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1955-05-14 第22回国会 衆議院 大蔵委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年五月十四日(土曜日)     午後一時四十分開議  出席委員    委員長 松原 喜之次君    理事 遠藤 三郎君 理事 加藤 高藏君    理事 内藤 友明君 理事 大平 正芳君    理事 奧村又十郎君 理事 横路 節雄君    理事 春日 一幸君       有馬 英治君    杉浦 武雄君       坊  秀男君    前田房之助君       森下 國雄君    山村治郎君       山本 勝市君    黒金 泰美君       小山 長規君    薄田 美朝君       古川 丈吉君    石村 英雄君       木原津與志君    横山 利秋君       井上 良二君    田万 廣文君       町村 金五君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 一萬田尚登君  出席政府委員         大蔵政務次官  藤枝 泉介君         大蔵事務官         (主計局長)  森永貞一郎君         大蔵事務官         (主税局長)  渡辺喜久造君         大蔵事務官         (理財局長)  阪田 泰二君         大蔵事務官         (管財局長)  窪谷 直光君         大蔵事務官         (銀行局長)  河野 通一君         大蔵事務官         (為替局長)  東条 猛猪君         国税庁長官   平田敬一郎君  委員外出席者         専  門  員 椎木 文也君         専  門  員 黒田 久太君     ————————————— 五月十二日  地方道路税法秦内閣提出第三号)  輸入品に対する内国消費税徴収等に関する法  律案内閣提出第三三号)  国税徴収法の一部を改正する法律案内閣提出  第三四号)  砂糖消費税法案内閣提出第三五号)  昭和二十八年度昭和二十九年度及び昭和三十  年度における国債整理基金に充てるべき資金の  繰入の特例に関する法律の一部を改正する法律  案(内閣提出第三六号)同月十三日  揮発油税すえ置きに関する請願勝間田清一君  紹介)(第五七〇号)  同(眞崎勝次紹介)(第五七一号)  同(保利茂紹介)(第五九七号)  同(山下榮二紹介)(第五九八号)  同(原健三郎紹介)(第六三三号)  同(畠山鶴吉紹介)(第六三四号)  同(福田篤泰紹介)(第六三五号)  同(戸塚九一郎紹介)(第六三六号)  同(大野伴睦紹介)(第六三七号)  同(足立篤郎紹介)(第六三八号)  同(松岡松平紹介)(第六三九号)  同(高見三郎紹介)(第六四〇号)  同(林博紹介)(第六四一号)  同外一件(濱野清吾紹介)(第六四二号)  同(菊池義郎紹介)(第六四三号)  同(纐纈彌三君紹介)(第六四四号)  同外九十五件(菅野和太郎紹介)  (第六四五号)  楽器に対する物品税品種別免税点設定に関す  る請願春日一幸紹介)(第五九五号)  楽器に対する物品税免税範囲拡大に関する請  願(春日一幸紹介)(第五九六号)  運動具に対する物品税撤廃に関する請願福田  赳夫君紹介)(第六三〇号)  葉たばこの賠償金引下げに関する請願中馬辰  猪君外一名紹介)(第六五四号)の審査を本委  員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  小委員、及び小委員長選任  農業共済保険特別会計歳入不足をうめるた  めの一般会計からの繰入金に関する法律案(内  閣提出第七号)  昭和二十九年の台風及び冷害による被害農家に  対して米麦特別価格で売り渡したことにより  食糧管理特別会計に生ずる損失をうめるための  一般会計からの繰入金に関する法律案内閣提  出第八号)  漁船再保険特別会計における給与保険の再保険  事業について生じた損失をうめるための一般会  計からの繰入金に関する法律案内閣提出第九  号)  臨時通貨法の一部を改正する法律案内閣提出  第一〇号)  あへん特別会計法案内閣提出第一一号)  所得税法の一部を改正する法律案内閣提出第  一五号)  法人税法の一部を改正する法律案内閣提出第  一六号)  国民金融公庫法の一部を改正する法律案内閣  提出第二一号)  日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案(内  閣提出第二八号)     —————————————
  2. 松原喜之次

    松原委員長 これより会議を開ます。  去る三月二十六日設置するに決しました各小委員会の小委員及び小委員長選任は、委員長より指名することに一任されておりましたので、ただいまより各小委員及び小委員長を御掛名いたします。  税制に関する小委員       杉浦 武雄君    早川  崇君       坊  秀男君    前田房之助君       淺香 忠雄君    小山 長規君       薄田 美朝君    横路 節雄君       横山 利秋君    井上 良二君  金融に関する小委員       有馬 英治君    菅  太郎君       中山 榮一君    夏堀源三郎君       福井 順一君    古川 丈吉君       石村 英雄君    石山 權作君       春日 一幸君    川島 金次君  国有財産に関する小委員       宇都宮徳馬君    山村治郎君       山本 勝市君    山本 粂吉君       奧村又十郎君    川野 芳滿君       黒金 泰美君    小川 豊明君       木原津與志君    田万 廣文君  専売事業に関する小委員       遠藤 三郎君    加藤 高藏君       内藤 友明君    森下 國雄君       大平 正芳君    小西 寅松君       松原喜之次君    河野  密君       平岡忠次郎君    町村 金五君  次に、小委員長を御指名いたします。税制に関する小委員長前田房之助君、金融に関する小委員長古川丈吉君、国有財産に関する小委員長木原津與志君専売事業に関する小委員長平岡忠次郎君、以上の通り御指名いたします。  なおこの際お諮りいたしておきますが、委員の辞任によりまして、小委員及び小委員長に欠員が生じました際の小委員及び小委員長補欠選任につきましては、適宜委員長より指名することに御一任を願っておきたいと思いますが、これに御異議はありませんか。     [「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 松原喜之次

    松原委員長 御異議なしと認めます。よってさよう、決しました。     —————————————
  4. 松原喜之次

    松原委員長 大蔵大臣からあいさつの申し出がありますので、これを許します。一萬田大蔵大臣
  5. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 実は、私早く当委員会にまかり出まして、御意見をお聞きせなくてはならぬと心苦しく思っておったのでありますが、予算委員会の方でなかなかそういう運びにいきません。はなはだ相済まなく思っております。今後はできるだけ出席いたしまして、審議がはかどりますようにいたしたいと思います。どうぞよろしく……。おわびかたがたごあいさつ申し上げます。
  6. 松原喜之次

    松原委員長 次に、農業共済保険特別会計歳入不足をうめるための一般会計からの繰入金に関する法律案外八法律案一括議題として、質疑を続行いたします。奧村又十郎君。
  7. 奧村又十郎

    奧村委員 大蔵大臣は特に予算審議など、率直に申し上げますれば初めての御経験でありまして、連日非常に御苦労さんに存じます。御苦労さんに存じますが、私ども大蔵委員会において審議する事項の大部分の事項は、大蔵大臣所管であります。その所管大臣であるところの大蔵大臣は、できるだけ繰り合わされて大蔵委員会お越しを願いたい。特にわれわれこれから審議をしようということは、まず民主党内閣の大きな公約であるところの五百億減税法案また、これに関連して、日本税制始まって以来の、また世界先進国において例のない預金利子課税全面撤廃、こういうことを大蔵大臣が実施しようとしておられるのでありますから、これらの点について大蔵大臣のお考えを十分これからお聞きいたしたいと思いますから、まげて一つ大蔵委員会お越しを願いたい。実は御出席がおそかったので、たびたびの委員会で、委員長を初めわれわれ非常に苦慮しておったような事情でありますから、その点をお含みおきいただいて私の質問に入りたいと存じます。  申し上げるまでもなく、租税政策は一国の財政政策の根幹ともいうべきものであります。しかも非常に永続的なものでありますから、ことしはこういうふうに減税する、来年になったらまた増税する、そういうふうに軽卒に、あるいは思いつきで政策を実行すべきものでないということは、大臣御存じのことと思うのであります。従って今回の五百億減税内閣改正案は、民主党内閣の将来の租税政策の大きな構想の一環として尊重さるべきである。政府経済確立のための六カ年計画をお持ちでありますから、これに伴いまして、財政政策の中のこの租税政策に対しましても、将来六カ年間にとるべき租税政策のあるべき構想というものをお持ちであろうと思うのであります。自由党内閣は、昨年まで六カ年間続いて来たのでありますから、その問の自由党内閣租税政策というものは、おのずから国民に知られておった。しかし民主党内閣租税政策は、今度初めて大臣のお口を通してわれわれは知り得るのであります。ところが先般の大蔵大臣施政演説を詳しく拝聴したのでありますが、その内容につきまして、特に税に関しましては、ただことし三百二十七億の減税をするという事務的なことにとどまって、大蔵大臣から、将来にわたっての租税政策構想というものをお聞きすることができなかったのは、私はなはだ残念であります。ここで一つ民主党内閣として、大蔵大臣としての租税政策構想なるものを承わっておきたいと思います。
  8. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 今後の日本租税政策をどうするか。これは今後の日本経済、また大きくいえば国力といいますか、そういうものの推移を十分見通した上でなくては、軽々にやっていけないと思います。ただしかし、今日の税負担現状からしまして、民生の安定という意味から、なるべく国民税負担を適切に軽減する、他面また税措置によって資本蓄積が増加するように、こういうような考え方の基本は持っておるのでありますが、しかしそれだからといって今の日本現状で、すぐに後年にわたる税制を具体的に申し上げるだけの用意を私は持っておりません。今日の事態において、三十年度においてはすでにお示し申しあげておるような減税はすべきであり、これは適当である、こういうふうな考え方であります。
  9. 奧村又十郎

    奧村委員 今回の減税は三百二十七億でありますが、これは平年度に引き直すと、つまり来年度においては五百十四億の減税になる。といたしますと、民主党内閣がこのまま続いていくとすれば、来年度において今回の税改正の上になお減税をする余地があるかどうかという問題が一つ起ってくる。そこでこれに関連してお尋ねしますが、ことしの減税は三百二十七億、この減税財源は、御承知通り酒及び砂糖などの間接税自然増収でその財源がまかなわれておる。ところが酒、砂糖などは一年通じての自然増収額である。ところが三百二十七億の減税は、七月一日からの減税です。といたしますと、来年度においては、平年度五百十四億の財源というのは、酒及び砂糖などの間接税自然増収だけでは財源はまかなえないはずです。来年度において平年度に直せば、この改正案をこのまま通したとしても五百十四億円の減税になるが、その財源見通しはどうつけておられるか、それを承わっておきたい。
  10. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 それは三十一年度におきましても、国の総生産あるいは国民所得も増加いたします。従いまして、今回程度の減税を持続していく財源は十分確保できるという考えをいたしております。
  11. 奧村又十郎

    奧村委員 それでは、現在の政府の予定しておられるこの改正案のほかに、来年度にもう一つ減税するような余裕が財政にできるかどうか、大臣のお見通しを伺いたい。
  12. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 これは単に租税収入という財源見地ばかりでなく、一面において民間における資本蓄積等がどういうふうになるかという状況も、来年度予算編成では相当考慮することができるのじゃなかろうかと考えております。租税収入だけからさらに減税ができるように税収入がふえるかという点については、私は必ずしもさようにも考えておりません、そういうふうに存じております。
  13. 奧村又十郎

    奧村委員 私のお尋ねしたのは、現在の減税案を実施して、来年度は平年度化しますが、来年度今の改正案のほかに、この上減税する余地ができる見込みがあるかどうか、これをお伺いしているのです。
  14. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 あるいは端的でなかったから、御理解が不十分であったと思いますが、私の言うのは、租税収入だけで財源考える場合は、減税余地はないだろう。こういうふうに考えておりまするただしかし減税をするかせぬかという場合は、もう少し大きな広い見地からも考える点はあろうかと思う。こういうふうに考えております。
  15. 奧村又十郎

    奧村委員 ただいまの御答弁によりますと、租税収入の面だけから考えれば、来年度減税余地がない、こういうお言葉であります。そこで予算書によりますと、現行税法体系のままでいけば、租税収入は八千百四十二億見込める。そこで、それに対して今回の税法改正で三百二十七億の減税を実施する、こういうわけです。八千百四十二億とれる税の体系の上でわずかに三百二十七億、ここで手直しして減税しよう、こういうわけです。従って税法全体として一つの大きな体系をなしておるが、その大きな体系の中で、今回の三百二十七億だけ手直しをしよう、こういうわけです。そこで過去六年間自由党内閣で立ててきた租税体系を、民主党内閣が今これを手直しをしておられるのでしょう。そうしたならば、この手直しをするについては、民主党内閣租税政策というものがはっきり打ち出されておらなければ、この三百二十七億の減税法案をわれわれとくと審議することはできない。その民主党内閣の将来における租税政策構想というものをお聞きしたいが、さっきは明確な御答弁ができぬ。来年においてまた減税はできるというならば別ですが、来年減税機会がないとすれば、今回の減税において民主党内閣租税政策というものがはっきり打ち出されておらなければならぬ。民主党内閣租税政策構想というものを、お聞きしたい。
  16. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 先ほども申し上げましたように、むろん民主党でやる租税政策を持っていないというわけじゃないのですが、この数年にわたりどういうふうにやっていく、こういうふうにやっていくということについては、私の考えでは、もう少し日本経済の今後の推移にまたないと、今日の事態においてそういうふうな税制についての基本的な政策が立てにくい。しかしこの三十年度予算で御審議を願っておる減税は、今日においてできるのでこれをやっておる。こういうふうな考えで私は臨んでおるわけです。
  17. 奧村又十郎

    奧村委員 どうも民主党内閣租税政策というものを一言もお聞きすることができぬということは、私どもとしてはなはだ残念であります。  それではお尋ねの仕方を一つ変えます。今まで自由党内閣が六年間やってきた租税体系というものを、今ここで五百億減税法案民主党内閣手直しをなさるのでしょう。そうすると、今まで六年間やってきたこの租税体系に一部手直しをされる、そのもとである自由党が今までやってきた現行法を、これでよいと民主党内閣はお考えになっておるかどうか。現行法がよい、ただそれに三百二十七億の減税法案を加えればこれで完璧の税法になる、こうあなたはお考えになるかどうか。
  18. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 たびたび繰り返すようで大へん悪いのですが、私は将来のことについて考えるとは言っておりません。ただしかし今日の情勢では、具体的にここで将来を見通し、たとえば三十年度はこう、三十一年度にはこういう減税を予想する、三十二年度にはこうする、そういうふうなことは今立てにくい。それで三十年度のところははっきりするから、こういう審議を願う。今日の税につきましては、今やっておるのですから、私はこれでいいというふうに認めておるわけです。ただしかし、将来にわたってまでまたそれがずっといいのか。これはそういうふうなことはないのは、だれがおやりになり、お考えになっても同じだろうと考えます。
  19. 奧村又十郎

    奧村委員 それじゃもう一つお尋ねの仕方を変えますが、国の政治についてはやはり一つ指導力が要ると思う、あるいは目標が要ると思う。現に民主党内閣は、経済再建の六カ年計画を立てておられる。そこで金融政策から行くならば、これは大蔵大臣専門のことでありますから、金利はこういう方向に引き下げていく、あるいはオーバー・ボローイングはこういうふうに解決していくというふうに、はっきりした政策を打ち出しておられる。租税政策においても、将来民主党内閣として理想的な租税体系はこうあるべきだというものをお持ちになって、それを国民にお示しになって、今まだ日本経済は十分正常化していないから、残念ながらここまで、手直しをしよう、しかし将来の方向はこうなんだ。これがあって初めてこの減税法案というものは審議される。将来の見通しはまだつかぬ、これから勉強しよう……。しかし、減税機会というのはたびたびないのです。とすれば、少くとも経済再建六カ年計画を立てておられる民主党としては、その六カ年問に経済が正常に復したならば、日本租税制度というものは、理想的にはこう持っていくべきだ、こういう構想をお持ちになって、初めてこの五百億減税の御説明があってしかるべきだ。いかがですか。
  20. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 今後の租税政策をどういうふうに持っていくかということについて今日申し上げることは、先ほど申しましたように抽象的になりますから……。しかし、むろん抽象的な考えがないというわけではない。先ほど申しましたように、民生安定——いわゆる税金がやはり重過ぎる。特に私は、直接税にまだ少し偏り過ぎていはしないかという考えも持っておる。それから、資本蓄積ということを妨げないような税制考えていかなくちゃならぬ。いろいろそういうふうな考え方は持っておりますけれども、そういうことをほんとうに具体的に立てていくためには、やはり各方面の御意見も相当拝聴しなくてはならぬ。そういう意味合いにおきまして、今後そういう税制については、具体的にどういう税制にするか、どういうふうにやるかという点については、なお十分研究した上で立てたい、私はこう申しておるわけであります。
  21. 奧村又十郎

    奧村委員 抽象的には構想はある、その抽象的な租税政策とは何かというと、民生安定に力を入れるとか、資本蓄積に力を入れる。民生安定に力を入れるというのは、何も租税政策だけの目的じゃない。これは一国の経済財政政策の一番大きな目的です。資本蓄積もその通り。私のお尋ねするのは、租税政策の上における大臣構想。それで具体的な構想がお立ちにならぬのなら、租税政策の上において大蔵大臣として最も注意すべきこと、最も堅持すべき方針は何か、これだけお聞きいたします。
  22. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 御質問要点を、あるいは私取り違えておったかもしれません。しかし租税についてどういうことを一番考えるか、こういうことを言えば、これは私の考えでは担税力ほんとう租税を負担し得るところに税金が行っておるか、言いかえれば、これもまたごく抽象的な説明だと言われるかもしれませんが、公平です。公平にやる、こういうふうなことを考えております。あるいは御質問要点と違えば、またお答えいたします。
  23. 奧村又十郎

    奧村委員 租税政策の面において最も注意し、また力を入れるべきは、担税力に応じた公平な制度でなければならぬということで、これはわれわれもしごく同感に存じます。そこでお尋ねいたしたいと思うのでありますが、実は、私ども六カ年間日本の政局を担当してきた自由党委員といえども、現在の租税制度についてははなはだ欠陥があると思っております。その欠陥というのは、今大臣の言われた公平の原則が破られておるということで、これは非常な欠陥だ、こう思っておる。大臣も御承知通り昭和二十四年にシャウプ勧告に基いて税制の大改正が行われた。これは理想的に過ぎるほどの、公平原則を貫いた日本税制度が立てられた。その後、いろいろな経済政策の面から、公平原則がやむを得ず破られて、だんだん不公平になってきた。われわれとしては、これはやはり経済再建を実現するために、日本経済が正常に立ち戻るまでは、やむを得ず経済公平原則が破られても仕方がない。しかし経済が正常に立ち戻ったならば、公平原則が貫かれなければならぬ、こう考えておる。その意味において、現在の日本租税制度は、経済再建の途上にあるからして、公平原則が幾分破られておるが、これはやむを得ぬ。しかし将来は、これを公平に持っていこう、こういうふうに考えておるのでありますが、大臣はそのようにお考えであるかどうか、お聞きいたします。
  24. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 今日の税制が、ある意味においてごく理想的といいますか、税理論体系としてはこれは尊重すべきものがあるかもしれぬと思いますが、ほんとう日本の国情に応じた税制であるかどうかという点については、私は、今御指摘のように、やはり考慮を要すべき点があると思います。
  25. 奧村又十郎

    奧村委員 それではほかにもいろいろ順を追うてお尋ねしたいことがあるが、わが党委員、また各委員諸氏もいろいろお尋ねがあろうと思いますし、私は、いずれ大蔵大臣にはこれからも当分の問いろいろお聞きしたいと思いますので、(笑声)一つ本日特にお聞きしたいことに移りたいと思います。  それは、今回大蔵大臣預金利子公社債利子に対して課税を全免しようとしておられる。これは非常に大きな問題であります。そこで日本税制立ち始まって、預金利子あるいは公社債利子税金を全然かけないという制度はあったかどうか。大蔵大臣御存じでしょうか。
  26. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 ないと思います。
  27. 奧村又十郎

    奧村委員 いまだかつてないことを大蔵大臣はなさろうとしておられる。それではお尋ねしますが、世界各国において、特に税の制度の進歩した各国において、預金利子公社債利子に対する課税を全免しておるという国があるかどうか、そういう例があるかどうか、それを一つ大蔵大臣にお聞きいたします。
  28. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 お答えします。そういうふうな方向をとっておる国はあると思いますが、従来において、すべてについて免除したという例はないかもしれません。
  29. 奧村又十郎

    奧村委員 そういう方向をとっておる国があるとすれば、その国はどういう国で、どういう制度をとっておりますか。
  30. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 ノールウエーにおきまして、最近国際収支が非常に悪い。そこでこれを乗り切るために、これは社会党の非常に強い国で、今社会党政府ができておるのでありますが、この国において、定期預金について、利子課税を免除するということをやっておるわけであります。
  31. 奧村又十郎

    奧村委員 日本においても定期預金などについて、十万円までは国民貯蓄組合とか、あるいは郵便貯金とかいうのは免税なんです。今大臣が言われる国は、全面的に免税しておるのかどうか。
  32. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 究極においてはそういうふうに私は考えております。
  33. 奧村又十郎

    奧村委員 それはどこの国ですか。
  34. 一萬田尚登

  35. 奧村又十郎

    奧村委員 主税局長お尋ねしますが、ただいまの大臣の御答弁でははっきりしないから、ノルーウエーの領金利子に対する免税制度をちょっとお伺いしたい。
  36. 渡辺喜久造

    渡辺政府委員 ノルーウェーの資料を手にしておりませんので、よく調べましてまたお答えいたしたいと思います。
  37. 奧村又十郎

    奧村委員 大蔵大臣お尋ねしますが、主税局長ノールウエー預金利子免税制度を知らぬ。それでは大蔵大臣はどういう資料でお調べになったのですか。
  38. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 これは先ほどのお尋ねで、世界でそういうふうなことをやっておる例があるかというお尋ねでありましたから、私の知識で知っておる限りにおきましてそういう方向——方向というか、考え方ですね。免除するというような考え方をとっておる国もある。これは別に主税局長に調査させた結果ではありませんし、主税局長がどうというわけではありません。これは私がノールウェーの中央銀行のバリティンを読みましたときにそれがありましたから、それを申し上げたわけであります。そういう程度でこれをおとりを願いたいと思います。
  39. 奧村又十郎

    奧村委員 それではイギリス、ドイツ、特に日本と同じ敗戦国家として資本蓄積を急いだ西ドイツにおいても、いろいろな制度考えたようであるが、両ドイツ、イギリスはどういう制度をとったか、大臣から御答弁を願いたい。
  40. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 イギリスにおきましては、国家貯蓄債券の利子、納税準備証券利子、その他若干の公債利子免税になっております。それから西ドイツにおきまして免税されておる利子は、連邦債券、大蔵証券、州債券及び州証券の各利子及び特定の確定利附証券、質権証券、工業債券等の各利子免税になっております。
  41. 奧村又十郎

    奧村委員 世界にかつて例のない、日本においても例のないことを大蔵大臣が断行しようとしておられる以上は、十二分にこれらのことを御研究になって腹を固められたものと私は考えるから、特に大蔵大臣にこれらのことをお尋ねするのであるが、どうも大蔵大臣は、そういうことを十分に御研究にならなかったように思う。そこで大蔵大臣が今なさろうとする預金利子全免の制度は、租税公平原則をいかに打ち破るかということをどう考えておられるか。そこですでに十万円までの預貯金は、国民貯蓄組合として免税になっている。十万円までの郵便貯金これはまた免税になっている。といたしますと、わずかに課税されるのは十万円以上の預貯金である。十万円以上の預貯金を持っておられる人というものは高額所得者である。ことに近来金融機関は、大臣御存じのことと思うが、一口十万円である、家族が十人あれば十人の家族にみな名前を書きかえて預ける、そうすれば、百万円の預金を持っている人も十万円ずつに小口にわけて預金している、従ってこれが十万円以上越えて課税されるような預貯金を持っている人はよほどの財産家である。この財産家だけに免税をする、今度免税の恩典を受ける。今までは低額の預金者に免税の特別の規定があったのだが、今度はそういう財産家に免税しよう。これではたして公平の原則が守れるか。そこで日本所得税法で、これだけは税金をかけないというような特別の例外規定はほかにありますか。
  42. 渡辺喜久造

    渡辺政府委員 どういう所得に対して課税をしていないか、これは所得税の問題でありますが、これにつきましては、奧村委員のように十分御承知の方に申し上げるのはいかがかと思いますが、昔からありましたものとしまして傷病者の恩給、遺族の恩給、年金、旅費、学資金、法定扶養料、それから郵便貯金利子、それから二十八年のときに、現在の法律の建前でありますと、有価証券の譲渡所得につきましては、原則的には課税する建前になっておりましたが、あのときの改正でそれを課税しないことにした。あとは今御指摘になりました貯蓄組合の場合に、十万円以下の貯金につきまして、それを限度としまして免税している。そういうところがおもなものであると思います。
  43. 奧村又十郎

    奧村委員 ただいまの法律によって課税を免除されているものは、今主税局長の言われた通り、主として税法上の原則からこういうものは担税力がないというので免税してある。ところが今回高額の預貯金を持っている、豊かな金を銀行に預けておって、これの利子を受け取る。こういう利子を受けるのは、言葉は悪いが、不労所得と申しますか、これは勤労者の所得と比べると楽な所得なんです。その楽な所得にはごしんぼう願って、税金一つできるだけ負担していただこう、こういうことなんです。それをことさらに今回税金をかけない、租税特別措置法でかけないという。そこで今までは公平の原則でかけない。負担力がないからかけない、こういう意味でかけないのだが、経済政策資本蓄積のためにかけない、全然課税を免除するような規定はほかにありますか。
  44. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 その点につきまして、政府委員から今説明をさせます。
  45. 渡辺喜久造

    渡辺政府委員 経済政策的な観点から税を全然とらないという制度につきましては、奧村委員よく御存じだと思いますが、古い制度といたしまして、重要物産の製造免税という制度がありまして、これは政令で幾つか業種を指定してございます。開業当時から三年間、あるいは増設しました場合にその年から三年間、これは税金を免除する、こういったような規定があります。先ほどちょっと申しました有価証券の譲渡所得に課税をしないというのは、これは必ずしも租税の負担能力の面から出てきております非課税とは言い切れないのじゃないか。もちろん所得税におきましてどういう建前をとるかという問題も一つございますが、今の日本の所得税がとっております建前からいたしますれば、これは課税すべきものである。しかし経済政策とかいろいろな点がありまして、御承知のようにシャウプ勧告による税制改正の場合におきましては、課税することになっておりましたが、これは民間の資本蓄積というものを考えまして、一応現存課税しておらぬ、こういう例があります。
  46. 奧村又十郎

    奧村委員 それでは大蔵大臣お尋ねします。農民に対しては農業課税で、たんぼ、あるいは畑を持っておる者は耕作反万別に応じてみた所得税がかかる義務がある。あるいは給与所得者は月給から天引きで税金がかかる。中小企業者は申告の義務があって、もちろん中小企業者も苦しい税金を負担しておる、法人税を持っておる。銀行へたくさんの金を預けてその利子で生活しておる人は、所得税を今度は全免しよう。所得税を全免すれば、住民税も所得割はほとんどかからぬ。国に対しても地方公共団体に対しても税金の義務というものは全然免れる。それは住民税の人頭割はかかるかもしれないが、それ以外にはかからぬ。そういうふうなことをやって公平原則が保たれますか。大蔵大臣お尋ねをしたい。
  47. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 脚税の公平、この点から申し上げますれば、今お問いがありました通り、私もその点は公平ではないとやはり思っております。ただそこでごく短かい期間にいたしたのでありますが、それにもかかわらずなぜそういうふうに考えるかということを申し上げますれば、私今日何としても資本蓄積が十分あることによって、国民の税の負担の軽減を可能ならしむるし、事業もうまくいくようになるし、従ってまた雇用の機会もふえてくる、こういうふうな点、今日資金がないからということによって、いかに国並びに国民生活がうまくいっていないかというその見地に立ちまして、ここは税理論の上からいえば公平を欠く点があるが、そういうふうな大きな一つ政策を実現するために、今提案をしてあるように、税の免除をすることが適当であろう。こう考えておるからであります。
  48. 奧村又十郎

    奧村委員 それじゃ預金利子に対しては税を全免する。これは昭和三十一年三月まで全免するといたしますと、所得税法第五十九条の預金者は、その名前あるいは預金金額を金融機関に届け出る義務がある。金融機関はまた所得税法第六十一条で、源泉徴収で所得税を取った分については、これは税務署へ支払い調査を提出する義務がある、こういうことになっておる。ところが預金利子に対する税を全免するならばこういう義務はなくなるというふうに思うのだが、もうそういう一々届だとか報告はやめるのか。
  49. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 現在もそういう義務はないわけです。
  50. 奧村又十郎

    奧村委員 現在もない。そうすると所得税法第五十九条、第六十一条は空文になっておりますか。
  51. 渡辺喜久造

    渡辺政府委員 租税特別措置法におきまして、その規定を適用しないことになっております。
  52. 奧村又十郎

    奧村委員 それでは主税局長お尋ねします。現存源泉徴収で納めておる金融機関は、それも報告の義務はないのですか。
  53. 渡辺喜久造

    渡辺政府委員 ただいまお話しになりました規定につきましては、二十八年の国会のときの問題だと思いますが、それまで総合課税制度をとっておりました。それが、源泉選択の制度だけが別途認められておったわけでありますが、二十八年に国会修正がございまして、その機会に現在やっております制度、いわゆる分離課税になりまして、総合課税制度をやめまして、そうして一応通常の預金の利子でありますと一割だけ源泉課税して、総合課税をしない。こういう建前になっております。臨時的制度でございますが、この分離課税制度をとっておる場合におきましては、今御指摘になりました一々の個人の名前を云々といった制度はとめております。従いまして現在におきましては、銀行が自分でもって支払った預金全体につきましては、どれだけ徴収したかというその徴収した金学を徴収高計算書を出しまして税金を納めておりますが、個々の人の名前といったような問題につきましては、現在の制度では実はとまっておるわけです。
  54. 奧村又十郎

    奧村委員 それではその問題はまだ疑義がありますが、私も条文を調べた上で重ねてお尋ねいたしたいと思います。  大蔵大臣お尋ねいたしますが、ただいまの主税局長答弁通りであるとすれば、銀行へ預金をしておる人は報告の義務もない。またその利子に対しては税金を払う義務もない。税の面からは全然これは関係がない。こういうことになるのでありますが、そこでこれはわれわれ所得税だけでな上に、地方税のことも考えなければならない。現在地方においていわれることは、月給生活者は給料から、大引きして税金がかかるから、これは一文も隠すことはできない。ところがそうでない、特に財産家の人はどうしても税金が隠れるというので、地方の市民税とか、町民税がかかってくるときは、ほんの二万円そこそこの月給取りにうんと町民税、市民税がかかる。隣の月給生活者でない人はほとんどかからぬ。非常に税の不公平がやかましい。ところが今度は、法律上はっきり銀行へ金を預けておる人は税金はいらぬ。こういうことになさいますと、今までなら、それは所得はあるのだろうが、税務署が調べようと思っても調べられぬということがありますけれども、今度は、法律上はそういう人は税金をかけぬ。こういうことで、法律で認めて片一方は税金をかける、片一方は税金をかけぬ。そういうことをして公平が保たれるか。大臣は、保てぬということはわかっておられるが、そこでそういう犠牲を払ってでもなおこの資本蓄積が大事か、資本蓄積の効果、フラスの面は、これはまたゆるゆるとお聞きいたしますが、そのマイナスの面、租税公平原則を大きく破ってそういうことにしておいて、地方の税務職員に、公平に税を取れ、国家財政の確立のために税を取れといって、税務職員は税を取れますか。これはまたあとでお尋ねしますが、渡辺主税局長が最近日本経済新聞社から、税の理論と実際という単行本を出しておる。アダム・スミスの課税原則のうち、公平を第一原則に置いている、公平ほど大切なものはない。そこで税務署員の第一線に立つ者として、隣の家との比較を言われるのが一番つらい、それじゃ仕事ができぬ。現在給与所得看とその他の所得者との間に住民税で非常に不公平がある、こういうことをしみじみとあなたの部下の主税局長が本に書いておるが、なぜこの不公平な制度法律できめるのか。それで税務行政がやっていけますか。
  55. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 これは先ほど申しましたように、十分一般の深い理解をいただかないと、単に税の公平という見地からだけではいいとも言えないことは申すまでもないのであります。何としても今日、日本経済の再建を妨げておる一つに、やはり金利の高いということがあるのであります。これを今のままにしておいては、金利が急に下るというふうにもなかなか考えにくい。それから税の公平は——広い意味で完全にそういうふうになった場合に、預金利子というものはずっと下る。そして、そういうふうな預金をするという意味は、結局自分の欲望を押えて資本蓄積に参加をして、これを国の産業のために一つ十分に使ってほしい、こういう態度をされるわけなんですから——しかもその報酬は非常に安い。今日三カ月の定期で年四分でありますが、これがうんと下っていく、また下げるべきだ。そうして見ると、そういう大きな見地から考えた場合に、特にこれが優遇されるということもないのじゃないか。こういうふうにして、私は日本の再建の一番基本綿を確立していきたいというのが考えのもとであります。
  56. 奧村又十郎

    奧村委員 私のお尋ねしたのは、そういう資本蓄積第一ということをお聞きするのじゃなしに、こういう不公平な制度で税務行政がうまくいくか、税金がこれでとれますか、それをお聞きしておる。
  57. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 それは今申しましたように、十分の理解を受ければ、私はいくと確信しております。
  58. 奧村又十郎

    奧村委員 それでは大臣はこういうことをお考えですか。税の理論には、財産所得重課の原則がある。つまり勤労所得の方々は、からだをかけて、勤労によって所得がある。ところが財産所得——土地、家屋、特に銀行預金、公社債、こういう財産を持っておる人は、その財産というものはなくならぬ。ところが勤労者というものは、病気になって寝たらそれで月給はもらえぬ。財産所得というものは世襲的に長続きをする。その財産から生み出す所得は不労所得だ。こういう永続的な楽に生み出してくる所得には、特に税金を重くかけて、ご苦労だがこれはごしんぼうを願う、これが税の根本原則です。従って家屋、土地には固定資産税がかかっておる。あるいはその他みなかかっておるが、同じ資産所得である預金の利子収入にだけ税金をかけない。こういうやり方だが、資本蓄積にはまだほかに方法があるはずだが、その御苦心をなさったかどうか。たとえば西ドイツにおいては、同じ税の政策資本蓄積をするのでも、もっと低額所得者を潤すような方法をとっておりますが、大臣はそれをお考えになったかどうか。
  59. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 お答えいたします。資本蓄積に関するいろいろな政策については、前の自由党内閣もできるだけのことをなさっておると私も思います。そうして今後においてもそういう施策をしなければならぬことはもちろんでありますが、それだからといって——私はこの施策は非常に基本的なもので、この考え方は前から、むろん意見の相違の方もありましょうが、相当各方面においてぜひやってほしいという考え方もあったのであります。決して他の施策をやらぬというわけではありませんが、私はこれが最も基本政策だという意味において取り上げたのであります。
  60. 奧村又十郎

    奧村委員 もちろん自由党内閣においても、資本蓄積政策として、預金利子に対する税の減免を考え、また公約しておりました。しかし全免ではありません、減免であります。また一方において、これと並行して金利の引き下げ、あるいは財政投融資の拡大をやっておる。つまりプラスの面をもっと大きくわれわれは見出していこう。こういうふうに考えておるので、大蔵大臣のように、われわれはそう簡単に事ができるとは思わない。ただいまお尋ねをいたしますと、どうも大臣各国のいろいろな例とか、日本の今までの税の制度について十分な御研究をなさらずに、この大事なことを今唐突にやろうとしておる。私はそれに非常に疑念を持つわけです。もう一年お待ちになって、慎重に来年おやりになられたらいかがなものでございますか。資本蓄積の大事なことは今までも変りはない。だんだん蓄積が進んで金融が正常化しかかっているこの際に、ことしあわててこれをやらなければならぬという理由がどこにありますか。
  61. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 来年やったらどうかという御意向、私は大体考え方が同じだと思いますが、私はことしの方がよい、こういうときたやるべきだと思います。なぜかといえば、物価もここでずっと安定をさせて、言いかえれば今後の国際競争力の上からも、物価政策の上からいっても、消費の節約という行き方はどうしても進めていかなければいかぬ。そうして今日資本蓄積がようやく緒につこうというときたこの施策をやることによって私は民間資本蓄積を累増させることができるだろう、こういう考え方からきているのであります。従いまして意見の相違はありましょうが、私は今日始めていきたい、こういう考えであります。
  62. 奧村又十郎

    奧村委員 近ごろ新聞紙上によく出ておりますが、政府は銀行の貸出利率の引き下げを意図しておられるようですが、この銀行の貸出利率の引き下げと今回の預金利子に対する課税の全免とは関連しておるのかどうか、その点をお伺いいたします。
  63. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 今日金利を引き下げるように言っておりますが、むろんこれは、かりにこの施策がなくても、私はやはり銀行が経営の合理化をして、少しでも金利を下げるように希望しておるのであります。こういう施策をすることによって一そう金利が下ってくる、また下げるべきだという立場をとっております。
  64. 奧村又十郎

    奧村委員 大蔵大臣日本銀行の総裁であられたときにたびたび言われた言葉が新聞に出て、私どもも拝見しております。というのは、財政のしわ寄せを金融にしてくれて困るということを日本銀行総裁時代に言われたが、今度の政策は、金融のしわ寄せを租税政策持ち込んでおられる。それで、金融さえうまく行ったら、銀行の正常状態ができたら、一国の大事な財政政策の基本である租税政策がじゅうりんされてもいいとあなたはお考えになっておるか、お尋ねいたします。
  65. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私は、決して金融租税政策をどうするというわけではないと思います。ごく短かい期間で、臨機的な措置としてやるので、租税のあるべき姿はあくまで通すべきだ、こういう考えであります。
  66. 奧村又十郎

    奧村委員 まだ質疑が残っておりますが、同僚委員その他委員の御質疑があるようでありますから、私はこれで一旦保留いたします。
  67. 松原喜之次

  68. 小山長規

    小山(長)委員 ただいま同僚奧村委員からるる租税政策について質問があり、そして今度の特に預貯金利子についての所得税の全免ということについては、大臣租税公平原則を明らかに破っておる、こういうことはお認めになったのであります。自由党におきましても、むろん資本蓄積のための租税の減免ということは考えておったのでありますが、それは今政府から提案されておりますように、所得税を預貯金利子公社債利子に関する限りは全面的に免除する、こういう考えとは必ずしも一致していなかったのであります。それは、たとえば西ドイツに行われておりますがごとくに、五万円見当の預貯金に対して、租税をその人の所得から差し引いて、それによって資本蓄積をやっていこうじゃないかというような考え方もあったのでありますが、民主党政府においては、そういうことは全然御考慮なくして、ただ単に預貯金なり公社債利子免税すれば資本蓄積ができるのだ、そういうふうにお考えになったのでありますか、まずそれからお伺いしてみたいのであります。
  69. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私は今回の措置で預貯金が必ず増加すると確信しております。
  70. 小山長規

    小山(長)委員 それは私の質問と違う。大臣の方では、そういう二つの考え方があったのであるが、それを比較考量して、いずれの側がいいかということをお考えの上でこの案になったのか。五万円か三万円かは、これは租税の減免の問題で、計数はわかりませんが、少額の預貯金者の預金を集めることによって、片方に減税をし、片方において資本蓄積をやろうという考え方があるのであります。そのことも御考量願ったかどうか。そして、その上でその案はとらないということになってこういうふうになったのかどうか。その点をお伺いしたわけであります。
  71. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 今おっしゃった点は十分考慮いたしたわけであります。
  72. 小山長規

    小山(長)委員 それをお考えになって、しかも片方の案、いわゆる少額預貯金の分を所得から減免するという方法は、資本蓄積のためによくないとか、あるいはこちらの方が資本蓄積のために有利であるとか、その比較考量はどういうところから出て参りましょうか。
  73. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 この預貯金等につきまして、従来相当減免の措置をとっておるのでありますが、ここで資本蓄積を飛躍的に行うためには、もう一つ踏み切って免除をした方がいいという結論から、こういう措置になったわけであります。
  74. 小山長規

    小山(長)委員 それは一応伺っておきますが、さらにただいま同僚の奧村委員からもありましたように、自由党考えておりましたときには、この預貯金の利子の税の減免の方法によって、あるいは免税の方法によって資本蓄積したならば、その資本蓄積は、日本の生産の拡大のために使うということがその裏打ちとしてあったのであります。ところが大蔵大臣の本会議における御説明を聞きましても、予算委員会における御説明を聞きましても、一体その資本をどういうふうに使っていくのかということについては、何らの御施策がないようでありますが、その点はどういうふうにお考えになりますか。
  75. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 その点につきまして、これは考え方の、あるいはまた行き方の違いと思うのであります。むろん国家あるいは国民経済から見て、重要な方面に重点的にこういう資金が流れ込む措置をとらなくてはならぬことは言うまでもありません。ただそれを、初めからこういう措置をとろう。そうするとその反対に、こういうふうにこの金は締ってしまうぞという行き方で行くのがいいのか。もう一つは、私はここは資本蓄積をまず先行させて、そうして金融という性質から見まして、今回経審に投融資に対する一つの指導機関が中央にできます。どういうふうな名前になりますか、投融資協議会というような仮称で新聞に出ておりますが、ここで、日本全体の総合的計画から見てどういう事業に、どういうタイミングで、どういう程度資金を注入すべきかということが策定されてそこで指導があり、それを今日あります民間の自主的な融資規制委員会というのが受けて、資金をそのように流すようにする。そういうふうな程度のことが資本蓄積の意欲と金融界その他に一そう起させるゆえんではなかろうか、こういうふうに考えておるのであります。ただ、しかしその際に、かりに思うように資金が流れぬとすれば、これはそのときに必要な措置をとるつもりをいたしております。このことは財政演説にも申しておいたわけであります。
  76. 小山長規

    小山(長)委員 その投融資協議会というのは、官制の上において確固たる権限を持ち、また行政機関として金融界を指導するだけの力を持ったものをお作りになるのでありますか。
  77. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 今度経済審議庁が経済企画庁のように改組されて、そして総合的な経済計画、これにはやはり資金の裏づけが当然考えられる。そこでこれが、行政庁に対して勧告もできる、こういうふうなものになるのであります。この中の投融資協議会がそういうことに当るのですが、この協議会には、それぞれの関係省もむろん入るわけです。それが行政的指導で金融機関に行く。金融機関はそれを受けて、金融機関の受ける形は今の段階ではやはり自主的な——金融界に自主性を持たせて投融資規制委員会でやったらよかろう。しかしもしもそれがうまくいかぬ場合は、私はこういう措置をとる。その限りにおきまして、資本蓄積とともに資金が集まる。その資金は当然国家的、国民経済的に流れるべきだという前提に立ちますから、それが実現できるような必要な措置をとる。こういうふうに、ともかくここで資本蓄積の意欲が国民をあげて起るようにまずしよう、こういう考え方をいたしております。
  78. 小山長規

    小山(長)委員 少し角度を変えてただいまの問題を申し上げてみますが、かりに預貯金の利子に対する免税でもって預貯金がふえたといたします場合に、現在の金融機関は現在の経済に対して、あるいは産業に対して非常に不安を持っております。必要以上な不安感を持っておるようであります。従って預金がふえてきました場合には、金融機関はまず何を考えるかというと、現在日銀から借り入れておるところの高率適用の資金を返そうと考えるにきまっている。そうすれば、預貯金がふえましても、現在の産業界において少し資金を注入すれば立ち直るようなところも、みすみす見殺しになってしまう。その点については、この預貯金がふえた跡の始末を、大蔵大臣としてはその金がさらに産業界に還元されるように考えられるのか、それとも日銀の返済をまず先にやらせようと考えるのか、いずれでありますか。
  79. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 いずれを先にするかというような問題は、一がいに私が言うべきではないと思います。大体明年度資本蓄積の目標は、約八千億であります。日本銀行に私がおりました当時の四十億程度の貸し出しが、今は二千億を削る状況であります。私はそう大きな返金が次々にあるようにも思っておらない。まあ千億くらいはあるいはあるかもしれな。しかし去年の国庫の支払い超過が、外為も加えて約千九百億、それを大体去年は日本銀行で引き揚げて、貸し出しは千六百億程度であります。こういうふうになっております。三十年度財政の払い超はそうはありませんですから、日本銀行の財政面からする引き揚げも、そういう状態ですから、私は十分日本銀行にも返し、かつ産業にも十分還元し得る、こういうように考えております。
  80. 小山長規

    小山(長)委員 問題の分れ目はそこにあるのであります。つまり金融機関が、集まった金をただ任意に、自分たちの金融機関の安全のためにこの金を使うということであるならば、この租税の公平の原則を破っておるところのこの租税制度というものは、何ら意味がないということになる。それはただ単に金融機関に資金を集めて、そうしてただ金融機関の組織を固めるだけのことです。国民経済を潤すということは考えられない。この二つの両面相待ったところの——集まった金は国民経済に対して再投入する、あるいはつぶれかかっておるところの中小企業を救う、あるいは日本の今後の伸びるべきところの産業を助長していく。その裏打ちがない限りは、ただいま奥村委員が言われたように、これは租税原則からいったら全く最悪の税法なんです。改悪なのであります。その最悪の方法をとってまでなおかつやらんとするならば、そこに最善のさらに善がなければならぬ。ただ単に金融機関の恣意にまかせておる、金融機関の任意にまかせておる、甘っちょろい行政指導でただそれを指導していくというようなことでは、そのような悪い税法改正をした意味がないのであります。従って大蔵大臣たるものは、すでに奥村委員との問答によってあなたが自分で認められております通りに、公平の原則を破り、そして租税政策として最も悪い方法をとっておるのでありますから、これにかわるべき、さらにもっともっとこれをカバーすべき善の善なるものを腹中に持っていなければならぬ。それをただ単に、ただいま申されましたように投融資協議会で行政指導をする、しかもそれは直接金融機関に対して命令権を持っていないというようなことで、どうして国民に対して納得させることができますか。
  81. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 お答え申しますが、考え方は私は全く同じだと思う。ただその考え方を実現する方法が、どうすれば実際的に一番効果的であるかという点について御意見が違う。もう少しはっきりと、たとえばこういうふうな措置によってこういう程度預貯金がふえるだろう。そうすると、預貯金のふえたものはこういうようなふうに入れて、何かプールでもして、そしてこれはこういうふうに使うようにしたらとかいうようにはっきりした方がいいじゃないかという御意見じゃないかと私は推測するのであります。それも私一つ考え方として間違いがないと思うのです。ただ私の考え方は、これは一つの経験的なものになりますが、私の従来の経験からすれば、どうもそういうふうにしてやるよりも、ここでは資本蓄積をやらせる。これをやれば、今後緊縮予算も続きますし、デフレ的な何でそう資金の需要がふえることも必ずしもないので、銀行としてもどうしても金を産業の方に回さなくてはならぬ。金利も安くなり、資金も豊富になり、金融も円滑になる、こういう形を表わす。そこでそれに方向づけるために、それは経審の総合的な計画に基いてやる。私は命令融資的な形になるのは避けた方がいいと思う。そうしないと、それは結局銀行の公共性の問題に返るので、銀行経営者がこういう措置を受ける以上は、十分その点に目ざめて、経営を国民経済的な見地に従来よりもより強く立って経営してもらう、これが何よりも必要じゃないか。銀行の金というものは、何も銀行の金じゃない、国民資本なんだから、これを産業に最もよく運営してほしいという信託関係がほんとうはあるのでありますから、こういうことがあろうがなかろうが、やらんとすることは何とかしなくてはならぬという考え方も起るのですけれども、しかし全体の経済の基調から見て今申したようなところで出発をして、そして今おっしゃったような銀行経営の基本を改善するようにやっていきたい、こういう考え方にいたしておるのであります。
  82. 松原喜之次

    松原委員長 ちょっと小山君に申し上げます。もう持ち時間が来ておりますが、もう一回だけ許しますから、そういうふうなお含みで願います。
  83. 小山長規

    小山(長)委員 結論が出ない前に発言を制限されますと、非常に迷惑であります。  ただいま長い御返事がありましたが、結局ただ方法論の違いであるということであるとすれば、せっかくこれだけの恩典を預金者あるいは銀行に与えた以上は、その資金が国家目的に使われるようにすることが正しいのであるということについては、大臣も同意見のようであります。しからば、その増加された預金の一定部分を一たん政府において吸収しておいて、そうして、日本経済の拡大の役に立つ、あるいは現下最も困っておるところの中小企業者の金融に便ならしむるがごとくにこれを使うということは、大臣の方針と違いますかどうですか。その点をひとつお伺いいたしたい。
  84. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 使途の点については、私は先ほど申しましたように、皆さんのお考えと違うことはないと思うただ私は、ここで一つの強制的なといいますか、法的な措置をとってある意味において命令融資的な形をとることは避けた方がよかろう、こういうわけであります。
  85. 小山長規

    小山(長)委員 そこで、少し追い詰めたようでありますが、命令融資的なとは私は申しませんが、少くともこの方法によって増加された預金は、国家の意思によってこれを運用するような方法をとるということは、大蔵大臣はあなたの運命をかけて、あるいは地位をかけて反対をするような筋合いのものでありますか。——もう一度申し上げますが、命令融資的な方法をとることは、あなたは反対だと言われる。それは一応反対でありましょう。一応反対でありましょうが、これは内閣の運命をかけてまで反対しなければならぬような重大事項であるかどうかということです。
  86. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私は私の所信といたしまして、そういうふうな強硬的な方法をとることは考えておりませんですから、そういうことがあったときどうするかということも考えておりません。
  87. 小山長規

    小山(長)委員 それではその次の質問に移ります。この預貯金の利子免税の恩典を受ける者は預金者です。先ほどるる皆さんが申されましたように預金者であります。この預貯金の利子免税した以上は、その預貯金者にその利益を与える必要はないのじゃないか。これは大臣もしばしば言われる通り、貸出金利を引き下げようということを盛んに言われている以上は、この預貯金の利子免税分だけむしろ引き下げて、それによって貸出金利の引き下げをさらに助長されたらどうですか。
  88. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 失礼ですが御質問は、税金の分だけを預貯金の金利で下げて、そして貸出金利を下げればいい。今は預貯金の利子は、貸出金利に比べてそんなに高いというわけではないのであります。三カ月の定期で年四分であります。今日この金を苦しい生活のうちから、あるいはまた利益もそれほどないのに日本の今日の国民が銀行預金をするということは、これは大小にかかわらず非常に消費の節約をした結果そういう利殖もできるのですよ、苦しい中をさいてする、その報酬年四分ということですから、それをさらに引下げて、そして貸出金利を下げる、これは私は、資本蓄積はなかなかそういう形ではやれないというふうに考えておるわけです。
  89. 小山長規

    小山(長)委員 ただ私が申し上げておきたいことは、貸出金利を下げるということは、大臣がいろいろやっておられるようだけれども、なかなか金融界の反対が強くてできないのであります。あるいは一部にはできるでありましょう。並手形の九十日手形くらいは一厘金利を下げるようなことを最近新聞も出しておる。しかし国民の側がほんとうにほしいのは、今現在この最高金利の規制外にあるところの百万円以下の貸出金利なんですよ。貸出金利の引き下げの対象になるのは、一口百万円をこえる貸出金利なんです。百万円以下の貸出金利は野放しになっているのです。そのものまで引下げようとすれば、預金の金利が下ることが一番早道なんです。これだけの悪法をやって、そして納税者に納得せしめ、そして国民に申訳をしようとするならば、そのくらいのことをもうひとつ思い切ってやられたらどうですか。
  90. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 お答えしますが、むろん預貯金の金利も、この措置を実行していけば下る、そうして貸出金利も下る、こういうことになるのであります。今そういう踏み出しをするためにこの措置を必要とする、こういうふうに御理解願いたい。
  91. 小山長規

    小山(長)委員 私が申し上げておるのは、貸出金利の引き下げ引き下げとおっしゃるけれども、これは一口百万円以上の貸出金利のことなのです。百万円以下の貸出金利は野放しになっておる、御存じでしょう。その預貯金の利子の税の減免した分だけもしも引き下げをやるという勇断をふるわれたならば、その百万円以下の貸出金利は下るんじゃないかということを言っておるのです。
  92. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 むろん貸出金利につきましても、百万円以下の金利についても、これは下げるように努力をする、今貸出金利を下げるにしても、まだこの措置法も実行しておるわけでもありませんし、今すぐにすべての金利を一挙にずっとやると、非常に変動が激し過ぎて、また事実金融界自体もやれないでしょう。金融界自体もやれないですから、金利を今の現状において下げ得るところからやる。そうしてこういう措置も伴うに連れてずっと預貯金も、全体の貸出金利も下るというふうに御理解願いたいのであります。
  93. 小山長規

    小山(長)委員 そうすると、大臣の貸出金利の引き下げは、新聞で書いてあるような意気込みのすさまじいものじゃないのですね。新本日銀総裁が言っておる程度の、いわゆる銀行が自発的にやるのを待っておるという程度の微温的なものであって、大蔵大臣の権限をふるってでもこの貸出金利は下げていくんだ、そのためにこそこれだけの犠牲を払うんだというような、そういう強い腹づもりではないのでありますか。
  94. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 お答えします。いや何も大蔵大臣が権限をふるわなくてもいいのです。事実下るのです。そうして下げるように指導しておるのでありまして、何も常に大蔵大臣がだんびらを振り回して陣頭指揮をしなくても、金利というようなものが政府の方針に従って下っていくということであれば、それでいいじゃないでしょうか。
  95. 小山長規

    小山(長)委員 結論がその通り出ればよろしいのであります。その通り出ればよろしいのでありますが、さてその通り出るか出ないかわからないから、もっとうまい方法をお考えにならないか、もしあなたの方でいいお考えがないならば、自由党にはちゃんとしたいい案がありますということ、これを申し上げます。  次にもう一つ申し上げておきたいことは、先ほど来たびたび出て参りますように、公社債あるいは頂貯金利子というものについて免税をされますが、資本蓄積というのは、預金の増強だけじゃないのであります。株式資本もあるのであります。その株式資本に対しては何らの優遇がない。あなたはおそらく源泉徴収一割五分を五%に負けたじゃないか、あるいはまた去年の税制改革において、この資本の繰り入れについては税金を課さないことにしたじゃないか、あるいは二割五分の控除があるじゃないかということを言われるだろうと思うけれども、これはあらかじめ申し上げておきますが、これは、そのときには同じように預金利子を分離課税にするとか、あるいは一〇%にするとか、五%にするとか、並行した方法をやってきたのであります。今度は今までの一五%を一〇%にするだけのことで、それはあとで総合課税にしてとられてしまうのであります。従いまして今度の方法は、株式の所得者に対しては全く優遇措置は講じていないと言っても過言でない。しかも大臣初め内閣では、オーバー・ボローイングということを盛んに言われる。オーバー・ローンのほかにオーバー・ボローイングがあって困っておるのであります。ところが、預貯金の方を優遇していきますならば、預貯金はふえるかもしれない、預貯金はふえるかもしれませんが、株式資本の増加という方は、おそらく今よりもさらに進展するということは考えられない。しからばこの株式資本が必要とするところの資金は、これまた金融機関に求めなければならぬ。そうしますならば、オーバー・ボローイングはさらにふえるだけじゃありませんか。従って、毒を食らわばさらまでという言葉がありますが、同じ毒を食ったのならば、株式配当に対してなぜ同じような減免措置あるいは優遇措置を講ぜられなかったか、あるいはそれを講ぜられるお気持がありますかどうですか、それをお伺いしたい。
  96. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 お答えします。株式に対します今日までの優遇措置については、すでに今お話がありましたから私申し述べませんが、私ども考えでは、預金というものと株式配当というものとは、やはり根本的に性格を異にしておるし、あるいはまた同じ資本蓄積の形態でも、預金と株式とは性格を異にしておる。だから税の構成の上でどういうふうにするかということは、これはなかなか私はむずかしい点ががあると思う。また株式配当その他株式に関するいろいろな優遇措置と、預金に対する、あるいは預金利子に対する税制上の優遇措置が、従来必ず均衡をぴちっと得て非常に理想的なもの、だという点も、これはやはりなお検討の余地がある。私ども考えとしては、株式の配当並びに株式募集等についてすでに優遇の措置を与えており、なお今回においては法人税も下げられておる。こういうふうな形をとっておりまして、今回の預貯金に対する関係とも均衡を十分に得ておる。特に私がこういう点について申し上げたいのは、一般的な金利が低下するということと株式の関係が、これはそう無関係のものではないのでありまして、貸出金利が下り、預金利子が下るということは、これは株式には非常に有利な関係に立つのであります。私は今回の総合の措置で十分考慮をいたしておるつもりであります。
  97. 小山長規

    小山(長)委員 それは違うのであります。貸出金利が下ったから株式に利益が出るというのは、間接の間接、さらに間接なんです。私がさっき申し上げたように、預金利子を下げてごらんなさい。これは必ず株式に高利が出る、表面利回りが違ってくるのでありますから……。ただ貸出金利が下ったからといって、現在のところではあるいは下るか下らぬかわからぬ。制度としてのことを論じておるのでありますから、将来の希望的観測を加えておいて、そうしてそこでこちらとこもらと均衡がとれておるのではないかというのは答弁になりません。制度としての比較、均衡を考えなければならぬ。制度として考えますときには、片一方は利息に対しては所得税を全然免除されておる。そうするならば、高額の所得者の場合には、株式を売って社債を買った方がましだ、あるいは預金をした方がましなんです。そうすれば、株式市場といものが衰えることはきまり切っておる。でありますから、株式市場がこれ以上衰えないような方法を、預貯金の所得税免税をやる以上は、当然税制政策として考えなければならぬ。そのことが何らここにわれわれに対する提案として出ておらぬ。この点については、大蔵大臣はわれわれの修正意見に対しては十分に御協力願わなければならぬ。これをもちまして私の質問を終りますが、これに対する御所見を承わりたいと思います。
  98. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 先ほど私が金利のことと株式のことを言うたのでありますが、制度については、質問なさった方がいろいろずっと列挙されまして、いずれそういうことを言うだろうけれどもというようなお話でしたから、それはやめましたが、こういうふうなこともやはり考慮の中には入るという意味で申し上げたのですから、その点だけはお取り上げに……。(「答弁にならぬ」と呼ぶ者あり)  それから私の考えでは、株式に関する税法上の措置と今回の預金利息に対する免税の点は、各般の事情を考えて十分均衡を得ておる、こういうように考えておるわけであります。
  99. 小山長規

    小山(長)委員 私はこれでやめるつもりでありましたけれども、もう一つ言わなければならぬ。この株式の問題については、今度の場合税制上何らの考慮が払われておらぬ。ただ単に一五%の源泉徴収を五%だけ負けてやった。これだけの話なのでありますから、この資本蓄積という大前提を認めるにしても、あまりにもこれは片手落ちじゃないか。当然に片方においてその考慮がなさるべきものを忘れて提案されたのであろうから、われわれがこれをもっと公平な処遇をする場合には、大蔵大臣としては当然考慮しなければならぬだろうと思います。その御所見はいかんということをお伺いしたいのであります。
  100. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 御答弁します。私としましては、先ほどからたびたび申し上げますように、その点についてはよく考慮いたしておるのであります。従いまして、そういう修正があるということも考えていないわけであります。
  101. 松原喜之次

    松原委員長 奥村公務員より議事進行について発言を求められておりますので、これを許します。
  102. 奧村又十郎

    奧村委員 先ほど来の大蔵大臣答弁では、御熱心に御答弁のことと思いますが、具体的な、的確な御答弁が足りない。それでつい一つのことをお尋ねすることを、回りくどく三回も四回も角度を変えてお尋ねしなければならぬ。われわれは何も大蔵大臣に反対のための反対をしたり、時間を延ばしていじめようというような考えはないのですが、どうも的確な御答弁がない。どうか、この大蔵委員会ではもっと地味に、具体的に御答弁をいただいて、議事進行に御協力を賜わりたい。御要望を申し上げます。
  103. 松原喜之次

  104. 横路節雄

    横路委員 大蔵大臣お尋ねをしますが、昭和三十年度予算説明書の第一ベージには、昭和三十年度国民の総所得の金額が出て、それに伴って一般会計を出して、その割合について出しておれますが、私はもう一つ基礎的な数字についてお尋ねしたいと思いますのは、昭和九年ないし十一年の生産並びに生活水準、戦前に回復するように政府は努力しておるものと思うのでありましてそういう意味で、この際昭和九年ないし十一年に対して、昭和三十年度は生産物資がどうなっているか、さらに生活水準、とりわけいわゆる勤労者の消費水準はどういうふうになっているか、その具体的な数字についてお尋ねをいたします。
  105. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 これは私が記憶をたどって間違ってもいけないですから、数字は後ほど提出いたします。
  106. 横路節雄

    横路委員 それでは具体的な数字についてはあとで私にお出しになるそうそうですから、その数字を見てから、また来週の木曜日大臣の御出席をいただくそうですから、お話いたしたいと思いますが、昭和九年ないし十一年におけるところの勤労所得税は、当時年額千二百円以下は免税になっていたわけです。千二百円以下は免税になっておりまして、しかもその昭和九年ないし十一年のいわゆる納税人員というものは、約九十五万人でございます。そうしますと、この昭和三十年度の所得税が減免された減免されたと言うけれも、昭和九年ないし十一年の免税金額は、年額千二百円以下は免税である。今日大体三百倍、こういうように考えてみれば、だれが考えても、年間三十六万円以下は免税しなければいかぬ。おそらく政府の方で後刻お出しいただきますところの数字は、やはり鉱工業については、生産は一六五%も上ったとかなんとか言うだろうと思う。そうすれば、生産がそういうように昭和十年ないし十一年の約一五〇%、一六〇%に上りていれば、当然その上っているにかかわらず、大臣も御承知の消費水準はそういっていない。一般の勤労者の生活は決して昭和九年ないし十一年にいっていない。そうすれば、当然そのときに課税が年間千二百円以下のものが免税であるとすれば、年間三十六万円以下は免税でなければいかぬ。そうすれば、概算しても月三万円以下は免税でなければならぬのに、月一万八千と一万九千以下は免税で、これでは勤労者に対して減免したということに私はならないと思う。何をもってこれは減免したと言うのであるか。今しきりに大蔵大臣資本蓄積資本蓄積と言う。なるほど資本蓄積のお話はわかった。しかし勤労者だって、わずかな月給の中から預金すればいいが、これは現にできない。昭和九年ないし十一年の水準に対して、一体何を基礎にして勤労所得税の減免をやったのか、生活を根本にしてやったのか、大蔵大臣の所見を承わっておきたい。
  107. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 お説のように、昭和九年—十一年というふうなところまで税負担が軽くなりますことは望ましい。しかし敗戦後の日本は、再建のためにほんとうに費用がいろいろ各方面にいるわけなんです。それがどうしても国民負担の上にのしかかってきて、そうして税が重い。これはひとり勤労大衆ばかりでなく、みんながやはり私は重いと思っております。しかしそういう重いうちでも、やはり今日低額な所得をされる、特に勤労者がお説のように一番お困りになっているだろうという意味で、今日の財政事情が許す限度において、まずそういう方々の税を軽くした、こういうふうに御了解を願えれば、非常に幸いだと思います。
  108. 横路節雄

    横路委員 今大蔵大臣のお話では、別に勤労者の生活水準というものを考えてやったというわけではないわけですな。ただ総体的な国の財政全体から、大体この辺ならいいだろうというのでやったのか、それとも勤労者の所得というものは、大体子供三人、五人世帯であるならば、これだけの生活は必要なんだ、従ってそれ以下は減免だ、こうやったのか、大体見当つけて、この程度ならばいいとやったのか、どっちなんですか。基礎的な数字がはっきりしなければ……。
  109. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私の考えでは、これでいいというわけではないのであります。少しでも勤労者の生活をよくする、こういうふうに考えておるわけであります。
  110. 横路節雄

    横路委員 大へん失礼な話ですが、大蔵大臣は、今勤労者の米の配給は一月何日になっておるか、御存じですか。これは大蔵大臣、非常に大事なんです。この点の配給日数が上昇してこなければ、勤労者の生活はよくならない。大臣、どうですか。
  111. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 ……。
  112. 横路節雄

    横路委員 それでは先ほど大蔵大臣に申し上げました具体的な資料については、できるだけ詳細に一つ出していただきたい。  そこで先ほどから減税についてお話がございまして、総体で、まあことしは三百二十何億か減税をする。しかし実際に酒の税金砂糖消費税、それから揮発油税等を見て、この消費税が非常にふえているわけです。これはいわゆる高額所得者が砂糖を百倍なめて、貧乏人が砂糖をなめないとか、それから労働者は全然酒を飲まないで、高額所得者が酒を飲むとかというなら、これはまだわかるんです。しかしそうではないわけですな。酒の税金にしても、砂糖消費税にしても、とりわけ酒の税金については、先般大蔵委員会でも問題になりましたが、これでもまだ足りない、まだまだできれば大蔵当局としては米をつぶして酒を作りたい、これでもがまんをしている、こういう話なんです。そうすると酒の税金にしても、砂糖消費税にしても、結局これは大衆なわけです。そうすると、あとでいろいろお尋ねしますが、なるほど一部勤労所得税等は減免したでしょう。しかしそれは総体的な上でどちらがよけい減じたかということが問題になると思うのですが、そこで私は大蔵大臣お尋ねしたいのは、三百二十何億か減税はしたが、そのかわり財源として消費税に求めたということになるわけですか、その点一つお尋ねします。
  113. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 酒の造石がふえました結果、税収入がふえる、砂糖がふえたために、税収入がふえる、そういうわけであるのでありますが、私の考えでは、砂糖が入ることによりまして砂糖の値段が安くなるわけです。もしも今日の場合においては、砂糖の輸入を少くすれば、砂糖の値段はぐっと上っていく、こういう情勢であります。一般の物価で考えても同じであります。それから酒の方は密造が非常に多い。この密造をなるべく手きびしく取り締るという方針をとっております。その関係から酒を増石する。従いまして、特に酒を飲む量がふえるというわけでもない。酒を飲む場合において、大っぴらに飲むというふうなことであります。同時にまた勤労所得税を減しますことは、これは具体的にはっきりしております。私は酒の方は、必ずしも消費をせよというわけでもない形もありますので、特に奨励をする意味でもない。現状のところで増収になる、これを税収に立てておるわけであります。
  114. 横路節雄

    横路委員 私は大蔵大臣お尋ねしますが、この減税法案の中で、中小企業に対しては、どういうふうな減税をされたのか、何べん見てもわからぬわけであります。とりわけ中小企業法人については、大企業法人との間に区別して減税してもらいたいということは全国的な要望でもあるし、おそらく大蔵大臣といえども、そういう点についてはいろいろと考えておったろうと思うのですが、その点については何ら区別がないわけですな。これは全然考慮されてないのかどうか、それから民主党内閣としては、中小企業というものに対しては、大企業との問には全然区別してないのか。私は、中小企業を育成するというような問題は、減税金融と二つある。減税についてはどこにしてありますか。中小企業法人についての減税についてしてあるというところがあるならばお示しをいただきたい。
  115. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 減税の面におきましては、低額な所得者はむろん、中小企業も入っております。また専従者の基礎控除を上げておる点も考慮しております。それから個人の事業税を軽減をしております。そういう点等で中小企業についても配慮を加えております。
  116. 横路節雄

    横路委員 中小企業法人についてはどうですか。
  117. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 これは一般法人と同じであります。
  118. 横路節雄

    横路委員 そうすると今のお話では、中小企業法人については、大企業法人と同じに何ら特別減税措置をしなかった、こういうわけですね、私の聞いておるのはそこなのです。なるほど個人事業税については、今あなたの言われるようなこともありましょう。具体的な数字もあるが、ところが問題は中小企業法人なんです。今全国で、たとえば倒産をしていくとか、あるいは五十人とか、六十人とか、百人とか働いている、そういう従業員のいる中小企業はどんどんつぶれていくということが、今日一番問題なんです。その中小企業法人についてはどうなさっているかということです。民主党内閣は、中小企業法人について考えているのか、考えていないのかということです。それはどうなんですか。
  119. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 そこまでは及んでおりません。
  120. 横路節雄

    横路委員 大蔵大臣、大へん恐縮ですが、大蔵大臣の声が小さいのですよ。お疲れかもしれませんけれども……。今のお話は、そうすると民主党内閣としては、中小企業法人については考えておらないということですね。考えておらないということ、そういうように承わっておいていいのですか。
  121. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 これはお言葉ですけれども、そこまで今回は及んでおりません。
  122. 横路節雄

    横路委員 それでは今度の民主党内閣減税だ、減税だといって、資本蓄積だとしきりにさっき自由党の各委員質問に答えておりましたが、中小企業法人については何ら考えてないということなんです。問題は大蔵大臣……(「これからやるんだ。」と呼ぶ者あり)これからやるといって、今やらなかったらだめじゃないか。大蔵大臣に私お尋ねしたいのですが、今日いわゆる中小企業がつぶれるのだ、あるいは中小企業に働いている勤労者の諸君が非常に困っているんだ、こういうのは五十人とか、六十人とか、百人とか、二百人とか、そういうふうな企業が問題なんだ。そこでお尋ねしたいのですが、これは考えてないというのは、金がないからやらないというのですか。たとえば減税をしたいと思っていろいろ当ってみたけれども、どうも税の増徴分がないからやらないというのか。とりあえず中小企業法人については何とかやりくりができるから、そのまま据え置いたというのか。その点はどうなのか。それとも適当なときに補正予算でも組んで、そのときに減免措置でもするというのですか、その点はどうなんですか。
  123. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 今のところ、中小企業法人について税を下げるということは考えておりません。
  124. 横路節雄

    横路委員 そうすると大蔵大臣は、中小企業に対しては、今日その全国的な立場において中小企業の経営実態というものはうまくいっておるのだ、だからとりわけ中小企業に対しては法人税を区別をして下げるとか、そういう点については考慮しなくてもよろしいというのか。そのものの考え方はどこにあるのですか。
  125. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 中小企業法人が困っていないというのでは必ずしもない。お困りになっている方もある。これは当然認めています。しかし、それだからすぐに税を減免していくということは、他との関係、あるいはまた財源の関係というようないろいろな理由から、今回はそこまでは手が延びておらないということを申し上げたのです。
  126. 横路節雄

    横路委員 そうすると、財源がないから中小企業法人については減免をするという措置をとらないというのか。それとも適当に他に財源があるならば減免措置をとることがいいというのか、その点はどうなのですか。はっきりしていただきたいのですよ。
  127. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 これは両方があるのです。財源の点もあります。それから他の個人企業等との関係からもあると思います。
  128. 横路節雄

    横路委員 それでは、これは大蔵大臣御存じだと思いますが、たとえばいろいろ租税についても特別措置をなさっておるわけです。この租税についての特別措置の結果、大企業法人については非常に税率が——ただいま四二%で、今度の改正法案では、政府は四〇%を出しておりますけれど、いろいろ租税の特別措置によってその実効税率というものが非常に下っているわけです。この点は中小企業の場合と大幅に違いまして、現に昭和二十八年十月の中小企業庁の調査でも、銀行は二二%五、電力は二四%七、石炭は二七%三、鉄鋼は二九%、ガラスは二九%八、製紙は三四%六、化学肥料は三五%、海運は四〇%二、造機は三〇%五。銀行たどは今申し上げたような租税の特別措置によって四二%であるけれども、実効税率は二二%五なんです。だから当然今度はこの四二%については据え置いておいても、今私が申し上げたように、ちゃんと租税の特別措置によって、実効税率はこうなっておるのだ。だからもしも四二%を四〇%に下げるという改正法案であるならば、当然中小企業法人に限ってもう少し大幅に下げて、総体の上で、政府の方で税収入財源についていわゆるバランスをとるというならばなんぼでもできる。一体こういうことを御承知大蔵大臣はおやりになっておるのかどうか、その点を私はお尋ねしたい。
  129. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 承知の上でやっております。
  130. 横路節雄

    横路委員 それでは重ねて大蔵大臣お尋ねしますが、あなたの方では、昭和三十年の三月十三日に大蔵省の調査として出しておるわけです。優良大法人というので、金融機関が二一%三、電気、ガスが二一%五、運輸通信は二三%、こうなっておる。あなたの方で十分承知してやっておるということはどういうことなんですか。大企業については租税の特別措置で、こういう実効税率はここまで下っておることは百も承知なんだ。承知の上で将来四二%を四〇%に下げれば、この実効税率はもっと下るにきまっておる。中小企業法人についてはそうはいかぬ。そうすれば民主党の諸君が、やがては中小企業法人についてもめんどうを見てやるというが、こんなことではめんどうを見るどころではない。この一つをもってしても、民主党内閣というものは、中小企業については全然考えていないということになる。だから私は、当然四二%はこのまま据え置いても、中小企業法人については別途にこれを下げるべきだ。大蔵大臣、そうでないですか。私は、日銀総裁なら何とも言いませんが、民主党内閣大蔵大臣なんですから……。そういう意味で、やはり中小企業法人については、今改正案を出しておっても、こういう実態の上に立って考えるべきだと私は思うのです。どうですか。
  131. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 中小企業について特に考える、私も全く同感です。中小企業の階層がやはり苦しんでおるということは、これはまぎれもない。ただしかし今お示しの数字、実効何とか言われた数字ですが、それは私は承知しませんですが……。
  132. 横路節雄

    横路委員 決してこれはあげ足をとるという意味ではないのです。今大蔵大臣は、十分承知の上でやったのだ、こういうお話がありました。中小企業庁の調査は、昭和二十八年の十月で大法人に関する実効税率、昭和三十年三月十三日には大蔵省の調査として、今私が申し上げましたように優良大法人については何々と、こういうことになっている。今大蔵大臣御存じだというから私が言ったので、大蔵大臣御存じでなければまた別なのですけれども、これは全然違うのですか。
  133. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 その数字は私承知いたしておりません。
  134. 渡辺喜久造

    渡辺政府委員 今横路委員のおっしゃいました数字は、新聞へわれわれの方の調査として出たことはあるようでございますが、われわれの方でそれを調査としていたしたことはございません。  それから一言付加さしていただきますが、現在租税措置法でやっておりますいろいろの措置のゆえに、いわゆる実効税率という名前で大法人の方は非常に負担が低いという数字をよく拝見いたしますが、一応租税措置法によりまして軽減されております。これは租税措置法だけではございませんで、法人税法などと一緒なのですが、大きな数字を見て参りますと、貸し倒れ準備金、価格変動準備金、退職給与の引き当て準備金、こういうもので一応大きく税金が減っているわけでありますが、今中小企業庁で出した数字がそういう考え方に立っておりますとしますと、そうした引当金を積み立てる前の利益が正当な利益であって、その後の負担が実質的な負担である、こういう考え方に立つものと思いますが、われわれといたしましては、貸し倒れ準備金にしましても、価格変動準備金にしましても、退職の準備金にしましても、それぞれ会計原則の上におきまして一応これを積み立てるということについて、やはり相当の理由を持っているものであるというふうに思っております。従いまして、これは単なる租税の減免であるというふうにはわれわれ考えておりません。同時に別の角度から見まして、中小企業法人におきましても、実はかつてはこれらの積立金は相当積み立てにくい制度になっておりました。たとえば価格変動準備金にしましても、従来は時価の一割減ということになっておりましたので、時価を一々調べなければ積み立てられなかったのでありますが、現在におきましては、時価と仕入れ価格のいずれか低い方ということになっておりますので、比較的容易に積み立て得る。貸し倒れ準備金にしましても、非常に形式的な計算ができますので、これも積み立て得る。いずれ適当な機会にデータとしてごらん願いたいと思いますが、われわれの調査したところによりますと、最近だんだんこの制度が普及して参りまして、中小企業法人におきましてもこの制度が相当使われております。同じようないわゆる実効税率といった考え方を入れますと、そういう利用をしている会社におきましては、やはりそれが三〇とかあるいはそれ以下とか、いろいろな数字が出て参ります。われわれとしましては、そうした面におきましてああいう制度が大企業だけに特に使われて、中小企業にそれが使われにくい制度であるというふうにはどうも考えられないように思いますし、また同時に中小企業におきましては、個人の負担といわゆる同族会社の負担を比較してみなければならぬ。その面からいたしますと、どうも同族会社の負担の方がむしろ個人の負担の方よりも軽い。従いまして今度の減税におきましては、やはり個人の事業者の負担軽減ということをまず当初考えるべきじゃないか、こういう措置に出たわけであります。  なおもう一つ付言さしていただきますと、先ほどの御議論に出ましたが、現在の制度ですと、法人税はいわば所得税の前取りという考え方になっておりまして、この制度で行きますと、大きな会社におきましても、小さな所得の株主もございますし、いわゆる中小法人におきましても、同族会社であれば相当大きな所得者もある。そうしたいわば税の理屈でございますが、その面からいいまして、大法人、中小企業法人ということで特に税率を区別することは、税理論の上から行きましても適当でない。彼此考えまして、中小法人につきましては、法人税も引き下げるということはもちろんいたしますが、その面で権衡はとっていくべきじゃないか、かように考えておるのであります。
  135. 横路節雄

    横路委員 今主税局長のお話を聞いていると、大蔵大臣考えとは大分違うわけですね。大蔵大臣は、今どういうようにお話があったかというと、中小企業法人についても考えたいのであるけれども財源等の見通しもつかないので、とにかく今は考えない。今は考えないのですし、民主党の諸君も、そばで来年やるとか言っているのですから、やらないというのではない。ところが今主税局長は、そうでない、大企業法人と中小企業法人等の税率を区分することは、税法体系上絶対に反対だと、こう言うのです。全然話が違う。絶対反対ならやらないのだ。大蔵大臣は、税の財源が見つかればやってもいいようなことを言う。また民主党の諸君もそばから、当然来年はやるのだというようなことを言う。大蔵大臣主税局長と全然話が違うのです。その点は一体どうなんですか、はっきりしてもらいたい。中小企業に対して、民主党内閣はもうめんどうを見ないならめんどうを見ないと、はっきりここでおっしゃったらいいのです。そうしたら質問しない。その点はどうなんですか。
  136. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 主税局長意見が違っても、これはいいですよ。別に違っておるとも思いません。これは私の言うことの方が正しいと考えます。  それで私は、何も財源ばかりを言うたわけではなかった。財源と他との均衡をはかってと、こういうふうに言っておるので、これは速記録を、ごらん下さればそうなっておりますから、どうぞそういうふうに御承知を願いたい。
  137. 横路節雄

    横路委員 主税局長は、今中小企業庁調査で、大法人の実効税率については発表しておる、その点は承知しておる。しかし大蔵省では、まだそういうものを発表してないというのですから、そこで私は主税局長に、大蔵省として一つ早急に、来週の火曜日までに、大法人についての実効税率の一覧表を全部出してもらいたい。とりわけ、これは大企業法人について出してもらわなければ困る。それならば大蔵省で、中小企業庁と実際にどういうように違っておるのか、今出すというのですから、一つ出してもらいたい。委員長からもともとと言っておいてもらいたい。
  138. 渡辺喜久造

    渡辺政府委員 火曜日というお約束はちょつと私自信がございません。同時にその実効税率という問題について私は議論がありますが、それは別としまして、できるだけ早い機会に、御審議に差しつかえないように数字を作ってみたいと思いますが、われわれの方も準備がそうできておりませんので、ちょっとどうなりますか、もう少し調べた上で御返事さしていただきたいと思います。
  139. 横路節雄

    横路委員 火曜日がだめなら、木曜日に大蔵大臣が出てきますから、木曜日には出してもらわなければ質問ができない。ぜひ木曜日までに出すように、一つ委員長から厳重に督促してもらいたい。  次に、私は大蔵大臣お尋ねしたいのは、物品税のことでするこれもやはり中小企業と関係がある。ほんとうは、われわれ社会党は公約をあなた方に実施してもらおうと思って今度の国会に臨んでおる。民主党内閣は、自由党よりは中小企業のことを考えておる内閣だと思っておった。ところがさっぱりやってない。そこで物品税についてやるのかどうかお尋ねしたいと思いますが、私は、やはり中小企業の育成のためには、物品税は全部はずした方がいいと思う。但しそのかわり、奢侈的なものについては奢侈品税という形で置くべきだと思う。これは実際今まで大蔵省のやり方が少しよくないのです。こっちの方の物品税を、一つはずした、こっちの方もはずした、なんぼかバランスをとって五つか六つはずした、こういうやり方でなしに、たしかに大蔵大臣は、まだ一度もこの物品税について見解を明らかにしていらっしゃらないと思いますが、ぜひこの際中小企業のためにも、また大衆に対する負担を転嫁しているという建前からいっても、物品税は廃止すべきだと思う。そのかわり奢侈品的なものは、当然残してさしつかえないように私は考えますが、大蔵大臣はその点どうですか。
  140. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 お話の御意見は、私はなかなかいいと思います。(笑声)しかしながら今はそこまでいけない、将来十分考えてみようと思います。
  141. 横路節雄

    横路委員 私は、大蔵大臣物品税は廃止する、そうして奢侈品的なものについていわゆる税を考える、それはいい考えだというのであれば、やはりいいことはさっそく実行した方がいいと思う。これはどうしてかというと、率直な話ですが、民主党内閣が永遠に続くわけでもないのでありまして、やはり政権をとっている間におやりになった方がいい。そういう意味で、私はせっかくいいとおっしゃったのであるならばおやりいただいた方がいいと思う。とりわけ、たとえば昭和二十九年度物品税の最高のものについて考えてみると、それは何かというと紙とセロハンです。こういうものに税金を大体かけるというものの考え方がおかしいのでありまして、従って私は、大蔵大臣がせっかくいい考えであるというならば、何も来年を待たないで、まだこの国会もたくさん日にちもあることでありますから、この国会に物品税についてお出しになったらどうですか。そういう考え方の上に立っていかがですか。
  142. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 この国会にという考えは持っておりません。十分研究はすべきことだと思います。
  143. 横路節雄

    横路委員 私は主税局長お尋ねしたいのでありますが、大蔵大臣は去年の十二月に就任になったわけで、わずか半年にもならないわけですから、主税局として——それは事務的にはなかなか問題があっていかぬでしょうが、あなたの方では長い間この物品税についての取扱いに正直のところ困っておったと思う。あっちのもはずしてくれ、こっちのもはずしてくれということで、非常に因っておったと思うのです。そこで、ともすれば大蔵官僚というものは、正直なところみなに何を悪口を言われるかというと、頭を下げて頼みに行くとはずす、頼みに行かないとはずさない、こういわれておるのです。私はそういう一般の弊害をなくする意味からいっても、やはり毅然として、今大蔵官僚は日本の中枢部なんですから、一つはっきりした態度で臨んでいただきたい。物品税を大幅にはずして、奢侈品的なものについてはやるという、これは今までも、主税局としていろいろお考えになっておると私は思うが、その点を一つ率直に話をしていただきたい。
  144. 渡辺喜久造

    渡辺政府委員 現在の物品税のあり方をどういうふうに考えていくべきか、これはわれわれもずっと実は検討してきている問題であります。現在残っておりますものは、われわれ率直に申しまして、奢侈品か、あるいは奢侈品に近いもの、あるいは少くも不要不急品といったものが全体として中心になっておると思っております。ただ今おっしゃいました紙とかセロハンというものをどう考えるかという問題につきましては、いろいろ御議論があるのではないか、しかしこれを奢侈税として全部作り直すという問題になりますと、これはわれわれもずいぶん検討してみましたが、いろいろな議論がございまして、そう簡単に踏み切りがつかぬように思っております。と申しますのは、いわゆるぜいたく品というものの中には、これは率直に申しますが、消費者の面から、見ますと確かにぜいたく品ですが、作っている方から見ますと、これは中小企業者のものが相当多いようであります。また別な方面から見まして、大企業が作っている、たとえば電気器具とかいろいろなもの、これは定価の面から非常にとりやすい、課税しやすいのですが、一方考えようによれば、文化生活に大いに必要ではないか、こういった面もいろいろあるようでありまして、これを全免的に検討しまして、奢侈税的なものにするということにつきましては、よはど各角度から考えて結論を出していかなければならぬじゃないか。今度の減税考え方におきましては、とにかく直接税を中心にして一応全体の軽減をはかっていくということで考えておりますので、物品税については、この際としてはやはり手をつけないで待つべきではないかというのが、一応の結論でございます。  なおついでに申し上げますが、先ほど紙とかセロハンが一番税額が大きいのではないかというお話がございましたが、現在税額の一番大きいものは写真磯、フィルム、これが一つのグループでございます。その次が自動車類、それから電気器具類、それから嗜好飲料品、化粧品、その次が紙、マッチ、こういうような順になっております。
  145. 横路節雄

    横路委員 主税局長お尋ねしますが、生活必需品は、やはりこの際大幅解除すべきだと思う。これは大蔵大の考えといっても、要はあなたの方で事務的に考えて、あと大蔵大臣が検討するだけです。それで今あなたがおっしゃった紙、セロハン、ラジオ、こういったもの、実際ラジオなどでも今生活必需品です。今あなたの言った化粧品でも、女にしてみれば生活必需品です。あなたは今残っておるものは奢侈品的なものだといいますが、一体紙は奢侈品ですか。紙は奢侈品ではない。ラジオだってそうです。なるほどあなたが今言ったように、奢侈品的なものは手工業的なものが多くて、それはとりわけ中小企業に属するものもございましょう。しかしやはり大衆の生活に密接なものは、この際廃止すべきだ、私はこういうふうに思うのですが、今度の国会では、物品税については、主税局としては全然手を触れないのですか。私は物品税について、やがて出てくるだろうと思っているのですが、(笑声)全然出さないというのですか。それともある程度考慮してみたいというのですか、その点はどうですか。
  146. 渡辺喜久造

    渡辺政府委員 現在奢侈品税を作りましても、おそらく現在の物品税の品目に上っていないもので、さらに新しく取り入れるというものはそうないのじゃないだろうか。去年御承知のように繊維品について特に奢侈的なものだというものについての課税をするという案を実は提案しましたが、なかなか国会の御承認を得るに至らなかった、そういうふうに考えて参りますと、現在の物品税の中で一応奢侈品的なものを残して、その他のものを削っていくというところが、奢侈品税の一つ考え方として出てくる考え方だと思います。しかし、それはやはり税収の上にもすぐに相当大きな影響がございますし、同時に限られた税金の中でこの際どれを減税するかということになれば、やはり一応直接税を中心とした減税をすべきではないかというのが今回の考え方でございます。  それとあとのお話で、物品税について改正案が出てくるかということ、これは、たとえば品目をはずす、あるいは税率を上げ下げするという問題について法律を直す点については、実はまだ考えておりません。今テレビの課税関係がこの六月で切れますので、これをどうするかという問題だけは、一応事務的にまだ検討しておりますが、それ以外については別に考えておりません。物品税改正案をお審議願おうと思っておりますが、どちらかと申しますと、これは取扱い関係の法令整備の問題が中心でございまして、品目の増減、あるいは税率の上げ下げという問題については、われわれの方としては現在考えておりません。
  147. 横路節雄

    横路委員 次に関税の問題で大蔵大出にお尋ねしたい。私は、これはあえし民主党内閣の責任ばかりだと言わない。大体吉田自由党内閣が、日本におりる総合的な燃料政策を間違ったので、日本における中小炭鉱もどんどんつぶれてきておるような現状です。私はやはり総合的な燃料対策というものは、早く樹立しておかなければならなかったのではないかと思うのでありますが、そういう点が、昨年以来の九州における中小炭鉱の崩壊等、非常に悲惨な状態になってきているわけであります。そこで問題は、そういうことと切り離して、重油、原油に対する関税の問題なんです。これは私はかけるべきだと思う。この点は、大蔵大臣はどういうふうになさるのか、この点について明らかにしていただきたい。
  148. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 これについては、かけるように考慮を加えております。
  149. 渡辺喜久造

    渡辺政府委員 現在重油関税につきまして、通産、農林、大蔵省でずっと検討して参りまして、一応一つの案がまとまりかけておりまして、来週の閣議にかけて提案したいと思っていますが、その構想だけをごく簡単に申し上げます。  考え方としましては、主として総合燃料対策から出発しますが、石炭対策といった問題を中心に考えて参っております。御承知のように現在石油関税は、揮発油などにつきましては定率のものは二割になっておりまして、重油等については一割の課税をすることになっておりますが、これを現在におきましては、臨時に揮発油については一割にし、重油、原油についてはゼロにしているわけであります。そこで今われわれの方で事務的に一応結論が出ましたところは、重油の中でも特に石炭と競合しますB重油、C重油のこの二つを中心にいたしまして、B重油、C重油につきましては、一応関税を復活するという考え方をとっております。ただいろいろ議論がございまして、やはり石炭と競合する問題は、陸上で使われるものが競合するわけでありまして、漁業用その他水上用の関係のものにつきましては、これはあまり競合という問題はない。同時にその点から出発する限りにおきましては、この分についての関税を復活することは、適当ではないのじゃないだろうか、こういう考え方が入っております。ただ、いわゆる用途免税とかなんとかいったことは、実行上なかなかできませんので、その点を考慮いたしまして、これは実は大分議論になった問題でございますが、一応そうした水上用の分はこれは復活しないという考え方で、その点からB重油、C重油へ入りますものについては、大体六・五%ですか。それから原油につきましては、一応これの中でもってC、B重油がどれだけできるか、同時にそれが陸上でどれくらい使われるかというような点を考えまして、一〇%の分でなくて、これを二%というふうにいたしたわけであります。消費者に関する関係におきましては、石油会社、特約店等についていろいろ協力を求めまして、陸上用についてだけ一応そうした値上りがするように、これについては大分農林省の方から心配がありまして、検討した結果、大体この程度で行けるのではないかという案が出ましたので、その方向でやって参りたい。A重油を除いたのは、Aにつきましては、どちらかといいますと、石炭との競合関係というよりも、むしろ漁業用とか、そうしたものが多うございますので、これは従来と同じように免税していこうという考え方で、一応の構想ができております。
  150. 横路節雄

    横路委員 そうすると今のお話では、A重油に関しては、漁船用であるので免税する。それから石炭と競合するB、Cの重油については六・五%、原油については二%、こういうわけですね。これについての法案はまだ出ていませんね。これはいつごろ出して、ことしの予算額はどれだけになるのですか。
  151. 渡辺喜久造

    渡辺政府委員 先ほどもちょっと申しましたように、来週火曜の閣議へかけまして印刷でき次第委員会に提案したいと考えております。それから金額としましては、七月から施行して本年度九億七千万円を見込んでおります。平年度になりますと、その倍額というくらいに御了承願っていいと思います。
  152. 横路節雄

    横路委員 主税局長お尋ねしますが、そうすると、これは販売業者の協力を得て、一般の消費者にはあまり負担をかけないようにするのですね。その点どうですか。
  153. 渡辺喜久造

    渡辺政府委員 販売業者の協力を得まして、水上用の分につきましては小売価格が上らないようにする。陸上用の分につきましては、これは当然転嫁されてそれだけ上る、こういう結論になるようにやっていくつもりであります。
  154. 横路節雄

    横路委員 大蔵大臣お尋ねしたいのですが、揮発油税の税率を一キロリットルについて現行一万三千円のものを一万一千円に下げる、これは下げる方はけっこうです。ところが地方道路税の創設に伴って今度は四千円上げるわけですね。そうすると、私の計算では差引上ることになる。税金を下げる下げると言っておいて、揮発油税については上げる、これはやはり消費者の負担になりますよ。結局はそうではないですか。せっかく重油についてここまでやるならば、もう少し上げて、そうして地方道路税その他の創設や、この揮発油税についてかけることをやめる。せっかく一キロリットルについて現行一万三千円を一万一千円に下げたのだから、そのままにしたらどうですか。そうして漁業の方だけは免税にしてB、Cの方は六・五%を一〇%にする、そうして消費者にかかる地方道路税創設の分は別途でやって、なくすべきではないかと思います。どうも下げる下げると言っておってどこかで上げてみたりしているが、大蔵大臣どうですか。せっかくよい財源を見つけられたのだから、地方道路税の創設はやめたらいかがですか。
  155. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 揮発油税を一万一千円にして、それから地方道路税でさらに四千円、これはもう上ったことに間違いないでしょう。しかし今日この揮発油税の値段もあるいは税率も、他に比べてどちらかといえば低いと思っております。そうして今日地方の財源が非常に困っておりますので、そういう意味で、地方に独立した財源を与えようということから考えておるのです。今日の日本財政状態から申して、減税一方で何もかもみんな下げなければいけないというわけにもいかないのでありまして、それで下げるところは下げるが、やはり安いところは上げていくということにしたい、こう考えております。
  156. 横路節雄

    横路委員 今の、下げるところは下げるが上げるところは上げるという大蔵大臣の話ですが、私は、やはりその下げた場合に、それが大衆に転嫁されないような下げ方をすることが大事だと思います。ところが実際には、結局揮発油税に関して差引勘定すれば大衆に転嫁されるじゃないですか、どうですか。
  157. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 これはやはり間接税という意味におきまして、非常にバスなんかを乗り回すということになれば自然そういうことになるのですが、これはやはりそういうふうな消費行為の伴うところに——直接税みたいに頭から天引きして納めるというのとは非常に違うのでありまして、私の今考えておる税の軽減については、どうも直接税が重過ぎるということです。そうかといって、直接税を減税して、間接税も下げるとか据え置くということでは、必ずしも財政がうまくいかない。そこでやはり重点的に重いところを取り除いていく、こういう考え方に立っていることを御了承願いたいのであります。
  158. 横路節雄

    横路委員 大蔵大臣お尋ねしますが、昭和二十九年度、昨年の暮れに補正予算で法人税の増徴を見積ったわけですが、その後昭和二十九年度の税の自然増収は一体どれくらいになっていますか。大体数字が出たろうと思う。明らかにしていただきたい。
  159. 渡辺喜久造

    渡辺政府委員 本年度自然増収見通しでございますが、実はこの数字が多少まだ固まっておりませんで、もう少しはっきりさせたいと思いますが、実は予算総会である程度見通しを立てまして御説明申し上げたのですが、この二、三日また少し数字を見て参りますと、多少動きそうでございます。少し減りそうでございますが、その辺はお許し願いまして、一応の見通しだけを申し上げますと、一応予算総会で申し上げました数字は、全体として二百四十億くらいの自然増収になるのじゃないだろうか、内容といたしましては、所得税につきましては源泉でもってふえまして、申告で予算より減りまして、差引とんとんくらい、法人税につきましては、このとき見積りました数字よりもやや減が立つのじゃないか、二十億くらい減が立つのじゃないか、大きく増収が出ましたのは酒税でございまして、酒税が約百五億、砂糖消費税が百億、それから揮発油税が五十億、もっともこの砂糖消費税の中には、徴収猶予の期間を一ヵ月短縮しましたために、いわゆる繰り上げ徴収といいますか、一ヵ月分余分に入ってきた金額が四十億入っております。それから揮発油税につきましても、これは半月繰り上げたものですから、その分が十二億入ってきております。すなわち砂糖消費税は二十九年度は十三ヵ月分、それから片方は十二カ月半分入ったわけでございます。こういう見通しで実は予算総会で御説明申し上げたのですが、最近の報告を受けてみますと、この二百四十億が二百十億見当にあるいは減るかもしれぬ。もう少し数字が固まりませんとはっきりしたことは申し上げられません。主として申告納税の所得税が、入り方が去年に比べましてことしはちょっと落ちているようでございます。そのことが主たる原因じゃないかというふうに考えられます。固まった数字につきましては、もも少し御猶予願いたいと思います。
  160. 横路節雄

    横路委員 国税庁長官お尋ねしますが、私はこの税金は、とりわけ酒の税金についてけ、もっとふえるのではないかと思う。私は、こういうことはあまりはっきり言いたくないけれども、酒の税金はあまり入り過ぎて困るので、とりあえず納めなくてもよろしいというようなことをやっていないとはいえない。従って今主税局長から、当初見込みの二百四十億が大体二百十億くらいに、三十億くらいに減るだろうということだったが、それがほんとうは減らないのです。ほんとうはその月に入ってくるやつを、どうもあまりとり過ぎると困るから、翌年にちょっと延ばしたらいいじゃないかというようなことになっていませんか、実際の税のとり方は。これはなかなかどうも国税庁長官、油断できませんぞ。
  161. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 税の徴収は、もっぱら私ども法律に基きまして公正にやる。同時に相手方の実情もできるだけ考えまして公平に実行するという考えでいたしておるわけでございますが、今主税局長が話しましたように、申告所得税、法人税、この二つが、実は二、三ヵ月前に見ましたのに比べまして、若干実績が悪くなっております。これは申告所得税の方が、よくしさいに検討しますと、実は青色申告が最初の予想よりも増加いたしまして、その関係で青色の控除の恩典がだいぶふえまして、それが最初予算に見積ったものよりも少し多く現われている。これが一つと、それから法人税におきましては、やはり欠損のものが相当多くて、還付金が相当ふえて参りまして、返す分を昨年度税収入からいきなり差し引いた。差し引いたものを税収入にするということにいたした関係等もありましてその分が増加いたしましてそういう関係で、若干前の見積りよりも減りそうな状態になっております。あとの間接税のやり方につきましては、大体連年やっておりますのと同じ方法で実はやっている次第でございまして、特に申し上げることはございません。
  162. 横路節雄

    横路委員 私大蔵大臣に最後にお尋ねしたいのですが、それは昨年の暮れ、この場所で、ちょうど内藤理事もおったわけですが、問題は年末手当のいわゆる免税の点なんです。そのときに何が問題になったかというと、当時五千円以下で免税すれば七十五億円かかる。大蔵大臣はその答弁台に立たれて何と言われたかというと、七十五億のいわゆる税収入が入ってこなくなるので、その点だけマイナスになる。従って大蔵大臣としては、これから一体税が入ってくるのかどうかわからぬ際、五千円以下の免税七十五億がそれだけ入ってこないということについては、大蔵大臣としては責任を負えない、こういう答弁であった。ところが主税局長は——国税庁長官もおったかどうか知らぬが、とにかく二月になってくれれば大体二百億円くらいふえるのじゃないか。だから二百億円くらいふえるのであるから、われわれの方は絶対ふえるのだから、今やってもらいたいと言った。ところが当時与党の民主党の方からは、二月になったら二百億ふえるのだから、行政上の措置として何とかその際やってもらえないかという話であったが、大蔵大臣としてはがんとして、絶対に税金はふえない、七十五億赤になるからだめだ、こう言った。いざ待ってみたところが、果せるかな主税局長があのとき言われた二百億というのは正しかった。そこで私は大蔵大臣お尋ねしたい。月曜日に大蔵大臣は六月の暫定予算をお出しになるようです。そうすれば、当然その中に期末手当についてお出しになるわけです。期末手当については、〇・七五分だけ入っているわけです。今日ただ単に官公庁に勤務している職員ばかりでなしに、今日の中小企業その他の期末手当というものは、千三百円だとか、千五百円だとか、二千円だとか、多くても三千円というのです。それがお盆までひっくるめた今日のいわゆる期末手当と称するものなのです。昨年の暮れに財源があるかないかであれほど論議をしたのだが、やっぱりあったんだ。官公庁に勤務している諸君は六月十五日だが、今日の中小企業等をひっくるめた民間の期末手当というものは、いわゆるお盆手当をひっくるめて千三百円だ、千五百円だ、多くて三千円をこえないのです。そういう意味でこれは民主党も責任があるのだから、もう一ぺん大蔵大臣、ないかと思ったらあったのだから、この点において私はぜひ考慮すべきだと思う。この点はひとつ大蔵大臣として、昨年ここで御答弁された責任もおありのことなので、ひとつぜひここで、何とかしてその点は考慮するなら考慮するとお話をしていただけば、私もこれで終りますから……。
  163. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 ただいませっかくいろいろと仰せになりました。勤労階級の今度の減税を見てもおわかりなさるように、非常に気をつけておるわけでございますが、しかし期末手当について、これの税をまけるということは考えておりません。同時にまた今、期末手当ももらえぬ人がたくさんあることも、やはりこれは考えてみなければならぬと思います。
  164. 横路節雄

    横路委員 私は大蔵大臣に、その点もう一ぺん考え直していただきたいと思う。期末手当てももらえない多くの勤労者がいるというのは、私はそれは逆だと思う。実は千円なら千円やりたいと思うのです。千二百円なら千二百円を期末手当、お盆手当としてやりたいと思うのですよ。どんな小さな事業場においても、やったはいいけれども税金でとられてしまっては意味がないというのが今日の実態なのです。それは大蔵大臣、中小企業の経営者というものは、まだ人情がありますよ。自分の家の着物を質に置いたってやろうという気持がありますよ。それがみな税金でとられるのですから、私が言ったように、大蔵大臣、あまりあいそうのない返事をしないで——私は金がないなら別ですよ。去年は金がないといって断わられたが、われわれはあると言ったんです。しかしあるかないかは今日まで待たなければならぬと思って今日まで待っていたのです。大蔵大臣、私はこれは考慮していただきたい。この点はどうですか。
  165. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 ほんとうに私は残念と思いますけれども……。
  166. 横路節雄

    横路委員 私はちょっと主税局長お尋ねしたいのですが、実際これは何も大蔵大臣ばかりの責任ではないのですよ。あのときはほんとう財源があるかないかでもんだのですが、財源が出てきたんだから全然考慮しないなんというのは、鬼とは言わないけれども、もう少し私は何とか返事の仕方があると思うのですが、どうですか、主税局長
  167. 渡辺喜久造

    渡辺政府委員 あのとき一応自然増収の問題につきまして、いろいろ検討した結果の御返事を申し上げたのですが、その後の数字が今わかりましたところが、先ほど申し上げた通りであります、ただ御承知のように、決算による財源といいますのは、三十年度財源に使える財源でございませんで、結局歳計剰余金として三十一年度に入るわけでございまして、ここに二百億の金があるから、これで減税できるんじゃないかということがすぐできるものじゃないことは、これは横路委員十分御承知のことと存じます。ただ今度の減税に際しましては、過去のそうしたこともございましたので、われわれの方としましては、十分そうした歳入があまりかた過ぎましてそこに自然増収があとから必ず出てくるといった姿でないように、一応見積りました結論としまして最大限の減税案を立てた、こういうつもりでございます。その点御了承願いたいと存じます。
  168. 横路節雄

    横路委員 私は委員長に申し上げておきますが、この点は去年の大蔵委員会で、これから質問する井上委員が大蔵委員長のときに非常に問題になったところです。これは、当時民主党側においては責任をもって、財源があればやるということになっておった。従ってこの点はただ単に大蔵当局の問題ではないのであります。この点は委員長においてもよく民主党理事との問で話をして、こういう問題について一つすべからく善処されるように私は要望して終ります。
  169. 松原喜之次

    松原委員長 ちょっと渡辺主税局長から補足説明があるそうですから……。
  170. 渡辺喜久造

    渡辺政府委員 先ほど重油関税の改正で、本年度九億七千万円と申し上げました。この数字はいいのですが、平年度は大体倍額くらいというふうに大まかに申し上げましたが、それが正確な数字が一応見積られておりますので申し上げます。十六億六千万円、倍額よりはちょっと少うございます。訂正さしていただきます。
  171. 松原喜之次

  172. 井上良二

    井上委員 最後になりましたが、時間も非常に制約されておりますので、本日できないところはまた次に大臣出席されますときに質問をすることにいたしますが、本委員会に付託されました税制改正その他金融関係の法案審議する上に、まず日本経済全般にわたる政府見通し財政金融等に対する方針を明らかにしてもらわなければなりません。そこでこの際私は、昭和三十年度政府考えております経済計画及びその見通し、この上に立った税制改正金融対策というものを政府としてどう考えておるかということを伺いたい。昭和三十年度経済計画見通しにつきまして、政府は六ヵ年の総合計画経済計画いたしまして、この構想に基いて経済の正常化、将来日本経済の発展のための基盤育成を目標としたもので、本年度経済計画を大体立てておるようであります。これによりますと、本年度国民の総生産は七兆五千六百七十億を見込んで、国民所得を六兆三千二百三十億、それぞれ二%の上昇を見込み、鉱工業生産が一・五%、農林水産生産が三・六%、実質的な消費水準が二%の上昇を見るとしており、また国際的な収支の方面につきましても、輸出を前年度より四億八千万ドルを見込んでおり三%増加、全体で五億三千ドルですか黒字になる、こういう非常に前途楽観といいますか、上昇していくという安心的な見通しを立てられております。しかし最近の海外における諸情勢をわれわれが伺いますところによりますと、たとえば英国の中央銀行は公定歩合の引き上げをする。それから日本の輸出先の重要な諸国がそれぞれ輸入の制限を強化する。そこに日本といたして重要に考えなければなりませんのは、ポンド地域とは反対にドル地域への輸出というものが一向に伸びない。この英国の中央銀行の公定歩合の引き上げ、それから各国における輸入の制限、特に日本の大きな経済的依存をいたしておりますドル地域への輸出の伸びがきわめて悪いというような点をあわせて考えますと、今後の輸出というものは、なかなかそう楽観は許さないんじゃないか。また政府予算案を見ましても、政府原案通りかりに成立するといたしましても、政府資金の散布超過は前年度より大幅に減少しておりますし、これを補うのに、民間投資を非常に重要視しておるようですけれども、民間の生産の状況は全般的に過剰ぎみになっております。そういう点から、民間投資がそう多く期待できないんじゃないか。そこで、まず第一に国際収支の問題、第二は生産水準の問題、第三は消費水準の問題、これらいずれも政府の楽観するような甘い見通しというものは一体立てられるであろうかどうであろうか。このいわゆる見通しの上に立って、本年の国民所得、それに基く税収入というものが押えられていかなければなりませんので、これらに対して一体政府はどう考えられておるか。果して政府計画通りいくという自信をお持ちになっておるか。このことについて、具体的にいろいろ質問をしたいのですけれども、時間がございませんから、大まかな、私がただいま申し上げましたような貿易の見通しや、国内における民間資本投下の実情、それから来ます生産水準、消費水準等の見通しというものについて、大蔵大臣としての所見を伺いたい。
  173. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 大体お考えの今の御意見の筋は、私も同じような考えであって、決して楽観を許さぬということはいえると思います。そうして、何としても日本経済の場合においては、国際収支の点がやはり具体的に日本経済の実勢を表わし、これが大事なことだと思います。ですから、この国際収支を、三十年度におきましては大体の規模約二十三億と思いますが、二十二億それがしドルになりまして、輸出が十六億五千万ドル、輸入が十九億ドル、こういうふうな目標で進んでおるのであります。この場合におきましても、やはり輸出面において特需を四億二千万ドル程度見込まないと、二十二億それがしでバランスがとれないという状況です。そこへ持ってきて、十六億二千万ドルないし五千万ドルといっても、ことしの、二十九年度の貿易は約十六億ドルが輸出でございます。これは特殊な事情で、御承知のような事情で増加をしておる。決して日本経済力が国際的に非常に増したから、競争力が増したからふえたというようなことではありません。こういうことを考えてみると、なかなかそういういろいろな措置をやめた場合、言いかえれば正々堂々たる態度で国際貿易に乗り出す場合、三十年度において所期のような目的を達し得るかどうかということについてよほど努力がいる。これが結局三十年度においても一兆円という、なるほど私はいろいろな委員会で、お前はいろいろな小細工までして一兆円の中に押し込んでしまって、ひどいではないかという御非難もあるのですが、実は一兆円ということを守っておりますのも、何も形にとらわれて、一兆円といったら何でもかんでも一兆円の形にしようというのじゃ決してありませんので、今言うたような形の日本経済、国際経済との関係において、どうしてもそういう程度の財政規模でないといかぬという基本線に沿って、それが具体的な一兆円予算を組んでおるゆえんであります。まあ、しかし努力いたしますれば、国際収支は大体私は二十九年度の実績は保てる。ただ特需が四億二千万ドル程度あることも十分考えられる。こういうふうに考えておるのであります。さらに今回そういうふうな企業の、日本経済の合理化を進めて国際的な競争力を増していく政策を持続する場合において、国内に相当投融資というものが実際上できるのじゃないかという御意見についても、私も単に金額をふやしていくという考え方には必ずしも同調しておらぬのであります。今日においては、特に最も基礎的な企業、事業について承点的に合理化を進めていく、そういう施策をとるべきだ、こういうふうに考えております。これは結局生産コストを下げ、そうして国際競争力を増す、こういうことをねらいにいたしておるのであります。そうしてこの政策を持続していけば、私は今後において大体予定されておる物価も、三十年度においてはある程度——経審で二%程度の下落を見積っておりますが、そういう下落もむろん期待できる、かような考え方をいたしております。
  174. 井上良二

    井上委員 どうも非常に大ざつぱな答弁で、私どもよくわかりませんが、問題は、あなたのおっしゃいますように、私ども野放しの積極的なインフレ的な傾向ではいかぬということはわかっておりますけれども、今大臣みずから、心配されておりますように、輸出増強の問題を考えてみても、あるいは国内における生産増強の点から政府考えております資本蓄積の面を考えてみても、なかなかそう政府の意図するような状況には、よほど日本が努力しない限り困難である。特に日本経済の当面しておる一番重要な問題は、生産性を一体どう向上させるか、この生産性の向上において、大臣及び内閣は、特に減税の面でもうたっておりますが、資本蓄積を重要視する、資本蓄積さえすれば生産はひとりでに増強していくような安易な考え方が全体を貫いておりはせぬか。資本の畜植もこれまた大切でございましょうが、日本が当面している一番重要、な問題、産業の生産性を一体どう向上さすかという生産性向上の問題に対して何らかの積極的な対策、国民をして納得させる説明がされてない。この資本をもって生産性を向上させていこうということについて、政府は具体的にどういうことをやろうと考えておるか。このことについて、たとえば雇用の問題と賃金の問題に一体どう取り組もうとしておるか、資本蓄積々々といって、資本はどんどんふえてきたが、それを廃業投資をした場合、一体どれだけそこに労働者は新しく雇い入られ、同時にその賃金はどう保障されるか、この生産性向上の土台になっております雇用と賃金の問題に対して、一向積極的な具体的な対策が真剣に検討されてない。ここに私は、この税制考えます場合においても、予算全体を見ます場合においても、一番大きな骨抜きがされておるのじゃないか、こういう感じがしてならぬのでありますが、大臣はどうお考えになりますか。
  175. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 生産性を考えていかなくてはならぬことは申すまでもありません。今日、特に最近の国際的な情勢から見ても、生産性の向上ということが最も世界経済を貫いておる大きな一つの、平たい言葉でいえほスローガンであるように思っております。従って、どこの国も生産性の向上については非常な力を入れておる、これは御説の通りと思います。従いまして、日本におきましても生産性の向上にはあらゆる手を打たなくてはならぬ。また今の内閣といたしましても、先ほど私の申しました合理的な施設といいますか、企業の合理化ということも、たとえば石炭なら石炭を一つとっても、非常に掘るところまで遠方からいくよりも、縦坑でいくということが非常に生産性を増すことになりますし、またその生産性に関連して、これに携わる勤労者等のいわゆる職を求める方々の雇用関係、あるいは賃金の関係、こういうことについても、非常に意を用いておるのであって、三十年度予算におきましては、大体二十九年度より失業者をふやさない、三十年度において職業につくことを希望する者については、大体吸収ができる、こういうふうな施策を考えておるわけであります。大体二十九年度末までの完全失業者の六十三万人は越えないように三十一年度にはしたい。なお賃金についても——国民所得自体もふえることになり、賃金についてもある程度の上昇を見る。こういうふうな考えで、要するに生産性について、やはり基本的にはそういうふうなことばかりでなく、労使の関係というものをどういうふうに考えるべきか、特にそういうものが基幹産業についてどうあるべきかということも十分今後取り上げていけばいいのではないか、たとえば西ドイツあたりの——あるいは西ヨーロッパのといってもいいかもしれませんが、こういうふうな地方における産業の復興について、労使の関係についていろいろと考えられている。こういう点は十分今後考えていきたい、かように思っております。
  176. 井上良二

    井上委員 大蔵大臣は、資本蓄積だけは非常に熱心に主張されますが、それをどう効率的に使うかという点になると、どうもはっきりしてこない。せっかくためられた金がわが国の生産力を拡充して、国民生活が向上して、国際的な文化水準に高まっていくということが何よりも必要な政策でございますので、その場合、この資本がどれだけ産業投資され、それがまた近代的な科学技術を取り入れて産業規模を拡大していくか、そのためにどれだけ多くの雇用人口が吸収されていくか、同時にまた、それに従う勤労者の賃金体制はこうあるべきだということを打ち出してこなければ、ほんとう資本蓄積意味は生きてきません。そこを私どもはもっと政府で真剣に御検討を願いたいと思う。  この問題についていろいろ質問をしておると長くなりますから、この程度で置いておきますが、要は資本蓄積が今度の税制改正の二つの大きな目的に取り上げられている。そういう大きな目的を果すための税制改正であるという見地から今度の税制改正を見ました場合、私ども考え方では、単に資本蓄積というしぼられた目的だけで税制改正は行わるべきものではないと思うのです。問題は、国民自身の所得の中から税金を取り立てておるという政府の立場に立ちますならば、この税金が平和的な文化国家建設の上にどう生きて使われておるか、この国家を運営していくのに金がどう生かして使われていかなければならぬか。そのためには産業はこうあるべきであり、貿易はこう伸びなければならぬし、同時にこれらの産業がここまで伸び、貿易が伸びた場合には、国民水準がこうなっていくから、今は苦しくてもがまんをしてもらえぬか、こういうように、納税者に対してその使途を明確にして、納得して税が納められるような政治をとるべきであります。ところが税金をとるときには、いろいろむずかしい法律をぎょうさんこしらえて、使うことについてはちっとも国民説明をしない。納税者に対して、一体大蔵当局は、この税金の使途について具体的にどういう広報宣伝をしておりますか。毎月々々何千円、何万円という税金をとられておる国民の立場に立てば、この税金はこういう方面に生かして使われている、こういう利益が回り回ってくる、だから今は苦しくともしばらくがまんを願いたいし、また回り回ってそれだけ全体がよくなっていくからという、もっと税金の使途について国民をして納得させるような方途を講ずべきではないかと思うが、大蔵大臣はどうお考えになりますか。
  177. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 ただいまのお考えと全く考えは同じなんです。ただ考えを実現する方法において、ひもつきといいますか、法律なら法律、あるいはほかの諾規定でもって規制してやっていくのがいいのか、そうしなくて、できるだけ民間の自主的な方向に向けていって、自主的に——それにしても全然自主的ではない、今回は審議庁で投融資に関する計画が立つのであります。これは政府政策としてそれを実現させていこうという考え方です。初めからひもつきでここはこう、あそこはこうという形でいくか、その計画を示して、その計画で運営していこうということになるか。なぜそうするかというと、法律で規制してここはこう、あそこはこうという行き方は、前の経験から見て必ずしも成功していないのです。ですから、そういうふうな考え方でなく、スタートをどういうふうに切っていくかという違いで、お考えは全く同感なんです。
  178. 井上良二

    井上委員 私は税制改正というものは、単に党利党略的な宣伝を意味するのではなしに、ほんとう国民の福利を増進し、日本の平和を守って独立を達成していくという、国全体の大きな運営の上にこれが生きて使われることが大事であるのに、それが何か党略的に、低額所得者の減税ということが税制改正の重要な自的になっているが、一体その考え方自身がおかしいと思う。われわれどちらかといえば、働く勤労大衆の利害を代表するものといたしましても、働く者が安心して働ける、いわゆる最低生活を保障する賃金体制が確立し、その健康が守られ、子供の教育に不安なく、疾病災害の場合も保険によってこれがまかなわれ、年をとって働けぬようになれば国から養老年金がもらえる。そういうものが保障された上においての勤労体制であります場合は、英国のように所得の四五%に近い高率な税金を納めましても、それは十分やり得るような、また別の面が考えられ得る。ですから問題は、社会保障制度を拡充し、科学文化全体の国民場の福利を高めていく国の政策が徹底いたしますならば、税金はそんなにやかましく言わなくてもいいという考え方なんです。従って、問題はそういう立場から考えますときに、これから文化国家を作るという場合には、どうしても社会保障的な経費と文化関係的な経費がふえて参ります。反対に産業投資の面における経費というものが、どうしても圧迫されてくる形に部分的になっていくのではないかとわれわれは想定するのです。その一つの現われとして、最近補助金等に対する整理の法案が出てきた。また財政投融資におきましても、なかなかそう思うようにいかぬ状態が起ってきている。地方の発言権が強くなって、たとえば郵政省関係のいろいろな郵便年金でありますとか、あるいは簡易保険でありますとか、そういうものを地方財源に充ててもらうように願いたい、こういう要求が非常に強まってきているという点を考えていきますと、政府といたしましては、どうしても社会保障関係の経費の経費がふえて参りますから、この面に対して保障すればするほど、国民の生活にゆとりが出て参ることになりまして、徴税の面も非常に楽になって参ります。だからその反対に、ほんとうに産業投資の面において、あるいは防衛庁関係の経費の面において、これが有効適切に使われておったかどうかということを、もっと私ども国民をして納得せしめるような検討をやるべきであろう。たとえば本年から、われわれの税金の中から二百六十余億の金が一般会計からいろいろな面に支出されております。昨年は多分二百億じゃなかったかと思いますから、今年は六十億ふえております。これらのものの大部分は、それぞれ関係の金融機関に政府が直接支出をいたし、それぞれの金融機関をして国民を潤しておることになっておるのでありますけれども、一体それによって潤っておるものはなんぼあるかということになれば、ごくわずかで、さらにまた一般経費において地方に渡しますいろいろな補助金、交付金等を検討しても、果して国民をして納得さすようなりっぱな事業が行われ、有効的にその経費が活用されておるか、あるいはまた防衛庁関係費においてもいろいろ問題になる点がたくさんあり、中には全然使わずに翌年度に繰り越しておるという事実を国民はよく知っておる。そういう面に対してもっと積極的な検討をいたしましてさきに申しますように、資本蓄積が有効に国の富をふやしていく、文化を高めていくという面に使われるような方法にやらなければ、税を負担する国民としては黙ってはおりません。その点に対して大蔵大臣は、現在の産業投資及び防衛庁関係経費というものは、国民の批判を受けるような問題の面にやっておるのではないという自信を持って予算をお出しになっておりますか、この点を伺いたい。
  179. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 今度の予算については、私は自信を持って出しておるわけであります。
  180. 井上良二

    井上委員 ただいま私が申し上げました財政投資なり、あるいはまた一般会計から繰り入れておりますものなり、あるいはそれぞれいろいろな事業を行い、また地方に出しております補助金等について、政府はさらに一段の検討をする必要があると考えますが、おやりになる御決心ですか、もうこれでいいと思っていられますか。
  181. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 三十年度予算に関する限りにおきましては、ただいま御審議を願っております提案が最善のものであると考えます。
  182. 井上良二

    井上委員 なお税制改正に伴って特に低額所得者の負担を軽減する、こういうことが今度の税制改正の大きな目的であると政府説明されておりますが、大蔵大臣減税といいますのは、あるいは負担軽減と申しますのは、それは説明されてあります印刷の上で言うておるのですか。すなわち税法上の減税、負担軽減でございますか、国民の実質生活において負担が軽減になつたとお考えになりますか、どちらを一体言うておりますか、負担軽減という意味を伺いたい。
  183. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私は実質において軽減になっておると思います。
  184. 井上良二

    井上委員 それなら伺いますが、あなたは、さいぜん減税するものは減税する、片方増税の必要のあるものは増税するという御説明をされましたが、特にわれわれ国民大衆の生活に密接な関係のあるものは砂糖の消費税であります。この砂糖の消費税は、昨年は八十万トン輸入しておりましたのを、ことしは九十五万トンにふやし、これによって十五万トンの新しい関税増徴を見込んでおる。砂糖消費税の増徴を見込んでおる。それだけかと思ったらば、今度は国際価格トン当り百ドルから高くて百十五ドルくらいの砂糖を、政府が中間的な経費をとろうとして、その経費およそ特別会計に見込まれるもの六十億といわれておる。この六十億を逆算していきますと、トン当りどうしても二、三十ドル高くなる。二、三十ドル高いものを精糖会社に売りつけて、精糖の加工賃を通して市販をいたしますと、斤当り六十二、三円の砂糖が八十円近くになる。この事実は一体何を意味しておりますか。大蔵大臣は、実際の減税とお考えになっていらっしゃるか知らないが、これでは実際に減税になりません。  さらにいま一つ、ただいまあなたは重油の関税を復活するということをはっきり言明された。重油の関税を復活された場合、一体わが国の生産コストはどうなりますか。その結果輸出のコストはどういうことになりますか。輸出に黒字を見込んでおるこの予算の根拠が、まったく否定されることになっていくじゃありませんか。なるほど今日わが国の石炭の現状考えたときに、この外国石油のために非常な圧迫を受けておるという悲痛な石炭業界の要望は、われわれよく知っております。これはこれで政府は対策を新しく考えるべきであって、重油の関税を復活することによって、今重油の施設によって生産を行なっております生産界は大混乱を来たします。このためにまたそれだけ生産コストは上り、輸出コストは引き上げられ、国際収支の上に重大な関係を持ってくるとお考えになりませんか。国際関係のみならず、国内関係においても、国内物価引き上げの要素になるとお考えになりませんか。この二つの面は、いずれも政府国民の負担を軽減する、低額所得者の負担を軽減するということとは全く相矛盾する。これを否定する税制の措置でありませんか。あなた、そうお考えになりませんか、それを伺いたい。
  185. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 お答えします。砂糖につきましては、別に値段を上げるというわけじゃないのでございます。もしもこの輸入をふやさぬということになると、砂糖は上るのです。そういうように砂糖が今日消費されることは、はなはだけしからぬじゃないかとおっしゃれば、それはそうかもしれません。しかし今日の日本の社会情勢が、やはり砂糖の需要が多い。これをまた統制か何かしてしまえば話は別ですけれども、需要が多いですから、どうしても輸入をふやす。輸入をふやすことによって砂糖は下ってくる。それにしてもやはり需要が多いのですから、九十五万トン入れたということは、今日の需要量より見て多過ぎるものでも何でもない。どちらかというと砂糖の値段は下る。そこで、その値段から生ずる利益を会社だけにあげることはおもしろくない。特に今日台湾から高い砂糖を輸入せざるを得ない。もしもキューバから自由に砂糖が輸入できてしまうということになれば、それはまた違うのですけれども、どうしても台湾から砂糖を輸入しなければ、台湾との貿易関係はうまくいかない。台湾の砂糖は高い、これは量が多いものですから、砂糖の値段をこれが支配する関係を持つ。そうするとキューバから入れた砂糖を持った人は、そこで非常な買益を生ずる、そういうような関係がありますから、なるべくこの買益を国家でいただこう、こういうような立場になっているのです。別に私は、砂糖の値段をつり上げるわけはない。私は国民生活から見れば、砂糖の値段は下る、輸入はふえたから、その輸入がふえた量から税金がふえる、こういうふうにお考え願いたいと思います。  それから重油については、いろいろと関係各省と御心配のところは十分検討した上で、今度相談をしてきめることになっておるわけであります。
  186. 井上良二

    井上委員 もう一点。ただいまの大蔵大臣答弁は詭弁もはなはだしいです。一体あなたは、そんなべらぼうなことを大蔵大臣としてよう答弁になりますね。私はまじめに言っておるのですよ。一体そもそも台湾糖とキューバ糖との開きは何ぼあります。台湾糖とキューバ糖の開きはわずかに十ドルか十五ドルです。その十ドルか十五ドルの較差をとるというなら何をか言わんです。たかだかあなた二十ドルもあるかないかでしょう。事実そうなんです。台湾糖は確かに百十五ドルで契約がなっている。キューバ糖は確かに九十八ドルぐらい。それが国際相場なんです。その較差だけをあなたは縮めようと思うなら、それはそれでいいでしょう。政府考えておる案はそうじゃないのです。六十億というようなべらぼうなものがそれだけ加算されてきます。新しく政府考えておる特別会計に六十億を入れようということは、それだけ斤当り高い砂糖をわれわれは食わされることになるのです。その措置をやらなければ、高い砂糖をわれわれは食わなくていいのです。それをほっとけば業者がもうけると、こう言うでしょう。それなら一手輸入すれはいいのです。政府が外貨割当をいたしておりますから、全量を政府が一手に輸入すれば、そして必要部分だけ月々払い下げていけば、何もそんな変なことをしなくたって糖価は安定いたしますから、不当な高いものを食べなくていいのです。その措置をとらずにそんな変なことをするため、現実にそういう高いものを食わされる。だからそういういいかげんな、ちょろまかしの答弁をされてはたまったものではない。そうして、現実に今重油施設によって生産をしております産業の状態は一体どうなっているのです。それをまた全部やめてしまって、石炭に今度切りかえるということがまた非常に大きな問題でありましょうし、石炭炭価というものをあなた方が保証しない限りは、今の石炭の生産状況のもとにおいて一体どういうことになります。これは大へんなことになってしまう。あなた方は、予算説明には非常に明るい見通しを立てた説明をして、貿易は黒字になっている。黒字どころの騒ぎではありませんよ、そういう措置を講ずれば、だから、これ以上私はきょうは申しませんが、いま少しそこらを御検討の上で、はっきり審議のできますような法案提出願いたい。そうでなければまた問題になって、どだいもめてしようがありませんから、それを私は警告して、本日の質問はこれにて保留しておきます。
  187. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 井上さんにお答えしておきます。いかにも大へんでたらめな御答弁をしたかのようにおしかりでありますが、決してそういうことはありません。今申したようなこともある。そうして砂糖の市場価格がやはり高いのでございます。ですからこれをほっておいたら、やはり高い砂糖が横行をして、その利益は会社にいく。これは計画経済とか統制経済ということなら別ですが、自由経済の場合にこういう措置をとるということは、私は適切である、こういうふうに考えておるわけであります。
  188. 松原喜之次

    松原委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は来たる十七日午前十時より開会することといたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後五時六分散会