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1955-07-08 第22回国会 衆議院 大蔵委員会 第30号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年七月八日(金曜日)     午前十時四十七分開議  出席委員    委員長 松原喜之次君    理事 加藤 高藏君 理事 内藤 友明君    理事 森下 國雄君 理事 大平 正芳君    理事 横路 節雄君 理事 春日 一幸君       有馬 英治君    宇都宮徳馬君       遠藤 三郎君    竹内 俊吉君       夏堀源三郎君    坊  秀男君       前田房之助君    山本 勝市君       淺香 忠雄君    川野 芳滿君       黒金 泰美君    小山 長規君       古川 丈吉君    石村 英雄君       木原津與志君    横山 利秋君       井上 良二君    川島 金次君       河野  密君    田万 廣文君       平岡忠次郎君    石野 久男君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 一萬田尚登君         通商産業大臣  石橋 湛山君  出席政府委員         大蔵政務次官  藤枝 泉介君         大蔵事務官         (主税局長)  渡邊喜久造君         大蔵事務官         (主税局税関部         長)      北島 武雄君         大蔵事務官         (管財局長)  窪谷 直光君         通商産業事務官         (鉱山局長)  川上 為治君  委員外出席者         専  門  員 椎木 文也君     ――――――――――――― 七月七日  スキー及び附属品に対する物品税撤廃に関する  陳情書外一件  (第三二七号)  美術工芸品に対する物品税軽減に関する陳情書  (第三三  八号)  寒冷地特別控除設定促進等に関する陳情書  (第  三二九号)  石炭手当等に対する所得税免除に関する陳情書  外一件(第  三六二号)  株式配当課税改善に関する陳情書  (第三六四号)  所御税法の一部改正に関する陳情書  (第三六五号)  福島県に国立たばこ試験場設置陳情書  (第三七九号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  関税定率法等の一部を改正一する法律案内閣  提出第六〇号)  開拓者資金融通特別会計法の一部を改正する法  律案内閣提出第四七号)  労働者災害補償保険特別会計法の一部を改正す  る法律案内閣提出第六七号)  地方自治法第百五十六条第六項の規定に基き、  税関支署設置に関し承認を求めるの件(内閣  提出承認第三号)  国有財産特別措置法の一部を改正する法律案(  内閣提出第一一六号)     ―――――――――――――
  2. 松原喜之次

    ○松原委員長 これより会議を開きます。  関税定率法等の一部を改正する法律案を議題として質疑を続行いたします。井上良二君。
  3. 井上良二

    井上委員 大蔵大臣に二、三質問をいたしますが、大蔵大臣が本年度予算編成方針財政演説におきまして、わが国経済再建中心課題は、産業全般生産コストを引き下げるということを言明いたしたのでありますが、この方針は現在でも変っておりませんか。それを伺いたいと思います。
  4. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 変っておりません。
  5. 井上良二

    井上委員 それでは次の質問に明確な答弁を願いたいと思います。去る五月二十七日、政府エネルギーの総合対策なるものを閣議了解事項として決定をいたしております。このうち、まず石炭対策において、炭価重油及び輸入炭に匹敵する程度まで引き下げることを目途とする、こういうことをうたい、石油対策においては、重油石炭との消費分野を明確にし、石炭使用を適当とする用途における重油消費を抑制する、なおボイラーについては、重油ボイラー設置の制限及び石炭転換の勧告を行うということを申しておりますが、このことは、今日現実わが国エネルギー給源の重要な問題でございまして、現在重油石炭よりもはるかに安い。反対に石炭の方が重油よりも高い。そこでこの炭価重油及び輸入炭に匹敵する程度まで下げる、こういうことをおきめになっておりますが、具体的にどれだけの予算をもって、どれだけの資金をもって、どういう措置を講ずれば現在の炭価重油よりも安くなるかということを、財政的見地から御答弁を願いたい。
  6. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 ただいまのところ、財政の裏づけをもって具体的にやろうとしていることは、御承知のように、石炭合理化ということを法案を出してきております。これでやっていくのでありますが、そのうたっておる基本は、私どもはもう少し根本的に考えておるのでありまして、特に先般からしばしば申し上げましたように、燃料対策というものを確立するということが、私はこの石炭というものについては、特に少くとも国際水準価格日本産業全部に渡ることができるようにすることだと思います。そうするのには一体財政的に、あるいは経済的にどういうふうな施策を必要とするか、こういうふうな考え方を持っておるのでありまして、こういうふうな基本に触れる——全体の物価を下げるというような意味でなくして、ある産業生産コストを下げることによって、その製品価格を下げていくという個別的な物価政策というものを、今後強く打ち出していくつもりであります。そういう場合には、必要があれば、財政的な援助も十分考慮してよろしい。ただ今そこまで具体的には政府としてもいっていません。今具体的になっていることは、石炭合理化法案に塞ぐ石炭合理化により石炭コストを下げるというところにとどまっております。
  7. 井上良二

    井上委員 炭価重油より安くする、そのために石炭合理化を促進させていく、そうすれば石炭が下る、こういうお話しでございます。私どものいろいろな角度からの検討の結果によりますと、今お話しのように、かりに石出産業合理化が推進されしましても炭価は下る見込みがない、こういう一つ見通しを立てておるのであります。なぜかというと、炭価の占めます約七〇%は労賃であります。そこで石炭業合理化をやろうというのには、この一番大きな炭価要素になっておりまする労賃を節約していくということよりほかに方法はありません。すなわち炭鉱労務者を首切りするか、首切りを前提とするということでなければ下らない。現に石炭業は、大臣御存じ通り、投下しました施設の償却に、あるいはまたは労務者職員等退職金引き当て等、非常に大きな問題がございまして、これらをかりに除外をいたしてさえ赤字でありますから、国家投資を加えさえすれば、さらに一そう私ども赤等を増大していくという見通しを立てておる。大蔵大臣は、合理化のための投資をすれば炭鉱経営採算が合うて、炭価重油よりも安くなる、こうお考えになっておりますか。
  8. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 これは、あまり立ち入ってお話しを申し上げるより、通産行政で、むしろ通産大臣から責任を持ってお答えすべきことであろうと思うのでありますが、私の考えを申し上げますれば、むろんいろいろコストを下げる対策はあると思います。要件もあると思いますが、たとえば縦坑にするとか、こういうふうに設備改善によって、相当私はやはり行くのではないかと思います。それから私は、ほんとうに燃料対策、あるいはまた石炭対策というものが確立されれば、税制の面においても、あるいは金利の面においても考慮を加えていく、そうしてまた労使の関係がどうあるべきか、進んでは石炭企業というものがどういうふうな企業形態をとるべきか、こういうふうなところまでいって、十分石炭というものに対しての対策があれば、私は生産コストを下げる道はいろいろとあると思う。そういうことによって、安い石炭を全産業に供給することによって、全産業生産コストは非常に下っていく。それがまた貿易を伸張させて日本経済を大きくし、雇用の機会もふやす。同時にそういう経済全般繁栄から、かりに石炭業自体における税の減収を見ても、全体の産業繁栄において税収入はふえる。こういうふうな、ごく大ざっぱですけれども、構想において石炭というものを考えておるのでありますが、これは通産大臣が今お見えになりましたから、通産大臣から今後の方針をお聞き願う方がよろしかろうと思います。
  9. 井上良二

    井上委員 通産大臣が見えましたから、通産大臣大蔵大臣に兼ね合いで質問をいたします。ただいま御質問を申し上げております点は、政府総合的燃料対策の問題についてでございますが、去る五月二十七日に閣議了解事項として決定いたしましたうちで、わが国石炭重油よりも価格を引き下げることを目標にする、こういうことを中心に今議論をいたしておるのであります。通産大臣が見えましたから、そこで私は通産大臣に伺うのですが、鳩山内閣としての政府総合的燃料対策の重点は、石炭電力にお置きになりますか。この点を伺いたい。
  10. 石橋湛山

    石橋国務大臣 ただいまのところは、そのような石炭電力ですが、しかしながら、むろん石油開発もこれからやろうというのでありますし、それからまた原子力も大いにやろうというのでありますから、決して片寄ったことはしないつもりであります。当面の問題としては、とにかく石炭鉱業というものは、現在いろいろの点において日本で非常に重大な産業でありますから、これは一つ生かしていこうということを考えております。
  11. 井上良二

    井上委員 生かしていこうというのは、石炭産業採算の合うようないたし方ですか、炭価を引き下げるということが目的ですか、どっちですか。
  12. 石橋湛山

    石橋国務大臣 これは、採算が合うためには、まず原価が下らなければだめなんです。重油との競争力があるということでなければ、これは石炭鉱業は維持できませんから、そこで一方においてはいわゆる合理化——と申しましても機械化でありますが、大体機械化を行なって、コストを下げるという方法をとりたい、かようなことであります。
  13. 井上良二

    井上委員 あなたは、はなはなだ失礼でございますけれども重油石炭競争相手になっておるのだから、重油と対抗する価格に下げなければならぬ、こういうお話しであります。これは、今日御存じ通り世界燃料石炭から重油に移行しております。これは御存じ通りです。しかも世界の大勢は、これが独占資本であるといえども、非常に値下りの傾向を示しております。この世界エネルギー資源の重要な要素に登場しました重油と、わが国石炭の価値をその面で競争させまして、重油をよけい使うから石炭が売れないのじゃ、だから重油を使わぬように、ボイラー消費規制を加えたり、輸入を制限したり、関税復活をすれば、それだけ石炭はよけい消化されるであろう、あなたはこういうお考えでございますか。そこのところはどうです。
  14. 石橋湛山

    石橋国務大臣 いえいえ、長い目で見ればそんなことはないです。長い目で見れば、それは、今後重油使用されるところは重油使用されなければならぬでしょう。それぞれ経済的理由があって重油が用いられる、あるいは石炭が用いられるのであります。しかし今さしあたっての問題はどうかというと、それは少し違いまして、これはよく井上君の御承知通り、現在は日本石炭が残念ながら戦時中以来経営の無理をしてきたことから、特にコストが高い。そこで当然石炭で間に合うところが重油に侵食されているというのが現状であります。またこれは、質も違うからある程度やむを得ませんが、外国炭よりも日本石炭の方が高い。国内において高いばかりでなく、海外における——これも国によりますが、日本工業で使う石炭よりも外国においての石炭の方が安いということもありますので、そこで、とにかく日本石炭というもののコストを合理的に下げるということをいたしませんと、現状においては、日本には石油生産は非常に乏しいのであります。だから、すべてこれは、今のところはこれから開発をして成功すれば別でありますが、現状においては輸入に待たなければならぬ。そこでその輸入に待つとなれば、これはやはり外貨の問題にひっかかって参りますしするから、とにかく国内エネルギー源の最も大きなる一つであるところの石炭をもっと利用するようにいたしたい。むろん水力電気開発も必要としますけれども、こういう観点から石炭合理化をやろう、かようなわけでありまして、これは、永久にただ重油規制をして、石炭保護しようというような考えは持っておらないのであります。むろん将来においては、重油を使うときには重油を使えるようにしたいと思うのでありますが、今さしづめは、先ほど申しましたように、とにかく日本石炭が立ちおくれといいますか、あまりにも戦時中以来の状態が悪化したために、特に競争力を失っていますから、その競争力を与える間は多少の保護を加えなければならないということは、これやむを得ない事態だろうと思います。
  15. 井上良二

    井上委員 石炭不況対策及び石炭の新たな国民経済への、用途の高い産業分野への開拓の道は、別に検討をするべきでありまして、重油石炭と対抗さして、重油が安いから、そこで重油の頭を押えて、石炭を使わすことにしよう、こういうけれども、それであなた自身所管省である、通産省目的である産業全体の生産コストを引き下げる重要な要素である燃料価格を引き下げるということと矛盾しませんか。高い石炭を押しつけることになるじゃありませんか。高い石炭を押しつけてどうして生産コストが下りますか、生産コストの大きなものは燃料費ですよ。その燃料コストを下げることに全力を上げなければならぬ。それを、安い燃料を使うことはけしからぬ、国内の高いやつを使え、そういうことになるじゃありませんか。それでは燃料全体の総合的なエネルギー源対策になっておりませんよ。生産コスト全体を下げて、輸出を促進して、国際収支のバランスをとるという内閣全体の基本方針と明らかに矛盾するじゃありませんか。石炭価格を下げなければならぬが、具体的にどうやって下げようというのですか。重油より安くならなければ、これを使えというわけにはいかぬのです。安くなれば、当然あらゆる面で工夫して石炭を使うことになりまようが、重油より下らないという現状において石炭を使えば、決して生産コストを下げることになりません。その矛盾をどうしますか。
  16. 石橋湛山

    石橋国務大臣 商いものを無理に使えなどとはだれも言っておりません。ですから、石炭価格を下げよう、石炭価格を下げるといっても、ただ下げるわけにいきませんから、その生産コストを下げよう、そして十分日本石炭鉱業も、日本の重要なる燃料資源、あるいはエネルギー資源として立ち行くようにしてやろう。むろん石炭の新たなる利用の分野開拓するということも、同時にやるのでありますが、しかしこれは御承知のように、今石炭化学とかいろいろ言いますが、たとえば石炭完全ガス化ということ一つをとってみましても、大いなる設備をして完全ガス化していこうというところまで、まだ十分技術がきておらないのであります。ですから、まず技術の研究から始めなければならぬというような分野もありますので、それができるまで石炭をうっちゃっておくか、重油を幾らでも入れて使わせるかというと、それはやはりそうはいかないと私は思う。たとえば食物にしましても、粉食にするのがよいと理論がありましても、どうも今までもで米を食っておった、粒食であったものを、急に今日から突然粉食に変えわけにいかないのと同じように、日本燃料というものもも、石炭が重要なるものであったのでありますから、そこで、とにかく将来の問題は、むろん経済的な実力によって争うよりほかないのでありますから、その実力をつけてやるようにいたしたい。かようなことでありまして、決して高いものを無理に使えなどという気持は持っておりません。
  17. 井上良二

    井上委員 現実にあなたのやっておる政策は、そうなっておるじゃありませんか。どういうわけでボイラー規制をやるのです。どういうわけで輸入を制限するのです。どういうわけで高い関税復活するのです。これは提案者説明を伺いますと、一つ重油国際価格が非常に下ってきた。一つ国内熱資源開発のための保護関税として意義があるし、一つ石炭不況対策、この三つを理由として石油関税復活を提案されてきているわけなんです。ですから、あなた自身のおやりになっておる政策現実のこれらの政策を総合的にやることによって、生産界においては必然に高い石炭燃料として使わなければならぬという方にあなたは持っていっておるじゃないか。石炭不況対策と、それに関連する新しい合理化なり新用途開拓は、別個の対策考えるべきであります。これと重油とを競合させるというところに問題がある、私はそう考えております。御承知通り石炭昭和二十二、三年には五千万トンを目標にしておった。一時三千五百万トンの石炭から四千五百万トン、五千万トン目標増産計画が立てられてどんどんやられてきておったものが、最近漸次減産減産を続けて、現在では四千万台になっておる。さような現実から考えて、これにはものすごい投下資本がかかっておるにかかわらず、また政府融資を行い、資金援助を行なってきておるにかかわらず、一向増産はされず、単価は下っておりません。そこで国際競争に耐え得るために、生産界はやむにやまれず安い燃料源を求めるのです。単に生産コストを安くするのみならず、諸外国製品に対抗して、遜色のないりっぱな製品を作らなければならぬ。この見地から重油需要というものが急激に増大してきておる。これは単に重油の値が下ったという採算上の問題だけではありません。今日重油使用がその製品に及ぼす非常な効果を単的に立証しておるものであって、単に採算上だけの問題ではない。あなたの今の御説明をずっと附いておると、わが国生産コストを下げて輸出を推進し、りっぱな商品をどんどん作っていくことに役立っておる重油使用を食いとめて、一方石炭をそれに置きかえよう、こういうのですが、しかも石炭価格は下らぬ。どうして下げようというのです。あなたが今おっしゃったように、石炭ガス化の問題、あるいは火力発電の問題、あるいは石炭液体化化学化の方向をもって石炭消費量を高めていくという新たな用途への積極的対策考えなければならぬ。そういうものに対して、一体具体的にどういう対策が立てられておりますか。石炭ガス化の問題、火力発電の問題、さらに液体化から化掌化の問題に対して、政府は具体的にどういう対策を立てられておりますか。そういう面において石炭需要を嵩め、国内において採算の合う炭鉱業としての経営合理化していくという線を打ち出さなければならぬのに、その方面には至って消極的で、重油との競合だけをあなた方は取り上げておる。重油と競合するためには価格を下げなければいかぬ。下げるにはどうして下げるかということです。われわれは、それをはっきり説明してもらわぬと納得ができないのです。具体的にどうして石炭重油価格と競合する値に下げますか、それを伺いたい。
  18. 石橋湛山

    石橋国務大臣 石炭化学化、あるいはガス化とか火力発電のことについては、具体的には政府委員からお答えをさせますが、これはわれわれとしても閑却しておるのではなくて、大いにやっておるのです。やっておるのですが、先ほど申しましたように、これにはいろいろ技術の問題があり、設備の問題がありますので、きょうがきょうといって急にはなばなしいことをやるのは、実際においては困難でありますから、逐次やる以外には道がないのです。それからさっき申したように、過渡的には重油規制をし、あるいは関税を上げることは、必ずしも石炭だけの関係ではありませんが、しかしながら石炭だけの関係に限ってみましても、これは過渡的の処置としては、確かにあなたの言われる通り、ある程度石炭保護のためにやるという意味があります。その限りにおいては、論理的には、井上君の盲われるように、それでは高い燃料を使わせるのではないかという論理は成り立ちます。けれども、これは国全体の産業を総合的に見ていかなければなりませんから、それではもう自由放任で、何でも安い重油が入ってくれば、それも使わしてそうしてやるか、それとも、日本石炭というものは重大な産業であるから、これを何とか生かす道を同時に講ずるかという、そこにどうしても政策矛盾があることは事実であります。ですからわれわれとしては、同時に重油規制をいたし、関税を上げますが、できるだけ輸出産業、特にたとえば染色関係というようなものが重油を使うことについては、これは今まで通り規制をしないつもりなんです。ただ重油の方は、何か経済的に便利があるから使っておるに違いないが、たとえば家屋の暖房でありますとか、厨房でありますとかというようなものの燃料は、これはしばらくがまんしてもらって、石炭を使ってもらってもいいのじゃないか。それも、非常な費用をかけて、また重油ボイラーから石炭ボイラーへ転換することは気の毒でありますから、それは当然考慮していき、そしてまたそういう場合には、必要なら融資もして、何とか転換できるならできるようにしようというのでありまして、重要な産業コストを上げるような規制をするつもりはないのであります。これは矛盾があることは事実なんです。その事実を突かれれば、それは矛盾があると申し上げる以外にはないと思います。
  19. 井上良二

    井上委員 大臣のお心持は大体わかりますけれども、お心持で事が済む問題と違うのです。毎日生産活動が行われ、生産コストの引き下げをやらなければならぬ現実の上に立っておるのですから、公共事業社会事業をやっておるのと違うのです。採算の上に立って競争が行われておる資本主義社会なんです。そういう場合において、あなたのような答弁をされておったのでは、現実の問題は解決できない。  そこで、大蔵大臣は他の委員会にも呼ばれていて忙しいということでありますから、大蔵大臣にちょっと伺いますが、一体大蔵省は、今まで石炭増産対策国内原油増産対策に所要の資金をあっせんし融資してきておりますが、一体このあとについて検討されておりますか。それだけ効率的に資金が使われてきておりますか、それを伺いたい。
  20. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 石炭につきましては、御承知のように前は復金でやりまして、それを引き継ぎまして、今日開発銀行融資になっておるのが多いのでありますが、むろんその他北海道、九州等における市中銀行融資をするということは、申すまでもありません。これらの融資、特に復金あるいは開発銀行融資につきましては、むろん報告も取りまして、十分な注意を加えておるわけであります。
  21. 井上良二

    井上委員 私はその資金がどう融通せられたかという、その融通機関の内容を聞いておるのではない。具体的に申しますと、政府は開銀を通して石炭に、昭和二十六年に三十一億、二十七年に三十五億、二十八年に四十五億、二十九年に二十五億という莫大な資金をこれに投下しておる。これだけの資金で一体どれだけの石炭業合理化され、単価が下ったのですか、それを伺っておるのです。
  22. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 今、私自身資料を持ちませんので、通産省政府委員から御答弁申し上げることにいたします。
  23. 井上良二

    井上委員 大蔵大臣がこれだけの大きな金を石炭産業に投じておきながら、その石炭合理化による増産、そのはね返りの単価値下り、同時にわが国産業界に与えた好影響ということを国民に知らさずして、どうして大蔵大臣の役割が果せますか。そんなことで金を使われたら迷惑です。どうですか。
  24. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 さような融資によりまして、日本の、特に戦後におきまする日本石炭業が堅実な、まあ起伏は非常に多かったのでありますが、日本燃料あるいは工業原料というような供給に至大な貢献をして、今日の石炭業の建設ということに相なっておるわけであります。この資金融資につきましては、非常に問題も符に復金時代に多かったのでありますが、注意を加えて効率をはかっておるわけであります。
  25. 井上良二

    井上委員 さっぱりわかりません。二十六年というと、ちょうど一時重油関税を課するのをやめようといった年であります。月来毎年ただいま申し上げましたような多額の資金石炭産業に投下されてきております。これは、いずれも石炭合理化して、増産をはかって、単価を下げるという目的でやっておるのです。ところが二十六年から今日に至って、単価はどれだけ下ったか、同時にわが国産業界にどれだけ使用量がふえ、石炭需要がかくも増大してきた、安くなったために石炭をこれだけよけい使われるようになった、同時に石炭産業も非常に立ち直ったということが現われなければ、金を投下した何らの恩義はありません。反対に石炭は年々売れ行きが悪くなって年々不況にあえいできて、そうしてここで再び石炭合理化法案政府提出し、あるいは重油ボイラー設置の制限等に関する法案を作らなければならぬようになったということは、一体どういうことですか。こんなべらぼうな金の使い方がありますか。これでいいと天蔵大臣考えになっておりますか。あなたはかって日本銀行の総裁で、少くとも銀行経理の内容についてはエキスパートです。金の採算については、あなたは何人よりもよけい知識を持っておる。それにかかる多額の資金を投下して、それで何らの効果が現われないということで、一体どうします。現実に他の庶民、中小企業金融機関に対しては、わずかの資金の増額もなかなか政府予算その他の関係でできないというような苦しい財政状態のもとにおいて、毎年多額の金が石炭産業に費されておるのに、少しも単価は下らない、少しも用途は拡大しない、石炭業は立ち直らない、不況から不況に追い込まれておる。これは一体どういうことです。こういう金の使い方をして、これでいいのですか。これを伺いたい。
  26. 石橋湛山

    石橋国務大臣 御承知のように、あなたは一番よく御存じだが、終戦後石炭生産が非常に減りまして、一年二千万トンを欠けるというような窮境に陥った場合に、日本の社会の秩序を保つためには、少くとも三千万トンの石炭を出さなければならぬというので、その当時、今の大蔵大臣は日銀の総裁でありましたが、しばしば日銀にもお願いして、昭和二十一年ごろから、炭鉱にはずいぶん金を出して増産をした。その後それが変って復金になり、あるいは開銀になったのでありますが、そういうわけで、戦時中非常に荒した山を一応回復して、とにかく今は過剰になっておりますが、先ほど井上君の言われたような、五千万トン近くも生産がふえてきたというのは、この資金のおかげであります。しかし単価が下らないといいますが、コストが、われわれの希望からいうと十分下っておりませんから、さらに合理化をしたいのであります。不景気の影響はむろんありますけれども単価は下っております。それから生産が非常にふえております。それから先ほど大蔵大臣が言われたように、この資金は相当の効果を上げておると私は思うのであります。ただ前からの引き継ぎで非常に山が荒れており、それから戦後つぎ込んだ金は、かなり利潤を炭住とかなんとかいうものに同定をしているということから、石炭鉱業が非常に困難をして、最近の融資は、だいぶん旧債償還にも回っている、こういうのが事実だと私は思っております。数字のことは政府委員、から申し上げます。
  27. 井上良二

    井上委員 あまり突っ込んでいくと時間が過ぎてしまって、他の質問ができませんから、この問題は、いずれ政府の方から資料をもって御説明されるそうですから、私としましては、その資料を見た上で追及いたします。  次に大蔵大臣に伺いたいのは、商工委員会に提案されております重油ボイラー設置の制限等に関する臨時措置に関する法律案の第五条において、政府は必要な資金の確保に努めると規定しておりますが、この必要な資金の確保のための資金的、予算的処置は、予算のどこに一体計上してありますか。
  28. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 この融資につきましては、大体私の考えでは、中小企業が多かろうかと思っているのですが、それは中小企業金融公庫、あるいはまた少し規模の大きいのは開発銀行、その他一般市中からも融資のできることもあろう、かように覆えておりまして、それらのあっせんをいたそうと考えております。
  29. 井上良二

    井上委員 商工委員会でも川上鉱山局長は、この資金の確保というのは、これは補助金を意味しているものではない、別に補助金は出さない、ただ資金のあっせんをすることだ、こういうことを答弁し、ただいま大蔵大臣も、中小企業金融公庫ですか、さような方面からあっせんをする、こういうことを申して、予算には組んでいない、別に資金措置は講じてないというのです。そこで伺いますが、一体重油ボイラー石炭に転換するために必要な資金措置は、どのくらい政府は予定しておりますか。
  30. 川上為治

    ○川上政府委員 この法律によりましては、大体五年から十年経度の間におきまして、極力転換するように持っていくわけでございます。総額におきましては、詳細な資料はできておりませんけれども、大体二十億程度というふうに考えておりますが、それを年割にいたしますと、大体数億程度で足りるのじゃないかというふうに考えております。これは、私ども考えておるのは、スムーズに完全に転換するものと見てその程度というふうに考えておりますが、これにつきましては、先ほど大蔵大臣からもお話しがありましたように、開銀、あるいは中小企業金融公庫、あるいは興業銀行という方面から私どもが極力あっせんいたしまして、そうして金が融資されるように持っていきたいというふうに考えております。
  31. 井上良二

    井上委員 資金のあっせんをするということを確保ということは、法文上どういうことになりますか。確保ということは、予算的、資金措置予算上明確にしなければならぬということと違いますか。あっせんというのは、別に予算的、資金措置予算上に明記しなくてもいいのですが、資金の確保というものは、政府がこの資金に責任を持つ、そして予算化します。資金措置を講じますという確約を意味しておるのではありませんか。あっせんなんてたよりない言葉でごまかしてはいけませんよ。
  32. 川上為治

    ○川上政府委員 これは、私どもとしましては、その方法として極力あっせんをいたしまして、そしてその資金の確保に努めるという文句になっておると思うのですが、そういうことをいろいろわれわれとしましては努力をしたい、そうしてその資金の確保をはかりたい、こういう考えであります。
  33. 井上良二

    井上委員 大蔵大臣に伺いますが、ただいま伺いますと、五年間に約二十億、年間に約四億ということになるようでございますが、そういう資金的ワクがどの金融機関にございますか、それをお示し願いたい。
  34. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 今、確保ということで大へん御心配もあったようであります。ごもっともと思いますが、これは私はよく実情を見まして、要すれば、そういうことが必要であると考えますれば、開発銀行なり、あるいはまた中小企業金融公庫等について、資金を出します場合ある程度資金のワクを考えてもよかろうかと思います。これは、そういうふうなことをするのは必ずしも私は好ましく思いませんが、確保ができるかできぬか、もう少し情勢を検討した上で考えてみたいと思っております。
  35. 井上良二

    井上委員 そうすると、資金措置が今日政府の金融機関のワク内において明確にされておらぬ。そこで一方法律はそれを書いておる。実際上その予算的、資金的な裏づけが明確にされないとき、こんな法案を通しても役に立たない。そしてまた現実政府は、一番私どもおかしく考えます点は、石炭の足らぬときは盛んに重油に転換しろ、重油に転換しろというて勧奨して、その重油施設を作りますと、今度石炭が余って、売れないようになってどうにもならぬというと、今度は重油を使うことはない、全部石炭を使えということになった。そう心やすくたびたび変えられるようでは、産業界はたまったものではありません。またそのうちに石炭が足らなくなったら、もう一ペんつけかえになる。そういうむだなことをされてはたまりません。政府の慰みものにされてはたまりません。どうですか、将来はもう一ぺん重油を使うようなことをおやりなさいますか。それだと、二十億入れただけ損だ。こういうことになるのだが、そういうことでは重油対策なんというのはできませんよ。どうお考えになっていますか。
  36. 石橋湛山

    石橋国務大臣 御説いかにもごもっともでありますが、これは、過去のことは一つしばらく御宥恕を願いたい。とにかく今回ボイラーの転換をやるのは、非常に慎重な態度をもってやりまして、そしてまたさっきから申しますように、石炭価格も十分重油を使わぬでもよろしい——現在の不景気の影響もありますが、山元においては、すでに重油競争のできるくらいの価格が出ておる。ただこれは表面的な価格でありますから、ほんとうの原価の引き下げによって価格を引き下げるということにいたしますれば、私は今後再び重油に転換しなければならぬというようなことは起らないと考えております。
  37. 井上良二

    井上委員 最後に通産大臣に伺っておきたいのは、さいぜん通産大臣の御言葉を伺っておりますと、石炭重油の競合の問題は、政府も実際は困っておるようでございます。そこでかようないろいろな抑制規定を設けて、石炭業国内原油を保護育成するということもやらなければならぬ。こういうことでございますが、その面を考えればそうでございましょうが、これがために、産業全体のコストが高くなって、輸出がそれだけ伸びなくなって、製品の品質が低下するということになった場合の責任は、あなたおとりになりますか。
  38. 石橋湛山

    石橋国務大臣 むろんとらなければなりませんが、しかし先ほど申しますように、特に輸出産業の重要のもので、どうしても重油を使わなければ技術的に品質が低下するというものについては、今石炭に転換するつもりはございません。ですから、その点は一つ十分御指摘下さって、どういう廃業がぜひとも重油が必要かということをぜひ御教示を願いたい。
  39. 井上良二

    井上委員 そうしますと、輸出産業には重油を使ってもよろしいということですが、その場合に使いますのは、関税復活して、輸出コストが高くなってもいいとお考えですか。
  40. 石橋湛山

    石橋国務大臣 決してさようなことは考えておりません。また輸出産業なら何でもかんでもという意味でもないのです。これはその中にもいろいろあると思います。たとえば染色の方面には、ぜひともこれは必要だ。あるいは名古屋付近の陶磁器についてはぜひとも必要だというようなものもございますから、そういうものについては、十分の考慮をいたしてやりたい。従ってそういう方面においては、この関税の悪影響も及ばないように処置をいたしたい、かように考えております。
  41. 井上良二

    井上委員 現実関税をかける場合には、これだけコストが上ることははっきりしている。だから陸上用のB・C重油にしても、輸出産業やこれの関連産業には、重油使用の部分については、関税はかけないということが言い得られますかどうですか。
  42. 石橋湛山

    石橋国務大臣 昨日もその話が出たのですが、関税をかけたら必ずそれだけ油の値段が上がるものではないと思う。現在において、石油輸入して需要者に渡すまでに相当のマージンがありますから、その中で吸収できると考えております。
  43. 井上良二

    井上委員 ただいまの大臣の発言はぎわめて重大です。関税をかけた部分が取扱い販売業者、生産業者のマージンで吸収できるから、消費者の負担にはならぬ。だから重油価格は上らぬ、こういうのですね。そういうことで、かりにあなたの言うことが正しいとして、価格形成をそう考えた場合、それは石炭対策にはなりません。上げただけ石炭の方に近寄っていかなければなりません。そういうふうなことでつじつまを合せると、片方の対策は抜けてしまうじゃないですか。だから現実には、あなたの言うのは、一応は生産コストは上げちゃいかぬから、価格を上げるなという行政措置もそれぞれ業者に対してやることができる。できるけれども、業界でそれだけ吸収するのでば、結局重油の最終価格は上らぬことになるから、上らぬなら、何ら石炭対策にならぬ。そうなったら、あえてそんな苦務をしてやる必要はありません。
  44. 石橋湛山

    石橋国務大臣 それは私の言棄が足らなかったかもしれませんが、全部が全部吸収されるというのでありません。今申したように、どうしても輸出産業上必要だというところは、特別の考慮が払い得る、それだけのマージンはある、こう見ておるのであります。
  45. 井上良二

    井上委員 そんなうまいこといきますか。この産業だけ特に輸出産業だから、また輸出すれば外貨をかせぐから、外貨をかせいだやつで石油輸入するから、その方面に対して、お前の方は自分のマージンで、関税はしょい込んでおけよ、そんなうまいこといきますか。それはあなた、そんなうまい話は経済界では通りません。だから、はっきり輸出産業及び関連産業重油使用部分はついては、関税をかけないということを言い切るなら通りますが、それを言い切れませんか。
  46. 石橋湛山

    石橋国務大臣 それは、技術上私はむずかしいと思います。そこで、今までに石油も相当に供給及び価格についてある程度の行政指導を行なって参ったのであります。しかしながらただ根拠なしに行政指導をやるということも、これはやりにくいのでありますから、今回の重油ボイラー規制のあの関係法案によって、さような指導も行政的にできるように法律的根拠を作っていただきたい、かようなわけで、あの中にその条項が盛られておるわけであります。
  47. 井上良二

    井上委員 それをもう少しやらなければなりませんが、時間がないのでこの程度にしておきますが、私昨日おらなかったので、ちょっと聞き漏らしましたけれども、七月七日、通商産業大臣説明漁業用重油問題解決案、こういうものが配られております。これはあなたが説明されたということでありましたから伺うのですが、この漁業用重油問題の解決の案では、全漁連に対して、三十年度十万キロリットルの別ワク外貨を割り当てていこう、こういうことですね。全漁連に外貨を割り当てることがいいとか悪いとかいうことを私は議論をしようというのではない。このことによって通産省及び大蔵省の重油、原油に対する外貨割当の根本的な考え方がくずれてしまうが、くずれていいとお考えになりますか。これは通産、大蔵両大臣から答弁を願いたい。
  48. 石橋湛山

    石橋国務大臣 昨日ここで申し上げましたのは、全漁連へ掘り当てるのじゃございません。全漁連用の油として輸入業者に割り当てる、つまり全漁連から注文をとった輸入業者に割り当てるということでございますから、使用先は一応きまっておりますが、今までの通産省方針通りの判り当て方でございます。
  49. 井上良二

    井上委員 そうしますと、鉄鋼関係の方でも、それで津文をとったら、外貨はお割り当てになりますか。
  50. 石橋湛山

    石橋国務大臣 そうなっては困りますから、どうか一つこの辺でとめていただかないと、それこそめちゃくちゃになりますので、お願いいたします。
  51. 井上良二

    井上委員 昨日政府から配られました本委員会の資料によりますと、産業重油使用高、これの各産業別の使用高を比べてみますと、農林・水産は九十五万キロリットル、ところが鉄鋼関係九十九万、窯業関係五十四万、船舶運輸関係六十四万、いずれも非常な使用量を示しておる。全漁連が特別な優遇処置を受けます場合、全漁連だけが、わが国産業の最優位にあるものではありません。そうしますと、できるだけコストを安くし、できるだけ輸出を増進し、できるだけ国民経済を上昇さそうというあらゆる努力から、いわゆる業者をして輸入させたものを買い付ける場合、非常に超過利潤を独占されると見抜いたこれら産業関係の業者が、全漁連式の別ワク外貨を要求してきた場合、これを断わる理由はありません。これは重大な外貨割当の新しい政策であって、私は、あえてこの別ワク外貨を反対するものではありませんが、そうするならば、単に原油あるいは重油だけではなしに、砂糖においても、綿花においても、米においても、全部さようなことにしなければならぬことになりますが、そんな便宜主義で勝手なことをされて国の基本政策が貫けますか。その場さえ都合つけばそれでいいのだという、そんな心やすいことでいきますか。どうですか。あなたはいいとお考えになっておりますか。
  52. 石橋湛山

    石橋国務大臣 これは、特に水産物は国民の食糧としても非常に重大な関係がありますから、特別な考慮をいたした次第でありまして、むろんほかの産業についても、それぞれ考慮はいたすつもりでありますが、かような特別の外貨の関係で処置することは、この全漁連についてのみ行なって、ほかの産業については、それぞれまた別途の方法を講じたい、かように考えております。
  53. 井上良二

    井上委員 全漁連の電油の使用は、国民食糧確保の上に非常は重要な役側を果しておるから、特別に別ワクを設けて原油の輸入を認める、こういうことになってきますと、砂糖はどうします。米や小麦はどうします。これは魚やら、そういう海産物と比重を比べてどちらが一体大事だと思いますか。あなたは、そんないいかげんな答弁をしてやっていたら、全体がくずれてしまいます。こんなやり方は大蔵大臣賛成ですか。大蔵大臣大蔵大臣は外貨の割当の本家本元じゃが、こういう割当でいいとお考えになりますか。
  54. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 大蔵大別として、この外貨の割当は、原則的に、かつまた将来の方針としては、私どもは貿易商に割り当てるのが適当である、こういう考えでおるのでありますが、従来この貿易商の整備がなかなか容易で、ない。すぐに貿易商によってやるというわけにもいかない。そこでそれまではメーカーに割り当てる、こういうふうな態度をとっておる。今日では、メーカーと貿易商とにともに並行的に割り当てておる。ともどもに貿易商に持っていく、こういうふうな方向にあると考えます。今言いましたようなのは、これは特別な配慮で、別に組合に割り当てるわけではない。貿易商を通じてこの注文にかかる品物を輸入する、こういうことなんであります。
  55. 井上良二

    井上委員 大蔵大臣は、私の質問をよくお聞きになっていないようですが、私の質問は、外貨割当の基本方針を聞いておるのです。だから、部分的にこういう産業から要求があるということで、ばらばらに許していっていいのかどうかということを聞いておる。
  56. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私は、外貨割当の方法についての基本的なことを申し上げたのでありますが、さらにさかのぼって、どういう方針で外貨を割り当てるかということになれば、これは御承知のように、外貨を割り当てるにつきましては、大蔵、経審、通産等、すべていわゆる外貨別当に関する審議会がありまして、そこで、今後の日本産業計画とも見合せて、どういうものを、どういう分量において、大体どういう時期に輸入すべきかという計画が立つわけであります。この計画に基いて輸入が行われておる、かように御了承願いたいと思います。
  57. 井上良二

    井上委員 もう一つ伺いたいのですが、この解決案の第四項に、農林省及び全漁連は、特約店または小売店に対する漁業従事者の負債について、これを返済するよう特別の指導協力をなすことというような文句がありますが、農林省というのは政府ですが、政府が何ですか、特約店、小売店の借金返してやったらこの割当を許すなんて、そんなことができますか。こんなむちゃな書き方が一体ありますか。全漁連の場合はいいですよ。農林省とは何です。農林省が民間の商取引の行為による負債を返してやれ、そういうことが何の法律によってできますか、むちゃくちゃなことを言ってはいけませんよ。
  58. 川上為治

    ○川上政府委員 現在漁業関係で、石油業者に対しまして、これは金額はわかりませんけれども、相当額の借金があるようであります。値段が高くなったりしておるのも、それが一因ではないかと思うのです。従いまして、そういう借金につきましては、農林省なり、あるいは通産省が中へ入りまして、これは特に農林省でありますが、その借金の返済につきましていろいろあっせんして、そうして返済できるように努力してもらいたい、こういうわけでございまして、われわれとしましても、大いに農林省とタイアップしまして、その借金の返済に関しましては協力したいというように考えております。
  59. 井上良二

    井上委員 石油は管理統制をしておるのではありません。政府が専売制をやっておるとか、あるいは価格統制をしておるとか、その石油に対して、全体の責任を政府がお持ちになっておるのならばよろしい。石油は自由販売、自由取引です。民間の取引の負債を、政府が肩がわりして、あっせんしてやるとは何ということですか、そんなばかなことがどこにある。かような文章は、これは穏当を欠きます。これは特に今後いろいろ問題を起して参りますから、その点はもう一応御検討を願いたい。政府の、通産大臣としての案文としては、穏当を欠くと思います。もしこれが許されるということになるならば、他の産業における負債の問題も、所管大臣が全部始末をつけてやるようにあっせんをいたしますか、そんなことはありますまい。そういういいかげんなことを言うて逃げてはあかへん。だから、この案文は相当問題がございますから、一応削除するなり訂正するなりしていただかなければなりません。  最後に、私は大蔵大臣に伺いますが、大蔵大臣は、先般租税の減免の問題の説明におきまして、できるだけわが国国民生活を安定し、国際収支改善して日本経済を立て直すということで、減税立法について強力に主張されておる。ところがそういう口の下から、ただいま審議中の、全産業に非常な影響を及ぼします基礎原料たる重油関税復活する、こういう考え方をお持ちのようであります。あなたの議論を国会を通してずっと伺っておりますと、米価の問題の場合はきわめて頑強に事務当局の案を支持して、そうしてわが国財政の均衡をはかろうとしてがんばっておるが、最後になるとぐにゃぐにゃとなって、最初の勢いはどこへやら飛んでしもうて、これが保守合同の円満なる進行のためにとか、自民両虎が協力してくれるならばとか国民経済わが国経済全般の立場の問題が、党利党略のために逆用されておることは、われわれははなはだ遺憾に思うのであります。今日石油関税の問題にいたしましても、一方においてあなたは、本年三百七、八十億の減税をするということを言っておいて、片一方では、大衆負担をお考えになり、逆に生産コストを高める方向の税制をお考えになっておる。われわれ推定いたしまして、石油関税復活によって約七十億のはね返りが国民にかかって参ります。片一方で七十億の減税をしても、一方で七十億よけい取られるならば、差引何にもならない。逆に国際収支はますます悪くなって、わが国国際収支は困難な実情に追い込められていく。さような終始一貫しない財政経済政策に対して、あなたは一体どういうお考えを持っておりますか。最後にこの一点をお聞かせ願いたいと思います。
  60. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 大へんごもっともな御意見であります。私も別にそれに異論はないのですが、これはやはり日本の今日の国情と申しますか、経済の実態が非常に一本調子で行きがたい、それだけ状況が困難あるいは複雑ですから、一方で特に重いところは減税するが、他面経済の力の調整を加えていかなければいかぬ。言いかえれば一挙にいかない、徐々に手ならしをしつついくというようなことは、今日の日本としてはやむを得ない、こういうふうに考えております。
  61. 井上良二

    井上委員 最後に通産大臣に伺っておきます。さいぜん私非常に重要な点で質問を留保いたしておきましたが、われわれが今日ここで問題にしておりますのは、重油価格石炭価格を競合さそうというところに、わが国産業世界産業との大きな差異が現実にこの価格面に現われてきておりますので、石炭産業に対する新しい対策というものを、別個に国策として確立し推進すべきでありまして、そういう面から、さいぜんもちょっと触れましたが、石炭ガス化の問題はどういう具体的構想をお立せになっているのですか。それはいつ実現をする段取りに持っていこうとしますか。また石炭火力発電の方に使用いたします計画は、一体どうなっておりますか。御承知通り水力電気開発というものが、国民が予想するに反して、開発すればするほど電力コストが高くなっていく。これは、もちろん投下する資金の金利が高いというところにも原因がありましょうが、多くの国民は、電力をどんどん開発すれば非常に安い電力が使える、国全体の産業が明るくなっていくということで、莫大な資金電力開発に投下しながら、投下すればするほど電力コストは高くなっていこうとしておる、その姿に対して非常に批判的であります。それで石炭に対しても新しい石炭需要というものを別に考えないと、ただ合理化という美しい名前で莫大な資金の金融をいたしましても、一向石炭は下ってこないという現実がございますし、また石炭産業当身も、採算が合わぬということになって参りますから、石炭産業に対して新しい角度から考え対策をこの際ひとつお示しを願いたい。同時に電力開発に伴う電力コストの引き下げをどうお考えになっておるか、この二点を明確にしていただきたいのであります。
  62. 石橋湛山

    石橋国務大臣 具体的には政府委員から申し上げますが、われわれは、さっきも申しましたように、石炭完全ガス化ということは、技術的にまだ少しく問題がありますので、この問題が解決できれば、そういう方向にいきたい。それから低質炭を利用した発電というようなことは、現に若干着手をしようとしておるようなわけであります。それから水力電気開発によってだんだん高くなるということは、お説の通りでありますが、その中にいろいろの理由がありまして、たとえば補償問題、その補償の中にも、公益道路を敷設するとか、鉄通の敷設ということまでが電力コストの上にかぶってくるというような今までのありさまがありますから、そういう問題を解決いたしますれば、この水力電気開発も、現在考えておるよりももう少し安くし得る見込みがあると思います。同特に、これは専門家の中にいろいろ議論がありますが、やはり火力発電というものも相当助長いたしまして、そして一方にダム式の水力と相待って、コンスタントリーに火力がたけるということになりますれば、電力コストもずっと低下することができる、かように考えております。
  63. 井上良二

    井上委員 最後に一点伺っておきますが、御承知通り、さいぜん申したように、電力の総合的対策というものを閣議で決定いたしておりますが、これは五カ年計画でかようかような目標を達したいということで、数字は示されております。ところがその裏づけの予算化の問題、資金化の問題、価格がどう一体下っていくかという見通しの問題、そういう具体的数字が一向示されておりませんから、一つそれらの具体的な内容をお示し願いたい。  それからいま一つは、さいぜんから質問いたしておりますと、石炭産業合理化する法案が成立すれば石炭価格は下る、こういうことでございます。そこで一体合理化のためにどれだけの資金を投下し、それが実際に効果が現われて、一体いつごろから石炭が下るのか、われわれの見るところでは、石炭産業合理化という美しい名前で、結局石炭不況対策として、それが石炭の救済資金に使われることになって、少しも山は近代化されず、また炭価は下らないという見通しを私どもは立てておる。それが間違っておるというなら、間違っておるという裏づけの資料を添えた御答弁を願いたいと思います。
  64. 石橋湛山

    石橋国務大臣 ただいま井上君からお話しの資料は、この委員会に出ておらぬかもしれませんが、商工委員会には出ております。
  65. 井上良二

    井上委員 大蔵委員会にもお出し願いたい。
  66. 石橋湛山

    石橋国務大臣 御要求ならば、さっそく出すことにいたします。
  67. 松原喜之次

    ○松原委員長 黒金君。
  68. 黒金泰美

    ○黒金委員 大蔵大臣にお尋ねしておきたいと思います。予算が成立いたしまして、予算関係する特別会計法もかなり通過しました今日、いわばけんか済んでの棒ちぎりというたとえのようであります。私は別に大蔵大臣とけんかする意思もございません。何とかして一般会計と特別会計の間をすっきりしたりっぱなものにして参りたい。りっぱな正しい予算を組んでいただきたい。かような将来の念願から一つ承わりたいと思うのであります。私はあえてことしだけとは申しません。近年一般会計と特別会計の会計整理の問題が次第にルーズになっておる。一兆億というような予算のワクに縛られます関係上、故意かあるいは偶然かわかりませんが、だんだんにルーズになってきて、ことしなどは最もはなはだしいのではないか。このルーズさにもいろいろな程度がありますので、いろいろ申すことができると思いますけれども、一例をあげますならば、今まで何も問題も起らずに済んでおりましたアヘンの先買を分けて特別会計に持っていく。このような事業を一々全部特別会計に分けてしまいますならば、あるいは一般会計の金額も減すことができる。あるいはまた地方道路税を新設いたしまして、揮発油税の税収入の一部を、地方道路税という名前で、一般会計を通さずに、交付税及び譲与税配付金特別会計に直接入れてしまう。このようなやり方をだんだんやって参りますならば、所得税の中に地方所得税というものを作りまして、その額をすぐに交付税及び譲与税配付金特別会計に入れてしまうというように、幾らでも一般会計の歳入歳出を両建で移していくことができるのであります。このような点につきましては、昨年には入場税の例がございます。従ってこれのみをとがめることはできませんけれども、だんだんにこれが激しくなってくる傾向があるように思うのであります。あるいはバナナや砂糖のようなものの特殊物件の処理に関します金も、これは議論のしようによっては一般会計に入れて、それから特別会計に入れる方が私は適当ではないかというような議論もかなり有力ではないかと思います。今までのような点は、先例があったとか、あるいはまた多少の言いわけは立つかもしれませんが、特に私は今度の予算の整理の上で非常におかしいと思いますのは、先ほども質問いたしましたが、理解できる、納得できる御答弁は得られませんでしたが、たばこの利益金の問題でございます。益金処分のうち一部を直接に交付税及び譲与税配付金特別会計に入れております。もしもたばこの専売益金でありますならば、当然に一般会計に入れて一般会計から地方の財源として特別会計にお入れになることは一向差しつかえありませんけれども、直接入れるのはおかしいのじゃないか、こう申しますると、これは、実はたばこ消費税と同じような実質のものだからと、こういうふうにお逃げになっておられる。しかしお逃げになってみても、それは経費処分で落ちておらない、益金処分でやっておられる。これは一体どういうわけでありますか。一向に理屈は立たないのであります。私は、もう予算通りました際でありますから、過去のことは何も申し上げませんけれども、私はおそらく民主党の内閣が続く限り、せっかくこれだけ勉強なさった一萬田大蔵大臣が、来年の予算もお組みになると思いますが、その際におきましては、来年からはこのようなことはなくて、ほんとうに正しい、すっきりした予算をお組みになる御決意があるかどうか。人の説によりますならば、このようないろいろな疑義のある金を集めて参りますると、実は一兆円の一般会計予算ではなくして、一兆四百億になっておるとさえいっております。このように、頭隠してしり隠さずの一兆円予算を作りましても、心理的に多少の意味はあっても、大した意味はないと思う。そういったことよりは、法律制度を最も正確に守って、一番大切な会計経理の問題でありますから、これをきちんと整理されることが国家百年の大計だろうと思います。この点について、大蔵大臣の確たる御決意を一つ承わりたいのであります。
  69. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 大へん有益な御意見を拝聴いたしまして、ほんとうに感謝いたします。別に今回一兆円の予算ということのためにこだわって、いろいろな、今御指摘のようなことをしたわけではありませんので、私ども一兆円というものは、その形よりもやはり緊縮財政という実を持てばいいという考え方であったのでありまして、これを今御指摘のような形で、あまりおもしろくないという非難を受けることになりました点については、それぞれ政府委員からも詳しく御説明申し上げると思いますが、理由があってやったことでございまして一もちろん、しかしそういうことがいいというわけではありません。大体において私の承知しておる限りにおきましては、経過的にどうもやむを得なかった、こういうふうに考えておるのであります。これはお説のように、十分大蔵当局として戒心をいたしまして、明年度あたりからは、だれが大蔵大臣でありましょうとも、すっきりした形でやっていかなければならぬ、こういうふうな形で必ずやることをお誓い申し上げます。
  70. 松原喜之次

    ○松原委員長 石村君。
  71. 石村英雄

    ○石村委員 通産大臣にお尋ねするのですが、関税定率法の重要機械の免税についてお尋ねしたいと思います。まず税関部長に事実だけを確認しておきますが、この重要機械の免税措置はいつから始まって、その当時種類が幾らあって、現在はどの程度にしぼられておるか、その事実を御説明願いたい。
  72. 北島武雄

    ○北島政府委員 関税定率法の附則第五項に、重要機械の免税が規定されております。これは昭和二十六年の関税率の一般改正の際に、附則において加えられたものであります。昭和二十六年五月以降施行いたしております。ただし毎年国会におきまして、期限の一年ずつの延長をお願いいたして、ただいままでに至っておるわけでございます。そこで品目につきましては、ただいまここに資料を持っておりますので申し上げますが、政令によりまして、この重要機械につきまして、まず業種を指定し、その業種で使いますところの特定の機械を免税するという大体のやり方でございます。この数を、当初からの変遷を申し上げますと、まず施行当初昭和二十六年五月一日におきまする政令におきましては、品目数が二百五十八でございます。二十六年十一月一日に改正になりました政令におきましては三百、次に二十七年の八月一日に政令が改正になりました。この際も品目の入れかわりはございますが、差引増減なしの三百でございます。次は二十八年の六月 日の政令でございますが、この際は百十三品目がふえまして六十三減少、差引三百五十と相なっております。次は二十八年八月十日の政令におきましては、三品目追加、五品目減少で三百四十八品目、二十九年三月一日の政令におきましては、十三品目追加、三百六十一品目、二十九年八月一日の政令におきましては、六十三品目追加、九十六品目減少、差引三百二十八品目、三十年一月一日の政令におきましては十五品目追加、九品目減少、差引三百三十四ということに相なっております。
  73. 石村英雄

    ○石村委員 通産大臣にお尋ねいたしますが、機械工業では、日本でもどちらかといえば中小企業が重要な地位を占めておると思います。そうして日本の為替レートも、現在においてもなお割高だということもいなめないと思うのです。日本の機械工業の水準が、戦時中の空白で非常にレベルが落ちておるということは、もちろんのことでありまして、従って外国の優秀な機械を輸入さして、日本の機械工業を発展させ、向上させるということも必要ではございましょうが、こうしたことをだらだらと続けていって、しかも今数字を聞きますと、種類は、どちらかといえば減るというよりはふえておるというようなことで、日本の機械工業の発展ということ、中小企業の発展ということは困難ではないかと考えるわけでございます。来年の三月三十一日ということに限定はされておりまするが、このあたりで、通産省としては市場の狭い日本の機械工業を発展させるために、こういう関税の免税というやり方による水準の引き上げという方法でなしに、他の方法を講じてやることが、日本の機械工業のためにはいいのではないか、こう考えるわけですが、通産大臣として、根本的にどういうお考えを持っていらっしゃるか、ただ一言だけお尋ねいたします。
  74. 石橋湛山

    石橋国務大臣 ごもっともでございます。今こまかい内容のことは一々承知しておりませんが、絶えず検討を加えて、関税の数が増減しておることも承知しております。最近は、大体減少傾向でございます。大体において日本でできない、輸入せざるを得ないような機械に限っておるわけであります。これが非常に日本の機械工業の発展を妨げているとも思いませんが、しかし御趣意はよくわかりますから、なおよく検討いたしまして、善処はしたいと思っております。
  75. 石村英雄

    ○石村委員 せんだって国際見本市がありましたが、あれに私参りましたときにたまたま東北大学の成瀬教授にお会いしたのですが、そこに出ておるスイスの歯車を作る機械を、成瀬さんは非常に感心して見ていらっしゃった。ところが成瀬さんの話を聞きますと、これは実にいい機械だ、日本でも作ろうとすれば作れるものだ。しかし日本には、それを作るだけの条件が備わっていない。従って日本の理論的な水準その他は上ってはおるが、現実にこれを機械化することはできない、こういうようなお話しもあったわけです。あるいはその通りではないかと思うのですが、結局こういう関税を免税するとかいうような安易な方法をとっておる結果、そうした日本の理論的に上った水準を具体化しないのではないかと考えるわけです。現在では、最初の二百五十八よりも種類はふえておるわけでございますから、こういう制度をそのままにしておくと、やはりとかくこれにたよって免税を続けていくということになると思うのです。どうか通産大臣としては、日本の機械工業の前途のために、もっと伸びる条件を備える方向に進めていただきたいと思います。これだけです。
  76. 石橋湛山

    石橋国務大臣 それは絶えず心がけておりますが、なお一つ御説によりまして何します。
  77. 内藤友明

    ○内藤委員 動議を提出いたします。ただいま議題となっておりまする関税定率法等の一部を改正する法律案に対する質疑は、この程度にて終了せられんことを望みます。
  78. 松原喜之次

    ○松原委員長 ただいまの内藤友明君の動議に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  79. 松原喜之次

    ○松原委員長 御異議なしと認めます。よって本法律案に対する質疑はこれにて終局いたしました。     —————————————
  80. 松原喜之次

    ○松原委員長 次に、国有財産特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  この際御報告申し上げます。春日一幸君外三十九名より、本法律案に対する修正案が委員長の手元まで提出されております。この際修正案について提出者より趣旨の説明を聴取いたします。春日一幸君。     —————————————
  81. 春日一幸

    ○春日委員 それではお許しを得まして、ただいま議題となりました国有財産特別措置法の一部を改正する法律案に対する修正案につきましてて提案の理由を御説明申し上げます。  今回中小企業者の設備改善による企業の合理化を一層推進するため、本法案におきましては、従来中小企業者の老朽機械等と等価で交換しておりました国有の機械等を、特価からその三割を減額した額で交換できることとしたのであります。しかして一方旧軍用財産の機械等は、戦後十年を経過していよいよ陳腐化し、老朽化し、かつ相当の管理費もかかるという現状で、現に中小企業者との交換用に向けられる機械以外の未利用機械約十五万台はくず化すべきものとされているのであります。従いまして、中小企業者との交換用機械につきましても、早急に交換処分されることが必要でありますので、原案における三割の減額交換を修正して、三割五分の減額交換ができることといたそうとするものであります。  以上が修正案の提案理由であります。なお本修正による減収見込みは、昭和三十年度におきまして約四千万円であります。  何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願、い申し上げます。
  82. 松原喜之次

    ○松原委員長 これにて修正・案の趣旨の説明は終りました。
  83. 内藤友明

    ○内藤委員 動議を提出いたします。ただいま議題となっております国有財産特別措置法の一部を改正する法律案につきましては、他に質疑もないようでありますから、本法案に対する、疑はこれにて終了せられんことを望みます。
  84. 松原喜之次

    ○松原委員長 ただいまの内藤君の動議に御異議はありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  85. 松原喜之次

    ○松原委員長 御異議なしと認めます。よって本法律案に対する質疑はこれにて終局いたします。  この際申し上げますが、国会法第五十七条の三の規定によりますと、委員会法律案に対する修正で、予算を伴うものについては、内閣に対し意見を述べる機会を与えなければならないこととなっておりますので、政府側において御意見があればお述べ願います。
  86. 藤枝泉介

    ○藤枝政府委員 この中小企業者の機械との交換の歩引きの問題でございますが、部内でもいろいろ相談をいたした結果、三割が適当であるということで御提案を申し上げたのでございます。ただいま、三割五分という御修正の案が出ておりますが、これによりますと、ただいまの修正の御説明にもありましたように、本年度の歳入におきましても約四千万円の減収を見込まなければならぬという状態でございますので、なるべくならば原案をお通しいただきたいのでありますが、委員会全員の御修正の御提案のようでございますので、やむを得ないものと考える次第でございます。
  87. 松原喜之次

    ○松原委員長 これより原案並びに修正案を一括して討論に付します。横山利秋君。
  88. 横山利秋

    ○横山委員 附帯決議をつけて賛成をいたします。  お手元に配付されております附帯決議をごらん願います。    国有財産特別措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議  国有の機械及び器具の保管状態並びに中小企業設備改善の必要等にかんがみ、政府は、本法の実施に当っては、次の諸点を充分考慮すべきである。  一、各種機械及び器具の時価の評価に当っては、学識経験者、中小企業者等の意見を徴すること。  二、交換の対象となる国有の機械及び器具は、すみやかにこれを中小企業者に公表、閲覧せしめる外、交換の実施に当っては、中小企業者の立場を充分に考慮し、かりそめにも法令通達等が不当に中小企業者に不利に適用されることのないよう留意すること。  三、本法に関する現行政令等の改正に当っては、特に実状にそうよう評価方法改正し、また交換する機械分類に幅をもたせる等格段の配慮をすること。  これらの問題は、本法律案目的実施のために緊要な事項であると考えております。各位御承知通り、先般私と政府委員の質疑応答により明らかにされたことであり、またその際政府側においても、これらの点においては大筋として御了承なさったところでありますが、この際当委員会の意思として、政府として措置されるよう附帯決議として提案する次第であります。
  89. 松原喜之次

    ○松原委員長 これにて討論は終局いたしました。  これより採決に入ります。初めに本法案に対する春日一幸君外、三十九名提出の修正案を採決いたします。本修正案に賛成の諸君の御起立を願います。   〔総員起立〕
  90. 松原喜之次

    ○松原委員長 起立総員。よって本修正案は可決いたしました。  次いで、ただいま議決いたしました修正案の修正部分を除いた原案を採決  いたします。これに賛成の諸君の起立を求めます。   〔総員起立〕
  91. 松原喜之次

    ○松原委員長 起立総員。よって本法律案は全会一致をもって修正議決いたしました。  次に、横山利秋君提出の附帯決議を採決いたします。本附帯決議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔総員起立〕
  92. 松原喜之次

    ○松原委員長 起立総員。よって本附帯決議は、全会一致をもって可決いたしました。     —————————————
  93. 松原喜之次

    ○松原委員長 次に、労働者災害補償保険特別会計法の一部を改正する法律案を議題といたします。     —————————————     —————————————
  94. 松原喜之次

    ○松原委員長 この際御報告申し上げます。本法案に対し、各派共同提出にかかる修正案が委員長の手元まで提出されておりますので、これを印刷して諸君のお手元に配付いたしておきましたが、本修正案の要旨は、けい肺及び外傷性せき髄障害に関する特別保護法案が本院において修正議決されました結果により、本特別会計法の一部改正法案の施行期日を、九月一日とありましたのを、公布の日に修正しようとするのをおもな内容とするものであります。  本法律案並びに修正案につきましては、別に御質疑もないようでありますから、質疑及び討論を省略して、直ちに採決いたすに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  95. 松原喜之次

    ○松原委員長 御異議なしと認めます。よってさように決しました。  これより採決に入ります。初めに、本法案に対する各派共同提出の修正案を採決いたします。お諮りいたします。本修正案を可決するに御異議はありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  96. 松原喜之次

    ○松原委員長 御異議なしと認めます。よって本修正案は可決いたしました。  次いで、ただいま議決いたしました修正案の修正部分を除いた原案を採決いたします。お諮りいたします。この部分を可決するに御異議はありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  97. 松原喜之次

    ○松原委員長 御異議なしと認めます。よって本法律案は、全会一致をもって修正議決いたしました。     —————————————
  98. 松原喜之次

    ○松原委員長 次に、開拓者資金融通特別会計法の一部を改正する法律案並びに地方自治法第百五十六条第六項の規定に基き、税関支署設置に関し承認を求めるの件を一括議題といたします。  両案につきましては、その後質疑の通告もありませんので、質疑を終局し、討論を省略して、直ちに採決いたすに御異議はありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  99. 松原喜之次

    ○松原委員長 御異議なしと認めます。よってさように決しました。  これより採決に入ります。お諮りいたします。開拓者資金融通特別会計法の一部を改正する法律案を原案の通り可決し、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基き、税関支署に関し承認を求めるの件を承認すべきものと議決するに御異議はありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  100. 松原喜之次

    ○松原委員長 御異議なしと認めます。よって両案件は、いずれも全会一致をもって、前案は原案の通り可決し、第二の案件は承認すべきものと議決いたしました。  この際お諮りいたします。ただいま議決いたしました各法律案に関する委員会報告書の作成、提出手続等につきましては、委員長に御一任を願っておきたいと存じますが、これに御異議はありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  101. 松原喜之次

    ○松原委員長 御異議なしと認めます。よってさように決しました。  本日はこの程度にとどめ、次会は来たる十二日、火曜日午前十時より開会することといたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時三十五分散会      ————◇—————