運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1955-05-18 第22回国会 衆議院 地方行政委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年五月十八日(水曜日)     午後一時四十七分開議  出席委員    委員長 大矢 省三君    理事 安藤  覺君 理事 池田 清志君    理事 古井 喜實君 理事 鈴木 直人君    理事 前尾繁三郎君 理事 加賀田 進君    理事 門司  亮君       唐澤 俊樹君    木崎 茂男君       渡海元三郎君    徳田與吉郎君       丹羽 兵助君    長谷川四郎君       灘尾 弘吉君    山崎  巖君       吉田 重延君    川村 継義君       北山 愛郎君    五島 虎雄君       坂本 泰良君    中井徳次郎君       西村 彰一君  出席国務大臣         国 務 大 臣 川島正次郎君  出席政府委員         自治政務次官  永田 亮一君         総理府事務官         (自治庁財政部         長)      後藤  博君  委員外出席者         専  門  員 有松  昇君         専  門  員 長橋 茂男君     ――――――――――――― 五月十六日  入場譲与税法の一部を改正する法律案内閣提  出第四〇号) 同月十三日  地方財政再建に関する請願床次徳二紹介)  (第五六三号)  同(床次徳二紹介)(第五九三号)  同(唐澤俊樹紹介)(第六二九号)  大規模償却資産に対する固定資産税課税改正に  関する請願野依秀市紹介)(第五六四号)  クリーニング業に対する事業税軽減に関する請  願(中村三之丞紹介)(第五六五号)  同(横井太郎紹介)(第五九四号)  遊興飲食税法の一部改正に関する請願床次徳  二君紹介)(第五六六号)  建築板金業に対する事業税撤廃に関する請願外  三件(春日一幸紹介)(第五六七号)  同(三輪壽壯紹介)(第五六八号)  同(大矢省三紹介)(第五六九号) の審査を本委員会に付託された。 同月十七日  地方財政再建に関する陳情書外十一件  (第一〇三号)  同外九件  (第一二九号)  地方制度改革に関する陳情書  (第一〇四号)  合併町村育成強化に関する陳情書  (第一三〇号)  町村合併に伴う職員退職金国庫補助に関する  陳情書(第一四  一号)  個人事業税基礎控除引上げに関する陳情書  (第一四二号)  中小企業者に対する事業税軽減に関する陳情書  (第一七〇号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  入場譲与税法の一部を改正する法律案内閣提  出第四〇号)  昭和三十年度地方財政計画に関する件     ―――――――――――――
  2. 大矢省三

    大矢委員長 これより会議を開きます。  理事会の申し合せによりまして、十六日本委員会に付託になりました入場譲与税法の一部を改正する法律案提案理由について、まず政府当局より説明を聴取いたしたいと思います。川島自治庁長官
  3. 川島正次郎

    川島国務大臣 ただいま提案されました入場譲与税法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概略を御説明いたします。  入場譲与税法は、申し上げるまでもなく、昨年の第十九回国会において成立を見たものでありますが、この入場譲与税法によりますと、昭和三十年度におきましては、本年四月から来年二月までの間に収納した入場税収入額すなわち十一カ月分の入場税収入額の十分の九に相当する額を譲与することになっておるのであります。もし入場税地方税でありますならば、毎年四月から三月までの間に納入されたものは、そのままその年度都道府県歳入となるべきものであります。従って府県財政も窮屈でありますので、国が当該年度分入場税として収入した額は、これをそのまま当該年度において入場譲与税として都道府県譲与したいと考えたのであります。  このような趣意によりまして、入場譲与税譲与の時期を七月、十月、一月及び三月に改め、七月、十月及び一月においてはそれぞれ前三カ月間に収納した入場税収入額を、三月においては一月及び二月に収納した入場税収入額に三月の収入額見込額を加えたものをそれぞれ譲与することとし、三月の収入見込額収入額との差額についての精算は次の譲与時期において行うものといたしたものであります。  次に、昭和三十年度に限り、入場税収入額全額入場譲与税として譲与することといたしましたが、これも現下の地方財政状況がことのほか逼迫しておることにかんがみてとられた特例措置であります。  以上今回の入場譲与税法の一部を改正する法律案につきまして提案理由及びその概略を御説明申し上げたのでありますが、何とぞ慎重審議の上すみやかに本法律案成立を見ますようお願いいたす次第であります。
  4. 大矢省三

    大矢委員長 次に地方財政計画について政府当局より説明を聴取いたしたいと思います。川島国務大臣
  5. 川島正次郎

    川島国務大臣 ただいまお手元に配付いたしました昭和三十年度地方財政計画について、その概略を御説明申し上げます。  昭和三十年度地方財政計画策定に当りましては、わが国経済の現状にかんがみ、国の予算編成方針に呼応して、極力その財政規模合理的縮減を期待するとともに、多数の地方団体が多額の赤字に呻吟いたしております地方財政状況に照らして、過去の赤字整理財政再建促進することを念願し、次の事項を具体的指針として策定したのであります。すなわちその第一は行政事務及び地方行政機構簡素化を推進することであります。その第二は国の経費節減方針に呼応して地方団体自主的努力による経費節減を期待するとともに、収入確保を期することであります。その第三は町村合併促進することであります。その第四は国の補助金等整理合理化によって地方負担を軽減することであります。その第五は地方道路譲与税創設等地方自主財源の充実をはかることであります。その第六は地方財政再建整備促進のため適切な法的措置を講ずることであります。  右方針に基き、本計画策定前提といたしました地方行財政制度改正点を申し上げますと、第一に新たに地方道路譲与税を創設すること、第二に入場譲与税法の一部を改正して三月分の入場税を繰り上げ譲与することとするとともに、昭和三十年度に限り、入場税全額入場譲与税として譲与すること、第三に昭和三十年度に限り、たばこ専売益金から交付税及び譲与税特別会計へ三十億円を繰り入れ、たばこ専売特別地方配付金として地方交付税交付金総額に加えて交付すること、第四に地方税法の一部を改正して道府県民税法人税割及び市町村民税法人税割税率軽油自動車にかかる自動車税税率について調整を行う等の措置を講ずること、第五に義務教育費国庫負担金制度の一部を改正して負担金制限を受ける団体地方交付税の不交付団体に限定すること、第六に地方財政再建促進特別措置法を制定して、赤字地方団体に対しては再建整備計画の樹立及び実行を条件として歳入欠陥債の発行を認めることとし、利子補給を行うこととするとともに、地方財政健全性確保をはかるため、寄附金等支出に対する制限を設ける等の特別措置を講ずることとすること等の諸点であります。なお、行政事務及び行政機構簡素合理化につきましても、一昨年行われました地方制度調査会の答申に基き、別途制度改正を準備いたしております。ただ、従来から問題とされております。いわゆる既定財政規模修正、すなわち現行の地方財政計画と、財政運営実態との相違点修正につきましては、それが主として給与関係経費にあることにかんがみ、ただいま実施いたしております給与実態調査の結果が判明し次第、給与適正化等に関する諸措置とともに行うものとし、今回は一応これを見送ることといたしたのであります。  以上のような前提のもとに、昭和三十年度地方財政規模を算定いたしました結果、その歳出規模は九千七百六十一億五千余万円となり、昭和二十九年度に比して約二十八億円を増すこととなります。  次に歳出及び歳入増減額のうちおもなるものについて簡単に御説明申し上げます。先ず歳出面消費的経費増減でありますが、そのおもなるものは、一、本年度小中学校合せて七十七万余人の生徒児童増加に対応して必要な増加教職員人件費及び物件費増加に要する経費増加額五十四億円、二、一般職員及び教職員昇給に伴う経費増加額七十二億円、三、公債費増加額百十八億円、四、警察制度改正の平年度化に伴う経費増加額五十三億円、五、地方選挙に要する経費増加額十七億円、六、奄美大島にかかる経費振替算入に伴う増加額十億円、七、人口自然増加に伴う経費増加額十四億円等の増加額と、八、昨年度より実施中の行政整理の進行に伴う経費減少額五十六億円、九、町村合併に伴う消費的経費節約額二十八億円、十、普通補助金増減及び改廃に伴う経費減少額二十一億円、十一、旅費物件費、国に対する寄附金等抑制及び地方行政事務簡素合理化等に伴う経費節減額百十五億円等の減少額が見込まれ、差引合計百十八億円の増加となつております。  次に歳出面投資的経費増減のおもなるものを申し上げますと、一、失業対策事業費増加額五十五億円、二、町村合併に伴う新町村建設計画に基く単独事業費増加額四十二億円、三、住宅公団に対する出資金増加額十六億円、四、奄美群島復興事業費振替算入に伴う増加額七億円等の増加額と、五、住宅文教施設食糧増産事業等を含むいわゆる一般公共事業減少額五十六億円、六、公共災害復旧事業費減少額七十八億円、七、単独災害復旧事業費減少額六十七億円、八、単独事業費等縮減額七十六億円等の減少額が見込まれ、差引合計百五十七億円の減少となっております。  これらの昨年度に対する経費増減を見込みました結果、歳出規模地方交付税交付団体において七千百二十二億円、不交付団体においては、その収入規模に応じて行われている財政計画算入外歳出規模九十八億円を加えて二千六百四十億円、合計九千七百六十二億円となったのであります。  次に歳入面についての増減を申し上げますと、一、地方税において自然増収八十億円、税法改正による減収二十九億円を含めて増収額五十一億円、二、入場譲与税法改正揮発油譲与税の廃止、地方道路譲与税新設等に伴う譲与税減収額二十七億円、三、地方交付税増加額百三十三億円、四、たばこ専売特別地方配付金三十億円、五、義務教育国庫負担金公共事業費補助金失業対策事業費国庫負担金等増減による国庫支出金減少額十二億円、六、地方債減少額百十一億円、七、競馬競輪の平日開催禁止高等学校生徒増等による雑収入増減差引六億円の減等でありまして、差し引き合計年度に比して五十八億円の増加であり、歳入規模地方交付税交付団体において七千百二十二億円、不交付団体において二千六百四十億円、総計九千七百六十二億円となつておるのであります。以上が昭和三十年度地方財政計画の大要であります。  最近の地方財政状況はますますその困窮の度を強め、多数の地方公共団体財源の不足に呻吟いたしておりますことはまことに遺憾とするところであります。政府といたしましても、つとにこれが対策として、過去における赤字整理と将来にわたる赤字原因根絶について検討を加えて参つたのでありまして、すでに生じた赤字整理につきましては、今回地方財政再建促進特別措置法の制定を考慮しており、赤字原因根絶につきましては、根本的には地方制度改革を検討しつつ、可及的に地方行財政制度改正を準備いたしておるのでありまして、今後この地方財政計画実施を通じ、誠心誠意地方財政改善合理化に努め、もつて将来の措置に対する基盤をつちかつて参りたいと存じております。  以上御説明申し上げました。
  6. 大矢省三

    大矢委員長 次に財政部長より補足説明を求めます。後藤財政部長
  7. 後藤博

    後藤政府委員 ただいまの大臣の御説明を補足いたしたいと思いますが、お手元説明資料をお配りしてございますので、大体その資料を中心に、簡単にお話を申し上げさしていただきたいと思います。  本年の財政計画におきまして、昨年の財政計画と変えました点をまず最初に申し上げたいと思います。今年の財政計画は、昨年の補正後の既定規模が九千八百三億でございます。そのうちから直轄工事分担金分、これは交付公債にしておりますので、今年の計画からは落しております。従って直轄分担金分を落したものを既定財政規模というふうにいたしております。その総額は九千七百億くらいになります。  第二の点は、本年から財政計画交付団体、不交付団体というふうにはっきり分けて計算をしておるということであります。従来は交付団体分、不交付団体分を突っ込みの計算で出し、そして県、市町村分という格好で出しておりましたが、その計算方式にいろいろ疑問の点もございますので、不正確の点もまたあったわけでありまして、この点交付、不交付区分を今年ははっきりいたしたのであります。やり方は二十八年度決算基礎にいたしまして区分をいたしまして、その上に警察の振りかえ分を別計算をいたしまして、その修正をいたしたのであります。市町村につきましては決算の不明なものがございますので、それは二十九年度基準財政需要額によりまして区分をいたしております。  第三の点は、交付団体計画外歳出の項を新設いたしております。これは一番下の行から二行目のところにCとして地方交付税の不交付団体における財政計画外歳出というふうに書いております。これは従来は超過財源の額というふうにしてそこで増減を一本にしてやっておったのであります。不交付団体における税収入規模に応じて財政計画における歳出規模を越えて行われておる歳出があるのでありますが、この歳出をここではっきりいたしていこう、こういう意味でここで従来のやり方を新しく変えたわけであります。大体以上大きく三点につきまして財政計画を変えております。  新しい三十年計画消費的経費の中から申し上げますと、先ほど申しましたような格好既定規模を変えておりますが、消費的経費既定規模は六千七百七十六億一千九百万円であります。三十年度新規財政需要額は二百三十三億四千百万円であります。増加いたします項につきまして申し上げますが、まず第一に教員増加に伴う給与費の増、旅費を含んだものでありますが、これは総額四十億九千三百万円になっております。これは御存じの通り児童生徒が本年に約七十七万人ばかりふえて参る、小学校で五十二万三千人、中学校で二十四万七千人ふえて参ります。このふえます児童生徒に対する教員増加計算をいたしたのでありますが、その計算方式あと説明資料にございますが、二十九年の平均の学級編成をとりまして、その上に小学校につきましては一学級について一人、中学校につきましては一学級について一・四人の増加がある、こういう計算で出したのであります。そういう計算で出しますと、小学校につきましては九千七十一人の教員増加を必要といたします。中学校につきましては五千百二十六人の増加を必要といたします。その小中学校教員数の増に見合うものをここに計上いたしたのであります。教員の増は小中学校合せまして一万四千百九十七人ということになります。それから旅費を含んでおると書いておりますが、その旅費教員増によりまして一人四千円の計算でもって従来通り旅費を見ております。  次の児童生徒増に伴う物件費の増、これは児童生徒がふえますと机やいすが必要になって参ります。そのほかの備消耗品も必要になって参ります。小学校につきましては千五百七十八円、中学校につきましては千七百九十三円の備消耗品が一人について必要である。こういう計算のもとに物件費の増を見たわけであります。  第三は一般職員及び教育職員昇給に伴う給与費の増、これは一般職員及び教職員昇給が毎年行われておりまして、従来は二・五%ずつ昇給を見ております。その二・五%分の昇給をここに見たわけでありまして、一般職員昇給分はこのうちで三十七億、それから教員昇給分が三十四億あるわけであります。合せて七十一億六千八百万円の増加になります。それから次の行政整理に伴う経費増減額、これは五十五億七千万円の減になります。これは昨年と本年とで県、五大市につきましては五・五%それから市につきましては五%、町村につきましては一・七%の整理を二カ年間でやることになっております。そのうちで市町村の分は率が低いので昨年全部やるという計画にいたしておりまして、県と五大市一般市の分だけがことしの計画になるわけであります。ことしは県、五大市が二・五%それから市が二%整理をすることになるわけであります。二年間に大体二万八千人だけ整理をすることになっておりまして、整理の数は県が四千八百人、市町村が三千五百人、合せて本年度分は八千三百五十人ということに相なっております。その整理をいたしますると経費増減いたしまするが、まず給与費及び旅費物件費等の減があるわけであります。これが八十一億四千六百万円、このうち給与費が五十九億、旅費物件費が二十二億であります。それから一方に退職手当及び恩給費等の増がございます。それが二十五億七千六百万円であります。うち退職金分が二十億一千百万円、恩給費が五億六千五百万円であります。それから次の第五の警察費の平年度化に伴う経費の増、これは二十九年の警察財政規模は四百十三億でございましたが、本年度警察規模は四百六十七億というふうに想定いたしております。そのうちで昨年は九カ月分を含んでおりまするので、その平年度化に伴うものが三十五億、それから新しく需要増加したものが十八億ございます。平年度化のもの三十五億と需要増十八億、合せて五十二億余をそこに増として載せたわけであります。それから次に公債費の増でありますが、公債費は昨年に比べて百十七億七千四百万円増加いたします。このうち県が七十七億、市町村が四十億ばかりになります。既定規模の中にも公債費がありまするので、それを合せますると、本年度支払うべき公債費総額は五百十億に相なります。五百十億のうち元金が二百三十四億、あと残りの二百七十億が利子ということに相なります。七項の人口等自然増加に伴う経費の増、これは人口が百十八万人ばかりふえまするので、それに伴いましていろいろの物件費がふえて参ります。従来通り計算で参りますと、約十四億一千三百万円の増加になります。このうち県が七億、市町村が六億くらいになります。それから次の選挙に要する経費増減額、十七億四千万円、これは次にありまするように地方選挙に要する経費府県議会及び市町村の議員及び首長の選挙に要する経費でありまして、二十一億百万円、県の分が十二億、市町村の分は約八億であります。次の農業委員会等選挙関係経費の減三億六千万円、これは昨年は選挙がありましたが、本年は選挙がございませんので、落ちておるわけであります。次の市町村合併等に係る経常経費の減、これは市町村合併を行いますると経常経費が落ちて参ります。従来の実績を基礎にいたしますると、大体一町村五年間くらいに二百万円くらいの経常費が落ちております。これは人日二千ぐらいの町村が四カ町村くらい合併した場合を見ますると、大体六百万円ぐらい経常経費が落ちております。それを町村で割りますと大体二百万円ぐらい経費節減されるわけであります。ところがこれは一度に落ちないで、年々だんだん大きく落ちて行くわけであります。その最初合併の年は落ちませんが、翌年から少しずつ落ちて行きます。それを計算いたしまして、町村合併による減が二十五年以降大体の合併町村につきまして調べたところでは、大体二十七億六千二百万円ぐらいは落ちるだろう、こういうことであります。次の奄美群島に係る経費計画算入による増、これは従来奄美群島に係る経費財政計画の外に出しておりました。それをこのたびから財政計画の中に入れて参ります。従来は特別交付税でもって操作をいたしておったのでありますが、特別交付税でなくて、奄美群島経費の一部を特別交付税の形で処理しておったのであります。それを今度は財政計画の中に入れて参っております。これは人件費が約七億、行政費が約三億、その他特別の需要が少しばかりございます。合せて十億六百万円、次の普通補助金増減及び改廃に伴う経費増減、これは国の補助金整理が行われておりまして、国庫補助金普通補助金で昨年よりも十五億ばかり減っております。本年の普通補助金のうちの国庫補助金総額は六百五十一億であります。昨年より十一億減っております。それに見合うところの地方負担は三百二十八億、去年よりも負担は少しふえております。総事業費は九百八十一億円、昨年よりも事業費全体としてはちょっと減った程度になっております。総額としてはそうでありますが、大きく減ったものを申しますと、生活保護関係で国、地方を合せまして十億ばかり減っております。しかし児童保護関係では逆に十一億ばかりふえております。各省で申しますと、通産省の関係が約七億ばかり中小企業関係でふえております。そのほか財源振りかえが行われたものがございます。これはいわゆる交付税回しと称しておりまして、補助金をなくして交付税計算に入れる、これは市町村農業委員会経費なにかがそうであります。その他こまかいものの増減がありますが、それは別な表に出ております。差し引きまして約二十億八千五百万円の財政需要が減るわけであります。  それから第三項の節減等に伴う経費の減、これは旅費物件費及び交際費節減額、これは国の方で旅費物件費交際費節減を一五%やりますので、それに見合いまして地方団体でも同じような方式でもって節約いたしますと八十四億三千万円に相なります。それから次の寄付金等抑制による節減額、これは法令に基かない寄付負担金の、地方決算を見ますと相当ございます。そういうものの節減を二十四億九千四百万円見たわけであります。これは国に対する寄付ばかりではございません。国以外のものも含めております。国のもの以外は大体四分の一ぐらい減らせるということになっております。これに必要な法律的な措置をしなければなりませんが、それは再建整備関係法律の中で、地方財政法改正の規定を入れて指導していきたい、かように考えております。それから第三の地方行政事務費簡素合理化による節減額、これは地方自治法改正が今国会提案されることになりまして、御審議を願うのでありますが、議会常任委員会、その他の制度合理化が盛られておりますので、これに見合うものとして六億一千六百万円の減を立てたわけであります。合せまして、消費的経費総計は、既定規模と合せますと、六千八百九十四億二千万円に相なるわけであります。  次に投資的経費でありますが、投資的経費は、昭和二十九年度地方財政計画における財政規模は二千九百二十七億一千四百万円でありましたが、三十年度は逆に公共事業費等は落ちまして、従来より八十一億五千万円の減になります。  そのうちで公共事業費増減でありますが、公共事業費は百三十四億七千七百万円減になっております。これは一般公共では五十六億六千七百万円、災害で七十八億一千万円の減になるわけであります。一般公共のうちで増減のはげしいものを申しますと、食糧増産費関係が、国の補助金も大きく落ちておりますし、地方負担も減っております。合せて二十八億ばかり規模としては減って参ります。公営住宅の量も、公団ができます関係で減って参っております。規模も落ちておりますので、その関係で、国の補助金及び地方負担を合せまして、二十四億ばかり財政需要が落ちて参ります。そういうものは大きいものでありまして、ほかの方の公共事業費関係は多少出入りがあります。これは別表の中にこまかく書いてあります。  それから災害関係でありますが、災害関係は、二十八年度災害が大きく落ちて参ります。公共災害で百五十三億ばかり、国の補助金及び地方負担が減って参ります。その関係で、災害関係は大きく落ちて参ります。七十八億だけ落ちてくるわけであります。これは国の計画では、二十八年度災害は本年度では六割五分までおおむね復旧する予定になっております。  それから次の失業対策事業費の増、これは事業費が昨年よりもふえております。事業費の総量は二百八十九億でありまして、うち一般失対が二百三十七億、特別失対が五十四億になっております。国の補助金が四十八億、地方負担分が七億、合せまして五十四億九千九百万円の財政需要がふえて参ります。  それから次の単独事業費増減、これは単独事業総体としては五十億七千万円の減でございます。一般関係は大した動きはありませんが、ただ地方公共団体公団に大体十六億出資をすることに相なっております。その十六億の出資分だけを、新しい財政需要の増として計上いたしております。次の災害関係でありますが、これは二十八年度災害の分が単独事業では大きく落ちて参りますので、その結果落ちたのであります。国の事業と違いまして、単独災害の分は二年間で大体事業を完成していくという建前に立っておりますので、二十八年度災は二十八年度と二十九年度でしてしまいましたから、三十年度としては大きく落ちてくるわけであります。従って六十六億七千万円の減になります。  それから次の、町村合併に伴う新町村建設計画に基く単独事業費の増四十二億二千七百万円でありますが、これは先ほど経常費の方で申しましたが、町村合併によって一方において経常経費節減されまするが、逆に単独の事業がふえて参ります。かりに経費節減されたものだけの分量が逆にまた一方にふえていくといたしますると、同じような計算をいたしますると、四十二億二千七百万円の事業量がふえてくる、こういう計算になります。これは、合併の年は一割くらい量がふえる、第二年は二割五分、第三年は三割五分、こういうふうにいたしまして、少しずつふえていくという計算であります。そういたしますると、四十二億二千七百万円の増加になるわけであります。先ほど申しましたように、五年間の節約経費をもって新建設計画を立てる、こういう建前に立った計算であります。  次の奄美群島復興事業費、これは、従来は財政計画の外にありましたものを新しく入れたわけであります。本年の復興事業費総額は十九億八千二百万円になっております。その公共団体関係分が六億七千万円に相なりますので、その分だけをここに載せたわけであります。  それから次に、単独事業費等節減額七十六億。単独事業費総額は現在七百三十六億でございますが、七百三十六億のうち、今年は歳入歳出のバランスが合いませんので、やむを得ず節減額七十六億を立てて参りたいということであります。そういたしますと、投資的経費総額が二千七百六十九億六千万円でありまして、歳出消費的経費投資的経費合計が九千六百六十三億に相なるわけであります。  さらに、地方交付税の不交付団体における財政計画外歳出、これは先ほども申しましたように、従来は地方交付税交付団体における超過財源というふうな格好で申しておりましたが、それをこういう言葉に直しております。不交付団体だけの問題でございますが、不交付団体計画外歳出をしているということであります。これを足しますると、九千七百六十一億四千六百万円の財政規模に相なるわけであります。  一方歳入の方を申しますると、歳入の方は、一番左が二十九年度収入見込額、その次が前年度との対比、三十年度の分は三行目にございます。  地方税は、三十年度収入見込額は三千五百八十二億七千四百万円になっております。これは二十九年度分より五十億八千三百万円の増加になっております。増加したものと減額したもの、これはあとに表がございますのでごらんいただきたいのでありますが、大きなものだけを申しますと、増加しましたもののうちで大きなものは、県民税が四十七億、たばこが、これは県、市町村合せまして三十二億、自動車税が十二億、固定資産税が四十五億であります。それから減りましたものは、事業税が十二億。事業税は法人が二十七億ふえて、個人事業税が三十九億減ります。それから旧法の税収入、古い税の収入が、毎年滞納整理をやっておりまするので減って参りまして、四十四億ことしは減ります。それから市町村民税が六十億減ります。そういうものが大きなものであります。県と市町村とをわけますると五十億の増額の内訳は、県の方で三十二億ばかりふえます。町村の方でもやはり十八億ばかり税がふえるということになります。  それから次の入場譲与税でありますが、これは百三十五億四千三百万円、この中には——入場税を国でとります場合に、一割は国の収入分とすることになっております。その一割分十三億ばかりあります。それから来年の三月分の約十一億が入っております。従って入場譲与税は大体入場税総額に当るわけであります。昨年よりは二十億七百万円減になります。  次の揮発油譲与税は、これはなくなりますのでゼロであります。しかし地方道路譲与税がふえて参ります。金額は七十二億七千五百万円、これは平年度になりますと九十四億になりますが、これは揮発油税のうち四千円分を地方道路譲与税にいただきますので、この分を七十二億計上したわけであります。  税全体を見ますると、地方税では五十億ふえておりますけれども、譲与税の方で二十五億減って参りますので、税全体としては二十四億しかふえない、こういうことに相なるわけであります。  次の地方交付税でありますが、これは千三百八十八億七千七百万円、これは法人税、所得税、酒税の二二%であります。所得税、法人税、酒税の総額は、国の予算では六千三百十二億六千万円になっておりますが、それの二二%という計算であります。  次のたばこ専売特別地方配付金三十億、これはたばこ専売特別会計から交付税特別会計の方に三十億円の繰り入れがございます。繰り入れたものは、地方交付税と同じような配り方をするのでありまするが、それが三十億円、これは新しいものであります。  次の国庫支出金は二千七百九億六千六百万円で、昨年よりも十二億一千八百万円減っております。義務教育の関係が三十七億ふえまして、七百三十七億になっております。これは給与関係は七百二十四億であります。教材費の関係が十二億ばかりあります。その他の普通補助金は六百五十一億八千六百万円、昨年より十五億二千六百万円減っております。公共事業費補助金は千百四十七億五千百万円、昨年より八十七億減っております。これは災害関係が大きく落ちたのであります。次の失業対策事業国庫負担金、これは失対事業が大きくなりましたので、その関係で昨年より四十八億七千万円ふえまして百六十八億二千万円に増加いたしております。奄美群島復興事業費補助金、これは新しいものでありますが、五億九百万円新しく増加いたしております。  それから地方債でありますが、地方債の本年度の総ワクは千百二十四億でありますが、そのうち一般会計に関係のありますものは七百七十億、昨年より百十億五千九百万円減っております。  それから次は雑収入でありますが、雑収入は千七十二億千百万円で、昨年より六億一千六百万円減っております。これは使用料、手数料で六億ばかりふえておりますのは、高等学校の生徒が多くなって参りますので、その関係で授業料が四億ばかりふえております。そのほか度量衡の検定の手数料、人口増に伴うところの手数料の増、それから水利使用料の増加等を見込みますと約六億円の増加になります。それから雑入の方で十二億減っておりますのは、これは競輪、競馬の開催日が土曜日、日曜中心となります関係で、十七億円ばかり減を立てております。ただやはり雑入につきましても人口増がある程度勘案されますので、その人口増の関係で雑入のふえます分五億、差引しますと十二億ばかり減るということに相なります。それで歳入合計は九千七百六十一億四千六百万円ということに相なるわけであります。  その次のページは交付団体と不交付団体とわけまして、消費的経費投資的経費財源の配分関係を調査したものであります。  それからその次の表は本年度の起債の計画であります。昨年度と比較して簡単に申し上げます。先ほど申しましたように、本年度の起債の総ワクは千百二十四億、計画額の一番下であります。そのうち普通会計分が七百七十億になっております。公営企業会計分が二百七十四億、その他が八十億、こういうふうに区分いたしております。  普通会計分のうち地方財政計画計上分というのがAにございます。それで一般補則事業分が三百七十七億であります。これは補助事業の中央負担に見合うところの起債でありまして、地方負担額の約六〇%程度になっております。この三百七十七億のものが昨年は四百三十億ばかりになっております。  次の過年度補助災害復旧事業七十二億、これは過年度災の地方負担の八〇%くらいつけるものといたしまして七十二億計上いたしました。  単独災害復旧事業四十七億、昨年は九十億ばかりであります。これは火災でありますとか、過年度の単独災害復旧事業であります。これは火災につきましては大体昨年の実績、過年度につきましては大体本年度事業量を基礎にして額をきめたわけであります。四十七億のうち約三十億が過年度災の負担分であります。十七億が火災であります。  次の義務教育施設は百九億、昨年は百二十四億であります。このうち六・三制の分は二十六億、これは国の補助金に見合うもので約八割の充当率であります。それから単独事業分、これは二十五万坪の老朽校舎の復旧事業分と、それから生徒増の分合せまして八十三億ということになります。  次の一般単独事業百億、これは昨年は百十億であります。これは一般府県市町村の単独事業分でございます。  次の現年度災害予備費及び退職手当充当金は六十五億円、このうちで現年災分が約三十五億、退職金に見合う分が三十億であります。退職金の起債は下にもございますが、合せて六十億ございますが、財政計画財源として見ることができますのは三十億だけということに考えております。  それから公営企業会計分は、電気事業分が百二十億、これは昨年は百億でございます。それから上水事業分百十億、これは昨年は百億であります。あと二十億追加いたしましたが、当初は百億であります。病院事業は十五億、昨年は十九億、交通事業は二十一億、昨年は二十億であります。その他が八億、昨年は五億であります。そこで公営企業分が二百七十四億になります。昨年の公営企業分の総額は二百四十四億。三十億ばかり公営企業分でふやしております。  次にその他というのがありますが、これは先ほど申しました退職金の三十億円と、再建整備の政府資金分五十億、合せて八十億。以上全部を合せまして千百二十四億であります。  右の方の欄は、これを政府資金と公募に分けておりますが、政府資金が八百九十四億、昨年の政府資金の投資は八百九十億であります。公募債は二百三十億で、昨年はこれは二百億であります。  あとの数字は税収入の見込み額でありまして、先ほどこのうちで大きなものだけを申し上げたわけでございます。以上簡単に御説明申し上げた次第でございます。
  8. 大矢省三

    大矢委員長 なおこの審査に当って必要な資料の請求がございましたら、この機会にお申し出願いたいと思います。——北山君。
  9. 北山愛郎

    ○北山委員 この地方財政計画については、資料をよく拝見してからいろいろ御質問したいと思うのですが、その前に、実は三十年度地方財政計画については昨年来いろいろな形で発表されておるわけであります。自治庁の概算として発表され、またせんだっての新聞等には大体自治庁としての確定案のようなものが発表されて、何回も段階を経て変ってきておるわけであります。そこでお伺いをしたいのでありますが、昨年の九月に自治庁が昭和三十年度地方財政計画概算として見積られた地方財政規模というものは、一兆三百五十億だったと思いますが、それがせんだって新聞等に発表されたものは九千八百十二億ということになっており、またきょう示されたものには九千七百六十一億というふうに漸次縮小されていっておるわけであります。昨年の概算については、これは吉田内閣当時の自治庁の作業でございましょうから別としまして、最近このように計数が変ってきたこの間の事情には、自治庁と大蔵省等との間におきまして、地方財政計画を作成するに当って、いろいろ交渉にめんどうな問題があったというふうに伝えられておりますが、その経過につきまして大臣及び財政部長からお話を願いたいのであります。
  10. 川島正次郎

    川島国務大臣 地方財政計画を作成するにつきましては、二十九年度地方財政計画基礎にいたしまして、それに基いて三十年度において当然減少し得る金額と当然増加する金額とを算出して、歳出の方をきめました。一方歳入につきましても、国の交付税並びに国庫支出金地方税、雑収入、起債等いろいろ計算をいたして、ただいまお手元へ配った表を作成いたしたのでありますが、二十九年度地方財政計画に基いて当然の増減計算いたしますると、約百四十億円前後の不足を来たしておるのであります。この不足につきましては、自治庁当局といたしましては、単独事業の節約、補助事業の重点的施行による地方財政支出の軽減、地方行政機構改正、事務機構の改正による節約等によって捻出するのだ、こういう案を作っておったのでありまするが、大蔵当局といろいろ折衝いたしまして、——地方財政計画そのものはもともとこのまま正確に地方財政に現われるものじゃありませんで、大体の推定によって作りまして、これによって地方自治に対する国の施策を示し、また国の財政措置の一つの方向を示すというのが目的でありまして、これが前のように平衡交付制度でありますると、財政計画を作りまして、その足りないところは平衡交付金でみる、こういう制度でありまするけれども、交付制度になりまして、国から交付金並びに国庫支出金を与え、それに起債等を許しまして、あと地方において財政の経理をする、こういう建前でありますので、この百四十億前後のものは、ただいま申し上げたような各種の方法によって、地方において捻出させて赤字を解消したい、こういう考えであったのでありまするが、それにしましても百四十億の赤字をどうして解消するかということは、大体この財政計画の面において方向を示した方が穏当ではないか、たとえば単独事業の節約においてどれだけ減らすのか、また機構の改革においてどれだけ減らすのかということを明示した方が適当だ、こういう考えが一致しまして、今日お配りした資料を竹成したわけであります。
  11. 後藤博

    後藤政府委員 御質問の第一点の、昨年の九月に予想いたしました財政規模は一兆三百億くらいというお話でございましたが、これは規模是正を行いました際の財政規模でございます。従来満たされない給与関係その他投資的事業の継ぎ足し分等を合せますと、四百九十億ばかりあります。この四百九十億ばかりを足しますと、大体おっしゃいますような数字になると思います。この規模是正をあとに残しておりますので、現在九千億台の数字になっておるわけであります。
  12. 北山愛郎

    ○北山委員 今の計数が変ってきたことについてはいろいろ議論があると思いますが、先ほど財政部長からのお話で、今度の財政計画についても二十八年度決算というものを一応参照したというようなことをお話になりました。ところが二十八年度決算は一兆七百億になっておるわけであります。ですから、大体二十八年度財政規模から著しく地方財政実態が減っておるという原因がない限りは、おそらく現状においても一兆七百億あるいはそれ以上の財政規模実態として地方財政は持っておると思うのです。そうすると、今度の九千七百六十一億という財政規模は、その実態よりも一千億も縮小された計画である、こういうように私見られるのですが、自治庁としてはどういうふうにお考えになっておりますか。
  13. 後藤博

    後藤政府委員 二十八年度決算は一兆七百億と私申したことがあるかもしれませんが、一兆二百億くらいじゃなかろうかと思います。これは洗ってみますが、たしか一兆二百億くらいだと思います。そのときの財政計画は九千百五十億くらいになっております。その規模財政計画とそれから決算総額との差額の中に先ほど申しましたような給与費その他の規模是正を要する額が入っております。これはもちろんわれわれが五百億くらいと申しますのは最小限度の額てありますが、入っております。従ってその数字を基礎にし、さらに今申しましたような規模是正を一応行わないという建前に立ちますとこの程度の数字に相なる、つまり従来通り財政計画を踏襲して参りますと、この程度の数字になります。ただ昨年と変っておりますのは、一番最初に申し上げましたように、直轄の分掛金が百億ばかりございます。この百億ばかりのものは交付公債で全部まかないますので、この規模の中に入れませんで、外に出しております。従って百億ばかりが減ったことになっております。
  14. 北山愛郎

    ○北山委員 二十八年度決算は、私の考え違いかわかりませんが、政府がこの三月の二十五日に国会に報告をした報告書によれば一兆六百九十七億、歳出規模がそうなっており、決算額がそうなっております。ですから、一兆七百億くらいになると思うのですが、とにかくこれは別としましても、三十年度財政計画実態と大体その程度の開きがあるということは、自治庁としてもお認めになっておるようであります。  そこで財政計画の意味についてでありますが、先ほど川島長官は、これは単なる地方財政の推定である、あるいは方向を示すだけのものである、かようなお考えを申されましたが、そのようにお考えでありますか。
  15. 川島正次郎

    川島国務大臣 先ほど私がお答え申し上げた意味で財政計画を作っております。
  16. 北山愛郎

    ○北山委員 それは大蔵省の方のお考えであって、自治庁の方でもそういうふうに考えておるのですか。地方財政の大体の大きさなりあるいは見込みというものを、ただ数字の上に出したのだというふうな非常に軽い意味に地方財政計画をお考えになっておる。これは最近大蔵省側ではそういうふうな考え方を持っており、従って国が地方財政に対するたとえば交付税なりあるいは補助金なりあるいは地方債なり、そういうものの性質とは全然別個のものであるというふうなことを大蔵省で言うておるように伝えられておりますが、それと同じ考えを川島長官はお持ちになっておられるでしょうか。
  17. 川島正次郎

    川島国務大臣 交付税につきましては平衡交付金時代と性格が全く違いまして、先ほども御返事申し上げたのですが、平衡交付金時代でありますと、大体財政計画を作りまして、その不足分は平衡交付金で見るという建前でありましたが、交付税制度になりましてからは、国税の二二%とはっきり交付金がきまっておりまして、それにある程度の地方債を認めて、その範囲内において地方でもって財政上のあんばいをする、こういうのでありまして、この地方財政計画というものは、決して軽い意味ではないのでありまして、これは地方財政計画をするなり、財政運用をする一つの基準を示す意味において必要である、かようには考えておりますけれども、平衡交付金時代とはその性質が違うということを申し上げるわけであります。
  18. 北山愛郎

    ○北山委員 しかし現在の地方交付税法の規定の中にも、著しく地方財政の基準財政需要あるいは収入との差額が違うという場合には、その行財政制度を変えるなり、あるいは交付税税率を変えるなり、そういうことをするのだという規定が、たしかあると私は覚えておるのですが、いかがですか。
  19. 後藤博

    後藤政府委員 お答えいたします。地方交付税法の中には、おっしゃいます通り引き続いて著しい相違があった場合には、交付税の率を変更するという規定がございます。従来の平衡交付制度でありますれば、毎年々々不足財源交付金でカバーするという考え方であります。それが交付税制度の建前では長い間に財源調節をやるという考え方に立っておりまして、一年々々ではやらない。引き続いて著しく財源不足額と交付税総額とが異なった場合にはやる、こういう考え方でありますので、足らなかったからすぐそのまま自動的に交付税の率を変更するという建前にはなっていないという意味であります。
  20. 北山愛郎

    ○北山委員 ただいまのお答えは当然だと思うのですが、ただしかし交付税税率をきめる場合でも、やはり地方財政財政需要なりあるいは収入なりというものを見て、それによってすぐ自動的には変更にならなくても、国の方で法律を変える、そういうふうにして何らかの財源措置をしなければならぬという精神は、地方交付税法の中にもあると思うのです。そういうことをきめる場合、またそういうものを見る場合には、その財政計画というものが実際の基準になると私どもは考えて、その意味をそこに置いておるわけです。そういう法律上の根拠のみならず、やはり地方団体というものは自由に地方団体自身の仕事をしておるのじゃないのですから、その点は誤解をしてもらっては困るのです。要するに国の仕事を何割かやっておる、あるいは法令できめられた仕事をやっておるのが大部分です。それから補助金もたくさんもらって、そしてその指定された仕事をやっておる。あるいはまた財源の点におきましても、地方税法のワクというものは、ちゃんと国会できまるわけです。そういうふうに、地方団体は勝手に自分の好きな仕事をやっておるのでもないし、またその財源は自由勝手に地方団体がきめ得るものでもないのですから、そこでやはり地方財政あるいは行政の大きなワクというものを国がきめるのだという点においては、国の方がやはり大きな責任を持っておるのであり、従って地方財政計画というものは、そういう意味において国の立場から地方財政に対するいろいろな措置を考える場合に必要だから作るのだということは当然のことだと私は思うのですが、大臣はどういうふうにお考えですか。
  21. 川島正次郎

    川島国務大臣 お話の通り地方財政計画に基いた財政規模と、現実の財政規模とが違っておるということは事実でありまして、その差異を消しまして一致させることが必要なんでありますが、今日現実と地方財政計画にある規模との相違の大きなものは、主として給与であります。給与につきましては、現在国家公務員並びに地方公務員の給与実態調査をいたしておりまして、これが最近完了する予定になっております。そういう資料を集め、なお地方行政機構簡素化、事務の簡素化等による節減等もいろいろ勘案しまして、新しくその点は解決しなければならぬかと考えておりまするが、今日の段階においては、一応二十九年度財政計画基礎としたこういう案を作ったわけでございます。
  22. 北山愛郎

    ○北山委員 大臣の先ほどの地方財政計画に関する説明の中にも、地方赤字の問題について触れておりますが、この提出になりました地方財政計画というものは、昭和三十年度において、地方財政赤字が出ないというようなお見込みのもとに立てておる計画でございますか。つまり昭和三十年度で、大体この財政計画を基準にしていけば赤字が出ない、こういうふうな見込みで、この三十年度財政計画においては、従来の赤字原因というものを解消するような措置を考えられて作ったものであるかというのです。過去の赤字ではございません。
  23. 川島正次郎

    川島国務大臣 三十年度地方財政計画の表におきましては、一応赤字の出ないことを期待して作っておるでのありまするけれども、しかし先ほど来お話し申し上げておる通り、実際の地方財政計画に基いた財政規模と現実の財政規模との間には、二十八年度においても、二十九年度においても相違があるのでありますから、これは決算においてあるいは赤字が出るかもしれませんけれども、私どもといたしましては、一応三十年度財政計画においては赤字が出ないと考えてやっておるわけであります。
  24. 北山愛郎

    ○北山委員 この問題を追及していけば問題はたくさんございますが、時間も要りすまので、またあらためてやることにします。ただ申し上げておきたいのは、ことしの三月二十五日に内閣総理大臣から衆議院議長に出されました報告書の中に、赤字原因として列挙されておるものがあるはずでございます。ただいまお話のような人件費負担が多いとか、あるいは国庫補助の率が低いとか、あるいは災害の復旧のために非常に地方財政が苦しいとか、いろいろ赤字原因があげてあるわけです。従って、赤字を除去するということであるならば、そういうふうな原因を一つ一つ、たった一つでもいいからこの財政計画上において、あるいは今後の財政措置によって、この赤字の原因を解消するような措置が考えられておるかということでございましたが、この問題についてはさらに別にお聞きをすることにいたします。  なおこの機会にお尋ねをしておきますが、この財政計画に関連をする地方税法、あるいは自治法、あるいは再建整備に関する法案等は、大体どういう順序で、いつごろお出しになる予定でございますか。
  25. 川島正次郎

    川島国務大臣 ただいま関係各省間と折衝中でありまして、一日も早く折衝を終りまして、提案して御審議を願いたい、かように考えております。
  26. 北山愛郎

    ○北山委員 このうちで地方税法改正案は、これは堂々と新聞に発表になったわけでありますが、そのうち遊興飲食税の部分については、民主党の政調会の意見を取り入れて、大体現行通りやるというふうにも伝えられておりますが、その通り考えてよろしゅうございますか。
  27. 川島正次郎

    川島国務大臣 遊興飲食税につきましては、税率を下げまして、しかも現在の収入確保するために、公給領収書制度をとろうという案があったのでありますが、公船領収書の実行につきましては、相当疑問がありますので、はたしてこれが確実に行われるかどうかということについては、検討を要する点があるので、一応これを取りやめたわけでございます。従いまして、遊興飲食税につきましては、現行通りにいたすつもりでおります。
  28. 北山愛郎

    ○北山委員 次に、この財政計画の内容にもありますが、地方団体寄付金、負担金抑制の問題であります。これはこの前にも西田前長官からもお話があり、鳩山内閣の一つの公約のようなものであります。たしか閣議でもってその方針も決定されているように開いております。ところが先ほどのお話でございますと、再建整備の法案の中にこれを入れるんだというようなお話でございますが、なぜ地方財政法そのものの改正でもってお出しにならないのか、なぜ再建整備の法案の中でこれを処理するというのであるか、その点を承わりたいのであります。
  29. 川島正次郎

    川島国務大臣 再建整備を施行する団体だけにやるのではありませんで、全体の地方団体に対してこれを実行させるつもりでおります。必要ならば法的措置をするつもりでおります。
  30. 後藤博

    後藤政府委員 寄付負担金抑制措置は、もちろん地方財政法の問題でございます。従って、地方財政法だけを切り離してやるべきかと思いますけれども、両建整備団体との関連の問題がございますので、再建整備関係法律の中に入れまして一緒に御審議を願って、地方財政法改正をいたしたい、かように考えている次第であります。
  31. 北山愛郎

    ○北山委員 しかし寄付金、負担金の問題は、単に地方財政赤字の問題と関連するだけではないと私は思うのです。  国の機関あるいは施設に対して、地方団体寄付をするということが間違っているというのは、単に地方財政にそれだけの負担をかけるから、こういう意味じゃなくて、ある場合には、今の地方財政法の中にもありますように、警察なりあるいは検察庁なり、そういうような権力機関に対しては、たとい市町村といえども寄付をするということは好ましくない。そういう趣旨から、この寄付金、負担金抑制しなければならぬという、別な意味もあるわけです。従って、また現実に赤字団体になっておらない団体でも、やはりこの財政責任の限界をはっきりする。国や府県市町村がそれぞれ財源がきまっておりますから、その範囲でもって、自分の権限に属する仕事をやるのだというような責任、それから負担の範囲を明確にするという意味があるわけでありますから、単に赤字再建整備というような中に突っ込んで、寄付金、負担金の問題を規定するというのは、私は考え方が間違っていると思うのですが、重ねてお伺いします。
  32. 後藤博

    後藤政府委員 御意見よくわかるのですが、私どもの財政法を改正いたしたい点を申し上げますと、まず第一は起債の問題であります。現在起債につきまして、こまかい規定を置いておりまして、退職金等の経費については起債はできません。従って、この退職金の起債を認める規定を置かなければなりません。それはしかし再建整備団体を中心に考えているのでありますから、そちらの方との関係がございます。それから寄付金、負担金の問題につきまして、これは赤字のある団体とない団体との区分をする必要がやはりあるのではないか。本来寄付金、負担金というものは悪いということではなくて、赤字をしょいながら寄付金、負担金を出しておるというところに問題があるのでございますから、赤字団体に限ってある程度の規制をするというのが、やはり自治団体としての性格から当然ではないか。こういう考え方に立って見ますと、やはり赤字団体ということになって参ります。そうすると赤字団体のものでありますれば、再建整備の一環としてそれは再建整備団体の指定を受けようと受けまいと、やはり赤字団体としての考え方に立つ方がいいのではないか、そういう意味で、これは長い間の恒久的な改正法ではなくて、やはり臨時的な改正法という考え方であります。これらの改正もそのほか直轄分担金に関連する方の問題もございます。そういうものを永久に地方財政法改正として入れないで、やはり再建整備にからんで起る問題とし、やはり暫定的な立法にする必要がありはしないか、こういう意味からあわせて改正いたしたい、かように考えておる次第でございます。
  33. 北山愛郎

    ○北山委員 その点については地方団体一般的に寄付をするということは差しつかえないとしても、国と府県市町村というように財源が規定され、しかも公共の行政をやる場合の事務の配分というものがきまっておる場合には、やはりそういう点から規制する必要がある、こういうふうな意味合いで、私どもはこの寄付金、分担金の関係については、それ以外のいろいろな団体は別としましても、国や府県市町村との関係においてはこれを明確にする必要があるんだ。単に赤字団体だから寄付しちゃいかぬ、赤字がなければ寄付してもいいという簡単な問題ではないと思います。ですからこれはまた別に議論することにいたしましょう。  最後にちょっとお伺いしたいのはこの財政計画のおしまいの説明の要旨のところに、根本的な地方行政機構改革というようなことをうたっておりますが、現在地方制度調査会の小委員会において、その機構の改革について審議をされておると聞いております。けれどもこれはすでに御承知の通り地方制度調査会の委員は、国会あるいは地方団体の連合体の代表者等の委員は、それぞれみな変ってきております。従って現在の小委員会というものは、いわば前の申し合せによる審議の進行ではなかろうか、従ってあらためて地方団体等の代表委員並びに国会の新しい委員なり、そういうものによって新しく総会を開いて、そうして審議をし直すべきじゃないかというように考えるわけでありますが、単に前の小委員会にどんどん審議をさせておるというようなやり方は適当でないと私は思うのですが、大臣はどういうふうにお考えですか。
  34. 川島正次郎

    川島国務大臣 地方制度調査会の答申は、これを参考にいたしまして、政府の責任において立案いたしまして御審議を願うことになるのでありまして、地方制度の方は第一は都道府県庁の庁内の機構の問題であります。第二は行政委員会制度の問題であります。もう一つは議会の問題でありまして、この三方からいろいろただいま研究をいたしまして、なるべくできる範囲で大幅な改正をいたしたいと考えておりますが、しかし根本的の地方行政機構改革であるところの、府県の道州制でありますとか、府県の廃合等は今日まだこれを成案を得まして御審議を願う程度には至っておりません。今日はできる範囲内において大幅な改正をいたしまして、地方財政の健全化をはかりたい、こういう考えを持っております。
  35. 中井徳次郎

    ○中井委員 きょうは財政計画に対する説明を伺って質問はあとということですから、あとに譲りますが、資料という話でありましたから、今ちょっと北山さんがお尋ねしたことに関連するのですが、行政事務及び行政機構簡素化を推進するということを第一に大臣がうたっておりますが、これによって本年どれくらいの節約になるか、これを一つ資料としてはっきり出していただけるかどうか、ちょっとお伺いいたします。
  36. 後藤博

    後藤政府委員 お答えいたします。行政事務簡素化合理化によりますものは大体六億でございまして、これは十月ごろから手をつけますと半年分ということになります。本年度はそう大きく落ちませんので六億ぐらいしか見ておりません。この内訳は後ほど皆さんに内容をお配りいたしたいと考えております。
  37. 中井徳次郎

    ○中井委員 これについてできるだけ詳細な資料を一つお願いしたいと思うのです。と申しまするのは、これは叫ばれてからずいぶん長くなるのでありまするが、具体的にはっきりときまった段階にまではなかなかこない、今川島さんのお話を伺ってそういうことを特に感じたのでありまして、これはしかし小手先の細工ではなかなか節約はできまいと思うのですが、一つ資料をお願いをいたしたい、かように考えます。  それから先ほどの北山さんのお尋ねにちょっと関連をする寄付金の問題でありますが、これは私考え方をはっきりとさしていただきたいと思うのであります。寄付金には国や府県に対する市町村寄付金、それからそれ以外の青年会、婦人会に対する寄付金というものに分れるだろうと思うのでありますが、われわれのいつも町問題にしますのは、国や府県に対する寄付金なんです。そうしてそのことはこれまでたびたび言いましてもなかなか実現を見ない、しかも法律にははっきりと書いてある問題は、私はこれを府県市町村にいくら言ったところでなかなか改めないと思う。政府自体の問題だと思うのであります。どうぞ政府自体におかれても、国家の機関が下部機構に対して寄付を強要するというようなことのないように、これについて一片の通牒では私はだめだろうと思うのであります。もっとはっきりした態度を一つ示していただいたらどうかと思うのでありまして、川島さんの意見をちょっと伺ってみたいと思います。
  38. 川島正次郎

    川島国務大臣 ただいまのお話ごもっともでありまして、再建整備法の中にはっきり規定するつもりでおります。
  39. 中井徳次郎

    ○中井委員 私お尋ねしているのは再建整備法の中にそんなものを組んだところで何にもなりません。国や県の機関そのもの、政府でありましたら政府機関が下部に対して寄付を強要してはならぬということ、このことを明白に行政措置としてやられる必要がある、それでとまらぬのならば罰則でも一つ作ったらどうですか、そういうことを私はお尋ねするのであります。大臣の見解を伺いたい。
  40. 後藤博

    後藤政府委員 先ほどお話いたしました地方財政法改正の規定の中に、お話のような点の規定を入れたいと思います。今の財政法の規定では強制割当をしてはいけないという上からの規定はございますが、出してはいけないという規定はないのであります。ですから任意寄付という格好で出している、これを下から押えなければ、つまり地方団体は出してはいけないという規定を作らなければいけないわけであります。そういう規定を置くと同時に、先ほど申しましたように実質の赤字のあります団体につきましては、市町村府県それぞれ財政需要額の一定割合以上を出しますときは、市町村でありますれば府県府県でありますれば国の協議を要する、こういう規定を設けてその程度の規制をいたしたい。かように考えております。その規定は先ほど申しましたように地方財政法の規定の改正でありますが、これは永久的なものではなくて、やはり臨時的なものという考え方に立って、再建整備の法律の中に地方財政法改正規定を入れて出したい、かように考えておるわけであります。
  41. 中井徳次郎

    ○中井委員 私が申し上げておるまた御意見を伺っておることとお答えがどうもちぐはぐなんですが、私どもが言いたいことは、たとえば検察庁を五百万円で新築する、ところが予算が足りないのであと二百万円かかるが、これは関係府県市町村に一つ寄付を頼むという形で、これまで国家機関が寄付を下部機構であります府県市町村に強要をいたしております。形の上では寄付採納伺いというのをとりましてやっておりますけれども、裏から見ると、実質上はもう強制寄付なのです。この市では幾ら、この村では幾ら、人口比率で行くとかなんとかいうことでやって参る。この金額は相当なものです。特に全国の町村は非常に困っておると思う。町村会ではしばしば問題になっていると思うのでありますが、これを防ぎまする方法といたしまして、今はそういうふうに地方財政法がありますけれども、それだけではいけない。私は国の機構自体の内部において、それこそ皆さんの命令系統でありますが、そういうことをしてはならぬというはっきりとした行政措置が必要ではないかと思うのでりあますが、その点について大臣の見解を伺ってみたい、かように思います。
  42. 川島正次郎

    川島国務大臣 私はお考えに全く同感でありまして、そういう措置をしたいと考えまして、地方財政法なり再建整備促進法の中に、それを盛り込もうと思っておるのでありますが、なお私どもの考えで不十分の点がありますれば、御意向も取り入れて、今後提案の際によく考究いたします。
  43. 門司亮

    ○門司委員 この機会に資料を二つ、三つお願いしておきたいと思います。それは二十九年度公募債の実績がどうなっておるかということ、これは三十年度は公募債にかなり逃げられておりますので、これが完全に消化できるかどうかということの資料にしたいと思いますから、二十九年度における公募債の実績を知らしてもらいたい。各府県別あるいは市町村別でけっこうです。  その次に資料を頼んでおきたいことは、国庫負担金及び普通補助金さらに公共事業費補助金等に関する二十九年度の実績を一応調べてもらいたい。これは年度内に支給されておるかどうかが財政計画に大きな関係を持っておりますので、それを一つ明細に出していただきたい。  それから次にもう一つ頼んでおきたいと思いますことは、昭和二十九年度財源不足額の推定であります。これは五月までの会計の収支がまとまらぬと思いますので、九月ごろでなければほんとうのものはできないと思いますが、大体推定はできていると思いますので、二十八年度赤字が大体四百六十二億と書いてありますが、二十九年度の推定が一体どのくらいになっておるのか、これを一応出しておいてもらいたいと思います。  もう一つは二十九年度地方債の現況であります。先ほど申し上げましたのは公募債の実績であって、今度は地方債の国の負担分を一応どのくらい消化されておるか出しておいてもらいたいと思います。それからなおそれの事業別を一つ出しておいてもらいたいと思います。このことの資料をいただきたいと思いますことは、今度の計画の中で、地方債に関して部長のお話では、これは私の聞き違いかもしれないと思いますが、非常に大きな問題だと考えておりますことは、退職金その他に振り当てるために起債を許したいということが言われております。これは起債の本質からいうと非常に大きな誤まりでありまして、私は起債はそういうものに充当すべきじゃないと考えておる、これこそ将来地方財政をまた破綻に導く一つの原因をこしらえておるのではないか。金を借りて、払うめどのないようなもの、仕事の十分にできないもの、これは地方財政計画と非常に大きな関係を持っております。事業債である場合には大体事業が始まるまでは元金を払わないとか、耐用年数を越えてはならないという常識が起債に関してはあるはずだ。そういう常識の度を越えたこういう行き方をしておると、地方財政に将来大きな影響を特ってくる。だから先ほど申しましたように一応地方債の現況を報告してもらいたい。そういうことを資料として一つ至急に出してもらいたいということを、この際要求いたしておきます。
  44. 後藤博

    後藤政府委員 今の御要求の資料のうち、二十九年度の公募債で、はっきりわかっておりますのは市場公募がわかっております。縁故募集の分は五月の終りまでに大体話をつけるわけでありまして、各地方団体とも最後の折衝をやっておりまして、今のところどのくらい消化できないものがあるかということがわかりかねるものがありますので、これはもうちょっと先の方がいいのじゃないかと思います。今調べましても消化できないという数字が集まりますか、またところによっては逆にそれは消化しますとか、資料の要求の仕方によって、非常におかしな数字が出てきますので、当てにならない数字になるかと思います。従ってこれはちょっと今のところわかりかねます。二十八年度はございます。二十八年度は一番公募債の額が多かった年でありますが、二十九年度はちょっと今のところ集める段階になっておりません。これは御勘弁を願いたいと思います。  あとの方の国庫補助金なんかにつきましても、やはり二十九年度の分は、四月の終りまでに出せばいいという考え方を持っておるところが各省にございまして、特に農林なんかの補助金は四月になって出るところが相当ございます。その行方がどういうふうになっているのかということは、実は私ども困っておりまして、三月の資金繰りのときにやかましく申しまして、早く出せ早く出せと言っておったのでありますが、たしか三月の十日ごろ現在で二、三百億の補助金が残っております。そしてそういう話をしますと、やはり四月の終りまでに出せばいいのだという気持がありまして、なかなか出してくれなかったのであります。大体は全部出したのだろうと思いますけれども、集計ができるかどうか調べてみますから、ちょっと時間がかかるかと思います。
  45. 門司亮

    ○門司委員 今のお話ですが、私はその通りだと思います。その通りだと思いますが、私が頼んでおりますのは、たとえば補助金にしてもそういうことになっておるから、自治体は一応全部これを立てかえ払いするか、あるいは翌年度に繰り越す以外にないのであります。ここに自治体の赤字の一つの大きな原因があるのです。しかも地方自治体は実情に沿わないごくわずかな補助金をもらうのを当てにして仕事をした、それを払わないから来年度に繰り越すということで、正しい赤字の数字が出ていないと思います。ここに地方制度についての一つの大きな欠陥がある。この欠陥を是正するには、現実の姿を知らなければ、次の補助金などで財政計画をやってみたところで、赤字の解消にはなりやしない。毎年これを繰り返していれば、赤字ができるばかりです。赤字を誘発する。今のやり方赤字の誘い水みたいなものです。だからできるだけこれを各省に話をしてもらえば、各省はわかると思います。これは地方の自治体でなくても私は各省でとれると思いますから、各省に当ってもらいたいと思います。  それから二十九年度の公募債の問題でありますが、これも今と同じことなんです。少くとも自治体の年度の締め切りが三月三十一日になっておる限りにおいては、公募債が五月一ぱいというようなことをやっていれば、一体借金の利息はいつ払うのですか。借金の利息だけは年度内に払っておって、金はあとから借りるというようなばかばかしいことができるから、こういう問題が起きてくる。だからその点は、資料がなければないでいい、集まるだけでいいのです。私は何も無理なものを要求しようとは言いません。集まったものでいいと思いますが、われわれが心配しておりますのは、三十年度財政計画で将来の赤字がなくなるという方針を立てるには、やはりこれらの実績を見なければ、ほんとうの計画はなかなか立ちかねると思うのです。だから今お話を申し上げておるのでありまして、これだけ集めていただくように頼んでおきます。
  46. 北山愛郎

    ○北山委員 私も資料を二、三お願いしておきます。それは先ほどお話の寄付金、負担金ですが、その調査をたしか行政管理庁でやっておるはずであります。これはまだ全部そろわないと思いますが、そろっただけでもけっこうでございますから、なるべく早くお出しを願いたい。  それから補助金と見合いの地方負担関係、つまりことしの政府予算一般会計の公共事業費あるいは食糧増産対策費に見合う地方負担がどれくらいあるか、これは資料が当然あるはずでありますから、この資料をお願いします。
  47. 大矢省三

    大矢委員長 この際私からもお願いしておきます。例の財政計画に最も関係の深い地方税法、それから地方財政法の一部改正かあるいは地方財政再建整備法か何か知らぬがそういうもの、さらに地方自治法改正、これは最も関係が深いですが、これは大体いつごろ出る予定ですか。今北山君の質問に対してできるだけ早くということはありましたが、大体の予定というものを、この際明らかにしてもらいたい。
  48. 川島正次郎

    川島国務大臣 地方税法はすぐ御提案するようにいたします。閣議も決定しておりますから。それからほかのものは、最終は今月の三十一日までに全部出すつもりであります。それまでになるべく早く出すようにとりはからいます。
  49. 大矢省三

    大矢委員長 それでは一つできるだけ早く出してもらわぬと関係が深いですから、この機会に私から特に要求しておきます。それから先ほどの資料もできるだけ早くお出しを願いたいと思います。  それでは本日はこの程度にいたしまして、次会は公報をもってお知らせすることにいたします。これをもって本日は散会いたします。    午後三時三十三分散会