○
上床参考人 私がただいま御紹介にあずかりました
石油及び
可燃性天然ガス資源開発審議会会長上床国夫であります。
さっそくお話申し上げます。ただいま
石油資源開発の
必要性に迫られておりますが、これは各国の国情によりましてその
必要度が変っております。
わが国における
必要性ということは、今さら私が申し上げませんでも、皆様十分
御存じでありますから申し上げません。ただし最近、数日前入りましたワールド・
オイルという
アメリカの
雑誌がありますが、これに載っております
日本の
状態と、それから
フランス、
イタリアの
状態をちょっと申し上げまして、御
参考に供したいと思います。
まず
フランスでありますが、二、三年前には
石油産額は
日本と同じ三十数万トンであったのでありますが、昨年の暮れになりまして、ボルドーの南西に
パレンチスという
油田がありまして、そこを
発見いたしまして以来、この
雑誌に載っておりますのを見ますと、今年の
パレンチス油田から
生産します
生産量は七百万
バーレルといわれております。ですから大体百万トンの油を
パレンチス油田から出すということを報告しております。このことは非常に注目すべきであります。それから
イタリアの例でありますが、これは今年の三月の終りから四月の初めにかけまして、ローマの東のエスゴラというアドリア海に面した有名な港がございますが、そこから西に十五、六マイル入りましたところの
アランノーというところの、
アメリカのガルフ・
オイル・カンパニーと
イタリアの
会社が合同して掘りましたその
井戸が二千
バーレルの
生産をしております。その
雑誌によりますと、
イタリアは最近
石油の
輸出国になるだろうといっております。
イタリアの
生産は
御存じのように三十年以前から
国営会社を作りまして、ししとして
開発しておりましたが、その
生産が上らなくて大体十万トン以内を
生産しておったのでありますが、今年の初めになりまして今申し上げたようなことで、これから
石油の
輸出国になるというようなことであります。
それから
日本の例でありますが、これはこの数日前に来ました
雑誌でありますが、これを見ますと、いわゆる
政府出資の
石油会社ができるだろうということが書いてあります。これはもう国際的に
日本の
石油鉱業というものは
筒抜けになっているということなのです。それから昨年の暮れに来ましたこの本によりますと、
日本は
石油開発五カ年
計画を
計画したけれども、
日本は金が出ないので、それは実施されていないのだということが書いてありました。ところが数日前に来たのには、
国策会社ができるだろうということが書いてあるのであります。ここで御注意願いたいことは、これを見ますと、
日本の
石油鉱業というものは、わずか三十数万トンしか出ていない。それがもう国際的にすでに
筒抜けだということです。
幾ら日本で隠しても、
アメリカや
ヨーロッパあたりに
日本の
事情はわかっているわけです。事ほどさように
石油鉱業というものが国際的にクローズ・アップされているということを
一つ御認識願いたいと思うのであります。それが第一点であります。
次に第二番目の問題として申し上げたいことは、今度は私たちの問題でありますが、
わが国の
石油資源の
賦存状態がどうなっているかということであります。この問題につきましては二年前、
昭和二十八年に先ほどの
石油及び
可燃性天然ガス資源開発審議会におきまして、半年ばかり慎重
審議検討いたしました結果、お
手元にあります緑色の
パンフレットができ上りました。それは再版いたしまして第二版目でありますが、その
答申案を
通産大臣に答申いたしました。
通産省におかれましてはこれを採用されまして、
開発五カ年
計画というものを立てられたのであります。その
内容につきましては、すでに
御存じの方もあると思いますので、ごく要点だけを申し上げます。これはそれを
ごらんになりますとおわかりですが、個条的に申しますと、まず第一に
集油構造の
地域が五百カ所になっております。さし
あたりその中で
試掘を行うべき
個所が百五十四カ所、これは最近の
探鉱技術で
探査いたしました結果、今直ちに
試掘してもよろしいという
個所が百五十四カ所あります。この百五十四カ所を定めるにつきましてのいわゆる
根拠でありますが、これは
わが国の過去二十年間における
試掘油田の
試掘の
実績によってその
計画を立てたのであります。その
実績と申しますのは、過去二十年間における
試掘地域が百三十二カ所あります。それから大体
試掘深度の
平均が九百十五メートル。それに対しまして
発見油田数が十四カ所、従って
発見率が一〇%。それから掘
さくいたしました総
深度数が三十六万メートル、大体
採油量といたして八百万トンくらいを採油しております。そういう二十年間の
実績に照らしまして、ただいまの五カ年画を立案したのであります。
次に五カ年
計画の
実施方法でありますが、まず
調査の
方法といたしまして、
地質調査の
個所が百五十一カ所、
地震探鉱が九十一カ所、
重力探鉱が三十一カ所であります。それは全部緑の
パンフレットに書いてあります。それから
試掘の
個所が百五十四カ所、これは
北海道からずっと青森、
秋田、
山形、
新潟、
関東地域、静岡となっております。それから掘ります
井戸数が一カ所に三本ずっといたしまして四百六十二坑、延長総掘
さく数が六十六万メートルとなっております。そういたしまして、
平均の掘
さく深度が千四百二十二メートルとなっておりまして、大体どのくらい当るかということは、先ほど申しました過去二十年間の
実績によりまして大体一〇%といたしますと、十カ所から十五カ所の新しい
油田が
発見されるという
可能性がそこで推定することができるのであります。
次に、では
わが国の
石油を産するだろうというポシビリティの
地域、それはどういう割合になっておるかと申しますと、現在油が出ておる
地域、これが四十六平方キロメートル、それから
採掘地域これが五百九十平方キロメートル、それから
試掘鉱区の
地域、これが二千八百八十四平方キロメートル、これをパーセントに直しますと、現在採油しております
地域が一・三%です。そういたしまして、まだこれから
試掘するという
個所が八二%、全体といたしまして三千五百二十平方キロメートルの中で、現在油が出ておる、たとえば八橋、東山、西山とかいう面積がわずかに一・三%しか
開発されていないという
状態であります。
以上によりまして、大体
日本の
石油資源というものが決して少くないのだということがわかると思いまして、その点を申し上げたのであります。
次に、
開発技術がどのくらい進歩しておるかということを申し上げたいと思います。まず第一に
探鉱法でありますが、
探鉱法の中に
地質調査法と
物理探鉱法とありますが、この
方法につきましては後刻三
土参考人の方からまた詳しい話がありますから、私の方といたしましてはごく概要を申し上げます。
地質調査法は、従来は山を歩きまして
——地表面に油が出ておる、あるいは
天然ガスが出ておる、そういう
地表面の
油徴をたどりまして
地質技術者が
地表面を歩きまして、その
油層の
地質構造を見ていわゆる
背斜構造というものを究明いたしまして、その
地域の
集油構造というものを判定いたしまして、
調査しておったのであります。ところが今日におきましてはそれが進歩いたしまして、まず第一に
含油層の
堆積相、いわゆる
含油層が昔堆積いたしました
堆積盆地というものを
調査いたします。たとえば
北海道の例をとりますと、天塩、北見のいわゆる
堆積盆地、石狩、
日高の
堆積盆地、
秋田、
山形の
海岸に沿いました
堆積盆地、
新潟の
堆積盆地、近くは大きな
関東平野の
堆積盆地、あるいは
秋田、
山形の
内陸油田の
堆積盆地、そういういわゆる
堆積盆地にまず着目をいたします。その
堆積盆地に堆積いたしました
含油地層の中から油が方々出るわけですから、その次にその出た油の
集油構造の
探査ということをいたします。出た油がどこに一番よけいたまっておるかという
集油構造の
探査——集油構造といたしましては、
背斜構造、すなわちアンチクリーナル・トラップ、あるいは
断層集積、すなわちフォールト・トラップ、あるいは
層位集積、すなわちストラッチグラフィカル・トラップあるいは
パーミアビリティ・トラップ、
含油層の
密度が違いますためにそこにたまる。たとえば
新潟の
ガス田あるいは
関東の
ガス田といったようなものは、これはある
程度パーミアビリティ・トラップになっておりまして、入っておる地層の
密度によって
ガスがそこへたまるという例です。こういうような進歩いたしました
地質調査法によりまして、最近は
調査しております。その結果、ではどういう
油田が
発見されたかと申しますと、一例をあげますと、
山形県の
内陸油田、
新庄平原を中心としましたあの
油田は、従来
石油がないといわれておったのですが、こういう
調査方法でいたしました結果、
石油があるべきだという理論的な推論から
試掘いたしました結果、
堀内油田というものを
発見したわけであります。
最近における
地質調査方法の二番目といたしましては
物理探鉱法であります。これについては後刻三
土参考人からお話がありますから詳しくは申しませんが、昔は
物理探鉱法といえば
屈折法というのを使っておったのですが、最近は
反射法を使いまして
探鉱しております。これもその
探鉱の規模によりまして深さがきまるわけです。それによりまして
探査しておりますが、この
設備は
日本では非常に貧弱なんです。例をあげますと、
帝石におきまして五組
地震探鉱の組を持っております。
通産省関係の
地質調査所でわずかに二組、
重力探鉱の方では
帝石にわずかに一台、
地質調査所でわずかに一台、こういうように非常に貧弱なんですが、最近は
物理探鉱がだんだん進歩いたしました結果、
平原油田であるとか、あるいは最近
新聞紙上に出ております
海底油田というようなものの
探査に対しましては、
物理探鉱が非常に大切なのでありますが、現在それによってどういう
油田が
発見されたかと申しますと、去年、ことし
あたりの例を申しますと、
新潟の
高田平原にあります
明治、あの辺に
ガス田を
発見いたしました。
高田平原の上は
たんぼになっておりますが、そのところで
物理探鉱を行いました結果、
集油構造を
発見いたしました。そして掘りましたら
ガスが出て参りました。それから
北海道の札幌の東の野幌も
物理探鉱でもってその
構造を確認しております。そういうふうに
地質調査法と
物理探鉱法とによりまして
堆積盆地でできました
石油の最大の
集油構造を
探査するということになっております。
次に
技術の問題といたしまして
さく井法について申し上げます。これは
御存じの通りに深掘法というのがありまして、最近八橋で
帝国石油が三千メートルの掘
さく機を設置されました。これは
国産品であります。近いうちに四千メートルの
輸入機械が入ることになっております。すでに三千メートルの深掘は八橋で開坑されております。そういうふうに深く掘ることが進められておりますが、
アメリカあたりでは七千メートルも掘っておるのです。まだ
日本では四千メートルくらいの
程度ですが、従ってこの点が将来非常に進むということであります。
もう
一つの掘
さく法の問題といたしましては、
ダイレクショナル・ドリリング、横に掘っていくわけです。たとえば海の中を掘っていきます場合に、
海岸にやぐらを建てて
斜めに掘っていく。あるいは、
秋田市の下に油があります場合に、
秋田市にはやぐらを建てられませんから、
たんぼのところにやぐらを建てて、そして
斜めに掘っていって油をとるというように、そういう都市の下、家庭の
地下あるいは
海底油田というものの
油層掘
さくに
ダイレクショナル・ドリリングというものを行なっております。最近の例といたしましては、先ほど申しました
山形の
新庄の
堀内油田で、あの
最上川——最上川は大きな川ですが、あれを南の岸から、北の岸の下にあります油を
斜めに掘りまして、そして成功いたしました。そんなふうに、
ダイレクショナル・ドリリング、いわゆる
斜坑掘りですが、これが非常に進歩してきつつあります。
それから次の問題といたしましては、
テスト法です。いわゆる
試験法。これは
井戸を掘りまして、
油層に到達いたしました際にこれをテストする
方法です。これは従来でありますと、
井戸を掘りましたときに
油層の
コアがとれます。その
コアを、油がどのくらい入っているかという
含油試験をいたしましたり、あるいはまた掘っておりますときに、
泥水でとれますから、その
泥水、ディッチの中に出てきます油の
徴候あるいは
ガスの
徴候を見まして、大体油があるとかないとかいうことを判断しておったのでありますが、これは最近は進歩いたしまして、
JFTを使っております。ジョンストンのフォーメーション・テストといっておりますが、これによりまして、
油層ごとにそれをテストしていくわけです。これはいわゆる
油層のところで
圧力を低くいたしまして、そして
油層そのものの
圧力によって油や
ガスの押し出しを試験する
方法でありまして、これが非常に進歩しております。これによりまして最近
発見いたしました
ガスが、先ほど申しました
明治の
ガス層であります。これは
あとで申しますが、そこに
プリントがありますが、非常にたくさんテストいたしました。それからもう
一つは、これも
あとで申しますが、八橋の千六百メートル層、これもやはり
JFTテストが成功いたしまして、今度あの大きな
油層を
発見したのであります。そういう
テスト法が、従来と違って非常に進歩しております。
それから次に
技術的な問題として注意いたしますことは、
井戸を掘りました
あと、今度は
仕上げの
方法です。これは
フラクチャリング・メソッドと申しまして、最近
アメリカや
日本でも行いつつありますが、いわゆる
油層の中に
割れ目を人工的に作るわけです。その
方法に大体三通りありまして、化学的な
方法と申しますか、酸を使う、いわゆるアシッド・トリートメントを使いまして、そして
油層の中に
すき間を作ってまばらにするということと、それから
物理法、これは油でありますとか水でありますとかいうものを
圧力で押し込むのです。そうすると
油層が割れますから、割れたところからそれを抜きますと油が出てくるという物理的な
方法であります。もう
一つは
機械法です。これは
日本ではまだやっておりませんが、
アメリカでやっておりまして、
ホリゾンタル・ドリリングと申しておりますが、まっすぐ掘って
油層に当りますと、今度は
油層のところから直角に掘っていくわけです。
油層の中をぐるぐる掘っていって、そして
油層の中に
すき間を作ってやるわけです。いわゆる
ホリゾンタル・ドリリング。これは最近
帝石の
技術者が帰ってきますから、おそらくこういう
方法を見てくるだろうと思いますが、こういう機械的にフラクチャリングする
フラクチャリング・メソッド、いわゆる
割れ目、フラクチャーを作る
方法であります。この
仕上げ方法が、最近非常に進歩しております。
こういうような、今申しました
探鉱法であるとか、あるいは
さく井法、
テスト法、
仕上げ法というような
技術的な
方法によりまして、最近
油田発見率あるいは
油層の
発見か非常に多くなっております。
では、そんなに進歩しているなら、最近何か新しい
油層が
発見されたか、あるいは新しい
油田が
発見されたかということでありますが、それを一、二申し上げましょう。それは、今お
手元にありますこの緑の表紙の
プリントは、五カ年
計画ですが、これは二年前の二十八年に作ったのです。すでに二年間たっております。非常に遅々として進まないのですが、その間に次のような新しい問題が起ってきました。
その
一つは、八橋の千六百メートル
油層の
発見。これはお
手元に、八橋の百三号の資料が袋に入っております。それを
ごらんになるとおわかりでしょうが、
一つあとで
ごらん願います。それはどういうことかと申しますと、千六百四十メートルから千七百十三メートル、すなわち七十三メートルの厚さの
油層が
発見されたのです。これは今まで下の方に掘っていかなかったために
発見されなかったのですが、最近
帝石で掘られまして、掘っていった結果
発見した
油層であります。これは大体百万トンくらいの油が中にあるということになっておりまして、それがずっと
——その
プリントにありますように、
発見されておりますのは高野の方でありますが、それがだんだんと南の方に続いておりまして、八橋、雄物川の方にもそれが連続しておるということでありまして、大体百万トンくらいの油が埋蔵されておるということになっております。最近になりまして、二、三日前の資料でありますが、ビーンを六十四分の八インチに小
さくしぼりまして、日産二十五キロの油をとっております。そういうふうにいたしまして、いわゆる
生産をごくステーブルに、安定した
生産にいたしまして、これから採油しようということになっております。その千六百メートル層は、これは今まで掘らなかったので
発見されなかったのですが、
帝石でもって採掘をやって、盛んに掘られたので
発見されたのであります。これは今そこにおられます齋藤委員それから伊藤委員なんかもこの間
ごらんになって
御存じだろうと思いますが、ああいう非常に勢いよく、りっぱな
油層が
発見されたのでありまして、要するにこれは掘れば出てくるということの一例であります。
もう
一つの例は、これは
新潟の
高田平原の
明治のR八号、ロータリー八号の
井戸でありまして、それもその袋の中に入っております。ここは
ガス田でありますが、これは非常におもしろいことには、
イタリアのポー河の流域にあります
——御存じのように、
イタリアは油が出なくて
ガスが出たのですが、あの
ガスは
石油系の
ガスです。そのポー河の流域にあります
ガス田とそっくりです。非常によく似ておりますが、そのいわゆる
ガス田の
一つが
明治として
発見されたのであります。
明治におきましては、坑井
深度が大体千三百九メートルでありまして、
ガスが、十六分の三にしぼりまして、大体一日に四万五千から五万キュービック・メートル出ております。その中にガソリンが入っておりまして、ガソリンが一・一から一・六、ですから大体一から一・五キロ・リットルくらいのガソリンが、その四万五千から五万キュービック・メートルの
ガスの中に入っております。そういう
ガス層に当ったわけです。それで水は全然ありません。そういう新しい
油田が最近一、二年の間に
発見されております。
もう
一つ、最近の問題といたしましては、
天然ガスでありますが、
日本全体といたしまして
天然ガスの
生産量は、
昭和二十八年は一年間に大体におきまして一億キュービック・メートル、ところが二十九年は一億四千万キュービック・メートルであります。大体四〇%の増加をしておるということでありまして、これは
天然ガスが最近いかに急激に需要が多くなって増産されておるかということを物語るものでありまして、この
天然ガスのうち、
石油系のものが大体二〇%で、水溶性の
ガスが八〇%になっております。
以上、
日本の問題につきまして、
石油の資源量というものはまだたくさんあるということ、それからもう
一つは、それを
開発いたしますについての
技術的な問題は、非常に進歩しつつあるということ、その結果といたしまして最近一、二の朗報が得られておるということを申し上げたのであります。
最後に結論として申し上げたいことは、まず第一に国内の
石油及び
天然ガス資源はまだ豊富に賦存されておるということであります。
二番目の問題は、その資源量に対しまして、従来
探鉱したり
試掘したりする作業量が非常に足りないということであります。従って進歩した
技術とその作業量の増加に従って、
石油を増産する
可能性を持っておるということであります。
三番目といたしましては、資源
開発に際しましては、常に
計画的な
技術開発を必要といたします。今までのようにただアトランダムに手当り次第に、あるいは便利なところから掘っていくというようなことでなしに、そろばんをとって採算をとるにいたしましても、やはり
計画的な
技術開発が必要であるということであります。
四番目といたしましては、では最良の
技術開発の
方法は何かと申しますと、私どものこの
上床委員会の五カ年
計画の
答申案によっていただきたいということであります。
五番目といたしましては、
油田開発の
技術がこの五カ年
計画を実施することによって非常に進歩するということは何を意味するかと申しますと、最近
新聞紙上によって報道されております東南アジア
油田の
開発について協力していこうといったような場合に、やはり国内
油田の
開発について足場がしっかりしていなくては困る、あるいは
技術の進歩がなくては困るというような裏づけが必要なのでありますが、その裏づけにいつでも応じられるということが五番目の問題であります。
六番目の問題といたしましては、では目標
生産量はどうだということでありますが、そういうふうにして考えて参りますと、現在の
採油量を三倍ぐらいにするということは決して不可能ではないということが言えると思います。それは次のような例から言えるのであります。先ほどちょっと申しましたが、
フランスの例であります。
フランスでは二、三年前までは、
日本と同じくらいの三十数万トンから四十万トンの油であったのが、
物理探鉱の
開発の結果あそこは、ドイツもそうですが、昔の氷河の堆積が地上をおおっておりまして
地下が見えないのです。それを
物理探鉱で、いわゆる
反射法で
探査いたしました結果、ボルドー市の東南にあります
パレンチス油田というのが
発見されまして、一九五五年の
生産量を七百万
バーレルも見積ることができるくらいの大
油田を
発見したという事実。もう
一つは
イタリアでありますが、三十年間も十万トンくらいしか出なかった
イタリアが、アランノ
油田において
——これはガルフ・
オイル・カンパニーが出資して掘ったのですが、二千
バーレルも出ておるというのであります。最近出ました
雑誌を見ますと、ソコニー・バキューム・
イタリアーナというスタンダードと
イタリアとの合弁
会社が八百万ドルの融資をしておるということが書いてあります。そういうふうに、
イタリアのようなたった十万トンしか出なくて、地質条件は、本州くらいしがなくて、火山が発達しておって、
日本よりも非常に地質条件の悪い
——アランノ
油田の報告を見ますと、地層が非常にもめておりましてなかなか困難なところでありますが、それを克服してとにかくこういう大きな
石油を
発見しております。そういうような地質条件の悪いところの
イタリアにおいてさえ、とにかくこういう新しい
油田を
発見しておるのでありますから、それよりも条件のいい
わが国、しかも数十年来三十万トンを持続しておるということは、これは条件がいいわけであります。あまり掘らないで三十万トンを持続しておるということは、地質条件がいいから持続できるわけでありまして、そういうところで三倍くらいの油を出すことは決して難事でないということが結論的に申し上げられると思います。
以上結論を申し上げたのでありますが、最後に申し上げたいことは、特にここで
一つ気をつけてお聞き願いたいと思いますことは、
石油鉱業の特異性を把握していただきたいということです。
地下に眠れる石炭ということは小学校や中学校の教科書に書いてあります。昔の植物が石炭に変ったということが教科書に書いてあります。ところが
石油は生きておるのです。眠ってはおりません。生きておりましていわゆる血が流れておると私は思うのです。それはなぜかと申しますと、
堆積盆地に堆積した昔の浮遊生物、いわゆるプランクトンでありますとか、ああいうものが
石油に変ったのです。それがエネルギーになりまして下に非常に大きなエネルギーで生きているのです。なぜ生きておるかと申しますと、この間八橋で千六百メートル層を掘ったときにあれを
ごらんになりましてもおわかりのように、二分の一インチのこんな小さな穴をひょっとあけると、五十キロぐらいの油がだっと出てくるということは、油が生きておるから出てくるのであります。石炭のように眠っておったら出てこない。ですから
石油というものは
地下に生きておるのだということを
一つ認識していただきたい。従ってそれをとろうとする人間も生きておるのです。ですからわれわれにも生命があるし、
石油にも生命がある。従ってその二つの生命をつなぐことによって油が出てくるのだ。そこに私は政治があると思うのです。従ってこの点をよく御認識願いまして、この五カ年
計画によって
わが国の
石油の自給化を強度に進めていただきたいのであります。
申し上げたいことは大体それだけでありますが、
あとは御質問によりましてまたお答えすることにいたします。