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1955-03-29 第22回国会 衆議院 地方行政委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年三月二十九日(火曜日)     午前十一時八分開議  出席委員    委員長 大矢 省三君    理事 安藤  覺君 理事 床次 徳二君    理事 鈴木 直人君 理事 前尾繁三郎君    理事 加賀田 進君 理事 門司  亮君       池田 清志君    亀山 孝一君       唐澤 俊樹君    木崎 茂男君       徳田與吉郎君    丹羽 兵助君       長谷川四郎君    青木  正君       熊谷 憲一君    灘尾 弘吉君       山崎  巖君    吉田 重延君       勝間田清一君    川村 継義君       北山 愛郎君    坂本 泰良君       五島 虎雄君    杉山元治郎君       中井徳次郎君  出席国務大臣         国 務 大 臣 大麻 唯男君  出席政府委員         警察庁長官   斎藤  昇君         警察庁次長   石井 栄三君         警  視  長         (警察庁刑事部         長)      中川 董治君  委員外出席者         警  視  長         (警察庁長官官         房長)     柴田 達夫君         警  視  長         (警察庁警務部         長)      柏村 信雄君         警  視  長         (警察庁警備部         長)      山口 喜雄君         専  門  員 有松  昇君         専  門  員 長橋 茂男君     ――――――――――――― 三月二十九日  委員松山義雄君辞任につき、その補欠として青  木正君が議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  警察に関する件     ―――――――――――――
  2. 大矢省三

    大矢委員長 これより会議を開きます。  本日は警察に関する件で調査を進めたいと思います。本日の政府委員並びに関係出席方々を御紹介申し上げます。大麻国務大臣斎藤警察庁長官石井政府委員柴田官房長中川刑事部長山口警構部長、柏村警務部長永田自治庁政務次官、以上でございます。  まず大麻国務大臣より発言を求められておりますからこれを許します。
  3. 大麻唯男

    大麻国務大臣 大麻でございます。私今回鳩山第二次内閣の成立いたしまして、私が国家公安委員長として入閣いたすことに相なつたわけでございます。今日の警察国家公安委員会管理に属するものでございまして、委員会まつすぐに不偏不党、公平に警察の事務を運営していきたい、こういうよう方針でおります。また国の治安についても万全の策を講じつつあるのでございます。私は不肖ながら委員長になりまして、この委員会意向政府に反映させ、また政府意向委員会に伝えまして、両者の意思の疏通を円満にはかつて、そうして民事警察の育成ということに専念いたしておるような次第でございます。ほんとうに不肖な者でございますけれども、皆様の御親切な御指導と御鞭撻とによりまして、あやまちなきを期したいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
  4. 大矢省三

    大矢委員長 次に斎藤警察庁長官から発言を求められておりますから、これを許します。斎藤警察庁長官
  5. 斎藤昇

    斎藤政府委員 斎藤でございます。先ほど委員長から、当委員会に、新しく委員になられた方もおられるわけでありますから、私からもあいさつをしたらよかろうという御注意がございましたので、一言ごあいさつを申し上げます。  私、当委員会におきまして、従前からいろいろと御懇切な御指導あるいは御鞭撻、あるいは至らぬ点のおしかりを受けて参つたのでございまして、非常に感謝をいたしておるのであります。どうぞ今後も同様によろしく御指導、御鞭撻をいただきたいと思います。私といたしましては、当委員会の御意向をどこまでも尊重いたしまして、また国家公安委員会管理のもとに、警察を少しでもよくして参りたい、かようなつもりでおりますので、どうぞよろしく御指導をお願いいたします。
  6. 大矢省三

    大矢委員長 それでは、これより最近の治安状況及び過般の総選挙取締りの結果について、政府より説明を聴取いたすことといたします。公安委員長大麻国務大臣
  7. 大麻唯男

    大麻国務大臣 今委員長の仰せの点につきまして、私から詳しく申し上げるべきでございますけれども、それよりも斎藤長官から具体的なことに基いて申し上げた方がよかろうと考えますので、どうぞお許し願いたいと思います。ただ私といたしまして一言申し上げておきたいと考えまことは、日本警察というものは、お見かけ申し上げましたところ、練達の方がたくさんおいでになるので、おこがましい申し上げようでございますけれども、決して悪くはなかったように私は考えております。ただ歴代の政府が、あるいは政党が、ややともすればこれを政争の具に供しようとした、あるいはまた供したという点に欠点があったよう考えます。それを直さなければならぬというのが今日の警察組織であり、委員会管理する組織であると考えます。私はたまたまその委員長地位に昨年つきまして、そして予算委員会に出まして、実に驚きましたことでございますが、各委員方々の御質問をずっと承わつておりますと、何やら私が、昔長い間政党生活いたしておりまして、そして選挙通である、選挙のことに詳しいというようなことで、そう言つちや失礼ですけれども、これから長くお世話にならなければならぬから、ざつくばらんに申し上げますと、何か、品川弥二郎さんか大浦兼武さんのような方がおいでになって、警察使つて選挙に干渉でもするのじやなかろうかというような御懸念があったように思うのです。ところが私は、皆さんもご承知通りに、今日の選挙というものは、警察を利用して選挙をしようなんていうことは下の下策であつて、決して目的を達するものではないと、かようにかたく信じておるのでございます。選挙に勝つということは、よいことをすれば勝つのであつて警察権を利用して勝とうなんて、とてもできるものではないし、また下の下であるというよう考えておりますので、私のような者でも、そういうふうに皆さんの一部からお疑いを受けている人間が、まつすぐにして、そうして至高至平で厳正公平な取締りをやり、そういうふうに警察を監督するということは、はなはだおこがましい話でございますけれども、目的も達しましょうけれども、それが政党の信用を回復するゆえんでない、こういうふうに考えておつたわけでございまして、自分といたしましては、まつすぐに、ちつとも曲つたことをしないように、そういうつもりで警察の当局の諸君 に接しておったわけでございます。そんなような気持でやつたつもりでございますが、お気に染まぬ点があったかも、しれませんけれども、それはどんどん御質問願いたいと思います。具体的なことにつきましては長官から申し上げますから、どうぞよろしく御了承を願いたいと思います。
  8. 斎藤昇

    斎藤政府委員 それでは私から、最近の治安状況選挙取締り概況をかいつまんで申し上げることにいたします。  最近の治安は、年末年始国会解散前に比べまして大した変化はございません治安状況を二つの方面から考えてみますると、普通の刑法犯の点から考えて参りますると、国民の衣食住がだんだん安定をして参りました関係でありましょうが、窃盗犯というようなものはむしろ漸減のよう傾向をたどつております。ただ殺人、強盗といった凶悪犯がむしろ増加の傾向を見ておりますことは非常に寒心にたえない次第でございます。警察といたしましては、昨年から、ヒロポンの撲滅あるいは暴力団の徹底的検挙に力を注いで参っておるのでございまするが、今後も、この凶悪犯の予防、ことに検挙に対して力を注いで参りたい、かよう考えておるのでございます。他の、いわゆる政治的意図を持つたものによって行われる犯罪、いわゆる極左あるいは極右分子の行う犯罪、あるいは行うであろう犯罪、その傾向につきましては、極左の面におきましては、日本共産党方針といたしまして、年末年始にかけまして、今までの極左偏向的な行き方は、大いに考え直さなければならない、もっと平和的な国民に溶け込んだ連動に主力を注ぐべきであるとうい方針を打ち出されて参っておりまする関係上、こういった面の表面的な治安という面は、ただいまはきわめて平静でございます。しかしながら将来においてそういった暴力的な事犯を絶対に犯さないという保障はいまだ得られていないよう考えておりまするので、われわれといたしましては、さような面における日ごろの調査というものも、依然ゆるがせにできないと考えておるのでございます。極右の動きといたしましては、これまた昨年末以来大した変化はございません。一時日本の政治的ないろいろな問題が先鋭化いたしました際に、あるいは暴力的な行為、すなわち暗殺というようなことを計画し、または実行せんとする者がなきにしもあらずであったのでございますが、最近の様子といたしましては、かよう懸念も現在の段階ではございません。さように御了承いただきたいと思います。  選挙違反取締りでございますが、今次の衆議院議員選挙違反取締りに当りましては、警察といたしましてはどこまでも人権を尊重した、納得の行く捜査をするようにという点で、技術的にいろいろと今までの選挙取締り実情反省をいたしまして検討をいたし、できるだけりつぱな取締りのできるようにということを念願として参つたのでございます。もちろんどこまでも厳正中立であるべきことは申すまでもないのでございまするが、ただいままでわれわれ受けておりまする報告によりますると、大体これに反するよう取締りの模様は見えないのでございます。われわれといたしましては、だんだんと選挙取締り人権尊重の線に沿って、技術的にもよくなって参ってきておるようにも思うのでありますが、しかし今後さらに検討を加えまして、よりよく人権尊重の趣旨に沿うよう反省を加えなければならないと思っておることはもちろんであるのであります。今次選挙に当りましても、従来からの公明選挙運動がきわめて熱心に展開をされておつたのでございます。従いまして選挙違反に対しまして、これはよろしくないという国民的な感じが相当上昇して参つたように思うのでございます。選挙違反検挙件数から見ますると、三月二十二日現在の報告が最近われわれの手元にまとまつておりまするが、これによりますると検挙人員は一万五千四百人と相なっております。件数が八千五百件になっております。前回の昭和二十八年の四月選挙の際には検挙人員が約一万二千人であったと記憶しております。二十七年十月選挙は四万四千人であったと記憶いたしておるのでございますが、ただいま申し上げました数字は二十二日現在でございまするので、最終的に取締りを終了いたしますまでの間に、まだ若干はふえようかと存じまするが、しかし十月選挙に比べますると、件数はおそらく半分程度であろうと考えております。四月選挙に比べまして、五、六割は増加したかと考えております。四月選挙は十月選挙直後の突然の解散でありましたので、従って違反件数も少かったと思っておるのでございます。今次選挙におきましては、事前検挙――と申しまするのは投票日以前の検挙件数従前に比べまして多かったように思えるのでありまして、投票後の検挙件数は前に比べますと、比例的に見ますと割に少いように見えます。むしろ事前検挙公明選挙運動の結果、実際の選挙違反件数は、かえつて少かったのであろう、かよう考えておるのでございます。警察で取り調べました人員が、二十二日現在で一万五千人と申し上げましたが、この大部分の一万余は任意の調べでありまして、通常逮捕、すなわち逮捕令状によって逮捕して調べました者が五千二百人弱でございまして、この点もできるだけ人権尊重見地から任意取調べをよしと考え、さよう指導をいたしておる次第でございます。件数八千五百件の中で、買収利害誘導が六千九十件、自由妨害が百十一件、戸別訪問が千百七十二件、文書図画制限違反が七百九十三件、演説制限違反が三十二件、その他三百二十九件、かように相なっておる次第でございます。以上概況でございますが、もし御質問がございまするならば、それに応じましてお答え申し上げます。
  9. 大矢省三

    大矢委員長 ただいまの説明について質疑の申し出がありまするから順次これを許すことにいたします。坂本泰良君。
  10. 坂本泰良

    坂本委員 質問をいたす前に、今の御説明の中で、事前検挙投票日前に一斉捜査あるいは家宅捜索された件数は幾らかわかりませんか。捜査令状によって捜査したものです。
  11. 斎藤昇

    斎藤政府委員 投票期日前までの検挙件数が千三百十四件で、人員は二千二百四十人と相なっておりまするが、そのうち何名が令状によって逮捕された者か、何名が任意取り調べであるかという数字は、ただいま手元に持っておりませんので後刻調べましてお答えいたします。
  12. 坂本泰良

    坂本委員 私は左派社会党でございますが、現在の警察案法は昨年の変則国会と一般にいわれておる国会で、すでに国会が終了いたしました後に参議院を通過したものでありますから、われわれはこの警察法は無効である、こう固く信じまして、全国警察法無効の訴えを提起いたしておるのであります。従いまして、われわれは現在の警察法に基く警察機構に対しては無効を主張しておるのであります。しかしながら、現実の問題といたしまして、総選挙が行われ、その検挙が行われ、さらに選挙違反取調べ現実に行われたのであります。また町村合併の問題におきましても、合併に賛成、反対の間の非常な闘争によって、検挙も見ておるのであります。かようなのも、われわれは、実質形式とも警察法建前を無効といたしておりまする関係で、いずれも憲法違反であり違法であるという建前をとつておるということを、前もって申し上げておきたいと思います。ただ現実の問題としてかような問題が起きておりまするから、その見地に立ちまして以下若干御質問を申し上げたいと思うのであります。  先ほど大麻公安委員長の御説明によりますると、まことにりつぱな説明であったのであります。しかし現実はわれわれはそうりつぱな取締りでないと考えております。第一にお聞きいたしたいのは、今回の総選挙における選挙違反の際においては公平にやつた至公至平にやつた、こういうことであります。今回の選挙においては、大麻委員長自身が総選手に候補者として立っておられ、選挙地にほとんど行っておられたと存ずるのでありまするが、そういう関係で、あるいはまた鳩山内閣選挙管理内閣であるという関係で、至公至平に行われたという点もあるいは言えるかと思うのでありまするが、今回できました鳩山内閣のもとにおきまして、果し至公至平に、また革新的考えの者を直ちに日共的の思想の者であるというよう考えをなくしてやつていかれるつもりかどうか、その点をお聞きいたしたいのであります。
  13. 大麻唯男

    大麻国務大臣 申し上げます。私が公安委員長地位におりながら立候補した、そうして始終選挙区に行っておったじゃないかというお話であった。それはちょっと坂本さん、御同郷だから御存じのはずですが、そうでございませんでした。代理の者は出しておきましたけれども、とうとう残念ながら立会演説に一回も出られぬような仕儀でございまして、まあ十一日か十二日ぐらい選挙区に参りましたような次第でございます。坂本さん御自身も、お話を伺つておりますと大体鳩山内閣至公至平にやつたということはお認めになっているような御議論のように拝聴いたしましたが、どうぞ一つここらあたりでお許し願いたいと思います。別に一つも不公平なことはいたしておりません。公平にやつたつもりです。また警察もそういうつもりで前からやつてつたようですから、鳩山内閣ができて政党自身の者が公安委員長になつたからといって、そんなものにちつとも動かされずにやつていっておるのでございます。だからして、ちょっと私事みたいな話で恐縮ですけれども、私の郷里でも革新派がえらい御進出になりまして、非常にけつこうなことだと思っております。まあこれで御了承願いたいと思います。
  14. 坂本泰良

    坂本委員 今度の選挙に対しての御説明はわかりましたが、今後の問題です。前には鳩山内閣選挙管理内閣でした。今度できた鳩山内閣のもとにおいて、革新的な者を直ちに日共その他というよう取締りをせずに、これは一例ですが、至公至平にやつていかれるかどうか。
  15. 大麻唯男

    大麻国務大臣 ちょっと聞き違えまして失礼いたしました。もちろん今後も至公至平にやっていくつもりでございます。
  16. 坂本泰良

    坂本委員 以上少し具体的な問題について斎藤警察庁長官にお聞きしたいのですが、今回の総選挙に際しまして政党並びにその他の団体政治連盟組織いたしておりまして、活発な活動日本政治的民主化のためにやつたのでありますが、この政治連盟に対する取締りの態度、また実際行なつた点についての方針その他についてお開きしたいと思います。
  17. 斎藤昇

    斎藤政府委員 今回のいわゆる政治団体に対する取締りにつきましては、これは政治団体政治活動選挙運動中できますことはもちろんでありますし、許された範囲内の政治活動をすることは当然でございますが、これが違法な選挙運動になるというようなことがあつては相なりませんので、さよう見地から全国警察注意をいたしておったと思うのでございます。警察といたしましては、政治団体関係があると思われる事件は、私の記憶いたしております相当大きい問題といたしましては、政治団体のいわゆる機関紙が違法に出版されて頒布されたのではなかったかというのが一件、私は記憶いたしております。その他につきましては問題になるようなものは大してなかったと記憶いたしております。
  18. 坂本泰良

    坂本委員 今御説明がありました機関紙の問題ですが、機関紙選挙法によりますと、政治連盟本部から発行したものであれば、自由に頒布その他ができるということになっております。しかしこの労働組合にいたしましても、各政党にいたしましても、本部は大体東京を中心にして一カ所であります。そこでこれを全国に、あの選挙の際広くこの機関紙をやるのについては、東京印刷をしては輸送その他において支障を来たす、さらにその目的を遠しないのであるから、機関紙タイトルを各府県の支部その他に送りまして、そうしてその発行について本部から指示をし、発行の日も指示して、そして地方印刷にして配布する、こういう方法がとられておつたのでありまするが、この点についていかなる御見解を持っておられるか、お聞きしたい。
  19. 斎藤昇

    斎藤政府委員 公職選挙法の二百一条の十一には、「政党その他の政治団体本部において直接発行し、」こういうように書かれておりまするので、本部機関紙タイトル地方発行するというものにつきましては、いささかこの規定には反する、かよう考えております。
  20. 坂本泰良

    坂本委員 本部発行するという言葉の解釈の問題ですが、タイトルを送つて、そしてその発行日も、それからどういうふうにしろという指示をして、いわば印刷だけを各地方でやる、そうしてそれを配布する、こういう関係ですから、これはやはり本部発行するというふうに当然解さなければならないと思うんですが、それをそうせないと解釈されるならば、どういう見解のもとにされるか。
  21. 斎藤昇

    斎藤政府委員 直接発行とありまするのは、その本部において直接に印刷をして、そして頒布をするということであると解釈をいたしておるのであります。印刷をしないで発行ということはちょっと考えられない、直接発行とは本部において印刷をし、そして頒布をする、かよう解釈しております。
  22. 坂本泰良

    坂本委員 これは公職選挙法改正の際にそういう狭い考えではなかったと思うんです。そういうことにすればこの選挙期間の短かい間にそういう配布なんかできない、しかもこの政治連盟というのは本部は一カ所なんですから、この機関紙発行については今の御説明ような狭い解釈でなくて、本部発行するそのものと同じようなものがタイトルによって、そして印刷の仕事だけを各地方でやるのであるから、当然本部発行に入る。私は公職選挙法委員でもありませんでしたが、そういうふうに委員になっている方から聞いておるんですが、また制定される当時の意思もそうであったろうし、また現実の法の解釈の上から行きましても、本部発行というのはもちろんその文字解釈から行けば本部発行するということになるのでしようが、ここに本部発行というのはやはりこの選挙闘争実情からいたしまして、そのタイトルを送つて印刷だけをやらせるというのは、やはりこの本部発行の中に入る、こう解釈せざるを得ないと思うのでありますが、もう一応確めておきたいと思います。
  23. 斎藤昇

    斎藤政府委員 お説の次第もございますが、われわれといたしましては、最高検、法務省それから自治庁等と十分打ち合せ研究の結果、さよう解釈に到達をいたしておるのでありまして、先ほど申しますように、直接発行というのは、ただタイトル編集方針を伝えて地方印刷されて各支部発行するという形は、この「直接発行」特に「直接」という文字を入れてあります点はさようであろう、かよう解釈をいたしておるのでございます。
  24. 坂本泰良

    坂本委員 最高検その他と打ち合せをして、そういうふうに解釈されました時期はいつでございますか。
  25. 斎藤昇

    斎藤政府委員 先般選挙の行われます直前公職選挙法改正に相なりましたので、特にその改正部分につきましては国会解放前からただいま申しました関係庁解釈協議をいたしまして、選挙が行われますたしか直前にそういう解釈を確定をいたしたのでございます。なお具体的問題が起りました際にも、さらにそれを確認をしてその上で収締りに当つた、かような次第でございます。
  26. 坂本泰良

    坂本委員 実際この選挙のあとを見ますると、この機関紙発行についてはこれは本部だけでなくて、各地方政党もその他の団体もやつておると思うのですが、その点について一部だけを取り締り、他を取り締らないというような点が見受けられるのですが、その点についてはいかがでございますか。
  27. 斎藤昇

    斎藤政府委員 他の方で支部発行をいたしておりましてまだ検挙をしていない、取締り対象にしていないという点につきましては、私まだ報告を受けておりませんが、さようなものがあるといたしますれば、なお今後も取締りをいたさなければならないかと考えておりますので、さような事例がございましたら、一つ申し出をいただきたいと思います。先ほど申しました一件はその機関紙を持って戸別訪問をしたという疑いから起つた問題でございます。特に戸別訪問機関紙というもので注意を引いたのでございますが、お説のようにまだ警察あるいは検察取締り対象外のものがほかにはないということを断定しかねると思うのでございます。もしさようなものがありまするならば、今後も注意をいたしたいと考えております。
  28. 坂本泰良

    坂本委員 私はそれをどうこうしろというわけじゃない。選挙はもう過ぎております。機関紙発行について今述べられましたようなのでやつたのは、戸別訪問を端緒として一つでありましょう。ですから、たつた一つくらいの点ですから、この事実からして、選挙前に直接発行の点について今御説明よう考えはなくて、事件が起きてからそういうふうな解釈とつたんじゃないですか。そういう点をはっきりしておいていただきたい。
  29. 斎藤昇

    斎藤政府委員 先ほど申し上げました通り、この解釈選挙の始まりまするころには、もう解釈の統一ができておつたのでございます。さらに実際に検挙をいたしまする際には、もう一度確認地方警察検察へいたした、かよう承知をいたしております。
  30. 坂本泰良

    坂本委員 選挙直前にこの問題を確定したと申されますが、確定されましたら、その解釈については各地方選挙管理委員会にもそういう解釈の点について協議をされたか、または連絡をとられたかどうか、その点を伺つておきたいと思います。
  31. 斎藤昇

    斎藤政府委員 私の方はその点につきましては自治庁と協議をいたしております。自治庁が選挙管理委員会にどういう通牒を出されましたかは承知をいたしておりません。
  32. 坂本泰良

    坂本委員 しかしこういう重要な問題は、単に自治庁と協議したたけで、そういうことをやつたのでなくて、これは、二月の二十日ころ機関紙発行戸別訪問だというので警察検挙して、そうしてその事実が出て来て、その取締り方針を拡大しようという見解のもとに、国鉄政治連盟の横浜の問題ですが、最初戸別訪問であげて、そうしてそれを機会に今のよう解釈をとつて選挙後の三月五、六日ころになって、その解釈に基いて国鉄の本部とか、東京地方本部捜査にかかったんじゃないですか。
  33. 斎藤昇

    斎藤政府委員 これは外部からごらんになりますると、戸別訪問として検挙をいたし、送検をいたしました時期と機関紙検挙をいたしました時期が異なっておりまするから、さようにお考えになるのも御無理はないかと存じますが、解釈の点は後においてきめたのではございません。最初から解釈はさように確定をいたしおつたのであります。果してその解釈通り本部において発行したものであるかないか、地方において発行したのじやなかろうかという疑いを持ちまして、その後検察庁が中心となって、この方の検挙をいたしたのでありますが、しかしこれを検挙いたすために、さよう解釈をきめたのでは決してありません。それから先ほどの御質問事前検挙の内訳がただいまわかりましたから申し上げます。選挙期日前の検挙件牧は内訳がわかつておりますのは二十六日現在、先ほど申し上げましたのは七日現在ですから、若干先ほどよりも数が少うございます。すなわち先ほど検挙人員二千二百四十人と申し上げましたが、二十六日現在のは二千六十六名であります。そのうち通常逮捕が五百七名、それから緊急逮捕が六名、現行犯逮捕が百四十二名、任意調べが千四百十一名、かように相なっております。
  34. 門司亮

    ○門司委員 私は今の坂本君の質問に関連して、ちょっと聞いておきたいと思います。この文書の配布については、政党一つの機関の機関紙であれば、通常の配布の方法によれば別に違反にならないわけである。従って文書の印刷をどこでしたかというようなことも、その届出をしておる一つ団体機関紙であれば、私は別に差しつかえはないと考えてれるが、当局はそういうことでなくて機関紙をどこで印刷したかというようなことまで調べる必要があるとして、国鉄の本部その他に手入れがなされたというようなことに私は解釈するのであります。それともう一つこの機会にはっきり聞いておきたいと思うことは、横浜で起つておるもう一つの問題、これは配布の方法について警察に何らの確証のある違反事実はない、同時に印刷自身についても別段拡張解釈をして別のところで印刷した疑いも何もない。にもかかわらず突如として組合の事務所を襲つて、そこに置いてあった機関紙を全部押収しているというような事実がある。これなどは明らかに私は警察の行き過ぎだと考えておる。いわゆる見込みの捜査である。片一方に犯罪事実があつて、その犯罪事実に基いて捜査の必要があるというならば、これはわかる、しかし犯罪事実は何もない。ただそういうことをやつておるのであろうということで家宅捜索をするというようなことは、私はやはり選挙取締りの上から行けば、少し行き過ぎではないかと考えるのですが、この点どうお考えになりますか。
  35. 斎藤昇

    斎藤政府委員 神奈川の場合には、最初国鉄の政治連盟本部が直接発行したものではないという相当濃厚な疑いがありました。そこで判事の令状をもらつて必要な個所を捜索をいたした、こういうことだと存じておるのであります。これは私は逃げるわけではございませんが、しかしこの本部令状請求は検察庁が中心になって、警察がお手伝いをした、こういう形になっておるのであります。検察がやりましても警察がやりましても同様でございまするが、事実だけはさように御了解をいただきたいと思っております。
  36. 門司亮

    ○門司委員 重ねて聞いておきたいと思います。今検察庁の指揮だというお話でありますが、これもあるいは検察庁の指揮かもわかりません。しかし私は警察としての見解を聞きたい。先ほどから申し上げておりますように、配布が違法であったというなら、違法であったという犯罪事実をはっきりしてほしい。従ってこれに基いてたとい文書を取り締るということになって参りましても、文書自身には私は何も違反はないと思う。ただそれの配布方法が戸別訪問とかそういうものが行なわれたかもしれない。これはこれとして私は一応いいと思いますが、ここで時間もないので長く押し問答はいたしませんが、もう一つ事件です。そういう犯罪事実は何もない。機関紙配布で戸別訪問した疑いもない、そういうまだ犯罪事実もあがつておらない、それから別にほかのところで印刷したということの疑いをかけられるよう犯罪事実も何もあがつておらない。その犯罪事案のないところに、いきなり組合の事務所に来て書類を押収していった事実がある。それはあなたの方に報告されておるはずである。これらに対する警察としての考え方を、この際お聞きしておきたい。
  37. 斎藤昇

    斎藤政府委員 これが直接発行でなければやはり犯罪であるわけです。従って発行自体が直接発行でないという疑いが濃厚であれば、捜索をするのが私は当然だと思います。
  38. 門司亮

    ○門司委員 国鉄の問題が今問題として取り上げられなければならないのは、犯罪事実があったものについての検挙は私はこれは必要だと思う。しかしあるであろうからという見込み捜査というものは、往々にして人権をじゆうりんするきわめて大きな問題が出てくると私は思う。もし警察が見込み捜査が平気でできるということになって参りますと、これはゆゆしい問題です。私はその点を非常に憂えておる。それからもう一つの問題は、国鉄の問題と別個に考えてもらいたい事実があるのですが、それ横浜市従の組合事務所に、市従の発行した機関誌その他がこれの配布の方法がどうであったかわかりませんが、しかしその犯罪事実は何もあがつておらないのである。その市従の権関紙を戸別訪問して配布したという国鉄のよう犯罪事実もない。同時にこれはほかで印刷したものであるという疑いもない。疑いのあるような事実もまだ警察にはあがつておらない。何も関係がない。しかし突如として組合事務所に来て機関紙を全部押収しておる。これは明らかに、そういうことをやつたのではなかろうかという見込み捜査に間違いないと思う。犯罪事実に基いて捜査をされるものなら、今長官の言うように――われわれには多少の問題が残されるとしても、あなたの方には言いわけがあるかもしれぬ。こういう犯罪事実があったのだから、どうも怪しいから調べたのだというのならあるかもしれない。しかし犯罪事実も何もあがつておらない。それなのに家宅捜索をして書類を押収した事実がある。これに対する警察考え方を、この際一つはっきりしておいていただきたい。
  39. 斎藤昇

    斎藤政府委員 警察捜査をいたしますのは、犯罪事実があると疑うに足る相当のものがなければならぬことはもちろんであります。ことにこういう捜査令状による捜査でありますから、判事に請求いたします際に、かくかくの事実によって、かくかくの疑いがあるということでなければ令状がもらえないわけであります。市従の機関紙捜査の点はまた聞いておりませんが、取り調べてみたいと存じますけれども、ただ違反をしているのじゃないだろうかという漠然たる疑いで、捜査令状を請求いたしましても、令状はおりないでありましようし、またさようなことは厳にないよう指導をいたしておるつもりでございます。市従の点はよく調べてお答えをいたします。
  40. 坂本泰良

    坂本委員 ただいま門司君から具体的の問題が出ましたようですが、その横浜の問題で、二月の二十日に機関紙を配つたの戸別訪問だという嫌疑のもとに大船、川崎の国鉄の分会を一斉捜査して、そうして責任者を二名と三名、計五名逮捕して、そしてその取調べの内容は、戸別訪問でなくて、政治連盟組織、運営、こういう点を聞き、さらに推薦候補はどこで決定したか、こういうようなことを取り調べて、おる事実がある。これはまだいよいよ選挙の二十八日の一週間だから、一番大事なときである。こういうときにわずか戸別訪問くらいで一斉検挙をやり、さらに責任者を五名も逮捕して、その取調べの内容が戸別訪問でなくて、今申しましたよう取調べをやつておる。この点からすると、これは政治連盟に対する弾圧であり、運動の制止抑圧の手段としか考えられない。われわれはこれはやはり不法関与ではないかという見解を持っているのですが、この点についてはいかがですか。
  41. 斎藤昇

    斎藤政府委員 戸別訪問くらいとおつしやいますが、この国鉄の場合には相当組織的な戸別訪問が行われたように見えたのであります、ただ個々の運動員が投票を獲得するために任意戸別訪問したというのでなくて、相当中央部で計画をされて、そしてその計画に基いて行われたものであるよう疑いが相当強かったのであります。さよう疑いが強くなって参りますると、しからばその計画をどこでしたか、だれが計画をしたのかということに相なりますると、その政治連盟候補者を推した経過とか、そこでどういう運動をしようというような何があったかどうかということを調べますために、勢いただいまお尋ねのような点を聞いたのであろう、かよう考えておるのであります。私はあの場合においてそういう点を聞くのは当然ではなかろうかと、かよう考えます。
  42. 坂本泰良

    坂本委員 こういう点が至公至平でなくて、ごまかしになるわけです。戸別訪問も悪質の何十万、何百万とばらまいたのをやるのは別だけれども、機関紙を配つただけを私服がつけて行って、そうして一件か二件の事実をあげて、それによって一斉検挙をやつて、分会の責任者を逮捕して、組織とか運営とかを聞く、これは何も戸別訪問には少しも関連がないわけなんです。それを当然組織的の戸別訪問だというようなことでごまかして、そういう取調べをやり、一斉検挙をやること自体が選挙の弾圧になり、政治連盟の正しい運動の弾圧になるわけであります。われわれはこの点警察は決して至公至平にやつたとは言えないと思う。ことに投票前の一斉検挙とか逮捕とかについては十分注意しなければならないのを、先ほどの報告によると、今回の選挙には相当件数があがつておる。これはやはり警察が公平に選挙違反取締りをやつたということは言えないと思う。  なおこれに関連して広島の問題ですが、これは選挙の翌日に、全専売の政治連盟の事務所を一斉捜査をして、出勤簿を押収しておる。その出勤簿も去年十二月からの出勤簿によって調べをしておる事実がある。こういう事実を知っておられるかどうか。何のために二月選挙に対するのに十二月からの出勤簿を押収して、その出勤した者を調べたか。これは全専売の出勤簿ですよ。政治連盟の出勤簿じゃない。専売組合員の専売公社に働く者の出勤簿を押収して、そして十二月から調べておる。そういうのが果して適当かどうか、その点をお聞きしたい。
  43. 斎藤昇

    斎藤政府委員 広島の全専売の出勤簿を調べたという点につきましては、また何ら報告を受けておりませんから、調査をいたしてみたいと思っております。ただ全体といたしまして、政治連盟といえども、選挙違反疑いがあれば当然区別なく調べなければならない。ことに多人数を伴う組織的な戸別訪問というようなものを、そこで計画をしてやるというようなことは、私は、選挙の公正を著しく害する、かよう考えます。従いまして、そういうよう疑いがないにもかかわらずやつたというのであれば、これは私は行き過ぎであろうと思いまするが、疑いが出てきました以上は調べるのは当然である、かよう考えておりますから、この点は御了解をいただきたいと考えます。
  44. 坂本泰良

    坂本委員 広島の問題は、具体的事実を知らないと言われるから、架空の上の議論をしてもつまらないから留保しておきます。  なおこの選挙違反検挙に当つて、四月に行われる県会議員、市会議員あるいは町村会議員の選挙に立候補しようというような者を逮捕して、嫌疑があるかないかわからない、あつてもわずかの者を二十日間も引つぱつておく、そうしてその結果は、結局そういうよう関係で、せつかくその人が市会議員、県会議員あるいは町村会議員に立とうという政治生命が、それによって間接的に阻害されるという事態もあるわけなのですが、そういう点については、長官警察に対しての指導をどういうふうにやつておられるか、お聞きしたい。
  45. 斎藤昇

    斎藤政府委員 私は、取調べはできるだけ急いで短期間に調べて、身柄はなるべく早く釈放するのがよろしい、かよう考え指導をしておりまするが、しかし警察令状による勾留の期間は二日間でございまして、あとはすべて検事勾留に相なるわけであります。われわれといたしましては、検察庁にさような趣旨の連絡は時々いたしておりますが、検事勾留をどこでとめるかは検事の権限でございます。しかし検察庁といえども、私がただいま申しました意見とおそらく同意見でやつておられると思っております。
  46. 坂本泰良

    坂本委員 千葉の事件では、労働金庫を捜査して、その捜査の書類によって、新聞記者を立ち合わせて、県会議員に対してこんなでたらめな貸しがあった、一般には貸さないで、県会議員にだいぶ貸しておるではないか。――買収したかどうとかいう嫌疑のもとにそれをやられるなら別でありますが、でたらめな貸付があるとか、一般に貸さないで県会議員に貸すのはどうかとか、こういうよう取調べをするのは行き過ぎだと思うのですが、その点についてはいかがですか。
  47. 斎藤昇

    斎藤政府委員 千葉の労働金庫を調査をしたという事件は、これも詳細は聞いておりませんので、どんな調べ方をしたのか調べてみたいと思いますが、おそらくこれは選挙違反、すなわち買収等に伴つて、余儀なく調べたものだろうと考えております。
  48. 坂本泰良

    坂本委員 時間がないから主な点だけ申し上げますが、鳥取県において非常な買収があがつて、市会議員が三名、その他二十名近くが逮捕されて、調査が重大段階に入つた際に、その捜査の局に当る者を、欠員に名をかつてほかに異動した事実があるのですが、この点について御存じかどうか、そういうことがあったかないか、お聞きしたい。
  49. 斎藤昇

    斎藤政府委員 この点につきましては参議院の中田議員から御注意がありましたので、よく取り調べてみまして、結論といたしましては、鳥取県の余儀なき人事異動のために、たまたま関係署の者を本部へ異動せしめたということでございまいすが、これは選挙取締りには何ら支障を来たしておりません。関係署におりました者を、県の捜査本部に引き上げたのでありまして、この事件は県本部と署と密接に連絡をしてやつておりました事件でございますから、むしろ選挙違反取締りには便宜にはなつたでありましょうが、そのために支障を来たしたとか、いわんや当該候補者選挙違反をできるだけあげさせないようにするために、こういう異動を行なつたというよう考えられる事実は一つもございません。この点は私は責任を持って皆さんに申し上げられると思います。
  50. 坂本泰良

    坂本委員 この問題は、責任持ってと申されますが、市会議員を三名、その他二十名、計二十数名も逮捕しておる。その調べの主任を、その調べの段階に入る前に、本部へといえども転勤させる、そのこと自体が、これは何かのもくろみがあったんじゃないか、あるいは転勤さして、この捜査をうやむやに葬るじゃないかという疑いがあるわけであります。それは余儀なき人事で異動さしたというのだが、二十数名を検挙して調べるような違反があった場合において、異動に名をかつてその主任を栄転させるとか、そういうことでほかへやつちやつてその事件をうやむやにするのではないか。これは便宜になつたというような、ことはとうてい言えないと思います。しからばその二十数名を検挙した事件について、現在どう結末が終つておるか、その点を承りたい。
  51. 斎藤昇

    斎藤政府委員 当該の鳥取署の捜査主任を本部捜査課に、他の異動と関連してやむなく配置をいたしたのでありますが、しかし御指摘のよう選挙違反取締り中でありましたから、その本人は、前にも申しましたようにこの事件は県本部と合同捜査をやつてつた事件でありますので、本部捜査課に転勤はいたしましたが、しかし依然この事件につきましては、鳥取署に事実上参って、その事件を中心にして捜査を進めておるのであります。従いまして捜査上は何らの不便を来たしておりません。この事件はまだ結末がついておりません。ただその後当然その取調べを引き続いてやつておる、かように申し上げておきます。
  52. 坂本泰良

    坂本委員 そうするとこの事件は二十三名検挙されておるのですが、これを釈放してまだそのままという御説明ですか。
  53. 斎藤昇

    斎藤政府委員 そのうち何名が起訴になつたかどうかは、まだ報告を受けておりませんが、いずれこの事件として何名起訴になり、何名不起訴になつた、あるいは裁判が進んで参れば、有罪、無罪もそのうち判明するだろうと思います。
  54. 坂本泰良

    坂本委員 朝日新聞の三月二十日だったと思うのですが、主婦を刑事犯扱いにする、選挙違反摘発に行き過ぎだというので、大きく新聞に出ておるのですが、この事件ついて調査をされたかどうか、その点をお伺いしたい。これは名古屋の事件です。
  55. 斎藤昇

    斎藤政府委員 これは新聞に出ましたので、取調べをいたしましたが、取調べの方法といたしまして、不当であるというようには考えられなかったのでもあります。
  56. 坂本泰良

    坂本委員 この新聞によると、派出所に多数呼び出して、それからその演説会場を貸した阿部君子という人が警察に連れて行かれて捜査室で調べられて、調書を読み聞かせも何もせずに捺印をさせた、こういう記事が出ておるのですが、こういう事実があったかないか、これは証人もあることだから、あいまいでなく、はっきり答弁してもらいたい。
  57. 斎藤昇

    斎藤政府委員 ちょっとここに書類を持って来ませんが、その新聞記事に指を持って捺印させたと出ておりました。それならばその点は私記憶に残つておりますが、捜査は通常の捜査であつて、何ら行き過ぎとは思いませんし、最後に母印を押す際に押し方を知らなかったので、こういうように指を持って押し方を教えた、こういうように聞いております。通常さもあるであろうと思っております。
  58. 坂本泰良

    坂本委員 今の三十幾つかの主婦の方で、母印を押せと言つたらば、これは自分で押そうという意思があれば、押すはずなんです。何も矢野部長が女の指を押えてこう押すんだと言って押えさせるということは、これこそ疑わざるを得ないじやありませんか。なお調書を読んで聞かせたかどうか、読み開かせもせずに、この新聞によれば、指を無理に押させた、こうなっておるのですが、その点は御調査の結果いかがですか。
  59. 斎藤昇

    斎藤政府委員 私当時そういったことを聞いた記憶に基いて今お答えいたしておりましたが、さらに詳細書類を取り寄せまして、それに基いてはっきりしたお答えをいたしたいと思います。
  60. 坂本泰良

    坂本委員 この問題は、まだ調査してないとおっしゃるから、留保いたしまして、最後にもう一点だけお聞きしたいのは、埼玉県の蕨の町村合併の問題におきまして、あすこに愛町連盟というのができまして、合併反対が行われて、その愛町連盟の者が七名か八名検挙された。その検挙に際して私は埼玉県の警察本部長名前は忘れましたが、その人に面会しました。これは詳しく申しますと、ただ自動者から助役がおりるのを、こっちへ来なさいと引つぱつたくらいで、五日も十日もぶち込むことはないじゃないか。傷害でも起きておるなら別だけれども、今までの関係ではそういうことはないというようなことを言つたら、この事件は思想的の背景があるから留置をしておるんだ、こういう答弁をしておる。この愛町連盟の者の中には町会議員に立つ候補者がいるのです。そういうのを思想的だというぬれぎぬを着せて、長く留置をしておく。これこそけしからぬと思うのです。何で思想的な背景ということで留置したかということをわれわれは疑わざるを得ない。この町村合併の問題について、反対派に対しては直ちに思想的な問題であるとか、赤だとかいうのは、保守連中が有利にするために故意にする場合が非常に多い。反対の立場の者を何ら思想的な根拠がないのに、思想的の疑いがあるからやる、こういうことを言っておる。これは現在の憲法上における思想の自由の点からすれば、思想的背景ということで検挙するということは、これは人権じゆうりんもはなはだしいものだと思われる。こういう点についていかに考えておられるか、承わりたい。
  61. 斎藤昇

    斎藤政府委員 埼玉県の蕨の町村合併問題に伴いますただいまの御質問の点は、報告を受けておりませんから、調査をいたしたいと存じまするが、これは御意見のように、もし思想的背景があるからどうした、こうしたというようなことを言つた、あるいはそういう考えでやつておるとすれば、これは非常な間違いだと思います。おそらく本部長はさよう考えを持っておらないと私は考えますが、御質問の次第もございまするから、十分取り調べたいと思っております。
  62. 坂本泰良

    坂本委員 取り調べのなかった点もたくさんありますから、この点は一つ調査をしていただいて、次の委員会質問することにして、私の質問をやめておきます。
  63. 大矢省三

    大矢委員長 北山君。
  64. 北山愛郎

    ○北山委員 この機会に交通警察のことを一つ質問したいんですが、御承知ように、自動車事故による死傷者が非常にふえているんですが、昨年一カ年でも死傷者が約十万人、死者が九千三百八十五人、負傷者が七万二千八百というような非常に大きな問題になっておると私は思うのです、そこでこういう交通事故の激増に対して、特に自動車による交通事故の激増に対して、道路交通取締りの面から当然必要な手を打たなければならぬという緊急な状態になっておると私は考える。それで運転者の責任を重くすると同時に、自動車の所有者あるいは占有者に対する責任を加重していかなければならぬ。あるいはまた一方においては歩行者等についてもまたその責任もあるわけでありますから、この取締り等についても考えなければならぬというよう考えられますが、これについて警察当局としてはどういうふうな準備をいたしておるか、この機会に承わりたいのです。
  65. 斎藤昇

    斎藤政府委員 御意見のように交通事故が非常に頻発をいたしております。警察といたしましてはこの取締りに相当大きな重点を置いておりますが、しかしただ取締りだけでは十分の効果を上げにくい点が多いと思っております。ことにハイヤー、タクシー等になりますと、その営業の関係あるいは運転手の労働条件の問題、あるいは道路の道幅と車体との関係といろいろございます。しかもこれらの関係があるいは運輸省に、あるいは労働省に入り、むしろその方の監督、その方の法規の改正というようなものも必要なものがあろうか、かよう考えますので、近く関係省の合同の研究調査を進めまして、交通事故の減少に役立つように、必要があれば立法の措置、また現在の法制において監督その他行ない得ます点はそれでやりますように、関係各省と十分協議をしてやつて参りたい、かよう考えておる次第であります。
  66. 北山愛郎

    ○北山委員 この道路交通取締り関係からばかりでなく、いろいろな角度からこの問題は処理しなければならぬという点は私も同感なんです。従って運転者あるいは所有者等の責任の加重と同時に今各地で聞きますのは、被害者がいわばひかれ損でありまして、非常にみなけがをしたりあるいはかたわになってしまつても、実際その責任がはっきりするまでは賠償もとれない、またたとい運転者の一方に責任があったとしても賠償能力がないというような問題があつて、結局ひかれ損になっておるというような人々がたくさんあるわけです。そこで当然これはこの運転する方の側の、あるいは所有者の方の責任を加重すると同時に、そういう傷害事故の場合の補償に関して、保険制度というようなものを考えられておるようであります。そういうこともあわせてお考えをいただく。従ってこれは運輸省等にも関連する問題でございますが、これはこの特別国会において立法化をされるのであるかどうか。私どもとしては緊急にこれはやつてもらいたい、こう思うのでありますが、そういうお考えがあるかどうか、一つこの際伺つておきたい。
  67. 斎藤昇

    斎藤政府委員 自動車事故の被害者に対する賠償責任の保険制度、私はこれはけつこうな考え方じゃないかと思って、運輸省の考え方をむしろ推進をするような気持で接触をいたしております。運輸省は目下研究立案中のように聞いておりますが、この特別国会に御提案になるかならないか、そこまでは私は承知をいたしておりません。御了承いただきたいと存じます。
  68. 北山愛郎

    ○北山委員 これは何しろ十万人もの死傷者が毎年起つておるというようなことで、しかもそれが年々激増しておる。東京の都内でも、毎日々々三人ずつ死者が出ておるというような話であります。ですからこれは一日といえどもゆるがせにすることのできない問題でありますから、一つこの国会においてぜひ関係法規を整備されるという方針で進んでいただきたいということを、強く要望いたしておきます。  それから先ほど戦後最近までの犯罪状況報告があったわけでありますが、その中でいわゆる暴行、傷害、殺人、あるいは強姦というよう凶悪犯罪が激増しておるというよう傾向を指摘されておりました。これに対して一体どういう具体的な方針で臨むつもりであるか、それを承わつておきたいと思います。
  69. 斎藤昇

    斎藤政府委員 警察といたしましては、こういった凶悪犯を少くするという点については、結局迅速に検挙する以外に手がない、こう思います。もちろん防犯的に婦女子が一人で危ないところを歩かないようにとか、そういう防犯思想の普及等は努めなければなりませんし、努めておりますけれども、何といいましても、迅速なる検挙ということが一番かんじんではなかろうか、かよう考えまして、そういう凶悪犯の多い地方におきましては、その方面の捜査陣容を強化するように希望をいたしております。
  70. 北山愛郎

    ○北山委員 非常に漠然としておりますが、特に警察取締りについて、こういう暴行あるいは凶悪的な犯罪についてどうも考え方が手ぬるいのではないかというような感じがするのであります。というのは、たとえば何かけんかをして傷害をしたというようなときに、警察は一応調べはしても、当事者間における示談等でもって済まそうというふうに扱つておる例が非常に多いのではないか。これはたとい当事者が納得をしたとしても、社会公共への立場から、警察としては起訴すべきものであればそういうふうな措置をとるという、強い方針で行かなければ、そういう基本的な身体生命を守るという、ほんとうの公共の任務からははずれておるのではないか。とかく日本ではどろぼうというような財産犯罪については非常に悪いという観念が強いのですが、人の頭をぶんなぐるくらいは日常茶飯事ぐらいに、一般の常識もなっておるようであります。特に警察においてもそういう傾向があるのではないか。それがひいてはそういう傷害とか暴行について割合に軽い気持でやつてしまう犯罪が起るという傾向にもなると思うのです。従って警察の今後の取締りについては、たとえ当事者が納得をしても、警察としては公共の立場から、暴行事件、あるいは傷害等の人の身体、あるいは生命、名誉というものを侵すようなものについては、断固としてこれを取締るという方針で行っていただきたいと思うのです。これに対して長官はどう考えますか。
  71. 斎藤昇

    斎藤政府委員 大体御意見の点は私も同感でございます。警察といたしましては暴行、傷害というよう犯罪は、やはりできるだけ迅速に検挙をする方がいい、私はかよう考えております。ただ起訴、あるいは判決という場合には、相手方からこれを寛大にしてもらいたいというような事柄については、相当しんしやくされるのが現状のよう考えられます。しかし日本の民主国家育成という建前から、そういった暴力事犯につきましては相当厳格に処罰されるのが望ましいと、私もその点は同感でございます。
  72. 北山愛郎

    ○北山委員 最後に一つだけ伺います。警察法改正によって、例の自治体警察の方から移つてつた人、こういう人の給与の問題があるわけであります。これを調整するのには二年ないし六年かかると言われておりますが、一体これをどういうふうに、すみやかに調整する具体的な方針を持っておるか。何でも最近これをすみやかに調整するような措置をとるというように聞いておりますので、この機会にどういう方法でおやりになるのであるか。これを一応お聞きしておきたい。
  73. 斎藤昇

    斎藤政府委員 この方法はいろいろむずかしい問題もございまするが、結局自治体警察から府県警察に来られた人たちの給与と、旧国警の警察官の給与との差額をなるべく早く解消させるようにいたしたい。それには予算も伴うことでございまするから、ただいま大蔵省といろいろ折衝中でございますが、警察官の給与が上昇して参りますると、その差額が少くなってくるわけでありまするので、できるならば昇給の繰り上げを認める。そのための財源措置を願えるということであれば、凹凸の調整が非常に早くできるのではなかろうか。そしてこれは給与体系にも影響を来たさないから実現の可能性もあるのではなかろうか。かよう見地から今大蔵省と折衝中であります。
  74. 北山愛郎

    ○北山委員 それでは差し向き昭和三十年度においてはどういうふうな方法で行き、どの程度の予算が要るという、やはり具体的な案をもって折衝していると思うのですが、それはどういうふうな数字になっておりますか。
  75. 斎藤昇

    斎藤政府委員 まだ大蔵省と折衝を始めて大蔵省の方からの返答も聞いておりませんので、あまり具体的な点をここで申し上げるのはどうかと思いますが、いろいろまた御後援もいただかなければならぬ点もございますので申し上げたいと思いますが、大部分は府県の費用に相なりまするので、従って府県の財源に関係をして参ります。それでただいま考えておりまする方法によりまして、一年だけ早く給与を繰り上げるということにいたすならば、この給与差が、たとえば四年かかるものが二年半とか、一年で調整のつくものはすぐ調整ができるということにも相なりまするので、一カ年繰り上げ昇給ということを考えてみますると、これに要する費用が大体十二億くらい、こう考えるわけです。それから警察官の初任給は他の官公使の初任給、すなわち高等学校卒業程度で採用された公務員と比較いたしますると、初任給は職務の関係上四号俸ほど高いのでありますが、しかし昇給基準が他の公務員に比べて不利でありますために、一定年限が経過をいたしますると、他の公務員よりも悪いという形になりまするので、これを悪くならないように昇給基準を直してもらいたい。かような折衝を今いたしております。これに要するのが約二億余り、両方合せまして十四億くらいの財源であります。それでただいま折衝いたしておる次第であります。
  76. 坂本泰良

    坂本委員 今のに関連して……。先ほど交通警察の問題で関係庁と合同調査をしてやるという御説明があったので、一つの希望になるかもわかりませんですか、東京都とか大阪とかの交通事故に対しては、交通警察の方も非常に技術的に進んで、その事故の原因その他の調査が割合よくできているわけです。ところが地方に参りますと、トラツクの事故が主ですが、その他の事故においては、やはりトラツクの経営者などは非常にボスが多いものですから、交通警察の方がそれに恐れて調査が非常にずさんであるし、百姓が牛を引つぱつてトラツクにはね飛ばされて大けがをしたような場合でも、百姓が過失でけがをしたというよう調査報告ができておる。従ってあとで損害賠償の請求なんかをした場合に、やはり警察調査の書類、並びに証人に出たその警察官の証言というものが重要な証拠にもなるわけです。この点はやはり合同調査その他の場合においても、市街地ではすぐ二、三人飛んで行って原因を調べ、写真もすぐとるというようなことができますが、農村地帯におけるこうした事故の際には、特に交通関係の巡査さんなんかはその調査を公平に詳しくやつておく、こういうことを一つ希望いたしておきます。
  77. 大矢省三

    大矢委員長 床次君。
  78. 床次徳二

    ○床次委員 公明選挙の実施とそれから選挙の粛正ということについてお伺いいたします。これはなかなかむずかしいことと思いますが、特に今後地方選挙がありますので、この際要望しておきたいと思うのでありますが、どうも選手違反の取締りというのがとかく投書にたよるのではないか、その投書をいたします者は概して悪意のある者が投書する。そのためにむしろ善意の者がよけい疑いを受ける。疑いを受けたこと自体によっても、善良な者はずいぶん迷惑をするという立場があります。こういう人情の機微というものについては、十分お考えになっておられると思いますが、一そう一つ考えていただきたいと思います。  それからなお、われわれ同僚その他等ともいろいろ話し合つておるのでありますが、最近はだれの選挙運動も似たような形になっておりますが、特に考慮いたさなければならない問題は、同じ違反をいたしました場合におきましても、うるさ型の者の違反については敬遠する。あるいは団体等に属しておりまして、組織でもってする違反においては積極的に何と申しますか、官庁に対して抗弁をする。どうせ大したことではないのだから、結局そういうものはほうつておくという形になっておる。しかし善良なる個人、これは平素警察等にもあまり関係のない者でありますので、ちょっと調べられても非常に心配をするという形であります。この間に結果的に見ると非常に差が出てくる。きわめてわずかなことでありますが、この微細なことがやはり国民選挙というものに対する熱意と申しますか関心と申しますか、あるいは公明選挙の実施ということに対して、割り切れないものを残すのではないかと思うのであります。今後地方選挙全国的に実施せられて、一そう選挙運動というものがむしろある意味において明朗化されなければならぬときでありますので、この点一つ当局におかれましても、第一線の人に対して十分御指示いただきたいと思うのであります。どうもあいつを引つぱつてみてもあとがうるさい。一々幹部にねじ込まれるし、あるいは国会でまで問題になるというようなことになり、片一方の方そういうことがないと、つい地方だけで始末されるのでありますが、案外その方が被害を受け、気の毒な目にも会うということがあるのではないか。こういうことが今日表には出て参りませんが、内面におきましては割合に大きな問題のように思いますので、この点一つ当局に要望しておきたいと思います。
  79. 斎藤昇

    斎藤政府委員 ただいま床次委員から御希望のありました投書の取扱い方、それから違反取締りの際の抗議が強くなされるかなされないかというような事柄から、自然そういう方面に第一線が投げやりになるということのないようにという御注意は、われわれ絶えず最も第一線に任意をしておりまする点に触れておるのでございまして、まことにごもっともだと存じます。今後も第一線にただいまの御趣旨が十分徹底をいたしまして御心配のないように、公平な取締りができますように、そうして公明選挙運動に寄与できますように一段と努力をいたしたい。この点は徹底をいたしたいと考えております。
  80. 大矢省三

    大矢委員長 他にございませんか。ないようでしたら、これをもって閉会いたします。次会は明後三十一日午前十時三十分より開会いたしたいと思います。本日はこれを持って散会いたします。     午後零時五十一分散会