において事後の問題についても、通産当局と御協議の上、十分御考慮願いたいということを、この際強く申し上げておきます。  それから質問の第二点に入りますが、私大げさな言い方で警察立法の根本問題と申しましたが、先ほど防犯課長お示しの飛び出しナイフないしあいくちによる凶悪犯罪の事例であります。なるほど凶悪事犯の中に占めますパーセンテージは相当の数のものがありますし、飛び出しナイフによる事件が七百八十八件であります。しかし飛び出しナイフと称せられるものの年産額を調べてみますと正確な数字はわかりませんが、大体年歴三十万丁です。その中で七百八十八件というものは不法に使用されているという数字が出てくる。逆な言い方をいたしますと、三十万分の七百八十八というものはその使用の面における例外であります。別な言い方をいたしますと二十九万何千丁というものは、ことごとくが善意かどうかはわかりませんけれども、正常の状態でこれは所持されておる。その正常な状態で所持されておるものが大半である。そこに三十万分の七百八十八という例外が出てきた。その例外を原則に戻して全体の制限をするということは、立法の建前上いつでも問題になる。つまり例外を原則に戻して全体を規制していくということは、よほどこれは注意しなければならぬ、考えなければならぬ点であります。つまり善意の行為というものをすべて悪意にしてしまう。人は人を殺す傾向があるから、全部刑務所に入れろというような建前でありまして、そういう建前は刑事立法の面から見ても、あるいはまた警察立法の面から見ても成り立たないものであります。私ももとよりこういういわゆる不良少年が半分興味を持ってこれを濫用しまたは愛用し、これを凶悪犯罪に使うような、そういう手段に利用されがちなものは、できるだけこの世の中から消したいということについては異論がないどころか、もっと強い要求もしておるのでありますが、そのことのゆえに善意の所持二十何万を同列に考えてしまって制限の中に投ずるということは、これはなかなか問題があるのであります。と申しますことは、われわれは戦時中もいろんな立法をやったわけですが、国のために必要だ、戦争に勝つためには必要だ、これはどうしてもやらなければならぬという当局の説明を聞いて、次々に法律を作って、遂に権力をもってがんじがらめになった経験も持っておりますので、警察のために私はこの点を申し上げたいのであります。もとより青少年の不良化防止という立場から、各種の団体あるいは世論の上に立っての御立案であることは私も了承しておりますが、今私が申しました真実の警察を確立するために、例外を原則に戻して、すべてこれを警察的処置に置き変えるということは、よほどお考え願いたいということを申し上げるのであります。その点についての御所見を齋藤長官から一応伺っておきたいと思います。
  60. 齋藤昇

    齋藤(昇)政府委員 ただいまの三田村委員の御所見には、私も全く同意見でありまして、何らこれにほかの意見は持っておりません。ただこの飛び出しナイフにつきまして、これが他に正当な用法があるであろうかということを相当調べてみたのであります。あるいは登山家の連盟あるいはボーイ・スカウトの連盟あるいは電電公社等の工夫等が、こういうものがあると非常に便利かどうかということを調べてみたのでありますが、みな自分らの方としてはこういうものは必要としないという御回答でございました。考えてみますと、結局好奇心かあるいは殺傷用にしか役立たないのではないかというよう考え方を持ったわけであります。この新案特許というか考え方は、明治の時代にすでにありまして、特許の申請もとってあった。ところが最近まではほとんど生産されなかったということは、いわゆる通常な用途がなかったから作っても売れなかったのであろう、かように思います。終戦後の非常に異常な状態に伴って不良宵少年の非常な増加ということと、もう一つは外国の兵隊さんたちがみやげとして買っていくというようなことから、生産がぐんと伸びたように考えられるのであります。みやげ品として売れるということは、一つの外貨獲得にもなるわけでありますから、私どもといたしましては輸出用としてはとめる必要はないが、国内用といたしましては正常な用途も他にないようでありまするので、できるだけ業者の負担を少くしながら、今後こういうふうに飛び出してしまうナイフは生産をしていただかぬようにいたしたい。現在生産しているものにつきましては、先ほど申しましたように若干の改変を加えれば凶悪犯に用いられるようなものではないように改変ができるということで、この法案を立案いたした次第であります。もちろん凶悪犯に用います場合の凶器は、日本刀あるいは出刃包丁その他いろいろなものがございますが、この飛び出しナイフはほとんどもっぱら不良青少年に用いられるわけです。不良青少年の不良化とか、あるいはこれで殺傷するという意欲を、これが非常にそそるということが原因であろうと思います。強盗、殺人等におきましても、あるいは日本刀を用いたり、こん棒を用いたりはいたしますが、ただこのものの持つ誘惑性というものによって、不良化が助長されるという全般的な世論というかそういった声も非常に高く上って参りました。これはもっとものことではなかろうかというので、本法案を立案いたしたような次第でございます。
  61. 三田村武夫

    ○三田村委員 今齋藤長官もお述べになりましたが、前段の理由は、これは一応権威のある御所見と思いますが、しかしこれにも別な角度からの意見が成り立つのであります。つまり別段これを必要とする用途がないという御見解は、全く事務的な御見解でありまして、用途のないものならば一年に三十万丁も生産されやしないし、売れやしない。これは多少便利であるという商品価値がなければ商品になりませんから、業者といたしましてはどういうものがみなの興味を引くか、便利であるかを考える。若い娘さんがきれいな荒物を着てお化粧すると同様に、商品というものについてはいろいろな意匠も要る、工夫も要る。業務に携わる者の切磋琢磨であり、努力でありますから、そういう方向に行くのであります。事務的に見て、これは別段必要とする用途がないという御見解は、私はちょっと了承しがたいのであります。もちろん今齋藤長官のおっしゃった凶悪な犯罪に非常な魅力を感ずる、ことに不良青少年の間にこれが愛用されるということは、私もその通り承知しておりますから、その点はあくまでも押えたいと思います。けれども、これが別に善意に解する用途はないのだという御見解のもとに立案されるなら、私は少々そのお考えは間違いじゃないかと思います。世の中には、それならこれは善意の上においてどういう用途があるのか、きれいな衣服の上にきれいな意匠をこらすのは、どういう用途があるのかと一々言ってもちょっと説明に困る業種があると同じことでありまして、明治の初年に特許の許可を得て今までやらなかったということは、業者の立場やその社会環境あるいは業態の面から見て採算がとれず、商売にならなかったのかもしれません。長官の言われたように、戦後の混乱に乗じということがありますが、当時に比べて、敗戦から今日までの状態はすべての面に新しいものが入ってきた、その中においてナイフを作っている者も新しい工夫をするということは、当然であろうと思うのでありまして、そのことのゆえに需要がふえてきておる。そのことのゆえに生業が成り立っていくのであります。その点は一つお考え願いたいと思います。  それから不良少年や不良青年が凶悪な犯罪に使うからということでありますが、これはだれかの言葉ではありませんが、一切の社会的欠陥はことごとく政治家の怠慢と無責任によるという言葉がある通り、こういう不良少年の存在とか凶悪犯の存在ということは、他の方法において是正しなければならぬ問題でありまして、今防犯課長の御説明になりましたような、それが直ちに犯罪の用に供せられることが、あまりにも顕著なものについては私も禁止もとより賛成でありますが、すべてのものを立法の対象にして、これを不良青少年凶悪犯罪の防止のための手段にするということは、そのもののみを抜き出したところの警察的処置でありまして、私はもっと大きな問題が他にあるということを考えたいのであります。立法の例から申しますと、ここにありますように二十七年の警視庁の統計を見ますと、飛び出しナイフが寮二十二件、包丁が二百九件、飛び出しナイフで人殺しをやり脅迫をやる、これは一つ手当をしなければならぬということになると、その次に包丁をやろうじゃないかという理論も成り立つのであります。金づちで人の頭をたたく、あれも凶器だという論理も成り立つのであります。そういう論理が拡大していくと非常に困ると思います。これは立法の先例になるのですから私は申し上げる。しかし必要性は認めますから、必要の度合いと全体の社会環境をにらみ合せたその中のあるべき姿というものを冷静に判断いたしまして、もとより悪の全部を一片の法律でぬぐい去ることは不可能であります。その点においてある限界というところまで持っていって、どこに一番いけないものの手当をしていくか、そうしてその手当によって他の警戒へ、他の教訓をどのように及ぼしていくかということを立法の際に考えなければならないと思うのであります。私が申し上げるまでもなく、警察は新しい制度に入りましてからすでに六年、七年になって、新警察の使命とか任務というものは、すでに十分御体験であり御体得であると私どもは承知いたしております。また同時に、私今国会になってから法務委員会におりますが、人権じゅうりんとかいうような問題を相当やかましく論じられております。別な言い方をいたしますと、こういう警察のあり方はだんだんオールマイティになりまして、警察の必要といたしますものは立法的に必ず手当をしていくということは、それが必ずしも警察のためにならない。警察の存在価値というものを国民の信頼の中に置くということにならないということを私はしみじみ考える。でありますからこれを申し上げるのでありますが、どうぞその点をお考え願いたい。具体的に、しからばこの法案についてどのような線を引くかということについては、同僚委員各位と御相談いたしまして、参議院の修正点もあると思いますから、この点は考えてみたいと思いますが、これは私は歯にきぬ着せずに申し上げた。そこでこれは三田村一個の意見としてでなくて、戦争中からの長い体験で、法律や権力でがんじがらめになって、遂にわれわれの愛すべき国と民族も悲惨な運命に突き落した過去への厳粛な反省から、私はこの点を切に申し上げたいのであります。この点についての齋藤長官の御意見を一応お伺いしておきたいと思います。
  62. 齋藤昇

    齋藤(昇)政府委員 ただいまの御所見は私も満幅の賛意を表します。私もその通りに考えております。ことに少年問題、不良青少年問題のごときも、根本はわれわれ警察のよくすべき領域ではないと考えております。もっと根本問題がたくさんひそんでおると思います。また警察が不良青少年問題を取り扱いまする場合におきましても、この飛び出しナイフの禁止とかいうようなものは、もう枝葉末節であると考えております。枝葉末節ではございますが、しかし青少年問題協議会等におきましても、こういうものは禁止をしてもらいたいという強い要望もございまするし、今日の状態ではやはりそういう線に沿う一助にはなるかと考えて提案をいたしておるのであります。根本的な御所見はまったく同感でございます。
  63. 三田村武夫

    ○三田村委員 私の時間もだいぶ迫ってきたようでありますから、一応御質問はなるべく簡潔に進めていきます。  次に私は立法技術士の問題についてお尋ねしたい。これは理屈を申し上げるのではなくて、現実にこの法案を審議する立場からお尋ねするのであります。これは過去においてもしばしば経験したことでありますが、この法案は形式は警察法令でありますが、実質は刑事立法であります。刑罰が生きてくる刑事立法であります。従いましてここで御提案になった案文だけ拝見いたしますと、すらすらと書かれておりまして、別に何ともありませんが、この通り改正条項を認めますと、今そこにありますこのくらいの小さな飛び出しナイフ一丁持っておりましても、三年以下の懲役、五万円以下の罰金という罰則が生きてくる。われわれが立法をする場合に一番考えなければならないのは、なかんずく刑罰立法について慎重に考えなければならないことは、実効の伴わない立法をなすべからずということ、つまり実際行われない、実効の伴わない立法をなすべからず、これが基本的人権に非常に重大な関係があるのです。たとえばこの法案を実際に適用する場合どうなるか。年産三十万丁、これは三、四年作っておりますから、おそらく数十万丁のものがちまたにあふれておると思います。だれか持っておる。それが法律ができて三年以下の懲役、五万円以下の罰金でありますから、軽い罪じゃない。これを持っておることによって現行犯。この法律の効力を現実に行うためには、どうもあいつ不良少年らしいつらをしておる、持っておりそうだというやつを片っ端から身体検査をする。こんな小さなものですから、ポケットに入っておるものを調べなければならぬ。事実そうなると思う。これは齋藤長官、井本刑事局長、防犯課長が、そうはならぬ、十分その当時の客観情勢を勘案して、不良少年らしき者、所持しておるらしき者についてこれは励行するんだとおっしゃっても、末端の警察に行きますと、中には点取り主義もあります。三年以下の懲役、五万円以下の罰金、しかも現行犯は三年の懲役がついておるということになれば、厳重な検査もして手錠をかけることもできる。そういうことは法を励行する場合のケースとしてあり得る。だからそういう点を十分考慮してお考え願いませんと、今の齋藤長官あるいは刑事局長、防犯課長が立法者の立場から、とんでもないことだ、そんなものを考えているんじゃないんだ、凶悪な者だけを手当するんだとおっしゃっても、できた法律はひとり歩きをする、これが法律の当然の性格であります。できた法律がひとり歩きしてしまうと、別な警察署長が、一つ大いに不良少年の検挙の件数を上げろ、片っ端から一つ身体検査をやれ。身体検査をやれといっても、法律があるから根拠がある。そういう根拠ができてしまうからこの点をお考え願いたい。それはそのときの場、たとえば新宿のたまりの不良少年ばかり集まるところに行って、あいつが不良少年らしいからやってやるんだというふうなお考えでは法律は動かない。できてしまったらひとり歩きしてしまいます。だからこの点も十分お考え願いまして、ひとり歩きしてもいいもの、つまりこんな小さなものを持っておっても犯罪になるんだというような、そういう窮屈な、とても実行不可能なよう法律は作るべきではない。そこにあるような大きなものなら持っておる者自身が、所持の意識において犯罪性があると言えるかもしれない。大きなものならば、持っておれば脅迫のたぐい、おどかしのたぐいになるということは言えるのでありますが、小さな、ここにもありますような五センチや六センチのものを、小さな子供がナイフを鉛筆削りに使うのですが、なかなかいたいけな指で出せません。そこでちょっとボタンを押すと、ぴょっと出る便利なナイフでありますから、児童が文房具の箱に入れて持っている。これは所持する意思においては何ら犯罪ではありません。そういうものまで法律の性格として刑罰法が及ぶような行き方は避けなければいかぬ。最小限度の除かなければならぬ凶悪なものを対象にした立法に締めていかなければならぬということを、私は切に申し上げたいのであります。この点については、私他の機会に法務省の刑事局長にもちょっと話したことがあるのですが、法案提出の前の事務的な連絡というだけでなしに、私の聞いた範囲においては、今度の改正案では、小さな飛び出しナイフ一本持っておっても三年以下の懲役、五万円以下の罰金という罰則二十六条が生きてきて、それが現行犯で処罰されるということは考えていないようです。それだと非常に因るのでありますから、その点についてどの程度法務当局と御協議なさったか、その点についてどの程度の線をおきめになっておるか、お伺いをいたしたいのであります。
  64. 藤本好雄

    藤本説明員 飛び出しナイフを禁止する場合のミニマムをきめるという問題についてのお尋ねだと思いますが、私ども事務的にこの問題を検討いたします際にも、お説のような点につきましては十分検討を遂げたのであります。ただこの点については、あるいは御意見が分れると思いますが、飛び出しナイフの非常に小さいものでありましても、飛び出すという作用が危険なものである、あるいはその点が便利だ、こう仰せになるかもしれませんが、われわれはむしろその飛び出すということが——かりに子供が持っておるといたしましても、もちろんそれはナイフとして危険なものである、こういうふうに考えたのであります。それが直ちに人を殺傷し得る凶器というふうには考えないのでありますが、しかしそういう点においてはむしろ不良じみるとも言えるのではないか、こういうふうに考えております。この点につきましては、法務省とは、法案を提出する前におきまして十分お話し合いをいたしまして、御了解の上で法案を提出したような次第であります。
  65. 三田村武夫

    ○三田村委員 委員長にちょっとお伺いいたしますが、これはきょう午前中で終るのですか。
  66. 大矢省三

    大矢委員長 終りません。後刻ずっと継続いたします。
  67. 三田村武夫

    ○三田村委員 それでは、まだお伺いしたいことがありますが、委員長の御都合で適当なときにやらせていただいてけっこうであります。
  68. 大矢省三

    大矢委員長 後日これは継続しますから。なお午後は、二時からここで小委員会を開くことになっておりますし、ほかにいろいろ発言者がありますから、その程度に一つお願いしたいと思います。
  69. 三田村武夫

    ○三田村委員 それではきょうは、もう少し事務的にお尋ねしたいことがありますから、その一点だけ伺って、あとは留保いたします。  今防犯課長お話、当局の立場からの御意見はよくわかります。しかし私は、ここで思いつきで申し上げているのではなくして、飛び出しナイフの用途とか効用とか、実際どういう形で持たれるかということを、この問題が起ってから十分研究して申し上げておるのです。飛び出すことそれ自体が危険だとおっしゃいますが、飛び出すことそれ自体が危険であるものなら、やはり善意で平和な生活を脅威する——飛び出すことそれ自体が危険であるならば、これほど需要はないのです。危険だという解釈の反面に、これは非常に便利だという解釈も事実あるのです。現に簡単にぽいっと出る。ぽいっと出るから子供は喜んで買うということも現実なんです。私がこの間ある知り合いの家へ行きましたら、学校へ行く子供がちゃんと文房具の箱に入れて、おじさん、これはとても便利だよと言って持っておる。これが危険だとも何とも思っておりません。そういうことも、私冒頭に申し上げましたように、言葉には語弊があるかもわかりませんが、警察的な判断から物を判断されますと、今防犯課長のおっしゃるような意見も出ますが、そうでなく、平和で善良なる家庭生活、社会生活をなす面から見れば、別な解釈が出てくるのです。常に別な解釈、御判断を材料にして物を考えていただきたいと思います。  さらに、一体ここでは犯罪の原因そのものに手当するのではないのです。人殺しとか、強喝とかあるいは傷害というものは、そのこと自体は大きな反社会性を持っておりますから刑事立法で手当しなければなりませんが、物を持っているということ自体は犯罪ではない。犯罪の手段に供せられる物の所持、つまり犯罪となるべき可能性と危険があるから刑事立法で手当を加えて罰を科するということは、刑事立法の原則から言うと非常に逸脱している。これは、刑事立法の面で、ある程度御当局の気持がわかりますから、私は全面的に否定するのではありませんが、将来もあることだからお考えを願いたい。これは犯罪の原因となるが、これ自体を持っているのは犯罪ではない。ねこいらずを持っていること自体は犯罪ではない。しかし、これを人に飲まして殺した場合には犯罪の手段になる。これは類似のそういう点が多く出て参りますからお考え願いたい。これは簡単な例でありますが、これが立法の先例になって、次ぎから次ぎにこういう先例があるということになると、しまいにはねこいらずも処罰しよう、料理屋の台所にある出刃包丁も危険である、こういうことも理屈としては、論理としては成り立つ。そういう点をお考え願いたまして、今の御当局の取締りの立場からの手当ということも十分考慮し勘案して、どの程度で線を引くかということを、参議院における審議の内容も十分参考にいたしまして、次回に具体的にお尋ねいたしてみたいと思います。あとの具体的な質問を留保いたしまして、午前の質疑はこれで終ります。
  70. 坂本泰良

    ○坂本委員 私もこれについて質問したいと思いますが、飛び出しナイフの生産状況欄というのがありますが、こんな飛び出しナイフが何に使われておるか。私たちは全くこれは道具だと思っているのですが、これが一般生活関係その他に有用に利用されているかどうか、その点の資料がありましたら、次回にお願いいたしたいと思います。
  71. 齋藤昇

    齋藤(昇)政府委員 ただいまお尋ねの資料は、端的に申しましてございません。飛び出しナイフ禁止の方向に向っているというというようなことが新聞記事その他に現われているし、また青少年の委員会等から陳情がございましたが、そういった際におきましても、こういうものを禁止してもらうと、こういう点で不便で困るとかいうような所見をどこからも伺っておりません。従いまして、鉛筆削りとか普通のナイフ用に使われているものではなかろうか、かように考えております。
  72. 鈴木直人

    鈴木(直)委員 ただいまの御発言を実はずっと拝聴しておりますと、これは警察に関係することでありますが、相当やはり業界に影響を及ぼす問題でもございます。従いまして、自由党でも実は相当検討して、どんなふうに業界に影響するかということを、もう少し詳しく調べて結論を出したいと思うのですが、業界に及ぼす影響を、詳しい資料を、この次にお尋ねいたしますから、提出された以外に、答えのできるように準備しておいていただきたいと思います。
  73. 大矢省三

    大矢委員長 それでは質疑はこの程度にいたします。     —————————————
  74. 大矢省三

    大矢委員長 次に町村合併問題について調査を行います。発言の申し出がございますので、これを許します。赤松勇君。
  75. 赤松勇

    赤松委員 一点だけお尋ねしておきたいと思います。それは、本委員会におきまして先般一日かかりまして参考人を招致して調査を行なったのでありますが、非常に大きな関係がございますので、時間がございませんから、一点だけお伺いしておきます。  自治庁の行政部長にお尋ねいたしますが、先般本委員会におきまして、参考人を呼びました。全国で町村合併のテスト・ケースと言われますところの、内閣総理大臣に対する申請の行われました名古屋周辺の八カ町村の合併問題でございます。これはすでに関係書類を添えまして、町村合併促進法第三十三条第一項の規定に基いて、審査の請求を四月四日に提出しております。その後これがいかようになっておるか、またいつごろこの結論をお出しになる考えであるか、これをぜひお伺いしておきたい。と申しますのは、本件に重大な関係のあります町長選挙等も明日に控えまして、実は関係方面は非常な関心を持っておるのであります。この点につきまして、ぜひ自治庁の明確な御答弁をお聞きしておきたいと思います。
  76. 小林與三次

    ○小林(與)政府委員 名古屋市の合併問題に関連いたしまして、今お尋ねの通り審査の請求が参りまして、自治庁といたしましても、町村合併促進法の定めるところによって、できるだけ早急に結末をつけたい、こういう考えでおるのでございます。しかし今もお話がありました通り、その後地元において地方議会の選挙もありますし、それからまた関係町村の中には、長の選挙の行われるところもございまして、新しい議会、新しい首長の意向も十分に聞いて、この問題を処理することが、一番最近における住民の気持がそこに現われておるのでございますから、われわれといたしましては、そういう気持で今までその時期が熟するのを待っておったのでございます。大体議会の選挙はもうすでに終っておりますが、長の選挙も最近行われるところもあるのでございますから、それも終りましたならば、新しい議会、新しい首長の意見をただして、それに基いて自治庁として手続を進めたいと存じております。その時期は、そうした意見が参りますれば、自治庁といたしましては、自治庁の参与の意見を聞いて総理大臣に申請することになっております。関係六団体の代表者がそれぞれ参与になっておるのでありまして、これもこの前の選挙の結果、現在までは全部出そろっておらないのでありますが、おっつけ参与が全部出そろうことになるはずでございますので、そういう参与も構成されましたならば、事務的には最短距離で、この問題を処理いたしたいと考えております。
  77. 赤松勇

    赤松委員 いつごろになりますか。
  78. 小林與三次

    ○小林(與)政府委員 われわれの手続といたしまして、あとは総理大臣へのいろいろな問題がありますが、われわれ事務当局としての措置は、できるならば七月中にでも進めたい、こういうふうに考えております。
  79. 赤松勇

    赤松委員 住民の意思を尊重して、総理大臣の結論を出すということにつきましては、その通りでございます。ぜひそういうふうに慎重にやっていただきたい。ただ慎重かつ迅速にお願いしたい、というのは、全国のテスト・ケースでございますから、従いましてできるだけ早く、しかも慎重にやってもらいたいと思うのであります。  特に私が慎重にやっていただきたいということを希望いたしますのは、住民の意思を端的に表現するものは、議会の意見及び町長の意見であると思います。ところが議会は十三対十三、これは厳密にいえばわかりませんけれども、一般に言われているのは十三対十三だ、同数だというのであります。従いまして議長の選出も非常に紛糾しまして、この問題を問題にしないということで、議長は片方のグループから出たわけです。町長の方も、反対派は今度は賛成派になっている。それで賛成派は反対派にはなりませんけれども、原則的には賛成であるが、一応問題を白紙に戻して、そうして徐々に合併を進めようではないか、こういう合言葉で今選挙が行われているのであります。従って、町長の意思をどのようにそんたくするかということは、非常にむずかしい問題だと思う。必ずしも町民の意思が賛成か反対かという形において現われてはこないのではないかと思います。選挙の実態といたしまして、客観的にはそういうことがいえると思う。主観的にはいろいろ宣伝的な意味で言う面もありまするけれども、客観的には、必ずしも町長選挙が賛成反対の具体的な表現にはならぬと考えております。従って自治庁としても、この点につきましては、ぜひ町議会及び新しい町長の意見を十分聞いていただきまして、そうして町村合併法の精神に沿うて善処していただきたい。ただ住民が心配しておりまするのは、いずれにしましても、先ほど言ったように全国で非常に注視している問題でございますから、自治庁やあるいは内閣の方ではこの問題をずらしていくのじゃないかというふうに非常に心配しているわけであります。今自治庁の御意見を聞きますというと、諸般の手続を経て、おそくとも来月中には結論を出したい、こういうような御意見でございまして、大へんけっこうだと思います。一つできる限り慎重迅速に事を運んでいただきたい。  町長選挙及び町議会選挙には、住民の意思というものは、反対か賛成か、具体的にそういう形で現われておりませんが、この点につきましては行政部長としていかようにお考えでございますか。
  80. 小林與三次

    ○小林(與)政府委員 ちょっと今のお言葉のうちでございますが、われわれといたしましては、事務的には少くとも七月くらいまでに事務手続を済ませたい、こういうふうに申し上げたのでございまして、全部そこで完結するかせぬかはいろいろの問題がありますから、その点はお許しいただきたいと思います。われわれといたしましては、その含みで事務的にあらゆる手続を進めたいと存じております。  それから、新しくできた議会なり長なりというものの意向をどう見るかという問題は、われわれといたしましてもこれからのきわめて重要な問題でありますが、ともかくも新しい機関が構成されて、その機関の意思を聞いてからでなければ判定できないだろうと私は思います。その結果を待って、今日すぐ何をどうこうということを申し上げるわけにも参らないと存じておりますが、できるだけ公平な立場で、できるだけ住民の意思に即した意思を明らかにして、そうして合併促進法の精神に沿って、そのことを考えて参りたい、かように存ずるのであります。
  81. 赤松勇

    赤松委員 そこで、県側で留保されている町村がありますね。その留保になっている町村につきましては、県側も必ずしも反対ではないと言っている。これはいろいろな行きがかりで留保されたのだと思うのでありますけれども、これについては自治庁の方ではいかようにお考えになっておりますか。その町村の名前をあげて、具体的にその方針をお示し願いたい。
  82. 小林與三次

    ○小林(與)政府委員 保留になっているものにつきましても、審査の請求が実は参っているわけでございまして、審査の請求についての役所としての最終的な結論は出ておらぬわけでございまするが、ほかの事案と違いまして、保留になっているのは県自身の態度が明確でないのであります。これも最近選挙が行われておりますので、そういう事態を基礎にして、住民のそれぞれ意見のあるところに基いて、県の方で自主的に善処されることが一番望ましい、こういうふうに考えております。
  83. 大矢省三

    大矢委員長 それでは町村合併問題の調査に対してはこの程度にいたします。     —————————————
  84. 大矢省三

    大矢委員長 この機会にお諮りいたします。地方税法の一部を改正する法律案について、参考人より意見の聴取をいたしたい旨の申し出が委員からございますので、本案については参考人の出席を求めることといたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  85. 大矢省三

    大矢委員長 異議なければそのように取り計らいます。  なお日時及び参考人の人選等につきましては、委員長及び理事に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  86. 大矢省三

    大矢委員長 御異議なければさよう取り計らいます。     —————————————
  87. 大矢省三

    大矢委員長 なお小委員補欠選任の件についてお諮りいたします。小委員でありました川村継義君が去る二十三日一たん委員辞任せられましたが、翌二十四日再び委員に選任せられました。従って地方税法改正に関する小委員補欠選任を行わなければなりませんが、これは選挙の手続を省略いたしまして、先例によりまして委員長より御指名することに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  88. 大矢省三

    大矢委員長 それでは地方税法の改正に関する小委員に、従前通り川村継義君を指名いたします。  次会は公報をもってお知らせすることといたしまして、本日はこれにて散会いたします。    午後一時三分散会