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1955-05-18 第22回国会 衆議院 商工委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年五月十八日(水曜日)     午前十時五十六分開議  出席委員    委員長 田中 角榮君    理事 首藤 新八君 理事 長谷川四郎君    理事 山手 滿男君 理事 内田 常雄君    理事 前田 正男君 理事 永井勝次郎君    理事 中崎  敏君       秋田 大助君    小笠 公韶君       齋藤 憲三君    笹本 一雄君       鈴木周次郎君    野田 武夫君       堀川 恭平君    森山 欽司君       加藤 精三君    小平 久雄君       南  好雄君    村上  勇君       加藤 清二君    櫻井 奎夫君       田中 武夫君    帆足  計君       八木  昇君    伊藤卯四郎君       佐々木良作君    松平 忠久君  出席国務大臣         通商産業大臣  石橋 湛山君  出席政府委員         通商産業政務次         官       島村 一郎君         通商産業事務官         (大臣官房長) 岩武 照彦君         通商産業事務官         (重工業局長) 鈴木 義雄君         通商産業事務官         (鉱山局長)  川上 為治君         通商産業事務官         (石炭局長)  斎藤 正年君         中小企業庁長官 記内 角一君  委員外出席者         通商産業事務官         (通商局次長) 大堀  弘君         通商産業事務官         (重工業局車両         課長)     柳井 孟士君         通商産業事務官         (重工業局計量         課長)     蒲谷 友芳君         運 輸 技 官         (船舶局関連工         業課長)    畑  賢二君         専  門  員 谷崎  明君         専  門  員 越田 清七君         専  門  員 円地与四松君         専  門  員 菅田清治郎君     ――――――――――――― 五月十七日  委員篠田弘作辞任につき、その補欠として周  東英雄君が議長指名委員に選任された。 同月十八日  委員南條徳男君及び周東英雄辞任につき、そ  の補欠として田中彰治君及び篠田弘作君が議長  の指名委員に選任された。     ――――――――――――― 五月十七日  繊維機械業界振興に関する陳情書  (第一二〇号)  老朽織機近代化資金増額に関する陳情書  (第一二一号)  中小企業金融公庫資金貸出わく拡大に関する  陳情書(第一二二  号)  電気料金値下げ等に関する陳情書  (第一  五二号)  石油資源総合開発五箇年計画促進に関する陳情  書(第一  五五号)  総合開発事業促進に関する陳情書  (第一五六号)  都市にガス施設拡充に関する陳情書  (第一八五号)  大阪工業技術試験所拡充強化に関する陳情書  (第一八六号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  小委員会設置に関する件  参考人招致に関する件  計量法等の一部を改正する法律案内閣提出第  一二号)  自転車競技法等臨時特例に関する法律の一部  を改正する法律案内閣提出第三〇号)  通商産業行政基本施策に関する件     ―――――――――――――
  2. 田中角榮

    田中委員長 これより会議を開きます。  この際小委員会設置の件についてお諮りいたします。先ほどの理事会の協議に基きまして、総合燃料対策及び地下資源開発に関する調査をなすため、小委員十五名よりなる総合燃料対策及び地下資源開発に関する小委員会を設置することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 田中角榮

    田中委員長 御異議なしと認めます。よってさよう決定いたします。なお小委員及び小委員長の選任につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 田中角榮

    田中委員長 御異議なしと認めます。よって小委員長及び小委員氏名は追って公報をもってお知らせいたします。     —————————————
  5. 田中角榮

    田中委員長 次に理事会の申し合せにより、中小企業に関し参考人より意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 田中角榮

    田中委員長 御異議なしと認めます。よってさよう決定いたします。なお日時及び参考人氏名委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 田中角榮

    田中委員長 御異議なしと認めます。よってさよう取り計らいます。     —————————————
  8. 田中角榮

    田中委員長 日程に入る前に、通産関係一般質問の申し出がありますから、これを許します
  9. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 議事進行について。一般質問が継続されるわけでありますが、本日の一般質問に入る前に、前の委員会におきまして質問を行いました、電気の開発問題につきましての善処を委員長にお願いいたしたいと思います。  それは第一には、電源開発計画既定方針に従って推進することを通産大臣は言明されたわけでありまして、既定計画に従って推進するために、資金が不足しておることを認められたわけでありまして、そのための措置をとられることを答弁されたわけであります。従いまして答弁に従って早急にその措置をとられるようにお願いいたしたいのであります。  それから第二番目には、電源開発進行に伴うコスト低下についての措置も早急にとることを御答弁なさいまして、金利、税金の引き下げ、並びに建設に伴う補償費の軽減についても触れられたのでありますが、この資金供給の面並びにコスト低下に対する措置につきまして、この委員会におきまして、たとえば決議等々の方法をとるなり、あるいはその他適切なる促進方を、一つ委員長において適当に取り計らわれんことをお願いいたします。
  10. 田中角榮

    田中委員長 ただいまの発言に関しましては、政府側より報告を聴取し、適当なる処置をとることにいたします。  質疑は通告順によりまして行います。伊藤卯四郎君。
  11. 伊藤卯四郎

    伊藤(卯)委員 要項的にきわめて簡単に数点石橋大臣にお尋ねしておきたいと思います。  大臣通産施策説明の中に、重要な一つとして、石炭鉱業合理化法案提出されるやに承わるのでありますが、これはいつごろ国会の方に御提案になるか、その日にち、それからこの法案を出さなければならないその理由というか、大きな目的というか、そういう点について一つお伺いをしておきたいと思います。
  12. 石橋湛山

    石橋国務大臣 石炭合理化法案はただいま急いでまとめておりまして、私の予学では今週一ぱいに閣議の決定を受けまして、直ちに提出手続をいたしたい、かように考えております。  それから次は、これはもう私より伊藤君の方がよく御存じだと思いますが、今の日本石炭鉱業の不安な状態をいつまでも続けておきますことは、単に石炭企業に対して非常に不利益であるばかりでなく、日本産業全体に不利益をもたらすものと思いますから、石炭価格をできるだけ下げる、良質の低廉な石炭供給するということが第一の目印、次には今の石炭界の常に悩んでおるところの不安を除去して安定せる産業として、その石炭産業の安定によって全産業の安定をはかりたい、かようなことが主なる目的であります。
  13. 伊藤卯四郎

    伊藤(卯)委員 石炭価格が高い、それを下げられる理由というか、その内容というか、その目的というか、そういうものについて一つ伺っておきたい。たとえばこれは私からあまり説明するとどうかと思いますが、能率によって下げられるのか、あるいはそれ以外の方法による何かで下げられるのか、そのねらいはどこにあるのですか。
  14. 石橋湛山

    石橋国務大臣 一言に言えば能率と申してよろしいと思います。つまり縦坑とかあるいはそのほかの機械化を行う、そして従業者一人当りの生産高を上げたいと思う、それが炭価を下げる主なるねらいであります。
  15. 伊藤卯四郎

    伊藤(卯)委員 それだけのねらいであるといこうとになると、ねらいのために法案をお作になりと、それは合理化法でなくて法律の力によって企業整備をしていくということになるのじゃないでしょうか。従って条件の悪いというか、あるいは弱いとところというか、そういうころとがその法案によって整理されていく、そのためにおびただしい失業者が出てくる、結局法案のねらいは弱いところにしわ寄せをしてしまってやるというようなことをもって政府目的を達成しよう、こういうお考えですか。
  16. 石橋湛山

    石橋国務大臣 そんなつもりは毛頭ありません。炭鉱の性質によりまして、今縦坑計画をしておりますから縦坑計画、それから機械化可能なる炭鉱に対して機械化をする、そしてその結果は炭価がその部分だけ下るわけでありますから、そうするとそういう合理化に不適当な炭鉱は、競争の上からいうても存立が非常に困難であるし、また全体の石炭値段を下げるという上においても、しまいのマージンの値段できめられてはこまるのですから、従ってある程度炭鉱整理しなければならぬということには自然になります。でありますから、合理化法案の中にも、その整理の場合の整理方法も織り込んで御審議を願うつもりであります。
  17. 伊藤卯四郎

    伊藤(卯)委員 法案内容は、いずれ法案が出てきてから十分審議をさしてもらうのでありますが、私がお尋ねしようとしているのは、法案をお出しになるその組み立てというか、その目的というか、そういう点を先に伺っておきたい、こういう意味で伺っておるのであります、従って掘り下げた内容をきょうお伺いしようとは思わないのですが、今大臣の御答弁になった点は私は納得できません。これはいずれ後日のことにいたします。  それから炭価の高いということは、能率の低いということだけに原因するものですか。他の物価というか、いわゆる生産費を構成しておる諸要素も高いから高いということになるのですか、どっちでしょうか、それを一つ
  18. 石橋湛山

    石橋国務大臣 むろん金利も高い、あるいはそのほかの物価も高いということすべてが影響していることは言うまでもございません。だがこれは相手が高いからこっちが高いといっておったのでは堂々めぐりになりますから、そこで日本生産費を全体として下げるためには、どこから手をつけるかということが問題だと思うのです。それにはあらゆる産業の基礎になる石炭コストをまず下げる、できるだけ下げるということから始めるのが一番適当である、かような考えからまず石炭に手をつけたい。それにはむろん金利などの低下ということもはからなければなりませんが、しかし石炭そのものコストを下げるのには、私ども考えではやはり石炭自身生産性を上げるということが根本である。かように考えておるわけであります。
  19. 伊藤卯四郎

    伊藤(卯)委員 その問題を突っ込んで言うと、これはどうもあなたと議論なになるから、きょうはあまりより以上進めていたしませんが、大体今大臣のおっしゃったようなことでありますと、石炭の方にだけ先に犠牲を強要していこうとお考えになっておるような気がしてなりません。なるほど生産費を構成しておる諸要素もすべて高い、だからほかのものも、たとえば電力の問題とか金利の問題というか、あるいは輸送の問題というか、その重要な部面も下げることに努力をしていく、その見通しも画していく、そうしてさらに能率も上げてコストも下げていく、そういうことになっていくと、話の組み立ての筋が立つようでありますけれども、それはたなへ上げておいて、高能率といわゆる低コストだけをねらいとして法案をお作りになるということになると、結局私がさきに申し上げたように、条件の悪いところ、中小などを整理していく。それでおびただしい失業者も出てくる、そういうところにしわ寄せしてしまって、条件のいいところたけを残していく、帰するところは炭鉱自体物価引き下げ犠牲を先に負わしてやっていこう、こういう結論になると思います。石橋さんも経済家としては専門家だから、この結論は間違いないと思いますが、これをお認めになりますか。
  20. 石橋湛山

    石橋国務大臣 どうも伊藤君の言うことは私は承服ができません。それは一つは、どうしても今の日本石炭というものは、何とかしなければならぬという段階にきている一番さしずめの問題でありますから、一つ石炭企業というものに重点を置こう、こういう考えで私どもとしては、なるほど整理をされる炭鉱もありますから、その面からいえば犠牲炭鉱に、石炭企業に払わせるように感じますけれども、同時に国家としては厚い保護石炭業に与える、そういう方面から見るとまたそういう非難も起ることになるのじゃないかとも考えるのであります。たとえば資金その他についても国家が相当責任を負うて合理化資金供給する、あるいはそれの金利はできるだけ下げる、幾らに下げるかということはまだきめておりませんが、とにかく普通の金利よりは安い金利でもってやる、こういうようなことでありますから、その方面から、どうも石炭企業だけに国家が手厚い保護を与えてけしからぬという非難も起るのじゃないかと思われる面もある。でありますからそういうふうに国家の力をできるだけ加えるところは加えて、そうして現在の石炭企業の困難な状況を打開し、同時に将来日本石炭コストが安くなって、そうして全産業に恩沢が及ぶとういようにいたしたいという一念にほかならないのであります。
  21. 伊藤卯四郎

    伊藤(卯)委員 これは結論する意味において伺っておきたいのですが、そうすると高能率と低コトス、それ以外の生産費を構成しておる電力なり資金なり輸送あるいはその他の資材、そういうものについても値下げをさすという見通しの上に立って法案を作っていく、法案のねらいはそこにもあるということじゃないのですね。その方は全然考慮せない、ただ高能率、低コストだけで下げよう、こういうお考えであることに了承してよろしゅうございますか。
  22. 石橋湛山

    石橋国務大臣 決してほかのものを閑却しているわけではないのでありますが、そう一度に何もかも手をつけられませんから、そこでまず高能率石炭企業そのもの能率を上げるということに重点を置いている、こういうわけであります。
  23. 伊藤卯四郎

    伊藤(卯)委員 わかりました。それはいずれ後日のことにいたしましょう。  それから、そうなれば当然日本の国内の石炭を、今後どのように消費数量を定めていくかということもお考えになるだろうと思う。そうすれば石炭だけの問題じゃなくて、総合燃料対策の立場から、あるいは火力、あるいは水力、あるいは外国からの輸入の油、あるいは石炭、あるいはガスという総合燃料対策というものの見地からこの石炭の問題も取り上げ、さらにその一環として合理化法も出されるということでなければ、これはちぐはぐでその国策としての目的達成には寄与せない、こう私は思うのですが、その総合燃料対策に対するそれぞれの対策というものが立てられてあるならそれを一つお伺いするか、あるいはそれは非常に膨大なものであるから、今ここで答弁はなかなか困難だということがもしあれば、鳩山内閣として、石橋通産大臣のもとにおいてあなたの所管である総合燃料対策というものが多分できてこの法案をお出しになっておると私は思うから、その総合燃料対策の立てられてあるものを一つどもに御提示を願いたい、こう思いますが、いかがでありますか。
  24. 石橋湛山

    石橋国務大臣 お説のように、全体のエネルギーないし燃料総合対策というものは必要と感じております。しかしこれは全体をやるなら、近ごろ問題になっている原子力までも考えなければならぬというわけでありますが、さしずめはそこまでいけませんので、そこで現在は、近いうちに法案として御審議を願うことになると思いますが、重油石炭関係というものだけはすぐに取り上げて検討をしていただきたい、かように考えております。
  25. 伊藤卯四郎

    伊藤(卯)委員 聞くところによれば、総合燃料対策が立てられなければ、一万田大蔵大臣の方でも資金問題の解決をすることに了承できぬというような話も伺っておるのですが、もしそうであるとするなら、なおさらのこと総合燃料対策が立てられなければ資金問題の解決もできないのじゃないか。それからまた国際市場において日本の商品が戦い勝っていくということについては、なおさらのことそれが基本にならなければならぬ。民主党の経済六カ年計画というものがあるやにも伺っておるのですが、おそらくそり計画基本をなすものは総合燃料対策の上に組み立てられなければ、私は科学的なものとして権威はないのじゃないかと思うのです。そういう見地からしても、総合燃料対策というものが立てられなければならぬ。単に外国から輸入する油と石炭だけの問題では解決できぬと思うのです。これはやはり電力との問題、それを水力火力か、そういう点もからまって、私はこの問題は非常に重大な関連があると思う。少くともその程度のものに対する計画が立てられてあると思いますが、それを一つ至急お出しを願いたいと思いますが、いかがですか。
  26. 石橋湛山

    石橋国務大臣 六カ年計画の方には、むろん電力その他すべてのエネルギー源についての検討はいたして、入っているわけであります。われわれとしても、むろん電力重油も一緒に考えておるわけでありますが、今ただ総合燃料対策として一つにまとまった、大した作文はできておらぬ、こういうことでありますが、しかしある程度できておりますから、申し上げてもけっこうであります。
  27. 伊藤卯四郎

    伊藤(卯)委員 どうもなさそうですから、これも法案が出てきたときに一つ論議をすることにいたしましょう。  それからさらにもう二、三点伺っておきたいのですが、私がこの前、この合理化法をもしお出しになるとすれば、当然その事業を行うためにはかなり膨大な資金が要ると思う。その資金裏づけが一番大事であると思うが、もしその資金裏づけが十分でなかった場合には法案提出に重大な考え直しをしなければならぬということも伺ったように思う。そうすると、今度せっかくお出しになるとするのなら、その事業資金というものは計画通り十分用意準備ができるのかどうか。それからその場合に政府からの資金もしくは——新聞にも政府の方から発表されてあるようですが、あるいは業者との分担の問題、そういう問題について、その買い取り事業を行なっていくそういう資金裏づけというものは完全に用意準備がされてあるかどうかという点をお聞かせ願いたい。
  28. 石橋湛山

    石橋国務大臣 先ほど話が出ました電力の方の資金の話はつきました。直ちにその手続をいたしたいと思っております。石炭の方は、むろん合理化法案を出す限りは、資金供給責任国家が負うということをうたっておるのでありますから、これはそれだけの準備ができなければ出せないわけでありまして、むろんできております。
  29. 伊藤卯四郎

    伊藤(卯)委員 それでは、業者との関係におきましても、政府が融資する分あるいは業者が負担する分、そういう点等において十分業者側協力もできるという態勢ができておるわけですか。さらにあわせて、これには労働組合側理解協力も相当必要であると思うが、もしこれが、法律はできた、さていよいよとりかかろうというときに、業者側もそっぽを向いておる、それから労働組合はこれに反対であるということになりますと、法はできたけれども実際の事業をやれない、こういうことになりますが、そういう点に対する十分なる理解了解がついておるのであるかどうか。またつけてお出しになるということであるかどうか、その辺のいきさつを一つお聞かせ願いたい。
  30. 石橋湛山

    石橋国務大臣 各業者からはいろいろの意見も出ております。それらを十分しんしゃくし、業者の意向も聞いて法案を作っております。それから労働組合の方ともある連絡がありますが、これは整理のために職場を失う労務者をどういうふうに配置転換するかということが主たる問題でありますから、そこでこれは、今こまかく各炭鉱別にどれだけの人が職場を離れなければならぬだろうかという計算をしておりまして、それで労働省と十分打ち合せまして万違算なきを期したい、そうして労働組合協力を受けたい、こう考えております。
  31. 伊藤卯四郎

    伊藤(卯)委員 それではまだ労働組合の方とは下話というか、そういう話し合いは全然していないということでございますね。
  32. 石橋湛山

    石橋国務大臣 実はその点は私はよく知らなかったのですが、今聞きますと、断片的に二、三話はしているそうでありますが、まだ十分了解を受けているというところまではいっていないようであります。
  33. 伊藤卯四郎

    伊藤(卯)委員 それも後日のことにいたしましょう。そこで政府から新聞に発表されてあるものを見ましても、やはり五万以上六万からの炭鉱失業者が出るように数字がなっておるようでありますが、この配置転換というか、その失業者に職を与えるという問題については、いろいろ鉱害復旧であるとか、河川であるとか、鉄道新設であるとかというようなものを何か大臣答弁しておった。説明書の中にも書いてあったようですが、そういうところに十分配置転換のできるという受け入れ態勢ができておるかどうか、それを一つ。こまかいことは要りませんが、大略を伺いたいのは、たとえば鉄道新設に転換するということが書いてあったようでありますけれども、そのねらっておられる鉄道新設というものは、この運輸省の、国鉄としての、新設計画の中にないようでございますが、ないところにそれだけの人間を受け入れるということができるものかどうか、私は実は非常に疑問に思っておる。その辺の新設予算のその話し合いというものが十分ついておるものであるかどうか、単なる絵にかいた数字であるかどうか。どうもその辺が私は絵にかいた数字のように思うのですが、その受け入れ態勢の点を一つお聞かせ願っておきたい。
  34. 石橋湛山

    石橋国務大臣 こまかく全部できておるとは申し上げかねると思うのでありますが、しかし、現在労働省におきましても非常に研究をしていてくれますから対案ができると思います。それから鉄道の話はいろいろ予算の編成のときにもすでにその話は出ました。しかしながらこれは御承知の例の川崎線という、実は私は現場を知らないのですが、あれを作るということが炭鉱従業者失業対策と申しますか、職場を転換するのに非常にいい。しかも将来炭価にもあれがいい影響を与えるという点もあるそうでありますが、これは建設省と大蔵省と運輸省とわれわれの方と話し合いは大体できております。いよいよこの合理化法案をやるときには、これはその資金の手当をしまして、運輸省にこれをやらせるという覚悟はしてかかっておるわけであります。ですからできるということを申し上げていいと思います。
  35. 伊藤卯四郎

    伊藤(卯)委員 失業者受け入れ態勢の方は労働省の方で考えてもらえるであろうという程度でございますね。それもいずれ私の方でまた法案ができてきましてから審議をすることにいたします。それから、買い取られれば、当然その山の鉱害責任者であったものが、その山主でなくなってくる。そうすると、地上権を持っておる農民なり、住宅なり、そういう人々の鉱害被害責任者はだれになるのかということが当然大きな社会問題として、これはなってくるわけであります。そういう場合についてその先の鉱業権者にかわってだれが鉱害責任を持つものであるか、あるいは事業団が永久に持つのか、政府肩がわりをして持つのか、この問題は、政府から発表されてあるものを見ると、何ら具体的になっていないようであるが、これは社会問題として一番大きな問題であると思うが、そういう点は法案をお出しになる前に十分一つ考えになってお出しになる用意があるか、それを一つ伺いたい。
  36. 石橋湛山

    石橋国務大臣 その点は、すでに現在われわれが準備しつつある法案の中にも盛り込んでありまして、買い取るのでありますから、買い取るものがあと継続してその鉱害責任を引き受けるということになっております。
  37. 伊藤卯四郎

    伊藤(卯)委員 買い取るものというと多分事業団のことを言われると思うのですが、法律の効力は五カ年間ということになっておるようですが、そうすると、法律の効力がなくなっても事業団はいつまでも何らかの形で残るものであるかどうか。鉱害は三年や五年で済むものでありませんで、五年も十年も十五年も残るし、それから、今なお何十年も昔の鉱業権者不明なごのものもあって、被害農民など非常に困った問題が起っておるところもある。だから、その辺のところをどのように法は解決しようとしておられるのかどうか。これは後日のために、また法案をお出しになって審議する七に、非常に大きな問題でございますから、これは私は政府側に知恵をつけることになりますが、これは大事なことですから、知恵をつける意味一つ伺っておきますが、その辺どうですか。
  38. 石橋湛山

    石橋国務大臣 ありがとうございます。それは確かに事業団は年限があります。あとの問題についてはなおよく研究いたしまして間違いないようにいたしたいと思います。一つぜひ御協力を願います。
  39. 伊藤卯四郎

    伊藤(卯)委員 あまりいろいろ突っ込んで伺いますと、大臣答弁書を作ってやるようなことになりますから、これまた出過ぎたことになると思いますので、あまり突っ込んでお尋ねしようとは思いませんが、法については、法である以上はやはり一つの権威がなければならぬが、法の制裁力が今度お出しになる法律にあるのでございますか、どうですか。
  40. 石橋湛山

    石橋国務大臣 その点は非常にむずかしい問題でして、たとえば石炭の将来の価格をどう決定するか、それを昔のマル公みたいなものにいたしますと、これはなかなかまた容易ならない、あとで引き続いて問題が生ずる。そこで、今われわれの考えておりますのは、できるだけ官僚統制とか昔の統制経済とかいうものにならぬように、しかも効力があるようにいたしたい、こういうことで、実際の石炭業者等の道徳的規制に待つところが大きいものでありまして、ですから、十分の強制力があるかと言われると、その点にはいささか今のわれわれの準備している限りにおいては欠けるところがあるかと思います。
  41. 伊藤卯四郎

    伊藤(卯)委員 それでは法律じゃないのですね。法律じゃなくて何か申し合せ、協定事項というような程度のものだ。ただ資金事業団に融資をしてやる、それを監督するという程度であって、それ以上に制裁を加えるとか何とかいう法の権威というものはない、だから法律じゃなくて道徳、道義というか協定事項、そういうものだと解釈をしていいような気もするが、その程度のものですか。
  42. 石橋湛山

    石橋国務大臣 それはまた解釈が少し極端です。かりに協定をさせるにしても、法律的背景がなければその協定はうまく守られないということもありますし、また政府としては、たとえば石炭価格がもしも上って社会的によろしくないという場合には、石炭の生産制限を解いて増産をさせるとかいうようなことで打つ手はあると思いますから、真正面からマル公をつくって、それを守らなければすぐ監獄へぶち込むというような手荒い規制はない、こういうことだと思います。
  43. 伊藤卯四郎

    伊藤(卯)委員 他の人があるようですし、時間の関係がありますから、まだいろいろ問題がありますが、もう一点だけお尋ねしておきます。  今おっしゃったように、たとえば生産数量の点において、価格の点において、法律の条文の中にあります事項には、これを守らなかった場合に守らせ得る強制力は何もない、守らなくても何ら制裁されるものがないわけであるから、守らなくてもいいわけです。そういうものであるならば、法律としての権威というものはないと私は思う。むしろその程度のものなら、これはお出しにならぬ方がかえってあなたの男前を悪くしないのではないかという気もするのです。何らの制裁力もない、強制力もない、法律を守らなくてもちっとも痛くもかゆくもない法律なら、法律とは言えないと思うから、その程度のものであれば御提出になることをお考え直しにならぬとかえって大臣の男前を悪くするということを申し上げておいて、他の同僚諸君の質問がありますから、きょうはこの程度で終ります。
  44. 田中角榮

    田中委員長 中崎敏君。
  45. 中崎敏

    ○中崎委員 大分石炭電力等につきましては議論が進められておるようですが、私は石油のことについて少しお聞きしたいのです。  現在日本における石油はほとんど英米トラストの独占的な形において進められておるようであります。従って石油の値段のごときも、著しく高いものを日本は買わされておるという事実があるのでありますが、これに対して通産大臣はどういうようなお考えをお持ちでありますか。たとえば一キロ九百円程度の原価のものが四千円で売られておるようですが、これだけのべらぼうな高い値段外国トラストに独占的に扱われておるという問題は非常に重要な問題だと思うのですが、それについてどういうようにお考えになりますか。
  46. 石橋湛山

    石橋国務大臣 石油の値段の問題については実は私はよく存じませんが、幸い鉱山局長が来ていますかうお答えいたさせます。
  47. 川上為治

    ○川上政府委員 値段につきましては、重油等についてある程度高く売られておることは事実であると思います。しかし今おっしゃいましたような、一キロリットル九百円が四千円に売られておるということはないと思います。これはちょっと数字のけたのお間違いじゃないかと思います。
  48. 中崎敏

    ○中崎委員 それではどういうふうになっておるのか、その数字を——こまかくなくていいのですが、九百円とか千円とかの、大体オーダーでいいのですが、それをお知らせ願いたいと思います。
  49. 川上為治

    ○川上政府委員 たとえば重油について申し上げますと、重油にもA重油、B重油、C重油といろいろございますが、A重油が最も高いものでございます。B重油がその次で、C重油が一番低いものであります。A重油は大体漁業方面にその大部分が使われております。B重油は漁業関係及び陸上の特にボイラー関係に使われております。C重油は御承知の通り鉄鋼関係に最も使われておるのでありますが、鉄鋼関係のC重油価格は大体一キロリットル一万円程度でございます。それからA重油の漁業関係方面につきましては、大体最終価格が一万五千円程度でございます。B重油は大体一万二千円程度ということになっております。その輸入原価はどの程度であるかという問題でございますが、A重油について申しますと、輸入原価は大体九千五百円程度ということになっております。すなわち九千五百円程度のものが最終末端価格におきましては、現在一万四千七百円という標準価格を通産省におきまして指示してやっておりまして、その程度で売られておるのでありますが、この間に元売り業者のいろいろな諸掛りその他マージン、あるいは特約店のマージンとか、輸送費とかいうものが入っているわけでございます。これはある程度マル公時代なんかよりも高いことは事実でございますけれども、不当に高いかどうかという点につきましては、これは問題があると思うのであります。これはA重油についての一例でございますが、B重油、C重油それぞれその輸入原価と使用価格の間にはある程度の開きがありますけれども、まあこれは常識的に見まして、石油業者はもうかっていると言いますから、ある程度高い値段で売られていることは事実でありますけれども、非常に不当な価格で売っているかどうかという点については、これは問題があるかと思うのであります。
  50. 中崎敏

    ○中崎委員 ちょっと答弁がかけ違っているのではないかと思います。私の言いますのは、石油がほとんど外国から掘って持ってこられる、しかも外国の石油資本がみずからの手によって掘って持ってきておるのであります。それを日本へ持ってくるときにべらぼうに高い輸入価格になっているのではないかということが一つ。それから重油そのものを輸入する場合もありましょうが、原油のまま輸入して国内で精製されて、まず重油、軽油、さらにマシン油、モビル油等、程度の高いあらゆるものになるのでありますが、そういうものを総合して、そうして通常の加工料と申しますか、精製料と申しますか、そういうものを差し引いた値段を比較してどういうことになるというのであります。日本へ輸入されてべらぼうに高い代金をもうけられている。その後の状態がどうなるかいということだけの質問ではないことを御了承願いたいと思います。
  51. 川上為治

    ○川上政府委員 三種の重油価格について申し上げましたが、大体輸入される場合のFOBの価格、それからフレート、保険料その他を合せまして、CIFの価格が出てくるわけでございますが、原油について申し上げますと、FOBの価格というのは、これは国際カルテルがあるかどうかは別としまして、大体各国向けの価格がきまっておりまして、その価格はほとんどここ三年くらいの間に動いておりませんが、フレートは動いております。そのFOBの価格が石油産地の平均コストと比較してみますと、非常に高いではないかという点につきましては、おそらく相当高い値段で売られているのではないかというふうに考えております。たとえばイランの油の価格と、それからほかのアラビアの原油との価格についてはある程度違っておりますが、やはりアラビア原油についてもFOBの価格というものは相当のマージン——これは相当大きいと思うのでありますが、そのマージンを加えた価格で売られているということを考えますれば、FOB価格は相当高い値段で売られているのではないかと思うのでありますが、これは国際的にきめられた値段でありますので、それ以下の価格で買うことは非常にむずかしいのではないかというふうに考えております。それからフレートにつきましては、しょっちゅう動いておりますが、CIF価格以下につきましても、先ほど重油につきましてちょっと申し上げましたように、やはり相当高い値段で売られておることは事実であると思うのであります。それから原油を買ってきて、精製して、相当高い値段で元売業者なり特約店なりが販売しておるということも、石油業者が相当もうかっておるということも事実であります。ただ私どもが現在その内容につきまして、たとえば精製品について相当厳密に調査し得る権限を持っておりませんので、ただ常識的に従来の物価庁時代の計算等から考えて、大体どれくいが適当であるということは一応わかりますけれども、これはなかなか厳密には調査もできませんので、どういう価格が最も適切な価格であるということはちょっと何とも申し上げかねると思うのですが、しかしある程度もうけておることは事実と思うのであります。
  52. 中崎敏

    ○中崎委員 この問題はきわめて重要な問題でありまして、ことに国際カルテルがあるかないかは別として、ということですが、これがあることは周知の事実で、だれ一人疑う人がないというくらいのものであります。そういうものが日本の独禁法などがある現在の状態において許されるかどうか、政府はこれに対して一体どういう措置を今日までとってきたか、今後これに対して一体どういう対策をとるべきであるか、さらに国内においてもこうした英米の資本が背景となって、日本の石油精製会社はほとんど英米資本の傘下に——傘下というか、ほとんど制約下に置かれておるのであります。石油会社が高く売りつけるということは、言いかえますと外国の資本が日本国内の精製会社を握って、そうして国民に高い油を売りつけておるということを物語るものでありますが、こういうものまでも依然としてこのままに放置しておくべきであるか、何らか強力な対策を立てるべきでないか。立てるか、立てないかという問題についてもいろいろ検討したいと思いますが、時間の関係もありますので、一応この程度にしておきます。  さて、四日市なりあるいは徳山なりの旧燃料廠の処分の問題についてでありますが、これは過般来新聞でもなかなか輿論をにぎわしておるようです。政府の部内においても何か意見の不一致があるということが伝えられておったのでありますが、その後どういうふうになっておるか、この問題についての御報告を願いたいと思います。
  53. 石橋湛山

    石橋国務大臣 御承知のように旧燃料廠の処分の問題はなかなか長いいきさつがありまして、うるさいのでありますが、しかしいつまでもああやってほうっておくわけにもいきませんから、何か一つ結論に達したいというので、私としてはこの際はあの土地を一番経済的に利用するのにどうしたらいいかという見地から、今までのいきさつから離れてやろう、ただしいわゆる防衛という問題もありますから、これもある程度考慮に入れまして燃料廠の処分をしたい、こう考え一つ案を作ったのでありますが、これに対しては今お話のようにいろいろ異論もございます。そこでその異論を調節することに努めておるというのが現在の段階であります。
  54. 中崎敏

    ○中崎委員 通産省の方で考えられておる案は、まず四日市の場合においては、この設備を払い下げるという考え方であるのか、あるいは貸し付けるという考え方であるのか、また払い下げるにしても、土地は切り離して施設だけ払い下げるという考え方の上に立っておるのか、その払い下げをしようとする相手先はどういうものであるのか、こういうことについてお答え願いたいと思います。
  55. 石橋湛山

    石橋国務大臣 四日市にある設備が利用できるか、どう利用すべきものかということについて専門的な調査をいたしたのでありますが、利用するとすればこういうことであります。大体あの設備は、現在の石油業としてはかなり旧式に属しておりまして、もしほんとうにあそこで石油化学でもやろうということになりますと、あの設備の大部分は利用価値がないらしい。従って大部分スクラップになることは免れないであろうと思っております。それから土地については、これは貸し下げの案もありますし、いろいろ議論がありますが、しかしほんとうにあそこで石油化学までも十分にやらせようというには、やはり企業が安心してほんとうに腰を落ちつけてやるのでなくてはいけませんから、それに対して政府が初めに条件をつけるのはいいのですが、途中からどんな条件が出てくるかわからないという不安な状態では、いわゆる企業としては成り立たないと思いますから、私としてはやはりきっぱりと払い下げをした方がいいのではないかというのが私の現在の考えであります。
  56. 中崎敏

    ○中崎委員 どうもその点には納得がいかない。あの設備は時価に見積れば数百億だとも言われておるのですが、いずれにしても相当の設備がある。それがスクラップ同様のものであるというところにどうも納得がいかない。その第一は、あの工廠の処分をめぐって業界においては幾多大きな渦を巻いて今日に至っておる。つまり専門家である業界においては、あれをほかのところに使われては自分たちのもうけに影響するから、何とかして使わせないようにするとか、あるいは自分が使いたいというようなことで大きな渦を巻いて今日まできておる。そういう重要度を持ったこの設備が、ほとんどスクラップにひとしいという考え方をお持ちになるということは、どうもおかしいのではないかという気がするのですが、その点についてはどうお考えになりますか。
  57. 石橋湛山

    石橋国務大臣 それは私も専門家でございませんから、あの設備がどれだけ実際に価値があるか、私自身判断するわけには、なかなかいかないのですが、いろいろの専門家意見を聞いてみましても、政府としてもこの間専門の技術者を出して調査をいたしまして、二つ三つの案が出ておりますが、そのどれを見ても、結局あれをほんとうに利用しようとするならば、大部分は役に立たないで非常に改造を加えなければならないというのが実際専門家意見のようであります。従ってあの設備に非常に執着があって、いろいろな業者が渦を巻いておるのか、それともあそこの土地を利用しようとしておるのか、私は設備ではなく、むしろあそこで仕事をしたいということではないかと思うのです。ところがその土地も実際は港湾の設備であるとか、土地が沈下するとかいろいろな難点がありまして、相当あの土地の利用にはむずかしい点があるように考えております。
  58. 中崎敏

    ○中崎委員 この問題については、相当大きな国有財産であるから、いざという場合には評価委員でも置かれて相当に慎重にやっていただきたい。慎重といってもそれはゆっくりやれという意味ではありません。処分の必要があるというのならおやりになってもよいのですが、これにはとかく疑惑の種が起りがちですから、起らないように国民にほんとうにガラス張りの中に立ってやるという考え方の上に立って処理してもらいたいと思うのです。  それから次の問題に移りますが、例の国内の石油資源開発については、政府においても五カ年計画をもって相当強力にこれを推進していくという考え方のようであります。ところがその裏づけとなるところの政府の投融資並びにその機構を整備して、その体制にマッチするような点ということになると、なかなかまだ十分に決断がついていないようであります。そこで私といたしましては、これだけ外国の石油資本によって、どんどん公的にもうけられておるということは、やはり国内の石油がないからでもある。それには政府考えておられるような線に沿って、強力にこれを推進していかれるならば、この問題の解決の上にも相当役に立つ面が期待できる点もありますので、この点について予算審議の過程もだいぶ進んでおるのでありますから、早く政府の方で腹をきめられて、どうしてもこれは国会提案として、例の石油開発の特別会社みたいなものを作っていく必要があるのかどうか、そういう点もやはり政府の方で、自分たちの手で話をつけて、法案として出すのだということになれば、それはそれでいいのです。そうでないということになれば、やはり予算の最後決定にも関連するし、あるいはその後の実行等にも関連のある問題でありますから、早く態度をきめてもらいたいと思うのでありますが、この点についての大臣の御意見を聞いておきたい。
  59. 石橋湛山

    石橋国務大臣 お説のように国内石油の開発は、最近の見込みでは相当有望であるようであります。けれども、何しろ前途はどうなるか、やってみなければわからぬことですし、危険がありますから、そこで特別の会社を作って開発を強力にやりたいというのは、私ども通産関係方面の希望なのでありますが、この間の予算編成の場合にはそれが決定いたしませんで、やむを得ず一応帝石に三億円の補助金を出して、今までのようなやり方でやるということになっておりますが、しかしながらもし特殊の会社ができてやれるということになれば、通産大臣としては賛成であります。
  60. 中崎敏

    ○中崎委員 それで賛成はわかりますが、結局それでは政府の方としてのまとまった意見としては、なかなか早急には運びにくいから、国会の方においてそうしたような方向に進むことを希望しておると見ていいのでありましょうか。
  61. 石橋湛山

    石橋国務大臣 私の口から国会でやってくれとも言えないでしょうから、おやりくださるならそれもけっこうと存じます。
  62. 中崎敏

    ○中崎委員 次に石油に関する関税の問題であります。今度の政府考え方では、原油について二%、それからB、C重油については六・五%の関税引き上げを考えておられるようでありますが、低物価政策を考えておられる政府考えとしては、やや政策の矛盾を感じられるものがあるのであります。これは今の石油開発のために、最初十億円政府側から補助金として出すという考え方の上に立った、財源捻出のための一つの反間苦肉の策だともいわれておるのでありますが、それが現実には三億円しか予算には計上されていない。しかるにこの関税から見ますと、約十億円見当のものが取り上げられるという結果になると、やや当初の考え方と違った方向に進んでおるのではないかと思うのでありますが、これらの点についてどういうふうにお考えになりますか。
  63. 石橋湛山

    石橋国務大臣 石油関税の全部を石油資源の開発に使うということは、実は考えておったわけではございません。少くもその中の一部分はこれに使いたい、こういうことであります。  それからさっき伊藤君から御質問がありましたように、いわゆる総合燃料対策というような観点から、現在は石炭鉱業と石油、重油との関連が非常にむずかしい問題になっていることは、御承知の通りであります。そういうようなところから、とにかくこの際は石炭鉱業関係から申しましても、重油にある規制を加えるということはやむを得ない事態だと思います。関税も重油規制の一つの方策とも考えてやっておるわけであります。
  64. 中崎敏

    ○中崎委員 まず燃料総合対策、ことに石炭に対する解決策として関税をお引き上げになるということは一つの方策かもしれませんが、私はこれが万全の方策とももちろん考えませんし、ことに関税を引き上げればそれだけ重油値段が上るのだということを前提としてのみ総合燃料対策としての意義があるのでありますが、実際にそういうふうになるとお考えになっておるのかどうか、その結果をどういうふうにごらんになっておるか。
  65. 石橋湛山

    石橋国務大臣 漁業など必要なものにかけられては困る、こういうので漁業方面重油には大体関税がかからないような仕組みでやるつもりでおります。けれども陸上のボイラー等に重油をたくものはなるべく石炭に転換してもらいたい、こういう考え方からある程度値段が上る、それだけ石炭の方の保護といいますか、石炭に便利になるわけだと考えております。
  66. 中崎敏

    ○中崎委員 そうした考え方をもってするならば、むしろ消費規正のための新しい法律を作るというふうなことによってのみこれは十分に目的が達成できると思うのでありますが、そうした関税引き上げということによってその目的をほとんど達せられない、ことにまた新しい規制法律案をお作りになるとしても、なかなかこれはむずかしいので、どういう法律をお作りになるか知りませんが、その法律を作ってさえもなかなかこれはできない。言いかえれば漁業用の重油というものが——石油は流れるのでありますから、どういうふうな方法をもっておやりになっても、ほかの方に流れて、安いものが流れていかないということは保証できない、こういうふうに考えられるので実際はなかなか困難ではないかと思うのですが、その点どうです。
  67. 石橋湛山

    石橋国務大臣 そればお説のようになかなか行政指導だけでやることは相当困難があることは事実でありますけれども、それならば切符制度か何にして非常な統制を加えるとかいうことになると、実はそこまで統制を加えることは好ましくない。いろいろの点で好ましくない。いわゆる官僚統制がまた再び全体の経済を支配するようなことになる懸念がありますので、そこまで行きたくない。
  68. 中崎敏

    ○中崎委員 時間の関係でこれでやめますが、実際においてたとえば重要なエネルギーの問題解決一つ方法として今重油に関税をかけ、一面重油の消費規正をして使用度をできるだけ減らしていくということ、これは国家産業の正しいやり方から言えば、私はむしろ変態的なあり方だと思う。言いかえれば経済的で優秀な石油というものを規制する。これは世界の現在の傾向である。そういう世界の大きな流れに逆行して日本石炭産業というようなものに対処するためにそういう大きなる犠牲を要求されておるような問題なんでありますが、そうしてみますとむしろ切符制でも徹底的にやって、そうした大きな国家的要請にこたえるような方向に行かれる方が政府の意図する方向に最も円滑に推進できるのではないか。一切がっさい統制をやられるかといえば、統制という言葉を使っていいかどうか知らぬが、少くともこの内閣においては自由党内閣とは違った相当進んだ計画的な経済政策を断行していくという考え方の上に立っておられる。その面からいっても、そういうことは少くともやるべきことである。何もかもやれというのではないが、最小限度国策の線に沿うた強い政策をやるためにはやむを得ない犠牲ではないかと考えておるのですが、それを聞きたい。
  69. 石橋湛山

    石橋国務大臣 お説のように、安い燃料を使えなくて、無理に重油を規制して石炭を使わせるというようなことは、一面から言えば非常な不合理なことだと思います。ですからもっと自然に経済が流れるようにいたしたいということは山々でありますが、戦争以来の日本経済の変態で、単に石炭及び重油だけに限らず、ほかの問題についてもたくさんそういうものが起っておりまして矛盾だらけなのであります。その矛盾を除々に解いていくということ以外に道がないと考えておりまして、ただいま申しますような手段をとろうと考えております。  切符制にすることについては、これはお説もありますからなお研究もいたしますが、どうもそこまで行くことはいかがか、卒直に申せば私は好まない。
  70. 田中角榮

    田中委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  71. 田中角榮

    田中委員長 速記を始めて。  午後一時から会議を開くこととなし、暫時休憩いたします。    午後零時五分休憩      ————◇—————    午後一時三十八分開議
  72. 田中角榮

    田中委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  計量法等の一部を改正する法律案自転車競技法等臨時特例に関する法律の一部を改正する法律案中小企業金融公庫法の一部を改正する法律案及び商工組合中央金庫法の一部を改正する法律案を一括議題となし、質疑に入ります。  小平久雄君。
  73. 小平久雄

    ○小平(久)委員 法案につきましては別段大した問題もないようでありますが、二、三の点についてお伺いしたいと思います。  今回の改正案は、昨年の臨時特例法と当分の間同様の建前でやっていこうというのが主たる点なのでありますが、実は御承知の通り、昨年は特例法を作りますときにもいろいろ論議があったのでありまするが、早急の際でありましたので、一応これでやろうということでわれわれも審議を了したように記憶しておるのであります。そのうちで一番問題になったのは、何と申しましても納入金の性格だろうと思います。二十八年までは言うまでもなく国庫に納めたものを、今度はやはり法律の定めによって自転車産業振興等のために使う。ところが二十九年度の予算編成に当ってたまたまこういった財源は停止しない方がよろしかろうということで、国庫への納入を取りやめた。そこで今度は自転車産業の振興、あるいはさらに進んで一般中小機械工業の振興という面に使途を広げてやることが適当であろうということで、若干の財源を利用し得るようになったわけです。そこで形からいうと非常に変なものが現在できておると思う。国庫に納付するのじゃなくして、要するに私の言うのは、法律によってAなるものからBなるものへ金を納めろといったような形式をとっておるわけです。われわれ当時審議に当ったものとして、割り切れない気持であったのです。冒頭に言った通り、臨時の措置としてやむを得ないだろうということでやったわけでありますが、今回こういう法律が出る以上は、これらの点についても、政府としてはよほど研究なさったろうと思う。特に今回は政府御自身の提案でありますから、法律によってAなるものに帰属するものをBなるものに与えろ、こういったことが法制上差しつかえないという政府の御判断だろうと思うのだが、そういう点についてどのような所見をお持ちなのか、この際あらためて承わりたい。
  74. 鈴木義雄

    鈴木(義)政府委員 ただいまの御質問でございますが、お話の通り昭和二十八年度までは国庫納付金制度をとっておりまして、年間約二十億円が国庫に納付され、そのうち三分の一は自転車産業振興費として支出され、残りの三分の二は一般の国費に充てられておったわけでございますが、昭和二十九年度においては、予算のワクの関係、またこの種の収入をいつまでも国の正式な収入として期待すべきではないというふうな考え方もございまして、国庫納付金の制度を停止したのでございます。しかし自転車競技法等法律目的にかんがみまして、競輪等の売上金の一部を産業振興費に充当することは何らかの形で継続する必要がありますので、暫定的に現行の臨時特例法が成立した次第でございます。  三十年度以降の問題につきましては、政府といたしましても十分研究いたしたのでございますが、国庫納付金制度を復活するのも一つ方法として考えられなくはございませんが、先般提案理由で御説明申し上げました通り、競輪そのものについて根本的な議論もありますので、政府といたしましては、まず競輪の制度自体の将来のあり方を慎重に検討することといたしまして、その結論を得るまでの間は、産業振興費の取扱いは過渡的に現行臨時特例法の建前を継続することが妥当であると考えた次第でございます。なおこの納入金につきましては、法的性格を有する考え方でありますので、さらに検討いたしました結果、提案理由説明申し上げました通り、この使途については主務大臣通産大臣が機械工業振興協議会というものに諮問いたしまして、これを公正かつ効果的に使用する建前をとり、さらにこの使いました結果につきましても十分監督が行き届きますように会計検査院の検査を受けなければならない、こういうふうにしたわけでございます。
  75. 小平久雄

    ○小平(久)委員 私の尋ねておるところと若干違うような気がするのですが、私の尋ねておるのは、さきに述べました通り、昨年こういった特例を設ける際に、国庫へ納めろというならよろしかろうが、国庫にはとらぬ、そのかわり第三者的性格のものに強制的に納めろという法律自体が果していいか悪いか。われわれ審議に当ったものからいうと、はなはだ割り切れぬというか、つじつまが合わぬことになりますが、そういう性格についてわれわれは若干の不審を持っておったのです。それを今度は政府みずからが御提案なさって、当分の間これでやっていこうというのですが、なるほど今お話のように競輪そのもののあり方についての問題もございましょうが、しかし一応競輪はやっていくのだ。これは当分やるでしょう。その際において、こういった形式における納入金というものは、法律的性格として差しつかえないという御結論なんですか。
  76. 鈴木義雄

    鈴木(義)政府委員 ただいまお話の通り、さような結果でございます。
  77. 小平久雄

    ○小平(久)委員 その点はその程度にいたしまして、元来競輪による国庫への納入金は、いろいろな形において業界の貸付金なり補助金なりで出ておるように思うのです。二十六年度及び二十七年度分は申すまでもなく国庫に納められて、そのうちの三分の一程度のものが自転車工業振興のために国庫から市中銀行を通じて業界に融資されておる。また二十八年度の際には、これも実は衆議院で問題になったのでありますが、たまたま中小企業金融公庫ができた関係で、本来国から直接自転車産業振興のための融資等に支出すべき金が、当時の大蔵省の取扱いによって四億円という金を当時の中小企業金融公庫への出資金の中に含めたのだ、こういう説明であって、法律に当然定められておるものが定められた通りの形において自転車産業振興のためには予算上出てこなかった。そうしてそれに見合う金が中小企業金融公庫への出資金の中に入っておるのだという説明であった。そこでこの委員会においても、そういうことはけしからぬということで、これは二十九年度には二十六年度、二十七年度と同様にやれ、こういうことに当時の委員会の決議があったように記憶するのです。ところが、たまたま今度は、昨年度からは言うまでもなく今の特例法に基いてまた変な形になってきてしまった。こういうことで結局、二十六年度、二十七年度のものは国庫から貸し付けられ、二十八年分は中小企業金融公庫に四億円が入っておるということで貸付等が行われておる。さらに二十九年度分は、今度は特例法によって貸付等が行われて、きわめて雑多な形においてこの金が使われておるわけですが、一体全体の監督というものはもちろん通産省でやっておることと思うのですが、実際どんなふうにやっておられるのですか。というのは、このように多岐にわたってやっておるのでは、おそらくばらばらの機関同士においてはそういう連絡もついていないのではないか。そこでおそらく自転車工業等において元締めをやって統括して本来の目的に使っておると思いますが、それらの状況をこの際念のためにお聞かせ願いたい。
  78. 鈴木義雄

    鈴木(義)政府委員 ただいまの御質問についてどの程度お答えすべきかちょっとわかりませんですが、重工業局といたしましては主管の車輌課というのがございまして、それが十分銀行あるいは団体を監督し遺憾のないようにしておりまして、特にこの問題につきまして問題を起したようなことは聞いておりません。また中小企業金融公庫につきましては、中小企業庁におきまして十分監督しておるということでございます。
  79. 小平久雄

    ○小平(久)委員 どうももう少し具体的に御答弁を願いたいのですが、先ほど来申す通り、非常に雑多に出ておることは事実だと思うのです。それらの雑多に出ておるものを一体どう調節しておるか、一体どこが元締めでやっておるかということを、一つはっきり具体的に御説明願えませんか。私の言うのは、ただいまも国庫から金融機関へ、聞くところによると十銀行に対し貸してあるそうですね。金融機関がその借りているものすなわち二十六、七年度分を運用しているわけですね。もう一つ中小企業金融公庫へ行っている分は公庫へ行っている分で、これはまた出資ですから、それをまた公庫が運用している。ところが二十九年度分は実際の業務を商工中金でやっている、またここが運用している。しかも源はいずれも競輪による納付金ないしは納入金と同じ性格の金です。これが三つにもわかれて少くとも形式的には行っているので、実質的にはあくまでも統一して調節しながら使わるべき金だろうと思う。それをどうやっておるか。
  80. 柳井孟士

    ○柳井説明員 お答え申し上げます。実際の統一調整をはかる方法といたしましては、融資に回しておりますものが銀行の数にいたしまして約十ございます。それでこれらの銀行の窓口が貸せるか貸せないかをきめますときには、全部私どものところに伺いを立てるという建前にしております。それでそこでチェックすることによりましてタブったり片寄ったりしないように調整をとっていっております。それから委託事業とか補助とかいうものでございますが、これらのものにつきましては、やはりすべて計画を私どものところへ出させまして、ダブったり片寄ったりしないように計画を見まして修正をするというふうにして監督をいたしております。それから済みましたときのあとの監督でございますが、これは中間に必要に応じまして私どもが現場へ行って調べる、それから定期に年度の終りには綿密な報告書を出させるようにしております。それから銀行に対しましての監督は、銀行がけの金をあまり滞留いたしますといろいろ弊害が起きますので、利率が安くしてございます。年に一度くらい現場に行って銀行であまり滞留しないように調べております。滞留してありますものがございますと、あるいは引き揚げるとか、あるいは促進をするとかいうふうにいたしております。概括して申し上げますと、競輪の関係の振興費は重工業局の車輌課で統轄をしておる、こういうふうに御理解をいただきたいと思います。
  81. 小平久雄

    ○小平(久)委員 そこでちょっと政務次官に伺いますが、今申し上げたように、自転車、競技法に基く金が、成り行き上やむを得なかったといえばやむを得なかったのですが、いろいろな形で出ておるのです。競輪も当分やるという建前のようですから、これをむしろ統轄して、一本にまとめて、やはり一般の人にわかりいいようにおやりになったらどうかと思うのですがどうでしょう。そういう点御研究になったことはございませんか。
  82. 島村一郎

    ○島村政府委員 これについてはお説のように参議院あたりでもいろいろな御意見があるようでございます。こちらでもまだこれで万全だとは考えておりません。従ってこれから先も検討は加えて参りたい、そんなふうに考えておりますから御了承いただきます。
  83. 小平久雄

    ○小平(久)委員 続いて伺いますが、昭和三十年度の機械工業振興費、これの収支予算を見ますと、今度は大部分が補助というか出しっぱなしということになるらしくて、わずかに貸付金と明記してあるのが八千五百万だけのようですが、これは今後あまり融資はなさらぬで出しっぱなしの方に使っていこう、こういうことですか。
  84. 鈴木義雄

    鈴木(義)政府委員 詳しい内訳が出ておりますが、それをお読みになればおわかりの通り、貸付金は主として中小機械工業の設備近代化に使うものが主でございまして、ほかのものは大体渡し切りになるわけでございます。しかしながら使います用途はできるだけあとに残るようなものということを考慮において考えたいと思います。たとえば開放研究室というようなところにいきますものも設備があとに残る、あるいはここに性能の解析というのがございますが、これにつきましても機械を輸入しそれをばらす、要するに輸入する機械というようなものに対する補助になっておりますから、何か消えてなくなったというふうでないように、できるだけ何らかの形で非常に意味があるというふうなところに使途を考えたい、こういうふうに考えております。しかしこれの使い方につきましては、さらに機械工業振興協議会に諮りまして、この態度を十分きめさしていただきたい、こう考えております。
  85. 小平久雄

    ○小平(久)委員 出しっぱなしでもなるべくあとへ残るような方面に使うということでありますが、私は公的な機械にでも出すならば別ですが、私企業に出す場合において、これはあとに残るからといって出しっぱなしの金にするということはどういうものかという気がするのですが、今まで融資でやってきたものを、やはりそのまま融資の額というものをふやしていく方が金の性格から見ても、より多数の業者になるべく広く使わせるようにしてやるという趣旨からいっても、金がだんだんたまっていく、ファンドがたまっていくという方が、むしろ性格からいっても適しておるではないかという気がするのでありますが、その点は一つ御研究を願いたいと思います。
  86. 田中角榮

    田中委員長 他に質問がないようですから、この案件に対して私からちょっとお聞きをしておきますが、納付金制度がいいか悪いかは別として、相当多額な納入金でありますから、この運用に対してはやはり法律改正をするのが私は正しいと考えております。しかしながら自由党内閣時代においてさえも、こういう特例方式的なものをやったのは、一兆円というワクをくずさないというためにこういう臨時立法の処置をとられ、民主党内閣もこれを踏襲しておるのでありますから、普通からいえばこの納入金は当然納付金かもしくは非常にはっきりしたものでとるのが私は普通だと思うのです。しかし今の状態においては、ことしももっと詰まった一兆円予算でありますから、予算書を通さないでこういうような処置をして実効だけ上げようというのでありますから、私はこの法律の改正案が出されたことに対しては、特別に意見を申し上げるまでもないと思うのですが、ただやはりそういう状態にあっても、資金の運用に関する法律というものは必要じゃないかと思うのです。いわゆる法律規制というものをやらないと、ある意味においては貸付金もあり、投資もあり、もう一つには補助金もある、こういう問題で、これは当然予算書を通さなければならぬ性質のものである。こういうふうな性質のものであるだけに、予算書を通しておらない、これに対しては法律規制をする、すなわち納付金の運用等に関する法律案というようなものを準備させるようなお気持があるのかないのかというのが一点。  もう一つは、機械工業振興協議会を置くことに改正法にはなっておりますが、この機械工業振興協議会というものの内容も、できれば法律規制をした方がいいのです。法律にはあまり書いていないようですけれども、この職務や権限等のこまかいことは省令でお出しになるのか、政令で出されるのか、どういうふうなお考えですか。これが第二点。  もう一つだけ申し上げますと、科学振興ということに対して民主党内閣は非常に力を入れておりまして、その面で化学研究所に対して一億円の補助金を計上しておりますが、実際問題からいうと、この委員会でも相当論議をせられると思いますが、一億円だけでは今年度乗り切れないという現実にぶつかっておる。ところが昨年度は八千万か何かこの中から補助金が交付されております。そうしますと、三十年度もこのような処置をとられるのかどうか。とられないと、一億から八千万を引けば、法律趣旨による一億円はプラス二千万円にしかならない。こういう問題もあるのですが、こういう場合どうされるのかという三点に対してお答え願いたい。
  87. 鈴木義雄

    鈴木(義)政府委員 第一の貸金の運用について法律の規制を考えているかというお話でございましたが、その点も十分検討いたしましたが、法律によらず、行政的指導によりましてできるだけ遺憾のないようにしたい、こういうふうに考えております。  第二の協議会の問題は省令において決定していきたい、こう考えております。  第三番目の化研は、昨年度六千万円昨年の競輪の資金において計上いたしましたが、今年度もある程度化研とはっきり——もちろんこれは協議会に諮ることですからきめられませんが、一応配付されました資料にも、一般機械という項目で機械工業技術の基礎的研究という項目がございまして、その中で化研のある程度の問題も考えたい、こういうふうに事務的には考えております。
  88. 田中角榮

    田中委員長 わかりました。今化究の問題で、ラウンドで二億円必要であるというところに一億円しか予算を計上しないという場合には、何とかして予算修正をしなければならぬじゃないかというような意見も出ておるわけです。それが昨年通り競輪の処置によって幾らかできるということになれば、予算修正がなくなるというような問題もありますので、特に伺ったわけであります。
  89. 八木昇

    ○八木(昇)委員 二つ、三つお伺いいたします。この法案そのものについてというよりは、これに関連してでございますが、一つは、現在でも相当競輪についての許可申請をして来ておるところがあるだろうと思います。私の県でも、九州の佐賀県ですが、たしか三カ所くらいしておると思います。それで今後の方針としては、これらの申請については一切許可しない方針だ、こういうふうに理解していいかどうか。何か特例的に許可をされる場合があるのか、あるとすればそれはどういう場合にこれを考えようとしておられるかということをちょっとお伺いしたいということが一つ。  それから当分の間有効なものとするという当分の間は大体五カ年くらいを考えておるというようなお話でありますが、大体の基本的な態度としては今後は五年しかやれぬのだぞ、ですからその以後はこれはもうやめてしまうのだという強い態度をもってのものであるかどうかという……。  もう一つは特にモーター・ボートあたりで、始めてみたがさっぱり思うような成果が上らぬ。むしろ赤字を続けておる。しかしながらそれを思い立った面子の上から二年や三年でやめるわけにもいかないというので、ずるずるべったりに続けておるようなところがあると思う。私どものところでは現にそれがあるわけです。そういうふうなものについて——これは地方自治体が自由にやるわけではございましょうけれども、ある程度のサゼスチョンみたいなことをして、そういうものについては思い切って廃止をさせるような積極的な意思といいますか、それに基く施策といいますか、こういうふうなお考えがおありかどうか、この三点についてお伺いしたいと思います。
  90. 島村一郎

    ○島村政府委員 ただいまの御質問の前段につきまして私からお答えいたします。競輪場の新設につきましては、この間大臣が他の委員会でもお答えいたしました通り、一切新設は認めません。許可いたしませんという方針をとっております。あとは政府委員から……。
  91. 鈴木義雄

    鈴木(義)政府委員 当分の間というのはどの程度かというお話、それに対してどういうふうなお考えかというふうなことでございましたが、先ほどお話がありました通り、事務当局といたしましては、一応五年程度というふうに考えております。しかしこれも競輪の根本の問題を審議することになりますので、相当影響するところも多うございますし、関係者あるいは設備、いろいろそういったふうな問題もあり、またほかにいろいろ関係する面もございます。従って社会の推移状況もございます。あるいはそれより早くなることもございましょうし、あるいは若干おそくなることもある。一応考え方として五年程度というふうに考えたわけであります。それで競輪の運営審議会に競輪の根本制度を審議する権能を与えまして、これによって十分今後の競輪のあり方というものを考え、それに基きまして自転車競技法の法律をどう敏正すべきか、どういうふうにするかという点について結論出したい、こういう考え方でございます。第三のモーター・ボートの点は運輸省の方から……。
  92. 畑賢二

    ○畑説明員 お話の件も承知しておりますが、われわれといたしましては積極的に経営不振のところをやめろという意思はございません。しかしながらその当事者間でもしもやめる意思があったならば、円満に話し合いをつけてやめていただきたい、こういうふうに考えております。
  93. 八木昇

    ○八木(昇)委員 これはむしろ私個人の気持としてでございますが、今の当分の間ということが非常に不明確なものですから、そういうことでいけば、結局当分の間が過ぎるとまたぞろ当分の間になる、こういうことになりかねないので、この際やはり大きな見地からしてこういうものが半ば賭博的な——賭博的なというよりはほとんど賭博的な格好で続いていくようなものは、やはりやめなければならぬという根本的な気持を持っております。今までの経過もあるのでいきなりはいけないので、ここのところしばらく数年間は何とかやっていくけれども、以後はやはりこういうものは廃止する方針だということを明確にしてもらいたいという気持でございます。それでぜひともそういったような方向に対してもっと積極的な態度を持ってもらいたい、むしろこれは意見ですが……。それから今のモーター・ボートですが、これが決断をしかねておるのはやはり今まで相当設備のための資金も使ったし、しかも採算も十分とれていないというようなことでずるずると来ております。そういうことについてやめやすいような、そういう金銭的な面での何らかの措置考えられないものでしょうか。これは非常に私のしろうと考えですが……。
  94. 畑賢二

    ○畑説明員 まだ現実にそこまで進んだ例はございませんが、それに類似した例がございます。それは競走の施行者と競走会とが現在話し合いを進めており、一方施行者の議会でやるかやらないかをきめるというような段階でございます。従いましてそういう方法を施行者の議会でとっていただければ、割合に楽にやめやすいんじゃないかと考えます。
  95. 田中角榮

  96. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 計量法について二、三お伺いいたします。  今度新しく変った方法によりますと、今まで国へ納入したものが地方の都道府県に納入されるんだということでございます。一体今まで年間にどのくらいのものが検定料金として納入されていたか。こうなってくると、それによって非常にでこぼこができはしないかということが一応考えられるわけですけれども、たとえば同じ百万の県がありましても、その百万の県においてその生活の程度によって、計量をたくさん使うところと使わないところというのが出てくるわけですが、そういうような点はどのように考えているかということ、以上二点をまずお伺いいたします。
  97. 鈴木義雄

    鈴木(義)政府委員 今度府県に移譲します手数料で従来国で取っておりましたものは、大体年間に直しまして約五千万円ほどでございます。それからただいまの第二点は、従来のこの計量事務は国の事務でございますので、本来からいえば国の予算で取るべきものでございまして、従来もその建前でいったわけでございますが、地方交付金制度が始まりましてから、交付金制度においてこれに改められたわけでございます。それがさらに今日に至っておるわけでございます。従いましてこれをほんとうに理想的な形でいたしますならば、やはり全額国庫負担というのがよろしいわけでございますが、これについてはいろいろ問題がありますので、次善の策といたしまして検定料を取っておるわけでございます。そういうような意味で、ある程度各府県別につきましてはアンバランスの点も出てくるかと思いますが、現在の地方財政の実情から見まして、これは計量行政を円滑に施行する上におきまして必要なことである、こういう考え方のもとにこの措置をとったわけでございます。
  98. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 今後もそうでありましょうが今までは大体製造工場で検定をして料金を取っていたか、それとも一応製造工場から販売店に行ったときに、検定料を取っていたのかということになるのですが、製造工場で生産されたものにおそらく検定料を取っておったと思うのですが、そういう点はいかがですか。
  99. 鈴木義雄

    鈴木(義)政府委員 ただいまのお話の通り製造工場で取っております。
  100. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 それは新しいものであって、さらに地方から一斉に県内の計量器の検査を行うという場合に、料金は当然取ると思うのですが、そういうときに基準器というものを無償で貸し付けることになっているが、これだけの都道府県内にある市町村に向って、計量基準器というものを無償で貸し付けるということが可能であるかどうかという点を一つお伺いしたい。
  101. 蒲谷友芳

    ○蒲谷説明員 御説明申し上げます。その点につきましては明治以来すでにやっておりまして、現在新しい追加計量器につきましてできます分から、実は法律施行をさせていただきまして渡しておりますので、十分とは申せませんが、一応計量法の最低の義務が果せるだけの用意がしてございます。
  102. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 そうなりますと、  一定の県に一様のものが全部一わたり渡っているかいないかという点を一つ
  103. 蒲谷友芳

    ○蒲谷説明員 現在必要なものが完全にいっているとは申せませんが、各県に、実は法律で国と県が検定をしますことになっておりますが、現在県の方にそういう基準器がなくて、能力のないものは、国の方が暫定的に政令でその間をつないでおりまして、そういう意味で、現在完全に渡っているとは申せませんが、県が検定するに必要なものは渡してございます。
  104. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 計量器というものは国民生活に非常に大きな影響を持つものでありますので、私はこれをそういう点から考えてもらわなければならないと思うのです。八千七百万の国民の生活一切は、すべて基本となるものがこの計量によって分配をされているのですから、もしこれにあやまちがあったとすると、一台の機械に一日あやまちがあったとすると、年間を通じて非常に莫大なものが、一定の商人のところに入っている。一定の商人のところにそれだけの矛盾したところの利益が入ってくるという反面は、それだけ一般の消費者に大きな悪影響があるということを考えなければならないのでありまして、明治の時代と今日では大きな違いができております。従って今日の計量器と称するものの数が何種類くらいあるかという点を一つ伺いたい。
  105. 蒲谷友芳

    ○蒲谷説明員 現在法律では三十二種類の計量器の分類があがっておりますが、その細分になりますと、どんどん新しいものができますので、私たちもはっきり申し上げられません。
  106. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 それがおかしいのだ。それがあなたたちでわからぬということになると、国内の計量器の生産から検定一切を扱っているところ、監督官庁はどこになりますか。
  107. 鈴木義雄

    鈴木(義)政府委員 重工業局でございます。
  108. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 だから僕が聞くのです。三十二種類というあなたの言葉じりをとって聞くのじゃないですが、そうすると三十二種類の一種類という中には、どのくらいのものが包含されているのか。
  109. 蒲谷友芳

    ○蒲谷説明員 たとえば例を申し上げますと、今三十二とあげました中の一つに長さ計があるわけですが、長さ計から申しましても非常に多くのものがございまして、それが何種類と申しますと、実は法律で長さ計だけでも十あげてあるわけです。その十の中がまた非常にこまかくなりまして、どこまで分類するかが問題ですが、一応法律はそういう規定をしていると申し上げておるわけです。
  110. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 そういうことでなければ話が合わないのであって、われわれしろうとは三十二種類といえば三十二種類というものは三十二しかないんだ、こういうふうにわれわれしろうとだから考えるのであって、そういう点を一つこまかに説明してもらわないとわからないわけです。  そこで、たとえば都道府県において計量を行う場合、その計量を行う場合の計量士というものが、都道府県におって、各市町村で行う場合はその人が派遣されるのかどうか。
  111. 蒲谷友芳

    ○蒲谷説明員 現在府県が行います場合には、計量士ではございませんで、県の職員が当っております。大体現在県は五百名でございますが、それは県の職員で検定とか取締りに当る者は、法律の規定によりまして今重工業局にあります計量教習所の課程を経た者が当る、こうなっております。計量士はこのほかの制度でございまして、国家試験を受けまして、またこれに準ずる制度がございますが、計量士の名前をとりますと、計量器の管理とか計量方法の改善とか、そういうような仕事を扱うという意味で、計量士イコール検定の職員というのじゃございません。
  112. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 そうすると、この計量を各都道府県内の市町村で行う場合は、県の係官が一定の教習を受ける、こういうことですね。
  113. 蒲谷友芳

    ○蒲谷説明員 そうです。
  114. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 そうすると、それを受ける期間というものはおよそどのくらいになりますか。
  115. 蒲谷友芳

    ○蒲谷説明員 現在六カ月になっております。
  116. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 六カ月間教習を受けて、そうして各府県から県内に派遣されていく。大体その教習を受けた方は、各府県にどのくらいの人間がおりますか。一県で平均どのくらいですか。
  117. 蒲谷友芳

    ○蒲谷説明員 お答え申し上げます。実は教習所は計量法ができましてまだ六回しか卒業生がおりませんが、前に法律に基きません仮教習所がございまして、それを総計しますと約五十回の卒業生を出しておりますので、大体県の若い職員は別としまして、検定に当っております人間は全部その教習所を出ておりまして、先ほど申し上げましたように、現在府県関係で五百六十三名、市関係で百五十一名の人間が当っております。
  118. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 そこで、新しく検定を受ける場合、それから古いもので再び検定を受ける場合の納める料金、これは一台に対して幾らですか。
  119. 蒲谷友芳

    ○蒲谷説明員 お手元に資料でお配りしてございますが、新しいものも古いものも、検定につきましては製造した場合、修理した場合は全く同じ手数料をとります。非常にこまかい例でございますが、お手元に長い非常に厚い数量の内訳がお配りしてございますが……。
  120. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 大体でいいです。違うか違わないか、一台で幾らぐらいということで……。
  121. 蒲谷友芳

    ○蒲谷説明員 たとえば金属製の長さ計でございますと、一個につき百円、それから普通の指示はかりで一個につき三十円というふうに政令で全部書いてございます。
  122. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 そうするとこれは局長に伺うのだけれども、先ほど全国で検定を受けるものが大体五千万円だというお話でございますが、あなたの五千万円は新しく検定を受けるものばかりでなくて、古い再び検定を受けるものもこの中に入っているかどうか。
  123. 鈴木義雄

    鈴木(義)政府委員 さようでございます。新しいものも今後検定を受けるものにつきましてはみんな入るわけであります。
  124. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 ぼくは非常に金額が合わないと思うのだけれども、どうでしょう。新しいものも相当に毎年これだけのものが出て行われているし、古いものの検定は毎年順次循環して行われていると思うのですが、そうして五千万という金額が合わないのじゃないかと思うのだけれども、何かお間違いはありませんか。
  125. 蒲谷友芳

    ○蒲谷説明員 大体計量器は作りました場合と修理した場合を検定しますので、そうして毎年市部では一回ですが、郡部で三年に一回検査をしますのは、これは国が自分の権限で必要に応じてやるものですから手数料はとってございません。検定だけでございまして、大体それが年間七千万円から八千万円ぐらい、そのうちの二千万円から三千万円が中央検定所の国の検定がございまして、府県関係は現在の統計が大体五千万円前後でございます。
  126. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 そうなってくるから金額がこれが合わなくなってきた。もっとふえてくるわけですね。そこで、三年に一回の検定でよろしいということになっているのか、それとも三年に一回はしなければならないということになっているのか、どうなんですか。
  127. 蒲谷友芳

    ○蒲谷説明員 その点は検定と検査と違いまして、検定と申しますのは、作った場合は必ず受ける、それから修理した場合は必ず受ける、これが検定でございます。それから検査の方は、使っているものが正しいかどうかを国が見て歩く。これは非常に使うような市部では一年に一ぺん、あまり使わない郡部では三年に一回、これは国が義務で見まして、受けない場合には罰則がかかります。
  128. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 三年に一回の検査、それで検査は今まで無償であったということですね。
  129. 蒲谷友芳

    ○蒲谷説明員 そうです。
  130. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 今後も無償で行うのかどうかということと、検査が三年に一回くらいでは計量としての——現在の計量器を見るところによって、たとえば郡部であっても非常に高度にこれを使うところも営業によってはあるはずです。それを三年に一回ぐらいの検査をさせるということではおかしいと思うのだが、今後はこれは全部県に移譲されるのだと思うのですが、県に移譲された場合、県は三年に一回でもしたくなければしなくてもいいのだ、こういうことになるか。それより検査をする場合に一回の検査手数料というものを新たにとらせることにしたならば、もっとこれが二年に一回とか一年に一回とかいうようなことに進むことができはしないかと思うのだが、その考え方はどうでしょう。
  131. 蒲谷友芳

    ○蒲谷説明員 第一点の定期検査につきましては、これは法律の事項でございまして、今後とも手数料をとる意思はございません。それから第二点の県が行う場合に、郡部三年に一回というのは、これは法律に書いてございまして、法律改正の問題でございますが、現在ではこれは県移譲になりましても手数料はとれませんし、また三年に一回ということを動かすわけには参りません。ただそのほかに立ち入り検査という制度がございまして、府県庁では定期的には三年に一回行うけれども、もし非常に使う頻度が多い、あそこは特に見る必要があるという場合には必要に応じて立ち入り検査をしますし、計量器の悪い場合にはそれを変えさせるという制度はとってございます。
  132. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 しかし先ほども冒頭に申し上げました通り、計量というものが国民生活にいかに大きな影響を持つものであるかということは御承知の通りでありまして、こういうような点から考えましても、私は定期はしかりであり、また抜き取り的な検査というものは当然行わしめるように何かの方法を施すべきだと思う。そこでその場合、手数料がないということになると、現在の地方の財政の上からいって、都道府県ではとうていこの検査に当ることは困難です。であるから、これらに対して何かの便法というか、考えがなければならない。もし法律に云云があるならば、この際当然直さなければならぬと私は考えます。ですから、あなたはそういうようなお考えをもって当るかどうかという点について所信を明らかにしていただきたい。
  133. 鈴木義雄

    鈴木(義)政府委員 ただいま御審議願っております法案につきましてはその点は考えてございません。しかしながら今後の問題として十分研究いたしていきたいと考えております。
  134. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 これだけの地方移譲という法案考えてきたのだから、こういう点について今日まで、重工業局長がかわって以来府県からそういうような要請があったかなかったかということを一つ聞かしていただきたい。
  135. 鈴木義雄

    鈴木(義)政府委員 ただいまお話のような点の要請は私として聞いておりません。ただたとえば御審議願っております検定料の地方移譲という点については地方から強い要望がございます。
  136. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 地方というやつはけしからぬ。要は地方財政へ五千万円をほしいばかりにこういうことをやる。ほしいことはもちろんしかりであろうけれども、申し上げた通りの国民生活、市民生活に直接影響があるという点、これに対する陳情なくしてこの五千万円の分け前を要求するなどはもってのほかである。私はこの点については賛成することはできません。そういうようなことでございますので、今後とも十分に考慮に入れてもらうことは当然であるが、修正をして何かこの項目の中に入れるお考えはないかどうか、一つお伺いいたしますす。
  137. 田中角榮

    田中委員長 それはまたあとで議員の間で……。田中武夫君。
  138. 田中武夫

    田中(武)委員 実はきょうは商工組合中央金庫法と中小企業金融公庫法が審議になるということで、計量法のことについてはやらないように聞いておったので、十分資料を用意しておらないので、まだあと引き続いて質問をするということを保留いたしておいて二、三の質問をいたしたいと思います。まず第一に、この改正法案の提案理由に「施行後の経験にかんがみ、」と抽象的にうたってあるのです。政府は何らか法律を改正するときにはいつも施行の経験にかんがみ、こういう文句をよく使うのですが、かつてこの問題について労働法の改正のときに論議になったことがあると思うのですが、こういう言葉でなく、具体的にどういうところに欠陥があったのでどのようにするためにこう改正するのだということを言っていただきたいと思います。
  139. 鈴木義雄

    鈴木(義)政府委員 この提案理由である程度説明申し上げておりますし、それから詳しい逐条的な説明をお配りしてあるのでございますが、それをもう一ぺん説明いたさせていただくことになりましょうか。
  140. 田中武夫

    田中(武)委員 いや、抽象的なそういうことでなくて、具体的に。それは若干あったと思うのですが、提案説明において十分なされていなかったと思うのです。たとえば百三十五条の問題ですが、検査の基準を今まで計量検査に基準を置いておったのを定期検査に置きかえようとしておるとか、いろいろな点についての説明がなされていないのです。「経験にかんがみ、」としてあるが、この経験は政府から見た経験にかんがみておるのか、それとも業者から見た経験にかんがみておるのか、あるいはそれによってものを買ったり売ったりする使用者ですか、そういう所持者の方から考えて経験にかんがみておるのか、それを聞きたいのです。
  141. 鈴木義雄

    鈴木(義)政府委員 それでは申し上げます。大臣の提案理由説明にございました通り、実はこの改正法案はいろいろあるのでございますが、この要点は二つございまして、検定等の手数料の地方移譲が第一点。それからあとはこの九月から施行することを予定されておりました十一種の計量器につきまして実施が困難である関係上、これを延期するというところが第二点になっております。  それで、第一点の検定等の手数料の地方移譲の問題は、従来から、計量法が施行されましてから非常にその範囲が広汎になりまして、事務がふえ、国の事務であるが、これを地方にまかせて実地にやってもらっておったわけでありますが、それについていろいろ予算の問題が生じたわけでございます。それを従来からいろいろ研究して参ったのでございますが、先ほども説明申し上げました通り、本来の姿ならば国庫負担でこれをやるべきであったわけでございますが、これがなかなか困難な状況になりましたものですから、ここに今回検定等の手数料を地方に移譲するということをきめたわけでございます。  第二番目の、十一種の計量器の検定の九月の実行問題は、いろいろ政府として努力して参りましたが、これを実行しますには、人員の問題あるいは設備の問題、そういった問題について万全を期さなければならないわけでありますが、これが財政等の現状から実行できないという見通しになりましたものですからこれを延期したい、こういうようなところが実情でございます。
  142. 田中武夫

    田中(武)委員 今言われるように手数料の地方移譲が目的であるならば、もっと違った改正の法案の書き方があると思う。これは手数料の地方移譲、実は計量行政の地方移管をねらっておられるのではないか。ところが、地方自治団体においては、計量行政は地方自治団体の本来の業務でない、従って第二次的になるおそれがある。従って、これが施行後何年か後には大きな地方差が出てきて、そのために混乱するおそれがあると思うのだが、それらの点についてはどういうふうに考えられるか、伺いたい。
  143. 鈴木義雄

    鈴木(義)政府委員 この検定等の事務はあくまでも国の事務でございまして、国で統一的にやるのが本旨でございます。しかしながら、これを地方移譲で行わせます場合に、経費等の問題がございましたので、従来は交付金制度でやっておったものに加えましてこの手数料を移譲するということにしたわけでございます。しかし、これに対しては、いろいろ、あるいは地方のブロック主義でうまくいかないのじゃないか、こういうことであるいは統一を乱すのじゃないか、こういう御意見もございましたが、われわれとしましては、これに対して統一をはかる方法として次のような点を考えております。その一つは、計量法に調査官制度というものがございますが、これで検定取締り等に不服のあるものについては再検査あるいは異議の申し立て等ができる仕組みになっておりまして、これによりまして地方においてまずいことがありました場合には、調整できる道を設けてございます。  第二点は、先ほど申しました通り、計量の教習所が通産省にございますが、これで地方の計量行政官を教育いたしまして、それが検定に当るというふうになっておりますので、これについても全国的統一の道はできるだけできると思います。さらに、四半期に一回あるいはその他適当な機会に地方の行政官を集めまして会議を開き、統一に遺憾のないように努力いたしますとともに、今後もその方針で参りますので、地方の計量行政の統一を乱すようなことはないとわれわれは信じておる次第でございます。
  144. 田中武夫

    田中(武)委員 私の聞いているところでは、計量法の改正に対して計量器を製造している者あるいはこれを使用する者、販売する者、ともに好感を持っていない、反対の態度をとっておる。現在全国で二百八十ほど計量器を作っているところがあるそうですが、その大部分はいわゆる中小企業である、そのために表立ってこれに反対したときに、意識的な取締りとか反発がくることをおそれて表面的な動きをやっていない。しかしながら反対である、こういうことを聞いておるのですが、その改正に当って政府としては、業者あるいはこの製造に関連している労働者等の意見を聞かれたかどうか。聞かれたならそのときの意見はどういう意見であったか、その後それについてどのような考慮を払っているか、お聞かせ願いたいと思います。
  145. 鈴木義雄

    鈴木(義)政府委員 業界等の意見も十分徴しました。実は団体である工業会連合会の意見も十分徴しました。それからわれわれの方の行政審議会にこれを諮っておりますが、大体の実情から申しますと、業界の一部には若干問題もございましたが、特にただいまおっしゃったような全部がどうこうということはなく、大部分のものがこの案に賛成しているんではないかと、私は考えております。
  146. 田中武夫

    田中(武)委員 手数料の地方移譲という問題が起ってくる一方、業者その他はこれに反対して相当混乱を起しておる、そこで通産省の重工業局長のあなたですか、その事態を収拾するために計量課長を更迭して現在の改正案を採用した、こういうことも漏れ聞いておるのですが、そういうようなこともあったのかどうか。
  147. 鈴木義雄

    鈴木(義)政府委員 計量課長はかわりましたが、そのようなことはございません。
  148. 田中武夫

    田中(武)委員 今意見を聞いたということですが、私は初めてだから今までの経過を知らないのですけれども、これに対して反対の陳情なんか出たのではないのですか。
  149. 鈴木義雄

    鈴木(義)政府委員 昨年業界から反対の意見が出て参りました。しかしその意見なるものが実は業界の幹部の二、三人の方々から出されたということで、業界自身がその意見を問題にしていたということも聞いておりますので、この法案を作成しているころから、ただいま申されました通り各業界の意見も聞きましたが、それについてはみな反対の意向はなかったと聞いております。
  150. 田中武夫

    田中(武)委員 それではもう一つお伺いしたいのですが、この計量法に基いて出されている政令、省令の改廃に関して今まで公聴会があった、その公聴会を審議会に変えられたのは何か根拠があるのですか。公聴会を審議会にすることによっていわゆる計量行政が非民主的にならないかというおそれがある。また審議会の委員の任命その他についてはどのように考えられておるか。
  151. 鈴木義雄

    鈴木(義)政府委員 公聴会を開かなければならないということに法律できまっておりますが、すでに御承知の通り計量法に基く政省令の制定は大部分終了しております。今後問題になりますのは部分的、技術的な一部の改正ということになりますものですから、しかも計量行政審議会は学界の有識者も構成員としておりますから、こういうふうにするのが適当ではないかという、簡素化の趣旨からこれを提案いたした次第でございます。また委員の任命は従来の委員の方にお願いする予定で考えております。
  152. 田中武夫

    田中(武)委員 最初申し上げましたように、急であったので、今思いついた点を質問したのでありますが、現在これに関係している労働組合意見もとっておりますので、それをもらってから党内においても論議をして態度をきめたいと思いますので、保留いたします。
  153. 田中角榮

    田中委員長 森山欽司君。
  154. 森山欽司

    ○森山委員 機械工業の設備近代化の点について競輪関係から貸付金が出ておりますが、これに関連して機械工業全体としまして設備近代化のために貸し付けられている貸付金等の操作、たとえば開銀等があるわけでありますが、それについて企業の規模別に何らかのそういう制約がないかどうかお伺いいたしたい。たとえば開銀は幾らとか、中小企業金融公庫は当然中小企業に対して何らかの措置があるわけですが、競輪はどうか、その点をちょっとお伺いいたしたい。
  155. 鈴木義雄

    鈴木(義)政府委員 中小企業の方は規模において一千万円、三百人の従業者、開銀については特に制限はございませんが、大規模な方に主として使われている実情でありますが、昨年の競輪関係の設備近代化の方は、大体一千万円前後のものに充当しておったわけであります。
  156. 森山欽司

    ○森山委員 開銀の機械関係の融資は、限界は一億程度に実際問題として区切られたことはございませんか。
  157. 鈴木義雄

    鈴木(義)委員 内容によってやっておりますので、必ずしも一億円で区切ってやっておるかどうか、ちょっと申し上げられませんが、内容によっては区切っております。
  158. 森山欽司

    ○森山委員 局長は御存じないのだろうと思います。機械工業についてはたしか資本金一億円以上の会社につい開銀融資するということになっているように聞いておりますが、お調べになればわかります。  そこで一千万円以下のものについては中小企業金融公庫が融資をする、一億以上のものについては開銀が世話をしてやる。従って一千万円以上一億円の間のいわば中堅企業に対してはどういう手をお打ちになっておられるか。すなわちそれらの一千万円以上一億円以内の企業というものは、企業別の融資対象として非常に浮いていないか、中小企業に対しては中小企業金融公庫から相当金が出ているし、一億円以上のものについては開銀から出ているが、一億円から一千万円の間のものはどうするのかということを伺いたい。
  159. 鈴木義雄

    鈴木(義)政府委員 ただいまの御質問は、実は機械ばかりではない問題でございまして、中小企業の範囲は先ほど申し上げました通りのことになります。開銀は相当大規模の方、といいますと、そこに若干間があるわけであります。その間はどうするのかというようなことも考えられますが、機械関係につきましては、ただいま御審議願っております競輪の資金がございますので、それを使いまして、ある程度その間のギャップを埋め得るというふうに考えられるのでございます。
  160. 森山欽司

    ○森山委員 そうすると開銀は一億以上、それから競輪関係が一億から一千万円の間、一千万円以下が中小企業金融公庫ということで、それぞれ一体幾らの資金政府の世話で融資対象となっておるか、二十九年度並びに三十年度についてお話願いたい。
  161. 鈴木義雄

    鈴木(義)政府委員 後ほど調べて一つお答えさせていただきたいと思います。
  162. 森山欽司

    ○森山委員 お調べになるとおわかりになると思いますけれども、おそらく一千万円から一億円の間の企業が最も政府の世話を受けにくいような形になっておるという点はお認めになりませんでしょうか。それらの企業の機械工業の中で規模別に見まして、その間が一番手薄い層になっていないかどうか。それはあなたが数字をお調べになってみればわかるけれども、勘で一つ御返事願いたい。
  163. 鈴木義雄

    鈴木(義)政府委員 お話の通り確かにその間は薄い。中小企業の規模は三百人、一千万円で限られます関係、それから開銀が大規模のものに使われるという関係から見まして、確かにその間の資金については苦しいという問題があると存じます。
  164. 森山欽司

    ○森山委員 国家でもそうでありますが中堅階級がよほどしっかりしていなければいかぬ。またそういうところが一番苦しいわけです。企業でもその程度の規模が一番苦しいような状況にあると聞いておる。それを今のまま苦しいと思いますという答弁だけで済まされる御予定か、あるいは開銀は一億と限ってあるが、設備の近代化を特に必要とする、たとえば輸出を伸ばすためにぜひともこの部門に力を入れなければならぬという面があれば、一億円という線にこだわらずに、今までのそちらの御方針に修正を加えられて、開銀の融資の対象にお選びになる御意図はないかどうか。
  165. 鈴木義雄

    鈴木(義)政府委員 その点は十分研究させていただきたいと存じます。
  166. 森山欽司

    ○森山委員 研究するということですが、昭和三十年度の融資対象は、もう今日いろいろ御検討になっておられるはずであります。ただいまの研究するということは、三十年度の融資対象として御検討になるのですか、それとも三十一年度からのこととしてお考えになっておるのか、その辺のところを一つお答え願いたい。
  167. 鈴木義雄

    鈴木(義)政府委員 三十年度の融資の内訳については、目下研究中でございます。まだきまっておりません。従ってその際ももう二度ただいまの御趣旨を考えましてよく研究させていただきたいと思います。
  168. 森山欽司

    ○森山委員 三十年度の融資対象を御検討になる際に、一億円以下一千万円以上の会社についても一応考える、こういうお話のように了承いたします。  なお数字等の問題につきましては、まだ局長のお手元にないようでございますから、一応お調べになりまして、当委員会の方に御報告願いたいと思います。
  169. 田中角榮

    田中委員長 両案に対する残余の質疑は次会に引き続き行うことといたします。  明十九日午前十時より会議を開くこととなし、本日はこれをもって散会いたします。    午後二時五十五分散会