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1955-05-26 第22回国会 衆議院 地方行政委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年五月二十六日(木曜日)     午前十一時五分開議  出席委員    委員長 大矢 省三君    理事 安藤  覺君 理事 池田 清志君    理事 古井 喜實君 理事 鈴木 直人君    理事 前尾繁三郎君 理事 加賀田 進君    理事 門司  亮君       亀山 孝一君    唐澤 俊樹君       木崎 茂男君    櫻内 義雄君       渡海元三郎君    徳田與吉郎君       丹羽 兵助君    長谷川四郎君       青木  正君    熊谷 憲一君       灘尾 弘吉君    山崎  巖君       吉田 重延君    川村 継義君       北山 愛郎君    五島 虎雄君       坂本 泰良君    杉山元治郎君       中井徳次郎君  出席国務大臣         国 務 大 臣 川島正次郎君  出席政府委員         自治政務次官  永田 亮一君         総理府事務官         (自治庁財政部         長)      後藤  博君  委員外出席者         参  考  人         (全国知事会代         表、茨城県知         事)      友末 洋治君         参  考  人         (全国市長会代         表、高槻市長) 坂上安太郎君         参  考  人         (全国市議会議         長会代表、三鷹         市議会議長)  衣笠 武夫君         参  考  人         (全国町村会代         表、静岡県磐田         郡福田町長)  大竹 十郎君         参  考  人         (全国町村議会         議長会代表、埼         玉県北足立郡蕨         町議会議長)  岡田 徳輔君         専  門  員 有松  昇君         専  門  員 長橋 茂男君     ————————————— 五月二十四日  地方交税法の一部を改正する法律案内閣提出  第八〇号) 同月二十五日  地方税法の一部を改正する法律案内閣提出第  八四号)  銃砲刀剣類等所持取締令等の一部を改正する法  律案内閣提出第八五号)(予) 同月二十四日  クリーニング業に対する事業税軽減に関する請  願(仲川房次郎紹介)(第九一三号)  同(八田貞義紹介)(第九一四号)  同(河野密紹介)(第九一五号)  同(有馬輝武紹介)(第九五五号)  同(山中貞則紹介)(第九五六号)  同(五島虎雄紹介)(第九五七号)  同(有田喜一君外二名紹介)(第九五八号)  同(大石武一紹介)(第九五九号)  同(池田清志紹介)(第九六〇号)  同(原捨思君外一名紹介)(第九六一号)  同(伊瀬幸太郎紹介)(第九六二号)  木材引取税撤廃に関する請願外一件(福永一臣  君紹介)(第九一六号)  同(中居英太郎料紹介)(第九一七号)  同(赤松勇紹介)(第九六八号)  同(福井順一紹介)(第九六九号)  同(熊谷憲一紹介)(第九七〇号)  同(坂田道太紹介)(第九七一号)  同(松永東紹介)(第九七二号)  同(山本勝市君紹介)(第九七三号)  同(森清紹介)(第九七四号)  同(古島義英紹介)(第九七五号)  同(阿左美廣治紹介)(第九七六号)  同(有馬英治紹介)(第九七七号)  同(中村三之丞紹介)(第九七八号)  同(松浦周太郎紹介)(第九七九号)  同(遠藤三郎紹介)(第九八〇号)  同外一件(廣瀬正雄紹介)(第九八一号)  同(荻野豊平紹介)(第九八二号)  同(有田喜一紹介)(第九八三号)  同外二件(田中彰治紹介)(第九八四号)  同(椎熊三郎紹介)(第九八五号)  同(宇田耕一紹介)(第九八六号)  同(床次徳二紹介)(第九八七号)  同外二件(本名武紹介)(第九八八号)  同外二件(楠美省吾君外一名紹介)(第九八九  号)  狩猟者税法の一部改正に関する請願相川勝六  君紹介)(第九三七号)  同(灘尾弘吉紹介)(第九三八号)  遊興飲食税法の一部改正に関する請願灘尾弘  吉君紹介)(第九五四号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和三十年度地方財政計画について  参考人より意見聴取     —————————————
  2. 大矢省三

    大矢委員長 これより会議を開きます。  お諮りいたします。昭和三十年度地方財政計画に関して、参考人より御意見を聴取いたしたいと存じまするが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 大矢省三

    大矢委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。  それではただいまより昭和三十年度地方財政計画に関して、参考人より御意見を聴取することといたします。出席参考人の氏名は、先ほど理事会で御協議願いました結果、ただいまお手元に配付いたしてありまする名簿の通り決定いたしたので、御了承をお願いいたします。  なお参考人の方々にごあいさつ申し上げます。御多忙中のところ突然御出席を願いまして、まことに御苦労様でございます。時間が午前中の予定でございまするので、できるだけ簡潔に、大体十分程度に願いまして、あと委員諸君からの質疑に充てたいと存じます。  それでは順次発言を願います。全国知事会議代表茨城県知事友末洋治君。
  4. 友末洋治

    友末参考人 今回政府国会に提出されておりまする地方財政計画案、及びこれに関連いたしますところの二、三の事項について、意見を申し上げたいと存じます。  お手元意見の要旨を差し上げてあると存じますが、それに従って申し上げたいと思うのでございます。実は非常に急でありましたために、多少文句等につきまして練れておらない点もございますので、この点はあらかじめお許しをいただきたいと存じます。  まず端的に結論から申し上げますと、この三十年度の地方財政計画案は、現行制度やまた今国会提案を予定されておりますところの関連法案の精神を、はなはだしく逸脱しているようでございます。従いまして、筋の通らないと思われますものが数多いばかりでなく、地方財政実態からも著しく遊離いたしておりまして、今日の非常な窮乏をさらに激化せしめるという結果になるものと考えざるを得ませんので、部分的な手直しをするというようなこともとうていでき得ません関係から、一応全面的な組みかえを願うべきではなかろうか、かように考えているものでございます。  すなわち、昭和三十年度の地方財政計画策定に当って、どうしてもとらなければならない基本的な方針といたしましては、まず第一には、過去におきますところの赤字解消していただくこと、第二には、将来にわたって赤字発生原因を根絶していただきますこと、第三には、地方財政計画の立て方といたしましては、過去における地方財政平衡交付金制度に基く方式は、これは当然一擲いたしまして、現行地方交付税制度建前によるべきでありますること、これらはいずれの方面から考えましてもおそらく御異論のないところであろうか、かように実は考えるのであります。しかるに今回政府策定にかかっておりまする地方財政計画というものを検討いたしてみますると、これらの基本的な重要な事項は、ほとんど取り入れられておらないのでございまして、以下順を追うて若干申し上げてみたいと存ずるのでございます。  まず第一に、過去の赤字解消につきましては、政府の方とされましてもいろいろ御検討をされておる模様でございまするが、いまだ確定いたしました方針が明示されてはおらないのでございます。しかし聞き伝えまするところによりますれば、政府とされましては地方財政再建促進特別措置法案というものを検討されておりまして、近く国会にも提案される運びになるのではなかろうか、かように考えておりまするし、またその裏づけといたしましては、約二百億円の再建特別債というものを認めることによって、これを措置していこうというふうな方向に進んでおられるようであります。もとより過去のこの大きな赤字解消いたしまするためには、さような方法によりますることも確かに一つ方法と思うのでございまするが、何分にも過去の赤字というものの額が非常に大きいのでございまして、昭和二十九年度の赤字見込み額を加えますると、五百六十億円ぐらいに相なるのではなかろうか、かように考えておるのでございます。昭和二十八年度の決算に基きまする赤字は、御承知通りに四百六十二億円、かように自治庁でも認定されておるようでございます。これに昭和二十九年度の増加赤字見込み百億円というものを加えますると、五百六十億円という大きな額に相なるのでございまするが、その大きな赤字実態というものと、それからこの赤字を生んで参りました原因というものにつきましては、いろいろ議論のあるところではございまするが、主として国の財源措置が今まで年々不十分であったということなどにかんがみますると、今回予定されておりまするところの再建特別債の二百億円ではあまりにも過少なものではなかろうかというふうにも考えられます。またその利子というものが一般起債の場合と何ら異なっておらないのでございまして、このことは実は当を失しておるのではなかろうか、地方責任のみによってこの問題を解決されるという色彩がかなり利子の面におきましても強く出ておりますように感ぜざるを得ないのでございます。さらに二百億円の中身については、そのうち百五十億円の公募公債というものが予定されておるようでございまするが、これは政府特別処置によりまするところの赤字債の本質から考えまして、きわめて不適当なものでありまするばかりでなく、公募公債の三十年度の総額というものは、前年度に比しまして約二倍の三百八十億という巨額を予定されてくるのでございまして、かような大きな公募債というものが、今日の市中銀行状況から考えまして果して完全に消化されるものであろうかどうか。これらの点につきましても多大の疑問を持たざるを得ないような次第でございます。従いまして過去の赤字解消につきましては、最小限度地方制度調査会の答申にもありまするように三百億円以上の政府資金をもって、これをまかなうこととされまして、さらにその利子も無利子か、または年三分程度の低利子によってこれに対処されますることが事の性質から考えまして至当ではなかろうか、かように考えておるものでございます。  次に、第二に将来にわたって赤字発生原因を根絶いたしまするがためには、地方財政計画基礎となっておりまするところの既定財政規模を、この際根本的に再検討いたしまして、これを合理的な基礎の上に立って、まずあるべき正しい姿となし、その上に昭和三十年度において当然生じて参りまするところの財政需要の増減というものを加減してこれをきめますることが絶対に必要なことではなかろうか、かように思うのでございます。しかるに政府原案を見ますると、既定財政規模につきましては、昭和二十五年度以来のいわゆる積み上げ方式を依然踏襲されておるのでございまして、何らこれに是正を加えられておらないのでございます。従って赤字発色原因というものは、相変らずこの既定財政規模の中に温存されまする結果となっておりますることは、はなはだ遺憾な次第でございまして、一方において過去の赤字特別措置法まで作って解消しようとされまするこの態度と、それから既定財政規模を変更しないという態度とは全く矛盾するものといわざるを得ない次第でございます。よって、既定財政規模につきましては、あくまでも昭和二十八年度の決算基礎としてこれを十分に洗って、そうして合理的な検討を加え、これに昭和二十九年度の新規財政需要を加算して算定されますることが、三十年度の地方財政計画策定する土において当然とらるべき態度ではなかったか、かように考える次第でございます。さらに三十年度の新規財政需要につきましても右の基礎の上に立って算定さるべきことは言うまでもないところでございまするが、これにつきましても政府原案というものは、既定財政規模是正を加えられなかったために、勢いこの不当な算定基準に基いてあえて過少にこれを見積らざるを得ないという重大なる誤まりを犯す結果となっておるのではなかろうか、かように考えておるものでございます。  次に、第三に現行地方交付税制度のもとにおきまするところの地方財政計画は、過去において行われて参りましたところの地方財政平衡交付金制度とは全く異なり、計画財政収支というものが完全に符合するということが理屈の上からいきましても異例に属することであるのであります。通常の場合におきましては、これが符合しないで必ず相当の相違を生ずるというものではなかろうか、かように思うのでありままるが、今回の政府原案は最終的には異例の結果を示すということになっておるようであります。当初私どもが聞いたところによりますると、自治庁事務当局原案によると、約百四十億円の赤字が出るという結果になっておったようでございまするが、これがだんだんと閣議あるいは閣僚懇談会等で御検討になりました結果、一夜にして政治的に百四十億の赤字解消したというふうに聞いておるのでございます。かようにまでしなければならぬ意図がどこにあったのか、全く了解に苦しむのでございます。これは従来の平衡交付金制度のもとにおいて、毎年毎年地方財政収支の不均衡が出てくる、その場合にあるいは起債をもって穴埋めいたしますとか、あるいはまた節約をもってこれを処置するとか、あるいは単価を変更するとかいうようなことが政治的に行われまして、結論においては無理に収支を合せて参った。この悪例をやはり地方交付税制度のもとにおきましても行われたというような感じが非常に強くいたすのでございまして、政府みずからが地方交付税制度建前をじゅうりんされたものといわなければならぬのではなかろうか、かように実は考える次第でございます。かかることが繰り返されまする以上、地方交付税繰り入れ率というものはいつまでも変更しないでよろしい、もし実質上の赤字があれば一方的に筆先でもってこのつじつまを合せていくということができることになるのでございます。かかる不合理な地方財政計画というものは全く実態と遊離し、何ら権威のないものになり下るおそれがあるのでありまして、このことは国家財政の上から申しましても、また地方財政の上から申しましても、私どもといたしましては絶対に承服できない点でございます。  なお地方財政現行行政制度等基礎として進んで参りますると、別紙の二にありますが、知事意思いかんにかかわらず年々当然財政需要というものがふえて参るのでございます。昭和三十一年度から三十五年度までの消費的経費増加見込みを一応調べてみたのでございまするが、三十一年度は二百六十六億円当然ふえるのであります。その中の大きいものは給与費関係でございます。さらに公債費の増でございます。三十二年度はさらに二百三十七億、三十三年度は二百四十五億、三十四年度は二百二十三億、三十五年度は二百十五億、かように年々二百億ないし二百四、五十億のものが知事意思いかんにかかわらずどんどん累増して参っておる状況でございます。五カ年間にはその増加額がとにもかくにも五倍以上にも達するという趨勢になっておるわけでございます。  そこでこれらに対しまして中央地方を通じますところの行財政制度の根本的な改正を行うことが強く要請されておるのでありますが、特に累増の根幹をなしまするところの公債費の問題につきましては、あるいは地方債償還期限を延長いたしまするとか、いろいろと方策があると思うのであります。これらのことを行いましで、これから先、地方財政に大きな重圧を与えまするところの公債費の問題を解決いたしまして、そして地方財政の苦しい状況を軽減しなければならぬことは申すまでもないところでありまするが、他面、今後の地方債適用に当りましては、従来のように一般財源に肩がわりせしめるための地方債はやめて、そして適債事業地方債適用を限定するという方向も絶対にとらるべきである。かようにいたしませんと、公債というものが毎年々々ふえまして、地方財政弾力性は全くなくなってしまう、かような状況にあるわけでございます。なお今日、毎年心々消化が困難な公募債が増加して参っておるのでございまするが、これらにつきましても特に考慮を要するものではなかろうかと考えざるを得ない次第でございます。  以上申し上げましたような理由によりまして、今回政府提案になっておりまするところの昭和三十年度の地方財政計画別紙一の通り一つ全面的に組みかえを願って、地方財政国家財政と同じように、その健全性を確保していくという方向をとるべきではなかろうかと考えておるのでございます。  そこでこの際別紙第一の組みかえ案を簡単に御説明申し上げておきたいと存じます。左の方にあるのが政府原案でございます。右側の欄が組みかえ案でございます。第一の経常的経費の中の昭和二十九年度既定地方財政規模の問題でございまするが、先ほど申し上げましたように、政府原案の二十五年度の決算を従来通り基礎とされて積み上げられております。それによりますと、六千七百七十六億というものが規模になるのでございますが、これを二十八年度の決算を洗って基礎として考えますると、四百七十億ばかりふえまして七千二百四十六億というものが既定財政規模になるべきであろう、これが最も現実に即応いたしましたところの正しい姿の既定財政規模であると考えざるを得ないのであります。  次に三十年度の新規財政需要の中で、3の一般職員及び教育職員の昇給に伴う給与費の増でございます。これにつきましては御承知のように昭和二十六年の十月に給与費の切りかえが行われまして、都道府県一般職員につきましては三百四十八円、教員につきましては三百四十九円、市町村職員につきましては五百七十六円を引き下げられたのでございます。しかし現実におきましてはさような引き下げ工作は何ら行われておりません。これは決算を洗ってみてもはっきり出て参るのでございます。なお、義務教育費国庫負担の精算末済分が、当初におきましては未済はあまりないようになっておったのでありますが、最終的に四千人の低い人数の基礎をとられました結果、そこに実情と合わないものが出ているようでございます。これを適正な姿に立て直しますれば、政府原案によりまする七十二億が三十六億ふえまして百八億になるのではなかろうかと思うのでございます。  あと政府原案と大体同様でございまするが、三の節減等に伴う経費の減は、財政需要にあげますることは当を得ないのではなかろうか。先ほど申し上げましたように既定財政規模をまずあるべき正しい姿にしておきまして、そして三十年度に生じますところの当然増、当然減を加減して財政需要を出し、一方歳入とにらみ合せてそこに差額をはっきり出しまして、その差額をいかなる手段方法によって処理するかということが、地方交付税制度のもとにおけるところの地方財政計画の立て方になるべきじゃなかろうか、かように考えまして、節減等に伴うところの経費の減は、経常的経費の中に含めなかったわけでございます。  投資的経費につきましては、既定財政規模が二十四億ばかり違っております。これは二十五年度と二十八年度の決算相違でございます。それから三十年度の新規財政需要といたしましては、失業対策事業費の中で二十二億ばかり違うのでございます。自治庁の当初の計画によりますと、資材費超過負担の三十円というものは財政計画の中に入っておったわけでございますが、百四十億を消すための一つ手段として、この超過負担は見込まないというふうに変って参った事項でございます。やはり七十五円というものは現実資材費にかかっておるのでありますから、これを基礎に進められることが至当ではなかろうか、かように思うのでございます。それから単独事業費節減、これは七十六億政府原案には見ておられますが、これも、当初の百四十億赤字が出ます場合においてはなかった項目でございます。その中に公共事業の二十億が入っているやうに聞いておりますが、かりに二十億入っておるといたしますと、今後の各省との関係あるいは補助金との関係、その他非常にむずかしい問題が起るのではなかろうか、かように考えるものでございます。単独事業は、すでに財政需要の方におきましても減って参る関係から、また現実に各県がほとんど単独事業ができません実情から考えまして、これ以上の節減を見込むことは、実行不可能であろうという考え方から、組みかえ案につきましては、減を見込んでおらないのであります。  歳入につきましては、多少異論はございますが、一応政府原案を採用いたすと仮定いたしますと、(三)にございますように、歳入歳出差引過不足といたしまして、交付団体分五百六十五億が赤字となって参るわけでございます。この姿が、制度の上から申しましても、また現実の上から申しましても、赤裸々な正しい姿ではなかろうか。これに対していかなる方法をもって赤字を消していくかということでございます。  まず節減等に伴う経費の減でございます。これにつきましては、国の施策、国の責任においてお願いをいたすものもありますし、地方団体自体責任においてやるものも出てくると思うのでございます。かように、責任を明確にして赤字を消していくことが、今後絶対に必要になるのじゃなかろうか。今までは財政計画の中に一本にして入れられました結果、中央責任であるか、地方責任であるか、全く責任の不明確なものになっておったわけでありますが、かように国の責任、国の施策でお願いするものの第一は、寄付金等の抑制によります節減額が、交付団体で二十三億ございます。これは財政需要の方で政府としては二十一億見ておられます。これは二十五年度の決算基礎とされておるからでありまして、二十八年度の決算基礎として考えますれば、さらに二億ふえまして、二十三億が出てくるというふうに考えております。  それから、地方財政事務の簡素、合理化をはかりましたために出て参ります節減額五億、これは政府原案と同じでございます。それから地方団体自体責任節約を行う。これは旅費、物件費交際費等節約でございますが、政府の方としては六十一億交付団体に見込まれておるようでありますが、まず私ども地方実態から考えますれば、非常に困難ではございますが、こういう際でございますから、計画上も少くとも一割程度は見込む必要があるというふうなことで、三十四億を見込んでおるわけであります。  それから給与費についての問題が二百八十七億、これは規定財政規模から出て参るのでありますが、政府の力としては、これについてはこの秋までに実態調査をやって、結果が出てから何とか考えようというふうに大体の方針が進んでおるのでありますが、これらも財政計画の外に置いてやみに葬るのでなく、やはり出しておきまして、実態調査ができて解決される場合におきましては、交付税の税率の修正によってこれを行うことが適当じゃなかろうか。そういたしますと、交付税は四・五五%これに対しては引き上げるべきである。もし実態調査の結果二百七十八億というものが多くなれば、その率も変りましょうし、また低くなれば、その率も低くなってくる。これ以外に約八十億交付団体分がございますが、それは交付税関係ございませんので、計上いたしておりません。かような操作をいたしましても、なお二百十六億の赤字が最終的に出て参るのでありまして、少くとも地方交付税繰り入れ率修正によって問題の解決をはかるほかないじゃないか。そういたしますと、三・四二%ふやす必要がある。昨年であったかと思いますが、衆議院におきましては、三十年度の地方交付税は、少くとも二五%にすべきであるというふうな結論が一応出たのでございますが、不幸にして参議院において修正されて、おそらく二二%になったという経過があると思うのでありますが、これらの点から考えますと、少くとも二五%程度のものは衆議院でお考え願い、また地方行政委員会でお考え願って御努力願った線が、まず適正に近い線ではなかったかというふうに実は考えざるを得ない次第でございます。実はかように考えておりますので、この際地方交付税制度の精神に従い、また地力の実態に即応いたしまして、地方財政計画を全面的に再検討いたされまして、組みかえを願うべきじゃなかろうかと考えておりますような次第でございます。  なお財政計画との関連もございますが、現実に各地方団体とも金繰りに非常に追い詰められております。過去の大きな赤字をかかえております関係もあり、また政府の予算が暫定予算であるというようなことも折り重りまして、実に毎月の金繰りは容易でない状況でありまして、すでに県によりましては、職員の給与費が全部は支払われないというのも出てきようといたしておるわけであります。昨年は六月ごろから出たのでありますが、本年はもっとたくさんの府県の給与の遅配あるいは不払いが出るのではなかろうか、かように非常に心配をいたしておるわけでありますが、さような苦しい金繰りの関係にもございますので、今年度に限って地方債の元利償還額——これは約三百七十億円と見込んでおりますが、これをとりあえず一カ年間延期を願いまして、この窮乏にあえいでおりますところの地方々々が、現実に何とか切り抜けて行かれるように応急の措置を願うことが適当ではなかろうか、かような考えをもちまして、これらにつきましては別途政府にお願いを申し上げておるような次第でございます。  以上はなはだ簡単でございますが昭和三十年度地方財政計画に対しますところの意見を申し上げました次第でございます。
  5. 大矢省三

    大矢委員長 友末さんは県会を招集されていて、非常にお忙しいそうでありますから、質疑を先にいたしまして、あとの人にはあとからお願いしたいと思います。質疑を許します。北山君。
  6. 北山愛郎

    ○北山委員 いろいろお伺いしたいことがあるのですが、時間がないようですから、ただ一点だけ伺います。  先ほどのお話の中で、今政府が考えておる地方財政の再建促進特別措置法、これについて、大体このような方法によるほかはないと考えますとか言われましたが、しかし、すでにいろいろ発表されております通りに、あの再建整備に関する政府の考え方というものは——少しばかりの金を貸して、そうしていろいろな厳しい条件を付しておるわけです。ですから、再建整備の赤字団体に指定されてしまえば、十年間というものはほとんど不自由な、仕事が勝手にできないというような格好になってしまう。そういうふうな政府の案でございますが、この案がかりに実際にできた場合、今の府県なりあるいは市町村のような地方自治体としては、これを一体受け入れるものかどうか、大体の予想、お考え等を一つ承わりたいのです。
  7. 友末洋治

    友末参考人 各府県といたしましては、方向としてはこの方向で参るはかなかろうという実は大体の意見になっておりますから、これが成立いたしますれば、やはりこの線に沿って再建整備計画を立て、中央地方が協力いたしまして過去の赤字解消していくということになるだろう、かような見通しを持っております。ただ、内容につきましては、先ほど御意見もありましたが、地方自治に大へん不当な干渉を与えられないということと、それからこの赤字につきましては、地方ばかりでなく、政府責任も確かにあることと思いますので、その責任の度合いに応じましてすべてのことが処置さるべきである、かように実は考えておる次第であります。
  8. 大矢省三

    大矢委員長 質問がないようでしたら、次に、全国市長会代表、高槻市長坂上安太郎君。
  9. 坂上安太郎

    ○坂上参考人 全国四百九十の都市の大へん心配いたしております昭和三十年度の地方財政計画につきまして公述する機会を与えられまして、感謝にたえません。ただいまから公述の要旨を申し上げたいと存じますが、急場でございましたので要旨のプリントができておりません。まことに相済まぬと存じておりますが、できる限り早く調製いたしましてお手元に御配付申し上げたい、かように考えておりますので、御了承願いたいと思います。なお、再三再四本問題につきましては当会から陳情申し上げておりますので、そういったものはお手元にあると存じますから、御参照いただきたいと思います。  本年度の地方村政計画上の問題点をながめて参りますと、概要次のような諸点につきまして是正の必要があるとわれわれ考えております。第一に指摘いたしたいと存じますことは、先ほどもお話がございましたが、既定財政規模是正が行われていないということでございます。申すまでもなく、従来の地方財政計画は、現実地方財政運営の実際とはなはだしく遊離いたしておりますために、財源措置を不充分ならしめまして、地方財政における今日の赤字発生の最大の原因をなしているというふうにわれわれ考えているのであります。従って、市長会におきましては、この点を指摘いたしまして、少くとも昭和二十八年度の決算に基いて地方財政計画の算定がえをなすべきことを要望いたしておるのでございます。既定財政規模是正されるべきおもなる点をあげますならば、まず第一番には給与費の不当な切り下げ分であろうと思うのであります。これに伴います恩給費あるいはまた退隠料及び単独事業におきます公共事業に対する継ぎ足し分、こういったものでありまして、その額は総計約四百六十億に達しておるのではないかと思うのであります。先ほど話がありました給与費関係におきまして約三百七十三億円の累積、恩給費、退隠料関係で四十一億、また公共事業費のつぎ足し分といたしまして四十五億、こういうことに相なっているのであります。そこで、このようなものの根本的な是正をすることなく、現行のような積み上げ式の方式によりまして財政計画策定せられましたことはきわめて不適切なものであって、今後の赤字発生についても何ら顧慮しないずさんなる計画と言わざるを得ないのであります。  次に、本年度の既定財政需要額について申し上げますと、経常経費節減額約百十五億円を見込んでおられるのであります。この経費節減につきましては、前年度におきましても約五十億円の節減をいたしたのであります。そうして、これは既定財政規模に入って参りまして、本年さらに百十五億円、大体におきまして倍額以上の節減をしいられているのでありますが、これは妥当ではないと考えます。経費節減については、われわれといたしましてもあらゆる面で多大な考慮を払いまして、自主的に努力はしているのであります。しかしながら、御案内のように、新しい都市が急激にふえまして、その方向が、ただ単に経費節減というようなものばかりでなく、新しい都市のあり方というものを打ち立てなければならない段階に入っております。さようにいたしませんと、国民経済の建て直しなども困難であろうと思うのであります。さような観点から考えて参りますと、こういった消費的な経費自体に大きな意義が新しく生れて来ておると考えるのであります。また投資的経費におきましても、単独事業につきましては、これは災害等の関係がございますので約五十億円の減額はやむを得ない、かように考えますけれども、なおさらに七十六億円の節減につきましては、これは何とも理解のしようがございません。次に、市町村合併にかかわりますところの市町村建設計画に基く単独事業費の増を四十二億円見込んでいただいておる。ところがその反面、経常経費節減は約二十八億円を見ております。差引いたしますと十四億円の財源措置にすぎない。これでは、先ほど申し上げましたように、新しい都市の任務を認識いたしまして、大きく寄与していこうといたしますところの方式が、どうしても実際に出て参らないのでありまして、この点をわれわれ非常に残念に考えておる次第でございます。  また歳入関係につきましては、災害復旧事業費補助金について申し上げまするが、都市は多額の持ち出しによる仕越し工事を行っているのであります。これに対します顧慮が全然なされていない。これは非常に都市を苦しめておる大きな原因になっておるとわれわれは考えるのであります。  地方債につきましては、昭和二十九年度の計画と比較いたしますと、再建債の関係もございまして、実質的には約百二十八億円減額されているのでありますから、少くとも前年度程度にこれは増額していだかなければならぬと考えるのであります。  次は雑収入でありますが、競輪、競馬の平日開催自粛等によります減を約十七億と見込んでおられるようであります。われわれの計算によりますと、昭和二十九年度におきまして約五百八十億の売り上げ見込みでございまして、純益が五十八億、これが自粛になりますと大体十九億程度に減って参りまして、その差三十九億程度の減になるのではないか、かように見込んでおるのであります。  以上申しましたごとく、本年度地方財政計画は大へん多くの不合理なものを含んでおるようでございます。  さらに申し上げたいと存じますのは、これは非常に精密な算定によって出たのであろうとわれわれは思うのでありますが、なお百四十億円の財源不足額を明らかに公示しておきながら、これが先ほどもお話がありましたように、一夜にしてどうしたわけか単独事業費節減とかあるいは経費節減等を、主として地方団体に責任を転嫁するような方式によりましてこれをゼロにしてしまった。われわれはこれは断じて承服できない点でございます。  財政計画に関連いたしまして、過去の赤字解消方法といたしまして、地方財政再建促進特別措置法が制定される模様であります。この趣旨はわれわれといたしましてはまことにありがたい。しかしながらその内容を検討いたして参りますと、どうも単に金融的な措置にとどまっているという感じが強いのでございます。若干の利子補給がございますから財政的な措置だとも言えないことはないと思いますけれども、大体におきまして大ざっぱにこれを見ていきますと、残されてくるものは金融措置だけが残されておる。これは将来十カ年間に返さなければならぬ。返さなければならぬところのその財源を一体どこから生み出してくるか、こういった点につきましては、われわれといたしましては非常にありがたいけれども、もう少しこれは何とかならぬだろうかという気持がいたすのであります。こういった問題につきましては、結局既定財政規模是正以外に方法はないのじゃないだろうか、従って並行してこういった問題を進めていただく必要があるのじゃないかという考え方を持つものであります。  次にこの機会に若干都市財政の現状について申し上げたいと存じますが、都市財政昭和二十八年度の決算によれば百九十三億円の実質的な赤字額を示しました。約七〇%が赤字都市となっているのでございます。さらに昭和二十九年度の決算見込み額から推定いたしますと、約八十五億円が増加いたしますので、赤字額は実に三百七十八億円に達せんといたしておる実情でございます。そこでこの赤字発生原因を考えて参りますと、都市の赤字措置につきましては自主的な制度を実施いたしておるにもかかわりませず、先ほど申しましたような巨額の赤字を生じておりますことは、要約いたしますと、現行行財政制度及びその運用について根本的な欠陥があることに基因しておると存じておるのでございます。現行行財政制度上の問題といたしましては、まず一点といたしまして、戦後におけるところの諸制度改正に伴いまして、地方行政が財政能力を極度に上回っておることであります。特に事務的経費の増加が大へん著しくなっております。すなわち各種の行政委員会の設置並びに教育制度改正に伴う六・三制校舎の施設費、今はなくなりましたが、自治体警察の創設及び社会、衛生、労働関係行政費等の経費の増加が顕著でございます。  その次は人件費あるいは生活保護、公債費等の義務的経費及び国の施策に伴いますところの公共事業の国庫補助事業等の経費が増高いたしておることでありまして、これらの経費が、都市の場合歳出の八四%を占めているのに対しまして、一般都市財源はわずか五三%にすぎないのでございます。  次に現行地方財政計画の不適正があげられるのでございますが、これは先ほど申し上げた通りでございます。  国の財政政策について申し上げますと、公共事業に対する国庫支出金の単価が著しく低い。しかもこれに加うるに、交付時期の遅延、これがはなはだしいのであります。また国庫支出金の単価が著しく低いばかりでなく、実際にわれわれが多くの経費を使っておりますものがこれの対象として見込まれていない。学校建策等におきまして運動場の問題であるとか、あるいは教室は対象になるけれども、廊下はこれに入らないとか、積雪寒冷地区を除けば講堂はこれに入ってこない、しかしながらそういったものをやらなければならないのに、こういったものが見込まれていないことのために、都市はやむなく財源の継ぎ足し、または立てかえを余儀なくせられておることであります。特に災害復旧事業費につきましては、国庫支出金遅延のため、先ほど申し上げましたように、市費を持ち出しまして、仕越し工事、立てかえ工事を実施いたしておるのであります。こういった仕越し工事というものを考えて参りますと、都市の一つ赤字財政が、かりに九千八百万円あるといたしまして、そのうち二千五百万は国の方に立てかえ施工しておるというような、おかしな現象が出ておるのであります。あるいはまた寄付金、負担金が多額に上っておりますことは御案内の通りであります。昭和二十八年度におきまして、われわれで調べますと、都市の負担総額はこういったものに対して約七十億円にも及んでいるのでございます。  そこで最後に赤字対策につきまして市長会がかねてから要望いたしております点を、さらに要約して申し上げますが、根本方針は過去の赤字解消するとともに、今後の赤字発生を防止することが緊要でありまし、具体的には、次に述べますようた諸点の措置が必要であろうとわれわれは考えるのであります。  地方財政再建整備につきましては、先ほども申し上げた通りであります。従ってこれは先ほども申し上げましたように、何か適正な方法を講じていただかなければならぬと考えるのであります。二番目には地方財政計画を根本的に再検討していただいて、昭和三十八年度決算基礎として再編成していただかなければならぬと考えるのであります。三番目には国庫補助負担金についてはその負担率、単価を是正していただかなければならぬ。四番目には現行地方財政計画の不適正な基礎に立った地方交付税繰り入れ率を訂正して、これは引き上げていただかなければならぬ。五番目といたしましては、都市財政の自立性を確保するため、符にたばこの消費税率を増率していただく、そのほかに市町村税として酒の消費税を新設していただきたい、以上が財政上の措置を要する点だとわれわれ考えるのであります。  さらに行政上の措置といたしましては、合併市町村の育成強化のため各種の施設に対する補助金及び起債等につき、さらに特別の措置を講じていただきたい。次には各種の行政委員会の簡素化、これをはかっていただきたい。特に市町村教育委員会等につきましては特別の御配慮をいただかなければならぬと思うのであります。公務員関係といたしましては、定年制の実施と恩給年限の通算について、これは当然措置を講じていただきたい。四番目には災害復旧等の施行につきまして年度の割合を法化していただいて、早期完成をはかっていただきたいと思うのであります。大体以上の通りであります。  御案内のように昨年の九月までは二百八十五の市でございましたが、現在市の数は町村合併促進によりまして四百九十になんなんといたしておりまして、しかも総国民人口のこれが五三・六%ないし五四%を占めております。われわれといたしましても都市がぼんやりした行政をやっておっちゃいけないという責任感は痛感いたしております。同時にこの都市が、ただいま申し上げましたような財政上の非常な苦しい状態に入っているということにつきまして、これは非常に大きな問題として考えなければならぬと思うのでございます。どうか一つよろしくお願いいたしたい、かように存じます。
  10. 大矢省三

  11. 衣笠武夫

    ○衣笠参考人 三鷹市議会の議長でございますが、昨日急遽御連絡を賜わりましてまかり出ましたようなわけでございます。いつもこの地方行政委員会におかせられましては、われわれ市議会のために格別なる御支援と御協力を賜わりますことを、この機会に全国の市議会を代表いたしまして、厚く御礼を申し上げておく次第であります。  昭和三十年度の地方財政計画案についての意見の開陳でありますが、実は私たち地方議会の一員といたしまして、政府が総選挙前の公約といたしまして地方財政の改善をうたい、また組閣後予算編成の大綱におきましても、地方財政の刷新改善を重要なる財政計画の一環としておりましたので、実は大きな期待と望みを持っておったのでございましたが、でき上りましたこの地方財政計画案を一見いたしますときに、何らの根本的な刷新も改善も行われていないと断ぜざるを得ないのは非常に残念に考える次第でございます。国家財政のつじつまをどのように合せましても、先ほど茨木知事高槻市長さん異口同音に申し述べられましたるごとく、百四十一億の不足額を、二週間ほど前でありますが一夜にしてゼロにしたというような計数的なつじつまを合せましても、その計画に無理がありまして、地方財政に破綻を生じますことは、国民生活が結局日常の実際の面において重大なる障壁、困窮に行き当っておるのではないかということに相なるのでありまして、この地方財政計画案なるものを全面的に再検討し、かつ再編成する必要があることを痛感しておるのであります。  今三十年度の地方財政計画案の問題点を三つだけチェックいたしまして申し述べますと、まず第一に、自治庁の当初案から非常なる後退をしておるという点を遺憾に考えるのであります。当上の自治庁案では、赤字対策の基本的構想といたしまして、既往の赤字解消並びに将来生ずべき赤字の対策、さらにまた制度の改革によりまして赤字解消の根本的対策を積極的に打ち出しておったのでありますけれども、この財政計画案におきましては、わずかに再建整備費といたしまして、政府資金が百十億、公庫が百五十億、合計二百六十億の確保ができたのにすぎないのであります。しこうして将来の赤字発生を防止すべきところの二十八年度の決算基礎とする既定財政規模是正は全くたな上げとなってしまったような実情であります。さらにまた地方行財政制度の根本的改革につきましては、合理的な事務配分と、それを裏づけいたしますところの自主的財源の賦与等が行われることなく、むしろ中央集権的な改革が企画されておるような点は、全く遺憾に存ずる次第であります。  第二は、新規財政需要額の圧縮という点でありますが、消費的な経費は、自然増によるところの児童、生徒の増加等に基く教育費関係の増加も、若干の増加でありまして、本来の増加に比べるならば極度に切り詰められておる、かように考えられるのであります。そうして行政整理に伴うところの減が五十五億六千万円、さらに一般経費節減が百十五億四千万円計上されておるのでございますけれども、昨年度の行政整理の実績を考えたならば、実際問題といたしまして、とうていこの計数では無理があるということは一目瞭然と考えられるのであります。かように地方財政計画収支を合せるということは、紙の上の計画といたしましては簡単でありますけれども、末端行政を審議するわれわれ地方議会の一員といたしましては、とうてい承服できないという実情なのであります。また投資的な経費に至っては、総額において八十一億五千万円の減額となっておりますけれども、災害関係六十六億七千万円の減額のごときは、もし本年度に生ずるかもしれないような災害を考えますとき、これでは全く過去の災害の跡始末さえもつけられないと憂慮せざるを得ないのであります。さらにまた単独事業節約といたしまして七十六億円を引いておるのでありますけれども、これでは主として当然なすべき事業もなし得ないという実情であります。  第三は、歳入面改善の不徹底という点でございます。現在地方団体、ことに市におきまして地方税の増徴は悲しいかなでき得ない現状にありまして、勢い国家財政からの補充あるいは税源の賦与ということが望まれておるのでありますが、三十年度の計画案を見ますときに、地方税につきましては大きな変化はないようでありますけれども地方団体が最も熱望しているたばこ消費税につきましても、今回の改正案では市町村にあって従来の百分の八・六九%から百分の九に引き上げられたのにすぎないような実情であります。地方交付税の税率引き上げにおきましては所得税、法人税、酒税の二二%から二七%への引き上げを、われわれは強力に主張しておったのでありますけれども、遂にいれられなかったような実情であります。また政府補助金を整理することによって地方負担を減らす、こう申しておるのでありますけれども、不急不要な事業につきましてはけっこうでございましょうが、問題は補助率が非常に低くなっているからして、地方団体の持ち出しが多くなるということが重要なその原因となっていると考えますとき、むしろ高額な負担、この線でいくべきではないかと考えるのであります。地方債につきましても前年度から比較いたしまして百十二億の減少でありますけれども、自主的財源である国からの交付金が十分でない今日、規定計画を完遂して効率を上げるためには、なお増額の必要があると痛感している次第でございます。起債の総額等は国家が定めるのでありますけれども、その事業内容にまで国家が立ち入りまして種々干渉されることは、自治体といたしましてはむしろ好まないのでありまして、金の使途につきましては地方団体におまかせ願いたい、かく考えているような次第でございます。  以上結びといたしまして、本年度の地方財政計画を考えますとき、地力の自主的な事業はもちろんのこと、義務的なものについても事業遂行の困難が予想されるのであります。もしこの計画が厳格に実行せられ、事業縮小という点を余儀なくせられました場合、市民生活上の不満はむしろ国家がその責任を負っていただかなければならない、かように考える次第であります。要するに国家財政のしわ寄せを地方団体が一手に引き受けるという感じでありまして、税の増徴もできないのに、交付金、補助金をしぼっておき、地方自治体はいかにしてその住民の要望にこたえることができましょうか、かく憂えるものであります。よって本財政計画は根本的に再検討の要があり、また再編成する必要があると思料いたす次第であります。  以上で終ります。
  12. 大矢省三

    大矢委員長 次に全国町村会代表静岡県磐田郡福田町長大竹十郎君。
  13. 大竹十郎

    ○大竹参考人 本日は全国町村会長がお伺いいたしまして親しく事情を申し述べるはずでありますが、差しつかえがありましたので、私がかわりに出たような次第であります。早急なことでありまして、三十年度の地方財政計画というものをきのう拝見したような次第であります。しかもその内容が府県も都市も町村も皆区別してない地方財政計画というふうになっておりますので、町村側として、特に府県なり大都市と違った観点でどういうことをお願いしたらいいかということも、実は検討が不可能でありました。それでとりあえず全国町村会におきまして、最近三十年度の財政計画——これは確定した計画以前の計画を参照し、かつは三十年度の政府の予算等に対して御要求申し上げるために検討いたしました意見をまとめてお手元に差し上げております。予定の時間もだいぶたっておりますから、ここで繰り返すことを遠慮いたしまして、後刻よくごらんを願いたいと思うのであります。  さらにその意見に対する説明要旨というプリントがお手元に参っておりますが、その末尾の方に町村の財政状況がどういうふうになっているかということが五、六項目つけ加えてあります。これは府県なり大都市なりと異なった町村の実情であります。これを一つよく御了解の上で、前の意見書を御検討願いたいと思います。この部分についてちょっと触れておきたいと思うのでありますが、現在の町村の歳入総額中に、一体町村税でまかなわれている部分がどのくらいあるかということを調べてみますと、昭和二十七年度で歳入総額の四三%、それが二十八年度においては激減して三四%になっている、こういうような状況で、あります。シャウプ勧告に従う税制において町村はだいぶその税収入をふやしていただいたのでありますが、その後せっかく獲得した税収入も、あるいは県民税の創設とか、本日も最初に陳情のありましたような大企業の固定資産税を県の方に移す、ああいうふうな措置がだんだんにとられて、町村自体の税収入としてはだんだん減っていくような状況にある。二十八年度においてはわずかに三四%を確保するような状況にあるのであります。その次にありますように、しかもその支出の面においては委任事務が六四%以上で、固有事務がわずか三五%である。こういう委任事務と固有事務というわけ方をすることについては、いろいろ御批評があると思いますが、和歌山県での抽出調査によるとこういうふうにほとんど六割五分までが委任事務というふうになっているのであります。しかも義務的経費の最大なものとして教育費が町村平均で二五%に達している。さらに事業費のうちの義務教育の施設、災害復旧費の比重が非常に高い。義務教育の施設費は全事業の二五%になる、災害復旧費は三二%になる、あわせて六割を占める、こういうような状況にあります。事業費のうちの一般財源による分が大体三五%にも達しておるということであります。しかも最後のページにありますように法令外の負担金が全国町村推計して百七十億にも達する。こういったふうなことは、全く府県あるいは大部市には見られない大きな現象であるだろうと思う。年間二割内外ずつもふえておるというのであります。かように町村の財政というものは逼迫しておる状態なのであります。町村は自治体のうちの基本的な自治体であるということになっておりますけれども、これを財政的の方面、その町村でやっておる事業の面からいきますと、まことに貧弱きわまる。ほとんど義務的経費にわずかに手をつけておるにすぎないというような状況になっておるのが現状ではないかと思うのであります。  そこで三十年度の地方財政計画というものの、ここにでき上りました過程を振り返ってみますると、町村側でことに痛感いたしますることは、形式的に節約を強調をされた、できもしない圧縮を机上で考えて、そして歳入歳出のつじつまを合せたにすぎない。全く町村の自治行政の実態を無視した計画のように思われて仕方がないのであります。政府においてもない袖は振れぬというのでいろいろ御苦心をなさっておることはよくわかるのであります。これをこの通りに町村へ行って赤字が三十年度に出ないようになり得るかというと、これはとうてい不可能であるだろうというふうに思われる次第であります。それでそれに対してしからばどういうふうに措置すべきか、一面においてはこれは先ほど知事会なりあるいは市長会、そちらの方面から話がありましたように、地方交付税への繰り入れの率の引き上げ、あるいはたばこ消費税の引き上げとか、そういうようなお手元に差し上げました意見書に出ておりますようなことをやっていただくことが、もちろん解決の一つの方途でありますが、しかしこれもここでお願いを申し上げ、いろいろいたしましても、希望通りにいくとはどうしても考えられない。そこでもう一つ方法としては、制度一つ、切りかえて金のかからぬような方に持っていくよりほかにしょうがないのではなかろうか、現在の制度をそのままにしておいて、そして地方財政計画をたとえ自治体側が希望する線に近く持っていっても、それはおそらく決算面において赤字になるのではないか。これは一つ今後の問題としては制度改正をする方が、姑息的な改善措置をやるよりも、むしろ根本的な問題になるのではないかというふうに考えられます。  どういうようにするかということは、第一に町村の規則が、今日では地方自治法において府県と市と町村をみな一本にまとめて規定してある。これは府県制、市制、町村制時代のようにやはり別々に——府県や大都市とは規模も性格も非常に違っておる町村でありますから、やはり町村に対しては町村制というような、一本でない特殊な法律を立てて臨んだ方がよいのではないか。今日地方自治法の条文の中には、民主的にあるいは効率的、能率的にやらなければならぬというようなことが、地方自治法第一条にあるわけでありますが、町村だけについていえば、こういう民主的ということに沿うがために、大きな府県や大都市と同じようなふうに持ってこられた規定が非常に多過ぎるように思うのです。これはつまり各種の行政委員会などは、町村ではしいてこういう二重三重の組織をこしらえぬでも十分やっていけるのではないかというふうに思います。教育委員会にいたしましても、あるいは人事委員会、公平委員会というようなもの、その他農業委員会あるいは選挙管理委員会についても同様だと私は思いますが、こういう各種の行政委員会というものを、それぞれ国の領域を守るようにする必要はないのではないかと考えます。さらに最近自治庁の方で自治法改正で問題になっておるようでありますが、議決機関である議員の審議する常設委員会制度、こういうものも町村においては必要があればこしらえるのでありますけれども、どうも府県あるいは大都市並みのような常設委員会というものは必要がないように思われるのであります。そういうぐあいに各種制度検討して町村並みの、もっと簡素であって非常に質実にやれるような制度を根本的にこしらえた方がいいんじゃないか、かように思うのであります。  さらにさかのぼって言うと、こういう赤字が出たりいろいろ今日地方自治の上の執行機関あるいは議決機関が考え直さなければならないような事態になってきたということは、やはり敗戦の結果精神が緊張を欠いてきたことによるのではないかと私は思うのであります。町村長も寄ればすぐに補助金を増してくれということを言い出し、それから議会人も任期が切れれば退職の記念品について自治庁から何か通告されるようでなくちゃならぬ、あるいは議員の滞納中は職務を停止するというような改正は中止しなければならぬという議論が起るようなことは、よほど根本の国民の気分がゆるんでおるからではないかというふうに思うのであります。今地方団体に競馬とか競輪とかいうものが財源措置として許されて、相当収入をあげています。けれどもこういうことは国民の精神的な方面に非常に悪影響を及ぼしていると私は思います。実際いなかのどこの村に行っても、今では競馬の札を売る店が至るところにできておるような状況です。それとともに町村税の滞納はますますふえるというようなことです。これはゆゆしいことでこういうことから政府の考えておいでになる新生活運動といいますか、もっと気持を引き締めてかからなければ、町村財政においても赤字はなかなか解消しないというふうに考えておるのであります。こういうことは賢明なる皆さんに対して全く余分なことでありますけれども、感じたままを申し述べて御参考に供した次第であります。
  14. 大矢省三

    大矢委員長 では最後に全国町村議会議長会代表、埼玉県北足立郡蕨町議会議長岡田徳輔君
  15. 岡田徳輔

    ○岡田参考人 昭和三十年度地方財政計画並びにこれに関連しました問題について町村議会側を代表して意見を申し述べたいと存じます。  過去の赤字解消とともに、赤字原因である財源末措置願を手当すること、そのために必要な財源は、地方税の増税によることなく、地方交付税の税率を五%以上引き上げること、及びたばこ消費税を百分の三十以上とすることを強く要望して参ったのであります。  ところが政府は、これらの要望をほとんど顧みることなく、百四十九億円の財源未措置額をそのままにして財政計画を樹立するかに見えたのでありますが、最終計画においては、全額をほとんど実行不可能な節約に転嫁しようとしておるようでございます。私どもとしてはこのような政府の一方的な、しかも国家財政において当然措置すべきものを地方へしわ寄せすることには断じて応ずることができないのであります。このようなことでは、地方財政赤字はますます内攻し、たとい従来の赤字をたな上げするといたしましても、赤字累増の結果地方財政に破綻を来たし、地方自治特に町村などはその機能を停止せざるを得ないと考えられるのであります。特に、次の諸点につきましては、私どもとしては何としても了承しがたいのでございます。  その第一は、地方行政事務の簡素合理化による節減額として、約六億一千六百万円が計上してあります。そのおもなる事項として議会の開催回数の縮減な常任委員会の整理または廃止があげられております。この点につきましては、ただいまの大竹さんのお話とは私は立場も異なりますが、大いにこれには意見があるのでございます。地方議会といたしましては、この点は非常にゆゆしい大問題だと考えておるのでございます。つまり政府経費節減の対象として、議会機能の縮小、あるいは機会機能の弱化をはかったということになるのであります。すなわち、節減される額があまりに少いのに、その地方自治に及ぼす影響があまりにも大き過ぎるということであります。たとえば私の町におきまして議会費は三十八年度決算において二百十三万円で、歳出総額一億一千三百万円に対しましてわずかに二%にも達しておらず、二十九年度決算見込みでもほぼ同様となっております。従って、議会費を節約してみても大した額にならないことは自治庁の計算でも、市町村議会の節約額としてわずかに三億四千五百万円しか計上されていないことでも明らかなるところでありまして、私どもは、定例会を通常会に改めることによって、財政計画で予定しているような、開催回数の縮小ができるものとは考えられないのであります。  今日、地方団体が相次いで予算の追加更正をやっておりますのは、地方財政が国の財政と密接な関係にある上に、国の予算の成立が常におくれがちであるため、地方団体の予算は不確定な要素によって占められ、常に不安定な状態に置かれておるという事実を政府は認識していただきたいのであります。私は政府が開催回数を減少合理化する前に、まず暫定予算や補正予算を繰り返すことによって、地方が何回となく予算の追加更正をせなくとも済むようにしていただきたいと思います。議題もないのに定例会を開くというようなばかげたことは、私の町ではもちろん、全国の町村においても考えられないことであります。  次に、常任委員会は、町村については、全部廃止するというのが政府の構想のようであります。これは地方制度調査会の、常任委員会はこれを存置し、改善の方途を講ずるという答申を無視しておるものでありまして、政府が常々地方制度の改革に当っては地方制度調査会の答申に待つという答弁をしておることと矛盾しており、全く理解しがたいところであります。また政府地方議会の常任委員会が執行機関と互いに協調して、地方自治の円滑な運営に当っておるという現実についての認識を欠いておるのではないかと思います。常任委員会廃止の理由として、執行部面に立ち入り過ぎるということがあげられておりますが、もしさような事実があるとしても、これは何も町村議会だけの問題ではなく、地方議会並びに国会全体を通じての問題というべきでありまして、町村議会にだけ常任委員会を廃止すべき理由とはならないのであります。われわれとしては、この点運営の面に改善の方途を講ずれば足りると考うるものであります。要するに行政事務の簡素合理化方法としては、議会の開催回数の減少及び常任委員会を廃止するかわりに、各種の行政委員会を改廃し、地方行政を一元化するとともに、議会機能を強化することこそ正しい行き方であり、その方がはるかに経費節約になるものと考えるのであります。  第二に旅費物件費等の節約に当って町村の経常的な経費まで画一的に一五%の削減が予定されておりますが、町村の経常的な経費というものは必要欠くべからざる経費であり、かつその絶対額も少いものであって、大体節約の余地がない性質のものでありますから、これを一割五分も節約せよといっても全く無理をしいるものであると思うのであります。  第三に、町村合併等にかかわる経常経費の減を二十七億六千二百万円と見ておりますが、これははなはだしく過大に見積られておるのであります。たとえば給与費のごときは、行政整理による減があるとしても、公務員の給与や議員の報酬は、合併町村のうちの最高レベルに引き上げざるを得ないところが大部分であって、このため給与費のごときはかえって合併によって一時的には増加しておるのが実情であります。また旅費等も町村の区域が広くなるためにかえって増加しておるところも多いのでありますから、合併による経費の減少額に対する政府の見方は甘過ぎると申し上げたいのであります。しかも一方において、新町村建設計画に基く単独事業費の増として四十二億二千七百万円が計上せられておりますが、減少額の見積りが過大であるのに引きかえ、事業費の増加見込み額が過少でありますから、この程度経費ではとうてい合併による新町村建設計画の完遂は期しがたいものと考えます。  第四には、災害復旧についても六十六億七千万円が節減されておりますが、災害の継ぎ足し工事のほか、増強工事もやっておるにもかかわらず、これらの手当ができないので無理な節約をしいることとなるのでもります。  第五に、六・三制校舎のうち危険校舎改築の補助については、毎年度その額は不足がちでありましたのに、このたびの危険校舎改築促進臨時措置法の一部改正により、高等学校が含まれることになりますと、予算は前年度と同じであるため、小中学校の分が不当に削減されることを憂うるのであります。  第六には、単独事業費等の節減額として七十六億円が計上されておりますが、単独事業費は七百億円のうち経営的なものが約五百億円であって、そのほとんど大部分はどうしてもやらねばならぬものでありますのに、それすら全体の一割以上を節減するということは、きわめて不合理といわねばなりません。  私ども全国町村議会議長会は、地方税、財政制度改革の根本問題として、地方自治の本旨に基く地方制度の改革と、これを裏づける自主財源の充実を提唱して参っておるのであります。ことに、地方財政調整方法として、地方交付税制度が創設されるに当り、国税の一定割合をプールして特別会計に繰り入れ、これを積み上げ方式による総額に見合わせ、起過する場合には翌年度に繰り起し、不足する場合には借り入れのできるようにし、これにより地方財政計画をして従来通りの性格を失わないようにいたしたいと考えておるのであります。  最後に冒頭で申しましたように、窮迫した地方財政の現状にかんがみ昭和三十年度の地方財政計画につきましては、交付税率をさらに五%以上引き上げ、たばこ消費税を百分の三十以上とするよりほかに道はないものと固く信じますがゆえに、あえてこの点を強調するゆえんであります。  かような構想で地方財政の慢性的な赤字の発生を封じると同時に、従来の赤字を即時解消するための法的措置を講ずべきものと思いますが、それには町村の自主性をあまりにそこなわず一般債のワク外において政府資金をもって充当することとされたいのであります。なお地方債の消化困難なる今日において、すなわち地方債証券公庫の設立方をもあわせてお願いする次第でございます。  以上はなはだ簡単でございまするが、昭和三十年度地方財政計画につきまして、町村議会側を代表して意見を申し述べた次第であります。
  16. 大矢省三

    大矢委員長 これにて参考人の発言は全部終りました。委員諸君より参考人に対しまして質問がございまするならば承わることにいたしたいと思います。
  17. 川村継義

    ○川村(継)委員 大竹さんに一つお尋ねいたしたいと思います。あなたのお話をいろいろ伺ったのですが、この説明なさいました書類の中の三枚目にあります点についてお尋ねいたします。「義務的支出が多いこと」と二番目にございますね。その中の委任事務を六四・六%、固有事務三五・四%、義務的経費の最大のものとして教育費は町村平均二五%、都市平均一五%とありまするが、その教育費の町村平均二五%という義務的支出を見てあるその教育費の内容は、どういう点でございますか。
  18. 大竹十郎

    ○大竹参考人 ここの義務的支出の教育費ということに含まれておりまするのは、町村の中学校、小学校の設備、つまり校舎、校地、運動場その他の建物、そういうものと、これに教材費といいますか、小学校なり中学校で用いておりまするいろいろの材料、そういうものが含まれておることになっております。それから小学校、中学校における教職員以外の雇用人、小使、そういうようなたぐいのものはみなこれに含まれておるわけであります。
  19. 川村継義

    ○川村(継)委員 重ねてお伺いいたしますが、その中学校、小学校の建築等はあとの三番目、四番目というところに見ていいわけですね。というのは、教育費というものには今お話のあとの方の言葉にあった点もあろうかと思うのですが、その中には教育委員会費というものが考えられてありませんか。
  20. 大竹十郎

    ○大竹参考人 義務的支出の多いということの二番目の方には、教育委員会費はもちろん入っております。三の方は事業費のうちの経費を計上してあります。教育委員会の方はおそらく入っておらないんじゃないかと思います。
  21. 川村継義

    ○川村(継)委員 町村が義務的支出として考えている教育費は何かということなんです。先生方の給与などは町村からは出しておらないでしょう。だから町村が出している義務的な支出は何か、それをお聞きしているのです。
  22. 大竹十郎

    ○大竹参考人 義務的の支出といえば、もちろん小学校なり中学校の設備、それと今の小学校と中学校における教職員以外のものの給与、それから教材費、そういうものはみな義務的の支出、かようにとっておるわけであります。
  23. 北山愛郎

    ○北山委員 各代表の力から大へん有益なお話を承りまして参考になりましたが、どの人も一様に、今回の三十年度の政府財政計画に対しては、非常に不満あるいはいろいろな要望があるようであります。ところで各団体においては、こういうふうな財政計画ではとても三十年度は切り抜け得ない、赤字を出さないという自信はないというようないろいろな御意見があるようでありますが、そういう御意見を、それぞれの団体では、どういう形で一つの運動にして強い要望として反映せしめるような計画を持っておられるか、これは非常に重大な点だと思うのであります。先ほども市町村の教育委員会の設置は非常にむだだというようなお話でございましたが、昭和二十七年に市町村の教育委員会が置かれましたときに、はっきりと市町村会において、これに対して断固として反対する態度をとっておったならば、市町村には教育委員会は設置されなかったのではないか、こういうように私は考えておりますので、やはりこのような無理な地方財政計画についても、各団体とも相当強い態度でやらなければ、皆さん方の要望されるようないろいろな措置がとられないのではないかと考えておりますので、もしもそういうようないろいろな運動なりあるいは陳情なり、各団体における計画がありましたら、一つお話を願いたいと思います。
  24. 衣笠武夫

    ○衣笠参考人 その点については二通り考えております。一つは近く開催されます全国の市議会議長会に上程いたしまして、表門から正式に政府に要望するのと、もう一つは各市が分散いたしまして各地区出身の国会議員の方を通じまして波状的にこの目的達成のためにお願いにあがろうという考えでおりますので、その節はよろしくお願いいたします。
  25. 中井徳次郎

    ○中井委員 参考人の御意見は拝聴いたしましたが、特に坂上さんに伺っておきたいと思います。府県と市町村は、政府から節約をしいられているわけですが、現実の問題としてもうこれ以上は節約しょうがないではないかという声も相当私どもは聞いております。どういうところを節約すればまだ節約するところがあるかもしれないというようなところがありましたら、お聞かせ願いたいと思います。と申しますのは、退席されましたので私もお尋ねしなかったのですが、先ほど友末さんのお話では、この節約の中で、たとえば旅費、物件費及び交際費の節減額八十四億というのを政府計画としてあげておられます。にもかかわらず知事会の組みかえ案なるものを拝見しますと、知事会はこれをゼロにしてもうできないと、うふうにやっておるのですが、ほんとうにできないのであろうかどうか、たとい五億でも十億でもできるところはやるべきであるという考え方で、私は実はお話しを伺っておる。はっきり申し上げますると、かけ引きのない、とことんのところを一つ聞かせていただきたかったと、友末さんの組みかえ案を聞きながら感じたものですから、何か全国の市でこういうことを節約すれば、まだできるかもしれないということがありましたら、一つ参考までにお聞かせをいただきたい、かように思います。
  26. 坂上安太郎

    ○坂上参考人 全国市長会では一昨年から経費節減につきまして大へんな努力をいたしております。その中で特に考えなければならぬと思っております点は、地方あるいは国関係に各種の協議会、団体等が非常に多いのであります。われわれがそれに対して負担金を払っておりますものが全国で約三百近くあるのじゃないかと思います。これに対しましてわれわれといたしましては一昨昨年からこの問題を取り上げまして、整理統合すべきものは整理統合する、廃止すべきものは廃止する、脱退すべきものは脱退するというふうに相当強固な態度に出てきまして、これだけでも約七、八億の節減になったのではないかと思います。  こういった節約をわれわれはやってきたのでありまするが、ここに見込まれております一五%というものを果してこれ以上節減できるかどうかということにつきましては、われわれといたしましては大へん疑問視いたしております。ほかに何かないかと言われるのでありますが、もう大きなものの節減というものは、およそ考えられないというような考え方に立っております。  それと先ほど申し上げましたように、今までの都市のあり方というものがどちらかと申し上げますと、とかく土木建築的な都市建設計画というものを推進してきたのでございます。今回急激に市の数がふえまして、その市の内容をながめてみますと、農山漁村をかかえたところの市という新しい形が出てきております。従ってわれわれといたしましては、補助施策その他につきましても、節減する方向に向って極度にしぼって参りましたが、再びこれらの市におきまして、新しい都市建設理念というものをもって、もう少し産業経済に立脚した都市建設に入らなければ、何のために合併したのかわからないという状態に入っていますので、逆にむしろこうした経費が今度はふえてくるのではないかというような考え方を持っております。御質問いただきました点についてはこれ以上節減できるどころか、逆にそうした消費的な経費が、案外ふえてくるおそれがあるということを申し上げなければならぬと思うのです。
  27. 中井徳次郎

    ○中井委員 もう一点、これは他の方にもお伺いしたいと思うのでありますが、現在国の府県、市町村に対する補助金の数というものは、非常に膨大な数字に上っておりまして、五百をこえているということを私どもは伺っておるのでありますが、中には一つの村に対して三百円とか五百円とかあるいは千円程度だとかというようなまことに零細な助成金がたくさんあるやに伺っておるのであります。そういうものはこの際もうやめてしまって、現実の問題として、二千円もらうのをもういいから、千五百円だけを自己財源としてもらえば逆に仕事がやりやすくていいんじゃないか、自分の意思によって自動的にやるならばもっと節約できるが、日本全国一率の比率でこういうふうにしてやる。しかも済んでから皆さんの上級機関ではありませんけれども、実質はそういうものでありましょうところの府県あるいは国から監査に来る。監査に来ればお昼になればすしの一つも出さねばならぬというふうな経費が、実は意外にかかるというようなことを私どもは伺うのでありまするが、そういう点について卒直に一つどなたからでもけっこうでございますから御意見を伺いたい。
  28. 大竹十郎

    ○大竹参考人 今お尋ねのありましたように、ごく零細な補助金が今までは相当ありました。私昨年の参議院の地方行政委員会で調べてお話し申し上げたこともありました。千円に満たない私の町への補助金が二、三実例がありました。そこでこういうのは整理した方がはるかに町村側として希望するところであるということを申し上げておいたのです。本年度の予算では、政府の方でお調べになりました上で、補助金の整理でそういうような補助金は大体みな落されておるのじゃないか、さように考えます。昨年まではお説のようなものが相当ありました。ただしそれは県を通ってまたその町村へくるというようなものにあるのであって、今のように直接各主管の本省、それから会計検査院というようなところから、そういう零細な金の費途適正でありやいなやということについて、一々その検査においでになるというようなものではありません。それは府県を通してくる金であります。そういう検査に来て、その接待費がよけいかかるというような実例はありませんけれでも、今までは実際において千円に満たないごく零細なものが相当ありました。  それから先ほど節約の方で府県知事さんにお尋ねということでありましたが、私の方で今差し上げました刷りものの中に、法令外の負担金、寄付金が年に三割内外累増しておる、全国町村の推定が百七十億に達するということが書いてあります。これは普通お考えになるとこの辺がメスの入れどころ、節約の場所じゃないかというふうにお考えになるのではないかと思いますけれども、町村におけるこの法令外の負拠金、寄付金——寄付金といっても大部分が警察の防犯協力費というようなものなんです。それでこれを節約するにはやはり国なり府県の方で、町村からそういう法令外の負担金、寄付金を出さなくてもいいような、その方だけの予算措置を講じていただけば、町村の方ではこれは当然それを節約すべき金に属するものでありますけれども、そちらの配慮が足りないというか、予算が少いために、勢いそういうもののしわ寄せが町村の方にやって参ります。ことしの予算のように、国も足らぬ、府県も足らぬということになると、やはり町村としておそろしいのは、そういうところのしわがまたこっちへ寄ってくるのではないか、こういうことでありまして、なかなか節約の余地はありません。
  29. 中井徳次郎

    ○中井委員 今の最後のお話ですが、これをばんと断われるということは、実際問題として非常にむずかしいという御意見に承わってよろしゅうございますね。たとえば警察後援会の補助金を、Aという村はことしは赤字だからお断わりすると考えても、隣のBやCじゃみな出しているから、これは右へならえしなければいかぬ、少々赤字でもやらなければならぬ。これはこの委員会でもしょっちゅう問題になっておりますので、特に念を押してお尋ねするわけですが、市長といたしましては、私どもは、府県あるいは市町村を痛めてはいけない、国自身の機構にその責任があるのであって、警察そのものをもっと自治庁あるいは大蔵省がやかましくやってくれぬと困るということをしょっちゅう言っておるのですが、この考え方でいい、こういう御意見でございますな。簡単でけっこうです。
  30. 大竹十郎

    ○大竹参考人 その通りでありまして、町村長としても、全部やらないということになればこれはできますけれども、自分の町村だけはやらないということはなかなかむずかしい、さよう御承知願いたいと思います。
  31. 中井徳次郎

    ○中井委員 先ほど補助金の零細なものをやめたということでありましたが、それに対しては、もう零細であるから特に財源的な措置をやってもらわなくてもいいというふうなことでございましょうか。
  32. 大竹十郎

    ○大竹参考人 お話のように、やはり数百円くらいの補助金であれば、もう財源措置をする必要はないと思います。しかし政府の方で補助金をやめて、それは一般交付税の方で措置したから、こういうことで、いつでもよく調べてみても、ひもつきでない交付税のことですから、入っておるのやら入っておらぬのやら、その点はすこぶるあいまいです。こういうことが非常に多いですから、そういう意味では一つ今のようなことは交付税の方の算定の中にぜひ入れるように御配慮願いたい、こう思っております。
  33. 門司亮

    ○門司委員 私は坂上さんでもどなたでもけっこうですが、赤字の一番大きな原因として、地方側の責任として政府が盛んに唱えておりますのは給料が高いということですが、事実上そういうようにお考えになりますか。
  34. 坂上安太郎

    ○坂上参考人 大体政府のうちどこが言っているのかよくわかりませんが、大蔵省あたりが言っている数字というものは、必ずしもその通りじゃないとわれわれは思うのであります。多少高いという点が現実にあるとわれわれは考えます。しかし先ほどの話がありましたような数字に果してなるかならぬかはわからぬのでありまして、従って政府では再検討してということになっておりますが、ただ若干上回っておるということは言えると思うのでありますけれども、それは現実に市町村の勤務無限等を考えて参りますと、やはり当然そうあるべきものであるとわれわれは考えておるのでありまして、それが不当なるものであるという考え方にはわれわれどうしても納得できないのであります。さような点で、御質問の点といたしましては、多少上回っているかもしれないけれども当然のことである、ただ理論的な給与論ではいけないのではないかという考え方を、私は持っておる次第でございます。
  35. 門司亮

    ○門司委員 もう一つ。この問題を中心として、今政府が考えております本年度の財政計画の中に一つあるのでありますが、それは退職金に対する起債を三十億見ておるということを書いてあるのであります。三十億を退職金引き当てに向けるということになると、事実上市町村の職員の首切りの一つの費目だと考えて大して間違いがないと思うのですが、事実上退職金引き当てのために、三十億の起債を要求してまでも町村では剰員があるというようにお考えになっておりますか。
  36. 坂上安太郎

    ○坂上参考人 相当前々から行政整理をやってきておるのであります。従って今日これ以上の行政整理、三十億の退職金引き当てに相当するだけの人員整理ができるかというと、私はできないと思います。ことに今までやって参りましたのは、大体におきまして朝鮮ブームその他のきわめて社会が好景気でありました当時において、就職を他に転嫁するのが楽であった時代には整理が大幅に行われましたけれども、今むしろ都市といたしまして、政府が言っておられるような完全雇用の線までは参りませんが、しかし何とか市民全部完全雇用の線に一応自治体の方で振り向けていかなければならぬという努力を払っておるときでありますので、そう簡単に首切りをやろうというわけには参らないと私は思っておりますし、三十億の引き当てに相当する大量の首切りはとうていできない、かように考えております。
  37. 大竹十郎

    ○大竹参考人 退職金の問題は、今の町村で申しますと、結局合併した町村で町村合併によって著しく剰員を生じた、こういうふうな場合を考慮しての措置、かように考えられます。実際問題として町村で起債をして退職金をやってやめてもらうというようなことは、今のところほとんどやっておりません。大体三役その他の特別職はやめますけれども、その他の職員は、大体出張所とか支所というようなものをこしらえて配置がえはしますけれども、合併したからといって、退職金をやってすぐやめてくれというような措置は、実はとっておりません。ですから町村でも、起債をしてまで退職をしてもらうという者は、そうたくさんには上らぬというように私は思っております。
  38. 大矢省三

    大矢委員長 だいぶ時間も経過いたしましたので、この程度にいたしたいと思います。  最後に参考人各位にごあいさつ申し上げます。本日は御多忙のところ、わざわざ長時間にわたって本件調査のために御協力下さいましたことを、深く感謝をいたします。どうもありがとうございました。  本日はこれをもって散会いたします。    午後一時二十分散会