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1955-07-05 第22回国会 衆議院 大蔵委員会 第28号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年七月五日(火曜日)     午前十時四十一分開議  出席委員    委員長 松原喜之次君    理事 加藤 高藏君 理事 内藤 友明君    理事 森下 國雄君 理事 大平 正芳君    理事 奥村又十郎君 理事 横路 節雄君    理事 春日 一幸君       遠藤 三郎君    菅  太郎君       竹内 俊吉君    杉浦 武雄君       坊  秀男君    前田房之助君       山村新治郎君    山本 勝市君       浅香 忠雄君    川野 芳滿君       黒金 泰美君    小山 長規君       薄田 美朝君    古川 丈吉君       石村 英雄君    石山 權作君       木原津與志君    横山 利秋君       井上 良二君    川島 金次君       田万 廣文君    平岡忠次郎君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 一萬田尚登君         通商産業大臣  石橋 湛山君  出席政府委員         公正取引委員会         委員長     横田 正俊君         大蔵政務次官  藤枝 泉介君         大蔵事務官         (主税局長)  渡邊喜久造君         大蔵事務官         (主税局税関部         長)      北島 武雄君         水産庁長官   前谷 重夫君         通商産業事務官         (鉱山局長)  川上 為治君  委員外出席者         専  門  員 椎木 文也君         専  門  員 黒田 久太君     ————————————— 七月二日  委員鈴木義男君辞任につき、その補欠として井  上良二君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 七月二日  余剰農産物資金融通特別会計法案内閣提出第  一三八号) 同月四日  関税定率法の一部を改正する法律案内閣提出  第一三九号) 同月一日  スキー及び附属品に対する物品税撤廃に関する  請願岡良一紹介)(第三一〇二号)  三級清酒設定反対に関する請願三鍋義三君紹  介)(第三一〇四号)  同外八件(佐々木更三君紹介)(第三一〇五  号)  同(阿部五郎紹介)(第三一〇六号)  同(齋藤憲三紹介)(第三一〇七号)  同(松村謙三紹介)(第三一〇八号)  同外十二件(保科善四郎紹介)(第三一〇九  号)  同外四件(大石武一紹介)(第三一一〇号)  同(河本敏夫紹介)(第三一一一号)  同(須磨彌吉郎君紹介)(第三一一二号)  同(石田博英紹介)(第三一一三号)  同(笹山茂太郎紹介)(第三一一四号)  同(秋田大助紹介)(第三一一五号)  同(小笠公韶君紹介)(第三一一六号)  同(松岡松平紹介)(第三一一七号)  同(佐伯宗義紹介)(第三一一八号)  同(内藤友明紹介)(第三一一九号)  同外十件(内海安吉紹介)(第三一六五号)  同外八件(愛知揆一君紹介)(第三一六六号)  同(川野芳滿紹介)(第三一六七号)  同(生田宏一紹介)(第三一六八号)  同(松山義雄紹介)(第三一六九号)  同(堀川恭平紹介)(第三一七〇号)  同(坂本泰良紹介)(第三一七一号)  同外四件(柳田秀一紹介)(第三一七二号)  同(杉村沖治郎紹介)(第三一七三号)  同(大西正道紹介)(第三一七四号)  同外九件(菊地養輔君紹介)(第三一七五  号)  クリーニング業における揮発油税撤廃等に関す  る請願坊秀男紹介)(第三一二〇号)  福島県に国立たばこ試験場設置請願粟山博  君紹介)(第三一四一号) 同月四日  三級清酒設定反対に関する請願藤本捨助君紹  介)(第三二二三号)  同(菅太郎紹介)(第三二二四号)  同(加藤常太郎紹介)(第三二二五号)  同(亀山孝一紹介)(第三二二六号)  同(大村清一紹介)(第三二二七号)  同(小枝一雄紹介)(第三二二八号)  同(星島二郎紹介)(第三二二九号)  同外一件(植原悦二郎紹介)(第三二三〇  号)  同(古島義英紹介)(第三二三一号)  同(山本勝市君紹介)(第三二三二号)  同(園田直紹介)(第三二三三号)  同(今松治郎紹介)(第三二三四号)  同(有田喜一紹介)(第三二三五号)  同(小島徹三紹介)(第三二三六号)  同(犬養健紹介)(第三二三七号)  同(橋本龍伍紹介)(第三二三八号)  同(植木庚子郎君紹介)(第三二三九号)  同(大平正芳紹介)(第三二四〇号)  同(趣智茂紹介)(第三二四一号)  同(關谷勝利紹介)(第三二四二号)  同(山本友一紹介)(第三三四三号)  同(吉田重延紹介)(第三二四四号)  同(縫澤寛紹介)(第三二四五号)  同外一件(森本靖紹介)(第三二四六号)  同外二件(田中武夫紹介)(第三二四七号)  同外一件(吉田賢一紹介)(第三二四八号)  同(井岡大治紹介)(第三二四九号)  同(辻原弘市君紹介)(第三二五〇号)  同(和田博雄君外一名紹介)(第三二五一号)  同(井谷正吉紹介)(第三二五二号)  同(安平鹿一君紹介)(第三二五三号)  同(堂森芳夫紹介)(第三二五四号)  同(佐々木良作紹介)(第三二五五号)  同(正力松太郎紹介)(第三二五六号)  同(田中織之進君紹介)(第三二五七号)  同(林譲治紹介)(第三二五八号)  同(山口喜久一郎紹介)(第三二五九号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  関税定率法等の一部を改正する法律案  (内閣提出第六〇号)  余剰農産物資金融通特別会計法案  (内閣提出第一三八号)  関税定率法の一部を改正する法律案  (内閣提出第一三九号)     —————————————
  2. 横路節雄

    横路委員長代理 これより会議を開きます。  まず、去る二月当委員会審査を付託されました余剰農産物資金融通特別会計法案並びに昨四日付託されました関税定率法の一部を改正する法律案一括議題として、政府側より提案理由説明を聴取いたします。藤枝大蔵政務次官
  3. 藤枝泉介

    藤枝政府委員 ただいま議題となりました余剰農産物資金融通特別会計法案外法律案につきまして、その提案理由説明申し上げます。  まず余剰農産物資金融通特別会計法案につき説明申し上げます。  このたび、政府アメリカ合衆国政府との間に締結いたしました農産物に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定につきましては、さきに本国会に提出いたしまして御承認を得ている次第でありますが、政府は、この協定に基きまして、米国余剰農産物勝購入に伴い、アメリカ合衆国政府から借り入れる資金を財源といたしまして、電源の開発、農地の開発その他本邦の経済の発展を促進するための資金貸付を行うこととし、その経理を明確にするためには、新たに特別会計を設け、一般会計と、区分して経理することが適当であると考えましたので、ここに余剰農産物資金融通特別会計法案を拠出いたしました次第であります。   〔横路委員長代理退席委員長着席〕  次に、この法律案概要について申し上げますと、この会計大蔵大臣が管理することと、借入資金の借り入れによる収入金並びに貸付金償還金及び利子収入等をその歳入とし、貸付金借入資金償還金及び利子並びに事務取扱い費等をその歳出として経理することとし、その他この会計予算及び決算の作成、提出手続等会計の運営上必要な事項を規定いたしている次第であります。  次に、関税定率法の一部を改正する法律案につきまして、申し上げます。  この法律案は、今回のガット、すなわち関税及び貿易に関する一般協定加入のための関税交渉の結果等を考慮して、映画用フィルム税率従量税率に改めるとともに、これに伴う規定の整備々行うため、関税定率法の一部を改正しようとするものであります。  以下、改正点について簡単に御説明いたします。  わが国の関税率は、昭和二十六年の改正により、すべて従価税率によることとされているのでありますが、映画用フィルムにつきましては、その取引形態特殊性のため、適正な課税価格の算定がきわめて困難であり、従来から一層合理的な課税価格把握方法を研究するとともに、従量税率採用につきましても検討を進めておりましたところ、今般、ガット関税交渉におきまして、映画用フィルムの一部について従量税率による協定が行われましたので、これを機会に、露出済み映画用フィルム税率従量税率に改めることとしているのであります。  税率設定に当りましては、生フィルム以外の映画用フィルムのうち、ニュース映画用のものについては、その公共性にかんがみ、一メートルまたはその端数ごとに十円、ニュース映画用以外のものについては、一メートルまたはその端数ごとに、三十五、ミリのもの五十円、十六ミリのもの二十五円、八ミリのもの十五円となるように税率を定めております。  次に、このような従量税率採用に伴いまして、従価税率一本の建前をとっている関税定率法規定を整備し、関税は、輸入貨物価格または数量を課税標準として課するものであることを明らかにするとともに、従量税貨物について複関税報復関税及び不当廉売関税を課する場合についての視定を整備し、その他加工または修繕のため輸出され、その輸出の許可の日から一年以内に輸入される貨物については、従価税貨物及び従量税貨物のいずれの場合にも関税を軽減することができることとしております。  なお、この改正は、ガット譲許税率適用と同時に施行しようとするものであります。  以上がこの二法律案提出した理由であります。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成下さるようお願いいたします。
  4. 松原喜之次

    松原委員長 これにて提案理由説明は終りました。両法案に対する質疑は後日に譲ります。     —————————————
  5. 松原喜之次

    松原委員長 関税定率法等の一部を改正する法律案議題として質疑を続行いたします。春日一幸
  6. 春日一幸

    春日委員 まず最初に、横田公坂委員長にお伺いをいたしたいと思いますが、われわれが調査した範囲によりますと、先般、防衛庁において石油製品競争入札が行われましたときに、石油業者が談合をしたことがある。これは明らかに独禁法違反の疑いがあるというので、防衛庁からあなたの方に告訴して、現在あなたの方でこれに対する審理が行われておるとの事柄でありますが、この事件概要並びに現在の進行状況をお差しつかえない範囲でこの際明らかに願いたい。
  7. 横田正俊

    横田政府委員 ただいまお話しの事件は、昭和二十八年の二月に当委員会審判を開始いたしました件でございます。被審人日本石油外十社の元売り会社でございます。内容は、ただいま仰せになりましたように、二十七年六月一ぱいで解除になりました統制撤廃後、二十七年の七月に、これらの業者の大部分が協定したのでございまして、二十七年の八月から翌年の五月ころまでにかけまして、防衛庁、昔は警察予備隊でございましたが、その後保安庁、現在では防衛庁でございます。そのほか中央気象台、東京都警視庁等におきまして行われました入札につきまして、これらの会社が、従前の統制価格を基準といたしました価格とほとんど一致した価格入札をいたしておるという点を問題といたしたのでございまして、この事件はいろいろ複雑な事情もございまして、審理審判官の手で続けられておりましたが、相当長引きまして、今年の四月二十七日に審決案というものができまして、これが被害人側に送達になっております。これに対して、被審人側から五月の十日に異議申し立てがございまして、現在この異議申し立て内容検討して、委員会審決を下そうという段階にあるのでございます。大へん時期がすれまして、御承知のように二十七年から八年間時の状態と現在とでは大へん違って参りましたので、この審判の意義は多少滞れたわけでございまするが、しかしこの審判を通じましていろいろな事実がはっきりいたしましたし、なおこの審決案においては、将来の解除措置を命ずるというようなことになっておるわけでございまするが、正式の審決において、どういう措置をとるべきかということは、現在検討中でございます。
  8. 春日一幸

    春日委員 私どもは、従来も公取委というものの機能、これについて何回かにわたって横田さんにも警告を発しておる事柄であるのでございます。現実に、この公取行政機関であると同時に経済的な司法機関、この二つの大きな任務を負っておられるにもかかわらず、何らほとんど効果が上っていない。われわれはこの点を指摘して、その怠慢を強く難詰をしつつ本日に至っておるのであります。ただいまの不公正取引とおぼしきこの独禁法違反嫌疑事件にいたしましても、私は今の御答弁を伺うと、まことに驚くことばかりであります。二十七年の八月に被疑事件のあったものに対する審決が、四年をけみして、本年に至ってようやくその審決が行われた。しかもこの間経済情勢の大きな変異があって、それに対する経済効果もほとんど上っていないという、こういうようなことであっては、私は非常に困ると思うのですよ。これはひとり石油関係に関する問題ばかりではなく、金融関係その他万般にわたって、少くともあなた方は大きな経済現象管理者として、国家から信託を受けておられるところのその職責をほとんど遂行されてはいない。私は、本日この石油独占カルテルという問題について、世上ごうごうたる非難が高まりつつあるその一半の責任は、公取、あなたにあると思う。少くともそういうような被疑事件があったならば、これを破り上げて、そうして法律に照らして敏速にかつ峻厳にこれを処断する。そのことなくして、どうしてこの法律を守る責任をあなたが果すことができますか。少くとも四年間もかかって一つ結論を出すというような、そんなことしか一体できないのですか。私は、少くともそういうような違反事件があったならば、早期にこれを取り上げて、そうしてその結論を出して、それを亀鑑とし、判例として、後日業者をしてそれに準則せしめていく、こういう指導が行われなければ、私は法律の権威というものは全然失われてしまうと思う。私は先般も予算委員会において申し上げたことであるけれども、あなたがその公取のいすをふさいでおることによって、実際独禁法違反事件は、白昼公々然として何はばかるところなく行われておる。そうしてかりにこれを告発する人があったとしても、審決までに四年も五年もかかってしまって、経済情勢が根本的に変ってしまって、その審決効果いうものは何らおさめ得ない、こういうことになってくるのでありまして、私はあなたの政治的責任は非常に重いと思う。よく私は今後も御注意を願わなければならぬと思う。  そこでこの事件内容審決はどういう工合に下されたのであるか、それからそれに対する異議申し立てはどういうことが述べられておるのであるか、この機会にこれを明らかにいたされたい。
  9. 横田正俊

    横田政府委員 審判官の下しました審決案内容は、先ほど簡単に申し上げましたが、要するに二十七年の八月から翌年の五月までにかけまして、ほぼ一致した入札価格で応札をしているという点で、スタンダード・ヴァキューム・オイル・カンパニー一社は除きまして、他の十社の間におきましては、いわゆるカルテル行為があるという認定をいたしまして、それに対する措置といたしましては、この十社に対して、将来対価決定につき共同して相互にその事業活動を拘束し、または遂行することによって、石油製品販売における競争を阻害する行為をしてはならないという、将来の行為の差しとめと申しますか、そういうことを命じているわけでございます。結局これに違反いたしますると、審決違反ということになって罰則の適用がある、こういうことになるわけでございます。スタンダード・ヴァキューム・オイル・カンパニーにつきましては、協定の事実がはっきりしないという点で、これは違反の事実は認められない、こういう審決になっているわけでございます。これに対して異議申立書がことしの先月十日に出ておりますが、この中ではいろいろな点があげられております。主といたしまして、第一点は、スタンダード・ヴァキュームだけを白にしたことは片手落ちであるという点が、総括的な問題として取り上げられておりますが、個別的な異議の問題といたしましては、結局入札は相当区々になっておって、価格の一致した事例が少い。ことに関西方面でははなはだふぞろいであるというようなことを盛んに立証したにかかわらず、それを認めないで、カルテル行為があるというふうにいったのははなはだ失当であるというような点で、この点は、こまかにいろいろな話し合いをいたしました状態その他をあげて、かなり強力な反発をいたしているのであります。さらにこの審決案で、共同のはっきりした話し合いがないとしても、共通認識のもとに事が行われている。これはやはりカルテルであるということをいいましたのをやはりつかまえまして、カルテルというためには、少くとも歩調を合せて行うという共同認識が必要であって、共通認識では足りない。これは言葉の使い方をとがめたような点でございますが、しかし、これは本質的には、カルテルがあるかないかの認定の際に非常にむずかしい点でございまして、その点をやはりついてきております。それからもう一つは、この審判の過程を通じまして、業者側で盛んに主張しましたことは、これはむしろ当局意向に従ってそういう線が出たのであって、別にこれはお互い共同認識のもとに行なったものではない、単に当局意向に従ったものであり、しかもそれは、そのときの実勢に応じた価格であって、別に共同認識はないという点をかなり強調しております。その他こまかいいろいろの点がございまするが、これは、いずれも大体審判官の事実の認定については、実質的な証拠の裏づけがないというような点が主たるものであります。従って、この異議申し立てによって当然十社も白の審決が下さるべきであるということを強調いたしている次第でございます。
  10. 春日一幸

    春日委員 いずれにいたしましても、とにかくそういうような対価協定というようなことがあるならば、あなたの方のやり方は手ぬるい。あなたの方では、それに対して警告を発して、さらにこれにがえんじない場合は、第二段の処分に出るというようなことだが、これは独禁法法律目的、その意味から考えて、私はもう少しほんとうに効果の上るような措置をとってもらうのでなければ、てんでこんなものは空文にひとしいものになってしまうと思う。そこであなたの方は、本被疑事件に関連していろいろ基礎的な関連調査が行われておると思うが、たとえば、現在ひとり防衛庁消防庁関係ばかりでなく、各漁港の基地における重油の各社の価格も、それぞれ対価共同行為が行われて、大体において原重油はこれこれというような形になっておると思うが、こういう事柄に対して、これまた独禁法違反嫌疑はないと思うかどうか。  さらにこの際関連して鉱山局長に伺っておきたいが、ただいま公取からの御答弁によりますと、こういうような価格協定というものは、業者の自発的な意思に基くものではなく、当局行政指導に負うたものであるというような答弁がなされておるのであるが、果してそういうような指示を与えたのであるかどうか。公取委員長鉱山局長から御答弁を承わりたいと思います。
  11. 横田正俊

    横田政府委員 ただいま漁港における石油価格についてのカルテルの問題を御指摘になりましたが、いわゆる漁業組合関係価格につきましては、御承知のように、協同組合におきましては協定価格が許されるわけでございまして、これは問題はないと思いまするが、その他の点につきましては、ただいまここでどれだけの調査を私ども委員会で、やっておりまするか、詳細のことを存じませんので、はっきりお答えすることはできないのであります。
  12. 川上為治

    川上政府委員 先ほどのお尋ねで、私の方で価格指示をしたことがあるかという問題でございますが、これは公定価格がありまして、それが撤廃になりましてからしばらくたちまして、非常な乱売戦が行われまして、そのために各種の弊害が生じてくるようなおそれがありし出したので、そういう乱売戦については一つ極力やめてもらいたい、値段については、少くとも最低のところでそれを確保するような措置をとって、お互いにあまりひどい競争によってつぶれていくというようなことがないようにというような指示はいたしております。  それから現在のA重油についての各漁港別価格につきましては、これは特約店組合、すなわち組合法に認められました組合協定価格になっておりますので、独禁法には違反しないのではないかというふうに考えまして、この点は公取の方とも十分連絡をとって措置をいたしております。
  13. 春日一幸

    春日委員 少くとも独占禁止法の精神というものは、対価協定というようなことを許しておりません。もしもお互い業者が自滅するような危険に逢着するというような乱売戦が行われた場合は、これに対して不況カルテルですか、こういうようなものを申請することによって、独禁法に基くところの対価協定というものがなし得るの道が開けておる。それなのに、独禁法という法律に基いた手続を踏むことなくして、独禁法を無視した行政指導をあなたの方が行なったということが、今日この石油に対して膨大利潤を確保せしめたところの原因になっておると思うのです。あなた方は外貨の割当にしても、あるいはそういう行政指導なるものを頻発することによって、いわゆる大企業、大財閥に対しては厖大な利潤を確保せしめる、こういうような事柄が随所に行われておる。これは、通産行政全般を通じてこれまた非難の存するところでありますけれども、そういうような場合には、あなた方が行政指導をやるならば、その前にどうして不況カルテル設定申請という法律に基く手続を踏まないのであるか、乱売をすると値段が安くなってしまうから、適当なところで値段協定して売れ、こういうようなことは、明らかに潜在する石油カルテルの策謀に通産官僚が踊らされたという非難があるけれども、これは私はまさに正鵠を得ておると思う。  本日は大蔵大臣が久しぶりにやって参られたので、委員会大蔵大臣質問を集中してくれとのことでありますから、鉱山局長並びに公取委員長に対する質問あとに譲って、あとで継続することにいたします。  一萬田大蔵大臣にお伺いをいたしたいことは、今度は別の角度からでありますが、先般来この石油カルテルの問題をめぐって、本委員会でいろいろと質疑をいたして参りまして明らかになったことは、たとえば漁業関係重油価格の値上りを防ぐために、これに対しては関税をかけない、こういう方針が決定をした様子であります。のみならず、現在の漁業関係重油価格を、行政指導によってできるだけ下げるような努力が払われておるということが述べられました。そこで、なるほど漁獲に必要なる第一次原材料であるこの重油価格を押えるために、政府が行財政を通じていろいろな努力を払われておるということは、私は当然にして必要欠くべからざることだと思うのですが、一体それならば他の工業生産、すなわち陸上の燃料に対してなぜ同様の努力を払わないのであるか、海上に対してはそういう必要があるが、陸上に対しては必要がないというその理論的な根拠を、一つこの際大臣から御答弁願いたいと思います。
  14. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私は、御質疑は非常にごもっともだと思う。他の面一についても、こういう問題はできるだけ行政指導でやらなくてはならぬと思います。思いますが、無理をやってはいけない、押える場合は押えるべきしっかりした目的があって——特に今度の油については、水産業その他については高く上らないように、関税を上げるがこれが影響を与えないように、これは一つには、それが唯一の目的じゃありませんが、今回は石炭の価格との関係において考えておる点も強いのでありますから、そういう意味において、やはり関税の引き上げの効果を行政的な指導の上において考えていかなければならぬ、かように私は考えております。
  15. 春日一幸

    春日委員 妙なアクセントと奇妙な声でもって答弁されるので、てんで論旨が混乱してしまって、何が何やらわけがわかりません。  そこで重ねて伺いますが、政府は先般来、これは前吉田内閣のときからでありますが、デフレ政策を強化しておる。そうしてこれは、国内工業生産のコスト切り下げ、ここへ政策の焦点が集中されておると思うわけであります。ところが今回のこの石油関税の問題は、まさにこれに逆行するものである。すなわち石炭の業況が不況だから、その需要を増大刺激するための施策として、この工業用の原材料であります燃料コストの引き上げをはかっておる。このことは、すなわち政府がデフレ政策のために全力を傾注しておる事柄とまさに逆行するものであって、これは、われわれとしてははなはだ了承いたしかねる。政府自体としても、はなはだ矛盾きわまる施策ではないかと考えるのだが、これに対して、大蔵大臣はどういうような確信を持ってこういうむちゃくちゃな法律案提出されたのであるか、この辺の事情を国民が納特できるような明らかな御答弁を願いたい。わけて全国の鉄工業初め、窯業関係、こういうような燃料カロリーに依存してお全工業生産者が納得できるような御答弁を願いたい。
  16. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 今回の原油を初め重油等の関税の引き上げ、これが物価等に及ぼす影響、こういうところが問題と思うのでありますが、むろん合理化をやって生産コストを下げていくというこの基本的方針は、何らこれによって大きな影響を受けるものでないのでありまして、石炭業なら石炭業については、別途に合理化ということを今後やるつもりでありまして、今日の石炭の価格関係が不当に下っておるという現実が一つと、もう一つは、今日国産石油を奨励いたしておる、同時にまた、原油等が価格において下がっております。こういう点を考慮いたしまして、今回の関税引き上げをやっておるわけでございまして、繰り返して申し上げますが、合理化を進めていくという基本線とこれが正面的に相対立しておる、こういうふうには考えておらぬわけであります。
  17. 春日一幸

    春日委員 何を言っているのか、日本語で答弁してもらわぬと困る。そこで今の御答弁は、石炭は非常に業況が不況である。従って重油に依存しておった消費を石炭に切りかえるための措置、こういうことを考えて今回の課税方針をきめた、こういうことでございますか。済みませんが、もう一ぺん御答弁願いたい。
  18. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 石炭に対する関係が唯一じゃありません。これは国内の石油業に特に今回増産計画をやっておりますので、従いまして、今日安い外国の原油等に対するため、ある程度の保護を与えるということは当然のことであろうと考えております。
  19. 春日一幸

    春日委員 そういたしますと、国内の重油生産を保護するために、これと、石炭と競合する輸入に対して関税障壁をこの程度設ける、この二つの意味だということでありますか。
  20. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 大体そういうところでいいと思います。
  21. 春日一幸

    春日委員 重ねて伺いますが、今度の関税復活は、石炭対策、同時に一面は国内産重油対策として考えた、こういうことである。そうだとしますと、現在の世界の経済情勢、これは絶えず動いておる。現在は石炭がはなはだしく値下りしておるのではありますけれども、しかしこれは、需要供給のバランスその他によって石炭価格がぐっと上ってくる場合もあるでありましょう。さらにはまた、石油価格がぐっと下ってくる場合もあるでありましょう。そこでまず第一番に伺いたいことは、今の石油の国際価格、原油、重油の国際価格が、現在よりもさらに下った場合、それから同時に石炭の価格がもっと上った場合、当然現在の石炭価格を標準としたところの原油二%、B、C重油六・五%という税率は、それに見合わしてもう一ぺんぐっと上げなければならぬ。そうしなければ政策目的は達しないと思う。そこで伺いたいことは、今申し上げたようにこの原油、B、C、重油の国際価格が下った場合、石炭の合理化法がいろいろと成功して、さらに需要が増大して石炭価格が上った場合、この関税税率をぐっと上げていかなければならぬ、そういうことだと私は考えなければならぬが、そういう場合には、そういうような操作を行うものであるかどうか、この機会大臣から伺っておきたい。
  22. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 主として今の御質問に答える点は、世界的に外国の原油が下った場合に、一体どうするかという点にあるように思います。これは、具体的にどういうふうに下っていくかということはよく考えなくちゃなりませんが、それと国内的な石油の保護の問題、これをどういうふうに持っていくか、ずうっと下れば、この関税が国内の石油増産を考えておる点から考えれば、ある程度これをまた上げるということも私は考えられることだと思います。
  23. 春日一幸

    春日委員 そういたしますと、このことはいよいよ危険である。たとえば石炭価格がかりに上った場合ですね、そうした場合、石炭をさらにそのべースにおいて保護するために、石油価格もどんどん上げていかねばならぬ、こういうことになるが、そうなれば鉱工業生産というものは、石炭のために全面的な犠牲をしいられるという形になるが、そんなことでよろしいのかどうか、この点重ねて御答弁願いたい。
  24. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私は、そういう点については、石炭が上った場合に、それにつれて石油も上げていかなくちゃならぬというふうには考えておりません。これは別個に考えてよろしい、こういうふうに思うております。
  25. 春日一幸

    春日委員 それでは、どういうわけで石炭が上ってもなおかつ石炭産業を保護せねばならぬか、すなわち先般来の答弁によりますと、理屈はわかるけれども、国内に石炭産業というものが厳存しておるので、これを守らねばならぬから、この際この関税を上げて液体燃料を犠牲にするんだ、こういう答弁がなされておったわけです。従いまして石炭が上れば、その上ったベースで石炭を守っていこうとすれば、やはりそれに見合わして液体燃料も上げていかなければ、理論としてのつじつまが合わぬ、どんどん片方を上げれば、片方を見合わして上げていくということになると、液体燃料に依存しておるところの鉱工業は、全部その負担を自分のからだで背負うという形になってくる。そこで考えなければならぬことは、世界じゅう、こういうような第一次原材料の燃料については関税をかけてはいないわけであります。われらの調査するところでは、オーストリアと西ドイツでありますが、そういうところは、国内需要の液体燃料を自足しておるので、従ってそういうようなものは、国内産業保護のためにかけておる、こういうことではあるが、その他の国々は、ほとんどそういうものは、関税のかからないところの裸の国際価格の燃料に依存をいたしておる。従いまして、そういうような安い燃料を使用しておるところの工業生産品と、高い燃料に依存するところのわが日本製品との間に、それだけの大きな較差が出てくる。そうすると、それでは国際競争というものに日本は勝てないではありませんか。すなわち貿易を伸ばして外貨を獲得して、そうして日本の産業経済の再建をはかるのだ、こういう国家目的は、これによって明らかに阻害されるではありませんか。この点について大臣はどういうような理解をいたしておられますか、この際御答弁を願います。
  26. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 お説は非常にごもっともと思います。これは私といたしましても、今後において、石油とか、あるいは石炭を通じて日本の燃料政策というもの、あるいは動力政策というものをどうしても根本的に確立しなくてはならぬと考えております。そして、これはやはり早急にいたすべきだ、そういう点から、石炭とか石油という問題を考えていかなければならぬ。私自身の考えでは、やはり石油と石炭については分けるべきだという考え方を持っております。ただし将来にわたることですから、当面のいろいろな問題のことについて、今ここでかれこれ申しませんが、特に石炭は、できれば将来は——これは私のあるいは一つの希望図になるかもしれませんが、できるだけこれを工業原料に用いるという方向において石炭問題を解決していきたいと考えております。しかし、これは今後にまたなくてはならぬ、またこれについてはよほどいろいろと施策をいたしますが、当面の事態の解決にはあるいは間に合わない、こういうふうな見地に立っているわけであります。
  27. 春日一幸

    春日委員 石炭産業を燃料源として考えないで、工業原料として指導していくべきだ、こういうふうなことが述べられた。私はそれは正しいと思う。少くとも現在の世界の趨勢は、こういう固体燃料から液体燃料、気体燃料、さらに今度は原子燃料というふうに進んでいると思う。世界的に燃料として石炭に依存する面がだんだん減ってきて、アメリカなんかの資料もそれを明らかにしておるし、世界各地においても、燃料用石炭というものの消費率はうんと減ってきている。これを日本だけがこういう世界の趨勢に逆行して、それに依存せしめようと無理をしていけば、無理は破綻のもとなんです。破綻は、ひとり鳩山内閣の破綻ではなくして、日本国経済の破綻ということを私は考えてもらわねばならぬと思う。私はそういう意味合いにおいて、全国の工業生産が国際収支に貢献しておるこの価値を正常に認識するならば、こんな乱暴な政策はとれるものではないと思う。  そこでさらにいろいろとお伺いいたしたいのは、一昨日私の質問に対して鉱山局長は、なるほど、そういうような工業生産に対して大きな障害を与えるようなことは大いに憂慮している。従ってそれに対しては、それぞれの行政指導を構ずるということが述べられております。その行政指導の方法としては、中小企業用の燃料とか、あるいは輸出用の原材料となるところの燃料とか、こういうような用途目的を持つところの燃料の価格というものは、行政指導によって値上りを来たさないような措置をとるということを鉱山局長が述べております。鉱山局長、聞いておって下さいよ。そこで私はお伺いいたしたいことは、たとえば重油が五百三十万キロリットルでありますか、その中で漁業用が百五十万キロリットルでありますか、そういうものを引いていきますと、かりに三百八、九十万キロリットルというものが工業用として残るわけです。この中で、鉱山局長が先般答弁をいたしました輸出産業用のB、C重油、そういうものは、いるわゆ行政指導によって現行価格を維持する、すなわち値上りを阻止できるというところの絶対量というものは、一体どのくらいのものを考えられているのでありましょうか。現在輸入されている量が五百三十万キロリットルであるならば、それから水産用のものを課税されないということであるならば、それを引いて、さらに輸出用産業、たとえば鉄鋼とか窯業産業とか、いろいろ産業がある、そういうものは値上りを来たさない行政措置をとるというのであるが、そうすると、その重油の量は一体どのくらいになるのであるか、残ったものは、すなわち実際の値上りを来たさないものは一体どれだけであるか、これは当然計算せられているであろうと思うが、この際鉱山局長から御答弁を願って、あわせてこれは大蔵大臣の判断の資料といたされたい。
  28. 川上為治

    川上政府委員 B、C重油は全体で四百三十万程度でございます。この四百三十万キロリットルのうち、われわれの方でぜひとも石炭の方へ転換せしめたいというのが大体百万くらいございます。それ以外のものにつきましては、漁業関係、それから陸上の鉄鋼その他のものでございまして、これは主としてボイラーでありますけれども、この際そういうものにつきましては、何とかして石炭の方に転換させていきたいというふうに考えているわけでございまして、重油関税をかけましてある程度値上りになりまして、それが影響してもいいというものにつきまして、大体百万くらいというように考えております。
  29. 春日一幸

    春日委員 四百三十万キロリットルから百五十万キロリットルをとると二百八十万キロリットル、そこのうちで石炭の方へ転換せしめるものが百万キロリットル、そうすると、百八十万キロリットルというものは現行価格で供給せしめよう行政指導をとられるということであるが、その行政指導の構想、これは、政府は一体どんなことを考えているのであるか、この機会に述べられたい。
  30. 川上為治

    川上政府委員 B、C関係の四百三十万のうち、海上関係のものは九十七万三千という数字になっております。少しその数字が違うんじゃないかと思いますが、私の方といたしましては、海上関係を九十七万三千というふうに踏んでおります。それから陸上関係が残りの三百三十二万七千、そのうちで、先ほど申しました石炭の方へ転換してもいいじゃないかというふうに考えておりますのが百万程度であります。残りのものにつきましては、たとえば鉄鋼関係の平炉でありますとか、あるいはその他輸出産業に相当貢献しているもの、たとえば鉄鋼につきましては、今回関税がかかりましてある程度値上りになりましても、その値上り分につきましては、極力石油業者の方と鉄鋼の方と両方で負担してもらいたい、特に石油業界の方でこういうものにつきましては負担してもらいたいというふうに考えまして、そういう行政指導をやりたいというふうに考えております。その方法といたしましては、現在公定価格制とか、そういうものがありませんので、私の方といたしましては、大体これくらいの値段で販売するように各社一つ自粛してやってもらいたいということを、指示と申しますか、そういう勧告をいたすわけでございます。この問題につきましては、現在ボイラーの設置の制限等に関する法律格というのが出ておりますが、この法律案が通過いたしますならば、この法律第六条によりまして価格指示をしたいと考えております。
  31. 春日一幸

    春日委員 きわめてあいまいまであり、その話を聞いておる本委員会委員はもとより、国民はだれ一人そんなばかなことで納得できるはずがない。よろしいか。たとえばあなたの方が行政指導でやる、すなわち政府が、言うことをきかないやつには外貨割当を削減して、しっぺい返しをやっていく、こう言うのだけれども、大体そういうような通産行政のあり方自体が、ときには通産省をして伏魔殿だと言わしめるそのもとだと私は思う。いわば通産省のきげん、きずまをとって、御無理ごもっともで何でも言うことをきくやつには外貨割当をうんとやっていく、そしてちょっとでもその意思に逆らうようなものについては、しゃくしでもってあてがっていくというような卑劣な、不公正な行政というものはあるものではない。私はあなたに伺いますが、外貨制限を行うというのだが、こういうような問題は、一体いかなる法律の根拠によってあなたの方はそれを制限することができるのであるか。あなたの方の行政指導というものは当然すべて法律に準拠しなければならぬ。法律以外の執行はあなた方に許されておらない。従ってあなた方は外貨割当をやるにしても、制限するにしても、それが行政指導に沿わない場合に制限できるという法律の根拠があったら、この際一つお示しを願いたい。大体通産省の言うこと、それは主観だ。すなわち通産省の中の漫然とした抽象的な一つの意見でしかない。法律の権威というものは何らない。国家はそのようなことをあなた方に信託してはいない。一体いかなる法律の根拠によってそういうような外貨制限がなし得るのであるか、その際一つ通産省から御答弁伺いたい。
  32. 川上為治

    川上政府委員 価格指示とか数量の指示とかいうものにつきましては、先ほど申し上げましたように、今回商工委員会で御審議中の法律案によりまして、われわれの方としましてはやり得るものと考えています。これはもちろん勧告でありまして、命令ではありません。従いまして、これに違反しましても罰則規定はないわけでございます。しかしながら、その法律に基いてわれわれは勧告したいと考えています。それから外貨割当の方で罰則的な措置を講ずるということにつきましては、現在の為替管理法の趣旨によりましてそれができるものとわれわれは考えております。
  33. 春日一幸

    春日委員 それでは大蔵大臣にお伺いをいたしますが、ただいま鉱山局長答弁によって明らかなように、それはきめ手にはならないのです。たとえばどういう法律の根拠によるかといった場合、その法律がない。今法律案を商工委員会で審議していると言うのだが、それはボイラーの設置の制限等に関する法律案か何か、それをさされるだろうと思うが、これは罰則規定はない。ただ勧告することができるという。別にわれわれはその法律になぜ罰則規定を設けなかったかというこのこと自体をよく考えなければならぬ。そういう法律の趣旨に従わなければならぬというような法律の意義とその目的を持つものならば、必ずそれは罰則ができる。人を殺してはならぬという場合には、人を殺した場合には死刑にするとか、懲役何年とかいう工合で、そのことを禁止する。権威ある法律にはみな罰則がある。罰則がないということは、事と次第によってはその勧告に従い得ない場合もあるであろう、従ってこれは罰則を設けてはならぬ、設け得ないという立場で罰則ができていない。そういう意味合いにおいて、通産省からどんな勧告が来たところで、この業種、業態においては、そういうような石油を使ってボイラーを燃やすこともある、こういう確信の上に立って、本人たちもその勧告を拒否すれば——現に横田さんも冒頭に述べられておるが、公正取引委員会独禁法に基いて審問審決をしてすら、石油業者たちはそれをはね返して、せせら笑っているじゃありませんか。そういう意味だから、この罰則ができて、そのボイラー制限によって百万キロリットルを石炭の方に転換できると言ってみたところで、それは現在の諸君が、そんなことは迷惑で、そんなことは聞けない。通産症の勧告、そんなものには従いません。こう言えば、それはそれだけのものなんです。罰則も何もないから拘束力がおりません。すなわちマーケット・プライスでそれだけの重油を手に入れてくれば、ボイラーはどんどん燃えて、煙突は黒煙を上げ、生産は今まで通り進められていくのです。そういうきめ手のないところにそら頼みをして、こういうような重要な工業生産の死命を制するような重要政策を転換せしめようというところに、国家的立場に立って見ると非常に危険があると私は思う。どうか一つその点をよく考えてもらいたい。  それから外貨に関連をして外管をしておられると思うが、今外貨の割当によって行政指導に応諾をしないような業者には制限をして、これはどうしても通産省の言うことを聞いていかなければならぬというような方向に持っていくといりのだけれども、少くとも行政の執行というものは、そのような複雑多岐、さらに怪奇にわたるような措置によってされるものではないと私は思う。かくかくあるべし、こういう大綱をきめて、それに違反するものは制約を受けていくという体制が確立をしなければ、私は効果は止らないと思う。効果が上らないうな措置を講ずることによって、いたずらにコスト切り下げの方向に向っておるところのこの政策に逆行するような施策を講ずるということは、危険この上もないことだと私は思う。わけて外貨制限なんということはもってのほかだと思う。少くとも当局のきげんきずまをとるものには外貨を十分割り当てて、そうしてその意に満たないものに対しては、通産省の担当官の一方的独断によって減らす、こういうふうにふやすこともできれば減らすこともできる、こういうような政策のあり方というものは、これはつとに批判の存するところであって、われわれ社会党両派がこの外貨予算というものについて、これは法律によって審議しろ、こういう主張しておるのもそこに原因があるのです。あなたは大蔵省所管において外貨の管理をいたしておられるが、現在通産省当局が述べられた、言うことを開かぬやつには外貨を減らしていく、しゃくにさわったやつは減らしていく、こういうような通産省のヒステリズム——ときによってはこれをヒステリズムと酷評してもあえて過言ではないと思うが、そんなことで日本の外貨の操作がなされておるということについて、あなたは、どういうような批判を持っておられますか。率側なところを述べて下さい。
  34. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 今のお話しのように、通産省が自分の好みによって、外貨を割り当てるとか割り当てない、そういうことは絶対にあり得ることではないのであります。これは外貨予算がありまして、審議会も経ましてやっていく、こういうふうになっております。それに基いて、通産省はほんとうに公平な割当を考えればよろしいのであります。それからそのほかの基本的なお考えについて、私も春日さんの御意見は非常にわかるものであります。特に日本の経済というものは国際貿易に依存しておって、そうして国際物価と日本の物価というものが非常に大きな関連を持つというふうな点、そういうふうな無味からまた関税というものを考える場合に、お話しはよくわかるのであります。ただそれと国内資源の開発というものをどういうふうに調和しますか、調整をしていくか。従って全然国内資源の開発ということを無視することもよろしくない。そこで要するにどういうふうな程度をもってやるかということになるだろうと思います。そういう意味に御理解を願いたいと考えます。
  35. 春日一幸

    春日委員 大蔵大臣は、この問題についてほとんど研究されていないと思われます。と申しますのは、国内資源がドイツのように少くとも国内需要を上回った生産が行われたような場合とか、おるいはオーストリアのように、大体その国内需要を国内生産でまかない得るような場合は、これは相当の関税障壁を設けたって、その意義があると私は思う。日本の場合は、国内重油なんというものは、国内需要量のほとんど八%か九%、一〇%に満たないのに、その一〇%を守るためにあと九〇%を程度のものを犠牲にするというようなことは考えられない。昔から一殺多生の剣というものがある。大ぜいを生かすためには一人を殺すということは、これはあり得ることなんです。いいですか。ことに今度は、石炭に切りかえるといったって、その絶対量は大体二、三百万トンの石炭を救済するためということであるらしいのだが、わずかそれだけの効果を上げるために、日本の窯業、鉄鋼産業、その他万般にわたるところのこの液体燃料に依存しておる全工業がすべてコスト高に向うような、そんなばかげた政策をとるということは、私は極言すれば、これは狂気のさただと思う。私はこういうような意味合いから、とうていこのような政策に対しては、われわれ社会科学の党は賛成することはできぬ。こういう質問したいことがありますが、小山君が先ほどから催促されておりますので、質問はさらに後日に引き続いて行うことにいたしまして、この際小山君に譲ることにいたします。
  36. 小山長規

    ○小山(長)委員 大蔵大臣がせっかくおいでになりましたのでお伺いしたいのでありますが、この関税定率法改正案をわれわれここ十数回審議をいたしました。ところがあなたの方の税関部長は、この関税定率を今度復活する目的は、国権原油の保護だ、こう言う。国産の原油を保護する機会ができたから、ここで関税定率を一部復活するのだ、こういう御説明です。ところが通産省の鉱山局長の言われるのには、関税の定率をかけるけれども、それは輸出産業用の重油であるとか、海上用の重油は値上りをさせない。ボイラー用の重油だけこれを上げるように行政措置をするつもりだ、こういうふうに言われる、この話しを聞いていると、非常に矛盾するのであります。国産原油の保護であるならば、重油あるいは軽油の全般が値上りしない限りは、国産原油の保護にならぬ。国務大臣としての大蔵大臣は、一体どっちを主としてこの法案提案されたか、それをまずお伺いしたいと思う。
  37. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私といたしましては、どちらというよりも、今日の日本の経済状況から見て、いろいろな方面に関連をしておると考えております。
  38. 小山長規

    ○小山(長)委員 それでは、今後の質問が続行できないのであります。焦点がしぼれません。重ねて一つ大蔵大臣としてでもいいし、国務大臣としてでもいいのでありますが、どちらを主点にしてこの法律提案をされたか、それをお伺いしたい。
  39. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 双方を考えております。
  40. 小山長規

    ○小山(長)委員 大蔵大臣、それじゃ私怒ります。そんにばかな答弁はないじゃありませんか。ともかく、どちらもと言われますけれども、それでは質問はできません。   〔発言する者あり〕
  41. 松原喜之次

    松原委員長 私語を禁じます。
  42. 小山長規

    ○小山(長)委員 政府の方からは二通りの答弁が出ておる。片方は国産原油を保護するために関税定率法があり、そうして今度の六・五%はその一環としてやったんだと、こう言われておる。ところが鉱山局長の方はそうではない。鉱山局長の方は、この重油関税がかかっても、ボイラー用重油の値上りは行政指導でやむを得ないと思うけれども、その他のものは行政指導で上げないと言っておる。そうすると、関税をかけることが国内原油の保護であるならば、原油から出てくるところの重油その他のものが値上りしない限りば、国産原油の保護にならないでしょう。そうじゃありませんか。そうすれば、今度の関税定率法のねらいは、ばく然と最近の経済状況にかんがみと書いてあるけれども、一体その真意はどこにあるんだ、それをお伺いしておきます。
  43. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 先ほどからお答え申し上げてあると思うのですが、原油を上げるのでありますが、これはやはり国内資源の開発、国内の油の採掘を優遇する、こういうように考えていいと私は思うのです。ただ通産省がどういうふうなお話しをしておるか、私直接聞いておりませんが、たとえばボイラー用の燃料にいく部分を高くする、これをもととしてこういうふうなことを考えておるとは私は思いませんが、それもやはり一つ効果としてあり得ることと考えておるのであります。そうして、そういうふうな程度でしたらば、日本の油を大いに保護することにならないのじゃないか、日本の油を保護するのなら、全体のものを上げなくてはならぬじゃないかという御意見、これも私ごもっともと思うのですが、それが先ほどからまた非常にお話しがありますように、私はそれは程度の問題だと思っておるのであります。先ほどから、日本の油が出たところで何パーセントじゃないか、その何パーセントのために全体の油を高くすることはどうかという意見も、やはり傾聴すべきものであり、そういうところは、日本の輸入に依存することと国内資源の開発ということとの調和の程度の問題だ、私はこういうふうに考えております。
  44. 小山長規

    ○小山(長)委員 ただいまの大蔵大臣答弁は、かすみを通してものを見ておるようなもので、実体はさっぱりわかりません。それでは、この関税定率法を今度改正をした結果、油が値上りするようにということを目的にされておりますか。
  45. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私は、この関税が上っただけは、やはり全部でなくても影響があると考えております。
  46. 小山長規

    ○小山(長)委員 そうすると、目的は原油、重油の値上りが目的である、そうですね。
  47. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 さようです。
  48. 小山長規

    ○小山(長)委員 原油、重油の値上りを目的としてやられておるが、それでは大蔵大臣あるいは国務大臣としてお伺いしますが、原油なり重油なりが値上りをした場合に、外国は安い重油を使っておる、そしてそれをもって輸出用の燃料に使っておるのですよ。そうすると、日本だけは高い油を使って、外国は安い油を使っておっても、日本の経済政策、燃料政策というものは成り立っていきますか。
  49. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 今話される限りにおきましては、高い油を使うのですから、日本がそれだけ不利であることは間違いないと私は思います。しかし単に外国と日本というものを比較する場合、日本の経済力というものと外国の経済力とを比較すべきであるというふうに私は考えます。同時にまた、それならすべてのものが自由貿易にすべきであるか、国内資源のうちのあるものが少重なるがゆえに、これを放棄してよろしいかといえば、やはりそうもいかないのじゃないか、私はそこの調和を求めておるということなのであります。
  50. 小山長規

    ○小山(長)委員 日本という国が、いろいろほかの資源があって、重油だけ一つ保護しておけば総体の力が出てくる日本ならば、それでいいのかしれません。あらゆる輸出産業用の資源を全部海外に依存しておる、その海外から入れている原料は関税定率法上無税なんです。原油なり重油をたまたま関税定率法上一割とか二割とか上げたのは、その当時の関税審議会なりその他の——そのときの歴史を大臣よく勉強してごらんなさい。これは実は、私をして言わしめるならば、ミステークだった。そのミステークをさらにここに追加しよりというわけなんですから、日本の輸出産業にとっては、これは非常な打撃であることは間違いない。ところで私は、もう一つこれに関連してお伺いしたいでありますが、国産原油の保護だけならば、現在でも国産原油は製油会社が高く引き取っておる。海外から買うものよりも高く引き取っている、帝国石油はそれでちゃんと二割配当をやっている。さらに一そうこれをやろうとするならば、帝国石油に対する配当をやめさせるとか、あるいは帝国石油から買い取るのを、日石と同じようにもっと安くさせるとか、そういうようなその次の段階を考えていらっしゃいますか。その点はどうですか。
  51. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 そういう点は、私としては御意見として拝聴いたしておきますが、日本の油は、私の聞くところでは非常に特殊性を持っている——私は技術家でありませんから、油のことはよくわかりませんが、そういう特殊性を持っている油であるように聞いております。資源がある限り、やはり私は採掘したらよろしい、こういうふうに考えておるわけであります。
  52. 小山長規

    ○小山(長)委員 もう少し自信を持って御答弁願いたいのでありますが、今度の関税定率法目的、国産原油を保護するといっておりながら、実は大臣答弁が非常にあいまいな上に、これは石炭保護なんです。ほんとうのねらいはそうでしょう、そうでなければならぬはずだ。この石炭保護であるところに、石炭というものをものさしにして言っているところに、この関税定率法が問題になってくるのです。というのは、鉱山局長の言を信用してもよろしいが、ボイラー用の石炭を、ちょうど重油と同じような値段のところまでにすることをねらいにしているに違いない。ほかのものは安くする。そのことがすでに理論上間違っていると思いますけれども、ボイラー用の石炭だけはしぼりにしぼって値上りさせるのだ、これが行政指導目的のようであります。そうしますと、石炭価格という値段の問題になりますが、値段というものが本筋になってくるから、石炭の値段の上り下りによって関税定率法を変えていかなければならぬということになります。たとえば石炭業がどういう事情か、ストライキが起ったとか、あるいはその他天災が起ったために、石炭の価格がぐっと上ってしまった、そういうような場合には、この関税定率法では保護できないから、関税定率法一ぱいまでこれを上げていかなければならない。あるいはまた海外の石油が下ってしまった、運賃が下ってしまった、石炭はとうてい太刀打ちできない、ボイラー用の石炭も太刀打ちできないというようなことになった場合は、また関税定率法の一割、二割というところの一ぱい一ぱいまでは上げていかなければならぬということが起ってくる。そのような状態を仮定して税関部長に聞いてみますと、その場合には、現在はずしてあるA重油にも関税をかけるのだと言っておる。今はB、C重油だけだけれども——大臣は御承知と思いますが、原油、重油については一割、ガソリン、石油については二割なんでありますけれども石油価格とのつり合い上、将来は関税定率法の一ぱい一ぱいまで持っていきたいのである、こう言っておる。そうすると、一ぱい一ぱい上げたときには、今度の関税定率では上げていないところのA重油まで上げていかなければなりません。A重油まで上げた暁においては、海上用の重油の値上りをとめるということはとうていできない。あるいは今度は行政指導で成功するかどうか知らぬけれども、いわゆる輸出産業用のB、C重油行政指導によって押えるというのであるが、これも不可能になってしまうのであります。今度は関税定率法に戻そうという提案のその第一歩でありますけれども、その最後のところまで行くことを大臣は御承知の上で、ただいまの答弁をされておりますか。
  53. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 今の御意見は、私何もそれに異論があるわけではありません。傾聴いたしますが、先ほど申しましたように、どうしても将来においては、燃料政策というものを早く確立しなければなりません。それが欠如しているところに、やはり私は問題が派生いたしておるように考えております。そんならそれをやったらいいじゃないかという意見もむろんありますが、しかし、それはなかなか早急に実効があがる段階までに行く見込みがない。従いまして、今回のこの関税を上げる理由も、率直に申しまして、むろん国内資源の開発にもありますし、これは昭和二十六年にこれについて基準税率一割をきめられた場合、当時こういう原油等が高かった、あるいはまたその他の理由で、一応免税の措置はとられておったのですが、しかしそのときに免税した理由は、今日は一応解消しておる。それは当時原油は高かったのが、今は安い、それからフレートにしても、その当時と比べると安いとか、いろいろな事情がある。ですから、私は考え方として、あの当時、将来一応こういうふうな国内資源のために関税を上げようという考え方も、私はあり得たと思うのであります。ですから今回上げるのも、国内資源の開発とともに、また今日燃料政策が欠如しておる、これは政府としてもむろん考えなくはなりませんが、この欠陥を、当面一問題としてはやはり何とか考えていかなければならぬだろう、こういうふうに思っておるのでありまして、今後燃料政策を確立するという基本政策は、何をおいても打ち出していきたい、そういう場合において、税率あるいは関税等について当然再検討を加えなければならぬ、私はかように考えておる次第であります。
  54. 小山長規

    ○小山(長)委員 ただいま高遠な燃料政策についての御意見を伺いましたが、それはもうすでに大臣の構想の中にあるのだろうと思うのです。  ところで私は一点伺っておきたいことば、私は最近まで、国産資源の保護とおっしゃるのは、原油の保護だと思っておった。ところが今あなたの御答弁を聞いておると、石炭も国産資源の中に入っておるようですね。そういたしますと、国産資源を保護し、あるいは国内の石油、あるいは国内の石炭を保護するために昭和二十六年に作ったところの関税定率法なるものは、その当時の事情では当てはまらなかったが、将来は国産資源の保護のためにこの関税定率まで持っていかなければならぬ、その場合に、この提案にもはずしていますところの重油のうちのA重油に一割の関税をかけるということを目途とされておるわけですね。そうですね。
  55. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 いや、決してそういうことは目途としておるわけではないのであります。私は先ほどから申しましたように、できるだけ早くそういう燃料政策という基本政策を、これは皆さん方のお力を借りなくてはできませんが、お力を借りて打ち出して、そうしてこの税率の課し方は早くやめたいというような私の構想であります。
  56. 小山長規

    ○小山(長)委員 そうすると最初の答弁と全く違うように思うのであります。国産原油の保護をするということであれば、あるいは国内の資源、石炭まで含めてもいいが、それを保護してやるということならば、関税定率、つまり現在は六・五%しかもB・C重油だけだけれども、将来は関税定率一ぱいまでやっていくんだというこの理論が一貫しないんじゃないんですか。そうすると、当然A重油もかけなければなりません、ガソリンもかけなければなりませんよ。その点どうなんですか。
  57. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私は、当然一割まで行くというふうには、今ここで考えておらないのでありしまして、これはやはり今後の状況を見なくてはなりません。
  58. 小山長規

    ○小山(長)委員 当然考えてないということになれば、一体石炭は保護されますか。石炭保護ということであるならば、石炭の価格とつりあうところまで持っていかなければなりません。
  59. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私の先ほどの資源の開発ということについて、石炭も全部ひっくるめてというふうにいうと、また問題が広くなります。私が今度原油についての関税を引き上げると言ったことは、やはり国内原油について資源の開発を考えるということであります。
  60. 小山長規

    ○小山(長)委員 国内石油目的とされておるということで御訂正になりました。国内の石油資源を保護することが、この関税定率改正目的である、今大臣はそうおっしゃいましたが、これには石灰保護ということは入っていないのですね。
  61. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私の考えは、今原油にかけた場合の国内資源の保護は、石油を考えなくちゃならぬ。そして先ほどから繰り返し、申し上げますように、燃料対策というようなものを考える場合、これは私は当然すみやかに考えるべきだと思っておるのでありますが、その場合においては、私は石炭というようなものが、原油とこういう意味において競合しない別個な見地に立つというふうな構想なんであります。先ほどもちょっと言いましたが、主として私は、石炭を工業原料という方向の用に持っていくべきじゃないかというふうな考え方を持っております。
  62. 小山長規

    ○小山(長)委員 どうも大臣答弁は、私は右と言えばすぐ左だ、そうですか、左ですねと言えば、すぐ右だということで、ポイントがつかめない。  通産大臣がここに見えておりますので、お聞きしたいのでありますが、大蔵大臣の話を聞いておると、関税定率を改正したのは、国産原油の保護が目的なのか、あるいは石炭の方が目的なのかわからない。最初は両方を保護するような、経済情勢をあわせてというようなお話しであった。だんだんしぼっていくと、いやこれは国産原油を保護するという御答弁です。そういたしますと、ボイラーの規制法案が出ているし、石炭企業合理花法案が出ておりますが、この法律関税定率とは関連があるのですか、ないのですか。
  63. 石橋湛山

    ○石橋国務大臣 全然関係がないとは申せないのでございます。それは、今大蔵大臣が言われた通り、石油関税そのものが、これから国内の石油の事業を大いにやろうというのが目的ですから直接には石油事業、しかしながら全体の燃料政策としては、ただいまお話しのように、重油ボイラーの規制もやりたい、一方においては石炭の合理化もやりたい、こう申しておりますのでありますから、それとむろん関連がございます。
  64. 小山長規

    ○小山(長)委員 それでは通産大臣にお伺いしますが、国産原油というのは帝国石油ということになりますが、帝国石油が掘っております石油は、今でも国内の石油業者に払い下げるときには、海外原油より高く売り渡しておりますね。その結果二割の配当もできている。そこで、そういうような方法で国産原油を保護していくということは、これはマキシマムに来て、これ以上できないという状態ですか、補助金を出して国産原油を掘らしていくことは、もうできない状態になってきているのですか。
  65. 石橋湛山

    ○石橋国務大臣 石油の方は御承知と思いますが、これから試掘、採掘を大いにやろう、こういうのでありまして、関税収入もできるだけその方へ回したい、かように思います。
  66. 小山長規

    ○小山(長)委員 そうすると、関税収入は国産原油を保護するために回すお考えですか。
  67. 石橋湛山

    ○石橋国務大臣 直接にはそうではございません。関税目的税のようにする意味ではございませんが、とにかく関税によっての収入も一方に期待し、同時に、今年度もまあわずかではありますが、三億円程度のものを出して試掘を大いにやろう、今後年々続けて五カ年間でやろう、一方において歳入のことも考える必要がありますから、これだけの意味ではありませんがそういう意味も大いに含めて関税を上げてもらいたい、こういう意味であります。
  68. 松原喜之次

    松原委員長 小山君、大蔵大臣は十二時に約束がありますから……。
  69. 小山長規

    ○小山(長)委員 それでは最後に一言お伺いしておきます。これは仮定のことですが、ボイラーの規制法案、石炭合理化法案が通らなかったときは、この法律は必要はないのでしょう。
  70. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 そういうことはありません。これはぜひとも一つ通していただきたい。
  71. 小山長規

    ○小山(長)委員 通してもらいたいのは通してもらいたいでしょうが、このボイラー規制法案が通らなかったときに、あるいは石炭合理化法案が通らなかったときに、この法律の意味があるのかどうかということを聞いているのです。
  72. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 それは、先ほどから私しばしば申し上げましたように、国内石油の保護をするという意味は、十分これにあるのでありまして、理論的に言えば、私はあなたの御意見にほとんど賛成するのですが、私、先ほど言ったように、燃料政策が確立していないところに問題があって、そこでいろいろと錯綜した状況が今日本の経済にあるものですから、いかにも右する、左するというような、そんな考えはないのですけれども、客観的の日本の経済自体がそういう基本政策が打ち出されてない結果、錯綜しておるものですからそうなるのでありまして、正しい理論的に言えば、私の言うのがいいのだが、実は通産大臣のおっしゃるように、どうしても間接的な問題に移ってくる、こういうことで一つ御了承願います。
  73. 小山長規

    ○小山(長)委員 通産大臣、今大蔵大臣は、燃料政策が確立していないからこういうことになるのだと言うのでありますが、燃料政策が確立してからこういう法律案をお出しになったら、どうですか。  それともう一つ伺いしたいのは、今度の関税をかける結果、これは行政指導でやるとおっしゃるけれども、それは実際問題としてはできないと思いますが、石油価格は値上りをする、それはいろいろの方法で押えると言っておられるけれども、やがて関税定率の一ぱいまできますと、原油、重油は一割、ガソリン、軽油は二割ということになりますと、日本だけが高い燃料を使って、そして輸出産業用の特殊なものを作る。外国は日本のように関税を負担しない、あるいはもっと輸送賃の安い石油を使って同じ製品を作る。それに対して日本の輸出産業というものは、そういう大事な原料をそういう不利な条件に置いておいて、果してうまく行くものかどうか。
  74. 石橋湛山

    ○石橋国務大臣 石油関係だけを切り離して考えると、関税が上れば上るという一応の理論が成り立ちますが、しかしながら実際においては、これは需要供給の関係です。小山君よく御存じのように、租税をどこへ転嫁するかという問題は、結局需要供給の関係、だと思うのです。ですからその点において、今大蔵大臣が言われたように、燃料政策がもう少し確立して、たとえば国内の石炭も安くなり、あるいは国内の石油も増産のめどがつくということになりますれば、私は関税をかけただけが消費者に転嫁するとは思わない。同時にこれはむろん口実にはなると思いますから、その口実として石油業者石油を上げようとすることに対しては、行政指導によって極力これを防ぐ、かような考えを持っております。
  75. 小山長規

    ○小山(長)委員 大体今度の関税定率法の目標は、石炭保護ということであれば、外貨の割当をしぼるというか、そういうようなことも、値段さえよければできるわけです。値段さえ上げればよいなら、輸入を制限すれば値段は上る。また外貨事情が非常にゆるやかであるならば、このくらいの関税をかけてもどんどん石油が入ってくるし、とうてい石炭の保護は価格上はできない。でありますから、関税というものを、あるいは外貨割当というものを、両方考えて初めてこういうことが成り立つけれども、外貨の割当が潤沢にできて、どんどん外国から重油を入れるのだということなら、関税を幾らかけたって石炭対策にならない。それから石炭対策だけをやろうとするならば、重油値段なり、あるいは原油の値段が上ればいいのならば、外貨割当を減らして、そうして油の輸入を制限すれば当然に上ってきますし、石炭対策にはなると思うのです。ですから、こういうふうな関税定率ということをここで持ち出してくるということは、あなたのおっしゃる石炭対策にもならないし、あるいは輸出産業の燃料政策にもならないと思うのですが、そういう点については根本的にどうお考えになるのですか。
  76. 石橋湛山

    ○石橋国務大臣 石炭の問題については、石炭の合理化等によりまして極力コストを下げるということに努力いたしますが、同時に石油の方も、各国とも関税をかけておりますから、最小限日本の現在の事情においてかけられるだけの点を復活する、これはやはり燃料全体の調整をする一助になる、かように考えております。なるほどお話しのように外貨をしぼって、輸入を減らしてしまえばそれはどこまでも上りますが、これはまた、それこそ大へんな悪影響が実は起るだろうと思いますから、そういうことはいたしたくないと思います。
  77. 小山長規

    ○小山(長)委員 そういたしますと、石炭の合理化、あるいはボイラー用の重油の規制、これを先にやるべきである。これをまず最初に、やって、それが成功すれば、こういうものはやらなくったっていいじゃありませんか。それを先にやって、またその結果を見て、どうしてもいかぬというときに、燃料政策全般を考えて、あるいは関税を課すとかいうような国策を立て、そうしてやるべきじゃないですか。まず石炭合理化をやってみる、あるいはボイラーの規制をやってみる、そうしてその次に来るものがこの問題じゃないですか。だから、結局日本全体の電気エネルギーに対してはどう考えるとか、石炭のエネルギーはどうなるとか、油のエネルギーはどうするとか、配分の計画を立てて、そうしてここに行くべきじゃないですか。
  78. 石橋湛山

    ○石橋国務大臣 私は、どれを先にやるというべきものではなくて、やはりやるべき手は差しつかえなければ同時に打つべきものだと思います。そういう意味で、関税定率法がせっかくあるのですから、ほんとうを言えば、あれを延期したのは——適用をしばらくやめましたのは、運賃の関係でありますが、最近は運賃の問題は解決したのであります。ですから、定率関税石油にかけないという当時の理由は解消しておるのであります。従って、これはもし理屈通りに言うなら、定率法通りに回復してもいいわけだと私は思う。また海外の関係から申しますれば、どこの国でも、まず石油関税をかけていない国はない。こういうようなありさまでありますから、やっていいと思います。しかしそれを急激にやりますと、いろいろ漁業その他に特に影響を及ぼしますから、そこでできるだけ制約して、まず支障がないと思われる程度においてこれをかける、同時に、一般に重油の供給をただ減らしっぱなしにしますれば、これは国内で重油を——全体の産業の上から言えば必ずしも使ってもらいたくないが、しかしながら、使った方が便利だというところによけいに重油は流れます。そこでわれわれとしてみて、産業上において大した支障があるまいと思われるボイラーの方面に規制を加えていきたい。同時に石炭の合理化を企てて、数年のうちにはそういう無理なことをしなくても、おのずから各燃料、各エネルギーの間のバランスがとれるようにいたしたい。  石炭の問題については、ここで繰り返す必要はありませんが、何しろ数十万の労務者がこれに従事しておる。その家族を入れると大へんなものである。さらにまた石炭鉱業のまわりにおって、石炭鉱業に種々なる物資やサービスを供給しておる業者を加えれば大へんな数であります。いろいろ議論はありますが、やはり日本の石炭鉱業というものは、どうしてもこの際生かさなければならない。生かすにはいろいろの方法がありますが、一面においては整理をすると同時に、他面においては、石灰の使用方法についてできるだけ石炭らしい使い方をするように指導して参りたい、かような考えであります。  重油の方は、先ほども大蔵大臣から申しましたように、国内の石油資源の開発をいたしていく、こういうことの一助にもなる、かように考えましてやっておるのでありますから、先ほど大蔵大臣に小山君から御質問がありました、石炭合理化や重油規制、ボイラー規制の方が不成立になれば関税はいらないか、こういうお話しでありますが、私としても、石炭合理化もボイラーの問題も、必ず成立さしていただけるものと信じておりますので、万々一いけないとしましても、関税はやはり関税として意味がある、こう考えております。
  79. 小山長規

    ○小山(長)委員 通産大臣大蔵大臣も同じようなお考えのようでありますが、現在きまっている関税定率は、日本としてかけるべき定率なんだ、こういうお考えの上に基礎を置かれているようであります。そうすると、ただいま水産用のB、C重油が問題になっておるのですが、水産業界の諸君も、今度は水産用のやつだけは値上げをしないということで安心しておりますけれども、B、C重油は値上げをしない措置をやるということで、幾らかそれに頼っておるようでありますが、関税定率を一ぱいかけることになりますれば、漁業用のA重油に当然関税をかけることになるわけであります。そこまでいくことは、日本としてはしょうがないのだというお考えにすべての考え方が出発しておるので、それで私どもは心配しておるわけなのです。現在のように、関税定率無税という状況をしばらくの間続けていけば、今の海上用の重油の問題も起りませんが、ここで関税定率が六・五%でも上るということになってくると、すぐ漁業用の重油を一体どうしてくれるということになってくる。さしあたりは漁業用のB、C重油は全然値上りをしないような措置をとりましょう、A重油には関税をかけないことにしましょうということでおさまっておりますけれども、今の大臣のようなお考え方で進んでいけば、来年、再来年になれば、A重油にも関税をかけなければならない。そうなってくれば、B、C重油の値上りを阻止することはとうていできない。従って漁業用の油は必ず関税がかかってくる。そういうことになりますが、そういうようなこともやっていくという考え方で今の関税定率をお考えになっておりますか。
  80. 石橋湛山

    ○石橋国務大臣 それは少し先のことを言われておるのでありまして、経済状態その他が現在のままであると仮定するなら、それは小山君の言われるように、この上に関税を上げるということは行われぬと思います。しかしそのときにもし国内産の石油が大いにふえるとかいろいろな関係がありまして、経済的に関税を引き上げても差しつかえない状況になれば、それはないとはいえませんが、われわれは今そういうふうに考えておりません。現状のままであるならば、これ以上関税を上げて水産業等に幾らかでも迷惑をかけるということは、国民生活上できないものと考えておりますから、お話しのように、将来必ず上げるというようなことは考えておらないということだけ申し上げておきます。
  81. 小山長規

    ○小山(長)委員 それでは、石炭の合理化法をやっても、あるいはボイラーの石油の制限をやってみても、それでもなおかつ石灰の需要一が起らぬというようなときには、この関税定率六・五%は、定率一ぱいまで上ってくるわけですか。
  82. 石橋湛山

    ○石橋国務大臣 そういうことは絶対にありません。石炭合理化法をやって効果がないとは思いませんが、仮定のあなたの質問のように、万々一あまり効果が上らないからといって、関税を上げるという考えは持っておりません。
  83. 松原喜之次

    松原委員長 黒金委員から関連質問の申し入れがあります。黒金君。
  84. 黒金泰美

    ○黒金委員 先ほど来いろいろお話しを承わっておりますると、大蔵省の方では、一般的な国内の原油、重油対策である。しかしながら、その中で特に石炭の点を重視しておられる。今回の課税の税率については、特に石炭の点に重点をしぼっておられるというようなお話しでございましたし、またきょういろいろ承わっておりますると、A重油を除くのみなずら、水上用の重油ならばCについても除く。また特にその重点をボイラー用の重油だけにしわ寄せするように多少変って御答弁がありましたが、大蔵省はその点を十分に御承知になって——今度の六・五%あるいは二%の税率がボイラー用の重油にしわ寄せされるということを十分にお考えの上で御提案になっておるのか、それとも、もっとほかの方にもいくものとお考えになっているのか、その点を政務次官から御答弁願いたい。
  85. 藤枝泉介

    藤枝政府委員 ただいまの御質問でございますが、私どもが六・五%の重油関税をかけるに当りましては、陸上用のすべての重油にそれがいくであろうということを予想しております。しかし先ほど来通産省の方から御答弁がありましたように、その点を販売段階なり精製段階なりである程度吸収さして、できるだけ重要産業には影響させないというこの考え方は、これはあり得ると思いますが、六・五%をはじき出した根拠は、陸上用のものについてはすべてそれがかかるということを前提にはいたしております。
  86. 黒金泰美

    ○黒金委員 そうしますると、ほかのものにまで影響が及ぶということで六・五%をおはじきになったのでありますから、もし今の通産省のような御答弁でありますならば、六・五%が一般の陸上用に及べば八%というような実効税率になるように承わっておって、その上でのいろいろな物価の値上りその他について御説明があったのでありますが、もし今通産省の言われることを御承認になって、そうしてボイラー用だけにしぼられるといたしますると、実効税率がどれくらいになりますか、一つ伺いたいと思います。
  87. 川上為治

    川上政府委員 私は、決してボイラーだけということを限定しておるわけではないのでございます。ボイラーの部門が一番石炭と競合するので、そしてまた、ボイラーの方においてはある程度吸収しても——需要者の方で、上ってもしょうがないじゃないかというような考えを持っておりますので、それでボイラーを主としてという考えでございますが、たとえび殷賑産業で、関税が上りましても十分吸収できるというようなものにつきましては、われわれは、これは関税が上った分だけ上ってもよろしいという考えを持っております。たとえば具体的に申しますると、セメント産業というようなもので、ボイラーでありませんが、キルンを回転させるときの石油というようなものにつきましては、これはある程度上ってもよろしいんじゃないかというような考えを持っておるのでありまして、ただ鉄鋼の平炉とかいうようなことになりますと、鉄鋼が非常にいいときは、これは吸収してもいいと思いますけれども、輸出に非常な影響を及ぼすというような場合におきましては、これは、なるべく石油業者の方で関税の上った分については負担してもらいたい、こういうように、それぞれの産業によってわれわれの方としては考えていきたい、また行政指導もしていきたいというふうに考えておるわけでございまして、ただ海上だけは、何と申しましても零細企業が非常に多くありますし、またコストの中で相当重油関係が占めておりまするので、こういうものについては——特にA重油というのは、ほとんど海上関係だけでありまして、陸上の方では若干ありますけれども、ほとんど使っておりませんから、そういうものには関税はかけない。B、C重油のうちで、Cは海上は大したことはありませんが、B重油については、これは海上も相当ありますので、こういうものについては、行政指導によって関税分が値上りにならぬように措置をとりたい、こういうことを申し上げておるわけでございます。
  88. 黒金泰美

    ○黒金委員 今の御答弁によりますと、また多少変って参りまして、もとに帰ってきたようでありますが、そうなって参りますと、通産省の側におかれては非常にいろいろな用途を御考えになった上で、あるものには高い値段、あるものには幾らか安く、さらにその次のものにはまた安く、あるいはまた現在の値段のすえ置きというような、非常な手品使いのようなうまい案を考えていらっしゃるようでありますが、この前以来、同僚の諸君が非常にいろいろ御心配になって、その点を質問されておりまするが、ほんとうにそれができるのでしょうか。もう一回イエスかノーだけでけっこうですが一つ承わりたいと思います。
  89. 川上為治

    川上政府委員 私どもは昨年の——これは前の内閣時代でございますが、その方針に基きまして、そういう行政指導を今日までやって参っております。そうして大体一年の経験を持っておるわけでございますが、私どもとしましては、今申し上げましたことは、私は相当程度できるというふうに考えております。
  90. 黒金泰美

    ○黒金委員 それでは今度は大蔵省の方に承わりたいと思います。大蔵省の側においても、今度の関税の六・五%というものは、大体陸上用、特にいろいろな段階のついたような値段で通産省が売られる、そういうような結果になって、実効の税率が変わってくるということを御承知の上で、これは提案されておるように思いますが、本来、もしもそのように価格に差をつけますなら、これは関税をかけるのでありますから、関税の戻し税、これでもって行うのが一番の筋だと思うのです。まさか税関を通りますときに、用途別に税率を区々にすることはむずかしいでありましょう。従って一応は税をおかけになる。その上で、その税を用途によってあとで戻してやる。今通産省がおっしゃるように、行政的な措置によってきちんと各用途別に価格が維持できるということがほんとうでありますならば、なぜ関税の戻し税ができないのか、この点を承わりたいと思います。
  91. 北島武雄

    ○北島政府委員 技術的でございますから私から御答弁申し上げます。関税を戻し税いたします場合に、現在輸出関税あるいは輸出戻し税の措置がございます。この場合におきましては、輸入したものを使ってこういうものができた、あるいは輸入したものをこういう用途に使ったということがはっきり確認されることはまず大前提でありまして、これができませんと、実は戻し税はできなくなります。たとえば輸出の場合におきましては、必ず税関を通っておる。輸入のときもライセンスを検討いたしまして、果して輸入したものがこれに使われたかというひもがちゃんとつくわけでございますので、これは戻し税の措置がとれるのでございます。ところが、ただいまお話し申しました農林水産用の重油というものの戻し税としては、技術的にこれは無理でございます。
  92. 黒金泰美

    ○黒金委員 今税関部長からの御答弁によりますと、非常に大ぜいの消費者があって、その消費者がどういう用途に使ったかということはとうてい確認できない、こういう御答弁でございます。従って、本来の戻し税でいくべきところがこれができないのだ、このような御答弁がありながら、通産省の方では、用途別に、あるいは輸出用に用いた、あるいは殷賑産業であるかないか、そのようなこまいところまでお考えになって価格を調整されようとするのは、大蔵省が無能であるか、通産省が神様である、われわれにはこのようにしか思えないのであります。これが一体どうして政府部内、各御当局の中にそれだけの手腕、見解の相違があるのか、私には理解ができないのでありますが、通産大臣、ほんとうにこれはおできになるのでありますか。一つ通産大臣から明確なお答えをお願いしたいと思います。
  93. 石橋湛山

    ○石橋国務大臣 私も技術的なことはわかりませんが、今の大蔵省が関税の戻し税をするというようなことになりますと、非常に正確な計算をしなければならぬでありましょう。われわれの方の行政指導によって産業にある石油を流すという場合は、一厘一毛違ってはならぬというほどのこまかいことは入り用ないと思います。大体において水産用に必要なもの、大体において製鉄にどれだけ要るという程度の行政指導でいいと思いますから、鉱山局長が申しましたように、過去一年これは実際にやって参りましたので、その経験に基いてやればできるものと思います。
  94. 黒金泰美

    ○黒金委員 今の御答弁をずっと承わっておりますと、本来は戻し税ですべきものだけれども、用途その他はなかなかよくわからない。従って自分にはとうてい責任が負えないけれども、行政上通産省の方におまかせするならば、今大臣の御答弁がありましたように——油というものは流れやすいものであります。縦にも流れれば横にも流れる。多少の点を大目に見るならば、まあまあ大局的に見て、それほどひどいこともないだろうから、まあやってみよう、やらしてくれ、このように考えていいわけでございましょうか。私どもはその流れ方が——やっぱり油というものは非常に流れやすいものでございますから、そこに非常な危惧を抱いており、せっかくお考えになっている方向に安くしようと思っても、それがとんでもない方向にいってしまうということを非常に危惧しておる。昔の統制経済のときでありましてさえ、なかなかうまくいかなかったことでありますので、その点が今度の案の非常なキー・ポイントになっておりますが、今の程度くらいでもうしようがないからやってみようじゃないか、この程度にお考えになっていらっしゃるかどうか、その点だけさらにお確かめしておきたいと思います。
  95. 石橋湛山

    ○石橋国務大臣 そう言われると非常にルーズな考えを持っているようですが、それほどルーズな考えを持っているわけでもございません。これはよく御承知の通り、行政上の指導でやるのでありますから、これは一厘一毛違わないというまでの神経を使う必要はないでありましょうが、決してルーズなやり方をしようと思っているわけじゃありません。同時に今の石油は、日本の今の輸入が割合に規制されているようなことから、石油業者に相当に関税を吸収する力があるということも実はねらっておるのです。でありますから、ある程度行政指導によって、そういう多少無理なやり方でありますが、それがいいだろう、かように考えております。
  96. 横路節雄

    横路委員 通産大臣にお尋ねをしますが、漁船用のA重油については、今度の関税定率法の一部改正によっても値上りを来たさない、私はその値上りを来たさない以前のことをまず大臣にお尋ねをしたいと思う。  この間鉱山局長並びに水産庁長官に来てもらいまして、本委員会で明らかにしたのですが、どうも鉱山局長の話しでも水産庁長官の話しでもはっきりしない。どういうふうにはっきりしないかというと、まずA重油については、御承知のように輸入価格は九千百十九円、この間一つの例を清水港にとったのですが、清水港に輸入基地タンクがあって、そこへ九千百十九円で入る。同じ港で、漁船に対してはそのものを一万四千百円で渡しておる、それを今年の二月二十五日に業者の方から、百円だけ負けますよと言って申し出をしてきた。そこで通産省の方でよかろうというわけで、百円だけ負けることを了承したことをもって、これを行政上の措置と言っておるんだそうです。そうして今日清水港では一万四千円で売っておる。そこで話しを聞いてみると、行政上の措置というのは、その二万四千円からは上げないことだということです。この二月の二十五日に石油の精興業者の方から申し出があって、通産省の鉱山局長の方で、よろしい、四月一日から実施するというこのことをもって一体通産行政といえるかどうかということです。だから、私がまず大臣にお尋ねをしたいことは、この九千百十九円でちょうど清水港に入っておる。どこの港だって入っておる。しかも同じ港渡しです。漁船に一万四千円でやることをもって行政上の措置であるということについて、私どもは納得できない。行政上の措置ということは、さっきから言われておるように、今大臣が言った、零細漁民については特段の考慮をしたいということ、その点は、おそらくこの間から鉱山局長から報告がございまして、大臣も御承知だと思う。  そこで第一番目にお尋ねしたいのは、今の価格よりも上げないということを私は聞いておるのじゃないのです。今の価格よりも行政上の措置でどれだけ下げるということを省議で決定をされたのか、その点をお尋ねをしたいと思う。
  97. 石橋湛山

    ○石橋国務大臣 現在まだその重油値段を下げるということを、省議の中で決定はしておりません。今お話しの点は私よく知りませんが、たしか全国全体で平均して七百円下げるという処置をしました場合に、静岡県がちょうどそのラインのところで引きますと、実際上には多分百円くらいしか下らないということになっただろうと思います。あの場合は、全国平均で七百円下げるという実行をいたしましたそのことから、これは各地区でまちまちの価格引き下げになりましたのが、今の清水港の問題だと思います。私どもは、できるだけ一つ油の値段は下げていきたい、こう考えております。
  98. 横路節雄

    横路委員 今の点について、この前の委員会で相当長時間にわたって鉱山局長に私の方から質問したわけです。今の点について、通産大臣鉱山局長からお聞きをしていないという話しですが、私はこれは非常に遺憾だと思う。実はこの関税定率法の一部改正法案が通るか通らないかということは、一にかかってこの漁船用のA重油について、いわゆる行政上の措置で値上りが抑制できるかどうか、さらに値上り抑制ばかりでなしに、今までのわれわれが考えても不当な価格を、通産省のいわゆる行政上の措置によって適正な価格で零細な漁民にA重油を渡せるかどうかということになっていると思う。これを大臣がお聞きになっていないということは、私ははなはだ遺憾だと思う。この点は大臣水産庁長官鉱山局長もいるから、私はお話しを申し上げたいのですが、いかにこれが不当であるかよくわかる。たとえば本年度は、北洋漁業等について、保税用の外貨を割り当てした。保税用の外貨を割り当てしたところははっきりしているのです。大洋漁業、日本水産、日魯漁業、極洋捕鯨、大洋冷凍母船、それから北海道の公海漁業、その他北海道の漁業協同組合をもって会社組織にしている漁業公社等にも一部渡しています。そこで会社側に渡ったものについてはなかなか資料もわかりませんけれども、北海道の漁業公社に保税用の外貨でどういうふうに渡っているかというと、京浜渡しでA重油が一キロリットル当り一万九百八十三円で渡っている。それを函館へ持っていって、運賃が千五百円で、一万二千四百八十三円で渡っている。ところが業者から函館の零細漁民に渡っている値段はなんぼかというと、一万六千五百円なんです。四千十七円も違う。それから御承知のように、北洋漁業の北海道の漁業協同組合のそれぞれの独航船は、函館からも一部出たけれども、稚内からもう一部出た。ところが鉱山局長が、行政上の指導であるとして大臣名をもってやった、本年の四月一日からきめたこの漁船用のA重油については、稚内は二万八千二百円です。ところが保税用の外貨でもって割当になったこの北洋向けのものについては、やはり京浜渡しでこれをなんぼで渡しているかというと、A重油については一万九百四十七円、それを稚内まで二千五百円の運賃をかけて、一万三千四百四十七円で渡している。稚内の一万八千二百円に比べたならば約五千円高いじゃありませんか。こういう五千円も高いのをほっておいて、ただ業者から言いなりに、清水の港は百円負けてやる、全国平均は一万五千五百円だから、平均で七百円負けてやる、そうして一万四千円が何をもって行政上の指導で適正な価格だなどということが言えるのか聞きたい。現にこの四月に稚内から北洋に出たものについては、稚内で一万三千四百円で渡している。業者は稚内に狩っていって一万八千二百円で渡している。どうしてこういう開きが出るのですか。大臣はこういう事実を御存じの上で、行政上の指導をなさろうというのか、全然知らなかったというのか、この点はどうなんでしょうか、通産大臣にお尋ねします。
  99. 石橋湛山

    ○石橋国務大臣 今の数字は私は存じませんでした。よく調べます。
  100. 横路節雄

    横路委員 水産庁長官にお尋ねしたいのですが、あなたはこういう数字を御承知の上で、ことしの二月二十五日、あなたがこの前言ったように、鉱山局長から、業者の方から七百円下げてやるからと言ったからと、それで仕方がない。しかしあなたはこの間の答弁では、実際にはA重油が高いか安いかは自分はわからぬ、こう言っておった。私は今日の零細漁民の生計の実態からいって、このA重油が高いか安いかわからぬということは、実際の行政の最高指導者としてはおかしいと思って聞いたんだが、あなたは、きょうは具体的な資料を検討して答弁なさると言っている。私は今明確に数字を出したのですが、あなたは水産庁長官としてどうなさろうというのですか。あなたは水産行政の最高責任者として、どのようにA重油についてはお考えになっているのか。幸い通産大臣もおいでになりますから、この際明らかにしていただきたい。
  101. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 先般、適正価格がどの程度であるかということにつきましては、われわれコストの計算もございませんので、その点についてわれわれつかみかねる、こういうことを申し上げたわけであります。ただいまのお話しのポンド油によります北洋の場合、それから現在沿岸に参っております重油との間におきまして相当の差がある、これは私たちも承知いたしております。従いましてその幅が大きい。従ってその間において、われわれといたしましては、価格々引き下げ得る余地があるんじゃないかというふうには考えておりますが、しからばどの程度の価格が適正かということになりますと、いろいろコストその他の関係がございますので、われわれとしては資料もございませんので、言い得られませんが、その幅が相当ある。従って漁油については引き下げる余地はあるんじゃないか。こういう考えをもちまして、通産省に対しましても、できる限りそういう方法をとらないかということを相談しておるわけであります。
  102. 横路節雄

    横路委員 通産大臣に私申し上げたいのは、私たちの立場ははっきりしているのです。これは、やはり今日の日本の基幹産業である石炭産業をぜひ育成しなければならない、そういうような基本的な建前と、もう一つは、国内の地下資源である石油資源の開発をしたい、そういう意味で、原則的には、やはり関税定率についてはある程度かけるべきだというのがわれわれの主張です。しかしこのA重油についてはかけないのである。われわれももちろんA重油については、絶対に行政上の措置で値上りを来たさないようにしてもらたい。ところがだんだん調べてみますと、今のようにあまりにも価格がひどいのです。これは鉱山局長ばどうか知りませんが、水産庁長官にしても同じですが、具体的な資料がないということは、私ははなはだおかしいと思う。たとえばこの京浜渡しの石油の一キロリットル当りの運賃などははっきりしているのです。スタンタードの場合は幾ら、日石の場合は幾らということになっておる。ところがこの小樽渡しの場合ですが、業者が渡した場合には一万七千二百円。これが小樽にこの石油を持っていった場合の一キロリットル誤りの運賃はどうであるかというと、スタンダードの五百石以上の大型の船で持っていった場合は、一キロリットル当り九百五十二円と明らかに出ておる。かりに京浜渡しで一万一千円で渡しても、これは一万一千九百五十二円、約一万二千円、それを一万七千二百円で、約五千二百円も高く渡している。運賃を計算すれば明らかなんです。さらに日本の港に着いたところの輸入価格は明らかなんです。それならば保険料はどうとか、マージンはどうとかいったって限度がございますが、そういうものも全然触れないで、二月二十五日に石油精製業者、元売り業者たちの申し出をもってその七百円を了承いたしまして、それで、四月一日から行政上の措置で、通産省並びに農林省である水産庁が了解をしたということは、われわれ納得できないのです。そこで私は、通産大臣がこの具体的な問題についてまだ鉱山局長から聞いていないから、この点についてはさらに省議等に諮って、次会に漁船用の重油については幾らにする、ここでこういう御答弁があれば、だいぶお昼も回っていることですから、まず第一問については私はこの程度で保留をしておきたいと思う、しかし全然考慮しないというならば、この法案自体が非常に難渋をきわめます。この法案が審議されない限り、あと法案は全然進まないのです。その根はばかかってA重油にあるのです。どうですか、通産大臣
  103. 石橋湛山

    ○石橋国務大臣 今あなたのいわれる数字が正しいとすれば、これは驚くべき事実ですが、それはさっそく検討しまして、次の委員会には何らかの御答弁を申し上げます。
  104. 横路節雄

    横路委員 通産大臣は、今私が提示しました数字については、まことに驚くべきものである、石油精製業者、元売り業者が、いかにもうけているかよくわかると言うが、私の数字は、実はきのう正確に運輸省その他から提示を求めた数字ですから、間違いはないわけです。さらに先ほどの、全国八十二の漁港についての数字は、鉱山局長から私に提示された数字であって、決してよその業者から集めた数字じゃないのです。だからこの点は、それならば次回の委員会にぜひ明確に答弁をしてもらいたい。  次に私は鉱山局長伺いますが、石油外貨資金の割当について、この間私は初めの質問でこの次まで保留しようと思ってやめておった太洋石油の件です。通産大臣聞いておって下さい。いかに通産行政というものが——私は紊乱とは言いませんが、だんだん聞いているうちに通産大臣がどういうようにお考えになるか別ですが、鉱山局長、あなたは太洋石油については、なるほど昭和三十九年は使っていなかった。私はそれを調べてみたところが、驚くべきことには、第一回の割当、第二回の割当、第三回の割当、第四回の割当とも全部使っていない、これは一体どういう法律的な根拠に基いておやりになったのか。これは通産大臣が認可をしているのですからね。一体、この点は鉱山局長どういう理由で、第一回も第二回も第三回も第四回も四回にわたって割当をしたか。私はこういうことなら了解できるのですよ。第一回には割当をした、第二回にも割当をしたが、第三回目は、調べてみたら第一回目は割当を使用してなかったから保留したというならわかる。あるいは知らないで第一回目も第二回目も第三回目も割当したが、第四回になったら、第一回の割当がいまだ使してないというので保留したというならわかる。第一回も第二回も第三回も第四回もみんな使わないでおいて割当をしたというのは、鉱山局長、これは一体どういう理由なんです。
  105. 川上為治

    川上政府委員 第一回、第二回。第三回というのは、二十九年度のことでありますから、よくわかりませんが、二十九年度の下期の第一回、第二回についても、これは輸入承認証の発給の期日と申しますか、期限が、下期の第一回のものについては三十年の九月二十一日までになっております。それから下期第二回の割当については、十二月の十四日になっておりまして、要するにその間に油を入れて持ってくればよろしいということになるわけでありますが、この会社においては、二十八年の八月からずっと工場を動かしております。もらった外貨によりまして工場を動かしておるわけでございます。ただその外貨を、自分が直接それで輸入をやっておらないのでありまして、これはほかのインポーター、たとえば日東興業、あるいはシェル石油というものに頼んで輸入してきてやっているというような状況になっておるわけでございます。従ってこの外貨の期限については、従来の割り当てたものについては、これは期限がまだ来ていないわけでございまして、まだこれから輸入して精製をやればよろしいということになってくるわけでございます。それからまた太洋石油というのは精製業者でございますが、この精製業者に対しては、われわれの方としましては、これは精製業者に割当をするけれども、これは精製するのでありますから、もちろんこれは原油であります。その原油については、これはほかの、たとえばシェルでありますとか、そういうものを使って輸入してもよろしいというようなことを今日まで認めております。従ってこの会社においては、シェルなりあるいは日東興業なり、そういうものを利用しまして輸入をしておるわけでございます。それからこの外貨をある程度昭和石油に対して貸しておるというようなこともあるのですが、これは私どもの方としては、今回の上期の割当におきましては、そういうものはいけない、そういうのは差し引いて、自分でとにかくやれということを言っておりますので、その点については、私の力でも相当措置をしたつもりでございます。
  106. 横路節雄

    横路委員 鉱山局長にお尋ねしますが、今の太洋石油については、二十九年の第一回はいつ割当したのですか。
  107. 川上為治

    川上政府委員 二十九年の下期の第一回の外貨資金の割当は……。
  108. 横路節雄

    横路委員 私が第一回というのは、上期の第一回です。
  109. 川上為治

    川上政府委員 上期の割当は、ちょっと資料を持ってきておりませんので、わかっておりません。すぐ調べてお答えいたします。
  110. 横路節雄

    横路委員 これはあなたの方からいただいた資料ですよ。私は決してほかの方からもらわない。これは鉱山局の石油課から正式に提示になった資料ですよ。これには、昭和二十九年の上期四月から九月まで第一回、第二回。下期十月から三月まで第一回、第二回、全部、五十四万七千百五十トンについては使用してないんだ。それなら一体外貨資金を割り当てたときに、その有効期間は何ぼときめて渡してあるのか。一年以上のものがあるのですか。そういうものはどういうのですか。これはあなたの方からもらったのだから……。
  111. 川上為治

    川上政府委員 外貨資金の割当につきましては、有効期限は四カ月ということになっております。特別な事情がありましたときは、これは私の方の許可を得て延ばし得るということになっております。
  112. 横路節雄

    横路委員 これはあなたの方からいただいた資料ですよ。それから今あなたは、一番最初の私の質問に、上期の第一回、第二問も、下期の第一回、第二回もきめられた期限なんだ、そういうことを言っている。ところがそうじゃない。四カ月以内じゃない。そこで四カ月以内に使用しない場合においては、今あなたの言ったように、通産大臣の許可を得て延期できてるということでしょう。そうじゃございませんか。
  113. 川上為治

    川上政府委員 割当の問題につきましては、外貨資金そのものの割当と、さらに輸入承認証というのがあるわけなんですが、その輸入承認証の方が六カ月になっております。従ってこれを合せますと十カ月、この十カ月以内に輸入すればよろしいということになるわけでございます。
  114. 横路節雄

    横路委員 あなたの方では輸入承認証をとって、そしてそれをその期限内でやらない場合には、大蔵大臣の同意を得るわけですね。ところが私はきのう大蔵省へ行って調べてみたら、全然大蔵省の同意は得ていない。この太洋石油については、私は為替局に行って調べてみたのですが、大蔵大臣の同意は得てないのですよ。そうすると、今言われる十カ月ということを考えた場合に——この資料は、私は不思議だと思ったからあなたの方へ行っていただいたものです。そこで鉱山局長に聞きますが、この太洋石油については、この使用延期については通産大臣の許可のもとに延期したわけですね。この点どうです。間違いないでしょうね。
  115. 川上為治

    川上政府委員 先ほども申し上げましたように、外貨資金の割当と、それから輸入承認証というものと両方入れまして十カ月という期限になっておりますが、その期限を越した場合におきましては、もちろんそれは通産省の許可を受けてやるわけでございますが、その点、私その資料を見ていないのでよくわかりません。
  116. 横路節雄

    横路委員 きらに鉱山局長にお尋ねしますが、これは通産大臣の認可を得ない。だから別に使用の延期じゃなしに、当然の措置としてそのままになっている、こういう意味ですか。この間あなたは、この点については太洋石油の方から使用延期願いが出ている。しかしその点については、事情等を考慮して使用延期をしたのだ、こう言っております。きょうはそういうことをした覚えがないと言っておりますが、どちらがほんとうですか。
  117. 川上為治

    川上政府委員 三十九年度の下期の第一回の割当、外貨資金の割当については、これは延期の承認を受けております。それを申し上げたのであります。
  118. 横路節雄

    横路委員 そうすると、今のは通産大臣の許可を得たわけですか。
  119. 川上為治

    川上政府委員 もちろん通産大臣の許可を受けたわけであります。
  120. 横路節雄

    横路委員 通産大臣承知かどうか伺いたいが、通産大臣はただ判を押すだけですから、別に大臣にはお尋ねしませんが、あなたはこの前、こういった使用延期願いについては、やはり行政上の措置としてははなはだ遺憾にたえないと思って、昨年度使用していない分については、本年割当てるべきものからその分だけ差し引いて渡した、そう答弁している。そこで私は、あなたの方で昭和二十九年割当したものと昭和三十年に割当をしたものと比べてみると、何も差し引いていないじゃないですか。差し引いて渡すとしたら、この昭和三十年の上期の第一回分は、これは当然割当できない。あなたはこの間食言しておりますよ。差し引いてないでしょう。この点はどういうわけです。
  121. 川上為治

    川上政府委員 私はこの前よく調べていなかったものですから、ちょっと間違って申し上げたと思うのですが、結局二十九年の下期の第一回の割当につきましては、これは割当期限を越しましたので、太洋石油が通産省の許可を受けまして、そしてこれは延期されている、こういうことになっておりますが、その太洋石油は、昭和石油に実は貸したものがございまして、その貸したものにつきましては、私の方としましては、そういうことはしてはいけない。であるから、そういう貸している分につきましては、三十年の上期の割当におきまして、それを一差し引いてやっておるということにしております。
  122. 横路節雄

    横路委員 通産大臣にお尋ねいたしますが、今日のこの石炭の不況問題は、何も三十年度から始まったことではないのであります。これはすでに二十八年から始まったことでありまして、当時石橋さんは別に通産大臣ではありませんけれども、しかし鉱山局長は、やはり日本の一貫した総合的な燃料対策の上における責任者として、私はこういう点は十分承知であったろうと思うのに、二十八年の下期から、石炭の不況打開並びに外貨の節約から、原油並びに重油については輸入を抑制したいという考えがあったのだが、このことは鉱山局長として、私は十分承知であったろうと思う。それを二十九年の上期に、亀井商店、伊藤忠、第一物産というものを新たに指定したのは、一体これはどういう事情であったのですか。
  123. 川上為治

    川上政府委員 実はその時分におきまして、重油の需要については相当伸びて参っておりまして、私の方としましては、石炭の関係もありますので、また外貨があまりにも膨大になっていくおそれがありますので、この際輸入業者をふやすということは非常に困るということで、そうしてたしか昨年の五月と思いますが、五月にストップの措置をとったわけでございます。しかしながらもうすでにその半年前に、大体こういう基準で認めるということによって、たとえばタンクを作ったりしておるものについては、この際どうしてもわれわれとしては認めておかなければならぬということで、亀井商店外二社でありましたか、そういうものは認めたわけでございまして、これはやはり行政措置としまして、一ぺん公表しまして、こういうような資格を持っておるものについてはわれわれとしてはどうしても認めるということになっておるものを、その趣旨によってタンクを作ってしまったものを、途中でいきなりこれはもう、だめだということはどうかと思いましたので、われわればそれによってそういう措置をとったわけでございます。
  124. 横路節雄

    横路委員 そうするとあなたのお話しでは、すでにタンクを作っているからやむを得ず許可をしたということですが、今の亀井商店について、この点が事実かどうかあなたに確かめたい。これは鉱山局の石油課では、ドル地域の原油については、重油ではキロリットル当り十二ドル五十セントで輸入し、軽油ではキロリットル当り二十ドル、そうしてこれでもって購入することになっていて、翌年度の割当の実績は数量でやる。そうして亀井商店は、二十九年上期から漁業用重油で輸入するとの条件であなたの方から外貨資金の割当を受けたが、ところがA重油については、キロリットル当り二十三ドル、B重油については、キロリットル当り十八ドルの価格をもってしては、翌年度の割当の数量が少くなって実績が少くなる。従って亀井商店においては、キロリットル当り十二ドルのC重油を入れて、これを日本石油に入れている。日本石油からA重油をもらって、それを割当の輸入の実績として翌年割当を受けている。こういう事実については、あなたは調査したことがありますか、どうですか、私はお尋ねをしたい。この根本の原因の一つは、これは鉱山局の石油課が、そういうように価格を初めきめたところに無理もございましょう。しかしそういうからくりについては、あなたは一体御存じなのかどうか。知ってはいたけれども、どうもそういうようなキロリットル当り十二ドルでは、A重油やB重油は入らないからやむを得ないとお認めになったのか。その点私はお尋ねしたいと思います。
  125. 川上為治

    川上政府委員 私も、実はそういう各社のこまかい点までは直接やっておりませんので、なかなかわかりませんが、もしこれが違法なる、あるいは不当なる措置をとっておるということであれば、これは調査の上で何とか措置をとりたいというふうに考えておりますが、今の亀井商店のそういう内容につきましては、私よく存じません。
  126. 横路節雄

    横路委員 通産大臣に、この点も、もしもできれば次の機会までに、よく省議をまとめて検討をしていただきたいと思う。私は石油の外貨資金の割当については、やはりいろいろの問題があると思うのです。  そこで私は、とりわけ先ほどから申し上げておりますところのA重油の問題なんですが、この点につきましては、先ほど大洋漁業、日本水産、日魯漁業、極洋捕鯨など、いわゆる大産業資本家の人々は一様に北洋に行くとか、南氷洋に行くとか、あるいはインド洋に行くとかということで、今の保税油外貨の割当を受けて、非常に価格が安いわけです。ところが沿岸の零細漁民はその点を受けていない。そうして今のような、こういう外貨資金割当によって自分で受けておりながら、他の者に依頼をされておるとか、いろいろそういう関係で、その間の利潤等もあって高くなっておる。そういう意味で、全国の零細な漁民が組織しておるいわゆる漁業協同組合連合会の諸兄は、こういう産業大資本家にいわゆる保税油の外貨という形でいっておるわけなんだから、ぜひできるならば、一つそういう零細な漁民をもって組織しておる漁業協同組合連合会等に、特にA重油についての外貨資金の割当を別ワクでしてもらいたい。そうすれば、先ほど行政上の措置とはいったけれども、それ以上に零細漁民は実際に値下りをしたA重油の支給を受けることができてる。これが全国の漁民の強い要望なんですが、この点について、通産大臣はお聞きになっていらっしゃると私は思うのです。この点について、通産大臣としてどういうふうにお考えになり、どういうふうに措置なさるか。私は色よい変じがあればこれでやめたいと思います。
  127. 石橋湛山

    ○石橋国務大臣 全漁連等からそういう要求があるということは、私自身もしばしば陳情を受けて知っておりますが、ただいまのわれわれの結論では、どうも特別に外貨の割当をするわけにはいかぬという結論になっております。ただし今のお話しのそれと対抗といいますか、同じ業態というか、またいろいろな事情がありましょうが、とにかく一部の漁業者に外貨を割り当てておるとすれば、その点はなお十分研究しまして、次の機会に御答弁を申し上げます。
  128. 横路節雄

    横路委員 今の点ですが、一部の漁業者にそういう点があるならば、一つよく検討して次の機会答弁をしたいというお話しで、今私の申し上げたのは、これは運輸省からいただいた資料で、たとえば大洋漁業であれば、上期の第一・四半期に三十五万八千六百十一ドルすでに受けておるとか、具体的な数字はわかるのですが、これは大臣がお調べになればすぐわかると思うのです。  そこで、そういう零細漁民を中心とする漁業協同組合等に別当をする場合に、何か別途な措置、いろいろなやり方があろうと思う。大体元売り業者や精製業者に割当をしておる場合だって、ほんとうは、私は時間があれば、もっと大臣にこの点を指摘したい点等があるのですが、私はいろいろ別途な措置でできると思うのです。この点については、なおこの次の委員会までによく農林省の方と打ち合せをして御答弁をいただけるというお考えなんでしょうか、その点を承わっておきたい。
  129. 石橋湛山

    ○石橋国務大臣 その点は今までも相当研究して、なかなか困難だという結論になっておりますが、なお一つ研究をいたしましょう。
  130. 横路節雄

    横路委員 それでは私は、次の委員会は木曜日だったと思いますが、木曜日の劈頭に大臣から二つの点、現在重油について業者から渡っておるものについて、現在価格よりも行政上の措置でどれだけ値下りを来たすことができるか、それが第一点。第二の点は、ただいまお話しのございました、長い間の懸案である漁業協同組合へ一体外貨資金を割り当てすることができるかできないか、その点について、どういうように通産省としては省議をまとめていらっしゃるか、その二つの点について次会の劈頭に一つ通産大臣から御答弁をいただいて、それによって私はさらに質問を継続したいと思って、本日はこの程度で留保しておきます。
  131. 松原喜之次

    松原委員長 次会は後ほどの理事会で御相談をいたしまするが、明後日木曜日でなしに、明日水曜日に引き続いて開会するかもわかりませんので、水曜日に開会いたす節には、間に合うように通産省の方で御準備を願います。  次に、古川委員より横田広取委員長に対し関連質問の申し出があります。これをこの際許します。古川君。
  132. 古川丈吉

    ○古川委員 私がこれから質問を申し上げようとすることは、具体的な問題で、非常に重要な、しかも急を要する問題でありますので、石橋通産大臣以下政府委員も、また委員の方にも終りまで開いていただきたいのであります。  事は大阪の中央市場の中におきまして、七つの会社が農林大臣の慫慂によりまして一つに合併するということで、一年前からその準備をしておりました。ようやくその話がまとまりまして、六月二十九日に一つになってスタートしよう、電話番号も新しい会社の番号がきまり、事務所もきまり、すべての準備が整ったときに、公正取引委員会の方から、そういうことはまかりならぬ、こういうことになったわけであります。今日農林省の政府委員が出ておられないのでまことに残念でありますが、従来の農林省の方針は、中央卸売市場の、取引は、生産地からの品物を委託販売するのが原則であります。原則は委譲でありますけれども、場合によっては買付をする、また売る方法も原則としてせりであります。ところがせりでよりも、あるいは相対売りの方がいい場合には、例外的に開設者の許可を得まして、その他の方法で販売する、こういう建前になっております。従ってちょっと考えますと、従来のように多数の卸売人がおります場合には、生産者の方が有利ではないか、こういう見方もありますけれども、あまりに卸売人の数が多いと互いに競争いたします。生産地の方へ行きまして買付をする場合におきましても、互いに競争して高い値で買う、またあるいはいろいろなサービスをいたします。この面だけから見ると、生産者の方が非常に利益に見えますけれども、結局そういう費用は卸売会社の負担になりますので、結論的には決して生産者のためにならぬ。極端な場合におきましては、会社がそれがためにつぶれて、委託いたしました品物の代金もとれない、こういう実情が方々に起りますので、農林省が適正な卸売人の数にしろという趣旨で、今回大阪の中央市場内の卸売人の数につきましても、その措置をとられたものと思いますが、しかしながら、結果におきましてただいま申し上げましたようなことになりまして、関係者が非常に困っているわけであります。この問題は農林省に責任があるのか、あるいは公正取引委員会責任があるのか、いずれにいたしましてもこれは政府当局責任でございます。占領されている時代におきましてとられました法律、制度は、今日におきましては再吟味しなければならぬ段階に達しておりますが、ことに独占禁止法の問題につきましても再考慮し、またその運用につきましてもさらに考えなければならない問題であると思うのであります。具体的なこの問題につきましては、慎重に私は考慮しなければならぬと思います。私はきのう大阪に参りまして、関係業者話し合いをしてきました。九州からも見えておりますし、神戸、京都、あるいは東京から各代表者が集まっておりまして、非常にこの問題について心配いたしておりましたが、今回のこの大阪の具体的な問題のみならず、これは全国的な将来の問題でありますので、この際十分政府当局の御意見を伺っておきたい、かように思うのでございます。  今回のこの問題につきまして、公正取引委員会の方には、農林省から今日まで何も連絡がなかったのか、私にそういう点からいくと、政府当局としては農林省に最も責任があると思いますが、これは農林省と公正取引委員会の方と互いに連絡してやらなければならぬ問題である。この点横田委員長伺いたいのでありますが、今日までその連絡が農林省からなかったのか、突然そうものが出てきてなされたものか、この点をまず第一に伺いたいのであります。
  133. 横田正俊

    横田政府委員 手元に資料がございませんので、簡単にお答えいたします。大阪の青果市場の合併問題につきましては、たしかことしの二月に関係者の方から公正取引委行員に、こういう形態で、六社と一つ組合でございますが、要するに全部で七つの卸売業君が一緒になる、これで独占禁止法上許されるかどうかということの内申と申しますか、公取の意見を求めて参りまして、われわれの方ではそれを相当慎重に扱いまして、日ははっきりいたしませんが、四月に、それは大体許しがたいという御返事をいたしたのでございます。この許しがたいと申しました理由は、結局八つの業社のうち七社が一本になりますと、その取扱い実積で申しますと、実に八〇%のものが一社、他に小さな二〇%しか取り扱わないものが一社、結局そこに有効な競争が行われないであろうという観点からでございます。ただしその間におきまして、もちろん農林省の意見も聞いておりますし、四月の結論につきましては、農林当局にもその意向を通じてございますが、ただどういうものでございますか、この問題につきましては、代理人として弁護士の方が間に入っておりまして、その方へ通じたものが、業者の方に正確に伝わらなかった結果、なおこの合併は見込みがあるかのごとく考えられまして、どんどん手続を進められて、六月のまぎわになりまして、たしか新聞に出まして、私どもはこちらの方でびっくりしたのでありまして、どういう事情であるかと聞きましたら、問題はここまで進んでいるというようなことで、この点はむしろこっちの方がびっくりいたした次第でございます。こういう市場の問題につきましては、農林省のできるだけ統合していくという方針に対しては、公正取引委員会といたしましても別段依存はないのでございます。ただ大阪の場合に、こういう形態の合同というものが独占禁止法上好ましくないということを申し上げただけでございます。これから後に、日本の全国各地において合同が行われる機運のあることは、私も承知いたしておりますが、それらにつきましては、ケース・バイ・ケースに見て参って、適正なものについては、われわれの方としても禁止するつもりはないのであります。
  134. 古川丈吉

    ○古川委員 ただいまの御答弁を伺っておりますと、連絡が十分でなかったということはわかりました。非常に遺憾に思います。公正取引委員会の方で、中央市場における取引というものを十分御認識であるかどうか、この点について私は非常に疑問に思っております。私も大阪の市場について、具体的に残る会社と、今度新しくできる会社と八対二の関係であるということも承知いたしておりますけれども、現在の市場関係から申しますと、大阪の市場でも、二つの会社は多少力のバランスがとれておりませんけれども、神戸、京都を控えておりますので、必ずしもそれがために弊害が起ることもないと思います。また現在の日本の交通機関の関係から、関西市場が安ければ京浜市場へ送ることもできる場合が非常に多いわけで、そうした面からいたしましても、大した弊害はありませんし、第一中央卸売市場の取引というものを公正取引委員会で実際にごらんになったことがあるかどうか、どなたとどなたがごらんになったか、それも伺いたいのでありますが、せりである関係上、たとい極端な場合、卸売業者一つでありましても、仲買人が多数おりますので、売手の一方的な価格にきまることはないのでありまして、適正な卸売価格にきまるとわれわれは常識的に考えられるわけでありますが、こういう具体的な問題が起っておりますので、公正取引委員会で実際の市場の取引状況を視察されたことがあるのかどうか。もしおいでになったとすれば、いつ幾日どなたとどなたがどこにおいでになったのか伺いたいのであります。
  135. 横田正俊

    横田政府委員 ただいまの、あとの方からお答えいたしますと、具体的にだれが行ったかということについては、ただいまここではっきり知っておりませんのでお答えできませんが、この市場の合同問題は、大阪に始まったわけではなく、今まで公正取引委員会で営業譲り受け、あるいは合併の届け出といたしまして、たくさん出てきておるのであります。特にその市場関係のきわめて堪能な者もおるわけでございまして、われわれが実情を知らずに、一片の理屈でこの問題を処理したわけではございません。もっと正確に申しますと、大阪市場につきましても、われわれとしましては、この問題をもし正式に申請されるならばもっと慎重に、もう少し実情を調べて結論を出したいという意向もあったのでございますが、それは、御承知のように独禁法上疑いのありますものにつきましては、正式な審判手続を開始いたしまして、そこにいろいろ正確な資料を出していただいて、それに基きまして調べるというのが、これが最も正確なやり方でございますので、われわれといたしましては、この問題は、ただいまの状況ではどうもお認めすることはできない、しいて申請されるならば、今の成規の手続によって慎重な調べをするが、それでもよろしいかと申しましたら、それでは困るから、もうやめます、こういうお話しであった次第でございます。
  136. 古川丈吉

    ○古川委員 今の委員長の御答弁によりますと、どうも相手方は、こちらの扱い方が変っては困るということのようでありますが、これは私まことに遺憾に思います。これは非常に重大な問題でありますので、この事件のみならず、どの事件でも、できるだけ最大限の努力をして、慎重に審査さるべきものだと私は考えます。その点につきましては、私は非常に遺憾に思っておるということをはっきり申し上げておきますが、私は、決して委員長に自分の意見を強制しようとする意思はございません。ただ事実の認識を十分にしていただきまして、正しい判断をしていただきたい、これが私の考え方でございます。  次に、もう一つ伺いたいのでございますが、利害関係の最も多い生産者が、この問題につきまして積極的に請願書まで出して、合併をしてもらいたい、こういう意向のあることを承知の上でこれをされたのかどうか、この点を一つ伺っておきたいのでございます。
  137. 横田正俊

    横田政府委員 この問題につきましては、生産者、仲買人、その他各方面の意見を相当聞いております。
  138. 古川丈吉

    ○古川委員 生産者団体が、その公取決定に対して非常に反対しておるという事実は、御承知でありましょうかどうか、その点伺いたいのであります。
  139. 横田正俊

    横田政府委員 それもある程度わかっております。
  140. 古川丈吉

    ○古川委員 生産者団体が合併を希望しておるということを御承知の上で、しかも合併反対という判断を下されたものというふうに今の御答弁を解釈いたしますが、私は、この問題はこのままにしておくことはできない、農村当局並びに公正取引委員会の方で再び何らかの方法で善処しなければならない、こう考えておるのでございます。実は明日自由党の政務調査会で、この問題を取り上げまして、中央卸売市場の卸売人を農林大臣が適正であると認めて合併された場合には、独禁法適用を除外する、こういうふうな議員立法をしてはどうかという意見も現在出ておるわけでありますけれども、しかし政府当局が、あるいは特に公正取引委員会があくまでも反対の意見を持っておるのに、議員立法でこれを押しつけようという考えは毛頭ありません。ただ実情を十分御理解願って、なるほどもっともだ、こういう納得ずくでこの問題を処理いたしたい、これが私の念願でございます。  そこで公正取引委員の方に再びお伺いいたしますが、この決定に対して再審査とか、そういうような方法があるものかないものか、その点を伺います。
  141. 横田正俊

    横田政府委員 先ほど申し上げましたように、大体この問題に関するわれわれの意見は四月にきまっておりまして、現在も結論は変っていないと思いますが、先ほど申しましたように、正式な申請があった場合の手続というものもあるわけでございますので、私としては、結論はおそらく変らないと思いますけれども、そういう事情でございまして、今それを再審査と申しますか、何と申しますか、そういう手続もあることはあると思います。
  142. 古川丈吉

    ○古川委員 大体の経過並びに様子はわかりましたが、この問題は、私は独禁法のほんとうの精神には反しないものだ、こういう工合に考えております。先ほど自由党のことを申し上げましたが、ほんとうは民主党の諸君の中にも、この問題を非常に重要に考えておられる方も多いようでございます。われわれとしても十分研究いたしまして、これに善処いたしたい、かように考えておりますが、公正取引委員会の方においても、この問題を、また調査の問題についても、今までの御答弁で十分でなかったように思いますので、さらに研究していただきたい、かようにお願いいたしまして、私の質問を終ります。
  143. 松原喜之次

    松原委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は追って公報をもって御通知いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時二十七分散会