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1955-07-21 第22回国会 衆議院 大蔵委員会 第35号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年七月二十一日(木曜日)     午前十時五十六分開議  出席委員    委員長 松原喜之次君    理事 加藤 高藏君 理事 坊  秀男君    理事 森下 國雄君 理事 大平 正芳君    理事 奧村又十郎君 理事 横路 節雄君    理事 春日 一幸君       有馬 英治君    宇都宮徳馬君       遠藤 三郎君    竹内 俊吉君       福田 赳夫君    前田房之助君       山本 勝市君    淺香 忠雄君       川野 芳滿君    黒金 泰美君       小山 長規君    薄田 美朝君       福井 順一君    古川 丈吉君       石村 英雄君    木原津與志君       井上 良二君    川島 金次君       田万 廣文君    平岡忠次郎君       石野 久男君  出席政府委員         大蔵政務次官  藤枝 泉介君         大蔵事務官         (主計局次長) 正示啓次郎君         大蔵事務官         (銀行局長)  河野 通一君         運輸事務官         (自動車局業務         部長)     岡本  悟君  委員外出席者         大蔵事務官         (主計局給与課         長)      岸本  晋君         大蔵事務官         (主計官)   小熊 孝次君         農地局参事官  戸嶋 芳雄君         国民金融公庫副         総裁      石渡忠四郎君         中小企業金融公         庫理事     塙  金太君         専  門  員 椎木 文也君     ————————————— 七月二十日  委員福井順一辞任につき、その補欠として保  利茂君が議長指名委員に選任された。 同月二十一日  委員保利茂辞任につき、その補欠として福井  順一君が議長指名委員に選任された。 七月二十日  北海道に在勤する者に支給される石炭手当等に  対する所得税の特例に関する法律案横路節雄  君外十二名提出衆法第六〇号) 同月十九日  酒税率引下げに関する請願保利茂紹介)(  第四二六九号)  同(菅太郎紹介)(第四三一八号)  同(小金義照紹介)(第四三一九号)  同(木崎茂男紹介)(第四三二〇号)  同(福田篤泰紹介)(第四三四七号)  同(前田房之助紹介)(第四三四八号)  同(横山利秋紹介)(第四三四九号)  同(春日一幸紹介)(第四三五〇号)  同(川島金次紹介)(第四三五一号)  三級清酒設定反対に関する請願古川丈吉君紹  介)(第四二七〇号)  同外十九件(井出一太郎紹介)(第四二七一  号)  同外五件(竹内俊吉紹介)(第四二七二号)  同外六件(三宅正一紹介)(第四三〇一号)  同外一件(荻野豊平紹介)(第四三一七号)  同(大倉三郎紹介)(第四三五二号)  揮発油税すえ置きに関する請願高津正道君紹  介)(第四二七四号)  葉たばこ増産対策確立に関する請願愛知揆一  君紹介)(第四二八八号)  ラムネに対する物品税撤廃に関する請願(井手  以誠君紹介)(第四三〇二号)  同(眞崎勝次紹介)(第四三二一号)  労働金庫に対する資金運用部資金長期還元に  関する請願坂田道太紹介)(第四三二三  号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  厚生保険特別会計法等の一部を改正する法律案  (内閣提出第四六号)  日本開発銀行電源開発株式会社に対する出資  の処理に関する法律案内閣提出第五八号)  糸価安定特別会計法の一部を改正する法律案(  内閣提出第六六号)  自動車損害賠償責任保険特別会計法案内閣  提出第七七号)  国家公務員等退職手当暫定措置法の一部を改正  する法律案内閣提出第八七号)  余剰農産物資金融通特別会計法案内閣提出第  一三八号)  銀行法の一部を改正する法律案春日一幸君外  十二名提出衆法第九号)  金融に関する件     —————————————
  2. 松原喜之次

  3. 横路節雄

    横路委員 主計局給与課長にお尋ねいたしますが、国家公務員等退職手当暫定措置法の一部を改正する法律案ですが、従来は一律に百八十日であった失業保険保険金給付日数を変更したわけですが、この勤続期間六カ月以上十カ月未満のものは九十日、この点について私はあなたにお尋ねしたいのですが、国家公務員の場合に、現業官庁で季節的に雇っている労務者がございますね。これはたとえば林野庁の場合ですと、冬木材の切り出しにいわゆる定夫という形で雇う。それから夏は夏で大体夏の期間に雇う。この勤続期間六カ月以上十カ月未満の者というのは、あなたの方ではどういう者が対象になるわけですか。それから大体それの予定される人員はどういうのか、毎年ですが。そういう点についてお尋ねいたします。
  4. 岸本晋

    岸本説明員 お答え申し上げます。退職手当法改正趣旨は、失業保険法改正と全く同様でごごいまして、失業保険法の方におきましても、季節的な労務者を含めまして、いわゆる短期勤務者については給付日数を減らす、逆に長期勤務者については給付日数を増加する、こういう建前になっております。公務員退職手当法につきましても、この点は失業保険法と同様に、季節労務者も含めまして、勤続期間六カ月以上十カ月未満の者はすべて九十日とする、こういう考え方をいたしております。この点は失業保険法と全然相異ならないのでございます。  それから第二の質問の点の対象人員でございますが、これは年によっていろいろ異動がありまして、はっきりした数字はつかめないのでございますが、二十九年度におきます実績を見ますと、初回受給人員といたしまして大体一万七千名程度出ております。これは国家公務員のほか、この退職手当法適用を受けます公社の職員を含めての数字でございます。
  5. 横路節雄

    横路委員 私があなたにお尋ねしている点で、今御答弁がなかったのは、林野庁等における現業官庁で季節的に冬期間だけ雇うという、臨時職員といいますか、臨時用人といいますか、ああいうものはどういう範疇に入るわけですか。
  6. 岸本晋

    岸本説明員 その臨時の季節的に使用される者でございましても、勤続期間によりまして差をつけていく。たとえば十カ月以上季節的に採用されるというのはほとんどないと思いますが、大体四カ月から六カ月であろうと思いますが、そうした短期労務者は、すべてこの九十日の失業退職手当を受ける、こういうことになっております。
  7. 横路節雄

    横路委員 私がお尋ねしているのは、林野庁などの現業官庁において、季節的に雇っている労働者というのですか、ああいう諸君はこれに入るのですか入らないのですか、そのことを聞いている。
  8. 岸本晋

    岸本説明員 失礼いたしました。林野庁で雇っております季節労務者にも、退職手当法は原則的には一応適用はあるわけであります。ただ季節労務者でございますので、主として勤続期間計算上ある制限がございます。たとえば一カ月二十二日以上働いて六カ月勤めた、こうした職員には、退職手当が支給できる建前になっております。そうした退職手当の支給を受けられる職員については、この改正法適用があるわけであります。
  9. 横路節雄

    横路委員 今の点は、一カ月二十二日以上働いて六カ月以上の者については適用を受ける。そうなると、今秋が例にあげました林野庁現場職員身分は何なのですか。
  10. 岸本晋

    岸本説明員 身分はもちろん国家公務員でございます。そうして建前は、一応非常勤職員の受扱いで国家公務員ということに相なっております。それに退職手当法適用するという場合には、やはり一定の常勤職員並み勤務日数を、さきに申しました基準で要求いたしておるわけであります。ただその基準適用のない、ほんとうに一月に十日とか十五日しか出てこない、しかし、季節的に雇われている、こういう方方に対しては、これは退職手当法でなく、失業保険法の方が適用になるわけでございます。
  11. 横路節雄

    横路委員 一カ月二十二日というのは、日曜日を除いてですか。それとも日曜日を入れた一カ月三十日のうちで、二十二日間を働けばいいというのですか。もしも二十二日というのが、日曜日を除くということになると、これはそれぞれの現場によって違うでしょうが、日曜日が一月四日ないし五日ということになると、実際の稼働日数は二十五日くらいになる。そうすると三日くらいまで休めばいいが、四日ににると二十一日で、適用を受けないということになるわけなのだろうと思うのですが、その点はどうなんです。二十二日という日の計算の仕方は……。
  12. 岸本晋

    岸本説明員 その日の計算の仕方は、一般常勤職員の場合でございますと、一月三十日のうちから祝日とか日曜日を差し引きますと、ほぼ二十五、六日の稼働日数に相なるわけであります。本来は二十五、六日を非常勤職員についても働いていただかなければ、退職手当は出せないのでございますが、しかしああした現場職員の方については、雨が降ったとか、そうしたことで、自分の意思によらないで働けないという事情が出て参るわけでございます。そうした点を割り引いて二十二日ということにいたしておるわけであります。
  13. 横路節雄

    横路委員 この改正趣旨は、どういうのでしょうかね。やはり今まで一律に百八十日を支給していた。それが長期に働いた者については出すということはいいのですが、この季節的な労働者というのは、あなたの方で今計算された一万七千人というのは、私はおそらく東北北海道冬季間の季節的労働者が多いのではないか。これは十月から三月までとか、十一月から四月までとか、こういう職員が多いのではないかと思う。従ってそういうところにあなたの方で、短期ではあるけれども百八十日という精神があったのじゃないかと思うのを、九十日にしたということは、私は非常にこれは遺憾だと思うのです。そこであなたの方で、今私が聞いている——おそらくこれは現場官庁におけるところの非常勤職員といいますか、いわゆる非常勤労働者諸君のことをいうのだろうと思いますが、主として該当される地域等は一体どこですか。私が指摘しているように、これはおそらく冬季現場職員じゃないかと思うのですが、この点はどうです。
  14. 岸本晋

    岸本説明員 先ほど申し上げました二万何千名という数字でございますが、これは先ほども、初回受給人員と申し上げたのでありますが、総体の延べ人員にいたしますと、やはり昨年度で八万人ほど出ております。  第二の御質問の点の、冬季季節労務者だけじゃないかとおっしゃいますが、この法文の立て方といたしまして、これは季節労務者ばかりでなく、また地域を問わず、およそ勤続期間の短かい方に対しては、失業給付日数は、今回九十日に改めたいということでございます。この点ば失業保険法の方も同一趣旨でございます。
  15. 横路節雄

    横路委員 私の聞いているのは、大体どの地域に多いかということを聞いている。私は東北北海道及び冬季における季節的な非常勤労働者諸君が多いのじゃないか、だからそういう数字はどうなっていますかということを聞いたのです。
  16. 岸本晋

    岸本説明員 残念ながら、全国的の地域分布数字は出て参っておらないのでございます。北海道、それから富山、大阪、長野、福岡、広島、岐阜、京都と全国的に代表県を拾い出しまして、そこにおける失業退職手当受給人員から推算いたしたのが先ほど数字でございます。従いまして、現実には林野庁の方が非常に適用があろうかと思いますが……(「北海道は」と呼ぶ者あり)北海道にも相当あろうかと思いますが、特に季節労務者には適用されるのであります。
  17. 横路節雄

    横路委員 大体東北北海道冬季における一季節的な非常勤職員というか、季節的な労働者はどれくらいになりますか。
  18. 岸本晋

    岸本説明員 その数字は絶えず移動いたしておりまして、なかなか的確な数字は把握できないのでございますが、追って資料で至急提出いたしたいと思います。
  19. 横路節雄

    横路委員 実は私たちは、これは反対なんですが、先ほど理事会で、できれば、きょうの委員会でこれを採決をして、本会議にかけて参議院に送ってやろうと話したのですが、実は資料あとで出すということになると、私の方では、それじゃ資料が出されるまで待ちましょうということになるわけなんです。資料が出されてから、明日もう一度質問してということになるわけですよ。(「それでいいじゃないか」と呼ぶ者あり)それでいいか。  それじゃその次に、主計局次長がおいでになりましたから、厚生保険特別会計法等の一部を改正する法律案で伺いますが、そこの第十八条の第六に「政府ハ会計健康勘定歳入不足補填スルタメ必要アルトキハ昭和三十年度以降七箇年度間毎年度一般会計ヨリ十億円ヲ限り同勘定二繰入ルルコトヲ得」こうなっている。これは社会労働委員会では、今日七十億の赤字だから、毎年十億ずつきちっと入れますということを答弁なすっているようなんです。しかしこの法案では、繰り入れることができるというので、繰り入れるとなっていない。だから、もしもあなたの方で、社会労働委員会答弁しているようであるならば、この条文は「同勘定二繰入ルル」というところで、あとのところは切ってもらいたい。これは文中上非常に大事なんですが、どうなんです。
  20. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 お答え申し上げます。その前に、先ほど横路委員から給与課長に御質問の点でございますが、これは、法案審議を促進していただく政府の立場におきまして、ただいま即刻お調べをいたしましてお答えをいたしたいと存じますから、暫時御猶了のほどを願います。  それからただいまの御質問でございますが、御質問の御趣旨につきましては、私どもも全く異議がないのでありまして、これは従来の用例でありまして、特別会計法におきまして政府が繰り入れる権限をお認めいただく規定でございます。従いまして、この規定をお認めいただけば、政府におきましては、従来の用例によりまして、こういう規定をいたすのでございますが、事実上は毎年御指摘のように十億ずつ繰り入れるということになるわけでございます。
  21. 横路節雄

    横路委員 今、用例上の言葉なんでこの法案が通れば、毎年きちっと十億円を同勘定に入れますということだというのですが、そういう用例上であれば、私はこの法案全体の用例がおかしいと思う。第二十六条を見て下さい。今度は、「政府は、この会計保険給付費のうち療養給付療養費、」云々となって「財源の一部に充てるため必要があるときは、昭和三十年度以降六箇年度間、毎年度一般会計から二千五百万円を限りこの会計に繰り入れることができる。」となっている。これは用例片一方は「できる」、片一方は「得」ではおかしいじゃないですか。これもやはり用例上ですか。
  22. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 お答え申し上げます。これはもっぱら立法技術でございまして、十八条ノ六は、いわば従来の古い法律条文でございまして、その条文用語にあわせておるわけでございます。それからこの船員関係の方におきましての二十六条は、これは新しい法文規定でございますので、最近の法文の文章によったわけでございます。かような点はまことに不手ぎわでございますが、大体政府の従来の立法の際におきまして、やはりかような様式をとっておりますので、その用例に従った次第でございます。
  23. 横路節雄

    横路委員 社会労働委員会におきましては、すでにこの社会労働委員会関係部分については、私たちも賛成をしているのですから、異議がないところなんですが、ただしかしこれを用例、いわゆるそういう慣習に基く用語だといっても、正しくこれを解釈すれば、必要があるときは繰り入れることができる、できるということになると、できない場合もある。その点はただ慣習上の用語であって、これは、絶対にきちっと七十億の赤字を七カ年間にわたって毎年度十億ずつ繰り入れるのだ、一方については、毎年度二千五百万円ずつ入れるのだというふうに、その点をちゃんと明確にしていただけば、この点についての質問は、私は終りたいと思います。
  24. 藤枝泉介

    藤枝政府委員 ただいま御質問のありました通りでございまして、先ほど正示次長からお答えいたしたように、会計用語といたしまして、できる権限がある、政府は、それを入れることができる権限をこれによって付与していただくということでございまして、実際問題といたしましては、七年間にわたって十億ずつを入れる、必ず入れますということをはっきりお約束を申し上げます。
  25. 横路節雄

    横路委員 それでは、私は厚生保険特別会計法等の一部を改正する法律案についての質疑はこれで終りますが、先ほど国家公務員退職手当関係の分は、今私に資料を出してくれるそうですから、その資料の提示を待って質疑をいたしたいと思います。
  26. 石村英雄

    石村委員 余剰農産物関係でお尋ねいたしますが、この余剰農産物協定で、外貨の関係が非常にめんどうくさくなって出ておるわけですが、一応アメリカからドル輸出業者に払ったということになると、その通知を受けると、日本政府アメリカ政府勘定に入れたその円を、日本銀行ドルに交換する、そうして交換したドルが、今度は日本政府ドル勘定に入ってくる、そういうふうになっておるのですが、これで、日本銀行ドルというものは結局減ることになるのですか。そうして日本の国全体としてのドル増減なしということになるのかどうか。
  27. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 これは、ただいま御指摘のように、向うから参る分と差引になるのでありますから、増減はないと考えております。
  28. 石村英雄

    石村委員 この余剰農産物のお金は、日本円にして三百六億だと思いますが、このうちの七〇%が日本借款になる。この借款で、電源開発あるいは愛知用水なんかに金を使うことの特別会計ができるわけでありますが、この愛知用水やあるいは電源開発会社が、この金によってアメリカから機械なんかを買うのじゃないか、このように考えられますが、それはどうなっておりますか。
  29. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 アメリカから機械を買うような場合につきましては、この資金を使うという考え方ではございませんで、むしろそのような必要に備えましては、例の世界銀行の借款、そういう考え方であろうかと思ったのであります。
  30. 石村英雄

    石村委員 そうすると、愛知用水なんかの三十億とかなんとかいう金額は、すべて国内の金を使う、こういう趣旨ですか。
  31. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 さようでございます。
  32. 石村英雄

    石村委員 これは予算委員会や、あるいは外務委員会審議になっておるのですが、この余剰農産物は一応本年度だけだ、来年度は買うか買わないかわからない、こういうことになるのですか。愛知用水などのように、長年の計画に対するものは、場合によるとしり切れトンボになってしまうということが考えられるのですが、この点どうですか。
  33. 藤枝泉介

    藤枝政府委員 余剰農産物協定を今後ともするかどうかということは、予算委員会その他で各大臣からお答え申し上げましたように、今後の情勢、あるいは国内の食糧の関係等十分考慮してやっていかなければならないと思います。こうした協定を今後続けないという場合に、愛知用水の問題、あるいは篠津その他の開墾等の問題を打ち切られるのじゃないかという御心配でございますが、これだけの形を整えまして発足いたしたものでありますので、国内資金十分考慮をいたしまして、これらの事業が継続できますように、そうした万一の場合にもそういう考慮を払って、この重要な開墾事業その他を遂行して参りたいと考えておる次第でございます。
  34. 石村英雄

    石村委員 それからこの協定によると、ドルで支払うということに原則はなっておって、元利金ドルの支払いになっておるのですが、次に日本政府の選択によって、場合によっては円で払ってもいい、その円は日本経済状態考慮する、こういうことになっておるのですが、つまり円で払った場合に、アメリカ政府はその円を絶対に持って帰らない、こういう趣旨になるわけでありますか。必ず日本でその円は使うのですか。
  35. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 お答えを申し上げます。その点は、必ずしも目下のところ明確ではございませんが、大体そういう場合は協議をいたしまして、そのときの日本経済情勢その他からいろいろとこちらとして本希望を申すことができる、かような考え方をいたしております。
  36. 石村英雄

    石村委員 そうすると、もし日本で使わないというときにば、その当時の為替レートによるドルで持って帰られるということになるわけですね。
  37. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 その点につきましては、先ほども申し上げましたように、今のところ明確でございませんが、大体私どもとしましては、あまり持ち帰られるというふうなことを今のところ期待をしておらないのでございますが、万一やはりそういうことになりますれば、これはレートその他についても、大体おっしゃられたようなことになるかと思いますが、今のところそういうリバトリエートというようなことは考えておらないのでございます。
  38. 石村英雄

    石村委員 これは農林省か通産省でないと、あるいはおわかりにならないのじゃないかと思いますが、この協定には米麦、綿花タバコ、こうなっておりますが、予算委員会での石橋通算大臣答弁を見ますと、何を買うんだかわからない。平野三郎委員予算委員会での、アメリカ綿花は悪いんだ、メキシコの方が品質がよくて安いんだ、こういうような質問に対して、それは何を買うのだかわからない、大豆を買うかもしれない。こういうような答弁があるのですが、そうすると、この協定にははっきりと小麦が二千二百五十万ドルとか、金額が示してあるのですが、この石橋さんの答弁大豆を買うかもしれないというふうな答弁は、一体どういうわけで出るのでありましょうか。
  39. 藤枝泉介

    藤枝政府委員 決算委員会における通産大臣の御答弁につきまして、私は実は伺ってないので、はっきりどういう御意図でそういう御答弁なすったかわかりませんが、私どもの了解いたしておりますのは、ただいまおあげになりましたように大小麦、米、綿花タバコ、これを買い入れるということを了解いたしておる次第でございます。
  40. 石村英雄

    石村委員 この協定そのものを読むと、石橋通産大臣答弁というものが理解できないのですが、ただ石橋さんの答弁に間違いがないという前提でいろいろ想像してみる場合に、この余剰農産物、こういうことに俗に申しておりますが、この協定で買うのは、あるいは何もアメリカCCCとかいうあの買い上げ機関の持っておる農産物を買うとは限らないという協定にあるいはなるのではないか。アメリカ市場にある農産物をこの金額の範囲内で、アメリカに対する借款によって買うんだということだけにすぎないというように解釈すると、あるいは石橋さんのような大豆を買うかもしれないというような答弁も出てくるのじゃないかと思いますが、その点をはっきりさしていただきたい。この協定だけを率直に読むと そういう石橋さんの答弁は出てくるはずはない、こう考えられるのですが、いかがでございましょう。
  41. 藤枝泉介

    藤枝政府委員 先ほど申しましたように、石橋通産大臣がどういう御答弁になりましたか、私の方と連絡がなかったので、大へん申しわけないのでありますが、われわれの了解しておりますのは、CCCの持っておりますものが、大部分でありますが、それ以外が全然買えないということはないようでございます。ただこれは、アメリカ内部の問題のようでございますが、CCC手持ち以上のものを買った場合にも、それが余剰農産物と見なされるというようなアメリカ内部坂扱いはあるようでございますが、われわれの了解しておりますのは、大体大部分CCC手持ちを買うという考え方でございます。
  42. 石村英雄

    石村委員 石橋さんがおいでにならないので意図がわからないということですが、一応一橋さんの答弁を読み上げてみますと「余剰農産物の問題も、何を入れるかというような問題はどうせ相手とも相談しなければなりませんが、こちらもまだきまっておりません。だから米を入れるか、綿花を入れるか、それとも大豆を入れるかということはこれから検討する問題でありまして、まだきまっておらない。」こういう答弁なんです。一体この協約からはこの答弁は見当違いではないかと思います。その意図というものは、藤枝政務次官にはおわかりにならないかもしれませんが、この協定から判断して、こういう答弁はどうお考えになるのですか。
  43. 藤枝泉介

    藤枝政府委員 これは、すでに御承知の通りに、農産物に関する日本アメリカ合衆国との間の協定条文には、ただいま申し上げましたように大小麦、米、綿花、葉タバコ、こうしたものがあげられておりますので、その点から申しますと、何を買ってもよいというようなことは、ちょっと私どの理解いたしかねるのであります。米のうちのどこの米を買うかとか、麦のどういう種類の麦を買うかということは、これはもちろん今後の問題だと思いますが、協定の表面に現われたところでは、ちょっとそういうことが理解いたしかねる次第であります。
  44. 石村英雄

    石村委員 こういう大事な協定が、通産大臣と大蔵省との見解が違うようでは困ると思うのですが、これは石橋さんおいでにならないわけですから、大蔵省側でもう少し通産省側と相談せられて、はっきりした解釈をお示し願いたいと思います。  これで私のこの問題に対する質問は終ります。
  45. 松原喜之次

    ○松原委員長 井上君。
  46. 井上良二

    ○井上委員 運輸省の方は来ておりますか。
  47. 松原喜之次

    ○松原委員長 業務部長が来ております。
  48. 井上良二

    ○井上委員 自動車損害賠償責任保険特別会計法案は業務部の仕事でありますか。
  49. 松原喜之次

    ○松原委員長 そうです。
  50. 井上良二

    ○井上委員 この法案の提案理由を読んでいると、第一に、特定のものを除くと書いてあるのですが、条文の内容を調べてみると、多数の自動車を所有して、経理的な基礎が確実なものは、自家保障の制度を許可する、こういうのであります。そこで保険全体の経済の上から考えると、こういう自家保障ができるようなものを除いて、弱小な業者だけを集めて保険経済をやろうという考え方は、一体どういうところから出ているのですか。
  51. 岡本悟

    ○岡本政府委員 お答え申し上げます。本法案の目的が、賠償能力の確保ということが一つの大きな目標になっておりますが、その観点から申しますと、相当資力、信用のあるような大きな事業体であれば、これを除外いたしましても、賠償能力は十分ございますので、本法案の被害者の保護ということに欠けるところはない、こういうふうに考えております。
  52. 井上良二

    ○井上委員 賠償能力だけを考えて、保険運営という問題は考えないのですか。
  53. 岡本悟

    ○岡本政府委員 現在自家保障で適用除外を考えておりますのは、ごく例外的な場合でございまして、従いまして、大体両数でいいまして、二万両あるいは三万両の間くらいじゃないかと考えておりますが、その程度でございましたら、保険経済全般に響くようなことはないと考えております。
  54. 井上良二

    ○井上委員 たとえば国有鉄道の自動車、日本通運の自動車が事故を起した場合、その損害賠償は、たとえば死亡の場合、どのくらいをいたしておりますか。
  55. 岡本悟

    ○岡本政府委員 国鉄の場合は、大体最近の事例で申しますと五十万円平均、こういうように考えておりますが、日本通運のような場合には、どのくらい出しておりますか、今実績を持ち合せておりませんから、後ほど調べまして御返答申し上げます。
  56. 井上良二

    ○井上委員 政府の方から出されている資料で、は死亡した場合は三十万円の賠償をする、大体こういう考えのようでございます。そうすると、適用除外になっております特定業者というものも、そのくらいは必ず出し得るということが見込まれてのお話しでありましょうが、それはどういう方法で強制をいたしますか。この保険の場合は三十万円もらえるが、適用除外された、自家保障を許可する分が、もし三十万円以下になった場合は、どういう一体政府としてはやらす義務が加えられますか。
  57. 岡本悟

    ○岡本政府委員 大体損害が起きました場合には、当事者同士の話し合いになるのが原則であり、通例でございます。本法案の目的は、要するに賠償能力の確保にございまして、示談で、たとえば五十万円なら五十万円というふうな場合に、三十万円まではこの強制保険で填補する、こういうことでございますから、自家保障の場合に、具体的にどういうふうに示談がきまりますかによって違いますが、大体自家保障を認めますものは、賠償能力の十分あるものに制約いたしますので、その場合も、われわれといたしましては、むしろ三十万円という一応の目標よりか十分支払われるのじゃないかということを期待いたしております。
  58. 井上良二

    ○井上委員 問題は、事故が起った場合に、相手方がこの損害賠償と同額のものを出すであろう、こういう一つの想定に立たれているのです。それを強制することはできないでしょう。従ってあなたがさきに言いましたのは、出すであろうというだけで、もし出さなんだ場合はどうなりますか。
  59. 岡本悟

    ○岡本政府委員 普通の場合は、先ほど申し上げましたように、示談で当事者双方で話し合いが進みますが、もしきまらない場合には、これは、普通の民事裁判によりまして賠償額がきまるわけでございますから、これによって争うということになるだろうと存じます。ただ自家保障の場合におきましても、この法案で大体御承知のように、仮渡し金という制度を作ってございまして、とにかく示談で、あるいは裁判で最終的にきまるまでには、とにかく仮渡し金というものはすぐ出せるようにしてございます。
  60. 井上良二

    ○井上委員 裁判の結果によらなければ賠償額が決定しないということでは、被害者はえらい迷惑な話です。だから、現実に単に大資本、大経営であるから、予想される三十万円くらいの金は出すであろうという想定に立って自家保険を認めるという行き方は、どうも除外した大きな理由の根拠が薄弱ではないか、この点から言いますと、私はそう考える。解釈の違いかもしれぬが、これはやはり同一に包含するような措置を講ずることが必要でないかということが一点ございます。  いま一つ、この保険の主体は、営利を目的とする民間会社にこれをやらす、そうして再保険は国が責任を持つ、建前はこういうことになっております。大蔵省の主計局に伺いますが、民間の営利会社のやりました保険を政府で再保険しているものがありますか。
  61. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 お答え申し上げます。これは戦争中にはございましたが、ただいまのところは、ほかには例がないかと思います。
  62. 井上良二

    ○井上委員 こういうやり方は、政府は妥当とお考えになりますか。
  63. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 これは提案理由の説明にも申し上げました通り、自動車運送の健全な発達をはかりつつ、しかも一般の公衆に対する被害等につきまして万全の措置を講ずるという公共的な目的から申しまして、適当な措置と考えた次第でございます。
  64. 井上良二

    ○井上委員 そうしますと、今後、他の生命保険事業あるいは火災保険事業等民間保険事業がございますが、こういうものがやはり社会保障的な見地から再保険を要求してきた場合、認めますか。
  65. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 お答え申し上げますが、目下のところ、こういう種類の再保険を必要とすることを考えておりませんが、ただいま銀行局長に伺いますと、船舶につきまして多少再保険の施設があるわけでございます。場合によりましては、その詳細を主管の銀行局長からお答え申し上げたいと思います。
  66. 井上良二

    ○井上委員 自動車運送協同組合というものがありますね。この団体は、少くとも運輸省としましては公認団体として扱っておるのでございましょう。何ゆえにこの団体を事業主体にしなかったのか。
  67. 岡本悟

    ○岡本政府委員 最初運輸省といたしましてもいろいろ案をねりまして、大蔵省の方と御相談申し上げましたが、保険という仕事は相当専門的な仕事でございますし、既存の損害保険会社にまかせるのが一番無難じゃないか、こういうふうに考えたわけでございます。そのかわりに常利性を厳に排除いたしまして、本制度の公共的な使命にこの事業がもとることのないよう、十分監督を加えるような仕組みにいたしたわけでございます。
  68. 井上良二

    ○井上委員 自動車運送協同組合がやって悪いという根拠はないでしょう。
  69. 岡本悟

    ○岡本政府委員 悪いという根拠は別にございませんが、先ほど申し上げましたような事情でこういう方法を選んだわけでございます。自動車運送関係の諸団体を適当にこれに参加させる方法は何かないかというので、いろいろ研究しましたが、現在のところ、本法案におきましては、極力代理店として使いたいということに、大蔵省の方とも話し合いが進んでおります。
  70. 井上良二

    ○井上委員 いま一つ伺いますが、最近の自動車の現状は、日本の道路の現状から、また国民生活の現状から、非常にたぶついておるような状態にありませんか。
  71. 岡本悟

    ○岡本政府委員 現在わが国におきます自動車数は、諸外国と比べましても、人口当りからいいますと必ずしも多くないのでございます。大体わが国の国力と匹敵しておると思われますところのイタリアの例を見ましても、まだはるかに保有台数は多いのでございます。ただ、今申されましたように、道路の状況であるとか、そういう点から考えますと、御承知のように非常に道路条件は悪いものでございますから、総体的にいえばあるいは多いという見解が成り立つかとも思います。
  72. 井上良二

    ○井上委員 道路の悪いところへ持ってきて、あなたの方ではいたずらに自動車の運送業を許可しておる。実際お客はないところへ、タクシー業だけはどんどん許可をして、その結果は猛烈な競争になって、昼夜兼行で運転手を働かして、疲れ来てた結果は事故ということになります。もとはあなたの方にある。そのしりぬぐいをわれわれの税金でやらなければならぬというようなばかなことはありませんよ。自動車の需要状況を調べて、あんなにからで走るものが多い現状を考えたときに——まだイタリアに比べて少いというが、イタリアは日本より生活程度が高いでしょう。それで道路もきれいでしょう。そういう点から、もう少し国民の生活程度に合い、かつ日本の道路の事情に合った原則的な自動車行政を確立することを前提にしないでどんどん許可をすると、常利追求の会社ですから、一分も一秒も遊ぶことなくかけ回る結果は、運転手をいたずらに疲れさす、その結果は事故を起すことになる。そのけつをわれわれの税金で今度はまたしりぬぐいせんならぬ。こういうことになってはたまったものじゃないから、その根元をもっとあなたの方で総合的にめんどうをみてもらわなければならぬことが一つ。それからあなたは、営利会社にもうけさせぬようなつもりでこの保険を運営してもらうのだと言っておるけれども、営利会社はもうけることが建前です。社会事業でやっておるのじゃない。公共団体じゃない常利会社にまかして、もうけちゃならぬ、そんなむちゃなことを言うてはいかぬ、筋道が違うのです。だから、そこで現実に利にさとい保険会社がどういう経理をしますか、どういう料率の算定をいたしますか、それによって、再保険の分は現実に年々ふえてくるということはあり得ることです。その点がわれわれは非常に不安定でならぬ。だからその事業主体を明確にして、少くともあなた方が公認団体として認めておる自動車運送の協同組合団体にこれをやらす方が妥当でないか、こういうふうに私どもは考える。将来は相互保険としてそういう方向に持っていくつもりですか、どうです。初めての発足ですから、経験のある保険会社に一時ごめんどうを願う、しかしいいろいろな点で経験を得てきますならば、ここ二、三年後には、事業主体を中心にして相互保険の方式に順次これを切りかえていこうとするか、その点どうです。
  73. 岡本悟

    ○岡本政府委員 第一点でございますが、自動車行政の運用を誤まった結果が、今日の自動車のはんらんを来たして、事故激増ま原因になっておるのじゃないかというふうなお話しでございますが、わが国の自動車の大部分は自家用自動車でございまして、これがまず八割ないし八割五分を占めております。大部分は自家用車が非常にふえておるということでございまして、必ずしも自動車運送事業の数が非常に多くて、そのため事故がふえておるということじゃなくして、一般的な自家用車もどんどんふえておりますので、その結果交通量がふえておる、こういうことであろうと思います。ただ自動車運送事業の免許につきましては、法律で相当こまかい免許基準もございまして、慎重審議いたしておりますが、ただ一般の世論は、この交通機関につきましては、多々ますます弁ずという一つの考え方がございまして、危ないとかなんとかいうことはどうでもいいので、要するに交通機関がふえて便利になればいい、こういう世論が非常に強いので、われわれはまことに弱っております。この点大へんけっこうな質問をいただきましたので、なお慎重に今後やっていきたいと思います。  第二の点につきましては、これは大蔵省とも御相談申しまして、将来の研究問題としていろいろ検討していきたいと考えております。
  74. 井上良二

    ○井上委員 この特別会計法案を提出しておいて、保険勘定、保障勘定、業務勘定、こういうものをそれぞれお持ちになるようですが、この内容はちっとも説明なされておりませんが、これは一体どういうことになっておりますか。資料がありましたら資料を出してもらいたいと思います。
  75. 小熊孝次

    ○小熊説明員 この特別会計におきましては、保険勘定と保障勘定と業務勘定とございます。それでこの保険勘定の方は、普通の保険加入者につきましての経理をやっておるわけでありまして、再保険料収入、それから借入金の収入、そういうようなものをもって歳入とするわけでございます。それから再保険金、再保険料の払い戻し金とか借入金の償還、一時借入金の利子、保障勘定への繰入金、そういうものをもって歳出といたしておるわけであります。  それから保障勘定の方は、これはいわゆる賦課金の経理をやるのでございますが、賦課金を収入といたしまして、八十二条の規定によりまするところの他の会計からの繰入金、これは特別会計などで自動車を持っているという場合があります。そういう場合に、ほかの特別会計からも繰入金が賦課金として入って参ります。そういうものがこの保障勘定の歳入になるわけでございます。それから保険勘定からの繰入金、これは保険勘定の場合におきまして、保障金の支払いを担保するために、やはり保険料収入の中から一部この保障勘定の方へ入るものがございます。これがこの勘定へ入るわけであります。それから過怠金とか、いろいろなその他の収入がこの歳入となっておるわけでございます。それから歳出といたしましては、保障金、それから業務の取扱いに要する費用に充てるための業務勘定への繰入金というようなものがこの保障勘定の歳出になるわけであります。  それから業務勘定は、これは一般会計からの繰入金、これは一般会計の自動車のものに対するところの賦課金的なものが入っております。そのほかに事務費的なものを受け入れるわけであります。  それから保障勘定からもその事務費的なものがここへ入ってくるわけであります。これが歳入となります。  それから歳出といたしましては、再保険事業、それから再保険事業を保険会社等に委託するわけでありますから、その取扱い費というようなものがこの歳出として出るわけであります。  以上の三つの勘定によりまして、その特別会計の歳入歳出が整理される、こういうことになっております。
  76. 井上良二

    ○井上委員 まだこの会計は、これから始めるのですから、その具体的な収支の勘定については明確ではございますまいが、この際特に伺っておきたいのは、交通事故の事故率をどのくらいに押え、それに関連した保険率というものをどのくらいに押えるのか。どのくらいの事故が大体の平均なのか。だから保険料率はこれくらいでいいという目安がございましょうか。それはどうなっているんです。
  77. 岡本悟

    ○岡本政府委員 過去五年間の交通事故の実績を警察庁の方からいただきまして、これによってはじいていきますと、責任率は大体八八%程度に考えております。
  78. 井上良二

    ○井上委員 それからそれに対する保険料率はどのくらいですか。
  79. 岡本悟

    ○岡本政府委員 ただいまのところ試算にすぎませんで、いずれ本法案が通過成立いたしますと、保険会社の方から料率をはじきまして、政府に申請いたすわけでございますが、われわれのところで試算いたしましたのについて申し上げますと、大体バスの場合に約一万二千円見当と考えております。それから常業用の乗用車でございますが、これはハイヤー、タクシーの類でございます。これは約一万二千円前後、それから自家用乗用車は四千円程度でございます。  それから普通貨物、トラックでございます。これが約六千六百円、それから小型の貨物、これが約三千三百円、それから小型二輪というのがございますが、これが約千四百円程度でございます。
  80. 井上良二

    ○井上委員 その保険は他の保険と比べて安いですか高いですか。
  81. 岡本悟

    ○岡本政府委員 現在の損害保険で、純粋に人的損害だけを対象にして契約しておる事例は非常に少いのでございます。大体物的損害とを合せてやっておるようでございます。そこで、詳細な比較はいたしておりませんが、常識的に考えられますことは、本保険は強制保険でございますので、賦課保険料が非常に安くて済むんじゃないかというふうなことと、それからもう一つは、この保険が普通保険と違いまして、自動回復制と申しますか、百万円なら百万円を限度としまして、何回でも填補が受けられる、こういう特典がございますので、そういういろいろな点を考えてみますと、一がいに現在の既存の保険といろいろ比較してどうのこうのと言うことは、早計ではないかと考えております。
  82. 井上良二

    ○井上委員 保険料が高いということになりますと、これが保険料だけじゃなしに、これを運営するための賦課金というものが別にまたとられる危険も起って参ります。そういうことから、保険料賦課金というものがとられるということになってくると、一般乗合自動車あるいはタクシー、こういうものの運賃及び料金は引き上げなければならぬということになった場合どうなりますか。あなたの方は許可しますか、許可しないですか。
  83. 岡本悟

    ○岡本政府委員 現在のバスでありますとか、あるいはハイヤー、タクシーの運賃は、御承知のように大臣の認可制になっておりますが、この運賃を認可いたします場合に、いろいろ原価計算をやっておりますが、その原価計算の中には保険料を含めて考えております。そこでこの強制保険によって別段運賃の改訂になるようなことはないというふうにわれわれは考えております。
  84. 井上良二

    ○井上委員 あなたの方からお出しになっております自動車数と事故数、これを見ますと、二十四年には事故件数が二万件。それが二十八年は六万二千件。二十九年は七万四千件と非常な勢いでふえております。このような実情から考えて、大蔵省はこの再保険を認めていかれます場合に、年々事故が拡大いたしますので、再保険料もまたふえてくることになりはせぬかと思いますが、こういうやり方が妥当であるかどうかということについては、いま少し検討を要しやせぬかと思う。私どもは、再保険にしなくても、相互保険で十分成り立つという一つの見解を持っておりますが、あくまでこれを再保険にしなければならぬ根拠を、もう少し納得できるように説明を願いたい。
  85. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 お答え申し上げます。御指摘のように、自動車の事故が累年非常な勢いでふえておりますことは、ただいま御指摘資料によっても明らかでございます。これは非常に遺憾なことでありまして、運輸当局におかれましても、この点についてはなお今後十全の対策を講じていただき、業者の指導、あるいは自動車運送者の自覚を促していくということについて私ども期待いたしておるわけでございます。しかし一方、こういうふうに事故がふえまして、たまたまこういう事故の犠牲になられる方々のお立場になりますと、これは放置できないような状態であるということも否定できないかと存じますので、今回一応こういう形におきまして、再保険という制度を認めていくわけでございます。しかし井上委員指摘のように、国民の税金でまかなっていくという点につきましては、今後において十分研究を要する問題であろうかと存じますので、先ほど運輸当局からお答え申し上げましたように、私どもとしては、今後におきまして事態の推移をなお検討した上で、いろいろ相互保険制度等につきましても研究を進めて参りたい、かように考えておる次第でございます。
  86. 井上良二

    ○井上委員 もう一点伺います。かような損害補償の再保険制度をやっておる例が、欧米諸国のどこにありますか。その例を二、三聞かしていただきたいと思います。
  87. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 各国の例を手元に持っておりますが、日本の今回提案申し上げましたようなものとぴったりと合うものは今のところ見当たりません。結局これは、日本の一つの特殊な事態から、先ほど申し上げましたように、一応放置できないという観点におきましてこういう案を提案申し上げておりますが、今後におきましては、諸外国の例等を検討いたしまして、なお先ほど申し上げたように研究を進めて参りたい、かように考えております。
  88. 井上良二

    ○井上委員 よろしゅうございます。
  89. 松原喜之次

    ○松原委員長 次に、先ほど横路委員質疑に対して政府側から保留された答弁がございますので、この際これを許します。岸本給与課長
  90. 岸本晋

    岸本説明員 横路先生のお尋ねの、北海道における国家公務員のうちの季節労務者の数でございますが、公務員全般の数字の集計がございませんので、最もその中で数の多いと思われます林野庁について数字を調べました。林野庁職員は、季節労務者を含め、定員外職員といたしまして約十万人ございますが、そのうち約二万人が北海道で働いておるわけでございます。そのうち季節労務者がどのくらいになるか、これは、林野庁についてもなかなか的確な数字は把握いたしておりませんが、一応の推定といたしましては、北海道として約五千人程度と考えております。
  91. 横路節雄

    横路委員 今の現業官庁に勤務している季節労務者につきましては、従前の法律では、とにかく百八十日間支給するということになっているのですが、今回の法律改正によって、六カ月以上十カ月未満のものについてはこれを九十日とするという。実際に冬場働かされている季節労務者、しかもそれは三月とか四月になると職場を失ってしまう。こういうような諸君に対する待遇としては、非常に遺憾だと思います。しかしこの法案については、われわれ反対ですから、これ以上質問してもしようがないので、これで打ち切ります。  余剰農産物に関して農林省の方にちょっとお尋ねします。農地開発機械公団関係、すなわち北海道の新篠津原野、根釧地区、青森県の上北地区等に対しては、金額で五億五千万となっておりますが、それで間違いございませんか。
  92. 戸嶋芳雄

    ○戸嶋説明員 お説の通りでございます。
  93. 横路節雄

    横路委員 機械アメリカから購入する。そうすると、五億五千万円の金は、その人件費、燃料費、そういうことになりますか。それはどうなりますか。
  94. 戸嶋芳雄

    ○戸嶋説明員 本年度の五億五千万円は、機械購入費ではございません。それは、新篠津につきましては、国営の建築工事を行うための費用でございます。上北、根釧につきましては道路の工事をやる、すなわち機械を入れるための準備工事をやる費用でございます。
  95. 横路節雄

    横路委員 私も、この余剰農産物に関する新篠津その他機械公団関係の五億五千万円は、機械の購入費だとは思っていない。世界銀行から借りて、それを使用する場合、人件費とか燃料代とか、そういうものに使用するのかどうかと聞いているのです。機械は向うから入ってくるから、燃料代だとか人件費だとか、そういうものに使われるのか、そう聞いておるのです。
  96. 戸嶋芳雄

    ○戸嶋説明員 大体機械につきましては、本年末まで、すなわち来年の三月までにこの公団と世銀との間で借款交渉をいたしまして、それが成立いたしますと、機械については来年度これを入れる計画にいたしております。来年度早々から機械を入れまして、そうしてその機械によって開墾作業あるいは貸付を行う、こういう計画にいたしております。
  97. 横路節雄

    横路委員 そうすると、世界銀行との借款の契約はできていないのですね。
  98. 戸嶋芳雄

    ○戸嶋説明員 そうです。
  99. 横路節雄

    横路委員 それでは主計局次長にちょっとお尋ねしたい。五億五千万円の処理は、世界銀行から借款をして——八十六万ドルですか、この借款をして機械を入れて、そうしてその機械に伴うところの人件費、燃料代というものが、大体五億五千万が上北、根釧並びに新篠津です。その世銀との借款はできていない、機械がまだ入るかどうかわからないというのは、一体どういうのですか。これは、機械が入ってみなければ全然できない計画なんです。世界銀行との借款はちゃんとできていて、そして余剰農産物との関係ができたからやってくれというのならわかるけれども片一方の大半な機械を入れる借款計画もきちっとできていないということは、これはどうですか、次長
  100. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 お答え申し上げます。農林省の方からお答えになりましたのは、正式に調印をするとか、そういう運びに至っていないということを率直に申し上げたのでございますが、事実上の交渉はすでに完結をいたしておりまして、これは確実にできる見通しでありますので、そういう建前で御審議を願っておる次第であります。
  101. 横路節雄

    横路委員 主計局次長にお尋ねしますが、一体そういう特別会計に関する提案の仕方がございましょうか。私はこの余剰農産物に関する五億五千万、これだけを単独で出されているならば、私はきょうあげることに了承します、われわれは反対だが、しかしこの五億五千万については、世界銀行から八十六万ドル借款計画をしている。この点については、あなたの方でも年次計画が明らかになっている。これができないでおいて——それは話し合いは進めている、必ずいつかはできますということをもとにして、どうしてそれに伴うところの五億五千万の使用に関するものができるのですか。これはちょっとおかしいですよ。
  102. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 これは先ほども申し上げましたように、私どもとしては、御提案を申し上げる程度に確実性のあるものという確信を持ちまして、御提案申し上げておる次第であります。
  103. 横路節雄

    横路委員 これは、世界銀行との借款契約がきちっとできた、その上で余剰農産物に関する特別会計はこういうようにいたしたいので、御了承願いたい、こういうようにするのが私は妥当だと思います。委員長どうですか、この問題は先ほど理事会で、ここであげることには一応約束をしましたけれども、しかし今私から聞いたように、この特別会計のうちの五億五千万については、世界銀行からの八十六万ドル借款計画ができて、そして機械が入ってくるという前提に立っている。その借款計画ができていないのに、これを通してくれといっても、そういうわけにいかぬじゃないですか、委員長の見解はどうですか。——次長、この借款契約はいつやるのですか。
  104. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 これは横路委員御承知の通りでありまして、まことに非常にいいプロジェクトばかりでございますから、これは一日も早く正式の契約を締結いたしたい。御審議を特に促進していただきますようにお願いをいたしておるのも、こういうまことに建設的な、有益な事業でございますから、これを一日もすみやかにお認めをいただきまして、そうして先ほど申しましたように、すでに事実上においては話がついておりますので、正式の妥結に持っていきたい、こういう念願からお願いをいたしておる次第であります。
  105. 横路節雄

    横路委員 次長、いつやるわけですか。
  106. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 伺いますと、ただいますでに世銀から係の方もおいでになりまして、現地の視察も終えられたように伺っております。公団ができますれば、すみやかに妥結するものと期待をしておる次第でございます。
  107. 横路節雄

    横路委員 それでは政務次官にお尋ねします。これは、あなたは直接関係ないかもしれぬが、農林省の方の購入機械については、大体一五%のいわゆる建設機械についての関税復活を認めて計算をしておる。だから私のお尋ねしておるのは、政府の方では、来年度からは、建設機械の輸入についての一五%の関税の復活を見ているのかと聞いておる。ちゃんとあなたの方の案にそうなっておるから聞いておる。
  108. 藤枝泉介

    藤枝政府委員 主要機械類等の輸入関税の問題につきましては、全然国内でできないものとか、あるいは多少できても非常に能率がよくて、今後の国内機械メーカー等の刺激になるようなもの等を中心にいたしまして免税をいたしておることは、横路さん御承知の通りであります。ただいま御指摘になりました建設機械等につきましては、具体的な品目を今持っておりませんが、国内で相当の生産ができるというようなものにつきましては、輸入関税を復活することがあり得るというふうに考えております。
  109. 横路節雄

    横路委員 農林省の戸嶋参事官にお尋ねしますが、あなたの方では、八十六万ドル借款計画の中で、年次別に機械の購入を立てていらっしゃるわけですね。あなたの方でも表をお持ちだと思うのです。その中で、昭和三十年度については九千百八十万円、三十一年度については六億九千百四十六万円をあなたの方では購入する予定で、関税については一億一千七百四十五万円を見込んでおる。そうすると問題になるのは、今政務次官からのお話しがありましたように、当大蔵委員会では、国内で製作できない重要な建設機械については関税を免除するということになっておる。あなたの方では関税をちゃんと一五%かけるということになると、話はちょっと飛ぶかもしれないが、国内で建設できる機械を輸入するんだ、だから一五%関税をかけてもいいんだということになる。そうすると、私は大蔵省自体の考え方としてはおかしいと思う。これは一体どういうのでしょうか。なおこれは本来からいうならば、本委員会でやはりこの五億五千万の使用について、その前提になる世界銀行からの八十六万ドル借款の契約に予想される内容、それから年次別の計画がわからなければならぬ。あなたの方では関税をちゃんと見ておる。これは、一体大蔵省の方と打合せをなすったことがあるのかどうなんですか。
  110. 戸嶋芳雄

    ○戸嶋説明員 来年度八十六万ドル機械を輸入するにつきまして、先ほどもちょっとお話しがありましたように、現在二人の世銀からの技術者が参っておりまして、現地を回ってくれております。そうして近くこれが東京に帰って参りまして、大体の機械の種類等がきまるわけでございますが、われわれとしては、一応想定いたしました機械の種類を湾えて、こういった計画を立てておるわけでございまして、それらの技術者の帰ってきました意見によりましては、機種も変えなければいけないという場合も出てくるかと思います。  なおわれわれの方で関税をここにあげましたのは、関税とそれから現地まで持って参ります輸送費、それから現地のモーター・プールその他の費用をここに入れております。ただわれわれの方の関税を入れましたのは、大蔵省の方で現存事務的にいろいろ御検討になっておることと聞いておりますので、できるだけ資金計画を立てる場合には、もし関税がついた場合を予想して立てておけば、そうでなかった場合よりもより安全であるというような趣旨で関税を幾分見込んでおるようなわけであります。
  111. 横路節雄

    横路委員 それでは一つあなたの方に伺いたい。世界銀行との契約はいずれ近々できるでしょう。その契約の写しをぜひ大蔵委員会にお示しいただきたいのと、それから機械の輸入契約については、これは何といったって重大な要素ですから、それを出してもらいたい。  その次にあなたにお尋ねしたいのは、いずれ入植者を入れましょう。その入植者を入れた場合に、その入植者はどうなんですか。余剰農産物関係、それから世界銀行の借款によって一応耕地が整地されて、そこに入植者が入るが、その入植者は、この点についてはどうなるのか。世界銀行の借款、それから余剰農産物関係の金を借りた分は、機械開発公団の方を通していくわけだが、入植者自身は全然金を返さなくていいのですか、その点はどうなるのですか。
  112. 戸嶋芳雄

    ○戸嶋説明員 この機械公団の主たる仕事は、世銀から金を借りてきて、その金で必要な開墾作業の機械を買いまして、それをもって入植者の団体等から依頼を受けて開墾作業をやって参る、あるいは場合によっては機械の貸付をいたしますが、その場合の貸付料とか、あるいは開墾作業を委託を受けてやります場合に、いろいろなそういう諸経費を含めまして、そうして入植者の団体からそういった開墾作業費なりあるいは貸付料を取り立てて参りまして、この機械の償却をだんだんやって参る、こういう考え方でございます。
  113. 横路節雄

    横路委員 そうすると、今あなたにお尋ねしますが、入植者の団体というと、どういう団体をあなたの方では指導して作らせるのですか。それから機械の貸付の料金、それから開発に伴ったいろいろな金を返してもらう。これは一体どういう団体をあなたの方ではやるのですか。ただで入るようなことを考えている人が多いのですが、そうじゃなしに、入植者は非常な金がかかるとすれば、その点を明らかにしておいていただきたいと思うのです。それはどうなんですか。
  114. 戸嶋芳雄

    ○戸嶋説明員 大体入植者は年次計画に基きまして、六カ年で大体入ることになっております。従って北海道の根釧でありますと七十戸くらいずつ毎年入って参りますが、その場合に、入植者を糾合いたした一つの開拓協同組合のようなものを作らせるように指導いたしたい、こういうような考え方であります。
  115. 横路節雄

    横路委員 そうすると、その毎年七十戸くらいというのは、それは農林省が募集するのですか、どこがやるのですか。それからもう一つ、一体農地開発で機械を使った使用料その他その総体の金額を返還するということになったら、容易でないわけです。あなたの方で予定されている一戸当りの毎年の償却はどれくらいの金額で、七十戸入ると予定されているものは、何年くらいその毎年の償却の金額が一体継続されていくのか、その点を私は明らかにしてもらいたいと思います。
  116. 戸嶋芳雄

    ○戸嶋説明員 開墾作業費につきましては、現存の程度で三割六分の補助がございます。そうしてあと六割四分というものを入植者が持つ建前になっておりまして、従来の開墾作業費としては、農民が手労働あるいは畜力でどれだけ一町歩当りにかけているかということを計算いたしますと、われわれの現在の計算では、大体町当り十一万円ということが今まで来ております。ところがこの機械開墾でやりますと、公団自身のいろいろな諸経費を入れましても、大体機械労働では町当り十万円、それから上北では九万円くらいの単価でできる見込みになっておりますので、一般の開墾作業よりもより有利だろう、こう考えております。
  117. 横路節雄

    横路委員 私があなたに聞いているのは、入植者を入れるというが、それはどこで入れるのかという点が一つと、それから毎年償却する場合に、どういうように償却をさせるようになっているのか、それが何年間で入植者は終るようになっているのか、そのことを聞いている。
  118. 戸嶋芳雄

    ○戸嶋説明員 最初の入植者の選考の問題は、現在の制度そのままを持って参りますので、北海道では道に開拓審議会というものがありますが、そこに開拓者選考部会というのがございますので、そこで選考をいたします。それから青森の方では、同じく県にそういった審議会がございまして、そこで選考をいたす、こういうことになっております。それから開拓者が公団に開墾作業費なり貸付を返す場合でありますが、その場合には、国から三割六分の補助がありまして、あとの六割四分は、大体農林漁業金融公庫の資金と同一の条件で返させるような方法をとって参りたい。従いまして、大体十年六分五厘ということになっております。
  119. 横路節雄

    横路委員 余剰農産物は年四分ですね。そうすると農民が負担する六分五厘については金もうけができるわけです。向うから四分で借りてきて、そうして農民には六分五厘で貸して回収するのだから、三分五厘もうかるわけですが、主計局次長、これはどうなるのですか。
  120. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 お答えを申し上げます。いろいろお話しが込み入っているようでございますが、この開拓者につきましては、先ほど農林当局からお答え申し上げましたように、従来の自家労力なり畜力による開拓にかえまして、今回余剰農産物関係できわめて近代的な機械開墾に切りかわるわけでございます。従って先ほど申しましたように、一町歩当りの経費を比較いたしましても、絶対に有利になっていくということをお答え申したわけであります。今回のこの資金を活用いたしまして機械開発公団がやります仕事は、先ほど申し上げたように、四分の利子で借りた資金を使うわけでございますが、ただいま横路委員の御指摘の農民負担の六分五厘というものは、いわばそういう機械公団が余剰農産物資金をもって開墾する面というよりは、その他の開拓に伴う経費についての国内における資金の融通について農林当局からお答えを申し上げたのでありまして、これは四分のものを六分五厘で回すという、利ざやを取るという考え方ではないと思います。
  121. 横路節雄

    横路委員 戸嶋参事官にお尋ねいたしますが、世界銀行からの借款は年何分ですか。
  122. 戸嶋芳雄

    ○戸嶋説明員 今大体われわれが予想いたしておりますのは五分、二十年の予定であります。
  123. 横路節雄

    横路委員 そうしますと、今主計局次長は何ぼか安いといっても、一万円しか安くないわけです。前々一町当り十一万円であったものが十万円になった、大したことがないといえば大したことがない。北海道の農民は十町歩、十五町歩が適正農地になるのですから、そこで今お話しのこの金は、全部世界銀行の金と余剰農産物の金なんです。世界銀行から五分で借りている、余剰農産物は四分で借りている、そのほかに何か政府資金を一割五分で開発機械公団に入れたというなら別でですが、主としてこの金でしょう。それを一体六分五厘でやったら、利ざやをかせぐことになるのじゃないですか。どうしてそういうことをやるのです。やるなら四分から五分で、両方合せて四分五厘か四分八厘でやるなら話はわかるが、これじゃ農民をだますことになりわしませんか。農民のためにやるならば、ちゃんとそれでやったらいい。
  124. 戸嶋芳雄

    ○戸嶋説明員 先ほど町当りの開墾作業を、現在の開墾作業費と、それから機械開墾をやっていきます場合の作業費と比べて参りますと、農民の実際に負担をしなければならぬ部分は、町当り北海道では一万円ばかり安くなる。それから上北では約三万円くらい安くなるわけでございまして、それはこの方式をとって参りますことによって、農民の非常な利益ではないかと思うのであります。それを、現在でも農民に対しましては三割六分の国の補助がありまして、あとの六割四分というものについては、農民自身の自己資金でやるか、あるいは農林漁業金融公庫から金を借りていくという方式でやっておりますので、従ってその点から申しますと、農民に特に不利益であるというようには考えておりません。
  125. 横路節雄

    横路委員 そのことを聞いているのじゃないのですよ。金は世界銀行から年五分で二十年の借款計画で借りるのだ、その八十六万ドルの金と、余剰農産物は年四分で借りるのだ。それを六分五厘で貸すのはおかしいじゃないか。なぜ四分五厘とか四分八厘で、つり合いのとれるものでお貸しにならないのかと私は聞いているのだ。結局その差額は公団の利潤になるのでしょう。
  126. 戸嶋芳雄

    ○戸嶋説明員 ちょっと私の説明があるいはまずかったので、誤解があったんじゃないかと思いますが、公団は世銀から金を借りて参りまして、その機械を動かして農民からの委託を受けてやる場合に、今申しました町当、これはいろいろ公団の経費なども入れますが、入れてもなおかつ現在の開墾作業費よりも安くつくので、従ってその委託を受けてやる場合には、農民には不利益にならない。ただあとの六分五厘で貸すというのを、これは農民がほんとうは自己負担でやるべきものである。これは現在でも開墾作業費については、自己負担分は農林漁業金融公庫等の資金でまかなっておるわけであります。
  127. 横路節雄

    横路委員 開発機械公団は特別の扱いなのだ。その元金になる利子は、年五分とか四分でよそから借りているのでありまして、今まではこうだからといっても、これは別なのだ、これは新たなものだ。特別会計で年四分だ。だから初め十一万のものが十万円になったのは得するのだ。三割六分の負担でありますから得するのだというのだが、その辺を聞いているのでない。年四分あるいは五分で借りたら年四分五厘か、四分八厘か知らないが、そのあんばいをしても五分取ればいい。なぜそういうことをなさらないかということを聞いているのだ、その点だけ答えてくれればいい。
  128. 藤枝泉介

    藤枝政府委員 今の横路さんと農林当局との質問応答を伺っておりまして、私はこう理解するのでございます。この公団が世銀から金を借りる、あるいは余剰農産物の金を借りて開墾をやって、一町歩当り十万円の土地を作る、それを結局は農民が買うわけでありますが、十万円の中の三割六分は国の補助がある、あとの六万四千円については自己負担で農民が金を出して買わなければならぬ。しかしそれはすぐには買えないから、開拓者資金融通特別会計から借りるなり、農林漁業公庫から借りるなりして、自分の負担分の六万四千円に該当するものを年六分五厘の利子をつけて返していくということであって、この世銀の金を借りたり余剰農産物の金を借りて、公団が仕事をして町当り十万円の土地を作るという前提に立って、そういう計算になるのじゃないか、こういうふうに理解するのであります。
  129. 横路節雄

    横路委員 それは政務次官、従前だって三割六分は国の補助で、六割四分は入植者の負担なのです。だから、その点特に特別会計を設けたという趣旨からいけば、四分で借りているのですから、またその前提になる開発機械公団は世界銀行から五分で借りているのだから、従って入植者に限ってはその金でいっているのだから、当然これは四分五厘とか四分八厘とかでいっても、この特別会計の精神からいけばそれで成り立つではありませんか。それを六分五厘という従前の規定のまま取るということになれば、開発機械公団ですか、それがもうかるということになる。結論はそういうことになるじゃないでしょうか。農民のためにほんとうにやるのであれば、なぜ特別会計の方針からいって、そこまで下げないかということなのです。
  130. 藤枝泉介

    藤枝政府委員 先ほど申し上げましたように、世銀に金を借りたり、余剰農産物の金を借りたりして、そうして機械公団が土地を作って、これが町当り十万円になる、こういうことでございます。そういうことであって、おそらくもっと高い利子で借りてこの公団がやったならば、反当の単価というものはもっと高くなるであろう。それが世銀の金を借りたり余剰農産物の金を借りたりしてやるから、一般の普通の金利のものでこの公団が動くよりも単価が安くなる。それがやはり農民の利益になる、こういうふうに御理解いただく方がいいのではないかと思うのでございます。
  131. 横路節雄

    横路委員 政務次官がそういうのであれば、私は申し上げますが一町歩当り今まで十一万円でできておったのですから、それが一町歩当り十万円なんです。十一万円が半分になったとか七割になったとかいうのならまだわかる、十一万円が十万円にしかならない、それで莫大に農民が得をしたということは私は言えないと思う。今あなたは、従前の六分五厘の開拓者資金融通特別会計法適用して言うからだけれども、せっかく余剰農産物で安い金を借りてきたのであるならば、ここに入れる入植者については、別途にやらなければならぬではないか、私はこう思うのです。
  132. 戸嶋芳雄

    ○戸嶋説明員 なお今金額だけで申し上げましたけれども、この開墾方式につきましては、最初にまず荒起しをやりまして、あとすぐいろいろ主要作物をそこに入れまして、三年目の春にもう一度再墾する、そういう費用を全部含めて今のような金額になっておるわけであります。
  133. 横路節雄

    横路委員 はなはだ不満ですが、私はこれでやめます。それから農林省の方に、年次別の入植の計画表を資料として出してもらいたいと思います。
  134. 松原喜之次

    ○松原委員長 春日一幸君より、糸価安定特別会計法の一部を改正する法律案に対する各派共同提出の附帯決議に関して発言を求められておりますので、これを許します。春日一幸君。
  135. 春日一幸

    春日委員 ただいま委員長からお示しのありました附帯決議について、提案理由の説明をいたしたいと思います。  この法律は、肝心の養蚕農家の利益を十分に考慮していないのではないかという心配がございますので、すなわち次のような附帯決議を行いたいと思うのでございます。案文を朗読いたします。    糸価安定特別会計法の一部を改正する法律案に対する附帯決議   糸価安定特別会計の操作に当っては、できる限り養蚕団体の乾繭保管補助を強化する等、政府は養蚕農家の利益を十分に考慮して措置すべきである。   右決議する。  以上であります。
  136. 松原喜之次

    ○松原委員長 ただいま春日一幸君より糸価安定特別会計法の一部を改正する法律案に対し附帯決議を付するの動議が提出されましたが、この動議の採決は、本案の採決が終った後にこれを行います。
  137. 加藤高藏

    ○加藤(高)委員 動議を提出いたします。ただいま一括議題となっております。六法律案に対する質疑はこの程度にて終了し、討論を省略して、直ちに採決せられんことを望みます。
  138. 松原喜之次

    ○松原委員長 ただいまの加藤高藏君の動議に御異議はありませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  139. 松原喜之次

    ○松原委員長 御異議なしと認めます。よってさように決しました。  これより採決に入ります。国家公務員等退職手当暫定措置法の一部を改正する法律案余剰農産物金融特別会計法案の両法案を一括して採決いたします。両法案を原案の通り可決するに賛成の諸君の御起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  140. 松原喜之次

    ○松原委員長 起立多数。よって両法律案はいずれも原案の通り可決いたしました。  次に厚生保険特別会計等の一部を改正する法律案糸価安定特別会計法の一部を改正する法律案自動車損害賠償責任保険特別会計法案日本開発銀行電源開発株式会社に対する出資処理に関する法律案の四法律案を一括して採決いたします。お諮りいたします。四法律案をいずれも原案の通り可決するに御異議はありませんか。   「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  141. 松原喜之次

    ○松原委員長 御異議なしと認めます。よって四法律案はいずれも全会一致をもって原案の通り可決いたしました。  次に、糸価安定特別会計法の一部を改正する法律案に対する各派共同提出の附帯決議を採決いたします。お諮りいたします。本附帯決議に御異議はありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  142. 松原喜之次

    ○松原委員長 御異議なしと認めます。よって本附帯決議は可決いたしました。  この際お諮りいたします。本日議決いたしました各法律案に関する委員会報告書の作成、提出手続等につきましては、委員長に御一任を願っておきたいと存じますが、これに御異議はありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  143. 松原喜之次

    ○松原委員長 御異議なしと認めます。よってさように決しました。     —————————————
  144. 松原喜之次

    ○松原委員長 次に、金融に関する件を議題として調査を進めます。質疑を許します。福井順一君。
  145. 福井順一

    福井(順)委員 最近政府のデフレ政策が浸透いたしまして、中小企業が金融逼迫でまさに崩壊の一歩寸前という重大なる段階に立ち至っておると私は思うのでありますが、この中小企業金融対策に関しまして、政府はどういう方策を講じておられますか、御答弁願いたい。
  146. 藤枝泉介

    藤枝政府委員 中小企業の金融が相当に逼迫いたしておりますことは、御指摘の通りでございます。本年は政府関係金融機関、いわゆる国民金融公庫とか中小企業金融公庫等につきましても、出資あるいは預金部資金その他を導入いたまして、昨年度の貸付総額よりもこれを増額してその需要に応じたいという措置をとっておりますことは、御承知の通りであります。しかし、もちろんこれだけで十分であるとは私どもも考えないのでありまして、一般的な金融機関、特に中小企業を専門的に扱っております相互銀行、あるいは信用金庫等の活動を促進いたしまして、できるだけこれらのものに応じて参りたい。またこの数年来強化に努めて参りました信用保証制度等の活用をはかりまして、ただいま御指摘のありましたような中小企業金融に最善の努力をいたしている次第でございますが、まだ十分でない点もございますので、今後もこの点につきましては努力を重ねて参りたいと考えております。一般的にはさように申し上げるほかないのでありまして、また具体的な御質問については、これにお答えを申し上げたいと考える次第でございます。
  147. 福井順一

    福井(順)委員 これは中小企業の死活問題でありまして、ひいてはまた国家財政に大影響を与えるところのまことに重大なる問題でありますから、政府としては特に万全の方途を講じられたい。ただいま政務次官から御答弁がありました国民金融公庫や中小企業金融公庫の運営につきましては、どうもとかくの非難がありまして、円滑に中小企業に対する金融が行われておらないというようなことでありますが、これに対して中小企業金融公庫と国民金融公庫の当局者から御答弁を伺いたい。
  148. 石渡忠四郎

    ○石渡説明員 国民金融公庫といたしましては、小口の金融は、できる範囲内ではいたしておるようなわけでございます。貸付金の平均は、大体一口当り普通資金で十七、八万円、それから従来の普通資金の貸付の平均残は十四、五万円になっておりまして、相当小口の金融はいたしておるわけでございますが、資金が何分不足で、思うように行き渡りません点はまことに残念なことに存じております。大体貸付できる金額の三倍くらい申し込みが常にございます。つまり申し込みの三分の一しか貸せないという実情にありますので、いろいろの方面で御批判をいただいておる点は、そういうところによる場合が割合に多いのじゃないかと思っております。
  149. 福井順一

    福井(順)委員 政府の予算が少いために、なかなか御苦労の点はわかるのでありますが、少ければ少いように、その中で最も効果的な運用をしていただかなければならない。特に私はこれをお願いしたいのでありますが、最近私が国民金融公庫に照会をいたしました件がありますが、これは農林省の印刷をもっぱらやっておるかたい中小企業者であります。ところが一向にはかどらない。再三再四督促をした結果、百万円の申し込みに対して、わずか十万円か十五万円しか貸せないということであります。これはまことに実情に沿わない話でありまして、私は、ここにおいて初めて国民金融公庫というものの実態を余すところなく、遺憾なく知ったわけでありますけれども、これは単なる書面審理でありまして、全く実情に即しておらない、こういうことでは、中小企業者は助かるわけがないのであります。こういうただ単なる書面審理で、一向に実情に即しておらないという事実を、あなたは御存じかどうか、一つ御答弁を願いたい。
  150. 石渡忠四郎

    ○石渡説明員 まことに申しわけございませんが、今お話しの事実については、私実は存じておりませんので、よく調べた上でまたお話し申し上げたいと思いますが、とにかくなかなか思うようにいかないのでございます。
  151. 藤枝泉介

    藤枝政府委員 ただいま御指摘になりましたような実例もあるかと存じます。ただこれは、福井さんも十分御承知の通り、国民金融公庫はできるだけ十万、二十万、あるいは五万というような少い金額でやっていく、いわば中小というよりも零細企業とでも申しますか、そういうものをまずねらっておった。だんだんそれが中小企業の分野にも入って参りました。一方中小企業金融公庫ができましたときに、国民金融公庫と中小企業金融公庫との分野というものをどうするかというような問題もずいぶん論議を重ねたのでありまして、相当重なったところもありますが、そういう点で、あるいはお申し込みの金額が非常に大きいというような場合には、おれのところではさばきかねるというようなこともあり縛るのじゃないか、これは大へん蛇足ではございますが、そういうことをつけ加えて申し上げておきたいと存じます。
  152. 福井順一

    福井(順)委員 私が申し上げたいのは、これは大へん処理が間違っている、ただの書面審理であって、実情に沿わないということであります。従いまして、これは中小企業金融というよりも零細企業金融だ、こう言われましたが、零細企業金融でありますから、なおさらめんどうを見ていただかなければならない。それは税務署やあるいは金融公庫で言われるような完璧な書類、資料が出せるわけがないのでありますから、そこは実態をつかんでやっていただかなければならぬということであります。私はただそれだけでなく、どこもそうならばけっこうでありますが、まことに奇怪なことには、どんどん借りているやつがおる、これはまことに私は奇怪であります。これは、あなたがお帰りになったらもう一ぺんよく調査をして、この次にまで責任のある御回答を願いたい。もしあなたがおわかりにならないならば、この奇怪なる事実を全部ここで私が申し上げてもけっこうであります。金融機関というものは、えてして困っておるところの零細中小業者に対して法王のごとく君臨しておる、まことにもって、私のここでの質問を頂門の一針と思われまして、どうか一つお帰りになったら、よくあなたのところの調査員にも訓示をたれて、教育をしてもらいたいということをお願いいたします。御所見を承わりたい。
  153. 石渡忠四郎

    ○石渡説明員 私、さっき申し落しましたが、書面だけで断わったり貸したりするはずはないのでありまして、実際みな調べに行っているはずでございます。  それからもう一つ、書面が非常にやかまし過ぎる、もう少し書面のやかましさを減らせという御意見でありますが、確かにだんだんむずかしくなってしまうので、それは絶えず注意はいたしておりますが、もう少し簡便にいたすように努力いたしたいと思います。  それからほかにどんどん貸しておるではないかということでありましたが、これは従来取引があったりするような場合には、割合取引の実情がわかっておるから、早くやりたいということではないかと思いますが、その点もよく調べてみます。  それから今の、この次によく調べておいて、はっきり報告するようにというお話しは承わりました。  それからもっと簡便に貸し出すようにしろ、もっと簡便な手続でやるようにということは、承わりまして、十分注意いたしたいと思います。
  154. 福井順一

    福井(順)委員 書面だけでお断わり申し上げたことはないとおっしゃられましたが、これは当然のことであります。これは、あなたのところでもちゃんと調査員が調査に参りますが、書面審理に重点を置いておるということでありますから、もう少し実態を把握して、その実態によって運営をしていただきたいということでありますから、その趣旨を一つおくみ取り願いたいと思うのであります。それから、これは中小企業金融公庫の方の御所見も一つ承わりたい。
  155. 塙金太

    ○塙説明員 われわれとしましても、少い資金をいかに効果的に使うかということについて、日夜研究をいたしておるわけでございます。ただいまは全部代理貸付をいたしておりまして、個個の貸付に対する判断は代理店である各金融機関の判断にまかせまして、その判断をわれわれの方で一応チェックして、そうして貸し出すというやり方をしておるわけでありますが、何分にも昨年度一カ年に扱った件数が一万件、金額が二百二十七億で、中小企業者の数が非常に多くて、そのうちのわずか一万しか扱えない、なかなか思うように資金が回っておりませんで、御不満の方が非常に多いのでないかと思いますが、代理貸しだけでは思うように参らない。それで、本年の秋から面接貸しということを開始いたしまして、多少でもその欠を補っていきたい、こう考えておる次第であります。
  156. 福井順一

    福井(順)委員 代理貸付で金融機関の調査に待つということですが、この金融機関というものが、今までの取引その他の因縁故事来歴というものがあって、あてになりにくい、あてにならないとは申しませんが、あてになりにくいものですから、その点はあなたの方でよく監督し、また考量されて間違いのないようにやっていただきたい。中小企業というものは、今全く枯渇しておりますから、その点も十二分に考えてやっていただきたいということを心からお願いします。  それから最近私は、実に驚くべき事実を発見したのでありますが、どうも中小企業金融対策というものは、やれ国民金融公庫だ、中小企業金融公庫だと、政府の方でいろいろやっておりますけれども、それにもまして、市中銀行の協力がないところにこれの徹底した救済というものははかれないのでございます。ところがこの市中銀行というものは、自分の系列の会社といいましょうか、そういうところに集中的に融資をしておる。このために、非常に中小企業金融が圧迫をこうむっておるのであります。この点について、一つ局長の御答弁を承わりたい。
  157. 河野通一

    ○河野(通)政府委員 中小企業金融の疎通のためには、単に政府機関だけでなしに、本来の筋として、民間の金融機関の活動に待つところが中心にならなければならない、これはお説の通りと思います。従来からこういう点につきましては、私どもできるだけ市中銀行と申しますか、普通銀行においても、その中小金融の面における活動を促進するということに努力をいたして参りました。ことに普通銀行の中でも、地方銀行というものは、大体御承知のように、ほとんどその貸し出しのうち、大部分がこれは中小企業を相手にしておる、これは御承知の通りだと思います。ただ問題は都市銀行、いわゆる大銀行といわれておりますが、都市に中心を置いておる銀行が、えてして中小金融に対して冷淡であり、また消極的であるという御非難はたびたび承わっておりますし、また私どもも、その点はあながち間違っていないと思っております。この点については、従来からも十分にこの点の促進をはかって参っております。今後ますますその点についての努力はいたしたいと思っておりますが、最近では、都市銀行の方も、大体これは銀行協会を中心といたしまして、中小金融の相談所を設けまして、都内だけで二十カ所近くを設けまして、その活動のために相当な人員を醵出してやっております。この成績もまだ完全というまで参りませんが、割に相談に来られて、それに対して金融をあっせんして、金融がついていったというものも相当出ておるようでございます。これらの点をさらに促進いたしたいと考えております。  それからもう一点は、かりに都市銀行等が直接自分の陣容の問題とか、能率の問題等から見て、直接に中小企業金融になかなか金を出せないというような面もあると思いますから、そういう面におきましては、これは例でありますけれども、たとえば大銀行は、商工中金の債券を持つことによって間接に中小金融への資金のルートを潤滑にしていく、こういうふうなことを十分にやっていきたいということをかねがね言っております。またそのことを私どもは非常に促進をしなければならぬと思いまして、従来から十分そういう方に努力するように言っておりますが、だんだん実績が上って参っております。こういうふうな間接の道をあわせて考えながら、できるだけ都市銀行が中小金融に力を注いでいくように配慮していきたいと思います。今後もこの点についてはお約束いたしたいと思います。
  158. 福井順一

    福井(順)委員 最近では、銀行に金がだぶついている、こういうふうにいわれております。ところが中小企業に関する貸し出しというものはますます減っておる。そのために、中小企業が金融逼迫で非常に困っておる。これにつきまして、何か市中銀行を集めて具体的な方途を講ずるとか、あるいは何か大蔵省として対策を授けるとか、協力させるように何か方途を講ずるお考えがあるかどうか一つ承わりたい。これは実際に言うべくして行われにくいことで、銀行の頭取を初めとして——これがまた生意気なやろうばかりで、とにかくいんぎん無礼で、へいへい言って大蔵省にきてば頭を下げるけれども、金のないやつに対しては、まるでそれこそ法王以上の態度をもって臨むやつが多い。とんでもないやつばかりだ。国のことなんか一つも考えてやしない。そういう点はよく一つ認識をされて、あなたの前に出たときの銀行の頭取と中小企業者に対するところの銀行の頭取の態度というものはまるで違うのだから、そういう点をよく一つ頭の中に入れておかれて、そうして実際に中小企業を助けるように何か対策を講ずるか講じないか、御答弁を承わりたい。
  159. 河野通一

    ○河野(通)政府委員 中小金融の促進につきましては、今お話しのありました具体的な手というものはないと思います。具体的にはどういうことをしたらいいかということが実はないのであります。結局各金融機関がその気になって、できるだけそのめんどうを見るつもりにならなければだめだと思います。私どもはそういうことを常に申しております。拙象論としてはいろいろなことが言えると思うが、できるだけ窓口がそのつもりになってやるということが一番必要なことだと思います。従来からたびたび書面でも言い、また銀行の集まりでも、この問題については特に力を入れて従来から注意はいたして参っておりますが、今後も十分その機会のあるごとに、お示しのようなことについての改善方については十分指導をいたして参りたいと思います。ただここで具体的に書面で通牒を出すか出さぬかということについては、もうしばらく考えさせていただきたいと思います。
  160. 福井順一

    福井(順)委員 具体的には何らの方策が立てられないとおっしゃるが、こういう点は従来ずっとそういうことになっております。これに対して何ら具体的な方策が講じられたことがないのであります。特にあなたも、近いうちにおやめになるのかどうかわからないが、どうもあとは知らぬというようなことでは困るから、後任者の東條君にも、福井がそう言ったということをよく引き継がれて、それを東條君がやらないならば、これはまた大へんな問題になりますぞということを、一つあなたからも話していただいて、どうしてもこれは銀行にはやらせていただきたい。私は、今の実際困っておる中小企業者を考えるときに、涙なくしてこれは語れない。あなたは何ら具体的方策を講じないとおっしゃるが、これは具体的事実を御存じないからそういうことを言われるのだと思うのであります。私は最近実に驚くべきことを発見した。それは朝日麦酒という会社が銀行から三十億、四十億、数十億の金を借りておるということを朝日麦酒の人間に聞いた。実に驚くべきことであります。今せめて数十億の金が中小企業のために出されたならば、全国の中小企業者は助かります。それをたった一人が、あわのような泡沫会社、ビール会社が一人占めにしておるとは何事か、しかもその朝日麦酒というビール会社の山本為三郎という社長は、千何百万円のロールス・ロイスという最高級車に乗って、この車は、天皇陛下とおれと二人しか日本で乗ってないのだと言って自慢して歩いている。町では中小企業金融が逼迫して、数人あるいは十数人の一家心中というようなものが、わずか二万円か三万円の中元の手当ができないために死んでおる。自殺者が出ておるのに、数十億の金を銀行から借りておる朝日麦酒の山本為三郎というようなやつが、ロールス・ロイスというような車に乗って歩いておるとは何事だ。あなたは、一体そういう泡沫会社にこれからも三十億、四十億、五十億、六十億の金を貸すつもりか、また銀行が貸しておるのを黙っておるつもりか、断じて私は容赦するものではありません。そういうものは引き揚げてしまいなさい。これに対するあなたの御見解を伺いたい。
  161. 河野通一

    ○河野(通)政府委員 山本氏がどういう車に乗っておられるか、私は知りませんが、ビール会社としてもやはり運転資金等が要るわけです。少くともビール会社につきましては、他の事業よりは、割合に短期に金が回るということは事実でありますから、他の企業に比べれば事業分量に比較して借入金を要する部分が少いとは思いますけれども、しかしビール会社は運転資金が要らないというわけには参りません。その運転資金の量が多過ぎるか、少な過ぎるか、今何十億というお話しがありましたが、それは私も個々に調べて歩くわけには参りません。私としても、そこまで個々の銀行の貸し出し先について、幾ら貸しておるかその貸し出し先がいいか悪いかということについては調べる力も持てませんし、そこまで介入しなければならぬ私の職責とも考えておりません。しかし今お話しのようなことで、もしその重要な資金がむだに使われておる、大企業には大して必要でない金が放漫に出ておってそれを中小企業に分けて使えば、千人にもあるいは百人にも使えるというようなことがありますならば、もっと重要な、緊要なところに回せるということがあれば、私どもはそれは注意しなければならないというつもりでおります。大企業に偏重した金融機関の融資の方針ということに対しては、たびたび御指摘がありまして、私どもそういうことがありとすれば、非常に遺憾だと思います。検査その他におきましても、大企業への大口の偏倚ということは十分注意をいたしておりますし、私からその点については、一般方針として行政指導はいたして参っております。今後も注意をいたしたいと思います。
  162. 福井順一

    福井(順)委員 これは朝日麦酒を私はさして言うわけじゃなくて、話の都合上、数十億の金を借りている会社の社長が、千五百万円というような車に乗って歩くのが、非常にコントラストがおもしろいので、一つの例として言ったにすぎないのであって、これはほかの、ビール会社もそうでしょう。ほかのビール会社でも、やはり数十億の金を借りているだろうと思う。しかし私は、ビール会社に数十億の金を貸す必要はないと思う。これはまた大きくいえば税収の問題もありましょう、あるいはまたホップを輸入するための外貨の問題もいろいろありましょう、それからまた麦の割当の問題もありましょうが、私はそんなにビール会社が数十億も銀行から金を借りてビールを作らなければならぬような国柄じゃないと思っている。従いまして、そういう点からいきましても、問題は多々ありましょうが、ビール会社は一つの例で、この次にはまたほかの全般的な例を出しますけれども、まずこのビール会社を手初めにあなたは研究してごらんなさい。あなたはおやめになるのだけれども有終の美をなすために研究してごらんなさい。こういうことがあるということなんです。そうしてこれが悪いと思ったら、ビール会社から金を十億でも二十億でも、半分でも引き揚げるようにあなたは銀行に言わなければならぬ、それがあなたの務めだ、私はこう思います。こういうことで、とにかく系列産業に集中的に大きな金が貸されて、そうしてこれが焦げつきになっている。一つの会社で何十億という金を銀行から借りて、それが焦げつきになっているから、中小企業の方へ金が回らないということでありますが、これに対してあなたはどうお考えになりますか。
  163. 河野通一

    ○河野(通)政府委員 たびたび申し上げております通り、大企業への大口偏倚ということが度を過ぎてはいけない、こういうことにつきましては、私はかねがね注意をいたして参っているつもりであります。今後におきましても、そういう点につきましては、検査を通じてなり、あるいは行政指導を通じてなり、極力そういう点についての行き過ぎは是正いたしたいと考えております。
  164. 福井順一

    福井(順)委員 私は時間がございませんからごく簡単にやりますが、集中的に大企業に融資が行われているという点につきましては、どうしてもこれは是正してもらわなければならない。これが是正されない限り、中小企業の金融というものは助からないと思います。関連の質問者もございますから、きょうはこれで次会に譲りますが、どうかあなたは私の言ったことをよく考えて、銀行の方にそういって、これは調査してもらいたい。この次は私は証人として銀行の頭取を呼ぶようにするかもしれぬから、よく一つ調査しておいてもらいたい。     —————————————
  165. 松原喜之次

    ○松原委員長 次に、銀行法の一部を改正する法律案を議題として質疑を行います。大平正芳君。
  166. 大平正芳

    ○大平委員 ただいま議題になりました法律案につきまして、提案者に二、三お伺いをいたしたいと思います。ただいま議論になっておりましたように、集中融資、大企業偏重というような一般の声がございます。これに対しまして、過般銀行法の一部を改正する法律案が提案されたのでありますが、その内容を拝見いたしますと、資本金と準備金とを合せた資金量の十分の一以上を一人に貸してはいけないという規制を加えようとするものでございます。一応この案をそのまま読みますと、俗耳に入りやすいといいますか、ごくフラットな、常識を法文化したような感じを受けるのでございますが、私は根本の考え方として、大企業と中小企業をあまり対立的に考えるよりも、金融というのはもう少し弾力のある考えがなければいかぬと思っております。念のために伺っておきますが、現在の提案者におきましては、各銀行の融資の実態を御調査されまして、十分の一以上一人について集中融資を受けている事例がどの程度あるのか、事実を一つお教え願いたいと思います。
  167. 春日一幸

    春日委員 御答弁を申し上げます。ただいま福井委員から、政府に対していろいろと集中融資の悪傾向を指摘して、きわめて適切な御質問がございました。これに対する河野銀行局長の御答弁は、あのような状態でございまして、いわば何にもしないというのが銀行行政だ、こういうような工合にわれわれは伺ったのでございまして、現に長い間河野銀行局長は、この集中融資、偏向融資、系列融資、こういうような金融機関の悪い傾向に対して、ほとんど手を打っておられないというこの事柄が、すなわち私ども提案者をして銀行法中一部改正法律案を上程せざるを得ないような事情にあるのでございます。  そこで、今こういう偏向融資の傾向ば具体的にどういうところがあるかという御質問でございますが、最近の資料によりまして、まず十一大銀行における集中融資の状況をかいつまんでお話しを申し述べたいと思います。これは公正取引委員会提出いたしました資料でありまして、これは昭和二十九年三月でございます。しかしながらその後私どもが銀行年報、銀行金融関係のいろいろな資料によって調査をいたしましたところ、この比率は、その後あまり改善されてはいないというの、でございますから、おおむねこういうふうな偏向融資が今もなお継続されているものと御理解を願っても、大きくは狂わないと思うのでございます。  そこで申し上げますと、富士銀行の自己資本をかりに百十三億四千万円といたします。自己資本というものはどういうものを称するかと申しますと、資本金、資本剰余金、利益剰余金、繰越利益金、こういうような社内に留保されております株主関係勘定を総合計をいたしたものでありますが、この場合単名割引だけを申し上げます。単名割引だけでもって高島屋飯田に二十二億七千万円、第一物産に十三億何千万円、丸紅が十二億何千万円、東洋棉花が十七億、日本鋼管が十四億、昭和電工が十三億というような工合になっております。これは単名であります。従いまして、これになお付随いたしております商手割引の、これのおおむね二倍を加えますと、貸出総金額は、会社によって多少の変化はありましょうけれども、三十億、四十億、ただいま福井委員指摘されましたような、朝日麦酒の山本何がしがとにかく三十数億の金を借りて、ロールス・ロイスを乗り回している、こういうような状況も随所に現われてくるわけであろうと思います。  三菱銀行は、これまた自己資本が百十一億と計算いたしました場合、すなわち単名割引でもって日本重工が十四億、それから新三菱重工については十九億、特にひどい例を申し上げますと、東京銀行は自己資本がわずか四十四億四千万円、その後増資されたかもしれませんが、この四十四億四千万円の東京銀行が、兼松一社に対しまして六十四億八千八百万円、まさに自己資本の一五〇%をこえる集中融資、偏向融資が行われております。その他協和銀行、三和銀行、第一銀行、三井銀行等をずっと調べて参りますと、特に顕著なのは三菱銀行で、これは三菱系の事業体へ、三井銀行ば第一物産とか東洋綿花とか三井鉱山とか、こういうような三井系の事業体へ、こういう工合にその銀行の預金が集中的に、偏向的に、系列的に流されておるのであります。そこでわれわれが考えなければなりませんことは、少くとも銀行の貸し出す金というものは大衆の預金であり、足ざらるところは日本銀行から借り入れたところの国家の金であります。すなわち資金源はこういうような公共の資金であります。この金が銀行の窓口を通ずることによって、銀行は今やそれぞれの関連産業の資金調達局に変貌し去っておるわけであります。こういう工合に考えますると、産業に奉仕しなければならないところの、公共性の最も高い金融機関が、今や彼らの系列産業の資金を調達するための機関に堕し去っておる面が非常に多いのでございまして、ことにこの当時におきます調査によりますると、総貸出量を一年間二兆七千億といたしますると、この集中融資の傾向にあるものが全貸出量の二五%をこえるといっておる。これは銀行局年報によってわれわれが調査したのでありまするが、この三兆七千億の中で、おおむね一企業に対する貸付が銀行の自己資本に対して一〇%をこえるものが全貸し出しの三〇%、それから二企業に対する集中融資が二五%をこえるものが一七%、これを合しますると、当時の二兆七千億の総貸出量の中のおおむね九千億円、あるいは一兆円近い金が天引き的に銀行関係の企業体へ流されており、余すところの金を全国の中小企業を初め、その他の産業が使っておるということなのでございます。こういうような集中融資が行われ、偏向融資が行われましても、現在の銀行法におきましてはこれを何にも制限するということがありません。何らの規制を設けていないのでございます。すなわち銀行家がどこへ金を貸しましょうとも、それは銀行家の自由自在、気随気ままで、これは金融政府状態というのでありまして、まさに金融行政に関する限り、政治以前の姿であるのでございます。政治というものが行われておる気配はございません。すなわち河野銀行局長答弁されましたように、これは法律によってとか、あるいはまた通達によってとか、そういうことを行わないで、そうして銀行協会の総会等があったときに、わずかに銀行局長が行って、あまり相手の気に逆らわない程度のあいがつをなされて、私どもはこう考えるが、実際の執行はあなた方の思う通りなさいませ、こういうようなことでございまして、われわれ大蔵委員会においても、実に何カ年間かにわたりましてこの問題を強く論難糾弾しておるのでございまするが、これを全部河野銀行局長がみずからたてとなって受けて、そうして多くの金融機関は、この河野銀行局長の人だての背後に隠れて彼らの利潤を追求し、独占利潤をほしいままにして今日に参っておるのでございます。こういうような状況下におきましては、その資金が大衆の預金であり、日銀から借りた金であるならば、この金がほんとうに日本の全的な産業の面に均霑でき得るように、法律によって規制が行われなければならないのでございまして、先般自由党からの資金委員会法はどうするんだという御質問に対しましても、なおこれは出すのか出さないのか、政府の見解は明確ではないのでございます。すなわち資金委員会法は、自由党、民主党の予算共同修正に伴って、当然法律を出すことによって、たとえば今回金融債を一般市中に振りかえたのだが、しかしながらそれに対しては、当然法律によってその金融債を引き受けなければならないような規制を行うということも、当時の予算の修正の中ですでに政府は確約しておったとわれわれば了承いたしておるのでございまするが、国会の会期まさに終らんとしている今日、今なおこの法律は出されておりません。こういうようなわけで、現在の産業と金融とは、すなわち政府と大企業と金融機関との三位一体のやみ結託によりまして、彼らのほしいままになされておるのでありまして、すなわちすでにあなた方両党によって約束をされましたところの資金委員会法が本日出されていないということが、それを明確に物語っておるのでございます。すなわち金融に対しては何にも手を触れない、どういう工合にでもいいからやれというのが現在の政府の立場であるのでございまして、現在私どもの調査いたしたところによりますと、資本毛義の本山アメリカにおきましてすら連邦準備法、すなわ金融を監理いたしておりますところの関連法規においては、同一企業体に、自己資本の一割以上をこえて貸し出した場合には、これは一年以下の懲役、罰金三十万ドルという法律の規制があります。日本におきましては相互銀行法、貯蓄銀行法、こういうようなものでみんな同一の規制をいたしておりますのに、ひとり銀行法の中においては、法律というものは天衣無縫であって、何らの拘束がされていないということ、これが今日の日本の中小企業の金融梗塞の原因をなしておるのでございまして、従いまして、この法律を出すことによってのみ初めて中小企業の金融難の緩和がはかられ、しかしてこの金融というものが産業に奉仕するという本然の姿に初めて立ち戻り得ると考えるのでございまして、ことにわれわれ日本社会党両派がこの銀行法一部改正法律案を上程いたしておるというねらいは、そこにあるものと御了承を願いたいのであります。
  168. 大平正芳

    ○大平委員 非常に該博なる資料を御提示いただきまして敬服いたしますが、ただ御意見にわたらぬように、その事実だけを御答弁願いたいと思います。  銀行融資というか集中融資というか、それが今おっしゃったような状態にあるということはわかりましたが、一体それは終戦後、年次別に言うとどういうようなパーセンテージをたどっておりますか、資料がありましたらそれだけ一つ……。
  169. 春日一幸

    春日委員 私は本日その質問を受けるということを予定いたしておりませんで、実は三十年度におけるその資料を持って参りませんでした。私は二十八年度、二十九年度、三十年度資料をそろえております。ところが集中融資の傾向は、その後改善されておらないのでございます。いずれ明日でもその資料提出するつもりでございますが、二十九年三月に公正取引委員会がおおむね調査いたしましたこういうような事実は、今もなお継続されておるのでございまして、ただいま福井君によって最も新しい事実として指摘されました、すなわち朝日麦酒の三十何億の融資とロールス・ロイス、こういう事実は、現在全国の各地において行われておるわけでございますので、この点を一つ申し上げておきたいと思います。
  170. 大平正芳

    ○大平委員 いずれこの問題は、またゆっくりと提案者の諸君の御見解を伺いたいと思いますので、本日はこれをもって私の質問は終ります。
  171. 福井順一

    福井(順)委員 この際河野銀行局長にお願いしておきますが、ビール会社に幾ら貸しておるか。日本麦酒、朝日麦酒、麒麟麦酒それぞれに対する貸付金額とその期間、この資料委員長まで出して下さるように要求しておきます。
  172. 黒金泰美

    ○黒金委員 政府当局に対してちょっと伺っておきます。本国会の会期もあと十日くらいしかないのでごごいますが、例の資金委員会法案、それからまた農村関係の税の軽減の法案はもう出していただかなければいけないと思うのですが、いつ御提出になりますか。これが通らなくなるとちょっと困るのではないかと思いますが、その大体の日取りを的確に一つお話し願いたいと思います。
  173. 藤枝泉介

    藤枝政府委員 あとの方から申しますと、米の減税の法案は、すでに閣議決定を見ましたので、おそらく明日には確実に提出できると思います。それから資金委員会関係法案でございますが、これは御承知のように自民両党で御協議になりまして、最後の妥結ができまして、私どもの方に御通知がありました。金融制度については、すでに御承知の通りに、金融懇談会の議を必要といたしますので、これを大体月曜日、二十五日にその懇談会にかけました上で、閣議決定をいたしまして、提出いたしたいと思いますので、おそらく二十七、八日ごろになるかと思います。しかし、これはあるいは社会党の方はいろいろ御疑問もあろうかと思います。自民御両党においては、十分提出前に練っておられるわけでございますので、あるいは委員会のお取扱いとして、審議の日数の少いことは、はなはだ申しわけございませんが、一つ馬力をかけて御審議をいただきたいと考える次第でございます。
  174. 松原喜之次

    ○松原委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は明二十二日、午前十時より開会することといたします。本日はこれにて散会いたします。    午後一時三十一分散会      ————◇—————