○井堀
委員 以上で私の質問を終りたいと思うのでありますが、最後に一言労働省に要望しておきたいと思います。
それは、先ほどだんだん明らかにされましたように、最近未払い賃金の
問題にいたしましても、
職業安定上の
問題にいたしましても、失業保険の取扱いにいたしましても、どうも末端においては、
労働者の非常な不平が多くなってきておる。それは単なる不平でなく、こういう事実を通じて、私
どもはその不平がいかに根拠のあるものであるかを、幾つとなく例を知っておるのであります。ぜひ私は、こういう不幸なできごとでありましても、このできごとを抜本的に解決なさるために努力をされると同時に、事実を正確に把握するためにも、出先だけではなくして、ことに
基準監督署については、何回も私が前の労働
委員会以来御注意を申し上げておるのでありますから、非常に大きな権限を付与されておりまする
監督官、あるいはその下に働いております
基準局及び
監督署の人々が、経営者側との間に緊密な提携を保つことはいいと思うのであります。しかし、
経済的な支援を受けたり、あるいは社交上の範囲を越えた深い関係を結んでおる事例を、われわれは絶えず見せつけられておる。一つには、予算の関係から見て、
基準監督行政を円滑に
運用しようとすれば、たとえば自動車が足りないとか、あるいは署の
建物を補修するためにも予算がないというようなこと等もあって、財政的援助を公然と受けておる。その受け方は、もちろんいろいろ別な名前を付した団体を作っておりますけれ
ども、その団体の幹事役をしておるのはみな署長なんです。これは与える方が、何も反対給付を期待して出しておるとは、私は決して思わないのでありますが、そこは人情の弱さで、こういうところで
監督行政も悪
影響がある、これを改めるようにと何回か警告をしておるのでありますが、容易に改めることができないわけであります。根深いようでありますが、こういう
問題もこの際よく検討してほしい。特に斎藤組と秩父署の関係について、直接行ってごらんなさい、斎藤組がどんな権力者、権威者であるかということは、行ってみるとよくわかる。これも労働団体がなかったら、これは新聞の
問題にもならなかったでしょう、やみからやみに葬られたでしょう。秩父地区の労働組合が立ち上ったから、世論にもなり、また私
どもが知ることにもなったわけであります。今日の土建業者の
労働者に対する封建的な地位というものは、驚くべきものであります。こういうような今日の
基準行政の
地方における、私は腐敗、堕落という言葉は強過ぎると思いますが、まあ非常な麻痺した
状態を残念に思うわけであります。私も
地方の署の外郭団体の顧問に推挙されて受けております。年二回行われる会には、なかなか山海の珍味をもって迎えてくれるのであります。署員を慰労することも、非常にけっこうなことでありますけれ
ども、そういうことによって意思が砕けるとは私は思いません、それほど軽べつはしておりません。しかし数重なりますと——そういう点で適当な
措置をとられることをこの機会に御注意申し上げておきます。特に土建関係のボスに対しては、
地方の署は弱いのですから、そこで私は
監督局が
地方にあるのだと思うのでありますが、この局がまた私が電話をかけてから
実態調査にあわてて出かけていった。国会で質問するからということで、驚いて
監督局長が飛び出した。予算の関係もあるが、こういうことについては、私は大胆に予算を要求すべきだと思う。私
どもは、大いにそういう点は代弁します。足らない面も、そういうものもあるわけでありますから、この
問題は、私はただ単に偶然なものではないと思います。安定行政については、さっきお話がありましたが、私は安定所には、非常に大きな期待をかけておるのでありますけれ
ども、これは
基準監督行政とは異なった意味で、私は出先の人々がこの精神をどれだけ正確に把握しておるかに疑いを持っておる。特殊の者は非常に熱心に法の精神に即して、公務員としての
規定をはるかに乗り越えた犠牲的な努力をしておる点を、私
どもはよく知っております。しかし一番大事な指揮に当っております上級公務員の態度は、私は好ましくないと思うのであります。それは
局長が答弁されたように、この法の精神は、
労働者の一番弱いところを助けていこうということであります。
仕事のない者は、
仕事を求めようとしている。しかも、
労働者以外にはなかなか容易にできない。のみならず、この法規はただ
仕事口を与えればいいのではなくて、
仕事を与えるということは、結局
生活保障なんですから、
生活保障のできる労働
条件がついて回らなければならぬわけでありますが、労働
条件のことについては、今日の労働法規はから回りをしておると思う。だから、こんな
問題が起ってくる。就職あっせんをし、そのあっせん先で、その
労働者の
生活が保障されるかどうかという労働
条件についてまでお世話する法の精神でありますけれ
ども、そういうものはとっくに忘れられて、
仕事を世話しさえすればそれでいい。それだって、現在かけずり回って、その雇い主まで訪問しなければ開拓できないという
現状は、私は
認めます。こういう意味で、
法律の精神というものはとっくに麻痺しているということを、
局長は十分肝に銘じて、もっと
法律の精神を十分徹底させて、
労働者の当然の権利が正しく保護されるように御努力下さるように要望いたしまして、私の質問を終りたいと思います。