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1955-05-28 第22回国会 衆議院 大蔵委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年五月二十八日(土曜日)     午前十時四十九分開議  出席委員    委員長 松原喜之次君    理事 加藤 高藏君 理事 森下 國雄君    理事 内藤 友明君 理事 大平 正芳君    理事 奧村又十郎君 理事 春日 一幸君       杉浦 武雄君    坊  秀男君       前田房之助君    山本 勝市君       淺香 忠雄君    黒金 泰美君       小山 長規君    古川 丈吉君       石村 英雄君    石山 權作君       井上 良二君    田万 廣文君       町村 金五君  出席政府委員         大蔵政務次官  藤枝 泉介君         大蔵事務官         (主計局次長) 正示啓次郎君         大蔵事務官         (主税局長)  渡辺喜久造君         大蔵事務官         (理財局長)  阪田 泰二君         国税庁長官   平田敬一郎君  委員外出席者         専  門  員 椎木 文也君         専  門  員 黒田 久太君     ————————————— 五月二十八日  理事早川崇理事辞任につきその補欠として森  下國雄君が理事に当選した。     ————————————— 五月二十六日  特殊物資納付金処理特別会計法案内閣提出第  九二号) 同月二十七日  揮発油税すえ置きに関する請願菅太郎君紹  介)(第一〇三七号)  同外一件(田口長治郎紹介)(第一〇八四  号)  同(愛知揆一君紹介)(第一一二六号)  葉たばこの減収対策確立に関する請願山下春  江君紹介)(第一〇六一号)  映画用天然色生フイルム免税措置に関する請  願(森山欽司紹介)(第一〇七八号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事の互選  昭和二十八年度昭和二十九年度及び昭和三十  年度における国債整理基金に充てるべき資金の  繰入の特例に関する法律の一部を改正する法律  案(内閣提出第三六号)  昭和三十年分の所得税予定納税及び予定申告  の期限等特例に関する法律案内閣提出第七  八号)  所得税法の一部を改正する法律案内閣提出第  一五号)  法人税法の一部を改正する法律案内閣提出第  一六号)  地方道路税法案内閣提出第一三号)  輸入品に対する内国消費税徴収等に関する法  律案内閣提出第三三号)  国税徴収法の一部を改正する法律案内閣提出  第三四号)  砂糖消費税法案内閣提出第三五号)  租税特別措置法等の一部を改正する法律案(内  閣提出第四一号)  関税定率法等の一部を改正する法律案内閣提  出第六〇号)  国家公務員等退職手当暫定措置法の一部を改正  する法律案内閣提出第八七号)  特殊物資納付金処理特別会計法案内閣提出第  九二号)     —————————————
  2. 松原喜之次

    松原委員長 これより会議開きます。  まず理事辞任についてお諮りいたします。理事であります早川崇君より理事辞任いたしたい旨の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 松原喜之次

    松原委員長 御異議なしと認めます。よってこれを許可するに決しました。  引き続き理事補欠選任を行いたいと存じますが、これは先例によりまして、選挙の手続を省略し、委員長より御指名いたすに御異議はありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 松原喜之次

    松原委員長 御異議なしと認めます。それでは、委員長におきましては森下國雄君を理事に御指名いたします。
  5. 松原喜之次

    松原委員長 次に、去る二十五日当委員会審査を付託されました国家公務員等退職手当暫定措置法の一部を改正する法律案並びに去る二十六日審査を付託されました特殊物資納付金処理特別会計法案の両法案一括議題として政府側より提案理由説明を聴取いたします。藤枝政府委員
  6. 藤枝泉介

    藤枝政府委員 ただいま議題となりました国家公務員等退職手当暫定措置法の一部を改正する法律案外一法案につきまして、その提案理由並びに改正要点を御説明申し上げます。  国家公務員等退職手当暫定措置法によれば、国家公務員等退職後失業している場合において、すでに支給を受けた退職手当の額が失業保険法に定める給付に相当する額に達していないときは、その差額を失業者退職手当として支給することとなっておりますが、今回失業保険法の一部を改正する法律案提案されますので、これに伴い、失業者退職手当について所要の改正を加え、あわせて規定整理をはかることとし、この法律案を提出いたした次第であります。  次に、その改正要点を御説明申し上げます。  第一に、失業保険法の一部を改正する法律案により、従来一律に百八十日であった失業保険金給付日数が、長期被保険者については二百七十日または二百十日に、季節的労働者等短期保険者については九十日に改められることとなりますので、失業者退職手当につきましても、これにならい、その支給基準となる日数職員勤続期間に応じて区分することとし、勤続期間六月以上十月未満の者は九十日、勤続期間十月以上五年未満の者は百八十日、勤続期間五年以上十年未満の者は二百十日、勤続期間十年以上の者は二百七十日に改めることにいたしたのであります。  第二に、退職手当の算定の基礎となる勤続期間は、一年未満端数を切り捨てまたは切り上げて計算することとなっておりますが、失業者退職手当の額を計算する場合における勤続期間計算につきましては、端数計算を行わないものとする必要がありますので、これに必要な規定を設ける等第一の改正に関連する規定整備を行うことといたしました。  第三に、職員が死亡した場合において、退職手当支給を受ける遺族の順位につきまして、養父母と実父母順位等を明確にする等若干の規定整備をはかるとともに必要な経過規定を設けることといたした次第であります。  何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願い申し上げます。  次に、特殊物資納付金処理特別会計法案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  今回、政府は、バナナ、パイナップルカン詰等その輸入が制限されるため、国内の需給の不均衡が著しく大となり、その輸入によって通常生ずる利益を越えて異常な利益を生ずると認められる特定物資について、その輸入により生ずべき利益の一部を徴収するために、特定物資輸入に関する臨時措置に関する法律案を、また、砂糖安定価格帯制度によって砂糖価格の安定をばかるとともに、砂糖輸入によって生ずべき利益の一部を国庫に納付させるために、砂糖価格安定及び輸入に関する臨時措置に関する法律案を別途提出して、それぞれ御審議を願っているのでありますが、これらの法律案によりますと、特定物資または砂糖輸入について外貨資金の割当を受けた者は、適正な利潤以外に生ずべき特別の利益国庫に納付する義務を負うことになりますので、政府におきましては、これらの法律の制定に伴いまして、その特殊物資納付金徴収し、これをもって産業投資特別会計からの投資の財源に充てることといたし、これらの経理を明確にするために特別会計を設置し、一般会計と区分して経理することが適当であると考えまして、ここに特殊物資納付金処理特別会計法案を提出いたした次第であります。  次に、この法律案の概要について申し上げますと、この会計は、大蔵大臣が管理することとし、特殊物資納付金及び付属雑収入をもってその歳入とし、産業投資特別会計への繰入金、事務取扱い費及び附属諸費をもってその歳出とし、また、この会計から産業投資特別会計への納入の方法につきましては、毎会計年度歳入収納済み額から事務取扱い費及び付属諸費支出済み額等を控除した金額を限度として、予算で定めるところにより、随時繰り入れることとし、その他この会計予算及び決算等の作成並びにその手続等に関して、特別会計の運営上必要な事項を規定いたしているのであります。  以上がこの二法律案を提出いたしました理由であります。  何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願いいたします。
  7. 松原喜之次

    松原委員長 これにて提案理由説明は終りました。両法案に対する質疑は後日に譲ることといたします。     —————————————
  8. 松原喜之次

    松原委員長 次に、昭和二十八年度昭和二十九年度及び昭和三十年度における国債整理基金に充てるべき資金の繰入の特例に関する法律の一部を改正する法律案及び昭和三十年分の所得税予定納税及び予定申告期限等特例に関する法律案の両法律案一括議題として質疑を続行いたします。井上良二君。
  9. 井上良二

    井上委員 ただいま提案されました両法案のうちで、昭和三十年分の所得税予定納税及び予定申告期限等特例に関する法律案、これは単に期間を延期しようという事務的な法案で、これ自身は別に問題はございませんが、予定納税予定申告をいたしました場合に更正決定をするのでありますが、この更正決定をいたします場合に、一体その調査というものが、更正決定を行うだけのはっきりした実情調査に基いて行われておるか行われていないか、実はここに問題があるのであります。現在税務職員調査実態をわれわれが各税務署について調べておりますところによると、大体申告所得におきましても、課税対象人員に対して税務署員の受け持ちが非常に多いので、その関係で、全体の大体三割ぐらいが抜き打ち的に調査されるだけであって、あと七割というのはほとんど調査されてない。大体同一傾向にあるだろうという一つ推定に立って更正決定が行われておるのであります。これは実にけしからぬことで、そういう法的な根拠はどこにもない。天下り的に、お前のところはこれだけの収入があるだろうという一つ想定のもとに立って決定を下すのでありまして、これは全く不法行為であります。昔治安警察法というのがありまして、われわれはこの治安警察法の毛とで社会運動をいたしますと、当時の取締り官が、これは危険人物なりという一つ想定のもとで、ことごとく検束勾留をしたことがあります。何ら犯罪事実もなければ、何ら検挙勾留する理由がないにもかかわらず、単に警察当局職権認定によって検挙勾留される。こういうことがあって、この治安警察法人権じゅうりんもはなはだしいというところから廃止されたのでありますが、この治安警察法と同じような考え方徴税事務がとられておる。はっきりした納税をする根拠が把握された上で更正決定をやるならいいけれども、単なる推定に基いて更正決定をやるということはけしからぬ。この点に関して主税局長はいかにお考えになっておりますか。
  10. 渡辺喜久造

    渡辺政府委員 現在の予定納税予定申告やり方につきましては、これは昨年の改正によりまして、それまでは一応納税義務のある方は全部予定申告を出していただく、こういう制度になっていたのでございますが、しかし事務的に見て参りまして、どうもいたずらに煩瑣なきらいがある。そこで予定納税制度に切りかえまして、昨年も納税義務があり、本年も納税義務があるような場合におきましては、昨年の所得額基礎にいたしまして本年の税金を納めていただく、原則的にはそういうふうな措置をとっていることは、井上委員承知通りでございます。従いまして、それには更正決定とかいう問題は起きませんで、ただ問題になって参りますのは、昨年の所得に比べまして本年の所得が相当減っているという場合におきましては、これは減額申請ができる。それで税務署長考え方としましては、その減額申請を是認するか拒否するか、こういう権限が与えられているわけであります。従いまして、この減額申請につきましては、これはやはり井上委員のおっしゃるように、件数自身が大体それほど多くありません。同時に、そういう特殊な事情にある方だけの問題でございますので、税務署としては、一応その一つ一つについて調在して、その採否を決定していくわけであります。それから現在予定申告制度として一応残っておりますが、実際にこれがなされる場合というのは非常にまれな場合でございまして、その一つは、昨年は商売をしていなかった、ことしになって商売を始めた、主としてこういう方は、その所得金額所得税を納める額に達しますと、義務的に一応予定申告を出していただくことになっております。この予定申告に対しましては、一応更正決定制度はございます。ただこれも件数が非常に少うございますし、同時に、確定申告のときに全体をよく調査してきめればいい問題でございますから、これに対して更正決定するということもごくまれな場合で、それも井上委員のおっしゃるように、調べないで更正決定をするといったようなことはやっておらぬというふうに私は考えております。
  11. 井上良二

    井上委員 その予定納税の場合、予定納税の大体推定額と、それから政府の方で最後に確定するに至った場合の額の比較はどのくらいになっておるのですか。
  12. 渡辺喜久造

    渡辺政府委員 予定納税は、先ほども申しましたように、昭和三十年度分の所得税でございますと、二十九年度分にあった所得額をベースにしまして、それによって今度の減税のようなことが行われますならば、減税後の基礎控除扶養控除、税率、そうしたものを適用しまして税額を算出して、一期、二期と予定納税してもらっておるわけです。従いまして、予定納税確定申告の場合にどれくらいの開きが出てくるかといいますのは、結局二十九年分の所得額と三十年分の所得額がどれくらいの開きがあろうかという問題に大体縮約できるのじゃないかというふうに思っております。その額はどれくらいを予定しておるかということにつきましては、ちょっと今資料を持っておりませんので、その数字あとで申し上げます。
  13. 春日一幸

    春日委員 関連して主税局長にお伺いします。昨年度から税制が改正されて、前年度分の所得額基準にして申告をし、納税を行なっていくというこの制度あり方です。これは今までインフレ高進期は、大体において年々所得がふえていくというような事柄が実際的にもあり、さらにはまたそういうような想定も下し得ると思うわけでありますけれども、しかし現実インフレ高進がストップし、むしろこれがデフレ傾向をたどっていく、すなわち所得インフレーション時代に比較してむしろだんだんと滅っていくというような傾向にあり、実情もまたそこにありますので、前年度所得基準にして申告し、納税をしていくということは、これは結局現実の問題として、税金過払いになりはしないか。そこで過払いにならないようにするためにはどうしたらいいかということになると、昨日の公聴会でもだいぶ論議されたことでありますが、中小企業には、今まで幾らか課税ゆとりがあるいは残されておったかもしれぬ、従ってその残されておったゆとりを捕捉していく。すなわち調査を手きびしく、あるいは銀行を調べたり取引先を調べたりして、あくまで前年度より多い税額を捕捉追求していく、こういう結果に制度の上としてなるのきらいがありばしないか。この問題についてどういうようなお考えを持っておられますか、一つ伺いたいと思います。
  14. 渡辺喜久造

    渡辺政府委員 経済界が落ちついて参りましたので、従いまして、そこに前年度実績によりまして課税して参りましても、かなりの部分の人については大体問題が片づいていくのではないか。同時に予定納税納税していただきます分は、御承知のように、三分の一を一期、三分の二を二期、第三期におきまして確定申告で全部精算する。従いまして一応余分に納税していただいて、あとで払い戻すということでなくて、三期においてそこで精算ができるということになっていることは、御承知通りであります。ただそれにいたしましても、一期、二期でもって非常にたくさんやって、三期はもうほとんど納めなくてもいいという状態の人をそのまま放置しておきますのは、これは確かに問題がありますので、従いまして現在におきましては、税額で昨年に比べて三割以上減るというような情勢にあります場合におきましては、減額更正制度がございまして、予定納税額自身を変更できる、こういうことになっているわけでございます。同時に春日委員の御心配になっておりますような、とにかく税金が減るから、従って調査の方を非常に手きびしくやるというようなことは、私はないと思っております。結局税法の定めるところによって公正な執行をするということが、税務官庁の任務だと思っておりますが、幸いに国税庁長官が来ましたから、そちらの方にバトンを譲ります。
  15. 春日一幸

    春日委員 税金というものは余分に払い過ぎておいて、あとで戻してもらうとか、あるいは第三期において少く払うというようなものではなくして、これは当然その所得に該当する税金を合理的に納めていく、こういう制度が確立されなければならぬと思う。ただ減額申請の場合に、減額申請税務署に行なっても、そんなに早く減額申請審査されて、そうして最終の減額承認がなされるというようなことは現実にはないんじゃないか。そういう減額申請が出るなら、いずれ調査しようということで、これまたおどしにかかって、そうして時には減額申請を取り下げるか、あるいは減額申請をしたことによって、毛を吹いて傷を求めた形で、前年度よりもはるかに大きな課税を食らう、こういうような傾向が実際は多いのであります。従って私ども考えるのは、この減額申請制度があるから、それによって救済されるというようなことではなくして、二十五、六、七、八年というのは、何といってもインフレーションの高いときであり、商売売買とも利潤の上ったときなんだから、そういうようなときを標準にして申告を行う。そうすると、二十九年度は二十八年度より多いのが常識、三十年度はさらに二十九年度基準になってくるから、それが多いのは普通、こういうことになって、実際の営業によるところの収益の実態というものが現われてこないで、それはその税務署々々々におけるところの徴税攻勢の強弱によって税金の多寡が決定されていく、こういうような心配がなしとはしないのであります。こういうような制度あり方は、今やインフレーションがとまり、さらにこれがデフレになり、不況がさらに深刻化しようとしており、物の単価も下ろうとしているときには、この制度は現状にそぐわないことではないかと思うのであります。そこで国税庁長官に伺いたいのは、この減額申請なるものは一体全部の申請の何%くらい出ておるか、これを一つこの際伺いたいのであります。
  16. 平田敬一郎

    平田政府委員 昨年度実績のお尋ねだと思いますが、その点はあとで調べまして正確な数字を申し上げます。大体私どもといたしましては、六月一ぱいに減額申請が出ますれば、上期の情勢調査いたしまして、それによりまして年間の所得推定いたしまして、真実ことしは減ると認められるようなものは減額納付承認する。特に今まできびしく扱っておる覚えもございませんし、今後におきましても、実際に合うように慎重な運用をはかって参りたいと思っておる次第でございます。
  17. 春日一幸

    春日委員 長官はそんなに手きびしくやらぬとおっしゃるけれども末端税務署においては、税務吏員が、減額申請が出てくると、これは税務署の方針に逆らうものである、こういう意味において徹底的な調査を行う。銀行調査から取引先調査を行なって、そういう目にあうから、減額申請はみずから取り下げた方がよろしかろうとか、あるいは他のみせしめ、こらしめ、こういうことのためにさらに徹底的な調査をして、なまじっか減額申請を行なったがために、本来ならば五十万円でよかったものが七十万円、八千万円というようなとほうもない所得を追求されて、ついにやむをなくそれに調印をする、こういうことになった例が少くないのであります。これは、あくまで現在の制度は民主的な納税だ、こういう申告納税のプリンシプルは十分に末端に浸透されなければならぬと思うし、さらに今申し上げましたような結果を生じてくるので、前年度所得額次年度申告納税額基準にするというやり方は、今や改正されまして、元の申告納税、すなわち所得があったら、多ければ多く、少ければ少く、その本人の推算による年度ごと計算にして申告する制度にこれを改めるのでなければならぬ。商売というものは・昨年と本年と来年とでは全然違うのです。景気のよしあし、貸し倒れのあるなし、商売の発展、衰退もある。それだのに、前年度所得額次年度課税額基準になるというようなあり方は、所得実態を把握するための公正的確な手段だとは考えられません。従いまして、この問題については、私は十分御検討を願って、零細所得者実情に沿うように、さらにはまた申告納税制度をとっておるところの民主的な考え方徴税現実が見合うように、十分御検討を願わなければならぬと思います。  それから、この閥お知らせ制度については大蔵大臣といろいろ応酬いたしましたが、これまた確聞の関係もあり、本人は何も知らぬのだから、的確な結論を得られなかったのでありますが、この際国税庁長官に聞いておきたいのでありますが、調査をすることなくしてお知らせをなすったことは絶対ないのか、それからあなたの指令としては、調査をすることなくしてお知らせを発行してはならないという指令がいつ、いかなる方法によって通達されておるものか、この二点についてお伺いをいたしたいと思います。
  18. 平田敬一郎

    平田政府委員 前の予定納税の問題につきましては、私ども昨年から実施したわけでありますが、減額申請手続はその前からございまして、最近はだいぶなれてきつつあるのであります。ことしは、青色申告常業所得の全納税者の四七%まで行きましたので、これらの人々は、若干正確の程度の差はありますが、とにかく営業に関する記録をつけておられます。こういう人の場合には、比較的営業実績が明らかになる。それに基きまして、手続はしごく順調に運び得るわけであります。その他の問題につきましても、もちろんいろいろ調査いたしまして、申請がありました場合には、それぞれ妥当な措置をとるようにいたしたいと思っております。なおこれは、今ちょっと思い出したのでありますが、予定申告書説明書に、従来は減額申請のことはあまり大きく書いてなかった。これではいかぬというので、減額申請説明を非常に詳しくいたしまして、こういう場合には減額申請承認ができるのだ——最後の項目に、疾病、災害、いろいろございますが、営業不振、状況が悪くなったということを、実は前は入れていなかったのですが、これはやっぱり入れなくちゃいかぬというので入れさせまして、そして趣旨の徹底をはかるようにいたしたことを覚えております。私どもは、あくまでも税金徴収は、最近は特にフェア・プレーでいく、公平に正大にやって、そうしてよく納得を得てやるということで、だいぶ勉強しておりますので、今後はそういう点につきましては、漸進的ではございますが、御期待にできるだけ沿うように勉強したいと思っておるところでございます。  それからお知らせ制度につきましては、実は私もちょうどいい機会でございます。先般春日委員がきわめて巧妙な話で、全然調査をしないでやるという御論法でございまして、実は非常にがっかりしていたのでございますが、これは御承知通り、実は全部調査をいたしまして、調査に基きまして、これも私どもは親切の意味お知らせをいたしておる。お知らせ文書等につきましては、本年度はよく吟味いたしまして、お知らせらしい文句にするようにということで、特に言葉づかいにも注意いたしまして、納税者お知らせいたしております。その文言は、後ほど御参考のために配ってもいいと思いますが、一方的に押しつけがましいことのないように、それは申告前のお知らせでありますから、それによりまして納税者とよく話し合って所得額をきめる余地は十分あるような、そういう手を使いましていたしておるような次第でございます。しかしこのお知らせということ自体が申告納税制度の本旨上おもしろくないじゃないかという意見は、実は私もそういう考えを持っております。私どもはいかにして早くお知らせをやめて、しかも申告納税制度がうまくいくようになるか、それを一つ所得税行政の一つの大きな目標として進もうじゃないかということでいろいろやっておるわけであります。一番いい方法青色申告の増加でございまして、先ほど申し上げましたように、この二、三年来簡易簿記等がだいぶ普及いたしまして、営業所得では納税者の四七%が青色申告になりました。こういう人たちにつきましては、ある程度現場に行きまして、決算の指導等はいたしておりますが、お知らせばいたしておりません。税務署はいろいろ相談相手にはなりますが、すべてそれに基きまして申告書を出してもらいまして、円滑にいくように努めております。それがお知らせをやめる一番いい方法じゃないかと思っております。その他の納税者につきましても、できる限り、一般的指導で十分だと思われるような人々はもうお知らせばやめまして、抽象的指導と称しておりますが、そういう道をだんだん拡大いたしまして、そういうことによらないでも相当な申告が出て、申告が出たあとでいろいろ更正決定その他のトラブルが少しでも少くて済むように持っていきたいと思っております。若干の時日は要するかと思いますが、方向はそういう方向で進んでおりますので、御了承願いたいと思います。  なお調査は、先ほどお尋ねでございますが、もちろんいたしまして、その上でやっております。重ねてお答えいたします。
  19. 春日一幸

    春日委員 それはあなたがおっしゃる通りなら、私はこんな質問も何もしないのです。ただ現実には一ぺんも調べに来ない。門口に税務署員が来たこともなくて、昨年度より多く、本年度はこれこれというお知らせがくる。そういう問題が、これは凡百にわたってあるわけです。私は党の中小企業部長として、この陳情を全国各地からはなはだ多く受けておるから申し上げるのであって、私はただ漫然と観念的にこういうことを言っておるのではないのです。私が申し上げたいのは、実は昔中学のずぼらな教師が、答案に採点するときに、一々採点するのはめんどくさいから、答案用紙を家に持っていって、扇風機の前で吹き飛ばして、遠いところから八十点、九十点とつけていったという話もあるんだが、あたかもそんな調子で、ちょっとあそこは景気がよさそうだから、この実態はどうだから、去年は安過ぎたから二割増し、三割増し、あるいは五分増し、こういうようなことで、全然調査なくお知らせが行われておるのです。これは、私ども基礎控除を一万円引き上げてみたり、あるいは扶養控除を五千円引き上げてみたり、そんなわずかな制度上の減税が行われてみても、実質的に、そのようなお知らせによって水増し課税が天下り的に現実に行われれば、結局このような制度、法規は何にもならぬ。私どもは、だから制度を深く論ずるとともに、実際徴税の執行をやっておられる国税庁、その所管にある税務署あり方が、その法律規定していないことは断じてやっていただいては困るということなのです。お知らせ制度はあくまでもやった方がいいということなら、法律を直していただかなければならぬ。法律も直さないで、かりに調査をしたといったところで、調査をしたからそれではお知らせをしてもいい、こういうようなことは法律は許していないのです。だから今ここでわれわれが慎重に論議をしておることは、五千円の扶養控除引き上げをどうするか、あるいは基礎控除をどうするか、こうするかというような非常にささいな問題を論じておるのだが、ところが末端では、去年五十万の人はことしは七十万だというお知らせが、ずっと扇風機式に飛んでいっている。これではわれわれの慎重な論議というものは全然効果を現わさないのです。だから、私はこの際強く申し上げておくが、今ここで申し上げてあなたが執行に移さなければ、これは別途の法律案か、あるいは決議案か、何らかの形で国会の権威を示さなければならぬと思うが、法律規定していない執行は、あなたにはゆだねられていないのです。ただいま井上委員から、かつて特高の警察たちが、主観の判断によってむちゃくちゃなことをやったといっておるけれども、今こそ全く税務署員が一あらゆる官僚制度は民主化されてきたけれども、しかしながら、いわゆる捜査臨検権というような大きな権限を付与されておる税務官吏というものは、全然といってもいいくらい民主化されていない。いわんやこのようなお知らせ制度というような法律規定をしていない執行が行われて、しかも数年に及んでおる。われわればこの問題を指摘して、累次あなたに反省を求めたんだが、本日までそれが改められる気配はない。今あなたのところへの報告は、お知らせをするときには必ず調査をしてお知らせをせよ、こういうような通達が行われておるそうでありますけれども、しかし白色申告というものはなお五十何パーセントというものは残されておる。その何十万という人々を対象にして、今の税務署員が一々その調査ができるわけはない。ところがそのお知らせというものは、全面的に機械的に発行されておるではありませんか。従いまして、現在あなた方がやっておることは明らかに法律違反であり、のみならず、さらにまた実情調査した上にお知らせをしたんだ、こういう親切をおもんぱかってやっておるんだと言われておるけれども、しかしながら五三%にわたっておるところの事業所得に対する申告者たちに、あなたの税務署員をもってあまねく正確な調査が行われておるはずはないのです。そのような不正確なお知らせというものが今所得額という形になってくるならば、それはわれわれが今ここでわずかなパーセンテージの問題を論議したところで、何にもこれは実効がおさまらない。従いまして、この問題はさらに結論を本国会においてこそ得なければならぬと思いますけれども、ただいま井上委員がほかへ行かなければならぬから、ちょっとほかの質問をやるということでありますので、私は一応井上委員に譲りますけれども、この問題は引き続いて徹底的にこの際論じて、そうして、あなたがあくまでお知らせ制度をやるならば、法律をもって臨んでいらっしゃい。法律によることなくして現在の執行はあなたにゆだねられていない。請負であなたに税金をこれだけ取れというのではなくて、こういう法律の定めるところによって執行せよという権限をあなたにゆだねておるのであった、何でもいいからこれだけ取れというようなことにはなっていけい。法律の範囲を越えた執行は、法律を無視した職権乱用のそしりを免れない。従いまして、この問題はどうして毛結論を得なければなりませんが、井上委員が急いでおりますから、私はこれでおきます。
  20. 井上良二

    井上委員 私は国債整理基金に関連いたしまして二、三点質問しておきたいのですが、この国債整理基金会計の内容を調べてみますると、このうちで一番大きな地位を占めておりますのは食糧証券で、食管会計において、昭和二十九年度は二千二百六十億であった証券及び借入金収入が、本年度は二千四百十億、約百五十億ふえてきております。このことは短期証券が次第に増発される結果となりはしないか。食糧証券がどんどん発行されてくると、発行の推移——一つは短期証券がどういう工合に発行されつつあるか、その際特に考えなければなりませんのは、この特別会計の中を調べてみましても、短期証券の割引差額として、実に百四十一億というものを割り引いておるわけですが、この割引率どいうものが一体今後どういう工合に増減していこうとするかという問題があります。これらの点に対して、理財局としてはどうお考えになっておりますか、また主計局としてはどうお考えになっておりますか、この点を一点お伺いしたい。  それからもう一つは、この食糧証券に充てます食糧売掛代金の回収というものは、一体どういう工合に回収されておるか、相当延滞になっておりはせぬか、その延滞はどれくらいの額に達しておるか、これを伺いたいのであります。
  21. 阪田泰二

    ○阪田政府委員 食糧証券の額、これは食糧の買い入れのために発行いたしまして、これが年度末の額と比較いたしますと、昭和二十九年度より増加いたしておるというような関係で、だんだん累積しておるんじゃないか、こういうようなお話でありますが、これは国債の増加という形ではありますが、食糧の賢い入れのために発行する、その賢い入れた食糧を消費者に売却いたしまして回収すれば、それで償還されるものでありまして、内容としては、糧券の発行高というものが発行したまま残っていくという形ではなくて、裏づけとなる食糧の動きに応じて入れかわっている、こういう形になるものであります。糧券の残高が増加いたしますのは、食糧管理特別会計におきまする食糧の保有高、持越高がふえるので、それに見合う糧券がふえておる、こういう関係になっております。従ってそういう食糧証券の増加も、たとえば一般会計からのインベントリーによってまかなえばなお健全であるというような考え方もあるかもしれぬと思いますが、現状におきまして、そういう保有食糧に見合う食糧証券が増加しておる、食糧の増加につれて増加しておるということにつきましては、別段不健全とか、そういった問題はないのじゃないかと考えております。また割引差額の問題に関しましては、これは短期証券は現在一銭五厘の割引率を出しております。発行高が相当多額になりますので、ただいまお示しになりましたような予算額を計上しております。食糧証券の金利の問題につきましては、いろいろ議論もあるわけでありますが、現状といたしましては、この程度の金利で割り引いて発行するのが適当じゃないかと私どもとしては考えております。  なお、食糧の売掛金の回収の点につきましては、ちょっと私どもの方ではわかりかねますので、関係の係の方から後日お答えいたしたいと思います。
  22. 井上良二

    井上委員 売掛代金の回収の問題は、今お話のように、食糧証券の身がわりになるのでありますから、この推移はどうなっておるかということは非常に重要になってくる。それからいま一つは、食糧証券が漸増していく、それも食糧の買い入れが漸増するからふえるんだという、一応御無理ごもっともの御意見でございますけれども、食糧証券がふえるということは、ふえたらふえただけやはり金利を払っていかなければなりません関係があり、特にこれは割引をいたしますから、上下の金利が非常に大きいです。それだけやはり消費者負担がふえていく。従ってその点に対して、他に適当な処置がないかどうかという問題がそこに起ってきやせぬかと思う。この食糧の売掛代金の回収が相当月延べになってはせぬかと私ども想定いたしますが、これが正確に回収されて、できるだけ早く債券を消化してしまうという行き方に持っていかねばなりませんので、食糧庁当局とこの食糧証券の発行をめぐる割引金利の問題及びその代金回収の問題等について——単にこの会計を自分が管理しておるというだけではなしに、この管理をめぐってもっと合理的に運営されるように私は処置をすべきではないか、こういう工合に考えますが、どうお考えになりますか。
  23. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 ただいま井上委員のおっしゃいました点につきましては、先ほど理財局長から申されましたように、食糧の売払代金の回収等の実情につきましてただいま手元に資料を持っておりませんが、御指摘のような点は、私どもといたしましてもまことにその通りにすべきであると考えますので、今後食糧管理特別会計歳入、あるいは歳出の実行につきましては、一層食糧庁当局とも連絡をとりまして、ことにただいま御指摘の食糧の売払代金の回収のごとき、どういう事情で遅れますか、それらの点につきましては、十分調査をいたして是正をはかりたいと考えます。
  24. 井上良二

    井上委員 もう一点事務的な問題でお伺いをいたしますが、昭和二十三年の三月に国庫から石炭鉱業等の損失補償のために交付公債が百四十一億一千四百万円出されております。この交付公債の処置は一体その後どうなっておりますか、おわかりになっておりませんか。
  25. 阪田泰二

    ○阪田政府委員 ただいま手元に資料がありませんので、現在その公債がどうなっているか取り調べました上で御返答申し上げます。
  26. 松原喜之次

    松原委員長 石村英雄君。
  27. 石村英雄

    ○石村委員 この国債整理基金に充てる資金特例法律案についてですが、これは二十八年度から特別な措置として講じられておって、三十年度もまたこれをこうしよう、こういうのです。この法律案は、表面から見るとごく簡単なもののようですが、しかし一面政府の財政政策の根本に触れる問題ではないか、こう考えるのでお尋ねいたします。提案理由説明に、「財政の状況にかんがみ」、と単にごく抽象的に書いてありますが、政府は現在の財政状況をどのように判断していらっしゃるのですか、政務次官に御説明願いたいと思います。
  28. 藤枝泉介

    藤枝政府委員 提案理由説明に申し上げました「財政の状況にかんがみ、」と申しますのは、この前暫定的に延長していただいたときにも申し述べましたように、この国際整理基金の制度その・ものについて根本的な改正を加えたいということで今まで参ったのでありますが、まだその結論に至っておりません。そうして一方御承知のように、前々年度剰余金の二分の一というものも現在まで二百億近くのものがございまして、それで償還をして参りますならば、現在の四千億余の国債については、この程度の償還で当分は間に合うのじゃないか、その間において根本的な検討を加えて、正しいと申しますか、適切な国債整理基金に対する制度を確立いたしたい、そういう考え方から、現在の財政状態から考えてということを申し上げた次第でございます。
  29. 石村英雄

    ○石村委員 現在の財政状態から考えて、どう財政状態を考えられたからこの三万分の百十六の繰り入れをやらない。これは少くて問題にならないから、政府としてはもっとこれを大きくしたいという考えであるのか。あるいはもうこんなことをしなくてもいいという大体の考えを持っていらっしゃるのか。それとも現在の財政の推移を考えると、国債はどんどんふえていってもかまわぬじゃないかというお考えに立脚していらっしゃるのかどうか、その点をはっきり願いたいのです。
  30. 藤枝泉介

    藤枝政府委員 ただいま申し上げましたように、現在の四千四百億円程度の国債であって、そうして前々年度の剰余金の半額ので二百億円程度になっておれば、この程度のことで当分はやっていきたい、そういう全体の考え方でございまして、これ以上さらに国債の償還をふやすというような気持ほございません。しかし一方において剰余金というものも、他の委員会その他でもいろいろと御指摘がありますように、果してこういう状態が続くかどうかということも疑問でありますので、この制度全体について恒久的なものは別に考えたい。しかし現在の四千四百億程度の国債であり、剰余金の半分が二百億円程度というようなことでありますならば、しばらくほその根本的な解決策ができるまでこれを続けて参りたい、こういうような考え方でございます。
  31. 石村英雄

    ○石村委員 根本的な対策については目下考究中だということですが、その考究中の腹案でも、結論はまだつかないにしても、大体の構想ほおありですか。
  32. 藤枝泉介

    藤枝政府委員 現在のところ、まだお答え申し上げる程度の腹案にまでも至っておりません。
  33. 石村英雄

    ○石村委員 そうすると、今までと同様な財政の剰余金が、大体今後もある程度は続いていくという見通しを持っていらっしゃるのですか。
  34. 藤枝泉介

    藤枝政府委員 先ほど申しましたように、今までは剰余金の半分は二百億程度になる。今後は必ずしもそういう剰余金が出るとは考えておりません。従って根本的な制度考えなければならぬ時期が来るのではないかということでございますが、一方国債の現在の状況が四千四百億円程度ということから考えますれば、多少剰余金の減り方がありましても、もう少し研究してから根本的な制度考えた方がいいのではないか、こういうふうに考えております。
  35. 石村英雄

    ○石村委員 そういたしますと、国債は、今後はほとんど増加させないという前提にお立ちになっていらっしゃるのですか。
  36. 藤枝泉介

    藤枝政府委員 大体あまり増加をさせないという前提に立ち、しかも今までの剰余金の状態というものとにらみ合せて、とりあえず一年を延ばしたということであります。
  37. 石村英雄

    ○石村委員 それから経理の簡素化です。これは国鉄や電々公社の分と思いますが、つまり帳簿に二重につけるのがめんどうくさいということと、一兆円予算の限度をやはりまた一兆円にしておきたいということと、この二つの理由で経理の簡素化ということをおっしゃっておるのですか。
  38. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 それは一兆円予算の堅持という意味では全然ございません。従来これらの公社等から一たん一般会計を通じましてやっておりましたが、そういうことは事務の手数の上からいいまして、ただいま御指摘のような帳簿その他の点から申しましても、むだなことであるという判断に基きまして事務の簡素化をはかる、こういう趣旨でございます。
  39. 石村英雄

    ○石村委員 今の問題は副作用として一兆になるということかと思いますが、その問題はおきまして、徴税のことでちょっとお尋ねいたします。  さっきからお知らせ制度というお話が出ておるのでありますが、従来こういう業態は幾らの利益率があるはずだという前提に立って、税務署が業者に対してお前のところの利益はこれだけ——全国かとこか知りませんが、平均利益率がこうだ、だから、こういう業態だから、これだけなければならぬというやり方をしていらっしゃるように思うのですが、そういう業態による利益率というものを国税庁で全国にお示しになっておるのですか、またそういうやり方が正当なやり方とお考えになっておりますか。
  40. 平田敬一郎

    平田政府委員 所得調査に当りましては、帳面のある人、青色申告などのお話もありましたが、そういうものにつきましては収入、支出、経費の内容、償却、そういう角度から調べまして所得額を出す、これは所得調査する場合の正道でございます。ところが御承知通り帳面がつけてない、あっても非常に十分でないという納税者がなお相当多いのであります。こういう人々につきましても、何か税務署はやはり正しい所得を見出さなければならぬ、そういう調査をする場合の一つ方法といたしまして、標準率あるいは効率といったようなものを、これはもう多年にわたって、所得税法改正以来作成いたしましてやっておるわけでございます。これはそれぞれの地方の各地の実際に帳面をつけた人につきまして、標準となるべきような人を何人か業態ごとに調べ上げるわけでございます。調べまして、売上金に対して経費が幾らであるか、荒経費が幾らであるか、さらに雇い人等は別建にしておりますが、そういうものを調べまして、平均的な一つの標準率というものを部内において作成いたしております。そういうものをもとにいたしまして、帳面の内容につきましての税務署所得を出す、こういうやり方をやっておるわけであります。これはそういうことでございまして、国税庁はときどき報告を受けまして、著しき不均衡があるような場合には、理由等を聞きまして必要な指導をいたしておりますが、原則といたしまして、各国税局がこの仕事を担当いたしまして、それぞれ各地の事情に合うような標準率を作成して各税務署に示しております。従いまして、これは所得を出すための一つの方便でございます。もちろん何もほかによるべき材料がないときには、それよりほかございませんから、結果によりましてそれで所得が出る。しかしそういう場合におきましても、各個々人の実情はさらによく聞きまして、平均的なところはそうであるが、自分のところは、たとえば主人が長く病気して、こういうわけで特別の事情で経費が多いとかいろいろな事情がございますれば、それはもちろんそういう事情を聞きまして、若干のしんしゃくはいたしておりますが、何もよりどころがない場合におきましては、そういう方法調査するより道がないわけでございます。これは多年にわたってやっておる方法でございます。
  41. 石村英雄

    ○石村委員 長官の御説明だと大へんけっこうなやり方でやっていらっしゃるように思うのですが、実際はそうでないのです。平均利益率というものがどこから出されたのか、かいもく見当がつかない。平均利益率を出してそれを押しつけておる。特に東京地方ではひざ元だという点か、比較の話ですが、割合うまくいっているかと思うのですが、地方に行けば行くほど、この形式的な利益率なるものが当てはめられて、しかも青色申告をしておる連中にさえこれを強要しておるというような事実があるようですから、十分御注意を願いたいのです。
  42. 平田敬一郎

    平田政府委員 全くこの標準率の性格というものは、私が今申し上げた通りでありまして、そういうものでしかない。またそういうものである。そういうときには、末端に行きますと、とかく一定のきまったことを金科玉条にしがちでございますから、実際に適用する場合におきましては、お話のように、そういう頭で運営上間違いのないように努めて参りたいと思います。御承知通り数多くの納税者を早く片づける場合に、ややもすると押しつけがましくなる場合がなきにしもあらずと思いますけれども、そういう点につきましては、よく納税者実情なりをもっと十分聞きまして、その上で納得づくで税を納めてもらうように努力いたしておるのであります。今後とも努力いたしたいと思います。特に御指摘の通り、地方に行きますと、あるいは昔式の考え方がまだ残っているところが多いと思います。そういう点につきましても、一層新しい考え方納税者の納得を得るように努力していきたいと思います。
  43. 石村英雄

    ○石村委員 今の点、重ねてお尋ねしておきますが、平均率の問題は、単に業者が自分のところがよけい取られるからというので、自分の都合のいい意味で不平を言っておるのではなくて、もうこのごろの業者は、大体税務代理士とかなんとかいうものを頼んで帳簿をつけてもらっておるのですが、そういう人、しかもまじめな税務代理士の方の意見を聞きましても、実にあの制度はむちゃな制度だという声が強いわけであります。十分御注意を願いたいと思います。
  44. 内藤友明

    ○内藤委員 動議を提出いたします。ただいま議題となっております両法律案につきましては、質疑も大体尽されたと思いますので、この程度に質疑を打ち切り、討論を省略して、直ちに採決せられんことを望みます。
  45. 松原喜之次

    松原委員長 ただいまの内藤君の動議に御異議はありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  46. 松原喜之次

    松原委員長 御異議なしと認めます。よってさように決しました。  これより採決に入ります。お諮りいたします。両法律案をいずれも原案の通り可決するに御異議はありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  47. 松原喜之次

    松原委員長 御異議なしと認めます。よって両法律案はいずれも全会一致をもって原案の通り可決せられました。  この際両法律案に関する委員会報告書作成、提出手続等につきましてお諮りいたします。これは先例によりまして、委員長に御一任をいただきたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  48. 松原喜之次

    松原委員長 御異議なしと認めます。よってさように決しました。     —————————————
  49. 松原喜之次

    松原委員長 次に、所得税法の一部を改正する法律案外税制改正法律案一括議題として質疑を続行いたします。春日一幸君。
  50. 春日一幸

    春日委員 国税庁長官にお伺いをいたします。企業組合等課税地方連絡懇談会の運営についてお伺いをいたします。この懇談会は過ぐる第十六国会でありましたか、企業組合に対する類推課税が行われようとする法律改正のときに、本委員会で附帯決議を付しまして、税務署が企業組合に対して個人所得としての類推課税を行おうとする場合は、これは税務署限りではやらないで、それぞれ地方国税局管内に地方のそういう懇談会というようなものを作って、商工行政担当者その他業界の代表等を加えた機関を設けてこれに諮問を発し、答申を得て国税局長がこれを行う、こういう工合に修正したと思う。この附帯決議の趣旨にのっとりましてこういう機関が設置されたと思うのでありますが、一体この機関の運営は、中央地方においてはその後どういう工合に運営されておりますか、これを一つ長官からお伺いをいたしたいと思うのであります。
  51. 平田敬一郎

    平田政府委員 企業組合の懇談会につきましては、中央の企業組合課税懇談会、それから各国税局ごとにそれぞれ地方の懇談会を作りまして、でき得る限り円滑にいくようにいたしておりますが、中央はたしか、それを三回ほど開催いたしまして、是否認の基準等に関する議案を相談いたしまして、それを地方に流しまして地方で運用をはかっております。各地におきましてもそれぞれいたしておるようでございますが、東京、名古屋、大部分のところは大体二回前後は開きまして、それぞれ付議すべき事項は付議いたしまして、均衡をはかっておると思います。地方の懇談会におきまして付議すべき事項といたしましては、いろいろな課税上の一般的な実際問題のほかには、一つは、今まで一たん法人として認めたものを新しい税法規定に基きまして今度は個人課税に改める、こういったような場合、これは必ずかけることにいたしております。それからもう一つ所得税法四十六条で十五人以上の場合は推定するという規定があります。この規定を適用する場合も、必ず懇談会にかけましてやることにいたしております。前会も申し上げましたように、法律通りました前後に、まだきまってないものがだいぶございましたから、そういうものにつきまして、別段新しい法律規定をまたないで認定をいたしておるようなものにつきましては、懇談会にはかけておりません。大体そういう方針で関係各庁とも打ち合せしまして、円滑な運用をはかるというように努めておる次第であります。
  52. 春日一幸

    春日委員 そこで問題になって参りますのは、その法人としての認定という言葉が述べられましたが、法人税法上企業組合は法人税を課することに相なっております。ところがただいま長官のおっしゃった認定ということはいかなる事柄を意味するのであるか。それから企業組合を法人として認定するというような法的権限はどういうような条項によって徴税官庁に付与されておるのであるか、その点をお伺いいたします。
  53. 平田敬一郎

    平田政府委員 私言葉は非常に俗な意味で申し上げたわけでありまして、課税上法人として課税するか、あるいは実体が法人の形態を備えていないからという理由で、関係者の所得を個人の所得として課税するか、その区分を判定すると申しますか、そういう意味で申し上げているので、御了承願いたいと思います。
  54. 春日一幸

    春日委員 そういたしますと、結局これは四十六条に関連をいたしまして、その判定という形になってくる。この四十六条に基いて、個人としての形態としてこれをとっていくか、あるいは法人体としてこれをみなしていくかという問題になってくると思います。そういうような事柄を処理する一つの経過措置としては、これは附帯決議の精神そのものが尊重されまするならば、当然すべての事柄は、あなたの方がそういう判定を行おうとする、すなわち企業組合を法人として取り扱わないという場合は、すべてこの懇談会に諮問を発せられて、そしてその諮問の結果に基いての処理をなさなければならぬものと私は考えておりますが、それは一体どういうことになっておるのでございましょうか。
  55. 平田敬一郎

    平田政府委員 その点につきましては、私ども法律改正したことによって新たなる解釈の変化がある、あるいは認定の変化がある、こういう事項は、これはあくまでも決議の趣旨に従いまして、懇談会にかけて処理するのが妥当だ。しかし、そういうことに関係なく、従来の考えと同じ方法で処理する場合におきましては、懇談会にかける必要はなかろう、最初からそういうつもりで運用をいたしております。また私どもそういう附帯決議の趣旨からいきましても、そういうことでよろしいのではなかろうかと実は思っておる次第であります。
  56. 春日一幸

    春日委員 そういたしますと、法律によらずして企業組合を法人扱いをしないというのは、どういう法律に基いてそういうことができるのでございましょうか、お伺いいたします。
  57. 平田敬一郎

    平田政府委員 法律によらずしてというわけではないのでありまして、いつも申し上げますように、所得税は実質主義と申しますか、事実どういう所得の帰属状況をしているか、それによって課税するということは、これはもう一般的な原則でございますが、そういう趣旨であの法律改正前においてもやっておりましから、これは決して違法ではないと思っておるのでございます。それと同じようなことをやる意味でやるものにつきましては、これは先ほども申し上げましたように、法律改正前と同じ状態でございますので、懇談会にかけるのはどうであろうかということで、処理しているわけであります。
  58. 春日一幸

    春日委員 そういたしますと、そういう御答弁がもしも受け入れられるといたしますならば、附帯決議の権威というものは全然なくなってしまう。すなわち税金といろものは、その所得の実体に即してこれを税務署課税していくんだ、こういうことが許されるといたしますならば、附帯決議というものも何も意味がなくなってしまうのであります。そういうようなやり方が今まで行われておるけれども、個々の場合に、そういうような紛争を生じないように一つ基準が、各条章によって設定されておる。四十六条にいたしましても、これに対する附帯決議にいたしましても、こういうような場合にはこうするという工合に尺度がきめられておるわけでございます。従いまして、その大まかな立場といたしましては、所得の実体に対して課税するというのだが、その捕捉の仕方が、すなわち所得者側と徴税当事者側の間で意見が対立する場合があるので、そういう場合の道筋が法律規定されておる。その法律の立法に伴うてそれだけの附帯決議が付されておると思うのであります。私は、国会の意思はやはり御尊重願わなければ困ると思うのであります。従いまして、この問題となっております判定調益ということ、これは今長官の言われたように、どういう附帯決議があろうとなかろうと、それは実体に即した捕捉の仕方をしていくんだということになってきますと、これは、たとえば国税庁の徴税当局が思った通りのことをやっていける形になってしまって、せっかくわれわれ十六国会で論議をしたことや、決定をしたことが、全然権威を失ってしまうと思うのでありますが、ただいまあなたの害われた、徴税所得の実体に即して課税していくというあなたの基本的な考え方と、四十六条に対する附帯決議との関係をどういうぐあいに御理解なさっておりますか、これを伺いたい。
  59. 平田敬一郎

    平田政府委員 この四十六条の規定は、あの当時も大分議論がありましたように、一定の推定をするという規定でございまして、いろいろ厳密な調査をしなくても、つまり実体がそうであるかどうかを徹底的に調査しなくても、一定の基準があれば推定できるという規定でありますが、あの当時も申し上げましたように、こういう規定を振り回す考えはない。かりにこういう規定ができて、これでやる場合におきましては、特に慎重を期する、そのような意味におきまして懇談会等にもかけるということを申し上げていたかと思います。私どもできるだけこの規定によらずして、実体をよく調べまして、それに基いてやった方がいいということで、ただどっちかきまっていないものにつきましては、しいてこの規定を用いないでやることにしております。従ってそれだけに調査も手間を要しますし、正確度を非常に要するわけでありますが、できるだけそういう方法でやった方がいいのじゃないかという趣旨で動かしておるわけであります。  なおこの規定に基きまして、従来からもいろいろ紛争がありまして、審査が出て、審査でも政府の原案通りきまって、訴訟になって、訴訟で現在争っておる問題も相当ございます。非常に深刻な場合におきましては、そういう道を選ぶよりほかない場合も私どもやむを得ない。決して訴訟で解決することを好みませんが、非常に相手方が法律的にがっちりこられる場合におきましては、こちらもどうもやむを得ず、法律的にがっちりと正しい決定を見出すということで進むよりほかない、そういう場合が、率直に申し上げまして、企業組合等の場合には私遺憾ながらあるということはいたし方がないことだと考えております。
  60. 春日一幸

    春日委員 問題は、この企業組合法の精神が、零細業者が合理的な経営を通じて、その過当な徴税から救済されるようにということで、われわれは健全な企業形態を対象として事柄を論じておるわけだ。あるいは中には不健全な企業形態があるにはあるかもしれませんけれども、そういうようなものがあったといたしましても、そういうような面の取扱いは、この法律とその附帯決議に基いて、そういうような懇談会に付議されれば、その懇談会のメンバーも、これは企業組合の将来を案じ、そして健全なる発展を願っておることに相違はありませんので、そういうような企業組合の不健全と思われる面は、彼らが逐次戒めるような機会も得られると思うのであります。従いまして、私の主張いたしたいことは、あくまで法律の範囲内において、しかもその附帯決議は、本会議も通っております附帯決議であります。従ってそういうような事柄については、手続を踏んでやっていただきたい。その懇談会なるものは官庁側も入っておりますし、企業組合のよき指導者も入っておりますから、必ずしもそういう不健全と覚しきものの見方ではないわけでありまして、あくまでもそれは正しい第三者的な批判の上に立って、公正な答申をすると思うわけであります。従って、そういうような判定をなさろうとする場合には、これはあまねくそういう懇談会に付議されて、そしてその答申を得られる。懇談会は、その決定をするまでには、これは必ずしもそういうような、あなたの方から疑惑を持たれるような側に立つ場合ばかりはないわけであって、お互いが戒め合い、啓蒙、鞭撻する機会もその過程には私はあると思う。従って、どうか一つせっかくわれわれが苦労して作ったところの附帯決議でありますから、この附帯決議はあくまでも一つ守っていただきたいと思いますし、また守っていこうという御答弁でありますから、その点につきましては差しつかえございませんが、ただ問題は、判定という事柄です。国税庁が今後あくまでもその判定をやっていくのだということになりますと、これは全部四十六条にかかって、この判定を願わなければならぬ問題でありますし、そういうような事柄は結局健全なる企業組合の発展ということを考えます場合、徴税当局とそれぞれ衝突をしょっちゅう来たしまして、物議の棟となろうと思います。こういう意味合いにおきまして、四十六条の適用は附帯決議の精神を十分御尊前願って、今後当事者たちの意見も十分参酌されて、一つ円滑な運用をはかられたいことを強く要望いたしておくのであります。なおわれわれの意見に何か非常に困った問題があるということでありましたならば、一つこの機会に長官からも御意見を伺っておきたいと思うわけであります。
  61. 平田敬一郎

    平田政府委員 お話の通り、すべて委員会にかけるというのも一つ方法だと思いますけれども、いっかも申し上げましたように、この企業の中に、ことに個人として課税しなければならないようなものの中には、春日委員もお誠のように、ほんとうに善意でやっておられるのと、必ずしもそうでなくて、徹底的に法律的に争うという意味でやっておられるのと、両方あるようでございます。もちろん私ども別段、そういうものを特にとがめだてするようなつもりはございませんが、しかしそういうものに対しましては、法律上はちゃんとした道があるのでございますから、やはりそういう道で正々堂々といかざるを得ぬというような実情でございまして、あっちやそっちの話し合いで簡単にいくというわけにいかぬものが、率直に申しまして、やはりございます。これは適当な機会に一つ国政調査でもお願いいたしまして、現場でよくその実情調査願った方がいいと思いますが、そういう事情がございますから、赤日さんのお話になる御趣旨、私も善意にできるだけとりたいのでございますが、今すぐそういうふうにいけるかどうか、私もちょっと自信がございません。しかしそういう全体の気持はよくくみ取りまして——私ともも何もけんか腰になるのが本分でございませんから、できるだけ話し合いでうまくいけますように、方向としては努めたいと思っております。
  62. 春日一幸

    春日委員 時間も迫っておりますから簡単に結論に入りますが、ただその企業組合の側から、法廷闘争とか、なんとか裁判ざたにしてくる以上は、法律に基いてそれぞれの立場を明らかにしなければならぬ、こういう意味のことを述べられております。しかしながら、企業組合側からいきなり裁判を提起するとか、それぞれ異議の申し立てをするとかいうようなことになるのではなく、やはりその要請が徴税当局側にいれられないような場合、他の救済の方法を求めていくという事柄にあると思うわけであります。そこで私が申し上げるのは、本人がそういう裁判によって救済を得るような方法をとらないで、せっかくこの四十六条そのものに関連をして懇談会という機関が作られたのでありますから、本人がそういう方法をとる前に、一体こういうような問題がある、これは国税局側としても、このケースによって非常に困っておるのだ、この場所が非常に困っておるのだ、だから諸君の意見はどうであろうかと諮問を発せられまするならば、その業界から出ておりまする代表者は、おそらくは第三者的正しい立場に立って物事を判断いたしまして、そうして企業組合の全体的な健全な発達の将来をおもんばかりまするならば、決してそういう不健全な業者に対して味方は私はしないと思います。あるいはまた組合自体においてのいろいろな懲罰、たとえば除名をするとか、連合会から脱退を慫慂するとか、いろいろな形で、全体の安全を守るために、一部の不健全なものに対する自主的なそれぞれの懲罰的な処置もとられていくと思うわけであります。従いまして、その類推課税を行おうとする場合は、懇談会という機関に諮問を発して、国税局長がそれを決せよ、こういう決定を行なっておるのでありますから、私はやはりその法律の精神、附帯決議のありまする通り一つ御執行願って、そうして一応懇談会にかけていただいて、懇談会の答申がなおかつあなた方の考え方に沿わない場合において、これは国税局長がいかように決定されようとやむを得ない事柄と相なっておるのでありますから、とにかく法律規定いたしました経過だけはやほりとっていただかなければならぬと私は思いますが、この点についての御所見を重ねてお伺いいたしたいと思います。
  63. 平田敬一郎

    平田政府委員 私どもも、法律及び附帯決議には一向反していないので、その趣旨に即して運用しておるつもりでございますが、先ほど申し上げましたように、従来から未解決の問題でありまして、新しい法律によらずして、さっき言いましたような判定をする場合、相当複雑なケースのものが残っておりまして、そういうものにつきまして、新法律を適用しないでやる場合に、全部懇談会に必ずかけるというところまでは遺憾ながら現状は申し上げにくいのでありますが、しかしだんだんそういう問題も解決に近くなってきておりますし、今後どうするかというようなことにつきましては、もう一度よく考えてみたいと思います。
  64. 松原喜之次

    松原委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は来る三十一日火曜日午前十時より理事会を開き、午前十時三十分より委員会を開会することといたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時十七分散会