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1955-06-04 第22回国会 衆議院 地方行政委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年六月四日(土曜日)     午前十時五十一分開議  出席委員    委員長 大矢 省三君    理事 安藤  覺君 理事 池田 清志君    理事 古井 喜實君 理事 鈴木 直人君    理事 加賀田 進君 理事 門司  亮君       唐澤 俊樹君    川崎末五郎君       木崎 茂男君    櫻内 義雄君       渡海元三郎君    長谷川四郎君       青木  正君    熊谷 憲一君       灘尾 弘吉君    山崎  巖君       吉田 重延君    勝間田清一君       川村 継義君    北山 愛郎君       五島 虎雄君    中井徳次郎君       西村 彰一君  出席国務大臣         国 務 大 臣 川島正次郎君  出席政府委員         自治政務次官  永田 亮一君         総理府事務官         (自治庁財政部         長)      後藤  博君         総理府事務官         (自治庁税務部         長)      奥野 誠亮君  委員外出席者         専  門  員 有松  昇君         専  門  員 長橋 茂男君     ————————————— 六月一日  委員北山愛郎君及び中井徳次郎辞任につき、  その補欠として田中稔男君及び三宅正一君が議  長の指名委員に選任された。 同月二日  委員三宅正一辞任につき、その補欠として中  井徳次郎君が議長指名委員に選任された。 同月四日  委員田中稔男辞任につき、その補欠として、  北山愛郎君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 六月二日  地方交付税法の一部を改正する法律案加賀田  進君外十名提出衆法第八号) 同月三日  地方公営企業法の一部を改正する法律案内閣  提出第一一八号)(予) 五月二十八日  地方財政再建促進特別措置法案の一部修正に関  する請願中馬辰猪紹介)(第一一五七号)  クリーニング業に対する事業税軽減に関する請  願(吉川兼光紹介)(第一一五八号)  同(細野三千雄紹介)(第一一五九号)  同(神近市子紹介)(第一一六〇号)  同(井谷正吉君外二名紹介)(第一一六一号)  同(田子一民紹介)(第一一六二号)  同(前田正男紹介)(第一一六三号)  同(草野一郎平紹介)(第一一六四号) 同月三十日  クリーニング業に対する事業税軽減に関する請  願(木下哲紹介)(第一二六一号)  同(二階堂進紹介)(第一二六二号)  同(淡谷悠藏紹介)(第一二六三号)  木材取引税撤廃に関する請願今村等紹介)  (第一二六四号)  同外三件(石坂繁紹介)(第一二六五号) 同月三十一日  クリーニング業に対する事業税軽減に関する請  願(加藤常太郎紹介)(第一三六五号)  同(廣瀬正雄紹介)(第一三六六号)  同(森本靖紹介)(第一三六七号)  同(西村力彌君絡介)(第一三六八号)  同(南好雄紹介)(第一三六九号)  狩猟者税法の一部改正に関する請願足立篤郎  君紹介)(第一三七〇号)  木材引取税撤廃に関する請願外一件(古井喜實  君紹介)(第一三七一号) 六月一日  遊興飲食税法の一部改正に関する請願植村武  一君紹介)(第一四九五号)  クリーニング業に対する事業税軽減に関する請  願(植村武一紹介)(第一四九六号)  同(岡崎英城紹介)(第一四九七号)  同(野依秀市紹介)(第一四九八号)  同(中村時雄紹介)(第一四九九号)  同(越智茂紹介)(第一五〇〇号) 同月三日  地方財政再建に関する請願中馬辰猪紹介)  (第一六二二号)  クリーニング業に対する事業税軽減に関する請  願(成田知巳紹介)(第一六二三号)  同(加藤鐐五郎紹介)(第一六二四号)  同(野田卯一紹介)(第一六二五号)  消防施設強化促進補助費増額等に関する請願(  池田清志紹介)(第一六二六号)  軽油自動車に対する自動車税すえ置きに関する  請願中島巖紹介)(第一六二七号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方道路譲与税法案内閣提出第三二号)  入場譲与税法の一部を改正する法律案内閣提  出第四〇号)  地方交付税法の一部を改正する法律案(内剛提  出第八〇号)  地方税法の一部を改正する法律案内閣提出第  八四号)  地方交付税法の一部を改正する法律案加賀田  進君外十名提出衆法第八号)     —————————————
  2. 大矢省三

    大矢委員長 これより会議を開きます。  まず一昨二日本委員会に付託されました地方交付税の一部を改正する法律案加賀田進君外十名提出衆法第八号)を議題として提案者より提案理由説明を聴取いたします。加賀田進君。
  3. 加賀田進

    加賀田進君 ただいま議題となりました加賀田進外十名提出にかかる地方交付税法の一部を改正する法律案につき、その提案趣旨を簡単に御説用申し上げます。  地方財政の窮乏は年とともに深刻化し、その赤字昭和二十九年度末五百六十億に達する見込みでありますが、さらに政府昭和三十年度予算及び地方財政計画は、地方財政実態とはなはだしく遊離し、このままに推移すれば、地方自治体が節約のため自主的努力を尽しても、本年度末にはさらに大幅の赤字増加は必至であります。それのみならず、すでに一部の地方に見られるごとく、給与支払いすら停滞し、地方行政の機能は麻痺し、国の施策にも重大な影響を及ぼすおそれがあるのであります。  本案は、かかる事態に対応すべく地方交付税法第六条の三の趣旨に照らして、交付税の率を五%引き上げ、これにより交付税総額を三百十五億円増額財源不足額の一部を補てんしようとするものであります。  何とぞ慎重御審議の上、御賛同下さるよう希亀いたします。
  4. 大矢省三

    大矢委員長 これにて提案理由説明は終りました。本日は現在まで本委員会に付託されました地方道路譲与税法案入場譲与税法の一部を改正する法律案地方交付税法の一部を改正する法律案地方税法の一部を改正する法律案及びただいま説明を聴取いたしました地方交付税法の一部を改正する法律案、以上五件を一括して議題とし質疑を行いたいと思います。  なお政府委員として奥野税務部長が見えております。なお後刻後藤財政部長が見えます。なお大臣閣議を開いておりますから、閣議終了後すみやかに出席されるとの通知がございましたから念のために申し上げておきます。  それではこれより質疑に入ります。
  5. 門司亮

    門司委員 ごく簡単なことなんですけれども地方道路譲与税の額が七十二億という数字が出ておるようであります。案の内容を見ると第一国道、第二国道並びに都道府県道路、こうなっておる、これはちょうど去年の道路譲与税から見ると額が少し少いのであります。去年は七十九億であった、そうするとことしは七億ばかり減っておる、そうして大体施行の区域は私はほとんど同じだと思う。去年は四十八億を国の指定する道路整備五カ年計画に基いて使用する、こういうただし害があったが、ことしはただし書がなくなったかわりに第一、第二の国道が入っておる、そうすると、大体実際の計画としては同じたと思う、ところが譲与税の額は去年よりも七億減っておる、こういうことになっております。その間建設省との打ち合せばどういうふうになっておるのか、わかっておりましたら御説明を願いたいと思います。
  6. 奥野誠亮

    奥野政府委員 御指摘になりましたように、去年の揮発油譲与税の額よりは若干地方道路譲与税の額の方が少いわけであります。しかしながら昨年七十九億円の中の四十八億円分は国で指定した道路整備五カ年計画の中での地方団体単独で施行すべき改修等部分に充てなければならなかったわけであります。従いまして地方団体が自由に利用できた財源は三十一億円にすぎなかったわけでありますけれども、今年炭はその部分が七十二億円あまりになっているわけでありますので、かえって増額になっているというような言い方もできるのではないかと思います。また道路整備五カ年計画関係部分に対する国庫負担金につきましては、国庫負担率を引き上げる等の措置をとっておりますので、全体として地方負担額の面におきましては四十八億円分を別にいたしますならば、大同小異だというふうな数字になっております。
  7. 門司亮

    門司委員 大同小異だ、こういうお話ですが、私どもが危惧するのは、内容はほとんど去年と同じような内容感じられるのです。だからその点を建設省との間にはっきり道路五カ年整備計画に基く計画だけは大体はずされているかどうか。これがもし法文通りに解釈して国道にも使えるんだ。要するに政府意向通りに使えるんだ。もとより都道府県五大市国道の維持、管理をやっておりますから、一応これでうなずけるようであるが、去年の措置がそういう措置であった、従って、もし今の部長の言い分のようだとすると去年の三十一億が七十二億になったというふうに解釈をしても差しつかえないように聞えます。その間に非常に微妙なものがあるんだと思うんですが、そういうふうにはっきり解釈しておいていいですか。
  8. 奥野誠亮

    奥野政府委員 この問題につきましては政府部内では完全に話し合いがついております。
  9. 大矢省三

    大矢委員長 通告順によって川村継義君。
  10. 川村継義

    川村(継)委員 自治庁が出されましたところの地方財政計画については、先般来本委員会においていろいろと質疑がなされておりまして、財政計画が非常にずさんなものである、地方財政を建て直すための熱意を持った、あるいはそのような十分なる計画でないというようなこと、また先日知事会市長会等参考人を呼ばれてのいろいろ意見聴取におきましても、それぞれの代表が全部こぞって不満の意を表しておられたことは、御承知通りであります。そのほか学者等新聞あたりに書いておる意見を見ましても、また新聞等の論説を見ましても、本年度地方財政計画については、ずいぶんと批判があるようであります。今まで指摘されましたように、自治庁の方で出した財政計画は、地方単独事業を圧縮するとか、あるいは失対事業経費を大きく押えていくとか、いろいろ実態にそぐわないような圧迫を加えておるような計画になっております。こういう問題が非常に大きな問題だろうと思いますが、私は今これらの点をずっと考え合せながら、先般新聞で発表されておりました一つの問題をここに思い起しまして、自治庁見解等を少しお尋ねしておきたいと思います。それは自治庁も御承知だと思いますが、三十日でしたか、秋田県の県議会が夏季手当給与支払いですか、六月十五日支給されるよりになっているところの職員の期末手当を八月の日まで延ばすというような決定をしたことが新聞で報道されております。これについて自治庁で知っておられる問題、あるいはそれに対する見解等をまずお聞かせいただきたいと思います。
  11. 奥野誠亮

    奥野政府委員 財政部長あとで参りますので、財政部長が来ましてからお答えさしていただきたいと思います。政務次官もその事案についてはお聞きになっていないようでありますので、あとで御答弁申し上げます。
  12. 川村継義

    川村(継)委員 大臣がおられませんから、次官からお答え願います。
  13. 永田亮一

    永田政府委員 その問題はまだ聞いておりませんので、さっそく取り調べて御返事申し上げます。
  14. 川村継義

    川村(継)委員 それでは大臣が来られてからまた質問いたします。
  15. 大矢省三

    大矢委員長 それでは先ほど申しましたように、税関係の方を先に一つ
  16. 中井徳次郎

    中井委員 ちょっと一問だけ伺いたいのだが、この地方道路譲与税の問題ですが、あの税金配分をいたしまするのに非常に詳細な計画があります。道路面積だとか何だとかいところまで非常にこまかく書いてあります。ああいう税の配分の仕方というふうなものは、これまでに地方税についてありましたでしょうか。どうも私これまでの地方税というものは、もう少し大まかなものではなかったかと思うのであります。ほんとうに目的税というのであるならば、また別の考えがあろうと思います。たとえば税収入の上った県に半分なら半分やって、あとをどうこうするという考え方もあうかと思いますが、どうも今の譲与税の分け方は、何か今の地方交付税ですか、交付税の分け方のようなものでありまして、どうも税体系としまして、新しい一つの型だろうと思うのですが、私はこれが好ましいものであるかどうか、非常に疑問に考えておりますので、その点についての自治庁の率直な考え方を述べていただきたいと思います。
  17. 奥野誠亮

    奥野政府委員 今お話にありましたように、税という名前を使います以上は、徴収地に還元するなり、あるいは揮発油消費地に還元するなりするやり方をした方が望ましいと思います。しかしながら徴収地に還元するとすると、現在の揮発油税徴収は、保税地域または製造場からの引き取りに際して課税しておりますので、全国でごく限られた地域にしか税金がないということになってしまいます。また消費地に還元することになって参りますと、ほとんど大部分東京とか大阪とかいう富裕な団体に戻っていってしまうのであります。そういうような事情から、やむを得ず道路面積に按分して譲与するというようなやり方をいたしております。その結果、御指摘になりましたような税としての性格が薄らいでくるという欠陥があるわけでありますけれども、総合的に判断して、現在のような姿をとること一番適当ではないかという結論に達したわけであります。
  18. 中井徳次郎

    中井委員 一応それはわかるのですが、よく考えてみますと、今の道路譲与税内容は、これまで県道に対する国の補助金といいますか、そういうようなものとして過去何十年の間やっておられたことと、今のあなたの御説明によると、やり方は、ほとんど変らない。そうなると、その地方道路譲与税総額に相当するものを、むしろ建設省の方の予算に回して、専門屋建設省の方で、これを全国府県並びに五大市配分するといった方が適切のように私どもは考えみのでありますが、はっきりいえば建設省ガソリン税を一括やって、建設省がそのうちの何分の一かを地方府県五大市専門的立場から分けることをやめて、大蔵省財源を取って大蔵省が分けることになってくると思うのであります。そうなると大蔵省は、道路行政の面にまでどんどん入っていくというようなことにもなかろうかと思うのでありまして、これを一つの突破口のような感じを持っている地方としては、財源があるから財源をもらえるといって喜んでいる府県もあるようでありますけれども日本道路行政という面からみると、二つの線が今度出て参ることになってくると思うのであります。その点について、今の政府やり方は、継ぎはぎのことであってちっとも総合牲かない。この間も問題になったのですが、専売益金の三十億の問題なども、もっと堂々とたばこ消費税の税率を変えて、三十億に相当するものをやればよいのに、三十億だけは今年限りとかなんとかいってあそこに入れているが、そういう思想と一連のつながるものがあると思う。そういうことは、行政機構体系としてまことに遺憾で断ると考えておるので断ります。そういう点について、自治庁としては、それでもやむを得ないと考えておられるのでしょうか。将来はまた、たとえば今補助金の問題が大きく取り上げられて補助金整理特別委員会も特たれておりますが、そういうものとの関連において、これを総合的にながめていくというような考え方はないかどうか。この点においてはなはだ安易に過ぎて、しかも裏に非常に各省のなわ張り争いといいますか、権限争いといいますか、もっとはっきりいえば、大蔵省は自分でやるのやらやりたいけれども建設省にやらせたらどこへ持っていくかもしれぬという考え方も、この体系から見ましてなきにしもあらずと私どもは考えられます。そういう点についてこの仲をとっておる自治庁としてはどういう考え方であるか、一つ伺っておきたい。
  19. 奥野誠亮

    奥野政府委員 第一に道路事業に要する経費をどこが負担した方がよろしいかという問題になって参りますと、私たち国道でありましてもやはりある程度は地元負担した方がよろしいのじゃないだろうか。特に受益関係の明確な事業でありますので、ある程度は地元負担してもらった方が、国全体をにらみまし動路整備てをやっていきます場合には好都合ではないか、こういう考え方を持っております。ことに近年来国が積極的に道路に多額の金を投ずるようになって参ってきておりますけれども、やはり府県についてだけ見ましても、それ以上に現に道路に対する自己負担地方団体が追加して参ってきているわけでございます。そうしますと、地方団体自己負担に基いて行わなければならない道路整備に要する財源を、どうまかなっていくかという問題が残っていくわけであります。  第二に、道路整備五カ年計画で積極的に国が国府県道整備にとりかかったわけでありますけれども、それでも国道府県道の総延長のうちで道路整備五カ年計画対象に取り入れております道路というものは一割に満たないのであります。言いかえればそれほど道路につきましては府県が積極的にその保守管理あるいは改築についての責任を負っているわけであります。また道路のようなものは、やはり所在の地域ごと責任の主体を置いていきませんと、適正な管理が行われないのじゃないだろうか、こういう考え方を持っておるので断ります。  第三に、国が積極的にどの道路を改築すべきであるかということで一々補助負担金を交付するような道路というものは、特に重要な幹線道路になっております。私たちは国家的な見地からカを入れなければなりませんような国道に限らるべきものではなかろうかという感じを持っているのであります、府県の住民が主として使用いたしますような道路でありますならば、一一中央政府がどこから整備すべきであるというようなさしずはいたしませんで、府県立場でどこから整備すべきで断るかということをよく判断して、必要なところに力を入れていった方がいいのじゃないだろうか、こういう考え方を持っているのであります。一般的に言われておりますように、補助金布敷には非常な弊害を伴いがちであります。たとえば補助金交付申請をしなければならない、あるいは設計認可を受けなければならない、あるいは着工検査中間検査竣工検査というようなことで、いろいろな弊害が伴いますので、必要やむを得ない道路に限るべきじゃないだろうか、こういう考え方を持っているわけであります。そうしますと、なるべく多くの部分については道路一般についての財源地方団体に持たせまして、その財源を駆使することによって、地方団体総合行政見地から、あるいは自治行政見地から整備をはからした方が穏当ではなかろうか、こういう考え方のもとに地方道路譲与税というものを考えているわけでございます。
  20. 中井徳次郎

    中井委員 私の聞いたのは、日本道路は悪いとか、五カ年計画はどうとか、そんなことじゃありません。その財源のとり方、配り方についてまことに変態的なことじゃないか。やり方は何ぼでもあります。今のガソリン税そのままだっていいのです。ガソリン税の税の内要において、このうち何分の一は補助金として建設省地方にやらなければいかぬとずっと書いておけばいい。地方道路税というような税金を特に設ける必要はわれわれはないと思う。一万三千円をわざわざ二千円下げて一万一千円、また四千円上げてというようなことをしないでも、今の二万三千円で何パーセント、これだけは地方に回す、回し方はこうだ、それだけやればいいのであります。補助金についてはいろいろな問題があるというが、それは法律できめておけば問題はありません。今また別の法律を出して、地方道路税をわざわざ作ってそうしてそれに対する譲与税法というものをまた作って、よく見たら結局二千円よけい税金を取るのだ、こういうやり方はこれまではごまかされたかもしれませんが、このごろはもう世間はみんなそういうことについて非常に鋭敏であります。すぐわかってしまいまして、今や大問題になっておるわけですが、もっとそういう日本の内政についてわかり切ったことは、正直に素朴にやったらどうかというのが私の意見です。どうですか、そういうふうなこまいことをせずにぽんとやったらどうか。
  21. 奥野誠亮

    奥野政府委員 地方道路税を設けることによって揮発油税負担が実質的に増額になっているということは御指摘通りだと思います。ただ御意見の中で、地方道路譲与税というようなものは道路財源なのだから建設省で一括してやったらいいのじゃなかろうか、こういうお気持もあるのじゃないかと思いますが、その点について弁明させていただきますと、やはり地方財源全体についてどこかで総まとめに考えていくところがなければならないのじゃないかというふうに思うのであります。道路費用でありましても、あるいは地方債財源を充当しなければならない問題もございますし、あるいは地方交付税制度のもとで道路に要する基準財政需要額を測定し、それから全体の基準財政需要額に足りない部分については、地方交付税を充当するというような問題もございますので、こういうような地方団体が自由に使える財源は、総体的ににらみ合いまして必要な地方団体に対する財源措置をしていかなければならないのじゃなかろうか。やはりそれぞれの省は個々の指定いたしました事業について、国で考えているような方向に進めているかどうかということを監視されなければならない。しかし総合行政の一環として個個の行政を見ます場合には、やはり特定個々の省があまり立ち入った干渉をすることは避けた方がいいのじゃなかろうか、こういうような考え方を持っているわけであります。要するに地方団体が自由に使える全体的な財源一つとして地方道路譲与祝を考えていきたい。従ってまた地方財政を担当しております自治庁でこの種の制度の立案に当っていこう、こういう考え方をしているわけであります。しかしもちろん政府部内といたしましては、建設省との間でもこれらの配分につきまして十分打ち合せていきたい、こういう考え方を持っております。
  22. 中井徳次郎

    中井委員 どうもあとからつけた理屈のようにとられます。自由に使える財源といいますが、ちっとも自由に使えません。これは道路だけであります。どの道どの道、どうこうということにはっきりなっております。内容補助金と変りありません。こういうところで私も、財源々々といいますが、そういうように自由に使えるというのならば、あなたの県の道路にお硬いなさい、何でもけっこうですというのならば、これはわかりまするが、ちゃんと面積によって何によってというふうになっておるのでありまするから、その辺のところはちょっとまだ納得しかねるのですが、どうですか。それは県内道路に全く自由に使えるのですか。
  23. 奥野誠亮

    奥野政府委員 県内道路に全く自由に使えるので断ります。道路に関する費用に充てなければならないということにしてありますから、場合によっては市町村道補助金に充ててもかまわない、かようにまで考えておるわけであります。
  24. 門司亮

    門司委員 私はちょっとさっきの答弁で、これは大臣が来られたら聞こうと思っていたのだが、大臣がおいでにならぬから伺うのですけれども、どうも奥野君がそういうだけでは納得がいかないのです。大臣説明書には明らかに書いてあるのです。大臣説明書をそのまま読んでみると、今部長の話したように、「第四は地方道路譲与税の使途であります。すでに御説明いたしましたように、地方道路譲与税は、道路に関する費用に充てなければなりませんが、道路に関する費用がある限り、特にその範囲を限定するものではありませんので、道路整備五カ年計画対象になっているかどうかにかかわらず、広く道路事業に充てることができるものとしたのであります。」こう書いてあります。国が当然道路整備五カ年計画に基く事業として計画したものを、税金がこちらに来たことのためにこれを補ってやるということになれば、去年の道路譲与税と同じような性格を持っている。性格がちっとも変っていない。こういうことが懸念されるのですが、大臣がわざわざこう書いているのです。だからその間ほんとうに県の裁量だけでいいのか、あるいは県は、もし道路整備五カ年計画の中に入っていれば、それはやらなくてもいいのか、義務づけられているのかどうかということなんです。建設省がこれを考えて、道路整備五カ年計画の中から、それは譲与税をやったから向うでやらせるということで、抜くかもしれない。しかしそれにしてもこういうととは大臣がはっきり言っておる。だからこれと競合して、去年のような形でやるということになれば、去年は三十一億しか使えなかりたが、今年は七十九億全額使えるぞと富んでおると、実際は案外使えないということになるかもしれぬ。私はそういうことを心配しておるから、さっきから聞いているのですが、どうですか。
  25. 奥野誠亮

    奥野政府委員 道府県及び五大市国庫負担金を受けて行います事業につきましても、なお百二、三十億をみすから負担しなければならないのであります。その財源をどうするかという問題もございますので、大臣提案理由道路整備五カ年計画対象になっているかどうかにかかわらずという言葉を取り上げているのにすぎないのでありまして、全く道路に関する費用でありまする限りは、府県五大市は自由に使えるのであります。この法案をごらんになっておわかりいただけますように、建設大臣の権限は少しも出て参ってきておりません。割増し、割減をして道路面積を定めます場合におきましても、総理府で調整いたすことになっております。もちろん実質的には建設省意見を十分聞きたいと考えておるのでありますけれども法律上には建設大臣の権限は少しも出て参っておりません。自治庁といたしましてはできるだけ府県財源を自由に駆使できるように持っていきたいというふうに考えておりますことは、御了解願えると思うのでありますが、法律案にもそういうふうになっていると考えております。
  26. 門司亮

    門司委員 法律案は一応読んでおるが、問題は、さっき申し上げました競合している、面がはっきりしていないと、去年と同じような結果になることを私は心配しておる。ほんとうに今のような形で使えるものは、去年は三十一億しか使えなかった。あとの四十八億というものは、国の五カ年計画でなければ使えないということにはっきり書いておる。ことしはそれを書いておらないが、それにもかかわらず説明書の中には使えるとはっきり書いてある。全額もらえるということで喜ぶわけにはいかないということが必ず出てくると思うのです。その間がはっきりしていない。こう書いてはあるが、都道府県が、今後の整備五カ年計画に入っておるところに県の方はめんどうを見ない。国の方で全部やってもらうということで、もし負担分があれば、その負担だけするということでいいかどうかということなんです。
  27. 奥野誠亮

    奥野政府委員 全く府県がどこに使おうが、道路に関する費用に充てます限りは自由であります。それは御心配のことは絶対にないことになっております。
  28. 北山愛郎

    北山委員 大臣がおいでにならないので、あるいはわからないかもしれ京せんが、新聞でごらんの通りに、本年度予算について保守両派の共同修正の話し合いがついたようであります。その内容を見ると、一般会計の増額が百八億ということになっております。その内訳がわからぬので実は困るのですが、かりに社会保障費の増額あるいは食糧増産対策費の増額というようなことになれば、当然これは補助金というような形の歳出がふえるのではないかとこう思うのです。そうすれば当然この補助金増額に見合う地方負担というものを考慮しなければならぬのでありますが、その点について一体どういうふうな共同修正の内容であるか、またそれに伴ってどういうような地方負担がふえるのであるか、この内容について御存じであるならば、一つこの際明らかにしていただきたい。
  29. 永田亮一

    永田政府委員 昨日大体自由党との共同修正がきまったのでありますが、これに伴って地方団体負担しなければならない金額がある程度出てくるのは当然で彫ります。それで減税に伴うところの交付税が減りますが、その分につきまして政府とも十分に話をいたしまして、その資金は獲得いたすことに話をいたします。  さらに今お話になりました、事業を行うことによる地方負担の分でありますが、この分につきましても、起債の増加などによりましてまかなっていきたいと今考えております。ただその内容が、今御指摘になりましたように、まだはっきりわかりませんので、それがきまってきませんと、金額も自然決定いたしてこないのであります。金額が決定いたしますならば、それに伴って善処いたしたいと考えております。
  30. 北山愛郎

    北山委員 内容がおわかりにならぬというのでありますが、これは両虎が話し合いで、まるでバナナのたたき売りみたいに、やれ百億だ二百億だというようなことでやっておるから、あるいはわからないかもしれませんが、しかしその基礎になるところの計数というようなものは、やはり事務当局としてはそれぞれ提出をしておると思う。従ってその内容というものは、地方負担となるようなどういう経費が見込まれておるか、それがどの程度であるか、それをおわかりになる範囲で一つお示し願いたいのです。
  31. 後藤博

    後藤政府委員 ただいま政務次官からお答えいたしました点について、私から補足いたしたいと思います。現在進行いたしております予算の修正案の内容でありますが、これは私どももよくわかりません。実はきょうもう一度確かめておりますが、自由党から出された元の案を基礎といたしまして、一応の地方負担分をはじいてはみたのでありますが、その後圧縮されました。どこがどういうふうに圧縮されておるかということが、私どもはっきりいたしませんので、実はきょうもそれぞれ計算をし直させておりますが、先ほど申し上げたように、歳入の方と歳出の方と二つ問題がございます。歳入の方は、法人所租税が減税されます分のはね返りの分と、それから地方税が法人関係で落ちる分とございます。それから各種の補助金増額されておりまするが、これがわからぬのでありまして、この点はこまかく計算をしなければ、それぞれの補助金について負担区分が違っておりまするので、わかりません。公共事業につきましても、やはりどの経産どの事業をふくらすかということも、私どもはっきりわかりませんので、その辺が出なければ、ちょっと問題にならぬかと思いますが、ただ私どもとしては起債の問題、それから歳入の方の交付税の問題それぞれについて、一応の意見だけは申し上げておる次第であります。
  32. 北山愛郎

    北山委員 どうも各党の間でこういう形の話し合いでもって予算の修正をするというようなことは、いつでも同じようなことをやっているわけです。一昨年の三派共同修正の場合にもそれをやって、結局地方財政の方は忘れてしまった。そうしてあとで結局そのしりぬぐいを地方負担しなければならなかったということがございます。また今度の三十年度の一般会計の予算編成の際にも、約二百億という増額予算のぶんどりをやって、結局地方財政の方は忘れてしまって、あと財政計画上百四十億の穴をあけた。そのしりぬぐいをやはり自治庁がやった。こういうようにいつでも、雲の上で予算修正をするとこういう結果が出て、地方団体はそのしりぬぐいを仰せつけられておるようなことであります。従って私は今回の修正に際しても、自治庁当局としてはよほどしっかりして、雲の上でやっておることを的確にとらえて、それがあと地方団体負担にならないように、せっかくごまかした地方財政計画というものを、あとでさらにごまかしを繰り返さなければならぬというような結果にならないように、私は強く要望をいたしたいのであります。  もう一つ、減税分について訂正をしなければならぬ、交付税をふやさなければならぬというお話もございましたが、そうなりますと、これは当初予算においても同様じゃないか。法人税あるいは所得税を本年度約三百二十億減税した。それに伴う二二%といえば、これは約七十億と思いますが、この七十億は地方団体としては当然交付税でもらえるはずのものを、政府の減税政策によってもらえなくなってしまった。そこで私どもは七十億は交付税率の引き上げその他の方法によって地方団体にやらなければならぬ金ではないか、かように考えておるんですが、自治庁としてはどのようなお考えでございますか。
  33. 永田亮一

    永田政府委員 ただいまのお説の通りに、減税に伴いまして交付税が減ってくることは当然であります。それで自治庁といたしましては、正面から申しますとこの二二%、十五億くらいかと思いますが、この二二%をさらに上げてもらうことを折衝しようと思っております。しかしもしその点が不都合であるということになるとしまするならば、あるいはたばこの消費税とか、酒の増石とか、そういう増収の面によって、当初計画いたしておりました金額だけは必ず確保いたす考えであります。
  34. 中井徳次郎

    中井委員 先ほどから北山君が聞いております、修正による地方財政計画の再修正、これは非常に重要だと思うのです。去年も取り残されてしまいました。今政務次官からのお話もありましたが、予算の修正案が予算委員会に出ると同じ日に、当委員会財政計画の修正を一つ出してもらわぬと困る。私はそう思うんです。委員長にそれを要望いたしますから、当委員会の意向として、同じ日に一つ財政計画の修正案を出してもらうようにお願いをいたしたいと思います。
  35. 大矢省三

    大矢委員長 承知いたしました。——後刻お返事するそうです。
  36. 北山愛郎

    北山委員 そうするとただいまのお話では、さらに今後交付税率の引き上げについて自治庁は折衝する、こういうふうに了解して差しつかえないと思いますが、今回ばかりじゃなくて、いつでも大臣というようなえらい人たち地方財政などはさっぱり知らない。そこで予算の方だけとれば国の政策がやれるという間違った考え方を持っておる。食糧増産の予算さえとれば、あるいは社会保障費なり失業対策費なり生活保護の予算さえぶんどれば、その政策が実行できるという間違った考えを持っていて、それに伴う地方負担がなければ、地方団体がそれを円滑に実施で、きないということを忘れがちです。その結果何回も過去において苦い経験を地方財政としてはなめておる。これは自治庁としても同様だし、また地方団体も同様であります。そこでこの際自治庁としては時期を失しないように、もうきまってしまってからではおそいのでありますから、予算の計数を整理する際にその中に首を突っ込んで、そうしてあとに取り残される、あるいはバスに乗りおくれるようなことのないように、一つ十分に御努力をいただきたい。これを要望しておきます。  それからさらに譲与税の問題がありましたが、昨年のガソリン税譲与税法によりまして、予算額よりもこえた分については、その三分の一を昭和三十年度ないし三十一年度において、これを地方に交付することになっておるわけであります。そこでそれは一体どのくらいの金額になり、また本年度予算の中で補正に追加されるものであるかどうか、この点を一つ確めておきたいと思います。
  37. 奥野誠亮

    奥野政府委員 十七億円くらいなお三十年度ないし三十一年度地方団体に譲与できる願があると考えています。決算がきまりまして、その決算に基きます剰余額を、あるいは道路費に対する国庫負担金あるいは地方道路譲与税への追加というような場合に計上していただくわけでありまして、三十年度内に行うか三十一年度内に行うかという問題につきましては、まだはっきりした話し合いはきまっておりません。
  38. 北山愛郎

    北山委員 この問題は法律の上でも三十年度ないし三十一年度となっております。従ってやかましい意味で決算がきちんときまらなければやれないというような、理屈でなしに、そういうかたいことでなしに、出納閉鎖も済んでおるわけでありますから、大体この程度二十九年のガソリン税は増収になるということになりましたならば、大体その三分の一を概算でもって本年度地方団体に交付するというような措置一つとっていただきたい。この点についても自治庁に努力をお願いしておきたいと思います。  それからもう一つ伺いたいのは鳩山内閣補助金整理ということを一つの看板にしておりました。そこで一体、今度の共同修正の問題もあるわけでありますが、今までのところで、その政策がどの程度実行できたか。昭和二十九年度に比べて本年度補助金としてはどの程度の違いが出てきたか、どの程度に減ってきたか、そう言う点を伺いたい。
  39. 後藤博

    後藤政府委員 廃止されました補助金関係いたします事業費は三十三億でございまして、地方負担が十五億五十七百万円でございます。その分だけが地方負担がなくなった、こういうことになっております。
  40. 北山愛郎

    北山委員 ふえた分もあるはずでありますが、その差引計算をするとどういうことになっておりますか。
  41. 後藤博

    後藤政府委員 今申しましたのは廃止された分であります。それから補助審が改訂されましたために地方負担が落ちましたものが六億ばかりございます。この落ちましたものの中で、どうしても地方団体の方でやらなければならぬもの、これは市町村農業委員会の技術員及び書記の費用補助金が落ちた分でありますが、その分は逆に地方団体の方で交付税の計算においてまかなわなければなりませんから、その分が十一億ばかりでございます。
  42. 北山愛郎

    北山委員 そうしますと、前から鳩山内閣によってよく宣伝をされました補助金の整理によって地方財政負担を軽くするのだというやり方は、本年度に関する限りは失敗に終った、かように考えてよろしゅうございますか。
  43. 後藤博

    後藤政府委員 失敗ではなくて、私どもが初め期待したほど、補助金の整理によって地方負担が減少しなかったというふうに考えております。
  44. 北山愛郎

    北山委員 この問題は、補助金をどういうふうにやっていったらいいかということに関係する政策的な大きな問題でありますので、この程度にしておきます。 次に、これは今の鳩山内閣ではございませんが、吉田内閣当時に昨年行われました警察制度改正によって、警察に要する経費が節減できるのだ、こういうことで警察制度改正は強行されたわけでございます。たしか八十三億か節減になる、安い警察になるのだ、こういう触れ込みでやったわけであります。ところが警察費は安くならないじゃないかと思うのですが、中央地方を通じて、一体警察費はどういうことになっておりますか、一つお答えを願いたいと思います。
  45. 後藤博

    後藤政府委員 昨年の警察費の規模は四百十三億でございます。本年は四百六十七億に財政計画では見ております。お話のように最初立てました数十億円節約ができるということに、私は変りはないと思っております。これは四年間の行政整理が終りましたあとで出てくる数字でございますので、やはりそれに相当の警察費の節減額は出てくると私どもは考えております、ただ昨年補正いたしましたのは、実際の財政需要額と、われわれが見ておるところの財政計画との間に差がございますので、その差を埋めたにすぎないのでありまして、私は、当初の警察制度改正がねらっておりました経費の節減というものは、四年後にははっきり出てくるのじゃないかと考えております。
  46. 門司亮

    門司委員 きょうはあまり聞いてもわからぬのですが、今度の補正というか、国の方の予算がああいう形で修正されますと、財政計画は立て直しますか。その点聞いておきたい。
  47. 後藤博

    後藤政府委員 当然にかえなければならぬと思っております。
  48. 門司亮

    門司委員 そうすると財政計画が立たなければ、地方財政関係のすべての法案を上げてみたところで事実上困ると思うのです。それで財政計画を早く出し直してもらいたいということが一つ。もう一つこの機会に聞いておきたいと思うのは、この財政計画の中には、今地方の自治体の赤字の最大の原因といわれている補助金と実際に見合わない額があると思う。たとえば今度の国の予算でもそうだが、学校を建てるのに、大体三万円から三万二、三千円かかるのを、国は二万七千円しか見ていない。コンクリートは五万五千円しか見ていない。実際地方で実行する場合に差額が出てくる。この差額を地方財政計画の中に見込んであるかどうか。
  49. 後藤博

    後藤政府委員 おっしやいますようなものは、一応今までの計算通り入っておりまして、見てないということでございます。これは既定規模の是正が問題としてあるわけでございまして、いつでも議論されますのは、人件費の議論ばかりで断りますが、臨時的の事業の方でも、決算をとってみますれば、やはり二十数億の差額がございます。これはおっしゃいますように、補助金のもとになっております認証額と、現実の事業計画とは違う点でありまして、私どもは二十数億どうしても見てもらおなければならぬものがあると考えております。
  50. 門司亮

    門司委員 二十数億じゃないと思う。あの赤字の原因である差額は非常に大きなものがあると思う。自治庁はこれを計算したことがありますか。計算したことがあるのなら、ほんとうの姿を一応出してもらいたい。そうしないと、再建整備法なんて幾ら出しても、何もならない。もし計算したものがあったとするならば、計画外の地方の財政負担がどれくらいあるか、ほんとうの姿を出してもらいたい。
  51. 後藤博

    後藤政府委員 私が申し上げましたのは、単年度で荘十年度財政計画土見足りない部分が大体二十数億じゃないかと思っているということを申し上げたのでありまして、おっしゃいますのは、おそらく今までの額が非常に大きいのじゃないか——今までの額を集罰しますと、相当の額になると私は思っております。ただそういう調べを今までいたしたことがございませんが、二十八年度の決算が、はっきりわかりましたので、それを基礎にしまして、財政計画上見足りない部分を見るというので、出した数字が二十数億だ、こういうことを申し上げたわけであります。
  52. 門司亮

    門司委員 私も数字のことはあまり議論はいたしませんが、数字はそんなことではきかないと思う。国の三千億近いもの、その中に職員給与がありますから、職員給与についても地方負担がかなりあるわけなんです。国から持ってきたものをそのまま払っていいという筋合いはないと思う。そういう国の財政計画が立てられ、地方財政計画が立てられておる。これは国と地方とのつじつまだけ合っているのであって、実際は合っていない。だから実際の地方負担が、この財政計画以外にどれくらいあるかという数字がわかるはずだ。これがわからなければどうかしている。それが二十何億——とても千分の一や百分の一というようなものでは私はないと思う。もっと大きな開きがあると思う。学校だけでも、少くとも一坪当たりに勘定して三千円あるとしても、大体一〇%あるわけなんだ。そうすると、三千億の補助金があれば一〇%として三百億の赤字が当然この中に隠されている。赤字を隠した財政計画を立てている。そういうことであってはならないので、この機会に新らしい財政計画を出されると同時に、どれくらいになるかという自治庁の見積りを——大蔵省に遠慮しては困るが、再建整備法を審議する参考の資料にもなりますので、ぜひ出していただきたい。
  53. 後藤博

    後藤政府委員 おっしゃるような調べをしなければいかぬでしょうけれども、ちょっとむずかしいじゃないか。できればやりたいと思いますけれども、少し検討さしていただきたいと思います。
  54. 北山愛郎

    北山委員 その数字も私必要だと思うのです。この前予算委員会で代表として質問したときの自治庁の中に置かれた地方財政審議会の意見書、その中にある数字は事務当局としては自治庁の中で作業されて作ったものではないかと思うのですが、その中の第二案というのが、要するに地方財政の実体を基礎とした——昭和二十八年度の決算を基礎にして出せば、昭和三十年度の財政規模は一兆四百三億でありますが、そういうことになるということが第二案の中にあるわけであります。この作業は自治庁としてもおやりになったと思いますので、その基礎になる数字であるならば、あるのではないかと考えますが、そういう数字ならば出せるじゃないですか。
  55. 後藤博

    後藤政府委員 今おっしゃいましたような数字は持っております。ですからそういう数字でしたら、出せると思っております。
  56. 北山愛郎

    北山委員 では先ほどの質問に戻りますが、警察費は四年たてば所期の目的を達して節約になるという話であります。しかし四年もたてば、いろいろな事情が変ってきて、さらに警察費なんかはふえるじゃないかと考えております。ただ今まではっきりしているのは、国の方の警察費の予算だけが、二十八年度に比べて百四億減っております。これたけは確実に減った。ただ地方財政の方でふえるか減るか。四年たてば、おそらく私は後腰さんとは違ってかえって地方財政負担はふえてくるのじゃないかと思うのでありますが、その点は子、の程度にいたします。いろいろお聞きしたいこともございますが、何しろ国の予算が修正されるという状態になり、またそれに伴って地方財政計画も変更になるということでございますから、今や変更されるものを基礎にして質問を申し上げても何かつまらないような感じもしますから、この程度にいたしておきますが、ただ一つ資料を要求いたしておきます。それは地方税について、地方税の中で問題になるのは住民税と固定資産税だと思います。この資料の中にあるいはあるかもしれませんが、固定資産税の評価基準を自治庁地方に示しておりますが、土地、家屋というような評価基準を昨年の十月でありますか、二八%引き上げて評価基準を示した、こういうことになっておるわけであります。それでたしか昨年の十九回国会で、たとえば田については二十八年度においては約二万二千円であったものを二万八千円にずっと引き上げたということを覚えておりますが、またさらにそれから二八%も引き上げるということになっておるのでございましょうか、まずその点をお伺いをいたしておきます。
  57. 奥野誠亮

    奥野政府委員 お話通りでありまして、地方税に関する参考計数資料、この中に出しております。田につきましては全国平均で三万五千五百九十一円という金額になっております。
  58. 北山愛郎

    北山委員 そうするとこの二八%を引き上げたということも、この前の国会で御説明があったように収益還元の方式をとってそういうふうに引き上げたと考えてよろしゅうございますか。
  59. 奥野誠亮

    奥野政府委員 その通りでございます。二十七年、八年、九年、三カ年にわたりまして収益還元の金額を基礎にして考えたわけでありますが、それによりますと増加率が非常に激しいものでありますので、引き下げて二八%という率を出しております。
  60. 北山愛郎

    北山委員 その点については資料を基礎にして検討いたしまして、その上でまたいろいろお伺いをするつもりであります。  さらに住民税については、例の住民税の課税の方式がいろいろありまして、標準となる第一方式を採用しているところに今非常にまれになって少くなってきております。第二方式あるいは第二方式のただし書きを適用する団体が非常に多くなってきておるわけであります。そのために特に町村合併等の場合に、急にその課税方式を変更したために急激に住民税、市町村民税等が上って非常な混乱を起しておる市町村もあるようであります。そこでその第一方式、第二方式あるいは第二方式のただし書きを適用している実態についての資料を一つお出しを願いたいと思うのです。もしもこの中にあるならば、それをお示し願いたい。
  61. 奥野誠亮

    奥野政府委員 今のお話はどれくらいの団体数がどのような課税方式を用いているかということでございましょうか。そうでしたら別途に資料として提出いたします。
  62. 北山愛郎

    北山委員 それは一つ資料を出していただきます、大臣もお見えになりましたので、先ほどの問題についてお伺いしたいと思うのですが、実に先ほど来自由、民主両党の間で予算の共同修正をやって、基本的な点については決定をされたということになっておるわけです。それによると財政投融資は別といたしましても、一般会計の歳出画において百八億増額になる、あるいは温和分もふえるということで、当然補助金のあるものは地方負担を伴う、あるいは減税のはねっ返りが来るということになりますので、その内容については実はお伺いしたのでありますが、大臣は最高首脳部でありますからして、その内容についてはある程度御存じだろうと思うのです。何しろ雲の上でやっておいでになるようでありまして、事務当局の方はこれは御承知にならない。けれども大臣は当然、これは地方財政に直接に影響を及ぼしてくる問題でありますから、その枢機には参画されておると私どもは了解をしておるのですが、一つ承知の点についてここでお示しを願いたいと思うのです。
  63. 川島正次郎

    ○川島国務大臣 三十年度予算案修正につきましては、民主党、自由党両者においてただいま折衝中でありますが、修正案を作るに際しまして地方税関係がどうなっておるかと申し上げますと、減税のために地方交付税が減じまして地方負担が重くならぬようにこれは見積ってもらうつもりでおります。それからもう一つ補助事業がふえて、そのはね返りが地方へきて、地方負担が重くなることは絶対に避けなければならぬのでありまして、これも新聞で伝えておる百八億という中には地方税のはね返り分も含めて今計画をしておるわけでございます。
  64. 北山愛郎

    北山委員 そうすると百八億というのに地方負担を含めるということになりますと、歳出面においてたとえば交付税の増加であるとかそういうものがやはり百八億の中に含まれておる、このように了解してよろしゅうございますか。
  65. 川島正次郎

    ○川島国務大臣 国の予算は歳出面でどういう項目に盛るかということは私はまだ聞いておりません。おそらく自由党、民主党両者の折衝員の間におきましても最後的には決定していないのだと思いますが、結論といたしまして、今回の修正によりまして地方負担か重くなるということは絶対しないという建前をとっておりまして、これは民主党、自由党両党の折衝員の中で確認しておる事柄でございます。
  66. 勝間田清一

    ○勝間田委員 関連してちょっと簡単にお尋ねしておきますが、そういう状態でありますと、今まで提案しておるたとえば交付金の改正だとかそういうような方面について、今度は修正案がもう一ぺん提案されることになるのだと思いますが、そういうことになりましょうか。
  67. 川島正次郎

    ○川島国務大臣 交付税増額でいくのかあるいは他の経費でいくのか、私は結論を聞いていないのでありますが、今お尋ねのように、交付税の方へ計算すれば当然割合がかわりますから、交付税法の改正案を提案しなければならぬとこういうことになろうと思います。
  68. 北山愛郎

    北山委員 実は先ほど、今の減税分のはね返りとかあるいは今の地方負担、こういうことについて自治庁政務次官の方からは、交付税増額についてこれから折衝するのだというお話がありましたが、大臣もそのような方針でございますか。
  69. 川島正次郎

    ○川島国務大臣 減税のために交付税が当然減額するわけでありますか、その点につきましては当然交付税の修正が必要と思うのでありますが、一般補助事業に対するはね返り分を、何の形式で国か負担するかということについてはまた最後的に決定しない、こういうふうに申し上げるわけであります。
  70. 北山愛郎

    北山委員 その点は形式は別としても、とにかく新しく財源地方団体にやるのだというふうに了解してよろしゅうございますか。そうでないと、この前のように、ただ財政計画の計数をあっちの分を減らしてこっちの方に足したということで、財政計画上で操作されてその中で適当にやれということで——たしか一昨年もそうだったと思うのですが、そういうことで一向新しい財源を付与されない。それでは地方団体はやはりしわ寄せをこうむるということでありますから、ともかく交付税増額なり、あるいはその他の新しい分については財源を付与する、こういう方針で行くということであるかどうか、この点を明らかにしていただきたい。  それからもう一つ、減税分については減税の結果交付税が減るということはいけない。これは当然足しまえをしてやらなければいかぬ、こういうふうなお話ごもっともでございます。そういたしますと、この当初予算においても同様じゃないか。当初予算において国の方では三百二十億の所得税、法人税の減税をやる。そうすればそのはね返りが約七十億交付税に響いていって、地方団体は七十億の交付税の税収の当然受けるべきものを受けられないということになるわけでございますが、それについても、これは当然の理屈から交付税率の改正によって増額をすべきものじゃないか、かように考えるのですが、大臣はどのようにお考えですか。ただ、今度の修正だけの分について減税のはね返りだけを補正するということではおかしいのじゃないか。もしも減税分についてそのしわ寄せを地方団体に及ぼさないという建前が正しいとするならば、当初予算においても間違ったことをやっているのじゃないか。七十億増額すべきだ、私どもはそう思うのですが、どうですか。
  71. 川島正次郎

    ○川島国務大臣 北山さんのお話通りでありまして、今年度は三百億を減税したために地方交付税がそれだけ減ることは不都合じゃないか、こういう御意見なのでありますが、三十年慶の予算政府において組みます際にも、この点は問題になったのでありますが、昨年地方交付税法改正しまして二二%という率にいたしました。今年の地方交付税の交付金は、昨年に比較しまして百三十億増加をいたしておるわけでありまして、三十年度は大体この程度で地方財政をまかなってもらいたい、こういうことに話が落ちつきまして、減税分は見なかったのでありますが、今回修正されまして新たな事態が起ったのでありますから、当然減税分は交付税の修正ということにいたしておるわけであります。  それからもう一つ補助事業でありますが、補助事業のはね返り分は大体百八億のうちでもって見てもらうということで交渉を進めておるのでありますが、折衝委員の中には、ある程度は起債によったらどうかという意見もあります。私どもは起債による居合には、むろん政府資金による起債だと考えておるのでありますが、そういう意見もありまして、それはまだ自由党と民主党との折衝委員の間でもって意見が一致いたしておりませんから、この点はつけ加えて御報告を申し上げておきます。私どもの希望といたしましては、どこまでも百八億円のうちでもってやってもらいたいということを強く主張しておるわけてあります。
  72. 北山愛郎

    北山委員 この問題については自治庁長官もよく御承知だと思うのです。従ってこの前のように、予算が大体きまってしまってから、あとで折衝しても始まらないので拘りますから、適時適切にただいまの方針でやっていただきたいと思います。そうして的確なる財源地方に、これはこの修正によっても付与するというふうな方針で強硬にやっていただきたい。それからそのこととは別個に、やはり交付税が非常に少い。そうして地方財政はことしもまた非常に莫大な赤字が出るというような予想でございます。そこでもちろん自治庁長官としても交付税増額したいという気持ちでおられると思いますので、実はその気持をまた私どもはくみ取って、今回交付税率を二二から二七に上げるという法案をあえて提案したわけでございますから、一つその気持をくみ取っていただいて自治庁長官もなお一そう努力をしていただきたいというお願いをいたして、一応私の質問は終ります。
  73. 大矢省三

  74. 川村継義

    川村(継)委員 さっき長官がおられませんでしたから、私がお尋ねしたことについて答えが得られておりませんが、いろいろ問題がありますけれども、さっきちょっとお尋ねしましたように、緊急迫っておるような、私たちの心を非常に痛めておる問題が起きておるのです。それは秋田県の県議会で、三十日でしたか、六月十五日に支給になるところの職員の期末手当を八月五日まで延期する議決をしたということなんです。こういう問題について自治庁の方でお調べになった結果、あるいはそれに対する見解、それを長官からお聞きしたい。
  75. 川島正次郎

    ○川島国務大臣 秋田県の期末手当の問題は正式の報告はないそうでありますが、事務当局におきまして話は聞いているそうであります。これは条例できまっていることで断りますから、至急措置をして当然支給すべきものだと私は考えるのでありますが、一応秋田県の方の状況もよく調査しまして、至急に何とか処置をいたすようにいたします。
  76. 川村継義

    川村(継)委員 これは当面出てきた問題で一つの例であるかもしれませんが、おそらくこういう状態が各地方団体に続発するのじゃないかということを憂慮するわけです。そこでおそらく今回の地方財政計画提出に当りまして、長官は本年度赤字をなくする、将来赤字が出ないように努力するというようなことなどを説明しておられたようですけれども、この委員会における審議の状況からしましても、またこの前ここで参考人を呼んで意見を聴取されました知事会を初め各団体の代表の意見を聞きましても、政府財政計画には非常に不満な、反対の意見を述べられておる。あるいは新聞の論調を見ましても、識者の意見を聞きましても、財政計画は机上のプランにすぎない、ずさんきわまるものであるというようなところに意見が一致しておるわけですが、こういうようなものが発表になっておるし、しかもその内容において単独事業の圧縮であるとか、失対事業の大きなる圧縮であるとか、そういうような状況が地方の今日の財政状況に反映して、今秋田で見られるような状況が出てきたのであります。しかも秋田県においては三十年度のものから九億九千万円かの繰り上げをやって二十九年度の決算に充てたというようなことなども聞いておるのですが、こういうふうな状況が各県にあると思いますが、一体こういうことが出てくる状態を自治庁としてはどのように処置して、地方の財政に混乱を生じないようにさせるかなどというふうなお考えがあると思いますが、その点をお聞きしたいと思います。
  77. 川島正次郎

    ○川島国務大臣 夏季手当の問題につきましては、六月暫定予算をきめます際に、地方交付税の交付金で特に考慮を加えまして、各公共団体におきまして夏季手当の支給にさしつかえないように、政府といたしてはいたしたわけであります。個々の公共団体赤字財政をどうするのかということにつきましては、これは前回御説明申したのでありますが、とりあえず従来蓄積しております赤字を長期低利に借りかえまして、地方負担を軽くする、同時に今後赤字の出ないような財政運営をしてもらうために必要である機構の改革その他いろいろな施設をするわけでありまするけれども、何といたしましても地方赤字は深刻でありまして、三十年度において抜本塞源的な改革をすることは、これはとうてい不可能でありまして、私どもは三十年度に基礎を置きまして三十一年度と両年度にまたがりまして地方財政の健全化をはかりたい、こうした考えでやっておるのでございます。この点につきましてはただ自治庁長官たけの意見ではございません。閣内におきましてもそういうことをはっきりきめまして、私と大蔵大臣とはその点に関してしばしば話しをいたしておるわけでありますが、とりあえず三十年度といたしましては法定による交付金の増額、たばこ益金からの三十億の繰り入れ並びに入場税の一割というものを国でとっておったのを地方に戻すということ、それからとりあえず三十年度分の入湯税三月分は明年度に繰り越すはずなのを三十年度予算に入れるということ、並びに地方道路税などで一応の国としての財源措置をいたしまして、地方におきまして赤字の多い県は別に提案いたしまして御審議を願う地方財政再建促進特別措置法によりまして、各地方新しい財政計画を立てまして、それによりまして地方財政の健全化をはかりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  78. 川村継義

    川村(継)委員 今の秋田の問題は、これは実は一県の例でありますけれども、実に重大な問題であると私は思うのです、公務員の生活問題でありますから。令長官はそういうことにならないように、国では暫定予算で処置してあるというようなお話があったのですが、もちろんこういうことは各県の県議会が条例できめていけばやむを得ない、そういうようなお気持は、これを見送っておくというようなお気持は長官には全然ないと思うのですが、長官の気持からしては困ったことたというお気持があるんじゃないかと思いますけれども、結局こういう状態か各地方団体に次から次に起きてくるような気配を心配しておるのです。そこで長官としては今の秋田の議会が決定をいたしましたのが八月五日まで延期すると決定したのか、延期することができる、こういうように決定しているのかまだ判明いたしておりませんが、その辺のところでずいぶん知事なら知事のやり方について幅が出てくると思うのです。長官としてあるいはそういう事態にならないように何か手を打ってやろうというようなお考え等はございませんか。
  79. 川島正次郎

    ○川島国務大臣 給与費義務費でありまして、せひこれは支払おなければならぬのでありまして、おそらく金繰りの都合で延ばす処置をとったんじゃないかと思うのでありますが、県当局からこちらに協議がありますれば、資金のありせんはいたすつもりでおりますし、また今までも自治庁において資金のあっせんはいたしております。最近佐賀県の財政も非常に窮迫いたしましたので、自治庁においてあっせんをいたしまして簡易保険並びに大蔵省政府資金からして一応給料支払いに足るだけのものはあっせんをいたしたわけであります。秋田県におきましても、県から相談がありますれば誠意を尽して骨をおるつもりでおります。
  80. 川村継義

    川村(継)委員 さっきの話の中に、予算の修正に伴って地方財政計画を修正する、再提出するというようなことがありましたので、その問題がたいへんわれわれといたしては期待を持たれるわけなんですが、たとえば地方交付税の税率を改正するというような線が出て参ると、地方公共団体もそのような資金繰り等の不安も解消して、このような事態が起っていくことを防げるというような見通しもあるのですが、そういう点につきましても至急自治庁として全力を尽して所期の目的が達成されるように、地方財政の窮乏が救えるように一つ御努力願いたいと思っております。  それについてもう一つ数字のことを財政部長にちょっとお聞きいたしておきたいのですが、この前の財政計画の中に、歳出の一般職員及び教育職員の昇給に伴う給与の増のところで百四十億という赤字が出ておりました。財政計画によりますと、これはあとでもらったと思うのですが、八十一億四千万というのが出ておるのですが、あとのここに正式に提出されたものについては、七十一億と、ちょうど十億減っておるのですが、そこのところの食い違いはどこから生じてきておるのですか。
  81. 後藤博

    後藤政府委員 一般職員及び教育職員の昇給に伴う給与の増のところで、前は八十一億が七十一億に九億ばかり落しております。これは毎年五月一日の指定統計を使いまして文部省は教員の数をきめまして、その上に立って翌年度の増員の数をはじいておるわけであります。ところが三十九年度は、私ども予算が遅れました関係で、十二月の統計がありましたので、その十二月の統計を使って初めにここに出しました人数を出したのであります。その上に一万四千人を足したのであります。文部省の方の国の負担金の基礎になっております人数は、五月一日を基礎にいたしております。従ってその間に差があるのでございまして、この差は当然にあとからははっきりいたしまして、義務教育の国庫負担金でもってまかなってもらえるのでありますが、私どもはより近い数字をとろうというので十二月をとったのであります。その間の開きが教員で七千人ばかりございます。従ってその差をどちらの数字を基礎にしてやるかということにつきまして、財政計画を作るときに、いろいろ議論があったわけであります。われわれはより近い数字をとっていこうというので、十二月の数字を基礎にいたしておったのでありますが、それを従来通り、文部省の通りに計算をいたしますると、五月一日の計算になって参りますと下ってくるわけであります。これは九億ばかりでありますが、巻然に義務教育の国庫負担金が実額の半額を負担するのでございますから、その実額の半額がはっきりしますれば、当然にわれわれは財政需要をその半額分に見合う分はつけていく必要があります。従って形式としては歳出の計上の繰り延べと、こういう格好になっておるわけであります。
  82. 川村継義

    川村(継)委員 そうすると、昇給に伴う給与費の増というのは、文部省に合せて五月一日現在で算出した、こういうことになるわけでありますか。
  83. 後藤博

    後藤政府委員 その通りであります。
  84. 川村継義

    川村(継)委員 そうすると、上の方の「教員増加に伴う給与費の増」という項目がございますね。それについては、自治庁はそれと反対に十一月か十二月現在によって見た、こういうような説明をしておられたようですが、ここのところはそれでさしつかえございませんか。
  85. 後藤博

    後藤政府委員 上の方の給与費の増は、三十年度に増加いたしまする教員の数を基礎にいたしまして出したものであります。そのもとになるものに一万四千人の新しくふえますものを足すわけでありますが、そのもとになる数字自体に問題があるわけでありまして、これはほんとうでありますと、三月三十一日現在の教員数に足していくべきで拠ります。ところが予算を作りますのはそれ以前でございますので、毎年五月一日を基礎にしております。去年は本年度予算がおくれましたのて、十二月一日の統計がたまたまございましたので、私どもは一応それをとって財政需要をはじいたわけで断ります。その財政需要をはじいたのが、いろいろほかの方の義務教育の関係で違った基礎をとっておりますので、それを義務教育の関係に合せて改訂をした、こういうことになっておるわけであります。
  86. 川村継義

    川村(継)委員 もう一つ今のに付随してお聞きしますが、「教員増加に伴う給与費の増」というところでは説明書きを見ると、小学校、中学校の義務教育関係を計上しておるようですが、高等学校は含まれておらないのですか。
  87. 後藤博

    後藤政府委員 含まれておりません。小、中、盲唖学校と三つであります。
  88. 川村継義

    川村(継)委員 高等学校の方はその増加についてはどういうふうに考えたらいいのですか。
  89. 後藤博

    後藤政府委員 高等学校の増加は、「人口等自然増加に伴う経費の増」のところに、その経費の増を見ております。
  90. 川村継義

    川村(継)委員 さっき説明のように養務制があるでしょう。大体生徒増などはわかったのですが、高等学校は本年どのくらい増加を見ておられますか。
  91. 後藤博

    後藤政府委員 ちょっとはっきりした数字を覚えておりませんが、経費の増は四億見ております。幾らでしたか、ちょっと今私覚えておりません。
  92. 川村継義

    川村(継)委員 高等学校の生徒も本年度約九万ばかり増加すると思うのですが、それについても一つよく検討していただきたいと思うのです。これはさっきのお話になって参り虫ずが、私が今お尋ねしているのは一つの例なんでありまして、次の修正された財政計画でいろいろ問題が出てくると思うのですが、そういう点がぬかっていきますと、次から次に大きな赤字が出てくる。従ってさっきの秋田の例のようか事態が出てきて、非常にわれわれとして重大視しなければならない問題が出てくるということを考えるのです。その点もこの次の修正計画の中にもうちょっと検討されて、一つ考えていただきたいことをお願いしておきます。  それからさっき質問いたしましたことに関係するのですが、地方団体が俸給の遅配と申しますか、給与支払いを延ばしておる、あるいは分割払いをしておる、あるいは今度のように当然出さなければならぬ夏季手当を出せないでおる。そういうところを二つできろだけ調べてみていただきたいと思うのです。その資料ができましたらぜひ一つほしいと思います。お願いします。
  93. 大矢省三

    大矢委員長 かって本委員会から連合審査を申し込みました大蔵、地方、建設、運輸連合審査会で大臣の出席を要求されておりますので、本日はこの程度にいたしたいと思いますが、……
  94. 中井徳次郎

    中井委員 ちょっと五分ばかり…。先ほど北山君、それから勝間田氏あたりからお尋ねのありました民自両党の修正案に対する地方財政計画の心構え、大臣のお考えにつきましては承わりました。大体影響を及ぼさないように極力やる、これは当然のことだと思うのでありますが、そのやり方につきまして、たとえば地方交付税の千三百八十八億七十七百万円という金額は動かさない、こういうことでありましょうから、結果といたしましては、交付税率を変更する、地方交付税法一部改正法律案をお出しになるということになっておることと思うのでずが、そういうふうに了解してよろしいのでありますか。
  95. 川島正次郎

    ○川島国務大臣 利もそれが本筋だと思います。けれども両党の折衝委員から、どういう形式で地方財政負担をかけないようにするのかということについては、まだ私は結論を聞いておのませんので何とも申し上げられないのですが、私どもの強く要求しておる点は、今度の予算修正のために、地方財政は一銭でも負担が多くなっては因るからということだけは確認をさせておるわけであります。国税の減収に伴いまして、断然地方交付税の率を変えなければならぬことになるのでありますけれども、そういう形式でやるのか、あるいは違った形式で、とにかく地方負担に重くならないようにするのかということについては、私は聞いておらぬおけで、あります。
  96. 中井徳次郎

    中井委員 大臣の御意見はどうですか、どうしたいというのですか。そのやり方はどうでもいいというふうにお考えですか。
  97. 川島正次郎

    ○川島国務大臣 私どもは、現在の地方交付税の二二%が地方財政の状況等と照らし合せて決して適当とは考えていないのでありまして、増額の必要は自治庁当局としては認めておりますが、国原財政の都合で、この程度でがまんをしておるわけであります。今度の修正案で交付税法を直すということになりまずと、根本的の問題がいろいろあるのじゃないか。交付税を直せば、これは三十年度限りじゃございませんですから、そういう問題もありますし、大体交付税を直すのに、修正するごくわずかな部分交付税を直すべきか、さらに根本的に地方財政を検討して、交付税の率を直すべきかという問題もいろいろありますので、従って私は、ここに私一人の考えとして申し上げることはできないのでありますけれども、先ほど来お話を申し上げておる通りに、とりあえず今度の修正のために、地方財政負担がかかるようなことはさせないということだけは、はっきりいたしております。
  98. 中井徳次郎

    中井委員 どうもこの点は私どもも満足できません。党友と交付税率をその逆算でもいたしまして直すべきであると考えます。しかしまだきまっておらぬものを、とやかく批判するわけにも参りませんから、きまりましてから申し上げたいと思います。  もう一つ、念のために私は尋ねておきたいと思いますが、去年自由党と改進党でもって共同修正をいたしましたときには、補助金も相当ふやしまして、それによってさらにかかるというその地方負担を現実に落しましたので、ことしは、川島さんはかからないようにがんばるといわれますが、理由としてはこういうことを言われます。今回ふやした補助金は、地方負担のかからないものにだけこれを補助金の中に入れたのである。あるいは不交付団体、いわゆる他方交付税の交付を受けない財政余裕のあると考えられる府県にだけ補助金をやるのである。そういうことによって、地方では財政計画をそういじらなくてもいいのであるというような説明に去年は終始をいたしました。私どもはその説明のインチキ性に実はあきれたわけなんです。今度も影響しないというからには、たとえば補助金百億なら百億ふえれば、それに対する地元負担を三十億とすれば、その三十億は明確に出してもらいたいと私は思うのであります。そこであなたはお越しにならなかったのですが、予算の修正案が出ると同じ日に、当委員会としては財政計画の修正案を一つ出してもらいたいということを先ほどわれわれは要望いたしました。特にこの点だけは一つ大臣にお願いして、最後に一つ見解を伺ってみたい、かように思います。
  99. 川島正次郎

    ○川島国務大臣 お話の点はよくわかりましたから善処いたします。
  100. 鈴木直人

    ○鈴木(直)委員 大臣にお伺いいたしますが、地方自治法の改正案が閣議で決定してあるということを聞いたのですが、それはいつ国会に提案されるのですか。その予定をお聞きしたい。
  101. 川島正次郎

    ○川島国務大臣 提案する準備中でありまして、おそらく印刷の都合でおくれているのだと思いますが、ごく最近提案いたします。
  102. 川村継義

    川村(継)委員 今の点でちょっと。この地方自治法の一部改正委員会にはかかっておらないが、地方団体へは相当流れております。これは一体どういうことですか。閣議決定の案が流れておりましていろいろと連絡が来るのですが、これは自治庁が流されたのですか。
  103. 川島正次郎

    ○川島国務大臣 政府の案を最後に決定いたしますまでには与党の政務調査会、総務会などにかけまするし、むろん閣議にもかけるので、自然そうした間に新聞に出たのかと考えるのでありますが、自治庁が意識的にそういうものを出したということはございません。
  104. 川村継義

    川村(継)委員 新聞でないのですよ。ちゃんと要綱を刷った現物的なものが流れているのですよ。こういうことはどうもわれわれとしては賛成できないのですから、そういう点は一つよく取り締っていただくと同時に、できるだけ早くこの委員会提案していただきたいと思います。
  105. 鈴木直人

    ○鈴木(直)委員 実はこの卓上にも、群馬県議会の満場一致の議決で反対の陳情が来ております。先ほど山梨県の議会からも満場一致の反対の議決が来ております。いろいろ新聞を見ますと、全国の各県の議会において地方自治法に対するところの反対の議決が行われるように聞いているのですが、われわれのところにはその閣議決定の内容がわかりません。どういう内容であるか、再建整備促進法との関係もありますし、地方財政計画関係もあるので、実はなるだけ早くそれを知りたいという考え方から、いつ提案されるかということをお聞きしたので、速急に一つ提案をお願いしたいと思います。
  106. 大矢省三

    大矢委員長 それでは本日はこの程度にいたしたいと思います。  これをもって散会いたします。    午後零時三十五分散会