○春日委員 そこで前段の御答弁の中に、私が聞き違えた面もありますが、その御答弁についてもやはり
異議があるわけなのです。と申しますのは、
インフレ高進期は、所得が年々だんだんと累増していくというような
実態の上に立って、前年度の所得額というものをその年の所得額にするというような事柄も、これはあり得てよろしかったでありましょう。けれ
どもインフレがストップし、むしろそれがデフレの傾向をたどるということになりますと、前年度の所得を基準にして、そうして申告を行なっていくということは、今そのケースの中にも示されておりまする
通り、本年度は前年度よりもうんと減っておるという形で、二期、三期で調整をするものはする形になりましょうけれ
ども、所得の実額が違ってくるわけなのです。前年度より少いという状態があらゆる企業体に出てくるわけなのです。だから去年より所得額が減ってくるというこの
実態において、前年度の所得を基準にして申告納税を行なっていくというこの
制度そのものに対して、われわれは今や批判を加えなければならぬ段階に立ち至った、こういうことを前回申し上げたわけでございます。果せるかな今の数字によりましても、前年度の所得から十六万何十人の
人々が収入減を来たしておる、そうして
調査してみるとその
通りだ、こういう形になるわけでありまして、私の先般の所論は正しかったという形になるわけです。そもそも所得額の本質というものは、実際の所得実額を対象とさるべきものであって、現実に二期、三期でどういう調整ができるといたしましても、その当初の申告額は、当核年度の所得実額というものを対象にして課税をされるのが本性的なものであって、余分なものを申告しなければならないというような状況にこの
制度を置くということは、私は間違っておると思います。従いまして、前年度実績を申告基準にするという現行
制度については、今や根本的に検討批判を加えなければならぬ段階に立ち至ったと私は
考えておりますが、この問題は、きょうの私の
質問の本旨ではありません。あなたが余分なことを言われるから、私も余分な
質問をいたしたような形になってしまったのでありますから、この問題にはもう触れないでおきます。
そこで幼稚園の問題でありますが、私
どもが
調査いたしました範囲によりますると、二十九年度以前は、大中小の幼稚園を問わず、
所得税が課せられておらなかった。
法律はそういう執行を認めていなかったのでおりますけれ
ども、しかしながら幼稚園の本来になっておりまするいろいろな任務から
考えて、社会的にも教育的にも貢献するであろうから、こういうような社会事業、教育専業に従事する者は、課税しないでおこうじゃないかというような
国税庁長官の付帯の方針というようなものでありましょうか。いずれにしても、
終戦後この幼稚園に対しては、課税されないというのが各国税局において踏襲されておった普遍的な方針であると伺っておるのであります。ところが二十九年度からその学校法人
制度ができて、学校法人に対しては非課税にする、こういうことになりますと、学校法人に対しては非課税にするという特典を設けられたのに、学校法人ならざる一般の幼稚園に対して非課税にするというのでは、全然けじめがつかなくなってしまうので、学校法人にならないところの幼稚園は課税しようじゃないか、こういうようなことで、新しく課税の方針がとられるに至ったのではないかと思われるのであります。
そこで長い間、
終戦後七年間にわたって、
法律によらずして、行政指導とでも申しましょうか、こういう幼稚園に与えられておりましたところの特権が今回忽然と
国税庁の一方的な判断で課税されるということになるといたしますと、ここに多くの問題が発生いたして参ります。と申しますのは、学校法人でいいではないかという説でありますけれ
ども、これまた学校法人には一定の基準がある。土地、建物、その他いろいろな
制度に基準がありまして、だれでもなれるというわけではございません。従ってその基準に満たないで、それよりも低いレベルにあるために学校法人になれない諸君に今度新しく
税金が及ぶということは、私は事業そのものの性格から
考えまして、これはむしろ今までの法人がよろしいと思う。今回これを契機として、いわば比較的小さい幼稚園に税が及ぶということは、私はどうかと
考えます。これはわれわれがうかつでありましたが、
法律によらずして非課税にしておったということは、これは疑義の生ずるところでございましょうが、ならば適当な法的
措置を講ずるなり何なりいたしまして、今や幼稚園がいろいろな画において
——ある意味においては、幼児の託児所的な性格を持ち、また基礎的な教養等においても貢献いたしておりますので、これについて、
税法上の特典を従来
通り受けられるような何らかの配慮を加えられる必要があると思うが、これに対して長官はどういう工合にお
考えになっておりましょうか、答弁を求めます。