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1955-06-10 第22回国会 衆議院 地方行政委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年六月十日(金曜日)    午前十時四十九分開議  出席委員    委員長 大矢 省三君    理事 安藤  覺君 理事 池田 清志君    理事 古井 喜實君 理事 前尾繁三郎君    理事 加賀田 進君       亀山 孝一君    川崎末五郎君       木崎 茂男君    渡海元三郎君       徳田與吉郎君    丹羽 兵助君       長谷川四郎君    青木  正君       熊谷 憲一君    灘尾 弘吉君       山崎  巖君    川村 継義君       北山 愛郎君    五島 虎雄君       杉山元治郎君    中井徳次郎君       西村 彰一君  出席国務大臣         国 務 大 臣 川島正次郎君  出席政府委員         自治政務次官  永田 亮一君         総理府事務官         (自治庁財政部         長)      後藤  博君         総理府事務官         (自治庁税務部         長)      奧野 誠亮君  委員外出席者         専  門  員 有松  昇君         専  門  員 長橋 茂男君     ————————————— 六月十日  委員保利茂辞任につき、その補欠として前尾  繁三郎君が議長の指名で委員に選任された。 同日  理事前尾繁三郎委員辞任につき、その補欠と  して同君が理事に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事の互選  昭和三十年度地方財政計画に関する件     —————————————
  2. 大矢省三

    大矢委員長 これより会議を開きます。  昭和三十年度地方財政計画に関する件について調査を進めます。質疑の通告がございますから、これを許します。北山君。
  3. 北山愛郎

    北山委員 財政計画に関連しまして、三十年度の歳入の方の見積り関係をする税の徴収見込みでございますが、今度の地方税に関する参考計数資料、これによりますと、各地方税徴収収入見込みこれがやはりこの前にも指摘しました通り実際以上に過大ではないか。調定額に対して収入見積りが過大ではないか、こういうふうに考えられるわけであります。その点について税務部長からお答えを願いたいのであります。
  4. 奧野誠亮

    奧野政府委員 地方税徴収成績につきましては、だんだん税制が安定して参った関係や、あるいは税務関係職員研鑚等の結果もありまして、毎年度若干ずつ上昇して参ってきております。昭和二十五年度におきましては七七・七%、昭和二十六年度においては八一・九%、昭和二十七年度においては八二・五%、昭和二十八年度においては八三・五%、昭和二十九年度につきましてはまだ実績がわかっていないのでありますが、府県分について見ますと、二十八年度のある月と二十九年度のある月とを比較して参りました場合に、二十九年度の方が若干成績が上って参ってきているわけであります。すなわち十二月末で比較いたしますと、二十八年度におきましては六四・四%であったものが、二十九年度におきましては六八%というふうに上昇して参ってきているわけでございます。こういう影響もありまして、三十年度分として見込んでおります地方税収入の額は、大体その程度を確実に確保することができるのではなかろうかというふうに思っております。
  5. 北山愛郎

    北山委員 私ちょっと見てみたんですが、たとえば事業税について二十八年度決算と比べてみたのです。そうすると事業税個人事業税については、二十八年度収入歩合というものは七〇・八%です。ところが今度の三十年度収入見込みにおいては第一棟、第二極を八〇%、第三種は九〇%というふうに見込んでおる。また遊興飲食税昭和二十八年度決算では七八・七%ですが、これを八八%に見ておる。それから自動車税については二十八年度は八四・四%でありまするのを九五%に見ておる。ちょっと私ひっ比べてみただけでも、こういうふうに二十八年度決算に比べますと、相当大幅に収入歩合というものを向上したごとく計算をされておるわけであります。従って多少の徴税上の改善という、ものがあったとしましても、二十八年、二十九年、三十年と、一般経済不況等関係も考慮しますと、必ずしも二十八年度決算よりはそう急送に、そういうような改善を見込むのは無理ではないか、こういうように思うのでありますが、重ねてその点についてお伺いをしたいのです。
  6. 奧野誠亮

    奧野政府委員 個人事業税につきましては、昨年国会において法律を改正していただきまして、基礎控除額が二十八年分よりも二万円引き上げられておりますと同時に、税率が三分の一程度引き下げられたわけであります。そういうことから徴税成績が非常に向上して参りまして、二十八年の十二月末日と二十九年の十二月末日とを、個人事業税についてだけ調査いたしましたところが、一〇%も徴税成績が上昇して参ってきております。なお自動車税につきましても、昨年の改正におきまして、自動車税を滞納しています場合には車体検査を受けることができないというような、認許的な性格を付与していただきましたので、その結果格段の成績の向上を示して参っております。遊興飲食税の問題につきましては、これは特殊の事情がございまして、すなわち遊興飲食税地方税になりましてから、料理飲食営業停止処分ポツダム政令で行われた、そういうようなことから非常にむずかしい税になったわけでございますけれども、その後常態に復して参りますとともに、遊興飲食税軌道に乗せるために、毎年県は非常な努力を払って参っておりますので、漸次成績が上って参っております。従って総体として三十年度地方税収入は、大体制度改正制度の安定あるいは税務職員努力、いろいろなところから今の額程度は確保できるだろう、こういうように予想いたしているわけであります。
  7. 北山愛郎

    北山委員 確かに個人事業税あるいは自動車税等については、そのような改善をする一つ要素があったわけであります。ところが他の固定資産税なりあるいは住民税というように、年々相当に税額が大幅に上ってきているもの、こういうものについては、必ずしも楽観を許さないのではないか。事業税の方は安くなるのでありますからこれは取りやすくなる。自動車税の方も、昨年私どもも反対したのですが、あのような車体検査をやってくれない、税金を納めなければ検査もしてくれない、こういうやかましい条件をつけましたので、確かに徴収はよくなったかもしれません。しかしどんどん年々税額増税になってきておるような税種については、なかなかむずかしいのじゃないかと私ども考えるのですが、その住民税あるいは固定資産税等については、二十八年の決算と比べてどういうふうな比率になっておりますか、お示しを願いたい。
  8. 奧野誠亮

    奧野政府委員 固定資産税のうちで、土地については昭和三十年度分について評価を引き上げております。そういう関係から若干徴収年度内に行われませんで、翌年度へずれる分が多くなるのではないか、こういうようなところから、年度内の分についての徴収率は引き下げております。  住民税の問題につきましては、特に今までと変った点は起らない。しかし徴収方法としては、漸次特別徴収制度その他軌道に乗って参っておりますので、悪くなることもないのではないか、こういうふうに考えております。徴収歩合といたしましては、土地固定資産税分については引き下げて見ておるわけでございます。
  9. 北山愛郎

    北山委員 少くとも今度の算定資料に見込まれた徴収割合というものは、相当精一ぱいに見ている、こういうふうに私どもは見ておりまして、この収入歩合を確保するということはなかなか容易ではない、かように考えるのですが、部長はどういうようにお考えですか。
  10. 奧野誠亮

    奧野政府委員 お話のように、経済界の実情もございまして、これらの点も大きく影響しておりますので、従来以上に徴収率を上げて参っております部分につきましては、相当な努力を要する。しかし、府県市町村も、税の徴収成績を上げることにつきましては、財政事情の苦しいせいもありまして、非常な努力を払って参っておりますので、努力は要しますけれども、大体額は確保できる、こういうふうに考えております。
  11. 北山愛郎

    北山委員 問題は別ですが、例の地方道路税の問題であります。今地方道路税及びそれに関する譲与税の問題は、関係委員会連合審査によっていろいろ審査をされておるわけであります。地方道路税大蔵委員会審査を続行中でありますが、もしも地方道路税が否決をされる、あるいは従来の一万三千円にガソリン税が据え置かれるという結果になりますと、軽油自動車税もそれに関連して改訂しなければならぬ、こういうふうになるわけでありますが、政府の方では、地方道路税修正されることになりますと、自動車税の方も改正しなければならぬと考えておられますか。
  12. 奧野誠亮

    奧野政府委員 御指摘のように、今回軽油自動車税率を引き上げようといたしましたのは、揮発油の実質的な負担が増額することが動機になっているわけでございます。しかしながら、現在軽油を使っておる自動車揮発油を使っておる自動車を比較いたしました場合、大体トラックで揮発油を使っておる自動車は年間に十万円から十五万円くらい、軽油自動車よりも税をよけい負担している格好になっております。それに対して、自動車税の方では七千円相度引き上げているだけであります。そういう関係もございますので、かりに揮発油税の実質的な負担が現状にとどまりましても、軽油自動車揮発油自動車との間で、今度政府が提出しておりますようた税率の差になった方がむしろ望ましいのじゃないだろうか、均衡がとれるのじゃないだろうか、こういう見方をいたしておるわけであります。
  13. 北山愛郎

    北山委員 しかし、少くとも政府がこの地方税法改正案提案理由の説明については、やはりガソリン自動車との権衡上ということを言っておりますので、地方道路税がもしも政府提案通りならないような場合には、当然理論的にも今回の地方税法にも影響を及ぼしてくる、こういうふうにわれわれは考えざるを得ないのでありますが、それはまたあとの機会にいたします。同様に当初出されました政府減税によって、地方税影響を受けたわけでありますが、その結果として、法人事業税等改正がなされておる。その関係で個々の事業体なり、あるいは個人負担する国税及び地方税の実際の金額についての比較表がほしいのであります。たとえば国税の方では幾ら減税になる、しかし住民税の方では幾らよけいになるのだ、あるいは法人税については幾ら軽減になったが、法人事業税の方では幾ら増税になるというような、わかりやすい比較表がほしいのでありますが、そういうものを出していただきたいと思いますが、準備ができますか。
  14. 奧野誠亮

    奧野政府委員 作ったのがございますから、すぐに提出いたします。
  15. 北山愛郎

    北山委員 今回の自由党、民主党の共同修正で、たしか法人税の率が政府のもとの案よりも変ってきている。そういうものも合せて比較表を出していただきたいのであります。  それから、これはこの前の委員会でお伺いしたのですが、福島県の例の県庁建築費の問題について、おわかりになりましたならば、この際報告をしていただきたいのであります。
  16. 後藤博

    後藤政府委員 福島県庁庁舎財源関係についての御質問に対してお答えいたします。総工費は七億九直五千四万五千円であります。そのうち国庫補助が二千三百五十五万五千円であります。この国庫補助は当時の国警庁舎補助金であります。それから有付金が一億五千三百八十六万九千円、それから財産売却代に充てておりますものが四百十六万九千円、それから起債が二千万円、この起債の二千万円は警察庁舎を付置いたしますので、その関係の半額の負担であります。それから一般財源を五億七百九十五万六千円いたしております。二十七年に始めておりますので、二十七年当時は財源法によって一般庁舎については災害以外は起債を認めることができないことになっておりますので、庁舎に対する起債は今申しました警察関係補助分に対する起債だけであります。従って一般財源が非常に多くなっております。この中でこの前に御質問のございました寄付金の額は、先ほど申しました一億五千三百八十六万九千円でありますが、その内訳の大きなものだけを申し上げますと、東北電力会社から五千三百万円、東京電力会社から五千万円、磐城セメントから一千万円、それから束邦銀行、常磐炭鉱からそれぞれ四百万円、それから日本鋼管福島電鉄、県の興行組合からそれぞれ百万円、町村から一千百万円、職員から三百万円、あとこまかいものがございますが、大きなものだけを申しますと、大体そういうふうになっております。
  17. 北山愛郎

    北山委員 私この前申し上げた金額とはよほど違うようでありますが、大体においてそういう寄付金を相当もらって県庁を作るという事実だけは、調査によってわかったと思います。そこで福島県も相当赤字を出しているはずでございますが、やはり県庁建築をした、そして特にただいまの数字の通り一般財源から県庁建築のために五億円以上も出しているというようなことは、福島県としての赤字原因の大きな一つではないかと考えるのですが、自治庁ではどういうふうに考えますか。
  18. 後藤博

    後藤政府委員 おっしゃいます通り福島県はたしか二十六年くらいまでは大した赤字ではなかった、ほとんど赤字がないといってもよかったのですが、二十七年、八年に非常に大きな赤字を出しております。特に八年は庁舎の完成した年でありますが、非常に大きな赤字を出しております。その赤字の一班がこの庁舎にあるのではないかというふうに、私ども考えております。
  19. 北山愛郎

    北山委員 福島県について財政診断調査自治庁がおやりになったかどうかわかりませんが、一つここで希望を申し上げておきたいのは、福島県のような場合は非常にまれな例だろうと思いますが、地方同体赤字原因にもいろいろあるわけでありますから、調査をなさるときには公平にその要素調査していただきたい。単に人件費が多いから赤字が出るんだというような先入観念でもって調査をしていただきたくない。むしろこういうようなわれわれから考えるとちょっと乱暴だといいますか、少し無理ではないかというような仕事を地方団体がやっている、こういうものについてよく十分な調査あるいは指導をやっていただきたい、こういうふうにこの際希望しておくわけであります。  それからもう一つ寄付内容でございますが、やはり電力会社から、東北、東京電力それぞれ約五千万円ほどを寄付々しております。この前も申し上げた通りに、固定費帝税決定について、特に電力会社というものは重要農業である、そして電力の料金を上げないというような趣旨から、特に地方の有力な財源であるべき固定資産税を、発送電施設については大幅に軽減をしておることは、御承知通りなんです。ところがせっかくこのようにして軽減をしておるのに、半面会社のどこにもうけがあるのか知りませんが、五千万円ずつといったようなものを、しかも県庁建築費寄付をなさっておるというようなことは一体適当であるかどうか。こんなことを電力会社がやるなら、あるいはほかにもやるかもしれませんが、せっかく固定資産税を安くしてやっても何の足しにもならないというふうにわれわれは考えざるを得ないのですが、自治庁長官はどういうふうに考えでございますか。
  20. 川島正次郎

    川島国務大臣 福島県庁建設に対しまして、地元に関係のある電力会社から多額な寄付金を得たということは穏当なやり方でないと、私ははっきりそう考えます。これがために固定資産税影響のあるようなことはすべきものではないのでありますから、その点については十分調べもいたしますし、もしその間に不当な処置がありますれば、是正する方策をとりたいと考えております。
  21. 北山愛郎

    北山委員 大規模施設について固定資産税では特別な計らいというか、特別な犠牲を地方団体が負うておるのです。私どもはこういうやり方には反対なのでありますが、とにかく現在の制度としては、電力であるとかその他の大規模資産に対しては国の政策上軽減をされ、これに地方団体が従っておるわけです。従ってこのようなことはあるべきはずはないと考えますので、この点は強く通産当局にも要求をなさってよく内容調査願いたいのであります。  それからやはり固定資産の問題でありますが、東京都の固定資産税評価についていろいろ問題を起しておるようであります。特に新聞で見たのでありますが、自治庁においてはあるいは大蔵省は、東京都の固定資産評価については、自治庁示した三割でございますか、そういうものの値上げをやらなければ一時借り入れ融資を認めないということを言っておる、こういう新聞記事がございます。それは果してほんとうであるかどうか、この際明らかにしていただきたいのであります。
  22. 後藤博

    後藤政府委員 一時借り入れ融資を、固定資産税評価を指示通りやらなければ、世話をしないということは、私はもちろん申しませんし、そういう事実はないと私は考えております。
  23. 北山愛郎

    北山委員 新聞にはそうありましたからお伺いしたのですが、そういうことがなければけっこうでございます。しかしこの問題は、先日来固定資産税評価基準について、自治庁全国平均的な基準をそれぞれ地方示しておるわけであります。それに従って二八%値上げをするとか、三割上げるということを地方がやっておる。固定資産税について土地でも家屋でも全国評価を動かすものは何かというと、これは自治庁の指示するところの評価基準が一番だと私ども考えている。ところが固定資産の実際の評価については、末端市町村等においては、御承知通りに、審査委員会を設けて、評価委員を設けて、ずいぶんめんどうな手続をして評価をしておるわけであります。ですから私どもはこの制度の上からみまして、どうも一審肝心かなめ全国同定資産税というものを動かすところの自治庁には、そういうふうな審査会というものは何も置かれないで、大した問題でない末端の多少の修正をやるようなところに審査会を設けておる、ここに何か制度上の一つの不均衡といいますか、非常に大きな権限を持っておる自治庁にはそういうふうな審査機関が設けられない、いわば自治庁の勝手にいろいろな基準を設けて、その年の全国評価は二割上ったとか三割上ったとかそういうものを示して、それによって全国固定資産税をとっておるわけです。末端の方の審査会は大した意味を持っておらない、こういうふうな点に私どもは非常に不均衡を感ずるのでございますが、自治庁長官はこの制度自体について、どういうふうにお考えでございますか。
  24. 川島正次郎

    川島国務大臣 固定資産税基準を適正化することは必要なことでありまして、従来とも自治庁において慎重にやっているのだろうと私は考えておりますが、制度的に申し上げますと、自治庁にあります地方財政審議会の議を経て決定することになっておるのでありまして、自治庁事務当局だけが勝手にきめるような制度にはなっておりません。けれども北山君のおっしゃることはまことにごもっともでありますから、固定資産税基準決定する場合には十分慎重に各方面の意向、資料等を集めましてやりたいと、こう考えております。
  25. 北山愛郎

    北山委員 それは当然なことであろうと思います。しかしただ私ども審議会を通るというだけでも足らぬというような気がするのです。地方においては、一応帳簿を縦覧をさせたりいろいろなやかましい手続をして末端ではやっておる。しかしそれは大した問題ではなくて、むしろ大きく二割も三割も動かすことにおいては、平続上審議会を通したというだけでは足らないのじゃないか、もう少し一般の民間のいろいろな意見というものを取り入れるような工夫がそこに必要ではないか、あるいは農地については農業団体意見を聞く、そういうふうな措置が必要だと思うのでありますが、そういうような点についての制度上の改善、こういうものをさらに検討される御意思があるかどうか、これを伺っておきたいのであります。  それから同時に、自治庁長官固定資産税については非常に大きな権限を持っておって、いわゆる自治庁の方で長官のおきめになる大きな償却資産、こういうものが全国的にも相当あるはずでございますが、その内容等について一つここでお示しを願いたいのです。どういう種類会社とかあるいは工場の設備があるか、その総領はどの程度になっておるか、あるいはその評価方法はどういうふうにしておるかということについて、ここで一つ大ざっぱにお示しを願って、それからなお資料をお出しを願いたのであります。
  26. 川島正次郎

    川島国務大臣 固定資産税課税基準決定につきましては、先ほど申し上げた通り地方財政審議会へかけておるのですが、地方財政審議会は他の調画会とは多少趣きが違いまして、ほとんど常時解議会委員の諸君に出てもらいまして、各般の地方財政に対する諮問に応じてもらっているのでありまして、固定資産税課税基準につきましても、審議会は相当な関心を持ってやっているのだと私は思っております。なおそれでも不足だという点がありますれば、御趣意をしんしゃくして考えてみますけれども、一応審議会活動ぶり等もよく調べました上に、そういろ措置をとりたいと思っております。  なお後段の御質問政府委員からお答え申し上げます。
  27. 奧野誠亮

    奧野政府委員 自治庁長官評価決定いたしますものは、二以上の府県にまたがって所在いたしまする償却資産でありまして、全体を一の償却資産として評価をしませんと、適正なる評価のできない種類のものであります。たとえば電力関係資産でありますとか、あるいはまた鉄軌道資産でありますとかいうものが中心でございまして、それぞれの額がどれだけ上るかということは、お手元に配ってある資料の中に入っておると思いますが、電力関係でありますと、九電力資産は全部自治庁評価をしております。これらの評価に当りまする基準固定資産評価基準について、自治庁長官から示されておりまする方式に、そのまま自治庁自身評価も乗っかっているわけでございます。
  28. 北山愛郎

    北山委員 その点この参考資料の中にあるのは非常に大ざっぱでございますから、もう少し詳しい資料がお出し願えるなら出していただきた、たとえば電力会社について、全部でなくておもなものでよろしゅうございます。  それから、それについては先ほどの長官のお話しもございましたが、やはりみな地方財政審議会おかけになるわけでございますか。そしてまた審議会意見を十分聞いておやりになるわけでございますか。ただ審議会にかけただけで、やることは別だというようなことではないのですか。それはちょうど本年度地方財政計画の場合に審議会では意見書を出しているのです。意見書を出しているが、政府の出したものは全然それとは別個だ。このようにおやりになるのだったら、審議会はあれどもなきがごとき存在になってしまうと思う。地方財政計画決定のような形でおかけになっているのか。そうでなくて十分審議会意見を反映してやっておられるのか、それを一つお伺いいたします。
  29. 奧野誠亮

    奧野政府委員 自治庁長官評価いたしまする償却資産内容につきましては、あと北山さんの御意見を伺いまして、御趣意に従った資料を提出したいと思います。  それから固定資産評価基準もそうでありますが、自治庁長官評価いたしまするものにつきましても、個別に地方財政審議会の議を経なければならないことになっています。今まで地方財政審議会意見と食い違ったままで評価決定したことは一例もございません。全部完全に地方財政審議会意見を尊重して事務を進めて参っているわけでございます。
  30. 北山愛郎

    北山委員 これは中央財政計画関係がありますので伺っておきますが、本年の予算を編成される際に、地方財政関係としてはやはり補助金というものを整理することによって、地方負担を減らすのだという方針であったようでございます。また大蔵大臣施政演説の中でもはっきりとそのことをうたっております。補助金の整理、合理化することによって地方負担軽減するということを、施政演説の中で言明しておるわけです。この点については大蔵大臣にお聞きをしたいのでありますが、ところが今度の政府予算並びに共同修正の結果なおさら補助金というものがふえて、そうして私の計算ですと、昨年よりもむしろ補助金による地方負担というものは、大ざっぱにいって二十八億ばかりふえておる。だから政府の公約とは逆の結果になっておるのでございますが、それについて自治庁長官はどういうふうにお考えになっておりますか。
  31. 川島正次郎

    川島国務大臣 補助金地方に交付するために、地方負担がふえることは事実でありまして、なるべくこれを避けたいと思いまして、三十年度予算編成の当初におきまして、相当数の補助金の減額をいたしたのでありますが、いずれも減額はいたしましたけれども地方から見て必要なことでもあるし、また地方の要望も多い事項でありまして、私どもからいえば、いわば涙をのんで切ったというような種目なのであります。今回両派の共同修正によりまして、補助金が復活した項目が相当多数ございます。それがためにどういう影響地方にあるかということなんでありますが、一応これに対する地方負担政府資金の地方債でみようということになりまして、この起債二十億を計上いたしております。地方債もむろん地方負担になるのでありますけれども、さしあたりの地方財政には比較的影響はないだろう、地方としてはやはり事業をしてもらうことを要望しておるのではないかという考えで、私どもこれを認めたわけでございます。
  32. 北山愛郎

    北山委員 涙をのんで切った、その補助金を涙をのんで復活したというように伺えるのでありますが、少くともこれらの補助金に対する地方の要望がいかに強いものであるかということくくいのことは、もう初めからわかっておることです。それを承知の上で政府補助金を切ろうとしたに違いない。ですから少くとも大蔵大臣が重々と施政演説において表明したことは実行できなかった。また川島長官はあるいは言われなかったでありましょうが、前の西田自治庁長官補助金を整理するということは強く言っておったはずです。ですからとの点については鳩山内閣の公約はぶちこわれた。そうしてやはり相変らず今までと同じように、こま切れの小さな補助金をそのまま存置をし、逆にふやして、そうしてそれに伴って地方負担もふえるというような結果になってしまったということは、これは率直にお認めにならざるを得ないと思うのです。  そこでお伺いするのですが、政府補助金について今後どうなさるのであるか、やはりこういう小さい補助金を整理して、そうして補助金制度を何とかしょうとお考えになるのであるか、あるいはもうさじを投げてとてもだめだ、補助金整理はもうお手上げだということであきらめてしまっておられるのですか、長官のお考えを承わりたいのです。
  33. 川島正次郎

    川島国務大臣 今度復活しました補助金は、いずれも地方にとりまして必要な項目のみだと考えておるのですが、しかし地方財政とのにらみ合せもありますので、どうした事業を重点的に取り上げるかということに私ども平素苦心をいたしておるわけでありまして、補助金も一がいにこれを整理するというのでなしに、事業の合理化をしようという考え方で、三十年度の予算編成にも臨んだわけであります。今回の両党修正によりまして、幸いに地方にも起債財源ができましたから、地方起債さえ許されればやはり事業はやらした方がいいんだ、こういう考え方で私ども両党の修正を認めたわけでありまして、今後とも補助金制度につきましては、整理という考えでなしに、これを合理化いたしまして、地方負担をできるだけ軽減するような方向に持っていきたい、かように考えております。
  34. 大矢省三

    大矢委員長 中井君。
  35. 中井徳次郎

    ○中井委員 地方財政修正案の説明を伺ったのでありますが、これにつきまして二、三点お伺いをいたしたいと思います。  先ほども北山委員から御質問がありましたが、財源措置に関してですが、先般も現政府減税を宣伝いたしました、そのしわ寄せが地方財政の方にこないようにという要望を申し上げましたところが、大臣におかれましても、そういうことのないようにするというふうなお話でありましたが、御説明を承わりますと、やはり減税に伴って減収になります地方交付税の金額だけは専売益金から出すということであります。これは非常に安易な考え方だろうと思うのでありますが、どうでございましょうか。こういうふうにたばこ専売益金から十四億七千万円というような数字が簡単に出せるというふうなことなのでございますが、地方財政については御案内の通りの非常な窮屈な状態でありますので、こういう余裕があれば、前にも三十億という数字が出ましたが、もう少しこの辺のところで、原案からして三十億と言わずに五十億くらい一つ出してもらうような余地がなかったかどうかというふうな気もするのです。どうも非常に簡単に出されておりますが、この点について政府当局内の折衝の模様などについてお聞かせ願いたいと思います。
  36. 川島正次郎

    川島国務大臣 減税のしわ寄せをどうして埋めるかということにつきまして、私ども折衝の中に入っておりませんで、よく内容承知しておりません。両党の折衝委員におきまして、たばこ益金から持ってくるのが適当だと増えて、そういう措置をとったのだと思いますが、しからば予算編成のときにたばこ益金の方から三十億出して、その上に今回また十四億を出し得るかどうかという問題につきましては、これは大蔵大臣なり大蔵当局でなければ判定がつかないのでありまして、私どもは、この修正案を大蔵当局が承認した態度から見まして、おそらくたばこ益金から出し得るものだ、こういうふうに考えておるわけであります。
  37. 中井徳次郎

    ○中井委員 今の御回答は、どうも自治庁長官としてはなはだ無責任というような印象を受けるのでございますが、そんなふうに簡単に片づけられるものならば、おそらく将来もこういうところで相当余裕があるのじゃないかと実は思うのです。それで見方を変えますと、今地方交付税の率を変えるか変えないかというふうな話が相当出ております。私どもも左右両派でもって二七%にすべしという法律案を、この委員会に出しておるわけでありますが、このたばこ専売益金の配付になりましたものは、すでにこれでほとんど四十五億近くになります。これを逆算しますと、本年は、政府の方は二二%でなければいけないと言っておりますが、実質上はもう二三%になっておるというふうなことでございます。従いまして私どもは、もっとそういう点についてもこだわらずに将来考えてみたい、という一つ資料を説明で見せつけられたような気がいたすのでございますが、この問題はとにかく長官としては、財源は何とかするというお約束を果されたことでございますから、これ以上は申しませんけれども財源といたしましてはまだ方々にあるような気がいたしますので、将来一つ御検討を願いたいと思います。それは地方自治体のためにお願いしたいと思うのでございます。  次にお伺いいたしたいのは、今度の修正案でもって、国庫の支出金で地方の方に補助金の形で出ますものは、総計において幾らでございましたか一つ……。
  38. 後藤博

    後藤政府委員 国会修正によりまして国庫補助金のふえますものは、二十三棟類の普通補助金でございます。県の総額は二十億七千万円であります。それで国費が二十一億三千三百万円でありますので、地方負担の総額におきましては六千三百万円だけ減になって参ります。これは中に市町村農業委員会の技術員の補助の経費が非常に大きく復活いたしましたので、その関係で、総額的に見ますと、地方負担は全体として六千三百万円の減になって参ります。これが普通補助金であります。  それから投資的経費いわゆる公共事業費の関係におきましては、厚生施設、文教施設、食糧増産その他一般公共事業費でそれぞれ増加いたしまして、総額事業費で四十八億二千七百万円増加いたします。このう七国庫補助金が三十六億四千万円ございます。地方負担が二十一億八千七百万円あるのであります。その投資的経費を中心に財源措置をいたしましたので、二十億の起債政府資金で出す、こういうことに相なったわけであります。
  39. 中井徳次郎

    ○中井委員 国の経費が二十六億というふうに伺いましたが、現在の補助金の費目を私正確に記憶いたしておりませんが、大体のところ、災害関係の経費以外は二分の一あるいは三分の一というのが常識的であると私は考えております。従いまして政府補助金が二十六億ありますたらば、やはり地方のそれに見合う負担も少くとも同額程度はあるように思うのです。その意味においてきのうの御説明、二十億とそれから一億数千万円でありましたか不交付団体の経費を計上されておりましたが、その金額で果して足るのでありますか、その点をもう少しお話し願いたいと思います。
  40. 後藤博

    後藤政府委員 消費的経費いわゆる普通補助金の中にも、低額補助金があります。負担のない補助があります。それから投資的経費の中にも、大体二分の一ないし三分の一でありますが直轄事業がありますので、その分が落ちて参ります。従いまして投資的経費の方で、国費の補助が二十六億で地方負担が二十一億しかないという意味は、直轄事業の分が一番大きく抜ける関係地方負担が減るわけでございます。これは従来の財政計画では、交付公債の形で出しておりましたが、これは翌年度からの問題でございますので、別勘定に財政計画の方ではいたしております。その関係で国費の額と地方費の額とは必ずしも同じくらいにはならないのでございます。
  41. 中井徳次郎

    ○中井委員 今の最後の点はどうなんですか。翌年度負担というのはどういうことですか。
  42. 後藤博

    後藤政府委員 直轄事業負担金は、負担金額決定でありますが、年度の終りに決定いたします。そうして翌年度から交付公債で分割払いをするという形になりますので、同年度の財政需要としては上ってこない、こういうことでございます。
  43. 中井徳次郎

    ○中井委員 それで一応事務的には大体了承いたしましたが、そこで財源措置修正案を見ますと、去年は不交付団体の方におもに補助金をやる。従って財政措置としてはあまり必要がないというお話でした。そこで今年は私どもは事前にやかましくそのことを皆さんに申し上げたわけでございます。今年は拝見いたしますと、逆に不交付団体にほとんど補助金がいかない、一割くらいである。それで交付団体に二十億、こういう形になっておるのでありますが、こういう点はどうでございますか。
  44. 後藤博

    後藤政府委員 昨年は不交付団体の方に補助金だけ行って起債がつかない、こういうふうに最後の修正のときになったのであります。これは簡易水道の補助金が三党修正の際に、不交付団体に補助金を出すが、不交付団体でありますから起債をつけなくてよろしい、こういうことになりまして、そうして起債の額が落ちたわけでございます。そういうことになりまして、実は昨年非常に困ったのであります。市町村分の起債の割り振りをいたします場合に、交付団体、不交付団体をこまかくわけてやるわけに参りませんので、府県別にはじき出すときには、国庫補助を中心とした地方負担額を中心とせざるを得ませんので、一応平均的に割って出したのであります。その結果が全体的にかぶって参るような結果になっておる県がございます。そういうことになりますと、不交付団体の方に財源措置をしないという建前で財政計画を立てましたものが、逆に交付団体の方にしわがいく、こういう結果になって参りますれば、当初の方針と違って参りますので、われわれとしては交付団体にしわのいかないような財源措置ということが、昨年の経験からしても今年はお願いをいたしたのであります。そういう意味で実は二十億の起債をつけましたが、不交付団体分の財政需要額は十九億であります。交付団体の方にフルにつけまして、あとの残り一億がありますので、その一億を不交付団体の方に持っていってつける、こういうふうにいたしましたので、昨年の逆をやったようなかっこうになったのであります。この方が私ども地方団体全体からいたしますれば、財源措置としてはいいのではないかと考えております。
  45. 中井徳次郎

    ○中井委員 おっしゃるように財源措置としてはいいかもしれませんが、現実に不定しているということになりますと、私は問題が残ってくるように考えます。  それからいつでもこれは私の持論ではありますが、今回この修正でさらに地方債を二十億ふやした。それで財源措置はできた。今も大臣が借金ではあるがというお話がありましたが、こういう形を続けていきますと、ここ一、二年たつとたいへんなことになるのじゃないかと実は考えるのであります。地方では補助金をふやし、あるいはまた減税になったと言って喜んでおりますが、赤字府県市町村ではただ借入金を公認されただけでありまして、利子の補給も何もあるわけではありません。さらに来年負担がふえるということになると、こういう形では、地方自治体の健全な運営なんというものはとうてい期し得られない。いいかげんなところで、やり方を方向転換しなければならぬ、こういうふうに考えます。  そこでお伺いしたいのは現在すでに四千億に近い地方債があるということでございますが、ことしさらに一千百億、その金額は小さいかもしれませんが、二十億というものが加わるということになりますと、今後四、五年たてばどういうふうになるか。これは一つ来年あたりはこの地方債の利子だけでどれくらいになるか、これをちょっと財政部長から伺っておきたい。
  46. 後藤博

    後藤政府委員 お答えいたします。起債の総額が毎年ふえて参ります場合に問題が二つあると思っております。一つの問題は起債財源的に考えてふやしていくことがいいか悪いかという問題であります。もう一つは毎年千億くらいの起債を、地方団体に認めることがいいか悪いかという問題、この二つの問題は私は混同してはならないというように考えている。前の、第一の起債一般財源的な考え方をしてはいけないという御説には私は賛成いたしているのでありますが、これは国の事情をよくすれば一般財源、特に税財源でもって財源を与えて行くべきであろうということが、地方団体としての筋であろうと考えております。第二の問題といたしましては、起債の量が毎年千億くらいずつあるために困るじゃないか。私はこの論には賛成いたしかねるのであります。一千億くらいの起債は全体の財政規模の一割くらいであります。一割くらいの起債は投資的事業に起債をつけるということは、従来の経験からしても私は一千億くらいの起債はまだ少いじゃないか。都市の財源需要、都市の投資的経費など見ましても、まだ交付団体あたりの財政需要を見ておりましても、もっと起債をつけてやりたいと思うものがたくさんあるのであります。従ってやはり償還能力との問題でありまするから各団体によって違って参りますけれども、総量として考えますると、私は千五百億くらいでもまだ消化力はあるじゃないか。これは財源的に考えない場合を考えている。従って私は起債の量が千五百億くらいふえていくことは決して恐ろしくないと、かように考えている。ただ条件がございまして、その場合に財源措置としての起債のふやし方は困る、こういうふうに考えたのであります。  それからお尋ねのもう一点の、起債の消化額は大体毎年百億くらいここ数年ふえて参ります。従ってこの起債のふえ方に対応してどういう処置をとるかということが、私どもの将来の財政計画の大きな問題でありますが、やはりこれには先ほど申し上げましたように、一般財源をふやしていくという方向に持っていくべきであると、かように考えております。
  47. 中井徳次郎

    ○中井委員 今の第一の起債の絶対額となるべきものは少い方がいい、こういうことには同感でありますが、これは当然であると思います。  第二の問題の、財政部長考え方には少し私は疑問があると思う。一千億、一千五百億というその中には借りかえ分がありますか、その借りかえ分がどれくらいあって、それからまた子の公企業の起債あるいは水道とか、あるいは交通事業とか、そういうものでとにかく利益を得るというが、採算性のあるものについてはいいでありましょうが、それ以外のものについて、私はまだ余裕があるというようなことは総体論でありまして、この点についてもう少し詳しく一つ御説明願いたい。
  48. 後藤博

    後藤政府委員 私申しましたのは、おっしゃいましたようなことを含めて申し上げたのでありまして、起債の総額が一千億でありましても、公営事業あたりの問題になりますと、これは一般財源という考え方でなくて別であります。これは徐々に毎年ふやしてきております。これは今二百六、七十億だと思いますが、それをもっとふやしてもいいのじゃないか。それを除いたものが一般財源として今使われておるわけであります。一般財源として使うことについては理財局も私どもと同じ考えを持っておるのでありまして、一般財源に使わない方向に持っていくべきである、しかしそういう観点から、今度は逆に起債の充当率を落すという方向に来られるのは困る、こういうのが私ども考えで、その点では違っております。しかし一般財源にどの程度振り回して、どの程度公営企業に振り回すかというその配分の問題がございますけれども、総量としての一千億くらいは別に大した量ではない、かように考えておりまして、もちろん中の割り振りの問題につきましては、漸次公営企業的なものをふやしていくという方面が望ましい、それにはやはり一般財源に使っている一般会計分を、やはり税財源その他の分に振り回せるような財源措置を講ずるべきである、かように考えておるのであります。
  49. 中井徳次郎

    ○中井委員 借りかえの問題はこの一千億の中に入っておるのですか、いないのですか。
  50. 後藤博

    後藤政府委員 現在では借りかえの問題は入っておりません。
  51. 中井徳次郎

    ○中井委員 私は地方財政が非常に困難であるから、当分の間一千億くらいという考え方、これについてはあながち反対ではありません。しかし今日本の財界で一審大きな問題になっておりますのは、いわゆる国債を発行するかしないかということでありまして、このことについては前の吉田内閣も、また現在の民主党内閣も大蔵大臣が口をきわめて——きのうも参議院あたりでも、国債は発行しない、こういうことを言っておるのです。ところが国民経済に及ぼす影響は、一般財源の分については国債であろうが地方債であろうが変りはないので、実質上に及ぼす影響というものは変りはない。そういう面からいうと、赤字公債を発行しないしないとは言いながら、現実には地方債という形でどんどん発行しておる。しかもその地方債の利払い——これは総額よりも金利が問題だろうと思うのですが、いわゆる地方税に何らかの形で転嫁され、これがしり抜けになっておると私は思うのです。そんなふうに地方債のことはしりを向けて、国債は一つも発行しませんと言っておりますが、国民の負担地方税といい、国税といい同じであるという考え方からいえば、この辺のところでこれは一つどうしても総合的に判断をしてもらわなければいかぬ、かように私は思うのであります。その意味において、この地方財政計画というものが、一国の予算と密接に関係を持たねばならないと私は考えておるのです。そういう意味からいって、一千億が多いとか少いとか、過去の日本の自治体のあり方からいってどうだとか、現在の赤字関係からとか、自治体だけでもってこれの収支を考えていくということは、非常に危険だと私は考えるのです。そういう意味で国の方は国債を発行しない、赤字で行く、減税々々と言いながら、地方の方は地方債を一千億ずつふやしていけば、金利だけで六分五厘で六十五億、十年たてば六百五十億というふうになるのでありますから、これは一国経済のたいへんな盲点がここにあるように思います。それについて自治庁あたりではそこまでよくお考えの上、大蔵省とともに総合的な起債計画の一環として考えていただきたい。大蔵省の理財局あたりでは、他の一般の私企業に対する社債とこの地方債とは多少は違うが、国債と地方債とは本質的に同じであるにもかかわらず、それを切り離してむしろそっちの方へ振わ向けておる。ワクを考える場合にも、社債より多少地方債は優先的である、金利も安い、しかし国債との総合的な勘案において考えられておらぬように私は思います。特に私が申し上げたいのは、事務当局におかれてこれまでそういう話が出たかどうか、またそういうことについての大蔵省あたりの見解を伺ってみたいと思います。
  52. 後藤博

    後藤政府委員 私が先ほど申し上げましたのは、地方起債の千億が多過ぎるという議論から、現状において一般財源に使われているという前提を無視して、すぐ起債の総領を圧縮してくる、こういう傾向があるのであります。これは財政当局ばかりでなくて、一般経済界の方々にもあるのであります。一般財源に使っておる、一般財源的な考え方をしておるという前提を忘れてのそういう議論から出発するところの多額の起債地方団体が持つということはけしからぬ、こういう議論はちょっと困るということを私どもは申し上げたのであります。国債との関係等につきましては、おっしゃいますような御意見で私どもも将来大蔵当局と話していきたいと考えております。大蔵当局の中でも金を貸す方と予算を作る方とでは、多少その間に意見が異なっておるようでありまして、この調整がわれわれ非常に苦労しておるところでございます。理財局の金を貸す方は、割合にわれわれに近い考え方を持っております。しかしこれは国債との関係とかいろいろあるのだろうと思いますが、すぐそれを充当率の方にひっかけて充当率を落すというところに持ってくる、そこに私どもの困る点があるのであります。その辺も御了解願いたいのであります。
  53. 中井徳次郎

    ○中井委員 大体皆さんの御意見もわかりましたが、大蔵省が地方債を圧縮しようというふうな話なら私は乗っていいと思う。そのかわりにこれに見合うだけの財源をよこせ、これはやはり地方税の増徴の見返りとして国税を下げるとか、地方交付税なり地方税なり総合的に判断すればいいのであって、とにかく今地方財政の一番大きな問題は、私は何といっても自己財源が少いことだと思うのであります。千億はいかぬ、八百億にしろというならば、あとの二百億を自己財源としてもっとはっきり与える、こういうふうにはね返っていくべきである。その理論が確立されておりませんから、今度の修正案においても八十億の減税をする、こっちは借金だ、これは国としては非常に筋の通らない話じゃないかと思うのです。こういう点についてどうでございますか。
  54. 後藤博

    後藤政府委員 これは非常におっししゃる通りでありまして、私どももそういう考え方で折衝いたしておりますが、投融資計画と一般会計予算のきまる時間的な問題が、その中に一つあるのであります。一般会計の予算がきまると同時に投融資計画がきまっていくのであります。むしろ投融資計画の方が、先にある程度起債のワクが出ております。そしてあと一般会計の方を締めるときは、片方の投融資計画ができておるという格好であります。従ってそのズレがありまして、一般財源を要求しながら最後の調整を向うでやりますときに、それの不足分を一般財源で出してくれ、こういうことを申しましても、なかなかその間がうまくいかぬのであります。おっしゃいますような方針で、私どもは折衝をいたしておりますけれども、時間的な問題がからんで参りまして、その間が今まではなかなかうまくいかなかったのであります。
  55. 中井徳次郎

    ○中井委員 この点は原則論でありますからこの程度にしておきますが、それに関連しましてやはり根本は金利の問題だろうと思うのであります。皆さんは地方債のことについてはそういうことで済んでおられるようでありますが、戦前の地方債の金利と戦後のものと比べてみますと、大体倍になっております。ここに私はやはり大きな盲点があるように思うのであります。従って地方債というものの性格をもっとはっきりさして、そしてそのことによっていろいろな折衝の結果、金利等につきましても一般の金利に比べて、特に地方債だけ飛び抜けて安い金利ということができなければ、せめて国において一定の率だけは見るとかなんとかいうふうな形を出さないことにはこの一千億といい、たといそれが八百億であっても五年、十年たちますと大へんな負担になる。先ほどもお答えがなかったのですが、現状からいきまして今後五年間くらいの元金の償還については、それだけ減るのでありますから、私は心配いたしておりません。その金利であります。利払いが昭和二千一年度はどれくらいになるか、三十二年度はどれくらいになるか、その資料をこの次までに出してもらいたい。五年たったらおそるべき利子になりはぜぬか、おそらく五百億を突破しやしないか、かように私思いますので、その資料を要求しておきます。
  56. 北山愛郎

    北山委員 質問じゃありませんが、委員長にお願いしたいのです。地方財政計画はあらゆる税法その他の基本になるわけであります。その審議をやっているわけですが、この際この地方財政計画に関連いたしまして、自治庁地方財政幕議会の代表者にこの委員会に参考人として来ていただいて意見を聴取する必要があるのではないか、かように考えますので、委員長理事会等にお諮りになってその取り計らいを願いたいと思います。
  57. 大矢省三

    大矢委員長 承知いたしました。
  58. 加賀田進

    ○加賀田委員 さいぜんの北山委員質問に関連して、自動車税の問題について質問いたしたいと思うのです。今奧野政府委員からの説明では、揮発油を使用している自動車以外の軽油に対する租税の増額に対しては、揮発油税の毒質的な増額との関連性がない、今まで揮発油を使っていた自動車軽油を使っていた自動車との租税の負担が拘衡を失しているので、そういう意味で今後道路税が実質的に前の揮発油税と同じように、一キロ・リットル一万三千円にもどっても、これを改正する意思はない、こういう御答弁でありましたが、先般長官の説明を聞いておりますと、揮発油税が道路税と道路譲与税におきまして二千円ふえる、こういう意味で租税の均衡が保てないから、軽油を使用している自動車の税金を上げるのだ、こういう説明があったわけであります。しかも見て参りますと、自治庁から出して参っております地方税法の一部を改正する法律案の要綱も、自動車税に対してそういう説明がしてある。だから今北山委員から質問があった通りに、大蔵委員会で審議されているあの税金は、今の情勢では、私の知る範囲では一万五千円ではなくて、総額一万三千円になる傾向の方が多いと思う。そういう意味で一万三千円に元に戻れば、提案理由の説明に従って軽油を使っている盲動車全般にわたっても元の税金に戻さなければならぬ、そうしなければ、理論に一貫性がないのじゃないかと思うのですが、その点長官並びに奧野政府委員はどう考えているかお答え願いたいと思います。
  59. 川島正次郎

    川島国務大臣 ガソリン税を上げると同時に軽油税も上げたことは関連性がないわけではないのであります。しかし軽油自動車なんというものは比較的少いのでありまして、ガソリンを使っている自動車に比べましたならば、もうすこし自動車税を上げてもいいのじゃないかというような考え方を持っておりますが、急激にあまり多額に上げるのはどうかと思いまして一割五分の値上げで、大体落ちついたわけでございまして、私ども考えといたしましては、現在の自動車の運行の状況を見まして、ガソリンを使っている自動車が年間十万円ないし十五万円程度消費するに対しまして、軽油の方はごく少額で済むのでありますから、道路を破損する程度その他から増えまして、自動車税というものはもう少し上げても差しつかえないのではないか、こういう考え方を持っております。
  60. 加賀田進

    ○加賀田委員 どうも私は政府が最初提案された軽油を使っている自動車税率を上げなければならぬという理論と、最近道路税、並びに道路譲与税が前のガソリン税の総額に優るような傾向になって、その提案理由増税すべき理由というものを方向転換したのではないかと思う。私どもはやはり長官提案理由並びにそれらの資料に基いて、そういう理由のもとに軽油を使っている自動車の税を上げなければならぬのではないかと考えていたのですが、比較論から、従来とも低いのだから、これはガソリン税が元に戻っても、これによって減額すべきじゃないという理論に変ったように私は思うのです。提案理由はやはりそういう内容を増額するために含んでいるにしても、提案理由を見ますと、非常にウエートの高いのは、揮発油を使っている自動車揮発油税が高くなるからという理由なんですが、そのウエートの高い理由がなくなったとするならば、当然これらの増額の金額に対しては再検討すべきではないかと思うのです。もちろん今長官は、一五%程度年度上げると言っておりますが、このままでいきますと、来年度は約三〇%に上ることになります。しかも軽油を使っている中ではバスが非常に多いわけで、観光バス等合せて四万四千台という計画になっておりますが、これらに対してかえって均衡を失するようなことになるおそれがあるということと、事態の変遷あるいは、変更によって提案理由が変ってくるということは、われわれが審議をする上において非常に困るわけです。こういう点について長官はどう考えますか。
  61. 川島正次郎

    川島国務大臣 大体軽油を使っておりますのは御承知通りバス、トラック等でありまして、道路を破損させるのはこういう車が最も激しいのでありまして、道路費のある部分を負担することは当然じゃないかと思うのでありますが、ガソリン車の方を上げる機会にかねて考えておったことを同時に上げたのでありまして、その意味において関連性があるといえばあるのでありますけれども、切り離して考えましても、今日の自動車税というものは、道路を破損させる点から考えまして低額に過ぎるのではないか、こういう考えも織りまぜて、今回一割五分の値上げをするわけでありまして、関連性があるといえばあるし、ないといえばない、こういう考え方であります。
  62. 加賀田進

    ○加賀田委員 どうも私が質問しようとすることに対して的をはずすような答弁をしますが、私はもちろんガソリンを使っている自動車軽油を使っている自動車と税負担均衡が云々ということも、一つ原因だと思います。それだったらこの道路税、道路譲与税が一万三千円に変った場合に、提案理由並びに自治庁が出されたこの改正の理由を変更されますか。こういう理由のもとに趣旨一貫して今度軽油を使っている自動車税値上げしなければならぬ、こう言っているのですが、そのもとの理由がなくなったら、これは元の提案理由をやり直さなければならぬと思いますが、その点はいかがですか。
  63. 川島正次郎

    川島国務大臣 自動車税値上げはかねて考究をいたしておったのであります、今回道路税を作るに当りまして、その機会に同時に提案いたしたということが真相でありまして、その意味において関連性があるような、あるいはないような、こういうことを御答弁申し上げているわけでありまして、根本的には軽油を使うトラック、バスの方が道路の損傷度が非常に激しいのでありますから、これにある程度負担をかけるということは適当ではないか、こういう考え方を持っております。
  64. 加賀田進

    ○加賀田委員 これは私の見通しとして、そういう一万三千円に変更される可能性が非常に強いという考えから質問しているわけで、また決定されたらあらためて論議をいたしたいと思うのであります。やはりわれわれが審議をする上において、こういう税制問題の提案理由に対しては、趣旨一貫した政府として変らない理由のもとに提案していただきたい。そうでなければ一部分の変更に基いて、その提案理由が変るようなことでは、やはり当委員会としても審議するに際して非常に困る点があると思いますが、そういう点も考慮して、もし私の考えているような状態になったときに、あらためて本問題に対しての質疑をいたしたいと思います。
  65. 川島正次郎

    川島国務大臣 加賀田さんのお話はよくわかるのです。今回自動車税を上げる動機は、ガソリン税を上げる機会にやつたので、そういう御説明を申し上げたのでありますけれども、こうした機会に不均衡をなくそう、こういう気持なのでありますから、そこは一つ御了解願いたいと思います。
  66. 加賀田進

    ○加賀田委員 先ほど申し上げました通り私の質問は、その決定されたときにすることを留保させていただきたいと思いますが、どうも政府の御説明が趣旨一貫されぬことは非常に残念だと思います。     —————————————
  67. 大矢省三

    大矢委員長 それでは質疑はこの程度といたしまして、この際お諮りいたします。理事前尾繁三郎君が、昨九日委員辞任せられましたので、理事補欠選任を行いたいと思います。理事補欠選任は先例によりまして委員長において指名することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  68. 大矢省三

    大矢委員長 異議なきものと認め、よって理事には従前通り前尾繁三郎君を指名いたします。  次会は公報をもってお知らせすることにし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時十三分散会