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1955-06-03 第22回国会 衆議院 商工委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年六月三日(金曜日)     午前十時三十七分開議  出席委員    委員長 田中 角榮君    理事 田中 彰治君 理事 長谷川四郎君    理事 山手 滿男君 理事 永井勝次郎君    理事 中崎  敏君       阿左美廣治君    大倉 三郎君       小笠 公韶君    齋藤 憲三君       笹本 一雄君    首藤 新八君       野田 武夫君    森山 欽司君       加藤 精三君    神田  博君       小平 久雄君    加藤 清二君       田中 武夫君    帆足  計君       八木  昇君    伊藤卯四郎君       菊地養之輔君    佐々木良作君       田中 利勝君  出席政府委員         通商産業政務次         官       島村 一郎君         通商産業事務官         (大臣官房長) 岩武 照彦君         通商産業事務官         (鉱山局長)  川上 為治君  委員外出席者         参  考  人         (石油及び可燃         性天然ガス資源         開発審議会会         長)      上床 国夫君         参  考  人         (東京大学講師         前地質調査所所         長)      三土 知芳君         参  考  人         (帝国石油株式         会社会長)   鮎川 義介君         参  考  人         (日本石油株式         会社社長)  栗田 淳一君         参  考  人         (日本鉱業株式         会社常務取締         役)      阿部 謙二君         専  門  員 谷崎  明君         専  門  員 越田 清七君         専  門  員 円地与四松君         専  門  員 菅田清治郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  中小企業金融公庫法の一部を改正する法律案(  内閣提出第二三号)  商工組合中央金庫法の一部を改正する法律案(  内閣提出第二四号)  アルコール専売法の一部を改正する法律案(内  閣提出第一一二号)  国内石油資源総合開発に関する件について参考  人より意見聴取     —————————————
  2. 田中角榮

    田中委員長 これより会議を開きます。  日程に従い、アルコール専売法の一部を改正する法律案内閣提出第一一二号を議題といたし、提案理由の説明を求めます。通商産業政務次官島村一郎君。
  3. 島村一郎

    島村政府委員 本日ここにアルコール専売法の一部を改正する法律案を提出いたしました理由につきまして御説明申し上げます。  アルコール専売法が実施されましたのは昭和十二年でありまして、当時に比較しますと現在は物価水準が著しく変動し、現行法罰則では、アルコール専売における違反取締りの実を上げることに支障を生ずるに至ったのであります。  このような事態に対処いたしますために、法律を改正し、罰則関係の諸規定を強化整備するとともに、あわせて取締り関係の諸規定を整備して取締りの徹底を期するべきであると考えましたので、ここにアルコール専売法の一部を改正する法律案を提出いたした次第であります。  この法律案のおもな改正点は、まず、罰則を整備いたしたことであります。現行最高五千円の罰金最高三年の懲役または三十万円以下の罰金に改め、場合によりましては懲役及び罰金を併科し、さらに不定量刑をも科し得ることとしますとともに、以下犯則の内容に応じて、二十万円以下、十万円以下または五万円以下の罰金もしくは科料を科することに改め、その科罰基準を最近の実勢に照らし整備したことであります。次に専売法のうち取締り関係規定の不備な点を若干改正いたすこととしまして、第一はアルコール製造者及びアルコール売りさばき人が製造及び貯蔵設備を新設または変更いたしました場合、政府の検査を要することとしたことであります。第二はアルコール製造者及び売りさばき人等帳簿作成義務を課したことであります。なおその他これらの関係条文を若干改正いたそうとするのでございます。  以上がこの法律案提案理由及び主要な内容の概略であります。何とぞ御審議の上、御賛同あらんことを切望いたす次第でございます。
  4. 田中角榮

    田中委員長 本案に対する質疑次会に行うことといたします。     —————————————
  5. 田中角榮

    田中委員長 次に中小企業金融公庫法の一部を改正する法律案及び商工組合中央金庫法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。  両案の質疑を終了することに御異議はありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 田中角榮

    田中委員長 御異議なしと認め、両案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  7. 田中角榮

    田中委員長 次に国内石油資源総合開発に関し御出席参考人各位より御意見を伺うことにいたします。  参考人各位にこの際一言申し上げます。本日は御多用のところ特に御出席下さいましたことを厚くお礼申し上げます。すでに御承知のことと思いますが、先般本委員会総合燃料対策及び地下資源開発に関する小委員長より、国内石油資源総合開発五カ年計画を遂行するためには、現行探鉱助成金制度によってはすこぶる困難であると思われるので、この際政府民間共同出資による石油資源開発のための特殊会社を設立し、抜本的に開発を行うべきである旨の中間報告があり、現在同小委員会においてこれに必要な法律案起草中であります。本件に関しましてはいまだ起草中の段階であり、案をお示しすることができないのでありますが、法律案起草に当り、御意見なり御希望等がございますれば、この際忌憚なく御発表を願いたいと存ずるのであります。なお御発言の時間はお一人おおむね十五分程度となし、その順序は恐縮でございますが、委員長におまかせを願いたいと存じます。御意見発表の後、委員側から種々質疑もあろうかと存じますが、あらかじめお含みの上、お願いを申し上げたいのであります。  なお念のために申し上げますが、将来の石油について、日本石油資源開発と、外油輸入といずれの方法を先にとるべきか。安い外泊なら買ってもよいではないか。出るか出ないかわからない石油資源試掘、探掘に大きな国費を投入する必要が今すぐあるかないか。あるとしても安い外油輸入していながら将来においてやっても遅くないではないか。今すぐ立法措置を必要とするかどうか。二つには、西ドイツ、フランス等における戦後の国内石油資源開発をなした結果と、世界の石油情勢及び日本石油事情にについての比較。三は、ただいま審議中の三十年度予算に計上されておる三億円の補助金はそのままの方がよいか、または特殊会社出資金とする方が合理的であるかどうか、その根拠。その場合民間資本の導入ができるか、または民間会社は協力でき得るかどうか。四つには、試掘探鉱のため特殊会社を設立した場合、現在までの調査の結果、成果を上げ得るかどうかの見込み等について。すなわち試掘はしたけれども、水ばかり出て油は全然出てこないというようなことはないかどうか。これらについて端的に参考意見をお述べ願えれば幸甚だと思うのであります。  それでは本日御出席下さった参考人の方々を御報告申し上げます。参考人の諸君は、石油及び可燃性天然ガス資源開発審議会会長上床国夫君、東京大学講師、前地質調査所所長土知芳君、帝国石油株式会社社長鮎川義介君、日本石油株式会社社長栗田淳一君、日本鉱業株式会社常務取締役阿部謙二君、以上の五君でございます。  では上床国夫さんよりお願いいたします。
  8. 上床国夫

    上床参考人 私がただいま御紹介にあずかりました石油及び可燃性天然ガス資源開発審議会会長上床国夫であります。  さっそくお話申し上げます。ただいま石油資源開発必要性に迫られておりますが、これは各国の国情によりましてその必要度が変っております。わが国における必要性ということは、今さら私が申し上げませんでも、皆様十分御存じでありますから申し上げません。ただし最近、数日前入りましたワールド・オイルというアメリカ雑誌がありますが、これに載っております日本状態と、それからフランスイタリア状態をちょっと申し上げまして、御参考に供したいと思います。  まずフランスでありますが、二、三年前には石油産額日本と同じ三十数万トンであったのでありますが、昨年の暮れになりまして、ボルドーの南西にパレンチスという油田がありまして、そこを発見いたしまして以来、この雑誌に載っておりますのを見ますと、今年のパレンチス油田から生産します生産量は七百万バーレルといわれております。ですから大体百万トンの油をパレンチス油田から出すということを報告しております。このことは非常に注目すべきであります。それからイタリアの例でありますが、これは今年の三月の終りから四月の初めにかけまして、ローマの東のエスゴラというアドリア海に面した有名な港がございますが、そこから西に十五、六マイル入りましたところのアランノーというところの、アメリカのガルフ・オイル・カンパニーとイタリア会社が合同して掘りましたその井戸が二千バーレル生産をしております。その雑誌によりますと、イタリアは最近石油輸出国になるだろうといっております。イタリア生産御存じのように三十年以前から国営会社を作りまして、ししとして開発しておりましたが、その生産が上らなくて大体十万トン以内を生産しておったのでありますが、今年の初めになりまして今申し上げたようなことで、これから石油輸出国になるというようなことであります。  それから日本の例でありますが、これはこの数日前に来ました雑誌でありますが、これを見ますと、いわゆる政府出資石油会社ができるだろうということが書いてあります。これはもう国際的に日本石油鉱業というものは筒抜けになっているということなのです。それから昨年の暮れに来ましたこの本によりますと、日本石油開発五カ年計画計画したけれども、日本は金が出ないので、それは実施されていないのだということが書いてありました。ところが数日前に来たのには、国策会社ができるだろうということが書いてあるのであります。ここで御注意願いたいことは、これを見ますと、日本石油鉱業というものは、わずか三十数万トンしか出ていない。それがもう国際的にすでに筒抜けだということです。幾ら日本で隠しても、アメリカヨーロッパあたり日本事情はわかっているわけです。事ほどさように石油鉱業というものが国際的にクローズ・アップされているということを一つ御認識願いたいと思うのであります。それが第一点であります。  次に第二番目の問題として申し上げたいことは、今度は私たちの問題でありますが、わが国石油資源賦存状態がどうなっているかということであります。この問題につきましては二年前、昭和二十八年に先ほどの石油及び可燃性天然ガス資源開発審議会におきまして、半年ばかり慎重審議検討いたしました結果、お手元にあります緑色のパンフレットができ上りました。それは再版いたしまして第二版目でありますが、その答申案通産大臣に答申いたしました。通産省におかれましてはこれを採用されまして、開発五カ年計画というものを立てられたのであります。その内容につきましては、すでに御存じの方もあると思いますので、ごく要点だけを申し上げます。これはそれをごらんになりますとおわかりですが、個条的に申しますと、まず第一に集油構造地域が五百カ所になっております。さしあたりその中で試掘を行うべき個所が百五十四カ所、これは最近の探鉱技術探査いたしました結果、今直ちに試掘してもよろしいという個所が百五十四カ所あります。この百五十四カ所を定めるにつきましてのいわゆる根拠でありますが、これはわが国の過去二十年間における試掘油田試掘実績によってその計画を立てたのであります。その実績と申しますのは、過去二十年間における試掘地域が百三十二カ所あります。それから大体試掘深度平均が九百十五メートル。それに対しまして発見油田数が十四カ所、従って発見率が一〇%。それから掘さくいたしました総深度数が三十六万メートル、大体採油量といたして八百万トンくらいを採油しております。そういう二十年間の実績に照らしまして、ただいまの五カ年画を立案したのであります。  次に五カ年計画実施方法でありますが、まず調査方法といたしまして、地質調査個所が百五十一カ所、地震探鉱が九十一カ所、重力探鉱が三十一カ所であります。それは全部緑のパンフレットに書いてあります。それから試掘個所が百五十四カ所、これは北海道からずっと青森、秋田山形新潟関東地域、静岡となっております。それから掘ります井戸数が一カ所に三本ずっといたしまして四百六十二坑、延長総掘さく数が六十六万メートルとなっております。そういたしまして、平均の掘さく深度が千四百二十二メートルとなっておりまして、大体どのくらい当るかということは、先ほど申しました過去二十年間の実績によりまして大体一〇%といたしますと、十カ所から十五カ所の新しい油田発見されるという可能性がそこで推定することができるのであります。  次に、ではわが国石油を産するだろうというポシビリティの地域、それはどういう割合になっておるかと申しますと、現在油が出ておる地域、これが四十六平方キロメートル、それから採掘地域これが五百九十平方キロメートル、それから試掘鉱区地域、これが二千八百八十四平方キロメートル、これをパーセントに直しますと、現在採油しております地域が一・三%です。そういたしまして、まだこれから試掘するという個所が八二%、全体といたしまして三千五百二十平方キロメートルの中で、現在油が出ておる、たとえば八橋、東山、西山とかいう面積がわずかに一・三%しか開発されていないという状態であります。  以上によりまして、大体日本石油資源というものが決して少くないのだということがわかると思いまして、その点を申し上げたのであります。  次に、開発技術がどのくらい進歩しておるかということを申し上げたいと思います。まず第一に探鉱法でありますが、探鉱法の中に地質調査法物理探鉱法とありますが、この方法につきましては後刻三土参考人の方からまた詳しい話がありますから、私の方といたしましてはごく概要を申し上げます。地質調査法は、従来は山を歩きまして——地表面に油が出ておる、あるいは天然ガスが出ておる、そういう地表面油徴をたどりまして地質技術者地表面を歩きまして、その油層地質構造を見ていわゆる背斜構造というものを究明いたしまして、その地域集油構造というものを判定いたしまして、調査しておったのであります。ところが今日におきましてはそれが進歩いたしまして、まず第一に含油層堆積相、いわゆる含油層が昔堆積いたしました堆積盆地というものを調査いたします。たとえば北海道の例をとりますと、天塩、北見のいわゆる堆積盆地、石狩、日高堆積盆地秋田山形海岸に沿いました堆積盆地新潟堆積盆地、近くは大きな関東平野の堆積盆地、あるいは秋田山形内陸油田堆積盆地、そういういわゆる堆積盆地にまず着目をいたします。その堆積盆地に堆積いたしました含油地層の中から油が方々出るわけですから、その次にその出た油の集油構造探査ということをいたします。出た油がどこに一番よけいたまっておるかという集油構造探査——集油構造といたしましては、背斜構造、すなわちアンチクリーナル・トラップ、あるいは断層集積、すなわちフォールト・トラップ、あるいは層位集積、すなわちストラッチグラフィカル・トラップあるいはパーミアビリティ・トラップ含油層密度が違いますためにそこにたまる。たとえば新潟ガス田あるいは関東ガス田といったようなものは、これはある程度パーミアビリティ・トラップになっておりまして、入っておる地層の密度によってガスがそこへたまるという例です。こういうような進歩いたしました地質調査法によりまして、最近は調査しております。その結果、ではどういう油田発見されたかと申しますと、一例をあげますと、山形県の内陸油田新庄平原を中心としましたあの油田は、従来石油がないといわれておったのですが、こういう調査方法でいたしました結果、石油があるべきだという理論的な推論から試掘いたしました結果、堀内油田というものを発見したわけであります。  最近における地質調査方法の二番目といたしましては物理探鉱法であります。これについては後刻三土参考人からお話がありますから詳しくは申しませんが、昔は物理探鉱法といえば屈折法というのを使っておったのですが、最近は反射法を使いまして探鉱しております。これもその探鉱の規模によりまして深さがきまるわけです。それによりまして探査しておりますが、この設備日本では非常に貧弱なんです。例をあげますと、帝石におきまして五組地震探鉱の組を持っております。通産省関係地質調査所でわずかに二組、重力探鉱の方では帝石にわずかに一台、地質調査所でわずかに一台、こういうように非常に貧弱なんですが、最近は物理探鉱がだんだん進歩いたしました結果、平原油田であるとか、あるいは最近新聞紙上に出ております海底油田というようなものの探査に対しましては、物理探鉱が非常に大切なのでありますが、現在それによってどういう油田発見されたかと申しますと、去年、ことしあたりの例を申しますと、新潟高田平原にあります明治、あの辺にガス田発見いたしました。高田平原の上はたんぼになっておりますが、そのところで物理探鉱を行いました結果、集油構造発見いたしました。そして掘りましたらガスが出て参りました。それから北海道の札幌の東の野幌も物理探鉱でもってその構造を確認しております。そういうふうに地質調査法物理探鉱法とによりまして堆積盆地でできました石油の最大の集油構造探査するということになっております。  次に技術の問題といたしましてさく井法について申し上げます。これは御存じの通りに深掘法というのがありまして、最近八橋で帝国石油が三千メートルの掘さく機を設置されました。これは国産品であります。近いうちに四千メートルの輸入機械が入ることになっております。すでに三千メートルの深掘は八橋で開坑されております。そういうふうに深く掘ることが進められておりますが、アメリカあたりでは七千メートルも掘っておるのです。まだ日本では四千メートルくらいの程度ですが、従ってこの点が将来非常に進むということであります。  もう一つの掘さく法の問題といたしましては、ダイレクショナル・ドリリング、横に掘っていくわけです。たとえば海の中を掘っていきます場合に、海岸にやぐらを建てて斜めに掘っていく。あるいは、秋田市の下に油があります場合に、秋田市にはやぐらを建てられませんから、たんぼのところにやぐらを建てて、そして斜めに掘っていって油をとるというように、そういう都市の下、家庭の地下あるいは海底油田というものの油層さくダイレクショナル・ドリリングというものを行なっております。最近の例といたしましては、先ほど申しました山形新庄堀内油田で、あの最上川——最上川は大きな川ですが、あれを南の岸から、北の岸の下にあります油を斜めに掘りまして、そして成功いたしました。そんなふうに、ダイレクショナル・ドリリング、いわゆる斜坑掘りですが、これが非常に進歩してきつつあります。  それから次の問題といたしましては、テスト法です。いわゆる試験法。これは井戸を掘りまして、油層に到達いたしました際にこれをテストする方法です。これは従来でありますと、井戸を掘りましたときに油層コアがとれます。そのコアを、油がどのくらい入っているかという含油試験をいたしましたり、あるいはまた掘っておりますときに、泥水でとれますから、その泥水、ディッチの中に出てきます油の徴候あるいはガス徴候を見まして、大体油があるとかないとかいうことを判断しておったのでありますが、これは最近は進歩いたしまして、JFTを使っております。ジョンストンのフォーメーション・テストといっておりますが、これによりまして、油層ごとにそれをテストしていくわけです。これはいわゆる油層のところで圧力を低くいたしまして、そして油層そのもの圧力によって油やガスの押し出しを試験する方法でありまして、これが非常に進歩しております。これによりまして最近発見いたしましたガスが、先ほど申しました明治ガス層であります。これはあとで申しますが、そこにプリントがありますが、非常にたくさんテストいたしました。それからもう一つは、これもあとで申しますが、八橋の千六百メートル層、これもやはりJFTテストが成功いたしまして、今度あの大きな油層発見したのであります。そういうテスト法が、従来と違って非常に進歩しております。  それから次に技術的な問題として注意いたしますことは、井戸を掘りましたあと、今度は仕上げ方法です。これはフラクチャリング・メソッドと申しまして、最近アメリカ日本でも行いつつありますが、いわゆる油層の中に割れ目を人工的に作るわけです。その方法に大体三通りありまして、化学的な方法と申しますか、酸を使う、いわゆるアシッド・トリートメントを使いまして、そして油層の中にすき間を作ってまばらにするということと、それから物理法、これは油でありますとか水でありますとかいうものを圧力で押し込むのです。そうすると油層が割れますから、割れたところからそれを抜きますと油が出てくるという物理的な方法であります。もう一つ機械法です。これは日本ではまだやっておりませんが、アメリカでやっておりまして、ホリゾンタル・ドリリングと申しておりますが、まっすぐ掘って油層に当りますと、今度は油層のところから直角に掘っていくわけです。油層の中をぐるぐる掘っていって、そして油層の中にすき間を作ってやるわけです。いわゆるホリゾンタル・ドリリング。これは最近帝石技術者が帰ってきますから、おそらくこういう方法を見てくるだろうと思いますが、こういう機械的にフラクチャリングするフラクチャリング・メソッド、いわゆる割れ目、フラクチャーを作る方法であります。この仕上げ方法が、最近非常に進歩しております。  こういうような、今申しました探鉱法であるとか、あるいはさく井法テスト法仕上げ法というような技術的な方法によりまして、最近油田発見率あるいは油層発見か非常に多くなっております。  では、そんなに進歩しているなら、最近何か新しい油層発見されたか、あるいは新しい油田発見されたかということでありますが、それを一、二申し上げましょう。それは、今お手元にありますこの緑の表紙のプリントは、五カ年計画ですが、これは二年前の二十八年に作ったのです。すでに二年間たっております。非常に遅々として進まないのですが、その間に次のような新しい問題が起ってきました。  その一つは、八橋の千六百メートル油層発見。これはお手元に、八橋の百三号の資料が袋に入っております。それをごらんになるとおわかりでしょうが、一つあとごらん願います。それはどういうことかと申しますと、千六百四十メートルから千七百十三メートル、すなわち七十三メートルの厚さの油層発見されたのです。これは今まで下の方に掘っていかなかったために発見されなかったのですが、最近帝石で掘られまして、掘っていった結果発見した油層であります。これは大体百万トンくらいの油が中にあるということになっておりまして、それがずっと——そのプリントにありますように、発見されておりますのは高野の方でありますが、それがだんだんと南の方に続いておりまして、八橋、雄物川の方にもそれが連続しておるということでありまして、大体百万トンくらいの油が埋蔵されておるということになっております。最近になりまして、二、三日前の資料でありますが、ビーンを六十四分の八インチに小さくしぼりまして、日産二十五キロの油をとっております。そういうふうにいたしまして、いわゆる生産をごくステーブルに、安定した生産にいたしまして、これから採油しようということになっております。その千六百メートル層は、これは今まで掘らなかったので発見されなかったのですが、帝石でもって採掘をやって、盛んに掘られたので発見されたのであります。これは今そこにおられます齋藤委員それから伊藤委員なんかもこの間ごらんになって御存じだろうと思いますが、ああいう非常に勢いよく、りっぱな油層発見されたのでありまして、要するにこれは掘れば出てくるということの一例であります。  もう一つの例は、これは新潟高田平原明治のR八号、ロータリー八号の井戸でありまして、それもその袋の中に入っております。ここはガス田でありますが、これは非常におもしろいことには、イタリアのポー河の流域にあります——御存じのように、イタリアは油が出なくてガスが出たのですが、あのガス石油系のガスです。そのポー河の流域にありますガス田とそっくりです。非常によく似ておりますが、そのいわゆるガス田一つ明治として発見されたのであります。明治におきましては、坑井深度が大体千三百九メートルでありまして、ガスが、十六分の三にしぼりまして、大体一日に四万五千から五万キュービック・メートル出ております。その中にガソリンが入っておりまして、ガソリンが一・一から一・六、ですから大体一から一・五キロ・リットルくらいのガソリンが、その四万五千から五万キュービック・メートルのガスの中に入っております。そういうガス層に当ったわけです。それで水は全然ありません。そういう新しい油田が最近一、二年の間に発見されております。  もう一つ、最近の問題といたしましては、天然ガスでありますが、日本全体といたしまして天然ガス生産量は、昭和二十八年は一年間に大体におきまして一億キュービック・メートル、ところが二十九年は一億四千万キュービック・メートルであります。大体四〇%の増加をしておるということでありまして、これは天然ガスが最近いかに急激に需要が多くなって増産されておるかということを物語るものでありまして、この天然ガスのうち、石油系のものが大体二〇%で、水溶性のガスが八〇%になっております。  以上、日本の問題につきまして、石油の資源量というものはまだたくさんあるということ、それからもう一つは、それを開発いたしますについての技術的な問題は、非常に進歩しつつあるということ、その結果といたしまして最近一、二の朗報が得られておるということを申し上げたのであります。  最後に結論として申し上げたいことは、まず第一に国内の石油及び天然ガス資源はまだ豊富に賦存されておるということであります。  二番目の問題は、その資源量に対しまして、従来探鉱したり試掘したりする作業量が非常に足りないということであります。従って進歩した技術とその作業量の増加に従って、石油を増産する可能性を持っておるということであります。  三番目といたしましては、資源開発に際しましては、常に計画的な技術開発を必要といたします。今までのようにただアトランダムに手当り次第に、あるいは便利なところから掘っていくというようなことでなしに、そろばんをとって採算をとるにいたしましても、やはり計画的な技術開発が必要であるということであります。  四番目といたしましては、では最良の技術開発方法は何かと申しますと、私どものこの上床委員会の五カ年計画答申案によっていただきたいということであります。  五番目といたしましては、油田開発技術がこの五カ年計画を実施することによって非常に進歩するということは何を意味するかと申しますと、最近新聞紙上によって報道されております東南アジア油田開発について協力していこうといったような場合に、やはり国内油田開発について足場がしっかりしていなくては困る、あるいは技術の進歩がなくては困るというような裏づけが必要なのでありますが、その裏づけにいつでも応じられるということが五番目の問題であります。  六番目の問題といたしましては、では目標生産量はどうだということでありますが、そういうふうにして考えて参りますと、現在の採油量を三倍ぐらいにするということは決して不可能ではないということが言えると思います。それは次のような例から言えるのであります。先ほどちょっと申しましたが、フランスの例であります。フランスでは二、三年前までは、日本と同じくらいの三十数万トンから四十万トンの油であったのが、物理探鉱開発の結果あそこは、ドイツもそうですが、昔の氷河の堆積が地上をおおっておりまして地下が見えないのです。それを物理探鉱で、いわゆる反射法探査いたしました結果、ボルドー市の東南にありますパレンチス油田というのが発見されまして、一九五五年の生産量を七百万バーレルも見積ることができるくらいの大油田発見したという事実。もう一つイタリアでありますが、三十年間も十万トンくらいしか出なかったイタリアが、アランノ油田において——これはガルフ・オイル・カンパニーが出資して掘ったのですが、二千バーレルも出ておるというのであります。最近出ました雑誌を見ますと、ソコニー・バキューム・イタリアーナというスタンダードとイタリアとの合弁会社が八百万ドルの融資をしておるということが書いてあります。そういうふうに、イタリアのようなたった十万トンしか出なくて、地質条件は、本州くらいしがなくて、火山が発達しておって、日本よりも非常に地質条件の悪い——アランノ油田の報告を見ますと、地層が非常にもめておりましてなかなか困難なところでありますが、それを克服してとにかくこういう大きな石油発見しております。そういうような地質条件の悪いところのイタリアにおいてさえ、とにかくこういう新しい油田発見しておるのでありますから、それよりも条件のいいわが国、しかも数十年来三十万トンを持続しておるということは、これは条件がいいわけであります。あまり掘らないで三十万トンを持続しておるということは、地質条件がいいから持続できるわけでありまして、そういうところで三倍くらいの油を出すことは決して難事でないということが結論的に申し上げられると思います。  以上結論を申し上げたのでありますが、最後に申し上げたいことは、特にここで一つ気をつけてお聞き願いたいと思いますことは、石油鉱業の特異性を把握していただきたいということです。地下に眠れる石炭ということは小学校や中学校の教科書に書いてあります。昔の植物が石炭に変ったということが教科書に書いてあります。ところが石油は生きておるのです。眠ってはおりません。生きておりましていわゆる血が流れておると私は思うのです。それはなぜかと申しますと、堆積盆地に堆積した昔の浮遊生物、いわゆるプランクトンでありますとか、ああいうものが石油に変ったのです。それがエネルギーになりまして下に非常に大きなエネルギーで生きているのです。なぜ生きておるかと申しますと、この間八橋で千六百メートル層を掘ったときにあれをごらんになりましてもおわかりのように、二分の一インチのこんな小さな穴をひょっとあけると、五十キロぐらいの油がだっと出てくるということは、油が生きておるから出てくるのであります。石炭のように眠っておったら出てこない。ですから石油というものは地下に生きておるのだということを一つ認識していただきたい。従ってそれをとろうとする人間も生きておるのです。ですからわれわれにも生命があるし、石油にも生命がある。従ってその二つの生命をつなぐことによって油が出てくるのだ。そこに私は政治があると思うのです。従ってこの点をよく御認識願いまして、この五カ年計画によってわが国石油の自給化を強度に進めていただきたいのであります。  申し上げたいことは大体それだけでありますが、あとは御質問によりましてまたお答えすることにいたします。
  9. 田中角榮

    田中委員長 次は三上知芳さんにお願いいたします。
  10. 三土知芳

    ○三土参考人 私の申し上げますことも、結論において上床教授の御意見と一致するようなことになりまして、重複するような場合もありますが、ごかんべんを願いたいと思います。  私は地質調査に比較的長い経験を持っておりますので、地質調査の方から見た日本石油資源はどうであるかということを申し上げたいと存じます。  その前に、これは大へん失礼でございますが、非常に初歩な石油のあり方を御説明したいと存じます。  石油は、すでに御承知でございましょうが、おおむね海の中に堆積しました水成岩の層の中に入っております。それができますにはそれから変ってできていった根源岩と申しますか、元になった岩石が必要であります。これはおおね粘土質の岩石でありますが、それからできました石油が海へ動いていってたまる岩石が必要であります。これを貯留岩と申しておりますが、これはすき間の多い岩石、たとえば砂とか砂の固まった砂岩とか、石灰岩とか、そういった岩石であります。たまりますには、その貯留岩があるだけでなく、ふたをする、油を通さない岩石が必要であります。これをキャップロックと申しておりますが、上へかぶさる岩石が必要であります。それで大体いいのですが、そのほかにその三つが——三つといいましても、貯留岩とキャップロックが作っている一つ構造が必要であります。すなわち貯留岩がその上をおおわれて持ち上っている、ふくれ上っているという構造が必要なのであります。その最も普通のものは、ここに書いてございますような地層が曲った背斜であります。その背斜の高いところに上の方に油がたまって、その下は水がある、こういうことになっております。  石油の根源になった岩石が何であるかということにつきましてはいろいろ学説がございます。ですけれども、こういうものが根源になっているに違いないというみなが一致するような岩石はあります。学者によって広くこれもなる、これもなるという人もあるし、いやこれだけだという人もありますけれども、共通しただれも認める根源岩というものはございます。そういうものがありまして、石油ができてたまるわけでありますが、いずれにしましても水成岩の、ことに海へ堆積した水成岩の厚い層、これがその後のいろいろの熱の作用とか圧力の作用で変化していてはいけないのであります。あまり変化してない、そういう水成岩の厚い層があればそこに石油の根源になった岩あるいはたまる貯留岩あるいはキャップロック、そういうものがあるプロバビリティが非常に高いのであります。でありますから結局海成の水成岩が変質を受けない、そういう岩石の層が厚くたまっている、そういうところが石油の存在によろしいところであります。そういうところは日本内地で申しますと、残念ながら日本内地におきましては古い岩石はみなある程度変っておりまして、いろいろな変質を受けております。第三紀層だけが石油がたまるところであります。これか東北の裏日本の方では数千メートルの厚さにたまっております。関東でも数千メートルの厚さにたまっております。それから北海道ではこの第三紀層ばかりではなく、その下の白亜紀層と申しますのもやはりそういう可能性があるのでありまして、北海道におきましてはその第三紀層がやはり数千メートル、白亜紀層もさらにそれよりも厚いくらい堆積しておりまして、石油が出る可能性があるのであります。地質調査におきましてはそういう岩石をいろいろ調べまして、それが作っているただいま申しました背斜構造、その他の構造もありますが、そう石油のたまるのに適した構造を探すのであります。しかしながらこれは地表から見てやることでありまして、油がここにあるということを直接に知ることではありません。ただあればここにあるのだ、ここを掘ったらよかろうということをそれによって知るわけであります。油があるかないかはそこに試掘してみなくてはわからないわけであります。  それで日本ではどういうように地質調査をやってきたかと申しますと、明治初年のころは地質調査なんということはあまり考えませんで、石油の露頭がありますと、その近所に手掘りなり簡単な井戸を掘りまして、油をくんでおったであります。そのうち地質構造に油のたまり方が支配されるということがわかりまして、地質調査を始めたわけであります。政府としましては、明治三十五年から地質調査所が組織的な油田地質調査を始めたのであります。その後しばらく中絶したことはありましたけれども、大体今日まで続いております、民間の石油会社においても、ほぼそのころから始めまして、だんだん盛んになっております。その結果内地におきましては、東北の裏日本の方面、秋田山形新潟方面、そういうところの第三紀層が露出しておる地域、そして山に岩が出ておる地域、こういうところでは大体の様子は調査されたのであります。それから北海道におきましては、第三紀層は不十分ながら調査をされまして、ただ東部の方はほとんどわかっておりません。それから白亜紀の方は、石油地質としてはまだあまり調査されておりません。その結果方々に試掘が行われまして、いろいろ油田発見されて参ったのであります。しかしながらそういう試掘はおおむね浅い油層をその結果発見したのでありまして、深いところの油層というのはまだわからないところが多いのであります。と申しますのは、たとえば背斜構造は地表でこうしてありましても、下の方でこれと並行になっておればよろしいのですが、どこか横っちょの方に背斜がずれておることがしばしばあるのであります。こういう場合には地表からはなかなかわからないのであります。たとえば新潟県の西山油田の伊毛というところで、実は昭和十四、五年だったと思います、すでに三千メートルという試掘をやったのでありますが、下へいくと地層が断ってしまっている、背斜の片方はどこかに入ってしまっていて、どっちに背斜があるかわからないというような状態でやめてしまったことがございます。それで下の方まではなかなか表面の調査ではわからないということであります。ではもう浅いところは調査が終ったのじゃないか、それにまだ油かふえないのはどういうわけかという御質問が出るだろうと思います。ところが、なるほど調査はやって参りましたけれども、戦前の調査におきましては、私どももそれに従事した経験がございますが、第一が背斜を探すということでございます。背斜を探して、その背斜の形をきめる、これによって自分も満足し、上司に報告すれば上司もよろしいということであったのであります。ところが背斜があっても油がないことはしばしばあります。すなわちほかの背斜に油がひっかかって、その背斜にまで油が入ってこなかったということもありますし、その背斜には初め油があったのだけれども、あとから水が入ってきて油をどこかへ押し流したというようなこともございます。それから背斜の近所に油を出すようないわゆる根源岩がなかったというようなこともあり得るのであります。それから油がたまるような岩石がなかったということもあり得るのであります。  われわれはそういうこともおぼろげながら考えつつ調査をやったのではありますけれども、その当時におきましてはそういうことをきめていく方法がなかったから、背斜の形をきめるだけで満足せざるを得なかったのであります。ところが近ごろ、ことに戦争後におきましては非常にやり方が進んで参りました。先ほどもちょっとお話が出ましたが、石油がどこからできたろうか、できた石油がどう動いただろうか、どこへ集まっただろうかという石油の歴史をたどっていくというふうに調査が進んできたのであります。石油ができましてから——第三紀層といいましても、今日まで数百万年ないし数千万年もたっておりますが、その間の、石油ができて、動いて、たまるという歴史を調べていこうというふうに変って参りました。それには水成岩のいろいろな研究とか、あるいはそれに含まれた化石の研究が非常に進歩しまして、そういう方法が可能になってきたのであります。  われわれが調査しますときは、先ほども申しましたように、まずどういうところに地層が沈積したか、その沈積した海は陸とどういう関係にあるか、海流がどういうふうに流れておったか、またその堆積した深さはどのくらいであったか、そういうところまで調べて参ります。それならば石油のもとになった根源岩はどの辺に堆積したろうか、あるいは石油のたまる貯留岩はどの辺に堆積しただろうか、それから背斜なら背斜が現在できておりますが、それがどういう過程をたどってできてきただろうか、その背斜ができるにつれて油はどういうふうに動いたであろうか。であるから現在油はどこにあるであろうというような調査のやり方が進んで参ったのであります。たとえば先ほど上床さんからもお話がありましたが、最上油田堀内油田と申しますのも、今まであまり希望を持てなかった地帯ですが、こういうふうに石油が動いてこういうところにあるだろうというので試掘したところが、果してそこに石油を見つけたのであります。これは地表からする地質調査であります。  また従来は、ことに戦前は平原の下、第三紀層の出ていない、あるいは白亜層の出ていない、われわれが中積層と呼んでおります地層でおおわれたところ、あるいはまた火山岩でおおわれたところ、たとえば鳥海山なんかは非常にたくさんの火山の噴出物を流し出しまして、下の地層を隠しておる。こういうところの下、あるいは海の下、あるいはまた先ほども申しましたような深いところ、地表からちょっと見えない、想像もつかないような深いところの調査に対しましては、掘ってみるより方法がなかったわけであります。ところが物理探鉱という方法がこれにこたえてくれたのでありますが、これは昭和十年ごろからわが国で始まったのであります。しかしながら戦前におきましては、重力の高いところは下に何かふくらみがあるだろうというふうに考えまして、重力を調べていく方法、この方法も戦争前は重力偏差計というのを使いました。重力偏差計の構造は御説明いたしませんが、要するに非常にめんどうなものであります。これをかついできまして、一つの地点で重力を測定しますのに二時間くらい、あるいはまたそれ以上じっと置いておかなければならない、また風がちょっとでも吹くとはかれないというような厄介なものでございます。ところが戦争後におきまして、ここに写真が出ておりますような、アメリカでも最も優秀な重力計というものを買いました。これですと十分くらいでどんどん次から次へとはかっていけます。ですから非常に能率がいいわけであります。最近地質調査所では海底の重力をはかる装置を買うそうであります。それから地震の方につきましても戦争前は主として屈折法であります。屈折法はそれが非常になくてはならない場合もあるのですけれども、それによって調べますと地下構造ははなはだぼんやりしたもので、はっきりしないところが多いのであります。これは屈折法のプリンシプルとしてやむを得ないところであります。ところが戦争後になりまして、アメリカから反射法の機械を輸入しまして、反射法を行うようになりましてから地下構造が相当はっきりするようになって参りました。最近帝石では海底の調査をする地震計を買うそうであります。かようにして戦後いろいろな調査技術が発達して参りましたが、中頸城の明治ガス田のごときは重力及び地震探鉱によって発見されたものであります。それからまだ掘ってはおりませんが、北海道の野幌の大きな構造、あるいは秋田県の浜口の構造、あるいは西小国の構造、こういうものは平原あるいはみな火山岩に隠れたところでありますが、これを地震探鉱重力探鉱によって見出して参っております。  それからもう一つ試掘地質調査の結びつきでありますが、試掘は実際に地下井戸を掘りますので、地下の地質層がわかります。そのために地質調査としては非常に重要なものであります。ですから、油が出なくても地質調査の面から大きな意義があるわけでありまして、次に試掘をする大きなステップとなっていくわけであります。この試掘におきましても、昔は綱式で行なっておりました。綱式で掘りますと、井戸から上ってきますのはこなごなになった岩石のかけらでありまして、これで地質を判断しようとするのはかなり困難であります。ことに下からばかり上ってくればいいのですけれども、途中の壁から落ちてきたのもあるかもしれません。そういうものが入ってきますから、なかなかむずかしいことになります。ところがロータリーになりまして、今度はコアをとってどんどん地下から岩石の固まったままを持ち上げるわけであります。これによりますと、下の岩石がそのままわかります。これをいろいろ岩石的な調査をする。またその中に入っている有孔虫というこまかい虫の化石がありますが、これが無数に入っておりますから、これを使いましていろいろな調査をする。それからコアには地層が層をなしている成層面がありますから、これで傾斜の方向がわかるわけであります。ところが傾斜の方向がわかると申しましたけれども、これは角度がわかるだけでありまして、ロータリーではくるくる回って掘っておりますから、回ったあげくのコアを取り出しますから、こういう傾斜がありましても、地下ではこっちを向いているかあっちを向いているかわからない。ところが今ではどっちを向いていたかということがわかるような機械もできて参りました。先ほど申しましたように、伊毛三千メートルで地層が立ってきました。これは北を向いていたか南を向いていたかわからなかったのでありますが、現在の方法をもってすればわかるのであります。その当時はわからなかったからそこで息が切れてそれ以上できなかったということであります。そのほかに電気検層とか放射能検層とかいろいろな方法ができてきまして、試掘により地質を調べるということが非常に進んで参りました。かように戦後は画期的といっていいほど地質調査あるいは物理探鉱技術が発達して参りました。たとえば砂の層が上に向って薄く切れてしまう、そういうところに油がたまるのでありますが、これはとても普通の方法では地下にあります場合にはわからない。それを調べますには先ほど申しました非常にこまかい技術を使わなければわからない。実はこういう型はアメリカのイースト・テキサスというアメリカ第一の油田の型でありまして、これは日本にもあり得るのであります。今までに日本でも越後の新発田油田あるいは治川油田でこういうものを発見しましたが、これは幾らも油がなくてやめたのでありますが、それ以上こういう特別の鉱層を調べるには当時方法がなかったのでそれも息が切れてやめたような格好になっております。これは平原下における地質調査一つ方法であります。ここでちょっとドイツの例を申しまして御参考にしますが、ドイツでは戦前二十万キロリットルぐらいだったのが戦後西ドイツは国が半分になったのにかかわらず、二百数十万キロと飛躍的にてふえております。これはどういうところに原因があるかと申しますと、実はよほど前から、ナチス時代の一九三五、六年ごろから非常に活発に調査をやったのであります。その当時は掘さく法をおもに使っておりました。試掘を盛んにやって地下の地質を十分に調べ、またその試掘法を利用して地層の底で火薬を爆発さして地震探鉱の探層をやる。これは地質の物理的性質がよくわかっていいのであります。そういう方法をとってやっておりました。やっと戦争の終るころになってドイツの占領しておりましたオランダのスホーネベックまたエムスランドという大きな油田発見したのであります。その後戦後は反射法を盛んに入れました。初めはアメリカの方が進んでおりましたが、アメリカのイースト・テキサスをやっておりましたが、ドイツのことでありますからたちまちこれを消化いたしまして十分に駆使しまして現在どんどん油田を見つけております。私は一昨々年参りましたが、現在ドイツがかように増産したのは過表の長い間の熱心な調査の結果でありまして、一日にしてなったわけではありません。しかしながら現在の技術水準をもってしますれば、十年以上かかっておりますが、もっとずっと短かくすることができると存じます。日本では先ほどお話がありました通り、戦後あるいは戦前から引き続き盛んに調査しました結果が現在ぼつぼつ現われてきつつあると思います。  急ぎまして結論に入りますと、戦後新しく油を出した国がたくさんできて参りました。たとえばイタリアとかフランスとかオーストラリアとか、最近ではブラジルのアマゾンの中流地方にも油が出て参りました。大体において前からあった油を出している国は減産をしておりません。ただ一つの例外は、戦後のことは鉄のカーテンの向うに入ってわからないのでありますが、ルーマニアが戦前に減産の傾向を示しております。ルーマニアは特殊の事情がありまして、ルーマニアは大体英、米、オランダの会社がやっていたのでありますが、鉱業法を改正しまして探鉱によって油を見つけましてもその発見者にくれるところはごくわずかで、そのまわりはみな競売に付してしまうということから業者が探鉱の興味を失ったわけであります。そして探鉱に努力しない結果、油が一千万トンだったのが一時八百万トン、七百万トンというように減産して参りました。探鉱が足りないために減産したのでありまして、探鉱に努力しておれば減産するものではないのであります。とこが日本の場合には大正四年ですか四十八万トンぐらい出したことがありますが、その後少し減りまして、また昭和十三年ごろ三十八万トンぐらいになりました。現在は三十三、四万トンでありますから残念ながら明らかに減産しております。これといいますのは、今申したように探鉱技術的な質は非常に向上したのでありますが、何にいたせ量がきわめて不足なわけであります。これは言いかえればお金が不足だということにもなります。探鉱の量さえふやせれば現在の技術水準は非常に高いところに来ているのでありますから、いつか必ずや油が見つかる。現在の量を二倍あるいは三倍にすることは必ずしも困難でないと存じます。以上で私の意見を終ります。
  11. 田中角榮

    田中委員長 次の参考人の方にお願いをいたしますが、ただいままでのお話二人の御意見石油はある、掘れば必ずあるということで明らかになりましたから、特殊会社を作ることがいいか悪いか、作るならば協力できるかどうか、どの程度の協力ができるかということに端的に御意見を伺えれば幸甚と考えます。鮎川さん。
  12. 鮎川義介

    鮎川参考人 田中委員長の御要請に基きまして申し上げることにいたします。私は業者です。帝石は一番大きな採掘業者でございます。なお私の申し上げたいのは中小企業に属する点もあわせて申し上げたいと思います。私が帝石を引き受けましたのは昨年の九月であります。引き受けます事情につきましてはくだくだしく申し上げませんが、要するに従来の経営人、事業主、労働者との間に問題がありまして、その後は大株主とそれから経営人との間に割り切れぬ問題があると思います。すべて行き詰まったような形になりまして、たまたま政府、ことに通産省におきまして、いわゆる開発五カ年計画というものを立てられまして、それをどうしても遂行しなければならぬという立場から考えられまして、帝石が一番重きをなすのでありますが、それが従来の関係からすると人事関係で行き詰まっているということの結果、私に白羽の矢が立ちまして、私がお引き受けすることになったのであります。  私はいろいろのことを考えましたが、ちょうど私はサウジ・アラビアに行っておりまして——御承知のように、サウジ・アラビアは現在では非常に大きな石油の産地であります。一日に百万バーレル、年に換算しますと、約六千万トンばかりの油を産しておる国であります。そういうところにたまたま参りました。それからイエーメン、この間あそこの総理大臣がやって参りましたが、イエーメンにも参りました。なおエジプトにも参りました。あの辺はこのごろ非常なブームになっておりますので、石油事情等についても聞くことができました。そして帰りますと、この帝石の問題が起ったわけであります。それらの世界の大きな産油国の事情と、日本の今の五カ年計画というものを比べてみまして、私はいろいろ考えましたが、要するに一応お引き受けしょうということになりまして、半年以上、今日までやっております。  私は、引き受けるとすぐ現場に出張いたしまして、現場に接したのでありますが、それを見て直ちに私の感じたことは、技術が非常におくれておるということです。今日のサウジ・アラビアその他アメリカあるいはドイツあたり石油に関する実際の技術は、戦後非常に進んでおります。ことに私が秋田その他のところを見て感じましたのは、日本試掘、採掘のスピードが非常におそいということです。非常に時間がかかる。のろいんですね。そののろさは、少々ののろさじゃない。最新の、向うの進んでおるものから見ると、これは私のほんのめっそうでありますが、約三分の一から五分の一のスピードです。それは何からくるかと申しますと、道具が非常に弱いということですね。端的に申し上げると、馬力が少いということです。馬力を強うすれば非常にスピードが上るのであります。馬力を強うするためにはどうすればいいかということになりますと、今日本が最もおくれております技術は、採油装置の材料が悪いということですね。材料が非常に弱いということです。材料に対する研究が至っておろそかになっておる。いろいろ工作機械等について見ますと、材料はだいぶ進んで参りましたが、ことに石油技術に関しまする材料は、そのうちでは最もおくれておりまして、私から点をつければ丙の下になっておる。そういうことを私は直感いたしました。けれども、それに従事しておる人間、人的要素というのはどうであるかというと、私はこれは非常にとうとい技術を持っておると思う。経験なりあるいはそのやり方というものは、実にスマートである。外国の人は道具立てがいいからしてやり得るのである。日本のような道具をもってあれほどの芸当をするということは、私は外国人にはだれもできないと思う。日本人の特有の芸を持っておる。この芸をますます生かしたいというのが私の考えなんです。それにはどうするかというと、道具立てを非常によく、丈夫にする。そしてもう少し深掘りのできる道具をしつらえて彼らにあてがってやるということであります。  それからもう一つ帝石において感じましたのは、人間が非常に多いということですね。一人当りしておる仕事は、外国に比べますと二十の分一でも三十分の一でもいいくらいのことになると思われる節があります。今日の最も進んだ道具をもっていたしますれば、二十分の一でもやれそうなというところもあると思います。しかしながら、もしもこれをほんとうに——今は言うことは言えますが、これはやれと言ったってぜにがないからなかなかできません。やりはしないから大丈夫ですが、もしやったら、人口過剰がますますはみ出していって、世界じゅうだれも喜んで受け入れてくれるところがないとすると、これはたな上げすることを考えなければならぬ。あるいはこの余剰人員を凍結に付して、飯を食わぬでもよいような方法を考えねばならぬ。これは今の技術ではなかなかできません。サルを凍結したという話はあります。できぬことはないと思うが、それは非常に高いのであります。要するに人間のことを考えなければならぬ。しかもその人間たるや、非常にいい手を持っておって、技術においては、あらゆる部門におきまして、日本技術は世界でも優秀でありますから、これをむだに使っておるということは非常にもったいないことであります。この技術をまんべんなく生かすということは、彼らに進んだ帳場を与えるということです。今やっておるような帳場では足らぬ。これを五倍も六倍もの帳場を作って、そうしてその方に人間をやるということです。それにはやはり第一設備を整えなければならぬ、こういうことです。政府が立てられました五カ年計画、こういうように出ておりますが、ごらんになるとわかるでしょうが、今後五カ年間に要りまする費用が、設備費は約百億円かかるのです。それからこれを稼行する、つまり作業費が百二十億となっております。両方で二百二十億の予算になっております。しかし私が忌憚なくこれを批評いたしますと、今の外国の普通のやり方を、日本に今新しい機械を買ってきて、それを日本人に持たせてやった場合にはどうなるかと申しますと——おそらく設備費と運転費が半々ではないかと思うのです。たとえば、全体の試掘費が三百億円かかるものが、調査費であるとか設備費というようなものに半分、すなわち百五十億円というものがその道具立ての方に要ると思うのです。それが至って貧弱です。貧弱であるから、従って人間がよけい要って、長たらしくやるということになります。それが今の国情にちょうど——あまり人間が多いから、あまりいい機械を使うと、やり場がないということからいえば、しかるべきことと私は思う。それは何か別に方法を考えなければならぬ。ところが石油の人は、ほかになかなか利用面がないのです。あれは一種独特のものでありまして、普通の機械工業とか土木事業というものは、その人々がいろいろ帳場をかえてほかの事業に転換がしやすいのでありますが、石油はなかなか、あれはあれきりのものですから、どうしても石油の人には石油を与える、石油の鉱区を与えて、それと取っ組ませるほか仕方がないのです。そうしますと、今帝石は五千人の陣容を持っております。この五千人の人間にはどのくらいのものが与えられるかといいますと——少くとも首を切らぬということに私が約束するならば、今のこの五カ年計画というものを遂行しなければどうしてもやっていけぬです。やはり必ず首を切るとかいうことにして、何とかやり場を考えなければならぬ。ところが今言ったように、その切った人はよそに行き場がないものですから、なかなか始末がつかぬです。私はよう切らぬ。私は今まで切ったことがない。五十年の間事業を経営して、進んでいっただけで、帳簿を広げただけで、縮小したことは私は一ぺんもありません。私は下手です。私にはとうていできませんから、引き受けたからには、どうしても積極策をとらなければいかぬということで、ちょうどこの五カ年計画がそこへ必要になってくるわけです。それからもう一つは、私は向うに行きまして何した関係から申しますと、どうしても設備を新しくしなければならぬ。私が行っておる間にも、私は方々からそそのかされて、今もって世界各地の石油の鉱区を持っておるところから、来てやってくれんかという話がちょいちょいあるのです。私の方は金さえあれば行こうと思いますけれども、何分にも今日の情勢は、外に出るほどの金は私のところではできぬ。これはどうしても向うに行かせるようにしなければならぬ。向うで日本人が来ることを、いろいろな世界情勢、民族自立という点から日本人を歓迎しているところがあるとすれば、これにどうしても行かなければならぬ。御承知のように最近もビルマに、私のところでどうしてもやってやらなければならぬところがある。私はこれは賠償問題に使おうと考えておる。そうすればぜにはあるということでやりましたけれども、その賠償問題は水力電気とかそういうことでとうの昔にみんながとって、もう売り切れで補助いすもない。それで私のところはなまの金を持っていかなければならぬ。なまの金はなかなかないものですから、今の帝石としてはこれはほとんど不可能であります。そうすると、せっかく向うが来てくれというのに出ることができない。のみならずもう一つ私の非常に心配しておるのは、技術陣営がみんな古びて年寄りになっておるのです。腰がみな曲っておる、非常に年寄りなんです。これはどうしても跡継ぎをどんどん作らなければならぬ情勢になっております。ところが戦時中石油について非常におろそかにしたために、技術もおくれましたが、新しい人が入っておらぬのです。最近、私のときになってようやくとったが、それまでは専門学校を出た人はほとんどとっておらぬのです。そういうことで、ページが抜けて空白になっておるようなことになっておる。ですからもしも日本が海外に伸びるというならば、伸びるだけの資格を具体化しておかなければならぬ。それにはちょうど今の五カ年計画というものをやっておくことが必要である。これが将来に伸びる一つの人的資源を作るゆえんでありまして、ただ人間が多いだけではいかぬ。やはり最新の技術と取っ組んだ人間を向うに出さなければならぬ。それにはどうしても新しい機械なり設備をやらなければならぬというようなことから、私の方の財政は非常に困難でありますけれども、そのうちからこの間七十万ドルばかりの新しい——先ほど上床さんが言われました四千メートルの機械を一台サンプルに買いました。これは最近に着くでありましょうが、非常によくできております。なお、物理探鉱の機械等も至って貧弱であります。そういうものをすべて集めるとすると、非常に多くの金が要るわけであります。今後いろいろ設備を新しくする、そして従来の古い機械ととりかえていき、世界のレベルに追随していきますには、非常に莫大な金が要るわけです。それで当って油がふき出し、それが金になって会社の経営に寄与するようになるには時間がかかるわけです。ですからその時間をかせぐまでの間は、どうしても無利子の金が要るわけです。利子がついたり配当のつく金は使いようがないのです。私のところでは調達ができない。その際に日本の国家がどうするか。国家にこれを持ち込んで、国家の力でそういうことをやっていかなければならぬ。この日本内地の油田をやっていくのでさえ、私の方の帝石ではできません。というのは、帝石で持っておりますガスを相当利用したいと考えております。これが将来の資源である。もし石油が枯渇した場合、跡を継ぐものは何かというと、会社としては企業的にはガスが残っておる。このガス化学をやっていくことにある。ガス化学にしても新しい工業でありまして、これを最小限度にやっても一三十億ないとやれない。願わくは六十億くらい持ってかからないとやれないのです。そうして一方では五カ年計画をやっていく。その五カ年計画は、今の探鉱用の設備費は私の方が全部持って、あとの運転費の半分だけは政府が片棒かつぐというふうになりますと、民間の資本では国内の五カ年計画すらも容易でないのであります。いわんや海外に進出していこう、人間のはけ口をこしらえてやろうというようなことは、今のままではとうていできないのです。それゆえに結論としては、ちょうど幸い政府が五カ年計画をやられますならば、一つ特殊法人を作っていただいて、政府は将来これに大いに力を出すのだという態勢を作っておくことが必要です。私は海外と折衝をしておりまして、コンセッションをとるとかいろいろなことがありますが、帝石ではその資格がないのです。話がはずれますが、もしも今回のこの法案が通りまして、初めは小さくてもいいです、そういうように国家が絶大の力を出すのだという気がまえを見せていただけば、それによって私は外資の導入もできる。というのは、政府がそれまで力を入れれば、外債を募るにいたしましても保証がとれるというようなことで、話がスムーズに進むのです。外資というものは、向うには金はたくさんありますが、それを動かす方法を考えなければいかぬ。それはわれわれのような民間人ではとうていできません。百万ドルや五十万ドルならできますが、何千万ドルとなるとどうしても国がバックする必要がある。国がバックするということを実証するためには、今回のような特殊法人を作ってやっていただくことが私は一番いいと思います。これは先ほども申し上げましたように、帝石のごとき大きな会社だけでなしに、今後中小企業にも——帝石は九七%半ばかりの日本の原油を生産しておりますが、あとの二%半しか今中小企業は出しておらぬのです。しかし鉱区はどうかというと、帝石は五割少ししか持っておらぬ。あとの五割近いところはみんな中小企業のものです。この中には必ずしも石油はないということはない。今度こういう法案ができますれば、一視同仁に中小企業の方にも試掘に関することをやっていただきたい。そうすればますます石油は出るだろうと考えております。  長くなりましたが一言最後に申し上げたいのは、外国のことわざに——これは須磨君からの受け売りですが、石油はトイル・アンド・モイルということがいわれておる。苦労のありったけを尽すという字だそうです。つまり夜逃げをするまでやらなければならぬという字だそうです。石油を掘る人は裸になって夜逃げをする——今では逃げ出すところは世界中ありませんが、つまり死を覚悟してやるくらいの熱意がなければ石油は出ない、こういうことです。薬九層倍と同じです。九層倍といっても九層倍もうかるのではない、九層倍にしないと引き合わぬということであります。そういうことでありますから、四苦八苦したあげく夜逃げをするか身投げをするかまでいったら、そのとき初めて神様が石油をくれるのだそうであります。この言葉を私は信ずる。小なりといえども、敗戦国であるけれども、みんなが総がかりになって、それぞれの職責においてやれば、石油日本内地で年に千万トンや千五百万トン出るのじゃないか。それには——今の五カ年計画の中にはございませんが、私は日本海の中に、いわゆる大陸だな、あそこにはうんと大きな主がおりはせんかと考える。これは今度の中には入っておりません。まことにしみったれたものであります。さっき上床さんが言われた海岸から海の中にねじれておりますのを少しばかりやる、そんなしみったれた安易な方法では出ない。楽をしてやろうということでは出ない。これはどうしても先ほどお話いたしましたように、横にタコの足を出すような方法で、最新式の方法をもって——私は今技師をアメリカへやりましてすっかり調査をして近いうちに帰ります。そういうものをやろうとするとどうしても特殊法人というようなものを作っていただかぬと、民間のプライベートの企業ではこれはできません。ですから本案の審議をなさって、これだけこういうものをやりますと、海底油田をやればそんな費用では出やしません。よほどの度胸をきめていただきたい、こういうことを申し上げて私の公述を終ります。
  13. 田中角榮

    田中委員長 ありがとうございました。  次に栗田淳一君。
  14. 栗田淳一

    栗田参考人 私は日本石油の者で、日本石油資源開発するための特殊会村を作るがいいか悪いかということをまずお話し申し上げます。いずれにしても日本石油開発するということは民間の力ではとうていできないと私は思います。政府が十分の腰を入れて補助するのでないと成り立たないということは、もともと帝石というものは帝石に変る前は私の方でその大部分の仕事をやっていたのであります。この長い経験に基きましてこれはとうていやり切れないということをよく承知しているのであります。それじゃこんなものはやめたらいいじゃないかという議論もあると思いますけれども、これは乏しい日本石油資源——私は乏しいと思っております、乏しいがゆえに一そう貴重ではないか、ほってはおけない。それで終戦直後、あの当時日本には乏しい国産資源の油で日本の産業はようやく息をついていたことを思い起して下されば、何としたって国民の税金でまかなっていくのが当然だと私は思っております。その意味で今回の特殊会社というのは政府の腰の入れ方は中途半端でありますが、なきにまさるけっこうなものだということで賛成意見を述べるわけであります。  それから、そう賛成するならお前相当出資をするか、こういうことになりますが、これは条件がある。なぜかと申しますと、この会社はもうからぬ会社だと思っております。もうかるようになるかもしれませんが、もうからぬかもしれません。私どもは会社の立場として十分そろばんをはじかなければならぬ立場におりますから、応分のことは犠牲を忍びますが、条件次第です。そんなに奮発するとお考えになると間違う、こういうことであります。しかし賛成はするが何も知らぬぞ、こういったようなことを申しているのではありません。これは会社がどういう内容になりますか、私どもは従来裏日本の工場で赤字をがまんしながら割高の国産原油を使ってきております。これがコマーシャル・ベースの国産原油ということにでもなりますならば、これは望外の仕合せであります。その点を考えながら出資の額をきめてもいいのじゃないかと思っております。これは当然の話で、いいことは非常にいいのです。大いにやってもらわなければならないが、それかといって日本石油一人でしょって立つというような勢いはないので、皆さんもそうはお思いにならないと思いますが、現に私どもは犠牲を忍んでいる。それからなおもう一つここで申し添えたいのは、この国産石油資源開発試掘という問題を取り上げて、特殊会社を作ろうという発案でありますので、大賛成であります。またそうなくちゃならぬと思いますが、その国産資源を開発するために、裏日本に工場が幾つかあります。日本では最も草分けの工場がある。私どもはそのうちの三つを経営しているのでありますが、この方のことは問題外にされておる、それじゃかたわになってしまいます。どうしても日本地下にある資源を開発すると同時に、それを現に犠牲を忍びつつ精製しているものをもう少し何とかしてやるということをあわせてお考え願いたい。それでないと、ただ一方だけでお前たちはつぶれてしまってもいいというのでは、賛成の意思表示はしりつぼみになると率直に申し上げます。
  15. 田中角榮

    田中委員長 ありがとうございました。  次に阿部謙二君お願いいたします。
  16. 阿部謙二

    阿部参考人 私は日本鉱業の阿部でございます。先ほど田中委員長から参考人に対してのお話がございましたのですが、それについていろいろこの席で申し上げますと、日本におきましても石油の地質に非常に御専門で、おそらく第一人者と称せられます上床先生並びに三土先生が、るる地質の御説明をなさったのでありますが、先ほど栗田さんがそれについてもあまりその通りには考えられないというお話でありましたけれども、私もずいぶん長く日本鉱業で石油の方をやりましたが、私は相当これに手を尽しましてやるならば、日本も相当の大きな石油が出るという確信を持っております。またそういう熱情を持って、現在も私の方は製油と国産石油の鉱区の開発を、帝国石油ほどには参りませんが、機械を持ちまして、そういう採掘の技術員を持ちまして、調査隊を持ちましてやっておるのであります。それで国内にある程度石油は、現地で開発でき得るものは開発しまして、ある程度の量は必ず出しておきませんと、アメリカと将来戦争するという時代はこなくて、アメリカと提携しておる以上は油は来るのだという安易な考えでございませんで、必ず国内に相当量の油を出すということをわれわれ石油業者で考えており、また皆さんの御熱情によってこれをこの際解決しておきませんと、私は政治としても非常に大きな問題になると考えておるのでございます。  その次に、いずれもきょうの参考人からお話がございませんでしたし、また栗田さんのおっしゃったように、私たちも関係者でございますけれども、このたびの新しい政府の御企図の特殊会社の法案の内容を実はよく承わっておりませんので、またそういう機会はぜひ得させていただきたいと存ずるのでございますが、私の方は帝国石油と同じように、やはり鉱区を持っておりまして、自分たちとしては非常に有望な地域と考えております。そういうものを今度特殊会社の方で開発をしていただくわけでございますが、それにつきましてはどうしてもわれわれの会社全体の考えからいたしましても、鉱区というものに非常に愛着を持っておりますので、たまたま製油業というものも昔からやっておりますので、それから出ます石油は、われわれが開発のために提供しました鉱区から出ましたものは、ぜひ旧鉱区の所有者の方に配給をしていただきたい。私はただでちょうだいするということは申しません。日本の原油は四種類ございます。それによってみな価格が立っておるのでございますが、その価格によって、日本鉱業が今回の特殊会社に提供いたしました鉱区から出たものはちょうだいできる、その時価でちょだいできるというふうにぜひお考え願いたいのでございます。それはなぜかと申しますと、われわれれはただ鉱区を持っておるだけではございませんで、初年度は会社から技術者をやりまして各地について概略の調査をするのでございます。その翌年にはいささか機械などを持ち込みまして精査をやるのであります。そして三年目くらいに井戸を掘る地点をきめ、御承知の上床博士の主宰しているペアックの審議にかかり、そしてこれはやってよろしいということでかかっておりますので、相当そういう面に投資もいたしておるわけでございます。どうかぜひそういうふうにお考えを願いたいと存じます。  それから特殊会社への出資の問題でございますが、私もできる限り社内をまとめまして——われわれも力の及ぶ限りはむろん出資をいたさなければいかぬと考えておりますので、その節にはあらためて考えさせていただきまして、応分な出資はいたしたいと考えております。  はなはだ簡単でございますけれども、私の申し上げることはこれで終らせていただきます。
  17. 田中角榮

    田中委員長 どうもありがとうございました。  以上をもって参考人の御意見の御発表を終りましたが、質疑があればこれを許します。
  18. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 先ほどから業界の代表の方、鮎川栗田阿部の御三人から、もうからないであろう石油開発特殊会社にそれぞれ出資協力をするということをお伺いしまして、私どもは非常に喜びといたしております。つきましては鮎川さんに二点だけお伺いをいたしたいと存じます。  先ほども御意見がありましたように、鮎川さんは石油資源開発国策会社を作ることについては非常に熱烈な賛成者であるということを今日までしばしば伺っておりましたが、本日もまた非常に熱心な御意見を伺いまして私ども喜んでおります。この特殊会社を作ることにつきましては政府側もまた、私ども政党側におきましても、この会社を作って石油資源開発をやろうではないかという点では意見がほぼ一致しておると申し上げてもいいであろうと思うのでございます。ついてはこの会社を作るとして——従来帝石もいわば政府資本が出資されていたわけでありますが、その帝石と特殊国策法人会社との関係なんですが、いわばこれは新しい特殊会社は、従来帝石がやっていたような規模をさらに国策的にもっと大きくしてやろうとするものであると見なければならぬのであります。そうすれば従来帝石がやっていたものを大部分こっちに移すという形にもなるだろうと思うのでありますが、むしろそれならば帝石を新会社特殊会社に合併されるか、あるいはまあそれはどちらが主になってもかまいませんが、とにかく新会社帝石一つにして、そうして国策会社として思い切って事業を拡大強化してやるという方が非常にすっきりするのではないかという気もするのですが、これらについて鮎川さんはどのようにお考えになっておられるか、やはり特殊会社帝石と二つ存在させておく方がいいか、あるいは一本にした方がいいというお考えか、この点に対する御意見を伺いたいと思います。
  19. 鮎川義介

    鮎川参考人 その点は私もとくと考えました。伊藤さんの言われる線は、まず何人もそういうことを考えられると思いますが、現に帝石は二十五年までは特殊法人であったものをすでに民間企業にいたして、政府はわずかばかりの株を持っておられるだけでありますが、しかし株主関係からいたしますと、民間企業としてこれはずっとやっていくという不文律になっておりまして、私は突然入りましたものですから知りませんでしたが、このことについて内々大株主方面でそれに賛成し得るかどうか——そういうことがあったときに株主が全部過半数で法定に満つるだけの株がとれて、そのことがいれられるかどうかということを諮ってみたのでありますが、これは不可能であるということを私は突きとめたのであります。いろいろそこには疑義がありまして、法律上の疑義があったり、それはもう一たんそうしたのだから、それならむしろ五カ年計画なんかしてもらわぬ方がいいではないか、いっそのこと民間でできるだけのことをやったらいいではないか、こういうような議論もありまして、私も初めそういうことを考えたのでありますが、いろいろの事情で私の手ではそれができないということになったのであります。従って別途に帝石の力ではやれない部分だけを特殊法人がやるという性格のものを作っていただいた方がいいのだということから考えましたのは、現在提案になっておりますものとは違いまして、鉱区を貸しまして、そうして先ほども申しましたように、もうかるかもうからぬかわからぬ仕事の部分だけを特殊法人にやっていただく。そうしてそれがきまりがついて採算圏内に入ってその価値を認めてからならば、私もそれは金が募れるからして、私の手でもやっていける、こう思いますから、そのわからない間の部分をドイツやフランスあたりがやっているような程度の金を国家が出してくれるということならば、私どもとしては一番けっこうなことであります。なお労働問題その他についてもその方がいいと思われる節もありまして、この問題は私の方は実は請願にしております。ところがその後の模様がこれは議員立法でいくということになりまして、それから先は私の方は何も手をかけておりません。ところが今日になったのは、そういう方面からこういうことが出てきたのであります。これは政府の念願ではないというふうに私は聞いております。この辺は議員諸公の方で御研究になっていただけばけっこうであります。今日のはどうしても中身をくれぬで国民をばかにしている。もうからぬことだけやらせるというのははなはだ人聞きが悪いのでありますが、今度のでも、むろん私の方の人々がその方に行って——これは特殊の人間でなければできない仕事でありますので、失業を見ることなしにだんだんとその方に移していくことができるだろう、こういうことであります。
  20. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 いま一点だけお伺いいたします。新しい石油資源開発会社を作るといたしますと、帝石は従来所有しておられた鉱業権を譲渡し、さらにこの開発資金として必要な年々の計画資金を投入していただけるだろうことを私どもは想像するのでありますが、さらに新会社は従来帝石がやっておりましたような全事業をやる。たとえば探鉱もやる、採鉱もやる、販売もやる、こういういわば営利事業的性格をもって一つの事業をやるといたしますと、帝石がやっておりました事業のワクを新会社がやるということにならざるを得ないことにもなるわけでございますが、そうなってくると、帝石は相当狭められるというか、限られた関係になってしまうと思うのですが、その場合においても帝石は鉱業権を譲渡し、あるいは設備、機械、技術、従業員、新会社の事業に必要なすべてを譲渡して、なおかつその上に新会社のために必要なるところの投資というものをやっていく。とにかく新会社一つ石油資源開発の国策目的を達成するためになら、帝石はすっ裸になってもそういうものに対しては十分協力していくというようなお考えをお持ちであるかどうか。そして帝石は限られた中においてどのような事業をやっていこうとお考えになるかどうかという点等でございます。  なお時間の関係がありますから、ついでに伺っておきますが、先ほどから鮎川さんの御意見を伺って私は非常に喜び、安心をしているわけでございますけれども、なお非常に大事な問題でありますから、念には念を入れて一つ伺っておきたいと思いますのは、従業員は、従来帝石にいた従業員の人々も、技術者を初めとして新会社の方に配置転換というか、そういう形にならざるを得ないだろう。またしてもらわなければならぬだろうと思うのでありますが、そうなって参りますと、時間的な関係において従業員が不安を持つということも考えられる。またそういう帝石の限られた事業になりますから、従って帝石には人間が余ってくるから、先ほど鮎川さんもおっしゃったように整理されるということが必然的に出てきはしないかとも考えられる。そこで新しい会社の方は、油に当るというか事業を思い切って拡張していけばまた別でございますが、その辺のいきさつについて、技術者初め従業員は自分らの職場生活の保障問題について相当不安を持つのではないかという気がするのです。そこで鮎川さんはそういうことをしないために、これを思い切ってやるのだとおっしゃっている。これは私どもも非常に喜んでおりますが、やはり従業員側にはそういう不安がありますから、新しく作る国策会社帝石との関係において、従業員を不安なからしめていく。たとえば工業化に伴って設備、機械が漸次譲り渡されていく。それに伴って従業員は漸次技術者初め配置転換されていく。そうすると帝石は限られた中にありますから、帝石はややもすれば人が余るという形が出てきはしないかということが想像される。その場合においても新会社に従業員がたくさん要るのであるから、その間は帝石が国策に協力する意味において、整理しないでかかえつつ、漸次移動させていくというような方式をとられるなら、私はその不安が起らないだろうと思うのであります。そういう点について、どのようなお考えをお持ちになっておられるか。帝石と新会社の間において技術者初め従業員の処遇問題については不安なからしめるような一つの覚書というか、そういうものによって保障してやる、そして不安のない形において帝石及び新会社の目的を達成せしめるためにそのような安定した処置をおとりになることが事業の計画を達成する上に最善の処置であると考えるのでありますが、そういう点もあわせて鮎川さんのお考えを伺っておきたいと思います。
  21. 鮎川義介

    鮎川参考人 非常にごもっともな御質問でありますが、私の先ほどから申し上げましたのを冷静に考えていただきますれば、伊藤さんの今お問いになったことはその中で十分答えてあると思いますが、なお念を入れて申し上げますと、私は栗田参考人とは全然違った意見を持をております。当らないから出すのはいやだというのではなしに、当るけれども金がないから今は出さぬというふうに考えてもよくはないか。なぜならばこれはどのことをやるのは必ず当るという念願でやらなければ、及び腰でやれる仕事ではないのでありまして、すべての産を傾けて、すべての努力をここに傾倒するということでありますから、それほどの仕事をやることは今の帝石ではできぬから、新しくこしらえて、国家が本気になるということを一つ示してもらう、こういうところにみそがあるのです。もしも政府がどうもこれはやりたくないという考えであればやらぬ方がいいのです。また政府がやりたくないと言うても、あるいは大蔵省あたりに予算がないからということであっても、議員諸公が国家のために考えられて大きく踏んでいただけばそれが物を言うことになるのであります。もしほんとうに議員立法ができたといたしますならば、これが国民の創意で運用するためにやる覚悟でやっていただくならば油も出るし、私は今の人間では足りないと思います。今のようなことをやっておりますれば人間が余ることになるでしょう。しかしながらこれから実際私がやるなら、まだ新しい人をどんどん入れていくつもりであります。停年者は大体毎年百人とか幾らかずつ減っていきますがその倍も三倍も新しい輸血をしていきたいと考えている際でありますので、それをやりたさに、今の新しい帳場を作っていただく意味においてやっておりますからして、その問題はない。ただし、私は帝石の責任者でありまするからして、帝石の人事を私は全部やっていきまするが、それには一つのバックが要ります。なぜならば、この法案が無事に通って、国家がそれだけのことを支援するのだということを一応言うていただかぬと、私はできません。できれば私はやっておるです。私の手でやったら、このままじゃおそらく人間の半分は首切らねばならぬことになりやしないか、それをおそれるために私はやった。そのためには、国民の総意たるあなた方がそれに向って絶大の支援をするのだというバックがなくちゃならぬ。私は非常に弱い人間です。労働者に対して、私は三文の値打ちもない。ですから、そのバックを私はお願いするために——この法案ができるかできぬかというのは、私の天王山であります。それをお願いしたいために、今日ここに出ておるわけであります。その点は、私の方からあなた方の方へ要求したい問題である、こう考えております。  それからあとは、私の残ったところの、普通法人である帝石は、帝石という言葉がいいかどうか知りませんが、屋号はそのまま置いたといたしまして、やることは何かと申しますと、私の方のところで掘る石油はだんだん枯渇する運命にあります。しかしながら会社としては、株主をかかえて配当を続け、あるいは増配をしなければならぬという態勢にあります。それを何によってまかなうかということになりますと、私は新しい仕事として、先ほども申し上げましたように、ガス化学工業というものに進みたいのであります。これまた初めはもうかりません。だから、この金は政府にお願いすべきものではない。しかしこれは必ずそろばんに乗ることでありますからして、それは私が多年の経験をもちましてその金をしつらえることはできると思います。ただし五カ年計画の方にどんどん金を出したら、それは私は両方は持てぬということからくるのであります。だから、現在ある会社をやるのは何でまかなうかというと、そういう方面に進んでいけば、石油が一滴も出ないでも、私は優に株主諸公を満足せしめるところに持っていくことはできると思う。というのは、私は栗田さんと違って、今度の新会社というものは、今は引き合わぬでも、結局引き合う仕事だと思うのです。引き合わぬなら、やらぬ方がいいです。私は引き合うと思う。ただし一応初めには無利子の金がいるからして、無配の株を持つのだ、しかし、あとではうんと油が当って、第二、第三の八橋が出るだろうということによって、私は大いにもうかる会社になると思う。そのときには国民に対して大いに報いて、そうしてこれだけの過剰人口をまかなう一部を務めたということをもって私は満足したい、こう思っております。でありますからして私は——出ないという信念ならばこの会社を作る必要はない。私は出ると思う。それゆえに私の方は、今まで三億か四億の金をむだに使っておったけれども、そういうものも相変らず出したいと思っておる。決してそれを逃げるわけじゃない。喜んで出したい。私はこれは他日もうかると思います。のみならず、私は、鉱区を現在の帳面価格で出しているのですから、そうすれば、もしも当って油が出るなら、歩油制度というものがありますから、もと差し出したところの鉱区主に何らかの御奉仕を願えばそれでけっこうだ。それは出たときでけっこうです。出ない前に言うことはない。それゆえに私は無配の株を持っておって他日この株が国宝株になるだろうということを期待してやまない次第であります。
  22. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 別にもう内容的に質問をしようというのではありません。それはあとで同僚各位からお話があると思います。ただ私が最後に一言申し上げておきたいと思いますのは、本日私どもが参考人の皆さん方においでを願いましたのは、国のために、石油資源開発は国策としてどうしてもやらなければならぬという熱烈なる私ども各党の、この委員会におけるところの気持がやはり必要によって法律も作らなければならないであろう、また国家の金も出さなければならないであろう、これはぜひ成功させなければならぬという気持で、皆さんのおいでを願っておると思うのでございます。従いまして、皆さん方もその点を十分お含みをいただいて、今後皆さんも一つ御協力を願わなければならぬと思います。なお同僚各位からも御意見があろうと思いますがそういう私どもの気持であることをお含みの上でお話し合いをして下さることによって、話が軌道にざっくばらんに乗るのじゃないかと思うわけであります。  それから、今私がお尋ねしました帝石の従業員の人々の問題につきましては、今後法律が出て参りますれば、法律の中に入れられるものは入れ、施行規則にするものはし、あるいは帝石及び新会社との間の覚書によって、また補償すべきものは補償するというような、そういう処置はとられるであろうと思うのでございます。本日鮎川さんに御注文しておきたいのは、そういうことで、技術者初め全従業員が不安なくして、帝石及び新会社のこの目的達成のために全員協力の態勢をとるためには、どのような方法がいいかということを十分一つお考えおき願いたいということを申し上げておきたいと思うのでございます。以上。
  23. 鮎川義介

    鮎川参考人 御期待に沿うべく百パーセント努力をいたします。
  24. 田中角榮

    田中委員長 八木昇君。
  25. 八木昇

    ○八木(昇)委員 時間がありませんので、ほんの二、三の点を御質問申し上げたいと思います。  先ほどのお話の中で私十分聞き取れなかったのでございますが、この特殊会社は国内石油開発ということを当面の目的としておるけれども、将来はもっと、特に未開発地域の諸外国、こういうところにも進出をしたいというような意図を持っておられるかのように聞いたわけなんですが、そこでその辺の事情について、どういうお考えであるかという真意をこの際一応明かにしておいていただけないか、こう思うのです。
  26. 鮎川義介

    鮎川参考人 この国策会社は私がやるのではありませんから、どうやる、こうやるということは、私から申し上げるわけのものじゃない。ただ私としては、それが私の非常な関心事であるということ、私個人といたしましてそういうことを望んでやまないという信念を持っておるということを申し上げておくだけであります。私がそれの責任をとるわけにはいかぬです。それからまた、このことは対外問題に非常に大きな影響がございますから、まず一応五カ年計画というものを遂行することを第一義といたしまして、そうして先ほど申し上げましたように、海外に進出する態勢を確立しておくというところで、一応がまんしていただいて、それができれば必ずやそういう機会があると私は思う。その場合には、今お考えになっておるような資本ではやり切れぬと思います。そのときはまた大いに述ていただきたいと私は個人として考えております。
  27. 八木昇

    ○八木(昇)委員 現在まで帝石が供給をしておりました油は、国内の全需要の五%くらいという状態である。そうしますと、今度相当の資本を投下しまして開発をやった結果、先ほどの参考人の方々のお話によりますると、二ないし三倍という生産の増加は期待できる。しかし一方におきましては、石油需要もまた増加して参るわけでありますから、いずれにいたしましても国内の全石油需要のごく一部を占めるにすぎない、こういうことに相なるかと私は思う。そうしておまけに、これには相当莫大な経費を要する。そうなってきますと、価格の点において、現在アメリカあたり石油も相当の値段だそうでございますけれども、それより以上になおつり合わないということが歴然としておるわけであります。そうしますと結局これは国内開発だけでいつまでも停滞しておるわけにはいかない、こういうことに当然なろうかと思うのであります。将来の発展ということまでもわれわれが十分に考えた上で結論を下しませんことには、どうにもならないと思います。そういう場合には、これは鮎川さん個人の御見解としてお伺いいたしたいのですが、実際に外国あたりに出かけていって相当の仕事をしようというのであれば、一体いかほどの費用を要するものか。これはおそらく将来投資にせよ、融資にせよ政府の金を出さなければならないことになると思います。
  28. 鮎川義介

    鮎川参考人 これは始終私が聞かれることであり、私もそう思っておることですが、今ではわずか三%しか国内では需要——需要といったところで今約千万トン足らずです。ほんとうの需要は千四、五百万トンあるのです。でありますけれども、私も帝石を引き受けてから知ったことでありますが、日本石油は質が非常にいい。いいという意味は、燃料としていいというよりも化学原料にいいということです。化学原料として特に八橋の石油なんというものはおそらく世界の一番優秀なものに属すると思うのです。そういうものは外国はなかなか売ってくれない。もしも日本において石油をただの燃料でなしに、原料化する、われわれが着ている洋服をこしらえる化繊を作っていくというようなことにしますれば、三十万トンの石油もおそらくそれの三百倍や五百倍くらいに水をうめて化学原料になると思えば、非常な莫大な価値を生む。これをもし燃料にたいたら外国油と何ら変るところはない。少しばかり日本石油が硫黄が少いということで、生産費も安いのでありますが、その他化学原料によるということにおいて非常な優秀なものになるということを私は聞いた。しからば燃料でなしにこれを原料に転化するということになりますと、百万トンはおろか三十万トンのものも非常な貴重なものであるということを私はファインド・アウトした。でありますからこの油が百万トンも出たら、原料ということについてはいろいろな意味において自給態勢がとれるまでいくのじゃないかということを私は考える。これをむざむざただの普通の燃料にたくのは惜しいです。その意味において三十万トンでも非常に大事にして、なるべくどんどん出してたかぬようにしたい、こういうふうに私は考えておるようなわけであります。考え方が違うのであります。これは特異なものであるというところにみそがあるのでありまして、ただ普通の外国から来た、サウジ・アラビアあたりの硫黄まじりの石油あたりと違う。悪いものしかよこさない。大体そうなる。でありますから、この油は日本の資源は非常に少いかわりに、ものがいいということに一つお目通しを願って、そうしてこれを愛護していただく。そうしてどれくらいのものがあるかということは一日も早く突きとめておかなければならぬ。それが日本の資源の確保には大事なことだ。今は何ぼあるかわからぬ。国家としてどのくらいの宝を持っているかということをまず調べておくことが一番急務なことであると思う。  それから海外に出ます問題で何ぼかかるかという問題は、私向うへ行きまして、それはほとんど申し上げることのできないほど莫大な金が要ります。ですからこれは申し上げたらきっと問題にならぬほどで、多々ますます弁じるということを申し上げた方がいい。よけい出せば出すほどいいものがある。安ければろくなものはない。こういうわけであります。
  29. 八木昇

    ○八木(昇)委員 そうしますと結局これは国内資源の開発ということにとどまるということしか言えないということに——ずっと将来のことは別といたしまして、そう一応私は了解しておきたい。時間がありませんので、あと二つだけお伺いをいたします。  それは先ほど伊藤委員から御質問になりました点、私もその通りに思っておるわけでございます。元来帝石なるものが昭和十六、七年のころ国策会社として発足したものでありますから、今度特に特殊会社を作るということについてその関係がどうなるだろうかということについては非常な矛盾を感じるわけであります。そこで具体的にお伺いしたいと思います。実際に始まります場合に、今度の特殊会社の方に、これは鮎川さんのお考えでは帝石に現在ありますような諸設備はやはり相当移動をされるようなお考えであるかどうかというようなこと、それから労働者の移動というものが、これは当然行われると思いますが、この場合、これは労働者の側から考えまして、これは電源開発会社の場合に一つのはっきりした例があります。これは政府の方から出資をしてもらって、そうして政府の方から任命せられた首脳部が運営をしておる。こういうような関係で、労働者の方々の自由なる労働組合活動というものが極度にいろいろな形で制限抑圧をされた。従いまして現に労働組合すら結成されておらない。こういうような現象が起きておりまするために、現在帝石の労務者の方々が、今ではそういうことにお気づきでないかもしれませんが、実際にその会社に行きました場合に、自由な労働活動というようなことがいろいろの形で制限抑制されるような結果をもたらしはしないだろうかということを実はおそれるわけです。そういうような点につきまして、これは将来どなたがやられるかわかりませんけれども、そういう懸念はないかということについて鮎川さん個人の御見解をこの際承わっておきたいと思います。これはそのときになりましてからでは非常におそいと思います。一つはっきりした例を知っております。
  30. 鮎川義介

    鮎川参考人 私がやるのなら非常にはっきり申し上げておきたいことであります。私がやる、イフやったら、こういうふうに考えて、私は今のところにおるよりはよほど仕合せではないかと思います。私だったら喜んで行きます。どうせ石油に従事しておる人は銀行にいくとか、デパートメント・ストアに勤めにいくのとは違って、一か八かの勇気のある人がいっておるはずです。そんなめめしいことを考えて、当るか当らぬかわからぬという考えの人では油は出てこない。せんだっても八橋のあれがふえたときに、私の方から四斗だるとタイを持っていってやった、そして飲んでもらおうと思ったが、待てぬから自前で飲んだというのです。労働者も自前で酒を飲むくらいの考えであればあれは出るのであります。今度の会社は出ないだろうということを言ったらこれは出やしない。やはり出ると思ったら出るし、出ないと思ったら出ない。帝石にはそんなしみったれた従業員は一人もおらぬと思います。何か間違って考えておる。そういうイリュージョンからくる錯覚であります。私が言っておるのは、私は首は切りたくはない、私はなお労働者をたくさん——今遊んでおる人も採用して、ことに学識ある学校を出た人、若い人を養成したいと考えておる。引き合う引き合わないというお話は、これは個人企業なら引き合わない。しかしながら国家がそろばんを立つときの損益とは違うのです。私は失業救済費を出したと思っていただいたらけっこうです。もしも失業救済なら役に立たぬ。やはり仕事でやる。銭を出さぬといかぬ。これほどよい仕事はない。これほどりっぱな失業救済はない。先ほど申しましたように石油人というのはそれ以外に役に立たぬ人です。それをその辺へやったって何にも役に立ちやしません。三文の価値もありません。ですけれども石油のやぐらと組んだらまたこれくらいいいものはないのです。ですからやぐらと組ませるということが、失業救済の意味で私は非常に名案じゃないかと思う。引き合わぬなんということを考えられる必要はない、引き合わせてみせる、こういところにこの特殊法人の妙味がありますから……。それは水力電気とは違います。水力はわかっております。わからぬところにおもしろ味がありますから……。そういうところへ勇躍してやるようにせぬと、お前たちはいったらどうなるんだとか、あるいはストライキができぬようになるとか、そんなめめしいことを考えずに、一つ石油を出してやるということでやっていただかなければならぬ。私がやるならそれはみんないかせてみせますよ。けれども私がやるかやらぬかそれはわからぬ、ですからそんなことは私は言い切れぬですよ。しかしこれはとなたかおやりになる人かおっしゃるのがほんとうでありますが、私が代弁しておきます。そういう人にやっていただきたい。
  31. 八木昇

    ○八木(昇)委員 それでは最後に一つだけお伺いします。栗田さんにお伺いいたしたいと思うのでありますが、私どものしろうと判断で、おそらくこういうふうにして掘る石油でございますから、やはり相当の価格と申しますか、アメリカあたりから買い入れる場合よりは相当割高な価格で、石油の精製業者はこの特殊会社の原油を買わなければならぬ、こういうことになるわけでございましょうか。もしそういうことになるといたしますならば、今後五カ年ぐらいの間に現在の採油量の三倍ぐらいを出すということになると一応仮定をいたします。そのくらいのものを、相当割高の価格ででも引き受け得る、こういうふうな見通も持てるかどうか、非常に大ざっぱな御質問ですが、最後にそれをお尋ねいたします。
  32. 栗田淳一

    栗田参考人 さっきから私がはなはだ消極的であるかのように鮎川さんに誤解されておるのでありますが、決してそうではないのであります。油というものは出る出ないといっても、やってみなければわからぬものなのであります。だから出るかもしれない、出ないかもしれないのです。さっきの上床教授のお話のように、五カ年計画で現在のものを二倍または三倍にするというのならば、きわめてそろばんのはじける範囲内だと思うのです。私が出る出ないと言うのは、それくらいの量で言っておるのじゃないのでありますから、どうもそれは出るかもしれない、出ないかもしれないと、そう言ったわけであります。現在の二倍や三倍くらいならば、この五カ年計画を着実にやれば私は出ると思います。そのくらいにはなる、そうして現在の少くとも二倍になれば、その業者はコマーシャル・ベースでいけると思うのです。いけるし、割高の原料を押しつけられてもみずから犠牲を忍んでもいかなければならぬ。なぜ赤字になるものを買い取るか、こうおっしゃるかもしれませんが、これは私ども非常に古くから三工場くらいを日本に持っていて、そこへ従業員をかかえておるのですから、どうしてもそれを落すわけにいかない、絶対にそういう乱暴なことはできるものじゃない、そのためには損失をがまんしてでも国産原油をもらわなければならぬ立場にあるわけです。だからこれが早く一般の世間並みの価格になってもらいたい、少くとも二倍になれば優にそれができると私は思うのです。それからなお今なぜ国産原油の価格が高いところに居すわっているか、こういうことは初めからそう不当なものじゃなかったのですが、海外から原料を運んでくる船賃が三年前くらいには高かった、そのときにはそれと見合って適正価格であったわけです。適正価格であったのが、その後御承知のように船会社が今青息吐息でいるがゆえに船賃がぐっと下ったものだから、それについて下るべきであったものが下らずに居すわった、こういうことなのであります。だから二倍になれば希望は持てるわけです。少くともそれは鮎川さんにお願いして、もっと安く出せということは平気で言えると思うのです。今ではそういうことをちょっと言いかねるのです。
  33. 田中角榮

    田中委員長 ちょっと申し上げかす。八木君にも、本日の参考人の方にも、誤解があるようでありますから、私から申し上げますが、この会社試掘探鉱を主とするものでありますから、独立採算制を要求するかしないかということは、これは立案の過程でまだきまっておりません。だから出た油を独立採算制を原則として高く売らなければならないということはまだ考えておらぬわけであります。ある場合においては価格は一般価格で販売し、その間の欠損は欠損処分とするというようなことができるために特殊会社を要求しておるのでありますから、誤解のないようにお願いをいたします。
  34. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 ちょっと一点だけ聞きます。昭和二十七年以来、日本石油を五百万トン出すのだという確信の上に立って、私は本日まで運動を続けたものですから、何ら関係がないとは申さないのであります。これだけのことをなさなければならないのだというわかり切ったところの考え方というものは、税金を新たにかけ、また重油を規制しなければならぬ、そこで民間の人たちに今度は出資をしろという、しかもきょうすぐ出さなければならない、こういう問題を控えて、喜んでこれを出資をしてくれるかくれないか、こういう点について官房長、あなたのお考えを述べてください。
  35. 岩武照彦

    ○岩武政府委員 出資の問題は、現実に民間の関係の方がどうされるか、私は何とも申し上げかねる地位にあるわけであります。ただ今お話を聞きますれば、ある程度の協力があるように伺います。これはいろいろな見方があるだろうと思います。一つ政府の国産原油増産に対する力の入れ方とも関係するだろうと思います。他方でいろいろな関税とかその他の問題もございますが、それも国産原油の増産に対する力の入れ方の現われというふうにお考えになれば、これまたそういうふうな線で御協力も得られるだろうと思っております。その辺は石油全体に対する政府の考え方を、どういうふうに民間の方がお現わしになるかという問題だと思います。従いまして政府は国産原油の増産につきまして、確固たる政策をとる、しかもそれが総合的な考え方を進めますれば、必ずや御協力が得られるだろう、こういうふうに考えております。
  36. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 ただいまあなたのお話を聞いておる通り、本格的に行おうとすれば、三百億の金が要る、あなた方が、政府がこれに対して見積った金は幾らです。そういうようなことが目の前に見えておるのに、何も事を好んで本日即時これを行わしめようというそのやさきに、あなた方がこういうようなことを大蔵省にお百度参りしてお願いするという考え方が違っていはしないか、こういうことをやらなければならないことは当然あなた方は知っておるのです。特殊会社を作ることはあなた方は賛成しておる。議員立法であろうともあなたが作って原案を出しておる、そういう矛盾をしないようにやってもらわなければならぬ。それが通産省の使命でなければならぬ、通産省というのは、一般業界を苦しめるために通産省を置くのではないのであって、一般業界をあなた方の手によって育て上げていくというのがあなた方の役目なんです。その役目が大きな間違いを犯しているということを認めてもらえるかもらえないかということが問題なんです。われわれはこれからこれだけのものを作り上げて、民間の人たちに、いろいろなことはあるであろうけれどもぜひ出資してくれということを頼まなければならない役目がある、それをあなた方はわれわれに押しつけてしまって、押しつけてしまったからいいという考え方かもしれないが、そういうあなた方の案をもって頼むわれわれの身になってこれを考えてもらいたい。そういう矛盾をやっているのだから、そういう点についてわれわれは一切こういうようなことは今年度は全部撤回してもらうことをこれからやります。いずれにしても上床先生に一つお聞きしたいのですが先ほどのお話の中にあった海の方の調査がどのくらいまでできているかということを一つ聞いておきたい。つまり斜坑掘りですか、これをどのくらいやったのであるか、やってないかということだけ伺いたい。
  37. 上床国夫

    上床参考人 日本状態ではまだ斜坑掘りにいっておりません。計画しているだけです。現状におきましては船をもってただ海の面を歩いて、とにかくここに油の徴候がある、ガス徴候があるということを、その場所を陸地から測量しまして図面の上に書きまして、そして秋田沖とかあるいは新潟沖何キロの海底に油があるということをただ図面の上に表わしているだけでありまして、従って探査の域ではありません。物理探鉱ももちろんやっておりませんし、それから海底の地質調査もやっておりません。ただ漁船みたいなもので海の上に出ているところを地図にプロットしてあるだけです。それと、それにひっかけまして業者がとにかく鉱業権を、いわゆる試掘権を請求してそれを持っておるというところです。
  38. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 海底と湖水とありましたね、これは外国の例から見て、あなたの勘で日本にも見込みがあるというお考えはありますか。
  39. 上床国夫

    上床参考人 その点は先ほど申し上げました含油地層堆積盆地です。それから判断するとわかるのでありますが、秋田山形地域堆積盆地の中心はちょうど今の秋田山形海岸線が中心になるのです。従って八橋のようなところはその中心から東なんです。従って西側の海のところにも八橋のようなのがあると推定されるという状態になっております。それはなぜかというと、海面に大きな油の露頭があるのです、ガスの露頭もあります。従って秋田沖、新潟沖におきましてはそういう大きな海底油田が推定されるということになっております。それから八郎潟の方は、これは割合に浅いので、最近帝石地質調査所物理探鉱をやりまして、実は八郎潟の北部の方も大体水底の構造が判明しつつあります。ことしあたりから陸地に近いところを掘さくするような形になっておると思います。従って水底あるいは海底における油田は非常におもしろいのじゃないかというふうに思っております。
  40. 田中角榮

    田中委員長 加藤精三君。
  41. 加藤精三

    加藤(精)委員 簡単に三つばかりお尋ねしますから、簡単にお答えいただきたいのですが、第一に、国内石油開発の方針というものは、政府の非常に長い間の方針で、これは途中から変更するといったって困るので、山形県の内陸油田のごときは、そのためにたくさんのものを、県の財政が窮乏しておるにかかわらず、なけなしの金で道路を作ってしまって、鉄橋を三本もかけちゃって、今さらやめるということになるとこれは非常に困るので、そういう意味からもほんとうに石油生産関係の方が国策に応じて一生懸命になって下さるという御熱意を持ってもらいたいのですが、ただいままで承わると、何だか御熱意が国会議員ほどはないように思うのでありますが、その点一つお願いいたしたいと思うのでございます。国内油田関係の地方全体が非常な熱を持って、県の総合開発の中に組み入れて一生懸命になっているのに、それが挫折するようなことがありましては、また一時でもとまれば、自転車みたいなもので、自転車はとまれば倒れてしまう、そんなようなことではとんでもない話になる、こういうことを考えておる次第です。それに関連して、総合開発と関係のある探鉱地点というものが全国にどのくらいあるかということをまずお聞きしたいと思います。  第二番目は、先ほどの三土教授のお話によりますと、結局石油というものは、プランクトンみたいなものが固まったのだから、その源泉になる岩石がまずあることが根本問題のようになっておりますが、この源泉岩石の調査というものにうんと金をかければ、比較的に探鉱が早いのじゃないか、こう思うのですが、そういう構想はないかということ。  第三番目の問題は、石油化学の問題ですが、鮎川会長のお話では、たとえば八橋だけは帝石が放さない、それ以外の新しく探鉱する地域は、新しい特殊会社のものになる、大体こう理解するのですが、そうしますと、簡単に言うとメタン系のガス探鉱費というものは、従来ペアックか何かで助成してあったわけでありますが、今度それはどっちに行ってしまうのだということがまず第一の疑問です。それから第二の疑問は、石油化学という中に入るかどうかわかりませんけれども、帝石は大いにガスの工業をやって、ガスの方で国策に貢献したいというお話でございますが、それは石油に伴って生ずるプロパンガスとか、そういうものを考えておられるのか、それともそれ以外の新潟その他のいわゆるメタン性のガスをも帝石の事業としておやりになろうとしておられるのか、その点を明らかにしていただきたいと思います。さらに石油を分析してその中から石油ガスの形に変えて化学工業原料にされることの方が、石油に伴って発生する石油性の天然ガスよりもはるかに化学工業原料としての意味が重大なのかどうか、そういうようなこともあわせて教えていただきたい。  まだたくさんお聞きしたいことはありますけれども、それだけで終りにいたしますから、今の問題の数々を、そのことを説明なさるのに最も御適任の参考人の方からお教えいただきたい。
  42. 川上為治

    ○川上政府委員 総合開発石油の五カ年計画の問題ですが、経済審議庁で設定しております六カ年計画の中には、石油の五カ年計画は組み入れてございます。県の総合開発の問題との関連につきましては、これは私もよく調べておりませんが、山形秋田方面におきましては、大体関係をつけて、その中に組み入れておるのじゃないかというふうに伺っております。この点は私はっきり聞いておりませんが、大体そういうようなふうに一応伺っております。  それからメタン系のガス開発につきまして、特殊会社ができますとどうなるかということでございますが、この点につきましては、従来から一千万円あるいは千五百万円程度のものをそうしたガス開発に助成金として出しておりますが、この会社ができますれば、この会社を通しまして助成金的なやり方でいきますか、その点はもっと研究したいと思うのですが、何とかしてこの会社を通しまして従来通りできるようにしたい、われわれはそういう希望を持っております。
  43. 鮎川義介

    鮎川参考人 ただいまの川上鉱山局長のお話に、私は私の見解を述べておきます。これは御質問の最後のことだと思いますが、私がねらっておりまするのは、今残っておる帝石では、ガスを主体にしてやりますが、それはいわゆる天然ガスです。天然ガスですからメタンも入る、メタンが主になっております。石油の方は、現在において石油化学を始められるのは方々にありますから、それはなるべくその方に譲りまして、私の方ではガス一つ大いにやりたいと思いますから、今度の会社に副成的に出るガスはそれは何ですが、新たにやるようなものがありますれば、私の方から費用を出して掘っていただこう、こう考えております。ガスに主体を置くわけになります。他日あるいは石油ガス二つないと、並立しないといかぬという時代がくればまた別であります。ただいまのところはガスを主体にしてやるつもりであります。ガスに重点を置くわけであります。それはメタンガスをねらっております。
  44. 三土知芳

    ○三土参考人 石油の根源岩についての調査についてお答えいたしますが、石油の根源岩につきましては先ほども申し上げた通りいろいろな学説がございまして広く考えるか、狭く考えるか。狭く考えるという学派は大体ドイツから始まったのでありまして、御承知のようにヨーロッパの方はそう石油がありませんから、根源岩というものを狭い範囲に考えます。アメリカの学者はどこからでも油が出ますので広く考えます。それを究明すべくアメリカでは非常な金をかけて徹底的な調査をやったけれども結論が出ないのです。どっちだかわからないのです。それのみをたよってやることは非常に危険なことでありまして、その調査は必要ではありますけれども、若干はやっておりますけれども、それのみにたよることは非常に危険なことであります。
  45. 田中角榮

    田中委員長 小平久雄君。
  46. 小平久雄

    ○小平(久)委員 時間がありませから簡単に一、二点伺います。最初に栗田さんに承わりますが、今度の特殊会社というか、試掘会社、これが話題になってきたのは、そもそもこれは通産省が震源地のようでありますが、あるいは通産省以前に帝石が震源地か何か知らぬが、とにかくわれわれが冷静にながめておりますというと、通産省帝石は非常に熱心だ。ところがつい最近あなたの方の会社社長さんの佐々木さんの名前で、この特殊会社ということが話題になっているそうだが大へんけっこうだから促進してくれという趣旨のわれわれへの陳情書か何かちょうだいしました。そこで先ほどあなたの御意見を承わっておりますというと、特殊会社はけっこうだ、しかし無条件では協力もできない、こういうお話がありました。佐々木さんのお手紙にも、特殊会社はけっこうだからやってくれというだけで、これには協力するとも何ともうたってなかったように記憶するのです。そういう点をわれわれ考えますと、精製会社の皆さんの仲間には、懇話会とか懇談会とか称するものがあるようであって、いろいろな問題についてお話し合いになるようでありますが、今度のこの会社の案につきましては、さきにも申す通り、日石の社長さんとしての佐々木さんの手紙はちょうだいしたが、懇話会としての御意向は一向われわれ承知しておらない。今日のお二方も日本海岸に製油工場を持っておる会社の代表者の皆さんであります。そこでおそらく通産省等の考えておるところは、全精製業者の協力を得よう、こういうことだろうと思う。われわれも、精製業者が相当の収益をおさめているのだから、国内の石油資源開発のためには相当協力するのが当然だというくらいの考えを観念論的には持っておるのですが、しかし、いわゆる水のほしくない者に無理に飲ませるということもどういうものかと考える。そこで、大体精製懇話会ですか、そういうもので、本問題についてお話し合い等をなさったことがあるのかどうか、要するに精製業者全体として本問題についてはどんな考えを持っておられるのか、それを承わりたい。川上局長の話によると、それは行政指導で大丈夫ですよという御意向のようだが、どうも行政指導も程度問題でありますから、また問題次第でありますから、私はこの際精製業者全体としての御意向をあなたから一つお聞かせ願いたい。
  47. 栗田淳一

    栗田参考人 精製懇話会のお話が出ましたが、残念ながら私は精製懇話会には顔を出しておりません。だから、精製懇話会でそういうこの問題についての話し合いがあったかどうか、おそらくあったのなら社長から私に話が必ずあるはずでありますから、これまでのとろはまだなかったのじゃないかと思うのです。これは想像であります。  それから、さっきから申し上げましたことは私の社についてのことで、他社までもそんたくして言ったのではありません。しかし私こう考えるのです。これは私の想像でありますが、私は鮎川さんと考え方が少しズレているのですが、私は、国内の石油資源が乏しいのだから、それがために、乏しい資源ながらそれによって生き伸びたという体験を持っておるものですから、乏しきがゆえになお一層貴重なり、こういう意味でこれをどこまでも開発しなければいかぬ、これを一民間企業にまかしてやれといってもそれは無理だ、そういうことをすれば伸びないのだから、国費によってこれは伸ばすようにありたい。だがしかしそれができないならば、次善的にも今の計画のようなものには大賛意を表します。このことは私だけじゃない、これは抽象論ではありますが、だれも皆油くさい連中は賛成することと思います。これは筋の通った話で、だれも賛成してくれるのじゃないかと思います。ですから、賛成するからには応分の出資はするのじゃないかと思います。応分というのははなはだあれですが、これは人のふところ勘定でありますからどのくらいということははっきり申し上げかねるのです。私どもただいまのところでは、それではお前のところ幾ら出すと言われても、会社内容がどういうふうになるのであるか、それをよく承わった上でないとはっきりしたことは申せない。しかし、さっきも申したように、知らぬ顔しているということはいたさないつもりでおります。
  48. 小平久雄

    ○小平(久)委員 次に阿部さんに一点だけ伺いますが、阿部さんの御意見特殊会社には賛成だ、しかし自分の鉱区から出たものは無料ではなくてもいいから戻してくれ、一言に言えばそういう御意見のようでありました。そこで私は考えるのですが、今度の特殊会社というものは探鉱試掘という点にだけ限るべきか、あるいはさらに採掘を継続的にやるべきか、この点にも確かに一つの問題があると思うのでありますが、ただ何と申しましても試掘権というものは要するに国が許可をして初めて持つわけでありまして、この点は発電における水利権と同じだと思うのであります。それに、とにかく今度試掘しようという大部分は、すでに特定の会社なり個人なりが試掘権を持っておるところです。それで結論的に言えば、それをその人たちにまかしておいたのではできない、結局は資金がないからできないのだ、国がもっとやるべきだ。簡単に言って次々と割切ってそういう話が大部分を占めておりますが、また見ようによってはこれはやはり権利の上に眠っておるのだ、極端かもしらぬが、そう言えないこともないと思う。発電の水利権の問題などの場合にもずいぶんそういう問題があるのです。  そこでどうせこういう特殊会社を作るのならば、そういった権利は持っておるが一向進まぬというものは、抜本塞源的にまた国に取り戻して、今度できる国の機関に——これは株式会社ではいかぬでしょうが、公社とでも何とでもして、とにかく形式は別にして、そういうことでやる方がむしろすっきりしていいのではないか。そうすれば業者のわずかばかりの協力をしぶしぶお願いするというような必要もなくなってくるということになるのではないかと思うのですが、そういうことに対して、鉱業権を持っておられるあなた方の考えはどういうものでしょう。国が特殊の機関を作って、そこへお返しを願って、そのことによって国の資本だけで徹底的にやっていくということに対しての御所見を一つ承わりたい。
  49. 阿部謙二

    阿部参考人 お答えをします。小平さんの今おっしゃいましたことをもう少し掘り下げて皆さんにも御理解を願いたいと思うのですが、われわれの方針としましては——石油が出るだろうという鉱区を持っているというものばかりではございませんで、地方の農民なりあるいはその近所の地形に明るい方が何がしかの金を出して権利を受けられたという非常に零細なものがございますが、話がつきますものは、その間を仲介するという意義もございますので、われわれが掘る場合には歩合をもらいたいということで、頭金を幾らか出しております。小さければ十万円、大きければ五十万円くらいを所有者の方に出しておるのでありまして、中間の段階にあるということを御理解願いたいのであります。  それであなたがおっしゃるように、全部掘って盛んに出したいのでございますが、これは膨大な資金がいるのでありまして、やはり資金をまかなうという一つの限界がおのおのの会社にはございます。それで私の方ではずいぶん鉱区を持っておりますけれども、これは至急やらなければならぬというようなところは今活発に金を入れてやっているのでございます。どの会社も今私が代弁いたしますように、持っているところはみな開発したいのはやまやまと存じますが、企業資金が伴わないという点に難点があるものですから現状の姿になっておりますので、これを何かと私の方としましては、どうしても国内の原油というものは増産しなければならないと考えますので、こういう方法を今持ち出しまして、ぜひこういう特殊会社を作っていただきたいとお願いしているわけであります。
  50. 小平久雄

    ○小平(久)委員 その各会社の現状というものはよくわかるのですが、これも一口に言えば、要するに分不相応のものをかかえ込んでいてやれないということも言えるのではないかと思う。そういうものは一つ思い切って国の方にお返し願って、国の力でやっていくということもどうかという気がするのです。まあこれは意見ですからよろしゅうございますが、最後に鮎川さんに一点だけ承わりたいと思います。  それは今度の特殊会社の関係で今まで現われている構想というものを見ておりますと、どうも帝石の方は今度はいかにもすっきりした形になって非常にいいような気がするのです。鮎川さんのような大所高所からお考えになっていて、単に帝石だけの立場ではなく、国全体の石油資源、あるいはエネルギー源というものをお考え願っているのですが、しかし今この形に現われた特殊会社というものを見ると、帝石から——これは見ようでありますが、政府の資金がごくわずか入っている。それも今度新しい会社にやってしまおう、そういうことによってもう探鉱部門というものは一切新しい会社にやってしまう。帝石の方は現在掘っているものを大事に掘っていく。さらにガス化学の方にも進出なさろう、こういうことで帝石はいかにもすっきりなさるように思うのだが、裏を返してみると、何か政府の株が苦干あるために政府がうるさいことを言うから、追っ払った方がいいんじゃないか、極端に言えば、株主の中にはそう言う者があるのではないかという気もするのですが、そういう点について株主のどんな御意向であるのか承わりたい。  それから新しい特殊会社を作ろうとする場合には探鉱試掘だけがいいのか、あるいはさらに進んで採掘までやるのか、新しい会社として将来育っていくのにどちらが至当とお考えか、鮎川さんのお考えを承わりたい。
  51. 鮎川義介

    鮎川参考人 私の本心は特殊会社でなければできない部門だけをやっていただきたいと思うのです。採掘などは私の方の陣容で十分やっていけます。しかし新しい油田を開くということは不可能でありますので、その点をお願いするのが私の本心です。しかし他の方面から、今度のような法案にならなければいかぬということならそれでもやる方法はあるということを申し上げるので、どちらかというと、私の方の申し出た原案の方が私はいいと思っておりますか、それは行われぬということになりますと、あぶはちとらずになりはせぬか、こういう疑義もありまして、これができればけっこうだということを申しているわけです。  それから第二点ですが、株主はすっきりしたいものなのでありまして、大体わけのわからぬことをしたくない。やはり株主はそろばんを思うわけです。政府もそれでついてきていただけるならば、私ども何も政府の株を追っ払おうというのじゃないのです。これは民間会社ではありますが、機能は特殊会社の機能が残っておると思うのです。それであの株を非常に大事にしておってもらわぬと困るわけです。補助金を取るとか、その他においても政府と一緒になってやらないと、帝石国策会社じゃありませんけれども、ほかの会社とは違って少し国策的の会社ですから、まだその心理がずっと残っております。けれども今度のような本格的な国策会社ができれば、両方お持ちになる必要はないだろう。というのは政府の金もなかなか少いからして、その金をこちらに転用されればよけい金が使えるじゃないかということであるので、別に私は逃げていただきたいということは考えておりません。むしろ持っておっていただいた方が私はいいと思うのですけれども、国の財政が許さぬだろう。そうどっちもこっちもできぬだろうから、どうしてもやらなければならぬところに政府は実弾を持っていっていただく、こういうことをお願いしたいと思ってやっておるのです。  それからもう一つ、先ほど阿部君の方の日本鉱業のお話がありましたが、私はもしも帝石がそういう部面にあったらどうするかということを申し上げた方がいいと思う。私がもし日本鉱業の立場におったら、私はその鉱区をみな原価であげます。なぜなら自分がやっていけないのですから出すのです。出せばそれは最小限度に出さなければならぬ。出たものには売る制度があるのです。日本鉱業でなしに、そんなことを言えば、前持った人はみな出てくるのです。私の方だって、私が今受け継いだだけで、もとは日石であったし、いろいろな人がありますから、それを掘り下げると神武天皇までいかなければならないことになり、切りがないから、そこでいいかげんに思い切って出して、その鉱区から出たものは売るという一般制度があるのです。それだけのものを金でもらうなり、油を割合でもらうなりしたらいい。もしも日本鉱業が油の精製がしたければ外国から入れればいい。何もこれでなくてはならぬということじゃないのです。だから私は今の帝石はどうするかというと、全部そっくりもうけないで出す。そのかわりもうかったらこうして下さい。もうかるかもうからないかわからぬ。そこでもうけてくれたらいいじゃないかというのです。ただしガスについては、今度の石油五カ年計画ガスをねらっておらない。石油についてのみ考えておられますから、これは副産物的なものです。だから私はガスを主体にしたい。そう言うのでありますから、その点については石油と話が違っておるのです。
  52. 田中角榮

  53. 田中武夫

    田中(武)委員 私の質問はただいまの小平委員の質問を事業家でない学者の方にお伺いする結果になるのです。そこで上床、三土両先生にお伺いしたい。日本には資源がある、またこれを発見し、これを掘り出すところの技術も発展しておる、こういうようにいわれておる。しかしながらこれを掘り出すのにどうするかということで、民間じゃ金がないから国策会社によってやろう、こういうことだと思う。資源の開発ということはできるだけやらねばならぬとわれわれ考えておるのですが、そこで失礼ですが、事業家あるいは山師的な立場でなくて、純粋な学者的立場に立たれまして、そういうことをやるのは、民間が今までのようにしてやるのがいいか、あるいは今問題になっておるように特殊会社がいいのか、一歩進めて公社的な存在にして、すべての石油事業はあげてその公社でやっていくのがいいのか、なお進んで販売の面まで公社的立場でやるのがいいのか、こういう形態の問題があると思うのですが、そういう点について学者的な立場から一つ純粋にお答え願いたいと思います。
  54. 上床国夫

    上床参考人 今日ここへ呼ばれて参考人としてお話しすることは、技術の面だけをお引き受けしておるのであって、経営とか営業とかいうようなことは引き受けておりません。従ってまた時期をあらためて個人的に何かお話をなさるなら別ですが、本席におきましてはお答え申し上げられません。
  55. 田中角榮

    田中委員長 以上をもって参考人に対する質疑を終ります。  この際参考人諸君に申し上げます。御多用のところ本委員会のために特に長時間にわたり貴重な御意見の御開陳を願いまして、心から感謝をいたすのであります。ありがとうございました。  それでは本日の会議はこの程度でもって散会することとなし、次会は来る八日午前十時より開会する予定であります。   午後一時三十六分散会