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1955-06-02 第22回国会 衆議院 商工委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年六月二日(木曜日)     午前十時四十一分開議  出席委員    委員長 田中 角榮君    理事 長谷川四郎君 理事 山手 滿男君    理事 内田 常雄君 理事 前田 正男君    理事 永井勝次郎君 理事 中崎  敏君       阿左美廣治君    大倉 三郎君       小笠 公韶君    菅野和太郎君       齋藤 憲三君    首藤 新八君       野田 武夫君    淵上房太郎君       加藤 精三君    鹿野 彦吉君       小平 久雄君    片島  港君       櫻井 奎夫君    田中 武夫君       帆足  計君    八木  昇君       菊地養之輔君    田中 利勝君       松平 忠久君  出席国務大臣         通商産業大臣  石橋 湛山君  出席政府委員         通商産業政務次         官       島村 一郎君         通商産業事務官         (大臣官房長) 岩武 照彦君         通商産業事務官         (通商局長)  板垣  修君         通商産業事務官         (軽工業局長) 吉岡千代三君         中小企業庁長官 記内 角一君  委員外出席者         通商産業事務官         (通商局次長) 大堀  弘君         専  門  員 谷崎  明君         専  門  員 越田 清七君         専  門  員 円地与四松君         専  門  員 菅田清治郎君     ————————————— 六月二日  委員千葉三郎君辞任につき、その補欠として森  山欽司君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 六月一日  競輪の平日開催禁止反対に関する請願(風見章  君紹介)(第一五二六号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  連合審査会開会申入れに関する件  中小企業金融公庫法の一部を改正する法律案(  内閣提出第二三号)  商工組合中央金庫法の一部を改正する法律案(  内閣提出第二四号)  中小企業信用保険法の一部を改正する法律案(  内閣提出第五一号)  特定物資輸入に関する臨時措に間する法律  案(内閣提出第八九号)  通商産業行政基本施策に関する件  日本経済総合的基本施策に関する件     —————————————
  2. 田中角榮

    田中委員長 これより会議を開きます。  まず中小企業金融公庫法の一部を改正する法律案商工組合中央金庫法の一部を改正する法律案中小企業信用保険法の一部を改正する法律案及び特定物資輸入に関する臨時措置に関する法律案通商産業行政基本施策に関する件及び日本経済総合的基本施策に関する件を一括議題となし、質疑を続行いたします。質疑通告順にこれを許します。長谷川四郎君。
  3. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 公庫を作るときに当って公庫人員が五十有余名しかおらないので非常に職員が限定されている、こういうことであったのですが、このごろの公庫職員はどのくらいにふえているか。また理事を一名増員するとかいうことをお話しになっているようだが、その点はどういうことになっていますか。
  4. 記内角一

    記内政府委員 現在の定員が予算上きまっておりますのは二百六十人でございます。それに対しましてことしの予算で百十九名追加ということになりまして、合計三百七十九名というふうに相なっております。
  5. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 そうすると出張所というものが設けてないので、三百七十九名というのは本店だけにそれだけの者がおるということすか。
  6. 記内角一

    記内政府委員 大阪支所がございますので、ここに相当数駐在しておる次第でございます。
  7. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 公庫を作る場合には、人間の数をなるべく少くして、そうしてそういう面の経済を立てていくのだという前提でお話があったのです。それが今日になると三百有余名になっており、それで大阪支店があるだけだということになっている。それを今の中金とかがやっているように、別に中金が置いているような支店各地に設けなくても、どこか県の一カ所とか二カ所というものに駐在をさせておいて、それで連絡する方法はないかどうか。
  8. 記内角一

    記内政府委員 申し忘れましたが、現在東京本所がありまして、大阪支所、ここに約五十人ばかりおるわけであります。あと札幌名古屋福岡の三カ所に三名ずつ駐在人がおるわけであります。その現在の総計が二百六十名でございまして、これに対しまして今回名古屋福岡札幌支所を開設いたしまして、なお仙台高松、広島というところに駐在人を常駐させるというふうな計画になっております。この分といたしまして百十九名の増員を行うということに相なりますので、結局約三百八十名、三百七十九名はこの各本所四つ支所並びに二人ないし三人の駐在人ということで構成されることになっておる次第であります。
  9. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 四つ支所ができて、そうして駐在人が二名ずつだということになって、それだけの数が必要になる。従ってそうなってくると、公庫所期目的、進み方というものは大きな相違がきている。そうなってくると公庫を別に置く必要は何ら認められなくなってきやしないか。現在各地からの陳情は私たちのところにばかり入るのでなくして、中小企業庁長官のところにもおそらく行っていると思うのだが、非常に公庫に対しての不満の声が上ってきている。中金に対してもしかりだろう。そこで国民金融公庫の方をもっと高度に使っていく。ことに今年度の予算公庫でなくて国民金融公庫の方に全部回すべきだという意見が非常に猛烈に起っているということを御承知かどうか伺います。
  10. 記内角一

    記内政府委員 われわれのところは公庫もふやしてほしいが、同時に中小企業金融公庫の方も伸ばす必要があるというような意見が参っております。中小企業金融公庫を減らして、国民金融公庫をふやすべきだというふうにはあまり承知しておらないのであります。
  11. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 私たちのところに来るのは、そういうふうに猛烈な運動が展開されております。一昨日は四十有余名こぞって国民金融公庫の方へ全額回すべきである、こういう意見です。こういうことはどこからきておるかというと、所期目的が、五十有余名しかないので、銀行窓口を活用するのだというあなた方のお話がそういう点にあったからわれわれは賛成をしたのであって、今度何百名、それで支所を設ける。支所を設けてみても支所がそれだけの活躍ができるかできないか、現在割り当てられた金額でそれだけの者が必要であるかどうかという点も大きな疑惑を持たなければならぬと思います。そういう批評があるならば、もっと貸し付ける範囲というものにも考えなければならないであろう、そういうふうになると、甲と乙があって、そのほかに直接貸しというものを作るのだというが、この直接貸し甲乙のほかに何らかの構想をもって考えたのか。
  12. 記内角一

    記内政府委員 当初スタートいたしましたときには五十人でスタートしたわけでありますが、御案内の通りだんだん資金量もふえて参ります。ことに回転が始まって参りますと一投入資金ではございませんで、回収金相当出て参ります。従って今度は貸付の決定、それの審査等が必要になって参りますと同時に、これらの貸し付けたものの管理というか、貸し付けたあとのいろいろの回収状況なり、めんどうを見るというような管理の面も相当に必要になって参りますので、漸次人数もふえて参ったわけであります。今度支所を設けるにつきましても、主たる業務はこの管理の面並びに代理店との折衝というような面が主たるものになりまして、付随的というか、補完的に直接貸しを実施して参るということに相なる次第であります。その間におきまして、当初は指定業種であれば全部盲目的貸付をするという考え方でいったわけでありますが、たとえば旅館業が入ったとか、いろいろ業種追加になって参りますと、必ずしもいわゆる、めくら判を押すわけにも参りませんので、業種の選択、果してその者に融通してよいかどうかという審査業務もだんだんふえて参っております。今後といたしましても、直接貸しをいたしましても、やはり普通の代理店あるいは一般金融機関との取引の有無、またこれを直接貸しでもってやらなければならぬかどうかというふうな点もそれぞれ出て参るわけでございます。そういう意味合いからいたしまして、業務としましてもある程度重点的な運用ということを考えて参りますから、自然人員もある程度増加するのはやむを得ないかというふうに考えておる次第でございます。
  13. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 公庫ができて、公庫を活用するのは一般中小商工業者ではなくて逆に銀行に利用されているだけだと私は考えるのであります。銀行公庫ができたために、公庫の方をある程度使って利用している面もあるであろうけれども、公庫がそれだけの、つまり公庫を作るときの目的というものと大きな相違を来たしているように私はどうしても考えられる。ということは、われわれが考えておるところの中小企業の救済という面に真に役に立っているかどうかということです。公庫の金をもって貸し付ける場合したい方の人だけしか選択されてきていない。私が見てみて、これを何とかしてやればどうにかいけるであろうという希望を持ってあっせんしてやっても、そういうものには一つ貸付もされていない。それは窓口銀行というものを使うからであります。であるから、それだけの大きな人たちをこのごろ使わなければならないような公庫であるならば、銀行の窓を通さないで公庫が直接貸しをしたらいい、こういうふうに私は考えるのだが、その点はどうですか。
  14. 記内角一

    記内政府委員 御指摘のような点も若干なきにしもあらずでございますが、しかしまたすべてがそういう方向に動いているとも考えられませんし、ことに従来銀行取引先であったにいたしましても、それがいわゆる短期取引、これが重なり重なって、本来ならば長期の資金でまかなうべきものを短期でまかなって、またこれが事実上公庫資金によって帳消しされたというふうな効果もあろうかと存ずるわけであります。従いましてわれわれとしましては、こういう機能も十分持たさなければならぬと存じておりまするし、なお直接貸しを全部いたすにいたしましては、やはり膨大な陣容をもって組織しなければならない。たとえばこれを商工中金と一体化するというふうな考え方もあるわけでございますが、商工中金自体といたしましても、現在の資金量貸付量考えてみますと、いずれも手一ぱい仕事をやっておりまして、あまり行員として遊んでおるという向きも見受けられないのでございます。従いまして中小企業金融公庫の現在扱っておりまする資金量中金が扱うにいたしましても、やはりこれに伴う非常に膨大な陣容が必要になって参るということにもなろうかと思うのであります。従いまして直接貸しを大いに拡大するということは現状においてとうてい困難な状況でございまするし、また直接貸しを実施いたしましても、店舗所在地の近辺にありまする中小企業者は比較的恵まれて参るわけでございますが、店舗から相当離れたところに所在する中小企業者にとってはなかなか一カ所の店舗だけでは利用しがたい。従ってこういう地方におきましては、いわゆる代理店を使っていくということが必要になってくるのではないか。あれこれ考え合せますと、やはり代理貸付ということを中心にしまして、それの穴を埋める意味におきまして直接貸しを実施して参りたいというふうに考えておる次第でございます。今後の計画においてもそういうラインに沿ってやって参りたいと考えておる次第でございます。
  15. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 そうすると、長官のお説によると、出張所とか支店だとかというものがあるところは直接貸しができ得るかしれませんけれども、それのない遠隔の地にあるものは直接貸しは困難じゃなかろうか、こういうふうに長官はお考えになっているようですが、そういうお考えですか。
  16. 記内角一

    記内政府委員 何と申しましても大量の資金を扱うのでございませんで、一件当りになりますと、比較的小さい、また非常に忙しい、また人数も足りない中小企業者のことでございますので、遠隔の地に出向いていろいろ折衝をするというふうなことになりますと、なかなか物の取り運びも簡単には参らない。やはり手近にある金融機関との取引ということが重点になろうかと思うのであります。従いまして、絶対不可能ではございませんけれども、やはり店舗所在地ということが相当重きをなしてくるというふうに考えておる次第でございます。
  17. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 公庫をお作りになるとき、あなたはその担当長官ではなかった。けれども、企業庁長官として大体これらのことに対してはよく御存じのはずだ。その目的が今日達せられていないという原因があることは、長官としてわかると思うのです。ところで、その目的としても、国民ひとしく同じ利益を受けるというのでなくして、何らかその支店所在地周辺だけの人が直接貸しでもって利益を得るというようなことであるならば、私はこの公庫というものの使命を全からしめることができないのではないか、そう考えます。今、公庫の不必要論というようなものはどこから出てきているかということを、根本をもっと探究しなければならないのではないか。先ほど申し上げました通り国民金融公庫に全部を出して、そして国民金融公庫のような、ああいう簡単な方法貸付をもっと小額に奨励すべきであるというのが、そこに大きな原因となってきておることだと私は思う。ですから、今の私たちがきめたその三百万という最高をもっと落してもいいのじゃないか、そして中小商工業者という面にもう少し簡単な方法をもって貸す方法考えなければならないのではないか、こう思うのです。そこで、中金公庫と、また国民金融公庫、こういうようなものか幾つもここにあるわけですが、こういう面があって、たとえば何百万以上は公庫なのだとか、あるいはそれ以下のものが国民金融公庫だとか、こういうように限定されているのではないのであって、小額から三百万までは公庫の方の取扱いをしよう、また一千万までもよろしいのだ、こういうふうにできているわけなんですが、そういうところに対してもう少し長官の方でお考えになっている面が私はありはしないかと思うのです。ただ金額をふやしたからそれが均霑的に貸し付けられたという意味ではないのだと私は思う。そうすると、今申し上げたように支店のあるところの周囲の人だけは直接借りられるけれども、そうでないところは銀行窓口を通さなければならない。銀行窓口を通すなんということでは、前申し上げた通り、今銀行窓口で一切をお断わりしているのです。貸す貸さないは別なのだ。銀行のために公庫を利用させる以外の何ものでもない実情なのだから、そういう点についてもう一段の御研究をしてもらわなければならないと思うのです。たとえば今度公庫の面の修正をするとかいう話が皆さんの方からも出ているようですが、そういう面について、公庫が誕生をするときの初期の考え方、その目的というものと大きくかけ離れたことが現実に現われてきているという点について、もう一段と考えなければならぬ、こういうことを私は言うわけでございます。銀行窓口を通す場合においても、銀行が自分の金を貸してもいい人でなければ、一つも受けてくれておらない。直接貸しになるとそういう一つ目的があり、これは将来やるということになると、銀行見方が違ってきていると私は思うのでありまして、銀行つまり支店というものの見方が違うのですから、そういう点についての利益というものはその周辺の人だけに限られはしないか、こういうふうに考えます。ですから各県に駐在員を置くというようなことも、どうせやるのならばその方向に進めてもらいたい、こういうふうに私は考えるのです。先ほどお話申し上げた通り甲乙のほかに直接貸しというのを何らかの方法でやるのかどうかお伺いいたします。
  18. 記内角一

    記内政府委員 原則は先ほどから申し上げておりますように代理貸しということですが、そのほかにも今度下期から支所のあるところにおきましては、支所中心としまして直接貸し銀行取引のできないような面のところにおいてやって参りたいというふうに考えております。   〔委員長退席長谷川(四)委員長代理着席〕 ただし支所のないところあるいは支所がありましても支所の力が及ばないところはいわゆる乙号方式による貸付によりまして、銀行にあまり負担のかからないような方法で、これも資金貸付あっせんを実施して参りたいというふうに考えておる次第であります。それらによって漸次公庫の評判の悪いところと申しますか、欠陥を補って参りたいというふうに考えておる次第でございます。
  19. 小笠公韶

    小笠委員 今の説明を聞いておってちょっと伺いたいことが一つあるのです。長谷川委員の質問に対しまして、中小企業金融公庫貸出方式も、当初の代理貸しから直接貸しへ持っていく、その直接貸しが、支所が数カ所あるようでありますが、数カ所を中心に、できるだけその方向に広げていこうという感覚を受けたのですが、ここに中小企業金融公庫性格を、設立当初と全然変更していくという腹のもとに直接貸しを認めていく方針に変更したのかどうか、まずそれを第一に伺いたい。
  20. 記内角一

    記内政府委員 まず第一に支所の設置は、先ほど申し上げましたように、代理貸し中心でございますが、その代理貸し管理監督、また銀行に対していろいろな折衝、ことに乙方式によるあっせん融資というようなことを中心にいたしました場合には、本所と個個の窓口というふうにかけ離れておりましては思うような活動もできませんので、ある程度の地理的配付に基きまして支所を設置して参りたいというふうに考えておりますが、支所がせっかくできました場合におきましては、その支所中心といたしまして銀行取引のなし得ないようなもの、あるいは場合によりましてはあっせん融資乙号方式取引のできないような面で、しかも緊要な企業については直接貸しを補完的にやって参りたいというふうに考えておる次第でございます。従いまして各府県に全面的に支店を持つというようなことは目下のところ考えておらない次第でございます。
  21. 小笠公韶

    小笠委員 今のお言葉あやでありますが、中小企業は四十六都道府県全部にあるのであります。そうしますと、資金需要の問題にいたしましても、代理機関の存在の数によりましても、各府県共通に、多い少いの別はあるのでありますが、今お話のような代理機関公庫との関係、あるいはあっせんという点になりますれば、大同小異だ、必要性においては各府県とも中小企業の立場から見れば共通であります。今のお話から見れば、補完的に直接貸しをやるということが、補完でなくて、本体にいくということであります。ここに性格の切りかえをやろうとするところに、私は問題の一つ重大性があると思う。言葉はいろいろなあやがありましょうが、今の説明では、現実動きとしては当然そういかざるを得ないのであります。今お話のように、たとえば東京大阪名古屋札幌あるいは仙台福岡というような主要地点だけの中小企業対象にこの公庫はできておるのではありません。全体につきまして、都道府県中小企業者対象組織であるということは、私は当然だと思う。この意味から考えまするとき、ただいまの答弁というものは、性格を隠しながら答弁をしておる。そこの点をはっきり一つ伺いたい。   〔長谷川(四)委員長代理退席委員長着席
  22. 記内角一

    記内政府委員 公庫はあくまでもやはり代理貸し重点性格を持っておるわけであります。ただ現実動きを見ますと、代理貸しだけでは補い得ないような面が出ておりますので、これを補う意味で直接貸しをやって参りたいというふうに考えている次第でございます。従いまして支店の点につきましても、もちろん各府県に一カ所ずつでもあった方が、中小企業者にとっては便利だろうと考えるのでございますけれども、しかし公庫公庫建前もございますし、また各代理店との折衝あっせんということが中心になって参りますと、必ずしも各府県に必要もないわけでございます。その辺のかね合いを考えまして、大体われわれとしましては、地理的配分も考慮いたしまして、各ブロックに一ヵ所くらいということで目下考慮をめぐらしておる次第でございます。各府県にこれを設けるという意思は持っておらない次第でございます。
  23. 小笠公韶

    小笠委員 先ほどの答弁の中に、直接貸しをやるという場合には、おそらく支店の近所の人々が利便を得るであろう。支店から距離的に隔たったところは困難であろううという御答弁があったようであります。しかも一方においてブロック別支店を置いたらいいのじゃないか、私の選挙区の例を言うとおかしいのでありますが、四国の高松農林中金支所がある。私の選挙区の徳島あたりになりますと、農林中金仕事をするのに、出張員徳島におりまするが、一つの書類を直すのに泊りがけで高松に出かけなければならぬ、従いまして農業県であります徳島が、実際上農林中金の利用というものが非常に困難な形に追い込まれておる、これはいなめない事実であります。こういう事実が、今のお話でありますと中小商工業部面にも当然に繰り返されると私は思うのであります。特に中小企業の中で後進性を持っておる、いわゆる農業中心府県中小商工業が、かえって困難な状態にあると私は言っていいと思う。いろいろな組織、いろいろな機関の整備しておらないままに、またそういう機関に行くのに相当経費と時日を要するがままに、困難なままに放置されておるのが、私は地方中小商工業者だと思う。こういう事実を考えますときに、ただいまのような説明で割り切っていくということは、私は少し無理ではないかと思うのであります。そういうような考え方からいたしますれば、ここに中小企業金融公庫欠陥を補う補完的な意味において直接貸しをするというならば、現在の出ておる欠陥の一部のみを考えずに、この制度自体が果して今の中小企業の要求されておる制度性格的に合っておるのかどうか。その面になぜ一ぺん振り返って考えないかと私は思うのであります。この考え方の問題につきまして、もう一度はっきりした御答弁をわずらわしたい。
  24. 記内角一

    記内政府委員 中小企業者にとりましては、手近に簡便に借り入れのできる機関があることが望ましいことはもとよりであります。その面においては、多数の金融機関が手近に、ことに簡便に貸し得るような政府機関があることを要望されるのもごもっともでございますが、しかし同時にそれではまた金融機関として成り立たない、経費面として成り立たない面も考え合せなければなりませんので、彼我の関係を考慮いたしまして、今申し上げたような方向に持って参りたいと考えておる次第でございます。しからばこれをもって、むしろ直接貸しをやっておりまする国民金融公庫でありますとか、あるいは商工中金にそのままやらしたらどうかというふうな考え方も出て参るわけでございますが、国民金融公庫は、いわゆる零細な資金を扱うところでありまして、零細なるがままにまたその貸付方法取扱い手続等もきわめて簡素敏活に動いておるわけでございます。ところが中小公庫のねらっておりますのは、そういう零細なところでなくて、それよりもやや上に上回る資金量ということが中心になろうかと思うのであります。そうなりますと、単なる零細金融という建前だけではできませんで、本格的な金融とちょうど中間地帯をねらうような機関になります。自然担保の問題あるいは返済方法その他手続等においてもやはりある程度の慎重さを必要とするようになろうかと思うのであります。むしろもし国民公庫中小公庫を一緒にいたしますると、かえって両方のよさがなくなってしまうということも考えられるのでございます。また商工中金等と合体するというふうになりましても、やはり商工中金支店というものは各府県一カ所あるいはせいぜい二カ所というふうに目下限定されておりまするし、今後におきましても全国各地支店網を持つというようなこともなかなか困難であります。やはりこれは全国各地に散在する業者に対しましては、代理店を使ってやって参るのが一番かえって中小企業者にとっても簡便な方法ではないかというふうに考えておる次第であります。従いまして、中小公庫は中小金融公庫として存続させ、その主たるねらいはやはり代理行為、代理貸付ということに重点を置きまして、ただ代理貸付だけではまかない得ないような、いわゆる金融機関取引をなし得ないような面に対しまして補完的に直接貸しをできる範囲でやって参りたいというふうに考えておる次第であります。
  25. 小笠公韶

    小笠委員 私は考え方の基礎を聞いておるのであります。現在の中小企業金融公庫現実の諸事情から見て、中小企業金融的需要に対して十分なる機能を発揮していないうらみがあるという批評が相当あるのでありますが、それを補完するために直接貸しを部分的にやっていくのだということで解決していくのがいいのか、そうでなしに制度自体にさかのぼって考えてみるのがいいのか、これがどっちだということを聞いておるのであります。中小企業金融公庫国民金融公庫と商工組合中央金庫と合併したらどうか、これは一つ方法であります。なおよく検討を要する問題だと思うのですが、私は考え方の問題としてここではっきりしていただきたいと思うのであります。  それはこれ以上伺ってもはっきりした答弁が出そうもありませんからここらで打ち切りますが、次に伺いたいのは、中小企業の現状から見ますると、金融の問題にいたしまして、卒直に言って中小企業専門の金融機関と称するものが過多になりかかっておるのではないかということであります。相互銀行しかり、信用金庫しかり、あるいは信用組合しかり、それに現在政府の三機関がある。これらの相互的な連係の問題、統合的に中小企業金融をどう持っていったらいいのか、たとえば信用金庫を一つとりましても、信用組合をとりましても、上位系統機関一つも認めておらないのであります。こういうふうなところにそのまま置いておいて、いわゆる中小企業金融が円滑にいけるかどうか、私は疑問だと思う。一例をとりますれば、信用協同組合一つとっても上位の金融機関との連係なしにこれが金融の繁忙さに応じ得るかどうか。私は、政府としてこの面の政府機関に対して一応筋の立った反省をすると同時に、市中金融機関としての相互銀行、信用金庫、信用協同組合に対して体系をつける時期がきておるのうはないか、そう思うのでありますが、そこらに対して政府当局はどう考えておられるか、お伺いいたしたい。
  26. 記内角一

    記内政府委員 金融機関一般になりますと大蔵省の所管でございますけれども、中小企業金融の面につきましてはわれわれも非常な関心を持っておるわけであります。御指摘のように、相互銀行があり、信用金庫があり、信用組合がある、しかもそれぞれ単独に動いておりまして、御承知の通り信用組合につきましては商工中金との取引ということで一応連係はついておりますが、商工中金自身も資金上には不足がちになっている事情にもございますので、これも十分に活用できないというような事態にあることは御指摘の通りであります。われわれといたしましても、この関係の調整、またそれに対する系統的な金融プールと申しますか、金融資金の供給源と申しますか、この辺の操作の問題、たとえば一般銀行に対する日本銀行のような立場のものを何とかしなければならぬじゃないかということで目下検討を進めておるところでございます。これらの面につきましては、さらに大蔵省その他関係方面と打ち合せまして十分な検討を加えて参りたいと考えておる次第であります。
  27. 小笠公韶

    小笠委員 ぜひ現段階の中小企業金融対策として金融機関の総合性と統一性というような線で一つ考えを願いたいと私は思うのであります。  それに関連いたしまして、今日頼母子講、無尽というものが相当町にはびこっておることは皆さん御承知の通りであります。この事実は、零細な中小商工業者が非常な高利に苦しんでおるということを示すものだと思うのです。その意味から考えまして、国民金融公庫なり、あるいは二、三十万程度の零細な資金の利用を簡便にする方法をぜひ考えてほしいと思うのです。これは私は国民金融公庫にまかせておけばよろしいということではないと思う。月に百万、二百万の売り上げをしておる商いの店といたしましても、二、三十万の運転資金が要る、こういう意味から考えましても、どうしても公庫あるいはその他の金融機関の運営に当りまして、先ほども御説明を願ったのですが、小さな金融国民金融公庫、それよりまとまった事業資金という観念は私は誤まりだと思う。数の上からいえば中小企業金融というものは三十万前後の金がその一つであります。この面についての御配慮をぜひ一つ煩わしたいと思うのであります。不況の深刻化に伴いましてそういう資金の需要が非常に逼迫化してくる、これは事実でありますからぜひ一つお願いいたしたいのであります。  今のは希望でありますが、これは政務次官にぜひ伺いたい。中小企業振興対策の問題の一つとして、先日来委員会でいろいろ論議がございましたが、中に、販路が縮小してきておる、売れ行きが少くなってきておるから、金の問題よりもまず経営活動が十分にいくような販路の問題が第一である、大臣の御答弁によりますれば、中小企業対策というのは拡大均衡へ持っていくようにしなければうまくいかぬのだという御答弁があったようであります。その問題に関連しまして、すぐ政府が決議すればやれる問題が一つあるのです。それはほかでもありませんが、日本の国の経済における政府及び地方公共団体等の公的機関の需要する需品の購入に際して中小企業者に入札の機会を均等に与えるということであります。これは政府の腹によってできるのであります。私は高いものを買えと強制するものではありませんが、ともすれば政府機関がまとったところから買いたいというのは、これは人情であります。こういう意味から政府及び政府機関地方公共団体等の需品に対して、中小企業者の入札というか、オファーに参加し得る機会を必ず確保し得る措置を講じていただけるかどうか、これは政務次官から一つ政治的な答弁を伺いたいと思います。
  28. 島村一郎

    ○島村政府委員 どなたにいたしましても、中小企業の振興につきましては、御苦労は同じような方向に向って進んでおると存じます。先般永井委員の御質問にもございましたように、たとえば金融の面だけでこの振興をはかろうというような簡単なことではなかなか振興は期し得ないと考えます。ことに諸般の情勢がこれに影響してあるいはしわ寄せとなってくるというような面からも考えて参らなければならないと存じますので、従ってただいま小笠委員の御意見もごもっともの点が多かろうと存じます。私どもといたしましてはそういう面につきましてもでき得る限り振興策の一つとして、これから十分検討して参りたいと存ずる次第であります。さよう御了承願います。
  29. 田中角榮

    田中委員長 小平久雄君。
  30. 小平久雄

    ○小平(久)委員 まず公庫関係につきまして一、二承わりたいと思います。質問の順序としまして、今度の提案から見ますと、理事を一名増されるという、しかもそれは支所をふやすとかあるいは直接貸しを始めるとか、こういうことが原因のようでありますが、先ほど来お話もありましたように、大体公庫の出発の際にはその機構というものは極力簡素にしてやっていこう、しかもその窓口というものはやはり従来の金融機関を利用してやっていこう、こういうことがたしか出発の際のねらいであったというふうに承知いたしておるのであります。そこでいろいろ実施しました結果、事情の変化もございましょうから、私は今回の改正に必ずしも反対をするものではもちろんありませんが、そこでまず第一に承わりたいのは、支所というものの性格あるいは権限ですが、一体これはどういう性格と権限とを有するものでございますか。
  31. 記内角一

    記内政府委員 現在におきましても支所大阪一つ持っておりますが。ここで目下やっておりますのは、御案内の通り代理貸付でありますが、代理貸付のうちはきわめて簡易迅速に取り運びたい。そのうち甲種につきましては特に簡易迅速に取り扱いたいということで、これはすべて支所限りで決定をいたしておりますが、今後も支所の増設につきましても、甲種に関します限り全部簡便にここで扱って参りたい、ただ業種の中で指定業種は、御案内の通り指定業種に限って融資できることになっておりますが、指定業種に属するかどうか。あるいは指定業種の中であっても必ずしもおもしろくないということで融資について若干控え目にしなければならぬ。たとえば旅館業が指定にはなっておりますが、旅館業一般を扱うのでなくて特殊な旅館だけを扱うというふうな範囲の問題になって参りますと、事実認定の問題もありますけれども、中央で方針を決定しなければならぬような問題もありますので、こういう面については本所で扱いたいというふうに考えております。乙種についてはたとえばあっせん融資というような問題につきましては、主として支所でやって参りたいと思いますが、特殊なものにつきましては本所と打ち合せの上決定するというようなことになろうかと思います。いずれにいたしましてもそれは貸付の場合の手段でありますが、貸し付けたあと貸付先の活動状況、あるいはそれに対する監視、回収の状況というふうな面の打ち合せその他はすべて支所限りで決定して参るというふうにいたしたいと思います。ただ直接貸しの問題につきましては普通の銀行と同じように、ある限度までは支所で決定いたしますが、ある限度以上になりますと本所において一定の方針のもとに審査をいたして決定するというようなことも必要になろうかと思うのであります。この辺の扱いについてはまだ最終的にはきまっておりませんが、大体の方向としてはそういう性格をもって主として現地の代理貸付及びその後の管理回収という面で各代理店と緊密な連絡をとりながら活躍するというのを第一の原則として参りたいというふうに考えておる次第であります。
  32. 小平久雄

    ○小平(久)委員 今の御説明を聞いておりますと、せっかく支所ができましても、なるほどある程度のものは支所限りで処理をいたすが、事項によってはやはり本所まで持ち込まなければ解決しない、こういうことで、しかもその限界ははっきりいたしておらぬというふうに承わりましたが、そういたしますと、これはよくその他の金融機関の場合にもあるのでありますが、ややともすると中間の取次役であり、むしろ事務渋滞の原因にすらなりがちである。われわれはこういう点を支所の存在についてむしろおそれるのでありますが、これらは今後の運用いかんにありましょうから、せっかく支所を作るならば相当大幅に権限を与えて、いわゆる中間のじゃまものにならぬように一つ今後の運営をしていただきたいということを私はこの際申し上げておきたいのであります。  それともう一つ承わります。大体支所の権限について御説明を聞いたのでありますが、各支所というものが、今のようにあるものは直接、そこで処理し、あるものは本所に申達するというのでありますが、たとえば支所を地域的に、いわゆる全国九ブロック等に分けておのおのの区域で行われておりますが、そういうブロック内のことはやはり原則としてそれぞれの支所に集めて、それから本所にくる、こういうことになるのでありますか。その地域的な関係はどういうふうにお取扱いになるわけですか。
  33. 記内角一

    記内政府委員 大体の支店の管轄区域と申しますか、それをきめまして、その範囲内の代理貸しの相談あるいは打ち合せ、連絡、あるいはその代理店を通じての貸した債権の管理というふうなものは、その管内の支所限りで大体結末がつくようにやって参りたいというふうに考えております。自然その範囲内においては、いわゆる代理店支所との間の関係になるので、支所別の大体の管轄をきめて参りたいというふうに考えております。
  34. 小平久雄

    ○小平(久)委員 大体の区域をきめるということでありますが、具体的に言えば、大阪支所を作った、大阪支所というものは、管轄区域は一体どういうふうになっておりますか。
  35. 記内角一

    記内政府委員 大阪支所におきましては、大阪、近畿地方と岡山、広島というところまでのものを扱って参るわけであります。
  36. 小平久雄

    ○小平(久)委員 今度支所を増しますと、全国を幾つかの区域に分けられて、いずれもがこのどれかの支所につながるということになるわけですか。
  37. 記内角一

    記内政府委員 大体いわゆる店舗中心としまして考えますのと、たとえば関東地方であれば本所で直接扱って参る、九州、福岡にできますものは九州地方を扱って参る、名古屋に設置されました場合にはその近辺を扱って参るというふうに、それぞれきめて参りたいと思いますが、場所によりましては、支所に連絡するのも本所に連絡するのも同じようなものだというふうな場合もあろうかと思います。そういうふうな面につきましては、本所で直接扱うというふうにもなろうかと思うのであります。その辺のところはまだ最終的には決定を見ておりません。大体いずれも便利な方法によって管轄をきめて参りたいというふうに考えております。
  38. 小平久雄

    ○小平(久)委員 支所の増設ということに対する私の考えは先ほど申し上げた通りでありますが、公庫というものが設立されたねらいからいたしましても、また公庫発足の際に当時の通産委員会で十カ条あまりの付帯条件を付してあります。その中にもうたってあったと記憶するのでありますが、とにかくなるべく地方的にもあるいは業種的にも普遍的にこの金が流れていくように配慮してほしいという一項があったはずであります。そういう支所の発足に当っての当委員会等の意向から考えますときに、より重点を置いていかなければならないのは、先ほど来他の委員からも発言がありましたが、もっと公庫の金というものが普遍的に流れていき得るような態勢を整えるということ、そのためにまた適切なる措置を講じていくということ、つまり末端の指導の方面に、機構の拡充とともに指導の面により力を注いでいくということが今や必要性が大なんじゃないかという気がいたすのであります。今までの貸し出し件数なりあるいは金額なり等を見ますると、発足してからまだ二年にもならぬのに相当の成果を確かにおさめておりますが、見ようによってはまだまだ不十分のように考えられる。従って今言うように、もっと末端の組織、つまり代理機関を拡充し、また代理機関の本公庫資金の代理業務の扱い方についてもっと徹底した指導をするということがより重要ではないかと考えるのであります。現に地方などに行くと、まだまだ公庫というものの存在すら知らぬ者が多い。知っておっても、どうも公庫というものは、あれはわれわれの手の届かぬところだという考え一般中小企業者が多い。かりに金融機関に行っても頭からはねつけられてしまうというようなのが現実の実情ではないかと思う。そういう点について一体今後具体的にどういう指導方針をとっていかれるつもりなのか、この際それを承わっておきたい。
  39. 記内角一

    記内政府委員 何と申しましても、第一線に活躍してもらう、代理店に活発に動いてもらわなければなりませんので、今後支所などが設立せられました際には、そういう方面の連絡を緊密にいたしまして、遺憾のないようにして参りたいと思うわけでございます。大体この代理店の数等につきましては、いろいろ議論もあるわけでありまして、普遍的にもっとふやすべきじゃないかという見方もございまするし、また一部には、あまり代理店の数が多くなりますと、各代理店別の資金の割当量が減って参ります。もうかけつけたときには割当をオーバーするというようなことで、取り扱いかねるというような面も出て参りまして、いろいろな便不便もあるわけなんであります。そういうことも考え合せまして、目下のところ代理店の数は、数といたしましてはあまりふやしておりませんが、支店のそれぞれ営業所を持っておりますので、営業所別にまた何らか便利な方法で、一般中小企業者に均霑できるような方法で、この運用の万全を期して参りたい、それにつけましても、今申し上げたような支所を大いに活用して、両者の緊密な連係のもとにやって参りたいというふうに考えておる次第であります。
  40. 小平久雄

    ○小平(久)委員 この公庫のねらいといたしますところは、元来が一口に中小企業金融公庫とこう申しますが、まあいずれかというと、大体金融的に申しますと、むしろもともと中の方に重点があったように思う。国民金融公庫と開銀との中間をねらうのだ、こういうのが発足の趣旨であったわけでありまするが、もちろん当時としましては、そのいわゆる中間層の金融機関がなかったから、これを作ることが必要であったわけでありますが、しかし実際その後の状況を見ておりますと、一般の要望というものは、かりに中小をしいて分けますならば、小の部類、言うまでもなくこの小の部類をたくさんやった方が対象が多くなる、国民も喜ぶということになるわけであります。そこでこの一件当りの貸し出し額等を見ますと、大体二、三百万円の平均になっておるようであります。もちろんこの程度の資金を要する企業も重要であり、いわゆる中堅産業であることも間違いないのですが、国民金融公庫の場合には、言うまでもなく五十万円くらいまでということになっておるようでありますが、大体一般の普通に世間で言う中小企業というと、その資金需要は大体せいぜい五十万円前後が一番多いのじゃないかと思う。そういう点にどうもやはり国民金融公庫中金とのいわば限界点というか、接触点というか、その辺のところが——国民金融公庫に行けばちょっと額が多いというので減らされる、また中小企業金融公庫の方に行けばむしろ少いので相手にされぬというような点があるのじゃないかと思うのですが、もう少し額の少い方に——多少そこに国民金融公庫との間に混線はあっても、もう少し下の方の金融ということに今後は力を入れるべきじゃないかという気がするのでありまするが、その辺についての当局のお考えを承わっておきたいと思います。
  41. 記内角一

    記内政府委員 同様の考え方で、われわれも扱って参っておりまするし、今後ともそういう方針で進んで参りたいと思います。従いましてたとえば資金の割当にいたしましても、大銀行も一部ございますが、できるだけ少額の資金を扱って参りまする相互銀行とか信用金庫とか、あるいは銀行の中でも地方銀行というふうなものに重点を置きまして、零細な資金が地元で直接日常接触して貸し得るような態勢のところにある金融機関に、重点的に資金を配合するというようなことを考えておる次第であります。今後とも御趣旨に沿って進んで参りたい、かように考える次第であります。
  42. 小平久雄

    ○小平(久)委員 それに関連してちょっと承わりたいのです。代理店でありますが、従来金融機関、特に公庫の金を借りようとする金融機関取引がないと、もう頭からはねつけられておるようです。そういう点も従来必ずしも取引がなかったからといって、公庫の金をあっせんしないということではなくして、今後指導をしてもらいたいと思うのですが、そういう点はいがですか。
  43. 記内角一

    記内政府委員 従来ややもしますとそういう傾向にあったのでございますが、特に昨年の金融引き締め以来——御案内の通り去年の引き締めのときには、従来の取引先はこれを圧縮するあるいは取引を停止するというようなことすら行われましたので、新しい取引を始めるというようなことは、いわゆる一般銀行ではほとんど期待薄というふうな事情も見けられたのでございます。しかしそれでも最近若干緩和したと申しますか、新しい取引先も始まっておるように伺いますし、また相互銀行とかあるいは信用金庫あたりになりますと、もちろん預金獲得あるいは掛金の契約の増加という面もございましょうが、新規の取引相当やって参っております。こういう相互銀行、信用金庫等につきましては、さらに一そうそういう方面に乗り出すように対処いたしますし、また銀行方面につきましても新規の取引をやってもらうように、そのためには場合によりまして例の信用保険法の改正というふうなことで、金融機関としてもやりやすいような方向に従来とも勧奨いたしておる次第であります。公庫取扱いの面につきましても、さらにその精神にかんがみまして、旧来の取引だけに限定することなく、新規の取引先にもこれを貸すように、そのためにはまた場合によりましては、いわゆる乙号方式による融資ということも、大いに活用してもらうように進めて参りたいというふうに考えておる次第であります。
  44. 小平久雄

    ○小平(久)委員 次に金利の点で承わりたいと思うでのありますが、この金利の点につきましても公庫の発足の際におけるこの委員会の希望条件にも、少くとも七分五厘くらいには一つ下げるように努力してほしいという一項があったと思うのですが、依然として一割でやっておられるようです。最近は言うまでもなくこの金利の引き下げという一般的な問題もある際でもありますから、われわれとしましても特に中小企業の現状等から考えますならば、一般の金利以上にこれの引き下げということには一つ努力をしてもらいたいと思うのですが、今年度はやはり従来通りという御意向ですか。
  45. 記内角一

    記内政府委員 一般金利の引き下げの趨勢もございますので、公庫の融資につきましても中小企業金融公庫国民公庫、いずれも何らかの措置を加えるべきじゃないかということを、目下関係方面と折衝いたしておる次第でございます。近く何らかの方法でそういう方向へ解決するものと期待いたしておる次第であります。
  46. 小平久雄

    ○小平(久)委員 公庫の発足の際にすでに先ほど申す通り、七分五厘くらいにはしてほしいという附帯条件があったにかかわらず、今日まで何ら努力も払っていない。あるいは払ったのかもしれぬが、表面に一つも現われていないというのは、はなはだ遺憾にたえないのであります。本年度の予算審などを見ましても、この公庫関係では多分九千九百万くらいですか、約一億近くの利益が出る。こういう公庫予算書になっておったと思うのですが、口に中小企業の振興とか、あるいは保護助成とか叫びながら、この公庫のような性格金融機関を国で作りながら、たとい多くのものでないにしても、相当利益を上げてやっていくというようなことは、どうも私は公庫の発足の精神にはもどるものだ、かように考えるわけなんですが、一体予算を組む際においても、こういう点についてどんないきさつがあったのか、この際承わりたい。
  47. 記内角一

    記内政府委員 御承知の通り公庫貸付は一割に相なっておりますが、それの資金源でありますのは政府の出資と運用部資金の借り入れという二つに相なっております。ところが政府出資につきましては配当あるいは金利というものはございませんが、出て参りました利益金を上納するというような形で納めることになっております。ただ預金部につきましては六分五厘で借り入れをいたしておる次第でございます。ところが預金部資金で六分五厘で借り入れまして、これを代理貸しして運用いたします際には四分五厘の手数料を払っております。回収利息の四分五厘、すなわち一割の利息に対しまして四分五厘の手数料を払っておりますので、金利の資金源といたしますと、運用部資金につきましては、六分五厘のほかに四分五厘の手数料を払って一割一分のコストになっておるわけであります。それを一分の赤字で一割で貸しておるというのが現状に相なっております。ただ出資金が過去のものが相当ございますし。毎年十億、二十億というふうに追加に相なって、今度の法律の改正にもありますように、正式に投資いたしましたものが百七十億、あと開銀からの承継債権の振りかえというようなもので七、八十億のものが累加されておる。これがいわゆる無利子の形で運用されて参りますので、まるまる一割、それから手数料四分五厘引きまして五分五厘の利ざやになって参ります。これがかね合されまして約一億円近い利益が一応出て参るという計算に相なっております。現実には昨年度などにおきましては支払い準備金等を積み立てて参りますと、ほとんど納付金はなくなるというふうな事情にも相なっておる次第でございます。それこれ事情も考え合せまして今後の利下げという問題も検討して参りたい、大体下げる方向で目下検討を進めておる次第でございます。
  48. 小平久雄

    ○小平(久)委員 大臣が見えましたから、今私が長官に質問をいたしました点を大臣にも一つ頭に入れておいていただきたいと思うのは、公庫の金利の問題ですが、公庫の金利は言うまでもなく今一割になっているようですが、これは公庫が二十八年ですか、発足する際にもこの委員会としてはとにかく中小企業の振興とか、あるいは保護育成とか、こういうことが強く叫ばれておる際でもあるから、この一割という金利は少くとも七分五厘くらいまでに下げるべきだ、こういう附帯条件が当時決議されておるわけなんです。ところが今回のこの法案等の関連からいろいろ伺ってみましても、一割というものが依然一割のままになっておる。今長官の話によると今後引き下げるように折衝しておる、こういう話でありますが、公庫予算書によりますと、今年約一億くらいの利益金が出る。この利益金は国家に納めるのだ、こういうことになっておる。一般には、中小企業金融公庫というものができて、政府の金で今度は大いに中小企業のためにやってやるのだ、またやってくれているのだというように言われておりますが、しかしこの公庫でたとい一億でも——その額が必ずしも多いと私は申しませんが、たとい一億でも利益が出たら、また利益を出して国に納めるのだというようなことでは、中小企業の諸君は、決して国がほんとうに親身になってやってくれているという気はしなかろうと私は思う。ですから、たとい少くともこの剰余金はもちろんこれを繰り越して公庫自体が運用していくというふうにすべきであるし、さらに金利の点も、なるほど今の説明のように、運用部資金等から借りるものの金利の関係からして、一挙に著しい低下ということも見られぬかもしれませんが、しかしそがら他の大産業等につきましては、いろいろな面において、あるいは金利の面において、あるいは税の面において、至れり尽せりとはいえぬまでも、中小企業に比べましては相当あたたかい手が伸びているのですから、せめてこのせっかく政府が作った公庫の金利ぐらいは、私はこの際他の金融機関に先がけてもこれを引き下げるべきじゃないかと考えるわけです。この点は今後大臣にも一つ大いにお骨折り願わなければならぬと思いますが、この際大臣のそれに対する所見を承わっておきたいと思います。
  49. 石橋湛山

    ○石橋国務大臣 ごもっともでありまして、公庫などが納付金として国家へ納めてそれが一般会計の歳入になっておるのは、私のかねがね不思議に思っておった。ことしはついうっかりしておったといえば済みませんけれども。そこまで手が回らないで、その点は閑却して今まで通りになっておるようなわけでありますが、一つこれから大蔵省とも十分話し合いまして——大蔵大臣もその点はつまらぬことだと言っているのですから、御趣旨に沿うように努力いたしたいと思います。
  50. 小平久雄

    ○小平(久)委員 私もそこのところの法律がどうなっているか実はよく記憶ないのですが、今年度からでも納付金をやめるというのには法律の改正を要しますか。
  51. 記内角一

    記内政府委員 公庫等の経理に関する法律とかなんとかいう法律がございまして、それに、ある算式に基いた剰余金は国庫もしくは産業投資特別会計に納付しなければならないという規定がございます。それを改正しないと、納付を取りやめるわけには参らないわけであります。
  52. 小平久雄

    ○小平(久)委員 今大臣のお話によると、大蔵大臣もその点はばかばかしいことだといってすでに了解しておられる、こういうことでありますから、政府からその改正案を本国会中にいかがですか、提出なさいますか。
  53. 記内角一

    記内政府委員 実はその点折衝もいたしたのでありますが、この納付制度を一応建前にしておかないと一種の独立採算制という考え方等もあり、あるいは安易に流れるというふうな面もあるので、納付制度をとっておるのだという意見もございまして、今まで実施に至っておらないわけでありますが、なお関係方面とよく折衝いたしたいと考えておる次第であります。   〔長谷川(四)委員長代理退席委員長着席
  54. 小平久雄

    ○小平(久)委員 納付制度がなければ安易に流れるというのはちょっとおかしいと思う。それから独立採算制だから納付するということもちょっと理屈にならぬと思う。独立採算制ならば、もしも足らないときには足らないようにその機関がやっていくべきであって、独立採算制をやらしておいて余ったからその金だけは取り上げる、足らぬときのことは別に考えてないというのでは、ほんとうの独立採算制じゃないと思う。それはいずれにいたしましても、先ほど来の大臣の言明等からすれば、大臣は極力今の処置を早めて、改正法案を今国会にも提出していただきたい。これを強く要望しておきます。  それから今度は問題を変えまして、今回の案のうち、商工中金貸してある二十億ですか、これの返済期間を政令の定めるときまで延ばすというのです。ところが一方には今度は商工中金に対して十億円の出資をする。先般来この委員会質疑応答等を聞いておりますと、商工中金に対する十億円は、何かほんとうの見せ金みたいなものであって公庫から貸してある二十億の一部を、それを振りかえるんだといういうふうにとられる質疑があるようですが、一体そういうやりくりをする考えなんですか。
  55. 記内角一

    記内政府委員 商工中金には法律案予算案にもございますように、十億出資いたしますが、なお公庫に対しましてこの八月には二十億を返済するという従来の建前になっておりまして、今回の法律案の改正で、これを一応政令の定める日まで延期するということにはいたしてございますが、その借入金の半分、十億だけは今回商工中金に対する出資の機会に公庫に返させる、残りの分につきましてはさらに来年度もしくは再来年度におきまして逐次返させるという考え方に立っておる次第でございます。
  56. 小平久雄

    ○小平(久)委員 そうしますと、商工中金の方は実質的には資金はふえないということで、ただ債券の発行ができる基礎がふえる、要するに種銭が一部ふえるというだけだ、こういうことになるわけですか。
  57. 記内角一

    記内政府委員 そういう見方もございますが、逆に今年度二十億返すべきであったのが、十億だけ返すので済んだ。二十億返すところを十億出資して、十億返すということになって、資金量としてはふえなかったということにもなりますが、逆に申しますと、返すべきものを返さなくて済んだというふうにもなろうかと思うわけでございます。
  58. 小平久雄

    ○小平(久)委員 なるほど公庫から借りている二十億というものは、返すべきものかもしれませんが、貸したり借りたりした金ですから、なかなかそう期限通り本来てきぱきいくと見えるのは、ちょっと甘い考えじゃないかと思う。また公庫の立場からしても、二十億を今まで商工中金に融資したわけですから、しかもこれはもともと公庫貸したのじゃなくて政府から貸してやったものを公庫に振りかえて、肩がわりしたものだと思いました。そういう関係からしても、公庫としても今までやっておったものをわざわざ引き揚げなくても——公庫として十億の金を引き揚げなければならぬのならば、むしろ政府から公庫の方にやったらいいのであって、手先の二つの機関あやつりながら、いかにも両方に金を増したような格好をしながら、実質的にはあまり増していないというのでは、どうもわれわれとしては感心できないのです。  そこで念のために伺いますが、公庫へ戻る十億というものは、これは公庫の資本金からだと思いますから、それをまた政府に取り上げるというようなことはもちろんしないでしょうな。
  59. 記内角一

    記内政府委員 それは本年度返しますと、公庫の運転資金として、さらに貸付に回るわけでございます。従いまして財政投融資の中にありまする公庫回収金百三十五億の中には、中金から返済される分の十億を加えてございます。
  60. 田中角榮

    田中委員長 片島港君。
  61. 片島港

    ○片島委員 大臣の中小企業についての質問をしておりませんので、根本的な問題についてこの際承わりたい。  従来の通産大臣のいろいろな施策を見ておりますと、石橋大臣は中小企業の五人や十人なんというようなことはおっしゃらないから、中小企業についてもずいぶん熱意を持っておられるとは思うのですが、今までの委員のいろいろな質問に対する答弁を聞いておると、何か中小企業というものをまま子扱いにしておるような感じを私は受けたのです。たとえば今十億を増資するとか十五億を増資するとか、あちらにやったりこちらにやったりというような問題が取り上げられておりますけれども、こういう問題によっては中小企業というのは安定もしなければ救済にもならぬのじゃないか、早く言えばこの効果というものは私はあまり期待しておらぬ。中小企業についての組合を強固にするというようなことを言われておるが、具体的には中小企業の組合というものをどういうふうに強固にしていくか。ただ金を貸す場合に、組合を組織して組合に入っておれば金を貸してやるぞという程度の組合ならば、これは何ら中小企業の安定、発展ということにはなってこない、その組合が団結をして技術の向上とか経営の合理化とかいうものに非常に熱心になっていくような組織にしてこそ、初めて組合の強化ということが出てくるのであります。組合の強化々々と言っておられるが、組合の強化について具体的にはどういう方針を持っておられるのかを第一にお伺いしておきたいと思います。
  62. 石橋湛山

    ○石橋国務大臣 お答えをいたしますが、中小企業の問題は決してまま子などにはしておりません。これはどうしても何とかしなければならぬと思いますが、ただ御承知のように多年の問題でありながらなかなか解決がつかないというだけに困難性がありますから、それで一挙に、なるほどこれはうまく行くというような案は実は卒直に申してありませんので、それで困っておるということが事実であります。ただしそこではなはだ平凡なやり方ですけれども、とにかく中小企業者というものは御承知のように農民と違って利害関係相当複雑でありますから、それだけに団結の力が弱い、できるだけそれに団結力を与えて、組合を組織させる。それには組合を通じて設備改善の助成をする、あるいは輸出振興についてやはり組合を利用して輸出振興の方面の見本市か開くとかあるいはその他のことをやらせる、こういうような一つ一つの具体的な問題について組合の強化をはかっていく。それから先ほど小平さんがお話の中にありました商工中金の問題も同様でありまして、一方で出資して一方で取り上げるようなことでわれわれ決して満足しておるわけではないので、政府からこの際商工中金にもストレートに出資するようにしたい。これは通産省としては非常な努力をしたのでありますが、いろいろな財政投融資等の資金関係上そう参りませんので、やむを得ず商工中金からの貸付金の一部を出資に振りかえたような格好に実質上なっておりますけれども、それでも債券発行の限度を広げるということで、やはり組合を通じての金融ということに寄与をするから、そこで組合を強化するためにはやはり商工中金というものの金融相当伸ばしてやらなければいかぬ、こういう観点から、十分であるとは申せませんが、組合強化の一つの手段としてやっておるわけであります。
  63. 片島港

    ○片島委員 いや、組合をそういうふうにして金を貸す対象としたようなことでやっておられるので、一つの手段でなくてそれだけが手段であって、ほかにはあまり手段が見当らぬように私たち考える。中小企業が経営を安定していくということについては、今まで一番大きな問題は、たとえば現在日本に家内工業というものが非常にはびこっておる、根強く残っておるという問題、それから今輸出組合というようなことを言われたが、対外的に輸出を振興していく場合にはやはり技術がりっぱにならなければいかないし、品物もりっぱにできていかなければならぬ。ところが中小企業というものはややともすればしろうとにもできるのだ。そういう感じでやっておる日本の今日の中小企業というものは、金を貸してやったくらいでは、あるいは税金をまけたくらいではどうにもならぬのじゃないか。石橋通産大臣も、あなたに十年間大臣を絶対にやらせるからということになりますと、大きな手が打てるかもしれませんが、どうもお座なりでそのときばかりで幾らか金を貸すようなことをやればいいんじゃないか。私たち中小企業問題につきまして非常に関心を持ちまして、大学の教授あたりを呼んでいろいろとヒヤリングをやろうと思って物色をしてみましたけれども、どこにも中小企業について詳しい教授もだれもおらぬ。これは日本では中小企業というものが政治の面からも教育の面からもすっかり見捨てられておる。ところがドイツあたりに行くと、中小企業についての単科大学があるということを聞いておる。どういうふうにやったらいいか、技術を向上させ、経営を合理化させていく根本的な手を打たなければ——またこの経営についてどうやっていくか、技術をどう向上していくのかという中小企業についての何らの指導方針もなければ、これに対する専門家も養成しないというようなことで、中小企業をその場当りのまま子扱いにしておると言われても仕方がないのではないか。やはりそういう技術の指導とかいうことを、ただ講習会をやる程度でなくて、もっと本腰を入れて中小企業の安定というような問題については、私たちがどういうふうにしたならばいいかということを聞く場合にも、金を貸してやったらいいだろう、税金をまけてやったらいいだろうという、子供の言うようなことでなくて、もっと根本的な、大企業に対抗していける、しかも救済するために悪い品物を中小企業から買うというのでなくて、中小企業から買えば大企業に負けないりっぱなものがあるのだというところまで向上させていくためには、ただ金を貸すだけでなくて、もっとほかに根本的な施策がなければならぬというふうに考えておるわけであります。それで当の責任大臣であります石橋さんには、私たちは非常な期待を持っておりますから、そういう基本的な——大臣が閣議などでは、金がかかるからといって、怒られるといかぬと思って出さないあなたの腹の中にある大きな中小企業対策をここで承わりたいと思います。
  64. 石橋湛山

    ○石橋国務大臣 いや、お説はまことにごもっともであります。一面から言うと、これは中小企業組織化されないということが一つと、それから今お話の中にありましたように、ことに商業の方は特にそうだろうと思いますけれども、非常に仕事が簡単に始められる、そこで底なしのようになりまして失業者の吸収場所になっておるような格好がありますから、それだけに日本の中小企業の問題はなかなか取り扱いにくいのであります。これが数が限定される——幾ら中小企業でありましても、やはりある程度の規模を持たなければ技術の向上も何もできないと思います。そういう点については実は率直に申しまして今まで研究しておらないといえば確かに研究しておらないのでありまして、その実態がつかめないという点があると思います。
  65. 片島港

    ○片島委員 石橋さんのお話を承わりまして、私は大体策を持っておられないとしか考えられない。今までの大臣の答弁を聞いて中小企業者は非常に失望を感じるのではないかと感じておるわけなのであります。私が言うたことに対しても何らつかむところがないので困ったものだというのでなくて、大臣は言わないけれども、腹の中に持っておる。ちゃんとやる、このくらいのことをして、持たないものは今から研究してでも——中小企業庁長官も一年以上長官をやっておって、だいぶ実態もつかめたことでもありましょうから、もっと根本的な問題をこれから考究してやる、このくらいのことを全国の中小企業者に約束していただきたい、こういうふうに思うわけであります。その点だけは一つ石橋さんはしっかり腹の中に入れておいていただきたい。
  66. 田中角榮

    田中委員長 中崎敏君。
  67. 中崎敏

    ○中崎委員 私は主として通商関係に関する問題について聞きたいのであります。まず世界の貿易の傾向が、貿易自由化の方向にあると言われておるのでありますが、具体的には一体どういうふうな形においてその風潮が現われておるのか、これをお聞きしておきたいのであります。
  68. 石橋湛山

    ○石橋国務大臣 具体的な動きについては政府委員から申し上げさせていいと思いますが、ガット等の空気から、世界の貿易を自由化の方に持っていこうという動きが現に現われておりますし、あるいは先般東京で開きました会議の国際商工会議所あたりの空気もその方に強くいっております。通貨の自由交換ということは、まだポンドあたりでも容易に実現しないでありましょうが、これも次第にそういう方向に持っていかなければならぬという空気で、各国とも研究いたしておるようであります。それでは自由化というものが具体的にどう現われておるかというと、そうはっきりしたものは現われておりませんが、とにかく傾向はその方向にいっておる、こういうことだと思います。従って日本としてもそれの準備をして、日本の貿易も次第に自由化する方向に準備を整えなければならぬというように考えております。  なお最近の動きについては、政府委員から説明させたいと思います。
  69. 大堀弘

    ○大堀説明員 ただいま大臣からお話がございました通りでありますが、最近の大きな動きといたしましては、ガットの問題、これは特に日本の加入問題を含めまして自由化の方向が具体的に日本に及んでおるわけでございますが、それ以外に現在の情勢といたしましては、西欧の中の、特にスターリング・ブロックにつきましては、外貨保有状況が最近ちょっと悪くなっておりますが、全般としましては相当改善されておりますし、西独等につきましても相当外貨事情はよくなっておりますので、これらの各国が次第に自由化の方向を打ち出して参っております。従ってわが国といたしましてもその方向に沿って努力いたして参りませんと、国際競争にも不利な立場に立つ関係にもなって参りますので、そういう意味におきまして全般的にそういった方向に動いておるわけであります。
  70. 中崎敏

    ○中崎委員 ガットの問題は将来の問題としてしばらく別といたしまして、貿易自由化の具体的な方向としてスターリング地域において、ことに日本に対する関係等においても自由化の傾向がやや見受けられる点もあるのでありますが、一面アメリカ側においては何らそうしたようなものが——ことに日本との関係において具体的にわれわれが認め得るものがないように思うのでありますが、この点いかがでありますか。
  71. 石橋湛山

    ○石橋国務大臣 アメリカ政府の方針も、原則としてはやはり自由化の方へかなり強く進んでおると思うのであります。ですからアメリカの大統領とかその他の最高の責任者の話の中には常にそれが出て参るのでありますが、しかしどこの国でも、現在のような世界的な不況時代といいますか、競争が激しい時代でありますから、産業家の方はそれぞれの立場から自分の産業の保護ということに強い関心を持っておって、国会方面に働きかけておる。こういうことで、いわばアメリカあたりではもたもたしているのだと思います。しかし大勢はやはり自由化の方向に向いておるということだけは言えようと思います。
  72. 中崎敏

    ○中崎委員 私はことにアメリカに関する限りにおいては、かつて機会均等、門戸開放というふうな標語を掲げて、他の国を圧倒したといいますか、漸次抑えていったと同じようなことが、また貿易上自由化の形の上において言われておるのではないか。ことに今自国の産業を守る上においては非常に敏感である。従って貿易自由化という方向とおよそ違った傾向が現われておる。かつては絹のハンカチを可燃性物質であるというようなことにおいて禁止的な法規を作り、最近においてはミシンが、日本から相当輸出の商談が参る場合においても、日本の通産省みずからアメリカへ輸出することを押えておるというふうな実情がある。かつてはマグロそのものあるいはマグロのカン詰等の輸出についても相当の制限的な処置をとっておる。こうした一連の——外国からの輸入については相当敏感にあらゆる手をもって押えようとしておる。ことに日本についてはそういうことをわれわれは身近に感ずる。そうした動きの中に貿易自由化ということに関する限りにおいて何ら日本には好影響を感じられないというのが、私たちの偽わらない印象なんでありますが、この点に対してどうお考えになるか伺いたい。
  73. 石橋湛山

    ○石橋国務大臣 それは、先ほど申しましたように、現在の世界の経済界というものはこんとんとしておりますから、いろいろの勢力が相争っておって、確かにお話のように日本の輸出品、ことにアメリカに対する輸出品などにおいて相当の圧迫をこうむっておるということもあります。しかし同時に政府の方針としては、できるだけ関税を下げて日本の輸出もふやしてやろうという努力も政府側に相当にあると考えております。先般のガットの協議の間におけるアメリカ政府の態度のごときはそれを示しておるものと思うのであります。
  74. 中崎敏

    ○中崎委員 貿易自由化の声にあまりに動かされすぎて、日本政府としてはやや行き過ぎの政策をとっておる。たとえばまずAA制の拡張ということが、現に相当大幅にといいますか思い切って政府の側においてとられておる。これについても、ことにスターリング地域においては、AA制の拡張は向うにおいても相当好意的な動きもあるから、ある程度認められるのでありますが、ことにアメリカ圏内に関する面において、これと同じような観点に立ってAA制というものが手放しに拡張される傾向にあると思うが、この点はどうでしょうか。
  75. 石橋湛山

    ○石橋国務大臣 私は理想としてはAA制というようなものも、特にAA制というものは、ほかに制限がありますからAA制というようなものが現われておるわけでありますから、為替の問題ももっと自由になる方がいいと思うのであります。ですから現在の状況としては、私はなるべくAA制を拡張する方向へ持っていきたいと実は考えております。しかし、そうかといって手放しにやっておるわけではない。日本も相当制限をして、少し制限があっちにもこっちにもありまして、なかなかむずかしい問題に始終ぶつかって閉口しておるようなわけでありますから、お話のようにむやみにAA制を広げておるわけでは決してございません。しかし支障のない限りできるだけAA制を広げる方がいいという方針をとっておるわけであります。
  76. 中崎敏

    ○中崎委員 為替管理が強力に行われておる現在、ことに日本の外貨事情を含めた、また日本の経済事情を含めた現実において、相当強力な外貨の制限等が行われるのは当然のことと思うのです。ことに後進国であるところの日本において、国内産業擁護の上においても、これは相当強力にやっていかないと日本は立っていかないと思う。ほんとうの経済自立というようなことから、今の大臣のお話のように、ただ外国が名分として一応唱えて、きわめて後進的な、経済上もおくれておる、産業上もおくれておる、すべての点において太刀打ちのできない日本において、AA制を野放しに考えるというふうな、そういう行き過ぎた考えを持っておることは、非常な誤まりだと思う。ことに計画経済などということは、自由党内閣より強力に進めておるこの内閣において、そういう考え方を持つことは非常な誤まりだと思う。国内産業擁護の上にAA制の運用をどういうようにお考えになるかお聞きしたい。
  77. 石橋湛山

    ○石橋国務大臣 これは意見相違になると思いますが、それじゃ保護貿易に全然戻ってよろしいかというと、そうではないと思う。私はやはり日本の産業に国際競争力を持たせるためには、ただ防壁を作って日本の産業を保護して海外の影響を食いとめるということだけではいけないと思う。それは急激にAA制を拡張して、そうして今弱体である産業を世界の荒波にいきなりさらしてしまうということは、むろん気をつけなければなりませんから、そういうことはするつもりはございませんが、しかしながらできるだけ日本の産業が世界の市場に立ち向っていくためには、やはり相当自由にしまして、彼らの競争力を養うという必要が一方にあると私は考えております。
  78. 中崎敏

    ○中崎委員 去る三月ごろだと思うのでありますが、染色用の助剤というものがあるのでございますが、これが一挙に五十数品目AA制に切りかえられた。従前はいわゆる雑ワクで必要なものは認めておった。実情によって制約を加えながら相当輸入の許可がされ、外貨の割当もされた。ところが一挙に五十数品目これが許可された。五十数品目というのは大へんなことです。これについて業者といたしましては、いわゆる国内における産業、こういう事業の製造業は強い反対をしております。ところがこれが一挙に五十数品目もAA制に切りかえられた、こういう行き方は無謀な、無計画な行き方であると考えます。国内産業はどうでもいいというような考え方に立っておるのではないかと思いますが、それを一つ説明願いたい。
  79. 大堀弘

    ○大堀説明員 ただいまの御質問の染料助剤につきまして、お話通り本期からAA品目を相当追加いたしておりますが、昨年の昭和二十九年までは二十八品目が指定になっておりましたのが、今回は五十五品目になっております。染料の助剤につきましては、A、B、Cと三級に分けてございまして、Aは現段階において国産に対抗品のないもの、これがA級に入っております。B級のものは、国産がありますが、その効果に多少意見のありますものがB級でございまして、国産品をもって十分充当し得るものがC級、こういうことになっておりまして、本件の決定につきましては、これは通産省の内部でも、生産の相当のところ及び需要の方面を担当します各局、それぞれ相談いたしまして、決定いたしたわけでありますが、その段階におきましても、国産メーカー及び商社の合議体の協議会を数度開催いたしまして、意見を徴しまして、C級から若干B級に編入いたしまして、それがAA品目に追加されたわけであります。なおこの中に若干その後検討いたしまして、二品目程度問題のものもございまして、次期にこれは削除したらどうかという見解のあるものもございますので、その辺はよく今後検討して参りたいと思います。
  80. 中崎敏

    ○中崎委員 それが問題なのでございます。国内製造業者といたしましては、相当強い反対がある。もちろん官庁の側においても独自の立場から検討されるのは自由でありますけれども、一挙にそれだけのものを急激に増加しなければならぬ理由はどこにあるのか。漸進的にある程度、A、B、Cと分けたAランクのうちに、二つでも三つでもほんとうに実際の染料の業者、染料を使う方がなくてはならぬということで、現実に切実に直られておるということなら別だけれども、一体二十数品目も急激に一ぺんに増加して、その中で申請がどういうふうにされておるか。言いかえれば、申請がされないものまで広げたのではないか。ほんとうにインポーターの手先になって、その方のごきげんとりのためにきゅうきゅうとしておる措置をとっておるのではないか、こういうことを私たちは問題にしておるのであります。それを一つお聞きしたい。
  81. 大堀弘

    ○大堀説明員 輸入の希望といたしましては、実は八十八品目ございましたが、結論といたしまして、これは先ほど申し上げましたように、各需要担当及び生産担当それぞれの方の御意見を伺いまして、現在申し上げましたような数字にきめられたのであります。全体といたしましては先ほど大臣からお話もございましたように、AA品目はできるだけ広げて参りたいという考え方で検討いたしましたけれども、十分その間の事情を検討いたしまして、ただいま申し上げましたような結果になったわけでございます。なお今後とも御意見の点は検討いたしまして善処いたしたい、かように考えております。
  82. 中崎敏

    ○中崎委員 AA品目はできるだけ広げていきたいという、そういう考え方には、われわれは賛成できない。それでは国内の業者は全部つぶれてもいいのですか。言いかえれば、日本では相当売れておる。外国からどんどんそういう安い染料が入ってきたら、ほとんど国内の業者というものは、これを製造していく熱意と努力と力がないのです。AAだからといってどんどんそういうものを輸入して、国内の製造業者をどうして保護していくのか、そういう根本方針を一つお聞しておきたい。
  83. 石橋湛山

    ○石橋国務大臣 それはたとえば染料なら染料という、その染料のメーカー自身からいえば、それはなるほど保護された方がいいと思いをす。しかしこれはまた原料になって、日本の輸出品として織物等を輸出するのでありますから、その方の立場も私は考えなければいかぬと思います。日本の製品をなるべくいいものにし、なるべくコストの低いものにし、そうして海外競争力を増すためには、ある程度やはり輸入原材料がなるべくいいものが安く、また便利に入るということもやらなければなりませんから、そこに今の貿易政策のむずかしさがある。一方においてこれを使用する側のことを考えて、日本の今後の貿易全体の問題を念頭に置いてやらなければなりません。同時にそれだからといってむやみにAA制をやれば、お話のようにその当該業者が困るということがあるので、そこで通産省としてもずいぶん各方面の人たち意見を問い合せて、そうして十分間違いのないところでもって判断をいたしてやろうとしておるわけで、今のお話のように染料等についてもやはりそういう手続をとった。その中に二、三あとになってさらに問題が起ったものがある。これはあらためて検討して、もしAA制からはずす必要があるならば、これをはずすことに決してちゅうちょするものではございませんが、今申したように、AA制を広げるという理由は、ただいま申し上げたような理由であります。
  84. 中崎敏

    ○中崎委員 その問題について、輸出はいいものを出さなければならぬから、いいものを輸入するのだと言われますが、少くとも染料助剤、そうしてそれによってものを染める、それに関する限り、ほとんど輸出に関係のあるものはありません。真に輸出にいいものを出すために、しかも染料助剤の中の乳化剤ですが、それのいいものを輸入しなければどうしても間に合わないものがあるというならば別です。そうでないものをやたらにぱっと一ぺんに許可されるから、問題になる。言いかえれば、国産にだれかが使う、そのためにそれでなければ絶対に相ならぬというほどのものではない。それは業者は安いから、安いものを買いたがるのは当りまえでしょう。しかし日本国民全体はやはり国産品が二割も三割も高い中で生活しておる。あらゆる業者もその中で製造をやっておる。この困難な事情のもとにある特定の人間だけが自分たちのふところを肥やすために、保護を受けるということは認められない。そういう立場においてAA制の拡張ということには反対です。もう少しそうした角度からの大臣の御意見を聞きたい。
  85. 石橋湛山

    ○石橋国務大臣 私はむしろもしできればAA制にする方が、ある特定の人間の利益を特に保護するということにはならないと思います。そこに貿易が自由貿易がいいか、それとも保護貿易がいいか、こういう根本問題になるだろうと思います。あなたの御説明によれば、今の日本の貿易は非常に厳重な統制貿易にする方がいい、こういうお説になるのじゃないかと思います。私はそこへ行くと、根本問題の考え相違になりますから、なお一つ十分お説も承わりたいと思いますが、私はむしろ日本の全体の経済のことを考える、そういう今の染料とか何とかいうように、特に必要のないものはAA制にしなければならぬということはございませんから、もしお説の通りであるならばその点むろん注意しなければなりませんが、しかし全体の方針としてどういうものでありましょう、方針として仰せのようにもるのがいいだろうか、それともできるだけ自由にして、そうして日本の国際競争力を増す方がいいか、こういう問題になりはしないかと思う次第であります。
  86. 中崎敏

    ○中崎委員 ちょっと誤解があると思うのです。私は何もかもAA制にやってはいかぬというのではない。言いかえればAA制をさらに拡大するがためには、ただ観念的にAA制を広げるということでなしに、真に広げる必要がある場合に限って広げることとし、むしろAA制を逆に今度雑ワクの方に特別の許可事項に変えなければならぬというときには変えるべきである。こういう考え方で言っておる。従ってたとえば傾向からいえばあなたの方の内閣においても、自由党のときには自由主義が割合に空気が強かった。それをある程度統制という計画的な線に乗っけていこう、すべての方向がそういうふうに動いておる。漸次計画的な規制の方向にいこうという考え方です。そういう中において、日本のAA制というものを手放しにやっていいかどうか、非常に矛盾があるのじゃないか、こういうことを言っておる。それで今までAA制の場合においても、真に国内産業に打撃を与えないようなものがたくさんある。ほんとうに外国から輸入してきて、日本のどの業者にも悪い影響を及ぼさないで、いい影響を及ぼしているものがたくさんある。そういうものはどんどんやってもらっていい。現実にはもう国家から相当助成金も出し、国家の重要な国家的財政融資もやり、免税までしてこうこうしておるという事業がある、そういう事業が今度はつぶれてもかまわないといういき方が間違いだ、私はそこを言っている。だからもう少しすべて経済というもの、政治というものを高度から、計画的に、そういう高いところに良識を持ってやっていくべきであるということを私は言っている。だからこの点についてもう一応検討してもらって、何も手放しに——業者の強い反対があるにかかわらず押し切って、そうしてどこのだれと話をしたのか知らないけれども、そういういき方は間違いであるということを言っている。  次にお尋ねしたいのでありますが、貿易自由化に進む一つの準備段階として大きな商社の育成ということを一つ考えておる。ところが、大きな商社の育成というのは一面において中小企業者を圧迫するということは事実です。そこでたとえば最近において三井財閥関係の商社が今度三井物産を加えて、また元の三井財閥の物産に匹敵するような大きな強力なスケールのものになってくる。これは経済力集中排除法という法律があるのは御承知の通り、そうした経済力集中排除法に違反するのではないかと思うのでありますが、一体政府はどういうふうにお考えですか。
  87. 石橋湛山

    ○石橋国務大臣 私は商社はやはり相当強力でなくちゃいかぬ、群小の商社がみな出ていって、輸入について輸出についても非常な過当の競争をするということは、今の日本の貿易にとって最も困った大きな現象の一つだと思います。ですからもう少し商社というものがしっかりしてくれば、そしてまた資力も充実いたしまして、わずかなことでもってつぶれたり、いろいろな不渡り手形を出すようなことのないようにいたしたいと考えております。それがやはり日本の経済全体を助けるためではないか、中小企業者がそれによって圧迫されるというのは、中小商社がもし輸出しているとすれば、それは確かに直接の影響があろうと思いますが、これは先ほど申しましたように、あえて中小企業者をいじめるという意味でなく、日本全体の貿易の上からやはり商社というものは相当強力なものが必要である。それからメーカーについては、これは過去の歴史を見ましても、三井物産あたりについていろいろ非難がございますが、結局は大商社によって輸出が行われるということが中小メーカーにとっても利益である、こういうふうに考えております。
  88. 中崎敏

    ○中崎委員 私が聞いておるのは、大きい商社が必要であるかないかという問題よりも、そういうふうに大きな経済力になって集中することが、現在ある法律に違反するのではないかということを聞いておる。
  89. 石橋湛山

    ○石橋国務大臣 私は現状においてこの法律に違反するとは思っておりません。一体その集中排除法というものがどうしてできたかということを考えますと、今の大商社というものがやはり目のかたきであってできたものでありますから、その点は十分考慮して、私は集中排除法に、現在の法律に違反していいというのじゃありませんから、現在の法律に違反しない限りにおいては商社の強化ということははかるべきだということを考えております。
  90. 中崎敏

    ○中崎委員 今三井関係の四社が近く一緒になる方向にあるのです。そういう状況が見えておりますが、そうなると明らかに商社としては日本でも一番大きいような経済力になるのです。そういうふうなことがあなたの言われるところからいえば、アメリカさんがやってきて占領政策の中にそういう法律を作らしたのだ、これはアメリカさんが大きなものをつぶすという意図のもとにやったのだから、そういう考え方には賛成できない、それで逆に今度はそれと反対の大きなものを作り上げていくのだ、こういう考え方のようでありますけれども、そういう考え方はしばらく別として、小くとも現在そういう法律が残っておる。その法律に違反してまでやる考えがあるのか、あるいは法律を近く改訂するとかあるいは廃止するとかいうふうなお考えをお持ちになるのか。まず順法精神ということも心要なのだ、それをどういうふうにお考えになるのかということの考えを聞きたい。
  91. 石橋湛山

    ○石橋国務大臣 現在生きておるところの法律に違反してやるというつもりはございません。集中排除法についてはなお検討を要しまして、これは今廃止法案が提案されておるというのが現状であります。
  92. 中崎敏

    ○中崎委員 その法案が将来どうなるかは別として、少くとも事実は一歩先に行っている、こういうことを私たちは認めるのであります。まあこれ以上あなたの方の何をしてもいけませんからよしておきましよう。  さて今度は一面においてそうした大きな商社ができるということは、逆にその運用を誤まったならば、日本の経済に取り返しのつかないような重大な問題も起ってくることがある。かつて高田商会という大商社があって、これが日本の財界に非常におそるべき害悪を流した、あるいは鈴木商店というふうな大きな貿易業者、これが誤まったために、日本の経済をおそるべき大混乱に陥れ、台湾銀行がこれによってとうとうつぶれてしまった、こういう苦い経験をわれわれは持っている。そういうふうなことで、商社の大きいということも、反面において運用を誤まったならば大へんなことになるということが言える。現に政府の方においては、AA制の拡大ということの裏づけとしては、やはりできるだけそういうものをよけい商社に割り当てる、いわゆる商社割当の方針というものを相当強化してきておる傾向にある。ところでこの商社の割当というのは、たとえば朝鮮事変のときでもそうなのです。ぱっと商社が取ってしまって思惑買いをどんどんやってしまった。そして今日日本におけるところの経済の非常に大きな傷というものはそこに原因を発している。もうかるからぱっとやってしまえというような先物買いで半年も一年も先のものをあおって買い上げた、その傷が今もなおらない、とうとう三井関係の会社が一緒にならざるを得ないという原因もここにある。みんな弱体になってしまった、そうしてからだだけは大きいけれども、実際においてはがたがたしておるような状態だ。そういう害悪を国の経済全体に残すのだけれども、そういう点において一体どういうふうにお考えになるか。たとえばAA制の拡大と、さらに今度商社割当というので、こういう大きな業者へどんどん割り当てられると、中小業者は参ってしまう。しかもそういう商社割当ということは思惑までやる余地が十分に残るのだが、一体この問題をどういうふうに処置されるのか、それをお聞きしたい。
  93. 石橋湛山

    ○石橋国務大臣 鈴木商店、高田商会は経営を誤まったからそうなったのでありまして、大商社だからああいう事態が起ったというわけではないと思います。ことに鈴木商店の場合は特別の事態でありまして、非常に積極的な政策を日本全体としてとっておったときで、その波に乗って鈴木商店が手を広げ過ぎて失敗をしたということがございます。これはしかし小商社だからそういうことは起らないというのではない、大商社だから起ったわけではないいと私は思う。やはり現状においては、商社を大きくするといっていますが、なかなか戦前から見ると、日本の商社というのが非常に数が多い。実は輸入をするにしても輸出をするにしても商社の数が現在でも大きくなったにかかわらず非常に多いということが現状でありますから、それを何もしいて減らそうとも思いませんけれども、やはりしっかりした商社ができるということがどうしても必要だと私は思います。
  94. 中崎敏

    ○中崎委員 大きいから必ず悪いとかいうのじゃないのですが、大きいというとしくじったら大へんなことになる。しかししくじらぬということの保証はできない。自由主義的に野放しにしていて、今商社がどういうことをやるにしても自由だ、そういうような立場に置いておいて、自由にやったあとしくじらぬということを保証するには、十分政府がしくじらぬような責任と監督を考えなければならぬ。一体そういうふうにやられるところの用意があるか。なおまた小さな方もしくじらぬことはない、それは当りまえだ。しかし小さいところは少々しくじったってあまり問題にならない。大勢に影響がない。大きい方がしくじったら大へんで、影響するところが大きいから、大きいのを育てるのにはその裏づけとして政府はどういう監督をし、どういう指導をするか。そういう裏づけがない限りにおいては、ただやたら一方的に野放しにやったって意味をなさない。それを聞きたい。
  95. 石橋湛山

    ○石橋国務大臣 商社は私企業ですから、特に政府がこれを干渉するということはできないだろうと思います。しかしながら、商社というのは御承知のように、どんな大商社になりましても、自己資本の割合に借入金の多いものでありますから、従って金融機関とのつながりができてくる。さっきお話の鈴木商店のごときは、台湾銀行というような銀行があって、これは両方が悪かった。そこで放漫なやり方をしたものですからああいうことになりましたが、しかし銀行の方は相当の監督がありますし、その金融機関からの金融によって存立しておる商社ですから、私はこの経済の自然の力によりまして相当監督できるものと考えております。
  96. 中崎敏

    ○中崎委員 大臣の言われるところによりますと、どうも貿易関係の業者が多いと言われる。これは多いのは当りまえでしょう。たとえば戦前あるいは戦争中の日本人の頭数からいっても、もうほとんど五割以上もふえている。しかもほんの四つの島に閉じ込められた日本人が、今までは朝鮮も台湾もこれは貿易と言わない程度の内地取引、普通の取引みたいな関係だったのが、全部外の取引になっているのだから、勢い数多くなるのはが当りまえだ。そうでなければ食っていけない。だから、むしろそういうものをどういうふうにして順序よく生かしていくのかということが政府の政策でなければならない。これがためにはむしろ輸出組合などをさらに強化して、場合により、必要によっては統制を強化して、そしてほんとうにお互いがより対外的にも一本となって、そうして国家経済の上にも大いに貢献する、お互いがよりよく食っていけるというふうな方途を講じられたらどうかと思うのでありますが、その点いかがでしょう。やはりあなたも池田通産大臣と同じように、輸出関係の業者が多過ぎるからつぶしてしまうというお考えですか。そこを一つお聞きしたい。
  97. 石橋湛山

    ○石橋国務大臣 いや、今ある商社をつぶそうということは考えておりません。先生らがお互いに合同するなり何なりして、一つしっかりした商社になってくれることを希望しておるわけです。
  98. 阿左美廣治

    ○阿左美委員 最近の新聞紙上に掲載されておりますが、綿業界の非常な不況によりましてストックの五十万コリのうち十万コリを買い上げるというような記事が出ております。これは実際に政府はそういうふうにやりなさるのか一応お伺いいたしたいと思います。
  99. 石橋湛山

    ○石橋国務大臣 繊維局において、今の綿業に対する対策の一つとしてそういう案も考えて研究はしておりますが、まだ通産省としてさような方針はきめておりません。
  100. 阿左美廣治

    ○阿左美委員 私は、ただいまもいろいろと質疑のうちにもありました通り、通商貿易は非常にむずかしいものでありまして、必ずしもそういう買い上げましたことが一がいによいか悪いかということも非常に疑問の点があると思うので、これはよく御研究の上に一つおやり願いたいことを希望いたします。
  101. 田中角榮

    田中委員長 各案に対する残余の質疑は次会に引続き行うことといたします。  この際お諮りいたします。ただいま大蔵委員会において審査中の特殊物資納付金処理特別会計法案並びに農林水産委員会において審査中の砂糖の価格安定及び輸入に関する臨時措置に関する法律案は、ともに本委員会の付託議案並びに調査案件に関連を持ち、重要な法律案でありますので、それぞれ連合審査会の開会を申し入れたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  102. 田中角榮

    田中委員長 御異議なしと認め、さように決定いたします。なお、日時につきましては委員長に御一任を願います。  明三日午前十時より会議を開くこととなし、本日はこれをもって散会いたします。    午後零時四十五分散会